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1949/05/07 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第23号
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1949/05/07 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第23号

#1
第005回国会 大蔵委員会 第23号
昭和二十四年五月七日(土曜日)
   午後一時四十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○関税法の一部を改正する等の法律案
 (内閣送付)
○未復員者給與法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
○國立病院特別会計法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○公聽会開会に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。本日の議題は最初に関税法の一部を改正する等の法律案について御審議を願いたいと存じます。政府より提案理由の御説明を願います。
#3
○政府委員(田口政五郎君) ただ今議題となりました関説法の一部を改正する等の法律案について提案の理由を御説明いたします。
 わが國に輸出入されるすべての貨物は、関税法第三十一條の規定により税関に申告し檢査を経てその免許を受けることとなつており、税関はその面において最終的取締官廳ともいい得るのでございますが、他の法令で輸出又は輸入に関してそれぞれ当該行政官廳の許可、承認等を要する旨を規定している貨物については、その取締の万全を期するために、税関檢査の際その許可、承認等を受けたことを証明するか又は証明の上その認定を受けさせるようにし、もつて行政効果を最も確実にする必要がありますので、この趣旨を関税法に規定しようとして新たに一條項を設けたいのであります。
 次に郵便物中、小形包裝物等に対しては、郵便物による密輸出入を防止する見地からもその輸出入に際して税関の檢査を受けさせる必要がありますので、これを法制化することとし、又收容貨物を税関で処分し得る期間は現在六ケ月でありますが、それではあまりにも長期に失し現状にそぐわないきらいがありますので、これを三ケ月に短縮し、もつて港頭上屋の利用の回転率を高めると共に收容貨物の早期活用を図るためと、これら收容貨物又は腐敗のおそれのある收容貨物及び犯則事件の差押物件も公益上必要があるときは、その貨物につき統制機関のあるものは先づその統制機関に賣却し、統制機関のない場合は、税関長の適当と認める者に随意契約をもつて賣却し、なお一層の早期処分を図るために関税法に所要の改正を加えようとするものであります。
 次に現在外國貿易実績の相当量にのぼつている細島、津久見両港はこれを開港に指定してその利便に資すると共に、開港の指定が関税法と横須賀港を開港に指定する等の法律(昭和二十二年法律第百九十二号)の二本建になつているのを、この際関税法で一本としてその整理を図り、且つ外國貿易の消長に伴つて開港の中にもその價値を失つてくるものも生ずるので、一定の閉鎖條件を定めて自動的に開港の整備を行い從つて税関支署等の整理をなし得るように規定したのであります。
 次に本邦に入出國する旅客に対し、その旅券の査証を行つて身分等を確認しもつて税関檢査の完璧を期するために、新たに規定を設けると共に現在税関で行なつている外國貿易等に関する税関統計の作成につき、これを法制化してもつて税関にその作成を義務づけ、税関統計を更に権威あるものとするためにその規定を設ける必要があるのであります。
 次に朝鮮、台湾等は、密貿易取締及び税関統計作成上の見地から関税法の手続面では現在も外國とみなされているのでありますが、関係方面の意見も一致しましたので当分の間これを関税法上全面的に外國とみなし、併せて関税定率法、トン税法上も同樣外國とみなしてこれらの地域をわが國関税法規上全く外國と同樣の取扱いをしようとするのであります。
 次に現行トン税率総トン数一トン七銭は現在の経済情勢から見て余りに低きに失するので、これを五円に改めもつてその適正を図り併せて租税増收の一助とすると共に、その他税関の事務遂行上及び最近におけるわが國貿易事情から見て、関税法に所要の改正を加える必要があると考えられますので本法律案を提出した次第であります。
 何卒御審議の上速かに御賛成あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(櫻内辰郎君) 本案に対しまして御質疑がありましたら、この際御質疑を願いたいと思います。
#5
○油井賢太郎君 これは政務次官にお尋ねするよりは、或いは別の事項かも知れませんけれども、税関の方にいろいろ調査に参つたことがあつたのですが、その際日本の貿易は今非常に少くなつておりますが、港湾の施設とか或いは取締とかいうものは、却つて貿易の非常に多かつた時代に比べまして複雜化しておるということを見受けて参つたのであります。例えば大藏省の税関関係、或いは港湾に関しましては運輸省関係、又海上保安廳関係というような工合に、いろいろの取締と申しますか、機構が沢山あるのであります。貿易は非常に減つておるのに拘わらず、そういう機構ばかり大変殖やしておるということは、我々から見て甚だ何か矛盾を來たしておるように見受けられますが、將來これらのものを單一化する、もつと簡素化するというようなお考えはおありになるのですか。
#6
○政府委員(伊藤八郎君) 只今御指摘になりましたように、非常に港湾における官廳が沢山殖えておるのであります。簡單に申上げますと、大正十四年以降昭和十六年まで比較的簡單であつたのでありますが、戰爭になりましたから一時海軍その他の方からの圧力によりまして海運局というものが設立されまして、それに一時税関は併呑された恰好になつたのでありますが、從いまして戰時中は税関の姿は沒したのであります。幸いに連合軍が進駐されまして税関のない國であるということはおかしいということで、向うさんが進んで税関の独立を指令されまして、その結果として昭和二十一年六月一日に税関の再び誕生を見たのであります。その後、海運局から分離の際は税関だけはいろいろの関係で以て元の大正十四年以前の税関の姿に小さく再誕生をしたのでありまして、その際動植物檢疫及び海港檢疫等の事務は海運局に残つたのであります。その後又指令によりまして、動植物檢疫は農林省系統に、海港檢疫の方は厚生省の方の系統にそれぞれ分離し、それから海上保安廳というものが或る特殊の関係上設立されまして、それに前後してできました貿易廳の地方事務所というようなものが港にあり、かたがた十に垂んとするところの役所が狹い所に割拠しておりまして、おのおの同じような仕事をして、そうして相当業者の方には同じような書類を要求して迷惑を掛けていると私は思つているのでありまして、これはできるだけ速かに或るべく簡單明瞭に組織を改めまして、大正十四年以降昭和十六年までと申しますると、日本の貿易が最も伸張しました時代でありまして、その間に役所の組織というものは非常に簡單であつたのでありまするから、一日も速かに元の戰前の明朗にして簡單なる組織に還るのが理想であると私共は考えているのであります。
#7
○油井賢太郎君 今のに関連して、具体的にどういうふうにしたらいいというような構想はおありなんですか。ただ單に抽象的な今のお話では、お考えだけに止まつておりますが……。
#8
○政府委員(伊藤八郎君) 私共の理想的の考えといたしましては、それ相当の考えはあるのでありますが、若し忌憚なく申上げまするならば、戰前の、昭和十六年以前の姿というのは、結局港の役所としましては、税関と、昔は海事部というものがありまして、衝突等の海事審判を掌つておつたのでありますが、海事部と大体この二つが主なる役所であつたと私は思つているのでありまして、その他の役所としましては、当時の内務省の土木出張所が港湾の建設維持をやつており、それから陸上施設は大藏省が自分の手でやつておつたのでありまするし、その他はいわゆる地方自治團体の持つておらるる港においては、特別に港湾所というようなものがございましたけれども、國営の港においては極く簡素なそれくらいの役所で以て運営されていたのでありまして、それが理想の姿と考えております。但し現在におきましてはいろいろ中央官廳が変つておりまするので、それに相廳するように、それと相マツチするようにできるだけ簡素化をしなければならんとかように考えているのであります。
#9
○油井賢太郎君 次に横浜でも或いは名古屋辺りでも、参りまして見ますると税関というのは、横浜辺りのごときは山の上にあるというような恰好になつております。又名古屋辺りでも税関は出入りが非常に関係方面の嚴重な監視の下に行われている。税関の官吏自身が通行証を持たないと自分の役所に入れないというような形になつております。こういう点については、必要に應じてもう少し日本の貿易に本当にマツチするような方策を採つておられた方がいいのじやないかと思うのですが、関係方面との折衝等について、努力が少しく不足されていやしないかと思われる向きもあるのです。これにつきましては何かお考え或いは折衝等のことがおありですか。
#10
○政府委員(伊藤八郎君) 誠に御尤もなお尋ねでございまして、横浜の役所は御承知のように、日本としては相当立派な税関の役所があるのでありまするが、只今第八軍のヘツドクオーターになつております関係上、止むを得ず山の上にバラツクを建てそこで事務の一部をやつておりまするがこれは関係方面にいろいろお願いいたしまして、先日來南埠頭の海防事務所の一部を借り受けまして、そこに現場事務の半数程が移転してやつているような次第であります。神戸も実は相当に立派な廳舎があるのでありまするが、これも向うさんが使つておられるので、これは向い側の旅具檢査所で仕事をいたしているのであります。又名古屋の出入につきましては、只今おつしやつたように、向うのチエツク・ポイントがあるのでありますが、只今までのところ軍需物資が名古屋税関の入つておる、屋上の事務上でありますが、その下及びその附近の倉庫に軍需物資が入つておる関係上、非常に嚴重に向うさんが立番をしておられるのでありますが、これはいろいろ名古屋の地方関係方面に御連絡申上げまして、できる限り税関の方のチエツク・ポイントに移すというので、最近は恐らく実施されておると私は思いますが、税関の官吏が逆に立番をするように最近なつておるかとかように考えておるのでありまして、税関行政につきましては、非常に関係方面において積極的に、向うさんの方からも好意を以て一日も速かに貿易の伸張に伴うように、税関行政事務を円滑にやるように非常な好意ある援助を受けておるものでありまして、お蔭を以ちまして昨年の貿易は輸出入を合せますと千二百億に達しておるというような状態であります。
#11
○油井賢太郎君 次に貿易船が入りました際に、今の状況では岩壁或いは突堤に着けられなくて、艀で物を運んでおる、そのため非常に労力の上においても困難を來しておる、又積下し或いは積出しにも日数を要するということになつておりますが、なぜもつと早く突堤或いは桟橋、岩壁というものの使用されるような方策を採られないのでしようか。
#12
○政府委員(伊藤八郎君) これは実は卒直に申上げまして、日本政府部内が纒りが惡いために遅れておるのでありまして、実は去年の八月三十一日に総司令部から指令がありまして、横浜の國営では南埠頭、それから横浜市の持つておるのでは高島埠頭、神戸におきましては國営の中突堤、神戸市の持つておる兵庫埠頭、これを日本政府に返還するから、それを使つて外国貿易船をそこへ着け、旅客及び荷物のいわゆるオキユぺーシヨン・カトゴー以外の日本のコンマーシヤル・カーゴーは全部使うようにしろ、但しそれを運営する日本政府側として、運営計画を九月一日までに提出しろという指令がありましたので、我々関係者が集まりまして、そうしてその指令の中には、現在発せられておる総司令官の命令及び税関法規に從つてその荷物及び人の運営をやるように、そうしてその税関構内における取締は税関法規に從つてやれという、唯一の法規の参考條文も附けておりましたので、我々としては我程申しましたように、戰前の機構に立戻りまして、そうしてできうるだけうまくやつて貿易の伸張を期したいと関係方面に各省等集りまして、その運営計画の案を我々としましては提出したのでありますが、各省の意見がおのおの見解がありまして、完全なる妥結に至りませんうちに九月一日になりましたので、残念ながら妥協のような線で以て案を司令部に提出したのであります。我々自身としましても非常に不満足な案であつたのでありまするが、果して司令部の方におきましてもこれを不完全とされたのだろうと思いますけれども、今もつてそのラインでいいからあすこを開放するという方向に至つていないのでありまして、おつしやるように港はそれがために相当に不便を感じておるのであります。
#13
○油井賢太郎君 次に倉庫ですが、保税倉庫なり在いは積下した荷物の保管倉庫というものが少いのです。まあ戰災等において大分いためつけられたのと又関係方面で利用しておるというようなものも相当あるようですが、やはりあの倉庫の復活ということは貿易の進展上にも重要な影響を及ぼすものだと思いますが、何ら政府においてはこれに対しての施策をお講じになつておられなかつたかのように見て参つたのでありますが、これに関しては何らかの施策がおありになりますか。
#14
○政府委員(伊藤八郎君) 貿易の伸長に從いまして、倉庫殊に港頭、港の先端になつておりまするところの上屋というものが非常に必要でありますが、只今のところ横浜、神戸では大なる戰災を受けておりませんけれども、小さな港に相当な上屋の損失を來たしております。そのために昨年度あたりから計画しまして、できるだけその上屋の修築、新築をいたそうかとも考えておるのでありますが、本年度はできる限りお願いをいたしまして沢山上屋を作つて参りたいと思うのでありますが、御承知のように公共事業費の大削減でその実現を見ることがなかなか困難になつております。併しながら差繰りましても、大阪の富島、と申しまするというと輸出雜貨の中心地帶でありまするが、そこにはできる限り苦面をしましても上屋を建設いたしまして、無料で輸出業者に七日間乃至十日間の敷料は無料でサーヴイスいたしまして、輸出貿易に寄與したい、こういう考えでおるわけでありまして、そういう線に沿つて各港にそういうふうなサーヴイス上屋を建設して輸出貿易に資したい、こういうふうに考えておるのであります。
#15
○油井賢太郎君 この法案の中にトン税が改正されるというのは誠に御尤もだと思つておるのでありますが、何故今日まで非常に安い税率で以て税関でトン税を掛けて行かなくてはならなかつたか、我々は非常に不審に感ずるのであります。その経緯を承わりたいと思います。
#16
○政府委員(伊藤八郎君) 大体において戰時中は殆んど輸出入の積出し船もありませんのと、それから終戰になりまして逐次いろいろな物價が昂騰して参りましたけれども、今度この法案を御審議願いまして初めて朝鮮、台湾いわゆる旧外地に往復する船も外國貿易船に認められる関係になりますので、從來は朝鮮、台湾を往復する船は法律に関係しませんので、トン税を掛けるわけには行かないのであります。かたがた関係方面との関係もありまして、いわゆるチヤーター船その他にもトン税を余り掛けることが実は円滑に行かなかつたために、今まで改正しなかつたのでありますが、今回いろいろの方面と交渉しました結果、台湾、朝鮮を関税上外國扱いにすることも御了解を得、又チヤーター船等日本側が運営する船についてはトン税を掛けることも支障なしということに見極めが付きましたので、この面を改めて御審議を願う次第であります。
#17
○油井賢太郎君 最後に今度の改正によつてトン税等が相当入りますが、税関関係はこれで以て独立採算制が取られるようになるのですか、その点を…
#18
○政府委員(伊藤八郎君) 只今輸入税の方は殆んど食糧品等が大部分の有税品であります。これがかねて御審議願いまして本年一年間は免税いたしております関係上、関税の收入としましては、油類その他から今年度の予算には三億円を計上いたしております。この関税の改正によりまして、見積りはただ一千万円程度でありまするので、大体三億一千万円程度の関税收入になります。從いまして税関の経費は約三億強でありまして、四億足らずくらいと思いまするので、これによつて全然收入面から收支相償うというわけには参らん、若干少くなるくらいの氣持でおります。
#19
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
#20
○黒田英雄君 今油井君からも御質問がありましたが、今の臨時開廳の手数料などはどういうふうになつておりますか。あれも今相当の金額に上つておるのですか。
#21
○政府委員(伊藤八郎君) 只今お尋ねの臨時開廳その他は、今議会が始まる前に政令の改正をいたしまして、從來の安かつたのを只今の物價なみに相当引上げておるのでありまするが、何しろ御承知のように勤務時間が八時半から五時までになりました関係上、税関の執務時間をそれに合せておりますので、左程の收入にはなりませんけれども、大体雜收入といたしまして、税関の臨時開廳その他のものも計上いたしまして、年額三百万円程度の收入を見込んでおります。
#22
○黒田英雄君 現在の開港であるものがここに條件を決められて当然不開港になるように規定されておりますが、これはどは今日の貿易の状況ではないのでありまして、將來外國貿易が十分できるようになればいろいろ変ると思うのですが、今日の状況でこれをまあやられて行こうというのでありますが、これで差支ないお見込みですか。例えば外國貿易船の入出港が皆無であるときは不開港になる、或いは輸出入貨物の價額が二千五百万円を超えないときは当然なるというような規定は、平常の状態に貿易が復活して來れば自然又不開港にしなくてもいいというようなものもできると思うのですが、今日俄かにこれを作る必要があるかどうかということは疑問であろうと思いますが、それにこれを若しこの條件で行きますと、今日開港であるもののうちどれくらいのものが不開港になるという見込でありますか。およそどこであるというようなことが分ればそれも御説明願いたいと思います。
#23
○政府委員(伊藤八郎君) 貿易の事情が今後好転しますると、恐らく只今開港にいたしておりまする港には、一年間に二十五隻の入出港でありまするから、まあ一隻が出入り二隻になりまするから、月に大体一杯くらいの船が入るだろうと想像いたします。併し若し二年間も、月に一隻も入らんというようなことが続くというようなことでも、尚且つこれを開港にいたしておきますと、我々といたしましては、人員経費が極度に少に税関といたしまして、尚且つそこに二人なり三人の人員を置き経費をかけるということは、他の港が発展しますとそこにどんどん人を注込まないと仕事ができません関係上、止むを得ずこういう項目を設けまして、二ケ年或いは一年間のうちは全く皆無のような港、或いは二年間を通じてこういう條件のときは、止めざるを得ないために止むを得ずこういう規定を設けたのでありまして、一面に実際実績がどんどん上つて來る港は、これは是非開港にして貿易を沢山やつて頂かなければならん、かように考えておるためにかような規定を設けたのでございます。それから只今御指摘の、これは今後一年間或いは二年間の実績によることでありますが、只今までの実績でどういう港が具体的にあるかと申しますというと、一の條項に当嵌まると思われる港が四つばかりございます。田辺港、宮津港、根室港及び夷の四つは、昨年一年間に全く何もなかつた港であります。それからその他二千五百万円に達しないか或いは入出港の実績が二十五隻に達しない港としては、浜田とか舞鶴というような約十六、七港ごザいます。併しこれは今後の情勢によりまして、それくらいの貿易なり、実績は恐らく地元の御熱心なる要望若しくは作業によりまして必ずこういう港には実績が出て來るだろうと我々考えておりますが、若しも不幸にして一隻もない、一つも実績がない所に、尚且つ依然としてそういう役所を置かなければならんということは、非常に困りますので、その際は一時閉鎖をお願いしなければならない、かように考えておるのであります。
#24
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑は……
#25
○黒田英雄君 速記を止めて頂きたい。
#26
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#27
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて下さい。
#28
○九鬼紋十郎君 この附則のところの「この法則は、昭和二十四年五月一日から施行する。」こういうふうに決められておるのですが、もうすでに五月一日は過ぎておるのですが、これはどういうふうになるのですか。
#29
○政府委員(伊藤八郎君) これは昨日の衆議院において、六月の一日と修正になつて委員会を通過いたしました。
#30
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質問は……
#31
○木村禧八郎君 外國郵便物の税関檢査ですね、これはどういうわけで新らしくしなければならないかという事情ですね。
#32
○政府委員(伊藤八郎君) これは御承知のように只今の関税法には、外國から來る小包郵便物の中に有税品が入つておるときだけに、郵便官署はこれを税関に檢査のために提出する、その他の小包郵便物に何も有税品が入つていない場合には、何ら檢査に提出しないことになつております。最近の情勢によりまして、輸入のみならず輸出品も檢査をいたしませんと、例えば貿易廳の輸出許可、或いは関係方面の輸出ライセンスがないに拘わらず、これを出しまして、それに税関は事実上協力して実際檢査をやつておるのですが、そういう法律的事項を実際問題としてやることは工合が惡いので、今度物の入つておる場合は檢査をするというふうに法制化をいたしまして、実際に合せようといたしたのでございます。
 今のは取締方面でありますが、それから又違い奥地あたりからわざわざ横浜まで物が送られて來まして、それで檢査しました結果、これが関係方面の輸出許可なんかが要るということが分りますると、又再び荷主に差戻すことになりますので、できれば発地の郵便局で檢査をしまして、所要の檢査が要るものについては、よく教えてあげて横浜なり、神戸なりの発着所の交換郵便局に送るということに実際の郵便物について法制化したいというのが趣旨であります。
#33
○波多野鼎君 もうどなたか御質問になつた点と重複するかも知れませんけれども、先般大藏委員会から横浜税関を視察した場合に私も加りまして、横浜税関を見て來たのですが、この輸出入の総額のうち、輸出においても二九%、輸入においても二八%という大量の貿易をやつておる横浜の税関が非常にお粗末の上に山の上にできておる。特に監視部などが使うべき船なんというものは我々が港内をちよつと一時間ばかり乘つたんですが、その間に二度も故障を起しておる。そうして非常に貧弱なものです。或いは又監査部といいますか、監査部の試驗所、試驗をやる設備なんというものは非常に貧弱なもので、あれでは科学的な檢査はできないと思われるようなバラツク建てのような所で檢査をいたしております。あの状態を見まして、貿易立國というような方針を樹てておるときに、輸出入においてそれぞれ三〇%前後を占める横浜税関があの貧弱な施設で以て本当の仕事ができるかどうかということを疑つたのです。まあ大藏省においてはいろいろ考えておられると思いますが、日本の表玄関とも言うべき横浜税関の設備について、もう少し深切な施設をやるような工夫を一体しておられるかどうかということをお伺いしておきたい。
#34
○政府委員(伊藤八郎君) 先程もちよつとお答え申上げたのでありますが、この点につきましては私責任として非常に申訳なく思つておるのであります。併し國費が非常に多端の折柄でありますので、できるだけ節約をいたしまして効果を上げようと思つておるのでありますが、只今おつしやいましたように、全日本の貿易の約三割を占めるという横浜税関の設備といたしましては、誠におつしやる通り貧弱を極めております。併し逐次各方面の御理解を得ましてこれを改善いたしたいと考えておるのであります。一面最近御承知のように、日本の近親者の訪問等のために、羽田には毎日四五人の二世及び一世の方が帰つて來られますし、又埠頭には一船ごとに三百人乃至四百人の人が來られております。その人方の持つて來られるドルは、希望がある額だけは三百六十円で以て代えて差上げておるし、旅券の査証等も実は実質的に実施しておるのでありまして、その間相当貿易外のドル收入もあることでありますので、でき得る限り速かに予算額が大体公共事業費といたしまして神戸、横浜の解放を予定される分としまして千六百万円程協賛を受けておりますので、それによりまして事務所等も或いは荷物檢査所等もできるだけ整備いたしまして、この母國訪問者の便宜に供するためにドル收入等も多くしたいと考えておるわけでありまして、しの費用等の一部を以ちまして、事務所等もできるだけ質素に併し成るべく能率が上がるようにいたしたいと、少い予算を活用してできるだけ御趣旨に副うよう努力いたしたいと考えております。
#35
○波多野鼎君 是非一つ横浜税関を改造といいますか、山の上に税関がおるというようなこうした話はないと思うので、その点について格段の努力を一つして頂きたいと思います。
 それからもう一つ、これもすでに重複するかも知れませんが、港湾行政について非常に複雑な行政組織になつておるのでありまして、あそこで説明を聞いてびつくりしたのであります。それ程複雑になつておるのかということを初めて知つたんですが、これは大藏省だけでは、この機構を簡素化するというようなことはできないかも知れませんが、是非一つ大藏委員会で取上げて、ここに横浜税関の作つた系統図があるが、それを借りて來たのでありますが、これを見て見ますと、まるでこれじや仕事にならんという感じがするのです。特に運輸省並びに商工省、それから商工省の中の貿易廰ですか、そういうものが介入して來ておるために戰前の機構よりももつと複雑になつちやつて、戰前の機構が戰時中に改組され、その戰時中に改組されたものが残つて戰前の機構と食つ付いたような恰好になつております。この機構の改善をどうしてもやらなければ駄目だと私は思う。大藏委員会で一つ取上げて頂くようにこれはお願いして置きたいと思います。大藏省の方に若しこの機構の改善について、何か案がありますればお聞きしたいのですが、今どんなことを考えておいでなるか、若しなければ委員会の方で取上げてやりたいと思うんですが……
#36
○政府委員(伊藤八郎君) 先程も大体同樣な御質問がありましたので、大体私簡單に申上げて置きましたのでありますが、私共は別にその縄張爭い的に自分の権限とか、自分の仕事を大きくしようというような氣を毛頭持つておりません。要するにできるだけ簡素化しまして業者の方に御不便を掛けないようにしなければならん。尚いわゆる一方税関行政というのは御承知のように、私申上げるまでもなく、國の関税行政の具現化でありますので、これはどこの國にも、國家がある限り税関というものはある、むしろ我々の先輩がいわゆる攘夷時代から開國時代に変つて、いわゆる外國の不平等條約によつて関税自主権を失つて以來、関税税関が本当に自主権を取戻すための血みどろの歴史を顧みて、できるだけの制度をなんとかして即ち國際通商の一員に加わるには、諸外國に比して遜色のない税関にしておかなければ、國の体面上面白くないというだけでありまして、何も決してセクシヨナリズムを持つておりません。でありまするから私の理想としましては、各省が全部虚心坦懐になりまして、そうしてどこの國にもある港の組織に変えるということに若し一致すれば、話は非常に簡單なんでありますが、皆樣御承知のように、必らずしも各官廰が縄張根性を捨てるとは私考えないのでありまして、それが禍いしまして、先程も私訥弁ながら申上げましたいわゆる去年の九月一日に、当時の政府の回答として司令部に出しました両港の開放に関する運営計画なるものが、極めて不完全な曖昧なものになりましたために、今日以てまだ神戸横浜両港が解放にならんということに対しましては非常に遺憾に思つておるのであります。
 結局私達の理想としましては、大正十四年以降昭和十六年まで何らの支障なく参つておりました極く少い港の官廰で以て、二乃至三の官廰で以て運営すれば足りる、かように思うのでありまして、世界各國を探してもないような役所は、やはり日本にもない方が理想である、かように考えておるのであります。
#37
○波多野鼎君 大藏省で何かそういう点について原案ができておらんのですが、理想案といつたものは……
#38
○政府委員(伊藤八郎君) 我々の考えは持つております。印刷したものもございますから、若しお目通し願えるならば、お手許まで差上げてもよろしうございます。
#39
○波多野鼎君 是非そういうものを委員に配つて頂いて、役所の間の共管の問題というのは、なかなか解決のむつかしい問題であるということは分りますが、この委員会なぞで、こういうようにしたらどうかという裁定案というようなものを作りまして、できるだけ早く港湾行政の機構の簡素化ということを実現したいと思うので、是非一つ大藏省案というものがあれば、委員諸君に配つて頂きたいと思います。
#40
○政府委員(伊藤八郎君) できるだけ速かにお手許まで差上げます。
#41
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑がありませんけれど、まだ予備審査で…
#42
○中西功君 このいろいろ輸出入荷物について、税関が統計も作るし又その檢査といいますか、それもするというようになつておりますが、実際の問題として、日本の税関の方に、どれだけの実際の権限があるのですか。そういうことを実際やつてるのかどうか。
#43
○政府委員(伊藤八郎君) これは実際にいたしております。
#44
○中西功君 いたしておるのですか。
#45
○政府委員(伊藤八郎君) そうです。
#46
○木村禧八郎君 この書き方の意味がよく分らんのですが、提案理由の中で「朝鮮、台湾等は密貿易取扱及び税関統計作成上の見地から、関税法の手続面では現在も外國とみなされているのでありますが、関係方面の意見も一致しましたので当分の間これを……」云云とありますが、これは具体的にはどういうことですか。
#47
○政府委員(伊藤八郎君) これは総司令部からの指令の多分九百九十六号かなんかによつて、終戰直後に指令がありまして、朝鮮、台湾等からの密輸入を取締れという指令がありました。それによりまして、止むを得ず朝鮮、台湾等から輸出入する荷物については、税関に申告をすることを義務付けたのであります。併しながらこれを課税面、外國より輸入する面には、別表により関税を課すというのがあります。その條項を除けまして、手続だけについて外國扱いにしたのであります。今回朝鮮、台湾等に輸出する品物について物品税、消費税を免税しろという指図があつてのであります。でありますから、輸出する際に消費税を免税するならば、向うから入れる場合には関税を課せなければ話が合わないというふうに持つて行きまして、幸い御了解を得ましたので、今度は課税する面をも入れて、全面的にこういうようにするのだということを書いたのであります。
#48
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑がなければ、本案は予備審査でありますからこの程度にいたしておきます。
#49
○委員長(櫻内辰郎君) 次に未復員者給與法の一部を改正する法律案の御審議を願いたいと存じます。御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
#50
○黒田英雄君 この未復員者給與法の一部改正の法律、第八條の八ですが、この「療養等を受ける権利は、讓り渡し担保に供し、又は差し押えすることができない。」という規定を今度設けられたのですが、療養なんていうものは、自分の身体が惡いから療養を受けるんであつて、その権利を讓り渡すというようなこともちよつとないように思うんです。で金を貰うというならば、まあこれはその金を貰う、療養を受けないでその金を脇に譲り渡してしまうということもあるでしようが、療養を受けるというのは、今そういう場合もないように思うのですが、或いはその金を他の方にと、そういう場合があるのかどうか。その点をどういうわけでこういう規定を設けられたのか。又こういう弊害が今まであつたんですかどうですか、その点をちよつと伺います。
#51
○政府委員(今井一男君) そういつた点につきまして、弊害があつたというような話は、私共聽いたことはございません。御指摘のようにこれの狙いは療養給付関係、それによりましての金のことだけを制限する問題でございますが、字句の使い方が関係方面の折衝に際にこういつた文字になつてしまつただけのものでございます。
#52
○委員長(櫻内辰郎君) 他に御質疑はございませんか。速記を止めて。
   〔速記中止〕
#53
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。他に御質疑はございませんか。他に御質疑がなければ討論に移ることに御異議ございませんか。
#54
○波多野鼎君 第八條の十というところですね、(國又は療養等を受けるべき者は、」と、どうも文章が変だと思うんですが、國かというのはどういう意味でここに書いたのですか。
#55
○政府委員(今井一男君) これはまあ例えば療養給付を與える場合、それから遺骨の埋葬料を與えるというような場合におきまして、それを受ける権利のある人間は誰であるかということを調査しなければならないような場合が起ります。そういつた場合の権利者を確定しようという場合、戸籍謄本のようなものを要求するというような場合に、國、行政廳自身が必要とするような場合も起つて來るわけです。それを一緒くたに行政廳、療養を受ける者自身等が、又本人が、自分が正当な受給者であり、相続人であるというような表現の仕方と、両方の場合を包含しまして、「國又は療養等を受けるべき者」と、そういう字句を持つて來たわけです。
#56
○波多野鼎君 療養を受けるべき者が確定しない場合に國が代理して受けるという意味ですか。そういう場合を予想しておるのですか。
#57
○政府委員(今井一男君) そうではございません。國が逆にどれが正しい順位者であるかというようなことを國の方が、行政廳あたりが確定しなければならんような場合もあり得ると思いますので、そこを両方謳つたわけであります。証明の責任はどこだというようなことをやかましく申さないでどちらでもよいというような意味合なら両方便宜がつくと思います。
#58
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。御発言もないようでありますから直ちに討論に移ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認め討論に入ります。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#60
○天田勝正君 本法案に賛成をいたします。その理由は極めて明らかであります。療養、障害一時金等については時効を規定しておりまするが、非課税、無料証明等、これはすべて現行法よりも療養を受くべき人たちに有利に改正されております。又時効等の規定にしましても特段不利になつたということはないのでありまして、法に明らかなるがごとく遺骨の埋葬をする場合にも引取を放置する、こういうようなことは結局あり得べからざることでございまするので、決してこうした時効の規定がなされたとしても、当人若しくは家族に対して不利になつたとは考えられません。從つて総括的にこの療養け受くべき人方、或いは遺族の人方には有利になつたといい得るのでありまして、そういう観点からいたしまして本法案に賛成するものでございます。
#61
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか……御発言はないようでありますから討論は終了したものと認めて直ちに採決いたします。未復員者給與法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#62
○委員長(櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。
 尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。
 それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
 多数意見者署名
  黒田 英雄   木内 四郎
  油井賢太郎   波多野 鼎
  九鬼紋十郎   小林米三郎
  森下 政一   天田 勝正
  中西  功   木村禧八郎
  玉屋 喜章
#64
○委員長(櫻内辰郎君) 次は國立病院特別会計法案の御審議を願いたいと存んじます。この際申上げます。國立病院特別会計法案に対する連合委員会の件であります。昨日の厚生委員会において去る四月十八日に行われた、本法案に対する本委員会との連合委員会開会受諾の決定を、変更してこれを受諾しないことに決定いたされましたので、御承知を願いたいのであります。尚この連合会は開かないことにいたしましたが、厚生委員の方の御質疑を許して貰いたいということでありまして、今日中平君が御出席になつております。中平君の質疑を許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。本案に対する御質疑を願いたいと存んじます。
#66
○委員外議員(中平常太郎君) お許しを得まして國立病院の特別会計法案に対しまして、御質疑をいたしたいと存じます。この國立病院の特別会計といたしましては、從來大藏省におきまして特に一般会計から一切の切り盛りをいたしておつたのでございますが、この度これを特別会計といたし、そうしてその病院それ自体が経営をし、特別会計において経営をし、尚不足の場合には一般会計からこれを補うという形になつておるようでございますが、今日まで病院は平均の赤字が三割程度でございまして、それをこの度は二割五分ぐらいに押えるというような意向があるということを聞いたのでございますが、果して二割五分に押えるということになれば、現在三割の赤字を出しておるし、殊に相当診療階級の殖えた今日の場合に尚赤字につきましては、今後二割五分ではとても押え切れまいと思つておりますが、それを將來どうするかという問題を一つお伺いいたします。尚又二割五分は確定して必ずそれだけ補給するというのであるか、二割五分が三割になつても出すというのであるか、その点をお伺いいたします。
 それから次に日本赤十字社、或は済生会等は共同募金の配分を受けて相当いろいろ改善をいたしまして、社会病院として随分全國に仕事をいたしておりますが、今日國立病院はそれ以上の立場において機能を発揮しておつたのに拘わらず、今度特別会計にいたしましていろいろ制約を受けることに相成りますと、その國立病院としての使命が低下しやしないか。例えて見れば、制限されたためにその経営振りが営利化しやしないか、医療の内容が低下しやしないか。例えば良質高價の藥を控えるとか、或いは無料の患者を入れることを制限して有償患者を余計入れるという傾向ができやしないか。つまり経営の内容が営利化する虞れがあり、尚且つ医療内容も低下する虞れがあると思うが、これに対するお考えを承りたいと思うのであります。
 それから次に今日までの無償の患者、つまりそういうふうな貧困な者を入れておるが、無償の患者と有償の患者との比率が惡化する虞れがあると思われるが、今日の比率程度に無償患者を收容し得る確信を持つているか。有價患者に切り替えて、それを余計にとれるようにするのじやないか、この点を伺います。
 それから有料病院が今日黒字を出しておりますのを、その黒字の分を今度厚生省がこれを全部吸收してしまつて、その病院は使えない。病院はマイナス財政以外は使えない。プラスの余つた多くの金を厚生省がこれを取つてしまつて、そうしてそれをプール計算にするというふうでありますが、それでは有料病院が今日までのように施設の改善とか、内容の整備とかいう問題で相当やつて行けるような仕事が、盡く別の予算としてこれは厚生省に要求しなければならんような窮屈なことに相成つて來るが、有料病院がそのために何ぼ成績を上げても取られてしまうというような極めて不快な考えを持つて、仕事の能率を上げることに対して遺憾な点ができやしないか、この点。
 それから法案によりますと、赤字が出た場合には、この特別会計の積立金を以てこれを補給するというておりますが、現在一般に平均三割程度の赤字が出ているという場合に、積立金が何でできるか。できたところでその積立金は直ぐに使つてしまわれはしないか。そういう場合があつたときには、今後に使う金をやはり一般会計から出さなければならないが、そのときにやはり一つの制限をするのかどうか、そういうふうなことをお伺いいたしたいと存じます。
 それから説明書を見ますと、特別会計にしたならば、設備が完備する或いは又無駄が省ける、或いは又勤勉になり、能率的になる。こういうふうな美辞麗句を並べております。それならば今日まで厚生省は國立病院として一般会計から賄うのには、それには整備をしなかつたか、無駄はほつたらかしておつたのかどうか、勤勉でないものを默つておつたのかどうか。又能率的になるというが、それでは今日まで能率のことは警告し、監督しなかつたか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。
 私は國立病院ばかりは、弱い國民の解放されたところの一つの沙漠のオアシスであると考えて、その開かれた一つの関門を鎖すということになれば、國がどこに向つて弱い階級に無制限に診療をする機関がありましようか。たつた一つ國立病院が、これを担つておつて國民は難儀の中でもこれだけはというので、國民の医療設備の方が無制限に解放されて、そのために國家が多少の赤字が出ても経営している現状でありますが、そういうような國民に大切な問題を、企業の合理化か何か知らんけれどもが、そういうような無慈悲なことをやるということはどういうわけであるか、これもやはり企業の合理化の考えでやるのかどうか。こういうことを一つお尋ねいたしたい。
 それだけでございますが、いろいろ各方面から、全官公廳の労働組合の地区協議会、或いは又医療所の患者同盟、或いは又民生委員会の常務委員とか、或いは又全國の國立病院の労働組合の委員長というような方面からも、皆反対の陳情が厚生委員会の方へ大分参つております。多分大藏委員会の方にも参つておると思いますが、どうか只今申上げたような問題につきまして、明確なる御答弁をお願い申上げます。
#67
○政府委員(久下勝次君) 厚生省の立場から、只今の質問に対しましてお答えを申上げます。
 先ず第一は、從來國立病院の平均の赤字三割であるが、それにも拘わらず今回の予算によると二割五分の繰入でやることになつておるが、この点はどうかというお尋ねだと思います。お話の通り、大体昭和二十三年度年間を通じましての実績は、六七・八%ぐらいまでの收入に相成つておる実情でございます。併しながら昨年度の実績は、年間当初においては收入が比較的少くて、年度末に至りまして逐次に上昇を見て、年間平均が六七・八%という数字に相成るのでございます。言い換えますると、年度末におきましては、最近の決算はまだ正確に出ておりませんのでありますが、大体私共の確実と思つておりまする数字は、七〇%を超えておる数字に相成つておるのであります。同時に、國立病院で扱つておりまする入院患者の相当の部分を占めております未復員者給與法、或いは特別未帰還者給與法の適用を受けておりまする患者につきましては、昭和二十三年度中は両法によりまして入院患者の賄費の支給を受けておらなかつたのであります。從つて病院といたしましては、その分につきまして、入院患者に対して生活保護法の適用を受けて貰うようにし、それのできない場合には、病院におきまして減免の取扱いをいたしておつたのであります。それが今年度の四月一日から、賄費につきましても給與法の全面的適用があることに相成りました。それらの点から、病院の改入状況は、本年においては自然的に好転をするものと考えておるのであります。尚從來の惰性も多少ございまして、当然收入を上げ得る患者につきまして、職員がその面に十分なる熱意を示さなかつた関係等も、病院によりましてはないとは申されませんのであります。それらの点を彼此勘案をいたしますると、大体私共といたしましては、最近の実績からと今申上げましたような事情を推測いたしまして、予算に決められました二五%の一般会計からの繰入を以ちまして、年間國立病院の経営は從來と実体的には殆んど変りなしになし得るものと考えておる次第であります。
 第二のお尋ねの、経営が営利化しないか、医療内容の低下を來さないかというお話でございましたが、只今申上げたような事情でございまするので、私共としては從來の國立病院の実体には何ら変更のない経営を続けて行けるものと考えておるのであります。元來私共といたしましては、國立病院におきましては、医療上支出いたしました必要な経費の限度におきまして患者から費用を頂くことにいたしておるのであります。若し患者の自費を以て賄えない人につきましては、生活保護法なり、或いは社会保險制度による医療費の受入をいたしておるのでありまして、從いまして実際問題として、本人は自費として拂えないし、又他の制度の恩惠も受けられないという人が事実上ございます。そういう方々につきましては、当然その分だけ病院としては赤字に相成るのであります。さような考え方で今後とも運営をして参るつもりでございまするので、その意味から申しますれば、病院の営利化ということはあり得ないと考えておるのでございます。一般会計からの繰入がありますということも、そうした事情から参るものであり、又國立病院なるが故に、医療内容の向上その他のために支出いたします経費、他の病院では考えられないようなことも、予算の許す限り私共としては今後ともいたして参りたいと思つておるのであります。それらを含めました意味において、二割五分の繰入を期待いたしておるのであります。從つて医療内容につきましても、御指摘になりました、医藥品を制限いたしますとか、或いは無料患者を敬遠するとかいうようなことは、私共としては全然考えておらないのでありまして、從來通り予算の許す限り適正な医療を行うことを根本的な使命として参りたいと思つておるのであります。
 第三に、無料患者の比率が特別会計になると変化しないか、又変化するような経営方針をとらないかというお話でございまするが、この点は、私共は昭和二十四年度の予算を折衝いたしますにつきましても、終始一貫昭和二十三年度の実績を基礎として、基礎的な比率につきましては何ら変更を加えずに予算上の処理をして頂いておるのであります。從いまして、只今の二十四年度の予算の建前から申しますると、昭和年二十三年度の実績を、即ち從來の実績を、無料患者の比率等におきましても変更する意思は全然ございません。
 第四に、有料病院が黒字を上げた場合に厚生省が取上げてしまうということは適当でないというお話でございましたが、國立病院が、御承知の通りに、旧陸海軍病院から変つて参りましたものでありまして、中には病院の立地條件の非常に惡いものもありまするし、或いは又設備の面におきまして、甚だ不良と申してもよろしいくらいのものがあるのでございます。さような意味合から、個々の病院を一つ一つ別物として考えますることは、病院全体の運営上適当でございません。非常に立地條件等、病院関係者の同じ努力によりましても、他の病院は非常な成績が自然的に挙つて参る條件を備えておる。他の病院におきましては同じ努力をいたしましてもその成果は十分挙らないということは、國立病院の実情から今日止むを得ないものと思つておるのであります。併しながら、それぞれの病院はそれなりに又その地方の國民全般のためにお役に立つておるものと私共は信じておるのでございます。そういう意味合におきまして、私共としては、一應やはりこれは特別会計になりましても、厚生省におきまして全体をプールいたしまして、そうして成績の好い病院は、條件の好い病院と條件の惡い病院が若干助け合うというような建前は取らざるを得ないかとも思つておるのでございます。併しながらただ單にそれだけでございますると、折角努力をいたしました病院は、お話しの通りに成績を挙げない結果になる所がございますので、只今の腹案といたしましては、各病院ごとに從來の実績を基礎といたしまして、その立地條件その他あらゆる條件を深く考慮いたしまして、病院ごとに大体同じような努力を以て挙げ得る一つの目安というものは、決めたいと思つておるのであります。その目安を超えて成績が挙りました、それ以上に挙げました病院につきましては、その挙げた分につきましての何割かを病院に還えして、その病院の設備の改善等に使われるようにいたしたいと思いまして、そういうことによりまして努力をし、成績を挙げました病院が、それだけの、全部でなくても或る程度の報いのあるような措置を採りたいと思つておるのであります。
 第六の積立金についてのお話でございますが、私共といたしましては法案にも規定してありますように、一應一般会計から繰込まれることといたしまして、病院の立場から申せば、繰込まれ分もやはり一種の收入と考えまして、病院その他の收入と一括いたしまして決算上黒字が出ました場合には、その一部を是非とも積立金として残して行くように財務当局とも折衝をいたすつもりでおるのでございます。そうすることによりまして、繰入を受けながらも或る程度の積立をしていろいろ社会情勢の変転に應ずる、病院の運営に支障のないように計りたいと念願をいたしておるのであります。
 最後に特別会計の利点を上げておるが、そんなことは特別会計にならなくてもできることであり、厚生省の監督が不十分な結果ではないかというお話でございましたが、確かに御指摘のような点は私共否定をいたさないのであります。厚生省といたしましては、数多い病院のことでもございますが、確かにそのために監督上の不徹底な面がないとは申しませんので、今後とも國立病院本來の使命を速かに達成しますように、これは特別会計になると否やとに拘わらず努力いたしたいと思つておるのであります。併しながら特別会計になりまして能率が上るとかというようなことを申しておりまするのは、特別会計制度そのものの当然の結果としまして、一般会計の場合でも考えられないような努力が、そういう面においてなされるものと期待をするのでございます。一例を上げて申しますると、これは実際あつたことでございまするが、昨年度末になりまして、某病院が相当多額の赤字を生じまして、何とか補填をして貰いたいということを私共の方に申して参つた家例がありますが、よく調べて見ますと、この病院の一部の担当者が徒らに医藥品等を購入いたしまして、実際目先には必要ないものを買込んで積込んであるというような実情であつたのであります。特別会計になりますと、さようなことをいたしますれば、これは直ちに他の病院の運営に影響して参りますので、お互いの病院がそうした無駄なものを買込まないように、買込んだものにしても無駄のないように使用して行くということが、直接他の病院の経営に響いて参ります関係上、制度的に能率的な運営が期待できるという考えであるのであります。その意味におきまして特別会計制度を実施する上に利点として上げておりまする次第であります。以上お答えいたします。
#68
○委員外議員(中平常太郎君) もう一回だけ質問……皆さんの大切な時間でありますが大変心配いたしておりますので……只今の御説明によりますと、赤字が先ず二割五分で納まるだろうと御推測になつておりますが、今後の予見というものは、実に経済九原則等によりまして貧困な階級、失業者の階級、並びにそれから派生するところのさまざまな家庭、十分な療養をし得ない家庭が沢山できて來るのでありまするが、今後國立病院の活動分野が大きく展開されなければならんのに拘わらず、現在までのものを標準になさつておられるという点が不備な点ではないかということ、それをお伺いする。
 もう一つは、二割五分で押えられるお見込みであるならば、何故に特別会計になされる必要があるか。更に、特別会計になさる必要がないということになつて來ると、特別会計の長所をお挙げになりまして、長所をたまたまお挙げになつたと思つたら、藥品を余計買うておるということで、もうこんなことは平生から監督なさつていてそんなことはない筈なんです。そういうような不手際なことがあるのを、厚生省は平生からそういう監督する立場におつてそうして会計を監督なさつておる筈です。それを構わんでおいてその結果が惡いとか言つて特別会計にするということは何事か。この問題、先ず何故に特別会計にするとかいう点の利益が何にもない。これではさまざまな冷遇の措置が今後頻々として取られるおそれがあると私は思うのであります。たつた一つだけ庶民のために解放されておる病院を、特別会計にして押えようとなさる考えも、もつとそれ以上利益があるならばとにかく、利益がない。それだからして重大な利益を考えずして、こういうような庶民の最も喜んでおるたつた一つの沙漠のオアシス、門戸を閉鎖するということは得心がいかない。もつと必要な、こうしなければならんという長所を、明らかに特別会計になさらなければならんという長所をもう一遍御説明願います。
#69
○政府委員(久下勝次君) 私からお答え申上げます。第一に從來の実績を基礎にしておるかというお尋ねでございますが、むしろ先程のお尋ねが実績が維持できるかというお尋ねでありましたので、お答え申上げたのでありますが、將來私共としては、この実績は決して私共の作りましたものでなしに、その実績と申しまするのは、生活保護法適用の患者がどれだけあり、社会保險の被保險者がどれだけ、自費患者、減免患者、そういう過去における構成比率を以て先程からお答え申上げて実績と申しておるのでありまして、從つて現在の生活保護法の制度、或いは社会保險制度というものが今日のような状態である限り、私共としてはこの制度による國立病院の患者層の構成というものは変化はなく行き得るものと見ておるのであります。特別会計にする特別な理由がないではないかというお話でございまするが、私共は一般会計から繰入を受けましても特別会計というものはあり得るものと考えておるのであります。國立病院におきましては、先程から申上げておりまするが、相当額の收入がある事業でございます。勿論何度も申上げておりまするように、これを営利的な運営をするというようなことは適当でないことは私共も十分了解をしておるのでありまするけれども、それにいたしましても一定の收入がある、相当の收入のある病院事業といたしましては、先ず経営の根本といたしまして、経理面を明確にするということは是非共必要なことであろうと思います。(「特別会計じやなくてもよいだろう」と呼ぶ者あり)その意味におきまして特別会計制をとつておるのであります。更に先程申上げたように、病院の運営が能率化され、無駄が省かれるというような積極的な利益が期得をせられますので、さような意味合におきまして特別会計制度を採用いたしたのであります。
#70
○天田勝正君 中平君にも何遍でもやつて頂くことにいたしまして、私は今の質疑應答を聞いておつて、どうも分らない。その分らないのは、どうしても特別会計にした方が利益であるということが分らないことなんです結局は……何故かといえば、説明を聞きますると、療養給付のようなそういう実体については、何ら差支えなしに、変りなしにやれるということをおつしやつておる。然らば、変りのないものならば、別に機構をいじらなくてもよいじやないかというような理窟の方が、私共には先になつて來る。それをどうしても変えた方が有利であるということの理由といたしまして、特別会計の当然の帰結として、経理を押えて、そうして能率的にやらせる、結局これであります。ところが今回の財政法の改正に基きまして、目的別でなしに組織別、こういう予算によつて國会にも提示するということに相成つております。そういうことからいたしますれば、当然厚生省の所管、且つ又その下の何かという工合に、段々順を追うて下に参ります。そこでこれに倣いまして、國立病院の場合も、先程政府委員の御指摘になつたような、余計な急に要りもせん医藥品を沢山買込むということは、この病院に対しては本年の予算はこれだけであるというような規正の仕方によりまして何ぼでもできる。所管別の予算編成というものは、結局逆に申しますれば、各病院におけるところの、この病院は幾らである、この病院を幾らであるということの積立てられました結果が、結局最後は厚生省の予算は幾らということになつて参るはずでございます。そこで配分のときすでにこうした御指摘のような規正は何ぼでもできるのではなかろうか。何も一般会計だから無駄ができる、特別会計だから無駄ができんということは、説明を聞きつつ、その議論は結論に至つておりません。そういう二つの点からいたしまして、一向これを特別会計にする利益というものはないのではないか。
 更に十八條の実施規定でございますが、殆んどこれの執行等が政令で決まる。從つてただこの十八條を除いた前の條文を見ておりますと、これによつて法文から見ますれば、何も患者の方が不利になつたということは出て來ないけれども、十八條が問題でありまして、これによつて執行によつて不利になるか、有利になるかということが決まる。それが法律には一向肝腎なところが規定されずして、政府に讓つてしまう。ここに問題がある。だからむしろこの條文の審議よりも、どう実施するかということの方が重要になつて來ます。でありますから一体この実施に当つてどういうふうにやるのか。それによつてどういう利益があるのかという、先ずそういう点をお示し願いたい、こう考えるのであります。
#71
○政府委員(久下勝次君) 最初の点だけ私からお答えいたします。
 特別会計にする理由が、先程から申上げておることでは理解できないというお話でございましたが、実は先程來中平委員のお話の中にありました事柄が、殆んど全部國立病院を特別会計にする利害の両面を一緒におつしやつておるように考えるのであります。私共といたしましては、多少特別会計になるために懸念をせられるような事柄は、反面において十分排除できるという考えを持つておるのであります。積極的に特別会計にする利益というものは、確かに私共の考え方といたしましては、本質的なものではないと思つております。程度の差であると思うのであります。経理関係を明確にいたしますとか或いは能率化するとか、無駄を省くとかというようなことは、御指摘の通りに程度の差でございます。程度の差でございますが、私共といたしましては、特別会計を採用することによりまして、そうした病院運営上のいい面が促進できると考えまして御提案申上げておる次第であります。
#72
○天田勝正君 どうも説明を聽くと、意地が惡い聽き方かも知れませんが、一般会計全部に対するところの不信のような説明のように聞える。一般会計ではどうも経理等の規正ができない。きちんとやるために特別会計がいいのだ、こういう説明でありますと、では今一般会計が御承知の通り七千億にもなつておる。これは悉く怪しげなことを決めてしまつた。こういう逆な結論にもなつて來るわけなんです。であるからどうしても一般会計では駄目なんである、そういう積極的な点を御指摘になりませんと、我々には納得がいかないことなのであります。
#73
○政府委員(佐藤一郎君) 只今の御質問の、実施に関しては政令でこれを定めるということになつておつて、この実施が問題なのであると、こういう御質問がございました。実は御承知のように、特別会計法の附属政令と申しますものは、他の特別会計法の政令を御覽になつてもお分りになると思うのでございますが、全く経理的な会計的な手続だけを規定してございます。國立病院の運営に関する細目は、國立病院法に基きまして、厚生省において適宜に運用されるということになつておるのでありまして、ここにございますところの実施規定は、他の特別会計におけるがごとくに繰越計算書をどういうふうに出せとか、或いは予算はどういうふうな書類で出せとか、そういうような純会計的な手続を規定する予定になつております。
#74
○波多野鼎君 議事進行ですが、民自党の方がおりません。これは少しおかしいと思うので、今日は延ばして明日にして下さい。
#75
○森下政一君 お尋ねしますが、國立病院というのは元の陸海軍の病院である、そういうお話だつたのですが、そればかりでなく他にも例えば府縣とか或いは大都市で建設して経営しておつた病院を、戰時中の統制ばやりで医療営團に吸收するというようなことで國が取上げた病院も、國立病院の中に入つておるのじやないですか、どうですか。
#76
○政府委員(久下勝次君) お答え申上げます。大部分元の陸海軍病院でございます。一部、これも陸海軍の関係ではありますが、共済組合の病院とか或いは海仁会病院とかこういうものを買收いたしまして國立病院にしたところもありますが、これは極く例外でございます。殆んど全部が陸海軍病院であります。
#77
○森下政一君 大変細かいことをお尋ねしますが、大阪市の郊外にある豊中の病院、貝塚の郊外にある千石莊総合病院は國立病院でありませんか。
#78
○政府委員(久下勝次君) ここで申します國立病院とは考えておりません。私共としては國立療養所という名目で別の取扱をいたしております。
#79
○木村禧八郎君 それに関連いたしまして資料を要求したいのであります。この國立病院の名称、そこで扱つております患者の種類、無料者、有料者減免を受けておる者、生活保護の適用を受けておる者、それから経理状態、赤字がどのくらいであるか、そういう点についての資料をお願いしたいと思います。
#80
○中西功君 簡單に一言だけでよいのであります。さつきから特別会計にその理由がないという委員の意見に対して、まあ程度の差であるというふうな答弁があるのですが、私はそれは少しおかしいと思う。この特別会計に附する利点は大いにあると思う。それはいわゆる言われておるようなことじやなくて幾らかの赤字が必らずここに出るわけです。その赤字を各國立病院に自主的に捻出させるということになる。どういうふうにしてそれを捻出するかというのが今問題になつて來て、中平君達が言われることなんです。だからいろいろ言われておりますけれども、特別会計にする根本的な目的は、恐らく四億円以上に余る赤字というものも、各國立病院で勝手に、或いは機転をきかしていろいろな方法をやつて、捻出させるということなんです。その捻出させることもいろいろ問題が起つて來るので、それに対して我々は非常に困る。私は特別会計にするという根本はそこにある、そういうふうに了解します。で又その程度の差とか何とかいうことじやない、非常に大きい根本問題だと思うのです。ここにおいて根本的に違つておる。だからその点もう少しはつきりした政府のいわゆるこの法律を立案された見解を、正直に言つて貰う必要があると思うのであります。
#81
○森下政一君 関連して一つ聽かして下さい。今お話を聽きますと國立病院があり、國立の療養所というものが別にあります。で特別会計にすることによりまして、たまたまあなたが例を引かれたのは、経理面が非常に明確になつて藥の無駄というものがなくなつて來る。そうなればなぜ療養所の方を一貫して特別会計にしないのですか、國の経営しておる療養所は一般会計でよい。國立病院の方は一般会計じやいけない、特別会計に附してそれによつていろいろな無駄が省けて、そうしてより能率的な経営ができるということでありますれば、同じ理窟が療養所の方に当嵌まらなければならない。それを一方の方だけは一般会計であつて、一方だけは特別会計にするということであると甚だどうも一貫しない。どう聽いても特別会計に國立病院をしなければならないという、はつきりした納得の行く御説明がないと私は思う。どういうわけでそうなりますか。
#82
○政府委員(久下勝次君) 先ず第一に中西委員のお話でございますが、私共はさような点で特別会計にするとは考えておらないつもりでございます。(笑声)先程來申します通り、從來の実續を基礎といたしまして、國立病院として生じます赤字は一般会計の繰入で賄うという建前でございますが、決してそれが各病院に無理をさして、赤字を負担させるというようなことにはならないものと思つておるのであります。
#83
○中西功君 それは具的体な資料でやりましよう。
#84
○政府委員(久下勝次君) それから森下委員のお話でございますが、國立療養所と称しておりますものは、御承知の通り癩、結核、精神病等の疾病を取扱つております施設でありまして、これは一口に申しますればいわゆる社会的に疾病でございます。同時に又長期の疾病でございます。さような関係から特に癩などにつきましては、全額國費をもつて入床患者からは全然收入を上げずに経営をいたしておるのであります。特別会計というような観念の入る余地のないものを國立療養所の中に含んでおるのであります。
 結核療養所につきましてはその辺は若干違うのでありまして、これは長期の、又先程申上げました社会的な疾病である関係上、むしろ收入というようなことは、今日私共の考えといたしましては、主体的な問題として考えておりません。又考えられない実情にあるのであります。さような意味合から普通の病院と、結核、癩、精神病等特殊疾病を扱う病院とは、そこに大きなる違いがございますので、從つて國立病院は從來の実績やその性質から見て特別会計にいたしまするが、療養所につきましては特別会計のことは現在考えておらないのであります。
#85
○森下政一君 只今の御説明を聞きますと、ますます國立病院を特別会計にするということは、中平委員なり中西委員が御心配になることを濃厚に感ずるようになつて参ります。即ち特別会計にするということは、つまり收入も伴うか、伴わないかということは一番分岐点になつておるように思います。そして國立病院の方は相当收入があるということで経理面を明確にすると言われるが、ややもするとそれが結局收入の増加を図るという結果に陷つて、國費によつて補うところの國立病院の特別会計が実施されんとしておる、こういう懸念が濃厚になつて参ります。國立病院という名を冠する限りにおいては、自分の費用で療養を受けることのできないような中産階級以下の大衆を相手にして、それらの者に対して十分な医療をしてやろうというのが狙いでなければならない。從つて收入を上げるということは第二義的に考える。そういう意味においては恰かも癩療養所、或いは結核の療養所と相似たるところの考え方を持つて出発すべきものだと私は思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういうような意味で療養所というものは一般会計でいいのを、今度は國費を以て賄うということであれば、國立病院も國費で割うと然るべき性質のものであると思います。そういう意味合におきまして國立という名が附いておると思います。それをわざわざ特別会計にするということは、丁度あなたが今はつきりおつしやつたように、收入を上げるということが主たる観念になつておる。そこに國立病院の特別会計にすることに私共が納得のできないところがある。かように考えるのでありまして、これは質問ではないが、只今までの御説明では、私はこの法案には反対せざるを得ないという結果になつて來るのであります。
#86
○委員長(櫻内辰郎君) お諮りいたします。本案に対しましても御質疑はまだ相当あると考えますし、又資料の御要求もありますので、この程度にいたして置きまして次回にいたしますことにして如何ですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#87
○木村禧八郎君 お願いしたいことがあります。この問題は非常に重大な問題で特に今後の非常なる九原則実行下における経済情勢の変化、一般大衆の貧困化ということを考えるときに、失業対策費もこれは重大なる問題であります。從つてこれについては先程も中平委員が言われたように、全國患者同盟とか全日本國立医療労働組合とかその他方々で、廣汎に反対をしておる、從つてそういう人達の意見も我々は聞きたいわけなんです。それで厚生省の方からのお話を聞きましても、それは一方的で、主観的に厚生省はそうやろうと思つておるかも知れませんが、実際に現われることはそれと反対であるならそれは納得できない。そういう人達の意見を聽取したいと思いますから、それを一つお諮り願いたいと思います。
#88
○天田勝正君 それでは木村委員が明確に公聽会と言つておられませんが、私共はそうした今木村委員のおつしやつたように内容を含んだ公聽会を要求したいと思います。事は重大でございまするし、どなたが聞きましても只今の説明では、どうしても特別会計にせなければその経理をうまく管轄して行くことが不可能である、又能率的にやり得ないという原因はどうしても発見することができません。更にこれに反しまして多くの人方が特別会計になることを反対いたしておる事情もございますので、それらの関係者を招致することによつて公聽会を開く、こういうことを要求したいのでございます。
#89
○中西功君 賛成いたします。
#90
○委員長(櫻内辰郎君) 木村君の公聽会を開くという御提案に対しまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(櫻内辰郎君) 異議なしと認めましてさよう取計らいます。では本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           波多野 鼎君
           黒田 英雄君
           九鬼紋十郎君
   委員
           天田 勝正君
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           木内 四郎君
           油井賢太郎君
           小林米三郎君
           中西  功君
           川上  嘉君
           木村禧八郎君
  委員外議員
           中平常太郎君
  政府委員
   大藏政務次官  田口政五郎君
   大藏事務官
   (主計局法規課
   長)      佐藤 一郎君
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   大 藏 技 官
   (主税局税関部
   長)      伊藤 八郎君
   厚生事務官
   (医務局次長) 久下 勝次君
ソース: 国立国会図書館
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