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1949/04/07 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第6号
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1949/04/07 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第6号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第6号
昭和二十四年四月七日(木曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方配付税法の特例に関する法律案
 (内閣送付)
○地方行政に関する調査の件
  ―――――――――――――
   午前十一時二十七分開会
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより委員会を開会いたします。
 今日会議に付しまする件は、先ず最初に地方配付税法の特例に関する法律案(予備審査のための議案)でございます。これを議題といたします。先ず政府委員の説明を承ります。今日は木村國務大臣の出席を求めたのでございますが、やはり病氣がお直りにならないので、今日まだ御欠席でございます。
#3
○政府委員(堀末治君) 國務大臣どうも永いこと病氣で休んでおりまして、皆樣に非常に恐縮いたしておりますのですが、昨日の夕方ちよつとお見舞をいたしましたら、大分いいようだから今日一日休ませて頂いて、明日から出るようにしたいからということで、明日から出るようにしたい。こういうことですから、どうぞ惡からず御了承願います。つきましては只今議題となりました地方配付税法の特例に関する法律案の提案の理由並びにその内容の大要を御説明申上げます。
 我が國当面の最大課題であります経済的自立態勢の確立を図りますためには、財政の面におきましては、経済九原則に則つて國、地方を通ずる総合予算の均衡を図ることの緊要なることは改めて論を俟たないところであります。もとより地方財政は非常に窮乏いたしておるのでありますが、尚この趣旨に基いて更にその歳出の徹底的縮減を行い、歳入の最大限の拡大を図ることといたしますと共に、國庫財政の都合により、地方配付税の繰入額は、昭和二十四年度に限つて地方配付税法に定める繰入率に基く額によりずに、総額五百七十七億円に止めることといたしましたため、その繰入率を変更する必要がありますので、この法律案を提出いたした次第であります。何とぞ十分御審議の上御賛同を賜わりますようお願い申上げる次第であります。以上。
#4
○委員長(岡本愛祐君) 念のため申上げますが、我々に配付されました地方配付税法の特例に関する法律案、これに訂正がございます。事務局長からその訂正をお述べ願います。
#5
○政府委員(荻田保君) 原案には二ケ條になつておりますが、第二條の方は必要がございませんので、これを全部削除いたしました。從いまして第一條の方の「第二條中」とございますのを削つて頂きたいと思います。
#6
○委員長(岡本愛祐君) 御質疑願います。
#7
○西郷吉之助君 只今の案件につきまして御説明を伺いましたけれども、今回のこの税率の改正によりまして、現在提出されておる二十四年度本予算につきましては、地方配付税配付金が僅かに五百七十七億計上されておるに過ぎないのでありまして、前年度に比較いたしまして、僅から八十余億円の増加に過ぎないのでありますが、又起債額の方におきましては前年度に比べまして何らの増加もないような地方財政の現状であつて、今回地方財政予算は歳入歳出共に三千四百八十余億円のようでありますが、果して今回のこの税率の改正は、結果的にドツジ予算に基いて地方配付税を最初から五百七十七億というふうにちよん切つた結果、この税率をあとからこれに合うように附け加えたような結果になつたのではないかと思うのでありますが、九原則並びにドツジ予算案というものは、今日止むを得ないといたしましても、前年度においてさへ四百九十三億余円であつた地方財政というものは、殆んど成り立たないと思うのであります。然るに今回僅かに八十三億程度の増加であつては、地方財政というものは根本から崩壞するのじやないか、それに伴なつて如何なる事態が勘が國全國の地方自治体に起るかということを考えますと、誠に憂慮すべきことであると考えるのでありますが、私が伺いたい点は、地方財政委員会におきましても、十分この点は論議を盡されたことと思いますので、この際地方財政委員会において五百七十七億円にこれを決定するに際してどういうふうな、委員会において御意見があつたのか、又果してその結論がどうであつたか、これを五百七十七億円というのは止むを得ずお呑みになつたのかどうか、そういうような事情を詳細に承りまして、我々委員がこの法案を審議する上に資して行きたいと思いますが、この点御説明を伺いたいと思います。
#8
○政府委員(荻田保君) 配付税はお述べになりましたように、法定率が根本的に決まつておりまして、この率は濫りに動かすべからざるものであることは御承知の通りかと思います。でその法定率は現在三三・一四%、法人税、所得税の收入額の三三・一四%となつておりまして、現在政府で提出されておりまする予算案によります所得税、法人税の額から推算いたしますると、千百四十五億円くらいの收入になるわけでございます。それが今回予算におきまして五百七十七億に減額になつておるわけであります。このようになりました経緯につきましては、当初地方財政委員会といたしましたは、勿論この法定率は動かすべからざるものであると考えまして、それを基準に計算を……來年度の歳入歳出の見積りを出しておつたのでありますが、その当時は大体四千億円程度の地方の歳出が二十四年度に要るというふうに考えておつたのであります。それで配付税の法定通り出して貰つても尚相当程度起債を出さなければならない。而もそれでも足りなくて増税もしなければならない、このように考えておつたのであります。