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1949/05/19 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第19号
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1949/05/19 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 商工委員会 第19号

#1
第005回国会 商工委員会 第19号
昭和二十四年五月十九日(木曜日)
   午前十時四十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○配炭公団法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小畑哲夫君) 只今から商工委員会を開きます。本日は配炭公団法の一部を改正する法律案に対する証人の方に、御出席を願つて、或いは経営者の立場から、或いは労働組合等の立場から、或いは消費者の立場から、或いは公団の職員組合の立場から、それぞれ御証言を願うことにいたしております。ところで昭和二十二年法律第二百二十五号の第三條の規定によりまして、証人の方から宣誓書を頂くことになつておりますので、各証人の署名捺印をお願いいたします。
   〔証人宣誓書に捺印〕
#3
○委員長(小畑哲夫君) そこで証人の方に一言申上げますが、御多忙の中今回この法案が本委員会の審議に付託をされまして、ここに皆様方毎日直接この問題について、御関係の方の、実際的の御証言を願つて、我が委員会の審議の参考にしたいという考えで御足労願いまして、誠に御多忙の中有難うございます。御証言願う場合には、或いは立場、立場によつて利害の反するような事柄も出て來るかとも存じますが、この機会に一つ御遠慮なく、十分にお話願いたいと思いますが、但し時間の関係もありますので、大体各人十五分程度の御発言を願いまして、それから委員の方には、その証人一人の済みました場合に、極く簡單な御質問を、その場合に、あればお願いしまして、一応全証人の証言の終りました後に、総括的に研究的な質疑を願うことが便利じやないか、かように存じますので、大体そういうふうに進行したいと思います。御承知願います。それではまだ御出席になつていない方もありますが、この公報に出ております順序によつて、日本石炭協会評議員村木武夫さんに、最初一つお願いをいたします。
#4
○証人(村木武夫君) 石炭の配給機構の対策の問題につきましては、我々生産業者側から、或いは書面で或いは口頭で、皆様方に我々の考えておりますことを申し述べておると思いますので、詳しいことは時間の関係もあろうと思いますから、差控えたいと思いますが、我々のかねての主張は、石炭の生産業者と需要家が直結するような方式、即ちそういうような配給機構の在り方というものが、一番望ましいということで、そういう考え方に則つた主張を、続けて來ておるわけであります。その内容を簡單に申上げますと、石炭には特殊な二つの性質があるということになのであります。その一つは、石炭は坑内で採炭をいたしましてから、それを地上に上げて來て貨車に積んで、港に持つて來て、船に積んで更に需要家の側までトラツクその他で運搬して來るという一つの連続した運搬作業をしている、いわば一つの大きな目で見た流れ作業をやつておるというふうにも言えるという点であります。これは石炭業の一つの特性でありまして、そういう流れ作業をやつておる性質から考えまして、これを他の機関が中断をするということは、どうしてもそこに無理が掛かつた來るということになるわけであります。それからもう一つは、石炭にはいわゆる銘柄によりまして、多種多様な性質を持つているわけでありまして、おのおの特別な持味を持つているわけでありますけれども、その持味を生かして使つて頂きたいのでありますが、又他の商品と違いまして石炭には、つまりレツテルが貼つてないわけであります。一とかけ一とかけ捉えてみましても、相当長年熟練した人でもこれがどこの石炭であるということを、見分けることが非常に困難な性質を持つておるという、つまりレツテルの貼つてない商品であるという特性があるわけであります。從つてそういうものを中間の機関が中断をして取扱うということには法の面からもどうしても無理が掛かつた來るわけであります。併し嚴重な配給統制の必要がある場合にはこういうような無理も敢て排除しながら強力な統制をしなければならんということは分るのでありますけれども、併しこの無理を排除しながら統制する方法も幾らでもあるというふうに我々は考えておりまして、やはり統制を強行する上においても生産業者と需要者の直結した姿の下で統制的配給機構のあり方というものがあるという考えで我々は主張を続けてきたのであります。從つて生産業者と需要家が直結した銘柄賣炭ができるようになりますと、需要家の方ではその石炭の銘柄が分りますので、熟練したボイラーマンは、その石炭がどういう特性を持つており、どういう持味を持つておるかということを大概知つておりますので、それに適した焚き方をするわけであります。從つてそのことから使用の効率が非常に上つて参りまして、生産費も安くなるし、出來上る製品も良いものが出來て來るということになるわけであります。又需要家から見ますと、その銘柄が分ります関係上、その品質と量が適正であるかどうかという点を追求して行く先が明瞭になるわけであります。從つてその品質の甚だしく違うものが來ておるという点に対する責任の追及がはつきりできるわけでありまして、そういう利便が需要家側には出て來ることは明かなのであります。それから生産者の側から見ますと、自分の掘つた石炭がどこへ行つておるかということがはつきりするわけでありまして、從つてそのことが間接には増産の励みにもなるわけであります。又責任を追及されて参りますので、みずからの責任の上に立つた自主的な運営ができる、そういう経営の形がその点から又生れて來るという面もあるわけでありまして、どうしても銘柄賣炭を実行しなければ、石炭を本当に有効に使つて頂くことができないし、又生産業者も自分の責任の上に立つてものができないという形になるから、そういう点では我々は銘柄賣炭、生産業者と需要業の直結した販賣機構のあり方、こういう考え方を主張して來たわけであります。從つてこの考え方は石炭が非常に足りないところでも、石炭が足りないところであればある程石炭を有効に使つて頂くために、そういう方式が必要であるということで考えて参つたわけでありますけれども、最近のような石炭が段々ともすれば余り勝ちである、まあ品種にもよりましようが、四千二百万トンも出ましたならば、石炭は相当需給は飽和状態になるのではないかというような心配もあるわけでありまして、そういう際、更には九原則が出まして日本のあらゆる産業は合理化を図つて自立をして行かなければならんというような際には需要家側から見ましても、やはり銘柄賣炭を希望されるだろうと思います。そうしてみずからの製品を生産費を安くしていい製品を作るという方向に向かわれる努力がなされると思いますし、生産業者もみずからの責任の上に立つた生産態勢をつくることが企業の樹立の上にも必要であるという面で、九原則が出たあとの日本の経済の在り方から考えましても是非需要家と生産者が直結した配給機構のあり方が望ましいということで、こういう状態になればなる程我々のかねての主張がますます重要な意義を持つて來ておるというふうに考えておるわけであります。そこで今回の改正法律案の問題でありますが、法律案の内容を見ますと、実はこの改正の内容だけではどういう姿に今後の石炭の配炭の在り方がなるであろうかということはちよつと想像しにくいのであります。併しながら我々は官庁その他で大体七月一日以降はこういうような方向で進むというような御意見を承つておりまするので、そのことを中心に我々の考えを申上げてみたいと思うのでありますが、我々の承つておるところによりますと、七月一日以降は公団は需要地まで輸送する、即ち船につきましてはCIFまでの輸送を公団がやつて、貨車につきましては、消費地の貨車乘までの輸送を公団がやる、それからそれ以後の販賣は公団は原則として販賣業も営まない、それ以後の販賣は生産業者、或いはその他の販賣業者に販賣をさせるというようなことに大きく分けますとなるように承つております。
 そこで我々の主張といたしましては、公団が荷役を自ら行うということは、これはいろいろの意味でこういう形になつたんだろうと思いますけれども、公団が荷役をいたしまして、港に船を持つて参りまして、この石炭はお前の方の石炭であるから受取れということになつて、そこに販賣が行われるだろうと思いますが、先程申上げましたように、石炭にはレツテルが貼つてありませんので、これは例えば夕張の石炭であるから、北海道炭鉱汽船が受取れ、これは赤平の石炭であるから、井華鉱業が受取れというふうになりましても、それが果して夕張の石炭であるか、赤平の石炭であるかということを見分けることは非常に困難であります。そこでこれは配炭公団でもみずから賣炭ということを相当おやりになるように努力されたようでありますけれども、結局本当の意味の銘柄賣炭はできなかつたのであります。これは先程申上げました石炭の特性から來ておる点であると思います。そういうことで生産業者に販賣をさせるということになりましても、銘柄がはつきり大体分つても、完全に信用を受ける立場で受取ることが非常に困難な状態になろうと思うわけであります。從つて銘柄と申しますのは、これはその生産業者にとりましては、その会社の信用と名誉に掛かる大事なものでありまして、これが間違つた会社の銘柄で賣るということになりますと、非常に影響が商業上來るわけであります。そこでどうしても銘柄賣炭をやるという建前をとりますと、公団が銘柄荷役をして、需要地まで持つて來るという状態では、本当の意味の銘柄賣炭の完遂はできないというふうに我々は考えるのであります。
 それからもう一つ心配いたしますのは、これは卒直に申上げますが、今回の改正案の中には、公団は三月一日以前に廃止されるということが大体明らかになつているように読みとれるのであります。そうなりますと、人情の常といたしまして、公団の從業員は、相当動搖いたしまして、或る人はみずからの職を探すことになりましようし、從つて混乱が或いは我々の想像以上のものがあるのではないか、その結果荷役の能率ということが、非常に阻害されて來て、その結果ますますいい銘柄の賣炭をすることは困難な情勢がその面から出て來るじやないかというふうに考えられますので、我々の主張といたしましては、飽くまで銘柄賣炭ということが必要であると思われますので、公団が形式上は需要地まで荷役をすることになろうと思いますので、その荷役の代行を生産業者にさして頂きたい、そういうことが代行ができますれば、これは自分の荷役、自分が責任を持つて著いた石炭でありますれば、銘柄配炭であるということが、需要地に参りまして、受取る場合でもはつきり連絡上自分の責であるということが分りますので、代行制度が認められますれば、そういう銘柄賣炭もできるではないか、從つて代行制度を考えて頂きたいというふうに考えておるわけであります。
 それからもう一つ、これは非常に重要な問題でありますがCIFの問題でありますが、この資金問題が配炭公団法が今度のように公団が支部まで輸送するという問題になつた一つの一番大きなフアクターになつておると思いますけれども、この資金問題が解決いたしませんと販賣業務ということは決して円滑に行かない、御承知のような最近の金融の逼迫状態でありますので、この問題を簡單に考えておつたのではただ表面的には法律が決まつただけで動けるものではないということは御承知の通りであります。そこで我々が例えば生産業者が需要地で公団から販賣を指定されまして、石炭を受取りまして、それを需要家に賣るわけでありますが、公団では大体山元の生産業者から石炭を受取りましたときに認証手形を受取りますので、結局六十日後にその石炭が入れば大体公団の認証手形が落ちることになるわけでありますが、大体石炭が山元から積み出さたて需要地に参りますまで十日間平均掛かりますが、結局販賣業者が受取つてからそれを金にして公団に拂うまでの間に五十日の期間があるわけであります。その五十日の期間内に炭代の回收ができて公団に拂えば、どうやら公団の認証手形が落ちると思いますが、なかなか最近のような資金状態ではそういうような関係がうまく行かない心配もあります。そういう際の金融をどういうふうに考えて行くかということが一つの問題になると思います。それから販賣業務を営みますためにやはり店舗を構えたり、貯炭場を用意したりする、そういうような費用が相当要るのですけれども、そういう開設準備費用も今のところではなかなか資金的に誰がおやりになつても面倒な点があると思いますので、それらの点を合せた資金問題の解決ということがやはり一つの相当大きな問題になつて來ると思われますので、特別の御配慮をお願いしなければならん点だと思います。
 それからもう一つは、販賣業者が指定されるようでありますけれども、傳えられるところによりますと公団の退職者がこの販賣業者の中に卸賣業者の立場でお入りになるというようなことが傳えられておるのでありますけれども、我々の心配いたしますのは、公団の退職者に対しましては非常に御同情申上げておりますので、何らかの立場で生産業者と協力しなければならないというふうには勿論考えておりますけれども、公団の退職者が卸賣業者の立場で生産業者と同じレベルで販賣業者の立場に立たれますと、今後いわゆる近き將來自由販賣になりましたときの姿を考えてみますと、非常に違つた形になると思われるのであります。それは自由販賣になりますといずれの小さな販賣業者でも生産業者の下請機関になるという形が想像できるのであります。そうしますと生産業者以外の販賣業者というものは大体生産業者の下請機関という形を取るのだと思いますが、それを今から生産業者と同じ立場の卸賣業者になつておられますと、そうすると自由販賣に切換えられるときに非常に対立的な観念が残つておるのを解決するという問題になると思いますが、非常にスムースな解決ができない心配があるのではないか、お互いのためによくないのではないかと考えられますので、その点をどう調節して行くかということが今のうちから卸賣業者の立場ということに固執されないような方法をとつて行かないと、將來却つてお互いのためによくないというふうに考えておるわけであります。
 それからもう一つの問題は、これも資金問題に関連するわけでありますけれども、やはり配給統制は嚴重にされるだろうと思われますので、やはりC・I・F以後販賣業者が販賣いたします場合でも指示賣炭が行われることになると思います。そうしますとみずからの意思に基かない販賣を行わなければならない、賣りたくない先にも賣らなければならないということにもなると思います。賣りたくないという場合には、主として炭代の回收が思うように行かないという先に対してはどうしても警戒したいのでありますけれども、それも命令配炭であればやらなければならないことになると思われますが、そういう際に、炭代の回收が不可能になつて貸し倒れになつたものはどこが負担するかという問題であります。これはやはり國家の命令或いは國家の意思に基いた指示配給統制に從つて賣炭をする限りは、それが貸し倒れになつた場合にはやはり政府の方で何らかの救済策を考えて置いて頂きませんと、非常な問題が起きて來るのじやないかというふうに考えます。
 それからその次は販賣手数料の問題でありますが、これも消費者價格を変えることができないという現状の下におきましては、どういうふうに決まるかということが非常に問題だと思いますけれども、卸賣業者或いは小賣業者がやはり健全な経営をやつて行けるような手数料が公団のいろいろの捻出によつて手続きできるようなものを決めて頂きたいというふうに考えております。
 それから最後に例の法律にありまする四千カロリー以下の石炭を公団の取扱から取除くという問題が非常に重要な問題だと思いますけれども、この問題はどういう形でこういうことになつたのか、薄々は承知いたしておりますけれども、石炭の販賣ということにつきましては、十年近くも生産業者と需要家の間は断ち切られておりますので、相当な準備期間がありませんと石炭のような非常に嵩ばる荷物の販賣ということは非常にむずかしいのでありまして、これを短期間に一片の法律によつて公団取扱から除外するということになりますと、非常な混乱ができて來ることは明かであります。従つてその除外するのはどの程度でいいのかという問題もあると思いますし、準備期間がどの程度必要であろうかという問題もあると思います。そういう問題につきましては余程慎重にお考えになられて混乱を最小限度に防止する方向に向わないと、由々しい問題が必ず起ると予測されますので、特にそういう問題についてのお考えは愼重にやつて頂きたいというふうに希望するわけであります。
 その他細かい点ではいろいろありますが、大体大雜把に申上げたわけでありますけれども、石炭協会側の考えておりまする大筋の考え方をほぼ申上げたと思います。
#5
○委員長(小畑哲夫君) 簡單に御質問がありましたら発言して頂きたいと思います。
#6
○廣瀬與兵衞君 ちよつと伺いたいのですが、卸と小賣のマージンはどのくらいが適当とお思いになるのですか。
#7
○村木証人 これは最近経驗もございませんのでなかなかむずかしいと思うのですが、いわゆる自由販賣と申しますか、戰前は大体卸の方はその價格の二%程度、小賣は五%程度が手数になつておつたと思いますが……。
#8
○廣瀬與兵衞君 卸が二%ですか。
#9
○村木証人 御が二%、小賣が五%、大体そういう目標の範囲内でやれるように努力はしなければならんと思いますが、その程度でも非常に窮屈だということは感じられます。能率が非常に下つておりますので、この程度のパーセンテージで人件費その他の運営ができるかどうかということにつきましては、非常に苦しい状態になるだろうと想像いたしております。
#10
○廣瀬與兵衞君 それからもう一つ、公団の限度ですね、限度はどのくらいが適当とお思いになりますか。全部外しちやいかんというのですか。
#11
○村木証人 これは鈴木さんの方で申上げると思いますけれども、協会側といたしましては、常磐炭が二千七百カロリー、宇部炭は三千七百カロリーくらいから下くらいに少くともお願いしたい。九北炭は四千カロリーより下に下げて頂ければ結構でありますが、原案くらいでもというくらいに考えております。
#12
○委員長(小畑哲夫君) それからその次、大和炭鉱株式会社社長鈴木傳明さんに一つお願いいたします。
#13
○証人(鈴木傳明君) 公団法の一部改正に当つて、当然直接又は間接的に起つて來る石炭の値段の問題であるとか、カロリーの問題であるとか、そういうことについて、諸先生方にわざわざ本日の会合を持つて頂いたことを、中小炭鉱を代表して篤くお礼を申上げる次第であります。只今村木さんから、公団法の一部法律改正について、1炭と公団との関係に大体お話しになりましたが、私は常磐、本土及び宇部、北海道の一部、九州の一部、いわゆる低品位炭を産出する中小炭鉱の側から、この法公団法の改正によつてどんなような悲劇が釀し出されるか、そういうことは民主的日本の建設する途上において、わざわざそういうことをしなくても、もつと妥当なる方法があるのじやないか、そういうような点を生産者側から諸先生に聞いて頂きたいと思います。今年度の石炭生産の目標は、御存じの通り四千二百萬トンでございますが、この大手筋の村木さんのお話しによると、四千二百萬トンでも飽和状態にやるということは、これはいわゆる日本人的の考えでございまして、日本人が四千二百萬トン掘れと言つたのではなくて、我々は被占領國民として至上命令的の四千二百萬トンであつて、日本人がこれを使うのか、アメリカ人が使うのか、イギリス人が使うのか、この数字については我々はよく分らないのであります。どうしても四千二百萬トンは掘らなくちやならないということは、労働者も生産者も皆その氣持で進んでいる次第でございます。四千二百萬トンという数字は、石炭をいろいろ等級付けておりますが、第一級の炭より等外の二級に至るまでの全部の石炭によつて四千二百万トンという数量を仰えるのでありまして、或るカロリーの灰ばかりによつてこの数字が算出されていないことは勿論でございます。にも拘わらず、誰が見ても当然経営はできないというような、そういたような困難な数字、そういう石炭の値段によつてこの炭價を決めよう、この公団改正と並行して、こういうことをしようということは、実に当を得ない話でございまして、これはいわゆる独占的であるとか、大資本主義擁護であるということの譏りがそこから出て來るわけでございますが、四千二百萬トンのそうした至上命令をこんなふうになれば、果せないばかりか、これは生産者だの或いは幾多の労働者及びその家族数十万のいわゆる死活問題でありまして、これは大変な暗い翳が九州から北海道に至る日本の縦断面にそうした暗黒地帶ができるということを言うものでございます。尚、炭鉱自体ばかりでなく、その中小炭鉱が存在するその町村は、沢山の人口を擁しておりますが、この町村の生活の安定、民心の安定ということも勿論保ち得ないことであり、大変な動搖を來し、或いは学校なども閉鎖しなくちやならない状態になるかも知れませんし、失業者のどんどん出て來ることは或いは食糧増産の方面にまで影響を及ばすかも知れないので、明るい日本を建設しようというような、そうしたような政治面から見ても、どうしてもこの中小炭鉱を死に瀕せしめるような炭價を設定するということは、これは大変な間違いではなかろうかと考えております。今年度の石炭行政に対する政府の持つているところの意見というものは、これはいわゆる日本石炭協会という村木さんの理事をされている、我我も勿論メンバーでございますが、この協会から政府の諮問によつて提出した書類を大体において中心にして、いろいろな問題を決められているわけでありまするが、この日本石炭協会というものは、非常に我々中小炭鉱から見れば独善的などころがあり、その例を一つ見るならば、日本石炭協会の理事会というものは、殆んど大手筋の人たちのメンバーによつて組織されており、四十人前後の理事というものは、その中に我々常磐を代表するのがただ一人の生産者が理事となつて出ているに過ぎず、北海道、山口においても僅僅三名しかないのでありまして、四十名前後の理事の中で三人の中小炭鉱代表の理事が、何か言つても発言が如何に強力に推進されるか否かということは、諸先生のたやすく判断の付くことと思います。そうした石炭協会によつて作り出されたる案がいわゆる石炭行政面に反映しまして、日本の今年度の石炭行政を如何にすべきかということになるのでありまするが、大体政府の意図しているところは、全國の炭鉱をA、B、Cの三段階に分けまして、あらゆる金融とあらゆる資材とあらゆる物資というものをAには八十、九十、Bには十、Cにはゼロというような、こうしたことはすでに新聞に発表になつておりますので、皆さんもよく御存じと思います。これは勿論決定的のことではありませんから、多少の修正はあるかも知れませんが、一応そうした思想が流れているということは、中小炭鉱の自滅を希いはしませんかも知れませんが、自滅するのを傍観するというような態度とも我々は見られないこともないのでございます。こうした政府の大手筋に対するところのいろいろ措置というものは、我々から言わせると余りにもよ過ぎる、余りにもよ過ぎるということは、余りにも一方的であるという意味でありまして、つまり民主的な政策でないということを私は断ずるものでございます。このA、B、Cの三階段に分けて、すべての金融と資材と物資と、そういうものをどんどん注入すると同時に、炭價改訂に当つて大幅に大手筋の炭鉱の石炭に利益を出すような計算になつておりまするが、一方中小炭鉱は損するどころでない、当然山の経営が到底成立たないというような死に瀕せしめるような政策がこの中に盛り込まれているわけであります。尚この現在政府が立てようとしているところのこの炭價というものは、我々が仄聞するところによると、北海道、九州の大手筋はトン当り二三百円から五六百円も殖えるということでありますが、これは非常な黒字になり、大変な利益を出すということになりまするが、若しこれが事実とすれば、この石炭の値段というものは、大手筋の炭鉱や何かが非常に儲けているということが一般消費者に分つたとすれば、余り高過ぎるということになり、一つの輿論になりまして、却つて石炭が余り高いからもつと下げろというような輿論となるとすれば、大手筋炭鉱がどうしても今決めようとしている炭價を抑えることができないので、こうした案を提出することは、早く言えば墓穴を掘るような状態になるのではなかろうかと思います。大手筋炭鉱は中小炭鉱があつても何も邪魔になるものではない。我々は大手筋炭鉱に戰前、戰爭中から右へ習えで日本のために前進努力して來たのでありますから、こうした見殺しになるような状態をとられることは、我々としては迷惑であり、大変困つた問題がここに出て來るわけであります。かくのごとき状態にありまするので、今回の炭價改訂に当つても、その使用されていることが、この協会から出ている案が大体において支配的空氣を作つているということは非常に遺憾でございますが、協会が言つているところの石炭は、今後はメリツト本位によつてこれをやる、メリツト本位によつて値段を決めるということを主張しているのでありまして我々はこのメリツト本位にやるということに対しては何ら不賛成を唱えるものではありまんが、日本石炭協会の歴々の方達の考えているメリツトという言葉は、学問的に言つても、実際的に言つても、凡そ見解の外れた妥当でないところの解釈の仕方をしているのでございます。メリツトという言葉を、じやどういうふうに訳すべきか、その持つ意味はどんなものであるかということをもう少し大幅に考えて頂いて、広義の意味における物の價値というものをここに付けてやつて頂きたい、そういうような意味において私達このメリツトに賛成するものでございます。これと同時にこの販賣原價表というものができておりますが、これを是非とも改正して頂きたいわけでございますが、この販賣原價表というものはなかなか数字を操るのに面倒らしいので、長時間を要するので、この暫定價格を決めようと今されておりまするが、これはどつち道、七月一日から新らしい炭價が決まるまで我々はその炭價の算出を協議しておるわけでございますから、たつた一ケ月や二ケ月半の暫定炭價というものは一応取止めて、一応今から新らしい炭價、而も中小炭鉱が十分生きなくてもよろしいのであります。どうにかこうにか生産者と労働者と家族が食べて行くだけで、そういうような線で私共よろしいのですから、そういうような新らしい炭價を決めて頂きたいということも、どうぞ諸先生からうんとこれを交渉し、或いは或る場合には圧力をかけて頂きたいということを希望して止まない次第であります。我々は中小炭鉱はその大手筋から言えば、設備の点において、すべての点において比較にならない程貧弱ではございまするが、いわゆる中央で決めるところの中央行政、この労働賃金、或いはレール一本、坑木一本、その他ダイナマイト一個を買うにしても、同じ値段によつて買つておるのは、これは当然なことでございます。そうしたことにおいて一方は大手筋は非常に、トン二、三百円から五、六百円値上り、中小は死に瀕するような、当然誰が見ても経営できないというような、そうした炭價を決めるということは、どうしても妥当という言葉で言い得ない。こういうような点からどうぞ中小炭鉱がどうにか生きて行かれるというような妥当性のある、そういう含みのある炭價に決めて頂きたいということを懇願し、繰返して熟望する次第でございます。尚その中で四千カロリー以下を切捨てるという問題、先般來両院の諸先生方にいろいろ御配慮願つておりましたが、それは新聞に発表されました通り、又村木さんがこの程度が妥当ではなかろうかというような御意見があつたのでありますが、九北四千カロリー、常磐は三千七百、本土は三千七百、宇部が三千五百というような、こうしたような数字はこれは絶対我々は滿足する数字ではございませんが、一応この点ならば、うんと頑張つて國家再建に邁進しようと、そういうような数字で一応決められたらしいので、この点はやや安心しておるのでございまするが、まだ本会議も通らないことでありますから、尚一応諸先生方に強力にこれを押して頂きたいということを懇願する次第であります。この常磐、本土が三千七百宇部が三千五百、九北が四千というこの数字の主張するところは、我々常磐、宇部及び本土炭というものは、九州、北海道の石炭に比べて非常に燃した場合に灰が少いということです。灰が沢山出るというと、諸先生がお風呂を焚いたりなんかした場合、御家庭の状態をちよつと御覽になればお分りになるのでありますが、灰が沢山出るというと熱量を妨げる、十ある熱量が八か、七かに下るという燃料は非常に惡いということになるのであります。その点常磐、宇部、本土炭というものは灰が非常に少いために、非常に持前の熱量を十分に発揮することができると、そういつたことが常磐、宇部炭、本土炭の主張するごとく、この灰の少いということをもう少し数字に書変えて炭價の方に織込めて頂きたい。そういうことを第一に主張をするわけであります。尚常磐といたしましては、近々五、六時間の程度の短い距離に石炭が埋藏されておりまするので、この距離の観念のことを十分石炭の價値の中に織込んで貰いたいということが、いわゆる我我の主張するところのメリツトでございます。この四千以下を外して來たということに対しての附随した要望についてお話を進めれば、炭價と販賣を自由にして頂きたいということ、これは炭價を或る一応まで抑えてしまえば、なかなかこの金詰りの現況においては賣りにくいのでございますから、この炭價と販賣先、賣先ということも自由にして頂きたいということをどこまでもお願いいたします。併し炭價を自由にして頂きたいと言つても、公団の買取るところの四千の炭よりもつともつと高い値段を付けて呉れというような非常識のことをお願いするのでなくして、これを妥当な意味において自由にして頂きたいということをお願いいたします。尚輸送は今まで通り計画輸送に入れて頂きたいということ、石炭には違いありませんが、政府がもう引上げないという、そういう建前から言えば、或いは政府は石炭として取扱わないかも知れないというところに、我々業者は大いなる疑念があるのでございますが、特にこの石炭は山に幾ら積んであつても價値が生ずるものではなく、消費地に持つて來て初めて價値付けられるものでございますから、この貨車関係が並配、いわゆる普通一般物資と同じような取扱いを受けて多くの数量を輸送することは困難でありますから、今までのように消費地に持つて來て頂きたいということをお願いいたします。
 尚、第四番目には、若しこういう炭價の問題を四千以下に決められたというこの問題について、立行かない炭鉱がこれは当然できて來るわけでありますが、この立行かない炭鉱に対しては、各炭鉱の代表者が当然なすべき整理部門に対していろいろ金銭関係とか、人間とか、いろいろの整理部門がありますが、これについて政府は責任ある行政措置を講じて頂きたいということであります。第五には、この配炭公団の枠より外すという問題は、只今のところ七月一日から実施するということを聞いておりますが、先程村木さんがおつしやつたように、今いきなり外されたところで、我々は十何年間というもの石炭を賣つた経驗をすつかり忘れてしまつておるのでございますから、急に七月から外されてもどこに店を出して、どこに貯炭場を作り、どういうところに賣つたならば金拂いがいいか、そういつたような沢山の問題が山積いたしておりますので、ただ一ケ月や二ケ月は当然その準備ができないために、せめて九月一日よりこの実施をして頂きたいということをお願い申上げます。尚、第六には、自分で賣るためには運轉資金が是非必要になつて参ります。只今まで公団があつたがために、我々生産者は一ケ月に三回オートマテイツクに炭代というものを公団から支拂われていたのでございますが、自分の品物を自分で賣るということになりますと、この金融状態から見ましても、いろいろ手形関係から見ても、即刻金を借りるということは、これは不可能と考えておりますために、せめて金融関係の一般情勢から推しまして、三ケ月分ぐらいの運轉資金を政府において是非とも斡旋して頂きたいということをお願い申上げる次第でございます。この点につきましては、先般來稻垣商工大臣もときどき言及されまして、この金融に対しては自分も十分に努力をするということを申されておりますから、どうぞ諸先生におかせられましても、稻垣商工大臣にこの点だけを最も強力に懇願をして頂きたいということを熱望する次第でございます。尚多少は小さい問題になりますが、これは直接生きるか、死ぬかというような問題において、石炭が外されたならば、それが石炭として扱われないと、当然その炭鉱に対するいろいろの物資なんかの関係も生じて來るのでございますが、我々炭鉱の労働者というものは加配米を貰つております。一般配給のお米以外に加配米というお米を貰つておりますが、若し石炭が重点的の産業にならないというような、この外されたものはそうじやないということになりますと、この加配米などにも影響して來やしないかと懸念するものでございますが、どうぞこの点は從來通り、この労組方面の最も必要なる糧として配給して頂きたいということを、これも懇願する次第でございます。
 尚、石炭と文化ということについて一応諸先生にお願い申上げたいことは、現在都会において、冬場になりますと炭が一俵何百円、薪が一束何百円というふうに、非常に高價なものを一般家庭において焚いておるのでございますが、この日本の植林関係から見ましても、木というものは殖えてもそう簡單に五年や十年に太るものではなく、用材に適するものではない。一度伐れば五十年や七十年はどうしても待たなければならん状態にあるのでありますから、その伐採を激しくすることによつて、この河川の流域にあるところのいろいろな農村な何かがどんな状態になるかということは、数回の大洪水によつても我々は苦い経驗をしておるところでございます。そのいうような意味においても、石炭を家庭の燃料にまで廻すというようなことになりますれば、非常に日本の植林関係から見ても、植林行政から見ても当を得たことではありますし、昭和五年の官廳の調べによりますると、昭和五年当時は石炭を日本人口に比例いたしまして、その消費高が〇・五、一人当り〇・五の石炭を使用しておりました。昭和十二年には〇・七の石炭を日本國民一人当り使つておりましたので、段々文化水準というものがそれだけ上つて來たのでございまするが、その当時の世界の石炭の消費高というものは、エジプトの熱帶國の人間までもこれは入れておるのでございますが、〇・六でございます。併し現在日本の人口を八千万といたしますれば、昭和五年当時の〇・五を若し使うとすれば、丁度政府が要求しているところの四千二百万トン前後がこういう石炭の消費高から見ても必要であるということが立証されるものでございますから、この点から言いましても、文化國家を建設するということが政府の建前に違いないといたしますれば、どうぞこういうような点からも強力に推して頂きたいということを熱望して止まない次第でございます。まだ公団の廃止について、我々中小炭鉱として申上げたいことも縷々ございますが、時間もすでに過ぎましたから、後程諸先生方の質問がありましたならば、その時をお借してお答ええかたがた尚附加えてお願い申上げようと思つております。御清聽有難うございました。
#14
○委員長(小畑哲夫君) 何か御質疑がありますか。
#15
○玉置吉之丞君 ちよつとお伺いしますが、三ケ月に要する金融上の資金というものは何ぼ程要るんですか。
#16
○鈴木證人 常磐、宇部、本土、九州の一部、北海道に一部、こうしたような方面にまでは、私達の知らない炭鉱がありますので、ここで数字をはつきり申上げることはできませんが、即刻調査いたして御報告することにいたします。
#17
○田中利勝君 この法律によるというと、四千カロリー以下公団取扱を外す。実際中小炭鉱が事実上経営困難になつて來る。從つて事業の閉鎖に伴い失業問題が関連して起つて來る。そういう場合に現在の失業手当なり、そういうものを出せる力があるかどうかという点と、それから中小炭鉱がその山の財産というものが復金の担保にもなつているということを聞いておりますが、そういう事情と併せて御説明を願いたい。
#18
○鈴木證人 復金の復入金に対しては各炭鉱とも大きな惱みになつておるのでございまするが、これの返済方法なども我々は殆んど立てることができない状態でありますので、勿論失業者に対して退職手当を出すとか、どうこうするということは、殆んど力を持つておりません。こういうような点を即刻山を止めるにしても解決をしなければならないのでございまして、この金融方面について稻垣商工大臣にまでお話し申上げることを各党の先生を通じてお願いしていたのでございますが、こういう点についても稻垣大臣はできるだけの努力をしよう、そういうお言葉を聞いておりますので、非常にそれを一本の命の綱と思つて頼りにしている次第でございます。
#19
○田中利勝君 重ねてお聞きしたいのですが、中小炭鉱が地元町村の財政の上に大きな財政上の寄与をしておる、例えば鉱山税を負担しておる。こういうものが中小炭鉱の閉鎖によつて地元のいわゆる町村財政に非常な影響を与えることになるというのですが、この点についてちよつと知つている限りの御説明を願いたい。
#20
○證人(鈴木傳明君) 農村は、曾て予期も想像もしていなかつた一つの法律によつて鉱山税というものが生れ出て、農村の経営において非常に役に立つておるのでございまするが、一例を取りますると、常磐炭田の湯本、綴とか、あの附近の小さい村落というものは殆んど鉱山税というものによつて全部の村を賄い、尚且つ余るというような、状態で、相当村の改革であるとか、文化の方面、すべての運動であとか、そういうことにまで突進んで行つておる現状でありまするが、若しこうした閉鎖せざるを得ない炭鉱が出て來るといたしますれば、そういうような状態にまで進んだことが当然そこでストツプされる。或いは鉱山税ばかりでなく、多くの労働者がその町村において今まで使つていた金であるとか、すべてのものがなくなりますために、そういうような意味から中小炭鉱の存在は十分経済に大きな影響を及ぼすということをお話し申上げた次第でございます。
#21
○委員長(小畑哲夫君) いずれその外の質疑もありましようと思いますが、午後にお願いすることにして、成るべく証人の方の全部の御証言を、午前中には無理かも知れませんけれどもお願いしたいと思います。從つてでき得れば成るべく法案に即してお話し頂ければ尚結構である、その他の問題は後刻又掘り下げて研究する、こういうことにお願いしたいと思います。
 次は共同石炭鉱業株式会社副社長入交太兵衞さんにお願いいたします。
#22
○証人(入交太兵衞君) 本日はこの参議院商工委員会にお招きにあずかりまして我々の苦衷をお聽き下さる機会をお与え下さつたことを厚く御礼申上げます。
 只今鈴木さんから主として有煙炭の、低品位炭の問題に関しまして縷々御陳情申上げたのでございまするが、私は有煙炭の採掘もいたしておりまするが、主として無煙炭と煽石が主たる採掘でございまするので、只今は無煙炭、煽石の問題に関しまして諸先生にお聽きを願いたいと思うのでございます。
 過去戰爭中又戰後を通じまして、私共生産業者は増産一途の御命令によりまして政府の御要請に応えあらゆる努力をいたしまして、現在に至りますまで増産一途の國策に沿いまして努力いたして参つたのでございます。たまたま昨今におきまして非常に貯炭が増大をした。公団もこれを持てあました。枠を外して、お前達勝手にやつて行けというので突如今回の公団法一部改正案となつて現われたのでございます。今まではあらゆる御註文に応じて私共は非常なる苦難と鬪い、あらゆる努力を傾向して今日に至つて、もう余つたから要らんというような非常に簡單なことから全くここに我々は放棄されるというような状態でございまするが、これはたまたま貯炭が余つたから困るというところからの政策に過ぎないのでございまするが、又亞炭方面と違いまして、私共の会社は過去五十年の歴史を持ちまして、無煙炭、煽石を今日まで採掘し且つ販賣をいたしました。その販賣機構におきましても相当の有能なる社員を持ち、機構も持つておりまして、相当な自信を持つております。併しながら過去五十年のこの歴史は無煙炭と煽石が日本において必要欠くべからざる石炭であることを如実に物語るものでありまして、要らない石炭ではないのであります。過去五十年、少くともその間四十年の自由経済時代において需要家の非常なる渇望によりまして採掘し、販賣をして参つたのでありますので、この石炭が如何に有用な石炭であるかということは過去の歴史が物語るのでありまして、事新らしく私がここにその有用性を称える必要はないのであります。ただ貯炭が果えた、もう要らないというのは、これは或いは御当局の生産命令に対する御計算が誤つておつたのじやないか、若しかかる状態に追込まれるなれば、何が故に早く統制の枠を外し、何が故にこの九原則によるこの最大資金難の際、最も困難な時期を選んでわざわざ解き放すか、これをつずめて申しまするなれば我々も政府の今までの方針に基いて増産もし、あらゆる努力を傾倒し來つたものなれば、この解き放しに際しましても今少しく親心を持つて頂きたい、親心が少しお足りにならんじやないかということを私はこれから申上げたいと思うのでございます。先ず私の疑問といたしまするところは、有煙の低品位炭に対しては四千カロリー以下ということが出ておりまするが、先程鈴木さんのお話のごとくその地区によりまして三千七百、三千五百の線まで衆議院の方では切下げたそうでございますが、やはりこの貯炭の増大という問題も、無煙煽石におきましても非常な低品位のものもあれば、非常な高品位のものもありまして、有煙においてカロリーに線を引くなれば、何が故に無煙煽石に限つてカロリーの線を引かないか、優良炭はいつまで経つても日本においては非常に貴重な石炭でございます。これを低品位と一緒にして優良炭も何もかにも一つのお取扱をなさるということについては、私は非常な疑問を持つものであります。私は今まで九州の現地におりまして一昨日上つて参りました関係上、今までどういう理由でこういうふうになつたかということに甚だ疑問を持つものでございます。もう一つの疑問は、伺いますると有煙炭の低品位炭を七月一日を以て枠を外すそうでありまするが、仄聞いたしまするに、無煙炭煽石に限り、議会通過後即日施行というような噂を聞くのであります。先程來村木さんと鈴木さんのおつしやつたように、低品位炭においては七月一日の実施においても準備が足らない、もつと長期の準備期間を与えて欲しいというお話があつたのでございまするが、我々としては低品位炭がそうであれば無煙炭、煽石は尚更その準備の不足を訴えたいのであります。何が故に低品位炭と無煙炭、煽石がかかる差等を設けたお取扱に相成りまするか、どうも私はその理由に苦しむのでございます。少くとも私は低品位炭と同じお扱いによつて、枠外しは同じ時期にやつて欲しいのでございます。その理由といたしまするのは、非常なる無準備でございます。これは御当局側も無準備であり、業者側においても準備ができないのであります。不可能であります。先ず御当局において無準備な点をこれから逐次申上げまするが、業者側が困つておりまする点は、現に私はこの二、三日前まで若松の戸畑の貯炭場を借りる問題につきましてあらゆる努力をしたのでございまするが、いまだ適当な貯炭場を得られないのであります。即日施行して我々はどこへ石炭を持つて行つたらいいか、どこから石炭を積出していいか、未だ目鼻がつかないのでございます。一つは公団が全部貯炭場を抑えております。而もその貯炭場には貯炭が山積しております。そう言われても今君等に貸すところはないのだ、見て呉れと、こういうお話でございます。それは一応御尢もとは思いまするが、我我としてはそんなことで默つておつては翌日から一銭の金も得られない、山元には貯炭が山積いたします。この貯炭場一つを取上げましても我々は解き放されて一体どうやつてこれから石炭を輸送し販賣をするか、こういう問題でございます。先ず無煙炭の矛盾を申上げますると、私の方は山口方面の無煙炭の異りまして、あすこは古生層にありまして、大体すべて粉炭でございます。同じく無煙炭と申しましても山口の無煙炭はすべて粉炭でありまして、これは御承知のごとく煉炭とか豆炭に使用する外ないのであります。筑豊におきます無煙炭は火山岩の影響によりましてできました無煙炭でございまして、塊炭層でございます。從いまして粉炭は同じく煉炭豆炭として使われるのでありまするが、中塊、小塊、塊炭は又石灰の燒成用或は水素ガス発生用、いろいろな用途がございます。先ず煉炭、豆炭用の無煙炭でありますが、現在もまだ薪炭需給規則というものが現存しておりまして、この無煙炭の枠外しに拘わらず、でき上つた豆炭、煉炭というものは需給規則に抑えられております。從いましてその豆炭、煉炭の販賣区域というものは局根されておりまして、自由なる輸送ができないのであります。こういう規則をそのまま存置して、そうして現状の無煙炭だけを法律で解き離す。我々は網の目のような統制規則の中にありまして、ここにただ一端の統制を外したというだけでは統制が外れたことになりません。まだ残存するあらゆる統制がある限りにおきましては、先程鈴木さんのおつしやつたように、輸送方面におきましても、或は稼働者いわゆる労務者の配給諸物資にいたしましてもあらゆる困難をなめなきやなりません、これは重複いたしまするが、どうか先程鈴京さんのお話のごとく、先ず値段の問題の自由ということ、そうして輸送方面における差別待遇のないこと、労務者方面へのあらゆる物資の配給面におきまする差別のないこと、資材方面におきましても同様な措置を是非共とつて頂きたいのであります。そうして石炭の枠外しに関連をいたしまする諸法規の改正も併せて御実行願いたいのであります。
 次は煽石でございまするが、煽石は諸先生方承知と思いまするが、やはりこれまた火山岩の影響によりました炭化度が更に無煙炭から進んで参つて煽石というものができたものであります。これは非常に珍らしい石炭でありまして、やはり無煙炭と同じく煙が出ないのでありまするが、これを燒きますとパンパンとはねるのであります。これが煽石の特徴でありまするが、これの主たる用途は殆んど全部と言つていいくらいに石灰燒成用に過去二十石年使われておるものでありまして、石灰燒成には絶対なければならない石炭でございます。その石灰によりましてカーバイトができ、肥料ができ、ソーダ工業におきましてはソーダの製造用に使われます。あらゆることに関連をいたしまして必要欠くべからざる石炭でございます。この煽石でございまするが、現在公団の状況を申上げますと、貯炭の一掃のために去る三月以來配炭公団におきまして格下と称しまして二級格下をいたしております。そうして掲地におきましては貯炭場によりましては三級の格下をいたしております。要するに実カロリーというのが、私は意味が分らんのでありまするが、実際のカロリーが少いのだ、どうも公団のなさることは意味が呑み込めんのでありまするが、公団に実カロリーと公称カロリーとあるということは最近まで私は知らなかつたのでありますが、ともかく実カロリーで賣るという意味を以ちまして、二級三級の格下げをいたしまして、金額にしますと三百円、六百円、或いは一千円の値下げをされまして、貯炭を賣られております。我々は自由なる活動の方に放り込まれ、明日から石炭を賣つて行かなければ飯が食えない状況に相成つておりますが、石炭市場はすでに公団の貯炭一掃のために撹乱されております。我々は如何なる値段で如何なる方法で賣つて、如何に代金を取り得るか、私共は今回の情勢を見まして、日本の石灰事業、無煙炭、煽石事業も実際調査をいたしましたが、全く混沌といたしまして、値段が一体幾らで賣つたら買つて呉れるのか、代金はどうして取れる、又このままで公団が飽くまでも遂行して、我々が進んで行くなれば、部分達の炭を買つて下さつた公団が我々の石炭を安く賣られる、又私共も出て來た新らしい石炭を賣らなければならない、こういうような競爭的な立場にあつて、而も公団は全く國家のあらゆる援助の下に組織された、尨大なる組織を持つておられるものと、一弱小なる生産業者がここに競爭を行われなければならんじやないかというような、実に我々として寒心に堪えない現状にあるのであります。これは公団とも相談をいたしまして、是非とも善処いたさなければならないのでありますが、ともかく現状は九原則によりまする異常なる金詰り、もう石炭の認証手形で中小の諸銀行は法律適用を受けておりまして、貸出余力を殆んど持たない、こういうような状態の銀行であります。その際におきまして、我々はあらゆる努力を用いて銀行との折衝もいたしましたが、融資の目處は未だに立たないのであります。而も石炭を持つて行くには貯炭場はなし、市場はすでに撹乱されておる現状におきまして、如何にして即日施行されたときに我々は歩いて行くか。全く私共は今までは増産一途、これがためにはあらゆる増産設備もいたしまして、すでに五千トンの増産をし得る体制にまで持つて來たのでありまするが、これが一挙にして逆轉をいたしまして、我々は如何にこれを縮小してこの苦難期を避け得るかというような、状況でございます。過去の歴史で以て見まするならば、幾多の苦境を我々は経験いたしました、昭和五、六年の不況期におきましては、我々は極端なる操短をいたしまして、優良なる切羽のみを以てこれを整備したのであります。併しながら現在は非常なるここに状況が違つておりまして、先程の御質問もありましたが、組織された立派な勞働組合というものがあります。而も戰爭に敗けた我々は、ただ事業縮小のために單に勞働者を首切つたことが、これが合理化ではないのであります。やはり我々は血も涙も持つて労働組合と折衝してこそ、労資協調がとれるのであります。單なる政府の方針の下に我々は企業合理化を唱えて、簡單に労務者の首切をできるものではないのであります。而も先程御質問のごとき、我々がどうしてその退職資金を生み出すことができましよう、過去におきまして我々は原價主義によつて、何らの蓄積がないような炭價によつて今日まで至つたのであります。從いまして先ず私共は、賣るの賣れない状況にある値段が、一体なんぼで賣れるかも分らない、こういうように状況である、貯炭場もない、そうして明日からお明は外へ出て行つて一人で歩いて行け、丁度我々が流動食を攝つて、やつて病院に入つておつた、もうお前はよろしいから明日からお前は一人でここから出て行け、重態の病人が急にこれから固い飯、或いは飯も食えない、或いはどんなものも食わなければならない、こういうようなものを、一挙に我々は歩けという御命令を受けておるのであります。従いまして私は今少し御当局の御準備が要るのじやないか、又これは配給いたしまするのにも、仄聞いたしますと、クーポンによつて賣れというような模様も伺つておりまするが、そのクーポンは即日施行になれば、疾うに我々はそれの様式なり方法なりをお聽かせ願わなければならませんが、クーポンについても一向に我々は貰いません、若し即日施行なれば、一体我々どうして販賣をして行くか、全く路頭に迷う一第であります。私共は最小限切詰めましても、私は二ヵ月の運轉資金がなければ忽ちにして我々は壞滅をする外ないのであります。私は鈴木さんのおつしやるように最小限三月の運轉資金を切望するのでありますが、若し不河能とすれば、どうしても二ケ月の運轉資金は持つて行かなければ直ちに壞滅の運命に相成るのでございます、この大事な石炭、僅かの短期間のこの枠外しの期間切抜けができないために、重要な石炭が遂に壞滅をするという虞れを言うのであります。そうして今の事業縮小にいたしましても、公団の貯炭が一応目鼻がつきますれば、必ずや需要面からいたしまして、又無煙炭、煽石の需要を増大をすることは必当であります。この短期間の違金難をために我々は無理に労働者を整理して、又一年後には労働者を入れなければならん、こんな無駄を我々は繰返うことは必然であります。どうか是非とも私は準備期間、又十二分の我々が立つて行くだけのあらゆる面の法律並びに諸施設、方法等を、準備をいたした後に解き放して頂きたいということを切望して止まない次第であります。
 甚だ取留めのないお話でありましたが、我々の血の出るような、実際に当つておりまする現務者の叫びでございまするので、十二分に御酌量願いまして、どうか適当な方法をお採り下さいまするように切望して止まない次第であります。御清聽を煩わして有難うございました。
#23
○委員長(小畑哲夫君) 引続き配炭公団從業員組合中央鬪爭執行委員長津々良渉さんの御証言を願います。
#24
○証人(津々良渉君) 今日は配炭公団法の問題で各位におかれましては、特に御熱心にこういう会合を開かれまして、実情に聽いた頂くということは聞きまして、我々労働組合として非常に嬉しく存じております。よく我々の申上げることをお汲み取り願いまして、是非今度の法案に対しましては愼重なる態度で御決定をお願いしたいと、こういうふうに望んでおる次第であります。
 先程來証人の各位が申されましたが、今度の配炭公団法の改正と関連いたしまして、メリット炭價の問題もすでにお話が出ております。又公団法の改正の中に現われた四千カロリー以下の低級炭の取り外しの問題、或いは公団の機構の改変に伴うところの今後の販賣機構の在り方、これについても皆様がお触れになつておりますが、このいずれもが実は非常に関連の深い一つの共通な要素を持つておるのでありまして、その点につきまして逐次申上げて行きたいと思います。
 大体メリツト炭價は、この配炭公団法の改正と併行いたしまして、七月から実施されるということになつております。これは実は五月に暫定的に行われる予定でありましたが、これが延び延びになりまして、結局七月以後でなければ実施できないだろうという見通しだそうですが、その炭價は、先程鈴木さんも言われましたように、いわゆるメリットの方式が純炭カロリーと言いますか、要するにカロリーだけを主たる要素といたしまして炭價を設定する方式が採られるようでありまして、これによりますと中小炭鉱、特に常磐とか宇部とか、こういう炭鉱におけるその石炭の持ち味というものが全然無視されて、灰分の問題とか、その他いろいろ地理的條件とか総合的な効率というものが全然無視されてしまう、こういう点におきまして、非常に中小炭鉱には不利益がもたらされる、これに対しまして、もともと大炭鉱の方は優良な鉱区、高品位の鉱区を占有しておるのでありますので、このメリツト炭價が施行された場合には恐らく大炭鉱は、五、六百万円のプラスが出て來るだろう、中小炭鉱はこれに反しまして二、三百万円のマイナスが出て來る、これは單にメリツト炭價を計算した、彈き出したということ、それ自身でそういうような開きが出て來ます。もともと現在の炭價はコストを中心にしてやつておりますので、このコストも御承知のようにインフレの昂進に基いて、大炭鉱であろうと、中小炭鉱であろうと、コストは依然として上昇する一方でありますから、お互いに苦しいところは、同じような比率で苦しくなつて來ておる筈であります。それがこのメリツト炭價で一挙に逆轉いたしまして、大炭鉱はいながらにして莫大な利益を受ける、片方の中小炭鉱は一挙にして破滅のどん底に陷れられる、こういうような結論がこのメリツト炭價によつて行われようとしております。これは非常に重大な問題でありまして、この問題につきましては、もうすでに七月以降の炭價につきまして、大体作業を済み、方向も大体結論付けられたようでありますが、これは配炭公団法の改正と合せまして、中小炭鉱に対する危機を招來するものであると思うのであります。尚これに基くいろいろな影響は、公団法の改正の中で申上げたいと思います。公団法の改正の一つのポイントである五千カロリー、四千カロリー、或いは無煙炭、煽石、その他のものを除外する、こういう問題につきましては、今いろいろお述べになられましたように、これによりまして被る影響は恐らく二百四、五十炭鉱がこれによつて影響される、月産では恐らく三十万トンの石炭がこれに引つ掛かるのではないか、こういうふうなことが言われております。これに基いてどういう結果が起るかということは縷々述べられましたように、この統制から除外された石炭が実際賣りどこがないというのは、自分が販賣機関を持つておらないわけであります。又中小炭鉱がたとい販賣機関を持ちましても、現在の状況で果してこれが賣れるかどうかといいますと、現在では配炭公団の手で一手に賣取りまして、そのリスクで賣つておりますから問題はありませんけれども、自分のリスクで需要家を探すということになりますと、非常な問題が起きて來るわけであります。先程來資金の面について縷々お述べになりましたが、先程鈴木さんが言われたように三ケ月分の金融を必要とする、こういう販賣業者が仕事をするには三ケ月分の金融が必要だ、これを仮に計算いたしますと、仮に四百万トン、中小業者の炭鉱が四百万トンと仮定いたしますと、これは外されたものばかりで、販賣機構の改変に基いて起るところの數量でありますから、少し違いますけれども、それだけでも三百六十億ぐらいの金額が要るわけであります。そういうようなことが前提になりますが、この中小炭鉱が統制から除外されて、恐らく影響されるところの炭鉱の從業員は約九万人ということが称せられております。九万人の人々は、ただ九万人だけが、そこで死活を制せられるというのでなくて、その九万人の労働者、その企業と共に生活を維持しているところのその町村が、全面的に崩壞をする、これは炭鉱が郷土の主要な産業であるところの場所におきましては、その影響は実に甚大なるものがあるわけであります。つまりその郷土が全面的に崩壞するかどうかという大問題、社会問題が起きようとしている、ということが言われるのであります。無煙炭についても同じことが言えるのではないかと思います。
 第三点といたしましては、販賣機構の問題でありますが、販賣機構については只今の四千カロリーの問題はたといどういうふうに解決されましても、衆議院あたりでは三千七百、三千五百という特例が設けられるそうだという情報が入つておりますが、これも亦非常に難関に現在遭遇して、本会議でどうなるか分らないという情報が今入つているような状態で、どうなるか分りませんが、たとい三千七百なり三千五百に來ましても、例えば販賣する場合にやはりその他の炭は統制して販賣するのであります。その統制を除外した炭はどうなるかと言いますと、先程村木さんの言われたようにレツテルが貼られてないから分らない、それから統制外の石炭であるからということについて全然区分のしようがない、若しこれを区分をしようとすれば大変な手間が掛かるわけであります。同じ炭鉱で三千五百も、三千六百も一緒に出る、或いは四千も一緒に出る、その石炭を一々一社毎に調べなければ、どれが統制外であるかということは分らない、仕入れの需要家に持つて行くまでそれをはつきりさせなければ、いつどこでごつちやになるか分らない、こういうことは実際問題として大量貨物を見ただけで分らない、石炭のような貨物ではやはり統制するなら全面的に統制しなければならない、一部を外すということは統制を混乱に陷らせる何ものでもないと考えるのであります。又それは別といたしまして、配炭機構は先程政府の意向としてはこうなるであろうという予定で話が出ておりましたので申上げますが、大体配炭機構は公団はもう要らない、公団は卸賣に卸しまして、あとはそれが小賣を使つて販賣する、つまり一手買取販賣はなくなるという、こういうことなのであります。これはもともと公団ができるときに配給統制をする建前におきまして、どうしても一手買取販賣、買入れから末端までの配給が一人の人間がやらなければ十分な統制ができない、こういう理論から來ているのでありますが、それは單なる理論でなく、戰時中の日本石炭という配給統制会社が今度改正されようというような販賣機構であつたから、というのは日本石炭会社は山元で石炭を一手に買取りまして、それを業者に賣り戻しまして、そうして販賣の指図だけするわけです。指図を受けた業者が各工場に配つた、こういう実績があるわけです。これはやつたところが非常に具合が惡かつた、というのは配給の指図をいたしましても、実際の炭は握つていないという関係から、やはり石炭はその業者の縁故関係とか資本関係とか、そういうような方面に石炭が流れてしまう、流れてしまつたら、実はこれだけ流してしまいましたから指図を変えて貰いたい、こういう指図の変更については山のように來ることを整理するのが日本石炭の配給業務だつた、これでは倒底計画的な配給ができない、少い石炭を合理的に配給できん、こういうことになる、賣戻制の廃止、いわゆる自配という一貫的統制方式が生まれまして、これが今日まで続いておるのであります。それがどういうわけでありますか元の形態に還る、つまり一貫統制を廃しまして、二元的或いは三元的な形で販賣機構と買取機構を離すことになりますと、今度の改正の原則として消費者選択の原理を使うという話で予約注文をとつて販賣するという話を聞いております。そうしますと、昔の制度のようになりまして、縁故があるもの或いはそういう方法のついておるもの、そうでなければプレミヤムのついた工場でなければ、いい炭が、自分の欲しい炭が廻つて來ないという現情が出て來るのじやないか、この点について問題があるのじやないか、例えばそれならばいい石炭にばかりそれが集中して石炭は非常な利益を得るのじやないかという一面におきまして、あの下級の炭、中小炭鉱の下級の炭がどうなるかと言いますと、これ又やはり同じような結果になつて、これはまあ産業によりまして違いますけれども、これは喜んでどの工場でも欲しがるというわけではございませんけれども、それにしても先程お話がありましたように、中小炭鉱なら中小炭を販賣する機関におきましても相当な資金が要りますので、その資金を潤澤に持つていれば別でありますが、今日のような状態ではそうは行きませんのでやはり石炭代金というものは嚴重に取立てなければ、その会社は成立つて行かない、こういうことになりますというと、炭代の回收を強化しようということになれば、どういう結果になるかというと、現在すでに公団におきましても、石炭の代金というものは大体二ヶ月半、多い業者では三ヶ月も四ケ月も溜つておりますが、まあ平均して二ケ月半炭代の回收が溜つておりまして、これでは大変だというので今政府の命令で回收の強化ということをやつておりますが、そうなるというと全然引取り手がなくなる、やはり中小炭鉱の炭は中小企業が使うのが原則でありますが、そういうところでは金繰りの関係で若しそれを炭代の回收が非常に強行されれば、それじや石炭を引受けないような情勢が起きて來る、それで貯炭数量が自然に溜つて來る、併しそういうのを見越されて、ダンピングして引取るという人も出て來るか知れませんが、要するに中小炭鉱の炭というものは、現在の金繰りの状況から行きましては、恐らく叩かれて引き取られるというのが落ちではないか、そうしますというと、中小炭鉱は非常に不利な状態に陷つて來る、メリツト炭價の問題で今問題になつておりますけれども、それと同じように今度は需要家の方から叩かれて來る、実際は資金繰りの関係から貯炭の激増ということで叩かれて來るのではないか、こういうことが予想されるのであります。現在すでに統制を除外する理由といたしましては、貯炭が上つたということを言われておりますが、この点につきましては、すでに東京の附近、関東では十五万トンの貯炭が上つておる、近畿では三十六万トンの貯炭が上つておる、これは実はこんなに溜らないうちに大問題になつて、又これが統制除外の原因にもなつたということを聞いておりますが、それが実は今公団ではどういうことになつておるかと言いますと、今まで十五万トンなんというのは大変な貯炭でありまして、これならば恐らく貯炭場もないし公団としては大問題だということになつていたのが最近では関東では三十五万トンぐらいはよいということで盛んに貯炭計画を進められたのである、どういう方面からやられたかということは知りませんが、そういうことを言われておる、又近畿では三十五万トンで大問題になつたと思つたところが、実は五十万トンの貯炭も支障はないであろうと、そのために貯炭場を今搜しておる、こういうようなことを言われております。こういうようなことがいいかどうか行われております。或いは資金繰りの関係で工場の引取りが上つて來た、炭代の回收が強化されたため荷渡しの停止をする工場が殖えてこういう結果になるかも知れませんが、そういうような状態が僅々一、二ケ月のうちに家現されたとするならば、中小炭鉱の販賣を業者というものが、こういうような貯炭の圧迫の中で受配を開始しなければならない、こういうことになればもう最初からダンピングされることは明らかであります。運轉資金は幾らあつても足りない、こういうような状態が起きて來るのではないか、こういうふうに考える次第であります。その点につきましては、私共は大体技術的に計算すれば、非常に莫大な資金が新たに需要される、つまり現在公団でやつておりました資金需要よりもこの二元機構になつた場合の方がより多くの資金が、これは二重になりますから、当然資金が殖えるわけでありますが、先程も鈴木さんのお話のように、若し中小炭鉱の販賣業者が殖えるとしても三百六十億ぐらいの資金が新たに必要である、その資金は現在の金繰り状況から出るということは恐らくむずかしいのではないか、私は金融界の人に聞いてみたのでありますけれども、それは非常に大問題ということを言つておりましたが、若しこの三百六十億の金が仮に出るとしても、この金を單に販賣機構をいじつて、公団の機構を縮小して、販賣機構が二元化せられるということによつて新たに起るところの資金の需要を、若しこれを生産面に使つたならばどれだけ利益があるか、この機構の改変によつて利益するところが全然ないという観点から考えますと、この金の使い途というものは実に勿体ない話で、例えば最近の情報では賠償の撤廃ということが言われておるが、これによつて日本の産業が又更に新たに発展する素地があるのではないかと思いますが、これについてやはり資金がなければこれに基くところの工場の再開ということは困難です。これに関連する下請工場等が、中小工場が当然起つて來ると思うのですが、それに対して十分なる資金がなければこれは再開できないわけです。こういうような資金を、この貴重なる資金を單なる流通面の機構いじりに使うということは甚だ遺憾な点ではないか、この点は特に皆樣方にお願いしたいのでございますが、私は專門家でございませんけれども、金融界の現状を把握して頂くという意味におきまして、そういう方面の方々を、実務を担当しておる方々をお喚び願つて、現在の資金の状態というものをお調べ願えれば非常にいいのではないか、こう思うのであります。こういうようなメリツト炭價の問題にいたしましても、四千カロリー以下の石炭の取外しにいたしましても、販賣機構の取外しにいたしましても、何れも中小炭鉱が、或いは中小工場が、或いは中小販賣業者、大体販賣業者というのは大手筋の生産業者が御賣業者になるだろうと思います。それ以外の小賣業者というものは中小企業になると思います。そういう中小企業が全面的にこれによつて打撃を受ける、たといそこで商賣を始めても先き行きは恐らく成立たない、これは亞炭の統制の撤廃のときに名古屋で関西光燃という会社が我々職員の中から作つて発足したのでありますが、それは亞炭を販賣するためにやつたのでありますが、もう数ケ月経たないうちに全部の資金も使い果たしてしまつた、これは勿論今度の石炭の販賣にも乘り移れる筈なのでありますが、全然使い果たした会社には誰も金を貸して呉れる人もない、これは破産の寸前にある、こういうようなことが実例としてあるわけです。今後先き行き現在の中小工場の非常に苦しい状態を見ますと、こういうような機構の変化によつて生ずるところの販賣業者も、もう先き行きは見えておるということは断言できるのではないか、こういうような状態が非常に悲観的な見方でありますが、私共としては見通しができますので、この公団法の改正、メリツト炭價の問題については、別個の見解を持つております。政府に対する反対の態度を持つておるのです、というのはこういうようなやり方はやはり現在の政府の集中生産の政策、それに基くところの結果じやないかと思うのですが、集中生産政策はおのおの他の企業においても行われておるのでありまして、いわゆる集中生産に該当する工場以外の工場では、続々と企業整備、労働者の首切りこれが行われておるわけですが、それが炭鉱にも配炭公団法の改正と如何にも関係なさそうな法案の改正案の中から、実は現われて來ておる、実にはつきりと現われて來ようとしておるのであります。これは中小企業を育成するという、いわゆる民自党の政策とは全く相反するのではないか、この点について衆議院におきましては、この問もやはり公聽会におきましても、民自党の代議士の方も集中生産政策による炭鉱の場合は公団法の改正によるところの中小企業の倒壊破産という見通しに対しまして、徹底的な反対をなされた、その点は皆さん方においても是非御考慮願いまして、これが日本の産業を破壊し、中小産業が全部破壊されて、それに從事するところの労働者が全部生活の窮乏に陷れられるということは、決して日本の再建に役立つものではない、こういう意味におきまして御考慮を願いたい次第であります。尚公団の職員は、これによりまして約一万二千の從業員のうち、約半数がこの機会に整理されて販賣業者に行くことになつております。販賣業者はそのような関係で恐らく吸收力はないわけです。又殘つた六千人の人間が、配炭公団法が來年の三月以前に廃止されるというので、もう不安動搖の中に突落されているわけでありますが、これに対しましても、現在公団の職員が、販賣業者にできるだけ接收されなければならない、そうしてそこで失職する人のないようにお願いしているわけでありますが、この点につきましても、これは政府の今後の措置でありますが、この参議院におかれましても、その点についていわゆる労働者の生活を守られるような御意見を出して頂きたいということをお願いしたいと思います。
 又公務員につきましては、私共は公務員になつておりますが、この間政令が出まして、退職金が全然出ないことになつておりますので、万一これによつて退職したいという人がありましても、全然生活の目処がつかない、こういうような現状になつておるわけであります。こういうような悲慘な現状は、單に配炭公団法のいわゆる機構いじりをやるということ、全然そこに何らの意義のないような機構いじりをやることから出て來る結果でありまして、而もそれが戰時中にやつた実績で、すべての配炭の統制を混乱させるという経驗のある、その惡い組織に逆戻りをするということから來る結果でありまして、而もそれには多くの資金が、無益な資金がここで吸收されて、その資金が若し生産面に利用されたならば、どのくらい日本の産業の再建に役立つかというような、その貴重な資金が、この機構いじりの爲に使われるという意味において、配炭法の改正、特に販賣機構の改正については、我々は是非皆さん方に反対して頂きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
 簡單でありますが、以上を以て公団法改正に関する私の意見を申上げた次第であります。
#25
○委員長(小畑哲夫君) お諮りいたします。まだ二名の方々の証言を願うことになつておりますが、時間の関係上ここで休憩しますか。実はこの日本炭鉱労働組合連合会の証人にお願いしておる武藤さんは、炭鉱ストライキの問題で関係方面へ出て行かなければならんということで、代理として副会長の柴田さんが、これも成るべく早く引揚げたいから、説明員として話をしたいという希望のお申出があるのでございますけれども、どういうふうにいたしましようか。柴田さんのお話どのくらい掛かりますか。
#26
○説明員(柴田圭介君) 極く簡單でいいんです。私は即刻重大な会議に臨まなければなりませんので……。
#27
○委員長(小畑哲夫君) それでは成るべく簡單に一つ説明員として柴田さんのお話を承わることにいたします。
#28
○説明員(柴田圭介君) 配炭公団の一部が改正される法案が提出された、こういうことになりまして、我々組合員の中から皆樣方がすでに御承知のように、議会の前でハンガー、ストライキをやりまして、百時間の長さに亘つて続けたわけでありますが、一応我々はハンガー、ストライキを停止させまして、尚今炭鉱は賃金問題で、非常な難関に逢着いたしておりまして、昨日は徹宵いたしまして、本朝の六時まで交渉を続けて参りました。一応の末弘最後案というものが出ましたので、これを持帰りまして、各組織で今檢討いたしておるわけであります。私も一睡もまだいたしておりません、突然のことでありましたので纏つた意見が申しかねと思います。ただ労働組合が、この配炭公団法を繞りまして、如何ような立場に置かれておるか、我々の組合員がどのような立場におるかということを十分知つて頂きまして、善処方をお願いしたい、かような意味で、少時間ばかりお話申上げたいと思うのであります。
 今回配炭公団法の一部改正によりまして、特に四千カロリー以下において切捨てられる、こういうことになりますと、この該当者が、大体全炭鉱におきまして二百十八炭鉱、從業員にいたしまして三万五千、こういう数が最低の線として抑えられているということであります。この数字はその方面から伺いました数字でありまして、殆んど正確な数だと私は考えるわけでありますが、私共の推定によりますと、約三百炭鉱、約五万の從業員が、この範疇の中に入ることになるのであります。これは一部公団を外されることにおきまして、從來の取扱から一轉いたしますので、非常な困難を來たすわけであります。経営が困難であるということは、すでに中小工業を代表される方々も言われましたと同樣に、この経営が困難になるということは、必然的に從業員の生活を脅かすことになるのであります。更にその方面の、これも亦正確な数字として知らされたことによりますと、仮に衆議院方面で論議されました、或る程度の地域差が設けられることにいたしましても、七十炭鉱一万一千というものが、完全に犠牲を受けるど、こういうことが言われておるのであります。こういう点になりますと、労働組合員として、どうしても默つておるわけには参らんのであります。即ち私共が労働者の生活を保障し、労働者の保護の上に労働組合を組織して、そうして相当数の從業員、並びにこれに伴うところの家族が路頭に迷うというような状態になりますことは、情においても組織においても全く忍びないところであります。何とかしてこの救済方法を考えたのでありますが、やはりこの公団等から今切離されるということが非常に困る、こういう点に掛かつて來ると思うのであります。突然発表されましたので、我々も非常に唐突なことで困りましたが、いろいろな点から檢討いたしまして、やはりどう考えても今強行されるということが無理であるという結論に到達したのであります。その第一点といたしまして、從來労働組合は過去三ケ年に亘りまして全國の統一賃金制度を確定いたしまして、同じ労働に対して同じ対價の支給を受けて参りました、然るに今回メリツド制が強化されて、新らしい單價が決定され、俄かに一部統制から外されまして、これらが別個の取扱を受けるということになりますと、その統一賃金の基礎さえ狂うことになりまして、御承知のように、統一賃金の破壊の因を來たしておるような状態であります。これが今次の賃金闘爭の最も困難なる第一の條件にもなつて参つております。かような意味におきまして、私共は先ず賃金面から考えましても一つ從來通りの取扱を善処して頂きたい、こういうことをお願い申上げる者であります。
 第二番目におきまして、炭鉱が從來非常に出炭減のうちから三千六百万トン、而も今回は四千二百万というような國民の要請を達成するために相当の努力をして参りました。御承知のように四月におきましては四千二百万トン、割当數の九九・四%という遂行率に達しているのであります。これは從來からも大手筋炭鉱と言わず、中小と言わず乾坤一擲となつて増産に邁進して來たその結果である、こういう努力、こうした生産の増強にこれらの中小鉱山が如何に努力して來たかということは、数字において皆さん方も十分御承知の点だと思うのであります。かくのごとくに日本経済復興のために揮身の努力をして参りました今日において、途端に首を撥ねられるというような國家の政策に対しまして、私は非常に遺憾の意を表せざるを得ない、かように思つているわけであります。從來メリツトの強化とか、或いはそういうことが関知されておりましたので、中小炭鉱におきましては設備の改善を図り、選炭機の改善を図つて何とかして品位の向上を図りたい、こういうような努力をいたして來ておりました。更にこういう段階になりますと相当の努力をいたさなければならない、かようなときにその裏付けとしては、その設備の資金であるとか、或いは販賣の面における資金であるとか、資材であるとか、こういうものが考慮されていない現状であります。こういう点から恐らくここでこのまま撤廃されることになりますと、相当期間運轉中止の止むなきに至るであろう、かように私共は心配するものであります。このことは或る方面の話を伺いましても明かにそのことが言われております。仮に今低品位の炭が賣れなくて相当数が残つている、三ケ月ほどだと言われております。一ケ月三十万トンにいたしましても相当に莫大、この数はどうか分りませんが、この数がはけるまでは一応低品位の炭はストツプさせるというようなことも計画されているように承つております。こういうことになりますとその間立上るまでの炭鉱というものを維持しなければならない、労働者の生活は賃金なくしてどういうことでこの間維持して行くか、こういう点についての考慮というものも全然現われていないように聞くものであります。從いまして恐らく現状のような段階においてこれが如何に無理であるか、言い換えますと、我々を結局犠牲にして大きな山を助けて行こうという方式に労働組合が仮に曲げて考えましても、そういうような結論しか成立たないということになるのであります。こういう点からこの際一氣に四千カロリー以下を切り下げて行くということは非常に不当な処置であると考えます。衆議院で審議されましたように、やはり炭にはそれぞれの成分の違いがあります。灰分の問題であるとかその他の問題、或いはその地区におけるところの消費面からの差、こういうものも十分考慮いたされましたならば、こういうふうで全國一律に行くということが如何に矛盾であるかということは、賢明なる皆樣方は十分お察知ができると思います。かかる意味におきまして私は四千カロリーを一律の切下げられるということには絶対承服ができないし、できますならばここに地区差を設けられ、更に炭の持味を考慮されて、最小限度において犠牲を止めて貰いたい、かように懇願する者であります。尚衆議院方面において計画されました数字においても、完全に犠牲を受ける者で出るのでありまして、ここいう者の今後の取扱、失業に対する問題或いは配置の轉換の問題、こういう点につきましても十分な御考慮をお願いしたいと思うのであります。
 更にもう一点お願いして置きたい点は、炭鉱の品位によりまして、或いは能率の面によりまして、労働者向の物資が差別待遇を受ける、こういうようなこともあるのでありまして、こういうことは到底我々は理窟としても考えられない、この際こういう面も差別待遇を受けないように特にお願い申上げたいと思うのであります。時間の関係もありますので極く簡單に申上げましてその要を得んと思うのでありますが、とにかく労働者が非常な心配をいたしましてあのハンガー・ストライキをやつた、こういう行爲が何を語つておるかということをお察し願いたい、かように思う者であります。
 尚最後に皆さん方に特にお願い申上げて置きたい点は、更に九月におきましてか、十月におきましては、五千カロリー以下は切下げよう、こういうことも当局から直接我々伺つて参つております、段々としてこれが強行される、場合によつては來年の三月を待たずして切離されて行こうというような段階がとられておるのでありますが、こういう問題がやはり今回の問題と同じように行われて來ますと、非常な混乱を起しますし、日本再建に非常な不幸を招く結果になると思います。將來の問題も併せ考慮されまして、今回の処置を特に善処されんことを要望いたしまして簡單にお話を終ります。
#29
○委員長(小畑哲夫君) 午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十七分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時三十九分開会
#30
○委員長(小畑哲夫君) 午前中に引続きまして只今から会議を開きます。鐘淵紡績株式会社資材課長の岡村栄一さん証言を求めます。
#31
○證人(岡村榮一君) 現在並びに將來の配炭機構の在り方ということに関して需要者の希望といたしまして二、三申述べさして頂きます。尢も主として繊維工業に携わる需要者の意見というようなことになりますけれども、この点は一つ御了承を願います。先般当委員会から御照会ありました現在の配炭公團の一手販賣方式、これの妥当であるかどうかというような問題、或いは生産業者の方から盛んに主張されておる銘柄賣炭の可否、更に進んで將來における配炭機構の在り方に対する希望というようないろいろな具体的問題に対しましては、需要者全体としては需要者協議会の方から、各業種別團体としては各業種別の業者の意見を纒めまして、各々文書を以てお手許に御回答しておるような次第でありますので、詳しいことは省きまして、大体需要者としてどういう趣旨を持つているかということを申述べたいと思います。
 御承知のように経済九原則の実施、更に三百六十円のシングル・レートの設定という問題から、企業経営の合理化という問題は從來に増して深刻に取上げられて來ておるのは皆樣御承知の通りでありますけれども、この問題につきまして製品の限界、その中で相当大きなパーセントを占める燃料費という問題が大きく取上げられなければならないと思います。この燃料費の節減に関しましては、戰時中、戰後を通じまして技術的な方面、或いはボイラー釜の指導というような点で有效なる燃燒方法、或いは有效なる熱の使用方法というような問題に関しては、積極的な努力をいたしまして、現在の段階においては殆んど百%の效果を挙げている、從つてこの方面による燃料費の節減というものは、大体最高度の限界に達しているというふうに我々見ておりますけれども、他方我々が工場に引取つております石炭の数量と、品質の点に関しましては非常に不十分な点がある、今までにおいても数量の欠斤の問題、これは品質の問題も、継続して同一程度の品質のものが貰えないというような二つの面がありまして、数量の点のごときは、從來消費者としては相当の努力をして各方面に申入れはしておりましたにも拘わらず、最近多少よくなつたという程度で相変らず欠斤の問題は大きく殘されておる、さうするとこの燃料費の節減の要素として欠斤の問題を早く解決するということが大きく取上げられております。
 それから品質の方は勿論これはその工場の生産品目、その工場の使用する蒸氣量、或いはボイラーの構造その他によつて要求する品種は違いますけれども、その工場がその工場並みの品位の石炭を継続して貰いたいという要求があるわけです。この二つのことに関しましては現在の配炭機構を以てしては、勿論これはその業務を行う人の最後は良心的な問題になりますけれども、如何にいい人がそこにいたとしても機構が惡かつたらこれはどうしてもこの問題は解決することができない、需要家をして言わしむれば、品質、数量その他あらゆる取引條件に関して現在の状態では責任の所在がはつきりしないという点が強く叫ばれております。從つてこの機構の問題に関しましては、今回配炭公団法の一部改正に関する法律案を頂載いたしましたのでありますけれども、その主たる改正の一部であるC・I・F又はオンレールで持つて來て指定販賣業者に賣り渡すというシステムを以てしては、尚その責任の所在が從来より多少はつきりした、或いは需要者の選択制が多少読められたという程度に過ぎませんで、不滿足の状態だと思います。勿論これは諸般の客観的な経済状勢、最も根本になる需要供給の問題ということが考慮されてのことと思いますけれども、私共の希望としてはこの段階を超えて次の段階においては生産者の希望される銘柄賣炭の制度に移行して頂きたい、勿論この銘柄賣炭の制度は曾て日本石炭当時すでに実行し、種々不都合な点があつて逆にこちらへ移行したような格好になつておりますけれども、私共の終局の希望するところは自由販賣でありますから、それに移行する過程においてこういう制度を御採用願いたい、更にもう一段進めて外の品目で相当実行されており、石炭はちよつとそれとは性質が異なるとは言いますけれども、需給の状態がよくなれば考えらるる方法として数量のみを統制して、外の價格その他全部をフリーにする、いわゆるフリー、クーポン制にするという段階を一つお考え願いたい、その段階を超えたあとに全くの自由販賣制度に移行して頂きたい、こういうふうに機構の問題に対しては考えております。
 それから今回の改正による第二の主要な眼目である低品位炭の統制撤廃という問題に関しましては、需要者としては大体四千カロリーという線が妥当ではないかというふうに考えておるのであります。最近資金繰りの点、或いは先程申しました経営の合理化の点から徹底的に燃料費というものを、燃料費の原價計算を各工業とも非常に研究しておりますけれども、これは本当の一例で、又立地條件によつていろいろ違いますけれども、現在の單價を以てしますならば、現在枠に嵌まつておる低品位炭を買うよりも、優良炭の僅かの枠に、今後統制撤廃になつた亞炭の一部を混ぜて燃燒した方が経費的に安くつくということはもうはつきり数字上で上つております。そういう問題からいたしまして、需要者としても、どうしてもその製品の單價を安くして、企業の合理化を図らにやならんという時会において、或る程度の自由撰択制が認められ、その範囲においては我々の引取つたものは全部責任の所在のはつきりするところから買い得るというような状態になつたことを非常に喜んでおります。極めて簡單でありますけれども、今回の改正に対する意見を申述べます。
#32
○委員長(小畑哲夫君) これで一わたり証言が終りましたが、尚これに補足的な説明かあるかとも思いますので、せいぜい三分以内ぐらいで、若しありましたよ余り長い時間をとらないように御発言を願いたいと思います。
#33
○証人(村木武夫君) 先程配炭公団の津々良君から、一元配給を日本石炭なり配炭公団がするようになりましたことは、生産業者が縁故賣炭をすることが主たる原因で一元配給というものが取上げられるようになつたというような御発言がありましたけれども、この問題は戰時中に日本石炭が一手買取り制度に移行しました一番大きな原因がやはり戰爭目的に添うために重要な軍需工場が火が消えるようなことがあつてはならんということで、そのときに直ちに石炭をそこへ運び得るような態勢をつくる必要があるという問題と、それからもう一つは非常に船舶が不足いたしまして、港湾の輸送力が減退いたしましたので、それを最も能率的に運営するためには、船舶の回轉率をよくしなければならん、そのためには荷役を短時間でやらなければならんという問題で、一元会社ができて規格賣炭をして相当の石炭を或る規格にぶつ込んで荷役をしておつたということで回轉率が早くなるということの、この二つの目的が一元配給統制が生れた原因であると私共は記憶しておるわけであります。勿論縁故賣炭問題があるということは、そういう問題の宣傳にはされましたけれども、もともと縁故賣炭が行われるいうことは、供給の数量と需要者の買う数量というものと、つまり買う方の枠の、賣る方の指示の内容が合つておれば絶対にそういうことが起らないわけでありまして、配給計画の杜撰な点がありますれば、そういう問題が多少は起り得るということはありましようけれども、これは実績を調べてみても殆んど言うに足りないようになつておりはせんかと思うのであります。従つて我々としましては、現在では輸送力も相当回復しておるようでありますし、戰時中のように急速に重要工場の火を止めることを解決しなければならんという状態も解決されておりますので、配炭公団のような厖大な非能率的な機関が在存するということについても、もうそういう意義は失せて來ておるというように考えておるわけであります。その点が多少意見が違つていると思うので補足いたしたいと思います。
 もう一つは本日の問題の中心から離れた問題ですが、メリツト制の問題があつたようでありますけれども或いは大手筋炭鉱が厖大な利益が上るというような御発言もあつたようでありますが、これは御承知のように石炭鉱業自体が終戰後非常な増産のために採算を度外視した生産をやつております。現在の單價のままで如何なる合理化を図つて参りましたも、現在の單價のままではあらゆる炭鉱が自滅に瀕するような状態に置かれておるということになりますので少くとも経済的な價値の結び附いた價格を中心として態勢を組んだ自立の目標を考えて行かないと全部が共倒れになつてしまうという問題になつて参りましたので少くも近い將來は自由販賣になりましようし、経済的價値というものに結びついた炭價が決められなければ、本當の自立というものができないという観点から、メリツト制が叫ばれておる、こういう主張でありまして、優良企業は共倒れから救われることになりましようし、又御承知の通りに、石炭鉱業は関連産業に対しまして、厖大な未拂を抱えておりまして、これが解決が三原則下ではないわけであります。これは何らかの形で解決して行かなければならないわけでありますけれども、それもメリツト制が施行されますれば、それによつて経営合理化なりで採算が多少よくなるところは、そういう途によつて関連産業の未拂を解決して行く、ただ一つの残された途でありますので、そういう方向によつて石炭鉱業の自立を図つて行くということから唱えられておる問題でありまして、」尚五百円程度の値上りがあるだろうというような御発言があつたようでありますが、程度は分りませんけれども、石炭鉱業界全般といたしましては、この下期に大体二百五十円乃至三百円の赤字がありまして、一部の優良炭鉱では黒字に変つたところもあるようでありますけれども、大手筋と言われる五社、或いはそれに次ぐ十一社の状態を考えてみましても、まだ赤字は平均して二百円前後残つておるようであります。その外に御承知のように、賃金交渉で決まりました二十四億の補給金、これはトン当り百七十円くらいに当りますけれども、それが四月からなくなるわけであります。從つてその二百円ぐらいの赤字と百七十円の補給金がなくなつた分を加えますと、三百七十円になりますが、その外に償却が今の炭價では僅か〇・五%の十一円七十錢しか見られていないわけであります。これを企業の自立から考えますと、これは十一円七十錢前後の〇・五%の償却では企業の自立ができませんので、これを正常に近い状態に持つて参りますと、百円以上の償却をして行かなければ企業ができないと思います。そうしますと、四百七十円くらいの赤字を克服しなければならない、その外に過去に約三百億高い欠損を石炭鉱業全般で背負うておりますので、これを三年間で償却いたしますといたしましても、四千万トン前後出たといたしましても、二本五十円程度の赤字を更に克服しなければならんということで、石炭鉱業といたしましては、今申上げたように、最低四百七十円くらいの外に二百五十円加えました、七百二十円前後になりますか、そういう厖大な赤字を克服して行かなければ自立ができないという状況に追込まれておりますので、現在では赤字が出ておりますので、メリツト制にしまして、経済的價値と結び附いたことによつて、それを優良企業が順次恢復して行くような姿に持つていきたい、それが今のドツジ氏の考えられておる線にも合うじやないかというわけで、メリツト制を考えておるわけでありまして、その点を十分御承知と思いますけれども、そういう内容から出発しておることを御理解願いたいと思います。
#34
○委員長(小畑哲夫君) 鈴木さん何かございますか。
#35
○証人(鈴木傳明君) 中小生産者として繰返して申上げることは金融面でございますが、我々が公團の枠から外されるということになると、簡單な実例をとつてみましても鉄道納金というものが常磐だけにおいても七八千万円近く掛かる、そういつたような金さえも我々は持ち得ない、そういつたようなことを数え上げれば切りがないのでございますが、この生産を続けるにしろ山を閉じるにしろ、職員の退職手当であるとか、その他整理についてのいろいろな資金に対する金融措置ということは、どうしても講じて頂かなければならないことを繰返えして申上げる次第です。尚先程公団の方からお話がありましたが、関東方面に十万トン関西方面に二十万トン前後低品位の貯炭がある、高品位のものも中に相当あるそうでございますが、これは我々業者の一般的な考えといたしましては、何も石炭が惡いから貰わないのだ、いい石炭がどんどん出て來るから貰わないのだという考えではなく、全般的に金詰りの状態が徹底してしまつたので、石炭が欲しくても買うことができない。そういつたような状態と夏に向つて來たというようないろいろな細かいことが挙げられますが、そういうようなことでこの一時的というのも期間的にそんなに短いものではないかも知れませんが、いずれにしても金融面から詰つた一時的の現象であると私達は思つております。殊に公団の労組の連中がいろいろ研究しますると、関東方面には潜在需要量と言つて石炭が欲しくても廻つて來ないのだ、そういつたような潜在需要量というものが約五万二千トンあるということが、はつきりした数字によつてパンフレツトで示してあります。関東だけで五万二千トンの低品位炭の潜在需要があるとすれば、これを中部とか関西とか或いは日本全國的に見ると、私達の簡單な計算からでも二十万トン前後の低品位炭の潜在需要があるのじやないか、殊に賠償関係でありますが、新聞で発表された通りとすれば、大きな工場が段々動き始めるといたしますと、それに附随する下請工場というものは、金融面さえ打開できれば、廻つて來るのであつて、そういう方面には相当の輕工業も見出だすことは勿論でございますから、その方面にもどんどん販路を廣めて行つたならば、そうした低品位を外さなければならないというようなことも出ないのではないかと思うのであります。
 尚公団の改組につきましては、現在公団が持つている沢山の貯炭というもの、これを処分しないうちに山から我我が出せば、これは当然そこに又尨大なる貯炭になつて來る。公団が苦し紛れにこれをダンピングすれば、我々生産者としては、もうとても首吊りの足を引張ぱられるよりも、もつとひどいような状態に追いやられるのでありまして、この点につきましては、何らか最もいい方法……、公団で折角貯炭したものを貰えないということも大変な國家損失ではございますが、山では一日も休むことができずに、どんどん山元に貯炭も殖えている現状でありまするから、この公団の貯炭と山元の貯炭をどうしたならば、最もよい方法ではけるのではないか、こういうようなことについて公団方面の專門的の人の意見を叩いて頂いてよく善処して頂きたいことを要望する次第でございます。
 尚村木さんの御説で大炭鉱はちつとも儲かつてない、現在でも二百円前後の赤字があるのだ、これは私達が聞いているところでありまして、それは現在であつて、政府が今変えようとしている炭價というもの、あの思想から行きますると、完全に二百円少くとも二百円から五、六百円は絶対に行く、北海道の或る炭鉱においては七百円以上の数字が出るといつたような状態でそれが何万トン、何十万トン出るのですから、これ亦五、六百円の黒字というようなことで、これは厖大な数字になるに違いないのであります。殊に先程申上げましたように、ABCの炭鉱というように段階をつけて、A炭鉱に対しては金融面においても九十%の援助をする、そういうものにどんどんプラスされることは、余りにもプラスが多過ぎはしないか、大炭鉱に対して優良炭鉱に対して余りそういつたプラスは必要ないじやないかということを私が言つているのではなく、余り多過ぎはしないかということを言うのであります。それに引換え中小炭鉱に多少プラスでもあるならば、これは願つたり叶つたりでございますが、我々はプラスはないにしても、どうにかして生きて行きたい、そういつたような人間の悲痛な叫びを言つているのでありまして、まだ生きていてどうにかこうにかやつて行けるという大手筋の思想と我我はどん底に叩き込まれなければならないという考えとは、これは方向が南と北ほど違うのでありまして、これは大きくやつていればいる程損失も多くなる、いろいろ経営上にも困難が多いことは察知できるところでありますが、そういう大手筋の人とおのずから違うところがありますし、余りプラスが多過ぎると言つて、こつちにプラスを寄こして呉れというわけでもない、大手筋がどんどん増産されると同時に、中小炭鉱も生かして貰う、そうした人間としての妥当的なことを私は申上げておる次第でございます。附け足したいことは大体それだけです。
#36
○委員長(小畑哲夫君) 何か入交さんありましたら……。
#37
○証人(入交太兵衞君) 格別大したことはございませんが補足をいたしますると言うと、先程來皆さんの証人の方方のお話しが、すべて有煙炭の低品炭の問題に終止されておりますが、恐らくや議会におきましても無煙炭煽石というものが量的に有煙炭に比べまして少いために、非常に軽く見られておるのじやないかということを私は非常に憂うる者であります。同じく石炭であり而も有用な、なくてはならない石炭でありまするので、これは是非とも要らない無用な石炭ではないということを御記憶下さいまして、同じく石炭鉱業には変りはなく而も優良な石炭であるということを是非御認識たまわりたいのでございます。殊に先程申上げましたように、私共は、聊か販賣方面については経驗を持つておるのでございますが、終戰後に始めた炭鉱殊に又戰爭中始めた炭鉱におきましても無煙炭煽石はその販賣を殆んどその後にできました北九州石炭、西日本石炭というような方面に賣炭を依託をいたしまして、それによつて賣炭をしたわけでありまするが、殊に終戰後におきましては全く公団の一手買取りで販賣については全然知らないのでございます。現に私共の方へも諸炭鉱の方々が全く路頭に迷いまして、その販賣を何とかして呉れという全く氣の毒な頼みを受けるのでございます。今回北九州石炭も無煙炭煽石は扱わないというような過日総会に決まつたのでありまするが、これらは全く氣の毒な状態でございます。我々も何とかこれを導いて上げたいが、自分自身が最早倒れんとしている現状でございますので、我々も何とか目鼻が附き次第これらも逐次助けて行きたい、このように考えている次第でございます。又先程申上げましたように、同じく石炭で優良炭でありながらこれにはピンからキリまでありまして或いは低品位炭の無煙炭煽石でありますが、七千カロリー又は八千カロリーの無煙炭も多々あるのでございます。而も天草炭のごときは一部はコークスの原料として欠くべかるざる石炭も包含されておるのでございます。これを何が故に一律にお取扱いになるのであるか、全く私は疑問とするところでございます。そして重複いたしますが、鈴木さんのお話しのごとく一ケ月の炭鉱の運営資金の外に鉄道納金並びに船舶の輸送費というものは、即刻その資金は必要とするわけでありまして、その資金がなければ需要地にその石炭を送ることができなくなる、この運轉資金の全く枯渇しておる現状におきまして輸送費を果してどうやつて出すか、全くこれ又目處がないのであります。又企業の合理化をいたさんといたしましても、労務者の整理のための退職金の手持も全然ないのであります。少なくともクーポンにいたしましても早速できるようなお話でありまするが、解き放した以上は、自由にどこにでも我々はその石炭をはかし得るような措置を講じて行かないと、クーポンを需要家が貰いに行つたときに何かとそこに支障が起ることになるので、折角我々が見附けた需要家へ石炭を流すことができないというような状態も生ずると思いまするけれども、石炭が速刻に流れるような措置を構じましても、貯炭場の問題も解決いたしませんしそして資金の問題も解決いたしておりません。もう準備ができたろうと言つたつて全然できないのであります。できない状況において我々は解き放された場合には、少くとも二ケ月くらいはブランク状態に置きまして必ずや石炭代が入つて來ないことは確実であります。而も鈴木さんは、もつと公団がダンピングでやつたらどうかというお話でありまするが、無煙炭においてはすでに三月以來ダンピングが行われております。そうして自分のところへ入つておる石炭とこれから出す石炭とは、公団という大きな組織とそして微弱な生産業者がこれから競走しなければならないというような、実にみじめな状況でございまして、そこで石炭の價格を決めるにいたしましても、公団のダンピングが直ちにストツプされない限りにおいては、値段が立たないのであります。我々は全く目先きの見通しがつかない現状にあるということを述べます。そうして鈴木さんの方ではこれは御関係がないから言及されないのでありますが、鈴木さんの御心配になつておることには現実に我々は当面しておるのでありまして、切実なる、最も困難な局面の竿頭に私共は立つておる次第でございまするので、何とぞ一ときの繋ぎ資金の問題は何とかの方法を以ちましてお斡旋をお願いしたいということと、公団はかかる無秩序な販賣の仕方をしないように直ちにこれを止めて頂くということを是非共御実行願いたいと思う次第であります。これは重複いたしまするけれども、特に重大な点でございまするので重ねてお願いを申上げます。
#38
○委員長(小畑哲夫君) 津々良さん何かございましたら……。
#39
○証人(津々良渉君) 簡單に二、三点申上げます。最初に機構全体の問題として村木さんも言及されましたので、申上げて置きますが、一元的な一貫配給機構というものが、必ずしも先程私が申上げたような意味でなくて、要するに戰時中の緊急配炭のために作られたものであると言われましたが、実際私共が当時この問題に携われましたけれども、そのときに集めました資料には、それも一つの要素でありましたけれども、やはりそれを賣炭ということで、事実配炭を混乱させていたという実績がありましたので申上げた次第でありまして、これは先程消費者代表としての岡村さんも言われましたが、とにかく今品質の点、或いは数量の入荷の点で非常にもう不同があつて困る、品質が落ちるとか、こういう点でお困りになつているということは確かに事実でありまして、これは現に石炭が数量的に上級炭が少くて、下級炭がその割に多いというこの事実がそういう結果をもたらすのであつて戰時中に比較いたしますというと、大体上級炭、中級炭は大体戰時中の水準の半分ちよつとぐらいにしか達していないけれども、いわゆる中小炭鉱の出しておられる下級炭に類するものは、一〇〇%で戰時中の水準に達している、このバランスがとられていないためにどうしても抱き合せによつて配合しなければ公平な配給ができないのであります。若しこれを需要家の方々が言われましたように、自分の都分のいい炭……、ノーマルにその品質と数量を入れたいとおつしやるならば、どの需要家でも必ず同じ希望を持つておられると思うのです。そういたしますと何れもが競爭になりますので、お互いが同じ目的のために邁進すれば、どうしても緑故とかの金蔓とかということが生れるのは自然原理でありまして、そこでやはり絶対数量の少ない、総体的に品質が落ちておる現在においては、どうしても配給統制というものし一元的に行われなければならないという至上の命令から、私共はそう言わなければならないと私の主張を申上げておる次第であります。
 尚低級炭の問題につきまして鈴木さんが言われましたけれども、低級炭の問題としてはすでに数字を以てお話がありましたから触れませんけれども、需用は決してないのではない、ただ発券制度が惡いのであつて、價格政策が惡いために値段が割高である、自由に発券がされてないために、欲しい人に切符が行かない、こういう現状で現在の低級炭の貯炭ができたような現象が起きておる、この点は最近におきまして低級炭、つまり当該炭に対しましては発券制度に関する特殊な措置を講じまして、その結果貯藏が半減しております。ところが東京の中に入つておる十級、十一級というような下級炭については、その措置がとられなかつたために、貯炭が倍加しておる、こういうような現状であるわけです。需用家の方に言わせれば、大体発券の問題と、配炭がトン当り五百円か七百円も安ければ、使えるのだが……、こういうことを言つておる方が沢山あるわけです。又ここに波多野さんもお見えになつておりますから証明して頂けると思いますが、最近において石炭廳の熱管理指導官の全國会議のあつたときに、熱管理をやられる專門家の方が、三千カロリーの炭であつても、とにかく我我々考え方からすれば全部入れて見せるということをはつきり言われ、又それを十分に使う工場があるのだということをはつきりその点を証明されておるわけです。ただその運用が拙いためにそういうような貯炭が起きておるということが問題なのであります。尚値段を引くということは現在の價格、プールの現状から言つてむずかしいのでありますが、それについてはプール余剰金というものが昨年の九月については六億、今年の二月については二十九億余つております。これは價格操作上のプール余剰金でありまして、これは當然消費者が負担していた金でありますから、消費者のために價格政策の中で利用しなければならない、その意味では割高になつておりますが、低級炭の値段もこの三十五億円を使つて安く販賣して上げたならば、需用家も喜ぶし、中少炭鉱も石炭を賣ることができる、こういうふうな操作をすることが可能であるという点を付加えて置きたいのであります。
 尚先程村木さんだと思いますが、現在のような厖大な公団機構というものがあるために経費が重なるというお話がありましたけれども、これは全然逆でありまして、この機構があるために実は経費が非常に少ない、現在の手数料は六十九円何がしでありますが、先程來お話があつたように、若し小賣業者、御賣業者、販賣業者というふうに三段階に分れた場合には六十九円、それの外に二百円……二割とか五割とおつしやいましたが、現在政府当局で考えられておるところの卸賣、小賣合せて百九十円くらいと言われておりますが、これらの経費が消費者負担にならざるを得ないということを考える次第であります。その点におきましては却つて現在のような状態では、そういう一元的な機構で一手に合理的に配炭をするということが消費者に対する経費を節減する上におきましても重要な点ではないかと思います。尚こういうような問題は、一貫いたしまして現在は四千カロリー未滿の統制除外の問題或いは無煙炭煽石の統制除外の問題が、とにかくも時期尚早である現在の資金の困難な状態では、突つ放されればそれ自身倒れざるを得ない、或いは販賣機構の問題が改変されて、販賣業者が新たにできたとしても、この資金の問題では倒れざるを得ない見通しだ、こういうようなことが言われておりますが、何れもが單なる一部石炭の統制除外の問題ではなくて、全体の機構として現在のような石炭の需給関係或いは資金繰りの関係から行きまして、中小企業が今独立してこういうような事情に放り出されて生きて行ける時期ではない、こういう全般的な情勢から見まして要はその機構、配炭公団の改正、全面的にこの配炭公団法の改正は時期尚早であるというふうに言うことが最も正しいのではないか、こう言いますと如何にも突飛のようでありますが、例えば一部の問題が解決しても現在の状態ではこの配炭公団機構全体が若しこの法案に書いてあるように変つた場合は、例えば四千カロリー以上の炭鉱で残つたところで、直ぐこの問題は販賣の面においても、行き詰りが來るということは必至でありますので、無煙炭の場合と同じようにやはり公団の機構そのものを、やはり現存のまま残してこの價格調整の機能、配炭調整の機能をよくよく運營することによつて、当面必要な中小炭鉱の炭なり、或いは中小炭鉱経営をとにかく残して生かして行く、これがいわゆる中小企業全体の問題でありますが、若しこの点が考慮せられないならば、近い將來において本当に私共一万二千人の首に関係がありますから私は申すのではありませんけれども、やはり同病相憐れむと言うのでありますか、私共明日の命はやはり中小炭鉱中小企業の明後日の命と同じである、こういう意味におきまして皆さんと共に公団法の改正を全面的に反対をしたい、この点を皆さんに御了解を願つて御檢討願いたいと思うのであります。
#40
○委員長(小畑哲夫君) 岡村さん何かありませんか。
#41
○証人(岡村榮一君) 別にありません。
#42
○委員長(小畑哲夫君) それでは委員の方で御質疑を願いたいと思います……。只今までこの御証言を願いました事柄は非常に広い範囲に亘つておりますので、單的に法案のどこをどういうふうに改正して欲しいか、大体私共分りましたが、尚重点的に、全面的反対ということは別問題でありますが、せめてこの点を第何條をこういうことにというような、若し御希望がありましたらもう一度発言願つてもいいのではないか、大体私共の今承りましたところでは別表の第一項、二項のこの無煙炭、煽石並びに第四項の発熱量四千カロリー以下の石炭というところと、附則の公布の日から施行する、但し何々というところがございますが、この辺のところは法文の上で皆さん方の御意向は、私分るように思いますが、その他に若し指摘してここのところをこういうようにという御希望がありましたれば、もう一戸発言願つても結構です。
#43
○証人(入交太兵衞君) 只今お話の附則の実施期でありまするが、大体期を一にして受け外しを行うものといたしますなれば、無煙炭、煽石も低品位炭と同時にお取扱い願いたいこういうふうに希望いたします。
#44
○委員長(小畑哲夫君) 御質疑はありませんか、法文以外のメリツト制の問題であるとか、或いは金融関係の問題であるとかいうような、非常に重要な点はいずれ委員会で、これまでも大分問題になりましたけれども、これは今後の運営に俟つ点が非常に政府の行政の上にですね、たよる面が多いかと思いますので、それらは今日の法文以外としてですね、研究をして行きたいと思いますが。
#45
○証人(入交太兵衞君) もう一つ補足さして頂きたいのですが、もう一つ補足さして頂きたいのは皆さんにおかれましても無煙炭、煽石がそういうように困るなれば、有煙炭に切替える手はないかということを関連質問を受けたことがありまするが、これは現在無煙炭、煽石を採掘しておりますものは筑豊の大手としましては三井さんと古河さんでございますが、三井さんにおかれましても、古河さんにおかれましても、主たる出炭が有煙炭でありまして、今回の打撃は誠に微弱でありまするし、古河さんにおかれましては仄聞いたしまするに、すでに配置轉換をいたしまして、煽石の出炭は非常に減少されるそうでございます。三井さんの方はまだそう伺いませんが、三井さんにいたしまするならば、月一万トンくらいの無煙炭、煽石は全く九牛の一毛であります。要は困りますのは中小炭鉱でありまして、私共におきましても配置轉換をやろうにも私の方の鉱区は全く無煙炭、煽石層の鉱区でありまして、有煙炭が極く微弱な量はございまするが、到底大勢の労務者を轉換するだけのものは埋藏していないのであります。我々はこの統制受け外しの風をまともに受けまして、何らこれを避け得る方法がないのであります。又小炭鉱におきましても無論有煙炭に切替え得るものは切替えるのでありましようが、大部分のものはこれ亦配置轉換を全然行い得ないものであります。從つてこれに対する何らの対策なしとすれば、最早死滅を待つの外はないというような窮境にあるということを補足いたしまして御説明申上げます。
#46
○委員長(小畑哲夫君) それでは配炭公団法の一部を改正する法律案につきましての証人の証言、並びに証人に対する質疑はこの程度で終りたいと思いますが、一言証人の方に御挨拶申上げます。本朝來非常に御多忙の中を御出席願いまして、本当にその当面しておられる個々の事情を十分によく分るようにお話願いましたので、委員会においても非常な参考になりました。いずれ公団法改正案に関連しましてです、証人の方々の御発言を十分委員会でも取上げまして、今後行政の面にも成るべくこれが最もよいという方向に研究を進めて行きたいと、かように思つております。長時間誠に有難うございます。
 そこで委員の方に申上げますが、実は衆議院の方で只今本会議が開会中でありまして、例の國会の承認を求める件という通商事務所とそれから繊維製品檢査所の支所設置というのがやがて通るだろうということで、通り次第、繊維局長がここへ出て來るから、何とかこちらでも御審議願いたい、こういうことを言つておりますので、もう暫くこのままで休憩いたしたいと思います。それでは暫く休憩いたします。
   午後二時三十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時二十六分開会
#47
○委員長(小畑哲夫君) それでは委員会を開会いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     小畑 哲夫君
   理事
           山田 佐一君
           島   清君
           玉置吉之丞君
   委員
           田中 利勝君
           平岡 市三君
           重宗 雄三君
           廣瀬與兵衞君
           小杉 繁安君
           境野 清雄君
           佐伯卯四郎君
           阿竹齋次郎君
  政府委員
   商工政務次官  小林 英三君
   商工事務官
   (石炭廳配炭局
   長)      波多野義熊君
  説明員
   炭鉱労働組合連
   合会副会長   柴田 圭介君
  証人
   日本石炭協会評
   議員      村木 武夫君
   大和炭鉱株式会
   社社長     鈴木 傳明君
   共同石炭鉱業株
   式会社社長   入交太兵衞君
   配炭公団従業員
   組合中央鬪爭執
   行委員長    津々良 渉君
   鐘淵紡績株式会
   社資材課長   岡村 榮一君
ソース: 国立国会図書館
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