くにさくロゴ
1967/07/07 第55回国会 参議院 参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第11号
姉妹サイト
 
1967/07/07 第55回国会 参議院

参議院会議録情報 第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第11号

#1
第055回国会 沖縄問題等に関する特別委員会 第11号
昭和四十二年七月七日(金曜日)
   午後一時十九分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 利壽君
    理 事
                内田 芳郎君
                小柳 牧衞君
                岡田 宗司君
                佐多 忠隆君
                黒柳  明君
    委 員
                大谷 贇雄君
                源田  実君
                長谷川 仁君
                日高 広為君
                川村 清一君
                向井 長年君
                春日 正一君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        増本 甲吉君
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   参考人
       日本弁護士連合
       会弁護士     丸尾 美義君
       日本弁護士連合
       会弁護士     兼藤  栄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人出席要求に関する件
○沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関
 する調査
 (沖繩における人権問題等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本利壽君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄における人権問題等に関する件について、本日参考人として日本弁護士連合会沖縄問題調査特別委員会副委員長丸尾美義君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山本利壽君) 沖縄その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖縄における人権問題等に関する件を議題といたします。
 本日は、参考人として日本弁護士連合会沖縄問題調査特別委員会副委員長丸尾美義君、同第三部会長兼藤栄君の御出席をいただいております。
 この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位には御多用のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。本日は、沖縄における人権の問題等に関する件について御意見をお述べいただき、本特別委員会の参考にいたしたいと存じております。何とぞ忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願いいたします。
 なお、議事の都合上、まず御意見をお一人二十分程度で順次お述べをいただき、その後、委員からの質疑にお答えをお願いいたしたいと存じておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、丸尾参考人からお願いいたします。
#5
○参考人(丸尾美義君) 御紹介をいただきました丸尾美義でございます。本日は、委員長であり現地派遣団の団長でございました奥山八郎先生がおいでになることになっておりました。私は参らぬことになっておりましたが、ゆうべになって突然かぜを召されて、八十何歳でございますから、行けないから私に行けという事務総長からの連絡で参った次第でございますが、奥山さんのおわびを申し上げると同時に、私についてもどうぞお手やわらかにお願い申し上げたいと存じます。
 まず、私どもの連合会でこの委員会が結成されましたのは、去年のちょうどいまごろで、約一年になります。いろいろ論議をいたしましたが、現地を見ないとやはり意見の立てようもないというようなことでございまして、本年の二月十六日から二十八日まで十二日間、先発の者も一人あり、あとに残った者も一人ありまするが、大体十二日ぐらいを中心にして参りました。その調査の目標と申しますか、大体の限界は、私どもは弁護士でございます。人権の擁護はその使命といたします。社会正義の実現に協力することも弁護士の職責であります。この限界の中において、沖縄の人権を中心に、いわゆる沖縄問題あるいは沖縄の法律上における地位、法的地位というような問題を中心にいたしまして研究する、勉強すると、こういう目標で調査も会議も進められておるのであります。したがいまして、私どもの心がまえといたしましては、議会の皆さま方と違いまして超党派的でございます。純粋の法的立場におきまして沖縄はいかにあるべきかということを探求するのを心がまえといたしております。また、若干未定稿のものを、外部には出しておりませんが案をつくってはございますが、それは内部の事務上の連絡、予算の要求にはやはり資料も要るというような程度で書いたものはありますが、巷間、若干世間に出ておるかもしれませんが、事の本質は、まだ連合会としては研究のさなかである、結論を得ておりません。したがいまして、本日述べますことも、連合会の結論とはおよそまだ、結論を申せとおっしゃられても、申し上げる何ものもできませんと申し上げるほかありませんが、本日せっかくのことでございますから、会議の模様とか、あるいは自分なりに考えている先ほどの立場上のことをお話し申し上げたいと考えるのであります。どうぞ御了承を賜わりたいと存じます。
 その組織は、団長を奥山八郎先生、副団長を当私がいたします。そして調査の部門を四つに分けます。
 まず第一点といたしましては、司法制度を中心とする裁判所、弁護士会、あるいは問題になりました移送問題等を中心として研究をする班が一つ第一班とせられました。その責任者は常盤敏太、二弁の先生であります。
 第二の問題は、第二班は、渡航問題。渡航問題といいますのは、同じわれわれ日本人が沖縄に行くにしても、沖縄から来るにしましても、渡航の不明朗な制約があるのでありまして、これを解明しようと努力いたすために設けられた班でございます。現に私どもの――十三名参りましたが――一人に対してはどうしても渡航証が、身分証明証が出ません。何がゆえにしかるかということを、総理府その他にお尋ねに行きましても、アメリカ側のサインがないから、ぼくらには何とも言えぬと言う。私どもからしますと、日本政府で、これでいいのかと思うような御返事でございまして、残念ながら、この沖縄問題に一番詳しい同僚は参上することができません。したがいまして、いろいろ私ども情報も持っておりますし、研究もいたしておりまするが、こちらが行こうということになって、制約も受けるし、向こうからは、原爆患者が治療に行きたいと言っても、好ましからざるというような、表向きは言えない理由で、何となしに許可がおりない。現に訴訟もそのために数件起こっておると聞いております。そういうような関係から、渡航問題について一班を組織した次第でございまして、その主任は東京弁護士会の杉田伊三郎君でございます。
 第三班といたしまして、沖縄問題は、およそどの問題でも人権に関係ないものはないと言い切ってもいいくらいの人権問題が多いのでございますが、なかんずく、いわゆる人権の問題として、狭義の人権の関係につきまして、どういうような実態であるかということを調査いたすために人権班をつくりまして、本日参っております兼藤栄先生がその責任者であられました。それと、そういう人権のほかに基地問題、いわゆる基地周辺のこれはもちろん人権問題でございますが、コザを中心とする見るに忍びない姿なども、むろん人権の調査の対象に相なっております。