ところが國庫予算の編成に当りまして、國庫予算の健全化を図るというような趣旨が強く働きまして、終局におきまして五百七十七億という配付税の額が上から決まつて参りましたような次第であります。從いましてこのような額でやつて行く、地方財政を切り盛りして行くといたしますると、大体來年度三千四百億くらいの地方歳出より支出することはできないというようになつたのであります。で三千四百億円の枠で來年度の地方財政を賄うとすればどういうことになるかと申しますと、非常に歳出についての節減をしなければならないと思います。勿論このような時勢でございまするから、地方財政と雖も冗費の節約をいたさなければならないことは勿論当然のことでございまするが、併しながら地方財政の面におきましては、直接國民の生活、或いは教育、或いは産業復興等につきまして、非常に関連性の強い経費が多いのでございまして、これをただ圧縮いたしましても、單にこの数字を机の上で合せて見ましても、地方が実際に行いまするときには到底そのような歳出を以ては当ることができないというような事態が起ることを恐れておるのであります。
 例えば一例を申上げますれば、災害復旧に要する経費、こういうものにつきましても、如何に財政上支出することができないからといつて國庫の予算の削減をいたしましても、地方におきましては、災害によつて堤防が壞れておるということを、予算がないからといつてこれを放置して置くわけにいかない。どうしても出すことはしなければならない。然るに國の方で要ります予算にはそれを見ていないというようなことが起ると、そこに非常な無理がかかつて來るというようなことは、その外の経費についても多々あるのであります。勿論この行政整理のごときも國の準じまして、相当職員の整理を行いますが、これは御承知のように、初年度におきましては、歳出の面におきまして幾らのプラスも出て來ないというようなことになつております。この歳出自体になかなか無理がかかると思うのであります。歳入の方につきましても、これに見合うために非常に増税もしなければなりませんし、徴税につきましても、強い態度を以て臨まなければならない。例えば事業税のごとき昨年度に比べて二倍半くらいの見積をしなければならない。それから遊興税のごとき、料飲再開を見込ましても、四倍程度の歳入を見込まなければならない。從いまして、そのような見込んでありまする税收入を確保するためには、相当強い態度を以て臨むように……、納税者側には相当無理がかかつて來るというようなことが起ると思うのであります。そのようにいたしましても、恐らく三千四百億というような枠で納まりませんと、それ以上の歳入は地方團体自体の増税とか、或いは新税というようなことで賄わなければならない。
 それからこれは好ましくないことは勿論でありますが、いわゆる強制的な寄附というようなものが或る程度起るのじやないかというようなことも非常に憂慮しておるのであります。
 併しながら今回の國庫予算につきまして示されました関係方面の態度は、非常に強硬なものでありますから、この五百七十七億をどうするということもできませんので、お述べになりましたように、むしろ五百七十七億というものを先に決めて、そうしてそれに合うように配付税の改正案をいたすということになりまして、今回このような法律の提出と相成りました次第でございます。
#9
○西郷吉之助君 只今事務局長よりいろいろ御説明がありましたが、只今我我といたしまして、この税率の改正法案についてまあいろいろお話を伺いますと、どうも資料がありませんので、この点は委員長にもお願いをいたしまするが、只今事務局長のお話になつた……私も大体新聞紙で拜見して一千五百億円の收入を見込んでおり、それに伴つて新税の創設等も廣範囲に行なわれるようでありますから、そういうふうな地方財政予算寺千四百八十余億円の内容が配付税を五百七十七億に切りましたり、地方起債額を二百三十億に決定したようでありますが、それに伴つてどういうふうな無理な予算を組んでおるかというような資料がありませんので、どうもこの法案を審議する上に非常に資料不足の点で研究の余地がないのでありますが、どうか事務当局も一つ本委員会において、この地方財政予算の詳細な資料並びに税率の引上げとか、新税の創設等に関する資料を至急に御提出願いたいと思うのであります。その上で更に私は御質問いたしたいと思いまするが、只今のお話によりましても、このドツジ予算案が非常に無理なことはもう十分我々も分つておりまするが、果してそれによつて地方財政が無理ながらも冗費の節約だとか、いろいろやつた上で成り立てばよいと思いますが、こういうように今日インフレが非常に昂進した、非常に危機に臨んでおるような惡い時期に、こういうふうなことを急に極端にやりまして、果して地方財政予算というものは成り立つものかどうか、五百七十七億円に止むを得ず切るということは止むを得んといたしましても、それで非常な窮屈な予算であつても成り立てば結構でありますが、前年度においてさえも成り立たなかつたような、崩壞の一歩手前にあつたような地方財政予算におきまして、例えば一例を挙げますれば、自治体警察なんかは果してどういうふうな運命に陷るのか、又継続公共事業等も、こういうような配付税も切る、起債額も殖えないというようなことで果して成り立つて行くのだろうか、又只今のお話にもありましたが、災害復旧費とか、そういうふうなあれも丸でないように思いますが、そういう場合に一体どうするのであろうかということを我々は非常に憂慮するのでありますが、そういうような点も今回の只今私が申上げましたその資料によりまして、十分お尋ねしたいと思うのでありまするが、その資料がございませんので、委員長からも一つ至急に資料の提出方を御督促願いたいと思います。それを拜見いたしまして、その数字に基きまして、いろいろ御質問したいと思います。
#10
○委員長(岡本愛祐君) 只今西郷君からお話がございました資料の件、これは関係資料を揃えて成るべく早く御提出願います。一部資料は委員会の方で調製しまして、皆様のお手許に差上げてある筈であります。
#11
○林屋亀次郎君 地方行政委員として一言申上げて置きたいと思うのでありまするが、只今西郷委員からお話のごとく、委員会においても西郷委員の仰せられた通りな氣持を持ちまして、最初の委員会からずつと数回に亘つて会議を開き、或いは衆議院の地方行政とも連絡を取り、又民自党にも参りまして、いろいろ内容をお話申上げておつたのでありまするが、又事務当局といたしましては、実にこの間不眠不休涙ぐましい程苦労をしたのであります。併しながら至上命令と言おうか、どうしてもこれより外に途がないということで委員会は事務局からこの案を提出したのでありまして、この上は行政委員において十分に審議して頂くより外に途がないというような結論に達しておるわけであります。この点を御了承願いたいと思います。
#12
○鈴木順一君 西郷、林屋両委員からいろいろお話がございましたが、西郷委員から資料の要求がありましたように、私共もこれを審議するには十分な準備が必要でありますから、それにつきましては資料を早くお出しになり、それから又先程堀政務次官の提案理由の説明の中で、國と地方との総合的な予算、財政の均衡を図る、財政を圧縮するというようなことにつきましての我々その提案理由からして納得できないのであります。大臣は明日頃からお見えだそうでありますが、大臣からこれを納得しないような経過も聞いておりますし、又大藏省当局から事細かに説明を聞いた上でないと審議する準備が私としてはありませんから、その大藏省並びに大臣の御出席を願つて、それから審議を始めるようにして頂きたいと、こう考えております。
#13
○委員長(岡本愛祐君) 只今鈴木順一君、林屋君、西郷君から御発言がございまして、今日は木村國務大臣も見えておりませんし、又大藏省当局からも聞く必要がある、資料も不揃えであるから成るべく早く関係資料を提出して貰つて、そうして研究した上で会議を開いて質問を続行したいと、こういう御意見でございます。そういうふうにいたすことが適当と思いますから、今日はこの程度で質疑を打切りまして、再開いたすことにいたしたいと思いますので、この法案審議を打切りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(岡本愛祐君) それではそういうふうにいたしまして、地方配付税の特例に関する法案は一應質疑はこれで打切ります。
  ―――――――――――――
#15
○委員長(岡本愛祐君) 次に議題といたしまするは、地方行政に関する調査、選挙法改正に関する件でございます。これはかねてこの委員会におきまして、参議院議員選挙法の改正問題におきまして研究をいたしております。ところが全國選挙管理委員会の方でもその職責上自発的にいろいろ研究をしておられまして、これは勿論参議院議員の選挙法のみならず、衆議院議員の選挙法、その他の選挙法に関しまして研究しておられます。それが研究が一段落着きまして、この程新聞等にもその研究の結果を発表されております。今日出席を求めましたから、その説明を一應承りたいと存じます。それでは全國選挙貿理委員会の長委員にこの改正法につきまして説明を承ります。長委員。
#16
○説明員(長世吉君) 本日私共の方の委員長が公判で差支えておりますので、公判が済み次第参ることになつておりますが、まだ参りませんので、甚だ不完全な説明を申上げて恐縮でありますが、私から代理いたしまして御説明申上げます。お手許に國及び地方公共團体の各種選挙の選挙運動方法の改正要綱というのを差上げてある筈でありますが、その要綱につきまして大体のことを御説明申上げたいと思います。
 御承知のように、選挙運動は、選挙法の選挙運動の章の條項でありまするもの、その外大体におきましては、主としましていわゆる特例法と申しておりまする選挙運動等の臨時特例に関する法律、昨年発布になりました法律によつてその選挙運動の枠が定められ、又一面において選挙の公営が行われておるのでありまして、この法律によります制度は、御承知のように最近の衆議院の総選挙におきまして、これが一回でありますが、先ず実驗済みなのであります。その実驗の結果によりまして、各方面におきましていろいろの批判を受けておるのであります。從つてその批判などに基きまして、これは改正すべきものではないかという見当の下に全國選挙管理委員会におきまして、その改正すべき点を研究調査いたしたのであります。これには各地方の実際の選挙に当りました者、学者或いはその他のいろいろな方面の意見をも聞きまして、つい最近でありますが、大体の方針要綱としましてお手許に差上げたようなものを一應決定した次第であります。
 第一に方針でありますが、只今申上げたような点から選挙法の改正が考えられますので、今回問題となりますのは、選挙運動というものをどういう枠にするのが適当であるかという問題が一つと、今一つはいわゆる選挙の公営であります。これを今までの公営では適当でなく、選挙運動の枠を見合せましても、又実際の面から見ましても、どういう程度、どういう方法の公営をすべきであろうか。こういつたような二つの観点から研究いたしましたのであります。
 そこで選挙運動の改正の方針といたしまして、第一に選挙運動の方法に対する各種の制限は、これをできるだけ撤廃するということに決定いたしたのであります。これは憲法の第二十一條の國民の基本的人権としても表現の自由を保障するという点から考えましても、本來民主主義國家の選挙というものは自由であるべきであると私共は考えるのであります。これを選挙の実際の面から考えまして、選挙運動を自由に活溌にいたしますということによりまして、候補者の政見なり、或いはその人となりというもの、或いはその属する政党の政見というような点も十分に一般の國民が知ることができるのでありまして、これを制限するということはどうしても民主主義的な選挙の根本の思想と相容れないものと考えるものであります。更にこの選挙運動の取締りという面から見ますというと、これは長年の経驗で皆樣御承知のように、取締りを嚴重にすればする程違反行爲が多くなりまして、いわゆる脱法行爲が非常に盛んになりまして、終いにはそれが極めて惡質なる潜行行爲にまで段々行くのであります。今回の公営選挙、或いは選挙運動の制限につきまして、非難の最も大きな点はこの点でありまして、先頃の選挙は惡質なる潜行運動に段々選挙運動を追い込んだという非難が多かつたのであります。そういう面から見まして、選挙を取締れば取締る程選挙が不明朗になり、且つ費用も相当にかかつて來るということになると思うのであります。
 更に又これは均衡論でありますが、最近の政党或いは労働組合というものが非常に発達いたしまして、これがいろいろ政治的の活動をいたしまして、これが選挙に際していたします運動というものは、これは選挙運動と区別するということは実際上不可能なのであります。從つてこれらの運動を抑制するのは困難でありますのに、候補者の選挙運動ばかりをいろいろ制限を設けるということは、これは甚だ均衡を失するものであると考えるのであります。そういつた意味合におきまして、只今申上げましたように、選挙運動は原則としてこれを自由にするということを方針といたしたのであります。ただここにもありますように、無論自由と申しましても、選挙の公営、公共の福祉に反しない限りにおいて自由にするのでありますし、又現下の経済事情というようなものも考慮に入れる必要があるのでありますから、選挙運動そのものの自由を束縛するのではなくして、何らかのそこに枠と申しますか、或る種の制限とは見られないでありましようが、一定の原則というものを作り出すということは、これは必要であると考えますので、その点におきまして選挙運動の費用というものを、これを実情に即して最高額を定めまして、その範囲内において、自由に選挙運動を行うことができる、こういうことにしたわけであります。
 次に第二に方針としまして、公営でありますが、選挙公営はこれはいろいろな御議論もありますけれども、大体において公営を必要とせられる意見は大いに強いのであります。勿論現在の段階におきましては公営は必要だと思うのでありまして、これは選挙の自由ということは少しも矛盾することはないのでありまして、選挙が自由になりますというと、選挙運動が自由になりますと、費用が從つて嵩むという危險もあるのでありますが、これを側面から選挙の公営によつて救うということにいたしますので、むしろ選挙運動の自由を助けるものでありまして、選挙運動の自由と少しも矛盾するところないと思うのであります。そういうような意味におきまして、候補者に対しまして一定の限度で選挙運動の機会を保障するという意味から、只今行なわれておりますような窮屈なる制度などはやめまして、例えばこの文書によります選挙運動などの方法は全面的に禁止されておりますが、そういうことを自由にいたします代りに無料葉書の枚数を殖やすというような面なども考えまして、そういう改善の手段によつて公営というものは存続して行く、これが第二の方針であります。
 そこで以上二つの方針によりまして、選挙法をどういう要領を以て改正して行こうかということでありますが、これは第一に選挙運動の問題でありますが、選挙運動の候補者届出前にやります運動、いわゆる事前運動でありますが、これは大正十四年以來禁止されておるのでありますが、これについてはいろいろ御議論もあると思いますが、この事前運動というものはいわゆる選挙区の培養というような方法を以て合法的にいたしますもの、これは民主國家におきましては、常に政治と國民とが直結しなければならないのでありますから、むしろこれは必要なものと認むるのであります。そういうふうなものがありまする場合に、これをいわゆる事前の選挙運動ということと区別するということは非常に困難でありまして、これら禁止するということは全く無意味であると思うのであります。法律的に考えまして、この何が事前の選挙運動であるか、如何なるものが事前の選挙運動には属しない行動であるかということは、法律的には困難であると思います。從つてこれを法律的に禁止するということは無意味であると考えるのであります。そこで今回は先程申しました自由の原則によりまして、選挙の事前運動なるものはこれは禁止しないということに要領を定めたのであります。ただこれはいろいろな弊害も起り得るのでありまして、禁止でなくして、ただこれを自然國民の目によつて惡質なものがなくなるという点に狙いを置きまして、單にその或る期間の費用を届出さして、これを公開するということにした方がいいのではないか、こういうふうに考えるのであります。
 更に選挙運動の中で大事なものは言論による選挙運動でありますが、これは憲法二十一條の精神から見ましても、これを制限するということは甚だ選挙運動の本質に戻ると考えるのでありますから、選挙運動に対する言論の点は全く自由にする。個人が演説会を開催する場合の回数とか、街頭演説の場合は、その候補者がその現場にいなければいけないというような、そういうふうな制限は一切これを撤廃しまして自由にする、更に進んで第三者が個人であろうと團体であろうと推薦の意味で以て演説会を開くというような、言論による選挙活動というものも全く自由である。こういうことにいたしたのであります。更に選挙運動の中で、これも又問題になる点と思うのでありますが、戸別訪問による選挙運動であります。これも今まで禁止されておることは御承知の通りでありますが、これは実際の面を見ますというと、地方などにおいでになりましてもお分りになりますように、いろいろな手段を以て実行されておるのでありまして、これを公正なる取締りをするということは実際上不可能でありまして、又他の選挙運動を自由にするという方針から考えますと、これだけを又取締るということも甚だ意味をなさないことでありますので、この禁止は撤廃することが妥当であると認められるのであります。それから次に文書図画によります選挙運動でありますが、これは制限されていることは御承知の通りでありますが、この頒布、掲示、その種類というようなものはすべてこれを自由にするということにいたしたのであります。この文書によります選挙運動というものは候補者の選択の資料を提供する手段といたしましては最も有力なるものでありますが、又一面においては経費が非常にかかるのであります。けれども、先程もちよつと申上げましたように、例えば無料葉書の枚数を殖やすというようなことを公営の而に持つて行きまして、國庫の負担とするというようなことで救つて行きますというと、これは又実際に無制限の文書図画が配付されるということはないのでありますから、これをいろいろな面で以て窮屈に禁止するということは意味をなさないと思うのであります。且つ御承知のように、新聞というものは選挙に関しましては自由に報道するところの権利が、憲法によつて保障されておるという点から、均衡的に考えましても、これは自由にすべきものであると考えるのであります。從つて文書図画の種類、数量、頒布の方法とかというようなものは一切自由である、こういうことにしたのであります。ただこれを先程も申上げましたように、自然と或る枠を認めるということは、これは自由を制限する方法でないと考えますから、即ち法定の選挙費用の枠内で以て自由にこれをするということにいたしたのであります。尚又細かいような点でありますが、これを掲示する場所というようなものにつきましても、或る種の制限は、これは止むを得ないものでありまして、例えば國又は公共團体の管理する建物にこれを掲示することを禁止する、或いは又個人の建物に掲示するという場合にはその承諾を得ることが必要である、こういうような制限はこれは当然すべきものと思うのであります。
