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1967/06/30 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第10号
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1967/06/30 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第10号

#1
第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第10号
昭和四十二年六月三十日(金曜日)
   午前十時四十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                内田 芳郎君
                小柳 牧衞君
                岡田 宗司君
                佐多 忠隆君
                黒柳  明君
    委 員
                植木 光教君
                大谷 贇雄君
                源田  実君
                谷口 慶吉君
                林田悠紀夫君
                増原 恵吉君
                稲葉 誠一君
                川村 清一君
                鶴園 哲夫君
                森 元治郎君
                春日 正一君
   国務大臣
       国 務 大 臣  塚原 俊郎君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関
 する調査
(沖繩その他の固有領土に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査のため、来たる七月七日午後一時日本弁護士連合会沖縄問題調査特別委員会委員長奥山八郎君及び同第三部会部会長兼藤栄君の両名を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#4
○岡田宗司君 これまた参考人の問題なのですけれども、会期も延長されたことでございますし、まあ日本からずいぶん経済援助が行なわれるようになりました。琉球政府がこの日本からの経済援助をうまく消化してくれると非常にいいと思うのですが、これにつきまして、一度どなたか琉球政府に関係のある人ですね、たとえば何かの機会で松岡主席が来られたような場合に参考人として出席してもらえる機会を持つように、ひとつ衆議院の沖縄問題等特別委員会の委員長と御協議くださいまして、適当な措置をとっていただきたいと思います。
#5
○委員長(山本利壽君) ただいま岡田委員からの申し出のありました件については、衆議院側の沖縄問題等に関する特別委員会の委員長ともお話し合いをいたしまして、また次回にでもその経過を御報告することにいたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(山本利壽君) 沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄その他の固有領土に関する件を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○佐多忠隆君 アメリカで問題になっておりますプライス法改正、これの背景あるいは法改正が何を目的にしているか、それから、いままでにどういう扱い方をされているのか、それらについて御報告願います。
#8
○政府委員(山野幸吉君) 御案内のように、佐藤総理が一昨年沖縄へ参られまして以来、その次の年度におきまして日本の政府援助が二十八億円から五十八億円に、ほぼ倍額の援助費の増額になったわけでございます。その当時からプライス法は御案内のとおり千二百万ドルでございまして、約四十三億円でございます。したがいまして、当時から施政権者である米側としては、日本政府で五十八億円の援助の増額をやるのだから、アメリカ側も施政権者として当然プライス法の限度額を上げて琉球政府に対する援助額を増額すべきではないかという議論が起こりまして、琉球政府はもちろんそうでございますし、それから民政府も当然そういう考え方に立ち、日本政府としても大いにこれを歓迎して、そうして大統領はさきに、今議会におきましても、昨年秋でございましたか、プライス法の限度額の千二百万ドルを二千五百万ドルに引き上げる勧告を議会に行なったわけでございます。で、上下両院におきましては今年に入りましてそれぞれこの増額の提案がなされまして、下院におきましては軍事委員会小委員会におきまして全会一致でもってその増額の案を可決されたと聞いておりますが、まだ全体会議におきましては審議はその後進んでいない。上院におきましては、法案の提案はございましたけれども、まだ審議は進んでいない。そしてこの状況に対応しまして、日本政府といたしましては、外務大臣はもちろん、総務長官、総理からも絶えず米側に対しましてこの原案の通過について格別の行政府の働きかけを懇請してきておるのでありますが、なかなか米議会のほうではその審議が順調に進んでおりませんし、一九六七会計年度については、その引き上げの法案の通過することはほとんど見込み薄であるという状態でございます。
#9
○佐多忠隆君 そうすると、プライス法の旧法――改正されない前のものだと、年千二百万ドルを最高限として援助するということになるわけですね。
#10
○政府委員(山野幸吉君) そのとおりでございます。
#11
○佐多忠隆君 ところが、この一九六八年度の予算によると、あなたのほうからお出しになった資料によると、千六百六十六万八千ドル、こういうことになっているのですね。もうこの限度をすでに越えているわけですが、これはどういうことですか。
#12
○政府委員(山野幸吉君) これは日本政府の援助が百三億円、両年度にわたって援助することにきめましたときに、琉球政府と民政府と御相談になって、琉球政府の歳入の中に、一応プライス法が通過するということを前提とされたと思いますが、この一九六八年度の会計に、いま御指摘のような千二百万ドルを上回った歳入予定額を見込んでおるわけでございます。それから、前年度の一九六七会計年度におきましても増額を予定しておりましたが、これはプライス法が通りませんので、過般立法院におきまして四百万ドルの米援助の減額を更正予算を提案して可決しております。
#13
○佐多忠隆君 一九六七会計年度にはアメリカは千七百三十一万ドルを当初援助するということにして、これでは足りないんで、さらに五百三十万ドルの追加支出をするということをこの間ラスクが言っているようですが、ここでもうすでにオーバーしているのですが、これはどういう関係になりますか。
#14
○政府委員(山野幸吉君) その点につきましては、この六七会計年度におきましては千七百三十万ドルを予定いたしましたのですが、実際に琉球政府の歳入に入る部分はそれより低いわけでございまして、たしか千四百二十六万ドルと私は承知いたしておりますが、したがいまして、千四百二十六万ドル前後の予算を計上しましたけれども、プライス法が改正になりませんから、したがいまして、四百万ドルをその中から減額更正をした、こういうことになっているわけでございます。減額更正した四百万ドルに見合う歳入といたしましては、琉球政府が資金運用部資金から百万ドル借り入れ金をいたしましてその穴埋めをいたしておるわけでございます。
#15
○佐多忠隆君 そうすると、ラスクが言っている、さらに五百三十万ドルの追加支出というやつは、これは何を意味するのですか。
#16
○政府委員(山野幸吉君) それはラスク長官が言われたのは、おそらく現在千二百万ドルでございますから、それを二千五百万ドルではなくて千七百三十万ドルという琉球政府で予定しておる限度額まで引き上げよう、こういう趣旨の五百万ドルではないかと推察するわけでございます。
#17
○佐多忠隆君 そうすると、そのプライス法の改正は本会計年度中に――というともう過ぎたわけだ――は通過する見込みはないわけですね。
#18
○政府委員(山野幸吉君) そのように考えております。
#19
○佐多忠隆君 それは、下院においてすでにそうで、さらに上院に回るともっとむずかしいということになりますか。
#20
○政府委員(山野幸吉君) 現在の審議状況から申しますと、もうほとんど日程がございませんから――六月末まででございますから――もう通る見通しはほとんどないと、かように考えております。
#21
○森元治郎君 ちょっと関連質問をしたいんですが、かねがねおかしいと思っておるのは、アメリカは沖縄を占領し、平和条約で準領土のような扱いをしてきておるわけですね。ですから、当然アメリカは沖縄九十万島民の生活のめんどうを見る義務があると思うんですね、義務が。その義務のある人がさっぱり熱意を入れない。一体アメリカはどの程度の生活水準を沖縄島民に与えようというつもりがあるのか。アメリカもたくさんの委任統治持っております。そこでもうアメリカはほとんど全部生活費のめんどうを見ておるわけです。一体どのくらいの生活水準を認めようとするのか。それがはっきりすれば、アメリカの援助額というものの限度というものもわかると思うんですね。その点をひとつ。
#22
○政府委員(山野幸吉君) 私どもの聞いておりますところでは、琉球政府と米国民政府で一九六五年を起点といたしまして当時七カ年計画を立てられまして、その最終年度におきましては、日本本土の相当県に大体同じレベルの住民所得、福祉水準に持っていこうということで計画を立てておられるように聞いております。しかし、しさいにその計画の中を拝見しますと、必ずしもコンクリートな、ほんとうにそういう実行をこの計画全体でやるには何か非常に不安定要素もあるように私どもは見受けるのでありまして、一応目標としては、一九七二年度でございますか、その時点で本土並みに持っていこうということで琉球政府とそういう計画をつくっております。もちろん、この計画は毎年毎年日米援助の決定に伴いまして修正を加えるようになっておりまして、初めからもう日米援助を長期的に予定した計画ではございません。しかし、一応米側の目標としてはそういう目標を持っておるということが言えると思います。
#23
○森元治郎君 七カ年計画のもう二年が経過しておるわけですね、六五年ですから。そうすると、本年度の六七年度分のアメリカの計画によれば、どの程度の県――佐賀県とか鹿児島県とか、どこでもけっこうだが、わかりやすいように、どの程度の県の生活水準を目途とするような数字をはじいているのかどうか。私は、アメリカが準領土として扱いながら日本の援助を求めているということもおかしいし、アメリカが援助を沖縄に与えるということばもおかしいと思う。当然のこれは支出でなけりゃならぬと思う。この当然の支出だ、義務だという点について大臣の御答弁をもらいたいし、それから、七年計画と言うのならば、その二年目に当たる今日の段階は一体どのくらいになるのか。その今日の段階は、今度の日米協議委員会で決定をした数字というものはその中に含まれているのかはずれているのか、その点を伺います。
#24
○国務大臣(塚原俊郎君) プライス法の改正につきましては、私も森委員と同じような考え方を持って、つまり、アメリカのいま義務云々ということばをおっしゃいましたが、そういう考えを持って、私も就任以来機会あるごとに強く当局と折衝をいたしたのでありまするが、いま質疑応答にありましたように、六七年度においてはまあ日の目を見なかったということについて、この間もこの問題についての御相談もいたしましたけれども、しかし、六七年度においてはこういう支障のないような考え方を強く持っていただくよう私は要請を今後ともいたす考えでございます。
#25
○佐多忠隆君 六八年度というと今年度ですよ。
#26
○国務大臣(塚原俊郎君) つまり、六七年度においてこういう予算措置を、減額措置をとらざるを得なかったということをいま特連局長から説明しましたので……。
#27
○佐多忠隆君 いや、六八年度予算もそうでしょう。
#28
○国務大臣(塚原俊郎君) 六八年度もそうなります。つまり、二千五百万ドルのプライス法の改正というものを、いま国会において、向こうの上院――下院はまあ小委員会でありまするが、まだ全体会議も開かれぬ、上院においてもまだ審議も開かれていないという状況に対しまして、私は、強い不満と、これのすみやかなる通過ということをお願いしてまいりましたし、今後もまたお願いしていかなければならない、このように考えております。
 それから、先ほどの日本の相当県との比較でありまするが、鹿児島との比較がございまするので、事務局よりちょっと説明いたさせます。
#29
○政府委員(山野幸吉君) 六六年度の全体の比較はございませんが、住民所得から申しますと、約四百二十五ドル、したがいまして、鹿児島県の住民所得よりちょっと上になっています。しかし、相当県――沖縄の相当県を集めましてその平均と比較してみますと、大体その七割から八割の間ぐらいになっておる、こういうことでございます。
#30
○佐多忠隆君 ちょっといまのに関連して。いまの問題に関連しまして少し詳しい資料を御提出を願いたいんですが、アメリカのほうで下院の軍事委員会、一九六六年の三月の二十三日に、ホールト陸軍次官代理とワトソン高等弁務官が報告したときに、参考資料としてそれらのものより詳しいものを出しているようですが、これをもう一年延ばして、もう一年延ばせるわけですから、延ばした詳しい資料を全部ひとつ御提出を願いたい。
#31
○委員長(山本利壽君) それでは、後ほど局長が御相談いたしまして、できるだけ……。
#32
○岡田宗司君 関連。プライス法によるいわゆる援助についての関連質問でありますが、六七年度の琉球政府の予算、そのプライス法の増額が通らなかったために四百万ドルの減額更正をしたと、こういうことです。この六八年度を見ておりますというと、これまた千六百万ドルを計上して、これが通らなければ当然減額予算と、こういうことになる。で、この予算は琉球政府が単独でつくったものじゃないんですね。これは米民政府と話し合いをしてというか、あるいは指示を受けてというか、いずれにせよ、そういうかっこうでこれはつくったものです。つまり、アメリカ側も、少なくとも高等弁務官なりあるいは米民政府というものは、この予算について責任ある立場にあるわけでしょう。これは琉球政府だけのもので、アメリカ側に対して琉球政府で決定した額を要求しているということじゃないのでしょう。だから私は、アメリカのやり方というのは非常に無責任きわまるものだと思うのです。入りもしないものを、法律を改正して、入りますというようなことを予定して、そうして二年も続けてこういう予算を組まして、それがだめだったら今度は減額補正だというようなことで――琉球政府でもこれは行政府として仕事をしなければならぬのです。一年の仕事の予定も何も立ちやしないじゃないですか。一体こんなばかげた予算の組み方というものがありますか。私はこれはアメリカの米民政府なり高等弁務官の責任だと思うのですよ。ですから、こういう点は私は是正させなければいけないと思うのです。こんなことを黙ってる手はない。日本だってそれ以上の援助をしているのでしょう。向こうはかってきわまることをやって、こっちは向こうの言うなりにどんどん出す。われわれの同胞のために出すのですから多いほどいいんですけれども、それでいてアメリカのほうはこういうやり方をしているとすれば、これはあなた一言言わざるを得ない。どうですか、総務長官、この問題でアメリカにもの申すつもりはありますか。
#33
○国務大臣(塚原俊郎君) この予算の問題は、日米協議委員会、さらに日米琉合同会議と申しますか、日米琉の三者のいろいろなこまかい打ち合わせでまとまってくるものであるというふうになっておりまするけれども、アメリカの出すものについてはそこに何か割り切れないものがあることも私は伺っておるわけであります。つまり、対象からはずされるというようなことを聞いておりまして、私自身意外な感を持っておったわけであります。いま岡田委員の御指摘のごとく、目の前にこういった一つの変則状態というものがあらわれておるのでありますから、今度九月、日米協議委員会も開かれることでございましょうから、その際強くこの矛盾というか不合理性というものを私はつく考えでございます。
#34
○岡田宗司君 総務長官はこの国会が終わるとすぐ沖縄に行かれるのじゃないですか。
#35
○国務大臣(塚原俊郎君) 十二月就任以来そのチャンスをねらっておりましたが、国会、さらに選挙というように続いておりまして、そのチャンスを逸しました。国会終了と同時に私は訪問をいたす考えでございます。
#36
○岡田宗司君 琉球立法院の会期が延長されまして、おそらく四十日延長されることになっておると思うのですが、そうすると、あなたが行かれるときにはまだこういう問題についての審議が行なわれている最中だと思うのです。そうだとすれば、日米協議委員会を待つまでもなく、こういう問題について高等弁務官あるいは米民政府長官と、こんなやり方では困る、もっと真剣になってやってくれということは、言える機会はもっと早くあるのですがね。どうですか、そういう機会にものを申しますか。
#37
○国務大臣(塚原俊郎君) もちろん、会期中にぶつつかればそういった関係者にもお目にかかるし、また、高等弁務官にも当然お目にかかりますから、そういう話は申すつもりでございます。さらに、このプライス法の改正がどうもタイミング上あぶなくなってきたなと感じましたときに私のなし得ることは、アメリカの大使館から強く本国に要請するという措置をとるのが妥当であると考えまして、私は強くアメリカ大使館から本国への要請もお願いしていることもありますが、しかし、これは基本的に言うならば、私のなし得ることはそれだけではあるが、やはり外交ルートを通じてこの根本的な解決をはかるということが一番望ましいし、それだけでなく、岡田委員のおっしゃったような措置も私としては強くお願いをし、また要求をいたす考えでございます。
#38
○佐多忠隆君 日本の予算によりますと、日本が沖縄に一九六八年度に援助するのは百三億――二千八百万ドル、こういうことになっておると思いますが、私が別に調べたのだと、同じようにアメリカ自身も千九百五十万ドルという予算を立てていると思うのですが、ところが、ここに提出された資料によると、その数字は両方とも違うのですね。これはどういう関係ですか。
#39
○政府委員(山野幸吉君) 日本政府の沖縄に対する援助額の中で、本土政府が直接支払うものがあるわけです。たとえば沖縄へいろいろお医者さんを派遣いたします。その費用は日本政府が直接支払う。それから、沖縄の学生を国費で本土の大学等へ留学さしております。そういう経費も日本政府が直接支払うわけです。ほんとうに日本政府が直接支払う部分を除いた部分が琉球政府の予算に入るわけでございます。したがいまして、その間に差が出てくるわけでございます。それから、米国民政府の米国からの援助金もやはりそういう関係がございまして、民政府が直接支出する部分と琉球政府の予算へ繰り入れて支出する分と二通りになっておるわけでございます。
#40
○佐多忠隆君 この日本政府が援助する金額は、いまの日本内地でやるのも引っくるめて百三億――二千八百万ドルということになりますが、これに比較してアメリカ自身が出すのは千二百万ドル。まだ二千五百万ドルすら決定をしていない。非常にアンバランスな状態にありますが、総務長官としては、少なくとも日本が援助するのと同じ額に引き上げるべきだということ、したがって、プライス法の改正も二千五百万ドルでなくて、もっと上へさらに引き上げるべきだということが主張されるべきだと思うのですが、そういう具体的な数字を出しながら主張をし要求をされる覚悟があるかどうか。
#41
○国務大臣(塚原俊郎君) アメリカと沖縄との関係、この関係から考えましても、プライス法の改正をぜひやっていただきたい、またやらねばならないものであると私は考えておりますが、しかし、日本政府としても、施政権が戻る日まで格差の是正ということでできる限りの援助をいたしたいという気持ちを持っていることも当然であります。また、今度の国会でもいろいろ御審議を願っておるわけでありますが、しからば、日本政府がこれだけであるからアメリカは二千五百万ドルをさらにどれだけにしろという数字は、いまは私は持ち合わせておりませんが、やはり日本政府もできるだけこれに対する措置は講じますけれども、アメリカの一つの義務という考え方から、できるだけ多くの沖縄に対する措置を考えるよう要請いたす考えは十分持っております。
#42
○佐多忠隆君 日本の援助額との比較において、非常にアンバランスにアメリカ側は少ないのが実際的な数字としてちゃんとあらわれてきていると思うのです。それにもかかわらず、アメリカ側がプライス法の改正を非常に渋っているというのはどういう事情ですか。
#43
○国務大臣(塚原俊郎君) われわれ日本の沖縄に対する援助は、これは日本人の同胞としてのできるだけの措置をとりたいという気持ちのあらわれからすべて行なわれていると私は考えております。
 また、今日アメリカと沖縄の関係から見ても、また沖縄に対するアメリカ自体の考え方から推察いたしましても、当然われわれが常識で考えている線をアメリカが実行に移すべきであると私は考えておりますが、いまアメリカがどういう考えであるかということを私はただす機会も持ち合わせません。また、大使館等の連中に会いましても、そういうことでうなずけるものもございませんから、これは向こうの考え方を聞いてみなければわかりませんが、やはりわれわれは同胞を助けなければならぬという気持ちと、アメリカは沖縄とアメリカの関係で措置するという、それはそこにやはりニュアンスはあると思います。しかし、先ほどからいわゆる義務論ということばで出ておりますように、歩調を合わしてアメリカ自体も沖縄の問題に真剣に取り組んでもらわなければならないという気持ちは私は強く持っております。
#44
○佐多忠隆君 この改定の審議は、すでに前年度から行なわれて、今年度に続いていると思うのです。それらの審議状況から見て、これは局長にお尋ねしますが、どういうことが支障になってこれがなかなか改定できないということになっておりますか。
#45
○政府委員(山野幸吉君) 私も、公式にその理由を聞いたことはございませんのでよく存じませんが、いろいろアメリカ自体としても、海外における経費がかさんでおり、増税も行なっておるような状況であるというような点等がその背後にはあるものと思います。しかし、この改定につきまして、大統領以下行政府は、非常に強く議会のほうへ働きかけておられるわけでございまするが、何ぶんにもコングレスのほうは非常にシビアーな考え方でございまして、実は、この三、四年前、やはりプライス法の改正が出たことがございます。で、そのときは、たしか下院で通過いたしまして上院でストップになった、こういう経緯があるわけでございます。そういうことで、必ずしも、理由ははっきりつかめませんが、米国議会の審議状況は、いま申し上げましたとおり、必ずしも楽観できない状態にある、こういうようなことでございます。
#46
○森元治郎君 関連して。
 いま局長のお話なり大臣のお話を伺って、どうもアメリカはもう何といいますか、沖縄なんかからは手を引いちゃって、もともと沖縄に対してはほんとうにほしいのは軍事基地なんだ。同胞援護会の会長で沖縄間談懇談会の会長、座長である大浜さんの御意見を引用すれば、ほしいのは基地なんだ、施政権というのはその基地を維持するため、基地の自由の保障を得るための手段だ、こんなふうに考えてみてもいいじゃないかと、大浜さんは言っている。私もそんなふうな感じがする。いまや沖縄なんか持っていて、あそこの九十万のうるさいのを食わせるのが容易でなければ、幸いであるから、アメリカは日本に返還すべき客観的な条件が整ったと思うのですが、大臣、どうですか。人の国からふんだくって、ぶんどっていって、めしも食わされない。そうしてふんだくって持っていかれてからめしも食わされないで黙っているなんということはない。そんなことはありません。当然、これは返すべきです。どうですか。
#47
○国務大臣(塚原俊郎君) 非常に突き詰めた御議論のようでありますが……
#48
○森元治郎君 そうだ、もう突き詰めているのだ。
#49
○国務大臣(塚原俊郎君) そのお気持ちはよくわかりますけれども、まあ援助費問題からいまのようなことに考えを私は及ぼしていく気持ちはございませんが、大浜さんがここでどうおっしゃったか私は知りませんが、われわれが大浜さんから伺い、また関係者から伺っているところでは、確かにこのところ非常におそまきではあるが、アメリカの沖縄に対する認識というものも非常に高まってきている。高まってきているというのは、何とかせにゃならぬという気持ちは、私は、あると考えております。先ほど来申しているように、日本は同胞を助けるという意味においてやるのでありまして、できるだけの処置を講ずるのでありますが、アメリカもこの認識に立って、アメリカと沖縄とのほんとうの関係というものを頭に置いて処置を講じようとするならば、私はプライス法の改正というようなものは、当然可及的すみやかにとられてしかるべきものであると考える。また、そういう考えのもとに、私は、アメリカと話し合っているようなわけでございまして、いま森さんがおっしゃったように、極端な議論にはやや同意しかねる点も私はあるわけでございます。この際、やはり相互の理解と協力のもとにこの問題の解決もはかっていかなければならないと、このように考えております。
#50
○森元治郎君 もう一度続けて、これで終わります。私がこういうことを言うのは、この委員会の速記録にも載るしアメリカさんも読むだろうから、読ませようと思って言っているわけです。ただここであなたに聞いているのじゃない。もうほしいのは軍事基地だけなんですよ。それで、めんどうなんだから返すべきだと思う。客観条件もできているじゃないか。もともとわれわれは、平和会議でもって何ら発言の機会のないうちに分離されてしまったのだからこれを返してもらいたい、これは断固として主張して、プライス法なんというどころの問題じゃなくて、もっと真剣に本腰を入れてやるべきであるのを、その義務があるのに義務が果たせないのだから返すべきであるということが一つ。それはいまの御答弁でがまんしておきますが、毎年毎年援助している金、これはかって岸総理がおもしろいことを言ったことがあるのですよ。主権へっこみ論というのがあるのですね、主権へっこみ論。これは国民の税金で、同情、義務、同胞愛、きれいな純粋な気持ちから、人が当然やるべきところまで入り込んで金を出しているのですから、百億出せば教育権は返還する、二百億出したならばこの権利は返す、こうやって入ってくるものは何もない。協調協調、何の協調ですか。出した金は必ず対価を求めるのが普通でしょう。こんな金の出し方がありますか。借金なら借金の条件がある。ただかわいそうだ、気の毒だ、それで出している金なんというものは私は不思議だと思う。何かこれは対価を取るべきだと思う。どうですか、アメリカなら取りますよ。
#51
○国務大臣(塚原俊郎君) 沖縄を砂糖とパイナップルだけで言うことはたいへん酷な言い方かもしれませんが、経済的に恵まれないところであり、資源もほとんど見つからぬ。今日、沖縄経済振興懇談会というようなもので、真剣に沖縄の経済の発展ということ、これを一つのビジョンとして動いておることは、これはまことにけっこうなことだとは思いますけれども、少なくとも、格差の是正が国内においても叫ばれておる今日、ことに沖縄の方々は悲惨な状況にある。施政権の一日も早い返還ということをわれわれはもちろん望んでおりますが、やはり、格差の是正のために同胞愛を持って日本の政府ができるだけの措置をすることは、私はこれは当然である、このように考えております。そういう面でわれわれは沖縄に対する財政援助という格差の是正のための努力をいたしております。
#52
○森元治郎君 対価はないのですか、対価は。どうしたら出すのですか。アメリカ側は百億ドルでも援助してもらった日には、ガリオア、エロアはただだと思って食っていたら、何年かたったら、これは取られてしまった。同じように、出した金は何か対価を取らなければだめですよ、どうですか。
#53
○国務大臣(塚原俊郎君) おっしゃることがわからないわけでもありませんが、これはしかし、別な次元において考えていただきたい、このように考えております。
#54
○佐多忠隆君 日本の援助は百三億ですが、現在の日本の本土において沖縄相当県に中央から出している交付税あるいは補助金等から見てどのくらいと考えておられますか。
#55
○政府委員(山野幸吉君) 非常にむずかしい御質問でございまして、ちょっとストレートに御回答申し上げることができません。というのは、御案内のように、琉球政府は国家事務というのを相当やっておるわけです。たとえば八十五億前後の経費を使っていると地元ではおっしゃっておられますが、国家事務を、出入国の管理をはじめとしていろいろな国家事務をやっておる。
 それから税の体系から見ますと、国税――本土でいいますと国税が八割方歳入にされておるわけでございます。したがいまして、本土のように県税、市町村税というものがほんとうの地方財源として、もちろん、この相当県は税収も少ないですけれども、しかし、二割なりあるいは三割、三割五分程度の地方税を持っておるわけです。それから国家事務というのは行なわれていない、こういう状態にございますので、両方を表で比較していくのはなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、そういう本土相当県と比較したら何ぼ出すべきかという議論は、すぐにはその議論からは額は出てまいりませんが、ただ、たとえば佐賀県ですね。たとえば人口のよく似ている佐賀県は国の交付税なり補助金を何ぼ交付されているかというような数字は出てまいります。しかし、それだけできたから、それじゃ琉球政府、沖縄と比較できるのかというと、比較はなかなかむずかしい、こういう事情でございます。
#56
○佐多忠隆君 その比較はさらに内容的に分析して検討しますが、佐賀県あたりではどれくらい出しておりますか。
#57
○政府委員(山野幸吉君) 昭和四十一年度の予算におきまして、佐賀県は地方交付税を九十五億、国庫支出金を百十五億でございます。なお、県税が三十七億、県債が十八億、その他ございます。したがいまして、国のほうから約二百億前後が出ておる、こういうことでございます。
#58
○佐多忠隆君 その二百億前後佐賀県にはあるので、それに比べると、沖縄のほうは政府機関費を負担してもなお百億しかないということになれば、日本としてももっと倍額、少なくとも倍額以上のものは援助をしなければならぬということになると思うのですが、したがって、それとの比較においてはアメリカの二千五百万ドルというのは実に僅少である。アメリカは、施政権を自分たちが完全に持つ限りにおいては、あすこの沖縄の国民、人民の生活と沖縄の経済的な発展等には責任を持つということを繰り返し大きな顔をして言っていると思うのですが、ところが、いまの数字から見れば、何ら、それは日本政府もそうだが、アメリカはもっと責任をとっていないということが言えると思うのですが、その辺の感じを総務長官はどういうふうにお考えになりますか。
#59
○国務大臣(塚原俊郎君) 今日日本政府としても最大限の努力をいたしましてもいまの、ような御批判も出るような状況でございますし、また、フィフティ・フィフティの立場からアメリカが義務として云々というような御議論が先ほどございました面からも、本土県並みのものというのがわれわれの考えであるならば、今後においてはそれに相当するものを、日本はもちろん、それからアメリカも相互の協力と理解のもとに行なっていただくよう今後とも私は要請を続ける考えでございます。
#60
○佐多忠隆君 もう時間がありませんからこれでやめますが、ただ、局長にお願いしておきますが、この次には予算の内容についてもう少しお話を承りたいと思いますので、それと、それから、長期経済計画がどうなっているかという点についても御説明を願いたいと思いますので、これもひとつ資料を整えて配付していただいて、それに基づいて詳しいお話を願いたいと思います。きょうはこれでやめます。
#61
○岡田宗司君 先ほど塚原さんは、アメリカが沖縄へ金を出すのは――私は援助ということばは使いません――金を出すのは義務である、こういうことをはりきり言われた。いままで政府の大臣方で、アメリカが沖縄に金を出すのは義務だということを公然とはっきり言った人はないのです。そこで、このことを私よく覚えておきますが、ひとつこれは政府でもって、沖縄にアメリカが金を出すのは義務であるという考え方で統一して、そういう考え方を変えないでもらいたいと思います。そういう考え方に基づいてアメリカ側と今後経済関係の問題については話し合ってもらいたい。とかくこの問題については、いままで政府の考え方というものは、向こうさんから指示があったからこちら側から金を出すという考え方であって、そして向こうさんのやることについては何ら批評もしないし、それから要求もしないという状況だったのですが、いま、義務であるという考え方になると、アメリカに対する考え方も変わってくるわけですが、そこいら、ひとつ、よく腹に入れて、いまの義務論というものを変更しないでやってもらいたい、これが第一です。
 それから第二には、高等弁務官の下に米民政府というものがありますね。その米民政府というのがこの琉球政府の上に乗っかっておって、琉球政府の各部局と同じような部局を持っておって、一々指図をしておる。つまり、戦争前に満州国政府というものがあって、満州国政府の中にも行政の各部があった。大臣はみんな向こうの人であったけれども、次官だとか、やれ何だとかいうのは日本人が入って、みんなそれを動かしておった。それよりもう少し悪いのです、上にある。つまり、行ってみると、琉球政府の事務所のちょうど上に民政府の事務所がありまして、そして、全部下のほうの連中に指図しているというようなかっこうでしょう。あれはよく象徴していると思うのですが、一体、米民政府の構成というものはどうなっているのですか、何人いるのですか。
#62
○政府委員(山野幸吉君) 米国民政府は、御案内のとおり、高等弁務官の下に民政官と副民政官があります。そして、この高等弁務官特別補佐官、政治顧問、情報担当官、こういうのが置かれます。副民政官の下にいま御指摘のような各局が置かれております。総務部、それから計画局、経済局、教育局、労働局、法務局、渉外局、広報局、公衆衛生福祉局、公安局、公益事業局がございます。それから島には、宮古の民政官府それから八重山には八重山民政官府、こういう機構になっておりまして、人数ははっきりつかんでおりませんが、大体約二百四、五十名ではないかというぐあいに考えております。
#63
○岡田宗司君 四百人ぐらいいるのじゃないですか。それで琉球政府ですね、これはあそこの中央だけでいいですよ。つまり、米民政府に対応する琉球政府の各部局ですね。これ、一体みんなで何人ぐらいなのです。
#64
○政府委員(山野幸吉君) いま手元に機構図あるいは員数、持っておりませんので、次の機会に直接――機構はわかりますけれども、人数がはっきり出ておりませんので、この次の機会にお答えいたします。
#65
○岡田宗司君 まあ昔から、イギリスだとかフランスだとか植民政治をやっていましたね。その植民政治をやる場合に、直接統治と間接統治ということがたいへんどうも問題になっておった。イギリスなんかいわゆる間接統治のほうだったのですがね。一体いまアメリカのやっている米民政府をそういうふうに相当な機構にして、それでその下にまあ琉球政府があるわけですが、あれは一体間接統治なんですか、直接統治なんですか、どうごらんになりますか。
#66
○政府委員(山野幸吉君) これは、米民政府と琉球政府の関係は、法制的に言いますと、米民政府の機関のような形になっております。しかし、米民政府と琉球政府の行政上の関連は、そのときの高等弁務官のやり方等によっても違うことは、岡田委員御承知のとおりだと思いますが、最近におきましては、直接行政的な分野は相当後退しまして、できる限り琉球政府に自主性を持たせてやらしたいという方向でいろいろな改革がなされておることは事実でございます。しかし、まあ特定の分野におきましては、直接行政的な面も依然として残っておることは事実でございます。たとえば、それから法案の審査促進委員会等のように、事前、事後に法案の調整をやったり、あるいは日米経済援助金に関連する事業を中心としまして、相当こまかく各部局がコントロールをしておることも事実でございます。で、私どもとしましては、全体として琉球政府が自主的に行政をやっていける方向に、絶えず自治権の拡大の方向に民政府あるいは大使館等に要請を重ねてきておるというような実情でございます。
#67
○岡田宗司君 これは塚原総務長官、まだあなた、おいでになって親しく実情をお調べになっておらないから、これはいわゆる直接統治か間接統治かということについて、はっきりしたまだ観念、お持ちになっておらぬと思いますけれども、まず直接統治に非常に近いのですね。それで、私ども見てみまして、アメリカはまああまりああいう他民族の支配ということはうまくないと思うのです。とにかくフィリピンをやったときには、フィリピンだけはわりあいに戦争前金をうんと入れたし、どっちかというと甘やかし過ぎたというところもあったらしいのですけれどもね。とにかく沖縄なんかのやり方を見ていると、まずプエルトリコ並みですな。あんなことは私は幾らアメリカが施政権を持っているからといったって、とにかく大統領の行政命令にえらい仰々しいことを書いておるし、それから民主主義の窓口みたいなことを言っているのですから、ああいう直接統治式のことは、私は日本側としたって、百万もわれわれの同胞がいるのだから、政府としてももう少し思い切った批判なり欠陥をつくなり、そうして、こういうところは直せ、もっとどんどん遠慮なく言ったらいいと思いますよ。私は、プエルトリコ並みに取り扱われていては、これはだれだって反抗していくのはあたりまえだと思う。沖縄は、私はどっちかというと、これはおとなし過ぎると思います。アデンをごらんなさい。アデンは三十万です。イギリスの力が弱いせいもあるけれども、最近のアデンの状況は、イギリスはあそこの軍事基地をとにかく引っ越させなければならぬような状況になっているじゃないですか。それからまたグアムも、グアンタナモの基地も、これは長いことあります。あれなんかほんとうにいけない。しかし、アメリカ軍のプレスティージのために維持をしておる。ああいうことのためにやはりキューバが反米になり、そうして今日ソ連の共産陣営のふところに飛び込んでいったわけです。いまの沖縄のアメリカのやり方を見ていますと、全く自分でもってプレスティージを失うようなことばかりやっているのですね。私どもは、ああいうアメリカのやり方というものは、もっともっと政府としても思い切って批判したらいいと思うのです。政府ができなければ、私どもやります。いままで政府は、たとえばアメリカの軍人が切り捨てごめんをやって、ベトナム戦争が起こってからアメリカの凶悪犯罪が増加している。この表ですね、こういうことを見ていままで黙っていたでしょう。日弁連が言った、国会で問題にすると。やっと日米協議委員会で今度取り上げますと、こういうことでしょう。その間に犯罪がどんどん行なわれている。われわれやいやい言うから、アンガー高等弁務官も多少これは取り締まらなければならぬということになってきた。だから、あまりあなた方はアメリカ様の御威光におそれて、そうして遠慮しているようじゃだめですよ。総務長官の沖縄関係の一番の問題は、私はアメリカの沖縄統治に対する姿勢をどういう姿勢をもって臨んでおるかということが一番重大な問題だと思うのです。どうお考えになりますか。
#68
○国務大臣(塚原俊郎君) まあ岡田委員の御意見は承りました。私、現地に行っておりませんので、はだで感じたことはございませんが、このポストにある関係でいろいろ私が聞いておるところでは、主体性を持った――直接統治とおっしゃいますが、それよりも形の異なった方向へ行っているというふうに私は報告を受けておるわけであります。布令、布告の廃止あるいは自治権の拡大等つとめておる姿、しかし、これは解釈のしかたによっては直接統治があるのではないかという御批判をなさる方々もあるかもしれませんが、私はそういうふうに承っておるわけであります。しかし、今度参りまして、岡田委員の御指摘のようなことが、おそらく私も勘は悪いほうじゃないと思いますから、(笑声)どんな事実でもひとつ十分勉強してきたいと思っております。
 なお、その日弁連が言った、だれが言ったという人権問題のいまお話でありますが、今日まで私は政府が拱手傍観をいたしておったとは思いません。この問題は、非常に人権問題は重大でありまするから、そのつど外交折衝なり何なりで私は当局に強い猛省を促しておったと私は考えております。また私の範囲では、堀副長官、この前、昨年一月参りましたときにも、この人権の問題を中心として強い要請を、アメリカ側にも強い猛省というか抗議を申し入れさせたようなこともございますし、この間参りましたときにも、この人権問題を中心として話してこいという、プライス法の改正と二つを柱としたのでありますが、人権問題を頭に入れて私は指示したようなわけでありまして、決して岡田委員の御指摘のような、こういうものに手をこまねいておったとは私は考えておりません。しかし、大事な人権問題でありまするから、機会あるごとにひとつこの問題の解決のために努力する決意を私は持っております。
#69
○岡田宗司君 まあ塚原長官がそういう決意を持って臨まれるならば、私どもたいへん喜ばしいことだと思うのですけれども、いままでこの問題でもって外交交渉がどうのこうのというようなことはございませんよ、それは。まあ、多少の抗議はやったこともございましょう。しかし、これも沖縄の住民の方々が声を大にしてこの問題についていろいろ非難を始めた、そういうことから初めて起こったんですね。それで日本政府としては、いままで沖縄の施政の問題についてアメリカへ抗議したりしたことなんかないのじゃないですか。これからは私は変わってもらわなければならぬと思うのですよ。あなたが、変わるというそういう姿勢で臨むということになれば、それはけっこうなことだと思いますが、それはひとつぜひやっていただきたいと思いますがね。この問題は率直に言えば、いまの沖縄におけるアメリカの統治方式の根本問題に触れてくるのです。いま沖縄におけるアメリカの統治方式は、直接統治、間接統治という問題のほかに、もう一つ異質的なもの、それは軍政でしょう。とにかく沖縄の軍司令官が高等弁務官、そうして一切の権限は軍司令官にゆだねられておる。これはもう明らかに軍政ですよ。そして沖縄の住民がそのアメリカの軍人、軍属によって犯された犯罪に対して、何らのこれに対抗することもできないという事態、これは軍政の本質でしょう。一体戦後二十二年、軍政をそのまま維持し、そしてこの軍政のもとにおいて、大統領の行政命令は民主的にやれというようなことを言っておりながら、こういう本質の軍政を、専制、切り捨てごめんの軍政を続けていっておるという事態、これは重大な問題なんです。私は、国連の憲章にも違反するし、国連の非植民地宣言にも違反する問題だと思うのです。こういう問題に触れる問題なんですね。特に私は、米軍の犯罪問題に対して日本政府がどういう態度をとって臨むかということは、単にアンガー高等弁務官に反省、反省と言うのは、高等弁務官に取り締まりをきびしくしてくれという以上のものを私どもは持って臨まなければならぬと思うのです。この点どうお考えですか。
#70
○国務大臣(塚原俊郎君) 人権問題は何にもまして重要な問題であります。単に起きた事犯に対するアフターケアの事後措置というようなことでなく、何によって起きてくるか、そういう原因も調べると同時に、それからいま岡田委員の御指摘のように、アメリカの基本的な考えが軍政にあるか、直接統治にあるかそれは存じませんが、民主主義を口に唱える以上、人権の重要さというものを考えた措置をとるよう、それこそ強い交渉をしなければならないと考えております。
#71
○岡田宗司君 先ほど漸次間接統治のほうに移行しておると、こういうことなんですが、この間接統治のほうに移行をさせるということは、つまり、一面においては自治権の拡大である。先ほど森委員の言われた、アメリカの施政権ですか、へこみをつけることにもなるということも考えられるわけなんですが、私はこの問題も、単にいまの軍政を維持をしておるもとにおいて、多少の形だけの民政移管もしくは琉球政府への権限の移管ということでは、これは沖縄の住民の方々も満足しないし、また、高等弁務官がかわっでもう一度キャラウェーみたいなものがやって来た場合には、それでまたひっくら返っちゃうのです。つまり、いまのアメリカの統治を見ていますと、先ほど山野局長が言われたように、弁務官の性格か、弁務官の考え方か何か知らんけれども、それによってころっころっと変わるのですね。これはどうも私どもは納得できない。だから、これはそういう制度の根本問題にも触れて論議をしなければならないと思うのですがね。この制度の根本問題に触れて論議をするということはお考えになっていませんか。それとも、そういう点にまで触れて論議をするお考えですか。
#72
○国務大臣(塚原俊郎君) 岡田委員のおっしゃる制度というのはどの程度まで意味しているのかわかりませんけれども、私は、これは非常に大事な問題ですから、進んで検討をしなければならない問題であると考えております。
#73
○岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、この間私どものほうでもっていろいろ研究いたしまして、そうして公明党それから民社党の賛成を得まして国会に沖縄県の代表に議席を設けると、こういう議員立法をすることをきめてその手続を始めた。これに対して自民党のほうも、沖縄問題等の委員会でやはり同じように、沖縄の将来のことを考えてでしょう、もちろん将来のことを考えてですが、衆議院に五つ、参議院に二つの議席を設けるということをおきめになったようです。これはおそらく、私どものほうで出したものと自民党で出したものとたいへんよく似ておりますしいたしますので、話し合いを行なって、あるいは四党の一致した提案になるのじゃないかと思うのです。ところが、けさテレビを見ていましたら、政府のほうでは、あれは時期尚早であるというようなことで難色を示しておる、こういうことが伝えられております。おそらくきのう自民党であの案をきめましたあと、新聞記者があなた方にも会われて、そうしてお聞きになったので、したがって、難色を示しておられるというふうに報道したのじゃないか。あれに対して総務長官どうお考えになるか。
#74
○国務大臣(塚原俊郎君) それは私初耳です。またテレビも見ておりませんが、実は党の特別委員会がそういうことをお話し合いになったということは、出席した方から私は昨日夜伺っただけです。そこで、あれは委員長どなたでありますかな、安井さんですか。何か安井さんが私のところにも来るというお話を聞きましたが、まだお目にかかっておりません。いわんや、いまのような、政府が云々ということになりますと、私が知らないで政府ということになりますと、どこをさしたのか、私は全然それはいまのは初耳であります。なお、その趣旨については、私個人としてはこれは賛成であります。私も、前の話になりますが、議運の委員長をしておりましたとき、また理事などをしておりましたときにも、この問題でたびたび沖縄の方々にもお目にかかって御相談をいたしたこともありますし、この問題については私は研究をいたしたこともありまするから、私個人としてはその趣旨には賛成であります。
#75
○委員長(山本利壽君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#76
○委員長(山本利壽君) 速記をつけて。
#77
○岡田宗司君 これはけさのNHKで、政府並びに自民党の首脳部と書いてある。政府ということになると、あなた主管の大臣ですから、あなたに話がなくて、「難色を示した」というのもおかしな話です。そうすると、やっぱりあとのほうの首脳部のほうかもしれない。これはまあアメリカが施政権を持っておる、実際に。あそこで選挙を行なわれるということになれば、だからしてそれはちょっと行き過ぎじゃないかというようなことを示されたのじゃないかと思うのですけれども、とにかくこれは国会のほうで、自民党さんも含んで、それをやるということになったら、あんまりその難色を示すとかなんとかというようなことは、これはやめていただいたほうがいいと思うのですよ。まあ自民党さんのほうも、野党三派が出したもんで、びっくりあわててああいうものをおつくりになったんで、また今度政府首脳がだめだからこれはぽしゃったというふうなことになりますと、これは沖縄の住民諸君に与える失望というものは非常に大きい。私は、これはいますぐそれじゃあっちで選挙が行なわれて、沖縄の代表が国会に議席を占めるとは考えておりません。これは非常にむずかしいと思うけれども、一つの鼓舞にもなるし、それからまた、日本側が沖縄に対してどう考えておるかという姿勢を示す一つの重要な私は問題だと思うんです。いま総務長官は、この問題については自分も同じ考えであるということでございましたので、私はこれが近く衆議院において四党の共同提案になり、こっちに回ってきましてもすぐ通る、今国会中に通ることを努力したいと思いますが、政府のほうでもひとつ難色なんぞ示すというときには、あなたが率先して、その何ですな、難色を示すやからを説得して、喜んでこれが通るようにしていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
#78
○国務大臣(塚原俊郎君) 何かクレームがついたという報道自体、私初耳でございますから、よく調べてみますが、先ほども申しましたように、私個人としてはこの趣旨に賛成でありますから、おわかりだと思います。
#79
○岡田宗司君 個人としてじゃなくて、沖縄問題の主管大臣として賛成であると言ってくださいよ。
#80
○国務大臣(塚原俊郎君) 党の正式なお話をまだ聞いておりません。きわめてしゃちほこばった言い方かもしれませんが、私塚原は賛成でございます。
#81
○春日正一君 私、前回に引き続いて渡航問題でお聞きしたいんですけれども、それと関連して、一番先に小笠原への渡航の問題ですね。渡航申請書というものを取ってみますと、こういうことになっているのです。こういう英文のもので、日本語に訳してみますと、この書類は、「太平洋諸島信託領土を旅行するための申請と許可書」、「自己経歴書」、こういうふうになっているんですね。つまり、旧南方諸島ですか、あれの中に小笠原が入れられてしまって、小笠原に行くには、アメリカの太平洋信託統治領土、これに行くのと同じ手続になっている。そういう扱いになっているわけですね。そうしてその中身も、だから非常にひどいものでして、たとえば「自己経歴書」なんていうのを見ますと、目ぼしいのを拾ってみると、「目の色、毛の色、傷あと、身体上の欠陥、特徴」、これを書けというのです。「家族――親密な関係にあった一緒に住んでいた他人まで記入」と言っている。「あなたは現在もしくは過去にアメリカの共産党員、あるいは他のどこかの共産党の組織のメンバーであったことがありますか」と。「あなたは現在もしくは過去に何らかの団体、組合運動、集団との共同行動をとったことがありますか」と。こういうことを逐一書かせるのですね。しかもそのあとに、「私は、この用紙に故意に誤った考えや説明を書いた場合、罰金、投獄、あるいはその両方によって罰せられることに同意します。」こういう条件ですね。こういうものを出させるということになっているわけですが、二つ問題が出てくると思うのですよ。一つは、政府は外務大臣の説明でも、講和条約三条によって小笠原の地位も沖縄の地位も同じだというふうに答弁しておいでになる。ところが、小笠原は沖縄と違って南方信託統治領土にいっしたのだ。政府はそういうことに同意したのか、この点をはっきりさしてほしい。いつ政府は信託統治領土として小笠原をお認めになったのか、この問題が一つある。
 もう一つの問題は、沖縄と同じ扱いにある小笠原へ渡航するのになぜこういう特別な犯罪人扱いのものを出さなければならぬのか。これは日本国民全部をですね、小笠原へ行こうとする者を犯罪人として扱っておる。
 この二つの問題について政府はどう考えておいでになるか。特に第一の問題ですね、問題は。
#82
○国務大臣(塚原俊郎君) 小笠原と沖縄は法的地位においては同一であります。
#83
○政府委員(山野幸吉君) 小笠原の渡航の手続の問題でございますが、実は、小笠原は渡航者の数からいいましてもきわめて従来少なかったわけでございます。で、墓参が実施されて行くようになって、年に一回まとまって申請をするようになったわけでございます。したがいまして、私のほうが身分証明書を出す場合の手続は、これは全く沖縄と同様でございます。ただ、入域許可を受ける場合に、大使館がその事務を取り扱っておるのでございまして、その入域の許可申請の諸手続等については、私のほうが一々沖縄のように一括してごめんどうを見ていないわけでございます。したがいまして、私もいま初めてお聞きして内容がわかったようなわけでございますが、そういう沖縄とは違った取り扱いがなされておるようでございます。
#84
○春日正一君 その説明じゃ説明にならぬですわ。大使館が扱おうとどこが扱おうと、とにかく小笠原が南方の信託統治領の中へ繰り込まれている、アメリカ側とすれば。日本はそのことを認めたのか。いつ信託統治にしたのか。国民に提案したことがあるのか。ないでしょう、それは。そうすると、そういうないものをアメリカがかってに信託統治領として扱っておる。しかも、こういう公文書を出してその扱いになっておる。だから、いつも個別に行ったときでも、あの局の人たちは、アメカの大使館がやっておるということでありますと言う。これは公文書でしょう。こういうものの取り扱いを認めたということになればですよ、日本政府が信託統治領として既成事実を認めてしまったということになるんじゃないですか。この点どうなんですか。
#85
○政府委員(山野幸吉君) ただいま総務長官から御答弁ございましたように、この小笠原はわが国が潜在主権を持っておりまして、決していまお話しのような信託統治とか、そういう関係にあるわけではございません。やがては沖縄と同様にわが国に返されるところであり、したがって、その法的地位は全く沖縄と同様でございます。
#86
○春日正一君 そうすると、日本は、長官も局長も、これは沖縄と小笠原は同じ地位だというふうに認めておられるなら、こういう不当な入国手続をやめさして、少なくとも沖縄の入国手続と同じにさせる。させなければ道理が通らぬということになるけれども、この点どうですか。
#87
○政府委員(山野幸吉君) 実は、いま御説明申し上げましたように、小笠原の入域の場合は事例が非常に少なかったものでございますから、私のほうで直接ごめんどうを見ていないわけでございます。したがいまして、いま御指摘になったようなそういう複雑な特殊な書類を出さしてこの入域の許否をきめるというようなことになっておることを実は私は初めて承知したようなわけでございまして、したがいまして、よく私ども調べてみまして、そうしてひとつ今後検討してみたいと考えます。
#88
○岡田宗司君 関連して。総務長官ね、こういう手続は沖縄だけはあなたのほうでやっているけれども、一般の渡航手続その他はこれはあなたのほうの所管ではないんですから、その違いとか何かのこまかいことは私はお聞きしませんが、私もアメリカにも行ったりなんかしておりますけれども、アメリカ一入国する場合に、いま春日君が指承れたようなこういうたいへんむずかしい、まあいわば犯罪人扱いだとか、それから政治的な信条その他を問題にするなんということはないと思う。これぼくもいま聞いて、初めてで、たいへん驚いたんですけれども、こういうことをやっているということは、日本国民に対して、何ですな、
 一種の侮辱を与えているようなことになりませんか。そうお考になりませんか。これはどうお考えになります。
#89
○国務大臣(塚原俊郎君) いや、私も初めてそれを聞きまして、よくひとつ調べさせていただきたいと存じます。
#90
○春日正一君 あのね、これ時間ありませんから、この問題最後にだめ押しだけにしておきますけれども、長官もまあ初めて知ったと。だけども、明らかに信託統治領扱いというのは、これは日本のいまの立場からいって大問題ですわ、信託統治領扱いの中へ入れられておるということは。政府のいままでの言明とも違うし、この問題どうしてもはっきりさせなければならぬ。そして、少なくともいまの現状ででもですよ、沖縄と同じ手続で向こうへ入れるようなそういうことにしなければ、いま言ったようなひどい条件つけて罪人扱いでやるということは、これはまあさっきも岡田君の話もあったけど、日本の国民に対する非常な侮辱だし、それを政府が黙認しているというようなことは許されないと思う。その点、長官の今後の努力について一言聞かせてもらってですね、私は次の質問に移りますわ、もう時間がないから。
#91
○国務大臣(塚原俊郎君) ひとつよく調査させていただきます。
#92
○春日正一君 で、沖縄の問題について、この渡航についての差別ですね、この前その点について東京都が窓口で差別をしておるというところまで質問したわけですけれどもですね。まあ窓口で差別しておる。この東京都の係員は、労働組合、革新政党、評論家、マスコミ関係、写真家、こういうのはすべてマークして この前言ったような特別な受取書を出すということになっているわけで、非常に広い範囲にわたってチェックをしておる。
 そこで、時間ないから、私も結論のほうを急ぎますけれども、一体こういうものを、この身分証明書を出してですね、これだけの簡単なものをこれで許可する、許可しないという判断は、一体アメリカ側は何を基準にしてやっているのか。そこのところをひとつ説明してほしいんですが。
#93
○政府委員(山野幸吉君) まず前段の、東京都の取り扱いの問題でございますが、私どもさっそく当日東京都について調査いたしましたところ、この前御答弁申し上げましたように、この様式につきましては、私のほうはもちろん、それからトラベル・ユニットのほうでも指示したことは全くございません。東京都で自主的に、事務上の都合でそういう取り扱いをしたと、こういう御回答でありました。しかし、いずれにしてもそういう誤解を受けるし、こういう取り扱いを即刻やめてもらいたいという申し入れをいたしまして、東京都では直ちにそういう取り扱いはやめるということにいたしましたので、報告いたしておきます。
 なお、後段の、入域許可の許否の基準は何かという御指摘でございますが、まあこの点につきましては、私どもも、実はその拒否されました場合にも回答が全くないわけでございまして、理由につきまして、したがいまして、どういう判断でこの特定な人を拒否されるかということにつきましては、私どもはその理由は承知いたしておりません。
#94
○春日正一君 まあ、どういう判断でするか、アメリカがやっているんでわからぬと言いますけれども、まあ特連局長自身、五月二十一日のこの委員会で、米民政府在京機関の権限を拡大し、同機関限りで許可し得る範囲を広げて入域許可に要する時間を短縮したというふうに言っているんですけれどもね。だから、当然トラベル・ユニットで審査して許可できるものとそうでないものとに分けて、そして許可し得る範囲を広げたということになれば、一体その許可し得る範囲というものはどういうものなのか。
#95
○政府委員(山野幸吉君) これもはっきりこういう範囲というぐあいに申し上げるわけにはいきませんが、たとえば、この前申し上げましたように、一般的な観光で渡航されてるような場合とか、あるいはまた、日本政府の経済援助に関係して技術援助を行なう職員が渡航する場合とか、それから数次往復、商社との仕事の関係等で渡航されるような場合とかそういうような場合は、東京都のトラベル・ユニットのほうで行なわれておるであろうというぐあいに私どもは推察するわけでございます。ただ、それも観光だから、全部こっちでやるということまでは、私どもは確かめておりません。
#96
○春日正一君 それで、そういうものを除いた以外のものですね。まあ観光だってストップされた人あるわけだから。いまのようなものの判断を米民政府がやっているということになると、これに必ず何か基準がなければならん。必ずあるはずですよ。しかも、アメリカ民政府がこの申請書だけ見て、何々労働組合の組合員であるというようなこと、あるいは何かの団体の役員をやっているかいないかというようなことだけ見て、しかも、一人一人について全然知る由もないのだから、米民政府は日本の国民について。これだけのもので判断を下すというようなことになれば、非常にいいかげんな恣意的なものになってしまう。たとえば、全日自労のこの場合、執行委員であるということが書いてある。ところが、そのことの理由とは言ってないけれども、この人は不許可になっておる。この前私の問題にした豊島の民主商工会の事務局に働いておる人、親の死に目にも会えなかった。墓参にも行けなかった。あのときは、七年前と言ったら、七年も古い話かという声がちょっと出たけれども、その後墓参願いを二回も出して二度も断わられておる。いまも行きたいのだけれども、あきらめているんだと言う。そういうことで、民主商工会という団体の事務職員をしておる、全日自労の団体の役員をしておるということだけで、これは来ていいとか悪いとかということをきめられてしまったら、これは日本の大衆団体に対する干渉にもなるし、本人にとったって非常に迷惑だ。あの一つの大きな全日自労という二十万以上もある大衆団体ですから、いろいろな政治傾向を持った人あるいは持たない人も役員になっておる。それを一律にそういうことで許可しないというようなことになればですね、これは重大なことになるわけです。そうすると、そういうことだけで実際やられておるというふうには考えられない。やはり、何かの機関が日本のこれに協力する、あるいは資料を提供するということにならなければ、琉球にある民政府が日本の国民一人一人を審査なんか、これだけのものでできるはずがない。そうすると、日本政府が実際協力して提供している資料、そういうようなことをやっているんじゃないですか。
#97
○政府委員(山野幸吉君) この入域許可は、本来個人でそれぞれお取りになるべきのを、まあ私のほうで便宜まとめて米側に渡して、そして許否をきめてもらって、本人に渡すという仕組みにしておりまして、したがいまして、私どもとしましてこの許否に関連した個人個人のデータ等を向こうに提供するようなことは絶対いたしておりません。
#98
○春日正一君 そうすると、長官どうですか、こういう恣意的な形で、何で許可しないか何かわからぬというようなことで、さっき現にあげたように、親の墓参りもできない、親類にも会えないというような事態が起こってくる、そういうことに対して日本政府として、これでいい、あるいは打つ手がないと言って黙って見ているということになるわけですか。
#99
○国務大臣(塚原俊郎君) いろいろと初めて承ることばかりなんでありますが、私は、全体としては自由になること、これが一番望ましいことであります。しかし、施政権の関係から言いましても、完全にそういったことになり得ない要素も考えなければなりませんが、ひとつできるだけ自由になるよう、そうなることを私は心から望んでおります。
#100
○春日正一君 それで、沖縄からこっちへ来る場合には許可になる、申請書には許可の判こが押されてくる。それにはただこういうもんです、写しは。まるい判こで、何の理由で許可するとも何ともなしに、ただノー・レコードと書いてあるんですね、記録がない、だから行っていいということでしょう。そうすると、向こうでは沖縄県民全部について記録を持っている、これとこれとこれは渡しちゃいかぬというような記録を持っている、そうすると、やはり日本の本土の人間についても、そういう目安、記録というようなものが当然あって、そしてこれはそれに該当するからだめなんだということになるんじゃないか。これは二つ問題があるんです。一つは沖縄の県民全部がスパイされて、記録されて、そしてふるい分けられている。こういうひどい差別、人権じゅうりんがやられておる。それから、日本の本土についても、何か知らぬけれども、一定の基準を持っておって、そして恣意的に許可されないというようなことがされるということになると、二つ問題を持っているわけですけれども、やはり日本の場合にもこういうレコードがある、そうしてそういうものに基づいて大体の目安できめてくるということにならなければ道理に合わぬですわ。どんなに高等弁務官、偉いといったって、一人一人の具体的なケースについて的確な判断なんて下せようないんだから、必ず一つの基準があって、それによってやられてくる、その点どうですか。
#101
○政府委員(山野幸吉君) 私どもはそういうことについては何ら知識を持っておりません。
#102
○春日正一君 まあ、おりませんはいいけれども、国民がそれで、あんたけらけら笑っているけれども、国民はそれでえらい被害を受けて、屈辱感を受けているわけですわ。そうすると、やはりこういうものに対して少なくともその基準を明らかにしろ、日本の国民は承知しないから明らかにしろというようなことを要求する、あるいはそういう渡航の制限を撤廃しろというようなことを要求するということは当然やらなきゃならぬこった、日本の政府として。国民を代表しているわけですから、それをどうですか、長官やってくれますか。
#103
○国務大臣(塚原俊郎君) 権限の問題から考えましても、完全なる姿ということはこれは望めないのでありまして、しかし、いろいろ矛盾の点もあるようでありますから、十分検討さしていただきたいと存じます。
#104
○春日正一君 先ほどの岡田委員の予算の問題でもそうだけれども、向こうはかってにやってくる。少なくとも日本の政府として、事、国民の利益にかかわる問題については当然それを主張し、談判していくというようなことはやるべきことだと思いますよ。
 そこで、その次に行きますけれども、これはやればできると思うのですよ。渡航の身分証明書の発給申請書の様式というものの中に、団体、所属経歴と、渡航先の身元引き受け人と、こういう二項目があるのですよ。これ以外に判断する基準になるものは、あとは住所とかそんなものです。この二つのものは日本の国の法律できまり、それに基づいて政令二百十九号ですか、第十六条ということで、この身分発給申請書の様式というものはきめるということになっているわけだから、その様式の中でこの二つの条項を取っ払うということは当然できるはずだと思うのですよ。取っ払ってしまって、これじゃ困ると言ったら、なぜ必要があるのだということで、そこで談判していけばいい。取っ払ってしまうべきだと思うのですが、どうですかその点。
#105
○政府委員(山野幸吉君) 確かに身分証明書のこの交付の要件にそういう二項目が入っておりますが、これは実はそのもとは、御案内のように、入域申請書の様式の中にその二項目があるわけでございます。この入域申請書の項目につきましてはこの前申し上げましたが、当初三十五項目であったのを二十二項目まで整理して落としていったのですが、その二項目につきましても、私どもはできるならひとつ簡素化してもらいたいということを数次にわたって申し入れておりますけれども、これはまあどうしても米側としてはこの二項目は入れてもらいたいということで現在それが残っておるわけでございます。
#106
○春日正一君 それで、まあ日本から行く問題でもそうですけれども、たとえば沖縄からこっちへ来る場合にはそういう制限はないわけですね。いま言ったように、ノー・レコードということだけになっておる。ところが、沖縄のほうで人民党の瀬長亀次郎氏がいままで何か国外退去とか何か命令された者をかくまっておったという理由で公民権の剥奪をやられておったものを、その布令がなくなって公民権が回復しておるという事態のもとで本土への渡航を現に拒否されておる。この理由について琉球立法院でも各党問題になり、そうしてそういう意向も反映して松岡主席も、瀬長氏を特別扱いするのは不自然だ、拒否する理由も不明瞭であるということで、民政官に渡航制限を解くように交渉する、要望するということはやっている。あの軍政下にある沖縄で立法院がそういう態度をとっている、あるいは主席がそういう態度をとっているということから比べてみると、本土の政府の責任を持っている長官なりあなた方が、もっと強い態度でアメリカに対して要求するということは当然のことだと思うし、それから、当然こっちから行く問題もそうだし、同時に向こうから来る問題、瀬長氏のような問題、こういう問題も当然政府の力で解決するように努力すべきだというように思うのですが、その点どうですか。
#107
○国務大臣(塚原俊郎君) 先ほど調査さしていただきたいと申しましたけれども、非常に大事な問題でありますから、十分努力したいと考えます。
#108
○春日正一君 もっといろいろ突っ込みたいのですが、一問だけ最後に、時間もないようですから、締めくくりをやりたいのですけれども、この渡航制限というものが、ただ個々人が行けないということだけでなくて、本土と沖縄の住民にとっては不断に精神的な圧迫になっている。いろいろ本土に対しても問題を投げかけておると思います。たとえば生活への直接の影響として、何回も手間をかけ、金をかけて発給手続をやると、しかも、それがおりないというようなこと、あるいは進学や就職というようなことで、それを予定して申請しているのに許可されないとか引き延ばされたとかいうようなことで、その機会を妨げられるというような事態もあるし、この前から言っているように、親族や友人を訪問しようというような場合それができないということは、この親族間がやはり疎遠にされていくというような問題がある。こういう問題があるから、個人的にもこの諾否について非常に精神的な圧迫、負担というものを与える。これ第一点だと思いますよ。
 それから、沖縄の人と結婚して沖縄で暮そうとすると、本土の人は在留許可をとるだけでなくて、永住許可を得なければならない。だから、民政府の許可がなければ、沖縄の人と結婚して沖縄に住むということはできないというような状態になっているんですね。これは人道上の問題ですよ。そういうふうな事態がある。
 もう一つの点は、これは民主主義的な自由、権利への非常な圧迫になっているんですね。たとえば言論、文章で自分の考え方を発表する場合、あるいは団体に加入する場合、私も具体的な事実を知っていますけれども、在京の、日本に来ている沖縄の人たちが祖国復帰運動の団体に入ろうとする。ところが、それに入れないのですね。入れば国に帰れなくなるぞと。だから、祖国復帰運動をやろうと思っても、本土では本土の人間が主としてやっているので、沖縄の人がなぜ正面立って動けないかといえば、結局、そんなことやれば証明書が出ないぞ、帰れないぞという、こういう形の圧迫になっているわけです。だから、関係者は絶えずそのことを心配しなければならないような状態に置かれているということは、結局、日本の本土にある憲法に保障された、団体を組織しいろいろな運動をすることの自由ということに対して、このアメリカの渡航制限というようなものが、直接侵犯してきておる。本土に住んでおる人たちにすら言論、集会、結社の自由というものに対する圧迫という形になってきておる。こういう問題がある。だから、これは単に当事者だけの問題じゃなくて、日本の憲法、あるいはそれに基づく諸法規による民主主義的な自由に対する侵害ということが、現にそういう形でやられておる。それから……
#109
○委員長(山本利壽君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#110
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。
#111
○春日正一君 一言だけ長官から答えてもらっておきます。こういう点で一つだけぼくははっきりさしておきたいのだけれども、そういう不幸な状態にある。不合理がある。それに対して答弁聞いてみると、アメリカがやっているのだから手の打ちようがありませんというような形になっておって、何かこの事態をつくり出した政府の責任というものがたな上げされているという感じです。サンフランシスコ条約三条を認めて、沖縄、小笠原をアメリカの占領下に引き渡したというのは、これは日本政府の責任です。そうしたら、この関係から起こってくるすべての問題、特に人民のこういう不幸に対して、すべての苦情というものは直接政府に行かなければならぬはずだし、政府がその全責任を負わなければならぬはずです。そういう立場をほんとうに踏まえてもらって、そうしてこの渡航制限というような問題を撤廃させるというために努力されるかどうか、その点について、ひとつ長官の答弁を求めて、私の質問を終わらしていただきます。
#112
○国務大臣(塚原俊郎君) 政府が現実のこの姿、現実の問題というものに対処していろいろと苦労もし、努力いたしておるところは十分おわかりいただけると思うのでございますが、春日委員とやや見解を異にする点もありまするけれども、私は事が非常に大きな問題でありまするから、よく調べて、そうして先ほども申しましたように、解決のために努力していきたい、このように考えております。
#113
○委員長(山本利壽君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 次回の委員会は七月七日午後一時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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