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1949/05/14 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 建設委員会 第15号
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1949/05/14 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 建設委員会 第15号

#1
第005回国会 建設委員会 第15号
昭和二十四年五月十四日(土曜日)
   午前十時五十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水防法案(内閣提出・衆議院送付)
○水防法制定反対に関する陳情(第三
 三九号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(石坂豊一君) これから委員会を開会いたします。水防法案に対する質問を続行いたします。速記を止めて。
   午前十時五十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十一時五十三分速記開始
#3
○委員長(石坂豊一君) 速記を始めて。御質問を願います。
#4
○原口忠次郎君 私はさつき申上げました水防法案があると、水防の強化には勿論なるだろうと思いますけれども、府縣知事の責任の所在が非常に不明瞭になるという考え方なんです。それが河川法の二十三條と非常に牴触しておると思う。それから更にこれを裏付ける一つの考え方として、第十六條の第三項に、費用の負担は水防管理團体とそれから應援したものの間で協議する、こういうことをこの法律は謳つておるのです。河川法の第四十條によりますと、今のような場合には府縣知事が責任を持つて補償させる。そうして又補償の價額も府縣知事が責任を持つておる、こういうふうに府縣知事に非常に大きな権限といいますか、責任を持たしておるわけでありますが、河川法の四十条には、これはお互いの價額は当事者で決めろという、知事はそつぽを向いておつてもいいという法律になつておる。こういう点はどうなんですか。
#5
○説明員(伊藤大三君) 只今の四十條と今の二十三條で、竹木、その他の材料を徴收したり、障害物を破毀した場合に、地元にそれを負担させるという規定、それと歩調を合せるように二十一條の二項において「水防管理團体は、前項の規定により損失を受けた者に対し、時價によりその損失を補償しなければならない。」こういうことにしておりまして、ただその價額の決定が行政廳で定めておる時價によると幾分の喰い違いはありますけれども、結局行政廳の見方も時價を参酌しなければならない点から、その点は喰い違いは起らないと思つておるわけです。十六條の問題につきましては四十條においては規定していないように思いますが。
#6
○原口忠次郎君 應援した團体との間で價額を決める。この應援の費用については知事あたりは責任は全然ないのですか。
#7
○説明員(伊藤大三君) 應援の問題は四十條においては規定しておりませんが……
#8
○原口忠次郎君 河川法では應援ということはないのだから、河川法の二十三條では洪水のとき、知事の義務を持たせておると思う。その義務に対する補償を四十條で縛つておると思う。こういうように知事に片一方では義務を負わせておる。ところが費用のところはすつかりこの法律ではなくなつておる。
#9
○説明員(伊藤大三君) 私が実際に喰い違いはないということを今申上げましたことは、水防に使いました竹木、その他の材料の負担が地元の市町村にかかるということを申上げたのでありまして、二十三條で知事がこういう竹木、その他の材料を徴收したり、障害物を破毀した場合につきまして、同じように四十條で地元の負担になる、水防法の二十一條によつて例えば水防團体のものがやりました場合におきましてもやはり地元に行く、又知事がやりました場合におきましては、別のところに行くということにないように歩調を合せておりまして、この四十條の場合、二十三條の知事の権限を働かせてやれば働く條件でありまして、これが消えるということではないのであります。負担関係が喰い違わないように、二十一條の一項、二項の規定と河川法の二十三條と、四十條の規定を合せておるわけであります。
#10
○原口忠次郎君 私が申上げておるのは應援を求めた場合にその費用をどちらかといえば洪水のことだから強制の形でやつた場合に、その費用を水防團体が当時者との間に協議すればいいことになつておるのです。十六條の三項で……四十條では二十三條の規定が頃常に強い規定だから、知事に責任を持たせてあるのですけれども、水防に掛つた一切の費用は知事は何も知らんでそつぽを向いておつてもいいという法律の建前じやないか、こういう点なんです。
#11
○説明員(伊藤大三君) この二十三條ではそういう他の市町村に應援をさせるということは、これでははつきりしてないように思うわけなんですが……そうしてそれの補償の問題を四十條で又規定している問題だとも思いませんのですが、第一項というのをはつきりこう限つて書いているわけなんです。この中で若し喰い違いがあるとなれば、現場にいる者を使用した、その場合においてもこの二十三條第一項の処分により損害を受けたから、そういう問題で知事が現場の者を徴集した場合には、現場の者に補償の何がある。十七條においては、その点がないということに私喰い違いがあればあると思うのですが、ものをとる場合のことは同じように行つているのじやないかとこう思うのです。
#12
○北條秀一君 この水防法案の提出の理由は先刻の御説明によつと分りましたが、それにつきまして私はお聞きしたいことがある。それは提出の理由によりますと、水防制度を速かに整備するためにこの法律を作るのだというのが最後の結論でありますが、それについて質問したいのは、第一は、從來の建設省設置法案によつて、河川局長の所管に属するところの水害予防組合というのがあるのですが、それは現在全國に幾つあるか。その水害予防組合というのは、水防制度として一應整つていると考えるのでありますが、この法案によりますと、これだけでは不十分だということなんでありますが、その点について河川局長の説明を聞きたい。それから更に、原則としてこの水防法案による費用は地元市町村の負担を考えているということでありますが、考えているとは非常に漠然たる話である。今日のように地方自治体の財政が非常に困窮している際に、更に新らしい負担をかけるということはいいことか惡いことかということになると、私共はこれに反対せざるを得ないわけであります。從つて原則として地元市町村の負担を考えているということは、どういうふうに具体的に考えているのか、その点が第二と、それから第三番目には、総括的に以上申上げました二つの点から言つて、なぜこの水防法案というものを今日特に急がなくちやならんかというこの三点について御説明願いたいと思います。
#13
○政府委員(目黒清雄君) 水害予防組合の数ですが、お手許に資料を差上げて置いたと思いまするが、その中に、水害予防組合の数が載つておりますから、それを御覽願いたいと思います。水害予防組合は御承知の通りに、地元の自然発生と言つては語弊がありますが、相当地元の強い要望によつてこれが発達して参つたのであります。現在もこれが相当活動をやつております。水害予防組合は今後ともこれを助長して行かなくちやならんのは我々の任務だと考えております。そこで水防法案の中における水害予防組合の立場でありますが、水防は、現在水害予防組合と消防團によつてなされております。消防團で大部分がなされており、特殊な非常に熱心な所は、水害予防組合でやつているというのが現状であります。從つて第一線活動部隊は主として消防團を使いたいというのがこの水防法の狙いでありまして、それを同時に水防團を作り、いわゆる水害予防組合をこれらを水防團として活動して貰いたい、こういう意味であります。そこで現在の形におきまして、水害予防組合と消防團、こういうものが今のいろいろの基礎に立つてやつております。而も過去におきましては、戰時中は警防團というものに統一されまして、そこで水防一切がやられておりました関係で、比較的活動が敏活であつたのでありまするが、これが御承知の通り、警察からすつかりこういうものが離れまして、消防は消防で独立し、水害予防組合は水害予防組合として発達するという形に分かれて來たのであります。一應消防團が今のように水防活動をやつておりまするが、片方又水害予防組合も水防をやつている、こういうふうなのが二途に出て來るわけであります。これらを、やはり一括して一つの組織体に入れるということがその辺の連絡もいいし、或いはいろいろの活動上の應援態勢も非常に整うという意味で、こういうもので連絡を図りたい、一つの組織体の中に入れたいというのが目的であります。と同時に、又消防團に対しては、現在は市町村に單独に独立された團体でありまして、これらを知事が統轄し指導する権能がないのであります。ところが水防に当つては、どうしても或る程度知事に指揮権がございませんと活動が円滑に参りません。と申しますのは、御承知のように、一町村にのみ限られた水害ではないので、数ケ町村或いは場合によりますと他の府縣にまで水害で及ぶというようなことがありますので、こういうことで或る程度指揮権を持たせなくちやならんということになりますると、現在の消防法にはそれがないのでありますから、どうしてもそれを規定しなくちやならん、こういう理由からこれができたのであります。
#14
○北條秀一君 この建設委員会は元は國土計画委員会でありまして、現在の赤木寺務次官が当時の委員長でありますが、眞先に砂防、水防の問題で我々が調査に行つたのは山梨縣であります。只今それに関連して私は質問するのでありますが、只今河川局長から水害予防組合の問題についてお話がありましたが、提出されました資材を檢討して見ますと、第一回國会が始まつて以來今日まで各地に水害が起きた、その水害の起きた縣は、奇妙に水害予防組合というものがない。例えば例を取りますと、岩手縣、福井、山梨、こういう所は水害予防組件というものは全然ない。それから最も水害の大きな脅威を持つておりますところの廣島縣のごときも亦水害予防組合が全然ないという資料になつておりますが、一体建設省はなぜこういう所に今日まで水害予防組合というものを作るように指導しなかつたか、それは建設省設置法案によつて当然建設大臣の責任であります。今までそれをやらなかつたということはそういうことができなかつたのか、できなかつたならできなかつた理由、怠慢であつたがために急いでこういうものを作らなければならん。水防法案を作らなければこの水害予防組合ができないということなのか、そういう点についてお説明願いたい。
#15
○政府委員(赤木正雄君) 北條委員の御質問の岩手、福井、山梨、廣島、殊にこういう水害縣に今まで水害予防組合がなぜできないか、この御質問でありまするが、成る程岩手、廣島、これは最近非常に水害がひどく又やかましい縣なのであります。でありまするが、今まで余り水害に対して岩手のごときもそれ程関心がなかつたのであります。これが一つ又水害の起つた原因ではないかと思うのであります。又山梨縣のごときも、これも明治四十年、或いは四十二年、四十三年に大水害が起きました。その当時には相当にやつておりましたが、最近では余り水害がなかつた。尤も昭和十、二十年、二十三年のは防ぎました。最近はその意味で非常にやかましく言つておりますが、殊にこの山梨縣のごときは水害がどつちかと申しますと、山地部に属しているものが多い。そういうところのはむしろ水害に対する関心が河川程盛んでなかつたということも認め得るのであります。でありまするので、今後そういうところに対しても水害ということに対して予め予防するとか、又水害が起つた場合に如何に処置するかということを今後ますます指導して行かなければならんと思つております。要点は今まで余り水害がなかつたというので、水害予防組合が発達して來ていなかつた。又大阪の淀川なども昔から非常に水害がありましたので、淀川には非常に立湧な水害の予防組合があります。
#16
○北條秀一君 赤木政務次官の御説明分りましたが、私は終戰後外地から帰つて参りまして、日本の國土が如何に荒廃しているかということを私自身でよく見たのであります。勿論先輩の赤木先生から、これらの点について十分教えを受けたわけであります。ところが終戰後すでに今日まで四年になりまして、その間に洪水、高潮等の水害が頻発しているという事実がある。片方には建設省は水害予防組合を発達助長する義務があるわけであるにも拘わらず、今私が質問しましたように、水害予防組合というものが実際は助長発達させられていない。その点は一つ怠慢じやないかということを私は聞きたいのです。確かに怠慢であつたと私は思う。だから怠慢なら怠慢で、怠慢だつたから緊急にこれを出すのだとおつしやるなら話は分りますけれども、今までやつて來た、やつて來たのだけれども、これをやらなければ万全の措置はできないのだとおつしやるなら、行政措置で必ずしも法律は作らないで現状でやれるのですから、やつたらどうですか。
#17
○政府委員(赤木正雄君) たとえて申しますと、これは北條委員も御承知の通りでありますが、圓山川で申しましても、河川改修のできていないときには、先程委員長の言われた通りに、洪水が出ると太鼓を叩いて直ぐみんなそこに飛んで行く。自治的に報酬を受けなくても献身的に出た。ところが河川改修ができて堤防が立派にできた。そのときにはこの前の圓山川の水害を見ましても、堤防ができているからそれで安心だ、何ら水害はないというような考えを地元の人は多く持つているのであります。そういう関連で今までそういうことに対して建設省といたしましても、よし河川改修はできても、これを守るためにより以上の水害予防に関心を持たなければいけないということを十分地元方面に言つていなかつた点は、確かにそれはころらの落度でありますが、これは今後ますます河川改修の進むに從つて、先ず以て堤防を安全にするために、より以上水害予防をせんければいかんということは、今北條委員のお説のそこにあると思いますから、十分注意いたします。
#18
○北條秀一君 重ねてお伺いいたしますが、先程河川局長は、水害予防組合は從來自然発生的にできたものだというような意味のことを言われたと私は思うのでありますが、そういたしますと、先程私が指摘いたしました福井にしましても、岩手にしましても、廣島にしましても、すでに今日まで水害を被つているところでは、そういう実害に遭えば自然発生的に水害予防組合ができたと思いますが、又建設省も当然それに対して指導しなければならなかつたのじやないかということを私は考えるのですが、ところが今日に至つて依然としてそれらの水害の惨禍を受けた福井にしましても、岩手にしましても、水害予防組合ができていないという、これは事実であります。これは建設省の資料によつて事実だと、そう考えますが、これはどういうわけで今日まで組合ができなかつたのか、これについて河川局長の御説明を聞きたいと考えるのであります。
#19
○政府委員(目黒清雄君) 水害予防組合は大体におきまして、数ケ町村を單位として只今大きな河川にこれができているのであります。各町村ごとにおきましては、大体消防團が活動の本体になつております。結局数ケ町村が寄り集まつて水害予防組合を作るということになりますると、これが人的機成或いは費用の問題ということで、この話はこちらが斡旋いたしましてもなかなか纏まりにくいものが多いのであります。それで今のような福井の問題、或いは手岩の問題であるとか、現在におきましては、そこまでは参つておらないのであります。と申しまするのは、現在におきましては、地元の方は水害予防組合を作るよりも……よりもと言いますが、作る費用の捻出よりも、現在災害復旧にその費用を投ずることに汲々としているのであります。そういうわけで組合を作る財政的な基礎がなかなかうまく行かないということで行き悩んでいると我々は考えるのであります。
#20
○北條秀一君 それでは先程私が言いましたように、費用の捻出が非常に困難だということならば、この法律を作ると費用の捻出が樂になるということになりますか。
#21
○政府委員(目黒清雄君) この法律の中には補助の規定はありませんで、大体地元においてこの費用の負担をするという形になつております。併しながらこの費用は今のように人の出動によるいろいろの経費と、それから物的ないろいろの諸材料の募集に要する費用、その他の費用に分れまするが、現在まで行なつて参りましたのは、大体人の動員に要する費用は地元の負担でやつて参りますし、府縣知事はこれらに必要なる器材或いはその他の消防、水防倉庫というようなものの費用の一部を多少府縣知事が負担しておつたというのが一例であります。そこでこの法律では府縣事知も或る程度援助ができるようになつておりますし、國の方はこれに対しては何ら見ないようになつておりまするが、地方財政法の中には補助ができる途が開かれておりまするので、これらのものを勘案しまして、國としては將來行政的な措置、或いは將來の予算的な措置を考慮して、將來助成の途を考えて行きたい、現在では予算がありませんが、將來の問題として相当努力したいというつもりでいるのであります。
#22
○北條秀一君 その費用の問題は一番私は今日の地方自治体の点から言つて問題だと考えるのであります。特に昭和二十四年度の予算では、六・三制の予算が殆んどない、地方財政の例の配付金は半分に減らされたというふうになつておりまして、いよいよ以て困窮しておるわけであります。そういうときにこの法律によりますと、私は相当な費用の負担になつて來ると考えるのです。二、三の例を取りますと、例えび水防協議会を作るにしても経費が要る、或いは中央氣象台或いは都道府縣知事が危檢に際して放送機関、新聞社、通信社等各報道機関の協力を得て一般にこれを周知させるということは相当の費用がかかると考える。そういう点から言いまして、経費は苦しかろうけれども君の方で出せ、將來國が考えてやるんだでは、私は思うように所期の目的を達し難いと心配するがために、特にその点を聞いたのでありますが、然らば將來、考えるというその將來というのは、いつ考えるのか。本年の補正予算で考えるのか、それとも來年、再來年考えるのか。どうなんですか。
#23
○委員長(石坂豊一君) 速記を止めて……
   〔速記中止〕
#24
○委員長(石坂豊一君) 速記を始めて……。先程の原口委員からの御要求に係ります別途日程に載つております陳情文書第三百三十九号を、この場合において一應朗読させますから……
   〔菊地專門員朗読〕
 全國町村会長 伊藤幟
  水防法の制定に対する反対意見書
  今般政府においては、消防法及び消防組織法の一部を改正し、新たに水防法を制定し、從來消防團の活動対象であつた水火震災等より水災害を分別し、市町村を含むいわゆる水防團体、特に指定水防團体の責任を以て洪水、高潮等に際し、これを警戒し、防禦し及びこれによる被害を軽減し、もつて公正の安全を保持する措置を講じようと企図している。思うに我が國の如き災害、殊に水災害のしばしば到る國においては、先ずこれを未然に防止する施策を講ずるとともに、(本会においては、このため從來数回に亘り「國土保安地帶」の設定、総合「國土省」の設置「総合國土審議会」の設置等の諸施策の実施を要望して來た)、その一たび発生するや、法案規定の如き水防組織を整備し、水防活動を実施することは、その趣旨においては、何ら異論をさしはさむものではない。しかしながら、本法案の内容なりとして傳えられるところを檢討するとともに、現下の地方町村の実情に鑑みるときは、現実の問題として賛しかたい点あり、特に本法の骨子なりと考えられる指定水防團体たる市町村が、原則として、消防團の外に水防團を新設すべしとしている点は、運営及び財政上承服しがたいところである。仍つて本会としては、本件に関し、諸般の事情を総合し、左の理由により、本法の制定に反対し、むしろ、同じ目的のために、この際は、既設の消防團の組織及機能を合理的に整備強化することを要望するものである。
    理 由
 一、組織及び運営上の理由
  水防法案においては、市町村等は一般の水防團体として、その区域における水防責任を負担し、その水防事務を処理するため、「水防團」を設けることができるとされており、特に都道府縣知事から所謂指定水防團体として指定された市町村はその区域内における消防機関が水防事務を十分に処理することができない場合、原則として水防團(團長及びその他の水防團員より成る」を設置せねばならん義務を課せられている。勿論市町村及びその長は区域内の水防について、責任を負うことにおいて何ら吝であるものではなく、むしろ從來もこの任務の遂行に崇高な犠牲をすら拂つて來たことは周知のところである。然るに本法案が重大とはいえ、諸ろの災害対象から特に水災のみを分別していること、わけても指定水防團体たる市町村に対し既設の消防組織から独立した水防團を設置すべしとする原則的規定を設けていることは、既設の消防組織の水災に対する原則的無力乃至不適当視を前提とするがごときであつて、このことは官場にしばしば見受ける一つの組織の分化癖であり、一つの機構いじりというべきである。殊に狹小な地方町村の場合においては、仮りに水防團を設けるとしても、新たに水防團員たるものは、恐らく從來の消防團員と多くその人的構成を重複する場合が多かるべく、又水防團員が出動すべき水災時にあつては、從來の消防團員のみが拱手傍観してあるべきはずがなく、かく観ずるときは、その弊たるや、町村自治上、ただに消防組織に屋上屋を架するのみには止まらないことをおそれるのである。
  かくて、仮りに水防團なるものを必要とすべしとしても、規定としては、水防團として既設の消防組織を活用することを原則とすべきであり、若しこの場合既設消防組織が不備不適なりとすれば、これを水防團活動に適するよう機能、訓練を指導徹底することが、むしろ先決であり、又運営上も効果的であると考えられる。かくて我々は水防團の新設に重点のおかれる本法の制定の意義は乏しいとの結論に達せざるを得ないのである。
 二、費用負担上の理由
  更に町村の財政上の見地から本法案の内容を檢討するに、一般に市町村は、その区域における水防の責任を負わしめらるることとなり、その費用を負担すべきものとされており、從つて若し市町村が水防事務の処理のために水防團を置くとすれば、それに要する経費の全部は、市
 町村が負担しなくてはならない。尤も、一般の市町村にとつては、水防團の設置は任意とされているから、しばらく不問に附する。これに反して、市町村が、一たび前期指定水防團体に指定されると、当該市町村の財政状態には拘りなく、水防團の設置を強要されることとなる。而も、その費用は、指定者たる都部府縣と國とで全額これを負担するのではなく、その費用の一部を、政令の定めるところにより、國及び都道府縣が負担するに過ぎない。かりに、國、都道府縣及び市町村の負担割合が、政令によりそれぞれ三分の一づつと定められたとしても、極度の財政難に陥つている市町村、ことに町村にとつては、もはや、そのような経費を負担する余地はない。而もこの際、國庫負担なるものが、かりに、今年度の公共事業中に、若干の為費を計上されたとしても、それによつて賄い得るものは、水防小屋の建設乃至資材の購入のごとき所要経費の一端にすぎず、最大の費用項目たる人件費をはじめとする経費の大部分は、從來の例のごとく、結局地元町村の負担とならざるを得ない。
 経済九原則の実施に伴い、地方財源として予期された配付税は半減され、公共事業費として計上さるべき國庫負担の縮減により、六・三制の実施、自治体警察及び消防の維持存続さえ危機に瀕するとき、たとへ、その目的は可なりとするも、新に水防團に要する費用を町村に負はしめんとするごときことは、町村に対してまさに不可能事を強うるものに他ならない。
 かくのごとく財政府の見地からしても、現下の貧窮に喘ぐ町村に対して、消防團とは別個に更に水防團の設置を強いるごときことは、町村の窮状を無視した無謀の挙というの他はない。
 仍つて、政府は、この場合はむしろ逆に、新法案の水防組織のために予定している前期少額の國庫負担金のごときは、これを指定水防團体たる市町村に交付し、これにより財源に悩みつつある既設の消防組織の財政的基礎を強固にする一方、前項に述べた方法により、この組織をして、水防團に代る水防的機能を一元的に強化する措置を講じ、水防法の制定を中止することがこの際はむしろ地方財政上は勿論、経済九原則の趣旨にも副う所以であると信ずるのである。
  昭和二十四年四月五日提出。
#25
○委員長(石坂豊一君) これは本法と両立しない陳情でありまするから、本法案の処理によつて決定して行くものと存じますから、さよう御承知を願いまして、更に今度本法に戻りまして御審議を願いたいと思います。
#26
○島津忠彦君 第七條ですが、二行目のところに「建設大臣及び國家消防廳長官の承認を受けなければならい。」とあるのですが、その理由をちよつと伺いたい。
#27
○政府委員(瀧野好曉君) 只今の質問にお答えいたします。第七條に都道府縣知事の立てまする水防計画につきまして建設大臣の外に國家消防廳長官の承認を受けさせるという規定がございますが、御承知のように水火災、震災等全般につきまして、消防組織法によりまして、國家機関として國家消防廳が設置されております。そうして実際の消防活動については市町村自治体がこれに当る、即ち自治体消防という建前で行われておるのであります。又自治体消防が如何に活動いたしますか、又國としての機関である國家消防廳が何をいたさねばならんか、具体的な活動の根拠を示したものが消防法というものによつて相当詳細に規定されております。國家消防廳は只今申しました自治体活動である自治体の消防につきまして、詳細な点はちよつと長くなりますけれども、行政管理は直接はいたしませんけれども、消防組織法の規定によりまして、火災等の情報或いは報告を徴したり、いろいろ消防全体につきましての助言をいたします。それから特に消防活動に要しまするいろんな資材等の割当、斡旋等もいたします。又実際市町村等で活動いたしまする消防本部、又は消防團の定員、任免、給與、服務その他市町村條例で決めまする、或いは市町村規則で定めまする礼式、服制等につきまして、國家消防廳が準則を定めていろいろ実際上の運営をいたすという建前になつております。消防組織法第一條によりまして、火災のみならず水災、震災等にも全面的に一應建前上國家消防廳が一つの國家機関としての任務を持つておりますので、今回できまする水防法に基きまする実際の水防活動の大部分と想定されますところの市町村消防機関である主として消防團、そういうものの基礎といたしまする都道府縣知事の立てまする水防計画につきまして、現在のところでは國家消防廳といたしまして、内容的に見まして、創設いまだ日浅いのでありまして、水防につきまして、國家の研究乃至任務といたしまするところは十分ではございませんけれども、実際の活動機関としての消防團その他の消防機関につきまして、先程申上げましたような指導乃至助言、割当、情報その他諸般の指導任務を持つておりまするから、これにつきまして、治水責任大臣でありますところの建設大臣の外に、國家消防廳長官の承認を併せて求めて、その内容を檢討した上で完全な水防計画を立てたいとこういう理由でございます。
#28
○島津忠彦君 どうも御説明よく私了承できないのですが、この水防計画は建設大臣だけが承認しただけでいいのじやないかと思うのですが、これは消防のことなら消防廳長官の承認を求める必要があるかも知れないけれども、水防ですから、單に建設大臣だけに承認を求めたら、これでいいのじやないかと思うのですけれども、御意見如何でしようか。
#29
○政府委員(瀧野好曉君) その議論もあろうかと思いますけれども、今申しましたように、お手許にお配りしてあるかと思いますけれども、消防関係法令におきまして、体係上この消防組織法は、少くとも全体として一應火災というものだけでなく、水災或いは地震その他の災害を全部包含しての消防活動の組織を織り込んでおる法律でございまして、ただその行爲法と申しますか、でありますところの消防法の内容が火災を中心として規定してありまして、勿論水災に対しまして消防法三十六條によりまして、水災の場合に火災の場合の規定を準用いたしておりまするけれども、午前中からの説明もありましたる通り、水防に関する詳細な規定が欠けておるというので水防法ができるわけであります。その消防活動の実体を見まするというと、市町村消防機関、特に消防團というふうなものが実際の活動の中心になるのでございますので、その消防團なるものは又水災のみならず火災その他震災等の場合においても、國家消防廳で示しまするところの諸般の指導内容、殊に先程からたびたび申上げまするように消防團の團員の定員、任免、給與、服務或いは訓練、礼式、服制というものも國家消防廳におきましてこれが準則を立て、市町村の指導をいたしまする外に組織法第二十四條におきましても非常事態におきまして、市町村だけの消防機関に任せないで、國家消防廳、それから地方警察、都道府縣知事、市町村等におきまして水災等の場合の非常事態に備えまして、予め協定して置くというふうにいたしまして、自治体消防を原則といたしておりまするけれども、或る程度國家乃至都道府縣におきまして、かような規制を行いまして、消防活動即ち水防を含めました意味の消防活動につきまして一つの規制を與えておるような次第でございまして、その活動体を如何に編成いたしまして、水防の場合に備えるかということは直ちに以て消防全体の活動にも影響するところでございまするし、その外の消防組織法におきましてもこの水害を含めた意味の消防に関しまして、市町村に対しまして、國家消防廳は一つの任務を持つておりまして、助言を與えたり、消防團体が要しまする資材等も現在におきましては、いろいろ消防團用のいろんな資材等の割当等もいたしておることもございまするし、如何に水防上消防團というふうなものが動いて行くかということは当然関心を持たざるを得ない関係もありまして、入れて頂くことに……
#30
○島津忠彦君 只今御意見伺つたのでありますが、この点につきましては事務の簡素化という点から考えましても、建設大臣と國家消防廳長官両方に承認を受けなければならないということはどうも私了承し難いので、ただ單に承認は建設大臣から受けて、そうして國家消防廳長官にその承認を受けたことを報告するということの方が合理的じやないかと思うのですが、その点について政府の御意見を伺いたいのですが。
#31
○政府委員(瀧野好曉君) そういう御意見も一つの御意見であろうと思いますけれども、先程から申しますように、主として消防團を考えますが、それ以外に消防本部というような常設機関を設けておる市町村もございますが、実際活動を要します消防團等の活動につきまして、何といいますか國家的なお世話と申しますか、それがどういうふうに水防計画上現せれておるかということは又別の観点から消防廳としても考えなければならない。お説のよりに行政簡素化ということは必要でございますけれども、実際上現在の複雜な市町村自治体等の活動方面につきまして、國家機関が常に眞直に一本でいろいろ指導或いは諸般の企画の上でタッチするというわけではありませんので、簡素化は勿論必要でございますけれども、又こういう基本的な計画等につきまして、関係を持つております国家機関が、直ぐ一つの計画につきまして、参画するということはしばしばあると思われますし、又それだけの理由があると思うのでございます。ただいつも頻繁にあるものでございませんし、やはり都道府縣知事が市町村のやりまするこの実際の水防計画につきまして、十分行き渡つた内容のものを作らせることが必要と思いますので、やはり愼重と申しまするか、その建前からいたしまして、直ぐこの國家機関が参画するということは、それ程の重大な事務の複雜化にならんと了解しておるのであります。
#32
○原口忠次郎君 政府の御説明を聞いておりますと、この水防法の主務官廳というのは建設省ですが、それで主務官廳の建設大臣が許可すればいいことであつて、それに事務が関連するので各省大臣の承認を得なければならん、そういうことは徒らに事務を複雜にしまして、これは大変なことだと思う。それで御説明の趣旨はよく分るのですけれども、関係のあるところの大臣が全部許可をするということもどうかと思いますので、私はやはり國家消防廳長官等の承認は要らないことじやないか、そういうふうに思いますが、それで今政府の御説明はよく分るのですが結局島津委員の言われておるようにいたしますと、政府の方々にどういう御不便があるかということをお尋ねして置きます。
#33
○政府委員(瀧野好曉君) 先ず火災時の場合の活動に関連して、水害と火災が同時に起るとは考えませんけれども、関連性を持つて活動体がそういう数個の任務を持つておりますので、この消防團の行き方についてそれではどういうふうに運用されるか、火災だけに動くものならよいのですが、水害にも動く、そういう活動機関をいろいろどれだけの数のもので編成されるかということも知らなければ困るし、先程も繰返しますように、消防團のいろいろな服務或いは定員、任免、或いは服制等いろいろ消防團の活動についても、内容的に國家消防廳が準則を決めていろいろ指導するというように、水防の面において一体どれだけのものを要し、活動せしめるかというような基礎となります水防計画を、全然意見なしにただ報告を受けるというようなことで、果して平素の指導ができるかどうか、或いは資材なら資材……主として消防團員の制服であるとか、或いはその他の消防團の題いますいろいろな資材等、現在安定本部等の割当を求めて実際に國家消防廳におきまして、市町村の消防機関に配当しておりますような関係もありますし、その他細かいことを申上げればあるのですが、建前がそのようなふうに組織上成つておりますので、それを全然意見なしに報告を受けるということだけでは、國家消防廳、廣い意味の消防活動につきまして困るじやないか、さように考えるのであります。
#34
○北條秀一君 只今のに関連しまして、極めて簡單に一点話して頂きたい。余り長く説明されておると、迷惑で判断できませんから、簡單に一つ……
 今の問題は國家消防廳長官の承認を得るということは、御説明において分らないような氣がするのですが、これは國家消防廳長官の承認を得るには、私の理解では、いざというときに消防体の援助を得なければならないという問題が起るのだと、そう私は思うのですが、そうなると、この法案の中にありますように建設の協力を求めなければならない場合があるから、むしろこれは建設大臣と國家公安委員会の承認を求める、その方が合理的だと私は思います。これについて政府のお考えを承ります。
#35
○政府委員(目黒清雄君) 特に國家消防廳となつておりますのは、現在におきましては町村單位に水防活動をするのは大体水防團であります。これを主体にして行かなければならんと思います。先程町村会長の方の反対もありましたが、現在この外に水防團を併立して作るようになりますと、なかなか町村の費用負担が多くなりますので、できるだけ消防團を活用して行きたい。そして止むを得ない場合、或いは数ケ町村に跨るものは水害予防組合のようなものの発達をしておるものを水防團というようなことにして行く、そうすると先ず主体は消防團になる。そうすると消防團に関係のある國家消防廳の方との密接なる連携がなければ活動が円滑でないということになるわけです。それが今のような承認という形になつて現われて参りましたが、そういう考え方で進んでおります。
#36
○北條秀一君 この問題につきましては、島津、原田両委員から御質問があると思いますが、時間の都合がありますので、私は全体的な問題について、三点を先ず御質問をしたいと思います。
 一点は都道府縣に設置する水防協議会というものが、縣の議会と全く無関係に置かれておる理由は私は分らないのですが、それは何故こういう水防協議会というものを縣議会と遊離させたか、遊離させるべき積極的な理由があれば承りたい。
 第二点は水防の信号であります。先程委員長が、自分の経驗から水防の信号について言われておりましたが、この規定によつて、信号を定めるということになつておりまして、各縣まちまちに水防信号を定める、これでは恐らくいざといつたときに、川の向う側と、こつち側で信号が違うようなことでは、人心を攪することが甚だしい。こういうものこそ全國的に一定すべきである。これを何故一定しなかつたか。
 第三点は、今の水防信号と逆に第二十七條によりますと、「都道府縣は、條例で、指定管理團体の水防團員の定員の基準を定めることができる。」補助も出さない、そうして管理團体を作れ、水害予防組合を作れ、こういうことを言つて、而も先程説明を聞きますと、自然発生的なものであるという際に、定員を決めることができるというのは、どこを押せばそういうことが言えるのか、定員は各自治團体に任かせて置けばいいと思うのですが、この点についてどういうわけでそういうことになつたかお聞きしたいのであります。
#37
○説明員(伊藤大三君) 今の都道府縣会と水防協議会との関連の問題ですが、第八條によりまして、一應委員が何名ということは、これに書き上げておりますが、都道府県協議会において必要なる事項については、省令でこれを定めることにいたしておりますので、省令を都道府縣会において審議して頂くことで関連がついて來ると存ずるわけであります。
 それからこの信号の問題でございますが、信号は第十三條で行きますと「都道府縣知事は、水防に用いる信号を定めなければならない。」そういうことになつておりますから、全國一律でないから、こういう問題が出て來るかと存じます。先ずその点につきましては、條文ではつきりいたしておりませんが、これは私の方といたしましても、この法案が通りますれば、よくこの点について統一ある方法で指導して参りたいと思います。ただ一府縣内に関する限りにおきましては、この條文によりまして、信号が統一できると、こう存じておるわけであります。信号の内容につきましては、消火の関係の信号との関連もありまして、これは十分に研究いたして参りたいと存じておるわけであります。
#38
○久松定武君 私お伺いしたいのは、二十九條の水位観測施設、量水標とか、驗潮儀等についての管理に関する規定がありますけれども、実際のところ見たときに、これらが管理されておるかどうかという点については非常に疑問に思うのですが、これを管理されるのは、地方團体関係の團体によるものでございましようけれども、その監督は十分政府としてやつておられるかどうか。例を挙げますと、先年の南海地震においても驗潮儀のごとき、完全なものが一つもない、殆んど狂いを生じている、戰時中は監督も行われていなかつた。その結果は地盤がどのくらい落ちたかということも分らない。そのまま放棄されておるというような現状であります。今以て完全なものがないこういうような点から考えますときに、量水標とか、驗潮儀とか、水位観測の施設というものに対して、十分の管理が今までは行われておらないように思うのでありまして、これは政府当局としてどういう考えを持つておりますか。
#39
○政府委員(目黒清雄君) 量水標、その他のこういう重要なものの管理でありまするが、大体において現在やつておりますのは、國が管理するものと、府縣が管理するものと、その重要さによつて分れておりまするし、更にこの水防法によりまする河床の浚渫、更に補足的な管理をやりたいというのが、水防法に現われておるのであります。どうしても重要であるポイントのこういう標識の管理は、國又は府縣知事がどこまでもやる責任を持ちたいと考えておるのであります。
#40
○石坂豊一君 それでは暫時休憩いたします。
   午後零時六分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時二十八分開会
#41
○委員長(石坂豊一君) 只今より再会いたします。速記を止めて……
   午後二時二十九分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時五十九分速記開始
#42
○委員長(石坂豊一君) 速記を始めて……。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時散会
 出席者は左の通り。
   委員長     石坂 豊一君
   理事
           原口忠次郎君
           仲子  隆君
           島津 忠彦君
   委員
           島田 千壽君
           堀  末治君
           水久保甚作君
           安部  定君
           久松 定武君
           北條 秀一君
   建設政務次官  赤木 正雄君
   建 設 技 官
   (河川局長)  目黒 清雄君
   國家消防廳管理
   局長      瀧野 好曉君
   常任委員会專門
   員       菊地 璋三君
  説明員
   建設事務官
   (河川局次長) 伊藤 大三君
ソース: 国立国会図書館
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