 以上は選挙運動につきまして大体の要綱を御説明申上げたのでありますが、次は選挙運動の公営に関することであります。選挙運動の公営は先程も申上げましたように、大体において公営の必要は認められておるのでありまして、そのうちにも立会演説会というものは最も適切なり運動方法であつて、これは候補者にとりましても、又選挙民にとりましても非常に便宜な方法であると言われておるのでありますから、これをただ前の選挙の実際の鑑みまして、不都合な点、又選挙運動の自由という点をも考慮に入れまして、適当なる手段によつて公営をして行く、こういう考えなんであります。而してこの立会演説会の公営は、これは先般は取敢ず衆議院議員の選挙に行なわれたのでありますが、それを地方の選挙議員及び都道府縣知事の選挙につきましてもこれを行うことにしたい、こう考えておるのであります。参議院の全國選出議員の選挙につきましては、これは選挙区の非常に廣いという関係上、これを行のうということが実際上技術的にも困難でありますので、参議院の全國選出議員の場合には行わず、その他の選挙にこれを行うということにしたのであります。その他につきましては、例えば個人演説会の公営というようなものは、これは單に設備の公営だけとして、回数であるとか、費用をどうするというようなことはすべて自由にする、こういう考えであります。次にラジオ放送の問題でありますが、これは今の放送局というものは行く行く一つの團体としましてはいろいろの形をとつて行くようでありますし、これは政府機関でなく、民間の團体なんでありますし、從つてこれを選挙法が以ていろいろな義務を負わせるということも適当ではなく、むしろ放送協会に一任するということの方が適当ではないか、又実際の面から見ましても、放送協会がいろいろな苦心をして選挙に当つての放送をいたすのでありますから、それに一任することによつて十分に目的を達し得る、こう考えるのであります。先程申上げましたように國会議員、都道府縣知事の選挙につきまして、候補者に出します無料葉書でありますが、これは増加を図りますことによりまして、選挙運動費の軽減を図るということがなし得るのでありまして、この点において非常に有効であると考えますので、そういう意味の公営をして行きたい、こういうふうに考えるのであります。それから新聞廣告の公営でありますが、これは地方の事情によりましては、いろいろ新聞の経営があります。又候補者が御選定になるにもいろいろな事情がありますので、これも自由にする。ただ参議院議員の全國選出議員の選挙の場合には、これは公営でされることが便利であろうかという考えからその場合に限つて公営でこれを行う、こういうことにしたのであります。それから尚文書による選挙運動の公営といたしまして、経歴公報は候補者の経歴を國民に知らせる最も適当な、重大なるものでありますが、現在のでは甚だ不完全なものでありますから、これをその掲載文の字数を千字程度にまで増して発行することにしたい、こういう考えであります。
 それから文書、図画の掲示が自由になりますので、公営によります氏名の掲示というようなものは、これをいちいち氏名の掲示を多くの場所にするというようなことは公営でいたしますことは無意味でありますから、こういうことも單に投票場の入口にすればいい。その他はすべて自由に委せる、こういうふうにしたのであります。
 尚又更に選挙運動費の軽減という目的を以ちまして、公営としまして選挙の場合に國有鉄道の無料乘車券を交付する。或いは又用紙や自動車用の燃料の斡旋をするというようなそういうような面を考えておるのであります。全体としましてこの公営につきましては、只今は二万円の負担金を納めることになつておるのでありますが、公営を國家がするというのに、誠に一部分とはいいながらその負担金を候補者から取るということは少し矛盾するように考えられるので、この負担金はこれを廃止する、こういう考えを持ちましたわけであります。
 以上甚だ雜駁でありますが、今回の委員会で一應決定いたしました選挙運動の方法に対する改正意見であります。これは尚先程申上げましたように、いろいろな方面の意見を聽きまして、こういう案を作りましたのでありますが、こうやつてできました案につきまして、更に又いろいろな民間、その他の方面の意見を聽いて檢討する点は檢討して行きたい、こういう考えを持つている次第であります。
#17
○委員長(岡本愛祐君) 御質問がございましたら……。
#18
○藤井新一君 只今御説明を聞きまして、敬服するところがございました。そこでその中で、二、三お尋ねしますが、これを立案するに当つて有力な権威者をお集めになつたというか、或いは学者をお集めになつたと申しますが、どういうお方であつたかということと、去る二日前の新聞に全國管理委員は、この選挙法改正をこの國会に出さない、次回の國会に提案をするということを政府に申達したという記事を拜見いたしましたが、これは事実であるかどうか。更に政府部内において選挙管理改正委員というのが存置しているか否か、こういうことを一つ尋ねて見たいと思います。
#19
○説明員(長世吉君) 第一のお尋ねでありますが、学者としましては……。
#20
○説明員(金丸三郎君) 私から御説明いたします。二回程学者の方にお集りを頂きましていろいろ御意見を承つたのでございます。第一回は前の東大の教授をしておられました蝋山先生、それから早稻田の市村今朝藏先生、中村菊男先生その外は田中一郎教授、鵜飼信成教授等というようなお方々でございます。その外言論界の方面からも來て頂きまして前回の総選挙を実際に見聞をいたされました方の意見を承つたのでございます。二回目が田中先生、鵜飼先生、そういうお方でございます。
#21
○説明員(長世吉君) 第二に御質問になりました点でありますが、これは單に新聞に出ましたのは恐らく見込みを書いただけのものであろうと思うのであります。委員会としましてこの議会に出さないとか出すとかいうことは何ら決定いたしておりません。只今申上げましたように、更にこの点についてできるだけ十分に案を作りたい。これだけのことは委員会の職責上そういうものでありますから、委員会としましては案を作るということに今專念している次第であります。
 それから第三は選挙審査委員会かなんかの設置でございましたか。
#22
○藤井新一君 そういうものがあるならば、政府にそういう意見があつたかどうかということを……。
#23
○説明員(金丸三郎君) 調査会のことでございましよう……。昨年以來選挙法の統一的な法律を作つたらどうであろうかという意見が各方面にございましたので、今年度の予算の中に要求いたしておりましたのが認められましたので、選挙制度調査委員というような名称の調査会を内閣に設けまして、それによつて國及び地方公共團体の各種の選挙につきまして、各界、各層の方から委員になつて頂いて調査審議して頂きたい。かような考えを持つておる次第でございます。現在そういう方向で内閣の方に調査会の設置方を依頼し、大体そういう方向に進んでおるような状況でございます。
#24
○藤井新一君 この中の第四のところに、第四のうちにある四ですが、「選挙に関する政令は、全國選挙管理委員会の立案するところにより制定しなければならないものとすること。」というこの意味はどういう意味でございますか。選挙管理委員会が権威を持つているという意味ですか。
#25
○説明員(金丸三郎君) これは現在も衆議院の選挙法の中に選挙法の施行に関しまする政令は全國選挙管理委員会の立案するところによつて制定しなければならない、こういうふうになつております。その意味は選挙に関しましては、全國選挙管理委員会は國会におきまして各党各派から選挙せられました委員を以て構成せられて、各党各派に偏しないで、公平な見地から立案するということになつております関係上、政令の案は全國選挙管理委員会が作りますので、閣議で政令案を決定になるわけでございますけれども、その際には原案の趣旨を尊重して閣議で審議をして頂く、こういう趣旨でございます。
#26
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。
#27
○深川榮左エ門君 ちよつとお伺いしますが、この事前運動のことでございますが、これによりますと、事前運動の規定は全面的にこれは廃止するということが書いてありますが、事前運動とした以上は時期の問題と思うが、選挙が執行される前の運動は、どういうものでもよいというような意味でございますか。この説明によりますと、費用をただ公開するだけというようなことでございますが、費用を公開さして、そしてそれによつて選挙違反なり、或いは、その外のことを審査せられて、或いは罰するというふうなことでもあるのでございますか。その辺のところは……。
#28
○説明員(長世吉君) お話のように選挙事前運動は運動としては時期が限れない。從つてその期間における選挙運動費用というものも、それも推定も決定もできないわけであります。でありますから、いつの時期からしましても、凡そ選挙運動であれば少しも差支ないということになつて來るのであります。ただ費用の点からこれを制限するといいますか、明瞭にして行きたい。余り惡いようなこともないようにして行きたい。こういうような面から費用を公開するということになりますと、或る一定の時期を決めなければむずかしいと思います。その時期はいろいろに考えられるのでございますが、大体政治資金規正法などの面から考えまして、一年ぐらいの期間の選挙事前の選挙運動だとしたものの費用は公開する、こういうより外方法がない。その公開につきましては、これが果して正しいものであるかどうか、あれだけ使うのはひどいではないかというようなことは、これは國民が判断すればよいだろう、こういう氣持を持つております。
#29
○深川榮左エ門君 そうしますと、事前運動であれば買收でもよいというのでありますか。時期はいつ頃の時期になつておりますか、時前運動の解釈、時期による解釈は……。
#30
○説明員(長世吉君) 事前運動の時期と申しますと、選挙の立候補の前の運動です。そしてそれが買收行爲になる、これは別でございます。これは買收として処罰される。買收でないその他のいわゆる選挙運動を事前に、つまり立候補前に行いましたものは、これは選挙立候補前に選挙運動をなすことを得ずという規定がございますから、それがなくなれば事前の……選挙立候補前の選挙運動が可能である。こういうことになつております。
#31
○鈴木直人君 この考え方の要点は選挙運動費用の最高額を定めたのだ、それが制限になる。その範囲内においてどういうことをやつてもいいということになるわけです。從つて選挙運動費用の最高額というものを定めることになるのですが、その選挙運動費用というものを算定する場合、その算定方法が非常に困難であるというところに欠点があると思うのです。運動することが文書であろうが何んであろうが自由であるということになる。併しながら自由にやつたものを費用を算定して見るというと、幾ら幾らになる。この幾ら幾らの算定價格というものは選挙運動の費用の範囲内で收められるのであるこういうことになるのであつて、個個の運動に要つたところの費用を如何に算定して、それが正しい算定の方法であるかどうかということを決定することが非常に困難であると思うのです。今までの選挙運動が、費用が決定しておるにも拘らず、なかなか費用を明らかにすることが困難であるからして、いろいろな運動の方法の制限が現れて來ておるわけでありますが、私は費用の算定というものが困難であるという点にこの方法の欠陥があると思います。そこでいろいろな学者が研究され、又いろいろな委員会のようなものが構成されたのでありますが、選挙運動費用の最高價格をこういう方法によつて正しく計算をして出して、そうしてそれが本当に正しい範囲内に收まるかどうかということを算定することができるという確信の下に、この案を出されたのかどうか、その点は議論もあつたろうと思いますが、要するに選挙費用を決定するということが一番重点でありますから、それが正しく計算されなければならない。その点の見通しはどういうふうに結論が出されておるのでありますか。それをお伺いしたいと思います。
#32
○説明員(長世吉君) お話のように選挙運動費用を決定するということは、選挙運動を自由にいたします半面におきまして、極めて大事な問題となつて來るのであります。從つてその算定方法が適当でないということは非常に因るわけでございます。又これを算定することが相当困難であるというお考えも御尤もなのであります。これは或る数に或る数をかける作るという仕掛けになつているのでありますが、大体今までの経驗から申しまして、このくらいの費用ならば、つまりこの限度ならば選挙ができるという数字は或る程度確実なものが得られると私共は考えているのであります。いろいろその数字も作つて見ているわけなのであります。その数によつて、その最高額の範囲内であれば選挙ができる。それより少いことはちつとも構わない。これを公明に使われて、少く使われてもちつとも構わない。この自由と公営との組み合わせから、これだけの最高額ならば十分に選挙ができるという額は或る程度見通しができないことはないと私共は実は考えているのであります。それによりまして、最高額を決めて行く、こういう考を持つているのであります。
#33
○鈴木直人君 もう一つお聽きしたいのですが、最高額を決めまして、そうしてそれが算定されて届けられて、その届出は最高額以下になると思いますが、併しながら実際に取締る方面においていろいろやつて見た結果、その最高額より実質的に上廻つていたという事実が発見され、又裁判所その他においてそれが発見された場合においては当落にかかわる。当選した者が失格する。そういう條件になりますか。或いは当落には関係しないという点で抑えますか。その点をお伺いいたします。
#34
○説明員(長世吉君) それは只今と何ら変更がない。最高額を、法定額を決めました以上は、若しそれが超過することが明瞭になり、裁判の結果そういうことになりますれば、当落に関係いたします。それはそうしなければ最高額を決めました意味をなさないと思います。
#35
○柏木庫治君 これは私の意見でありますが、最高額を決めることは……その前に申上げますが、この選挙法をお考えになつたのは非常に進歩的でありまして、誠に私はよくできておると思うのであります。ところがただ一つ大きな疵は、最高額を決めるということだと思うのであります。最高額を決めましても実際千万円をお決めになることはできますまいし、從來が五万とか七万とかけちないんちきを決めたのでありまして、それを少なくとも五十倍にも、日本人の胆つ玉ではなさらないと思うのであります。ところで実際にはやつておるのでありますから、行われない。決められないような法律を拵えることを止めまして、買收だけは嚴に戒めて、後のさつきの鈴木君の言われたような、実際算定の困難な、実際においてできない、恐らく決めたあなたも肚の中では決められないと考えておられるだろう、算定はできないだろうと思うのであります。事前運動の問題でありますが、例えて申しますと、これははつきり参議院の一人から私は聞いておるのです。というのは今でも村村には皆自分の知人を置いて、村長さんが死んだときに香典を何ぼ、村会議員が死んだときは何ぼというふうにちやんと香典を送るのだ、それが僕の一つの選挙運動なんだとはつきり言つておるのもあるのでありまして、それは選挙運動と本人は言つておりますが、これは内緒の話でありまして、実際の心は選挙運動であつても知人だから香典をやつておるのだと言うておるようなことを、これは選挙運動費だ、これは知人の香典だというように分けることはできますまいし、又共産党の徳田君でも野坂君でも、はつきりと選挙の前におそろしいビラを貼つて、横を見すまと税金の相談に應じますと、はつきりと書いてある。それがどうなるかという問題になるのでありまして、ああしちやならん、こうしちやならんと考えたときに、どうしてそれをごまかそうかというふうに頭が走つて、実に國家が不明瞭になりますから、この最高選挙費用を決めるということは、今鈴木君が言われたように算定の方法は恐らくありません。し得るというのは嘘でありまして、ここまで進歩的に行つたものならば、又例えば労働運動に携わつておる者はその労働運動の線に副つて行きます。又例えば南原総長というようなものでありましたならば、多年培かつた名前で行きましようし、今日まで実業界で專らやつて來た人の持ち前は、それはその人の仕事であり金でありますから、おのおの持つておるものは持つておる最高でやつたらいいので、例えば南原さんの名声を一会社の社長が持つておるわけではない。併し國家に働いて來た点から言えば、一方は産業をやり、一方は教育をやり、おのおの持つたものでやつて行くのでありますから、私は実業家は好きな程金を使わしていいと思います。ただ決めるところは買收はいけない。たつた買收一つだけ決めて、後は自由にやらせるくらいの一つ進歩的な法律を明るく考えて頂きたいと思います。それから本当に最高額を決める算定の方法があるならば又別でありますが、それは恐らくあなた方も、蝋山さんでも、学者の連中はみずからを欺いておる私は方法であると考えます。
#36
○吉川末次郎君 今柏木議員は、これは非常に進歩的な案であるというようなお話がありましたが、私はむしろ反対で、これは非常に反動的な民主主義に逆轉した選挙法の改正案であると思います。その内容の要領について先きに鈴木さんからも御質疑がありましたが、基本的には費用の最高額については制限するけれども、運動の方法については從來に比して非常に自由にするということが骨子であると思います。そして又選挙管理委員会の御説明によりましても、自由の伸長という建前で、この改正案を作つたというお話でありますが、それは全く旧時代のレツセ、フェールの十八世紀的の自由主義の考え方でありまして、その自由主義が民主主義のデモクラシーの目的に副うということが我々の立場から必要だと思います。このように選挙運動を自由にし、戸別訪問を自由にも、文書図画の頒布を自由にするということになりますと、先に柏木さん、鈴木さんから御指摘になりましたように、実際上費用の制限というものを決めましても、これは非常に不明瞭なものになります。今日でも最高額は決められておるのであります。そして多くの人はその最高額を超過して選挙費用を使つておるのでありますが、それが法律的に犯罪を構成して、その人が失格したというような事例は極めて少いのであります。そのように選挙の方法というものを公営主義に則つて極めて制限いたしましても、法定額を超過して金は使われておるのであります。ところが今度は自由にするのですからこれを費用の面から御指摘になりましたように、制限するということは極めて困難であります。これを自由勝手に金は減茶苦茶に使い放題ということになりますと、これは金のあるものが勝つに決つたような結果を來たして來ると思います。そういうような自由主義が果して民主主義の本旨に副うものであるかどうかということについては、私は極めて嚴粛な、まじめな一つ檢討を選挙管理委員会の方々はして頂きたい。こういうような十八世紀的のレツセ、フェール的な時代遅れの自由というものに対して再檢討を私はこの案についてして頂きたいと考えるのでありますが、そういう点についてどうお考えになりますか、時間がありませんから、この次でも結構でありますが、一つ責任ある答弁をして頂きたいと思います。意見が違うかも知れませんが……。それから戸別訪問を認めるということになつて來ると、これ亦今申上げましたようなことから反したことになるのであつて、戸訪別問は今の委員の御説明によると実際行われておると言われておりますが、私なんか戸別訪問なんかやりません。又しない人も沢山あると思います。戸別訪問を認めるというようなことは、私は非常に間違つたお考で、そういうことをすれば、この戸別訪問ということは非常に有効な動運方法でありますから、猛烈にやることになります。そして選挙が極めて不公正になつて、公正な選挙が行われない結果になると思う。これは非常に時代に逆轉するものである。先般我々地方を廻りまして、選挙法の改正について各地の代表者の意見を聞きましても、選挙公営主義は非常にいい、そして今度行われたところの公営主義によるところの選挙というものは、多少の弊害や欠点があり、改正すべき点があつても、全体を通じて從來の選挙に比しては非常に進歩したものであるということは衆口一致した意向であつて、私共はそういう答を得たのでありまして、それは、この間の選挙の結果によるところの識者の一般の考えであると思うのでありますが、そういう考えに、全く私はこれは反した結果を作ろうとしていらつしやるものであると考えるのであります。尚まだ個別的に沢山質問しなければならないこともありますが、そういうことについてどう思われるか。又学者の言われたことで、学者の説を聞かれることも結構でありますが、政治学者の説というものは、数十年來政治運動をしております私などから見ますというと、学者というものは、実際家が知らんようなことをよく知つているのでありますけれども、一面において又書斎にばかりいるのでありますから、本当のその政治の実体というものを知らないでいることが非常に多い。殊に選挙のことなんかになつてくるて、実際選挙をやらないような書斎の学者というものは、本当に上滑りのようなことを言うもので、そういうような方の政見なども勿論お聽きになつておると思うけれども、我々よりはまあ全幅的な権威を以つてお聽きになつておるかと思いますが、僕らはそれについては、今のように学者は事実にないような、選挙に迂遠にようなことを言うのであつて、選挙のことについてはこういう人の言うことは非常に割引して聽き入れなければならんと思つておるのでありますが、そういうことについてまだ私は沢山お伺いしたいことがありますけれども……。まあそういう点についてお伺いいたします。
#37
○説明員(長世吉君) 先程申上げましたように、この案は一應私共決定いたしまして、成るたけいろいろな方面の御意見をお聽きして、更に檢討すべきものは檢討したいという氣持を持つておりまして、先程來いろいろな有益な御意見を伺いまして、私共も甚だ有難いと思つておるのであります。選挙費用の問題なども今日は時間がありませんが、議論になりますが……。
#38
○吉川末次郎君 これ次で結構です。もう晝ですから……。
#39
○説明員(長世吉君) 大体申上げたいこともありますけれども……。
#40
○吉川末次郎君 この次にしましよう。この次にお答え下さい。
#41
○委員長(岡本愛祐君) 今日の調査は、全國選挙管理委員会におきまして研究せられつつある案につきまして、その委員会が選挙法の改正についてずつと前から調査研究いたしておりますが、その参考資料として聽いたのであります。尚今日は所間の関係でいろいろ御質問がある方が多かつたのですが、やり切れませんでしたから、又おいでを願います。今日は午後はお差支えあるそうでうから、今日はこのくらいにして散会いたします。
   午後零時四十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           吉川末次郎君
           岡田喜久治君
           鈴木 順一君
   委員
           藤井 新一君
           林屋亀次郎君
          深川榮左エ門君
           柏木 庫治君
           西郷吉之助君
           鈴木 直人君
           太田 敏兄君
  政府委員
   地方財政政務次
   官       堀  末治君
   総理廳事務官
   (地方財政委員
   会事務局長)  荻田  保君
  説明員
   全國選挙管理委
   員会委員長   長  世吉君
   総理廳事務官
   (全國選挙管理
   委員会事務局選
   挙課長)    金丸 三郎君
ソース: 国立国会図書館
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