くにさくロゴ
1967/05/19 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第5号
姉妹サイト
 
1967/05/19 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第5号

#1
第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第5号
昭和四十二年五月十九日(金曜日)
   午前十一時十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                内田 芳郎君
                小柳 牧衞君
                岡田 宗司君
                黒柳  明君
    委 員
                大谷 贇雄君
                源田  実君
                田中 茂穂君
                鍋島 直紹君
                長谷川 仁君
                安井  謙君
                伊藤 顕道君
                川村 清一君
                森 元治郎君
                向井 長年君
                春日 正一君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       外 務 大 臣  三木 武夫君
       国 務 大 臣  塚原 俊郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関
 する調査
 (沖繩その他の固有領土に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄その他の固有領土に関する件を議題といたします。
 これより本件に対し質疑を行ないます。岡田宗司君。
#3
○岡田宗司君 去る五月の六日の予算委員会におきまして、私並びに藤田君から、総理に対しまして、沖縄の返還問題等について質疑を行なったのでございますが、その際総理から、いままで政府の方々のほうからあまり言われておりませんでしたことが言われたのでございます。それは、まあ沖縄の返還に関する考え方についてでございますが、その際総理は、こういうふうに言われております。「ただいま、極東の緊張が続く限りと、こういうお話をされますが、極東の緊張、これはまた、いろいろな面で妥結の方法もあるでございましょう。これは、たとえば兵器の非常な発達というようなことも考えられますし、また、そういう事態を考慮に入れまして、これが続く限り全然見込みのないものだと、こういうようには私は考えてはおりません」。さらにまた、「情勢が変わりましても、今後の兵器の発達等によれば、これは軍基地、陸上基地を他に変えるような方法もあるんじゃないだろうか、また、他の場所に持っていくような方法も考えられるだろう、いろいろなことがあるのでございますから、そう簡単にあきらめる必要はないように思います」。また、「極東の緊張は絶対に続くのだ、かようにお考えか、あるいはまた、陸上基地を絶対に持たなければならないのか、そういう問題もあるわけであります。この沖縄基地にかわるようになりっぱなものができるという、そういう問題もあるのでございますから」云々というふうに言われておるのでございます。このうちにおきまして、たとえば「兵器の非常な発達というようなことも考えられる」、つまり、核兵器の発達によりまして、沖縄が核兵器の基地として適当でなくなった、ほかのもっといい方法がアメリカにおいて考えられ、それが実施されるようになる、こういう場合だと思うのですが、それらの点についてまず総理のお考えをお伺いしたいのであります。
#4
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんあるいは空想家だとか言われるかもわかりませんが、私は軍人でもございませんし、科学者でもございません。しかし、今日の科学技術の発達、これを五年前に大体予見した人はないと思うのですね。そういうことを考えますと、どんな事態が起こらないとも限らない期待の中に実はおるのでありまして、そういう意味で、いま、これは何と言いましても、戦争はとにかくこの地上からなくしようとあらゆる努力をしておる際でございます。そういうようなことを考えると、りっぱな平和が招来される、そういう暁には、こういう軍備は必要はないのだ、こういうことも考えられるかわかりませんね。私は、単なる空想とばかりはいかない。ことに沖縄というところが、私どもの祖国に復帰するこれを心から念願しておる。やはりその立場に十分の理解も持ち、あらゆる機会にわれわれが復帰実現、これを可能ならしめるように努力すべきじゃないか、かような意味でも、ただいまお尋ねがありましたが、それじゃどんな構想だ、こう言われましても、私、具体的にそういうものがあるわけじゃございません。
#5
○岡田宗司君 これは、まあ私は、総理がこういうことを言われたということについて、やはりある程度はっきりしたお考えがあって言われたんだ、こういうふうに思っております。これは私の推測でございますけれども、いま沖縄にはメースという中距離弾道弾の基地がある。しかし、アメリカはポラリス潜水艦を七隻太平洋に配置をする。そうしてグアムがその基地になっておる。このポラリス潜水艦の持っておりますポラリスの能力といいますか、その射程というのですか、それは中国全土をおおうというふうにもいわれております。そういたしますと、固定した核基地、もし中国が核兵器の開発をさらに進める、また、それを運搬する兵器が開発されるということになると、固定した基地というものは、これはアメリカにとりましてもかえって危険なものになる。そういうようなことから、あるいは沖縄に固定した核兵器の基地を置く必要がなくなる。こういう問題もあるのじゃないかと思うのですが、総理はそういうことをお考えになってこういう発言をされたのではないのでょうか。
