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1967/06/23 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第9号
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1967/06/23 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第9号

#1
第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第9号
昭和四十二年六月二十三日(金曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     加藤シヅエ君     野々山一三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                内田 芳郎君
                小柳 牧衞君
                岡田 宗司君
                佐多 忠隆君
    委 員
                植木 光教君
                大谷 贇雄君
                源田  実君
                谷口 慶吉君
                増原 恵吉君
                稲葉 誠一君
                川村 清一君
                鶴園 哲夫君
                春日 正一君
   国務大臣
       外 務 大 臣  三木 武夫君
       国 務 大 臣  塚原 俊郎君
       国 務 大 臣  増田甲子七君
   政府委員
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
       防衛庁防衛局長  島田  豊君
       防衛庁教育局長  中井 亮一君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関
 する調査
 (沖縄その他の固有領土に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る六月十五日加藤シヅエ君が委員を辞任され、その補欠として野々山一三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本利壽君) 沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄その他の固有領土に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○岡田宗司君 きょうはひとつ外務大臣に小笠原返還問題についての取り扱い方についてお伺いしたいと思います。
 沖縄と同時に、小笠原の返還ということも最近非常に大きな問題として取り上げられてまいりました。で、佐藤総理並びに外務大臣は、この小笠原の返還についてもこの秋には佐藤総理がジョンソン大統領と会見をする際に話し合いを持ち出すように言っておられます。それからまた、その返還につきましては、小笠原はあまり軍事的に重要でないところであるから、これは早くひとつ返してもらいたいというような意見が出されておったように思います。ところが、その後アメリカ側において、やはり小笠原を切り離して返還させるということはむずかしいというようなことが伝えられますと、それじゃまず帰島の問題ということで、いま強制的にこちらに帰されて、そのままこちらにおる小笠原の島民を帰還させる問題を解決をするというようなことも伝えられておりますが、一体、日本政府として、外務大臣として小笠原の返還の問題についてどういう方針を持って今後臨まれようとするか、この点からお伺いしたい。
#5
○国務大臣(三木武夫君) 政府としては、沖縄、小笠原の早期施政権の返還というのが目標でありますから、したがって、それを切り離してという考え方の上には立っていない。しかし、早期施政権の返還といっても、一つにはやはり沖縄、小笠原をひっくるめて、極東の安全のために果たしておる役割りというものもございますから、一気に施政権の返還というところへ持っていくことはなかなか困難性があろう。その場合に、施政権の返還に近づけ得ることならば、いろいろな可能性というものを検討したいという立場であります。したがって、総理が訪米されたときには、当然にこの小笠原、沖縄問題という問題は重要なやっぱり日米間の懸案ですから、これは話し合いに当然に出るものだ、こういうふうに考えております。
#6
○岡田宗司君 それはまあ当然、小笠原の問題も含めましてお話しになることとは思うんですけれども、しかし、沖縄の問題と違って、小笠原の問題についてはいままであまり取り上げられてもおらなかった。そういうふうに取り上げられてもおらなかったし、それからまた、国民の間に小笠原の返還の問題について沖縄ほど大きな関心もなかったように思うのでございます。しかしながら、事の性質からいいますというと、同じような問題でありまして、小笠原の返還につきましてもちろん話は出すといたしましても、たとえば沖縄の問題については、自民党の中にも、全面的返還論のほかに、特に地域別返還、あるいは機能別施政権の返還というような、段階的に返還を要求していったらどうかというような意見もあるわけであります。しかし、小笠原につきましては、そういう問題についていまだ自民党、政府側としても何ら、何といいますか、突っ込んだといいますか、もう一歩進めたような構想といいますか、そういうものは出ておらないのでございます。政府としては小笠原についてはどういう処置をとって返還の実現に進もうとされるのか。たとえば、沖縄の場合の機能別施政権の返還、あるいはまた地域別の返還というようなものに対応するような何らか考え方をお持ちになっておるのか。
#7
○国務大臣(三木武夫君) 私、岡田さんの御質問に、あらゆる可能性を考えてみたいと言っているわけは、これは要するに、全体として政府は沖縄、小笠原の施政権の返還を考えているけれども、その間に、たとえば小笠原に対して帰島を許すとか、こういうこともやはり施政権の返還に一歩近づけていくことですから、あるいはまた、小笠原が、沖縄と切り離して施政権の返還が可能な場合には、そういうことも考える。まあ、いずれにしても、これは日米間でよく協議をして問題の解決をはかりたいというのが政府の基本方針ですから、政府自身としても常にあらゆる可能性、その可能性が施政権の返還に一歩前進する方法であるならば、どういう問題でもやはり解決をしたいという考えでありますから、あらゆる場合を頭に入れながら日米間で話し合いをしてみたい。いまは両方分けて考えるのだという考え方の上に政府が立っておるわけではない。小笠原、沖縄の全面返還、こういう立場に立っておりますが、その間において、こういうことだったら可能性があるというようなことがあり得るならば、それが一歩前進であるならば、そういう方法も考えてみたいという態度でございます。
#8
○岡田宗司君 アメリカが沖縄、小笠原をいま保有しておる。その理由といたしましては、何といっても、極東の緊張の波が続く限りはこれを戦略的に持っていかなければならぬということのようであります。しかしながら、アメリカ側が沖縄、小笠原に対する戦略上の必要から行なっておるいろいろな施設なりあるいは行動といいますか、そういうところから見ますというと、だいぶ隔たりがあるようであります。たとえば、沖縄につきましてはばく大な金額を投入いたしまして陸海空の基地をつくり、ばく大な物資を補給し、また、たくさんの兵員を送っておりますし、ことにベトナム戦争が始まってからは、作戦の基地として、あるいは補給の基地として非常に活発に使っておるわけであります。ところが、小笠原のほうは、これはまあどういう軍事施設があるか私どもつまびらかにしませんけれども、しかし、いままでのところ、これはあまり大きな軍事施設を設けておらぬ。アメリカ軍もあまり駐留しておらない。こういうようなことで、これは外から見まして推測するわけでありますが、非常に沖縄とアメリカにとりましても重要な度合いというものが違うわけであります。したがいまして、そういう観点からしても、たとえば小笠原と沖縄とは、アメリカにとっての必要度から言っても、現在の両者の違いから言っても、いろいろな働きの違いから言っても、なお小笠原について返還は容易ではないかという、そういう観測も生まれてくるわけであります。そういたしますと、この小笠原の問題について、沖縄よりもなお返還の可能性がある、そういう判断も一方には生まれてくるわけであります。原則的に、ただ小笠原、沖縄は一体となっておるのだ、一体として返してもらわなければならぬのだというのとは違った意味も生まれてこようかと思います。また一方におきまして、もし小笠原が先へ返還されるということになると、そこでもって話がおしまいになってしまって、沖縄のほうはそれじゃいままでのまま、こういうことで、もう日本のほうで小笠原だけで満足して、沖縄のほうは黙ってアメリカにまかしてしまうのだというようにならぬとも限らないという心配も一面出てくるわけであります。私どもは、たとえそういうふうになって、小笠原のほうが返還がやさしくて、あるいは実現が早くなろうとも、これは決して沖縄を黙って固定化さしてしまう、いまの状態で固定化さしてしまうということも意味しないし、また、それによって沖縄の返還を促進することにもなるという考え方も持つわけでありまして、そういう点から考えて、沖縄の返還と同時にこれを要求する。しかし、現実に段階的に返還が行なわれるという場合もあり得るというふうに考えておるのですが、外務大臣はそういう点についてどうお考えになるか。
#9
○国務大臣(三木武夫君) 小笠原の問題は、戦略的には、これはアメリカ側ともよく話し合ってみる必要があるでしょうが、軍事施設が沖縄と違うことは事実です。軍事施設、だれの目にも明らかです。そういうことですから、われわれとすれば、小笠原、沖縄というものを一体にして施政権返還ということが政府の目標ではあるけれども、その問いろいろな可能性というものがないか。その可能性というものは、施政権返還に一歩でも近づき得るような可能性があれば、これはどういうことでも解決のために努力をしたいということでございます。その可能性は何かと、いろいろ可能性をまだ検討の段階で申し上げることも私は適当ではないと思いますが、とにかく施政権の全面返還に向かって一歩でも近づき得るようなことは、何でも政府はそれをそういうふうな問題の解決に努力をしたい、その間あらゆる可能性というものも政府自身としても検討をしたい、こういうのがいまの立場でございます。
#10
○岡田宗司君 小笠原の問題につきましては、もう一つ、これは返還の問題の前にやはり解決されなければならぬ問題として、日本にいまおります島民諸君が帰れるようにする、その問題があると思います。で、日本が負けましてアメリカ軍が小笠原を占領しましてから日本に引き揚げてまいりました小笠原島民のうちで、まあ、ヨーロッパ・オリジンの人たちを戻し、それから混血児を戻して、純粋の日本人は戻さないということでずっと続けてきました。で、その間島民の間から非常に帰りたいという話がありまして、そして、これにつきましてまあいろいろ問題が起こり、アメリカ側ではその人たちを帰さないというふうに、あるいはまた、その人たちの財産であった土地や何かの問題等についての考慮からでしょう、一定の金額を出したわけでございますが、それで私は島民が向こうへ帰る権利を放棄したものであるとは考えないのです。やはり島民が向こうへ帰りたいという希望は、人道上の見地からいたしましても、私は一日も早く実現しなければならない問題だと思っておるわけです。この点について三木外務大臣は、いままでアメリカ側と交渉等をせられたが、今後この問題はやはり返還問題と切り離して取り上げて解決をはかる意向はあるかどうか、その点をお伺いいたします。
#11
○国務大臣(三木武夫君) 私があらゆる可能性と言う中には、やはり島民の帰還という問題もその中の一つの可能性として検討を加えたいと思っておる点でございます。
#12
○岡田宗司君 沖縄の問題につきましては日米協議委員会もありますが、小笠原の問題についてはそういう機関はないのでありますけれども、これはそういう日米協議委員会のようなところで論ずるのではなくて、直接アメリカの国務省ですね、つまり、アメリカの政府の外交機関と交渉される、こういうことになりますでしょうか。
#13
○国務大臣(三木武夫君) 当然にこの沖縄、小笠原という問題を一体として政府は考えておるわけですから、日米の首脳部の会議のときには、そういうところにおいて小笠原問題なども話し合うことになるということでございます。
#14
○岡田宗司君 いままでは何ら島民の返還問題、帰還問題について具体的な話はされておらない。まず総理のアメリカ訪問によって包括的な話をして、それから具体的な話に入る、そういうことでございましょうか。
#15
○国務大臣(三木武夫君) これはまあ包括的と申しますか、常に日米の首脳会談のときには沖縄、小笠原問題というのはやっぱり話し合いの題目になっておるわけでありますが、それは単に包括的ばかりではなしに、いろいろ話し合いが行なわれたと思いますが、しかし、われわれとしてもこういう状態がいつまでも続いていくということは不自然であるという感じは持っておりますから、政府のほうとしても、もっと具体的にあらゆる可能性を検討して、まあ話がいままでなかったということではないですが、もう少し具体的な問題として話し合う必要があると考えております。
#16
○岡田宗司君 沖縄の問題につきましては、自民党の中におきましても、さっき申し上げましたように、段階的な施政権返還の構想も示されましたし、それからまた、森長官はやはり政府の一員として教育権の返還の問題に対して非常に熱心に働かれたわけであります。小笠原の問題につきましては、いま三木大臣の言われましたように、あまり具体的に話は進められておらなかった。で、まあ両方に関係する人の数も非常に違いますから、もちろん、あるいは沖縄の問題ほど大きいというふうには考えられないかもしれないのですけれども、しかし、事の重要性という点、性質から言えば、私は同じだと思うので、この点についてはさらに具体的にどういう方法で話をしていくか。特に小笠原の島民諸君の帰還の問題を一日も早く、これは返還の問題と切り離して、そして解決せられるように努力を願いたいと思うのであります。軍事上あまり重要でもないようにも思うし、軍事施設等もない。しかも、前に持っておりました土地等は全く荒れておるというような状態のままほうっておくということは、これは何といったって人道的な問題として解決されなければならぬ問題であります。ひとつそういう点で一そうの御努力をお願いしておきたい。
 次にもう一つお伺いしたいのは、五月にインドネシアの付近でもって沖縄の漁船が二度にわたって捕獲されました。そしてその船並びに乗り組み員がアンボンに抑留された。その後私ども、委員会におきまして外務省が交渉をしておるという報告は聞いたのでありますが、いまだにどうなっておるのかということについてお伺いしていないので、その後の状況、それから、帰してもらうのにどこに一番むずかしい問題があるかということについてお伺いしたいと思うのです。
#17
○国務大臣(三木武夫君) 私、いまの時点においての状態はまだ報告を受けてはいないのですが、政府委員から事情を御説明申し上げます。
#18
○政府委員(東郷文彦君) インドネシアに抑留されました二隻の沖縄漁船につきましては、前回も御報告申し上げた後、引き続きジャカルタにおいてインドネシア当局とかけ合いを続けておりますが、遺憾ながら今日までまだはっきりした進展がございません。最近二隻の船がアンボンからジャカルタに回航されたという情報がつい一両日前ございましたので、これについて目下確認中でございます。実際問題としてジャカルタとアンボン、双方のインドネシア側の連絡も必ずしも満足でないようでございますが、もしこれがジャカルタに回航されたということになりますと、今後の話し合いも非常に早くなるのではないかと期待はしております。努力は続けておりますが、今日までのところ、遺憾ながらまだ成果は出ておりません。
#19
○岡田宗司君 船は回航されたが、人はアンボンにおるのですか。それとも人もジャカルタに回されたのですか。
#20
○政府委員(東郷文彦君) 実は、船が回航の命令を受けたという情報がございましただけで、詳細はまだ確認中でございますが、もしそれが事実とすれば、おそらく船員も乗って、船員の手で船が回航されたのだろうと思いますが、その点も未確認でございます。
#21
○岡田宗司君 こういう問題はひとつ早く努力をして解決の方法を見出していただいて、沖縄の人たちの不安というものを早く取り除いてもらいたい、こう思うわけです。私の質問はこれで終わります。
#22
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#23
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
#24
○稲葉誠一君 沖縄の日本返還の問題でいろいろな類型といいますか、それが考えられると思うわけですね。即時全面返還から、いわゆる基地つきですかの全面返還とか、分離返還とか、いろいろな類型が考えられますね。具体的に言って、どういうような形といいますか、そういうふうなものが考えられるかというところからひとつ御説明を願いたいと思います。
#25
○国務大臣(三木武夫君) これは、具体的に施政権の返還というものはどういう方法が考えられるかということを一々ここで列挙してひとつ説明してもらいたいという質問は、非常に私はまだこの段階では無理だと思うのですが、政府のほうとしても、将来、沖縄問題の懇談会ですかな――沖縄問題懇談会などもつくりたいというような意向も持っておりますし、まだいろいろな可能性を検討しておる段階でありますから、固まらないときにこういう問題、こういう問題というものを提起するということは、私は時期として適当でないと思います。しかし、私が岡田さんの質問に答えましたのは、施政権の全面返還である、これに一歩でも近づけることは何でも努力をして解決をしたい。たとえば、こまかいような問題であっても、いろいろ、日の丸の問題にしろ、旅券の問題にしても、あるいは外交保護権の問題にしても、日本国籍の問題にしても、こういうこともその中には入っておるわけです。あるいはまた、施政権返還と直接関係はないようですけれども、やがては沖縄は日本に返ってくるわけですから、そのときに沖縄が非常に極度な基地経済というものに依存したような形では、これはやはり返った場合に困るわけですから、できるだけ自立経済に向かっていくような努力もしなければなりません。そういう意味において日本のいろいろな協力というものが必要になってきて、沖縄の財政的な援助なども、経済ばかりでなしに、社会的の面においてもあまり格差がつき過ぎておるということもいけませんから、そういう点で財政的な援助もしておる。あるいはまた、自治権の拡大というような問題についても日本政府が努力をしていきたい。こういうことが、一歩でも近づけたいという願望の中には、すべてこういうことも一切含まれておる。直接施政権の返還に関係のないことであっても、将来沖縄が返還された場合の混乱が起こらないような努力の一切を、一歩でも近づけるための努力と私が称しておるものだと御解釈を願いたいのでございます。
#26
○稲葉誠一君 それはわからないこともないのですけれども、やはり考えられるのはいろいろな場合があるわけでしょう。そういう場合をいろいろ想定しておるわけですね。その場合の中のどれをいま日本の政府がとろうとしているかということまで直ちに聞くというわけには私はいまの段階ではいかないとは思いますけれども、それはもう常識的に考えても即時全面返還の問題もあるし、それから核基地をそのままにして全面的に返すというような問題もあるし、分離的な返還の中に、地域的な返還とか機能的な返還とか、いろいろ考えられますね。これは常識的な考えだと、こう思うのですね。その一つ一つとって、その一つ一つについてどういう問題があるかとそこまで私はいまの段階で聞いてくれるなというか、外交の問題でもあるからと言うならば、私もそうこまかくは聞かないつもりですけれども、じゃあ、そこで大臣時間の都合がございますので、私がお伺いしておきたいのは、アメリカは日本に対して沖縄を返還する義務があるかどうか。
#27
○国務大臣(三木武夫君) 稻葉さんなかなか法律の専門家で、法律的な御質問であればこれはいろいろ専門家がおるんでしょうが、義務といいますか、とにかく歴代の大統領が沖縄は日本の一部である――私は一昨年佐藤総理と一緒にアメリカへ行ったのですが、ジョンソン大統領も、一日も早く日本国民の願望に沿い得るような極東情勢の安定を望むとか、まあことばはそのとおりは覚えていませんが、そういう発言をしておったのも私聞いておるわけです。こういうことは一つの義務というと、まあ法律的な用語で言われるならば、これはいろいろ二平和条約から引き出してこなきゃならぬでしょうが、少なくともアメリカが日本に沖縄、小笠原というものを返そうという意思のあることは明らかであります。われわれとしては返してもらいたい、こういう意図を持ち、アメリカもこれを返そう、こういう意図がある。このことがやはり私は大事なことである。両国の意思が、やはり日本は返してもらいたい、アメリカは返そう、こういう意思を両方が持っておるということは、沖縄、小笠原問題を解決するこれが出発点になっている。そのことが平和条約の第三条においてもやはり裏づけになっているというふうに考えておるわけでございます。政治的な答弁です。あなたが法律的にいろいろ言われるならば、また。
#28
○稲葉誠一君 そうしますと、いまの三木さんの言ったことは政治的答弁としていいですけれども、そうすると、アメリカは日本に沖縄を返す、法律的義務はあとの問題としてまた聞きますよ。政治的な面においては一つの義務があるというふうに考えてよろしいと、こういうふうに承ってよろしいですか。
#29
○国務大臣(三木武夫君) 義務ということばは法律的な用語ですから、意思を持っている、意思、ウィル――意思。
#30
○稲葉誠一君 アメリカがそういうウィルを持っているわけですね。じゃ、そうすると日本はあれですか、アメリカに対して願望しかできないのですか。そこがぼくは問題だと思うのですよ。いままでの佐藤・ジョンソン会談でも何でもみんな、あるいはケネディの声明を見ましても、全部日本は願望ですね。願望というのはお願いですわね。それしか日本はないのかということですよ。ぼくはそこに基本的に問題があって、これはもう沖縄返還を求める日本の政府の態度というものがそこから当然出てくるというか、分れてくるのですよ。だからお聞きをしているので、そうすると、三木さんの御答弁は政治的な義務というのではなくて、そういうアメリカは返す意思がある、これがいまの答弁だということですね。じゃ、アメリカが日本に沖縄を返す義務があるかどうかということ、これは法制局なり何なりからひとつしっかりとした答弁をお願いしたいと思います。これはどっちでもいいですけれども。
#31
○国務大臣(三木武夫君) 条約局長の答弁の前に、私自身もそういう場面の雰囲気に立ち会いましてね、稻葉さんの言われた、何か日本がお願いします、向こうはよし考えてやろう、そういうものではないのですね、この問題は。その雰囲気を見ていると、やはり日米間で協議をしておる、日米間のこれがやはり協議の議題になっておるということで、こちらのほうは、お願いします、向こうは腕を組んで、考えてやろう、そんな雰囲気じゃないのですよ。日米の友好国間におけるこれは日米間の最大懸案の一つですから、これをお互いに何かいい解決方法はないかといって協議をするというのが雰囲気の実情を目で見ている私の感じで、何か、下から、お願いします、お願いします、向こうは腕を組んで、追って考えましょう、そういう雰囲気じゃないということ。実際問題としては、両方ともこの問題を何とか解決したいという意図を持ちながら、いろいろな客観情勢もありますから、そういうことも頭に入れながら両方が協議をするというのが雰囲気でありまして、何かこう、願う者とこれを何か決定する者との上下の関係における話し合いというものではない。事実目撃者の私が話をしておるわけであります。
#32
○政府委員(藤崎萬里君) 南方領土の場合には、北方領土の場合と違いまして、法律上の権利に基づいて要求するという関係にない。そういう意味において、願望しあるいは要請することしかできないということは、そういう意味では御指摘のとおりだと思います。
#33
○稲葉誠一君 そこで私は問題が出てくると思うのですね。そうすると、ぼくはいまの質問ね、実は質問しながら考えているんですよ。これがどういう影響を及ぼすかということを考えるものですから、ちょっとぼくの質問も、率直な話、切れが悪いところがあるのです、ちょっと。思うのですが、いまの条約局長の答弁でわかりました。そうすると、問題は平和条約三条の問題になってくるわけですね。三条は、一体条約ですね。条約というのは対等な立場で結ぶものですね。そうすると、日本が沖縄の施政権をアメリカにゆだねるということは、あれですか、日本のほうから希望をして平和条約三条というものができたんですか、そこはどうなんですか。
#34
○政府委員(藤崎萬里君) 平和条約は、前からよく申し上げておりますが、戦勝国と戦敗国という関係に基づいて結ばれたわけでございまして、実際上にも、平和条約の条項というものは連合国間では交渉されましたけれども、日本との間で交渉されたものではないわけでございます。押しつけられたと言ってしまえば、そういうものでございます。第三条もその平和条約の一部であるわけでございます。
#35
○稲葉誠一君 そうすると、アメリカは日本に対して沖縄を返還する法律上の義務はない、したがって、アメリカがそれを返すかいなかということはアメリカの一方的意思にかかっているのだと、こういうことになりますか、せんじ詰めると、法律的には。
#36
○政府委員(藤崎萬里君) せんじ詰めれば仰せのとおりだと思います。ただ、それじゃどうにでもかってにアメリカはできるかというと、そうではなくて、日本の潜在主権というものはあるわけでございますから、第三条に従って信託統治の提案をするとか、あるいは現状を継続する、しからざれば日本に返還するしかないわけでございます。そういう意味の制約は持っておるわけでございます。
#37
○稲葉誠一君 そんなことを言うからまたおかしくなってくるのですよ。信託統治の提案をするというのはアメリカの義務じゃないでしょう。どうなっているのですか、その点は。
#38
○政府委員(藤崎萬里君) 信託統治の提案をすることが義務だというふうには申しません。三つのうち一つしかやれることはないのだということを申し上げたわけです。
#39
○稲葉誠一君 あまりこの質問を繰り返していますと、ぼくは問題がちょっといろいろな影響というか、波及してもいけないと思うのですが。
 で、いまの答弁がありましたから、一応これは私はこの程度にして別の問題に入りたいと、こう思いますが、そうすると、沖縄の返還を日本がアメリカに求めるときには、沖縄県民の意思なり日本本土の国民の意思、これを十分にくんで返還請求するわけですか。当然そうなると思いますがね。そこはどうなんでしょうか。
#40
○国務大臣(三木武夫君) それは稻葉さん、だれも返還してもらわなくともいいと言う人はないと思います。したがって、そういう点では早期返還という、政府のアメリカと話をする場合の日本の基本的な立場としては、これについては国民の合意はすでにあるということですから、これがどういう方法論ということになればですね、方法論というものを、返還というものに対して、一気に全面返還と行かない場合のいろいろな可能性というものを考えて、そうしてそういう返還の方式をとるとなれば、これはやはり日本の国民の意向をくんで、その上に沖縄の住民あるいは日本国民のこの考え方、こういうものの上に立った政府の政策決定であるべきことが、これは民主主義のプリンシプルだと思います。
#41
○稲葉誠一君 それはわかりますが、私の質問のしかたが悪かったのですが、私の聞いているのは早期返還、これはもう完全に返還してほしいというのはこれは当然の国民の意思ですから、それはそうなんですが、いま言われたいろいろな形のものがあるわけですね。その形の中で一体どれをとろうかと、日本の政府がアメリカに要求するときに――要求ということばではないかもしれませんけれども、そういうことをするときに、そのとき沖縄県民なり日本の国民の意思というものを十分尊重をしてやられるのですかと、こう聞いているわけです。これはあたりまえのことだと思いますけれども、そういうことをお聞きしているわけです。
#42
○国務大臣(三木武夫君) 当然に沖縄の住民、日本国民の意思を尊重しながら、これは政治の最高級の決定に属するべきことだと、これはね。
#43
○稲葉誠一君 そういうことになれば、現実に沖縄の返還交渉を進めているわけでしょう。これからも進めるのだから、沖縄県民なり日本の国民が、沖縄の返還についていろいろな形式、方式があるその中で、どれを一番希望しているかということを、当然政府としてはキャッチしているはずでしょう。キャッチして初めてアメリカに対して要求できるわけですね。だから、そこをどういうように把握しておられるかということを私お聞きしたいことが一つ。
 それから、外務大臣が向こうに行かれるということで、もう一間だけしますが、いま私は平和条約の三条のことについて質問しました。ぼくはこれに対して非常に大きな疑問というか、あれを持っているわけですね。ですから、当然平和条約の三条というものを、アメリカは沖縄を返還する義務があり、日本はそれを要求する権利があるというように改定をするという、これは平和条約三条、ぼくら無効論をとっておりますけれども、現行のものを一応有効と見た場合として、そういうような改定ということを進めることの意思があるかないかということですね。この二つだけ大臣向こうに行かれる前にお聞きしておきたいと思いますが。
