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1967/07/18 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第19号
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1967/07/18 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第19号

#1
第055回国会 外務委員会 第19号
昭和四十二年七月十八日(火曜日)
   午前十一時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十三日
    辞任         補欠選任
     鬼丸 勝之君     迫水 久常君
 七月十四日
    辞任         補欠選任
     迫水 久常君     鬼丸 勝之君
 七月十八日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     白木義一郎君
     渋谷 邦彦君     柏原 ヤス君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                鹿島守之助君
                佐藤 一郎君
                笹森 順造君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                山本 利壽君
                岡田 宗司君
                加藤シヅエ君
                佐多 忠隆君
                羽生 三七君
   国務大臣
       外 務 大 臣  三木 武夫君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省欧亜局長  北原 秀雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
       科学技術庁研究
       調整局調整課長  田中 好雄君
       外務大臣官房審
       議官       山下 重明君
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
       林野庁指導部長  手束 羔一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○旅券法の特例に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決
 に関する条約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用
 における国家活動を律する原則に関する条約の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○航空業務に関する日本国政府と大韓民国政府と
 の間の協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (当面の国際情勢に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 旅券法の特例に関する法律案
 国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の締結について承認を求めるの件
 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の締結について承認を求めるの件
 航空業務に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 以上四案件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。田中外務政務次官。
#3
○政府委員(田中榮一君) 旅券法の特例に関する法律案の提案理由を説明いたします。
 この法律案は、昨年五月九日開催されました第九回日米協議委員会におきまして、日本政府南方連絡事務所において、沖縄に居住する日本国民に対し日本旅券を発給することについて合意が行なわれ、その後事務的細目に関する日米間の打合わせを終えたことに基づき、本件実施に必要な旅券法の特例を定めること及び沖縄から本邦へ渡航する者に対する身分証明書の発給について定めること等をその内容としております。
 まず、旅券法の特例について説明いたします。
 第一は、沖縄住民は従来日本旅券を取得するためには、一たん本邦へ渡航して通常の手続により旅券の発給を受けるか、あるいは米民政府発行の身分証明書により外国へ渡航後わが国の在外公館で旅券の発給を受けるかのいずれかの方法によらなければならなかったため種々の不便がありました。そこで、この点を是正し今後は沖縄住民が沖縄を出域するときから日本国当局の発給する旅券を所持し得るように旅券発給手続の特例を定めたものであります。この結果、沖縄出域の当初から沖縄住民は日本国民であることが明らかにされた公文書を携行することになります。すなわち、旅券の発給申請の受理及び交付は、一般に都道府県知事または領事官が行なうこととなっておりますが、沖縄においては、日本政府南方連絡事務所長がこれを行なうこととしたこと、沖縄の地理的事情及び交通事情を考慮いたしまして本人の出頭を場合により免除できるようにしたこと、及び、米国側が沖縄の出入域管理権を今後も保持することとなっている関係上、沖縄の出域許可に関する書類の提出を必要とされる場合のあることを規定したこと並びに沖縄においても外国との間を数次往復する必要のある者に対しては、数次往復用の旅券を発給できるようにしたこと等であります。
 第二は、旅券発給等の権限に関するものでありまして、沖縄において発給する旅券は、外務大臣を発行権者としております。したがって、これらの旅券は日本国外務大臣の名義により発行されることとなりますが、これは沖縄住民の本土との連帯意識を尊重するとともに、日本国の権限ある当局を発行権者とすることにより渡航文書としての国際的通用性を確保するよう考慮したものであります。
 他方現地における旅券行政を円滑、適切に実施できるよう旅券法上定められた外務大臣の権限を日本政府南方連絡事務所長に委任できることとし、また、実施上の細目については、外務省令で制定できることといたしました。
 第三は、旅券の効力に関するものであります。わが国の旅券は、原則として本邦に帰国すると同時に効力を失うこととなっておりますが、沖縄住民等は、本邦を経由して外国へ渡航し、または外国から本邦を経由して沖縄へ帰る者も多いと思われます。しかしながら、本邦到着と同時に旅券が失効するというのでは、はなはだ不便でありますので、本邦を経由して外国へ渡航する場合にも、本邦到着と同時に旅券を失効させることなく、旅券の発行の日から六月以内に本邦を出国すればよいこととし、帰路の場合にも本邦到着後一月以内は旅券の効力を存続させることといたしました。
 次に旅券法附則第七項の改正に関するものであります。従来沖縄住民が本邦へ渡航する場合には米民政府から日本渡航証明書の発給を受けていたのでありますが、これについても第九回日米協議委員会において、日本側が渡航交書を発給することに合意が行なわれましたので、これを実施できるよう所要の改正を行なうものであります。
 次に総理府設置法の一部改正に関するものでありまして、同法第十三条の日本政府南方連絡事務所の行なう事務として、この法律に基づく旅券に関する事務を加えるとともに、この旅券事務については外務大臣が指揮監督できることとしたものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
 次に、国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、国際的な民間投資に関連して国家と他の国家の国民との間に生ずる紛争を付託することができる国際的な調停または仲裁のための施設を設けるもので、一昨年三月十八日ワシントンで開催された世銀理事会がそのテキストを作成したものであります。
 この条約は、投資紛争解決国際センターの設立、組織及び財政、センターに対する特権免除、センターの管轄、調停手続及び仲裁手続、仲裁判断の締結国による承認及び執行等について規定しております。この条約は、その規定に従って、署名国の批准書で二十番目のものが寄託された日の後三十日が経過した昨年十月十四日に効力を生じました。
 この条約は、民間資本の国際的移動における投資環境の改善という観点から、意義が大きいものと考えられますので、この国際的な紛争解決のための制度の発展にわが国が協力することは妥当であり、また、開発途上の国の経済開発に貢献する民間の海外投資が増大することを希望するわが国としては、国民が投資紛争解決国際センターの施設を利用することができるようにすることにより、この海外投資が促進されることを期待するので、この条約に参加することはきわめて望ましいと考えられます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、宇宙空間の探査及び利用活動に関する基本原則を定めることを目的とするもので、国際連合が昭和四十一年十二月十九日の同総会決議により推奨したものであります。
 この条約は、宇宙空間への大量破壊兵器の打ち上げ禁止、天体の平和利用、宇宙空間に対する国家主権の主張の禁止等について規定しております。
 従来よりこの条約の作成に積極的に参加してきたわが国といたしましては、この条約の当事国となることにより宇宙空間の平和利用に関する国際協力を推進することは、きわめて望ましいと考える次第であります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、航空業務に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 わが国と大韓民国との間の民間航空運送は、日本航空と大韓航空との間の商務契約による共同運航の形で行なわれておりますが、国交正常化後日韓間に急増傾向のある貨客の交流にかんがみ、両国間の民間航空業務をできるだけ早く安定した法的基礎の上に置く必要が認められました。よって、政府は、昭和四十一年八月以降大韓民国政府との間で航空協定締結のための交渉を行なった結果、合意が成立しましたので、昭和四十二年五月十六日に東京でこの協定の署名を行なった次第であります。
 この協定は、わが国と大韓民国との間の定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国がこれまでに締結した多くの航空協定と形式においても内容においてもほぼ同様のものであります。
 この協定が締結されると、両国の航空企業は、安定した法的基礎の上において、相互に乗り入れを行なうことができるわけでありますが、さらには、わが国と大韓民国との間の友好関係も一そう促進されることが期待されます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上四件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(赤間文三君) 次に補足説明を聴取いたします。山下審議官。
#5
○説明員(山下重明君) 旅券法の特例に関する法律案について補足説明をいたします。
 従来沖縄住民が海外渡航におもむく場合には、琉球列島米国民政府から身分証明書の発給を受け渡航するのが通例でありまして、その数は延べ人員で昭和四十年度において五千名、昭和四十一年度において六千八百八十名に達しております。しかし、この身分証明書は、その発行権者が米国民政府であること、所持人の地位として琉球住民とのみ記載され、日本国民としての証明を欠いている等の事情から、国際的な旅行文書としては、わが国から見れば名分上も適当ではなく、また実際上の渡航の面から見ましても、一部の外国では身分証明書には査証を与えないとか、わが国が二十五カ国と現在締結しております旅行者についての査証相互免除取りきめの利益を、同じ日本国民でありながら日本旅券を所持していないということにより、均てんし得ない等の不便がありました。このため沖縄住民で、米民政府の身分証明書とは別に、日本旅券を取得しようとする人も少なからずあったのでありますが、これらの人は一たん本土へ渡航してから外務省において旅券の申請をするか、または外国へ渡航してそこにあるわが在外公館において旅券の手続を行なっていたのであります。
 このような事情から、沖縄において日本旅券の発給を受け沖縄出発のときからこれを所持できるようになることは、かねてから沖縄住民の要望の一つであり、政府としても沖縄全般に関する問題の一つとして、また沖縄住民の利便に資するということから本件の実現につとめてきたわけでありますが、客年五月九日東京で開催された日米協議委員会第九回会合におきまして、椎名外務大臣から、在那覇日本政府南方連絡事務所において日本旅券発行の事務を行なわしめたい旨提案したところ、ライシャワー米国大使から、沖縄における出入域管理の権限を今後も米国側が留保することを条件に、米国側はわが方の提案に同意する旨の回答があったものであります。その後日米間事務当局の話し合いにより、南方連絡事務所において沖縄住民のみならず沖縄にある内地籍者に対して旅券事務を行なうことについても米国側の了解が得られましたので、これらを具体的に実施するため、本特例法の制定をお願いしようとするものであります。
 第一条は、特例法の趣旨でありまして、沖縄において旅券事務を行なうために必要な旅券法上の特例となるべき事項を定めるのがこの法律の目的であることを示しており、特例法で規定した事項以外は一般法たる旅券法の関係規定が沖縄においても実施されるのであります。
 第二条及び第三条は、旅券の発給申請及び交付に関する手続でありまして、これらの事務は、本土においては都道府県知事が、国外においては領事官が行なっているのでありますが、沖縄においては南方連絡事務所長がこれに当たることとしております。沖縄出入域管理の権限は、今後も米国側が保持する関係上沖縄住民は旅券申請前に米国民政府から沖縄からの出域につきその承認を受けることが必要でありますので、このことを第二条第二項において示しております。また沖縄においても公用旅券の事務を行ない得るよう第二条第四項で所要の規定を設けてあります。
 第四条は、数次往復用旅券の発給に関するもので、本来数次往復用旅券は国内においてのみ発行しているものでありますが、沖縄もなるべく内地並みにという趣旨から沖縄においても数次往復用旅券の発給を受けることができるようこの規定を置いたものであります。
 第五条は、旅券の効力に関する特例でありまして、提案理由説明にもありましたとおり、わが国の旅券は原則として名義人が本邦に帰国すると同時に失効いたしますが、沖縄住民及び沖縄に居住している内地籍の人たちで沖縄で永住または半永住の資格を与えられている約七千五百名にのぼる人達に対して発給する旅券は、旅券の名義人が本邦を経由して外国へ行き、本邦を経由して沖縄に再入域する場合も、その出発から帰着までは効力を存続させる必要がありますので、これらの効力上の特例を規定したものであります。
 第六条は、権限の委任の規定でありまして、たとえば返納された旅券に消印をして、本人にその希望がある場合に還付する権限や、旅券の返納命令に関する権限あるいはその通知に関する事務等は、沖縄における旅券事務を円滑、適切に実施できるよう南方連絡事務所長に委任するものであります。
 第七条は、この法律実施のための細目手続につき法律の範囲内で外務省令で定めようとするもので、たとえば申請書の様式、受領書の様式、本人が出頭せず代理の者が旅券申請書類の提出や交付を受けたりする場合の手続等を規定しようとするものであります。
 附則につきましては、すでに提案理由説明で述べられましたので省略いたしますが、旅券法附則第七項に基づく身分証明書につきましては、従来から南方地域に渡航する者に対して発給する身分証明書に関する政令というのがございまして、総理府の方で発給の実務を行なってきており、今般の附則の改正により、今後は沖縄住民が本土へ渡航する場合の身分証明書も南方連絡事務所で発行されることとなるわけであります。
 以上、旅券法の特例に関する法律案につきまして、補足説明を申し上げる次第であります。
#6
○委員長(赤間文三君) 高島参事官。
#7
○説明員(高島益郎君) 条約三件につきまして簡単に補足説明申し上げます。
 初めに投資紛争の解決に関する国際条約であります。後進国の経済開発につきましては、従来南北問題といたしまして、国際機関はじめ各国政府間でいろいろな経済協力を推進してきたわけであります。一方、民間投資の後進国の経済開発に貢献するいろいろな好影響も考えまして、後進国の側からはもちろんのこと、また先進国の側からも、民間投資がもう少し促進されるような方途について国連を中心に考えるべきだというふうなことがございました。従来、国連の経済社会理事会でもってこの問題を検討してまいりました。経済社会理事会で検討の結果、一つの方法といたしまして、投資の紛争に関する解決につきまして、一つの国際機関を設けて、そこで調停ないしは仲裁という方法によって解決する。この解決をいろいろ容易にすることによって後進国に対します投資を活発化するという効果を期待し得るというふうな結論が出ました。その国際機関をつくるための条約の起草を世銀に委託いたしました。自乗世銀が中心になりましてこの条約起草をいたし、今回御提出いたしましたのが投資紛争の解決に関する条約でございます。先ほど提案理由にもございましたとおり、昨年の十月にやっと発効いたしましたばかりでございまして、実は、まだこの投資紛争に関する解決をこのセンターに付託したケースは一件もございません。これからの問題でございます。ただ、しかし、従来いろいろ、たとえば民間投資が国家の接収等によりまして公正な補償を受け得なかった。そのためにいろいろ紛争が起きている。従来世銀総裁等があっせんをして、仲介をして、この解決をしたというふうな例もございまして、そういう観点から、種々国家と国民の間の投資紛争というものがございましたので、これに対しまして、一つの解決機関が非常に強く要請されております。そういう関係から、今後の活用いかんによっては非常にこの投資の紛争が容易に解決され、しかも、その結果、後進国に対します民間投資がより一そう促進され、それによって経済開発が一そう効果的になるということを期待する次第であります。
 次に、宇宙空間条約でございます。これはちょうど十年前にソ連のスプートニクが打ち上げられまして、それを契機といたしまして、国連に宇宙空間平和利用委員会というものができました。自来約十年間、科学技術の面と法律の面と、両方の面から実際に検討してまいりました。また最近に至りまして、月に対する着陸の可能性が非常に現実のものとなってまいりました。そういう観点から、米ソ両国とも、至急にこの宇宙空間に対する一つの法秩序を制定する必要があるというふうな動きがございまして、昨年来宇宙空間平和利用委員会を中心にしましてこの条約案を検討してまいりました。昨年の総会でもって全会一致可決されましたのがこの条約でございます。この条約は、そういう意味で、宇宙空間に対する最初の法秩序を制定したものであります。
 第二番目に、核兵器に関します限りは、月、天体はもちろんのこと、宇宙空間においてもこれを配置しないことという一つの大きな原則を掲げることによって、核軍縮を一歩宇宙空間にまで推進したというのが第二点でございます。
 それから第三点といたしまして、この人類の宇宙活動の活発化に伴いまして、宇宙空間をどの国も自由にかつ平等に利用探査し得るようなそういう取りきめをこの中にいろいろと定めております。
 何しろ、現在の宇宙活動におきます二つの大きな勢力――米ソ両国の強い関心もございまして、この条約そのものが非常に理想的なものであるにもかかわらず、種々の不満な点がございます。たとえば宇宙空間につきましては完全に非軍事化の措置をとっておりません。月・天体につきましては完全に非軍事化の措置をとっておりますけれども、その他の宇宙空間につきましては必ずしも完全に非軍事化の措置をとっておりません。そういう観点からいたしまして、いろいろ各国それぞれ不満が実はございますけれども、たとえば核実験停止条約が完全なものでないにかかわらず非常にいい効果をあげているというふうなことと同様に、この条約も宇宙空間に対する最初の条約といたしまして、不満足ながらわれわれとして一つの大きな意義を認める、そういうことで今回国会に提出した次第でございます。
 第三番目に日韓航空協定でございますが、これは六四年来、実は日航と大韓航空との間の商務協定によって運航してまいりました。これは非常に変則的な事態でございまして、日韓基本条約第六条によりまして、はっきり日韓航空協定をできるだけ早く締結するということを約束しております。この約束に基づきまして政府間の協定を今回初めて締結することとなった次第であります。これによりまして、そういう変則的な商務協定に基づく航空運航、航空の運営を政府間の基礎の上に置く。それによって法的に安定を期するというのが趣旨でございます。
 協定の内容につきましては、従来わが国が各国と結びました航空協定と何ら変わりありません。
 なお、附表には両方の路線を定めております。日本のほうは、日本国内の地点からソウルに対するのが一本、ソウルから以遠線がございます。第二に、日本国内の地点から釜山以遠、この二本の路線。韓国につきましては、三本でございまして、一つは、韓国内の地点から東京経由シアトル。それから第二の路線は、韓国内の地点から大阪経由台北――香港。第三の路線は、韓国内の地点から福岡、この三本の路線でございます。日本のほうの路線につきましては、先ほど申しました以遠線がございますが、この以遠につきましては、韓国側にちょうど三つの以遠を認めておりますので、これに対応いたしまして、日本のほうも三つの以遠地点が認められております。ただし現在までそれについては定まっておりません。
 以上が日韓航空協定の説明であります。
#8
○委員長(赤間文三君) 以上をもって四案件に対する説明は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次発言を願います。
#9
○岡田宗司君 旅券法の問題について若干お伺いいたします。
 沖縄につきましては、日本に潜在主権、そしてそこに住む沖縄の人たちは日本国籍を持っておるということであったわけです。それがいままで具体的な形にあらわれておらなかった。今度の旅券法によりまして、沖縄の人たちが外国に行くときに、米民政府の身分証明書でなくて、日本の旅券を持って出かけるということは、けだし沖縄の人たちが日本の国籍を持っておるということをあらわす一つの方法であり、これは進歩であると思うわけです。いままでいわゆる潜在主権ということがダレス国務長官によって言われてから、また、アメリカ等の裁判所においても、沖縄の住民はアメリカの国籍を持っていない、日本の国籍を持っているのだということが言われてからずいぶん日がたったわけであります。実際になかなかそれが認められなかったということは、これはどこに原因があったのか、まず、それからお伺いしたいと思います。
#10
○説明員(山下重明君) 先ほどからも御説明いたしましたように、いままでも一回外国へ出てから日本の領事館、もしくは日本においてでもいいですけれども、旅券をもらう、そういうときには日本国民として外国で通用していたわけであります。それで一般の日本国民と同じだったのでありますが、たまたま沖縄本土においては旅券を発給する機関がありませんでした。別に領事館もありませんでしたし、都道府県知事もおりませんでしたし、その方法がなかったわけであります。その話し合いが今度はうまくつきまして、南方連絡事務所長で旅券を出せるようになったわけであります。そこで初めて今度は日本国民として沖縄を出られるということになったわけでございます。
#11
○岡田宗司君 いまのお話を聞いておりますと、たまたま旅券を発給する機関がなかったからそういうことができなかったのだということ、私はそういうことを聞いているのじゃないのですね。なぜいままで、日本国籍があるからということでありながらそういうことについてそれがこういう形であらわされなかったか。つまり、日本政府がこの問題について、たとえばボリビアでしたか、ああいうところでトラブルが起こるまで、自分のほうから気をつけてこういう問題について積極的に取り組んでいこうという意思がなかったのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
#12
○政府委員(東郷文彦君) 従来この問題は、御承知のように、沖縄に関する米国政府の出入域管理権の問題として考えられておりまして、これが施政権に直接つながる権利としてなかなか動かしがたいものであったという状態で過ごしてまいりまして、それを一昨年来さらに分割しまして、少なくともこの旅券だけは日本側で出すというところまで話を進めたわけでございますが、その時期に至るまでの日本政府の掘り下げ方が足りなかったという点は確かにあったと存じます。
#13
○岡田宗司君 ただいまのお話ですと、まあ掘り下げ方が足りなかったということで、まあ問題が起こってから、だいぶやかましくなってから、こういうことで交渉を始めて、去年ようやく解決を見たわけですけれども、これはアメリカ側の持っておる施政権の問題とどういう関連になるのですか。初めのうち日本は、沖縄の住民のこの出入国についてはアメリカ側に施政権があるということで実はやらなかった。しかし、騒ぎが大きくなってやってみた。アメリカ側がそれを譲って日本の南方連絡事務所が発給することになったわけでありますが、この施政権との関係の問題はどうなっているのですか。施政権には関係なくこれは単に技術上の問題として行なわれることになったのですか。その点はどうお考えになりますか。
#14
○政府委員(東郷文彦君) 旅券はそもそも国籍を証明するものでございまして、日本国籍を証明するものは日本政府しかないわけでございます。今回の旅券の発給はこの出入域管理を伴わない発給でございまして、その意味におきましては、今回の旅券発給はむしろ手続的の変化でございまして、今回の措置の結果は、ただもう諸外国にありますわが国の総領事館において旅券を発給すると同じような意味におきまして沖縄においても発給できるような形になりました。したがって、これが米国の施政権をそういう意味でこちらに返したという関係にはならないものでございます。
#15
○岡田宗司君 南方連絡事務所ですね、あれは一体沖縄でどういう範囲の活動ができることになっておるのですか。
#16
○説明員(加藤泰守君) お答えいたします。
 南方連絡事務所は総理府設置法の中にございまして、十三条に、「日本政府南方連絡事務所は、南方地域において左の事務を行う機関とする。」、そういうことになっておりまして、「管轄区域におけるアメリカ合衆国の政府機関との連絡を行なうこと。」、それから管轄区域にかかるいろんなこと――南方地域との間の渡航の関係とか、日本国民の保護に関することとか、あるいは公の証明に関すること、あるいはいろんな解決を要する事項を調査し、連絡し、あっせんするというようなことにからむ事務を行なうこと、それから「本邦と管轄区域との間の貿易に関する事務を行なうこと。」、それから「文化の交流に関する事務を行なうこと。」、以上のようなことを所掌事務としております総理府の機関でございます。
#17
○岡田宗司君 総理府の機関であること、それからいま列挙されたような仕事を行なうということはわかっているのですが、私が聞くのはね、それがアメリカとの協定に基づいて置かれておるわけでしょう。そうすると、何といいますか、その活動範囲というか権限というものが限定されておりますね。これは普通の外交機関ではないわけですね。そこでこの南方連絡事務所というものがアメリカとの関係においてどういう仕事の範囲を持っておるのかということ、それをお伺いしたいのですよ。
#18
○政府委員(東郷文彦君) 南方連絡事務所ができましたのはたしか一九五三年であったかと思いますが、そのときに日本政府と米国政府との間の合意によってできたわけでございまして、その所管事項はただいま加藤参事官が申されましたようなことをその取りきめによってきめたものでございます。もっぱら戸籍とかその他日本人である琉球――沖縄住民の身分に関する問題とか貿易のあっせん、そういうようなことをやっておりまして、南方連絡事務所自体は公式に、米国政府と申しますか、沖縄における米国政府機関と直接いろいろ交渉するような権限はその際の合意で与えられておりません。今回たとえば旅券に関して発給の事務を扱うようになりました場合も、また別個の日米間の合意によりまして、その権限と申しますか、その任務をつけ加えた形になっております。
#19
○岡田宗司君 いままで南方連絡事務所というのは、高等弁務官あるいは米民政府との間に何ら交渉等をする権限を持たなかった。ところが、今回日米協議委員会での決定に基づきましてとにかく一つの正式の交渉を持つような形になってきたわけですね。そしてこの問題につきましては、明らかに米民政府の持っておる仕事の一部を代行する形になってきておる。一方におきまして、日本の外務省の旅券発給という仕事の代行をやるという形になってきておるわけですね。そうすると、南方連絡事務所というものが、いままでと違った権限を与えられた、あるいは仕事の活動範囲が新たにつけ加えられた、そう解釈していいのですか。
#20
○政府委員(東郷文彦君) ただいまのお話で、米国が旅券発給につきまして必ずしも交渉するというような立場ではございませんが、いずれにしましても、こういう措置によって南方連絡事務所の機能が広がったということは間違いございません。
#21
○岡田宗司君 南方連絡事務所の機能が広がったことは間違いないということになってまいりますと、南方連絡事務所の設置について日本とアメリカ側との間で合意されたことが、変更されたことになります。私どもは、今後もそういうことが何かの仕事の面であり得ると思うのですが、そういうことが期待できるのかどうか。
#22
○政府委員(東郷文彦君) 今回の措置は、新たに今回の旅券発給に関する合意によりまして、南方連絡事務所の機能も広げたわけでございますが、将来どういうことが具体的に考えられるかわかりませんが、そのようにして、南方連絡事務所の機能が広がっていくことはまことにけっこうなことだと思いまして、われわれも何かいい方法はないかと思って研究しているわけでございます。
#23
○岡田宗司君 とにかく、あそこは日本政府の唯一の出先機関でありますから、これが今後いろいろな機能が拡大されていく、そしていままでよりも広い活動範囲を持つようになる、特に日本政府の行なう仕事の一部が、この機関を通じて行なわれるということになってまいりますれば、これは私、やはり一つの前進だろうと思うわけです。で、アメリカ側が、この南方連絡事務所が、日本政府のかわりに、外務省のかわりに旅券を発行するということについて、そういうふうな意味で南方連絡事務所の機能が拡大されたということを認めておるのですか、公然と認めたのですか。単に技術的であって、そういう意味で、つまり、沖縄における日本政府の出先機関の機能が拡大されたという解釈ではなくて、単にごく技術的な問題をここでもって扱っているのだという解釈なんですか、どっちの解釈になっておるのですか。
#24
○政府委員(東郷文彦君) 今回の措置は、沖縄地域の出入域管理はあくまでもアメリカ側が持っているというたてまえでできたものでございますから、ただいまの御質問の意味では、むしろ手続的なものである、また、その結果が沖縄住民にとっては非常に便利である、しかも、施政権のたてまえには抵触しないということで、アメリカのほうも今回の取りきめは非常に満足していると考えます。
#25
○岡田宗司君 そうすると、アメリカのほうでは、単に出入国管理については米民政府にその権限があり、単に旅券発給という手続上の問題だけである、したがって、施政権の問題には何ら関係はない、こういう考え方。日本側のほうでは、いま言われたように、日本政府の出先機関がいろいろ仕事の面が拡大されていくということは望ましいことであり、今後もそういうふうに努力したいと、こういうことなんですか。どうも私食い違いがあるように思うのですが、食い違いがあったってかまわないのですが、その日本政府の代行機関としての南方連絡事務所の仕事を拡大していくということに対して積極的な態勢をとるということが今後も私は必要だろうと思う。その点について、外務省としては、さらにいろいろな具体的な仕事を見つけて、そして日米協議委員会等を経てそれを実現していくというおつもりだろうと思うのですが、念のためにもう一度その点をはっきりさしておいていただきたい。
#26
○国務大臣(三木武夫君) 私も岡田さんと同じような考え方を持っております。
#27
○岡田宗司君 次に、これは正式の旅券とは別の問題ですけれども、過日から私が問題にしました沖縄の船の船員手帳の問題ですが、これはいまだ日本の国籍の記載はできないわけです。この旅券法の問題が解決された後に、船員手帳の問題についても日本国籍を記載できるようにすることをアメリカ側と交渉して実現されるおつもりでしょうか。
#28
○国務大臣(三木武夫君) 努力をしてみたいと考えております。
#29
○政府委員(東郷文彦君) ちょっといまの大臣の御答弁を補足さしていただきますが、この船員法に関する沖縄の規則は琉球政府の規則でございまして、七月一日をもって船員手帳に新たに国籍の欄を設けることになったようでございます。ただし、そこの欄の中にどういう表現を使うか、ただ日本と書くか、あるいはカッコして沖縄とでも入れるか、その辺のところはまだ懸案でございますが、いま大臣のおっしゃいました趣旨で、大いにわれわれとしても横から手伝うことがあればしたいと考えております。
#30
○岡田宗司君 船員手帳への記載については、これは琉球政府の権限でできることであって、これには、たとえば旅券に日本国籍を記載するように南方連絡事務所で何らかの手続をするという必要はないですか。
#31
○政府委員(東郷文彦君) 船員手帳は、旅券と違いまして、たとえばわが国が出します船員手帳には、第三国の、外国船員でもそれに従って外国の国籍を記入するわけでございます。それと同じような関係で、琉球政府において、日本なり、あるいはギリシアだとか、その他第三国の国籍を記入することは差しつかえないことでございます。
#32
○岡田宗司君 そうすると、沖縄で、琉球政府が、沖縄の住民が船員として出る場合に、船員手帳の国籍の欄に日本と書き入れるということが実現された場合に、それは、そうすると、第三国、つまり外国というような考え方で、日本は外国だという考え方で日本と書き入れることになるのですか。それだと、どうも少し考え方に違いがあるように思うのですが、どうなんでしょうか、そこは。
#33
○説明員(加藤泰守君) 私からお答えいたします。琉球政府の発行する船員手帳の国籍の欄に書かれます国籍は、沖縄の方々ばかりでなくて、日本の人も同じように書くわけでございまして、その場合に、沖縄の人の場合だけは特に何か沖縄に本籍があって、沖縄の、いわゆる琉球籍を持っている人ということを明らかにするかどうかという点が問題になっておるだけでございまして、日本人である、すなわち日本国籍を持っているということは、向こうの船員手帳におきましても明らかにするというつもりで向こうの改正が行なわれたと私は思っております。
#34
○岡田宗司君 そうすると、そこに日本と書き入れることは、第三国の人としてという意味ではなくて、沖縄の住民もまた日本人であるということを明確に示すために書き入れる、そう解釈してよろしいのですか。
#35
○説明員(加藤泰守君) そのとおりでよろしいと思います。ただ、沖縄に住んでいるかどうかという、その点を明らかにしたほうが便利な場合もあるというような意見もございまして、その点はまだペンディングになっておるようでございます。
#36
○岡田宗司君 そうすると、これは外国に行った場合、たとえば沖縄の船がインドネシアやフィリピンのほうに行った場合、そしてまたそこに寄航した場合に、その船員手帳に日本そして沖縄に住んでいるということをあらわすための沖縄ということが入っておっても、それは普通の日本船員が受けると同じ待遇が受けられることになるのですか。
#37
○説明員(加藤泰守君) そのとおりだと思っております。
#38
○岡田宗司君 それから沖縄の住民の出入国の管理権を米民政府が持っておるわけで、旅券は単にその事務にすぎないということでありますけれども、この出入国管理権を米民政府が持っておるために、たとえばいろいろな理由から、沖縄の住民で外国へ出たい、その際に米民政府のほうのいろいろな都合で、あるいは考え方で、発給できない、こういうようなことがあり得るのですが、そのときに、それに対して、たとえばぜひ発給してくれというのでもって、さらに出してくれということを米民政府側に交渉する。その際に南方連絡事務所は何かそういう人に対して手助けをすることができますか。それとも、米民政府がだめだと言ったら、いや、私のほうは事務をやっているだけでございますから、そういうふうになればもうだめなんで出せませんと言うだけですか。そこのところはどういうことになりますか。
#39
○政府委員(東郷文彦君) そういう問題が起きました場合に、非公式にあっせんその他はむろんやる立場にあると存じますが、しかしながら、それを許可を出せとかいう交渉をすることは困難と考えます。
#40
○岡田宗司君 非公式にあっせんはできるけれども、表向き交渉はできない、つまり、南方連絡事務所というのはそういう権限がない、こういうことですか。
#41
○政府委員(東郷文彦君) 南方連絡事務所はそういう権限はございません。また、出入国管理の問題に関しましては、それはそれぞれの国のいわば専管事項でございますので、たまたまいろいろな個々の例がございました場合にそれを交渉の種にするということは、国際慣習上困難があると考えます。
#42
○岡田宗司君 そうすると、一たん米民政府がこれはもう出すなということになれば、それを救済する道はない。それで、南方連絡事務所はもちろん、そういうことについて何とか要請してくれと言われても表向きは活動できないのだ、泣き寝入りよりしようがないのだ、こういうことですね。
#43
○政府委員(東郷文彦君) 現在の状態では、そういうことでございます。
#44
○岡田宗司君 まあ、沖縄から日本への渡航の問題についても同じようなことが言えるので、たいへん情けない状態だと思うわけですけれども、しかし、先ほど言われましたような内々の話し合いでもってやれる余地があるというのならば、それをやはり生かしていくことが今後の南方連絡事務所の活動をもっと高めていく上の一つの足がかりにもなろうと思うのです。私は、南方連絡事務所というものが、何といっても、まだあまり権限がなさすぎると思うのですよ。こういう問題で一つ一つ積み重ねて権限を拡大していくということも一つの方法ではあるけれども、それはたいへんまだるこしい問題でもあるし、また、なかなか積み重ねていったからといって、相当大きな権限になる問題でもないと思う。そこで、やはりこれは日米協議委員会なりあるいはもっと高級の会談で、少なくとも日本政府の出先機関としての南方連絡事務所というものが沖縄におきましてもう少し広い権限を持てるようにするような交渉をする、そうして、それを実現することが、今後の沖縄問題を、日本側がもう少し積極的に沖縄問題と取り組んでいく上にも必要だろうと思うのですが、その点、外務大臣どうお考えになりますか。
#45
○国務大臣(三木武夫君) これは権限といいますと、岡田さん、なかなかやっかいですが、機能の拡大というのは私は努力したいと考えております。
#46
○岡田宗司君 権限というよりも、機能でもいいですが、とにかく沖縄と日本との関係がさらに深くなり、特にいろいろな交渉が深くなり、そうして援助の拡大とか、あるいはいろいろな面でこの南方連絡事務所の機関を通じてやる仕事がふえざるを得ないと思うのですよ。私は、どうしてもこれをもっと拡大する必要が生じてくる、こう考えておるのです。それで、これはやはり、もし今回総理が渡米されて沖縄の問題についていろいろお話が行なわれた場合に、それは総理自身がこの問題について話されるか話されないかは別として、外務省はアメリカ側と話をして、そうしてこの南方連絡事秘所というものがもっと機能の拡大のできるようにつとめらるべきだと思うが、どうでしょうか。
#47
○国務大臣(三木武夫君) 私もそのように考えております。
#48
○羽生三七君 ちょっと関連して。
 この案件は沖縄に関することだけですが、小笠原問題は全然入っていないということは、これは事実上に往来がないということからですか。
#49
○説明員(加藤泰守君) 小笠原につきましては、実際問題として寄航がむずかしいので、二十七年からいままでに一般の場合は十七名程度でございますので、特にこの法律で小笠原まで規定する必要はないと思っております。
#50
○羽生三七君 それは事実上往来がそういうふうに少ないということはわかるけれども、やはり人数のいかんではなしに、基本的な問題では私は同じことだと思うけれども、まあこれも十分考慮しておいてもらいたいと思います。数が少ないから問題じゃないというのは、ちょっと考え方としてはおかしいと思う。
#51
○説明員(加藤泰守君) 数が少ないと申し上げたのはちょっとあれでございましたが、事実はそうだということを申し上げておるのでございまして、渡航の関係が許されるような見通しが立てば当然そういう手配をすべきだろうと思っております。
#52
○岡田宗司君 まあ、小笠原は戦争中にみんな内地へ強制的に引き揚げた。そして戦後一部の人が小笠原へ帰されて、ごく若干の人が住んでおる。それで、この人たちはやはり日本国籍を持っていることになっているんですか。
#53
○説明員(加藤泰守君) 日本国籍を所有しておると思います。
#54
○岡田宗司君 それは所有しておるものと考えますというだけであって、はっきり日本国籍を持っているんだということにはなってないんですか。
#55
○説明員(加藤泰守君) 日本国籍を持っております。訂正いたします。
#56
○岡田宗司君 それで、まあ沖縄はとにかく大統領の行政命令に基づいて沖縄の陸軍司令官が高等弁務官ということになっておるわけですけれども、まあ、小笠原はアメリカの海軍の管轄下に置かれておる。あれは行政は、何ですか、信託統治領というか、前のマーシャル、カロリン群島、あそこを統治しているアメリカの統治機関の何というか、管轄のもとに置かれているんですか。どういう形になっているんです。
#57
○説明員(加藤泰守君) 太平洋艦隊司令官のもとにあります。
#58
○岡田宗司君 行政はどうなっております。
#59
○政府委員(東郷文彦君) ただいまお話しのように、全体の指揮はハワイにあります太平洋艦隊司令長官、具体的にはその指揮下にありますグアム島の海軍司令官のもとに置かれております。
#60
○岡田宗司君 それで、まあ沖縄へは比較的自由に渡航できるんですけれども、同じ潜在血権があって同じような状態にある小笠原には渡航がたいへんむずかしいわけで、大体まあ墓参に行けるぐらいしかいままで例かなかったように思うんですが、小笠原へもし行くとすれば、どういう手続を経て行けることになるんですか。
#61
○説明員(加藤泰守君) 小笠原への渡航につきましては、いままでの例で申しますと、建築工事あるいは気象観測等では相当普通の人が出ておりますが、これらは一括してその機関が米軍当局に話をいたしまして許可を得ております。そして、それ以外の、すなわち個人の申請、個人的なものは、先ほど十七名と申し上げましたが、その十七名の場合は、個人が米大使館の海軍武官室に手続をとりまして、その許可を取った上で、総理府の渡航関係の身分証明書を受ける、そういう形になっております。
#62
○岡田宗司君 そうすると、必ずしも行けないということはないわけなんですね。たとえば成規の手続を経てそして小笠原を訪れるということになれば、小笠原へとにかく視察なんかで渡航することはできることになりますか。
#63
○説明員(加藤泰守君) たとえば結婚して夫のもとに行く場合とか、あるいは特別に学術研究のために出かけるとか、あるいは記事の取材に行くとか、また特別にスクラップの回収というようなこと、もう一件布教がございますが、そういうようなことで十七名の方は行っておられますが、非常に特殊な場合でございまして、一般的には渡航がなかなか許されない、こういう状況でございます。
#64
○岡田宗司君 たとえば、まあ小笠原についても潜在主権があって、とにかく一部の人が帰って日本国籍を持っておるという状況、で、小笠原の問題もかなりいろいろと論議されるようになってきている。で、われわれももちろん返してもらいたい、こういう考え方を持っているわけなんですが、もし私たちが、特に国会であるいは小笠原沖縄問題等の特別委員会で、あるいはまた外務委員会で、小笠原もひとついろいろな観点から調査したいということで、渡航の申請をするということになりましたら、これはできることですか。向こうでは、こうこういう目的以外の者には査証は出さないという何か列挙したなにがあるのですか。
#65
○説明員(加藤泰守君) 実は、小笠原との関係で交通機関がございませんで、特別にいままで申し上げたような方々は、米軍の関係の不定期船等を利用して行かれたわけでございまして、したがって、一般的なそういう交通機関がございませんので、申請をしてもなかなか行けないということになろうかと思います。理論的には、これは申請をして、先ほど渡航が許されないとこう申し上げましたけれども、それは、実際問題として申請をしても行く交通機関がないということで、ほとんど実際問題として行けないと、そういう関係にございます。その点ちょっと御訂正させていただきます。
○委員長(赤間文三君)午前中はこの程度で質疑を休憩いたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十三分開会
#66
○委員長(赤間文三君) これより委員会を再開いたします。
 午前中に引き続き四案件の質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#67
○森元治郎君 外務大臣に北方領土についての御質問をしたいと思うが、その前に沖縄についてちょっと二つか三つぐらいの点をただしておきたいと思うのです。
 これからは日本へ渡航する場合に渡航証明書をもらう、そういうことになるわけですね。それから海外に行く場合は、従来身分証明書をもらっていたのが今度は旅券で海外に出られる、こういうことになったわけですね。
#68
○説明員(加藤泰守君) さようでございます。
#69
○森元治郎君 そこで、日米協議委員会の話し合いというのはこんなふうに聞いておったのだが、要するに、沖縄住民の第一義の外交保護権というのですか、そういうのは日本がこれに当たるのだという趣旨から行くならば、いまから十二年前、五五年のアメリカ民政府の布告百四十七号、沖縄住民の渡航管理という布告は廃止すべきである。身分証明書というものはもうなくなるのですから、これは廃止されたほうが非常に前向きではなかろうかと思うが、いかがでしょうか。
#70
○説明員(加藤泰守君) 民政府のほうの出入の管理権といいますか、そういうものは残っておりますので、その部分の廃止ということは不可能だろうと思います。したがって、こちらで出す身分証明書あるいは旅券にからむ部分は一応改正して落としてもいいのではないかというふうに考えております。
#71
○森元治郎君 その布告の中からその部分だけを落とすのですか。
#72
○説明員(山下重明君) このたびの改正といいますか、新しい制度によりまして、日本政府の南方連絡事務所で旅券を出すことになりましたけれども、出入国管理権は米側に残りまして従来どおりの出入国管理を行ないます。それと同時に、今度の制度によりましても、アメリカが全然もう身分証明書を出さないということになったわけじゃないので、一応日本が旅券を出すということでも、向こうの制度としては現在のままに制度が残っているという形になって、実際上は旅券でみんな出るということになると思います。
#73
○森元治郎君 その身分証明書を発給することもあり得るわけだが、現実の問題としてどんな場合に行なわれますか。
#74
○説明員(山下重明君) 現実の問題としては、私たちは想像しておりません。
#75
○森元治郎君 これを要するに、施政権が減ったのだとか侵害されたのだということを何とかのがれるために、実体はないけれども、過去の布告は生きているのだ。これがすべての面で見えるのだな。たとえば漁船の上に三角巾みたいな旗をつけてみたり、おかしなことをしているのは、全部施政権を持っていたものを取られるのはいやだからと言って、両方の条約局の頭のいいのがああでもないこうでもないとごまかして残している。やはりこれは政治問題だから、アメリカを説得して、きれいさっぱりと、古い十二年前のものはまだ生きているが現実にマークすることはないなんという説明はもうやめたほうがいいと思うのだが、そういうふうにアメリカを説得してくださいよ。
#76
○羽生三七君 森委員から対ソ関係で御質問があるようですが、その前に一つだけお尋ねしておきたいことは、先日の予算委員会で、実は時間の関係から一つ落としておるのがあるのです。それは、総理の渡米の際に、沖縄・小笠原を一体として討議の対象になるんだ、これはよくわかっておるんですが、そこで、かりにもしアメリカが小笠原問題に何か特に日本側としては好ましいような形で問題を提起してきたような場合に、日本としては小笠原・沖縄を一体として扱うために、そういう十分な取り組みができるのかできないのか、その辺がひとつ問題点になると思うので、これは従来一体になって、小笠原だけ先に問題を解決したら沖縄によくあるまいということで、十分な回答が出ていないと思うのですが、かりにもしアメリカが小笠原問題について何らかの前進を示すような場合に、この場合には日本が従来の一体的な取り扱いという立場から見て、どういう取り組みができるのか、この一点だけをちょっと。
#77
○国務大臣(三木武夫君) まあ政府としては、沖縄・小笠原一体のものとして、施政権の返還問題は一体にしてアメリカとも話し合いをしたいということですが、しかし、相手のあることですから、その話し合いがどういうふうに進展しますか、それによってこの問題が一応解決するにしても、順序をつけるというようなことならば、それはそれで私はいいと思うのです。考え方としては一体であるけれども。その一体としてできるだけ施政権返還に一歩でも近づけたいということですから、話のぐあいによってこれで順序がっくということならば、それはいかぬという立場では私はないと思います。
#78
○羽生三七君 それで、そのために、小笠原の問題が前進するために沖縄が何か遷延されたり固定化されてしまっては困るけれども、しかし、そういう条件なしに、小笠原問題がさらに一そうの前進を示すならば、積極的に取り組みをすることにいかしてほしいわけですが、よろしいですか。
#79
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりです。
#80
○森元治郎君 二十一日からモスクワでの日ソ定期協議――大臣のお話を新聞で拝見すると、北方領土問題についてもお話をする、こういうことであります。会議というものはおよそ雑談をするんじゃなくて、まじめな話ならば議題にしなきゃならぬが、議題になりましたか。
#81
○国務大臣(三木武夫君) 私、議題にしょうと思っております。
#82
○森元治郎君 定期協議というものは、前々から、大使なりあるいは本省相互の間で、文化だ、経済だとこうやって、第一日はこうやろうとおよそきめるんですよね。
#83
○国務大臣(三木武夫君) 大体、日米間のように、日ソの協議、ことに共産圏の場合は、日米間のようにちゃんとした議題があってということとは多少型が違いますけれども、まあ大体こういうことを話そうということは両方のアンダースタンディングがあるわけでございます。その中にこちらはやはり領土問題を持ち出すという考えです。
#84
○森元治郎君 そういう了解があると、向こうへ行ってその問題の話をするつもりはないとは言われない、そういうふうに理解していいんですね。政府の言う北方領土とは、一体何を頭に含んで北方領土と言われるか。最近北方領土の話がほとんど池田内閣のころからあまり出ないんで、佐藤内閣では新たな考えを持っているかもしらぬ。ひとつあらためて伺いたい、その範囲その他。
#85
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のとおり、フルシチョフの時代に、平和条約が締結になれば歯舞・色丹は日本に返す。これは私は生きておる。だから問題は択捉・国後の問題、この問題は何らの進展を見てないわけでありますから、こういうものも含めて北方の領土問題というものを日本が解決をしたいという熱意、また、ソ連側がこれに対してどういう反応を示すか、とにかくこの問題を話し合いの議題にしたいと思っております。日ソ関係では、平和条約を早く締結することは好ましいと私は思っておりますが、平和条約をはばんでいる問題はほかにないので、領土問題だけであります。この領土問題というものの解決を促進することが、とりもなおさず、日ソの平和条約締結を促進することになりますので、この問題を話をしてみたいと思っております。
#86
○森元治郎君 そうすると大臣、北方領土――択捉・国後と歯舞・色丹その他の千島、樺太及びその周辺の諸島、こういうものに対しはどんなお考えですか。
#87
○国務大臣(三木武夫君) これはもう話し合いというか、樺太などはいま領土問題の中に入っておるとは思っておりません。日本が領土問題として持ち出すこれは議題の外である、こういう考え方であります。
#88
○森元治郎君 そうすると、三木さんもあのときはどの党派であったか、日ソ交渉にはしばしばいろいろな場面に顔を出しておられる。裏表精通されておるはずだと思うが、あのころの交渉――三十一年の交渉ころまでは南樺太、千島については、ソビエトを含む連合国と日本との間に話をしようというようなことが当時の主張として取り下げられてはいないのですが、三木外務大臣の佐藤内閣になっては、これはどういう位置に位置しておるのでありますか。
#89
○国務大臣(三木武夫君) 政府が従来国会等で述べてきたことが変更したということではありません。ありませんけれども、私が今回モスクワに参りまして話をする場合には、択捉・国後、歯舞・色丹と、こういうものに限って話をするわけで、樺太の、これの国際的手続などは私は議題にはいたさない考えでございます。
#90
○森元治郎君 そうすると、そういう従来自民党政府が主張をしてきたことはなお胸中にあるわけですね。しかしこれは議題としない。議題は択捉・国後、歯舞・色丹、こういうことですね。それから、こういう重大問題に対して外務大臣は、記者団の会見か何かでしょう。佐藤総理と会っていろいろお話しをしたと。はなはだ手軽な感じがするのですよ。領土問題、ちょっと佐藤さんと会って話をして、それを基礎にして交渉するみたいな軽い印象を受けるのだが、その間のまず事情を伺いましよう。
#91
○国務大臣(三木武夫君) 佐藤総理とは、全般の問題について本日の閣議のあとで話し合ったわけでございます。その中には領土問題も入っておりますが、森さん、そんなに重大な問題を少し話し合いが手軽過ぎるではないかという御批判のようでございますが、政府としては、択捉・国後、歯舞・色丹については従来の考え方を変更はしない、従来の考え方の線に沿ってソ連と話し合いをするというものでありますから、したがって、まあ手軽ということではございませんけれども、そう長い時間をかけてそして話をするということにはならないわけでございまして、従来の方針に従って……。
#92
○森元治郎君 従来の方針というのは、外務省なりどっかの金庫の中に書いてある紙っぺらそのままだと思うのですが、何か、あれを返せ、これは日本のものなんだといういろいろな論拠があります、条約上とか、歴史上とか。その理屈に格別新しくつけ加える論理はありますか。
#93
○国務大臣(三木武夫君) ございません。
#94
○森元治郎君 そうすると、従来われわれが承知しているあの線で交渉していく。一々こまかく言わなくてもわかるが、ああいう論理を展開していく。この間スピリドーノフ幹部会議長がおいでになって、日ソ政治関係も進展させようと言ったら、珍しく佐藤さん頭をきかしてそこをうまくつかんだと見えて、通訳が教えたのかどうか知りませんが、領土問題だと、こう飛びついたんだ。そうしたら、それはエグゼキュティブのほうで話をしてくれなんて逃げられちゃったが、あのときの総理の印象はどうでしたか。
#95
○国務大臣(三木武夫君) やはり領土問題に対するソ連の態度の中には、どうも何ら変化がないという印象を受けておるようです。
#96
○森元治郎君 それをあえて、いま定期協議にあたって三木さんが得意の弁舌で相手を引きずり込もうというのはたいへんな仕事だと思うのですが、あなたは交渉をするおつもりですか。
#97
○国務大臣(三木武夫君) 私とすれば、日ソ間には平和条約を早く締結するという一つの懸案がございます。平和条約の締結を促進しょうということになれば、領土問題ということのほかにはもうないですからね、それの障害は。だから、平和条約の問題というのは当然に領土問題に触れるわけでありますから、そういうことで、交渉と言えるかどうか、とにかく日ソの平和条約を締結したいという希望を述べて、そのためにもやはり領土問題というものを解決しなければならぬという日本政府の考え方を述べるということで、それは、向こうのほうは、まだ現在のところ、何らの態度に変化はありませんから、変化がないとすると、その日ソ間の一つのやりとりというものは、交渉という名前で言えるかどうか、ちょっと私は疑問があると思います。
#98
○森元治郎君 なぜ交渉というかた苦しい字を持ち出したかというと、佐藤さんが、たとえば沖縄問題で交渉するのかと聞きますと、話し合いするのだと、こう言いますから伺ったことが一つの理由、もう一点は、大臣も御承知の松本・グロムイコの書簡によって、領土問題を含む平和条約締結について外交関係再開後も引き続き交渉を継続するものとする、これは大臣は生きておると信じておるんでしょうね。
#99
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりです。
#100
○森元治郎君 そうすると、ソビエトじゃうるさくていやらしいかもしらぬが、この効力が生きておる限り、向こうは応じてしかるべきだと大臣は了解されるのかどうか。
#101
○国務大臣(三木武夫君) いま交渉ということが適当かどうかということを私は申し上げたのですが、これはやはりわれわれとして平和条約締結を阻害する唯一の問題点ですから、私が参ります目的も、日ソ間の友好関係を増進しょうということが背景にあるわけですから、当然にそのためには平和条約を締結することが好ましいことは言うまでもない。そこで、この問題がそれを一番はばんでおる唯一と言ってもいい問題点であるとするならば、当然に触れざるを得ない。だから私は、交渉に、という形容詞をつけることは適当かどうかとは思いますが、話し合いをしてみたいと思います。
#102
○森元治郎君 この領土問題が解決をしない限り平和条約をいまのままで締結をするというお考えはないですね。
#103
○国務大臣(三木武夫君) それはできないでしょう。何らかの形で領土問題が解決されなければ、これはできない。
#104
○森元治郎君 大臣の、「何らかの形において」というのは、なかなかおもしろい表現だと思うのだが、「何らかの形」がたくさんあろうかと思いますが、どんな形か、ひとつ。
#105
○国務大臣(三木武夫君) たくさんもないですね。やっぱりこの問題は、その返還になった場合におけるその島に対してのいろいろな条件などはあると思いますが、しかし、別に、こういう方法、ああいう方法と、あまりたいして私は方法はないと思っております。
#106
○森元治郎君 佐藤さんは、この問題解決は私とコスイギン首相との間の義務であるようなお話があった。非常な総理としては強い発言です。内閣総理大臣をまる三年もやっていらっしゃるのだから、自分がどう言えばどういう外交的反響があるぐらいは覚えたのではないかと思うのですが、あれは相当の強い発言だと思うのですね。それには確信がなくちゃ言えない。総理のお考えをどんなふうに想像されますかな。
#107
○国務大臣(三木武夫君) あれは、北方領土の問題というものをコスイギン首相と話し合ってみたいという強い総理の願望披瀝であって、その背景の中に何らかの確信があるということでは私はないと思います。これは何ぴとも、北方領土の問題に対する解決の確信というものは、現在の段階では、私は持つことはできないだろう、こう思っています。
#108
○森元治郎君 大臣が行く目的は、本気になって領土問題を交渉にのせようとするのか。やはり親分の佐藤さん、総理が行かれてコスイギンと話ができるような下地を何らか取りつけてこようとするのか。あるいは黙っていれば、それはもう放棄したと思われるので、人の顔を見れば、領土どうした、どうしたと言うだけのことか。そういう気分もあるんですよ。黙っていれば忘れたと思われるから、顔さえ見れば、領土解決、領土解決で、向こうがいやになっちゃうと思うのですが、その二つがあると思うが。
#109
○国務大臣(三木武夫君) 私は常に本気でございます。ただしかし、総理も訪ソの希望を持っておることは事実でありますから、私の今回の訪ソが、総理が訪問されたときに、いろいろ懸案を話し合うための必要なやはりよい下地になればけっこうだと私は考えております。
#110
○森元治郎君 そういう下地を、新しくなったばかりの大臣だから、腕を見せようという野心がある。その野心が大切なんですからね。それは大事にやってください。そうして、やはり佐藤総理みずからが乗り込んで、交渉ということばは別としても、腹を割って、どうしたら返してくれるのか、どこが返せないのか、法律的、政治的、歴史的にもう一ぺん、もう十年もたちましたから、情勢も、日ソ関係もよくなっておるおりから、門外秘でもいいですし、グラスボロの会談でもいいから、ああいう調子で、一本にしぼって……。もう十年たったと思うのですが、どうですか。
#111
○国務大臣(三木武夫君) 私もそう思います。これは総理が腹を割って話をしてみる一つの必要な、時期的に見てもそうですし、必要のある課題だと私は思っております。
#112
○森元治郎君 もし有能な三木さんが、相手の話のどっか糸口を取りつけたら、総理来いと、電報一本で呼びつけるだけの線が出ると予想されますか。
#113
○国務大臣(三木武夫君) 私は、総理が訪ソの希望を持っておる。私の訪ソが、そのために非常に意義のあるものであったらいいと考えますので、私の訪ソの結果を総理に報告しまして、そのときの私の判断で総理の訪ソをすすめるつもりであります。
#114
○森元治郎君 ソ連があれを返さないという理由は、大臣はどういうふうに御理解になっておりますか。
#115
○国務大臣(三木武夫君) それはソ連はもう領土問題については解決済みであるという解釈をとっておるわけです。その解決済みという中には、いろいろ向こうは理屈をつけるのでしょうが、一番の違いは、日本は未解決で向こうは解決済みであるというような立場をとっておるのが――従来ですよ、将来は別として、現在までのところは。そういうことが大きなやはりこの問題の進展せない一つの原因だと私は解釈しております。
#116
○森元治郎君 この日ソの外交、対ソビエトの外交というものは、やはり長い間じっくりせかないで、どこの国もそうですが、特にソ連の場合はそういうのが過去の経験であります。せっかちになって放棄することもなければ、けんかすることもない。じっくりはやるが、やはりいいたいことははっきり、なぜ返さないか、どの理由、どの理由、解決済みだと言うならどうして解決済みだと、また昔と同じこと、ヤルタ協定がどうしたのこうしたの始まってくるかもしらぬが、こないかもしらぬ。
 それで沖縄との関係ですね。かって日ソ交渉のときは、歯舞・色丹を返しますと言ったときに、向こうの交渉の過程では、その上に文章が一行くっつきまして、国交回復したあとに、アメリカが沖縄を日本に返したあとに、しかも、日ソ国交回復が終わったあとに歯舞・色丹を返すという。沖縄という字が出てくるんですよね。ところが、まあこっちからの突っぱねでしょう。これは消えた。やはり沖縄というものは、ソビエトの択捉・国後問題の処理にあたっては、頭へちらちらとすることは確かだと思う。やはり政治は全力をあげて一だんだんまあ全力をあげていないようたが、後退してきているようだけれども、沖縄を返してもらおうということは一生懸命になったはずだ。こうなれば、一番ソ連として心配をしておる安保条約の強化、北方への日本の防衛のさらに強化、新しい飛び道具の配置などの心配というものが、沖縄返還というような、全面返還だという希望を持ってこちらが強く交渉をしている態度を見たときに、向こうもやはり何かしらこれを頭に入れることも確かだと思う。こういう突っつき方はいたしませんか。
#117
○国務大臣(三木武夫君) ソ連は今までの中にも沖縄と関連を持たせて公式の発言をしたことはないんです、この問題で。これはもうそれ自体としてソ連は解決済みであるという態度をとっておりますので、いろんなそういうふうなことを、まあ日本人の考え方としてそういう考え方を持っている人もおるようでありますが、ソ連のほうからは、自分が沖縄の施政権返還と択捉・国後と結びつけて公式に発言をしたことはありませんから、まあこれと結びつけてということは、いままでそういうふうな考え方を示しておりませんから、実際問題としてはそれが大きな説得力を持つかどうかということは、私は疑問だと思います。
#118
○森元治郎君 しかし、まあ何といっても沖縄の存在は極東東北地方におけるかなめに当たっておって、これがわれわれの希望する全面返還のような形でかりにまとまったとすれば、ソビエトの日本に対する警戒心も大きく取り除かれることであろうし、日本政府もさらに親密な関係を立てようというのですから、領土の話し合いのムードというのは、よほどこれは変わってくると思う。こういうこうをやはり私はこの際主張しなけりゃいけない。もし政府がそれを言わないとするならば、沖縄返還の態度というものもうんと強く真剣なものじゃないという感じを私は持たざるを得ないのです。
 話は飛びますが、私はこの択捉・国後が向こうの占領下にあるという、どうしてああなったんだろうかを私なりの解釈をするのですが、聞いてもらいたいのは、やっぱりヤルタ会談は、ルーズベルトはもう病気でくたびれている。スターリンは、千島の首飾りをやると言われたものだから、さあしめたと、もうもらえるならこれにこしたことはないと思った。そのときに、南千島はどこからどこまで、北千島はどこまでというのは、これは事務官がやることですよ。これは条約局長。あのトップの三人が話し合うというときは、これはこっちへやる、これはこっちへやるという話だけです。そこで私は、こう善意に解釈をして、踏み込んできたと、千島に入ってきた。いくさは勢いですから、北海道にも進駐したいくらいの気分のあったときですから、ずっと出たと。出てしまった軍隊を引くということはこれはむずかしいのですよ、なかなか。ちょっと過ぎたとは思っても、ここでとどまった。こういう点もあるのじゃなかろうか。それはソ連の善意の間違いと認めてやってもいいのじゃないか。だから、病気のルーズベルトがやったものだから、アメリカあたりの高級幕僚たちは、とんでもないと、千島の何度何分まではあっちだ、こっちだと注意し、見解を出したときはおそかった。こういう間違いもあるのですよ、戦争ですから。私は、そんなふうに解釈してあげればソ連の顔も立つんじゃないか。これは一つの議論のやっぱり立て方の一つですよ。大臣はいかがにお考えになるか。条約局長、ひとつ条約ですから説明してください。
#119
○国務大臣(三木武夫君) まあ外交に多年経験を持った森さん、いろいろなきょう御発言になったことは、非常に参考になる意見が私には多かったことを感謝いたします。私も、本気でやる以上はあらゆる知恵をしぼって、そうして説得力のある発言をしなけりやいけませんので、きょうの御発言は、いろいろとそういうことも頭に入れてこの問題を話し合いたいと思っております。
#120
○森元治郎君 領土問題に関するソ連側の発言というのは、断片的に、フルシチョフがこう言ったとか、ミコヤンがこう言ったという断片が伝えられております。どれだけ外交的責任のある発言であるか私はわかりませんが、その一つに、三十年、五十年という長い時間をかけて考えるべきものだといったようなこともあったように聞いているわけです。ということは、よく中国の人は、大人でありますから、台湾の復帰に対しては百年でも二百年でも待つのだと、これもソビエトもやっぱり同じで、そのくらいのスケールだろうと思うのです。ところで、これは条約専門家に伺いたいのですが、平和条約というものは、両国間が戦争状態を終結して国交回復をはかり、領土の最終決定を平和条約でやるのだというようなのが、まあ私たちが普通聞いていることだが、平和条約を結んで、なおかつグロムイコ・松本書簡にあるような、領土問題――表現は別ですよ――これこれはなお引き続いて相談するとかなんとかという平和条約というのはあり得るのかどうか。
#121
○説明員(高島益郎君) 現在問題になっておりますのは日ソ間の関係だろうと思いますけれども、日ソ間も申しますと、すでに日ソ共同宣言によって実質上戦争状態を終了し、法律的に戦争状態を終了し、かつ、領土問題を除く一切の主要な問題を解決しているわけでございます。それ以上にもし平和条約を結ぶとすれば、領土問題を解決しなければ平和条約締結も意味がないと思いますので、一般論は存じませんが、日ソ間に関する限り、領土問題を除外した平和条約の締結というものは無意味なものだと思います。
#122
○森元治郎君 そうすると、領土――いま懸案の択捉・国後というこの具体的な問題が入らない平和条約というものはあり得ないし、結ばない。あり得ないし、したがって、結べない。結ばない。こういうことになりますか。
#123
○国務大臣(三木武夫君) これはいろいろ話し合いをしますからね、決定的に。いま政府委員からお答えしたように、実際に国交が回復していますから、そう、いま取り立てて、こういう点で日ソ間で非常に不便だというものはないわけです。しかし、やっぱり平和条約を結んだほうがいいと思うわけでありますので、結ぶとすれば領土問題だけが障害ですから、これが解決されることが必要だと思います。このことが解決されぬということになってくると、いまの状態から一歩進めるという意義が――理由づけといいますか、そういうものがなかなか国民にも説明しにくいと思いますので、したがって、この場合、それが解決しなけりゃ平和条約は絶対に結ばないんだと、そういうきめつけるような言い方をする、しないは別にしまして、実際問題として平和条約の締結は私はむずかしいと思っておりますが、しかし、絶対に平和条約を結ばないんだと、現実はそうかもしれませんけれども、そういうふうな断定をいたすこともどうかと思いますし、実際問題としてむずかしいということでお答えしておきます。
#124
○森元治郎君 実際問題として解決済みであると向うは言い、非常にむずかしいと大臣は言う。もう打つ手がないというくらいむずかしい大きな岩にぶつかっているのに、なおかつ、モスコーで話し合おうというのですから、相当心臓が強くなくてはできないわけですね。その一枚岩をどっかでそっと一センチも持ち上げようというのですから、覚悟と対策がなくちゃだめだと思う。それと、懸河の弁といいますか、説得力がなくちゃならぬわけですね。そうでなければ、ただ返せと、もう済んだんだと、こうやられるだけでは醜態な外交になるわけですね。どういうふうな腹で行かれるのか、もう一ぺん重ねてひとつお答え願いたい。
#125
○国務大臣(三木武夫君) 森さん、重大なのは領土なんで、日本人、が日ソ間の唯一の懸案であると考えておるんですが、このことは、向こうのほうがもうとても話し合いに応ぜられぬというような返事になるかもしれませんよ。しかし、やっぱり話してみるという、日ソ間には非常に友好的な、いま雰囲気があるわけですから、その中で、国民から見れば唯一のこれが懸案であるという問題だけをよけて通るわけにはいくまいと思う。私はやっぱり話してみて、森さんのおっしゃるように、それはどうにもならぬかもしれませんよ、しかしやってみると、やってみて、話し合って、それが総理の訪ソなどに関する何らかのまた糸口にでもなればいいと思うので、これだけ国民の一番の関心もあり日ソ間の懸案になっておるものを、外務大臣が行って、これをよけて通るのもいかがかと思って、やってみようと思っておるんです。
#126
○森元治郎君 そこで、もっと大きい外交を展開するならば、幸い平和条約を締結するまではアメリカがリードした。そのアメリカ、平和条約には各条について文句を言って入らなかったソ連、それが今日はたいへん意思が通じておるわけですね。ですから、ダレス先生が先頭で引っぱり回した条約を一番知っているのはアメリカ。向こうも、たしか当時グロムイコなどが代表で来たと思うが、外務大臣、日米ソ三者のグラスボロにかわる東京会談でもよろしいが、やるくらいの大外交が展開できないですか。詳しくは、事情はアメリカやソ連が説明するでしょう。取られた日本の立場、サンフランシスコで吉田さんが演説をぶった気持ち、これをぶちまけて、そういう三者会談をここで開催するくらいの――それと沖縄と択捉・国後、同時に日本の安全保障に関連する、同時に、日本がこうなった以上は、中立平和外交は展開できる。西のほうはちょっと中国とのあれでだめでありますが、三方面はこれで穏やかになる。そこで、いまは日米安保条約があり、向こうは中ソ友好同盟条約というのがある。幸い、両条約の時効、期限といいますか、これが延びていけば、同じくらいに終点は一致するわけですね。自動延長となって持っていけば、そういう条件でやはり巻き込んでいく、ここらがやはり糸口のほぐれるもとだと思うのですが、大外相、どうですか。
#127
○国務大臣(三木武夫君) 森構想、非常に興味のある構想だと思いますが、現在のところ、そういう三国の外相会議にソ連は乗ってまいるような状態ではないということでございます。まあ、構想としては非常に興味のある構想ですけれども、向こうが、択捉・国後、北方領土の問題について、そういう三国の外相会議にソ連に応ずるような状態ではないということでございます。
#128
○森元治郎君 択捉・国後だけでなく、両ブロックの防衛体制を、何とか一日も早くトーン・ダウンといいますか、静めていくというような大目標の中に択捉・国後も入る、あるいは三国不可侵条約――第三国、中国の参加もできるような道も開いてやる。そのほうが、ASPACで先生が御努力なさるよりはよほどでかいと思うんだがね。この問題は、大きな外交の中で領土問題も含めていく、その接点にある日本として、私が行ったとき、ライシャワーさんだって、日本は米中のかけ橋をやってくれと、あれほどの専門家でさえ言っているんですな。私は、決して思いつきじゃなく、その努力の過程があって、択捉・国後が返るおりもつくれるだろうし、そう思うのですがね。
#129
○国務大臣(三木武夫君) 私はその前提は全く同感なんです。北方領土ばかりでなしに、いろいろ世界的に未解決の問題があるでしょうね。世界には、この問題をその問題だけでいきなり直接に解決するということには非常な困難がある。世界的な一つのクライメートを変えるというような、それは全くそうだと思う。北方領土の問題も、もしそういうことができるならば、それで解決できるかどうかは別として、解決をするために今日よりも非常に条件がよくなることは明らかであります。やはり何としても、世界にあるいろんなむずかしい問題、これは世界的な環境が変わってくるというその助けをかりないと、直接にその問題だけで解決しようとしても、これは非常に限界があるという感じが、私もいたします。それは森さんと同意見でございます。
#130
○森元治郎君 この前も大臣に申し上げたが、アメリカとの間には、極東の平和をいかに維持するかというお話は絶えずあるが、西のソ連は、十年ぐらい前までは、ソ連との関係は、こわいこわいと言っておった。ソ連との関係がおろそかになった。核拡散防止条約であろうと、あるいは地下を除く実験の核停条約、日本の安全保障などについて、一番こわいと思った相手側と話をしていなくて、応援してくれる側のほうにだけ相談しておったことが、ソ連をなおざりにしたことが、外交にむだな七、八年を費したのじゃないか。自民党の立場に立っても、安保条約をつくりつつ向こうとの話し合いを進めたり、強化の方向よりは、おりあらば強くしていかないほうに持っていくという努力が足りなかったから、対ソ外交の重点は、どんなに力を入れても決して行き過ぎではないと思うのです。
 そこで、あなたがモスコーへ行ってこれだけのことができたら大成功だと思うのは、条約の表現なんかは別として、平和条約――領土という字がいやなら抜いてもいい、入ればもちろんけっこうだが、平和条約締結への交渉の専門家大使、外務大臣、それぞれでこれからやることにした。長い作業になるでしょう。困難な作業もあるでしょう。それが共同コミュニケに盛られたら大成功だと思うんですね。やろうやろうと言うだけで、平和条約になりますと、何も領土の問題ばかりでなく、その他たくさん問題ありますよ。それもその一環として含めていくということができたら、あなたのソビエト訪問はりっぱなものだと思うし、それだけにわれわれも大いに手をあげてりっぱだとほめますよ。そんなことができそうでありますか、そこまで持っていきたいとお考えですか。
#131
○国務大臣(三木武夫君) やはり日ソ間の問題で懸案いろいろ問題はありますけれども、やっぱり平和条約の締結だと私は思います、日ソ間の。だから、そういうところから入っていくわけですね。領土問題は、いきなり択捉・国後を返してくれという問題でなしに、やはり平和条約というものの締結の入り口に入るべきだと思います。そこで領土問題が一番の障害になっているから、当然に出てくるわけですが、そういうことで、向こうが、これ少し、森さんいま、日ソ外交に時間がまごまごし過ぎたのではないかというお話ですが、どうも自由世界とは違って、共産圏というのはちょっと仕組みが違ったりして、多少の時間がかかりますが、どんな反応を示すかということについて私はよくわからない。そういうことで、まあ行って、こっち側から今度は率直に話したいと思います。どんな反応をソ連が示してくるか、それによってどこまで進展するかということがおのずからきまってくると思うのですが、いま、まあどういうふうな反応を示すだろうということは、現在の時点ではちょっと私には想像がつかない。向こうの反応によってこっちのほうもできるだけ話を詰めていきたいという考えでございます。
#132
○森元治郎君 次も日ソ関係ですけれどせ、対ソ外交が、まだほんとうに、ことば自体は慎重に粘り強く、論理的に、ソビエト外交はきわめてへ理屈を含めて論理的な外交を展開する、これに十分対応して乗り込んでいかなければならぬと思うのですが、これを阻害しているのは何だという大臣のお話があったけれども、自民党の方々の中に、いまなお、たとえば、日ソ領事条約を結ぶときに、表面化はしませんが、小樽だの、札幌だの、新潟に領事館を置かれたら、また赤い活動をやられるのではないかという持論があったのですね。今日なおかつ日本のスパイなど、裏表われわれより知っているだろうと思うし、こんなことを言っているような危惧が、一日一日とうまく進んでいくものに水をさしつつ今日まで来ていると思うんですね。まずそういうことも指導して、やはり直していかなければならぬと思うのです、いかがですか。
#133
○国務大臣(三木武夫君) 非常に最近私は変わってきつつあると思う。この間経済ミッションがソ連に行ったのですけれども、これは戦後日本が海外に送った最大の経済使節団ですよ、五十数名。しかも、行っておる顔ぶれも、日本経済人としては非常はトップ・クラスの人が行っているのです。あんな大きな経済使節団を海外に送ったことはない。ソ連という共産圏に、日本が戦後最大のやはり実業人を送ったこの変化の中に、日ソ関係というものが大きく変わりつつあるということは、これを見てもわかる。日本の場合は、これはもう憲法からして平和主義というようなことは、日本の国民の中に定着したわけです。これは何ぴとも変えることのできない日本の建国の理想ですから、建国というか、今日の日本のやっぱりよって立つ一つの大きな大原則です。そうなってくると、やはりソ連との間にもできるだけ関係を改善していこうということは当然のことです。ことに、ソ連も最近も非常に態度も柔軟な態度でありますので、まあ今回の私の訪ソ等も、そういう意味に役に立てば仕合わせだと思っている次第であります。
#134
○森元治郎君 訪ソ使節団がたくさん、六十人も行かれたことはわかっているが、どうも、もうかる商売だとなると、赤だのなんて悪口言ったのをとっくに忘れて、山の奥に入って資源開発だといって、ことに銅が埋まっているのではないかというのは、ちょっといただけない。腹が減ってくると、何でもかまわないのです、日本の財界の、特に反共といわれたのが、全部忘れて。こういうところは、大臣のおっしゃること、たいしたことはないと思いますけれども、それは譲ってあげますよ。行って気候を見ようということになっただけでもたいへんなことですから。
 そこで、一つだけ別な……。
#135
○羽生三七君 関連して。
 いま森委員が提起された問題の中で、一つに、せめて将来日ソ間で平和条約を引き続いて討議していくというようなことで引き出せれば非常に成功だと言われたと思うのですが、これは実際いままでのソ連の態度を見ればよくわかることで、それは解決済みだとまつ先に出てくると思う。いっか予算の分科会で申し上げたように、私どもが行って、ミコヤン、スースロフ、ポノマリョフ、グリミン氏等と長い時間かけて話し合いました。向こうが驚くほど時間をかけて徹底的にやったのです。しかし、領土問題は全部が解決済みだとの答えでした。しかし条件が変わったらどうか、国際情勢が変わったらどうかとの問いに、それでもなおかつ、全く異口同音にノーと答えました。ところが、フルシチョフのところに行ったらフルシチョフが退陣する一カ月前ですが、あの島は、国後・択捉は経済的に見れば、何も価値がない、われわれソビエトから見れば問題じゃない、しかし、目の前に現にアメリカがああいう政策をとっているときに、はたしてすぐ返還が可能でしょうか、しかし、情勢が変われば解決は可能でありますと、はっきり答えているわけです。情勢の変化ということは一つの大きな手がかりになるのではないかと思う。そうでなければ、私、これ日ソ間に平和条約なんというものは、いつできるかもう想像もできない将来のことになるのではないか。やはり、ちょうど沖縄の一つの情勢、極東の情勢変化と政府が言われておると同じように、あの付近における情勢変化というものがやはりここに来る。それまでも不断に要求を続けることは当然でありますけれども、一つの大きな前提になるのではないか。そういう意味でなかなかむずかしいことだと思うが、たまたま訪ソの機会にちょっと触れたというだけではなくて、いまのような問題について、何か将来も引き続いてこういう問題に触れることを合意できることができれば成功だと思います。無理は申しません。
#136
○森元治郎君 松本・グロムイコ書簡というのには、領土問題を含めて継続的に交渉するというのに対して、ソビエト側の説明は、解釈はどういうふうになっておりますか。
#137
○政府委員(北原秀雄君) 森委員詳細よく御承知だと思います。松本・グロムイコ書簡においては、これがはっきりうたわれまして、その後、鳩山全権と先方のフシチョフとの正式の書面には落ちております。それが現状でございます。その後、一方的なステートメントがございまして、沖縄が返されない間は返さないとか、また、フルシチョフの発言とかいろんな一方的な発言はございましたが、昨年椎名外務大臣が訪ソのときにわれわれの間で確認いたしましたところは、日ソ共同宣言の字句のとおり、あの字句のとおりにおいて領土問題を考えますというのがソ連の政府の態度でございました。
#138
○森元治郎君 共同宣言の文句をちょっとここで言ってください。
#139
○政府委員(北原秀雄君) 内容は、すなわち、いかなる一方的宣言が行なわれたにかかわらず、この共同宣言のとおりで履行するという趣旨でございます。「日本国及びソビエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を続継することに同意する。」これは九項でございますが、なお続きまして、「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」。平和条約が締結されれば直ちに返すということです。
#140
○森元治郎君 前の松本・グロムイコの間で言った領土問題を含む平和条約についての交渉というのは生きておるのですか。死んでおると日本は解釈しておるのですか。
#141
○政府委員(北原秀雄君) この書簡は生きております。
#142
○森元治郎君 こちら側に関する限り。
#143
○政府委員(北原秀雄君) こちら側に関する限り生きております。ただし、この書簡の内容と日ソ共同宣言との間には、いま読みましたように、確かに食い違いがございます。
#144
○森元治郎君 そうすると、向こう側は共同宣言のほうをとって、片一方の松本さんの書簡のほうは触れない。そういうたてまえをとっているわけですね。ですから、こっちは十分主張する根拠は依然として残っておるわけですね。そこで、向こうは、時間がたつごとに少しづつ水をさしていって薄めていっているような感じがするのだが、どうですか。
#145
○政府委員(北原秀雄君) こういう問題につきましては、結局、当事者、鳩山全権、フルシチョフ全権、ともにおられないわけでございますが、グロムイコ外相はいまだ健在でございます。この問題を話しますときには、確かに彼は、いま森委員のおっしゃいましたとおり、ソ連側のたてまえを、意向を気にしつつ、意識してしゃべってるように私どもは理解しております。われわれのたてまえは、グロムイコ・松本書簡は依然として有効であると思っております。
#146
○森元治郎君 それは気にしつつ話していると。ソビエトの人が気にするというのはよっぽどのことなんですよ、神経の太い人が気にするというのは。これを遠慮することなく、条約上ではっきりしていることははっきり言って、どうしてだめなのだということをとことんまで議論しないと、いつまでたっても同じことの繰り返しで、だから、それはどうやって確認するか、新たな確認は私はなされていいと思うのですが、そこまで詰めるお考えは大臣ありませんか。
#147
○国務大臣(三木武夫君) 私はいままでの経緯なども十分に頭に入れて、あらゆる角度から話し合いをしてみたいと思っております。いまこうやってするとかああやってやるとかいうことは、この席上で申し上げることもどうかと思いますが、あらゆるいままでの経緯というものを頭に入れて、あらゆる角度から率直に話し合ってみたいと思っております。
#148
○森元治郎君 それからやっぱり腹を固めてしっかりやる。単なる資料ばかり読んでいても始まらないわけで、しっかり腹を固めてやる。そういうようにお願いしたい。
 最後に一つ。この前岡田参事官が来ているときに意見を申し上げたのだが、オホーツク海が禁漁になっている。昭和三十四年から禁漁されているのだから、ここはもう三十四年からですから、ことしは昭和四十二年、もう八年もたっている。一体八年も網をおろさなければ、お魚がふえたか、ふえないか、とらないからふえたと思うが、魚族の持続的生産性というものは一向わからず問題になりますので、魚があったらとろうじゃないか、なるほど減ったのだと言ったら、これは調査する。日ソ両国は特別に資源の調査をするということを確約をしながら、いまだかって共同で調査をしたことがないが、幸い八年目だ。魚はふえたはずでしょう、魚はとらないのだから。これをひとつ提案してやることは、おそらく大きな学術的な研究になると同時に、両国の便宜にもなると思うのです。政治的にあのオホーツク海を禁漁にすると同時に、日本の船も入っていくこともないから内海になってしまう。やはり公海として、とるものはとっていきたい、こういうことを提案をしてしかるべきだと思うが、大臣はどう考えておりますか。
#149
○国務大臣(三木武夫君) そういうことも私の頭にもございますから、頭に入れて向こうに参りたいと思っております。
#150
○森元治郎君 わかりました。
#151
○羽生三七君 たまたま森委員が漁業問題に触れたから、ちょうど私はこの前、条約審議の際にお尋ねしたのですが、大臣がASPACに御出張中で、その点での大臣に対する質問は残しておきましたから、いまの問題に関連して一点だけお尋ねしますが、アジア・太平洋諸国――世界的にもそうですが、漁業専管水域としては十二海里説をみなとり出しておるわけですね。そうなってきた場合に、そういう条件のもとで、日本は過去の実績を守るために、二国間協定で、しかも、きわめて短期間な協定を結んでおるわけです。しかも、趨勢としては、どちらかと言えば先細りという見通しですね。そこで、外務省というか外務大臣か、それは知りませんが、いまこの十二海里説はある程度やむを得ないものとして見て、そうして多数国間の条約を結ぶ。そこに重点を置く構想を外務省当局が持っておるらしいと聞いておるし、一方農林省では、むしろ現状で行くほうがいいということも考えているといわれているわけです。しかし、この三木外相のアジア・太平洋地域構想なんかに関連して、この種の問題をどう解決すべきか。これは実は日本の当面している一つの問題点でもあろうと思いますので、たまたまいま森委員がこの問題に触れられましたから、ASPAC御出張の際で大臣に対して質問ができなかったので、この機会に承っておきたいと思います。
#152
○国務大臣(三木武夫君) これはいまは十二海里は認めない。日本の権益を――日本の権益といいますか、実績、これによって二国間協定で日本の実績を認めることにおいて、それは十二海里を認めるわけでないけれども、二国間協定を結んで紛争を解決いたしているというのが現状です。いまこれを変更するという考えはありませんが、しかし、これは将来の研究課題として研究すべきものだと思っております。しかし、アジア・太平洋地域にわたる多国間協定というのは、実際問題として非常なやはりいろいろな障害が私はあると思いますから、したがって、非常に将来の研究課題とはなり得ましょうけれども、現在のところは、いま日本がやっているような方式を変更する考えは持っていないわけです。
#153
○羽生三七君 二国間協定でしばらくやると……。
#154
○国務大臣(三木武夫君) そうです。
#155
○岡田宗司君 何べんも蒸し返すようなことなんですけれども、もう国会も終わりになりますし、外務大臣もモスコーに行かれるので、もうお伺いする機会がないので、きょうお伺いしたいと思いますが、それは下田発言の問題なんです。下田発言の内容その他についてはいまここで繰り返して申し上げようとは思わないのですけれども、佐藤総理もそれから三木外務大臣も、下田発言はこれは政府の意図ではない、下田個人の発言であるというようなことを答弁されておったのですけれども、七月十八日の世界週報に、その下田大使とそれから山川琉球立法院議長、安里社会大衆党委員長が六月二日に下田大使と懇談をしておる。その際に、前にオランダの駐在海軍武官をしておりまして、いま琉球の漁業会社の社長の渡名喜守定氏が速記のメモをとった。その中で下田大使はこう言っているのですね。「本土政府の考えは一応打ち出されている。自分が発言して論争のマトになっている核基地を含む返還論がそれと見てよい。自分は外交事務当局の最高責任者としてこの問題に関する総理の意中を知っているつもりであり、総理や外務大臣では表明できない見解を自分が発表したのである。もし私の発表した見解が総理の方針と反するものであったら、自分としては責任をとっていつでもやめる決心で発言したのであるが、それについて総理からお前の見解は間違っていると言われたことはない。」、まあこういうことを言っているのですね。これはどうも総理や外務大臣が下田発言に対して言われたこととだいぶ違うのですけれどもね。これはどうお考えになりますか。
#156
○国務大臣(三木武夫君) まあ下田君、沖縄問題の解決ということを非常に熱心にいろいろ考えておることは事実で、その基地の自由使用ということ、これを言ったわけですけれども、それも、積極的に見解を述べるために記者会談をしたのではない。記者諸君の質問に答えて、たまたま個人的見解を、そういうものを持っておったものですから、個人的見解を述べたということでありまして、特にこの問題が沖縄問題の解決を、こういう方向で引きずっていこう、そういうふうな意図的な記者会見ではなかったのでありますが、これはしばしば申し上げるとおり、政府の見解ではない。下田君の個人的な見解である。しかし、こういう意見を持っておる人もおることは事実ですからね、下田君一人の意見ではない。こういう意見も持っておる人があることは事実でありますから、こういう意見なども、これは現に存在する意見でありますから、沖縄問題の解決にどういう意見があるという場合を考える一つの意見であることは、これはもう否定することはできない。しかし、政府がその意見を採用して、政府の方針がそういうことで沖縄問題を解決しようという、そういう段階には下田発言はなっていないということはそのとおりでございます。
#157
○岡田宗司君 それは、下田大使が新聞記者会見でやったことに対して外務大臣がそういうふうな御発言をされたわけです。いまも繰り返えされてそう言われておるのですけれども、下田大使自身は、この世界週報にもはっきり出ているように、これは「総理や外務大臣では表明できない見解を自分が発表したのである。」、それから、「自分は外交事務当局の最高責任者としてこの問題に関する総理の意中を知っているつもり」だというようなことを言っているとなると、どうも個人的発言とは思えない。もし個人的発言だとしてこういうことを言うのだとすれば、これは政府の方針ともたいへん食い違うことになる。政府のこの問題に対する見解、あるいはその見解に基づいてこれから行なわれようとする沖縄問題処理のためのいろいろな外交的な方針というものは狂ってくるというか、二つあるようなことになるので、たいへん私はおかしな発言だと思うのです、これは。どうも総理なり外務大臣が国会で答弁されたことに対する反発あるいは反論とも見られるような気がするのですがね、どうお考えですか。
#158
○国務大臣(三木武夫君) そんなことはございません。下田君の発言がこれで政府の政策決定を拘束するというものではないわけでございます。下田君は、こういう考えであるということでこれを述べたということであって、このことが何らの政府の政策の決定に対して拘束力を持つものではないと、そうお考えくだすってけっこうだと思います。むろんいまは駐米大使でありますから、政府の訓令に基づかずして下田君が行動するということはございません。
#159
○岡田宗司君 私がしつこくこういうことをお聞きしたのは、まあ総理なり外務大臣が、下田発言に対して彼の個人的見解であるということで大体けりがついていると思ったのが、それに駁論するようなことが沖縄から来た。琉球立法院の議長等に対して言われ、そうしてそれがそのことばのまま雑誌に発表されておるということで私は質問したわけなんですけれども、こういうことがしばしば起こり、また、下田大使が訓令に基づかないで個人的発言をどんどんしていくということになると、これは私はいろいろ障害が起こってくると思うので、それでここで取り上げたわけなんですけれども、あらためて三木外務大臣から、これは政府の見解ではない、それからこれは佐藤総理の意中を表現したものではないということで、これはあらためて否定されるわけですか。
#160
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりでございます。下田君の発言、これは政府の見解を示すのではない、総理大臣、外務大臣の意を体しての発言ではない、個人的見解である、これを繰り返してここで申し上げておきます。
#161
○岡田宗司君 いや、下田大使がたいへん人騒がせをやるので、いまのようなことで人騒がせをやって、私らも騒がせられたほうなんですけれども、やっぱり同じ会合の中でこういうことも言ってるんですね。 「憲法を改正せずとも、その運用によって核基地を含めての返還は可能である。また憲法にしろ、日本が永久に核兵器を持つことを禁じているものではない。」、こういうことをはっきり言われていますとね、これはどうも騒がざるを得ないのですがね。こういうことは少なくとも外務当局のおえら方としてあまり言わないように、これは外務大臣からしかるべく御注意をしたほうがいいのじゃないでしょうかね。
#162
○国務大臣(三木武夫君) これは沖縄問題というものは大問題で、いろいろな私は意見もあり得ると思います。いろいろな意見があり得る。しかし、一番やはりこの決定というものは、政府の非常な大問題であるだけに、政府の最高決定の問題でありますから、したがって、下田君の発言をとらえまして岡田さんがいろいろ御心配になる、それほどの政策決定に対しての影響力を持っておるとは私は思いません。
#163
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、旅券法の特例に関する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#165
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 旅券法の特例に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#166
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本案件に関し、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#168
○委員長(赤間文三君) 引き続いて質問を続行いたします。
#169
○加藤シヅエ君 私は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約について二、三の点を伺いたいと思います。
 この条約案が私どもに手渡されまして非常に短い時間でございますし、宇宙空間の問題は、陸上や海上の問題のようには私ども十分になかなか認識理解することができませんので、この短い時間に十分な質問ができないと思いますけれども、まず第三条の中で、宇宙空間の探査及び利用が国際法に従って行なわれるべきことについて規定されておりますけれども、この宇宙空間という観念は、海上における領海とか公海の漁業権の区域とか、そういうような、何かその国に所属する一定のスペースというものがあるのに対して、宇宙空間ではそれはどういうふうに理解するのでありますか。
#170
○説明員(高島益郎君) 従来、国家の主権の及ぶ範囲といたしまして、領土のほかに領海それからまたもう一つ領空というのがございます。領空につきましては、国家は「完全且つ排他的な主権を有する」という原則が国際民間航空条約、その第一条に掲げてございます。第一次大戦を契機といたしまして、領空に関する主権の概念が発生いたしました。これが国際民間航空条約において確定しているということでございます。ただし、その領空の範囲、つまり何キロまで国家主権が及ぶかという点につきましては、従来領空無限説という説もございます。つまり、宇宙空間を含む一切の下土国の上空はその国の主権が及ぶ区域だという概念もございましたけれども、宇宙開発が始まりまして以来、人工衛星が飛行いたしましてから、つまり空気の全然ない区域におきましては、どの国も人工衛星が飛行いたしましても、何ら異議を唱えないというふうな慣行から、そういうところまでは領空の主権の及ばないというふうな慣行が逐次発生しつつございます。そういう慣行を背景にいたしまして、この宇宙空間条約は宇宙空間については人類がすべて自由かつ平等に探査し利用し得るという原則を掲げまして、そういう宇宙空間につきましては、国家が主権の主張をしたりその他いろいろ主張することによってその一部たりとも領有してはならない、すべきものではないというふうな原則をこの二条に掲げてございます。そういう観点から申しますと、宇宙空間については国家の主権は及ばないようにしようじゃないかというのがこの条約の精神である。したがって、それ以外に、宇宙空間に至らない以前の区域、これに対しまして、従来の領空としての主権が及ぶ。ただし、現在国連で、その宇宙空間とは何ぞやという定義につきまして研究中でございます。つまり何キロ以上のところを宇宙空間とすべきか、それが定まらないと、この条約がございましても、何ら実効がございませんので、いま一生懸命その問題と取り組んでおります。その問題が解決いたしますと、そこで初めて宇宙空間の範囲が確定し、また反射的にそれに伴って領空の範囲も決定するという結果になろうかと思います。
#171
○加藤シヅエ君 ただいまの御答弁伺っておりますと、国連で研究中であって、その研究の何らかの結論が出るまではどういうことになりますか。
#172
○説明員(高島益郎君) 大体の概念といたしましては、これは宇宙空間というのは非常に最近の概念でございますので、法律上、地球から何キロ離れたところから宇宙空間であるというふうなことまでは申し得ませんけれども、大体人工衛星が地球の引力を離れて大気圏外に出てそこで飛行し得る部分の範囲のところは、明らかに宇宙空間、したがって、人工衛星も空気による摩擦のために燃えてしまうというふうなそういうところはつまり空気がある、つまり領空であるというふうな大体の概念がございます。ただし、従来八十キロないし百キロと申しておりますが、その範囲をどこで区切るかという点につきまして、現在、国連の宇宙空間平和利用委員会がその定義を定める作業を続行しております。したがって、現在のところ、全然観念がないということでなくて、大体の概念はそういうことであります。どういうことを各国が慣行にしたらいいかという点でせっかく研究中であります。
#173
○森元治郎君 関連。
 地球は回っているわけだね。それで領空だって、ここからこうやっていて自転公転して回っていったら、毎日変わってしまうのだね。その日、その瞬間の領空ということになるのだな。そうなんですね。
#174
○説明員(高島益郎君) 法律的には領土の上空のエア・スペースなら領空であるというふうに書いてあります。しかし、物理的に申しますと、その部分と領空の部分というのは時々刻々変わるものだと思います。
#175
○加藤シヅエ君 何だかだんだんわからなくなつてくるようでありますけれども、第七条に宇宙空間に発射される物体による損害に対する当事国の責任ということが規定されているといわれるわけでございますが、放射能のちりというようなものが、その空間の中でちりが舞っていて、それが今度は空気のあるところまで下りてくる、そういうことはあり得るのでございますか。その場合にはその損害に対する当事国の責任ということはどうなるのですか。
#176
○説明員(高島益郎君) 第七条で定めております損害と申しますのは、たとえば人工衛星を打ち上げる際にロケットの発射が失敗いたしまして、その結果、付近の国、あるいは付近の国の住民等に損害を与えた、そういう場合については国が責任を負うという原則を定めたものでございます。これも、先ほどの宇宙空間の定義と同様に、国連の宇宙空間平和利用委員会で、どのような損害賠償の責任を負わせるのが適当かという点につきまして詳細に検討中でございます。ここでは、ただ単に原則を定めただけでございます。
 それから先生の御指摘の、いろいろな「宇宙空間の有害な汚染及び地球外物質の導入から生ずる地球の環境の悪化」というふうな問題につきましては、第九条に定めがございまして、なるべくそういう害を避けるようにいろいろ事前に措置する必要があるということがこの九条に定めてございます。
#177
○加藤シヅエ君 いまの答弁で措置する必要があるということだけで、それはどこがそういうような原因を発生した当事国であって、被害を受けるのがどこであるというようなことに対してこの条約は何も関係がないわけでございますか。
#178
○説明員(高島益郎君) この第九条に定めてございます規定は、いろいろそういう打ち上げ、つまり、宇宙空間の探査及び利用のために生じます有害の汚染とか、地球の環境の悪化を避けるためにいろいろの研究をして、その研究の結果、措置の必要があった場合にはこれを各国がとるということを定めたものでございます。これに対しましての、この結果生じます損害等についての規定に関しては特に第九条にはざいません。第九条は単にそういうことを事前に措置するという原則を定めてございまして、七条のほうは発射に伴う損害についての責任を定めたものでございます。
#179
○加藤シヅエ君 九条の中途より少しあとのほうで、「他の当事国の活動に潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは、その活動又は実験が行なわれる前に、適当な国際的協議を行なうものとする。」云々ということが書いてありますけれども、その「適当な国際的協議」というのはどういう場面でどんなふうな形で招集されてどんなふうに行なわれるのでございますか。
#180
○説明員(高島益郎君) ここでは、適当な国際的協議を行なうという原則だけを掲げてございまして、厳格な意味での事前協議というふうなものではございません。単に国家間でどういう協議をすることが適当かということを判断した上で、なおこれに伴ってその次に規定がございまして、そのような「有害な干渉を及ぼすおそれがある」と、つまり被害を受けるほうの側に立った国は、そのような協議をむしろ要請することができる。そういうような協議を要請する国の側、それから、そのような有害な汚染を及ぼすおそれのある実験をする国との関係におきまして、必要と認める適当な協議を相互間で行なうという原則を掲げたものがこの規定でございます。
#181
○加藤シヅエ君 この条約で宇宙空間と月をも含む天体と、こういうことになっておりますけれども、一つのこれは月というものをとりましても、これは固体でございますね。それでそのほかの宇宙空間というものは固体でない宇宙空間でございますね。そうすると、その二つの違うものを引っくるめて全部扱っているのでございますか。
#182
○説明員(高島益郎君) 観念といたしましては、宇宙空間の中に月その他の天体があるというふうに理解しております。ただしこの条約の規定上非軍事化の措置につきましては、月その他の天体だけに限定して完全な非軍事化の措置をとっております関係と同時に、月その他の天体、それを除きました宇宙空間の部分というものを観念的に分けている部分がございます。特に第四条におきましては「月その他の天体は」、というふうに書いてございますが、これはつまり月その他の天体だけに関しての規定でございまして、それ以外の一般的な宇宙空間については特に書いてございません。そういう場合もございますけれども、一般的には宇宙空間と申します場合、当然月その他の天体をそのうちに含む、そういうスペースを宇宙空間と申しております。
#183
○加藤シヅエ君 それでは全部を含めてという立場で伺いたいのでございますが、宇宙空間あるいは固体である月というものの汚染の問題を取り上げまして、いままで新聞で見まして、あれはアメリカの実験でございましたか、軟着はアメリカ、ソ連、両方やりましたが、ソ連が最初にやりましたですが、そのソ連がやりましたときに、英国あたりから、その軟着をしたということは、つまり月というものに対して接触したわけでございますね、その接触をした側にこの地球からどういう種類のばい菌をそこに運び込んだかわからないじゃないか、そういうことに対して十分な措置をとらないでやったのではないか、もしそうだとすれば、あるいは何かのばい菌がそこに接触したために月にそういうものが発生して今後繁殖するおそれもあるのではないか、そういうことを考えないでやったことははなはだけしからぬというような発言があったということを聞いたのでございますけれども、この条約の中では、そういうことに対する取り締まりはどうなるのか。また、そういうことがあった場合にはそれをどういうふうに摘発したり、取り締まったり、異議をどこの国が申し立てるのか、そういうようなことを説明していただきたいと思います。
#184
○説明員(高島益郎君) いまの月その他の天体の汚染につきましても、原則的な規定は、先ほど申しましたとおり、第九条にございますとおり、各国がそういう汚染を避けるようにいろいろ研究及び探査を実施して、かつ必要な場合には適当な措置をとるという原則を掲げております。そのような原則に基づきまして、いままでまだ完全ではございませんけれども、天体汚染防止措置として、たとえば国際学術連合会議の宇宙研究委員会というのがございます。これがすでに一九六四年に国連に対しまして、月に衝突したりあるいは着陸したりするいろいろな宇宙飛行機でございますか、そういうものなどがあらかじめ滅菌の処置をとって行く必要があるという観点から、その滅菌の基準につきまして勧告を行なっております。また、潜在的に有害な干渉の予防に関しまして一九六三年の宇宙空間平和利用委員会、これは国連の機関でございますけれども、これがただいま申しました宇宙研究委員会の宇宙実験の潜在的有害効果に関する諮問グループの科学的援助を求めることが可能であるというふうな旨の国連総会に対する報告がございます。このように、実際に汚染を防止するための措置につきましては、学術団体あるいは国連等におきましてすでに研究が始まっておりますし、また、実際に宇宙活動をやっております米ソにおきましても実際にやっておりますが、もちろん現在これは完成しているという段階にはございません。ただ、この条約の中では、そのような問題につきましては、とにかく各国が宇宙活動を行なうにあたって事前に十分研究し、その結果、必要な措置をとった上で行なうという原則を掲げてございます。そのため何らかの損害を生じた場合どうこうするというところまでは、まだこの条約では規定しておりません。
#185
○加藤シヅエ君 次に伺いたいのは、少々夢のような話ですけれども、こういう世界の科学の進歩というものは、われわれの想像以上に、どんなふうに発展していくものかわかりませんという、そういう仮定の上に伺いたいと思いますが、たとえばいままでは月に、天体の中に、あるいはこの宇宙というようなものの中に出かけていくのは宇宙飛行士、技術者でございますけれども、将来月の世界にどこの国の人でも出かけていくというようなことがあった場合には、それは全然これはどこの国のものでもないということで、旅券も何も要らないし、許可も何も要らないということで、どんどん出かけていく、そういうかっこうになるのでございましょうか。
#186
○説明員(高島益郎君) 第六条に規定がございまして、各国は宇宙空間におきます活動につきまして、その活動が国家機関による場合であると、また、国家機関でない民間の団体によって行なわれる場合であるとを問わず、「国際的責任を有し、かつ、自国の活動がこの条約の規定に従って行なわれることを確保する国際的責任を有する。」というような規定がございます。したがって、たとえ個人の――これは非常に先の話ではごさいましょうけれども、個人がそういう宇宙活動を行なって、たとえば月まで行くという段階になりましても、その個人の活動については国家があくまで責任を負う。いかなる場合にもその行動について国家が責任を負うというたてまえをこの第六条に書いてございます。したがって、個人も――非常に空想的な話でございますけれども、かってに飛んでいって月の一部を領有するということは、この条約のたてまえ上許さないというのがこの条約の精神でございます。
#187
○羽生三七君 これは、この条約は署名国がたいへんなんですが、批准国はわずかに一カ国ということで、一番中心の米ソというものがどういうことになっておるのか、事情を少し説明していただきたいと思います。
#188
○説明員(高島益郎君) いままで批准いたしております国はブルガリア、チェコスロバキア、ニジェール、東独四カ国でございます。なるほど、先生おっしゃるとおり、各国の批准が進んでおらないことは事実でございますけれども、これは現実に国連総会で万場一致採択された条約でございまして、単に時間の問題ではないかと思います。米ソがなぜまだ批准していないのかという点につきましては、私ども詳しい事情を存じておりませんけれども、特別の事情があろうとは思っておりません。これはまさに米ソそれぞれが提出いたしました原案をもとにいたしまして両国の妥協のもとに成立した条約でございますので、特に米ソ両国につきましては、何ら不満な点はないというふうに考えております。
#189
○森元治郎君 核停条約の場合にはワシントン、ロンドン、モスコーへ寄託しろといって、大国はまつ先に署名して門戸を開いて、みんながどんどん集まった。日本の場合は、国会で批准をしても通告は、しばらく寄託の手続は待っておいて、米ソ早くやれ、こんなことではだめだというはっぱをかける必要があると思うのだが、大臣、どうです。
#190
○説明員(高島益郎君) 気持ちとしてはよくわかりますが、私どもとしては、その必要は特にないと思います。
#191
○森元治郎君 大臣、こういうことなんです。これに一番直接関係ある米ソがまだ批准をしていないで、おまえたち入れ入れと言っても、何も力もないのに言ったって何にもならない。だから、これであげてあげますが、寄託の手続だけは政府はしばらく待っていていいと、米ソやりなさいと言ってやったらいいと思う。それくらいやってもいいと思う。どうなんですか。
#192
○国務大臣(三木武夫君) 寄託手続はおくらすことは可能で、そういう点もいろいろ考えて善処したいと思います。
#193
○森元治郎君 こういう話は絵そらごとといって、そこで高島君、この条約は、ちょうど核停条約のように、地下実験を除くというような抜け穴があるが、これもたくさん抜け穴があるはずです。この際、この点、この点という抜け穴を説明をしてもらいたい。
#194
○説明員(高島益郎君) 先ほどの説明を補足させていただきますが、ただいま聞きましたところによりますと、アメリカはすでに上院を通過しております。大統領の署名が済んでおりませんので、完全に手続を終わった段階ではございませんが、すでに上院を通過しております。それからソ連も、最高幹部会議を通過いたしまして、批准の一歩手前まで来ております。したがって、これは米ソともすでに批准の寸前にあるというふうに考えております。
#195
○森元治郎君 抜け穴の点は。
#196
○説明員(高島益郎君) これはもちろん先生の御指摘のとおり、いろいろ指摘できる点がたくさんあろうかと思います。しかし、これは何と申しましても、宇宙活動をやっております米ソ両大国の力を背景にした条約でございまして、ちょうど核実験停止条約が地下実験につきまして抜け穴があるとおっしゃられればそのとおりでございますが、われわれといたしましては、オール・オア・ナッシングというのではなくて、できるものから逐次やっていく。しかも、これは先ほど申し上げましたとおり、宇宙空間について最初の法秩序を制定いたしましたもので、非常にそういう意味で有意義なものであるという観点から、なおかつまた、日本が十年来、最初の段階からこの条約の完成に至りますあらゆる段階でいろいろ直接関与してまいりました。日本の意見もかなり反映されているという面もございまして、そういう点からぜひ、この際そういう不十分な点があることは十分承知しておりますが、将来の完成を期してこの際この条約の批准に踏み切りたいというふうに考える次第でございます。
#197
○森元治郎君 大臣みたいな答弁は要らない。専門家として、この点がどうもまだ落ちているということを伺いたい。
#198
○説明員(高島益郎君) 失礼いたしました。
 一番根本的な点は、われわれの理想といたしまして、宇宙空間全体を平和目的のみに使う。つまり、月、天体のみならず、月、天体以外の宇宙空間一切を完全に平和的目的のみに使うような、片そういう条約をつくるというのが理想でございます。その観点から申しまして、この条約の第四条をごらんになるとおわかりのとおり、第四条の前段に、なるほど、この核兵器等につきましては宇宙空間に配置してはならないという原則を掲げてございますが、それ以外の軍事利用については何ら触れておりません。ただ、その第二項の中で、月その他の天体については、もっぱら平和的目的のためにのみ使うという原則を掲げて、これの軍事利用を一切禁止しております。さらにまた、これに対します一つの保障といたしまして、後ほど第十二条に査察の規定がございます。つまり、月その他の天体を完全に非軍事化するということで、証拠を確認する意味で、各国が自由に月その他の天体にございます各基地を査察し得るというふうな規定になっておりまして、月その他の天体に関する限りは、完全に非軍事化の措置ができております。しかし、それ以外につきまして、先ほど申しましたように、大きな抜け穴があって、この点につきまして、日本を含めて多くの中小国が非常に審議の段階において意見を言い、かつ、反対をしたのでございます。しかし、それは先ほど申しましたとおりの理由で、結局成功いたしませんで、とりあえず、天体に関する非軍事化の規定で一応満足せざるを得なかった事情がございます。
 そのほか、不満足な点と申しますと、 たとえば、先ほど加藤先生の御質問に答えた際の規定にございますとおり、第七条について、損害についての原則を掲げてございますけれども、これをどのように損害の責任を規定するかという点について、何らはっきりした詳しい規定がございません。しかも、これを別途の協定にするということについても、何らの規定がございません。そういう点では、なるほど不十分であります。
 また、宇宙飛行士あるいは宇宙への打ち上げの物体についての返還等に関します規定につきましても、特別な詳しい定めがございませんで、これも別途の協定にゆだねられております。そういう点につきましても、もう少しそういう関連性を明らかにすべきであったというふうな点もございます。その他いろいろ不満な点はございますけれども、全体のたてまえといたしまして、将来の宇宙空間全体の平和利用を志向している、そういう精神については非常に有意義な条約であるという点からわれわれは賛成している次第でございます。
#199
○羽生三七君 この月その他の天体を開発する実力を持っているのはいまのところ米ソだけですが、世界の国の中で普通の核兵器なんかの開発はいまのところ五カ国ですが、実力は持っておっても平和的な意図でそういうふうなことをやらないという国はたくさんあるわけですが、宇宙天体に関しては、米ソ以外にはちょっと近い将来考えられる国はないんじゃないかという気がするのですが、どこかそういう国ありますか。
#200
○説明員(田中好雄君) ただいまお話しのございますように、月及びその他の天体にいろいろ開発ができるというふうな国は、現在まだそこへ到達している国はございませんが、米ソはその可能性があると考えられます。
 それからフランスでございますが、これは御承知のように、衛星を回しておる段階でございます。これで四個いま上げておりますが、これは通信だとかその他の科学的な衛星でございまして、米ソのような有人衛星と言いますか、この国はまだそこまで行っておりません。したがいまして、現在の時点では米ソだけと考えてよろしいかと思います。
#201
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の締結について承認を求めるの件に対する質疑は終局したものと認め御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#203
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の素手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#204
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 なお、本案件に関し本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#205
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたしました。
 速記をちょっとやめてください。
  〔速記中止〕
#206
○委員長(赤間文三君) 速記を始めてください。
    ―――――――――――――
#207
○委員長(赤間文三君) 次に、国際情勢に関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#208
○加藤シヅエ君 外務大臣に伺いたいのでございますが、せんだってILO百号の批准に対しまして私は、あの条約が勧告されまして批准まで、十六年ですか、非常に長い期間を経過したということにつきまして、これはやはり日本の国際的地位というものを考えて、ことに女性の問題に関係した勧告であるというようなことを考えましても、ああいうふうに長いこと放任しておくということははなはだ遺憾なことであるということを申し上げつつ賛成いたしたわけでございます。そして、さらに廃油による海水の汚濁の条約、この批准も、一九五四年にロンドンにおいて締結されて今日ようやくこれが顔を出したと、その間の年月があまりにも長いではないか、こういうような特にその内容に含まれている点が、公害というものに対して日本という国がどれだけ神経を用いているかという一つのバロメーターにもなるような条約に対して、あれほど長い間放任されたということは非常に遺憾であるということを申し上げつつあの条約をも批准いたしたわけでございます。
 それで私は、もう一つそれと同じような問題を今日外務大臣に申し上げなければならないことを非常に遺憾に思うわけでございます。それで、私がいま提起いたします問題は、一九六〇年に東京で第十二回の鳥類の保護に関する国際会議が開かれたわけでございます。その会議には、たいへん各国から、欧米及び東南アジアの国からも参加されまして、非常に有意義な会合が行なわれたわけでございます。その会議でたくさんの収穫があったわけでございますが、最後に決議を十六いたしまして、その第四の決議は、国際鳥類保護会議は、汎太平洋諸国が渡り鳥の保護に関し会議を開くことを提案すると、こういうことが決議に入ったわけでございます。それで、その後三十九年にアメリカの大使館の武内大使を通じまして外務省に照会があったわけでございます。それは、「鳥類保護協定に関する件」、「今般、在米武内大使より、一九六〇年東京における太平洋十ケ国による国際鳥類保護委員会の開催に際しての関係国家間の渡り鳥の保護に関する決議の採択に関し、スミソニアン博物館事務局長リプレー博士は国務省とも相談し、先ず日米間の渡り鳥保護について検討を行ないたい、両国間協定の成立の運びともなれば、他の太平洋沿岸諸国の本件協定に対する関心度を深めることともなり得べしと考えるので、本件に関する日本側の意向を承知したい由申し越した旨報告した。
 ついては同民はスミソニアン博物館の鳥類専門家ミスター・ウォーナー及び国務省ローレフスン博士等をまじえ、近く在米日本大使館と本件につき懇談したい意向なる趣のところ、右懇談に際しわが方応答の都合もあるので、わが国における情勢の概要等貴見とともに至急回報願いたい。」、これはワシントンのいまあげました名前の方々から、国務省の専門家の方々から武内大使に対して照会があったことに対しまして、日本の外務事務次官からこの本件に関しての所管庁林野庁長官に対して、こういう手紙を外務事務次官から出したわけです。林野庁のこういう考え方を聞いたわけです。ところが、林野庁のほうからは何ら回答がないらしいのでございます。それで、回答がないままに、これは三十九年五月に起こったことでございますが、いまだに回答がないままに放任されている。それで、この鳥類保護連盟の方がワシントンにいたときに、国務省の方々から、それは一体どういうことになっているのだろうか、できないとか、研究中だとか、あるいは賛成だとか、何らかの返事があってしかるべきなのに一言のあいさつもない、これはどういうことであろうかということを問われた。こういうことなんでございます。私は林野庁長官の責任に対して伺わなくちゃなりませんし、どういう事情で回答なさらないか、その事情を詳しく伺わなきゃなりません。私の理解する範囲では、これは別に国内法に対して、何かこの間の廃油の海水汚濁の問題のような非常にむずかしいことがあるわけでもないようでございますし、これは日米間の一種の文化協定として非常に価値のある協定としての試み、こういうものに対して林野庁が何ら返事をしないということ、これは非常に問題だと思いますが、また外務省としても、一応林野庁に対してこういう手紙を出していらして、それに対して林野庁から何も返事がないということに対しては、やはり武内大使を通じて来た問題としては、これは外務省としても責任を感じて何とか処置をしていただかなければならなかったのじゃないか。そのことについて大臣から御答弁願いたいと思います。
#209
○国務大臣(三木武夫君) いま加藤さん御指摘になった全くそのとおりです。私も報告を受けたわけです。それで林野庁からも返事が結論を得ないで今日に至っておるということで、アメリカから言ってきたのは昭和三十九年五月です。これは林野庁からどういう理由かをお答えはするとしましても、外務省としても、それで何もアメリカ側に対して事情を返答してないとすると、これはやはりよくない。こういう事情でおくれておるからということをやはりアメリカに伝える必要がある。ことに、やろうとすることは、アリューシャン列島の日本への渡り鳥の問題ですから、非常にやはり問題が問題だけに外務省としてもこれに関心を持つべきだと、御注意はそのまま受け取って、私も今後この問題がどういうところにむずかしい点があるか、むずかしいならむずかしいで理由を明らかにアメリカに対してもするようにいたしたいと思います。
#210
○加藤シヅエ君 それじゃ、外務大臣はとにかく返事を出してくださるということを確約してくださるわけですね。
#211
○国務大臣(三木武夫君) はい。
#212
○加藤シヅエ君 それじゃ、林野庁のほうから。
#213
○説明員(手束羔一君) 林野庁といたしましては、三十九年の五月に外務省から駐米大使の報告を伝えられました。その内容の要旨は、米国のスミソニアン博物館長リプレー氏から、日米間の渡り鳥の保護に関し検討するについて日本側の意向を承知したいとの申し入れがあったと、こういうことでございます。当時林野庁におきましてこれを検討いたしました結果、第一に日米間の渡り鳥の調査、これがまだ十分にできておらないということ、第二点、渡来地の保護につきまして当時の態勢が必ずしも十分ではないということ、第三点、ここで両国間の保護協定を結ぶ場合、これを想定いたしますると、アメリカ側はアリューシャンあるいはアラスカ等は未開発地でございまするけれども、これがわが国の開発の著しい現状と相対比される、こういう関係になりますので、相互的なものといたしましても、日本側の行政負担、たとえば渡来地の保護、保存というようなこと等は、非常に日本側に重くならざるを得ないであろうということでございまして、したがいまして、当時直ちに協定を結ぶことは困難であろうと考えられたわけでございますが、そのような消極的な印象を政府の意思として、まだ先方の所管官庁からの申し入れというような形ではないようでございますので、この際消極的な意思表示をすることは必ずしも妥当ではないのではないか、かような判断が行なわれました結果、一応外務省への御回答を留保したまま今日に至ったというような次第でございます。しかしながら、その後この問題につきまして単にじんぜん日をむなしゅうしておるということでございません。わが国も三十五年の鳥類保護会議の決議等もございましたので、渡り鳥の調査のためにはまず標識調査を開始するということにいたしまして、昭和三十六年、すなわち会議の翌年から標識調査ステーションの候補地の選定に着手いたしまして、昭和三十八年度までには全国に十五カ所のステーションを決定いたしましたほか、約一万四千羽の標識鳥を放鳥いたしたわけでございます。なおそれが終了いたしましてから、昭和四十一年――昨年度からアリューシャン及びシベリア等の北方系統と、東南アジア及び南太平洋等の南方系統の渡り鳥を主たる対象といたしまして鳥類標識調査を開始いたしております。なお、国内の鳥獣保護関係につきましても、昭和三十八年に狩猟法を改正いたしまして、鳥獣保護及び狩猟に関する法律を改めまして、各県別に鳥獣保護事業計画、これを農林省の定める基準に従いまして実施をさせました。渡来地の保護区域への編入等につきましても具体的に取り進めまして、将来かような協定を行ないます場合の素地の基礎づくりをやっておる、かような状態でございます。ただ最初御指摘のように、何となしナシのつぶてのような形になっておりますることは、いささか問題もございますので、回答を留保しておりまする状態につきましては、至急再検討いたしたいと、かように存じております。
#214
○加藤シヅエ君 いまの御答弁は、全く私は聞くにたえない答弁だと思います。こんな言いわけがましいことは、どれ一つ私は通用しないことだと思うのですけれども、どうしてもっと率直に、これに対してこういうようにほうっておいたことははなはだすまなかったというようにお考えにならないのですか。いろいろとそこに何かかにか並べ立てて釈明らしきものをしていらっしゃいますけれども、とにかく、いままでほうっておいたということは、これは国際的に非常に信用を落とすと思うのでございます。個人の間でも、手紙をもらえばそれに対して返事を出すのはこれが礼儀である。まして政府間の大使を通じて来た。いまあなたのおことばの中に、何か正当な関係官庁から来たものでないから留保をしたというようなことをおっしゃるのは、とんでもないことじゃないですか。大使を通じて来ている以上は、これは正当なルートを通じて来るものであるに違いないので、向こうの役所から直接来るのではなくて大使を通じて来るのは、これは正しいルートじゃございませんか。それを正しいルートでないというような、そういうようなことを言いわけの中に一つ加えていらっしゃる。これはとんでもない。あなたの林野庁のお考え方は是正していただかなくちゃならないと思います。それから、いろいろ渡来している鳥の数が少ないから問題にならないとかなんとかおっしゃっていらっしゃいますけれども、この国際会議に提出されたいろいろな資料の中にも、四十七種類のものがすでに観察されて、ちゃんとその名前まであげられて、年にどのくらい来るかというような数字さへも、ちゃんと民間の団体でこの資料が調査されてここに来ているということを、専門家の人たちが会議でもってこれを知ったために、こういうような日米間の協定が必要な段階になっておるのではないか。ことに東南アジアのほかの国々に対して、一つの指導――と言っては口幅つたいかもしれませんけれども、いま鳥類を保護するということは、これは人間の生活環境をよくするために必要なことなんで、何も鳥の道楽というような問題ではないわけです。したがって、これを東南アジアでは、いま非常に保護がなされなくなって、鳥類が死滅する数が多くなっているというようなときに、日本が率先してまず日米間にこういうような協定を結ぶことは非常に一つの示唆を与えるというような考え方から言っているということ。ですから、いまのあなたの御答弁の中の、鳥の数が少ないとかなんとかということは、私はそれを受け取ることはできません。それからもう一つは、いろいろと国内の受け入れ態勢のことをおっしゃいましたけれども、鳥類の渡り鳥の渡来地区が林野庁でもってこれからあっちこっちつくりなさいとだれも言っているわけではないわけです。せめていままであるところをなるべく破壊しないように保護するために、林野庁はいろいろ力を尽くしていただきたいと、そういうようなことが整っていなかったから返事をしなかったというようなことは、全然理由になりませんです。私はこういうような国際信義にもとるようなことを役所がするというようなことに対して、どうしても了承することできません。これはほんとうに率直にあやまられたほうがいいと私は思います。それだけではなくて、もうこういうふうな事態になっておりますから、外務当局等ともよく御相談なさって、なるべく早くこういうような文化的なものを日本が協定を結ぶということにもっと積極性を持たなければなりません。私はそういうふうに申し上げますけれども、きょう長官に来ていただきたかった。長官は、都合が悪いことわかっていらっしゃるから来られないのです。逃げていらっしゃるのです。いろいろ御事情があることもわかりますけれども、長官がいらっしゃらないで、あなたにそういうような弁解がましきことを言わせる。とんでもないことです。なぜもっと率直にいろいろ、これはほんとうに国際信義にもとることであったということを一言おっしゃらないのですか。外務委員会としてはそのことばが聞きたいのです。もう一度言っていただきたいんです。
#215
○説明員(手束羔一君) ナシのつぶてになっておりましたことは、やはり望ましくない、好ましくない状態であったと遺憾に存ずるわけでございまするが、先ほど申し上げました、政府の意図として協定を結びたい、協定を検討したい、こういうような意味での御連絡とは十分に受け取れませんような文面であったということも事実でございまして、アメリカにはワイルドライフ・サービスと申しまして、これは日本の鳥獣保護等をやっておりまする林野庁程度の役所と存じまするけれども、そのほうは別に入っておらないようにも見受けたように、その当時受け取っておったわけでございます。しかしながら、ともかく話し合いをするということについて何らかの意思表示をするのは当然ではなかろうかと思うのでございますけれども、当時の見当といたしまして、何か最初から結びたいという話がないうちから、いやどうもむずかしいというような話をすることが必ずしも妥当ではないのではないか。わが国としては、渡り鳥の保護のためにさようなことが行なわれることが望ましいことは、これはわかっておるわけでございます。ただ、国内体制の保護と準備等につきまして、しかも、期間が十分でなかったというようなこともあったので、そういうことを最初からこちらから言い出すのはたいへん妥当じゃないのじゃないかというような判断が行なわれて、今日に至ってしまった、かような事情でございます。その点につきましては、先ほど申しましたように、再検討いたしまして処理をいたしたいと、かように思っております。
#216
○加藤シヅエ君 では、本件につきましては、林野庁が条約を結んでおるわけではないわけですから、林野庁としてはいまの国内の状態がどうであるかということを所管の事項について外務省に資料を提供なすって、外務省がこれを条約におつくりになる相談をなさる、こういう順序であろうと思いますから、そういうような所管の事項について外務省に話をなすって、そうしてこの協定が結ばれるように協力をなさる、そういう意思が林野庁におありでありましょうか。
#217
○説明員(手束羔一君) 原則といたしまして、さような渡り鳥保護のための協定ということは望ましいということは、これは当然のことでございますが、先ほど御指摘もございました、別に林野庁がこの渡り鳥の渡来地をつくる必要がないというようなお話でございましたけれども、いろいろ各地の渡り鳥の渡来地等を優先的に鳥獣保護区に編入するように、いろいろ県にも働きかけておるわけでございまするが、いろいろな地域開発等との問題もございまして、必ずしも十分にいっていない面もあるわけでございます。さような国内事情においても、できる限りのことは何かその場合やれるかどうか、こういうようなことは、具体的に話し合ってみないとわからないことなんでございますけれども、先ほど申しましたように、先に消極的な印象を与えることはどうか、かような観点もございまして、私どもおくれておったということは事実でございます。
#218
○加藤シヅエ君 これは、この協定をつくったら、にわかに鳥獣保護区をもっとつくらなければいけないというようなものではなく、現状のもとにおつくりになって一つも差しつかえないことなんですから、そんなに心配なさらないで、向こうからせっかくそういう意思はないかと言ってきたのですから、相談に応ずるというような態度でおいでになって、そうしてあなたがおっしゃる向こうの所管官庁、どういう農務省ですか、そういう役所からももう少しいろいろ資料を与えてほしいというようなことを外務省を通じてそういうようなものをおもらいになって、もう少し前向きにこれを考えてみようと、そういう態度をとっていただきたいと思うわけです。
 これ以上私申し上げましても益ないことと思いますから、質問はこれで終わりますけれども、どうぞ、そういうわけでございますから、何もそんなに心配なさらないで、もう少し前向きに進めていただきたいと思います。
#219
○説明員(手束羔一君) 御趣旨は十分拝聴いたしました。できるだけさような御趣旨に沿うように善処いたしたいと、かように思っております。
#220
○加藤シヅエ君 委員長、よろしくお願いいたします。
#221
○岡田宗司君 これはユニバーシアードの問題なんですけれども、なかなかむずかしいようで、きょうあたりどういう決定が出るか、ちょっとまだ私どももっかめないのですが、もし、たとえば団体名で参加をするというようになった場合に、北鮮のほうからもだいぶ大ぜい来るように発表されておるのですが、その場合に、旅券その他査証等について外務省としては問題はないのですか。
#222
○国務大臣(三木武夫君) 円満に解決すれば問題ございません。
#223
○岡田宗司君 もし、大学名で参加をする、しかし、競技場の中でプラカードにたとえば朝鮮民主主義人民共和国の略号をつけたプラカードを持つ。あるいは、勝った場合に北鮮の旗をあげるとか、国歌を吹奏するとかということが競技場の内部において行なわれる場合には、これは差しつかえないというふうにお考えですか。
#224
○国務大臣(三木武夫君) その問題も含めて一切が話し合いで解決されるということを期待しております。
#225
○岡田宗司君 そうすれば、これはそういう旨が、外務省のそういう意向がたとえば北鮮側にすでに十分に伝わっておるかどうか、その点はどうお考えになっておりますか。
#226
○国務大臣(三木武夫君) みな、一行が出発いたしますときに、オリンピック方式でひとつ――オリンピックはあれでやったのだし、大成功だったのだから、オリンピック方式でやってもらいたい、こういう指示で、もし、これと違うような案がいろいろ出されたときには、こちらのほうにそれを知らしてもらいたい、こちらのほうからそれに対して政府部内でも相談して御返事を上げましょう、こういうふうなことが、こちらが公式に言っておるものでございます。
#227
○岡田宗司君 なかなかノース・コーリアだけでは解決できない問題なんです。これは単にオリンピックの際の名称問題だけではなくて、結局、分裂国家、しかも、片方を承認していないということから来る問題だと思うのですけれど、もうとにかく分裂国家といっても、二十二年たって、たとえ承認していなくても、もうちゃんと国家としてどこの国も事実上認めておるのだしするから、私はどうも少し日本政府としても分裂国家に対する考え方というものを変えなければならない時期が来ているのじゃないかと思うのです。たとえば、韓国と北朝鮮との関係はたいへん悪い、北朝鮮の問題に触れると韓国がかんかんにおこりだして、いろいろねじ込んでくるというようなこともありますし、それからドイツの問題についても、いままではずいぶん固い態度だったということも、日本の東ドイツに対する態度について影響があったと思うのです。私はハルシュタイン・ドクトリンも事実上変わってきていると思いますし、それから西欧側の国もだいぶ東ドイツ等については変わった態度をとってきておる。また、北鮮につきましても、承認をしないでも、いろいろな関係で接触を持ってきておる国があるわけです。特に西欧側にもそういう国が出てきておるというようなことから見て、もうそろそろ北鮮だの、北ベトナムだの、あるいは東独に対する態度がいままでと変わっていいんじゃないかと思うのです。何もすぐ承認しろとかなんとかという問題じゃないけれども、事実上何か変えていってもいい時期が来ているのじゃないかと思うのですが、これはなかなかむずかしい問題ではあるけれども、三木大臣としてそういうことをお考えになったかどうか。
#228
○国務大臣(三木武夫君) まあユニバーシアードにはいますぐにどうということにはなりませんが、これはこの問題として解決しなければなりませんが、私も個人的見解としては、何かこういう問題を解決できないのかという、あまり政治を介入しないで、そういうまあ考え方も持っておりますので、今後はこれは日本ばかりの考え方にもいかないし、世界の中にもやはり何かこれをそういつも紛争が起るようなことでなしに解決をできないかと考える国際的なやはり世論というものがあると思うのですね。今後関心を持っていきたいと考えております。
#229
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後四時一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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