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1949/04/21 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第7号
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1949/04/21 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第7号

#1
第005回国会 運輸委員会 第7号
昭和二十四年四月二十一日(水曜日)
   午後二時五十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國有鉄道運賃法の一部を改正する法
 律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(板谷順助君) これより会議を開きます。運賃改正法案が予備審査のため本委員会に付託されましたので、これより運輸大臣から提案理由の説明を願います。
#3
○國務大臣(大屋晋三君) 昭和二十四年の國有鉄道事業特別会計の予算については、別途予算案として國会の御審議を願いましたが、今回の予算編成に当りましては、経済九原則に従い、特別会計の独立採算を絶対要件といたしましたので、従前のごとく收入の不足を一般会計よりの操入等を以て補填するわけには行かないのであります。從つて完全なる收支の均衡を得るためにに一面支出予算に極度の節減を行い、営業費の予算額を千百二十八億八千五百万円とし、二十三年度の予算額に比し、僅かに百二十二億二千万円の増加に止めております。二十三年中には二回の給与ベースの引上げがあり、物價体系も七月に大幅の改訂がありましたことを考慮に入れますと、徹底的に緊縮した予算と言い得るのでありまして、この間の事情はよく御了承願えることと存じます。
 一方收入については現行の運賃率を以てしては年間約九百二十二億円程度の收入なり、営業費と利子債務取扱諸費、減價償却相当額資金繰入れ、予備費等を含めた損益勘定の支出額一千一百五十二億円に対して相当の不足を生ずるのであります。この不足額を補填するために不用不急施設や、物品の賣却、広告料等、運賃以外の雑收入の増加を計上いたしましても、尚二百三十億二千六百萬円の不足となる次第であります。この不足額だけは誠に止むを得ぬことながら運賃收入の増加を図らなければ、独立採算制に基く均衡財政の実施ができない次第であります。
 この二百三十億円に相当する運賃増收を図るに際しまして、旅客運賃、貨物運賃の何れを値上げすべきかの問題があるのでありますが、日本経済自立のために要求せられております経済九原則の根底に、現行の物價水準の維持ということが強い要請となつておりますので、この際は物價に影響を及ぼす虞れある貨物運賃の改訂を見合せ、專ら旅客関係運賃の引上げを行うことにしたのであります、即ち普通旅客運賃については一律に約六割の値上げを行う予定であります。航路旅客運賃及び急行料金等についても同様であります。ただ急行料金につきましては、今後運轉を予定されております特別急行料金の制度を新たに設定したのであります。
 御承知の通り旅客運賃は諸物價に比して最も値上げの割合が低いものでありまして、一般物價に昭和十一年に比して約百九十一倍の値上りになつているのに対し、旅客運賃は僅かに五十倍程度で、これを六割値上げいたしましても八十倍程度となり依然として一般物價に比して低位にあるわけであります。
 定期運賃についても割引率の異常に大きい三ケ月、六ケ月の長期定期の割引率を廃止することにいたしました。現在定期の割引率に六割引から最高九割四分引という諸外國にも例を見ない高率のものでありまして、運賃改正の都度普通運賃との不均衡が甚しくなりますし、独立採算の建前からも輸送原價に比して著しい割安となつている定期運賃を是正したいと考えておる次第であります。又この改正によりましても一ケ月定期運賃の賃金ベースに対する比率は、昭和十一年の当時に比較して尚低い割合となるのであります。この外手小荷物運賃についても郵便小包との均衡を考え、且つ旅客と同じく旅客列車を以て輸送される性質に鑑み、四割乃至六割の値上げを行うことにいたしたのであります。
 以上を以て運賃改正の概要の御説明を終るのでありますが、國有鉄道運賃法に関する改正案といたしましてはそのうちの基本的賃率である第三條の普通旅客運賃の賃率、第四係の航路旅客運賃及び第六條の急行料金の三点についての改正について御審議を願う次第でありますが、爾余の改正点につきまして國会の御了承を得て実施いたすつもりであります。
 以上の改正によりまして、普通旅客においては昨年七月の改正に鑑みましても、或る程度利用度の減少が予期されますので、増收額は利用減を一〇%見込みまして百七十一億一千万円、定期旅客は四十七億七千四百万円、手小荷物その他で十一億四千二百万円、合計二百三十億二千六百万円となるのであります。
 國民生活の耐乏が一段と要求せられますときに、国民大衆の負担を増加する旅客運賃の改正は誠に忍びざるものがあるのでありますが、経済九原則の要求する國鉄財政の均衡化のために御了承願いたいと存じます。
 尚貨物運賃の据置によつて機帆船その他の運輸機関との運賃調整の問題が残ることは十分承知しており、且つ貨物運賃は輸送原價の半ばにも達しない現状でありますので、合理的な運賃体系に復することは國鉄の経営上も極めて必要であると感じておりますが、今日は物價政策上その適当な時期ではないことを遺憾に思う次第でありますが、成るたけ近き将来においてこれが是正を考慮いたしたいと考えております。
 最後に豫算的にも本運賃改正は五月一日実施のことにして編成されており、実施期日が遅れますことは收入不足を生ずることとなりますので、慎重御審議の上成るべく速かに御承認あらんことを切望する次第であります。
#4
○委員長(板谷順助君) これより質疑に入ります。如何でしようか。
#5
○橋本萬右衞門君 旅客運賃の引上の六割は分りましたが、従来二等は三等運賃の三倍であつたにも拘わらず急行運賃の二倍というのはどういう節ですか。これも同一倍数にすべきではないかと思いますが……。
#6
○政府委員(加賀山之雄君) 御承知の通り元は二等が二倍、それから一等が四倍になつておつたのでありますが、運賃につきましては今橋本さんが言われましたように三倍、六倍、こういうふうになりました。その上に急行料金もその割合で附加いたしますと、非常に急行列車を利用される方の負担が重過ぎやしないか、全体の、運賃と両方合せた考え方にいたしまして、急行料金は二倍、三倍、かようにいたしたわけであります。
#7
○橋本萬右衞門君 これは三倍にするお考えはございませんか。
#8
○政府委員(加賀山之雄君) 只今としては現状のままで行きたいと思つております。
#9
○委員長(板谷順助君) 他に御質疑ありませんか。
#10
○小野哲君 私は運賃制度の問題の質問ではありませんで、二十四年度本予算とこの運賃法の改正法律案との関係について政府の御所見を承わつておきたいと思います。
 二十四年度の予算は御承知のように昨晩成立したわけでありますが、この予算を実行するために必要な法律がまだ整つておらないものがあるわけで、その中でも特に國有鉄道の運賃法案の改正が、豫算の成立以後において御提案になつたわけでありまして、この点は通信料金の場合と同様と考えるのでありますが、予算の成立以後において、この法律案の取扱い方如何によつては、豫算の実行に相当大きな支障を來たす虞れがあるのじやないか、こういうふうに考えるので、從つて本委員会としては、事前に再三政府に対してこの運賃改正案の提案について督促もいたしておつた次第でありますが、今日のような状況に立至つたことは誠に遺憾に考えられます。私の考え方によれば國有鉄道の予算の成立と運賃法案の審議は少くともときを同じうすることが望ましいことである、更に几帳面に申しますと、鉄道運賃法の改正が豫算の成立に先行すべきことが望ましい、かように思うのでありまして、政府は如何なる場合においても、この運賃改正法の處理如何によつて、豫算に及ぼされる影響を十分にお考えの上で、この法律案を御提案になつたのかどうか、又万一のことがあつた場合において、政府は如何に処理されようとされておるか、この点についての御所見を伺つて置きたいと思います。
#11
○國務大臣(大屋晋三君) 只今小野君の御意見は誠に御尤もな次第でありまして、本來運賃の改正法律案はお説のように予算案に先行又は少くとも併行して御審議を願うべき性質のものであつたのでありますが、いろいろOKの関係や何かで事前審査はお願いをいたして置きましたが、本提出が遅れたことは重々遺憾に思つております。その結果或いはこの法案の取扱い如何が本予算にも影響を及ぼすという点も御尤もでありますが、今回はさようなわけで、併行的に少くとも予備審査だけはお願いいたしで置きましたが、本法案が遅れました点は誠に恐縮に存じておる次第であります。尚又これが取扱の如何によつてに影響があることも勿論万々承知しておりますが、今回はさようなことのないように一つ是非お願いしたいと思つております。
#12
○委員長(板谷順助君) この点につきまして、実は今予備審査というようなお言葉がありましたが、この委員会においてはまだ別に……、新聞で見た程度で、それに基いて我々が研究調査をいたしておつたような次第であります。従つて運賃改正法案を成るべく至急出して貰いたいということは再三督促したのであります。併しお話のOKの関係で延びたということは遺憾でありますけれども、併しながらこの委員会において審査の結果或いは予算の変更を來たさなければらならいような事態にならないとも限らないのでありますが、これは一つ御了承置きを願つて置きたいと思います。
 尚この際念のために伺つて置きますが、只今大臣の御説明によりますと、二百三十億の赤字のために旅客運賃六割値上をする、貨物は低物價というか、或いは物價に影響あるものに上げないというようなお話がありましたが、例えば主食のごときその他やはり相当に値上りされておるもの心あるような次第であります、そこで私共が痛切に感じますることは、即ち海陸運賃の調整であります。御承知の通り鉄道貨物は政策運賃であり、汽船運賃も亦政策運賃で、運営会に対する國家の補助も相当いたしておるという状態であります。我々が先般いろいろ調べたる結果、昭和十一年における物價と運賃の割合、貨物運賃の割合が四・六、そこで現在の物價に比較して見て、貨物運賃を幾ら上げたならば、つまり戦前における運賃と同様になるかという調べの結果、七割上げたならばやはり現在の物價に対する運賃の割合が四・六、こういう計算が出るのであります。そこで段々資料は運輸当局から出た分もありまするけれども、貨物運賃を仮に今申上げましたような戦前のその割合に比較して、七割値上するということになりますと、本年度の貨物運賃の値上り三百三十六億、その中進駐軍関係が二十七億、これはまあ実費支弁ということになつておりますから、これを引くというと三百九億、これに対する七割を増すとすれば五百二十五億となつて、この増收が二百十六億、今御説明の赤字二百二十億を補填する、この見地から行きまするというと、尚十四億不足である、そこでこの十四億をどういう方法によつて操作するかといえば、これは旅客運賃を上げないでも、いわゆる特別會計として二百三十億とれるという見込みと、又将来貨物運賃を改正するというような御意思もあるようでありまするけれども、苟くも鉄道会計が公社組織となつて、この際独立採算制の確立を図る上においては、むしろ或る程度まで貨物運賃が原價から見て收支償うというところまで持つて行かないというと、折角公社組織になつたこの独立を危くするというような非常な懸念があることを私共も恐れておりますが、勿論関係方面の事情もありましようけれども、併しこれに対して大臣が將來において公社としてどういうふうな基礎の上に持つて行くという考えであるか、その点を一応伺いたいと思います。
#13
○國務大臣(大屋晋三君) 今回の運賃、國鉄の赤字を克服いたしまするために結論的には旅客運賃を六割上げるということにお願いたしたのでありまするが、そう持つて行くまでの過程といたしましては、最初は貨物運賃のみを今の運賃の一〇〇%上げる方法のみによつて、赤字を克服するという考え方を先づ考えて見ました。それから次いで貨物運賃の一部値上をし、旅客運賃も亦一部値上をして、両方の値上の増收を合算いたしたものを以て赤字を克服するという方式も考えて見ました。そうして最後に旅客運賃のみ結局結論的に上げるということにいたしたのでございますが、これはいろいろさような過程で愼重に調査いたしました結果、いわゆる九原則の線に沿いまして、低物價政策を堅持するという建前からいたしました場合にに、旅客運賃値上が決して各物價高騰の素因をなさないとは申さないのでございますが、併し貨物の運賃を上げることの方がより多く物價に影響を與えるという見地と並びに関係方面の意向も斟酌をいたしまして、結局旅客運賃を六割値上げすることに決定いたした次第でございます。そこで次にその結果貨物運賃の据置となりました関係上、ここに海陸の運賃の面に非常なアン・バランス、不均衡が出來をいたしましたことは、これは非常に困つたことでございますので、且つ又その他最近に突発いたしました機帆船等に対する油の供給の量が著しく減少したというような事柄と相俟ちまして、我が國の小型船舶、軽快なる機帆船業の根柢に非常なシヨツクを及ぼしました。場合によつてはこれらの産業が壊滅に瀕するというところまで、実は行き掛かつているのでございますが、後者の油の問題につきましては、成るべく少くして貰う方法に従いまして、その筋と交渉を進めておりまするし、又アンバランスの運賃の面につきましては、海陸の運賃の不均衡の面につきましては、近い将来にチヤンスを作りましてこれを何とか是正いたしたいと思つておりますが、只今のところではどういう賃率でそれを是正するということを申上げる段階に至つていない次第であります。
#14
○飯田精太郎君 只今大臣からのお話で、貨物運賃の値上げは、物價に大きな影響があるが、旅客運賃は大した影響がないので、この際物價系統を崩さんために旅客の方で値上げをしたという話でしたが、物價に対する旅客と貨物の影響という点について、何か数字的な根拠でもおありなんですか。
#15
○國務大臣(大屋晋三君) ございます。それは一つ籔谷君から御説明申上げます。
#16
○政府委員(藪谷虎芳君) お手許に差上げました運賃関係資料という表の冊子がございます。その中先ず第一表から仮に重要な表だけ御説明申上げます。第六表経済諸指数、これを御昼頂きますと一番左には國民所得が昭和十一年を基礎といたしまして、百四十八倍程度に上つております。眞中頃の物價指数、これを御覧になりますと、卸賣りが百九十一倍、小賣が二百十倍、それから給与の指数の欄を御覧願います。一番右に工業勤労者のサラリーの指数が出ておりますが、百三十七倍程度になつております。これと比較いたしまして、國鉄の運賃指数は次の第八表各運輸機関別運賃指数というのがありますが、これは昭和十一年をやはり百といたしまして、旅客が最初の一キロ当りの運賃五七・六九倍となつております。これを平均に直しますと、五十倍であります。それから貨物の運賃は大体七十二倍程度になつております。かようなことで非常に物價とのバランスがとれないということがお分りだと思いますが、他の運輸機関、海運、自動車に比べましても、同様に指数がここに現われております、そこでお尋ねの先ず貨物に対する運賃との関係でありますが、お手許に差上げてあります表の中で第十六表をお開き願いたいと思います。第十六表を御覧願いますと、鉄道に掛かりまする総貨物の平均價格に対するトン当りの平均運賃というものの比較を見ますというと、総貨物につきましては〇、七七であります。その中から二十七の主要品目につきまして摘出いたしましたのがこの表でありますが、その表の中で例えば米が昭和十一年、戦前におきましては價格に占むる運賃の割合が僅かに一・一%であります。ところが二十三年の九月におきましては、〇、五四であります。これを二倍上げましても、戦前と同様な状態に立ち至るだけであります。かようにして各品目についてずつと平均いたしますと、昭和十一年度においては價格に占むる運賃の割合が四・六一%でありまして、現在は一番右の下の集計にありますように、これらの主要品目について見ましても、僅かに二、六七であります。総体的に申しますと、二倍上げても或いは七割でも五割でもそう影響は物價にはないのでありますが、この二十七品目の中で、若し二倍程度上げますというと、直轄の修正を要するものが右の欄のC分のDという欄を御覧願いますと、一番價格に占むる運賃の割合の多いのが五七・六%の石灰石であります。それからその下の一二・七%を占める硫化鉄鉱、或いはその下の銑鉄、それから最後から五番目にあります砂利三三・三%、次に石炭の五・二%、こういつたようなところがやはり運賃の修正を要することは事実でありますが、これらに対しては補給金によつてこれを是正するか、或いは二次、三次製品によつて吸収し得る程度であるかどうか、こういう問題であります。二倍程度上げますと、やはり相当二次、三次、四次製品あたりまで價格の修正が或いは響くのではなかろうかとこう思います。併しながら五割程度ならば、響きは非常に薄くて石灰石の五七・六%、或いは砂利の三三・三%、硫化鉱の十二・七%、こういうものが問題になる程度と我々は思つております。これらのものは、石灰石にせよ、セメントにせよ、戦前の輸送キロと現在の輸送キロを見ますと約三倍になつております。運賃が安いために遠まから取つておる、こういう現象を呈しておりますが、やはりこれらのものはできるだけ近まから取れ得るものでありますから、戦前のごとく近まから取るのがよいのであつて、このためには運賃は消化可能である、こう考えております。若し可能でなくても、石灰石におきましては、御承知のように鉄或いはセメント、或いは肥料等の第二次製品において價格に吸収され得るのであります。砂利におきましては建築費の僅かに一%も充たない平均の價格でありますから、これ亦二次の建築製品に吸收されるこういうふうな結論になるのであります。併しながらその部分においてだけは修正を要する、石灰についても同様な幾分の修正、或いは鉄についても幾分の修正といつたような問題が起り得ると思うのです。これらを詳細に見ますと、やはり所々にそうした問題が起る危険性があり得るが、消費者の消費價格面におきましては殆んど吸収され得るものという考え方と、いや、その程度でも價格に影響するという考え方と両方あると思います。旅客運賃につきましては、いろいろと問題があろうと思いますが、お手許に差上げました表の中で第十表をお開き願いたいと思います。この総理廳の統計局における調査によりますと二十三年と二十二年の場合で九月から十二月の四ケ月間の平均の調査の結果が載つておりますが、大体Gの欄の一番下り交通費、これについて東京、名古屋、大阪の都市の市民について調査いたしましたところ、明らかに平均して一・二%、一・三%といつたような生活費に占むる交通費の割合であります。その上の雑費は一四%乃至一六%でありまして、運賃が二倍になりましてもこの雑費において吸收し得る、吸收は不可能であるという結論にはならないと思います。ただ人により距離により、又家庭によりまして例外があり、非常な負担になる人もあろうかと思いますが、大体平均から申しますと、さようなことになつております。次の第十一表を御覧願いますと、賃金と定期運賃との比較をして見たのでありますが、先ず官公吏につきましては、昭和十一年五十六円七十二錢の賃金ベースに対して、一ケ月の運賃が四円七十銭であります。その割合は八・二九%となつている。ところでずつと下へ下りまして、六千三百七円の現行ベースにおきましては、現行運賃二百八十円、この比率が四・四四%でありまして、若し今回の改正をやりましても、七・二九%という程度に止まるのであります。工業労働者の面におきましては、昭和十一年当時は社會政策的な割引で、工業労働者には特に割引が多かつた関係で、当時に比べては、六・三%が六・六五%と大きな割引を戦後廃止しましたが、現在においての比率は約六%六五でありますから、やや高くなつております。かような程度でありまして、一應負担力が可能ではなかろうか、こう考えられます。且つこの定期券の運賃が八〇%までは雇傭主が現在負担しているような実情でありますが、その雇傭主の負担になつておりますものは勿論人件費の中から出ているのもありましようし、結局は生産費に掛かり物價に影響して來ることは確かでありますけれども、これは間接的な効果に過ぎない、こういうふうに考えている次第であります。三ケ月定期、六ケ月定期の廃止によりまして、三ケ月の部分は大体六割値上げして尚その高率を、廃止しますから大体二倍一分、それから六ケ月のものは二倍半程度の高額な値上りになりますけれども、現在割引率が非常に諸外國に比べて高いのでありまして、通勤が一ケ月六キロ六割乃至八割三分三厘、通学におきまして七副八分二厘から九割九厘、一ケ月にしてすでにそうでありますから六ケ月の最高が九割四分、通勤において八割八分九厘、そういう大幅な運賃割引をいたしております。それが八割三分三厘になり、九割四分が九劇程度のものになるのであります。かようにして割引率の余り大きいものを次第に是正して行くことが妥当であると同時に、財源の点から見ましても、又コストの点から見ましても、定期運賃が支出に対して僅か二六%の收入に過ぎない現行を是正して行きたい、こう考えている次第でありまして、以上運賃と物價の関係につきまして御説明申上げました。
#17
○飯田精太郎君 今の御説明で大体分りましたが、十一表の運賃というのはどういう勘定で出たのですか……。賃金に対象して運賃幾らというふうに……。
#18
○政府委員(藪谷虎芳君) 十一表の運賃ですね。
#19
○委員長(板谷順助君) 十一表の運賃というのは何を意味するかということですよ。
#20
○飯田精太郎君 人によつて非常に違うでしようがどういう平均をするのか……。
#21
○政府委員(藪谷虎芳君) これは定期の一ケ月分の運賃でありまして、昭和十一年は平均の通勤距離が十二キロに当つておりますから十二キロ分を取りました。現在は戦災の関係で住宅難のために遠くから通つている人が多いものですから現行は十八キロの運賃になつております。平均乗車キロということになつております。その運賃で…。
#22
○飯田精太郎君 只今の御説明でございますと、貨物運賃の方も何とか多少手当をすれば、吸収ができない程の影響はないというふうにとれるのであります。旅客の方もここに出ております数字ならば、それは大したこともないように見えるのでありますが、旅客運賃の方は人によつて非常にでこぼこが大きいと思います。それと只今お話のように、雇傭主が現在は大部分持つておるのでありますが、次第に企業整備その他から営業が苦しくなつて來ると、自然これは個人に轉嫁されて行くことと思うのであります。自然生活費に対する運賃の重任というものは相当大きな割合になつて来る、勿論全体としては大した率じやないかも知れませんが、特殊な人に対して非常に大きな割合になつて来やしないか、それがやはり賃金に影響して、結局は物價の方る、これは議論の仕方でどうにでもなると思いますけれども、私共の方のただ感じでは、貨物以上に旅客の方が影響するんじやないかというふうにも考えられる、この点一つ大臣の御所見を伺いたいと思います。
#23
○國務大臣(大屋晋三君) これはつまりこの表すべてのものを判断する場合に数字は必要なのですが、今それを御説明申上げまして、この表を見て、この表の通りというわけにはいかんのでありますが、大体こういう傾向にあるということで、これとまあ鉄道当局の長年に亙る経験とかも判断いたしまして、更にそれに附加えて私が最初申上げましたいわゆるこの結論的の判断を貨物を上げることは直接的に物價の昂騰を招来する、旅客の運賃を上げれば勿論物價昂騰に影響はないとは申上げませんが、影響は間接的だということと、それに加うるに、もう一つのフアクターに、関係当局が熱心にこの旅客の運賃を上げるという線の方の意向が非常にありました関係で、彼れこれ勘案しまして、結論は旅客運賃のみに特つて行つたということになるわけなんであります。
#24
○高田寛君 只今今年度の國鉄の二百三十億の赤字を埋めるために、旅客運賃を値上するのだという御説明ですが、過去の実積から見ましても、運賃を値上した当初は相当お客の数が減る、そのために予定しただけの收入を得られないということも見えておるのでありますが、殊に今年は相当世間は不景気になつて來る、そうなると六割値上げするために相当にお客も減つて、そのために二百三十億の予期した増收が得られないのじやないかということも心配されるのでありますが、この点についてのお見通しを伺いたいと思います。
#25
○國務大臣(大屋晋三君) これは大体六〇%を上げますというと、一〇%の利用減を見込んでおるわけでありまして、この前の値上げをたときに、実際に利用減が一〇%よりも遥かに少なかつたので、今回のこの一〇%の利用減を相当余分に見積つておるということでもありますので、結論的には一〇%の利用減を見積れば先ず大丈夫であると、こういうことになつておるわけなんでありまして、もう少し詳しい説明は政府委員から申上げます。
#26
○高田寛君 これはもう値上を五月一日からするとすれば、五月は相当お客の数が減るのじやないか、それから逐次元の数に復して来る。それを具体的にどんな見通しを立てておられるか。
#27
○政府委員(藪谷虎芳君) 将来の問題でなかなかこの変動期におきまして、見通しは困難でありますが、昨年の七月運賃の値上をいたしました後の実績を見ますというと、大体收入において予定收入に比して八%五分減つております。これはその減り方が遠距離において減つておりまして、近距離についてはとんとん、定期につきましては五%ばかり人員においては殖えておる、と申しますのは、結局遠距離については客が落ち、近距離については段々住宅の修復に從つて通勤距離が短かくなつて來た。平均の足が去年一年の間に大体一割程度短縮を見ております。かように人数と輸送距離と両方から見まして、昨年の八%五分の実績から推測して約一割程度のものが、減少するであろう、定期外におきまして……。定期につきましては、多少今までの自然増はありますけれども、私設鉄道と大体今度バランスがとれますから、その方に移るというような見方もありますので、大体とんとんのような状態ではなかろうかと、こう思つております。それで予算を組んでおります。
#28
○高田寛君 それから今一つ大臣にお伺いしたいのでありますが、この國鉄の旅客運賃が値上になりますと、これに関連して私設鉄道の旅客運賃をどうなさるか、又私設鉄道の運賃を値上すれば、これと並行路線にあるバスの運賃というようなものも亦どうなさるおつもりか、この辺のお考えを伺いたいと思います。
#29
○國務大臣(大屋晋三君) この私設鉄道の方は、これは物價廳の専管になつておりますが、協議をさしておりまするから、政府委員から後で説明いたさせます。バスの方は運輸省でこれは案がありますから、これも政府委員から説明させます。
#30
○政府委員(藪谷虎芳君) 今回の國鉄の旅客運賃を六割値上した結果どうなるかと申しますと、関東の私設鉄道の一キロ当りが一円二十銭で、関西が一円三十錢、省は現在九十銭が一円四十五銭になりますが、私設鉄道が迂回しておる場合もありますし、又殆んど並行しておる場合もございますので、運賃が殆んど大部分のところは認可料金までの料金に上げれば均衡がとれるような部分が多うございます。ただ例外的に省の方が一円高いとか、或いは五円高いとかいう部分が出て参ります。又十円ぐらい開く、多いのは三十円ぐらい開くところもございますが、これれにつてはできるだけ調整をいたしたいと考えておる次第であります。それから定期運賃についても大体まあ均衡がとれる程度のものであります。バスの運賃につきましては、御承知のように現在國鉄よりも遥かに高いので、今回の國鉄の運賃改正とは影響は殆んどないものと、かように考えております。
#31
○委員長(板谷順助君) この際私はちよつとお尋ねしたいのですが、薮谷政府委員の只今の説明ではどうも納得しかねる、ということは、今、表に現われたるように、貨物運賃を二倍に上げても大した影響はないと思う、併し砂利とか或いは石灰のごときは、殆んど運搬費が價格の構成をなしている、であるからして今お話のように、成るべく近まからとらして、長距離を運ぶというようなことはやらしたくないというお話であるが、大体現在の運賃が殆んど原價の半分に満たないというような点から考えるならば、いわゆる鉄道公社として将来独立採算制をとる上においての基礎が成り立たん、こう私は考える。又石炭のごときは、これは例えば北海道にしても、九州にしても、船で運べばよろしい、そこで海陸運賃の調整問題が起るのでありまするが、若し我々この委員会において、つまり二百三十億の赤字を埋めるというのが主でもないであろうが、併し将来独立採算制をとる上において、この枠内において修正をする場合があるとしたならば、運輸当局はそれをお認めになるかどうか、初めの運輸省の案としては、とにかく貨物運賃二倍、旅客運賃は成るべく上げたくないというような方針でいろいろ折衝になつたということでありまするが、或いはこの結果どうなるか分らんといたしましても、我我の方では公正な立場において或る程度の修正をしたいというのが、先般來のこの委員会におけるところの空気でありますが、その場合において運輸当局としては、とにかく将来独立採算制の確立を図ると同時に、旅客運賃値上は必ずしも物價に影響がないと見られるか、相当に例えば賃金、俸給及び生産のコストにも影響があるように思われるが、その場合における運輸当局の態度はどうですか。
#32
○國務大臣(大屋晋三君) 只今の問題につきましては政府といたしましても、先程申上げましたいろいろな場合を考慮いたしましたのですが、結論を旅客運賃の六割値上に持つて行つたわけなんでありまするが、更に國会において当運輸委員会におきまして、議員諸君が自由な御審議を願いました上に如何様な形にこれを枠の中で御修正下さろうとも、これは議員諸君の御自由な御裁量で、私は何らの異存もございません。
   〔委員長退席、理事小野哲君委員長席に着く〕
#33
○植竹春彦君 只今大臣から、枠の内部での修正に差支ない旨のお話があつたわけでありまするが、國鉄の收入支出につきましてはいろいろ質問いたしたい点がありますが、その内先ず本日は一点をお尋ねいたしたいのであります。それは國鉄における石炭の購入價格を他の産業並びに引下げることは可能であるかないか、若し可能であるとすれば、それに対する御処置はどういうふうになつておられるかということを承わりたいと存じます。今までは政府事業の一環といたしまして、石炭運賃の特割廃止にも際しまして、石炭購入價格の特別措置を停止しておつたのでありますが、これは一応の理由があることでありまするけれども、國鉄が公社……、新らしい組織で発足するに際しましては、石炭の買入價格の特割を他の重要産業並びに改訂する必要があるのではないか、若しそれが可能であるとすれば、今回の旅客運賃の値上ときは極く僅かで済むのではなかろうかと思いますが、それについての数字を基礎とした御所見を承りたいと思います。
#34
○國務大臣(大屋晋三君) それは非常に重要な問題で且つ專門的な問題ですから、政府委員から答弁いたします。
#35
○政府委員(三木正君) 御承知の通り、前々回の一昨年の價格改訂のときまでは、鉄道は補給金受けた安い石炭を買つておつたのですが、その後からはそういうことがなくなつて来ておるのでありまして、今おつしやられた通りでございます。勿論これを若し他の重要産業並びに安い價格で買入れるといたしますれば、それだけのものを配配炭公團なり山元の方に補給しなければなりませんので、國の予算全体といたしましては、全体としてのバランス・バジエツトということになります、とどつかで出るとこういうことになりますので、その余地がないので、依然として前年通り普通の單價で石炭を買うことにいたした次第でございます。若し仮に今お尋ねのように、安く特別の價格で買つたならばどうなるかというお尋ねでありますが、詳しいことは私もよく知らないのでありますが、現在私共が買つておりますものは大体三千円から三千五百円見当で石炭を買つておるわけであります。それが若し鉄鋼その他の重要産業のように、千五百円程度で買えるとすれば、約トン当り千五百円の差ができる勘定になりますから、それに鉄道が使いまする七百数十万トンを掛ければ、約百億余りの節約になる、それだけ少くて済むと思います。只今申上げました特殊の炭價を幾らにするかということは、正確な数字でございませんが、若し千五百円にすると仮定いたしますと、そういうことになると思います。御了承願います。
#36
○植竹春彦君 今の総務局長の御答弁によりまして、只今までの成行は了承いたしましたわけですが、今後これについて重要産業並びに特割で買入れることにつきましての政府の御所見と、そうしてこれが公社として新らしい組織で独立採算制を……、大臣の御答弁にも、提案理由の御説明にありましたように、独立採算制が絶対要請されておるということから考えますると、どうしてもこの石炭の問題は当然新らしい組織の國鉄は、國策の全体的な立場からいつても、強く國鉄側で主張して、独立採算を確保して行くことが絶対必要であるというふうに考えまするが、それに対しまする御所見を承りたいと思います。
#37
○政府委員(三木正君) これは政策問題でありまして、私共から御返答申上げることはどうかと存じますが、独立採算制ということは結局、そういう安い石炭を買うということに、結局税金なりその他の一般國庫の收入によつて得た金を間接的に鉱道の経費に補給するという形になると思われますので、真の意味からいいますと、独立採算制というか、均衡予算という面からは離れて来る仕方でないかと思います。更に現在におきましては、鉄道で使用いたしまする鉄鋼その他につきましては種々なる、石炭の面であるとか、その價格補給であるとか、そういう面から尚相当の補助が間接的に与えられておる……一般産業も同じでございますけれども、間接的に与えられておる結果になつておりますので、将来一本為替レートというふうなことと考え合せまして、すべてこの産業がそういう自立値段ということになります際には、尚々その実質的な補助というものが減つて行くということを念頭に入れて鉄道の経理にやつて行かなければならないのでないか、こういうふうに考えております。
#38
○植竹春彦君 この点は特に重要な問題であると考えまするから、政府当局におかれましては國鉄独立採算のために今一応御考慮、御善処を希望して、質問を打切りたいと思います。
#39
○飯田精太郎君 今まで伺つておりますと、國鉄の貨物旅客運賃のコストに対する比率を見ますると、貨物の方はコストに対して半分にも及びません、旅客は大体コストに近い比率になつておるというように伺つたのでありますが、今回コストをひどく割つておる貨物の方を上げずに、却つて旅客の方を上げるということになりますると、このコストに対する收入の率が非常なる不均衡になつて來る、從つて見方によりますと、旅客で儲けた金で貨物の赤字を補つて、安い運賃で船なんかの荷物を渫つい行くんじやないかというふうにもとれるのであります。國有鉄道はパブリック・コーポレーシヨンとして今後経営して行かれる上から見ましても、大きな組織の力でこういう不均衡な運賃で外の民間の事業を圧迫するような結果になることは、非常に面白くない氣がいたします。これらの経営上の点からできるだけコストと運賃というものは均衡の近いものにして行く必要があるのでないか、この点に対して大臣の御所見を伺いたいと思います。
#40
○國務大臣(大屋晋三君) 只今の御指摘の点は正にそういう姿になつておるのでありまして、そこが何故さような影に置いて置くかというと、長い間のつまり國有鉄道の経営の公共性、國家性というような点で、國の一般財政から成るべく貨物運賃も安くして、旅客運賃は少し率が異なりますが、旅客運賃も安くして、而も普通の企業であればコストを割つて商品を賣るなんぞということは、或る特殊の場合以外にないのでありますが、そこがいわゆる国有鉄道の國有性と申しますか、公共性と申しますか、そこで一般の國費を以てその差を國民の予算でコンペンセートしておつた、補償しておつたということになる政策の現われだと思つておるのですが、さて今回に國有國営の姿が少し変りまして、コーポレーシヨンという形になります以上は、而も独立採算制ということが堅持されるということでありますならば、如何に鉄道と雖もそう在來のように、一般会計で補いができる時代ならばようがすが、できない独立採算という場合には、コストを償うところのインカムをキャツチする以外に経営の手にないのでございますから、コーポレーシヨンに切替えると同時に、うんと一つ鉄道事業自体の能率を上げまして、而も只今申上げたような点で悪い影響が來る、即ち陸の運賃を安くして海の運賃をかつ拂うというようなこともいけ、ないことだし、又コストに満たない、收入を取らないということもばかげたことでありますから、徐々に、今に切替の端境でございますから、一遍に切替はできませんが、独立採算になり、コーポレーシヨンになります将来の営業方針といたしましては、只今飯田さんの仰せられるように、やはり民間企業と同じような意味合も加味して、更にそこに鉄道の本質である公共性も加味して、而も独立で事業が赤字を出さないで行けるというような方針を採らなければいけないと思つておりますが、只今は過渡期でございますので、そこに欠陷がまだ露呈されておるものと私は考えます。
#41
○飯田精太郎君 今の大臣の御答弁ですと、どちらかといえば、今が貨物の運賃を上げるのに一番いい機会だと私は思うのでありますが、いろいろ又御事情てできないのだろうと察するのでありますが、何とかこのコストと早く均衡がとれるように持つて行くように御努力を願いたいと思います。
#42
○小野哲君 お諮りいたしますが、大臣は所用で退席いたしたいと、こういうふうな申出があるのですが、明日尚引続いて質疑を続行することにいたしたいと思いますが、明日は午後一時半から本委員会を開くということでよろしうございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○小野哲君 それではさように取計らいまして、本日はこれを以て一応散会いたします。
   午後四時二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           小野  哲君
   委員
           大隅 憲二君
          橋本萬右衞門君
           入交 太藏君
           植竹 春彦君
           飯田精太郎君
           高田  寛君
  國務大臣
   運 輸 大 臣 大屋 晋三君
  政府委員
   運輸政務次官  加藤常太郎君
   運輸事務官
   (鐵道總局長
   官)      加賀山之雄君
   運輸事務官
   (鐵道總局總務
   局長)     三木  正君
   運輸事務官
   (鐵道總局業務
   局長)     藪谷 虎芳君
ソース: 国立国会図書館
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