#44
○国務大臣(三木武夫君) この沖縄、小笠原の返還問題についていろいろな意見が出ていることは、これは政府も関心を持っているわけであります。しかしながら、これについて一つの国民的合意といいますか、これが、もうこれだ、これよりほかないという合意が成立しておる段階ではないと私は思っております。ただしかし、最近の傾向として、沖縄、小笠原の返還問題がかなりみんなが具体的な問題としてこれを検討するという風潮が国内に生まれてきていることは事実ですわね。しかし、これがいろいろな提案がなされても、もうこれだといって国民の多数の合意が成立しておる段階ではない。したがって政府は、政府自身もあらゆる可能性を検討しなければならぬし、世論の動向についても政府は鋭敏に目を注がなければならぬ段階であると考えております。
 それから第二の、平和条約第三条を再び改正するというような意思は持っておりません。やはりあの平和条約の三条において、アメリカの意思も日本に返したいというのですし、アメリカが日本に今度返す場合は、おそらくまあ信託統治という手数は、信託統治にするという、そういう回りくどいことは私はアメリカはしないと思っております。われわれも望みません。今度返すときには、もう直接アメリカから返還を受けたいというのがわれわれの立場でありますから、したがって、いまこれを改正をどういうふうにするのか。平和条約の改正というような手続が、これは法律的にいろいろ検討を要する面がありましょうが、とにかくそういうことを日本の政府は考えてはいない。むしろ、いろいろな条件の中においてどうしたならば施政権の返還に近づき得るかという問題を具体的にこれは処理していきたい。いまさら、平和条約三条の条約改正とかなんとか、そういうふうには考えていない。考える場合は、もっと端的にアメリカから施政権を返してもらいたい。こういう目標のもとにわれわれは日米交渉を進めたいというのがわれわれの立場でございます。
#45
○稲葉誠一君 まあ、外務大臣は二時から衆議院の本会議に入られるということですから私も時間を守りますが、いまのおっしゃったことは、私はその前提として、当然アメリカが日本に沖縄を返すという義務をはっきりさせなくちゃいかぬと思うのですよ。そうでなければ領土不拡大の方針に反するのですよ。われわれは平和条約無効だと考えますよ、三条は。しかし、そう言ったってあなた方はそうとらないからそれをはっきり明示させろと言っているわけです。だから、これはぼくはいろいろな面で一つの問題点だと思います。きょうはあれですから、別な機会にゆっくりやりたいと、こう思います。
 そこで防衛庁長官だけがお残りになっているわけですけれども、沖縄はアメリカが施政権を持ってあすこで基地を築いているわけですね。それが日本の防衛といいますかにとってどういうプラスになっているのか、マイナスになっているのか、影響があるかというようなことですね。これは防衛庁長官のお仕事だと思うので、そこからひとつお伺いしたいと、こう思うのです。
#46
○国務大臣(増田甲子七君) 沖縄に基地があるということは、極東の平和並びに日本の平和と安全を確保する意味からして重要な意味がある、こう考えておる次第でございます。具体的なことは、また御質問があれば、順次お答えいたします。
#47
○稲葉誠一君 順次私のほうから質問するのじゃなくて、まとめてあなたのほうからいまの問題――ちょっと抽象的な問題ですよね。何か試験問題みたいで悪いのですけれども、具体的にどうなっているのか。極東にどうなのか、それから日本にどうなのか。それをひとつまとめてお答え願えませんか。まず極東は別にしましようか。日本の防衛に対してどういうプラスがあるか、マイナスがあるかということですね。
#48
○国務大臣(増田甲子七君) このごろ核基地があるかどうかというような御質問もありましたけれども、私はまず一番重要な意義のあるのは、端的に申しますが、ポラリス型の潜水艦の補給基地になっておると思います、これは想像でございますが。そういたしますというと、ポラリス型のポラリス・ミサイルというものはMRBMと同じくらいの距離でございまして、しかも、核弾頭は一メガトンをつけ得るということに相なっております。それが八発ずつ十六発つくわけでございまするから、それが西太平洋海域を七、八隻は遊よくしておるというお話でございます。そこで、台湾とか、あるいはフィリピンとかいろんなことが考えられまするが、わが国はポラリス型の潜水艦の入港ということを拒んでおります。そこで、沖縄の基地に入港しておそらく補給をしやせんか、これが一番大胆に考えて、あなたに率直にお答えする点でございます。
 それからその次に、メースBはやや時代おくれの感のある兵器でございまするが、向こうのほうでも製造を停止しておるようでございますが、しかし、これも備えつけをしたらしくございます。すなわち、射程距離は二千二百キロというのでございまして、相当程度ありますが、これがあなたのいつもおっしゃる、核戦争を抑止できる力になっておるんじゃないかと思います。抑止ということはじゃまということなんです、率直に申せば。つまり、そういうことをじゃまして戦争がないようにするということですから、これはけっこうなことなんです。そういうような意義はある、こう考えておる次第でございます。
 それからなお、一般のアメリカ海軍の補給基地になっておりまするし、それから航空隊の存在もあるわけでございます。それから通信基地にも相なっております。でございまするから、やはり日本の平和と安全を守る意味におきまして、沖縄に基地があるということはためになっておる――重要な意義になるということを申さずに、率直なことばで私は申し上げますが、ためになっておるというふうに私は考えます。
#49
○稲葉誠一君 日本の安全は日米安保条約によって守られているのでしょう。それで完全だと、こういうわけなんでしょう。そうですね。そんならば、沖縄の基地ということは別に安保条約とは関係ないんだから、日本の防衛にとってウエートがあるというふうには考えられないんじゃないですか。
#50
○国務大臣(増田甲子七君) お答えいたします。稻葉さんは日本におるアメリカの陸海空の――もっとも陸軍は補給部隊がおりません――陸海空の軍隊と、日本にある日本の陸海空の自衛隊とで完全であると私は思っておりません。これはやっぱり東洋水域を、あるいは東洋空域を遊よくしておる、あるいは東洋の方々の陸上部隊もアメリカにございまして、一たん有事の際には日米相互協力及び安全保障条約三条によって共同に防衛する、こういうことで日本の防衛が初めて成り立つわけでございまして、日本の安全が初めて保障される。日本にあるわずか四万のアメリカの陸海空の軍隊と、日本におる二十五万の自衛隊とで日本の平和と安全とを守っておるとは私は考えていないのでございます。その点がちょっとあなたの御所見が違うのではないでしょうか。
#51
○稲葉誠一君 そうすると、あなたとしては、アメリカが沖縄を日本に返さないのは、一番おもな理由はどういう理由だというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうかね。
#52
○国務大臣(増田甲子七君) やっぱりそういう意味合いにおきまして、日本と極東との平和を保持する上に沖縄の基地は役に立っておりまするから、その役に立っておる状態があまり変更されるというような状態であれば返しにくいということになりはせぬかと、こう私は思うのでございます。
#53
○稲葉誠一君 役に立っているというのは、そうすると、何に対して役に立っているということになるのですか。ただ役に立っているわけはないでしょう。何に対して役に立つということになるのでしょうね。
#54
○国務大臣(増田甲子七君) 先ほどの続きということにお考え願いたいわけでありますが、つまり、核戦争の抑止力というのは何ぞやとおっしゃいましたが、核戦争をどこかでしかけてくる、かかる問題について、こちらにじゃまをする力があればしかけてきませんから、そこで抑止できる、こういうわけで、抑止力が減衰するようなことがあれば、やはり率直に申して、返しにくいという状態になるのじゃないかと私は考えておる次第でございます。
#55
○稲葉誠一君 ぼくの言うどこに対してというのは、何に対してという意味は、どこのたとえば地域だとか、あるいはどこの国とか、そういうことに対して沖縄基地が役に立っているか、そういう意味でお聞きしているわけなんですよ。抽象的ではなくて、ちょっと具体的になってきたと思うのですけれども、そういう形でお聞きしているわけなんです。
#56
○国務大臣(増田甲子七君) どこの国、どこの国ということは申しませんが、いま核兵器を開発しておる国はアメリカとソ連と英国、これが水爆まで開発しておりまするが、それから中共とフランスとが原爆を開発しております。しかしながら、中共が水爆をつい最近今月の十七日にやったということで、まだわれわれは調査中で、どの程度のものであるかどうかわかりませんが、そういうようなやっぱり核兵器の脅威というものは至るところに存在しておるというわけでございます。どこの国ということは指定いたしませんが、しかし、日米共同で、これらの諸国からもし核兵器の侵略があるならば侵略がないようにし、じゃまをする力、すなわち抑止力でございます。そういう意味において、やっぱり沖縄はその一環として役に立っておると考えておる次第でございます。
#57
○稲葉誠一君 いまあなたのお話の中で、フランスが出てきましたね。フランスが原爆を持っておる、水爆を持っておる、それに対して沖縄の基地は抑止力としての働きがあるのですか。
#58
○国務大臣(増田甲子七君) フランスはまだ水爆を持っていない模様でございます。
#59
○稲葉誠一君 フランスの持っている原爆に対しても沖縄の基地は抑止力がある――いまフランスの例をあなたがあげられましたから、どうしてそういうのをあげられたのかなと思ってぼくは不思議に思ったわけですから、あげられたのでお聞きするわけですが、それに対して沖縄の基地は核抑止力としての効果を持つのですか。
#60
○国務大臣(増田甲子七君) とにかくまだ核拡散防止条約にも入っておりませんし、軍縮もまだ実現しておりませんし、しかも、開発するでしょうし、今度中共がやったときに、おれのほうは三、四年おくれたと言ってフランスもくやしがっておる状態でございますが、私は特定の国はさしませんが、日米安保体制のもとにおいて核戦争がないようにこれをじゃまする力が米国の核の力であると、こういうふうに申し上げるわけでございます。
#61
○稲葉誠一君 問題がそれてきましたのでもとへ戻しまして質問しますが、私はなぜそういうことをお聞きするかといいますと、実はあなたのところの官房長の海原氏が、「国防」という雑誌――あなたのところで出しておるわけでもないか、事実上出しておるようなものですね、ちょっと違うかもしれませんが、去年の三月号ですね、「防衛に関する諸問題」ということで講演したものが載っているのですよ。これはまさかうそだとは言わないでしょうけれども、これの中にいろいろ問題が私はあると思うのです。ぼくは決してそのことをつかまえて、何といいますか、変な難くせ――と言うとことばは悪いですけれども、そういう中であれするという意味じゃないですけれども、ここにあらわれている考え方がね、ぼくは防衛庁の考え方だと思うんですがね。その点を確かめていただくために聞くんですが、こういうふうなことを言うわけですよね。これはね、日本新聞協会の新聞講座で「防衛に関する諸問題」と題して行なった講演の内容が、「国防」というあなた方と密接な関係のある雑誌に載ってるんですね。最初のころは、「国防は国民全般の問題」だと、「理論と感情」、いろいろのことを言ってるんですが、「理想と現実」の話をしているわけですね。その中でですね、現実の事態はどうかということで、ソ連と北鮮と中共という国々の軍備の状況をずうっと説明しているわけでしょう。いいですか。そうして、そのことをずうっと説明した中でですよ、「以上のことから、私は、直接侵略、間接侵略の危険は十分ある、脅威はすでに現存していると考えております。しかも彼らは、」――「彼らは、」というのは、ソ連と中共と北朝鮮でしょう、この言ってるのは。そういうふうに見えるんですよ。いいですね。ソ連のことを言って、北朝鮮のことを言って、中国のことを言ってるんですからね。「しかも彼らは、日本の国民はアメリカ帝国主義の手かせ、足かせの中であえぎ苦しんでいるとみているので、これを解放することは、彼らにとっては当然の正義であるはずであります。
 われわれは、かつてそのような行動をとったのであります。三十年前、日本はアジアに新秩序を建設し、王道楽土を建設するという旗じるしのもとに、大陸に兵を進めたのであります。われわれは決して領土的な野心があったわけではありませんが、諸外国からは犯罪であるとして断罪されたのであります。われわれはそれを正しいことと考え、国をあげて目的達成に努めたものでありました。とすればおなじことがわれわれに対して行なわれないとは、誰が保証できるのでありましようか。」云々というんですね。これはその中のぼくは中心だと思ったところですけれども、全体の中の一部分ですからね。これはあなたのほうで、当然これは全部を読まれてからでないというと、率直に言って、判断しにくいかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、そうすると、これはあれですか、こういう考え方に立って日本の防衛を考えておられるわけですか。いいですか。「直接侵略、間接侵略の危険は十分ある、脅威はすでに現存している」、そこら辺から始まるんですよ。「彼らは、」というのはいまの三つですね。そういうことを言ってますよ、これ。そういう考え方ですか。
#62
○国務大臣(増田甲子七君) 海原君の論文というものは、私は必ずしも賛成しておりません。その前半である、世界の王道楽土をつくるために東洋にまず共栄圏をつくるというような思想でわれわれがやりだしたかどうかということは、私は太平洋戦争につきましてははなはだ疑問とするところでございます。太平洋戦争自身も、また解明しようとすれば、これは大会議になると思いますから、そのあべこべのことを考えると、自分が何か悪いことをしたから、相手から悪いことをされるんじゃないかといったような、そんな、あのときの太平洋戦争のことは後世史家の判断にゆだねたいと思っております。そこで、このことには批判は避けておきます。
 そこで、そのことの関連において、あべこべのことがあり得るとは考えていないのでありまして、むしろマルクスが言ってるように、われらは暴力をもって現在の秩序を転覆しなければならない、われらは暴力をもって全世界を獲得しなければならないと、これがほんとうの基本的な共産主義だと言っておるんですから。それからまあいろんな問題点も出てきます。修正も出てきます。修正主義者はこれは保守反動だとかいろいろ言われておりますが、その基本なところは私どもはやっぱり用心をしなくてはならない。どこの国がやっておるかわかりません、マルクス主義を奉じておる者がですね。やはりゲヴァルトザーマー・ウムシュトルツということを言ってるんですから、ヴァィオレンスということを言ってるんですから、ヴァイオレンスをもって現在の秩序を転覆しなければならない。われらは全世界を獲得しなければならない、全世界の無産階級よ、団結せよと最後のことばにあるんですから、このことばがある以上、このことばは、私はまだ、マルクス主義を全然修正して、やめたということを共産主義国から聞いていないわけなんですよ。共産主義国家でない、まだ全体主義国家であって、ミリタントで、エクスパンショニストで、軍国主義的であって、膨張主義的であるという国はないとは言えないのでございますから、そういう国々に向かって日本の国を守り、一億国民を今月今夜もまくらを高くして眠らせる、それが自衛隊の任務である、こう考えておる次第でございます。
#63
○稲葉誠一君 マルクスの話はこれはまあ別のことにして――それはマルクスがいつ言ったのですか。――まあいいです、それは。
#64
○国務大臣(増田甲子七君) 一八四八年です。
#65
○稲葉誠一君 それは、一八四八年というのは共産党宣言のときでしょう。共産党宣言が出た年だ。そうでしょう。まあそれはいいですけれどもね。そのマルクスの話はきょうは別として、ただ、ぼくの言っているのは、いま言ったことの前半の問題ですよ。直接侵略、間接侵略の危険は十分にあるのだ、脅威はすでに現存していると考えておる。しかも彼らは、日本の国民はアメリカ帝国主義の云々だから、これは彼らの正義であるというようなことを言っているのですがね。その前の「彼ら」と言ったのは、いま言った三つの国でしょう、海原君の言っているのは。それらの国から直接侵略、間接侵略の危険は十分にあって、その脅威はすでに現存していると、こういうふうに防衛庁も考えているのかと言うのですよ。あなたの話を聞くと、そういうふうにとれるのですね。現存しているのだ、だからしっかり守るのが防衛庁の任務だと、大いに気勢をあげているのですが、そうでしょう。そういうふうにとってよろしいですか。
#66
○国務大臣(増田甲子七君) 私は特定の三つの国ということをさしていないのでございまして、要するに、軍国主義的であり膨張主義的である国家に対しましては警戒をしなくてはならない。そのための最小限度の防衛力を持っておるのが日本の自衛隊で、これではとてもいけないからというわけで、共同防衛、すなわち日米安保体制のもとにおいて最小限度の防衛力を持っておるのが自衛隊でございます。これは国民を守る上からいって、まことにもって自衛隊に対して私は気の毒なくらいな実力でございますし、国民に対して申しわけないくらいの実力ではございます。しかしながら、財政経済、その他国力、国情に照らしてこの辺でがまんしようと、こういうことでございます。
#67
○稲葉誠一君 あなたとお話ししていますとね、話が、何ですかね、いや、それは野球やっておっても、ピッチャーがたまを投げるでしょう。あなたのはどこへ行ってるかわからないですよ。ファーストのほうに行ってるのか、何かスタンドの中にボール投げているみたいでね。もう少しちゃんと、バッターボックスのバッター目がけて投げるような答弁をしなくちゃいけないですよね。そう
 いう、外野というか、スタンドに投げるような答弁しているのが大ものだと言われるゆえんかもしれないが、ちょっと大ものにしては……。(笑声)
 そういう点はですね、まあここら辺でそれはよしますね、あまり個人的なことにわたっては失礼ですから。私はあなたを尊敬しているのですから。
 そこで、あまり話が横道にそれちゃっているのですが、この中国の水爆の実験や何かね、ああいうのは一体日本の防衛に、ことに沖縄の装備というかね、日本の防衛、そういうものにはあれですか、防衛庁としては影響はあまりないというふうにお考えになっておられるわけですか。
#68
○国務大臣(増田甲子七君) いま放射能塵等を収集いたしておりまするが、どうもろくに出てきませんで、どんな形態のものであるか、やぐらの上でやったのか、あるいはミサイルでやったのか、飛行機でやったのかということもわかりかねる状態でございまして、ほんとうは向こう様でもう少し、アメリカがやったりいろいろしたように、日時等もはっきりしたりいろいろしてもらうと、こちらもわかりまして対処することもできるのですが、ちょっといま、はたして水爆であるかどうかという疑問を持っている人すらございます。そういうわけでございまして、目下、沖縄に対する脅威はどの程度であろうかというようなことはもちろん、日本全土に対する脅威はどの程度であろうかというようなことは研究中でございます。
#69
○稲葉誠一君 それじゃね、また今度はこの「国防」という雑誌ですけれども、ことしの新年号、あなたが何かある記者と座談会――座談会といいますかね、新年のあれでしょうね、「コノ人ト一問一答」というので、あなたのあれが出ているのですね。「大臣ご就任おめでとうございました。」から始まるのですね。「久しぶりに大臣になられて――十五、六年ぶりでしょう。」ということから始まるのですけれども、これはいいですけれども、これの一番最後のところに、中国の問題との関連で、「日本が核装備をしようと思えば、中共の何倍かのものができるんです。ミサイルもある」、こういうふうにあなた言っておられますね。お話ししていられるのですが、これはほんとうですか。「日本が核装備しようと思えば、中共の何倍ものものができるんです。ミサイルもある」と、これはほんとうですか。書いてあるんです。書いてあることがうそだと言えば、また別です。
#70
○国務大臣(増田甲子七君) それは、そう言う人もございます、ということでございます。でございますから、その文章そのままには責任を負えないわけでございまして、そう言う人もございます、ということでございます。日本がやろうと思えば、中共がやっている核爆発なんか問題ではない。その数倍のものがポテンシャリティーとして持っておるのである、と言う人もございますというのを、やはり速記者がそこまでついていけなかったのじゃないかと思います。(笑声)
#71
○稲葉誠一君 あなたのあれはどうですか。あなたの、何というか、識見が豊富で、高邁過ぎちゃってちょっとわからなかったと思うんですね。あなたはどうお考えなんですか、その点について。人の言っていることじゃなく。
#72
○国務大臣(増田甲子七君) 私ではございません。そう言う人もございます、ということを私が話したわけでございます。
#73
○稲葉誠一君 あなたがどう考えるかということです。
#74
○国務大臣(増田甲子七君) 私はよくわかりません。
#75
○稲葉誠一君 こういう点は、よくわからなくても防衛庁長官というのは日本ではつとまるのですか。
#76
○国務大臣(増田甲子七君) 私どもは、岸内閣以来、核兵器はこれを製造せず、これを保有せず、これを持ち込まずという政治の方針を貫いておりますから、これでまずまず無能ながらつとまっておる次第でございます。
#77
○稲葉誠一君 じゃ話が、何といいますか、あまり横にそれちゃって、笑い話になってはいけませんから、ぼくはまじめにいろいろな形で聞いているつもりなんですけれども、そこで一つ具体的なこととしてお聞きしたいのは、いま実は、これは通告をしていなかったのでお調べになっていないかもしれませんが、「あまつかぜ」という護衛艦ですか、三千五十トンの船が沖縄へ行っておりますか。
#78
○国務大臣(増田甲子七君) 最近、ターターの練習のために沖縄のほうへ、もう出たか出るかでございます。いずれにいたしましても、向こうのほうでターターの練習をいたすわけでございます。
#79
○稲葉誠一君 そうすると、これは乗っているのが、艦長が二等海佐ですか。二百九十人乗っているのですか。それが一つ。
 で、ターターの何か発射訓練ですか、に来ているので、それで中城湾に停泊していて、沖縄海域での発射練習を米軍とともにやるんだということが伝えられているのですね、これは事実ですか。
#80
○政府委員(中井亮一君) 去る六月の十七日に横須賀を出港しまして、護衛艦「あまつかぜ」が沖縄海域に出かけております。現在、沖縄の中城湾の東のほうの、沖縄の海軍の射場といわれておりますが、そこでターターの射撃訓練に従事しております。で、仰せのように、艦長は二等海佐でございます。
#81
○稲葉誠一君 これはアメリカの指揮下でやっているの。もちろん、アメリカが施政権を持っているのだから、アメリカの許可を得てアメリカの指揮下でやっているのでしょう。それが一つと、何のためにこういうことをやっているのか。全員で二百九十名くらいというのはほんとうですか。それと、去年もそれをやっているようですね、十一月にも。そういう事実はありますか。
#82
○政府委員(中井亮一君) 昨年も十一月に、現在と同じような訓練のために沖縄に「あまつかぜ」は行っております。この訓練は、向こうのアメリカの訓練施設と資材をお借りして協力を受けて、海上自衛隊自身の訓練のために実習をしておりまして、別に指揮を受けているというようなものではございません。こちらに訓練をする射場だとか施設だとかいうようなものがございませんので、アメリカに頼んで標的を出してもらったり、目標になる飛行機を飛ばしてもらったりというようなことをやっておりますけれども、向こうの指揮下でやっているものではございません。人数は、先ほどお述べになりましたように、約二百九十人になると思います。
#83
○稲葉誠一君 そうすると、去年から今年、その行った目的なり人数なり、そういうようなことを資料として出してもらいたいのですけれども、そうすると、いままで何か戦跡の見学だけだというようなことを盛んに言っておりましたね。沖縄戦跡の見学だけではなくて、現実に訓練に行っているのも陸――はないかもわからない、あるかもわからない。陸海空で、あるのですか、ないのですか。その点、あれば、どういうふうなものがあるのか、しっかり出してもらいたい、こう思いますがね。
#84
○政府委員(中井亮一君) この参議院の沖縄特別委員会では、たしかお話ししたことはないと思いますけれども、ほかの委員会では、昨年、先ほどお話しのありました沖縄の戦跡を見学したり、米軍の施設を見るような、この前に御質問ありました、われわれのほうで現地研修と言っておりますものと同時に、昨年は遠洋航海の帰りに沖縄に寄った例もありますし、それから「あまつかぜ」が十一月に出かけたということも、幾つかの委員会でずっとお話をしております。別に今回初めて国会で御説明しているものではございません。
#85
○稲葉誠一君 戦史の見学で行っているときも、あそこの鉄条網が二重にこうなって張られているところがありますね。あれはまん中辺のところですか、コザの北のほうですが、MPなんかがいて、普通のアメリカ人でも身元証明書を持ってないと入れないところがありますね。あれは航空管制塔ですか、そこのところへ行って、自衛隊が見学ですか、訓練を受けているのじゃないですか。それが一つと、それじゃ去年なりことしの中で、沖縄へ行ってこういうふうな訓練をしている例を、ひとつ表にして資料として出してくれませんか。
#86
○政府委員(中井亮一君) この前にも御説明を申し上げましたとおり、米軍の施設を見学をしている際に、そういうところへ見学に行っている事実はございます。航空自衛隊の人たちが行った場合に、よくあの中を見せていただいていることがぐざいますので、そういうことはありますけれども、そこで訓練を受けている――いわゆることばでございますから、何をもって訓練とおっしゃるかによって内容がちょっと違うかもしれませんけれども、私たちは、見せてもらうということ自身がもうすでに勉強になっていると思っておりますから、そういう意味では、ことばのやりとりになりますが、あるいは訓練とおっしゃられれば訓練だと言われるかもしれませんが、勉強になるということにおいては勉強になっておりますが、しかし、通常私どもが自衛隊で使うような意味の訓練、部隊で何か特別な計画でいろいろやっているというような意味の訓練ということではなくして、中を見学させてもらっているというようなことはございます。
#87
○稲葉誠一君 そこは私の聞いているのとちょっと違いますが、これはきょうはあれにしましょう。見ているだけじゃないようですね。現実に自分でそれを借りて、アメリカの人の説明を聞いてか何かしらんけれども、自分で実際発射や何かやっているのじゃないですか。そういう訓練を受けているのじゃないですか。それが訓練というのじゃないですか、とぼくは聞いているわけです。そういうことがないとも言えないわけでしょう。ただ見ているわけじゃないでしょう。それをひとつ出してもらいましょうかね。
#88
○政府委員(中井亮一君) いまお話しのは、おそらく航空管制をやっているところだと思いますけれども、その場所へ行って、別に何か物をいじる必要はございません。日本にも同じようなものがございますから、何もこれ訓練はすべて受ける必要は私はないと思いまして、現実にそういうことをやっておりません。何を、どういうお話をお聞きになってそういう御質問をしていられるのか、私はよくわからないのですけれども、そういう事実はございません。
#89
○稲葉誠一君 じゃあ、その点については私のほうでもよく調べましょう。私の聞いているのは、このいまあなたの言われたのはただ見学ではないようにずいぶん聞いている。そこら辺のところは、沖縄の現地の人のいろいろな私どもに対する話は、どうもちょっといまの防衛庁の言うのとは違うようにぼくは聞いているのですが、これはきょうはこれくらいにして、総務長官に……。
#90
○岡田宗司君 ちょっと関連して。
#91
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#92
○委員長(山本利壽君) 速記をつけて。
#93
○岡田宗司君 先ほど防衛庁長官のお話ですと、日本にいる自衛隊と、日本に駐留しているアメリカ軍とでは、どうも日本のほうでは心もとない。沖縄にアメリカ軍がいて、そうして、説明されたようなメースBをはじめとしていろいろな装備を持って活動しておる、これで日本の安全が期せられるんだ、こういうお話。日本の防衛にとって沖縄は非常に重要だということを言われた。つまり、アメリカ軍が沖縄におって、そうしてあすこに防衛の施設を持っておることが日本にとって重要だ、こういうことを言われた。そうすると、沖縄を返してくれ、沖縄を日本に返してくれという理由は防衛上の見地からは成り立たないと、こういうふうに考えられるのですが、防衛庁長官の立場は、沖縄はアメリカの手元にあっていまのようであるほうがいいとお考えなんですか。
#94
○国務大臣(増田甲子七君) 岡田さんにお答えいたします。私どもは、同じ同胞九十五万の方が一日も早く日本の施政権下に入ることを熱望しておることは、主務大臣の塚原長官と全然同様でございます。けれども、基地というものが日本の平和の保持に貢献することもまた重要な価値があるわけでございまして、その問題が日本の平和と安全の保持に貢献できるように解決されて、そうして日本の施政権下に九十五万の日本人が早く入るように、こういうことを熱望しておるわけでございます。
#95
○岡田宗司君 そうすると、防衛庁長官の立場としては、沖縄の返還については、アメリカ軍が沖縄にいまのままのようにおり、そうしていまのようなままの施設を持ち、装備を持っておることが必要である、つまり、そういうお考えですか。
#96
○国務大臣(増田甲子七君) 現在の状態においては、その兵員の人数とか、施設とか、あるいは航空機の数だとか、あるいは補給基地だとか、通信施設等は、修正したりいろいろする必要はございましょうけれども、大体から申しますというと、やはりああいう施設を持った基地は必要である、こう考えておる次第でございます。
#97
○岡田宗司君 これは非常に問題があると思います。
#98
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#99
○委員長(山本利壽君) 速記をつけて。
#100
○岡田宗司君 そこで防衛庁長官にお伺いしたいのは、先ほどメースBのことを話された。メースBはやや古くさくなっておる、そうしてアメリカでもすでに製造はしてないとは言われたけれども、これは抑止力である、しかも、日本にとってそれが必要な抑止力である、こう言われた。そうすると、あなたの考えからすれば、沖縄の核兵器を含んだまま日本に返ってきたほうがいい、メースBを日本のつまり施政権の行なわれる沖縄に置いておいたほうがいい。いわゆる核つき返還という考え方にお立ちになっておる。つまり、下田発言に見られる――これは総理もそれから三木外務大臣も否定をしております――その下田発言と同じ考えですか。
#101
○国務大臣(増田甲子七君) 下田発言なるものをよく存じませんが、それからまた総理大臣の発言、外務大臣の発言等を私はよく聞いておりませんけれども、その辺を調和をとっていただきまして、そうしてできるだけ早く日本に返還されることを希望しておる次第でございます。
#102
○岡田宗司君 これ重大な問題なので、今度質問を留保いたします。
#103
○委員長(山本利壽君) 稲葉君、いいですか。
#104
○稲葉誠一君 私も、いまの防衛庁長官の答弁というのは、いま岡田さんがお聞きになりましたけれども、とてもたくさんの問題を含んでいるのですね、あなたいろいろしゃべられましたけれども。ですから、よくみんなで議事録を拝見して、そうしてまた私も質問をさしていただきたいと思います。きょうは総務長官にもっと質問したいのですけれども、時間のあれがありますから、私はこれで終わります。
#105
○春日正一君 総務長官時間がないというので、ちょっと……。
#106
○委員長(山本利壽君) ちょっと、防衛庁長官はけっこうですね。
#107
○春日正一君 防衛庁長官はこの次に聞かせてもらいますから。だいぶ議論を売られたような気がしますから。
 沖縄の渡航の問題ですが、これに限って総務長官にお聞きしたいのですけれども、政府はこの委員会で四月二十一日、沖縄の渡航手続の簡素化、迅速化のための措置が昭和三十九年九月以来現在までに三回にわたってとられているというふうに言っていますけれども、その結果、渡航の実績というものは具体的にどういうふうになっているのか、そこの数字をひとつ示していただきたいと思います。
#108
○国務大臣(塚原俊郎君) こまかい数字でありますから、事務当局から説明させます。
#109
○政府委員(山野幸吉君) 確かにただいま御指摘のとおり、この昭和三十九年の末から渡航会議を定期的に開いておりまして、まあその結果、従来昭和三十九年の初めのころまでは、渡航手続をやりますのに一ヵ月から二ヵ月くらいかかるのが普通であったわけでございます。ところが、そういう渡航会議で促進をはかった結果、現在は大体一般観光の場合には十日以内で大体おりる。そして、そういうものが全体の約八割程度に及んでいるわけでございます。こまかい分類をしますとまだありますけれども、まあ大局的に言いますと、まず期間が非常に短縮になりました。それから渡航の手続の文書でございますが、文書も、当初は三十五項目もの詳しい申請書を書いたんですが、それが最近では十七項目程度に、約半分程度に減ったわけでございます。それから入域許可証の有効期間が六ヵ月であったのでございますが、これを一年間に延ばしてもらいまして、その間に再度渡航する場合には、それを確認してもらって入域する。それから、外国へ行くような場合に沖縄へ途中寄りたい、つまりトランジット・ビザですが、この制度はなかったわけでして、別途申請しなければいけなかったのですが、これが四十年の初めに往路に認められまして、それから、四十一年の春からは今度は帰りも、往復ともそういう七十二時間のトランジット・ビザを認めることになったわけであります。そのほか、政府直属の練習船とかあるいは調査船の乗り組み員の手続を簡素化いたしましたり、あるいは、各省庁の援助業務に従事する職員はそのつど入域申請しておりましたが、これも数次往復で一年間有効の許可を得るようになりました。そのほか、全体といたしまして一般的には非常に簡素化が進んでおる、かように考えております。
#110
○春日正一君 そういうことでだいぶ行けるようになったというのですけれども、実際上ずいぶん許可されないものがあるのですね。それで、最近一年ぐらいで、拒否、保留、あるいはこういうのもあるのですね、きょう行きたい、何かの用事で行きたいと言うのを、実際上引き延ばしちゃって、許可されたって役に立たぬというような意地の悪いやり方もする。私なんかもそれをやられたんだけれども、だけれども、そういうものまで含めて、実際上拒否されたものがどのくらいあるか。特にことしの五月、六月ですね、これに拒否されたものがどのくらいあるか。そこの数字わかっておったら聞かしてほしいと思います。
#111
○政府委員(山野幸吉君) 大体、本土から沖縄へ渡航申請をやりまして不許可になった件数は、四十一年が十九件、四十年八件、三十九年が四十八件、こういうことになっております。それから今年の五月、六月でございますが、申請件数、五月は三千九百二十六のうち不許可は二件でございます。それから六月は三千七百五十五、不許可件数は三十件、保留が三件、こういうことになっております。
#112
○春日正一君 六月が非常に多いのですけれどもね、これ具体的にお聞きしますけれども、私どもは、六月二十二日、きのう、沖縄がアメリカに占領された日だということで、本土でも沖縄でも祖国復帰を要求する大会が開かれた。それで、たくさんの人が沖縄に行きたいと言って渡航申請をしたのですけれども、ずっと引き延ばされて、直前になって、二十四名ですか、若い人たちが許可された。しかし、大部分の人がこれ拒否されて、いまだに回答になっていないということで、もう集会きのう済んじまったというようなことですけれども、こういうふうに、非常にたくさんな日本人が、日本の領土である沖縄に自由に行けないというような状態になっている。国会議員で沖縄対策特別委員である春日正一まで、申請書にちゃんとそれ肩書を書いて出したんだけれども、ペンディング食っちまって行かれないというような状態になっているということはね、これは非常に大事な問題だと思うのですよ。沖縄と日本は一体なものだ、一体感だと総理はよく言われるし、みんな、早く復帰させなければならぬし、その方向に向かってできるだけ努力をするというふうに言っておるときに、向こうに行きたい人が自由に行けないというような事態があるわけですね。それで、これは一体どういうことなのかと――時間がないからついでに言いますけれどもね、こういう人もあるのですね。これは豊島の神田玄一という、これは民主商工会というところの事務局員をしているのですけれども、この人は、久しぶりでおばあちゃんの顔が見たいというので渡航申請を八年前にしたけれども、これは許可にならぬ。それでまたそのあとでどうしても、死んでしまったので墓参に行きたいというので、五年前の三十七年に渡航申請を、そこの事情も詳しく書いてトラベル・ユニットまで行ってデービスという人に話して、こういう事情だからと子供まで連れて行って話して、デービスさんは子供の頭をなでて、どうにかする、すぐ許可になるようにすると言ったのだけれども、結局来た返事は、米軍にとってあなたの入域は好ましくないということで、親の死に目にも会えない。これは人道上の問題だと思うのですよ。沖縄の人が沖縄から出てきておって、こっちで何しておったにしろ、とにかく親が死ぬから会いに行きたい、あるいはそのとき行けなかったから墓参りに行きたい、それもさせなかったということは、人道上の重大な問題だと思いますよ。こういうことが方々にあるわけです。これについて政府は、こういうことでやむを得ないと思っているのか、何とかそういうことを打開して、そして自由に渡航できるようにしようとしているのか、そこのところを長官のほうからひとつ聞かせてほしいのですが。
#113
○国務大臣(塚原俊郎君) 御質問の点は、米布令一二五号によっていろいろと方法がとられていることはこれは御承知だと思います。なお、米側の施政権行使というものによって、入れるか入れないかというようなことがきめられておる。この現実の実情というものも無視することはできないと思うのであります。今日まで確かに御指摘のような行けなかったという方があることも私は承知いたしておりまするが、それはどういう理由かということについては明示がないためにいまつまびらかにできないことはまことに残念であります。しかし、隔離感というか違和感というか、こういうものによって醸成されるということは、私はこれはよろしくないことであると考えております。全体の問題として、政府はひとつこの問題の解決に機会あるごとに努力していきたい、かように考えております。
#114
○春日正一君 どういう理由かわからぬということですけれどもね、この渡航についての差別というか選別、こういうものは日本で初めから、申請を出すときからやられているのですね。たとえば東京都の沖縄渡航係に行って渡航申請をする。そうすると受付票というのが渡されて、その受付票にはあれですわ――これですね、こういうものを渡してくれる。これにはその、許可になったかならぬか二週間以内に電話しますというふうにちゃんと印刷されているのですよ。ところがわれわれが申請すると、これを黒い字で消してしまって、そして、でき次第お知らせいたしますと、こういうふうに判こを押して、こういうものを渡す。つまり、受付のときから一般人と民主的な団体の所属とかなんとかというものはちゃんと区別する。しかも、これだけ区別するのじゃなくて、この申請書のここにもちゃんとそういう同じ判こが押されて、それで総理府のほうに出されてくる。こういうことになっているのですね。だから、初めから、もう東京都の窓口から、この連中はチェックしなければならぬという区別がされている。これは一体どういうことなのですか。
#115
○国務大臣(塚原俊郎君) 御指摘のような、民主的団体であるからというようなことは私はないと考えております。あくまでも事務上の問題としてそういった処置がとられておるのではなかろうか。なお、詳しいことは、事務当局から説明させますけれども、私はそう考えておりますが、何か事務的な問題でそうなっているのを、そういうふうに追い込んでお考えになっているのじゃないでしょうか。
#116
○春日正一君 そうじゃない。それは事務的なと言うけれども、それでは何で特別な人間だけに事務的にそういうことをするのか。しかも、これはただだれにでもそういう都合でこうするというのではなくて、私ども現に東京都の受付へ行くと、あなたたちはおそくなりますよとか、あなたたちはなかなか許可むずかしいですよということを向こう言うのだから、係員が。だから、はっきりこういう範疇の人は引っかかるぞということが末端までわかっておって差別がされておる。そういう、日本の国民を日本の政府が差別するというようなことをしていいものかどうか、憲法の立場からいっても。これは単なる手続の問題じゃない。手続といえば、特殊な団体だから、これは注意しなさいというそういう手続の問題だ。差別の手続だ。
#117
○政府委員(山野幸吉君) せっかくの御質問ですが、私のほうからはもちろんそのような指導はしておりませんし、それから、少なくとも私どもが承知しておる限りにおきましては、事務上の手続のために一定期間内に問い合わせていただく日と、あるいはまた急いで連絡する、こちらから連絡する日との、そういう二通りに分類したと、こういうぐあいに私どもは聞いておるわけでござまいす。
#118
○委員長(山本利壽君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#119
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
#120
○春日正一君 こういうことで、私はこの問題で実は総理府の渡航課ですか、あそこへ行って課長ともいろいろ話してみたんですけれども、やはりこの問題は課長じゃ話がつかないんですよ。やっぱり長官か総理か、まあ偉い人たちと話さなければ、課長では、こういうきまりになっていますからこうやっていますというだけの話にしかならない。だから、こういうことにしていただけませんか。非常に私どもこれ急ぐんですけれども、現に私申請出しているんだから、急ぐんだけれども、まあ長官いなければこれしょうがないから、だからこの次の機会に一番先に質問さしてもらえませんか、岡田さん。そういうことで、きょうは質問をこの程度で打ち切って次にやらせていただきたいと思います。じゃあ私はそういうことで……。
#121
○岡田宗司君 長官がいるといいんですけれども、山野局長でもけっこうですが、私しばらく前に、沖縄のアメリカ軍の軍人、軍属が沖縄県民諸君に対して犯した犯罪について資料を出してくれということを要求した。はい承知しましたと言って、一向出してくれないんですね。一体、これはどういうわけなんですか。これはどういうわけなんですか。
#122
○政府委員(山野幸吉君) 私はもう当然出したものと思っておりましたが、いま調べまして……。
#123
○岡田宗司君 とにかくいただいておらぬのです。何か私は出せない事情があるかと思ってお聞きしたんですけれどもね。
 それから、いまの春日君の問題ですね。これは総務長官にお聞きしたほうがいいけれども、これはまあこの次にまたお伺いするとしてあなたにお伺いするんですけれども、こっちのトラベルユニットですね、これは一体どれだけの権限を持っているんですか。どういう権限を持っているんですか、この渡航問題について。
#124
○政府委員(山野幸吉君) 私どもとしまして、このこちらのトラベルユニットとUSCARとの権限がどうなっているかということを説明を詳しく聞いたことございませんので、実は全部当初はUSCARへ送られていたわけです。それでは非常に渡航の事務を促進するのに不便だということでトラベルユニットを置いて、そうしてそこで何か処理する基準がつくられておると思いますが、軽易なものについてはトラベルユニットのほうですぐ許可をするというようなことになっておるものと考えます。たとえば、観光のような用務で行かれるような場合はおおむねトラベルユニットで許可になっておるものと私どもは聞いております。
#125
○岡田宗司君 そうすると、先ほど春日君の言われましたような例ですね。これはトラベルユニットでもって決定をするのではなくて、沖縄へ問い合わせて、沖縄のアメリカ軍当局へ問い合わせて沖縄のアメリカ軍当局が判断をして、これは認めないということにしておるわけですか。
#126
○政府委員(山野幸吉君) その点につきましては、私、これはまあ最終的には米国民政府の裁量によって許可したりあるいは不許可にしたりいたすのでございまして、どういうものをどういう手続でUSCARの意向を聞いてトラベルユニットが許可するかというような個々の分類ですね、そういうものについては私どもは聞いておりません。また、説明を求めましても、そういうことについては言っていただけません。
#127
○岡田宗司君 とにかく、沖縄の問題は日米間の最大の政治問題であるということは総理も言っておるわけです。こういう問題はあるいは事は小さいかもしれない。しかしながら、なぜ不許可になるのかというようなことについて理由も言わないというようなことは、これはまことにおもしろくないと思います。で、こういうような点について、もちろん佐藤総理とジョンソン大統領との会談のテーマにはならぬでしょうけれども、しかし、日米協議委員会へこのぐらいの問題は持ち出して、そうして行けないものについては、行けないものはなぜ行けないというぐらいの、はっきりさせるくらいのことはしたらどうなんでしょうかね。
#128
○政府委員(山野幸吉君) 御案内のように、向こうへ入域するのを認めるかどうかということは、米国民政府のいわば自由裁量になっておるわけでございますから、したがいまして、不許可にしたからその理由を示せ、そういうことはなかなか言えないじゃないだろうか。もちろん、沖縄のほうから出るのを拒否した場合には、これはやはり人権の問題にも関連するから、その人に理由を示すべきでしょうけれども、こちらから入域したいという場合の拒否については、これは別に沖縄は外国ではございませんけれども、国際慣例に従えば、ちょっとなかなかその自由裁量の内容について理由を示せと言うことはむずかしいじゃないだろうかというぐあいに考えております。
#129
○岡田宗司君 あなたと話してもしようがないので、この問題についてはそれ以上のことはあなたにはお伺いしないけれども、しかし、そういうことは協議委員会で政治的に話し合って、これは日米間の関係の一つであり、これは国民同士の間のいろいろトラブルの原因にもなっているものだから、トラブルをなくそうとするなら、そういうことは話し合っていいわけなんでしょう。日米協議委員会は向こう様のおひげのちり払ってばかりいるのじゃないんだからというわけで、これもひとつ十分考えていただきたい。
 それからもう一つは、いま春日君の示された東京都の沖縄渡航の受付のところでそういう差別待遇が行なわれたということ、おそらくあなたのほうから形式について指示をして二つに分けろと言ったのではないだろうと思う。そうすると、一体それはどこから出ているか。トラベルユニットが直接東京都のそういう窓口と関係があるのですか。
#130
○政府委員(山野幸吉君) それはどこからもそういうことはおそらく出ていないと思います。東京都自体で事務処理上の便宜のために設けられたんだろうと思います。
#131
○岡田宗司君 東京都が自分でもって事務処理上そんなばかなことをするはずはないですよ。そんなくだらない答弁なんか私は聞きたくない。よく考えてごらんなさい。そんなことできますか。あなたのほうからでないとすれば、これはトラベルユニットが東京都に対してそういうことを言っているに違いない。もしそうだとすれば、これはあなた重大な問題ですよ。一体トラベルユニットが東京都に対して、日本の自治体に対して直接そんなことを言ったとすれば、これはもう明らかに内政干渉です。よく調べてください、それは。もしそれをトラベルユニットが持ち出したとすれば、それは取り消してもらわなければならない。そうでしょう。内政干渉と認めますか、認めませんか。
#132
○政府委員(山野幸吉君) 私はトラベルユニットもそういうことはしてないと考えておりますので、そういう御質問には答えられませんが、ほかはもちろんやっておりませんので、トラベルユニットもそういうことはしてないと私はいま思っております。なお、よく聞いてみます。
#133
○岡田宗司君 それはよく調べて、どうしてそういうことになったのか、何と言ったって渡航の問題はあなたのほうの係だから、よく調べて、そういうばかげたようなことが行なわれたとすれば、それは改めるようにしてください。
#134
○委員長(山本利壽君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 次回の委員会は、六月三十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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