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1967/06/08 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第9号
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1967/06/08 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第9号

#1
第055回国会 外務委員会 第9号
昭和四十二年六月八日(木曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                鹿島守之助君
                山本 利壽君
                岡田 宗司君
                加藤シヅエ君
                佐多 忠隆君
                羽生 三七君
                渋谷 邦彦君
   国務大臣
       外 務 大 臣  三木 武夫君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務省欧亜局長  北原 秀雄君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    力石健次郎君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務省経済協力
       局国際協力課長  野村  豊君
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空業務に関する日本国政府とシンガポール共
 和国政府との間の協定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名さ
 れた国際博覧会に関する条約第四条を改正する
 議定書の締結について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
○アジア生産性機構の特権及び免除に関する日本
 国政府とアジア生産性機構との問の協定の締結
 について承認を求めるの件(内閣提出)
○日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間
 の領事条約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とノールウェー王国との間の条約の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○国際情勢等に関する調査
 (中近東における国際紛争に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 航空業務に関する日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を一括して議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣。
#3
○国務大臣(三木武夫君) ただいま議題となりました航空業務に関する日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 日本航空株式会社は、昭和三十三年にシンガポールへの運航を開始し、昭和三十七年に路線をジャカルタまで延長して現在に至っております。このシンガポールへの乗り入れは、当初わが国と英国との間の航空協定に基づいて行なわれ、また、昭和四十年以降は、わが国とマレイシアとの問の航空協定に基づいて行なわれてきたものでありますが、昭和四十一年五月二十八日シンガポール政府は、わが国に対し、同国のマレイシアからの独立及びマレイシア航空(その後マレイシア・シンガポール航空と改称)の共同運営に関するシンガポール・マレイシア間の協定の締結の結果、日本・マレイシア協定上のシンガポール政府の義務を同日より一年後に終止させたい旨及びそれまでにわが国との間に新たな航空協定を締結したい旨を通報いたしてまいりました。よって政府は、昭和四十一年十二月以降シンガポール政府と新協定締結のための交渉を行ない、その結果、協定案文について合意が成立しましたので、昭和四十二年二月十四日にシンガポールでこの協定の署名を行なった次第であります。
 この協定は、わが国とシンガポールとの間の定期航空業務について取りきめることを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国がこれまでに締結した多くの航空協定と形式においても内容においてもほぼ同一であります。
 この協定により、両国航空企業の相互乗り入れが確保されるのみならず、わが国とシンガポールとの間の友好関係も一そう促進されることが期待されます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(赤間文三君) 次に、補足説明を聴取いたします。高島参事官。
#5
○説明員(高島益郎君) 補足説明を申し上げます。
 最初に、シンガポールとの航空協定でございますが、この協定の特色は、一言にして申しますと、日本とマレイシアとの航空協定と全く同一の内容のものであります。と申しますのは、シンガポールのこの協定に基づきます指定航空企業というのは、マレイシア・シンガポール航空と申します共同運営組織の航空企業でございまして、その関係上、マレイシアの指定航空企業であります同じマレイシア・シンガポール航空が日本に乗り入れます場合と、シンガポールの指定航空企業でございます全く同じマレイシア・シンガポール航空の日本に乗り入れます場合の権利義務関係は相抵触しないようにするものであります。したがいまして、協定の本文はもとより、相互の指定航空企業が運営いたします路線につきましても、全く同一の規定にいたした次第であります。日本は現在、シンガポール、ジャカルタまで週三便、それからクアラ・ランプールに週一便乗り入れております。マレイシア・シンガポール航空のほうは、まだ東京まで乗り入れておりません。これは来年四月に初めて乗り入れるという予定であるというふうに聞いております。
 次に、国際博覧会条約の第四条を改正する議定書でございますが、この改正の主たる動機は、最近国際博覧会の開催の頻度が非常に多くなる傾向にございまして、参加国の経費の負担その他いろいろな問題がございます関係上、この開催の頻度をいままでよりも少し規制しようという動きがございまして、その規制を定めたのが第四条の改正でございます。
 改正のおもな点は、現在までの条約では、世界を欧州、米州、その他の地域、三地域に分けまして、前回の国際博覧会から次の国際博覧会に移ります期間を、その地域が異なった国で行ないます場合には、現在の条約では二年間の間隔があればよろしいということになっておりましたのを、今回その地域の区分を廃止しまして、一律に六年間の間隔がなければ次回の国際博覧会を開催できないというふうなことにしたのが主要な改正点であります。
 日本の場合は、ちょうど現行の条約が改正前に、大阪で一九七〇年に開催いたしますことを申請いたしました。その登録が認められました関係上、この改正の条約の適用を受けません。したがいまして、現在モントリオールでやっております三年後に、一九七〇年に大阪で開きまして、今度日本で開きました国際博覧会の後には六年間は開けないということになるわけであります。そういう関係上、日本万国博覧会への参加が盛んになるというふうに期待される次第であります。
 簡単でございますが終わります。
#6
○委員長(赤間文三君) 以上をもって二案件に対する説明は終了いたしました。
 なお、二案件の事後の審査は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(赤間文三君) アジア生産性機構の特権及び免除に関する日本国政府とアジア生産性機構との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の領事条約の締結について承認を求めるの件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とノールウェー王国との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○森元治郎君 その三件のうちの、日ソ領事条約関係で少しく伺います。
 大臣、この定期協議に行かれるということですが、これは日にちが決定したのかどうか。国会の審議は、まあ一カ月くらい延びそうだということですが、それとの関係はどうなのか、この二点を伺います。
#9
○国務大臣(三木武夫君) いま七月の二十日を予定しておるわけであります。国会の七月二十日という日にちは、普通ならば国会終了後でありますが、会期の延長等もうわさされておるわけでありますので、もし会期が非常な長期にわたれば、これは国会中ということもあり得ると思いますが、私の希望としては、なるべく、二十口といえばやはり下旬ですから、国会がそれまでに終わることを私としては期待をいたしておるのでございます。
#10
○森元治郎君 三木さん個人の国会じゃないから、国会がそのころまであればこれは無理で、延ばされることになるのですか。
#11
○国務大臣(三木武夫君) いまのところは、これはいろいろな準備をしなければなりませんので、予定は七月二十日出発ということでいろいろな準備を進めている次第であります。
#12
○森元治郎君 そういう場合は、国会が延長になっても、きめたものはというのでお立ちになるのか。今国会にはいろいろな条約がたくさん来ていますね。それはうっちゃって行ってしまいますのかどうなんですか。
#13
○国務大臣(三木武夫君) それは、国会のほうで会期延長どういうふうになるか。これは国会のことですから、また実際会期の延長というものをするのかしないのか。するとしたら幾らくらいするかというのはまだきまっておりません。いまのところは、それともにらみ合わせるということになりますが、大体、こういうことはいろいろ前もってそれの準備がありますから、なかなかそれを変えることは困難だと考えております。
#14
○森元治郎君 延びるか延びないかの問題はまだきまらぬから、仮定ではあまり突っ込めないけれども、それほど準備があってきめた以上は行かなければならぬ。それにしては、歴代の自民党の対ソ外交、対共産圏外交というものが非常に消極的だ。外交の姿勢について伺うのですが、安保条約に囲まれて安住して、広い世界を、自由陣営とは緊密にしてやるが、隣にある大きな中ソをはじめとする共産圏諸国との接触、親善工作の努力が足りない。単なる儀礼的、慣習的な交際をしているということは非常に残念だと思うのです。ことにソビエトの場合、なかなかソビエトという国は、もう御承知のように、簡単に気安くなれるものではなくて、時間をかけ、じっくりとかかってくる。そのソビエトが近ごろ非常に日本ともとげとげしくなく話がつくようになってきた。これは非常に大きな変化だと思うのです。外交というものはやはり波に乗っていけるまで――その波が十メートル走れば十メートル走ることが大事なんで、その波に乗れないというのが私は非常に残念だと思う。モスクワの大使館は外務省の中ではAクラスのAに属し、あそこの大使館というものは外務次官から行って、また、やめてからも相当な代議士も出れば、大ホテルの副社長か社長も出る。とにかくたいしたポストです。それでスタッフも多い。それは昔からですよ。これが単なる儀礼的存在のようなかっこうをしている。これを一向アメリカ大使館のように活用している様子はない。もし日本が積極的にソ連側の最近の動きをキャッチして、親善への努力、理解を深めることを努力するようにしていくならば、たとえば今度の中近東の問題にしても、核拡散防止条約にしても、国連対策にしても、ソ連を通じて話もできるし、大いに極東、世界平和に貢献することができると思うのです。ところが、核拡散防止条約をとっても、あなたは、アメリカのほうからは軍縮局長を呼んだり、いろいろの外交ルートを通じて情報をとっておる。ソ連とは文書をもって自分の意向を伝えっぱなし。これでは私は外交じゃない。半分の外交しか三木さんはやっていない。あなたは太平洋構想という大構想を空に向かって吹いておりますが、なかなかこれは反響はないのです、空ですから。そこで、ソビエトに対する構想は、定期協議をの前にして一体どういう三木構想があるのか。私質問の趣旨はおわかりになったと思う。なかなかソ連というのは急にちゃっちゃとうまくいかないのですよ、ソ連という国は。ここまで向こうが出てきたのですから、これをつかんで進めて波に乗っていく。これを伺います。
#15
○国務大臣(三木武夫君) 私は波に乗ると思っていないのです、波に。そういうのでなくて、やはり日本の外交姿勢というものを考えたときに、大きなやはり共産圏という世界もある。したがって、自由世界、これだけで日本の外交がいろいろな点で情報をそれを中心にして収集したり、あるいは推進していくということだけでは外交は片手落ちである。ソ連というものに対して、最近は日ソ関係というものはいままで歴史的に見て一番いい時代かもしれぬ、こういうのでありますから、こういうときに日ソ関係というものを深めていくということにはあなたと同感であります、私はね。したがって、この日ソ関係何もしていないじゃないかということは、これは森さんの独断にすぎず、現にきょうですか、日本は約五十名の日ソ経済合同委員会、これはもう大デレゲーション、これが行く。それからまた航空協定、領事条約、いろいろな御審議を願っておるような、こういうことで、やはり根本的な問題で領土問題では未解決ではありますが、具体的に日ソ関係の友好関係は非常に増進されていく。また、政府間においても、まあ、それはおそかったと言われればそれまでですが、グロムイコ外相との定期会談などが去年から始まった。こういうことで、今後やはり日ソ外交というものを大事にしていかなければならぬという説には私は同感であります。また、ソ連大使館の活躍なども、これはやはり共産圏というものは自由世界ほど――活躍というのはいろいろな制約はあるけれども、中川大使をはじめ、ソ連大使館の活躍というものを、あなたのように何もしていないじゃないかというふうには思っていない。いろいろな点で非常によくやっていると思っておりますから、やはり日ソ関係というものは段階を置かなければならぬのですが、今日の日ソ関係の段階を、私は何もやっていないというような評価を持っていないのですよ。やはり日ソ外交というものは非常にいいほうに展開されてきている、今後力を入れていきたい、こういう考えであります。
#16
○森元治郎君 いま経済使節団が大デレゲーションが出るという、それは富士製鉄の社長以下の使節団、これは商売の必要で、この間――おとといですか、本年度の輸出は百十一億六千万ドルにしなければならぬと最高輸出会議できめた。五年前のソ連との往復五億ドルぐらい、最近五年間の対ソ貿易を見てもだんだん中共との貿易に食われて、従来日本の貿易の中で占める比率がソ連が多かったのに、対共産圏貿易で六五%をソ連が占めていたのが、最近は四〇%まで減っている。これは日本の業界は何とかしなければならぬということで、特に大きな外交でもない。これは必要に迫まられている。領事条約は、これは日本が米英がごたごたしている間にこの条約の締結に踏み切り、批准をしようという覚悟のほどは私はりっぱだと思うが、これは世の中の進展に従ってきたものであり、日ソ航空にしてもやはり双方の利害、ソ連は東に飛んでいくお客さんを北のほうからひとつこっちに持ってこよう、日本も近くて便利だ。自然の和合であって、特に外交の面でいったのじゃないと思うのです。私はそういうことではなくて、もっと腹を割った世界情勢の検討をいろいろな機会を通じて、アメリカを通じて核拡散防止条約の成り行きを見たり、十八カ国軍縮委員会の様子を、また聞きするようなことをしないで、堂々と自主的に、国でありますから、ことに核兵器も、日本の安全保障という観点からはとかく問題のあるソ連と直接話し合えば、何もアメリカからまた聞きではなくて、両方から聞くことによって、日本の頭で問題を考えられる。接触を深めれば、中東の問題があったときにも、すぐにも中川大使は、ソ連の出方はこの辺という見当もつく。国連対策にしても大きな役割りを果たせると思う。どうも対ソ外交というと、対中共もそうですが、軍事が前に立って経済がその次、文化はなくなってしまう。そういうのじゃなくして、大きな政治、大きな外交という意味でもっと積極的にやってくれというのが私の意見なんです。
#17
○国務大臣(三木武夫君) たとえば民間でも、やはり外交を政府だけでやるという考えは持っていないのです、私は。これはやはり民間の有力な人たちが行って、ソ連はやはり一体ですから、民間というのはないのですから、相手になるものはいろんな公団とか政府機関であります。この間に経済的な日ソ関係を、もっと経済の提携を緊密にしようというものは、これは外交でないのだということは、またこれは森さんの独断と私は思っております。これはやはり大きな外交の一翼である、ことに共産圏は。それからまた航空協定、これは私とコスイギン首相と何か話をして両方の利害が一致しておるからたいしたことはないと言われますが、利害の一致していないようなことをやるということは無理です。常に外交は利害の一致の上に立っている。利害の一致の上に立っておってもなかなかやはりそれはむずかしい。航空協定というのはこれは日本が初めてのものだ。この航空協定を、とにかくソ連とも話をしてああいうものを実現さしたという外交的な一つの成果というものは、これは高く評価せざるを得ない。たいしたことじゃないとは私は思っていない。そういうことで、情報というようなものが自由世界ばかりに片寄ってはいかぬということは私は異存はない。同感だ。いかにももう日本の外交はアメリカばかりの情報というのじゃない。中川君なんかもずいぶん活躍をして、そうしてモスクワを中心としてのいろんな共産圏の情報というものを詳細に報告もしてきておるし、そのことが私がいろいろ外交問題を判断する有力な基礎になっている。だから、もっと日ソ関係を緊密な関係にすべきじゃないかという御意見には耳を傾けますが、何もしていないじゃないかという評価は適当な評価でないと申し上げておきます。
#18
○森元治郎君 たとえば貿易を拡大するといった場合に、いつかアメリカから文句言われたと思うのです。大口径の油送管ですね、口径何インチとかいう太いやつは困るというようなことで、これはココムのあれに関係するのだと言ってだめになってしまったが、そういうような問題、経済の面で言えば、そういうこともこれは外国に言われなくても私はやっても差しつかえないのだと思う。私の一番言いたいのは、腹を割って国際政治、極東の問題についてもっと落ちついた長い話し合いができるような関係をつくるべきだ。こういう、単なる具体的な案件、商売の一つの話じゃなくて、大きな話ができるように、せっかくムードがあるのですから、それをどうも小さい具体的な取引のような問題だけに進んでいったんでは日本の外交が半分でしかないのじゃないか、こういうことを申し上げておるのです。そこで、川島さんがこの間行かれました。訓令に従って行かれたのだと思うが、その前はユーゴスラビアのほうに行かれていろいろなお話をしたことが新聞では報道されている。どうも、まるで外交官みたいな話をしているように見える、項目が。文化もやった、経済もやった、魚もやった、何もやった。これは役人がやることです、そんなことは。そういうこまかいことは別にして、テーブルの上に紙なんか置かないで話すことが幾らでもある。いやしくも特使というなら、私はそのくらいでなければ特使ではないと思う、それは定期協議です、そんなことは、一体どういう方針をお出しになっていかなる成果があったのか。
#19
○国務大臣(三木武夫君) それは、川島正次郎君は総理の特使という資格で行ったのです。したがって、総理からの親書も持って行かれた。そうして全般の、いま森さんの御指摘になっている極東情勢、世界情勢についてもむろん話をされたわけであります。また、そのときに文化協定なども、民間の文化の交流が盛んになっていることはけっこうだが、これは政府間の何か文化協定みたいなものの必要があるのじゃないかという話題も出たようです。ソ連もコスイギン首相が賛成してグロムイコ外相にいろいろ研究してみよと、そういう具体的な話はあったようでありますが、全般的には、アジアとか世界情勢の話が中心であったように私は承知いたしております。
#20
○森元治郎君 大筋はどういう……そういう話があったことはもう当然だろうと思うが、差しつかえない範囲で、どういう空気であったのか伺いたいと思います。
#21
○国務大臣(三木武夫君) 個人の会談の内容というものはそんなに一々、ああだこうだと言うべき性質のものでは私はないと思います。極東情勢の中ではやはりベトナム問題の話などが話の中心になり、ソ連は従来のような立場からアメリカの態度に対して批判を加えて、そうして、現在の段階ではなかなかベトナムの和平というものが早急に達成できぬというような印象を語ったように私は承知いたしております。
#22
○森元治郎君 川島さんの会談はあまり新聞報道にはなかったように思いますが、ただ、毎日新聞だったと思うのですが、こんな記事が非常に珍しく出ておりました。新聞の記事によれば、領土問題――すなわち択捉、国後でしょう――領土問題に触れた際に、コスイギン首相が川島特使に、日ソ関係は五十年、百年の長期展望で政治関係の解決についても検討すべきである。長く時間をかけて政治関係の解決――川島さんは領土問題という問題の出し方をしたのだと思う、これに関して川島さんはコスイギン首相に、領土問題でソ連の了解を得られれば、政府問題の解決はたやすいと指摘をしたと、こういうふうな意味が出ております。おそらく領土問題、領土返還の問題に触れたと思います。それをどんな形で申し出たのか知らぬが、ソ連側の回答は政治関係という表現であったように新聞は報道しておるが、この間のことをひとつ伺いたいのです。
#23
○国務大臣(三木武夫君) これは川島、コスイギンの個人の会談でありますから、私も川島副総裁に近いうちに報告を聞くことになっているわけでございますが、しかし、話し合いの基礎というものは日ソ両国で非常に長期的な人間交流、経済の提携などを通じて、そうして長期的な観点から日ソ関係の改善をはかっていこうということが話の、会談の根底を流れておった考え方のように承知しているわけでございます。
#24
○森元治郎君 そうすると、ずばり言って、択捉・国後、領土主張をここで、定期会議で、川島さんが持ち出して、ソ連の善処を求めたという事実だけはあったんですね。
#25
○国務大臣(三木武夫君) 簡単に領土問題には触れたようであります。
#26
○森元治郎君 そこで、この領土問題に関連しても、いま大臣がおっしゃったように、長い時間をかけてやりましょうという返事のように受け取ったのですが、それでようございますか。
#27
○国務大臣(三木武夫君) その領土問題についてそう言ったかということについては、正確でないかもしれないが、日ソ関係というものを、相当時間をかけて、日ソ問題というものの前進をはかっていこうということが会談の底流であったようであります。
#28
○森元治郎君 もし領土問題に、そういうような領土問題を含めて、そういうふうなソ連側の態度であるとすれば、従来、ソ連側が領土問題についてはもうにべもなく、すでに解決した、問題ではないんだ、何ら問題ではない、もう過去の解決した問題だと言っていたことと若干違う。それは日本の希望に応じたような感じのするやわらかい表現だと思うのですが、いかがですか。
#29
○国務大臣(三木武夫君) 私も、たしか一昨年でしたか、コスイギン首相に会って、相当長時間にわたって話しもするし、ちょうど日本の見本市の開会式の席に出席をした。それで、いろいろ話し合いをしたのでありますが、特にソ連の態度に変化があるというふうには私は見ませんでした。そういうふうには受け取らなかったけれども、何か、いままで領土問題に触れればつっけんどんに言っておったのが、何かその応対のやわらかさというものは私自身も感じたのです。私も、この問題に触れた川島特使もおそらくそうであったろうと思う。いままではフルシチョフ時代にも、ちょうど一九五八年、相当長時間にフルシチョフ首相と私が会ったことがあります。もうそのときは、領土問題に触れたとたんに、非常なつっけんどんな応対でありました。それで、コスイギン首相に、その後、一昨年、会ったときには、応対のやわらかさはありましたけれども、基本的にそのことがソ連の領土問題に対する考え方の変化から来ておるというふうには私は受け取りませんでした。
#30
○森元治郎君 佐藤総理に対して、ソ連側が非常に、おいでください、おいでくださいということが新聞では報じられている。ソビエトという国が、池田さんなんかにはなかなか言わないもんですよ。それをしばしばおいでくださいと言う熱意というか、これは、やはり私の言う波だと思う。大臣は波じゃないと言うが、やわらかい感じを受けた。フルシチョフから変わっている。これはやはり波ですよね、波。何もしないでぼやぼやしておれば、波に乗れないでしまう。ですから、その波に乗って、定期協議のときにはじっくりと二人きりで、さしで、とっくりとお話し合いになって、これを進めるべきだ、もっと進めるべきだと思う。大臣は定期協議に何を期待されますか。
#31
○国務大臣(三木武夫君) それは、いま森さんの言われるように、全般のアジア・世界情勢をじっくり話し合いをしてみたいと思います。
#32
○森元治郎君 ちょっと話を取り違えますが、共産圏の態度ですから、三木さん、かねがね、国会で最初発言した例の対中共貿易拡大のためには輸出入銀行による延べ払いの道がいま閉ざされておりますが、これはいつの日かなるべく早い機会に開くべきだという御発言が、しょっぱなにあったと思うのですが、そうしたら文句が出て、今度は、自分で言ったのを閉ざしてしまったのだけれども、このお考えは、現在どういう心境にありますか。
#33
○国務大臣(三木武夫君) これは具体的な問題が起これば、そのつどあらゆる角度から検討を加えるというのが政府の統一見解です。
#34
○森元治郎君 それでは条的の中身にちょっと触れますが、この条約の特徴は、ソ連側の意向でしょうけれども、大使と領事という、われわれが昔呼んでいる、いまでもある外交官、領事官の意味の違いなんというようなものとは違って、だんだん大使と同じような権限を領事館にも持たせる、そういうふうなたいへん大きな変わりよう、それがこの条約の一つの特徴だと思うのですが、その点が一つと、時間の関係があるから、はしょって束にして伺いますが、ソ連がイギリス、アメリカと結んだ条約はどうなっておるか。もう批准を了してしまったのかどうか。この二点だけ。
#35
○説明員(高島益郎君) 日ソ領事条約の特色は、ただいま先生が御指摘のとおり、非常に外交官の特権免除に近い規定をしております。しかし、それは特権免除の点とそれから領事官の制度につきまして、若干、外交官の資格となっただけでございまして、権限につきましては通常の領事官の職務とそう大差ないものと考えております。で、特権免除につきましては、外交官の場合はその駐在国の一切の裁判権から免除されるということになっておりますのを、この日ソ領事条約では公務上の行為とそれから刑事裁判権につきましては、公務上の行為に関係なく一切ということで、その点だけ通常の領事官に与えられます特権免除と少し違います。通常の場合ですと、単に公務上の行為についてのみその駐在国の裁判権から免除されるという点に特色があるというふうに考えております。
 その他制度につきましては、大使館の外交官の場合と若干似た点は、館長につきまして、あらかじめ事前の同意を求めなければならない。そういう点は通常の領事官と違いまして、ちょうど大使の任命につきまして、相手国のアグレマンを求めるということと非常に類似しております。それからもう一点、領事官につきまして何か駐在国のほうでぐあいが悪いという事件があったような場合には、ちょうど外交官の場合と同じようにペルソナ・ノン・ダラータとして退去を求めるということが通常の領事官の制度の場合と少し違います。
#36
○森元治郎君 もう一つ、英米とソ連のは。
#37
○説明員(高島益郎君) 失礼しました。これはただいままで日ソ領事条約の日米、日英領事条約との主要な相違点でございますが、米国及び英国がソ連と結びました条約とはほとんど同じでございます。
#38
○森元治郎君 批准を了したのかどうか。
#39
○説明員(高島益郎君) 批准は、米国がソ連との間で批准書を交換したというふうに聞いておりますが、英国はまだでございます。
#40
○森元治郎君 この条約が、自民党の政調会の外交部会だと思うのだが、こんなぐあいで結んで、しかも、領事官の行動、権限を大幅にゆるめてやるようなことでは、これはスパイ活動に関係もあってたいへんだという意見もあったというふうに聞くのですが、しかし、結論は賛成として出てまいりましたが、この点は進歩だと思うのですね。アメリカの議会では、これをやった日には、スパイ、牒報機関が活動するのじゃないか、北ベトナムに武器を送っている国ソ連とこんなものを結ぶのはけしからぬということで、アメリカはこんな問題ですったもんだやった。政府・自民党はなかなかこれはやったと思う。この点は一つの進歩だと思うのです。三木さんに点数を一つくらいやってもいいと思うのです。
 そこで、この条約で問題の多いのは、本文の三十二条だと思う。これに関連する議定書、交換公文に関連して、これは国民が、たとえば北洋漁業なんかの場合に、日本国民が拿捕、拘禁されたときに、領事がその通報を受けたり、つかまった人のところを訪問したり、通信したりする。このときに特別な規定で、ほかでは三日だとか四日だとか期限があるのに、その点はたいへん長いといったその場合に、ナホトカ、ハバロフスク、将来置かれるであろうハバロフスク、こういう領事館が出ないで、なぜモスクワの日本大使館領事部でとれを扱うのか。なぜこういう特殊なことになったのか。遠隔の地だから通報、通信がおそいのだということだけなのか。
#41
○政府委員(北原秀雄君) 御指摘の点でございますが、交渉中、この点ずいぶん議論いたしました。問題は、日本のこの逮捕される場合、これは交換公文と議定書両方ございますが、実際の問題としましては、いろいろ国内法令に違反するかどで逮捕されるということはほとんど皆無でございます。実際の問題としては、例のこの漁船関係の拿捕事件、そういうものが非常に多いわけでございます。この場合には、現地の実情に即しまして、要するに、中央と地方との通信の関係でございますが、そのためにどうしても中央のほうからの行動が望ましいということで、われわれも先方も実情に即してそのたてまえを受けたわけでございます。
 最初の、この国内法令、治安関係に違反しての事件につきましては、これは一応中央の問題とすることについて、私どもはそのたてまえを受諾したわけでございますが、しかし、実際の便宜上、事件が極東地区において起こりました場合には、もちろんナホトカ、ハバロフスクの総領事館が活動するということについては、先方と話し合いがついております。
#42
○森元治郎君 日本にハバロフスクに対応するソ連の領事館が置かれる場合に、新潟がかつては札幌と引っぱりっこをやって、結局札幌になったが、現在新潟と大阪と引っぱりっこをやっておるが、どっちにきまりそうなんですか。
#43
○国務大臣(三木武夫君) まだソ連の意向というものは何も伝えてこないのです。日本は新潟が熱心に誘致の――誘致といいますか、この領事館を置きたいという希望は持っておるようでありますけれども、ソ連の意向というものは、まだ一つも明らかにされていないのです。
#44
○森元治郎君 領事自身の行動ですね。だいぶ不可侵が、領事及び領事館員、それから建物で言えば、領事館から領事の公邸くらいはみんな不可侵になるのか。スパイやるのじゃないかと心配する人はいろいろ心配する。この行動はどこでも自由なんですね。
#45
○説明員(高島益郎君) 条約の規定上では、管轄区域内におきましては、原則として領事官の行動は、旅行その他の行動は自由であるということをはっきり書いてありますが、管轄区域外につきましては特別に規定してございません。これは、これから実際に領事館を開設した後に日ソ間で話し合いが持たれるものと考えております。
#46
○森元治郎君 管轄区域というものはどういうこと。たとえばナホトカ、ハバロフスクは日本から見た場合あるいは大阪なり札幌……。
#47
○政府委員(北原秀雄君) ナホトカのほうはナホトカ市でございます。札幌の場合には札幌市の範囲内ということでございます。
 それから、先ほどの高島参事官のにちょっと追加さしていただきますが、管轄区域外につきましての領事官の行動につきましては、当該官憲の許可を一々得た上で行ない得るというたてまえになっております。
#48
○森元治郎君 この日本海というのは、この間、米ソの軍艦あるいは日本の自衛隊の軍艦など接触事故が起きましたが、この海峡とか出口がないところはいつもこれは問題の起こるところです。中近東でも同じ。何か一つ、かつてフルシチョフだったと思うが、日本海を平和な海にしたいとか、抽象的でありましたが、ああいうような大きな平和への危険発生を予防するような、しかも、それをやることによって関係国がたいへん安心もし、親善に役立つというような、この地域の平和構想というようなものはどんなふうに大臣お考えになりますか。一考の価値ありやなしや。
#49
○国務大臣(三木武夫君) これは私思いますのにね、やはり、そういう日本海だけというより、やはりもう少し平和というものをグローバルに考える必要がある。そういうことで、全般の極東情勢といいますか、それのやはり早く平和が回復して、全体として安定したような状態がつくられるということがその前提の条件であるというふうに私は考えているわけでございます。
#50
○森元治郎君 最後でありますが、いまおっしゃったそのグローバルということは、ここが私の一番最初の質問のポイントなんで、安保条約のたての裏にひそんでまた聞きしているようなみっともないようなことじゃなくて、グローバルな外交というのは、地球のすみずみまで平等に見渡して手を打っていくことが外交でありますから、グローバルに腹を太くしてじっくりと進まれることを望んで終わります。
#51
○羽生三七君 ただいまの森委員の質問に関連ししてですが、共産圏と日本が定期協議を開くのは今度初めてじゃないかと思うのですが、そういう意味で、この日ソ問の関係をさらに深めていくために、今日のソ連を展望した場合、革命後五十年を経過して、体制が違いますから、ときには非常にきびしい姿勢を示すこともあるであろうし、どういう情勢によって変化を示さぬとも限りませんけれども、それにしても一応もっと友好を深めていい条件が相当整ったと判断していいんじゃないかと思います。そういう意味で森委員も質問されたと思いますが、その定期協議の場合に、たとえばベトナム問題とか、あるいは核拡散防止条約の問題、あるいは北方領土問題、あるいは文化交流の問題、それからシベリア開発に対する協力の問題、いろいろあると思いますが、最も重点を置かれる問題は何にされておるのか。聞くところによると、かなりもう、第一日はどう、第二日はどうというふうに相当なスケジュールまでできておるように聞いておりますけれども、それはとにかくとして、外相として最も重点を置かれる問題は、この日ソ定期協議の場合何であるか、ひとつお聞かせいただきたい。
#52
○国務大臣(三木武夫君) それはやはり戦争と平和の問題というものが、これは一番の重大な問題。ソ連は今日世界における巨大な影響力を持った国であるし、日本の最も近隣国である。日本の安全のためにも、日ソ関係というものは、これはもう非常に重要な相手の国であるし、したがって、平和の問題、戦争と平和、この問題を中心とした話というものが一番大事な問題である、こういうふうに考えます。
#53
○羽生三七君 そのことは、これはベトナム問題等を中心に討議されることと理解いたしますが、それからもう一つは、この十八カ国軍縮委員会の参加がアメリカには協力を求めてあるという――ソ連にもあるいはいろんな形でしてあるかもしれませんけれども、今度外相が正式に先方に要請されるお考えをとられておるのかどうかということと、それから、それはいままでソ連の反対で実は国連において実現できなかったということもありますので、この問題も一つの問題になるのではないかと考えられるのですが、その点についてはどうお考えですか。
#54
○国務大臣(三木武夫君) いま言ったような戦争と平和の問題にも関連する問題ですから、軍縮委員会の問題は定期協議のときには私は持ち出したい。いままでのトロイカ方式ではなかなか実現しない。単純に日本を軍縮委員会のメンバーにするという、それだけの、ソ連はそういう意見になるかどうかということでありましょう。トロイカで、三カ国組み合わせるということならば、なかなかむずかしいですね、実現は。だから、今度の場合はもういまさらトロイカ方式でもないではないか。単純に、ひとつ日本の加入を認めてもらいたいという端的な意思表示をしたいと思っております。
#55
○羽生三七君 もう一つ。先ほど森委員の御質問で、北西太平洋ですか――これは技術的な問題ですが――における日本の何か領海侵犯というのですか、そういうような問題の事故の際に、ナホトカ領事館、あるいは今度ハバロフスクにできればハバロフスクですが、その場合に、モスクワで取り扱っておるものをハバロフスクなりナホトカでも扱えるようにする、そうお答えになったのですが、その点はどうなんですか、ちょっとはっきりしなかったから。
#56
○政府委員(北原秀雄君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げました趣旨は、先方の会談中の経緯によりますと、地方で起こりましたケースについて地方官憲のみてはなかなか判断がつきにくい。そこで、地方官憲は直ちにソ連側の中央官庁に報告してくるのが習慣でございますので、そこで、わがほう在モスクワの大使館領事部と連絡をとるほうが早いのだ。中央官庁に地方の漁村等から連絡してまいりましたときに、それをまたナホトカ及びハバロフスク領事館にソ連の中央官庁が連絡して行動を起こすよりも、大使館の領事部に直接連絡したほうが早い。そういう便宜上のことでそういうたてまえになったわけであります。先ほど申し上げましたように、しかし、その場合に、現地で行動を起こします場合には、モスクワから飛んで行くよりも、ナホトカ、ハバロフスクの領事館が活動を起こして実際動き出すということになると思います。
#57
○羽生三七君 ほかに国際情勢の御質問があるようですから、この辺で。
#58
○委員長(赤間文三君) ちょっと速記とめてください。
#59
○委員長(赤間文三君) 速記を始めて。
#60
○森元治郎君 あと二つの案件がありますから、一つずつ質問しておきます。
 アジア生産性関係の質問ですが、このアジア生産性機構は日本に事務局が置れているのだろうが、こういう協定は日本とアジア生産性本部機構との協定だけれども、加盟国はエカフェですから十二あったと思うが、そのほかの国との協定関係はどうなっているかということと、生産性機構の活動の現状はどうなっておるかということ。それからノールウェーとの二重課税の回避ですが、これはノールウェーのほうから改定を申し入れてきたのだろうと思う、日本からというよりは。渉外関係でいけば、輸出入が日本が一億ドルくらい輸出して、ノールウェーのほうは日本に二千万ドルくらい、たいへんな日本は出超になっている。向こうから申し入れてきたのだろうが、この協定のできることによって、直接いかなる利益が相互にあるのか。ノールウェーをちょっと見てみると、留学生もなければ企業の進出もほとんどない、そのわりには貿易量は多いという関係にあるようですが、大事なスエーデンの隣にあるノールウェーとの関係増進についてどういうふうな外交的な手を打ちつつあるのか。利害関係――害はないけれども、われわれはどれだけの利益を得て、ノールウェーがどれだけの利益を得るのか、この二点だけ伺っておきます。
#61
○説明員(高島益郎君) 最初に、アジア生産性機構の特権及び免除に関する協定につきましてお答えいたします。これは東京に事務所がある関係で、加盟国政府は十二全部ございますけれども、日本とアジア生産性機構との特権免除の協定が第一号でございます。ほかの国との関係は何らございません。実際に活動する舞台は東京でございますので、東京に各加盟国からいろいろ代表者が来たりあるいは専門家が来たり、また職員が東京でいろいろ活動するというような場合の特権免除等を認めたのでございます。そういう必要上から見ましても、ほかの国にはまだそれほど必要性が感じられませんので、とりあえず日本がやるということであります。これを契機にいたしまして、他の加盟国でもそういう協定が結ばれるという可能性はもちろんございます。
 それから、活動につきましては、後ほど別の担当官のほうから御説明さしていただきます。
 それからノールウェーとの租税協定につきましては、これはもちろん御承知のとおり、向こうのほうから全面的な改正の要求がございまして、それに日本が応じてOECDのモデルに従った新条約にしたというのが趣旨でございます。実際にノールウェーと日本との経済関係全般を申しますと、確かにかつては日本の出超でございますが、これは出超の分は船舶造船関係だけであります。造船以外につきましては、大体輸出輸入が均衡状態でございます。それから、主たる影響という点から申しますと、資本取引の関係で日本がノールウェーの技術を買っております。また、日本もノールウェーに技術を輸出しております。それの使用料につきまして若干影響かございます。昨年の仮で申しますと、日本はノールウエーに対しまして約七十二万ドルの使用料、すなわちロイアルティーを払っております。それから、ノールウエーは日本に対しましてたしか二十六万ドルだったと思いますが払っております。この使用料に対します課税率はすなわち源泉地国におきます課税率が従来は一五%であったのが、今度は五%の減の一〇%にした。したがってその五%分だけ、つまり全体といたしまして日本のほうが減収になる。もちろん、ノールウェーのほうも減収になるわけでありますけれども、そうしますと約二万数千ドル税収が減るという結果になります、日本のほうの税収が。それ以外に、特別に今度の租税条約の全面的な改正によりましても、実際上の影響というのはございません。ノールウェーから日本に、例のSASが伸びておりますし、また船舶が日本に二十四往復来ておりますけれども、これも船舶及び航空機につきましては、双方に課税を免除するというたてまえになっておりますので、実際上はこの改正によりまして何ら影響はないわけであります。
#62
○説明員(野村豊君) アジア生産性機構の行なっておりますところの活動につきまして御説明申し上げます。このアジア生産性機構は、加盟国がそれぞれお互いに協力することによりまして、これらの加盟国の地域におきますところの生産性を向上させるというところに主眼があるわけでございまして、具体的な活動といたしましては、このような目的を達成するために、主として各国の生産性本部が中心となりまして、いろいろな会議、たとえば具体的には理事会というのがございまして、年一回開催でございますが、理事会を開催いたしておりますほか、シンポジウム、ゼミナールというふうなものを開催いたしましたり、そのほか訓練コース、または視察団の派遣、または専門家を派遣するというような活動を行なっておるわけでございます。このアジア生産性機構は、現在までのところ、主として工業ないしは中小企業の分野におきますところの生産性を直上させるということに多大の主眼を置いてまいったわけでございまして、いま申しましたゼミナール、シンポジウムその他におきましては、たとえば中小企業の開発でございますとか、あるいはまたその商品の品質管理そのほか経営の診断、経営のコンサルタントの養成というような分野につきましていろいろ研究を行ない、あるいはまたそのゼミナール等を通じまして、お互いに知識、経験を交流しあっておるというのが現状でございます。
#63
○森元治郎君 その生産性の活動は、どうも現段階は紙と鉛筆という段階だな。どうですか。
#64
○説明員(野村豊君) アジア生産性機構の活動の目的は、いま申し上げましたとおり、生産性の向上というふうな、かなり抽象的といいますか、活動を目的といたしておりまして、かつまた、じみな分野をいたしておるわけでございますので、具体的活動といたしましては、特定の人間の養成ということでまいっておるわけでございます。したがいまして、紙と鉛筆だとおっしゃいましたけれども、具体的には、日本からいろいろ専門家を出しましたり、あるいは、またはそれ以外の国から他の加盟国に人を出しましたりということで、知識、経験の伝達ということで、それぞれ人材の養成ということに当たっておるわけでございます。
#65
○森元治郎君 紙と鉛筆と口だ。
#66
○羽生三七君 一つだけ。ノールウェーから日本には、いまお話しがあったように、船舶が二十四往復、それから航空機がSASで週四便、こうなっておるわけですが、ノールウェーから日本の問題もあるけれども、同時に、日ソの航空協定ができた関係で、一体北回りとそれから日本からモスクワへ直行ということで・どういう影響が出てきたのか、まだ開設されて日が浅いけれども、しかし、この機会に、もしその後の経過がわかっておったら、ひとつ聞かしていただきたい。
#67
○説明員(高島益郎君) ただいまちょっと資料がございませんので、後ほど調査の上、御回答いたしたいと思います。
#68
○国務大臣(三木武夫君) これは回数が少ないですから、いまのところそんなに影響を与えるようなことになってない、一往復ですからね。これがまた回数がふえれば影響がある。いまのところはそんな大きな影響ということは、私は聞いてないです。乗客は多いようですけれどもね。しかし、とにかく一便という非常に少ないものですから。
#69
○羽生三七君 いまでなくていいから、あとで事情がわかったら、また聞かしてください。
#70
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑は、この程度といたします。
    ―――――――――――――
#71
○委員長(赤間文三君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#72
○佐多忠隆君 外務大臣はきのうアラブ七カ国の大使と会談をされたようですが、その会談の模様をお話し願いたい。
#73
○国務大臣(三木武夫君) アラブ七カ国の大使が共同して面会を申し入れてきたわけでございます。昨日五時から外務省においてアラブ諸国の各大使と会ったわけで、それは、アラブ連合、サウジアラビア、イラク、クウェート、イラン、レバノン、アルジェリア――アルジェリアは臨時大使でしたが、この七名と一時間の会談をいたしたわけでございます。アラブの各大使、これは各大使がみないずれも発言をされました。そうして、イスラエルが侵略者である、こういうことが第一点。それから、米英はイスラエルを助けた、それでアメリカ及びイギリスとの外交関係を絶った。それから三点は、アラビアの石油の供給、直接間接でもイスラエルを助けておる国には石油の供給を停止する。それからスエズ運河は、イスラエルの攻撃によって船が沈んで運河が長期的に使用不可能になる場合を考えてこれを閉鎖した。こういうスエズ運河の閉鎖について。次は、日本政府がイスラエルの侵略に対してこれを非難してアラブ諸国の主張を支持するようにしてもらいたい、こういう意味の申し入れがあったわけでございまして、私が申しましたのは、とにかくいろいろの言い分があるにしても、いまやはりこれで戦争が拡大していくという状態に置いてはこれは非常に危険な状態におちいるので、まず、国連の全会一致でもってきめられた停戦をアラブ諸国も受諾をされて、それを第一歩として、長続きのする平和というものを打ち立てることが問題解決の出発点ではないか。したがって、そういう線でアラブ諸国も努力をしてもらいたい。それから、スエズ運河はできるだけ早く再開するように努力してもらいたい。日本の立場は、この紛争には介入をしない中立の立場で、国連を中心として地域紛争の早期解決に努力するというのが日本の政府の立場である。これが両方の会談の内容でございます。
#74
○佐多忠隆君 国連の安保理事会の即時停戦の決議、これを早く受諾しろということを勧奨されたようですが、あの決議がなされて以後、アラブ諸国、あるいはイスラエルがこれに対してどう対応をしつつあると見ておられますか。
#75
○国務大臣(三木武夫君) 佐多さんも御承知のように、イスラエルはアラブの受諾を条件にして受諾したわけですね。アラブ諸国の中でも、ヨルダンはこれを受諾したわけですね。これに対して、イラクは拒否したわけです。ほかの、イラクとヨルダンを除いては、まだ態度をはっきりした公電に接しておりません。しかし、一方においてこれを受諾した国も出てきたということですね、アラブの中に。そこで、いま言ったような二国以外の国は態度をまだ決定していないわけですが、ソ連が、今朝、日本時間では三時ごろですね、安保理事会に対して、もう即時――日本時間の午前五時までに即時停戦をしろ、イスラエルに対しても、これで停戦に応じないで軍事行動を続けるならば、両国の関係を考える、こういうソ連の提案を行ないまして、全会一致で採択をされたわけでございます。そしてイスラエルは再びアラブ諸国のこれに対する受諾を条件にしてソ連の提案をも受諾したと、まあ、こういうのが国連を中心とする現状でございます。
#76
○佐多忠隆君 そういう状況で、即時停戦の決議というのはなかなかうまくいかないようなおそれもあるんですが、まあ、それはそれとして、いまおっしゃったように、期限つきの停戦の決議も出ていることでありますから、これらがまあ今後どういうふうに展開をすると見通されるか。特に即時停戦は平和回復への第一歩にすぎないのだと、あと、さらにいろいろな問題を処理してもらわなければならないということも言っているようですが、その第一歩に続く次の第二歩、第三歩というのにはどういう問題があるのか、どうそれを措置していけばいいとお考えになっているか。
#77
○国務大臣(三木武夫君) 私は、こういうふうに見ているんです。これは全会一致で、米ソ間の話し合いというものも意見が一致して、ああいう提案になったわけですから、また、相当な影響力を持つ米ソその他の国々が一致して、即時この戦争の拡大を防ごうという世界世論というものが一致をしたわけでありますから、この大国も含めて一致した一つの国際世論というものに対しては、戦争当事国に対して相当な影響力をこれは持っておる。したがって、いろいろな紆余曲折はあるけれども、この戦争が世界戦争のような形に拡大していくという危険はない。大国はもうこれに介入しないで戦争を終わらそうと努力していますから、そういうことで、まあ紆余曲折はあるけれども、これがさらに戦争が拡大していくようなことに対しては、世界の世論というものは食いとめることにやはりそれだけの効果をあげていくのではないかと、こう私は見ている。これはしかし、佐多さんも御指摘のように、根が深いですからね、だから、すぐに、決議になったわ、直ちにというわけにはいかぬけれども、結局は、この大国も含めての世界世論の決定というものがやはり大きな影響力をこの中東の戦争に与えていくに違いない。そこで、戦争は多少の時間をかげながらも、まあ、だんだんと戦争終息への方向に動くのではないかというふうに大きく見ておるわけです。その間紆余曲折はあるでしょう。そして、それがまずこの停戦が第一歩であることは事実ですわね。それがなければもう話し合いにも何にも入れぬのですから、とにかく現状において撃ち方やめと、こういうのが決議の趣旨ですから、そこでまあ話し合いになってくれば、たとえばアカバ湾の問題も出るでしょうし、あるいはまた、相当イスラエルが進撃しておるようでありますから、そういうふうな問題、それに対する撤退の問題も起こるでありましょうし、これはいろいろ問題はたくさんある。しかし、とにかく、まあ停戦というものが第一歩であるということは間違いのないことでありますから、われわれとしても、今後ともやはりこの停戦を実現して、そしてわれわれ公平な第三者という立場から、この地域的な根が深いといっても、これは何とか解決をしていかなければならぬので、国連を舞台にして努力していきたいと、こう考えておるわけでございます。
#78
○佐多忠隆君 この停戦を進める上において、今後停戦を監視するという問題が起こってくるのじゃないかと思うのですが、あるいは国連の終戦監視団というようなものが新たにつくられるかどうか、それらの点はどういうふうに見通されるか。特に、その国連の終戦監視団が今後新たにできるという場合に、もう一度日本もこれに参加してもらいたいというような問題が起きないとも限らないと思うのですが、そういう場合に日本はこれにどう対処されるおつもりか。
#79
○国務大臣(三木武夫君) これはまあどういう形でこの停戦が実現をして、そうして中東における平和を維持するための一つのまあ国際的保障といいますかね、そういうものがどういう形になるかということは、まだちょっと見当がつきません、これはね。しかし、まあ、何らかのこの保障というものが要るのではないかという気もいたしますけれども、どういう形になるかということも、いまのところはまだこの停戦の入り口で停滞しておるわけですから、わかりませんが、まあ、そういう場合に日本はどうするのかということですが、これはまあ自衛隊などはその中には行けませんよね。しかし、そういう場合にどういうふうなそのときの条件、国際的条件はどうであろうか、どういう条件であろうかというふうなことで、いろいろ検討はするような必要が起こってくるのかもしれませんが、まあ、いまのところ、政府はそのことについて検討をしてはいないのです。まだこの入り口のところでありますし、また、そのあと一体どういう国際保障ができるかということも見当がつきませんからね。政府がこれに検討を加えておるという事実は、これはそういう事実はございません、いまのところ。
#80
○佐多忠隆君 事態の推移から見ると、どうしてもそういう監視団の設立の問題が出てくる。したがって、それに関連して日本がどうするかということは、やっぱり重大な問題になると思うのですが、かつて一ぺん問題になったことがありますが、この点は遅滞なくひとつどう対処すべきかということを早急に検討していただきたいと思います。その上、またいろいろ議論をしたいと思います。
 それから次は、この中東地域における在留邦人の動静、引き揚げ、そういう事情はどういうふうになっているのですか、いま。
#81
○国務大臣(三木武夫君) いままあ一番簡単なのは特別機ですけれども、飛行場が閉鎖になっておりますから特別機ということは困難で、あるいは戦局の進展によったならば海上という場合も考えられるわけで、これに対してはいろいろな場合を考えて準備をいたしておりますが、力石局長からその準備についてお答えをいたします。
#82
○政府委員(力石健次郎君) 事変が始まりまして各地の飛行場が閉鎖されましたので、特別機を出して、飛行場が使えるようになったらすぐ助け出すというふうな相談をずっと進めておるわけであります。しかし、これは報道でございますけれども、イスラエルのテルアビブの飛行場は再開されたと伝えられております。イスラエルにいる人々の引き揚げば、まあ相当込んでおるとは思いますけれども、そう問題はないような状況になってきております。それからレバノンでございますが、レバノンもあまり戦火をこうむっておりませんので、順次引き揚げをして来ることが可能であるような状態であります。一番心配なのはUARにいる人々でありまして、UARには約二百二十名の邦人がいるわけでございますが、イスラエル軍の進撃が非常に早くてだんだんスエズに近づいておるというような状況でありまして、かつ、カイロの飛行場は戦闘行為のために滑走路その他少し傷がついておるそうです。それで、必要があれば大使館に人を集める、在留邦人を集めるなり何なりして万全の措置を講ずるようにとは言ってありますけれども、いましばらくたちませんと、特別機がどういうふうにして行けるのかということはわからない状態でございます。
#83
○佐多忠隆君 今度の中東の事件で一番問題になるのは石油の問題だと思うのですが、イラクは地中海海岸へ走る日本の油送管を停止をした。それから、アルジェリアは国内の全米英石油施設を国家管理に移した。クウェートは米英への石油の輸出を禁止するというようないろいろな措置がとられ、これが特にヨーロッパ、イギリスには非常に大きな影響を与えるというので、イギリスの政府の間でも国会でも非常に問題になっているようですが、日本の原油供給に対してどういうふうな影響があるか、今後どういうふうに見通したらいいのか。それから、これについてこれまでの石油政策というようなものを、特に中東あたりに九〇%以上も依存するというような事態を根本的に変えていかなければいけないんじゃないか。それらの点について政府はどういうふうにお考えになっているか。
#84
○国務大臣(三木武夫君) いま石油の供給については、ペルシア湾ですから、紛争の地帯でございませんから、まあ、イラクが影響を受けます。イラクの数量はあまり多くありませんから、したがって、サウジアラビア、クウェート、それからイラン、こういう日本が主として供給を受けておる地帯は、日本の石油の供給がとまるという事態にはなっておりませんから、供給に対する非常な危機におちいったという地帯はございません、いまのところ。これが、戦局ができるだけ収拾のほうへ動いておるんですから、そうなればなおさらのことでございます。しかし、佐多君の御指摘のように、九〇%を日本の石油というものが依存しておるという事態は、非常にこれはやはり貯油も一カ月くらいのものですからね、こういうところにもやはり検討を要する問題が私はあると思いますよ。しかし、いまこの九〇%の中近東に依存しておるこの原油を、ほかの市場に変えるといっても、これはもう容易にできることではない。第一番は、あの中近東における平和の維持ということが、日本ばかりでなしに、世界の大部分というものはやっぱり石油資源というものは依存をしておる状態でありますから、そういう面からも、中近東の平和の確保ということが一番に、これは石油の供給を確保するもうこれは大きな前提になるわけですね。これは国連を中心として今後長続きのする平和という道は、この衝突を一つの契機にしてこれはみなが検討されるに違いない。それともう一つは、そうはいってもですね、日本の石油もいまアラスカなどに対してもその石油の開発というものに対して進もうとしておりますが、できるだけ、そういうふうな中近東以外の地域においても石油の開発という努力をしなければなりません。カナダとか、インドネシア、それからアラスカなどに対しての開発というものも非常に進められておるわけですから。しかし、一方において、日本の石油の貯油量というものが一カ月ということに対しては、やっぱり不安を感じて、こういう点は政府としてやはり検討をしなければならぬ課題であると私は考えております。政府も、中東のこういう紛争を一つの機会にいろいろ検討してみようということになっておることは、新聞紙上で御承知のとおりであります。検討すべき問題点だと考えております。
#85
○佐多忠隆君 その問題、さしあたりにはあんまり影響はないというお話ですが、そうかもしれないが、長い見地から考えると、中近東のあの不安定さというのは相当続くし、これからもたびたび問題が起きるんじゃないかと思う。そのたびごとに今度のような問題になると思いますので、そういう点は少し長い目で、十年なり、二十年あるいは五十年の長い長期展望のもとにエネルギー政策を確立をするという意味で、ぜひ長期な根本的な対策を至急に御検討を願いたいと思います。
 それから次は、もう一つは、スエズ運河が閉鎖されたのですが、この閉鎖の今後の動向はどういうふうになるか。特に日本の海運あるいは貿易に対してどういう経済的な影響が出てくるというふうにお考えになるか。
#86
○国務大臣(三木武夫君) 欧州の貿易、スエズ運河に寄っているわけですから、これで運賃が高くなりますね。スエズ運河を通らぬと迂回しなければならぬ。そういうことで、これが長期に続けば、貿易の上において非常な支障を来たすと思います。そういうことで、これはきのうもアラブの一大使にも言ったのですが、スエズという、これは重要なやっぱり国際航路でもあるわけですから、できるだけ再開を急いでもらいたいという話をしたわけですが、これは、向こうも永久にこれを閉鎖しようという考えではないのでしょう。むろん、船が沈んだりしてあれがもう通れぬようなことになればたいへんだということで閉鎖したのだという説明でしたから、これは戦局の収拾とともにスエズ運河は再開されるものだと、われわれも期待しておるわけであります。これがなかなか通れないということになれば、日本ばかりでなしに、世界のあれだけの重要な国際航路というものも閉鎖されるということになれば、これはたいへんな影響を与えることになりますので、われわれとしては一日も早くあれが再開されるような努力をいたしたいと思っております。その影響は決して軽くないというふうに見ております。
#87
○佐多忠隆君 今度の中東の事態は、影響するところが非常に広範で、全段的で、いまお話しの貿易の問題にしても、海運の問題にしても、あるいは航空の問題にしても、あるいは郵便等の問題もあると思いますし、特にエネルギーの問題は重要な問題であります。そういうあらゆる方面に関連し、全般的な問題になると思うのですが、そうだとすると、政府としても、そういう問題を総合的に、全体を見ながらそれに対する対処策を立てていくということが絶対に必要になると思うのですが、それらの点については政府はどう構想しておられるか。何かそういうほうに問題を進めようとしておられるのかどうか、もしそういうことがないとすれば、至急にそういう総合的な対策を立てることをやっていただきたいと思うんですが、その点はどうですか。
#88
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のとおりだと思います。こんなに何か世界がこう狭くなった感じですね。中東の問題というのは、こんなに国民的関心と日本の経済的利害に結びついてきますからね。だから、中東のああいう事件というものをこれを一つの契機に、日本の中近東政策というものに対して、総合的に検討を加えるという私は時期だと思います。この点については、御指摘のように、総合的な見地から中近東の政策というものをわれわれは検討を加えていきたいと考えております。
#89
○岡田宗司君 大部分佐多さんのほうから質問がありましたので、私はそれを補足する意味で二、三の点をお聞きしたい。
 第一の点は、この収拾にあたりましてまず第一に停戦が行なわれなければならぬことは、これはもう当然のことであります。ところが、イスラエルの軍隊は、御承知ように、シナイ半島の大部分を席巻して、そしてスエズ運河に迫っておる。また、アカバ湾の入り口に空挺部隊をおろしてそこを保障占領しておる。あるいはヨルダン側のほうも、ヨルダン川の周辺まで出ておる。こういうような状況で、かなり国境の外へ深く進出しておるわけであります。停戦が行なわれましても、これを撤収するということはなかなかイスラエル側でもよほどの保障がない限りはやらないのじゃないか。そこで、どうしてこれを撤収させるか、その代償としてどういう保障を与えるかということが、今後、単にイスラエルとアラブ諸国との間だけでなく、これは大きな国際的な問題になり、特に国連でもこの問題が重大な問題になってくると思うのであります。その際に一番問題になるのは、国境の変更といいますか、領土の問題です。おそらくイスラエル側としては、ガザ地区とかあるいはヨルダン側のある地域とかいうものを自国の安全のために要求するかもしれない。あるいは、アカバ湾の入り口の地帯についても何らかそういう要求があるかもしれないと思いますけれども、しかし、国境の変更ということになりますというと、これは重大な問題だと思うのであります。日本政府としては安保理事会の一員でございますから、おそらくこういう問題についても討議に加わるわけであるし、そうすれば、日本政府としてこの問題についてやはり何らかの一定の方針を持って臨まなければならぬだろうと思うのであります。この国境の変更の問題については政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
#90
○国務大臣(三木武夫君) 今度のまあ戦争と言ったらいいですか――宣戦布告したのですから――その戦争は、両方とも自衛である、こう言うのです。何か国境の変更を求めてやるのだというふうには言っていませんから、自衛であるということが両方の前提になっておりますから、そんなに国境線の変更というものが重大問題化されないのではないかと私は見ておるのですけれども、これは二十年来国連でいろいろ論議されてきた問題で、いろいろな問題が出てくると思いますよ。停戦から次に、これが相当長続きのする平和を樹立しようとすればいろんな問題がありますが、常に言えることは、日本はもう地域紛争を武力で解決しない、平和的に解決をする、こういう原則の上に立って公正な第三者として理非曲直を明らかにするという立場で臨みたいと思う。いま、こういう場合ああいう場合といろんな場合が想定できますけれども、そういうことで、こういう場合はこうする、ああいう場合はああする、こういうことがちょっと言えない状態ではなかろうか、そういうふうに考えております。
#91
○岡田宗司君 武力による国境の変更ということは、どうも私どもは原則的に認めたくない。保障占領は長続きしますと、これはやはりさらにまた紛争の起こるもとになる。したがいまして、この問題については、やはり日本政府としては原則的に武力による国境の変更は認めないという態度をもって臨んでいただきたいということを申し上げたいのであります。それが第一。
 それから第二に、スエズ運河の問題について、これが閉鎖されたということは、日本にとりましても重大な影響がある。もちろん、世界全体に大きな影響があるわけでありますが、スエズ運河が一国のアラブ連合の領土内にあるわけでありますが、アラブ連合がその閉鎖を今度も一方的な宣言によってやったわけなんですけれども、国際的にきわめて重要な動脈であるスエズ運河がそうやすやすと閉鎖されないような、何か国際的な措置が講ぜられるものかどうか。また、日本政府としても、これは経済的に重大な関係を持っておるものでありますから、これが軽々に閉鎖されないようにする方途について、これは日本政府だけでなくて、列国とともに考えられるかどうか、その点についてどういう方針をお持ちになって臨まれますか。
#92
○国務大臣(三木武夫君) 岡田さんの言うとおり、スエズ運河というのは国際的な水路ですから、言われるようなことは望ましいと思います。
#93
○岡田宗司君 次にお伺いしたいことは、これは佐多さんもお触れになりましたけれども、今後停戦が行なわれる。そうすると、再び小ぜり合いが行なわれないために、最終的な決定を見るまでの間、国際連合から監視隊というようなものが派遣される可能性がある。その際に、日本も安保理事会の一員になっておりますから、したがって、場合によると、そういうものに日本が参加を求められる場合も起こってくるわけです。先ほど、そういう問題について今後十分に研究する、こういうことでございましたが、これは私も非常に重大な問題だと思うのであります。それは、日本の憲法あるいは自衛隊法で自衛隊の海外派遣ということはできないことになっておる。そうすると、国際監視隊を自衛隊のままで行くということになりますと、この問題に抵触してくるわけです。これは法解釈の上からの問題もあるでしょうし、といって今度、国際的にそういう平和のために役立つものとして求められた場合に一体どうするかということになってまいりますと、これはある意味で考えなければならぬという問題も起こってくるであろう、そこらの点でなかなかむずかしい問題があろうと思うのであります。この問題について十分に研究をされて、国民が納得いくような結論を出してもらいたいと思います。これは国際監視隊だからいいんだというようなことで軽々に出ていって、その次に、じゃ国外へ出すのはだんだんかまわないんだというようなことになってまいりますと、これは国民の間にいろいろな疑念を持たすようなことになってきますし、そういう疑念を持たすということは、これは重大な結果を及ぼしてくるので、したがって、そういう点について国民に疑念を残さないようなふうに決定していただきたい、こういうふうに思うわけです。
#94
○国務大臣(三木武夫君) 岡田さんは非常に外交上の高い見識をお持ちになっておるので、あなたの説には私も耳を傾ける一人でございますが、これはどうですか。岡田さん自身の御意見として、国内法に抵触をしない、国際監視団が武力行使を伴わない、国内法に抵触することはいけません、そういうものの国際監視団というものに対して、日本が参加を求められたときに、見識を持つ岡田さんの意見として一体どうだろうか、あなたの意見をお聞かせ願えればしあわせだと思います。
#95
○岡田宗司君 これはどうも、党でもってこの問題をまだ検討していないから、したがって、党の意見としてどうも述べるわけにはまいりませんか、私自身としては、一番問題は、この問題がどういう点でぶつかるか、国内法に抵触するかという問題をもう少し検討する必要があろうかと思うのです。それから、目的は、戦闘行為のために派遣するのではないということから起こるとすれば、この国内法との抵触の問題について何か道があるかどうか。もう少し私自身も検討はしていきたいと思っております。
#96
○佐多忠隆君 ただ、その問題について、この間も、前のときも問題になったのですが、自衛隊を海外派遣することは憲法上あるいは自衛隊法上できない。それで、それでもどうしてもやるべきだというようなことから、それじゃ、自衛隊員を自衛隊から籍を抜いて、外務省なら外務省に預けて、そこから出すというような形ならいいんじゃないかというような意見もなされましたが、これはやっぱりていのいいもぐりで、こういうことは絶対に考えられないので、やってもらいたくないと私は思うのですが。
#97
○岡田宗司君 佐多さんと少しニュアンスの違いがありますが、いずれにせよ、私どもは、たとえば憲法並びに国内法に抵触しないということが一番重大な問題。それに抵触するということになりますと、たとえ目的がよくても、これはやはり国民の間に大きな疑念を起こすし、将来またそのために別な問題について悪例を残すことにもなろうかと思うのです。その点は政府でも十分検討をして、この問題が実際に国連の安保理事会等で提起された場合には、国民に十分に納得のできるような政府の態度を示していただきたい。
#98
○国務大臣(三木武夫君) やはり国内法に抵触するということは絶対いけませんね。国内法に抵触してはいけない。また、武力行使を伴うようなことがあっては、これはむろんいけない。そういうふうな一つの制約のもとで、国際監視団というようなものに対しての参加、これは、中東問題というのでなしに、やっぱり一つの検討の課題だと思います。個人岡田さん、あるいは社会党としても御検討を願っておきたいと思います。
#99
○岡田宗司君 次に、例のアカバ湾の航行の問題ですが、これは日本にとりましても、やはり単にイスラエルとの貿易の問題だけではなくて、今後起こるであろうそういう問題について原則的な意味を持っておるので、この問題についても、その解決について日本側としては十分な考慮を払っていただきたいと思うのです。それと同時に、この問題が、御承知のように、今後もアラブ諸国と日本の関係に及ぼす影響も重大でありますので、したがって、両方考えていくということはたいへんむずかしい問題でありましょうが、しかし、現在の戦況からいうと、国際的な解決はでき得る可能性も現実に出てくる、こういうふうに考えられるので、そこいらでひとつ、日本政府としても、原則的な問題は貫かれるような方法、しかも、アラブ諸国に対して刺激を与えないというような方法でやっていただきたいと思うのです。
#100
○加藤シヅエ君 最後に一言委員長に申し上げますけれども、この外務委員会において非常に重要な問題が真剣に審議されておりますときに、与党委員がお一人もお残りにならないというような状態、これは非常に遺憾なことだと思います。今後こういうことのございませんように、厳重に委員長としてお取り計らいくださいますように警告を申し上げます。
#101
○委員長(赤間文三君) 了承しました。
#102
○渋谷邦彦君 中近東の問題については、一昨日また本日と、いろいろな観点から質疑応答がなされておりますので、また、それを集約する意味、あるいは再確認の意味を含めて、若干大臣に質問いたしたいと思います。
 まず基本的な問題として、今日におけるベトナム戦争、また過去における印パ紛争、あるいは中印紛争、あるいは今回の中東紛争、そういうときに、いつもどうもぼやけるのが日本外交の置かれた立場だということを気にするのですよ。おそらく大臣としては、歴代の大臣の中でも非常にきわめて意欲的にこの新しい日本の外交を推進しようという御決意をお持ちになっていらっしゃると思う。そういう立場から、今度の中近東の紛争にいたしましても、この段階ではどうする、この段階ではどうするという大臣自身としての御方針をお持ちになっていらっしゃるのではないか。先ほどの御答弁を伺っておりますと、あくまで厳正中立でいくのだ、これはまことにけっこうだと思うのです。また、国連を中心とするという場合もございましょう。しかし、やはりこの日本の位置づけというものを将来考えていった場合、これで一体いいのかという場合も出てきましょう。どういうふうにこれから事態が推移するかわかりませんし、その事態の推移に伴って、やはり大臣は大臣として、日本政府の方向をきめるためにも、いろいろと方針をお考えでいらっしゃるのではないか。たとえば、今回の中東問題にしぼってもいいと思うのです。現在はともかく、どちらかといえば、先ほどのお話しのように、あくまでも近寄らず遠のかず、大体こんな御回答のように伺いました。しかし私は、そうではないと思う。あるいは戦争ですから、どんなきっかけで全面戦争に広がる可能性が出てこないとも限らない。また、そういった場合を予想して、大臣としては、こうする、またこういう段階も考えているというような腹案ですね、もしございましたら、お聞かせ願いたい。
#103
○国務大臣(三木武夫君) 渋谷さんは、いろいろもう少しやれる余地があるのではないかという疑問が生じられたわけだと思うのでありますが、この中東に対して、日本は歴史的に深入りした地域ではないのですね。戦後イスラエルなどというようなものが生れてきて、そういうふうないろいろな世界政治の背景のもとに生れてきて、これに日本は深入りした立場でなかったですから、したがって、日本は、この場合に、日本外交として、そんならばあの中に深く介入していってこの問題に何かと日本がイニシアチブをとるという立場には日本はないと思うのです。日本はそういう歴史的な背景を中東とは持っていない。ただ、日本の原油の大部分が中東からの供給を受けておる。これは厳然たる事実ですから、そういうふうなことで、経済的な結びつきは非常に深いですよ。しかし、あそこのイスラエルとアラブ諸国との対立には、経済的なものよりももっと根の深いものがあるのですから、この中に日本が深入りするということは、それだけの理由も背景も持ってないのではないか。だから、日本外交が働きかける余地というものは、地域紛争に、早く武力による衝突というものを一日も早く平和的に解決する方向に、やはり国連を舞台にして働く。それはやはり日本の利益を守る点でもありますね。あそこに紛争が拡大していけば、石油の供給もあぶなくなる。そういうふうな立場で、とにかく停戦をやって、そして、利害関係の深い国々でやはり話し合いをしていく。日本は、だからどちらかに介入する立場はとれぬと思うのです。いま岡田さんが言われておったが、国際的原則を日本は守れよ、一方においてアラブの民族主義にも理解を持てというのが私の尊敬する岡田さんのお話であるので、実際そうだと思うのです、これをどちらかに片づけて、どちらかに片寄っていきますと、非常にぐあいが悪いわけでありますので、やはりこれは平和的に解決する。そして、そのために停戦という事態を、とにかく理屈を言っても、拡大をすると危険ですから、まず停戦という棒ぐいを打って、そこから話し合いを進めるというために日本外交が動くというのが精一ぱいのところでないでしょうか。これにあまり深入りをしますと、それだけの背景もそれだけのなにもないのに日本が深入りをするということは、大いに世界政治のイニシアチブを日本がとるという、そういうことだけで外交は動くべきではないのではないか、こういうふうに私は考えているのです。
#104
○渋谷邦彦君 たいへん慎重きわまるお考え方だと思いますね。ただ、まあここ一両日の情勢を考えてみますと、非常にイスラエルのほうが優勢を伝えられているのですね。戦争も、一方的に優勢なほうが勝利をとるという場合もありましょうし、また、その背景につながる強国の援助いかんによってまた逆転ということも考えられる。非常に微妙な段階なんでありますが、いま私があえて大臣に申し上げたことは、これは極端な言い方かもしれませんが、いまのお話で大体理解できるわけでありまして、大臣が、たとえばアラブ連合あるいはイスラエルの外務大臣なら外務大臣と直接折衝を持つ用意はないか、この点はどうでございますか。
#105
○国務大臣(三木武夫君) いまこの問題に対する日本政府の基本的態度は、やはり国連を中心として動きたい。国連を中心として、問題によったら渋谷さん御指摘のように、私が直接先方の外務大臣と話し合いなり持っていいと思います。そういう外交は必要だと思いますが、この問題については、やはり国連を舞台にして、国連の内部で平和的解決の促進に努力することが外交の常道だと私は考えております。
#106
○渋谷邦彦君 それはまことにそのとおりだと私も思います。ただ、国連がいままでの歴史の上におきましても、今回ソ連のほうからの提案でもって停戦の決議案が出されたという、まことにいまだかつてない雰囲気であったろうと思いますが、大体、国連の現在の機能といい、またすべての運営の面を考えましても、どうも世界のやはり一部に疑惑を持たせるような面が多々あったことは、これは否定できないと思うのですね。今度の場合でも、フランスが単独に休戦をあるいは停戦を呼びかけたというふうなこともいわれておりますし、あるいは四カ国外相会議でございますか、こういったことも早急に開いて、何とかできるだけすみやかにその停戦のきっかけをつくろうという、そういう、国連とはまた別個な方法がとられておる。こういうことも、いま私があえて世界外交のイニシアチブをとることはどうかというお話もございましたけれども、やはりチャンスが到来したときには、外務大臣としても、日本外交というものを高からしめていく上においても、これは絶対必要なことじゃないか。こういう考えでいまあえて申し上げたわけなんでございますが、国連の場合におきましても、一昨日の大臣の答弁を伺っておりましても、国連の大使を通じて積極的にということで、具体的な内容は何もお触れになっていらっしゃらない。とにかく停戦の方向へ努力をする。これはもういつでも国会の答弁というものは努力をすると言うだけで、具体性が何らないことで有名なんでございますけれども、多少具体的な問題がございましたら、いま日本政府としては国連大使を通じて、あるいは安保理事会においてこういうことを提案しておるというようなものはございませんでしょうか。
#107
○国務大臣(三木武夫君) いま申したように、中東問題というのは、日本が、いろいろ歴史的ないきさつからいっても、イニシアチブをとる問題では私はないと思っておるのです。この問題は、渋谷さんの言うように、私は日本の国力に相応した外交をやりたいと思うのです。私は、そういうことで、イニシアチブをとれる問題にその労をいとうものではないのです。しかし、この問題は、日本がどうもイニシアチブをとってするという問題ではないのではないか。どうしてもイスラエルとかアラブ諸国とかいう国に関係の深い大国があるわけですから、こういう国々の影響力というものは、われわれの影響力とはもう比較にならないのですから、そういう国々に働きかけて、この戦争の拡大を防ぐように日本が働きかけるというのが、日本外交としては常道ではないでしょうか。あまり影響力もないのに、国連の舞台で日本が踊っても、これはやはり日本の外交の声価を高める道ではないというような感じがいたしまして、この問題に関してはやはり国連を中心にして動きたいという考えでございます。
#108
○渋谷邦彦君 そのとおりでいいと思います。私も、そのときに応じてとるべき方法としては、何らわれわれとしては疑問を差しはさむものではありませんが、ただ、歴史的ないままでの関係から日本としては介入できない。じゃ、今後におきましても、そうした歴史的に関係のなかった、非常に浅かったそういう地域に今後問題が起こった場合、先ほど外務大臣が、非常に世界が狭くなってきて何らかの形で経済的なつながりあるいはごく将来において政治的なつながりが生ずるであろうと言う最近の国際情勢の変化ですね。そうしますと、直接これは世界平和というものに結びついてこなければならない問題であるならば、たとえ過去においてはそうであったにせよ、やはり先進国の一員であるところの日本が拱手傍観することはできない。こういう背景で私はお尋ねしたわけでありますから、次に、確かに、イスラエルあるいはアラブ連合を考えてみた場合に、あるいは石油の問題あるいはアスワン・ハイダム等々の問題がありまして、重大な利害関係があるといえば重大な利害関係があると思われますが、先ほど大臣が申されました中立の態度を堅持することによって、アラブあるいはイスラエルともに利害関係においてはいままでと何ら変わらない国交関係を結びながらいけると、こう理解してよろしいのでございますか。
#109
○国務大臣(三木武夫君) いまおっしゃるように、日本の立場というのはどちらに介入するという立場でないのですから、こういう日本の立場というものは、紛争の当事国においても理解をされるものだと考えておりますから、その限りにおいては、紛争当事国と日本との関係に変化が来るとは見ていないわけでございます。
#110
○渋谷邦彦君 次に、アメリカがアラブ連合と断交をしたと、ソ連も、イスラエルが戦闘状態をやめない限りあるいは断交するであろう、こういうことがいわれておりますが、外務省としては、あるいは大臣として、この断交の意味するものはどういうものであるか、また、どういうふうな情勢分析に立って、先ほど来の心配はないだろうというニュアンスのほうが非常に強いわけでありますけれども、この断交がもたらす今後の影響というものについて、もう一度確認のためにお聞かせいただきたいと思います。
#111
○国務大臣(三木武夫君) こういうこのイスラエルとアラブ諸国との衝突といういろいろに興奮した状態に置かれておるわけですね、中東は。そしてアメリカ、イギリスとの断交の理由も、イスラエルを助けた、こういう理由によって断交するというのが昨日来られたアラブ七カ国の大使の私に直接話したことばであります。したがって、こういう紛争問題というものが平和的に解決をされてくれば、いろいろ戦争の事態という非常に興奮した状態における外交関係というものも、またこれは変化が来る日が私はあるだろう、こういうふうに見ておるのでございます。
#112
○渋谷邦彦君 最後に、だいぶ時間も経過したようでありますが、最後に一問。ソ連の態度、考え方というものを今回に限って見た場合は、ちょっと異例なような気がいたします。それで、相当いろいろな、アメリカにしてもそれからソ連にしても、アラブの権益をめぐってできるだけお互いにやらないほうが得であろうと、こんなふうな考え方というものが底流にあるのではないか。そういうことで、できるだけ早期にというふうに判断できるのでありますが、大臣としては、くしくも今回、アメリカにしてもソ連にしても、戦争早期終結という方向に動いている、その情勢分析についてはどのように判断されましょうか。
#113
○国務大臣(三木武夫君) まあ、渋谷さん、いろいろな国というものは利害打算というものも外交の中にあるのでしょうが、日本の外務大臣が、米ソのいろいろな、何と言うのですか、その思惑というものを論評するのはいかがでございましょうか。私はしたくないのです。しかし、結論としては、一日も早く平和的に解決しようという結論に、米ソという一番影響力を当事国に持っている国の意見が一致したということは喜ぶべきものであり、その背景にあるいろいろな利害打算は別として、これはやはりソ連、アメリカの平和回復への、平和達成への努力というものは評価したいと、こう考えておるものでございます。
#114
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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