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1949/04/27 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会労働委員会連合審査会 第1号
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1949/04/27 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会労働委員会連合審査会 第1号

#1
第005回国会 内閣委員会労働委員会連合審査会 第1号
昭和二十四年四月二十七日(水曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
  内閣委員会
   委員長 齋藤 隆夫君
   理事 青木  正君 理事 池田正之輔君
   理事 小川原政信君 理事 吉田吉太郎君
   理事 有田 喜一君 理事 木村  榮君
   理事 鈴木 幹雄君
      江花  靜君    尾関 義一君
      鹿野 彦吉君    丹羽 彪吉君
      根本龍太郎君    鈴木 義男君
      北村徳太郎君    小林 信一君
 労働委員会
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 角田 幸吉君 理事 福永 健司君
   理事 三浦寅之助君 理事 吉武 惠市君
   理事 前田 種男君 理事 川崎 秀二君
   理事 春日 正一君 理事 島田 末信君
      大橋 武夫君    佐藤 親弘君
      篠田 弘作君    青野 武一君
      大矢 省三君    土橋 一吉君
      石野 久男君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 鈴木 正文君
        國 務 大 臣 本多 市郎君
 出席政府委員
        労働政務次官  山崎 岩男君
 委員外の出席者
        議     員 淺沼稻次郎君
        労働事務官
        (総務課長)  富樫 總一君
        專  門  員 龜卦川 浩君
        專  門  員 小關 紹夫君
        專  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
本日の会員に付した事件
 労働省設置法案(内閣提出第八五号)
    ―――――――――――――
#2
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
 本日は労働省設置法案について、内閣委員会と労働委員会の連合審査会であります。内閣委員長であります私が、委員長の職務を行います。
 まず政府の提案理由の説明を求めまして、それから質疑に入りますが、質疑は通告順によつて行いますから、あらかじめ御通知を願います。
 それではこれから政府委員の説明を聽取いたします。
#3
○山崎(岩)政府委員 労働省設置法案を審議せられるにあたり、提案の理由を御説明いたします。
 現行の労働省設置法は、労働省の発足に際し、昭和二十二年八月第一回國会において成立を見たものであります。爾來労働省といたしましては、所期の目的達成のため、種々努力して参つたのでありますが、今回内閣の方針による行政機構の整備と、六月一日から施行されることとなりました國家行政組織法の関係上、これにつき若干の改正を必要とするに至つた次第であります。
 その要点について申し上げますと、第一に、行政機構の整備に関連いたしまして、労働統計調査局を大臣官房の労働統計調査部といたしたことであります。労働省の行政の合理的遂行の基盤として、科学的に的確な統計調査の重要なことは申すまでもありません。今回の改正は決してこの重要性を軽視したものではなく、今後とも労働統計調査部は、大臣次官直轄のもとに、各局に関係のある統計調査に万遺憾なきを期する所存であります。なお、これ以外の労働省関係の行政機構は、すべて現状通りとなつております。
 次に、國家行政組織法の実施に伴う改正点でありますが、これらにつきましては、形式的な規定の整備であつて、実質的には何ら現状に変更を加えるものではございません。すなわち、現行法に対する改正要点の第三條「労働省の任務」、第四條の「労働省の権限」、第二章第二節の産業安全研究所等の「附属機関」、同じく第三節の都道府縣労働基準局等の「地方支分部局」、第三章「外局」、第四章「職員」等の規定は、すべて現状または他の関係法令に規定するところをそのまま規定したものであります。
 最後に、失業保險委員会は、この法律案が施行される六月一日から、中央職業安定審議会に統合されることとなつておりますので、この法律案の附則でその官制を廃止することといたしました。
 以上概要を御説明いたした次第でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
#4
○齋藤委員長 質疑の通告がありますから、通告順にこれを許します。
#5
○木村(榮)委員 議事進行について……。労働省設置法案は合同審査会をやらなければならないような重大法案であるから、労働大臣が出席すべきであるのに、今日は出席されておりません。本多國務大臣等も出席されるのが当然だと思う。次官や政府委員が二、三人出て來ただけで、この合同審査会をやるなんということはもつてのほかで、欠席されるならば欠席されて、本日は流会にすべきだと思う。
#6
○齋藤委員長 政府は政府で用がありまして、今閣議をやつておりまして、みんな出られません。
#7
○木村(榮)委員 きようは合同審査ということは前からわかつておつた問題で、閣議をやつておるから出られぬなどということはもつてのほかだ。ほかの委員会と違います。質疑継続中の委員会などとは違つております。最初の合同審査会だ。しかも合同審査会などというものはめつたにやるものではない。よほど重大な案件を討論するときにのみやるのだ。このときにあたつて関係大臣が出られないような合同審査会は無意味である。だから大臣が出席するまで暫時休憩してやるべきだと思います。
    〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
#8
○齋藤委員長 そういうような発議がありました以上は決をとります。これを進行するかせぬかについて諮ります。
#9
○木村(榮)委員 三十分間や五十分間は休憩してもいいじやないか。きのうは四時間も休憩して、しまいには流会したじやないか。
#10
○齋藤委員長 やかましく言うな、委員長は議事を整理する資格があるから默つていてください。
#11
○木村(榮)委員 だからこの連合審査会を中止する……。
#12
○齋藤委員長 やめたまえ。委員長が発言するときには委員の発言を許しません。
#13
○木村(榮)委員 やかましく言うなとは何だ。
    〔「委員長が発言しているのだ。妨害するのか。委員長が発言したら默つて聞いていたらいいじやないか」と呼ぶ者あり〕
#14
○齋藤委員長 この会議を継続するかせぬかを決とります。継続するについて賛成の方の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#15
○齋藤委員長 多数であります。
    〔「少数、々々」と呼ぶ者あり〕
#16
○小川原委員 この問題は政府の方にもそういうような理由があり、遊んでおつて來ぬというならそれはそうでありますけれども、そういうふうにわけがわかつておるというのであれば、これは好意的に議事を進めて行くということがわれわれの任務だと考える。であるから一應前に協議をした道徳的な考えからこれを継続して行くことが当然だ。私どもはかように考えます。
#17
○木村(榮)委員 委員長の権限により決をとつた。決をとつた結果は賛成者が少かつた。これはどう処置されますか。
    〔「休憩、々々」と呼ぶ者あり〕
#18
○齋藤委員長 大臣が見えましたから再開します。通告順によつて発言を許します。前田種男君。
#19
○前田(種)委員 質問に入る前に、委員長が採決とつて結果をつけていただきたい。
#20
○齋藤委員長 結末をつける必要はありません。大臣が來るまで休会するということで……。
#21
○前田(種)委員 採決をとつた跡始末を一應つけていただかぬと……。
#22
○齋藤委員長 大臣が來られましたから、質問をするということで御異議ありませんか。
#23
○前田(種)委員 それでなく、跡始末をつけていただきたい。
#24
○齋藤委員長 それであと始末はつくのです。
 再開いたします……。再開いたします。
#25
○前田(種)委員 再開といつても、休憩も宣せずに……。
#26
○齋藤委員長 再開を宣告したのだから、すべては済んだのです。
 議事を再開いたしますから、通告によつて質問を許します。前田種男君。
#27
○前田(種)委員 会議を進めて行くことにして、質問いたします。私は本多國務相に第一に質問いたしたいのでありますが、本多さんはお見えになりましたか。
#28
○齋藤委員長 本多君は來ておりません。
#29
○前田(種)委員 第一に、行政整理と労働省設置法との関係を明らかにしてもらいたいと思うのであります。それに関進いたしますところの定員法が提出されるというようなことになつておりますが、それとこの労働省設置法との関係は、一体どうなつているかという点について、労働大臣において答弁できる点は答弁を願いたいと思いますが、本多國務相その他の政府委員で適当な人がありますならば、至急適当な政府委員の出席を求めて、この関係を明らかにしてもらいたいと思います。
#30
○齋藤委員長 本多國務大臣はすぐ來るそうです。
#31
○木村(榮)委員 議事進行について……。さつき決をとられた私の動議で、本多國務大臣と鈴木労働大臣と両名を出したのです。それに対して委員長は決をとられたのですから、当然本多國務大臣が來ないと、その決をとつたことの責任上再開はできぬ。だからその点をもう少し話合いをつけよう、私もそうこだわらぬと言つたわけで、至つてうやむやになつているのですが、嚴密に言えば、本多國務大臣が來ないと再開ができないのです。
#32
○齋藤委員長 もうすぐ來るのですから、労働大臣の関係をお願いします。
#33
○前田(種)委員 私は今、本多國務大臣は至急に來て答弁すればいいと言つて質問しているのです。労働大臣の権限において答弁できる点は、答弁を願うと言つて質問をしているのです。
#34
○鈴木國務大臣 設置法の方は、労働省の機構についての関係を規定する性質のものでありまして、定員関係の方は、別に設置法自体を直接的にこの中に盛らるべき性質のものではないのでありまして、定員関係の方は、ただいまも御質問にありましたように、主として本多國務大臣の方から聞いていただきたいと存じます。なおそれに関連して、私どもの意見なりなんなりは、そのときに求められればお答えいたします。
#35
○前田(種)委員 今労働委員会で審議しております國内の失業対策あるいは災害補償の一部改正の問題、あるいはその他の労働行政に関する全体の法規の改正を見ますと、今後労働省の所管は相当拡充されなければ実際に運営が円滑に行かぬと思います。今日の時局、特に経済界から來るところの失業不安の問題等に対処するためには、重要な労働行政の部面が労働省に責任を持たされることになるわけです。特に失業保險の改正から見ますと、わずか五人以上の旅館、飲食営業、そうしたところまで適用を及ぼすということになりますと、法の運営を円滑にやるというためには容易ではない。行政事務が輻湊して來ると思いますが、そうした関係にある中に、一方においては行政整理をやつて中央三割整理をする、あるいは地方二割整理するということになつて参りますならば、はたしてこれで今議会に審議されておりますところの緊急対策が、円滑に行くかどうかという点について、労働大臣の責任ある見解なり、労働省の心構えをひとつ明確にしてもらいたいと思います。
#36
○鈴木國務大臣 労働行政の面が、仕事の量もふえて参りまするし、質的にも新しい問題をはらんで來るということは御指摘の通りであります。これに対しまして現内閣の行政整理という問題も、内閣にとりましては絶対の仕事でありまして、これをどういうふうに調節するかという問題でありますが、労働省が新設の省であり、また現段階的な特殊の仕事の立場に立つておることは御指摘の通りでありまして、ここにある程度の現実に即した考慮を加えるべきであるということは、私どもも考えておるのでありまして、その点は、行政整理の問題の閣議においても、繰返しその見解を披瀝したことがしばしばあるのであります。ただし一方において、同時に現内閣の行政整理自体の観念と、根本的の方式とを捨てるということはできないのでありまして、労働省の立場を鮮明しつつ、内閣の遂行しようとする行政整理にも協力して行くというのは当然なのでありまして、この点につきましては、まだ定員法の関係は最後的決定のところまでは至つておりませんけれども、ある程度われわれの主張の認められつつある点もあるのでありまして、今そういう形で推移しております。
 それから、これでもつて労働行政がやつて行けるのか、そういう確信を持ち得るかという御質問でありましたが、これはわれわれの主張する点を取入れられて、ある程度特殊の考慮が加えられるならば、やつて行けると思いますし、また現在の日本の実情から考えまして、能率を上げるとか、機構の組みかえといつた点でもつて能率を高めるというくふうは、あえて労働省に限らず、当然どの省でもやるべきでありまして、その努力を累積することによつて、まず與えられた使命を果し得るだけの仕事の能率を上げ得るものという見通しを持つております。
#37
○前田(種)委員 行政整理と定員法との関係等については、本多國務大臣がお見えになつてから質問することにして、留保します。ただ私がこの際労働大臣にお尋ねしたい点は、今日民自党内閣は行政整理を一枚看板としてやつておりますが、常に地方官廳との関係が相当問題になつておるわけです。民自党の中においても十分檢討されておると思いますが、特に労働行政に関係する面におきましては、地方府縣には労政事務所あるいは労働課、あるいは労働部、労政課というものがあります。それから労働省直轄の地方労働基準局あるいは労働基準監督署あるいは公共職業安定所というものがございまして、一つの建物の中に二つも三つも看板を掲げて、所長が二人も三人もおるというような役所が相当地方にあるわけです。一般國民の観念から申しますと、一体どこがどういう労働行政をやつているかということについてすら、認識が不十分のために円滑に行つていない点が多々あるわけです。私はこの際むしろ、地方府縣にありますところの労働行政を担当するものと、労働省直轄の基準局あるいは公共職業安定所というようなものを、何とかして一本にして、地方の出先の行政事務を充実して有力なものとし、そうしてもつと強力な指導、推進をやるべきだと考えます。どうも地方の労働基準監督署に参りましても、その中には公共職業安定所があり、あるいは労政事務所があるというようなことで、たずねて行つた人々は戸惑いをしなければならぬというような状態です。それに対する應待は、非常に不親切きわまる應待をやつているという現状でございますが、どうも今日一本の法律が出ますと、その法律に附随してその行政事務を担当する役所ができるという関係になつて來ておるわけです。私は行政整理を相当思い切つてやろうとしておりますところの現内閣においてこそ、労働行政を地方末端に至るまで一本にして、もつと内容を充実することが先決問題ではないかと考えます。こうした関係におけるところの労働大臣の見解を明確にしてもらいたいと考えます。
#38
○鈴木國務大臣 いろいろな役所が同じ建物の中でごたごたしておるというような事実は相当ありますけれども、これは労働省が最近において発足した省であり、労働省関係のそういう機関は、いずれもその後ここ一年、二年ぐらいの間に施設その他をやつたのでありまして、現在の國家財政のもと、また建築その他の関係から行きますれば、前田委員の御指摘のようなのが理想ではありますけれども、そしてまたその方向に向つてできるだけの努力をして、急速にそういつた面を解決すべきではありますけれども、ただいまは一挙にこういつた問題が解決し得るだけの予算的の裏づけもありませんし、建築その他の状況におきましても、これは一挙にそこまでは行けないと思います。しかしそういう方向でもつて形の上でも整備して、そうして機能を発揮するように、また一般民間の方たちにも、御指摘のような不便をおかけしないようにという努力は十分いたすつもりであります。
 それから出先機関を一本に統合してという御意見は、一つの有力な御意見としては拜聽しておきますけれども、現在のところ、労働基準局その他すべてを一本にするというふうな考えを持つておらないのでありまして、有力な御意見として、研究の御意見としては承つておきます。しかしながら目下の行政整理、それから新しい設置法、そういう面の中に今述べられました完全な一本のものというふうな考え方は、やや現実的にただちにやるには幾多の檢討を要する問題があると思います。有力な御意見として、研究の基礎としてはお伺いしておきます。
#39
○前田(種)委員 どうも抽象的の答弁で私満足しませんが、例をあげますと、労働基準法ができましたために地方に労働基準局があり、その下には労働基準監督署がございます。さらにもう一つ職業安定法ができたために、末端に公共職業安定所ができております。一方の基準局の方は労働省直轄で末端までやつており、公共職業安定所の方は地方府縣に移管いたしまして、地方府縣の労政課なり労働部が移管を受けてやつているというような関係になつておるわけです。しかも府縣の労政課、労働部と、労働基準局あるいは労働基準監督署との関係は、必ずしも円滑に行つていない。いろいろな点で摩擦のあることが相当あるのじやないかと思います。私はむしろこういうものこそ――公共職業安定所にしても地方の基準局という名前にこだわつておりまして、基準法だけを所管することになつておりますが、これはもつと一本にして、両方とも地方の労働基準局が所管するというようにするか、あるいは全然地方の府縣に移管して、地方の労政課または労働部なら労働部の内容を充実してその府縣を單位として一本にしてやるかという点は、根本的に今度の行政整理が話題になつたときに、檢討されてしかるべきものであろうと私は考えます。しかしこれ以上労働大臣を追究してもいたしかたないと思いますが、今申し上げました点について、もう一度御答弁を願つておきたいと思います。
 それから簡單なところでありますが、この設置法の第四條の十六号に労働委員会の中で特別労働委員会の名称云々の箇條がございます。これは現行法からして当然そうであろうと思いますが、数日後に提案されますところの労働組合法の改正案の原案から考えますと、特別労働委員会は抹消されておるわけです。そういたしますと、この第十六号はいらぬことになると思いますが、こうした見解等について――來るべき労働立法の改正案の審議と並行して、労働省設置法案が十分審議されなければならぬと考えますが、その点に対する見解を承つて、私の質問は本多國務相の質問を留保して、これで終ります。
#40
○齋藤委員長 本多國務相が來られましたから……。
#41
○鈴木國務大臣 お答えいたします。ただいま御質問の特別労働委員会の方は、近く國会に提案されるはずになつております労働組合法が通過の際、それに措置を講ずることにいたしたいと思います。
 それから重ねて御質問のありました出先の方を一本に強力なものにするように、場合によつては地方に委讓してしまつてもいい。そういう意味の御質問でありましたけれども、たとえば労働基準関係のごときは、國際的な関係もありまして、大体において一本の規模において國家の官吏がこれを行うことが、國際的の一つの方式になつている点もありまして、なかなか一挙にそういう問題を解決し去ることは、まだ檢討を要すると思います。現状においては、労働基準関係の方は、一本で強力にまとめ上げて行くという考え方の上に立つておりますが、その他の点につきましては、なお十分檢討を加えて参りたいと思つております。いずれにせよ、重ねて御質問にありましたように、すべてを一本にまとめてしまつて、そうして強力にという考え方は有力な考え方でありますけれども、現在設置法関係の審議の前後というこの段階におきましては、一挙にそこまで結論をつけて、実現して行くというまでに問題は熟しておらないのでありまして、その点御了解をいただきたいと思うのであります。
#42
○前田(種)委員 本多國務相が見えましたから、重複しますので質問の要点を簡略にして、本多さんから答弁を願いたいと思います。それは今も労働大臣から答弁がございましたが、労働行政の地方府縣末端の組織を一本にしたらどうかという私の意見です。それというのは、本省直轄の労働基準局があり、その下に労働基準監督署があり、さらに労働省の直轄でありますが、地方府縣に委嘱をいたしました公共職業安定所が末端にある。さらに府縣に労政課があり、労働部があるということになつて、一つの建物に二つも三つも看板を掲げて、三人も所長がおる。そうしてそれぞれ公務員がおるという関係になつているわけであります。私は、行政整理を遂行しようとする現政府のもとにおいては、地方にありますところのこうした労働基準局をもつと充実して、一本の地方の行政機関のもとに末端を統制する。そして実績を上げるということにすべきであつて、えてして府縣の労政課、労働部と労働省の出先機関との間には相当摩擦がある。そうして役所がたくさんあるので、命令が二本にも三本にもわかれておるというような状態に置かれている。地方の声としても、こうしたものを一本にしてもらいたいという相当強力な声があるわけであります。民自党の中でも十分檢討されていようかと思いますが、こういう点についての見解を承つておきたい。
 もう一つは、行政整理を今日行うという具体的な問題になつて來ておりますが、一面この労働省関係におきましては、ただいま議会で審議しておりますところの失業保險の対策、あるいは緊急失業対策、あるいは失業保險を拡充する問題、あるいは災害補償を確充する問題等から考えて行きまして、非常に行政事務が輻湊して來ると思います。特に五人以上の旅館飲食営業にまで失業保險を適用することになつて参りますと、一体これをほんとうにやらす意思があつて政府は提案しておるかどうか、私は疑問に思うのでありますが、そうしたところまで発展して行きますと、さらに労働行政の事務が煩雜になつて來ると私は考えますが、こうした関係にあるにかかわらず、依然として中央三割あるいは地方二割という行政整理の対象をもつて臨んでおられるかどうか、この点について本多國務大臣の御答弁を願つておきたいと考えます。
#43
○本多國務大臣 労働省関係の出先機関につきましては、お話の通り基準監督、職業安定の両機関が併立しておるのでありますが、職業安定のための機関と、基準監督のための機関とは、おのずからその使命を異にいたしておりますので、多少そこに違つた考えを持つて見ております。この基準監督の仕事は、やはり中央政府の一貫した機構でやつて行く必要のあるものではないかと思いますが、職業安定の方につきましては、これは今日政府の公務員を縣に派遣いたしておきまして、知事の監督のもとに職業安定の仕事が行われておるのでありますが、そうした機構では公共團体の長としても、仕事に対する責任の観念、熱意の観念等も阻害されるおそれもあり、こういうものは地方に統合したらいかがかということで、政府においても研究中であります。御承知の通り、府縣單位以下の区域を管轄区域とする出先機関は、原則としてこれを地方に委讓する方針をもつて研究中でありますが、その中で基準監督の機関については、ただいま申し上げましたような考え方が大体において一致しておりますが、職業安定所の問題についてはなお檢討中でございます。これをたとえば労働省出張所というような一本の機関にしたらどうかということについても、公共安定の機関も中央政府の機関として存置することになりましたならば、研究される問題だろうと思いますが、ただいまのところでは廃止すべきかいなか、委讓すべきかいなかということについて檢討中であります。
 さらに人員整理の問題について、これは行政整理の結果、あるいは民間企業合理化の結果、労働省の仕事は増加する傾向にあるのに、やはり同じ考えをもつて人員整理に臨むのかという御質問でありますが、これは実情に即するように、これについてもいまなお檢討中であります。しかし一般國家の行政機構といたしましては、その省の仕事、その機関の仕事が完全にこれをやろうとすれば、どこでも厖大な人員を要するという理論も立つのでありますけれども、全体的な行政機関としてのつり合いがとれるように、しかもなるべく実情に沿うようにということで、整理を進めて行く以外にはないのでありまして、でき得る限りそうした各省の仕事の増加するまで、減少するまでの実情には沿うようにというので研究をいたしておりますが、仕事のふえる省であるから行政整理をまつたく例外とするというわけには行かない実情にあるということを御了承願いたいと思います。
#44
○前田(種)委員 私は多くをお尋ねしませんが、前段の本多國務相の答弁の中に、基準局関係と職業安定とは使命がいろいろ違うから、一本には容易にならぬというような答弁でございましたが、私はそれは百も承知しておる。しかし私の試案から行きますれば、今の地方の労働基準監督署というものを、むしろ地方の労働局の中に基準課あるいは職業安定課という課を設けて、しかも内容を充実して、そうしてその地方の労働局がその地方を担当して、十分やつて行くという権威あるものにしたいというのが私のねらいである。しかも地方府縣にある労政課、労働部というものをこれまた一本にしてやる方が能率的であり、今日の時局に沿うものだという見地から私は言つておるのであつて、そうすることによつて内容を充実し、一方においては相当役所の内容を整備するということも可能だ、しかも強力な権威ある出先機関として十分の機能を発揮できるという見地から、むしろこうしたものが行政整理の対象になつて、眞劍に論議されてしかるべきだという見地から質問しておるのであります。特に労働省関係は今後地方の出先機関に十分働いてもらわなければ、今日審議しております多くの緊急対策の法案の運営は、円滑に行かぬという見地で質問しておりますから、その点はさよう御了承願つて、なお今後とも政府は十分の善処を希望いたしまして私の質問を終ります。
#45
○齋藤委員長 それでは土橋君。
#46
○土橋委員 ちようど本多國務大臣もおられますし、労働大臣もおられますから、両者にお尋ねをしたいと思います。このたびの行政整理に伴つての、行政機構の改変と定員の問題でございますが、これは國家の行政機構を運用する労働省においても、他の省においても同樣でありますが、これは両者ともにこういう委員会において合同に審査する考えであるかどうか、特に別個に定員法の問題と機構の点とわけておる点はどうであるか、この点をひとつお伺いいたします。
#47
○本多國務大臣 これは機構と定員と一緒ににらみ合せて研究していただく。あるいはこれまた審議をされる上において御便宜かと思いますが、それでは機構だけでは審議ができないかと申しますと、また議事の進行の都合上これもやつていただくことが不可能ではなかろうと思いまして、ただいまのところでは定員法が政府部内においてまだ案が決定をいたしませんので、別に進行していただくような段階になつておるわけであります。
#48
○土橋委員 行政機構は、必ずその機構を動かすところの國家公務員が担当するわけであります。從つて機構がいかようにつくられても、現実には國家公務員がこれを運用するのでありますから、やはり事務の量とその所管事項の任務の範囲、あるいは権限その他の仕事の量等を勘案いたしまして、やはり定員に関する問題と機構に関する問題は、相ともに審議されることが必要であると思うのであります。これはもう理想的な議論ではなくして、現実に特に労働省の設置に関しては、先ほど前田委員からいろいろお話があつたように、特に職業安定に関する問題と緊急失業対策に関するいろいろな問題、さらに保險に関する問題がありますので、ぜひともこれば労働大臣の方においても相並行してやつていただきたい。そうでなければ労働行政の完全な実施はできない。かように私は考えておりますが、いかがでしようか。
#49
○鈴木國務大臣 御説のような形でもつて審議をしていただくことは、きわめて便宜かと思いますけれどもただいまも本多國務大臣が申されましたように、定員関係はあえてこれは労働省だけに限りませんけれども、定員の関係につきましては不日決定するでありましようけれども、ただいまのところ決定しておらない。議会の会期等の関係からいたしまして、設置法の方だけを一両日先になつても、審議していただく方がよくはないか、こういう考えのもとに各省とも提案したものと思います。労働省も同じ意味であります。土橋委員の御指摘のように行けば、なお一層並行して便宜でありましようけれども、その点定員法の方が最後的の案を得ておらないという現状に即しまして、設置法の方を御審議いただきたい、そういうふうに考えております。
#50
○土橋委員 それでは行政機構の組織の問題と定員の関係については、一應質問を保留しておきまして、当面の問題から質問したいと思います。
 このたびの政府原案によりますところの第三條の規定の中の労働省の任務でありますが、労働省の任務の規定は、これは前の法律にもあつたわけでありますが、一應労働者の福祉という意味について、私は労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
#51
○鈴木國務大臣 第三條の労働者の福祉という意味は、物質的にも、それから精神的にも、労働者の生活を充実するというきわめて廣い意味だと思います。
#52
○土橋委員 それならば、そういう物質的な、精神的なというようなことでなしに、労働者としてのまず基本的な権利が憲法第二十八條に規定されております。第二十八條の基本的な労働者の権利としての團結権、團体交渉権、團体的諸行動の権利、及び労働者としては、目下どういう國においても最低賃金制の確立ということを要望しておりますので、これは大臣も知つておられると思いますが、そういうもののほかに、さらに労働者の社会的な、あるいは政治的な、経済的な、文化的な地位の向上ということが、第三條の前段に書いてある労働者の福祉という内容であるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
#53
○鈴木國務大臣 そういつたものも含めて、廣い意味の労働者の福祉だと思います。
#54
○土橋委員 それならば、ただいま私が申し上げたような憲法第二十八條の團結権、團体交渉権、さらに團体的諸行動の権利及び最低賃金制の確立並びに労働者の政治的な地位の向上、経済的な地位の向上、文化的地位の向上、さようなものであるということを、大臣はこの委員会において確認をせられるわけでありますね。
#55
○鈴木國務大臣 それらの列挙された事柄はこの設置法のほかの部分にも、あるいは各種法律の各部分にも出ておるのでありまして、ここで概括的にそういうことを労働者の福祉ということでもつて述べている、こういうふうに解釈しております。
#56
○土橋委員 この点はきわめて大切な点です。憲法第二十八條に規定してある最低賃金制、労働者の政治的地位の向上、経済的地位の向上、社会的地位の向上並びに文化的地位の向上ということについて、ただいまの御答弁は非常に私は感謝いたしますが、それならば將來の労働行政については、今御答弁なすつたその範囲において、労働者の福祉のために努力せられんことを私は要望したいと思うのであります。
 そこで第三條の規定の意味はよくわかりましたが、次は第四條であります。第四條の規定の労働省の権限でありますが、労働省の権限として特に問題になるのは第六号及び第七号であります。これについては規定の第二十一條に「國家公務員法の定めるところによる。」ということが書いてあるわけでありますが、この関連性はどういう関連性であるか。すなわち労働行政に関して從業員の任免あるいは解職、あるいは処罰あるいはその他の事項については、これは人事院が担当するのが、國家公務員法の基本的な原則であるにもかかわらず、労働大臣がなし得るという権限はどういう意味であるか、この点を質問したいと思います。
#57
○富樫説明員 御質問にお答え申し上げます。基本的にはお話しの通り國家公務員法によりまして、人事院が中心になつて企画、立案その他の仕事をやるのでありますが、その実施面におきましてはそれぞれの事柄に從いまして、各省大臣がそのわく内においてそれぞれ職員の福祉、厚生その他の仕事をすることになつておるわけでございます。そういうことをここにそのまま書いたわけであります。
#58
○土橋委員 私は労働大臣に御答弁願いたいと思いますが、國家公務員の身分、給與及び退職なり昇給なりあるいは各省に雇い入れをするなり、こういう事項については、これは人事委員会の決議に從つて行うことに相なつておりますが、そうすると労働大臣としては少くとも労働省管内における國家公務員については、人事院規則に從わずして一切の具体的な処置はできないというふうに理解してよいかどうか、この点を労働大臣から明確に御答弁願いたいと思います。
#59
○鈴木國務大臣 人事院の決定したわく内でもつて労働大臣なり各省大臣は、國家公務員の任免その他の権限を行うという意味で、そういつたことの根本は人事院できめるのでありますが、そのわく内においての任免その他の権限を持つておる、こういう意味であります。
#60
○土橋委員 そういたしますと、ここに本多國務大臣もおられますが、この前もたしか労働委員会において質問しましたが、このたびの行政整理に関しては、あなたも労働委員会において大体お認めになつたわけでありますが、人事院の何分の措置を考えずに――政府は執行機関であります。憲法第七十三條の規定に基いて内閣のやる仕事がきまつておるわけであります。そういう行政執行機関たる行政管理廳が行政整理というような國家公務員の身分に関する問題を一方的にやるということは、これは國家公務員法の干犯でありますが、これについてもう一回この委員会で明確な御答弁を願いたいのであります。國家公務員法の違反でないというならば、その違反でないという理由を憲法上から簡單に説明していただきたいと思います。
#61
○本多國務大臣 定員法というもので定員が定まりますと、その冗員は退職を命ずることができるということは、國家公務員法の規定にあるのでありまして、これに從つて整理が行われるのであります。さらにその退職の基準等につきましては、これは機構をどうする、人員を何割減らすというような基準でなくして、退職させる場合に若い者とか年寄りや非能率であるとかいうようなものの基準を定める場合の基準を、國家公務員法に基いて人事院規則で定めれば定められる場合がある、私はこう解しております。
#62
○土橋委員 私はそういうことを聞いておるのではないのであります。人事委員会の決議に從つて、初めて人事行政に関しては退職なり雇い入れの基本的な方針と決定することが、國家公務員法に規定されているわけであります。ところが政府は行政執行の範囲内においては、憲法第七十三條の規定の範囲しか行動ができないことになつている。にもかかわらず行政管理廳をつくつて、そういう長官が一方的に、やれ行政機構は非現業が三割、現業が二割、地方公共團体が二割、あるいは公團も二割、さような意思発表をし、國民に対してその行政整理の下準備をするというようなことは、明らかに行政行為の越権であると同時に、明確な國家公務員法の違反ではないか。これに対して違反でないというならば、憲法上及び國家公務員法上の説明をしていただきたい、こういうことを私は申したのであります。もう一回御答弁願いたいと思います。
#63
○本多國務大臣 私さいぜん答弁した通りでありますが、定員法がきまつて、定員と実員の間に開きがあつて、冗員がある場合には退職を命じ得る、こういうことをやることが憲法違反であるということは、私は思いあたる理論がないと思います。
#64
○土橋委員 ただいまのお話によると、定員法が國会を通過した後においてその問題があるのであつて、行政管理廳という行政執行機関が、人事委員会の決議に從つて初めてできるものを、何ら参加することなくして行政機構において一方的に三割、二割、二割というような発表をすることは、國家公務員法の干犯ではないかということを聞いておるのであります。そうでないという理由があるならば、その理由を憲法及び國家公務員法において証明してくれということを私はお尋ねしておる。もう一回御答弁願いたいと思います。
#65
○本多國務大臣 これは案を立てまして、それが法律案となり、それが國会で議決されて実行される場合に憲法違反でなければ、少しもさしつかえないことと思います。
#66
○土橋委員 そうするならば、あなたは定員法を制定されてしまつてからは、定員法の規定に從つて國家公務員法と同樣に並立して行われる、そういうようなことを前に、昨年の終りから今年の劈頭以來行政管理廳において國民に発表し、全官公吏に対して不測の損害を與えた事情については、これは重大なる内閣の責任であると思う。同時にそういうことを具体的に人事院なりあるいは法律に基かずして、そういう意見を発表し、特に行政管理廳の執行機関をつくつて、そういういろいろな画策をするというようなことは、これは行政執行機関としての十分な権限ではないということを申し上げておるのであります。ただいまの御答弁では私は不満であります。そういう説明は憲法学上あるいは行政学上の解答にはなりませんので、もう少し憲法とか國家公務員法の立場から明確に答弁すべきであろうと思います。
 次に労働大臣にお伺いしたいのでありますが、第四條の第十四号の規定を見ていただきたいのであります。ここに書いてありますのは「規約の変更命令に対する異議の申立を却下し、又は取り消すこと。」こういう規定がありますが、少くともこういうような労働問題に関するところの一種の司法的な処分に関して、こういう権限が都道府縣知事に與えられるというのはどういうわけであるか、この点をちよつと御答弁願いたいと思います。
#67
○鈴木國務大臣 お尋ねの第十四号の点は、現行の組合法の六條のところをそのままここに持つて來たのでありまして、新しい組合法においてはこの点はかわつております。それがかわれば、これもまたかえるということになると思います。
#68
○土橋委員 そうすると、もし政府の御予定になつておる労働法規の改正案が通過すれば、これはまたかえるという約束を明確にするわけでありますか。
#69
○鈴木國務大臣 そうであります。その点は不日提案される新しい組合法を読んでいただくと、ここに符合するところが出て來ておるはずでありまして、大体の方向は、土橋委員がただいま指摘されたような方向に向つて改正されております。
#70
○土橋委員 それならけつこうです。同じく第四條第十九号でありますが、これを見ますると、「公益事業等に関する労働爭議につき、労働委員会に調停を請求する都道府縣知事の職権を、自ら行い、若しくはその指定する都道府縣知事をして行わせ、」こういう規定があります。少くとも都道府縣において行うところの労働爭議に関して、労働大臣がかつてに労働委員会へ自分が提訴するという権限を持つていることは、これはどういう意味であるか、また労働大臣の権限において、都道府縣知事をして行わしめるということはどういう意味であるか、この点を明確に御答弁願いたいと思います。
#71
○富樫説明員 この規定も現行の組合法の規定通りを、ここに言葉を短縮して掲げたものでございます。趣旨といたしましては、原則といたしまして一都道府縣内の事件は当該地労委、二都道府縣にわたる事件は中労委が扱うことになつておるのであります。しかしたとえば大阪と兵庫縣にまたがる事件で、本社や主要工場が大阪にある場合などは、わざわざ中労委で扱わずに、大阪の地労委をして扱わしめるというような便宜の措置が、本社からも希望されるようなことがございます。その場合には労働大臣がそのような措置をとることができるというふうに現行法がなつていることを、ここにそのように表明しておるのでございます。
#72
○土橋委員 労働関係に関する調停なり、あつせんの要求というのは、これは労働者側がする場合と、さらに使用者側の諸君がいろいろな問題においてやる場合と二通りあると思います。これが両者ともなし得ない場合に、公益代表としての意味合いにおいて、あるいは府縣知事がなし得ることがあると思いますが、一般に労働爭議が起つた場合に、相手方がない爭議というものは全國かつて類例がない。必ず相手方があつて爭議が起るのであります。にもかかわらず、なぜ労働大臣がそういう権限を自分から奪取して、そうして自分が地方労働委員会に提訴したり、あるいはその職権を行わせる、そういう権限は無用ではないか、何も労働大臣がそういうことをやらなくても、各爭議の両当事者間において、かような問題は自主的に自分の権利擁護のために、あるいは自分の関係する一切の事項を保持するために行うのであつて、こういう事項は必要ない、かように考えております。
#73
○富樫説明員 労働爭議の調停は、原則といたしまして当事者の申請に基いて労働委員会がなすのでございますが、御承知の通り公益事業につきましては、労働委員会に申請してから三十日たたなければ爭議ができない。この間に労働委員会が調停努力、解決努力をするということになつておるわけであります。その場合に公益事業につきまして一方だけが申請し、相手方が應じなければ、調停解決努力ができないということであれば非常に困る。また当事者が申請いたさない場合におきましても、労働大臣は公益を代表いたしまして世間に不安を與えない、なるべく早く爭議を解決しなければならないというような場合におきましては、いわゆる職権調停の請求を労働委員会にすることができる。こういうふうになつておるわけでございます。
#74
○土橋委員 ただいまの御答弁では不十分だと思いますが、一應了解して、次の問題をお聞きいたします。
 第二十号にこういう規定が書かれております。「公共企業体の職員に関する労働組合について、その資格に関する決定又は規約の変更を行い、及びその組合の解散を裁判所に申し立てること。」こういうことが労働省の権限の中に書いてあるのであります。一体公共企業体労働関係に從事する職員に関して、労働大臣がなぜこのような干犯的な内容にまで立ち入つて行う権利を持つておるか、この規定があるならば根拠を示してもらいたい。どういう理由で公共企業体の職員に関するこういう重大な資格に関する決定、規約の変更に伴う規定について裁判所に提訴する権限を持つておるか、この点は私をして言わしめると、労働大臣はきわめて反動的な越権行為ではないか、かように考えておりますが、答弁願いたい。
#75
○富樫説明員 これは公共企業体労働関係法の附則の三項の規定をそのままここに規定したものでございます。この公共企業体労働関係法は前回の國会におきまして十分御審議の上、決定されたものでございます。その際にいろいろと御審議を受け、かつ御説明を申し上げたのでありますが、要するに一口に申しますれば、公共企業体の公益性、あるいはその持つ特殊の性格からこのようになつた、こういうことになるわけでございます。
#76
○土橋委員 なるほど附則の第三項には、ここにも書いてありますように「労働組合法第五條、第六條、第八條及び第十九條第二項に規定する」云々と書いてある。その規定のよつて來たゆえんを最も明確に説明してもらわぬと、公共企業体関係の諸君は、この規定上非常な迷惑と團結権の阻害を來す憂いもあるし、また團体交渉に対して至大なる障害を及ぼすこの規定でありますので、もう一回政府の諸君から明確な説明を求めたい。おそらく私ばかりでなく、各委員もそのような答弁ではわからぬと思うのでありますから、御答弁願いたいと思います。
#77
○富樫説明員 これにつきましては、さらに詳細なる説明を要すれば主管局長があとから十分に御説明することになると思いますが、公共企業体労働関係法は、現行の組合法とこの点につきまして方向を違えまして、公共企業体に関しましては、仲裁委員会と労働爭議の調停をする調停委員会、この二つだけになつておりまして、六條、七條、八條、十九條二項等に関する委員会を設けない。これは本質的に見るならば、一種の行政処分ということで、現行法と違つた形をここにとつておるわけであります。
#78
○土橋委員 そうしますと、労働行政に関して先ほど労働大臣が明確に言われたわけであります。第三條の規定は憲法第二十八條の基本的な権利擁護、最低賃金制確立並びに政治的、経済的、文化的、社会的な地位の向上を考えておる規定だ、そういうようなことを答弁しながら、ここの第四條第二十号においてこういう越権行為、團結の力を阻害するようなもの、あるいは労働組合の正当な力を剥奪するような規定を設けておるということは、前者の御答弁に反するのでありますが、労働大臣はどういうふうに考えておりますか。
#79
○鈴木國務大臣 根本的の考え方として先ほど申した通りでありますが、いかなる権利も、基本的な各人民の権利も、一方においてはその段階、また一般の公共の福祉との調節は必要なのでありまして、公共企業体労働関係法をつくつたのもその趣旨であり、そうしてそういつた現段階に必要な範囲における公共の福祉との調節の関係において、最低限のそういつた措置が講じられるということ、しかもそれが運用に当つて御指摘のような彈圧でもなければ、そういうことではないほんとうの意味における公共の福祉との調節の面においての最小必要な措置が行われるということは、別に基本的な権利を阻害しておる、憲法に違反したというようなことにはならないと考えております。憲法自体もすべての権利は公共の福祉とともにあるべきものだということも一面規定しておるのでありまして、そういうふうに考えております。
#80
○土橋委員 それでは労働大臣の御所信が一應説明されましたから、私はさらにその点だけちよつと御質問したいと思います。労働大臣は公共の福祉ということによつて、基本的人権は妨げられるものと考えておるかどうか。また一体労働大臣は憲法第三章第十條から第四十條までの規定のうち、第十一條が基本的人権についてそういうことを規定したか、あるいは第二十八條がどういうことを規定しておるかということについて、もう一回公共の福祉というものは、基本的人権に優先するものかどうかということを御答弁願いたいと思います。
#81
○鈴木國務大臣 基本的人権に優先するとまでは申しませんけれども、公共の福祉と照し合せて、その段階において必要な行政的の措置がとられるということは必要であると考えております。
#82
○土橋委員 それならば基本的人権はいかなる人といえども奪うことができない。しかし公共の福祉という範疇と折衷する意味合いでは基本的人権も制限を受ける、こういう意味の答弁と解してよろしいのでありますか。
#83
○鈴木國務大臣 掣肘するとまでは言つておりません。調節する場合があると言つているのであります。
#84
○土橋委員 そういたしますと、私は労働大臣の憲法に関する考え方が誤つているじやないかと考えるのであります。もし大臣が調節ができるというようなあいまいな言葉で、基本的人権が制限をせられるということならば、これは民主主義國家におけるゆゆしき問題であつて、少くとも基本的人権に関する問題は、労働大臣といえども、あるいは何人といえども、おそらく神樣といえども、基本的人権を奪うことはできないのであります。從つて公共の福祉というような事項にとらわれて、労働者の基本的人権をいささかも制限してはならないのであります。基本的人権の行使の過程においては、それは労働大臣も今言つているような面が多少考えられるが、基本的人権そのものは何人といえども、神といえどもこれを制圧し、これを圧殺することはできない。こういうことについて労働大臣の所見はさように解釈してよろしいかどうか。もう一回御答弁を願います。
#85
○鈴木國務大臣 基本的人権の考え方についてはそうであります。ただ私の言つているのは、公共の福祉との関係、またこういつた関係において團結権その他を正当に民主的に発動させるというふうな考え方のもとに行われているのでありまして、基本的人権を制約しようというふうな考え方のもとに、行われているのではないということをつけ加えて申し上げておきます。
#86
○土橋委員 先ほど申し上げたように第二十号の規定は、公共企業体の職員に関するいろいろな問題について、労働組合における資格に関する決定、規約の変更に伴うところの権利を労働大臣が持つということは、明らかにただいまあなたが答弁された範囲内においても誤りではないかということを明確に私は指摘したい。從つてかような法文を労働省設置法案の労働省の権限の範囲に規定することは、行政機関が労働者の基本的人権に関する事項についての重大なる制限、制約を規定しているのではないかと考えるのでありますが、これについていかなるお考えでありましようか。
#87
○富樫説明員 まず私から技術的な点について御説明申し上げます。公共企業体労働関係法は御承知の通り組合法と違いまして、特に組合員たるの資格についてそれぞれ具体的基準を設けております。またその規約につきましても、必要記載事項等の事柄がそれぞれ規定されておるのであります。それらの公共企業体の関係條項に当該の個々の組合の資格が合致しておるかどうか、あるいは規約が合致しておるかどうか、こういうことについて間違いが起りますと、その組合が組合としての資格を失うというような重大な事態に立ち至る場合もあるわけであります。從いまして労働大臣といたしまして、そういう間違いのないように、資格が法律通りになつておるかどうか、あるいは規約が法律通りになつておるかどうかということを公正に判断して決定するのでございます。もちろんこれにつきましては、行政処分でございますから、異議がありますれば、行政事件訴訟特例法等により救済の道はあると考えます。
#88
○土橋委員 ただいま労働問題について、行政訴訟によつて労働者なりあるいは資本家側の諸君の権利が伸張せられるという考え方は、これは少くとも労働立法について研究されておる労働省の見解とも思われないのであります。少くとも労働に関するものは、別個の分野を占め、しかもこれは今日においても中央労働委員会という機関において、労資中立の諸君が相集まつて具体的な問題を討議して行くのが正しいのであつて、そういうような行政機関によつて、労働関係に関する最後的な決定を願うという考え方は、労働省の考えとしては、きわめてまずい説明であります。私は中央労働委員会が最後的な決定を行うものであるというふうにあなたの答弁を訂正したいと思うのであります。いろいろ質問したいことが多いので先を急いで質問いたします。
 第十六條の規定は付属機関について書いておりますが、これは労働省の各所管事項について、こういう機関が從属的な付属の機関であるかどうか。どういう意味においての付属機関という言葉を使つておるかということを御説明願いたい。
#89
○富樫説明員 この付属機関は、國家行政組織法第八條第一項に規定してあります付属機関でございます。すなわち各省には審議会、協議会、特に諮問的または調査的な審議会、協議会あるいは試驗所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を付属的に置くことができるということになつております。その意味合いにおいてここに労働省の付属機関をあげてあるわけであります。
#90
○土橋委員 そうすると、行政組織法第八條の規定によつて、政府は自分の所管事項の範囲内においては、かような委員会の十分な御審議を願つて、これを参考とし、あるいはそういう方法に從つて、行政運営についても十分思料したいという意味ならば、これは付属機関ではないのであります。普通日本語における付属機関というものは、その省のもとにおいて事を行う場合に、事務的に参與するものと考えられるのであつて、行政に関する基本的な態度の建議なり審議なりの事項を行うものは、付属という文字に当らないのであります。もしそういう意味において行政組織法の第八條の規定を考えられたならば、これは委員諸君に対する侮辱であると思います。從つてこの規定の付属機関という文字は訂正せねばならぬ。今どういう言葉がいいかということは私は言えないけれども、これは言葉をかえて提案しなければ、非常な誤解を生ずると思うのであります。労働者から任命されなくても、少くとも自分でやつて行ける委員諸君が、ひまをつぶし、あらゆる苦労をして集まつておるのに、労働省の付属機関だというような態度をとる。かりに教育審議会にしても、あるいはいかなる委員会にしても、そういう言辞を弄するところに、政府の物の考え方が、きわめて反動的だということを証明しているものがあると思うのであります。こういう点はぜひ是正しなければならないと思うのであります。
 次は第三章第二十條の規定の「國家行政組織法第三條第二項の規定に基いて労働省に置かれる外局は、左の通りとする。」でございますが、最もわれわれが関心を持つている中央労働委員会が外局になつているのであります。この外局になつている理由と基本的な態度について、御説明願いたいと思います。
#91
○富樫説明員 從來一般の委員会と呼ばれておつたものを、今回國家行政組織法によりまして、純粹の委員会と諮問調査的な審議会とに二分いたしまして、純粹な委員会はこれを外局とする。純粹な委員会と申しますのは、会議体で一つの意思決定をする行政機関でございますが、会議体をもつて一つの意思決定をするものを委員会とし、その委員会はいずれかの省の外局とするということを國家行政組織法第三條に規定してあるのでございます。労働省にも從來から各種の委員会がございましたが、かような意味合いにおける委員会は、ここに規定しておる委員会だけでございますので、これを外局と規定したものでございます。あるいは外局になつたために、中労委の職務権限行使の独立性について、御心配があるかと存じますが、職務権限の行使につきましては、この規定の二十條第二項にございますように、組合法、労調法等の定めるところによつて、独立に行うことになつておりますので、その点についての御心配はないかと存じております。
#92
○土橋委員 大臣も先ほどの答弁では、第三條の労働省の任務というところの規定を、明確にいろいろ説明されたわけでありますけれども、少くとも中央労働委員会が労働省の外局であるということは、たとえば司法裁判所が普通の司法省の行政的な措置のもとに人事の運営等が行われたために、ややともすると司法権の完全なる独立性が危うかつたということは、かつての時代においても言われておつたのであります。ところが今大臣の答弁しておるように、特に基本的人権を擁護するという立場から、中央労働委員会はだれが考えても一應公平であるといわれる三者の会議制であります。そういうものを労働省の外局にする。すなわち政府なり資本家なり、現在労働階級に対して圧力を加えておる諸君と対抗して、実際の調停を行う機関が労働省の外局になるということは、予算の点、人事行政の面はもちろん、中央労働委員会の裁定その他の事項についても、政府の意図が明らかに表立つてこうせい、ああせいということはないでありましようが、実際には以心傳心、あるいは力の弱いものは長いものに巻かれろという從來の方式が、やはりここにも現われて來るのであります。これは私がこの委員会において申し上げるまでもなく、中央労働委員会を労働省の外局にしようというこの設置法案をつくるところに、私はただいまの政府にわれわれの了解できない意図があると思うのでありますが、この点について労働大臣の御答弁を願いたいと思います。
#93
○鈴木國務大臣 ただいま政府委員から御説明申し上げましたように、外局という形をとつたことは、國家行政組織法の一般的の形式に從つたのでありまして、その運営は労働関係の法律によつて、何ものにも犯されずに、独立してやつて行くという建前をとつているのであります。あとで御質問になつた、以心傳心的に一つの制約なり利益なりがはかられはしないかという問題は、これは現実にそういう運用をするかしないかということによるのでありまして、私としてはさような考えのもとに、特に土橋委員御指摘のように、労働問題の最も重要な機関である中央労働委員会――地方労働委員会も含めてでありますが、労働委員会というものにさような態度をもつて臨むということは考えておりません。おそらく他の労働大臣でもこの点においてはそうだろうと思つております。
#94
○土橋委員 ちようど本多國務大臣がおられますが、本多國務大臣は、現在の人事院の職責について、行政組織法上の立場からどういう考えを持つておられるか。これは人事行政に関しては、現政府とは別個の立場において行うようになつておりますが、そういうものと同じように、中央労働委員会の組織は、法律の規定によつて、政府がいかようにかわろうとも、どういう政策を行う政府であろうとも、労働省の外局というようなことでなしに、ただいまの國家公務員法における人事院のような構想で行くのが正しいのではないかと思いますが、本多國務大臣はどういう見解を持つているか、また内閣に対して人事院はどういう立場に立つているかを御説明を願いたいと思います。
#95
○本多國務大臣 人事院の法律上認められております独自性については、あくまでも尊重して行くべきものであると考えております。但しただいまの労働委員会については、労働大臣からお話のありました通りで、これまた独自性を保ちつつ、支障なくやつて行けるものであると考えております。
#96
○土橋委員 そういたしますと、私は今資料を持つておりませんから、明確には言えませんが、たしか昨年の十二月ごろ、労働省発の第二二二号及び二二四号という通牒があつたと思います。これは労働組合法施行令第三十七條の規定について、労働者の推薦をした労働委員の委嘱について、労働大臣が一方的に地方都道府縣知事に強大な権限を與えまして、地方都道府縣知事は労働者が推薦をし、労働者が選挙した労働側の委員のことについて、非常な干渉を行つたのであります。特に最近東京都労働委員会においても、なおかつ労働者諸君の委員が二名もまだでき上らないという状況にあるのであります。こういうことを労働省がやつておつて、本多國務大臣が今のような答弁ができるものであるかどうか、こういう点について、ひとつ明確に御答弁を願いたいと思うのであります。
#97
○鈴木國務大臣 お尋ねの点は、手続規定に関するものでありましたので、政令によつてやつたのだと思いますけれども、今後は新しい法規の改訂によりまして、これは法律事項として扱つて行くことになろうと思います。当時の内容につきましては、説明員より詳細説明いたさせます。
#98
○土橋委員 ただいまの答弁は奇怪な答弁であつて、少くとも労働省が昨年の十二月二十二日及び二十四年二月二日、民主的な労働組合及び労働関係に関する指導要領、及び労働組合規約に関する労働組合の資格審査に関する事項、かようなものを次官名通牒によつて一方的に発しておるのであります。從つてこのために東芝の労働組合、あるいは大同製鋼その他の各民間産業における労働者諸君は、労働省のこの指導要領及び機構改正的なものによる貸格審査、こういう事項を通牒したために、労働協約を一方的に破棄され、そして資本家側の諸君は、労働大臣及び労働次官の意図に從つて、重大な労働立法の違反を犯し、あるいは現行規約に違反をし、特にこの労働協約は、労働者側と資本家側の諸君との間においてはマグナカルタであります。いかなる法律であろうと、強行法がない限りは、この規定は最高の権威を持つておるのであります。そういうものをも資本家側の諸君が踏みにじつて、労働協約の内容を実行しない、團体交渉にも應じない、賃金の遅拂いをする、こういう状況が全國にほうはいとして起つておる。この責任について労働大臣はどう考えておるか。今のような答弁では、要するに労働組合なり、労働委員会に対する民主的な職務を行つておると言えるかどうか。またこれは本多國務大臣に十分聞かなければならないが、この点について両大臣の御答弁を願いたいと思うのであります。
#99
○本多國務大臣 私のお答えする範囲は、さいぜん申し上げた通りでありますが、國会の承認を得て決定しております國家行政組織法におきまして、人事院は國家行政組織法の範囲外にありますが、ただいま問題になつておりますことは、國家行政組織法の内になつておりますから、そこに外局という問題が起きて來たものであろうと思います。
#100
○鈴木國務大臣 御指摘の次官通牒の内容は、現行の組合法等の、当然解釈されるわく内において、それらの内容を誤りなきように敷衍徹底したものでありまして、その詳細な内容につきましては、説明員から説明いたさせますが、その結果として起きたところの御指摘のような点に対しましては、労働省といたしましては、直接そういつたものを含めた、たとえば労働協約を云云といつたものを意図したものでないということ、初めからそういう考えを持つておらなかつたのは当然でありまして、そういう御指摘の現象に対しましては、それは次官通牒自体は、さようなものを含めての意味ではないという考えを持つておりますし、必要の場合には、それを周知徹底せしめるということも、もちろん考えております。
#101
○土橋委員 ただいまの後者の方の、労働大臣の御説明でありますが、それならば、これはあなたの方にもいろいろな事項で耳に入つておると思うのであります。そういうようなことで、労働者の権利や基本的な賃金問題、労働條件が、今やまさに非常な窮地に陷つておるというのに、あなたが今、憲法の條章及びこの設置法第三條の規定については、確かにそういう考えでおりますということを申しておつて、なぜそういうときに、これはそういう意味じやない。資本家の諸君が悪用するのは重大な問題であるといつて、あなたは声明を発しないか。あなたがそういうことを知つておつて声明を発しないということは、これは明らかに、ただいまの委員会において答弁するだけの問題であるように私は考えるのであります。そういうことでは、あなたが労働者のために、ほんとうに権利擁護のために労働省を設置されておるという根本精神に反するのであります。これはあなたが知つておつてやらなければ、職務怠慢で、公務員として、あなたはただちに訴追を受けるのであります。刑法第百九十三條の規定によつて、あなたはただちに司法処分をせられるべき人であります。でありますから、あなたは行政措置としても、当然にこれを発表して――資本家側の諸君がそういう事実があることは、あなたはきのうもあの控室において、東芝の同志諸君から聞かれたはずである。私も聞きました。そういうことを知つておつてなぜ発しないのか。当然やるべき権限を持つていてやらなければ、これは職務怠慢であります。こういうことは、あなた方の十分覚醒を促したいと思うのであります。
 それから、ただいま本多國務大臣の御答弁についてでありますが、人事院は行政組織法の範囲とは別である。こういうことを仰せになつたようでありますが、それならば、少くとも國の政治の関係において、國会に対し國民に対して責任のないような人事委員会を構成せられておつて、しかもその内容は行政事項を行うのであります。そうすると日本には、政府と別個に人事委員会という、人事行政に関しては別の行政執行をやる機関が、しかも國会に対して、國民に対して責任を負わないものが存在する、こういうことをあなたはお認めになつてのさような御答弁であるか、この点を明確にお聞きしたいと思います。
#102
○本多國務大臣 これは國会において定められた法律に基いてやつて行くのでありますから、これは全然野放しにしておるという意味ではないのです。
#103
○土橋委員 しからばその責任は、いずこのだれがお負いになるのですか。人事院の不始末事項について、たとえば給料再計算について、四月の三日から、各省の給與担当官を集めて公開審理を開いたのであります。これは國家公務員法の十七條の規定に基いていると言つておる。ところが私の聞いたところでは、七十八條も併用しておる。こういうような事故を起して、実際の給與に関する是正が行われていない。こういう場合に対して、だれが責任を負うか。これは少くとも國の行政を行うのは、國務大臣が行うのであるからして、國務大臣が当然責任を負うべきであるけれども、これについてあなたの今の御答弁によると、その行政機関であるところの國務大臣のもとに新給與実施本部というものが設けられておる。しかも官房長官がそれをやつておる。その者が公開審理の席上において、人事委員会に審査をされておる。しかも給料の点において是正されていない。こういう点について、政府はどういうお考えを持つておるか、御答弁を願いたいと思うのであります。
#104
○本多國務大臣 國家公務員の給與の支拂いについては、もちろん政府が責任を負います。また人事院といえども、政府が立案して國会で承認を得た予算によつて行うのでありますから、当然政府の責任であることはもちろんでありますが、民間企業体の賃金支拂いの問題については、これは別に労働大臣から御説明願うことにいたします。
#105
○土橋委員 そういたしますと、行政組織法のらち外にあるところの人事院は、給料の責任についてはそこでただ審査してもらうだけであつて、実際は政府が責任を負う。こういう御答弁であるようでありますが、なぜそういう行政組織法のらち外にあるものが、人事行政に関して、雇い入れから、解職から、昇給、試驗、こういう権限を持つているのか、これらに対していずこのだれが最高の責任を負うのか。行政組織法上内閣の所管事項に所属をしないところの人事院がそういうことをやつておるのに、國会、國民に対してだれが責任を負うのか。こういうことを明確に答弁しなければ、人事院と政府というものは、日本においては四権分立である。國家の行政執行事務については、内閣と人事院が、別個の構成で別個のことをやつておる。これであつては、議会政治の根本原則に反するのであります。少くとも、いかなる行政事務が行われようとも、國会、國民に対して責任を負うべきものが内閣であるというならば、そういう野放しの法律をつくつて、ときには政府を再審査するというような機関を設けておいて、そしてやりたいほうだいのことをやらしておくという、そういう人事委員会を構成する政府の責任いかん。どういう責任をもつてそういうことをやつておるか、御答弁を願いたい。
#106
○本多國務大臣 人事院に独自性を持たせるために、國家行政組織法の建前として、そういうふうになつておるのでありまして、決してただいまお話のように無責任に野放しにしてあるという趣旨でなく、その上には國会というものがありまして、調整をはかつて行く建前になつておるのであります。
#107
○土橋委員 國会があつて調整するというのはどういうわけですか。國会は行政執行機関の監督ではあるけれども、行政執行機関に対して督励なり、これに対して示唆を與える権限は持つていないのであります。われわれは法律や予算を審議し、これを可決決定する権限はあるのでありますけれども、これについて國会が調整するとは、どういう意味でありますか。そういう態度なら、私はなお承服できない。
#108
○本多國務大臣 人事院に独自性が付與されておりますために、人事院の意見と政府の意見が一致しない場合もありまして、そういう場合においては、國会においてこれを調整してもらうという意味を申し上げたのであります。
#109
○土橋委員 國会は憲法の規定や國会法の規定に基いての、予算及び法律案の審議及び決定する権限を持つのであります。なお行政執行に関しては、行政調査がただいま行われておりますので、そういうものについてわれわれが非なりや是なりやを認めた場合には、これは政府に対して鞭撻するなり、建議をするなり、あるいはそういう法律を策定することによつて、政府の無謀な行為、あるいは政党の無謀な行為に対して、われわれは発言をなし得る権限を持つておるけれども、それは法律の規定によつてやるのであります。法律がさらに政令なり、命令なりに委任するにあらざればできないのであります。こういうことを知つておられて、ただいまのような國家公務員法により人事院があつて、この責任を政府がとらないというならば、四権分立ではないか、これは日本の憲法の大原則に反するのではないか、こういうことを私は言つておるのであります。從つて憲法の條項に反する事項として、國家公務員法は明らかに憲法第九十七條、九十八條の違反ではないか、從つて國家公務員法は全部、またはその一部は無効ではないか、こういうことをお聞きしておるのでありますが、これに対する御答弁はいかがでありますか。
#110
○本多國務大臣 これは解釈上の御意見でありますが、人事院の独自性を認めて行くために、そういう制度ができたのでありまして、その独自性の範囲内においては、政府もこれに干渉するようなことができないという建前になることはやむを得ないことと存じます。これは國会で決定されました法律であります。これが憲法に違反しているということは、私は考えられないと思います。
#111
○土橋委員 あなたはひとつ憲法の條項をごらんになつていただきたいと思う。少くとも行政執行に関しては、内閣は最高の責任を負わなければならない。これは法律によつて負わなければならない。ところがその内閣と別個に独自の行政事務を行う人事院があり、これは法律であるから内閣の知つたことではない、こういうような御説明である。それなら日本の行政執行に関しては、少くとも内閣は全責任を負うという、この條文に対する一大例外を認めたことになるわけであります。そういう例外を認めるならば、第二十條の第一項に書いてある中央労働委員会もまた同じように、労働行政に関する事項については少くとも政府の制約を受けないところの、不覊独立なものをつくらなければならないのではないか。一方に例外をつくつて、片方を許さないということは、どういうわけであるのでありますか、こういう点がきわめて明瞭でない。例外であるならば、例外でよろしいから、地方労働委員会、さらに公共企業体仲裁委員会、あるいは國有鉄道中央調停委員会、さらに專賣公社中央調停委員会、及びそれに属するところの地方調停委員会は、これは國家公務員法による人事院と同じように、不覊独立な法律をもつて制定することが、理論的にも実際の面からも正しいではないか、これに対する答弁を最後に願いたいと思う。
#112
○本多國務大臣 これは御意見でありまして、國家行政組織法が制定されるときに、ただいまのような制度にきまつておるのでありまして、ただいまではこれを改正するという考えを持つていないのであります。
#113
○土橋委員 一体理論的にも実際の面においても正しいものを……。
#114
○齋藤委員長 土橋君、あなたの御質問は、この行政機構の改革そのものに関係しておるのですか。
#115
○土橋委員 関係がございますとも。第二十條の中央労働委員会の構成に関するものだ。あなたが御存じなければ、私が進めて参ります。
#116
○齋藤委員長 御意見なら……。
#117
○土橋委員 意見ではない。聞いておるのです。どういう考えで外局にしておるか……。
 それから、最後に本多國務大臣にお聞きしたいのでありますが、外局という意味で、行政組織法の第三條の規定に基いておると思うのでありますが、こういうことで今まで長時間皆さんにお聞き願つたのでありますが、理論的にも人事委員会と同じような組織に労働委員会及び労働関係調整に関する委員会は構成すべきものであるということがわかつたと思います。わかれば、よしとして、ただちにこれを行うことが為政者の務めであると思うのであります。私はこういうような労働省設置法には賛成することができないのであります。正しいことを知つておつて行わないならば、これは愚鈍であるか、さもなければ意識的な悪意に満ちたものであるのであります。これは私が申し上げなくともおわかりだと思います。從つてこの労働省設置法案は、第二十條に関しても、第三條、第四條、その他の事項に関しても、もう一回政府において、審議をし直して、だれもが了解できるような方法において提案されんことを望みます。
 次に、労働大臣にお尋ねしますが、労働大臣は詳しいことは御存じないかもしれませんが、私はあなたの方からくだすつた資料の最後から二十ページばかりをめくつていただきたいと思います。この表を見ますと、たとえば船員労働連絡会議、あるいは労働教育審議会、あるいは中央賃金審議会、あるいは婦人少年問題審議会、その他ありますが、こういうような労働省内に設けてある、いわゆる労働省の提案によると、付属機関だと言われておる、その付属機関内において、今私が計算したところでは、八つの委員会については経費を見積つていない。これはできて以來経費を見積つていない。それ以外の委員会では経費を見積つておる。こういうことでなしに、やはり各委員会を構成するならば、委員諸君が眞に労働大臣に建議をするなり、いろいろなことをやりますので、これはぜひとも相当な予算を組んで、そうして小づかい銭で、各省の余り銭でちよつとお茶を飲ましておくというようなことではなしに、ほんとうにこれをやるべきだと思うのであります。労働大臣がこの委員会をつくつて、委員諸君のあらゆる意見を聞くというならば、各委員会に相應した予算を組んで、そうして委員諸君が自由に活動できるような道を講じなければならぬのでありますが、これに対する御意見はどうでありましよう。
#118
○鈴木國務大臣 御指摘のように、今列挙されましたような委員会は、各局の中の経費のやりくりでもつてやつておつたのが実情であつたと思います。土橋さんの今指摘された御意見は、御意見としてはそちらの方が正しいと思います。有力な御意見として拜聽して、実現できるように努力いたします。
#119
○土橋委員 これは、労働大臣は詳しいことを知らないけれども、各委員会では、勢力関係、あるいは局長関係で予算をとつておるものもある。ほんとうに働いておるのに、予算がないところもある。そういうことではなしに、各委員会を構成しておるならば、各委員会の委員の諸君が、労働者のためにやるためには、ぜひ予算を組んで、活発な活動をしなければならぬということを申し上げておるのであります。それ以外の委員会は全部予算がある。全部調べてみますと、バツ点をしたものが予算がないのです。しかもこの委員会は、たとえば労働教育審議会は、報告を見ましても、二十八回聞いておる。一体二十八回もして、何も出なかつたというと、労働委員の諸君に対して申訳ないと思うのであります、そういう点を考えていただきたいのであります。これで一應終りました。
#120
○齋藤委員長 木村榮君。
#121
○木村(榮)委員 この前、三月二十四日の内閣委員会において、本多國務大臣は、失業対策は労働省の方で具体的にやつておる、かような答弁を承つたわけでございますが、ちようど鈴木労働大臣がお見えになつておりますから、労働省が発足いたしますにあたつて、どのような具体的な対策をお立てになつておるか、承つておきたいと思います。
#122
○鈴木國務大臣 失業対策は、直接的な当面的な失業対策事業と、それから最終的な、失業の処理の事業計画と、大体そういうふうな系統に大別されると思います。從つて失業対策事業は、この二つの系統の事業を総合して、最終的な失業対策の完成に向わなければならない、そう私どもも考えておりますし、今日まで本会議及び委員会を通じて、議員、委員の皆樣の御意見も大体そうであつたと了承しております。政府はそういう方式のもとに、どういうふうな考えをしておるかと申しますと、結局國民経済の新しい活動分野の開拓によつて、最終的に失業者を安定した形で吸收して行かなければならない。つまりいうところの配置轉換の完成であると思います。これらの方面につきましては、これは関係方面が廣いのでありまして、労働省はもちろんその中心的の推進力となり、当面の責任省であることには間違いありませんけれども、事業全体としましては、政府全体の連絡と協同のもとに行われなければならない性格のものでありまして、この点につきましては、最近設けられました失業対策審議会をもその連絡立案の機関といたしまして、そうしてもう一つ、最近つくられました総合國土計画の審議会等の活用によりまして、電源、貿易関係の事業、港、工場地等の整備、そういつた問題を含むところの一連の大きな計画を進めなければならないと思つております。この点は総合國土計画の方面で目下その急速な立案の完成を急いでおります。それらの点についての経費は、どうなるのか。これは主として政府全体、特に大藏省関係に考慮してもらうことになると思いますけれども、必要な場合には特殊の経費の捻出もしなければならぬかもしれませんけれども、今考えておりますのは、今年度予算の中の見返り勘定千七百五十億円のうちの、國債、復金債を支拂つた後の残つた費用は、日本経済再建の建設的な面に向けるという原則は、関係方面も承知しておりますので、その方面からも相当の費用の捻出ができるのではないかと思つております。
 それからもう一つは、何といつても日本経済の今後の大体の構想は、輸出貿易を中心としたところに置かれておることは、言うまでもないのでありまして、この貿易方面の事業を運用することによつて、國民経済のわく内における雇用力を高めて行くという考え方に終始しなければならないと思います。大体安本、労働省、商工省等で、既定の計画に、今度の予算の面から來るところの変化をも考慮いたしまして、計算したところによりますと、その雇用力の増加は、今年度において貿易二十余万を中心として、一般産業において四十万、それから來年度においては百万前後の新しい雇用力の増加が、現在の計画を遂行して行き得れば、期待することができる。こういう一應の結論が出ておるのであります。これと照し合せまして、失業対策は立てらるべきである。しかしそこに至るまでに時間的のずれがあることは当然でありまして、その時間的のずれに対処する直接的な、段階的な失業対策が、労働省でさしあたり直接的に責任をもつて強力に展開されなければならない面だというふうに考えております。そしてそれは一体どういう方向でやるかというと、まず何といつても、これは消極的でありましようけれども、一つは現在比較的健全な状態にある失業保險の制度をこの際に強力に活用して、当面数箇月の急に應ずるという態勢を整えて、それらの点につきましては、詳しく申し上げませんけれども、失業保險法の一部改訂、それから緊急失業対策法というような法律を、別個にただいま労働委員会で審議を願つておるわけであります。それからもう一つは、一般にいわれるいわゆる失業対策事業、先ほどから私が申しました考え方の全体のわく内で申し上げますと、直接的な、段階的な失業対策事業でありますが、この面を相当強力に拡充強化して行かなければならないと思つております。それは現在の予算では、もうすでに労働委員会でも土橋委員その他からしばしば御指摘をこうむつたし、前田さんからも御指摘をこうむりましたが、現在の予算に盛られておる八億円前後のあの失業対策費では少いではないかという御指摘でございました。お説の通りだと私どもも思つております。これは相当量必要に應じて増加しなければならないと思つております。その増加の方式は、予算の組みかえ、予算内のやりくりというような方式によるのか、それとも臨時國会における補正予算の提出というような形式をとるべきかという問題は、大藏省が檢討中でありまして、特に本年度の予算は、今までよりは性格も違い、組み方も違つておるのでありますから、予算内のやりくりという問題につきましては、新しい課題として解決を要する問題でありまして、私どもはいずれにせよ、その中のどのルートからでも必要なときに適当な経費が出て來ればいいのでありまして、その方法論に至りましては、大藏省にゆだねて檢討を急いでもらつておるのであります。そうして一方において、ただいま申しました緊急失業対策法という法律を成立させることができましたならば、それによつて労働大臣は、多数の失業者が発生すると予想されるような、必要な地域に迅速に、失業対策を直接的の目的とするところの事業の開始を命ずることができる。それからその終結をも措置することができる。同時にもう一つ緊急失業対策法におきましては、從來の公共事業の方面における失業者の吸收という問題が、必ずしも思うように行つておらなかつたという事実から見まして、一定の吸收率をきめて、そうして公共事業の方面にも今日まで以上に高い率で失業者が吸收されるような措置をとつて行く、そういうふうな措置によつて考えられますのは、現在失業保險の方から受けとめられる人員は、最近通過した予算内におきまして、約三十万人であります。しかしこれは保險経理といたしましては、その倍を吸收できる資金が民間の方から拂い込まれた保險料の方にはあるのでありますから、必要であれば、もつと多くを吸收することができる。政府の支出は、義務的の支出でありますから、それに付随して増加せらるべきものであります。大体において七十万人までは増加して行くことができるという保險経理の状態にあります。七十万人まで受けとめるかどうかという問題は、一應別といたしましても、いざという場合には、そこまでは十分行けると思つております。それから直接的の失業対策の面で受け入れられる人たちはどれくらいであるかという問題は、これは支出さるべき経費と、將來起つて來る失業の状態とによつて、変化するのでありますけれども、これは必要な量を吸收し得るだけの事業を拡充しなければならない義務が政府にあるはずでありまして、御指摘の通り、行政整理も行う、九原則も強力に行つて行くという政策を実行する以上、必要なそういつた経費を出すべき義務は、一労働省としてでなく、政府全体としてあると私は思つております。そういう際には、その経費を支出していただいて、そうしてこの三つの方式を強く推進して行くならば、もともと容易ならぬ失業の状態であり、困難をきわめる問題ではありますけれども、國民総力をあげて、あえて失業者もしくは労働者諸君のみにこの犠牲を押しつけることなく、全体の施政として政府の施策が誤りなく遂行されましたならば、國民経済の拡充の面において最終的に失業者を吸收し終るというところまで、中間的の失業対策事業をもつて持ちこたえて行けるのではないか。これは大体論でありますけれども、そういう考えのもとに、ただいま進行中であります。
#123
○木村(榮)委員 そういたしますと、このたびの行政機構改革によつて出ます失業者の対策については、本多國務大臣が言われるように、労働省の責任において対策を立てるというものではなくて、大体各省ともそれぞれの責任において対策を立てなければならない、こういうふうに解釈してさしつかえありませんか。
#124
○鈴木國務大臣 その点やや違いがあるように思います。計画の遂行、それから立案その他につきましては、労働省が当面の責任として当るのでありますが、しかし今申しましたように、これを行うには経費の問題、その他の問題が、裏づけする重要な問題となつて來ますからして、これは政府全体、特にもつと具体的に申しますれば、労働大臣の計画を閣議において通してくれなければだめであります。そういう意味におきましては、失業の状態に應じて労働大臣が立てる計画を援護するという責任を政府がとつていただきたい、こういう意味でありまして、個々ばらばらに事務的に各省で失業問題を処理するという意味ではありません。けれども各省でもつて整理をする際に、その外郭なり、関係團体の方面に、一人でも多く入れ得るところがありましたらば、それぞれおせわする。そういう手法はとり得るわけでありまして、現にそういうことをやつておりますが、根本的に各省ばらばらに失業対策をやつて行くという意味ではないのであります。
#125
○木村(榮)委員 その通りで、結局各省でその裏づけとなるような資料を出して、それが労働省で集約されて一つの問題にまで発展して行く。このように解釈してさしつかえありませんか。
#126
○鈴木國務大臣 その通りであります。労働省でもいたしまするし、あるいは場合によつてはただいま申し上げました失業対策審議会でもつて総合的な計画に当るかもしれませんが、大体木村委員の御指摘の通りであります。
#127
○木村(榮)委員 これはこまかいことになりますが、最近農村の季節労働者の労働対策――季節的に労働者が大勢移動したりしますが、あの対策と、その統計、雇用関係、賃金の問題といつたようなことは、労働省のどこの部分で取扱つて、今までどんな調査をされたか。これは今日発表していただかなくともけつこうですが、そういう資料があるかどうか、承つておきたい。
#128
○鈴木國務大臣 でき得る限りの資料と一緒に適当な方法でもつて木村委員にお渡しします。
#129
○木村(榮)委員 今日は合同審査会であり、内閣委員会においてはこの機構改革について、今後何回も質問いたす機会がございますし、労働委員の方が今日はおもなようでございますので、このくらいにして質問を保留しておきたいと思います。
#130
○齋藤委員長 大矢省三君。
#131
○大矢委員 私もごく簡單に三点ほど質問をさせていただきます。
 今審議しております失業対策事業その他失業救済等については、人員その他の問題が決定すれば、なお質問があると思いますが、第一に本多さんにお聞きしたいことは、今度経済安定本部の労働局を廃止すると聞いておりますが、これは事実かどうか。経済安定本部の性格は、私から申すまでもなく、日本の再建にきわめて重大な役割を持つております。日本の再建、経済安定に労働行政の重要なことは、これまた申すまでもないのであります。私は新たにこれを制定するならば別だけれども、現在あるものを廃止することについては、日本の再建をどう考えておるか。さらにまたこれを廃止するについて労働大臣に御相談があつたのか。労働大臣はこれに対してどういう御意見を持つておるか。経済安定本部の労働局を廃止するということはきわめて重大な問題でありますから、この機会にぜひともお聞きいたしたいと思つております。
#132
○本多國務大臣 ただいま提案いたしております経済安定本部の機構には、労働局が在來あつたのですが、これを局としては残さないという機構になつております。もちろん経済安定本部で労働関係の仕事を廃止するという意味ではありませんが、機構縮小の線に沿つて、経済安定本部の当局とも協議いたしまして、おのずからその大小軽重等に從つて縮小したのであります。幾つかの局が減少した中に労働局も今度は局としてでなく、課として仕事をやつて行くことになつておると思います。
#133
○鈴木國務大臣 安定本部の労働局の問題は、閣議において閣僚の一人としてその檢討に参加したのであります。私どもの考え方といたしましては、もちろん労働関係の機構がそのままであることが望ましいのでありますけれども、しかし行政整理という問題は現内閣の根本的な仕事の一つでもありますし、それから安定本部というものに対する相当強い檢討の雰囲氣もあつたので、私といたしましては、機構は縮小されても、その機能が運用によつて残されるならば、安定本部全体の機構の縮小整備という別の面から考えての、現内閣の任務と照し合わせまして、あえて反対はいたしませんという結論であつたのであります。
#134
○大矢委員 それではこういうふうに解していいですか。局は廃止したが、課は存続して、從來と実際の仕事においてはかわりがない、そういうことの了解で、そういう希望をつけて賛成した、こういうことに解してよろしゆうございますか。
#135
○本多國務大臣 その通りだと思います。
#136
○大矢委員 それからもう一つ、本多さんにお聞きしたいのですが、参議院で二十二日に吉田首相がこういうことを言われている。今度の行政整理は現状を土台としてでき上つている、しかも予算編成を非常に急いだために二割ないし三割減ぜられる、こういうことで、実は賛成しがたいのだ、そこで本多君に苦情を言うた、從つて近き將來に審議会にこれを諮つて、もつと根本的な、科学的な整理をやるのだ、こういうふうに言明されているが、これは本多さん御承知か。あるいは相談があつたか。あるいはただいまどういうふうにお考えになつているか。これは來るべき次の失業者の問題について今審議しているところの労働関係に非常に大きな影響がありますから、この際ぜひとも方針を承りたい。
#137
○本多國務大臣 行政整理について、十分な調査をして、そうしてこれを完全なものにするという考え方において、総理も私もかわりないのでありますけれども、それをやるのにはおそらく長い時日を要するだろうと思います。そこで現段階におきましては一應の目標を定めまして、その目標に基いて、しかも実情に即應するようにというので、努力いたしたのが、今回提案いたしております設置法案、これから出て來ます定員法でありますが、さらに行政官廳の事務量あるいは人の能率というものを勘案して、責任と事務量を明らかにした完全なる行政機構をつくるためには、審議会等も設置せられましたので、そういうところで今後さらに研究を続けて行く、こういう意味で総理が言われたものと思います。
#138
○大矢委員 それは私は善意に解釈するのですが、こういう天引き、しかも予算を基礎とした、現状を基礎とした整理はよくない、そこで本多君に苦情を言つた、自分の実際考えているのはこうこうだということを言われたので、私は先ほどお尋ねしたように、重要な部門にはむしろふやすということがいいのじやないか、またそういうことを考えられての発言ではないか。たくさんな失業者を出すために、こう言つておるのではないと思つておりますが、今後もし審議会なり設けられてやる上においては、天引きとか、あるいは予算の面で整理をするというのでありますれば、非常にみなに迷惑でありますから、その点を十分考慮願いたいということを申し上げておきます。
 次に第三点は、労働省設置法案の第八條であります。私が申すまでもなく、石炭の増産ということは至上命令でありまして、至上命令である石炭増産に欠くべからざるものは、何といつても労働である。設備が幾らあつても、労働がなければ一つも石炭が出ないのでありますから、この労働の安全の問題をどうして商工省にやつたか、労働省設置法案の第八條第二号に「産業安全に関すること。但し、鉱山における保安に関する事務を除く。」また第三号には「労働衞生に関すること。但し、鉱山における通氣及び災害時の救護に関する事務を除く。」と書いてあつて、これは商工省が所管する。私はむしろ労働省がこれを所管し、責任を持つて、基準法に明らかなようにそういうことをやつて、商工省にそれを委嘱するとか、あるいは会議するということで、責任はあくまで労働省が負うべきだ、それを商工省にやることはどういうことか。この点については労働大臣がどうしてそういうことをしたか。あるいはこの機会にはずす御意思はないか。これは本多さんにも両方です。これは重要な問題です。日本の石炭増産に欠くべからざる根本的な問題です。これを労働省が持たずして商工省が持つ。山の保安は人間をおいてほかにない。從つて私はぜひともこの機会に改めるか、逆に労働省がこれを所管して、商工省に、いろいろ増産に大いに協力してもらわなければならぬから、委嘱するなりあるいは相談するという程度にして、ほんとうの責任あるいは所管は私は労働省に置くべきであると固く信じております。もし今どうしてもできないなら、さつそく相談してやるなり、あるいはその方針だけはぜひひとつ明らかにしていただきたい。
#139
○本多國務大臣 ただいま御指摘の点は、昨年の議会においても相当論議せられた問題でございますが、これは関係省におきまして種々檢討の結果、鉱山保安法におきましても、商工省にといういうことに落ちついておるのでありまして、私の方といたしましては、その関係省の檢討せられました結果に基いて、機構としては商工の内部の部局といたした次第であります。
#140
○大矢委員 関係省というのはどこですか。
#141
○本多國務大臣 労働省と商工省が主としてやつたと思います。
#142
○鈴木國務大臣 この問題は前内閣のときに、一つの問題として各関係方面からも愼重に檢討されまして、私も当時労働省の政務次官でありましたが、私どもの考え方は、大臣も同樣でありましたが、労働省に置きたいというのが考え方でありました。しかし全体の考え方その他は、生産技術と密接な関係にあり、商工省にこれを置くべきだという意見が強く、その意見が内閣の意見として決定したと了承しております。ただその実施にあたりましては、労働省が強力にこれに参加して、そうして誤りなきを期すという、こういう趣意であつたと思います。今に至りましては、これを急速にくつがえすという考えは、現段階においては持つておりません。しかし重要な問題で十分將來も檢討いたしたいと思います。
#143
○大矢委員 基準法に基いて当然労働省が責任を持たなければならないが、その基準法との関係はどうなりますか。
#144
○富樫説明員 基準法の関係におきましては、基準法に基く安全衞生は、鉱山保安については例外規定を設けまして、鉱山保安法との権限調整をすることになつております。
#145
○齋藤委員長 淺沼君。
#146
○淺沼稻次郎君 簡單に二点だけお伺いしたいと思います。
 第一点は、もし行政整理あるいは行政機構の改革を行わんとすれば、政府の行政機構全体の観点に立つて、ある場所はふやし、ある場所は減す。各省一律に二割、三割といつたようなことで行うべきではないと思うのであります。先ほど労働大臣の答弁を伺つておりましても、労働省の持つ任務よりして、機構の点においては縮小さるべからざるものであるといつたような答弁をされたと思うのですが、しかし内閣の方針が行政整理ということが一つの方針だから、やむを得ずというような形が現われていると思うのであります、しかし労働省は、言うまでもなく、これは労働者に対するサービス省として戰後できた省でありますし、なおまた労働省の機能発揚いかんが、日本の再建の中心になると考えるのでありまして、自然各省二割、三割というようなことを考えるについて、労働省のようなものはあまり減らさないで、たとえば文部省といつたようなものは教育制度の制定に伴いまして、自然その機構は脱皮が行われなければならぬと思うのであります。從つて一律に考えないで、必要な部門に人間も残し、機構も残すというようなことは当然考えられると思うのでありますが、そういう根本を考える点について、本多國務大臣はいかようにお考えになつたか、お伺いしておきたいのであります。
#147
○本多國務大臣 まつたくお話の通りでありまして、各省の担当事務の統合調整が行われます段階になりますと、非常に大きくなる省も小さくなる省もできて來るであろうと思いますが、大体においてそうはなはだしい仕事のふつり合いはないのでありまして、結局現段階におきましては、実情をにらみ合せてバランスを考えるほかなかつたのであります。從つて労働省等におきましては、機構の点におきましても、ほとんど縮小になつておらぬといつてもいいくらいの縮小しか行われておりません。文部省においてはただいま御指摘の通り、相当整理が行われております。労働省においては労働統計調査局が部となつただけであります。設置法上における機構の縮小程度も、三割減というところまでは行つておらないのでございます。
#148
○淺沼稻次郎君 そうすると、これは定員法が出て來なければわからないのでありますが、機構の上から申せば、なるほど今まで局であつたのが部になつたという程度以上の変化はないのであります。しかし人員から言えば、やはり現業二割ということで頭割りに整理が行われる結果になろうと思うのでありまして、それでは結果から申して各省一律という形になつて、ほんとうの本多國務大臣の考えておるような精神が生きておらない形が現われて來ておると思うのですが、やはり天引きは各省現業二割、非現業三割ということになるのでしようか、もう一ぺん伺つておきたい。
#149
○本多國務大臣 二割、三割は目標でありまして、この目標を立てて、そうしてでき得る限り実情に即するようにという方針でただいま檢討中であります。政府の結論をまだ得ておりませんので、労働省についてどうということを申し上げられませんが、御意見は十分研究いたしたいと思います。
#150
○淺沼稻次郎君 そうすると、その非現業三割ということは一律的に考えておらない。労働省の問題についてはまだ意見を尊重するということでありますから、これは結果の定員法が出て來なければわからないと思うのでありますが、しかし考え方の上においては、やはり一律天引きという印象が深いのであります。これは今大矢君の引用されました吉田総理大臣が参議院において答弁された答弁は、私は正しいと思うのでありまして、行政機構の改革は、必然的に行政の簡素化、能率化、系統化、あるいは科学化、こういうものが中心に行われて、その上にやむを得ず整理しなければならぬ人が出た場合には行政整理が行われる。このことが行政整理としては当然の行き方ではなかろうかと思うのであります。しかし政府の考えを見ておりますと、行政整理が先行されて、一律的に各省現業において二割、非現業において三割ということをとつておるようであります。そこで政府の行政機構の改革、あるいは行政整理に対する考え方は、行政の科学化とか能率化ということよりも、財政的見地において、これによつて幾分なりとも財政的余裕を生み出すようにという観念が、重点に置かれておると解されるのでありますが、さよう解してよろしゆうございますか。
#151
○本多國務大臣 お話の通りでございます。
#152
○淺沼委員 その点私は納得が行かないのでありますが、もしそうだといたしますならば、それによつて出ますところの財政的余剩は幾らぐらい出るものでありましようか。かりに人件費のところで考えてみますれば、安本の経済調査廳、人事院、行政管理廳、あるいは大藏省の主計局、ここには人件費の削減はございません。從つてそれ以外のところでは、人件費の削減が予算面において行われておるわけであります。從つて予算面において行われておるものが先ほど申し上げました通りに、現業において二割、非現業において三割、そういうようなものは予算面においては幾らの余剩が出るのでありましようか。政府の目標としてはそれと同時に余剩がこれだけ出て、さらに失業救済のために使われる費用があつてその差額からいつたら、一体どれくらいの金を生み出してくれるのでありましようか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#153
○本多國務大臣 本年度の予算におきましては、予算定員において二十三万余り削減されておりますが、それに伴う経費の増減は予算で明らかになつておりますけれども、私の行政管理廳が提案してやろうといたしております行政整理は、それとは少しく範囲を異にいたしておりますので、この結果に基く予算の変更を來す程度につきましては、人員が確定いたしませんものですから、ただいまのところ、御説明申し上げることができないのでございます。ただ方向といたしましては、ただいま決定しております、予算の減少額よりも、もう少しく増加するものと考えておりますが、数が確定いたしませんので、これに基く結果は明確にはお答えできないのであります。
#154
○淺沼稻次郎君 この点は重大な問題でありまして、私どもは行政機構の改革は、財政的見地から考えられるのでなく、先ほど申しましたように、行政の科学化、系統化、あるいは簡素化というような方面から行われて來なければならぬと思うのであります。しかし政府のとらえんとするところは、財政的見地から行わんとしておるのでありまして、できるならば財政的見地においてこれだけの余裕の金額が出るのだ。それと同時にこれだけの救済費は必要なんだ。こういうものが示されなければ、明確にこれをわれわれが判断するに困るわけであります。從つて行政管理廳が考えておりましたところの人員の整理が行われる場合においては、幾ら予算面において浮いて來るのだ。その浮いたことによつて手当を出すのだ。さらに失業救済費はこれだけの金があるのだということを、ひとつ明確にしていただきたいと思います。それは内閣全体の予算の面よりも、行政管理廳で考えておられるその数字でけつこうです。
#155
○本多國務大臣 大体のところにおいては、賃金ベースもあることでありますし、それにみな物價等も大体の目標がつくわけでありまして、大藏省で二十三万予算定員を削減したための結果は、すでに國会で明らかになつておる通りであります。それから追加されるものがどのくらいあるかということは御想像願つて、それ以外にここのところで数を予想して調べて御報告をいたしますと、かえつてそれが誤解を招き、きまらない数字をお示しをすることになるから、いましばらく御猶予を願いたいと思います。
#156
○淺沼稻次郎君 大分時間がたつて参りましたので、何かの機会になるべく早く数字的な基礎を明らかにしていただきたいと思うのであります。それでただいまはただ私どもは、政府のいわゆる財政的見地から行政機構の改革をやり、あるいは行政整理をやることについては、反対であるということを申し添えておきたいと思うのであります。
 次に先ほど労働大臣の答弁を聞いておりますと、最近設置せる失業対策審議会、こういう言葉を使われております。これは新聞に出ております失業対策審議会、あるいは税制対策審議会、五つか六つの審議会のことでしようが、それに議員が就任されておるようであります。その議員は当然その法律の規定以外は、國会法三十九條かと思いますが、國会の承認を得なければ就任ができないということになつております。その手続は完了しておるのでありましようか。もしかりに完了しておらないとすればまだ成立しておらぬということになると思うのでありまして、こういう点はどういう取扱いになつておりますか、伺つておきたいと思うのであります。
#157
○鈴木國務大臣 あの四つか五つかの審議会につきましては、これは内閣官房が組織手続の衝に当つておるのであります。成立の手続が完全にとられておるかどうかという点につきましては、実は私は一應の会長とか、または委員とかいうものの選考、選任には当りましたけれども、事務的の手続の方は官房の方に一任しておりますので、さつそくでも問い合せて、手続が完了しておるかどうかということをお答えいたします。
#158
○淺沼稻次郎君 よろしゆうございます。
#159
○齋藤委員長 それでは質疑が終了いたしましたから、これでこの連合会は散会いたします。さように御承知を願います。
    午後一時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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