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1949/05/09 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 建設委員会 第11号
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1949/05/09 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 建設委員会 第11号

#1
第005回国会 建設委員会 第11号
昭和二十四年五月九日(月曜日)
   午前十時三十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議の付した事件
○測量法案(内閣提出)
 (右案につき証人の証言あり)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(石坂豊一君) 只今より建設委員会を開会いたします。
 今日は政府提出の測量法案につきまして審議を願うことにいたしたいと存じます。本法案は單に技術的立法のごとくに見えますけれども、過日來よく檢討いたして見まするに、多方面に影響を及ぼすところも大きいと存じますので、各方面の專門の方々の御証言を頂きたいと存じまして、こちらに御出頭頂いたのであります。つきましては成規に基きまして御出頭になりました証人の方々に一應御宣誓を願うことになつておりますので、宣誓をいたして頂くようにいたします。御出頭下さつた証人の方々に一々御宣言を頂くことになりますのですけれども、その煩を省きまして、御総代として坪井忠二先生にお願いいたします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
    宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 坪井 忠二
        証人 須山 皖次
        証人 天埜 良吉
        証人 福島 要一
        証人 園部  蔀
        証人 桑原彌壽雄
        証人 蓑田  茂
#3
○委員長(石坂豊一君) 御証言を頂きたいと存じまするのは、第一に測地学方面との関係、即ち緯度、観測、地磁氣観測等の立場、又は地震との関連においての基本的な立場からの御意見、第二に実際に法案に規定されまする三角点なり水準点なりを御利用なさる方方の御意見を、河川、道路、都市、港湾、鉄道或いは又山林、農耕地の立場からお伺いいたしたいと存じます。第三には側面から水道の立場からの御意見を承り、第四には測量士の資格についての御意見をお伺いし、尚第五として民間においての地図発行という仕事の面からのお話を承りたいと存じます。更に又私設工務所の測量に対する影響という問題についても御意見あらばお触れ願うと共に、その他関係ある事項についても時間の許す範囲において御発言を願いたいと存じます。御発言の時間は審議の関係上十五分程度にお願いいたしたいと存じます。
 第一は坪井証人から一つお願いいたします。
#4
○証人(坪井忠二君) それでは御指名によりまして意見を申します。
 私は東京大学におきまして、地球物理学の講座を担任しておる者でございまして、こういう法案を拜見いたしますと、誠に不馴れでありますのでよく分らない点が多々ございますが、併し自分の立場、即ち測地と申します地を測るそちらの立場から、どういうことになつておるかということで、これを再三、再四よく自分では勉強したつもりでございます。そこで全般を通じまして、ともかく測量ということは日本のいろいろな産業などの根本になるというような点で大事であるということはこれは勿論でありますが、これはむしろ私共の知らない範囲でございますので、学問的と申しますか、基本的な点から、この法案がどういうふうになつておるかという立場を主として檢討して見たわけでございます。これを通読いたしまして私共の立場として非常に大切であり、且つよく立派にできておると思う点は、第一ともかく測量というものにはつきりした定義を加えまして、全体としてはつきりした基準を與えたという点が非常に大事であるということが第一の点、第二の点は、中にございますように、測量というものをいわゆる基本測量と公共測量、その他こういうふうに三つに分けまして、その間の性格を非常にはつきりしたということが第二の点、それから第三の点は、それらの測量の成果でございます。これの処理若しくはその精度、どこまで正しいかということについて規定した、これが非常に大切なことであると思います。これは申すまでもないことでございますが、学問的、基本的な立場に立ちますと、一体或る土地を測量したということではこれは不十分なんでございまして、どれだけの精度、即ち詳しさにおいてどこまで間違いのない測量であるかというような点がはつきり規定されておらなければ、或る甲という土地を測量したと言い、測量しないと言いましても意味をなさない。その点で成果及びその精度の基準を規定したということが非常に大切なことであると思います。これが第三の点。
 それから第四の点は、測量をする人の資格を限定したということでございまして、これは或る土地を測量いたしますのに、それだけの能力を持つておる者が測量したのでなければ、ただ労力ばかり使つて所期の成果を得ないということは間々あることでありますが、ここでいわゆる測量士、それから測量士補という能力に應じた資格を定めて、それによつてやるようにしてあるということが、非常に科学的と申しますか、基本的にはつきりした考えであると思います。
 それから第五番目にはここに中にございます測量審議会というものを設けまして、そうしていろいろな長期の計画その他についてはつきりした権限を持つたような、そういうような審議会を作るような点であるかと存じます。これが第五の点であります。
 ほかのいろいろな測量を実施するに当つて我々一般の國民とどういう関係に置くか、例えばその土地に入るか入らないかというような種類のことにつきましては、これはどうも私分りかねますので、大きい測量というものの根本というものから見ますと、只今申上げました能力の基準を決めたという点、基本、公共、その他と三つに分けた点、それから成果の処理、精度について規定をしたという点、それから測量士の資格を定めたという点、それから測量審議会を置いたという点、こういう点で今まで測量に関するいろいろな規則などがございますけれども、それよりも非常に根本的にはつきりしたということは確かに申せるように私は思います。特に私共の学問はやつております立場から見ますと、この第十一條でございますか、「基本測量及び公共測量は、左の各号に掲げる測量の基準に從つて行わなければならない。一地球の形状及び大きさについては、ベッセルの算出した次の値による。」長径何某、偏平率何某というふうに規定してございます。これはこの地球と申しましても実はいろいろな地球があるのでございまして、どうも大体地球というのは楕円のような形をしているのでありますが、どういう楕円というものとみなして日本の測量をやつて行くかということについて、いろいろな最後の結果において若干の違いを生ずるわけであります。そこで如何なる楕円によるかというとこのベッセルの楕円体、これはドイツ人のベッセルが決めましたそういう或る楕円体があるのでありますが、それによるのであるというふうにここに規定してあるということは、非常にはつきりしたことになると思います。
 それからやはり第十一條の第二の「位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。但し、場合により直角座標又は極座標で表示することができる。」それから第三、第四、第五、殊に第五のように「前号の日本経緯度原点及び日本水準原点の地点及び原点数値は、政令で定める。」というふうに非常にはつきりして参りましたので、この測量というものが一般の國民の生活に結び付くということは勿論でありますが、その根本にやはり学問的に基本的にしつかりした測量をしなければならないことは勿論のことでございますので、そういう点でこれははつきり規定しておるということは、非常に喜ばしく私共は感じたのであります。で通読いたしましてそういうような点で非常に立派なよくできた、少くとも私共の知つておる立場から見ますと立派なことであるように感ずるのでございますが、併し私共の立場から見ましても、若干疑問の点、若しくはこうあつた方がよくはないかという点もなくはないのでございまして、それについて二、三言わして頂いてよろしうございますか……
 それを申さして頂きますと、第一に第一條でございまして、測量の定義のようなことが書いてありますが、「若しくは補助して実施する土地の測量」というようなもの、土地の測量、それから第三條におきまして、「この法律において「測量」とは、土地の測量をいい、」書いてありますが、土地というのが陸地という意味であるか、海の例えば深さを測るという点もある意味では土地の測量になるわけであります。第三條の土地の測量ということがいささか明確を欠くのではないかという感じを実は持ちまして、それは第十條に「測量標」というものを定義したものがございますが、その中に「磁氣点標石」、つまり地球の磁石の南北といつたようなことをこれに示す標石であると考えますが、そういうようなものが標石になつておるならば、土地の測量というのは一体土地の高低、位置ということばかりでなく、地磁氣というようなものを含めるような土地の形、形態と申しますか、状況と申しますか、そういうことも第十條によつて含まれておるかのような感じを受けますので、第三條に測量は「土地の測量をいい」ということが、余りはつきり規定されていないのではないかというような氣がいたします。これは恐らく陸地の形状というようなことがはつきりされた方が或ははつきりするのではないかというような考えを持ちました。
 それから第十一條でございますが、第十一條「基本測量」云々これは先程ちよつと申上げましたベッセルの楕円体を使う云々ということでございますが、第五は「経緯度原点及び日本水準原点の地点及び原点数値は、政令で定める」ということでこの方は政令になつておる。ところが第一、第二の方は法律に入つてしまうことでありまして、実は私はよく分りませんけれども何故に前の方が法律の中に入り、後の方が政令に入るかということがちよつと分り兼ねるのであります。規定は結構でありますけれども、その規定は法律の中で規定さるべきものであるか、政令の中で規定さるべきものであるかということについては、何故に原点の方が政令で、ベッセルの楕円体を使うということが法律の中に入るのであるかということでちよつと不思議に思いました。そこでこれは私政令とか、法律とかいうことがよく分らないから申すのかも知れませんが、或はべッセルの楕円体を使う云々という数値その他のことは、第五にあります原点と同じく同格に政令の方に入つた方が、或いは適当であるのではないかというような感じを持つたのであります。
 それからこれは大変細かいことで恐縮でございますけれども、第十一條の一のところの「偏平率」というのが書いてございますが、これはつまり地球がどのくらい球から離れておつて平べつたいかという程度を表す数でありますが、「偏平率」の偏の代りに「イ」のない扁、率の代りに度「扁平度」と言つた方が、むしろ学校などにおいては使われておる言葉でありまして、法律の方で「扁平率」ということになりますと、今までの学問の方で使つておる言葉と変つて來ますので、或いは今までのしきたりとして測量方面では恐らく「偏平率」という言葉を使つておられたかと思うのでありますけれども、この際でありますから、「扁平度」、「イ」のない「扁」にいたしまして、「率」の代りに「度」となることを、これは希望の意を申したわけであります。
 それから第二十一條で、このつまり測量標がよく保たれているかどうかということを檢査しておるということでございますが、「市町村長は、永久標識又は一時標識について、滅失、破損その他異状があることを発見したときは、」と書いてございますが、私共の立場から申しますと、これはそういうことができるかどうかは私存じませんけれども、つまり発見しなければ默つていていいということになるわけでございまして、保存ということは、日本の骨格の測量をして行くのに非常に大切なことでございますので、たまたま私共が行つて見ますとなくなつておつたということもままあるのでありますので、「発見したときは」ということでありますと、発見しなければ默つていてよろしいということであります。そこに何らかの形において市町村長が定期的に、少くとも一年に一ぺんぐらい巡檢して、異常があるかないかというようなことの報告を受けるというようになれば、尚更結構であろうというような意見を考えました。
 それから第三十一條の「地理調査所の長は、地かく、地ぼう又は地物の変動その他の事由により基本測量の測量成果が現況に適合しなくなつた場合においては、遅滞なく、その測量成果を修正しなければならない。」とありますが、これは私共関係しております、例えば或る地方に大きな地震がある、土地がどんどん動いてしますというようなことで、現在の例えば大三角点の位置、高さというものが適しなくなるということはままあるのでありますが、現況に適合しなくなつたかどうかということは実ははつきりと分らないことなんでありまして、遅滞なくその成果を修正しなければならないということ、つまり測量しなければならないということを規定することになるように思いますので、これはどういうものでありますか、勿論結構なんであります。つまり変つたという疑いがあつたならば、すぐやつて見るということでありますのでございましよう。けれども現況に適合しなくなつた場合、今までの測量の精度において適合しなくなつたかどうかということは、実は測量して見なければ分らないことでありますから、ここの文章なり文句なり、内容がもう少しはつきりされた方がいいように考えました。
 それから第四十一條の二に「地理調査所の長は、前項の規定による審査の結果当該測量成果が充分な精度を有すると認める場合においては、」云々とありますが、この「充分な精度」というものが、何に対する充分な精度でありますか、その当該測量が目的とした十分な精度のことかと思うのでありますが、例えば既存の三角点を使つて非常に粗つぽい測量をしたというようなこともあり得るわけでございまして、この充分な精度というのがどういうことでありますか、私はちよつと分りかねたのであります。充分な精度というのが基本測量的な、或いは公共測量的な非常に基本的な意味で充分な精度があるという意味であるのか。それからその当該測量が目的とした充分な精度、それはつまり非常に粗つぽくてもいいということもあり得るわけでありますから、充分な精度というのがどういう意味であるか、これはあまりはつきりしていない。少くとも私に呑み込めなかつた点でございます。
 大体私勉強いたしまして思いましたことはそれらの点でありまして、私がやつておりますことの立場から見て、大体において非常に立派にしつかりできておる、こういうものができれば非常に結構だと思うのでありますが、二、三私の意見、疑問を交ぜて申上げた次第であります。
#5
○委員長(石坂豊一君) 御質疑はございますか。
#6
○北條秀一君 只今坪井さんの有益な証言があつたのでありますが、その点につきまして二、三質問をさして頂きたいのであります。それは御指摘になりました第十一條の問題でありますが、第十一條の第一号、第二号、第三号は、私はこれを法律で決めることがいいと思うのであります。ところが第四号、第五号、ここに問題があります。これは先程坪井さんが指摘されましたが、経緯度原点、水準原点と、その原点数値というものは、そうしばしば変更されるべきものじやないというように私は考えますので、こういうものは当然政令で定めるというようなものじやなしに、法律で定めるべきものだと考えます。この経緯度原点及び原点数値というものは肥えず動くものなんですか、その点について坪井さんの御意見を聞きます。
#7
○坪井証人 肥えず動くというつまり一種の約束でございまして、例えば現在日本の経緯度原点というのは、東京麻布の旧天文台にあります一等三角点が東経なにがし、北緯なにがしというふうに非常に詳しく決つている、これを日本の原点として使うという、いわば約束でございます。ところがその後の研究によつていろいろ変つて來るわけでございます。昔の測定に誤差があつたとか、或いはそれを決めるために使つた星の位置がどうであつたとか、もつとこの頃のことを申しますと大変專門的になりまして恐縮でございますが、天体を覗くのに水準儀を使います。つまり眞下、眞上という方向を標準にするわけでありますが、東京の地面の下に例えば重い物がありますと、鋭直線がこちらに引かれておるというようなことがあとになつて発見されまして、実は原点の値というものが修正すべきものであるというようなことになることもなくはないのであります。併しその原点を修正して、現在あるすべての何千とあります三角点の値を全部計算し直すということは、これは又大変なことなんであります。実はそうであるけれども我々使つておるのだというふうに、約束で決つておることが大事なんであります。本当はこうだというようなことは、つまり我々が知つておればよろしいことであります。そう原点というものの約束をしばしば変えたら大変なことになる。でこの認めておるその約束が、実は少しまずい約束であつたのだということを、我々が承知しておればよろしいわけでありまして、これが本当に発賣される皆が使う地図に影響の非常に及ぶ程の改正というものは、そうしばしばあるわけではないのですね。我々が議論するところは非常に細かいところでありまして、今使つておる値が例えば〇・〇〇……秒のその秒の桁が少し怪しいとか、そこを多くしたらよかろうというような現在もそういう議論がございます。併しそうだからといつて、日本の地図の骨格を全部一々変えなければならないということになりますと、これは別の問題でございまして、非常に大変なことになります。
#8
○北條秀一君 もう一つ、第十一條の第四号ですがね。第六十二條によりますと、「基本測量又は公共測量に從事する者又はその他の者で、基本測量又は公共測量の測量成果をして、眞実に反するものたらしめる行爲をした者」は「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」とありまして、測量に多少の間違いがありますと、非常に嚴罰に処せられるわけです。
 そこで今の十一條の四号に還つて來るのですが、測量の原点は先程の坪井さんの御説明でよく分つたのですが、ここには「離島の測量その他特別の事情がある場合において、地理調査所の長の承認を得たときは、この限りでない。」ということになつておるのです。そうしますと地理調査所長の権限というものが非常に大きいと私は思います。でその場合に、若し先程言いました六十二條の、測量の成果をして眞実に反するものたらしめる行爲をした者というようなことが起きた場合に、一体誰が責任を負うか、これは恐らく地理調査所長は責任を負わなくて、許可を得た測量士が責任を負うということだと思います。一年以下、三万円以下の罰金に処せられるということになりますが、この点についての坪井さんの御意見をもう一度伺つて置きたいと思いますが、こういう地理調査所長の承認を経たというのは「離島の測量その他特別の事情のある場合において」はそういうことでよいかどうか、もつと権威あるものかどうか。その特別の事情がある場合には測量の原点はこういう方法でやつてよろしいと、例えばここにあります測量審査会がそういうものを決定する。地理調査所長でなく、測量審議会がその許可を與えるというふうにしなければ、調査所長も非常に責任が重大でありましようし、又やつた測量士も非常に重大な責任を負われるという結果になりますが、この点について坪井さんの御意見を伺いたいと考えます。
#9
○坪井証人 これはどうも私、実は氣がつきませんことで、少くとも第十一條と第六十二條との関連において、ちつとも氣がついておりませんことでございますので、おつしやいますと確かにそうでございます。
   〔委員長退席、理事島津忠彦君委員長席に着く〕
#10
○北條秀一君 坪井さんの御発言中でございますが、坪井さんに今直ぐ御回答が願えなければ、これは他の海上保安廳水路局長なり、水路局に主として関係があると考えますので、後の適当なときにお考えになつてその点について御意見を承わらさして頂きたいと思います。
#11
○理事(島津忠彦君) 外に御質問がなければ、桑原証人にお願いいたします。
#12
○証人(桑原彌壽雄君) 利用者の立場として、この法案に対して意見を申上げたいと思います。
 大体この法案の設定の趣旨は結構であると思います。即ち測量事業というものを統一するということは非常に結構であります。
 その次に特に需要者の立場として重複を避けるということは、非常に結構なことだと思います。これは明らかに書いてありますように、一應地理調査所長の下に測量の結果が集つて來るということになつております。そうしますと利用するということになつておりますから、これによつて重複を避けられることは非常に結構だと思います。尚、統一されることによつて精度が正確に保持されるということも非常に結構だと思います。又同時にこの法律は縛ることが目的でなくして、そういう正確のものを普及せしめることを目的のように感ぜられるので、大体こういう統一、重複を避ける、精度の保持、普及、こういう四つの面において結構であると思います。
 併しながら需要者の立場としてもそうでありますし、一般的の見方としても問題は結構なことではありますが、余り面倒臭くないようにして頂きたい。こういうことなのであります。それにつきましては、第二番目に具体的に申上げますと、少し細か過ぎはせんか。一体これは施行細則があるのかどうか。先程原点のお話のとき政令の話が出たのでありますが、政令があるならもう少し政令に讓つてもよいじやないかと思う点が沢山あるのであります。例を挙げますると第十條の標識の点であります。ここに測量の標識がいろいろ挙げてあります。「永久標識」、「一時標識」、「仮設標識」と書いてありますが、第二項に「前項に掲げる測量標の形状は、建設省令で定める。」云々とありますが、こういうことになりますと、一時標識或いは仮設標識を一々建設省で定めたものは、他の官廳なり民間なりみな使わなければならない。これは少し行き過ぎじやないかと思います。
 尚十五條二十條附近のは土地の関係でありますが、民法と重複する点があろうかと思います。大体細かすぎる点がある。政令との関係がどうなるか、その点を疑問に思います。
 その次に利用者の立場として申上げたいと思いますのは、この全般の法律の書き方を見ますと、地理調査所長とその他の公共機関との立場がどういうものかと思われるのであります。即ち地理調査所長に対して、外の公共事業機関はその仕事で上下の関係になつたふうに感ぜられるのであります。これは対等の立場にあるべきものではないかと考えます。三十三條に測量計画機関はやろうとする場合には作業規程を作つて承認を得なければならない、と書いてありますが、これは一應趣旨として統一をするとか、精度の保持をする意味においては結構なことではあります。併しながら面倒臭くないようにということと、もう一つ対等の立場云云といいますと、これはそういうことは結構ですが、全國の測量のそれぞれの必要の程度を建設大臣の承認ということになると、実際問題として地理調査所長を経て承認を得なければならんと思うのでありますが、少しこの点どうかと思うのであります。それで若しこれが必要だとするならば、同樣に基本測量に対して地理調査所長は、その作業規程をこの法律によつてなり何なりでやらなければならないので、地理調査所は基本測量をやるのだ、基本測量とは地理調査所でやる測量をいうのだと書いてあるのであります。そうしますとどうも地理調査所なるものは別格官幣社のごとき感じがするのであります。これは対等の立場でありますから、地理調査所も作業規程は別に政令を以て定めるとか何とかしなければおかしいと思います。片方だけ認可を受けることはどうかと思います。
 次に第三十六條に測量計画を予めやる場合には地理調査所長の技術的助言を求めなければならない、ということが書いてありますが、これは公共事業の計画機関が測量する場合には、地理調査所の助言と書いてありますが、事実問題として承認を同樣になるのでありまして、その点はもう少し簡單にできますまいか。連絡することは結構と思います。併し届出をする、やつておるぞということをする、届出をしろ、した場合においては地理調査所長は技術的助言をすることができるということになりましていいのでありますが、どいも教えを乞うてでなければやつちやいかんという書き方は、どうかと思います。
 その次に四十一條に今度は事後の問題であります。地理調査所長は写を貰つたときは、審査をして結果を通知しなければならんと書いてあります。要するに一々審査をしてよろしいと言わなければならんという形になつておりますが、これは測量の結果がいいか惡いかということはもう一遍やり直す。審査ということになりますとそういうことがあるかと思います。これはどうかと思うのであります。この文句は、例えば速かにその結果を整理して通知する。つまりこの測量はこういう精度のもので、こういう階級の測量になる、政府としてはこの程度で認定する。それからどういう整理をして、どういうことを番号をつけて貰うとかいうことを通知することは結構と思います。登録は結構と思います。併し審査ということは少し穏当ではない、かと思います。以上が要するに余り面倒臭くされては困るということが一つ、もう一つは地理調査所と官廳の公共事業機関という立場の、上下の関係を対等にして頂きたいとこういう点であります。
 それからその次は事業の適用範囲でありますが、基本測量の第四條に書いてございますが、基本測量というものは先程の言葉と同じでありまして、測量の基本となる測量と、これは文字通りでありましようが地理調査所の行うものを基本測量と決めてあるのはどうかと思うのでありまして、基本測量は地理調査所に行われるものと別にして頂けば結構だと思いますが、或いは外の部門においてやらせることをやつてもいいんじやないかと思います。それから公共事業の測量、公共測量については別に問題はございませんが、一般の測量の文句のことについては、第六條あたり非常に面倒くさいようでありますが、一般測量につきましてはどこまで適用するかという点が明確でないようであります。公共事業と認定するものは公共事業とすべてすると書いてありますが、それ以外のものは書いてございません。併しこれは次に申したいと思いますが、一般のこの測量の縮尺の問題なんかとからんで参りますが、或る程度の例えば法律上の根拠となる図面があつて、五百分の一以外の縮尺だというようなものは適用すべきである、結局例を挙げますれば公共の測量をしないでも、個人が土地の分筆測量をします場合には、やる人間が誰でもやつてよいというならば、この法律の意味はないかと思われます。これは少し私共としては余り日常にはございませんが、一般的な立場として申上げますとそういうことがあるように思います。土地台帳の関係は、基本の台帳は確か私の專門でございませんのでよく分りませんけれども、市町村長とか公共機関でやられるようであります、そういう分筆とか何とかは個人が測量して、或いは代行機関を使つて願い出ることでありますが、そういう場合には出たらめでもよいかということにならんと思います。これが事業の適用範囲については大した問題ではありませんが、大体そうであります。
 尚先程基本測量の点で申し忘れましたが、この法律の趣旨としましては、第四條に基本測量とは云々と書いてありますから、その基本測量に対して普及ということがちつとも法律に謳つておらないのであります。つまり我々利用者の立場としてここで特に申上げたいのは普及なんです。基本測量を普及さしたいということです。と申しますのは一番利用のありますものは三角点と水準点でありますが、これは全國に沢山置いて頂きたいのであります。これは是非ともお願いいたしたいのであります。それがないばかりに無駄な費用を掛けて、技術も必ずしも十分でないものが、大きな地域を測量をしなければならない場合が甚だ多いのであります。つまり具体的に申上げますならば今までのものは三等三角点、一等三角点、一等二等水準点のみが示されておりますが、これを四等三角点或いはそれ以下を示して欲しいのであります。この法律では図面ということを使つておりますが、そういうような基準点までも公開して頂けば結構だと思います。又それをやるためには現状においては困難ならば特別に努力をするということをこの法律で明確にして頂きたいと思います。一應この法律の趣旨は決して緊めるといいますか、縛るという意味の法律じやなくて文化の進歩のためにするという意味が多いと思います。そういう点から普及を図つて頂きたいと思います。この作業範囲については大体そういうことでありますが、要するに作業範囲につきましては基本測量の普及と一般測量についての適用の方法を明らかにして頂きたい、こういうことであります。
 それからその次に多少技術的になつて参りまするが、特にお願いしたいのは、この第一條の目的からいえば当然でありますが、普及と統一という意味からいいまして、地図の縮尺でありますが、これは是非とも一つ統一して頂きたいのであります。これが甚だまちまちでありまして、古いものは一インチ三十チェイン、三チェイン、こういうようなスケールで残つておりますし、十進法におきましても間尺の関係で、六百分、六千分、三千分というものも残つております。又七万五千というものも残つております。地質図の七万五千というスケールもありますが、これは我々の利用者の立場からいいますと、そういう結果を利用するのに困るのであります。そういう割合からいいますと、やはり二と五の倍数にして頂きたいと思います。而もそれも二と五の倍数はいくらもできるわけでありましようが、できるならば、五万、二万五千、一万、五千、二千五百、千五百というものを標準とする。それ以外については二と五の倍数にしろということに決めて頂きたいと思います。ただ併し実施におきましてはこれはメートル法と同じように暫くはよい、併し永久にそういう変なものは残さないということを明らかにして頂きたいと思います。
 次にここにはどこには文句は現われておりませんが我々業者の立場、特に公共事業の施行を担当する立場から考えて見ますると、是非お願いしたいことがありますのは機密の保持であります。これはどういうことかといいますと、例えば鉄道の測量というものに対しまして、一般の測量といつておりまするが、地形も勿論と思います。地形図も取りますが、その上にどこに線路が通るか、どこに停車場を置くかということを計画乃至設計をするのであります。建築然り、道路も同樣でありまするし、又ダムやその他についても同樣であります。これは計画しておるうちは、こいつが一般に知らがるということは非常な事業の施行上妨害になるのであります。確定してでき上つた結果ならばよろしうございまするが、その間はこれが漏れることは困るのであります。この上からいいまして実は地理調査所に知らして結果を登録するわけでありますが、その際にこれは拔かなければならないかと思うのであります。これにつきましては私の意見としましては、測量の定義といいますか、今の適用の作業の種類としての範囲は、先程基本測量でございましたか、今度は測量の別の違つた対象であります。相手方によつて、測量の定義を変えて行きたい。つまり地形地物の測量、それから設計計画の測量この二つに願いたいと思うのであります。この地形地理の測量はこの趣旨に從つて、当然届け出でるのは問題ないと思います。併しながら、今の設計、計画の測量はどうもこれはでき得る限り実施されるまで機密を保つ必要がある場合が多いのであります。勿論でき上つた結果については、地形が変化されるのでありますから一般にそういう場合に土木関係、公共事業としましては、でき上りますと必ず竣工図なるものを作ると思いますが、地形地物が変化したのでありますが、その結果については遅滯なく届け出るということは当然であります。大体そういうことであります。
 尚これに附け加えまして先程御意見も出たようでありますが今の利用の方面から考えましても、一般的に土木の方面は廣うございますが、適用の地域であります。今度は事業の種類でなく地域としても適用の範囲であります。やはりこれは勿論陸上におきましては湖水或いは川なんというものも適用されると思います。一つここに疑問がありますのは、川は適用されますが川の深さなんというものはしよつちう変化するものでありますし、年間の流量などを測るのは測量のうちと考えております。
   〔理事島津忠彦君退席、委員長着席〕
こういうものはちよつとここに入れてやるべきかどうか問題があります。尚この流量から申しまして、氣象関係に入りますので、私の方では少し出過ぎになるかも知れませんが我々利用者の立場から申しますと、雨の降る量、積つた雪の量も、或いは地形なんかに関係がありますと、なだれなんかも出ることもありますので、この点も御考慮願いたいと思います。特に水の関係は海面でありますが、土木関係としましては、海岸に港その他の建造物を作ることがありますので、海面が入つてないことは困るのでありまして、でき得べくんば、純技術的な我々の立場から申しますと、陸上の地図には勿論海面がありましても、公海に関する測量は別でありまして、領海内と限定して頂きたいが、領海内の海底面の地形でありますが、これは是非この法律の適用を受けると申しますか、陸上と一緒に知りたいのであります。というのは、我々利用者から、ここに御関係の方もお出でになるので、甚だ申しにくいのでありますが、五万分の陸上地図におきまして、海が書いてない。陸上は書いてあるが、海は白紙同樣の海図みたいなものが書いてありますが、正確でない。あれは一緒になることが必要であります。こういうことが大きな行政の問題でありまして、特に海岸の埋立てをする場合に必ずそれがひつかかつて來る。
 それから最後に測量士、この測量に從事する者の資格には測量技術から決めてありますが、その中で第五十條にちよつと問題がございます。これは「実務の経驗を有するもの」と書いてありますが、この実務の経驗を如何にするか、この点はどういう計算をされるか、明らかにして頂きたいと思います。これはもう法律に書くのは無理でありまして、政令、施行規則で決めるべきものでないかと思います。ただ実務については我々も疑問に思うのでありますが、実務というものは、現地における測量だけを言うのか、室内における作業をいうのか。勿論これは両方なければ実務と言えないと思います。併し一年間の日数を現地で測量する者は、我々土木関係では恐らくない、多少無理だと思います。併し学校を卒業して一年経つたら何でもよいと言われても困るのであります。この点は非常にむずかしいと思います。ここではあれでなしに、施行細則があつていいのではないかと思います。
 それから尚この点については、只今のこの階級と職業教育の関係でありますが、今ここでは測量士、測量士補の二種類になつておりまして、測量計画の主管には測量士でなければならんし、実務の方を從事するのには測量士補でよろしいということになつております。この点趣旨は結構だと思うのでありますが、経驗な学歴のみならず内容によつても区別ができるのではないかとも考えられます。つまり何キロ以上なら何キロ以上の、こういう大測量に從事するものは、一級測量士でなければならんということがあり得るのではないかと思うのであります。例えば電氣の一級、二級、三級というような階級も必要であると思います。そういう点がちよつともう少しあつてよいのじやないかと思います。同時にそれと教育関係の問題でありますが、これは專門学校、大学としてございます。又建設大臣の指定する養成施設とあります。この養成施設は測量專門の養成施設と思われます。併し一般の土木関係の工業学校におきましては、測量技術を一緒に教えて実施してやつております。こういうものも入るように、私の見地としましては、間口を廣くして、相当程度のものも皆收容すべきであるが、併しながら仕事の種類によつて、正確さ、精度というものを保持するためには、階級がもう少しあつてよいのではないか、こう思われます。そうして測量教育との関係も明確にして頂きたいと思います。この点は法律に掲げることは無理で、政令でも或いは施行規則にでもして示すべきものでないかと思います。以上が大体私の申上げた点であります。
 尚この土木方面は非常に面が廣いのでありまして、必ずしも私の申上げたことで盡されておるとは思われないのであります。尚御連絡があつてから時間もないので、十分に各方面の意見を纏めることができませんでしたから、多少これに附加して、或いは訂正しなければならん場合が起るかも知れないと思います。以上であります。
#13
○委員長(石坂豊一君) 御質問はありますか。
#14
○北條秀一君 桑原さんにお伺いしますが、測量審議会ができますが、測量審議会に私は当然測量士の代表を入れるべきじやないかと考えますが、その点について桑原さんの御意見を聽きたい。
 もう一つは、第五十二條に、測量士が罰金以上の刑に処せられたときには、その登録をまつ消されるということになる。そうすると、一遍五千円の罰金に処せられたらもう永久に測量士になることはできないということになるが、その点について土木関係の御意見を聽きたい。
 もう一つは、測量士の資格という点でありますが、これは先程あなたがお話がありましたので了承したのでありまして、質問しないで置きたいと思いますが、今言つた二つの点について御意見を伺いたい。
#15
○桑原証人 この審議会に、そういう測量士という技術者の代表を入れるべきであるという点に関しましては、全く同感であります。
 それから罰則の点でありますが、ここの罰則で見ますと、この法律においては、惡いことをした場合だけに処罰を受けることになつておりますが、この測量法においては、測量に関することを利用して惡いことをした場合も、私は罰則を適用すべきだと思います。実は民間のいかがわしき工務所などには相当あるのであります。ですから測量に関して、これ以外の罰も入れるべきであるし、適用に関しては、個々の情状に應じて、まつ消したり、再び登録を又できるなりということにして、これに書いてないが停止ということも入れていい。何年間の停止とか、それから永久に取つてしまうという二種類があていいのではないかと思います。
#16
○委員長(石坂豊一君) では次に、福島証人にお願いいたします。
#17
○証人(福島要一君) 私は農林省の統計調査局におります福島でありますが、私の方の関係は、農耕地の実測という面でこの法律と関係があると考えられるのであります。そこでこの法律自体とどうこうということよりも、私の方で現在実施いたしております仕事の実態を申上げて、結論から申しますと、実は特例でも設けて頂かなければ実際上非常に困るのではないだろうかということなのでありますが、そのことを申上げたいと思います。私の方では全國に約五ケ町村に一つづつの作物報告事務所出張所というものがありまして、そこにやはり六、七人の職員が駐在いたしております。これが供出制度の基礎になりますところの作付面積を調査いたすということになつておりまして、すでに昭和二十二年の夏作以來これを実施して参つております。この場合に、この作付面積の調査をいたしますやり方は、結局農民から申告を取りまして、その中からサンプル、即ち抽出標本を拔出しまして、それを実測いたしまして、それと申告との差を求めまして、それによつて申告の誤りを正しく行く、こういうやり方をいたしておるわけであります。農民の申告だけに頼つておりますと、これは御承知のように終戰後非常に統計が混乱いたしまして、水田面積だけで僅かに一両年の間に全國で四十万町歩以上の減少を示したような統計になつておるのでありますが、これは水田面積三百万町歩に比しまして、一三・四%という数字であります。そのような大きな減少が事実上あり得るものではないのでありまして、これは農民が申告を多少低めにしておつたものが集計されて、こういう事象になつたわけであります。それを訂正、補正いたしますために、私共の方では農民の申告をしたものの中から或る点数を選んで実測をいたしまして、その比率によつて推計即ちエスチメーションを行なつておるのであります。この場合に用います実測の方法は、大体において一筆ごとに調査したのでありますから、これは平板測量、場合によりましては、間繩の測量程度でいたしておるわけであります。この点数を大体申上げますと、これだけの調査をいたしますためには、大体一町村について二百筆ぐらいの実測をいたさなければならないのでありますが、そういたしますと、一縣について一作即ち夏作なら夏作冬作なら冬作だけで約四万筆になるわけであります。全國になりますと、約一回の夏作だけで二百万筆ぐらいになる、夏冬年間を通じまして、四百万筆のわけであります。これだけの調査をここに実際に書いてありますような、例えば測量士を以てするということも事実上不可能でありますし、又ここに述べられておりますように、できたものの写を地理調査所に送るというようなことも実際上全然不可能なんであります。四百万筆の災を毎年送られて來るならば地理調査所においてさえも処理が殆んどできない。而も非常に早い期間に例えば麦でありますならば、四月から六月までに一應そのチェックを行わなければならないのでありまして、作付計画、作付面積でありますのでこれはどんどん年々変動いたすわけでありますから、今年測つたならばそれでもう來年は済むというわけではなくて、今年実際測りましても來年そこに植付が行われていなければそれは除外しなければならない、こういう事情でありますので、結局私共の方で調査をいたしております。やり方は測量の制度というものよりも統計的な処置を行なつて、そして全体としての一つの推計を行う。推計には勿論誤差がついておりまして、この調査は、大体何の誤差の範囲で推計をしたのだということを、これは必ず附けて出しますし、その場合には測量の精度及び方法について地理調査所等の御助言を頂くということは非常に結構であります。又それによつて私共の方で十分その誤差率を見積りまして、統計的な処置によつて誤りないようにして行きたいということは考えられるのでありまするけれども、ここに事実書かれておりますような細かい点についてそれをいたすことは、殆んど実際上不可能だ。例えば測量をする場合にその種類、敷地の所在その他を地理調査所に報告をせよと言われましても、只今私が申上げましたように夏作冬作それぞれについて報告したところで意味のないことであります。そういつたような点が特に実際上運営ができない、まあこういうふうに考えられるのであります。そのために勿論私共の方で段々この精度を高くして行くこと自体は必要なんでありますけれども、例えば五十條、五十一條に出ておりますような測量士補の問題にいたしましても、これを直ちに一万数千人の動員を行うということは事実上不可能でありまして、そういう点から技術の指導を地理調査所にお願いするということは、甚だ結構でありますけれども、実際上ここに書かれてありますような測量士、或いは測量士補というものの檢定合格その他の点から、今直ぐは恐らく間に合わないだろう。そうなりますと実際上私共の方は、供出のためにも現実にこの仕事を行なつておるわけでありますから、そういう点でこれをストップするわけにいかない。若しもこの法律を実施なさいますとすれば、その点については別途にこの地理調査所或いは審議会のようなところで、この私共の方の調査自体を全体的に御審議を願いまして、その設計及びその調査の方法、実際の状態といつたようなものの精度を大体御判断になりました上で、これを一括してこの仕事として認めて頂くという以外には、実際上運営が困難であろう、まあこういうふうに考えられるわけであります。この仕事が実行されて参りましたのは、すでに昭和二十二年の夏作からでありますが、これについては食糧輸入の関係もあり、從來の統計が数年間で十数%以上、二〇%近くも変つて來たということから、GHQの方からも特に專門家が参りまして指導された仕事であり、このために実際上現在約二十億の予算がすでに認められまして、この仕事を実行しつつあるわけであります。そういう点を御了承願いまして、私先程申しましたように、この法案を実際に行われる前によく全体の樣子を実際的にお掴みになつて、そうしてこの私共の調査を少くも供出制度が実際に行われております間は、一つの特例としてお認め願うということをお願いいたしたいと思うのであります。私共の方でやつております調査の概略を申上げまして、この測量法案との牴触いたす点を御意見申上げたわけであります。
 特にここで一言附け加えて申上げたいことは、そういう土地の調査ならば、それは端からぎつちり測つて行つて、あとは地番だけでこの供出の割当をするようにしたらどうかという御意見もたびたびあるのでありますけれども、この点は非常に供出制度の点からして問題があります。というのは実は例えば熊本縣なり或る特定の調査をいたしますと、その縣だけが供出が実は重くなるのであります。どうしても全國一律に或る程度の、先程申しました誤差を見込んだ推計をいたしておきませんと、実際ぎちぎちに測量したところだけが供出を強く受ける、こういつたようなことが起りますために、私共の方ではどうしてもそれを全國一律の正確度でこれをやつて頂き必要があるという点から、私の方でやつておりますのは、今申しましたようなむしろ誤差を附けた推計と、こういつた形で全國一律でやつておるわけであります。その点を御了承を願いたいと思うのであります。
