くにさくロゴ
1949/04/28 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第12号
姉妹サイト
 
1949/04/28 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第12号

#1
第005回国会 運輸委員会 第12号
昭和二十四年四月二十八日(木曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○國有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣提出衆議院送付)
  ―――――――――――――
   午後二時二十四分開会
#2
○委員長(板谷順助君) これより会議を開きます。運賃改正法案を議題といたします。大体質疑は終つたことと存じまするが、この際簡單な質疑ならばお許しをいたします。内村君。
#3
○内村清次君 國有鉄道輸筒法の一部を改正するところのいわゆる旅客連賃六割値上に対する法案が今最終段階に來ておりますとこに、一言運輸大臣にその所信をはつきりと明確にして頂きたい問題であるのであります員。それは本二十英年度の一般國家予算及び鉄道の特別会計予算で見られまするように、特に鉄道の一般会計予算の総額におきまして、いわゆる六月一日から移行するところの公共企業体、この性格におきましても、やはり國家の予算と決算その他は繋がつておるものであります関係で、今回の予算におきまして特に強行せられようとしておりまするところの國鉄のいわゆる独立採算、この採算によつて國鉄自体の現在の施設その他の荒判というものが完全に立ち直る御自信があつて、この予算を責任を持つて引受けられたのであるかどうか。又この予算の中に含まれておりまするところの十二万人の從事員の整理、或いは物品拂下の問題、又それをして尚且つ二百三十億の赤字、この補填等に対しまして、今後起るでありましようところの國鉄の企業の興隆に対しまして、眞に自信を持つてこの予算を引受け、同時に又この予算によつて國鉄を、一國の産業の興隆を発展させようということが確信あるかどうか。この点につきまして明確に御答弁をお願いしたいと思います。
#4
○國務大臣(大屋晋三君) 只今の内村君の御質問にお答えいたします。この非常にからい予算を本年度はやつて行かなければならんのですが、この予算の全額で國鉄の経営が行くかどうかということでございますが、これは無論十分でないのでございまして、当局といたしましても満足しておらんのでありまするが、ともかくも國の再建上これだけの予算しか取れないという現実を直視いたしまして、まあいわゆる泣いても笑つてもこの金額でやつて行く。そのために俗に経費が少いというと製造工業におきましては品質がとかく落ちるとか、或いは手を抜くとかいうことがありますが、鉄道の経営におきましても例えば経費が少い関係上、修繕が悪分に行かん、線路の保守が十分に行かんというような、いろいろなことが起つては相成らんと思つております。要するに十分ではございませんが、國鉄経営上この金額で支障なくやつて行かねばならんと考えておる次第であります。
#5
○委員長(板谷順助君) 質疑は終了いたしました。これより討論に入ります。
#6
○丹羽五郎君 私はこの本案のような、びつこな偏頗な運賃値上げということに対しては絶対に反対する者であります。理由は旅客運賃のみを上げて貨物運賃のそのままにして置く。即ち貨物運賃を据置くということは物價に影州を及ぼすからという政府の答弁でありました、私共から考えつて見るならば、物價体系におきましても貨物運賃が実に低位な立場におる。これをそのままに据え置いて、旅客運賃を大幅に上げるということは、恐らく産業界に一つの破綻を來たす、これが大きな原因になりやしないか。又二百三十億の赤字の補填に対して我々委員会におきましても即ちその枠内の組替をやるということによつて國民の生活の安定を図つて見見いということで、かねがねこの枠内の操作を考えておつたのでありますが、政府は頑冥不霊で一向これには明快な答えをせずに、今日ここで時間的に煩被りして、この案を強行に押すということに対しては、私共絶対にこれには反対せざるを得ないのであります。
 まだいろいろと申上げたいことが沢山ありますが、概括いたしましてかくのごとき不合理なる値上げに対しては、絶対に我が無所属懇談会は反対をせざるを得ないのであります。
#7
○小野哲君 この改正法律案につきましてその内容において必らずしも満足すべきものでないのでありますが、目下の諸情勢から考えまして誠に遺憾ながら止むを得ないものと認める次第でありまして、ただこの際次の諸点について政府に対して要望いたしておきたいと思います。
 先ず第一は、この法律案は本年度予算案の審議に先行し、又は少くともこれと並行して、提案され、且つ審議さるべきものであるに拘わらず、予算案成立後提案せられましたことは妥当でない。且つ実施期日を予定して國会の審議を著しく制約するがごとき印象を與えておりますことは極めて遺憾であります。私は本委員会においてこの点に関する注意を喚起いたしましたところが、運輸大臣よりも遺憾の意を表せられたのでありますが、將來かかる事態を再現しないように篤と留意されたいのであります。
 第二は國有鉄道の運賃及び料金は、特に公正妥当なものであつて、原價を償うものであるということを原則としなければなりません。然るに昨年七月に行われました改正においても、亦今回の改正に当つても、この原則は必ずしも行われておらないのであります。國有鉄道事業は一方において、独立採算制の下に企業的経営が強く要求されておりますのみならず、他方において、物價政策上の理由によつて合理的な運賃体系に服することを強く阻まれておる現状であります。政府も亦これを十分認めながら未だ適当な時期でないことを御弁明されておるのでありますが、旅客、貨物両運賃において均衡を失した不合理な運賃を継続する場合においては、必ずや均衡財政の確立に好ましからん影響を與えるだろうと思います。政府はよろしく、國六鉄道事業のこの轉換期を迎えるに当つて、その運営の実態に即應する運賃体系の整備を急速に努められたいと思うのであります。
 第三は海陸輸送の両分野に亘り欠けておるところは総合計画のないという点であります。而もこれは両者の運賃調整を行わなければ、実現を期そうもないのであります。然るに鉄道汽船機帆船等相互の現状は極めて憂うべきものがあります。政府みずからこの問題を是任し、成るだけ近い將來においてこれが是正を考慮すべきことを言明いたしておるのでありますが、徒らにその場限りの逃げ口上に終らしめないで、この確約通り実行されたいのであります。以上の諸点につきまして政府が眞劍なる努力を傾倒されることを切に熱望して止みません。
#8
○内村清次君 私は本改正法律案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対する者であります。
 理由の第一は、本案の趣旨でありまする旅客運賃六割の値上げが、國民大衆に対する一方的な負担過重となる点でありまして、このことにつきましては公聽会その他におきまして、各界の代表によつて述べられたのでありますから、ここでは説明するまでもないことであると思います。
 第二の理由は旅客運賃と貨物運賃との比率についてであります。即ち旅客運賃は昭和十一年と比較いたしまして、原價百五倍に対しまして五十倍の値上り、それに対して貨物運賃は原價二百十五倍に対しまして七十七倍の値上りでありまして、貨物運賃の方が却つて原價割れが甚だしいのであります。且つ又貨物運賃が生要物價に占める比率は平均二%であります。それに対しまして昭和十一年の比率は四%に上つております。即ち物價中に含まれておるところの貨物運賃の割合は、十一年に比較して却つて低位でありまして、実質的には、或る程度の値上りは物價に殆んど影響しないと政府の方でも資料を発表しております。更にこれを陸海貨物運賃の比較において見ますと、石炭の輸送費は機帆船トン当り四百五十七円七十銭に対しまして、鉄道は百八十五円十銭、パルプでは約二百円余の違い、木材では百四十円の違いになつておると、当局の資料で発表しておるのであります。そのために海運を利用せず長距離においても陸運國有鉄道を利用するというアンバランスが生れているのであります。
 以上國民生活への影響とか、陸海運の均衡等の点からいたしましても、本委員会において貨物運賃を値上げし得るというような修正案が提出されたようなゆえんでありまして、そのような世論が一般化となつておるのであります。この点も反対要素の一つであります。
 又理由の第三は國鉄会計の赤字二百三十億は、本予算の補正との関係において処理すべきものであるという点であります。即ち現在の國鉄会計の赤字はインフレと低物價政策によつて生れるものでありまして、公共性のために止むを得ないものであります。それで大資本への補給金と同じように、國鉄へも一般会計から價格差調整として支出さるべきが当然であります。この点將來の独立採算制とは何ら矛盾するものではなく、インフレの安定するまで、このような安定産業への暫定措置と同じような措置をとられて然るべきであると思うのであります。
 理由の第四点としては、先ず國鉄会計の合理化に努力すべき点はまだまだあると思われますので、この点を解決することが先ず先決問題であると思うのでありますが、例えば國鉄の物件費中に最大の要素となつておるところの石炭買收價格の改善がその一つでありまして、石炭を初めといたしまた消費節約、作業の機械化と運用効率の向上、不用材産資材等の適正なる拂下げ等によつてこの赤字の相当額を更に減少し得るものであると思います。更に將來國鉄の電化を促進する画期的な措置によりましても、その合理化と独立採算の確立は確実に保障せられるという見込が明確になつております。かかる合理化の措置こそが第一の要件であると考えるのであります。
 最後に特に定期券の三ケ月、六ケ月制の廃止と一ケ月の限定処置に対しましては、特に勤労大衆、学生諸君の甚だしい負担過重となる点、文教政策上に誠に多大の惡影響を與える点を考慮せられまして、この点は超党派的の立場から定期券に対しては理解ある反対の態度を強く取つて頂きたいことを切望いたしまして、本改正案に反対を表明するものであります。
#9
○橋本萬右衞門君 私は日本國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対しまして納得が行かないものが多々あるのでございますが、現下の情勢上余儀ないものと認めまして、遺憾ながら民主自由党を代表いたしまして賛意を表します。
#10
○委員長(板谷順助君) 他に御意見ありませんか。只今小野委員の発言中に希望條件が述べられたようでありますが、これに対して運輸大臣が若し御答弁があるならば、この際お願いいたします。
#11
○國務大臣(大屋晋三君) 小野君の御要望は御尤もな次第と拜承いたしました。つきましてはその線に沿いまして努力をいたすつもりでおります。
#12
○委員長(板谷順助君) これにて討論は終結いたしました。これより採決に入ります。國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の政府原案に対して賛成の諸君の挙手を求めます。
   〔挙手者多数〕
#13
○委員長(板谷順助君) 多数と認めます。本案は政府原案通り可決確定するものと決定いたしました。
 尚本会議における委員長の口頭報告は本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を受けなければならんことになつておりますが、これを委員長において本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(板谷順助君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とする方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    小野  哲  飯田精太郎
    高田  寛  結城 安次
    植竹 春彦  大隅 憲二
   橋本萬右衞門
#15
○委員長(板谷順助君) 御署名漏れはございませんか……。御署名漏れはないものと認めます。本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
 出席者は左の通り
   委員長     板谷 順助君
   理事
           小泉 秀吉君
           小野  哲君
           丹羽 五郎君
   委員
           内村 清次君
           植竹 春彦君
           大隅 憲二君
          橋本萬右衞門君
           飯田精太郎君
           高田  寛君
           結城 安次君
  國務大臣
   運 輸 大 臣 大屋 晋三君
  政府委員
   運輸政務次官  加藤常太郎君
   運輸事務官
   (大臣官房長) 芥川  治君
   運輸事務官
   (大臣官房考査
   室長)     足羽 則之君
   運輸事務官
   (鉄道総局長
   官)      加賀山之雄君
   運輸事務官
   (鉄道総局業務
   局長)     藪谷 虎芳君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト