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1967/06/27 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第14号
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1967/06/27 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第14号

#1
第055回国会 外務委員会 第14号
昭和四十二年六月二十七日(火曜日)
   午前十時五十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                佐藤 一郎君
                笹森 順造君
                杉原 荒太君
                山本 利壽君
                岡田 宗司君
                加藤シヅエ君
                佐多 忠隆君
                羽生 三七君
                黒柳  明君
   国務大臣
       外 務 大 臣  三木 武夫君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務省欧亜局長  北原 秀雄君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       条約局参事官   高島 益郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (当面の国際情勢に関する件)
○国際法定計量機関を設立する条約の改正の受諾
 について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院
 送付)
○千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名さ
 れた国際航空運送についてのある規則の統一に
 関する条約を改正する議定書の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止の
 ための国際条約の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
○大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○岡田宗司君 まずお伺いしたいのは、去る二十三日、二十五日にアメリカニュージャージー州のグラスボロにおきましてジョンソン大統領とソ連のコスイギン首相の会談が行なわれました。前後十時間にわたる非常に長い会談であったわけでございます。そしてその取り上げられた問題も、中東問題だけではなくて、核拡散防止協定の問題あるいはABMその他核軍縮に触れる問題、さらにまたベトナム戦争の問題等々、グローバルの問題と言うことができるのであります。そして具体的な結果を見るには至りませんでしたけれども、ベトナム戦争、中東戦争以来、危殆に瀕しておりました米ソ間の平和共存路線というものがこの際またもう一度どうやら息を吹き返したと、そういう情勢が生まれてきたように思われるのであります。これは単にジョンソン大統領がそういうことを声明しておるだけでなく、コスイギン首相もまた記者会見等でそのことを言っておるわけであります。こういたしてみますというと、私は、この両者の会談からやはり世界情勢に新しい一つの段階が始まるのではないかと、そう思うのであります。これは今後の中東問題の解決につきましても、あるいは核拡散防止協定の問題、そのほかのいろいろの問題、特にベトナム戦争についても将来何らかの影響を持ってくる、こういうふうに考えるのでありますが、やはりこういうような米ソ両首脳が会談をいたしまして、そうして世界の戦争と平和の問題について忌憚なく話をし、そこから平和共存路線にもう一度活が入れられるような状況になりますと、これは日本の外交方針にも響いてくることは必定であります。また、アジアの形勢等にも将来関係を持ってくると思うのですが、グラスボロ会談に対する外務大臣の評価といいますか、あるいは将来、これから生ずる見通し、そういうものについて、また、それが日本の外交方針等に及ぼす影響等について御意見をお伺いしたいのであります。
#4
○国務大臣(三木武夫君) 世界政治の上に非常に強力な影響力を持っておる米ソ両首脳部がグラスボロにおいて前後十時間にわたって会談をしたということは、非常に大きな意義を私は持っていると思います。この会議で、いま御指摘になったような中東問題、ベトナム問題あるいは核拡散問題、ABMその他核軍縮の問題、こういう問題が取り上げられたことは、これはもう明瞭でございます。しかし、それが直ちに何らかの結論が出たかどうかということは、ああいう種類の会談というものは内容が詳細に公表されるわけでもありませんからわかりませんが、しかし、何かこう、とびらが開かれたという感じであります。そして平和共存に対する再確認が行なわれ、おそらく原則的にはいろいろ意見の一致した問題も私はあると思う。だから、今後ラスク・グロムイコ会談などを通じて、これから引き続いて話し合いが行なわれて、その一致した原則というものが具体化していくに違いない。アメリカもそうでありますが、中東戦争をめぐるソ連の立場は必ずしもそういうふうな立場ではない。そういういろいろな批判というものが起こることを覚悟しながら、コスイギン首相があの米ソの首脳会談に臨むという一つの決意をしたということに対しては、私は評価されなければならぬ、やはり平和というものに対する一つの誠実な姿のあらわれである、こういうふうに評価いたすものでございます。そういうもので、いますぐにあの会談から成果というものが具体的にどうかということは、これからの経過を見なければならぬし、あとに続く、いま言ったラスク・グロムイコ会談、その他のいろいろな政府機関、二人の外相ばかりでなしに、いろいろな政府機関を通じてそれが具体化されていく問題もあろう。いずれにしても、世界政治に対する大きな影響力を持っておる両国の首脳部が十時間も話したということは、これは重要なできごとであるし、また、これは評価すべきできごとである、こう考えておるわけでございます。また、これは歓迎すべき一つの世界政治の方向であるというふうに評価いたしておる次第でございます。
#5
○岡田宗司君 最初ソ連のフルシチョフ・アイゼンハワー両者の会談によって道が開かれた平和共存の路線というものも、これはときによりまして非常に危殆に瀕するということもあったわけです。おそらくこういうことはなかなか一直線に行くものではなくて、いろいろな波動といいますか、フラクチュエーションがあると思う。緊張が非常に強まったあとに、こういう緩和されるような道が開かれたということは、今後世界にも大きな影響を及ぼすと思う。いま三木外務大臣は、これは非常に高く評価さるべきであり、また歓迎すべきことであると言われたわけです。私どもといたしましても、世界の戦争と平和に対して大きな影響を持つこの二大国の間で平和共存のための話し合いが行なわれて、そういう方向に新しい情勢のもとで踏み出されていくということは歓迎すべきことであり、また、われわれとしてはこの方向に向かって協力をしていかなければならぬと思うのであります。歓迎のしっぱなしであってはならぬと思うのであります。とかく日本の外交を見ておりますというと、アメリカ寄りになってきておった。そうして、一方において平和共存は大いに歓迎をすると言いながら、アメリカ依存を深めつつあったわけでございます。特にアジアにおける形勢が緊張の度を増してくるにつれて、たとえばベトナム戦争における状況がいよいよ深刻になってきてまいりました情勢のもとに、あるいは中国の核爆発というような問題が起こりました後において、日本の外交方針はとかくアメリカの方向に依存の傾斜を強めてきた、こういうふうに見られるのであります。私は、今回のことによって米ソの間に平和共存の路線が回復への方向に向かうとするならば、こういうアメリカのタカ派の意見に対して同調的になるよりも、あるいはアメリカのアジアにおける戦争政策、あるいは中国封じ込め政策に加担をしていくようなそういう姿勢というものは、この際やはり変化しなければならぬ、そうして平和共存の路線を歓迎すべきものとして認められるならば、そういう方向への協力こそ大切ではないか、こういうふうに思うのですが、外務大臣はどうお考えになりますか。
#6
○国務大臣(三木武夫君) それはごもっともな話で、私も国会が終わればソ連にも参り、東欧諸国も訪問しようとしておるわけでありますから、平和共存と言う以上は、政治体制の異なるものとの間に共存の体制ができなければ平和共存ということにはならぬわけでございますから、やはり日本の外交とすれば、イデオロギーを異にし政治体制を異にしておっても、可能な限り関係を改善していくという努力は必要である、岡田さんのおっしゃるとおりだと思います。
#7
○岡田宗司君 外務大臣は、国会の終了後になりますか、ソ連に行かれまして、日ソ定期協議に加わるわけでありますけれども、その際に、もちろん、単なる日ソ間の問題、あるいは貿易、経済開発等の問題だけでなくて、やはりこのジョンソン・コスイギン会談によって敷かれた路線、それに基づいて世界がどういうふうに動いていくかということについて十分にお話しになるものと思うのでありますが、それまでに、やはり今後も、そういう会談に臨まれる日本の方針というものを明らかにしていっていただきたいということと、それからもう一つは、外務大臣はアジア・太平洋閣僚会議にも御出席になると思うのでありますが、この韓国によって提唱されて、最初反共政治同盟の色彩を多分に持とうとしておりましたこのアジア・太平洋閣僚会議、これは日本の反対によりましてどうやら反共的な色彩というものは薄れてはおったのでございますけれども、しかし、韓国にいたしましても、他の南ベトナムにいたしましても、あるいは台湾にいたしましても、そういうものにしようという考え方を持っておるわけであります。今回のアジア・太平洋閣僚会議においては政治問題が討議されるということでございますが、もちろん、あるいはそういう結論にはならぬとは思いますけれども、しかし、そういう傾向もまた一面において強く主張されてくると思う。けれども、今回の会談後の情勢の変化ということを考えますならば、このアジア・太平洋閣僚会議に臨む日本の態度というものもまたこの平和共存の路線に立つものであって、アジアにおける反共体制をつくり上げるものではないということははっきりしておかなければならぬと思うのであります。私は、これはひまがないのでなかなかむずかしいことと思うのでありますけれども、できればアジア・太平洋閣僚会議に臨まれる前にニューヨークへ行かれまして、もちろん、今回の国連緊急総会は中東問題の処理が主眼でありますけれども、しかし、グラスボロの会議以降ややその雰囲気が変わってきております。そしてラスク国務長官はもちろん、グロムイコ外相、イギリスのブラウン外相、フランスのクーブドミュルビル外相等も出席しておりますので、三木外務大臣もそこに行かれて、そうして新しいそういう状況に接して、そして親しくそれらの世界の大国の外相等と会談をして真相を把握して、そうしてその後にもし臨まれるならばいいんじゃないかというふうに思うんですが、外務大臣はどうお考えになりますか。
#8
○国務大臣(三木武夫君) いま直ちにニューヨークへ行けというお話でございましたが、私、ニューヨークへ参る予定はございません。しかし、岡田さんの御心配の、ASPACというものが、一つのイデオロギーといいますか、そういう政治的立場というものの体制づくりであるという印象を与えることは私はよくない、自由に率直に、外務大臣が主として出席する会議でありますから、そういう各国の理解の場にすることが必要である。各人がいろんな意見を持っていることは、これは自由でありますが、その会議を通じて一つの政治目的の体制をつくり上げるということはよくない。ASPACは将来、いまはだめでありますけれども、将来は中立的な立場である国々にもこれに参加してもらうような形が私はいいと思うのであります。したがって、いま申しましたように、何か政治的立場、非常に政治色を強く出して、全体としての会議がそういう政治的立場というものをつくり上げるというような目的では、私はこの会が健全に育っていかないのではないか。だから、自由に話し合うということは、政治も経済も文化も自由に話し合うべきだと思いますが、その自由に話すということは、そういう政治目的を持った会合にしないことがこのASPACを健全に育てる道であると考えておりますから、いま岡田さんの御指摘のようなことにこの会を持っていくことには私は賛成しない立場をとるつもりでございます。
#9
○岡田宗司君 出席されるならば、いま三木外務大臣の言われた立場はぜひ貫いてもらって、そうして内外に疑惑を残さないようにしてもらいたい、こう思います。
 次にお伺いしたいのは、最近新聞に報ぜられました、ソ連におきまして日本人のスパイと称せられる人が裁判の結果八年間自由を剥奪されることになったということであります。この問題については、だいぶ長い間裁判がかかったようでありますが、その間に外務省としても私は知らなかったことではないと思う。このことについてはすでにモスコーの日本大使館の事務官もハバロフスクに行って本人に会っておりますし、これはもう当然その経過その他については外務省に報告が来ていると思うのであります。その判決につきましても、すでにそれは入手されておると思うのでありますが、そのまず外務省の得たインフォーメーションに基づいてこの事件についてお示しを願いたいと思います。
#10
○国務大臣(三木武夫君) あとで詳細は北原局長から説明をいたすことにいたしますが、私から申し上げておきたいのは、いわゆる内河事件、これはまことに遺憾な事件であると思うのでございます。まだしかし判決の全文は届いておらないので、詳細には事情はわからない点もございますが、内河が過去五カ年間世界政治経済調査会につとめておった前歴があったわけであります。この前歴と結びつけて、そうしてロシア共和国刑法六十五条の諜報行為により処断されたものだと思うのでございます。しかるところ、世界政治経済調査会にこれは問い合わせましたところが、そういうものに何ら委嘱したようなことの事実はないということでございます。本人も近く上告の手続をとるとのことでありますから、上告をいたしますると、三カ月以内に最終の刑が、判決が下ることになっておるわけでございます。むろん、刑が確定するということになれば、政府はこれに対して減刑その他政府としていたさなければなりませんが、その刑の確定に至るまで、政府としては外交機関を通じて釈放方の交渉をいたしたいと考えておる次第でございます。詳細については北原局長から御説明をいたすことにいたします。
#11
○政府委員(北原秀雄君) 経緯を御説明いたします。
 本件内河氏は昨年十月の十九日、日本横浜出帆、外蒙への観光旅行のためにソ連経由で出向いたわけでございます。同月十月二十八日、ハバロフスクで逮捕されまして、十一月の五日にソ連外務省から、わがほう在モスコー大使館に連絡がございまして、以後、外務省といたしましては、当人の即時釈放、それから当人に対する面会あるいは当人への自宅からの届け物の伝達、自宅との通信とか、あらゆる面について、この内河氏に関するあらゆる面からの援助を続けてまいったわけでございます。その間、外務省といたしましては、逮捕の理由ということについて繰り返し繰り返しソ連政府に対して問い合わせました。十一月の二十三日に至りまして、ソ連外務省から、本件はロシア刑法六十五条の嫌疑のゆえに逮捕しているという通報をしてまいりました。同時に、当人の健康状態あるいはその他当人の動静についての補足的説明もよこしたわけでございます。自後在ソ連大使館の二等書記官の勝間田――これは領事部の部長でございますが、これを三度ハバロフスクに派遣いたしまして、当人との面会その他接触をとらしたわけでございます。本年五月五日に至りまして、先方より取り調べが完了したという旨を通知してまいりまして、外務省といたしましては、直ちにまたあらゆる面からこの事態に関する抗議と、それから理由説明を求めたわけでございます。同時に、公判手続に入ります以上、弁護士の世話をしてくれという件を申し入れました。六月七日、弁護士より通報がございまして、六月二十日から公判を開始するということを言ってまいりました。勝間田書記官を再度ハバロフスクに派遣いたしまして、勝間田書記官をして傍聴せしめたわけでございます。六月二十日開廷いたしました。判決につきましては、目下入手方非常に努力しておりますが、先方の手続きによりますと、判決全文というものは一般には公開しないというたてまえになっておるようでございます。しかし、日本政府といたしましては、判決全文を承知せずしてはどうしても本件の全貌を把握し得ないということで、ぜひとも一入手方努力いたしております。したがいまして、判決の内容につきましては、いまここで詳細に説明できかねるわけでございます。先ほど大臣からございましたように、先方は、内河氏の現地における行動に関しまして、これをソ連刑法六十五条の諜報に関する罪ということで判決を言い渡した由であります。三年の禁錮――監獄刑と、それからあと五年間の矯正労働に付すということでございます。
#12
○岡田宗司君 ただいまの外務大臣のお話によりますというと、内河はこちらの内閣調査室の下請機関に五年間働いておったと、その前歴が問題で諜報活動したものと認定されてこういう判決を受けたんであろうというお話でございましたけれども、本人が頼まれたということを自白しておるようでありますし、それからまた、ハバロフスクにおいて軍事施設等のある付近に立ち入ったこと、写真を撮影したこと、そしてまた、ソ連人との間に何事か話が行なわれたということが基礎になっておるようでございます。したがって、スパイ行為があったと認められたわけでもあり、その証拠もあったんだろうと思う。私が今回の事件について思いますのは、とにかく日ソ関係が今日好転をしておる、そしてまた、外務大臣が定期協議にモスコーに行かれるという直前にこういうことが発表されたということは、まことにこれは遺憾なことだと思うのであります。どういう事情か、まだ私どもは詳しくは新聞紙上以外において知るところはないのでありますけれども、何かもっとここに深いわけがあるのではないか。ことに上告をするということになりますれば、その判決文が入手されないということはないと思う。上告をするには、やはり一審の判決を基礎にしての上告でございましょうから、したがいまして、判決文は手に入るものと私は確信しておる。そういう際には、この判決ついて、やはり私は外務省からも詳細な報告を聞いて、こういうことが二度とおこることのないようにしたい。と申しますのは、一体いま、こんな初歩的なまことにばかげたようなスパイ行為というものを行なう必要があるかどうかということ、そういう必要は第一ないと思うんでありますし、また、そうだとすれば、こういうことを疑われるような行動をしておるということにやはり何か問題があると思うんであります。ただいたずらにやったとは思われないし、前歴等から疑われることも、これはやむを得ないじゃないかと思われるようなこともあるわけであります。それからまた、ある新聞によりますというと、これは日本の政府機関ではない、どこかほかからというような推定も行なわれておるのであります。それらの点についてなお詳細の報告を聞きたいのでありますけれども、この点について、三木外務大臣としても、遺憾なことであると言われておりますが、こんなような事が二度と起こらないようにするということは、やはり日本の外交の方針としても必要ではないか、その点はどうお考えになりますか。
#13
○国務大臣(三木武夫君) 私も、岡田さんの言われるように、こういうときにそういう嫌疑を受けられるような行為をした日本人がおったということは、まことに遺憾しごくに考えるのでございます。再びこういう疑いを受けるような日本人の出ないことを強く願うものでございます。この事件そのものについては、いま申したように詳細な判決文なども入手いたしておりませんので、今後十分にその内容については調査をいたしまして、できる限りその真相を明らかにいたしたいと考えております。
#14
○岡田宗司君 この事件が起こりましてから、内閣調査室ではこういうことを言っているんです。軍事裁判の判決文を全部公表するということは通常考えられない、八ヵ月も引っぱられているのだから、あるいは洗脳されたかもしれず、かりに自供したからといっても、証拠があるわけではない。大体、現在日ソ間でスパイをする必要があろうか、世論としても、この問題を興味本位に取り上げるようなことをせず、日本の国益ということも考えるべきだ、もちろん、政府機関は今度のことには関知してない、事情のはっきりしない現在、ソ連の発表をそのまま取り上げて議論するのはおかしい、こういうことを言っているのです。私どもは、ソ連の発表をそのまま取り上げて議論する云々ということよりも、こういうことが起こったということ自体を議論することは必要なことだろうと思うのです。内閣調査室がこういうことを言ったとすれば、これは私は非常な越権だろうと思う。それと、われわれがこういうことを論議することを、何か水をさす、あるいは押えるというような行き方ではないかと思うのであります。こういうことは、むしろ、逆にもっと真相を明らかにすべきだというふうに考えるのですが、この真相を明らかにするという点で、外務省としては、たとえば判決文が入手されました場合に、これを外務委員会等に公表して、そうして、この問題の真相をもう少し明らかにするということについて、外務大臣としては同意なさいますか。
#15
○国務大臣(三木武夫君) 私は、こういう問題が事件として持ち上がった以上は、国会においても論議をされることは当然のことだと思いますし、われわれとしてもできる限り国会の外務委員会等において真相を明らかにするということは当然のことだと考えております。
#16
○岡田宗司君 この問題につきましては、もうこれで質疑を終えますけれども、この問題については、なお、その真相を明らかにするために、内閣調査室がいろいろなところに情報収集のための委託調査をやっておるのであります。それの組織がどうなっておるかということの資料を提出していただきたいということ。それから、判決文がモスコーのほうから送られてまいりましたならば、それの翻訳をひとつ私どもに提示していただきたいということ。それから、この問題について、官房長官がおそらくこの内閣調査室の責任者であろうから、この次にそれらのそろいましたときに官房長官の出席も願いまして、そしてこの問題をさらに究明したいと思います。きょうはこれで。
#17
○黒柳明君 一点だけお伺いしたいと思いますが、佐々木委員長が北ベトナムを訪問することがほぼきまったらしいですが、まあ、ある新聞によりますと、総理大臣と当然立場は違っても非常に動きとしては大きな動きである。また、これについて対抗的に評論している新聞もございますが、国会において総理の南ベトナム行きが姿勢を云々されている直後でもありますし、まあ、この佐々木委員長の北ベトナムの訪問あるいは首脳部にも会うやの話を聞いておりますが、外務大臣としてどのように評価をされるか。さらにもう一点は、いまも話がありましたように、米ソがベトナムの問題について話し合いをし、たとえ意見は食い違っても、意見が食い違った、こういう点を確認し合っただけでも意味があったと、こういうようなことも伝えられております。米ソがこのぐらい真剣な態度でベトナム問題についても話し合っている。当然日本の国内で、主義、思想は違っても話し合いを行なうぐらいはこれは当然であるし、また、ある意味においてはデッドロックになったベトナム戦の問題に日本がいよいよ動いたと、何らか世界も大きなこの両党首の動きに対して結果を期待してるんではないか。この意味からも、まあ、事前の話し合いなり何らかをやって一つの結果をもたらすような訪問にしていく、当事者として、責任者としてそれを推進する意欲があるか、あるいはそういう話しがあれば応ずるかまえはあるか、いかがでしょう。
#18
○国務大臣(三木武夫君) 佐々木社会党委員長の北ベトナム訪問は、新聞で私も読んだ程度でございます。この席上で他の政党の委員長の行動をとやかく評価をいたすことは私は適当でない。したがって、申し上げません。また、重要な問題について超党派で話し合うべきではないか。それは確かに超党派で話し合って外交問題が処理されることが、これは政党政治として、国民に安心感を与えますから、非常に好ましい形ではございますが、現在黒柳君もごらんのように、なかなかやはりそこまで与野党の外交政策に対する共通の場は発見しにくい現状でございます。これは日本の政党政治のために残念なことの一つだと私は思っております。しかし、その中においても核拡散防止条約のごときはそういう話し合いの場が持てたわけでありますから、問題によって――超党派外交というような旗を立てての条件は日本にありません。しかし、問題によって与野党の党首あるいは幹事長等その他の代表者が話し合うことは非常に意味のある場合が私はあると思います。まあ、ベトナム問題がそういう話し合いとして適当なのかどうかということについては、これはいろいろ疑問もあると思いますが、原則的にはそういう必要がある。そうすることが日本の目的を達成するという必要を考えたときには、それは大いに話し合っていいと私は思います。原則的な問題として黒柳君にお答えをいたしておきます。
#19
○黒柳明君 ベトナム戦だけに関係して、要するに、これも新聞でけさ私読みましたんですけれども、訪問終わったあと、かえって国会論争を巻き起こすような結果をもたらすのみではないか、こういうような心配もあるし、当然これは考えられると思うんです。平行線のまんま訪問して、それでみやげを持って帰って、当然それに対して両党とも、失礼な話ですが、大いにプラスになるための話をしていく、これは当然だと思うのです。これじゃ訪問する目的がほんとうにベトナムの和平に対して糸口を求めに行くと、こういう意図がありながら、そういう努力も何もしないでそして訪問するということは、非常にこれはわが国の立場としても、また国際的にもマイナスじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、ただいま申しましたように、もし呼びかけがあるならば、あるいはその下のレベルでもひとつ何らかの話し合いをする用意があるかどうか。これは外務大臣が当事者ですから、総理の問題ですけれども、この責任者の立場にある、こういう上から、ひとつ下のレベルでも何かしら一致点を見出してそして行ってもらう、そういう考えは全然あるいはないか、いまのままでもうだめだ、話し合う余地ない、こういうような考えであるか、念のために。
#20
○国務大臣(三木武夫君) 私、いまのところそういう外交をする用意があるかということは、いまのところ用意はないと申し上げるよりほかない。しかし、そのことが必要であると考えたときには、与野党の話し合いが今日の段階においても私はこれはやっていいのだというふうに考えているわけでございます。佐藤総理にしても、佐々木委員長にしても、ベトナムの早期和平ということについてはこれは意見の不一致があるとは思わない。その方法論はいろいろ違いはあるでしょう。そういう点で、非常にその訪問からしてさらに論議を呼ぶのではないか。必ずしもそうでない場合も私はあり得ると思います。早く戦争を終わらしたいということは共通のものですから。まあしかし、どういうふうに――佐々木君の訪問というものはただ新聞に出た程度でありますから、これを具体的な問題として取り上げていろいろ申し上げるのには適当な時期だとは私は思いません。
#21
○委員長(赤間文三君) 本件に対する質疑は、時間の都合上、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#22
○委員長(赤間文三君) 次に、国際法定計量機関を設立する条約の改正の受諾について承認を求めるの件
 及び千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
 別に御発言もなければ、二案件に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。
 別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 国際法定計量機関を設立する条約の改正の受諾について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#25
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 次に、千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#26
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、二案件に関し本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#28
○委員長(赤間文三君) 次に、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の締結について承認を求めるの件
 及び大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。田中政務次官。
#29
○政府委員(田中榮一君) ただいま議題となりました千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、船舶から排出される油による海水の汚濁を防止するための措置を各国が協調してとることを目的として、一九五四年四月二十六日から五月十二日までロンドンで開催された国際会議において採択されたもので、船舶からの油の排出の規制、港湾の廃油処理施設の整備等の措置を締約国がとるべきことを規定しております。
 この条約は、一九五八年七月二十六日に効力を生じましたが、その後、一九六二年三月二十六日から四月十三日までロンドンで開催された締約政府間の会議において大幅に改正され、この改正も、本年五月十八日に効力を生ずることとなっております。
 わが国は、一九五四年の会議に参加し、同年八月十一日にこの条約に署名しておりますが、条約を実施するために必要な国内体制の整備に時日を要し、その受諾がおくれておりました。
 今般、条約の規定を実施し得るよう国内体制を整備する見通しがつきましたので、世界の主要海運国の一つであるわが国といたしましては、この条約の当事国となり、諸外国と協調して海水汚濁を防止するための措置をとることが望ましいと考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、大西洋のまぐろ類の資源を最大の持続的漁獲が可能な水準に維持することを目的とするもので、昨年五月リオ・デ・ジャネイロで国際連合食糧農業機関主催のもとに開催された全権代表会議において採択されたものであります。
 この条約は、全締約国の代表により構成される大西洋まぐろ類保存国際委員会と称する委員会を設置すること、同委員会は、調査、研究及び勧告を行ない得ること、締約国は、この条約を実施するために必要な措置をとること等を規定しております。
 わが国は、世界第一のまぐろ漁業国であり、かつ、従来よりこの条約の作成及び採択に積極的に参画してまいりましたが、この条約の当事国となることによりまして、まぐろ漁業における国際協調に貢献することになるのみならず、将来におけるわが国のまぐろ漁業の安定した発展をはかることができると考える次第であります。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につきまして何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#30
○委員長(赤間文三君) 次に、補足説明を聴取いたします。高島参事官。
#31
○説明員(高島益郎君) 初めに、油による海水の汚濁の防止のための国際条約につきまして、簡単に補足説明申し上げます。
 この条約は、一九五八年に発効いたしまして、自来約十年間年数がたっておりますが、ただいま提案理由の説明のございましたとおり、この条約に入りますと、多くの船舶につきましてまずその船舶内部に漏油の防止装置を設置したり、また、主要な港に廃油の処理施設を設置したり、これに基づきましていろいろ規制のための法律を制定したり、そういう国内法の整備を要する、国内的な整備を要する事項が多々ございまして、また、かたがた、この条約は最初にイギリスの発議で、イギリスの提議でできましたが、イギリスを中心とします北大西洋地域におきますこの汚濁防止、公害に関する関心と、日本近海におきますこういう公害に関する関心の度合いが違いまして、その必要性がそれほどなかったという事情もございまして、だいぶ年数がたちましたけれども、最近の日本近海におきます公害の問題も非常に重要になってまいりましたが、かたがた、先ほど申しました国内の体制も整備されましたので、今回この条約の受諾に踏み切った次第でございます。
 この条約によります規制の大要を申し上げますと、タンカーにつきましては、百五十トン以上のタンカーはすべて、タンカー以外の船舶につきましては五百トン以上の船舶、これにつきましては、原則として世界の海の各国、各沿岸国から五十海里以内では、油及び油の混合物を排出してはならないというのが一つの原則でございます。
 それから船につきましては、原則として、先ほど申しましたビルジ排出防止装置、そういうものを設置することを義務づけられております。
 それから、このような油の処理に関します記録を記載いたします油記録簿というものを船舶に設置して、常時どういうように廃油を処理をしたかということを明らかにしておく責任があります。
 このような規制に基づきまして、もし違反があった場合には、その船舶の属する国、つまり旗国が、その違反の通告によりまして、国内法によって処罰するということを義務づけられる次第であります。この違反を発見した国は、どこの国の船であろうと、これを違反した船の属する国に対しまして違反の事実を証拠とともに通告する。その通告に基づきまして、いま申しましたように、国内法によって処罰するというようなたてまえになっております。
 なお、この条約と並行いたしまして、別途国内法といたしまして、船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律案というのを提出しております。したがいまして、この条約と同時にその法律案が可決されますと、両々相まってこの条約の実施ができるということになる次第でございます。
 なお、この条約によりまして日本の船で適用を受けますものは、タンカーについて申しますとほとんど全部――九八%、タンカー以外の商船では約八五%、漁船につきまして約三五%、全体の総トン数で見ますと一千万トンを若干上回るトン数になります。
 次に、大西洋のまぐろ類の保存のための条約でございます。これは一九六三年以降ローマに本部がございます国際連合食糧農業機関、これが中心になりまして、大西洋におきますまぐろ類の保存のための国際条約の制定について準備の作業を進めてまいりました。日本はもちろんその一員として積極的にその作業に参加してまいりました。昨年ブラジルのリオ・デ・ジャネイロでこの条約を制定するための会議が開かれまして、二十カ国の参加のもとにいろいろ議論された結果採択されましたのが本件の条約でございます。この条約は、大西洋、それから大西洋に隣接いたしますカリブ海と地中海、この水域におけるまぐろ類の資源状況を調査研究いたしまして、その調査研究の結果必要があると判断されました場合には、適当な規制の措置を講ずるというのが大体の骨子でございます。したがって、この条約の中には何ら規制措置につきましての態様その他規定してございません。これはすべてこれからの数年間かかります資源状況の調査研究の結果考えられる次第であります。大西洋におきましては、大体まぐろ類は約三十万トン推定で漁獲されております。このうち、日本の漁獲高は、ちょうどその半分の約十五万トンぐらいございます。したがって、日本といたしましては、世界第一番の大西洋におきますまぐろ類の漁獲国でございまして、そういう観点から、非常にこの条約の制定及びこの条約のねらいにおきます活動につきましては責任があるわけでございまして、現在もまだ五カ国しか署名しておりませんで、しかも、まだその五カ国のうち、批准した国は一国だけでございまして、正直のところ、この条約はいつ発効条件を満たしまして発効するかということにつきましては、見通しを持ち得ない次第でありますけれども、他の条約の場合と若干違いまして、日本が大西洋におきますまぐろ類の漁獲につきまして非常な責任がある、しかも、この条約ができました場合は、その中で日本が指導的立場を維持していきたい、そういう観点から率先してこの条約に参加しようとするわけであります。各国も、このような意味で日本の行動を非常に注意しておりまして、日本の動向いかんによって条約に参加するかどうかという態度を決定するように聞いております。そういう観点から、若干早いというふうな御意見もあろうかと思いますけれども、率先してこの条約に入りたいというのがわがほうの希望でございます。
#32
○委員長(赤間文三君) 以上をもって二案件に対する説明は終了いたしました。二案件に対する自後の審査は後日に譲ることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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