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1949/04/21 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第8号
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1949/04/21 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第8号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第8号
昭和二十四年四月二十一日(木曜日)
   午後一時二十六分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方行政に関する調査の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日最初に会議に付します事件は、地方行政に関する調査、その中の地方自治法の施行に関する件に関連いたしまして、最近前橋市にリコール問題が起りまして、それについて太田委員から発言の御要求がございます。最初にこの件について審議をいたします。太田委員。
#3
○太田敏兄君 只今委員長からお話になりましたように、最近群馬縣の前橋市にリコールの問題が起つておるのでありまして、この要点を掻摘んで申上げたいと思います。前橋市のリコール問題につきまして、この市議会の解散要求の理由としましては、一、災水害復旧対策が不確実である。一、学校増築、市民住宅建築の遅延。一、担税力極度に減少、食糧窮乏のとき、都市計画事業の強行により、より以上市民の…負担を強要する。一、市民の血税を不要の経費に充当した。一、市民の福祉を阻害し、市民の利益を代表せざる市議会。この六項目が挙げられておるのでありますが一このうちで主点は、区画整理反対と市費の濫費にあると思われるのであります。
 ところで、リコールの提起されましたのに対しまして、問題は、群馬縣知万枚を印刷して市中に頒布したということであります。このビラの写しはここに持つておりまするが、「都市計画とリコール運動について」という標題で、市民にこのリコールの故なきを説いて、反対の意思表示をされておるのであります。又新聞紙にも同様の趣旨を宣傳しておるというのであります。このリコールの問題につきましては、かねて同市の選挙管理委員会ですでに承認しておるというのでありますが、これに対して監督官廳の地位にあります知事が、この選挙管理委員会の意向を無視してこういうビラを撒いて反対運動をしておるということはどういうものであるかということが私の質疑の第一点であります。更にこのビラの印刷費を縣費から支弁しておるという噂がありまして、問題となつておるのでありますが、若しそういうことであれば、これは一種の選挙法違反行爲ともなるのではないかと思われるのでありまするが、ともかくもこの問題を一應当委員会で調査して呉れという要請が地元側から出ておりますもので、この際委員各位の、この問題につきまして御審議を願いたいと思うのであります。
#4
○委員長(岡本愛祐君) たまたま御上市で國会にお見えになつておりました、群馬縣知事の伊能芳雄君にこの委員会にお出ましを願いまして、この問題につきいろいろ質疑に答えて頂きたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。
 それから伊能芳雄君に今の太田君の御質問に対して御答弁を願います前に、総理廳の自治課長の鈴木政府委員からこの問題についての経過を御説明願います。
#6
○政府委員(鈴木俊一君) 実は私共の方も、当委員会から御要求がございましたので、縣の方に取敢ず電話で連絡をいたしまして、概略の事情を承知いたしておる程度でございまして、幸い群馬縣知事がお見えになつておるのでございますから、私共の聴取いたしました事情が間違つておつてもいけませんと思いますので、群馬縣知事のお話を先に伺わして頂いた方が、私共政府といたしましても好都合だと思つております。
#7
○委員長(岡本愛祐君) それでは伊能群馬縣知事から御説明並びに御答弁をお願いいたします。
#8
○説明員(伊能芳雄君) 私は群馬縣知事伊能芳雄でございます。たまたま他の用件で上京いたしましたところ、この件で是非この委員会に出るようにということで、お邪魔をした次第でございます。只今の前橋市のリコール問題は、只今御質問がございましたビラの頒付の点につきましては、枚数は私もしつかり覚えておりませんが、刷りましたものを新聞折込みにしたのと、その他は新聞社に配つて新聞掲載を依頼したというのでありますが、それでありますから前橋市内に賣られる新聞には大体折込みされたと思いますが、各戸に特別な配付はしておらない筈であります。内容について、これはまあどういうふうにせられるかは客観的に御判断願わなければなりませんが、私の氣持としては、このリコール問題が起つておる、このリコール問題に対して市民の間に対しまして、非常に違つた角度から署名捺印を求めておるのが多かつたのであります。本來只今太田委員から御質問がありましたように、都市計画反対、或いは延期という立場からこのリコール問題は発したのでありますが、そこに派生的に、或いは市費の濫費であるとか、その他のものが付加わつて來たのでありまして、本來の姿はどこまでも都市計画に対する反対だということで始まつた運動であります。そこで都市計画の施行者である私といたしましては正しいと信じて都市計画をし、そこに合法的にそれぞれの手続、委員会を経まして著々進めておるのでありまして、今日これが中止、或いはこれが延ばされるということになりますと、今まで立退いた、或いは家を下げてしまつた人達が引込みがつかなくなる。都市の体裁からしましても非常にジグザグな妙な都市になる虞れがあり、又都市計画の本來の目的とする都市の美観、或いは防火、保安上、由々しい問題になるということを恐れまして、歪められたリコールがされては困るという考え方から、愼重にリコールの署名をするようにという意味で書いたつもりでありますが、只今反対のビラというふうに言われましたが、一概に反対というよりは、むしろ愼重にやつて貰いたい。今のリコール運動には可成り不純のものが動いておるようだから、十分愼重にやつて貰いたいという意味のことを書いたつもりでありますが、或いはその文章の読み方でそういうふうにとられたかも分りません。趣旨はそういう意味で、要するに都市計画を円満に遂行するための啓蒙運動のつもりでやつたのであります。でありますからリコール問題は私の縣内でも各所に起つておりますが、このリコール運動は、普通の形で起つておるリコール運動には、私は一言もまだ言つておりませんが、概括的にはリコールを軽々しくやるべきものでなく、リコールは民主的に正しく行わなければならないということを新聞に発表いたしました。外には、具体的なリコール運動については触れておりませんが、前橋のリコール運動は私が知事としての責任において施行しておる事業に反対するところから出発したリコール運動であるが故に、都市計画の円満なる執行上必要なりと認めて印刷物を配布いたしたのであります。從いましてその経費は都市計画に必要なる雑費の中から負担しております。勿論私は群馬縣知事としてやつたのでありますから、群馬縣費から出したのは当然だと信じております。一應さようお答えいたします。
#9
○太田敏兄君 只今の知事の御発言によつて、知事のビラを頒布せられた御意思はよく分りましたが、併し知事はこのリコール問題が起つた原因は都市計画問題からだということで、従つてこの事業そのものに支障を來すことは困るからそういうことをしたのだと御弁明になりましたが、併しこのリコール問題が提起されたのは、或いは引つかかりは、そういうことであつたかも知れないけれどもが、併し正式に市議会の解散要求としてリコール問題が正当に採上げられた限りは、これはその一部分の問題であるところの都市計画事業反対という問題ではなくして、やはり読んで字のごとく前橋市市議会解散請求の問題として考えなければならんと思うのであります。そうするとその理由の如何に拘わらず、これに対して監督官廳の地位にある知事が、これに対して、職権を以てこのリコールを阻害し、或いは妨害し、それに干渉を加えるということが果して正しいことであるかどうかということが依然として問題となるので、その問題に対して、只今の知事の弁明はこれを覆すことにはならんと思うのであります。殊に知事は反対をする、そういう意味ではなかつたと弁解しておりますけれども、併しこのビラの中に、これは写しでありますから、本物は見ておりませんが、私は、中略、市議会を解散しなければならない程の理由は一つもないと信ずる、かように明らかにこのリコール制に対する反対意思を表明しておられるのでありますが、私が先に質問いたしましたこの経費を縣費から支弁しておるということは明らかに知事が承認になりましたから、この点は問題ありませんが、このビラにも群馬縣知事何某と、そういうふうに明らかに官職名を冠しておられるところから見れば、知事としてこの市議会の解散要求に対して明らかに干渉を加えておられるということは明瞭にこれを看取することができると思うのでありますが、知事はこういう知事の立場から市議会のリコールの要求に対して、当然そういうふうにこれに干渉するの権限ありと考えておるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#10
○説明員(伊能芳雄君) そういう干渉するというような権限は勿論ある筈もないと思います。私としてはどこまでもこの具体的のこのリコール運動に、前橋市の今起つておるリコール運動に対してその理由が薄弱であると思うから、十分愼重に判断して、署名捺印するようにと、こういう意味合からやつたつもりでおりますが、要するに先程から申上げますように、リコール運動に対する一つの、この場合においてはリコール運動に対してですが、都市計画遂行上今の場合のリコール運動に対する啓蒙をやつたつもりでおりますので、職権によつて云々というような意思はありませんが、これは又職権によつてそういうことをやれるものでもないと思つております。
#11
○太田敏兄君 先の、前の弁明のときにもありましたように、或いはそのリコールの請求の手続上に、或いは不備の点があつたからというようなことを御指摘なさつておりますが、そういうことならばいいと思いますけれども、併しこの文面によりますと、明らかに群馬縣知事としてリコール制の必要のないことをここに明確に指摘しておられますので、こういうことは知事名を以てリコール制の進行を妨害しておられるということになると思うのであります。只今の知事の弁明でそういうことに職棒を以て干渉するの権限はあろう筈がないとおつしやつておりますが、そういう権限があつてされることは勿論当然のことでありますけれども、権限がないものを、敢えてせられるところに、いわゆる越権ということができるのであり、間違いがあるのではないかと思うのであります、そういう権限がなければなされなかつたらいいのに、そういう権限がないのに敢えてなされたところに問題が生じておるのじやないかと思います。その点に対しまして、私は依然として問題が残つておると思います。
#12
○委員長(岡本愛祐君) 委員外の星野芳樹議員から特に発言の要求がございますが、許可して差支えございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(岡本愛祐君) それでは許可いたします。星野君。
#14
○委員外議員(星野芳樹君) 最初に知事に伺いたいことと、それから後で総理廳の方に質問したいと思うのですが、これもお許しを願います。
 どうも今日は群馬縣の水害対策で來られて、私も陳情を受けた一人であります。それが今度は知事を追究する立場のようで、甚だ工合が悪いのですが、公のことは公けとして、この問題は論じさせて頂きたいと思います。今の知事の御証言で、大体問題は明らかになつたと思うのです。ヒラは都市計画の費用を使つて新聞に織込みされたということが明らかになつたと思います。でこれに対する見解は、知事はリコールが若し成立した場合に、非常に前橋市民に迷惑になるだろうという憂えを感じられたということも、これはよく分るのでございますが、併しそれだからといつて、若し縣知事という肩書が一般民衆参の受ける圧力を持ち、そうして更にこうした都市計画というような公けの費用を以てビラを配布されるということになると、そのリコール運動、民間から起るリコール運動というものは甚だ不和の立場に立つ。いろいろ知事の一言によれば知事の考えによれば、このリコールは甚だ非公共的なリコール運動だと考えられておるのですが、非公共的であるか、公共的であるか、結局民衆の判断、選挙民の判断に任せるより外ないのであつて、そうしますと、こういう場合に、監督官廳の人が、監督官廳名で、而もこうした公費を以てこれに影響を與える行爲をされる、そういうことになると、地方自治の元棄の精神である主権在民という、選挙民に権能を與えるという趣旨と全く反対して、実際において、このリコール運動は一歩讓つて知事のお考え通り非公共的であるかも知れないが、本当の公共的意思に基いた自然のリコール運動も、そういう官廳からのそうした行爲を許すということになつたら全然成立たなくなるし、非常に不利になる。こういう観点から考えられて、知事としては飽くまでこの点は大どころに立たれて静観さるべきが本当ではなかつたか、つまりこういうことをされたことは甚だ越権ではなかつたか、この点どうお考えでございましようか。
#15
○説明員(伊能芳雄君) あの当時のリコール運動というものが、これは若し時間がお許しになれば委員の方においでを願うと分るのでありますが、市会議員をリコールするというので署名しているのではなく、これは除かなくちやならん、除くことに対する反対の署名をしようとするのがあり、大体リコールのつもりでなくて署名捺印している、非常に間違つた署名捺印が多かつた。でありますから、リコールというものに対して、今の現実に前橋に起つているリコールはこういうものでやつているのだ、だからよく愼重にやらなければいけないということの啓蒙運動のつもりでやつたことでありまして、私は群馬縣知事として、当時の措置として、前橋市民を啓蒙する意味において適切なりと考えてやつたことであります。結果においていろいろ御批判があれば、私はその御批判は甘んじて受けるつもりでありますが、私の当時の氣持としてはそういう氣持であつたのであります。殊に今申しましたように、市会議員のリコールというのではなくて、何だか知らずに判を捺しているというのが多いのですから、これを何とかして市民に徹底して、こういうことで市会議員のリコール運動をやつているのだ、軽々しく訳も分らず判を捺さないで、はつきり事を極めて到を捺すように、こういうことを言うつもりであり、こういうことを言つたつもりであつたのであります。その点そういうふうに御了解願いたいと思うのであります。
#16
○委員外議員(星野芳樹君) 今の意味で、訳の分らないで署名をしている、そういう人も、如何なるリコール運動でも結局そういう人があると思うのです。ですからそれに対して当然反対運動の起ることも結構なことだろうと思うのです。このリコールとしても、訳は分らないとしても、法規上はとも角選挙管理委員会に提出して、その許可を得てニケ月の期間を限つて署名を集めるというような、法規上の手続きは、されておる訳ですね、そうすると訳が分らないで捺したろうというのは、これはその運動が特にそうだつたとは言えないわけです。一般のリコール運動でも、訳が分らないで捺したのもあるだろうし、しますが、とも角このリーコールを行う法規上の手続きは取つている、これに対して一般市民として知事と同じような憂國の志を持たれた方が、市民として活動されたとすれば、私共何ら問題でないと思います。例えば知事は民主党に属されておるようですが、民主党の前橋支部の方々がビラを作り、反対運動を起されたというのなら、これは何ら法律的にも何も文句はないと思いますが、そこを私共が言つておるのは、知事の権限として、そうして而も官廳の費用を以てこういうふうにされたことですね、これは知事個人としては、これは憂うべきことでないと思われても、そういうふうに官廳の費用を使い、知事の名前を使われて、こうした民主的なものが起つた場合に、それを良いなり、悪いなりという立場に立たれることは非常にこれは越権となると思うのです。例えば選挙という場合に、或る候補者と或る候補岩が立つている、それを知事の名前で以つて、或る候補者は駄目で、或る候補者は良いということを知事の名前で出される、而も縣費を使われたとしたらこれは問題だと思います。併し実際上はその知事の考えられている通り、片方の候補者は亡國的であり、片方の候補者は本当に市民には爲になるかも知れない、併しそういうことを知事がすることは越権だと思う、こういう意味で、官職の名前を使われ、官費を使われたという点は、誤つているという点はお考えになりませんでしようか。
#17
