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1967/05/30 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第7号
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1967/05/30 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第7号

#1
第055回国会 外務委員会 第7号
昭和四十二年五月三十日(火曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                佐藤 一郎君
                笹森 順造君
                高橋  衛君
                山本 利壽君
                佐多 忠隆君
                羽生 三七君
                大和 与一君
                黒柳  明君
   国務大臣
       外 務 大 臣  三木 武夫君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務大臣官房長  齋藤 鎮男君
       外務省アジア局
       長        小川平四郎君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    力石健次郎君
       外務省経済局長  加藤 匡夫君
       外務省経済協力
       局長       広田  槇君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
       外務省国際連合
       局長       服部 五郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務省経済局参
       事官       須磨未千秋君
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外
 公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○日本国における経済協力開発機構の特権及び免
 除に関する日本国政府と経済協力開発機構との
 間の協定の締結について承認を求めるの件(内
 閣提出)
○日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通
 商航海条約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。三木外務大臣。
#3
○国務大臣(三木武夫君) 在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 この法律案におきましては、在バルバドス大使館外四大使館の新設、在ホンデュラス及び在アイスランド公使館の大使館への昇格、在バンコック総領事館外三総領事館の新設、在ウィニペッグ領事館及び在デュッセルドルフ総領事館分館の総領事館への昇格並びにオークランド領事館の新設を定めるとともに、これら新設及び昇格される在外公館に勤務する外務公務員の在勤俸の額を定めることとしております。
 バルバドスは中米カリブ海にある島で旧英領植民地、ガイアナは南米の北端にある旧英領ギアナ、モルディヴはインドの南方海上にある島しょ群、ボツワナ及びレソトはアフリカ南部にある旧英領植民地であった新興独立国でありまして、これはわが国がこれらの新しい独立国とは進んで外交関係を設け親交を深めていこうとする政策によるものでありまして、さしあたっては、それぞれ近隣の国に駐在する大使をして兼任せしめる予定であります。
 次にホンデュラス及びアイスランド公使館の大使館への昇格でありますが、近年世界各国とも公使館とせずに大使館とするのが一般的な趨勢となっており、わが国とこれら両国との間の友好関係より、かねてから大使館昇格の話し合いを進めてきた次第でありますが、今般相互主義のもとに大使館に昇格せしめんとするものであります。
 次に総領事館として、バンコック、カラチ、ハバロフスク及びパリの各総領事館を新設することとしております。そのうち、バンコック及びパリは、新設と申しましても職員はすべて大使館の職員が兼任することとしております。バンコック及びパリは、在留邦人の激増により領事事務が急激に増加しており、かつ、主要諸外国を含む多数の国が同地に総領事館または領事館を設置しておりますので、総領事館を新設してこれらの事務を能率的に処理する必要が生じている次第であります。また、カラチ総領事館は、パキスタンの首都が昨年カラチからイスラマバードに移転し、これに伴いわが国大使館も移転を完了しましたところ、カラチは依然パキスタンの経済、貿易の中心地であり、また交通の要衝として領事事務も多いので、総領事館を設置する必要があるわけであります。
 また、ハバロフスクは、ソ連の極東地方における政治、経済上の重要地点であり、今後の日ソ間の貿易、経済協力等の増進のため総領事館を設置することとしております。
 次にカナダのウィニペッグ領事館及びドイツのデュッセルドルフ総領事館分館につきましては、この両地区が、経済、貿易、広報及び領事事務等の必要性から、ともに総領事館に昇格せしめることとしている次第であります。
 さらにニュー・ジーランドのオークランドにつきましては、近年におけるわが国とニュー・ジーランドとの間の経済、貿易関係の増進及びこれに伴う人的、物的交流の増大にかんがみ、同国最大の商工業都市たるオークランドに領事館を設置することとしております。
 次に給与につきましては、以上のとおり新設または昇格される在外公館に勤務する外務公務員の在勤俸の額を定めることとしている次第であります。
 最後に、ナイジェリアの国名変更及びコンゴー(キンシャサ)の首都名変更に伴い、所要の改正を加えることとしている次第であります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(赤間文三君) 次に、補足説明を聴取いたします。齋藤官房長。
#5
○政府委員(齋藤鎮男君) ただいま大臣から御説明がありましたことを要約して申し上げますと、最初にあがっておりますバルバドス、ガイアナ、モルディブ、ボツワナ及びレソト、これは大使館の新設ではございますけれども、いずれも兼館でございまして実館は設けません。
 第二に、ホンデュラス及びアイスランドの各公使館を大使館に昇格しておりますが、これも昇格ではございますけれども、実館は設けることなく、兼館にいたすことになっております。
 第三に、バンコック、カラチ、ハバロフスク及びパリの各総領事館を新設するわけでございますが、このうち、バンコック及びパリは、形式上これを総領事館とする必要がございましてそうしたのでございますが、これはもっぱら相手国との関係で設けたのであります。他方、カラチとハバロフスクは、これは新しくいずれも総領事館をつくるわけでございまして、これは実際に実員がふえるわけでございます。
 ウィニペッグ領事館につきましては、これは領事館が総領事館に昇格するのでありますが、同時に、これは実館でございまして、実館としての総領事館ができるわけでございます。
 次に、デュッセルドルフの総領事館分館を総領事館に昇格することにつきましては、これは従来より分館という非常に不自然な形でありましたのを総領事館に昇格するものでありまして、もちろん実館でございます。
 それからニュー・ジーランドのオークランドの領事館につきましては、これは新設であると同時に、やはり貿易振興の必要上実館を新設するわけでございます。
 そのあとのナイジェリア連邦大使館及びコンゴーの大使館につきましては、これはいずれも名称のみの変更でございまして、実質的には意味はございません。
 かく新設ないしは昇格することによりまして、わが在外公館の総数は、五月の九日現在におきまして、大使館の実館は八十一、兼館が二十九、合計百十でございます。公使館は、実館が零、兼館が二、合計二でございます。総領事館が、実館が三十二、兼館が四、合計三十六、領事館が実館が八、兼館が一、合計九でございます。これが五月九日現在でございますが、これがただいまの改正によりましておのおのふえるわけでございます。
 なお実員につきましては、今般新しい予算によりまして七十五名が追加になりました。新設公館のために十九名、既設の公館のために五十六名がふえます。
 以上、補足説明をさしていただきました。
#6
○羽生三七君 ちょっとついでに、向こうへ領事館なんかを設けるためにこちらがまた相手側に開設を許す地域があったら説明してください。
#7
○政府委員(齋藤鎮男君) これは従来先方の希望が主としてございまして、それによって交渉を続けてきたものでございまして、最初のイニシアチブをとったのが先方である場合が多いのでございますが、その後交渉の結果、両方で合意したものでございます。
#8
○委員長(赤間文三君) 次に、在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
 日本国における経済協力開発機構の特権及び免除に関する日本国政府と経済協力開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日本国とアルゼンティン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件
 以上三案件を便宜一括して議題に供します。
 三件に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○羽生三七君 たとえばハバロフスクに対して日本はソビエトのどこの領事館を許容するのか、そういう問題です。
#10
○政府委員(齋藤鎮男君) 御承知のように、ナホトカと札幌につきましては相互に合意をみたわけでございますが、ハバロフスクにつきましては、先方が日本のどこに置くかということについてはまだはっきりとした意思表示をしておりません。したがいまして、この場合には、日本だけが一応相手側にハバロフスクを予定したというところでございます。
#11
○森元治郎君 在外公館の名称、位置についてですが、最近の、最近というか、終戦後の傾向は、公使館及び大使館ということはわかっているが、たとえばバルバドス以下四つ大使館が新設されるわけですね、たとえ兼館であろうと。すると、向こうの相手国はどういうふうになっているのですか。
#12
○政府委員(齋藤鎮男君) これは先方からもやはり同じように兼館の新設が予想されておりますが、現在はまだ確定しておりません。
#13
○森元治郎君 これはどっちのイニシアチブでやっておるのですか。日本が役人が余ってしかたがないから、しかも、大使なんていう名前をつけると役人は非常に喜ぶのです。いなかへ帰って大使だと言うと、じいさまあたりは事情を知らないから、大使が来たと言って喜ぶ。まあ、相手側が置いてくれと言うから置くのでしょうが、どうもその点で、向こうで置いてくれというより、日本のほうが進んで置いているのじゃないか。バルバドスのような島の中では、何も大使館でなければいばれないわけでもないし、いばってもたいしたことはない。給料も、大使と名がつけばそう安くてもいけない。A、B、C、Dぐらい大使にはあるのだろうが、こういうのは給料は上がるのでしょうね。
#14
○政府委員(齋藤鎮男君) これは完全な兼館でございまして、実質的には財政上は何ら変更はございません。一年に一回ないし二回その地に大使が出張するぐらいで、予算上旅費が加算されているという程度でございまして、したがいまして、俸給その他には全然影響はございません。ほかの地域――その近傍の国の大使をやっておる人が新設の兼館の大使を兼任するということでございます。
#15
○羽生三七君 いまの森君の質問に関連して、とりあえず、向こう側に貫くことだけをいまここで審議しているわけですが、それに対応して、日本の、先ほど申し上げたハバロフスクに対してはどこを一応予定しているか。大阪ということは大体わかっておりますが、そういうようなことをもう少し親切に説明されたほうがいいんじゃないですか。あまりこまかいことは要りませんが、おおよそ向こうの動きはこうだという程度のことはお話しになってもいいのじゃないかと思います。
#16
○政府委員(齋藤鎮男君) ハバロフスクの相手になる地域につきましてはこれは現実に幾つか話は出ておりますけれども、先方はそれを最終的に決定しておりませんので、もし決定した暁におきましては、しかるべき方法で御通報申し上げたいと思うのでありますが、現在のところ、先方との関係でどうしてもこれははっきり申し上げる段階に来ておらない次第でございます。
#17
○森元治郎君 それじゃ、具体的にバルバドスでは、こっちに向かって、大使館か公使館かのあれがあるのかないのか。それからアイスランドの場合、こっちに大使館あるのか、どうなんですか。
#18
○政府委員(齋藤鎮男君) バルバドスにつきましては、まだございません。それからアイスランドはわが国にございます。
#19
○森元治郎君 大使館が。
#20
○政府委員(齋藤鎮男君) 兼館でございます。
#21
○森元治郎君 たとえばアイスランドへ行けば、大使はオランダじゃないかな。兼任で、たまにオランダの人が暑いころになると涼しいアイスランドに来るくらいで、全く門前雀羅で、あんなもの置く必要ないんだな。用があったら、特派大使で行ったらいいんじゃないか。大使館といっても、中の人は、言っては悪いけれども、肩書きの低い人がいるわけで、看板だけ大使館、あんなもので接受国は喜ぶんだろうか。
#22
○政府委員(齋藤鎮男君) これは大使館そのものの本質にも関係するものでございますが、ただそのつど任命されて、ある特殊の目的だけに行く特派大使と違いまして、兼館でありましても、その国に接受された大使がおります場合には、かりに問題が起こったときには、いつでも出かけていって問題の処理ができる。特にアイスランドに例をとりますならば、アイスランドの最近までの少ない貿易関係を伸長するということにねらいを置きまして、わが国のスウェーデンにいる大使が兼館しているわけでございますが、それによって特に財政上その他の負担がございませんのみならず、ただいま申し上げましたように、いつでも行って仕事ができるという意味においては、かなり有益であるというように考えております。
 なお、アイスランド側の日本大使を兼任しているのはアイスランドのノルウエー大使が東京の大使を兼任しております。
#23
○森元治郎君 ノルウエーの人がアイスランドの大使を。
#24
○政府委員(齋藤鎮男君) アイスランドのノルウ
 エー大使が東京の大使を兼任しております。
#25
○森元治郎君 アイスランドのノルウエー大使というのはどういう意味です。
#26
○政府委員(齋藤鎮男君) ノルウエーに駐在しておるアイスランドの大使が東京の大使を兼任しております。
#27
○森元治郎君 それはやっぱり世界の大勢だなんて言わないで、世界的に強力に整理のほうに持っていったらどうですか。相互主義で、おまえ置かないならこっちも置かないと。大使という名前つけて商売伸ばすばかりでなくて、整理したらどうです。実体でいったら、虚名高しという外交はやめればいいんじゃないか。世界的に国連あたり出してやりなさいよ。むやみに官僚ばかりで事務が繁雑になる。こんな紙っぺら見たってよけいなものたくさん書いてあるが内容がないんだけれども、そういうような傾向はないですか。
#28
○政府委員(齋藤鎮男君) これは、できれば実館を置いたほうが外交関係の処理には少なくとも万全を期することができるわけでございますが、財政その他の関係で兼館を置いておるわけでございまして、兼館をするということは、単に形式的に置いておるということ以上の意味を考えているわけでございます。
#29
○羽生三七君 質問じゃないけれども、希望を言えば、この種のときには、なるべく親切に、一応こちらとしてはこの程度の地域を予定しているくらいのことを言ったほうがいいのだ。別にたいしたことはないと思うのだからね。今後のこととして注文つけておきます。
#30
○佐多忠隆君 いま一つ。バンコクとパリ在留邦人の激増によって領事事務が急激に増加したと、こう書いてありますが、この二、三年来、どういうふうに激増しておるのですか。
#31
○政府委員(齋藤鎮男君) パリにつきましては、昨年が千名であったものが、今年の最近の調査では二千名と、倍になっております。バンコクにつきましては、先年度ははっきりしておりませんが、現在三千人に及んでおります。なお、バンコクとパリの総領事館の設置につきましては、かように在留邦人が多くなりまして、相手国も、従来、大使館のうちの領事部という形でやっておりました仕事は、相手国政府との関係も、むしろはっきりとした総領事館の新設によって交渉したほうがいいということで、先方の希望もございまして、そういうようになったわけでございます。
#32
○森元治郎君 アルゼンティンとの通商条約について大臣に伺いますが、通商航海条約というものは軽い条約ですか、重い条約ですか。
#33
○国務大臣(三木武夫君) 軽いとは思ってないのですけれども、重い条約の一つだと思っております。
#34
○森元治郎君 これは名前が昔から変わらないというか、古典的な定型を持った条約、基本的な条約だと思うのですね。そこで私は、いつもここでフィリピンばかり言っておそれ入るんだが、全くけしからんと思って。一体、通商航海条約が大臣が行かれてお話しをしたけれども、何の結果も出てこない。一体どう処理するつもりか。日比通商航海条約を結んでからもう七、八年になります一ね。これを一体どう処理されるのですか。せっかくあなたの太平洋構想とか大きな構想を出したり、アジア開銀だのなんだの言って連絡して、そう日本が悪党でもないということだと思うのだが、なおかつ、戦争の思い出、思い出と言って批准に進まないという理由は一体どこにあるのか。一体これで日比関係やっていかれるつもりなのか。私は賠償の支払いをストップするくらいの、まだ残っておるのですから、そのくらいの手を打ってどうするのだということくらいやらなければ、私は政府の威信というか、まじめに結んで、両方で結んで、日本が信用ならないということを結んでから言うのはおかしなことだと思うが、一体大臣のこの問題の処理に対するお考えを伺いたい。
#35
○国務大臣(三木武夫君) マルコス大統領もなるべくやはりこの条約は批准をしたいという意図であるようでありますが、国会のほう、ことに上院のほうにまだ多少の反対論者もあって、そして実現を見てないわけですが、しかし、日比関係というものは、将来緊密にしていかなければならぬという感じは、上院の指導者、大統領も持っておるようでありますから、多少の時間はかかってもこの問題はやはり解決するのだと、まあ、こういうふうに考えておるわけでございます。だからいま、これはもう全然だめだというふうには考えていない。まあ、心ある指導者は何とかしてこれを妥結をみたいということで努力をしておることは事実でございます。
#36
○森元治郎君 少しく、自分が全力をあげて結んだ条約の批准に対しての、批准をさせて実行に移すという努力というか、熱意というか、何か自分で悪いこと結んだからフィリピンもつらいのだろうというような点もあるのではないかという想像をするほど自信がないような気がするのですね。もう少し強く私はこういうものははっきりすべきだと思うのです。もう一度ひとつ。
#37
○羽生三七君 それはね、七、八年前、当参議院外務委員会で日比条約を批准した際の速記録をひとつごらんいただくと、いかに政府が自信を持って、これはすぐ解決する、先方も批准するだろうとお答えになったことはよくわかると思う。以来、三代の大統領を経過して、いま森君の指摘したとおりですから、そのとおりのことを一度調べていただきたい。
#38
○国務大臣(三木武夫君) まあ、上院の連中にも、行ったときに会ったのですが、国内の産業保護のために幾つかのやっぱり国内産業の立法が国会に出ておるわけです。だから、通商航海条約というものによって日比の関係が緊密になることはいいが、そのために産業発展の過程の、非常に日本に比べたならばおくれておるフィリピンの経済が、国内産業が非常に打撃を受けてはいかぬという配慮が国会側にあって、いろんな、あれは六つばかりの国内産業保護の立法があるわけですね、これを通してからという感触がいまの国会の感触、そういうことで、その通商航海条約それ自体に反対というよりかは、国内産業保護の手配だけはしておきたいというのが上院の感触のようで、これに努力をしておる、これが通ればむろん批准をするというような意向を述べております。
#39
○森元治郎君 アルゼンティンの通商航海条約だが、皇太子が向こうを立たれ、向こうにはもうおらないのですね。立たれたのですね。
#40
○説明員(須磨未千秋君) 二十二日に立たれました。
#41
○森元治郎君 それでこの条約は、向こうでは批准されたとすればいつころですか。
#42
○説明員(須磨未千秋君) 九日に批准を了しました。
#43
○森元治郎君 その審議の過程で何か珍しい質疑があったかどうか。向こうの国会の審議状況は。
#44
○説明員(須磨未千秋君) 御承知のおり、アルゼンティンは目下オンガニアの軍事政権でございまして、国会はございません。それで、別に特別のあれはございませんが、大統領は、日本に対する親愛の意を表する意味から、両殿下御来亜を前に批准書に署名をした次第である、こういう電報が参っております。
#45
○佐多忠隆君 最近日本では牛肉、馬肉その他肉類が非常に不足していて、外国からの輸入を必要としていると思いますが、その場合に、アルゼンティンの肉は安くて非常にうまいと、向こうの連中が非常に得意になって宣伝しているのですが、それにもかかわらず日本は買ってくれない。何とかいう病菌を持っているとか、いないとかということでやむを得ないとか言っておるけれども、それはもはやそういうおそれはないのだ、その点をもう少し積極的に調査して打開してもらえないかということを在留邦人の諸君が力説しておりましたが、この事情はどうなっておりますか。
#46
○説明員(須磨未千秋君) ただいま先生御指摘のとおり、肉の輸入は牛肉、羊肉、家禽肉、豚肉を合わせますと、昭和三十年以来ずっとふえておりまして、総計において十四万トン入っております。アルゼンティンにつきましては、口蹄疫という病気がございまして、このアルゼンティンは、これは一つの熱病性のビールス性の熱病でございますが、その関係でアルゼンティンは汚染地域にしておられます関係上、そこからの牛肉、羊の肉、つまり偶蹄類の肉の輸入が禁止されております。これにつきましては、両国間でできるだけ早くそういう汚染地域――もしその汚染がないということになりますれば日本がこれを輸入できるわけでありますので――そういう調査をだいぶやっておりまして、ことしの一月ごろは、南部のファゴ島というところでほとんど口蹄疫の汚染がない、そこから羊の肉の輸入が実現されるところまで行ったんでございますが、たまたま不幸なことに、ちょうど一月ごろに口蹄疫が出ました関係上、しばらくこれが先に延びてしまったと、こういう状況でございます。
#47
○佐多忠隆君 今度のケネディラウンドの妥結によって、アルゼンティンから入れる小麦に何か影響がありますか、どうですか。
#48
○政府委員(加藤匡夫君) 穀物協定が一応骨子ができまして、その骨子の中では価格帯の引き上げを一応合意を見ております。それで直接アルゼンティンの小麦が日本に入りやすくなるか、あるいは入りにくくなるかは、カナダの小麦、あるいはアメリカの小麦、豪州の小麦の格差の問題がございます。品質格差の問題がございまして、それらがいかに詳細きまるかによって影響があると思います。いまのところ、断定的に、アルゼンティンの小麦が入りやすくなるとか、あるいは入りにくくなるとかということは、まだ申し上げかねると思います。
#49
○佐多忠隆君 それでは、アルゼンティンに特にどうということでなしに、一般的にはどうなんですか、日本の小麦輸入一般についての影響は。
#50
○政府委員(加藤匡夫君) 一般的に申しますと、今度の価格帯が相当引き上げになりましたが、この価格帯がいわゆる小麦の実勢価格にどう影響するかという問題であるかと思います。いま直ちに現在の小麦の実勢価格に影響するということは断定しがたいかと思いますが、いずれにいたしましても、全般的に小麦の供給が今度の価格帯の決定によって非常に窮屈になるというようなことはもちろんございませんので、実際問題として、今度の穀物協定を通して日本の輸入小麦の難易が非常に大きく変わるということは予想されないと思います。
#51
○森元治郎君 時間もあれだし、私も質問があるからスピードアップして束にして伺いますが、
○ECDの事務所はいつごろ日本に開かれるだろうかということが一つ。日本事務所、やがて開かれると思うのですかね。いつごろ開かれる予定なのか。
 それから、パリに日本の代表部があるが、ああいう代表部におる職員の待遇の件、どういうふうになるのか。
 第三点は、これも今度の協定の骨子の一つである、OECDの職員の退職金の資金に充てるための日本の社債というものをOECDが持っている、その社債の利子をいつ免税するかという時期の問題がいまの協定としてかかってるんだが、OECDの持ってる社債というものはどういうもので、どのくらいの額になるだろうかなどを、ちょっと聞かしていただきたい。
#52
○説明員(高島益郎君) 森先住の御質問の第一点は、OECDが日本に事務所をいつ置くかという御質問の趣旨だと思います。で、現在OECDの事務所は、パリ以外にはワシントンに広報関係の事務所があるだけでございまして、現在のところ、日本に近い将来事務所を設置するという予定はございません。この特権免除の協定を結びました目的の一つは、ただいま先生御指摘のとおり、
○ECD職員の退職金引き当てに買っております、OECDの買っております日本の社債等に関する課税の免除というのが一つの目的だったのでございまして、日本に事務所を置くということが当面の目標ではなかった次第でございます。なお、日本との関係では、日本で何らかの会議その他が行なわれます場合に、OECDの加盟国の代表者の特権あるいは職員の特権というふうな問題は当然起きてきます。ただし、日本に事務所を置くという話は、いまのところございません。
 第二点は、パリにおります日本のOECDに対する代表者等の特権あるいは待遇の問題であるかと思います。これはこのOECDを含めました、
○ECDの加盟国との間で別途結んでおります特権免除協定、実質的には今回日本が結びました特権免除協定と同じものでございますが、その待遇が与えられる次第でございます。したがって、日本の代表部の待遇は、つまり加盟国の代表者として与えられる待遇でございます。
 第三点は、日本の社債をOECDが買っておるが、その額は幾らかというお話でございますが、約三十六万ドルでございます。これを、この際日本がOECDに加盟したときにさかのぼりまして、その時点からの分をその利子に対して課税を免除いたしまして、その分だけを返還するということになった次第であります。
#53
○森元治郎君 先ほど話があった、そのフランス政府とOECDと日本で別個の協定を、特権免除についての別個の協定を結んでるとかいうのは、国会なんかにかける性質のものですか、どういうものですか。三者間の協定で別個にきめる日本の代表部の職員の特権免除に関するOECDとフランス政府と日本との間にという協定は、この国会には出さないんですか。
#54
○説明員(高島益郎君) ただいま申しましたのは、少しことばが足りませんでしたが、OECDの、参考についております経済協力開発機構条約の中に、これは日本が、もちろん国会の御承認を得た上で、加入した条約でございますが、この条約の一番最後に、「経済協力開発機構条約に附属する第二補足議定書」というのがございまして、その補足議定書の中で、「機構は、次の法律上の能力を有し、また、機構、機構の職員及び機構における加盟国の代表者は、次の特権及び免除を享有する。」というふうに規定しておりまして、その(a)の中で、「千九百四十八年四月十六日の欧州経済協力機構条約の締約国の領域においては、同条約に附属する第一議定書において規定する法律上の能力、特権及び免除」とあります。この欧州経済協力機構条約と申しますのはこの条約の前身でございますが、この前身の条約の締約国の領域、つまりフランスも含むわけでございます。そこにおいては、この条約に附属する第一補足議定書と申しますのは、今回日本が締結いたします特権免除協定の内容をなしております特権免除でございます。
#55
○羽生三七君 いまの森委員の質問に対して一つ。OECDが日本に持っている社債の額はわかったけれども、それを協定に日本が加入したときにさかのぼって還付する税金の額はどのくらいになるのか。
#56
○説明員(高島益郎君) 約百三十万円でございます。
#57
○佐多忠隆君 OECDの職員で日本人は現在何人くらいいるのですか。
#58
○説明員(高島益郎君) パリのOECDに働いております日本人職員は四名でございます。
#59
○佐多忠隆君 そうすると、一番多い国はどこで、何人おるのですか。
#60
○説明員(高島益郎君) 一番多い国籍の国はフランスでございまして、全体の職員の約三分の一、五百人ぐらいおります。
#61
○佐多忠隆君 それから、国際連合や専門機関、国際原子力機関、アジア開発機構、このおのおのに日本人の職員はどのくらいずつおりますか。
#62
○説明員(高島益郎君) ただいま御質問ございました各国際機関におきます日本人の職員の数につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、後ほど調査のうえ提出いたします。
#63
○佐多忠隆君 資本の自由化が非常に問題になっているようでありますが、OECDと日本との間において、この問題についてどういう交渉がなされ、どういうところまで話が進んでいますか。
#64
○政府委員(加藤匡夫君) ただいま国内で問題になっておりますのは、資本自由化の中の対内直接投資の問題が、一番新聞紙上等、あるいは外資審議会でいま方策を審議しておるわけでございますが、日本がOECDに加盟いたしましたときに、資本の取引の自由化コードというものを受諾いたしまして、その中に、直接投資につきましては日本が全面的に留保いたしております。それでその後、OECDのほうから、直接投資に限らず資本取引一般につきまして十八項目の留保をいたしておりますので、これを大体一年半ごとに審査をいたしまして、その際に、まあ全面留保の分は部分留保に変えられないかとか、部分留保を全部はずして留保をなくすことができないかというような勧告がされているわけでございます。それで、貿易外取引委員会というのがございまして、そこでこの一月に、資本取引全般につきまして勧告案の草案が練られたわけでございます。それが近く、まだはっきり日程はきまっておりませんが、おそらく七月ぐらいに勧告案が執行委員会、理事会にあがってまいって、そこで最終的にOECDの勧告案が採択されるという順序になっております。したがいまして、ただいま政府及び外資審議会におきまして論議されている一応の方針なるものが決定されました場合に、この勧告審の関連でこれをどういうふうに説明するかというのが近く行なわれる段取りになっているわけでございます。
#65
○佐多忠隆君 その近く行なわれるはずの勧告案の骨子、問題点を御説明願いたい。
#66
○政府委員(加藤匡夫君) この勧告案は、先ほど申し上げましたように、まだ最終的にOECDの勧告案として採択されておりません。したがいまして、一月の貿易外取引委員会にあがってまいりました勧告案というものは、いまだに非公式のものになっております。したがいまして、この勧告案がどういうふうにまた変わるかというようなこともございますので、詳細申し上げかねるわけでございますが、まあ、日本が十八項目の留保をやっております中で四、五項目にわたってこれをもっと緩和するなり、自由化を進めるというようなことにつきまして勧告が出るものと予想されます。これはまだ私の予想でございまして、正式にこういう勧告案というものはまだ申し上げられない実情でございます。
#67
○佐多忠隆君 日本の態度表明が数日のうちに行なわれるだろう、それでその態度方針がほぼあらまし決定されたようなことが、きのうきょう新聞に報ぜられておりますが、その態度が発表された場合に、勧告案の勧告に相当沿っているのか、いや、まだその間には非常に距離があるというのか、その辺の事情はどうなんです。
#68
○政府委員(加藤匡夫君) ただいまの御質問は直接投資だけについての御質問と思いますが、新聞等にも伝えられておりますように、六日の閣議でもって外資審議会の答申を確定するという順序になっておりまして、そこで、最終的に閣議でどういう方針の採択が行なわれるかにもよると思いますが、おそらく直接投資につきましての一次の勧告というのはおそらく抽象的なかっこうの勧告になるかと思いますので、それについて、今後日本政府が決定する資本自由化、直接投資の自由化がどこまで勧告の要望に合致しているかどうかということは、断定的に一言で、合致しているとか、いないとかいうことは申し上げられない関係にあると思います。
 そこで、日本のいろいろな事情をその際に説明して、OECD加盟諸国の理解を深めるというようなことで進んでいくということになるわけだと思います。
#69
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、三件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
#70
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 次に、右三案を一括し討論を行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
#71
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、それではこれから採決に入ります。
 まず、在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
#72
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、日本国における経済協力開発機構の特権及び免除に関する日本国政府と経済協力開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
#73
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 次に、日本国とアルゼンティン共和国との問の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
#74
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 なお、右の三案に関する、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
#75
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたしました。
    ―――――――――――――
#76
○委員長(赤間文三君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#77
○森元治郎君 大臣に、沖縄、小笠原関係の御質問を二つ、三つお伺いをいたします。
 第一点は、この間の予算の分科会で問題になった小笠原帰還について、外務当局、外務高官筋の記者会見として、一九七〇年までには返還をさせたいというたいへんはっきりした話が出ております。この点はどういうふうにお考えですか、大臣。
#78
○国務大臣(三木武夫君) ああいう記事が出まして、私も本人から直接聞いたのですが、どうも行き違いがあったようでございます。一九七〇年という年限を切ってどうというふうにまともな発言をしたのではなくして、少しその間行き違いがあったようでございます。とにかく、こういう問題はなかなかいろんな角度から考えなければなりませんので、一方的に年限を切って、これまでにという性質のものではないわけでございますので、おそらく、その場面に私は立ち会った者ではないが、話のちょっと行き違いがあったことは事実だろうと私も思うのでございます。
#79
○森元治郎君 行き違いがあったと言いますが、記者会見だったと思うのです。記者会見は、おそらく会見と言う以上は、複数であったと思う。どんな行き違いがあったのですか。その高官の名前はどなたか知らんが、責任者が。
#80
○国務大臣(三木武夫君) おそらくなにでしょう。本人自身が一九七〇年までに小笠原問題を解決するというまともな発言でなしに、いろんな質問が――少し本人の正確な本人の真意というものがその場合伝わらない、そういう行き違いだと思います。それから、外務省の職員、わりあい慎重ですからね、だから、まともに向こうと話もしないのに、一九七〇年という年限で、こちらから積極的に言うことはまあない。慎重な外務省の職員としてはないこと、私もわかるので、何かこういろんな話の行き違いでそういう印象を与えたのだと思うのですが、まともに自分から、一九七〇年と言ったのではないようです。
#81
○森元治郎君 それでは、その高官なる人の真意はどういうところだったのですか。近々とか、おそらく数年とか質問されてきて、その質問から二、三年と言えば、三年後には一九七〇年になるということだったろうと思うのだが、真意はどういうことか、その高官の真意と大臣の気持ちと両方伺いたいと思います。
#82
○国務大臣(三木武夫君) 私はこの問題、私の真意、無限の切れる問題、これはやはり国民が一日も早く小笠原、沖縄の施政権を返還してもらいたいという国民的な強い願望がありますね。一方においては、沖縄、小笠原、そういう地域の占めている軍事的な面における――軍事的というのは、極東の安全、極東の安定、そういうものに果たしている軍事的な役割りというものを評価せざるを得ない。これを一体、どう調和をさせて国民の願望に近づけていくかというところにむずかしさが私はあると思う。願望だけでいけば、すぐにでも解決したい。しかし、極東情勢一般の問題もあるわけです。これがやはり、日本は日米の安保条約を結んで、何もアメリカだけが極東と言っているのではないので、日本の安全のためと関連をするわけでありますから、われわれの課題でもあるわけです。極東の安全のために果たしている基地の役割りというものは、日本だって、それはこのことによって日本の安全保障との関連を持っているわけでありますから、これをやはり調和させなければならぬですから、そういうことで、この問題は、やはり今後、アメリカとの間にいろいろ話をしなければならぬ課題だと思いますが、しかし、年限を切ってという、やはり極東情勢全般というものも背景の中にはあるわけですから、こちらの希望どおり極東情勢というものが動いてこないわけですから、こちらの希望どおりにもいかない、そういうことで、何年という年限は切っては考えられないのではないか。できるだけ早く何とかあらゆる可能性というものを探求しながら、一歩でも国民の願望に近づけていく方法はないだろうかということであって、何年までに施政権の返還だということをそれは言い切れるものはないし、また私も、そういうふうには考えていないのであります。しかし、できるだけ一歩でも国民の願望に近づけていきたい、そのためにあらゆる可能性というものを検討を加えたいとは思っておりますが、年限を切って施政権の返還というのは、それは背後にある極東情勢というものの関連がありますから、ちょっと考えられないというわけでございます。その外務省高官というものの考え方も、これは私の考え方と違うわけはないわけで、だれもそんなに予言者のごとく予言をすることはできない。それは極東情勢との関連があるからでございます。
#83
○森元治郎君 大臣のお話を聞くと、新しいことは、沖縄、小笠原――平和条約三条でアメリカの施政権下に入ったこの地域はみんな返してもらいたいのだということではありますが、いまのお話を聞くと、日本側から見た極東情勢の安定、いわゆるアメリカに依存する面がまだ多々あるから、いま、早く返還というふうなことは軽々には請求できないというふうに伺えるのですが、いままでのは、アメリカ側が返してくれないというだけで、こちらは返せ返せということであったと思うのですが、いまの大臣のお話によれば、極東情勢を日本側から見て、請求もしないというふうにもとれるのですが、そうすると、全面返還をするのだという政府の一枚看板と、それはそうだけれども、まだ返還を要求するときではないという全く反したような印象を受けるのですが、一段踏み込んで。
#84
○国務大臣(三木武夫君) 森さん、いまの極東情勢で全面的返還は無理だと思っております。いまの極東情勢で、いますぐですよ、いますぐ、やはり施政権全面返還ということは無理だと思う。それは御承知のように。
#85
○森元治郎君 全面返還交渉をしないということですか。
#86
○国務大臣(三木武夫君) 政府としてはこれは目標ですから、施政権の返還というのは、目標を掲げて、その目標に向かって一歩でも近づけるあらゆることは何でもやったらいいと思うのです。その問題を、施政権の返還――これは最後のやはり目標ですから――それに近づいていくためにはあらゆる方法があると思うのです。かといって、いろいろあります方法だって、一々みな申し上げることは、次々に問題の議論を呼びますから……。しかし、考えてみたら、われわれの小さな頭の中でもいろいろな可能性というものは考えられるわけであります。だから、その目標に向かって一歩でも近づけることは何でもやったらいい、こういう考えで、いますぐに施政権の全面返還というものは、この極東情勢のもとでできない、こういう割り切り方で、できないけれども、できることだってあるだろう。そいつを一歩でも実現さしたいというのが政府のいまの考えでございます。
#87
○森元治郎君 たくさんのお話はあったが、私がぴんとくるのは、いまは返還を要求する時期ではない、なお流動する、緊張する極東情勢から、要求する時期ではないというふうに、目標ではあるが、要求をする、あるいは話し合いに入るということは日本の安全の立場から見ても要求できないのだ、要求する、話し合いに入るのはもう少し時期を見なければならぬというふうな印象を受けるのですが、どうですか。
#88
○国務大臣(三木武夫君) これは私、こういうことだと思う。沖縄の基地というものを全然もう度外視して、こういう形における軍事的役割りというものを全然無視してということでは、なかなかやはり極東情勢はそこへ行かないと思う。だから、施政権の返還ということは言えぬというわけではないですよ。それは言うけれども、それならば、直ちにこれが、沖縄の果たしておる軍事的な役割りというものも全然無視して、国民の願望だから返せという形では、やはりなかなかいまの段階では実現しないのではないか。そういう現実も頭に入れながら、いろいろな可能性というものを考えてみる必要があるのではないか。だから、施政権の返還というものも言わぬのではないのです。言うならば、その軍事的要請と国民的願望とをどういう形で調和できるかということも頭に入れながら、いまの時期でやはり施政権返還というものを考えてみれば、そういうくふうがなければ、ただそういうことなしに国民の願望だから返せと言っても、日本だって、沖縄の持っておる安全保障の役割りというものをこれは過小評価するわけにはいかぬのです、日本の安全から。そういうことで、そういうことも頭に入れながら施政権の返還の問題を取り扱わないと、ただ願望だからということだけでは、この問題は解決はしないのではないか。だから、言うというよりも、この時期に直ちに沖縄を、いま国民が希望しておるから返せ、施政権を返してもらいたいという形で、沖縄の問題、小笠原も含めて問題が直ちに解決するということは無理ではないかというふうに考えるのであります。それは何も、この問題に対して、施政権の返還問題を日米間で話し合いをするという時期ではないと言うのではないので、それが実現するためにいろいろなことを考えなければ、直ちにもうそのまま沖縄の施政権の返還ということはなかなか無理ではないか。非常にややこしいようでありますけれども、われわれ自身としてもいろいろな可能性というものを考える必要があると思う。そうでなければ、そういうことなしに、ただ願望だから返せというのでは無理ではないかと思います。
#89
○森元治郎君 いや、私は願望だから返せと言うのじゃない。そういうふうに、いままでも 佐藤総理以下外務大臣をはじめ、返還をやるのだ、いわゆる交渉にも入るだろうし、総理は、交渉ではなくて話し合いだとおっしゃっておりますが、いずれにせよやるのだということと、いまの大臣の答弁では、全く東西に分かれるくらい違ってしまったと思うのです。これは非常な後退、そうしてお話を聞けば、十八、九の娘が胸を痛めておるような話なんですね。どうしましょうか、目標があると、ただ胸を痛めているだけだ、これは政治じゃないですよ。それなら返還させます、させますと大きなことを言わないで、まだ返還を要求する時期ではない、返還して取ってしまって日本が軍備を置かなかったらあぶないから蓄えないんだと言ったほうが国民にはわかると思う。いかにも何かうまく取ってきそうなことを言うから……。大後退だ。おかしいと思う。そんなことではだめですよ。
#90
○国務大臣(三木武夫君) 大後進ではないですよ。
#91
○森元治郎君 ほんとのことを言った。
#92
○国務大臣(三木武夫君) 大後退をしてもいないので、やはりいまのような極東情勢のもとで、沖縄の軍事的な役割りというものを全然無視した形でこの問題を解決することはできない。そういうことで、これは将来極東情勢に変化が来れば別ですよ。そうすれば沖縄の軍事的な価値というものも変化するでしょうから。いまのような状態で、沖縄の果たしておる軍事的安全保障上の役割りというものを全然頭に入れない返還論というものはなかなか実現の可能性がない。しかし、それでもいろいろな可能性というものが考えられるのではないか。そういうことで、あらゆる角度から、最高の目標である施政権返還に向かって、あらゆる努力を政府はやるべきである、こう考えておるので、後退という感じではないですね。非常にやはり最近は、その問題に対する政府の取り組み方というものは、かなり積極的な感じさえ私自身はしておる。
#93
○森元治郎君 いや、しかし、大臣は、から演説ばかりやっているので、実際問題になってしまうと、ずっとじみになってしまう。あなたの与える印象は、なかなかはでなんですよ。実質をつくというと、ちょっと影が薄いような感じがする。それはそれでいい。あなたが言ういろいろな毎度やいろいろなくふう、一歩速める方法、これはどうなんですか、列挙してください。
#94
○国務大臣(三木武夫君) たとえば、いままでこまかいことでもやったでしょう。外交保護権、旅券、移住、あるいは日の丸の旗の問題、あるいは自治権の拡大であるとか、こういうことを一つ一つ、そういうほんとうの施政権の返還というのが実現するまでに、何でも、それに向かって、できることは小さいことでもしていったらいい。そういう点で、施政権の全面返還という最後の目的が達成されるまでには、それに向かって一歩でも接近するようなことは何でも今後やっていきたい、こういう感じです。
#95
○森元治郎君 そうやって援助することがそれだけ向こうの施政権がへっ込む――岸さんの表現だったのですか――施政権がへっ込むならば、援助したかいもある。自分は施政権を持って、こちらは施政権がない。かわいいむすこだ沖縄は。さっぱりめしを食わしてくれない。こちらから金をやる。やったらやっただけ国の金を使うのですから、それだけ向こうがへっ込まなければならないが、一向へっ込まない。積み重ねていけば、日本も苦労したんだから、そのうち返すというほど、極東情勢はそんな甘いものではない。幾ら援助したから返す――援助の度合いで返すのではない。そういう淡い期待を持っている。おれのはうで百ドルやればお前のほうが百ドル施政権がへっ込むというのだったら、私はどんどん援助したい。それは後日大問題として別に伺いますが、そこで、岸さんがアイゼンハワー大統領と会ったとき、ハーターか知らないが、沖縄、小笠原の返還を七〇年ころにやろうとか、あるいはそのころに議題にするとかいうことを話し合いを申し込んだ経緯があると思うのですが、どうですか。
#96
○国務大臣(三木武夫君) どうも私はそういう話は聞いていない。アイゼンハワーと岸さんが会ったときに、一九七〇年が来たら、沖縄、小笠原の問題を取り上げて議題にしようというそういう話し合いが行なわれたということは、私は、そういうことはおそらくなかったのではないかと思います。そういうことは、私、記憶がございません。
#97
○森元治郎君 それから、外務省高官の話に戻りますが、外務省高官の言ったことは、もう一つは、一九七〇年、沖縄に比べると小笠原は軍事上それほど重要でないので……、アメリカの国務省のマクロスキー報道官だったか、依然重要だと打ち返してきた、重ねて外務省高官はこれに対してさらに、さっきの七〇年という話と、軍事的価値は少ないのだ、断固交渉するのだという強気なあれが出ましたが、この点はどうですか、沖縄、小笠原は。
#98
○国務大臣(三木武夫君) これは私はあらゆる可能性、いろいろな可能性というものを考えてみて、そうしてアメリカとの間に、これはわれわれは力でもってこの問題を解決しようというものではない。日米の協議を通じて両方がやはり両方自身が納得いくようなことでないと解決できないのですから、われわれはあらゆることを、あらゆる可能性というものを頭に入れて、全面的に返還ができるまでは、何もしないというのじゃないから、それに一歩近づけることは何でもやりたい、また、そのことがやはり実際的ではないか。そういうので、あらゆることを頭に入れて今後この最終の目的を達成できるように努力をしたいと考えておるのでございます。
#99
○森元治郎君 その一歩近づく可能性の中に小笠原及び南西諸島ですか、あの地理的位置は、非常に話しやすいのじゃないかと思うのです。ということは、いつでも軍事的に沖縄は重要だといいますけれども、小笠原というのは一つのつけ足りに入るのですか、ほとんど入らない、アメリカの声明から見ても。こういうのは可能性の一番あるものだと思いますが、どうかということと、それから、時間を経済いたしますが、こんな話を九月の日米経済委員会で外務大臣がお話するというようなことも出ておりますが、そういうことはやりますか。
#100
○国務大臣(三木武夫君) 小笠原というものが、いわば軍事的にアメリカ側としてのいろいろな考えもありましょうから、こういう問題については十分に日米間で話し合ってみる必要がある。われわれとしてはいろいろな場合を考えて、日本自身、そうしてアメリカ側と話し合いをしてみることが必要であると思っております。
#101
○森元治郎君 それでは次に移りますが、一体沖縄、小笠原は、平和条約第三条というものがあるわけでありますが、いまアメリカの説明によれば、極東情勢が静まれば返還ということもあると言いますが、条約には、極東情勢だの、軍事的情勢だの、軍事的必要だのとは書いてない。その点は一体沖縄はどうやってここを押えているか、その保持の根拠というものは画然と違うのだ、われわれの受け取り方と。条約条文は、御承知のように、アメリカを唯一の施政権者とする信託統治、アメリカがそういう案を出したときに日本はこれに同意する義務があります。それを出すまでは三権はアメリカのものとなっている。どこにも極東情勢は書いてない。これがわれわれ一般しろうとにもわからないのです。軍事情勢がこんなふうであるならと平和条約第三条に書いてあるならそうかと思うが、この間の事情を説明してください、保持の根拠。
#102
○国務大臣(三木武夫君) 条約論というよりも、条約の施政権者の意思です。アメリカとしては、極東の情勢、これが安定してくれば、唯一の施政権者であるがその施政権を行使する意思はないというその条約論からは来ないんです。施政権者の意思というものがそういう形で発表されておるのであります。
#103
○森元治郎君 われわれが、おそらく日本の代表がサンフランシスコの会議でやったときには、どうして沖縄がわれわれの本土から引き離されたのか、この点がわかっているようで案外ぼやっとして、何でアメリカがこれを押えたか、あの当時は軍事情勢ということも言っていなかったようにも思う。ふわっと握ったような感じがする。そもそも何であれを押えたんですか。
#104
○政府委員(藤崎萬里君) 当時のアメリカのダレス代表の説明は、連合国の中には、これらの諸島を日本から取り上げてしまえと言うものもあり、また、ある連合国は、日本の領土のままにしておけと言うのもあって、結局、その中間と申しますか、いまの第三条のような規定の形が、連合国全体、大部分が一致して受諾可能と認めたものであったと、そういうような説明ぶりをいたしております。
#105
○森元治郎君 私は、この沖縄問題で可能性とか、あるいは時期が来ればとか、極東情勢とか言っても、つかみどころないんですね。ひとつ、一歩折り目、筋目、マイル・ストーンというか、一つの日程を立てる意味でも、アメリカが信託統治の意思をなおこの条約どおり持っているのかどうか、この点を私はいまだかつてまだ聞いてないんですね。これを今後の接触において、何らかの形で公文、拘束力のあるようなもの、あるいは共同声明、どっかで一本取る必要があると思う。アメリカは信託統治にこの地域を持っていこうというつもりはないと、これは表現は条約局の頭のいいのが適当にうまくつくりますがね、しかも、それはやらないんだということがあれば、一つの大きな返還への進歩だと思うんですよ。これを極東情勢にからませているから――これは情勢なんというものは、一方的判断で、雲をつかむようですから、あぶなくないのにあぶないと言えば、これはいつまでたってもあぶない。ですから、私はきょうの質問のポイントは、日米間に、第三条の信託統治を提案するという、これはいまや――あの当時はあったかもしらぬけれども、いまやないんだという一本だけをひとつ取って天下に公表をする、これもひとつおやりになることが大事だと思うんです。解決への大きな一つの区切りになると思う。どうですか。
#106
○国務大臣(三木武夫君) 私はそれを聞く意思はないです。アメリカは、やはりなにでしょう、いま放棄する、信託統治を提案する意思はないとは言ってませんからね。それよりもやっぱり沖縄問題の解決というのは、アメリカから、もう一ぺんまた、平和条約三条にあるから信託統治の過程を経てというような考えはない。やはり施政権の返還はアメリカからやっぱり返還してもらいたい、こういう考え、そういうふうな平和条約にあわせて、それではアメリカはもうこれをあきらめたとは言ってないし、また、あきらめたとも言わないでしょうね、おそらく平和条約三条がおかしくなるから。だから、そういうふうな回りくどい過程をとらないで、やはり施政権の返還をアメリカから、アメリカがいま持っておる施政権というものは、これをもう施政権者としてのアメリカがその立場を離れれば当然に日本へ返って日本の主権は回復するんだと、こういう形をとりたい。ややこしい条約を基礎にして、もう一ぺん信託統治の過程というのじゃなくして、そういう形をとりたい。
 それから極東情勢というものは、一方的な解釈でわからぬじゃないかと言いますがね、これはやはり客観的なものがある。極東情勢は、やはりみなが、一応極東情勢の安定というものが、全然客観情勢を見ない、一切が主観だとは私は思わない。みなが見て、一応の極東情勢は安定したではないかという客観的な情勢というものはあり得るので、一方的に安定――だれが客観的に見ても安定しているのに、これは安定しておるのにまだ安定しておらないという、そういうものが極東情勢の安定だとは思わない。まあ、大体客観的に見て安定しているという判断は、客観的にあり得ると思うのであります。いまの現在の状態は、だれが見てもこの状態で、一方的な解釈ではないと、極東の情勢は安定しておらない。だれが見てもそういう客観的な判断というものは成り立つから、これはなかなかいろいろな場合を考えないと、すぐに軍事的役割りを負うた沖縄というものを全然無視した形において施政権の返還というのは、なかなか無理があるのではないかというので、時期が来れば、われわれが見て、客観情勢に変化が来た、極東情勢は安定したとするならば、われわれのまた考え方も変化が来ることは当然だと思っております、主観だけではないと。
#107
○森元治郎君 やはり、何といっても、われわれが分離された根拠は第三条にあるのですから、これについていまアメリカはどんな考えかわからぬと言うが、この辺も、やはり接触されるときははっきり、そのルートは別として、アメリカ側と十分な意見の交換をされて、いや、実はそんなつもりはないということを自分は話をして聞いたというような発表があれば、たいへん明るいのですね。依然、いま大臣のお話じゃ、持っていくかいかないかわからぬ。こんな不安定なことで、あんた、施政権返還なんということを言ってられないと思う。何かいかにも事実上に解決していかれるようでありますが、どっこい、参加国四十数カ国で結んだ条約、厳と書いてあるけれども、うっちゃって、ただ、なあなあで事実上ということはむずかしい。やはり、これは私はあくまで聞くべきだと思う。どうやるかわからない、まだわからないなんというのでは、外交責任者として、三木さんとして少しく足りないと思う。おやりになるべきだと思う。しかも、一本取るべきだ。その表現は、アメリカの立場もありましょう、いろいろそれは専門家の頭のいいのがこね回して何かつくるだろうが、信託統治に持っていくなんということをここに書かれているのは、ほんとうに醜態だと思うのですよ、われわれとしては。その点、もう一回ひとつ。
#108
○国務大臣(三木武夫君) そのときの事情で、いろいろ信託統治というものも出てきたのでしょう。そのときの事情がいろいろ背景にあったと思います。いまはもう歴代の大統領は、沖縄は日本の領土の一部であると、端的な表現をしている。ですから、アメリカが施政権を放棄したときには、当然に日本の潜在主権は顕現化すると私はもう信じている。これをいまさら、この信託統治にこれを一ぺん持っていくかいかぬかということは、むしろその質問はしょうがない。端的に、アメリカが施政権を返還したならば、それはもう当然に日本の主権は顕在化するということも私の確信であるし、日本国民全体の私はこれは確信だと思うのです。だから、もう回りくどい道なんかは考えないで、そうして日本にそのときには返してもらう。これは私は信じているし、アメリカも、大統領のいままでの発言から見たら、日本の領土の一部であって、自分は施政権を放棄して国連の信託統治をやる、そんなことは、アメリカ自身も、そういうことはあり得ないのではないか、こういうふうに考えています。条約論でなくして実際論として、大統領の発言なんかから、私はそれを信じているものでございます。
#109
○森元治郎君 アメリカという国は、最近、終戦後で見ると、昔のようなアメリカと変わって、だいぶ官僚的で、こまかい条文なんかに非常にこだわる、がっちりしたそれは外交交渉ですよ。アメリカは、昔の人のいいアメリカ人なんて思ったら間違いでこれはソビエトとやり合って教わったんでしょうけれどもね。だから、やはりこういうものは吹き飛ばすものは吹き飛ばす。何も遠慮なさる必要は毛頭ない。日米親善なんて言ったって、向こうはやるかやらないかわからぬ。やるかもしれない。信託統治に持っていくかしれない。そんなことで外交できませんよ。少なくともそれはないのだ、それは政治家三木さんが腹と腹で話はちゃんとつけるはずだ、今度行ったらぜひともそれをきめてもらいたいと思う。それをお願いします。
#110
○羽生三七君 いまの森委員の問題に関連して一、二お伺いして、そのあと近くバンコクで開かれるアジア太平洋閣僚会議についてお伺いいたしますが、いまの沖縄、小笠原問題ですが、特に小笠原の点についてお尋ねをいたしますが、あれだけ重要な軍事基地がある沖縄に、現にたくさんの同胞が存在しておるわけですね。ところが、小笠原には帰島もまだできない。しかも、軍事的な価値からいえば、沖縄と小笠原とは比べものにならないほど小笠原のほうがウエートが低い。その小笠原にまだ島民の帰島も認めないという、これは私、絶対に理解できないのですね。したがって、返還の問題もありますが、これはあとからとして、とりあえず、帰島ぐらいすみやかに実現するという、そういう決意で強くアメリカに当たるべきではないか。十分なる根拠を持っておる、理論的にも実際的にも。戦略的に見ましても、これは第二分科会で瀬谷君がこの点かなり触れましたので、多くは繰り返しません。ですから、戦略的なウエートから見ても問題にならないくらい差のある小笠原について、まだ島民の帰島も認めないような条件をそのままにしておいていいのかどうか、まずこれをやって、引き続いてこの返還ということに取り組むのですが、これを早急にお起りになるべきではありませんか。
#111
○国務大臣(三木武夫君) 私は先ほど森さんの質問に答えておる、「あらゆる可能性というものを追求するのだ」という中には、いろんな問題――その問題に限らず何でも、一歩でも近づけることは何でもやりたいということですから、いろんなことを考えて、まあ、極東に果たしておる沖縄、小笠原の安全保障上の評価をわれわれは非常にしておるわけですから、そういうこととの調和をはかりながらも、あらゆる可能性はどの問題も取り上げてまいりたいという考えでございます。
#112
○羽生三七君 いや、いま私が問題を限定してお尋ねしているわけですね。あらゆる可能性ということでの御答弁では困るわけです。帰島問題一本にしぼって、とにかく小笠原問題については当面の主力をそれに集中していくと、この程度のことはお答えになってしかるべきだと思うのです。ですから、これは外交上私たちがこういう質問してもたいした障害ありません。たとえば、小笠原だけの返還では、すぐ沖縄にそれははね返るから、これは一括して同じような取り扱いにせんならぬという、政府やアメリカもほぼそういうお考えでしょうか。しかし、帰島問題は切り離してできる問題ですし、それから、私が質問しても、外交上ちっとも相手国を刺激することでも何でもないことだと思う。当然の要求だと思う。これ一木にまとめて強力に推進すべきではありませんか。しかも、すみやかにです。いかがですか。
#113
○国務大臣(三木武夫君) 一本にまとめるという考えはありません。あらゆるものを、その中にはむろん小笠原の帰島問題もこれはわれわれとして話し合うべき重要な問題の一つだと思う。これ一本にしぼる考えはありません。もっとも、いま言ったように、何でもそういう最高の目標に向かって近づけることはほかのことでもやりたいと思っておるのですから、これだけに一木にしぼって外交交渉をやるという考えはないが、小笠原の帰島問題というのは、やはりいろいろ話し合いをする重要な問題点であることはおっしゃるとおりだと思います。
#114
○羽生三七君 もちろん、沖縄、小笠原を含めての全面返還を達成するためにあらゆる可能性を求めていくこと、それはわかりますが、私は帰島問題一つやればそれでいいというんじゃないんです。当面これに主力を置かれて話をされたらどうか。外相は、この前も総括のときに申し上げましたが、どうもうまく質問をそらされたようで、はなはだこれは遺憾ですが、これは強く要求して、時間がないので次の問題に移りますが、七月五日にタイのバンコクで開かれるアジア・太平洋閣僚会議、これに臨む日本の態度についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
 この会議については、昨年韓国で初の会議が開かれる際に、その性格についてずいぶんこの委員会で論議したんです。これは前外相の時代ですが、当時椎名外相は、韓国と二、三の国々が重点的に会議で討議しようとした政治的な問題、特に反共的な性格の会議にしょうとした際に、そういう性格の会議にしょうと韓国等がした際に、日本としてはできるだけ経済問題中心の会議にしょうと考えたようでありますし、また、事実ある程度その目的を達したと思います。あの会議の性格から見て、しかし、今度の会議は、ベトナム戦局とも関連をして、韓国及び二、三の関係国は、前と同様に、政治的な問題に議題の中心を置こうとするんじゃないか。また、特にベトナム戦局がこういうような状態にありますから、特に強くそれを打ち出すのではないかという考え方があります。そこで、これはおそらく先方は従来の方針に甘んずることはないような感じもいたしますが、聞くところによれば、日本の政府も、前回のように経済問題一木でなしに政治的な討議もしょうというように聞いておるのですが、この会議はもうあとわずか一月ちょっとで会議が開かれるわけですから、これに臨むひとつ外相の――外相自身がお出かけになると思いますから――お考えを承らしていただきます。
#115
○国務大臣(三木武夫君) 羽生さん、私はこう思っているんです。外務大臣の会議というのはほかにないんです。東南アジアとかは外務大臣ではないわけです。アジアの外務大臣が寄るわけですから、そこでいろいろな問題を自由に話したらいいじゃないかと私は思うんですよ。この問題はいかぬのだ、この問題はいかぬのだと言った、そういう窮屈なものでなしに、みながいろいろ自由に話し合ってそれで何らかの結論を出そうということは無理ですよ。この会議で、いろいろな会議で一本の結論を出そうということは無理だけれども、お互いにやはりいろいろな自由にフリー・ディスカッションをやって、それでお互いの考え方に理解を深めるという、そういう役割りというものはこれはほかにないですからね、外務大臣ばかり寄るわけですから。自由に話したらいい。それを一本の何かの決議をそこから出そうということは私は無理があり、そういうものにすべきではない。みながやはり自由な話し合いをして相互の理解を深める。やがてそれがアジアのやはり地域的な協力というものに役立つことがあるのではないか。ただ、いろいろこまかいプロジェクトで話すことも必要ですよ。専門家でもないわけですからね、外務大臣は。もっと大所高所から自由に話し合ったら――この問題はいかぬのだ、あの問題はいかぬのだと言わないで、そしてみな話し合ったらいいではないか。それを一本の線でまとめようというところに私は無理がある。自由に話していいではないか。何も政治問題だけをこの会議はやる必要がない。むしろ、経済問題というのは重要ですから、それを、もっと専門家の会議でなく、外務大臣の会議らしく大所高所から話し合ったらどうかと私は思っているんですよ。これを初めから、何かコミュニケでもつくらなければならぬというので、何らかの成果が出ないとこの会議の意味がないように思って、何か一つの結論に持っていこう、いこうという運営の方法はどうかなあと、私個人の意見ですが、そういう考えを持っているんです。
#116
○羽生三七君 実は、昨年のちょうどいまごろ、当委員会でその問題が論議されたときに、しかし、そうではあるが、できる限り、先ほど申し上げたように、政治的な問題が中心になったり、あるいは特に反共的な――主義の主張の問題は別ですよ――いわゆる反共的な性格の会議にするようなことは適当でないのじゃないかということで、これは椎名前外相が、意外にその問題ははっきりさして、当委員会で明確にして出発されたわけです。ですから、私はいろいろなことを議論されるのはよろしいと思います。されるが、もし二、三の国々が特定のベトナム問題等に関連をして何か政治的な意思表示をしようというような場合に、そういうことにまとめるような方向にその会議を持っていくべきでない、そういう強い希望を持って私は質問をしておるわけです。それについてのお考えをひとつ承りたい。
#117
○国務大臣(三木武夫君) これはおのおのみんな政治的立場が違いますから、それを政治的に一つの結論に持っていこうということはこの会議の性質上無理だ。そうなれば、外務大臣が一堂に寄るということだけでも私は意味があると思うのですよ。そうして自由に話をするということだけで意味があるので、それを政治的に何かの目的に持っていかなければならないと考えることは、そうしなければこの会議の意味がないのだと考えることは、私は、そういう会議というものを将来発展さすためにはためにならぬと思っておるのですよ。それだから、そういうふうなきまった政治的な立場でそこへ結論を持っていこうとしないで、外務大臣が一年に一ぺん一堂に寄って、そしてみんなお互いに知り合うし、お互いに自由な意見を述べ合うそのことが明日のアジアに役立つ意味があるのだ、そういうふうな考えがなければ、何だが自分の持っておる政治的な意見をこれで結論を出そうというふうな運営のしかたは、私はよくないと思っております。だから、羽生さんの御心配のようにはならないで、それで、やはり中心は経済でしょう。しかし、経済以外は話し合ったらいかぬという、そんな外務大臣の会議というのは、世界的に見たこともないわけですから、自由に話し合ったらいいが、しかし、それは必ずしも、何らかの結論まで持っていかなければこの会議の意味がないのだというふうに考える必要はないと私は思っています。
#118
○羽生三七君 いや、私は、日本が何かの結論を出そうとして会議の運営をしようと言うのじゃないのです。相手側がそういうことになった場合にどうか、こういうことをお尋ねしていたわけで、特に外相に当時の当委員会での椎名外相とわれわれのやりとりを見ていただければわかりますけれども、当時韓国は非常に強い意欲を持って、いま私が前段に申し上げたような方向に行こうとしたのです。それは外務省当局もかなりいろんな接触を通じて先方にいろいろな働きかけをして、また、関係国に働きかけをして、ある程度ああいう前回のようなことに押えたわけですね。しかし、今回ベトナム戦局がかなりこういう情勢になっておりますので、重ねてそういう問題が出たときのことを私は言っておるのです。特に、私のいま申し上げた問題のすぐあとに岡田宗司君が、もしそういう問題を相手国が持ち出した場合にはどうかと言ったときに、速記録を持ってきていますが、椎名外務大臣ははっきり、そういう場合には絶対反対をいたします、こういう答えが速記録に載っております。つまり、特定の目的、政治的なことを目的に何らかの方向へアジア外相会議を持っていこうとした場合には、私は反対いたしますとはっきりと述べ、これは速記録に載っておるわけです。ですから、私は特にそういうことを申し上げたわけです。そこで、こういう会議をそういう特定の政治的な目的にしぼるようなことにはしないと理解してよろしいですね。
#119
○国務大臣(三木武夫君) ええ、よろしいです。
#120
○羽生三七君 それから、これは日本が主催しておる東南アジア開発閣僚会議ですね、これとはやはり二つを並行していくわけですね。その辺のところはどういうふうにお考えですか。
#121
○国務大臣(三木武夫君) このASPACのほうは日本がつくったのでないんですが、これはこれとしての役割りは私はあると思う。外務大臣の会議ですから、役割りはあると思うんですよ。また、東南アジア閣僚会議は、これは日本がつくった土俵ですから、こまかい農業開発基金とか漁業開発センターとかいろいろやっておりますね、プロジェクトを中心にやっておるんです。これはこれで多少競合する面もあるかもしらぬけれども、年限がたってくるに従って、いろいろの役割りというものがお互いに競合しないでやっていけるのではないかというふうに考えます。アジアというものにいろいろな会議が私はあっていいと思うんですよ。将来、またこれがいろいろな一つの大きな機構になる日があるかしらぬが、いまのうちはいろいろな会議があって、そうしてアジアの連帯性、地域協力、こういうものがやはり盛り上がってくるのだというふうに考えて、ASPACはASPACなりの役割りを持っておると評価しておるのでございます。
#122
○羽生三七君 それからもう一つは、五木外相の構構であるアジア・太平洋地域の構想というものですね。これはずいぶんいろいろなところで外相もお話しになったり、また質疑応答も私は聞いておりました。聞いておりましたが、結局のところ、何らかの組織とか機関というものを持ちたいということを最終的な目標とされておるのか、単なる精神的なつながりなのか、この辺はどういうことなのでしょうか。
#123
○国務大臣(三木武夫君) 最終的には、私はやっぱりああいう一つのアジア太平洋機構といった背景の中には、アジアの南北問題の解決というものが私の頭の中に非常に大きくあるわけであります。やはりこれからの問題というのは南北問題だと思っているんですね、最大の課題は。そういうことで、世界全体の南北問題の解決のためにわれわれも協力しなければならぬのでありますが、アジアの一員ですから、アジアの地域的な責任というものを果たしていこうということを考えたときに、日本はアジアであって、アジアだけで解決するということもできませんから、やはりもう少し広い範囲内で、アジアの動向に対していろいろな直接の影響を持つ国々、これは遠い国々より関心が深いことは明らかですから、そういう広さで将来はやはりアジアの南北問題の解決、それをアジア・太平洋という広さで考えていきたいというのが、これが一番のねらいであり、そのためにはいろいろな案が将来出てくると思いますよ。ただしかし、日本側が先に案をつくってそうして追い込んでいくということはよくない、反発が起こりますから。だから、いまやるのは、一つにはやっぱりアジア・太平洋というものの全体の意識というものを高めなけれればならぬ。また、アジア自身の地域協力、こういう機運というものも盛り上げていかなければならぬ。このため日本はできるだけのことをしたらいいと思います。日本ができるだけのことをすれば、アジアというものは結びついてくるんですよ。みなアジアのリーダーというものは、初め独立するときには、非常に独立独立ということで指示したんでしょうけれども、いまはもう国内建設ですから、アジアのリーダーに課されているのは非常に現実的になっておるんですから、あまりイデオロギーばかり言ってもめしは食えぬという感じですから、そういうことで非常に現実的なじみな考え方を持ってきておりますから、これが背景になってアジアの地域協力というものも非常に進んできておるわけですから、この問題もやっぱり日本もできるだけの後援をしながら地域協力の機運を盛り上げていったらいい。太平洋の先進諸国、これは貿易の上からいっても結びつきが多いんですから、こういう国々がやっぱり将来貿易の自由化という線に沿うてもっと結びつきが出てくるんですね。このアジア・太平洋の先進諸国というものの協力関係というものも、これは一つの検討に値する。こうなってきたら、こういう三つの側面があって、こういう雰囲気の中にやはりアジアと太平洋先進諸国を結びつけて、アジアの南北問題の解決に寄与したい。これがアジア・太平洋外交といわれておる内容でございます。そういう形以外にアジアの南北問題を解決する方法はないと強い確信を私は持っている。それをあまり急いでやったら、それは日本が何かいろんなことを考えているのだと言って結局成功しないですから、時間をかげながらそこへ行く以外にアジアの開発というものを促進する道はないのじゃないか。その確信のもとに、これは羽生さんなどのいろんな見識を持った方々の御協力も得て、これをやっぱり成功させたいと願っておるわけでございます。
#124
○羽生三七君 私は、日本が先に案をつくって、主導権をとって、相手の国にこれはどうだと、こういうことを押しつけるということを決して言っているのじゃないですよ。終局的には、それは単なる精神的なつながりをやるのか、それとも何らかの機構なり組織なりのまとまりのあるものにしたいと考えているのか、それを言うているのであって、日本がまっ先に案を示して、さあ、これに君たちも同調しろ、こういうことを言っているのじゃない。そうでないと――アジアにはいろいろな国がありますよ。ところが、オーストラリアとかニュージーランドとか、いわゆる太平洋の中の先進国というものは別のもので、ただ精神的なものだけですね。ですから、終局的にはそういうものは何か一つのつながりを持つことを外務省としては期待をされておるのかどうか、それを伺っているわけです。
#125
○国務大臣(三木武夫君) 私は非常に期待しておるわけです。最終的には、何らかのこれを結びつける協力体制というものがいつの日にか生まれることに対して非常な期待を持っているということであります。
#126
○羽生三七君 ほかに伺いたいことがありますが、まだ御質問者もあるようでありますから……。
#127
○黒柳明君 中東の問題について若干お伺いしたいと思います。
 アラブ、イスラエルの軍隊が集結し、さらにけさの報道によりますと、発砲事件が起きている。このような情報が伝えられております。ますます緊迫の度を加えてくるのじゃないかと思うのですけれども、外務大臣として、いま現在のこのアラブ、イスラエル、いわゆる中東の危機についてどのような御所見をお持ちでしょうか。
#128
○国務大臣(三木武夫君) 黒柳さんも御承知のように、五月初めごろからシリアとイスラエルとの間にいろんな事件が起こって、そういうことからイスラエルが非常に強硬な態度に出てきた。そうして強硬な声明をした。それからまた、アラブ連合はシナイ半島に軍隊を移動して、そうして非常事態宣言を、五月十五日でしたか、した。五月の十八日には国連軍の撤退を要求した。そういうことで、急に中東の緊張状態が起こった。これに対しても、御承知のように、国連などにおいても、きょうもやっぱり安保理事会を開いて、何とかしてこれを戦争に入らないように解決しようという努力が続けられておる。ウ・タント事務総長も混合休戦委員会復活の提案を行なっているわけでございます。したがって、われわれは、この中東の状態が戦争状態に入ることなく、これは解決までには時間かかりますが、あそこの中東が非常な戦争状態に入らないで、この問題というものが、一応時間はかかるにしても、そういう破局的な状態に立ち至らなくて、解決の方向に、だんだんと時間をかげながら近づいていくのではないかと見ておるのですけれども、とにかくイスラエルとアラブ諸国というものは、これはこの間の妥協はなかなかできないのですね、非常な敵対関係にあるものですから。ですから、これはやっぱり世界のうちで一つの常に危険な地帯であることは間違いないが、このことによって、両方とも戦争に訴えてもという、アラブ連合にしても、あるいはイスラエルにしても、そこらまでのことは考えていないようでありますから、このことが直ちに戦闘に入るとは見ていないのですけれども、とにかくアラブ連合とイスラエルとの多年にわたる、ちょっと妥協の余地ない対決状態は、今後国連を中心として、われわれとしても深い関心を持たざるを得ないと考えております。
#129
○黒柳明君 いま外務大臣がおっしゃったように、安保理事会がけさ始まってこの問題を討議されているわけですが、わが国として何か国連大使を通じて日本政府の意思を表示するようなお考えはございませんか。あるいは、いまおっしゃったように、推移を見るだけだ、傍観している、このようなことでしょうか。
#130
○政府委員(服部五郎君) お答えいたします。ただいま緊急安保理事会がカナダとデンマークの要請によりまして開かれております。そうして、カナダとデンマークが決議案の準備をいたしております。この決議案の内容はきわめて簡単なものでございまして、現在の中東における状態を悪化させないようにあらゆる国がこれに努力するということと、安保理においてこの問題を継続審議するという二項目でございます。で、もちろん、この決議案に対してはわれわれも賛成でございまして、もし投票に持ち込まれますれば、もちろん賛成いたす予定であります。ただし、一方、アラブ連合も別な決議案を準備しているようでございます。これはどういう内容のものになりますかわかりませんけれども、いずれにしても暫定的に状態が悪化するのを防止するようなこういう決議案というものができることは望ましいと考えておる次第でございます。
#131
○黒柳明君 今回の場合には中東の問題であって、地理的にも、国際情勢上もわが国とそんな深い関係はないと言えばないのですが、一方、国連におけるわが国の立場――いまもおっしゃいましたように、デンマーク、カナダがすでに決議案を出して、それに対して安保理事会で討議がなされるという、非常に積極的なほかの国連参加国の態度が見られるわけなんです。分担金だけはわが国は一流国並みの金を払いながら、何か国連における活躍そのものが一歩、二歩後退して縮まっているのじゃないか。まあ、極東のベトナムの場合にはいろいろ努力している、努力の域を越えた分が相当あるのですけれども、今回の場合においてはあくまでも、大臣がおっしゃいましたように、そんなに拡大される見込みはないと思いますけれども、ウ・タント事務総長あたりは相当な決意を固めて、ベトナムと同じくらいなウエートを置いて必死の調停をとっておる。こういうかまえが見られるわけですが、もうちょっと伸び伸びとしたといいますか、積極的な活躍を国連で当然期待していいんじゃないかと思います。そのためにはやっぱり日本政府も国連大使に訓令を発するとか、あるいはこちらの態度表明を積極的にさせるとか、そういう積極的な政府の態度が国連大使を通じて国連の場に反映していかなければならないのではないか。要するに、今回の場合、決議案が討議されれば賛成する。こういうようなことではなくて、もう一歩積極的に決議案でも出すくらいの態度でもあったらいいんじゃないか。また、今回のみならず、今後の国際問題、いろいろな問題に発展していくと思うのですが、もっと活発な国連におけるわが国の活躍を要望したいのですが、いかがでしょう。
#132
○国務大臣(三木武夫君) 黒柳さんの言われるように、日本の地位は非常に影響力を持ってきておる地位ですから、非常に遠方に起こったことに対しても、日本はやっぱりその解決に責任を持つ国の一つになりつつありますね、遠方であっても。そういうこの取り組み方の誠意というものは今後要ると思います。どんな遠方に起こったんでも、これもやはり日本は遠方のことだからと言って済まされないような地位になりつつある。今度の場合も、決議案の提案者にはならなかったといっても、安保理事会のメンバーであります。日本の発言というものは影響力を持っておるわけでありますから、黒柳さんが御心配なさるように、いまもう何かこうついていく、そういう地位ではない、国連の。しかし、もっとやはり、世界のあらゆる問題に対して日本は影響力を持つのだから、自分の問題として取り組むという、そういう誠意というものはますます必要になってくる。しかし、安保における日本の立場は、そんなに今日の立場というものは低い立場だとは私は思わない。日本がどういう態度をとるかということは非常な影響力を、昔は、人さまがする態度を見て日本はあとからきめてもそれは影響力はなかったが、今日ではそうはいかないのですから、そういう日本の国際的立場というものは、国連の第一線にあるものと十分自覚しながら国際政治の中で活躍をしておるのですから、今日、日本は国連の中における地位もあまり重い地位ではないのではないかという御心配は少し実情と違うのではないか、こう考えております。
#133
○黒柳明君 確かに私も相当なウエートを置いていると思うのですけれども、それであればあるほど、国連におけるわが国の活躍、そういうものがもっともっと国民に知らされなければならない。そのためには、国会において私たちに報告、あるいは国連でどういうことをやっているのか、そういうことをぜひ知りたいと思うのです。こういう討議を通して、マスコミを通してやはり国民の人たちはわが国の活躍というものを知るよりほかないわけです。ですから、ぜひ、その国連で行なっていること、これを国会において報告くらいさせる、あるいはいま言った問題を、一々国会の議決とかあるいは承認、こんなことにはこれはならないと思いますけれども、当然わが国の去就というものは非常に国際的にウエートをますます置くようになるわけですから、国連に対して、政府がどのような国連大使に対して指示をするのか、もっとオープンにするような機構、体制というものを確立もしていただきたいと思うのです。まず、その国連大使の活躍、それを国会に報告させる。このようなこと、いかがでしょう。
#134
○国務大臣(三木武夫君) それは確かに必要だと思います。ただ、やる場合に、動いてくるでしょう、相手もあることですから。一々旗立てて、こういうふうな日本は方針だと言っても、これは相手もあることですから、そういうことに適さない場合もありますから。しかし、国連におけるわが国がどういう立場をとりつつあるかということは、いままでも必要に応じて報告しておるようですが、もっと報告する必要があると私は思います。これは何らか機会、どういう方法がいいか、考えることにいたします。
#135
○黒柳明君 小笠原と沖縄、若干質問したいと思います。
 先ほどいろいろ質疑ございましたので、確かにアメリカは小笠原の返還拒否、その態度に、極東の緊張と米軍基地の必要性と、この二点あげているのですが、大臣もお読みだと思うのですが、ワシントン・ポストは、軍事基地の必要性という欄で、沖縄には気象観測所と小規模な海軍の基地しかないのだ、それがアメリカが軍事基地の必要性というのはちょっと大げさじゃないか。あるいは返還を拒否するための、拒むための口実としてではないか、このような記事も報道しているのですけれども、この点について、当然日本として、海軍基地がどのようなものであるか、あるいは気象観測所の規模が、それがアメリカ当局が言う軍事的必要性にどういうふうに関係があるのか。これをチェックするすべもないのですけれども、やはり向こうの一流紙が報道しておるということは、何らかの真実性も考えなければならない、頭に置かなければならないと思いますが、今後小笠原の返還を要望するにあたって、こういう点についてはいかがでしょう。
#136
○国務大臣(三木武夫君) いろいろな、そういうワシントン・ポストの記事も、新聞も読んだのですが、われわれとしては、ワシントンの政府といろいろと話をしなければなりませんですから、いろいろなことを頭に入れて十分話をしてみたいと考えております。
#137
○黒柳明君 またこれも向こうの一部の論評ですけれども、要するに、日本は小笠原を突破口として今度は沖縄問題で反米思想を巻き起こしていくのじゃないか、このような一部の観測があるわけですけれども、これに対しては、当然わが国としてはわが国の態度をはっきりしなければならないと思うのです。そうじゃないと、全然沖縄の問題と小笠原の問題とは次元が違うので、そのために、今度夏以降に予想されている外務大臣あるいは総理大臣の訪来にあたってこのような点をはっきりさせなければならないと思うのですけれども、大臣、いま現在、このようなことについてはっきりアメリカの高官と当事者と話し合いをし、意思表示をして、明確にしてくる、このようなお考えはございませんか。
#138
○国務大臣(三木武夫君) これは極東の安定のために沖縄の果たしている役割り、われわれもその役割りというものに対する十分な認識を持っているわけでありますから、何もアメリカだけが返せるのに返さないのだというふうには見ていないわけです。今日の不安定な極東情勢の中における沖縄の役割り、沖縄の基地としての役割りというものは、これはわれわれとしても十分認識しているわけですから、これをしたら次はこれだ、そういうふうな考え方はないわけですから、そういうことは十分アメリカにも日本の立場というものを説かなければならぬと考えております。
#139
○黒柳明君 その説かなければならない条件の中に、わが国の安全保障の問題、それとやっぱり領土問題との関連性について、はっきりわが国の態度――はっきりと言ってもどの程度はっきりか、明確か、現在の時点においてできるかわかりませんけれども、可能な範囲ではっきりさせなければ向こうも納得しないのじゃないかと思いますけれども、その点いかがでしょう。
#140
○国務大臣(三木武夫君) はっきりといいますか、極東の安全のために沖縄の果たしている役割りというものは、これはわれわれはやっぱり非常に認識をしておるわけですから、そういう意味で、全然そういうものを認識しないで沖縄問題を論ずるということになれば、これはもう正面から考え方が違うわけですが、そうでないのですから、だから、アメリカとの間には、いろいろとこちらの意見も言うし、向こうの意見も聞いて話し合いをすれば、これはお互いの立場というものを誤解なしに認識する共通の立場というものはあり得ると私は信じておるわけであります。そんなに対立するものではない。沖縄の基地というものが持っている役割りというものは、両方とも、われわれもこれは認識をしておるし、アメリカもそういう立場からアメリカ自身が施政権の返還問題と結びつけて考えておるわけですから、われわれもまた、その役割りというものを認識しておるのですから、自民党政府とアメリカの立場はそう根本において意見の食い違いはないということでございます。
#141
○黒柳明君 あと一、二点ですが、そうなりますと、たしかアメリカの言い分もあると思うのですけれども、そんなに食い違いはないと思うのです。昨日も新聞報道でアンガー高等弁務官がはっきり早期返還は否定をしているわけですね。その中で、共産主義の脅威がある限りは返還できない、こう言っているのです。共産主義の脅威、これは直接会って聞いてみなければわかりませんけれども、私、たびたび委員会で質問したのですけれども、中共の核はどうか、これははっきりわが国の脅威であると、こういう総理はじめ大臣のお答えがあったわけです。そうすると、この中共の核も当然共産主義の脅威目標の一つに弁務官は考えているのじゃないか。そうなりますと、確かに極東情勢の推移、これによっても沖縄返還の問題は考えられますけれども、いまの極東情勢じゃ返還できない。ベトナム戦争のこういう段階じゃ返還できない。ところが、今度は極東情勢を、一歩おいて、共産主義の脅威がある限りとなりますと、御存じのように、ますますこれは半永久的に中共の核というものは開発されていくでしょうし、これは当然共産主義の脅威としてアメリカにもわが国にも半永久的に続くんではないかと思いますし、また、脅威であるとはっきり各大臣はおっしゃっているわけです。そうすると、この面からも沖縄の返還というものはもうほとんど見込みないんじゃないか、こういうちょっとややこしい質問ですけれども、いかがでしょう。
#142
○国務大臣(三木武夫君) いや、これはいろいろ新聞に出ますけれども、われわれはワシントンの政府といろいろ話をしてみたいと考えております。
#143
○黒柳明君 当然ワシントンが中心ですし、私たちも外務省高官より大臣のおことばを信じていますけれども、やっぱり、でも外務省高官筋という発言に非常にウエートを置く場合がある。また、大臣もそれに対して非常に気もつかわれる。まして現地の最高指揮官の高等弁務官が、共産主義の脅威がある限りは絶対返還しないとはっきり断定した発言をしているわけですね。国会論議において、小笠原問題含めての返還する、しない、アメリカあるいは大臣あるいは外務省高官筋のそういう発言の最中にこういう発言がまたあったわけです。ですから、まあ、ワシントン当局に聞いてみなきゃわかりませんけれども、現地の指揮官というこの者の意思は、はっきりここに半永久的に返還をしないんじゃないか、するつもりはないんじゃないかというような気がするんですけれども、このことばから受ける大臣の印象はいかがでしょうか、共産主義の脅威。
#144
○国務大臣(三木武夫君) それは脅威というものをどういうふうに考えますか、核兵器を隣の国が持っておるということだけで脅威と見るか、これに対する抑止力もございましょうし、それだから、沖縄が永久に施政権は返らぬのだというふうな、そういう結論も出てこないのではないかというふうに考えます。
#145
○黒柳明君 先ほど問題になりました、あらゆる手段を講じて施政権返還に一歩前進すると。今回立法院の議長が来るらしいですけれども、そのとき三つの決議案を持ってくる。その中の一つに、沖縄の国政の参加と、こういう問題を持ってくるらしいですけれども、国政参加については大臣どのようなお考えを持っておりますか。
#146
○国務大臣(三木武夫君) それは日本の国内法規との関係ですから、だから、その気持ちはわかりますけれども、日本の国内法規との関連性というものを十分検討しなければ結論は私は出せない。
#147
○黒柳明君 もう一問。これもけさの新聞報道で――新聞ばかりですみませんけれども、沖縄と本土の一本化をするというようなことで、わが国から国家公務員を沖縄に派遣する、何かしらの一本化の推進をはかる、このような報道が出ておりました。これについてどのような構想がいま現在固まって、あるいはどのような大臣としてのお考えをいま現在お持ちになっているんでしょうか。
#148
○国務大臣(三木武夫君) それは何も、国家公務員を派遣するというのは、どういう新聞に出ていたのか、私のところから出たものではございません。
#149
○黒柳明君 自治省でそういう考えがあり、また、外務省内部もそういう考えを持っている。
#150
○国務大臣(三木武夫君) それは自治省がどういう考えなのか、まだ私は聞いておりません。
#151
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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