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1967/07/20 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第21号
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1967/07/20 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第21号

#1
第055回国会 外務委員会 第21号
昭和四十二年七月二十日(木曜日)
   午後一時四十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                鹿島守之助君
                佐藤 一郎君
                笹森 順造君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                山本 利壽君
                岡田 宗司君
                加藤シヅエ君
                佐多 忠隆君
                羽生 三七君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       三井 哲夫君
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
       通商産業省貿易
       振興局輸出保険  藤原 一郎君
       課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決
 に関する条約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○航空業務に関する日本国政府と大韓民国政府と
 の間の協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
   〔理事木内四郎君委員長席に着く〕
#2
○理事(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の締結について承認を求めるの件
 及び
 航空業務に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○羽生三七君 投資紛争の件についてお尋ねをいたしますが、こまかいことはまたあとに譲りまして、総括的なことで三、四点お伺いをいたします。この条約は前文及び二十五条の(1)で、この条約の当事国となることによって直ちにこの投資紛争を調停したりまたは仲裁に付託する義務を負うものではなく、紛争当事者の同意があって初めて付託されることになっているわけですね。ああいう仕組みのもので、はたしてこの条約が成立して実効をあげることが期待できるのかどうか、その点をどのように御判断なすっているかお伺いいたしたいと思います。
#4
○説明員(高島益郎君) この条約はかなり古く、一九六〇年以降国際連合が初め中心となりまして、後進国に対します民間投資の促進と利用によって後進国の経済開発一般をもう少し促進していこうというのが動機でございまして、その手段としてこういう案にまとまったわけであります。いままで後進国に対します一般的な先進国の民間投資につきましては、諸種の紛争がございまして、これにつきましては、世界銀行の総裁、あるいは国際商事仲裁機関、その他いろいろ各国の機関によりまして実際上解決を見たものもございますし、見ないものもございます。具体的なケースといたしましては、たとえばスエズ動乱に関係いたしまして、スエズ運河会社がアラブ連合軍によって接収された結果、英仏等が非常に問題を提起いたしまして、その補償問題につきまして世銀の総裁のあっせんによって解決した事例がございます。こういったことが実は契機になりまして、やはり何らかの国際的なこういうセンターがございますれば、そういうような国家と民間の間の投資に基づきます法律上の紛争の解決が容易になりはしないかということで、実は国連を中心としていろいろ研究した結果、世銀が中心になって条約案を起草した次第であります。これは昨年の十月発効したばかりでございまして、実はこの条約に基づきます運用という点は、まだ将来の問題でございます。したがって、これからの活用いかんによってこれが条約の成果があがってくる。特に先生の御指摘のとおり、センターに紛争を付託するかどうかという問題は両当事者間の同意に基づく、これは一つの原則でございますので、この原則がある以上は、あまり実効性がないのではないかというお話でございます。しかし、もしかりにそういうことを義務づけるといたしますと、なかなかこの条約に参加してくれる国は少なくなるのでございまして、大体この条約自体が成立しないおそれがあります。あくまでも当事者が同意することを前提にして紛争をセンターに付託し、そのセンターで非常に合理的な解決ができるというのであれば、それがもとになってますますこのセンターの価値が上がってくるということを期待しておるわけであります。したがって、現在の段階で、そういう合意とか、当事者間の同意というものが非常に不可欠なものである、強制しないというのがこの条約の非常に大きな柱になっているというふうにわれわれは考えております。
#5
○羽生三七君 その問題はまだ少し不審の点がありますが、あとでお尋ねすることにして、ただいま御答弁の中で二、三の事例についてお話がありました。そこで、このような条約が提起されるに至ったには、それなりの必要性が存在しておったろうと思う。その事例としてスエズ動乱等の事例をおあげになったのだと思うし、私も若干――一、二の事例を知っておりますが、日本国と外国の民間人、私人と言ってもいいですが、それから外国の民間人、私人と日本との間、そういうもので何か問題の点があったのですか、過去にそういうことがあったかどうか。
#6
○説明員(高島益郎君) これはもしセンターがすでに存在しておれば、そういうような紛争を付託したかもしれないというケースとして考えられますのは、これは非常に古い事件でございまして、解決しましたのはごく最近でございますけれもど、東京都の仏貨債事件というのがございます。これは一九十二年に東京市がフランスで発行した公債につきまして、その公債の償還の問題等について最近解決した事例でございます。これは当時の東京市で、現在の東京都でございまして、ここで二十五条の一項に言う「その行政区画」ということでございますので、国の――国自体ではございませんけれども、日本政府がそういうものを指定すれば、これはその公債を買った一般フランスの市民対日本との関係、一つのこの典型的な事例がと思います。
 それから、日本の私人で、先生の御指摘のような例といたしましては、まだ解決いたしておりませんが、日本の商社でビルマに進出していた企業が若干ありましたが、それがビルマの国有化措置によって接収されました。その接収に伴う補償の問題についてまだ解決見ておりませんが、そういう問題がございます。これは、向こうが政府、他方日本の側は日本の民間企業でございます。その間のいわば投資に基づく法律上の紛争ということで、もしセンターが有効に働いておれば、これにかけることが可能であったというふうに推定されるケースでございます。
#7
○羽生三七君 その次は、この条約にはソ連、東欧の諸国は参加していないが、その理由をお尋ねしたいとともに、次の点はどうかということですね、つまり、共産圏は今日まで対外援助は行なっているんですね、しかし、いわゆる投資というものが行なわれているのかどうか、政府の対外援助というものは行なわれているが、投資という形のものは共産圏では行なわれているのかどうか、それが一点と、三つ、四つありますからメモしておいてください。その場合に、いま述べた国家というものが、援助でなく、投資を行なっているかどうかということは、これはいま私は非常に疑問に思っていますからお尋ねするわけですが、国家ですらそうですからましてや私人が外国に投資を行なうことは共産圏であり得るのかどうか、これもちょっと考えられないことのような気がするのですね。その点また次にこれをやりますが、その点を一つ。
#8
○説明員(高島益郎君) 初めにソ連圏諸国がこの条約に参加しない理由は何かという御質問でございます。これは国連で最初事務総長が中心になりましてこのような一つの構想を具体化する過程におきまして、国連の各加盟国に事務総長から質問状を発したことがございます。それに対しましてソ連からの回答では、このような種類の紛争は、その投資を受けている国の裁判所の専管事項であって、国家と国民の、外国の国民との紛争を国際的な調停ないし仲裁の機関に付託するということは必要ない、そういう態度でありました。したがって、頭から実はそういう法律的立場から反対なのでございます。現実に世界銀行そのものにはソ連及びソ連圏諸国は実は入っておりません。そういう観点から、この条約は非常に世銀と密接な関係もございますから、
   〔理事木内四郎君退席、委員長着席〕
そういう理由もあろうかと思いますが、根本的にはやはり法律的な観点から、本来そういう国際的な調停、仲裁機関に付託すべきことではないという法律的立場から実は反対しておるのが実情でございます。ただし、ユーゴスラビアはすでに参加して批准しております。
 なお、ソ連のいわゆる民間投資と考えられるようなものがあるのかどうか……。
#9
○羽生三七君 ソ連に限らず共産圏。
#10
○説明員(高島益郎君) ソ連の民間投資と考えられるものがあるかということについては、通産省のほうに調べていただきます。実は確答、ちょっとお答えいたしかねますが、経済協力−政府ベースにおきましては、経済協力のほかに、資本主義国家の場合と同様の意味での民間投資というものは、実際にソ連圏の国にあるかという御質問でございますけれども……
#11
○羽生三七君 ちょっと待ってください。二つあるのです。国家の援助はもちろんあるわけです。幾らでも共産圏はやっておりますが、国家としての投資はあるかどうかというのと、それがもしないくらいなら、ましてや民間人の投資はあり得ないですから、その二つを聞いているのです。
#12
○説明員(高島益郎君) 国家自体の投資、資本主義社会で言います意味での投資はない。ましてや個人ベースにおきます海外投資という問題はないと存じます。
#13
○羽生三七君 したがって、そういうこともあるので、世銀に入っていないとかいう問題もあるでしょうし。この種の紛争は、こういう国際機関に付託しなくても、普通の外交ルートなり、その国内の裁判で処理できるものだという解釈もあるでしょうが、やはり体制間の違い――資本主義国家と共産主義国家との体制間の違いというものが、根本的に共産圏諸国が参加してない理由だと思うのですが、大体そういうことですね。
#14
○説明員(高島益郎君) そのとおりでございます。
#15
○羽生三七君 先ほどの質問に関連するわけですが、この条約は、一方が国家、他方を私人とする紛争の解決、処理のためのものであるわけですが、この私人、民間人と民間人との間の国際的紛争を解決する機関というようなもの、そういうものは、なかったらつくっただろうと思うけれども、いずれかの国の裁判所に訴える訴訟手続というものは、これは当然あるわけですが、それ以外には全然こういうものはないのかどうかということです。
#16
○説明員(高島益郎君) 民間と民間との間の争いにつきましては、いろいろ調仲裁の機関のほかに、当然各国の裁判所におきます解決等がございます。ただ国際的なこういう、今回御審議をいただいております意味での国際機関というものはございません。これは各国それぞれの裁判所、あるいは国際的な調仲裁機関というものが利用されておる、それが現状でございます。
#17
○羽生三七君 現状はわかりましたが、国家と民間人との関係はここに出てきたわけですが、私人同士の関係で、何かそういうものをつくらなければならないという必要性というものは現実には存在していないのかどうか、たいした問題はないのかどうかですね。
#18
○説明員(高島益郎君) 実は私人間の争いと国家間の争い、それぞれについていろいろ機構がございまして、国家間につきましては外交交渉、その他国際司法裁判所がございます。私人間につきましては、法律的な解決としては、裁判所その他調仲裁機関等によります解決等いろいろございまして、大体緊急の必要性としてはこういう機関を設ける必要性は感じられなかったのでございますけれども、国家と私人の争いにつきましては、従来そういう機関がないために非常に困ったということから、緊急に必要だという結論に達したものと考えます。
#19
○羽生三七君 先ほどお話のあった前の世銀の総裁ブラック氏でしたか、調停、仲裁等の事例はあったけれども、普通の、通常の外交ルートでこの種の紛争が解決されてきたような事例はあるのですか。
#20
○説明員(高島益郎君) 日本に関します限りは、先ほど申しましたビルマにおきます事件がございまして、これは外交上のルートに乗せていろいろ折衝もいたしております。しかし、これはまだ解決いたしておりません。ただしかし、外国の事例といたしましてはいろいろあろうかと思いますが、これにつきましては、私のほうで具体的な例としては存じておりません。
#21
○羽生三七君 低開発諸国の、まあ私のほうからそれを言うのは妙な話ですが、低開発諸国の立場から言うと、この条約がかえってみずからの手を縛るというような理解を持ちかねないと思うわけですね。ところが、また、条約のねらいは、逆にそういう低開発国等に先進国の民間人が投資をしたような――民間人、これは私人ですね――投資したような場合、このこういう紛争処理機関ができれば、それがまあ投資を促進するというようなねらいもあるのかと思うけれども、しかし、先方の立場から言うと、かえってみずからを縛るというようなことになって、実際にはこの条約をきらっておるのではないかと思われる節もあると思うわけですね。低開発国でこの条約を、まだ日もないことですが、批准しておるような国はどの程度か。
#22
○説明員(高島益郎君) まずアジアから申しますと、署名しておる国は七カ国あるわけでございますが、実際に批准を完了いたしておりますのは、マレイシア、パキスタン、大韓民国、この三国でございます。それから、アフリカにつきましては、全部で二十六の国が署名いたしておりまして、批准も非常に早うございます。現に二十一カ国がすでに批准を完了しております。米州につきましては、これはジャマイカ、トリニダード、二カ国、これは典型的な意味でのラテンアメリカの国ではございませんが、この二カ国が批准を完了しております。ソ連圏につきましては、先ほど申しました等の理由で全然署名も批准もいたしておりません。米州につきましては、非常に少ないといいますか、全然まだ入っておりませんが、この理由は、これも大体ソ連と似たような法的観念に基づいておりまして、これは国際法上の一つの十九世紀以来のラテンアメリカ諸国がとっておる態度でございますが、契約に基づきます国家の債務につきましては、その国のもとにある裁判所の専管事項である、これを外交的保護対象としたり、外交交渉の対象にしたりすることはしないという約束を、民間が国家に対して約束するようないわゆる慣習がございまして、これはカルヴォ条項といいますか、そういう一つの原則がラテンアメリカ諸国の間に普及しておりまして、そういう観点からラテンアメリカ諸国は入っておらないのであろうというふうに考えております。中近東の国につきましては、いまのところ全然ございません。これは地域的な関係でモロッコ、チュニジア等を中近東に加えれば別でございまするけれども、この両国を除きましては、中近東の国は全然入っておりません。ただし、サウジアラビアは批准を目標に検討しておるというふうな情報がございます。
 全般といたしまして、現在の段階ではまだその程度でございますけれども、これは先ほど申しましたとおり、昨年の十月に発効したばかりで、しかもなお、この条約が実際に運用されたというケースもございませんので、これからの運用いかんによって後進国の参加が期待できる。それから、先ほど先生が御指摘のとおり、やはり後進国は非常に強制されやしないかというふうなおそれを抱くというふうなこともございまして、実は当事者の同意ということを大きな前提といたしておるわけであります。これをそういう当事者の同意ということにかかわらしめない場合には、これは他面そういう意味で後進国はこれに入ってくる可能性はございませんので、一つの大きな後進国を多く参加させるための手段ではないかというふうに考えております。
#23
○羽生三七君 アメリカは相互安全保障法に基づいてアフリカ諸国などと投資保証協定を結んでおるわけですが、日本も日米投資保証協定を結んでおるわけでありますね。米国が結んでおる投資保証協定とこの条約とはどういう関係にあるのか。
#24
○説明員(高島益郎君) 御指摘のとおり、日本もアメリカとの間に投資保証協定を結んでおります。これはこの投資保証協定は米国が現在世界の後進国のほとんどすべてと結んでおりまして、これに基づいて民間の投資がそれらの国に行なわれる場合に、その国と米国政府との間で協議をして、その投資については米国政府の投資の保証を認めるということになった上でこの協定が適用されるわけであります。したがって、そういうことで、ある種の米国の民間投資が日本に行なわれる場合、そうしてその投資保証協定によって日本政府に承認される場合には、万一たとえば為替管理制度等によりまして元本収益を送金できないというふうな場合とか、不動産等が接収されて正当な補償が支払われないというような場合には、米国政府がその民間投資家にかわって肩がわりするわけであります。肩がわりした結果、米国政府と日本政府との間でその後の交渉を行なうという、そういう仕組みのものでございます。したがいまして、大体におきまして、米国の民間投資家が日本に投資を行なうというふうな場合には、原則としては日米投資保証協定に基づきまして、この米国政府の保証を取りつけた上で日本に投資するというかっこうになろうと思います、したがって、特に日本の側で同意しない、その投資については認めないということになった場合は別でございますけれども、さもない限りは、原則として第一義的には日米投資保証協定に基づいて保証を求める、それができない場合に初めてこのセンターによる解決を期待するという段取りになろうと思います。したがいまして、米国の民間投資に関します限りは、米国が各国と結んでおります投資保証協定を第一義的に求めるという結果になろうと思います。
#25
○羽生三七君 それから直接国家と私人との紛争処理の――本件については直接関係ないのですが、資本自由化と関連をして、これは通産省側の御答弁を願うことになるかと思いますが、この私人間の紛争ですね、この場合は、たとえば先般東京ヒルトンホテルの問題があったし、それから東京ベッドというのが、これは現在この会社は在日支店による株式取得の方法で一〇〇%乗っ取りをされたわけですね、それから豊年リーバ、これが現在外資率七〇%で、これもほとんどそういう傾向にあるということです。そこで日本だけでなしに、最近の情報では、欧州でもアメリカの資本進出で新たなアメリカの欧州制覇ということばを使っておるようですが、そのくらいやかましくなってきているので、日本にも最初のあらわれとして二、三の例が出てきたわけですが、これはこの案件とは、直接の国家と私人との関係を律する本件とは直接関係ないわけですが、私人同士のこの種の紛争ですね、解決はまあ裁判に、いずれかの国の裁判に基づく、訴訟による裁判になると思います。実際にはこういう問題いまどういうふうに処理されておるのか、これは通産省側からひとつ現状を聞かしていただきたい。
#26
○説明員(藤原一郎君) いまお話しの私人間の紛争の問題でございますが、これはいま仰せられましたように、直接政府がタッチする部面は現在のところないわけでございまして、現状としては事態を静観しておるよりほかはないかと思います。
#27
○羽生三七君 事態静観はいいんですが、それは何か裁判になっておるのか、あるいはそういう事例はまだたくさん起こりそうなのか、その辺の趨勢を最近の資本自由化と関連してちょっと聞かしてください。
#28
○説明員(藤原一郎君) 例の東京ヒルトンの関係は、これは訴訟問題になっておると存じます。その他続発する傾向にあるというふうにはいまは考えておりません。
#29
○羽生三七君 それは、私はいまあげたのは、一〇〇%とか七〇%以上という例をあげただけで、これは政府でもある程度の資本自由化を認めたのですから、それは当然のことと思うけれども、しかし、いまあらわれてきたような東京ベッドなり豊年リーバのような例が今後頻発する可能性は十分あると思うのです。ですから、これは本案件とは直接関係はないけれども、十分対処することを考えておかないと、欧州ですら、あれだけ資本力の強い欧州ですらいまやたいへんな問題になって頭を悩ましておるのですから、日本があまり楽観的な考え方をしておるのは、それは資本の自由化は時代の趨勢であるけれども、しかし、十分な考慮が払わるべきではないか。しかし、これは本件と直接関係がありませんからまた何かの機会ということにして、一応私の質問はこの程度にしておきます。
#30
○佐多忠隆君 一つだけここで問題になるのは、この国家と他の国家の国民との間の投資紛争ということになるわけですが、そうすると、民間投資で紛争が出てきた場合、投資する主体は民間であるにかかわらず、それが国家と他の国家の国民との紛争になるというのはどういう場合ですか。
#31
○説明員(高島益郎君) これは本条約の適用になります対象としてある一つのケースとして、典型的なケースとして考えておりますのを御紹介いたしますと、A、Bということで申しますが、一つはA国の私人がB国に対して債権を――これはB国の国、政府でございますけれども、B国に対して債権を有していた場合に、そのB国が債務を履行しない。ちょうど、適当でないかもしれませんが、東京都の仏貨債事件というようなことが一つのこれに当たるような具体例かと思うのです。
 それから二番目に、A国がB国の私人に対して債権を有していた場合に、そのB国の私人が債務を履行しない場合。ちょうどいまの逆でございます。A国がB国の私人に対して債権を有していた場合に、そのB国の私人が債務を履行しない。これが二番目の一つのケースでございます。
 三番目には、A国の私人がB国内で所有していた不動産等がB国によって接収されます。その場合に、その補償金の支払いについて紛争を生じた場合、これは非常に多い例でございますが、たとえばスエズ運河のケースはこの場合に該当するものだと思います。
 それから四番目に、A国の私人に対してB国の私人が外貨を送金する場合、B国が一つの外貨送金制度をとっておって、その結果、A国の私人が外貨を送ってもらうという権利を害される場合、私人間の契約でございましても、そこに国家が介入して、その介入によって元本収益というものを本国に送金できないということはしばしば起こり得るのでございまして、ちょうど接収の場合と同じようなケースでございますが、そういう場合に、国家と、そういう外貨送金制度をとった国家と権利を害された私人とのケースということになります。
#32
○羽生三七君 そこで、先ほどの、いまの問題と関連するのですが、前の東京市の仏貨債の例があったわけですが、国家でも私人でもない公共団体というのはどういうことになるのですか。どういう地位を占めるのですか、この協定の場合では。
#33
○説明員(高島益郎君) 二十五条一項に「締約国」といたしまして、カッコがございまして、その中に「その行政区画又は機関でその締約国がセンターに対して指定するものを含む。」ということになっております。で、これはその国は指定することになっておりますので、すべての行政区画あるいはすべての機関が当然にその国とみなされるわけではございません。ですから、たとえば、日本の場合について言いますと、東京都は除くとかあるいは東京都を含むとかいろいろ指定することは可能でございます。また、機関につきましても、ある特定の公団、特定の公社等を除いたり含んだり、いろいろ各国によって指定のしかたが違うと思います。しかし、この条約のたてまえといたしましては、政府以外にそのような機関あるいは行政区画を含むことを可能ならしめております。
#34
○羽生三七君 それをきめるのは各国とも自由なんですか。統一的な何か基準というものはないのですか、たとえば公共団体というような。
#35
○説明員(高島益郎君) その点につきましては何ら基準はございませんで、各国それぞれの国内法にまかしております。
#36
○佐多忠隆君 投資の主体が民間個人、国民でありながら、国家がその紛争の当事者に出てくるというのは、具体的にどういう場合なんですか。
#37
○説明員(高島益郎君) 先ほどの例の、特に多い例といたしまして、投資していたその相手国の中で、投資の対象になっております土地、建物あるいは工場等が国有化の措置によって接収されるということになりましたその段階で、その接収措置によってこうむりますいろいろな損害、そういったものは当然正当な補償を受けるたてまえのものでございますから、その補償を受けられない、ただ接収されるだけで何らの補償を受けられないという場合に、初めてその政府と投資していた民間企業家との間に紛争が起きるというふうに考えられます。
#38
○佐多忠隆君 そうすると、そういう場合には、投資主体の個人あるいは私人がその紛争の解決を国家に頼んで、そうして国家が出てくるということになりますか。そういうことなしにでも、国家が当然に出てくるというような場合もあるのですか。
#39
○説明員(高島益郎君) 御質問の意味は私よくわかりませんのですが、これは、そういうケースが起きた場合に、当然に自動的にこのセンターに問題を付託するということでは決してございません。いろいろ国家間の交渉にすることも可能でございますし、裁判所の問題にすることも可能でございます。ただ、当事者がそういう外交交渉または裁判所によるいろいろな解決ということを避けて、この国際的な調停ないしは仲裁の機関に付託したほうがよろしいというふうに判断した場合に、初めてこのセンターに問題が付託されるということでございますので、その段階になりますれば、いかなる外交交渉も排除されるということになりますけれども、その前の段階においてはあらゆる手段を尽くされることは可能でございます。
#40
○佐多忠隆君 そうすると、この民間投資でなくって、国が他の国の私人に対して投資している場合、そういう場合にも国家と他の国の国民との間の紛争が生じますね。それはこの中に入りますか。
#41
○説明員(高島益郎君) 当然入ります。
#42
○佐多忠隆君 そうすると、さっきの仏貨債の場合は、当事者はフランスの個人で、受けるほうが日本の地方公共団体、そこで日本の地方公共団体と向こうの私人との間に紛争ができた、それでこれにかけると、こういう場合になりますか。
#43
○説明員(高島益郎君) もしその当時こういうセンターという機関がございますれば、このセンターに付託することは可能であった一つの典型的なケースでございます。
#44
○佐多忠隆君 この仏貨債は、これとは直接にはいまも関係はないんですか、もうあれは片づいたんですか。
#45
○説明員(高島益郎君) これは世銀の総裁のあっせんによりまして解決済みでございます。
#46
○岡田宗司君 先ほど佐多委員のほうから質問で、締約国と他の締約国との間の投資紛争についていろいろな形を列挙されましたけれども、さっき列挙されたうちだけで全部でしょうか。そのほかに何かこういうような紛争という形はないんですか。さっき列挙された中へ全部入りますか。
#47
○説明員(高島益郎君) これは実は条約全体どこを通して見ましても、投資紛争とはいかんということに関します定義はございません。もっぱらこの条約ができましてセンターが設立され、その結果このセンターが運用される過程におきまして逐次概念がはっきりしてくるものと思います。そういう観点から申しまして、実ははっきりこういう種類のものが投資紛争であるということを断定するわけにはまいりませんけれども、われわれ現在の段階で想定し得る限りのケースを考えまして、先ほど申しました四つのケースが典型的なケースであるというふうに考える次第でございます。
#48
○岡田宗司君 私、これを読んで見て、一体投資紛争が何かということの定義がないんですね。それでおかしな条約だなと思ったんです。というのは、この条約をつくるにあたっていろいろ交渉が行なわれて、そういう問題が論議されたろうと思うのです。そうすれば、この条約に書いてないでも、この投資紛争とはこういうものだということがどっかで明らかにされてなければならぬと思うのですよ。何かこの条約のほかに、たとえば議事録やなんかで投資紛争とはこういうものであるということが明らかにされてないんですか。私は、先ほどのあなたの御答弁は、そういうものに基づいての御答弁だと思ったんですが、そうじゃないんでしょうか。
#49
○説明員(高島益郎君) ただいまの御質問の投資紛争につきまして、この条約審議の過程において何らか各国間で合意したものがないかというお話でございますが、これは確定的に合意したものは何らございません。しかし、わが国の了解するところに従って、投資とは何か――投資紛争の前の段階でございます投資とは何かということを、この条約審議の過程のいろいろな議論を総合しまして大体こういうふうに考えております。
 一つは、直接事業活動を営むために必要な動産及び不動産の所有権あるいは鉱業権等を取得すること、これは一番典型的なケースであります。
 それから、会社あるいは組合等の株式持ち分、受益証券等を取得すること。
 三番目に、現金または現物の貸し付けによります債権の取得及び輸出代金の支払い債権の取得。
 四番目に役務の提供、たとえば工業所有権等の提供。
 まあ、わがほうといたしましては、いろいろ審議の過程において総合しまして投資とは大体こういうものを日本としては考えておるということでございます。これはいろいろ審議交渉の過程におきまして、後進国といたしましてはなるべく投資の内容を限定しようとする傾向が非常に強く、また反対に、先進国といたしましてはなるべくこれを広くしようというふうな主張が多くございまして、結論として、そういう両者の主張が非常に対立しました関係上、定義を特に置かなかったということでございます。
#50
○岡田宗司君 そうすると、紛争が起こった場合に、これを調停あるいは仲裁裁判に持ち出すと、その持ち出す場合に、これはこの条約に基づいて解決されべき紛争であるかどうかということを、まず当事国と相手方の国との間の合意、それからさらに、それを持ち出したところで、一体これがここにかけられるべきものかどうかということをもう一度判定しなければならぬ。どこが一体これはかけられべきものか、かけらるべきでないものかということを判断するんですか。
#51
○説明員(高島益郎君) 二十五条の一項に書いてございますとおり、「センターの管轄は、締約国と他の締約国の国民との間で投資から直接生ずる法律上の紛争であって、両紛争当事者がセンターに付託することにつき書面により同意したものに及ぶ。」ということでございます。この規定が基本的な管轄に関する規定でございまして、両当事者がとにかく合意しなければ、まず、いかなる投資紛争といえどもセンターの付託にかからないと、これが第一前提であります。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、この投資紛争の内容についての確定的な各国間の合意というものがない現状におきましては、やはり当事者間の合意があるということが前提になります。そこでこの合意があって書面による通告がセンターになされた場合、センターの事務局長がこれを審査いたしまして、センターに付託することを適当と認めた場合、そこで付託の手続に入る。これは事務局長といたしましては、内容につきましてその投資紛争がこの条約に該当するものでないとかあるとかいうことでなしに、センターといたしましては、できるだけそういう投資紛争が広く付託されて解決されるケースが多くなればなるほどセンターとしての実績があがるわけでございます。特に形式的にたとえばその同意が実際に同意としての要件を整えていないということがない限りは、原則として事務局長の第一次的な判断で付託されるということになるものかと思います。
#52
○岡田宗司君 そうすると、二十五条によって、当事者同士が、この紛争はセンターに調停なり仲裁なり持ち出すべきだという合意があれば、それはそのまま紛争になるのであって、それが今度この機関でもってこれは紛争じゃないとか紛争であるとかいうことを、基準がないのだからきめようがないので、当事者同士の合意さえあればそのまま紛争として処理されるということになるということなんでしょうね、どうなんです。
#53
○説明員(高島益郎君) この二十五条の一項にございますとおり、法律上の紛争ということで一つの限定がございますので、単に利害の争いというふうなものは大体法律上の紛争とは直接の関係ございませんのでそこから除かれます。また書面による同意というようなこともはっきりした同意が条件であるというようなこともございますので、いかなる紛争でも投資紛争であればすべて付託できるということは必ずしもございません。一応のワクはここにあるわけでございます。なおそれがたとえば仲裁に付託されるということになりました場合、仲裁裁判所自体がはたして仲裁裁判所としての管轄権があるかどうかということはまた別個の仲裁裁判所が判断し得ることになっております。
#54
○岡田宗司君 いまのお話で、初めのほうはこれはその紛争の内容によってこれは取り上げるべきか取り上げるべきでないかということではなくて、手続の形式上の問題ですね。それから今度は仲裁裁判所等がこれは紛争として取り上げるか取り上げないかということは、この裁判所の判事というのですか、それが合議できめる、こういうことになるのですか。その際に一体基準は何か。この法律には何もその基準がないのですが、またその基準を定めよということもどこにもないのですから、ただ任意に裁判所の判事ですか、それが集まってきめるのですか。
#55
○説明員(高島益郎君) 先ほど申しました仲裁裁判に問題が付託された場合の裁判所の判断、これは第四十一条の一項に規定がございまして、「裁判所は、自己の管轄について判断するものとする。」、ということで、これは先生の御指摘のとおり、判断をするにあたっていかなる基準によって判断するかということは仲裁裁判所自体にまかされておりまして、この条約自体には特別に規定はございません。条約に規定をしてございますのは、あくまでも締約国と他の締約国の国民の間の当事者間に直接生ずる紛争というだけでございます。
#56
○岡田宗司君 どうもよくわからないのですがね。とにかく、紛争があればどんな形のものであれ、合意さえあれば持ち出すことができるし、形式上の手続がちゃんとしておれば取り上げられるし、仲裁裁判の場合には、それが一体管轄のうちにあるのかないのかということは裁判所自身がきめる、こういうことなんですね。まあ、それ以外にこれはしようがないのでしょうけれども、さて、これがもしたとえば調停、仲裁裁判に出て、たとえば訴えたほうが不服だという場合には、これはどういうことになるのですか。一審限りですか。
#57
○説明員(高島益郎君) 調停と仲裁の場合は違いまして、調停の場合には両当事者が合意をするまで何回も調停の案が提示されるということでございます。それから仲裁の場合には、仲裁判断が下され季すれば、その条約の規定によりましてそれが最終的なものになるわけでございます。そうして、その最終的な仲裁判断を各国が執行するということを約束しております。
#58
○岡田宗司君 そうすると、仲裁の判断といいますか、仲裁判断の場合には、一審きりということですね、不服でも訴えようがない、こういうことですか。
#59
○説明員(高島益郎君) 第五十条に若干の規定がございまして、最終的に下されました「仲裁判断の意味又は範囲に関し当事者間に紛争が生じたときは、いずれの一方の当事者も、事務局長にあてた書面により、その仲裁判断の解釈を請求することができる」。なお第五十二条には、一定の場合に仲裁判断の取り消しを請求することができる場合を列挙してございます。
#60
○岡田宗司君 仲裁裁判所というような制度ができている。それで、私ども、どうも仲裁判断ということばが出ているんですがね、判決というのとどこが違うのですか。ことばだけの違いか、それとも判決というのと仲裁判断というのと内容も違うように思うのですが、その仲裁判断というのはどういうものですか。
#61
○説明員(高島益郎君) この仲裁判断ということばは民法の規定にございます仲裁判断と同じような意味で使ったものでございます。
#62
○岡田宗司君 五十条ですね、「仲裁判断の解釈、再審及び取消し」という中に、(1)に「仲裁判断の意味又は範囲に関し当事者間に紛争が生じたときは、いずれの一方の当事者も、事務局長にあてた書面により、その仲裁判断の解釈を請求することができる」と、そうすると、次に「その請求は、可能なときは、当該仲裁判断を行なつた裁判所に付託する」と、こうなっているんですね。その「仲裁判断の解釈」について、片方がわからない、どうもその解釈がわからないということについて、その当該仲裁判断を行なった裁判所に付託して、そこがこういう解釈だというのはわかるのです。それが、その次がどうもよくわからない。「これが不可能なときは、新たな裁判所がこの章の第二節の規定に従って構成される」と、こうなっているんですね。そうすると、この「これが不可能なとき」とは何をさすのか、それから、「新たな裁判所がこの章の第二節の規定に従つて構成」されて、この新しい裁判所が前の解釈と違うような解釈をとるというようなことも起こり得ると思うのですが、一体、そうなったら、前に下した仲裁判断というものは宙に迷ってしまうことになるのですが、それはどういうことなんでしょう。
#63
○説明員(高島益郎君) 第五十条の第二項の規定は、第一義的にその仲裁判断を行なった仲裁裁判所に問題を付託するということでございます。これが、どうしてもできない。裁判所が解散してしまって、再び同じ裁判所を構成することができない。これは主として物理的な理由だろうと思いますが、そういう場合には、やむを得ない手段として新たな裁判所を構成するというのがその趣旨でございます。そのために、先生の御心配のように、全然最初の仲裁判断と違うような解釈が行なわれるおそれはないかということでございますけれども、これは仲裁判断はすでになされておるわけでございまして、単にそれの意味または範囲に関しての紛争ということでございますので、判断自体について本質的な修正とか変更ということはあり得ないものと考えております。
#64
○岡田宗司君 ところが、その解釈というやつがね、ときによるというと逆の結果を来たすような解釈が起こることは、これは法律の条文と判決についてよくあることなんですけれどもね。だから、こういう場合にだってそういうこともあり得ると思うのですが、そうなった場合、一体どうなるのですか。かりに二審制度、三審制度がちゃんと確立していれば、これはそういう場合の処理ができるわけでしょうけれども、そうでないとすると、ただ解釈、解釈というのじゃどうもいつまでも承服もできない。さて承服ができないからといって、今度その解釈について問いただすと、何だかまた別の解釈が出てきたというようなことになったらこれおかしなことになるのですが、どうなんでしょう、それは。どうもよくわからないのだけれども。
#65
○説明員(高島益郎君) この仲裁判断が行なわれます具体的なケースといたしましては、先ほど典型的なケースをあげた場合に説明申し上げましたようなことでございまして、大体はいわゆる商業的な危険でない、非商業的な危険が伴って生じます法律上の紛争で、その結果賠償ないし補償請求の問題が主たるものでございます。したがって、判断の内容もそういう金銭に関するものでございますので、そういう観点から申しまして、この「意味又は範囲」に関する争いと申しましても、非常に問題は具体的でございまして、あるいはどのような通貨の換算を行なうかというふうな問題、あるいは債務の履行の方法というようなことでございますので、先生のそれほど御心配なさるような事態は私どもといたしましては考えておらない次第でございます。
#66
○岡田宗司君 それから同じ五十一条の(4)ですがね。「裁判所は、事情により必要と認めるときは、決定を行うまで仲裁判断の執行を停止することができる。再審の請求者がその請求において仲裁判断の執行の停止を要請するときは、執行は、裁判所がその要請について裁定を行なうまで暫定的に停止される」、こうなっておるのですが、この執行の停止ということなんですが、これは、たとえば、この裁判の結果について気に食わないというので、たとえばある国が金を払えというような判定が下っても、それはごめんこうむると言って断わったんですけれども、そういう場合には、これの決定を執行しようだって、だれが一体執行するかということになるわけですね。この執行の停止を、仲裁判断の執行を停止する――裁判所が停止するということはできるけれども、今度逆に、この裁判の結果が下って、そうして片っ方が不服で、たとえば接収したのに対してその裁判所の判断は不服だからと言って金を払わない、こういう国が出てきたら一体これあなたどういうふうに処置していきますか。
#67
○説明員(高島益郎君) 五十一条の場合は、これは判断を下しますにあたっての基礎になる事実について、非常に決定的な事実があった場合のことを規定しております。したがって、一般的に申しまして、仲裁判断があった場合に、それに対して不服だから承認しないということは、五十四条の規定から申しまして不可能であると思います。これは五十四条では、仲裁に付託する場合には、この第五十四条の規定に従って、「各締約国は、この条約に従って行なわれた仲裁判断を拘束力があるものとして承認し、」ということでございます。なお、「その仲裁判断を自国の裁判所の確定判決とみなしてその仲裁判断によって課される金銭上の義務をその領域において執行するものとする」というふうに書いてございます。一般的に仲裁判断を一たん下されますれば、当然その第五十四条に従って仲裁判断が執行されるというように書いてございます。ただ、五十一条のような場合にのみ裁判所が仲裁判断の執行を停止することができるということでございます。
#68
○岡田宗司君 そうすると、裁判の結果には従いますということを初めに約束して裁判が行なわれるのだから、普通の場合は。これはこういうことにもなるでしょう。しかし、たとえばある国が、ある国の民間会社が――Aの国の民間会社がBの国に投資した、それが接収された。そうしてその接収に対して裁判所に持ち込んで一応結果が出て、その国に対して幾ら幾ら払え、こういうことになって、その金額に不服だと、そんなものは払わない、こう言って開き直られたら、居直られたら、一体だれがそれを執行させるか、それはもう全然ないのですか。その次にこの問題を解決するには、国と国同士の今度は話し合いになるのか、交渉になるのか、そういうことになっていくのですか、とにかく執行しようといっても執行のしようのない。合意に基づいているのだからと言えばそれまでだけれども――で、こういう仲裁判断が行なわれたその結果についてそれはとても不服だという場合に、一体だれがそれを執行させるのですか。どうもこれはこの条約の範囲を出てしまう問題だと思うのですけれども、そういう場合の拘束力というものはないんじゃないですか。
#69
○説明員(高島益郎君) 第五十三条に書いてありますとおり、仲裁判断は両当事者を拘束するということでございまして、それを受けまして、五十四条では、仲裁判断によって課される金銭上の義務をその領域内において執行する義務を各締約国が持っているわけでございます。したがって、金銭上の債務について仲裁判断を一たん下されますと、裁判所がそれを執行するということでございます。
#70
○杉原荒太君 関連。一番初めに聞きたいのは、法務省の人が来ておりますが、これは法務省の人が研究した結果でも、この国内法一本でこれを実行できるものではないのです。これを実行するには、国内法も必要だし、そのほかのちゃんとした法体系の整備というようなものの用意ができていなければならない。というのは、これは非常にむずかしい問題ですよ。むずかしいことは、自分が知っているから言うのですが、自分は、仏貨公債訴訟事件でも、初めから終わりまでずっとやってきたのだし、それからああいう法律関係だって、それから国際訴訟事件だって弁護士等からしばしば意見を求められたこともあり、このような事件に関する法律問題は相当研究してきて、苦労をした経験があるのです。これはもうおそろしくむずかしい問題ですよ、それをやるのは。いま高島参事官からの答弁を聞いておって、ちょっと、だれがあなた一体法務省で責任を持ってやるのですか、これはぼくはいままで経験したところによると、国際的な問題というのは、司法関係でも、訴訟関係でも、裁判所関係でも日本で非常に自信を持って処理している人は少ないのですね。それはおそらく裁判所の人が知っておられるだろう。これは法務省の人がちゃんと説明せんと……。
 それからもう一つ、実際、この段階になって、ぼくはぜひ必要な手続をおくらすなどという気は一つもありはせぬ。しかし、どうしてもいま困るような状態にあるのだから、その辺も、これはいままでの答弁ではいけませんよ。あまり一々言うとあれだから省略するけれども、法務省の人にあれしてもらわないと……。高島君がいま一生懸命お話をしているけれども、これは法律的な問題ですよ。そして、一番端的に言って、ちゃんとこの条約自体にだって、ただこの条約だけではあのねらっている事柄が執行されぬこともわかり切っているから、それだから、この条約の規定を実施するために必要な立法その他を各締約国にこれは義務づけてあるわけでしょう。これは義務づけてあるのですが、これは一体どうなんですか。これは最少限度必要だよ。それでなくては動けませんよ。何か純粋の法律論、たとえばこの機関での仲裁判断が国内法でそれが確定判決と同じ効力を持ち執行力を持つかどうかということだって、持たせるという効果を与えないことにはあれですよ、何かこういう法律的な質問に対しては法律的な答弁をしてくれぬと……。
#71
○説明員(三井哲夫君) この条約の仲裁判断は、現行民事訴訟法に規定がありますから、したがって新しく法律をつくる必要はないと思います。
#72
○杉原荒太君 これは国内法措置はとらぬでも動くと言うのですか。それじゃなるべく範囲を限って、条約の六十九条に「各締約国は、自国の領域においてこの条約の規定を実施するために必要な立法その他の措置を執るものとする」、この条約で義務づけておるこの義務は果たせるのですか。まずその一点だけ。
#73
○説明員(三井哲夫君) わが国の民事訴訟法第七百八十六条以下の規定において、外国仲裁判断は執行されることになっております。したがって、この条約の仲裁判断が外国仲裁判断である以上、当然その規定によるわけで、特別の立法措置をとる必要はありません。
#74
○杉原荒太君 新しい立法措置は必要ないということですか。それでは調停は。
#75
○説明員(三井哲夫君) 調停は強制執行の問題でございません。任意の履行の問題でございます。したがって、強制執行の問題にはなりません。
#76
○杉原荒太君 強制執行だけ聞いているのじゃないじゃないか。
#77
○委員長(赤間文三君) いいですか。――では岡田君。
#78
○岡田宗司君 私の聞いているのはこういうことなんですよ。とにかくAの国の民間の投資が行なわれる。Bの国がその事業の接収をする。接収したような国だから、仲裁判決に不服ならそういうようなものは聞かないというような場合があるでしょう。そういうことになると、仲裁裁判はそのBの国を拘束することはできないじゃないか。そういう場合には、今度はAの国がBの国と何か外交交渉をするとか何かやるよりほかないと思うのですが、どうですか。
#79
○説明員(高島益郎君) ただいま岡田先生の提示された問題につきましては、これは当事者の同意がないのでございますので、センターに付託されませんが、したがって、これは外交上の交渉その他の手続によって解決するよりほかないと思います。
#80
○岡田宗司君 私の聞いたのは、最初に接収なんかが行なわれた。それから今度支払いの問題で、AとBの――Aの民間当事者とBとの間に話し合いができて、仲裁裁判に付したとする。そこまでは同意で、ところが、そのときにはもちろん判決に従うということを同意しているでしょう。しかし、裁判となってみたら、自分の国の支払いできないような巨額なものだ、そういうものが聞けるかということになって、そんなものは払わない、こういう場合もなきにしもあらずでしょう。そういうときにはお手あげで、しょうがないから、Aの国とBの国との政府間の交渉になるのかということを聞いているのです。
#81
○説明員(高島益郎君) 非常に遺憾なケースでございますけれども、そのような場合は第二十七条第一項の規定に従って、結局、そういう仲裁判断に服さなかった場合には、外交上の保護を与え、または国家間の請求を認める規定がございます。したがって、そういう場合は本来この条約の期待する方向ではございませんけれども、そういうことになった場合は、外交交渉、国家間の請求ということで解決するよりほか手がないと思います。
#82
○岡田宗司君 それからその次に、たとえばAの国の民間私人がBの国に投資した。その国で革命が起こって、それでその場合にBの国が接収をした。そうしてBの国とAの国との間に紛争が起こったから、これを裁判に付した。そうしたら今度Bの国の政府が何かの関係でかわってしまう。そういった場合に一体どうなるのですか。その前の政府とあとの政府との間に、その裁判をそのまま続けていくということについての引き継ぎがない場合には、一体どういうことになるのか。この裁判はそのまま消滅してしまうのですか。中断されるのですか。そのまま消滅してしまうのでしょうか。
#83
○説明員(高島益郎君) 一般的に国家間の関係におきまして、革命政府ができましても、従前に持っておりました国家間の権利義務関係は当然承継されると考えますので、革命政府ができたために前の約束がほごになるということはないと思います。
#84
○岡田宗司君 ほごになることはないと言っても、証人を呼び出しても出てこない。それから仲裁判断を下しても、前の政府のやったことはおれは知らないと言ってそっぽを向いてしまってそれっきりじゃないのですか。だから、そういう場合に、形の上じゃ、なるほど承継云々というけれども、実際にはとまってしまうのじゃないですか。
#85
○説明員(高島益郎君) これは国家が当事者でございます場合に、先生の御質問のような、仲裁裁判所にも出頭しない、それからその判断にも服さないということでございますれば、これはそこまで強制する方法は実はございませんので、そういう場合には外交上の交渉で解決するという方法以外に私はないと思います。
#86
○岡田宗司君 私がそういうことを聞くのは、とにかくこの条約全体というものが、先進国の民間人なりあるいは会社が大体後進国に投資をする、そうしてその場合に、先進国の民間資本とそうして後進国の国家との間の紛争が主でしょう。そうなってくると、そういうことが起こりやすいので、そういう場合に一体どうするのかということをお伺いしたわけなんですがね。もしそれが何ら強制力がないということだと、まあこれはもちろんなきにまさることですがこれがある。それでAの国の民間資本がBの国に投資をする場合に、紛争が起こったらこの条約に従って解決するんだということを約束するということは、確かに一つの保証にはなるけれども、一〇〇%あるいは九〇%確かな保証にはならない、そう考えていいんですか。
#87
○説明員(高島益郎君) このセンターに調停ないし仲裁に付託するという、同意が基礎になっております関係上、その同意にもかかわらず、なおかつ、それが仲裁判断の結果が執行されないというふうなことまで想定いたしますと、このセンターそのものが全然働かないわけでございますので、この条約といたしましては、一応当事者間の同意を基礎としてセンターが有効に活用されるという前提で考えておるわけであります。
#88
○羽生三七君 ちょっと関連して。いま岡田委員の指摘されたように、先進国が低開発国に援助する場合、安心してやれる条件をこういう形でつくったものだと理解するわけですね。しかし、実際にはいまいろいろな形で指摘されたような問題点があるので、これが批准して効力が発生して、実際にいろいろな調停なり裁判の具体的な事例が出てきて、実際にこれが活用されるような多数の事例があらわれた場合には、その事態に即して、もっとそれぞれの国内法が必要ならば国内法をつくるとか、あるいはこの条約そのものを改正するとかいろいろな問題点があろうかと思うのです。しかし当面は、いま指摘されたようにかなり不備である、ただ一応の安心感というようなことが中心になったために、十分な配慮が行なわれていなかったのじゃないかという感じがするわけですね。したがって、もうこれが実際上実効もあげないし、あるいはまた活用もされないというような、実際これはほとんど問題にならない条約で、しかし、どんどん活用されるケースが出てくれば、その時点においてはあらためて新しい考慮を払わなければならない、そういう性質のものじゃありませんか。
#89
○説明員(高島益郎君) 羽生先生の御指摘のとおりであります。
#90
○岡田宗司君 この条約といいますか、それからこの投資紛争解決国際センターというものは、国際復興開発銀行と非常に密接な関係がある。これと国連との関係ですね。どういうことになるのですか。
#91
○説明員(高島益郎君) 世銀は国連の専門機関の一つでございますけれども、このセンター自身は国連と面接の関係は持っておりません。
#92
○岡田宗司君 まあ国連が世界経済の問題にはずいぶん深い関係を持つようになった。たとえば国際司法裁判所なんかも関係あるわけですが、こういうものが世銀との関係はあるが、しかし、国連の最近の経済機能その他から見て、国連と関係がないというのもどうもおかしな話なんですよ。これはまだできたばかりで、そしてその働きもよくわからぬし、どれくらいその効果があがるのかもはっきりしていないので、それで国連との関係がまだつけてない、こういうことですか。それとも、将来これと国連との関係が結ばれることになるのでしょうか。
#93
○説明員(高島益郎君) これはこのセンターが設立されるに至りました経緯におきまして非常に国連と関係がございまして、実は国連のほうのイニシアチブで、経済社会理事会を通じまして、世銀に対し、こういうような一つの組織をつくれというふうな委任がございました。その委任に基づいて世銀がつくったわけであります。したがって、そういう経緯から考えまして、世銀とこのセンターとは非常に緊密な関係にございます。そういう関係で、直接に国連との関係は機構的にはございませんが、世銀が国連の専門機関である、その専門機関である世銀と緊密な協力関係にあるというふうなことで、間接的には国連と十分に連携されているものというふうに考えます。
#94
○岡田宗司君 もし今後南北問題の解決の方向でもっと進んでいって、そしてその先進国から後進国への投資というものが盛んに行なわれるようになる、しかも、後進国があまりむちゃなことをやらぬ、経済関係がスムーズに行くという場合には、この条約は相当活用されることになろうと思うのです。そういう際に、やはり国連とこのセンターとの関係というのは孫みたいなものではなくて、やはり直接国連の機関になるべきではないかと思うのですが、どんなものでしょうね。
#95
○説明員(高島益郎君) この条約を採択する経緯におきまして、国連と機構的なつながりをつけるというふうな話はございませんでした。あくまでも、先ほど申しましたとおり、間接的な関係で国連と連携しているわけであります。
#96
○岡田宗司君 それから、この条約が効力を発生した場合ですね、いま日本としてさしあたり投資紛争解決の国際センターに持ち出すような問題というのはございませんか。
#97
○説明員(高島益郎君) 現在のところ、ございません。
#98
○鹿島守之助君 私あたりの関係しておる会社でも、持ち出そうとすれば持ち出す問題はあります。それで私はこれはぜひ通してもらいたいのです。野党の方にも通してもらいたい。通したからと言って、害にはならない。それから、いまやっている資本の自由化の問題、こういうふうな問題に関連して、日本でもこれから続々と東南アジアであろうが、南米であろうが、あるいは将来アフリカ、こういうあたりにも投資が非常に始まる。そこで、こういう問題、この条約を活用するチャンスというものは非常にあると思うのです。ただ、いま杉原さんが注意された六十九条ですか、これはひとつ三井さんにもお願いしたいのですが、日本の訴訟法において、七百八十六条ですか、これは私よく知らないのですが、それでもう足りているのだということでなくして、やはり日本の法律体制ももう一度よく整備してもらう必要が非常にあると思う。これがなしに――私は土木や建築の事業をやっておりますが、外国の裁判所は非常にたくさん――アメリカでも一番最大の事業というものは農業です、従事しておる人間だとか企業。その次が建設業なんです。日本でもそうです。が、日本のほうでは非常に数が多いものですから目立たない、重要産業のうちに入らないけれども、紛争事件などアメリカや外国では例が多い。それで、裁判所の判例なんかもたくさんある。いろいろな大審院判例もある。裁判所というものは法律上の争い以外に事実上の紛争というものは取り扱わないものですから、なかなか裁判所ではらちがあかないが、外国ではどんどん訴訟し、また簡潔に、土建のほうでしたらアメリカのほうでは請求裁判所ですか。特別裁判所がある。その特別の裁判所では判事のほかに技術者が入ってくる。たとえば土木で起こるのは、途中から水が出て、かたいと思っていた岩が崩壊するようにやわらか過ぎたりする。そういう事実に関する紛争の認定、最初は発注会社のほうではこうだということを言っている。実際やってみると非常に違う。それは法律問題とあわせて、同時に事実に関する紛争なんです。日本の裁判所はそれをやらない。事実問題は逃げてしまうものですから、それで判例というものはほとんどない。それで、外国の判例を――建設省に言うけれども、建設省は余裕がないし、私どもの研究所で、アメリカのものですけれども、判例を目下翻訳させておるわけですけれども、これはだんだん将来は経済法規ですか、いまの日本の裁判所というものはスイス法とかドイツ法なんかというもので、明治、あの時代の民法であろうが何であろうが、経済というものにあまり重きを置いていない。ところが、英米法というものは、国柄からしてそういう国ですから、非常にそういうものはこまかくいっておるものですから、私のところで一度訴訟したことがあるのです。そうすると、判事というものは二年くらいでわかるのですから、手がつけられない。十年かかってしまったのです。そこで、しまいに来た判事が困ってしまって、何とか和解してもらえないかということで和解してしまって、大ざっぱに、請求金額を二で割って何とか片づけてしまった。お互いに長くやってもしょうがないから。そういうもので、法的な、学究的なものはないわけです。しかし、これはこれからの問題ですが、これからそういうものは日本の経済力が発展するにつれまして、この条約は現在のところはまだ利用する例がないが、逐次なにしますから、ぜひ通してもらいたいということと同時に、裁判所がこういう経済法規、そういうもので非常にこの点をひとつ整備してもらいたい。それで、私は友だちの最高裁判所の横田君に国際法の面でやってもらいたいと言ったときに、あの人は裁判官になったから、こういう事態があるのだから、もう少しこういう問題に注意して、アメリカ並みの請求裁判所というのですか、単に判事だけでなしに、技術者も加わってやるような、つまり裁判官それと判定家、それをも加えた裁判所というものが日本にも必要だろう。これは法律上の問題といいますけれども、五十一条ですね、当該事実の発見だとか、他に影響を及ぼす性質の事実だとか、(2)には、当該事実の、本来法律上の解釈じゃなくして、事実の発見とか認定ということが非常に困難ですから、この点ひとつ裁判所に、ちょうど三井さんおられるから、ぜひ裁判所のほうでもこの条約が成立すると同時に、六十九条で杉原さんも指摘されたように、あなたが言われた答弁だけではなかなか私は新しい事態として満足できないと思う事態が起こりますが、この点をお願いしておきたいと思います。
#99
○杉原荒太君 私も最後に一言だけ、これは義務だと思うから、一言だけ簡単に申します。
 第一点としては、初めからこの条約の趣旨に私は反対とかいう趣旨で質問しているのじゃないという、その点は言うまでもないことですが、初めにわれわれの質問がなくとも、この六十九条にちゃんと明文をもってして、この条約に書いてあるように、「各締約国は、自国の領域においてこの条約の規定を実施するために必要な立法その他の措置を執るものとする」ということを義務づけてある。これはわれわれが質問するまでもなく、すでにわが国について言うならば、既存の法律のこれこれによってこの点はもう新しく立法する必要もないから、それで済んでおるということ、新しく立法する必要のあるものについてはこういう措置をとりましたということを、ちゃんと説明することは当然のことですよ。それも何も言わぬで、何だかんだと言っているから、一つも実は了解できない。そうでしょう。あたりまえですよ。だれが読んだってそんなもので通る人間はおりませんよ。ただ単にこれだけ書いたからといって、それじゃ法律的に動くものじゃないですよ。それを補完する、ちゃんと国内法、立法措置その他の措置というのはちょっとぼくはわからぬけれども、そういう点などもまず説明してかからなければならぬのは当然でしょう。これは実は条約局長、この法律の六十九条ですか、あれはもう満たされておるかいなかという一点だけをはっきりしておきなさい。それは義務ですよ。政府側の義務ですよ。外務省だけじゃなく、法務省だって当然のことですよ。
#100
○政府委員(藤崎萬里君) 御指摘の点は、今後よく注意して、遺漏のないようにいたしたいと存じます。
#101
○杉原荒太君 それだから、すでにとられていなければこれからとるというのだが、本来なら、こういうものを出すときにはもうちゃんとそういう新しく立法措置を要するものは、それができてから同時に出すのが必要な措置であるわけだ。
#102
○説明員(三井哲夫君) 何ぶん、民事訴訟法第六編以降は明治時代の法律でございますので、現実に合わないところがございますから、現在、法制審議会において改正を検討中でございます。
#103
○鹿島守之助君 どうぞお願いいたします。
#104
○杉原荒太君 何だ何だ。ぼくはよく聞こえなかった。
#105
○説明員(三井哲夫君) 現在、法制審議会で改正を検討中でございます、強制執行第六編以降は。その際、仲裁手続も改正が検討される予定になっております。
#106
○杉原荒太君 現在、その点を満たすための措置をまだ既存の法律でまかなえるものがあるかもしれぬが、ないものについては、これからちゃんと措置をとると、こう言うのか。そんなこと、あなた、これをしなければ条約やめになりますよ。その辺のところをはっきりと示すのはあたりまえじゃないですか。あなた、いいかげんにやるんじゃないよ。
#107
○説明員(三井哲夫君) 十分御趣旨に沿うように、現在改正を検討中であります。
#108
○羽生三七君 各国が任命する場合、裁判官ですか、それはたとえば日本で言えばどういうような人が――具体的な個人の名前じゃないですよ――どういう形のものが予想されるのか。つまり、どういう資格要件を持った人、その裁判官とか、あるいは弁護士とか、あるいは学者とか、いろいろあるでしょうが、どういう形のものが予想されるか。だって、この条約が通れば、いずれすぐかからなければならぬ問題だから。
#109
○説明員(高島益郎君) まだ現在の段階で、日本といたしましてどのような仲裁人、どのような調停人を指名するかということについて何らきめておりませんけれども、条約規定にございますように、法律、経済等に明るくて徳の高い人という条件がございますので、こういう条件に適合した人を趣旨に沿うように選考したいと思います。
#110
○佐多忠隆君 ちょっと一つ、さっきの質問に関連をして……。
 私の質問に対して御答弁のときに、この紛争は政府投資の場合でも、その国家とそれから投資を受けた民間との間で紛争が起こり得るというような御答弁があったようにも思うのですが、ところが、この提案理由の説明を見ますと、問題は「国際的な民間投資に関連して」というふうに書いてあって、そのあとの民間投資だけが強調してあるのですが、これは民間投資だけに限るのですか。それとも、さっき言ったように、政府投資の場合でもあり得るのか。
#111
○説明員(高島益郎君) 佐多先生御指摘のように、理論的には国またはその国の機関がいろいろ投資するということは十分考えられます。ただしかし、この条約の設立の経緯からいたしまして、やはりそういうケースでなくて、民間投資というのが非常に後進国の経済開発に寄与する意味から考えまして、こういう機関が必要だということになった経緯もございますので、やはり民間投資ということが全体の重点になるということは事実でございます。
#112
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の締結について承認を求めるの件に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(赤間文三君) 御異議ないものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#115
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 なお、本案件に関し、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#117
○委員長(赤間文三君) じゃ速記始めて。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後三時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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