○説明員(伊能芳雄君) 先程來申上げているように、縣民に対する啓蒙、そういう意味における政治的の啓蒙を行なつて行くということも、知事の行政面における一つの責任だと考えますので、私は先程申上げましたように、あの場合適切なりと信じてやつたことであり、今日も私は別にこれに対して、細かく文章の末まで行けばもう少し推敵しなければならなかつたと思う点もありますが、全体の趣旨としては適切であつたというふうに信じておる次第であります。尚これにつきまして後日物語があるのでありますが、ここで極く内輪話で聞いて頂きたいと思います。或る数人の人々つまりリコール運動をしておる人々が、このヒラを撒いてから、怪からんというのでやつて参りました。知事はどういう観点からやつたかと言うので、只今ここで申上げたような意味のことを御説明申上げましたところが、実は我々は都市計画に反対しておらないのだ、外の意味において、市会議員がそうであつたということを私は実は言つておるのじやない。都市計画はすでに合法的に、合理、的に進んでおるものを、今になつて反対し出したから、それはおかしい、それならもう少し強く市民の輿論をと言いますか、市民の意向を聞くべきではないかというような話になりまして、向うで、じや都市計画に反対しないということを言えば、私にあのビラを取消すような方法を講ずるかと言うので、それではそちらでリコール運動をやつておる醜体が都市計画には反対しないのだということを何等かの方法で公表すれば、それと同じような程度において私もこのビラについてのやり直しをやろうという約束をしたのでありますが、遂にその人々はその挙に出でませんでしたので、私はそのビラについてそのままにしたわけであります。若しこのリコール運動をしておる人々が、都市計画には反対していないのだ、そうしてその項目の中の都市計画に関することを削除し、自分達の團体は都市計画に反対しないのだということをはつきり署名して呉れば、私もこのリコール運動についてはこうこうこういう趣意参でやつたのだから、この趣旨において市民に了解をして頂きたいという再び声明をする約兼をしたのであります。これは多少御参考になろうと思いますから、申上げて置きます。
#18
○委員外議員(星野芳樹君) それでは知事に対する質問は打切りまして、総理廳に質問します。総理廳に先ず伺いたいことは、知事が配布されたビラに「このリコール運動では議会を解散しなければならない程の理由は一つもないと信ずる」ということをはつきり書かれておるのですが、これは選挙管理委員会の権限として、リコール運動をとにかく遂行することを認めたわけですね。これは法律上何と言いますか、採択したと言うのか知れませんが、一ケ月の期限付でそういうことを認めたのですね。これは選挙管理委員会の権限でありますね。外の官職の権限ではない筈なのに、その理由が一つもないということになると、選挙管理委員会ではとにかく三鷹の理由が、正しいかどうかは知りませんが、理由があると認められたのであつて、これを成立さしたのだと思います。ところが理由がないというと、これは選挙管理委員会に対する権限侵害であると考えられないかどうか。
 それからもう一つ、知事が発言のごとく、このビラについての費用は都市計画から出されておる、公費を以て賄われておるということになつておりますが、このリコール問題に対する法律的な解釈は、結局選挙運動と同じように解釈されるので、選挙運動に、例えば一人の候補者を推薦したり、一人の候補者を抑えるビラを官費を以て出したならば、これは明らかなる選挙違反行爲だと思うのであります。そうしますとこのことは刑法的な問題になると私は考えますが、この点についでの御見解を伺いたい。
 それからこの問題に関連いたしまして、前橋の都市計画区劃整理委員長である大概英二氏は前橋國領町方面においてピースを一曲ずつ配つて署名を止めさせて歩いたということがありますが、これも私は証人は今名前を挙げられませんが、前橋へ行けば拳がるのですが、これもやはり選挙の買収行爲と同じ刑法が適用されると私は考えますが、この点はいかがでしようか。
 それからリコール運動の委員長である橋爪氏に対して、同じ大槻英二氏がお前が手を引いたらばいい地位をやるという申入れをした。これもやはり選挙干渉と同じことではないかと考えますが、これについても如何かと伺いたいのであります。
 それからもう一つ、このリコールは数において成立しまして定数確か一万六千だつたと思いますが、一千を超えて成立して、現在原本との照合をやつておるところであります。そこで問題の起つておるのが前橋市の選挙管理委員会から、どうも家族が同じ字を書いておるのがあるから、これは代筆であるから認めないということで削除しようとしておるのであります。実際問題としてそういう難をつけておるのですから、こういう問題に対してはリコールは自筆を原則とするということは法律の建前でありますが、これを自筆でないと判定するのはいかなる根拠があつたときに判定し得るのかどうか、こ一の点を伺いたいと思うのであります。
#19
○政府委員(鈴木俊一君) 今のお尋ねについて御答え申上げます。市の議会の解散請求の運動をいたします場合には、その市の選挙管理委員会に対して請求代表者の署名書というものの交付を申請しまして、そうして請求代表者署名書を交付するわけでありますが、この際は解散事由の内容については勿論審査をいたしません。果して選挙人名簿に載つておる選挙人であるかどうかということを審査いたしまして、それは該当する者でありますならば、五名なり十名なりの代表者に対して署名書を交付しまして、それを付けて署名運動をするということになるわけであります。従いまして第一のお尋ねの選挙管理委員会に属出て選挙管理委員会が解散事由を認定したから、その点について解散しなければならないほどの理由はないということは知事が選挙管理委員会の権限を侵したということにならないと思うのであります。知事の地位というものは現在選挙に関しては全く何ら権限もございません。一切選挙管理委員会がやつておりますが、投票事務自体につきましては権限がないわけであります。そこで知事が市町村のリコールその他の投票の問題について意見を表明せられるということは、結局選挙事務を管理しておるという立場から言われるものは一つもないと思います。それから尚地方自治法の建前といたしましては知事が市町村を監督するという権限は、恰も中央政円が地方團体を監督するという権限がないのと同様に、一般的には市町村を監督する権限は何もないのであります。ただ特殊な特別法で、或いは都市計画法でありますとかその他の特殊な法律が特別の監督的地位を與えておる場合があります。それはその特定の事項に関してだけであります。このリコールの問題に関しましても從つて知事は地方自治法上も選挙法上もそういう監督的な地位或いは実質上の権限というものは全然ないわけでございますから、知事さんが何らかこの問題について意見を表明せれるといたします。ならば、それは地方團体の長である知事の立場において、或いは地方團体の長であるところの個人としての立場においてそのいずれかの立場において明りかになると思います。只今知事さんのお話によりますと、これは個人としての立場でなくて、群馬縣という地方国体の代表者たる地位においてこういうことを言われたということでございますから、從つてその通りでございますならば、團体の行動でありますから経費をその團体の予算上許し得る費目の中から出すということは、これはその限度ではできると思うのであります。
 第一点第二点はそういうことでございますが、第三点のピース等を配付して、そうして署名を求めるということでございますが、これは実はリコールの本体は有権者総数の三分の一の署名が集りまして、そうしてその署名者がいずれも正当に選挙人名簿に載つておる者であるということを確認せられて、いよいよ正式に投票の日を選挙委員会が告示しましてからが、本來の選挙運動に該当する形になるわけであります。衆議院或いは地方議員の選挙運動と同じ罰則が適用されますのは、その段階においてなのであります。今の事前に署名を求める際におきましてそういうようなことをやることは勿論適当なことではないと思いますけれども、現在の制度におきましては、この点は触れていないのであります。その事前に署名を求める方は、事後の投票ということになりますと、これは選挙運動と全く同じで、只今御指摘のような事実がございますならば、これは当然に違反の問題が起つてくると思うのであります。
 それから今一点、何と言いますかよき地位でございますか、何かそういうものをやるから反対せよというようなことはどうかという趣旨のようでございましたが、これも勿論今の投票運動の段階になつ工参りますれば、今の利害誘導と言いますか、選挙法のそういうような罰則が働く場合が出てくると思います。
 それから署名の計算方法の問題でございますが、これは選挙管理員会としては、実質的な審査は困難でありますし、又実質的の審査をいたしますというと、或場合には非常に嚴格にやり、又他の場合には非常に寛大と申しますかルーズな取扱いになるという危険がございますので、署名の審査はすべて形式的にこれをやるというふうに我々共解釈をいたし、そういうふうに地方にも質問があります場合には答弁をしておるのであります。從つて例を挙げて申しますと、ゴム印で判を捺しても、こういうのは形式的には明確に無効でありますから、これはもうすぐ分るわけであります。それから全く同一筆蹟で外観上何人が見ましても、これは明らかに同一人が書いたものである、というような場合におきましては、そのうちの一人だけは一應間違いなく書いたことになるわけでありますが、そうでないものはやはり代筆ということで署名の計算から除外をしておる場合があると思うのであります。それも形式的な場合でありますが、非常に疑問がありますような場合には、常に署名者の利益に從つて判断をして行くというふうにすべきであると思いますし、そういう扱いにやつておるはずであります。事実は本人が書いたのでなくて第三者が書いて恰かも本人が書いたようにしておるというようなものは、これはやかましく申しますと無効であるはずでありますけれども、これは何としても判断ができません。そこで刑法上のいろいろの問題にはそういうことをやつたものはなるわけでありますが、選挙委員会としては、形式的に今のように表面において現れた事態だけを基礎にして罰をするという原則でございます。
#20
○委員外議員(星野芳樹君) 只今の政府委員のお答えで、この選挙法との関連に対する法律の解釈は私と違いますが、この問題はむしろ法務廳の問題だと思いますし、法務委員会の問題であり、ここでお時間を取るのはよろしくないと思いますので、これで質問は打切ることにいたします。どうも有難うございました。
#21
○吉川末次郎君 この問題につきましては、私はその内容につきまして聞きますのは、本委員会において、只今が初めてであります。それで從つてこれについての何らの予備的な、潜在的な考えは少しもないので、極めて冷静な、公平な立場でお尋ねをいたしておつたのであります。リコールの制度の問題につきましては、言うまでもなく、大体我が國の地方自治法におきましては、米國の制度を踏襲されて、それを規定いたしたものでありますが、アメリカにおきましてもこのりコールの制度の実施については、一面においていろいろな弊害があることが挙げられておるのでありますが、これを踏襲いたしました我が國におきましても、実施以来一画においてやはり編した、又それが労派的な目的、そういうようなものに利用されて、よくない結果を生んでおるというようなことも、決してないということはいい切れないかと思うのであります。それで極めて事実をありのままに一つ我々はこれを知りたいのが我々の欲求なのでありますが、今太田委員がここに持つておいでになつておりまする、問題になつておりまする伊能群馬縣知事が新聞に折込みとその他の方法によつて頒布せられました文書の写しを見まするというと、この中にこういう文句が書かれておるのであります。「賢明なる市民の皆様は、この運動が如何なる立場の人達によつて進められ、その結果がどうなるかをよくお考えを願いたい。そして今回のこの悲しむべきリコール運動については、あくまで愼重に、而も冷静に判断し、徒らに迷わさるるごとなく」云々と、こういうことがあるのでありますが、この今私が特に読み上げました文書の中において、即ち「この運動が如何なる立場の人達によつて進められ」という文句でありますが、それはどういうような意味において知事がこういう表現を用いられたのであるか、即ち或るところでは、このリコールが、よく一部の共産主義者或いは左翼主義者が一つの偏した政治的な、党派的な目的を以てリコール運動を非常に運用しておるというような噂が立てられておるのでありますが、そういうような解釈においてこれが書かれておるのであるかどうかというようなこと、即ち「如何なる立場の人達によつて進められ」云々という文面の表現をなさつた僞わらざる本当の伊能知事の心事を、事実に即して一つ第一に我々に解明を願いたい。
 それからそれにつけ加えて、「その結果がどうなるかをよくお考えを願いたい」ということは、反対からいうと、その結果が非常に憂うべき結果を來すものであるというように憂慮せられたものであると思うのでありますが、その憂慮せられたところのその惡結果というものは、どういうことを意味されたものであるかということを、併せて僞わらずに一つ我々に話て頂きたいと思います。
 それからその次に、「そして今回のこの悲しむべきリコール運動については」と、こう書いておられるので、このリコール運動が実に悲しむべき、指彈すべきものであるというふうに解釈していられるのでありますが、何が故にそれが悲しむべきものであるというふうに群馬縣知事として解されたかということを、これ亦できる限り具体的に、現実的に、事実に即して一つ我々に話をして頂きたい。
 それから「あくまで愼重に、而も冷静に判断し、徒らに迷わさるることなく」と書いていらつしやるんですから、市民が迷わされておる、それから興奮して愼垂を欠いて行動をするところの憂えがあるというように、非常に憂えていらつしやるのでありますから、これもそうしたことをお書きになりた御心事について、これ又事実に即して何も知らない私達が成る程知事が憂えられるのは尤もであるというように納得ができるように一つお話が願いたいと思います。
 特に最初に挙げましたことを私は四つに分けて一つ御解明を願いたいと思いますが、特に私が最初に挙げました「この運動が、如何なる立場の人達によつて進められ」ということについては特に一つ十分私達が分るようにお話が願いたいと思います。
#22
○説明員(伊能芳雄君) 先ず「如何なる立場の人達」という言葉を使つたのに、実はこのリコール運動が初め都市計画の反対として三十六人の市会議員のうち、一人都市計画に反対していた人があるわけであります。この人は別に思想的な方からいえば右とか左とか特別の人ではありませんが、とにかく多少自分の利害関係か何かでどうしても應じないというので、この人達の立場上段々深入りをして、初めは反対運動であつたのでありますが、反対ではやはり心ある人はついて來ませんので、今度は延期運動と名を変えて、都市計画延期期成同盟という名にしたのでありますが、この一人の市会議員も段々やつて見ると自分の立場も非常に苦しくなつて來まして、その同盟の会長であることを辞退いたしました。市会議員でも何でもない人が只今その期成同盟の会長になつておるわけであります。それでそういう人々が段々深入りしてしまつて、反対運動を何かの形でやつて行かなくちやならんという、非常に追いつめられた氣持からリコール運動に轄化して來たというふうに私は考えておるわけであります。そこに「如何なる人達」という言葉を使つたのでありまして、今のような党派的とか思想的とかというのじやなくて、そういうふうに初めにやり出したので、何かの形で終結をしなければ自分の立場が困るというような人々がリコール運動ということに展開して行つてリコール運動になつた、こういうふうな意味で「如何なる人達」という言葉を使つたわけであります。実は当時或る党派の人が來まして、これは今のおつしやるようなことを言いました。これに決して、或る党派とか政党だとかいうふうな立場からの人の意味で書いたのでは全然ないと言つたら、そろかと言つて、その点は分つて帰りました。
#23
○吉川末次郎君 その結果がどうなるかをよくお考を願いたい。つまりこれが今の「如何なる立場の人」というのは非常に批判的な意味に書かれておりますね。併しあなたのおつしやるような意味であれば、政治的な意見が異るということですから、知事の立場が、こうした批判的の表現にならざるを得ないと思いますがね。
#24
○説明員(伊能芳雄君) 批判的というふうに見えますかね。
#25
○吉川末次郎君 それはどうしたつて批判的の表現ですよ。
#26
○説明員(伊能芳雄君) その結果がどうであろうと……。
#27
○吉川末次郎君 それはあなたが一つ率直に僞らずにありのままにおつしやつて頂けばいいと思いますよ。私達は何も偏見にとらわれておるのではないのですから。
#28
○説明員(伊能芳雄君) そういうふうにおとりになれるような、多少それがあるかも知れませんが、気持はどこまでもそういう氣持です。その運動のやり場を、そつちに向けて行つたと……。
#29
○吉川末次郎君 そうなるとああいう惡い奴がやつているんじやないかという表現になつているんじやないかと思うのだが……。
#30
○説明員(伊能芳雄君) それは具体的に言えば、その人々が中傷するようになりますから、私は申し上げたくありませんけれども、それで実際、運動の少くも中心になつている人は、そういうような、事案はそういうような人があるのです。事実は。……
#31
○吉川末次郎君 それは思想的な立場でなくして個人的な道義的な立場においてですね。
#32
○説明員(伊能芳雄君) すね者とか変り者とかいう人が多いのです。それで書くときに実際そういうふうな気持はないと言いながら、潜在的にそういう氣持が現われたかも知れません。それで結果をどうして憂えたかと言えば、とにかく前橋が戰災に遭いまして、國費から相当の補助を、援助を受けて都市計画をしなければならないというときに、半分になつたというので、都電計画がうまく行かないということになりますと、折角或る所では家を下げてしまつたりしているのに、ぐずぐずしていると先に下つた人が損だと。……私は段々、遅れてもやれるとは思いますけれども、この運動が或る程度足踏運動によつて、都市計画が足踏をすることは事実と思います。足踏することになりますと、そういうようなことが市の繁栄のために心配になるわけです。これは別に吉川さんのおつしやるような或る立場の人が変な動き方をしてどうこうという、そういうことは毛頭ないのです。こういうふうな人が本当にこれは考えて貰いたいと都市計画を本当に憂えた気持から書いたものであります。それから愼重を期するようにということを先に言いましたのは、太田さんのとざに言いましたように、リゴ治ル運動でないもので調印してる者が随分あります。実は知事さん、家内が判を捺してしまつているが、実は私は知らなくて私の家内が捺してるのですというようなことを言つておまりす。そんな実はとんでもないことを言つて判を捺さしている。それでもう少しはつきりと、こういう理由でリコール運動をやつているのだということを市民が知つて判を捺すようにとの意味で愼重と書いたのです。愼重ということはこの文句の中で一番力を入れて置きたいことです。
#33
○吉川末次郎君 悲しむべきリコール運動というののも同じですか。
#34
○説明員(伊能芳雄君) そういう程度のことでリコール運動を起して、こういうふうに騒ぐということは、自治の発展上悲しむべきことだというので、まあこういうふうに、私としてその当時どつちの党派にとらわれるということなく、虚心坦懐に市政のために憂えたつもりであります。それから誤解のないように御了解を願いたいのは先程私は民主党員だと言われましたが、私は無所属ですから(笑声)その点誤解のないように御了解を願います。
#35
○吉川末次郎君 それからイニシャーティブをとつて動いた者はこういう人間だということをお話願えませんか。
#36
○説明員(伊能芳雄君) それは困つたな。
#37
○太田敏兄君 運動を起した時のことをもう少しあなたの立場から具体的にお話は願えませんか。こういう人間だということを。
#38
○説明員(伊能芳雄君) 弱つたな。余り中傷になりますから。実は共産党でも何でもありません。
#39
○吉川末次郎君 実はもつと具体的に事実を明らかにされる必要がありますが、大事なところですから……。如何なる立場の人達によつて――必要ならば速記を止めてもいいですよ。はつきり言つて下さいませんか。
#40
○委員長(岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#41
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて……。
#42
○太田敏兄君 只今吉川君の発言に対して、政府委員の方では知事のこうしたような行動に対して、何ら法に抵触しないというような説明がありましたが、供しこれはたとえ選挙法若しくはその他の法令に抵触するしないに拘わらず、こうしたような都市計画の問題に絡んで、リコール制に対して、知事は知事名を以て干渉をするというような行爲が、果して知事として正しい行爲であるか、少しも不都合はないという意味で政府としてはそういう知事の態度行爲を肯定されるかどうか、勿論大臣でないから責任ある見解は表明できんだろうと思いますが、一應この点を念のためにお尋ねしてみたいと思います。
#43
○政府委員(鈴木俊一君) 只今のお尋ねの点でございますが、先程ちよつと申上げましたように、爾後の実際の解散投票の段階になりますならば、これは選挙法に規定せられておりまする一切の罰則が、そのまま動いて参ります。從つてそういう際に官吏或いは吏員である者が、何らか選挙の自由を害するような行爲に出ますならば、これは選挙の自由妨害罪というようなことも成立ち得るでありましようし、その他そういう問題が選挙法と同じように罰則が皆動いて來るわけであります。ただ事前のそういう解散投票をするために署名を集めるという行爲につきましては、私共これは主として政令にあるわけでございますが、その政令の立案をいたします際にいろいろ考えまして、選挙運動と同じように罰則を適用すべきかどうか、又選挙運動と同様な運動方法の制限を規定すべきかどうか、いろいろ考えたのでございますが、これは先程も吉川さんからもお話がございましたように、とに角初めての日本での試みでありまするし、余りいろいろな制限を設けて、非常に窮屈なことになつてしまつてもいけないということで運動方法にも特に制限を設けませず、又罰則等も署名を求める際にはつけておらんのでございます。署名を仮に三分の一取りましても、それで最終結果が出るわけではございませんで、全く單なる一つの手続きだけでございますからこの段階ではそういう制限はつけないということで、何ら罰則は設けてないわけでございます。從つて法的の問題としては、今の群馬縣知事の配られたこのビラにつきましては、今の段階では何ら問題がないと存じますが、一般的に申しまして、知事が市町村等において紛議が起つておりますとかというような場合に、見解を表明することがいいかどうかという政策問題でございますが、これは他の縣におきましても、市町村に対する監督権はございませんけれども、やはりその都道府縣の中の行政事務を特に國が留保制限をしておらん限りには一般的に総括するという都道府縣の機能から申しましで、何らかの見解を表明するというようなことにこれはあり得ることだと思うのであります。ただそれが選挙とか或いは投票とかというような、本来自由を本質とするものについて意見を述べるということにつきましては、やはり相当愼重な考慮が必要ではないかというふうに考えるのでありますが、そういう見解を表明するということが全然いけないことだとは私は言い得ないのじやないかというふうに考えます。ただ表明する文言の内容、問題というようなことについての愼重な配慮が必要だと思います。
#44
○太田敏兄君 私お尋ねしましたのは、選挙法に直接違反するかしないかというふうな法的な見地よりも、むしろ政治問題としてでありますが、先に政府委員のお答の中にも、群馬縣知事と署名しても、そういうことに対して知事は監督権或いは権限がないのだから、法には違反しないというようなことを言つておられるのですけれども、併し今日まだ民衆の文化水準も低い日本の状態では、群馬縣知事というような官職名を使つてそういうようなビラを出せば、監督権が法律上あつてもなくつてもやはり從來長い間官尊民卑の雰囲氣の中でやつて來ておる民衆にとつては、知事として言つたことが相当影響があるので、そこで法律的にはどうか知らんが、政治問題としては相当そこに問題があるのではないかと思うのです。それから紛議と申されましたが、ただ紛議に対して知事が見解を表明したのではなくて、敗戦後初めて日本が民主国家になつてから始められた最初の民主的な制度であるリコール制、これに対して都市計画問題に絡んでリコール制を止めさせようとしておる、こういうようなことはそのリコール制が自主的にそれだけの重要な意義を持つておるかないかということは別問題として、とにかくそういうような新らしい制度に対して、知事がこれを抑えようとするというようなことは、いゆわる民主的な精神、民主化の精神に反するものではないか。そういうことは知事としての職権に、そういう地位にある者がそういうような行動に出るのがいいか、惡いかということをお尋ねするのであります。
#45
○政府委員(鈴木俊一君) 先程の群馬縣知事の証言の模様から申しますと、群馬縣知事の言われましたことは、都市計画の執行者としての知事の立場から話が出ておるようでございまして、一般的な都道府縣内の行政事務を処理するという、そういう立場からのものではないという話であります。まあ知事の性格をいろいろ分析して申しましても、一般に受ける感じは、やはりそういう都道府縣内の行政事務を処理するという、そういう立場の知事として選挙民は受取るわけですから、勿論知事が或る見解、政治的見解を表明せられる場合には、これは愼重を期することが望ましいと思いますけれども、言論自体或いは意見の表明自体は、一地方團体の長として表明せらるることを抑えるということは、やはり言論を尊重するという原則から申しましてこれは又適当ではないと思うのであります。ただその與える影響という点から、只今御指摘にありましたようにいろいろ問題を起すでございましようけれども、殊に法律によつて認められておる権利を否定する、或いはこれを抑圧するというような内容を若しも持つておるといたしまするならば、これは適当でないことは勿論でありますが、或る種の政治的見解を表明するというだけでございますならば、特に政党の知事、或いは政党に属する市町村長というようなものもおるわけでございますから、違う立場の政治的見解がいろいろ出て参りましても、それだけを以てよい、惡いということは言えないと思うのであります。併しいずれにいたしましても、これは中央政府といたしましては仮に如何ようなことを知事が言われましても、それを言うなとかいうような意味の指揮権、或いは監督的な立場というものはないわけでございまして、これは專らその知事の行動について関心を持つておる区域内の住民のそれこそ自治に委されておるわけでございまして、そういう行爲が度重つた結果、知事が非常に不信任を來すというのであれば、議会の不信任決議、或いは一般民衆のリコールということが起つて來ると思うのでありまして、そういうことで保障をせられておると思うのであります。
#46
○委員長(岡本愛祐君) お諮りいたします。衆議院の方で地方自治廳設置法案について内閣と地方行政との連合委員会がございまして、自治課長はその方に行かれますから、外に議題もございますけれども、今日はこれで散会いたしたいと思います。
#47
○吉川末次郎君 これは政府の説明を聽くのは、合同委員会で初めから聽いたら如何でしよう。
#48
○委員長(岡本愛祐君) それでは地方自治廳設置法案に対しまして内閣委員会から合同委員会の申入れがあつた場合は、委員会はこれを承諾することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(岡本愛祐君) それではさよう御承知を願います。それから明日は午後一時から委員会を開きたいと思います。それは今日地方配付税法の特例に関する法律案が衆議院を通過いたしましたので、明日からこちらは本審議に掛ることになります。それを是非御審議願いたいと思います。では散会いたします。
   午後二時四十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           吉川末次郎君
           岡田喜久治君
   委員
           三木 治朗君
           林屋亀次郎君
           柏木 庫治君
           西郷吉之助君
           太田 敏兄君
  委員外議員
           星野 芳樹君
  政府委員
   総理廳事務官
   (官房自治課長
   兼全國選挙管理
   委員会事務局
   長)      鈴木 俊一君
  説明員
   群馬縣知事   伊能 芳雄君
ソース: 国立国会図書館
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