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1949/04/21 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第15号
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1949/04/21 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第15号

#1
第005回国会 大蔵委員会 第15号
昭和二十四年四月二十一日(木曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○小委員長の報告
○復興金融金庫の機構及び業務内容に
 関する調査の件
○米國対日援助見返資金特別会計法案
 (内閣提出衆議院送付)
○酒税法等の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○揮発油税法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後二時三十二分開会
#2
○委員長(櫻内辰郎君) これより大藏委員会を開会いたします。最初に復興金融金庫の機構及び事務内容に関する調査について黒田小委員長から御報告願いまして、その御報告を承認したいと思います。
#3
○黒田英雄君 復興金融金庫の機構及び業務内容に関する調査をいたしまして、調査の経過並びに結果につきまして御報告を申上げます。
 小委員会におきましては、第二國会におきまして、小委員が置かれ、続いて第三國会及び第四國会、又今回の第五國会を通じて同委員会が設けられておるのであります。第二國会から第四國会までは波多野委員が小委員長をいたされましたのでありまして、この國会におきまして、私が小委員長になつたのであります。第二國会と第三國会におきましても、十分な調査もできません。第五國会におきまして、一應終結をいたしたいということで、先般委員会にも申上げたような次第であるのであります。本委員会におきまする調査の詳細の報告は、お手許に差上げてありまする目次によりまして準備をいたしておるのであります。これは非常に大部になりますので、あとで御覽を願いたいと思います。ただここには調査の概要につきましてその主な点を簡單に御報告をいたしたいと思います。
 復興金融金庫は、日本経済の復興に、金融面からどのように役割、地位を占めておるかが調査の主な目的であつたのでありまして、從つて第一に、我が国におきまするインフレーシヨンの展開と、復金との関係についてであつたのであります。復興金融金庫の債券が、日本銀行引受けになる部分だけ、通貨がそれだけ増発されまして、インフレーシヨンに特異な性格を持たせ、いわゆる復金インフレと称せられるその実体について調査をいたしたのであります。第二には復興金融金庫の機構及び組織の問題でありますが、即ち復興金融金庫委員会、又は幹事会の問題、又は関係官廳、日本銀行との関連等について調査をいたしたのであります。第三には融資が適正に行われているかどうかの問題につきまして、総合資金計画の一環としての復金資金計画の策定について調査をいたしますとともに、関係官廳、例えば商工省、農林省などの資金計画について調査をいたしたのであります。この調査に基きまして、主な産業について融資の現状を調査いたしたのどあります。第四にはいわゆる赤字融資の問題について調査をいたしたのであります。
 以上申上げましたことはその概要でありますが、昨年の暮、経済九原則の実施によりまして、この三月末を以ちまして復興金融金庫のこれまでの役割が終りを告げ、今後の長期金融問題は、新たな観点から檢討せられるようになつたのであります。從いまして本委員会におきましてはその調査を一應打切ることにいたしたのであります。
 これを以て、簡單でありますが、経過並びに結果の御報告といたします。
#4
○委員長(櫻内辰郎君) お諮りをいたします。復興金融金庫の機構並びに業務内容に関する調査のための小委員会の御調査の御報告は只今お聽きの通りでありますが、その内容は、これだけの書類になつているわけでありまして、到底これを詳細に御報告になることができなかつたのは、御了解を願いたいと存じます。で、この調査報告書を議院に提出することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本調査の経過及び結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條により委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
    多数意見者署名
     黒田 英雄  伊藤 保平
     小川 友三  小宮山常吉
     波多野 鼎  中西  功
     米倉 龍也  川上  嘉
     油井賢太郎  西川甚五郎
     玉屋 喜章
#7
○委員長(櫻内辰郎君) 御署名洩れはございませんか……。ないものと認めます。
#8
○委員長(櫻内辰郎君) 次は、米國対日援助見返資金特別会計法案の御審議を願います。御審議に先立ちまして申上げて置きたいと存じます。予備審査において審議をいたして今までおつたのでありますが、衆議院におきましてこの政府の提出の原案に対して、修正をされて、修正されたものが今日参つておるのでありまして、修正されたものを御審議を願うわけであります。修正の点は第四條の第六項及び第七項を削るということであります。衆議院においてその修正の理由としてありますのは、一、政府と連合國最高司令官との関係において処理する方が望ましく、國会法に挿入することは適当でない。二、連合國最高司令官に行政責任を轉嫁するごとき誤解を生ぜしめ、却つて米國の日本占領政策に副わざを結果となる虞れあり、又内閣の責任を曖昧になる懸念がある。三、デイレクテイヴ又はメモランダムにより政府においてこれを遵守することが適切である。四、國内法に挿入することは前例がないから決議その他の措置により右の趣旨を生かすようにする方が望ましい。こういう修正の理由で、この第四條第六項及び第七項が削られておるのであります。削られましたものが本審査の議願となるわけでありますから、さよう御承知おきを願いたいと存じます。御質疑がありましたらこの際に御質疑願いたいと思います。
#9
○中西功君 これはもう大分やられたのですか。
#10
○委員長(櫻内辰郎君) やつたのです。
#11
○中西功君 そのつもりでやります。これは今日でなくてよろしいのですが、首相が大藏大臣に、衆議院のそういう修正について、これは実は誰しもそう考えておつたところなんでありますが、どういう風の吹き廻しが、何故政府がこういうふうなものを國内法に盛つたかという点について、近い機会に、いつでもよろしうございますが、一度聞いてみたいと思います。今質問いたしますのはそれではなくて、見返り資金の千七百五十億というもののこの算定、これが問題なんです。今度の予算の特別会計の貿易会計から考えて見ますと、私は見返資金の運用の仕方はこのままで行くと非常に無理がある、こう思うのであります。で、ガリオア資金とイロア資金を合計して、それを日本の円に直したものを見返品勘定として記入することは、それは一つもそのことが問題ではないのであります。が併し貿易会計から無條件にそれだけの円資金を持つて行くというところに無理があると思う。だから形式から言いますと、見返会計の中で千七百五十億というものを記入して置くのはまあよいといたしましても、この幾らか今度の貿易会計の予算額から見ると、やはり貿易会計に返してやらないと一般会計からの繰入金というものが段々殖えて行くのではないか、こう思われるのであります。これは簡單なんですが、ドル資金会計における入超額を貿易会計の円会計における黒字額である、こういうふうに計算すれば、その矛盾がなくなると思います。從つてただ金の問題なんですが、千七百五十億というものを無條件そのまま、見返会計にすべて移行してしまつて、そうしてこれは全然別箇に使うということになりますと無理があるのではないかと思います。これは数字で計算してもわかると思うのでありますけれども、そういうことを考えるのですが、政府委員の説明を承わりたいと思います。
#12
○政府委員(伊原隆君) 只今の中西委員の御質問、私少し御説がわかりにくいところがあるのでありますが、千七百五十億を計上いたしましたのは、アメリカからガリオア並びにイロアによりまして食糧、肥料、石炭その他の物資が入つて参ります。その入つて参りましたものを貿易資金特別会計で賣拂いまして、その結果出ました円資金をこの対日援助の特別会計に移すのでございますから、これだけの資金はできる、こう考えます。尚お手許に差上げました諸君國の例におきましても、やはりアメリカからの援助によりましたドル額に相当する各自國通貨を、その爲替相場も或る一定の換算率によりまして換算いたしまして、各自國の中央銀行に特別勘定として積立をいたしておりますのと実質的には同じであると思います。或いは御答えが御質問の趣旨がわからないので……。
#13
○中西功君 なかなかむずかしいんです。自分自身考えながら非常に混乱しておるのです。(「困つたね」と呼ぶ者あり)実はそういう、言われることはわかる。だからイロア及びガリオア資金をそのまま千七百五十億と、計上することは、それは私もまあ根本に賛成でないかは別として、会計としてはよいと思つて、計上すること、併し問題は計上することだけではなくて、貿易会計の方で一千七百五十億というものを無條件に向うにその金を現実に持つて行くわけですね。で、私の今の考え方ですると、一千七百五十億とこう書いて置いて、その或る一部のものを貿易会計へ返してやらないと、貿易会計自身がつまつてしまうじやないか。何故かというと、そういうシステムにして置かないといけないじけないかと思います。現在のやり方では一千七百五十億というものは貿易関係とは全然別個の産業資金というような形で利用されるということになつております。で、私の言うのは、一つは鉄鉱石、銑鉄、或いは石炭、そういうふうなものを輸入しまして、そうして再輸出がある。或いはそればかりではなくて單に再輸出というのではなくて輸出がある。そういう物資に関連しした同じ種類のもので輸出がある。それが一つの問題と、それからドル会計において入超になつておる、その部分が円会計においてそれだけ黒字になるというのは当然のことだと思う。ですから、どう言つたらいいか、例えば事業費勘定をちよつと計算をして見ると、ここでは歳入の面では一千七百五十億と、それから一般輸入物資の收入で一千三百八十五億、これを足すと、三千百三十五億となる。で、それに対して輸出代金支拂費というのは、一千八百八十六億円、それを引くと一千三百四十九億円、これは概算なくですが、こういうものが出て來る。で一應この輸出関係だけで言えば、一千二百四十九億というものが、これが円における入超であります。だから円における黒字、これがいわゆるドル会計におけるドルの入超となつておる。私の言うのは、一千二百四十九億を資金としては貿易会計から取つて行くのであれば貿易会計に大した問題はないが、これを無條件に一千七百五十億というふうに持つて行くと、そうすると困る。だから一應見返り会計には一千七百五十億と記入して置いてもいいが、その額は貿易会計に返してやらないとだんだん一般会計から貿易に注ぎ込んで行かなければならん。資金の面ではそうなる。この点は諸外國の例を引かれましたが、日本の場合はドル会計と円会計は密接な関係がない、切り離されてある。そういうところからフランスやイタリヤのように行かんと思う。そこに貿易会計自体が、こうこうふうになることは、私は困る。で、これは勿論私は曾て貿易会計をこの財政金融委員会でやつたときにあんなような媽媽虎虎といいますか、めちやくちやな会計制度はいかん。そのとき水谷商工大臣や貿易長官を呼んで來て貰つて、非常に眞劍に僕は言つた。これは特別会計にしなければならんということを僕は一番先に主張した。ところがやられてみたら、これは違うのです。僕はああいうふうに今あのようにやるべきではないと思う。今までは無條件に黒字を貿易資金だけに使つておつたのです。それはよくないのです。明確でなかつた。だけれども今度直されたら逆に過ぎておると僕は思うのです。資金面で見たら行き過ぎておると、こう思うのです。それはどう考えられますか。 
#14
○政府委員(伊原隆君) 大変むずかしい御質問で、私も、お答えが又間違つておるかも知れませんが、昨年までは、中西委員のおつしやつたように貿易資金が入超であり、すでに入超に相当する円資金というものは今年と同じように千五百億、千六百億出ておつたのが、うやむやに消えて行つて、むしろ貿易資金に一般会計から繰入があつたりいたしまして、輸入補助金的なものに実質的には使われたのではなかろうか、このうやむやになつておつたのを明かにして参る、その明かにする方針としまして、よその國の例にもありますように、援助資金との区分をはつきりさせるということになつて、これができたわけであります。只今のお話のように、これは貿易資金の金繰りの問題ではないかと思うのでありますが、貿易資金の金繰りとしましては、只今おつしやつた点もありますように、輸出と輸入との問題で四百億というものは一般会計から繰入になつております。そのうち百五十億は前年度より繰入れた運轉資金を返しますから、二百五十億は運轉資金の剰余として使える。その外に一時借入金の限度が確か二百億であつたと思いますが、それによつて金繰りをつけて参る、それで今までは大体輸入物資を賣拂いましてから、貿易資金に現金が入つて來るのは平均して四十五日ぐらいかかるという話であります。併し今度はできるだけもつと早く、物を賣りましたらこれは十五日以内ぐらいに、今の計画でありますが、十五日以内ぐらいに現金が入るようにやりたい。それをまとめまして、翌月の初めに対日援助の分だけは援助資金特別会計に繰入れて行くという方針で進んであるのでありますが、資金繰りの方は一般会計からの繰入金と一時借入金の限度等によつて調節をいたしますので、貿易資金の方に戻してやるというふうな点については私ちよつとよく分らないのです。
 それからドル額につきまして、諸外國の例とは違つて、日本には輸出入のドル額がはつきり示されておらん点は確かでありまして、いずれはだんだんにはつきり示して参るようになるだろうと考えております。
#15
○中西功君 窮極の問題はドル会計と、それから円会計がまあ一應離れておるというところからこういう矛盾も出て來ると思うのです。私の言うような矛盾、これは矛盾であるかどうかは別でありますが、そういうことも出て來ると私は考えております。私が問題にするのは、資金繰りの問題ではありますけれども、一般会計からやはり税金を取つて繰入れるのです。こういうやり方をして行くと、まだ沢山繰入れなければならんだろうと思います。勿論これは、政府が予期しておるように、輸出が余り大してなければ、それは要らないかも知れません。政府が予期しているくらいの支出が今後どんどんあるとすると、これはますます支拂資金が沢山要りまして、その結果その支拂資金のために一時借入とか、長期借入ということもありますけれども、今回のように四百億、四百億の中の二百五十億でしようが、そういうものを入れていかなければならない。そういうシステムになつておつたのではいけない。こういうふうに考えますので私は問題にするのであります。例えばこのシステムでいきますと、千八百八十六億の輸出支拂代金でありますから、これでまだいいのであります。若しこの関係で、輸出支拂代金がこれが倍になりますとか、そういうことはないかも知れませんが、二倍と言わずに五割増しまして二千四百億ぐらいになつたとする。そうしたらそれだけの資金にやはる困つちやう。これは殖えないからこうなつていますけれども、若しそれまでに一般システムでいつて殖えたといたしましたら非常にこれは困つちやう。円としては……。その場合例えばそれだけ殖えただけドル会計の方から、ドルで殖えますからだからそれだけ輸入が殖えまして、そうしてその一般輸入收入がそれだけ殖える。こういうふうにすぐ連絡がついておりますれば、これは即ち日本政府が全部両会計をして、見ておるならばこれはややこしい問題は起らんと思う。だけれども、現実に離れておる。政府自身ドル会計が一体どうなつておるか、詳細は必ずしも常に知つているわけではないというような特殊な状況にありますために、私は特別にそういうことが問題になるじやないか。それで本当ならば、これは私自身よく自信があるわけではないけれども、ドル会計の入超部分が円会計の黒字としてはつきり現れて來るようになつておるシステムならば、これは問題はない。だけれどもこういうふうに無條件に千七百五十億というものを今のような状態で貿易会計からとつていくと、どうも一般会計から或る意味では税金からこの貿易会計の中にどんどん入れていかなければならないようなことになりはしないか。今は四百億で済んでおりますけれども、どんなことが起らんとも限らんわけであります。そういうことを心配するのです。その点は相当考慮を要するじやないか。こう思つております。
#16
○政府委員(村岡信勝君) 私は貿易廳経理局長の村岡でございます。途中から参りまして或いは御質問の要旨を正確に掴んでおらないかも知れませんが、どうぞその点は惡しからず御了承願いたいと思います。
 今度新らしい特別会計について先程お話が出たと思いますが、やはり形といたしましては、外貨面との間には関係のないように出來上つておる形でありますが、法案を研究いたします際に、或いはこの計算においてドルと円との間の繋りを持たせるような、そういう形における特別会計ということも考えては見たのでございますけれども、現段階においては、やはり今までの貿易資金の場合と同じように、一應ドルとは切離した形において法律構成をする外あるまいと考えて今のような法案にいたしたわけであります。ただその際と雖も、やはり輸出物資の円の側の評價ということになりますと、全然ドルのコスト或いはドルの收入金との間に関係はないというわけではございません。具体的に申しますと、援助物資の対象となります千七百五十億円の外の一般の商業勘定におきまする輸出で申せば千八百八十六億、輸入で申せば、千三百八十五億という金額が、輸入の方の千三百八十五億円は、輸入されて参りますドルの日本のC、I、F價格、日本の港の價格というものをベースにいたしまして、それに三百三十円のレートというものを基準にいたしまして彈き出した数字が千三百八十六億円でございます。又輸出の方で千八百八十六億円、これは今年度四月一日以降輸出入の円ドル交換率の最高を四百二十五円というところに押えまして、而もその中におきましては四百二十五円以内の段階においては從來の円ドル交換率、これは物によつて種々雜多でありますけれども、從來通りの円ドル交換率というものをベースにいたしまして組み上げて参つた結果出て参つた数字が千八百八十六億円ということでありまして、この意味においてはドルの取引値段というものの間に、その限りにおける関連はあるということは申せるだろうと思います。千七百五十億円の援助物資につきましても、又一般の輸入につきましても、何れも目下関係方面で研究中でありますけれども、一々の取引について、この商品はドルで幾らするということを個々の場合にあちらから通報して参つて、それを基礎にいたして円の値段を決定いたすことになるのじやないか、かように考えております。御質問の点に的確に副いますかどうか、一應御答弁申上げて置きます。
#17
○波多野鼎君 法案の方を見まして、第一條並びに第三條、米國対日援助の見返りの金資金というもの、それから第三條の第二項の米國対日援助物資のアメリカ合衆國通貨による價額を大藏省令で定める換算率により日本國通貨に換算した價額、これに関連してですが、私もよく分らない点が大分ある。一つの仮説と申しますか、仮にこういう場合のことを考えて見たら問題の焦点が出て來るのじやないかと思うのは、米國の対日援助資金というものは言うまでもなくアメリカの國会で幾ら幾ら……四億なら四億、五億なら五億というふうに予算の面においてはつきり金額で決められておるに違いない。ところでその金額で以て輸入される品物は、例えば船便の都合だとかその他いろいろな事情によつてそのアメリカの予算で決められた金額に充たない品物だけしか輸入されないという場合もあり得ると思う。その場合にアメリカの予算で決められた金額を換算するか、それとも現実に日本の港へ入つて來た品物のアメリカの價額を円に換算しただけのものを入れるのか、この点を先ず聞いて置きたいのです。
#18
○政府委員(伊原隆君) 只今お話の点は、日本に現実に著きました物のドル價額を換算率で換えたものを組み立てるものを了解いたしております。即ち第三條の第二項で、対日援助の物資のアメリカ合衆國通貨における價額を大藏省令で定める換算率により日本國通貨に換算した價額に相当する金額、予算面では御存じの通り千七百五十億というふうに相成つておりまして、これは一般の輸入物資の予算上の換算率であります。三百三十円というものから逆に考えて見ますと、ドル價額は五億三千万ドルという数字が出るわけであります。御存知のようにアメリカの会計年度は七月一日から翌年の六月三十日に終る年度に相成つておりますので、本年の四、五、六に船が着いて入つて参ります物資は、恐らくはアメリカの会計年度で言いますと、一九四八―九会計年度と同様すでにアメリカの國会を通つた予算に基ずいて入つて参りましたものが、日本で賣られて、その金額がこの援助資金に積立てられるということになると思いますが、大部分はアメリカの來年度國会で決められる援助資金の額に基ずきまして入つてきたものが、日本で賣られて、この会計に入るということになるだろうと思います。從いまして予算上一千七百五十億円というものを一應の推測として五億三千万ドルという推測は出るのでありますが、これは今後アメリカの國会によつて決定せられることでございますから、何と言いますか、それによつての一應の予算上の数字でありまして、向うの國会で決めることになるだろうと思います。それから法律的には、この法律にございますように、随時連合國司令部の方から日本政府に対しまして米國対日援助のドル價格を通報して参りまして、それからその換算率も連合國の方から日本政府に示して参るわけでありますから、その換算率の方を大藏省令によつて決めて、司令部から示されたドル價額にこの換算率を掛けたものをこの援助資金に繰入れて行く、こういう恰好になるだろうと思います。
#19
○波多野鼎君 そこで現実に日本の港に着いたアメリカの援助物資、これを計算する基礎に置いているということは、はつきりしましたが、アメリカの予算の額じやないですね。これがどうもはつきりしないので念を押して置きます。
#20
○政府委員(伊原隆君) さようであると思います。例えば一千七百五十億の推定は一般に……。
#21
○波多野鼎君 それは分つた。 
#22
○政府委員(伊原隆君) ですから、この指令の第二項にもございますように、連合國司令部は随時米國対日援助のドル價額を日本政府に通報して参るということは、船でこちらに着きました物資について、現実に着いた物についてのドル額を日本政府に通報されるものと私共思つております。
#23
○波多野鼎君 それからもう一つ、これは中西君の質問と関連する点ですが、例えばアメリカの対日援助物資のドル價格は五億ドルと仮定して、それを含めた輸入総額が九億ドル、そうして輸出のドル價額が大体四億ドル、こう仮定すると輸出と輸入の差額五億ドルというものが大体においてアメリカの援助物資に相当するということになつて、この分だけを見返り資金の方に繰入れるという場合は問題は起らないと思う。併し輸入が九億ドルあり、その九億ドルの中には五億ドルの対日援助が入つておる。コンマーシヤルな輸入は四億ドル、ところが輸出は方は五億ドルだ、こうなつて場合、この一億ドルのコンマーシヤル、アカウントにおける一億ドルのプラスも対日援助特別会計の中に繰入れるのか。
#24
○政府委員(村岡信勝君) お答え申上げます。今の対日援助を仮にこれを五億三千万ドルと申してありますので、こういう前提でいいと思いますが、そのコンマーシヤルベースに基く輸出入の関係で、仮にお話のように輸出が五億ドルで、輸入が四億ドルという場合に、差引き日本としては一億ドルの出超になるわけでありますが、この一億ドルの出超分については、これは千七百五十億の対日援助の会計とは全然無関係で、貿易資金特別会計のプロパーの計算で行くわけであります。更に具体的に申しますと、翌年度の新らしい予算の資金として利用されることになるのであります。かように考えております。
#25
○波多野鼎君 その場合これは別の法律に入るのだが、貿易資金特別会計の方の円での計算で、これの方の輸出物資を買上げる代金に不足をすることはありませんか。
#26
○政府委員(村岡信勝君) 今度の予算上では、千八百八十六億円相当額の輸出物資買上げの資金が歳出に計上されております結果、仮に五億ドルの輸出があり、又四億ドルの輸入があるとすると、一億ドル相当分の輸出物資の買上げはできない。從いましてこれは來年度において新らしく又考えるという問題じやないか、かように考えております。
#27
○波多野鼎君 これは買入れができないのですか。一億ドル相当の日本商品の買入れに困るわけですね。
#28
○政府委員(村岡信勝君) さようであります。
#29
○波多野鼎君 それはどうするのですか。輸出奨励をやると言いながら…
#30
○政府委員(村岡信勝君) むしろその点は今年度の一般のコンマーシヤル・ベースに基く輸出が幾らできるかという問題になるのでありまして、予算上の措置といたしましては、大体仮定の数字でありますけれども、五億ドルなら五億ドルの輸出に相当する千八百八十六億円という輸出のための歳出が予算上に組まれておりますので、五億ドル相当額の輸出物資の買入れができるという結果になつております。
#31
○波多野鼎君 それがちよつと分らないのですが……
#32
○中西功君 ここが非常な問題なんです。これは先に波多野さんが言われましたように、一應入超額と、それから見返り援助物資と大体よく似ておるのです、現実に……そこで、これだけ見たのでは矛盾を感じないのです。だけれども一應ドル会計の円会計を切離されておるということを前提に置いて、而もその間の入超額と援助物資の間の差が非常に大きなものになつて來た場合には、この会計方式では、私は実際資金繰りが困る。そうしてその場合に一般会計や或いは借入金という形が相当多くとられなければならない場合がある。逆に又今度非常に順調なときは反対に貿易資金会計に資金がだぶついて、翌年にどんどん繰越して行くというようなことも亦考えられるのです。そこで今度の見返り会計の作り方を全般的に見まして、恐らく今度の輸出入計画は、九億五千万米ドルの輸入と五億三千万米ドルの輸出と、これは今日筆記したものを忘れたのではつきりしないのだが、仮りの数字で結構だが、一應九億五千万米ドルの輸入と五億万米ドルの輸出とすると、四億五千万米ドルの入超となる。これはさつき言われた五億三千万米ドルの援助資金で大体、この数字だけを見ますと大分隔たりがありますけれども、私がこの間、商工大臣から聞いたところでもそう大きな隔たりがない。ですから多少の無理はあるが、大きな無理はこれでなくなるのですけれども、若しこの入超額が四億であつて、そして援助資金が五億としますと、その間に一億の差が出て來る。そうすると、これは正式の爲替レートがどうなるかは別としまして、一億ドルの方は四億ドルの入超がある。ところが見返り合計の方の五億ドルは無條件に守つて行こうというと、どうしても資金の面から、貿易資金会計に一億ドルの、円の面において無理が出ると考えざるを得ない。実際そうでしよう。その点は一般的で結構ですが、どうなんですか。
#33
○政府委員(村岡信勝君) 波多野委員の御質問と合せてお答えいたします。仮定の数字ではなんですから、ちよつと速記を止めて下さい。
#34
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて……
   〔速記中止〕
#35
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。
#36
○中西功君 それでですね。この問題は私非常に会計制度上の、特にこのドル会計と切り離された円会計を、我々一應やつて行くという場合の非常に重大な問題になると思います。ぜひ共日本政府においても十分考えて貰わなければならん、なぜ私が特にそういうことを言うかと言いますと、貿易資金については今まで我々は一般会計からも、或いは借入金としてもいろいろ喰い込んで來ておる。で、私はこの前の議会においてもその繰入れの必要がないと思つた。当時はいわゆる黒字分を全部輸出振興のために逐次使つたということになつておつたんです。当時といたしましては……。今日四千七百五十億円というようなものが貿易資金の中にぶち込まれておつて、それで、まあ現在の輸出と今までの輸出は相当カバーして來ておる、こういう状態であつたわけなんです。併しそれにも拘らず、尚、借入金だとか何とかいう形でとも角も繰入れて來た。ところが今日はですね。私はこういうことを感ずるのです。今まではそういう資本、恩惠的なものがそこに入つておつた。今度そいつを引摺り出した別個の会計に特つて行く。しかもこれは当分貿易会計の方には殆んど使わない。こういうことになつて來ましたとき、これを実際にそれじや貿易だけで、無理な貿易輸出なんかせずに、適当にうまく政府がやつて呉れるなら、それは文句はないのですけれども、ダンピングとかいろいろな形で強硬に飢餓輸出をやりますときには、どうしてもこの一般会計からのいろいろの組み込みが増して來るんです。そして而もその組み込みが最近では主として、税金という形でやられる。(「関係がないよ」と呼ぶ者あり)即ち約めて申せば、從來の恩惠的なものが全然なくなつた上に、飢餓輸出は國民の税金の上においてやられなければならんと思う。こういうふうな状況なんです。ですから今小川委員は関係がないと言いますけれども、これは見返会計としてやつておる、見返会計の千七百五十億をそのまま無條件にこの会計を入れてしまうということで、これは別の会計をやつているわけではない。そういうふうなことを私はこの間から、これも大藏大臣に聞きましたけれども、大藏大臣もはつきりしないと思うのです。或いは私自身がはつきりしていないかもしれませんが、私は專門家でも何でもない、ただ併しなぜ四百億も繰入れなければならないのか、而も税金で繰入れなければならないのかということを考えるときに、私にそういうことに氣がついた。ですから一つこの点は余程愼重にやつて貰わないと困るし、むしろ私は考え直して貰いたいと思う。千七百五十億、少くともこの計算で行きますと、四百億は無條件に貿易会計に入れてやつて貰わなければならん計算になるし、そうすれば税金の四百億は助かる。明らかに助かるとそう思うのであります。よく計算してみると、丁度勘定がそうなる。だから結局結論を言えば、ドルにおける入超額が、円会計における黒字になるように見返金計をやつて貰わなければならん。結局こういうことなんで、一つ研究して頂きたいと思います。
#37
○小川友三君 今議題となつている法案だけでありますが、三千五百億円、金が出ておる、紙幣が出ておるという計算で、大藏省は三百三十円というレートを出しているかということを先ず一つ聞きたい。併し現在は三千億ぐらいしか金が出ていないんですね。そこで出ている金で燒けてなくなつたものや紛失してしまつた奴も相当あります。箪笥や疊の下へ入れつ実際回轉しないで芥と同じようになつておる。箪笥や疊の下へ入つたものは、まあ、あつてもなくてもこれは資金に入つてないと思うのですが、こういうものを引くと、相当、今、回轉している紙幣は少いと思うのですね。そうすると一ドル三百三十円というレートで換算した大藏省の省令の、見方というものは、私は非常に國民に損害を掛けるのではないかと思う。それから紛失した、燒けたという金を全部混ぜてどのくらい大藏省は見ておりますか。これを一つお教え願いたいと思います。それからもう一つ米國の支援には皆さん感謝しますが、日本には貴金属の保有が、今度の政府でも、前の政府でも相当に出ているわけです。それを評價すると日本の信用は十分あります。又現在は相当に品ができておつて、この三百三十円レートと計算して大藏省の省令で決めておるのは相当修正して貰えないものか、又修正できると感じますが、それに対する御答弁を一つ……それから政府は一体このイロア資金、ガリオア資金というものをもつと借りるのか、何だかもつと借りて十五年前の物價に下げようという親切な理想を持つておるのかとどうか、そうして國民を飢餓から救つて行く、そうして十五年前の物價にするには、今度はこの資金をどのくらい借りたら十五年前の物價になるか。私は五十億ドルくらい借りれば十五年前の物價になると思いますが、五十億ドル借りる計画を立てておるかどうかということをお伺いします。それからこれは法律ですから、來年になるとどうなるかと言いますと、税金で徴收して行く、紙幣は磨滅してなくなつてしまうという札が沢山あるのです。出したけれども、なくなつてしまうという札は沢山あるが、紙幣の発行高は三千二百億だけれども、磨滅してなくなつてしまう、古くなつてしまうというのが沢山あるし、燒けてしまうのも沢山ありますから、今どんどん借りてしまつて、しまいに返す段になつて返せなくなつてしまう。そこで國有財産をこれに振向けて全部やつてしまうと、それは、まあ裸にはならんけれども、相当身が軽くなる、身上が減つてしまうというところまで行けば困るからして、政府は今これは裸になつたつもりでおられるように感じていますが、とに角この点を十二分に行政面でやつて頂いて、國民の幸福になるようにやつて貰いたい。それにはドル対円のレート計算が三百三十円でなく、或いは百五十円くらいでいいのではないかと思いますが、今三百三十円では、よく計算してみると、この秋あたりからは二百円計算、年末には百五十円計算ぐらいになるんじやないかと、かように考えますが、この点につきまして、政府の見通しを嚴密に調査した範囲内においてお教えを願いたいと思います。
#38
○政府委員(伊原隆君) 只今流通いたしております日本銀行券、それから政府紙幣、補助貨幣は三千二、三百億になりますが、それがどのくらい燒けてしまつたかというお話ですが、これは一昨年の金融緊急措置令による封鎖の際に五円券以上は一遍引替が行われまして、その際引替に來なかつたものは、すでに整理をいたしまして、確か予算の方に編入いたしておつたと思います。その金額は私ちよつと覚えておりませんが、朝鮮で燒いた紙幣等を考慮に入れまして、日本の内地では十億かそこらではなかつたかと思いますが、覚えておりません。尚五十銭の富士山のつきました五十銭紙幣を昨年回收いたしまして、その当時十二億円流通いたしておつたと思います。回收は約九億円程度であつたと思います。これの利益はまだ予算の方に入れる段階にはなつておりません。そう沢山なくなつてしまつたように存じません。
 それから第二は、三百三十円のレートの問題だつたと思いますが、これは御存じの通り、爲替相場がいつ幾らに決まるかということは全然分つておりません。ただ、貿易資金の計算上、輸入物資の拂下げ價格には、一ドルが三百三十円、という予算上の換算率が用いられておるということでありまして、それが眞の爲替レートであるかどうかというふうな点は決まつておらないわけであります。
 それから五十億ドルぐらい借りたら経済が安定するかという御質問でありましたが、御存じのように、日本政府の方としても、できるだけ日本で自立をいたしまして、連合國の援助によると申しますか、結局連合國の國民の租税の負担による援助というものを軽減いたして参らなければ相済まないわけでありますので、できるだけ日本としては自立をして行くように、経済の安定を図るという方針で進んでおるわけであります。
#39
○小川友三君 政府は五十銭札で三三%紛失しておるということを今発表されましたですね。三三%という札がなくなつちやつたわけです。これは百円札もそのくらいの割合でなくなつたと思いますが、そうすると、紙幣の発行高というものは政府の言うところの三千二百億というものはないのです。そうすると、このドル價換算が三百三十円レートでは、これは高過ぎます。五十銭札が三三%減つておるのですが、百円札もそのくらい相当減つていると思います。そこでこのレートをいわゆる外國に、連合國にもつと変えて呉れと言うならば、それだけ自分の歩がよくなるのですけれども、相当減つておりますよ。これは五十銭札で三三%減つているのですよ。
#40
○政府委員(伊原隆君) 五円以上は御存じのように一昨二の二月でありましたか、金融緊急措置令で切替をいたしましたので、今発行せられておる、流通いたしております百円札とか、十円札とかいうものは、その後又紛失でもいたさない限り、現実に流通しておるものと考えていいと思います。ただ五十銭札は金融緊急措置令の時に切替もいたしませんから、少額の紙幣でもありますためなかなかな回收が捗りませんので、十億円だつたのが約九億円だつたと思いますが、これは尚回收を続けておるのですが、非常に回收率が惡いので如何かと思つておる次第です。外の現在流通しておりますものについてそういうようなことはないと私共は思つております。三百三十円の爲替レートの問題は、くどいようでありますが、連合國におきまして極東委員会等との関係で決められることでありまして、日本政府の方では分つておりません。
#41
○油井賢太郎君 ちよつと貿易資金の問題で伺いますが、或いは重複するかも知れませんが、この見返り品の諸掛りはどこで以てお拂いになつておるのですか。
#42
○政府委員(村岡信勝君) 輸入物資に対しまして貿易廳が品物を受けましてから消貿者に賣渡しますので間に相当な諸掛りが掛るわけでありますが、援助物資についての諸掛りは、これは補給金の輸入補給金の対象になります物資については、すでに輸入補助金の金額等にについては御説明があつたと思いますが、予算額は援助物資についての輸入補助金が六百十六億円あります。この中に只今お尋ねの諸掛り分も含めて計算してございます。從つてそういう補助金の対象になります物資については、諸掛りは全然消費者の方に轉嫁されない。消費者には現在の各商品の統制價格というものを基準にして貿易廳が渡して、それだけの金を受取つて、別途一般会計からの六百十六億の繰入れによつて千七百五十億という金額に合せてあるわけであります。
#43
○油井賢太郎君 そうしますと、援助物資は日本に到着するまでに諸掛りを含めたドル價格ということになつておりますか。
#44
○政府委員(村岡信勝君) 一般の輸入物資でも、大体原則として日本の港渡しになつております。援助物資につきましても全部日本の港渡し價格ということになつております。
#45
○油井賢太郎君 それからもう一つ承つておきたいのは、この特別会計は貿易特別会計に入れないで、見返資金の特別会計だけでやつて行くという方法はなかつたものですか。一般の賣易特別会計から切離して、見返物資だけの会計は全然切離してやつた行く。その方がはつきり分ると思うのですが、その点はどうですか。
#46
○政府委員(村岡信勝君) 只今お尋ねの点、先程ちよつと申上げたかと思うのでありますが、援助物資の対象の物資も、それから一般コンマーシヤルベースの物資も競合する場合もありますが、又いろいろな先程のお尋ねの諸掛りの点は、要するに輸入に対してのいろいろな実務、そういうものが一般の予算と全然場合によつては同一な関係もありまして、賣易資金特別会計ということの中で操作した方が実務的にも非常に便利ではないかということで便宜こういたしておるのであります。
#47
○油井賢太郎君 ちよつと速記を止めて下さい。
#48
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#49
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて下さい。
 それでは次は酒税法等の一部を改正する法律案、それから揮発油税法案、両案の提案理由の御説明を願いたいと思います。
#50
○政府委員(田口政五郎君) 只今諸題となりました酒税法等の一部を改正する法律案外一法律案につきまして提案の理由を説明いたします。
 政府は本年度予算の編成に当りましては、経済再建のための財政需要の増大に対應して、極力租税收入を確保するため、差当り概ね現行の税制をそのまま踏襲することとしたのであります。即ち、税制全般に亘る改正及び國民租税負担の合理化につきましては、追つて根本的に再檢討することとし、今回は酒税、取引高税等につきまして、当面必要と認められる若干の改正を行うことといたしました。尚新たに揮発油税を創設して歳入増加の一助とした次第であります。
 次に各税に関する改正の大要について申上げます。先ず所得税につきましては、先に昭和二十四年の所得税の申告及び納付について差当りその第一期を六月といたしたのでありますが、今回第二期十月、第三期翌年一月の三期とし、それぞれ年税額の三分の一ずつを納付することといたしたのであります。
 次に法人税でありますが、法人の増資拂込による資金調達を容易ならしめることが経済再建の急務である現在、特に緊要である実情に鑑みまして、法人が額面超過金を積立てた場合におきましては、当分の間その金額を益金に算入しないこととし、これに対する課税を行わないことといたしました。尚法人が、法令又は法令に基く命令により、その所有する土地その他の固定資産を買收若しくは收用され又は他に讓渡せしめられた場合について、現在株式について認められている課税上の特例を準じ、超過所得に対する法人税を課税しないことといたしました。
 次に酒税でありますが、酒類は御承知の通り、現在配給酒と特別價格酒とに分れ、特別價格酒に対しましては、高い税率を適用しているのでありますが、今回その配給の方法を変更し、家庭用の配給はこれを廃止して、労務省及び農村等に対し最小限度の配給を行うに止めて、極力その数量を圧縮し、残りは全部自由販賣することといたしました。而してその價格は、配給酒は現在の配給價格程度、自由販賣酒は原則として現在の特別價格酒と配給酒の價格の中間程度となるように税率を定めることといたしたのであります。併しながら消費の性質に應じて負担の公平を期するため、清酒に特級酒を、合成清酒に一級酒を設け、清酒特級酒については一級酒等と共にその價格を或る程度高位に定めることとし、一升壜詰の小賣價格を清酒特級酒千百五十円程度、清酒一級酒九百二十円程度に定めました。その半面焼酎等のいわば大衆的な酒類につきましては、その消費の性質及び密造対策の見地等からできる限り低い價格とすることとし、焼酎は現行特價酒七百八十七円、配給酒三百六十五円であるのを、四百五十円程度になるようにいたしました、尚最近における酒類密造の激増に鑑み、密造酒類の所持犯、密造未遂について処罰規定を設ける等罰則の整備強化を行うことといたしました。
 清涼飲料税につきましては、サイダー、ラムネ等は昨年七月相当大幅の税率の引上げを行なつたのでありますが、その後の課税の状況を見まするに、税率が高過ぎるため生産を阻害しているきらいがありますので、今回第二種サイダーの税率を一石について現行九千五百円を八千円に引下げ、その他の清涼飲料についても同程度の税率の引下げを行うことといたしました。
 次に砂糖消費税につきましては、國内で消費される砂糖の大部分が輸入に俟つているのでありますが、それが連合國の好意によつて輸入される食糧である等の事情によりまして、輸入砂糖に対しては非課税とし、これに伴い必要な規定の整備を行なつた次第であります。
 次に物品税につきましては、乘用小型自動車、自動自轉車等若干の物品を新規に第一種の物品として課税することとした半面、第一種の物品中、照明器具、鞄、トランク、行李、乳母車類、運動具等について税負担を合理的なものとするため、税率を一段階引下げることとしたのであります。尚、緑茶につきましても、消費の性質及び課税の実情に顧み、從來の從價課税を從量課税に改め、税負担を若干軽減することとしたのであります。
 次に取引高税でありますが、本税の根本的檢討につきましては、先に申し述べました通りこれを將來に讓り、今回は特に納付方法について大幅な改正を行い。世上最も非難の多かつた印紙納税の制度を廃止すると共に、非課税範囲を拡張し、又一定額以下の零細な取引高についてはこれを非課税といたしました。
 先ず印紙納税の制度は、納税者にとつて相当煩雜であり、取引を阻害する場合が多いこと等の理由により非難が多かつたのでありまして、政府は実施の状況等にも鑑み、この際印紙納税制度を廃止し、現金による毎月の申告納税の制度に改め、以て印紙納税に伴う種々の手数及び帳簿の記載関係等を簡略にすることとしたのであります。税率も軽く、且つ計算方法も比較的、簡單でありますので、申告納税制度によつて相当の成績を收め得るものと期待いたしておるのであります。
 次に現行非課税範囲との権衡及び非課税にすることが財政收入に及ぼす影響等を考慮しつつ非課税制度を若干拡張することとしたのであります。先ず徴税上の手数を省略し、且つ経済力の弱小な零細な営業者に対しては課税しない趣旨から、免税点の制度を設け、一ケ月の取引金額が三万円未滿の営業者に対しては、取引高税を課さないこととしたのであります。又新らたに理容業、簡易旅館業、配給される加工水産物主要食糧及び蔬菜、植物の種苗等の取引等を非課税とすることとしたのであります。
 以上申し述べました外、今回改正しようとする主要な点について申しますれば、納税を容易且つ確実ならしめるため、新たに納税準備預金の制度を設け、その利子に対して所得税を免除することといたしました。最近の徴税の実情等から考えまして、租税の納付を容易ならしめることに資するようこの制度を極力奬励して参りたいと存じます。就中、申告納税の所得税につき、この制度の活用を図り、以て円滑なる納税に努めたいと考えている次第であります。
 次に揮発油税についてその大要を申上げます。
 先には申し述べました通り政府は新たに揮発油税を創設して、財政需要に應ぜしめることといたしたのであります。即ち最近における揮発油の需給及び價格の状況等に顧みまして、政府といたしましては、揮発油に相当の担税力があると認め、小賣價格の從價十割の税率により課税することといたしたのであります。
 揮発油税の内容につき主たる点を申上げますと、本税は他の間接税と同樣、製造場又は保税地域から揮発油を引取る都度、引取人から徴收することといたしました。その他輸出品に対する免税規定、精製等のため他の製造場へ移出する場合の未納税引取の規定、その他取締上必要な規定は、概ね他の間接税の例に依つておるのであります。
 以上各法律案につきその大要を申上げたのでありますが、今回は原則として現行税制を据置くことといたしました結果、昭和二十四年度の租税及び印紙收入の総額は五千百四十六億円余に上り、総裁入中租税の占める地位は七三%となり、前年度に比し相当増加しているのであり、この巨額な租税收入を本年度において確保いたしますためには、もとより多大の努力を必要とすると考えるのでありますが、これを確保することは、経済再建の基礎をなす財政收支の均衡を図り、インフレを收束するために不可欠の要請でありますから、この際全國民が租税の完納につき一段の努力をいたされたいのであります。政府といたしましても速かに徴税事務の運営を刷新改善し、できる限り適正な課税を行うことに全力を傾注する所存でありまして、納税者各位の協力と相俟つて租税の徴收効率の向上の実現されることを期待して止まない次第であります。今飜つて我が國の現在の税制を檢討いたしますと、國民の中央及び地方を通ずる租税負担がすでに相当重く、且つ租度制度そのものについても現在の経済情勢の推移に十分適應しない嫌いがあるのであります。先程も申上げました通り、今回は差当り現行税制を原則としてそのまま踏襲したのでありますが、近い將來に成るべく速かな機会に税制全般について根本的檢討を加え、是非共税制の合理化を図り國民の負担を適正ならしめたいと考えているのであります。
 何とぞ御審議の上速かに賛成せられるよう切望して止まない次第であります。
#51
○委員長(櫻内辰郎君) それではお諮りいたします。明日午後二時から開会することにして、本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(櫻内辰郎君) それではさよういたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           波多野 鼎君
           黒田 英雄君
           伊藤 保平君
   委員
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           油井賢太郎君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           高橋龍太郎君
           中西  功君
           川上  嘉君
           米倉 龍也君
           小川 友三君
  政府委員
   大藏政務次官  田口政五郎君
   大藏事務官
   (理財局長)  伊原  隆君
   商工事務官
   (貿易廰総理局
   長)      村岡 信勝君
ソース: 国立国会図書館
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