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1967/03/24 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 決算委員会 第4号
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1967/03/24 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 決算委員会 第4号

#1
第055回国会 決算委員会 第4号
昭和四十二年三月二十四日(金曜日)
   午前十時三十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     北條 雋八君     鬼木 勝利君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴園 哲夫君
    理 事
                大竹平八郎君
                中村喜四郎君
                温水 三郎君
                大橋 和孝君
                二宮 文造君
    委 員
                内田 芳郎君
                川野 三暁君
                木内 四郎君
                高橋文五郎君
                仲原 善一君
                横井 太郎君
                大森 創造君
                鬼木 勝利君
                瓜生  清君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        栗原 祐幸君
       通商産業大臣官
       房長       大慈彌嘉久君
       通商産業大臣官
       房会計課長    矢島 嗣郎君
       通商産業省貿易
       振興局長     今村  f君
       通商産業省石炭
       局長       井上  亮君
       工業技術院長   馬場 有政君
       中小企業庁次長  金井多喜男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池田 修蔵君
   説明員
       通商産業省企業
       局産業立地部長  馬場 一也君
       会計検査院事務
       総局第四局長   小熊 孝次君
       会計検査院事務
       総局第五局長   佐藤 三郎君
   参考人
       中小企業金融公
       庫総裁      佐久  洋君
       日本開発銀行総
       裁        平田敬一郎君
       日本輸出入銀行
       総裁       森永貞一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算、昭和三
 十九年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十九年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十九
 年度政府関係機関決算書(第五十一回国会内閣
 提出)
○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第五十一回国会内閣提出)
○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第五十一回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、通商産業省、中小企業金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を行ないます。
 まず、通商産業省の決算について説明を聴取いたします。栗原通商産業政務次官。
#3
○政府委員(栗原祐幸君) ただいま議題となっております通商産業省所管昭和三十九年度経費の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳出予算につきまして、御説明申し上げます。昭和三十九年度歳出予算規模は五百四十六億九千八百万円でありまして、これを歳出予算額五百十億四百万円と比較いたしますと、三十六億九千四百万円の増加となっておりまするが、これは総理府所管から移しかえを受けた額三億四千八百万円、大蔵省所管から移しかえを受けた額四千百万円、前年度よりの繰り越し額三十二億六百万円、予備費使用額九千七百万円による増加であります。
 歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は四百九十五億四千五百万円でありまして、翌年度へ繰り越しました金額は二十六億三千六百万円、不用となりました金額は二十五億一千六百万円となっております。三十九年度におけるこの経費の執行につきまして、そのおもな事項の大要を御説明いたします。
 第一に、貿易振興及び経済協力費でありまするが、三十九年度の予算規模は五十五億八千九百万円でありまして、その支出済み額は五十二億五千四百万円であります。そのおもな支出につきまして御説明いたしますと、まず、日本貿易振興会事業運営費でありまするが、支出済み額は三十億五千五百万円でありまして、前年度に引き続き、海外市場の調査、国際見本市への参加、貿易のあっせん、海外宣伝等の一般事業のほか、農林水産物、医薬療品、軽機械等、特定のものについて市場調査、海外宣伝等の事業を実施いたしました。また、同振興会の事業運営の円滑化をはかるため、五億円の追加出資をいたしました。
 次に、重機械類輸出振興事業費でありまするが、これは日本プラント協会等に対する補助金等でございまして、三十九年度における支出済み額は二億四千万円であり、前年度に引き続き海外事務所の運営を行なうほか、コンサルタントの派遣、各国有力者の招聘、モデルプラントの設計等を実施いたしました。
 次に、工作機械輸出振興事業でありまするが、これは日本工作機械輸出振興会に対する補助金であり、三十九年度における支出済み額は九千万円でございまして、海外事務所の運営及び調査、宣伝等の事業を実施いたしました。
 次に、日本輸出雑貨センターに対する補助金でありまするが、三十九年度におきましては一億三千五百万円を支出いたし、前年度に引き続き雑貨輸出の振興をはかるための諸事業を行ないました。
 次に、アジア経済研究所に対する補助金でありまするが、三十九年度におきましては三億六千六百万円支出いたしまして、アジア地域等の経済及びこれに関連する諸事情について調査研究をいたしました。
 このほか、工業品検査所及び繊維製品検査所の運営費五億四千三百万円、生糸及び絹織物輸出振興事業費七千万円、海外技術者受け入れ研修事業費二億二千五百万円等の支出がございます。
 第二に、中小企業対策費でありまするが、三十九年度の予算現額は百十五億一千六百万円でありまして、その支出済み額は九十四億一千百万円であります。そのおもな支出につきまして御説明いたします。まず、中小企業近代化促進費であります。その支出済み額は六十九億一千六百万円でありまして、設備近代化補助金四十四億四千三百万円、工場等集団化、商業集団化、商工業協業化のための貸し付け事業に必要な財源として、中小企業高度化資金融通特別会計への繰り入れ二十三億八千六百万円、中小企業近代化促進診断費補助金等八千七百万円を支出しております。
 次に、小規模事業対策費であります。この経費により小規模事業者に対する経営指導を約二百三十万件行なっております。この支出済み額は十三億六千九百万円であります。
 次に、中小企業指導事業強化費であります。その支出済み額は三億六千七百万円であり、診断及び技術指導事業の一そうの強化をはかっております。
 次に、日本中小企業指導センター事業費であります。中小企業の経営管理の合理化及び技術の向上をはかるため、中小企業指導担当者の養成及び研修、コンサルタントの地方派遣等を実施いたしました。この支出済み額は出資金を含め三億八百万円でございます。
 このほか、中小企業団体中央会補助一億八百万円、中小企業経営管理者及び技術者研修事業費補助八千万円、中小企業施策公報委託費三千九百万円、機械類賦払い信用保険特別会計繰り入れ一億五千万円等の支出がございます。
 第三に、技術振興費関係でありますが、三十九年度の予算現額は七十八億四千万円でありまして、その支出済み額は七十四億七千八百万円であります。そのおもな支出につきまして御説明いたします。まず、鉱工業技術研究費補助金であります。その支出済み額は六億九千八百万円でありまして、わが国鉱工業技術の向上に寄与すると認められる民間等の試験研究を助成するため、百十七件に対し補助金を交付いたしました。
 次に、通商産業省の試験研究機関の特別研究費として十一億七千九百万円、試験研究設備及び施設の近代化、更新をするための整備費等五億八千二百万円等を支出しております。
 第四に、公共事業費であります。三十九年度の予算現額は八十四億二千八百万円でありまして、その支出済み額は六十四億六百万円であります。この支出につきまして、御説明いたします。まず、工業用水道事業費であります。三十九年度の支出済み額は六十一億一千九百万円でありまして、継続事業三十カ所、新規事業三カ所を実施したほか、新潟地震により災害を受けました施設二カ所の復旧工業を実施いたしました。
 次に、鉱害復旧事業費でありますが、三十九年度の支出済み額は二億八千七百万円であり、これにより九百六十一戸の家屋と十六件の公用公共用建物を復旧いたしました。
 第五に、石炭対策費であります。三十九年度の予算現額は百三十億四千二百万円でありまして、その支出済み額は百二十八億四千二百万円であります。この経費は石炭鉱業の現況にかんがみまして、その合理化の推進と離職者の援護等の諸施策を強力に推進するために支出いたしたものでありまして、そのおもなものについて御説明いたします。まず、石炭鉱業合理化事業団の出資金であります。これは石炭鉱業の合理化を促進するため四十八億九千二百万円の政府出資を行なったものでありまして、大規模近代化工事、中小炭鉱の機械化、流通合理化のための荷役設備等に必要な貸し付け資金及び石炭運賃の一部延納措置によります債務の保証業務に必要な基金でございます。
 次に、炭鉱整理促進費補助金であります。三十九年度の整理実績は四百五十万トン、六十六炭鉱でありまして、その支出済み額は五十三億四千四百万円でございます。
 このほか、保安不良炭鉱整理費一億五千九百万円、鉱害賠償基金出資一億円、石炭技術研究所が行なった試験研究に対する補助金一億四千七百万円、原料炭炭田の開発を促進するための調査費六千四百万円、ボタ山の災害を防止するための工事費補助三千六百万円等の支出がございます。
 次に、産炭地域振興費であります。この経費は産炭地域における鉱工業等の振興に必要な業務を行なう産炭地域振興事業団に対する出資金と石炭需要の安定的拡大をはかるために必要な基本的調査及び産炭地域への進出希望企業のあっせん等の業務を行なった経費で、三十九年度におきまして二十億四千七百万円を支出いたしました。
 以上をもちまして、通商産業省所管の一般会計歳出決算に関する御説明を終わりまして、次に、当省所管の各特別会計の決算について御説明いたします。
 第一に、アルコール専売事業特別会計でございます。三十九年度収納済み歳入額は六十億八千百万円であります。支出済み歳出額は五十二億八千二百万円であります。この会計の損益計算上の利益は十一億三千万円となり、この利益のうち、期末資産の増加相当額二億三千四百万円を控除した残額八億九千五百万円のうち八億七千五百万円は運転資金の増加に充て、本年度においては二千万円を一般会計に納付いたしました。
 第二に、輸出保険特別会計でございます。三十九年度収納済み歳入額は百五十億七千五百万円、支出済み歳出額は十三億八千三百万円であります。三十九年度における保険引き受け件数は四十二万三千件、その保険金額は八千九十二億円でありまして、前年度に対し八百五十六億円の増加となっております。
 第三に、機械類賦払い信用保険特別会計でございます。三十九年度収納済み歳入額は十億九千百万円、支出済み歳出額は五億五千五百万円であります。保険引き受け件数は一万一千件、保険金額は二百三億円でございます。
 第四に、中小企業高度化資金融通特別会計でございます。三十九年度収納済み歳入額は二十八億三千四百万円、支出済み歳出額は二十三億二千七百万円であります。
 以上をもちまして、通商産業省所管の特別会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。
 最後に、三十九年度通商産業省所管の決算につきまして、会計検査院より不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。
 今回、不当事項として指摘を受けましたものは、鉱害復旧事業費補助金の経理当を得ないもの一件、中小企業近代化促進費補助金及び高度化資金貸し付け金を財源とする府県の貸し付け金の運営当を得ないもの七件、計八件でございます。返還を要する指摘金額につきましては、直ちに返納を命じまして、全額国庫または府県の特別会計に収納済みであります。今後この種の事例の発生な未然に防止するため、より一そうの指導監督を行ない、かかる事例の絶滅に努力いたす所存でございます。
 以上をもちまして、通商産業省所管の一般会計及び特別会計の決算に関する御説明を終わりますが、なお御質問に応じまして詳細に御説明申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#4
○委員長(鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。小熊第四局長。
#5
○説明員(小熊孝次君) 昭和三十九年度決算検査報告の通商産業省所管の分につきまして、簡単に御説明申し上げます。
 五七〇号から五七七号までの案件は補助金関係のものでございまして、このうち五七三号から下七七号までの案件は、国から支出しました高度化資金貸し付け金を財源としまして、都道府県が行ないますところの貸し付け金の運営につきまして検査をいたしましたところ、貸し付けの対象とたらないものに貸し付けたりなどしていて、ひいて国の貸し付け金が所期の目的を達していないと認められるものでございます。
 次に、昭和三十九年中改善の意見を表示し、昭和三十八年度決算検査報告に掲記いたしました中小企業近代化促進費補助金を財源とする設備近代化資金の運営に関するもの及びはきものにかかる普通輸出保険包括保険の運営に関するもの、並びに機械類賦払い信用保険の運営に関する事項につきまして、その後の是正改善の処置状況は一四六ページ以下に記載してございます。
 簡単でございますが、以上をもちまして概要の御説明を終わります。
#6
○委員長(鶴園哲夫君) 中小企業金融公庫の決算について説明を聴取いたします。佐久中小企業金融公庫総裁。
#7
○参考人(佐久洋君) 中小企業金融公庫総裁の佐久でございますが、これから昭和三十九年度におきます中小企業金融公庫の業務の概要について御説明申し上げます。
 昭和三十九年度の経済情勢は、上期は金融引き締めにもかかわらず前年度来の基調を受け継ぎ比較的順調に推移してまいりましたが、下期には引き締めの影響が広範に浸透し始め、景気は沈滞化するに至りました。かかる情勢下におきまして、中小企業は受注の減退、大企業倒産のあおり、金融機関の中小企業向け貸し出しの圧縮などにより資金繰り、企業採算などの面で総体的に苦しい状況におちいりました。中小企業の設備投資につきましては、近代化、合理化の意欲はなお根強いものがありましたが、投資態度に慎重さを加えてまいりましたため、当公庫に対する設備資金需要は、下期に入り鈍化するに至りました。反面、経営安定をはかるための長期運転資金需要が増加いたしまして、総じて資金需要は前年に比べて旺盛となりました。
 当公庫は、昭和三十九年度の当初貸し付け規模を千三百七十五億円と定められましたが、その後新潟地震災害復旧及び年末金融対策として昭和三十九年十月に百五十億円の追加借り入れが認められましたので、これにより前年度実績に比較して二三・一%増の千六百二十六億円の貸し付けを実行いたしました。このうち設備資金は総貸し付けの七六%、金額にして千二百三十六億円、運転資金は二四%、金額は三百九十億円であります。承継貸し付けを含めた年度末貸し付け残高は、二千九百九十六億円で、前年度に比較いたしますと、五百十二億円、二〇・六%の増加となっております。
 なお、昭和四十年度におきましては、前年度実績に比較いたしますると、二一・一%増の千九百七十億円の貸し付けを実行いたしました。昭和四十一年度におきましては、前年度当初計画に比べて二〇%増の千九百八十億円の貸し付けを予定いたしておりましたが、先般百四十億円の追加借り入れがきまりましたので、これにより二千二百七十億円の資金を貸し付ける予定となっております。
 昭和三十九年度の融資にあたりましては、開放体制への移行、技術革新の進展等に対処しながら、中小企業の体質改善につとめるとともに、後進地域、産炭地域等、地域経済の振興開発にも留意するものといたしました。さらに、輸出産業並びに機械工業の設備の近代化または合理化に著しく寄与するものについても、特に配慮することといたしております。特に、中小企業の近代化を促進するため、中小企業近代化促進法に基づく指定業種に対しまして、その近代化基本計画を達成するために必要とされる設備資金の貸し付けを昭和四十年三月から開始いたしました。
 なお、三十九年度におきましては、金融引き締めの及ぼす影響が一段と深刻化することが予想されましたので、中小企業者の経営安定をはかるために必要とする長期運転資金については特段の配慮を行ない、経済、金融情勢に即応した弾力的運用をはかることといたしました。
 昭和三十九年度の貸し付けを直接貸し付け及び代理貸し付けの別に見ますと、直接貸し付けにつきましては、特にその充実と貸し付けの促進に意を用いまして、定員の直接貸し付け部門への重点的配置をいたしますとともに、宇都宮、長崎に新しく支店を、山形、鹿児島、富山、福井に新出張所を設置いたしまして、総貸し付けの三五・二%に相当する、件数で三千二百三十三件、金額で五百七十二億円の貸し付けを実行いたしました。また代理貸し付けにつきましては、二万九千九百三十三件、千五十四億円の貸し付けを実行いたしました。
 次に、日本開発銀行から当公庫が承継いたしました復金承継債権等につきましては、回収促進に努力いたしました結果、昭和三十九年度におきましては、三千九百万円の回収と三百万円の償却を行ない、年度末残高は九千八百万円となりまして、当初承継いたしました額百十九億八千百万円の九九・二%の整理をいたしたことになります。
 最後に、損益計算について申し上げますると、昭和三十九年度におきましては、二十四億余円の償却前利益をあげましたが、固定資産減価償却引き当て金繰り入れ額三千七百余万円を差し引きました残額は二十三億六千二百余万円となります。これは大蔵大臣が定めた滞貨償却引き当て金への繰り入れ額及び積み立て額の限度内でありましたので、その全額を滞貨償却引き当て金に繰り入れました結果、利益金はなくなりまして、国庫納付はいたしませんでした。
 以上簡単でございますが、中小企業金融公庫関係の三十九年度の業務概況の御説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#8
○委員長(鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から、検査報告を聴取いたします。佐藤第五局長。
#9
○説明員(佐藤三郎君) 中小企業金融公庫の三十九年度の決算につきましては、書面検査とともに本店及び十支店、一出張所につきまして会計実地検査をそれぞれ執行いたしましたが、不当事項として検査報告に掲記する事態はございませんでした。
#10
○委員長(鶴園哲夫君) 日本開発銀行の決算について説明を聴取いたします。平田日本開発銀行総裁。
#11
○参考人(平田敬一郎君) ただいま議題となっております昭和三十九年度における日本開発銀行の業務の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず本行の三十九年度におきまする貸し付け計画は、当初総額で千二百八十八億円、前年度当初計画に比べますと百五十八億円の増を予定しておりましたが、その後下期に入りまして、財政投融資計画の改訂によりまして、海運などで百九十四億円を追加し、結局合計いたしまして千四百八十二億円となりました。また、三十九年度中の貸し付け実行額は、電力百八十五億円、海運が四百五十八億円、地域開発が二百八十四億日、その他五百二十四億円、合計いたしまして千四百五十一億円となっております。
 次に三十九年度の貸し付け運営の特色を申し上げますと、まず、電力につきましては、政府の石炭政策に沿いまして、石炭火力に重点を置いたほか、特に国産重電機メーカー育成を目的とする舌電機延べ払い融資を強化し、また新潟震災復旧のための融資を行なうことにいたしました。また塩運につきましては、当初予定の貸し付け規模二百八十二億円が、OECD加盟に伴います海運自由化対策と海運国際収支改善のために四百五十億円に増加し、この結果、新造船建造量は当初の六十四万トンから百二十万トンと大幅に増加し、前年度の二倍強の大量建造をいたすことにいたしました。また地域開発につきましては、従来の四地方を引き続き強化しますとともに、新産業都市、工業整備特別地域等拠点開発に対し特に留意したこと、以上のような点がおもなる特色でございます。
