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1967/05/23 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 決算委員会 第10号
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1967/05/23 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 決算委員会 第10号

#1
第055回国会 決算委員会 第10号
昭和四十二年五月二十三日(火曜日)
   午前十時五十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     瓜生  清君     中沢伊登子君
     岩間 正男君     春日 正一君
     石本  茂君     山高しげり君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴園 哲夫君
    理 事
                大竹平八郎君
                中村喜四郎君
                温水 三郎君
                大橋 和孝君
                竹田 現照君
                二宮 文造君
    委 員
                佐藤 芳男君
                高橋文五郎君
                山本茂一郎君
                横井 太郎君
                大森 創造君
                柴谷  要君
                達田 龍彦君
                中沢伊登子君
                山高しげり君
   政府委員
       労働政務次官   海部 俊樹君
       労働大臣官房長  辻  英雄君
       労働大臣官房会
       計課長      東村金之助君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省職業安定
       局長       有馬 元治君
       労働省職業訓練
       局長       和田 勝美君
       自治政務次官   伊東 隆治君
       自治大臣官房長  宮澤  弘君
       自治大臣官房会
       計課長      薄  津芳君
       自治省行政局長  長野 士郎君
       自治省財政局長  細郷 道一君
       消防庁次長    川合  武君
   検査官
       会計検査院長職
       務代行      山崎  高君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        池田 修蔵君
   説明員
       会計検査院事務
       総局次長     保川  遜君
       会計検査院事務
       総局第一局長   斉藤  実君
       会計検査院事務
       総局第三局長   石川 達郎君
       会計検査院事務
       総局第三局参事
       官        鎌塚 好真君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算、昭和三
 十九年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十九年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十九
 年度政府関係機関決算書(第五十一回国会内閣
 提出)
○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第五十一回国会内閣提出)
○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第五十一回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 五月二十二日、瓜生清君、石本茂君及び岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君、山高しげり君及び春日正一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鶴園哲夫君) これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、労働省の決算について審査を行ないます。
 まず、労働省の決算について説明を聴取いたします。海部政務次官。
#4
○政府委員(海部俊樹君) 労働省所管の昭和三十九年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額は八百三十一億三千九百五十四万七千円でありまして、支出済み歳出額は七百八十一億八千百五十七万七千円、翌年度繰り越し額は二億三千八百八十八万三千円、不用額は四十七億一千九百八万七千円であります。
 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八百十八億二千二百八十三万六千円、前年度繰り越し額十二億八千六百五十二万六千円、予備費使用額三千十八万五千円でありまして、前年度繰り越し額は、失業対策事業費、炭鉱離職者援護対策費及び庁舎等特別取得費等であり、予備費使用額は、政府職員等失業者退職手当等に要した経費であります。
 支出済み歳出額のおもなものは、失業対策費でありまして、緊急失業対策法に基づく失業対策事業費、失業保険法に基づく失業保険費負担金及び炭鉱離職者臨時措置法に基づく炭鉱離職者援護対策費に属する経費であります。
 失業対策事業費のうち失業対策事業の実績は、事業主体数千二百二十四、事業数三千七百九十五、失業者の吸収人員、一日平均十八万六千三百八人であります。
 また、炭鉱離職者援護対策費のうち炭鉱離職者緊急就労対策事業の実績は、事業主体数六十七、事業数四百八十六、吸収人員一日平均六千二百六人であり、炭鉱離職者職業訓練の実績は、施設数二十二ケ所、訓練人員延べ二千五十四人であり、炭鉱離職者援護事業の実績は、移住資金の支給七千二日九十一人、雇用奨励金の支給一万七百五十五件、住宅確保奨励金の支給八千百三件、再就職奨励金の支給一万四千四百十三件であります。翌年度繰り越し額は、炭鉱離職者援護対策費に属する経費であり、また、不用額のおもなものは、失業対策事業費等に属する経費であります。
 次に、労働者災害補償保険特別会計の決算について、申し上げます。
 歳入予算額は九百三十三億六千百一万一千円でありまして、収納済み歳入額は、九百六十七億七千五百六十万九千円で、差し引き三十四億一千四百五十九万八千円の増収となっております。そのおもな理由は、適用労働者の賃金水準の上昇及び保険料率の改正により増加したこと等によるものであります。歳出予算現額は九百三十四億一千七百二十二万八千円でありまして、このうち、予備費使用額は五十一億二千二十六万二千円でありまして、これは保険金、保険料返還金及び業務取り扱い費に要した経費であります。支出済み歳出額は六百六億一千七百六十二万八千円でありまして、そのおもなものは保険金であります。昭和三十九年度末における労働者災害補償保険適用の事業場数は八十三万五千件、労働者数は千九百三十五万人であり、災害補償の実績は、件数三百三十九万六千件、支給金額五百十億四千百七十三万円であり、昭和三十九年度において新しく災害補償費の支給を受けたものは百九万七千人であります。翌年度繰り越し額は千二十八万一千円でありまして、これは公務員宿舎施設費に属する経費であります。不用額は三百二十七億八千九百三十一万九千円でありまして、そのおもなものは、支払い備金として充当されるべきものであります。
 次いで、失業保険特別会計の決算について申し上げます。
 歳入予算額は千二百六億九千八百五十五万四千円でありまして、収納済み歳入額は千二百八十四億三千三百五十八万七千円で、差し引き七十七億三千五百三万三千円の増収となっております。そのおもな理由は、適用事業所の被保険者の賃金上昇率が当初の見込より上回ったことにより増加したこと等のためであります。歳出予算現額は千二百七十三億七千百三十五万円でありまして、このうち予備費使用額は七十四億三千二百九万九千円で、これは、失業保険給付件数の増加に伴う保険給付に要した経費であります。支出済み歳出額は千二百六十六億六千百七十九万四千円でありまして、そのおもなものは保険給付費であります。昭和三十九年度末における失業保険適用の事業所数は五十三万六千件、被保険者数は、一般失業保険千七百五十四万五千人、日雇い失業保険四十五万九千人であり、保険給付の実績は、平均受給者実人員は、一般失業保険六十一万八千人、日雇い失業保険二十一万六千人、支給金額は、一般失業保険千四十億八千七百九十四万五千円、日雇い失業保険三十四億八千九百六万円、であります。翌年度繰り越し額は九百五十五万四千円でありまして、これは、公務員宿舎施設費に属する経費であります。不用額は、七億二千円でありまして、そのおもなものは、保険給付費を使用することが少なかったこと等によるものであります。
 以上をもちまして、労働省所管の昭和三十九年度決算の説明を終わります。
 なお、昭和三十九年度の決算検査報告において掲記されている事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。指摘事項につきましては、鋭意改善につとめるとともに、かかる御指摘を受けることのないよう努力する所存であります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
#5
○委員長(鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。石川第三局長。
#6
○説明員(石川達郎君) 昭和三十九年度決算のうち、労働省所管につきましての検査の概要を説明申し上げます。
 昭和三十九年度決算検査報告に、不当事項として掲記いたしましたものは、労働者災害補償保険及び失業保険の各保険事業における保険料等の徴収及び保険給付にかかわるもの、並びに地方公共団体が事業主体となって施行いたしました炭鉱離職者緊急就労対策事業の補助工事に関するものでございます。
 不当事項は検査報告の九一ページ以下に記載してございますが、最初に、保険に関しまして申し上げますと、労働者災害補償保険及び失業保険の保険料の徴収に関するものでございまして、いずれも保険料算定の基礎となりました賃金総額が事実と相違していたため、保険料等の徴収が不足していたという事案でございます。
 次に、失業保険事業におきます保険給付に関するものでございます。これは、保険金の受給者が再就職いたしまして、報酬を得ておりますのに、引き続き失業保険金を支給していたものでございます。
 次に、補助事業にかかわるものでございまして、地方公共団体が炭鉱離職者緊急就労対策事業として施行いたしました道路新設工事におきまして、法面の長大なものを実施する場合に、特にその法こう配等について十分な配慮をしなければならなかったのに、これらの配慮を欠いたため、一部が崩壊しており、工事の設計が当を得なかったと認めたものでございます。
 以上のほか、労働省所管につきましては、失業対策事業に関しまして、制度及び運用の改善の方途を講じ、事業の適切な執行と経理の適正を期する要があると認めまして、改善意見を主務大臣あて提出してございます。その内容は、作業歩掛り、資材費補助金の算定方法の改定、設計の技術的な検討、計画の審査及び完了の確認などにつきまして、検討改善を求めたものでございます。
 以上、簡単でございますが、検査の結果の概要でございます。
#7
○委員長(鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。
 質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#8
○大橋和孝君 それじゃ一つ二つ労働省のほうに質問したいと思うわけでありますが、労働力の不足の現況と今後の対策について少し伺いたいわけでありますが、現在では非常に低年者の、ことに中卒の就労者が減ってまいりました。これは就学の関係もありましょうが、いろいろな意味で非常に労働力が減ってまいる。と同時に、そういうことは、結局今後技能労働者としての開発にも非常に大きく影響するわけでありますが、このようにして非常に労働力の不足が一方にあるのにかかわらず、中高年齢層のほうにおいては、まだやはり就職が非常に困難視されている。特にその方向を考えてみますと、中高年齢層の就職は比較的中小企業のほうにしわ寄せされて、大企業のほうは非常に労働者の平均年齢も低い、こういうようなことである。それは、当然大企業においてはいろいろ福祉関係もあれば、また、いろいろな設備も整っているために、そちらに流れやすいのは当然でありますが、一面から見れば、中高年齢層は非常に中小企業にしわ寄せされて、そういうところに就職の活路を求めているという現況があると思うのであります。こういうような状況に対して、労働者としては根本的に一体どういうふうに考えて、どういうふうな措置を今後していかれるのか。そういうふうなことについて、ある程度詳しいお考えを聞いておきたいと思う。
#9
○政府委員(有馬元治君) 雇用の今後の見通しにつきましては、ただいま大橋先生から御指摘のありましたように、若年労働者については、学卒に典型的にあらわれておりますが、求人の倍率が三倍をこえるというふうな状態に相なっております。また、技能労働者につきましても、百万人をこえる不足状態になっておりますが、一方、中高年齢者、特に四十歳、五十歳をこえる高年者につきましては、依然として求職の倍率が七倍から八倍、すなわち求職者が七、八人あって求人が一人、こういうふうな状態で、依然として就職難の状態が続いている、こういうアンバランスはございますが、全体の基調としては、今後いわゆる労働力不足の状態に移行していく、こういう見通しを持ちまして、去る三月の十四日に、閣議において決定されました雇用対策基本計画を樹立いたしまして、これに基づいて、今後の雇用政策を積極的に展開してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 この計画の詳細については、時間がございませんから、資料等でお配りをいたしたいと思いますけれども、考え方は、要するに若年労働力が非常に足りないので、ことに需要が片寄り過ぎるというふうな状態を一方で是正しつつ、中高年者あるいは婦人労働力あるいは身体障害者、こういったあらゆる労働力を有効に活用する、そうして労働者の能力を一〇〇%発揮していただく、こういうふうな政策を積極的にとっていきたい。また、技能労働力が足りない面につきましては、技能労働力の養成確保を一段と充実してまいりたい、こういうふうな政策目標を掲げまして、今後積極的な雇用政策を展開することによって、大体四十六年度までの五カ年間の見通しのもとに、一応完全雇用への地固めをしていきたい、こういうふうな考え方で計画を樹立いたしているわけでございます。
 そういう計画の線に沿って今後の雇用政策を積極的に展開していく予定であります。
#10
○大橋和孝君 概括的な方向はお聞きしておるわけでありますが、私は不足の原因というものをもう少しえぐり出して考えていかなければならぬだろうと思うんですが、特に技能労働者の不足の原因のことに対しましても、私は、これはやはり社会的にもあるいは経済的にも、その地位が低過ぎるということが一つの原因だと思うわけであります。ですから、対策法によっていろいろ考慮してやっていくというわけでありますけれども、その根本的なそういうふうな原因をもっとえぐり出してもらいたいというふうに考えるわけであります。特にまた中高年齢層に対しましても、対策を十分しなければ、これは非常に活用ができないという状態になっておる。いま一方、お話では、中高年齢層の人でも何とか就職ができているじゃないかというふうな形もないことはないと思うんでありますけれども、これは中高年齢層の人を考えてみれば、やはりその人たちは相当家庭的には子供の関係、教育の問題、いろいろありまして、経費が非常にかかると、そういうような状態の人でありますから、その技能労働者としての発展をさすための施策としましても、これを受けておるのにはあまりにその間の地位の保障が、あるいは経済の保障が足りないということが大きな原因をしておるわけでありまして、そういうふうな観点からは、私はもっと具体的ないろんなものを考えなければならないと思うわけでありますが、そういう点については、どういうお考えをしておられますか。
#11
○政府委員(和田勝美君) 技能労働力の不足につきましての概括的なことは、先ほど安定局長が御説明申し上げたわけですが、これをもう少し分析的に見てまいりますと、従来技能労働者の供給源といいますか、これは主として中学卒業生でございます。ところが、先生御存じのように、進学率の向上によりまして、中学卒業生だけで技能労働者を充足するというような従来の体制が非常に困難になってきている。そのことは非常に数学的にも最近出ておりまして、多少数字にわたって恐縮でございますが、申し上げてみますると、昭和三十五年ごろには、中卒のうち六一・六%ぐらいが技能労働者になっておったわけでございます。しかし、四十年はそれが六七・二%と、その率は上がっておりますが、絶対数が少なくなってきている。これを補完するような意味合いもございまして、高等学校卒業生は、三十五年では卒業生全体の中の二二・八%が技能労働者になりました。二二・八%でありましたものが四十年には二四・二%になる、こういうような状態でございます。このことは、今後さらにその度合いが進んでまいりまして、技能労働者の確保ということは、高等学校卒業生にその重点を置いていくことになるのではないか、そういたしますと、現在行なっております養成訓練におきまして、その体系について、高等学校卒業生向きの訓練制度というようなものをよほど考えていかなければならない状態ではないか、かように考えられる。また一方におきまして、転職をされる方のうち約半分が前職に全く関係のない職種についておられます。この方々の生活の安定のためには、その前職に関係のない部分の方には、ぜひひとつ職業訓練をいたしまして新しい技能を身につけていただいて、次の職種に移る、そういうことによりまして、技能労働者の不足もできるだけカバーをするような態勢をとらなければならないと思っております。
 で、先生いま御指摘のありましたように、ただ訓練中における生活の問題があるという御指摘でございますが、まことにそのとおりでございます。そういう点を考えまして、四十二年度予算におきましては、四十一年度に比較しまして大体一〇%ばかり訓練手当の給付額を増額をいたしまして、全国平均で一万八千三百円ばかりのものにしたいと思いますが、この点は決して十分ではございませんので、今後ともこの訓練手当の増額については、私ども努力をいたしまして、転職者の方が安んじて訓練が受けられるような体制をしきつつ、一方におきまして、技能労働者の確保という面にも応ずるようなことにしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#12
○大橋和孝君 そういうふうな関係にあるので、ここはきょうまた指摘がありましたように、非常にこの失業対策事業費が大きく不用額を出しておるわけですね。三十八年には十二億何ぼであったものが、三十九年度は四十二億二千三百五十万といいますか、このように大きな失業対策事業費としての不用額が出ているわけです。こういう事業費に不用額が出ているのは一体どういうふうなことを意味しているのか。
#13
○政府委員(有馬元治君) この中高年の就職促進措置というのは、御承知のように三十八年の失対法の改正と関連いたしましてこの制度が新しく設けられたわけでございますが、まあ当時一般に対するPRも足りなかったというふうな事情はございましたけれども、その後三年間にわたる運用の実績をずっと検討いたしているわけでございますが、この措置に必要な経費を不用額に立てておるのが相当部分ございます。で、これはいろいろ理由は考えられるわけでございますが、一つは、私どもが想像した以上に中高年の再就職求職者というものが失業保険の受給者であった。われわれの調査によりますと、大体五割近い数が失業保険の受給者で占められております。したがって、一般会計から出します就職促進の措置によらなくても、失業保険特別会計のほうでこれらの措置が対処できる、こういうふうなことによりまして、予想よりも一般会計からの持ち出し分が少なくて済んだという事情が第一にあるわけでございます。
 それからまあ最近、中高年の就職難は依然として続いておりまするけれども、景気の上昇に伴いまして、中高年齢者の就職状態も漸次改善されまして、五年ほど前の求職倍率が一五・何倍という倍率でございましたけれども、これが現在では約半分の七、八倍に緩和しておる、こういうふうな状態もございまして、措置を経ずに直接再就職する方々が相当に多くなっております。
 まあこれらの事情から、過去三年間の実績をながめてみますと、不用額が予想以上に出ておるのでございます。私どもとしましては、この原因を十分検討の上、今後のこの措置の運営について再検討を加えまして、できるだけ実情に応じた促進措置を講じてまいる、それによって不用額がなくなるように積極的な対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#14
○大橋和孝君 いまの御説明にもありましたが、案外中高年齢層でそういう措置を講じなくてもすぐ再就職する人がふえてきた、こういうふうにしてあっさり答弁をされておるわけですが、私はその間にも、先ほどもちょっと触れましたけれども、そうせざるを得ないような非常に家庭的な重荷に耐えられないような状態の年齢層がある。たとえば、いま申したように子供も大きくなっておるし、学業のためにも金が要るというような人たちが転職をされる場合でありますから、いまのような労働省の政策をやっておったのでは、そういう人がほんとうに技能労働者が不足でそういう者がほしいという段階にありながらも、そういうことをやっておる間がないから、五〇%に近い者が全然関係のない職にかわっていくということがあり得るわけであります。特に私が強調したいのは、どういうところに受け入れられるかといえば、中小企業の比較的弱体な企業に吸収されてくるのが大部分だと思うわけです。そうなると、結局だんだんだんだん悪いほうにしわ寄せされていって、一体労働省はほんとうにそういう人たちに対して何をされているのかと私は言いたくなるわけであります。ことに不用額をこれだけ出しておきながら、しかも、研究をいたしますとか、その政策にしますとか言っている状態で、しかも、ことにそうした措置をする予定はしておるけれども、そういう対象者がなくてすぐ就職していくのだ、そういうふうな考え方でいいのかどうか。私はそこのところに非常に疑問を持つわけです。もっともつと措置を十分にして、そしてそういう人たちがもっと技能的にも余裕を持って訓練ができ、その作業として必要な技能労働者を培養するようなことができることにしなければならないと思うんですが、その点はどうですか。私は、実に責任をとらない、非常に冷酷な行政をやっているのだとしか思えないんですが、その点について伺いたい。
#15
○政府委員(有馬元治君) この制度も、年を追って運用の改善につとめておるわけでございますが、特に御指摘のように訓練ないし指導手当を支給しておるわけですが、これが中高年の場合には、生活を保障するに足る月額でないというふうな御非難もございますので、私どもとしましては、逐年手当の増額をはかってまいっておるわけでございます。これでもなおかつ、一例を申し上げますならば、訓練手当の場合に、全国平均でながめますと、ことしの予算月額が二万八千三百九十円になります。これでは妻子持ちの中高年の場合に、安心して訓練が受けられないのじゃないかというふうな御批判もございますけれども、四十一年度の月額と比較いたしますと、一万六千七百十円でございましたので、この月額も相当引き上げたつもりでございまして、こういう改善を加えながら、中高年者の職業の転換をスムーズにするために、この措置ができるだけ広く利用されるようにという趣旨で努力はいたしておりますが、なかなか中高年者の場合には、生活の問題をかかえましていろいろな事情があって、必ずしも予想したとおり訓練ベースに乗ってこないというような場合もございます。なお私どもとしては、この運営の改善については、今後引き続き努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#16
○大橋和孝君 その趣旨、意向はよくわかっているのでありますが、事実問題は、もう少しそれは積極的にやってもらわないと、考えるだけじゃだめだと私は思うのです。特に私は、こういう問題については、やはり何といいますか、経済的にとか、いろいろな他との配慮が多すぎるのじゃないか。たとえばもっとそういうような手当なんかも、一方何ぼというわけじゃなくして、上げようということになれば、生活保護とかほかにも何かのものとの比較がある。こういうふうな答弁をしているわけでありますが、そういうようなことではなくて、私は技能開発とか、あるいは労働者の福祉とかいうことを先行的に考えない限り、私はこういう問題は解決せぬと思うわけです。ですから、たとえば大企業において中卒の人を入れて何年間かの学校訓練をする、技能訓練をするというように、私はもっと積極的なこういうような方面に対しての施策が行なわれない限り、一つのいまのようなワクの中で考えておったのでは、結局は、実態とは離れたものになってくると私は考えるわけです。そういう観点から、もう少し前向きな方法を考えなければならぬのではないか。
 それからもう一つ、私はここで伺っておきたいのは、不用額がこれだけあるのであるならば、もう少しそれを流用するような方法を、もう少し予算措置についてすべきではないか。私は、ほんとうはちょっと大蔵あたりからも来てもらって、そういう点に対しても詰めたいと思ったわけですけれども、きょうはそれはやめておきますが、そういう問題についても、もう少し私は真剣に考える必要がある、こういうふうに思うんですが、一体お考えはどうですか。
#17
○政府委員(和田勝美君) 大橋先生からたいへん転職訓練について積極的な御意見を拝聴いたしまして、まことにありがたく存じます。私どもも、先生のお考えのようなことでぜひ仕事を処理したい。特に訓練を受けている間における生活の問題と、訓練を受ければなるほど自分の職業は安定をした、新しい職業につくことができるのだ、こういう気持ちを転職をされる人が持っていただくように、訓練所と安定所が協力をいたしまして、生活の問題、裏づけの問題とともに今後の生活を考えれば、訓練を受けることがまず第一の要件である、こういう機運の醸成につとめるように努力をいたしたい。訓練手当におきましても、単に生活給的な面だけではなくて、技能習得の関係の経費等につきましても、今後努力をしてまいりたいと思います。
 経費流用の問題は、いま申しましたような予算編成全体との兼ね合いのことでございまして、今後大蔵省と十分連絡をとりつつ、できるだけ先生の御趣旨に沿うようなことで考えてまいりたいと存じます。
#18
○大橋和孝君 それではちょっと方向を変えて、別な問題に移りまして、労働省のほうは、四十年ころから中小企業安定促進補助事業の一環として、中小企業集団を指定して、都道府県労政課を窓にして指導を下していたことと聞いておりますが、二カ年間の行政効果をどのように把握しておるか、ひとつお答えを願いたい。
#19
○政府委員(村上茂利君) 中小企業の労務管理近代化のために、従来は労働基準局関係とか労政局関係、ばらばらにやっておったのでございますが、先生いま御指摘のように、二年ほど前から第一線における中小企業の労務管理問題を労政系統で一本化して扱う、かようにいたしたわけであります。しかし、先生御承知のように、労働基準法の実施が、それを守ることが中小企業の労務管理近代化と実質的に密接な関係があるわけでございまして、労働基準局系統の第一線機関におきましても、中小企業の集団指導という形で行なっておったわけでございますが、それを、労働行政の第一線機関における中小企業対策を一本化しようということで、労政系統に取りまとめた、こういうことでございますが、従来やっておりましたものの上に、さらにいろいろな労政系統、あるいは職安系統の力が加わりまして、一体化して行なわれておりますので、具体的な数字的なその効果を測定することはできませんけれども、少なくとも労働行政全体として総合的な中小企業の労務管理指導が推進されておるということで、大勢としては、従来よりもかなり進んだというように私ども存じておる次第でございます。
#20
○大橋和孝君 労政局長がおられないからちょっと無理かもしれませんけれども、関連してずっと質問しておきたいと思います。
 この労働行政を考えて、労使間の関係を確立するための名のもとに、労働組合の健全な発達または結成を妨げるような行為は、そういうことはなされているとは思っていないですか。
#21
○政府委員(村上茂利君) 直接労政行政をあずかっておりませんので、私からはいかがかと思いますが、少なくとも第一線における中小企業の指導にあたりまして、ただいま先生御懸念のような問題は、私どもは問題意識として十分承知しておりまして、本来、自主的な形で展開さるべき労使間の問題に私どもが行政指導するにあたりまして、そういった懸念のある問題を起こさないように十分注意をしておるところでございまして、具体的には私どもそういうケースを承知していないのでありますが、少なくとも指導の基本的な態度としては、そういう御指摘のような御懸念が起こらぬようにくれぐれも注意するように、私ども第一線機関には申しておるところでございます。
#22
○大橋和孝君 その労働相談員といいますか、何かああいうような労働相談員というのが相談内容をいろいろやっているわけですね、窓口で。そういうものが、私はやはり地方労働委員会の権限を侵すような行動もあるのではないかと思うのですが、これはちょっと別にしておきます。
 私、ここで資料としていただきたいのですが、中小企業安定促進補助事業費というのが、四十年度の決算では、たぶん一億二千八百何ぼそこそこ出ているんじゃないかと思うのでありますが、これを各府県に全額分配している。どこの府県にはどれくらい入っているか、資料として出していただきたい。いまはわかりにくいと思いますが、出していただけますか。
#23
○政府委員(辻英雄君) ただいまの御要求の資料は、別途資料として提出させていただきます。
#24
○大橋和孝君 できるだけ早くひとつそれは資料としていただきたいと思うのですが……。
#25
○政府委員(辻英雄君) 承知しました。
#26
○大橋和孝君 それからもう一つ伺いたいのは、これは基準局長のほうでわかると思うのですが、労務保険士法というのが、去年ですか、提出されたと思うのです――前に問題になったと思うのですが、この種の民間団体が幾つくらいあるか。それから労働省はどういうようにこれを把握しておられるか。これも一ぺん資料で、どういうものがあるかということをひとついただきたいと思います。
#27
○政府委員(村上茂利君) 実態把握の点で、いわゆる業としてそういう行為を行なっているかどうか、確認しずらい点もありますが、私どものほうで承知しておりますものは、昨年三月現在の調べでございますけれども、総数として、何らかの形で相談業務を行なっておるというのが千六百五十八名、団体の数といたしましては、全国的団体が五つ、会員数が延べで――延べと申しますのは、二つの会に入っているのがございまして五団体、延べ人数五千二百九十名、地域的団体が十六団体、千百四人の会員、こういうように私ども把握いたしております。
#28
○大橋和孝君 まことにおそれ入りますが、団体の代表者、それから場所、そういうのはどこにあるということを資料としてあとから出していただきたいと思います。
#29
○政府委員(村上茂利君) 承知いたしました。
#30
○大橋和孝君 それからもう一つ伺いたいのは、前労政局長をしておられた中西さんが日本労務管理士協会長をやっておるのでありますが、労働省と特別な関係がおありですか。
#31
○政府委員(村上茂利君) 特別な関係と申しますか、法人認可をいたしておりますのは労働省でございます。団体の運営自体は、全く自主的に行なわれておるわけでありまして、役職員その他の関係で労働省とは関係がございません。
#32
○大橋和孝君 それでは、この日本労務管理士協会と他の団体との関係はどういうようになっておりますか。
#33
○政府委員(村上茂利君) 労働省が法人として認可をいたしておりますのは、ただいま御指摘の日本労務管理士協会でございます。それ以外に全国的な団体として四つございますが、これはまだ法人格を取得していないように私ども承知いたしております。いわば任意団体として並立的な立場にあるわけでございますが、法人認可の手続をとり、監督をいたしておりますのは、行政上の監督をいたしておりますのは日本労務管理士協会ということでございます。
#34
○大橋和孝君 この種類の団体に属しておる個人の何といいますか、保険士といいますか、この事業に携わっておられる人たちですね、こういう方は、一体おもな事業は何をしてどういう仕事をやっておられるのでしょうか、労務の保険士協会なら協会に属しておる個々の人たちは。
#35
○政府委員(村上茂利君) これはさまざまでございまして、私ども承知いたしておりますのは、たとえば税理士の資格を持って、かたわら労務管理の相談を行なっておる、あるいは行政書士の資格をお持ちになっておって、労働関係法令の手続を代行しておる、そういう方が入っておったり、あるいは団体主催の講習を受け、かつ、試験を受けて合格した者が会員になっておる。あるいは労務管理に関する業務を長年やりまして会員になっておるといったような形で、税理士とか行政書士のような法的な資格を持っておる方、あるいは講習試験を合格した方、あるいは労務管理の長年の経験がございまして、自他ともに専門家と見られておるような方、いろいろあるように私ども承知いたしております。
#36
○大橋和孝君 実はこの日本労務管理士会ですか、管理士協会ですか、これが何か雑誌を発行していますね。何か「労務管理」とかいう雑誌を出しておられるようでありますが、この五月号を資料として提出していた、だきたいと思います。その中で、私ちょっと人に見せてもらったわけでありますが、労務管理の好事例の論文募集をしているわけです。私は、この労務管理の好事例というのは、どこにあれがあるのか、よくわからないわけでありますが、そうした協会に属している人たちがやっておる内容について、これはどういうようなことをしておられるか。また、そういうふうなとらえ方は、どういうふうなとらえ方をしているかということについて、労働省のほうではどういうふうにこれを把握しておられるか、ちょっと伺っておきたいと思うのですが。
#37
○政府委員(村上茂利君) そういう団体の出版物についてはノータッチでございますので、私ども一切かれこれ申しておりません。私も、いま御指摘の書物を見ておりませんので、何とも申し上げかねますが、資料として提出せよということでございましょうか。
#38
○大橋和孝君 ちょっとほしいのですがね。私、さがしてみたけれども、わからぬのですよ。
#39
○政府委員(村上茂利君) それでは、求めまして先生にお届けいたします。
#40
○大橋和孝君 ぼくは、この中に、なんで質問するかということになればおわかりだと思うのですけれども、非常に私は労務管理として、労働委員会のことにまで、あるいは労使の調整に対して、何か論文に対してもそうしたいい事例というのではなかろうかと考えているわけです。先ほど私伺って、まだ十分な御意見を聞いてないけれども、この団体に属しておる方々が、講習をやったり試験をやって免状を持っておられるようでありますけれども、そういう方々がやっておられる中で、私は、こうした労使間の問題をとらえて、そこらは問題になるようなケースが非常に多いのじゃないかと思いますけれども、労働省のほうではそういうふうには把握していないのですか、どうですか。その辺をひとつ。
#41
○政府委員(村上茂利君) 私ども、内容的にはかれこれタッチしていないのでございますが、ただ、労働省所管の法令についての試験であるとか、あるいは解釈の問題ということでございますと、どれが正しい、どれが間違っておるというようなことは、聞かれれば申しますけれども、労務管理という、労務管理自体の定義についてすら学説が分かれておるようなことでございまして、しかも、その具体的な手法につきましては、アメリカのマネージメント的な考え方のものもあり、子うでないものもあり、日本的なものもあり、労務管理自体の概念について学説が分かれておりますように、さらに、その具体的な手法につきましては、いろいろな考え方があるわけでございます。そういったものにつきましては、法令の場とはやや趣きを異にいたしますので、私ども、どれが適当であるとか適当でないといったようなことはあまり申さない、こういう態度で今日までまいっておるような次第でございます。
#42
○大橋和孝君 それで、いままでこういうふうな団体が、いまおっしゃいましたように、たくさんありましても、それはやっていることはいろいろ見解もあろうから、もうノータッチということでありましょうと思いますが、しかし受けとめ方は、いまのような状態で非常にけっこうなものだと思っておられるかどうかということを聞いておきたい。
#43
○政府委員(村上茂利君) 現在のこの種団体の問題につきましては、先ほど申しましたように、是非の批判は私どもいたしておらないのでございますが、ただ、そういった名称を自称いたしまして、多額の金を徴収するとか、あるいはかなりの損害を関係者にもたらすとか、そういった問題を起こしました場合には、私ども行政権限はございませんけれども、実質的に、適当でないからということで、軽くそういった意思表示を申し上げたことは、かつてございましたけれども、それ以上のことはいたしていないわけであります。いわんや労使関係の問題に関係するような事柄につきまして、これがいいとか悪いとかいったようなことは、行政官庁の立場としては、今日ほとんど何も申していないということでございます。したがいまして、そういった内容も私ども詳しくは承知いたしておりませんので、先生の御質問でありますけれども、どう思うかという点につきましても、見解は差し控えさせていただきたいと思います。
#44
○大橋和孝君 それじゃ資料をいただきまして、あともう少し、いろいろ意見もありますし、問いただしたいこともありますけれども、それは後ほどやります。
#45
○竹田現照君 大橋委員のいままでの質問に重複する点もあろうかと思いますが、関連で二、三お伺いをいたしたいと思います。
 政務次官は何か御都合があるようですが、政策的な問題ですから、ひとつ伺いたいわけです。
 先ほど質問もありましたけれども、労働力の不均衡の拡大、この点は非常にいま技術革新あるいは産業構造の高度化、こういうようなものによりまして、産業別、企業規模別、地域別、年齢別、学歴別等の分野でいろいろと労働省の調査、その他この種の問題を調べているところの統計等を見ましても、こういう分野での労働力の配分に不均衡が目立ってきておりますが、一面、重化学工業とかあるいは建設業、こういうところのいわゆる成長産業では労働力が不足をしている。それで、これは新しい技術を覚えさせやすい、あるいはまた賃金が低くても雇える、こういうようなことで新規の労働力を求めている。しかし、その反面、一次産業等の衰退産業といわれるところからほうり出されている中高年齢層の再就職というのは、非常に困難になってきている。これは労働力の効率的な活用という政策目標から見ますと、非常に大きな矛盾だと言わなければならないのでありますが、こういったことについて、労働省として政策的にこれをとらまえた場合、これをどういうふうにしたら具体的に解決をするだろうか、あるいはまたしなければならないのか、こういう点についてお考えになっていらっしゃったら、ひとつ御見解を承っておきたいと思います。
#46
○政府委員(海部俊樹君) 御指摘のような状態が非常に顕著になってきておりますことは、率直に認めておりまして、そのために、四十二年三月十四日にまとめました雇用対策基本計画の中で、これらの問題をどのようにしていったらいいか、あるいは年齢による職業分野の問題であるとか、あるいは職業別による賃金や待遇の格差であるとか、あるいは大企業と中小企業のいわゆる厚生施設その他の問題であるとか、いろいろ問題はあろうかと思いますが、それをまとめて雇用基本計画にほうり込みまして、これに従ってやっていこうという目標を立てているところであります。
#47
○竹田現照君 これから具体的に進めるというわけですね。
#48
○政府委員(海部俊樹君) はい。
#49
○竹田現照君 これは、年々歳々これが大きくなってくる情勢にあると思いますので、労働省も本腰を入れてこの問題の解決に当たっていただきたいと思います。
#50
○政府委員(海部俊樹君) 御指摘のように人口構造がきわめて最近顕著に変わってきているということ、あるいは日本の、ホワイトカラーにあこがれる人が非常に多いということ、先ほど大橋先生の御質問にもありましたように、技能労働者の社会的地位がまだまだ十分に認められておらないという点など、根本的に社会の構造あるいは社会の意識の中で変えていかなければならないという問題もたくさんあると思いますが、具体的に取り組める問題、たとえば中高年齢層の雇用の問題とか、身体障害者の技能労働力としての職業訓練の充実の問題とか、いろいろございまするが、これらには、大きい長期的な問題と目の前の問題とに区別しまして、それぞれ具体的な案を立ててできるだけ取り組んでやっていきたいと思っておる次第であります。
#51
○竹田現照君 いまのお答えの中にありました身体障害者等の技能労働者への活用、こういう点についてもひとつお伺いしようと思っておりましたが、ちょっと触れられましたので、具体的にこれらの問題とひとつ取り組んでいただくように私は要望しておきたいと思います。これはとりわけ身障者を持っておられる親の方々が私たちに話すのは、こういうものを活用するとまだまだ労働力の不足を解決する面がたくさんあるんじゃないか。加えて身体障害者の人は非常にいじけている。そういう方々を具体的に救済をしていくという面にも非常に大きなウエートがかかってくるんじゃないかというよくお話があるものですから、御答弁がありましたから、これは一応触れませんけれども、ひとつ電電公社等の新しい採用の事例も出てまいりましたから、ひとつお考えをいただきたいと思います。
 それで、先ほど中高年齢層の御質問がありましたが、これで、三十九年度の決算書を見ますと、中高年齢者の就職促進、訓練費の補助、これが歳出予算額に比べまして不用額がこれは五〇%をこしているんであります。これは先ほどからの御答弁と関連をいたしまして、三十九年度は、これはまあ始まったことですからPRその他が不足だったというお答えにもなろうかと思いますが、四十年度、四十一年度の実績とあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
#52
○政府委員(和田勝美君) 職業転換給付関係で訓練費のほうが補助金になっておりますので、私からその点を申し上げたいと思います。
 四十年度におきましては、予算二十三億に対しまして十四億程度になっております。四十一年度はまだ結果が出ておりませんが、現在の見込みでは、予算二十七億に対して十四、五億見当の不用が出る、このように見込まれておる。
#53
○竹田現照君 そうすると、年々歳々五〇%前後ですね。こういうようなことを繰り返されているということは、これは会計検査院あたりでは、検査ではこれをどういうふうにお考えになりますか。これは一億や二億ではない、十何億という金が出ているわけですから。
#54
○説明員(鎌塚好真君) ただいま先生御指摘の点につきましては、毎年多額の不用額が出ておるという事実につきましては、望ましいことではないと考えております。
#55
○竹田現照君 あまりいいことではないとお考えですが、検査院としては、こういうようなことについてはあれですか、何か具体的な指摘事項として示されるお考えはないのですか。
#56
○説明員(鎌塚好真君) 今年の始まりました三十九年度におきまして、検査の結果不用額が出ました原因といたしまして、訓練計画及び先ほど来いろいろ御意見の出ました訓練手当の額、こういったものについてなお検討が必要ではなかろうかという御意見を申し上げて御検討を願った事実はございます。
#57
○竹田現照君 そうすると、三十九年度がそういう検査院の見解も示されたんですが、四十年度が大体これが二十三億の十四億ということになると、大体四十何%ですね。四十一年度が二十七億に対して十四、五億、大体五〇%、そうすると、これは三年度にわたって大体同じような状態なんでありますけれどもね、先ほど御答弁の中にもありましたが、中高年齢層の就職対策という問題と具体的に取り組んでおられることと、こういう予算が相当大幅に残っている、この関連はどういうふうに御説明をいただけますか。
#58
○政府委員(有馬元治君) 私、先ほどもお答え申し上げたとおりでございますが、過去三年間の実績を率直に私ども反省検討いたしまして、実はこの中高年の就職促進といいますか、中高年の雇用対策といたしましては、職業転換のための諸手当の給付制度だけでは片づかない面があるわけでございます。そこで、昨年の雇用対策法にも明記してございまするが、こういった転換給付制度と並んで、もっと積極的な雇用政策というものを展開しなければならぬ。その第一は、一つはまあ中高年の雇用を妨げておる社会慣行としては五十五歳定年が一方にある。これをやはり延長ないしは緩和をしなけりゃならぬ。それからまた、中高年を各企業が率先して雇い入れるいろんな条件を整備してやらなければ、単に手当を支給して就職の促進をはかるといっても、これには限界があると思います。したがいまして、雇用対策法におきましても、中高年に向く適職は何であるか、できればそういった中高年向きの職場には若い者はできるだけ雇わないようにしてもらう。法律的に強制するわけにはいきませんが、そういった仕組みを打ち立てていかなければどうしてもいままでの年功序列型賃金、あるいは終身雇用制というふうな雇用慣行がございますので、若年に需要が片寄り過ぎる。そこで中高年向きの適職の選定と、これを基礎として雇用率を設定する。で、これはあくまで法律上の強制ではございませんので、努力目標としての雇用率を設定する、こういった総合的な施策を展開しないと、この転換給付の制度だけでは解決しないんじゃないかということから、昨年、対策法にそういった諸制度を盛り込むことにいたしました。さらに、対策法に基づきましてでき上がりました、先ほど申し上げました雇用計画におきましても、定年制の再検討というふうな問題も取り上げまして、中高年の雇用の促進を妨げておる各般の要因を取り除いていこう、こういうような体制を目下確立しつつある段階でございます。
 これらの諸施策を通じまして、これら諸手当給付制度の完全な実施というふうに積極的に指導してまいり、三年にわたる不用額の実績にかんがみまして、そういったことのないようにひとつ運用を根本的に検討して改善をしていきたいというふうな考え方で現在対処いたしておるわけでございます。
#59
○竹田現照君 この職業安定業務統計を見ましても、先ほどもちょっと触れましたが、いわゆる若い方の求人倍率というのは、四十年すでに三倍半、しかし、三十五歳以上の求職の倍率というのは三十五年三・六倍、四十年三・一倍と、こうなっておるのですから、絶対的な人手不足にはなっていない。しかし問題は、中高年齢層のいろいろな問題が出てきている。いまいろいろお話がありましたけれども、これは根本的にこれを妨げているもの、これはいまお話があった年功序列、あるいはいろいろな理由をたくさん並べましたけれども、政府自身がまず積極的に取り組むべき先決条件というのがまずあるんじゃないかと思うんですけれども、これはやはり忘れておったのでは困る。先ほどから私の質問をしていることについての根本的な解決にはならない、たとえば年功序列の賃金、これが最低賃金制の確立であるとか、あるいはまた社会保障制度の確立であるとか、あるいはまた住宅、これも最も大きな問題だろうと思いますが、炭鉱離職者に対する離職者住宅というようなもの、ああいうものが一般的には整備をされておらない。いわゆる環境条件の整備、こういうような問題をいま少しく具体的に積極的に取り上げていかない限り、中高年齢層の就職対策というものはいつまでたっても解決をしない。
 非常に部分的な問題を取り上げましたけれども、いま就職促進訓練費等の問題が、三年たっても依然として五〇%近い金が不用額として残っていくというような現象が起きてくるのではないか、そう思うんですけれども、その点はいかがですか。
#60
○政府委員(有馬元治君) 御指摘のとおりでございまして、総合的な施策を展開しなければ、この給付金制度だけでは不十分であるという点は御指摘のとおりでございます。そこで、まあ最初に御指摘がありましたように、中高年対策を展開する場合には、やはり国の企業なり、あるいは国の機関、いわゆる官公庁が率先して、民間の企業に率先して中高年を雇い入れるような対策を講じなければならぬ、こういう観点から、三十九年以来三カ年計画で官公庁の中高年雇用促進対策というものを閣議によって決定いたしました。現在その雇用率、それぞれの雇用率を目標に中高年の雇用促進をはかっておるわけでございます。まあこれらの最近の実績を見ましても、なかなか官公庁が率先垂範するといいましても、むずかしい面もございます。たとえば道路公団の料金徴収所の職員を、六五%の目標で中高年に置きかえてもらいたいということを申し入れて、三カ年計画を樹立してやっておるんでございますが、何せ公団ができた当初に若年の職員を採用して充員いたした後でございましたので、これの置きかえ作業が非常にむずかしい、現情においては、六五%を目標にしながら三〇%前後で低迷をしておる。あるいは郵政省関係のいわゆる郵政外務員、外交員、対象人員が十一万近くございますが、これを六割五分、六五%まで中高年で充ててもらいたい、これは現役の人たちが一年一年としとってまいりますから、さほどむずかしい目標じゃないと思いまするが、現状においては、ちょうど半分程度の五万四千人程度しか三十五歳以上の中高年がおらない。比率としては五五、六%を低迷しておるというふうな状態でございまして、なかなか官公庁率先垂範といってみても、むずかしいいろんな条件がございまするけれども、まず考え方としましては、これらの官公庁において多量に職員を採用しておる諸部門において中高年の雇用を促進していく、これを範としながら一般の民間産業に及ぼしていく、こういうふうな段取りでいま着々計画を進めておる状況でございます。これらの総合的な施策と関連せしめながら、いまの転換給付金制度を十分に活用していきたい、かように考えておるわけでございます。
#61
○竹田現照君 これは、なかなかここで質疑を展開しておってもちょっと簡単に解決することではありませんけれども、たいへん大きな問題で非常に困難も伴ってくることは十分了承いたしておりますが、できるだけ雇用政策の推進にひとつ政府は本腰を入れてかかっていただくようにお願いをいたしておきます。
 最後に、村上基準局長に一つお伺いをいたしますが、基準法に基づく労働基準審議会というのがありますね、中央と地方に。中央はときどきやられておるようですが、地方の審議会というのは、あれは一体何を目的とされているのか、あの審議会の効果は何を求められておるのですか、一つだけお伺いしておきたいと思うのです。これはなぜかというと、私も十年近く地方の労働基準審議会の委員をやったことがあります。ところがこれは全く形式的で、名があっても金がないですね。委員を集めるにしても、何か一回分、形式的に年度当初任命をする、まあ労使、中立集まっていただいて、何か地方基準局長がいろいろ所管事項について説明をされて、あと何もないですね。金なんかかけなくてもいいからひとつやったらいいじゃないかということも、ちょっと中立側の大学の半生なんか言われたのですが、結果的には実効はあがらない。そうすると、あれは法律にあるからしようがないからつくっているというようなもので、何もこれは効果のないものじゃないか、むしろそんなだったら中央基準審議会等の利用、活用というものをもう少しはかって、この基準法の精神とするところを具体的に生かすように進められたらいいんじゃないかと思うのですが、ああいう、私から言わせれば、全く形式的なむだなものに、これは四十何府県のところに全部あるのですから、全くむだ金を使っているとしか私は思えないわけです。どうお考えですか。これは全く惰性でずるずると持っていく、効果のないものだったらあっさり打ち切られたほうが、むしろほんのわずかの金でも五十近い府県で使うわけですから、これは五年、十年になるとばく大な金になるわけですから、全く国の金のむだ使いとも言うべきじゃないかという気がするのですが、どんなものですか。
#62
