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1967/05/23 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第6号
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1967/05/23 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第6号

#1
第055回国会 外務委員会 第6号
昭和四十二年五月二十三日(火曜日)
   午前十時二十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十七日
    選任          鬼丸 勝之君
 五月二十日
    辞任          廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                森 元治郎君
    委 員
                佐藤 一郎君
                笹森 順造君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                山本 利壽君
                岡田 宗司君
                羽生 三七君
                黒柳  明君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通
 商航海条約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○アジア生産性機構の特権及び免除に関する日本
 国政府とアジア生産性機構との間の協定の締結
 について承認を求めるの件(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告をいたします。
 去る十七日付をもちまして鬼丸勝之君が委員に選任せられ、また、二十日付をもちまして廣瀬久忠君が委員を辞任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(赤間文三君) 日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件並びに
 アジア生産性機構の特権及び免除に関する日本国政府とアジア生産性機構との間の協定の締結について承認を求めるの件
 以上二つの案件を便宜一惜して議題に供します。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。田中政務次官。
#4
○政府委員(田中榮一君) ただいま議題となりました日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国とアルゼンティンとの間には、明治三十一年に署名された修好通商航海条約が戦後復活されておりますが、同条約には国際通貨基金協定やガットとの関連規定が欠けているのみならず、戦後の両国間の通商関係の拡大発展に伴い諸般の待遇保障の改善充実をはかる必要があると認められましたので、新通商航海条約の締結について昭和三十六年に主として東京において交渉を行ない、同年十二月にフロンディシ・アルゼンティン大統領が訪日した際に条約案文につき両政府間で最終的合意に達したので、同年十二月二十日に小坂外務大臣とカルカノ・アルゼンティン外務大臣との間で、本件条約及び議定書の署名調印が行なわれた次第であります。
 この条約は、待遇保障の拡充を目的として、滞在、居住、身体の保護、財産の公用収用、裁判権及び課税の各事項については内国民待遇及び最恵国待遇を規定し、また、入国、事業活動及び自由職業の遂行、関税、為替管理については最恵国待遇を、さらに海運については最恵国待遇及び一部事項に関する内国民待遇を規定しております。このように、本条約は現行の修好通商航海条約に比べて内国民待遇を広範囲に拡大したほか、IMF及びガットとの関係を明記し、さらに商事仲裁、技術交流等についても新しく規定を設けております。この条約の締結により、わが国とアルゼンティンとの間の友好、通商及び海運関係は、さらに、一そう安定した基礎の上に置かれるものと期待されます。
 なお、この条約は、昭和三十七年の第四十通常国会に提出されましたが、同年三月末にアルゼンティンにクーデターが起こって議会が解散になり、アルゼンティン側の批准の見通しが全く立たなくなったので、わが方の審議も中止され、そのまま審議未了となりました。その後わが方は、機会あるごとにアルゼンティン側にこの条約の早期批准を要請していましたが、昨年春の先方の外務大臣の訪日及び昨年秋の椎名外務大臣のアルゼンティン訪問を機として、アルゼンティン側においてもようやくその早期発効につき熱意を示すに至りましたので、政府としても、本国会において御承認をいただいた上この条約を発効させることといたしたい所存であります。
 よって、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 なお、去る五月十八日、アルゼンティン側は、この条約の批准に必要な国内手続を完了した旨を通報してまいりました。
 次に、アジア生産性機構の特権及び免除に関する日本国政府とアジア生産性機構との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 アジア生産性機構は、アジア諸国における生産性の向上を目的として一九六一年に設立された国際機関で、わが国は、設立当初よりこれに参加しております。この機構の設立協定第四十条は、同機構及びその職員に与えられるべき特権及び免除については、同機構と加盟国政府との間に締結される別個の取りきめによって定めることを規定しているところ、同機構の本部がわが国に置かれているので、まず、わが国が同機構との間に特権免除協定を結ぶことになり、このための交渉を行なった結果、本年四月五日に東京において、この協定の署名が行なわれました。
 この協定は、わが国がその領域内においてアジア生産性機構に法人格を認め、同機構、その職員及び専門家並びに加盟国政府の代表者に対して特権及び免除を与えることを規定したものであり、その特権及び免除の内容は、若干の点を除き、国連または専門機関の特権免除条約に規定されたものと同様であります。
 この規定の締結により、アジア生産性機構の活動を円滑にし、同機構を通じわが国の経済技術協力を推進することが期待される次第であります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#5
○委員長(赤間文三君) 次に補足説明を聴取いたします。高島参事官。
#6
○説明員(高島益郎君) 初めに、アルゼンティンとの通商航海条約につきまして、簡単に補足説明を申し上げます。
 現行の条約は、先ほど御説明申し上げましたように、明治三十一年に締結された古い条約でございまして、戦後の新しい経済関係に即応する必要があった関係上、昭和三十六年の三月にアルゼンティン側の申し入れによりまして交渉を開始し、同年十二月妥結した次第であります。
 現行条約との比較を簡単に申し上げますと、まず第一番に新しい条項を設けております。たとえば通信の自由、内国課税、為替管理、商事仲裁、工業所有権、科学技術の知識の交流、国家企業、それからガットまたは国際通貨基金に基づく権利義務優先等の規定でございます。これらは現行条約にはない規定でございます。
 次に、現行の条約にございますけれども、これを非常に詳細に規定した条項が若干ございます。それは出入国に関する規定、それから滞在に関する規定、身体財産の保護に関する規定、公用収用に関する規定、事業活動及び職業活動に関する規定、関税及びその賦課方法に関する規定、最後に海運に関する規定等がございます。
 三番目に、内国民待遇を新しく設けたのがございます。たとえば滞在、居住、旅行及び出国、それから強制公債等に関する規定、船舶の入港、船舶の積荷及び旅客に関する関税等に関する規定でございます。
 最後に、新しく最恵国待遇を設けた規定がございます。現行の条約によりますと、最恵国待遇ということばをつかっておりませんので、欧米諸国と同等の待遇を供与するということになっております。しかし、アルゼンティンに関して見ますと、中南米諸国に対して与えております待遇は、日本には当然には均てんしない。また、日本がアジア諸国、あるいはアラブ諸国等に与えております待遇については、アルゼンティンには均てんしないという法律的欠陥がございますが、今回新しく最恵国待遇ということばをつかいまして、広く世界のどの国に対しても与えている待遇は、当然にそれぞれの国に均てんするという趣旨にいたしました。これは身体の保護、財産の保護、出訴権等でございます。
 以上が大ざっぱに申しまして現行条約との比較でございますが、これを要するに、新しく発展いたしました日本、アルゼンティンの経済関係に即応するように全般の規定を調整したほか、内国民待遇等の規定を大幅にふやして保護の手を厚くしたということでございます。
 次に、日本とアルゼンティンとの経済関係は、大ざっぱに申し上げますと、現在、中南米諸国の中では、ブラジル、メキシコ、ペルーに並びまして、非常に緊密な経済関係にあります。昨年度の貿易関係では、日本が三千六十万ドルの輸出、アルゼンティン側の日本に対する輸出が五千三百三十万ドルで、約二千万ドル余りの日本側の入超になっておりますけれども、これは、今後アルゼンティン側の工業化の進展に伴いまして日本の輸出の伸びることが期待されております。ことに機械類、プラント類の輸出の伸びることが期待されております。なお、日本のアルゼンティンに対します企業進出では、現在毛織物関係が一、水産関係が二、軽電機関係が一と、合計四企業がアルゼンティン側に進出しております。しかして駐在員事務所、現地法人等では、アルゼンティン側に対しまして日本側から三十社が向こうに進出しております。そのほか移住関係では、戦後四千七百人が新しく定着いたしまして、日本の技術あるいは産業面でアルゼンティンに対する貢献をしているわけでございます。このようにいろいろ経済関係、通商関係、一般に非常に緊密化しております日本・アルゼンティン関係を、この条約によりましてなお一そう安定した恒久的基礎の上に置くというのがこの条約全体の趣旨でございます。
 先ほど申し上げましたとおり、皇太子殿下、同妃殿下の御訪問の機会に、アルゼンティン側はこの条約の批准に要します国内手続を終わったそうでございまして、長い間非常に批准の延びた条約でございますけれども、今回ようやくに批准の実現見通しがつきましたことを喜ばしく存ずる次第でございます。
 次に、アジア生産機構の特権及び免除に関する協定につきまして簡単に御説明申し上げます。
 現在、このアジア生産性機構の当事国は、日本を含めましてアジアの国十二カ国でございまして、その内訳は、中華民国、インド、ネパール、韓国、パキスタン、フィリピン、タイ、イラン、ベトナム、香港、セイロンでございます。
 このアジア生産性機構の性格は、これらアジア諸国の工業、特に中小企業でございますが、工業、農業、それから運輸業、商業等、各部門の生産性向上のために相互に協力するというのが大きな目的でございまして、そのため、調査研究、情報交換あるいは訓練、勧告等を行なう国際機関でございます。各国にそれぞれ生産性本部がございまして、その各国本部の活動を調整し、全体のアジア生産性向上運動の中枢の機関となるというのがこの機構の性格でございます。
 現在やっております活動の大要――あらまし申し上げますと、まず生産性向上に関するテーマを議題にいたしまして会議を開催いたしております。次に、各種生産性視察団を組織いたしまして、これをある特定の国に派遣し見学研究させるということをやっております。三番目に、生産性向上のための各種訓練コースを開催いたしております。四番目に、加盟国の要望に応じましていろいろ生産性向上に関する技術指導のあっせんそれから勧告等を行なっております。五番目に、フェローシップに対しまして、これに必要な研修を与える。六番目に研修コースを開催する場合に、これに必要な講師を派遣する。最後に、生産性に関します各種の調査を行ない、広報啓発等を実施しております。
 現在、この生産性機構の本部は東京にございまして、職員は全部で三十名おります。この三十名のうち、いわゆる専門職員としてこの今回締結いたしました協定による特権、免除を与える対象になりますのは十名でございます。この十名のうち四名、事務局長を含めまして四名は日本人でございまして、あとの六名が加盟国から出ております外国人であります。タイ人、フィリピン人、韓国人等の外国人であります。
 次に、この生産性機構の特権及び免除の内容でございますけれども、これは日本が戦後国際連合専門機関、国際原子力機関、その他各種国際機関との間に結びました特権及び免除の協定の内容とほとんど同じであります。ただ、若干これらの特権免除よりも多少軽減した内容のものを含んでおります。その例を幾らか申し上げますと、たとえば、このアジア生産性機構の構内は不可侵である。普通国際機関の場合ですとそういう規定がございますが、これにももちろん原則的には不可侵の特権を与えるわけでございますけれども、たとえば防火上とか衛生上の理由がある場合には、事務局長の了解があったものとみなして、構内に日本の官憲が入ってもいいというようなことにしております。また、自動車事故に関する民事事件を考慮いたしまして、一般的に裁判所の訴訟手続を免除いたしますと非常に不都合を生じますので、事、自動車事故に関します民事事件については一切免除しないという規定を入れております。
 それから、一般にこの機構の職員あるいは専門家に対しましては、公務中の行為につきましては逮捕抑留を免除しておりますけれども、事、現行犯ないし三年以上の禁錮刑に当たります重大犯罪の場合にはその免除は認めないという趣旨の規定を置いております。それから次に、日本人の職員、事務局長を含めまして、日本人の職員ないし専門家につきましては、公務中の行為についての訴訟手続とそれから逮捕抑留の免除だけが認められております。しかし、いま申し上げましたとおり、現行犯とか重大犯罪のときにはその免除をしない。免除はありません。自動車事故に関する民事事件に関する限りにおきましては、そういうものには認められないというふうにいたしております。
 それから最後に、普通国際機関ですと暗号等の特権を認めておりますが、この機構に関しましてはそういう必要がないと認めまして、そういう特権を与えておりません。
 以上申し上げましたとおりの相違点はございますが、それ以外につきましては、大体他の国際機関と同様な特権、免除を与えております。
 簡単でございますが、補足説明を終わります。
#7
○委員長(赤間文三君) 以上をもちまして説明は終了いたしました。
 二案件に対する自後の審査は、後日に譲ることといたします。
 他に御発言もなければ、二案に対する質疑は本日はこの程度といたしまして、これで散会をいたします。
   午前十時四十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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