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1949/05/13 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第15号
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1949/05/13 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第15号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第15号
昭和二十四年五月十三日(金曜日)
   午後二時十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
五月十一日(水曜日)委員鎌田逸郎君
辞任につき、その補欠として町村敬貴
君を議長において選定した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○都道府縣の所有に属する警察用財産
 等の処理に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○道路交通取締法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
○古物営業取締法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより委員会を開きます。先ず都道府縣の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律案を議題に供します。前回に引続いて質疑を行います。御質疑はございませんか。別に御質疑もなければ本案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにして御述べを願います。別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。都道府縣の所有に属する警察用財産等の処理に関する法律案は原案通り可決することに御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#4
○委員長(岡本愛祐君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚、本会議はおける委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならぬことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とする方は順次御署名を願います。
 多数意見者署名
    西郷吉之助  太田 敏兄
    林屋亀次郎 深川榮左エ門
    柏木 庫治  島村 軍次
    小川 久義  町村 敬貴
  ―――――――――――――
#6
○委員長(岡本愛祐君) 署名洩れはございませんか。ないと認めます。速記を止めて。
   〔速記中止〕
#7
○委員長(岡本愛祐君) それでは速記を始めて下さい。
 次に道路交通取締法の一部を改正する法律案の予備審査を行います。先ず所管國務大臣の説明を求めます。樋貝國務大臣。
#8
○國務大臣(樋貝詮三君) 道路交通取締法の一部を改正する法律案についての提案理由の御説明を申上げます。
 終戰以來、自動車など高速交通機関の増加によつて、道路における交通はとみに混雜の度を増して参つたのでありますが、これに伴い、交通事故発生の危險も著しく増大しているのであります。事実道路上における交通事故の件数は、終戰以來増加の一途を辿つており、それによる悲惨な死傷者も日々想像以上の数に上つているのであります。
 現行道路交通取締法は昭和二十二年十一月に制定され、翌二十三年一月から施行されたものでありますが、現在の道路上における交通の実情や交通事故累増の傾向を考えますと、現行法ではこれに対應するにいまだ不充分の憾があるのであります。
 このような見地から、先づ歩行者と車馬との間の事故を防止する爲に、歩行者は原則として道路の右側を通行することとし、歩行者と車馬とが道路の同じ側で相対面して通行する方式、いわゆる対面交通を採用することにいたしました。次に交さ点における車馬の交通の円滑を図る爲に、自動車の右折を、いわゆる小廻りの方法といたしました。またこれに伴つて、交さ点を横断する歩行者の安全がおびやかされないようこれを保護する規定、その他車馬相互間の通行の順位に関する規定を整備し、以て交さ点における事故防止を図ることにした他、若干の改正をいたしたいと存ずるのであります。
 以上の主旨によりましてこの法律案を提出いたした次第であります。何卒愼重御審議あらんことを御願いいたします。
#9
○委員長(岡本愛祐君) それじや説明員。
#10
○説明員(中野正幸君) それでは簡單に只今御審議に相成ります道路交通取締法の一部を改正する法律案を御説明申上げます。初めに第三條、恐縮でございますが、新旧條文対照表を御覽頂きますとお分り易いのじやないかと思います。お手許に配付しただろうと思いますが、法律案でなくて、新旧條文対照表の上の方の新という方を御覽頂きたい。横線の引張つてあります方が直る條文であります。そちらを御覽頂きたいと思います。
 只今大臣から提案理由として御説明申上げました通り、先ず第三條は対面交通を規定してございます。これは「歩行者は、右側に、車馬は、左側によらなければならない。」但し二項で歩車道の区別のある道路におきましては、歩行者は道路の左側を歩道を通行することができる。要するに歩車道の区別のない道路におきましては、車馬は左側、歩行者は右側を通るということにいたしたいと存ずる次第であります。我が國におきます左側通行制度は明治十四年の十二月の警視廳達におきまして車馬や人力車は左に避ける、行き合つた場合には左に避けるというのが規定されましたのがそもそも濫觴と思われるのであります。左側通行として現実に制度化せられましたのは明治三十三、四年でございます。その後今日に至りますまで左側通行と申しますことが我々の交通安全のために非常な大原則であるというふうに思われておるのでありますが、つらつら考えますのに、左側通行、右側通行、そういうことは單に純粹に交通安全、交通事故防止の見地からのみ考えられるべきことであると思うのであります。そういたしますと、歩行者は勿論、申上げるまでもなく人間は前から参ります交通に対しましては眼と耳と双方の機関を以ちましてこれを認識し、これを警戒することができるわけでありますが、後から來るものに対しましては耳で聞くしかないわけであります。殊に頭巾を被つておるとか、その外いろいろなことのために耳の方だけでありますと、非常に後から追い越します車馬の警笛が聞こえないという場合がございます。又後から参ります自動車の側から見ましても、非常に黒い背中では夜分なんか非常に見えにくいというそういう理由で、対面交通はどうしても現在の双方左側を通る交通よりも事故防止上有効である、そういうふうに考える次第でございます。まして只今の大臣の御説明にもございましたように、アメリカにおきましては、聞くところによりますと、各州ともこの制度を法規を以て制定しておるそうであります。尚イギリスにおきましては、成文としてはございませんようでございますが、慣習といたしまして対面交通が確立しておるというふうに聞き及んでおります。さような次第でございますので、我が國といたしましても段々自動車その他の高速車馬も増加して來ます際でありますので、この際対面交通の制度を採用いたしまして、事故防止に資したいと存ずる次第であります。
 次の第四條は今までの学生生徒の隊列、そういつて行列だけでは不十分でございますので、その他「歩行者の交通を妨害する虞のある者」といつたようなものもやはり車道を通つてもいいというようにいたしたいと思います。
 それから第七條は簡單な規定でございますが、軌道車をやはり車馬と同じように無謀操縱をして事故の元になつては困りますので、無謀操縱を禁止するということにいたしております。
 次に第八條で法令に今までありました車馬又は軌道車の操縱者は、法令に定められた速度の範囲内で、公衆に危害を及ぼさないように操縱しなければならない、この中の「法令に定められた速度の範囲内で、」というのを削つたのでありますが、只今ちよつと言及いたしました第七條の無謀操縱の第五号であります、「法令に定められた最高速度の制限を超え又」云々と書いてございまして、最高速度の制限を超えてやつてはいけない、運轉はいけないということは第七條と重複いたします。尚罰則が双方とも喰い違つておりまして、現実の運用として誠に困りますので、第八條は「速度の範囲内」ということを削りましてスピード制限というのは無謀操縱一本に纏めたいと思います。
 次に九條でございますが、九條は今まで自動車の運轉免許に関しまして、一項で非常に簡單でございますので、これを「運轉免許証を交付して、これを行う。」免許証という字を法文に掲げることにいたしました。同時に今までは運轉免許証を受けて且つこれを携帶しなければ運轉してはならないとなつておりまして、免許証を受けないで運轉する者と、携帶しないで運轉するものといわゆる無免許運轉と不携帶運轉が同じ項にありましたが、罰則も同じになつておりましたのでございます。これは無免許運轉と申しますのは、そういう資格がなくして運轉いたしますので、可なり情状としても重いと思われるのでありますが、不携帶の方はほんの不注意で携帶しなかつた、免許証は持つておるけれども携帶しなかつたという場合があり得るので、この間の罰則を分けると申しますより、不携帶運轉の原則を軽くするという意味で、項を分けた次第であります。
 それから第十二條では併進したり、後退したり、轉回U字型轉回と申しまして一つの道路の方でぐるつと丁度三百六十度回轉して帰つて來るのがU字型轉回と申しますが、そういうことは、例えば銀座通りその他新宿といつたような所では常に相当の区間を限りまして、一定の時間、その他片側とか、いろいろな制限を設けて可なり併進、後退、轉回を禁止する必要があると思いますので、そういう権限を公安委員会に與えたいと存ずる次第であります。
 それから次に第十四條でありますが、これが先程の大臣の説明にありました右小廻りでございます。これは第一項は左折する場合は、これは現在と変つておりません。ただアプローチと申しますか、交さ点へ來る前から今度曲ろうとする方向に應じまして、初めからその道路の片方に寄つて貰うということにして、左へ曲る車は予め左へ曲つて貰う。直進する車は眞中を通つて貰う。右折するときに成るべく方に寄つて貰う、そういうことにいたしたわけであります。この第二項で右折の場合を考えてございますが、これは右折するときはできるだけ道路の中央に寄りまして交さ点の中心の直近の側を除行して貰う。これは申し遅れましたが、自動車だけでございますが、自動車は高速でございまして、現在は第三項にございますように、自動車以外の車馬は現在の三項の規定にありますように、一遍青の進めの信号に應じまして、道路の端まで交さ点の片方の端まで出ておりました。又曲ろうとする方向が進めになつてからそちらへ廻るということに現在はなつておるわけでありますが、これを今後は自動車以外の車馬に限りまして、自動車は片方が青であります中に、つまり赤の方に向つて曲つてしまうことはできる、そういうふうに曲つて貰う。そういうことにいたしたいと存ずるのであります。これは段段自動車その他の車輛も殖えまして、交通が複雜になりますと、この方が交通を円滑にするゆえんでございまして、尚これに伴ないまして歩行者が横断歩道の未未。歩行者の歩道につきましては、後程該当條文で御説明申上げます。
 次に第十六條でありますが、これは優先通行以下相当條文、いわゆる優先通行の規定でございます。この十六條にございますのは、各種の自動車が優先順位に從いまして、順位に後のものは先のものに進路を讓らなければならない、そういう規定でございます。それで今までと違いまして緊急自動車が第一順位、これは依然として前の通り、軌道車は軌道の方しか走りませんので、これは第二順位、次に緊急自動車以外の自動車がこれが次の第二号にございますように、緊急自動車以外の自動車は、例えば普通の乘用車、それからトラックとかバスとかああいう大きなもの、その次はスクーター、ディスモーターとか、ああいつたような種類、そういう三種類に現在、最高速度が分れております。それを第二項で通行順位を定める、ですからディスモーターやスクーターは後から普通自動車が参りますれば、進路を讓つて貰うということにいたしたいと思います。それから自動車以外の車馬が一番遅いのであります、これが一番最後になります。かようなものについて通行の順位による通行の区分や又道路を讓る方法、又道路を讓らせる方法、そういつたものにつきましては、命令に委任してこれを規定したいと思います。
 次に第十七條は交通整理の行われていない交さ点の場合でありますが、その場合におきましては、通行の順位に拘らず、要するに向うが牛車であつてもこちらが普通自動車でありましても、他の道路からすでに交さ点に入つてしまつておる車馬又は軌道車に対しては進路を妨げてはならない、これは先へ入つたものが勝ちだということであります。但しここで御注意願いたいのは、これは進路を讓らなければならないと書いてございません。進路を妨げてはならないとございます。前に入つたものが勝つけれども、併し自分の方がそれより早く前に通り拔けられるという場合におきましては、通つていいわけです。進路を讓る必要はないのでありますが、ただ先に入つたものの進路を妨げてはいけないということになつております。それから次の十八條は狹い道路から廣い道路に出て参りますと、交通が頻繁の道路に入ろうとする場合におきましては、狹い道路の方の車馬に少し遠慮して進路を讓つて貰うということになつております。これは現在は一時停車するか、又は徐行するということになつております。その選択がそのときの具体的の事情によつておつたのでありますが、これは一定の交さ点につきましては、すでに一旦停車させる必要があるのではないか、現行法規ではそのときに具体的のいろいろな條件が非常に分りずらいのであります、現実の問題として立証し難いような事情もございますので、そういう危險なところならば、現実の事情に拘わらず常に一旦停車すべき場所を定める必要があるということで、その権限を公安委員会に認めたいということであります。御参考までに、これは欧米等におきましては全部常に一旦停車ということになつておるようでありますが、こちらは今までは、選択だつたのです。提出いたしました法案では選択でなくて、公安委員会が特に必要があるとしますれば、一旦停車する場所を指定することができる。そういう権限を公安委員会に與えたいと考えておる次第であります。次に第十八條の二でございます。これは右小廻りの採用に伴いまして、優先交通の準位を決めた規定でございます。これは若干複雜しておりますので、簡單に申上げますと、右小廻りは要するに青のうちに右小廻りできますので、右小廻りする自動車と反対側から進んで参ります自動車と一遍どうしても交さ点の中でぶつかるというようなことになりますので、その場合にどちらが勝つかという規定でございますが、その場合直進するものが勝つ、右折する方が負けるんだということであります。併しここに但書きにございますように、合理的に判断できる範囲で、向うから直進して來る車の前を突切れるという場合におきましては、一時停車したり、又は除行して進路を譲る必要はなくて、ただ徐行したままで直ぐ通り抜けてよろしいということになつております。尚そういう場合におきましては、向うから直進して來る自動車、これに今の右折してしまつた――もうすでに右折を開始してしまつた自動車に対しましては、向うから直進して來る自動車の方が負けて、進路を譲つてやるというわけであります。この点は御質問等ございましたら、後日詳細に図面でも以ちましてお答え申上げたら便利かと存じます。
 次に十九條は、これは今までの優先交通の規定を整備いたしました関係で、例外の條文を置く必要ができただけでございます。
 それから第十九條の二、これが右廻りの採用に伴いまして歩行者を保護したいと考えた次第でございます。今の日本流の右廻りの方法、要するに青のうちに、青の出るところまで行つて廻つておりまして、今度廻つた先が青になつてから右に廻る、そういう様式、これは大体において歩行者本位ということができると思うのであります。歩行者が同じ方向の横断歩道を通つておりますので、その横断歩道を通つております歩行者を脅かさないというためには、現在の方法がいいわけであります。併し先程申上げましたように理由によりまして、一つの信号で右へ廻つて貰つた方が交通が円滑に行くと思いますので、そういう制度を取ろうと考えるのでありますが、その場合には今度は横断歩道を信号に從つた通行します歩行者をやはり放つておいては片手落になると思いましたので、それを防ぐために、右廻りするものは丁度自分の進路を通行している横断歩道の歩行者の通行を妨げてはならない、と申しますのは、これは若干御説明を要すると思うのでありますが、何でもかでも横断歩道を通行しております歩行者を保護いたしますと、右廻りの自動車が沢山溜つてしまいまして、却つて円滑が非常に阻害され、右廻りの自動車は交さ点の中央に沢山溜つてしまうということになつてしまいますので、無條件に横断歩道を通ります歩行道を保護するわけには行かない、但しそこまで参りました自動車も自分の進路に入つておる歩行者に対しては、自分の方が讓らなければならない、それで歩行者をも保護し、又一面右小廻りの自動車が停滯いたしまして、交通が円滑を欠くということを防ぎたいと思いましたわけでございます。
 それから次の第二項は交通整理の行われていない交叉点、この場合におきましては、今御説明申上げました第一項の場合のように、交通量が余り多くない、交通整理もやつていないような交さ点でありますので、交通量が余り多くないと考えますので、そういう場合におきましては、車馬又は軌道車は、十分歩行者の安全を確認して通つて貰う、又歩行者の方もなすべき当然の注意を拂わないで車道に入つたり、又当然車馬の前に飛出してはいけない、双方に注意の義務を與えたわけであります。
 次の二十三條は、現在も諸車の乘車、積載、けん引等の危險の場合、特に積載などが非常に過重であるために起しました事故も多いのであります。そういうことにつきまして、現在では「一時その運轉を停止することができる。」とありましたのを、これは若干はつきりいたしまして、「一時運轉を停止し、運轉者に対し、そのために必要な應急の措置を指示することができる。」ということにいたしたいと存ずるのであります。
 次の第二十三條の二は、これが新設の條文でございますが、車馬のいろいろな交通事故を起しますうちの相当の部分は構造と装置、特に走行装置、ハンドルであります。それから制動装置、ブレーキですね。それで前の車輪というような、主要なところの構造装置が必ずしも常時調整されていないために起るのであります。これは運輸省におきまして、現在車体檢査、車輛檢査を行つておるわけでありますが、これは相当有効期間もございますし、その後の日常の運行しております場合におきます車輛の整備ということにつきましては、定期的な檢査では分十分の嫌いがあるのであります。從いまして、交通事故を防止いたしますためには、道路を走行いたします諸車や、軌道車は常に法令を定められた構造装置を備えるばかりでなくて、これが調整されていなければならないということが必要であると思うのであります。それを第一項にいたしまして、第二項におきましては、そういう虞れのある車馬に対し、又は先程申上げました第七條第二項で申しました無謀繰縱でございます。醉拂つて運轉したとか、或いはスピードを起えて、制限を起えて違反したとか、そういつたような無謀な繰縱の虞れがある、或いは只今御説明申上げました第一項の規定を違反する、そういう虞れがある場合におきまして、そういうことを疑うに足りる相当の理由があるときは、当該警察又は警察吏員が一時これを停止いたしまして、運轉の免許証や車輛檢査証の提示を求め、並びに簡單に構造や装置を檢査することができるということにいたしたいと存ずるのであります。これが現在定期檢査のときだけよく調整されておりまして、何分にも車が大分古い車ばかりでありますので、現実に走る場合にはいつも車輛檢査をやつた場合のようにはつきり調整されておるとは限らない、それが事故の因であるという点ですから、訂正するのは非常に効果があると考えるわけであります。その場合に当該警察官又は警察吏員はそれを檢査いたしまして、安全のために必要な應急の処置を指示し、例えば醉拂つて運轉しておるものについては、醉いが醒めてから運轉して貰うような処置を指示いたしまして、同時に相当の構造装置の欠陷、又は不調整、調整しておらない点があると思いました場合には、警告書を交付することができるといたしたのであります。この警告書を受けましたものは、警告書に記載された期間内におきまして、警告書に記載された警察署又は当該行政廳ですから、これはできますことならば、本人の希望する警察署又は当該行政廳、これは現実の問題といたしましては道路運送監理事務所でございますが、そこに行きまして、期間内に調整を終え、又は構造装置を備え、又は調整を終えまして、その旨の証明を受けて参ります。そういうことにいたしたのであります。
 次の二十四條は、これは現実には現在もやつておることでありますが、交通事故を起しましたとこに自動車に対する救護の規定に、軌道車が抜けておりましたのを軌道車も入れて貰つたわけであります。これは現実の問題といたしましては、軌道車の場合も、例えば電車が突然人を轢いて怪我をしたという場合には、車掌の一人がやはり附添いまして、担架へ附いて行つて貰うようなこと、これは現在もすでにやつておるのであります。
 次に二十六條でありますが、ここに第二項を殖やしましたゆえんのものは、次に手楠料を徴收するという規定を置きましたので、まだ許可証、許可をいたします場合に許可証ということが法律の上に載つておりません。これを載せまして、併せて手数料を徴收する條文を起すことにしたのであります。
 次に第二十六條の二でありますが、これが手数料の規定であります。これは現在も実は運轉免許並びに運轉者試驗に関しましては手数料を徴收いたしております。これは元の法律の九條の第七項でございましたか、最後の條項でございます。そこの命令で定めるということで、命令を以て規定しておりましたのでありますが、これは手数料を徴收する場合には、法律に記載した方で正当であると考えまして、この機会に手数料を徴收するということを法律に謳つて頂きたいと思う次第であります。尚この自動車運轉試驗並びに運轉免許証交付手数料の方は、長年やつておりましたもので、変つておりませんが、この第二項に警察署長がいろいろな許可をする、そういう場合にも手数料を納めなければならん、こういう規定を與えておりましたが、これだけは今度新らしく規定いたした次第であります。
 それから第二十六條の三、次の條文は自治体警察についてでございます。
 次は二十七條、これは三年以下の懲役又は五千円以下でありましたものを五万円、それから六箇月以下の懲役又は三千円というのを一万円、体刑の方は前の規定の通りでありますが、罰金の額の方は若干ずつ高くなつたのであります。これは現在の貨幣價値の関連から申しまして、又他の法律におきましての体刑と罰金との均衡の点から行きまして、これぐらい罰金の方だけ上げることが適当であろうと考えた次第であります。
 後は三十一号に警告書の交付をここにごちやごちやと直してございますが、これは警告書の交付は或る場合におきましては運轉者自体が惡いかも知れませんし、或る場合には使用主が惡いかも知れません。自動車屋が惡いかも知れません。或る場合には双方惡いかも知れないと思いますから、そういう場合におきましては、両方に併科する。受けた者の外に、その法人又は人に対しては併科することができる。そういうことを規定したわけでございます。
 それから附則でございますが、附則の第一項で、施行期日を十一月一日といたしてございますのは、先程申上げました対面交通、又は右小廻り、その他日本の交通慣習からいたしますと、相当変つた点ができましたので、特に対面交通は先程申上げましたように、法制化されたのが明治三十年、五十年に亘る歴史を持つております。それをこの際打破するわけでございますので、そのためには十分愼重な準備する期間、準備訓練の期間を要すると考えまして、施行期日を十一月の一日にいたした次第であります。
 以上で説明を終ります。
#11
○委員長(岡本愛祐君) 只今までの國務大臣の説明、それから説明員の説明に対しまして、御質疑がございましたらお願いいたします。――御質疑ございませんか。それでは道路交通取締法の一部を改正する法律案の審議は、今日はこれだけにして置きます。
  ―――――――――――――
#12
○委員長(岡本愛祐君) 次に古物営業取締法案につきまして、過日の御質問に対する答弁が残つておりますから、それの答弁が残つておりますから、それの答弁をして頂きます。島村委員から協同組合の関係について御質問があつたのですが、それについて武藤政府委員から、
#13
○政府委員(武藤文雄君) 間狩政府委員から……
#14
○政府委員(間狩信義君) 協同組合が古物の売買交換をするような場合に、本法の適用を受けるかどうかという御質問でございますが、協同組合の先ず性格が問題になるわけでございまして、農業協同組合或いは商工協同組合、さようなものがどういうものであるかということが先ず第一の問題でありますが、法律によりまして、これは法人と決められておりますが、無論私法人のことだと思います。而してこれが公益事業の外に、営利を伴う事業ができるかどうかという点が次の問題でございますが、その点協同組合の性格は余り明確ではないのでありますが、併し利益を伴う事業ができるということは、これは間違いないと思います。從いまして協同組合が古物の賣買交換をいたします際にも利益を伴うこともあるわけでございまして、さような場合には、本法案第一條に申します。営業に該当することになるのでございます。更に公益法人に対しましては、この法案が適用されないで、さような協同組合については、適用される点につきましては、この法案によりまして、古物の賣買交換をする者に対しまして、相当いろいろの義務を課しているわけでございまして、業者といたしましては、相当の負担になるわけでございます。それで営利的な事業をいたしておりますものに対しては、営利、收益を得る半面におきまして、相当の監督を受け、法律的な義務を遵守するということも無論必要でもあり、問題がないと思うのでありますが、公益法人の場合におきましては、全然営利を離れて、全く公益の見地において事業を営むというものに対しまして、嚴重なる制限を設け、又いろいろな法律的の義務を課するということは、相当に公益法人に対しまして、何と申しますか、無理を強いるというような感じがいたしますので、その点営利を伴う業者に対する関係と、專ら公益を目的とする場合とを区別いたしまして、本法案におきましては、営利事業の場合にこの法案に該当するということにいたしたのでございます。
#15
○島村軍次君 只今の説明は了解いたしましたがですね。昨日質疑のあつた物資活用協会というものは法人なるが故にという御答弁があつたについては、ちよつと矛盾すると思いますので、その点をもう少し明確に……
#16
○政府委員(間狩信義君) 御指摘のように、昨日申上げました趣旨と本日申上げましたこととは若干変つておりますが、生活物資協会は公益財團法人で、從つて公益事業を目的とし、営利を目的といたしておらない法人でございますから、本法案の適用がない、さような一つ御了承を願います。
#17
○島村軍次君 昨日の質疑はですね、そこに非常に見解がなかなか解釈上むずかしいということが問題となつたと思いますが、財團であるが故に、一つの斡旋行爲といいますか、その事実は協同組合やなんかのやる場合と殆んど同じことになるのではないかと思うのです。事実問題はですよ。そこでこの場合は、同じ行爲をやつても財團なるが故にということで、結論的に営利行爲とみなさんということの御解釈だと思うのでありますが、そうなりますと、協同組合等の場合においても、財團と全く同じような形において取扱い得る、取扱うことが多いと思うのでありまして、これは見解の相違かも知れませんが、その点がどうも今しばらくはつきりせんように思うのでありますが、併し説明を承りましたから、私はその程度で質問を打切ることにいたします。
#18
○委員長(岡本愛祐君) 他に御質疑ございませんか……。今の御質問に連関してお尋ねするのでありますが、物資活用協会は財團法人であるから、いろいろの物資の交換をやつたり、或いは活用したり、それを職業のごとくやつておつても、それは営業でない。こう認めてよいのですか。
#19
○政府委員(武藤文雄君) 物資活用協会は財團法人として公益法人でございます。そういつた意味において、その公益法人としての性質上、営業、いわゆる営利事業を営むべきものではないことを建前といたしております。從つて本法にいう営業には該当しないものと解釈いたします。
#20
○委員長(岡本愛祐君) そうすると、若し、それをやつておつて相当利益を得ておるという事実があれば、それは第六條の、古物商でない者が古物を賣買し、交換し、若しくは委託を受けて賣買し、交換することは営業としてはならないという、この規定に仮しますか。
#21
○政府委員(武藤文雄君) 大体公益法人でございますから、そもそも営利事業を営むべからざる性質のものでございます。從つてその場合においてその團体が営利事業に亘つたと言えば、本來のその法人の設置目的に反する。從つてそこに監督責任上の問題がすでに生じて來るだろうと思います。從つて又御説明のように六條に関係して來る場合も考え得ることでございますが、先ず一次的にそのものは果して公益法人として存々せられるべきものかどうかといつたことも起つて來るだろうと思います。
#22
○委員長(岡本愛祐君) 財團法人だから営利事業に似たことをやらないとは限らないのであつて、例えば鉄道弘済会というものは財團法人であろうと思います。あれはいろいろな駅の品物を賣つたりして相当の利益を挙げておる。これは立派な営業であると思うのですが、財團法人であるから営業はやらない建前だということは言えないと思ます。
#23
○政府委員(武藤文雄君) お説のような議論も十分出ると思います。ただやはり弘済会というような文句で現わされております。具体的には知りませんが、鉄道関係のいろいろの人達のお互いに救済する趣旨から設置されておつて、公益法人となつておるだろうと思いますが、仕事の内容の実際については営利的の事業といつたことも考えられましようが、その法人自体の設置の目的というものは、やはり公益法人という性格を備えたものだろうと思います。内容的に非常に先程からも御質問がございましたが、実際は非常に似た分野が出て出る。公益法人と営利法人との間に実際上は非常に似たような活動というものが出て來ることは十分考えられます。併しそれをどこで区切るかと言えば、やはり法律上現われておる制度、形というものによつて限界を引く外ないと思います。さような意味において公益法人と営利法人を一應その限界としたわけでございます。
#24
○委員長(岡本愛祐君) 昨日衣服商業協同組合連合会の方から陳情があつたのですが、その点に触れておると思うのです。物資活用協会とかいろいろの財團法人がやはりこの古物営業に甚しく似たことをやつておる。その方はこの古物営業取締法の適用を受けないということになると非常に片手落だ、そういう所に随分盜品も入つておる。それも是非取締るようにして頂かないと、この法律を制定せられた目的の一半が達成せられない。だからここに第一條に定義を書いて呉れ、こういう陳情であつたのであります。それでやはり財團法人で営利的事業で而も盜品も沢山混つておるということが行われておるのですからこの点は考えて見られた方がよいんじやないか、こう思うのです。
#25
○政府委員(武藤文雄君) 今の点は財團法人で特別な法規がある筈ですけれども、民法の財團法人で設立した以上は、営利行爲を行うことはできないのですが、それが社團法人のごとき営利行爲を行なつてはそれは間違いじやないでしようか。恐らく財團法人は課税もせられないと思います。税金を逃れてもぐりの古物商を営んでおれば、そのもぐりの方をぎゆつと押えなければならない立場になつておると思います。さればと言つてそこで皆それを認めるかと言いましたところで、古物商として認めることは今の法律の建前ではできんだろうと思います。
#26
○委員長(岡本愛祐君) そうすると、若しそういうことをやつておれば第六條で縛られる。
#27
○政府委員(武藤文雄君) もぐつて貰つてはならん。從つて民法の財團法人に反したことをやつておるという建前になりますね。
#28
○委員長(岡本愛祐君) それは民法の違反でもあり、第六條の違反でもあるということになりやしないかと思います。その違反にさせるよりか、やはり第一條のところにゆとりを持たせて、そういうものまでこういう取締法の範囲の中に含めるということの方がよいのではないかと思います。
#29
○國務大臣(樋貝詮三君) そうすると、民法の財團法人に営利行爲を許すとかということになりますが、課税についても財團法人として特別な取扱いでなしに、課税からいたしまして、登録からいたしまして、みんな営利法人として会社と同一の取扱いをしなければならんわけですが、みんな民法の法人も財團法人も全部を会社と同じように扱うということは如何かと思います。むしろ民法の公易を目的としておる、営利を目的としない法人としてあれはあれで認めて、財團法人を認めて、営利行爲を目的としておるその他の法人については会社法の規定を適用するという方が正しいと思いますが、どうも法律の上で同じように取扱をするということはむずかしいと思います。
#30
○委員長(岡本愛祐君) そこで問題は古物商といつても営業を営んでおるものだけを取締るか、営業を営まない、財團法人だから営業は営まないものとして、その営業を営まないものでも臨時のことをしておるものには、この法律で取締つてその目的を達成する。こういう問題ですね……
#31
○政府委員(間狩信義君) 今の問題につきましては、実は若干のいきさつがございますが、その経過を申上げて置くことが必要かと思いますから、そういたしたいと思います。古物商の業者の方からは生活物資活用協会の経営いたしております日用品交換所のごときものは実体は古物商と結局同じものであるから、営業である、営業でないということに拘らず古物商と同じような監督と取締りの下に置くことが適当である。そういう趣旨でございまして、私共も防犯の見地から申しますと、大体実体は同じことでありますので、同じような取締をするというようなことも考えられるわけでございますが、ところが現行法におきましても、古物商取締法でやはり営業者を対象としての法律になつておりまして、從來生活物資活用協会の経営しております日用品交換所は從つて現在取締を受けていないと思います。たまたま古物商取締法の改正を立案いたしております当時生活物資用活協会の方面、又特に生活物資活用協会の監督官廳であります商工省からこの問題につきまして我々の方に数回に亘りまして申入れをして交渉をいたしておつたのでございます。商工省の考えといたしましては、生活物資活用協会は戰爭中からできたものでございまして、日用品交換所の交換斡旋事業も戰爭中から、或いは戰後におきまして衣料品その他日用品の不足の状勢に対処するために、商工省において特に全國的に奬励をいたしまして、高の日用品の交換斡旋事業を指導育成して來ておるのです。從つて古物商取締法の改正に際して、從來そういう経過で來ておることをよく了解をされて、今後とも商工省なり或いは都道府縣において責任を持つて監督し、又育成指導して行くから古物営業取締法の適用からは現在通り除外して貰いたいという、向うからの、商工省側からの非常に強い要望があつたのでございます。さような状況でございますので、その問題につきましては、我々といたしましても暫く現行法通りの範囲にいたしたのでございます。
#32
○委員長(岡本愛祐君) 大体分りました。で業者の言つておられるような違反行爲は余りないのですか、日用品交換所という所において……
#33
○政府委員(間狩信義君) その点に関しまして、この日用品交換所の経営方法にも関連して來る問題でございまして、現在日用品交換所は出品者、委託者が品物をそこに持つて参りまして、それを欲しい人が買取つて、初めてその後において代金の決済をするという方法を取つております。でそれが嚴格に守られれば、盜品をこの日用品交換所に持つて行つて捌くということは、非常に少いと思うのでございます。それが乱れて來ますと、日用品交換所に持つて行つて直ぐに現金に替えられるということになりますと、古物商と同じようなことにもなりますので、このことにつきましては、私共の方からも商工省に十分に申しまして、又商工省におきましても、絶対に責任を持つて代金を即時決済するということは絶対にさせない。本当に買手から代金が仕拂われて後に、出品者、委託者に渡す。この点は嚴重に監督し、遵守されたいという約束になつております。さようになりますれば、今御指摘のような場合は非常に少いと思います。
#34
○委員長(岡本愛祐君) それからこの前御説明が不十分であつた二十一條と民法の関係、それについて御説明をお願いいたします。
#35
○政府委員(武藤文雄君) 二十一條は民法の百九十四條の又例外の特別的な規定になつているわけであります。大体民法の百九十二條におきまして、動産の善意取得ということについて、いわゆる動的安全の保護といつた見地から、民法の百九十二條というものが置かれております。「平穏且公然ニ動産ノ占有ヲ始メタル者カ善意ニシテ且過失ナキトキハ即時ニ其不動産ノ上ニ行使スル権利ヲ取得ス」という規定があるわけであります。ところが盗品又は遺失物については、その特則は次の第百九十三條に認められておるわけであります。「前條ノ場合ニ於テ占有物カ盗品又ハ遺失物ナルトキハ被害者又ハ遺失主ハ盗難又ハ遺失ノ時ヨリ二年間占有者ニ対シテ其物ノ回復ヲ請求スルコトヲ得」つまり百九十三條によりまして、盗品又は遺失物の場合は、被害者、又は遺失主は二年間その物の回復を請求することができる。これは次の百九十四條との関係において、無償で回復を請求することができると、こういうことになつております。ところが更にこれに例外規定が、次の百九十四條にあるわけであります。「占有者カ盗品又ハ遺失物を競賣若クハ公ノ市場ニ於テ又ハ其物ト同種ノ物ヲ販賣スル商人ヨリ善意ニテ買受ケタルトキハ被害者又ハ遺失主ハ占有者カ拂ヒタル代價ヲ弁償スルニ非サレハ其物ヲ回復スルコトヲ得ス」つまり盗品又は遺失物は現在それを持つている占有者が競賣によつて、或いは公の市場或いは同種類の品物を賣つている商店から買つたという場合には、それを回復する場合には代金を拂わなければ戻すことができない、ということになつておるのであります。ところが、ここの本法案の第二十一條においては、更にこの百九十四條の例外規定を設けておりまして、古物商から回復する場合には、二年間は無償で回復ができるという規定になつておるわけであります。何故古物商につき、かように又特例を設けておるかと申しますれば、これは現行法においても明治二十八年以來同じような趣旨でずつと運営して参つたのであります。これについてはいろいろの考え方があると思います。つまりかような営業をする古物商というものは、常にこういつた品物を扱つておる。從つてそれについての知識、経驗というものが非常に豊富である。一般素人と違つて、物についての知識、経驗というものが非常にある。從つてその物を扱うについては、普通の人とは違つて非常に優れた技能というものを持つておる。從つて殊に適正な古物営業をするためには十分な知識、技能によつて、物を扱うにおいて十分は警戒をし、十分な注意力を以てその営業を営まなければならない。かような意味において、この古物商には特に重い責任を課し、一方被害者という者は誠に氣の毒な事情で盗難にかかつた、或いは遺失したといつたものについては、それを無償で返還できるように現行法においても認められて來たわけでありまして、そこで問題になるのは、結局何故二年間は古物商から無償で回復を求めることができるか。誠に善意な古物商にはお氣の毒ではないかという問題が起るわけであります。これについては要するに考え方が二つあるわけであります。古物商を保護して、その営業の安全を確保すベきか、或いはこの無辜の國民、被害者たる國民、これを保護すベきかという二つの立場によつて、この問題が二樣に考えられて來るわけであります。從來は現行法の下において、先程申上げたように、これと同じような法制になつておるのでありますが、古物商において、こういつた贓品が扱われていた、これを警察が発見したときは、被害者に還付することになつておりますが、その場合においてはその古物商は、その物を買つた前の古物商に対して求償する。ただで取上げられるから、その古物商はその前の古物商に遡つて求償できる。そういつた損害の場合には求償して行く。そうして最後に盗品を直接買つた古物商が、その危險を負担するということになつて、業者の間においては、いわゆる本当の善意な古物商というものは損失というものは、これを補填されておるという慣行になつております。從つて本当に善意であつた古物商というものは、損害から十分免がれるということが民法の規定によつて、而も同業者間に仁義と申しますか、それによつて求償関係によつて損失を補填する方途を講じておるわけであります。從つてこの本法におきまして、この知識、経驗の豊富な古物商というものには、やはりこれについての相当の責任、注意を以て営業するようにし、そうして一方において氣の毒な國民、一般被害者というものをこれによつて救済して行こうという趣旨でございます。非常に二つの対立した利害関係を如何に調整して行くか。これについては我々もいろいろ研究いたしましたが、結局現行法のような趣旨で、やはり二年間というものは無償回復権を認めて、その後は一般の民法の原則によつて行く、こういうふうにいたした方がよろしいのではないか、ただその間從來は、一度その物を警察が取上げてしまつて被害者に返してしまう方途を講じておつたのでありますが、警察がかような所有権の移轉に関與することは面白くないだろう、從つて今回はこれを避けて、当事者間の回復請求という問題に移した。その点が今回の法においては從來と非常に違つた改正の点になつております。
#36
○西郷吉之助君 只今第二十一條につきまして説明を伺いましたが、大体その点の御説明の内容につきましてはよく分るのでありますが、この点につきましては前回におきましても、本委員会においていろいろ他の委員より質疑が出た点でありまして、又聞くところによれば衆議院の地方行政委員会におきましても、憲法違反ではないかというような議論も出ておるようであります。それにつきまして國務大臣の御所見を伺つて置きたいと思うのであります。
#37
○國務大臣(樋貝詮三君) 衆議院では、二十一條では憲法問題は起つておりません。二十三條であります。
#38
○西郷吉之助君 二十一條の二年を経過するという点につきましては、それを一年に改めるような修正案を衆議院において考えているようですが、その二年を一年にするような点につきましてはどうであるか、政府部内の御意見を伺いたい。
#39
○國務大臣(樋貝詮三君) お説の通りであります。今二年が多分一年に修正されることを考えております。私の方も敢えて一年ということには反対はいたしておりません。
#40
○委員長(岡本愛祐君) そういたしますと、若し一年に修正したときには、この民法の百九十三條によりまして、二年間は回復請求権がある、無償である、その例外が今御説明のように百九十四條であつて、そうしてこれは遺失物や盗品を競賣で買つたときは金を拂わなければいけない、併し金は拂うけれども、二年間の回復請求権はあるということだろうと思いますが、それと一年の関係はどうなりますか。
#41
○政府委員(武藤文雄君) 非常に復雜な関係になります。要は、一年間は特別法の又特別法でありますからこちらが優先いたします。從つて一年間は本法の二十一條で行つて、次の一年間は民法の百九十四條で行くということになると思います。
#42
○西郷吉之助君 そうすると、今國務大臣は差支えないように言われたけれども、そういうふうに特別法でありまするが故に、これで一年にしても、民法の方では二年でありますから、結果としては同じなんであつて、こつちは一年であるが、結局民法においては二年あるのですから、一年にしてもこれは差支えはないようなものであるけれども、民法の規定と対照しての二十一條ということになると、一年にするということは余り適当でないのじやないかと思われますが、その点は如何でしようか。
#43
○國務大臣(樋貝詮三君) 今出ております遺失物法は確か一年だつたと思います。ですからその方に合した方がいいだろうということで、一年に同意しましたようなわけであります。これを二年にして民法の方に合せるか一年にして遺失物法の方に合せるかといえば、一年にして遺失物法の方へ合した方がいわば現代的であろうというような考えもありまして、結局一年の修正に同意することになりました。これは衆議院の方では六ケ月というような意見もありましたが、六ケ月じや因る、もう少し延して呉れというわけで、こういうように一年に延ばしたということであります。
#44
○委員長(岡本愛祐君) 尚この問題は研究しましよう、序でにお伺いして置きますが、二十三條は衆議院において憲法違反の疑いがある、それは恐らく裁判官の令状なくしてその意思に反して臨檢捜査をすることはできないということであろうと思うのです。その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
#45
○國務大臣(樋貝詮三君) ちよつと申上げますが、衆議院の今の空氣は、この表題からして変えたい、古物営業法でいいじやないか、取締はなくてもいいじやないかという考えと、それから第一條の二項でしたか、古物という字の下に、いろいろ政治情勢もありしますから、括弧して、観賞的な美術品を含む以上同じとするとか、いろいろな意見もありましたが、こういう提案もありまして、大体そうなるではないかと考えております。それから八條の第二項ですね、「三人をこえない範囲において」という文句を削除したらいいじやないか、前段において公定委員会の許可を得た場合には三人に限定しなくてもいいじやないか、又三人より少くてもいいじやないかということで、今日の経済事情から考えると、本当に働く人間ならば余程儲からないと三人以上置けないから、おのずからその方の制限も受けるから、ここの文句の衆議院において拔くのではないかしらと考えておりますが、敢えて政府でも反対はいたしておらんような次第であります。それから只今の二十一條の二年間というのも一年間で大体話がつくだろうと思います。それから二十三條の第一項についての場所の立ち入りについては、今言つたように憲法違反ではないかという議論も出て來ると思いますが、法務総裁の意見を聞きたいという意見と、それから同條の二項で、「関係者の請求があつたときは、」とあるけれども、弱い業者はどうも刑事に対して請求などできない、今までの例とは違うかも知らんけれども、默つていてもその証票を見せなければならんという意見でして、これも敢えて反対することはない、ただ現行法では多くはこういうようになつているからというだけで、私の方は強く反対すべき理由は何もないのであります。この場合は、多分衆議院はそんな修正を施して來るのではないかと思つております。
#46
○委員長(岡本愛祐君) 二十三條について、若し向うが拒んでも調べるというのならば、やはり私は、衆議院のどなたからか出たように、憲法違反になるのではないかと考えております。これは地方税法の一部を改正するときにも意見を述べたのですが、あれを政府の御答弁では、憲法のその條文は刑事に関するときのみの規定であつて、行政上のときには適用がないのだという御説明ですが、参議院におきましては、治安及び地方制度委員会あたりで向うが拒まないならしないでもいいが、拒んでおるときにおいて是非調べたいというなら是非共裁判官の令状を持つて來るというように聞いておるのですが、これは拒まなければ、拒まないときにこれを見るならばいいが、拒んだときにはこの條文ではいけないと、こういうふうに私共には解釈したいと思います。
#47
○國務大臣(樋貝詮三君) いずれ明日この点に関して議論が出るだろうと思いますが、政府の考えといたしましては、法務廳の考えをそのまま容れまして、行政の場合は入れない憲法に規定してあるのは司令だけを取扱つているのだ、規定の前後から言いますと、そういうことが言えるかと思いますが、前條文、後の條文等見ましてあれは司法廳のことを書いた、今まで司法に関するところにあつたやつを移した、沿革から見ましても、それだけのことは言えるのだろうと、これだけのことは言えるわけですが、移つた後に、さてどういうふうに解釈すべきか、議論の余地もあると思います。いずれそのことも明日議論が出るだろうと思います。
#48
○委員長(岡本愛祐君) 私共の解釈は司令の場合でも令状を持つて行かなければ立ち入りすることができない、況んや行政の場合では尚更でいる、こういうふうに勿論解釈しております。その点申上げて置きます。それからもう一つ、この前のときに大臣がおられませんでしたから、政府委員にまで申して置いたのですが、二十四條の許可の取消及び営業の停止の問題でありますが、この中の第四号を御覽下さると、「古物商、市場主、それらの代理人、使用人その他の從業者がこの法律又はこの法律に基く命令に違反したとき。」こういう茫漠たる規定を設けて、そして取消ができたり、営業の停止を命ずることができるような体裁になつているのは非常にまずいじやないか、こんなことは一号、二号、三号、五号に具体的に書いてあるのだから、四号なんか書く必要はないじやないか、そしてその違反は即ち外の罰則で懲役なり罰金なりを喰うことになつておりますから、そういう軽微な場合において、形式上から見ると営業許可の取消なんという重い処分を受けるということができるような規定はいかんのである。こういうような意見が出た。これは料理飲食店営業のごときにもその議論が出まして、あそこは適当に修正することはできませんでしたが総合的にこの法律、又は法律に基く命令に違反した場合において、著しく第一條の違反を認めたときは営業の取消も認める、そういうふうになつておる、こういうことは同じことであつて、その点書き方は非常にまずいのではないか、こう思うのです。
#49
○國務大臣(樋貝詮三君) お説のごとく余りうまいと思いませんけれども、ただ一号から五号、四号を除きまして五号までの範囲と四号の範囲と違うので、一号から五号、四号を拔いたところの五号でカバーできるとも言われぬものですから、細かいところは……、結果においてはそんな不道徳をやるつもりはないのですけれども、とにかく古物商あたりは想像に外れたような者が出て來ますので、ちよつとそれを尻拭いするものがなければ困るという実情もありまして、こういうものを置きましたのです。
#50
○委員長(岡本愛祐君) それじやそういうふうに一應承つて置きます。外に御質問ございませんか。
#51
○政府委員(間狩信義君) 第二十四條のことでございますが、この一号、二号、三号、四号、四号は除きまして三号までは、大体は第四條の許可の場合の欠格條件がございます。大体それに相対應するような條項になつておるわけです。で許可する際に一定の條件のものは許可してはならないという規定にして置きながら、許可がされた後においてはそういう條件に該当するものであつても、何ともできないということではこれは辻褄が合いませんので、大体第四條の各條項に対應するような内容を、而も必要なものを一号、二号、三号ということで挙げておるのでございます。許可を受けた業者乃至業者の代理人或いは從業者がこの法律に違反いたしました場合のことは一号から三号までに実はないのでございます。この法律の一番の重要な点といたしまして、やはり本法律に対する違反がございました場合に、取消或いは停止ということが、これはできないと全く困りますので、そういう意味で第四号がこれは是非必要なわけです。尚一号から三号までは、場合によりますと、この法律に違反いたしました場合で一号から三号に該当する場合もございます。併しそれはやはり裁判によりまして刑罰に科せられるということが決定いたしまして始めて一号から三号までの該当ということになるのでございます。御承知のように一般には相当期間も要しますといたしますので、裁判の結果を待たないで違反がありました場合に、直ちに取消すことができるということが是非必要でございますので、その点御了承頂きたいと思います。
#52
○委員長(岡本愛祐君) 要するに第四号は不精したので、もつと細かく何号何号と項目を取上げて不精しない方がよかつた、それは確かであります。
#53
○政府委員(間狩信義君) 今の現行法ではこれは單に法令に違反したときとなつております。あらゆる法令に、関係のない法令に違反した場合でも許可の取消ができるようなことになつておりますが、それより余程範囲を限定しておるのです。
#54
○委員長(岡本愛祐君) それじや今日はこの程度で散会いたします。
   午後四時十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   委員
           林屋亀次郎君
          深川榮左エ門君
           柏木 庫治君
           西郷吉之助君
           島村 軍次君
           町村 敬貴君
           太田 敏兄君
           小川 久義君
  國務大臣
   國 務 大 臣 樋貝 詮三君
  政府委員
   國家地方警察本
   部部長
   (刑事部長)  武藤 文雄君
   國家地方警察警
   視正
   (刑事部防犯課
   長)      間狩 信義君
  説明員
   國家地方警察警
   視正
   (警備部交通課
   長)      中野 正幸君
ソース: 国立国会図書館
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