○政府委員(村上茂利君) たいへん手きびしい御批判をちょうだいいたしまして恐縮に存じますが、地方労働基準審議会の運営については、問題があるということを私も承知をいたしております。そこで、諮問機関として置いておるわけでありますが、諮問をいたさない以上なかなか具体的な活動が展開されないということでございますので、当初――当初と申しますか、いまの予定しておりますのは、地方の労働基準審議会は、地方における特有ないろいろな問題について問題が生じた場合に諮問をいたしたり、あるいは建議をしていただく、こういうことを予定しておるわけでありますが、それが具体的に示されないものですから、先生の御批判は、いまいただいたような欠陥がございました。そこで、ここ二、三年のことでございますが、特に労働災害防止の関係につきまして、昭和三十九年に、労働災害防止団体等に関する法律が制定されまして、労働大臣が労働災害防止計画を策定するように法律上義務づけられたわけでございます。そこで、その後、毎年労働災害防止実施計画を、全国的なものを労働大臣が定めますが、それは全国的なものでありまして、労働災害防止といったような、極力具体的に処理しなければいけないような問題につきましても、これを地方に転換するにはどうしたらよいかというふうなことが問題になったわけでございまして、地方においてもそれぞれ地方の労働災害防止実施計画をつくるように、その計画は必ず地方の労働基準審議会にはかりまして、御意見を聞いてきめるようにという制度をとったわけであります。したがいまして、地方の労働基準審議会といたしましては、その地方の労働災害防止実施計画を策定するにあたりまして諮問しなければいけない、こういうことで具体的な課題が出てきたわけであります。それに伴いまして、その計画を実施する場合のいろいろな問題が起こります。たとえば労働災害防止指導員をどのように運用するかとか、いろいろ地方の実情に即した問題が出てまいりましたので、数年前と異なりまして、最近におきましては、地方の労働基準審議会の活動状況もようやく活発になったような次第でございます。都道府県それぞれ実情はかなり違いますけれども、かなり活発な様相を呈してきたということだけはいえると思います。そういう意味合いにおきまして、もう年に数回は開かざるを得ない。計画の策定とそれからその実施の結果を確認する等いろいろございまして、そういった立場から、先生御指摘のような眠ったような状態を改革いたしまして、法の予定するような形に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
#63
○竹田現照君 いまのお答えは現実にいま実行に移されているわけですか。そうすると、労働省というのはずいぶん貧乏な役所ですから、ずいぶん基準局なんというのはみみっちいですけれども、そういうような予算の配分その他というものもあわせて行なわれておるのですか。
#64
○政府委員(村上茂利君) 委員等手当は、御承知のように、これはほかの省庁との見合いで大体きまっておりますけれども、まことに些少な金額で恐縮でございますけれども、いま申しましたように、少なくとも年四回は開催できますように予算を配賦いたしております。
#65
○竹田現照君 わかりました。
 よろしいです。
#66
○大竹平八郎君 一言安定局長にお尋ねしたいのですがね。これは私自身が、三十数年前になると思うのですが、当時やりました労使協調会、いまの中央労働委員会があるところにあった労使協調会、この委託を受けまして、当時私は労働問題とか無産党の問題に専門的な立場であったものだから、そこで特に委託されてまとめた本があるのですがね。というのは、釜ケ崎、山谷の浮浪者といっては悪いが、当時は昭和の初めで非常に不況でもあったという状態で非常に多かったのですね、失業者が。そこで、あの実態調査ということで私は嘱託を受けて、簡易宿泊所から、特に山谷、三河島、こういうところを中心にしての私は労働問題を調べてまとめたものがあるのですよ、いまはちょっとさがしたらないのですが。そこで、そういう体験から伺いたいんだが、これは事務当局の問題というよりも、大きく一つの労働政策という立場にもなると思うのです。また、それだけでなく、あるいは労働省の問題でなく、あるいは厚生省の福祉関係というような問題にもなると思うのですが、最近のこういう好況の波に乗って人手不足だというようなときに、相変わらず私どもが昭和の初めに調査したときと、人数はどうか知らぬけれども、山谷はじめ、それから上野、これは多少はだ合いが違いますが、相当な人間がいるのですね。これらに対してどうにもこうにもならぬものはむろんありますよ。アル中もあるし、それから麻薬中毒者もあるし、それから全く一切世を捨てたというような立場で、働き得る力を持っても動かぬという者もあるけれども、しかし、これは指導いかんによっては相当あそこの人的資源というものを、いまの人手不足の中に相当活用できる面もあると私は思うのですよ。
 そこで伺いたいことは、そういう面に対して、安定局としてどういう方針を今日までとってきておるか。
 それから現状において山谷とか、それから釜ケ崎等には昔から私設の労働紹介所というのがあるのですが、これなんかに対してはどういう措置をとっておるのか、こういう問題を伺いたいのですがね。
#67
○政府委員(有馬元治君) 大竹先生御指摘のように、山谷と釜ケ崎愛隣地区といいますか、この地区に対するわれわれの行政の手の差し伸べ方につきましては、数年前に御承知のような騒動がございまして、それ以来、やや積極的に手を差し伸べて今日にきておるわけでございますが、これではいかにも不十分であるということで昨年来検討いたしまして、先ほどから申し上げました雇用基本計画におきましても、この地区の労働者に対する積極的な政策をとれという基本方針が打ち立てられまして、これに基づきまして、私どもは、これから具体的な政策を展開していきたい。で、昔、先生が御調査になった時代よりも、人口等もふえておると思いますが、私ども、いま推定をいたしておりまする、いわゆる日雇い労働者層の数といたしましては、愛隣地区が約一万五千人、山谷地区が一万二千九百人、人口はそれぞれ愛隣地区が三万三千二百十二人、山谷が二万二千二百九十人、こういうふうに把握いたしております。これらのいわゆる日雇い労働者の職業紹介の状態でございますが、現状は遺憾ながら手配師等が相当横行いたしまして、いわゆる青空市場の状態を現出しておるわけでございます。愛隣地区につきましては、約五千人がそういった手配師等の手を通じて、職安法上から見ますと法違反あるいは非常にぐあいの悪いような状態を現出しながら、これが放置されておる。あとの半分は細々ながら安定所あるいは公益法人としての西成労働福祉センター、こういった手を通じて就労配置がなされておるわけでございますが、あとの半分について、これを放置するわけにいかぬじゃないか、特に大阪地区は、万博を控えてこの問題を真剣に考えなければいかぬということから、今年度の予算におきましては、釜ケ崎地区にマンモス安定所を設置して五千人ぐらいの紹介、就労配置は可能であるという施設をつくろう、同時に、福祉センターを併置しよう、こういう計画でもって、予算規模としましては四億二千七百六十九万という、きわめて巨額の金をつぎ込みまして釜ケ崎の対策に乗り出したわけでございます。もちろん地元におきましては、大阪府が中心になりまして地元で土地を提供する、こういう予定になっておりますので、あの地区に約三千坪の土地を求めるということは、これは至難のわざでございまするが、これをあえて府市共同で土地を提供するという前提になっております。したがって、土地代がどれぐらいになるか、いろいろ計算のしかたがございますが、十億近い予算規模でもって愛隣地区の対策に本格的に乗り出す、こういうふうな施策を講じてまいりたいと思っておる次第でございます。
#68
○大竹平八郎君 いま一言お尋ねしますが、いま手配師の問題がありましたが、これは昔から警察当局とか、労働当局で密接な連絡をもっていろいろやられておるのですがね、なかなかこの手配師の問題等は解決しないのだが、そうかといってこれをほっておくわけにはいきません。しかし、何かあれをとっているんでしょう、労働省としてはどうなんですか、相変わらずそのまま放任しておるのですか。
#69
○政府委員(有馬元治君) 手配師の問題は非常にむずかしいのでございますが、港湾の関係、建設業の関係、あるいは輸送業の関係、いろいろと手配師もそれぞれのグループに分かれておるようでございます。港湾につきましては、一昨年の港湾労働法の成立によりまして約八百人ほど港湾専門の手配師がおったわけでございますが、これを漸次登録制に切りかえたために、手配師を排除していくということで、現在どの程度まで減っておりますか、大阪地区の愛隣地区のこの対策によって、相当部分が手配師としての生業から締め出されるということになろうと思います。ただ問題は、建設産業あるいは輸送業における手配師の活躍といいますか、これはやはり先ほど申しましたマンモス安定所を設置して、そこでわれわれの手で就労配置について責任を持つ体制をとらなければ、単なる取り締まりだけで手配師を排除してしまおうとしてもそこには無理があるのじゃないか、こういうことで、まずは先ほど申しました施設を整備して体制を確立するということを先決問題にして考えておるわけでございます。
#70
○中村喜四郎君 関連してちょっとお伺いします。職業安定局長はいいです、何か衆議院のほうで忙しいようですから。二点だけ政務次官にちょっと要望しながら質問したいと思います。
 技能労働者の不足を補うために各県で職業訓練機関が相当強く要望されておるわけです。高等学校等の入学の受験率よりは職業訓練機関に希望する受験率のほうが非常に、どの県でもどの訓練機関でも高いわけです。場所によっては四倍、五倍という状況にもなっておるわけです。したがって、この職業訓練機関をもう少し充実させる考えをこの際とるべきであると思うがどうでしょうか、第一点。
#71
○政府委員(海部俊樹君) 御指摘のような事態がございまして、職業訓練所の増設には私どもも全力をあげてがんばっておりますが、たとえば今年度総合職業訓練所の新設六カ所でございます。それから一般訓練所が九つ増設が決定いたしましたし、さらに身体障害者職業訓練所も一カ所増設をすることを決定いたしておりますが、さらに、その職種につきましてもこれをふやしていくように努力をいたしまして、なるべくせっかく希望していただくのでありますから、希望者全員にこたえることができるように施設の充実には全力をあげていきたい、この方針でやっております。
#72
○中村喜四郎君 私は、この問題は非常に労働省が打ったヒット版だと思うのですよ。農業関係でも、農業の高等学校に行くよりも経営伝習農場に行く人が非常に多い。それは実務につく人が短い期間で実際の訓練ができる。同時に、その職業訓練機関でも、たとえば自動車関係とか、あるいはラジオ関係とか、木工関係というのが希望者が多くて、それは実際にすぐ職場に行って役立て得るような教育がされているために希望者が多いわけですから、さらにこれの充実強化に最大の力を尽くしていただきたいと思う。
 それから第二点としては、この検査院の指摘事項にもありましたように、保険料の徴収不足、不正受給者の問題ですが、これは実際の検査院の指摘事項よりははるかに多いのではなかろうか。特に不正受給の問題ですが、就職する意思がなくて、保険金をかけ捨てにしたのではつまらないというような考え方や、あるいはそれの能力がありながらその期間だけはもらっていようと、こういうこと、さらに、つとめておってなおかつもらっておるような状況が各地に相当多く、私自身などもそれを見ておるわけです。離職証明書は、雇用主はとにかく出す、出せばあとはもうかまわないという形、職業安定所のほうではこれを点検することが、人的機構からして十分にいかない、そういうところに不正受給の問題があるのではないかと思う。この不正受給の問題等について、今後十分な監査ができるような組織、体制を整えたらどうか。
#73
○政府委員(海部俊樹君) 御指摘の第一点につきましては、もちろん先生の御指導もいただきまして、来年度以降全力をあげて充実するようにいたしますし、第二点の不正受給の問題につきましては、やはり人の主観にまで立ち入っていろいろと判断しなければならないむずかしい問題が技術的にあるようでございますけれども、窓口の体制といたしましては、不正受給調査官、そういうものを充実いたしまして、そういった不正受給がなくなっていくように機構も整備し、努力もいたしたいと考えております。
#74
○中村喜四郎君 けっこうです。
#75
○委員長(鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、午前中の審査はこの程度にいたします。
 午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#76
○委員長(鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、自治省の決算について審査を行ないます。
 まず、自治省の決算について説明を聴取いたします。伊東自治政務次官。
#77
○政府委員(伊東隆治君) 昭和三十九年度における自治省所管歳出の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 一般会計におきましては、歳出予算現額は、当初予算額六千二百八十九億二千五百万円、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費等の補正追加額一百五十九億一千万円、既定の予算の不用額を修正減少する等の補正修正減少額一億四千四百万円、総理府所管から移しかえを受けた額一千二百万円、前年度繰り越し額一億五百万円、予備費使用額八千一百万円、合計六千四百四十八億八千九百万円であり、これに対する支出済み歳出額は六千四百四十七億五千三百万円でありまして、その差額は一億三千六百万円となりますが、これは翌年度繰り越し額一千八百万円、不用額一億一千八百万円となっております。
 以下、おもなものにつきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、交付税及び譲与税配付金特別会計への練り入れ費でありますが、歳出予算現額は六千三百七十三億一千万円で全額支出済みでありまして、昭和三十九年度における所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の二十八・九に相当する額並びに昭和三十七年度の地方交付税交付金の精算額に相当する額を、地方交付税交付金の財源として特別会計へ繰り入れたものであります。
 次に、小災害地方債元利補給金でありますが、歳出予算現額は十六億九千九百万円、支出済み歳出額は十六億二千一百万円、不用額は七千八百万円となっておりまして、昭和三十三年から昭和三十七年までの公共土木施設等の小災害にかかる地方債に対する元利償還金相当額及び昭和三十八年の公共土木施設等の小災害にかかる地方債に対する利子償還金相当額の全部または一部を補給するため関係地方公共団体に交付したものであります。
 不用額を生じましたのは、元利償還金が予定より少なかったので、これに対応する元利補給金を要することが少なかったことによるものであります。
 次に、奄美群島振興事業費でありますが、歳出予算現額は十五億四千五百万円、支出済み歳出額は十五億二千七百万円、翌年度繰り越し額は一千八百万円となっておりまして、奄美群島の急速な復興をはかるため、産業の振興及び公共土木施設の整備等の事業を行なうのに要した経費であります。
 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は十三億五千万円で、全額支出済みでありまして、昭和三十九年度においてこの交付金を交付した団体数は、二百七十三団体となっております。
 次に、固定資産税特例債元利補給金でありますが、歳出予算現額は三億六千四百万円、支出済み歳出額は三億六千四百万円となっておりまして、固定資産税の制限税率の引き下げに伴う減収補てんにかかる地方債に対する昭和三十九年度分の元利償還金相当額を関係市町村に交付したものであります。
 次に、市町村民税臨時減税補てん債元利補給金でありますが、歳出予算現額は三億円、支出済み歳出額は二億九千八百万円、不用額は二百万円となっておりまして、市町村民税の課税方式の統一に伴う減収補てんにかかる地方債に対する昭和三十九年度分の元利償還金の三分の二相当額を市町村に交付したものであります。
 不用額を生じましたのは、元利償還金が予定より少なかったため、元利補給金を要することが、少なかったことによるものであります。
 次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は七億一千八百万円、支出済み歳出額は七億一千七百万円、不用額は百万円となっておりまして、消防施設等の整備に要する経費の一部を補助するために関係地方公共団体に交付したものであります。
 不用額を生じましたのは、補助事業の一部廃止により、補助金を要することが少なかったためであります。
 最後に、交付税及び譲与税配付金特別会計におきましては、歳入予算額は六千九百八十二億九千五百万円、収納済み歳入額は七千一百十一億一千九百万円であり、歳出予算現額は、当初予算額六千六百六十六億八千五百万円、予算補正追加額三百九億一百万円、前年度繰り越し額一百三十六億七千一百万円、合計七千一百十二億五千七百万円であります。これに対しまして、支出済み歳出額は七千九十六億二千八百万円でありまして、不用額は十六億二千九百万円となっております。
 支出済み歳出額のおもなものは、第一に、地方交付税交付金の財源に充てるため、一般会計から受け入れた額並びに昭和三十八年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律の規定に基づき、前年度から繰り越した額及び借入金の額を、地方交付税交付金として、道府県及び市町村に交付したもの六千六百五十九億八千五百万円。
 第二に、直接この会計に受け入れた地方道路税の収入額を、地方道路譲与税譲与金として、地方の道路財源に充てるため都道府県及び指定市に譲与したもの四百六億三千二百万円。
 第三に、直接この会計に受け入れた特別とん税の収入額を、特別とん譲与税譲与金として、開港の所在する都及び市町村に譲与したもの二十九億九千八百万円であります。
 不用額を生じましたのは、税収入が予定より少なかったため、譲与金を要することが少なかったこと等のためであります。
 以上、昭和三十九年度自治省所管決算の概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#78
○委員長(鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。斉藤第一局長。
#79
○説明員(斉藤実君) 昭和三十九年度自治省所管の決算について検査をいたしました結果は、特に違法または不当として指摘いたしました事項はございませんでした。
#80
○委員長(鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。
 質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#81
○達田龍彦君 私は、地方公共団体の知事あるいは市長、町村長のこれらの首長の兼業、兼職の問題について、若干自治省の考え方なり方針をお伺いをしておきたいと思うのであります。
 いま御承知だと思いますけれども、地方の首長の兼職あるいは兼務の問題について、たとえば地方の自治体においては、中央と同じように特殊法人的な性格を持たした公団あるいは公社あるいは公庫、その他性格的にはほぼこれらと同じようないろいろな団体がつくられておりますけれども、これにとりわけ県知事が代表者であってみたり、あるいは社長であってみたり、中心的なる役割りを果たす傾向が非常に多いのであります。いい面、悪い面、弊害等いろいろ考えられるのでありますけれども、まずお伺いをいたしておきたいのは、こういう兼務ですね、兼務されることができる法的根拠は一体どこにあるのかお伺いをいたしたいのであります。
#82
○政府委員(長野士郎君) 知事、市町村長につきましては、特別な職務でございまして、兼務できる法的根拠といいますと、格別に禁止をしていないということに相なるかと思います。
#83
○達田龍彦君 これは兼業されている場合についてもそういう解釈で、自治省としてはお考えになっておりますか。
#84
○政府委員(長野士郎君) 知事、市町村長等が地方公共団体と、たとえば請負とかその他の特別な利害関係を持つところの企業でございますとか、そういうものの代表者、取締役等になることは、これは認められておりません。それは禁止規定がございますので明確に禁止をされております。
#85
○達田龍彦君 それで、この法的には禁止規定がないからそのまま今日認めておるという状態だということでありますけれども、行政指導のあり方として、この兼職、兼業、兼務、こういう状態、あり方というものが、地方の首長の役割り、任務に影響するところがあるのかないのか。本来のあるべき姿としてどうなんだということになると、いろいろ私は問題があると思うのでありますけれども、自治省としては、これに対してどういうお考えを持っておるのか。
 それから、どの程度までいいというように、やはり監督、指導の立場にあるところは一応の考え方があると思うのでありますけれども、そういう面をまず基本的な問題としてお考えを出していただきたいと思っております。
#86
○政府委員(長野士郎君) お話しのように、知事、市町村長という職務を基礎にいたしまして、当然それらの兼業、兼職というものは考えられるべきものでございます。先ほども御指摘がございましたが、たとえば公社とか、県が出資しておりますような特殊法人とかいろいろございますが、こういうものは一つには行政目的と非常に密接な関連がございます。そういう意味で公共性の非常に強いものでありますが、同時に、事業の種類によりまして、民間の資金をこれに導入をして、そうして事業効果をよりあげるとか、あるいは特殊法人として、本来それが社会福祉でございますとか、そういう公共性の非常に強い公的な団体がありまして、それは言ってみれば、府県なり市町村の行政と表裏と言っては語弊がありますけれども、非常に近い関係にあるというようなものもございます。したがいまして、一つには、公共性が非常に強いので、その業務を推進することが地方団体の行政運営にも非常に役立つというようなものにつきまして兼務、兼職をしている場合が非常に多かろうかと思います。お話しのような場合には、大体そういうことが多いわけでございますが、そういう関係のない、単なる――単なると申しては語弊があるかもしれませんが、ものによりましてはほとんど営利企業に近いものについての、問題の役職員にもこれはつけないわけではございません。けれども、そういうものになってまいりますと、全般的として知事、市町村長の地位とか立場というものと矛盾するような形のものであっては、そういう職につくということは適当でないことは申すまでもないわけであります。したがって、そういう仕事の性質なり種類なりというものとの関連において考えました場合においては、自治省としましては、公共性の強いものについては、ある程度そういう就職なり就任なりというものは、その業務を推進し、あるいは地方団体の行政と表裏一体の関係にあるという場合には、これを認めざるを得ないかと思います。しかしながら、そう申しましたからといいましても、そういう業務について責任者になるということが多くなりますというと、本来の知事なり市町村長なりの任務ということが非常におろそかになる危険が出てまいりますので、それはやはり一定の限界があるものと考えておりますが、それではどこまでがよくてどこまでがいかぬかというようなことは、これはなかなかにわかには断定しにくいわけでございまして、その辺は一つの良識によって判断をせざるを得ないかと思います。
 さらにもう一つの問題としては、そういう兼務とか兼職につきますことによりまして、報酬を得るような問題があり得るわけでございます。で、こういうことにつきましては、そういうことの結果として、特殊な関係に立つことは、ある意味でまた非常にマイナスとか弊害を生ずるおそれもありますので、知事、市町村長なり、特別職が公共性の強い役職につくにいたしましても、その点のそれによる報酬を得るというようなことによって特殊な関係に立つというようなことは極力避けるようにということで、随時連絡をし、指示をいたしておる次第でございます。
#87
○達田龍彦君 いま言われた中に大体問題点は含まれておると考えますが、全国の特に知事でありますけれども、この兼業、兼職をしておる実態をおつかみになったことがありますか。私が知っておるのでは、多い知事では三十ぐらいの兼業、兼職をしている知事がいらっしゃる。おそらく二十前後の兼業、兼職をしておる知事さんというものが相当多数ではないかと思うのです。しかも、いまあなたが指摘されたように、公共性の強いものと営利性の強い営利企業、こういうものとに分けてみたときに、必ずしも公共性のものばかりではなくって営利企業の代表者であってみたり、あるいはそれの兼職、兼業を兼ねているという状態はこれまた非常に多いんじゃないかと思うんです。こういう実態を自治省としておつかみになっておりますか。あればこの場で説明していただくか、資料をいただきたいと思うんです。
#88
○政府委員(長野士郎君) 最近の資料を十分つかんでおるというわけではございませんので、お話もございまするので、私どもも早急に資料を整えて提出をいたしたいと思いますが、まあ営利企業というふうな、純粋な営利企業というものについては、個人的な関係におきましてまあついておる。たとえば非常にこれは架空の例になってしまうかもしれませんけれども、ある知事の家業というふうなものがありまして、そしてそういう家業には少なくとも形式的には役員として知事になっても就職をしておるというような場合もそれはあろうかと思います。しかしながら、知事になった結果におきまして、知事になったがために新たに企業なり何なりの役職員につくという場合は、まあ普通には何らかの形で公共性があるもの、あるいは公共性があるがゆえをもって県なり市町村なりが出資をしておるもの、たとえて申しますと、民間の放送会社なんというものが地方にも相当ございますが、こういうものについて地方団体の責任者が役職についている場合が相当あるように私も記憶をしておりますけれども、これらにつきましては、一種のそういう意味で地方のそういう広報なり電波関係の施設というものの発達というものに寄与するということがまあ公共性があるというようなことで、府県なり何なりが出資をしておるというような関係の場合はあるように思います。これはまあ見方によりまして、そうは言いながら、それは営利企業じゃないかということにもなるわけでございますが、あるいはまた電力会社等の関係で、これも旧来からの関係におきまして、ダムその他電力事業が統合されましたような時代から持ち株なり出資なりを相当持っておる場合がございますが、そういうときに役職員についておると、こういうのもあるようでございます。まあしかし、これも見方によりますと営利企業じゃないかという議論もございますが、知事になりましてから以後につきますものは、特殊の関係のない限り、何らかの形で営利企業でありましても、多少公共性がある、あるいは公費を出資しておるというような関係のものが多いのじゃないかと思っております。
 詳細につきましては、資料を整えまして提出させていただきたいと思っております。
#89
○達田龍彦君 いま地方の首長、とりわけ知事のそういう兼業、兼職の実態把握が監督官庁にできてないということは、このいまのそういう兼業、兼職の状態が野放しになっているということを私は裏づけていると思うんであります。これは私は早急に実態をおつかみをいただいて、何らかの対策を立てなければならない問題点もたくさん含んでいると思いますので、早急につかんでいただきたいと思っております。
 それから確かにいま御指摘がありましたように、家業でやっている場合と、それから公共性を持たせて関係をする、あるいは出資をするという状態というものがあるのです。私は端的に一つ申し上げますけれども、これは私はどうかと思うんでありますけれども、バナナ公社というのがわが長崎県にはあるのです。これには知事が社長です。そして県が出資をしています。例のバナナの輸入権の問題と関連をしておるのであります。どこに公共性があるかということになると全く公共性はないんであります。むしろ国内の果実業者をこのために圧迫をするという弊害が出てきておる。こういうものに県の知事あるいは部課長が関連をするということは、全くもって私は公共性のある首長の立場として許せるのかどうかということは、たいへん問題をかかえていると思うのであります。
 それからまた、これは他の県にもあると思うのでありますけれども、漁業公社なるものをつくって、そうして遠洋漁業の許可をとったり、あぐりの許可をとったりして公社の運営をいたしております。それにはやっぱり県の知事が公共性と称して出資を行ない社長になっておる。そしてとっている魚というのは、一般の業者とほとんど変わらない状態で行なわれている。これでも一体公共性があるのかということになると、まことにもって問題のあるやり方であり、業界のためには必ずしも私はいい結果を生んでいない状態がある。こういう状態が私は全国の中にはたくさんあると思うのでありますけれども、そういう面をこまかくひとつつかんでいただきたい。そして監督指導にある自治省としては、きちんとした方針をつくって指導してもらわないと、問題が非常に出てくるんではないかと思うんであります。こういう具体的な問題について、一体どういうお考えをお持ちになるのか、まずお伺いをしておきたいと思うのであります。
#90
○政府委員(長野士郎君) バナナ公社と申しますか、御指摘のございましたたとえば貿易公社といいますか、あるいは漁業公社といいますか、まあお話しのとおりいろいろな府県でそういう公社をつくりまして、そうして貿易なり水産業なりまあ実際問題としては従事しているということになってしまうわけでございましょうが、これらの公社々発足さしました意図は、貿易の促進でありましたり、あるいは遠洋漁業の操業なり、そういう知識なり技術なりの習得でありましたり、まあいろんな当初の目的をもって私は発足をしたのではなかろうかと思うのでございますが、御指摘のようにそれが自後にだんだんと、この内容についていろいろ経営のやり方あるいは事業の実行の面におきまして、いろんな問題との間でだんだんと事業の中身が変化をしてまいります。そして実際は、御指摘のように民間の商社が行なうのとほとんど異ならない。あるいは民間の産業に従事している本のが行ないますこととほとんど異ならない。つまりは公共性という点がほとんどまあ認められないといいますか、そういうような運営に堕してしまっておるというような場合も確かにあるんじゃないかということを私ども非常に心配しておるのでございます。そういうのはよろしいかということになりますと、決してそれが適当なものではないということは、私も御同様に考えるわけでございまして、そういうものをもいわゆる公共的なものとして認めるべきだというふうに私ども考えているわけではございません。確かにそういう民間産業との商行為であったり業務行為であるのと少しも違わないという状態になるものがありますれば、そういうものについては、ぜひとも是正改善をはかる、あるいはそのやりかえをするということをはかるべきであると思います。
#91
○達田龍彦君 それで私は、これは行政管理庁とも相当関係が深いのでありますけれども、いま申し上げたように非常に問題のある公社、公団その他の外郭団体の兼務という問題が出てまいっておりますので、早急に各県ごとにその内容をつかんで、そして、それに基づくいま申し上げたようなきめのこまかい私は行政庁としての指導の方針というものを早急にこの問題については立ててもらいたい。そうしないと、いま申し上げたような実態もつかまない、そういううわさを知っている、こういう状態で、内容的には非常に問題があるわけでありますから、そういう点、実態をつかんだ上で一つの指導方針を明確にしてもらいたいと思いますが、その点、どうですか。
#92
○政府委員(長野士郎君) 私どもも、常時そうしたことの把握につとめまして、そうして公共性のないようなものについての是正改善をはかっていくということは、当然御指摘のとおりでございます。今後そういうことで実態の調査につとめまして、そうしてそれらの公社とか公団等についてのあり方というようなものについての方針をつくってまいりたいと考えます。
#93
○達田龍彦君 それからもう一つは、先ほどお触れになったのですけれども、家業をやっている市長あるいは知事というものが非常に多いのです。これは私は、地方の議会でも相当問題になっているんですけれども、知事や市長になる前まではその家業がなかなかうまくいかないのだけれども、知事や市長になったとたんに、それが非常に繁栄をして、企業運営がうまくいくというケースは非常に多いのですね。これは市長、知事の権限が企業の中に反映をして運営がうまくいくというのがその実態であろうと思うのであります。そのために多くの弊害が出てくる。私の知っている範囲でも相当のものがあるのであります。でありますから、これは知事自身の良心の問題も一つあるでありましょう。それから地方自治体という地方自治を確立するための地方議会、あるいは知事に対する姿勢をただすという県民の気持ちの問題もまたあるでありましょう。しかし、行政上の措置としてとらなければならない問題も私は一つあると思うのであります。したがって家業についている、あるいはその他の営利企業に対するいわゆる代表的な形での参加、こういうものについても、行政庁としては、一定の考え方、一定の方針というものを私は持つべきであって、その人の良心や地方自治体だけにまかしておったのではいけない分野も私はあると思いますので、そういう面について、どうお考えになるのか、まずお伺いをしておきたいわけであります。
#94
○政府委員(長野士郎君) 家業の問題でございますが、家業についておりますということからいたしまして、それがたまたま知事になりましたり、市長になりました場合に、御指摘のとおり業務が繁栄するということがかりにあったといたしまして、それが職務についているゆえでそうなったのか、また業績があがってそうなったのか、これはいろいろケースがあろうかと思います。要は、御指摘のようにそのことが何かしら行政運営の公正を欠いたと思われるような疑惑と申しますか、疑いと申しますか、そういうものが持たれないような姿勢を正した運営処理が行なわれていることが肝心であろうと思うのでありまして、そういう意味で、地方団体、議会とか住民の批判もそうでございましょうし、また、私どものほうからいたしましても、最近地方公共団体でいろいろな意味での事件も起こるわけでございまして、そういう国民の疑惑を起こさないような、非常に自粛といいますか、そういう自覚のある行政運営を堅持していくべきだということは、累次地方団体に対して連絡をしておりますけれども、今後ともそういう意味での地方団体の行政運営の改善の大きな指針の一つといたしまして、そういう疑惑を起こさないように堅持すべきもの、これは当然のことでございますけれども、そういうことも一つ加えて、行政運営の改善合理化につとめるように指示をいたしたいと考えます。
#95
○達田龍彦君 まあそういうただなまぬるいようなやり方では、今日の状態は改善されないと思います。したがって、もう少しきめのこまかい、そして行政庁としてきちんと区分けをした指導をしないと、ただ単に精神訓話みたいな指導、通達を出したんでは実情は変わらないと私は思うのであります。でありますから、十分ひとつ実態をおつかみの上で、こういう問題についても何らかの行政上のきちんとした方針を打ち出して、そういう問題が起こらないように早急に確立をしてもらいたいと考えておるのであります。
 それからさらに、これはたとえば知事の場合に兼業、兼職をした場合の報酬ですね。どういう形であろうと、これはもらうことに法的に別段問題ありませんか。
#96
○政府委員(長野士郎君) 兼業、兼職によって報酬を受けるということ自体、まあ法律的にと申しますか、形式的にはそれが直ちに問題になるとは思えません。ただ、申し上げておりますように、そういう兼職とか兼業、まあ兼職の場合でございますが、兼職はその仕事自体が非常に公共性の高いもので、地方公共団体の行政の立場から見れば、一種の行政の延長のようなものとして考えられるということがありますがために、その責任者なりなんなりとして兼職をすると、就職をするということになるわけでございますから、本来、その公共性に着目して知事、市町村長の行政との関連において就職するんでございますから、報酬ということを前提にしておるものでもないわけです。したがいまして、そういうものが報酬を得るための手段として行なわれておるということは、これは条理上あってはならぬことであろうと考えます。
#97
○達田龍彦君 それから公社、公団、特に県あたりがそういうところに出資、あるいは補助をしておる対象の団体、事業所、そういうものの実態は自治省で報告なり、あるいは実際にお調べになっている資料がありますか。
#98
○政府委員(長野士郎君) 公社、公団と申しますか、そういう地方公共団体の持っております組織につきましての資料は多少、前のものでありますが、取りまとめたものはございます。ただ、それについての報酬を幾らもらっているか、こういうような資料までは、現在のところ、手元にまとまっておりません。
#99
○達田龍彦君 これは制度として、たとえば交付金を出しておるわけですからね、地方の今度は県議会あたりであるいは決定をして、公社、公団等に対して出資金を出すわけですから、それの報告を当然求めることは制度としてあるべきだと思いますが、その点、制度としてないんですか。
#100
○政府委員(長野士郎君) 地方団体が出資しましたり、あるいは補助金を与えておるものについてのまあ予算上その他でそういう援助をしておりすすものの相手方についての報告を徴するという制度はございません。
#101
○達田龍彦君 これは私は早急にそういう実態をひとつお調べをいただきたいと思うのであります。で、これはその出資の性質、額、内容というものが非常にまちまちです。こういうものを調べていかないと、その企業の性格なり運営はわからないのです。もちろん、出資をするんでありますから、報告を受けて行政上目を通していくということも、これは当然のことだと私は思うのであります。でありますから、そういう点についてはひとつ十分検討いただいて、そういうためにも、実態把握のためにも必要でありますから、そういう手を打ってもらいたいと思いますが、どうですか、その点。
#102
○政府委員(長野士郎君) 先ほど来のお話でございますので、兼業、兼転の問題、特殊法人の問題、公社の問題、まあいろいろ実態把握をいたします際に、お話しのような特殊な関係にあるものは、大体整理をいたしまして、そういう性質がわかるような形で実態把握につとめてまいればお話しのようなものも入るかと思います。ぜひそういうふうにいたしたいと思います。
#103
○達田龍彦君 行政局長は時間がないようでありますから、もう少し内容的には突っ込んだ質問をいたしたいのでありますけれども、二、三だけ先に進めて質問をしてみたいと思うのであります。それは、特にこれは県議会や知事に関係があることでありますけれども、地方に、知事に交際費というのが、これまた各県の実情によって多い少ないというのがあるのでありますけれども、あるわけであります。この交際費の問題をめぐって、地方議会でもいろいろ問題がありますし、県民もこれは一体妥当なんだろうか、どうだろうかという気持ちが非常に強い、こういう交際費の性格、あり方、その範囲、こういうものについて何か自治省として基本的なお考えをお持ちなのかどうか、基準があるのかどうか、あるいはそのまま地方の議会の決定にまかせておるという状態であるのか、そこら辺でひとつお尋ねをしておきたいと思うのであります。
#104
○政府委員(長野士郎君) 地方公共団体が予算に交際費を計上しておるのは、御指摘のとおりでございまして、これは地方団体が行政を運営していきます場合に必要な、それぞれの関係機関その他との関係で交際上必要なものを経費として予算に計上をするということでございますが、この交際費について、たとえば歳出規模の何%とか、どの程度の府県であればどのくらいであるかというような基準というようなものは、現在のところございません。もっぱらこれにつきましては、予算を編成する執行機関の側と、その審議をいたしますところの議会の側との判断にゆだねられている、全く地方団体の自主的な判断にゆだねられているというかっこうでございます。
#105
○達田龍彦君 さらに、先ほどの公団、公社との関係でありますけれども、たとえば知事等がよく外遊する場合に、三十団体の役職をかねていると三十からせんべつをもらって、旅行すればもうかるというような仕組みがあることをよく承るのであります。実際そうだということも私も見たり聞いたりいたしておりますけれども、こういうあり方について、何か具体的に指導されたことがありますか。
#106
○政府委員(長野士郎君) このせんべつをどうするかというような特定の、具体の問題として地方団体に指示をしたことはございません。ございませんが、先ほども申しましたように、いわゆる公社、公団なり特殊法人なりと、その役職についておりますところの知事とか副知事とか、そういう特別職の報酬関係というようなものにつきまして、そういうものは公共性という目的で役職についている以上は、報酬というようなものは、報酬その他せんべつも含めてそういう意味でございますけれども、そういうものについてのあり方というものについては、特に厳重にそういう報酬を受け取るべきでないということを基本の考えとすべきだということは指示をいたしております。
#107
○達田龍彦君 さらに、私は、これもおそらく問題があるわけでありますけれども、いまの臨時行政調査会が公団、公社の統廃合の問題を出しておりますね。これに関連をして天下り人事、横すべり人事の問題が出てまいります。これは中央だけではなくて地方にもたくさん、公社、公団その他の関係の機関に対して県の高級幹部が横すべり、天下り人事をやっている実情は非常に多いのであります。こういう実態をひとつ私はつかまなければいけないと思うのでありますけれども、そういう資料の提出ができますか、いま。
#108
○政府委員(長野士郎君) 地方団体のいまの公社、公団等につきましての人事関係の具体的な資料は、現在持ち合わしておりません。
#109
○達田龍彦君 これも中央の行政庁として、そういう弊害がある内容が非常に多いわけでありますから、所管があなたのほうかどうかは別にいたしましても、これは実態をつかんで、そうしてそういう弊害をなくするような行政指導、行政施策というものをしていくべきだと私は考えますが、そういう意思はないのですか。
#110
○政府委員(長野士郎君) お話もございますので、公社、公団等の調査の際に、こういう人事関係につきましても、そういう実態が明らかになるようにいたしまして、そうしてその指摘されるものが問題として内包しているということでありますれば、その是正改善につとめることにはやぶさかではございません。ただ、こういうものは行政機関の一つの延長として考えられておる場合も多いわけでございまして、ある意味で天下りというより公共性の非常に強いものにつきましては、そういう役職の職員との関連、兼務というものはある程度考えざるを得ないという場合もあろうかと思います。それはそれぞれ実態につきまして、ひとついろいろなケースがあると思いますが、分析をしてそれぞれの形についての整理をした上で判断をしてみたいと考えます。
#111
○達田龍彦君 これは地方では中央以上に天下り、あるいは横すべり人事というのは激しいのです。しかも、一年半前、あるいは二年前から、この人はここをやめたらどこへ行くのだということがきまっている状態であり、それから県庁あたりの人事が行き詰まってまいりますと、行き詰まりを打開するためにと言われてもしかたがないように、何か公団だとか公社だとかいうものができるという傾向があるのであります。こういう傾向を私は弊害としてとらえていかなければならぬと思いますけれども、そういう実態を十分ひとつおつかみをいただいて、将来のこういう公社、公団の人事の問題、運営の問題、あるべき基本的な姿勢の問題について御検討していただきたいし、私も皆さんのほうからひとつそういう十分資料をつくってもらって、出してもらって、将来さらに決算委員会あるいは地方行政委員会、その他で私も私なりの考えを出していきたいと思うので、早急にいま申し上げましたような資料、あるいは実態把握をお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
#112
○政府委員(長野士郎君) 公社、公団、特殊法人、出資金、補助金、負担金を得ておる特別な関係にある営利企業、その他いろいろあると思いますが、それらの関係の問題、あるいは役職の状態、あるいはその人事の関係、報酬の内容、その他総合的にそれぞれの形態があろうかと思いますけれども、御指摘もございますので、早急に実態把握につとめまして、適正な資料をつくって御参考にいたしたいと思います。
#113
○達田龍彦君 では行政局長けっこうです。
 最後に、政務次官おいででございますから、この機会に一つだけ私はお尋ねをしてみたいと思います。
 それは、いま新聞で知事の四選禁止の問題が出ております。まだ政府としても態度をきめかねておる段階であろうと思うのでありますけれども、このほど新聞で大きく取り上げられ、各政党でも問題になっておる今日の状態でありますから、一応自治省として、四選禁止に対してどういうお考えをお持ちであるのか、現在の段階に対してひとつお答えをいただきたいと思います。
#114
○政府委員(伊東隆治君) お説のとおり、まだ政府といたしましては、また、与党といたしましても考えは固まっていないようでございます。先日も福田幹事長と話したんですが、積極的でも消極的でもないんだと、何ら意見がまだまとまっていないという話でございましたが、自治省におきましても、全く同様でございまして、ただ個人的、常識として長いこと知事をやっているということは、そういう執行部の首長をやっておるということは弊害を伴う場合が多いので、これは考慮を要する場合も多かろうということは考えておりますけれども、そのために法律を設けてこれを禁止することはどうかなというような話し合いをしておるということでございます。
#115
○竹田現照君 二点ほど簡単にお尋ねをいたします。
 補助金の整理統合は、現在どのように進んでおりますか。昨年の暮れだったと記憶しますが、全国知事会がだいぶ返上を申し出たようですが、各省から相当のてこ入れがあって何かうやむやになったようなことも報ぜられておりますが、この点お答えをいただきたい。
#116
○政府委員(細郷道一君) 昨年令国知事会が補助金、特に零細補助金の廃止、合理化について具体的な要望を出したわけでありますが、それを受けまして、政府においてもかなりその実現に努力をいたしました。その結果四十二年度におきましては、補助金の廃止をいたしましたものが六億二千二百万、それから統合、メニュー化といった合理化をいたしましたものが五十六億、こういうことでございます。
#117
○竹田現照君 これは全体の比率でいきますと、どういうことになりますか。
#118
○政府委員(細郷道一君) 補助金の種類のとり方等ではいろいろ議論があるわけでありますが、一応知事会が要望いたしました廃止要望の補助金は、当時八億でございました。それからメニュー化、統合のものが五、百七億ほどでございました。
#119
○竹田現照君 この後段のほうは、そうすると約一割を事実上統合したと、こういうことですか。そうすると、知事会の要望と、それから現実に五十六億、できなかったものは約四百四十億ほど、これは何が原因なんですか。
#120
○政府委員(細郷道一君) メニュー化、統合のほうは、金額はいま申し上げたような五十六億余りでございますが、件数にいたしますと二百件ぐらいの補助金を取りまとめたわけでございます。そういう意味におきましては、一歩の前進であろうと思っておりますが、なお十分でない点は今後の問題として推進をいたしたいと、かように考えます。
#121
○竹田現照君 その知事会が廃止あるいはその他のことを要望されて、なお中央段階において一割程度しか――相当の前進だと言われておりますが、できないというのは、世上伝えられているように、こういう補助金のいろんなひもつきで地方庁といろいろとコネをつけたりなんか――言い方が悪いですけれども、そういうような圧力が地方団体に各省庁からかかって、そういうことがあの当時盛んに新聞に書かれておりましたけれども、そういうようなことがやはり原因なんですか。そうだとはなかなかお答えできないと思いますけれども、そういうことが正直に言って隘路なんですか。
#122
○政府委員(細郷道一君) 補助金はたくさん種類がございまして、統合、メニュー化ということは、私どもは、なるべくこまかい個々の補助金による弊害を除きたいということで整理ができないものならば、せめて統合、合理化する、こういうようなことを基本的に考えておるわけであります。しかし統合、メニュー化ということになってまいりますと、やはり同種類のものでありますとか、あるいは現行の行政機関の局課別の所管の区分といったようなことも、全く無視するわけにもいかないといったような問題もございまして、なかなか実は進捗をいたさないのであります。私どもは、実は自治省あるいは地方団体も同様かと思いますが、基本的にはむしろ補助金というものをできるだけ整理をしていきたいという基本の線に立っておるわけでありますが、なかなか具体的な議論になってまいりますと、各省庁それぞれ補助金を持っておりまして、そこでそれぞれの仕事に対する価値判断を加えるというようなこともございまして、なかなか従来進まなかったわけでございますが、昨年は、地方団体側から積極的にこういう案が出ましたことが契機となって、従来に見ない程度の進捗を見たということだけは認めていただけるものと考えております。
#123
○竹田現照君 これは前にある地方自治団体の問題に関連をして、おたくでしたかどうでしたか、ちょっと忘れましたが、補助金をめぐって地方団体ではかなりの何とか期成会だとか、いろいろな名前のものがある、市役所によっては三百も五百もある。そういうようなことがとかく中央と地方との間に好ましくない風評を生んで、また、事実問題として出てきて地方議会の問題になってしまう、そういうようなことを私は指摘をいたしまして、そういうようなことの起こらないように自治省が行政指導を行なうというようなことを御答弁をいただいたことがあるわけですが、前進だといういまのお答えですが、そうすると、端的にお聞きしますが、補助金としていま最も金額の少ない補助金というのは、どれくらいの金になっているのですか。
#124
○政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げた零細補助金で今回廃止したもののうちに、従来四十一年度においてどれくらいのものがあるか見てみますと、非常に低のでは四十五万円、八十三万円、六十六万円といったような百万円以下のものがございます。大きいほうで七千八百万といったようなところでございますので、むしろ額の面からだけ申しますれば、当然整理をすべきものと考えられるようなものばかりでございます。なお残っておりますものにつきまして、いま手元に詳細な資料は持っておりませんけれども、先般の知事会の原案をつくります際に、一団体について五十万円以下のような交付額のものはまずもって整理をしようという基本方針で、昨年実は知事会の要望が出たわけでございます。その線はおおむね達成されております。四十二年度以降は、そういう種類のものはまず姿を消すのではなかろうか、こういうふうに見込んでおります
#125
○竹田現照君 これからも整理統合、こういうようなことを進めていかれますか、自治省としては。あるいは廃止……。
#126
○政府委員(細郷道一君) これは、私の省といたしましては、かねてからそういう考え方で推進をいたしておりますが、何ぶんにも補助金は関係各省にそれぞれまたがっておる関係もございますので、われわれとしてはそういう方向で進みたい、なお今後も努力を続けるようにしたい、かように考えております。
#127
○竹田現照君 これはもう各省庁に関係のあることですから、自治省のお考えだけをお尋ねします。最後に、これはくどくど言う必要がありませんけれども、地方団体の超過負担の問題、これは四十一年度でかなり解消されたということになっておりますが、しかし、全体的な金額からいうと、まだまだ問題があろうかと思うのですけれども、これについて、これからどういうふうに自治省としては考えられていくのか、ひとつお考えをお聞きいたしたいと思うのです。
 この点については、あわせて会計検査院側として、この超過負担をそのままにしておいて、はたして適正な検査ができるのかどうか、この点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
#128
○政府委員(細郷道一君) 超過負担の解消も、なかなかむずかしい問題であるわけですが、四十二年度におきましては、二百六十六億の解消措置を講じました。しかし、なお相当額残るであろうと思います。私どもは、四十一年度において三百三十一億、今回二百六十六億という、それぞれの解消措置をとったわけでございますが、その編成その他の経緯にかんがみまして、今後に残されたものにつきましては、私のほうと大蔵省、それから事業を行ないます関係の省と一緒に協議をいたしまして、著しい超過負担の生ずるもの等につきましては、個々具体的に調査を進め、協議を遂げて妥当な、たとえば単価についていえば、適正な単価というようなものをまず話をまとめて、その上で予算編成に臨んでもらうようにいたしたい、こういうふうに考えまして、そういう関係省の間の約束もいたしまして、近くその仕事を始めたい、かように考えております。
#129
○説明員(斉藤実君) 超過負担の問題は、いま自治省からお話がございましたように、たいへんむずかしい問題でございまして、検査院といたしましても、そうした事態があれば、当然解消されるべき問題だと考えております。ところが、超過負担と申しましても、たいへん問題がむずかしくて、たとえば統計事務の委託なら委託ということについて、委託費を出しておる。その場合に、国の統計事務の仕事を何時間やる、その同じ人がまた地方団体の統計事務をやるというような場合に、その分計をどういうふうなぐあいにするかというようなことについて、非常に、会計検査院としてつきまとってストップ・ウォッチで調べるということもできませんし、なかなかむずかしい問題を含んでおります。ですから、どれくらい超過負担になっているかということを、検査院としては的確につかまないと、これだけ超過負担になっているから、これは地方財政法の趣旨からいってもいけないのじゃないかということはなかなか言いにくいので、ただいま、そういった点を検討いたしておるような状況でございます。
#130
○竹田現照君 いまの検査院のお答えですが、これは地方庁にいる国家公務員ですか、たとえば労働関係のようなもの、あるいはそういうようなのはわかりますが、そのほかに超過負担になっているというのは、人間の仕事の分類でなくても、明らかなのがたくさんあるのじゃないですか。住宅の問題、あるいは学校の問題、あるいは単価の算定の問題もある。そういうことは、そういう分計をしなくても歴然として超過負担である、これが積もり積もって千何百億もあるということは、これはもう明らかな事実なんですから、そういうことについては、検査院としてはどうなんですか。
#131
○説明員(斉藤実君) 単価の問題につきましても、国でもって、たとえば平米当たり五万円なら五万円というぐあいに算定して、補助金なら補助金を与えて、そうして地方庁では五万円ではとてもできないから、六万円とか七万円とか出すということになりますと、そこに一、二万の超過負担という事態が起こりますけれども、はたして国で算出した単価がよろしいのか、ちょっと、ぜいたくして地方団体が単価を上げているのかというようなことが、なかなか客観的にどちらがいいのかということが、検査院としても判断がしにくいという場合が非常に多いものですから、それが非常に明らかなものについては、これは当然解消されるようにすべきだと思いますけれども、その個々具体的な問題について、どちらがよろしいかということになると、なかなか判断がしがたいというような状態でございます。
#132
○竹田現照君 いまの第一局長のお答えは、お答えになっていないですね。現実に、あることはわかっているわけです。だから超過負担の解消ということは、いま自治省も答弁がありましたが、去年、ことしと約六百億からの問題の解消の方向に進んでいるわけです。ですから、もう少し検査院もこのことについて明確な態度をとる必要があるのじゃないか。それでなくて、先ほど検査院側の見解が、自治省については何もございませんなんていうことを、ぬけぬけとここで報告しておったのでは話にならぬ。
 それと、私ふしぎに思うのは、自治省の方は、ずいぶん府県庁の部長や財政課長とかなんとか、たくさん出ていますよ。ところが、そういう人たちが、われわれが国政調査で出かけていきます。それで地方庁でいろいろな説明を聞きます。言われることは、必ずこの超過負担のことなんです。これは全部といっていいくらい、副知事とか、そういう選挙で選ばれない方々で、府県庁の相当なポストに自治省の役人が行っています。そういう方々がまた戻ってこられて、そうして地方庁というものを身をもって知っていて、なおかつ具体的にこの問題が解決をされておらないというところが私はふしぎなんです。地方の禄をはんでいるときはしかたない、それだけは言う。われわれが行くときは、われわれ決算委員会に対するいろいろな説明のときには、全く同感のような、われわれがいま質問するようなことを言われるわけです、ぜひ何とかしてくれと。ところが、一たん自治省にお帰りになって、国会で御答弁になるときはまるっきり違う。これは立場が違うかもしらんけれども、問題を解決しようとする姿勢というのは、むしろわれわれより身をもって体験をされてきた自治省の皆さんのほうが、より積極的に進めていかなければならぬと思うのですけれども、これがないというのは非常にふしぎに思うのですよ。どうなんですか。財政局長、どこかの府県庁におられたのじゃないですか。
#133
○政府委員(細郷道一君) 地方団体は、やはり地域内住民の福祉を向上するためにいろいろな事業や施設をやって、その要望にこたえたいという面を、住民との間には持っているわけであります。この超過負担の問題は、国と地方の間の財政秩序をどうするかという問題であろうと思うのであります。したがいまして、私どもも確かに地方団体に勤務をしたことがございますけれども、国と地方の間の財政秩序は、国と地方の間の話し合いによってだんだんと片をつけていくべきものだ、私どももそういう意味において、自治省においてそれにつとめているわけであります。反面、地方団体というものは、まだ先ほど言いましたような税金との関係もございますものですから、その間、一見一つのことについて矛盾をしているように見える点もないではございませんけれども、これはやはり国と地方との間の財政秩序確立の問題として、私どもは解決をはかっていくことが、ひいては住民福祉の問題につながっていく、こういう態度をとっているわけでございます。
#134
○竹田現照君 これは私は、この参議院から正式に派遣をされて、それで地方庁の公共団体からいろいろと財政事情について御説明をいただき、それからそれを解決するためのいろいろな要望事項としてわれわれに話されることは、もうどこへ行っても同じことなんです。それがあれですね、いま先ほど言ったように、自治省から行かれている方が、そこの総務部長だ、財政課長だ、あるいは副知事だという方が言われているわけだから、どうも話がつじつまが合わないと。お帰りになったのだから、もう少しそういうことについて、国会から行った者に泣き言を言わないで、いまお話しのように、地方公共団体と国との間のパイプをうまく詰まらないように解決をしていく具体的な方針というものをやっぱり早急に立てる必要があるのじゃないかと思いますが、これ以上きょう言ってても話になりませんけれども、もう少し具体的な改善対策というものを立てていただいて、またいずれかの機会にその方針についてお聞きをし、また、その進行状況についてお尋ねをいたしたいと思いますから、皆さんも片時も忘れておられるとは思いませんけれども、より具体的に進めていただくように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
#135
○委員長(鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、本日の自治省の審査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#136
○委員長(鶴園哲夫君) 次に、会計検査院の決算について説明を聴取いたします。山崎会計検査院長職務代行。
#137
○検査官(山崎高君) 昭和三十九年度会計検査院所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。
 会計検査院主管の歳入につきましては、予算額百二十六万五千円に対しまして、収納済み額は二百十三万一千八百五十四円であり、差し引き八十六万六千八百五十四円の増加となっております。
 収納済み額の増加のおもなものは、不用物品の売り払い代七十五万七千七百五十円であります。
 次に、会計検査院所管の歳出につきましては、当初予算額十億八千七百十六万二千円に、前年度からの繰り越し額四千二百三十四万七千円、給与改善に伴う予算補正追加額四千九百六万三千円を加え、節約による既定経費の減少四百八十七万三千円を差し引き、予算現額十一億七千三百六十九万九千円に対しまして、支出済み額は、十一億四千二百八十四万四千七百七十六円であり、その差額は三千八十五万四千二百二十四円となっております。
 この差額のうち、翌年度に繰り越した額は二千九百九十一万七千円であり、不用額は九十三万七千二百二十四円であります。
 支出済み額のうちおもなものは、人件費九億二千七百七十八万円、検査旅費八千二十二万四千円、物件費五千六十五万四千円、庁舎施設費七千六百九十三万三千円となっております。
 不用額となったおもな経費は、人件費であります。
 以上、はなはだ簡単でございますが、会計検査院所管の昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#138
○委員長(鶴園哲夫君) 会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。斎藤第一局長。
#139
○説明員(斉藤実君) 昭和三十九年度の会計検査院の決算について検査をいたしました結果は、特に違法または不当として指摘した事項はございません。
#140
○委員長(鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。
 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#141
○竹田現照君 正式の検査院長がまだ選ばれておられないので、山崎さんにお尋ねをすることが妥当かどうかちょっとわかりませんけれども、新聞によりますと、次期の院長におなりになることがほぼ確定的のようですから、お尋ねしても差しつかえなかろうと思います。
 実は、昨年から決算が国会の本会議で質問をされるというようなことになりました。それと、昨年以来の決算審議の経過の中から、決算のあり方についてどうすべきかということについて、再び国会の中でも、特に私どもの党の中でも論議がいま行なわれております。私も、この間本会議で総理にお尋ねしましたけれども、何かわけのわからぬことで逃げておりましたのですが、前の検査院長――前というのはいまおやめになった方ではなくて、小峰さんなら前の前ですね――の見解が前に出ているのですが、「会計検査院法と外国の財政監督制度」という本。そういうときに検査院の検査院長としての見解ではありませんが、少なくとも検査院長をやられた方の、まあやられる前のあれでしょうけれども、見解を述べておられますが、国会における議決制、これには小峰さんはたいへん消極的な御意見です。しかしこれについてあれですか、会計検査院として最近決算のあり方についてどうすべきかというようなことについて、検討を加えられたことがございましょうか。
#142
○検査官(山崎高君) ただいまの御質問は、決算の国会における扱いが主たる要点であろうかと存ずるのであります。もう相当前から、新憲法施行になりましてから、決算を議案扱いにしたらどうかというような御検討が、私、当時衆議院に在職しておりましたが、衆議院の決算委員会などでは、参考人等を呼びまして相当審議をいたしたこともございます。それから私が、まだその数年前におきましてもやはり衆議院の決算委員会におきまして――はなはだ失礼でございますが、参議院の決算委員会も御同様と思うのでございますが、確かな記憶ではございませんので、衆議院の例ばかり申し上げますが――そのときにおいてもやはり同じような議論がありまして、もちろん議案にするには、ある程度関係法律の改正をしなければならぬという点もございます。これは要するに、いろいろと何十年も歴史的経過もございますので、十分ひとついま私たち、まあ個人的見解は別として、検査院という立場におりますと、国会において十分御審議願って御決定願うのが一番妥当な筋ではなかろうかと考えておりまして、検査院内部におきまして、その議論について特にあらためてただいま議論をいたしているところはございません。その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
#143
○竹田現照君 いずれまあこれは国会で取り扱わなければならぬ問題ですけれども、また検査院長として参考人としておいでをいただき、御意見を聞くこともあろうかと思いますけれども、ひとつ御検討をわずらわしておきたいと思うのです。
 次に、かねがね私思っているのですけれども、会計検査院のあり方といいますか、検査官はある程度身分保障がありますが、調査官の身分保障、こういうようなものをもう少し具体的にしておかなければ、これは独立機関として思い切った形のこの国の検査の仕事ができないのじゃないか、そういうような気がするわけです。人間は要求をされても、これは認められない。皆さんが要求をする検査旅費等についても十分ではない。勘ぐって考えますと、自分のほうのあらさがしじゃないですけれども、検査をされるのに十分の人間と十分の金を与えておったのではかなわぬから大蔵省は認めないのだ、認めないのは当然じゃないかという考えも出てきますけれども、とりわけ国の決算について国民の注目が大きくなってきているだけに、そういうようなことを考えるわけです。それでやはり、検査官は別でありますが、検査院からずっとこられて局長級になりますと、おやめになるときにあっちの公団の監事、こっちの公団の監事だというふうなことで転出をされる、そういうようなことが事実問題としてある。これではやっぱり私は、検査官が思い切って各省庁に対して意見なり何なりというものが指摘ができないのじゃないか。そういうことはなくて、私どもは大胆にそういうことはやりますと、そうお答えになろうかと思いますが、しかし、やっぱりそこは人間関係ですから、あまりやかましく言う検査官はやめるときにおれのほうでは引き取らぬと各省で牽制をされる。どうしても退官後の行き先ということを考えると手心を加えておいたほうが身を保つためにはよかろう、そういうようなことが起きかねない、そう思うのですけれども、そういう点も含めて、調査官の身分保障あるいは給与の、たとえば裁判官に対するいろいろな扱い等々に関連をするようなことをなさったほうが、あるいはしたほうがより会計検査院の独立性を保っていく上に、あるいは会計調査官の身分を保障をし、国民の期待をする検査をしていただける、こういうために必要ではなかろうか、そう思うのですけれども、こういうことについてどうお考えになりますか。
#144
○検査官(山崎高君) ただいまの御質問でございますが、検査官、調査官の身分制度についての御理解ある御質問と拝聴いたしたのでございますが、実際の運営におきましては、職員の身分の扱い等については、十分実際事実は配意してやっておりますし、待遇改善等にも努力してまいっておるのでございます。先生の御質問は、さらに制度的なものについて何か考えたかどうか。たとえて申しますと、独立機関である国会の職員は特別職になっておりますから、そういう点もきっとお含みの上の御指示かと思うのでございますけれども、何ぶんにも、いままでの歴史がございますので、その点はひとつ検討させていただきたいと思います。後日のひとつ検討を待ちたい、かように考えております。
 それから公庫、公団等への本院の職員の転出につきましては、御趣旨ごもっともでございますけれども、現在の現状におきまして、事実問題としては、なかなか直ちにこれをやめるということは困難な事情にございますので、その点はひとつ御賢察を賜わるようにお願いをしたいと思うのでございますが、しかしながら、御指摘がございましたように、特にそのために検査に影響を与えるようなことは全くないように一同心しておりますので、ひとつその点なおわれわれとしても今後十分に注意をいたしますけれども、ひとつ御信用くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
#145
○竹田現照君 後段の答えですね、これはやっぱりここで私どもが理解をするというよりは、一般の国民がやはり検査院のしかるべき高級の立場にある方が退職即住宅公団あるいは道路公団の監事だ、あるいは理事だというようなかっこうで横すべりですね、そういうようなことをされるということにはやはりちょっとすっきりしないものをすなおに私は受け取ると思うのです。しかし現実に、おやめになる方がやめた、すぐ何か困る、こういう実情もあるということも私わかりますが、それだけに、いま各省庁から公社、公団に横すべりしていく者について、かなり新聞等でもたたかれて、今度は内閣官房がこれの人選に当たる、こういうことになった。どこまで実効があがるかどうかわかりませんけれども、しかしそういう時期でもあるだけに、いわゆる厳正中立に国家の予算執行というものを検査をされる検査院のいわゆる高級職にある方方が、そういうようなことに横すべりをしなくてもいいようなある程度の身分保障なり何なりというものをしておく必要があるのではないかと私はそう思いまして、そのことがすっきりするように、国民に対して――げすの勘ぐりじゃないですよ、どうしてもそういうことに、まああまり各省庁にやかましい検査官は評判がよくないそうですけれども、評判がよくないような検査官でなくてはだめなんです、決算委員会と同じで。だからそういう意味からもいまお尋ねをしたわけなんです。ひとつその点はどんなものでしょうか。
#146
○検査官(山崎高君) やはり先ほどの御質問の中にお話がございましたように、現状においてやめた方がおられてもすぐ遊んでおるとかなんとかというわけにはいかぬという実情でございまして、いろいろと反作用といいますか、気をつけなければいかぬ点もございますけれども、現状においては気をつけるべき点は極力注意いたしまして、そしてまあひとつ職員のためにも、やはり困らぬようなことも考えなければいかぬ。現実の問題としてさような点がございますので、御注意の点も十分に今後とも気をつけまして事を処したい、かように考えておりますので、ひとつ御了承願いたいと思うのであります。
#147
○竹田現照君 さらに、具体的な点について二、三お伺いいたします。
 年々膨張する国家予算の検査ですね、これに追いつくだけの検査官の人員あるいは検査院が必要とする予算、こういうものは十分ではないとは思いますけれども、これはあれですか、現状検査院としての考え方でどうなんですか、その点は。予算はだんだん膨張している。検査官の旅費はほんのわずかしか出ない、人間はまるっきりだめだ、こういうようなことに対処して、検査院は、その検査の対象かふえていくことに比例をしてどういう態度で臨んでおられますか。
#148
○検査官(山崎高君) お話しのように、国家予算はどんどん膨張しておりまして、検査院の陣容は、まあ新憲法施行、新検査法発足のときに比べましては、その割合にはふえておらないというのはおっしゃるとおりでございます。結局は、できるだけ検査陣容の充実ということに年々努力してまいっておったのでありますが、いろいろと国家の予算作成に協力すると申しますか、そういう意味もございまして、現在落ちつくようなところに落ちついておるわけでございます。検査院の実際の調査官の職務等の場合考えましても、人をふやしたからといって逆に検査能力があがるというわけではないのでございまして、やはり毎年毎年適当な数がふえていって、そしてそれを教育していくというところが実際的にいいのじゃないかというふうに考えるのでございますが、できるだけひとつこの検査陣容の充実につきましては、毎年毎年でございますけれども、できるだけひとつ努力してまいりたいと、かようなふうに考えております。
#149
○竹田現照君 四十二年度予算要求では、参事官を含めて六十一名かの定員要求をなさいましたね、これは間違いないですか。
#150
○検査官(山崎高君) 五十名。
#151
○竹田現照君 五十名ですか、それで認められたのはどれだけなんですか。
#152
○説明員(保川遜君) 増員要求は、建設関係で二十名、それから防衛関係で十七名、それから国鉄の検査関係、公社関係で十三名、合計五十名の増員要求でございます。この増員要求に対しまして、三十九年から、実は欠員の補充をしない、不補充のものが十六名ございますか、これ以外に五十名ということで要求いたしたわけでございますが、その十六名のうちの十名、これはもう補充するということで実質的には十名の増員、それから防衛関係で課長一人、これは振りかえでございますが、認めていただきまして、ただいまその十名を基本にいたしまして、防衛の課を一課増設をいたした次第でございます。
#153
○竹田現照君 そうすると、建設、防衛、公社関係で五十名、欠員が十六名、欠員が、言ってみれば、いまの御説明では十名が解除になった、こういうことですな。そうすると、要求をされたのが欠員の解除を含めますと六十六名、そのうち十名引くから五十六名だめになった、こういうことになるわけですが、そうすると、やはり検査院としては欠員補充、欠員の解除を含めて六十六名からの人員を要求されるには、それなりの検査事務に対する方針あるいはいままで足らなかったところをこれだけ補充することによって改善をしていく、あるいは検査のできなかったことをさらに追加をしていく、こういう一つの方針がおありだったと思うのです。特に建設だ、防衛だという専門知識を必要とするような部門について、ほとんど認められなかった、こういう事態に対処して、どういうふうにこれからの検査方針を立てられていくのですか。
#154
○説明員(保川遜君) これは先生御承知のとおり、われわれの検査の浸透というのは、昔からお話になっております。ただいま現在の検査の浸透度と申しますか、これは主要な個所――比較的大きな会社とか、あるいは小さくても問題のある個所とか、そういった主要な個所は、これは現在の大体の浸透度は三二%程度やっております。それからその他の、たとえば鉄道で申しますと各駅、これは何千個所ございます。それから郵便局というようなことになりますと、これも非常に多い数でございますが、これらはわれわれ通常院内では、乙個所というようなことで呼んでおりますけれども、決してそれを検査できないのだということではございませんが、まんべんなくそこを三割浸透させるということは非常にむずかしい。これは現在のところ三%ないし四%程度の検査率になっております。ただいまの増員要求のわれわれの考え方としましては、検査には、いまの浸透とは、離れまして、検査の密度と申しますか、同じ書類を見るのにも、これをたんねんに見るのと、一回見ても三回読んでも、これはその書類を見たことは同じでございます。同じでございますけれども、それを非常に何回も読むとか、あるいは参考書を勉強するとか、あるいは場合によっては辞書を引かなければいかぬ、そういった検査の密度といいますか、こういうものは実はこれは浸透率の中にはどうしても入ってこないわけであります。いままでも、われわれ院内ではその密度をどういうぐあいにあらわしていくかということをかねがね検討はいたしておりますけれども、なかなかむずかしい。われわれのねらいとしては、ただ単に個所を何カ所見て施行率がこれであるといったことよりも、むしろその密度を十分にやりたい。これは非常に表現がむずかしいのでございますけれども、そういうことも含めまして、施行率もいまの三割よりもこれを五制程度にふやしていきたい、こういうような考え方で主要な検査対象について増員要求をいたしておるわけでございます。したがいまして、これが認められなければ、やはりわれわれの目途とした検査密度といいますか、できるだけたくさんのものを何回も読む、そういった密度と施行率ということは、これは勢い目標どおりにはまいりませんけれども、少なくとも、いまやっておる検査の密度と施行率はこれは確保していこう、こういうことにならざるを得ないわけであります。検査の密度は、研修なりそれから各人の勉強なり、そういったもので補ってやっていけるのではないか、こう考えております。
#155
○竹田現照君 そうすると、いままでやってこられたことを踏襲せざるを得ないと、こういうふうになるわけですね。それでは最初にお伺いしたように、国家予算の膨脹に伴う検査院の機構というものがそれに対応するようなかっこうになっていないと理解してよろしいですか。
#156
○説明員(保川遜君) 検査の対象になる決算が数量的に多くなるということは、必ずしもそのものずばりで検査の密度が少なくなるということにはならないのじゃないかと考えております。
#157
○竹田現照君 常識的に、たとえば防衛庁というようなものはかなり専門的な知識を必要とするようになってきておると思うのですね。それから各省庁にしても、みな機械化に伴ってたいへん事務的なことだけではちょっとおわかりにならない面がたくさん出てきておると思います。これは院内部の問題として、そういう専門職の研修なり、あるいはまた補充なりで補われるにしても、たとえばいまお話がありました防衛何課ですか、いま認められた人員の中でつくられる、こういうものは専門知識を必要とすると思うのです。それから先ほどお話しのありました建設関係、防衛、公社関係、この五十名の増員要求も、内容は本来採用しなければならぬもの、増員しなければならぬというものは、そういう専門知識を持った人ではないわけでしょう。これがまるきりだめだということになれば、そうすると、いまの人員にそういう研修なり何なりをさせて、そういう専門知識を勉強させる、そちらのほうに振り向ける、そのことによってほかのほうが穴になってくる。検査がだんだんむずかしくなってきているわけなんです。まあ予算が膨張するという一面、内容がたいへんむずかしくなってきているというこのことを考えますと、検査官の能力をフルに活用したとしても、おのずから限界があるんじゃないか。まあ優秀な方ばかり検査院にお集まりですから、いろいろとすぐ知識を注入されるんでしょうけれども、それにしても、いまあまりにもテンポが早過ぎるんじゃないか、検査をすべき対象が。ですから、そうするといまお答えになったようなわけにはまいっていないんじゃないか。どうしても手抜きのほうが多くなる、あるいは一ヵ所に重点をかけ過ぎるから、片方が思うように、検査院自体がお考えになっているようなことの検査は事実上不可能になるんじゃないか、そういうふうに私は思うんですけれども、どんなものでしょう。
#158
○説明員(保川遜君) ただいま技術職員のお話が出ましたが、まことに先生のおっしゃること、われわれも実は痛感しておるわけでございます。ただいま私どものところに全部で八十名の技術系の職員がおります。また、今年度も新規に技術系職員を若干名採用いたしております。それでやはりいまおっしゃいましたように、建設関係とか、それから国鉄関係、防衛関係、やはりここらに従来からもそういう技術系職員を重点的には配置しておるわけでございます。必ずしも院内くまなく技術系職員を置かなければいかぬというほどには考えておりませんが、しかし、重点的に配備いたしておるということで、そういう国鉄にしろ、防衛にしろ、建設にしろ、まあ技術系職員に関する限りは、相当力を入れておるというのが、私どもの実際の現状でございます。
#159
○竹田現照君 まあ検査院としては、必然的にそうならざるを得ないんです、いまのようなお答えに。だけれども、結果的にあれなんですね、人間の数はふえていないわけですから、内部における検査官の能力、その他というものは、新しい研修制度その他によってふやされたとしたって、人間の能力には限界がある。限界があるし、検査の対象物件というものが複雑多岐にわたってきている。そうするとどうしてもこの決定的な数がふえない、金がふえないということになれば、予算の膨張に伴う検査がそれに追いついていかないということになる。そのことはむしろ端的にお認めをいただいたほうが私はいいんじゃないか。これは私は総括で、検査――こういうふうなものも含めて総理にただしてみたいと思うんですけれども、検査院がこれで十分だなんていうことになっていたのでは、これは言うだけむだだから、これはまあわれわれが考えていることが杞憂でございますというならそれでいいんです。
#160
○検査官(山崎高君) ただいまの点でございますが、まあ調査官五十名要求いたしましたけれども、それは五十名と申しますのは、一年度としては理想的にひとつ五十名あったら非常にいいんだという、具体的な各課の、各局長の要求等を勘案してまとめた数字でございます。ところがまた予算の――もちろんこの予算を出すのは八月ごろ出すのでありますが、漸次予算編成の方針がきまりますと、人間の増員というのは絶対にいかぬとか、極力避けるとかいう予算の編成方針とかいうのが大体きまってまいりますと、何と申しますか、そのほかにまだ、たとえて申しますと、検査院としては旅費をもう少し、現在の調査官が十分実地検査できるだけの旅費を少し増してもらわなければいかぬというような点もございますので、そう人間にばかりこだわっておったらいかぬしするから、まあ現在の予算、国の財政力に協力するという意味で、まあ妥協するといいますか、そこら辺はひとつ十名の欠員の補充を認めてもらってがまんしようと、決してこの予算で十分だという意味ではございません。そうかといって、二重予算といいますか、やっても、これはとてもそれは実行できるものじゃございませんから、極力事情を話して、極力やって、その結果がまあ十名になってくると、十名だけにしたけれども、さらに重点としては、たとえて言うと、旅費の充実をさらにはかりたい。旅費の充実をはかれば、それだけ現在の人員をフルに活用できると、まあ与えられた現状で最善を尽くすということに落ちつかざるを得ぬと、こういうような結果、まあ予算の査定、まあ要求どおり査定されるということもなかなかございません。いままでの予算編成の日本の慣行から申しましても、そういう事情でございますので、できれば五十名と思ったけれども、まあ本年はここら辺でもって、与えられた条件で最善の努力を尽くそうと、そういう意味でございまして、決して増さなくてもいいんだとか、あるいはそれで十分だということで申し上げておるわけではございませんので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
#161
○竹田現照君 これはまあ両院の決算委員会ありますけれども、これはまあ審議日数が三十日や四十日で、あれだけ膨大なスタッフを持った官庁の決算をわれわれがもう審査するなんということは事実不可能です。検査院の皆さんがそれだけの機動力を持ちながら、なおかつ、この決算委員会で取り上げられるような問題か皆さんの網にかかっていないわけです。しかし、年々歳々手が込んで悪いことをしておる者があるなんということ、そうすればやっぱり国民はこの国の予算、これがいかに正しく使われるか、使われているかということを判定をしてもらうこの機関というものは、もちろんわれわれにも大きな期待があるでしょうけれども、決算自体が、冒頭お聞きしたように、これは国会の議決事項でなく単なる報告事項として扱われるとすれば、国権の最高機関である国会が、行政府であるところの予算の執行について、具体的に規制をすべきものを出すことができないのですね、いま。とすれば、会計検査院に非常に大きな期待というものが国民からかけられてくるのは当然だろうと思うのです。しかし、いまのようなかっこうでいきますと、検査院に対してむしろ国民の不信というものが向けられてこないとも私は限らぬと思うのです。とすると、やっぱり独立機関なんだから、国家予算にもちろん協力をすることは、国民全般としてはそれは当然でしょうけれども、私は、いまの検査院にその旅費を五百万や一千万ふやしてみたところで、あるいは一億ふやしてみたところで、国民の予算の執行に対する厳正なる批判といいますか、そういうものを求める声にこたえるにしては、決して高い金じゃないと思うのですね。この点は会計検査院がもう少し声を大にして、独立機関としての要求を大胆にしなきゃ私はならぬと思う。検査院なんかのバックアップをして、何も国会議員が検査院のお先棒をかついで人間をふやせとか、あるいは予算をつけてやろうなんという、そんなことをやってくれる人はおそらくいないでしょう。そうすると、やっぱり検査院の機構というものをもう少し国民にわからせるようなこと、その上に立って行政府であるところから、人員なり予算なりというものを、各省庁の要求に大なたをふるうというのと性格が全然違う。違うがゆえに検査院はもう少し大胆に要求をして、これを大胆に執行面の上に生かして、そうして国民の期待にこたえていただく必要があると思うのです。そう考えますと、これは私の聞いている限り、昭和二十三年の新しい検査院の機構になってからあまり人間ふえてないというのですが、実際はどうなんですか。検査院が独立機関として発足をして、いまの現在の状態は。
#162
○説明員(保川遜君) 人員の実際の状況を申しますと、検査院発足当時二十二年の四月現在で三百九十三名でございました。それから二十三年、翌年にこれが一挙にふえまして千百七十四名、二十三年以降各年逐次増加いたしまして、二十三年度千百七十四名が、現在ただいまの人員は千二百十二名の定員になっております。
#163
○竹田現照君 そうすると、二十三年に比べて三十八人しかふえてないわけですね。そうですね、千百七十四が千二百十二名でしょう。この間の、二十年の間に予算規模を見ただけでもたいへんなものですよ。公団、公庫なんというもの、いま百八つですか、またさらにふえて百幾つですね。それに、二十三年のときは防衛庁なんていうのはない。むかしの陸海軍を上回るような戦力を持っているといわれている防衛庁なんていうものはない。国鉄、電電公社を含めて三公社等にしても、これは二十四年ですからね、国鉄ができましたのは。電電公社は二十五年ですね。その後の国鉄や電電公社の異常な膨張ぶり等から見ましても、とてもじゃないけれども、常識で考えても検査が十全にできるんだなんていうことは私は言えないと思うんですよ。とすれば、こういう問題はあまり新聞にも出ないものだからあれなんですが、もう少し検査院は、先ほど私がお話をしたような国民の声にこたえるという意味において、大胆にこの問題は要求すべきではないかと、そう思うんですけれども、いかがですか。
#164
○検査官(山崎高君) ただいまのお話の数字をあげての御説明でもございますし、私も検査院に参りましたときに、発足当時千二百名の予算を取ったということを先輩から聞きまして、当時二、三百名の検査院が千二百名の予算をよく大蔵省は認めたものだと言って感心したわけでございますが、その後、おっしゃるようにたいしてふえてないのでございます。今後もおっしゃる点はあれいたしまして、いろいろと至らぬ点もありますかと存じますが、ひとつ検査能力の充実ということにつきましては、さらに十分に努力したいと考えますので、御指摘の点がございますれば、ひとつどんどん御指導御鞭撻を願いたいと、かように考えます。
#165
○竹田現照君 これでもう質問を終わりますけれども、たとえば防衛庁も三次防なんということで、また次期戦闘機をやれなんということになると、またぞろ物議をかもすような問題が次から次へ想定をされます。されるということになれば、それには必ず金がつきます。金がつくということになれば、それについて非常な疑惑を国民が持つ、たとえば防衛産業等について。そうすると、ますます私は検査院の、今度防衛の一課がふえたようでありますが、検査院の機能というものをフルに発動していただいて、そういう疑惑というものを、国会の決算委員会の場で取り上げられなければ解決をしないなんというようなことのないように、やはり検査院は活動してもらわなくてはいかぬ。それと最近私は非常に残念だと思うのは、最近の各省庁というのは、どんなこまかいことでも国会の決算委員会で取り上げられないと具体的な問題として解決をしない。これは私は非常に残念なことだと思うんですよ。私が取り上げました宿舎の問題にしても、電話の問題にしても、電話はまあ検査院も一緒になってやっていたからなおあれですが、そういう点、ほんのささいなことまで国会のほうで取り上げなければ解決できないなんということは、私はやっぱり間違いであると思う。検査が膨大になればなるほど、検査院の指摘の段階において、国会より検査報告がないものに手入れをされないでも解決できるというかっこうにならないと、これだけ複雑化した国家予算の検査なんていうものは、事実上ますます困難になってくる。という意味で、ひとつ十分御検討いただきたいと思いますが、近く新しい検査官も任命されまして、新院長として、これからの検査方針等についてもお立てになると思うのですが、いま私が質問をいたしましたようなことを、やはり具体的に、検査院だけの問題としてでなく、国民にこたえる検査院として、もう少しこういう予算なり、こういう人間ではできないんだということを、端的に表明をしていただくようなことを含めて御検討をわずらわしたい。このことを特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#166
○委員長(鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、本日の会計検査院の審査はこの程度にとどめます。
 なお、次回は締めくくり総括質疑を行なうことにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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