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1949/05/23 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第34号
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1949/05/23 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第34号

#1
第005回国会 大蔵委員会 第34号
昭和二十四年五月二十三日(月曜日)
   午前十時十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○協同組合による金融事業に関する法
 律案(内閣提出・衆議院送付)
○國立病院特別会計法案(内閣提出・
 衆議院送付)
○連合委員会開会の件
○日本銀行法の一部を改正する法律案
 (内閣提出・衆議院送付)
○租税制度に関する調査報告書に関す
 る件
○復興金融金庫の大口融資先資金監査
 報告書に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。
 本日は協同組合による金融事業に関する法律案について、先ず御審議を願いたいと存じます。本案に対して御質疑がありましたならば、御質疑を願いたいと存じます。
#3
○小川友三君 協同組合による金融事業に関する法律案ですが、先ず第一にお伺い申上げたいことは協同組合の発展が、特に農業協同組合の発展ということが非常に盛んでありまして、この農業協同組合の預金部というものが、村によりましては二千万円以上の一つの村に対する農業協同組合預金があるのであります。そこでこの金額が全日本を通じて農業協同組合の預金がどのぐらいになつていますか。政府から御答弁を先ず第一にお伺いしたい。
#4
○政府委員(愛知揆一君) 農業協同組合の預金でございますが、大体現在推定いたしましたところ、約五百億円の預金額になります。
#5
○小川友三君 この五百億円の推定という額は、全國で幾つの農業協同組合でそれだけの額になりますか。概略を承わりたいと思います。
#6
○政府委員(愛知揆一君) 農業協同組合の現在の数は一万二千前後と存じております。
#7
○小川友三君 そこでこの農業協同組合の預金部の利用というものが現政府の預金吸收策に非常に有利である。預金吸收の目的を達成するのに非常によい。かように固く信ずるものであります。この農業協同組合の欠点は、購買部というものがございまして、購買部が農具、荒物雜貨、化粧品というようなものから廣く取扱つておるのでありまして、これに農業協同組合の幹部がそうした商業に不憤れのために、惡い商人に賣れない物を賣りつけられまして、それを預金部の資金から借りておりまして、不良ないわゆる資産というものがそこにできておるのであります。それをなくするために特に政府におかれましては、どういう工合な注意か、警告か、指導かされておりますか。お伺いいたします。
#8
○政府委員(愛知揆一君) この点は相当問題の点でございまして、御承知のような農業協同組合では、單位組合は兼営事業ができるわけでございますから、相当只今御指摘のような虞れがあるわけでございます。それから連合会になりますと、金融事業――信用事業を営みまするものは、單営でなければならないということで、連合会から上の組織につきましては信用事業を営むことになつておりますので、その心配はないわけでございます。ただ農業協同組合の性格、生い立ち等から申しますと、本來信用事業の観点から見まするならば、信用事業だけをやる單営にして貰いたいということは、金融当局としては実はそういう意見も持ち得るわけでございますけれども、何分全國一万以上に亘りまして山間僻地の非常に辺鄙な山村にも発展させようとするものでございますから、経営の健全化についてできるだけの指導と監督助成をいたしまして、そういう方面から今御指摘のような欠点がなくなるようにいたしたいと努めておるわけでございます。
#9
○小川友三君 今のお説の通りに是非やつて頂きたいと思います。それからもう一つ農業協同組合を廻つて見ますると、今度農業協同組合は購買部というものを全然切り離してしまうということになるらしいということを言うておりますが、その点はどうですか。
#10
○政府委員(愛知揆一君) その点は私はまだ承知いたしておりません。或いは農林省方面でそういう計画があるかも知れませんが、まだ連絡を受けておりせん。
#11
○小川友三君 本年の大藏省の預金増加額というのは大藏大臣の御説明では、二千億から二千五百億前後という目標を立てられたように思いますが、この一万二千の農業協同組合をうまく運営しますと、一つの農業協同組合で二千万円の預金を吸收するのが容易であると信じます。それを一万二千倍しますと二千四百億円になりまして、農業協同組合の預金だけで本年度の預金努力目標といいますか、政府の目標が十二分に達成せられると、かように思うのであります。そこで私の方は埼玉縣ですが、埼玉縣の農業協同組合の預金部は非常に成績がようございまして、一つの農家が百万円ぐらい預金しておるというのがあります。それで平均上位の者が一人で三十万円前後の預金をやつております。それは特に水害のなかつたところですが、水害のあつた五、六十ヶ町村の農業協同組合の内部を調査いたしますと、それでも平均七百万円ぐらいの預金残高がございます。そこで今発表せられました五百億円を一万二千組合で割りますと、四百万円前後という貧弱なものであります。これはもう少し政府側の指導督励によりまして、或いは宣傳を少し加えて頂きますれば、もつと増加するのではないかと思います。その増加がさせる方法としまして何か腹案がございましたらお教え頂きたいと思います。
#12
○政府委員(愛知揆一君) 只今五百億と申しましたのは、お話の通り一万二千の組合の関係でございますから、中には土地柄によりまして、農業協同組合は、申上げるまでもございませんが、その規模の大小は非常に差がございまするので、平均的に申しますると、その程度になるわけでございます。
 それから二十四年度の貯蓄の増加目標、これは総合資金計画の方では二千三百億円に策定されておりますが、一方貯蓄増強の運動の目標としましては、二千五百億ということにいたしておるのでありまして、その中身といたしまして農業協同組合関係では純増加額、二十四年中に増加する額として約二百億円を見込んでおりますが、これは二千三百億円の資金計画の中での見込でございますから、貯蓄増額の目標として二千五百億、或いはそれ以上に達します場合には、農業協同組合においても更にそれ以上の貯蓄の増強を図つて頂きたいというように考えております。併しこの点については、お尋ねの外になりますけれども、今後税制上或いはいろいろの取扱上、いろいろと工夫を一方に加える必要がございますが、そういう方面については今日のところでは、まだ法律化せられたものがございませんので、預貯金の増強についてのそういう実質的な増強方策については、別の税改正の今後行われるものの一環として是非取上げて行きたいと考えております。
#13
○小川友三君 そこで私の方の村の預金増加計画というものはこういう工合にやつております。これは自発的に農業協同組合でやつておるのかどうか分らないのですが、千円、二千円という預金証書を作りまして、田舍の人でなければ分りませんが、村の下に大字がございまして、その下にこうちがございます。その一つのこうちに五万円から十万円の割当をいたしまして、定期預金証書を今賣つて歩いておりまして、これが非常に成績がようございまして、お宅では千円のを五枚付き合つて頂きたいという工合に、定期預金証書を賣つております。その定期預金証書の販賣能率というものを見ますと、一〇〇%行つております。これを政府でやつて頂きますと、定期預金という安定した長期預金というものが非常によく集まりまして、國家の二千三百億円の預金計画というものは見事に農業協同組合を動員しただけで突破できるように私には感じられておりますのですが、このいわゆる定期預金証書を賣つて歩くということは、これは差支ないのですからして、是非政府で御奬励を賜わりたいと思いますが、それに対する御意見を伺いたいと思います。
#14
○政府委員(愛知揆一君) それは一向差支ないことでございますから、尚一層勧奬するようにいたしたいと思います。
#15
○小川友三君 國会は今日で終りますので、政府は御多忙でしようが、このお盆頃までにそうした指令を、官報を農業協同組合では取つておりませんから、何らかの形で一万二千の農業協同組合宛に大藏省からか或いは農林省からか、両方から出すと尚結構ですが、地方は封建的でありまして、大藏省から特に預金奬励でこういうものが來たという一枚のパンフレットがありましても、それを直ぐに組合の理事会にかけまして協議して、大藏省からこうした預金奬励が來ておるのだからというので、比較的実行される可能性が多いのでございまして、その点につきまして、よろしく実地を御調査賜わり、御実行をお盆頃までに一つお願いしたいと思いますが、如何でしようか。
#16
○政府委員(愛知揆一君) そういう点につきましては、國会終了と同時に、政府側といたしましても、あらゆる努力を傾けたいと考えております。ただ強制貯蓄というような観念だけは、私共としては取りたくございませんので、政府としての、何と言いますか啓蒙宣傳ということにできるだけの力を注ぎまして、預貯金をされる方からは、飽くまでも自発的にやつて頂くという方向に持つて行きたいと思つております。強制貯蓄だけはやる意図はございません。
#17
○小川友三君 そこで政府にちよつと作戰を傳授しますが、田舍では、鶏が三十羽おれば大体一ヶ年の三十万円くらい残る。それから豚が五頭おりますと大体五十万円くらい残るというので、あそこの家は大体どのくらいの收入があるということは、その村のその下の大字の細胞のこうちへ行きますと分つております。あの家はどのくらい身上が残つておるということが分ります。牛が一匹生れますと、大体四万円くらい残ります。四万円金が入つたら一枚の預金証書を農業協同組合で賣る。金が入つたら、直ぐそれを預金にして行くという形態が取れますので、私立銀行の支店長や次長さんは網を張つておるが、その網よりも、幾ら金が入つたかということが直ぐ分る組織になつておりますので、全國の私立銀行の金額よりも、うまく農業協同組合を動員しますと、そういう金の入つておるところへ持つて行くのですから、これは満足して預金証書を買つて行くということになりますので、特にそこに重点を置いて頂きまして、よろしくお願いいたします。
#18
○米倉龍也君 この法律は、結局中小企業等協同組合法という母法から出て來る法律だろうと思うのですが、名前から申しますと、協同組合による金融事業に関する法律として、非常に何と言いますかいろいろの協同組合に対して、それらの協同組合はやはり信用事業を行いつつあるのであります。例えば農業協同組合にいたしましても信用事業があるので、この法律の名前だけでは、誠に混乱を起すような氣がいたしますのですが、こういうことについては、十分御研究の上でこういう名前を付けたと思うのですが、何かもつと、これは中小企業等協同組合法による信用事業を行なうその信用事業を規制する法律だということが直ぐ分るようなことに何故できなかつたか。又私共考えるには、あの母法の中へ、これに盛つてあるようなことが加わらなければいけないのじやないかと思うのです。そういう点並びに中小企業等協同組合法というものが成立されるときのいろいろ事情があつたのだろうと思いますけれども、あれに大藏省として当然このくらいなことを規制しなければ信用を主とするこの金融事業を手放しでは行わせられないことは当然でありますので、当然初めの中小企業等協同組合法の中へ盛込むべきものだと思つておつたのですが、その関係と、それから何とかもつとこう直ぐ分るような名称にならなかつたか、その点をお聽きしたいと思います。
#19
○政府委員(愛知揆一君) 誠に御尤な御質疑でございまして、本法律案の内容といたしましては、只今仰せの通り中小企業等協同組合の金融事業だけを律しておるわけでございます。從つて名称等についても実は私共もいろいろ考えたのでございますが、ただその点は率直に申上げたいと思うのでございますが、考え方といたしましては、協同組合による金融事業についてこの程度の信用事業としての規制をすることは当然であろうというふうな考え方を持つておりまするので、この法律案の中では第二條にもございますように、中小企業等協同組合法の関係だけを律するということになつておりますが、考え方としては協同組合について全体的にこういうふうな考え方で行きたいというような考えを持つておるわけでございます。ただ併しながら、先程來お話がございますような農業協同組合等につきましてはすでに農業協同組合法、或いは水産協同組合というような面につきましては、單行の独立した法律ができておりますので、これによつてそれをどうこうするという趣旨は毛頭持つておりませんわけでございます。
 それから中小企業等協同組合法と本法との関係でございますが、これは考え方としてやはり一体に考えるのも筋かと思うのでありますが、実は中小企業等協同組合法は、主として事業協同組合を中心にしました組織法を規定してございまするので、まあ例えて言つて見まするならば、中小企業等協同組合法の方は商法と例えますならば、この金融事業に関する法律案は銀行法とでもいうような関係に立つのではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
 それから尚立案の経過におきまして中小企業等協同組合法の組織法の方が先行しててきまして、こちらの方は追つかけて作りましたというような事実上の問題もあつたわけでございますが、両方に分れておりましても別に不便もないように思いますし、殊に只今申しましたような特別法的な関係に立つものでございますから、敢て別にいたしまして提案いたしたような次第であります。
#20
○米倉龍也君 大体経過はよく分りましたが、中小企業等協同組合法の場合にも市街地信用組合方面で非常に異論が起つておるわけでありまするが、やはりこれは信用協同組合法というような別の法律によつて金融事業を行う、都市における中小企業者の金融事業を行う、そういう金融機関を作ることの方がすつきりしていいじやないかと我我思うのであります。すでに中小企業等協同組合法が成立した以上、特別法的なこの法律は止むを得ないと思うのですが、今後実情に副うて、或いは又金融業法というようなものを考えたときに、当然信用協同組合法というようなものを考えなければならないと思うのですが、今後のそういう点についてのお見通しなり、大藏省としての御見解を承わりたいと思います。
#21
○政府委員(愛知揆一君) この点は提案理由の説明のときにも申上げました通りに、大藏省事務当局といたしましてはできれば只今お話のように、この際組合金融の問題につきまして、すつきりした一本の形の構想を考えたいとかねがね考えておつたわけでございます。ところが先般も申上げましたように、この際としては関係方面等との関係もございまして間に合いませんでしたので、成るべく速かなる次の機会において、組合金融の問題のみならず金融機構全般に通じて近代化した法制の整備をいたしたいと考えておりまするので、その際におきまして若しでき得るならば、一般的な協同組合の金融事業というものを律するような法制を考えたいと思つて研究いたしておるわけでございます。
 それから市街地信用組合のお話がございましたが、この点もやはり私共としては非常に困難な場面に当面いたしまして、非常に困りましたのでございますが、幸いにして政府提案の中小企業等協同組合法並びに本法案についていろいろと修正を加えられましたので、現在の形におきましては市街地信用組合に対しまする影響も最小限度にとどめ或いは殆んど影響なく推移することができるような形に只今修正が加えられておりまするので、これで一安心いたしましたという状況でございます。
#22
○波多野鼎君 ちよつと今の説明に関連しまして、中小企業等協同組合法案が修正されたことは私も新聞でちよつと見ましたが、主としてこの金融事業に関連のある面、例えば総代会とか総会といつたようなものをやるのに市街地信用組合が非常に困るという話があつたが、そういう点について重要な点だけ簡單にお説明願いたい。
#23
○政府委員(愛知揆一君) 信用協同組合というものが中小企業等協同組合法の中で律せられてあつたわけでございますが、その点について修正が加えられておりまする主要な点を申上げますと、次の通りでございます。第一は、信用組合という名称を使用し得ることになつたわけでございます。第二は、事業協同組合が信用協同組合の組合員となり得ることとなつたわれでございまして、この点は政府提出の原案では事業協同組合は信用協同組合の組合員になり得ないことになつておつたわけでございます。第三点は、信用協同組合については組合員の出資の限度を十分の一とすることに修正されました。原案は四分の一であつたわけでございます。第四点は、信用協同組合につきましては三百人井上の組合員がございませんとその設立ができないことになつたわけでございます。この点は原案では四人の発起人がありさえすれば自由設立であるというふうになつておつたわけでございます。第五点は、総代の定数は組合員の総数が千人を超えまする信用協同組合については百人を下つてはならないということに訂正いた島ました。この点は原案は組合員の総数が二千人以上の場合には二百人を下つてはならないとあつたのが更に簡單にやれることになつたわけでございます。第六点は、組合員の総数が千人を超えまする信用協同組合におきましては、総代会におきまして、役員の選挙、定款の変更、組合員の除名ができるものとなつたのでございまして、この点に組合員の数が非常に多い場合におきまして総会にかけねばならない案件が非常に多い場合には、極端な場合には一万人以上の組合員が集まりませんと只今申しました定款の変更のごときはできなかつた原案でございまするが、その点が実情に副うように修正されたわけでございます。第七点は、信用協同組合連合会でございますが、それはその会員とのみ取引ができるものとなつたのでございまして、原案は直接又は間接に構成するものと取引ができることになつておつたわけであります。それから第八点は、信用協同組合の役員の任期が三年になつたのでございます。原案は二年でございます。それから第九点は、市街地信用組合法廃止の規定の施行を六ヶ月延長することにいたしたわけでございます。それからそれに関連いたしまして、金融事業に関する法律案、只今議題となつておりまするものにつきまして申上げますると、第二條の第三項が削除になつたわけでございます。この削除になりました理由は、原案はやや自由設立的なものになつておりましたのでありまするが、これを免許制度にするということにする必要があろうということで、この三項が削られたのであります。そのことは、保險協同組合の規定は削除された関係その他で多少本法案にも修正が加わつております。以上が修正になりました点でございます。
#24
○波多野鼎君 この前商工委員代と合同審査のときに問題にした点なんですが、信用協同組合の員外利用の点ですね。組合員外に対して門戸を開くという、これは無制限に開くということになつておつたと思いますが、その点は何ら修正を加えなかつたのですか。
#25
○政府委員(愛知揆一君) 預金につきましては、無制限に員外の利用が認められるわけでございます。それから貸付については、預金担保ということになつておりますが、この点につきましては、今回は修正がございませんでした。
#26
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんですか。
#27
○中西功君 ついででありますが、この中小企業等協同組合法案の中で、保險関係が削られたと聞いておりますが、この理由或いは又それと、これは恐らく法案にならないものだと思いますが、保險のものがありますが、それとの関係を説明して貰いたいと思います。
#28
○政府委員(愛知揆一君) 保險協同組合は全部中小企業等協同組合法案から削除されておるわけでございます。その理由は、実は私共政府側の修正でございませんので、衆議院の方から御説明願うことが適当かと思うのでありますが、私の伺つておりまするところをお傳えするということで御説明いたしますならば、政府として保險協同組合を火災保險事業に限つて営むことにすることが適当かと認めまして、別途にやはり保險組合に関する法律案というものを立案いたしたのでありますが、そのときの政府側の氣持といたしましては、保險組合というものができましても、これが生命保險というような極めて廣汎な対数的な且つ極めて技術的な経営を必要とするようなものが組合の経営に適しない。同樣の理由が、火災保險以外の損害保險についても同樣の理由が言えるというふうに考えましたことと、やはり金融事業と同樣に相当嚴重な監督機関を置くことは勿論でありますし、又設立につきましても、四人以上の者が集つて保險組合が作れるということでは、どういう保險組合ができるかも知れません。延いてそれを利用する人に不測の迷惑をかける虞れがあるというようなことで極めて限定的に免許を監督というようなことを規定いたしますると同時に、火災保險についてだけは、もう一つやつて見てもそう大して弊害はないのではなかろうかこういうふうに考えまして保險組合法を立案いたしたのであります。
 然るところ衆議院の側の御意見としては、私が今説明いたしました中にも、例えば從來火災保險については組合でやらして呉れという実は陳情があつたし、又経営の如何によつてはコストを引下げることもできるのではないかというような趣旨の説明もいたしたのでありますが、それは專門家の立場から言つて、コストの引下げということは到底期待すべくもなく、又やはり他の生命保險或いは損害保險と同樣にこれを許すということは早計ではなかろうかという御意見が多数のためにこれが修正になつて削除になつたわけでございます。
 それから今一つ附加えるのでありますが、木船保險組合法の中に規定されてあつたのでありますが、この点は中小企業等協同組合とは直接の関係はございません。尚この点につきましては、これが別途研究をいたしまして、次の機会に保險業法を修正するときに、修正になつた、削除になつた機会におきまして尚一層政府側においてよく研究した上で考え直すことになつたわけであります。
#29
○中西功君 今までの市街地信用組合ですが、それは大体どの程度にはつきりしており、又いわゆる中小企業或いは庶民金融においてどの程度の役割を果しておつたか、そしてこの度中小企業等協同組合法の中に信用協同組合が設けられて編成替をされる結果、具体的にはどの程度の経済上の変化があると政府は一應見ておるかという点を御説明して頂きたいと思います。
#30
○政府委員(愛知揆一君) 市街地信用組合の数は三百四十四ございます。それから貯金の額は本年二月末現在で百十六億円でございます。それから貸出金が六十九億円、こういうのが最近における現状でございまして、一組合平均にして見ますれば、貯金三千五百万円という程度のものでございます。で私共の見ておりますところでは、市街地信用組合は金融機関再建整備の後におきまして、極めて順調に円滑に発達をしておる、相当程度庶民金融のために活躍しておると私は信じておるわけであります。
 今回のこの法律案と既存のものとの関係でありますが、既存の市街地信用組件の方は追つてなくなりますので、この法律に基いて新たに信用組合になり代るわけでありますが、既存のものにつきましては、別に改めてどうこうということはありませんので、順調にこのままに発展して行くものと思います。細かく申上げますれば、例えば出資額が外部負債の百分の三というような更に一層の内容を充実する規定が置かれておりますが、この点も現存の市街地信用組合につきましては、差当り影響はありませんが、今後の問題としましては先般御審議を頂きました貸金業法を取締、それから看做す無盡の法制化というような点とも関連しまして、私共としましてはこの法律によつて基礎付けられた條件を具備いたすものにつきましては、信用組合の設立を新たに認可して同様に庶民金融機関としまして今後も十分の発達を遂げるように考えて行きたいと思つております。
#31
○中西功君 先刻も御説明がありましたが、市街地信用組合法におきましては、この度の法的再編成に対して、可なり激して反対意見があつたというように聞いておりますが、そういう人達は主としてどういうふうな点がその人達の利益を損すると思われて反対したのか、その点少し説明して頂きたいと思います。
#32
○政府委員(愛知揆一君) この点は率直に申しまして政府の原案がまがかつたわけでございます。で修正前の政府の原案によりますと、先程保険組合の方についても申上げましたように、四人の発起人があれば相当程度まで自由に設立ができる、その結果そうやつてできたところの信用協同組合というようなものの信用力というものは、おのずから非常に弱少なものになる。にも拘わらず市街地信用組合という過去において立派にやつて参りましたものも、それと玉石混淆になつてしない、延いては信用力が非常に失われはしないかというようなところが、從來の市街地信用組合の非常に懸念したところではなかろうかと思います。これが主たる原因であろうと思います。併しその外に、先程修正案について申上げましたように、例えば相当大きな組合等においては、総会を開くために一万人以上の人間を集めて來なければ、この法律の規定によつた要件を具備することができないというような、具体的な事務的な問題につきましても非常に反対があつたわけでございまして、この点については、政府の最初に出しました原案が不備であつたということを率直に認めたいと思います。
#33
○中西功君 私その市街地信用組合のそういう意向を開いておりますと、多少ギルド的な臭みを感ずるのですが、その市街地信用組合というものが、そもそも普通の農業協同組合や、或いは又、その他工業関係の協同組合とは違つてですね、結局実は大した嚴格な意味に組合的なものではなくて、やはり中心的な、まあ金主と言いますか、それは一人ではないのでしようが、幾つかの、幾たりかの、或いは数十人かの人達の資力の周辺にその他の組合員が第二義的に集まつておるというふうなそういう関係、これはまあ別の言葉で言えば、組合というには余りにもふさわしくないような存在として今まで発展して來た結果が、結局これを組合をして考うて法制化すると非常に無理が出て來るというふうな点が、両者の考え方の、或いは要求の相寸となつて現われて來ているのではないかという氣がするのですが、どうでしようか。
#34
○政府委員(愛知揆一君) 只今ギルド的なというお話もございましたが、この從來の市街地信用組合というものは、只今お話にもございましたように、組合金融ではありますが、組合員が飽くまで中心ではございますが、現在の制度の上における金融機構としては相当廣汎な基盤を持ち、何と申しますか、信用力の分散的な担保とでも申しますか、そういう基盤の上に立ちませんと、金融事業としての信用を確実に確保することができませんので、その点は組合金融ということの本質ではあるけれども、ややそこに協同組合というものとは違つて性格を持ち、又持たねばならぬという要請が起つて來るのは当然ではなかろうかというように考えるわけでございます。
#35
○中西功君 それで衆議院の修正の問題ですが、この修正についてはいろいろ噂が飛んでおりまして、私達もその眞相はよく分らないのですが、冷却期間といいますか、はやりの言葉ですが、それを六ヶ月間設定したということの実際の効果、これはどういうふうな点に利点があるのですか。
#36
○政府委員(愛知揆一君) これは衆議院で修正になりましたのでありますから、その修正の経過等については、私共傍聽しておることもございますが、知らないこともございますから、どういう経過で、どういうふうに修正されたかということは、私からはお答え申上げる筋ではない、立場にはないと思います。ただ修正された結果、六ヶ月延長されたという点だけをとらえてお答えいたしますならば、移り変るにつきましていろいろし準備も要するであろうという、その準備期間というような点から申しますならば、既備の組合としては、相当それだけの益裕を持ち得たという結果になつたことと思います。
#37
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑は……
#38
○中西功君 実際の問題として、先の話で、既存のものに対しては大した変化は與えないというのが、大藏当局の見解なんです。併し冷却期間を六ヶ月も置くということが必要と衆議院で認めたので、その点が私はこれは本当に衆議院当局に伺うべきなんでしようが、ちよつと理解できなかつたものですから、先のようなことを申したのですが、やはり既存のものに、こういう再編成が相当強く影響するのではないか、即ち大して変化はないということだけじやないのじやないかと思うので、私自身も信用協同組合を十分知りませんから、その点何んとも具体的に申上げられませんが、そういう大して変化のないものでないというように思うので、もう一度その点お聞きしたいと思う。
#39
○政府委員(愛知揆一君) この点は先程申しましたように、政府の原案でございますれば、市街地信用組合に対する影響は、相当私は深刻であつたと思います。併しこの修正をされました結果によりますと、私共も実は立案の過程において、当該業者或いはその團体から陳情も受けた、盛んに受けました。併しそのときに問題とされておつたようなことは、殆んど大部分が衆議院の修正によつてカバーされたのじやなかろうかと考えます。從つて現在の状態で申しますならば、既存のものに対する影響というものはないというふうに考えまするし、今後できるものは立派なものができる。こういうふうになつたように考えられます。
#40
○中西功君 それでちよつとついでにもう一つ、ちよつと別のことですが、この間私は麻生鉱業の問題について大藏当局に原資料を出して頂きたいということを大藏大臣にも要求して、大藏大臣も大体了承されたと思つたのですが、未だに出ないわけです。もうすでに今日は最終日なんです。これは復金融資法案の、復金に関する法律案が採決されるときに、私はこの問題に関しては十分質すということを條件にし、委員会も了承されたところなんだ。でそういう了承に基いて、この間大藏大臣にも質問をして、大藏大臣として、これは出すと言われておる。我々了承した。ところが最終日になつても何らの返事がない。一体どう考えておられるのか、はつきりお聞きして置きたいと思います。
#41
○政府委員(愛知揆一君) この問題は、私からはちよつとお答えいたしかねると思います。
#42
○中西功君 もう一つあるんです。それから保險組合に関する法律案というものは、これで消滅するわけですね。
#43
○政府委員(愛知揆一君) この保險組合の方につきましては、先程も申しましたように、中小企業等協同組合との関係を持つた分が大部分でございますけれども、その外の木船の船主の相互保險を実は書いておりました。この点が合せてドロップされるのでありますけれども、この点についてもいろいろ問題になつて見ますと、これ又率直に申しますが、十分の自信を持ち切れなくなつたものですから、合せてこの國会で御審議頂くのにはもう日にちもござませんし、政府側としても撤回と同樣な氣持も持つております。
#44
○中西功君 ついでに聽いて置きたいのです。これは大体撤回と同樣な状態になつておると思いますが、先の保險協同組合の問題が中小企業等組合法案においても亦この法案においても、大体抹殺の運命に逢著したわけですが、現在大体中小企業業的なものとして、或いは別の言葉で言えば闇的なものとして火災保險のあれが相当流行していると聞いておりますが、それが大体どの程度に見積られ得るのかという点と、それから若しこの保險協同組合法ができまして、そういうふうに小さい資本を寄せ集めたものでも火災保險のあれができるということになりましたときに、一應考えられますのは、現に中小企業が行なつております火災保險というものの、この保險金或いは契約高がどの程度あるかということが非常に関係があると思うのですが、政府として若しこういうものを作つた場合に、今後設立されて行くならばどの程度のものが、いわゆる力を持つたものができると予想され得たか、それをちよつと聞かしておいて貰いたい。
#45
○政府委員(愛知揆一君) この問題はもう一度くどいようでございますが、申上げたいのは実は中小企業等協同組合という編成が先行したものでありますから、そうしてその中で保險協同組合というものが取上げられたわけでありますので、保險行政をやつている私共としましては、実はこの線を越されてこちらが研究不十分の中にどうしても、それに対する何と申しますか、防衞的な措置を講じなければならない羽目になつたわけでございます。そういうわけでありまするので、十分な自信を持つてそれを立案するというところまでは実は参り得なかつたわけであります。それで先程申上げましたように組合組織による保險組合のいわゆる火災保險をやつて見たいという希望、陳情も受けていると申したのでありますが、これは大藏省の銀行局に到達しております正式のものとしては約十件内外、全國に約十件内外でございました。その中に例えば或る組織の中に勤めておられる勤労者を中心にして組織したいというようなものもございますれば、それから或る同業者、中小企業の同業者の方々が相寄つて相互的に火災保險組合を計画しようという計画もございました。併しいずれもその計画者自身にも相当まだいろいろな疑点もあり、当局側も十分話合つて相談に乘つて貰いたいという程度のものでございましたので、それらを研究しつつ許すべきものは許して貰いたいというふうに考えておつたわけであります。從つて一体どのぐらいの組合数が何ヶ月間に新設されるか、契約高がどのぐらいになろうか、又これは個々の組合によつて違うと思いますけれども、保險料率がどのくらいなのかということは、具体的にまだはつきり見通しは持つていないわけでございます。それで今回その点が削除になりましたので、別途保險業法についてもいろいろと考えなければならんこともあり、保險行政としてもいろいろと檢討しなければならん点もございまするし、殊に一般的に或る火災保險の料率は相当高いという批判も受けているような状態でございますから、この際取急いでそれらの問題を総合的に判断して、新らしい方針を確立して参りたいと考えているわけであります。
#46
○小川友三君 本案につきましては質疑ももうすでに本体済んだと思いますので、討論に入ることをお諮り願います。
#47
○委員長(櫻内辰郎君) 小川君の発言に対して直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(櫻内辰郎君) 討論に入ります。御発言のときは賛否を明らかにしてお述べを願います。
#49
○小川友三君 この度提案されました法案につきましては、幾多まだ研究する余地があるようにも思われますが、その点は行政面を信頼しまして、本原案全部に賛成するものであります。
#50
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。
#51
○中西功君 衆議院から修正されて來ました点は、現在の市街地信用組合の立場というものを非常に尊重されて修正がされているということは、今の答弁の通りなんであります。私達もこの点については非常によいと、それでよいと思うのであります。この小さい問題について我々は別にかれこれいう必要はないのでありますが、ただ私達の根本的な立場をはつきりさせれば、現実にこのような法的な措置をいろいろ講じましても、或いは又そういう協同組合を作りましても、今の態勢では、これは殆んど中小企業者や或いは我々の庶民金融を解決する策にはならない、そういうことを私達ははつきり見て取ることができるんです。ですから我々はこの法案の些々たる問題についてかれこれ言いたくはないし、又言う必要もないんです。だが根本問題は先にも申しました通り、これができたことが恰かも中小企業の金融問題を解決する、或いは何らか解決するに役立つというような幻想を與えることは罪惡であると私達は思います。どうしてもこういうことよりも根本的に現在の信用金融通貨機構を徹底的に変革しなければならない。そうしなければ、今日、本当に少しの金融的な余裕も、中小工業者には援助も出て來ないということは明瞭になつている。從つて私達はこの問題に対しまして、この法案そのものに対して別にとやかく言いたくないのですが、恰かもこれができることによつて中小工業を助けるのだという幻想を與えるならば非常によくないと考えるのです。
 私はそういうふうな観点から衆議院の修正の方向には賛成したいと思います。併し根本的な点については我々は態度を一應ここでは保留して置いた方がいいだろうと考えますので、そういう態度をとつて行きたいと思います。
#52
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はありませんか。
#53
○小川友三君 ありませんようです。
#54
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めます。直ちに採決いたします。協同組合による金融事業に関する法律案について衆議院において修正されました案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#55
○委員長(櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うこととして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
 多数意見者署名
    玉屋 喜章  米倉 龍也
    小宮山常吉  小林米三郎
    高橋龍太郎  伊藤 保平
    木内 四郎  天田 勝正
    波多野 鼎  九鬼紋十郎
    黒田 英雄  西川甚五郎
    小川 友三
#57
○中西功君 ちよつと発言します。実は委員長も聞かれたと思うのですが、麻生鉱業の我々に提出された資料の原文について確かここで私は要求しておるのです大体出すというふうなことだつたと私は了承しておつたんです。ところが今の銀行局長の返事では、自分に問うて貰つちや困る、大藏大臣にはつきりもう一遍問うて呉れというふうな話らしく聞こえます。そういたしますと、あのときの大藏大臣の答弁が一体どういう内容であつたかということをもう一遍詮議立てをして見なくちやならなくなりますが、それは別といたしまして、一應我々は、私としては御承知のように復興金融金庫に関する法律案が通過するときにそれを一つの了承事項として頂いた建前から見て見ましても、ここで委員会においてあれ程大藏大臣との間に討論をいたしましてした建前から見ましても、少くとも最終日になつておる今日、これを提出して貰わなければ非常に困つたことに私はなるのじやないか、こう思いますので、この点を一つ委員長において諮られたい、これが一つであります。
 もう一つは、実は私は今本会議が開かれておりまして、各省設置法案に対する反対討論が相当あるのであります。そういうふうな場合に今この委員会自身も大詰めに來まして非常にいろいろ問題もあるので、我々はできれば欠席したくないのでありますが、併し本会議との兼ね合いがありますので、そういう場合に一体どうするか、こういう点を一應皆さんに諮つて頂きたいと、こういうふうに二つをお願いしたいと思います。
#58
○委員長(櫻内辰郎君) これは私からももう一遍催促します。
#59
○中西功君 それでは本会議と並行の問題ですが、反対討論が随分ありますので、而も重要な時期に來ておりますので、私達出ていなくなつて留守にやられてしまうという点もありますから、その点は巧みに調節をとつて、できればよろしくお願いいたします。
#60
○委員長(櫻内辰郎君) それは私の方で調節をとります。
#61
○委員長(櫻内辰郎君) それでは次は國立病院特別会計法案の審議を願いたいと存じます。
#62
○小川友三君 厚生大臣にお伺い申上げます。昭和二十二年度におきましては、赤字に対しまして政府の提出の資料で約七億五千万の赤字を埋めて頂きまして、國立病院の運営を対しまして非常に政府当局が盡力をせられておることに関しては感謝いたします。そこで昭和二十四年度ですが、大体十二ヶに計算すると、昭和二十二年度よりも多く八百億円前後の一般会計から支出になるのでありまして、この点につきましても亦入院患者及び労働組合の方を代表してお礼を申上げますが、そこで本案が何分病院でございまして、病院の数が昨年と同じような数できちつと出て來ればよろしうございますが、非常に傳染病とか何とかで殖えた場合には自然に予算は増加するのでございまして、その場合は厚生大臣は幸いに副総理大臣でいらつしやるのでありますから、足りない部面は余裕ある予算の中から随時出して頂きたい、こういう余裕がありますれば、本案に勿論賛成するものでありますが、どうしても足りなかつた場合は水でも飲まして置けというような冷酷な政策は採らないと思いますので、どうしても足りなければ出すという御腹案であると思います。特定でない不特定の病人が参るのでございますからして、行政面にゆとりを持つておる場合は大臣は出して下さる、かように信じておりますが、これだけにつきまして満足のできる御答弁がございましたならば、本案に勿論満腔の賛意を表するものでございますが、如何でございましようか。
#63
○國務大臣(林讓治君) 初めてやります問題でありますから、御心配の点は御尤もだと思いますが、その各病院の実情に基きまして、成績の比較的よくないところと非常にいいところとあります。從いましてそれらのものを総合いたしますと、先ず大藏省あたりと厚生省あたりが相談をいたしました上で、約二五%と申しますか、二割五分ぐらいになるでありましようが、そのくらいのところを今年計上いたしておるわけです。それですから凡そ從來の経驗から鑑みましたら十二分にとは申されませんが、凡そ足りると思います。尚予備費として五千万円ばかり別に取つてありますということと、更に万一これが不足を來すような場合があるといたしましたならば、明年度の予算において何とか繰合せるように善処する、こういうことでありますから、決してその点についての御心配をかけることはないと確信をいたします。若しそういうことがありましたならば、只今申上げましたような事実に基きまして、当然一般会計の方と同じような工合に繰入れるような補填をいたすことにいたしてありますから、さよう御安心を願います。
#64
○小川友三君 この予算は非常に余裕のある、幅のある予算であるということがこの前に政府委員からも承わりまして、今日副総理大臣からこの所掌事務の長官としてそうした幅のある御答弁を賜わりまして、一般会計と同じような行き方を足らん場合はするという親切な御答弁を承わりまして、これに対しては労働組合も、或いは入院される病人も非常に喜ぶことと思いますので、大臣のそうしたお氣持に対しまして敬意を表します。
#65
○中西功君 私はまだこの法案については殆んど質疑しなかつたのであります。今日は厚生大臣が來ておられますから、はつきりと質疑したいと思います。或いは本会議の都合で途中で私自身が止めるかも知れませんが、第一は特別会計にされた理由です。この理由につきましては、恐らく三つの場合があり得る。即ち特別会計にすることによつて実際に病院の運営並びに内容がよくなると考えられる場合。第二番目は大体余り変らんと考えられる場合。第三番目は、これは相当の問題が起つて來る、こういうふうな処置をとれば相当の問題が起つて來て病院運営に可なりの支障が來る、こう考えられる場合、この三つがあると思うのです。それで厚生大臣はこれを採用されました場合に、一体どういう立場からその三つのうちのどの立場からなされるか、先ずそれを聞きたいと思います。
#66
○國務大臣(林讓治君) 大体この國立病院は終戰後陸海軍の病院を厚生省にそのまま引継いで経営いたしておつたのでありますが、当初は主として傷痍軍人が入院患者の大部分を占めておつたのであります。併しながら今日におきましては、すでに傷痍軍人の方々が退院せられまして、漸次一般病院としての色彩が非常に濃厚になつて参つたのであります。それで旧傷痍軍人は、今では約三〇%以下に減少いたしているような実情になつておりまするのと、一面生活保護法であるとか、未復員者の給與法等によりまして、病院の收入も確実に増加をいたして参つたわけであります。從いましてこの際特別会計制を採用いたしまして收支の関係を明確にいたして、そうして経理の適正を期するというつもりでこの特別会計にいたしたような次第であります。
#67
○中西功君 そういたしますと、まあ私の質問に対しては答えておりませんけれども、とにかくこの度特別会計にした目的は收支の関係を明確にしてと言いますか、そういうふうな関係を一應明瞭にするという点に重点を置かれているというふうに説明されたのであります。でそうなりますと、これは以前にも質問をされた方がありましたが、今までのやり方では、それりは收支は明瞭でなかつた、ただそれだけが問題でこの特別会計がなされるとするならば、今までの関係は経理の仕方、そうしたものは非常に不明朗であつたというふうにしか受取れない、若しそうでなくてこういう会計にすることが、実際に多少でも病院の内容をよくするという意味で採られるなら、それは又別です。併し單に今度の目的がそういうふうに收支を明瞭にしたいというような意図で出て來るということは、從來の関係においてそれは不明朗であつたということが言われなければ、これは問題にならないのであります。そういうふうな意味で厚生大臣としては從來の收支関係が不明朗であつたというふうに認められているのかどうか。その点をお聞きしたい。
#68
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつとお諮りいたします。実は運営委員会の方から昨日要求されました鉄道の拂下げの案についての委託換えの問題で、こちらの委員長と理事に直ぐ出席をして貰いたい、こう言うて参りましたので、委員長と理事はその方へ出席いたしたいと存じますが、厚生大臣がお見えになつていることでありますから、審議だけは続行して置いて頂きまして、そうして採決だけはしないことにいたして置きますから……
   〔小川友三君「採決してもいいでしよう」と述ぶ〕
#69
○委員長(櫻内辰郎君) それならば質疑のあり方から質疑をして頂きたいと思います。
#70
○中西功君 実は私は今本会議で討論があるので、私の質疑は保留します。
#71
○委員長(櫻内辰郎君) それではそういうことに一つ……(「誰が委員長をやりますか」と呼ぶ者あり)
#72
○中西功君 私提案いたしますが、こういうふうにややこしくなりましたから一應休憩してやつて下さい。
   〔委員長退席、理事黒田英雄君委員長席に著く〕
#73
○理事(黒田英雄君) それでは他に御質問がありますればお願いしたいと思います。
#74
○木村禧八郎君 厚生大臣にお尋ねしたいと思いますが、國立病院の特別会計への移管について予算委員会において前に厚生大臣に一應お尋ねしたのですが、その際厚生大臣はこの特別会計を設ける趣旨については只今中西君にお答えになつたような御答弁であつて、要するにこれを設けることによつて経理の適正化が行われて、國立病院の運営がうまく行くであろう、そういう御答弁なのです。そういう抽象的な御答弁では満足いたしませんから、この特別会計を実施することによつて重大な社会問題が起るから、その影響その他を詳細にお調べになつて御答弁願いたい、そういうことを要求して置きましたが、幸い厚生大臣が又お見えになりましたから、その後いろいろなお調べがあつたと思いますので、それに基いて御質問申上げたいと思うのです。参議院においてもこの問題は非常に重大な社会問題を含んでいるものとして非常に重要視して來ておるわけです。御承知の通り五月の十三日に公聽会を開いたわけなんです。それで國立病院長、それから東京医大の石川博士或いは患者側の代表、又職員側の代表、看護婦の代表、そういう方々から、この特別会計を実施した場合にどういう影響が起るであろうかということについて、我々詳細にお聽きする機会を頂いたのですが、その結果これは單に経理だけの問題ではなくて、仮に経理がそこで收支がうまく行つて、今までの無駄が多少そこで節約されるようなことが仮にできるとしても、その結果生ずる患者側に対するいろいろな不利益、そういうものを我々は詳細に聞きますと、この問題はそんなに簡單に経理上、或いは独立採算的な方式を國立病院に当嵌めて行く、そういうような簡單な問題ではない。そういうふうに我々は思わざるを得なくなつたのです。それで非常に我々はこの実施した後の影響について非常に憂えるものであります。從つて前に我々は厚生省の政府委員からこれを設ける諸種の影響についていろいろお伺いしたのですけれども、それが抽象的でもありましたし、而もその後において第一線に從事しておる方々から実際のことをお話を伺いますと、最初厚生省の方々が御答弁になつたことと非常に違うのです。この点大臣はどういうようにお考えになつておるか。これは私はそんな軽々に考えるべき問題じやないと思うのです。社会保障制度なども問題になつておりますし、特にこの國立病院、國民医療というものは、社会保障の一つの重要なる一環になるわけですから、この問題については單なる経理なんという……経理も無論重要ではありますけれども、その利益とその又弊害と、これをよく勘案されまして、私は弊害の方が、マイナスになる方が非常に多いのではないか、特に私は民自党の政府が非常に保守的であり、或いはややもすれば反動的であるという世評が多いし、我々もどうもそういうふうに信じておるのでありますが、併しながら私は若しか民自党の政府がこういう社会保障制度の非常に重要な一環である國民医療の問題について、今度の特別会計にするということを通じて非常に無関心であり、又冷淡であるということがはつきりされておることは、全く民自党の性格が民主的でない、そういうふうに私は世間に感じさせられることになるではないか。これは民自党に取つても非常にマイナスになると思う。この点についてどの程度にこの問題を重要視されておりますか。私は單なる経理上の問題じやないと思うのです。その影響等につきましてどの程度に大臣はお考えになつておりますか。この点重ねてお伺いしたいと思うのであります。
#75
○國務大臣(林讓治君) 尚只今いろいろな公聽会あたりの御批判も承知を私共いたしました。そういうふうなことはございませんけれども、主としてこれはどういうのかと申しますと、最初からどうも独立採算制見たいなような感を持つておられるのじやないかというところに起因しておるところの御批判が多いのじやなかろうかと考えます。尚それから利害関係につきましては、私は出席いたしませんでしたけれども、政府委員からいろいろ詳しく應答があられたと思います。その点につきまして、勿論一面においての欠点は考えられますけれども、又長所として、その病院々々によつて收入の点と支出の点などが非常に成績がより得られるようなお医者さんそのものにも活躍して頂ける、成果も現われて來る点も多いように考えられます。從いまして若し足りないという場合におきましては、それは補充し得られる途を講ぜられておることにつきましては、只今先程中西議員からもお尋ねのありましたときに申上げましたように、経理の点も勿論重大なる問題でありますが、それからすべて却つてこうやつて正確にやつて行くことがよいのではないか、こちらの方でも十分御心配になる独立採算制のようなことにつきましては、十二分にこれを注意いたしまして、若しこれが收入の点について不足であるということであれば、勿論これは補いもいたしましようし、医者を督励いたしましてその効果を挙げて行くということの方がよいのだ、こういうふうに私共は利害関係をいろいろ考慮いたしました結果、今日こういう独立会計によつてやつて行こう、こう考えておるわけであります。從つて今のあなたの御質問にありましたその欠点というものは、一つも御心配になることはないと私は考えておるわけであります。
#76
○木村禧八郎君 只今の厚生大臣のお話を承わりますと、それならばなぜわざわざ特別会計にしなければならないかというその積極的な理由がどうしても分らないのです。若しか足りなければ十分にその金は出す、そうして支障のないようにするというのならば、何を好んで特別会計にする必要があるかと思うのです。特別会計にする趣旨は恐らく私は一般的に特別会計にすれば独立採算的竜になるから、そうして冗費が省ける。節約できて効率的に運営される。これが独立採算、或いは特別会計の掲げる主たる目的であろうと思うのです。一般の事業関係については、例えば鉄道とか、或いは通信事業、專賣事業関係についてはそういう特別会計、独立採算的なことをやることによつて、そうして採算的に経営をすることによつて、効率を上げ得るということは考えられております。併しながらこれは一つの非常な重要な社会政策、而も國民医療、非常に重要な社会問題を含むところの経営なんであります。それにそういう特別会計を設けるということは、結局それは独立採算的な経営にならなければ意味はないのだと思うのです。開くところによりますれば、國立病院には相当無駄をしているところもあると開いております。そういうところがあると思います。從つて本当の趣旨はそういう無駄を省かせるというところにあると思うのです。併しこの特別会計によつてそういう無駄を省かせるという方法は。結局公聽会で喚びました專門家の意見を聽きますと、これは患者の方に非常に不利になる、そこで問題は、できるならば特別会計という方法以外において厚生省がそういう無駄を省かせる指導を、又これまでやつて來べきでありましたし、今後も一層やらなければならないのであります。この点は特別会計と別途に考え得る問題である。特別会計にするために非常に疑惑がある。疑惑というと語弊がありますが、不安が醸されるというのでしたら、何を好んで特別会計にする必要があるかと思うのです。もう御承知の通りそういう制度を新らしく変える場合には積極的な理由がなければ現状維持で行く方が、これは却つてプラスになるのじやないかと思うのです。積極的な理由がないのに何ら好んで特別会計にされるか、この点については幾度お伺いしましても積極的理由を見出せないのです。重ねてお伺いしたい。
#77
○國務大臣(林讓治君) 病院の経営といたしましては、確かに特別会計にいたしまして、そうして收入を明らかにいたすようになつたことが、確かに能率的だと私共考えるわけです。そうして又何と申しますか機動的と申しましようか、すべてはつきり、どこそこにどういうような收入があるのか、それからどういうように支出するのかということが明確になりますならば、ただ分らないで足りなかつたものは幾らでも出して貰うというようなことよりも医者、関係者そのものも大いに活躍し得られる。効果も現われて來るというところに非常に私はよい点があるのではないかということも考えておるわけでありましす。そこでこの度特別会計にいたしたようなわけなのであります。
#78
○木村禧八郎君 特別会計にしなければいいから加減にして、いいから加減と言うと語弊がありますが、何だか趣旨が分らないで、足りなければ補うというそういう話はないと思うのです。一般会計から負担するにしても、その收支は明らかでなければならないと思うのです。我の手許に配付されたものによりましても、各病院別に收支は明らかになつているのであります。從つて一般会計であるからその收支が曖昧であるべき筈はないのです。ないのですけれども、ややもすると今までの惰性或いは慣例によつてそういうふうになる嫌いがある。又そういうことがあつた、これは認めます。認めますけれども、一般会計であるから曖昧にしていい、それでこれを無駄に使つていいということはあるべきではないのです。本当はないと思うのです。併し一般会計の形式としてはそうなり易い、從つて特別会計の形をとればもつと無駄をしないようになるだろうという考えから、この案を出されたと思うのですけれども、それによるプラスと、それによつて生ずるマイナスと考えますと、マイナスの方が大きい。実際問題としてですよ。仮に病院経営において特別会計によつてそれでは節約するという場合に、今までの無駄を本当に省いて呉れればいいのです。そうして患者に対する待遇が変らない、或いは多少よくなるというのならばまだいいのですけれども、若しか特別会計をやることによつて今までの無駄はそのままとして、特別会計にすることによつて節約したりなんかしなきやならん部分が、患者の方の負担、或いは國民医療をもつと積極的にやらない、例えば必要な薬についてもこれを病院で買わないで患者の負担にさせるとか、又看護婦の看護料を病院で負担すべきものを患者に負担させるとか、段々そういうふうになつて行く、そうなると負担できない人は段のその恩惠を受けられなくなる。こういうふうになると思うのです。ですからその利害得失の点から考えまして、單なる鉄道とか通信、專賣のような営利事業と違うのですから、社会的に及ぼす影響というものを考えますと、実際問題としてですよ。形式でなく。却つて弊害の方が強いのじやないか。大きいのじやないか。それは厚生大臣もよく御存じじやないかと思うのです。実際問題としてこれをやつて病院経営に当嵌めた場合節約はできるかも知れません。收支が前よりうまく行くかも知れません。併しその犠牲がどこかに出來る。これは具体的に看護婦の方、それから患者の代表、職員の方から我々に詳細に伺つたのです。それで我々も素人でありますから、そういうことは実際よく分らないわけです。それで恐らく厚生大臣もそういうこまかい末端のことまでについては御存じないと思うのですが、我我としてはそういう第一線に働いている方々の信頼できる方の証言、こういうものにやはり信頼を置かざるを得ないと思うのです。更に又公聽会をよく設けますが、今まで公聽会の意見というものはちつとも取上げていないのです。この点について重ねて大臣にお伺いしたいのですが、偶然かどうか知りませんが、殆んど全部の公述人が反対であり、而もその影響を非常に心配している。そうしますと何を好んでわざわざ、この公聽会は輿論の現われと思つていいと思うのです。これだけ輿論が反対し、そうして又率直に言いましてどうしても納得できなのです。なぜわざわざ特別会計にするか、何度お伺いしても納得できないのです。從つてこれは厚生大臣はおやめになつた方がいいと思うのですが、その点如何ですか。実際問題として、正直に言いまして。
   〔「その通りだ」と呼ぶ者あり〕
#79
○國務大臣(林讓治君) 御観察の点勿論私共も考えんことはございません。いろいろ御非難の点も、私共伺いましてそういう欠点もあろうかと考えます。併しながら先程も申上げました通りに、能率を上げるとか、收支を明らかにしてそうしてその成績を見て行くということの利益も相当に私共も考えられる点だろうと考えております。尚看護婦さんあたりの問題などにつきましては、そういう点は從來の一般会計と変らざるように我々の方で注意をいたしまして、いわゆる独立採算制に近いような方向に向わないように努めて行きましたならば、その欠点というものは又一面補い得られるのじやないか、そういたしましたならば特別会計にいたしましたところの利益を主として考えてやらして頂くならば私は却つていいのではないかと考えるわけであります。
#80
○森下政一君 木村委員から、只今大臣御聞きの通り特別会計にすることに対してこの危惧の念を縷々開陳されたのでありますが、木村さんなりその他これと思いを同じうしております者は厚生省に味方をしておるつもりなのであります。厚生省が理想とされる庶民大衆に対する医療の完璧を期するということのためには、特別会計よりは一般会計に置かれる方がいいのじやないか、だから厚生省は我が意を得たことを言うて呉れるとお感じ下さるのが本当だと思うのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこでいろいろ大臣からもお話を開きますが、実は先日來医務局長その他厚生省の関係の方から縷々理由についての御説明を聞いたのですが、どうも納得が行かないというのが皆の氣持じやないかと思うのであります。若し特別会計にすることによつて個々の病院の收支の関係を明らかにして経理も明確にして無駄を省くことができ、より効率の上る医療に乗り出すことができるのだというふうなことであるならば、特別会計にするということを積極的に厚生省が発議されるということであつたであろうと思うのでありますが、事実はそうでない、大藏省の方からこれを特別会計にするということについて段々折衝を受けられて、厚生省はこれを望んでやられるのでなくして、よんどころなくそれではという氣持になられて、而も少くとも全経費の二割五分だけは一般会計から繰入れる、必ず繰入れて貰えるという保証があつたので、それならばというのでこれを了承したというふうに医務局長であつたかどなたか厚生省の側から説明を聞いたように思うのでありますが、それが恐らく私眞相だろうと思う。同時に大藏当局としては、金を出す方ですから、あらゆる面において経費を節約しようという考え方がある。そこで國立病院のように相当收入を伴う事業においては成るべく收入の増加を図らして全然收入と支出が見合うというところまで行かんまでも、それに近い線まで厚生省を鞭撻して成績を挙げさそうという氣持になるのは大藏当局としては当然のことなんです。金を出す方の側からすれば当然のことだと思うのです。だから大藏当局が発議して厚生省に折衝したのだと思うのですが、厚生省としては特別会計にしてもこれこれの一般会計からの繰入を保証して呉れるかということをはつきり言質を取られて漸くこの案ができ上つたのが眞相じやないか、こう思うのであります。併しながら私共が一樣に危惧しておりますことは、大藏当局の立場も尤もだと思います。思いますけれども、そうなつた曉にどうなるかと言えば、結局二割五分の一般会計からの繰入が次に二割に削減され、次に一割五分、次に一割というふうに段々先刻大臣もおつしやるような独立採算制を主眼としたような経営にならざるを得ないように追い込まれて來る心配がある、そこに大衆に対する医療の欠如が起るのじやないかという懸念があるというところがこの委員会の多くの者が心配しているところなのであります。そこで厚生省側の言われる経理を明確にするときなんとかいうことならば、何も特別会当にしなくても一般会計の場合におきましても、個々の病院の收支の関係なんということは明確である。でありますから適当な指示をなさつて、そうして濫費をしていると思う向きがあればこれを抑えるということもできるでしようし、決して特別会計にしなければその効果がおつしやるような成績を挙げることができないというふうな懸念は全然ないと考えられる。そこで結局この大藏当局が心ひそかに望んでおられるであろうことに達しようと思うならば、例えば無料患者の方を成るべく少くして、有料患者を多くする。そうして收入の増加を図るということに勢いならざるを得ない。そのこと自体が大衆に対する、自己の経済客によつて十分の医療を受けることのできないというふうな大衆に対する医療に支障を來す懸念があるのではないか。それに支障を來さしめないように行き届いた医療をしたいというのが恐らく厚生省当局の念願だろうと思いますので、私共の心配していることは、私共は実は厚生省の味方になつておるのだということをはつきり御了承を願えると思います。そこで私のお尋ねしたいのは、先刻來大臣も言われますけれども、私の想像通りに、これは厚生省からの発意によるところの特別会計でないと考えるのですが、その点は如何でございましようか。
#81
○國務大臣(林讓治君) ここに政府委員からお答えいたした通りであります。それで尚そういうあなた方の非常な御同情に基いたお言葉を頂載いたしまして、厚生省としては世に感謝に堪えませんが、次第々々に独立採算制に向つて行くのではないかという点の御懸念はないと考えます。実は先般衆議院の方におきましても、修正によりまして、独立採算制を採るものではないということを明示をいたしたわけでありますから、どうかその点は、將來はどうか別個の問題といたしまして、只今のところにおいて進む上においては決してそういうことのないように、特別会計でやつて行きたい。こう考えておるわけでございます。
#82
○理事(黒田英雄君) ちよつと休憩しましよう。それで今度開会は適当な方法で通知することにいたしまして、それまで休憩いたしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○理事(黒田英雄君) 厚生大臣は來て貰うようにします。それではこれで休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十四分開会
#84
○委員長(櫻内辰郎君) これより委員会を開会いたします。國立病院特別会計法案について御審議を願います。本案に対する御質疑がありましたら……
#85
○小川友三君 先程木村議員さん、中西議員さん等から特別会当予算問題につきまして厚生大臣に御質問されて、又厚生大臣から御説明があつたのであります。そこで私が今のディス・インフレ時代から見た厚生御当局の政策につきまして、少しの間お伺い申上げます。昨年度政府は國立病院の一般会計において七百五十億程の支出をしておられます。今度は一年間に計算すれば八百億の支出になるのでありますが、それは三千五百億円の紙幣が出ておるときの七百億という金額は、今の三千億の大割れというディス・インフレ時代に入つたときの金額と比較しますと、貨幣價値が現在の方が非常に上つております。それで政府から出されるところの一般会計からの本年度の八百億というのは、紙幣発行高から計算いたしますと、去年の支拂いで九百六十億に近いだけの貨幣價値が上つておるのでありますから、今八百億出されるということは、去年の九百六十億出した金に匹敵するだけの價値があると私は思つております。厚生当局が出される本年度の八百億、それに加えて又五千万円を出す予定になつておる。その五千万円は昨年の紙幣発行高の三千五百億でありますから、現在三千億を大割れしておるのですから、六千万円ぐらいの貨幣價値がある筈なのでありまして、それを合計いたしますと十億二千万円というような支出を一般会計からされるというような、極めていい政治であると私は固く信じておるのであります。そこでこのディス・インフレが、このドツジ案並びに今度の健全財政から参りまして、ディス・インフレはますます強化されるのでありますからして、政府の支出する貨幣價値はますます上つて参りまして、政府の予想されておる通り二五%の一般会計からの支出で大体計算すれば、國立病院の会計は間に合つて行くように思われるのであります。そこで万一足りない場合、政府は又一般会計から出すことは吝でない、こう言明されておりますので、昨年の補助金の、いわゆる一般会計からの出し方と、今年の出し方では、金額は貨幣價値が上つておるので非常に金額が上るという計算が立つのがありまして、この点につきまして厚生大臣はさようにお思いになりますかどうですか、御所見を伺います。
#86
○國務大臣(林讓治君) 今後の金の價値の問題につきましては、只今仰せのごとく今度デフレにでもなれば金の價値は上ると思います。從來の大体しきたりでやつて行きますならば、予算といたしましては現在通りで、こう進んで行くより仕方ないと思います。併しながら俄かにデフレになつたからといつて料金を直ちに下げるとか、その他の経費を節減するというわけには行かないと思いますから、その立場に應じまして適当に処置してやつて行かなければならん。さように考えるわけであります。
#87
○委員長(櫻内辰郎君) 他に御質疑ございませんか。
#88
○波多野鼎君 政府は今年度國立病院の特別会計に対しまして、二五%を補給するという計算をしておるのでありますが、この前公聽会におきまして、いろいろ第一線の病院で働いておる諸君並びに病院長などの意見をこの委員会で聽取したところによりますと、とても二五%ぐらいの繰入金では從來と同程度以上の給付をすることはできないという意見が殆んど全部でありました。その根拠は從來の実績から二五%で足るだろうというような厚生省の考え方の基礎が間違つておる。即ち從來は軍放出の藥品などがあつたり、或いは又医療器具等についても殆んど修理をやらないでそのまま使つてやつておつたのであります。ところが現在ではそういう軍放出の藥品なども枯渇してなくなつて來ておる、而も医療器具の方の修理なり新調というようなことは殆んどやつていない。非常に惡い医療器具を使つておる。病院としてどうしても備えなければならないような器具さえもないというような、そういう経営をやつておつた。その実績に基いて行けば二五%ぐらいで行くかも知れんけれども、今後はその医療器具などの修理並びに新調ということもやらなければ、国立病院としての使命は果せない、どうしても四〇%ぐらいの補給金を貰わなければいけないというのが第一國立病院長のみならず、病院長会議においてもそういうような意見が決定的であつたということが言われております。厚生大臣はこの國立病院の内容を充実し、これを模範的な病院として育てるというお考えがあるならば、二五%の繰入れでは私は足りないと思うが、どうお考えになつておられますか。
#89
○國務大臣(林讓治君) 先程木村委員からもその点についてはほぼ同樣のお話がございましたのですが、勿論成績の惡いところもありましようし、幸いにいたしまして非常にいいところもあるわけであります。そこで現在外の病院で九〇%以上の成績を挙げておるようなところもあるわけでして、かれこれ平均いたしまして先ず二割五分ぐらいのところであればほぼ足りるのではないかとこう考えておるわけであります。尚設備万端につきましては今後といたしましても、從來大体が陸海軍病院等のあとを使用いたしたところが多いのでありますから、その内部の充実につきましては、できるだけ私共は完全になりまするように努力をいたして参りたいと考えておるわけであります。
#90
○波多野鼎君 そこでですね、二五%と初め補給を切つておいてですね、而も國立病院の内容の充実を図ろうとしますと、どうしても病院経営者としては、例えば病院長はその最高責任者でしようが、病院長としてはその病院の経営についていろいろ考えなければならんと思うのです。例えば医療費を余り長くためるような患者は断るとか、長く病床にあるような患者は遠慮して貰うとか、どうかして、收入の多く上るような患者をつまり選り食いするということによつて收入を殖やして、それによつて改善をやるというようなことを考えるのも当然だと思うのです。又経営につきましても必要な人員を或る程度節約しまして、そして例えば看護婦等に雜役をやらせるといつたようなことで以て必要な医療器具の経費を捻り出すというようなことを考えざるを得なくなるのではないかと思うのです。その結果は國民に対する医療の給付が落ちて來る、病院内の從業者は過労に陷る、そのために看護婦の罹病率が高くなるというような、そういうことになるのではないかということを懸念します。今林厚生大臣は設備或いは医療器具の改善については特別の考慮を拂うと言われましたが、これは五千万円の予備費とか、何とかいうものでそれをやるおつもりであるか、その他に何か方法を考えておいでになるのか、その点をはつきりお伺いしたいと思います。
#91
○國務大臣(林讓治君) 今までその医療器具整備の費用として一千五百万円計上しておるわけでありますが、尚外に予備費として五千万円計上いたしておりますから、先ず当面はそれによつて若干整備はできようかと思つております。それからの看護婦その他についてのお話がありましたのですが、そういうようなことはないようにいたしたいと考えておりますばかりではなく、この度の整理問題については、現業に携わつております看護婦諸君でありますとかいうような方々は整理をいたさないで、そして今度結核病病床が増加をいたしましたことにつきましてもその基準に基きまして、むしろ増加をするような方法になつておりますから、その建前を以ちまして今後実際に働いておられる方に対して、労苦を強化することのないように努めて参りたいと考えております。
#92
○天田勝正君 先程來森下君から指摘されまして成る程今年の予算からいたしますれば、どうやら賄い得るといたしましても、この場合特別会計になれば將來はどうしても営利主義になつてしまうのではなかろうかと、こういうことを私共案じておりまして、それが政府原案によりますと法文の上にも現われておるのでありまして尚心配するわけであります。実は過日本委員会におきまして、私はこの附則三項、これらのものは当然十七條の一項に持つて來るべき性質のものではないか、こういうことを主張しながら質問をしたのでございます。ところが政府の最初の原案によりますれば、看護婦養成の経費に充てるためには必要な金額は予算の定むるところによつて一般会計から繰入れる、こういうことが書いてありまして、一般の医療費の方は逆に附則の方に落ちている、こういうところに政府原案の意図するところがあるのではなかろうか、こう私共は案じておりました、果せる哉衆議院におきましてはこの附則の第三項第四項等を十七條に入れて参りました。こういう原案とは変つて参りましたが、先ず政府原案では附則に落ちておるような点から考えて見ましても、將來はどうしても営利主義になつて行く意図が仄見えるのであります。こういうことからいたしまして、私はなぜにこういう附則に落したかというその根本を先ずお聞きしたいのであります。
 第二点は成る程今日の國立病院というものは、決して立地條件が適当とは考えられない。確かにどちらかと申せば貧民階級のおるというところに、余計にあるような、國立病院を設置するのが望ましいのでありますが、ところが軍施設をそのまま轉用したという形からいたしまして、決してこれはこのままの形が万全とは考えられないのであります。そこで当然將來にはそれらの点を勘案いたしまして、配置轉換を行わなければならないのではなかろうか、こう私は考えます。そのような配置轉換、利用者の多い所へ移し直すというようなことをやる場合におきましても、特別会計による独立採算の式によつては困難である、こう考えるのでございます。從つてどうしてもそれらの適正なる配置轉換を行う上におきましても、私は一般会計によつて支出するところの方が遥かに早く、遥かに適切にやり得ると思うのでありますが、この点に対する大臣の考えを承わりたいと存じます。
#93
○國務大臣(林讓治君) 最初の問題につきましては、久下政府委員からお答え願うことにいたします。それから第二の配置轉換の問題につきましては、仰せの通りであります。私共もその点につきましては、從來軍の病院をそのまま使つておる、或いは中には軍の廳舎をそのまま使つておるようなところもあろうかと考えますので御尤もと考えまして、今後この点につきましては大いに考慮いたして見なければならないと考えます。
   〔委員長退席、理事黒田英雄君委員長席に着く〕
尚その点につきまして特別会計にありますものを一般会計にいたすことは種種物質上の問題が起つて參ると考えますが、その点につきましては今後一段と考慮いたしました上で、予算面において何か方法が講じられるならば、そういうような方法を講じて行くようにいたしたいと考えるのであります。
#94
○政府委員(久下勝次君) 第一のお尋ねにつきまして私からお答えを申上げます。お話の通り衆議院で修正をいたしました附則第三項第四項が原案のままでございますと、新らしくさような御解釈が出て來るかと考えるのでございまするが、厚生省の立場といたしましては、当初この原案を財務当局と打合せいたします際にも、國立病院の特質上文章は如何にありましようとも、一般会計からの繰入れは是非必要なものであるということでお話合をいたしております次第であります。從いまして文字の上におきまして「当分の間」というような言葉がございましたが、これは一時的という意味でないという理解の下に予算の折衝等をいたしました次第でございます。衆議院におきまして、その点を明確にいたしますために本文の中に入れるように修正をいたされましたとこにつきましては、私共の立場といたしましても、その辺が明確になりましたことを喜んでおります次第であります。
#95
○中西功君 木村さんや或いは波多野さんからいろいろのことを質問されておりますが、もう一度はつきりさして貰いたい。第一のことは我々といたしましては、伊府が説明する特別会計の理由が、從來もそうでありましたが、納得ができないという点に問題が集中しておつたのですが、厚生省自身といたしましては、これは或いは外の人から言われたかも知れませんけれども、厚生省の責任ある方々が外においていろいろ話をされるときに、特別会計への切換えを余儀なくされたとか、或いは大藏省当局と折衝せるも、特別会計においても独立採算制を採る編成でないので、前記趣旨に反せずとの理由を以て取入れられず、止むを得んものとして、厚生省においては特別会計への移行を承認云々というふうな言葉を使つておるわけです。でこの点が我々は從來から問題にしておつたところでありまして、厚生省自身の見解においても止むを得ざる処置であるというふうなことになつております。そういたしますればこれを特別会計にする積極的な効果というものは、そういうふうな医療の面をよくするというふうな点に全然ない。むしろそれはいろいろな弊害を伴うということも、やはり厚生省当局において指摘されておる。ですから私は今日午前中においてもその点をはつきり言つて貰いたかつたのでありますが、これによつてよくなるということは絶対言えないと我々は結論できると思うのでありますが、厚生大臣は一体その点簡單で結構ですが、やはりそういうよくなるというふうに答弁できるかどうか、そして若しよくなるといういうふうに答弁されるならば、厚生当局が外部でいろいろこういう点で説明している、こういういろいろな事情は全く変なことを説明しておることになるのでありまして首尾一貫してないと思います。その点一つ最初よく承わりたいと思います。
#96
○國務大臣(林讓治君) 今のお話の通り、これの特別会計になりまするような経過といたしましては、先に政府委員あたりからお答え申上げた通りであります。併しながらその後に研究いたしました結果、いろいろの利害損失につきましては、政府委員よりも十分御納得の行き得られるようにお話は申上げたことと考えますが、私共も十分考慮いたしまして相当にこの特別会計にいたしましたということにおいて利益の点もあろうかと考えるわけであります。そこで欠点の点は從來の一般会計と同じような心組で進み得られるようにいたしまして、そうしてその間に携つておる連中に大いに活躍をいたして頂きますのには、特別会計によつて行くということの方がむしろ利益の方が多いであろうというようなことを納得いたしまして、今日提案をいたしたわけなのでありますからどうかその点を御了承を願います。
#97
○中西功君 それでは最初は漸次そういうふうに納得したと思うのは、大体いつ頃そういうことに納得されたのでありますか。
#98
○國務大臣(林讓治君) それは大藏省と折衝いたしました上でいろいろの利害得失を研究いたしました結果であります。
#99
○中西功君 これは法案の提出されました当時でございますね。
#100
○國務大臣(林讓治君) いつという……その法案の提出いたします前にそういう……
#101
○中西功君 ところが五月十八日、十九日なんですが、これはもう一週間も経つておらない。そういう五月十八、十九日における國立病院長会議において厚生当局は更に私が読上げたような止むを得ざる処置というような説明をしておる。私は勿論こういう説明をした人に対して別に何もからむ点はないのですが、ともかくもこの厚生大臣として良心を以て私は言つて貰いたいです。ただこれを一應提案したから何とかして出して貰うというふうな、そんなふふうな便宜的な考え方じやなくて、実際に責任ある人として國民の医療を受持つ責任ある人としてものを考えられるとき、私はそういう簡單な一時逃れ的なことは言えないと思います。いろいろの事情から全体的な予算の面或いは日本経済政策の面からこれはこういうふうにせざるを得ないというのと、医療を特別会計にすれば非常に積極的にいろいろな点で利益が出て來るので、而して医療の面に非常によくなるというのは全く違うのであります。我々といたしましてはその点どちらなのかはつきりお聞きしたいと思うのであります。少くとも五月十八、十九日の國立病院長会議において厚生当局は先に私が読上げたような説明をしておるのであります。だから更にいつ頃厚生大臣が了解に達しられたか、達しられたならば厚生省当局は一應それを了承されておる筈だと思うのでありますが、そういうことになつておらんのであります。ですからもう一遍はつきり問題を言いますと、具体的な見地からこうすることを適当と認めるというのか、それともこうやつた方が國立病院自体の経営運営、或いはその内容がよくなつたというのか、一体どちらに解するかをはつきり聞きたいのであります。
#102
○國務大臣(林讓治君) お話の通り、後者の方でこうやればよくなるものと思つておるわけであります。
#103
○中西功君 第二番目は、先程もお話がありましたが、衆議院の修正によりまして「当分の間、第十七條に規定する場合の外、予算の範囲内において、一般会計からこの会計に繰入金をすることができる。」という規定がありまして修正がなされたのでありますが、こういうふうに一般会計から随時繰入金をすることができる、こういう規定が一應設けられました場合、特別会計として一つのそれを特別な会計として立てる特別な根拠がどれだけあるのか。即ちこういうふうに随時、随時というわけじやありませんが、当分の間は一般会計からこの会計に繰入れをする、こういうふうなことがなされて、一應なされておる場合、これはじや特別会計としてそれを特別に立てる理由がどれだけあるか。即ちこの附則が設けられた場合には、政府は今まで考えておつた特別会計のやり方とどの点が違うようになりのか、その点を先ずお聞きいたします。
#104
○國務大臣(林讓治君) それは特別会計にいたします当初、私共当分ということの意味で以て言つておつたのでありますが、更に一段と衆議院の方におきまして御訂正を願つて、これを明確にして頂いたということは、大変私共も喜んでおるのであります。当分というような場合について、或いは將來どうであろうかという問題にもなるわけでありますけれども、それを衆議院の方で訂正をして頂いただけはつきりすることができて、將來この独立採算制で行くような問題ではないということが明記せられたので、却つてそれを法文によつて強化せられたことと考えるのであります。
#105
○中西功君 独立採算制という公式の建前はなくなつておりますということになつておりますが、それならですよ。或る意味で言えば随時に一般会計からその会計に繰入れることができるというふうな場合ですね。一体厚生省当局としては現実に病院にどのような事態が起つたときにそれをなすと考えるか、大体の基準、それはどの程度にお考えであるか。
#106
○國務大臣(林讓治君) 随時予算を組んであるわけでありますから、それによつて補つて行く。
#107
○中西功君 僕は実は本会議の緊急質問の時間が來ておるのです。質問を一つ留保させて頂きます。
#108
○理事(黒田英雄君) 只今委員外でありますが、中平君から発言したいというお申出がありましたが、許可することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは中平君。
#110
○委員外議員(中平常太郎君) お許しを得まして質問の機会を與えて頂きましたことを御礼申上げます。先般來本法案が大藏委員会に掛かつておりまして、いろいろ御審議願つておるのでありますが、その後厚生省、厚生委員会の方へ大分反対の陳情が参つております。反対の陳情は人数から申しますと厖大な人の数が参つておりますが、書類の数はそう沢山ではありませんけれども、それでも二三百件出ておると思いますが、大体國立病院の今までの成績から言いますと、貧困者、生活保護者、或いは無料患者というのが八五%になつておりますので、國立病院の存在が如何に貧困階級に対して一つの非常な、國の開放された一つの立派な社会政策になつておるのであります。それで、如何に困難な場合におきましても、この國立病院は今日まで無料を以て建前とし、又何程赤字があつても政府がこれを負担しておるという建前で、國民に開放された医療機関でありまするが、但しそれかと言うて無茶苦茶な負担はかかつておりません。今日まで約三割ぐらい負担がかかつておるのであります。然るに近來その病院が非常に荒廃いたしまして、各方面の修繕が大分遅れ、又相当國におきましても無理をなさつている点もありまして、看護婦なども可なり雜用に使われたりして、本当の目的に使われておらんことも大分ありますので、こういうことで改良をして行かねばならぬ立場にあるところの國立病院が遂に或る意味から言いましたならば、採算を一つの目的として聊か営利の傾きを持つて來ますということは誠に遺憾なことであると思うのであります。この國立病院の現在の状態は、実際自由に治療し得ないような階級に開放されている医療機関でありますからして、どうしてもこれは國が相当の犠牲を拂わなければならないという責務があると思うのですが、その点如何でございましようか。病人は、大体自分の病氣は自分の負担であるということが昔から言われておつたのでありますが、現在の考え方といたしましては、國と人とは有機的である。病氣は国においても損害である。誰が病氣しようとも國の損害である。但し本人がいわゆる受益者であるからして、先ず本人が負担する。できるものは負担せしめるが、不能な者には、患者に対しては國がどうしてもこれは負担せねばらなぬところの義務がそこに課せられておるのでありますから、考え方が昔のように、自分の病氣は自分で負担しなければならぬという結論ではないのであります。現在はそういう人は國が癒さねばならぬ義務を負荷されているのであります。明らかにそういう立場から言いますというと、國には國立病院として開放されて弱者のために開放された機関が必ず備わつておらなければならぬのであります。然るにその開放されねばならぬところの國立病院に一つの枠を作つて、やはり治療費を受益者から取つて経営をしようとする考えに変つたということは、國立病院の性格をして全くその本旨を没却したものと私は考えるのでございます。現在におきましてもさまざまな不備な点がありますので、むしろもつと國が犠牲を拂つて、よい病院に負担かけて、弱い国民に一つの砂漠のオアシスとして提供しなければならぬ立場にあるにも拘わらず、これに枠を作るということは誠に遺憾に堪えぬのでありますが、政府は、國民の弱い、負担のできない患者に対して國立病院に一つの枠を作つたということは、実際において國が治療せにやらなんという、弱者の立場をどういうように考えておられるのであるか。イギリスなどのごときものは全部國営になつてしまつております。まだ外にもありまするが、そういうふうに段々医療は國営に変つて行つておる中におきまして、僅かしかない、九十なんぼしかないところの國立病院を又々閉鎖をして弱者に戸を立てるということは、如何に考えて見ても政府の方針は余りに打算的なりと言わざるを得んのであります。この点につきまして先日申上げましたことは再び申上げませんけれども、この間の公聽会におきましても大体四割程度の國の負担が適当であるという意見が相当ありましたのでありますが、それを二割五分に抑えようということは、要するに患者に負担をかけるという意味で制限してしまつた考え方であると思うのであります。どうかそういうふうに國立病院の考え方を百八十度の惡い方へ轉換をしておる、その理由をお伺いいたしたいのでございます。
#111
○國務大臣(林讓治君) 只今御指摘のように、成る程一面から考えますれば、営利の傾向になつて行くことは否むことのできん事実であろうとは考えますけれども、この点につきましては十二分に経営をいたします間において注意をいたして行けばいいのではなかろうかと考えます。尚弱い者に対するところの問題でありますが、國立病院と申しましても医療費を徴收するというのが建前になつて参つております。併しながら非常に困難な方々につきましては生活保護法であるとか、或いは未復員者の給與法などによりまして支拂をいたして行くようになつておりますから、その点につきましては御心配はないのではなかろうかと私共は考えておるわけであります。それで先ずこの際は特別会計に基きまして非常な利益のある点を思う存分に利用いたすと申しましようか、働いて貰うことにいたしまして、その能率を上げて行きたいと考えております。尚四〇%の御希望があられたようでありますることも私共も承知をいたしております。併しながら先程も申上げたわけでありますが、成績のいいところも相当に数多くありまして、いろいろの経驗等に基きまして、先ず二五%だけのものがあれば賄い得られることであろうと考えて予算を作つております。從いまして、若し万一不幸にしてこれが尚赤字を出すということの問題であるならば、明年度の予算に対しまして考慮いたしまして、これを補つて行きたいと考えているわけであります。
#112
○委員外議員(中平常太郎君) 二五%という平均を見ておられまするのは、或る病院は殆んど赤字が出ない、それから又或るところでは五〇%も赤字が出ることを予想しなければなりませんが、そういう意味におきましての平均の二五%でありましようか、或る病院は僻陬のところに建つておつて、もともと陸軍などの関係がありましたりして遠方にあるのもありましようし、又今日経営困難なのもありましようと思いまするが、そういうところはたとえ五〇%の赤字が出ておつてもカバーをする、或るところは一〇%しか赤字が出ていない、その方へはそんなにカバーしないでもよかろうという意味で平均の二五%でありますのか、赤字を五〇%出しておつてもやはり二五%しか見られないのでありましようか、この点を一つお伺いします。もう一つは特別会計にするということは、國庫の負担を減少せしめる意図があつてなさるのでありましようか、國庫の経済負担を減少せしめる、つまりこう要つちや堪らんからもつと要らないようにする、今後は患者の方にかける、國は荷を負わないという、負担を減少せしめる意図を含まれておられるのでありますかどうか、國立病院の性格は経済よりも治療の効果に最大の目的を持たにやならんのでありますが、治療に最大の目的を持たずして経済を最大の目的となさるのでありましようか、この点をお伺いいたします。
#113
○國務大臣(林讓治君) 只今のお話のことは、これは平均をいたしまして全体で二五%ということになるのであります。尚負担の軽減でございますが、この点につきましては病院の負担が軽くなることは勿論結構だとは思いますけれども、決してそういう目的にあらずして從來の国立病院の性格をどこまでも樹立いたして行くようにいたしたいと考えております。
#114
○委員外議員(中平常太郎君) 只今の御説明で二五%の平均のところはよく分りましたが、負担を減少せしめるためにやるという意図はないとおつしやるのでありますが、今日までやつておりまする状態から申上げまして、負担のことをお考えにならんのであるならば、何故に今日特別会計をお出しになるのであるか。療養所の方は國家が見ておつて、國立病院だけを何故に特別会計になさるのであろうか。負担のことをお考えにならんのであるならば、何故に國民に向つて無限の開放をなさらんのであるか。今日一般に治病費は実に限界に達しておる。今日の治療費は非常なものである。都市におきまして一点單價十一円にいたしましても、ちよつとしたことで入院すれば二百五十円も三百円も要ります。それで今日貧困階級には治療費というものはもう限界以上に達しておるのでありますが、その上に尚限界を越えて貧困者に治療費に増すようなことをなさるというのはどういうわけでありますか、その点をお伺いいたします。
#115
○國務大臣(林讓治君) 勿論、收入の点につきましていろいろ先程も申上げましたと思いますが、收支のはつきりいたしませんようなこと、これは國民にはつきりさせるということもできるわけですけれども、能率を上げます上においては今の特別会計に基く方がいいと考えます。その負担を負わせるような考えはないということは、勿論收入の多いということは望むべきことではありまするけれども、患者に負担を多くかけないようにやつて行く、それで若し不足の場合がありましたときにはこれを補つて行く、こういう意味で負担の軽減の問題を申上げたわけなのであります。
#116
○油井賢太郎君 厚生大臣にお伺いいたしたいのですが、國立病院の全國的な配分を見ますと、北海道とか、或いは東北方面というのは、病院の数も少く、又國家で負担しておる費用というのも外の地区から比べると非常に少いのです。一例を挙げますと、東北では僅か八ヶ所で昭和二十二年度の歳入歳出内訳の合計が歳出の方で七千万円しか出ておりません。然るに拘わらず人口が却つて少いような九州あたりでは場所も倍もありまして、而くその費用が東北に比べて三倍の二億二千三百万というようなものを出しておりますが、とにかく東北あたりのような大体文化に惠まれない、又生活水準も低いようなところに國家が余計に負担し文化の施設或いはこういう公共施設を拡張させとるいうのが本当だと思われるのに、その反対の現象がこういう点に見出されるのでありますが、將來これに関しましては政府としてどんなような方針でこの均衡をおとりになるおつもりですか。
#117
○國務大臣(林讓治君) その地理的分布が平均に行われておりませんことは、終戰後從來の陸海軍の病院を使つたりしたことが主なる原因であると考えるわけであります。それで今後におきましては十二分にその点を考慮いたしまして、予算の許し得られる範囲内において厚生省といたしましても努力いたしまして、そうして比較的その必要のありますというところにおいては今後においてその充実を図つて行きたいと考えております。
#118
○油井賢太郎君 それでは今度昭和二十四年度に特別会計になりました際に東北域には他の方面のバランスを地域的にどういうふうに具体的におとりになる計画がおありですか。
#119
○國務大臣(林讓治君) まだ私としてはその具体的の計画をお示しいたしますだけの材料を持つておりません。
#120
○油井賢太郎君 政府委員で結構であります。
#121
○政府委員(久下勝次君) まだ数字的な点までは申上げかねるのでありますが、大体今我々が考えておりまするのは、各病院ごとに、お手許に差上げたり、又昭和二十三年度分も近く実績が出ると思つておりますが、この実績を見まして、この実績を主といたしまして、その他立地條件、或いは病院の整備の状況などをよく勘案をいたしまして、各病院ごとに或る程度の基準を定めたいと思つております。そうすることによりまして、一應收入につきましては、或る程度のものは上げて貰いたい、併しながらそれに必要な経費は全部予算的に配付する、全体としてプールをいたしまして、一般会計からの受入れ二五%で以て賄い得るようにしたいと思つております、又賄い得ると思つております。そういう考えであります。
#122
○油井賢太郎君 そうしますと、大体東北とか、或いは北海道などは生活の余裕がないので、大抵の病氣は賣藥ぐらいで我慢して行くということになつて、折角ある國立病院に行きかねる人も相当あると思うんです。そういう実績によつて、東北地区は余り病院にかかる人がないから、余り補助も出さなくてもいいというようなお考えを政府で持たれたのでは、これは重大事だと思いますが、そういう点は十分勘案して頂きたいと思いますが、それはどんな方針で以て進まれますか。
#123
○政府委員(久下勝次君) 結局地方によりまして、医療費の支拂いのできない患者の事情が異なつておると思いますことはお話しの通りでありまして、大体全体といたしまして、昨年度分の医療費を減免いたしました患者が十%程になつております。それの厚い方面に対しましては、それだけ病院として、個々の病院としては赤字が多いわけでありますから、それに厚く、つまり言い換えれば、負担を軽くいたしまして、経費の分配を厚くするというようなやり方で、全体の調和を取りたいと思つておるのであります。差当り私共といたしましては、國立病院を新たに増設するということは考えておらないのでございますが、現在ありまする病院を只今申下げましたような経理の仕方をしてやつて行きたいと思つております。
#124
○小川友三君 そこでこの案につきまして、政府側の答弁を承わりますと、まだ赤字が一方労組では出るだろうと言つておるが、それは想像だけであるし、政府は赤字が出た場合は補償をするということでありますから、この際質疑を打切りまして、討論に入ることを動議として提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#125
○理事(黒田英雄君) 只今小川君から質疑を打切つて、討論に入るという動議が出ましたが、これに賛成の方がありますから採決をいたしたいと思います。小川君の動議に御賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#126
○理事(黒田英雄君) 多数であります。よつて小川君の動議の通り決定いたしました。質疑を終了し、直ちに討論に入りたいと思います。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
#127
○小川友三君 本案は又初めて特別会計として、政府が諸般の情勢によりおやりになりますのでありまして、労働組合において四〇%の赤字があるであろうという想像は、政府の統計よりも不確実のものであるかも知れないと私は思うのであります。政府側がデイス・インフレといわれる経済緊縮に対する貨幣價値の出方と、米國の対日援助資金の千七百五十億を睨み合せまして、こういう工合によつて行ける厚生大臣のあれから割出されたものと思いまして、恐らく赤字が出た場合は、又大臣も善処すると言い、或いは大藏大臣も善処するというような御答弁も含まれておりますので、とにかくこの予算で以て、この方針で以て一旦やつて見るということに対しましては、私は本案に対しまして賛成をするものであります。
#128
○九鬼紋十郎君 本案は、困窮者の医療に最も深い関係にある國立病院の性格並びに特殊の使命等に顧みまして、十分にその使命達成に盡して頂きたいと考えるのでありますが、輿論としましても、特殊会計なるがために独立採算制といつたような観念からして、歳入を計つて歳出をするといつたような、ただ経理面からの処置に陷ると、その使命達成に対していろいろ不都合ができて來るという不安の念を非常に持つておる次第でありますが、そういつたことにつきましては、本年は一般会計から二五%の補助金が、繰入金ができておるのでありますが、今後におきまして二五%の繰入金をしましても、尚且つ赤字が出るといつたような不安の状態になつて來ますときには、政府において、この國立病院の十分なる使命達成の観点からしまして、ただ赤字であるがために、その使命が阻害されるといつたような状態に陷らないように十分に処置をして頂くということを特に要望しまして、本案に賛成する次第であります。
#129
○木村禧八郎君 私は本案に反対するものであります。本案を実施した結果、我々が公聽会で第一線の実務に携つわた人達から聞いたことから、我々はその公述を聽取したことから顧みましても、重大なる影響が現われて來ると思うのです。これに対しては、政府が非常に大きな責任を負わなければならないと思うのです。反対の根本的な理由は、特別会計にすることによつて、独立採算的な方向に行くか、行かないかという点にあると思うのですが、独立採算になれば、それが延いて國民医療の精神と反して、営利的に走り、そうしてそのために患者が犠牲になるということが問題の焦点であつたのでありますが、これまで政府の答弁によつて見ましても、これが独立採算にならないという点は一つも明瞭に証明されておらないのです。特にしばしば各委員から引用されました五月十八日、十九日この両日における國立病院長会議において、政府側が説明した國立病院を特別会計とすべき理由、こういう資料に基きましても、政府は明らかにこれによつて独立採算的になるということを認めておるわけであります。そういうことを説明しておるわけであります。その説明として、收入と支出との間に或る程度の相関関係を持たせる特別会計を設置するのが最も適当であると考えられる、これが独立採算制なんだ、收入と支出との間に関連を持たせるということが独立採算制なんでありまして、それが特別会計を設ける趣旨なんであります。そのために政府もこれによつて生ずる欠陷を明らかに認めております。ところが更に純の利点も認めておりますが、その利点と欠陷とを比較して見ますと、利点の方は主として経理上の利点でありまして、それによつて生ずる弊害の方は國民医療の内容に関する根本的な欠陷を政府みずから認めております。この……
   〔中西功君「ちよつと待つて呉れ。僕は質問を保留しておきました。これを採決するときは、天田君だつて緊急質問で……」と述ぶ〕
#130
○理事(黒田英雄君) 討論打切の動議が出まして、多数で決しましたから、質問がありましても……
#131
○中西功君 とにかく委員長から、本会議があるときは適当に調整するという約束があつてやつているのじやないですか。
#132
○理事(黒田英雄君) 打切の動議があつて採決したのです。
#133
○中西功君 そういう点を全く無視してやつているじやないですか。委員長になるからには、今までのそういう関連を十分考えてやつて貰わなければ困る。とにかくそういう打切の動議が何か出ても、採決とかそういう討論は、もう少し私達本会議に行つているということは分つているのだから……。ちやんと保留して、行つているじやないですか。
#134
○理事(黒田英雄君) とにかく質問のある方もあるでしようが、打切の動議が出まして、皆さんにお諮りしまして、多数で決まりましたので、委員長はそれに從つたのであります。
#135
○中西功君 とにかく……
#136
○理事(黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#137
○理事(黒田英雄君) 速記を始めて。
#138
○中西功君 僕は委員長代理の不信任の動議を提出いたします。
#139
○理事(黒田英雄君) 木村君発言を続けて下さい。
#140
○木村禧八郎君 今不信任の動議が出ておりますから……、私は賛成します。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
   〔木内四郎君「討論の最中に動議を出すわけに行かない」と述ぶ〕
#141
○理事(黒田英雄君) 質問者はまだ外にもあるかも知れませんが、動議が出たので……
#142
○中西功君 午前中からそういう約束で、本会議に行つているときは調整するという約束になつているのですよ。
#143
○理事(黒田英雄君) 約束ということは私は知りません。
#144
○中西功君 僕は行つていますから適当に連絡して、そうしてやるというようにして呉れてもいいです。
#145
○理事(黒田英雄君) あとの決定は分りませんが、とにかく公平に……
#146
○油井賢太郎君 今木村さんの討論中ですからそれが終つて改めて……
#147
○理事(黒田英雄君) 発言を続けて下さい。
#148
○木村禧八郎君 特別会計の実施によつて生ずる弊害の方は、國立病院の内容そのものに関する非常に質の低下となるという点にあるわけであります。このことを政府みずからはつきりとこれを認めているわけなんです。例えば診療内容が不適正となり、実質的な医療費の高騰を來たす。即ち或いは粗惡なる藥品を使用し、或いは診療費の徴收を目的として不必要な治療まで行なうようになる。更に收入の上りにくい患者を敬遠するようになる。即ち病氣の面では、難病それから慢性病の入院患者を敬遠する。又急性病の入院患者か外來患者を歓迎するようになる。又更に治療方法とか、或いは診断方法、病院管理などの基礎的な研究とか、或いは看護婦、助産婦等の医療関係者の養成、或いは医療社会事業等の、直接收入に関係がない業務が等閑に付せられる、更に又災害時、傳染病流行時等の活動、その他公衆衞生面の活動が疎かになる、延いては新設、大修繕等大きな営繕工事が困難となる。こういう欠点は、皆國立病院の医療内容の低下という欠点となつておるわけです。これはもう非常に重大な問題だと思うのです。こういう欠点が現われるならば、これは國立病院を設ける趣旨に反すると思うのです。政府もはつきりこれを認めておりまして、こういう欠点があるが、これは是正する方法がある。その是正する方法について政府は述べておりますが、それは自主的には何ら解決方法になつておらないのであります。先ずいろいろの医療内容が不適正となつたり、或いは実質的な医療費の高騰を來たす等、そういう点については政府は、諸帳簿を整備して報告を正確にする等の措置を講じて、各病院の指導監督を強化すると共に、各職員に対し、國立病院の目的及び使命については十分自覚せしむるように努力することによつてこの弊害を除くことができると言つておりますが、こういうことは何も特別会計にしなくても、一般会計においてできることなんです。それを何故わざわざ特別会計にするのが判断に苦しむのであります。更に又先程述べました收入の上りにくい患者を敬遠する、そういうような弊害についても、大体同樣な措置によつてこの弊害を除くことができる。そういうような政府の説明になつております。
 こういうような措置は、一般会計において國立病院を経営する場合においても、これは当然なすべき措置であつて、これまで一般会計においてできなかつたことを、特別会計になつたから直ちにこれができるとは思えないのです。こういうふうに考えて見ますと、これを特別会計に移した結果生ずる影響というものは、私は恐るべきものがあると思うのです。特に今後において、いわゆる九原則に基いて編成された二十四年度予算実施の影響というものを考えまして、失業者は相当殖えましようし、又貧困者も非常に多くなつて來ると思うのであります。そういう際においては、政府において一般会計として相当多くの費用を惜しまずこれを使つて、そういう困窮者に対する医療というものを拡充し強化するのが当然であると思う。そういう情勢にあるに拘わらず、それと全く逆行するところの國民医療の方式を行おうとしておるのでありまして、私はこれによつていわゆる民自党内閣が如何に一般大衆の生活というものについて冷淡であり無関心であるかということを痛感せざるを得ないのです。而も二十四年度予算においては、非常に多額の補助金、そういうものを計上して、大資本、大金持、そういう方にのみ有利な政策を行いながら、貧困者の國民医療については全く極めて冷淡な、又極めて冷酷な政策をされようとしておると断ぜざるを得ないのです。こういう観点から、私はこの國立病院を一般会計から特別会計に移すという法案については、断乎として反対する次第であります。
#149
○油井賢太郎君 委員長ちよつと……
#150
○理事(黒田英雄君) ちよつと待つて下さい。
#151
○木村禧八郎君 私は動議を提出いたしますが、実はこの前櫻内委員長が委員長席におられたときに、中西君から日本のこの大藏委員会の運用について動議が出されました。本会議がありますのでこの際中西委員が緊急質問をする場合には採決はしないで置くという了解があつたと思うのです。そうして折角厚生大臣が見えておられるのであるから、厚生大臣に対する質疑は続行する、そうして採決はしないで置く、そういう際には連絡をとるということになつておつたのです。私は先程うつかりして中西委員が本会議に行つていることが分らなかつたのでありますが、先程中西委員からその点について動議を提出されましたが、今本会議に行つておりますので、私が中西委員に代つてその動議を提出いたします。私はどうも黒田委員長の運営の仕方が本当に公正を欠いておると思うのです。これまでの経過に鑑みまして、私は黒田氏個人に対しては年長者でもありこれまでのいろいろな経歴から見まして尊敬をしておりますけれども、この大藏委員会の運営の仕方については遺憾ながら私は不信任の意を表さぜるを得ないのです。(「同感」と呼ぶ者あり)非常に遺憾でありますが、ここに黒田氏の委員長を行われることについて私は不信任の動議を提出いたす次第であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#152
○委員長(黒田英雄君) ちよつと速記を止めて……
   〔速記中止〕
#153
○委員長(黒田英雄君) 速記を始めて……
#154
○木村禧八郎君 私は不信任の動議と申しましたが、採決を只今直ぐやることについては反対する。それでまだここに本会議に列席しておらない委員もありますので、直ちに採決しないようにという動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#155
○理事(黒田英雄君) それでは木村君は私に対する不信任の動議は撤回されまして、改めて討論を承つて、採決はこの場合しないということにして呉れという動議ですか。
#156
○木村禧八郎君 そうです。
#157
○理事(黒田英雄君) 私は討論を終結して置いて、採決は櫻内委員長が來られてからして頂こうと思つているのですが、皆さん御異議なければ木村さんの動議のように確定いたしますが、御異議ありませんか。
#158
○小川友三君 只今木村先生からの御提案としての御意見のようにも承わりますし、併しまだ討論中ですからこの討論を続行してそれが済んでからやりたいと思いますからして、この法案に対する討論の継続をお願いします。
#159
○理事(黒田英雄君) 討論は無論続行しまして承わることにいたします。さようにいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「討論続行」と呼ぶ者あり〕
#160
○森下政一君 中西君並びに天田君は本会議の緊急質問のため席を外しております。それから波多野君は御承知のように議院運営委員会から本委員会の委員長と理事一名來て貰いたいという要請によつて今席を外しております。今席を外しております三君とも恐らくこの討論に参加して大いに討論をしたい人達に違いない。あの人達の質問の経過から見ましても意見があるということは十分分つておることなんですから、ここにおる者は討論を終つたからして討論を打切るという措置を講ぜられないように……皆に意見を出さす機会を與えるのが一番民主的な委員長の扱い方だと思いますが、そのことを了承して置いて頂きたい。
#161
○理事(黒田英雄君) それでは討論を続行いたします。
#162
○油井賢太郎君 私はこの國立病院の特別会計については反対の意見を有するものであります。先ず一般会計から特別会計に移したがために、非常に國立病院の運営が円満に且つ公平に理想的に行われるような政府のお話でありますけれども、若し特別会計に移して、そういうことができるなら、移さなくて一般会計でやつて行つても、政府の監督よろしきを得れば、当然立派に運営できるものと思われるのであります。先般公聽会等におきまして、各方面の代表者が参り、事務局、看護婦、患者等の各代表者は、口を揃えて特別会計に移すことに反対の意見がありました。その意見も誠に尤もであると承つたのであります。而もそれらの人々に対して、政府が何ら納得の行くように了解されておらないうちに、政府自体でもつて政府だけの考えでもつて特別会計に移さなくてはならんというのは、余りに独断であつて、民主主義に反しておるのではないかと思われるのであります。而も今日民自党内閣におきましても、相当社会公共ということについての諸政策はお考えになつておられると思いますので、こういうような法案について、その平素抱かれておるところの國民に対する意思を十分に発揮される必要があると思います。そういう点についても、現内閣の反省を促がしまして、この特別法に移すことの撤回を願いたいというふうに考えております。
 尚この今までの國今病院の分布状態を見ますというと、東北とか或いは北海道方面には、数も少く又そういう方面に対するところの、國家的施設の経費等も極めて僅少であります。これはもう國立病院それ自体が初めから甚だ不公平であると断ぜざるを得ないのでありまして、この点は政府におきまして、最も公平に、而もできるならば惠まれない土地にできるだけ國家の施設或いは経費というものをお廻し下すつて(「当選確実」と呼ぶ者あり)公平なる措置をとられんことを切に要望いたします。
#163
○高橋龍太郎君 私はこの法案に反対するものであります。その論旨は極めて簡單なんで、先刻中平君の質問中に述べられた論旨に非常に共鳴するのであります。現在生活困難な人の治療を無料若しくは低廉な治療費で治療をする。現在の國立病院のような施設はますます殖やさなければいけん時代であると思います。(「同感」と呼ぶ者あり)これを特別会計に移すということは、時代の要求に反するものと存ずるのであります。「その通り」と呼ぶ者あり)、私はこれに反対いたします。
#164
○森下政一君 私は本案に反対したします。先刻天田委員が指摘せられましたが、政府が本案を提出いたしました当時におきまして、一般会計からこの会計に繰入れることのできるものは、看護婦養成の経費に充てる必要な経費に止まつておつたのであります。そうして当分の間、併しながらそれ以外のものを一般会計から繰入れなければやつていけんだろうという予想の下に、その点が附則に決められている。これが政府の当初の意思であります。即ち政府の考え方は、いろいろ質疑に対して答えられましたけれども、できる限り早い時期において、この特別会計にすることによつて、独立採算ができるという状態に持つて行きたいというのが政府の考え方であつた。而もその政府というのは大藏当局の考え方である。金を出す方の面を担当しております大藏省としてはさもあるべきことなんでありまして、恐らくさような事柄を大藏省の発議を受けたときに、厚生省はびつくりされて、これを阻止することに努めたに違いないということが察知されるのであります。ところが強引に大藏省から諸般の財政上の事情等を説明されて、よんどころなく、いやいやながらよんどころなく厚生省はこれに頭を下げざるを得なかつた。屈服せざるを得なかつた。屈服するには併しながら、今直ぐ一般会計から繰入れが止められたら困るからというので、少くとも当分の間二割五分は一般会計の経費からの繰入れが貰いたいということを折衝したに違いない。而してそれが容れられて漸くこの法案が出て來たと、こういうことになつたのが私は眞相だと思うのであります。でありますから、何故特別会計にする必要があるかということを、どれくらい厚生省当局に質して見ましても、厚生省から満足な答弁が得られないというのは当然の事柄である。彼らの欲せざる事柄をここに法律案として提案しておる。而も何故特別会計にしなければならんかということを聞かれて、厚生省の当局がお互いに満足するような説明ができないということは彼らみずからが欲していないことなのである。特別会計にすることを願つていません。特別会計にすることを欲していない。だからこれに対して大臣を引張つて來ましても、医務局長を引張つて來ましても、その他の厚生省当局が出て参りましても、到底腑に落ちる説明のできなかつたというのは、全くこのためだと私は考えるのであります。ここに医務局長その他がおられますが、私共これに反対する者の言論をお聽きになつて、内心は有難涙に暮れておられるに違いない。これ程厚生省の仕事に対して了解を持つて呉れるかということを思つておるのが眞相だと私は思うのであります。從いましてこの案というものは、先刻私が申しますように、恐らくはこの大藏省の発議に基いておる。でありますから辛うじて厚生省が申しますことは、独立会計にすることによつていろいろな各病院それぞれについての無駄が省ける機会が多かろう。経理が明確になるだろうというようなことを答弁するのでありますが、これは特別会計にしなければ、さような成果を收めることができない事柄であるかということになりますと、そうではない。現状のままでも、一般会計で賄う場合におきましても、さような事柄は、運営の如何によりまして、監督の如何によりまして、巧みにその成果を挙げることができる事柄でありまして、特別会計にしなければ、それができないなどというのでは、これは厚生当局の威信にかかわることだと申しましても過言ではないと思うのであります。殊に現状は一体どうであるかというと、現状でも一般國民は満足していない。國立病院の今日の状態で決して満足していない。もつと國が多くを負担して、みずからの経済力で、みずからの病氣を癒す力のないところの氣の毒な人々に、國の負担において完璧な医療を加えるということに進んで貰いたいというのが國民大衆の望みである。これは明らかな事柄であります。先般私は療養所はどういうわけで然らば特別会計で経理をされないかということを質問しましたときに、これは多くの收入を伴わないからである。收入は皆無ではない。伴うておるけれども、多く國家の経費によつて賄つておるからであるということを厚生当局は答えましたが、これは図らずも大藏省が國立病院の方は療養所に比較すると收入が多いと、從つて何とか鞭を打つて鞭撻することによつて收入の増加を図らしめて、そうして收支のバランスがとれるようなところまで近づけたい。こう考えておるとはつきり厚生省当局が答弁しましたことが、その大藏当局の狙うておる事柄を暴露しておると私は思うのであります。ところが現状におきまして、療養所は國家が大部分の経費を賄うておると言うが、それでさえ一般の國民は満足していないというのが実情なのであります。大阪に刀根山病院という結核療養所があります。これは市が莫大な経費を投じまして、堂々たる病院を建設し、みずから経営して参つたものであります。それを戰時中医療團ができるときに、戰時統制の名の下に、出資せよということを命令されて、何らの代償を受けることなしに、單なる一枚の出資証券という紙切れのようなものを貰うただけで、市民の税金によつて作りまして、市が幾多の苦心を重ねて経営して参りました堂々たる療養所を國が取上げてしまい今日に至つておるのであります。そうして國が大部分の経費を賄つておると言うが、その状態に大阪の市民が満足していない、曾て大阪市みずからが経営して呉れたときの方がどんなに市民に親しみがあつたか、どんなに行届いた療養をして呉れたか、その日が忘れられないので、今日大阪の市会は決議をされまして、殆んど年中行事のように政府当局に向つてこの病院を大阪市に返して貰いたい、一文の代償なしに取上げられた病院を返して貰いたい、我々の手によつて完全な療養を続けて行きたいということを念願しております。療養所を市に回收することによつて市の厖大なる経費の負担でありましよう。療養所は赤字に決まつておる。その赤字を覚悟の上で今日地方財政の窮乏しておるときに、尚且つこれを返して貰いたいというのが大阪市民の念願である。療養所が國立になつたことによつて、曾て市立として経営した当時に比較して見るに遥かに患者の処遇が劣る。市民が親しみを感じない、そこに悩みがあつて、大阪市会は市民の意思を尊重してさような決議をいたしまして、今日厚尚生当局に向つて返して貰いたいということを折衝しておるというのが実情であります。私がたまたま大阪の実例を申上げましたが、全國到るところこういう事例があるのでないかということを考えるのであります。大部分の経費を國が負担しておる、療養所を一般会計で賄うと言う、如何にも一般会計が潤沢に金を出して完全な療養が行われておるかのごとくに響きますが、実状は今一つ私が指摘いたしました大阪の実例に徴して見ましても、療養を受ける側は満足していない。曾ての市が経営した当時より劣つておるというのが実状なんであります。然らばこのときに今まで一般会計で経理しておりました沢山の國立病院を特別会計に移すいとうことになれば、どうしても満足な処遇が大衆に完全に與えられるということを期待することができないということを考えますると、大体只今高橋さんが御指摘になりましたように、かような経済の現状、かような失業者の続出することを予想されるとき、生活の困難が予想されますときに、何を好んで経理の明確などという取るに足らないことを理由にいたしまして、進んで特別会計にするという根拠があるか、必要があるかと誠に疑わざるを得ないのでありまして、必ずやこれを特別会計に移しました結果は、庶民の大衆に取つては医療の完璧を期するどころでない、今日までの待遇より劣つて來るということは火を見るよりも明らかに感じられるのであります。さような意味で私は断乎これに反対するものであります。
 尚呉々もお願いして置きますが、他の只今本会議その他の私用にあらざる要件で席を外して帰つて來る人に十分意見を述べる機会を與えて頂きたい。それで討論は打切らずに討論を進められるよう善処方を要望いたして討論を終ります。
#165
○川上嘉君 本案に対しまして過般公聽会が開かれたのでありますが、公述者の七名のうち六名までは本案に対して反対であります。後の一人は別に賛成もしない、反対もしないという態度であつた。公聽会に來た公述人というものは大体この関係の代表者です。そうした人達の意見が無視されるということは何のためにそれじや公聽会をやるか、その公聽会そのものの本來の目的に反するのであります。わざわざ貴重な時間を潰して、そうしてこの中で公聽会を開いて、そうした人達の意見がちつとも法律の中に織込まれないとするならば、そんな形式的な公聽会ならば何にもならない。ここに來られた公述人は、皆それぞれの関係者代表者でありまして、少くとも国民の僞らざる要望である、國民の眞摯な要望である、こう見て一向差支ないと、かように考えるのであります。
 次に國立病院は適正な医療を普及し、以て國民の健康な生活を確保するためというこの本來の目的を政府は見失つておる。先ず具体的な理由を掲げますというと、特別会計実施によつて、全医療施設中に占めておる地位と特定の性格、更に全國分布であるといつたような重要度の高い國立医療機関は、実質的に消滅の方向を辿らなくちやならない。更に特別会計制の実施によりまして、量的にも質的にも國立医療機関を最も必要とする患者層が必然的に閉め出されなくちやならない。更にこの実施によりまして医療内容の低下、診療の不公平、更にその中に勤めておる職員の労働強化、給與の切下げと人員整理も必然的に生れて來る。從いまして職員の面に負荷される犠牲は肉体的にも精神的にも非常に大きい。更に現在空いておるベッドが相当ありまして、この実施により、ますますこういつた原因が加重いたしまして、一つベット当りの收益率というものが相当高く要望されなくちやならないような事態が発生して來る。從いまして貧困者の長期療養も閉め出されなくちやならない。更に收入と支出の分離が、結局は自然発生的に維持されて來ましたところの社会政策的な政策を支えていた唯一の財政的な基礎が略奪されるといつたようなことに相成るのでありまして、こういつたことは全部各公述者から述べられたのでありまするが、今改めましてこの公述者の方々の名前をここで指摘いたしましても各界の代表者と見るべきであります。先ず國立第一病院長坂口氏、更に東京慈惠医料大学教授の石川氏、更に全日本國立医療労働組合委員長堀江氏、更に全國國立病院患者同盟委員長村上氏、産別会議幹事兼保健部長の吉田氏、更に東京都墨田区の区会議員と民生委員の水澤氏、更に國立病院看護婦代表である梁瀬氏、こういつた代表の方々の公述から考えて見ましても、本案は当然これは反対すべきものである。こういつたことを強引に押切ろうとする現在の吉田内閣はこの國立病院本來の目的を全く見失つておる、かように指摘せざるを得ないのであります。以上のような理由によりまして私は本案に反対するものであります。
#166
○理事(黒田英雄君) 討論はこの程度にいたしまして、一時休憩いたしましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○理事(黒田英雄君) ではこの程度にして、暫く休憩いたします。
   午後三時二十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後四時七分開会
#168
○委員長(櫻内辰郎君) 休憩前に引続きこれより委員会を開きます。國立病院特別会計法案に対する討論を続行をいたします。
#169
○天田勝正君 日本社会党は本特別会計法案に反対いたします。その理由は三点であります。
 先ず第一は、政府の提案理由にありましたが、この特別会計を制定する理由としては、第一「國立病院の円滑なる運営とその経理の適正を図る。」第二に、病院の事業経営という特別官廳であるから、その経理面を明確に整理して、適正な経営方策を樹てるために、その收支を明らかにする。こういうことでこのことを裏返えして聞きますると、一般会計では円滑な運営もできなければ、経理の適正も図れない、從つに無駄が多く、非能率になる、又收支も明らかにならない、こういうことになるのであります。このことは一般会計全般の使途に対しまして非常に疑惑を持たざるを得ないので、使途が一般会計においては出鱈目であるということを政府みずから認めたことになるのでありまして、私共は一般会計であろうと、特別会計であろうとも、その支出は終局的には国民の税負担になるのでありますから、極めて愼重に支出されておると思つたのに、この提案理由の説明から受取りますることは、私共が考えておつたと全く反対であつた、そういえことであります。かようなすでに考え方に立つての特別会計でありまするならば、先ずこの考え方を止めて頂かなければ到底賛成し難いのであります。
 第二は、すでに質問の時にも申しましたが、附則第三項、第四項の問題、これが特別会計になりましても、今日までの医療と何ら変りない、十分な施療ができるというところのたつた一つの裏付けであります。このことが法律案には附則に落されて、本則の方に入つておらない、漸く衆議院の修正によりましてどうやらこれが本則の第十七條に入つて来た、こういうことであります。そのことから又私共が受取りますことは、結局政府は独立採算制によつてしまいには國立病院をやがて見殺しにして行く、こういうことが感じられるのであります。
 第三の理由は國立病院は現在適正なる立地條件に立つておらないことはどなたも認めるところであります。そこでこれを適地に配置轉換をいたさなければならない、この配置轉換をいたしますためにも独立採算制に近いところのこういう施行をいたしますると、なかなかその実行が困難であります。これを地域的に見ましても現在貧窮者の多い地域に沢山の國立病院を設ける、この実現を早からしめるという目的のためにも一般会計の方が自由に支出ができるのでありまして、かような観点からいたしましても、私は本法案に反対したします。
#170
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。
#171
○中西功君 私は日本共産党を代表いたしまして本法案に反対いたします。反対の理由についてはすでに沢山述べられております。第一誰が考えても政府が説明する独立会計への発足なるものは何ら意味をなさないのであります。で、幾ら政府がこれをよくなるというふうに説明いたしましても、政府当局者自身がそれを他方において否定しておる、反対のことを言つておるというふうな状態なんです。これは厚生省自身が最初こういうことに反対した、今日においても商工省当局の多くの人々が反対しておる止むを得ない措置と認めておるということだけでもこれは極めて明白なんであります。而も又こういうことが強行されて行きましたならば、これは轉ら財政的な見地から病院運営というものが実施されまして、幾多の悲劇が起つて來ることは明白であります。昨年以來入院料が値上げされただけでもすでに大きな問題を釀しております。それが尚今後こういう全く商賣的な形で國立病院が運営されたならば、現に重患で臥しておる人人さえも追出されるということは、これはもう強行されて行きます。確か昨年だと思いますが、晴嵐莊のこれは療養所でありますけれども、事件で私は当時の厚生大臣に何回も質問したことがあります。で、ここでは実際の重患者を追出す、強制退所されるという措置をとつたのであります。当時はともかくも輿論の圧力の下にそれが一時中止されまして、今後はこの法案に基いてそれが堂々と行われて行くことになります、こういうことであります。更に看護婦或いは医療の質的な低下、いろいろのことが起つて來まして、終戰以來これは中川君が言われております。終戰以來困窮者にとつて唯一のオアシスであつたものが今後完全になくなつて行くということが明白なんでありまして、看護婦自身の待遇や、或いは労働條件だけを考えてみましても殆んどもう限界に達している、これ以上何か措置を惡くしたならば、もう爆発するというところに來ているわけであります。我々はこれについては幾多の人々が反対したわけです、六十万の署名が届けられております、公聽会においてはすべての人がこれに反対しておる、それならばこの二十億、或いは三十億、或いはもつと少くても十億そこそこでありましようが、そういう金がないのか、これを出し得ない程我々日本の財政は決して貧困でないのであります。十億或いは二十億の金が出せない程貧困だという程我々日本國は貧弱でないのでありまして、必ずこれくらいの金はできるのであります。ちよつと予算の紙をいじつただけでもこういう金は浮いて來るのです。これに反しまして今日私が本会議で緊急質問いたしましたその石炭鉱業の復金融資につきましては幾多の疑惑があります。一億円以上の復金融資先について、大藏省並びに商工省はこの度大きな調査をいたしました。その監査を正確に我々の前に出し、國民の前に出し、その監査に從つて適当な処置を採つただけでも、これは十億や二十億の金は浮いて來るのであります。そういうふうにはつきりとこれを特別会計にしなくとも、而もしないどころではなく、逆にもつと國立病院を優遇したとしても、我々は十分やつて行けるわけでありまして、私はそういうことで行ける可能性もあるのにこれを承認してしまうということは一つの罪惡に等しいと考えますので、我々はこれに反対したいと思うのであります。以上を以て終ります。
#172
○黒田英雄君 私は民主自由党といたしまして本案に賛成をする者であります。併しながら先程九鬼委員からお述べになりましたと同樣の希望を以て養成をいたすのでありまして、詳しくは又申上げませんが、病院の收支をバランスをとらせるために無理な経費の切詰めをする、公聽会においても公述人の人々から述べられましたように、いろいろな修繕すべき機械も修繕しないとか、必要な経費も不自由にするというようなことはさせない、國立病院の目的、機能を十分に発揮するようにいたし、それに必要なるところの経費は本年度の予算においては二割五分の補給ということになつておるのでありますが、併し將來においてこの機能を十分に発揮するために、一面においては勿論節約すべきものは十分に節約をして、尚機能発輝のために必要なるところの経費が二割五分を増加いたしましても、三割になるとか、或いは四割になつても、これは十分に國会の承認を得て予算を補給をして、そして機能を発揮し、公述人がいろいろ述べられたようないろいろな不都合はないように十分にされるということを強く要望いたしまして、本案に賛成をいたします。
#173
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。
#174
○波多野鼎君 私は本法案な反対いたします。我が國が今後社会保障制度を実施しなければならない使命を帶びております。その社会保障制度の中核となるのがこの國立病院ではなかろうかと思う、今これを特別会計にしたところで、從來よりも惡くはならないということを賛成の理由に黒田さんは述べられましたが、民自党の政府の約束は世間に定評があるので、なかなかそうここで言つたようなことはやらないだろうと思う、特にこの特別会計にしました趣旨が合理化の線に沿つておるということははつきりしておる、二割五分の補給金を出すということになつておりますのは、二割五分というところで切つてそうして國立病院の経営を合理化させよう、そうして收支の適合を図るというようなことを言つておりますが、この收支の適合を図り、経費の節約を期するということは、落着くところは営利化の方針に持つて行くということに盡きております。そういう意味におきまして、私は國立病院を特別会計に移すことには絶対に反対せざるを得ない立場にあります。
#175
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか……。御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて、直ちに採決いたします。國立病院特別会計法案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#176
○委員長(櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は委員長において本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。
 それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
 多数意見者署名
    黒田 英雄  西川甚五郎
    玉屋 喜章  小川 友三
    伊藤 保平  木内 四郎
    九鬼紋十郎  小林米三郎
    小宮山常吉  高瀬荘太郎
#178
○波多野鼎君 一昨日のこの委員会において満場一致で決定して、そうして議長を通じて議院運営委員会に諮りましたあの國有鉄道の拂下の案件でありますが、あれを本大藏委員会に付託替をして貰いたいという決議を持つて行つてあつた。で議院運営委員会におきまして昨日から本日に掛けて相当議論を盡した末、結局現在あれを審議しておりますところの運輸委員会で審議継続するという決定が下されたのであります。つきましては我が大藏委員会といたしましては運輸委員会に対しまして合同審議の要求をいたいと思うのでありますが、皆さんに一つお諮りを願います。
#179
○天田勝正君 波多野君の動議に賛成いたします。
#180
○委員長(櫻内辰郎君) 波多野君の動議に御賛成の諸君の御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#181
○委員長(櫻内辰郎君) 多数と認めます。それではそのように手続いたします。
#182
○中西功君 大藏大臣にちよつと質問しまして、尚そのことについて委員会の皆さんにお諮りしたいと思うのであります。それは十九日に私がここで復金の大口融資先の監査に関する調査書に関しまして、それを提出するよう要望いたしましたところ、大藏大臣は或る返事をなさいました、我々は出して頂けるものと了承しておりました、ところが今日本会議の答弁で大藏大臣は、それは出してよいかどうかを研究するのである、こういうふうに答弁したのだと言われました。これは私今速記録の写しを持つて來ればよいのでありますが……、そうではないのでありまして、希望に副うように努力いたしますと、はつきりこう答えられたのであります。で、研究いたしますという答えでは絶対ないのであります。この問題に関しては商工大臣自身もいろいろ勝手な答弁をしております。商工大臣に至つては全然ないと言つております。そういう資料はないと言つております。大藏大臣はそれをまあ我々の要求に從つて希望に副うように努力いたしますと、こう言つた、我々は出されるものと了承しておつた、ところが一向來ない、で、そのとき私は委員長にもその旨をここでやはり告げまして、そうして委員長からも適当に要求して貰いたいということを言つておる、この点に関して大藏大臣は一体今どう考えておるのから私は重ねてここでききたいと思うのです。
#183
○國務大臣(池田勇人君) 先般のこの席上で、是非必要があれば出すような方向で努力いたしましようということを言いました、出すとはお約束いたさなかつたのであります。併し又考えて見ますと、これは單なる事務官の報告でございまして、私がそれをその報告通りに受け容れるわけでもございません。而して又一面では中西議員はお持ちなんでありますから、権威のある書類といたしましては先般大藏省から國会へ出した通りであります。お持ちなものを而もこれは單なる事務上の資料というので、やはり出さなくて済めば出さない方がよいと考えております。
#184
○中西功君 それではもう一度ききますが、商工大臣はそういう資料はありませんということを、これは数回に亘つて答弁しております。今日も本会議でやはり自分の答弁は同じだと言いました、そういうものは絶対にありませんとこう言つておる、で、先ずききますが、商工大臣のこのような答弁ですね、一体大藏大臣はこれを正しいと思おつてるのかどうか、それをおききしたい。
#185
○國務大臣(池田勇人君) 商工大臣がどうお答えになつたか存じません、又その書類が商工省にあるかどうか、私は存じません。大藏省にはございます。
#186
○中西功君 これは田中事務官が大藏省から一人、商工省、石炭廳が主となつて三人の事務官がやつておる、商工省が主となつてこれをやつたものです。そういうものは大藏省にはあるが、商工省は少くとも商工大臣は、そういうようなものはありませんとはつきり答えておる、こういうふうなことに対しては私は甚だ遺憾に思つておるのです。で商工大臣が如何にも問題を隠蔽するために汲々としておるということが非常にありありと分ると思うのです。
 もう一つ、池田大藏大臣は、私が要求しました最後のことについて、こう答えられた、実は私その報告書を見ておりませんので、帰りましてありましたならば、その内容を見て、そうして御希望に副うように努力いたしましよう、こういうふうに言つておるのであります。ところが大藏大臣は今日の本会議の答弁では、そういうふうに答えたのではない、研究しますと答えたのだ、はつきり本会議の席上で責任を以て答えた筈だ、このようにぬけぬけと私はその内容を変えるということは全く怱せにできないと思う、少くともここに列席された委員の方は、皆さんに聽いて見たいと思うが、あの当時はその報告書を見ておりませんので、帰りましたならば、その内容を見て、そうして御希望に副うように努力いたしましようと言いましたから、出されるものとはつきりこちらは了承しておる、それを必ずしも出しますと約束したわけではありません、研究すると言つたのですというがごときは、これは全く我々を愚弄しておるとしか思えない、もう一度それに対してはつきりと、出そうと努力しておつたのか、或いはごまかすつもりでおつたのか、そういうところをはつきり答えて貰いたい。
#187
○國務大臣(池田勇人君) 言葉の使い方が変つておりまして、愚弄したというようなお話でございますが、決してそういう意味ではございません。ああいう資料は実は出したくないのであります。而もこれを大藏省から出しますと、それが如何にも公文書として権威あるもののようにお考えになりますと、却づて人々の誤解を招く虞れがありますので、再三それはお断りしたのは皆さん御承知の通りであります。
#188
○中西功君 そんなふうに答えはせんよ。
#189
○國務大臣(池田勇人君) 必要な要求でありますから、そういうふうにやつてみましようか、そういうふうに努力いたしましようと申上げましたが、その後の質疑應答で、どなたかの委員が、正規の手続をとつてやるべきじやないか、こういうふうなお話がございました。正規の手続がありましたならば、一應事情をお話いたしましてお断りしたいぐらいに考えたおる次第でございます。
#190
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつとこの際お諮りいたします。只今運営委員会の方から、戰川中政府が買収した鉄道の譲渡に関する法律案について、連合委員会として合同審査をしたいという申出がございました、これを承認することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#191
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。ではさよう決定いたします。
#192
○中西功君 それで大藏大臣と私の問答は以上の通りで恐らく発展はないと思います。これは私は我々委員会、或いは参議院の問題として非常に重要な問題じやないかと思うのです。このように大藏省には資料がありますが、而もこの資料については國会が要請して作つた資料なんです、監査なんです、そういうものについて我々がこれを出して頂きたいという要望をしておるのに、まあ結局今のあれは、それは不適当だと思うから出せない、こういうことなんです。僕は委員会にあの時お願いして、大藏大臣が大体まあ出すでしようからというので、そういう正規の手続といういかめしいことはしなかつたかも知れない、併し正規の手続ということは形式的に文書ではなされていないとしても、委員長自身からは二回に亘つて大藏大臣に要求してある、委員長を通じてそれが出て來ない、でこういうことを我々は委員会とし、或いは参議院としてどう考えるべきであるのか、私はそういう問題を一つこの委員会の問題として是非取上げて、そうしてこれは一つ適当な判断を下して貰いたい。こういうことを一つ委員長にお願いしたいと思うのであります。
#193
○小川友三君 中西先生の今の案でございますが、これは今も大藏大臣からお話がありましたし、これは所管は会計檢査院が所管じやないかと思いますが、それで会計檢査院の方から檢査をして貰つたものを、報告を取るというのが形体じやないかと思いますが、そういうことにして頂いて次の法案がありますから進みたいと思いますが、皆さん如何です。
#194
○中西功君 違います。そんな箆棒な……、議院が……、議院というのはこの参議院の院ですが、議院が國政に対して政府並びに政府機関に資料を要求することができるというのは、これは國会法にはつきり明記されておることなんです。今の大藏大臣の答弁は正規の手続を踏んで來ても、それは断りたいと思つたといつておるのです、だから正規の手続を踏んだか踏まないかが問題ではないのです。我々がこの資料に要求しても、大藏大臣は、資料が不適当であると認めて断るといつておる、こういうことが実際に許されるのかどうか、又それでいいのかという問題を出しておる、少くとも大藏大臣の答弁は、もう一遍繰返しますが、正規の手続を踏んで來ても、大藏省はこの資料は出せないという御返答をするつもりであつたとはつきり述べておる、私の言つておるのはここに問題がある、そんな会計檢査院とか、そんな問題ではない、而もこれは先つきも言いました通り、國会が要求して監査さした問題である、だからこういう問題は私は重大だと思うので、余程愼重に考えて貰わないと、大藏大臣の答弁は明かに國会法の何條かに違反しておる、正規の手続を踏んで來ても断ると言つておる、こういうことがあり得るかどうか、問題であると思います。
#195
○國務大臣(池田勇人君) 私は正規の手続を踏んで來ても断るとは申さなかつた。断わりたい……
#196
○中西功君 断りたい、同じことじやないか。
#197
○國務大臣(池田勇人君) 成るべく出したくないという氣持なんです。
#198
○中西功君 出したくないあるの問題ではありません。そういうふうにいつてつべこべ答弁を変えておるではないか、皆そんな答弁ばかり……
#199
○國務大臣(池田勇人君) これは今調査経過中のものでございまして……
#200
○中西功君 経過中などと言つて……
#201
○國務大臣(池田勇人君) まだ内容が、若しこの方法でいいか、或いはもう一回調べなければならんか……
#202
○中西功君 それは詭弁だ、逃口上だ。
#203
○國務大臣(池田勇人君) 出さないというのではない、政府は成るべく出したくないということを申上げておるのです。
#204
○中西功君 何を言つておるか、先つきはそう言つたじやないか。
#205
○小川友三君 日本銀行法の一部を改正する法律案の一部を改正する法律案が控えておりますので、また後に讓つて頂いて、中西先生にこの際一應……
#206
○中西功君 いや私この問題を出しておるのですから……
#207
○小川友三君 次の法案もありますから、それを審議して頂いて、又あとで時間がありますから……
#208
○中西功君 進行係少し氣の毒だけれども、もう少し待つて、國会法の議院の政府並びに政府機関に対する國政についてのそういう調査権と申しますか、そういうものの根本に触れた問題が今出されておると思うのです。で、私は委員長にこれをどういう形式でも結構でございます。少くとも第五國会の終りまでに、是非一つ結論を出して貰いたいと、こう要請したい。
#209
○委員長(櫻内辰郎君) 中西君にちよつと申上げますが、今のような答弁で、大藏大臣の御氣持は分ると思いますから……
#210
○中西功君 いや、分つていない。
#211
○委員会(櫻内辰郎君) それですから、むしろ正規の手続を踏んで要求するということにしたらどうですか。
#212
○小川友三君 それが正しいよ。
#213
○中西功君 ではそういたしましよう。
  ―――――――――――――
#214
○委員長(櫻内辰郎君) では次は日本銀行法の一部を改正する法律案の御審議を願いたいと思います。
#215
○小川友三君 日本銀行法の一部を改正する法律案につきましては、社会党の波多野先生から修正意見が出ておりますから、先ず波多野先生から、修正意見に対する説明を承りたいと思いますが。
#216
○木内四郎君 いや、まだ質問があるよ。
#217
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑がありましたら、御質疑を先にお願いしたい。
#218
○木村禧八郎君 前に日本銀行の経理について質問して、よく取調べてから答弁するということになつて、残つておるのです。それは日本銀行の経理のうち、昭和二十三年下期の経費のうち、いわゆる賞與には、重役理事の賞與、その他が入つているかどうか。それから寄附金その他はどういうふうな勘定科目に入つているか、これは経費のうち、どういう所に入つているか、そういうことについて、この前お尋ねして置いたのですが、御答弁願いたいと思います。
#219
○政府委員(西原直廉君) この前御質問がございました只今の話の点でございますが重役の賞與その他給與はすべて人件費の中に入つております。それから寄附金は物件費の七億七千九百万円の中に入つておりまして、その金額は一千六百九十四万五千円ということになつております。
#220
○木村禧八郎君 理事の給與は人件費の中に入つている、併し賞與そういうものはこういうものの中に、半期賞與の中に入つておりますか、理事の……
#221
○政府委員(西原直廉君) 理事の賞與と申しますか、そういうものは全部人件費の中に入つております現在利益金処分といたしまして賞與を出しておりません。
#222
○木村禧八郎君 人件費の中に入つておるのですか。
#223
○政府委員(西原直廉君) 人件費の中へ入つております。
#224
○木村禧八郎君 それから寄附金二千六百九十四万五千円、これは物件費の中に入つているというお話なんで、その主なるものはどういう……
#225
○政府委員(西原直廉君) 寄附金の一千六百九十四万五千円のうち、主なるものを申上げます。通貨安定対策本部に対する寄附金が一千万円、東京外各地銀行協会に対する寄附金が百四十万円、明治大正金融史資料編纂所外学術團体に対する寄附金が百五十三万円、共同募金國際キリスト教学園外國際團体に対する寄附金が百十三七万九千円、地方諸團体に対する寄附金が百十一万三千円、その他が、いろいろありますが、百五十二万三千円と、こういうことになつております。
#226
○木村禧八郎君 その他というのは、どういうものでございますか。
#227
○政府委員(西原直廉君) その他これに類する小口のものであります。
#228
○木村禧八郎君 日本銀行は、これを見ますと、随分寄附金を方々に出しておりますが、このうちの通貨安定対策本部ですか、こういうものに対する寄附金は、筋が通つたものとしても、その他地方團体に相当寄附しているのですが、こういうのは日本銀行が、その経営をちよつと逸脱しているように思うのですが、これまでずつとそういうものはあつたわけですか。
#229
○政府委員(西原直廉君) 日本銀行も各地方に店舗を持つておりまして、全國に大体五十、本店を入れまして、五十三の支店及び事務所がございますので、そういうような関係からいたしまして、その支店のございます地方の團体等に、外のいろいろの方とのお附合のようなもので、寄附金を出すということがあるわけでございます。これも金額的に申しますと百十一万三千円でございまして、五十分の一に仮にいたしますと、それ程大きな金額にもならないかと思います。
#230
○木村禧八郎君 これは大藏大臣にきいた方がいいのかも知れませんが、取敢えず一應事務当局の考えとして我々考えますと、経理の内容なんか見ますと、結局納付金というものが、その諸経費を引いてから余りのものについて法定積立金みないなものを除いたものを納付金にするということになると、見計いみたいな感じがするのです。どうでも経費の方で伸縮できるように思うのですが、この納付金制度にする前に、発行税みたいにするような考えで何か研究か何かされておりますか。
#231
○政府委員(西原直廉君) 日本銀行の利益金を、結局税金の形で國庫に收納するか或いは納付金というような形で利益の出ましたものの中から経費を差つ引いた残額を、すべて國庫に納付する方法をとるか、いずれかの方法が中央銀行につきまして考えられるわけだと思うのですが、今後中央銀行の性格をどういうことにするかに從いまして、この方考え方もいろいろ変るのではなかろうかというふうに考えております。例えばこの前の金融制度の懇談会等におきましては、日本銀行の制度につきまして、やはり或る程度の発行税的な金額を先ず國庫に納付させまして、その上でいろいろな積立金とか償却を除いて、更に残額があつた場合に、これを更に納付するというようなことも考えられるのではなかろうかというような案もございました。大藏省の事務当局といたしましても、いろいろと研究をいたしております。ただこれらは結局日本銀行の性格をどういうふうにするかということと結び合わして考えられるべきものであろうというふうに考えております。
#232
○木村禧八郎君 我々に配付されました日本銀行法によりますと、経理というところで第三十八條に、「日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ毎事業年度ニ財産目録、貸借対照表及損益計算書ヲ作成シ毎事業年度経過後二月以内ニ之を主務大臣ニ提出シ承認ヲ受クベシ」それからその前の第三十七條に「日本銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ毎事業年度ノ経費の予算ヲ定メ事業年度開始迄ニ之ヲ主務大臣ニ提出シ認可ヲ受クベシ」こういうふうになつておりますが、大体その二十四年度のこういう経費の予算というものは、予め作つて提出されているわけなんですか。
#233
○政府委員(西原直廉君) 第三十七條の規定によりまして、毎事業年度の経費予算を予め定めて、事業年度開始前に大藏大臣の承認を受けるということになつておりまして、二十四年度と申しますか、この上期の分につきましても同じように承認を受けております。
#234
○木村禧八郎君 そういう場合に、予め予算を計上して行く、それから納付金については、これからの営業收益によつて分らないのですが、そういう納付金についても、予め予算を立てて主務大臣にこれを出して行くものなんでしようか。
#235
○政府委員(西原直廉君) 日本銀行法の経費につきましては、大体過去の実績から推しまして、経費予算を作りまして、これによつて承認を受けるということにいたしております。それから納付金は、結局利益が幾ら出るかということを計算しなければならないことになるのでございますが、これにつきましても、やはり大体過去の実績、今後の通貨の趨勢等を勘案いたしまして予算を組んで、そうして納付金の計算をいたします。從いまして今の度二十四年度の國庫予算におきましても、納付金の金額というものは大体予想いたしまして、納付金の收入金を計上してあるわけであります。
#236
○木村禧八郎君 二十三年度の收支計算については資料を頂きましたが、二十四年度の予算についても資料を頂きたいと思うのですが。
#237
○政府委員(西原直廉君) 資料は書類として後程差上げます。二十三年度のあれと同じような形で……
#238
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
#239
○波多野鼎君 一部を改正する法律案の第十三條の三の九号、誰か質問があつたかも知れませんが、政策委員会の仕事として、委任された信用の調整に関する政策事項及び金融機関の檢査ということになつておるが、政策委員会が金融機関を檢査するわけなんですか。
#240
○政府委員(西原直廉君) これは、「他ノ法律又ハ契納関係ニヨル政策委員会に委任セラレタル信用ノ調整ニ関スル政策事項及金融機関ノ檢査」、この檢査と申しますのは、場合によりましては政策委員会が行う、直接実地に現場において行こうこともあると考えられますが大体のところは結局この政策委員会のメンバーといたしましては七人でございますので、実地檢査というようなことは、日本銀行の職員に命じて行わせるということになるのではなかろうかと考えます。
#241
○波多野鼎君 それも一つなんだが、問題となるのは、日本銀行における政策委員会の性格がやはりはつきりしないのです。政策委員会は大藏大臣の答弁によれば、これは最高の立法機関なんです、政策作定の機関なんです。政策の執行機関としては日本銀行総裁以下の職員があるわけです。そこで政策作定機関である政策委員会が金融機関の檢査をやるときがあるというようなことは、この政算委員会の性格を甚だ妙なものにしてしまうことになりはしないですか。
#242
○政府委員(西原直廉君) お話の通りに、政策委員会といたしましては人数も少いことでございますから、結局はどの銀行を檢査するとか、或いは檢査の方法としてはどういうことを行うとか、或いはどういうような点を特に注目して檢査を実行する、又檢査を実行した後の檢査の報告を受けますが、それをいろいろ今後の監督とか信用政策を行う上においての資料といたしまして用いる、こういうことを行うのではないかと思います。
#243
○波多野鼎君 これはこういう間違いじやないですか、これは信用の調整に関する事項及び金融機関の檢査に関する政策、こういうことではないのですか、方針を決めるということではないのですか。
#244
○政府委員(西原直廉君) これはいろいろな経緯から考えますと、ただ檢査の方針を決めるということでなくて、幾らかそれよりも廣い観念だろうと私共は考えております。ただ併しこれは現実の問題といたしましては、結局檢査の方針を決めることがまあ大部分と申しますか、殆んど全部になるだろう、こういうふうに考えております。
#245
○波多野鼎君 それから第十三條の三の四号の「公開市場操作ニ於ケル種類」というような言葉が出て來ておるのだが、妙な文章だと思うのですが、「爲替手形及有價証券ニ付行フ公開市場操作ニ於ケル種類」、これは簡單なことの意味じやないですか。どういう証券を賣買してもよろしいかということを決めるという意味のことではないですか。
#246
○政府委員(西原直廉君) お話の通りでございます。
#247
○波多野鼎君 そうしたらもう少し文章を日本人に分り易くした方がいいのではないですかね、どうしてこういうふうにむづかしいことを書くのか疑問なんです。
#248
○政府委員(西原直廉君) 私の考えといたしましては、結局第十三條の三の四号におきましていわゆるマーケット・オペレーションを行うのであるということを明瞭と言いますか、一般にむしろ分り易くするという意味で「公開市場操作」という文字を使つたのであります。
#249
○波多野鼎君 余計なことなんだが、こんな言葉を使わなくてもいいんじやないですかね。
#250
○木村禧八郎君 「日本銀行ノ賣買スル電信爲替」、というのはマーケット・オペレーションの方に掛かるのですか。
#251
○政府委員(西原直廉君) やはり、マーケット・オペレーションの一つの対象として考えられるというふうに考えます。
#252
○木村禧八郎君 電信爲替のマーケット・ペオレーションということはどういうことなんでしようか。一つ具体的に御説明願いたい。
#253
○政府委員(西原直廉君) 現実には今行われておりませんものですからあれでございますが、將來の問題といたしまして、そういうような必要がある場合に電信爲替について賣買を行うということがあり得るのじやないか、こういう意味であります。
#254
○木村禧八郎君 將來ということはどういうことを予想しておられるのでしようか。これはですね、非常に暫定的なものであるという御説明なんです。最初提案されたときは……。もつと根本的なものについては今後又作るというお話、これは暫定的なものです。そういう意味なら当面のことについての政策委員会であるべきなんですが、それが將來のことまで予想して規定されておるということになると、これが非常に根本的な性格を持つて來るのですが、その点は如何ですか。
#255
○政府委員(西原直廉君) これは暫定的かどうかということについては私よくあれはいたしませんが、政府委員会は日本銀行の一つの機関でございますので、日本銀行で行いますいろいろな機能というような意味で、將來行い得るようなものをここに掲げてある、こういうふうに考えております。
#256
○波多野鼎君 やはりその四号ですが、その次ですね……、賣買する手形、國債の種類、それから條件及び價額並びに開始及び停止の時期と直ぐ出て來るのですが、開始及び停止の時期というのは公開市場操作の開始及び停止の時期、こういう意味なんですね。
#257
○政府委員(西原直廉君) そういう意味であります。
#258
○波多野鼎君 それならそういうふうに文章を書き替えて出すべきだと僕は思うが、こんな分りにくい日本文は珍らしい、今言つたような意味に書ける、そういう点は一体どうなんです、我我はこういう日本文は初めて接するものだから一々文字を入れないと分らないのでが、……
#259
○九鬼紋十郎君 日本銀行法の第四十六條を見ると、日本銀行監理官というものがあるのですが、監理官は「日本銀行ニ命ジ業務」……、それから「諸般ノ会議ニ出席シ意見ヲ述フルコトヲ得」と、こういうことが書いてあるのですが、そうしていろいろ日本銀行の業務について監督的な位置になつておるわけですが、今度の政策委員会の会議に対しては、これは出席してやはり意見を述ぶることができるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#260
○政府委員(西原直廉君) その点につきましていろいろ御尤もなお話もあると思うのでありますが、この法律の点からしますれば、政策委員会もやはり日本銀行の会議の一つになると思いますので、監理官は出席して意見を述べることはできるということに解釈上相成ると思います。
#261
○九鬼紋十郎君 今度できる政策委員会というのはこれまでない制度であり、尚性格も從來とは非常に変つておると、こういうふうに考えるのでありまして、その監理官の制度というものは、從來の日本銀行の理事会といつたようなもので結局会議に出席して意見を述べることができる、或いはその各役員等がいろいろの違反行爲をしたときはこれを又、何ですか、四十七條によつて解任することができる、主務大臣に通達して解任することができる、こういうようなことになつておるのですが、政策委員の者に対してはそういつた権限はあることになつて來るのかどうか、仮にそれがあるということになつて來ると、政策委員会の方に権限を持つたそういつた日本銀行内の監理官というものが存在するようにも考えられるので、立法の趣旨からちよつと矛盾するように考えるのですが、そういつた点はどうですか。
#262
○政府委員(西原直廉君) 今度政策委員会がこのような形で置かれるようになりました関係から、いろいろ今のお話のように檢討を要する点は非常にあろうというふうにも考えられるのでございますが、政策委員会は日本銀行の一つの機関でございまして、この前からいろいろお話ございましたように、日本銀行を大藏大臣がやはり大体從來の関係のままで監督するということになつておりまして、その監督の点におきましては日本銀行監理官が大藏大臣の命を受けて業務をいろいろ管理監督をする、こういうことに相成つております。やはりそういうような意味におきまして日本銀行の監理官がいろいろの会議に出席し、そこに支店長その他いろいろの会議がございますものですから、そういう会議に出席いたしまして意見へ述べるということになります。
#263
○波多野鼎君 それから條項の第七号ですが、これは証券業者に対する金融機関の貸付、投資並びに貸付の担保の種類というものを規定しておると思うのですが、この証券業者に対する貸付の統制とか、こういうものは担保に取つてはならんとかいつたようなことが今行われているのですか。
#264
○政府委員(西原直廉君) 只今のお話のような金融機関が証券業者に対して貸付をする場合の統制といたしましては、金融緊急措置令に基く融資準則によつて行うということだけでございまして、証券業者に対する金融についてはその総額とか或いは爲替の、荷爲替の金融とかいうような種類によりまして若干統制があるわけでございます。
#265
○波多野鼎君 今この店七号に規定してあるようなことは、まだ統制しておらんわけですね。
#266
○政府委員(西原直廉君) この第七号は大体何と申しますか、マージン・リクアイアメントというようなものを考えておるわけだと思いますが、これについては直接そういうような統制は今のところございません。
#267
○波多野鼎君 やつておりませんでしようね。
#268
○政府委員(西原直廉君) ございません。
#269
○波多野鼎君 それから第十号には、主務大臣を経由して國会に報告する事項を掲げておるのです。そのうちのイは分るとして、ロですね、「必要ナル法律ノ改正」ということ必要な法律の改正ということを國会に対してこの委員会が報告するということはどういう。意味なんですか。
#270
○政府委員(西原直廉君) 「必要ナル法律ノ改正」と申しますのは、その政策委員会といたしまして考えました必今なる法律の改正に関する意見のようなものとか、或いは政策委員会がいろいろ関係いたしておりますような関係の法律で、すでに改正された事項、又若し將來のことになりますれば意見を政府なんかに出しましてそれがこの通りに改正になつたのであれば、そういうふうになつたというような、そういう改正に関する事項を意味するものと考えております。
#271
○波多野鼎君 そういうことを言いますと余計分らんですよ、これは改正上の要望ということなら意味が分るのだが、法律を改正するのは國会なのだから……、改正された結果について又國会に報告するというと、却つて意味がどういうことか分らなくなる。
#272
○政府委員(西原直廉君) 私のあれといたしましては、日本銀行の政策委員会から意見が出て、こういうふうに改正になつたというようなことを一つの年間的な報告といたしまして、金融関係のものを纏めて、書類をレポートして置く、こういう意味だろうと思います。
#273
○木内四郎君 改正して意見を出すという味意じやないか、こういうふうに改正した方がいいという問題を出す……
#274
○政府委員(西原直廉君) そういう意味も非常に含んでおるだろうと思います。
#275
○九鬼紋十郎君 今の点でございますが、私はやはり政府委員の説明されたように、結局過去のいろいろの改正、殊に日本銀行関係の改正についての事後の何と申しますか、報告といつたことだろうと思うのですよ、そういつたことになれば、このイロハニは全部報告事務のようなものだから、むしろ政策委員会が報告しなくても、日本銀行総裁が報告すればいいと思うのですが、そういつた点につきましてもやはり日本銀行総裁が日本銀行の業務の最高指揮官であるか、或いは政策委員会がその最高の何と言うか代表者であるということか、その性格が非常に曖昧だと思うのです、だからこういうような問題は、日本銀行総裁から報告すればいいように思うのですが如何ですか。
#276
○政府委員(西原直廉君) 政策委員会といたしまして、いろいろな金融政策を決定いたします上におきまして、各金融機関の状態とか、或いはその收支の状況、又法律の改正に対する意見、或はその後の経過、或いは金融機関をこの各号によりまして或いは契約関係、その他で監督をいたしておりますので、そういうような事項等は、政策委員会の所轄と申しますか、権限事項として行なつておりますので、そういうような意味から自分の責任を明かにするというような点を考慮されて、政策委員会が主務大臣を経由して國会に報告の義務をいたします。それで結末を付けよう、こういう意味でございます。
#277
○九鬼紋十郎君 そういうことを聽くと、ますますむしろ政策委員会というものは日本銀行内部のオルガンになるのだから、日本銀行総裁がやつていいように思うのですが、代表の意味で以て……
#278
○政府委員(西原直廉君) 只今の政策委員会が國会にこういう報告をいたします場合には、議長の名において、議長が代表して行うことになるというふうに考えております。
#279
○木内四郎君 政策委員会のうち大藏省を代表する者一人ということになつておりますが、勿論これは官吏の資格を保持しているのでしようね。
#280
○政府委員(西原直廉君) 官吏の資格で参ります。
#281
○木内四郎君 日本銀行監理官をこれに充てるという考えじやないのですか。
#282
○政府委員(西原直廉君) 監理官を充てるという考えはないと思います。
#283
○木内四郎君 そうすると監理官に似た作用をする人が、働きをする人が二人あるというわけですか。
#284
○政府委員(西原直廉君) 監理官と政策委員会の委員とは少し機能が違うものと思うのです。監督という面を主にいたしますのと、政策を決定するという面を主にいたします人と、少し違う点があるのじやないかと思います。
#285
○木内四郎君 やはり委員会に出て政策委員等に或いはそれ以上に意見を述べることができるのですね、監理官の方は。
#286
○政府委員(西原直廉君) お話の通り法律によりまして考えておる者はできるわけでございます。
#287
○天田勝正君 これは過日貰つた資料なのですが、今度の改正の部分を除きますれば、昭和十七年法律第六十七号が全部そのまま適用されるのですか。
#288
○政府委員(西原直廉君) その通りでございます。
#289
○天田勝正君 そうだとすると、私は非常におかしいと思いますのは、この日本銀行法の四十八條に罰則規定がある、これを見て行きますと、総裁、副総裁がこれに違反した場合は五千円以下の過料に処す、こういうことになつておる、それから今度は、この改正法の十三條の六というところを見ると、在任中その意に反して罷免されることがないというようなことでありまして、身分の保障などがずつと書いてある、大きな権限を與えられるものはやはり大きな責任と義務というものがぴつたりくつ着いて離れないものではないかと私共は考えるのだけれども、今日外の法律を見ますると、例えばこの米五升を以てそれを賣ろうとした場合でも、自分の持つているものを賣るというだけでも今日の日本の現状からすれば三万円もの罰金を取るという場合も一例としてある、それがこのような大きな権限、言うまでもなくこれだけの大きな権限を與えられている人たちが、一体この罰則において五千円以下の過料と言つて、罰金という言葉を使つていない、これは私共にはただ権限だけを與えて、一向責任の方は取らせないというような、何かお手盛案のような氣がするのですが、この点はどういうことですか。
 それからもう一つ、この法律の、この法律というのはこの十七年の法律で、これの方の附則を見ますると、勅令によつて定める云々ということが盛んに書いてあるのですが、このことはこの法律にいたしましても、二十二年法律四十六号、二十二年同じく百九十七号というので改正している、これは新憲法の前かあとか知りませんが、こういうものがそのままになつていて、今度それがこの改正にそういう言葉を整理する、言葉を整理するということは勿論精神も整理しなければならないが、そういうことを何故なさらなかつたのですか、この二点を先ず伺います。
#290
○政府委員(西原直廉君) 最初の御指摘受けました点は過料と申しますか、罰則が非常に軽いという点でございますが、一般的に只今ございます銀行法にいたしましても、その他の各法律にいたしましても戰前にできました法律でございます。又日本銀行法もお話ございましたように、昭和十七年にできました法律でございまして、その当時でございますれば五千円の過料というものは相当な罰金であつたのでございますが、現在におきましては相当低く相成つておりまするので、こういうものにつきましては將來いろいろ根本的にいろいろな点で各方面に改正を必要とする点があると考えられますので、そういう場合には十分現在の実情に合うような直さなければならないというふうに考えております。
 それから第二の点の、この法律が勅令とございますのが非常に現状といたしまして不適当だという点でございますが、これは日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律によりまして、その当時ございました法律の中で勅令とございますのは政令と読み替えるものとするというふうに規定されておりますので、現在といたしましてはこれは政令と読み替えるという取扱いになつているのでございます。
#291
○天田勝正君 私の質問しました第一の点ですね。これは將來の問題ではなく、現在と比較した場合でもやはり私はバランスがとれないのではないか、私は本來このいろいろな罪などは極めて軽い方がいいという意見を持論として持つておるのです。併し不公平というものが一番いけないことであつて、農民の方から見ればただ自分の持つているものを賣つた。而も供出をしないのではなく、供出をしていて、その上に賣つたというだけで今も申上げましたように三万円の罰金を料するということはちよいちよいある、而も超過供出を一〇%は一つ強制的に取上げるという法律さえ出そうと今日政府はしているのであります。こういうようなとき、このことは私はそれは支持いたしませんけれども、結局これらの罰則を重くいたしまして國策に協力させるという必要がそういうところに私は現われて來ると思う、こういうところから考えますと、比較いたしましても、この四十八條はこのような経いことでこれだけの権限を與えられている、こういうことでは國民がやはり納得しなくなるのですね。私は人の先に立つて、人よりも地位を余計與えられるというものは人よりもみずからを苛酷に扱うということでない限りは、とても尊敬を受け得ないとこう思つておるのです。それをこのままにして置く、そうして権限だけやたら法を通して與える、これはどうしても納得ができない、將來の問題じやありませんから、私はむしろこの際考え直されて、何も罪を沢山決めようというのじやございません。併し一般國民はかような苦しい法律でも守つておるのでありますから、特に優位の地位にあるところの日本銀行の総裁、その他の役員、これらの人たちは普通にやつておれば、容易に法律違反になる筈がない、余程の間違を犯した場合にこういうことになるのでありますから、当然これは一つ出し直された方がいいのではないか、出し直される御意思があるかどうか伺つてみます。
#292
○政府委員(西原直廉君) いろいろ御指摘の点は御尤もな点でございます。先程申上げましたように銀行その他各金融機関一般の業に共通の問題といたしまして、この罰則が現状として非常に軽くなり過ぎているという点がございますので、昨年來金融制度一般について檢討を命ぜられております。その結果としまして、それと同時に全面的に檢討を要する点は檢討するということにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#293
○波多野鼎君 先程の質問の続きですが、第十号の今度ハですが、「当該年中ニ於ける監督政策ノ変更」というのは、監督政策が年々変るかも知れないということをここで予想しておるわけなんだが、この監督政策というのは一体どういうことなんですか。内容は……
#294
○政府委員(西原直廉君) 監督の政策といたしましては、金融機関に対する監督という点から申しますと、いろいろ取引の契約等によりまして金融機関に貸出の方法とか、その他について條件を附けておる場合がございますので、そういう面で政策の変更等がございました場合に、そういうことを記録すると、こういう意味でございます。
#295
○波多野鼎君 監督という概念から行くと、そういうことじやないのですよ、貸出の條件なんか附けて行くのは、これは政策なんです、條件を変更するということは、この條件は守つているとか、守つていないとかいうことが監督なんです。監督の政策の変更といえば、或る時は緩かに見てやり、おろそかに見てやり、或る時は峻嚴に見てやるということを意味するのです。そうじやないですか。
#296
○政府委員(西原直廉君) お話の点もあるかと思いますけれども、峻嚴とかなんとかいう意味よりも、むしろ何と申しますか、金融機関の、例えば一般的に、外のことで申しますれば償却、普通の事務の監督という意味から申しますと、金融機関の内部の留保を多くして償却を殖やすとか、その自己資本を充実、もつと外の方法で充実させるとか、又は大口の貸出を、成るべくしないようにするとかいうようなことも一つの監督の政策というふうに考えておるのでございます。
#297
○波多野鼎君  そう言われるとこの政策委員会の行う事項の中にそういうことがなくてはならない、そういう監督をするということがあつてそれの報告をやるというならば話は分るけれども市中金融機関に対する監督なすというのは一つもこれにはないのですよ。
#298
○政府委員(西原直廉君) 金融機関に対しましては契約の関係で監督をするわけでございまして、現実におきましては、規定はございませんが、例えば六号におきましては、日本銀行と契約関係を有する金融機関の日本銀行預け金も割合の変更というようなことは又金融機関に関係するわけであります。又現在においては法律的に與えられておりますのは、臨時金利調整法による金利の最高限度決定変更又は廃止でございます。金利につきましては、貸出金利、割引利率もございます、預金の利率もございます、保証料とか手数料的なものもこの金利の中には入るわけであります。
#299
○波多野鼎君 そういう日本銀行への預け金、或いはレザーヴ・リクアイヤメントの変更とか、或いは金利の上げ下げというようなことこそ金融政策なんだ、監督政策でも何でもありはしない、そういう政策に副うて金融機関がやつておるかどうかということが監督の対象により問題であると、こう思いますがね、だから監督政策と言えば、これは或る時には緩かにみてやるとか、或る時には峻嚴にみてやるというより外にない、そうじやないですか。
#300
○政府委員(西原直廉君) 私は必ずしもそういう意味ではないと思うのでありますけれども……
#301
○天田勝正君 私は参與のことについてききたいのです。今度できます政策委員会、それが今度は金融関係、商業関係、工業関係、農業関係、こういうような委員会任命されて、これらのものは悉く、参與に任命されるところの、学識経驗ある者、これとちよつとも変らないわけなんですね、内容は。この内容の変らないものを二重に作るというのは一体どういうわけです、大体政策委員会ができればこの参與の資格として規定されておる人たちが政策委員会の方へ入つて來る、こうまあ考えるわけなんですけれども、いまだに参與を置いておくという一体その意義はどこにありますか、それから参與が特に日本の金融政策にとつてこれこれの発言によつてこのように変つたというようなことは、随分長く注意しておりましても、そういうことが一遍もありません、事実は参與というのはどういう仕事をしておつたのです。規定は規定です、規定は規定であるけれども、どういうことで日本の一体金融構造に対して寄與したとか、ことういうようなことがあれば一つお知らせ願いたい、ただ総裁の諮問機関だ、これは実際は何か役員になるところのプールに一遍して置くとこういうようなことに実際は使われて來たのではないか。
#302
○政府委員(西原直廉君) 日本銀行の参與という制度は当初参與会というものがございまして、その後参與理事という制度ができたのでございますが、この現在参與になつておられます方々の数は十一人でございます。そのうち金融界の方が大体三人、産業界の方が四人、その他学識経驗者が……
#303
○波多野鼎君 ちよつと委員長途中ですが、記名投票がありますから一應休憩いたしまして引続いて続行することにしては……
#304
○委員長(櫻内辰郎君) それでは暫時休憩いたします。
   午後五時二十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時五十七分開会
#305
○委員長(櫻内辰郎君) 休憩前に引続き委員会を開きます。
 日本銀行法の一部を改正する法律案について御審議を願います。御質疑はありませんか。
#306
○波多野鼎君 この十三條の四ですが、政府委員会のところで「大藤省ヲ代表スル者一人」となつておる、ここに言つておる「代表スル」というのはどういうのを含んでおりますか。
#307
○政府委員(西原直廉君) 「大藏省ヲ代表スル」というのは大藏大臣ではないわけでございますが、大藏大臣の指名する大藏省の職員という意味でございます。
#308
○波多野鼎君 昨日だつたか一昨日だつたかの新聞に大藏省を代表するものとして、この委員に加わる人の下馬評というか新聞辞令が出ておつたのですが、それを見ると、何とか局長というのがその候補者である、大藏大臣が指名する候補者であるということが出ておつたのであります。それを見て僕の感じたことは一般に或る組織体を代表するという場合の代表というのは、その組織体の恐らくだろうと思うのです。これは役所についていえば、大藏大臣か若しくは大藏次官ぐらいのものでなかろうかと思つておつたのであります。一局長が大藏省を代表する資格を持つものですか。
#309
○政府委員(西原直廉君) この政策委員会の委員といたしましての仕事から申上げますと、外の任命委員の方はすべてフル・タイムの委員でございまして、そうして原則として他の職との兼職等も禁じられております上に、大体外の委員につきましては、すべて一日中日本銀行において勤務をするという関係になつております。從いましてその大藏省を代表する委員といたしましても、やはり殆んど本銀行に参ることに相成るというふうに考えておりますので、お話のように次官とか何とかいうことになりますと、常務も相当ございますので、そういうような意味から殆んどフル・タイムで日本銀行に詰め得るような人が大体代表する者として指名されることになるのではないかというふうに考えられております。
#310
○波多野鼎君 だから僕がきいておるのは、ここで代表ということをそういう場合に使うことが妥当であるかということをきいておるのである、局長ぐらいで代表者になれるのですか。
#311
○政府委員(西原直廉君) 大体こういうふうなことで、そういう大藏大臣が指名いたしますれば、それで代表する者というふうに考えております。
#312
○波多野鼎君 それでは大藏大臣が指名する者としたらどうですか、代表というと、どうしても一般の常識なり学問用語としてもそうだけれども、組織体の代表というならば、その組織の全般の事務に通じた者、そうして全般の事務について責任を持つ者というのでなくちや、代表という言葉は使えないのですよ。
#313
○政府委員(西原直廉君) 大藏省の全体の意思を表現と申しますか、代表して置かれるというような意味で、代表する者として書かれてあるのでございまして、その代表する者の指名といいますか、それを指定いたします方法として、大藏大臣が指名する、こういう大体形式をとることに相成ると思うのであります。
#314
○委員長(櫻内辰郎君) ちよつと申上げますが、大藏大臣がお見えになりましたから、大藏大臣に対する御質疑がありましたら……
#315
○波多野鼎君 今の点、大藏大臣から一つ御答弁願いたいと思います。
#316
○國務大臣(池田勇人君) 御質問の点は、「大藏省ヲ代表スル者」というその「代表」の意味のようでございますが、これは大藏省の職員を私が任命いたしまして、この政策委員会に出席させることにいたしております。
#317
○波多野鼎君 新聞辞令として、或る局長がその下馬評に上つておる、大藏省を代表する者として大藏大臣の指名を受くるのは大体こういう人だろうと、或る局長の名前が出ておつたので、そこで私が驚いたのは、或る組織体を代表するという意味は、恐らく普通の常識からいつて、又学問的に言つても、その組織体の全般について責任を持ち得る者でなければ代表とは言えないと思う、ところがその局長のごときが大藏省の代表者として大臣から指名される、こういうことであるとすれば、ここで「大藏省ヲ代表スル」という言葉を使うのが不穏当じやないかと、こう言つておるわけです。
#318
○國務大臣(池田勇人君) 特定の仕事につきまして、大藏省の職員を代表として指名することは差支えないと私は考えております。
#319
○波多野鼎君 指名することは差支えないのですよ、指定する相手方は、指名を受ける者が代表としての資格ありや否やということが問題なんです。
#320
○國務大臣(池田勇人君) その点は、大藏大臣が認めればよいのではないかと思います。
#321
○波多野鼎君 大藏大臣が、例えば或る局長をして大藏省を代表する者として認めれば、それで代表者の資格がつく、代表として世間へ通る、こう言われる、そういう御答弁のようですけれども、世界から見れば、そういうことでは通らないのじやないかと私は思うわけです。
#322
○國務大臣(池田勇人君) 特定の仕事につきまして、大藏大臣の代理としまして出す、任命する例は、個々の場合には沢山あるのでございます。例えば行政訴訟なんかにいたしましても、大藏大臣の代理として出す、こういうことは差支えないと私は考えております。
#323
○波多野鼎君 その点は後に廻して、第十三條の五のところに任期の満了後の問題が出ておるわけですが、その規定は十三條の五の三項ですが、この規定は一種の懲罰的な規定、そういう意味のものでしようかどうですか。
#324
○政府委員(愛知揆一君) 私から御答弁申上げますが、これは先般來お答えいたしておりますように、懲罰的なものとは私は解しておりません。ただ極めて短期間こういう仕事に鞅掌されました方が、金融監督というと又何でございますが、この委員会に関係のある金融機関に職を奉ずるということは不穏当であるということから、こういうふうになつております。
#325
○波多野鼎君 この規定と、あとの附則の第二項にある規定と合せて見ますと、第一期の任命委員の任期は一人については一年、一人については二年と、こんなふうに四年じやないのです。そうしますと、第一期の委員として選ばれて一年の任期になつた人は、退職後二年間は、本当に一年間の仕事は十分やつたのだけれども、二年間は金融機関に地位を占めることができないということになるのですか。
#326
○政府委員(愛知揆一君) そういう場合には、その通りでございます。一年やつて退任しました場合には、二年間就き得ない、ただ併しながら十三條の五の二項で再任されることができますから、その点と合せてお読み願いたいと思います。
#327
○波多野鼎君 再任されることは、それは勿論あるでしようけれども、それは必要的な問題じやないのです。必要的なものとしては、再任ということは予想されませんから、こういうような規定がありますと、第一期の委員に非常に優秀な委員を選でということは、非常に困難になるのじやないかと思います。
#328
○政府委員(愛知揆一君) これは制度的な問題としては、最初から四年ということに限定いたしますと、一時に全部の方が変ることが予想されますので、建前としては一年、二年、三年という制度を作るわけでありますけれども、同時に相当重要な職でもございますし、適任者を求めることは非常に困難でもあろうかと思われますので、実際問題としては、私は再任の規定というものは非常に重視される場合が多いであろうと、かように考えております。
#329
○油井賢太郎君 ちよつと大藏大臣に緊急お尋ねしたい点があるのですが、國会の会期ももう終りに近づきまして、我々といたしましては、あと暫くは、或いは三ヶ月くらいは休会に入るかと思うのでありますから、この際特にお尋ねしたい点があるのです。
 それは昭和二十三年度の租税及び印紙收入というような政府の收入が、相当見込みよりも殖えておるというのは、これは隠れもない事実でありますが、大体それが三百億と言われ或いは五百億と言われておりますが、その金額の大体の見通しはもうおつきになつたと思いますが、目下のところどの程度になつておりますか。
 それともう一つは、歳出の分につきましての二十三年度の予算と政府支拂との差が大体どの程度になつておりますか。この二点を取敢えずお答え願いたいと思います。
#330
○國務大臣(池田勇人君) 租税收入の自然増收は、大体二百五十億円前後と考えております。法人税或いは勤労所得税につきましては増收でございまするが、事業所得税の千二百億円につきましてはちよつと赤字が出ており、その他の税には黒字のものも赤字のものもありますが、大体二百五十億円前後と考えております。
 二十三年度の不用額につきましては、正確な数字が分りませんが、大体六、七十億円ではないか、合計三百億円程度と考えております。
#331
○油井賢太郎君 三百億というと相当の巨額になつておりますが、これの現在の運営状況はどういうふうになつておりますか。只今日本銀行の法案が審議されておりますが、これに関連しまして、日本銀行関係の政府委員からもその詳しいことがお分りでしたらお聽きしたいと思いますが、政府預金として預金されておるのですか、或いはその政府預金の形から、更に形を変えて指定預金というようなことで以て市中銀行に放出されておりますか、その割合、或いは金額等お分りになるだけお答え願いたいと思います。
#332
○國務大臣(池田勇人君) 今年度の初め頃、即ち四月頃におきましては、指定預金といたしまして五百億円程度の指定預金をいたしました。併し二十三年度の支拂いがどんどん促進いたしまして、今では指定預金は、極く最近のは知りませんが、四、五日前は二百十億円程度であつたかと思います。そうしてこの三百億円になんなんといたしまする前年度の剰余金につきましては、日本銀行の預金として、預金という形式であるのであります。で、この使い方につきましては、御承知の通り半分は財政法によりまして國債の償還に充て、あとの半分は剰余金として使用し得ることに相成つておるのであります。只今のところは御承知の通り、歳出は大体月割的に平均的に出て参ります。それから歳入はなかなか年度の初めには入りにくくて、年度の後半期にどんどん入つて來る、こういうので、この前年度剰余金及び自然増收の三百億円を使い、足りないところは、大藏省証巻でこの年度の前半を賄つて行きたいと、こう考えておる次第であります。
#333
○油井賢太郎君 大分二十三年度の自然増收が多いのでありますが、これは結局は税の軽減等にお使いになる御意思がおありになるか、或いは他の方面にお使いになられるような御意思であるか、その点お聽かせ願いたい。
#334
○國務大臣(池田勇人君) 私は予算審議をお願いいたしております場合に触れたかと思うのでありますが、できればこれを減税の方に充てたいという考えを持つております。併し財政法上は半分國債償還ということになつておりますので、これを変えても、とにかくこの際減税とか、或いは必要な方面に向けて行きたいという氣持を持つております。
#335
○油井賢太郎君 減税に充てたいということで、結構なお話で、我々も意を強くするのでありますが、会期はそうしますと今日で以て終りになるか、又明日で以て終りになるか分りませんが、約三ケ月ぐらいの休会であつて、その後に九月頃に更に補正予算の臨時國会を開催するというようなことは、新聞にちよいちよい見えておりますが、大体そんな工合に心得ておいてよろしいものですか。
#336
○國務大臣(池田勇人君) 税制に関しまするシヤウプ・ミツシヨンの結論の出ようでございますが、私は結論が出まして、そうしてこの前年度剰余金、或いは價格補給金の方について減額し得る財源が見込まれましたならば、早急に税制改正をやりたい、或いは今議会で問題になりました六・三制、その他の教育費の問題、或いは災害復旧の問題、その他緊急な支出につきまして再檢討を加えたいと考えております。
#337
○油井賢太郎君 更に昭和二十四年度の予算がもう二月も実施されておるのでありますが、租税、或いはその他の財政面の收入が予定通り運んでおるのですか、それとも相当狂いがありますか、世間では最近ディス・インフレという現内閣の政策にも拘わらず、相当のデフレ傾向を示しておつて、或いは破綻を來しはしないかというような懸念も相当されております。そういうときに今後の見通しとしても、税の收入ということについては、相当狂いがあるのじやないかと懸念されております。又取引高税等においても、実際の予算と現在收入になつておるのとも、食い違いもあるのではないかと思うのでありますが、その点どんな工合になつておりますか。
#338
○國務大臣(池田勇人君) 税の問題につきましては、先程申上げましたように事業所得税につきましては、少し赤が出たと思います。二十三年度におきまして取引高税が予定通り入らなかつたような状況でございます。何分にも年度初めの租税收入というのは、非常に入りにくいのが從來の例でございまして、殊に今議会で御審議願いましたように所得税の申告は、普通ならば四月の四日から三十日までに申告して納税するのでございますが、議会の関係上実は私としては、所得税につきまして今議会に改正案を出したいという氣持があつたものでございますから、所得税の納期を延ばしまして、六月と、こういうことにいたしておる関係上、只今は異例的に所得税が四月に入るのが六月になつており、その他の税につきましては、極力いわゆる早期に、早い機会に徴税して、歳出は毎月々々平均で出る、殊に今年は災害復旧費なんかは氣候の関係で非常に進んでおりますので、第一四半期にうんと出すような計画をいたしております。併し歳入の方は、所得税に特例を設けましたし、今の場合例年よりもちよつと惡いようでございますが、十分早目に所得税等の徴收するよう努力いたしております。今年度の收入につきましては、たびたび申上げておりますように、大体五千百億円程度の收入が確保できると考えております。ただ技術的にはそれだけの税金をいつ取るかということになりますと、方針は成るべく早くからとつて行きたい、こういう考えでございます。
#339
○委員長(櫻内辰郎君) 他に御質疑はございませんか。
#340
○天田勝正君 先つきから実は事務的なことを可なり、質疑をいたしまして、まだその答弁が残つておるのですが、折角大臣が見られておりますから大臣に質問します。
 この法文の一体書き方が相当無理がありまして、十三條の二という所から九ぐらいまで、ただこれを入れたというだけでありますけれども、可なり大部なものを入れまして、普通で言えば、私はこれはずつと急がずして入れたならば第何條々々、又あと繰下げるとか、普通そうされておると思うのです。それがこういうように可なり急いでこの條文を作つたということは明かでありますが、而も相当不備な点があります。ところでこうした急いで法律をどうしても作らなければならないという理由と、このことをお聽きするのは、すでにあと二ヶ月か三ヶ月で必ず臨時國会が開かれるということは明かであります。それまでに待たずして、今日只今直ぐこの法律を適用しなければならないという特別な理由が何かおありでありましたら御説明願いたいと存じます。
#341
○國務大臣(池田勇人君) 御承知の通りに今回の予算は、一般会計のみらなず特別会計、政府関係諸機関におきまして完全なる均衝予算を作つたのでございます。そうして財政面が金融面におんぶすることもなくいたしました。本当に今度は金融面におきまして、いわゆるディス・インフレの線に沿つて民主的に、或いは銀行が公共性をうんと発揮するようにしなければならん、その意味におきまして、この日本銀行法の一部改正を出した次第でございます。急いだから法文が惡くなつたとか、こういう意味のものではないのでございます。今回の予算の一連の法律案でございますのでこれは……
#342
○天田勝正君 ではこの國会におきまして、これが仮に否決になるといたしますれば、どのような支障が來たすのでありますか、
#343
○國務大臣(池田勇人君) 否決になつたらどういうふうな支障があるか、今の分で賄うのには日本銀行の公共性、民主性というものが十分に発揮できないから御審議願つているのであります。
#344
○天田勝正君 ではその他の点について伺いますが、今回の改正は主として政策委員会に関することであります。その政策委員会の代表の中、重要な二つの椅子は政府の代表者が入ることになつております。特に大藏省を代表する者という先程のお言葉がありますように、そうした大藏大臣の代理とも思う人がこの政策委員会に入りまして、すべての業務を監督もできれば、又執行すべき政策も決定できる、こういう立場に置かれておりまして、関連いたしまする四十二條以下の監督でありますが、これにどうしても銀行監理管を置かなければならないという、私共から見まするとこれは何も必要のない、重複している機構ではなかろうか、つまり一方は最高政策を決定いたしまするのに、やはり大藏省の代表者がいる、一方はやはり大臣の任命を受けてそれを監督する、当然この政策委員会の職務からいたしまして遥かに、いわば上位の人が任命されるだろうと思いますのに、逆に銀行監理官の方は常識から考えましても、その政策委員会の人よりも普通下位である人が任命されると思います。そうした重複した銀行監理官によつて一体その監理が十分できるかどうか、これに甚だ疑惑を持つのでありますが、そうした必要はなかろうと存じますけれども、どうしても、必要であるという理由を御説明願いたいと存じます。
#345
○國務大臣(池田勇人君) これは大藏省を代表いたしまして政策委員会に出席いたしますものは、大藏省の代表者として政策決定について意見を申述べるのでございます。從つてこの代表者は安本を代表する者と共に決議に参加することはないのでございます。ただ何と申しますか、連絡機関と申しますか、私の代りに行つていろいろな意見を申述べるだけでございまして、決議権はございません。而してお話の日本銀行監理官というものは日本銀行の業務全体につきまして、その執行状況を監理するのでございます。而して又、この政策委員会に出ます大藏省の出る者と監理官とのことにつきましては、上と下の違いはないのでございます、おのずからその職務範囲が違つているのでございます。
#346
○天田勝正君 実は任命委員の権限と責任との問題について、先程事務当局におきましたのでありますが、それは任命委員の罷免される場合が十三條の六にずつと規定しておりまして、自分の意思に反して罷免されることは容易にないことになつております。然るに今度は罰則の方を見て参りますと、総裁にしてもこれらいろいろな投資が罰則を受けるというのは僅かに五千円以下の過科にしか処せられないことになつている、このことは別に多くの罰則を設けろというのを意味しているのではありません。ただ最近すべての法律が改正されます場合に、その罰則の改正は実にきついものがあります。先程も申上げましたように農民に対しては單に僅か一斗か二斗の供出をしない、或いは供出後において横流しをした、自分の持つているものをただ賣つたというだけでありましても、それを三万円くらいの罰金が來ている例が幾らでもあります。このことは私はこれに反対でありますが、そうした罰則を設ける理由は日本経済を再建するためにどうしてもかような処置が必要である、こういうことから來ているだろうと思うのであります。それから比較いたしますと、ここに規定されている罰則は余りに誰が考えても安過ぎる、罰金という言葉すら使つていない、こういう不均衝が結局國民の腐心を買つている基になります。ここにこれだけ大きな権限を持つておりまする日本銀行の機構がこのように安きに失するみずからの律の方、こういうことでは國民は到底納得いたさないだろうと存じますが、これに対しまする大藏大臣の見解を承りたいのであります。
#347
○政府委員(愛知揆一君) 第四十八條の罰則でございますが、罰則の不均衡という点については金融関係の法規について実は他にも相当事例がございます。この際におきましては日本銀行の総裁についての四十八條の罰則というような点については現在の事情に副わないということが言えるかも知れませんが、大体日本銀行総裁というような職責に基きまして、こういうふうな過料或いは罰金というようなことが又非常に制度としておかしいということも言い得るかと思うのでありますが、要は先般から縷縷御説明申上げておりますようにこの際としては政策委員会を作るということに徹しているわけでございまして、すでにお話もございますように日本銀行法の現行法の第一條、第二條等を根本とする全面的の改正ということを別途金融業法全体の整備改善というものと合せまして、成案を得次第國会の御審議を願いたいとこういうように考えているのであります。
#348
○天田勝正君 そうすると銀行局長はむしろ私共と違つて罰則については、罰則等は置かない方が本來妥当である、このようにお考えになつておりますか。
#349
○政府委員(愛知揆一君) そういう意見もあり得るわけでございまするので、それらを総合いたしまして、日本銀行法を初めとする一連の金融業法について十分檢討いたしまして成案を得たいと思つておるわけであります。
#350
○天田勝正君 それは誠に不思議な意見を承るもので、根本的に私共と考えが違います、私共は如何なる仕事に從事いたしましても指導的な立場に立つ者はみずから他よりも過酷に扱う以外には信用を受ける途はないとこういうのが私共の考えの起点であります。何と申しましても日本銀行総裁ともなれば、大藏大臣と列んで國民は注視いたしております。そういう立場の人がこの本法に背いた場合でも過科に済む、殆んどその辺で、極端に言いますと立小便をしたと同じような程度の罰則で済む、こういうことは到底一般國民は了解しないと思うのゐあります。こういう罰則を設けるのがむしろ妥当でないという意見があるというお話でありましたが、これはみずから強化された方が私は信用を受けるに適当であろうとこのように考えておりますが、これらの点も先つき申しました金融業法でありますが、それらのときに織り込まれるところの御意思がありますかどうか……
#351
○政府委員(愛知揆一君) 尚現行の第十九條によりまして、日本銀行の役職員全部は公務に從事する公務員とみなされるわけでございまするので、総裁以下全部役人と同樣の規制を受けるわけでございます。それの方がむしろ根本的な問題だと思うのでありますが、只今御指摘の点につきましても私共といたしましては十分考えまして、成案を得たいと存じます。
#352
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
#353
○油井賢太郎君 第十六條に参與という規定が出ておるんですが、これは或いは波多野さんあたりがもうおききになつたかも知れませんが、この参與の仕事と、いわゆる政策委員会委員の仕事というものは、大体どういうふうな点で違いがあるのであろうか、むしろこの参與というのはなくても政策委員会で全部やつて行けるように見受けられるのですが、何故これをお抜きにならなかつたかという点について……
#354
○天田勝正君 特にそれに関連しておりますから……、先程そのことについては、私が御質問申上げておりまして、答弁の途中で本会議に入つたのでありますから併せて一つ御答弁願いたいと存じます。
#355
○政府委員(愛知揆一君) 参與と政策委員会との関係につきましては、種々研究をいたしましたその結果こういうことになつたおるわけでございまして、その結論をお話いたしまする前に、参與なるものの如何なることをやつておるかという現状について簡單に申上げたいと思います。現在参與になつておりまする人は、金融界、産業界、学界、労働界こういう四つの方面から合計いたしますると、十一人の方を参與に日本銀行としてお願いしてあるのでございます。参與の仕事は何かと申しますと、ここにございまする通りでありまして、業務に関する重要な事項について総裁の諮問に應ずる、それから総裁に対して意見を述べることができる、こういうことでありまして、実際の運営上は現在日本銀行では、大体毎月一回総裁がそのときどきの金融情勢等を報告をいたしまして、それについてこれら各界の方々からいろいろと自分の業務執行上の参考になる意見を聽いておられるわけであります。実は政策委員会の構成とこれは非常な関係を持つものでありまして、若し政策委員会がもつと多くの方々から構成されるということを考えまするならば、或いは参與の制度は不必要かとも考えられます。併し御承知のように政策委員会の委員は原側的にフルタイムの勤務でもございまするし、又法律上決められたところの非常に重大なる仕事を毎日鞅掌して頂かなければならんということでありまするので、從つて人数も或る程度制限的に考えなければならん、そうして本当の適任者に、他の職業と関係を絶つてやつて頂きたいというようなことになりました結果、むしろ他に仕事を現実に持つておられて、各界の実相を十分掌握しておられる方、その他各方面の方が、一面に、兼職として総裁の諮問に應ずるような恰好を、並行いたして参つて方が少しでも日本銀行のやり方を民主化するという意味から言つて適当であろう、一見重複するようには見えますけれども、法律的に純法律論から申せば、その権限その他は非常に違つておりまするし、又実際運営上から申しましても、今申しましたような点がございますねので、これは両方両立して考えようということにいたしたわけでございます。
#356
○天田勝正君 私の先程の質問、大部具体的に分つて参りました。ただ私共はこの参與の役割が、いろんな報告に対して総裁が諮問する。こういうようなこと、或はときどきの経済界の情勢等について意見を聽くと、こういうようなことでありますなれば、敢てこれを日本銀行の役員の中に規定しなくても、そのときどきに應じてこれらのことについて聽きたいといつて、通知を出しただけでも、実は喜んで人が來て、意見を述べる立場に日本銀行というものは置かれておるんではなかろうか、こういうところにあるんです。そこでむしろこの役員として規定いたして置きますると、やはり今局長が御説明になりましたように、何人かの人数を規定しなければならないと思う、それが或一つの問題については、この範囲の人を呼んで來た方がいいと、又別のことについては別の範囲の人を呼んだ方がいいという極めてフリーにそれが運営ができるんではなかろうか、ところがやはり一應役員として規定いたしますると、いろんな予算やその他の関係もあつて、人数が決まつてしまう、こういうことになりますから、その人に意見をきくのが妥当どないという場合でも、やはり一應その十一人の人にお集りを願わなければならん、こういうことに実際の運用ではなつておるんではないかと思う、そこで、そういう意味も含めて私は御質問申上げたわけでありますが、そのような意味によつて、一つ考え直されるお氣持がありませんか。
#357
○政府委員(愛知揆一君) 今後どうするかということにつきましては、尚よく研究いたしたいと思うのでありますが、只今天田さん仰せになりました点について、日本銀行の実情から申しまするならば、この十一人の方は第十五條に基きまして、法律上できておる参與でございますから、今表現の仕方が如何かと思いますが、諮問ではございまするし、同時に参與側から意見を出し得ることになつておりまするが、むしろこれは総裁が法律上の義務として、そういう方々に対して意見を、実質的にいえば、少くとも毎月一回は意見をきかなければならないというような現在運営になつておるのではなかろうかと考えるわけであります。それからときどきの問題について、例えば石炭関係の問題について、これはむしろ業界なり或は労働界の意見げけを聽いた方がよくて、市中銀行などは呼ばん方がいいということも多々あろうかと思うのでありますが、これは常に日本銀行総裁自体の発意において、或は日銀の事務方の発意において、常時そういう会合をやつておられるようでありまするし、又只今御指摘の通り喜んで学界の方がそういう招きに應ぜられておるようであります。併しこれは飽くまでも日銀総裁が自己の発意において或は事務方が、自分らの意見を纏めるために催しておりますところの事実上の会合でございまするので、法的な、國会の御承認を得た、法律に基いての義務或はそれに等してようなものというものではないわけでありますので、只今のところは両建で参りまして、更にその上に成るべく学界の意見をよく日銀として聽かれるという態度をとられることを、私共大藏省の立場においては、非常に切望しておるわけであります。
#358
○委が長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
#359
○森下政一君 銀行局長にお尋ねしますが、私は率直に申しまして、この法律案を、会期が非常に短い、余すところ数時間という時に、くどくどしく言つて、握り潰してしまいたいとか、審議未了にしてしまいたいということは、微塵もありません、是非成立ささなければならんと思うのです。殊に日本銀行の改組ということは、終戰以來の懸案であつたし、財政と金融との区分を明解にする、財政面から新たに金融機関の資金を必要とするというようなことがないようにするというようなところに、この二十四年度予算の特色が、政府が示しておる通りにあるのでありまして、大変結構なことなんです。そこで世間の期待にも副うような改組がなされるということが非常に望ましいと思うのです。いろいろな御質問が各委員から出ているのでありますが、その御質問の生ずるゆえんを考ええ見ると、どうも法案全体の日本語が非常に難解だと思う、ちよつと見て了解し難い、特にこの銀行法の改正の一番主眼は政策委員会を設けたという点にあるんですが、これがもう生命だと私は思うんですが、その肝心の政策委員会、それがいわゆる今度の改正の一番大事な点であり、又政府の期待に副うゆえんものだと思うのでありますが、その政策委員会が何でやるんだということを書いている第十三條の三の第一号から第十号の間の日本語というものが非常にむずかしいと私は思うのでございますが、率直に私はそう考えるのだが、この意味をちつとも変えない、意味は変えないけれども、もつと分り易日本語で法律化することの方がいいのだと私は思うのですが、銀行局長どうですか、そういうお考えをお持ちにならんですか、私が日本語の分りが惡いのは頭が惡いということになりますか、どうでございましようか。
#360
○政府委員(愛知揆一君) 誠に恐縮なお尋ねでございまして、本法が非常に字句が練れてない点があるということは、私の日本語の能力を以てしても率直に承認いたします。ただ併しながら御承知のようにこの日本銀行政策委員会と申しますものは、必ずしも從來の観念における日本銀行或いは中央銀行の業務というものから必ずしも律し得られない、更に新らしい段階におけるところの金融法規のはしりになるという性格を持つておりまするので、例えば具体的に申しまするならば十三條の三の第六号に「日本銀行ト契約関係ヲ有スル金融機関ノ日本銀行預ケ金ノ割合ノ変更」という項がございます。これはいわゆる連邦準備銀行的な日本中央銀行と金融機関との間におけるところの預金の支拂い準備率を変更するというようなものでございますが、これは現在のところ原則の問題としてはまだこういう制度は日本の現状においては行われておりません。併しながら今後政策委員会が発足いたしました場合に、こういうことが一つの政策の狙いになるのではなかろうかというので、むしろ法文の方が先行していると申しますか、そういうような意味を持つているわけであります。同樣にことは第七号についても言えるのでございまして、第七号はいわゆるマージン・リクアイアメントの制度でございますが、これ亦現在の日本の中央銀行と金融機関或いは証券業者との関係においてはこういう制度はございません、ありませんけれども、それをなし得るように、委員会の任務として規定したということにおいて、可なり旧來の感覚から飛躍している面があるわけでございまして、そういうような微妙な且つ飛躍しているような考え方から申しまするならば、或る程度從來の日本語として必ずしも練れておりませんけれども、考え方のはしりを表わしているというような意味で御了解願いたいと思うのであります。又更に一例申上げますならば、第十三條の三の第四号等も必ずしもこれは練れておらんと思いますが、これ亦將來の何と申しますか外國的な感覚から眺めました場合に、中央銀行の業務として字句等を練りますような場合には、或いはこういうふうに書いて置いた方が適当じやなかろうかという配意も実はあるわけであります。
#361
○油井賢太郎君 実は日本銀行法では第二十三條で以て「必要アリト認ムルトキハ外國爲替ノ賣買ヲ爲スコトヲ得」という條項がありますが、「必要アリト認ムル」というような文字をわざわざ使つて外國爲替の賣買をするというのが原則としてはやらないということが日本銀行としての建前なのでありますか。
 それから第二番目には、現在は恐らく外國爲替の賣買は國内ではやつておらないと思うのでありますが、ドル勘定のいわゆる爲替関係につきまして日本政府或いは日本銀行というものが全然タッチしておらないで、全部日本以外の方でやつているのですか、その点を先ずお聞かせ願いたいと思います。
#362
○政府委員(愛知揆一君) 第二十三條の「必要アリト認ムルトキハ外國爲替ノ賣買ヲ爲スコトヲ得」とございますのは、この日本銀行法が作られました当時においては、御承知のように横濱正金銀行というのが特殊銀行でございまして、原則的に爲替取引を横濱正金銀行を中心にやつておつたわけでございますが、それに対しまして必要ある場合はというのが現在残つているわけでございます。從つてこういう点につきましても、今後第二に御指摘の点でございますが、そういう問題が逐次ほこれるに從いまして、更にいい中央銀行法を作り得る状態になるかと思うのであります。
 それから第二の点でありますが、これは御承知のように、外國為替委員会がすでに発足をいたしておりまして、外國爲替の取引その他についてはまだ外國爲替管理法が現在の状態においてはできておらんのでありますが、鋭意外國爲替管理委員会において関係の向と協議を進めておるように承知しておりますだけで、ちよ誠と私からは詳細にまだお答えでき得る状態にはないわけでございます。
#363
○油井賢太郎君 今の外國為替問題では、大藏大臣なら只今局長のお話によつて相当お分りになつておられるようですから、一應承つて置きます。
#364
○政府委員(愛知揆一君) これは外國爲替管理委員会は、御承知のように、総理大臣の所華に属する委員会でございます。委員会でございますが、同時に行政官廳でございます。ただ外貨の換算率その他につきましては、本來大藏大臣の所管に属しておるものがございますのでありますが、恐らく大藏大臣からも只今の問題につきましては的確にお答えする段階にないかと私も想像いたしております。
#365
○小宮山常吉君 日本銀行の一部を改正する法律案を数日に亘りまして審議をいたしましたので、審議を打切りまして討論を願いたい、そうして採決を願いたいと思います。
#366
○森下政一君 質疑を打切ることに私は異議ありませんがどう考えても私はこの日本語の分りにくいところは訂正してもつと分りよい法律にする方がいいかと思うのでありますが、波多野さんに修正意見があつて法制局を通じて関係方面に折衝していいところと惡いところとあつたようなんですが、その意味を変えなくてそうして、日本語をもつと完全にすることには一向関係方面も御異存がなさそうなんです。そこで私が波多野さんからその間の事情を聞き、ここの法制局長にも実際に折衝の衝に当つた、一應その間の事情を聽かして貰つたらどうかと思うのでありますが、そうしてお互いの努力によつてこれはもつと分りよい日本語にして直さんことには、今日も随分長い疑問でしたけれども皆字句が分からんから何のことだか分らんということから起つて來ておる質問が非常に多かつたのです。もつと分り易い日本語にして貰つたら國民が納得すると思うのです。例えば細かいことを言うと私は文法の学者じやないから分りません、分らんけれども十三條三号の「日本銀行ノ割引ク手形の種類」一体「割引ク手形ノ種類」なんという言葉を使うのですか、割引をすると言えばもつと分るように思うのですが、何か縫い物をして針はどんどん進んでおるのに後で糸がむすぼれておつて、ぐぐつと來て糸が詰つておるように頭に入つて來ないところが多いと思うのです。それだけはこの委員会の努力でもつと分り易い日本語にして今度の改正の一番大きな主眼であるところの政策委員会の使命が何だということをはつきりと分らせるくらいにしてこの法律案を成立さしたいと思うのです。さようにお取計い願いたいと思うのです。
#367
○委員長(櫻内辰郎君) 小宮山さんにちよつと申上げますが、今質疑打切りの御提案でしたが、その前に今森下さんのお話のように、法制局長に來て貰つて話を聽くことは如何ですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  ―――――――――――――
#368
○委員長(櫻内辰郎君) それではそういうことに願います。
 それからこの際ちよつとお諮りいたします。調査報告書を議長へ宛てて出さなくてはなりませんので、その報告書の案文を朗続いたしますから、御承認を願いたいと思います。
   調査報告書
  租税制度に関する件
 右の件に関し、まだ調査を終えないが、一應ここに多数意見者の署名を付し、その経過並びに結果を報告する。
 署名を付した経過並びに結果は、
  本委員会は、租税制度に関する一般的調査を行う目的を以て、委員会の決議を経て、本年二月十二日議長に対して調査承認を要求し、同日議長の承認を得た。
  よつて、休会中を利用して、二月下旬から三月上旬にかけて、税務に関する一般調査を行う目的を以て、第一班九州、第二班関西、中京、第三班東北の各地区にそれぞれ議員を派遣し実情調査を行なつた。
  その後法案等が累積し、その審議に忙殺され、所期の目的を十分に達成することはできなかつた。
  今般シャウプ博士を中心とする税制調査團の來朝により、我が國現行税法の再檢討が問題となつているので、本委員会は、税制改革に関する基礎的資料の整備と、それに基いて、税制改革の意見を纒めることを目的として、別途継続調査要求書を提出した次第である。
右調査の概要を報告する。
 以上のような調査報告書を議長に宛てて出して置きたいと、こう考えますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#369
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それではそう決定いたします。
  ―――――――――――――
#370
○委員長(櫻内辰郎君) それから、中西功君から資料の要件の件がございます。「復興金融金庫の大口融資先資金監査報告書」、特に麻生鉱業株式会社資金監査報告書、この提出を要求いたしますために、議長を経由して、そうして大藏大臣に宛てて要求をして貰いたいという御要求があるのでありますが、手続上、本委員会においてその必要ありとお認めになりますかどうかをお諮りいたします。中西功君のこの要求に対して、要求通りに要求するということに御賛成の方の挙手を願いたいと存じます。
   〔挙手者少数〕
#371
○委員長(櫻内辰郎君) 少数と認めます。よつて、この要求は要求通りに参らんということに御承知を願いたいと存じます。
  ―――――――――――――
#372
○委員長(櫻内辰郎君) それでは森下君、法制局長が見えたので、今一回どうぞ。
#373
○森下政一君 法制局長にお尋ねしたいのは、波多野さんが、只今審議中の日本銀行法の一部を改正する法律案について修正意見を持つておるので、その点について何係方面とあなたに御折衝頂いたそうですが、この法律の原案の趣旨を一部全然変更してしまうというふうな点は、關係方面の了解が得られなかつたというふうに聞くのですが、そうでなくして、日本語が非常に難解であるというようなものを、むしろこういうふうにした方が平易で分り易いのではないかというふうな点については、関係方面が、了承したのではないかと思うのですが、それをしも一字一句修正を了承しないというような事情にあつたかどうか、速記を止めてでも結構ですから、一つ御説明頂きたいと思います。
#374
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#375
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。小宮山君から御発議になつておりますように、討論に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#376
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#377
○波多野鼎君 この一部改正法律案はいろいろ事情を聽いて見ると問題があつたようでありますが、そうして我々に提出されたこの法律案を率直に眺めて見ると、全体として非常に奇異な感じに打たれるような日本文であつて、特に先程森下君から御指摘がありましたが、十三條の二及び十三條の三という二條に至りましては、これは本法律案の生命ともいうべき政策委員会の本質に関する規定なのでありますが、この規定が特に難解であり、且つ日本文としてなつてない文章が沢山出ております。一々例を挙げませんが、先程來の質疑應答によつて皆さんも御承知のここと思いますので略しますが、普通の知識を持つておる日本人がこれを読みましてどういうことであるか、その内容を知ることは殆んど不可能だと私は思う、又銀行業に携つておる人でも、これを読み下しまして一読その内容を理解するということは相当困難ではないかと思われるような、そういう日本文であります。で、我々が立法の最高機関といたしまして法律制定をやる場合に、このままで認めるということについては非常に良心的な苦痛を感ずるのであります。それから法律全体として考えまして、この政策委員会というものを是非共この日本銀行の機構の中に置かなければならないという理由においては財政と金融の分離とか、それから今後における金融界の役割の重大性とかいうようなことから、この政策委員会を日本銀行内に設けなければならないということになつておるという理由の説明でありますが、この政策委員会なるものを從來の日本銀行の機構全体を変えないで、これだけを新たに継ぎ足して行くということから生ずる從來からある日本銀行の機構との間の不調和、これが宣目立つております。特に先程から問題になつておる参與の問題なんかについては、はつきりその不調和な点が現われておると思うのであります。
 それから恵三に金融の公共性、或いは金融機関の民主化というようなことをこの政策委員会を作ることによつて実現して行こうというのでありますが、この政策委員会を作ることだけでは勿論その提案に盛られた趣旨は実現はできないと思い、特にこの金融事業の公共性ということを実現するということは、日本銀定内に政策委員会を設けたということではどうにもならない問題じやないかと思う、現にこれは予算審議の時から問題になつておりましたが、今度の予算はディス・インフレか、或いはデフレかということが問題になつておつたのです。その時に政府側はディス・インフレであつてデフレではないというような御答弁があつた。然るに現在の情勢を見ますと、その後日本銀行券の発行高はどんどん收縮いたしまして、昨日でしたか、一昨日でしたか三千億円を遂に割込んだというような状態が起きております。これは或いは一時的な現象であるかも知れませんけれども、とにかく相当ひどい金融梗塞というものが起きつつある、政府の方では議会あたりで要望されておる政府支拂の促進ということを一生懸命になつてやつておるようであります。併し政府の支拂がどんなに多くなりましても一般市中銀行の手にその支拂金が廻つて行きますと、それが自然に日本銀行に環流して行つてしまつて事業界には少しも潤おはないという状態が現に見えておる、このことは日本銀行の政策方法がどんなふうに変りましても、市中銀行を把握しない限り金融の公共性を実現するということはとてもできないということをはつきり示しておることであると思う、この法律案の提案の理由はこの法律案によつては実現されないということがその意味においてはつきりしておると考えるのであります。
 それから第四の点といたしまして、この政策委員会を設ける一つの趣旨としましては、日本銀行総裁がいわゆるワン・マン・コントロールをやつて來ておる。独裁的な権力を振い過ぎておる、この独裁的な権力を掣肘する必要があるということが、この政策委員会を設けようとする一つの趣旨であろうと思う、このことは政府側の答弁にも出ておりました。ところが日本銀行総裁が日本銀行の最高の政策決定機関である政策委員会の議長となる可能性をこの法律案は認めております。政策の最高の決定機関であるこの委員会の議長とそれから業務の執行の最高の責任者であるところの日本銀行総裁とが一人の手によつて握られるということになりますれば、これはワン・マン・コントロール日本銀行総裁の独裁を掣肘して行こうという趣旨がここで毀われてしまう、そういう意味におきまして、私は日本銀行総裁というものは、これは業務執行の最高責任者としてそうして政策委員会の議長になるべきじやない、政策委員会で決定された政策を忠実に執行する最高の責任者となるべきだという意味の修正案を出したわけでありまして、即ち議長の互選はいわゆる民間から出ましたいわゆる任命委員のみの互選によつて決めるべきだ、そうしなければワン・マン・コントロールを打破することができないというふうに考えたからであります。
 それから次に任命委員の任期並びに就職制限の規定でありますが、これが又一つ問題になると思う、今までしばしばこの点がこの委員会におきましても論議されましたが、どうもこの規定から見ますると、第一期の委員として相当有能な委員を望むことは殆んど不可能じやないか、まあ再任することができるという規定により、それで優れて相当有能な人も入つて來るだろうというふうに解釈される、そういう解釈も成立つのでありますが、法律の建前からいつてなかなかよい人が入り得ないじやないかというようなことが懸念される、そうしますとますます以てこの政策委員会というものは、從來からの日本銀行総裁の一つの諮問機関のような形になつてしまう虞れが十分あるのでありまして、この法律案を制定する趣旨は、この法律案によつては実現されない、いろいろな点から見まして実現されないというふうに私は考えますので、この法律案に対しましては反対の意向を表明する者であります。
#378
○九鬼紋十郎君 本案については私は賛成の意思を持つておるのでありますが、経済九原則の線に沿いまして、本年度の予算も均衡予算が一應決まつたのであります。從つて今後においては財政と金融といつたものは段々明確に区分されて参るのでありますが、從つて通貨信用の操作といつたことは、最も重要な問題となつて來るのでありますが、中央銀行の性格を帶びておる日本銀行といつたものの通貨政策に関するところのいろいろな操作というものは、これは非常に重要な問題になつて参りまして、今回新らしく日本銀行の内部機構として政策委員会ができることになつたのでありまして、從つてこれが最高政策を決定することになるのでありますが、併しながらこの法案の内容並びに日銀法などとの関連におきまして未だ十分に檢討されていないところが多々あると考えるのであります。そういつた点につきましては我々委員としまして相当不満の点があるのでありまして、私も多少の修正意見を持つておつたのでありますが、只今いろいろ政府委員からの御説明なんかも考えまして、この金融政策上におきまするこういつた画期的な民主主義的な方法をとられることは、一日も早くこれを発足させなければならない状態になつておりますので、そういつた意味におきまして本案には賛成するのでありまするが、尚今後において十分にそういつた矛盾の点等は檢討されまして、一層合理的な、完全なものを作り出すということを切に要望して賛意を表する次第であります。
#379
○油井賢太郎君 民主党はこの改正案に対して賛意を表するものであります。今まで日本銀行といいますると、何か象牙の塔に立て籠つて、一般大衆とは本当に遊離されたような感じがされるのでありますが、今回の政策委員会において民間からも代表を選びまして、もつと日銀の運営の万全を期したいということを企図されたことはこれに対しましては賛意を表する次第であります。願わくばこの任命された委員の人々が國民の眞の代表となつて金融機関の運営上、みいら取がみいらにならずに、本当に國民のために努力されんことを要望いたしまして賛意を表します。
#380
○木村禧八郎君 私は日本銀行法の一部を改正する法律案に反対する者であります。
 反対の理由は大体二つあるのでありますが、その一つはすでに波田野委員が指摘されましたように、この法律案の体裁自体にあるのでありますが、これまでの審議の経過に徴しまして、一一政府委員から註釈をつけて頂かなければこの法律案が我々に分らなかつたのでありますが、長い間掛かつて細かく字句について註釈を聽いて、初めて成る程そうかというようなことが分つたのでして、それではなぜ法律案にこういうことが分るように書かなかつたのかという点について非常に不満があつたのでありますが、この点については波田野委員が詳細に指摘されましたから私は繰返することをいたしません。
 それから第二の反対の理由は、この法案提出理由それ自体に反しておるということなのであります。私は日本銀行法の改正法律案は、非常に期待を持つていたわけなのです、と申しますのは、たびたび総理大臣も亦大藏大臣も、二十四年度予算を実施する結果として、金融政策というものは非常に重大性を帶びて來る、從いまして金融機関の公共性、そういうものを非常に高めなければいけない、又金融機関に公共的な職務について強く協力を求めなければいけない、こういうことを言われておりまして、恐らくそういう政策の一環として日本銀行法の改正案が出て來たものと解しておつたのでありますが、併しながらこの審議の経過につきましても、又政府委員からの説明を聽きましても、これは非常に政府の大きな政策である金融機関の民主化、或いは金融政策の公共性を強化する、そういう政策の一環としては極めて貧弱であり、貧弱ばかりでなく一つもその趣旨に副わないのではないか、そういう点にあるのでありますが、それならば政府はこういう政策委員会以外に二十四年度予算実行の結果として非常に重大性を帶びる金融政策について、具体的な政策を用意しておられるかどうか、これについて我々質疑したのでありますが、それについては一應この日本銀行法の改正案、即ち政策委員会というもので一應やつてみて、その結果に徴して何らかの又措置を講ずると考える、又日本銀行法の根本的な改正も考える、或いは金融統制についても考えるということを言われておりますが、問題は二十四年度の予算実施の結果、本年度内において金融政策の公共性、或いは計画性そういうものが重大化するのであつて、政府委員の説明したところではそれに間に合わない、何らのそういう金融政策に対する公共性、社会性、そういうものの強化を意味したところの政策は示されない、單にこの金融政策委員会を以てこれに代うるというならば、これは余りに羊頭を揚げて狗肉を賣る、そういう欺瞞的な措置ではないかと考えるのであります。更に本來ならば二十四年度予算案施の結果として、金融政策の公共性、社会性を強化するというならば、市中金融に対しての或いは又市中金融機関に対しての公共的、社会的措置を講ずべきであるに拘わらず、それに対しては殆んど何らの措置をも考えておらない現在のところ、これを以て実際に今後の金融は大銀行、或いは大産業本位の金融政策にならざるを得ないと思うのです。それで中小金融、或いは農業金融、或いは庶民金融、そういうものがこの結果として私は圧迫されると思うのです。勿論形式的には政策委員会を設けまして、その委員として金融界、産業界、或いは農業界、この代表を委員にいたしまして、そうして民間の意見を聽いて民主的に金融政策が行われるようなそういう形をとつておりますが、この構成を見ますと、金融界の代表は日本銀行総裁を含めて三人であります。商工業界は一人、農業代表が一人、そういうような形になつておりまして、実際には金融界偏重の構成になつておる、そればかりでなく証券界の代表も入つておりませんし、又勤労大衆の代表も入つておりません、消費者代表、そうしたものも入つておらない、從つてこの構成委員会は極めて非民主的な構成になつておると思うのです、こういうような政策委員会がどうして民主的に金融を行い得るような政策を立案したり、それに貢献したりすることができるか、非常に私は疑問に思うのであります。更に又先程波田野委員も指摘されましたが、この政策委員は、從來の日本銀行総裁の独裁的なやり方、即ちワン・マン・コントロールを打破するために、こういう委員会を設けると言われましたが、事実においては実際においては、日本銀行総裁が委員長になり、議長になり得る途が開かれておりますし、恐らく実際には私は現在の日本銀行総裁が議長になるものと思います。而もこの委員に任命される人は新聞等に傳えられておりますところでは、現在の日本銀行総裁の恐らく実力その他からいつても下に立つぐらいの人であろうと私は思います。從つて実際はやはり日本銀行総裁の独裁というものは依然として行われていて、ただ形において形式的だけに民主的な僞裝を裝つておる、そうして國民に恰もそれが民主的な運営をされておるがごときようなふうに錯覚を與える、そういうような却つて惡い弊害を持つのではないか、そう私は思われる、特に任命委員及び委員会の経費が日本銀行の経費の中から支出されるという点は、この委員会の自主性を著しく私は阻害するものと思う、而もこの任命要員の給與及び経費というものは、本來ならば日本銀行納付金として政府に納めらるべき金の中から支出されるものでありまして、從つて実質的には國庫の予算の中から委員にこれを支拂い、或いはその経費に充てるべきものである、それならば自主的に國会の承認を経てそういうものを支出すべきものだと思う、從つてこれを実質的に解釈して行けば、私はこういうような規定を設けることはこれは財政法の精神にも反しますし、又少し極端に言えば、私は憲法の精神にも反すると思うのであります。これはごまかしであると思うのです。実質的には國家の余算を以て拂うべきものであると思う、それを形式的に日本銀行の経費としてそれを支出して、そうして納付金を收めるまでの経費としてそれを差引いてしまう、本來ならば実質的にはこれは國家が支拂うものなのでありまして、それならばそれは國会の承認を得なければならないのであります。にも拘ららずそういう措置を講じないということは、私は明かに財政の精神、憲法の精神に違反するのではないか、そういうふうに考えられるわけです。更に又この法案の内容を段々檢討して行きますと、不明確な点が非常に沢山あります。例えば通貨発行審議会と本委員会との関係が明確でない、本委員会は金利とか、或いはマーケット・オベレーションとか、或いはリザーブ・リクァイアメントそういうものの割合を決める、そういう権限を持つのでありますが、そうして通貨発行審議会の方は通貨の発行限度その他について大藏大臣の諮問に應ずるということになつておりますが、この通貨発行審議会におけるその諮問の権限と、この本委員会の金利及び或いはマーケット・オペレーション、リザーブ・リクァイアメント等は不可分のものでありまして、切離して考えられないと思うのであります。そういう点はどうなるのか非常に曖昧であると思うのです。通貨発行限度と金利の関係、それから例えはオープン・マーケット・オペレーションとこれは決して切離せないものであると思うのですが、その点が非常に不明確と思うのです。更に又先程波田野委員も指摘されましたように、各條文に亘つて非常にまだ現在において全然行われておらないいろいろな問題についてその権限が規定されておる、將來予定されることについての権限がこの中に入つておる、こういうようなことは極めて我々了解に苦しむ点でありまするが、そういう曖昧な、又理解に苦しむ点が沢山あるわけです。要するにこの政策は私は先程も申上げましたが、結局半額を掲げて狗肉を賣るという、そういう性質を持つておると思うのでありまして、この二十四年度予算実施に関連して金融機構を民主的に、そうして高度にこれを社会化して行かなければならないという状態にあるのに、その根本的な金融機構なり或いはその政策の改革を回避してそうしてこのような殆んど実質のない理想的な架空を以て当面を糊塗しておるようなものであると私は思うのでありまして、日本経済の眞の安定と再建とのためにこのような姑息な改正に対しては強く反対する者であります。
#381
○黒田英雄君 私は本案に賛成をいたす者でありますが、私もいろいろ質問をしたい点がありますのでありますが、すでに各委員からいろいろ御質問がありましたので私は差控えたのであります。只今波田野委員からもお述べになりました第一の点でありまするが、第十三條の第二の政策委員会の任務とか、或いは第十三條の三の所管の事項に関するところの規定は誠に分りにくい表現の仕方が極めて拙劣なと思うのであります。これらについては適当なる改正をいたしたいのでありますが、会期切迫の際これらは差控えることにいたしまして、ただ政策委員会を今後の運営の上からも見、又適当なる機会に政府においてもこれらに適当な改正をすることを要望し、又場合によつては我々委員会においてもこれの修正案を提出するというふうなことも考慮するということにいたしまして、本案には賛成をいたす者であります。
#382
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。
#383
○中西功君 今記名投票がなされておるのです。それで今私の方に連絡があつたのですが、一時休憩をいたしまして……。一應言い出したんで、どちらか決めて下されば……
#384
○委員長(櫻内辰郎君) 今、中西君から休憩して貰いたいというお話でございますが、休憩しますか、引続きやりますか。
#385
○波多野鼎君 ちよつと休憩して討論をやつたらどうですか。
#386
○委員長(櫻内辰郎君) それではそういたしましよう。それでは暫時休憩いたします。
   午後八時三十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後九時三十三分開会
#387
○委員長(櫻内辰郎君) 休憩前に引続いて会議を開きます。日本銀行法の一部を改正する法律案の討論の続行をいたします。御発言はございませんか。
#388
○天田勝正君 私は日本銀行法の一部を改正する法律案に反対をいたします。その理由は、先ずこの法律は、法律としての形態を整えておりません、この改正はただ政策委員会を、ここに入れるということに終始いたしておるのでありますが、この改正を以ていたしましては、到底政府が意図いたしておりまする目的を達成することができませんことは、すでに木村委員が御指摘の通りであります。尚現行の日本銀行法、即ちこの改正の点を除きましたその他の條項につきまして、この今回の改正を生かすためには、幾多の改正を必要とするのであります。その改正がいたされませんで、單にこの政策委員会の点だけを挿入いたしましても、絶対に生きるものでないと信じまするが故に、その一、二の点を指摘いたしますならば、先程私が質問に含めて意見を申上げて置きました第四十八條の罰則の点、又第六章の監督の項目の全條に対して、それから参與の問題、これらの点につきまして私共は修正案を用意いたしておつたのでありますが、これらの点が到底政府側の容れるところとなりませんし、この私共の用意する修正案を以てしてすら、尚完碧を期し難いと考えておりますのに、この僅かの修正すらできないといたしますれば、今日の日本銀行法はすべて死文になるという危險があります。而も重要なる幾多の点は戰爭中の昭和十七年に作つた法律そのままであります。こういう点からいたしまして私は本法律案に反対の意を表するものであります。
#389
○委員長(櫻内辰郎君) 他に御発言はございませんか。
#390
○中西功君 私はこの法案に反対いたします。その反対の理由を簡單に述べます。この日本銀行に政策委員会が作られるということは、これは人事院が特殊な権限を持つて生れたこと、又從來の國有鉄道が鉄道公社として発足して行くことや、或いは又最近種々の公團が解体又は改組されておること、こういうふうな一般的な傾向の一つでありまして、私はここに謳われておる民主化だとか何だとかいう言葉が問題ではなくて、今日本経済が大きく変えられつつある、そういう重大な日本の運命を左右するような問題の一環だと思うのであります。でこのような現在の日本経済の行き方については詳しく申しません。これは日本を前に進めるのじやなくて、後ろに引戻すのであります。我々は根本的な建前といたしまして銀行、即ち一切の金融機関の國有を必要と考えております。それと関連して重要産業の國有が必要であると考えております。このような措置によつて初めて眞に日本経済の計画的な運営、又日本の眞の自主的な建設ができるのであります。而もこれは決して架空な理想ではなくして、或いは又將來の理想ではなくして現実の問題であります。戰時中に日本の軍閥が戰爭の必要から國有、國営或いは國管、國家統制を非常に強化いたしまして、このようなことはこれは決して勤労大衆のためにしたのではなくて、これは戰爭という馬鹿げた目的のためにすべての國民を等しく飢えさせるというふうな、そして又もつと激しく飢えさせるというふうなことの処置としてやつたことではありますが、併し今日この軍國主義が弱まり、又民主主義が他面に復活しまして、勤労大衆の政治活動が非常に旺盛になつておる、日本の独占資本の支配が非常に弱まつておるというふうな事態の下においては、非常にあやしい、この奇妙なことでありますけれども、併し戰時中の國有、國管の方向というものは、実は戰後においては、それが日本の眞に計画的な経済の運営の基礎として大きく存在しておつたのであります。ここからすでに社会主義に行かなければならないということが、國民の間にも非常に強く感ぜられたというふうな状態を生んでおつたのでありますが、この社会主義の物的基礎に対して、今非常な攻撃が加えられております。恐らく今後日本銀行の問題は、この傾向から行きますれば幾多の改惡が加えられようとすると思いますが、今日のこの政策委員会はその一歩であります。我々はそういうふうな非常に大きな意味において、このような傾向並びにこの法案に対して反対するんであります。我々はこれが民主化になつていないと、或いは又そういう効果を果し得ないという、そういうことではなくて、このもの自身が非常に惡いのであります。日本銀行に対する政府の監督権或いは支配権、これを一つも緩めてはならない、又我々はこの日本銀行をこのような政策委員会の形で私的な金融資本の支配に委ねてはならないと考えておるのです。そういうふうな点で、この法案を見るならば、政策委員会の構成からも、或いは又それが持つ権限からいたしましても、これが日本の現在の金融的な梗塞や、混乱や、或いは又、今日の大量首切、経済的な崩壞のこの根本的な原因をなしておりますところの私的な日本の銀行資本に対して、制肘を加えるのではなくて逆にそれをいよいよ中央銀行をさえ完全に握らせようとする、更にそこからこれを中心として一つの大きな金融寡頭支配の牙城を草ろうとする、そういう意図を明瞭なんであります。私達はそういう点に対して先ず根本的に反対するのであります。併しこのような日本の独占資本と言いますか、そういう人々のみずからの支配を確立しようとする企図は、併し現実に世界の動きが極めて嶮しくなつておる世界自身が資本主力的に全く行詰まつておるだけではなくて、正に崩壞の、滅亡の前夜にあるというふうなときに、このような独占資本主義的な方向を無理に推し進めようとする人々の力は決して強くはない、それはただ自らの力によつてではなくて、外國の人々の力に、外國の資本の力に頼らなければこれができないし、これは今日の予算問題、或いは予算に現われたところのいろいろの会計、そういうものにこれはよく現われておるのでありますが、みずから何とかしてやろうというあがきは、必然的にみずからをも極めて不幸な地位に押込んで行く、そういう傾向はこの日銀法案の中にも顯著に出ておると思うのであります。而も日銀に置かれた見返資金特別会計、そういうものとの関連で、我々が考えて見るならば、如何に今日自分一人が、日本人自分一人が、日本の中で一人が何とかして立ち直ろうと、そういうふうにあがくことが即ち日本の勤労大衆をますます露骨に苦しめ、搾取して自分自身が立ち直ろうとするようなこのあがきが、我々日本に何をもたらしておるかということは、これを見ても明瞭だと思うのであります。私達は今後恐らくそういうことは、若しこのような方向で以て日本銀行法というものがますますいわゆる改正されて行くならば、いよいよ顯著に出て來ると思うのであります。大きな点から見るならば、我々日本共産党は、そういうふうなことに対して絶対反対なんであります。私達は細かいことは申しません。この日本銀行法の一部改正法律案が、日本語でできておるのか、それともよその國の言葉でできておるのかというふうなことは問いません、どちらにいたしましても、よければいいのでありますが併し、残念なことには、これがどんな言葉によつて綴られていようとも、決して日本をよくしないということだけは事実なんでありまして、我々はそういう意味で反対したいと思うのであります。これを以て終ります。
#391
○委員長(櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。外に御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて直ちに採決いたします。日本銀行法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#392
○委員長(櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において、本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#393
○委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。
 多数意見者署名
    油井賢太郎  高瀬荘太郎
    九鬼紋十郎  小林米三郎
    小宮山常吉  高橋龍太郎
    玉屋 喜章  西川甚五郎
    木内 四郎  黒田 英雄
#394
○委員長(櫻内辰郎君) 御署名漏れはございませんか。引続き戰時中政府が買收した鉄道の讓渡に関する法律案の運輸交通委員会との連合委員会がある筈でありますから、このまま暫くお待ちを願いたいと思います。暫時休憩いたします。
   午後九時四十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後十一時五十八分開会
#395
○委員長(櫻内辰郎君) 再会いたします。本日はこれで散会いたします。
   午後十一時五十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           波多野 鼎君
           黒田 英雄君
           伊藤 保平君
           九鬼紋十郎君
   委員
           天田 勝正君
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           木内 四郎君
           油井賢太郎君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           中西  功君
           川上  嘉君
           木村禧八郎君
           米倉 龍也君
           小川 友三君
  委員外議員
           中平常太郎君
  國務大臣
   大 藏 大 臣 池田 勇人君
   厚 生 大 臣 林  讓治君
  政府委員
   大藏事務官
   (銀行局長)  愛知 揆一君
   大藏事務官
   (銀行局銀行課
   長)      西原 直廉君
   厚生事務官
   (医務局次長) 久下 勝次君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
ソース: 国立国会図書館
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