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1949/05/16 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第28号
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1949/05/16 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第28号

#1
第005回国会 大蔵委員会 第28号
昭和二十四年五月十六日(月曜日)
   午後二時三十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○日本銀行法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○外國保險事業者に関する法律案(内
 閣提出衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。最初に日本銀行法の一部を改正する法律案につきまして、委員各位から日銀総裁の御意見をお伺いいたしたい、こういう御希望もありましたので、総裁に御交渉申しまして本日只今御出席になつておりますから、日銀総裁のお話を伺つて、それから御審議願いたいと存じます。
#3
○説明員(一萬田尚登君) 委員会からお話がありましたので、簡單に今回の日本銀行法の改正に関連して、現下の範囲内においてのお話を申し上げたいと思います。
 今回の改正は、要するに日本銀行のバンキング・ボードで、大体において中央銀行の管理の下にこれを関する政策をボードが決めるということになつております。ボードの構成は御承知のように大藏省、金融界、商工業界、農業界、それに日銀総裁並びに経済安定本部の代表者、この七名で構成することになつておりますが、今後における金融政策は日本の経済の安定並びに復興に大きな役割をいたします情勢なのであります。從いまして信用制度、一國の中央銀行の行う金融政策というものが重大なることであるということが申されるのであります。從いましてこの政策を決定いたしまするにつきまして、金融界並びに産業界、農業界というような方面に練達した、而も実に國家的な見地に立ちまして公正な判断を持つておられる方がお見えになつて、そうしてこの政策の決定をいたすということは、私は誠に結構なことと存じます。從來とてもこういう仕組の必要であるということは、私は前から感じておりました。從來はこの機構は参與理事会という名称でありましたが、今日におきましては、政策委員会という名称で、大体各方面の意見を取りつつ政策の決定をいたしたわけであります。而もこの委員会の五名の任命される委員というものは、実際に産業、金融に特に関係のある極めて公正妥当な人達なのでありまして、從いましてこの委員会自体が一つの意思の決定であつて、この委員会の一委員が意思を決定するというのではありません。議長というものはこの委員会を代表しますが、併し議長に何らの特別の権限があるわけでもありません。各委員と同じであります。議長は或る意味においてこの委員会の世話をしている幹事役、こういう性質のものであるということを、この機会に申添えて置きたいと思います。
#4
○委員長(櫻内辰郎君) 御質疑がありましたらば……。
#5
○波多野鼎君 日本銀行総裁に若干の点を御質問いたしまして、日本銀行総裁としては今度の改正法律案の二、三の点につきましてどういう御見解を持つておいでになるかということを確めて置きたいと思うのであります。この日本銀行法の一部を改正する法律案の、今お話に出ました政策委員会だけ、この規定だけを從來の日本銀行法の中に挿入されることになつております。そうしてその他の條項については、從來の日本銀行法そのままを生かしております。その結果としまして、ちよつと水に油が交つたような法律の構成になつてしまつておると思うのです。而もこの審議会の規定だけをこのまま挿入いたしますと、この法律の運用の上においても非常に支障が生ずるような場合が出て來る虞があると私は考える。一、二の点を申上げて見ますと、第一に、日本銀行法の第三條第一項には、「日本銀行ハ法令ノ定ムル所ニヨリ通貨乃金融ニ關スル國ノ事務ヲ取扱フモノトス」通貨及び金融に関する國の事務を取扱うというふうに日本銀行の性格が規定されております。ところがこの改正法律案を見ますと、十三條の二におきまして、政策を立てる……この條文にいろいろ問題がありますが、とにかく政策を立てるということになつておる。國の事務を單に取扱うだけではなくて、政策を立案する、こういうことになつております。つまり日本銀行法の第三條を生かせば、政策を立てるということは越権だと私は思います。又政策を立てるというこの政策委員会の十三條の規定を生かせば、日本銀行法第三條の規定、國の事務を取扱うという規定が死んでしまうと思います。そういう点についてどうお考えになつておりますか。
#6
○説明員(一萬田尚登君) これは法文としてのテクニツクの問題にもなるように考えます。それらについては專門の方からお答えがあろうかと思います。特に委員会の主張するところでは、委員会のなすべき基礎政策は列挙されております。又金融というような問題について、何が政策ではり、何が國の事務であるか、又政策はどういう範囲のものを政策というかというような点については、これは私はそう明瞭にはなかなか言い切れないのではないかと思つております。こういうふうに思つております。別に今の條文が、そのようにありましてもちつとも、矛盾するところはないというふうに考えております。
#7
○波多野鼎君 この「國ノ事務」という、第三條にそう書いてありますが、これは恐らく國の通貨信用政策については、國が先ず根本方針を決めて、そうしてこれを日本銀行をして行わしめる、こういう趣旨で第三條ができておると思います。それは日本銀行法の第一條に「日本銀行ハ國家經済總力ノ適切ナル發揮ヲ圖ル爲國家ノ政策ニ即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス」とある。國家の政策、これに即してやるのであります。ですから政策は國が立て、そうしてその政策を遂行する任務を日本銀行が負つておるという意味のことを第三條で國の「通貨及金融ニ關スル國ノ事務ヲ取扱フモノ」、こういうふうになつておると了解されるんで、今の総裁の御説明では、どうも國の事務と金融政策というようなものとは区別ができないというふうな御答弁でありますけれども、甚だどうも曖昧で、私共には理解できないのであります。日本銀行法の建前からいうと、そういうことになつておるんじやないかと思うのですが、重ねて総裁に、そうじやないとお考えになれば、その意味を一つ御説明を願いたいと思います。
#8
○説明員(一萬田尚登君) この條文のことにつきましては、私は甚だそういう技術を持ち合せませんので、大藏省の方に御質問を願いたいと存じますが、ただ現行の日本銀行法の第三條の、「國ノ事務」ということですが、どうせ事務はいろいろ政府の御委託を受けてやつておる事務があります。この事務のことで、政策は國が定めて、そうしてその事務を日本銀行にやらせておると、この今の三條の意味は解釈しております。そういうわけで、新らしい事務のこととかその他については、大藏省の方に御質問下すつた方がよかろうと思います。
#9
○波多野鼎君 どうもよく分りませんが、その点はそれにしまして、次に、日本銀行法の第三十條に、通貨発行審議会の規定が出ております。通貨発行額をこの審議会の議決に基き閣議を経てこれを決定するというふうに出ておるわけなんであります。ところが今度の改正法律案の第十三條の二でありますが、これによりますと「通貨信用ノ調節其ノ他金融政策」を「作成シ指示シ」と、こうなつております。通貨政策というものもこの政策委員会で決定することになつておりますが、そうしますと、この通貨発行審議会というものが何だか浮いてしまうということになるし、両方生かすとしますれば、両方でこれを決定するというようなことになると思うのですが、こういう点などは、若しこの法律が通つたとすると、日本銀行の方ではどう運用なさるとお考えでしようか。
#10
○説明員(一萬田尚登君) これは日本銀行が運用するわけではありませんが、通貨発行審議会は現在通りに残るのであります。こにで通貨発行限度を決める、こういうことになつております。無論その通貨発行限度を決めるにつきましては、物動計画から生産計画、すべてそういう方面の詳しい資料と計画がなければ、資金面からなかなか発行することができません。從いましてこの仕事は安定本部で立てることと思います。仮にこの委員会でやるということになりますと、委員会の中に又通貨安定本部と同じような組織を持たなければできないということになりまして、事実上そういうものが委員会でできるべき筈はないと私は思います。
#11
○波多野鼎君 本日銀行の内規で、理事会の仕事と今度の仕事とは同じ仕事じやないと思います。そうしますと、理事の性格は根本的に変つて來るんじやないかと思いますが、どうでありますか。
#12
○説明員(一萬田尚登君) お説の通りであります。今日の日本銀行の理事というのは、政策委員会でお決めになつた財策をエクシキユートするというわけでありまして、お説の通りに考えます。
#13
○木村禧八郎君 この日本銀行法の一部を改正する法律案が出て來た理由は、御承知の通り復金がああいう機能を停止することになり、そうして又日本銀保に対する見返円資金を復金債に償還したり、或は國債に償還したりして、日銀とか或いは市中銀行に金が返つて來て、そうして復金が今まで割に國策に副うた、國民経済の要請に副うた一應まあ資金の運用をやつて來ましたが、それがなくなつたので、そういう機能を今後果すのが、日本銀行或いは市中銀行ということになつて來て、この金融政策が非常に重要になつて來た。併しながらこれまでのような日本銀行或いは市中銀行の性格では、國民経済の要請に應ずるような金融はできないので、金融機関の公共性ですね、これを非常に強めるという意味で、こういう法律案ができて來たと思うんですが、そこで総裁にお伺いしたいのは、こういう日本銀行の一部改正をやつて政策委員会を作る、そうしてこれだけの改正によつて國民経済の要請に適するような金融改策が一体できるかどうか、その点をお伺いしたいのです。それは具体的に、例えば國や或いは政策委員会で、こういう産業に市中銀行は投資して貰いたい、そういうことを決めても、これによればそういうこの政策を作成し、指示し又は監督するというのであつて、市中銀行にこれを貸さなければいけないと、こういうふうにはできないと思うのです。そこで日本銀行では金をこれだけ市中銀行に貸すから、お前はこういう方面に貸せといつても、市中銀行が嫌だと言えば、これは貸し得ないんではないかと思うのです。從つてこういう政策委員会を作つただけでは、この日本銀行法を改正する根本の趣旨に副うかどうか、國民経済の要請に副うように金融政策が運用できるどうか、これだけです。その点お伺いしたいのですか。
#14
○説明員(一萬田尚登君) 大変むずかしい御質問であるように思いますが、これだけで果してできるかどうかという点は、これはいろいろ意見があると思いますが、無論いろいろと他の法律或いは命令で補完する必要もあるだろう。例えばお話のうちで市中銀行をして或る特定なものへの融資を先にさせるというようなことは、私共はこれは融資準則、融資規正のあれが残りまして、これで産業資金をそれぞれの分野で確保する。こういう方法で大体この政策委員会のやりますことは、本來の中央銀行、どこの國でも中央銀行がやつております、本來の中央銀行のフアンクシヨンを如何に適正且つ妥当にやるか、その政策をとるか、從つて本來の中央銀行がする以外に亙るというような、例えば統制的なもの、或いは又行政的な権限を持たねばできないようなこと、これらは別個の、そういう措置でおやりになる。或いは又恐らく効果的な法文があると思いますが、特に法律でこの委員会でやつて貰うというふうに決めたもの、こういうことでなくちやならんと思います。
#15
○木村禧八郎君 日本銀行の方の政策は、その性格が政策委員会の設置によつてそういうふうに変つて來る、それが果して本当にその程度で國民経済の要請に應ずるような金融政策ができるかどうかは異論がありますけれども、一應これに変るとして、市中銀行の方の、又その他の市中金融機関の方の性格ですね。これがやはり日本銀行の性格をもつと公共的にするというのに対應して、民間の方の金融機関の性格をもつて公共的にしなければ、日本銀行はそういうフアンクシヨンをやるとしてもうまく行かないのじやないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
#16
○説明員(一萬田尚登君) 私はこの金融機関が今日の日本の経済の状況、或いは國情に顧みまして、十分公共的な立場からやつて呉れるということを確信しております。決して金融機関が公共的な立場に立たずに資金の運用をするということは私はないと思います。特に融資規正というようなものは相当強い。これは市中銀行に対する規正と言いますか、いわゆる資金統制になつておりまして、そういう点は尚できるだけ私共も金融機関ともども努力いたしてやつて行けると思います。
#17
○木村禧八郎君 併しそれは非常に抽象的なことですが、実際問題として融資規正は、例えば市中銀行、市中の金融機関に集まつた預金をどういうふうに運用するかという、それについて例えば貿易手形にこれだけ融通するとか、或いは石炭工業ならこれだけ融資するとか、そういう新らしく市中金融機関に集まつた預金の運用について適用されると思うのです。そこで今後見返資金が産業の重要な資金になつて來ますが、これが物が輸入されて金となつて廻つて來るまでには、相当時間がかかるので、これに対して非常なデフレを防ごうとするならば、日本銀行は繋ぎ的な融資をしなければならないと思うのですか、そういう場合なんです。日本銀行から市中銀行に、おれが金を貸してやるから、市中銀行、お前もこういうふうに貸せという場合です。これはその融資準則によつても縛れないと思うのです。この点、そこなのです。最近実際問題としてもう出て來ているのじやないかと思う。日銀は大いに貸してやると言つているのだけれども、市中銀行の方は安全性と收益性、そういう方面に強く囚われてなかなか貸さない、さういうことになると、そこに非常に問題があると思うのです。日銀ではおれの方は貸してやる、それで繋ぎ資金として貸してやれと言うけれども、市中銀行の方は、いやいけません。今のところ我々の方では危險があるからそれは、貸せない。ところが新らしく金融機関に蓄積される資金については、この融資規正その他は適用できますが、日銀からそういうふうにして國民経済の要請に副うような資金の融通をやろうとしても、それが思うように行かない、現実にそういうことは起つて來ていると思うのです。ですからこういう政策委員会というものを設けても、一番重要な問題は解決が付かないのじやないかと思うのですが。その点はどういうふうにお考えになりますか。実際問題としてですね。
#18
○説明員(一萬田尚登君) 今見返勘定の金が出る、その前に繋ぎ資金の問題、これは日本銀行は金を出すと言つても、なかなかいかんのじやないかという御質問でありますが、これはそうではありません。この繋ぎ資金として出す場合には、すでに具体的なものが先に決まつておるのです。例えば何会社のどこの工場をどういうふうに補修をする、それに設備資金が要る、それするとその場合に、具体的にどういうふうになるかと言えば、先ずその会社の取引先の銀行がある。場合によつて資金量が大きいと、自分の方だけではいかんからと言うので、これが日本銀行の融資斡旋に來ます。そうするとそれならと言うのでその銀行が幹事になつて、外のこれこれの銀行も出す、こういうふうになつて、それでそれぞれ具体的に市中金融機関の手許資金を先す取扱うということになる、足らないなら、これについて取れなければ、日本銀行で出してやる、こういうふうになつて日本銀行で出すのは、具体的なことでそれぞれ資金が動いて、そうしてあとでそれを埋めて行くという行き方になる、それでずつと行くようになる、これは御心配はございませんと思います。技術的にやつて行けると思うのです。
#19
○木村禧八郎君 併しそういう機能は今まで復金というものがあつて、そうしてその外の例えば保証融資などというものがあつて、そういうことは円滑に行つたのだと思うのです。今後そういうものはない。そうして市中銀行の方に何らの危險負担に対する保障がない、そうするのがいいかどうかは別の問題ですけれども、とにかく実際問題としてない。そうすると今まで復金があつて、それで日本が斡旋してよく行つて場合と同じように行き得るかどうか……。
#20
○説明員(一萬田尚登君) それはこういうふうに私は考えております。それは復金というようなああいう機関がありますれば、そういう資金の調達が比較的容易であるということは言えるのです。併しその容易であることが必ずしもそれがすべていいとも限りません。これはいろいろな点があると思います。私共は復金があろうと、ありますまいと、それは資金調達が容易であるかどうかという問題で、日本の経済を安定させて且つ復興させるに必要とするだけの資金量というものはどうしても出さなくちやならん。さもなくば日本経済の安定も復興も望めない、こういうことであります。それで復金がなくても、それは当然中央銀行として責任を以て必要資金は出すように配慮して行く、こういうことになると思います。
#21
○木村禧八郎君 それは實際問題になると思うのです。又復金があつたので、放漫な融資が行われたという点も、確かにこれまで実例によつてあつたのですけれども、今度は反面において、復金がなくなつたために非常に警戒して、必要以上に投資が行われない。実際はその営利性と安全性、これを方針として金融を行う市中の金融機関がこれを担当するわけなんですから、その点は実際問題として、これまでのように円滑に運用されないのじやないか、日銀は幾ら貸すと言つても、下の方においてそれが行われなければ、非常な金詰りが來て、國民経済の安定、再建を実際問題として非常に妨げるのではないか。その点はこういう政策委員会というものを作つただけで解釈できない問題じやないか、又その点が一番重要じやないかと思うのですが、今の総裁のお話では、極めて抽象的で、うまくやれるのではないかというようなお話ですが、そんなに樂観的に考えていいものでございましようか。
#22
○説明員(一萬田尚登君) 今復金がないために、設備資金、特に市中金融機関から出しにくいような設備資金の調達に苦心が要る。なかなか実際問題としてむずかしいのじやないかというような御意見は、私その通りと思います。併しそれは復金というものは、もうああいうふうのことになるのだ、なつた以上は、復金についていろいろ考えて見たところがもうどうにもできない。そこで復金もああなつた。いろいろ設備資金の調達を初めといたしまして、全体の金融がなかなかむずかしくなつた。そこで私はやはり政策委員会で、産業界の方も農業の方面の方も入り、それらの意見をよく取入れて、そうして今後の金融政策をやつて行くということは、そういうふうに、できるだけそのときの情勢の許す範囲で最善なる方法を盡して行くという以外にないと思う。ただ問題は具体的の問題として、如何にも抽象論のようでありますが、具体的な問題で、こういう問題はそれならどういうふうに解決するか、解決できないじやないかというような御質問でありましたが、それについては私の考えを申し上げますと、私といたしましては今申上げたような範囲でお答えする以外にございません。
#23
○木村禧八郎君 その点については総裁と大分意見が違いますので、我々としては市中の金融機関の性格が今までのようであつてはうまく行かない。日本銀行の性格を公共的に変える、これだけで本当に改革できるかどうか分りませんけれども、そういう方針が採られたら、同時に民間の金融機関についても、公共性をもつと強めるように変えなければいけないと思いますが、この点については意見が違いますから、この程度にして置きますが、もう一つお伺いしたいことがあるのですが、それは政策委員会の費用でございますね、それから任命委員の給與、こういうものは日本銀行で負担するということになつておりますが、これまで日本銀行の経理については、いろいろ世間で批判があるのであります。この費用は日本銀行で結局負担するということになると、これはこの公聽会で千代田銀行の千金良さんの公述もあつたのですが、これは結局政府に対する納付金の変形見たいになる、こういうふうなお話だつたのであります。そうしますと、結局実際は政府が納付金の形でこれを任命委員の給與とか、政策委員会の経費を拂うということになつて、本來ならばそれは非常に大きな問題になると思います。若しか本当に納付金として取入れて、そこに拂うとすれば、それは一つの予算として本当は國会の審議を経なければならないと思います。実質的には……。この問題は一應別としまして、日本銀行がこいう経費を負担する、その場合に日本銀行としては、その利益の中からこれを出すわけであります。これまでの日本銀行の納付金ですね、納付金についてどういうような基準で納付金を納めて來たか、大体納付金は去年あたりから納め出したと思うのですが、それまで納付金は政府に納めてなかつたのですが、その間の利益はどういうふうに処理されたものか、相当日本銀行は利益が挙つている筈だと思うのです。その納付金を納める前までの利益というものは、どういうふうに処理されたものか。それから納付金を納めるようになつてからの金額が我々としては非常に少いと思うのですが、発行税にした場合よりも非常に少いと思いますが、その納付金以上に非常に沢山利益を挙げていると思うのですが、そういう利益はどういうふうに処理されているのか、この点についてお伺いしたいのです。納付金を納める前までの利益はどう処分されたか、それから納めるようになつても我々としては非常に少いと思うのでありますが、その余つた分はどういうふうに処理されたか、その点一つお伺いしたい。
#24
○説明員(一萬田尚登君) 私はこの納付金の金額等については、未だここで言うことは何ですが、経理につましては、大藏省の監督又は会計檢査院の檢査を受けて嚴重にやつております。納付金を納めなかつた当時は、無論これは日本銀行の内部の措置……、これはもうすでに済んだことでありますから申しますが、戰爭の結果の損失を償却したのであります。そうして只今はその償却が済んだので、法律の規定に基いて納付する、こういうことになつておりまして、その都度、それぞれ関係の御認可を受けてやつております。
#25
○木村禧八郎君 どうもそれではよく分らないのですが、とてもここでそういう細かい問題をお伺いしても分りませんから、これは納付金を納める前の利益はどう処分されたか、それからその後の利益の処分の方法、そういうものについて報告を出して頂きたいと思うのです。それに併せまして、日本銀行の今の人員ですね、全体の使用人は何人いるかということですね、それと、それから人件費がどのくらいであるか、それから物件費がどのくらいであるか、そういう点についての報告を出して頂きたいのです。それによつて又具体的に御質問したいと思うのです。
#26
○木内四郎君 只今ここに提案されておりまする法案につきましては、その立案に当つて大藏当局におきましては、日本銀行の方々と十分御相談し、或いは御意見を徴して、或いは関係方面のアドバイスなども容れまして立案されたものだと思いまするが、ここに出て來ておりまする法案につきまして、若し何でしたら速記を止めてもいいんですが、日本銀行の方として尚こうしたら一層この法案がよくなるだろうという御意見がありましたら、一つお伺いしたい。殊にこの第十三條のこの政策委員会の任務がずつと列挙してありますけれども、ここにもこういうものを加えたらいい、或いはこれはこういうふうに変えたらいいという御意見がありましたら、それは一例ですが、尚十三條の四の政策委員会の構成ですね、「七人ヲ以テ組織ス」というふうになつておりますが、この外に或いはもう数人加えた方がよりいい政策委員会になるだろうというような御意見がありましたら、この際伺わして頂ければ大変結構なんですが、例えばこれに「商業及工業ニ関シ優レタル經驗ト識見ヲ有スル者一人」と、商業と工業とを商工業と言えば一つかも知れないが、おのずから違つておるところもありますから、そんなところは別々にして一人ずつ代表者を出した方がいいというような……これはほんの一例ですけれども、尚この外にここはこういう構成にしたらいいという御意見がありましたら、その他折角日本銀行の改正案を出すならば、こういう点も直して頂きたいという御意見がありましたら、速記を止めてでも結構ですから、一つ伺わして頂ければ大変結構だと思います。
#27
○説明員(一萬田尚登君) この法案を作ります場合に、私共も関係方面との御相談がありまして、まあ、自分としても今提示されておる法案が一番よろしいというように考えております。
#28
○木内四郎君 まあ、そういう御答弁だと思つたんですけれども、例えばさつき申しました商業及び工業などについても二人にするというようなことについて如何でしようか。一人よりも二人の方がいいというふうにはお考えになりませんですか。
#29
○説明員(一萬田尚登君) これはもう御意見がいろいろありますが、なかなか線が引きにくいですから、いろいろとこちらの方も一人、こちらの方も一人というふうになかなかむつかしいと思います。まあ私共はこの原案がよいというように考えております。
#30
○九鬼紋十郎君 重複するかも知れませんが、むしろ重複しておりましたら、成るべく簡單に御答弁を願えれば結構です。いわゆる政策委員会の問題でありますが、この法案を見ますと、日本銀行の中にこの政策委員会ができるような組織になつておるのでありますが、その性格を見ますと、例えば第十三條の二に規定してありますように、いろいろの金融に関する政策を作成し、指示し又は監督する、こういつたことになつておりますので、日本銀行の総裁の上に立つて、別個のような権限のある機関のようにも考えられるのでありますが、そういつた点から考えまして、この中に入れるということは運営上非常に不円滑になつて支障を來すのではないか、こういうふうに考えるのであります。例えばこの政策委員会はそういつたものの政策の決定の最高機関になつておりますのでありまするが、併しながら一方総裁というものは日本銀行の最高な監督者であり、又代表者であると考えるのであります。そういつた代表者の関係におきましても、この上にあるような政策委員会が仮に性格を持つておるということになりますと、果してどちらが代表になつてよいか、そういつたことも非常に不明瞭になつて参りますし、幸に政策委員会の議長と日本銀行総裁とが兼務されれば、それはもう文句はないのですが、仮にこれが別個の人がお互いになつておるというようなことになりますと、そこに相当意見の支障も來して参るでありましようし、表面上は非常に協力して行くように見えても、内面的には意見が違つておれば、十分に協力して行くというようなことも自然にできにくくなるというようなことも生じて参りますし、そういつたいろいろの観点からいたしまして、むしろ矛盾を來すような面もありまするそういつた政府委員会というものを日本銀行の組織の中に持たないで、一應別個のものとしてこの政策委員会を決定した方が、日本銀行の組織としましては非常に純粹なものができ、合理的なものができるように考えておるのでありますが、こういつた点につきましては、日本銀行総裁としてはどういうお考えがあるのか、それを聞かして頂きたいと思います。
#31
○説明員(一萬田尚登君) 今の御質問は要点が二つあるように私考えております。一つは政策委員会を日本銀行の外に置いたらどうか、こういう御意見ですが、これはその委員会が一体どういう仕事をするかということによつてもこれは違うかも知れません、が併し中央銀行のなすべき政策を決める、こういうような委員会としても、実際の中央銀行の仕事をやつてそれを通さなくては、なかなかどういう政策をやつてよいか分るものではありません。外に置くとそういう関連がなくなります。そうして日本銀行自体がいろいろな資料を持ちまして、又日々に金融を中央銀行としてやるから知つておりますが、併し自分自身としては政策をやらない。こういうことにもなる。それでやはりこれは中央銀行の中に委員会を置く。委員会は何も日本銀行総裁を監督するのではない。この委員会は……まあ監督というのは重点的に申すのでありますが、一番大事な点は中央銀行のなすべき政策を決める、日本銀行はそれを実行して行く、こういうことなんで、從つて今後における日本銀行というものは從來の日本銀行とは全く違う、こういうことになる。そういうふうですから、私は日本銀行の中に置いたらよい、こういうふうに考えます。もう一つは、こういうようにうちに置けば、総裁とチエアマンとの関係についてのお話があつたのですが、これは私は別にそういう総裁も入る委員会でこれを決める。これは政策を決める。総裁は実行する上の……日本銀行を運営して行く。こういうことで、或いは尚そういう点で考えなければならん点がありますれば、これは研究しなければなりませんが、これはそう御心配にならないでも運営はうまく行く。こういうように考えます。
#32
○九鬼紋十郎君 そうすると第十三條の二の「金融政策ヲ國民経済ノ要請ニ適合スル如ク作成シ指示シ監督スルコトヲ任務トス」、こういうふうにあるのでありますが、この「監督スル」というのはどういつたことを監督するのですか。私はそういつた銀行の業務を監督すると思うのですが、そうではないですか。
#33
○説明員(一萬田尚登君) 先程ちよつとお答えして置いたが、無論監督ということもあります。これは委員会の最も中心な、積極的な性格はどこにあるかというような意味であります。
#34
○九鬼紋十郎君 やはり監督されることになりますね。
#35
○説明員(一萬田尚登君) そういうことになります。
#36
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
#37
○中西功君 以前昨年の八月ですか、司令部の方から日本銀行の改正に関するサゼツシヨンもあつて、それはその後一應は立消えの形になつておりますが、その指示と今度の政策委員会を置くことに関する日本銀行の改正案との関係について、日銀総裁は大体どのようなお考を持つておられますか、それを先ずお聞きしたいと思います。
#38
○説明員(一萬田尚登君) これは私はこの前の趣旨はあれ、今回のは今回の、こういうふうに思います。必ずしもこれに関連を付けて考えてはおりません。
#39
○中西功君 ではその次に、日本銀行にこのような政策委員会を置くという趣旨は、或いは精神と言つてもよいのですが、これは今回各方面に亙つて、從來の國家経営的なものが漸次民間化しつつあります。即ち專賣公社だとか或いは國鉄が公社形体になる、或いは又公團が改廃されて行く。そういう一般的な潮流の一つとして、日銀においても今回このような改正がなされた。即ちそういう一つの一般的な行き方の一方向と言いますか、それに倣つてこれがなされた。即ちもつと別の言葉で言いますと、そのような各面におけるいわゆる変化と、日銀のこの度のこの改正とが、精神においては歩調を合せておるようなものであるというふうに考えてよいものかどうか、その点に対する御所見も伺いたいと思います。
#40
○説明員(一萬田尚登君) 今の御質問の点は、それぞれ人の見方で又如何ようにも見えるかと私は考えます。併し私は今回のこの改正は、特にクレジツト、信用政策というものがなかなか今後重大なるものでありまして、そこでできるだけ最も適正なこの政策を樹立するに必要な処置をとる。これが一般のいわゆる公の機関の民生化とどういう関連を持つか、無論結果として私は民生化にも役立つたと思います。併し最も狙いの重点は、今後の國の信用政策、最も公正な立場でやり得るのにはどういうふうにすればよいかという点に狙いがある、こういうふうに私は考えております。
#41
○中西功君 これはちよつと見ますと、今まで一應大藏省或いは國が持つておりましたこの方面における機能の一部を日本銀行の政策委員会に委讓するという恰好になると思います。そうしてその政策委員会には、勿論大藏大臣或いは安本長官が入りますけれども、それには民間の人々が非常に入るわけです。むしろその主人は民間の銀行或いは産業家というものが支柱になる。そういう恰好でこの政策委員会が持たれるわけです。そういたしますと、從來政府が持つておつたところの権限を、日本銀行にあるそういう民間の人々のグループに一應一部を持たせる、委讓するというようなふうに大きくは考えられますが、そういうふうなことに対して、大体そういうふうに考えられるかどうか、その点お聞きしたいと思います。
#42
○説明員(一萬田尚登君) 只今の御質問でありますが、或いは私の理解が惡いのでありましようが、はつきりしないところもあるのですが、官廳の、例えば大藏省に從來ありました権限で一部が政策委員会に移る、こういうことはあります。これは併しそういう事柄は、こういう政策委員会に移した方がよろしいという事柄自体の性質から來ておるのでありまして、移す方が國のためにいい、こういうことであります。それからそれならば、そういうふうに移した場合に民間の人々に、先程民間と申されたが、民間という意味がどういう御意図があるか私は分らないのでありますが、民間というよりも大きな一つの中央銀行の中における組織として委員会の権限、無論その委員が民間から出るが、別に民間の利益を代表するという意味合ではないと私は思います。これはそういう方面に練達ないわゆる知識を持つておる人、そして委員として適当な人、こういうことであります。從つてこの委員会に移される事柄は、從來國が持つておるものをこれに移すという意味は全然ない、又あるべきではない。ただ事柄の性質上、從來國にあつたが、併しこれは今日及び今後の状況で、こういう委員会に移した方がよろしいのだ、それで移す、こういうことになると思います。
#43
○木内四郎君 この法案に直接関係がないかも知れませんが、日本銀行総裁は非常にお忙しいところをお出で願つておりますので、この際最高の権威者である日本銀行総裁から、経済九原則下において、殊に今年の予算の通つた今日、又單一爲替を決められた今日、その下における金融情勢の見透しにつきましてお意見を伺つておければ、我我は非常に仕合せだと思います。
#44
○説明員(一萬田尚登君) それではお許しを得まして、今後の金融の情勢につきまして若干お話しいたします。昭和二十三年に入りまして、御承知のように日本の経済というものが相当安定の兆を持つて参りました。それまでというものは大体インフレというので進んで参つたと申して差支えないと思います。そこでこの國内のそういう情勢と共に、國際情勢乃至又はアメリカ自体の経済の情勢、こういうことからいわゆる日本の経済の自立を早める。そこで御存じの九原則、從來それまでに日本の経済をどうするかという根本の目標というもの、そういうものが必ずしも私自身の考えでははつきりしていなかつた。言換えれば、それまでというものは、例えば極く分り易い言葉で申上げれば、安定か復興か、こういうふうなこと、どちらがどうかその辺が十分でなかつた。大体の動き方は中間安定という言葉で表言しておられたのが、当時のこれは主流だと思うのであります。併し今度の、今申上げました情勢の変化にもつて來まして、九原則の実施ということになりました。これがもう明らかに安定した、勿論この安定と申しますと、如何にも安定ということで復興ということは考えていないように思われますが、そうではない。併し安定を壞さない範囲で無論復興する。こういう事柄になるのである。ここで初めて安定か、復興かというような考え方に一つの目標を與えて、安定だ、こういうふうに言うのであります。從いましてこれに基いて取上げられたのが先ず今回の二十四年度の予算であります。從いまして今後における金融政策もこの線を守つてやはり行かなくてはなりません。折角財政で安定したにも拘わらず、金融面からこの安定を壞して行くということでは意味が何のことか分らなくなる。これは又このために当局が取るべきものではないが、ここで問題になりますのは、然らば安定ということはどういうことを意味しておるかということを言いますれば、私の見解では、要するに今日の物價水準というものを上げないということにあると思います。更に具体的に言えば今日の價格を下げる必要がある。公定價格ができておりますから、公定價格を下げる必要があります。この價格で安定する。こういうことであります。從いまして金融政策といたしましても、特に今後デフレにして、そして物價を下げるというところに今日直ぐに行くことは何も必要がない。言換えればデイスインフレという言葉でよく言われますが、今日の通貨水準というものを維持して行く、通貨の増発によつて物價騰貴を涙來せしめないようにするというふうにも表現ができると思います。こういうことが今後における金融政策にある。言換れば金融政策に一つの大きな轉換がある。從來はインフレというものが、主として無論これを含めて財政資金的な方面から出て來ておる。そこでインフレを抑止する上におきまして、どうしても金融面でこれを抑制して行くということは余儀ないことなのであります。金融面においても、赤字もなんでもやるという放漫なことをやつておりますれば、到底インフレの進行を阻止することが、抑制することが困難である。財政面から來るのは、例えば特別会計で國債が発行されるとすれば、それは國会が了解してそういう御承認を與えるのでありますから、これはまあ蓄積資本で、市場で消化せんとすれば日本銀行で引受けるということはインフレが進んでも止むを得ない。又復金券というものの引受け、これも國の生産計画、安本で作成するような生産計画に基く資金であります。これもやはりそうせざるを得ない。これは通貨当局としてどういうものか、こういうところからインフレの……、今回こういう問題があります。ここに金融政策が轉換すべき大きな基盤がある。併し基本方針というものは私に言わすれば一貫しておる。何だか非常に違うように言われます。或いは又從來は大変金融を締めたから、依然として締めるだろうというような極く素朴な考え方がありますが、そうじやありません。相手が道樂をしておる。そのときはどうしても女房役は財布をやはり手放しに渡してはおけない。ところが私はそれが今度相手が道樂を止めてぴちつと行儀よくして、もう今後そういうことは一切しません、こういう状況になれば、そこで今度は女房としてはやはり適正な交通費も、適正な小遣いもいろいろ面倒を十分今後において見なくてはならん。これはこの精神は一貫しておる。ただ客観的な事情が違つたためにやり方が違う、こういうことになるのであります。今後におきましては、今のようなそういう状況でありますから、金融面としては無論面倒を十分見るつもりであります。併しそれは手放しに見るのではない。道樂はせんということだけは一つきちつとやる。これが財政面では……、企業用では今後合理化というような整備をやる必要がある。そうして来ると必要な資金は私はどうしても出さなくてはならんのだから、そういうふうになる。特にこういうふうな考えからして今回の予算を出した。これがこのまま仮に実施……、仮ではありません。段々実施されるのでありますが、実施された場合にどういうふうに金融一般の影響を與えて行くか、これがもうすでに討論がありましたように、私そのちよつと目算を見ても、千億以上がデフレになつて行くものと私は思う。そうして見ると、こういうデフレ的影響というものは金融面でこれを削減すると言いますか、そういう程度の資金は更にこれを金融から市場に出してやる、こういうふうなこと、併しそうしてデフレにならないようにしなくてはならん、こういうふうに考えるのであります。これがまあ今後の金融政策というものの基本になる。更に先程からもいろいろ議論がありましたが、設備資金というものも、非常に今金融で一番問題になつているのは設備資金でありますか、これも先程申しましたように調達をするつもりでありますが、問題は私は金融の基調が……、基調と言いますか、基本が、先程申したようにあすこにあるのであります。從いまして今後の最も注意を要しますことは、資金の回轉をよくするということを考える。今日では御承知のように未拂関係というのがあります。いわゆる牽連産業の人から物を、原料、資材を買小れても代金を拂つておらん、次次にそれがある。こういう状態、こういう状況では到底資金の流通を円滑にするということは困難であります。これをやはり私共はなくして、言換えればこういうものをなくする、なくすると申しますが、これもはやり手放しになくするわけには行かない。そういう未拂いというような状況を今後再びしない。又する必要もないというだけの一つしつかりしたことを産業の方面にお互いにしなければならない。そういうふうな事情の下では未拂いを、從來の手拂はなくして、そうして信用取引というものが確立して行くという方向に向けて行かなければならん。かように考えるわけであります。信用取引というものが確立しなくては、金融の円滑というものはなかなか行えません。幸い今後におきましては通貨の安定、信用取引を確立するのに、やはり法的なこれに十分な施策、努力をいたして行きたいと、かように考えておる次第であります。これがまあ当面の具体的の金融ということになれば、これは自然具体的になりますが、例えば先程申した設備資金の問題、これもまあこういうものをやる場合におきましては、私の考えではやはり國の生産計画というものが、しつかりしたものがなくてはならん。勝手にただ整備するといつても、他産業の関連において面白くない点もある。総合計画がどうしても必要である。而もそれが九原則実施の下でなし得べき生産計画、こういうふうな、まあ見地から、例えばもう來月まででありますが、第一四半期には設備資金としてやはり六、七十億くらいの金はどうしても出さなければならない。どうしても六、七十億は必要なので、これも調達をいたしたい。これも市中金融で今やらしておるが、この中に或るものは今後において見仮し資金の繁ぎになり得るものもあります。そうでないものもあるかも知れません。いずれにしてもこれは必要資金であるから市中金融に出して行く、そうして今後におきましては、どうしても從來、大体日体の産業というものはまあこれは戰時中、或いは戰前からの傾向でありますが、借入金に依存することが多過ぎる。これは当時戰爭というような関係から資金調達が急であつた関係もあります。又、それが割合に容易であつた。こういうことから借入金はなかなか多くて自己資金が小さい。これは或る意味において、事業の経営を安易にする。こういう虞れが多分にある。それで、今後はそういうふうな見地からしても事業に自己資金、いわゆる株式並びに社債の、特に私共としては社債の発行ということに力をいたしたい。これは一つには、國債というものが償還をされる可能性が今後において多いのであります。これは見返資金の運用がどうなりますかによつて、無論今日何とも言えませんが、併しこの資金のうちから國債の償還に当てられる見込もあるようであります。そうして見ますと、今後國債というものが、新らしい発行は無論当分の間、こういう財源によることは困難でありましよう。從いまして、国債が非常に減つて來る。そうして金融機関としてはこれに代る有價証券も必要だ。そうすると、社債というものが非常に役立つ、社債の発行を今後促進いたしまして、一つには有價証券市場の育成、一つは事業の安定、資金の確保、他面、金融機関の資産の運用を公正に、適正にする。こういうような見地から、これにつきまして田、日本銀行としましても、社債について優遇措置を講じよう、こういうふうにしまして、今日の資金について臨機の措置を必要といたしまするが、窮極においては、それぞれの長期資金に肩代りして行く、こういうふうな方向に向つて行けるのだろうと思います。今後長期資金については非常に困難がありましても、これはやつて行ける見通しが私はあると思つております。今後における金融の一番の根本は、資金の蓄積はどうかということであると思います。二十四年度は私の聞くとところでは、約二千億近い税金の増徴になつているようであります。これだけでは或る意味においてはいけない本年度は強制的の預金と申しますか、インフレの時には実際は本当の蓄積でないのでありますが、從來は日本銀行から札を出して、それが預貯金になる。本当に或る意味においてインフレによる資本の強制的な蓄積であつたのでありますが、そういう形の預貯金であつたのが、今後においては、本当に働いて、本当の節約という、こういう預金になります。だから預金に増というものはながなができない。要するに問題は國民が如何に働いて、而も他方で節約をするかという点に預貯金、いわゆる資金の蓄積が繁がるのであります。そうでありますから、今後においてはやはり國民全体の協力がなくてはなかなか困難だ。それで十分に私共は預貯金を増加する、いわゆる資本の蓄積を大いに促進するという見地から、今日日本が置かれておる状態を十分みんなが認識して、そうして今日におけるいわゆるお互いに働いて節約するということが我々日本國民の立場と相成るわけであります。將來如何なることを意味し、約束するかということをよく納得して、そうしてみんなが力を合すということが一番必要であろうと、かように考えます。大変簡單なことでありますが、御質問にお答えいたします。
#45
○九鬼紋十郎君 もう一つ小さい問題でありますが、お尋ねいたします。今度の改正法案の十三條の三の九号の「金融機関の檢査」ということが、委員会の任務と言いますか、権限と申しますか、與えられておるのでありますが、事務当局を持たない委員会が、果してそういう市中の檢査ができるかどうかということに非常に私は疑問を持つておるのですが、日銀総裁もその委員一人となられる立場上から、果してこれで実際問題として、檢査ができるかどうかということについて一つ御意見を承わりたいと思います。
#46
○説明員(一萬田尚登君) 包括的にああいうふうになつておりますが、まあああいうふうになりますれば十分できると思います。尚どういうふうにして檢査する人を集めるかというような問題がありますが、これは恐らく日本銀行の方に委員会からお話があるというようなことになるのじやないかと思つております。これはそのときにどうすればいいか、委員会で研究をされていいと思つております。
#47
○九鬼紋十郎君 そうすると、今の日銀総裁の御意見では、つまりそういつたものの機関を檢査する最高の政策をここで決める権限があるというので、実際一々当つて檢査するということはないだろうというのですか。
#48
○説明員(一萬田尚登君) それは委員自身でおやりになるということはないと思います。御命令でおやりになるだろうと思います。或いは又この委員会ができた後の委員会の御意向によるだろうと思います。場合によつては俺がやるという人があつても差支えないと思います。
#49
○九鬼紋十郎君 そういつたいろいろの意味がありますので、この委員会というのは相当の事務局を持たせる必要があると思います。そういつたような手足を持たせることを我々は考えていいと思うのですが、それについて何か御意見ございませんか。
#50
○説明員(一萬田尚登君) 今の中央銀行の政策を決める際には、中央銀行の仕事自体を毎日々々やつておらないとこれは決められないし、資料も得られない。それで言換えれば、日本銀行自体がこの委員会の事務局になる。そうでないと、事務局としてはもう一つ又日本銀行見たいなものを作らなければならないということになると思います。
#51
○木村禧八郎君 先程総裁のお話の中に、六十億乃至七十億の設備資金、これは民間の蓄積以外に、日本銀行で恐らく面倒を見て行かなければならないと思う。さつき質問いたしましたのもその点なんですが、日銀からそういう設備資金を斡旋する場合、市中においては何か補償見たいなものがないと貸しにくいというようなことが起つて來て、日本銀行の中に政府が補償するのでなく、日本銀行の中で補償積立金見たいなことを行うような話があるように聞いておりますが、日本銀行がそういう市中銀行に融資した金について、市中銀行が貸した場合、日銀がそういう損失を補償する。こういうようなやり方について総裁はどういうようにお考えになつておりますか。
#52
○説明員(一萬田尚登君) 私自身の見解としては、そういう見解には賛成いたしません。日本銀行がそういう仕組についてリスクをどうするかは、中央銀行の立場としてはすべきことではなく、ただこういうことは今後において金融ということを考えるときに御参考に願いたいと思いますのは、御承知のように三百六十円の爲替相場もできましたから、今後企業というものは、そう借りた金は拂わないという状況でも困るので、そういうことのないように、今後企業自体が自立して行くことになると思います。從つて無駄な金を出さずに、適正な金は或いは出るかも知れませんが、併しリスクは必ずしもそう考えなくてもいい。言換えればそういう会社において株式を増資しなければならんし、社債も発行しなければならん。こういうことで、併せて研究もして行くというふうなことであるから、全部リスクなしで行くというのじやありません。そういうものもあります。そういうものについては政府当局において考慮を願わなければなりません。それは少なくとも金融としてはリスクはあつても仕方がないからこれは引受けて行こう、そういうものについては私の氣持としてはやはり見返資金等において運営をして行くというふうに考えております。
#53
○木村禧八郎君 今後の日本の通貨制度について御見解を伺いたいのですが、爲替が三百六十円に決まりまして、今後日本の物價政策、通貨政策、賃金政策、そういうものは対外的の價値によつて、その政策の運用は決められるわけですが、今後日本の通貨制度として一番望ましいのは、自分の國の経済状態に合つた金融政策、物價政策、そういうものをやり得るような体制を持つた通貨制度がいいと思うのですが、併し爲替が三百六十円に決まつてしまえば、そういうものは望ましくても、できない。対外的の價値の方から制約され、そこで今後そういう対外面から日本の政策の自主性が制約されて來る。こういう通貨制度をここでずつと続けて置いていいのかどうか、將來はブレトン・ウッヅというようなことも起つて來ましよう。三百六十円でブレトン・ウッヅに参加すれば、大体一割ぐらいしか変動の余地がない。そういう場合には非常に窮屈になると思う。そこで今後日本の通貨制度においてまだ早や過ぎはしないと思う。もうブレトン・ウツヅの参加、その他も起つて來るのですが、日本銀行総裁としてどういうふうにお考えになつておりますか、日本の通貨制度を今後どういうふうに考えていつたらいいか、これは政策委員会とも関連して來ると思うのですが、その点についてどういう考えですか。
#54
○説明員(一萬田尚登君) その点につきましては無論考えておりますが、併し今この席上で私から將來の日本の通貨制度がどうであるということをお答えするのは、少し早過ぎると私自身思つております。無論そういう点については十分研究しております。
#55
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと急ですが、法制局長からちよつと発言させて貰いたいという話でありますので、お願いしたいと、こう考えますが……。
#56
○木内四郎君 日銀総裁はお忙しいのでしようから、日銀総裁の方を続けたらどうですか。
#57
○委員長(櫻内辰郎君) それでは日銀総裁の方を続けましよう。
#58
○中西功君 この度、日本銀行法の一部改正案が出ました根拠ですが、それは金融面において大きな変化があつて、とにかく今度の予算の編成を契機として大きな変化があつて、即ちそれは日銀に見返資金特別委員会が生れ、更に又復金がなくなつて、一般の産業融資が今後主として市中銀行を通じて行われて行く、これは大きな変化だと思うのですが、そうした変化とこの度のこの改正案とが必要的な関連にある。一應そういうふうにも考えられますが、総裁として、そういうふうに我我が考えることが妥当であるかどうか、それに関する御意見をちよつと結論だけでも結構ですから聞いて置きたいと思います。
#59
○説明員(一萬田尚登君) 大体お説のように、そういうふうにお考えになつて私はいいと思つております。そう申しますのは、特に私別にそれは意見を聞いたわけじやないのですけれども、この中央銀行がどうあるべきか、この制度がどうなければならないかということは、実は先程もちよつとお話がありましたが、考えなければならんので、今度はこの條文だけを日本銀行に大体入れるというようなところから見ても、こういうふうな情勢下において、先ず取も直さず信用政策を比較的立派にやつて行けるようにするためには、どういうふうなことをやるか、取敢えずそれで行くというふうな考え方があると私は想像しておるのです。これは意見でありますが、私はそういうふうに想像いたしておる次第であります。
#60
○木村禧八郎君 さつきお願いしました日銀の報告書を一つお願いしたいと思います。よろしゆうございますか。
#61
○説明員(一萬田尚登君) それは一つ大藏省の方から出すことにいたしましよう。大藏省と相談いたします。
#62
○委員長(櫻内辰郎君) それでは総裁は四時から脇へお出掛けにならなければならんそうですから、この程度で質疑を打切ることにいたしたいと存じます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(櫻内辰郎君) どうもお忙しいところを有難うございました。
  ―――――――――――――
#64
○委員長(櫻内辰郎君) それから法制局長からちよつと発言したいことがおありになるそうであります。
#65
○法制局長(奧野健一君) 先般リーガル・セクシヨンに呼ばれまして、外國保險事業者に関する法律案の中で二点考慮して呉れという要求がありました。それはこの二十二條及び二十三條で、これは大藏大臣だけで事業の停止とか免許の取消ができることになつているが、これでは権利の保障に十分ではないから、そういう処分をする前に聽問会といいますか、公聽会を開いた上で処分をするというふうに考慮して貰いたい、それはアメリカではもうすベて行政機関によつてそういう免許の取消というようなことをやられるときには必ずパブリツク・ヒアリングを経ることになつておるから、今度外國保險事業者が入つた場合、そういうことなくやられるということは非常にまあ不安であるし、この問題については極東委員会も非常に関心を持つておるので、政治的な意味から、そういう免許の停止、取消の全体としてパブリック・ヒアリングを経るというふうに考慮して頂きたいということを委員会にお傳え置きを願いたいということであります。そうなりますと、同時にやはり日本の保險業者の免許取消、停止という場合も同樣な規定を置かないと、外國人を同一に取扱うという指令に余り副わないことになるので、若し改正をするとなると、その点も御考慮願いたいということになるのであります。それと、これはもうすでに或いは時期は遅いかと思いますが、今朝ESSのモスラーという人に呼ばれまして、國家公務員のための國設宿舎に関する法律案で、衆議院で修正されたのは、まあ結論から行くと、原案の方がよいので、修正は余り賛成しないと、ただ自分の方に連絡がないうちにOKになつたのであるが、まだ間に合うなら一つ考慮して貰いたいというのであります。それから一番問題にしたのは十九條の但書で、「有料宿舎にあつては六月をこえてはならない。」というのは、どうも結局この公舎法を骨拔きにすると、これは公務員の能率を非常に上げるための官舎設置ということであるので、六ケ月間も後の人が入れないというのでは、これは骨拔きになるから、この点を十分考慮して貰いたい。どういうわけでこういうふうにしたのかという質問を受けましたので、恐らくまあ日本の家屋の状態では直ぐに後の別な家を探すということはできないし、借家法でも大体六ケ月間の猶予期間があるのでこういうふうになつたのだろうと思うがと言いましたら、まあそれにしても能率の方から考えるとこれでは困るから、せめて一應三ケ月として置いて、特別な事由がある場合に限つて各省各廳の長が後三ケ月まで延し得るというふうなことにでもしてはどうかというので、この点は非常に強く言つておるのであります。それと附則で、審議会は調査審議の結果を國会に報告しなければならないということ、それから又宿舎審議会が三條二項に掲げる事項につき調査審議を完了するまでは從來通りということになつておるが、この完了というのは、三條二項全部のことについて完了して初めてこの新らしい法律が動き出すというのでは非常に因るというのでありますが、恐らく私はこの三條の二項の全部が完了しなくても、一つ一つの事項が完了すれば、その事項については從前の例によるというので決めて行くのではないかというふうに説明をいたして置きましたが、結局まあ六ケ月というのは相当強くオブジエクシヨンがあるということであります。一應御報告申上げます。
#66
○委員長(櫻内辰郎君) 何かこれに対して御質疑がありましたら……。
#67
○木内四郎君 どうでしよう、公務員の方を直そうじやないですか。
#68
○法制局長(奧野健一君) 公務員の方のは、実は前から私を呼んでおつたのですが、いろいろの行き違いで、今日十時頃に呼ぶということになりましたのですが、今日の公報を見ると、初めの方に委員長報告があるから駄目であらうということはよく言つて置きましたが、帰つて見ると済んでいないので、御報告いたしたわけであります。
#69
○委員長(櫻内辰郎君) それでは明日午前十時より再開することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           波多野 鼎君
           黒田 英雄君
           九鬼紋十郎君
   委員
           天田 勝正君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           木内 四郎君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           高橋龍太郎君
           中西  功君
           川上  嘉君
           木村禧八郎君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
  説明員
   日本銀行総裁  一萬田尚登君
ソース: 国立国会図書館
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