 第四といたしましては、軍用地の問題でございます。沖縄の中に基地があるのか、ある表現によると、基地の中に沖縄があるというような表現をされてもおりまするが、コザを中心とする嘉手納飛行場周辺は、まさにそのとおりじゃないかと考えるのであります。この軍用地問題については、約十年前、連合会にも同じ趣旨の委員会を設置いたしまして、吉川大二郎、大阪の弁護士先生が団長、当時連合会長であったと思いますが、石田虎雄君あたりが中心になりまして、非常な活躍をいたしまして、分割払いの制度もある程度規制ができる連合会の働きがあったのじゃないかと考えておりまするが、最近はまたまた同じような基地拡張の方向にございますので、この基地問題を中心にいたしまして研究しよう。現に私もこの知念地区と申して、近いところでございますが、那覇から現地に参りまして、高いところ、海に下がる途中に、東海岸でございますが、知念村があります。そこにたんぼがある。湧水がある。その湧水によって住民の飲料水でもありたんぼのかんがい水でもあったのをポンプで逆に上のほうの住宅地区に取り上げられたというような問題がありまして、団長その他と、助役とも会見いたして、実情を聞いてまいりましたが、ポンプを取ったためにたんぼは枯れちゃう、飲料水は、上のほうに行ってみると、その水でまあアメリカ人の方々は庭に芝を御承知のとおり植えておられますので、芝生に水をやっておられる。それで抗議を申し上げると、あなたたちは負けたのじゃないかというようなことを言われましたと聞いておりまするが、まあ、この一言が沖縄問題を説明し得ることばじゃないかと私は考えております。ことに嘉手納の周辺にありますコザ地区のごときは、一寒村がいま何万という市になっております。そこには見るに忍びない姿が夕やみとともにあらわれてまいります。こっちは白、この道から左は黒という表現をしておりまするが、間違って行くと、お互いになぐり合いをやる。四つつじには若い娘が三人、四人たむろして人を待つ。こういう情景の人権というものは、何と表現していいか、私は往年の東京の浅草や、その他震災後の亀戸あたりを思い出しまして、それ以上の姿であるのが現状の姿だと私は考えておりまするが、そういう問題を軍用地とあわせて調査いたしました。そうして私ども――年とった私、兼藤、奥山、常盤、もう一人杉田の五名は、途中で二十一日の日に宮古を経由して石垣に参りました。そうして石垣に一泊して、翌日、宮古に飛行機の一便と二便の間の時間を節約して宮古を一回りして帰った。こういう特別な行動をとりましたが、この地区、宮古には通信隊がありますので、その隊長とも会いましたが、隊長は非常に敬意を表して会ってくれまして、私ども、先生方弁護士さんばこわいのですよとかなんとか冗談を言っておられましたが、いずれにしましても、通信隊がかすかにあるということで、石垣には何もありませんので、那覇、嘉手納周辺のあの重苦しい空気から離れて石垣に参りましたことは、頭が軽くなったような感じをいたしたのでございます。
 人権の問題は――いずれも人権につながりますけれども、主として兼藤先生が担当でもありますので、兼藤先生からより詳細に御報告申し上げることにいたします。
 ただいまのは、大体、参りましたときの班の分け方でございますが、いま連合会の内部では、この四班を六班に分けまして、第五部会の労働、教育、社会の問題をカットしまして、第六部会で、大竹武七郎先生を部会長として、いわゆる法的地位――条約三条の問題を中心に沖縄の法的地位のことを討議しておるさなかで、現在の運営は、四部が六部に相なっておることを申し添えておきます。第五部会は塚本重頼でございます。いろいろ御質問がございましたら……。
 それと、これは法的地位の問題でございましたが、私はいろいろな経歴を持っております。終戦のときは海南島の総領事で、その前は大東亜省の一等書記官、領事それから裁判官、検事と、いろいろな経験を持っておりますので、私なりに、台湾には十年以上生活してまいりましたから、沖縄の産業を、これは全く私の私見でございますけれども、お差しつかえなければ、ちょっと述べさしていただきたいと思いまするが、沖縄の農民の最も熱望する産業は何か。一つはパイナップル、一つは砂糖でございます。この砂糖はいわゆる沖縄の黒糖として日本にも参っておりまするが、コストが沖縄と台湾とではうんと違います。ジャワと台湾ともまた違いましょう。台湾の緯度から申しますと、石垣島がやや台湾の中部のいわゆる台中に該当いたします。台湾ではサトウキビは台北の辺でもつくらぬではありませんが、効率いい砂糖は中部以南でございますので、台中、嘉義、台南、高雄、屏東、この辺がいわゆる砂糖の中心地でございまして、基隆その他にはサトウキビは一本もないと言うてもいいんじゃないかと思います。沖縄本土は、石垣に行くために飛行機で数時間ローカル線に乗るのでございますが、二時間以上乗りますが、緯度はいわゆる基隆にも及ばない北のほうにある。沖縄本島の島民諸君が二つのたよりにしている一つの産業が砂糖であるということは、最も私は悲しむべき現状じゃないか。砂糖は台湾で十分できまするが、沖縄で台湾と同じ効率あるコストの砂糖ができるわけありません。パインアップルについても同様であります。パインアップルもやはり台湾では南に近い嘉義以南を中心といたしております。したがいまして、沖縄本島におきまして砂糖やパインアップルをたよりにするということは、たよりにならないものをたよりにしているという、私はここに悲劇があるのじゃないか。というのは、ほかに何もないからでありましょう。彼らはその日その日を過ごすためにはパインアップルと砂糖にたよらなければならぬ、こういう姿であるようでありまするが、私は、そういう何とか沖縄のこれからの生きる道について、台湾に近い方向には、沖縄本局の半分以上、沖縄列島の中の第二番目の島といわれる西表島――「いりおもてじま」と読みますが、西表島があって、人口は四、五千人と聞いております。けさもテレビでイリオモテネコという、世界のネコ学者として、そういう名前のつくようなスタジオ102の時間で紹介がございましたが、特徴のある島でございます。こういうところに対しまして、何とか酪農、畜農、畜産といったような方法を授けてやる必要があるのじゃないかと私なりに考えて帰りました。
 また、沖縄の指導者でも、らつ腕の中には、沖縄は九十七万と五万と、まあ約百万でございますが、百万は多いのだと、四十万ぐらいはどこかに行ってもらわぬことにはというようなことを直接聞いたことがございます。これが沖縄の姿じゃないかと思います。
 二十分ぐらいになったのじゃないかと思いますので、一応質問に答えることにして、私の感じたことを申し上げてみました。一応これで終わります。
#6
○委員長(山本利壽君) 次に、兼藤参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(兼藤栄君) 私は、第三班を担当いたしまして、現在、第三部会を担当しております兼藤栄でございます。
 ここに一緒におります高橋融弁護士とともにやっております。
 私の担当したのは、基地周辺の人権問題ということでございました。
 それで、その見聞の結果を簡単に申し上げたいと思いますが、御承知のとおり、一九六五年に佐藤首相が沖縄にいらっしゃったときに、沖縄の人権協会が請願をしております。十二項目をあげまして請願書を出しておりますが、それを見ますと、沖縄の人権問題はそれによって網羅されているように思われましたので、私ども第三班がその中から三つ選んで担当することにした次第でございます。沖縄の人権協会というのは一九六一年の四月に発足しまして、当時いろいろな人権問題が頻発しておりまして、そのたびごとに民間のいろいろな団体が集まって事件の調査や抗議をしておったのでありますが、一向、継続的な救済ということができないということで、ちょうど沖縄を訪れたボールドウィンという国際人権連盟議長がおりましたが、そのボールドウィン議長の、沖縄に民間団体として人権擁護の団体をつくれというお話に刺激されて設立されたものだそうでございますが、琉大を中心とする学者、あるいは沖縄タイムス、球琉新報を中心とするジャーナリスト、弁護士、公務員、立法院議員、教員、主婦、農民、軍の雇用者、あるいは中小企業の店員、その他福祉協議会とか、市町村会とか、あらゆる階層の人を網羅してできた組織でございまして、五年間いろいろりっぱな活動をしておりますが、非常に特殊な組織になっておるそうでございます。その人権協会が請願した項目はたくさんありますが、私どもはまず第一に、米軍人軍属による犯罪の実態をできるだけ調べたい。それから第二点として、そのほか米軍のいろいろの演習行為、あるいは施設から生ずる人命。財産に対する侵害事件、被害事件を調べたい。それから、いま言った軍人軍属の犯罪及びその他の財産の侵害に対する救済はどうなっているかという点。それからもう一点は、布令百四十四号として沖縄に施行されておるところの刑法の問題を調査したいという点が三点でございます。
 もうすでに御存じのように、沖縄の基地は非常に膨大なものでございまして、沖縄の中部におきましては、三二・五%が基地であると言われておりました。特にコザを中心とする中部地区でございます。北部は一一・七%、南部は四%というような比率と見てまいりましたが、全く、目につくところ至るところ基地でございまして、私どもは基地のまん中を通って連日動き回ったわけでございます。ここにおいて米軍軍人の犯罪が非常に続発しているということを確かめることができました。きょうお手元に差し上げておきました「軍人事件犯罪別・年度別発生検挙件数調」というのがございます。数が足りませんで、まことに申しわけございませんが、これは琉球警察より立法院に対する報告書でございます。米軍人の犯罪に対してはこれしか統計はないのでございます。これがどこでいつ発生してどういう被害だったかというようなことは、一切発表になっておりません。したがって、この表を見ることによって考えるほかないのでございますが、これは一九六一年からの統計でございますけれども、その前に一九五三年からの統計がここにちょっとございますけれども、それを見ますと、五三年には外人犯罪は三百八十四件発生しまして、それがずっと大体三百台、四百台で五七年を終わりまして、五八年になりますと約倍の六百二十四件になっております。これはちょうど日本本土の米軍が沖縄に移った時期だそうでございます。それによって沖縄におる米軍人が非常にふえた。そのためにこの犯罪が倍増したわけでございます。そこで六一年になりますと九百八十四件、それから千台が続きますけれども、六六年度に四百件激増しておりまして千四百件になっております。一九六年、これはちょうどベトナム戦争が非常に激化して、あすこに来る軍人が非常にふえたということを示しております。
 これらの犯罪は基地を中心に、ことにコザ市を中心としておって、犯罪密度としては相当高いものだといわれておりますし、したがって、中部地帯一帯の住民の反米感情はかなり強いように感じてまいりました。このベトナム情勢の緊迫化で在琉の米軍の出動が見られるようになって、非常に若い軍人がアメリカ本土からどんどんやってきてここで訓練を受けてそしてベトナムに出動していくということを聞きましたけれども、そういう非常に若い人たちが基地に滞在することによって犯罪が激増しているということを聞いてまいりましたが、六六年の五月にはワトソン高等弁務官が各部隊に軍紀の粛正を呼びかけた通達が出ております。それから六六年の十月‐十二月にかけてあの有名なCIDの発砲事件で沖縄住民が二人傷つけられた事件、それから十二月にはコザのキャバレーの経営者が殺されたという事件、その他米兵と見られる殺人事件が二件発生した。そこで、琉球の立法院で与野党一致して十二月十三日に基地犯罪対策委員会というのができております。そういうような現状でございました。この詳しいことは、時間がございませんので、ここに凶悪犯、粗暴犯、盗犯、知能犯、過失犯その他として区分けしてございまして、その発生件数と検挙率が出ておりますが、非常に比較的その検挙率が悪いのでございます。この中には米軍のMPによって逮捕された統計は全然入っておりませんで、琉球警察官が逮捕したもの、及び軍の捜査機関に協力して逮捕せしめその場で認知したものだけが含まれているわけでございます。ですから、実際においては非常にこれを上回るところの犯罪が発生しているといわれております。
 そこで、この米軍人の犯罪に対する抑制というものがどういうふうにされておるかといいますと、私ども調べた限りでは、琉球警察から立法院に対する報告によりますと、警察独自の措置として関係軍当局へ軍人の犯罪の抑制について要請文書を数回発送しております。それから、定例の署長会議で三軍の憲兵司令官へ口頭で要望しておる事実がございます。それから、軍人犯罪多発地域に対する風俗営業とその犯罪防止のための懇談会を開いて、そして風俗営業の取り締まりをしている。それから、軍人犯罪多発地域に対する警らの強化をしているということが報告されておりますが、ただそういうことが行なわれておるだけで、法的にそれを規制することは琉球警察には何らの権限がないのであります。
 そこで、先ほどお手元に差し上げておきました「琉球民警察官の逮捕権」という布令がございます。もちろん御存じのことと思いますけれども、「米国軍法に服すべき者(軍属、軍雇用者を含む。)」、これの犯罪が発生した場合に、この布令に基いてごく例外的に琉球警察に逮捕権がある。そのほかにはないわけでございまして、これは非常に制限されておりますけれども、こういう場合にのみ逮捕権があると、しかし、逮捕した後にはすぐ米軍に引き渡さなければならない。その後のことは一切不明なわけでございます。琉球警察に対して、ああいう送致した事件はその結末はどうなったかというようなことの報告は一切ございません。で、これごらんになっておわかりになるように、現行犯の特殊の場合についてのみ逮捕できるわけでございます。逮捕したあとの捜査権はございませんし、もちろん裁判権もないわけでございます。そこで詐欺とか、酔っぱらい運転とか、スピード違反なんというものは、警察官は現認していてもとる措置がないわけでございまして、ほとんど野放し状態である。被害が起きて初めてそれに対応する措置ができるにすぎない。それで引き継ぎ以後の報告を受ける制度はもちろんないことは申し上げましたけれども、たまたま新聞で発表されて知るとか、あるいは非常な残忍な事件であったがためにそれが報道されるというような程度でございまして、もちろん軍法会議は公開されておるそうでございますけれども、それは基地の中にありまして、それに行くということは非常な制限を受けておりますし、また、そういうものを聞きに行ったために、たとえばいろいろな規制を受けるおそれがあるということで、ほとんど公開ではない状態になっているそうでございます。
 で、私たち調査中に感じたことは、琉球警察に対して米軍の規制が何か強いように感じてまいりました。それは、こういう統計一枚しかございませんし、どういうところでどういうものが発生したかということがわかりませんので、その分析もできない状態でございます。この米軍人の犯罪は、基地の歓楽地を中心として発生していることはもちろんでありますけれども、そこに住んでいる地域の住民の多くはその基地の産業に依存している人たちで、ことに歓楽街で米軍からの許可をもらって営業しているものは、いわゆるAサインといってAという字を書いたサインがございますが、そこは米軍の出入りできる歓楽施設である。もしそれにいろいろなことで違反したりなんかしてそれを取り上げられたらばめしの食い上げだというようなことから、非常に米軍人軍属の不法行為に対して強い発言ができない状態でおりました。市民があげてそれに抵抗して、あるいは頑強に主張するというようなことがどうしてもなされにくい状態で、そうようなことから、一そうこの米軍人犯罪が複雑な様相を呈しているように感じてまいったわけでございます。ですから、コザの市においては警察と市役所との間に何らの連携がないわけでございまして、市役所では特に米軍人犯罪による救済の係を二人置いて、そうして発生したあとの善後措置を講じておるということを現に見てまいりまして、コザの市長も一生懸命その米軍人の犯罪に対しての対策を講じておるようなお話を聞いてまいりましたが、ですから、市民は安心しておられない、米軍人の犯罪に対しては身を守る方法がないということを言って、市町村当局者でも米軍当局に対して非常な不信の声を放っておったことを聞いてまいりました。
 それから、この基地には演習地が非常に多いので、そこからの流弾だとか、墜落事故、落下物による被害というものが相当多く出ておりまして、これも統計表をもらってまいりましたけれども、そういう権利侵害が発生しております。そこで、この犯罪によるもの及びそういう米軍関係の事故による損害の賠償はどういうふうになっておるかということを調べたのでありますが、この事故が起こったのちの権利侵害の処理、これに非常に沖縄の人権問題の最大の特徴があるのではないかと思います。もし事故が起こった場合に、それを請求する経路は一応できておるのであります。で、被害者が市町村当局を通じて硫球政府にそのことを申し出ると、琉球政府の法務局の土地課というものがその担任をして米民政府と折衝して、米民政府は軍司令部から現地部隊にいって、そしてそこで損害の補償の問題が協議をされるという組織になっているそうでございますが、しかし、そういう組織はありましても請求する権利がないのです。損害に対する責任の履行として米軍はそういうものをやるのではなくて、恩恵的のものにすぎないのであります。損害賠償の請求権が一切ないわけでございます。それで先ほどお手元に差し上げました「外国人損害賠償法」というのがございますが、これが米軍の損害賠償を処理するについての基本法になっておるようでございます。これはよく見ますと被害者に権利を与えたものではなくて、親善関係を維持促進するためにやっているということが冒頭に出ておりますが、こういう恩恵的な処理の方針にすぎないわけでございまして、こういうものがあるから被害に対してよこせという請求権はないわけでございます。これはまた見ますと、事件発生後一年以内に請求しなければだめだとか、あるいは、請求者が親米的であると決定された場合でないと払ってはいけないとか、賠償金額が十分満足して受領せられない限り支払ってはならないとか、いろいろ内規的なものがあります。ですから、法務局の当局に言わせますと、いや、被害者は十分満足して支払われておりますと言って受け取りなんか見せてもらいましたが、それには印刷して、「満足して受け取った」ということになっておりますけれども、実情を聞いてみますと、それはそういう書類を書かなければ受け取れないのでありますから、非常にそこに制限があって十分な補償を得たという――人権協会の人の話では十分な補償なんかとうてい得られないということでございました。そのように、非常に賠償についての請求権がないということ、これが非常な特色でございます。
 それからまた、演習地域や立ち入り禁止地域あるいは港湾地区がたくさん設定されておりまして漁業権が侵害されておる、あるいは奪われておることがたくさんございます。あるいは水利権の問題、そういうものが侵害された場合に、それに対する補償ということも全然ないわけでございます。
 それからもう一つ、基地周辺の爆音の問題でございますが、あの東洋一といわれる嘉手納空軍基地、これは嘉手納村の約七七%が軍用地になって、それから読谷村、北谷村、 コザ市、これのほとんど半分以上が基地になっているそうでございますが、嘉手納村のごときは、二三%の残った土地に一万四千八百人の住民が住んで、そこで農耕をして住居しているというような状態でございまして、その嘉手納の空軍基地から近いところは七十メートルほど離れたにすぎないということを言われておりますが、この爆音による被害、これは沖縄人権協会で公害白書というものを出しておりますが、一週間にわたって爆音を調査してそうして学童がいかに苦しめられているかということのここに統計が出ておりますが、ちょっと読んでみますと、嘉手納村ではテレビや電話が完全に聞こえなくなる八〇ホーン以上の騒音が一日百三十六回、継続して二時間五十二分十二秒ある。それから、人間が耐え得る音の限界をはるかに越えた百二十三ホーンというのが、日にちもちゃんと出ておりますが、記録されておる。爆音が村民に及ぼす影響は大きく、特に学校教育への影響が注目されるとして公害白書が発表されておりますけれども、これに対して米軍ではこの村々の小学校に防音教室をつくることをようやく許可して、そうして防音教室がつくられておりました。ところが、防音だけしてあの暑いところで冷房装置がないわけでございます。ですから、締め切った部屋で、もうむしろ苦痛であるということでそれが使いものにならない。それで本年度あたりようやく冷房装置ができるということを聞きましたが、いまできておるかどうか、それはわかりませんが、ようやく冷房装置の認められたということを聞きました。それから、嘉手納の飛行場の外壁に、村に面して防音壁がようやくできておりました。土を約十メートルほど積んで、相当長い距離に防音壁ができておりました。それはエンジンの調整所の騒音を防ぐために防音壁ができておりましたけれども、これもただ土を積んだ程度でございまして、根本的の解決にはなっていないということを聞いてまいりましたが、この爆音によっていろいろな被害が出ておりますが、特にわれわれ打たれたのは、精神病者が非常に多発しているということでございます。これは沖縄政府が本土の精神病学者に調恋してもらったそうでございますが、本土の二倍の精神病者が発生しておる。その原因は、貧困それから爆音それから異民族の支配による不安だということが結論されておるそうでございまして、この学者の氏名も聞いてまいりましたので、詳しい資料をいま取り寄せておりますが、そういうような状態になっております。そういうことが人権問題、基地を中心とする人権問題のほんとうの素描でございます。
 それから布令の百四十四号というのは刑法でございまして、刑法並びに訴訟手続法典というのがございます。これが非常に戦時的のものでございまして、戦時刑法であり軍刑法的色彩が強いので、これはこの部分はある程度大統領の行政命令にも反するのじゃないかという議論がありまして、これの実情を調べたいと思ったのでございますが、これについて一つの発見をしてきたことは、これの表裏一体をなすところの琉球列島米国民政府裁判所刑事訴訟規則というのがございました。しかし、これは公報にも発表されておらないし、一般に発表されてない訴訟手続でございまして、規則でございまして、これはいろいろ問題がございましていま検討中でございますが、結論は申し上げられませんけれども、非常に問題があることを発見してまいりました。
 まあ、そういう点を中心にこれから結論を出そうとしておるのでありますけれども、要するに、講和条約発効後、二十七年以後今日まで沖縄には憲法がないということであります。基本的に人権を守る憲法がない。なるほど五十七年に発布されました大統領の行政命令には、沖縄統治の基本が示されております。それを見ますと、「琉球列島にある人々に対して、民主主義国家の人民が享受している言論、集会、請願、宗教並びに報道の自由、法に定める手続によらない不当な捜索並びに押収及び生命、自由または財産の剥奪からの保障を含む基本的自由を保障しなければならない。」と十二節に書いてありまするけれども、この実情はいま申し上げたとおりでございます。日本の憲法はもちろん、米国の憲法も施行されておらない。わずかにこの大統領行政命令を頂点とする布令、布告、あるいは旧日本の法令が実施されておるという状態で、幾多の欠陥がございます。さらにちょっと考えてみますと、日本の本土にも基地はたくさんありますけれども、米軍人の犯罪に対しては、三十五年に条約七号が締結されて――いわゆる地位の協定という条約でございますが――その十七条で、「日本国の当局は合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにその家族に対し、日本国の領域内で犯す罪で日本国の法令によって罰することができるものについて、裁判権を有する。」という条文ができて、それに基づいて民事特別法、刑事特別法が制定されております。それによって本土では、米軍の職務執行によって損害をこうむった者あるいは施設の瑕疵によって損害をこうむった者は国に賠償を求めることができる権利があります。また刑事特別法では、米軍人に対する犯罪を捜査しそれを起訴し裁判する規制が定められております。われわれはこれによって安全を保たれておるわけでございますが、こういうものは沖縄に全然ないわけでございます。祖国復帰がなかなか困難であるとすれば、その間においていまの状態を放任していくということは、これはもう絶対できないことじゃないかと考えております。そういう点で、こちらの委員会あたりでこういう問題を取り上げていただくならば幸いだと思うのでありますが、これはまだ結論ではございません。私の私見でございます。
 大体以上で終わります。
#8
○委員長(山本利壽君) ただいまの参考人の御意見に対して質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○岡田宗司君 ただいまお二方から伺いましたとおり、沖縄におきましては沖縄の住民の人権というものを全く無視をされておる、じゅうりんをされておる、こういう状態であることは明らかであります。私どもは、これが一体何に起因しているかというならば、結局、アメリカが沖縄を占領して以来今日に至るまで軍が統治をし、つまり軍政が行なわれておるというところに根本原因があると思うのであります。先ほどのお話のように、アメリカの憲法も施行されておらない。アメリカの法律はもちろん施行されておらない。行政命令に基づいてアメリカの沖縄軍司令官を頂点とする統治組織というものがあり、そしてそれが一切の強力な権限を持っておるというところから発しておると思うのであります。この問題について根本的な解決は、もちろん施政権が全部日本に返ることでありますが、この沖縄において米軍当局が持っております施政権、これについて何らかの制限が加えられなければ、とうていこの人権問題について救済措置はとり得ないと思うのであります。私どもは、この沖縄における米軍の施政権がもちろん平和条約の第三条に基づいて行使されておるわけでありますが、この問題をやはり何とか規制し得るようにするには、どうしても、単なる法律的な対抗措置とかそういうことではなくて、やはり外交交渉によって、そしてアメリカ側においてこれを直していくという以外にはないかと思うんですが、その点についてどうお考えになっておるかということをまずお聞きしたい。
 第二点は、もし何か、たとえば大統領行政命令に基づいて現在のアメリカの統治組織ができておる、そしてその施政権が事実上行使されておる、これに対してこちら側から、つまり沖縄の住民から、それを何か直すための、人権じゅうりんなんかということをなくしていくための、規制していくための何らかの対抗措置が法律的にとられるかどうか、その道があるかどうかということですね、それをお伺いしたいと思うのであります。アメリカの憲法が及んでおらない、アメリカの法律が及んでおらないという場合に、沖縄の住民、そしてこの人権じゅうりんをされた人はこれをアメリカの裁判所に持ち出して、たとえば、現在の沖縄で行なわれておるアメリカ軍の軍当局のやり方というもの、あるいはいろいろな犯罪行為というものが行政命令に反するものである、アメリカの法律に反するものであるということから、たとえば訴訟が起こせるものかどうか。そういう点はどうお考えになるか。まずそれらの点についてお伺いしたいと思うのであります。
#10
○参考人(兼藤栄君) なかなかむずかしい問題でございますけれども、私どもいま研究していることは沖縄の法的な問題でございまして、日本政府が沖縄問題で対米折衝をする場合の法的根拠を差し上げることができるならば非常ないいことだろうということが根本の問題なんでございまして、この法的根拠をいろいろ探っておるのでございまするけれども、この施政権の本質いかんというようなことは非常な問題でございまして、もういまこの間から第六部会を組織して、沖縄の法的地位、主権と施政権の問題、一体残存施政権はどんなものだろうということをいろいろ探求しておるのでございまするけれども、非常に熱心な人が二、三名おりまして、非常にいい方向にいま進みつつあるのでございます。何か非常にいいものが出やしないかというところにいま行っておるわけなんでございまして、もう少し時をかしてもらって研究をして、その外交交渉における強力な法的根拠を何とか提供したいという心がまえで、いま非常に熱意を持ってやっている状態でございます。
 それから二番目の、行政命令に違反したような場合の住民の人権侵害に対する対抗措置でございまするが、これは法的にはないんですね。沖縄の問題について米国の裁判所に提訴するなんという方法は一切ございませんし、そういう点は全然ございません。どうも十分なお答えじゃありませんと思いますが。
#11
○参考人(丸尾美義君) 何か私いまこちらから例を探ったんですが、ハワイかカリフォルニアかどこかで訴訟を起こしたそうでございます。沖縄は外国だ、アメリカの法律は適用されないというはつきりした判決があったというケースはあるそうです。
 それから私、ちょっと、えらい恐縮でございますけれども、先ほど裁判所の司法制度のことをちょっと申し上げながら項目を申し上げただけでございますので、アウトラインだけ御紹介申し上げたいと思います。
 日本の簡易裁判所に相当するのを治安裁判所と言っています。アメリカ式です。それから巡回裁判所は日本の地方裁判所。それに上訴審、こういう階級になっていますが、巡回裁判所も、治安裁判所も五カ所あります。まあ場所は中部、北部、那覇、石垣。同じ場所に巡回と治安があります。そこで、私ども聞いて驚いたことは、現在裁判所法あるいは裁判基本法、司法基本法の審議の案ができております。裁判所法は立法院で取り上げて審議に入ったかという程度で、結論は出ていないようでございますが、上訴審を入れると十何カ所の裁判所があるのですが、この裁判所におる裁判官に、日本の裁判官、弁護士である資格を持った者が一人もいないという驚き入った事実がございます。これは弁護士の在野法曹の中には約十名、日本の試験を通って日本でも登録ができる有資格者が在野にはおります。在朝には一人もおらない。なぜこういうことになったかということをいろいろ探ってみましたが、沖縄の米民政府の布令、布告等によりまして、琉球の公務員は沖縄に籍のある者でなければならぬ。一般公務員はそのようでございます。これは明文があります。裁判官についてはその明文はありませんが、これに準ずるような扱いの結果、一人も日本から行ってなろうかという篤志家もおりませんし、昔、日本の統治下にあって施政権が日本にあった当時の沖縄県は小さな一地方裁判所でありました。それが地方裁判所も五つもあり数も多いと思います。道路はいま開けておりますし、航空便も石垣あたりは盛んにローカル線が動いております。数が多い上に人手は足らない、資格者はいない、皆無だと。したがいまして、その結果、弁護士の事務員を三年やっておったら裁判官になる資格はあるとか、日本の法律学校専門部でも出ておれば有資格者にするとか、裁判所で書記を三年やった者はといった類のものが――私は現在おる裁判官を侮辱したり卑下して考える気持ちは少しもございません。制度としてそういう人たちを任命するよりほかに方法がなかったというところに大きな原因があると思うのでございますが、いまの交通状態その他から行きますならば、やはり地方裁判所は昔の日本時代と同じに那覇に置いて上訴審は福岡と、たとえば日本に引き継げばそういうことになるでしょうが、そういうような仕組みに考えていくべきじゃないか。交通はよくなったので、名護と申しますと、北のほうの入り口のネックのところでございますが、ここに行くにも、那覇から車で私ども参りましたら、二時間で那覇に帰れる。その途中にもあります。そういうところの欠陥からでございましょうが、裁判官に一人も日本式の有資格者がいないという悲しむべき裁判制度であるということについて深く御留意を賜われるならばと私は考えます。
#12
○岡田宗司君 もう一点お伺いしますが、先ほど兼藤さんのほうでちょっとお触れになったわけでございますが、残存主権という問題でございますね。とにかくアメリカでは、これは結局返すときには日本に返すのだということ、つまり、日本がアメリカから返してもらえるのだということだけであって、それ以外の何ものでもないというような考え方がアメリカ側にはあるわけなんです。日本政府のほうは、過日の国会で三木外務大臣が明らかにしたところによりますれば、もちろんそれも含まれておりますけれども、日本の主権下にあって、そうしてそこにいる沖縄の住民は日本の国籍を持っている。また、沖縄において施政権を行なう場合に、やはり日本と協議をして行なうというような意味のこと、そうしてまた、最後には日本に返す。つまり、日本はそれを期待する権利を持っているのだというような解釈でありました。残存主権というものは、いままで例のないものでございます。それから治外法権  昔上海にありました例の租界ですか、どうもそれとも違うように思うのですが、残存主権ということについての御解釈はどういうふうになっておりますか。
#13
○参考人(丸尾美義君) これはあるいは残存主権と言い、潜在主権と言い、日本の学者にもそういうことを言う人が、権威者もあるようでございますが、また、ただいまの御質問の中に、上海における治外法権――これは上海に限りません――シナには治外法権も昭和十七年まで日本も持っておりました。警察権を持っておりました。あれとも全然違う。それは全然性質が違う。いわく言いがたし。これが連合会のいまの研究の最大眼目でございますから、これ以上については御遠慮申し上げたいと思います。
#14
○参考人(兼藤栄君) この潜在主権の問題ですが、これは私の第六部会で非常に考えておるところを申し上げましたけれども、旧来の概念で言いますといわゆる統治権と、新しい考え方の主権と、それを含んだものを主権と言っておりますけれども、統治権と新しい概念としての主権というものが考えられはしないか。そうすると、新しい概念の主権というものが日本にありとすれば、それは現に存在してあるのだというふうにわれわれの研究では向いてきている。そうすると、いろいろな考え方にいい考えが浮かぶのではないかというのでいま楽しみを持ってやっておるのでありまして、なかなかこれはむずかしい問題でありまして、いまちょっと結論を申し上げかねるわけです。とにかく例のない概念なんですね。英語なんかだと、字引きを引いてみると「残りかす」ということなんですね。何らたいした価値のない残りかすなんだ、日本はあると言ってみても、何にもならないのだというような考え方なんですけれども、従来の。そこに新しい考え方が得られるのではないかといま非常に熱心に研究しているのですけれども、何しろ参考書もそうありませんし、非常な困難にありますけれども、この間一部発表になりましたのですけれども、非常に光明が出てきたというので皆が非常に期待を持ってやっております。
 それから、先ほどの米軍人の犯罪については、民警察は、いま言った特定犯罪についての現行犯に対するのみだ。しかし、向こうの軍警察は必ずしも陸軍のMPに一本化されておらないのですね。各軍によって、みな違ってくる。それで、高等弁務官は在沖米陸軍司令官であるにすぎない。だから、第三海兵師団とか、航空師団、そういうものに対しては、それからベトナム往復の将兵については高等弁務官は何らの監督権もないのではないかというふうに考えられる節があるわけです。ですから、そうなると、高等弁務官の発言は、空軍とか、海軍に対しては単なる訓示ではないかというような考え方をわれわれは持っておるわけなんですが、そうすると、日本政府は、より高い層に働きかけなければ、高等弁務官と話しをしても、たいしたことはないんじゃないかというふうに考えておる段階におります。
#15
○参考人(丸尾美義君) ちょっと、きょう私は、「朝日ジャーナル」を、朝日に広告がありまして、ちょっと拾い読みしたのですが、書いた人は球琉大学の先生で、アメリカに行っておって、日本大使館にも出入りしておったんだが、日本では盛んに沖縄問題をやっておるけれども、アメリカの大使館でアメリカ側に沖縄問題を大使館として申し入れしたりなんかしたことは一ぺんもないということをはっきり書いております。その程度で今日まで糊塗されて来たのが実情ではないか。アメリカは、御承知のとおり、民主主義の典型的な国だと自負いたしております。また、それに近いでありましょう。私どもは、ある意味からいえば、民主主義のお師匠さんであります。このお師匠さんが弟子のわれわれに対して、先ほど申し上げた知念村の天水を、湧水を庭にまいて、おまえたち、この間の戦争に負けたではないか、こういう思想で今日あるならば、大いにわれわれ国民は、何といいますか、結束してアメリカ、沖縄問題を考えなければならぬと私は考えます。と同時に、日本も近ごろは報道機関その他によって沖縄もなかなか報道せられておりまするが、一般大衆の理解力というものはまだまだ薄いと私は考えております。啓蒙をすると同時に、国民の理解を深めてこの問題に邁進しなければならぬのじゃないか。歴史的に考えましても、私は鹿児島生まれでございますけれども、島津藩は、やはり自分の財政の疲弊を補うために、沖縄を利用して、中国であるがごとく、日本領土であるがごとく、徳川幕府にはあいまいもことした態度で、適当に搾取して来て、薩摩の財政整理をしたというような、林房雄さんの大西郷論にも、伝記にも書いてありますが、これがつくづく沖縄の姿であったと考えます。また、明治になりまして県が置かれた以後の沖縄を私ども振り返って考えてみまして、まことに私は、沖縄の待遇は冷遇であったと考えております。しかも、当時はサツマイモで百姓は生活をいたしておったのでございますが、今日は沖縄でも日本と同じ、イモがゆのところが全部米を食う程度に、ある程度は文化が進んだというのでしょうか、生活が向上いたしております。その沖縄に対しまして、明治政府、終戦までの日本の政府の扱い方は、私は内務官僚でも何でもございませんが、日本全国、植民地を、樺太、朝鮮、台湾を私多少心得ておりますが、植民地に対するよりも非常に低い待遇であったことを私考えまして、沖縄の島民は宿命的な地位にある。自覚した今日の新憲法下の潜在主権がどうとかこうとか、私、私見を申すならば、これは日本の憲法は行なわれていいと、行なわれるようにしなければならぬと思います。日本に来れば選挙権を持っているし、被選挙権を持って安里君が参議院に立候補できるのです。この同じ沖縄の人たちが政治の面からも締め出され、経済的にも締め出されている姿は、自覚した今日のわれわれ国民のとるべき態度じゃない。どうかわれわれは結束してでも手を差し伸べ、あの窮状、あの悲惨な人権被侵害の状況から脱出させなければならぬと、これはわれわれ一人一人の国民に課せられた義務だと私は考えております。
#16
○岡田宗司君 もう一点、兼藤さんにお伺いいたしますが、沖縄の住民の国籍は日本の国籍であるということは、これはアメリカ側も認めておるわけですね。それで、実は沖縄は日本から見れば外国ですね、外国扱いしておる。潜在主権はあるけれども、施政権は全部アメリカにある。外国にある。そういたしますと、ここのもとにおいて日本の国籍のある者が人権をじゅうりんされて非常な苦痛をなめておる、損害をこうむっておるという際に私は、日本政府はこの日本の国籍のある沖縄住民に対し当然保護権を発動していいと思うのですが、少なぐとも日本とアメリカとの間には外交関係がある。しかも、あそこはアメリカの統治下に置かれているとすれば、そこで非常な権利の侵害が行なわれており、人権がじゅうりんされておるとすれば、日本政府はこの日本人に対して保護をする義務があるし、また権利があると思うのですが、その点はどうお考えですか。
#17
○参考人(兼藤栄君) それは全面的に私ども考えていることでございまして、そういった立場から大いに外交交渉その他をやっていただきたいと考えております。
#18
○春日正一君 きわめて、お話しになったところについて、即してお聞きしますけれども、いまのいろいろ被害があって、それに対する請求権がない、全く一方的な恩恵になっているというような状態のもとで、実際にとの損害賠償というものがどの程度行なわれておるか、ごらんになってきた点でどうですか。
#19
○参考人(兼藤栄君) ここにはちょっと、多少資料は持ってきたのですけれども、要するに、市町村を通して法務局で対米――向こうの軍との折衝があるわけなんです。向こうには、金額によって一人の委員会、三人の委員会とか、五人の委員会とか、現地部隊にあるのだそうでして、それが決定をしてやるということになっておりまして、それで、一万五千ドル以上は米国議会に報告して承認を得なければならないということになっておりますので、その範囲内で現地で処理するということになっておりまして、ところが、向こうからやってくるのは概括的なあれしかないんだそうです。総額に対する幾らということを言ってくるわけで、その内訳とか根拠は何も示されてこないというから、こちらはそれじゃこういう証拠を出してさらに請求しようとか、あるいは追加をしてやろうとかいう再交渉の見通しが全然ないということが言われておりました。それから請求書を出してどういう経路でどういうふうにきまるかよくわからないということで、いっきまるかわからないで、結局、早期解決を希望すれば、みすみす安い示談で解決してしまうという例が非常に多いようでございました。それから米軍の考え方は、日本で言う慰謝料というのは認めないのだそうでございます。ですから、そこに非常に不満があるということを言われておりました。その実際の損害額ということは、われわれそこまではちょっと聞いてこなかったのですけれども、何か資料はもらってきてあるのですが、まだ整理してはございませんので……。非常に不満があったということは事実のようです。
#20
○春日正一君 結局、あれですか、そういう場合、不当なというか、少ない補償しかくれないという場合ですね、結局、異議の申し立てもできない、泣き寝入りということになるのですか。
#21
○参考人(兼藤栄君) ええ、そうです。
#22
○春日正一君 それで賠償の請求権もないあてがいぶちというようなことが、いわゆる近代国家であるべきことかどうか。
#23
○参考人(兼藤栄君) それはもう占領下ならこれはいいけれども、もう今日平和の状態になっておりながら、そういう状態が放置されておったということは非常なあれですね、ふしぎなことであり、また沖縄住民に対してわれわれとして申しわけない状態ではないかというふうに感じて帰ってきたわけであります。
#24
○春日正一君 大体軍事占領というものはサンフランシスコ条約で終わったということになっているわけでしょう。その状態のもとで軍事占領のときと同じ状態になっている。
 それからもう一つ、基地の軍用地の接収の問題、これなんかも最近特にひどくなっているようですけれども、大体土地の取り上げの手続といいますか、どういうような手続でやられてきているのですか。
#25
○参考人(兼藤栄君) これは一応土地の借り上げという形式をとっているわけですね、賃貸という。それは法令も出ておりますし。ところが、その内容を見ると、ほとんど所有権にひとしいものなんですね。それを一方的に取り上げているという事実です。そしてそれに対する補償というのは、土地裁判所というものがございまして、多少の折衝の余地はあるようですけれども、ほとんど一方的のごくわずかなもので、ほんとうに向こうの恣意的に取り上げられているということが言われておりましたけれども、法的の根拠はあるけれども。こういう一つの実例ですけれども、宅地が一、二、三等級に分かれておりまして、年間の借り上げ賃料というものがここに大体出ておるのです。ところが、市価で三ドル二十セントくらいのものが年間の借り上げ貸料は九十六セント、六十七セント、五十四セントですね、そういうようなものでほとんど取り上げられてしまっているという実情なんです。非常に低いものですね。
#26
○春日正一君 そうすると、結局、借り上げといっても、アメリカがきめた貸率で一方的に取ってしまって、その金だけ払っておくということですね、中身は。
#27
○参考人(兼藤栄君) 実際はそうだと思いますね。それで、いま問題になっているのは、さらにそれを拡張していこうというので、数地区でさらに接収をする。それから、いままでこうばっと取ってしまって、そうしてその中で耕作は黙認しようという地域がたくさんございます、黙認耕作地と言って。それを今度は取り上げるのがいま始まっておって、非常な問題が起こっているわけですね。
#28
○春日正一君 そうすると、そういうことに対しては全然折衝するとか、異議を申し立てるとかいう保障はないわけなんですか。
#29
○参考人(兼藤栄君) 土地裁判所というのがございまして、それに訴願をするという方法はあるようでございますけれども、ほとんどそれは実際には動いてないような――お金のことだけですね。それは接収に対する異議じゃなくて、その賃料をもう少しふやしてくれとかいうふうなことはやっている場合もあるようですけれども、それもほんとうに動いていないようなことを聞いておりますけれども、ほとんど一方的に大体基準がきめられておって、それが法務局から住民に通達されて、そうして接収手続が始まるわけです。しかし、最近の接収手続はもう延びに延びて、もう何回か期限が延びて、それで現在まだ継続中のところがずいぶんございます。
#30
○春日正一君 先ほど話のあった水を上へくみ上げられたという問題ですね。あれなんかは接収した土地の中にある水を取ったということなんですか。
#31
○参考人(丸尾美義君) そうじやなかったと思います。ただ、おれのほうで水が要るからというので、ポンプで吸い上げてしまった。それで決死の勢いで抗議に行ったら、庭へ水をやっている。そこで、もう命を張って若い者がポンプをたたき切ってしまってかんがいに水を使った。そのくらいの気持ちでおるようであります。
 それから、いまの土地の取り上げについては、司法権の対象になっていない。ただ、賃料については、土地裁判所で平均坪年間十セントというくらいのもののようです。それから、軍用道路も四方八方あります。自動車の大きな通りが、六車線くらい、こっちへ三車線、こっちへ三車線、だから相当広い。この道路もいわゆる軍用道路でわれわれ一般にも使えるわけですが、接収地になっておる。そこで、この間問題になりましたが、組合の人たちがビラをまいた。まいた場所は、接収地の中の道路はおれたちの接収地だというので逮捕して問題を起こしたというケースが、ごく最近二カ月くらい前にあったことは、やはりそういうところがら来ていると思います。
#32
○委員長(山本利壽君) 春日君、まだたくさんありますか。
#33
○春日正一君 もうすぐ終わります。
#34
○委員長(山本利壽君) もう一人質問者がありますから。
#35
○春日正一君 結局、そういう形で接収された住民の生活の状態、これをごらんになってきた感じを聞かせていただきたいのですが。
#36
○参考人(兼藤栄君) これは、現に接収が始まっております本部地区というのが西海岸にございます。そこで住民が闘争小屋をつくってずっと泊まり込んで、その問に米軍のいやがらせがずいぶんあったそうでございますが、ずっと闘争小屋があって毎日泊まり込んでいる。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、わずかな残った地区に住民がひしめき合って、そこで耕作してわずかに生活している。非常にもう悲惨な生活だということでいろいろ統計が出ておりますけれども、農耕といいますとパインと砂糖しかない。漁労は、そういった港湾地区とかいろいろ接収がありまして、漁業も非常な制限を受けているということで、非常な生活上には不安を持っているという実情が方々でございました。
#37
○大谷贇雄君 沖縄には人権擁護委員というような制度はございますか、ないんでございますか。
#38
○参考人(兼藤栄君) 人権擁護委員というものはございません。それで、沖縄の人権協会でその問題を取り上げて人権擁護の仕事をしております。それで、法務局にも二人、人権擁護の係がおりまして、まあいろいろ人権問題についての相談、アドバイスその他に応じておるという。しかし、ほんとうの動きはないようでございます。それで、ただ沖縄の人権協会に琉球政府からわずか、多少の補助金が来ているのだそうです。それを使って人権相談や何かをやっているということは聞いてまいりました。そこで、われわれいまやっておりますのは、法律扶助協会というものがございまして、民事事件について扶助しておりますけれども、そういう問題について扶助協会のまあ支部的存在をいま進めて何とかできないかという研究中なんでございます。それから、国選事件はございまして、沖縄の弁護士会でそれを処理しているということは聞きました。それは琉球政府からわずかな弁護料は出ているという状態でございました。
#39
○大谷贇雄君 もう一件だけ伺いたいのですが、さっきの水のお話ですね。たんぼにやっていたのを取り上げてしまって水を芝生にまいておったというような、そういうような不法なことが相当あろうかと思うのですが、そういう場合に、沖縄の政府の中にはそういう点についての相談をする部門とか、あるいはいまお話しのその水の問題のような、お前、負けたんだからしかたがないというようなことで済ましてしまうというようなことであっては、これは容易ならぬ問題だと思うのですが、これは沖縄政府でもそういう問題は取り上げて米軍当局と交渉をするのが当然のように思いますが、そういうようなことは行なわれておらぬのでございましょうか。
#40
○参考人(丸尾美義君) 琉球政府の中に法務局というものがございます、若い局長さんで、日本の法務大臣みたいな。これはほとんどまあかいらい政府。われわれもシナに行ってやっとったことがあるのですが、かいらい政府ですから、とても活発な意見は、抗議的なことはとてもやりきれない。やれば、あしたは首が飛ぶというのが実情じゃないかと思います。弁護士会の中でも人権の相談みたいなことはやっておりますけれでも、何せ力のない弁護士会であり、権力のもとにおける姿でございますので、力がない。先ほどもちょっと先生からお話がございましたが、講和は発効いたしておりますけれども、ほんとうの姿はニミッツ司令官の布告から大統領命令、軍政下とほぼ同じ線において統治されておるというのが現実の姿ではないか。まあ、民政の形をとり、占領下の戦時国際法の法規を離れた形はとっておりますけれども、実際の動きは、戦時下の、戦時国際法下の、占領下の統治に近いんではないかと私は考えております。               ’
#41
○大谷贇雄君 そうすると、沖縄のその政府の法務局とか、弁護士会とか、人権協会ですか、そういうような人々がもっと活躍をして、米軍に折衝してもよさそうなものだと思うのだが、そういうことはもうみんなメイファーズで、もうしかたがないというような、こういうような状態でございましょうか。
#42
○参考人(兼藤栄君) 人権協会のここに報告書がございますけれども、相当まあやっている姿はとっておりますですね。高等弁務官に対する請願も幾回もやったり、抗議とか、あるいは先ほど申し上げたボールドウィン国際人権連盟議長に対する請願等をやって、それからまた、返事の書簡なんかもここに書いてございますが、そういうふうに相当活躍しているようでございますけれども、何にしてもわずかな予算でやらざるを得ないという状態で、非常にその点弱い点であろうと思います。それから、とにかく琉球政府の役人は、米軍が罷免権を持っておりますから、いつ首になるかわからない。だから、われわれ感じたのは、非常な卑屈な態度ですね。それから、ことに警察関係においては、コザの警察へわれわれ行って署長に面会していろいろ実情を聞こうと思ったところが、いや平和ですよ、何もありませんよ、ということで、取りつく島もないようなことで、それでコザの市役所へ行ってみると、とんでもない話だ、これだけ人権侵害されているのだからと言って、コザの市長は、最近新聞に発表になったことを全部スクラップをしまして、米軍の犯罪の記事をわれわれにくれまして、持ってまいりましたけれども、警察は非常な非協力だと、それというのも、警察機構が最近まで民政府にあったわけなんですね。それで、それが琉球政府に移った過程で、まだそういうような因襲があるのじゃないかというふうなことを言っている人もございましたが、とにかく非常な遠慮をしているような感じを受けました。
#43
○委員長(山本利壽君) それじゃ一つ私からお伺いをいたします。
 日本弁護士会が沖縄の実情について調査、御研究を願ったことは、各方面にいろいろ有益な資料を与えていただくことと期待するわけでございますが、最初の御発言では、目下取りまとめ中であって、今日のところでは完結した資料でなし、意見でないということでございましたが、大体いつごろにこの調査研究の結果がまとめられますかという見通しと、もう一つは、ここまで調査研究をされました結果を、日本弁護士会としてはどういうふうに役立てようとしておられますか、という点について、ちょっとお伺いいたします。
#44
○参考人(丸尾美義君) 私どもは政治にはタッチしないと申し上げました。そのとおりでございますが、しかし、何かする以上は、やはり国のためにもなることがいいんだと考えております。日米懇談会も秋に開かれるように聞いておりますので、でき得れば秋までには結論を出すべきじゃないかという構想でおります。七月末には数日固執筆者は合宿をいたします。外部との交通を一切遮断して、四、五日それぞれ筆をとって、責任者をきめております。そうすると、それは八月の初めになりましょうが、さあ、その条約三条、潜在主権といったような問題は、委員五十名の間に議論沸騰すると予想されております。それで、この大きな問題がそう秋までに簡単にいくかというこの間質問もございました、二十八日の全体委員会で。しかし、一応いま申し上げたような構想もあって走っておるのだから、ひとつその線はくずさぬことにしよう、できるかできないか、とにかくやる、その線で行くと、こういう構想でおります。その結果はどういうものになりますか、一切の私を捨て、公心に燃えて、あるいは日本だけの問題ではなしに、世界を対象にしたものにもできればと考えておりますが、そういう構想で情熱盗るるように、若い者を中心にして検討いたしておるのであります。五十人の委員は毎回四十人くらい出まして、指導者は、ほうっておくと議論沸騰というような状況で、その指導に骨折っておるという姿でございます。ただ、必ず秋と私ここで断言はできませんが、そういう構想であることだけはお含みを願いたいと思います。
#45
○岡田宗司君 まあ、私どもとすれば、できるだけ早く出していただきたいということと、もう一つ、これはぜひ英訳をつくっていただきたいということなんです。何といっても相手が英語国民なんでありますから、ひとつ必ず英訳をつくるように御努力を賜わりたいと思います。
#46
○参考人(丸尾美義君) それは、結論が出ましたら、日本は要所要所、お手元など、衆議院のほうもそうでありますが、英訳もいたし、世界の学者、アメリカのバー・アソシエーション、ロンドンの法律家、イギリス、フランス、ドイツと、こういう構想でおります。ただ、予算その他の制約を受けて、相当の予算を要求しましたけれども、みみっちい予算しかございませんが、金が足りなければまた方法はあろうかと考えますから、そういうことは眼中に置かずにひとつ働いてもらっておるつもりであります。
#47
○委員長(山本利壽君) それでは、沖縄の人権問題についての参考人からの意見の聴取はこの程度にいたします。
 参考人各位には、御多忙にもかかわらず長時間にわたる御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お述べになりました御意見は、今後委員会の審議にはきわめてよい参考になることと存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
 次回の委員会は七月十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト