くにさくロゴ
1949/05/11 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 建設委員会 第13号
姉妹サイト
 
1949/05/11 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 建設委員会 第13号

#1
第005回国会 建設委員会 第13号
昭和二十四年五月十一日(水曜日)
   午前十時三十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○建設業法案(内閣送付)
 (右案に関し証人の証言あり)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(石坂豊一君) それでは只今より委員会を開会いたします。
 本日は政府提出の建設業法案を議題に供します。該法案はその影響するところ極めて大きい法でありますので、審議の参考にいたしますために愼重を期しまして、多方面の御意見を伺いたいと存んじまして、お忙しい中御証人の出頭を求めた次第であります。そこで便宜上一つ委員諸君にお諮りしたいことは、先きに出頭願つた早田成雄君の代りに庄司儀夫君、吉田享二君の代りに藏田周忠君を差し代えることになつておりますので御承認願います。
   〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(石坂豊一君) それでは御承認であるようでありまするから、この諸君に一つ成規によりまして宣誓をして頂きたいと思います。多数の方々のことでありまするから、便宜上代表の方にそれじや御宣誓をお願いいたします。
   〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕
   宣 誓 書
 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
        証人 石井  桂
        証人 島田  藤
        証人 庄司 儀夫
        証人 牧瀬  幸
        証人 難波 元由
        証人 青戸  純
        証人 市來崎一男
        証人 吉田朝次郎
        証人 藏田 周忠
        証人 大野  嚴
#4
○委員長(石坂豊一君) 尚申上げたいことがございます。証人からの御発言は時間の関係上一人およそ十分間ずつにいたしたいと存じます。業者、註文者の立場、或いは建設業者の中で労働をなさる方の立場及び一般学識経驗の面から、忌憚なき御発言を願いたいと存じます。誠に僭越でございますが発言の順序を委員長からお願いをいたします。第一は石井さん、第二は島田さん、第三は庄司さん、第四番目は牧瀬さん、五番目は難波さん、六番目は青戸さん、七番目は市來崎さん、八番目は吉田さん、九番目は藏田さん、十番目は大野さん、この順序でお願いしたいと存じます。それでは先ず石井さんにお願いいたします。
#5
○証人(石井桂君) 私は東京都廳の建築局長の石井桂でございます。どうぞよろしくお願いいたします。プリントの方では間違いで「柱」と書いてありますが、「柱」でありません。
 本日建設業法が参議院で審議されますことを聞きまして非常に喜んでいる者の私は一人であります。從いましてこれから申上げますことは建設業法に非常に賛成であるという意見を申上げることに相成ります。以上理由を簡單に申上げます。
 私は大正十二年から建築に関しまして警視廳に奉職いたしまして建築行政をずつとやつて参りまして今日都廳におりますが、今日まで建築行政並びに工作物の築造をする方の営繕を分担しております。二十七年間この業務に携つております。私が大正十二年に警視廳に入りましてから十数年間、警視廳には土建業者に対しまして單行廳令を以ちまして規則がございました。丁度屑物業取締規則と同じようなつもりで、土建業者は惡いことをするものだという意味の取締規則がございました。そうして今日まで來たのでございますが、新憲法が出ましてから、單行廳令がみな効力を失つてなくなつていると思います。当時から今日まで業界で我我共に意見を具申するということが非常に多うございまして、土建業者は数千億の金を使うほどの立派な仕事をしているにも拘わらず、一介のバタ屋と同じような待遇の取扱いを受けている、誠に遺憾であるというのであつたのでございます。今日建設業法が立派に通りますならば、業界が事業にふさわしき立派な業者として待遇せられるという意味におきまして、業界の喜びはさこそと存じます。その点で先ず第一に私は業界の進歩のために非常に喜ばしいことであるという理由で、先ず第一に賛成したいと思います。
 第二には土建業者に対しましては、或いは組合の関係を通しまして、商工局が監督官廳といい、或いは建築土木の取締を対象といたしまして、元は内務省、現在では建設省が取締の所管官廳といい、定かにわかりません関係上、本腰を入れて業者の指導監督、業界の発達のために推進するところがなかつたのであります。ところが今日若し建設業法が通りますならば、所管ははつきり建設省でありまして、建設省も本腰を入れて指導監督をなさると思います。業界の発達のために誠に監督官廳を得て、そうして協力して向上ができるということを考えまして、私はこの法案が一日も早く通つてくれることを要望する一人でございます。從いまして、これが第二の理由として私は賛成の意を表するところでございます。
 第三には二十七年間の建設業者の中には、その日常の生活の中に都民からいろいろ非難もある惡質の業者があつて、例えばなけなしの金を以て勤労階級の人が家を造る、その場合に八割くらいで業者に逃げられてしまう、そうして止む得ずねだられねだられ、單價が五割増とか十割増のように結局なつてしまうというような業者もある。或いは高い前借の金を支拂つたにも拘わらず、到頭工事をしないでしまつたというのもございます。そういうような問題を持込まれるのはしばしばでございます。これは裁判所へ行つて片付ければわけないことでありまするが、御承知のように時間もかかりますので、行政官廳、我々の窓口のところへ來まして、斡旋を頼みます。我々は監督のみに終る行政をやつておるわけでございませんので、手を取つて中へ入つてお世話するということが随分ございます。その外終戰後御覧の通りに道義が頽廃しました際に、非常に暴力團ボス等が跋扈いたしまして、進駐軍の命令によりまして暴力團の排撃の声がいたしますと、直ちに看板を塗り変えてかかるのが土建業なのであります。土建業の看板をつけてそうして繩張の管内の工事場を許してやる。或る地方はその地方で土建業の入札が起りますと單價が二割、三割上るというところもございます。そういうのでありまして、この業法ができますれば消極的ではございますけれども、恐らくその惡質業者を排除して行くという点において非常に効果があろうと思います。その点が賛成の第三の理由の一つであります。
 第四におきましては、今まで業界の方々とそれからの施主の方とで契約が取り交されて工事にかかるのでありますけれども、施主の方は常に優位な地位を占めて、業者はいつも泣き寢入の契約になるということでございましたが、この建築業の法案の内容を拜見いたしますと、非常に対等な立場でこれを取扱うような規定になつております。非常に進歩的であり、私は業界に明るい希望を與えるものだと存じます。これが賛成の第四の理由でございます。
 最後にいろいろな行政処分等につきましては、審議会というものを特にこの法律では設けられておりまして、そうして関係者、官民並びに知識を持つておる方々が集まりましてこれを構成し、あらゆる行政上の措置等をここで審議するようになつておりまして、極めて民主的な行き方と存じます。至れり盡せりの私は法規と存しますので、自分の細かい経驗を土台としてではございますけれども、以上の五つの理由から極めて賛成でございますことを申上げます。簡單でございますけれども……
#6
○委員長(石坂豊一君) 御質問ありませんか。
#7
○北條秀一君 石井さんにお聞きいたしますが、最後の理由として審議会の設置についてお話があつたのでありまするが、この審議会の條文について十分御檢討願つたと思いますが、この審議会で、殊に二十七年間の御経驗からいつてこういう審議会で十分にその目的を達するとお考えになりますか。
#8
○石井証人 私は実は審議会のメンバーがどういうふうになるかは、詳しい研究をいたしませんでしたけれども、少くとも私共建築行政に身を投じておる者は、すでに昔の取締というような観念をもう実は末端の官吏まで私の方の役所では捨てておつて、実は指導でこれをよいものにして行きたいというような精神で取締をやつて來ているのが今日の状態でございます。例えばそこに非常に分らない人がおるというようなことがあれば、すでに役所の中では健全なる労働組合等がありまして、いろいろまあお互いに牽制し合いつつ、立派な行政を私共では全力を盡してやつておるような状態でございますので、更にその上にこういう審議会がありまして、直接公けの立場から民衆の声を聞き、或は当事者の声を聞くということは、私は單にこれは飾りものではなくて、立派な役目をするであろうという確信を、まあ自分の経驗だけで持つておることを申上げます。
#9
○北條秀一君 只今石井さんにお伺いしました点は、建設業審議会の件は、條文によりますと、中央に設けると同時に、又都道府縣にもこれを必ず設置するということになるわけです。從いましてその建設業審議会の構成というものは、石井さんが先程第五の大きな理由にされましたことでありますので、この構成というものはよほど考えなくちやなりませんし、そうして又今日いろいろ審議会ばやりでありまして、中には開店休業もあるわけであります。どうしてもこの審議会を相当活溌に運営して行くということが問題になるわけでありますので、只今石井さんから御意見を聞きましたが、あとの証人の方からもいろいろ御意見が出ると思いますので、私は特に冒頭にこの点を御質問申上げまして、これからの証人の方にも特にこの点について御意題があれば聞かして頂きたいと考えるのであります。
#10
○委員長(石坂豊一君) 次に島田さんにお願いいたします。
#11
○証人(島田藤君) 私は全國建設業協会から出ました島田藤でございます。
 土木建築業は、工業といたしましても他の工業と著しく変つた性質のものでございますし、又これは商業的要素が多分にありながら、商業として見るのも亦異つたところがあるのでありまして、こういう特殊な業務からいたしまして、その健全なる発達を図り、立派な職能を発揮させるためには、何か特別な法律を必要とするという考えは、我々業者の間で意見が一致しているのでありまして、多年に亘つてこのような法律のできることを望んでおつたのでございます。この意味におきまして建設業法の制定に賛成する者でございます。
 建設業の健全な発達とその職能の有効な発揮のためには、業者を規正すると共に、業者に対する社会の仕向け、つまり社会的待遇を改善する必要があると思うのでございます。即ち民主化を基調としてあらゆる機会について合理化されなければならないのでありまして、この点につきましては縦來の慣習も甚だ遺憾が多いのでございます。注文者の特権的な立場に追随しまして卑屈に流れ、すべての者が低調に陷るということが現状なのでございます。從いまして、法律は極めて簡素で要点を掴んだものとして拵えて、徒らに繁雜で負担をかけるようなものになることは好ましくないのでございます。業者の一部にはこの法律の不用論を唱えたり、或は反対の説のあることも耳にしないではございませんが、それは要するに手数ばかりかかつて何ら得るところがないという結果を恐れるからでございます。
 以上各章につきまして所見を申述べたいと存じます。
 第一章の中では第一條の業者の登録は、本法の恐らく眼目なのでございまして、賛成でございます。これに請負契約の規正とか技術者の設置とかを主体としまして、適正な施工を確保し健全な発達に資するということでございますが、工事に関しての善良な制度の励行ということを加えたいと思うのでございます。即ち工事入札とか開札とかの方法の公明なこと、工事発注の合理化等を加えてできるようにしまして、業界を明朗にし、業務の健全な発達に資することが本法の要素でなければならんと思うのであります。尚この第一條に「技術者の設置」とありますが、ちよつとおかしいように思いますので、「担当技術者の設定」とかいう書き方にしては如何かと意見を申述べます。
 第二條は、職別を含めた建設業ということを考えておるのでございまして、この点はこの法律の中での最も重要な点の一つであろうと思うのであります。私は本法の目的からしまして登録が総合工事を行おうとする者に限つて、できるだけ簡單にして目的に叶うものとすべきであろうと思うのであります。職別の方々が好んで登録に加わつて、求めて繁雜を加えようとする理由が分らないのでありまして、職別に対しまする助長育成は登録を用いなくても、別に本法の中に適当な方法を講じ得ると思うのであります。そうして登録を通じての規正とか監督は総合業者に集中して、そこに万全を期することを考えたいと思うのでございます。
 第三條では「政令で定める軽微な工事」を除外するとありまして、恐らく工事金高で低いものは止めるということでございましようが、この点は御尤もと存じます。尚どちらに入りましようか、その二の方に入りましようか、年間引受高ということに関しまして、何か或る程度の限界でもあつた方が、ただ工事一箇についてのみ決めて行くよりは実際に高いものが出て來るのではないかと思うのであります。
 それから第二章に亘りまして、第四條の登録が二年間有効であるというこの表現方法は、一体登録する時期におきまして正確なものが二年間保たれるということは考えられないので、人員におきましても、場合によつては営業所におきましても随分異動がある筈でありまして、二年間有効とするということは法律的な書き方かも存じませんが、我々の感覚から申しますと、むしろ営業は登録によつて効力を発し、二年ごとに再登録するというようなことにしては如何かと思うのであります。つまり登録の内容が非常に狂いやすいことを考えるのでありまして、これは第九條その他にも出て参ります修正等もありますし、又登録されたものの閲覽等のこともありますが、一体閲覽はどの程度まで閲覽をさせるのか、却つて誤り傳えられるような結果を起す虞れはないかということは立入つて考えられるのであります。
 それから第五條のところで、「役員又はその使用人のうち一人が左の各号の一に該当する」云々とございまして、役員は結構ですが、その使用人ということは如何にも重要な必要な人間を軽く考えられ易いのでありまして、私はこれを「役員又は有力な職員の一名が」ということにしては如何かと思うのであります。つまり使用人という立場では有力な発言ができないので、結局この言うところの目的に叶わないものではないかと思うのであります。それから同じ條文の第三号の「建設工事に関し、十年以上実務の経驗を有する者」、この書き方が少しく曖昧であるように思うのでありまして、「建設工事の專門技術について十年以上」とでも書くことになりますか、そういう点での感じを持つのであります。
 それから第七條の一、二、三とあります三に「使用人数」とか何とか細かいことがありますが、これらはやはり随時変つて行くものと考えられる、申請登録現在の使用人数ということに恐らく考えられることと思いますが、決してこれはそう固定的なものではなかろうということを御了承を願いたいのであります。これはアメリカで行われておると思われるインフォーメーション・ビューローという組織、これは大変学ぶべきことと思うのでありまして、こういう業者の内容、場合によつては金融関係等までも調査されたインフォーメーション・ビューローの組織をこちらに持つて來るような場合にこういう点が非常に役立つのではないかと思うのでありまして、申添えます。
 それから第十六條の方に移りまして、閲覽所を設けるということですが、これは一体どういうところにどういう内容まで閲覽するのか、恐らくこの着想はインフォーメーション・ビューローに思い及んでのことと思うのでありますが、ただ業者の名前だけがそこに登録されておるものを見るという、極めてお座なりなものになるのか、或いは内容までも知ることのできるような民衆に近いものとなり得るのか、この点の運営方法が尚疑問なのでございます。
 それから第二十三條の「注文者は、元請負人に対して、建設工事の施工につき著しく不適当と認められる下請負人があるときは、その変更を請求することができる。」、これは可なり著目すべき点であろうと思うのでありまして、請負人にそのすべての責任を負わせてなぜ惡いのか、法律に書いて下請人を変えさせるという権限を持たせる必要がどこにあるかという点でありまして、私はこの條文に異議を持つのであります。
 それから第二十五條の「委託その他何らの名義をもつてするを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約」、これは請負業者の契約のみならず、建築方面では建築設計者の契約が起り得ると思うのでありますが、果してこういうことが建築設計者側としまして研究されておりますか如何ですか、実害はなかろうかと思いますけれども、その点の注意を喚起して置きたいと存じます。
 最後の審議会に関する点でありますが、先にも申しましたように、單に業者を取締るということに行き勝なところを是正しまして、むしろこの建築業の風習、制度というものを各般に亘つて改善して行くという力を持つて行きたいと思うのでありますが、この働きをするのは恐らく審議会の役目であろうと思うのでありまして、審議会の仕事の内容の中には工事請負制度とか、善良なる風習の育成とかいうことのできるような範囲を規定して頂きたいと考えるのであります。細かい点は省略いたしまして、比較的要点のみ申上げた次第でございます。
#12
○委員長(石坂豊一君) 御質疑がございませんければ、それでは……
#13
○北條秀一君 証人に質問があるのですけれども、二三証人の証言を済ませました上で、後で纏めて、それぞれ遡つて各証人に質問することをお許し願いたいと思います。
#14
○委員長(石坂豊一君) 結構です。それでは第三番目といたしまして、庄司さんにお願いいたします。
#15
○証人(庄司儀夫君) 神奈川縣の道路課長の庄司儀一でございます。本日は部長の代りに参りまして、地方廳の立場、及び注文者としての立場から、このたび立案されました建設業法案に対する意見をちよつと述べさして頂きたいと思います。
 この建設事業は公共事業的の性質を持つておりまして、その工事を適正に行えるかどうかということが、直接間接に一般民衆の利害に非常な関係があるばかりでなく、又経済再建の上におきましても非常に影響がありますので、從來の建設業者の登録を実施いたしますと共に、責任のある技術者の下に良心的な工事を施行する意味におきまして、この建設業法案が施行されますことは、我々といたしましても非常に結構なことと思う次第であります。
 殊に從來一方的な契約によりまして施行されておりました工事が、このたびの建設業法案の契約規正によりまして、幾分でも民主的なものになると考えられるのではありますけれども、今までの工事契約の根本をなしておりますところの道路工事執行令、これは大体大正九年に内務省令で出されておるのでありますが、この道路工事執行令並びにこれに準拠して作られましたところの道路工事執行令細則というものが大正九年に出ておるのであります。又最近に出ました昭和二十二年法律第百七十一号等の法律が改正されない限りは、従らにこの法律が出されましても空文化するのではないかと我々は恐れるのであります。即ち法第十九條に規定されておりますところの各項のうち、請負代金の前金拂、或いは設計変更又は工事中止によるところの損害負担、それから天災その他不可抗力によるところの損害負担、價格の変動或いは変更に基くところの請負代金の額、それから工事の完成後におきまするところの請負代金の支拂時期、それから債務不履行の遅滯その他債務の不履行の場合における遅延利息違約金、その他の損害金等の各項があるのでありますが、この各項はいずれも予算を伴う関係上非常に容易ならんものがあるのでありまして、これを実行いたしますためには、先ず第一に國庫補助工事にありましては補助額の増額を必要とするばかりでなく、又補助金なども年度初めにおいてこれを交付して貰わなければ、到底前金拂ということは我々にはできないのであります。殊に第三章の建設工事の請負契約第十九條第七項におきまして、價格の変動或いは変更に基くところの請負代金の額に増額を來たした場合におきましては、昭和二十二年に出されました法律第百七十一号第十三條によりまして、契約金額の範囲においてこれをなさねばならんことになつておりますので、当初の約定金額の契約は変更されないことになつております。こういう関係上同法律の改正をしなければいけないと思う次第であります。
 又建設業法の第六條によりますと、登録申請者は二つ以上の都道府縣に営業所を設けて営業する者にあつては建設大臣に、その他の者にあつては、その営業所の所在する所在地を統轄するところの都道府縣知事に登録申請書を提出するように規定しておるのであります。法人入札に際して契約業者の経歴並びに能力を知る上におきまして、二つ以上の都道府縣に営業所を持つておる業者であつても、やはりその工事を施行するにおきましては、都道府縣知事に対しまして又登録申請書の写しかなんかを提出して、その承認を求める必要があるのではないかと思うのであります。又法第三十條によりますと、建設業者に第二十八條第一項各号に該当する事実があるときは、その利害関係人は、当該建設業者が登録を受けた建設大臣又は都道府縣知事に対し、その事実を申告し、適当な措置をとることになつておるのでありますが、建設大臣に登録書を申請した業者であつても、その工事の執行をしておるところの都道府縣知事に対しまして、その事実を申告して措置を取るべきものではないかと思うのであります。
 以上申し述べましたようにこの法律の施行の目的に対しましては我々としては大いに賛成でありますが、それに先立ちまして、先にこれに関連しておりますところの法律を是非改正するように先ずやるべきじやないかと思う次第であります。
 甚だ簡單でございますが終ります。
#16
○委員長(石坂豊一君) それでは次に牧瀬さんにお願いいたします。
#17
○証人(牧瀬幸君) お許しを得まして土木工業協会として発言いたします。土木工業協会会員鹿島建設株式会社の牧瀬幸であります。
 我々建設業者は、我々のいたします仕事が産業の復興社会公共の福祉に、如何なる関連を有するかということを自覚いたしまして、常に眞劍に使命を果したいと念願いたしておるのであります。
 冷静に世間の声を聞きますと、そこには非難があり惡声があります。何の故にかかる非難、惡声が生ずるかということを反省檢討いたしますれば、諸般の場合におきまして諸種の事由がありまするが、その最も大きな理由はこの請負というものは封建的であること、契約が片務的であること、恩惠的であること、これが最も有力な原因であると存じます。古い傳統の支配いたしまするところ、ややもすれば仕事をさしてやる、お出入りをさして頂くというような封建的観念が支配いたしまして、そこに幾多の特定の人と特定の人との情実が湧いて参ります。高層なるビルディングを建築し、文化のさきがけである電氣の発電設備をいたし、海底トンネルを掘るという工事のごとく近代科学の精粹を採用し、又この事業といたしましても近代の有力な事業の一つであることは疑いないにも拘わらず、何故にかかる古い思想に支配されなければならないか、特定の情実によつて優ばれるところに、内には親分、子分を云々する声を聞き、外には忌わしい請託或いは特殊の恩惠による仕事庇護というようなものが行われます。非常に片務な契約を押しつけられても、御無理御尤もであるとただこれに盲從する結果において、無理は必ず途中において支障を生ずる。工事の経過におきましてどうしても採算上工事を続けることができない。そこに又哀願、懇願というようなことができて、いろいろな情実が湧いて來る。かかる諸種の現実の事態を反省いたしまして、眞劍なる業者は、如何にすれば業務を公明にし誠実にするかということに苦心いたして参りました。現在閉鎖機関に指定せられております日本建設工業自体においても、制度調査委員会なるものを設けまして、そうしてこの片務契約の是正に非常な努力を拂いました。一方においては建設省の設置を建議し、業者の自重と責任の自覚という目的に向つて邁進いたしたのであります。終戰後御承知のような状態におきまして、又最近経済事情が非常に惡化し、金融が逼迫いたしますにつきまして、ともすれば又古い弊害に陷らんとする傾きがあります。このときに当りまして、政府当局が建設業法案を立案せられまして、特にその十八條において、「建設工事の請負契約の当事者は、各各の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に從つて誠実にこれを履行しなければならない。」こういう大原則を樹立せられたことは、誠に欣快に堪えない次第であります。御承知のように請負は双務契約である。一つの建設目的を達しますためには、單に請負人のみの努力を以てしては完全でありません。そこに註文者、企業者側の熱心なる協力がありまして、請負人、註文者一体となつて初めてよき工事が迅速にできる。所定の竣工期に工事ができ上つて、所定の事業が発展する、こういう結果になるのであります。又合理的な契約ができますれば、そこに工事費が非常に節約される。從來非常に片務的であつた契約の例をとりますれば、天災、不可抗力の場合、如何なる天災があろうとも、如何なる不可抗力も、一切の責任を請負人に負わせた。註文者の都合によつて工事を中止しても、その損失を請負人に補償しなかつた。さような無理な片務的な契約事項がありますれば、一應請負人として御無理御尤もとして盲從いたしましても、営業採算上、その次からはそれらの危險を工事費に負担せしめる。若しこういうことが慣例になりまするならば、減多に起らないことを通常の採算に加えて行くということになりますれば、勢い工事費は高くなる。かような弊害を除去して、契約の当初においてこの公正な立場に立つて相互が信義誠実に義務を履行するということになりますれば、採算はすべで非常に合理的で無駄なものを省くという結果になる。そうして安く早くよく工事ができ上る次第であります。
 尚この建設業法案におきまして、建設法審議会なるものが設置せられますることは、私共非常に賛成いたしますところであります。これは御承知のごとく関係各廳の職員、公益を代表する学識経驗のある方々、註文者、建設業者、この四者が一体になつて、而も公益を代表する中立の委員が会長となつて運営されて行く、ここに非常に民主的な進歩があると思います。從來のごとく單なる役所の監督だけでなく、いろいろの利益を代表する者がそれぞれの立場から意見を交換し合つて、そうして共通の目的に達するということについては、相当大きな進歩があるということを確信いたします。その他の各條項を読みましても、我々が登録によつて自分自身を明らかにする、そうしてこの技術の面においても、責任を明瞭にして、信義誠実に義務を履行する、いわゆる一言で言えばお互いにフェア・プレイをやる、ここに私はこの建設業の大きな発展があると共に、現在の日本の復興に大いに資するところがあると存じまして、全面的に我々業者といたしまして、本法案に熱烈なる賛意を以ちまして一日も速かに成立することを希望いたします。
 尚政府御立案の法案を通覧いたしまして、若干の修正意見を申上げたいと思います。それは第三條に「この法律は、左の各号の一に該当する者には適用しない。」とあり、その第二号に「別表中第十四号から」云々とあります。別表によつてこれを見ますると、「とび」工事というものが適用しない方に入つております。併しこれは現実の「とび」工事の建設或いは土木部面における実情から推しまして、これはやはり大工、左官、土工などの工事と併立して、登録せらるべきものではないかと思います。從つて別表の十五号の「とび」工事を十四に繰上げまして、十四の板金工事を十五に繰下げ、そうして第三條の第二号を「別表中第十五号から」云々、こういうように訂正いたしたい希望を持つております。
 それからその次に第十九條、これは契約に特に記載すべき重要事項が羅列してあります。その中の第七号「價格等の変動若しくは変更に基く請負代金の額又は工事内容の変動」という項目がありますが、その價格等の説明に物價統制令第二條云々という説明があります。物價統制令第二條を読みまするときに、果して賃金がこれに含まれておるかどうかということは非常に疑問であります。これは賃金というものは、土木建築、特に土木においては重要なる工事費の内容をなすものであります。これははつきり賃金價格と御明記を願つて、そうしていわゆる闇を廃する建前において、政令で定むるもの、いわゆる物價においては物價統制令、賃金においては監督官廳において公示せられたものという意味で、賃金價格等も変動若くは変更に基く云々と御訂正願うことが相当ではなかろうかと存じます。この点は私共業者としては、強硬に御認識を仰ぎたいところであります。
 それから同じく第十九條の中に、新らしく工事完成時期の変更という問題について、特約重要なる規定事項として御記載願いたいと思うのであります。即ち天災、不可抗力、或いは注文者の設計変更、工事の中止、支給材料の引渡遅延などによりますときに、工事の完成時期が変更されないということは、甚だしく不合理であります。請負人の義務において進行時期ということは非常に重要なる義務である。ところが請負人の責によらない事由によつてどうしてもそれが変更せざるを得ない。それを請負人に、責を帰することは非常に不公正である。そういう見地からこの点は特にお互いの重要なる協定事項として記載されることを希望いたします。
 それから第十九條の次に一條を加えたいと思います。第十九條の二という一條を加えたいと思います。それに第十八條の原則の基く第十九條のような重要なる取決め事項をお互いが契約いたします以上は、果してその当事者の間において、法律によるかかる規定が守られておるかどうかということを一應檢討する必要があるのではないか。ひれで建設業審議会に請負契約の当事者がその契約書の副本を提出する。そうして建設業審議会はこれに目を通して、不公正なものはないか、正当ならざるものはないかということを一應審議をし、甚だしいものにはこの十八條の趣旨を徹底せられるということがこの十八條、十九條の規定の趣旨を活かす所以ではないかと考えます。第二十四條乃至第三十三條等のことは大体において條文の変更であります。特に第三十三條の原案によりますると、建設業審議会は「建設大臣又は都道府縣知事の諮問に應じ建設業の改善に関する重要事項を調査審議させるため」云々とあります。これを單に建設業の改善のみならず、建設業に関する重要事項を調査審議させると、職能を廣く規定いたした方が適当ではないかと考えまして修正案を提出いたした次第であります。
 第三十四條の初の方は條文の整理でありますが、第三十四條の第三項に「標準請負契約の実施を勧告すること」これは先程申上げました十九條の二に対應する建設業審議会の職務権限であります。それから特に御留意仰ぎたいことは、第四に書きました「政令の定めるところにより重要建設工事実績の報告を徹し其の内容を調査して建設大臣又は都道府縣知事に意見を具申すること」。これは一つの例を挙げますれば、昨年のことであつたかと思いますが、新潟縣の或る大きな橋が落ちて相当の死傷者が出たという事実があります。橋梁だとか或いはその他重要な公共施設などにおいて、若し工事の手拔き手拔かりなどがありました結果、後日に社会公共のために大きな禍いを残すというようなことがありますと非常に遺憾なことであります。もとより政府監督機関があつてこれに対して十分に監督をされることは疑いを持ちません。更にこの建設業審議会が学資経驗のある公益の代表者も参加されておる。業者自体も参加しておる。又監督官廳の方からも参加されておる。一般企業者の方からも参加されておる。これらの機関が衆智をすぐつて直接民衆の公正福祉に関係のある橋とか、そういつたような設備の建設に当りましては、十分これを檢討して百年の後に悔いをなからしめるようにするということは非常な必要なことではないか。殊にこの建設業審議会というものが特に置かれるからには、非常にかかることに大きな使命の一端があるのではないかというような考え方からこの條項の追加を希望いたす次第であります。同條第五号は先の契約を結んだ当時者から提出される契約の副本を遅滯なく審議して、十八條の趣旨を当時者に勧告するという趣旨で、これは先の條文に対應するものであります。
 それから第三十七條、これは建設業審議会の委員の任期の問題であります。原案によりますと四年となつております。各種の事情において四年は長過ぎるのではないか、これを二年に改める。そうして必要あらば三十七條の後段の條文によつて再任を妨げないという條文がありますので、これを必要ある場合には活したらどうか。かような考え方から任期を二年に改めたら如何かという希望を持つております。
 それから第四十七條の罰則関係であります。この法律を原案を読みますと、第五章に監督という條項があつて、指示、勧告及び営業の中止ということがあります。併しこれは全部請負業者に対する制裁規定であります。折角この公正な原則を樹立せられておる以上、万一にも企業者側において、非常にこの公正、信義、誠実という大原則に反せられた場合に、これを放置することはどうか、これは單に企業者のみならず、請負人の方においても若し非常に横着な氣持を持つて頬被りして、この信義、誠実の原則に反するというようなことをやる。それでそのまま通つて行くということは、この法律を定めた趣旨において如何にも不合理ではないか、でこれに対して何らかの罰則規定を設ける必要があるのではないか。併しこの罰則規定は若し建設業審議会あたりが、その機能を発揮いたしまするならば恐らく單に法規の表に現れただけで、実質的には行われないで済むのじやないか。よく事情を披瀝して当事者に勧告をする、そうして、更に監督官廳がこれを勧告する。かかる順序を盡しましたならば、恐らく百の中九十九までは反省して、その行いを改めるだろうと思う。万一にも何でも彼でも頬被りをやるというような者に対しましては、止むを得ずこの罰則を発動するというような余地を残して置くことが、只今も申上げたように、この法律の趣旨を生かすゆえんではないかと思います。
 要するに私共業者といたしましては、非常に本法案の成立を希望いたしております。本法案の成立することによつて、速かに産業が復興し、又日本の再建設が期待されることを信じまして、一日も速かにこの法案の成立せしめられるよう熱望いたします。
#18
○委員長(石坂豊一君) 次に難波元由君をお願いいたします。
#19
○証人(難波元由君) 日本建設工業協会の事務局長をしております難波元由であります。本日は本院において建設中小企業として、証言の言葉を述べさして頂きますことは、非常に光栄と存じます。
 大体私等の建設業はどういう協会かという、この内容を申上げたいのであります。実は建設中小企業を中心といたしまして、と申しましてもはつきりいたしませんのですが、大工、左官或いは石工、鳶職或いは土木、こういう職種が多年の経驗によりまして、企画、技術及び集團設備を作りまして、これによつて営業をなしておる者であります。即ち一般の民家、庶民住宅、それから公共事業、或いは大業者の下における下請業者、かような職種の営業者なのであります。團体といたしましては、縣を單位といたしまして、大体職種專門別に商工協同組合によりまする協同組合、又は任意組合を以て團体を組織いたしまして、その傘下にはその職種が羅列せられて、十六種或いは二十四種もあるのでありますが、この会員には大体どういう者がなつておるかと申しますると、常置一人以上使いまして、資本金は二百万円以下を以て、中小企業とみなしておるものでありますが、これを加入の資格としております。かようなわけであります。それから建設業法案に対しましては、大体賛成の意を表する者であります。
 その経過を大体一つ述べさして頂きたいのであります。建設中小企業としましては、終戰後は実は幾多の試練を受けておるのであります。最初戰時中は労務報國会に強制的に加入させられました。更に終惻後は独立しまして、技能者だけの職種別の團体を組織したのでありますが、これも進駐軍によりまして親分子分の関係上この團体を解散されたのであります。更に昨年の二月この團体は適切でないというので、昨年閉鎖機関になつておるのであります。かようなわけで幾多の苦難を経たのでありますが、從來社会から極めて封建的であり、それからボス的存在である、或いは労務供給業者であるというようなことによつて、終戰後はあらゆる面から解散を食い、或いは苦肉の策を講ぜられて今日まで來たのでありますが、その一方労働基準法とかその他逐次我々の経驗のない法律が沢山施行されて、これに悩まされて今日まで來たのであります。でありまするが、私らの行なつておりまする行爲も、世間から見て決して適正ではなかつたのであります。これがために終戰後全國團体を結成いたしまして、逐次この主義主張を根幹といたしまして、先ず我我の立場の企業の整備、企業の合理化、かような面に向つて專念したのでありまするが、我々の力では何とも仕方がないので、昭和二十一年の末におきまして、何とかして我々の建設業に関する独立の法律を作つて貰いたい、我々の健全に発達し得る、又育成助長し得る、社会的地位を向上し得るところの法律を作つて貰いたいことを主張して、今日まで続けて参つたのであります。でありまするので、今回本院に建設業法案の提案されましたことは、誠に感深いものがあるのであります。本案の成案のできますまでの経過につきましては、建設省においては常時我々小さい中小企業に対しましても心添えを願いまして、本法の成案中におきまする公聽会、或いは第二次試案等におきまして、我々の意見を述べさして頂いたのでありまするが、これは我我幹部だけの意見ではございません。この業法ができますと同時に、各県の縣協議会或いは連合会にこれを持ち出しまして、更にその下部組織でもこれを審議いたしまして、何とかしてこの法律はこの際是非通して貰いたい。かような意見を申上げて参つて、その意見をまとめまして公聽会、その他において意見を具申しましたところ、相当我々の意とするところを反映願いまして、本法ができ上つておることは誠に感深いものがあります。
 それで本法案に希望いたしますところは、賛成の第一点としましては、この建設業法によりまして、建設工業の健全なる発達という言葉がありますが、これには育成助成が含まれておることを信じておるのであります。又工事の完成の責任を負う、従來我々中小企業は自分で造つた建物を安く、而も自分の技能を発揮いたしまして、そうしてこれを喜んで満足しておつたのであります。かような面も工事の責任を認めて頂く、かような点についても中小企業としては非常な関連を持つておるのでございます。尚この契約面におきましても、從來は先程もありましたように、一方的な金持或いは役所の権威によつて我々に押付けて仕事をして來た、かようなことで社会から圧迫を受けた感じを持つておつたのでありますが、この契約におきまして注文者も発注者も同等の立場においてこの工事を実施さして頂くことにおきましては、我々としては絶大なる信任を得た法律と考えるのであります。この点を最も重点として、我々が賛成の意を表するものであります。そうしてこの建設業界の我々中小企業が、今まで奴隸のごとく取扱われた者が、この法律の線によりまして、革新的なそうして堂堂と社会的の存在を明らかにして頂くことが、我々の念願するところでございます。
 先程も申しましたこの各職種の團体の人員数は昨年末におきまして、十六万九千四百三名になつておるのでございます。この人々は全然的に賛意を表しまして、今回の國会において成立することを絶大なる期待を持つておるのであります。先程も申しましたように、諮問或いは公聽会において意味を述べさして頂きましたので、この全文につきましては大体に賛意を表するものでありますが、ここに提案されております案を拜見いたしますと、若干私共のように無能なる者にはつきりしない点がありますので、この点御檢討を願いまして御修正を願いますれば、私共幸いと存じまするが、以下若干述べさして頂きたいと思います。
 大体総則の第三條の第一号、第二号でございます。「この法律は、左の各号の一に該当する者には適当しない。」そこに「政令で定める軽微な工事のみを請負うことを営業する者」こうなつておりますが、この軽微なる工事と申しますると、なかなか私等の業者又大きな業者に拘わらず、軽微と申しまするとどの程度かはつきりしないのであります。これで軽微といいますと、例えば百万円の工事を三つも四つもやつていても、切つてしますと軽微な工事になつてしまうのであります。かような曖昧なことでなく、私達の業態ははつきりしておるのでございます。と申しまするのは、一つの建築の工事を請負いまするには、一人や二人では完全にできないのであります。必ず一人や二人でできるような仕事は大体修繕とか物置とかで、このようなものはこの法律に入れて頂きたくないのであります。こういう請負に対しまして、ここで私達のお願いするのは一、二は削除して頂きたい。その代り自己の労力のみによつて完成し得る軽微な工事を請負う者はこれを除く、こうして頂きたいのであります。かようになりますと自分の力でやりますところの労力と申しますと、十坪の家を建てるには一人では一年も二年も掛らなければ家は建たないのであります。かような意味で自分の労力でやると、私らの同僚のもともと育てておつた者或いは今まで子分というか、職人は、大体修繕とか物置の一つくらい、或いは棚を作るとか店の棚を整備する、かような工事は完全にできるのでありまして、こういうものは除いて頂きたいのであります。それでそういう人が、自分の力で以て完成し得る軽微な工事といいますと、大体その面がはつきりしましてあと少くとも十坪なり二十坪の工事を請負うというのは、やはり相当の金をお預りし相当の責任を以て工事をしなければならないので、先程元請の方からもお話がありましたが、範囲の狭い職別は除くというお話がありましたが、かようなことでは我々中小企業はいつまで経つてもどん底に置かれなければならない状態にありますので、中小企業としてどうしてもこの立場をはつきりして頂きたい。そうして我々と職人のはつきりしない点は、ここにありますのでこの軽微というところを、本当の自分の力でやるよな軽微な仕事の請負工事は除く、この登録はしないでよろしい、こうして頂きたいのであります。
 それから第二の別表十号から二十二号までを削除して頂きたい。理由はここにあります十四は板金工事、次にとび工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、タイル工事、壁紙工事、それから機械器具設置工事、熱絶縁工事となるのであります。この中で特に先程も申しましたが、とび工事といいますといかにも火消とび、今までの消防といいましようか、とびという者を軽く考えまして、又そのことが非常に社会からも軽く見られておるのでありますが、とび工事は最近におきましては家の建組ばかりでなく、いわゆる鉄骨、鉄筋、こういう工事の組立もやるのであります。相当に技術も要すれば、又これに対する技能も必要になつて來るのであります。又河川等におきまする浚渫、こういうような工事におきましても相当の技能技術を要する工事の業者でありますので、相当に又設備も必要とするのであります。とび工事がこの中へ入ることはかようなわけで、一つ一つ説明しますと長くなりますが、大体十二号から二十二号までの工事業者はやはり建設工事を全面的に纒めますのに、特に工事業者といえども必要でない工事はないのであります。でありますからかような面はやはり削除して、どれでもその工事をする者は自由にこれが登録できるのでありまして、自分が営業の資格がないとすればしないのであります。かような点をよく御了承の上でこういう文句は、差別的の待遇のようなことはないようにして頂きたいのであります。どこまでも中小企業はのびのびと伸びて來る方向にこの法案をやつて頂きたいのであります。
 そういうわけで今の第三條の「左の各号の一に該当する者」云々は全部削除して、先程申しましたような方向に御修正を願いますれば幸いと存じます。
 それから第六條中の営業の登録の申請でありますが、これはここにありますように二以上の都道府縣に営業所を持つ者は建設大臣、その他は都道府縣知事とありまするが、これはいわゆる都市におきまする者は便利でありますが、その他の若し営業所ができてそうして建設大臣に組替えるということになると手続上不便でないか。それから尚この二つに分けるということは、何か特権を與えるように感ずるのでございます。これは私らのひがみ根性から來ているかも知れませんが、かような点は從來は封建的である、或いはボスであるといわれて來た点から考えまして、かような言葉は成るべく法律の上に残して頂きたくない。大小共に同一に都道府縣において登録するようにお願いしたいのであります。趣旨はさような精神からも出て來ておることを御了承を願いたいのであります。
 それから次に二十二條と二十三條の問題でありますが、二十二條は一括請負を禁止しておるのであります。これは誠に私らとしては、中小企業としては重大なる條文でありまして、一括でなく、これは結構なのでありますが、その二号におきまして「前項の規定は、建設法者があらかじめ注文者の書面による承諾を得た場合には、適用しない。」こうなりますと元請業者のカモフラージをする嫌いがありはしないかという私らの猜疑心があるのであります。こういうものはなくても一括はしてはいかんということになればいいじやないか。若し必要があれば二十三條において運用し得られるものじやないか。こう考えておるのであります。
 あと審議会の問題でありまするが、その前にもう一つ私らの意図が含まれておりますので、契約におきましては私らの願つておつた事柄が総合の資格をつけて頂くこと或いは天災その他によつて、その損害のあつた場合の補償方法、或いは公定の変つた場合における方法、やり方につきましての事柄等ははつきりと示されておりますので、これらにつきましては私らは大なる賛意を表しておる者なんであります。審議会におきましてもいろいろな問題もあると思いまするが、公聽会或いはこれの内示のありましたときにも、我々業者を入れなくてはうまくないから是非入れてくれといつたら、これも三分の二とかはつきり出ておりますので、多分決定したときには中央におきましても亦都道府縣におきましても、この意図を汲んで審議ができると思います。我々の考えておつたところの一歩前進した法律、革命的な法律として私らは絶大なる賛意を表することをここに附け加えてお願いする次第でございます。
 そうして而もこの建設業法が通りまして、この産業の基盤を作り上げるこの業者をして、はつきりと社会的の存在を明らかに知らして頂きたいことを念願するのであります。でありまするが、この法律を見まして、我々中小企業に加えられまするところの負担が非常に大きいのでありますが、その設備等におきましては全く自己の腕と力によつて今日まで來たのでございますが、着々とこれからやつて行かなければなりません。尚これについて先程申しましたように、着々と協同組合なり商工組合なりによつて來たのでありますが、その商工、協同組合法すら私らの中小企業にはこれはぴつたりと來ない法律なのであります。併しながら時代に遅れてはなりませんので、各自の資金を集中しまして、これによつて必要な資材を購入すべく念願して参つたのでありまするが、残念ながら、いろいろ法律があつて制限されておりました。それでこの法律施行と同時に念願いたし、審議の御参考にして頂きたいことは、この法律にもありますように建設業法には「健全な発達」とありますが、これは必ずや育成、助成がこの中に含まれておることを考えますときに、我々建設業者は、從前は先程もちよつと申しましたが、自分で注文主から注文を受けた場合には、その使うところの資材その他は注文者の氣にいるような資材を探し求めまして、自分で物を買い求める、そうして自分の技術をそれに加えまして、今日まで造り上げて、いわゆる注文者から喜ばれることを誇りとして來たのでありますが、終戰後におきまして全くこれを取上げられまして、いわゆる注文者にその材料が來まして、そうしてこれをよくても惡くても使いこなさなければならんのであります。非常にこれに無理があるのであります。これは各会議におきましてもいつでも文句の出るところであります。我々のこの築造業者に資材がなくて何ができるか、当てがわれた資材は殆んど使えないものが多いじやないか、非常に無駄である、かようなことを言つておるのであります。かような面からいつて是非建築資材等は全面的に統制の枠から外して頂きたいのであります。併しながら経済原則によりましてどうしてもそれができないと、こういうのでありますれば、少くとも他の産業方面の工場なり加工業者、かようなものには、指定生産資材なり或は主要なる補充物資が支給されておるのであります。私らの築造業者には、一本の木、釘も堂々と配給はされていないのであります。殆んど闇その他によつて注文者の希望するところの工事を完成するというわけで、社会的の存在から見まして、又先程ボスとか何とかの非難を受けますのも、ここから來ておるのであります。併しながら請負つた面はこれはどうしてもやらなければならんのであります。かようなわけで中小企業の本当の氣持を率直に申上げますれば、この建設業法を持ちますと同時に、この裏ずけとしましてはこの加工業者には少くとも指定生産資材、建築用の資材を堂々と配給して頂くような方向に行くことをとくに念願する者であります。
 尚お願いしたい点は、先程から皆樣が非常に御心配になつておる点は、我我のような一人二人を使つておる業者は、この法律によつて届出なくてはならないとかいろいろな規定があります。これは非常に私らの小さい企業としては困難なのであります。併しながら困難だ々々々といつておりますと、いつまで経つても業界は進まんのでありまして、絶大なる決意を以ちましてこの建設業法を通して頂かなければならん、何とかして通過さして頂きたいのでありますが、私共の業者は知能におきましては、全く社会から遅れておる点もあるのであります、又智力も相当に低下しておりますので、是非登録の窓口或は育成、助成の窓口、行政廳の窓口は一本にして頂きたいのであります。只今のところは労働基準監督署或は建設省或は商工省に行かなければならん、或は水道局に行かなければならん、あらゆる面に向つて奔走しなければものが纏らん、そうやつて一人や二人使つておる者が、一日、二日費したら、一ケ月の生活に千円なり五百円なりが減るのであります。そうすると、そういうのが無理を生じまして、工事にも影響する、かようになりますので、是非願いたいことは、こういう窓口は必ず一本にして頂きたい。都市計画を見ましても、道路関係とかそういう面におきましては皆我々業者が含まれておるのが多いのでありますが、窓口が廣くてはなかなかこれができないのであります。勢い馬鹿に見られるのもこの点から來ておるのではないかと、つねづね感じておるのでありまして、是非とも中小企業の育成、助成を國家がやつて頂くためには、又將來日本の復興の根本はそこにあるのではないかという自信を持つているのであります。
 かようなわけで、この法律に対しましては、全國中小企業者は絶大なる賛意を表しているのであります。でありますから重ねてお願いする次第であります。甚だ長く喋りまして御請聽有難うございました。
#20
○北條秀一君 この際二三の質問を許して頂きたいと思いますが、それは今難波さんから、第三條の第一号を削除してくれというお話があつたのでありますが、これに関連しまして島田さんの御意見を承りたいのであります。島田さんは先程第三條の第二号を変えろというふうなお話でありまして、私はこの第三條の第一号の「軽微な」云々、これは重大な問題だと思うのであります。殊にこの建設業法が提案の理由にありますように、目的としますところはこの國民経済の再建途上における云言の重大な國民大衆の利益を譲つて行こうというところにあるのでありまして、國民大衆の利益を護るということになりますと、先程石井さんのお話にもありましたが、実際に家を建てる、そうするとその家を請負つて人がなかなか思うように工事を進めないということになつて参りまして、この点が今日特に住宅問題等の解決に非常に澁滯を來しておるのでありますが、たまたま今難波さんから第三條の第一号を全面的に削除して、次のように訂正すべきだという御意見があつたのでありまして、島田さんと牧野さんにこの点についての御意見をもう一度お伺いしたいのですが。
#21
○島田証人 私職別の登録不必要という意見を申述べたのでございますが、一体建設業法としまして、職別という考慮をこの中に加えないで、むしろゼネラル・コントラクターで一般の註文主から工事として引受ける、その方法がおよそこれこれの規模を超えるものはと、登録の方法によつて立場をはつきりした方がよろしい。こういう見解なんであります。で、この三條の一号による軽微なものということにつきましては、およそ日本の國で工事の影響の多いもの、極端にいえば貸長家一軒にいたしましても、その損害を蒙る当人にとりましては影響が大きいのでありますから、どこまでもカバーして行かなければならんけれども、あまりそれをやるために却つて大きなものを逸するような結果になつては「あぶはち」とらずになるからおよそそこに限界があるだろう、こういうことは考えられるのでありまして、一号の点につきましては、当局の氣持を仄聞するのに、およそ一つの工事の規模が十万円であるとか、或いはそれが五十万円ぐらいならよかろうというようなことを考えておられるのではないかと思うのでありますが、これを庇護してもらいたい立場からいいますと、成るべく低い方がいいのでありますし、又現在のこれによつて業務を営む者からしますれば、成るべく小さい業者にしましても、それの恩惠的なものは受けたい、又受けさせるべきであるということになるわけであります。併し一方煩雜さの点におきまして、却つていいつもりであつたけれども一々届けが厄介でかなわんと、オーバー・チャージばかり多くなつて工事費が高くつく、いろいろのそういう手続をとつた結果は、大して見る人が見てくれる結果にならんということになつては困ると思うのであります。このような見方からしまして、ある程度の工事についての規模を定めると同時に、一体業者としてどの程度の業者を範囲にこういう法令の施行を行なつて行くかということも考えらるべきではないかと思いますので、私は年間引受高ということで一つのキヤパシテイを考えて行つてはどうかということを提案したわけでございます。職別を除くとか何とかということでなしに、ゼネラル・コントラクターで注文主から工事を引受けるという立場において、この業法の活動して行くところがあり、それから各種の職種につきましては、それは一つのオーケストラでいえばバイオリンでありピアノを彈く人であるという立場にあるのでありますから、それを無視するわけにもいかない。共にその工事の育成ということを考える法律でありたい、こういうことに考えるのであります。ただ今十万人の登録をやつて結果がどこも所期の目的に達するまでにならないということを恐れるわけなんであります。
#22
○北條秀一君 島田さんにもう一つお伺いしたいのですが、二十三條の下請契約の変更ということについて、全面的な御反対があつたのでありますが、これは注文書の側からいうと下請業者の不適当なものは変更を請求するというこの方が、注文者の利益を擁護するのではないかと私は考えるのであります。その点についてもう一度お伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事原口忠次郎君着席〕
#23
○島田証人 それは善意に利用されれば御尤もなのでありますが、濫用されたり軽々に扱われますとですね、非常に混乱が起るのではないかと思うのであります。飽くまでも元請業者に対してその責任を問う、そういう要求もできるのでありますから、その線から行つた方が至当ではないかと思うのですね。下請を変えるといつても建設において非常に錯綜した関係がありますから、一概に言いかねるのではないかと思います。法律からでなくとも、何かその方法はできるのではないかと思います。
   〔北條秀一君発言の許可を求む〕
#24
○理事(原口忠次郎君) ちよつと待つて下さい。ちよつと申上げますがあとまだ証人の方が四人程残つておられますが、一應御意見を全部お伺いしてからの方が、あなたの御質問なさることに、やはり又次の方も何か御発言があると思いますから……
#25
○北條秀一君 賛成です。先程私はそれを考えましたものですから、あとで纏めて質問しますと言いましたが、或いは午後になつて証人の方がお帰りになるかと思いましたから……
#26
○理事(原口忠次郎君) 証人の方がまだあと四人ございます――それはあとで伺いいたします。では青戸証人にお願いいたします。
#27
○証人(青戸純君) 全日本土建一般労働組合の青戸純であります。この建設業法案の提案理由を見ますとき、「建設事業の公共性及び國民経済の再建上における重要性並びに建設業の現状にかんがみ」という言葉があるのでありますが、「建設事業の公共性及び國民経済の再建上における重要性」というものは、今更云々するまでもないことでありますが、建設業の現状というものはどうであるかということを考えるとき、我々労働者としては、この法案に反対せざるを得ないのであります。以下その理由を述べます。
 現在公共事業費が非常に削減されまして、又民間の工事量も非常に減つておる。このことは皆樣も認めて頂けることと思うのであります。この点につきまして、特に中小の建設業者は、金融からの閉出し、或いは不当な課税などによりまして、非常な困難に陷つております。このことは現在の全國百数十万の土建の労働者を殆んど半失業状態に追込んであるという事実が現われております。で、かようなことが事実仕事が必要でないかどうかということになりますと、全國の河川はその修理費も十分得られないで本年度は僅か二百ミリの降雨でも河川が溢れるのではないかということがいわれておりますし、又住宅の問題にいたしましても、最近都で行われまして戸山ハイツの三十三戸の抽籖には一万人近い人が雨の中を押しかけているというような現状であります。又新宿区の旭町附近にだけでもあのバラック・テント・ホテルに五、六百人の人が一晩五十円も宿泊料を取られてごろ寢をしている、非常に衞生上風紀上思わしくない状態を釀し出しております。又六・三制の校舍にいたしましても、校舍の新築費というものは殆んど出されておりませず、これに対して校舍をよこせという運動には、全國的に各府縣の知事までも参加しているような状態であります。このような全國民的な直接間接の切実なる要求のあるということ、而も工事が減少しているということ、これはやはりはつきりと政府の責任であり、政府はこの責任を隠して、現在の工事量の減少と建設業者のお互いの競爭によつて、惡質の業者が出て來るというようなことを提案理由の中にも入れて、責任を建設業者に轉嫁しようとしている点が見られるわけであります。
   〔理事原口忠次郎君退席、委員長着席〕
 而も建設事業の重要性というものは、國家が本当に平和な独立國として立つて行くために十分な國土計画を立て、その具体的な國土計画に基いて建設事業が営まれることが、本当に重要性を発揮するゆえんなのでありまして、その具体的な國土計画とそれを実行するに必要且つ十分な國家予算がなければ、本当の建設業の健全な発展ということはあり得ないわけであります。然るに政府といたしましてはそのような具体的な裏付もなく、一方的にこのような取締法案を上程しようとしているわけであります。この建設業法案はその目的に挙げているところの建設業の健全な発達ということに資するどころか、却つて憲法で保障された営業の自由さえ奪い取り、建設業を官僚と一部の業界ボスのほしいままにしてしまう虞れが十分にあるわけであります。そして建設業者の大部分を破滅のどん底に陷れて、我が國土の荒廃にますます拍車をかけるであろうことは火を見るより明らかなのであります。我我土建労働者はすでにこの三月以降急激に訪れておりますこの土建労働者の失業の実態から推察しまして、以上のような理由に基いてこの法案に盛られた政府の欺瞞性をここにあばくと同時に、この法案に断乎反対し、全建設業者と共に政党政派を乘越えて國土を荒廃から守り、建設業を破滅から救うために鬪うものであります。で各業者の方々がこの法案に非常な賛意を示されているのでありますが、ただ單なる契約の保障といつたような面においては、今まで非常に官僚の一方的な契約でいじめつけられて、これが保障される点が中心となつて賛成されておるものと思いますが、現在の政治の実体、建設業の実体からすれば、このような保障も一片のほごのごとく捨てられるのではないか、こう考える次第であります。反対意見でありますから、個々の條文についての意見は省略させて頂きます。
#28
○委員長(石坂豊一君) 北條君御意見ございませんか……、それでは次に藏田君にお願いいたします。
#29
○証人(藏田周忠君) 私は建築学会の会長の代理として出席いたしました。こういうことをお認め願いたいと思います。
 建築学会は大体御承知のようにいろいろな御面の方が集まつた学会でございまして、短時間にこの条文を拜見してこれに逐條意見をいろいろ申上げるということは個人的には許されておるわけでありますが、学会を代表して意見ということは申上げかねますものでございますから、今日は大体取敢ずこれを拜見しました点について会長と話合いまして、総務理事といたしまして又本会といたしましても会員全体が恐らく賛成であろうという趣意を申上げに來たわけであります。
 元來土木建設業全体に亘りまして、こういう法律的な制限が行われるということは、社会秩序の上からいつて極めて当然であり且つ現今のような時代においては実に適切な方法であろうかと思います。元來建築学会なるものは、先程申上げましたように各方面の方々が集つた学会でございますが、如何にして建築を安全に且つ丈夫にそうして経済的に造るか、こういう問題を学問的に研究することを中心としておりまして、その研究に基いてお互いに研究し且つこれを理論的な根拠を以て社会の人達に働きかけて、合理的な建築を造る、それに貢献しようというのでありますから、もともとその建築の考え方が科学的に合理的な建築ということに向つて行くのは当然でありまして、殊に最近の考え方ではすべて建築を合理的に解決して行こうというのでありますから、その考え方の基本といたしまして、すべて材料の使い方或いは建築全体の考え方或いはその組立て方等すべて具体的な問題は理論に沿うように、つまり合理的に建築が設計されて、それがその設計通りに施行される、例えば材料などにつきましても、いろいろな実驗等を経て、こういうふうにするのが最も合理的で最も経済的で丈夫であるという理論が出ますと、それのようにその過程に基いて完全な施工ということを前提にしてこれを考えるのでありますから、その理論的な裏付に副うような施工がなければ、それは本当にいい建築にはならないのでありまして、この点から申しまして施工される方々がむしろ自発的にといいますか、そういう良心的な工事を完成しようとされることは当然であろうと思います。これに対して或る一定の制限、殊に登録制による業者の資格を先が國家で保障するというような考え方は、最も適切な方法である。この登録制によりましてその合理性に欠けるような業者を淘汰して行こうというような事柄は当を得ていると考えます。これは恐らく会員の意見にもそのような声があると思いますが、細かい問題各條に亘りましては、尚先程から伺いますように、いろいろ檢討すべき点があるようでありまして、この点はもう少し檢討する必要があるかと考えますが、これは個人の意見になりますから、一應建築学会といたしましては必要があれば委員会でも組織して貰つて、そうして意見を発表するというようにしませんと、急に少数の者が発言いたしますことは如何かと存じますので、基本的な問題としては、こういう法が施行されますことは、適切であるという賛成の意をお傳えするだけにいたしておきたいと思います。
#30
○委員長(石坂豊一君) 次には吉田さんにお願いしたいと思います。少し時間がありませんが、もうお二人でございますから我慢をして下さい。
#31
○証人(吉田朝次郎君) 只今藏田さんからもお話がありましたように、私も土木学会の会員として、実は皆さんにお諮りして來るという暇がなかつたものですから、少数の者の意見を纒めまして申上げることをお許し願いたいと思います。建設事業が公共の福祉に非常に関係を持つておりますし、殊にこれに費される費用というものは、年々莫大な費額に達するのでありますけれども、從來非常に建設事業というものは、近代科学性に遠ざかつたその原因を考えますと、これまで建設事業の特異性に相應した法規が非常に少かつたということに原因があると信じております。近頃では労働関係のいろいろな諸法規や或いは職業安定法とか、いろいろなものが段々と立法せられて來まして、自然に健全なる発達をして來ていると思います際に、この法案が立案せられましたことは私共も大いに賛成を表するところであります。
 それから本法案の内容に関しまして、私共も関心を持つておりますことに関して若干所見を述べさして頂きます。建設工事の請負契約の内容のことについてでありますが、從來からも非常に論議されておりました片務契約というものが、第十八條によりまして双務契約の原則が立てられたということは非常に結構なことでございます。併しながら第十九條に羅列してありますいろいろな項目に関しまして、その実施というものをどうやつて確認するかという問題についてちよつと疑問があると思うのであります。それでこれは第二十四條の契約に関する紛爭の処理、或いは第三十一條の報告を徴する権或いは檢査権というようなところでも、その実施を確認することができるのでありましようけれども、幸いにして第三十四條の中央建設業審議会が建設工事の標準請負契約約款を作成して、それでその実施を勧告することができるようになつておりますので、本條につきましてはこの審議会を早急に活用されて、そうして請負契約の公正なる履行を確保するように処置せられるように希望する次第であります。
 それから契約の保証の件でありますが、本法案の中では、現在の社会情勢の下では、ただ前金拂に対する建設業者側の保証のみを規定せられているわけであります。併しながら從來とも論じられておりますように、これは発註者側にも、或いは建設業者側にも安心して仕事ができる保証制度というものを早急に制度化するということに進まなければいけないと思います。
 それから第二十六條の主任技術者の設置の件であります。これは私共の非常に期待していたところでもありますし、從來とかく建設業というものが労務ばかりを基礎に組立てられた企業のように世間では誤解されておりまして、又実際一部には非常に科学性が乏しいというところも少くなかつたのでありますから、本法案でこの主任技術者の設置を見たことは誠に喜ばしいことであります。建設工事の適正な施工というものは一にかかつた技術によるところが多いのでありますから、更に本條文にあります專任の主任技術者というものに対しましては、今後工事の質或いは量によりまして更に具体的な資格について、詮議をして行く必要があるのじないかと思います。
 それから第六章の建設業審議会に関してでありますが、本法案が大体建設大臣或いは都府縣の監督というものに非常に重点がありますが、ただその業者の育成或いは建設業の助長という保護政策の方に対しては、條文の中で余り多く見られないので、この建設業審議会というものの運営に対しましては、非常にそういう方面に期待を掛けるようなものにしたいと思います。それでこの建設業を合理化させ科学化させるというためには、非常に未解決な問題が山積しておるのでありますので、この建設業の改善に対して審議会を最も自主的に運用ができるように措置を採られるように希望して止まないのであります。簡單でありますが……
#32
○委員長(石坂豊一君) 次に大野さんにお願いいたします。
#33
○証人(大野巖君) 私は本日能率協会の理事代表の資格で参りました。本職は化学裝置の設計ですから土建業と共通点も相当あります。それを三十年やつておりますが、かたがた大学の教授を二十六年いたしております。この法令と能率ということとはややかけ離れておりますから、許されている時間で能率に関することをちよつと簡單に申上げておきたいと思います。
 能率とは最小の給付を以て最大の効果を挙げると、こういうことなんです。エフィシエンシーであります。その給付の内容とは金、人、設備です。即ちできるだけ少し人でできるだけの効果を挙げる。工事ならば早く上げる。生産物ならば生産額を多くする。それからその次、金、成るべく少い資金で目的が達せられるようにする。その次設備が成るべく少くと目的が達せられるようにするということが能率の本体です。これをこの法令に直ぐとは申しませんが、是非これを土建の方のお仕事にも織込んで頂きたいと思います。
 現在の日本の状況を考えますと、國外における資源というものは、殆んど全部これをなくしたといつてよろしいのです。仮に鋼材に例えるならば釜石の附近において極く僅かなものがあるというだけで、これを海外に求めなければ日本の工業は立ち行かん、こういうような状況です。仮に製鉄所がありましても鉱石のないものは如何とも仕方がない。その鉱石を貿易によつて求めると申しましても、貿易は國力全体の釣合でありますから、鉱石より先に食糧というものがありまして、なかなかそつちへ持つて行くことは容易でないので、そこで能率の必要ということが起ります。今度の欧洲大戰の始まります暫く前の英國の産業がアメリカに押されまして、生産費は高くつくばかりで量は上らない、失業者は出て來る、退職金をやりたくても出すことができない、税金を滯納になる、給料も遅配になるというような有樣で、丁度現在の日本の現情とほぼ似たような状態になつたのであります。その時に英國の少壯の実業家が寄つてアメリカは如何にして繁栄するだろうかということを、調査團を組織してアメリカに派遣いたしました。その報告があります、上野陽一君が持つております。それを私もよく読んでおります。結論はアメリカの産業が合理化されておつてテーラー・システムの実施で成功して行つておるということの外に結論はないのであります。それが今日のアメリカの繁栄を來したということになつております。
 飜つて今日本の状態はどうでありましようかと考えますと、これを今製作工業機械工業とか、貿易工業の方に分けて一つお話申上げると、仕事の出し方には大体通俗に考えますと常雇と請負ということになつております。常雇とは時の期限において給料を拂う。二十四時間かかつたから幾らやるとか八時間だから幾ら、時の期限においておるということで、仕事が如何に上がつておるか上がつておらんかということは、表面はこれは道徳的に要求するだけで比較にのつて來ない。但しそれを修元して或いは奬励金をつけるとか、いろいろ給付の技術的方面があります。もう一つは請負制度、自分の身体は自分で支配するのが一番いい。頭も体力も全部自分で自分を支配する、これより能率的なものはない、これでできておりますのがいわゆる請負制度。その代り請負制度にはいろいろ欠点があります。これを規正するために或いは最低料金制をとる、請負の業者、労働者が非常に不利に陷るような場合には、生活を保障するために最低賃金制をとる。これにはいろいろ附帶條件を附けております。大体今のところこの二つで行つております。然らばアメリカにおいてテーラー・システムの実施されておるところの工業の状況はどうであるか、先程申上げましたように、工員の自分の知能を発揮するのは、自分が一生懸命に自分に利害を感じ、自分の頭、自分の力も、自分で働くのが最もよいというふうに考えておるのが日本の思想ですが、アメリカにおいてはその時代は過ぎた。これをもう一遍繰返せば日本の工員は工員の頭において働く。学校を出た技術者というものは実際の現場の技術を知らない。從つて負請制度に任しておけば能率が上るというのが、これが機械工業でも貿易工業でも土建業でも同樣である。ところがこのテーラー・システムの実施、能率の実施なるものはどういうことをするかというと、工員の働いておる時間においてそれから動作において全部分析をいたしまして、無駄がないものにする、無駄があつてはいけない。例えば実際上に申せば、手仕事をする者は手に豆電燈をつけて働く。十人なり二十人なり優良職工に働かせ、活動写眞でとる。そうするとこういうふうな手の仕方が能率的でよいというように、その優良職工の或る人数の中において、これを要約することが、最簡單にして最も仕事の余計上る方法というのができます。それは技術者がやるので工員がやるのではない。そこで一定の規格というものを作つてその通りにやれば、即ち工員の働き方は自由ではない。技術者が本当にそれを最良の方法というものを決めてこれをやらせる。この点が日本の技術者が非常に劣つております。例えば「やすり」を使う職人がある。「やすり」を置くと事務所の電燈が消える。そうすると作業時間にどのくらい「やすり」を使つておつたかということがはつきり分る。そのものの置場が変れば非常に能率が上る。こういうような方法で作業の仕方なるものは技術者が分析して研究して、そうしてこの通りにやれという方法でありますから、工員の働き方はとにかく労働の極致に達しておつて、そこには請負も常雇もない。これを機械工業とかその他の工業ばかりでなく、家を建てる、土木工事をするというところにも非常にアプライされるところの範囲が廣いと思う。現在初めに申上げたように同じ人員において生産が二倍になつた、三倍になつた。同じ資本金で生産が二倍になつた、三倍になつた。その他原價が安くなつた。労働者の給料が非常に多くなつた。こういう資本家ばかりでなく労働者の方にも分配いたします。どちらもよろしい。やり方に少しも無駄がない。これがいわゆる能率の眞髄なんです。これを是非土建業の施工、の方にも是非やつて頂きたい。
 我が能率協会も、今日も伺いますと、非常に面白い分野ができたと思いますので、作業分析をやつて、そつちの方の研究を少し進めたいと思うのであります。時間がありませんので、極く要約して申しますと、そういうことです。いわゆる能率の極致、テーラー・システムの極致は何かというと、仕事をするのは工員に委すのではない。やり方は技術者が全部研究して、最良の方法を見出してこれをやらせる。その通りやらせるということは、今漫然と工員がやつておるのに比べて、今申しまするように二倍、三倍の生産が上がることは事実であります。現に能率協会がやつております。能率協会は廣言して曰く、同じ人、同じ資本金で能率協会が携つたがために生産が二倍になつたというなら何の報酬も要らん。三倍以上になつた場合はこちらにもよこせ、こういうことを公々然として廣言して、それを実施しつつあるのであります。これを是非土木建築の方にも実施されんことを希望いたします。
 これで概要のことを申上げたので、私は一番大事な目的のところでちよつと申上げますが、第二行目の「建設工事の適正な施工を確保するとともに」、こういうところに「建設工事の適正且つ能率的な」こういう字を入れて頂きたい。それからこれは細かいことですが、先程も別な証人がおつしやいました「技術家の設置」ということですが、「設置」ということを人間に使うことは随分変な感じがいたします。設置ということはないものをそこへ作るのですけれども、その技術者はどこかで生きておるから、何とか別の名がつくと思うのですが、配置とか……。それから「登録の実施」の「実施」というものは要らんと思います。登録というものは帳面に載せることだろうと思います。
 後のことは末節で細かいことですから申上げませんが、ただ私は教育に携つておつた関係からいつて、第五條の学校卒業の年限のところにこういうことが書いてある。中学卒業者が五年、大学卒業者が三年、建設事業に從事した人が十年となつておるが、この五年、三年、十年ということは釣合がとれないと思います。私の方で大学卒業生と專門学校卒業生を比較して見ますと、大学卒業生は出てから六年経たなければ一人前の技術者になれません。少くとも図面が書けて見つもりができて現場が分らなければ、技術家ということはできない。專門学校出は少なくとも十年はかかる。後ろの方の現場十年と釣合が取れないと思うので、もう少し学校出の年限は殖やして頂かなければいけないのじやないかと思います。
 御清聽を感謝いたします。
#34
○委員長(石坂豊一君) 証人の各位には、誠に熱心に且つ又極く分りやすくお話を頂きまして、有難うございました。午後継続してこの会議を開いて質疑をさせて頂きたいと思います。質疑は留保してありました北條君が一つ劈頭にやつて頂き、あとの方は又続いてお願いすることにいたします。
 それでは暫時休憩いたしまして、一時判から再開いたします。
   午後零時四十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十分開会
#35
○委員長(石坂豊一君) 午前に引続いて委員会を再会いたします。速記を止めて……
   午後一時五十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時十九分速記開始
#36
○委員長(石坂豊一君) 速記を始めて……
#37
○証人(島田藤君) 建築設計におきましては必らず設計者がなければならん。鉄筋コンクリートとか鉄骨構造とか高度の技術を要するものにつきましては、設計によつて建物の安全性が左右されるのであるから、そういう高度の公共の安全を保護するための建造物については、設計者は資格ある者でなければならん。こういう理窟から建築士なる称号を用いてそれの資格ある者でなければ、そういうものを取扱えないようにしようじやないかという希望が強い。一方施工者にとりましては工事を進めて行くと共に、工事中に小学校が倒れたとか、或いはできてから仕事が惡くて倒れたとか、いうような問題が起つた際に、現場におるのはただ何も知らない大工さんであつたということでは、これ亦非常に手の届かないことであるから、工事に関する限り施工の責任ある技術者をそこに置いて、工事施工上の責任を持たせることにしようという声も、一方にあるわけであります。それがこの法案に盛られておりますところの、いうところの技術者ということになつたわけだと思うのでありまして、この点は至極我々の考えるところと一致したところのものがあつて喜んでおる次第であります。
#38
○原口忠次郎君 皆さんの御意見を拜聽いたしておりますと、この法律案が出されることが今までの建設業者に対して、非常に有意義であり、社会的地位を高め、片務契約であつたものを対等の地位に立てて契約させるようになるというような点から、御賛成のようでございますが、そういう点についてお伺いしたいと思います。そういう御賛成の御趣旨については私は同感であります。併しこういうふうな今まで長い間、今日のような請負業で発達して來ましたこの業界の仕事が、こういうふうな非常にむずかしい、施工者がら申しますと、むしろむずかしい、非常に面倒な法律が出たために、むしろ請負に出すのを止めて、施工者自身直営でやるというような空氣に、却つてなるような虞れはないかどうか、この点についてあなた方の御意見を伺いたいと思います。と申しますのは土木建築の工事は、あらゆる面がすべて請負工事のみででき上つておるのではありません。御承知の通り建設省の地方建設局におきまする大土木工事は、殆んど直営工事ででき上つたものであります。鉄道省におきましても、重要な工事は直営工事に段々変つて行きつつあります。と申しますのは請負工事にかけますと、ややもすると粗惡な仕事がなされる、そういう危險があるから非常に重要な工事は、直営工事をやつて行くという傾向になりつつあるのではないかと思われる点があるのであります。更に水力電氣のダムのごとき大きな仕事も、請負工事が非常に面倒になつて來るならば、むしろ会社自分が直営でやるというようなふうに、なるような虞れはないかどうか。そうすると段々世の中が不景氣になつて來るときに、建設業界が非常に危險な状態に経済的にも追い込まれつつあるときに、こういうむずかしい法律を出す方が、果して建設業界の進歩発達になるかどうか。大局的に考えるならば勿論皆さんのおつしやる通りと思いますが、そういう憂があるかどうかという点を、一つお伺いしたいと思います。
 それから第二点は、この法律は今まで片務契約に近かつた契約が、殆んど対等な地位で契約されるようになつたというお話でありますけれども、尚詳しく考えますと、條文を読んで見ますと、設計者が誤つて設計をしてまだ完成しない間に、それがために壞れたというような、いわゆる設計の不十分に対する損害といいますか、そういう点については余り考慮が拂われていないようでありますが、そういう問題については先程からお話の審議会に持つて行つて、あなた方の利益を擁護なさるおつもりがあるかどうか、むしろそういう問題があるとすれば、明らかに法律に認めて、そういう第三者の審議会等に持つて行かないで、直接交渉なさる方がいいというようにお考えにならないのかどうか。
 それから第三点は、審議会でございますが、成る程先程から審議会は殆んど皆さん御賛成で、どなたですかもつと強力な権力を持たせるような審議会を作つて欲しいというようなお考えがあるようでございますけれども、私は要するに注文主と施工者の間の問題なんですが、そういう問題で審議会に持つて行つて喧嘩をする。もう審議会に持ち出すときは喧嘩だと思います。喧嘩をしなければならんようになるまでに、施工者と注文主の間に話合がつかないような事柄に持つて行くものは、恐らく私は全國を通じてもそう沢山あるものじやないじやないか、又若しもそれが沢山あるようなら、この法律は建築、或いは土木の技術の進歩ではなく、むしろブレーキになるのではないかというふうに、考えております。むしろ私が審議会のようなものは、本当に何か特殊なものを救済するものであつて、工事の一々にタッチいたしまして、そうして恰も第三者が入つて來て、設計がどうだつたとか、こうだつたとか、これは不可抗力であるとか、不可抗力でないのだというような議論をし合うということは、大変なことではないかという感じがするのであります。私は個人の意見を今申上げる必要はありませんけれども、私審議会などは殆んど有名無実であつて欲しいという感じがしておるのですが、あなた方の先程の御説明によりますと、審議会を更に強固にして自分達の利益を代表するような機関であつて欲しいというお考えでありますが、本当にそういうふうにお考えになつておるのか、その三点についてお伺いいたします。どなたからでも結構でございます。
#39
○島田証人 第一の直営の問題、この点は誠に結構な御発言と伺いまして、よく御認識を願いたいと存ずるのでございますが、アメリカでも直営と請負との爭いは非常に多いのでありまして、業者の團体では極力声を挙げて直営を排撃しております。一方政府側の態度としては自分で工事をやるということに興味を持ちまして、又その点での研究効果等の利益もあることでございましようが、直営を採りたい意向が強いのであります。併し段々と業者の説明が勝ちを制して來まして、今日ではアメリカの各洲の中で直営でやろうという場合は、非常に少くなつて來ておるということが報告されておるのでありますが、一体直営が得か請負が得かという問題は、できるものがよくできて安ければ無論直営がいいわけになるのですが、事実は決してそうでないと思うのであります。今日のように非常に高額な税がかかり、それから工事の質が惡いというような場合にいろいろと欠点があり、やる工事の金額も相当オーバー・ヂャージするものがあると思いますが、直営の場合の非能率なことは、すでに幾多の前例に徴しまして非難が多いのであります。決して業者のような経驗手腕及びそこに結ばれた下部組織の材料商、労務者等との関連におきまして、言うに言われない密接な経済的な一つの秩序があるわけでありますから、これを今日のような状態に前渡金をどんどん出すとか、或いはどこの人間を引張つて來てやるとかといつても、結果はそこに大きな穴が明くという場合に、人間そのものの商賣的な力を欠くためにいろいろ金銭的な不結果、扱い馴れないそういうことからの不結果があるということも起つているわけなんであります。要するに資金、資材、労務の継続された経驗による運営ということにつきまして、そこに初めて業務の價値があるわけなんでありまして、直営に行くという場合は、やる者もありましようけれども、非常に特殊な場合にあり得るということに過ぎないと思いますし、建築方面では、直営するような技術者をそこに寄せて、そのような組織でやるということは全く不可能に考えられております。
 それから片務契約という問題から考えまして、設計者に落度があつた場合はどうなるかということでございましたが、これは契約上における仲裁処理の問題、或いは別に仲裁委員会というような制度を、審議会のような機関をもつて定められたような場合によりますと、双方の言分によつて問題は解決されるものだろうと思うのであります。
 それから第三の審議会の権限でありますが、只今のこの法文に現わされたような内容の審議会であつては、先程も申しますようにただ監督取締的な役割で、而も政府の諮問に應じて動くような飾り物式的なものであるわけでありますが、審議会は、この建設業の運営を公平な第三者的立場から考えまして、如何にすればこの能率を挙げ、進歩発展を期し得るかという、機能におきまして、絶えず各方面の職種と手を握り合いまして、それは審議会の機関の決議によりまして、政府に働かして頂くということになりますならば、審議会の役割として非常に大きな價格が出て來るものであろうと思うのであります。要はそれらの内容の決め方とその運営にあるのではないかと思いまして、審議会の運営こそこの法案に將來に発展して行きます強い窓口であろうと私共は期待しておるわけであります。
#40
○牧瀬証人 第一のお尋ねは、このような法律ができたために注文者の方は非常に面倒になつて、直営に傾きはしないかという御疑念のように承りました。併しこの法律に規定しております原則は公正にやる、請負が双務的なものであるから、双方が信義、誠実を盡し合うのだ、このことは若し注文者の方でこれが面倒であるというようなお考えがあれば、これは当然避けるべきではなかろうかと考えます。この考えが是正せられて初めて立派な工事が迅速にできるという結果になるのじやなかろうかと確く信じております。請負人の工事が粗惡であつて、そういう者には仕事をさせられないというようなことは、勿論請負人自体の技術の拙劣だとか或いは計画の杜撰、経営のふしだらというようなこともございましようが、そのうちの或る部分は少くとも從來の片務的な、注文者独裁的な考え方が累いしておつたと思います。結局請負人が引続き注文を頂けるかどうかということは、この法律に基いて信義、誠実を盡すか否かということにかかつておる、これは法律の運命にかかわる取引の本当の姿であると考えます。
 第二の設計者に過ちのあつた場合のことを第十九條の契約の重要事項として記載するの必要なきや。この点は誠に有難い御注文でありまして、場合によつてはこれは契約の中の取決めに記載さるべきであつてもよかろうかと、記載さるべきであるとも考えますが、工事によりましては非常に大きな工事は工事注文者が設計せられることがある。中小工事においては請負人が設計することがある。これは必ずしも一定の型に嵌めた原則的な経営はむずかしいかも知れん。併し建設業審議会において模範契約書を作成するということがある。その場合には緻密に相当細則に亘つて契約書は、更に契約條項が作成せられると思います。でそのときに注文者側で設計した場合にはこうだ、請負者側で設計した場合はこうだというように分けて、その契約書の中にそれらの場合にはつきり過ちのないような規定ができるのではなかろうかと思います。併しながら実際あつたことを第十九條の重要な事項の中に織込むことについては、聊かも私共は反対意見を持ちません。
 第三の審議会の問題、これは審議会が有名無実であつて欲しいという言葉がございましたが、これはむしろ私共の理想とするところであります。是非審議会は有名無実であつて欲しいと思います。それ程注文者も請負者側もお互いが信義、誠実を盡すようになつたならば、我々は建設というもののために大いに喜ぶべき祝盃を挙げてよいかと思います。その理想に達する第一歩として從來の渦巻いた弊習を一歩々々是正するために審議会の発動を若干冀う次第であります。
#41
○原口忠次郎君 もう一点伺います。今日の建設業請負業者がいろいろな点で非常にお困りになつておるという噂を聞いておりますし、私も関係しておりますのでよく知つておりますが、今日の請負業者が非常に困つておりますいろいろな原因が沢山ありますけれども、そのうち一つの大きな問題は終戰後今まで無経驗であつた者が土建業の看板をかけておる者が非常に沢山おる。例えば私の住んでおる神戸市におきましては、戰前百名以内の土建業者であつたのが今日は大体六百名ぐらいな数字になつております。こういうふうに非常に無制限に土建業というものが開業できるので、今日の土建業のこの危機が來ておるのじやないか。こういうふうにも思われますが、そういうことを防止する唯一の根拠としては登録の問題になるんですが、この登録の條項を見てみますと、殆んどこれも有名無実に登録し得るのじやないかという條項でございます。技術者の中学校程度の学校を出た者は何年の経驗がある者があればいい、それから專門学校大学を出た者は三年の経驗がある者がその店におれば登録される。その外に從來のその店の経驗或いは信用状態、こういうものは勿論登録されるときにその当該官廳で調べられると思いますけれども條文には何ら現れていない。こういうような登録の仕方であればあなた方がお話になるような眞の業者を保護する途に非常に欠けているんじやないか。神戸で甚だしい例でございますけれども、船乘りであつた人が金を沢山持つている、これからの將來何がいいかという、土建業がいいというので、船乘をしておつた人が急に土建業になつたという例もある。そういうふうな急になるような不まじめな業者を阻止する何らかの、もつと登録に嚴しいことを御希望にならないのかどうか、その点私は特に御質問申上げます。
#42
○島田証人 誠に適切な御質問と存じます。おつしやる通りのことは同樣にそのように考えます。その意味からしましたならば、業者の水準を高め、技術者を十分確保したような形体を備えたものにすべきであろうと思いますけれども、これは急激に望むことはできないと思います。御心配の通りに如何ようにこの程度でやりましても、その意味での業者の捕捉ということは困難ではないかと思います。如何に仮にいい技術者を寄せ集めても、そうしてそれが果して優良な請負業者になるかということは保証できないのでありまして、如何にまじめな人が寄つても、やる仕事が必ずしもまじめにできかねるということがあることは、個々の仕事でなくして人間の総合された業務であるということに原因すると思うのであります。これが機械設備を備えれば、それだけであとは一人二人の技術的知能で事が運轉して行くということと違う点なのであります。でありますからそういう点での資材は御同樣に乏しいのでありますが、とにかく登録までも行けるということは、現在望み得るところとしまして、相当の前進と考えるのでありまして、先程も申しましたように業者のかくのごとき捕捉と、更にそれの取締ということもありますが、私は業者をよりいい環境に置くことによつて、業者はよくなつて行くのだということに大きな期待を持つておるのでありまして、これを是非強くお考え願いたいのであります。先程も申しましたように、入札制度の改善等はそこを言うのでありまして、公明な明朗な舞台の上において、明るく闘わせるということであるべきでありますが、今日は全く激しい競爭入札の場面にただ疲れ切つた業者を闘い合せまして、そうしてお前が惡いんだといつておる。それでよくなりよう筈がない。そういうような場面のものをどういうように育てようとしても、それだけでは技術者で備えたりどうこうしましても、業者はよくなつて行かないのであつて、むしろ舞台を作り注文方法等についてもつと改善されたものがここにできなければならない。それは法律の明文にも書いて頂きたいのでありますが、そこまではなかなかできるものじやないから、將來審議会のような機関によりまして、そういう面での專門的な明快な解決をやつて頂きたい。かような問題は今後多々あろうかと思いますので、審議会に大きな期待をかけるゆえんであります。
#43
○北條秀一君 第一に庄司さんにお聞きしたいのですが、庄司さんの先程のお話では、道路工事執行令或いは道路法施行令、施行令規則というものがあつて、それを改正するということが前提條件だというふうに言われておりましたが、それらの施行令並びに施行規則を改正しなければ、この建設業法というのは成り立たないと考えられるかどうか、それが第一、それは庄司さんにお聞きしたいと思います。
 次は青戸さんが先程言われたことはよく私も分るんですが、ところが全建設業者と共にこれに反対するのだということを言われたのでありまするが、難波さんは十六万九千余名の建設業者が一丸となつてこれに賛成するのだということを言われておるのであります。青戸さんの御説明は、今回の公共事業費の削減と工事量の減少という一般論から滞納されておると私は考えるのでありますが、純粹にこの建設業法そのものがいけないというふうに考えておられるのか、或いはそうでない、今のような時代に、こういう建設業法を施行するというのは、間違いであつて、國家の公共事業に対する政策が改良されて行けば、その際には建設業法というものは必要だというふうにお考えになつておるかどうか、その点について青戸さんの御意見を聞きたい。
 第三番目に島田さんにお聞きしたいのですが、これは法案の第三條の第一項の「政令で定める軽微な工事のみを」とこの軽微な工事でありますが、島田さんはジェネラル・コントラクトと考えて行きたいと言われましたが、ジェネラル・コントラクトではいつまでも解決しませんので、具体的にどういうふうに基準を置いておられるか、それについてお伺いしたい。
#44
○庄司証人 私に只今御質問になりました道路工事執行令、或いはそれに準拠して作られました縣令の細則というものが改正されなければこの法律は成り立たないというのは、実はこの第十九條の契約條項大体「契約の締結に際して」云々ということがありますが、これが死んど道路工事執行令及び細則令には一方的に謳つてあるのであります。例えば天災があつてもこれは一方的に解決しまして、縣の認めるところでなければいかんというようなことが全部謳つてあるのでありまして、これを全部改正しなければこの法律は成り立たないんじやないかと思うのであります。これはよく研究して頂くとよく分ると思いますが、見積りを取るときにも、或は契約を結ぶときには、道路法の三十六條及び縣令の施行規則を遵守して見積るということがちやんと謳つてあるのです。それを改正しない以上は成立たないんじやないかと思います。
#45
○北條秀一君 今その点に関連して庄司さんから非常に有益な御証言を得たのでありますが、今お分りになつておる点をもう少し詳しくお話しになつて頂けませんか関係法令の何條々々を……
#46
○庄司証人 ちよつと縣令を持つて來ておりませんから、これは後で差出すことにしたいと思います。
#47
○委員長(石坂豊一君) ちよつと今議長から本会議の都合上委員会を中止してくれということですから、御答弁が終つたら暫時休憩いたします。
#48
○青戸証人 お答えいたします。我々労働組合としまして只今反対した意見が、建設業法というものに反対するのか、或いはこういう法律が今施行されることについて反対するのかという御質問のようでございました。勿論只今私が反対理由として述べましたところは、はつきりと現在の状態においてこの建設業法が施行されることについて反対したのでありまして、いわゆる建設業が他の産業と違うという点において、建設業を保護育成するための法案が必要でないということを申上げたのではないのであります。この建設業法案につきましても、例えば登録制の問題、監督の問題、或いは建設業審議会の問題などに、非常に業者の方々からも疑義が出ておると思うのです。そういう点を私の方としては現在の建設業界の実情並びに政府の政策と睨み合せて、この建設業法案を施行するのは適当でないという意見を申上げたわけであります。よろしうございますか。
#49
○北條秀一君 はあ結構です。
#50
○島田証人 只今の第三條の一の問題でゼネラル・コントラクターの限界をどう考えるかということでございますが、ここの文句で書いてありますように、軽微な工事という事柄は、一口の工事の金高が非常に小さいということに帰着すると思うのでありますが、これを我々はまあ一つの概念としまして、一口五十万円ぐらいの工事の纏まりを持つた以上のものはこれにかかるのかなあというような感じを持つているのでありますが、或いはもつと下げて十万円以上のものはすべて適用するのかということは、むしろ日本建設工業協会のような各職別を持つた團体の御意向が、そういうことをやつた方がいいのかということならば、それを尊重すべきかと思うのでありますが、私共の見解では、五十万ぐらいまでは上げて考えて然るべきような氣がするのであります。それでなければとても煩雜に堪えないものだろうと思うのでありますが、ところでこのゼネラル・コントラクターということでありますが、一体部分的の小工事を注文する場合に、ただ壁だけ塗り直して呉れとか、或いは屋根だけ葺き替えて呉れということで、職別の專門業者を持つて来て直接工事をするようなものは、非常に特殊の場合の外は、金額として非常に、微弱なものであろうと思うのであります。若し又それが纏つた工事ということになりますならば、そこに当然設計者なりゼネラル・コントラクターが関與しなければ、関連工事としまして進工しにくいことになるのでありまして、そういう意味からしまして、仮に職別の非常に專門的な業務でありましても、何かゼネラル・コントラクターらしい職業振りをするところであつたならば、構わずこういう登録に出てゼネラル・コントラクターとしての登録で仕事の量をこなして行くということでいいのではないかと思うのでありますが、ただ職別でも何でも構わず入つて行くというところに、私は徒らに煩雜のみを増す結果になりはしないかということを心配するのであります。
   〔委員長退席、理事原口忠次郎君委員長席に着く〕
#51
○理事(原口忠次郎君) 今お聞きの通り、本会議が定足数が足りませんものでございますから採決ができないので、大部分の委員は本会議に参りましたのですけれども、尚熱心にあなた方の御意見を特に尊重してお伺いしたいという意向でございますので、一つもう暫く、甚だ今日は暑いところをお氣の毒に存じますけれどもお願い申上げます。
#52
○北條秀一君 庄司さんにお伺いしますが、先程急ぎましたのではしよつたのですが、あなたのお説ですと、建設業法を國会へ出しても、先程の道路工事施行規則を直さなければ意味がないということになると、事重大なんです。而もこの建設業法を我々この四、五日のうちにやり上げるという考えなんですが、片方は実際とにかくできないということになると問題なんですが、その点についてお話を願つて、石井さんもおられますし、他の権威者もおられるのですが、それについて皆さんの御意見を聞きたいのです。
#53
○庄司証人 それは先程も申上げましたように、実はこの第十九條にありますところの前拂いの問題でございますね、これなんかも結局縣といたしましては、一應予算の問題が相当関連して來るのでございます。実際から参りましてこういう規定が決められても、例えば國の補助工事の場合には、國の補助が來るのが遅れる、或いは値上りを認めても或る程度まで國の補助の増額を認められんということになれば、その根本からこれを是正して貰わなければ、こういうことは一方的には僕の方としては業者に対して契約はできんのではないかと、そういうように考えるのです。
 もう一つ今の法規の問題は、施行令細則に例えば設計変更又は工事中止の申出があつても、縣外にある場合には止むを得ないというような項も規定してありますので、天災のような場合にも、一應天災と認めた場合にも、縣が認めるところでなければこれは支拂をしないというふうに、あらゆる項についての一方的のことが書いてあるのでございます。そういう点から申しましてこれが実際に通るということになりますと、縣といたしましても、根本的に考えなければいかんのではないかというふうに考えられるわけでございます。
#54
○北條秀一君 今のは神奈川縣の事情なんですが、東京都の事情を石井さんからお聞きしたいと思うのであります。
#55
○石井証人 私共の東京都におきましては、土木と建築の差異だろうと思うのでありますが、そういうような心配は今いたしておりませんです。
#56
○北條秀一君 それでは石井さんの御意見ですと、この建設業法を即座に施行して一向差支えないということになりますか。
#57
○石井証人 私は実は土木関係のことは調べて來ませんからちよつと分りませんですけれども、私に関する限り差支ないように思います。
#58
○理事(原口忠次郎君) 私から申上げますが、大体府縣の道路、河川、港湾工事は、さつき庄司さんのお話しになつたような線で行つておると思います。それで道路法の施行令が非常に大きなリーダーだと、それで今石井さんのお話になるのは建築関係だから、道路法とは関係ないのであります。多分各縣共そういうふうになつておるのではないかという感じがいたします。
#59
○北條秀一君 只今委員長のお話でありましたが、それでは道路関係になりますと、この建設業法は事実牴触するということになりますね。
#60
○理事(原口忠次郎君) そうですね。
#61
○北條秀一君 そうするとその点は余程審議しなければなりませんね。
#62
○理事(原口忠次郎君) それですからその点は建設省でどう思つておるかということを、この委員会としてはやはり確かめなければいかんと思います。庄司さんが言われることは非常にいいことなんであります。やたらにこういうものをぽかつと出しても、道路法等をどうするかということで今度は迷つてしまうのであります。
#63
○北條秀一君 それでは今のお話は更に我々は政府と研究することになると思います。もう一つ吉田さんにお伺いしたいのでありますが、吉田さんは先程來この建設業法が業者の育成になるという、育成するために非常に有効であるという話をしておられましたが、その点につきまして、先程不十分であつたと思いますので、もう一度あなたの御意見を、本当にこの建設業法が業者の育成になるという点がありましたら、それを御指示願いたいと思います。
#64
○吉田証人 育成になるとはつきり申したわけではなくて、これで育成をしなければならんということを申したわけでありますが、つまり今までですね、とにかく建設業者というものは非常に非科学的であつたというふうに世間でも認められ、又業者自体にもそういう声が一部にあつたのであります。それは先程からもお話がありましたように周囲がそういうふうでありますので、この際こういうふうな建設業法というものができまして、登録で認められるというようなことになつて來ると、次第にいろいろなものが整備されて來るということは、非常に建設業者の育成といいますか、そういう実態を把握して、段々といろいろな方策も立つて來るのではないかという点においては育成になる。こういうふうに思うのであります。ただこの法案の内容では、先程も申上げましたように、これは保護するとか育成するという條文が非常に少いのでありまして、ただ監督とか或いは取締、そういうようなものの方が多いようであります。それでその点に関しましては、先程申上げました審議会というものができ上げましたら、それによつてその方策を更に檢討して行つて、大きな方針を建てて貰つたらどうか、こういうふうに申上げたのであります。
#65
○北條秀一君 重ねて吉田さんにお伺いしたいのでありますが、その点で先程あなたが第三十三條の規定ですね、第三十三條の二行目ですが、「建設業の改善に関する重要事項を調査審議させるため、建設業審議会を設置する。」という中で、改善という字は不用だと、建設業者関する重要事項を調査審議させる。こういうふうにせよというあなたのお考えであつたのかと思いますが、そうでありましたでしようか。
#66
○吉田証人 それは私じやなかつたと思います。
#67
○北條秀一君 それは牧瀬さんの御意見でしたか。
#68
○牧瀬証人 はい。
#69
○北條秀一君 ああ、そうですか。
#70
○牧瀬証人 それは工業協会の修正意見であります。
#71
○北條秀一君 はあ、そうですか。分りました。
#72
○理事(原口忠次郎君) 外に何かありませんか。
#73
○岩崎正三郎君 難波さんでございましたね。この登録を中央と地方に区別する必要はない。地方にさした方がよかろうと、私もそういう感じはするのでありますけれども、やはり事業が他府縣に跨がるような事業の場合には、相当そこに考える必要がありはせんかと思うのでありますが、何かそういうことについて心配が少しもないとお考えの理由がありましたら御説明願いたいと思うのでございます。
#74
○難波証人 はい。今の大きい業者は、二縣以上に跨つたものについてはそういう意見を持つておりますが、これは大体に集まつておるのでありますが、將來段々と育成されまして、各縣にもそういう業者ができて、殊に地方自治が重要になつて参りますれば、その縣に相当なものが出て來なければならない。又それでなければ進んで來ないんじやないかと思いますので、そういう場合には中央まで書類を持つて來ることになれば、或いは書類がなくなつたりするというようなことも醸すのではないか。それで実状において煩雜になるのではないかと思います。これは私共のひがみと申しますか、率直に申しますと、今までは土木業者が、一般の資本家から圧迫を受けてやつて來た業者が、更にこういうふうに特権を得るような形に見えるが、実際はその事務的においてはそうでないということの説明を聞いておるのでありますが、何もそれに対してそう支障がなければ、各府縣に渡してやることは差支ないと思います。東京でありますれば支店が地方にあるから、実際の地方の現場の取締の責任は地方にありますので、そういう面からいつて地方に届けて、そうして支店は支店で届けて、中央の大きな二縣以上に亘る大建設業者にあつては、指導と監督とを、実際に大きな工事であつたら中央から地方に連絡してその地方の支店を助けてやる。かようなことによつて現場と中央の繋がりをうまくやつてやるというような考えからしまして、その登録は都道府縣に届けた方が、工事の現場を中心として届出でをして作業をするということが一番いいんじやないかと思います。
#75
○庄司証人 実は只今その二府縣に跨る営業所を持つておるものも都道府縣知事の監督を受ける方がいいんじやないか、或いは登録の申請を受ける方がいいんじやないかというお話なんでありますが、実は神奈川縣なんかも大体三分の一が他府縣に亘つて出張所を持つております。それを建設大臣に全部登録をし、或いは監督を建設大臣がやるということになりますと、都道府縣知事はそれに対して全然関知しないということになるのでありまして、実は困るというようなことになりはせんかと思うのであります。又監督、大臣がそれをするということはなかなかむずかしいんじやないかと思います。それは当然その地方で以て施行する工事の場合には、その都道府縣知事に一應申請もし、登録もした方がよいのじやないかと思つております。
#76
○岩崎正三郎君 何かそれについて、外の方から反対の意見はありませんか。私も実はそれについて賛成ですけれども、いや中央に届け出た方が、我我はその方がよいというような御意見があつたら聽きたいと思います。
#77
○島田証人 別にございません。関西の方の業者の意見として、むしろ今の神奈川縣のおつしやるような意向を聞いております。
#78
○北條秀一君 登録の問題に関連しまして、先程島田さんから、登録の要件の中で、その使用人の一人ということは工合が惡いから、有力な使用人という御意見があつたが、これは可なり愼重に考なければならん点だと思いますが、これについての島田さん以外の皆さんの御意見を聽かして頂きたいと考えますが……
#79
○理事(原口忠次郎君) 只今の質問に対して難波さん、御意見ありませんですか。
#80
○北條秀一君 では申上げます。法案の四頁の二行目です。第五條の三行目です。ずつと法文がありまして眞ん中にです。「又はその使用人のうち一人が左の各号の一に該当する者でなければならない。」その使用人のうちの一人ですね、多くの使用人の一人というのでなしに、その使用人のうちの有力な者の一人、こういう御意見であつたのでありますが、その点について重ねて皆さんの御意見を聽いて置きたいのであります。
#81
○大野証人 それは是非その重要なということにして頂かんといかんと思いますのは、これに類似の法令、藥剤師法それから電氣技術者の法令、それから高圧汽罐の法令、そういうものがありまして、やはり技術上の資格を指定してそれが從事し携らなければならん。ところが実情はどうなつているかというと、大抵は本当大きいところはいいですけれどもそうでないところに、嘱託料とか顧問料とかいうものを出して、三月も四月も來ないでいて免状代を出す、そういうのが相当多い。それでは何にもならん、それは事実です。そこで重要という字が要るのです。
#82
○難波証人 有能といいますのは私らもそのように考えております。実は直接やります築造業者は相当の経驗を持たなければ、総合的に資材の選定、或いは現場における企画技術、それからそういう重要設備の配置、かような面でこの築造は業者には重大なのであります。この監督指揮に当る人が有能の技術屋、いわゆる経驗者でなければ実際の工事の立派な完成もできなければ能率も損するのでありまして、私は將來は使う人が相当選択を要すると考えておりましたので、昨日も話しましたのですが、而してもう役員だけの一部の人の話でありますが、この有能の士を作る、選定するにはなかなかむずかしい。むずかしいが少くとも段取なり或いはそういう製図を読むなり、自分みずからも製図を画く、それから資材の見分け、工事の進捗状況、或いは他の職種の状況、これらを勘案した試驗でもやつてこれを有能の士として採用する方法を考えなければならんのではないか。かように考えておりますので、有能の士、重要なる使用人とかいうことを規定頂いてもいいんじやないかと考えますので、さようなことを考えておりますことだけ御報告して、少くとも現場におきまする各工業者の作業工程というものが非常にむずかしいのであります。青写眞にできましたそれを作り上げて行きます工程が重要なのであります。実際は、先程よく話しましたが、技師がやはり五年なり十年まで経驗を持たなければできないのでありますが、私は、段取をいたします職種は大工でありますれば、少くとも十五年以上やらなければ経驗が足りぬということを原則にしておるのであります。これは大体御承知のように非常に教育が低いのでありますが、彼らも耳と目によつて覚えて修業して來た職種でありますので、大体五年ぐらい掛つて修業する、五年ぐらい見習をやる。それから更に総合的なことを研究して、そうして一人前の熟練工になる。それから総合的な請負もできれば又築造も、技師と同じように、学校を出た人と肩を並べて仕事をして行かれる。こういう自信を持つている者が相当に多いのであります。
#83
○北條秀一君 極めて簡單なことですが、大野さんに一つだけお聞きして置きたいのですが、法律案がここまで纏まつて出て参りまして、これを修正するとなるとなかなか容易でないのであります。それでよく聞きたいのですが、先程建設工事の適正な施行ではなしに、適正且つ能率的なということを言われましたが、適正の中には能率的という意味は含まないものか……
#84
○大野証人 含まないとは言えません。
#85
○北條秀一君 それでは申しますが、要するに建設工事は、初に原図を画いてそれからドローイングをやり、青写眞をとるというようなことは、最も能率的な方法は決まつているわけです。だから建設業の場合は、適正にやれということは最も能率的にやるということになりはしないか……
#86
○大野証人 必ずしも然らずです。例えば能率の大家のテイラー並びにギルブレスが能率的な方法をとる前にやつておつた工事が、適正でなかつたかというと、やつぱり適正であつたわけです。併し煉瓦積の作業で実驗したのです。そういう能率的な方法によつて更に一層当時の要請に應ずる方法を講じた。だから能率という字はぜひ必要だと思います。適正が全部を含んでしまうというわけにはちよつと行かないかと思います。
#87
○北條秀一君 私は質問を終りますが、最後に私としてお聞きしたいのですが、皆樣の御証言の中では青戸証人がこれについて特殊な角度から、法そのものに根本的に反対、本質的に反対するわけではないけれども、現状では適切でないという御意見がありましたが、他の証人の方は、この建設業法はいろいろな角度から行つて適切であるというふうにお述べになつたように思うのですが、そういうふうに私共は理解してよろしうございますか……。それでは各証人の方の御意見が分りましたので、私は質問を打切ります。
#88
○理事(原口忠次郎君) もう他にございませんか……。それでは私からもう一点質問申上げたいのですが、この法律には入札の方法とか契約の大あらましのやり方というものが全然謳つてございません。それは多分國家がやつている会計法にいろいろな規則があるからそうだろうと思うのですが、そういう点についてあなた方は特にこういう法律ができましたならば、それと同時にそういう問題は、請負業の一番大事な点ではないかと思うのですが、そういうものについての何かの御希望はございませんですか。
#89
○島田証人 私共はその点を最も強くお願いしたいと思うのです。なろうならばこの中に明文をすつかり書き込みたいのですけれども、その時間もなし又研究に相当愼重を期さなければならないと思いますから、そういうことは審議会等でも進められるという望みを持ちながらその方向に進んで頂きたいと願うわけです。
#90
○吉田証人 ちよつと私土木学会としてでなくて個人として、よろしうございますか……。実はこの建設業法が若し実施されるということになりましたならば、今の官廳の方では会計規則でいろいろな入札の方法なんか定めているわけであります。その中に一つ入札者の資格というものを大藏省で出ているわけです。で、この資格というものが、登録というものがどういうふうになるかということだけ、私、ちよつとどうなるかということを今考えているわけです。
#91
○理事(原口忠次郎君) どうなるかということを疑いを持つている……
#92
○吉田証人 疑いと申しますか、登録というものがそれと必須要件になるかということに対して……
#93
○大野証人 只今お話がありましたような、丁度庄司さんが先程今まで出ておる法令といろいろ抵触する点がある。
   〔理事原口忠次郎君退席、委員長着席〕
 こういうことが外の法令でよくあります。是非それは我々証人の方よりも政府、それからこの法令を御起草になります方でよくお調べを願いたい。例えばボイラーの取締は、初めは各府縣別々にやつておつた。その中に、あれは結局ドイツの汽罐取締令の飜訳ですけれども、結局内務省でやるようになつた。ところが今度労働基準法によつて労働省で引受けるようになつた。それとそれとが互いに抵触して、メーカーが非常に困つておることが沢山あります。ですからこれと類似のようなものはすつかりお調べを願つて、廃止して頂きたいと思います。
#94
○原口忠次郎君 私から今質問しておつたのですが、それはこの法案が入札の方法について何らの規定がないが、どうお考えになつておるかということをお尋ねしたのですが、今非常に熱烈に入札の方法については希望を持つておるという話があり、それは会計法との牴触のためにこうなつておると思いますけれども、そういう点を特にあなた方の方からそういう発言があつたというふうに我々は解釈してよろしうございますか。
#95
○島田証人 そうでございます。
#96
○吉田証人 只今の資格の問題でございますね。それは私個人としましてはその資格を必須條件に会計法に入れて貰いたいと、こういう考えであります。
#97
○庄司証人 実はこの登録と今の入札資格参加証明書の問題ですが、登録は入札の資格があるかどうかという問題ですが、それをちよつとお聽きしたいのですが……
#98
○原口忠次郎君 これは私らの方ではちよつと御答弁できないのですけれども……
#99
○庄司証人 この点はどうなんでしようか。実際問題としまして……。登録はちよつと疑問があるのであります。この点はお調べ願いたいと思います。
#100
○委員長(石坂豊一君) それでは公述人諸君に対する御質問はこれで終了することといたしますが、本日は長時間に亘つて御協力下さいまして深く感謝いたします。ではこれで終ります。
   午後三時二十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     石坂 豊一君
   理事
           原口忠次郎君
           島津 忠彦君
   委員
           岩崎正三郎君
           島田 千壽君
           安部  定君
           久松 定武君
           北條 秀一君
           兼岩 傳一君
  政府委員
   建設政務次官  赤木 正雄君
   建設事務官
   (大臣官房会計
   課長)     植田 俊雄君
   建設事務官
   (総務局長)  中田 政美君
  証人
   東京都建設局長 石井  桂君
   全國建設業協会 島田  藤君
   神奈川縣土木部
   道路課長    庄司 儀夫君
   土木工業協会  牧瀬  幸君
   日本建設工業協
   会       難波 元由君
   全日本土建一般
  労働組合書記長  青戸  純君
   建 築 学 会 藏田 周忠君
   土 木 学 会 吉田朝次郎君
   能 率 協 会 大野  巖君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト