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1949/05/17 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 外務委員会 第6号
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1949/05/17 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 外務委員会 第6号

#1
第005回国会 外務委員会 第6号
昭和二十四年五月十七日(火曜日)
   午前十時二十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○在外公館等借入金整理準備審査会法
 案(内閣提出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤尚武君) それではこれから委員会を開きます。先ず在外公館等借入金整理準備審査会法案を議題といたします。この際政府の御説明をお願いいたします。
#3
○政府委員(近藤鶴代君) 只今議題となりました在外公館等借入金整理準備審査会法案について提案理由を御説明いたします。
 本案を提出するに当り政府が考慮いたしました点は次の通りでございます。本法案の対象となつております在外公館等借入金とは、終戰に際しまして日本から外國へ送金できなかつたため、東亜各地における在外公館、居留民会等が、在外邦人の救済、引揚等に要する資金を各地において居留民から借入れたものでございまして、右関係の債権者は約二十八万円、借入金額合計約九億円と見積られております。本件借入金の返済につきましては、國会におきましても請願、陳情などを採択し、内閣に対し適当措置するように要求された経緯もございますし、又引揚同胞対策審議会も本件借入金の速かなる決済を要望し、特に少くともこれを政府の債務として確認する措置をとるよう政府に勧告されたのでございます。
 この度政府が本件借入金を調査確認し、以てこれで整理の準備を進めることにつき関係筋との間に話がまとまりまして、本法案を國会に提出する運びとなつた次第でございます。
 從いまして速かに御審議の上可決されますことを希望いたす次第でございます。
#4
○委員長(佐藤尚武君) 本案について御質疑のおありの方は御質疑をお願いいたします。委員の方に御質疑がなければ私から一つ二つお伺いしたいと思うのでありますが、第一條の二項に「この法律において「借入金の確認」とは、政府が現地通貨で表示された借入金を法律の定めるところに從い、且つ、予算の範囲内において、將來返済すべき國の債務として承認することをいう。」とあります。政府が現地通貨で表示された借入金を法律の定めるところに從い、予算の範囲内において將來返済すべき國の債務として承認すると、この「法律の定めるところに從い」というのは、これはどういう法律を指しているのですか。説明員の方に。
#5
○説明員(小島太作君) この第一條二項にございます「法律の定めるところに從い」とありますこの法律は、この法案でいう確認措置をとられた債務を現実に返済するときに当つては、將來更に別個の法律が制定されることを予期いたしておりまして、その法律の中で現実支拂の態樣だとか換算率とか、その他必要な事項を規定して置くという考えに立つております。
#6
○委員長(佐藤尚武君) それでは続いてその予算の範囲内において將來返済すべき國の債務として承認する、そうすると、借入金がその法律によつて確認されて、そうしてこれをいよいよ支拂うという場合には、予算を請求して、そうしてその予算の範囲内で拂つて行くというわけですか。或いは予算が今年はこれ切り出ないから、予算が通過しなかつたから、借入金の一部をその予算内で拂う、又残つた部分に対しては翌年予算を請求して拂つて行く、こういうような意味での予算の範囲というのでしようか、その辺のことをどうぞ説明員の方に。
#7
○説明員(小島太作君) 只今御質問のありました二点のうち後者で行くものと考えております。予算の範囲内とございまするが、法律で定められた方式に從つて拂う場合に、予算が不足であるから打切るというような意味は全然ありませんので、予算の予定のつくところに從つて逐次決済して行く。勿論その当初の年度において完済し得るものならば、それを以て完済さしたいという希望を持つておるわけでございます。
#8
○委員長(佐藤尚武君) それから続いてもう一つ二つ。この法律の目的となつておる借入金というのは、地域別にいつてどの辺のことをいうのですか、或いは中國とか或いは南方とか……。
#9
○説明員(小島太作君) このような借入金の行われました地域は、実は混乱の時代に起つた事柄でございまして、その全貌を完全に把握するということは今までのところまだ極めて困難であると申上げなければならないのでございますが、少くとも現地において在外公館長なり日本人居留民会等の責任者が本件の借入金を取扱われた範囲におきましては、大体において政府にその概要が報告されておる次第でございますが、その報告に基きまして只今まで現われておる地域は満洲、関東州、朝鮮、中國及び南方でございまして、この南方にはフイリッピン、佛印、シヤム、マカオ、これだけの地域が判明いたしておる次第でございます。
#10
○委員長(佐藤尚武君) そうすると、審査会には委員六名以内を外務大臣が任命することになつておりまするが、成る程今提出された審査会法の参考資料によると、これらの六人の委員は、現地において借入金に関係の深かつた者から選ぶこととなろうとありますから、よく分るのでありますが、そうするとこの借入金に関係のあつた人たちというと、先ず借入れた先の銀行であるとか居留民会であるとか、そういう人たちのことを言うのであろうと思うのですが、その任命された六人の人たちが、今御説明になつた全部の地域に対して審査をするということになるわけなんですか、多分そうだろうと思うけれども、念のためにお伺いして置きます。
#11
○説明員(小島太作君) ここに「委員六人以内」とございまするが、この六人という数字は、満洲、関東州、朝鮮、中國及び南方という大体の区分けをいたしまして、これを基準に算出したのでございますが、南方は先程申上げましたように地域が多いのでございますが、全額の面から行きますと、満洲などに比べて極めて少額でございまするので、その金額の重要性から勘案して大体六人ぐらいの中に借入金の現地取扱責任者等が含まれるかと考えた次第でございます。
#12
○委員長(佐藤尚武君) もう一つ御説明を願いたいのは、借入金に関しての債権者が約二十八万名、借入金額合計約九億円となつておりますが、政府の持つておられる資料によつて、この今の諸地域の大体の借入金の内訳はお伺いできますのですか。例えば満洲はいくら、北支はいくらというように大体のところでいいのですが、参考までに……若しそういう金額の資料をお持ちにならないならば、何も今言つて頂く必要はないのですが……
#13
○説明員(小島太作君) 只今の御質問に対しましては、現地通貨で答えましようか、それとも大体の換算した邦貨標準で……。
#14
○委員長(佐藤尚武君) 換算したものがあれば尚結構です。
#15
○説明員(小島太作君) それでは地域別に一應の換算率に基いて算出したところを申上げますと、満洲が大きな数字で申上げますが、六億六千九百万円、関東州が一億三千万円、朝鮮が七千四百万円、中國及び南方を一括いたしまして四千二百万円、総計で九億一千七百万円と概算されております。この総計は只今前の数字を小さいところを省きましたために、そのまま合計いたしますと相違が出ると思われます。
#16
○委員長(佐藤尚武君) それから最後に、この法律の施行期日は來年の五月一日までの間において、政令で定めるということになつておりますが、來年の五月一日というと先が長いような氣がするので、勿論それは最大限來年の五月一日にいたすということであつて、審議の済み次第もつと早く定められるわけでありましようけれども、その辺政府は、やはり來年の五月一日までかからなければ審議ができないとか、そういうお見込みですか。若しくはもつと早くやるつもりでいるがとかいうふうな御説明になりますか。私は成るべく早い方がいいと思うのであつて……。
#17
○説明員(小島太作君) この施行期日の点は、この借入金の整理準備審査会を設けるにつきましても予算を要しまして、関係方面との了解がつきました時期は、すでに本年度予算について新らしく要求をすることのできる時期が過ぎておつたのであります。そこで單なる事務機構としての審査をするについての費用も予備費も、追加予算では目下の情勢で極めて困難であるという見通しがございましたので、一應最も確実なところは、來年度予算に組入れる。併しながらそのときの情勢で追加予算等のことが許されますならば、そのときにおいてもできるだけ早く行うようにする。この含みをもちまして二十五年五月一日までの間においてという書き現わし方にした次第であります。
#18
○委員長(佐藤尚武君) 外に御質問ございませんか。
#19
○伊東隆治君 私は二三お尋ねしますが、先ず第一條に「これに準ずる團体」とか又は「これらに準ずる経費」という文字がありますが、先ずこれに準ずる團体というのはどういう團体が当時あつたのですか。
#20
○説明員(小島太作君) この借入金を取扱いました團体は、現地責任者からの報告に基きますと、戰時中から比較的強固な組織を持つておつた民團、民会等がございますが、地域によりましては、戰鬪の状況に應じて、到底旧來の組織が維持できないために、多数の避難民が集結いたしまして、その間におのずから新らしい相互扶助の事業を行うというような團体ができ上つた次第でございます。この点は混乱時のことでございまして、はつきりとどういうものに基いてどこの認可を受けておつたかというようなことは、これに適用することは困難なのが多いのでございますが、その行なつた救済事業、引場に対する協力というような面から不特定の多数の避難民等を救済したというふうに立証できる團体をここで考えておる次第でございます。それは結局全貌が分るまでは、どれをこれに準ずる團体と言い得るかが断言できないわけでございますが、その点は後の條文にございます審査会において檢討をするということにしております。
 それから「引揚費、救済費その他これらに準ずる経費」と申しますのは、もとよりその引揚費、救済費がその大部分を占めているのでございますが、これもそれに関連したどのような費用があつたかということは、関係者から証拠資料を提出させることによつて初めて分るのでございまして、大勢の引揚民の引揚救済に直接関連のあつた費用と認められる限り、この法律を以て確認すべき事項に入るのではないかという考えで、準ずる経費としてあるのでございます。
#21
○伊東隆治君 してみると、これらのことも審査会で審査してみるということになると思いますが、この審査委員会の任務ですが、第一條には借金の整理のためだというふうになつておりますが、その借金の整理ということは、むしろ借入金の確認ということがその大部分を占める事項だと思いますが、この借入金の確認の問題ですが、これは佐藤委員長からさつき御質問がありましたが、これは借入金というものは趣旨として予算の範囲内においては大体、全体返すということは全部容認して返すという、こういう建前でこれはできておるのでありますか、それともどういう制限的な氣持でできておるのでありますか。
#22
○説明員(小島太作君) 借入金の確認の段階におきましては確認すべきものは全額確認するという方針に立つておるのであります。これを現実に支拂う場合には又別個の基準を定める法律を予想しておるものでございまするが、その法律には恐らく内地在住者が終戰後受けました諸般の金融的措置等が、均衡の問題として、当然この新らしい法律で支拂を定めることに反映しまして何らかの制限が附されるものと予想しております。
#23
○伊東隆治君 その何らかの制限というのは額に対する制限ではなくて支拂方法に対する制限ですね。
#24
○説明員(小島太作君) 最も大きな制限となり得ると予想しておる点は、最高限度の設定の点でございます。
#25
○伊東隆治君 そうしますと、最高限度と申しますと九億円、この全体の限度を、例えば今九億円であればこれを國の予算の関係から大体五億に抑えてしまうというような点なんですか。
#26
○説明員(小島太作君) むしろ一人の個人の債権額それぞれにおきまして、支拂う最高限度が附せられるということでございます。
#27
○伊東隆治君 そうしますと各個人によつて最高限度が附せられるということは審査委員会でそういうことが決められるのでありますか、或いはその後法律でそういうことの標準が決められるのかと思いますが、各個人の金を提供した、借入金を提供したのを個々の者に應じての関係をやろうとこういうわけなんでありますか。言い換えますと例えばここに甲も乙も十万円ずつ提供した、併しながら提供したという事実の確認があればそれらに十万円ずつやればいいのに、そうじやなくてその個人の例えばいろいろの事情を斟酌してその個人々々について或る者には九万円、或る者には八万円ずつ、同じ十万円提供しても人によつて違う。こういう意味なんですか。
#28
○説明員(小島太作君) 債権者個人個人の事情に應じて支拂額を上下するという考え方は全然持つておりません。併しながら人によりましては相当巨額な資金を提供いたしておりまして、これを確認の段階においてはそのまま確認いたすことになりまするが、支拂の段階においてそのまま支拂う額が、内地在住者の立場に較べて均衡が取れているかどうかというような点を考慮に入れますと、全額そのまま支拂うということは甚だ均衡を失することになるというように考えられますので、その方面の考慮から一口について最高限手取りがどの程度になるかというようなところが標準とされべきだと考えております。但しこの一体確認された債券をかような形で最高限度を設定してしまうことができるかどうかということは、まだ若干疑問があるのでございまして、只今事務的に考えて見るところでは、いわゆる戰時補償打切というあの措置に際して取られました方式などが、一案として考えられておるわけであります。
#29
○委員長(佐藤尚武君) 外に御発言もなければ質疑は終局したものとみなして討論に入りたいと思いますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めましてこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを頂きます。
#31
○伊東隆治君 本案は当時の嚴格なる爲替下において、在外資本を日本に持つて來ることはできなかつたことは我我のよく承知しておるところでありますが、それだのにそれらの篤志の借入金の提出者は、その篤志を以てこれらの金融で在留民を援助した廉を以て、今日事実上その爲替管理による在外資本の國内持込を今日においてなし得たというような結果になるわけではありますけれども、当時の事情を斟酌いたしましてこれは止むを得ないことでもあるし、又これらの篤志家の篤志に報いることだとも思いまするので私は賛成するものであります。
#32
○委員長(佐藤尚武君) 外に御発言もなければ討論は終局したものとみなして直ちに採決に入りたいと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めましてこれより採決に入ります。在外公館等借入金整理準備審査会法案を議題といたします。本案に賛成の方の御挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#34
○委員長(佐藤尚武君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決されました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりまするが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑應答の要旨討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次に本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本案を可とせられます方は順次御署名を願います。
 多数意見者署名
   徳川 頼貞   伊東 隆治
   淺井 一郎   伊達源一郎
   團  伊能
#36
○委員長(佐藤尚武君) これからの委員会は速記を中止して行いたいと思いますから御了承願います。
   〔速記中止〕
#37
○委員長(佐藤尚武君) 速記を始めて、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時九分散会
 出席者は左の通り
   委員長     佐藤 尚武君
   理事
           徳川 頼貞君
           伊東 隆治君
   委員
           團  伊能君
           淺井 一郎君
           伊達源一郎君
  政府委員
   外務政務次官  近藤 鶴代君
  説明員
   外務事務官
   (管理局総務課
   長)      小島 太作君
ソース: 国立国会図書館
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