 次に、三十九年度におきまする既往貸し付け金の回収は、外貨貸し付け金の回収五十七億円を含めまして、検査報告のとおり七百四億円となっております。この結果、年度末におきまする貸し付け残高は、外貨貸し付けも含めまして九千二百七十七億円となりましたが、このうち延滞は五十億円、うち六カ月以上四十億円、貸し付け残高の〇・五%、前年度末に比べまして七億円程度増加いたしました。この延滞を業種別に見ますと、石炭鉱業がおもなるものでございます。なお、このほかに海運には、引き続き従来からやっておりました内入り猶予額が三百六十二億円ございます。
 また、三十九年度におきまして外貨債務を保証いたしました額は、電力、航空等で四百七億円ございまして、年度末の保証残高は千二百九億円となっております。
 最後に、三十九年度決算の概要について御説明申し上げますと、検査報告にございますとおり、百九十一億円の純益金を計上し、このうち六十五億円を法定準備金として積み立て、残額百二十六億円を国庫に納付いたしたのでございます。
 以上簡単でございまするが、三十九年度における本行業務の内容につきまして御説明申し上げた次第でございます。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
#12
○委員長(鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。佐藤第五局長。
#13
○説明員(佐藤三郎君) 日本開発銀行の昭和三十九年度の決算の検査につきましても、書面検査とともに、本店及び七支店の会計実地検査を執行いたしました。その結果、不当事項として検査報告に掲記いたしますような事態はございませんでした。
#14
○委員長(鶴園哲夫君) 日本輸出入銀行の決算について説明を聴取いたします。森永日本輸出入銀行総裁。
#15
○参考人(森永貞一郎君) 昭和三十九年度の業務概況につきまして、簡単に御説明申し上げます。
 日本輸出入銀行は、昭和二十五年に日本輸出銀行として発足いたしましてから、逐次業務内容を拡充いたしまして、今日では、わが国の業者に対する輸出、輸入、技術提供、海外投資あるいは海外事業等についての各種の金融のほかに、外国政府等に対する直接借款の供与などの業務を行ない、わが国の輸出振興あるいは海外経済協力の推進につとめてまいっております。
 昭和三十九年度における本行の業務状況につき簡単に御説明いたしますと、輸出の振興と対外経済協力の促進という内外の要請を背景といたしまして、前年度に引続きまして融資活動も活況を呈し、当年度間の融資承諾額は前年度比三百十八億円増の二千二百三十一億円に達しました。これは主として船舶の輸出にかかる金融が増加したことによるものであります。このような事情を反映いたしまして、貸し出し実行額も三十八年度の千四百八十四億円に対し三十九年度は千九百七十九億円と増加し、年度末の貸し出し残高は四千四百三十五億円に達するに至りました。
 このように三十九年度におきましては、貸し出し実行額が著増し、その額が当初の計画を上回ることに相なりまして、年度当初の資金計画による政府出資金二百二十五億円、資金運用部からの借り入れ金七百十二億円、両者を合わせて財政資金投入額合計九百三十七億円では不足を来たすことになりましたため、資金運用部からの借り入れ金を九百五十七億円に増額いたしました。
 なお、昭和三十九年度の決算におきましては、国際競争上低利の融資を要請されている本行の特殊事情から、一億九千八百万円の貸し倒れ準備金を繰り入れたのみで、ここ数年間の決算と同様利益金を計上するには至りませんでした。
 なお、この機会に、最近の業務状況につきまして一言いたしたいと存じます。昭和四十年度以降も引き続き船舶を中心とする輸出の増加のほか、開発途上の国に対する経済協力の進展に伴う設備等の輸出、直接借款の増加等により、貸し出しの増加を見ております。すなわち昭和四十年度中の貸し出し実行額は二千百三十億円と昭和三十九年度中の実績を上回り、さらに昭和四十一年度におきましては、本年二月までの貸し出し実行額は二千二百四十三億円にのぼり、二月末の貸し出し残高は六千八百二十七億円となっております。さらに三月中の貸し出し必要額をも考慮いたしますと、当初の資金調達計画では不足を来たしますので、資金運用部からの借り入れ金の増加により、これをまかなうことにいたしました。
 以上昭和三十九年度における本行業務の概況にあわせ、最近の業務の状況につき簡単に御説明申し上げましたが、今後とも輸出の振興並びに経済協力の促進がいよいよ緊要になってまいりますのに伴い、本行といたしましても引き続き使命の達成に一そうの努力を重ねてまいる所存でございます。
 昭和三十九年度の決算につきましては、何とぞ御検討の上、御承認あらんことをお願い申し上げます。
#16
○委員長(鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。佐藤第五局長。
#17
○説明員(佐藤三郎君) 日本輸出入銀行の昭和三十九年度の決算検査につきましても、書面検査とともに会計実地検査を四十年八月本店について執行いたしましたが、不当事項として検査報告に掲記する事態はございませんでした。
#18
○委員長(鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。
 質疑のおありの方は順次御発言願います。
#19
○大橋和孝君 ただいま報告にもありましたように、昭和三十九年度のわが国の経済は、三十八年度末から国際収支の悪化が起こり、引き締め政策がとられてまいりました。しかし前半は、まだ旺盛な活動が続けられました。そして民間の設備投資は年間に四兆八千五百億、前年に比べまして一七%の増加といわれております。非常な利益の伸びをいたしておるわけでありますが、一方企業の合理化とか国際競争力の強化が進みまして、アメリカあるいはヨーロッパの国際市場の状況なんかにこの収支が支えられて、収支は黒字になっておるわけであります。他方に、企業の整備、経営の悪化あるいは倒産の増加というのが非常に深刻になってまいりまして、政府は三十九年度のこの通商産業政策の成果は一体どういうふうに見ておられるか、こうした倒産に対してどのように評価をしておられるのか。あるいはまた、この産業政策を遂行してきた過程においていろいろ考えられていることは、今後どのようにこれを反映されるのかという、この不況、特に倒産に対しての通産省のほうの考え方をひとつ詳しく聞きたい。
#20
○政府委員(金井多喜男君) 御指摘のように、昨年来の日本の景気は非常に好転してまいりまして、中小企業におきましても販売高、生産高、輸出高、その他うわべから見ましたいわゆる経済の活動というものは、三十九年、四十年の不況から脱却してきたというような感じを受けるわけでございますけれども、ところが御指摘のように、ひとたび中小企業の内部に立ち入ってみますと、その点こういったうわべの生産活動等の上昇にもかかわりませず、経営の内容というものにつきましては、私どもの調査した段階ではそう好転していないというような実情でございます。特に私ども非常に頭を痛めておりますのは、御指摘のように、あの景気不況の昭和四十年におきまして、負債金額一千万円以上の倒産が六千百四十一件あったわけでありますが、昨年におきましては、さらにこれを上回る倒産を見ましたということは非常に遺憾にたえないところでございます。その倒産の状況はさらに今年に入りましても、この一月が四百六十七件、二月は七百三十四件というふうに、この二月の七百三十四件というような数学は、これまた月別に見ますと、戦後最高の数字でございます。こういったような事情から、私どものほうとしては中小企業対策というものについては、いわゆる一般的な景気振興策というような目地でなくて、相当その倒産の原因等がどういうことから起こっているかというようなことをよく調査追究いたしまして、御承知のように、中小企業と申しましても、まことにその企業の規模なり業種は千差万別でございますので、こういう業種なり企業の実態に即応したきめのこまかい金融、税制、助成、指導、そういった政策を講じていかなければならない、こんなふうに考えておる次第でございます。
#21
○大橋和孝君 私は京都から出ているのでございますが、京都のほうにはやはり西陣の織物あるいは丹後の織物等の中小企業が非常に多く、特にまた郷土の産業としても非常に中小あるいは零細企業が多いわけであります。こういう実態を見てまいりまして、この三十九年度から非常に景気が上回っているにもかかわらず、あるいはまた昨年、民間の設備投資が相当進められておるが、こうした方面に対しての基本的な方針はいま聞いたのでありますけれども、具体的な政策がなくて、特に最近では非常に不況というか、非常にそういうふうに追い込まれておる状態だと思います。私は特にここで質問申し上げたいのは、そういうことに対していろいろきめのこまかい――千差万別だからなかなかやりにくいけれども、それに即してやっていかれることはわかりますが、もっと融資の面についても、税制の面についても何か具体的なものを進めていく、そうして困っている人たちに対するかくかくのこういうことをして救済をするという姿勢を示さなければ、私はそれらの人たちが持ちこたえられないだろうと思うわけであります。そういう点からもひとつお考えを詳しくこの際承っておきたいと思うわけであります。
 特にまた、この三十九年度の通産省所管の中小企業対策の支出額を見ましても、九十二億が予算額でありますが、これの八割を支出しておるわけであります。あるいはまた四十年度はそれが九十九億にふえておるのでありますけれども、これが実際の支出額は七割程度におかれておる。こういうようなことに対しましても、私はもっとやはりこういうのを最高度に使ってもらうべきじゃないかというふうな感じもいたすわけであります。あるいはまたそういう観点から、もう少し具体的な、あるいはまたそうしたいまの中小企業対策などに支出されるところのいろいろな費用に対しましても、一応この実績を踏んまえて、今後どのようにこれを展開していこうとするのか、あるいはもっと政策ではどういうふうにしょうかというふうな、もう少し具体的なものを示してもらうわけにはいかないものでしょうか。
#22
○政府委員(金井多喜男君) 具体的な策といたしましては、やはり何といっても金融、税制、助成、指導、そういう四つに集約できるのじゃなかろうか、このように思います。その中でいわゆる倒産の原因等を考えてみますと、たとえば町の高利貸しから金を借りて倒産に至ったのじゃないか、そういう金融上の事情等も相当ウエートを占めているというふうに思量されますので、倒産対策としても特に必要であろうと存ずるわけであります。そういった点から、御承知のように中小企業の金融につきましては、一般の市中金融機関においても、特に中小企業なるがゆえに不利な貸し付け等を行なわないように関係政府機関とも連絡をとってお願いしているわけでございますが、この中小企業金融については中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金、私どもこれを政府系中小企業三金融機関と申しているわけでございますが、その貸し付け規模につきましても、来年度の予算額におきます貸し出し規模は、前年度よりも一八%程度ふやすことにいたしまして、六千三百八十五億円を予定いたしております。それからこれに必要な財政融資、すなわち大蔵省の運用部資金を特に重点的に投入することにいたしまして、この金額は四十二年度の予算においては二千九百九十八億円、前年度の当初計画から見ますと、二一%程度の増を予定しているわけであります。
 それから御承知のように中小企業金融について金利を下げる必要があるわけでありまして、この点につきましては、一昨年の秋に三厘下げましたし、昨年の四月に三厘下げました。それからことしの一月に、特にまた相当三機関の経理状態からいっても問題があったわけでありますが、さらに二厘引き下げることにいたしているわけであります。
 それからこの金融とうらはらになって、特に必要なのは信用補完の問題だろうかと思います。この点につきましては、来年度の信用補完制度につきましては、やはり根本的に強化いたすことにいたしまして、その関係法の提案もすでに行なっております。具体的な内容といたしましては無担保保険、倒産関連保証の特例を恒久化いたします。それから保険の限度等を引き上げる、それからさらにはまた今後の指導の面におきまして、保険料率につきまして昨年春大幅に下げたわけでありますが、今度保険公庫としても下げますと同時に、各地の信用保証協会もそれ以上に下げていただくようにせっかく指導中でございます。
 それからまたこの信用保証協会の強化ということが、地方の実際の中小企業者の保証につながりが強いわけでございますが、この信用保証協会に対しまして、保険公庫から融資基金を貸し出す額を前年度よりも二十億円ほどふやしまして、予算措置も当然しておるわけでございます。
 一方、税制につきましては、かねがね中小企業関係の税制について配慮してまいりましたが、特に来年度におきましては、この保証協会に銀行等から出捐金を出していただいて、それが保険基金なりに役立つわけでございますけれども、この税につきましては、まだ最終的に大蔵当局とケリはつきませんけれども、減税ないし免税をするということに固めつつあります。それから特にこの中小企業の中におきましては、いわゆる法人に至ってない小規模の個人企業者が非常に多いわけでございますが、この個人事業者の従業員、家族専従者につきましては、いままで税制上、法人の従業者等に比べると不利な扱いを受けておったわけでございます。端的に申しますると、月給をもらってもそれが税法上では年間二十四万円しか控除の対象にならぬ、こんなことでございますが、これにつきましては、来年の一月一日からいわゆる妥当な額までは税を課さないという完全給与制というものを実行する運びになっております。
 さらにはまた、中小企業者の零細企業者につきまして、転廃業等の措置について一段と考慮する必要があろうかと思います。その点につきましては、かねがね政府におきましても小規模共済事業団というものを設立いたしまして、転廃業のリスクを負担するために保険制度を講じておりますが、これも掛け金につきまして、税法上生命保険の掛け金のワクの中でしか控除が認められないということでございましたが、これを今度は別ワクを設けまして、年間六万円までは税法上控除するというようなことで、関係当局との話がきまっております。
 さらにはまた、指導の面におきまして、私ども中小企業の場合には大企業と違いまして、やはり政府なり府県の指導というものが特に必要であろう、このように考えておる次第でございますが、これにつきましては、すでに前年度の予算で、十五府県に対しまして総合指導所を設置することにいたし、それに即応する政府の補助金も交付してまいりましたが、四十二年度におきましては、十七府県をさらに追加拡充するというような処置も講じつつございます。一方また中小企業につきまして、技術が特に問題になっておりますが、この技術的な点につきましては、地方公共団体の試験所、開放研究室等を強化するために、相当大幅に政府から補助金等を交付するように、四十二年度の予算において講じつつございます。
 さらにまた、この中小企業全体の問題といたしまして、御承知のように全国の企業の中で中小企業は九九・五%というふうに基本法の定義から見ますと推察されるわけでございます。こういった中小企業がすべて個々の近代化というものはやらなければなりませんけれども、さりとて御承知のように非常に過当競争ということのために、共倒れの現象も顕著なものがあるわけでございます。そういった点につきましては、私ども特に最近における経営の内容の生産コストの悪化等からいって、労働集約的から資本集約的に持っていかなきゃならぬ要請が一段とございますし、外からは御承知のように資本自由化という大きな波が打ち寄せようとしておりまして、そういった内外の事情から配慮いたしまして、個々の近代化の促進とあわせて、どうしても中小企業はお互いに協業をやって、たとえば団地だとか、共同店舗だとか、工場アパートだとか、ボランタリー・チェーンだとか、そういうものを中小企業者同士で一緒にやって、規模の利益を享受する必要があろうということを痛感する次第でございます。そういった点から、かねがね高度化資金特別会計で国と県で二五%ずつ金を貸し付けておった制度がございますが、それをこの際中小企業対策として太い線をもって貫く必要があるということを痛感いたしまして、中小企業振興事業団というような組織をつくりまして、そうして中小企業のそういった融資と、そういう構造改善につきましての指導というものを一貫してうらはら一体となってやっていく。それから当然国なり県の融資比率等も従来の合計五割から六割五分程度に引き上げる。さらにはまた、その貸し付け条件等につきましてもその条件を相当大幅に緩和をする。こういうような構想で目下関係各省と折衝を妥結できる見込みでございまして、新しく事業団法案として提案して御審議をお願いしたいと、こんなふうに考えております。
 最後にもう一つつけ加えますと、この倒産関係につきましていろいろ理由を調べてみますと、親企業の倒産のためにまことにお気の毒に関連倒産で中小企業がつぶれてしまうという例が非常に多いわけでございます。この辺につきましては、かねがね法務省におきまして会社更生法を改正いたしまして、中小企業対策につきまして一段と考慮する考え方がございましたが、私ども中小企業庁のほうも積極的にそれに参画いたしまして、結論といたしましては、中小企業債権につきましては、更生会社から優先的に弁済を受けられるという道を、こうした法案を骨子といたしました会社更生法の改正案が今国会に提出される予定でございます。
 以上、問題の点を申し上げましたが、まあ相当詳しく申し上げたつもりでございますけれども、私どものほうの施策からすると、そのおもなものでございまして、その他私ども先ほど申しましたように、中小企業の規模、業種、そういったそれぞれの態様に応じまして、指導、助成の面を通じまして、きめこまかい施策をその他いろいろと推進してまいりたい、このように存じておる次第でございます。
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#23
○委員長(鶴園哲夫君) ここで委員の異動について報告いたします。
 本日、北条篤八君が委員を辞任され、その補欠として鬼木勝利君が選任されました。
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#24
○大橋和孝君 たいへん御説明をいただきましてありがとうございますが、そのようにして施策が非常に、わりあい中小企業向けの非常に親切な施策が行なわれております。私もそのようなことは存じておるわけでありますが、しかし依然としてどんどんと倒産がふえている。そしていまもお話の中にありましたように、やはり比較的小規模の企業ほど再建が不可能である。最近ではいわゆる従業員が一人から九人までぐらいのものであれば、ほとんどその五〇%くらいが再起不能になっている。あるいはまたこれが三百人以上の規模のものであると、七二%が再起しておるというような例が報告になっております。私はこういうようなところから考えまして、やはりこの倒産をもっと現実的に押えるためには、もっと何とか方途を示してもらわない限り、やはりこの倒産を食いとめることができないのではないか。あるいはこの原因は、先ほどから申し上げましたように、いろいろと減産的なものもあれば、経営の放漫なものもあるでしょう。あるいはまたいろいろ協業もできていないという観点もあるでありましょうが、いま現在において、非常にそうしたところに置かれているものに対して、私はもう少し何とか方策をしてもらいたいという考えを持つわけであります。同時にまた、私、ここでちょっと伺っておきたいのは、京都のほうで、いま私が申しております西陣、あるいは中小零細企業が多いわけでありますが、この方面に、先ほど御説明になりましたいろいろな措置、この地区に行なわれておるその融資の面とか、あるいはまたそういうふうな対策の面あるいはそうした相談所といいますか、いろいろと行なわれておるそうした面について、他の府県あたりとどういうふうなことになっておるか。また融資を受ける金額においてはどのようなバランスになっておるか、あるいはいま私が聞きたい原因は、まだまだいろいろな協業なり設備なり、いろいろ受け入れ態勢がうまくないために、中小企業庁のほうからはいろいろやろうとするいまのワク内ではできないというものがあるのじゃないか。そういうことであれば、やはり地元に対して相当そうした指導が必要であろうと思うのですが、京都は他の府県に比べあるいは他の中小都市と比べてどういうふうになっておるかということの何かデータを出していただくことができないものでしょうか。
#25
○政府委員(金井多喜男君) 私ども、各府県とは日ごろいろいろの会合等を通じまして密接に連絡をとっておりますが、私の個人的な感じといたしましては、京都府はわりあい中小企業対策につきましては、各府県に比べて御熱心ではないかという感じを日ごろ持っておるわけでございます。本日も実は各府県の担当課長にちょっと中小企業庁に集まっていただいておりますので、その辺、ただいまお尋ねの各府県と比べて京都府がどういう中小企業対策の特色があるのかという点につきましては、さっそく調べまして、後ほど資料としてお手元に差し上げたい、このように存じております。
#26
○大橋和孝君 その点で、私はいまの質問の中で、京都府独自で無担保無保証の中小企業者向けの融資をいたしておりますが、私はそれもいいことだと思うのですけれども、しかし、国のほうからそうしたもっと大きな働きかけがないと、やはり地方まかせであっては、たとえばいまいう協業化とかあるいはまた、いろいろ中小企業の合理化の面に進むためには、もっとやはり中央といろいろな関連があるほうが、より有効ではないかという観点から、私は、そうした通産省と関連のある何か施策の面を特に調査してみたい、こういうふうに考えているわけであります。そういう観点からひとつ資料を出していただきたい、こういうふうに思うわけです。
 それから続きまして、この三十九年度の会計検査院の通産省所管の指摘事項の中に、三つございます。先ほどもちょっとあったと思うのですが、鉱害復旧事業費の国庫補助金の経理に関する件が一件と、中小企業近代化促進費補助金に関する件が二件と、今度の高度化資金貸付金に関する件が五件、これはやはり、あとの二つの件に関しては、三十七年度に比べて三十九年度は非常に減っておると言いますが、まだこれがあるわけでありますが、こういうものは私は、いま申し上げている趣旨からいって、非常に中小企業に対して密接な役割りをする金だと思うわけでありますが、私は、この指摘が早くなくなって、もっと有効に、困っている人たちに十分にこれが行き渡るようになるべきではないかと思うわけでありますが、この指摘されたところの状態と、そうしてまた、それをどういうふうに反映さしていくかということについて、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#27
○政府委員(金井多喜男君) 三十九年度の決算におきまして、設備近代化資金二件、高度化資金五件の不当の指摘を受けましたことは、非常に遺憾に存ずる次第でございます。私ども、これらの件についての処置は、すでに御指摘の趣旨にのっとりまして、ほぼ完了しておる次第でございますが、さて、今後の方向といたしましては、この設備近代化資金、高度化資金ともども、中小企業につきましては、その前提といたしまして、診断指導というものが非常に必要でございます。そういった点、その診断指導につきましては、先ほども答弁の中に申しましたように、総合指導所の設置等によりまして強化してまいりまして、今後はこういった資金の供給について手落ちがないように、しかも、実際に中小企業者の近代化に役立つように戒めてまいりたいと、このように思っております。
 それから、特に先ほども申し上げましたように、高度化資金関係につきましては、いろいろとその後の実施状況を私ども見ました結果から、中小企業のほんとうに骨となり肉となる対策としては、いままでの国二五%、県二五%、貸し付け条件が最大十年、そういうようなことでありましては、どうもあまり役に立つ度合いが少ないということを反省いたしまして、例の中小企業振興事業団において一元的な、しかも、相当条件を緩和してやるというようなことにいたした次第でございます。
#28
○大橋和孝君 いまお話しの中にもありましたが、この診断をしたり、あるいはまたいろいろ指導したりする面で、臨時中小企業不況対策相談室とかというのをおやりになっているようですが、これの機能やら運営をもう少し、私はよくまだ勉強が足りませんのですが、御説明を願いたいと思います。私は、これがほんとうに、何と申しますか、倒産する人に対してほんとうの役割りをどのようにしておるかという観点から、ちょっと御説明を願いたい、こう思うのです。
#29
○政府委員(金井多喜男君) 御指摘の各通産局の不況対策相談室は、三十九年のいわゆる景気が悪化しましたときに、当時といたしましては、文字どおり不況対策ということで、臨時的に各通産局に設置した次第でございます。実は昨年の春、景気がうわべながら好況化したときに、どうも看板との関係からしてちょっともうやめていいのではないかというようないろいろな意見もあったわけでございますけれども、特に当時の三木大臣から、まあ、名前の看板はぴったりしないかもしれぬけれども、中小企業については特に倒産等も依然として減らない実情であるので、ほぼ恒久的な考え方として置くべきではないかというようなお指図もありまして、現在に至っておる次第でございます。実際の運営の状態といたしましては、各通産局にそういう看板をかけた事務の一室がございまして、そこに中小企業者の方が自分の経営なりあるいは資金の借り入れ、その他いわゆる中小企業の経営上、国の施策がいろいろあってもそれがわからぬとかあるいは資金の借り入れ等について、どうも自分の力だけではどうにもならぬが、ひとつ金融機関に話をしてもらえますまいかというような、そういった個々の企業の経営指導、金融借り入れというようなことについて、できるだけ親切に中小企業者の立場に立って御相談に応ずるように私ども日ごろ指示をしてございます。そういった実情でございます。
#30
○大橋和孝君 そういうふうなものがほんとうの機能が、最近はいまおっしゃったようにだいぶ景気も上向いてきているからということでありましょうと思いますが、実際には倒産する中小企業はそうじゃないわけです。そうしてこれの運用というものが、もっとこうより十分に、そうしたうわべばかりの教育だけじゃなくて、倒産に対する処置としてより一そう拡充されることを私は念願をいたしているわけですが、これについても、たとえば京都の方面に対してはどんな指導が行なわれているか、あるいは京都の西陣あるいはそういうような中小企業の中でこうした指導を受けた件数がどれくらいあったかというようなことがもしおわかりでしたら御説明願いたい。もし、それがこまかしいことでしたら、またあとでお聞きしてもけっこうです。
#31
○政府委員(金井多喜男君) 後ほど調べまして先生のお手元に提出したいと思います。
#32
○中村喜四郎君 いまの関連事項で。この貸し付け対象にならないもの、あるいはその他当を得なかったものに対する処置、指摘された事項に対する処置はほぼ完了したと言うが、どのように完了したのか、ちょっと伺いたいのですが、指摘された事項の八三ページの愛知県の場合における、十七企業が倒産、脱落等によって貸し付け金の償還が困難になっておるという問題、これ一つだけでもけっこうですが、どういうふうに処置したか、ひとつ。
#33
○政府委員(金井多喜男君) 私、先ほど、ほぼと申しましたのは、これだけが実はペンディングになっておるわけでございます。この愛知の件と申しますのは、御案内のように名古屋建設機械工場の団地でございます。これは会計検査院の御指摘のように、組合員二十企業のうち十七企業が倒産または脱落いたしまして、この高度化資金の貸し付け目的に達していないから貸し付け金の返還をしなければならないことになっておるわけでございます。率直な話が本件につきましては、私どものほうの名古屋通産局長並びに愛知県の商工部長等が一体になりまして、何かとこれにつきましては、そのあと始末に努力いたしておる次第でございます。この土地の造成等も、そのときにすでに終わっておりますし、それから建屋等もできておるわけでございますので、私どもこの処理の方法としては、どっか適切なあの辺の大企業の下請企業の団地にしたらいいかと、こんなふうに思いまして、率直な話が、あの土地にございます鉄会社、自動車会社、それの大手に交渉をいたしつつあるわけでございますが、残念ながらまだ今日までにおいて適当に肩がわりをするというような段階に至っておりません。
#34
○中村喜四郎君 いまの説明、それでわかりましたが、そうしますと、この通産省として貸し付け金の償還に対する処置はいろいろ手を打っておるけれども、企業倒産者に対するこれからの処置ですね、いまの十七企業なら十七企業の脱落者に対する処置、これらについても何か方法を考えているのか。さらに指摘されている五七六号、五七七号の新潟県と熊本県のそれぞれ当を得なかったものに対する処置は、返還を命じたわけですか、八三ページ五七六号、五七七号について。
#35
○政府委員(金井多喜男君) 順序が逆になりますけれども、この愛知県の名古屋建設団地以外は全部返還を終わっております。ちょっと大事なことですので申し上げますと、設備近代化資金の岩手県の熊谷印刷につきましては、四十年の五月二十七日に全部県の特別会計に回収いたしました。
 それから次の徳島県の佐々木開発工業株式会社の件につきましては、四十一年の三月三十一日にこれまた全額を県の特別会計に回収いたしました。
 それから次の高度化資金関係で、岩手県の北上機械鉄工業の団地につきましては、昭和四十年六月十六日に県の特別会計に収納を終わりました。
 次は、いまの愛知県がペンディングになっております。
 それからその次の大阪府の大阪府被服団地につきましては、これは問題が、私のほうの企業の二十企業以上という基準の中に、製造業が該当しないのが一社ございましたので、これは話し合いでほかの製造業が入って要件を満たしております。
 それから新潟県のニューロンデパートにつきましては、四十年の九月二十日に全額県の特別会計に収納を終わりました。
 それから熊本県の熊本第二食糧事業協同組合の件につきましては、四十年の七月二十二日に全額県の特別会計に収納してございます。
 第二番目のお尋ねの十七の倒産企業等がどうなったかという点につきましては、私、当時の事情をつぶさには存じませんけれども、私の耳にいたしましたところでは、この十七企業のあと始末については、たいした大きな問題もなく結末をつけておるというふうに聞いておるわけでございます。
#36
○中村喜四郎君 最後に、それらの不良な貸し付けといえば不良貸し付けだという、それはすべての原因が事前調査が十分にできなかったためだという指摘がされておりますが、事前調査が十分できない素因というものは大体どういうふうなものですか。人が足りなかったからとか、あるいは時期的な問題とか、あるいは調査が不十分なそういう要因というのはどういうことなんですか、この指摘された事項の中で。これは会計検査院のほうに……。
#37
○政府委員(金井多喜男君) これも私の想像に終わるかもしれませぬけれども、私はこんなふうに判断いたす次第でございます。
 まあ御指摘のように、この貸し付けの前提といたしまして、診断指導を県のほうでよくやっていただくということになっておるわけでございますけれども、その点、私どもの診断指導については、相当厳格にやっていただくように指導法なり、その基準でお願いをしておるわけでございますけれども、別に人手不足ということだけでもございませんけれども、まあいろいろな事情が重なり合って、何と申しましょうか、相当大部分のものはうまくいっておるわけでございますけれども、残念ながらこういう結果になった、こういうことで……。
#38
○中村喜四郎君 結論的に言うと、いまの指摘事項だけでも注意してやればこのような不良の事態はできない、事前調査を十分やり得る能力があってこのような事態を絶対起こさないことができると、こういう判断なんですね。
#39
○政府委員(金井多喜男君) 要するに、これは各機関ほんとうに手から水の漏れないように周到な注意をしてやればこういうことは起きなくて済んだ、こんなふうに存ずる次第でございます。
#40
○大橋和孝君 だいぶ時間も超過しましたので、ちょっと簡単に……。
 それで先ほど御答弁の中にもありましたように、商工組合中央金庫、中小企業金融公庫、国民金融公庫、こういうようなものがやはり融資のもとになるわけであって、こういうものの貸し付けがうまく行なわれるのでいま救われているわけでありましょうが、私は、いま中小企業のほんとうに倒産するような人はなかなか貸してもらえないというのが現況じゃないかと思うのです。こういうのを何とかもう少し、倒産に至らないうちに融資が何とかできるという、もっと具体的な進め方というか、そういうものが何かはしい。そうでなければ倒産というものはどうしても防ぎ切れないという形になるのじゃないか。そのほかの原因も先ほど聞いておりますからわかりますのですが、そういう観点から、三機関の非常にあれしたのも一つになっていまお話しのようにされるわけでありましょうが、なお一そうこれに対しての深き、何といいますか運営の妙といいますか、そうしたことが、もっとそういう倒産に対してどういうふうに向けられるかという観点からひとつちょっと御意見を承っておきたいと思います。
 それから中小企業金融公庫のほうにちょっとお聞きしたいのは、融資の面が一体どういうふうにして行なわれておるか、各年別にどういうふうにして出されておるかということを、中小企業についてちょっと一つだけ資料にしていただきたいと思います。報告では、貸し付け金の残高は順調に伸びておるというような報告を聞いておりますし、あるいはまた償却前の利益余の伸びは比較的これに伴っていない、特に四十年新たに四億も減益を示しておるというようなことも報告を受けておるわけですが、こういう間において、この原因は、やはり先ほど御説明の利子の引き下げやら何かいろいろあるわけでありましょうが、この公庫の中でそうしたことがまた貸し付けに対する一つの問題ともなろうし、あるいはまたいろいろな点も考えられると思いますが、私は、とにかくこうした中小企業金融公庫がもっと倒産という面に対して手軽に出せるような、そのためには指導やら、いろいろな機関があるわけですから、その政策を反映して手軽に貸せられるような方法はないものかと思いまして、中小企業金融公庫のいままでの資料をいただくのと同時に、今後のそういうことについてちょっと御説明をいただければ私はありがたいと思います。
#41
○政府委員(金井多喜男君) お尋ねの最初の政府の、倒産につきましての、もっと倒産に至らない金融という点について私からお答えしたいと思います。私ども政府関係金融機関につきましても、これは御承知のとおり金融機関でございますので、通常いわれるところの金融ベースということはどうしても頭に置かざるを得ないわけでございます。そういった点、どうも金融上の事由から倒産したと思える人は、市中から、高利貸しから余を借りたとかいうようなことが雪だるま式になって倒産に至っているということでございます。
 こういったものを防止するためには、やはり先ほど申しましたように、信用保証の点につきまして、現行の信用保証の制度をできるだけ利用していただくという方法以外に、たとえば担保等を徴しないで、政府関係金融機関で余を貸すようにということも、ちょっと私どもまた国のお金をお預かりし、管理しなければならない一端をになう立場として、なかなかむずかしいわけでございます。まあいずれにしても、私ども、その金融でもって、倒産にいくというような前段階においてそういう羽目に至らぬように、中小企業がそれぞれ健全に成長するように、近代化、合理化を進める、あるいは経営についてあぶなくないようにしていくということが、そういう前段階の点が特段と必要じゃないか。こんなふうに考えておるわけでございますけれども、まあ今後いずれにいたしましても、こういうふうに倒産が依然として戦後最高を続けるということは、まことに私どもとしては反省させられるわけでございますので、今後大いにその点、いろいろと勉強いたしまして、倒産の少なくなるような施策を今後またいろいろと推進してまいりたいと、このように考えます。
#42
○参考人(佐久洋君) 先ほど来倒産の問題、それから小規模企業の経営困難の問題についてお尋ねがございますが、中小企業金融公庫といたしましては、貸し出しは、御承知のように直接中小企業金融公庫が貸し出す場合と、金融機関を通じて貸す、つまり代理貸しの方法と二つございます。先ほど来のお話は大体代理貸しの対象の企業のように思われますが、関連倒産に限らず、この倒産を起こした場合に、中小企業金融公庫としては、かりに借りた金が返せないという状況になった場合に、その返済の条件、つまり返済の期間とかあるいはその他条件の変更というようなことで、できるだけ再起ができるような相談をいたしております。これは現実に行なっておりますが、それら再建計画ができて、一ふんばりやれるというような状況の場合には、一番先に必要なのは運転資金でございますが、これは再建のための緊急運転資金というような方法を別途講じて、企業の再建にお力添えをしておるという行き方をとっております。
 それから小規模企業については、これは昭和三十一年からその制度はございましたが、小口金融制度というものを設けまして、百万円までを限度といたしまして、これは代理機関がその判断によって無担保で貸せるという制度をつくってございます。なお、この百万円という限度を経済の発展に応じてもう少し引き上げる必要があるという考慮から、四十一年度からはその限度を二百万円に引き上げて、小口金融の円滑化をはかるというやり方をとってございます。
#43
○大橋和孝君 どうもありがとうございました。ことにまあワクもあることだから、よくそれは承知いたしておるのですが、ことにその倒産の場合をいろいろ聞いてみますと、市中銀行や何かではできなくて非常に困っておる現況でございますので、特にそうした小口金融の貸し出しのワクなんかも十分配慮してもらいたいと思います。
 先ほど申しましたように、ちょっとやはりこの京都府において、どれほどこれが小口金融なり、あるいはまたこうした中小企業のものがどれほど、ほかの府県に比べてかなりそういう利用度が高いかどうかという観点がちょっと知りたいと思いますが、どんなもんでありましょうか。
#44
○参考人(佐久洋君) 京都府の西陣方面というお話ですが、いま手元にちょっと資料がございませんので、調査をいたしましてお手元に差し上げます。
#45
○大橋和孝君 じゃ、もう一点だけ、石炭対策について少しお尋ねしたいと思うのですが、あの報告を見てみますと、非常に石炭の事業がこのごろは斜陽であって、非常に苦しい状態になっておる、この対策の一つの特徴は、いままでの閉山合理化過程で発生されたもの一千億円を財政資金により肩がわりをしておるという、この企業の救済の実際の状態はどんなかということもちょっとお尋ねしておきたいと思います。
 それからここに働いておる人たちの、いわゆる賃金不払いの解消を目ざして、そしていろいろやられているわけでありますが、四十一年の九月末には、四千人分約二億円、あるいはまたそれがずっと三十九年なんかに比べれば減ってまいっておるわけでありますが、この労務者に対して早く行き渡るような方策はどんなふうになっているか。
 それからもう一つは、保安対策でありますが、非常にいままでのいろんな大きな事故が起こっておるようでありまして、いわゆる保安監督官が欠員のままにあるというようなところも非常にしわ寄せになってあるようでありますが、こういう点は非常に私は人命尊重の上からもたいへんな問題であるし、いかに不況でありながらもやはりこうしたことに対しては十分配慮されなければならない点ではなかろうかと思うわけでありますが、こういう点はどうであるか。
 それからまた、こういう炭鉱といえども、問題はやはり融資の問題があるでありましょうから、そうしたことに対しての配慮はどういうふうになっているか、あるいはまた、いろいろそうした面でこの斜陽産業に対してどうしても国が大きく支援をしなきゃならぬわけでありますが、そうした観点でこうした斜陽産業に働いている労務者にしわ寄せされることのないように、あるいはまた、そうした産業も何とかひとつそれが更新していかれるように、そうした方策でいまのような問題が報告されているところでありますから、そういうことにのっとって、ひとつ石炭の問題全般に対して御回答願いたいと思います。
#46
○政府委員(井上亮君) ただいま御指摘のありました石炭鉱業の現状と、その対策の大きな項目につきまして御説明をさせていただきます。御指摘のありましたように、石炭鉱業の現状は、一言で申しますと、大手企業におきましても、中小炭鉱におきましても、ほとんど今日の経理状態を見てみますと、命脈をわずかに保っておるといっても過言でないような現状でございます。特に過去数年にわたりまして石炭鉱業は、エネルギー革命の影響を激しく受けておりまして、その過程で企業におきましては、この自己防衛策といたしましてやはり老朽化した炭鉱を閉山し、なお炭量等たくさんあります山につきまして、ビルド炭鉱につきましては鋭意これについて能率をあげ、坑道掘進等につきましてもさらに近代化していくというような政策を強行してまいった昭和三十六年当時、炭鉱労務者の数はたしか二十一、二万人おりました。それがその後老朽炭鉱の閉鎖とかあるいは合理化政策、これはやはりエネルギー事情からいたしましてどうしても自由価格が低落をしてまいりますので、石炭の価格も引き下げなきゃいかぬというようなことから、やむなく行なった合理化政策でございますけれども、こういった政策のために、大手企業だけで見ましても、退職金に千億近い金を支出いたしております。それから、閉山合理化費用そのものといたしましても、千四百億円くらいの支出をいたしました。そういった過程でコストの切り下げ、炭価の引き下げ――炭価を引き下げまして自由価格と対抗できるような、そういった政策を強行してまいったわけでございます。ところが、ただいま申しましたような、こういった異常な、急激かつ大規模な閉山合理化政策の遂行の過程で、石炭鉱業の負債は非常に異常負債が累増してまいっておりまして、今日借り入れ残高だけを見ますと、二千億以上の借り入れ残高を持っております。−なお、合理化政策を始めます当初、昭和三十四年当時におきましては、六百億くらいの借り入れ残高、それが今日二千億程度、しかも出炭の規模は、当時におきましても年間五千万トン程度、今日でも大体五千万トン程度ということで生産額そのものとしては大差ないのに、借り入れがこのように累増いたしましたのは、ただいま申しましたような事情で、異常債務が累増しておる。政府におきましても、こういう状況を放置いたしますと、どの企業が助かるという関係ではなくして、全企業が崩壊のおそれがあるというようなことから、一昨年三木通産大臣が大臣に就任されましたときに、ちょうど御指摘のありました炭鉱の事故等も当時相次いでおりましたので、これらもやはり企業のそういった窮乏化した現状が一つの起因ではないかというような意味から、石炭鉱業政策全体についての抜本策の樹立を命ぜられまして、自来一年有余、石炭鉱業審議会が中心となりまして、熱心な検討をやっていただいたわけでございますが、昨年七月に答申をいただきまして、政府におきましては、直ちに昨年の八月に閣議決定を行ないまして、今後の石炭対策の基本方向を決定いたしたわけでございます。四十二年度予算につきましては、この基本方向に沿って予算編成をいたしておるわけでございますが、その政府のきめました政策の大きなやはり柱として、ただいま先生から御指摘のありましたような、過去の企業の責めに帰せさせるにはあまりに事情として気の毒であり、かつ過大な、過重な負担と思われます二千億円程度の異常債務といいますか、累積赤字といいますか、そういうものを市中銀行の融資につきましては十年の均等償還、それから政府関係の金融機関につきましては十二年の均等償還というようなことで、元利均等償還を行なうというような政策をとっておるわけでございます。
 なお、これだけのこの措置を行ないましてもなお石炭鉱業は、それでは今後とも赤字を出さないでやっていけるかと申しますと、企業自身も今後さらに能率をあげまして、企業の合理化といいますか、再建計画について最善の努力をいたすわけでございますが、なおやはり私どもの見通しでは、赤字をぬぐえないというような意味合いから、今度の予算編成に際しましても、坑道掘進についての補助制度を導入するとか、あるいは特に中小炭鉱あるいは大手炭鉱につきましても、特に経営の苦しい企業につきましては、安定補給金を支出するというような政策を講じておるわけでございまして、ただこういった助成策を前提にいたしまするならば、一応昭和四十五年度くらいまでの見通しといたしましては、まあほぼ大多数の企業が一応やっていける態勢になるのではないか、もちろんこれは労使の努力にまつところもございますけれども。というような見通しを今日得ておるわけでございます。しかし、何ぶんにも石炭の位置づけと申しますか、今後の生産の規模あるいは需要確保の見通し等につきまして、これを位置づけと申しておりますが、総合需要対策の中の位置づけが五千万トン程度というふうに考えられますので、この五千万トン程度の出炭見通し、あるいは需要確保の見通しというような点でいきますと、どうしてもビルド山については増産をいたします、増産しなければまたコストダウンができない、賃金を上げていけないということになりますので、どうしても増産をし、能率をあげ、賃金も上げ得るような態勢をつくらなければいかぬ。しかし、需要が一応五千万トン程度、政府はこれにつきまして五千万トンをこえるように努力するという政府の閣議決定を行なっておりますが、まあしかし、ふえるといいましても、そう何百万トン一気にふえるというわけにはまいりませんので、そういった宿命を持っております。その反面、やはり老朽炭鉱の閉山と申しますか、整理をやはり行なわざるを得なくなるというような困難な事態をになっておるわけでございます。閉山につきましては、今度の予算につきましても、閉山交付金を従来トン当たり千二百円程度でございましたが、これを倍額の二千四百円支給するというようなことを通じまして、従来閉山に伴いまして離職いたします炭鉱離職者、これに対する退職金が必ずしも十分でなかった、非常にわずかであったというのが、今度は倍額に引き上げたというだけでなしに、さらに退職金とか社内預金とかいうようなものに対しましては二千四百円の半額相当分を、従来はこれは二割だったのですが、それを今度は五割程度は賃金あるいは社内預金の支払いにこれを充当するようにというような制度に改めまして、そういうことで従来よりだいぶ改善されることにはなっております。
 このような措置を通じまして、閉山されます企業につきまして、特にこの労務者あるいは地元の商工業者等に対して、少しでも円滑な閉山ができるような措置をやってまいりたいというふうに考えております。
 賃金不払いの問題につきましても、先生から御指摘がございましたが、この点につきましては、御指摘のように、いままで石炭鉱業、これは大手、中小を問わず、非常に経営が苦しかったために、賃上げはいたしますけれども、なかなか賃上げしただけの給料は支払えない、そうして金繰りも苦しいというようなことから、賃金不払いと申しますか、社内預金のような形にしている例がある。ですから経営が楽になれば払うというような式のものが相当あったわけでございますが、まあ私ども、先ほど来申しました肩がわり問題にいたしましても、あるいは坑道掘進の補助制度導入の問題、あるいは安定補給金を交付するというような方針を決定いたしましたのも、やはりこういった不健全な労務対策、労務事情をそのままにおきますと、これは経理は一見よくなるように見えても、労務面から倒産するというようなおそれもあるわけでございますから、そういった意味で、こういったことが逐次そういった補助、助成制度あるいは融資の政策を通じまして、解消できるようにというような配慮をいたしております。
 それからなお、石炭鉱業は斜陽産業であるから、ただいまも申しましたような経理が苦しい際に、働く労働者にしわ寄せをしないように配慮すべきであるという御指摘がございました。私も、先生御指摘のとおりであると思います。特に今日一般的に各産業ともに労働事情がきびしく労務不足の状況でございますので、炭鉱におきましてもごたぶんに漏れず、また特に炭鉱は御指摘のようにやはりなかなか苦しい、今後ともきびしい事情にございますので、より一そうやはり労務不安という問題がございますので、私どもといたしましては、これに先生の御指摘のような、経理が苦しいからといってしわ寄せをいたしますと、今度は労務者が離散する、いなくなるというようなことになりますと、これまたせっかくの再建策も全うするわけにいきませんので、こういうことのないようにいろいろな面で私ども十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
 なお、保安の問題につきまして御指摘があったわけでございますが、これは通産省におきましては鉱山保安局があるわけでございます。実は保安局長、今日付でおかわりになりまして、いま関係課長見えておりますが、石炭局と鉱山保安局はいつも一体となっていろいろ相助け合って行政やっておりますので、私どものサイドから一こと申し上げさしていただきますと、鉱山保安の問題につきましては、これは単に保安局だけでなくて、私ども石炭局の立場に立って考えましても、やはりこれは保安なくして生産はございませんし、経営もない。御承知のように炭鉱が事故を起こしますときには、往々にして非常な大災害を起こします。大災害を起こしますと、企業によりましては再起不能になる場合もありますし、いたずらに累積赤字を重ねるというような結果になりますので、特に私どもの立場からいたしますと、これは通産省全体の考え方でございますが、やはり人命尊重というのを第一義といたしまして、保安対策については十分の努力をしてまいりたいというような決意でおるわけでございますが、御指摘の保安監督官の増員につきましても、来年度もやはりある程度増員を認められまして、なお私、これで完ぺきかといわれますと、鉱山保安局のほうに意見があるかもしれませんが、いずれにしましても年々充実さしておるという実情でございます。なお保安面につきましては、坑道掘進の補助というような制度も導入いたしましたが、これもまさに保安対策をねらっております。従来この事故を起こします最大の原因はやはり坑道掘進のおくれということが指摘されておったわけでございまして、また坑道掘進のおくれというのは保安上大問題であるだけでなしに、生産面におきましても、将来の安定出炭に影響があるというような関係もありますので、特にそういった保安の面も配慮して、坑道掘進については、炭鉱経営者が積極的に坑道掘進をするようにというような配慮をいたしまして、坑道掘進を補助制度に踏み切ったというようなことでございます。
 なお、保安融資等につきましても、合理化事業団からの融資とか、あるいは開銀につきましても坑道掘進等につきましても融資をいただいておりますが、今後とも御指摘のように、保安は私どもにとっても最も大事な行政の一つでございますが、保安局はもとよりでございますが、石炭局におきましても十分そういった配慮でまいりたいと考えております。
 簡単でございますが一応お答え申し上げます。
#47
○瓜生清君 私は、産業公害対策問題に焦点をしぼりまして、若干通産省にお伺いしたいと思います。
 御承知のように、ここ数年来、産業公害対策ということが国民の大きな関心の的になっております。しかも産業公害対策の推進機関といたしましては、いま総理府であるとか、あるいはまた建設省であるとか、あるいはまた厚生省であるとか、通産省であるとか、多くの省庁にまたがっておりますが、したがって、そういう観点からしますと、通産省だけを責めるわけにはいかないと思いますけれども、この昭和三十九年度の決算関係の審議の資料その他を見ますと、この問題についてほとんど一言半句も触れていないというような気がするわけです。そこで、いろいろな通商産業政策等については相当詳細に述べておられますが、どうもそれとの関連において見ますと、少し産業公害対策というものが軽視されておるような、そういう印象を受けるわけです。その点について全くここにそういう問題が出ていないということについて、どうお考えですか。
#48
○説明員(馬場一也君) ただいま瓜生先生からお話のございました、通産省における産業公害対策といいますか、産業公害の問題は、御承知のように、ここ数年、特に十年くらい、特に最近数年くらいの間に急速に大きな問題になりました問題でございまして、これに対する通産省の政策あるいはいろんな施策というものも比較的歴史が新しいのでございます。ただいま通産省の施策の中で産業公害に対する考え方が少し軽いんではないかというような御指摘がございましたが、非常に通産省の行政といたしましても新しい行政であるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、産業公害の問題は、ただいま御指摘いただきましたように、非常に最近重要な問題になっております。かつまた、これは通産省一省の問題ではなくて、非常に関係する省の多い多元的な行政でございますので、通産省といたしましては、この産業公害の問題を取り扱います際に、関係の各省と十分な連絡を保ち、これと十分協調、連絡をとりながら、その中における、全体の中における公害行政の中で通産省の果たすべき分野は何かということを中心にいたしまして、一生懸命に毎日行政をやっているのでございます。通産省で行なっておる産業公害行政というものの中に、非常に新しいものでございますが、大ざっぱに申し上げますと、幾つかの重点がございます。
 一つは、これは昭和三十九年度当時にはまだ巨体的に展開されておりませんでしたが、昭和四十年から始まりました一つの試みでございますが、産業公害の問題は、工場ができましてからいろいろ実際に煙を出す、水を出すということで公害が発生をいたしましてから、工場のほうにいろいろ施設を直させるとか、規制をかけるということも必要でございますが、これにはおのずから、後手に回りますと非常に工場のほうでもやりにくい、あるいはその対策として十分な効果を発揮するに至らないという問題がございまして、どうしてもそういう実際に出ておる公害に対処することのほかに、ひとつ工場の建つ前から、事前に工場の配置面から気をつけてまいるという事前防止といいますか、予防の施策という観点が非常に大事だということが、最近いろいろ苦い経験にかんがみまして明らかになってまいったのでございます。したがいまして、これから工場がたくさん建ち並びますような地域、たとえば水島でございますとか、あるいはこれからの鹿島でございますとかいうような、そういう公害を新しく起こしやすい工業が建ち並ぶような地域に対しましては、事前に工場の進出がきまりますと、工場が実際に建設を始めます前に、その工場がかりに工場の基準どおりに建ったならば、一体その地域全体の大気汚染の問題なり、水質汚濁の状況はどうなるかということを事前に調査いたしまして、そうして全体を総合してみますと、一つ一つの工場では十分やっておるつもりでございましても、全体としては非常にぐあいの悪い結果になるということが出てまいりますので、この場合には一つ一つの工場の計画に対しまして、たとえば煙突の高さを直させるとか、あるいは工場の配置をこういうぐあいに変えろというような事前指導をするということで、実際に工場が生産を開始いたしました際の公害発生を事前に予防するという観点からの対策が非常に必要であるということが一つでございます。このために、昭和四十年からそういう新しく工業化の進みますような地域に対しましては、事前に工場の建設計画に基づいて一つのモデルをつくりまして、実際にその工場が自分のところの思うとおりの計画をやったらば全体の状況がどうなるであろうかというのをいろいろ実際に、エアートレーサーの実験をいたしましたり、あるいはそれを風洞実験にかけたり、分析をいたしたりいたしまして、全体の状況を事前に把握いたしまして、その結果に基づいて工場にしかるべき工場配置についての指導をするという行政を始めております。これは昭和四十年度に数地域、四十一年度も引き続き数地域やりまして、本年度もさらに地域を拡充してまいる予定でございますが、寄り寄りその調査がまとまりまして、具体的に工場を実地に指導した例が数例ございました。これは一つの公害対策として新しいことではなかろうかというふうに存じておるのでございます。
 もう一つは、第二点は、そうは申しましても、実際にたとえば川崎なり、あるいは阪神なり、現に工場がたくさんできておる地域、公害がもうすでに発生をしておる地域においては、これはむろん事後ではございましても、十分な規制をしていくということが必要でございますので、いろいろな公害のうちで、ばい煙――これは亜硫酸ガスを含みますが、ばい煙、それから水質汚濁、この二つにつきましては、御承知のようにそれぞれ規制法がございますが、この規制法に基づいて、そういうばい煙なりあるいは汚水の公害の著しい地域もしくは水域を指定をいたしまして、その地域内にある工場につきましては、一定の基準による規制を行なうという仕事を、これは公害行政が始まりましてからずっと引き続きやっておるのでございます。
 それから第三点でございますが、第三点はいわゆる技術開発でございます。この問題につきましては、詳しくはさらに工業技術院のほうからも御説明があろうかと思いますけれども、たとえば今日最も大きな公害であると言われております亜硫酸ガスの問題でございます。ばい煙、すすのようなものは、一定の集じん器をつけますれば、相当程度までは除去が可能でございますが、煙突から出てまいります亜硫酸ガスというのは、ただいまのところ、ある効果的な施設を個々の煙突ごとにつけてこれを簡単に除去するという技術がまだ十分に開発をされておりません。したがいまして、この亜硫酸ガスの公害を防ぎますには、ひとつ具体的にはどうやればこの亜硫酸ガスの公害を防ぐ施設が、経済的にかつ十分な能率を持ったものができ上がるかという技術を開発するということは、たいへん大事なことでございまして、これは世界的にもまだ十分解明のできておらない技術でございますが、これをひとつ国が中心になりまして開発をするということで、昭和四十一年度から、工業技術院を中心にいたしまして、まず一番たくさん亜硫酸ガスを出します火力発電所というような大きな施設の亜硫酸ガス、ばい煙の中から亜硫酸ガスを脱硫する技術の開発というのを、昨年から、いわゆる大型プロジェクトの一環ということで技術開発を三年がかりでやっておるのでございまして、さらにことしは、そういう大型の発電所だけのものではなくて、実際に個々の工場で重油を使うのでございますが、この重油の中から硫黄分をできるだけ抜く、御承知のように、日本の工場で使います重油は、いろいろな関係から、硫黄分の高い原油から精製される重油でございますので、硫黄分がどうしても多い。この使います重油の中から硫黄分を抜く技術、これも世界的に非常にまだ未解明の技術でございますが、これの能率的な技術開発をやるという技術研究を引き続きことしからやることにしております。こういう抜本的な技術開発をやることによりまして、一つ一つの工場に実際有効な規制ができるということを、通産省といたしましては公害対策の重要な柱ということでやっておるのでございます。
 第四番目に、いわゆる個々の工場の規制をやります際に、工場がその規制に応じてつける施設設置への助成でございます。工場は、自分のところから公害を出します場合、その公害をできるだけなくするために規制を守り、または規制があろうがなかろうが、できるだけ公害を少なくすると少いう責任があることは、これはもう当然のことでございますが、しかしながら、企業の中には、非常に大きな、資力に富んだ企業もあり、あるいは中小企業もございます。こういうさまざまな企業、特に資力の弱い中小企業がたとえ施設をつける意欲がございましても、十分な能力がない、その金がないという隘路がございますので、能率的な排出規制をやりますためには、どうしてもこういう工場がつけます施設についての応援をする必要があるということでございます。従前はこの大企業、中小企業を問わず、公害防止施設をつけます際に、大企業であれば開銀、それから中小企業であれば中小公庫、さらに、一昨年から設立をされました公害防止事業団を通じまして一これは大企業、中小企業を問わず、そういう防止施設の設置につきましては、一般の金利よりは安い金利による資金の融通を行なうという制度がすでに開かれて利用されておるのでございますが、さらにそのほかに、こういう施設をつけました際の国税、地方税につきましての減免措置、具体的に申しますと、国税につきましては、そういう施設の耐用年数をできるだけ短縮する。それから地方税につきましては、固定資産税を免税にするという措置をやっておりますが、その措置も引き続き、さらに拡充強化をしてまいりたい。そういう間接の応援をしたいという施策を一つの、第四番目の柱としてやっております。これも従前鶴、そういう間接的な援助でございましたが、さらに引き続きまして昭和四十二年度からは、特に中小企業が共同して排水施設をつくります場合に、その大部分、八割相当分を無利子で融資をするという新しい制度も、引き続き四十二年度から、予算の成立を待って実施をいたしたい。つまり、一歩助成に進めたいという措置も合わせて考えておるのでございます。
 以上、調査を、一定の地域において未然防止かする措置を引き続き進める。さらに、実際に起こっておる既存工場の排出規制をできるだけ強化をしてまいる。それから、企業がそういう規制にこたえてやります場合の根っ子になる技術開発を、国を中心として強力に進める。第四番目に、企業がそういう措置をいたします際の助成をできるだけ拡充をする。この大きな四つの柱を中心にいたしまして、公害行政を今後引き続き強化をしてまいりたい、かように存じておるところでございます。
#49
○瓜生清君 どうも私の質問と少しポイントがはずれておりまして、これから聞きたいと思うことを全部と言っていいほど手回しよく答弁されましたので、実はあっけにとられているのですけれども、それはそれとしまして、いままでの話の中に一つ重要な点があるのですが、それは、これから新しく工場ができると、それに対して規制をする――ここへ建てちゃいかぬとか、あそこへしなさい、こういう施設を付属させなさいとか、そういうことだと思うのですが、工場立地ということについて規制をされるというのは、いままでは行政措置ですか、それとも何か法的な根拠があるのですか、どちらです。
#50
○説明員(馬場一也君) ただいままで、先ほど来御説明いたしました、一定の地域における事前調査を行ないまして、その結果工場にいろいろ、工場の配置について指導すると申し上げましたが、その指導は、いわゆる法に基づく措置ということではなくて、いわゆる行政指導でございます。
#51
○瓜生清君 たしか通産省で、四日市の公害のことがいろいろ取り上げられて、社会問題等も惹起しましたけれども、その当時だったと思いますけれども、通産省の見解といいますか、そういうものとして、工場の立地条件が誤っておるというようなことを申されたと思いますが、それといまのお話との間につながりがあるような気がするのですけれども、そうしますと、従来は行政指導という形で企業と個々に接触して、そういうような方向にいくようになさっておったわけですけれども、これから、なかなか私、行政指導という面だけでは、そういう問題が円滑に解消あるいは解決できない面が相当あると思うのです。そういたしますならば、行政指導の限界をこえて起こってくるであろう問題を処理するために、通産省はこれを、何といいますか、主業立地規制法というような、そういうような法律をお考えになっておるのかどうか、その点ひとつお伺いします。
#52
○説明員(馬場一也君) ただいま御指摘がございましたように、ただいままでの調査に基づく指導は、いわゆる行政指導でございますが、ただいままでのところ行政指導をいたしまして、これに対して特に異議があるとか、従わないという事例はございませんので、実際上は円滑にいりておるのでございますけれども、これもしかし、いろいろな地域にこれを広げ、かつまたたくさんの企業に対する指導でございますので、どうしても行政指導には、一定の限界があるということも事実であろうかと思います。
 そこで、ただいまお話のございましたように、こういう行政指導をさらに一歩進めまして、必要な地域におきましては「こういう調査に基づいて全体の立場から工場の配置を一定の基準で規制をする、法律に基づいて規制をするというけじめが必要ではあるまいかという考え方がございます。今度の国会に提出を予定されております公害基本法案におきましても「いわゆる排出規制のほかに、必要な立地規制まで考えるべきであるという筋が書いてございますが、これを実際に実行いたしますためには、どうしても一つのそういう立地適正化法というような法律が要るだろうと考えまして、現在、この国会に出したいということで、立地適正化法と申しますか、名前はまだ正確にはきめておりませんが、そういう必要な地域における必要な工場の立地規制がやれるような法律というものを、目下真剣に検討中でございます。
#53
○瓜生清君 そこでお伺いしたいのは、今度の国会に公害基本法が出される気配が強いわけで、たぶんそうなるだろうと私聞いているわけです。そこで、さっき冒頭に言いましたように、いろいろな省庁に公害対策というものが分かれて、予算もしかりである、こういう状態の中で、この間、たしか経団連ですか、それの見解として、国際競争が激しい今日、公害対策を企業が負担をするのでは競争から脱落するおそれがある。したがって、その公害の費用負担というものは政府が大幅にめんどうみるべきである、こういう主張をしているわけです。それに対して、通産省側におきましても、大体それを支持するような、その考え方に近いような見解を表明しておられるということを聞きましたが、事実であるのか、ないのか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#54
○説明員(馬場一也君) この公害の責任問題というのはたいへんむずかしい問題かと私も存じますが、先ほども申し上げましたように、公害にも、いわゆる企業の出します公害と、それからいわゆる都市公害と申しますか、個々の家庭なりあるいは自動車のオーナーなり、個人の出します公害が集積して大きな公害を起こす、いわゆる都市公害と、大きく分けて二つあるといわれておりますが、その中の産業公害におきましては、その地域における企業が一生懸命にやっているつもりであっても、全体として大きな公害を出しているという、発生の責任というのは確かにあろうかと思います。したがいまして、個々の企業は、やはり規制のあるなしにかかわらず、できるだけのことをするということは、これは当然のことかと思うのでございますが、しかしながら、やはり一定の工業地域、特に非常にたくさん工場の立ち並ぶような工業地域におきましては、個々の企業ができるだけのことをやっておりましても、その数がふえることによって全体として見れば大きな問題になる。あるいは特に工場の配置、いわゆる工業地帯とそれから住宅地帯と申しますか、そういう一般住民の住んでおります地帯との、都市利用と申しますか、都市計画と申しますか、そういうものが前後にきちんとなっておりませんと、たとえば、工場のできましたあとでそこに市街地ができるというようなことで、工場としては当初予想しなかったところに住宅が建つというようなことで、知らず知らずの間に公害を出しているというようなケースもあろうかと思います。あるいはまた、工場が一生懸命やっているつもりでおりましても、先ほど申しましたように、企業の中には比較的資力に乏しい中小企業といったようなものもございます。
 そこで、公害の防止をする第一義の責任は、それを発生する企業にあることは当然でございますけれども、しかしながら、これを全部企業の責任である、それにかかってくる費用は全部企業が背負うべきであるというプリンシプルだけでは、実際公害問題というのは背負い切れない場合が多かろうということが考えられますので、企業の責任をできるだけけじめをつけてしっかりとらせると同時に、やはりそういう新しい都市づくりでございますとか、あるいは都市改造でございますとか、あるいは企業の、一個一個の企業では力の及ばない、たとえば全体としての技術開発とか、あるいは中小企業につきましては、施設につきましての、先ほど申しましたような助成というような国なり府県なりが、その企業の責任においてさらに国なり府県も力をかしてやるという、全体としての総力を結集して公害問題を取り扱っていかないと公害問題は十分に片づかない。こういうのが、必ずしも通産省だけの見解ではございませんが、われわれ日ごろから考えておるところでございまして、企業も責任をもちろん負いましょう。しかし、企業の力だけでは片づかない公害問題につきましては、国なり府県なりも、それ相当の企業に応援をしてほしい、こういう考え方でございます。
#55
○瓜生清君 そうは時間をとらせませんから。その問題についてさらに私がお聞きしていること上御答弁と若干の食い違いがあるのですが、私が聞いておるのは、経団連はいわゆる企業の側に立って、産業公害の問題については国が大幅に負担をすべきである、こういうことを言っておるわけです。むしろ企業側にも責任はあるけれども、それはできる限り少ない部分にとどめてほしい、こういうことを表明しておるわけです。ですからいまのあなたの御答弁によりますと、個々のそういう企業の責任にあらざる現象も起こってくると思いますが、その経団連そのものは、そのことをむしろ一般論として過小評価して、なるべく多くの部分というものを国あるいはその地方公共団体、そういったものに転嫁をする、と言ったら言い過ぎですが、おっかぶせようとしておる。こういう考え方について、いわゆる通産省という立場から、ほかの厚生あるいは建設というようなところは別としまして、通産省というサイドから、こういうような経団連のものの見方についてどういうふうにお考えになるのか、それを私は尋ねております。
#56
○説明員(馬場一也君) 公害のためにいろいろ企業が金を使うということは、これは申し上げるまでもなく公害の防止施設といいますと、企業の生産施設と直結をしておらない、つまり企業としては側面からマイナスの費用になりますので、企業としてはできるだけ必要最小限度にとどめまして、かつどうしてもそれ以上ということになればそれは国や府県でできるだけ応援をしてほしい、こういうように考えるのは、個々の企業の立場としてはそういう考え方もあろうかと思いますけれども、通産省といたしましては、やはり個々の企業が公害を出す原因者であります限り、やはり個々の企業としてできる限りのものは、たてまえとして個々の企業がどんなに費用がかかりましょうとも負うということが、当然であろうかと思います。ただし、実際上そういうたてまえで申しますと、中小企業の問題もございます。あるいは個々の企業が幾ら最善を尽くしておりましても、お互いに自分以外の工場がどんどんあらわれてきて、全体としてはたいへんな大きな問題になるような問題、あるいは工場と都市・市街地との関係というような問題について起こってくるような費用まで個々の企業に課するということは、実際上不可能でございますので、そういう面につきましては、できるだけ国なり府県なり一体になって公害問題の解決のために努力を惜しまないでほしい、こういう考え方でございます。
#57
○瓜生清君 公害基本法が出されようとする直前の事情もありましょうから、あまり突っ込んだ追及をしても、通産省側でお答えにくいだろうという立場を察しまして、その問題はこれ以上申しませんが、次にちょっと話を変えますが、これから産業公害を防止するいろいろな施設というものが相当広範囲に必要になってくると思うのです。そういうようなものを、たとえば、し尿処理の機械とか汚水処理の機械とか、あるいはまた大気汚染を少なくする装置だとかあるいはばい煙を規制する機械だとか、そういうものが相当量の需要があるわけですけれども、不幸なことに現時点においては、そういう産業というものがまだあまり急速に需要に耐え得るような伸びをしていない。またコストも高くつくと、こういう現状じゃないかと私は判断しておるのですが、そういうような、これから大幅にそういう産業公害対策に必要な機械なり施設というものを生産していく企業に対して、何らかの優遇措置といいますか、そういうものを講ずる意思が、あるいは助成をさしていくような考え方が通産省にあるのかないのか、それを伺いたいと思います。
#58
○説明員(馬場一也君) 産業公害の問題は、一番最初に申し上げましたように、比較的わが国では最近急速に重大問題化してきた問題でございますので、したがって、防止施設のいわゆるメーカーでございますが、あるいはメーカーの防止施設の生産につきましても、比較的歴史としては新しいというふうに存じております。産業公害防止施設と一口に申しましても、先生の御指摘のように、いろいろ大気汚染、水、ばい煙もございます。各般の公害に対処する施設でございまして、大きく分けますと、それを防止する施設でございますので、いわゆる一定の型式がきまりまして、いわゆる機械生産として一つのタイプのものを大量に生産するということの可能なような機械もどんどん出てまいりましょうし、それからやはりつける一定の生産施設なりに伴うものでございますから、やはり生産施設の大小、そこで使われるいろいろな物質によりまして、その工場々々に即したいわゆる注文をとってつくるという、注文に即した機器と、大ざっぱに言って二つあろうかと思いますが、現在のところ個々の大気汚染のメーカーのつくっておるものは、どちらかといいますと、個々の工場の注文に応じてそれぞれの段階に応じてつくるというものが多かろうと思います。かつまた、どういうものが能率的であるかということ、いろいろな技術開発についても、先ほど申し上げましたように、一般に世界的にそうかと思いますが、非常に立ちおくれております。そこでこういうものをやはりそういうものをつくるメーカーに対して、いろいろな意味でこれを育成する、助成するということは、大へん通産省としてもこれから大事なことになってくるだろうと存じております。ただいまのところ、通産省として具体的にやっておりますのは、そういう新しい公害防止施設の研究を民間の企業がやる際に、そういう特定のものについては工業技術院のいわゆる技術研究補助金を通じて、いいものについては、試験研究の段階で、開発の段階で助成をするということを、ここ数年来やっておりまして、工業技術院の補助金の中に公害防止の施設ということで特別のテーマを設けて、そういうものに応じまして、従来研究開発につきましては重点的に助成をいたしております。また実際機器メーカーが、そういう需要がふえて生産体制を高めます際には、一般の機械工業の振興と同様にその必要があれば、その機械工業の振興の必要と同じワク内でいろいろな意味での生産の助成をしていくことも、次の段階で必要になってくると思います。そういう段階がきますれば、省内において十分連絡をとりながらそういう助成をやっていきたいと、かように存じております。
#59
○瓜生清君 私、委員長にあまり議事進行について迷惑をかけたくありませんので、あと一問で終わりますけれども、私はなぜそういうことをお聞きしたかといいますと、産業公害防止の大きな装置的な問題、こういうのはほとんど大企業でつくっていると思うのですよ。それからまた卑近な例では、自動車の排気ガスの問題にしますと、いま国会でも問題に先般来なっておりますが、ある一定の量以外出ないようなものを自動車につける、そうすると一台当り五千円か六千円高くつくと、そういうようなことが案外自動車業界の反発にあっておるというようなこともよく耳にするわけです。そこで私がいま聞いたことは、大きなところを、中小企業は別にして、国とか地方公共団体あるいは企業、こういうものがおのおのの分野において産業公害というものを防止する措置を講じなければならないわけですけれども、それだけで一〇〇%完全なものができると思わないわけです。いわゆる個人としてでも、小さな話だけれども、空気の悪いところに住んでおれば、それを清浄化するような、まあルームクーラーみたいなそういうものも、いわゆるみずからの何といいますか負担で、政策の足らざる分を補っていかなければいかぬわけですよね。ところが、いまはまだそういうような状態とほど遠いと私は思うのです。ですから、ちょうど軽電機にもいろいろな製品が急速に伸びてきたように、またわれわれ庶民に手軽に入るように、そういう態勢も一つの政治としては考えなければならない段階がもうきておるのではないか。そういう観点から、そういった産業そのものが順調に、いわゆる産業公害対策の施策の進展とマッチして伸びていくようなことを考えるべきじゃないか。そういうことからまあお聞きをしたわけです。いまの御答弁で、十分ではありませんけれども、了解しましょう。
 そこで、最後に私一つ要望を申し上げまして質問を終わりたいと思うのです。それは、特に参議院から出ておられます栗原政務次官にお願いしておきたいのですけれども、いまのこの産業公害対策は、考え方に二つの大きなあれがあるのですよ。一つは、人命尊重という立場、もう一つは産業優先というそういう立場があると思うのです。で、ぴたりとは適合していないと思うけれども、前者は大体厚生省的な考え方、後者は通産省的な考え方というふうに言ってもいいぐらいじゃないかと思うのです。
 そこで、この調整は非常にむずかしいと思いますけれども、やっぱり私は通産省が、これだけ広範囲に公害の被害をこうむる人たちがおるわけですから、通産省の主張もわからぬことはありませんけれども、何といっても先ほどのお答えにありましたように、人命尊重というものを最優先させるという立場を、やっぱり強力に押し出すようた考え方でこの問題と取り組んでもらいたい。そういう観点からすれば、私はさっき指摘しました経団連の現在置かれておる産業の条件というものは、わからぬことはないけれども、少し虫がよすぎるのではないか。したがって、産業の発展というものが即個人が被害を受けるという形ではね返ってくるのではなしに、その産業が伸展していくことによって利益を享受できるというそういう大前提のもとに産業公害対策というものを、通産省として推進してもらいたいと、こういうことを特にお願い申し上げまして、時間の関係もありますから、終わります。
#60
○政府委員(栗原祐幸君) ただいまお話の点につきましては、十分検討いたしまして、人命尊量するということはこれは通産省といえども基本的に考えていることであります。ただ、産業界全般といいますか、日本経済界全般という問題から、いわゆる公害の負担をどうするかという問題につきましては、十分に考えていかなければならない。ただ、経団連の考え方の中で、会社企業のほうは負担しなくていいのだ――できるだけね、できるだけ負担をしないのだ、それでこれは国とか地方公共団体に持っていかせるのだ、こういう考え方ではございません。やはり通産省といたしましては、客観的に見て、当然企業の責任に帰属すべきもの、持たすべきもの、そういうふうに考えるものには企業に持ってもらう、そういう方向でいきたいと思います。
#61
○委員長(鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、午前中の審査はこの程度にとどめます。
 午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#62
○委員長(鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和三十九年度決算ほか二件を議題とし、通商産業省、中小企業金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の決算について審査を行ないます。
 これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。
#63
○二宮文造君 午前中の質疑におきまして、会計検査院から不当事項として指摘をされた問題について若干説明がありましたが、要するにそのときの御説明としては、この高度化資金の貸し付け金を財源とするものに対しての運営が当を得なかったという、大きな理由としては、事前の調査が不十分であったというふうな答弁をいただいたわけでありますが、このように事前の調査が不十分であって、せっかくの貸し付け金が還付を命ぜられるという事態があるかと思いますと、三十九年度におきまして、高度化資金貸し付け金予算額四十三億九千百万円に対しまして、何と二十億六千三百七十三万七千円の不用額を計上されておる。予算額が四十三億で、不用額が二十億といいますと、約五割弱の数字になります。あるいはまたその次の商工業協業化資金貸し付け金を見ましても十九億の予算額に対して、七億二千九百万円の不用額を計上しておる。中小企業がいまの経営規模を改善するために、いま非常に必要としておりますのは資金の問題でありますし、また、このごろの景気、経済の情勢に順応していくためには、どうしてもこういう面の手当てが必要であるにもかかわらず、一たん計上された予算額が五割近く不用額で計上される。まずこの面についてお伺いしておきたい。
#64
○政府委員(金井多喜男君) 中小企業高度化資金につきまして、三十九年度におきまして不当事項があった反面、不用額が二十億六千三百七十三万八千円ありましたことは、非常に私ども所管官庁として遺憾に存ずる次第でございます。お尋ねの、どういうわけでこういう不用額が生じたかということについてお答えをいたしたいと思う次第でございます。大体私ども二つ理由があろうかと思います。その一つは、御承知のように、三十九年から四十年にかけまして、日本経済の非常な不況に遭遇いたしまして、中小企業もその例に漏れなかったわけでございます。そういった状態から設備投資欲も非常に減退いたしまして、新規事業はもちろんのこと、継続の事業につきましても、前年までは長期計画でやるつもりであったのが、とうとう途中でもってそういう投資までやれないとか、あるいはその事業規模を縮小せざるを得ないというような状態であったわけでございます。この傾向につきましては、四十年におきましても同じような傾向があったわけでございます。それが第一番の大きな理由でございます。
 それから第二番につきましては、私どもそういう不用額が生じたという点について、そういう景気上の問題のほかに、通年の経験から一つの新しい反省をいたしたわけでございます。それは、やはり、根本的に申しまして、中小企業が協業化をやっていくということについては、言うべくしてなかなか実行が困難なわけでございます。しかしながら、中小企業の根本的な太い施策としてそれを遂行するということは、まさに国民経済的要請であろうと思う次第でございます。それならばそれなりに、もう少しこの高度化資金の運用の政策について、もっと国なり県なりが、見せかけだけでなくてほんとうにそういう事業が達せられるような前向きの政策をもう少し打ち出さなければいけない、こういうことを反省したわけでございます。その、どういう点が反省の材料になるかと申しますと、まず第一番につきましては、そういう協業化の推進について、国なり県なりがもっと指導ということを徹底的にやる、それに伴って診断等も強化いたします。それから融資につきましては融資の比率でございます、これについては、従来、国と県とで総事業の二五%ずつ出すことになっておりました。したがって、国と県の助成額は五割になるわけですが、残りの五割の資金を中小企業が調達するということは非常に困難でありまして、とても一行でもって残りの五割を供給するということは、経験的に照らし合わせても実現できていないわけでございます。そういった点から、その融資の比率を上げる。今回、四十二年度の予算要求といたしましては、合計して六割五分といたすことに相なっております。それから融資の条件でございますけれども、これにつきましては、せっかくまだ建設が終わるか終わらないうちに、すぐ返済がくる。しかもまた、それがごく短期間と申しますか、いわゆる不動産等についても十年以内ぐらいで返済するということは、収益の回収等の状態から困難でございまして、そういった点も根本的に改めたいというようなことでございます。そういったようなことを総合いたしまして、窓口の一元化もあわせ考えまして、御案内のように、中小企業振興事業団という新たな、行政機構の複雑の上でとかくの批判をいただいたりいたしますけれども、私どもその中小企業における構造改善事業の重要性から、あえてそういうデメリットをあわせ考えましても一本化してやる必要があるというようなことから、中小企業振興事業団の予算要求につきまして国会のほうの御審議をお願いせんとしておる段階でございます。
#65
○二宮文造君 たいへん先走った御答弁をいた溶いたわけですが、要するに三十九年度の段階におきましては、いわゆる高度成長のひずみがきて、経済の状況が非常に悪くなった。だから予想した長期計画、企業側で立てた長期計画が実施に移らなかった、このために不用額が出た、それは四十年度においても同じような傾向であった、さらにその時点において中小企業が協業化するということは困難だということで、今度は中小企業振興事業団法という構想が出てきた、まあ要約すればそういうような答弁であったと思うのです。ならば、四十一年度の実績、これは見込み額とされておりますが、高度化資金貸し付け金に予算額八十一億円計上しました。そうして実績見込みとして八十一億円で、不用額ゼロ、こういうような見込みを立てていらっしゃるのです。その三の項目の商工業協業化も同じです。予算額だけ実績見込み、こういうふうな見込みを立てていらっしゃるのですが、そうしますと、先ほどの答弁の食い違いが出てくるのですが、この点はどうでしょう。
#66
○政府委員(金井多喜男君) ただいまの御指摘の四十一年度の見込み予定につきまして、せっかく先生から数字の御指摘がございましたが、私ども実はそのような何らかの方面に数字を出した記憶がないわけでございます。率直に申しますと、御指摘のように、ことしの予算計上額は約八十億でございますけれども、すでにやはり遺憾ながら残額の見込みが生じまして、前回の補正予算におきまして二十六億円ほど不用として立てて、他の財源に大蔵省のほうで回していただいたというようないきさつもございます。したがいまして、まだはっきりした金額はつかめないわけでございますけれども、少なくとも二十六億をこす金額が余るということは、はっきりしているわけでございます。
#67
○二宮文造君 出したわけがないと言われても私がいただいているのですが、ごらんに入れましょうか、おたくからいただいたのですよ。そうして私、これを見まして、その件数が予算額では二十一件で、実績が十一件で、それで金額は同じでおかしいなと思ってこの数字は見たわけです。こういうずさんなデータを出されますと、こちらも判断を誤りますので……。じゃあ誤りですね、この資料は。
#68
○政府委員(金井多喜男君) いま担当者のほうから聞きましたけれども、どうもその点非常に御迷惑をおかけするような数字を出して恐縮しごくに存ずるわけでございます。
#69
○二宮文造君 じゃ、それはそれとしまして、そうすると、やはり先ほどの中小企業は協業化なり、あるいは従来の通産省で考えた政策立案を実行していくことは非常に困難になってきた、したがって新たな構想を、立ててきた構想を変えるようになったと、こう判断してよろしいですか。
#70
○政府委員(金井多喜男君) 先ほど申しましたように、このままの条件等ではなかなかむずかしい、したがって何らかの条件緩和が必要である、こういうような結論を持つに至った次第でございます。
#71
○二宮文造君 それではまだ構想の段階ですから、議論が水かけ論になるかもわかりませんけれども、いまお話がありましたその事業団法が、かりにこれから運営されるとして、これもやはり当初の通産省の考え方の、府県の協力がなくても、いわゆる府県の貸し付け金がなくても事業団の貸し付け金でもって運営させていこう、こういう構想が予算編成の段階でくずれましたね。
#72
○政府委員(金井多喜男君) お説のように、一部の事業につきましては、国だけでもというような意欲を持ったわけでございますけれども、御指摘のように、それはとりあえず四十二年度は実現の見通しがなくなった次第でございます。
#73
○二宮文造君 そうしますと、これがはたして三十九年、四十年、四十一年と経験をしてきました問題が、今度の事業団法で改革されましょうか。この点いかがでしょうか、自信おありですか。
#74
○政府委員(金井多喜男君) 私どもとしては、根本的にこういう事業団の構想でもってその融資条件の一つの大きな要素でございます従来の国と県で五割であったのを六割五分にする、これが一つの前進でありますが、その前進でもってすべて解決するというふうには考えておりません。この構造改善の事業の推進につきましては、やはり国の助成なり府県の助成指導ということももちろん必要でございます。しかしながら、本件については御承知と存じますけれども、中小企業基本法の一条の精神がございますように、何といっても中小企業対策につきましては、業界の三百五十万にわたる中小企業の業者の人たちが、ほんとうに自分でもって自主的な努力をもってそういうものに真剣に取り組んでいただかぬと、なかなかその辺はむずかしいのではないか、こんなふうに思っております。しかし、私どものほうとしては、そういうある程度の改善でもって、従来よりもこれが事業団の指導等と相まって相当前進するのではないかという期待を持っている次第でございます。
#75
○二宮文造君 中小企業の問題は、そういういささかの期待でもって解決はできる問題ではないと思うのです。特にもう毎年のように倒産件数が激増してまいります、年を追ってふえてまいります。しかも、それがいわゆる一千万円以下の企業の倒産が非常に多い。また今度は資本の自由化の問題がいま云々されておりますけれども、もしそうなってきますと、先般も私のほうの代表質問で質問いたしましたように、中小企業、機械メーカーなんか、もろにその波をかぶってしまう、こう言われておる時代に、過去三十九年、四十年、四十一年とにがい経験をしてきた高度化資金の貸し付け、あるいは協業化の貸し付け、これが結論的にいえば中小企業の企業家の自主的な努力に待つよりほかにない、それを冒頭に掲げられるようでは、今度鳴りもの入りで誕生を見ます事業団に対する期待が非常に薄れてくるわけですが、たとえばいま従来五〇%であったものが六五%の貸し付け金になる、そういう助成になる、こういうお話でございますが、その場合に府県が二五%めんどう見なければならない丁現在の地方公共団体のそういう財政状態で、今度は府県としては通産省のおつき合いをするわけです、国の仕事のおつき合い、そういうことがはたして可能でしょうか、その辺の見通しはいかがでしょうか、府県の側に立って。
#76
○政府委員(金井多喜男君) 私の先ほどの申しました自主的努力も、私は大いに必要であるという意味で申し上げたつもりでございますけれども、先生のお話のように、もしいやそれがもう主なんだというふうにとられるようでしたら、その辺は私の申し上げた意味は自主的努力ということも非常に必要でございますと、こういう意味であるというふうにひとつ御訂正願いたいと思います。
 さて、御質問の府県の財政負担の問題でございますが、実は私ども府県の中小企業に対する財政負担の増加につきましては、かねがね府県の当局者からも苦情を伺っておるわけでございます。そういったようなことから、実は今度の予算折衝におきましては、府県の負担を五%程度減らして国の負担をもう少しふやしたいというような当初の構想で財政当局といろいろと折衝を重ねてまいったわけでございます。しかしながら、結論は御承知のとおり府県の負担が従来どおり、国のほうが従来よりも一般案件につきまして一五%上がった、こういう状態でございます。将来の見込みといたしましては、府県の財政等の見地から、その点は問題もあるということは、十分予想されますので、私ども自治省のほうといろいろお願いかたがた交渉をやっておるわけでございます。ただ根本的に府県の財政負担が全般的に見てたいへんであるということはよく承知しておるわけでございますけれども、しかしながら御承知のとおり、この中小企業の振興については、府県の固有の事務にもなっておるわけでございますので、その点私どもは、今後かりに高度化事業がどんどんふえて、府県の財政が、極端な話が現状から見てウナギ登りに登るというようなことがあれば、これはひとつまた政府部内において、財政当局等とよく話し合いをして、府県の過分の負担にならないように気をつけなければならないということは十分心がけてみたい、このように思っておるわけでございます。
#77
○二宮文造君 先行きの話ですから、そういうような御答弁をいただいておいて、四十二年度の実績を見さしていただきたいと思います。鋭意その方面に努力をしていただきたい。
 倒産の問題につきましては、午前中に同僚の委員の方から概略の質問がありましたし、概括的な答弁もありましたので、包括的な問題は、これははしょりまして、問題はやはり一番中小企業が頭を悩ましております金融の問題について伺っておきたいと思うのですが、この絶対額は年々年を追うてふえてまいっておりますけれども、中小企業の動向等に関する年次報告、これは四十一年度はまだ出ていないそうでありますが、四十年度の分をあけて見ましても、絶対額は年を追うてふえておりますけれども、いわゆる政府機関の三金融機関の中小企業に貸し出しております設備資金、運転資金の割合は年を追うて減っていっております。しかも四十一年末におきましてはそれが八・九%、こういうような状態になっておりますが、三機関に対する中小企業の期待は非常に大きいわけです。資金需要は減っているわけではありませんし、このように三機関が受け持つ分野が、パーセントにおいてだんだん減っているということは、一つの問題じゃないかと思うのですが、中小企業庁としては、この問題については、何か特に考えはありませんか。絶対額がふえているから、一応それで満足の状態だというふうな考えで進んでおられるのかどうか。
#78
○政府委員(金井多喜男君) 御指摘のように民間を含めましてへ全日本の中小企業の中で、ただいま先生御指摘のように、中小企業三機関の占める割合は、ここ数年九%足らずでございます。こういった点については、実は大臣、あるいは私ども事務当局者のほうにも、あらゆる機会にこれについて、もっと中小企業対策として考えてもらうべきじゃないかという業界等の意見を中心にいろいろとあるわけでございます。まあこの点につきましては、私ども年々の予算要求の段階におきまして、大蔵省のほうにもいろいろとお願いをしておるわけでございますが、まあ国全体の財政規模の運用なり、資金の配分というような点からいたしまして、けさほど申し上げましたように、私ども来年の三機関の融資規模については、前年度の当初計画よりも一八%増、財投額につきまして二一%程度でやむを得ないのじゃないかというような一応の結論を下したわけでございます。今後その三公庫の運用につきまして、実際に三公庫が民間金融の補完的な役に立つようにひとつ運用していただくとか、あるいは信用保険制度を拡充強化いたしまして、実際には民間金融機関の段階で借りるかっこうになりますけれども、政府として中小企業の金融で一番問題のある担保等についてできるだけ保証協会に再保険をしていただくことによって金融が受けられやすいというふうに進めていきたい。こういうふうに存じておる次第でございます。
#79
○二宮文造君 それで、これは多少乱暴な意見と言われるかもわかりませんけれども、三機関ですね。三機関がそれぞれの分野で中小企業金融を担当する。そうしますと、やはり中小企業金融公庫にしても、あるいは商工中金にしても、あるいは国民金融公庫にしましても、それぞれやっぱり企業の安定、その企業の安定というので、さらに相当留保分が出てまいります。もしもこれが一つの機関であれば留保分が、それぞれの機関に留保される金額がそれだけ中小企業金融にうるおっていく。それは金額は大したことないでしょうけれども、このように最近公団とか公社とかの新設は好ましくない、整理統合するほうがよろしいと、こういうような意見でありますけれども、今年もまた何がしかの公庫が発足するようでございますが、こと中小企業の金融に関する限りそういう意見も成り立つのではないか。こう私ども考えるのですが、この面についてはどうですか。
#80
○政府委員(金井多喜男君) 御承知のように中小企業三機関につきましては、年度当初に、ただいま先ほど私が御説明しましたような式に大体のその年度の融資規模とか財投規模をきめておるわけでございますが、過去の経験に照らし合わせますと、それだけでは年度全体を通ずることは不可能でございまして、年末に年末金融の関係もあり、相当増額しておるわけでございます。したがって、根本的に中小企業三機関が年度当初に予算をつけたので、そのどこかの機関が年度末に余って困るというような実態はないわけでございます。そういった点から、いま先生の御意見でおっしゃる三公庫一緒にしたらもりと資金の効率がいいんではないかという点は、そういう経験から申しますると、彼比融通するような金が全然無一文とは申しませんけれども、まあほとんどないにひとしく、年末に追加しなければならないような状態でございますので、その点からはちょっと理屈づけがむづかしいのではなかろうかと、こんなふうに思います。
 一方、もう一つの大きな問題といたしましては、三機関はそれぞれ異なった同じ中小企業金融でも用途を持っておるのでございます。端的に申しますると、国民金融公庫のほうは非常に小規模の中小企業者、あるいは恩給貸し付け等お受けになる一般の庶民の金融機関でございまして、貸し付け限度等も三百万円、こういうことになっております。そういった点で、いわゆる小規模事業者庶民金融という独得の仕事の目的に即応したやり方をやっておるわけでございます。一方、中小企業金融公庫のほうは長期資金を供給するところになっておりまして、したがって、一年以内の金融というようなことはやっておりません。また融資規模につきましても国民金融公庫の十倍程度の融資をやっておるわけでございます。さらにまた、商工中金につきましては、これはちょっと二機関と違っておりまして、民間資金も相当入っておりまして、その辺がいわゆる民間機関としての株主の待遇の問題もございますし、特に商工組合中央金庫法は組合融資ということにその特色があるわけでございます。こういった点から見ますと、三公庫それぞれ同じ中小企業の専門金融機関といたしましても、それぞれ業務の内容が著しく異なっておるわけでございまして、まあそういった点は私ども実はこういった御意見につきましては、前にもちょっと別のほうからも御意見をいただきまして、いろいろと検討してみた次第でございますけれども、ほんとうに中小企業金融についてのこういう事務能率化とか、あるいは中小企業の範囲が中企業に偏してもいけませんし、小規模だけに終わってもいけない、あるいは組織化が非常に必要であるというような点からいたしますると、これは非常に大きな問題でございますけれども、少なくとも私ども事務当局の関係者から見ますと、現状でいくという考え方も、まああながち否定できないと申しますか、私ども事務当局としてはこういう三機関分立のかっこうが一番望ましいのじゃないか、こんなふうに考えておる次第でございます。
#81
○二宮文造君 御意見伺いましたが、われわれあまり専門的でない見方かもしれませんけれども、窓口の整理によってそういう問題は解決するんじゃないか。むしろ資金需要の側からいいますと、そのほうがスムーズに運営されるんじゃないか。またそれぞれの金融機関にしましても、それだけ人的層が厚くなりますし、また運営の問題につきましても、資金コストの問題につきましても、そういう問題が現在よりはよくなるんじゃないか。一応経過措置を考えないで結論を出しておりますから、とっぴな意見のようには思えるかもしれませんけれども、将来はやはりそういう方向に進むべきじゃないか。だからこそ、公団なり公庫なりは整理統合すべきであるというふうな意見が出てまいった。その意見もそういうところに私は一因があると、こう判断せざるを得ないわけです。
 これは議論になりますから、次に進みますが、そして中小企業金融公庫の方にお伺いしたいんですが、やはり代理貸しが大部分を占めております。そうしますと、やはり取り扱う金融機関によりまして、従来の取引先、従来のやはりコネがおる企業でないと手出しができにくい、まあ新規貸し付けが非常に多くはなっておりますけれども、その新規貸し付けも、取り扱う金融機関の従来のお得意さんだとかというふうな懸念があって、そこでやはりある程度選別融資といいますか、新たに資金融通を受けたいという側に若干の難点が出てきているんじゃないか、むしろ直接貸し、直貸しのほうの割合がふえていくほうが新たな需要部門に対して親切なやり方じゃないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。
#82
○参考人(佐久洋君) ただいまの御指摘、大体の線として私も同感でございまして、代理貸しの制度という制度をとりましたのは、できるだけ中小企業者に政府の資金を広く貸し付ける機会を与えたいという趣旨で、これを全部直貸しというような制度にしますと、中小公庫の支店なり、あるいは出張所という、そういう窓口も非常に大きく広げなくてはならない。それが事実上、かえって資金コストから考えてむだが多いのじゃないかということで、代理貸しの制度を利用しておるわけですが、確かに代理貸しをやっている銀行の窓口へ取引のある中小企業者が公庫の金を借りたいと言ってきた場合には、取引の過去の経歴から見て、その企業はどの程度の力を持っておるか、どの程度の営業内容を持っておるかということはわかりますから、わりあい借りやすいのですが、全然新規のものですと、その辺のところが代理店で十分つかめないということで、中小企業者にとっては不便な場合も起こると思います。具体的に、つい最近ですが、どうも初めて行ったものですから銀行から貸してもらえないというふうな話がきましたので、私さっそく支店を通しまして、近間の銀行の支店に話をして貸し出しを受けられた事例がございます。各地方に中小公庫の支店がございますが、支店としては、その管内の代理店を指導してそういうことがないように十分の努力はいたしておるわけでございます。
 なお、直接貸しをふやしたほうがいいのじゃないかという、これは私どもも全くそう考えておりまして、現在全貸し出しの中でざっと三〇%弱ぐらいが直接貸しになっておりますが、これを四五%、できれば五〇%まで直接貸しの資金量をふやしていきたい、そうすることが中小企業金融公庫の任務である、中小企業の振興という政策金融の趣旨にも合うというふうに考えておるわけです。
#83
○二宮文造君 それで、少しこまかい質問になりますが、業務報告書を見さしていただきました。
 三十九年度の業務報告書の中で、貸し付け金残高が約三千億――二千九百九十六億四千六百万円と計上されておりますが、損益計算書の中に滞り貸し償却費四千六百三十五万六千八百三十八円、損益計算書のほうですが、損失の側に四千六百三十五万六千八百三十八円という項目があります。これはおそらく滞り貸しの回収不能の分を引き当て金を戻入して落した金額であろうと思うのですが、ちょっと私、財務諸表の見方もあまり十分によくわかりませんが、金融公庫として滞り貸しという考え方はどういう時点で滞り貸しという考え方をなさるのですか。
#84
○参考人(佐久洋君) 普通われわれが統計作製上延滞と称するのは、約定で返済期限がございますが、その期限が来てなお三カ月ぐらいたっても返済がないというのを統計上延滞と称しております。しかし、ただいま御指摘の、損益計算書に計上されましたのは、いろいろの方法を講じても、なお返る見込みはもうない、こういう数字でございます。
#85
○二宮文造君 そうしますると、これは見込みがついた分からこうやって落としていかれるのでしょうけれども、いわゆる延滞の金額というのは一体幾らぐらいありますか。いきなりここへはこないと思いますが。
#86
○参考人(佐久洋君) 先ほど申しました約定からいって、返済期限が来てなお三カ月以上たっても返済がないというのが貸し出し残高の三%程度ございます。
#87
○二宮文造君 この三十九年度の損益計算書に計上されております四千六百万円の中で、一件当たりの一番最高の金額はどれくらいですか。平均じゃなくて一番大きな分は。
#88
○参考人(佐久洋君) 残念ながらいまここへその資料を持ち合わせておりません。
#89
○二宮文造君 あとでけっこうです。
 そこでお伺いしたいんですが、例の関東製紙にかかわります中小企業の貸し付け金の問題ですが、これはどういう形でいま公庫では処理されておりますか。
#90
○参考人(佐久洋君) 関東製紙に貸し出しましたのは、昭和三十二年の五月に一千万円貸し出しまして、その後、会社の業績が思わしくないということで、実際に返りましたのが、いまのところでは二十三万円でございます。したがいまして、九百七十六万何がしというのが残額として残っておりますが、これはその後も保証人から三十万円ほどの返還がありましたので九百四十六万ほど残っておるわけです。これは会社の業績そのものが非常に不振であるのと、会社自体が称号変更などを何回かやりましたし、訴訟事件なども起こした関係があってなかなか取れませんので、いまだにこの金額が残っておりますが、われわれとしては何とかこの取り立てを進めたいというふうに考えております。
#91
○二宮文造君 これはだいぶ時点が古いんですけれども、貸し付けの当初から非常に問題があったと私ども伺っているわけです。といいますのは、設備資金としての資金需要で貸し出しを受けて当時設備をしたのは四百五十万円、あとの五百五十万円は設備に使ってない、そういうことが明らかになったようですが、その時点において公庫は何か手を打たれたかどうか。それからもう一つは、これはたしか東都信用金庫の代理貸しになっておったと思うんですが、そうすると、その担保関係とかそれらを含めた信用補完の問題はどういうようになっておりましょうか。
#92
○参考人(佐久洋君) ただいまお話しの、設備が四百五十万ということでございますが、私どものほうで貸し出しをする場合には、もちろん貸し出しの事業計画というものを詳細に審査をいたしまして、実際に金が出るときには、その設備をしたかどうかという調査をいたします。この関東製紙の場合にもその調査をいたしまして、いまわれわれのところに残っておる書類によって調査をいたしますと、千三百三十七万一千円の設備をしておる、こういうことでございます。
#93
○二宮文造君 それから信用補完の問題、担保関係。
#94
○参考人(佐久洋君) 担保のほうは、その当時の担保としては、土地、建物、機械、そういうものを担保にとってございます。その後、貸し出された金によってつくりました設備も担保にとっておりまして、ただこの担保はその前にすでに第一担保として出されたものもございますので、そういうものについては中小企業金融公庫は第二順位の担保と、こういうことになっております。
#95
○二宮文造君 この当時の会長はどなたでしたかこの関東製紙の。
#96
○参考人(佐久洋君) その当時の会長は、非常勤でございますが、藤枝泉介さんということになっております。
#97
○二宮文造君 公庫が貸し出しをします場合に、その貸し出し金額が、あるいは事故があった場合にそれと見合わないような第二抵当でお貸し出しになるのですか。
#98
○参考人(佐久洋君) もちろんこの第一順位の抵当が望ましいのでございますが、そればかり言っておりますと、中小企業にはそれほど豊富な担保というのはございませんので、せっかくの低利長期の金を融通しようと思ってもできない場合が多くなります。したがいまして、順位は必ずしも第一順位ということにはしておりません。
#99
○二宮文造君 そうしますと、現在その担保物件の処分によって、公庫がですね、この貸し付け金の回収は可能ですか。
#100
○参考人(佐久洋君) ただいまの担保は、三十五年の十一月に競売処分に付せられまして、その中の配当金が十八万円公庫に入っております。
#101
○二宮文造君 そうしますと、金然、当初から、もしも事故があった場合には回収できないという状態の中で、貸し出しが始まったのですか。
#102
○参考人(佐久洋君) 先ほど申しましたように、最初融資の申し込みがありました場合には、この事業の計画なりそれの返済計画というものを出してもらいまして、それをもとにして十分の審査をいたすことにしておりますので、当初は、初めから返す見込みがないという見方はしていないと思います。
#103
○二宮文造君 それじゃもっと立ち入ってお伺いしますが、回収ができると判断された材料はどういうところにありますか。
#104
○参考人(佐久洋君) その最初の計画の内容によりますと、貸し出し期間を三年として六カ月据え置きと、これは実際そのとおりやったのでありますが、償還の原資としてざっと四百万が考えられるということが一つ、それからただいまの担保の問題も、評価の結果、最終の担保余力というものが二千万あると、こういうふうに見たという調書になっております。
#105
○二宮文造君 それではその土地の競売価格は幾らでございましたか。最初の土地の評価が幾らで、競売の価格は幾らですか。私、関東製紙の分については、質問をさしていただきたいと通告をしてあったわけですが。
#106
○参考人(佐久洋君) 土地の評価が、評価額七百三十万円でございます。競売した場合の価格が八百三十万円です。
#107
○二宮文造君 その七百三十万円に評価しましたときの第一順位の極度額は幾らですか。
#108
○参考人(佐久洋君) 特に極度額というのはございませんで、土地、建物、機械全部で三千万の評価がされております。
#109
○二宮文造君 評価でございませんで、土地に対する第一順位の抵当権者の極度額があるはずですが。
#110
○参考人(佐久洋君) 第一順位は東都信金でございますが、これが千四百万でございます。
#111
○二宮文造君 土地の評価が八百三十万円で、それに対して第一順位の抵当権が千四百万円ついていて、それで第二順位をおとりになって担保物件としての価値がありましょうか。
#112
○参考人(佐久洋君) 公庫が担保として取りましたのは、土地だけではございませんので、その他のものもひっくるめて三千万円という評価のものを担保の対象としたわけです。
#113
○二宮文造君 先ほど御答弁いただいたことからだんだんだんだん何か答弁が変わってくるように私思うのですが、とにかく機械とか、設備とかいうものは、その場所にあって、またその用途に使用して初めてそれだけの値打が出てくるわけです。普通金融機関が金を貸し出す場合には、設備に対して一ぱいの見積もりはしないはずです。これはもう釈迦に説法で、私が言うまでもないことなんです。要するに、いま御説明をいただいた要件を考えてみますと、関東製紙が融資を受ける当初においてその支払いに対する能力がなかったんじゃないか。だから三十二年の五月に貸し出しをして、近々三年のうちに倒産をする。しかも先ほど、支払いがあったから現在はこれだけの金額に減っております、約五十万ほどの支払いがあったとおっしゃっておられますが、それじゃその間の金利はどうなっておりますか。金利の計算をしますと、貸し出し金よりはるかにオーバーしております。私、想像しますのに、ちょっと政府金融機関としては貸し出しの態度が一般の中小企業に対する貸し出しの態度と本件に関する限りの貸し出しの公庫側の注意と違うような気がするのです。そこに会長の何がしかの意向が働いていたとしたら私は大問題だ。公庫側として貸し出しに値すると判定された資料を出していただきたい。
 そしてもう一つは、三十二年に貸し出しをしてもう現在十年たちます。その間にわずかの金利にも足りないような支払いしか受けていない。にもかかわらず、公庫としてはこれはまだお支払いを受けるつもりで償却もしていない。こういうことになりますと、こういう場合に類似したのが一体幾らほどあるのですか、これを資料として出していただきましょうか。金額一千万円以上、そうして過去、事務処理の段階もございましょうし、しますが、貸し出しがら五年を経過して、現在まだ回収の見込みがないという案件について資料を出していただければ幸いだと思うのですが、どうでしょう。
#114
○参考人(佐久洋君) 御希望に沿えるだけひとつ資料をつくってみます。
#115
○二宮文造君 さらに関東製紙に関します問題として、貸し出しをしたときのお宅の判断の基準になった、要するにこれが妥当と認めた資料についてもお願いいたしたい、よろしいでしょうか。
#116
○参考人(佐久洋君) その当時の判断としては、これは包装紙関係の会社ですが、かなり需要も大きかったようでありますし、なお包装紙単独では将来の企業安定からいって不安があるというので、多少多角化しようという、そういう計画の内容のようでございます。それが実現されれば、年間、先ほど申しましたように四百万程度の返済が可能である、返済原資が生み出される、こういうことが判断の材料でございまして、特にそのほかのものはないように思いますけれども。
#117
○二宮文造君 少なくとも、政府関係の金融機関がその企業の先行きだけをごらんになって、これがうまくいくようだったら金は返ってくるだろうというような判断で貸し出しはなさらないと思う。当然その裏にはこれこれの担保物件がある、これこれの個人保証がある、これこれの業績かある、したがって、この貸し出しの申し込みは妥当である、こういう判断をなさるだろうと思うんです。したがって、そういう資料をいただきたい、こういうわけですが、どうですか。
#118
○参考人(佐久洋君) できるだけ御趣旨に沿う資料をつくります。
#119
○二宮文造君 ならば、その問題はあとでまた総括のときがあると思いますから、あとに譲ります。資料を提出していただいて、さらに私のほうも勉強させていただきたいと思います。
 ただここで、非常に総裁の答弁をいただいて私疑問に思いますことは、一般の中小企業は非常に金融に苦しんでおります。相当の担保物件を提供しなければ金融の道はつきません。それは市中銀行においても同じ、政府関係機関においては特にそういうことが言われております。ただいまの答弁を伺ったところによりますと、その辺が非常に何かルーズなような、この件に関する限り、私も納得のいかないような答弁に終わったことを残念に思います。資料を出していただきましたら、さらにその点が明らかになると思いますので、後日に譲りたいと思います。
 中小企業関係の質疑はその辺にいたしまして、あと時間がありませんから、海外経済協力の問題に入らしていただきたいと思います。
 御承知のように、経済協力につきましては、国際的な感覚として、先進国においては国民所得の一%、これを大体低開発国への経済協力の目安とするというふうな申し合わせもあり、またわが国もその方向に向かって進んでおるように伺っているわけですが、しかし、三十九年の段階において考えますと、ここに経済協力の現状と問題点という通産省の一九六四年の資料がございますが、これを見ますと一九六四年には二億四千五百万ドル、すなわち、国民所得に対する対比が〇・四五%、これが先進国の各国に比べてまあ低い。これは必ず国際協力の場で問題になってくると私ども思うんですが、この国民所得の一%並びに現状がそれに満たないという点について今後の方策を承っておきたいと思います。
#120
○政府委員(今村f君) 一九六四年にジュネーブで国連の貿易開発会議というのがございまして、そこで先進国としては国民所得の一%これを援助に振り向けるべきである、こういう決議がございました。日本を含めました先進国がこれに同意したわけでございます。それ以来わが国の経済協力の一つの目標といたしまして、なるべく早い機会にこの一%という目標に到達するということを一つの努力のめどといたしましてやってまいっておるわけでございますが、一九六五年、ただいま先生御指摘の次の年でございますが、日本におきましては、幸いにしてと申しますか、総額が四億八千五百万、国民所得に対しますパーセンテージが〇・七三というところまでまいっております。この六四年と六五年では、少し計算のしかたが加わってまいりましたのですが、と申しますのは、従来五年以上の信用供与だけを入れて計算しておりましたが、六五年からは一年をこえる信用はすべて計算の中に入ることになりました。これで若干パーセンテージが上がった点もございますが、いずれにいたしましても、六四年に比べますと、六五年は相当経済協力の面におきましては拡充をされた、こういうことになっておる次第でございます。
#121
○二宮文造君 内容が従来よりも充実したのではなくて、計算のしかたでパーセントが上がってきた、これもメンツの問題で、いろいろ苦心の策であろうとは思うのですが、それはさておきまして、いずれにしても日本のアジアにおける立場というものを考えますと、また日本の工業先進国としての立場というものを考えますと、海外協力というのは今後非常に増大してくる、これは当然の傾向だろうと思うのです。ですが、ここで私、従来の海外協力を振り返ってみまして、幾多の問題点がそこには残されていると思うのです。それがそのまま、未解決のままで累積をしていきますと、結局海外協力はやったわ、所期の目的が果たせないで、結局国費の大きな国損になるという事態も考えられるのではないか、そればかりでなく、対外的な信用も落ちるんではないかというような心配もありますので、具体的に三つ四つの問題につきまして従来の経緯並びに現在の問題点、さらに今後改革していかなければならぬ点、こう分けてお伺いしてまいりたいと思うのです。
 その第一番は、ブラジルのミナス製鉄所の問題でございますが、これは一九六五年にたしか設備は完成する予定であったとか、完成したとか、こういうふうな話も聞いております、またその間におきまして、ブラジルのインフレで当初の予定からはるかに資金需要がオーバーしてしまったというふうな問題も聞いております。それらの経緯を簡単に御説明いただいておきたい、こう思います。
#122
○政府委員(今村f君) ウジミナス製鉄所に関しますところの経緯をかいつまんで申し上げますが、昭和四十年に工場が完成いたしまして、四十年の十月から鉄鋼一貫工場五十万トンの操業を開始したわけでございます。それまでの過程におきまして、いま御指摘のように、当初の計画に比べまして、ブラジルのインフレが進行いたしました結果、当初予想よりもはるかに建設費が膨張をいたしまして、その結果、会社といたしましては、途中におきまして、増資等の必要に迫られたわけでございます。で、ただいまこの会社の資本金は一億五千万クルゼーロでございます。このクルゼーロは今年二月にデノミネーションいたしまして、いわゆる新クルゼーロで勘定いたしまして、一億五千万クルゼーロでございますが、この中で、日本側の出資金が三千二百二十万クルゼーロ、その出資の比率は二一・五%になっておりまして、当初スタートしましたときは、日本側の出資は四〇%でございましたが、でき上がりの今日の形におきましては二一・五%の出資をいたしておる、こういうことで、ただいま五十万トンの年産の能力で操業をいたしておるわけでございます。
#123
○二宮文造君 その、当初四〇%の出資の割合が、主としてブラジルの経済情勢によって、いま伺いますと二十何%ですか、出資率にかわったということですが、これはどうですか、その後、いわゆる当初五十万トンの設備の計画が変更になって、そうして出資の割合が変わってきたのか、あるいはブラジルの経済界のいわゆるインフレーションの影響を受けて、出資の割合が変わってきたのか、この点はいかがですか。
#124
○参考人(森永貞一郎君) 当初四割の出資比率を、ブラジル側としては四十年の増資の際に日本に、ぜひ維持してもらいたいという希望でござました。しかし、日本側の株主といたしましては、それぞれの資金事情なんかもございまして、四割の増資に応じなかったわけでございます。増資に応募する金額を削減いたしました結果、増資後のシェアは二一%に減少をいたしました。さようないきさつに相なっております。
#125
○二宮文造君 そういたしますと、当初の相互の契約と申しますか、約定と申しますか、その中に増資がされるという一項目はあったのでしょうか。
#126
○参考人(森永貞一郎君) 当時、現在見られておりまするようなはなはだしいインフレーションの進行が、当然のこととして予定されていたわけではございませんので、第二回の増資によりまして、百八十億クルゼーロ、それから総所要資金八百二億クルゼーロ、この程度で当初の予定を完遂できる。そういうつもりでおりましたので、当初の第一期計画についてのみの観点からは、増資を必ず引き受けるという約束はいたしておりませんでした。しかし、五十万トンをさらに百万トンにするとか、そういう問題が起こってくれば、これはまた日本とブラジルとの間の交渉ごとになるであろうことは当然予想されていたわけでございます。
#127
○二宮文造君 私寡聞にしてよく知らないのですが、この場合の通貨は、現地通貨の建て値でございますか、あるいはドル建てですか、邦貨ですか。
#128
○参考人(森永貞一郎君) 日本側株主の出資はクルゼーロ建てでございます。
#129
○二宮文造君 特に低開発国に対しては、そういうふうな経済協力の場合に、その国の経済情勢が非常に低開発国であり、また政治情勢も加味されて、どうしても現地通貨というものに対する信頼度というものが若干弱い、こう判断しなければならないわけですが、肝心の経済協力の場合に、比較的安定度のある通貨をとらなかった理由はどこにあるんでしょう。
#130
○参考人(森永貞一郎君) ブラジルにおけるブラジル国法人としてのウジミナスに対する合弁的な参加でございまして、出資に関する限りはその国の通貨建てによらざるを得ないわけでございます。ただし本件の場合には、ほかに延べ払い輸出によりまして、主な鉄鋼設備の機械を三百億円以上輸出いたしておりますが、これはもうお説のとおりドル建てにいたしておりまして、クルゼーロの原価に関係なく貨幣価値は維持されておる、さように御承知いただきたいと存じます。出資の部分につきましては、当該国の現地通貨建てによらざるを得ないわけでございます。
#131
○二宮文造君 日本に対する、たとえば豊年リーバーですか、あるいはもう一つありました東京ベッドですかさらには何か日魯の関係の外資の導入のあれがありますが、その場合の資本出資の協約といいますか、約定書といいますか、その建て値は円建てですか。
#132
○政府委員(今村f君) 日本法人の設立の場合は円建てでございます。
#133
○二宮文造君 ただしその豊年と、それからもとの会社の名前がよくわかりませんが、リーバーとか何とかいっておりましたが、その会社との法人に対する出資は円建てでしょうけれども、その豊年とイギリスの本社ですね、それとの協約というものの間にはポンドなりドルなりの協約があるんじゃないでしょうか。
#134
○政府委員(今村f君) たいへん残念ながら私その辺のことくわしく存じておりませんので、調べました上でまた御報告いたしたいと思います。
#135
○二宮文造君 私伺っておりまして、ウジミナスに対する出資は、これはもうもちろんブラジルと日本との両国の関係から考えて、考え方としては、当然またこういう方向もあったんじゃないかと思うのですが、いま振り返ってみて、こういうふうな現地通貨でもって経済協力を進めていく、あるいはまた現地の法人に出資していくという考え方をいまもおとりになっているんでしょうか。この点いかがですか。
#136
○政府委員(今村f君) たしかに先生御指摘のとおり、海外に向けて投資をいたします場合に、やはり日本の円のように安定性のある通貨と、それから後進国の貨幣のように非常に安定性に欠ける通貨と対等の条件で合弁をするということにつきましてはいろいろ問題でございまして、この点は原則として、御指摘のとおり私どももさように考えるわけでございます。ただ、やはりその国の法律がございまして、まあよほど目に見えるインフレの問題とか何とかというものがございません限り、やはりその国の法制に従って、その国の通貨建てでやるというようなこともやむを得ない場合がございますので、原則としては私どももまことにお説のとおりだと思うのですけれども、実際問題としてはなかなか困難であろうというふうに考えております。
#137
○参考人(森永貞一郎君) ちょっと補足申し上げます。原則としては通貨不安国に対する現地通貨建ての出資につきましてはよほど慎重でなければならないという点につきましては、私どもまったく同感でございます。ただ、このブラジルの場合は、なるほど為替相場で換算いたしますと、たいへんまあ為替変動が起こるわけでございますが、現地のインフレによりまして、当初投資をいたしました設備の評価増も他面あるわけでございまして、再評価をまだ実施いたしておりませんので、再評価を実行いたしますと、六十五年末現在で、なおかつ若干の剰余が出るというような状態にとどまっておるようでございます。もちろんその間毎日損失を繰り返しておりまして、出資に対する配当等はこれは期待できなかったわけでございまして、その意味におきまして、出資者は損失をこうむっておるわけでございます。再評価の問題もあわせ考えなければならぬ面があることを補足して申し上げておきたいと思います。
#138
○二宮文造君 現状として伺っておきたいのですが、これは決算はどうなんですか、会計年度は。
#139
○参考人(森永貞一郎君) ブラジルウジミナスの六十五年末の貸借対照表上の繰り越し欠損額は五百億クルゼーロ程度でございます。もちろん資産の再評価も何にもいたしていないなまの数字でございます。
#140
○二宮文造君 資本金は幾らでしたか。
#141
○参考人(森永貞一郎君) 千五百億クルゼーロ、先ほどデノミネーションのお話がございましたが、デノミネーション前の数字で先ほどから私申し上げておることをお断わり申し上げておきます。
#142
○二宮文造君 大体現状として、このウジミナスの出資におきますところの日本側がとるべき態度について若干問題があったというふうな感じで私理解をしたわけですが、それがまた、これから先のそういう現地法人に対する出資に何がしかの政策的な考慮が払われる一つの試金石になったと、こういうふうに理解して、次に進みたいと思うのです。
 ところで、このウジミナスの現状のわかります資料、たとえば財務諸表みたいなものを資料として御提出いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#143
○政府委員(今村f君) ただいまの御趣旨に沿う資料を提出いたします。
#144
○二宮文造君 同じくアラスカパルプについて承りたいのですが、これの業績はどうでしょう。
#145
○政府委員(今村f君) アラスカパルプにつきましては、これは日本の法人のアラスカパルプ株式会社というのが、アメリカ合衆国のアラスカ州にございますところの米国法人のランゲル・ランバーという会社の全株を所有しております。つまり持ち株会社でございます。そのランゲル・ランバーのそのまた子会社のアラスカランバー・アンド・パルプカンパニーという会社が現実にパルプを製造しておるわけでございます。そういう形になっておりますが、昭和三十七年に設備を拡張いたしまして、現在では公称年産十六万トンのパルプを製造しておりまして、そのほとんど全部を日本に引き取っておるわけでございます。この会社もやはり当初の建設の予定から見ますると、かなり建設の条件が、場所が変わったり何かいたしまして、当初の建設費よりも高くなっております。かつまた、パルプの値段が必ずしも思ったような値段でいかなかったというような面が多少ございまして、残念ながら現在のところはまだ採算が必ずしも黒字というわけにはまいらないわけでございます。現在のところ赤字と申しますか、約二千四百万ドルの赤字を持っておるのでございます。ただいまのところ、そういう関係でございます。
#146
○二宮文造君 その資本金に対する割合はどうですか、繰り越し損金に対する……。
#147
○参考人(森永貞一郎君) アラスカパルプの孫会社でございます現地法人ALPの自己資本は千八百五十万ドルでございます。
#148
○二宮文造君 そうしますと、千八百五十万ドルに対する繰り越し損金が二千四百万ドルと、こう理解してよろしいですね。
#149
○政府委員(今村f君) さようでございます。
#150
○二宮文造君 そうしますと、先ほどのミナスの関係といい、それから、いまお伺いしましたアラスカパルプといい、現状としては、企業採算をよくしていく見込みはないと、おそらく、設備を拡張し、あるいは増資をもって設備を拡張し、そして企業自体から考えてみますと、採算を有利にしていくよりほかにないと思うのですが、その場合に、政府のいままですでに輸出入銀行としても、ミナスの場合は、出資金の貸し付け等々で約三百七、八十億円の貸し出し残高があるようです。あるいはアラスカパルプにつきましても、保証の残高を含めて約百八十億のあれがあるようですし、この上、日本側としてこの二つの企業に対してさらに投資を続けて企業採算がペイするように持っていく、そういうお考えなんですか。それとも、現状でストップさせる、そして自力でもって、出資の割合が減ったとしても、現地側の力でもってその企業採算をペイしてもらう、こういうような考え方なんでしょうか。その点は今後の問題としてお伺いしておきたい。
#151
○参考人(森永貞一郎君) ALPとミナスとは若干事情を異にすると存じますが、ミナスにつきましては、先ほども申し上げましたように、再評価の問題がございまして、再評価をいたしますれば、自己資本を補うに足る剰余金が残っておる現状でございます。しかも、これに対する輸出代金の債権につきましては、ブラジルの開発銀行が保証をいたしておりまして、昨今、確実に元利の償還を実行してまいっておるような状態でございまして、当行の債権の回収につきましては、いまのところ遅滞はございません。出資につきましては、これは合弁事業に出資したわけでございまして、当初は配当金によってそれを償還をするということであったわけでございますが、目下のところは配当金がございませんので、その見込みが当分はないわけでございます。
 そこで、本来、このミナスの工場は二百万トンをブラジル側としては希望いたしましたけれども、当時の日本側の要請もございまして、五十万トンに圧縮しているわけでございますが、レイアウトその他は二百万トンに備えておりますし、また、高炉二基の出銑能力から考えましても、七十万トンくらいにするのには、ごくわずかな設備費の追加で足りる。百万トンにいたしましても、高炉は要らない、最終段階の設備だけでよろしい、そういう非常に効率的な追加投資ができるという事情にございまして、ブラジル側といたしましては、ぜひこれを百万トンに拡張したい、つきましては、世界銀行からも融資を仰ぎたいというような切実な希望がございまして、現に世銀当局も調査を実施中でございます。その際に、日本に対しましてもぜひ協力をしてくれという要請がございます。それにつきましては、まだ日本側の関係者間で検討中でございまして、結論は出ておりませんが、いまのまま放置して腐らせるよりは、若干の追加投資をあえてしても、効率をあげて、早くペイラインに持っていくほうが望ましいのではないかと私どもは考えております。その辺のところは、今後世銀の調査報告等の結果とも相まちまして、今後慎重に検討しなければならない問題だと存じます。
 アラスカパルプの場合は、操業開始後、寡占価格の極端な低落がございまして、三、四期非常に窮境におちいったのでございますが、その対策といたしまして、まず自己資本を充実しなければいけない、倍額増資を実行いたしました。それと同時に、材木部面の利益をあげたい、つきましては、木材専用船をつくったり、いろいろなことをやりまして、最悪の時期はすでに脱しまして、去年ぐらいから非常に調子がよくなってまいっております。一昨年は不幸にしてストライキがございまして、そのストライキの措置につきまして、必ずしも時宜を得なかった、おくらして一カ月もストライキになったというような関係もございまして、不運な年でございましたが、昨年からはだいぶ調子が戻ってきております。その上に、今後さらに、先ほど申し上げました材木部面の一そう強化をして、材木部面は現に相当もうかっているわけでございますが、その利益をふやし、また、パルプ部面につきましても、年来不合理な点が残っておりますので、それらの点を改めまして、両々相まってやりますれば、ここ二、三年のうちに収支の状況は相当改善される、それにつきましては、むろん、御指摘のように、若干の追加投資も必要なわけでございますが、半分ぐらいは自己資本でまかなえるようでございますし、外部資金としては、せいぜい五百万ドル程度のもので、しかも、いま申し上げましたような、相当大きな効果をあげ得るであろう、そういう見通しがつきましたので、政府に為替許可関係の申請を目下いたしております。その申請がおりますれば、いま申し上げます程度の追加投資は、会社の一日も早い業績回復のために、やむを得ない措置であると私どもは目下鋭意検討をいたしているところでございます。
#152
○政府委員(今村f君) ただいまのを若干補足して申し上げますが、ただいま輸銀の総裁からお答えがありましたとおりでございますが、アラスカパルプにつきましては、製材部門が相当利益があがりますので、この部門を強化するということと、それからパルプ工場そのものの合理化という両面のいわゆる企業努力によりますところの合理化をもちまして、その合理化計画が四十二年度一ぱいにでき上がる見込みでございます。四十三年度からは採算が黒字に転ずる、こういう見通しのもとに、いま会社が努力をしておるわけでございます。
 それからウジミナスにつきましては、これまた、ただいまお答えがありましたとおりでございますが、世銀の調査が終わりませんと何とも申せない点はございますけれども、世銀の調査の結果、さらに追加投資をしたほうがいいのかどうか、あるいは、する場合にどの程度の規模になるのか、この辺はこれからの問題でございますが、私どもは全く白紙の状態から十分検討して態度をきめたい、現在はまだ調査の結果待ち、こういうことでございます。
#153
○二宮文造君 蛇足になると思うんですけれども、先ほど中小企業関係の金融並びに新しくできる事業団の運営について御説明をいただいたときは、百二十億とか、あるいは財投の五十八億ですが、そういうことでやっさもっさして予算が切られている。また今度は、別の目的ではあるんでしょうけれども、ミナスについては、延べ払いの設備資金の貸し付けも含めますと三百億何がし、四百億近くですね、三百五十億円。それからまた、アラスカについても、建設資金の貸し付けが百十八億、ここらにやはり、いまの政府の中小企業に対する考え方というものが、ただ単に数字を並べてみただけで出てくるのじゃないか。これは非常に今後考慮していただかなければならぬ面もこういうところに出てくる、こう私は思うんですが、それはそれとしまして、次に問題は、また要素はだいぶ違いますが、同じく経済協力という面で私ども気になりますことは、インドネシアの債権のことについてでございます。このあらましについて伺っておきたいと思います。
#154
○政府委員(今村f君) 今日までインドネシアの債務不払いの結果いろいろ問題が起こっておりますが、そのいきさつを簡単に申し上げます。
 昭和四十年の秋になりまして、インドネシアの外貨準備が枯渇をしてまいりまして、長期、短期の支払いが次第に円滑を欠くようになりまして、とうとうその年の終わりに、わがほうとしては、まことに遺憾なことながら、インドネシア国立銀行の債務不払いという理由によりまして、インドネシアに対する輸出保険の免責を発表せざるを得ないことになりました。それ以後、インドネシアに対する輸出は、国立銀行の債務不払いという事項に関しましては、輸出保険は責任を持たない、こういう状態になりましたために、事実上、取引の大部分が停止をしておりましたようなわけでございます。
 で、翌年の五月から六月にかけまして、インドネシアは債権国会議の前段階といたしまして、政府のミッションを編成いたしまして、日本をはじめ各国に派遣をいたしたのでございます。日本に対しましては、ハメッグ・ブオノ副首相を団長といたしますところのミッションが参りまして、債権国会議の開催についての意見の交換をいたしました。その際、債権国会議開催までのつなぎといたしまして、日本は各国に先がけて、つなぎ借款、緊急借款という名前で申しておりますが、三千万ドルを供与したのでございます。この三千万ドルはインドネシアの経済がいま一番困っておりますところの原材料あるいは補修部品というようなものに主として充てられたのでございますが、いずれにしましても、これはつなぎの緊急借款でございまして、債権国並びに関係国は、この間において協議をいたしまして、いわゆる債権国会議というものが最初に四十一年の九月に東京で開催されたわけでございます。この会議できまりましたことは、インドネシアの債権を繰り延べしよう、歩調を合わせて繰り延べをしようということが原則的に了解をされたということでございます。
 そのさらに具体化をするための会議を十二月にパリで開くことになりました。十二月にこれは開かれたわけでございますが、ここできまりましたことは、現在までの遅滞債務並びに四十二年末までに決済期が来る六カ月以上の債権、これを繰り延べをする、その条件につきましては、各国とも足並みをそろえた条件にする、それから、六カ月以内の債権につきましては、インドネシアの国際収支を圧迫しない限り、できるだけインドネシアはこれを各国無差別の原則でなるべく早く払うということ、この点が了解をされたわけでございます。
 さらに今度、インドネシアに対する新しい援助額を相談するために、本年の二月になりましてオランダの、アムステルダムで第三回の会議が開催されたわけでございますが、この会議は主としてインドネシアに対する債権繰り延べの条件問題をめぐりまして議論が分かれました結果、必ずしも完全な結論を得ないで、次回の会議に繰り越したのでございます。
 さようなわけで、インドネシアの問題は、四十年の暮れ以来今日まで、まだ解決を見たと申すわけにはいかないような状態でございますが、この間におきまして債務の期限がまいりましたもので支払いが行なわれない、これはすべて保険事故ということの扱いになっておりまして、昨年の十二月までに通産省の輸出保険特別会計から支払いましたインドネシア関係の保険金が七十五億円に相なっております。本年度未三月までには百億円前後の支払いになるのではなかろうかというふうに想像されますが、これはいずれ、すでに原則的には了解されておりますが、債権繰り延べの具体化を見ました暁には、それの肩がわりになるわけでございます。私どもとしましては、一日も早くこの債権繰り延べの条件が妥結をいたしまして、早くその事態が収拾できるということをいま期待している段階でございます。
#155
○二宮文造君 いま概略御説明いただいたわけです。そうしますと、いまその債務の性質を二つに分けて御説明になったようですが、いわゆる繰り延べ勘定の中に入る、いわゆる期限が六カ月以上ですか、その分の残高、それからもう一つ、今度は六カ月以内ですか、無差別で支払うというその分の残高、分けてお知らせ願いたいのですが、総額を。
#156
○政府委員(今村f君) 六カ月以上のものの金額を申し上げますが、これは昨年の六月末が基準になっておりまして、その数字がここにございますので申し上げますと、二年をこえるもの、いわゆる中長期の債権というのが四千四百四十九万九千ドル、それから、私どもが短期と呼んでおりますが、六カ月以上二年までの短期の債権が三千三百七十五万四千ドル、この二つを合わせましたものがいまの繰り延べの対象になる分でございます。それから、六カ月以内の、いわゆる現金扱いと申しております債権は、そのときの数字で申しますと、二千五百三万九千ドルということになっておりますが、この分につきましては、その後インドネシアからの輸入代金引き当て等によりまして漸次落としていっておりますので、今日では、その金額はある程度減少しておると思いますが、その数字、ただいま手元にございませんので、昨年の六月基準の数字を申し上げたわけでございます。
#157
○二宮文造君 先ほどの現地法人の問題といい、また今度は、いわゆるその貿易、そういうものによる債権の支払いが滞っておるという問題といい、これからのまた方向づけに一つの示唆を与えるものがここに残っておると思うんですが、もう一つ今度はまた形が違いますけれども、ベトナムの賠償でダニム発電所が、ほとんど賠償の全額並びに借款でもってつくられた。それはちょうどこのいま議題にあがっております三十九年度が賠償の第五年度で、この年にビエンホアへ対する送電線がつくられたというふうな報告になっておりますが、地図を見ますと、ビエンホアというのはサイゴンから見て非常にその付近の小さな都市で、そこへ送電線を引っぱるというのは何か大きな、何といいますか、必要性があって、どういう必要性があってビエンホアへ送電線をお引きになったのか。私はまあそういう含んだような質問でなくて、私どもよく新聞を見ておりまして、ビエンホアというのは米軍基地だと、こう理解しております。そうしますと、このベトナム賠償については前に、私ども議席のないときにですが、何か鶏三羽か何とかかんとかというふうな話も前に聞いたようなことがある。まあそういう時点で出発をしたこのベトナムの賠償が、そのほとんどの部分がダニム発電所に使われて、そして送電線が米軍の基地に引っぱられたと、こうなりますと、政府側の説明はいろいろ説明もあるんでしょうけれども、一般に考えますと、ベトナム賠償がいまのベトナムの紛争に何か戦争協力しておるというふうな好ましからぬ考え方もそこに出てくるわけですが、この点はどうでしょうか。ビエンホアというのは何万ぐらいの都市でしょう。
#158
○政府委員(今村f君) ダニム発電所につきましては、ただいま御指摘のように、昭和三十五年から四十年までの五年間にわたりまして、日本がベトナム共和国に供与いたしました賠償の大部分を引き当てました。そのほかに若干の、協定による借款をこれにつけ加えまして完成をしたダムでございます。ただいま御指摘のビエンホアと申しますのは、ダニムとサイゴンの中間に――まあサイゴン寄りでございますけれども――ございます地点でございまして、ダニムからの送電線がツウドックというところを通りますのですが、このツウドックから枝を出しまして、約二十キロばかり送電線を引っぱったわけでございます。ただいまの、人口につきましては、ちょっといま手元でわかりませんのでございますけれども、当時別段たいした人口もいない、何もないところではなかったかと思いますが、その当時このベトナムの状況は、今日のような米軍の介入によりますところの本格的な戦闘はまだ進展しておりませんで、若干政情不安がございました。で、この政情不安を落ちつけるために民生を安定しなければいかぬというベトナム政府の考えで、このビエンホア地区に工業団地を建設をすると、こういう計画がございました。その工業団地と申しますのは、合板でございますとか、それから伸鉄、それから電気器具、それからボール紙と、こういったような一般の民生用品の生産工場のかたまりでございますが、この計画に対しまして電気を供給するという目的で、ダニム発電所建設の工事のまあ一つの枝としまして、二億九千万の工費でもってこの送電線を引いたわけでございます。
 当時の事情はさようなわけでございますが、現在、はたしてどういうふうにそれが使われておりますか、ちょっと具体的に私ども的確に承知するに至っておりませんので、当時の事情だけを申し上げたわけでございます。
#159
○二宮文造君 おそらく、まあその後の政情が非常に不安でありますし、また、アメリカのエスカレーション方式などがありまして、おそらく当初の計画はなされてないと思うのですが、私ども考えましてですね、前に政府が緊急援助をしました医薬品あるいは繊維品ですか、そういうものの緊急援助をした。それも見方によっては、日本がベトナムの紛争に何かこう、よって立つ姿勢を疑われるような誤解を受けるような面もある。そういうことで、私どもは、あの予備費の使用につきましても、こういうやり方は好ましくない。また、政府が言う人道的な見地というのであれば、もちろん、同じように戦乱の巷になっておる北ベトナムに対しても、人道的ということにおいては同じように考えなきゃいけないじゃないか。少なくとも、紛争に巻き込まれるような誤解を生むようなこのやり方はまずいという立場から、政府に反省を求めたわけですが、このベトナムの賠償の使用のしかたも説明を受ければ、その当時としては当然のような条項がついておりますが、振り返ってみれば、やはりそこに何らかの思惑があったのではないか。ですから、先ほどのものと性質は違いますけれども、インドネシアの問題にしましても、それからまた、先ほどのミナスの問題、アラスカパルプの問題、あるいは、この賠償の使用のしかた、ひっくるめて、いままでの海外協力のあり方が行き当たりばったりではなかったか、長期的な見通しが甘かったのじゃないか。そういう時点のまま今後海外協力が推移していきますと、たいへんな問題になるのではないか、こう思うわけです。これはもうすでに終わったことですし、今後の海外経済協力のあり方として、一つの問題を投げかけるものである、こう私ども考えるわけです。
 最後にお伺いいたしておきたいのは、昨年の十月、本院の商工委員会で問題になりました韓国肥料の問題でございます。これは日韓のいわゆる国交が回復した当時の請求権、有償無償あるいはプラスアルファの経済協力というふうな問題にからんで、韓国側の新聞にすっぱ抜かれて、この経過いかんによっては、日本の韓国に対する経済協力の問題も、韓国の中では非常に問題になる、ひいては、日韓両国の関係にまずいものを来たすのではないか、こういうふうな判断がしてならないわけです。これは当時の議事録もここにございます。また、議事録に載っていない――載ってもおりますが、四千三百九十万ドルですか、あの三井物産と韓国肥料とのプラント輸出の契約、それが、日本の東洋高圧が堺につくった設備と比較して高過ぎるのじゃないか、こう韓国からうわさが出て、一千万円は空じゃないか、それが政財界で何かあらぬ方向への資金に使われるのじゃないか、こう韓国側の新聞がすっぱ抜いた、こういうふうに私、聞いております。これは四十年の五月か七月かの輸出入銀行への延べ払いの承認ですから、時点が、四十年度の決算に回しても差しつかえない問題ですが、その当時、通産大臣の三木さんが答弁をされております。その答弁を読んでみましても、ちょっと私どもわからない。たとえばサッカリンが向こへ行って、韓国へ送られて横流しされた、それから発端があったわけですが、それが脱炭酸装置ですか、それに心要な部門であるとか、脱硫装置ですか、というふうな説明を受けて、しまいにわからなくなっております、この会議録を読んでみましても。で、あらためてこれは私ども勉強さしていただきたいと思うのですが、その当時の資料として、その当時までの輸出入銀行の承認ですね、そのリストは出ておりました。その後追加されたものがどうか、さらに実行されたものがどうかという面の資料をいただきたい。また、この契約書については、何か商社の取引の内容に関するものだから出せないというふうな答弁が出ておるようでございますけれども、堺でつくった東洋高圧の工場の規模、それと比較をしてみると高いという、少なくともそういう考え方がある以上は、政府としては、それを解明する何らかの資料をお出しになる必要があるのではないか。この二点についてきょうは資料をお願いして、そのこまかい質疑につきましては、次の機会に譲らしていただきたいと思います。その点について資料を出していただけるかどうか、お伺いしたい。
#160
○政府委員(今村f君) ただいま先生から御要望のありました資料のうち、最初の分は、韓国に対する民間信用供与の実績がどうかと、こういうことだと了解いたしますので、その資料は提出いたします。
 第二点の、韓国肥料と三井物産との間の契約でございますが、これもなるべく御趣旨に沿いたいと思います。
 いずれにしましても、疑義を解明するに足る何らかの資料を提出させていただきたい、こういうふうに考えます。
#161
○二宮文造君 長くなりまして、以上、私の質問を終わりにしたいと思いますが、最後に政務次官に、中小企業の問題は午前と午後にわたりましてそれぞれ委員から希望なり、あるいは現状に対する問題点なりを提起されてまいりました。また、私どもは、さらにそれに加えて、これまで行なわれてまいりました経済協力、それの問題点について疑問とするところをお伺いしました。これら非常に重要な問題を含んでおると思います。非常に抽象的な質問になりますけれども、午前、午後の質疑を通しまして、中小企業の金融の問題、さらに海外経済協力の問題について、政務次官の所感を伺って終わりにしたいと思います。
#162
○政府委員(栗原祐幸君) 午前、午後にわたりまして、中小企業の問題並びに経済協力の問題につきまして、諸先生方からいろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、私ども、たいへん有益な御指示をいただいた、示唆をいただいたと思っております。その精神を生かしまして、今後十分に行政を進めていきたいと、かように考えるものでございます。
#163
○政府委員(今村f君) どうもおくれましてたいへん恐縮でございますが、先ほどお尋ねのありました、海外からの日本に対する投資の場合、通貨価値変動に対する何らかの特別の約款なり何かあるか、こういう御質問に対しますお答えをちょっと申し上げたいと思います。
 調査をいたしましたが、先ほどお答えいたしましたように、合弁によりまして日本法人をつくります場合の株式払い込みは、これは円建てでございまして、特に為替相場の変動に対する特別の約款というものはつけられないのが通常でございます。先ほどお尋ねの中で、東京ベッドについて調べてみますと、やはりただいま申し上げました原則どおり円建てということになっておるようでございます。それから豊年リーバーにつきましては、これは農林省所管でございますので、ちょっといま調べかねますが、東京ベッドにつきましては、ただいま申し上げたように、円建てで行なわれておるということでございます。
#164
○委員長(鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、本日の通商産業省、中小企業金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行についての審査は、この程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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