 私の方で申上げたいことはこれだけであります。
#18
○委員長(石坂豊一君) 質問がありませんか。
#19
○北條秀一君 福島さんにお伺いしますが、作付面積の調査をしている現在員で測量士及び測量士補に該当する者は、大まかなところどのくらいおりましようか。
#20
○福島証人 これは極めて少いと思うのであります。私の方は測量だけでなくて、その測量が済みますと作物の成育状況を同時に調べまして、例えば坪刈とか粒数とか成育状況を調査するとかいうようなことをやらしておるわけであります。両方やつておるわけであります。從つてこれは測量の專門家をそれだけ入れるということができませんで、むしろ全体としては、農学校を出た人という程度の者が一万数千人おります。それが今の測量もいたします。作柄も調査いたす。こういうことを両方同時にいたしております。
#21
○北條秀一君 只今おつしやいました一万数千人の農学校出身者は、この測量士又は測量士補の條文に該当しない人でございますか。
#22
○福島証人 恐らく私はちよつとこれだけでは本当の意味の測量半とはいえないのではないかと考えます。で、それを一應お認め願えればこれは非常に結論だと思うのでありますけれども、けはりそれはむしろ形式的な認め方でありまして、実際上は適格でないものが相当あるのではなかろうかということを恐れるわけであります。やはり全体として一應調査願わないと、個々の人をそこから抜き出すということになれば、却つて不正確になるのではないかと思うのであります。
#23
○委員長(石坂豊一君) よろしうございますか……
 次には蓑田証人にお願いいたします。
#24
○証人(蓑田茂君) 私は林野の測量の関係の面から申上げたいと思います。
 この法案の御趣旨につきましては誠に賛成でありまして、是非とも成果の正確と測量の重複を避けるということをやつて頂きたいと思います。ただ現在やつております林野測量が、この法律によつて或る程度縛られて、それが阻止されると申しますか、制限を加えられるという点で事業の実行に支障のないようにして頂きたいという希望を申上げたいと思います。
 只今福島さんからお話がありましたことと大変似ておりますが、私共の林野測量関係も毎年林野の十ケ年計画を立てておりますので、それに関連いたしまして、林野の土地の区劃をいたしております。それから事業に伴いまして、伐採箇所、増林箇所というような作業に伴う測量をやつております。これらのものが全部この測量法案によつて適用されることになりますと、毎年非常に多くの数量のものが、一々地理調査所の方の御認可を得て事業の執行をして行かなければならないことになりますので、又その結果を御審査願うように御報告することも莫大な数量に上ぼると思います。これらの点につきましてやはり測量の種類、例えば林野の境界測量であるとか、或いは基礎になる図根測量というようなものについては、これによつて一々御審査を願うというようなことは可能だと思いますが、その他の測量については何らか御考慮を願つておきたいと思います。
 それからやはり測量士、測量士補の資格の問題でありますが、それも現在國有林の測量並びに民有林の施業案も含んでおります。森林組合の技術員等の測量者におきまして、この法律によりますと今直ちに資格を得られるものが少いのではないかと懸念いたします。そのために林野測量の実施上支障があるようなことがあつては大変なのでありまして、その点につきまして養成所の問題等特に御考慮を願つて、支障のないような措置をお願いしたいと思います。
 それから特にこれは國有林の測量についてでありますが、区画測量その他につきまして基準となるべき点を、いわゆる図根測量を從來からいたしております。從いまして國有林に関係いたしまして、それぞれ地域別に原点を定めまして從來から実行をいたしております。そういう関係がありますので、新らしく政令によつてお定めを願う原點によつて、その成果を全部計算を変えるというようなことになりますと、これ亦大変な経費と手数を要することと思われますので、この点につきましても從來の原点が使用できるような御配慮を願いたいと思います。
 全般的に申しまして今申上げましたような相当な総括的な報告なり連絡なりの事務、業務の新らしい仕事ができるのではないかと思いますが、その際にやはり予算なり定員なりというものも、充実して行かなければならないように考えられますので、この点についても何分の御考慮をお願いしておきたいと思います。
#25
○北條秀一君 先程福島さんに聽いたことと同じことでありますが、蓑田さんの方で現に測量に從事されておる人は一体何人ぐらい現在おありでしようか。
#26
○蓑田証人 これはちよつと私資料を持ち合せておりませんが、國有林の境界測量に從事しております者は、全國的に見まして大体百名見当だと思います。それから経営案の関係になりますと、國有林、民有林全部で千名以上いるのではないかと思います。
#27
○北條秀一君 今言われました人は農林省直接の人であつて、各地方團体にはそれに関連した人はいないでしようか。
#28
○蓑田証人 私が申上げましたのは、國有林に関しましては実は営林局関係、民有林に関しましては森林組合の從業員の技術員を含んでの話であります。
#29
○委員長(石坂豊一君) 次に天埜証人にお願いいたします。
#30
○証人(天埜良吉君) 大体といたしましてこの法律案に非常に賛成しておるのでございます。「各種測量の調整及び測量制度の改善発達を図ることを目的とする。」と書いてあります。更に一歩進めるためにこの第二條以上に書いてありますように、適用の範囲が陸地に限られているようでありますが、私といたしましては、陸地ばかりではなく水面にも及んで測量の地域を定めて頂いたら更に効果が上るのではないかというふうに考える者であります。併しいろいろな事情でそういうことがむずかしいとするならば、測量法というのではなく、或いは陸地測量法とでも名前を変えて頂いたら、尚この内容がはつきりするのではないかというふうに考えます。そしてその陸地に限つておるということであるならば、第十條の「恒久的な標識(驗潮儀及び驗潮場を含む。)」という点になりますと、これは陸地に関する測量に繋がりのあるもので、その他の水面の測量ということには関係のないものであるという点をはつきりして置いて頂いたならばいいのではないか、という点も考えるのであります。
 それから我々といたしましては、公共事業の工事の遂行に伴う測量はこの法律案ではどういう部類に属するのだろうかということを疑問に思つたのですが、最初ちよつと第五條のところの「「公共測量」とは」というところを見ましたときに、或いは公共事業のためにする測量はこの中に入るのだろうかというふうに考えたのですが、そうでもなさそうで、第四十七條の二項の「國若しくは公共團体の許可若しくは許可を受けて行う工事又は國若しくは公共團体の補助を受けて行う事業のためにするものは、」ということで、これは基本測量でもない、公共測量でもないその他の測量の中に入るように解釈をいたしておりますが、そうでありますと、これを一々報告をしなければならんというふうになつております。先程からも多少御意見が出たようでありますが、可なり測量が公共事業のためにはしよつちうやつておりますので、一一これを報告するということになりますと、大変煩雜になるという点が考えられる。それから建設大臣がそういう事業を測量審議会に諮つて公共測量とみなすことができるというような條項もあるようですが、公共事業、公共測量となりますと、いろいろな拘束があるようであります。公共測量となりますと、何かいいことがあるのかどうかという点がはつきりしない、或いは公共測量となれば補助が貰えるのかという点がどうもはつきりしません。まあ大体といたしまして公共事業の遂行、公共事業の工事のためにするようなのはこの中から拔いて頂きたい。この何には政令で決めるように書いてございますが、この政令の中に成るべく入れて頂きたいという点を考えたのであります。
#31
○委員長(石坂豊一君) それでは次に須田証人にお願いいたします。
#32
○証人(須田皖次君) 私は海上保安廳水路局長の須田皖次であります。誠に立派な法案ができまして、これをお作りになつた方の御苦心もさぞかし大変だつたろうと思います。さつき坪井証人がお話したごとく、土地とは陸地かという質問がありましたけれども、この点に関しましては地理調査所長にたびたびお目にかかりまして、大体陸地測量に関するものはこの法律を適用する、水路測量に関するものはこの中へ適用しないのだ。こういうお話でございました。若しそうであるとすればこの測量法は非常に結構なものでありまして、我々の作業をやる上にも非常に役に立ちます。測量作業の強化、或いは測量技術の向上を図る上において非常に有効なものだと信じます。私は双手を勧迎したいと思います。尚水路局としましてはこの測量法に対應しまして、將來できましたら水路測量法というものを作りまして、両者相一致しまして國土の測量の完璧を期したいと考えます。
 尚ちよつと各項目に亘つて少し意見を述べさして頂きたいと存じます。それは水路部から出る海図には土地の分がいろいろと入つております。その関係上どうしても沿岸の測量をしなければならんのだ。ところがその場合になりますと公共測量というものの一部に入りますものなのであります。その中でさつき桑原証人からお話があつたように、第三十三條の計画を立てて、「作業規定を定めて、建設大臣の承認を得なければならない。」この項目はやはり同樣な理由によつて幾らか緩和して頂ければ結構だと存じます。
 それから同じく公共測量についてこれも桑原証人からお話があつたように「地理調査所の長の技術的助言を求めなければならない。」これは実際問題となりますと、地理調査所の援助を求めて非常に有効な場合と、実はそれを要しないでやれるときもあるのではないかと思います。この項目も何とか緩和して頂けると都合よろしうございます。
 それから第三十七條に、「測量機関の名称を表示しなければならない。」こういうのがあるのでございます。実は水路測量の場合において、海岸の岩の上へ新らしい塗料を塗つて標識にすることがございますが、これはその場合においてはこの計画機関の名称を入れるというような点に困難が起るので、これも御考慮願えれば仕合せだと思います。
 それから測量の成果でございます。これを地理調査所長に遅滯なく送らなければならん。そこでこの遅滯なくというのが問題なんであります。どの程度なのかよく分りませんが、実は水路局は海図ができる度に地理調査所の方へ送りまして、お互いの資料の交換をやつておりますので、その程度でいいならばこれは非常に結構だと思います。それから第四十一條の測量成果の審査を受ける。この点に関しましては水路局では水路局長がその審査を行うことになつておりますので、少し困ることになりはせんかと存じます。それから測量士の問題につきましては今までいろいろの方が御意見がありましたが、これも嚴密に適用されない。実は水路局には測量士は何人も得ることは困難になつて参ることになるのでございます。この点は十分御考慮して頂きたいと存じます。
 とにかくこの公共測量のところで申上げた各項目や、或いは測量士の件、或いは地理調査所長の了解事項とか、或いは測量審議会の御配慮を仰げば余り摩擦なしに実際において遂行できるのではないかと存じます。私は全面的にこの法案の通過を希望する者であります。
#33
○北條秀一君 私は專門家でありませんから、質問することがとんちんかんになるかもしれませんがお許し願います。從來陸地測量部と水路局との基準点が違つておるということを常識的に聞いておつたが、あなたの方でお使いになつている水準基準点と建設局の方で使つておるのとは食い違いがあるかどうか。
#34
○須田証人 実は水路局から出る海図は、航海の安全を確保するという意味から、大体最低低潮面を使用しております、それが大体大干潮面と言うのです。それで地理調査所の方では平地のものを使つているのです、これは所によつて違うのです。潮位の変化が大きい所と小さい所とあり、地図の方は、陸図の方はこれは平均海面を使う、私の方では最低低潮面を使う、こういうことになつております。それは一に航海の安全を確保しようということが目的であります。
#35
○北條秀一君 それでは水路局で用いられております水準原点というものは、測量とは嚴密にいえば関係なしに、願うところは航行の安全を期するというところに重点があつて、その基準点というのは大した意味のないことですか。
#36
○須田証人 基準点というのは意味のないことはありません。海面というものは常にいろいろのその当時の氣象状況などによつて変つて來ます。その変りを見出すためには、どうしても基準点が要るのです、やはり関係を拂つているわけです。
#37
○北條秀一君 それはどうしてこの古い陸地測量部の水準原点と一緒にならなかつたのですか。一緒にすることができないのですか。要するに水路局と陸地測量部とは別々の基準点を持つことが有効ならば、これは持つておつているのですけれども、一つにした方がいいのじやないですか。
#38
○須田証人 実は海の深さの方はこういうことになつております。その場所の最低低潮面を使用する。それで実は海の方は、從つて最低低潮面というものがいろいろ変りますから、例えば北海道とか台湾とか紀伊半島の附近とか皆変つて來るのです。それでそれを元にして海の方を測つて、それで一つの点にそれを何して行くということは、大変な測量の費用がかかるし、又各地の最低低潮面というものがどういう関係になるかということは、測量されておりません。
#39
○北條秀一君 多少私補足しますが、今度又南海震災によるところの地盤の沈下の調査をされるそうであります。私共先般四國に参りまして地盤の沈下の所を調査して参りました。そうしますと或る所に行くと一メートル沈下した、或る所では八十五センチ沈下したといいどつちに一体原因があるのか分らない。そうして潮は上つたというし片一方は土地が下つたというし、全くその基準によるところがはつきりすれば、海が上つたのか下つたのか直ぐ分るのですが、それがはつきりしないものですから、今言うような愚問を発したわけです。
#40
○委員長(石坂豊一君) 次には園部証人にお願いします。
#41
○証人(園部蔀君) 私は民間の地図発行者並びに地図製作者の立場から申上げます。民間のいわゆる業者なるものは、御承知の通り殆んど実測なんていうものはいたしません。ただ必要に應じていわゆるこの法律でいう基本測量、或いは公共測量の成果を利用いたしまして、僅かに修正測量をする程度で、一般に地図の発行者、或いは地図の製作者というものは、全く地理調査所、或いはその他の官廳の発行物を利用いたしまして事業をしているのが通例であります。然らば現状はどうかし申しますと、御承知の通り陸地測量標條例なるものには、地図の複作、製作に対する規定もございませんし、又著作権法とか或いは出版法とかというものも、地図に対しては非常に曖昧なものでございます。そういうふうな点で今日の場合は地図の業者は得手勝手なことをしているというのが現状であります。その結果民間の業者相互間でいろいろなトラベルが起つたりしたことも随分ございます。又私の知つている範囲でも私が又証人として裁判所に行きまして、そうしていろいろな証言を求められましたが、そんな場合の感じから申しましても、この地図に対する著作権法或いは出版法というものは、甚だ曖昧なものだと痛感されます。今回この法律ができますれば、届出又は連絡によつて不適当な資料を使うこともございませんし、その半面正式の手続を経て業者が作業をするといたしますと、正当なものを作れば著作権というものもここではつきりするのじやないかと思われます。いわゆる著作権の保護もされるのじやないかと感じます。從來地図に対する著作権というものは、恰かも小説ならば、その小説の文句をそのまま印刷したものをそのまま製版複作すれば、それは著作権法にかかるかもしれないけれども、文章を他の活字で組んで、そうして印刷して出せば、著作権法に掛らないというような状況さえあつたようであります。要するに地図に盛られておるすべての図とすべての画線は、何ら著作権法から保護されていなかつたようであります。そういうような意味で、私は民間の代表と申しましても、民間は非常に廣いのでありまして、私はほんの民間の一部の代表かも知れませんが、早くこの法律が実施されまして、この法律によつて正当な事業ができ、又正当な権利も保護され、そうして民間地図業者と申しますか、民間地図の文化的発展に貢献することができるように、この法律が努めて早く実施されることを希望いたします。
 ただ私が思いまするのに、六十四條の罰則でございますが、これは二十九條並びに三十條の違反罰則は余りに軽過ぎるのじやないかと思います。特にこの六十四條の第二号の二十九條の違反は軽過ぎるように感じられます。勿論この違反は著作権法その他で取締はできるのでありますが、併し前にも申しました通り、著作権法は地図に対しては甚だ不明確でありますからして、この違反罰則は、特に二十九條の違反に対してはもう少し過重にするのが適当じやないかと思われます。それだけであります。
#42
○委員長(石坂豊一君) 御質問ありませんか。
#43
○北條秀一君 地図業者を限定することは極めて必要であると思いますが、この法律ができた場合には既存の地図業者というものの営業権と申しますか、その生存権というものを脅す結果になるのですか、現在園部さんのお考えで全國にある地図業者の中で、どれどれの者が一体この法律に適合しないというような地図業者でありますか。そういうものはおありでございましようか。
#44
○園部証人 いや殆んどこの法律によつて縛られる、或いはこの法律によつて事業を阻害されるということは絶対にないと思います。
#45
○北條秀一君 そうですか。それでは質問さして頂きますが、先程坪井先生にお伺したのですが、あの点はどういうふうにお考えになりますか。
#46
○坪井証人 あれからこれを読みましてよく考えてあつたのでありますが、第六十二條、つまり問題は眞実に反するものたらしめる行爲でございまして、今度私共は基本の立場からいつて、一体眞実ということは何であるかということでございまして、日本のこの原点の数字といえども決して眞実ではございません。ものを測れば必ず眞実というものは出ないのでありまして、どういうことは例えばこの机の幅が何十センチあるといえば、それより以下の誤差は測れないということでありまして、値が眞実であるということは科実的の立場からの意味で了解するならば、眞実ということは決してないのでございます。この意味での眞実ということは約束で、離島のような場合の原点というものは、これをそうだと決めればそれが帳面ずらでは眞実になるわけでございます。これは普通の意味の眞実と科学的の眞実というものとの違いでございまして、そういう意味でありますならば、例えば離島の測量をして元に決めておいた点が仮に後に不適当であるということであつても、これは眞実に反した行爲というふうに見ることはできないと思います。從つて先程おつしやいましたように六十二條の眞実に反する行爲というのは、第十一條の四号にあります特別の事情云々ということに関連して來るということは、科学的な意味ではあり得ないと思います。それでつまりこの「眞実に反するものたらしめる行爲」というのは何かわざわざ嘘を言う。そういうときの嘘というのは、測量の結果と違つておることが明らかであれば、これは誰が見ても間違いであります。こういうことでありますが、例えば面積を実際より廣く或は狹く報告するということは眞実ではございませんけれども、離島などの原点の値といつたものはそういつた約束の仮定の上に立てた眞実でございますから、その意味で十一條と六十二條の眞実というものは、牴触してむずかしくなる点は私の考えではないように思います。
#47
○北條秀一君 もう一つ坪井先生にお尋ねしておきたいのは先日新聞を見ますと、東京都が六百メートルずれたということがありましたが、こういう場合には原点に何らかの影響を來すというようなことはないのですか。
#48
○坪井証人 これは実は非常な問題でございます。でその六百メートルずれたというのは、一体どういう意味であるかということが大問題なのでございます。で、つまり東京都の原点の位置が北緯何度、東経いくらであるということを決めますのには星を使います。ところが先程ちよつと申上げましたように星を見るためには、望遠鏡にアルコールの水準器を附けなければならない。水準器の泡が眞中であるということは一体何が決めるかというと、例えば先程もちよつと申上げましたように地面の下に重いものがあるとすると、元來ならば下げ錘りの鉛直線がこちらに向いておる筈でありますが、こちらに重いものがあるから鉛直線がこちらに引かれます。その鉛直線を基準として星を狙つたのではそういう状況の場所が出て來ない。ところがいずくんぞ知らん、アメリカから本当の物差を当てて測つて見ますと、物差で測るということは星に関係がない。つまりそんなことは到底できませんので、陸地に物差を当てて測つて來ればよろしいわけでありますが、それは鉛直線が曲つていようが、曲つていまいが同じ答えが出るのであります。物差を当てて測つてアメリカと日本の距離というものと、それから日本で独立して鉛直線にリファーして星を頼りにして決めた東京の位置が六百メートル違らだろうかということなのでございます。そこで問題は日本のそれは原点というものをアメリカから繋いだその位置にとるべきかということになりますと、今度はアメリカの原点というものが一体何から決つておるかということになるわけです。これが結局アメリカから日本を通り、シベリアを通り、ヨーロッパを通り、大西洋を通り、世界中を蔽う三角測量ができない限り、星を決めるのに鉛直線を頼りにしないという方法が出て來ない限り、これは当分見込のないことであります。現に東京の原点という値を決めましても、東京から青森までの距離を実際の物差を当てて測つた距離と、東京で星を狙い青森で星を狙いそれから勘定した値と、それから数百メートル違うのであります。でありますから一体どういうものの約束の上に立つた地図であるということを基底とすることが大事なのでありまして、それが間違いじやありませんが、こういう條件、こういう條件といろいろ條件を含んでいるのだということを了解した上で使うのが、これが本当の使い方なわけであります。そここまで一般の利用者は知りませんから、つまりそういう過程を隠してしまつて、これを本当のものだ、眞実なものだと思つているのであります。先程海が上つたか、陸が下つたかという話も全く同樣であります。こう考えればこう、こう考えればこうと、どこに基準を置くべきか、絶対の基準は或いは世界中の観測陣が全部一緒になつた曉でないとできない。それまでは約束をして仮の眞実だと思つてやつているわけであります。併しその眞実にはこれだけのアロワンスがあるのだという了解の下に使わなければならない。從つて先程御質問の東京の位置が数百メートルずれるということは、大問題でありますが、併しどちらを使うべきか、果して六百メートルという値が世界中から見て本当にそれがいいのかということになりますと、本当の答えを出すのは遠い將來であります。つまり科学的に本当ということが、こういう立場に立てばこれが本当、こういう立場に立てばこれが本当ということでありまして、例えば東京の位置がこれこれであるということは、そういう立場では本当であります。六百メートルずれたということもそういう立場では本当であります。立場の相違、何を一体東京の位置かという定義から、かからなければならないことになります。ああいう六百メートルずれるというようなことが分つたからといつて、これは日本の地図の勘定を全部やり直さなければならんということはまだないと思いますし、又それをやるということになると何十年かかつて三角地図をしつかり計算し直すということで、到底耐えられないことであり、尚且つ実際問題を響いて來るわけではないのであります。
#49
○北條秀一君 もう一つ皆さんにお聽きしたいのですが、特に農林省関係のお方にお聽きしたいのですが、十五條を見ますと、十五條の第二項の但し書き、「但し、占有者に対してあらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。」即ち土地の測量をする場合に、そこに入つて行くぞということを土地の占有者に通知するわけですが、余裕がないときはこの限りでないとこういうわけです。ところがそれに対しまして六十三條を見ますと、六十三條の第二号に、「第十五條の規定による土地の立入を拒み、又は妨げた者」は「六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。」と、こういう嚴重な規定があるのです。先程園部さんからお話がありました六十四條の第二号の点は、一万円以下の罰金では少いというお話でありましたけれども、これは確かにそうだと思います。ところが一般農民とか或いは山林所有者の土地をこれから測量する場合に、役人が行つて測量するぞと通知すればいいのですけれども、通知の暇がないときは勝手に行つてやる。そうすると農民なり或いは山林所有者は必ず文句を言うのです。すると必ず「お前は一万円以下の罰金に処するぞ」と、こういう俗にいうお役人風を吹かすことがよくあるのです。私共よく実見しているのですが、この二つの問題について、特に皆さんは直接そういうことにぶつかつておられるのですが、そういう点から言いまして、この二つの規定について無理がないとお考えになりますか、それとも無理だとお考えになりますか、その点を一つお聞かせ願いたい。
#50
○福島証人 私の方で先程お話いたしました耕地の調査をやつております根拠法といたしましては、別に食糧確保臨時措置法というのが現在施行されているのです。あの法律の中に、供出に対しての阻害をなす者とこういう項目がありますために、それで大体私の方は、それを根拠法として取締をいたしておる。從つて調査に参りますものは皆証憑を携えまして、こういう証憑によつてやるんだという形で調査いたしておりますので、現在はその方向でやつております。罰則の点につきましては、私はまあ私共の関係に限りましては、余り過酷な罰則は実は農民に対して氣の毒なのではないか、やはり了解をできるだけ求めて、そうして納得させて調査をするということが、まあ非常に不便ではあるけれどもやる。実際上食糧確保臨時措置法による法的根拠はありますけれども、それを実際に適用したという例は実はまだ全くないのでその程度に私共は考えております。余りきつい罰則は、私共の方に限つて無理ではなかろうかと考えております。
#51
○北條秀一君 それでは全員の皆さんに質問したいのですが、勿論お答えなくても結構なんですが、この測量法案を見ますと、地理調査所長の権限というのが非常に大き過ぎるという感じを持つているのですが、これに対して各証人の皆さんはどういうふうにお考えになつておりますか。御意見のある方だけお答え願いたいと思います。……ちよつて速記を止めて下さい。
#52
○委員長(石坂豊一君) 速記を止めて……
   〔速記中止〕
#53
○委員長(石坂豊一君) 速記を始めて……
#54
○福島証人 私の方のことにつきましては、先程一應申上げましたように、実際上実行が困難であろうという点から、地理調査所の方の御所見を受けるという程度であつて、それ以上は写を送るとかその他のようなことはとても不可能だろうということからお話を申上げたのでありますが、若しもこの法律が全体を縛るということになり、実際はそれをやれということになりますと、これは調査所長の権限というものが余りに強過ぎて実行ができなくなるだろうということはお説の通りであります。
#55
○委員長(石坂豊一君) それでは証人の方々の御陳述はこの程度で終ることにいたします。誠に御苦労さんでした。それから委員諸君には、午後二時から更に続行することにいたします。一時から内閣と建設省の問題について、内閣と建設省の関係の連合委員会がありますから、第三号室に御集参を願います。では休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時十二分開会
#56
○委員長(石坂豊一君) これから建設委員会を午前に引続いて続行いたします。すでに付議いたしてありまする測量法案について質疑を続行することにいたします。
#57
○久松定武君 午前中の証人のいろいろの御説明で参考になつたことが大変多いのでありますが、第一條の土地の測量という問題が、或いは陸地という意味だろうかという話がありましたが、政府当局としては土地としての測量としておいた方がいいか或いは陸地ということを明かにした方が法の上の解釈上便利でしようか、その点を……
#58
○説明員(小林與三次君) 土地の測量は実は我々の考えでは海を含んでおらない、こういう考え方で特に海を除く意味で土地の測量と実は書いたわけでございます。それでこちらのつもりは全く取敢えずこの法律は、將來の問題は別として取敢えずは陸地だけの測量を扱う、こういう氣持で書いたわけであります。
#59
○久松定武君 私この測量法というのを見ますと海もおかも両方入ることにちよつて測量法というと感ずるが、先程証人の中の水路局長のお話ですと早晩水の方の水道測量法の法案を作りたいと思つておる、こういうお話でございますから、そうすとこの測量法という法案は、結局陸地を主として考える、こういうふうに解釈して差支えないものでありますね。
#60
○説明員(小林與三次君) 私ちよつと午前中の意見は聞かなかつたのでありますが、実はこの測量法を私達が立案した当時の氣持はまあ測量法と言えば水陸を問わず全般の測量を網羅し、測量はむしろ政府で一体として考えるべきものではないか。全体を包括し得るような体系で測量法というものを立案いたしたいという氣持で作つたのであります。併し取敢えず海の測量の問題は水路局との関係でむしろ水路局とこちらの地理調査所との統合問題という機構上の問題が先決問題になつて参りますので、そこまでの段階に直ちに踏み込む余裕もありませんでしたし、その時期でもなかつたように思いますので取敢えず全般をカバーし得る、けれども取敢えずのところは現在やつておる土地だけを考えよう、併し若しできるものならば理想的な測量体系としてはこれを一体化したものに將來持つて行き易いように考えて置いた方がどうだろうか、正直のところ、そういう氣持で実は法律を作つたわけでございます。若し海を入れようと思えばほんの数ケ條而も字句をちよつと修正すれば大概カバーできるというつもりで実は立案いたしたようなわけであります。
#61
○久松定武君 そうすると今のところは水のことは全然考えなしに作つたという、こういう結論なんですね。
#62
○説明員(小林與三次君) 水のことはまあできるだけ入れたいが、取敢えずはこのままで出そうという氣持でございます。できれば我々といたしましては、その海陸統合の方向に努力をいたしたいと考えておるのでございまして、この点につきましては、むしろ國会側におかれましても格別御盡力をお願いいたしたい、外の役所の統合問題は、いろいろ行政事務に関連して、議論がありますけれども、事測量に関する限りは極めて純技術的な問題でありますので、これは外の問題程そう紛糾すべき筋合のものでもなし、むしろ專門的、技術的に考慮して合理的に解決して然るべき問題じやないかと実は考えておるのでございまして、この点につきましては一つ十分御高配をお願いいたしたいと考えておるのでございます。
#63
○久松定武君 先程東大の坪井博士証人のお話によりますと、学術上第十一條の第一号の偏平率とある、これを人偏をとつた扁にして扁平度としたらどうかという説があるのですが、この点政府としては扁平度としても差支えないかどうかをお伺いしたいのであります。
#64
○政府委員(武藤勝彦君) 扁平度としましても、偏平率としましても私共としてはどちらでも構わないのであります。扁平度というのは大学などで今まで使つておつたのでありますが、私共の役所の方では古くから偏平率というふうに使つておつたものですからこうしたのであります。
#65
○久松定武君 これは水路部ではどうですか。
#66
○政府委員(武藤勝彦君) 水路部はどちらを使つておるか私存じません。
#67
○委員長(石坂豊一君) これは原語はどうですか、同じことでしよう。
#68
○政府委員(武藤勝彦君) 原語はどちらでも同じことです。英語ではフラットニング、ドイツ語ではアッププラツッング。
#69
○委員長(石坂豊一君) それなら扁平度とした方がいい。
#70
○久松定武君 一致した方がいいですね。
#71
○北條秀一君 同じく第十一條の第五号、経緯度原点及び水準原点の地点及び原点数値は政令で定めるというのですが、政令でなしに法律で定むべきものと思うのですが、政府の見解如何。
#72
○政府委員(武藤勝彦君) これは実は初めて私共の方では法律へ入れたらと考えたのであります。併しながら原点の値は地震とか、いろいろの地変によりまして、來ることがございます。その場合に法律にして置きますと、それを改正するのに相当手続が厄介じやないか、実はそういつたような極く簡易な氣持で以て政令にしたらということにしたのであります。現在三宅坂にあります水準原点も、あれは関東大地震の前には二四・五〇に多分なつておつたと思います。それが地震のために四六ミリ低下いたしまして、現在では二四・五〇から四六ミリを引いた数になつております。そういた工合に地変がありますと変る虞れがありますので、それで法律の中に入れるのはどうかと考えたのであります。
#73
○久松定武君 それから十一條の二号の「位置」ということにつきまして、「平均海面からの高さで表示する。」ところが水路局の方では、その干潮時の最低位を以てそれを表示するというお話があつたのですが、これが土木上の、先程土木学会の方の証人の話によりまして、こういう不統一の結果から昔の海軍の方の水路部と、それから陸軍の方の測量部との標準が違うために、土木学会の方面におきまして、港湾の埋立とか、堤防を作るとかいう場合に非常に齟齬を來すというような場合などの実例があるようなことを聞いておりましたが、こういうような点は基準を示された以上は、將來平均海面からの高さということで表示するように、水陸共にやるというように今後はならないんですか、この点は政府は如何ですか。
#74
○政府委員(武藤勝彦君) これは陸地の測量は各國とも平均海面を使うということに慣例上決まつております。併しながら水路測量の方はインド大干潮面を使うということに從來なつております。
#75
○久松定武君 これは日本独特ですか。
#76
○政府委員(武藤勝彦君) そうではございません。これはインターナショナルです。それは海の方です。どうも一番低い干潮面へ持つて行かないと、船を動かす場合に困るというので多分そうなつておるのだろうと思います。
#77
○久松定武君 これは協定してどつちから決めるというような方法はいかんものでしようかね、インターナショナルでも駄目なんですか、実際上、公務上で困る場合が本当にあるらしいんですからね。
#78
○政府委員(武藤勝彦君) 実際上まあ海陸両方連絡して使わなくちやならんような場合には、その間にギヤツプができて誠に困るのでありまして、水路部の方では干潮面とそれから中等海水面との違いを入れてある場合が多いのでございます。そういう地図になりますと、これは中等海水面も入つておりますから陸とのくつ付きについての心配はなくなるのであります。必ずしもすべて入れてあるというわけでもございません、そこで統合できれば大分都合がいいと思います。
#79
○久松定武君 そうすると今のお話から行つても水路の関係の方はこの法律は適用されない、こういうふうに解釈していいんですか。
#80
○政府委員(武藤勝彦君) さようでございます。
#81
○久松定武君 全くこの測量法というものは陸地だけに関係すると、そう解釈していいんですね。
#82
○政府委員(武藤勝彦君) さようでございます。
#83
○久松定武君 それではこの測量法を陸地測量法というふうに改正する必要がないのでございましようか。
#84
○説明員(小林與三次君) 実は現在の測量法は誠に仰せの通り陸地だけしか考えておらんことはその通りでございます。ただ今もお話が出ました通り、いろいろ水陸測量というものの混合と申しますか、そういう理想的な方法を考え合せながら、できればそういう方法に持つて行きたいというので実はいろいろ議論も出たのでありますが、測量法として銘を打つて出しまして、ただ取敢えずこの運用は海の測量を統合するまでは土地にしか適用がありませんので、そこで特に定義で以て、この法律は測量をやるんだということをまあ第一條に明らかにしたようなわけでございます。それでありますからこの測量法を將來持つて行く理想と申しますか、心持というのと、現実のこの規定との間には少くの隔たりがあるということは実は事実なんでございます。私達の氣持はそういう氣持で、いろいろ相談をした結果、こういうふうにして提案をいたしたのでございます。
#85
○北條秀一君 只今小松委員の質問は、私は全く同感でありますが、政府委員の説明でありますが、丸で羊頭を掲げて狗肉を賣るようなことであると思いますので、その間の経緯をはつきりするために、提案理由の「土地の測量」云々の「土地」のところに「陸地の測量」というふうに表題を合した理由書をこの際つけて原案で出すようにしたらどうか、こういうふうに私は考えるのであります。政府のお考えす如何ですか。
#86
○政府委員(赤木正雄君) 北條さんの御質問御尤もであります。別に提案理由を今の御説の通りにしたところが何ら変化がありませんし、法案の趣旨を変えることもないと思いますからして、今のお話のようにしたいと思います。
#87
○北條秀一君 只今赤木政務次官から特に懇切な御説明があつたのでありますが、水路関係の立法もありますので、この際この測量法が何を一体目的としておるか、將來の理想案は別として、何を目的としているかということをはつきりするために、先程申しました提案理由の中にその点をはつきりすることが最もいいと、私はそう考えますので、各位の御賛成を得たいと考えるのであります。但し私は後になつて討論の際に申上げますが、以上で質問を打切りまして、次へ私は参ります。
 第十五條の土地の立入及びそれに対する通知でありますが、第二項に、「占有者に対してあらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。」ということがありますが、こういうことがしばしばあると土地の占有者は非常に困るんですが、こういう緊急で占有者に通知ができないというふうな場合は一体どういう場合があるでしようか。
#88
○政府委員(武藤勝彦君) これは私共の考えましたのは、山の中へ入つて行つて測量をやつておりまして、そうして次々に移つて行く場合に、里へ出ても連絡ができないような場合が始終実際問題としてあるのであります。そういう場合に一々下へ降りて、そうして而もその山の持主を深しまして、そうしてそこへ連絡を取るということは、これは仕事をやる上から行きまして非常に時間を取つてしまいますので、又山の上あたりは霧とか雲とかいう関係で、測量の時機を失なうことがしばしばありますので、それでこういうことを許して頂ければ非常に仕事がやりいい、こういうふうに考えます。
#89
○北條秀一君 この点は十八條の土地等の一時使用ということと全く同樣であります。この測量法案が実施された場合に、この測量は地方地元民の非常な関心の的になつて來るのであります。從つて地方の町村長等が知らない場合に、片方が測量をするというような場合ができると思う、そういうことがあるならば、止めさせなければならない、それで事前に通告しておいて、どこをどういうふうに調査するんだという大まかな測量計画は必ず町村長毎に通告しておいて、調査することは間接的に占有者に通告するということはいいのですけれども、今の御説明によれば、まるで地方自治体とは無関係に調査することは私は断じてとるべきではないとこういうふうに考える、その点は十分政府において善処されたいと、こういうふうに考えるのであります。次に進みまして第二十四條第三項「地理調査所の長は、第一項の規定による請求に理由があると認めるときは、当該標識を移轉し、理由がないと認めるときは、その旨を移轉を請求した者に通知しなければならない。」と言うのですが、当該標識を移轉する時期が一つも明示されていない、理由があつても一年、二年反対して、これでいいというわけです。当該標識を直ちに移轉すると、これは申請する方は、直ぐ移轉して呉れというのは当然です。同時に、理由がないと認めるときは直ちにその移轉をしないという旨を向うに通告すると、この時期をここにはつきり明示して置く必要がある、こういうふうに考えるのです。
#90
○説明員(小林與三次君) 只今の二十四條のお尋ねは御尤もでありまして、これはもう我々といたしましては、勿論、必要の有無という申請がありますれば、直ちに判断して、そして移轉すべきは移轉する、移轉することが困難な事情があるものはその旨を通知する、そういうつもりでございます。條文の上には実は入つておりませんけれども、当局といたしましては、当然にそういう措置をとつて、一般の人の御迷惑にならないように十分考慮いたしたいと考えておるのであります。
#91
○北條秀一君 第二十八條の第二項でありますが、「前項の規定により、」云云のところで「実費をこえない手数料を納めなければならない。」この「実費をこえない」という言葉が現わされておりますが、これと関連いたしまして、第四十九條の第三項「千円以内の手数料を納めなければならない。」こういう表現の違いがあるんですが、これはどういうことですか。
 それからもう一つは謄本抄本の交付を求めた場合には、その謄本、抄本の実費というものは実費をきちつと取ることは私は当然だと思う、実費を必ずしもそう遠慮して、こえない手数料を取るということは、正しく実費を取るんだとこういうふうに考え方を改むべきじやないかというふうに考えます。
#92
○説明員(小林與三次君) 只今のお尋ね尤もでありますが、第一番に二十八條と四十九條を区別した趣旨は、何れもお尋ねのあつたところと相関連して來るのでありますが、四十九條の問題は登録申請の手数料でございまして、これは一般に事務を処理する場合における表現というものが概ねついて來るわけでございます。登録の手続をするだけの問題でございますから……ところが、二十八條の問題になりますというと、具体的に謄本を、若しくは抄本を交付するわけでございまして、この謄本、抄本につきましては、いろいろ測量の成果の種類の如何によりましては、金の相違がありますし、それから又いろいろ物價の変動などもまあ具体的に響いて來る点が極めて多いものですから、実はこういう使い分けをいたしたのでございます。そこで、それならむしろ二十八條は「実費を納めなければならない。」とこうあつさり書いた方がよかつたのではないかという点は御尤もでありますが、実はこれがこういうふうな表現になりましたのは、やはり、実費と申しましても、一度々々その都度値段が変つても困るから、実費の範囲内において一つ大掴みに手数料というものを何等分かして決めておいた方が、納める方にも取る方にも便利でないか、実費を全体を取るという立前で、多少の四捨五入はあり得るという考え方で、「実費をこえない手数料」というふうに書いたのでございます。その字句は必ずしもいい言葉ではないかも知れませんが、心持はそういうところでございます。
#93
○北條秀一君 第三十一條に「地かく、地ぼう」その他の云々とありまして「測量成果が現況に適合しなくなつた場合においては、」ということは、現況に果して適合しておるかどうかは、これは測量しなければ分らんことですが、「現況に適合しなくなつた」ということは誰がいつ認定するか、これについてお伺いします。
#94
○政府委員(武藤勝彦君) これはちよつと文句がおかしいように実は思うのでございますが、これは大きな地震等がありますと、必ず地かくが今までの経驗上移動しております。そういうふうなときを実は現わすつもりでこういうふうな表現をとつたのでございます。事実地震がありますと、土地が必ず上つたり下つたりする場合が多いのでございまして、そういう場合ですと、海岸地帶におきましては海の水との関係のようなもので、土地の変化を測量しなくても或る程度見当のつく場合が多いのでございます。ただ併し長野縣の山の中のような所でしたら、これは非常に困難だと私は思うのであります。これは午前中坪井教授が言われたように、移動があつたと認められるような場合には、こういつたようにするのが適当ではないかというふうに私共考えております。
#95
○北條秀一君 只今説明の通りに、この三十一條は修正する方が合理的であるというふうに考えます。次は第三十六條これは午前中桑原証人からお話があつたわけでありますが、「測量計画機関は、公共測量を実施しようとするときは、左に掲げる事項を記載した計画書を添えて、あらかじめ地理調査所の長の技術的助言を求めなければならない。」とこうあるのですが、こうなると、「求めなければならない。」となると、結局地理調査所長の技術的助言でなしに、実は承認を求めるというようなことになつて來ると、私はその事情は尤もだと思います。そこでこれはあらかじめ地理調査所長に計画書を提出して、その技術的助言を求めることができるというふうに行くべきではないかということが午前中の証言でありましたが、私もそういうふうに考えるのですが、政府の考えを聞きたい。
#96
○説明員(小林與三次君) 只今のお尋ねでございますが、これはまあ立案の氣持は、專らこの計画書の提出は、技術的な援助を調査所においてやるという立前になつておるのでありますが、技術的に、全部提出しなければならんということになりますと、相当これを実施する場合において、実施する側から言えば、面倒なことになるのではないかという点は、重々考えられるのでございます。併しまあこれの規定を置きました趣旨は、もともと公共測量につきまして、この測量法の規定の中に入れましたのは、重要な測量については、測量の制度というものを確保して行くという問題が一つと、それと共に測量に重複を除く、今までこういう測量が相当重複して行われておりまして、その間に非常な無駄が沢山ある、こういう点から考えまして、それを抑えるためにはこうした方法が必要なのでありまして、單に測量計画機関の判断で技術的助言を求めることができるというふうにいたしますというと、この公共測量というものについて測量法が期待した或いは望んだ趣旨というものが達せられなくなるのじやないかと考えられるのでございます。それでいろいろ議論はあろうかと思いますけれども、三十六條のように規定を明らかにしまして、併しながらそれは單に測量をコントロールするとか、つまらん監督をして文句を言うとか、そういう趣旨じやないということを明瞭にするために、特に左に掲げる事項を記載した計画書を添えて技術的な助言を求める、こういう建前で立案をいたしたのでございます。
#97
○北條秀一君 この点に関連しまして、私は本法案を通じて、地理調査所長の権限というものは非常に大き過ぎるという考えを持つのでありまして、これは各條章において一々立証できるのであります。そういう点から言いましても、その地理調査所長の大きな権限の一つはここに出てするわけです。それで私は先程のようなことを申したのであります。從つてこの際政府委員の御意見を承つて置きたいのですが、今言いましたように地理調査所長の権限が非常に大き過ぎる、この測量士を任命する、或いはそれを処罰する、登録を取消す等一切合切地理調査所長が殆んどやるわけです。こういう点について起案者の方ではどういうふうにお考えになつておりますか。
#98
○説明員(小林與三次君) 只今の点は條文の條章によつては地理調査所長というものが非常に表面に出過ぎているという点は多少あると思います。それで問題は地理調査所の長がそういう権限を持つべきか、むしろ建設大臣がやるべきか、これでは地理調査所長は行政組織法の面から見ても、むしろ附属機関でなしに、一つの外局の長といつたふうな権限が與えられているじやないかという、実は疑いの点もあり得るのでございます。併しながら私達の考え方といたしましては、建設大臣と地理調査所の長との間における権限の分掌につきましては、測量の実施とか、測量の指導とかそういつた技術的な面につきましては、これはむしろつまらんことで建設大臣のところへ持つて行くよりも、最も責任ある機関である、而も権威ある機関である地理調査所の長にそういう技術的な部面は全部一任することが然るべきではないか、但し測量法に関する一般的な制度とかの他一般的な行政部門に関するものは、当然建設大臣の責任においてやるべきではないか、こういう考え方で両者における権限の調節を図つたのでございます。その結果調査所の方は、測量の技術的な面におきましては種々の権限を行使する結果になつたのでございますけれども、それにつきまして、自由な問題につきましては皆測量審議会という各路機の経驗者、学識者、その他関係官吏等を包容した民主的な機関がそれぞれ介入して來る場合が多いように立案いたしておりまして、地理調査所の長の権限の行使について問題のないように、十分愼重に計らうよう立法的な考慮は十分に考えたつもりでございます。それで本当の理想を言えば、これもまあ理想論になつて、先つきの問題と同じ議論が出て來るのでありますが、この測量法によりまして地理調査所の長がこうしたいろんな面におきまして権限を行使し得るようなことにすれば、地理調査所が実施以後も、例えば測量廳といつたふうな大きな権限ある役所としてでも、権威のある組織にすることが当然ではないかという問題があつたのであります。これは実は先程も議論の出ました水路部あたりとの統合問題も併せ考えられるのでございまして、將來そうしたものを一元化し得るような時期が到來すれば、当然に測量廳とかいうふうな形にして、日本人における測量行政に関する最高の責任機関として名実共に備わり得るというふうな時期が到來して然るべきものじやないかと考えているのでございます。そこらの点が多少考慮されまして、ともかくも現行法の上におきましては、そうした測量の技術に関する面はその廳において責任を以て処理して貰う方が、行政全般の便宜というか、責任制というか、能率性というか、そういう面から見て適当じやなかろうかと考えたのでございます。
#99
○北條秀一君 たまたま今の説明の中で測量審議会の話が出ましたので、私は関連いたしましてこの際質問いたしたいと考えます。実は今測量審議会は民主的な機関であつて……、という話がありましたけれども、それは法律で見ますと形は民主的になつていますけれども、実際には測量審議会というものは殆んど実権がない、ただ僅かに建議をするだけだというふうになつていまして、この法案は何回ひつくり返えして見ても、そういつた実質を持つていないと私は考えるのです。そこで先程も話がありましたが、測量士の登録を抹消するとか或いは停止するとかいう問題につきましても地理調査所長がやるというのではなしに、そういう重要な問題を測量審議会の議を経てやるということにして始めて民主化されるというふうに私は考えるのであります。尚それに関連しまして後程質問いたしますが、この際測量審議会につきまして、二十人の委員で組織するということになつていますが、その中に当然測量士の代表を加えるべきだろうというのが私の見解であります。証人の見解におきましても、是非測量士の代表を何名か加えて貰いたいという意見でありましたが、この点について政府のお考えをお聞きしたい。
#100
○説明員(小林與三次君) 只今測量審議会の権限の面につきまして議論を承つたのでございますが、例えば公共測量の範囲の問題とかその他民間の一般測量のうちで届出制の問題とか、測量に関する作業規程の問題とか、そうした測量実施上重要な問題につきましては、みな測量審議会の議を経ることを考えておるのでございます。一應お尋ねの点に挙げられました例えば測量士登録の抹消というふうな問題について、或いはその他の問題について審議会がタッチすべきでないかという点は、これは御尤もなお尋ねだと存じます。併し登録の抹消と申しましても、本当の登録の抹消をここで考えておりますのは、本人が死亡した場合とか、その他全然形式的な資格要件に欠けておつたとかいう場合でありまして、これは外の、例えば建設業法などの場合における建設業の資格又は業務停止などのような場合実質的な判断をして、本人が適当でない所行があつた場合とか、その他そういう意味で資格を取消すという場合は実は全然考えておらならないのであります。そこでこういう形式的な判断から本当の整理という程度に実は考えましたので、その必要がないのではないかと考えたのでございます。尚試驗の問題につきましては、これは御議論もお尤もだと思いますが、そこの試驗の実施を審議会でやるかどうかということになれば、いろいろ試驗というものの性質上疑問があろうかと思うのでございますけれども、併しながら、試驗全般をどういうふうに持つて行くかとかその方針とかいうような問題は、測量に関する重要事項として、必要ならば審議会の意見を十分に考慮して然るべき問題であろうと考えております。それから審議会の構成に測量士の代表者を入れる必要があるのじやないかというお尋ねでありますが、これも御尤もな御意見でございますが、そこは、実は例えば建設業審議会当りと少し性格が違う面があります。そこでは建設業者に対する直接的の監督をいろいろやつて、登録の抹消とか取消しなどという実質的権限もやつたり、或いはその請負契約内容に関するいろいろな研究もやつたりしますことですから、当然に業者の代表も参加させるというところは実質的な要件に相成ることかと思うのでございます。併しここに考えております測量審議会は、むしろ測量というものの技術的な調査、指導ということを考えておりまして、測量士自身の利害をどうこうというような場合は、実は建設業審議会ほど露骨と申しますと言葉は惡いのですが、大きくは出て参つておらないのであります。併し勿論測量士の問題も考慮すべきでありまして、これは入選の点につきましてはまだ具体的にこれこれという案はありませんけれども、私達の考えといたしましては、測量に関する技術の学識経驗者とかそれから関係各行政機関の職員などという者は、大抵は皆測量士の資格を持つておられる人達が通常なされるわけで、特に技術に関する学識経驗者と言えば当然に測量士の資格を持つておられる方でありますので、そういう方面のお考えも当然に代表せられるのじやないかと実は考えておつたのでございます。併し尚御意見でございますから、具体的の任命の問題につきましては十分に研究をいたして考慮いたしたいということを考えております。
#101
○北條秀一君 私の質問の要点を……、先程民主化するために測量審議会を設けるのだというお話でありましたが、それで私質問したのですが、測量審議会というものと而してこの地理調査所というものとが全くこの法量によると分離されていないかというのが私の質問の要点であります。今の問題は私はその程度に質問を打切りまして、次に進みたいと考えます。
 それは先程の質問にお答えがあつたのでありますが、具体用には第五十二條の登録の抹消の点であります。今説明がありましたので、大体政府の企図されるところは分りましたが、登録の抹消は、死亡したときが大体であつて、その他については殆んどないということでありますが、実際に殆んどないということになつて來ると、二号の「法律の現定に違反し、罰金以上の刑に処せられたとき。」云々ということは殆んど必要ないわけですが、ところがこういうことを規定する以上は実際にあるわけですから、そういうことになると五千円乃至六ケ月の懲役に処されるというと、片方では測量士の一生の問題を抹消してしまえということになると大問題になると思うのであります。これは私共としては愼重に考えなければならないということと、もう一つは、第三号の「測量士又は測量士補となる資格を有しないことが判明したとき。」もこれは大問題であります。農林省関係のこの測量士、現に農林省関係の測量をやつておる連中は大部分は農業学校出でありまして、この法律に規定するところの測量士又は測量士補となる資格を得ることは非常に困難であるというふうに考えるのであります。その点はどういうように考えておられるか。重ねて申しますと、農林省には農林学校を出た測量に從事しておる人が大体一万数千人おるそうです。從つて一万数千人の問題になつて來ますから、その点についてどういうようにお考えになつておるか、明らかにして置いて頂きたいと思います。
#102
○政府委員(武藤勝彦君) この問題は私達も十分考えてみたのでございますが、しつかりした測量をやろうとすれば、或る程度の技術を持つておることは当然なことでありまして、現在各学校等でやつておる測量を見ますと、実を申しますと、ここにいろいろ資格が挙げてある。四十九條、五十條、五十一條に測量士及び測量士補の資格が書いてありますが、私達が專門的の見地から見ますと、こういう人達をこのまま実は挙げるのは非常な讓歩をしたのでございます。それは測量は非常に地味な仕事でありますので、これは誰でもできるように一應考えるのでございますが、実際にやつてみますと、これはそう簡單にできる仕事でもないのでありまして、測量が狹い所を対象とするのでなく、相当廣い地域を相手とする結果、例えば、物指を一つ使うとしても、一メートルについて一ミリ測定を誤つて行くといつたようなことは、これは家の中でやるような仕事でしたらそれほど問題にならない場合が多いのじやないかと思いますが、併しながらこれを廣い地域に適用してみますと、例えば一メートルで一ミリ違いますと、千メートルで一メートル違つて参ります。從つて十キロ参りますと十メートル違う結果になります。そういつたように非常に相手が大きいので、誤りが非常に拡大する虞れがあります。ところが、今までそういうような点について、そうしつかりした観念を持つて仕事をやつて呉れておる者が割合に少いように見ておるのでございます。それでこれはしつかりと仕事をやつて貰うのには、或る程度の測量の知識が必要ではないかというので、実はここに五十條並びに五十一條に掲げたような資格を抑えたのでございます。それでその外にこれは学校を出た人達は或る程度の資格を持つことになりますが、お話になりましたような中学校や或いは農業学校のような所を出た方が、これでは救われないという結果になるのでございます。それで五十條の第五号と五十一條の第四号におきまして、試驗をやつてそれに合格した者は差支ないのだという規定を入れたのでございます。それでこの試驗が実は非常に私達としては実施が相当困難だと思つておるのであります。それは測量についての知識とか観念とかいうものが、一般の測量をやつておる人の中に非常に欠けておる者が多いのでありまして、私達をしての実は非常に心配しておる点なのでございます。
#103
○北條秀一君 関連しまして、第五十條の「建設大臣が指定する測量に関する專門の養成施設」この「專門の養成施設」ともいうものは一体どういうものですか。
#104
○政府委員(武藤勝彦君) これは地理調査所には現在技術員養成所がございます。そういうふうなものをここでは指しております。その外にもこういうふうな技術員を養成しておる所に、水路局の中にも技術員養成所がございます。それから鉄道関係のところにもあるのではないかと思います。
#105
○北條秀一君 それでは先程私が質問しました農林学校の卒業生現に農林省関係におりますところの農地の測量でありますとか、或いは山林の測量は殆んどこれらの農林学校の卒業者諸君がやつておるわけですが、そういう者は先程お話通り全部地理調査所の所長の行う測量士試驗に合格しなければならんということになつて來まして、政府委員の恐れられておりますように、果してその試驗が実行できるかどうか、そういう問題はどういうふうに解決しますか。
#106
○政府委員(武藤勝彦君) その試驗が実は私も非常に心配しておるのでございます。それは私達としては一定の理想を持つております。その通りにやりましたならば合格する人が非常に少くなるのではなかろうかと思うのであります。
#107
○北條秀一君 合格する人が非常に少くなりますと、現在の農林行政はストツプしてしまう、山林にしましても、主食の供出にしましても、そういうものはストップしてしまうのではないかということが、考えられるのであります。そうすると、これには測量士又は測量士補になつた連中がこういう違反をしたときには、その登録は抹消するという罰則の規定がありますけれども、測量士又は測量士補にならない連中が測量に從事した場合の罰則は一つもないのですね、こういうことになりますと、実際に必要な山林の測量、実際に必要な耕地の測量になると各行政官廳はどんどんやると思う、そういう場合に今のあなたの理想から言つて、それをどういうふうに制限して行くか。
#108
○政府委員(武藤勝彦君) 農林省で現在やつております測量でございますが、あれを実は私達は対象としては考えておらなかつたのでございます。それが四十七條にもありますし、或いは第五條の公共測量のところにもあるのでございますが、小道路又は建物のため等の局地的測量こういつたような意味で、こういつたものは何といいますか、この法案の目的が折角やつた測量をその測量目的のためだけでなく、若し使えれば外にも利用してやりたいということが目的で実はこの法案ができておりますので、それが、外へ流用できないような程度の随分程度の低い測量、或いは狹い測量、そういつたものは実は考えておらなかつたのでございます。それで午前中に農林省の方がおつしやつたようなものは、現在のところは、この法律の適用には入つて來ないのではないかと、実は私思うのであります。ただ全國的に土地調査をやる、全國的に土地の面積をしつかり出すという測量をやるというふうな場合でございますならば、これは当然この法律に入つて参ります。
#109
○原口忠次郎君 余り法文を読まないでこんなことを質問するものも工合惡いのですが、一体この測量法案なんかの本当の狙いはどこにございますか、今お話を聽いておると地積の測量、昔は参謀本部でやつておつたような測量がこの法律に入るのであつて、小道路とか土地の面積を小さく計るのは入らない、そうすると結局地理調査所でやる測量の事柄のみがこの法律で縛られるというような形になつて來て、地理調査所がやられるような仕事は外に官廳もないのに自分の官廳で使う測量士に大きな罰則を法律で設けるということになりやしませんか、その辺が私はつきり分らんのですが……
#110
○政府委員(武藤勝彦君) これは地理調査所でやつております測量ばかりではないのでございます。それか外でやつております測量でも、それが十分立派な精度でできておりまして外に流用できるものであるならばそれを使う、例えば鉄道を架けますのにも、或いは山林調査をやるにしましても、場合によりますと相当立派な測量をやると考えるのでございます。そういうものをその目的だけに使つたらそれでいいということで棄ててしまはないで、その測量をやつた結果を外にも流用する、そういうようなつまり目的でやつておるのでございます。例えば最近空中写眞の利用が非常に廣くなつて参りました。空中写眞で以て図を作るとか、或いは土地の調査をやるとかいう場合には、從來元の陸地測量部で埋めたという石だけでは多くの場合に数が足らないのでございます。併しながらそういう場合に、若し鉄道だとか、山林だとか、外でやりました石が相当数ありますと、それは直ちに利用することができるのでございます。ただそれを利用する場合に、使え方としましては、それのどのくらい確かなものかというふうなことがはつきりしておりませんと、ちよつと使うわけにいかないのではないか、そういうふうな点を明かにしたいというのがこの法律の目的なのでございます。
#111
○原口忠次郎君 今のお話で分つたような分らんような氣がするのでございますが、結局外の方で作つた測量図を外の所で利用したい。その精密度をあるかないかを法律を以て規定する。こういうような考え方でございますね、そうしますと、外の官廳が作つた測量図がそういう罰則を科せられる、折角測量をしたものを体刑を食わせるような、罰金を食わせるようなことがあるならば、恐らく自分の測量した図面を出さないのではないか、決してそんな所に出さないのではないか、そういう危險がある、精密度によつてそれが実際違つておるか、違つていないか、誰が証明するか、それは測量士がやらなければならんということになりますが、非常に測量士が、任務が何といいますか、官廳の公務員として公務員以上に法律で縛られる、こういうような形になるように思うのでございますが、これの一体狙いは、お話になる狙いか、どうも私にははつきり呑み込めないのでございますが……
#112
○説明員(小林與三次君) 只今の点でございますが、この氣持はつまり測量の中の根幹は地理調査所の測量でございまして、それについて測量実施上必要ないろいろな権能をはつきりさせるという面は、これは申上げるまでもなく一つあるのでございます。これはまあむしろ從來の古い測量標條例が規定しておつた問題でございます。それと共に問題は地理調査所がやつております測量以外に、地理調査所長が申しましたように、大規模な、而も精密な精度を必要とするところの測量がただ行われておるのでございます。その測量は精密性ということがその作業の公共的な目的から必要とする共に、その測量が從來極めて何といいますか、無駄に行われておる、同じ場所が例えば道路の測量のために行なわれる、或いは鉄道の測量のために行われる、或いは開拓道路のために行なわれる。そういうような無駄が極めて多いのであります。これは極めて遺憾な問題でありまして、きちんとした測量があつて、その測量の成果というものを、もつと万人に公開して廣く利用させる、そういう体系を考慮した方がよろしかろうということが考えられるのでございます。それで先ずもとはそういう重大な、公共的な利害に、密接な関係のある重大な測量というものの精密性を確保するということは、いろいろな工事を図つて行く上におきます基本的な要件でありますので、その点を何とか確保いたしたいという問題が一つ、そうした測量の精密性を確保するための手段としては、それならどういうものが考えられるかと申しますと、結局測量の計画並びに測量計画を実施する作業の何と申しますか、技術的なそういう作業の方程式というようなものが、正確に成り立つ、それと共にそれを実施する人間が、技術的な能力と良心とを十分に持つている人さえ十分であれば、後は仕事は任しておけばよろしい、そういうように相成るだろうと思うのでございます。それがそういう方面における人の資格というものを、或る程度制限をいたしまして、技術的な精密性を確保する、そうしてその人にすべてを任せるという考え方になつているのでございます。それと共に、そうした測量を実施するためには、いろいろ土地の立入りを必要としたり、立木の伐採を必要としたりするような測量実施上のいろいろな権能が必要なのでございまして、そうして公共的の利用のある、重要な測量につきましては、測量実施上に必要なる権能を確保してやるということが、一つ考えられるのでございます。そうして、そうした結果得た測量の成果というものを、これは万人に開放して廣く天下に利用させるというような諸々のことを考えまして、そうして要するに測量制度というものが土地の利用、開発というものの基礎的な、最少限度の技術的な要件でありますので、そういう確かな基礎の上に、土地政策と申しますか、土地の利用開発というものを、進展させて行くということが、如何に日本における今後のいろいろな作業をやる上において、必要であろうというようなことを考えまして、実は考えたのでございます。これによつて特に測量士に特別な束縛を與えるとか、罰則だけで以て臨むとかいうような点は、毫も実は考えておるのではありませんので、ここに多少罰則の規定はありますけれども、これはむしろこの正当な測量の実施を理由なくして妨害したとか、邪魔をしたとか、そういうものについては、或いは裁量の結果得た測量表などを濫りに毀損したとか、そういうものについての罰則でございまして、特に測量士そのもの、或いは測量する者について、大きな罰を以て臨むというようなことは、全然考えておらないのでございます。
#113
○原口忠次郎君 御説明は良く分りましたのですが、結局こういう測量法案というものができて、昔参謀本部の二十万分の一とか、十万分の一とかいう地図があつたが、今後できる場合に、それが非常に正確なものができて、そうして國民がその図面を利用する價値が非常に高くなる、こういうことを狙つておられるのですか、それとも何かどこかの官廳で、例えば鉄道のルートを測量した、そのルートの測量をどこか外のところで利用するようにさせる、というようなことを狙つておられるのか、それはお話の言葉はよく分るのでありますが、一体こういうものを作つて、國民が利益するところは、どこにあるか、それから二十万分の一、十万分の一の図面が非常に正確なもので、あの図面が一枚あれば殆んど測量しなくともてきるということになれば、結構だと思うのです。併しそれは結局地理調査所がおやりになることであつて、その他どこもやるところはないのじやないかと思うのであります。そうして地理調査所がおやりになる仕事を、何か知ら法律で決めて測量士等という名義を取らして、そうして非常に縛り上げて公務員法以外に、何か縛り上げるというようなことになつておるのじやないかという氣持がするのですが、そういう点はどうなつておるのですか。
#114
○政府委員(武藤勝彦君) そういうふうな点は、実は私達考えてもみなかつたのでございますが、これは測量部で作りましたいろいろな三角点というようなものを、そのまま引継いでやつておりますが、これは一般の人たちに非常に使われておりまして、私達としては十分活用されておると考えておるのでございます。併しながら鉄道とか、山林とか、前にも申上げましたように、各方面でも測量のために國費の可成り多くのものを使つております鉄道を敷いたら鉄道の測量は、もう捨ててしまつていいのか、山林の調査が済んだから、その測量の結果はそれだけでいいのか、こういう点にあるのでありまして、そういうふうな測量でも、私の方の測量が何故使われるかと申しますと、これは確実に石が埋めてあつて、他の人が自由に使うことができるから使われるのでありまして、又精度につきましても、私の方はどの程度の精度で行つておるか、はつきり出ておるので、使う人が安心して使うことができるからであります。若し他の方の仕事も私達の方と同じように、そういうふうに石を埋めるとか、測量の精度がはつきりしておれば、これを利用する者が相当あるものと考えるのであります。尚一度やつたところを、二度三度繰返してやらないで済む場合が相当起るのじやないか、そういうことのために、測量を無駄にしないで、活用させるということを、実は考えておるのでございます。
#115
○原口忠次郎君 御説明を大体分つたような氣がしますけれども、何か私はどうも根本的に割切れないことがあるような氣がするのです。例えば地理調査所というものは、測量をなさるのが目的の官廳であるから、測量をされるのであつて、鉄道省が、今度は鉄道公團になるのですが、公團が鉄道を架けるのに測量をする、だからその測量は万人が使うようにせよ、こういうふうに考えられるのは、國費を使つた測量であるから尤もではあるけれども、その測量したことを、そういうふうに仕向けて行くようにするならいいが、ただ測量法という法律のみで、あなたがおつしやつたような目的に、果して進み得るだろうか、そうして又鉄道を架けるのに、あなたのお話のような精密度がなければならん測量であるかどうか、例えば道路の測量にしても、開拓の測量にしても、そういうふうな測量の精密度がなければならんのかどうか、それから先つきお話しになつた一メートル一センチではないかとおつしやるけれども、ああいうものはコンぺンセートするエラーですから、必ず何キロ以内に幾らエラーがあるというものじやないという感じがするのです。そういうことを考えると、測量法というものの狙いが、どうもはつきりしないという感じがするのですが、あなたの方としては測量なさることが、その官廳としての目的であるけれども、他の官廳が測量したから、必ずそれが自分のところと同じ精密度で國民に示される測量をしろということを法律で縛ろう、こういう結果になるわけです。そういうふうなことが、どうもちよつとおかしな感じがするのですが、どうなりますか、そういう点について……
#116
○政府委員(武藤勝彦君) 他でやる測量も、私の方でやる測量も、嚴密な精密度を持つておる測量でなければならんというのではないのでありまして、他でやつた仕事も精密度がはつきりしておればいいのであります。はつきりしておれば自分のところで使う場合に、この程度なら使える、この程度では使えないという判断が與えられるのじやないかと考えられるのであります。
#117
○原口忠次郎君 これ以上申上げませんですが、非常にこれがうまく使われることを私は希望いたしまして質問を打切ります。
#118
○委員長(石坂豊一君) それでは質疑をまだございましようが、もう質疑はこの程度で打切つてよろしうございますか。(「議事進行」、「賛成」と呼び者あり)
#119
○委員長(石坂豊一君) それでは質疑を打切りまして、尚皆さんの方でお氣附の点があれば、討論の前に多少の意見は差支えないと思いますから一應質疑を打切ることにいたして差支えございませんか。(「異議なしと呼ぶ者」あり)
#120
○委員長(石坂豊一君) それでは打切ることにいたします。
#121
○政府委員(赤木正雄君) 先程原口に委員、或いは北條委員の御質疑に実は私も非常に同感の点があります。でありますからこの立案をいよいよ採択されましたときには、そのときに申しますが、一層その点は十分御趣旨に副うようにしたい、又その考えを持つております。
#122
○委員長(石坂豊一君) それでは本日は質疑を打切ることにいたしまして、明日十時より、討論、採択をすることにいたしたいと思います。尚本案について字句その他の修正等について御意見もあるようでありますから、それは途中において懇談会を開会しまして、その際に一應纒めて発表することにいたしたいと思います。それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     石坂 豊一君
   理事
           原口忠次郎君
           島津 忠彦君
   委員
           遠山 丙市君
           堀  末治君
           安部  定君
           久松 定武君
           北條 秀一君
  政府委員
   建設政務次官  赤木 正雄君
   建 設 技 官
   (地理調査所
   長)      武藤 勝彦君
  証人
   東京大学理学部
   地球物理教室  坪井 忠二君
   海上保安廳水路
   局長      須田 皖次君
   運輸省海運総局
   計画課長    天埜 良吉君
   農林省統計局作
   物報告課長   福島 要一君
   國土地図株式会
   社       園部  蔀君
   土 木 学 会 桑原彌壽雄君
   農林省林野局國
  有林野部計画課  蓑田  茂君
  説明員
   建設事務官
   (大臣官房文書
   課長)     小林與三次君
ソース: 国立国会図書館
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