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1967/06/05 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第7号
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1967/06/05 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第7号

#1
第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第7号
昭和四十二年六月五日(月曜日)
   午後二時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月一日
    辞任         補欠選任
     伊藤 顕道君     鶴園 哲夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                内田 芳郎君
                小柳 牧衞君
                岡田 宗司君
                佐多 忠隆君
                黒柳  明君
    委 員
                大谷 贇雄君
                増原 恵吉君
                安井  謙君
                稲葉 誠一君
                川村 清一君
                森 元治郎君
                春日 正一君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  清君
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   参考人
       琉球政府立法院
       議長       山川 泰邦君
       琉球政府立法院
       議員       安里積千代君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関
 する調査
 (沖繩の施政権返還等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりをいたします。
 沖縄その他固有領土に関しての対策樹立に関する調査のため、南方同胞援護会会長大浜信泉君及び南方同胞援護会評議員末次一郎君を六月九日参考人として出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
#3
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山本利壽君) 次に、沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査のうち、沖縄の施政権返還等に関する件を議題といたします。
 これより参考人の方から御意見を承ることとなりますが、この際参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 今回沖縄より上京されて御多忙な日程の中を、本特別委員会に参考人として御出席いただきまして、厚く御礼申し上げます。本日は、沖繩の施政権返還等に関する件につきまして御意見をお述べいただきたいと存じます。御発言の順序は、私のほうから順次指名させていただきます。それでは、これより御意見をお述べいただきます。山川参考人。
#5
○参考人(山川泰邦君) 御紹介いただきました山川泰邦でございます。立法院議長でございます。この席を拝借いたしますのはまことに恐縮に存じますが、この機会に私就任のあいさつをさせていただきたいと思います。去る五月十二日に就任いたしまして、これまでも皆さまのお世話になっておりますが、今後一そう皆さまのお世話になることと存じます。どうぞ今後一そうの御指導、御鞭撻を賜わりたいと懇願申し上げます。つつしんでごあいさつ申し上げます。
 また、本日はこの特別委員会に出席する光栄を得まして、まことにありがたく深く感謝申し上げます。この委員会のできることを沖縄では多年願望いたしてまいりましたが、今国会でこの特別委員会が新しく設置されまして、私たちの願いをいれてくださいまして、たいへんありがたく思っております。今後沖繩の問題、政府の施策推進にこの委員会が大きな推進力になり、成果をあげることと御期待申し上げている次第でございます。
 では、まず私たちが参りましたのは、沖繩の施政権返還問題沖繩県民の国政参加問題及び沖縄漁船の保護問題を要請するために立法院から派遣されてまいりましたが、施政権返還問題を御要請申し上げる前に、簡潔に御礼のことばを申し述べたいと思っております。
 それは沖繩経済援助につきましてこれまでも格別の御配慮をいただいておりますが、昭和四十二年度におきましては百三億余の援助を議決していただきまして厚く御礼申し上げます。また宮古群島及び八重山群島におけるテレビジョン放送に必要な設備の譲与法並びに沖縄居住者等に対する失業保険に関する特別措置法につきましても現在御審議のことと承っておりますが、これはわれわれがかねてから強く要望してきたものでございまして、これが実現の早からんことを念願しております。これらの問題に対しまする国会の皆さま方の沖繩に寄せる御関心、御援助に対しまして、本委員会を通じ国会の皆さまに対し厚く御礼申し上げる次第でございます。
 施政権返還の問題でございますが、御承知のとおり、沖繩県民は米国の統治下に置かれて二十二年になります。また、対日平和条約発効後すでに十五年になります。その間、琉球政府立法院は、しばしば施政権返還要請の決議をするとともに、機会あるごとに沖縄県民の願望を日米両国政府に強く訴え続けてきました。今日ようやく国会において沖縄問題に対する論議が盛り上がり、また、米国においても関心が高まりつつあります。しかしながら、われわれの感情を、沖繩住民の気持ちを率直に申し上げることをお許し願いますれば、私たちは、いまやもう論議の時期でなく、具体的計画を立てて日米外交の場において真剣に討議さるべき時期に到来している、こう考えております。政府は国論を統一してすみやかに対米交渉を開始するよう、強く要請いたします。承りますと、総理大臣は、本年の秋米国を訪問されるということでありますが、総理訪米の機会に沖縄の施政権返還問題について米国に強く折衝されて、沖繩県民の期待にこたえていただきたいと切望いたします。そのためには、本委員会において一そうの御熱意を賜わり、沖繩問題の調査及び審議をなさいまして、政府の施策推進に格別の御尽力をお願い申し上げるものであります。
 次に、沖縄県民の国政参加の問題につきましては、われわれは昭和三十六年に初めて本問題を政府及び国会に要請して以来、今回まで五回にわたって訴え続けてまいりました。しかし、いまだにその実現を見ず、まことに遺憾に思う次第でございます。日米両国政府首脳の共同声明によって確認されてきたとおり、また、それを確認を待つまでもなく、沖繩は日本の国土の一部であります。沖縄が不自然な地位に置かれているとはいえ、沖縄県民が自国の政治に参加することは基本的人権の一つであります。また、多年の強い願望であります。本問題は、米国の施政権との関係から、その実現にあたってはいろいろ問題もあるかと考えますが、どうか沖繩県民の要望をいれられまして、早急に実現できますよう、重ねてお願いいたすものであります。
 次に、沖繩の遠洋マグロ漁業の保護問題について要請申し上げます。沖縄の漁業は、本土の例と同様、沿岸漁業心ら近海漁業へ、そしてさらに遠洋漁業の趨勢をたどりまして、いまや遠洋漁業は、昭和四十年においてその漁獲高は一万一千五百五十トン余りで、全漁獲高の四七%、また輸出においては五千十五トン余りで、水産物の全輸出の九〇%を占めるに至っております。遠洋マグロ漁業は、これも本土の場合と同様、海外基地を本拠として活躍しているものと、おもに那覇基地を本拠としているものがございます。那覇基地を本拠とするマグロ漁船は、そのほとんどがインドネシア近海へ出漁しており、その隻数は、沖繩の遠洋マグロ漁船四十七隻のうちの半数に及ぶ二十三隻となっております。インドネシア近海は、沖縄の遠洋漁業の生命線と申しても過言ではございません。
 しかしながらインドネシアは、昭和三十五年に国際慣習を無視した宣言領域を定めまして、それを侵す船舶は拿捕する方針をとっております。そのため、今年に入ってからもすでに沖繩の漁船三隻が拿捕され、そのうち二隻は現在もインドネシアに抑留中でございます。このような事件は、漁業関係者のみでなく、土地の狭い沖縄におきましては、琉球政府をはじめ全県民が憂慮するところでございまして、われわれは、抑留されている漁船の一日も早い早期釈放と、インドネシア近海における恒久的な安全操業ができるよう、政府及び国会が適切な措置をとってくださるよう強く要請するものであります。
 これと関連しまして、沖縄船舶乗組員と船舶の外交保護権についても要請いたします。
 米国務長官は、沖縄の基本法ともいわれている大統領行政命令第三節で、琉球列島に関する外国及び国際機構との交渉について責任を負うことになっています。しかし、従来沖縄人の外国における保護権についてはきわめてあいまいで、移民や海外旅行者に不安を抱かせていましたが、昨年五月九日、東京で開かれた第九回日米協議委員会で、琉球住民の日本国籍表示及び海外における琉球住民に対する日本政府の第一義的外交保護権の発動について日米両国政府代表の間で合意に達しました。また、琉球船舶の国籍表示旗についても、日の丸を掲げることにつきましても、最近の日米協議委員会で日本の国旗を琉球表示旗に併用することに合意しました。これらの案件は、いずれも沖縄の多年の懸案でありました。先般その解決を見ましたことはまことに喜ばしいことで、本委員会を通じ国会並びに政府に対しまして厚く御礼申し上げます。しかしながら、外交保護権は従来どおり米国民政府が保持することになっていますので、外交保護権を日本政府の責任において行なうよう要請いたします。
 次に、経済援助の拡大について要請いたします。これは私どもの今回の立法院の決議と直接関係はありませんが、この問題は沖縄県民の最も関心の深い問題の一つであります。せっかくこの有意義な委員会に出席の光栄に浴しましたので、御報告を申し上げ、御理解を賜わりたいと存じます。
 沖縄の経済は、日米両国政府の援助と住民の努力によりまして、数年来、成長をしてきました。しかしながら、住民福祉や行政水準につきましては、われわれ沖繩県民が目標としている本土の相当地域に比べ、いまなお大きな格差があります。一九六六年度の国民所得を見ると、本土の一人当たり国民所得二十四万八千四百円、ドルにいたしまして六百九十ドルに対し、沖繩は十五万三千三百六十円で、本土の水準の六一%程度にすぎません。これまで日米首脳会談の共同声明で、沖縄の施政権返還が実現するまでの間は、日米両政府が相協力して住民の福祉安寧の向上につとめ、日本本土の格差是正に努力するという、共同声明で基本方針が公表されました。現実にはその格差が年年大きくなる傾向にあることははなはだ遺憾であります。琉球政府が日本の一県なら負担する必要のない国家事務経費も加えて、日本本土の類似県と比較した場合、その行政水準の七五%程度にすぎない現状で、まだ大きな格差があります。特に、米国の施政権下にあるがゆえに負担している国家事務経費は年間およそ八十六億四千万円にのぼり、一九六七年度の琉球政府予算総額のおよそ二八%を占めています。日本本土の類似県の場合は、租税収入などの自己財源はその予算総額のおよそ二五%で、残りの七五%は政府交付税や国庫支出金などの依存財源となっていますが、琉球政府の場合は、国税負担など考慮すべき問題があるにしても、自己財源が六九%、日米援助などの依存財源が三一%と、両者の比率は全く逆になっています。その結果、琉球政府の財政は困難な状態にありますので、国家事務経費の負担や自己財源による過重負担を解決するため、施政権者である米国に援助の大幅な拡大を要求しております。しかしながら、なかなかわれわれの期待にこたえてくれません。でございますので、特に本土政府におかれましても大幅に拡大していただきたいと懇願する次第でございます。
 本土との格差について例を申し上げますと、教育部門では、一九六八年度における普通教室の不足数が五百九室、改築を要する教室数が五百二十七室を数える現状であります。特別教室、管理関係諸室等の建設はきわめて不備であります。生徒一人当たりの校舎保有面積を本土と比べると、小学校が九四%、中学校が五一%と大きな開きがあります。児童生徒一人当たりの公教育費も小学校四五%、中学校が六二%程度にすぎません。
 また社会保障制度も、本土では戦後いち早く各種の社会保険や年金制度が整備されたにもかかわらず、沖繩においては、一九六七年度から医療保険制度がやっと発足したばかりで、社会福祉及び公的扶助も本土と比べると大きな格差があります。そのほか医療施設、道路、港湾などの各公共資本部門においてもかなりの立ちおくれが見られます。この現実の大きな格差をよく御理解くださいまして、今後一そうの援助拡大を要請するものでございます。
 そこで、アメリカの沖繩に対する援助法――プライス法の問題でございますが、このプライス法は従来は――今日もそうですが――一千二百万ドルでございました。その一千二百万ドルから二千五百万ドルに引き上げることを要請しまして、ワシントン政府でもこれをアメリカの国会に出しております。それで五百三十一万ドルの追加支出をなすことを期待して予算を組んでおります。したがって、現会計年度において、もしプライス法が改正されないようなことがありましたならば、一九六七年度の現会計年度の琉球政府の予算は五百三十万ドルの歳入欠陥が生じまして、各種事業の執行を停止しなければならないことになります。そこで琉球政府では、当初予定の歳入がないために、プライス法が改正されないために、現在各種の事業の執行を保留いたしておりますので、これ以上保留していくことは、会計年度との関係及び事業の早期執行の面から好ましくないという立場に立ちまして、これを補正することにいたしました。プライス法が改正されないために、この事業に見合う三百五十万ドルの起債をして、当初の予定どおり政府施策を実施するために、予算補正をいま立法院に出して審議中でございます。このプライス法が改正されないということは、琉球政府と米国民政府との間で合同で策定しました長期事業計画も実現困難になり、日本本土の相当地域との格差を是正するという基本目標が達成されなくなって、後退するおそれが出てくるということになります。したがいまして、プライス法の改正問題につきましても、政府を鞭撻されまして御推進くださいますようお願い申し上げるものでございます。
 最後に、日本の旧国有地及び旧県有地を琉球政府へ移管することについての問題でございますが、琉球列島の日本国有地及び旧沖縄県有地、およそ約十万エーカーは、現在米国民政府が管理しているが、これらの土地は琉球政府において管理したほうが国土開発計画や沖縄経済振興等の施策上適当と考えます。
 特に旧沖繩県有地は、当然琉球政府が引き継ぐべきであると考えますので、早急に移管するようお願いをいたしたいと思っております。
 なお、われわれが幾ら詳しく報告申し上げるにいたしましても、複雑広範な沖縄問題をなかなか御報告申し上げることもできません。もしこの委員会が沖縄においでくださいまして、各皆さんの目で、あるいははだで御調査くださいますならば、もっと沖繩問題がはっきり皆さんに把握できるのではないかと考えております。皆さんの御来訪をお願いいたしたいのでございます。御清聴ありがとうございました。
#6
○委員長(山本利壽君) どうもありがとうございました。
 それでは、次に安里参考人にお願いをいたします。
#7
○参考人(安里積千代君) 琉球立法院の議員をしております安里積千代であります。
 琉球立法院は三十二名の議員でありますが、われわれは野党の立場に立っているものでありますが、沖縄の祖国復帰の問題につきまする決議並びに長い間の県民の要求、その間におきまするいろいろな方法論的な問題につきましては、意見の相違があったにいたしましても、基本的にすみやかに沖縄を日本に回復してもらわなければならない、施政権を返してもらわなければならぬということにつきましては、今回の決議でもわかりますとおり、全会一致の問題であります。このことをまず冒頭に申し上げますとともに、いま沖縄問題は日米間の重大問題であると、これは内外あげていわれております。アメリカ自身そのようなことを言うておられるのであります。なぜ沖縄問題が日米間の重大問題であるか、政府の大臣、皆さん方にお会いいたしましても、日米間にいま懸案とさるべきものは沖繩問題以外にはないのだと、こうおっしゃっておられます。それほど沖縄問題は、解決しなければならない日米間の大きな問題であると考えております。アメリカがなぜ沖縄問題を日米間の重大問題であるというふうに考えておられるかということを私なりに観察いたしまするならば、もちろん、御承知のとおり、戦争の結果、沖縄をアメリカが治めておるわけであります。平和条約の第三条でありまするけれども、政治的な常識があるならば、あるいは政治的な良識の上から、あるいは国際政治の慣例の上から見ましても、戦争終結後のあの条約で、しかも無期限に、しかもあの条約をごらんになりますればはっきりしまするとおり、信託統治を提案する場合にはこれは日本が同意をする、このような決定がなされるまで、行政、立法、司法の権利を有すると、こういったような規定をよりどころとして十何年にもわたって治めておるということが、良心的にアメリカの民主主義の立場からも、あるいはアメリカの言う民族自決の立場からも、世界の指導国として、あるいは国連においても大きな指導カを持つアメリカなるものが、自分自身は友好国であるところの独立国日本の国土をいつまでもそのようにやっておる。口では友好国と言いながら、口では主権の尊重と言いながら、事実において主権国、しかも友好国である日本の一県、日本の国民をみずから支配をしておる。このようなことは許されてはならないことです。私は、しばしばアメリカの皆さん方と話す場合も申し上げるのであります。沖縄をこのように継続して支配しておるということは、いかなる理由があるにしろ、光栄あるアメリカの歴史に汚点を残すことだ、軍事に政治が優先するという、あるいは文官優位の精神はアメリカ憲法の精神であるはずなんだ、それが沖繩に関する限り、軍事が政治を支配する昔の日本のあやまちをアメリカ自身がおかしておることになるのだという忠告も申し上げておるわけであります。アメリカ自身で、平和条約に名をかりていつまでも日本の一部、沖縄を支配しておるという不当性、不合理性を良心的に十分知っておられるのであります。知りながら、あえて軍事上の必要ということになりまして沖縄を放さないのが現状でございます。したがいまして、アメリカの上院の委託によりましてアメリカの勢力の及んでおりまする各地域を調査いたしました調査機関コンロン報告の中にいみじくも言われておるのでございます。沖縄の問題はアメリカにとって軍事的には資産であるが政治的には負債である。このように、アメリカ自身の学者も、あるいはまた外交論評家と申しますか、学者も、このように評しております。軍事的にプラス、政治的にマイナス、一体この政治的マイナスと軍事的プラスを政治の歴史の中から顧みた場合に、いずれをとるか。これはもちろんアメリカが選択しなければならぬことではありますけれども、こういう不合理な政治継続は許されないものであるということをアメリカ自身が理解しておると私は見ております。しかし、それなるがゆえに、それであるにかかわらず、沖繩はなお軍事上重要であるというふうにいたしまして、現にベトナム戦争に利用しておることになっておるわけであります。この事態も長い目で見まするならば、アメリカ自身の軍部関係では、アメリカは世界の各地に軍事基地を持っておる、しかしながら、いずれの国からも何らの干渉を受けることなく自由に戦争行動ができる唯一の地域、それが沖繩である。このように軍部は高言をいたしております。どこからも干渉を受けることなく自由に自国の軍隊を動かすことのできる唯一の地域だということは、いわばそれは自分の国土以外にはないはずであります。したがいまして、しばしば沖縄を現実にアメリカが支配し、そして現実に軍備を強化しておる実態をとらえまして、相対立する国からするならば、アメリカこそ侵略主義じゃないか、アメリカこそ帝国主義の見本じゃないか、それをアメリカ自身が示しておるということになります。このように考えまするときに、アメリカにとって、沖繩の現状継続ということは、決してプラスする面があるとは思わないのであります。のみならず、このように日本の国土と国民をいつまでも支配することは、独立を誇る日本一億の国民の感情も許さないはずであります。そうして、このようなことが継続しまするならば、せっかくの友好国日本をも失う結果にならないとも限りません。まあ、そういうふうに私は思うわけであり、軍事基地を保有しておるということも、われわれから見まするならば、日本本土には安保条約というのがあります。他国の領土に軍事基地を持つ場合には条約上の根拠を要するということはもはや常識だと思います。沖繩に軍事基地保有の条約がございません。あるのは平和条約の第三条でありますが、第三条の司法、行政、立法の権利を有するということから軍事基地設定の条項も含まれるのだと拡大解釈することは当たらないことだと思うのでございますが、かりにそうだといたしましても、そのことがはたして世界の平和に寄与するか、あるいはまた極東の緊張緩和に役立つか、これも疑問であります。
 まあ、そういった立場からいたしまして、アメリカといたしましては、沖繩問題を何とかしなければならぬ立場とも考えております。また、祖国日本の本土の立場からしまするならば、独立国であるとは言いながら、自分の国土と国民を他国に支配させておるということは、私は独立国日本の権威も誇りも傷つけるものだと、このように考えるのであります。
 私たちは沖縄問題を祖国に訴えますときにいつもこう申しております。戦争の結果、あの当時の事情やむなくわれわれはアメリカに渡された。しかし、その渡されたことに対しまして、私たちはぜひ日本の政府、国会、全国民が深く掘り下げて責任を感じていただきたいと、こういうふうに願っております。平和条約が結ばれようという機運がございまして、日本から切り離されるという状況があらわれたのは一九五〇年、昭和の二十五年であります。そうしますと、私ども沖縄県民は日本から切り離されちゃいけないということで、アメリカの軍事占領下にあり、アメリカのおかげで一切の生活もでき、日本から一文の援助の手を伸ばすことのできないような状態に置かれておりながらまだ軍事占領中、平和条約によってアメリカに渡されることを反対し日本に復帰せしめよという全県的な署名運動を大きく展開をいたしております。その陳情書は膨大なものでありまして、送られてきておるわけです。ですから、いまから十何年も前に、平和条約の結ばれぬ前から沖繩のわれわれは祖国に返るという運動を続けておるのであります。十七年間も叫び続けておる問題であります。そこで、平和条約が結ばれたのでございまするけれども、御承知のとおり、平和条約は国民の名において国会の承認を得るはずであります。この国会の承認は、いわば国の最高の意思決定機関でありまする国会でありまするが、この国会の意思は、われわれの県民に相談がございません。われわれの反対陳情を押し切っております。そして、沖縄からもちろん代表も送られていない国会であります。いわば、沖繩県民不在、沖繩県民を除く日本国民の名においてなされております。過ぎたことでございますので、いま時分このようなことを申し上げる必要はないと思いますが、ただ、私が申し上げたいことは、そのようにしてなされたところの条約であり、そのことに対しまして、当時の事情やむを得なかったであろうけれども、今日もはや経済的にも世界に驚異的な発展を遂げておる日本であるとするならば、あるいはまた、国際社会において大きな役割りを果たしつつあり、アジアの指導国としての大きな役割りを果たしつつある、そういう立場の日本でありますならば、二十二年前に負けた戦争の結果をなぜ強く是正するためにやっていただけないか、これを私は訴えたいのであります。平和条約によって沖繩が日本から切り離されるという条項がありますることに強く反対をいたしましたのは、御承知のとおり、インドであります。このようなことは将来紛争のもとになるのだとしてインドの代表がこの平和条約に調印しなかった一つの大きな理由であります。このインドにおける良識ある人々の声として二、三年前の共同通信にあったことに私は非常に強く打たれております。このインドの良識ある人々の声は、こういうことを言っております。われわれは戦争に負けたとはいえ、アジアの日本がこのようにすばらしい発展を遂げておることに対し非常に尊敬し、アジアの誇りであるとともに、われわれは日本が将来ともアジアのわれわれの指導国となることを欲する。しかしながら、それであるのに、なぜ日本はいつまでも自分の領土である沖繩をアメリカに支配させておるのだろうか。戦争の結果いかに発展しようとも、戦争の結果失った沖縄をみずからの手で回復せずして日本はアジアの指導国となることができない。このような共同通信が載っておったことを私は見たのでありますが、私は、他国の国民からこのように言われることに対しまして、ほんとうにむしろ恥ずかしく思うものであります。
 また、これも一昨年の四月でありましたか、五月でありましたか、ベトナム戦争に関連をしてベトコンに日本の技術者が抑留されまして、捕えられまして、二十五日間ベトコンに捕えられまして、無事二十五日目に釈放された方々が帰られましての話がありましたが、私はその人々の語りましたことの中にも非常に反省させられるものがあったのであります。と申しますのは、この南ベトナム解放戦線のベトコンが彼らを釈放するにあたって、このように言っておったそうであります。団長さんの話であります。一兵士が、われわれベトナムの人は日本を同じアジアの人として尊敬し、信頼をしている。それだのに、同じアジアのわれわれに、われわれの上に注がれている砲火がわれわれの友好国であり尊敬する日本の国土沖縄から出ていることを思うときに、なぜだろうと、こういうふうに実に素朴ながら真理の通った質問をしたということを、帰られました人の談話として載ってておるのを私は見たのであります。
 沖縄の現実の問題もいろいろ申し上げたいのでございますけれども、戦争の結果切り離された沖縄におきまして、さらに現在はもちろんベトナム戦争に大きな役割りを果たしつつあります。このことは、しかし、遠く離れておりますところのこちらにおきましては、あるいは対岸の火事で、身にしみて感じないかもしれません。だが、たとえて申しますと、広島の原爆―原水爆禁止の問題におきましては、日本国民は世界における唯一の被爆国として原水禁に対しては大きな発言力があるのだとしばしば聞かされるのであります。被害を受けたその国、これ自身が痛切にこの問題を感じております。われわれ沖縄県民がいま素朴にこのように感じております。二十何年前われわれの上に注がれたアメリカの砲火、草木も施設もあらゆるものが破壊をされた、多くの無事の民も幼き子供も年寄りも失ったところのあの悲惨な戦争、海から陸から空からのあの砲火は、いまベトナムの上に注がれている同じ砲火である。それがいま、二十何年前にはわれわれに注がれたものが、今度はわれわれのところから、利用されて発射されておる。そしてああいった悲惨な目にあっておる実情を見るときに、理屈はどこにあるにしろ、われわれ沖縄県民にとりましては、このような戦争のために沖縄が利用され、自分たちの目にあったことが、さらに自分たちを中心にしてなされておるということに対して、耐えがたい苦痛を感じておるのであります。これは現実の問題でありまするけれども、現に沖繩が軍事上重要だということばをもって置きかえられておるのでありまするけれども、これはわれわれとはかかわり合いのない問題でありますが、ここで申し上げたいことは、平和条約に軍事上必要だからとか、極東の緊張が続く限り沖縄をアメリカが保有するというようなことは、平和条約の第三条からうかがわれないのであります。ただ、現実にそのようになっておるということであります。そしてその場合に、われわれ日本として、日本の国民としていつでも感じさせられますることは、――アメリカは私どもにはこのように言われております。沖繩が軍事上重要であるということは日本の総理大臣ちゃんと認めておる、佐藤―ジョンソン会談においても、共同声明の中においてもちゃんと認めておる、これは正式に琉球立法院におきまする開会式に当たって冒頭に、現地の責任者である高等弁務官が堂々と述べられていることなんです。つまり、そうして、そういう演説がなされ、そういう共同声明がなされまして、そうして二月にはいまのようにベトナム戦争が始まり、沖繩がおっしゃるとおり戦争に大きな価値を与えているということになっております。勘ぐりようによりましては、ベトナム戦争を遂行するためには沖縄を利用しなきゃならぬ、沖縄を利用するためには、その母国であるところの日本の責任者の言質を取らなければならないとしてあの声明がなされたと、このように勘ぐって勘ぐられないこともないわけであります。このようにしまして、この軍事上の重要性が、あるいは極東の緊張ということが沖繩の祖国復帰を妨げるところの原因になっておるとしますれば、われわれは耐えがたいのであります。そしてもし日本政府が日本の国が、アメリカの言うそれを理由にして同様な意見を持たれるとしまするならば、私はそれは大きな誤まりであると考えております。極東の緊張だとかあるいは脅威だとかいうことは、いろいろな見方があるでございましょう。しかし私は、こう私自身アメリカの方にも率直に言っております。ぼくは、日本政府の方々も日本の国民もアメリカに対して強く言ってしかるべきものじゃないかと思います。一体、沖縄の軍事基地を強化するということが極東の緊張をやわらげる原因になるのか、極東の緊張を強化することになるのであるのか。一九五五年でありました、国連十周年記念式典におきまして、時の大統領アイゼンハワー氏は演説をしております。たいへんうまいことを言っております。軍備競争によっては平和は達成されない。正直と正義と他を尊敬し相互を理解することがその武器とならなければならない、このように言われております。国際緊張なりあるいは脅威というものは、相手方に対するところの信頼を失い、猜疑心で結ばれ、相手方を信頼できずに尊敬できない立場からも生まれてくるでありましょうけれども、さらに軍備競争によって醸成されると思っております。そして私はこのように申しました。実例をとるならば、キューバにかつてソ連が核兵器を持ってきたときに、アメリカの安全脅威に関係するとして危機をはらんだことをわれわれは知っている。戦争一歩手前までも行った。だがあのときに、このキューバからの核兵器の撤去によりまして事なきに済んだ。これを逆の立場から、今度はアメリカがアジアに、そして沖縄に核兵器を持ち、ここに軍備を強化するならば、相手国には脅威にならないと思うか。他国が自国の領土近くに持ってくるときには脅威になり、アメリカが他国のところへ持っていくときは他国が脅威を感じないという理屈は出てこない。だから、ほんとうにアメリカが平和を愛し、正義を愛する、また極東の緊張を緩和するという信義があるなら、まずみずから沖繩にある基地は、これは本土の基地と意味が違うことは御承知のとおりであります。本土は防衛的のものだといわれ、沖縄基地は攻撃的作戦上の基地だといわれております。ですから、ほんとうに緊張緩和の原因は、沖縄から核兵器をなくし、あるいは沖繩を自由に戦争に使うというそういうような基地の性格を一歩アメリカに退いてもらいさえするならば、ここに緊張緩和されるところの大きなあれができると、そのような大きな腹を、アメリカ自体言うことと行なうことを実をもって示すべきだと考えておりまするし、日本がアジアの一員として、そうして過去において大陸を侵略した日本が、過去のあやまちを再び起こさない、国際紛争を武力に訴えないというこのとうとい国是の中から、日本政府の外交も、ほんとうに沖繩の核兵器は必要だ、基地は必要だ、本土防衛のために沖縄という現状が必要だというそのような消極的な立場じゃなくて、戦争を否定し、日本の国土の中においてはそのような基地は認められないという、むしろ世界に誇るべきこの精神を発揮して、沖繩県からも、日本国土である沖縄にも、核兵器を持たないように、攻撃用基地にしないように、一歩下がるならば、防衛的な性格にまで持っていくならば、施政権の返還をはばむ理由は何ものもない。そのことはまた、アメリカ自身としても平和を愛する、正義をとおとぶということを実行することじゃないか、なぜそれができないかというくらいの強い要求があってしかるべきだと思う。そうでなくて、いつも沖繩返還問題になってきまするときに、アメリカがなかなか許さないから、認めないから、こういったような立場では、私は沖縄問題の解決にはならぬのじゃないか。この際ひとつ私は皆さんのお力をかりまして、政府の腰を非常に強くたたいていただきまして、国会が国民の意思を決定する、そうしてこの国会の意向というものを政府は無視していけないというたてまえからいたしまするならば、過去にとらわれず、そうして沖縄返還という、独立国家として当然のこと、そして同じ国土と国民がこのようにされておることに対するところの耐えがたいところの、極端に言いますれば、侮辱を感ずるというところまで行ってもいいと思う。そういったところで、国会が強い決意を持って沖縄の返還――その場合においては平和の問題がございましょうし、極東の問題がございましょう。そういうことに対しましては、それぞれ国として打つべき手段があると思います。これからみ合わせまして、沖繩の現状を継続させられるということが、われわれにとっては耐えがたいことであります。軍事上の必要のために、沖縄の現実の統治が軍事優先の政治になっておりますることは御承知のとおりであります。いまの世界に、しかもわれわれはこの点も国連憲章違反だと言っております。もちろん、沖繩の特殊な地位は世界に例がないでございましょうけれども、類似したものが国連憲章の中にはございます。これは国連憲章の第七十三条にありまする非自治領域に対しまする統治の大原則であります。その大原則が確立されております。すなわち、施政国は統治するその地域の住民の利益を至上のものとすべし、ことばをかえて申しますれば、治める国の利益を目的として治めてはいけない、治められる地域の利益を目的として治めるということがこの施政国に与えられまする国際法上の大原則なんです。アメリカの利益のために、アメリカの軍事目的のために他国を軍事優先の立場で治めるということ自体、大きな違反をおかしておるのであります。したがいまして、日本の国といたしましては、アメリカに強く沖縄の返還を要求して不合理な姿を正常に戻すということにつきましてのりっぱな合理性があり、アメリカはこれを拒む理由はないと考えております。現在までわれわれの耳に達しまするところの問題が、何となくアメリカに遠慮することによって、アメリカの言い分を聞かなければというような、一歩敗北感に、劣等感に、従属感にとらわれたような立場ではなかろうか、こういう感じを受けるわけであります。はなはだこのことばがどうも穏当でなかったかもしれませんけれども、これは二十何年間も、そうして条約が発効して十何年間も祖国から切り離されて、こちらに参るにも自由でない。軍事優先のために大きな人権問題の制限も受ける。そして現に戦争の危機をひしひしと感ずるわれわれ、そしてもうがまんができないというような一つの私どものうちに燃え上がりますところの力も、不満も加わりますとともに、母国なればこそ、父なればこそ、母なればこそ、どんな無理でもあえて受け入れていただけるであろうという、このように甘えた気持ちで申し上げておりますことを御理解願いたいと思うのであります。
 国政参加の問題につきましては、議長がお話しをなさったのでありまするけれども、ただ一つだけ私は申し上げたいと思います。私どもは切り離されておりましても、日本国民であることをだれも疑っておりません。ただここで相矛盾がありますそれはどういうことであるかと申しますならば、日本の国会が制定をいたしました法律の中に、逆に沖縄を削っていることであります。この矛盾を、口では日本の一部であると言いながら、法規の上から沖繩県を削っているということ、私はこの点につきましても御配慮を願いまして、どうぞ皆さん方がこの問題につきましても御配慮をお願いを申し上げたい。もちろん、アメリカの了解を得ることが必要でございますけれども、これこそ私は日本の国内問題であると考えております。日本の国会に日本の国民をどのように参加せしめるかということは、国内問題であると考えております。したがいまして、国におきましてこのような法律をつくりますならば、法的な技術といたしましては、現地から送られるところの選挙法は現地で別に立法してこれをつなぐということもあり得るわけであります。どうぞ皆さん方の格段の御協力と御理解を仰ぎまして、根本的には沖縄がすみやかに日本に帰りまするために、この国会の力強いあと押しをお願い申し上げたいと思います。
 たいへんどうも限られた時間、また若干超過いたしましてお耳をわずらわしましてまことに申しわけございませんでしたが、お許しを願いたいと思います。ありがとうございました。
#8
○委員長(山本利壽君) それでは、沖縄の施政権返還等につきましての参考人からの意見聴取は、この程度にいたします。
 参考人各位には、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたりまして御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お述べいただきました御意見は、今後委員会の審議にきわめて有益な参考になることと信じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
 次回の委員会は六月九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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