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1949/05/13 第5回国会 参議院 参議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第17号
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1949/05/13 第5回国会 参議院

参議院会議録情報 第005回国会 運輸委員会 第17号

#1
第005回国会 運輸委員会 第17号
昭和二十四年五月十三日(金曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○船舶運営会の船員の退職手当に関す
 る交付金を船舶所有者に交付する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○運輸省設置法案に関する件
○水先法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午後三時二十四分開会
#2
○委員長(板谷順助君) これより委員会を開会いたします。
 「船舶運営会の船員の退職手当に関する交付金を船舶所有者に交付する法律案」を議題に供します。先ず秋山政府委員から内容の御説明を願います。先般運輸大臣が提案の理由は説明をされておりましたが尚更に秋山政府委員よりその内容について御説明申上げます。
#3
○政府委員(秋山龍君) 先般四月一日より船舶運営会の傭船の形式が裸傭船が定期傭船に切換えられるに伴いまして、船舶運営会の陸上職員並びに船員諸君が船舶運営会を退職いたしまして、新たに船主に雇傭されるということに相成るのでありますが、その際の陸上職員並びに船員諸君が船舶運営会に雇傭されておりました期間に対して退職手当を支給しなければならないということに相成るのであります。これにつきまして、先般退職手当のない月が認可されておりまするのでこれに從つて支拂う、尚船員につきましては船主が交替することによりまして船員法に定められましたところの雇止め手当を支給するということがあるのであります。この二項目の大体現金によつて支拂われるのでございますが、船員諸君からは雇止め手当では退職手当として十分でないので退職手当を支給して貰いたいというような要望がございますので、種々政府において檢討いたしました結果、総額約四億五千万円の範囲内において退職手当を交付することにいたしたのでございますが、船員諸君は傭船等の切換へに伴いまして、現実に職を失うのではなくて、單に傭主が変るということであります。從いまして本当の失業手当的な意味はございませんので、又船員諸君としても直ちに現金を受取らなければならない理由もございませんので、通貨対策の意味等も考え合せまして、この退職手当に相当する金額は、これを船舶所有者に交付いたしまして、そうして船舶所有者から現実に船員が退職いたしまする場合に、その金額を交付せしめるということにいたすのが最も適当と考えるのであります。尚この金額は船舶所有者に交付いたしまするが、船舶所有者はこれを如何なる目的に使い、如何なる保管方法を講じてもよろしいわけでございますが、これを余り自由にいたしますことは、退職手当を船員諸君に代つて船主に交付した趣旨に反しまするので、その使用につきましては本人の退職手当として交付すること以外に使つてはならないということにいたしたのであります。尚この現金を受けました船舶所有者は、この金額を保管する上におきまして、利子その他の金銭上の利益が生じて來るわけでございますが、この利益金につきましては、これはこの退職手当を受ける船員側の要求もございまして、これを船員の福利厚生施設その他運輸大臣の指定する用途に使う、かように定めた次第であります。これが本法案を特に提案するに至りました経過でございます。
#4
○小泉秀吉君 只今の御説明の中で、法律案第三條の事項につきまして、第一は交付を受けた金額を現状の目的以外の目的で使用してはならないということ、並びに第二項におきまして、利子その他金銭上の利益が生じたときは、船員の厚生福利施設に使うということに対してはつきり運輸大臣が使用を監督するようなふうにななつておるようでありますけれども、政府としては、こういうものに対して誤つた使用をしないというようなことを対する監督の方法なんかお考えになつておりますか、それを伺いたいと思います。
#5
○政府委員(秋山龍君) お尋ねの点に関しましては、立案に当りましていろいろと研究をいたしたのでございますが、退職手当の支給を受ける権利者でありまする船員は、全日本海員組合という非常に強力にして、且つ立派な組合を組織されておりますので、この組合と船主側との協約に任しておくならば決して権利者の利益を害されることもないだろうし、又第二項の福利厚生施設につきまましても、最も合理的なる方面に使われるであろうというような見地から、特に詳しい監督的な規定も設けなかつたような次第でございますが、併しこの協定が円満に成立し得ないいろいろとそこに意見の食違いがあるというような場合におきましては、運輸大臣にしましても、その仲介、斡旋その他の労をとつて行きたいとかように考えておるような次第であります。
#6
○委員長(板谷順助君) よろしうございますか。
#7
○小泉秀吉君 そうしますと、この法律の第三條を円満に行使するというためには、運輸大臣が責任を負うということに了解してよいのでございますね。
#8
○政府委員(秋山龍君) 第三條の文面からいたしますというと、運輸大臣が直接責任を負うということにはなつておらないのでございまして、從つて第一次的にはその責任は海員組合なり船主側なりにあるとかような意味であると思いますが、併し運輸大臣は福利厚生施設の使用、用途その他につきまして、一應指定する権限も持つておるわけでありますから、その範囲におきましては十分監督上の責任を感じておる次第でございます。
#9
○委員長(板谷順助君) そうすると利益金を船員の方で福利厚生施設その他運輸大臣の指定するということであるが、何か総局の方では成案でもあるのでございますか。
#10
○政府委員(秋山龍君) 只今のところ成案は持つておりません。
#11
○委員長(板谷順助君) 外に御質疑はありませんか。それでは質疑は終ることにいたしました。これより討論に入ります。別に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。本案に原案通り賛成の諸君の挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#12
○委員長(板谷順助君) 全会一致可決すべきものと決定いたしました。それでは委員長の口頭報告は例によりまして委員長にお任せを願いますと共に多数意見者の署名を願います。
   多数意見者署名
    飯田精太郎  小野  哲
    丹羽 五郎  植竹 春彦
    大隅 憲二  小泉 秀吉
    入交 太藏
#13
○委員長(板谷順助君) 次に御相談をいたしたいことは、運輸省の設置法の修正要領の案が大体專門員で纒めたものができましたので、これを朗読いたします。
第一 方針
 海陸運輸の行政事務を一体的に遂行し、且つ日本國有鉄道の公共企業体としての自主的且つ能率的な運営に支障なからしめる。
第二 修正要領
 一、運輸省の権限
  1、船員保驗行政を加へる。
  2、道路行政を加へる。
  3、自動車の製造工業に関する行政を加へる。
 二、運輸審議会
  1、運輸審議会の諮問機関としての(決議機関にあらざる)性格を明らかにする。
  2、國会閉会中運輸審議会の成立を可能ならしめる事前措置を講ずる。
 三、本省内部部局
  1、海運局の海運調整部を廃し、大臣官房に運輸調整部を置く。
  2、鉄道監督局を廃し、國有鉄道監督局、民営鉄道監督局を置く。
 四、本省附属機関
  1、海難審判所を本省附属機関とする。
  2、鉄道技術研究所を置く。
 五、地方部局
  東北六縣の管轄区域を陸海同一区域とする。
 以上が大体專門員の間で先般來の諸君の御意見をここで纒めてあるわけでありますが、衆議院の方では大分字句の修正もあり、細かくあるようですが、これはこちらの專門員の案と一致しておる点と一致せざる点はどういう点ですか、それを一つ伺いたい。
#14
○專門員(岡本忠雄君) 一致しておる点は審議会の性格の問題、それだけでありま4。後は細かい部分的な修正が非常に多いのであります。衆議院の方では……、外にはございません。
#15
○委員長(板谷順助君) その字句の点も説明して下さい。
#16
○專門員(古谷善亮君) 衆議院の修正案として傳えられておりますところのものは、先ず四條の第一項三十四号中の改正でありまして、これは司法警察職員の職務を行う者を指名し、又は指名する者を定めることに原案がなつておりますのですが、修正意見としては指名する者を定めるというようなふうにしたいというわけであります。
 それから次は同じ條文の四十一号の「自家用自動車の使用を調整すること。」というのがございますが、これに修辞句を加えまして「道路運送法の目的に適合するように」という言葉を被せよう、こういうわけなんであります。
 それから次は六條の問題でございまして、六條の問題は、ここに出ております運輸審議会と、趣旨は一致しておるのでございまして「運輸審議会にはかり、その決定を尊重して、」というのを「運輸審議会の意見を徴し、その意見を尊重して」に改める。即ち諮問機関の性格を明らかにしようというわけなんであります。
 それからその次は八條の三項では、法律案は運輸審議会に会長を置き、その会長は次官たる者を以て充てることになつておりますが、それを「委員の互選により」というふうに直したい、こういうわけなんであります。
 それから第十四條が小委員会の規定がございますが、この小委員会の規定を全部外しまして、それに代えるに兼職禁止の規定を置こうというのであります。その兼職禁止の規定を読んで見ますと「委員は、運輸審議会の承認及び運輸大臣の同意のある場合を除く外、報酬のある他の職務に從事し、又は商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行つてはならない。」という兼職禁止の規定を置くわけでございます。
 次は二十條でございますが、二十条の第四項に、各局の長がその所管事務に関しまして、運輸大臣の指揮に從つて運輸審議会の決定を実行に移す規定があるのでございますが、これも先程の運輸審議会の性格を諮問機関に一致させるために、「運輸審議会の決定」という文字を「運輸審議会の意見」こう改めようというわけでございます。
 それから次は四十六條の第二項でございます。四十六條の二項に港湾建設部は、臨時の事務といたしまして、所掌事務に関する指定生産の資材等の割当及び監査に関する事務を掌る規定になつておりますが、この「所掌事務」というのを詳しく書きまして、或いは限定と申した方が適当かも知れませんが、これを限定いたしまして、「港湾及び航路の建設、改良及び保存」というふうに改めたい、こういうのでございます。
 それから次は五十四條の第一項、五十四條は道監に代るべき分室に関する規定でありまして、その原案は「運輸大臣は、局務の一部を分掌させるため、所要の地に、陸運局の分室を設置することができる。」云々というのでありますが、これに対しまして、「当分の間」所要の地に分室を設置するという、「当分の間」という文字を加えたいというわけでございます。
 それから次は五十五條の第一項中の「道路運送法」という下に「(昭和二十二年法律第百九十一号)」とある、その括弧があるのを削ろうというのであります。それから後は附則の問題でございます。附則の問題は、大変修正意見といたしましては、くどくどしく書いてございますが、その要点を申上げますというと、附則に新らしい條項が三つ加わるのであります。その新らしい條項と申しますけれども、結局運輸審議会の委員を任命いたしますための事前措置でございまして、これを三項に分つてございます。その項を順序に申上げますというと、第一は「第九條第一項の規定による運輸審議会の委員の任命のために必要な行爲は、前項の規定にかかわらず、昭和二十四年六月一日前においても行うことができる。」というのでございまして、その第二の点は「この法律施行の際、國会が閉会中である場合においては、内閣総理大臣は、第九條第一項の規定にかかわらず、両議院の同意を得ないで運輸審議会の最初の委員を任命することができる。」という点であります。次の第三番目は「内閣総理大臣は、前項の規定により運輸審議会の委員を任命したときは、任命の後最初に召集される國会において当該委員の任命について両議院の事後の承認を求めなければならない。その承認を経ることができなかつたときは、内閣総理大臣は、第十一條の規定にかかわらず、その承認を得ることができなかつた委員を遅滯なく罷免しなければならない。」この三項なんであります。要しまするに、國会閉会中で、運輸審議会の委員の任命ができませんような場合を予想いたしまして、その準備的法律的措置を規定いたしたのであります。この三点がそれぞれ附則の第二項、第三項、第四項、二、三、四というふうになりました結果、附則の項の順序がそれぞれ上り、下りいたすわけなんであります。
 そうして尚最後に、分室を置く規定につきましても、同様な措置をいたそうというので、附則の終りに二項新らしい條項を加えております。その一つは、「やむを得ない必要があるときは、運輸大臣は、豊方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十六條第四項の規定にかかわらず、國会の承認を経ないで陸運局の分室を設置することができる。」その次の項は「運輸大臣は、前項の規定により陸運局の分室を設置したときは、設置の終最初に召集される國会において当該陸運局の分室の設置について承認を求めなければならない、その承認を得ることができなかつたときは、運輸大臣は、その承認を得ることができなかつた当該陸運局の分室を遅滯なく廃止しなければならない。」これも先程読み上げました運輸委員の認免の事前措置と同様に、分室設置の原則に当るものであります。
 以上が衆議院の修正意見でございまして、相当字句的に細かしい点が多いのであります。
#17
○委員長(板谷順助君) 衆議院の修正は具体的にでなく、ただこういうものを出しておる、第何條をどうする、そういうことは……。
#18
○專門員(岡本忠雄君) 昨日の話で、先ず委員会の議を纒めて、その決まつたところで修正案を出す。こういうことのようですから、それが今日議が纒まるならば直ぐできます。さように御了承願います。
#19
○委員長(板谷順助君) どうですか、衆議院の修正は今聞くところによると、大体当を得ておるように思いますがね、併しこれは無論これはオーケーを取りに出してあるのかどうか、そこまで聞きませんか。
#20
○專門員(古谷善亮君) それは聞きません。
#21
○委員長(板谷順助君) それから衆議院の修正意見にないのがこちらの綱要に相当あるが……。どうですか、今の衆議院の修正案は……。
#22
○小野哲君 これは衆議院の運輸委員会の修正案のように聞いているのですが、從つて衆議院の内閣委員会でこの修正に同意しておるかどうか、この点は如何ですか。
#23
○委員長(板谷順助君) それは私もどうも分りませんが、或いはただ内閣委員会に書面を以てこういう希望であるということを申し出てあるくらいの程度であるのですか。
#24
○小野哲君 私もその間の事情はよく存じませんけれども、運輸委員会としてこういうような案が纒まつているのではなかろうかと推測をするわけなんです。從つてこちらも衆議院の運輸委員会の修正意見の中で同調し得るところもありましようし、又追加しなければならない点もありましようから、一應この際どういう修正案に纒めるべきかということについてこの委員会で御相談願つたら、かように思うのです。
#25
○委員長(板谷順助君) それで今伺つているのですが……。ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#26
○委員長(板谷順助君) それでは速記を始めて。
 それじや水先法案を議題に供します。先般提案理由については運輸大臣から説明がありましたが、尚内容について政府委員からもう少し詳しく御説明願います。
#27
○政府委員(山崎小五郎君) 水先法の改正につきまして先ず簡單に経過を申上げます。これは終戰直後水先法の改正ということが、日本の船舶のみならず外國の船舶にも直接関係いたしますので、改正の要望が各所にありまして、改正に取掛つたのでございます。國内的にも船主、船員の側、水先人らの側のそれぞれの関係者が集まりましていろいろ檢討を加えたのであります。関係方面の方におきましてもいろいろ意見がありまして、前の國会には遂にその改正案が間に合いませず、一部改正案、わゆる水先人の年齢制限の撤廃だけの改正案が出たわけでありますが、その後引続き研究調査をいたしました結果、本日ここに提案せられておりまする通りの改正案ができまして、御提案をいたしますような次第であります。先ず改正の要点でありまするが、第一に、前の水先法におきまして、水先人の資格を必ずしも日本國民に限らないでよろしい、外國人でもよろしいということに改正をいたしましたが、これを又再び最初の水先法と同じように、日本國民たることに復活をいたしたのであります。これは憲法の趣旨すら申しますると、日本人と外國人と差別待遇をしてはならないという精神に悖るものではないかという一應の考え方もございまするが、水先業務というような特殊の業務、即ちその港湾、海峡につきまして、普通の人以上に通曉して置かなくちやならないとい特殊な事情がありまする仕事を、ただ形式的な公平主義から外國人でもこれを許すということは、却つて業務の公正に且つ完全にできない虞れがあるということで、世界各國の例をとりましても、大体自國民に限つているということが慣習的になつておりますので、再びこれを日本國民だけに限つたのであります。これは関係方面におきましても十分了解を得ている点であります。次の点は、從來は水先人の受驗資格といたしまして、二千トン以上の船舶に二年間以下乘込んだ船長ということになつておりましたのを、実情に即しまして、千トン以上の船舶に二年以上乘込んだ船長であるということに緩和したのであります。それからその次は、原案におきましては、水先人の欠陥條件といたしまして、家賃分散者、破産者というふうなものまで欠陥條件に入れてありましたが、新らしい憲法の精神から申しまして、体格等で惡い者は当然削除されまするが、こういう者まで欠陥條件にすることは穏当でないということで、こういう点を新らしい憲法の精神にならいまして緩和いたしたのであります。これは水先人の資格につきましての改正になりました、大きな要点であります。その次が水先人の免状を五年毎に更新することにしたのであります。これは、從來水先人は一度水先人の試驗を通りますと、特別な場合がない限りは大体死ぬまでその免状を持つておつたのでありまするが、いろいろ身体等の変化もありますし、或いは水先の地域の情勢に変化等もありまして、これを永久的にすることは水先の使命の重大性に鑑みまして適当でない、常に水先人の素質を向上し、技術を向上するという趣旨から五年毎にこれを更新することにいたしたのでありますが、尚且つ水先人の身体檢査を毎年定期的に行い、或いは必要ある場合には随時的に行い得ることにいたしたことであります。
 次の点は、強制水先制度を採用したことであります。これは從來の日本の水先制度は任意水先制度になつておりましたが、関係方面その他研究をされました結果の意見が総合されまして、日本におきましても強制水先制度を採用いたしたのであります。その強制水先の対象になるまする船舶は、外國船舶、それから外國の港に航行する船舶又は外國の港から日本に航行する船舶、日本の沿海を航行します船舶につきましては、五百トン以上の船舶であつて旅客船であり且つ貨物船であるものが、強制水先の限度になつております。大体強制水先の予定地は、この法律案が通りまして水先審議会等に諮りまして、決めることになつておりまするが、一應十七港程度の重要なる港が強制水先の予定地になることになつております。
 それから水先業務遂行に関しまして、水先人と船長とのいろいろの業務遂行に関します諸規定を現状に即するように改正した点であります。これはその主な点を申上げますると、水先人の、從來は定員の最高制限が置かれておつたのでありますが、今度は最低定員を法規で決める。それから水先人以外の者を水先人に使用することを制限したこと、それから水先人の應召義務、それから水先人に対しまする船長が乘下船の安全措置を講じなければならん義務、或いは水先人を水先区以外に連行してはならないということ、或いは水先修業生に関する規定、それから水先料金の基準というものを法律で決めるというようなことが改正の主な点であります。
 その次は水先人又は水先人組合に対しまする政府の監督権を整備縮小したことであります。從來は水先業務が公益的な使命を持つていることから、相当強い監督権を政府が持つておつたのでありまするが、新らしい憲法その他の建前から行き過ぎになつておりまするので、これを是正した点であります。
 最後に、水先審議会というものを設置したのであります。これは水先制度の運用というものが非常に利害関係が複雜でありますのみならず、又それに対しまする罰則の適用、或いは業務制裁、或いは水先免状の禁止、停止等の処分というものが、非常に水先人自身にとりましても利害関係が非常に重大でありますので、水先審議会というものを設けまして、水先制度運用に関しまして、或いは制度に関しまする重要問題を委員会に掛け、或いは諮問をいたしましてやるようになつたわけであります。
 最後に罰則を整理したのでありますが、從來の罰則は大体罰金が非常に軽い金額になつておりまして、現在の経済情勢から見て適当でございませんので、現在の実情に副うように罰則を改正したのであります。大体水先制度の改正の要点を申上げますと以上であります。
#28
○委員長(板谷順助君) 本案に対して御質疑がありましたらどうぞ。
#29
○丹羽五郎君 第四條の水先修業生の実務期間と言いますか、それには省令で定めるということになつておりまするが、大体政府はこれに対して何年間ぐらいの実務期間を考えているのですか。
#30
○政府委員(山崎小五郎君) 政府といたしましては、水先修業生の今の実務期間は、現在の法律におきましては大体三ケ月ということになつておりまするが、今後水先人の素質を向上いたしまする意味におきまして、六ケ月程度ぐらいのものが適当ではないかと思つております。併しこの修業期間等につきましても、この法律ができまして発足いたしまする水先審議会によく諮りまして、実情に即しまして決めたいと思つております。尚この修業生は水先人となりますときに、又実際の免状の試驗を受けることになつておりますので、そういう点につきましては万全の策をいたしたいと思います。
#31
○丹羽五郎君 連続しますが、第十三條の最後の方にあります「日本國民又は日本國法人の経営に係るものが、省令で定める海技免状の裏書によつて当該港又は水域の状況にくわしいことが明らかな船長又は航海士により導かれるときは、この限りでない。」、これは十四條と十五條にも関連のあることですが、水先人の免状を持たなくても、裏書があればやれるようにこの法律では決めておりますが、而もこれは十四條、十五條にもそれをはつきり條文で認めているのですが、これは裏書の認定條件というものは、どういうような認定條件を政府は考えているのですか、その点をお尋ねしたい、これは非常に重要なことを存じております。
#32
○政府委員(山崎小五郎君) 強制水先を大体やりますが、そういう港におきまして、船長又は航海士等におきまして、その水先区域におきまして大体その実情に非常に詳しいということを認定するのでありますが、この認定基準等につきましても水先審議会で決めたいと思つておりますが、大体私共の方の考え方といたしましては、その水域に何年、或いは、何回くらい航海をしているが、或いはその乘つております船が殆んど定期的にその港或いは水域を通る、そういうような條件から船長又は航海士にその裏書をするようにいたしたいと思います。
#33
○丹羽五郎君 そうしますると、罰則の方には、免状の裏書によつて水先人を代行した場合に何か過失があつたときに、この法文を犯した場合のこれの罰則規定が一つも書いてないのですが、そうすると水先人は罰則を受けるが、裏書した免状の所有者であつた場合には、罰則を受けないでもいいということになるのですか。
#34
○政府委員(山崎小五郎君) これは一應水先人の方につきましては、これは結局水先をします船の相手が外の船をやつておりますので相当責任がありますので罰則を受けますが、この場合は現に乘組んでいる船を自分の責任でやりますので、若しそこに事故がありましたら、これは船長或いは航海士としての立場からの海事審判等も受けると思いますが、そういうことで特にそれに罰則を掛ける必要はないじやないかと我々は解釈しております。
#35
○丹羽五郎君 強制水先区域にあり、裏書を受けた船長、航海士は、これは入ることができ得るのでありますか。
#36
○政府委員(山崎小五郎君) でき得るのであります。
#37
○丹羽五郎君 でき得るのでありますから、尚更それをお尋ねするのであります。これは共同海損なんかにおいて大きな問題が起つて來ると思います。そうすると裏書を持つた人がやつた行爲は、水先人のやつて行爲と同様に認めていいわけですね。而もその人が、水先人が罰せられなければならん行爲をしても、この裏書人は処罰を受けない、これは後で申上げます二十三條なんかにいろいろの行爲がありますが、そういう制限は何ら受けなくてもいい。仕事は水先人の仕事をしている、そうして反則があつても、それは罰則も受けずに、而も二十三條あたりにもいろいろ技能が拙劣であつたということがありますが、これは水先人は二十三條の処罰を受けなければならない。裏書人はそういう二十三條、三十九條その他の罰則行爲にもそれは入らないというのであれば、非常に私は危險でもあるし、且つ水先人をこれ程やかましい法律で決めて行くにも拘わらず、そういう抜け道があるということは非常に、私はこれはこの法律の裏書ということに書いたことが、この法文を死文にしはしないかということを考えるのであります。何れ又これは後で申上げます。
 それから今度十六條に関して……。十六條は「水先人は、船長の行う水先人を求める信号を認めたときは、正当な事由がある場合の外、直ちに、その船舶におもむかなければならない。」「直ちに、その舶船におもむかなければならない。」仮にこれを直ちにその船舶に行かずに、その船を三時間も五時間も、パイロツトが來ないために止まることが往々あるのであります。そういうものに対してこれには何らの制裁もないのでありますが、片方は行かなければならん義務をつけておつて、これに制裁がないというのは、どういうわけですか。
#38
○政府委員(山崎小五郎君) お説誠に御尤もでございますが、私共の研究いたしましたところでは、大体水先人というのは水先をすることがその営業でございますので、できるだけ営業的な立場からも應招に應ずるのではないか、従つて應招を受けないというケースは実際的に非常に少いであろうということが第一の点、第二の点、仮に少くても、起つた場合に不都合が起りますが、こういう場合にそこに正当な事由がなくて船舶の運航その他いろいろ支障を来しますと、結局水先免状の禁止、停止、戒告等の処分を受けることになりますので、それで或る程度の罰則的な……罰則ではございませんが、そういう措置で処分ができるということであります。そういうことから大体実際的に問題はないだろうと思つております。それから最後に実際これに刑罰を科するという技術的なことになりますと、この水先信号をいたすのが特定の水先人を呼ぶのでなくて、そこにおる水先人を來て呉れと呼ぶのでありますから、そこに三人もいた場合にどの人が應招する義務があるかないかということになりますと、刑罰ということになると非常に重大な処置をするのに執行がやりにくいという技術的な面もございまして、そういうふうになつておるのであります。
#39
○丹羽五郎君 二十五條について…。「聽問」がありますが、この「聽問」に対する手続規定を必要と考えるのですが、その点は如何ですか。且つ、私は「聽問」に対して公開をする必要はなかろうかと考えておるのですが、その公開がこれにはありません。その点を一つ……。
#40
○政府委員(山崎小五郎君) この点につきましては我々事務当局として研究いたしましたことは、この水先人に対しまして、聽問をやるのが、いわゆる行政官廳であるとか、長官とか何とかが一人でやるのでなくて、水先審議会というあらゆる方面の知識と利害関係を持つた人からできておりまする機関がやるのでございますので、非常に不当なる措置を受ける危險というものが少いであろうという見通しの下に、この聽問は公開の聽問にする必要は少いであろうということに考えております。
#41
○丹羽五郎君 今度は二十三條ですが、「水先人がその業務を行うに当り、怠慢であつたとき、」これは分つておりますが、「技能が拙劣であつたとき、」ということでありますが、これが私達相当問題が起りはしないかと杞憂をするのです。仮に第六條で嚴重する試驗をやりまして、而も第四條で一定期間水先人になろうとする水先区の水先修業生として実務に服しておつた者でありますから、恐らく私は技倆が拙劣であつた者であれば試驗にもパスしないし、又一定期間その水先区で修業生として修習をするのでありますから、さようなことは私は余り起らんと思うのですが、一体ここに「技能が拙劣であつたとき」というこの範囲ですが、これは私は客観的立場といろいろのところにおいて、この範囲がどの程度で掴んで行けるかということは非常に大きな問題であつて、而もこれに対しては二十八條で、船長は水先人に第二十三條に規定する事由があることを知つたときは、その旨を報告せねばならん義務が船長に生じておるのですが、又三十二條でその事案に対しては審議会でその是非を決定するということになつて、結論は審議会でそれを纒めるようにはなつておるのですけれども、その技能の拙劣ということ、仮に船長がその水先人が自分の氣に食わん水先人であつたりなんかした場合、とつさの場合に船を右轉し左轉しということは往々あるのですが、どちらをやつてみても別に結果においては差支なかつたが、右轉したやり方がこれは技能が拙劣であつたというようなことで報告をして來て、これは審議会でいろいろ纏めるようにはなつておりますけれども、技能が拙劣であつたということに対して、船長がこれに対して一應この二十八條では報告をしなければならん義務がある、この範囲を私はもう少し明確にしなければ、ただ「技能が拙劣であつたとき」というような抽象的な言葉では、船長と水先人との間において今後私は大きな摩擦が生じはしないかという心配をするのですが……。
#42
○政府委員(山崎小五郎君) 御意見は御尤もでございますが、私共といたして一應水先人というものは相当嚴格な試驗を受けておりますし、経驗もあるのでございますので、まあ大体において余り技能の拙劣ということは少いだろうと思いますが、ただ我々今までの経驗で聞きました例を申上げますと、性格的に少し、いろいろ危險な状態なんか起りますと、非常にあがつたりするというふうな事例がある、こういうのもやはり試驗のときにはなかなか分りにくい、いよいよ大事が起つたときに慌てるというような性格を持つたような人が、こういうようなことで問題を起す、或いはまあ体格等も毎年やることにはなつておりますが、身体の衰弱その他のことから、試驗を受けたときには屈強の人でありましても、段々仕事が鈍くなつて來たというような事例を我々は考えておるのであります。只今おつしやいましたように、事件が起りましたときに船長の立場から見れば技能が拙劣であつたと見られるが、水先人の立場から見ればそうでなかつたというふうな、非常にむつかしい問題が起りますけれども、いずれにいたしまししもこういう場合は一應それを監督官廰であります立場の役所とか、或いは水先審議会等におきましてもこの事件を知つておりませんと、今後の監督或いは措置に遺憾な点ができますので、やはり船長からは、そうあつたと船長が認める場合には報告を貰いまして、その報告に基きまして、尚確かなこと、詳しいことは理事官或いは審判官、まあ審判官まで行きませんが、理事官或いは海上保安廰等から十分実情を調査する、或いはその資料に基きまして水先審議会等の意見を徴して処置を講ずるというふうに実は考えておりまして、ここで技能の拙劣なる程度というふうなことは抽象的の法律の上で書き表わすことは非常にむつかしいものでございますから、ちよつと程度等は説明しにくいのでありますけれども、大体の考え方は以上であります。
#43
○丹羽五郎君 この「技能が拙劣であつたとき、」ということを特にここでお入れになつたのは、私共はこの反対の立場において見て行くならば、これは水先人の技能を向上させる一つの目的がここに入つておるというようにも考えられるのだけれども、これは私、今二十三條と申したのは間違いでして、二十八條に船長からそれを海上保安廰に報告をさせて、そうして今度は審議会にも何か掛けて三十二條によつて審議会の意見を纏めるようになつておりますけれども、これはここに入れなきやならんですか、私はこれが相当大きな將來トラブルになる原因ではなかろうかと思う、而もこれだけの嚴重な試驗をして、又その一定の水先区間に修業生として一定期間そこで練習をさせて、やつた者にこういうことが必要であるかどうか、そういうことをお設けになつた立法精神をききたいのですが、技能の向上を図る意味であるというために、「技能が拙劣であつたとき」ということならば又一應受取れるけれども、今政府委員の話であれば、私はこれを置くことが却つていろいろの紛爭の原因になりやしないかとこう考えるのですか。
#44
○政府委員(山崎小五郎君) この点は水先法の法規を作りますときにもいろいろそういう点で御意見の通りのところで議論がありましたが、有力なる方面等の意見もありまして、ここに実は落付いたわけでございますから、その点は一つ、そういう意味でただ水先人の場合ばかりが主たる目的でなくて、やはりこういうことをやりまして水先人の技術の向上にもこれがなければならんという点も確かにあるのでございますから……。
#45
○丹羽五郎君 私はもう一つ、こういう文字をお使いになることは立派な水先人を或る場合には侮辱する一つの表現じやなかろうか、而もこの水先人というものは外國船の水先をしなければならん重大な使命を持つておるのですから、何かここに適当な語があれば、これに代えてみたらどうかという私は意見を持つております。それからこの第二十九條の組合というものはどういう組合ですか、任意組合ですか、どういう組合を考えておられるのですか。
#46
○政府委員(山崎小五郎君) 水先人組合は民法上の組合を考えておりまして、勿論この組合は強制的に役所で作るとかなんとかいうことはできる筋でもございませんので、任意組合でございます。
#47
○丹羽五郎君 この組合というものは民法上の組合を考えておられるのですか。
#48
○政府委員(山崎小五郎君) そうでございます。
#49
○丹羽五郎君 民法上の組合は任意組合の場合にはどうなるのですか、少くとも両方これに考えておられるのですか、ただ四十條から見ると私はこの民法上の組合のように考えておるのです、又四十一條の罰則規定から見ると明らかにここでこの民法上の組合を指していられるのですけれども……。
#50
○政府委員(山崎小五郎君) 民法上の組合でございます。
#51
○丹羽五郎君 民法上の組合を指しておられるのですね、それからもう一つだけお尋ねさして頂きたいのですが、この審議会の三十四條と三十七條に関係する点ですが、この三十四條には「関係行政廰の官吏及び学識経驗がある者のうちから、」ということになつておりますが、仮に関係行政廰の官吏がその委員になつた場合に三十七條のここにおきましてこれに対して手当及び旅費を受けるものということになつておるのでありますが、これは審議会の委員が官吏であつた場合には手当支給は私はできないと考えておるのですが、そうすると三十七條を少し修正をせんければいかんじやなかろうかと考えるのでありますが、この点を一つ。
#52
○政府委員(山崎小五郎君) 今丹羽委員から御質問がございました通りに、ここで委員であります、官吏は、やはり公務員法上の官吏でございますが、公務員法の規定に基きまして、当然この審議会の委員になりましても、手当の支給は受けないのでございます。ただ私共といたしましては公務員法にそういう原則的な規定がございますので、この法律にそれを書かなくても解釈上当然その公務員法の適用を受けるということから手当を受けないということになるというふうに解釈しておるのでございます。
#53
○丹羽五郎君 私はこの三十七條に、この法律及び公務員法に定めあるものの外というように明らかにして行つてみたらどうかと、少しここの法文に欠陷があるように考えておるのですが。
#54
○政府委員(山崎小五郎君) もう実質的なことは全くその通りでございますので、法律の表現方法の問題でございますが、私共といたしましては、それを書けば一層明かになりますが、書かなくても当然そう解釈になるというふうにまあ一應政府といたしましては解釈しております。
#55
○小野哲君 極く簡單なことですが伺つて置きたいのですが、この法律案の第八條で水先人の免許等が五年ごとに申請によつて更新を受けなければならない、言い換えれば免許に五年という有効期間を附けることになつたわけですがね、それで現行法ではこれは大臣の説明にもありましたが、終身水先人となることができるのだと、これは適当でない、こういうふうに言つておられますので、勿論これの免許に有効期間を附けるということについては相当な理由があつたことは、先程も御説明もあつたように思いますが、この場合に附則の第三項との関係でありますが、附則の第三項では今までに免許を持つておる者はその水先区について水先人の免許を受けたものとみなすということになつておるので、そういう関係から考えまするのと、もう一つは現行法の第三十三條でありましたが、この法律施行後五年間を限つて水先免状を授與することができる、併しその期間滿了の後と雖もその効力を失うことがない、こういうことになつておりますが、免許に有効期間をつけるような扱いをする場合においては、現在の言い換えば旧法によつて免許を得ておる場合の免許をそのまま認めるということは如何なものであろうか、これは免許の更新をする場合において、必要があると認めるときは試驗をやるというふうなこともこの新らしい法律案には書いてありますので、現在の水先人の素質なり、そういうようなものが果して一應この附則で以て、現在の旧法による免許を認め放しでよいか、勿論有効期間は五年でありますが、五年間と雖も認めて置いてよいのかどうか。もう少しこの際附則において現在の水先人の免許に対する措置を考えて置く必要があるのではなかろうか、終身水先人の制度を有効期間のある免許制度に改正しようというこの法律案の趣旨から考えて、現在の水先人の措置を取扱うについてもう少し工夫をいたす必要があるのではないか、こう思うのですが、これに対する御意見は如何ですか。
#56
○政府委員(山崎小五郎君) これは非常に徹底的にやるということにいたしますと、今お話の通りにやるのが非常に理想的かと私共も考えまするが、すでに今まで水先免状を持つて、而もそこで水先をやつております、これは非常に特殊な有技者でありまして、そう急に誰でも代える人を持つて行くということのできない性質の者でもございますし、又大体日本の水先人は一般の船員と同じように水準的に見ましても世界的にも優秀な者でございますし、又水先人自身の利害的な、経済的な立場から申しましても余り急激なる変化をいたしますことも混乱を生じますので、一應この法律の切替のときにその水先区域で免状を持つておる者はこの新法においても水先免状を取つた者としてスタートさせるということで非常なる審議の結果なつた法律でございます。
#57
○小野哲君 ただ今度の水先人の免許は四條以下で嚴重な條件がついておるわけなんで、水先人の向上と申しますか、良い水先人を將來作つて行くための考え方も織り込まれておるようでありますが、私もう一つ伺いたいことは、現在の水先人はどれくらいあるのですか、今政府委員の御説明によると、世界的に優秀だということで、大変心強く思うのですが、今後の海運の発展等とも睨み合せまして重要な職務を持つておるわけでありますから、一應この際に水先人のセンサスと申しますか、現状を把握して、果して適当であるかどうかぐらいの措置を講じても差支ないのではないか、これについて何かお考えを持つておられるか伺いたい。
#58
○政府委員(山崎小五郎君) 現在日本の水先区は大体全國に跨つて二十二区ございます。水先人は大体七十三人ということになつております。二十四年三月一日現在の平均年齢をとると五十七歳ということになつております。それで私の方の立場から考えますと、水先人の技能というよりも、どちらかと申しますとそれに必要なる物的施設、例えばボート或いは通信関係の施設、そういうふうな施設が戰時中不十分なために或いは破壊されましたのが復旧できないために不便を感じておるところがあるのでありますが、こういう施設を相当よくすれば日本の手先人の技術は相当高いのでございますので、効果を挙げ得るものと思つております。
#59
○小野哲君 今伺うと相当平均年齢が高いようですが、私実は素人で分りませんので伺いたいのですが、相当高年齢の人でも水先の仕事は大丈夫やつて行ける可能性があるのですか。
#60
○政府委員(山崎小五郎君) 水先人は先程申しましたように從來は二千トン以上の船の船長を二年間した人、而も亦それだけの技能でなくして、東京湾、或いは下関、長崎等各水域におきまして非常に習熟した経驗を持つておらなければなりませんので、余り若過ぎると却つて問題が多いのであります。どちらかと言うと或る程度人間ができ或いは技能等も熟練された船長出身の方がよいのでありまして、まあ今のところ五十前後というのが一番よいのじやないかと思つております。
#61
○委員長(板谷順助君) 大体船長を勤めた人が多いのです。それから今お話のように大分経驗がありませんと危險が伴うから、どうしても年齢が多くなるのであります。
#62
○小泉秀吉君 一つだけ伺います。強制水先人になることのために水先組合は任意組合だという一方、強制とその任意組合というものとの先程先府委員のお話もありましたが、物的施設というようなものが十分にないと、折角強制になつても船舶の要請に應ずるようなことがうまく行かないのじやないかということを私は恐れますが、そういう点に対して政府自身が何か施設を作るのか、或いは水先組合のみにそういう施設を自衞的にさせるのか、その点についてのお考えを願います。
#63
○政府委員(山崎小五郎君) 大体水先制度の建前から申しまして水先人と水先業務は営業でありますので、非常に公共的な使命を持つてはおりますが、やはり企業的に見ると一つの営業で結局現在の水先料金が果して適当かどうかは分りませんが、一應料金というものはその水先業務を行うに必要なる、諸経費を賄うに必要な料金が基礎として計算をされるわけでございますので、建前としましては、水先人或いは水先組合におきましてその施設をしなくてはならんということになつております。ただ政府といたしましては、それの枠の獲得とかその他いろいろ料金の是正というようなことにつきましては極力努力をいたしまして、実情に應じ或いは改善ができるようにいたしたいと思います。
#64
○飯田精太郎君 この水先人というのは、各水先組合に定員があるのですか。
#65
○政府委員(山崎小五郎君) これは先程申しましたように、現在の法律では逆に水先人の定員の最高制限をして抑えておつたのでありますが、これはどういうわけでそういうことをやるかと申しますと、余り水先人が殖えますと結局收入が減りますので、共倒れになる、從つて先水人は殖やしちやいけないというので制限されておりましたが公益的な立場から或いは船の運航の立場から申しますと、やはり水先人が少ないところは運航能率に支障を來しますので、どちらかと申しますと最低を抑える、これ以上に減つてはならないという立場で行くべきだということで、今度の法律では最低を抑えてこれ以下にしてはならないということになつております。それ以上になりますことは勿論自由でありますが、これも実際の事情も余り殖えますと、先程申しましたような結果になりますので、やはりそこに自然的な淘汰と申しますか、調節行われまして、大体バランスがとれるように決まつております。
#66
○飯田精太郎君 そうしますと資格があつて希望者があれば免許状は出すわけですか。
#67
○政府委員(山崎小五郎君) そうでございます。
#68
○小泉秀吉君 じや保留して置きます。
#69
○丹羽五郎君 三十二條ですが、「海上保安廳長官は、第二十三條又は第二十四條の規定による処分をしようとするときは、水先審議会の意見を徴し、且つ、その意見を尊重しなければならない。」というような職務行爲ですが、それに対して何ら聽問とか、いろいろの水先人の有利な証拠の提出ということが何ら規定を置いてないのですが、これは明日申上げますけれども、恐らくこういうような拔打的なことは、私非常に救済という意味を含んでない、これは少し考えなきやならんのではなかろうか、こう考えるのであります。
#70
○政府委員(山崎小五郎君) 御尤もでございます。この点につきましては、我々といたしましては三十二條の処分即ち水先人の免許状の禁止等の処分をやりますときに、水先審議会の意見を尊重してやるとか、結局二十五條の場合におきましては、そういうことをやる場合には、聽問をするということになつておりまして、二十三條、二十四條においてまあやらないということは少し均衡を失してはいないとかいう御質問の要旨ではないかと思いますが、この点については二十五條の場合につきましては、水先人或いは水先人組合に対しまして行爲の停止をしたり、必要な事項を命じたり、する場合は「水先の業務の円滑な遂行を害し、公共の利益に反する」という相当廣い範囲の或いは言い換えますれば漠然とした原因からそういう措置をいたしますので、これはやはり当該水先人の意見を当然聽く必要があると思うのであります。まあ二十五條に対しまして二十三條、二十四條の場合は停止、禁止等の処置をやるのが、大体怠慢であるとか或いは技能の拙劣、非行というのは、酒を呑んだとかそういうことでございますが、或いは法律の規定に違反したという大体具体的な事例を基礎にして処置いたしますので、而もそれは水先審議会等によりましてやりますので、二十五條の方が二十三條、二十四條の場合よりか権利の濫用になる虞れが多いというふうに考えましたので、まあ聽問という制度を設けましたが、丹羽委員から御説明の趣旨は相当御尤もな点がございますので、実際に水先審議会が二十三條、二十四條の処分をする場合にも、できるだけその当該水先人を呼びまして、いろいろの水先人の立場からも意見を聽いて処置をするように、運用のに上おいてやるというふうに考えております。
#71
○委員長(板谷順助君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     板谷 順助君
   理事
           小泉 秀吉君
           小野  哲君
           丹羽 五郎君
   委員
           植竹 春彦君
           大隅 憲二君
           入交 太藏君
           飯田精太郎君
  政府委員
   運輸事務官
   (海運総局長
   官)      秋山  龍君
   運輸事務官
   (海上保安廳保
   安局長)    山崎小五郎君
   常任委員会專門
   員
           岡本 忠雄君
           古谷 善亮君
ソース: 国立国会図書館
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