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) いま申し上げますように、あらゆる場合を考えるのでございます。ただいま岡田君からお話しがありましたが、いわゆる将来、こういう沖縄の基地は必要でなくなった、こういうことがあるかもわかりません。しかし、現状においてはそれではどうか、そういう実現性があるかといえば、やはり現状においては不沈基地とでもいいますか、沈まない基地、そういう意味で陸上基地がやはりたよりになる。これは普通の、われわれの在来の考え方になると、やっぱりそういうほうが現実的かな、かように思いますが、しかし、いずれにいたしましても、ただいまお話しがありましたように、もっと正確な方法が技術的に進んでくると、沖縄にどうしても置かなければならないという理由はなくなるだろう、かように私は思うのです。で、先ほど申したような、非常な大局的な、またいつ実現するかわかりませんというような平和の問題にいたしましても、これはわれわれの努力によってはよほど変わるのだ、かように思うのです。いまお尋ねのものもその一つだろうと私は思いますけれども、いずれにしても、それじゃ、その問題は今日具体性があるかないか、そういう問題が大事なことだと思うのです。私は今日の具体性、実現性の問題として申し上げると、これはちょっとただいまのところ、ないんじゃないかと思います。だけど、岡田君も御承知のように、戦争直後、日本の本土に米軍がいた。それがただ単に日本占領という立場でなくて、安保体制ができた後も相当のものがいた。しかし、そういうものがだんだん数を減らしてきている。そして日米安全保障条約がこれで万全を期しておる。こういう現状のことを考えると、これは将来のことはわからない、いまから予断は許さない、かように思いますが、しかし、何といっても、こういうような不自然な状態は、これは一日も早く解消しなきゃならない。みんな百万の諸君が、日本人だという立場で、祖国復帰を考えている。これを政府自身が、また野党の諸君も、これらの住民の方々の願望にこたえるという、そういう努力はあらゆる機会に、またあらゆる方法ですべきだ、私はかような考え方をしておる。それじゃ具体性は一体どうかというと、ただいまのところ、たいへん私は残念ながら、いますぐに他に移る、こういうことは考えられないということを申し上げておきます。
#7
○岡田宗司君 この前の予算委員会のときに、総理のおことばのうちに、「今後の兵器の発達等によれば、これは軍基地、陸上基地を他に変えるような方法もあるんじゃないだろうか、また、他の場所に持っていくような方法も考えられる」、これは将来のことと言われるだろうと思いますけれども、私はいまのベトナムの戦争の最中においてさえ、沖縄の軍事基地としての機能というものが変わりつつあると思うのです。それは一つは、たとえばフィリピンにおける海軍基地、空軍基地というもの、あるいはB52の基地としてタイにおける基地の活動というものが、沖縄の基地の意義というものを変えつつある。さらにまた、私ども、いまの沖縄の位置と比較できる、たとえば中距離弾導弾の基地として見た場合に、さきにトルコにアメリカは中距離弾導弾の基地を置いておったんです。ところが、これはキューバの事件のあとでございますけれども、トルコから中距離弾導弾の基地を徹退してしまった、こういう事態があります。したがって、私はそういうようなことから考えて、やはり日本国民、沖縄の住民の方々、それを代表して政府が常に絶えずこういう問題について注意を払い、機会をとらえてアメリカ側に要求してまいりますならば、こういう事態をなくして、そして沖縄の日本への返還を実現できる道が開かれる、こう思うのですが、その点について総理のお考えをお伺いいたします。
#8
○国務大臣(佐藤榮作君) 岡田君のたいへん穏やかな御意見でございます。私は、いまNATOにおける基地が変わったとか、この点も知っております。また同時に、U2を飛ばして各地の情報を取っていた。そういうこともなくなって、世の中も変わってきておる。これなど考えますと、よほど進んでくる。それで、そういう場合に私どもの考え方は、これはやはりアメリカの理解と協力のもとにこういう問題は解決したい、これが私どもの念願であります。ただいまのようなたいへん穏やかな発言でありますので、私は、皆さん方にもそういう意味で政府に対する御協力、御鞭撻を得たいと思うのです。しばしばこの沖縄返還は、これはもう当然のことだから一方的にこれを強行しろというような、あるいは要求しろ、あるいはこれをどっかで交渉を持って解決しろ、こういうような話が出ております。しかし私は、そういう方向で解決すべきではない、ただいま言われるような穏やかな方法があるのではないか、そうしてそれが理解と協力による祖国復帰実現であって、私は、両国民のためばかりじゃなく、そういうことが極東の平和にもたいへん役立つのだ、かように思っておる次第であります。
#9
○岡田宗司君 まあ、いま言ったような基地としての性格といいますか、機能、そういうものの変化ということは、沖縄の返還の上でやはり重要な要素をなすものであるというので私はいまその点でお伺いしたわけですけれども、もちろん、沖縄の返還についてはそれだけではないわけでありまして、たとえば、それだけじゃない最も基本的な点は、私はやはり、約百万の日本人が祖国から離れて異国の支配下に置かれておるという事実だと思います。この事実が私は沖縄返還の一番大きな基本的な問題であるし、また、それがゆえにこそ、私どもはあらゆる努力をして返還を要求しなければならない、こう考えておるわけでございまして、まあ、その点、おそらく政府においてもそう考えられるのは当然であるし、そう考えておられないとすれば、これはどうかしておると思うのですよ。ひとつそういう点で総理のはっきりした所信を承っておくことは、私はこの際必要だと思うわけであります。
#10
○国務大臣(佐藤榮作君) ただい岡田君から御指摘のように、百万の日本人がおると、一日も早く祖国復帰を実現しろと、これは政府もさように考えております。しかし同時に、政府といたしましては、沖縄が日本をも含めて極東の安全で占めておるその地位、役割り、これも無視するわけにはいかないのであります。ただいま事前にいろいろ意見を交換いたしましたが、そういう点が解決されることがいわゆる祖国復帰、これを実現するゆえんだと、ただいまのところでは、私はさように考えておるのでございます。
#11
○岡田宗司君 次に、やはり六日の委員会におきまして、潜在主権の問題について質問いたしましたところ、三木外務大臣からたいへん含蓄のある御説明があったのでございます。三木外務大臣はこう言われておる。「一つには、沖縄に住んでいる佳辰か日本国籍を持っておる、もう一つは、もしアメリカがこの沖縄を処分しようというときには、平和条約第三条による信託統治、これをしない限りは、沖縄の処分について日本の同意を要する。さらにもう一つは、沖縄の統治、施政権の行使については、日本の意向ができるだけ反映できるように、アメリカは日本と協議をする、こういうようなものもやはり日本が潜在主権を持っておる効果だと思う。もう一つは、アメリカが施政権を放棄した場合には、当然に日本の主権が潜在化する、機械的に。これが潜在主権の持っている一つの効果であります」、こう言われておるのであります。まあ、アメリカ側の解釈との違い等について私はいまここで申し上げようとは思いませんが、この三木外務大臣の潜在主権に対する解釈のうちで、沖縄の統治、施政権の行使については、日本の意向ができるだけ反映できるようにアメリカは日本と協議するという項があるわけでございます。この点を私は、いままで日本政府として、アメリカの沖縄統治について積極的にこの点について日本側の立場を主張していったかどうかというと、どうもその点はあいまいだと思うのであります。私は、いまですね、三木外務大臣の言われました説明のうちで、沖縄の住民は日本国籍を持っておるということをはっきり言われましたし、この点は、外務省のほうから予算委員会に提出されました資料を見ましても、そういうふうに言われておるわけでありまして、いいのでありますが、さてそうなってくると、日本の政府は日本の国籍を持つ沖縄住民に対してどういう――何といいますかね、態度をとっていかなければならぬかということが問題になってくる。それはですね、たとえば日本の外国における、つまり、日本が潜在主権も何も持ってない、日本の全然主権の及ばない外国ですね、この外国において日本人が非常に人権をじゅうりんされたというようなこと、あるいはまた、むやみに殺された、何の理由もなくして殺されたと虐待されたというか、あるいは、ゆえなくして権利をじゅうりんされたというような場合に、一体日本はその国に対し、また外交関係があるとすればどういう態度をおとりになるか。つまり、外交保護権の問題ですけれども、これひとつ、私国際法学者でないんでよく知らないんですが、ひとつその点を、国際法的な立場とか云々ということもさることながら、それに基づいて、一体政府としてそういう場合にどうするのか、そのことをお伺いしたい。
#12
○国務大臣(三木武夫君) 沖縄住民そのものですね、そのものが外国でいろんな不利益をこうむったときには、日本の外交保護権と申しますか、第一義的に日本はそれに対して抗議を申し込んだり、いろんな処置を日本がとることに、そういう場合にはなる。
#13
○岡田宗司君 日本の潜在主権があって、日本の国籍のある人がアメリカという外国に支配されておって、そうして人権をじゅうりんされたり、あるいはまた、非常な不当な取り扱いを受けたり、そういうような場合に、日本政府はそれに対して何も口を聞けないのかどうか。私はそれを聞いてるんです。
#14
○国務大臣(三木武夫君) 沖縄本土においていろんな問題が超こる場合については、日米協議委員会などにおいて、たとえば一番問題になっておるのは、軍人の犯罪などについて、人権問題から問題が提起される場合があるのです。こういう問題については、日本も非常な関心を持っておるわけであります。アメリカもまた、最近軍人軍属に対する犯罪に対処するため、アメリカもやっぱりある処置をとるようになってまいっておるのであります。昨年の十二月二十三日、アンガー高等弁務官は、米軍の要員の犯罪についてはすみやかにこれを発表する、こういう方針を明らかにして、そしてその後軍法会議などの決定が行なわれておりますが、これを発表をいたしておるのであります。また、高等弁務官は、米国と琉球との警察が協力をして、こういう問題が、人権問題が起こらないような処置をとろうということで、合同パトロールを始めておるわけです。そして、犯罪が起こりやすい地域には、やはりそういうふうな警備員を倍増して、いままでよりも多く行くような処置をとって、アメリカ側としても住意をいたしてまいっておるのでありますが、これは、事、人権に関する問題でありますから、日本政府としても十分にこの問題については関心を持って、アメリカとの協議の場合には十分に協議をいたしたいと考えております。
#15
○岡田宗司君 まだ私がこれから質問しようという問題を先にお答えになってしまったので、何ですけれでも、私はまずそれよりも、こういう日本の国籍を持っている人が、外国同様、しかも日本と国交を持っている国において、そのアメリカ本土よりも、もっと悪い状態に置かれているときに、日本政府としてこれらの人々に対してどういう態度をとるかという、まず原則的なことからお伺いしょうと思っていたのです。その点は、総理大臣、ひとつお答えをいただきたいと思うのですが。
#16
○国務大臣(三木武夫君) これは、日本の国籍を持っているのでありますから、問題が起これば、アメリカ側とむろん連絡をとって、日本人と同じ意味において保護をいたすのが、これは原則でございます。
#17
○国務大臣(佐藤榮作君) 岡田君、いまの点について行政権、施政権を持っているアメリカが、沖縄の同胞に対してどういう姿勢で臨むか、それは行政命令、あるいはあすこのなにがあるようですから、それをひとつ法制局長官から説明させたいと思います。
#18
○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。
 いま御発言がありました件について申し上げます。御説のとおりに、沖縄はこれは平和条約三条によって施政権が行使されておりますので、沖縄住民についての保護の衝に当たりますのは、これは言うまでもなく、施政権の当局者であるのでございますが、そういうことから、沖縄住民の人権尊重につきましては、琉球列島の施政に関する行政命令、これがございますのは御承知のことかと思いますが、その中に、民主主義国の国民が享有する基本的自由を保持しなければならない。これはいわゆる施政権の中身として規定がございます。まあ、それはそれとして、一体そういう場合に、不満足な状況があったらどうなるのかというふうな御質問の御趣旨だと思いますが、それは先ほど来出ておりますように、沖縄以外のいわゆる外国につきましては、いわゆる在外国民保護権というのが典型的に出てまいります。沖縄について、これはかねがね申しておりますように、日本の領域である――まあ前にもお話し申し上げましたが、放棄した領域とは考えておらないというようなところで、しかも日本国民でございますので、やはり、それは在外国民保護権というようなものを持ち出すまでもなく、先ほど来外務大臣からお話しになりましたような、そういうような人権の関係といいますか、そういうことで事が処理されていくということに相なるだろうと思うわけでございます。
#19
○岡田宗司君 とにかく純然たる外国において、日本人が不法不当な人権じゅうりんを受けた場合には日本政府として外交保護権を行使するということで、いろいろその外国政府に対して要求することができるわけでしょう。そして、また、いろいろなことをやらせることもできようかと思うのですけれども、しかしながら、アメリカが施政権全般を持っておりますところじゃ、こっちとして何も言えないというのじゃ、私はその潜在主権を持っているほうがかえって日本政府が日本人を保護できないという、まことに奇妙な結果になっていると思うのです。こういう矛盾はやっぱりなくすようにしてもらわなければならないと思うのです。これはやはり基本的な問題の一つだろうと思うので、その点についてもう一度総理の、いま私の申し上げたようなきわめて常識的な考え方に対しての見解を明らかにしていただきたいと思います。
#20
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、たとえば沖縄にいる沖縄の人、これがブラジルならブラジルに行ってそうして人権を侵害されたと、こういう場合に、一体日本政府はどうするかという、これは旅券の発行者である日本政府、もちろん、そういう意味から権利義務が非常にはっきりしているので、これが保護の衝に当たるわけですね。そういう場合は保護の衝に当たるが、沖縄自身に住んでいて、常に住んでおるところの同胞は何も日本がやれないのか、これは矛盾じゃないかというのが御意見だと思います。
 そこで、ただいまは沖縄ではアメリカが施政権を持っている。第一義的にアメリカが沖縄の同胞の人権を保護し、また福祉向上につとめる責任がある。これは先ほどの行政命令その他の沖縄のたてまえだと思います。しかし、それが十分目的を達しておらない、こういう場合があれば、もちろん、日本はいわゆる潜在主権を持つ日本、同時に、そこに住んでおる人たちは日本人、こういう立場でございますから、私どもがこれについて適当な救済措置をとる、これは当然だと思います。でありますから、先ほど協議委員会その他において十分話をするということもございますが、それを待たないで、塚原君のところのほうでは、総理府では、そういう場合にこそ実はいろいろの折衝を持つわけであります。南方事務局あたりの仕事もこれ一つの大きな仕事だと、私はかように確信しております。したがいまして、ただいまの点をよく御理解いただきたいのは、第一義的にはこの施政権はアメリカが持っている。アメリカ自身が積極的に人権を保護し、そうして福祉の向上につとめることをやらなければならない。日本は潜在主権者ではあるが、その第一義的な直接の施政権者ではない、こういうことです。ただしかし、私どもは将来のことを考えて、日本に返ってくる、それを実現さすためにも今日からそういう素地をつくるべきじゃないかというので財政的援助を今日やっている。これは財政的援助なども、全然関係のないものなら、かような意味のものをやるわけがございません。また、ただいま御審議をいただくという宮古島のテレビにいたしましても、私は出かけて、こういうテレビをつくろう、こういうことを言っておりますが、しかし、これは日本の政府がつくった。それはやはり琉球政府に移さなければならない。移譲しなければならない。いわゆる施政権者であるアメリカがつくったところの琉球政府というものにやはり直接の一義的な責任を持たすと、こういうことだから、その辺は私は観念的には大体割り切れることだと思います。しかし、なかなか、観念的に割り切れましても、感情的な問題といたしまして割り切れないものがある。どうしてもっと積極的に日本政府がこういう際に口を出してわれわれを保護しないか、私はそういうものがあるだろうと思います。だから、南方事務局あたりで活動するのは、そういうところになかなかむずかしさがある、かように私は理解しているわけであります。
#21
○岡田宗司君 アメリカの軍政ですね、軍政のやっているところを見ますというと、大統領の行政命令の十二条に基づいてやっておるとは称しておりますけれども、その実際を見ますというと、この十二条とは非常にかけ離れておるわけであります。そのためにトラブルがたいへん起こっておるのです。しかも、この人権じゅうりん問題等に起こっておるいろいろな事例から見ますというと、やはり軍の支配、特に軍が、アメリカ人が犯しました犯罪に対しましてこちらが泣き寝入りの状態、つまり、切り捨てごめんの状態だということは、私は、これは単に南方連絡事務局の事務的段階でもって処理できる問題でもないし、また、日米協議委員会等でその根本的な解決を行なえる問題でもない。やはり、これはアメリカの施政そのものについていろいろの問題がある。これはやはり高級会談において何とか処置されなければならない問題だと思うのですよ。その点は総理はどうお考えになるか。
#22
○国務大臣(佐藤榮作君) 岡田君もよく御理解をいただいていると思いますが、ただいま言われるように、南方事務局の問題ではない、これは確かにそのとおりでございます。また、協議委員会だけでもそういう話ができるものでもない。ただいまのような状態がいつまでも続くのかどうか、いまの軍政下にあるということ、あるいは軍人、軍属の犯罪というか、そういうものを一体どういうように処置するか、ここらに本来の考え方があると思うのですね。だから、それをいま岡田君は御指摘になっていると思います。もう戦後これだけ長く続いて、依然としていままでのような行き方はおかしくはないのか、もう琉球政府そのものがだんだん権限を拡大していけば、ただいまのような点もよほど緩和されるんじゃないか。それで全部解決とは申しませんが、よほど変わってくるんじゃないか、私はさように思います。こういう事柄が、それは全面返還、祖国復帰が実現するまでにわれわれはあらゆるくふうをし、あらゆる努力をしていかなければならぬ問題の一つである、私はかように考えます。
#23
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をやめて。
#24
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
#25
○岡田宗司君 私は、この問題は当面直ちに政府として考えて何らかの措置を講じていただかなければならぬ問題だと思うのです。もちろん、われわれは返還を要求し、その実現をはからなければなりませんが、しかし、現実に戦後二十二年たってなおこういうような事態が行なわれておる。アメリカは沖縄を民主主義のショーウインドウにしようというところで、そのショーウインドウどころの騒ぎではない。こういう切り捨てごめんの事態が行なわれているということで、われわれはもう黙視することができないわけです。この点については政府としても十分善処をしてもらわなければならないと存じます。
#26
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私も岡田君と意見を交換したわけです。岡田君のおっしゃるような点が多分にございます。もちろん、政府もこういう問題を抜かっておるわけではございません。今後とも一そう努力いたしまして、そして沖縄住民の方々の人権の尊重されるようにこの上とも努力するつもりであります。まあ、あらゆる機会を使うことです。南方事務局もその一つです。協議委員会もその一つです。さらに琉球政府におきましても、同胞のめんどうでございますからまたいろいろめんどうを見ていく、そういうこともあろうと思いますので、まあ、あらゆる機会を使って、そしていまのような状態はさらに改善していくことに努力したいと思います。
#27
○委員長(山本利壽君) 次に、外務大臣並びに総務長官が御出席でございますから、御質問を継続していただきます。
#28
○岡田宗司君 外務大臣にいまの点についてさらに詳しくお伺いしたいのですが、もちろん、いま外務大臣の言われましたように、ずっとアメリカの軍人の沖縄住民に対する犯罪が増加してきております。そして沖縄におきましても、この問題について非常に住民の間に憤激が高まりつつあるし、政治問題化しつつあるわけで、したがって、アンガー高等弁務官としては、さきにあなたが言われましたような措置を講じだしたんだろうと思うんです。しかし、それだけではたしていまのような、いま起こっておるようなアメリカ軍の犯罪が減るものであるか、あるいはまた、これで住民側がこれならばがまんできるというような解決を見るものでありましようか。私どもは、従来もしばしばそういうことが高等弁務官なり米民政府から言われておって、現実には一向に減らなかった。依然としてそれが行なわれておる。つまり、アメリカの軍人、軍属が犯した犯罪については、こちら側が何らくちばしもはさめないという事態、そのこと自体をやはりもう少し問題にしない限りは、この問題はなくならないと思うんです。そういう点で三木外務大臣は、いまアンガー高等弁務官がとられた措置でこの問題は解決の方向へ向かう、そして日本政府としてそれ以上何らの措置をとらないでもいいんだというふうにお考えなのでしょうか。
#29
○国務大臣(三木武夫君) 私もいいんだとは思っていない。ことに人権の問題というものは、最近も日本弁護士連合会ですかね、調査団の報告も出ておりますし、これは潜在主権を日本が持っておる沖縄住民の人権の保護というものは、日本の政府が非常にこれは常に関心を持たなけりゃならぬ問題でありますから、日米協議委員会、次の協議委員会には人権問題というもの、この軍人、軍属の犯罪等も含めて人権問題を議題にしてわれわれも研究をしてみたい。アメリカも非常にこの問題に対しては注意をしてまいっておることは事実です。しかし、これで十分だとは思いませんので、われわれとしてもどういうふうにこの問題、人権の保護という立場からこの問題を考えるべきかということも十分に検討をして協議会の議題に私はしたいと考えております。
#30
○岡田宗司君 そこで総務長官にお伺いしたいんですが、いま三木外務大臣が、この問題は非常に重大な問題だと、そして次の日米協議委員会が開かれる際にはこの問題を取り上げると、こういうふうに言われたんですが、私ども、もちろん、これについて沖縄からも若干資料ももらっておりますし、また、日弁連で出しました中間報告も見ております。政府としてもこの問題についてやはり関心を持ち、今後の日米間の問題として取り上げていくならば、それ相当のやはり調査及びその結果というものが明らかにならなければならぬと思うんです。この点について総務長官の手元においてそういうことの調査、つまり、アメリカ軍人が沖縄住民に対して犯す犯罪、そういうものについての調査はできておりますか。
#31
○国務大臣(塚原俊郎君) 人権の侵害に対しまして非常にこれは重要な事件であることは、ただいままで総理並びに外務大臣がお答えしたとおりでありまするが、その資料につきましては日弁連が中間報告でお出しになりましたので、秋ごろには本報告もあるそうでありますが、あの中間報告の内容についても、ただいま南連を通してあの報告に基づいた調査もさしておりまするし、なお、今日までの犯罪件数等につきましては統計もございまするから、何でしたらば、ただいま読み上げると相当かかるかと思いますが……。鋭意というか、できるだけの調査はいたしております。米琉双方の警ら会、先ほど外務大臣がおっしゃった警ら会の動きやら、それから、この問題に対する認識を改めたというのではないでしようけれども、強い要請に対しまして、取り締まりの強化も行なわれ、このところはパーセンテージがやや減っておるというような現象もあるやに私は聞いております。調査はいたしております。
#32
○岡田宗司君 この問題は非常に重大な問題だと思うし、それから、今後の施政権のあり方についても私ども重大に考えていかなければならぬと思うわけです。過日、日弁連のほうから調査団が参りまして、そうして中間報告はすでに出ております。で、これは委員長に申し上げたいんですけれども、適当な機会にひとつ、日弁連調査団の一行のうちでこの人権問題に関係して調査をされた方を参考人として呼んで、その問題についてお話を伺いたいと思うんですけれども。
#33
○委員長(山本利壽君) 承知いたしました。理事会にはかりまして……。
#34
○岡田宗司君 そこで、さらにこの問題についてお伺いするわけですけれども、過日、これはもう聞き及びだと思うのですけれども、道路上で、あそこの軍基地労働者の組合の人がビラまきをしたところが、あそこの道路は軍用地であるという意味で、軍用地内でこういうことをしたというのでアメリカの憲兵に逮捕されたという事例があるわけなんです。これは、まあアメリカの基地として金網でもって囲まれた中で行なわれたことではない。もしこういう解釈がどんどんと広がってまいりますというと、たとえば沖縄の一号線ですね、あれはもう普通の人々が使っておる。しかし、実際においては軍がつくった道路なんですが、普通の人々が使っておる。こういうものまでも軍用地という解釈でやられると、沖縄全体はもうアメリカの軍用地だらけだ。こういうことになって何事もできない。常にアメリカの憲兵等によって逮捕される危険があるということになるわけですが、そういうような問題について、いまどういうふうにお考えになり、また、どういうふうな処置を講ぜられようとしておるか、この点お尋ねいたします。これは総務長官でしようか。
#35
○国務大臣(塚原俊郎君) その事件の内容につきましては外務省が調査をいたしておりますので、その結果を係官から説明いたさせます。
#36
○政府委員(東郷文彦君) 沖縄における道路――米軍のお金によってつくっておる道路もたくさんございますが、その中でも、この西海岸を走っております国道一号のように、明らかに米軍専用でないものもございますし、また今回、先ほどお話しの事件の起こりましたところは、その一号線から入りまして施設――その道路の両側は米軍の宿舎のほうに向から普通の沖縄島民の、住民があまり使わないような道のところでございまして、米軍の現在調べましたところの考え方は、そのように一般の沖縄住民の当然使用するようなところは特にそういう制限は設けないけれども、しかし、軍用施設、また特に施設に囲まれたような地域は、そこに通過だけは認めても、ある程度の制限は加える、そういうことでございまして、米軍の費用によってつくった道路を全部制限する、制限を加えるということではございません。たまたま今回起こりました事件は、一見施設の中にあるようなところにおきましてビラをまいたというようなことがございましたが、それをいろいろ調べまして、労働関係の規則に触れるものではなかったというようなことで、すぐ釈放されたわけでございます。なお、そういうことの起こりませんように、道路の標識等についてもう少しはっきりするようなことでさらに話し合いを続けておるわけでございます。
#37
○岡田宗司君 それはいますぐ釈放されたと言うけれども、これは騒ぎが大きくなったのであわてて釈放したので、それでビラまきをした道路だって、なるほど国道一号線からは離れておるけれども、普通軍だけが使っておる道路じゃない。やっぱり一般の人も通行しておる道路なんです。そして、それらについていままでこれは軍用道路で立ち入りを禁止するとか、そこでどういうことをしてはならないとかというような、そういう立て札も何もない。そうすれば、だれだって普通の道路だと思って、普通やることをやって、つかまるはずはない。それが、そこでもってアメリカの憲兵につかまった。こういうような状況で、解釈はいつでもかって。そうして、その解釈もどんどん自分かってで広げていく、こういう状態が私はけしからぬと思うでんすよ。そういう状態がすぐに人権じゅうりんにつながってくる。だから、私どもはこういうささいな問題と思われる問題でもやはり問題にしなければならぬ、こう考えておるんですが、これは単に道路上のビラまき、それが軍の忌諱に触れたという問題だけではなくて、やはりその問題の下には、アメリカの施政権というものが非常にかって気ままに運用されている。そして沖縄の住民の人権というようなものについては、あまり考慮が払われておらないという、いわば切り捨てごめんのやはり一例ではないかと思うのです。裁判の内容とかあるいはその他の点については、私どもいろいろな事例を持っております。どれをあげましても、そういう問題に触れてくるんです。だから私は、人権問題は総括的にこれは取り上げてもらわなければならぬ問題である、こういうふうに言っておる。もしそうでなくて、それこそ個々のケースによってこうだああだということで片づけようとするならば、この問題はいつまでたったって片づく問題じゃない。また、そういうようなことで政府がこの問題についての態度を糊塗していこうとするならば、私どもは、そういう事例を一々集めて一々問題にしなければならぬことになるでしょう。だから、私はその根本をなす問題として、このアメリカ軍のこれは施政権に触れる問題でしょうけれども、この問題については、やはり政府としてはき然たる態度でもって問題を取り上げていって解決に向かって努力してもらいたい、こう思うわけです。その点について先ほど三木外務大臣から、日米協議委員会の次の議題にするというお話がございましたので、私はぜひそれはそういうふうに取り上げていただきたいと思いますが、さらに、この次に総理がワシントンに参いられまして、ジョンソン大統領と会談をされる場合、あるいは、三木外務大臣がワシントンに行かれましてラスク国務長官と話をされる場合、あるいは、マクナマラ国防長官と話をされまして、こういう問題について十分に折衝をしていただきたいと思います。それから、過日問題になりました、沖縄の漁船がインドネシアで拿捕されました問題は、その後どういうふうになりましたでしょうか。
#38
○政府委員(東郷文彦君) 第八南琉丸という船がインドネシアによってインドネシア水域違反のかどをもって拿捕されたという情報を受けまして、早速、わがインドネシアにおける出先大使館に連絡いたしまして、米国の出先大使館と共同してその調査並びに釈放について申し入れるように訓令いたしました。早速そのとおり、出先におきましてアメリカの出先と一緒にインドネシア政府に調査を申し入れまして、テルナテというところで抑留されていることを突きとめまして、釈放方を目下交渉中でございます。なお、もう一隻、久しく行方不明のものがあるということで、それがあるいはその水域にいるのではないかということで、あわせて調査中でございます。
#39
○岡田宗司君 それでまあテルナテにいるということはわかったが、これに対して調査中というだけじゃなくて、何か処置をとっておりますか。
#40
○政府委員(東郷文彦君) インドネシア政府に対して即刻釈放方を申し入れまして、目下その出先において交渉中でございます。インドネシア政府のほうにおきましても、ジャカルタから早速海軍、関係方面に指令を出しまして、その調査及び釈放を進めるように相手方も努力中と了解しております。
#41
○岡田宗司君 これは領海侵犯ということだったのですか。それとも、国籍不明の船がインドネシアの周辺をうろうろしていたということで、不審に思われて拿捕されたものなんですか。そこいらはどういうことですか。
#42
○政府委員(東郷文彦君) どういう理由で拿捕をしたかということは、目下交渉中でございますが、御承知のように、インドネシアにおいては特殊の水域を主張をしておりまして、これはただ国籍不明であるとか、あるいはどこの国の船であるとかいうことではなくて、われわれ、今日まで調査の結果わかりませんけれども、推測いたしますには、インドネシアの主張する水域の違反という理由ではないかと見ております。
#43
○岡田宗司君 まだ、そうすると、その理由も不明なわけですね。
 それから、従来沖縄の船が外へ出てつかまる場合には、大体領海違反か、それとも、どこの国だかわからないからという理由でつかまっているのか。その点はどっちですか。
#44
○政府委員(東郷文彦君) 従来、拿捕されました場合は、多くインドネシア及びフィリッピンの水域でございますが、これらの国、いずれも特殊の主張をしておりまして、これは国籍不明であるからということではなくて、その理由は、それらの国の主張する水域の違反ということで拿捕されたということでございます。
#45
○岡田宗司君 その際、船は――まあ、人はあるいは刑を受ける、あるいはまた釈放されて帰るという場合もあるでしょうけれども、その際、船の処置は大体どういうことになっておりますか、没収ですか。
#46
○政府委員(東郷文彦君) いずれも釈放されております。
#47
○岡田宗司君 従来は、まあ、人については日本政府がやったんだと思うのですけれども、船についてはやはりアメリカの出先機関がやったんですか。
#48
○政府委員(東郷文彦君) 従来とも、米国政府がその責任を持つ立場におりますので、米国政府と実際上はわがほうの出先と共同してやるような形で話を進めております。しかし、形式的には、法律的にはこれは米国政府のやるべきことになっております。これとも連絡をし、これをあと押しして釈放その他の措置を進めてまいったわけでございます。
#49
○岡田宗司君 従来、人の場合ですね、人と船とくっついているからあるいは一緒にやるのかもしれないけれども、人の場合もアメリカがやってきたのですか。
#50
○政府委員(東郷文彦君) 従来、そのとおりでございます。
#51
○岡田宗司君 そうすると、今後は国籍が日本人ということになると、はっきり、人の場合は日本政府が責任を持って当たるということになりますか。
#52
○政府委員(東郷文彦君) いまお話しのごとく在外第三国の、海外にある沖縄人の保護については、日本政府が第一次的の責任を持つということになったわけでありますが、実際船舶の場合には、たとえば船舶の中で起こった事件とか、あるいは出先において雇用がえをしたとか、船舶の管轄権を持っていなければできないようなことについては、これは形式的、一次的には米国政府が表に出なければならないわけでございますが、船から離れて起こった事件、あるいは今回のように拿捕されて抑留されておる、こういうような場合には、実際問題として日米共同してその釈放に当たることとなるわけでございます。
#53
○岡田宗司君 これは三月一日の日米協議委員会で旗の問題が話し合いもできたし、また、今後そういうことになったわけでありますけれども、そういうことも一体細目協定というのはできたのですか。旗の場合については、まだ布令も何も出ていないので、したがって、実施されておらない。いま言った在外日本人の保護の問題についてそういうような場合にちゃんとした何か細目協定ができて、そしてその細目協定に基づいて、こういう点はアメリカがやる、こういう点は日本がやる、こういう場合には一緒にやるんだと、何かそういうちゃんとしたけじめがついたのですか。
#54
○政府委員(東郷文彦君) 旗の場合には、もとより、まず琉球政府において旗を掲げるという布令を出す必要もございますし、また、これを周知するといういろいろと手続がございまして、七月一日を目標にこれが実現すると期待しておりますが、この船舶及び沖縄住民の保護の問題につきましては、これが特にそれをどうするという細目協定のようなものを取りきめてはおりません。従来も、先ほどまで申し上げましたように、実際上それに非常に近いことが行なわれておりましたし、特に細目協定を設けなくても、事件のつどこちらからも指示し、また、アメリカ側も関係者に指示するということで円滑に行くと考えております。
#55
○岡田宗司君 これはもちろん実務的にはそういうことでしょうけれども、しかし、やはりこの国籍に関し、そうしてまた日本政府が海外において日本国籍のある者を保護するということですから、だから、やはりそのけじめはちゃんとつけておかなければならぬ問題じゃないかと思うのですがね、どうでしょう。
#56
○政府委員(東郷文彦君) これは日本政府及び米国政府においてはっきりそういう了解がついておりまするので、その政府最高当局の了解及び方針、政策がどの程度それぞれの出先に徹底しておるかという問題になるかと思いますが、これが徹底しておれば、実際現地の出先相互間において、これは積極的ないしは消極的権限の争いが起きるというような性質のものではございませんので、また今日まで現にインドネシアにおいて事件が起こりました場合にも、向こうのインドネシアにございますアメリカ大使館当局も非常によく連絡もし、努力もし、その辺において双方の政府とその出先の連絡が足りないというようなことは認められませんので、そういう実際上の考慮からしても、特にこまかい取りきめをする必要はないのではないかと考えております。
#57
○岡田宗司君 ああいう沖縄から外へ出ていく漁船なんかの乗り組み員の船員手帳ですね、それには日本の国籍が書かれていないそうですね。これは私この前外務委員会のときお尋ねしたのですが、これやはり日本の国籍があるということをはっきりさしておいたほうが、つかまった場合なんかにいいんじゃないでしょうか。わけのわからないリューキューアンであってはこれは困ると思うんですよ。そういう点で、この漁船の拿捕の問題と関連して、船員手帳にもはっきり日本人としての国籍をちゃんと明記さすことが必要だと思うのですが、どうでしょう。
#58
○政府委員(東郷文彦君) 御指摘のように、琉球政府の出しております船員手帳には、本籍という欄だけで、国籍という欄が特にございませんので、第三国人の場合にはそこへ国籍、つまり、国の名前が出てまいりますが、沖縄住民の場合には本籍のみが出てくるわけでございます。この点はまことにごもっともと思いますので、今後琉球政府当局とも適当な方法で相談し、研究してみたいと考えております。
#59
○岡田宗司君 外務大臣も、潜在主権に対する私へのお答えの中で、はっきり沖縄の住民は日本の国籍を持っている、こういうことですし、それからまた、アメリカ側でも裁判等で沖縄の住民は日本の国籍を持っておるということを認めている以上は、これは問題のないことだと思うのです。だから私は、やはり日本の国籍をはっきりさしておくということが、拿捕されたりなんかした場合に誤解を生ぜしめない理由にもなろうと思う。こういうところからやはり一歩一歩私はあいまいな問題をきっぱりけじめをつけていく必要があろうと思う。どうでしょうか。
#60
○国務大臣(三木武夫君) これはわれわれも取り上げて検討をいたしたいと考えております、この問題は。
#61
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕
#62
○委員長(山本利壽君) 速記起こして。
 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 次回の委員会は、また別に公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト