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1949/03/28 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第5号
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1949/03/28 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第5号

#1
第005回国会 商工委員会 第5号
昭和二十四年三月二十八日(月曜日)
  ―――――――――――――
   本日の会議に付した事件
○石炭鉱業等の損失の補てんに関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○配炭公団法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十一時十六分開会
#2
○委員長(小畑哲夫君) 只今から商工委員会を開きます。前回に引続きまして「石炭鉱業等の損失の補てんに関する法律案」を議題といたします。これは一昨二十六日に衆議院の本会議を通過しました。前回は予備審査でありましたけれども、今日は本審査になりますので御承知願います。
#3
○細川嘉六君 一昨日私が資料を政府側に要求しておいたのですが、商工省側と物價廳関係の方は出ておるでしようか。
#4
○政府委員(渡邊誠君) 土曜日の夕方遅く資料の提出方の御要望がございまして、そのうち商工省に属する方といたしましては、炭鉱の住宅建設についての資料だけが本日整いましたが、昨日日曜でありまして、今日午前中に間に合わすために印刷の時間がございませんので、取敢ずタイプを打ちまして持つて参りましたので部数が足りないかと存じます。尚物價廳の分はこちらの事務局の方から御連絡があつたことと存じますので、商工省としては只今ちよつとお答えできないのであります。
#5
○委員長(小畑哲夫君) 細川委員に申上げますが、実はこの土曜日にそういう御請求がありましたので、若しも資料が印刷物として間に合いかねる場合には、担当の係官にその資料を持つて御説明願うようにということを私は申込んで置きました。あなたの御請求の書類が間に合わないという場合には、その係官に資料を持つて出て來て貰うように申込んで置きました。
#6
○細川嘉六君 その通りでありますから、この席で説明願えれば説明して頂く……。
#7
○委員長(小畑哲夫君) それでは細川委員の御請求のところを一つ々々御質問願いましようか。
#8
○細川嘉六君 今この資料を頂いたばかりで、意味は分りませんが、住宅の新築とか、改築とか、修理とかがありますが、これは如何なる数の從業員がおるのか。そうしてそれと引合わして見ないと分らないと考えますが、それから又從來どけだけの住宅で、どれだけの人がおつたか。それと照し合わせないというと、この数だけを見ては何も分らないことになりますが、その方から説明して頂きたい。
#9
○政府委員(渡邊誠君) 先般御要求の資料の内容が十分分りませんでしたために、その際終戰後の技術なり、設備なりの改善された分について、資料を提出せよという御要求でございまして、もう少し具体的でございますれば、それに応じた資料を取揃えることができるわけでありますが、その際例えば、住宅の建設の状況のごときを、外になければ、それだけでも出すようにということで、取敢えず取揃えて参つたわけであります。これは終戰後新たに炭鉱に住宅を建てる計画を政府として立てまして、この只今お手許にございます資料の新築、改築、修理、この三種類に分けまして、終戰後の住宅不足を補つて、そして從業員の生活環境の改善を図るということをいたした次第でございます。この住宅と申しますのは、殆んど九割までが労務者の住宅でございます。合宿もほぼ同樣でございます。厚生施設は風呂場とか、病院とか、或いは食糧等の配給施設、そういうような種類のものでございます。一番上の欄が、二十一年の下期でございまして、次が二十二年の第一四半期、二十二年の第二四半期、二十二年の下期、二十三期の上期というふうに建設いたしました。住宅の場合は戸数、合宿の場合は棟数、或いは厚生施設も同樣というふうにして区分してございますわけで、結局住宅が五万三千九百戸、二十三年の上期までにでき上つた。合宿が六百七十三、厚生施設といたしまして、五千四百七十三等が新らしくでき上つた。以下同樣に改築の分と修理の分とが示されておるわけでありまして、これを総合計いたしました建設坪数が、一番最後の欄にあるわけでありまして、百十万坪程になつております。この住宅は、いずれも從來炭鉱に建てられておつた住宅よりも非常に清潔で、簡素な住宅が設計されておりまして、現在この新築の住宅については、非常な從業員の好評を博しておる次第であります。
#10
○細川嘉六君 簡單に片附けたいと思いますが、もう法律を廻つて來ておりますから、もう一言お伺いしたいのですが、今回赤字補填をした期間にですね、こういう住宅の建築、改築ができた。それがためにこれをやらなかつた以前と比較しまして、労務者一人当り、疊数から見て一疊であるか、一疊半であるか、二疊であるか、どういう変化が起きて來ておりますか、それについて一言伺つて置きたい。
#11
○政府委員(渡邊誠君) 詳細な坪数については、只今ちよつとお答えする資料を持つておりませんが、例えば昭和十五年当時の戰爭中の平均と申しますところを取りました場合に、炭鉱の労務者の総数は三十万人おつたわけであります。只今405万人の労務者がいるわけであります。而も昭和十五年当時には、出炭は五千六百万トンの出炭をいたしておりました。昭和二十三年度、即ち本年度におきましての出炭は、大体推定といたしまして、三千四百七十万トン前後と考えられるわけであります。労務者の数は、只今申しましたように、総数として増加をいたしておりまするが、以前には、單身者或いは独身者が非常に多くて、合宿の生活をしておつた者が多かつたのでございますが、終戰後の状況として、家族持ちの人たちが炭鉱に入つて参りましたから、これらの人のために、新たなる住宅を建設して、從來の合宿生活と違う生活形態に合わせたわけでありますが、その増員の著しい数に比べまして、住宅は甚だ十分と申せないのであります。一軒の家に二家族住んでいるところもあるのでございまして、從來の状態に比べますと、一人当りの坪数は減つております。
#12
○細川嘉六君 私は、この労務者の住宅について質問しているのは、出炭量に大きな影響があるから、一つの要件でありますから、質問するのでありますが、この程度のことをお聞きして、更に追及してお聞きしても、十分なものを得られないと思いますから、問題は今後に残して置いて、住宅の問題は打切ろうと思います。
 それから先日要求しました炭鉱経理の内容、あれは赤字だというが、儲かつているという意見も相当根拠のあるように感じたので、その方の説明を一つお願いしたい。物價廳の方で、この方は詳しいのじやありませんか。
#13
○委員長(小畑哲夫君) 物價廳の方はまだ見えていないそうでありますけれども、政府委員のどなたか……石炭廳次長から御説明願います。
#14
○政府委員(渡邊誠君) 炭鉱が儲かつておるか儲つておらんかというお話でありますが、これの全体の平均の申しますと、私は現在赤字が出ておることが確実であるということを申上げられます。併しながら四百数十炭鉱がございますので、少数の炭鉱は黒字を示しております。約二割五分の炭鉱が黒字を示しておるわけであります。これは報告原價に基いて申上げておるわけでありまして、企業の新後の整備を行う、或いは合理化を図るというようなこと、又労働能率、或いは設備能率の向上を図りますれば、黒字炭鉱は尚増加することと思つております。併しながら、その現在の経営の方法が十分であるか、尚改善の余地があるかは別といたしまして、現実に赤字を出しておるということは事実だと私の方は見ております。
#15
○細川嘉六君 もうこの問題も、双方でやり合つても相当確実な材料は得られそうにもございませんので、簡單に聞きますが、從來、今度決めた一トン五百九十何円ですか、あれに決める前には、生産して價格が超過すれば補給してやるというのであつたが、それではいかんというので、五百九十何円に決めたわけであります。その程度のことで、價格を決めれば自立して行ける、損失なんかは政府に要求しなくてもよいという建前からあの價格が決まつたのだと思うのでありますが、それがこういう大きな赤字を國民に負担させるということになつておる。どうもその赤字というものは、我々にはよく分らないのであります。炭價の決め方にしても、生産價格、それを計算するときに相当水増しができておるということは多くの場合言われるのであります。そういうことはどうして確かめることができるか、どうも我々にはそういう機会がないのであります。赤字といつても、その計算について詳しく知らされておるわけでもないのだし、赤字と言われれば赤字というふうに鵜呑にしなくてはならんような状態に置かれておる次第です。國民を代表しておるものとして、企業者は赤字といつても、そうですかと言つて引受けることは非常に無理である。この補給金を出すという期間の間に、炭鉱内の技術面がどれだけ改善されたか、これも全く分らないのであります。技術が十分に眞劍に改善されておる場合と、技術の方はそつちのけにしておる場合と、出炭量に非常な相違があると思います。赤字の量にも関係しておることで、そのあたりが、技術方面のことも全く眞暗であります。貧鉱で掘りにくいところを、そういうところをどんどん掘つて行く、そうしてカロリーの多い炭層を留保して行くということもいろいろと伝えられておるのであります。これは現場の方から伝わつておる。その方の技術の面というものは、全く今申したように眞暗なんでありまして、赤字を補填せよという場合には、これらの諸問題について我々ははつきりしたことが分らなければ、承諾するもせんも、それを決することは無理であります。で、若し政府当局に今申が申した技術方面のこと、採炭のやり方についての、若し私に間違つたことがあるならば御説明願えれば結構だと思いますが……。
#16
○政府委員(渡邊誠君) 只今の御質問につきましてお答えを申上げます。炭鉱の技術の向上につきましては、昭和二十年当時全國労働者の一人当りの出炭能率は五トン程度でございましたのが、現在一人当り、一ケ月でございますが、六トン六分程度に向上して來ておるわけでありまして、その向上しておる原因と申しますものは、設備の改善、それから労働者の熟練並びに努力、経営の努力によつてそれだけの優能が向上して來ておるのだと思います。その具体的の内容につきましては、いろいろの角度から御説明申上げなければならないと思いますが、一つの例を申上げますと、炭を掘るには鉄鋼材によつて炭を掘ると言われておるくらいでありまして、この鋼材類がどの程度に現在炭鉱に投入されておるかと申しますと、大体昭和十七年頃の程度の鋼材を注入することができるように、漸く日本の経済力が、炭鉱に対する供給力が増加して参りまして、鋼材につきましては、出炭に比べまして聊か当時よりもトン当りの鋼材使用率は増加しておるわけでありますけれども、戰爭中の濫掘その他荒廃しておる坑内の復旧等に一部は使用されておるわけでありまして、先ず現在の出炭をいたしますのに必要な鋼材類は、昭和二十三年度においては供給され、炭鉱において入方しておるということが言えると考えられます。その他に技術の面につきましてはいろいろございますが、採炭方法の直接に変化を及ぼしておる点は現在のところございませんが、これに使用しておるまする機械、或いは設備については、当時より機械類を相当余計使うようになつておるということが申されます。現在、先程労務者住宅のときに御説明申上げましたが、労務者の数は昭和十五年の三十二万に比べて四十五万程と申上げましたが、然らば採炭夫の数はどうかと申しますと、当時八万六千の採炭夫がおつたのに対し、現在六万九千の採炭夫しかおらんわけです。炭を増産いたしますのは採炭夫が炭を掘ること以外に何物もないのでありまして、他の從業員或いは職員等はいずれも採炭夫が炭を掘るのに都合のよいような條件を間に合わすために働いておるわけでありまして、只今申上げた点をもう少し具体的に申しますと、採炭の能率は戰爭中と同じところまで回復して來ている。併しながら人数が少いのだ、而も総人員の多いことは採炭夫に対して間接の作業をする人たち、特に例外における人たちが戰爭中或いは戰前に比べて著しくアンバランスに過剰になつておるということが言えると思います。特に昨年末あたりからは採炭の切羽に新たなる木材の坑木の代りに鉄坑木というようなものを使用いたしまして、切羽の安全性を確保すると同時に、均質な支柱力によりまして採炭切羽の進行度が非常に早くなつているというような改善も行われております。これらの個々のいろいろな例を申上げれは数多くあるわけでございますが、とにかくこれを総合計いたしまして睨むときには、先程申上げた労務者、從業員一人当りの一ケ月の出炭量というものの能率の比較で見るということになると存じます。
 尚或いは赤字か黒字かのいろいろなお話についてちよつと申上げますと、今回この補填の項目に上つておりまするものは如何なる赤字かということをちよつと申上げたいと存じまするが、炭鉱を経営しておる際に出て來る赤字は何でも補填するものではないのでありまして、先程お話になりました新たな炭價が前にもできたではないか、その後の損失というものはどういうわけかというようなお話もありましたが、昭和二十三年の六月二十三日に決定せられました炭價、即ち一トン当り平均二千三百八十八円、これで賄うようにということで、それで賄えない炭鉱がございまするが、それは炭價が設定されている炭價構成要素のいろいろな項目以上の支出をしておる場合には当然赤になると考えます。尚先天的に天然條件の惡い炭鉱は、これはその炭價で間に合わないというのがあるわけであります。勿論一番生産原價の高い炭鉱までをカヴアーするような炭價を決めるわけでないのでありますから、最初から努力をしなければ引合わないという炭鉱がすでにあるわけでありまして、その外に炭價の設定されている要素に合わない超過しておるやり方をやれば、赤字が出るのは当然だと考えられます。そこで今回の提案をしておりまする赤字と申しまするのは、そういう種類のものではなくて、過去において決定されておる炭鉱の範囲内では賄うことのできなかつたもの、即ち労務者賃金の増加ということが労資双方の交渉によつて進められ、正にこれが決定いたしますときに、政府はその程度の賃金の引上は現在の実情において妥当であろうということを考えて、そうしてその賃金交渉の妥結した金額について、政府は炭價から支拂うことは無理であるという意味で、然るべき手当をするということをその際に申しておるわけであります。そのような種類の炭價で賄うことのできない赤字になるべきものであつて、而も政府がそれに介入しておつたという種類のもの、この中で労務費として百五億が見込まれておるわけであります。例えば昭和二十二年の末に價格は改訂しない、労務者の生活條件から見て、賃金は引上をする必要がある、併しながら現在は價格は引上をしないから、それではその價格改訂のあるような一定の期間は生産奨励金というものを出すことにしようというようなことで融資をされた金というようなもの、或いは昭和二十三年の、昨年の六月に炭價が改訂されるまでの間、四月から六月までの間の賃金引上の差額というものは、政府はこれに介入しておつたわけであります。認めておつたわけであります。これらについて炭價の中からは支拂えないという状況がありましたために、これに対して或る融資をいたしたのであります。これらの融資は伊價の改訂によつて吸收をするか、或いは國家の補償によるか、そのいずれかによつて吸收をするという以外に赤時の炭價の中には見込んでなかつた額である。こういうような種類のものを今回だけは提案しておる次第でありまして、業者の責任において昭和二十二年の六月二十三日價格改訂以後における業者の経営のまずさ、或いは労働者の怠けたこと等によつて起つて來ておる損失については補償するということはないのであります。
#17
○細川嘉六君 もうこの問題もこれで片附けることにいたします。今更にこれを繰返しても効果がなかろうと思いますから……。問題は九百六十五円の生産炭價、それを決めた場合、そういう炭價では経営にやつて行けんということが問題になつた場合に、その経営の内容はどうか、それを先ずはつきりしなければ九百六十五円でやつて行けたか、やつて行けなかつたか分らない。そういうことから推して、この点だけから推しても赤字であるか、黒字であるか、経営而が間違いなく事実を示しておるということになつて初めて赤字か黒字かという判断がつくことと思います。今の御説明ではその点が全く解答ができておらんのですが、今これを要求しても仕方がないと思いますから、私の質問はこれで終ります。
#18
○阿竹齋次郎君 私は細川委員に関連いたしますが、赤字の補償要求に対して当局が駈引や嘘がなかつたかということを聽きたかつたのであります。併しそれを調べるのに相当かかると思いますし、三月三十一日までに国会が議決しなければならないのでありますが、当局はそれをどういうようにお考えになるか。
 それから次は炭坑の中に御承知のように支柱部、機械部、軌道部というものが有機的に働いていないということが今日の隘路だと思いますが、その後の状況はどうであるか。それから今までは貸車が非常に惡かつたが、それはどのくらいよくなつたか。以上の四つをお尋ねいたします。
#19
○委員長(小畑哲夫君) 質問が少しはつきりしなかつたということでありますが……。
#20
○阿竹齋次郎君 業者が嘘を言うと得だと思つて、駈引なんかしておらんか。それを十分調べて、その補償額については確信を持つておるか。それはむずかしい問題ですから……。それで参議院が三月三十一日までに予算関係で通過すればよろしいが、若し通過しなかつたというときには、衆議院が通つておつても國会の決議とはならんものですから、そうすると四月一日からどういうようにする考えを持つておりますか。
#21
○政府委員(小林英三君) 今度の損失補償の問題は、これは原價計算の上から補償いたしたわけであります。会社そのもののいわゆる損益計算上の損失を補償するということではない。今御質問の中では、多分今度の補償というものは、会社自体のいわゆる損益計算上の損失け補夏するというようなお考えで御質問になつたのではないかと存じますが、政府のやりますこと補償の法案というものは、原價計算によつてやる、原價計算上の損失を補償するということであります。それはつまり若しこの損益計算上の損失を補償するということになりますると、三つのつまり不合理な点が出て來るわけであります。その一つは何かと申しますと、当然会然の決算について政府が嚴重に各会社について監査をしなくちやならん。果してその損益計算という、その会社自体の損益計算というものが合つておるか、合つていないかということを、その会社自体について嚴重の監査をしなければならん。その監査は余程長く、長時間に亙りますので、全國的に行わなければならんということになりますので、これも避けなくちやならん。第二には、その会社自体が企業の努力によりまして、その会社が赤字を克服したというような場合におきましても、そういうものを、その会社の損益計算によりまして補償するということになりますと、いわゆるなまけておつた放漫な経営をした人が得をして、鋭意その会社の経営に專念した会社が損をするということにもなります。又会社によりまして、炭鉱の外に他の事業を並行して経営しておるというような場合におきましては、その会社自体といたしましては、他の産業とのプール計算によつて経営がよくなつておるというような場合もあります。そのときに会社のいわゆる損益計算によつて補償するということになりますると、これは馬鹿を見るということになりますので、政府のこの度の補償ということはどこまでも会社の損益計算によらずして、いわゆる原價計算によつて補償して行く。こういうことになりまして、全炭鉱について比較的公平にやつて行こう、こういう建前でありますから、御質問の要旨はそれによつて分るのではないかと考えます。
#22
○阿竹齋次郎君 三月三十一日までに因計関係でこの件が通らなかつたときに、どうせられますか。
#23
○國務大臣(稻垣平太郎君) 御質問でありますが、そういたしまするというと、四月の一日、つまり來年度になりまするというと、公債を発行することの了解を得ることがむ失かしいのではないかと存じます。そういたしまするというと、從來政府が二十二年以來賃金引上その他の場合に介入いたしまして、融資の斡旋をしたという趣旨が全然通らないということになりますので、又業者といたしましては、その負担した重荷を背負つておるということは、一面においてこの業者の或る者が仮に集中排除法にかかつております場合には、新勘定に赤字を持つておるというために、分割について非常に困難を感ずる、或いは又これがために、その金利の負担、或いは全体としての赤字のために、今後の金融上の損失、そういつたことのために炭鉱の経営が非常に困難になつて來ておる。從つて今年度予算に予定されておりますところの増産目標もなかなか達成しにくいのではないか、この際一応今年度内に結末をつけて置くということが、最も生産目標を達成する上におきましても、又業界において今後企業合理化を実施せしめる点から考えましても必要ではないか。こういう意味合いで、是非これは、提案のときにも御説明申上げましたように、至急皆様方の御賛同を得たい。かように考えておるわけであります。
#24
○阿竹齋次郎君 どうしても三十一日までに通過させて貰わなければならんというのですね。
#25
○國務大臣(稻垣平太郎君) そういうわけでございます。三十一日まででなしに、実は登録公債を発行するような手続がありますので、そんな関係もございますから、今日明日に一つお願いいたしたいと、甚だ勝手ですけれども、そういうふうにお願いいたしたいのであります。
#26
○阿竹齋次郎君 そこで次に聽いて置きたいのは、支柱とか機械とか軌道等に今まで故障が多くて、それらが有機的に働かなかつたから、採炭が十分でなかつたと思うが、それはその後どういうふうになりましたか。進歩いたしましたか、どのくらい進歩いたしましたか、それから今までも賃車が惡かつたが、これもどの程度よくなりましたか。今後はそれがどうなりますか。
#27
○政府委員(渡邊誠君) 只今專門的な御質問で、御説の通り採炭夫の出炭能率は、先程も申上げました通り、戰爭前の状況まで回復して参つております。それから掘進夫、つまり坑道を延長して行く方の作業をいたしておる者は、大体戰爭前の能率の六割五分くらいしか回復しておりません。衆繰夫、つまり坑内の修繕夫でありますが、この仕繰夫は、やはり戰爭前の能率に比べまして三割程落ちております。これらの人たちの能率を上げますためには、やはり熟練度の問題がございますのと、それから実作業時間が現在聊か短いように考えられます。それと從來は技術職員が十分指導し、規律を以て作業がなされておつたのでありまするが、一部には職場における作業規律が十分でなくて、技術指導員の指導が行き届かない、或いは徹底しないというような向きもございまして、これは御説のように今後もつと向上をして行かなければならない。逆に申しますと、能率が惡いために、採炭夫に比べてそれらの間接夫が余計要るということになつておるわけでありまして、バランスを取つて行くようにいたしたいと考えております。
 尚輸送の点でございますが、輸送は、現在三百万トン余の出炭が毎月なされております、現在のところ貯炭は増加いたしておりませんので、鉄道の方に故障があつたとかいうような場合、或いは船舶のストライキで船が動かなくなつたというような場合以外は、本年度におきましては、二月までのところ、貯炭は輸送力不足のために増加いたしておりません。現在程度の出炭は運ぶのに困らない状態にあります。三月には三百三、四十万トン出るだろうと思いますが、これもどうやら運べるような状態で、現在までのところ支障がございません。明年度四千二百万トンを若し出しますことになりますると、一ケ月当りの平均は三百五十万トンに相当するわけでありまして、これが明年の年度末になりますると尻上りで増加すると思いまするが、それまでにやはり鉄道の方も整備をされて行つて一応鉄道の輸送力に附いては行けるのではないかと私の方は考えております。詳しいことは運輸省でないと分りませんけれども。尚出炭の場所によりまして、北海道については聊か船舶の廻りがよくないと相当明年度は時に困難することが起るのではないかと予想いたしております。
#28
○阿竹齋次郎君 くどくなりますが、こういうところに隱れたるところの隘路があると思いますが、併し十分これから指導鞭撻して貰わなければならん。それからもう一つ儲かる炭鉱は別として儲からん炭鉱は赤字が出ると思いますが、今はどうでしよう。こすい業者は儲かるやつは掘らん、儲かるやつは今後自由になつてからやろうとして残しておるということに対して当局はどう見ておられますか。
#29
○政府委員(渡邊誠君) 只今のは非常にむずかしい御質問でございますが、四百何十炭鉱の数多くの中にはそういう傾向を帶びたところもあるかとも存じますが、大体炭鉱の作業の通常の姿から申しますると、都合のいいところだけを残して置いて別のところへ進むということは、作業段取からいつては非常に保存のために却つて坑道保持費というようなものもかかる場合もございますので、普通はそういうことはないのが常識でございます。併しながら昭和二十四年度におきましては御承知のように司令部からの覚書がございまして、現在の單價を据置き補給金の増額はしない、赤字融資はいたさない。こういうふうな指令が参つておりますので、これに基いてやります場合に、引合わないところを掘つて誰かに尻を拭つて貰うことにしても誰も拭つて呉れないので、そういうことをいたしては潰れな行くのではないかと考えております。
#30
○阿竹齋次郎君 尚念のためにこの炭鉱が面白い結果を得られない、即ち採炭が面白くない、出炭が面白くないということは、支柱部や機関部や軌道部が有機的にこれが働かないということが隱れたる隘路だろうと思いますが、特別に御注意を願つたら結構だと思います。
#31
○栗山良夫君 この法案の趣旨は御説明によりますと、爭議解決のために政府の介入した責任を果す措置である。こういう工合に言われておりますが、私は石炭関係も同樣であると思いますが、特にここに資料がありますので電氣関係から申しますと、電力管理法には第三條に「政府ハ日本発送電株式会社ノ電力設備ノ建設又ハ変更ノ計画及電力料金其ノ他ノ電力受給ニ関スル重要事項ヲ決定ス」こういう工合に戰時中の法律でも明示されております。いわゆる労働爭議、いわゆる賃金問題の解決に政府が介入し得るという法的な措番はなかつた筈でありますが、どういうような法的な権限でそういうような責任を負いになつたのかどうか、この点を伺いたいと思います。
#32
○國務大臣(稻垣平太郎君) 法的の権限で云々ということではなくて、当時起りました問題について政府が円満に解決するために介入した、その介入という場合は法的の意味じやなくて、円満に解決するためにこの問題に話合をつけまして、そうして融資を斡旋したということでありまして、別に法的に云々という意味じやないと私は承知いたしております。
#33
○政府委員(玉置敬三君) 資料にもございますように、電産爭議につきましては、二十一年の十一月から二十二年の三月までのものと、二十三年の一月から六月二十二日までの分と二回に亙つておる、最初の二十一年の爭議は十月に当時労調法に基きまして強制調停を申請いたしたのであります。そうして後の爭議というものは。当時二十一年の十二月にできました労働協約に関連いたしました問題でありまして、その間におきましても今大臣からお話がございましたように、政府が直接間接介入いたしまして、而も閣議決定その他におきまして、二十三年におきましてもこれが一応の妥結を見ておる、こういう状態でございます。
#34
○栗山良夫君 大体実際に賃金決定のために、爭議に政府が介入せられたことは事実でありますから申上げませんが、それがありまするためにこういうような措置を自然とおとりにならなければならなくなつたと思いますが、その場合に先程石炭部長もおつしやつたのでありますが、今度は、價格、原價計算の問題であつて、経営上の補償の問題でないということを小林政務次官はおつしやつたのであります、結局價格政策の矛盾とか、或いは経営の巧拙ということには関係なくして、ただ賃金の影響だけをここで見るのである、こういうことをはつきりと区別されたのでありますが、先ずそういうことから考えまするならば、それをその通り、文字通りに了解するといたしまするならば、賃金の決定、石炭或いは電力もそうでありますが、決定の場合に非常に長い間、而も激しい爭議が繰返されておりましたが、あの間においてなぜ政府はそういうような枠外における措置、原價計算上の措置を考えるというような基本方針がありまするならば、爭議は徒らに長引かせるような措置をおとりになり、且つその而も決定された賃金は、一般産業の賃金に比較して極めて低率なところに据置きにせられた、そういうような点を先ず布は伺いたい。
 もう一つは、そういう工合に賃金だけだと言つて切離しになつておりますけれども、私共の承知しておる限りにおいては、政府は今度の賃金問題の解決のために、或いは電力の場合におきましても、石炭の場合におきましても、その價格の値上のために少からざる努力を拂われたことを私共は承知しております。そこに大きな矛盾があると思いますからもう一遍伺いたいと思います。
#35
○政府委員(玉置敬三君) 最初の点でございますが、これはそういう事態に至りました場合には、或いは賃金改訂で行くか、或いは國家補償で行くか、いろいろその他の方法を採り得るというような問題があろうかと思いますが、御承知のように爭議解決の前後に関連いたしまして、当然労賃の改訂が起るわけであります。この電氣事業に関しましてもその点は同樣でありまして、その電氣料金の改訂が必ずしも爭議の解決の歩調と一致しないのであります。そのときに事後的な計算から結果的になりまするので、その事前的における爭議と、料金の改訂のスピードが違うというところの差額はどうしてもその料金において事後的にこれを覆い被すことができなかつたというような事態が起つたのであります。從いましてこの点につきましても、どうしても物價政策その他の関連性も考慮いたしまして、最も現下の状況において九原則その他の状況から最も影響の少い方法を選ばざるを得なかつたというのが事実ではないかと思います。
#36
○栗山良夫君 それからその点をまだ突込んでお伺いしたいのですが、後に讓りまして次に続けて行きたいと思います。先程小林政務次官は損益計算上の補償には触れない、こういうことをはつきりおつしやつたのでありますが、而して原價計算上の賃金問題だけを取上げて、この措置をしたということをおつしやつたのでありますが、これを裏から申しますと、損益計算上の経営の巧拙の問題、或いは賃金以外の原價計算上に占めているいろいろのエレメントの問題は、すベて正しかつたということを前提の上にお考えになつていると思います。今までいろいろな賃金問題が俎上に上りましたときに、賃金の高い安いということについては、極めて眞劍に、而も強い措置をおとりになつて参りましたのに、こういうふうに國民の租税負担を強要しなければならん重要な問題を決定する段階に立ち至つておりますときに対して、石炭の場合においてもとやかく國民から疑惑の目を以て見られております、その経営の内容をほほかむりいたしまして、そうしてこういう法案をお通しになるということは、私共了解出來ない点が多々あるのでありますが、その点はどういう工合に考えておりますか。
#37
○政府委員(小林英三君) こういうような企業に対します國家補償をする上におきまして、全体の企業そのものにつきましては、会社の損益計算に基いて、これを國家がどういうふうに補償するかということは、極めてむずかしい問題でありますばかりでなしに、長期間の時間を要するのであります。のみならず、私は先程申上げましたように、或る会社は非常に経営の合理化をしている、或る会社は放漫な経営をしているために、損益計算の上におきましては、別な状態が現われて來る。それから又一方におきましては、外の産業を併用して経営をしているというような場合には、その補償すべきそのもの自体以外の利益のために、その会社のプールの損益計算というものは、比較的黒字が出ております。併し石炭とか、電力そのものについては、赤字だというような場合においては、会社の損益計算によつて國家補償ということは、これは非常に大きなそこに不公平が起つて來る。そこで政府が、國が当然この問題だけは補償すべきであるという枠を決めまして、その枠に基いて計算をして、そうして補償することが一番正しい方法じやないかという枠に基きまして、原價計算をいたして補償する、これがこの法案であります。
#38
○栗山良夫君 政務次官のおつしやることはよく分るのでありますが、政務次官はただこの金額の補償をしたいという一念の下に、御説明になつているので、私の質問とピントが分わないわけであります。私が申し上げたことは複雜な企業、或いは大企業の経理監査というものは、なかなか簡單に参らない。恐らく今度の石炭の不詳事件につきましても、これについては徹底的に司直の手を煩わして明らかにするということになれば、長年月を要するでありましよう。そういうような非常にむずかしい仕事でありますものを、そのまま理由付けないで、そうしてその皺を賃金、或いは更に國民の負担となる公債というようなところへ持つと行きますると、國民はますます大企業、複雜な企業、いわゆる勝手許のちつとも洗えないところの企業程有利な條件にある、そういうものだけが國民の犠牲において、甘い汁を吸つているのだという気持をますます植えつけて行くのではないかということを心配するのであります。これは政治の要諦として、先ず最を矯めるところの努力をしなければならないのじやないか、こういうことに対して心構えをお聞きしたわけであります。
#39
○政府委員(小林英三君) 今の栗山さんの御質問でありますが、一応そういう議論も成立つかも知れませんが、政府といたしましては、こういう方法で補償することが、一番公平であつて、而も近路であつて、何らの疑念なしに行われる、こういう見当でやつているわけであります。
#40
○栗山良夫君 それではこの問題が、まだ釈然としないのでありますが、打ち切りまして、次に問題を移したいと思います。今度の法案を見ますと、石炭鉱業は昨年の六月二十二日まで、その他のいわゆる鉱業は七月の三十一日まで、電氣事業は六月二十二日までの間における損失、こういうことになつておりますが、それ以後二十四年度のこの法案が通過いたしまするまでには、こういうような損失は出ない見込でおいでになるかどうか、ということが承わりたい。それは例えば電産に例をとつて参りますと、昨年の六月の二十二日に三倍の労賃が決定いたしました、片方中労委によつてストライド制を決定している。最近問題を極めましたけれども、六千八百円なり七千百円の賃金が決定いたして、これは昨年の六月当時とは賃金の中の事情が違うわけであります。原價計算の中の賃金組成が違うわけであります。石炭も同じようなことがあると思いますが、そういう観点から行きまして現在の料金、いわゆる價格を以て行きまするならば、恐らく六月の二十二日以前と同じような損失が出て來るのではないか、今後もそういうことが予想されるのではないかと思いますが、これを損失が出るとお考えになるか、出ないとお考うになるか、若し出るとお考えになりますならば、それをどういう工合に措置せられようとしておいでになるか、その点を伺いたい。
#41
○國務大臣(稻垣平太郎君) この点につきましては、昨年の暮の議会の予算面におきまして、補給金の枠を御承認を得ましたことは御承知の通り、それによつてこの石炭鉱業に対しては二十四億円、それからして電産につきましては八億一千万円、鉱山につきましては二億九千万円を支出することの御承認を得ております次第であります。そういう事情でございます。
#42
○栗山良夫君 それは、あの補給金の方になりますか。
#43
○國務大臣(稻垣平太郎君) そうであります。
#44
○栗山良夫君 次にこれも大臣に御伺いいたしたいのでありますが、まあ時間的な操作によつて経理内容を徹底的に洗うことができない、或いは價格政策の、再生産價格として当を得ておるか、いないかというような根本的な檢討をする余地がないということをおつしやつたのでありまして、私もその点は技術的な操作として非常に困難であろうということを認めるのでありますが、將來の問題として復興金融金庫の融資が画きましたいろいろな不明朗な面は、まだ國民の前に何ら解明されていないのであります。從つてこれはこういう措置を再び重ねておとりになるということになれば、尚更緊急にこういう法礎産業の経理内容、経理の実態、或いは價格政策の檢討というようなものが、もつと根本的に、而も迅速に、而も大胆にやられなければならないと思いますが、これに対する政府の御所信を承わりたい。
#45
○國務大臣(稻垣平太郎君) 今栗山委員の御説、私非常に同感であります。よく経理内容なり、或いは実際に現下の実態なりを十分に檢嵐すベき必要があると、私は確信いたしております。栗山さんの御説全く同感であります。更に御承知のように、石炭につきましては最近メモランダムを貰いまして、いろいろ企業三原則に從つて、今後は実施して行く、こういうことに相成つております。電氣事業につきましても、金属鉱業についても同様のことが言えると思うのであります。從つて今後いわゆる何と申しますか、赤字融資なり、或いは價格の改訂もできないわけでありまして、そういつたような点について、好むと好まざるとに拘わらず、各企業は合理化を促進しなければ成立つて行かないという面があると思うのであります。この企業合理化の促進に合わしていわゆる我々としても十分にその原價、その他についての経理状況を監査して行かなければならん、かように考えております。その点全く同感であります。
#46
○栗山良夫君 そのことは私は昨年の六月の確か予算の質問演説のときにも当時の水谷商工大臣にも申上げたのでありますが、商工大臣もそれは賛成だから直ぐやるんだ、こういうことをおつしやつたのですが、今日までできていないのであります。電氣事業については、昨年の十月に一週間程東京で各事業者が作りました收支計算書やなんかを取り寄せになつて、ちよつと御覽になつて程度のように私は伺つておるのでありますが、今の政府は具体的にそういう必要をお認めになりますならば、いつ頃からどういうような方法でおやりになるのか、その辺までもうすでに御計画を立つていらつしやるのかどうか、そのことをお伺いしたいわけであります。
#47
○國務大臣(稻垣平太郎君) これはいつ頃からいつまでということを、これははつきり申上げるわけに参りませんけれども、今申上げますように、実際にいわゆる企業三原則によつて、これは業者とそれこそ協議してその合理化をやつて行かなければならない現実に迫られておるのであります。從つてその業者におきましても、むしろ喜んでこの経理面の相談もあるだろうと私は考えておりまするし、又我々が業者の中に入り込んでその経理面について世話をしなければ、実際に今後赤字融資も何もできないという立場にありまするだけに、一面又生産につきましては、從來よりも余計な数字を与えられておるという面がありますから、どうしてもこれは必ず短い期間にお互いに協議してやつて行かなければならん、かように考えております。
#48
○栗山良夫君 最後にもう一つお伺いして置きます。九原則の実施なり、或いはこれに即応いたします企業の合理化なりによりまして、二十四年の四月以降にはこういうような補償、損失補填の措置を絶対に必要とお考えになつておりますか、もう絶対にそういうことが必要ないとお考えになつておりますか、その点をはつきりお伺いして置きたいと思います。
#49
○國務大臣(稻垣平太郎君) 今の御質問が少し了解しかねたかも知れませんが、今後もこういう補償が必要かどうかというお尋ねでございましようか。
#50
○栗山良夫君 そうです。四月一日以降において、即ちこれは四月一日までの分でありますが、四月一日以降において事業損失の出ましたものに対する措置は必要でないとお考えになつておるか。
#51
○國務大臣(稻垣平太郎君) これは私必要であるなしに拘わらず、これは企業三原則から、実際として許されないとかように考えております。併し政府としては、これは必要ないとお答えするより外仕方ないと思います。実際面といたしましては、今私が業者の中に入つて相談を受けながらやつて行かなければならないと申上げました所以のものは、実際に必要ある場合もあるかも知れませんけれども、どうしても我々協力して必要でないという面へ持つて行きたい。こういうふうに考えておるからさようにお答え申上げたわけであります。
#52
○栗山良夫君 結局いろいろな情勢からして、そういう事態が起きても、こういうような措置は、政府としては取り得ないのである、こういうことなんでございますね。
#53
○國務大臣(稻垣平太郎君) さようでございます。
#54
○栗山良夫君 そういたしますと、私は重ねて質問をしたいのでありますが、只今の石炭なり、電産なりの賃金が問題になつておりますが、賃金の外に、事業の運営のためにいろいろな資材、そういうものを比較しましても、昨年の原價計算の中には、七割の値上が入つておるわけであります。併し実際の物價は一割以上ずつと高くなつておりますが、どういつても今のままでは、企業整備によつて十分に切り拔け得られれば結構でありますが、非常に困難じやないかと思うのであります。そういう場合に、こういう措置が許されない、こういうことになりますると、石炭工業なり、電力事業というものは國家管理を受けておるのでありまして、この國家管理の形態そのものの本質論に触れて行かねばならんと思うのでありますが、こういうような困難な情勢に入つて参りました場合に、今政府は四月一日から、そういう措置はとれないとおつしやつておられますが、そういたしますれば、國家管理、電力で例を申上げますと、電力管理法の第一條には「電氣ノ價格ヲ低廉ニシ其ノ量ヲ豊富ニシ之ガ普及ヲ円滑ナラシムル爲政府ハ本法ニ依リ発電及送電ヲ管理ス」と書いてあります。そうしてこの第一條によつて、先程申上げましたいろいろな政府直接決定事項までも入つておるわけでありますが、こういうことが事実上責任が持てないということになるのでありますが、石炭管理なり、電力管理のこの管理の在り方を実際根本的に檢討せられて変更される意思があるか、ないか、それを伺いたい。
#55
○國務大臣(稻垣平太郎君) 只今のところ、さような意思は持つておりません。
#56
○栗山良夫君 そうしますとですね。まあ意思をお持ちにならないのは結構でありますが、お持ちにならない。それで而もこういう措置もとれない、それから合理的な價格政策もなかなかできない、そういうことになりますと、経済再建の最も重要なポイントを担つておる石炭なり、電力というものの行方は全くお先き眞暗である、私はこう考えざるを得ないのであります。こういうことに対して政府は責任をもう取れないとおつしやたとりより解釈ができない、こういうことでよろしうございますか。
#57
○國務大臣(稻垣平太郎君) そういう意味に私は申しておらんのであります。責任は取れないと申しておるのではなく、業者と協力して、どうしても生産目標は、与えられたる生産目標はできるだけ遂行して行きたい、又同時に企業の合理化に対しましても我々が御相談に与つて、どうしてもその目的を達成するためにいいような方策へ進んで行きたい。かように考えておるわけでありまして、勿論栗山氏の御指摘のように、なかなか補給することはできないという、いわゆる企業三原則の下において、而も尚生産目標は從來よりも多い、こういうところへ追い込まれておりますのでありますから、それは栗山さんの御指摘のように、なかなか困難なことが、事態が起つて來ることも予想いたしております。併しながら実態問題としてどうしてもこれを遂行して行かねばならん立場におりまするので、これについても、我々の努力によつて業者と協力してその目的を達したい、こういうような考えておる次第であります。
#58
○栗山良夫君 もう一点、まあ抽象的にそういう工合にやるのだということをおつしやつたのでありますが、私は実際こういう事業体の内部にもおつて、下の方の仕事をした経驗もございますし、最近の情勢も相当承知しておるつもりでおります。そういうものから見まして、私が今政府は責任をお取りになれないのじやないかと申上げましたことは、如何に抽象的にやるとおつしやつても、事実上不可能であろうということを私は確信するからなんであります。まあその点はその点といたしまして、次に一つ重要なことは、最近勤労者の賃金というものは非常に紊れて、例えば國内で一番最高賃金にある金融資本系統の從業員の賃金は驚く程高い、税込み一万八千円から二万円、五大銀行なんかはその通りであります。手取一万円ずつと越しておる。それに対して一般産業でも業態のいいところはもう一万円どんどん越しております。然るに同じ基幹産業でありましても、石炭とか、電力とか、その他のこういう政府の價格政策の犠牲になつております産業は、それが政府介入によつてなかなかなれない。更に中小企業に行きますならば、今度の一本替爲レートに皺がある。その場合相当あるのですから、ますます賃金は低賃金になつて行くと思います。少くとも重要産業、まあ最近の新聞紙上を見ますと、連合軍側の方でもまあ今度相当思い切つて産業が整理されても止むを得ないということをおつしやつておりますが、中小企業はまあ別といたしましても、少くとも基幹産業だけは労働の再生産能力を得るという意味から行きましても、労働賃金にそんな大きな高低が許さるべきものではないと私は考えるのでありますが、今現状はそういうふうになつております、これを仮に金融資本の方は別といたしまして、産業体として商工大臣の御所管になつておる枠の中における俸給生活者、この賃金労働者に対しましてのこの地ならし、そういうものを実際おやりに將來なりますのか、なりませんのか、このままで勤労者に働けとおつしやるのか、経費再建のために復興しろとおつしやるのか、その辺をちよつと伺つて見たいのであります。実情から……。
#59
○國務大臣(稻垣平太郎君) 只今栗山さんの御指摘になりましたように、いろいろ各種産業によつて業種によりまして賃金に高低のあることは私もよく承知いたしております。或る業種のごときは非常に高い賃金を拂つておりますことも承知いたしております。併しながら一面企業の合理化がこれは好むと好まざるとに拘わらず促進されるだろうと思うのです。そういうことに相成りますと、この企業の合理化の線に沿うておのずから賃金は私は或る一つの方向に向つて集まつて來る。集まつて來るということは、結局平均價値のところへおのずからならされて來るのだ、かように私は考えておるのであります。これがならされないで、非常にそこに高低が依然として残つているという形を生じますると、これは私は非常に全体の日本産業のために惡影響を及ぼすだろう、かように考えております。そのときには又労働大臣あたりとも相談いたしまして、然るべき処置をとりたいと思いますけれども、企業の合理化が行われるにつれまして、おのずから私は賃金を平均化して行くように考えておるわけであります。御注意の点は御尤もだと私は存じております。
#60
○栗山良夫君 高低の差が各産業によりまして、非常にアンバランスをお認め頂いたのでありますが、それが企業の合理化によつて行い得る。企業の合理化、いわゆる経営のまずさというものを主要理由に挙げられましたが、経営の巧拙もありましよう。それを私共認めますが、それと同時にこの基幹産業、少くともこの基幹産業、或いはその他重要産業につきましては、政府の價格政策の巧拙、これは意識的か無意識的かは別といたしまして、價格政策の巧拙というものが非常に強いフアクターとして入つておるということをお認めになるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
#61
○國務大臣(稻垣平太郎君) 勿論これは影響しておると私は思います。御承知のように初めのうちは、いわゆる基礎産業が非常に賃金がよくて、他の産業が惡かつたという時代もあつたことも御承知の通りであります。從つてこれは政府の價格政策にも影響したところもありますし、又基礎産業を政府が非常に重要視したので、或る期間においては基礎産業の賃金というものが他の産業に図抜けて高かつたということもあるだろうと思つております。これは私は企業整備の問題と関連して平均化されるものだと考えられまするし、又基礎産業についてはこれの價格は抑えられておるのでありまするから、全産業の賃金を動かすということは私はできないものだと思うのであります。外のものが片寄つて來るというようにおのずからなつて行くもんだと、かように考えております。
#62
○阿竹齋次郎君 栗山委員に関連しておるのですが、今大臣の御説明によつて業者と協力なさると言われましたが、併し從來の政府も業者と協力しておつたと思うのですが、今度業者と協力すると大臣が言われるならば、從來の政府は協力を間違つておつたか、まずかつたということになるのですが、併し実際の仕事をしたのは政府の官吏で、今日の内閣の官吏でそれは一緒なんです。ですから私はどうしても非常に心細く思う。それから次に企業整備とおつしやつたが、企業整備の程度があると思いますが、これは大したことはできまいと思いますが如何ですか。
#63
○國務大臣(稻垣平太郎君) 阿竹さんの御質問は御尤もで非常な御心配なことと思いますが、今までの方も非常によくやられておつたと思いますが、ただ今時代の條件が惡うございますが、どうしても追い込まれておるという立場と從來の追い込まれていなかつた立場との間にはおのずから違いもあるだろうとこう考えております。從來ともやられておつたと私は思いますけれども、追い込まれた立場、動きの取れない立場におるだけにまあ業者との協力ものおのずからそこに途を見出すことができるのじやないかと、かような意味合で私は先程から申上げておるわけであります。その点は御了承を願いたいとこう思うのであります。それから企業整備云々とおつしやいますが、企業整備ということは、今の栗山さんにお答えしたのは、この石炭鉱業だけということでなしに、全般的の意味合で私は申上げたのであります。
#64
○玉置吉之丞君 大分質疑も出、相当長くなつておりますので、もう他にないようですから、これで討論終結して、恐らくこれは私は認めなければならん問題だと感じておるので、討論終結して採決したいと思います。その動議を提出します。
#65
○委員長(小畑哲夫君) 只今玉置委員から質疑の打切りをしては如何という動議が出ておりますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないと認めます。それでは直ちに討論に移ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないと認めまして、討論に入ります。御発言の方は賛否を明らかにしてお述べを願います。石炭鉱業等の損失補てんに関する法律案全部を議題といたします。
#68
○玉置吉之丞君 私は本案に賛成をする者でありますが、ただ一言希望を申述べたいと思うのでありますが、先刻栗山委員の御質疑の中にあつたように、昨年の六月以降から、又あとにこういうような附随した問題が起り得ると思うのです。それに対しては商工大臣からも御説明のあつた通り、三原則並びに九原則の実施に伴うてこういうことを、再び重ねてこの処置がとれないと思う。これらに対しては十分政府としても御考慮に相成つていると思いますが、何分基礎産業の重要な部門でありますから、ただそういう処置がとれないというだけではなくて、石炭にしても、電力にしても、それだけの必要量を確保しなければならんという立場にありますから、政府は大臣のお話の通り業者と完全に一致した協議を遂げられて、その基礎産業に力を盡されたいと希望して本案に賛成いたします。
#69
○栗山良夫君 私はこの法案に反対いたします。反対の論拠は、提案になりました理由は、私もよく分るのでありますが、こういうようなことをしなければならないというような工合に、日本経済が運営されたことに対しては、私は極めて遺憾に存ずるのであります。併しなつてしまつた以上はこういうことも或いは止むを得ないのではないかという点で了解するのであるけれども、併し私は昨年あの軍事公債の利拂延期の問題におきましたときに、僅か十数億の支拂を停止することについて、当時の金融資本の系統、或いは銀行家の方から強い反対がありまして、そうしてこれが葬り去られたのでありますが、今ここにこれだけ厖大な金額が出されました。そうして而もこれに対して直接に一言半句の不平もこの國会に直接の力として持つて來られない國民大衆の租税の中に持込まれるということは、甚だ私は忍びない一つであります。もう一つは、余りにも便利主義でありまして、この傷だらけの日本経済の内容を改めまして、そうしてこれの再建を急ぐということが、政府の政治力でもあり、又実業家の責任でもなければならんのでありますが、そういうところに、もう私共数年前から口をからして叫んだにも拘わらず、努力の中心が移されない。そうして極めて便利主義的な方法が、而も問題の差迫つたときにこういう工合に出される。そうして、殆んど承諾せざるを得ないような形で持つて來られたことに対して、私は不満であります。そういう二つの理由からして反対をいたします。
#70
○細川嘉六君 私はこの法案に対して反対であります。第一に首相の施政演説も行われん、予算案も提出されていない、この場合に、それらと関係のあるこの大きな支出が急いで討論されるということは政治道徳上許すことのできないことだと思うのであります。これが一つ。それからもう一つは赤字補填という厖大なものについて、その石炭、電産工業、これらにおいてその技術面がどの程度に進歩したのかしないのか、この期間においてしたかしないかこうしいうこともはつきりしない技術の面については全く眞暗であります。それから経理面についてこれも全く我我において成る程赤字は止むを得ないと思えるような、判定させるようなものは何もありませんで、ただ一応の説明、労働爭議について政府が責任を持つたというので補填しなければならんというようなことであつては、大体この赤字は本当に承認さるべきものだという根拠を我々に示しておらないというのが、反対の理由の一つであります。この二つの点から私は反対します。
#71
○委員長(小畑哲夫君) 他に御発言もないようでありますから、討論は終了したものと認めて直ちに採決いたします。「石炭鉱業等の損失の補てんに関する法律案」を原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#72
○委員長(小畑哲夫君) 多数と認めます。よつて本案は可決決定いたしました。
 尚本会議における委員長の頭口報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の趣旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○委員長(小畑哲夫君) それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とする方は順次御署名を願います。多数意見者署名
 中川以良 宿谷榮一 重宗雄三 駒井藤平 玉置吉之丞 廣瀬與兵衞
#74
○委員長(小畑哲夫君) 御署名漏れはございませんか。……なしと認めます。
 尚本日追加して御審議願いたいと思うのでありますが、御了解を得たいと思いますが、「配炭公団法の一部を改正する法律案」、これの提案理由の説明だけを商工大臣からお願いして置きたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないと認めまして、商工大臣。
#76
○國務大臣(稻垣平太郎君) 今朝お手許に配つたと思うのですが、「配炭公団法の一部を改正する法律案」につきまして提案理由を御説明申上げたいと存ずるのであります。
 配炭公団法は基礎物資たる石炭及びコークス等の一手買取販賣機関たる配炭公団の組織法でありまして、昭和二十二年四月に判定されたものでございます。この法律は飽くまで臨時的性格のものでございまして、本年四月一日に失効することになつております。昨年來石炭情勢にも相当の変化がありましたので、今や配炭公団の組織及び運営につきまして、再檢討を加えるべき時機に立ち至つておるものと考えられるのでございます。併し配炭公団の現在果している機能を鑑みまして、今直ちにこれを廃止することは困難なる事情があり、一方新らしい事態に対応する方策の決定実施までには尚若干の期間を存置することが適当と考えられますので、取敢えず本法の有効期間を三ケ月間延長いたしたいと考える次第であります。以上が本改正法律案を提案いたしました理由であります。
 何とぞ御審議の上速かに御協賛あらんことをお願いする次第であります。
#77
○委員長(小畑哲夫君) 本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時四十八分散会
 出席者は左の通り
   委員長     小畑 哲夫君
   理事      島   清君
           宿谷 榮一君
           栗山 良夫君
   委員      重宗 雄三君
           廣瀬與兵衞君
           玉置吉之丞君
           中川 以良君
           細川 嘉六君
           駒井 藤平君
           阿竹齋次郎君
  國務大臣
   商 工 大 臣 稻垣平太郎君
  政府委員
   商工政務次官  小林 英三君
   商工事務官
   (電力局長)  玉置 敬三君
   商工事務官
   (鉱山局長)  長谷川輝彦君
   石炭廳次長   渡邊  誠君
ソース: 国立国会図書館
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