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1967/06/20 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第12号
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1967/06/20 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第12号

#1
第055回国会 外務委員会 第12号
昭和四十二年六月二十日(火曜日)
   午前十時四十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
    委 員
                鹿島守之助君
                佐藤 一郎君
                高橋  衛君
                山本 利壽君
                岡田 宗司君
                加藤シヅエ君
                羽生 三七君
                大和 与一君
                黒柳  明君
   国務大臣
       外 務 大 臣  三木 武夫君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    力石健次郎君
       外務省国際連合
       局長       服部 五郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説 明 員
       外務省アジア局
       参事官      吉良 秀通君
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
       外務省国際運合
       局参事官     滝川 正久君
       通商産業省企業
       局参事官     橋本 徳男君
      ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空業務に関する日本国政府とシンガポール共
 和国政府との間の協定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名さ
 れた国際博覧会に関する条約第四条を改正する
 議定書の締結について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (最近の国際情勢に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 航空業務に関する日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 及び、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○羽生三七君 この万博の、国際博覧会の問題については一体最終的な責任はどこにあるのか。これは博覧会協議会ですか、万博協議会ということになっておるようですが、それと関連してだいぶいま問題になっておるようですが、その辺はどういうことになっておるのですか。国の責任ということではない。ただそれは、国は補助の役、財政的な助成の役、それと便宜を与えるという程度のことなのか。そのことはかなりいま問題になっておるようですが、どういうふうにお考えになっていますか。
#4
○国務大臣(三木武夫君) これは法律的には別として、私自身は担当大臣であるから、最終的には国の責任だと私は思います。いろいろ法規上は言い分はあるようですが、こういう国際条約によって、そうして対外的に代表しておるものは政府ですから、そういう最終的な責任は政府にあると――法規上にいろいろ問題はあるでしょうけれども――そういうふうな考え方が私はいいという考えです。
#5
○羽生三七君 その問題に関連して、ずいぶん問題があります。あるが、これは条約というよりも、外務委員会というよりも、むしろ通産のほうでやるべき事柄が多くありますから、その問題についての内容については多く触れません。
 そこで、この議定書では二十カ国がこの当事国となるための手続を完了したときに効力が生ずるということになっておるわけですが、これは現在、この議定書の批准はどういうふうになっておるのか。
#6
○説明員(高島益郎君) 御指摘のとおり、二十カ国が手続を終わりますと効力を発効するわけでありますが、現在十八カ国が済んでおりまして、残り二カ国だけであります。
#7
○羽生三七君 この協定は開催頻度を規制したものですが、現協定が通ることは今後に役立つ、今後いろいろな問題に役立つというふうに言っておりますけれども、モントリオールの万博後わずか三年しかたたない、経過しないわけですね。これはかえって条約の言っておる本旨とだいぶ違うじゃないかという気がする。この期間が非常に短い。それではたして十分な役割りなり機能を果たせるのかどうか、その辺はどうですか。
#8
○国務大臣(三木武夫君) やはりこの次の場合は、これから六年で一九七六年でなければ開かれない。いままでは、モントリオールと大阪という間はあまり接近し過ぎている。こういうところにもやはり頻度の規制というものの必要が私はあったんだと思う。これは少しやはり接近し過ぎている。いままではそういうことになっておったですからね。これでもし大阪で開かれなくても、これはほかにやはり開催の希望地があったわけです。そういうことで、日本が明治百年ですか、アジアに一回もないということで日本が希望してきたわけで、だから、日本が大阪で開かなくてもどこかでやったわけで、この頻度というものは変更はできなかったわけです。今度これが六年という時期をおいたのは私は適当だと思っております。これは政府が、陳列館なんかも各国の政府の責任においてやらなければならぬですから、あまり頻度が多くなってくると、各国ともいろいろな財政負担もありますし、そういうことで六年ぐらいが適当だという感じがいたします。
#9
○羽生三七君 それから、今度大阪でやる場合には、現在のモントリオールの場合と違って、地理的な条件から考えて、参加国がはたして現在のモントリオール程度を期待できるのかどうか。現在までどの程度の国が参加を申し込んでおるのか。あるいはモントリオール以上のことが期待できるのか。この地理的条件から非常に何か問題があるように思うのですが、その点はどうですか。
#10
○説明員(高島益郎君) お答えします。昨年八月に、大阪の万博につきまして百二十六カ国、国際機関といたしまして二十一機関に招請状を発出いたしました。現在まで参加の回答のあったものを申し上げますと、確実に参加するという回答のあったのは九カ国で、参加確実と見られるものを合わせまして十一カ国でございます。正式に参加の回答を申し越してきた国を申しますと、カナダ、韓国、米国、中華民国、オランダ、ザンビア、ソ連、オーストリア、ベルギーでございます。それから参加確実と考えられておりますものは、現在のところインドとカンボジアがございます。国際機関につきましては、国際機関全体としての統一行動をとるという観点から、日本に参加するかどうかについて、参加の希望等につきまして、別途国際機関の内部において検討するという連絡を受けております。
 ただいま大臣からお話しのございましたとおり、今後、日本の開催後六年たちませんと開かれないという観点から申しまして、確かに現在モントリオール開催から考えますと三年後でございますけれども、その後の間隔を考えますと、今後続々と参加の申し込みがふえてくるというふうに期待しております。
#11
○羽生三七君 これはブラッセルの場合に四十三カ国、モントリオールが六十二カ国、はたしてそれをこすことができるかどうかという一部には懸念があるようですが、まあそれはそれとして、まあ大いに努力していただきたいと思うのですが、それから中国とか、北朝鮮というものには公式参加というものを求めるのかどうか、その辺は期待できるかどうか。
#12
○国務大臣(三木武夫君) これは政府が、政府の政府代表が、奥村君などが中心になって世界各国を回って、いまは堀田副会長がラテン・アメリカに、近くは井上副会長がアフリカへ参ります。政府が外交関係を樹立している国を対象にしてやっていますから、中共、北鮮などに対しては、外交関係もございませんので、招請状は出しておらないのでございます。
#13
○羽生三七君 それから万博の協会ですか、それからはどうなんですか。
#14
○国務大臣(三木武夫君) 万博協会からも出しておりません。
#15
○羽生三七君 それからこの万博の費用は、関連事業を含めると、オリンピックよりはるかにたくさんな費用がかかると聞いておりますが、その場合に、先ほど最終的な責任は政府にあると言われましたけれども、この地元で負担金をめぐってだいぶ問題があるようですが、はたしてオリンピックをはるかに上回るといわれる費用を、最終的に政府が、どうしても運営が不可能な場合には責任を持って遂行できる財政的裏づけをやれる確信がおありになるかどうか。
#16
○国務大臣(三木武夫君) 会場の費用は政府三分の二、地元三分の一、これは一つの原則で行くわけです。関連事業は、従来もやはり公共事業に対しての地元負担の割合があるわけですから、万博に直接関係をしたものに対しては政府が相当融資その他の便宜をはからなければならぬことがある。しかし、それに、関連事業といわれておるような事業の中には、これは従来からでも地域開発のために必要とした計画があるわけですから、これに対しては、従来の公共事業に対する地元、国の負担の割合で行く。直接万博に関連のある事業に対しては政府の補助、融資の道というものは別途ケース・バイ・ケースで考えざるを得ない、こういうふうな原則で考えておるわけでございます。
#17
○羽生三七君 万博問題はこのほかたくさん問題がありますが、先ほど申し上げたように、条約それ自体に関する問題以外のことがかなり多いのでこの程度にします。
 それからシンガポールとの航空協定の問題、先日森委員から次回にと言って回答を求められた血債問題のことについて一応御説明をいただきたいと思います。
#18
○説明員(吉良秀通君) 御説明申し上げます。いわゆる血債問題は、当初シンガポールにおいて提起されまして、それが一九六二年の初頭でございまして、一時は対日ボイコットという険悪な事情になったわけでございますが、その後、御承知のとおり、シンガポールはマレイシアと合邦いたしましてマレイシア連邦となりましたので、それ以後はマレイシアのほうでこれを一本にして扱いました。と申しますのは、シンガポール以外にもサバ、サラワク等を含むマレイシアの領域おいてもシンガポールと司じような事件がございましたものですから、マレイシアで一本にしてシンガポールも含めてこれは取扱っておりまして、月来日本側と交渉があったわけでございますが、再び一九六五年の九月にシンガポールがマレイシアから分離独立することになりましたので、この問題は別個に、シンガポールはシンガポールとして、それ以外のマレイシアはマレイシアとして別個に扱うことになりまして、昨年の十月椎名外務大臣が東南アジアを旅行されました際に、まずシンガポールのほうを解決いたした。その後マレイシアと話し合いを続けてきたわけでございますが、先月マレイシアのラーマン首相が来日いたしました機会に、本件についての原則的な合意を、シンガポールにつきましても同様でございますが、目下細目につきまして交渉をいたしておるという現状でございます。いずれ、最終的にまとまりした暁には国会の御承認を取るという段取りでございます。
#19
○羽生三七君 そこでこの問題、シンガポール外相との話し合いで一応は話がついたようですが、それで今度はシンガポールの中で問題が起こって、あれではだめだというようなこと起こったときにはどうなるのですか、あれでもうシンガポールが了承したと解釈してよろしいのですか。
#20
○国務大臣(三木武夫君) シンガポールもあれで了承したと解釈をいたしております。
#21
○加藤シヅエ君 私は万博のほうでちょっと伺いたいと思うのでございますけれども、いまモントリオールのは、ニュースを聞いている限りでは、非常に評判がいい。私もまだ建設中のときに見ましたけれども、場所もたいへんよろしいようでございますし、交通から申しましても、あそこにはたくさん人が集まるところだと思います。これに比べますと、大阪は地理的にそうそうたくさんの人を集めるということは必ずしも容易ではないと私はこういうふうに思うわけでございます。それで、いまモントリオールの場合は予定したよりもたいへんたくさんの入場者があったということを始終ニュースで言っているわけでございます。そうすると、結局、これは赤字にならないで結果は黒字になるのかどうか。そして、まあ条約上の立場は違いますけれども、ニューヨークで二期続けて開いた万博はたいへんな赤字であったと、それで、その赤字とか黒字とかいうのはどういうふうにして勘定するのでございますか、それをちょっと聞かしていただきたいのでございます。
#22
○説明員(橋本徳男君) いまお話しの赤字、黒字でございますが、これは実は建設資金と運営資金と二つ万博の協会では経理ができておるわけでございます。建設資金につきましては、これは国その他のものと、それから民間の施設参加というようなことで所要額が充足されるわけでございます。それから運営資金につきましては、これはいろんな入場料とかあるいはその他の特別な収入によりまして収入面が立ち、それから支出の面としましては、いろいろな催しものとか、人件費とか、こういうもので支出が立つわけでございます。したがいまして、ただ運営収支だけの赤字、黒字という以外に、そういったいろんな施設をやりまして、その施設を、清算の段階、いわゆる四十五年博覧会が済みました段階でそれを売却いたしまして、その売却益と運営収支との関係がどうなるかというふうなことで、黒字、赤字というふうな問題になるかと思いますが、日本の場合にも、十分、そういった意味におきましては赤字は出ないというふうな考え方をわれわれとっておる次第でございます。
#23
○加藤シヅエ君 赤字が出ないというお見通しをお持ちになっていることはまことにけっこうでございますけれども、私は、いますぐそういうお見通しが立つかどうか非常に疑問に思っております。そして、オリンピックの場合と今度の万博の場合でも、こういうような国をあげての行事ということになるのだと思いますけれども、三分の二国費負担、これは国全体が少なからぬ費用を負担するわけでございますから、これが一部の人の利益になって、そしてあとのタックス・ペイヤーがたいした利益にならないで、ただ国の名誉が上がつたわいということで、あまりたくさんのお金を使われることはどうもありがたくいただけないのじゃないか。委員長は大阪御出身の方でおいでなので申しわけないですが、私はそう思うのでございます。それで、いま始まった大阪の万博に水をさすわけではございません。つまり、それが一部の人の利益で終わらないように考えていただかなければならないのでございますけれども、それは、そんなことを言ったからといって、なかなかそうはいかないと思いますけれども、たとえば、国民として一般の人が納得できないなあと思うのは、たとえば、あそこの万博の用地買収のときにたいへんないいお金で土地を買い上げてもらったお百姓さんがものすごくりっぱな邸宅を建てて、そして御主人と奥さんの夫婦は、もんぺと野ら着の姿で大邸宅の横に耕うん機を横づけにして、これから野らにおでかけということは、これは非常にバランスのとれないことであって、そうして、そういうように一夜にして幸運が特定のある人に舞い込んでくるというようなかっこう、しかも、それを国費でやるというようなことは、これは精神的にはなはだよくないのじゃないかと思いますけれども、外務大臣どうお思いになりますか。
#24
○国務大臣(三木武夫君) いろいろな公共事業の場合は、初期のときにはそういうことは起こったんですね。しかし、まあこのごろはだいぶ反省も起こってきて、第一に、買い上げの値段もあまりむちゃな値段でない。また、それを売却した人々の生活態度の中にもあまり極端なアンバランスというようなことは、反省の気分が起こってきておりますから、初期のような弊害というものは起こらぬのではないでしょうか。加藤さんの言われる、これは国費を使うのだから、それが一部の人だけの利益になるようなことは厳に慎むべきだというおことばは、私もそうだと思いますね。したがって、これは万博に関係をする政府はもちろんのこと、万博協会等も心すべきことだと考えております。
#25
○加藤シヅエ君 この機会にもう一つ将来のことで申し上げておきたいと思うのでございますけれども、万博は、これはやはり一応の法的手続を経て万博をするということにきまるし、オリンピックもそうであると思います。けれども、それが一番最初にきまるときには、たくさんの税金を負担する大衆には何もその声は聞かれないで決定されて歩き出すわけでございます。ですから、あとになってから、それがいいの悪いのというようなことをタックス・ペイヤーの立場から言う機会はないわけで、もうできたらしょうがないからその費用は負担する、こういうことでございますけれども、スイスのある所で、私ちょっと名前を忘れましたけれども、あそこはスポーツの盛んな国で、国際的なスケートのオリンピックの部分の大会をスイスのある所で開くことが、世界的にも最高の場所であるというので、非常にそれが希望された。ところが、スイスは御承知のように、どんな小さいことでもレフェレンダムによって決定する。そこへオリンピックを持ってくることがいいかどうか。そのときに地方自治体は、持ってくればこういういいことがある、けれど地方自治体の負担の金額はこれこれであるということを具体的に示して、そして国民投票に、そこの地域の全体投票をした。そうしたら、スイスの方は非常にがめついと言っちゃ悪いかもしれませんけれども、なかなか勘定高くて、勘定をしたところがどうもそんな費用を出すほどのことでないと思うから、これは否決しようということで否決になったという話をニュースで聞いております。それは私非常に堅実な考え方だと思います。将来こういうような国全体の費用を負担しなければならない場合には、最初その発想をなさるときにも、やはり一応国会やなんかのみんなにはかってそういうことをおきめになるというようなことはできないものでございましょうかね。
#26
○国務大臣(三木武夫君) 日本にはレフェレンダムのような組織はございませんから、しかしこの場合でも、必ずしも日本に来るときまったものではないんですから、したがって、先へきめてという性質のものでもない。そういう会議を通じてきまっていくわけですから、結局、事前に、こういうオリンピックとか万博というものを国会などできめてという方式というものはむずかしいと思います。ただ、予算の場合には、両院の御審議を願うわけですから、そういう場合に国民代表としての発言権を持っているということよりほかにないんじゃないでしょうか。田本の場合、来るか来ないかわからないんですから、先へそれをきめてからかかるという、そういう形式というのは、この種のやはり催しものに対してとりがたいのじゃないでしょうか。ただ、それは国のタックス・ペイヤーに関係のある予算という場面において国民の代表の審議によるというような形式よりほかないのじゃないでしょうかね、実際問題として。
#27
○加藤シヅエ君 それは、いまの形式ではそういうことであろうと思います。しかし、日本人の国民性としては、オリンピックとか、万博とかいうものがもう一応その線に乗りましたら、それにいいろいろなけちをつけるというようなことは国民性としてみんな控える、そしてみんな協力する、そしてたいへんにはなばなしく国民全部が一致団結してみごとにやってのけて、世界的には非常に名誉を博するわけでございます。ですけれども、その陰には、いろいろな一部だけの利益でたくさんの人は非常に利益をこうむらないで税金を払わせられるということになるということは、これは政治家として大いに将来考えるべきことではないかと、私はこう思って……これはただ私の意見でございます。
 それからもう一つ申し上げたいのは、大阪の博覧会を非常に成功させるためにそれぞれ方々へ派遣して、いままでの博覧会や何かの実地をお調べと思いますけれども、どなたかお調べになった方の中で、一昨々年でしたか、スイスで二十五年に一回開く博覧会――これはローザンヌでございましたか――開かれた博覧会をどなたか視察なさったでしょうか。
#28
○説明員(橋本徳男君) スイスの博覧会は、私たち承知しておるところでは、万国博ではなしに、むしろスイスの国内博ではないかというふうに考えておりまして、われわれ、まだそういうことについて視察した人の意見は聞いてないわけでございます。加藤シヅエ君 あれは二十五年に一回スイスで開く博覧会で、万国博覧会ではございませんけれども、非常にうまくやりましたので、どなたか見ておいでくださって、ああいうものを参考になさるとたいへんいいなと思ったのでございます。ほかの、いままでの博覧会でもやったことのないような非常にいいいろいろな企画がございましたので、どなたか外務当局のほうからお調べになればわかることだと思いますから、ぜひあれを御参考になさるように私は意見として申し上げます。
#29
○委員長(赤間文三君) 別に御意見もないようでございますので、二案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これから討論に入ります。右二案件を一括して討論を行ないます。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。航空業務に関する日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#32
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#33
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 なお、二案件に関し本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#35
○委員長(赤間文三君) 速記を始めてください。
    ―――――――――――――
#36
○委員長(赤間文三君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#37
○羽生三七君 最初にちょっと。これは委員長にもお願いしておきたいと思うのですが、実は、総理の南ベトナム訪問予定に関連をして社会党では本会議に総理の出席を求めてその報告を聞いて質問をする、もしそれができない場合には、外務委員会あるいは予算委員会ですが、主として外務委員会に出席を求めて報告を聴取するということになっておりますので、これはぜひ委員長としても、この本会議でのことはこれは国対の関係ですが、もし外務委員会ということになる場合には、委員長としても、また与党の皆さんとしても、十分に御配慮をお願いいたしたいと思います。これはきょうの国対でそういうことになりましたので、あらかじめ御注文をいたしておきます。
 そこで、それに関連をして外相にお尋ねをしてみたいと思うのですが、一応新聞報道によれば、総理大臣が南ベトナムを訪問されることになっておるようです。しかし、これは先日岡田委員から総理の韓国訪問に関連をしてお話しがあったと同様の問題でして、あるいはそれ以上の問題かと思います。ベトナム問題がこういう情勢にあるときに、特に南ベトナムを訪問されることはいかがかと思うわけであります。約十二カ国を予定されておるようですが、訪問先は、もしその周辺の国を訪問して南ベトナムだけ寄らないということが外交上まずいというならば、十二カ国も回るのですから、適当に間引きして、訪問国については十分な選択をしてその配慮をすればよろしいと思うわけです。これが一つと、特にベトナム問題等で何らかの役割りを日本が果たそうとするならば、なおさらのこと、この際南ベトナム訪問をされるというようなことは適当でないのではないか、これは、近隣の国に寄る際に南ベトナムだけ省くのはいかがかという外交儀礼上の問題として考える、そういう小さい問題ではないと思うのです。私は非常にこれは大きい問題だと思うので、外相もそれに賛成されたようなふうにも伝えられておりますけれども、この際十分お考え直しをいただきたいと思います。その御返事を承った上で、さらに重ねて伺いたいと思います。
#38
○国務大臣(三木武夫君) 今度の総理の東南アジア訪問は十二カ国を予定しておる。その中に南ベトナムが入っている。旅行の目的は、これは申すまでもなく国交を回復しておる国々との親善を深めるということがこれが一つの目的であります。
 第二の目的は経済協力、日本も各国とやっておるわけですから、広い意味の経済協力の話し合いをする、各国の首脳と。それからもう一つは、ベトナム紛争の和平の道を探求する。これが一つのやはり旅行の目的だと私は思っております。ことにインドシナ諸国――カンボジア、ラオス等も予定の中に入っておるわけでありますから、インドシナ諸国においては特にそうだと私は思うわけであります。インドシナ諸国についてはそういう感じがいたします。これは羽生さんも同様な感じだと思いますが、いっ終息を告げるかもしれないベトナムの紛争が続いていくということに対して、心を痛めないアジアの政治指導者は私はあるべきはずはないと思っている。何とかしてこのベトナム戦争を早く終わらしてあの戦争のエネルギーを平和のために使わせることができぬかということを考えることは、特に日本のようなアジアにおける非常に先進国である――唯一の先進国である日本の総理として当然のことである、そういう見地に立って一番紛争の当事国である南ベトナム政府、しかも、国民の支持を受けて民政に移管された政府の首脳部と、日本の国民の意思を体して早期の平和的解決について話し合うということは、これは非常に大きな意義のあることだ。もうベトナムといったら、何もかかわりがなく、もうじっとものを言うのもベトナムということは遠慮するというそういう消極的態度もあり得るでしょう。私はやはり積極的に、日本の態度というものが戦争を早く終わらしたいというならば、それはやはり積極的な中立的態度がいいんだ。消極的にベトナムについてはものも言わぬという態度は日本の政治指導者として通らない。だから、一つの儀礼的ということだけでは意味が小さ過ぎる。やはりベトナムの和平の道を探求するために南ベトナム政府の首脳部と話し合うことは、やはり意義があると考えて私も賛成をいたすものでございます。
#39
○羽生三七君 南ベトナムの問題に腕を組んでじっとしていろということを言っておるのではないのです。私の言うのは それは和平のありかたによるのです。どういう和平のあり方を追求するか、そういう意図を持って、もし南ベトナムを私たちが考えているような和平の意図を持って訪問するなら、私はそれなりに意義があると思います。ただ一般論的な反対論ではないのです。そうじゃなしに、いままでの佐藤総理の考え方をわれわれが判断した場合に、少なくとも今日までのところは、アメリカの北爆もやむを得ないと見て、あるいは今日の南ベトナムの態度もある程度はアメリカに支援を求めるのはやむを得ないというような解釈をして、そういう立場で南ベトナムを訪問されるという前提条件がある程度明らかになっておるわけです。それは全く従来の考えと変わって積極的な、いまおっしゃったような、ほんとうの意味の中立という立場をとって、それで南ベトナムを訪問されるというならば、それなりの意義があると評価をいたします。そうではないのですから、その前提条件が全然違うために私どもはいま申し上げたような議論を出しているわけですから、ですから、いま外相は、中立の立場をとって平和に交渉するのに何が悪いかといったようなお話があったが、それでは、はたしてそういう考えでやれるのでありますか。
#40
○国務大臣(三木武夫君) 私はベトナムの紛争の終結というものは羽生さんとのいろいろ質疑応答の中でも申し上げましたように、将来はやはりベトナム人がこれはきめるべきである。しかし、現在終戦といいますか一応いまの行なわれている戦争というものに終末を告げさすためには、暫定的にせよ、十七度線で戦争を終わらす以外に道はない。これはベトナムは一つだと言っても、いますぐハノイがやはり南を共産化することもできないし、また、南が共産政権はいやだと言ってもこれを到すことはできない。そうすれば、十七度線を暫定的な境界線として共存の道を考えていくよりほかはないと思う。そうなってくると、南ベトナム政府という、そういう立場に立つとするならば、南ベトナムというのは重大な紛争の当事者です。総理がそういう立場に立って首脳部と話をしてみるということは大いに私は意義がある。日本が、この悲惨な戦争を何とかして早く終わらし得ないかと、そういうことで胸を痛めない政治家というものはあろうはずはない。アジアでも、われわれも事情が許すならばハノイにも行ったらいいという考えです。総理だってそういう心境だと思う。そういうことで、何とかこの問題に対して平和の道を探求できまいかということで、そういう意図のもとにベトナムを訪問するということは、儀礼もありましょうが、儀礼のほかに私は意義を持っていると考えておるものでございます。
#41
○羽生三七君 たまたまいま外相が十七度線を境にしてと言われましたが、この前の私の質問に対しても外相は、十七度線を境にして南北が平和的な競争的共存をやる、それ以上外に当面解決の道はないとおっしゃった。それならば、将来の統一ベトナムができる場合のことは別として、いま外相自身がいみじくも言われたように、それじゃ、北ベトナムはどうなるのか、たとえば私、佐藤総理が総理に就任された当時に、北ベトナムとの外交関係を持ったらどうかという質問をしたが、まだその時期ではない、こういうお答えだったのです。ですから、いまも、外相自身が、北ベトナムを訪問したらいいとも思うくらいのことを言われておるのですから、ですから、そういう北ベトナムに対しても同様な配慮を持って、そのバランスで南ベトナムに行くというなら、これはわかります。しかし、北ベトナムについては第三国を通じて何らか意向を打診するという程度のことで、それで南ベトナムを直接訪問されて戦争当事者と話をすれば、これはどこの国が見たって、一方的な立場と誤解されるのは当然だと思うのです。したがって、外相が――外相というよりも、総理もそうですけれども、日本政府がベトナム問題の解決について明確な一つの方針を持って、その上で南べトナムを、ある意味においては説得するという意味も含めての訪問なら、これはまた話はわからぬわけではありません。ですから、そういういう性格を持たない以上、私は適当ではない。特に前回の予算の総括質問の際に申し上げたように、何らかのベトナム問題で日本が役割りを果たそうとするならば、この韓国、南ベトナム等を含めて訪問国の選択については十分な配慮と節度が必要だということを私は申し上げた。やはり私はいま同様のことを重ねて申し上げたいんです。訪問する場合の基本的な日本の態度自身が問題なんです。平和を追求するということは当然のことですから、その平和のあり方が、どういうことを考えておるか、これが問題だと思うのです。
#42
○国務大臣(三木武夫君) 結局、何とかして早く戦争を終わらす道はないかということでしょうね。この道を探求することは、これは日本なんかの総理大臣として当然の責任だと思いますね。ただ傍観するということではなくて、何とかこの不幸な戦争を早く終わらせられまいかということで、一番の大きな紛争の当事国であるベトナム政府の首脳部と話しするということは、これは私は意義のあることだと思う。特にカンボジアとかラオスなんかの訪問というものは、親善もありましようけれども、そういう大きな意義を持つものだと私は思うのです。ハノイといってもいま事情が許しませんから、外務大臣や総理がハノイに行くということは事情が許さぬ。しかし、気持ちとしてはそれくらいの気持ちでこの戦争の早期の解決ということに取り組むことが政治家としての当然の態度。親善というだけではない、それ以外にその意味を持ってベトナムを訪問することは意義を持っておると私は思っておるんです。
#43
○羽生三七君 もう一つ。これは単に一部の報道だけで、政府の真意であるかどうかは疑問でありますけれども、ベトナム戦争が終結したあとの経済建設等について、いまからやはり何らかの足がかりをつくっておかなければということも伝えられておりますが、これはとんでもない話で、それこそ日本がそろばんばかりはじいている国だと言われるのはそこから来ておるわけです。特にいまやらなければならぬことは、全力をあげてやはり戦争を片づけるということが問題で、片づいたあとの建設に一役買おうなんて、そんなさもしい根性をいまから出すべきでない。これは意見ですからあえて答弁は要りませんが、そういうことだろうと思います。
 それからこの問題は、先ほど委員長に申しあげたように、これは外相にばかりお尋ねしておってもいかがかと思いますから、ぜひ総理も出席して同僚議員がこの問題について十分質問する機会をつくるように御配慮をいただきたいと思います。
 ついでにもう一点だけお伺いしたいことは、中国の水爆実験に関連をして一体日本の外務省としてはどう考えておるのか。まさかこれに関連して別に対抗処置をとるとは全然私たちも予想しておらぬし、そうかといってまた、アメリカの核のかさの保護を一そう深く求めるための何らかの配慮をするだろうとも思わないし、そういうことは毛頭考えておりません。しかし、考えてみるに、結局、中国を世界軍縮会議に参加させてその中で解決する以外に解決の道はないのではないか。その感を私はいよいよ深くするわけです。もしそれをやらなかったならば、おそらく数年後にはIRBMの完成は必至であるし、十年足らずでICBMもできるであろうと想像されるわけです。しかも、そういう中国の核開発が進んでいくことを、国際社会から遮断されておる今日の中国を規制する道は何もないわけです。したがって、終局的な解決の道は、すみやかに中国が国連に入るなり、あるいは世界軍縮会議に参加を求めて――それは私の見通しではなかなか簡単には参加しないと思います。しかし、それにもかかわらず、この中に参加を求めて国際的な会議の中で問題を解決する以外に解決の方法はないんではないか。そうしないと、与党の一部の中には対抗手段を何らか講じたらどうかというような議論も出てくると思いますので、これは真剣にひとつその問題を考えてもらいたいと思うし、そういう将来の問題もあるけれども、現在として外務省としてはこれにどういう考えを持って臨んでおるのか。
#44
○国務大臣(三木武夫君) この点は羽生さんと私同感です。やっぱり中共が軍縮会議に参加して、そうしてやはり世界的な場において核軍縮その他の軍縮の問題を相談していくということが世界のためにも非常に必要である、これは賛成であります。しかし、中共自身が、これに参加しないと、こう言っておるわけでありますから、これはわれわれは、ぜひとも中共も軍縮会議の中に入って、そうして人類をこんなに不安におとしいれている核の問題あるいは一般軍縮の問題を討議をするように中共の考え方を変えることを望んでやまないものであります。しかし、それだからといって、中共の水爆実験というものが、それ以外に方法はないというわけにはいかない。やっぱり非常に遺憾なことである。日曜日にかかわらず放射能対策本部を政府は開いて、そうしていまはも全国二十数ケ所、牛乳などについても放射能の被害というもの、政府はこれに対して調査をいたしておるわけです、非常な不安におとしいれるわけですから。こういう段階になってきて、そして中共が水爆の実験を行なうということに対しては、われわれとしても非常に遺憾しごくであると考えております。羽生さんもこの点は同感だと私は思う。むろん、軍縮の会議に中共を参加させることは賛成ですよ。それとまた、こういう時期になって核実験を次々に繰り返していくという態度には強い反省を求めたいという考えでございます。この考えはおそらく超党派でしょう。
#45
○羽生三七君 それは、当面の問題についてはいま外相の言われたこととわれわれも変わりありません。しかし、それにもかかわらず、これはよほど強い決意で、世界軍縮会議の促進等は、国連の場なりあるいは何らかの方法を通じて中国自身にも繰り返し繰り返しそれを言わないと、これは永久に矛盾が深化していくだけで解決の方法はないと思います。ですから、これは何か一種のマンネリズムみたいになって、中国の国連参加とか、世界軍縮会議への参加を求めるという、これは普通だれでもまくらことばみたいに言われておりますが、そんなことでなしに、もっと本格的にこの問題に取り組まないと根本的な解決は不可能だ、これは強い熱意を要望するわけであります。
 それからもう一つ、これ一点で終わりますが、今度の中東問題では、一応イスラエル軍の撤退、これを求めたようです。しかし、この求め方も、当面、今度のことについて今度の戦争の始まる前の状態に戻すということがこれは一つあります。これはもう非常にそういう意思を表明されたことは賛成で、けっこうであります。しかし、それ以前の問題に戻ると、これはまた問題もあるし、それからアカバ湾の自由航行の問題とも関連させているようですが、その辺のほんとうの日本の真意というものはどこにあるのか。一応の態度は表明されたようですが、その点だけひとつ最後に承わらせていただきたい。
#46
○国務大臣(三木武夫君) 一つの原則は、武力による領土の拡張は認めない。これは一つのプリンシプルです。したがって、国連緊急軍が撤退した、その前の状態に復さなければならない。これが一つ。
 それから、日本のような海洋国では、公海の自由の原則というものは確保されなければいけない。そうでなければ、ことに日本のような海洋国としては、これはだれよりもこの問題に対しては非常に神経過敏であることは当然でありますから、こういう原則、また、いま言った、武力による領土の拡張を認めない、これは今日の世界の大きな原理、原則です。世界のだれが見ても万人が見てもこれはもっともであるという人類のこの原理、原則の上に立ってこの問題の解決をはかりたいというのが政府の基本的な態度です。
#47
○羽生三七君 それはしかし、実際になかなかその辺のところは微妙で、これはいま緊急国連総会でもかなり論議の対象となる重要な問題だと思いますが、どうか誤りなき対処を望んで、他に御発言がだいぶあるようですから、私の発言はこの程度にします。
#48
○岡田宗司君 総理の南ベトナム訪問についていずれは総理の御出席を願って、そして総理自身からもいろいろお聞きしたいと思うのですけれども、なおその前に外務大臣に若干お伺いしたいと思います。
 それは、いままで南ベトナムに対して、まあ総理大臣が行くとか、あるいは外務大臣が行くとかというようなこともなかったし、また、グエン・カオ・キ首相が日本を訪問するというのに対しても、円滑にこれをお断わりしておった。あるいは、マニラ会議にも参加しなかったし、アジア・太平洋閣僚会議においても、反共色を出す、特に、南ベトナムに対する軍事援加に巻き込まれるということに対して非常に警戒的態度をとっておった。それが今度、親善訪問ということの一部ではありますけれども、とにかく南ベトナムを訪問するということをきめたということは、私はこれは非常に大きな変化があったと思うのです。それがどういうときに行なわれたか。つまり、アジア・太平洋公館長会議の直後、おそらくこの会議のうちから、南ベトナム大使等の進言が相当力を持ったものだろうと思うのでありますが、その進言が受け入れられたいまの国際的背景というものを私どもは考えてみるときに、これは単なる親善、あるいは単にベトナムの和平探求というふうには考えられないのであります。
 一つはアメリカ側が、ウエストモーランド将軍がアメリカでもって増兵を要求した。それに基づいてマクナマラ国防長官が最近南ベトナムを訪れることになった。これは国連総会のためにやや延期されましたけれども、そういう状況で、さらに激化する事態になっておった。さらにまた中近東問題が起こって、そうして卒直に言えば、アラブが敗北をし、そうしてソ連がきわめて不利な外交情勢に立った。こういうような時期を背景にして行なわれたというところに私は問題がありはしないかと思うのであります。
 で、もし総理がサイゴンを訪れた、そうしてグエン・カオ・キ首相との間に、おそらく共同コミュニケも発せられることになるでありましょう。それは単に友好親善を盛り込むだけのものであるか。御承知のように、グエン・カオ・キ首相は、これはアメリカにささえられてそうして北に対して強硬な態度をとっている。和平というようなことについては、これを口にしない態度をとっている首相でございます。そこへ行って、結果するところは何か。そこへ行って話をして、そうしてきまるところは何かといえば、結局、直接間接、南ベトナムを支持し、南ベトナムの軍事的強化並びに政治的強化に資するようなことになるだろう、貢献するようなことになるだろうというのが最後ではないかと思うのであります。
 また、伝えられるところによれば、今回の総理の南ベトナム訪問は、この秋アメリカを総理が訪問をして、ジョンソン大統領と会談をされる際に、ベトナム問題についての発言の裏づけをするため、あるいはまた、将来ベトナム和平が始まる場合に日本の立場を有利ならしめるために積極的な発言力を持つためということも言われておりますけれども、それだからこそなお、私どもはこの南ベトナムの政府にてこ入れをするということになりはしないかと思うのであります。いままでの南ベトナム政府を訪れたジョンソン大統領、あるいはオーストラリアの首相、あるはまた韓国の首相等は、いずれも兵隊を送っている国であります。ほかの国の首相がまだ南ベトナムを訪れているということはありません。ですから、私はそういう背景から見て、これは非常に時宜を得たものではない。私たちは、それが国民に与える印象、単に国民だけではなくて、アジアの諸国に与える印象、これはいわゆる反共国だけにはいい印象を与えるかもしれませんけれども、アジア全体に与える印象を考えますときに、反対せざるを得ないわけであります。その決定に至る経過並びにその背景との関連について、外務大臣はどうお考えになるか、それだけお伺いしたい。
#49
○国務大臣(三木武夫君) いま羽生さんの御質問にもお答えしたように、これは、ベトナム戦争というものはいまのアジアの悲劇ですね。そうして結末ということは、もうジュネーブ協定の精神に帰って一応の結末をつけるよりほかにはないではないか、こういうことですね、だれが考えても。これでなおかつ、やはり戦争が続いて行なわれているということに対して、何とかこの戦争を早く終わらせることができないかと考えることは、私は政治家として当然のことだと思うのです。岡田さんの言われるのは少し私は思い過ごしだと思う。南ベトナムに行って、軍事的に政治的に南ベトナム政府を支援することになるのではないか、ことにグエン・カオ・キ首相を非常に激励するような立場に立つのではないかと言われるわけですが、まあ、そのときはグエン・カオ・キ首相かだれかわからぬですよ、これは、民政移管ですからね。国民のやはり支持を受けた一つの新しい大統領というものができるわけですよね、新憲法によって。しかも、軍事的といったって、日本は何も軍事的にベトナム戦争に加担するということは絶対に許される日本ではないですよ、これはね。したがって総理が、何とか――一番大きな戦争の当事国であることは間違いないですからね、南ベトナムが。これに対して、日本が、一日も早く平和的な解決を望んでおるという日本のこの総理の立場から、そういう見地に立って首脳部と話をやるということは、やはり私は一つの意義を持っておるのではないか。それは何か南ベトナム政府へ戦争の継続を激励に行くようなそういうことならそうですけれども、何とかして終わらしたいと考えておることは、これは日本はどの国にも劣らぬのですからね。あの戦争が続いておるばかりに、アジア全体が非常な不安定な状態になり、経済建設といったところで、なかなかやはりああいう戦争が一方に行なわれておるときには地につかない。こういうときに日本の総理大臣が、早く終わらしたいという国民の意思を体して、そうしてベトナムの人民から支持された新しい大統領と話をするということは、一つの意義を持っておるのではないでしょうか。日本が深入りったって、どう深入りできるのですか。深入りする余地はありませんよ。そういうことで、あんまり何かこの背景といいますかね、そういうふうにお考えにならないで、この国民の、一億国民が戦争を早く終わらしたいというこの願いを体して、戦争の最大の当事国の一つであるベトナムの政府の首脳部と話をするということは、大きな私は意義を持っていると思うのですよ。したがって、日本の従来の政策というものに対して変更したから行くのではないのですよ、これは。やはり従来考えておる、一日も早く和平を達成したいというこの政策の継続としですね、やはり当事者と話をするということは意義を持っていると私は思うのです。
#50
○岡田宗司君 まあ、意見は平行線になりますが、私は、たとえあなたがいまそういうふうに御説明をされても、佐藤総理は、グエン・カオ・キ首相にですね、あるいは他の新しく選ばれる首相にですね、和平の勧告に行くのではないと思っております。そうして、行った以上は、これはやはり、何らかの共同の考え方あるいはまた共同の何ものかが示されることになるわけです。それが与えるものが、私どもはベトナム和平を促進することにならぬ。むしろ向こうさんは、たとえばあなたがそういうふうに言われても、南ベトナム側はそう受け取らない。日本によっててこ入れされる。日本からの経済援助も受ける。なるほど軍隊は来ないかもしれないけれども、いろいろな便宜がはかられて、政治的にも鼓舞される。そういう方向になって、和平とは反対の方向に行く。なるほどアメリカは喜ぶでしょう。しかし、私どもは、そういうぬうな考え方に立っていまベトナム問題に処すということはこれは反対である、こういうことを申し上げまして、私の質問はこれで終わります。
#51
○委員長(赤間文三君) ちょっと速記をとめて。
 〔速記中止〕
#52
○委員長(赤間文三君) じゃ、速記を始めて。
#53
○大和与一君 いまお話ありましたけれども、大臣に二、三お尋ねしまして公明党に譲って、それからあと、少しこまかいことを国連局長に聞いて、さらにまた次回に大臣に対する御質問をいたします。
 ここ四、五日前から、陸奥宗光ですかね、あの小説が新聞に出ていますが、ごらんになっていますか。大先輩ですし、あれは見たほうがいいと思うのですがね。これは余談ですが。
 いまもお話がありましたけれども、この前の御答弁でも、現状維持――暗たんというのですかね、これを力をもって変えることは絶対にいかぬと、こいうふうにおっしゃったと思うのです。これは、中東問題だけというふうに私はとっていないのですけれどもいまもプリンシプルとおっしゃったけれども、これは相当たいへんな問題ですよ、ベトナム含めどこでも。常に、どんなに動いても返ってくるのだ。復原力があるのだ。普通言うことはやすいけれども、実際に大臣はそういうふうにその考え方を貫いて外交の基本原則としておられるか。これを第一に伺います。
#54
○国務大臣(三木武夫君) 私は、今日の国際秩序を維持するためには、この原則を貫く以外に方法はないと考えております。
#55
○大和与一君 この前私は、ウ・タント総長がガザ地区から国連軍を緊急撤退させた、これは重大な誤りか、あるいは少なくとも軽率であった、こういうふうに私はいまも思っているのですが、その後のワシントン、ニューヨークからの特派員の記事を見ても、そういうことがうかがわれます。そうすると、実にこれは重大な問題になっているわけですが、そのことについて、それじゃお聞きしたい。
 国連をあんまり信用できぬものだから、一体国連というのはあったほうがいいのか、ないよりもいいのか、あってなきがごとしか、どういうことでかす、これは。
#56
○国務大臣(三木武夫君) 世界政治に果たしておる国連の役割りというものは、私は高く評価しておる。ないほうがいいのかとおっしゃるけれどもあれはなかったらどうなるでしょうか。国連というものは、いろいろ問題が起これば、こうして国際世論というものも起こってきて、そしてまたこれに対するいろんな解決策というものも、みなが寄ってそこで相談をする。平和的解決の手段としての国連を批判する者があるならば、その国連がない場合は、これがない場合にあるよりもベターだということを証明してもらいたい。やはり国連というものは、この時代の今日の段階において大きな役割りを果たしている。この国連というものをやはりもっと強力な機関として育て上げていくことが、世界の平和的秩序を維持するためのいまのよりどころではないか。これをやめてもかわるものというものはないではないか。国連の無力さはありますよ。無力であっても、それを育てたらどうか、ほかに何があるのか、国際的な機構として。そういうのが私の信念でございます。
#57
○大和与一君 私もあったほうがいいと思っています。しかし、一体国連の分担金を納めていない大国は幾つありますか、二つ、三つ、言ってごらんなさい。ほかの方でもいい。分担金納めていないでしょう、ソビエトなんかは。
#58
○説明員(滝川正久君) 全部納めていないというのではなくて、部分的に納めていない若干ございます。ソビエトにしてもそのとおりでございます。
#59
○大和与一君 国連は、初めは総会本位といいますか、非常にそれが出発点が大きかった。しかし、やっぱり具体的な軸になるのは安保理事会だ。それでほぼ具体的な問題は安保理事会で解決される。それが今度は出し抜かれたかっこうで、総会というふうな形になりましたけれども、これは大臣としてこういうことは好ましいのかどうですか。
#60
○国務大臣(三木武夫君) 安保理事会と総会との関係といいますかね、これはなかなかやっぱり国連の機構の中でむずかしい点だと思います。それは安保理事会で紛争問題というものは解決される仕組みのほうが私は好ましいと思うのです、安保理事会でね。どうしても、百何十カ国という総会の間でいろいろ微妙な問題に対して解決をするということはなかなか実際問題として困難があるのではないか。国際世論というものが総会を通じていろいろ出てくるという効果はあるけれども、問題の解決ということになれば、総会ということは必ずしも適当ではない場合も多かろうと思います。しかし、加盟国の過半数の同意があれば、国連の総会は招集できるという規定もありますから、現在の国連憲章の上において、やはり問題によれば国連総会という形がこれはやむを得ないものだと考えております。
#61
○大和与一君 この前ウ・タント総長のおやりになった処置はどうも少し正確でないじゃないか、国連憲章、規約その他にのっとっていないではないか、こういう意味のお尋ねをしましたら大臣は、そのときは軽く、まあ大体総長はうまくやったんだ、こういうふうにおっしゃったんですが、その後私もいろいろ少し調べてみまして、どうも事務総長がそういうときの権限を個人的にお持ちになっているのではないというふうに、私はいま考えておるんですけれども、その点その後大臣としてお調べになって、やはりやったことは総長の権限内で絶対間違いないと、国連憲章あるいは国連規約第何条においてこうだ、ここまでのお答えができますかどうか。
#62
○国務大臣(三木武夫君) 一つには、ウ・タント事務総長が国連緊急軍を撤退したのは駐留国の同意ということが前提でしょうから、駐留国のやはり撤退の要求があって同意を得られないということは、撤退を決意した動機になっておる。その後の手続についは国連憲章による手続を必ずしもたとえば国連緊急軍の諮問委員会などの制度があるのですが、これは必ずしも完全に諮問委員会に諮問してというような順序には実際問題としてはならなかったようでありましたが、あのウ・タント事務総長の処置がこれは国連憲章に違反しておるという解釈はとっていないんですが、これは憲章については事務当局から説明をしてもよろしゅうございます。
#63
○大和与一君 国連憲章第七章によれば、安保理事会がきめれば、相手国の受け入れのイエスがなくてもできるのですよ、この場合は。ところがこの場合は、当時のハマーショルドと当時のエジプト、アラブ連合でない。話し合いによってそしてそれを事後承諾によって一応きめた。一体ハマーショルドが諮問委員会の経過をちゃんと経ないでやるなどということは私は越権だと思います。と同時に、そういうことをしたのがやはり非常な不測の事態を進めたのではないかという心配がある。そこでその当時の国連とエジプトとの協定ですが、ズィ・エフェクティブ・デイト・オブ・ディパーチャー――「撤退の日」と書いてある。これは日だけを言うのか。合意がなければ――合意がないということは、合意をどこかであるかないかを認め合わなければならない。その手続を踏まなければ事務総長少し土俵を破ったのじゃないかという感じがするんですが、その辺がやはり日本の政府としても、国連に対して、こんなことはあったらたいへんですから、その辺の明確なやはり大臣の御判断がないと、その辺がえらくずるずるになっておる、こういう感じがするのですが。
#64
○説明員(滝川正久君) ちょっと補足させていただきます。
 ただいまの御意見にありましたようなことは、確かに一部の国にそういう批判があることは間違いない。ただ、今度の決定につきまして事務総長は安保理事会に対する執告書を出しまして、一応それは了承された形になっておるわけであります。そこで、なお掘り下げます場合には、法律的にいろんな問題点がございますが、現在では国連の場においていま一応ほかに緊急な問題がありますからこれを審議しているわけであり、事務総長の決定が手続上正しかったかどうかということについては、いま一応了承された形で多少問題が残っているという形でございますが、これはいまお聞きになりました中東派遣軍の基礎になりました決議の解釈でございますが、現在のわがほの解釈では、撤退については同意をしたのであって、まだ消滅というところまで同意したのじゃないのではないか、アラブ連合の領土内におることについても同意が必要であったわけですが、それがなくなったので、したがって、撤退ということまでは同意、しかしこれを完全に消滅させたものだとはまだ見ておらないわけでございます。したがって、今後これが復活しますか、あるいは別個の機関ができますか、というときに同じ問題が起こりますので、この点についてはもっと明確なことにしたほうがよかろう、つまり、事務総長の権限がどこまであるかということについての疑義を将来残さないような決議なり、あるいは了解というものを今後はすべきであろうというのが現在の外務省側の考えでございます。
#65
○大和与一君 大臣、ニューヨーク・タイムズによると、ああいうふうにしたのは、たとえばアラブ連合のほうが監視所をおどかしたり、その近所に爆弾を投げたり、そういうこともしたからと書いてあるけれども、逆説的に言うと、むしろ、そういうことをしたらかえってそれ以上悪いことはできないのですよ。これは一つのニューヨーク・タイムズの報道だから、正確ではありません、ありませんけれども、それほど大事だから、私はやはりこのことについては相当――こまかいことはあとから聞きますけれども――日本政府としても、よほどやはりぴしっとした筋道で総長がやってもらわぬと、これはそれこそ、決して国連を軽く見ているんじゃなくて、重く見ているがゆえに非常にたいへんなことになるから、その辺日本の政府、いまの参事官の話じゃあちょっといいかげんだから、ああいうものは世界の人類が承知しないから、もっときちっとした私は正確な御答弁をあとから求めます。
#66
○黒柳明君 大臣の時間がお忙がしそうで、個条書きに中共の水爆実験について三点ばかりお尋ねしたいと思うのですが、当然、中共とアメリカの核の開発については、これはまだ天地雲泥の差がある、これはあたりまえです。たとい一発でも百発でも、核について、まして水爆ということは大きなこれは人類の脅威であることは、これは間違いないと思います。それともう一つは、開発のテンポが早いことを見て、当然これは実用段階に行くことは、これは早々考えられることである。このようなことを一つの大前提にしてお伺いしたいと思うのですが、まず、外務大臣の、今回の中共の水爆実験の成功について国際的な状況、特にわが国がアメリカと安保体制のもとにあるそれに対しての影響性、わが公明党としては、非常に遺憾な行為である、このような党声明を発表したわけですが、外務大臣としての所見をお伺いしたいと思います。
 第一点は、沖縄の返還問題との関連性ですが、当地に行って一番感ずることは、沖縄それ自体が長期固定化、永久基地化しつつある、こういう感じを受けるわけです。すべての諸設備が新しく改革され、また地下に地下にとすべてのものが完備されておる現地においては、核基地の返還とか、あるいは分離返還なんというものは考えられないということが大体の意見、そのような感じがしましたけれども、そういう沖縄の返還問題と今回の中共の水爆実験、非常にまた返還が一段と困難になったような気もしますが、総理が、武器の発達によって沖縄の必要性が変わり得る、こういうような発言をされましたが、こういう発言にも、今回の中共の実験が若干関連性があるようやにも感じられますが、沖縄の返還についての問題性はどうか。
 第三番目は核拡散の問題。これは当然、中共と絶えず直接にトラブルがあるインドあたりはこれはひしひしと脅威を感ずると思うのです。そうなると、核潜在保有国は非常に今度の核拡散防止条約の調印に対して疑義を抱いてくるのじゃないか。調印の見通しが一歩暗くなったような気もするんですが、以上の三点についてお願いしたいと思います。
#67
○国務大臣(三木武夫君) 第一点は、公明党と私同じです。きわめて遺憾であります。こういう段階で、水爆の実験をあたえて断行しようということに対しては遺憾しごくで、これは公明党と同じ立場であります。
 第二の点については、私は、このことが日本の沖縄施政権の返還その他、日本の政治外交の方向に大きな変更を与えるような結果になるのではないかという御質問に対しては、そうは考えていない。原爆を実験すれば次は水爆になることは、これはもう発展の段階としては当然のことである。起爆装置ができるわけですから、原爆によって。そうなってきて、次の段階は水爆に移ることは、核開発のこれは一つのプロセスとしては当然なので、このことによって、いかにも日本の政治、外交が大転換するというふうな、そういうふうにはこの水爆の実験を考えていないのであります。一つの発展のプロセスとしては当然なことではないか。そのことは遺憾ですよ。これはいまごろやることは非常に遺憾であるけれども、しかし、そういうことが、突然驚天動地のことが行なわれたとは私は思わない。核開発のこれは一つのプロセスである。したがって、そのことが日本の政治、外交に大変革をもたらすような性質のことではない。沖縄の施政権返還についても、中共が水爆実験に成功したから、沖縄の施政権返還に対して従来の政府の考え方を変えなければならぬという必要は考えておりません。
 また、第三点の、核拡散防止条約に対する影響は、御指摘のように、私はあると思いますね。ことに、ある国に対してはこの影響は相当あるであろうと予想される国もありますので、このことは、核拡散防止条約をまとめていく上において、水爆実験が行なわれたということはプラスにはならない。しかしながら、これによって核拡散防止条約、特に核兵器の拡散を防ごうというこの精神というものが、これはもう必要なくなったという、そういうふうな影響を与えるものではない、こう考えております。
○委員長(赤間文三君)よろしゆうございますか。
#68
○黒柳明君 けっこうです。
#69
○委員長(赤間文三君) それでは、国連局長が参りましたので、大和委員、どうぞ。
#70
○大和与一君 局長にお尋ねします。今回の中近東の問題をめぐって国連緊急軍が事務総長の指示によって撤退しました。そのこと、並びに国連の機能といいますか、それにも少し及んでお尋ねしたいと思います。で、事務総長の権限ですね、任免とか、雑用は別として、総会、安保理事会、そのほかに事務総長が特別に個人的な権限を持っているというようなことがありますか。
#71
○政府委員(服部五郎君) お答えします。事務総長の個人的な権限というものは、特に憲章上はないと思います。
#72
○大和与一君 そうすると、九十九条に「国際の平和及び安全の維持を脅威すると認める事項について、安全保障理事会の注意を促すことができる。」とあるが、これはどういうことですか。
#73
○政府委員(服部五郎君) これはまあこの条項どおりでございまして、特に御質問の点がはっきりわからないのですが。
#74
○大和与一君 私は、今回やった事務総長の措置が適当でないというふうにいまも考えているのです。そういう意味で聞いているわけです。だから、事務総長はその権限を与えられておると、総会、安保理事会の決議以外にそういうことができるのだと、緊急措置として、あるいは諮問委員会を経ないでできる、こういうことがどこかにあるかということを聞いているんです。
#75
○政府委員(服部五郎君) 国連緊急軍の撤退につきましては、国連緊急軍諮問委員会というものがございまして、事務総長は撤退を命ずる前にこの委員会に諮問をしております。ただし、この諮問委員会からは何らの明白な回答が出ませんでしたので、事務総長は自分の考えでこの緊急軍撤退を決意したと、もちろん、アラブ連合の同意に基づいて緊急軍はアラブ連合の領土に進駐しておりましたけれども、アラブ連合が同意を撤回する限りは国連緊急軍も撤収せざるを得ないという考えで事務総長がやったものだと思います。まあ、この事態から判断しますと、やむを得なかった措置ではないかとわれわれ考えております。
#76
○大和与一君 結果論を言っているのじゃなくて、当時はハマーショルドですが、事務総長の権限外のことをいまのウタントがした、こういうふうになるのじゃないですか。それは、個人の権限で事務総長として、よし、これはもう自分で引き揚げていいと、こういうことを言ってできると書いてない、どこにも。憲章第七章以外はだめなんだから。七章だったら、相手国が受諾をしなくてもやっていいのです。それ以外にそういうことはないのです。そうすると、それをしたということになるのですねと、こう聞いているのです。
#77
○政府委員(服部五郎君) これは当時のハマーショルドがアラブ連合政府との間に交換しましたエード・メモワールの中で約束しております。アラフ連合の同意がなければ――あるということが前提になって国連緊急軍を認めるということになっております。事務総長とアラブ連合政府との間の合意によってできるということになっております。
#78
○大和与一君 それはハマーショルドと、それから話をしたというのですが、そういうふうなことになっていないじゃないですか。じゃ、撤退の時期とか、合意とか、諮問委員会があるでしょう。その諮問委員会に少なくともかりにそういうふうな合意が得られない、得られる、中間という場合に、総長が個人で、そんなあなた、かってに引き揚げていいなんということは言えないはずですよ。少なくとも諮問委員会を一応経てやらなければ、それは個人になるのですよ、まるっきり。
#79
○政府委員(服部五郎君) 先ほども申し上げましたように、UNEFの諮問委員会に諮問したわけです。それに対しては何らの意思表示がなかったと、しかし、事態は非常に緊急性を持っていたということで、事務総長の判断でそうやったと思います。また、現地の情勢は、アラブ連合政府がまず国連緊急軍の司令官に対して現地で撤退することを要求した、そしてもう国連緊急軍が撤退するそこにアラブ連合軍の兵隊が出てきたという現地の事情もございまして、非常に緊急性があったということでウ・タント事務総長はそういう判断をしたのではないかと思うのでございまして、これはやむを得なかったではないかというふうに考えております。
#80
○大和与一君 その諮問委員会の委員国である、たとえばブラジル、カナダ、これは明らかに反対をしたのじゃないですか、意思表示を総長に対して。
#81
○政府委員(服部五郎君) 実はどういう回答をしたかという点は私まだ調査不十分でございますけれども、まず何らの回答がなかった、委員会としてですね、意思表示がなかったというふうに私自身は聞いております。
#82
○木内四郎君 ちょっといまのに関連して。
 ぼくら聞いていてもよくわからないのだが、いまの国連軍の撤退になるまでの手続、たとえばアラブ連合軍のほうから要求してどういうふうに、その順序をひとつ説明してもらわないと、御両所はよくわかっているかもしらぬけれども、ぼくら聞いているものはわからないから、その順序をひとつ説明してもらったらどうでしょうかな。
#83
○政府委員(服部五郎君) 日付ははっきり覚えておりませんが、あれは五月の十六日だったと思いますが、アラブ連合政府が現地の国連緊急軍の司令官に対して撤退を要求いたしました。国連緊急軍の司令官は、それは手続としておかしい、自分は事務総長の指揮下にある、事務総長にそれを申し入れてくれ、こういうことを司令官が言いまして、二日たったあとだと思います。十八日だったと思いますが、アラブ連合政府が今度事務総長に対して撤退を正式に要求いたしました。そこで事務総長はUNEFの諮問委員会――国連緊急軍の諮問委員会にはかりまして、そして撤退の問題を、撤退するかどうかについて諮問委員会にはかった。ところが、諮問委員会からは何らのそこに意思表示がなかった。しかし、事態の緊急性にかんがみて、事務総長は緊急軍撤退にきめて、アラブ連合の要求に応じて撤退に同意して、自後逐次国連軍を現地から撤退させたというのが現状でございます。
#84
○木内四郎君 もう一つ関連して。
 諮問委員会というのがよくわからないのだけれども、事務総長が自発的に自分の判断――もうこの国連軍は撤退してもよさそうだと思えるようなときにはこの諮問委員会にかけて意見を聞くということじゃないかと思うのですが、アラブ連合の同意を必要としているので、同意を撤回されて、しかも撤退を要求されるような場合には、もう諮問委員会にかける必要もないようなふうに思うのだけれども、その前ハマーショルド事務総長との覚え書にはそういうところをどういうふうに書いてあるのですか。一方のほうから撤退を要求されるというと、そこに駐留する要件がもう欠けてしまうことになってしまえば、諮問委員会に諮問するとかなんとかということは問題のほかになってしまうのじゃないかという気がぼくら聞いていてするのだが、それとあわせてもう一度聞かせてください。
#85
○政府委員(服部五郎君) 私も、いまハマーショルドとアラブ連合政府とのメモワールをちょっと持っておりませんけれども、国連緊急軍をあすこに派遣する本来のたてまえは、やはりアラブ連合国の領土と同時にイスラエル側の領土にも置くべきであった、それが本来の趣旨であったと思います。したがって、両国の同意を得た上で国連緊急軍を両国に置く、配置するというたてまえであったはずなんでございますが、イスラエルはこれを承諾しなかったわけです。したがって、イスラエルの同意がないために国連緊急軍はアラブ連合国だけに配置されたという事情がございまして、国連の平和維持というたてまえからいうと、多少片手落ちであったということでございますけれども、国連緊急軍を派遣する以上、やはりその国の同意がなければならぬという、これもまた国の主権の問題にもからまってまいりますので、やむを得ずアラブ連合国側だけに置く、そうして事務総長とアラブ連合政府との間に合意がきめられた、こういう形になっておると思います。
#86
○木内四郎君 もうちょっと関連して。
 そうなれば、アラブ連合国の領土内に駐留するということは、アラブ連合政府の同意が条件なんだから、撤退してくれと言えば、同意の条件が欠けてしまったのだから、そこに判断の余地がないんじゃないですか。事務総長の判断の余地がない、もう必要条件は欠けてしまうわけだから、事務総長としたら撤退せざるを得ない。こういうことに判断――ほかの判断の余地はないじゃないかと思うが、その点はどうです。その点大事なところだと思うのですがね。
#87
○政府委員(服部五郎君) そういう点についていろいろ意見も分かれておるようでございます。したがって、はたして国連緊急軍はアラブ連合政府の撤退の要求だけで下がれるのか、国連緊急軍に与えられた任務というものもあるはずだ、その任務が終了したかどうかという問題についても議論が分かれると思います。そういう点で今回ウ・タント事務総長の処置についてはいろいろ批判もございますし、また、それであの処置はよかった、正しかったのだという意見もございまして、正しかったか正しくなかったかという考え方について、はっきりした結論はどうも出しかねるという事情もございます。
#88
○大和与一君 木内委員の言われたの、そういうのが大本営発表というのだよ。私らはほんとうのことを知っているから言いますと、当時のエジプトと国連との話し合いですね、要旨だけ言いますと、エジプト政府の宣言は、国連軍の駐留及び任務遂行に関する何らかの問題についてエジプトの主権を行使する場合は、エジプト政府が十一月五日の総会決議を受諾したことを誠意をもって指針とする。国連側の宣言は、前記決議によって国連軍に課せられた任務を誠意をもって指針とする。ことに国連は、局長触れましたけれども、その任務が完遂されるまで国連軍を維持する用意のあることを再確認する。これが要旨です。私どもの意見としては、だから、もしもいずれかの側が一方的に駐留継続を拒否し、もしくは一方的に撤退を決定した場合に、そうして他方がこれを国連軍の目的についての誠意ある解釈に反すると認めた場合は、双方の立場を調和するために意見の交換が必要とされるだろうと思いますね。それで、ですから、もしも今回のようにアラブ連合側が一方的に撤退を要求した場合に、国連側としてはそれが国連軍の目的を誠意をもって解釈したかいなかを判断する余地が残されていたのであり、そこで、ウ・タント総長が述べているように、そもそも国連軍の駐留はアラブ連合政府の同意に基づいていたものであるから、この同意が取り消された以上撤退せざるを得ないとしてほとんど自動的に撤退に同意しなければならないという仕組みではないのではないか、こういうふうに私は感じている。だから、結論としては、やはり従来の総会の決議なんかにおいても、撤退の場合について事務総長に対して一定の明確な権限を与えていたとは言い切れないものがあるのではないか、こういうふうに私は思うものだから、決して個人的にウ・タントはどうということはないのですけれども、いまおっしゃるようにはっきりはしていない、むしろ、やはりこれは少したいへんだといったことが国際世論としても当然あり得るし、そこを、だから、日本政府としてかじの取り方を間違いのないようにしてもらいたい、これが私の質問の要旨であって、別に責めたりとか、そんなことじゃないですよ。きょうはそれでいいです。
#89
○羽生三七君 それは今後のこともあるので、やはりある程度いい悪いは、妥当かどうかというような議論は別に、一応将来の問題として十分検討の価値があるんじゃないですか。
#90
○政府委員(服部五郎君) 国連緊急軍が過去十年間もあそこに派遣されておって平和を維持してきたという事実は、決して否定しておりません。今後ともやはり国連としてはあそこに何らかの――国連緊急軍の復活ということはむずかしいかもしれません――しかし、何らかの形でやはり国連のプレゼンスというものが中東地域の平和維持のために必要ではないかと、われわれは政策論としては考えておるわけであります。
#91
○羽生三七君 中東問題のみならず、世界全般についてこの種のことが再発する場合のことを考慮して、十分検討に値する問題だと思います。
#92
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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