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1949/05/10 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会労働委員会連合審査会 第1号
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1949/05/10 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会労働委員会連合審査会 第1号

#1
第005回国会 商工委員会労働委員会連合審査会 第1号
昭和二十四年五月十日(火曜日)
    午前十時五十四分開議
 出席委員
  商工委員会
   委員長代理 理事 神田  博君
   理事 澁谷雄太郎君 理事 村上  勇君
   理事 今澄  勇君 理事 川上 貫一君
   理事 永井 要造君
      阿左美廣治君    岩川 與助君
      江田斗米吉君    門脇勝太郎君
      小金 義輝君    高木吉之助君
      多武良哲三君    福田  一君
      森下  孝君    水谷長三郎君
      聽濤 克巳君    河野 金昇君
 労働委員会
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 角田 幸吉君 理事 福永 健司君
   理事 三浦寅之助君 理事 吉武 惠市君
   理事 前田 種男君 理事 川崎 秀二君
   理事 春日 正一君 理事 島田 末信君
      麻生太賀吉君    大構 武夫君
      小渕 光平君    佐藤 親弘君
      篠田 弘作君    塚原 俊郎君
      船越  弘君    松野 頼三君
      青野 武一君    大矢 省三君
      小川 半次君    土橋 一吉君
      石田 一松君    岡田 春夫君
 出席国務大臣
        商 工 大 臣 稻垣平太郎君
        労 働 大 臣 鈴木 正文君
 出席政府委員
        商工事務官
        (総務局長)  山本 高行君
        商工事務官
        (鉱山局長)  長谷川輝彦君
        商 工 技 官
        (石炭廳生産局
        長)      田口 良明君
        商工事務官
        (石炭廳管理局
        長)      山地 八郎君
        労働政務次官  山崎 岩男君
        労働事務官
        (労政局長)  賀來才二郎君
 委員外の出席者
        商工事務官   曽根 文二君
        労働基準監督官 堀  秀夫君
        専  門  員 越田 清七君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 大石 主計君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 鉱山保安法案(内閣提出第一三八号)
    ―――――――――――――
#2
○神田委員長代理 これにより商工委員会、労働委員会連合審査会を開会いたします。
 大野商工委員長にはおさしつかえがありますので、かわつて私が委員長の職務を行います。
 ただいまより鉱山保安法案を議題として審査を進めます。商工委員会におきましては、すでに提案理由の説明を聽取いたしておりますが、本日は連合審査会でありますので、労働委員の方々のために、あらためて説明を聽取いたします。稻垣商工大臣。
#3
○稻垣國務大臣 ただいま議題となりました鉱山保安法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。
 御承知のごとく、鉱業の保安に関する法制の歴史は非常に古いのでありまして、保安が生産の基礎となる鉱業の特殊事情に即應いたしまして、明治二十三年の鉱業條例以来、施設の保安、鉱夫の保護、鉱害の防止等に関し、これを法的に規制し、商工省において総合的かつ一元的に監督して参つたのであります。終戦以来、主として戦時中の濫堀による鉱業施設等の荒掘のため、鉱山の保安状況は悪化し、鉱業生産の確保向上のためには、保安条件の整備が焦眉の急とされているのでありますが、これを規制する現行法規には若干の不備もあり、監督機関も十分とは言えないのでありまして、政府といたしましては、鉱業保安関係法令の整備と監督機関の充実並びに労働関係法規との調整について、鋭意検討を進めてきたのでありますが、ようやくその成案を得ましたので、ここに鉱業法、労働基準法とは別個の単行法として、鉱山保安法案を本国会に提出して、御審議を仰ぐことといたした次第であります。
 この法案は、第一條に明文を設けましたことく、鉱業生産の特殊性にかんがみ、鉱産生産の特殊性にかんがみ、鉱山労働者の特殊性にかんがみ、鉱山労働者の保護をはかるとともに、鉱物資源の合理的開発をはかるという二つの目的をあわせ持つものであります。
 この法案において特に政府の考慮いたしました事項の第一点は、鉱業の保安に関する鉱業権者及び保安技術職員その他の鉱山労働者の責任を明確にするということであります。現行法令におきましては、責任関係が明確でない点もあつたのですが、この法案は、鉱業権者及び鉱山に働く労働者が、それぞれ鉱業の保安に関し法的責任を持つことを明確に定めようといたしておるのであります。
 第二点は、鉱業の保安が特殊の技術的事項であることにかんがみまして、鉱山の現場機構を整備強化しようとしていることであります。すなわち、保安管理者、保安監督員等の保安技術職員の制度を整備し、かつその資質の向上をはかりますほか、各鉱山に保安委員会の設置、実状即する保安規程の作成を義務づけ、現場保安業務の最も円滑な運営を期しているのであります。
 第三点は、鉱業の保安に関する監督機関の整備と、そのきわめて民主的な運営をはかていることであります。すなわち、この法案施行のため、中央に鉱山保安局を設け、地方に鉱山保安都市、炭鉱保安監督部置いて、それぞれ商工局、石炭局に付價し、これらに鉱務監督官を配して、保安監督の強化をはかろうといたしておるのでありますが、これとともに、その民主的な運営を確保いたしますため、中央、地方にそれぞれ労、資、学識経験者よりなる保安協議会を設け、重要事項について審議することといたしておるのであります。
 なお、この法案に基き監督機関が操作に影響を及ぶすような命令等を発します際は、最も民主的な公開による聽聞を行い、事前に直接関係者の意見も聞く制度を創設しているのでありましす。今日鉱業の保安状況は必ずしも万全とは申せないのでありまして、この法案の施行により、万難を排して災害の絶滅を期し、鉱物資源の増産のため、基礎条件を確保したいと思うのであります。
 何とぞ慎重ご審議の上、可決願いたいと存ずるのであります。
#4
○神田委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。引続き質疑に移ります。土橋一吉君。
#5
○土橋委員 ただいま商工大臣から提案理由の御説明があつたのでありますが、私たちは、この法案の第一條が規定しておりまする質言的な法案の目的等についても、また第二章の保安に関する條項につきましても、第三章の監督機関等の問題についても、また罰則の点についても、いろいろ意見を聴取したいと思うのでありますが、とりあえず私は、終戦以来日本の鉱山は逐次年度を追いまして、非常な災害が激増しておるのでありまして、この災害のために、労働者諸君の悲惨な生活状況、あるいは労働状況に関する諸般の問題がありまするが、一体このような災害あるいは悲惨な問題が起こつて来る原因はどういう点にあるか、どういう点が最も根本的な原因であるかということを十分論議いたしまして、その内容について御答弁を賜つてから、この法案について、個々の問題についているい御質問申し上げる、この方が一番正しいと信じておりますので、一体原因はどこにあるかという点について、商工大臣から責任ある御答弁を願いたいと思うのであります。
#6
○稻垣國務大臣 原因はどこにありやという問題についての御質問でありますが、これはいろいろ考えられると思うのであります。しかしながら主たる原因は、戦時中の非常なるところの強制的な濫掴といつたようなことがおもな原因である、一言に言えば私はそう申してよいのじやないかと存じておるのであります。そういう意味合いにおきまして、その後石炭が基礎物資といたしまして、これに対して傾斜生産方式によつてこれに力を盡した。ところが坑内の條件としては、濫掴によつてはなはだ整つていない。こういう辺にあるのじやないかと思うのであります。それがこの際この鉱山保安法案を整備いたしまして、そして従来の弊害であつたところの根源をできるだけ除去したいというのがこの法案の提出の理由であります。
#7
○土橋委員 ただいまの御答弁の内容を承りますと、具体的にどれがその災害の基本的な原因であるか、どういう点に重大な欠陥があるかということについて御説明がなかつたようでありますが、私はわれわれの今日までの入手いたしておる資料に基きますと、炭鉱における罹災者の状況は、昭和二十一年度におきましては大体六万二千有余人あつたのでありますが、昭和二十二年度になりますと、さらにこれが激増いたしまして、九万三千五百有余人災害者を出したのであります。越えて昭和二十三年度は――昨年度に至りますと、十四万という厖大な数字を出しておるのであります。また出炭の百万トン基準当たりの災害の状況を見ますと、昭和二十一年度は大体二千七百七十有余名であります。また二十二年度におきましては、三千百七十有余名の災害者を出しておるのであります。それで昨二十三年度におきましては、四千五十二名というような、比較いたしましてたくさんの災害者を出しておるのであります。なお商工省の出したいろいろな資料、特に鉱山保安部から出されておりますところの鉱山災害の状況という資料によりましても、出炭の量と比例して災害が増減するということが述べられておりますが、昭和二十三年度は、すでに三千四百万トンの出炭が強行いたされまして、これが救國増産のためにどのような措置を講ぜられましたか。この災害の激増の基本的な関係につきまして、増産運動と労働者の災害とは密接不可分の関係にあり、常にそれが幾何級数的にも増加をするという傾向にありますが、こういう点について、商工大臣はどういうふうにお考えになつておりますか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
#8
○稻垣國務大臣 災害が増加いたしましておりますことは御説の通りであります。これは増加の点についてはいろいろなことが考えられると思うのでありますが、一つには終戦後の人数と今日の人数とを比較いたしますと、非常に従業員の数がふえている。だからパーセンテージがどうなつておるかということもなお検討する必要があると思うのであります。それから第二段といたしましては、先ほど申し上げました終戦当時のいろいろな坑内における勤労條件の悪化がだんだん積つて来た。これに対して十分なる手当の歩みが同じに行つていない。御承知のように坑内施設をそう簡単にもできませんので、これに対するところの歩調が合つていないという点にもあるだろうと私は考えるのであります。それがゆえにどうしてもこの鉱山保安法が必要になつて来る。こういうふうにわれわれは考えております。
#9
○土橋委員 ただいまの大臣のお話によりますと、前者の説明におきましても非常に無謀に採炭し、あるいは鉱物を採掘した原因であるということが大臣から言われておりますが、かような点を十分お考えになりまして、もし今年度の出炭計画四千二百万トンを強行するということになりますれば、この災害はより飛躍をいたしまして激増することは火を見るよりも明らかであります。こういうような状況において災害が事実起つて来ることは不可避である。それが非常に厖大になつて来るということについて、商工大臣としてはどういうような方法で――実際の問題として、この鉱山保安法という法律だけではなくして、どういうような点にほんとうにに重点を置くならば、この問題が解決するかという点について、御所信を承りたいのであります。
#10
○稻垣國務大臣 それにはいろいろな点があると思いますが、むろんこの鉱山保安法も一つの方法である。これもお認めを願えると思うのであります。それから鉱山保安法によりまして、坑内の施設について十分なる検討をしなければならぬ。できるだけ坑内におけるところの労働者の保安の施設について、十分の力を盡して行くことが必要であろうと思うのであります。われわれの方といたしまして、いわゆる設備費について、ある一定の金額を見返り資金の中から留保しておきたいというものについても、その間にいろいろな関係で、かりにその金額が減少するということがあつても、保安に関する金額はどこまでも確保いたしておきたい、こうゆうように考えておるのであります。この点については目下どの程度にその費用を計上すべきかということは研究中であります。しかしながら保安についての費用は特に考慮いたしておきたい。それからまた労働者の方々も、終戦当時から比べますともう三、四年経過いたしておりますので、いわゆる熟練度も非常に加わつて来たとかように考えるのであります。そこで四千二百万トンを強行するために、必ず災害がふえるという御議論には必ずしも私はならないのではないか、今までがそうであつたから、今度はまた強行すれば、その割合でふえて行くのだという御議論には私は賛成いたしかねます。
#11
○土橋委員 ただ今の大臣のお話によると、今まで通りは増えないであろう。今君が言つたとおりの論法には行かないであろう。こういうような御答弁であつたのでありますが、鉱山保安法の第一條を見ると、これは明らかに鉱山労働者の災害の防止というものが第一点であります。次は鉱物資源が合理的に開発せられるということを中心的に法文が書かれております点からながめましても、片や労働階級における労働條件なり、あるいはその他の関係における問題が第一点と、鉱物資源の合理的な開発という方面における手順方法が第二点に考えられていると思うのであります。そういう点を考えて参りますと、ただいまのような御説明ではなくして、われわれの見るところでは、現在一般鉱山労働者諸君は、まず賃金の面におきましても非常に困難な状態で、後ほどまたお話があると存じますが、現在全國的にストライキが行われている。こういう状態の原因は、現在の賃金が平均一箇月半程度の未拂いが行われている。また実際に受取つている労働者諸君は八割程度の賃金しか受取つておらぬ。こういうような悲惨な現状に置かれているのであります。従つて勤労意欲の低下はもちろん、疲労困憊をいたしまして、作業能率が減退するなり、あるいは労働者の労働力がきわめて弱つているというような事実も顕著な事実であるのであります。従いましてこういうような状態において、炭鉱においては時間外手当というような方法において、労働者が八時間労働でありますにかかわらず、十時間労働が強要されておる。あるいは奨励金等の問題において、労働者諸君は苛酷な長時間労働のもとに働いておるという点があるのであります。そういたしますと、片方に御趣旨のように労働階級については災害を除去する、災害を防止するという建前と相関連いたしまして、そこに重大な考えなければならぬ点があると考えるのであります。また第二点といたしましては、そういうような鉱物資源の合理的な開発ということについて、今日まで、大臣もお認めになつておるように非常に無謀に採掘をした、またそういう設備についても十分やつていない、老朽であるというような事実に関連して、明らかに固定的な設備が非常に荒廃をしておる、あるいは老朽の施設をそのまま駆使して、労働階級の犠牲においてそれがどうにか持ちこたえられておるという事実、あるいは安全措装置なり、その他ガスとかあるいは排水工事等が、労働階級の非常な犠牲の上にのみかかつて行われておるという事実があることを、大体認められてこの法案はできておると思うのであります。そこで私が大臣にお聞きしたい重点は、大臣も言われたように、今日まで國家が傾斜生産を中心としてあらゆる力を鉱山労働者、特に炭鉱労働者には費しておるのであります。その具体的な方法においては、おそらく一千二百億以上もあろうかと思いますところの復金の融資が、ほとんど半数以上はこの方面に融資されておるのであります。あるいはまた赤字融資等につきましても、はかることのできないような融資が行われておるのであります。しかるにかかわらず、今日まで第二番目でありますところの完全なる施設が行われておらない。あるいは三月末の補填金にいたしましても、百七億というような巨額なものがこれにつぎ込まれておるにかかわらず、依然としてガスなり排水なり、あるいは坑内の設備が老朽であるというような事実について、われわれはあらゆることを聞いておるのであります。なぜこういうことになつておるのか。どういうわけでこういう事態を引起しているか。それは今申し上げたような、いろいろな災害の危険を受け、いろいろな不幸を受けるところの労働者諸君の現実の問題が相関連をしておるのでありますが、こういう点について、われわれのいろいろな資料なりあるいは聞いておる内容について、大臣もおそらく聞いておられると思いますが、この点を根本的に解決なり究明をし、そういう間違つた点があるということ、ここに重点があるということを考えなければ、この法案を個々の具体的な事象に照らし合せて見ても、その効果が上らないと思うのであります。一種の砂上の楼閣になると思うのでありますが、こういう点について大臣はどういう御所見を持つておられるか、ひとつお聞きしたいと思うのであります。
#12
○稻垣國務大臣 私はその点については、必ずしも土橋委員と御同調いたすわけに行かぬことを残念に思います。ということは坑内の保安について――今はつきりお話があつたわけではありませんが、坑内の保安、いわゆる鉱業資源の保護という点に重点を置いているにかかわらず、鉱山の保安についての施設は一向できていないという御趣意のように承つたのでありますが、この鉱業資源の保護ということは、鉱山の保安なくしてはやはりやつて行けないのでありまして、鉱業者が自分の鉱山から実際の出炭成績を上げるという意味から言いますれば、これは鉱山の保安即鉱山の保護につながると私は思うのであります。しかるがゆえに鉱山保安について全然ネグレクトしておつたという考え方は、これはいわゆる机の上の考え方であつて、実際の仕事をやる上においては、鉱山保護ということが鉱山保安につながるのでありまして、鉱山の保護なくして鉱源の保護はあり得ないと私は思うのであります。この点では私は意見を異にいたしておることを申し上げておきたいと思うのであります。それから今のお話でありますが、むろん傾斜生産によつて、相当の金額が坑内の施設その他につぎ込まれる、それがまだ今日目的を達していないということについては、ある程度目的を達していないということを私は認めていいと思うのであります。しかしながら、一体従来の非常な濫掘の跡がそう簡単に整備ができるものとは考えませんので、今後の施設を期待するとともに、われわれといたしましても、鉱業者に対して、今後鉱源の保護と同時に鉱山保安を並行的に、しかも急速に実施するように慫慂いたしたい、かように考えておるのであります。
#13
○土橋委員 ただいまの御答弁を承ると、どうも私は了解できないのであります。この法案の第一條の宣言的に書いておる中には、鉱山のあらゆる設備が労働者の災害を招かないように、労働者が罹災者となつて非常に不幸な事態に至らないようにすることが中心的なものであると同時に、それによつて鉱物の合理的な開発が行われるということが基礎になつておるように考えるのであります。そういたしますと、今日までの國家があらゆる方面において重点的に、しかも基幹産業であるのゆえをもつて復金の融資についても、政府補填にしても、その他間接的には厖大な價格調節費というものが、あらゆる面において炭鉱業者には送られておるのであります。にもかかわらず災害が激増して来るような状態にありまするとき、四千二百万トンを強行すれば、それははかることのできないような災害状態が出で来るということについて、大臣はこの点においてはそうは出て来ないというお説のようでありますが、今までやつております國家のあらゆる補助、あらゆる融資というような面から見て、このような災害状況が出て来る事実を見て、昭和二十四年度の四千二百万トンの採炭については、國家があらゆる補助を與えている面を徹底的に究明をして、いかように使われておるか、どういうことにこの金が運用されて災害保安のために盡されておるか、あるいは鉱物の合理的な採掘のために、どういうふうに使われておるかという内容を究明しなければ、問題は解決しないと思うのであります。これを大臣の方ではそうではないとこうようなお話であるならば、私は非常に遺憾でありますので、少なくとも國家は、鉱山監督に関する行政は徹底的にこれをおやりになりまして、國家が融資した國民の血税なり、あるいは國民の膏血によるところの融資は、すべからく鉱山保安に関する方向、その中心的なものは労働者の災害を除去して、そうして鉱物の合理的な資源の開発の方向に重点的に使わなければならぬのであります。ところが今日までわれわれが聞いておる内容によりますと、まことに遺憾な現象があるのであります。そういう事実については商工大臣はいかなることを考えておるかということを私はお聞きしておるのであります。この点をひとつ御説明願いたいと思うのであります。
#14
○稻垣國務大臣 いわゆる商工省の鉱山行政としての今の土橋委員の御説には私は同感であります。これは商工省としてできるだけ鉱山保安についての実があがるように、これを監督して行くということについては、私はまつたく同感であります。
#15
○川上委員 今の問題に関連してでありますが、商工大臣にちよつとお聞きしたいのであります。商工大臣の方では、土橋君の質問に対して十分お答えになつておらぬと思う。そこで問題を具体的にして御答弁をお願いするようにした方が非常にはつきりして来ると思う。土橋君の言うところは、非常に多くの國家的保護をやつて、復金融資もしている、赤字補填もした、また赤字補償も鉱山の方はやつた、にもかかわらず保安の方はできておらぬじやないか、これには何か鉱山の中において、この國家的保護を十分に活用しなかつたという面があるのじやないか、これについては商工大臣はどうお考えになるかという質問をしている。この質問について答えが出ておらぬ。そこで私は一つ問題を出したい。商工省と大蔵省においては、鉱山については特に資金監査というものをやつておられるはずである。これは両方でやつており、その報告書が出ているはずである。この報告書の内容によると、非常に厖大な炭鉱における不正が出て来ている。このことが明らかにされておらぬ。このことについては私は一つ質問したいのでありますが、九州に麻生炭鉱というのがある。この麻生炭鉱は吉田首相がここの麻生太賀吉君から多額な政治資金を贈られておるということは、すでに天下周知の事実である。この炭鉱についても調査ができているはずで、その調査の報告書があなたの手元に来ているはずである。この報告書の内容を明らかにしてもらいたいのでありますが、これは経理きわめて乱雑、内容きわめて不正、帳簿不備不整、出炭の成績は不良で、復金の融資は昭和二十一年の下期から二十三年の上期にわたつて二箇年間、全体の経費二十二億のうちで約三十パーセントは、復金融資に仰いでいる。しかもこの会社は、株の三〇%以上持つているところの麻生一家と会計を一緒にしてしまつて、麻生一家は自由自在に会社の金を使つておるという事実がある。こういう事実は私は例としてあげたのでありますが、一ぱいある。麻生に対する不正の事実は手元に出ておるはずである。これに対していかなる処置をとられたか、これを一体どう思われるか、この内容はどういうものであるか、このことについて明確なる御答弁をお願いしたい。これが根本問題である。こういうことが方々にあるということになると、これは保安法をこしらえようがめちやくちやになつてしまう。問題はここにある。こういうことでは鉱山労働者の保安設備はできないし、災害はどんどんふえて来る。しかも鉱山の経営者は今後の見通しでは黒字になるという報告を出している事実もあるが、それはこういうめちやくちやをやつておるからである。この内容について明確なる御答弁を願いたい。
#16
○田口政府委員 ただ今の御質問の問題につきまして、資金監査を行つた結果は、今のようなお話の事実は調査面には上つておりません。
#17
○聽濤委員 今政府委員の方では、川上君の言つたような事実は上つていない、こういうことを言つておられますが、しかしながら麻生鉱業におきましては、今まで会社では赤字だ赤字だと言つておりながら、昨二十三年の十月十四日の不当財産取引委員会で、麻生太賀吉氏は、二十二年中に百三十万円吉田茂氏に政治献金をしたという証言をした。その他にその地方の税務署におきましては、脱税の疑いさえあると報告されておるのであります。しかも今川上君が言われましたように、実際に昭和二十一年下期から二十三年の上期に至る二箇年間において、収支累計が二十二億程度、このうち復金の資金は三〇%を占めておると言われております。しかもこういう多額の資金を受けて、その累計は三億七千幾百万になる。こういう厖大な資金を復金に依存しておる会社が、麻生本家の勘定などというものをつくりまして、いろいろなところに対外の貸付などもやつておる。あるいは鹿児島縣におきます薩摩鉱業株式会社という金鉱山に対しまして、一千万円以上の仮拂金を出しており、こういうものを加えますと三千万円を突破するような多額の金が対外貸付として行われておる。こういう事実が報告されておるのであります。商工省、大蔵省は麻生に関する監査をやつたはずであるが、こういう事実を全然知らないとおつしやるのですか、はつきりしたことをここで責任をもつて答弁していただきたい。
#18
○稻垣國務大臣 商工省といたしましては、麻生鉱業の炭鉱に関する監査については、先ほど田口局長からお答えいたした通りであります。個人の問題については商工省の関與するところでないと存じます。
#19
○神田委員長代理 聽濤君、川上君に私から御相談いたします。今お取上げになつておられる問題は、昨年不当財産委員会で共産党の徳田君その他の委員諸君からも論議された問題でありまして、鉱山法案とは直接に関係がないように考えられるのでございます。鉱山法案の審議を進めておる際でありますので、お気持ちはよくわかりますれども、また他の機会なきにしもあらずと考えます。
#20
○川上委員 委員長がそう言うのもむりはない。しかしながらこの内容が商工省に報告されておらぬ。さような事実はないと言うが、これは非常に重大である。かような事実がないはずはない。麻生一家に対して会社は貸付をしており、年四分の利子であるが、事実は一銭も金をとつておらぬ。二十三年六月には百五十六万円貸付がある。七月には二百九十八万五千円、八月には五百八十四万六千円、九月にはまたふえて六百二十三万五千円になつておるはずである。この報告があなたのところにないというはずはない。これは重大であり、もしこれを知らぬと言われるならば、われわれはこれを問題にしなければならない。また実際の資料も出したい。これは年四分の利子であつて、しかも利子を取つておらぬ。この費途は全然不明であり、仮拂いの形式で出ておる。これはおそらく大蔵省の事務官、商工省の事務官が調べて、この報告が出ておるはずである。その報告に必ずこの経理は不当であるとあるはずである。このことについてはつきり御返答願いたい。
#21
○稻垣國務大臣 少しお聞き違いではないかと思います。私が申し上げたのは、商工省に関する限りは、麻生鉱業に関する監査はありますが、先ほど聽濤氏は麻生本家云々というお話でありましたので、麻生本家のことは存じ上げないということを申したのであります。
#22
○聽濤委員 商工大臣はぬけぬけとそうことをおつしやいますが、私が聞いたのは何も麻生本家のことだけを言つておるのではない。復金の融資を多額に受けておる会社が、麻生本家を初めとしてその他対外的に貸付を行つておる。方々で復金融資の不正に疑いを持つて来ておるのに、こういう事実について商工省の大臣ともあろう者が、そういうことは知らぬ、存ぜぬとおつしやつておるのであります。これは單に麻生一家だけでなくて、商工省、大蔵省においては、復金の大口融資に対する監査をやつたはずである。それは知らぬなどということで済まされようと考えておられるが、これは重大な問題です。私が聞いたのは本家の関係だけではないのです。こういうふうな重大な疑点の持たれる問題が起つておることを、あなたは御存じないのですか。
#23
○山地政府委員 復金の大口融資についての監査は行つたわけでありますが、その中で、御質問の麻生鉱業の問題につきましては、現在まで復金資金の不正と申しますか、そういう問題はないものと考えております。商工省の行いました監査については、そういう報告を聞いておらぬのであります。
#24
○聽濤委員 それならばここであらためて要求いたします。商工省、大蔵省でお調べになつた麻生鉱業に対する監査報告書並びに復金の大口融資先に対する監査報告書、これができているはずでありますから、ぜひあわせて出していただきたい。
#25
○土橋委員 ただいま私が質問を申し上げて関連事項がでたのでありますが、私は九州における麻生鉱業のみならず、全國のあらゆる大手筋の炭鉱業者、あるいは鉱山の企業家諸君が國家から多額の税金によるところのもの、あるいは膏血によるところの融資、あるいはそういう便宜を受けながら、今日のような状態に至つておるということについて、商工省におかれましても徹底的に検討をいたされまして、どこに根本的な原因があるかという点をつかれなければ、これを解明し、これを究明し、これを是正しないことには、ただいまの鉱山保安法安が規定しておる、この宣言的な規定の第一條の精神にも沿わないと私は思う。ただ法文がつくられても、國家から保護をうけておるそういう重大な融資、そういう税金によつてまかなわれるものが、不当に支出をし、あるいは不当に運用され、特に設備等の問題についてこれが徹底的に行われないという事象をお見のがして、そうしてかりに第十三條第二項等の規定を見るならば、この内容においても、結局悪く言うならば、どろぼうがどろぼうをつかまえておるような状況であります。そういうようなことではなしに、やはり鉱山監督局なりその他商工大臣におかれまして徹底的に究明することによつて、この内容が各條においても改むべきものはたくさんありますが、これを事実に即したような法文をおつくりにならないと、ただ頭の上でお考えになつたような條文で、しかも今申し上げたようにどろぼうがどろぼうをつかまえるようなそういう法案であるならば、これはない方がむしろましであつて、今まで工場に関する監督規定が十分あつたと思う。そういう規定を活用すればよろしいのであつて、この法案を示したことによつて中身の実現がなければ何にもならないのであります。そういう処置について商工大臣はという抱負と考え方を持つているかという点を私はお聞きしておるのであります。従つて問題の中心点は、この法案自体にもありましようが、この法案の基礎をなす國家の御関係において、業者がこれをまじめに実際労働者の災害保全と鉱物の合理的な開発のために、いかように運用しておるかという事実について統計なり、資料なり、そういうものがあるならばお示しを願うし、そういう点について大臣の所信を十分聞いて私は一応終りたいと思うのでありますが、大臣の明確な御答弁を願いたいと思うのであります。
#26
○稻垣國務大臣 先ほどから私たびたび申し上げておると思うのでありますが、重ねての御質問でありますからお答えいたします。要するにわれわれといたしましては、この鉱山保安法案に関連して申し上げますならば、労働者の保安ということと、鉱源開発という問題が並行的に実施され、しかもそれが鉱山保安に役立つようにわれわれとしては十分な監督を今後とも行つて行きたい。これは先ほどから私はたびたびお答えしたのでありますが、さように考えております。
#27
○川上委員 これは報告書を聽濤君が要求しておりますから、その報告書はぜひ出してもらいたいと思うのでありますが、どうも知らない、そういうことはないというようなお答えがある。石炭廰管理局長もさつきそう言われた。そこで私は申しておきますが、こういう報告があるかないか。麻生炭鉱については麻生家の会計を会社の費用で取扱つておる。右は仮拂金で処理されておるか、昭和二十三年上半期現在で麻生家は六百二十三万五千円余の貸最高となり、爾後漸増の形にある。年四分の利息を付することになつておるが、実際は取つていない。支出の回収はかなり頻繁に行われておる。一回当りの大口のものは税金であるが、他の多くについてはその使途が不明である。社外貸付六百十五万余円、株式購入資金に対する貸付が四千三百三十万円、これは昭和二十三年九月末現在でこれが存する。社外貸付のうち一件当り十万円以上のものがたくさんある。この経理がきわめて不当である。」こういう報告が出ておらぬか。またこれは知らぬという御答弁でありますが、こういう報告をお知りにならないのでありますか。あるいはこれはわれわれが考え違えておるのでありますか。この点をはつきりしてもらうことと、いま一つは、この詳細なる監査報告書が出ておるはずでありますから、その監査報告書を至急にわれわれの手元に提出してもらいたい。この二点であります。
#28
○山地政府委員 監査報告書は提出いたします。それから御質問の点でありますが、私の方で調べましたのは、復金融資についての使途を調べたわけでありまして、御質問の麻生家云々の点につきましては私の方の関知し得ないところであると考えておる次第であります。
#29
○川上委員 商工事務官に眞鍋勝郎、松尾邦重、熊本昇、鳥取善衝という方がおられますか、おられませんか。
#30
○山地政府委員 さような人名のものにつきましては、商工省のものでありますかどうか、今もちよつと私に思い当らないのでありまして、調べた上で御返事いたしたいと思います。
#31
○川上委員 そうすれば商工省としては、聽濤君が質問しましたような事実は全然ないと認める、こう解釈してよろしゆうございますか。
#32
○山地政府委員 復金融資の調査に関する限りにおいてはさような事実はないと考えておる次第であります。
#33
○川上委員 復金融資の調査をお尋ねしておるのではありません。麻生炭鉱における経理の問題を商工省もともに調査しておるはずです。なにも復金融資だけを問題にしておるわけではない。こういうようなことをやつておつて、こういうことがもとになるからこそ保安設備もできない。これを聽濤君、土橋君の質問に関連して私は問うておるのである。これはたくさん事実がある。これをわれわれ知つておる。ただ問題をはつきりさせるために麻生炭鉱を取上げたにすぎない。そのほかの炭鉱については質問しておらない。麻生炭鉱についてはつきり答弁を願いたい。商工省の方はさような事実はない、さような報告は来ておらない、こういうことになるのでありますか、この点をはつきりしてもらいたい。
#34
○山地政府委員 復金融資の点につきまして麻生炭鉱の経理を監査したのでありまして、麻生個人の会計については調査する権限がなかつた次第であります。従いまして私どもが周知しておりますものは、復金融資に関連して、麻生炭鉱の経理を監査したその報告だけを聞いておるのであります。
#35
○川上委員 そうすると、自昭和二十三年十一月二十九日至昭和二十三年十二月九日麻生炭鉱株式会社資金監査報告書、昭和二十四年一月十四日付のもの、これはあるとわれわれは信じておるのですが、これがあればあなたの方でお知りにならぬはずはない。これはごらんになつたこともなければ、御存じないのですか。私の方の資料はあなたの方からもらつた資料ではありませんから、これははつきり聞いておきたい。
#36
○山地政府委員 何月何日付とおつしやいますが、私の方にはさような数字のものについて記憶がないのでありますが、御質問がありましたので、追つて取調べた上でお答えいたしたいと思います。
#37
○土橋委員 ただ今の御答弁、私はちよつと奇怪と思いますが、あなたの方で、あらゆる機関を通じて、復金融資をこの麻生鉱業が受けた、その内容についてもし不正があれば、これはそこの点について調べなければならない。ところがその受けてから後またいかようにその金を使つておるかという内容についても、ただ漫然と復金の融資を受けるべきものでない。それが運轉資金の方において、建設資金の方においてどういうふうに使われなければならぬという要請に基いて、これは復金融資を行う機関が認定し、決定をして融資しておるのであります。従つてその金が運轉資金にどういうふうに使われておるか、建設資金にどういうふうに使われておるか。特に建設資金等において、労働者の災害に関する問題は非常に重大である。同時にこれは、鉱物資源の合理的開発のために運用されることが正しいのであります。そういう点について、あなたの方で商工の省鉱山監督行政としておやりにならなければならぬ点が多々あろうと思うのであります。そういう点についてあなたが御存じないのか。その金の使い方を見て、また設備がどの程度復旧しておるか、労働者の災害がどうなつておるかという点を、この法案が中心となつていろいろ審議をする前に、きわめなかつたならば、この法案だけ審議しても、問題にならないのではないかということを主張しておるのであります。あなたのただいまの、答弁を聞くと、そういう点はわからないような御答弁でありますが、そういう点は全國の各鉱山にあろうと思います。麻生鉱業の場合に、その運轉資金なり建設資金なりが、どういうふうに使われて、どういう現状にあつて、今どの程度進行しておるかということを、あなたが明確に御答弁にならないと、今の麻生一家の問題についても、あなたの方で適切なものをつかまえることはできない。従つてこの点をあなたの方で明確に御説明くださらないと問題にならないのです。ただ抽象的に受けるまではかりに問題がなくて、受けてから後、また彼らが決定した方法に金を使わないで災害が生じておるというならば、重大な問題であるから、われわれはお聞きしておる次第であります。その点についてどういうふうになつておるか。もつと責任ある答弁を願いたいと思うのであります。
#38
○山地政府委員 もちろん御質問のごとく復金融資の使途を監査いたします際には、こういう炭鉱がこういうふうな設備をする。それに対してこれこれの金額を融資する、こういうことになつておりますので、その計画通りに実施されておるのであります。その工事の進歩状況がどうであるかということを監査いたしておるのであります。それでさような点について監査いたしたという点をお話申し上げたのでありまして、いずれ報告書でもごらん願いたいと存じすが、ただ今御質問になりましたのは、何か麻生の何とかかんとか、銀行との関係がどうとか、こうとかいうお話でありましたが、個人のことにつきまして、個人の財産の経理問題につきまして、私の方で監査をする権限もございませんので、そういうものは報告に載つておらぬ、かように申し上げた次第でありまして、また何月何日の報告をごらんになつて御質問になつたのかわかりませんが、私の方にはたくさん報告が来ておりますので、よく覚えておりませんから、いろいろ調査してお答え申し上げたいと申した次第であります。
#39
○川上委員 これは重大です。麻生家の会計を調べてくれということを言つているのじやない。麻生家に対して麻生鉱業株式会社が麻生家と一緒になつてむちやくちやな経理をしているじやないか。これは麻生家のことであるからおれは知らぬというような言い方をなされば、これは実に重大な問題である。また復金融資の内容を聞いておるのじやない。麻生鉱業株式会社の監査をなさつておるじやないか、この結果はきわめて重大なものが来ているじやないか。これを言つておるのは、なにも麻生家の会計を調べてくれと言つておるのじやない。これははなはだどうも答弁がなつておらぬ。これははつきりしなければいけない。これをはつきりしなければいけないことが一つ。
 第二には、この報告書を出すと言われますが、そういうような御答弁を商工当局がなさるのでは、いつ出して来るかわからぬ。だからこの報告書が出てわれわれが調べるまでこの法案の審議を中止してもらいたい、これが一つの要求である。それから今の管理局長の答弁は、はなはだ問題のポイントをはずれておる。これははつきりしてもらいたい。これは重要な問題です。
#40
○山地政府委員 報告書につきましては、現在でき上つておりますので、即刻提出いたしたいと考えておる次第であります。それから炭鉱の経理については、今申しましたように復金融資の使途をあくまで追究いたしまして、これがどう使われておるかということを監査して調べたのであります。私が申し上げましたのは、そういつた意味合いであくまで炭鉱経営について調べておる。こういうことでありまして、復金の金がもしもその所定のところに使われずに、どこか別のところに使われておるということであれば、これはあくまで調べまして、その不正のところを突きとめねばならぬわけであります。現在私どものところにはそういつた事態の報告がない、かように申し上げておる次第であります。
     (川上委員「回答はなつておらぬ」と呼ぶ)
#41
○神田委員長代理 論議になりますから――次は青野武一君。
     (発言する者多し)
#42
○神田委員長代理 報告書を出すというのだから、出してからやられたらどうですか。
     (川上委員「質問の要旨と全然違う。だからどうしても発言せざるを得ない」と呼びその他発言する者多し)
#43
○神田委員長代理 私語を禁じます。――許可いたしません。
     (川上委員「許可しないということは言わないという理事会の約束だ」と呼ぶ)
#44
○神田委員長代理 許可いたしません。私語を禁じます。
#45
○聽濤委員 さつき川上委員が言つたように、事非常に重大でありますから、麻生鉱業に対する監査報告並びに復金の大口融資に対する監査報告書、これを出すことを要求して、出すと言つておりますから、これを出すまでこの審議を打切つてもらいたいという動議を提出いたします。
#46
○神田委員長代理 それは連合審査を打切るという意味ですか。
#47
○聽濤委員 鉱山保安法の審議そのものを打切つてもらいたい。この動議を提出いたします。
#48
○神田委員長代理 今質問中ですから、その動議は――青野君、質問ありませんか。青野武一君。
    〔聽濤委員「これは重大です」と呼ぶ〕
#49
○神田委員長代理 今のは重大ではないと言いませんが、そういう派生的なものにひつかかつて本法案の審議をしないというのは、おかしいと思う。
#50
○聽濤委員 委員長と論議しておるのじやない。報告書が出るまで、この問題の審議を打切つてくれという動議を出しておるのだから、みんなに諮つてくれればいいのです。
#51
○土橋委員 ただいま聽濤委員からお話がありましたように、こういう問題は九州の麻生鉱業のみならず、全國的に多かれ少なかれ大小の差こそあれ私はあろうと思う。國家はただ漫然と融資をしたり、あるいは赤字補填をやつたり、間接的な價格調整費をやつておるのではない。必ずそういう鉱山保安あるいは鉱物の合理的な開発のためにこの金を使つておるにもかかわらず、今日私が例をあげましたように、昭和二十三年度においては、鉱山労働者の災害が十四万も出ておるのであります。そうして昭和二十四年度にはそれよりまだ多い四千二百万トンが強要されておる。こういう事態においては、こういうような金の使い方、あるいは今日以後においてもそういうような方法で行われるならば、この災害は不可避であるということを申し上げておる。ところが大臣はそうじやない、こういうような御説明ならば、いよいよもつてこういう内容について皆さんの方で明確にしていただかないと、将来いつまでたつてもこの問題はふえる一方で、災害はふえる、労働時間は長くなつて来る、あるいは炭鉱の労働者がストライキをやる。こういうような事態においては、四千二百万トンはおろか、非常に困難な支障が生ずることは明らかである。これは單に一党あるいは一派の考え方を言つておるのじやなくて、國家の鉱山行政監督をいかにするかということと、融資の関係における鉱物資源の合理的な開発、災害を除去するために、どういうように行わなければならぬかという基本的な問題の基盤を、今われわれは質問しておるのであります。従つてこの問題について委員長におかれましても、ぜひこの緊急動議を取上げられまして、皆さんの方でそれをまず商工当局から十分根本的にお聞きをして、なるほどそうか、それならば話はわかつたという上に立つて、初めてこの法案が審議せられるのが至当であります。それをただ答弁もできない、また内容についても御説明できないという事態でこの法案だけが通過しても、今日まで國家がそれだけの融資なり補填を行つておつても、なお災害が激増しておるという事実を私は考えておりますので、そういう点を委員長の方におかれても十分お考えになつて、この動議を取上げられて、そうした今日の連合審査会における模様についても、きちつとした結論を出すようにしていただきたい、かように考えたおるのであります。
#52
○神田委員長代理 どうですか。まだ質問したいという発言通告者がたくさんあるのでありまして、本案の審議は、関連した派生的な方にも入つたようでありますが、國会も余すところ少く、また他法案もあるわけでありますから、質問を十分盡したあとで、なお今の土橋君あるいは聽濤君のようなことが起り得たならば、そのときはそのときということにされまして、この際は質問通告が相当あるのでありますから、質問を継続した方が私はよろしいのじやないか、こう考えておりますので、質問通告者の諸君……。
#53
○聽濤委員 動議を提出しておるのだから、その動議を取扱つてもらいたい。
#54
○神田委員長代理 それでは暫時休憩して懇談いたしたいと思います。
     暫時休憩いたします。
    午前十一時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時五十八分開議
#55
○神田委員長代理 休憩前に引続きまして会議を開きます。先ほど聽濤君、川上君等より御要求になりました復金融資等の使途、ことに麻生鉱業等に対する点につきましては、商工省といてしまして後刻さつそく関係資料を委員会に提出するという確言がございましたので、この確言に基きまして本問題はその資料が参りましたなら、これに関連する質疑を続行する。そこでこれからは発言通告者がございますので、その通告の順に従いまして、逐次発言を許して参りたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○神田委員長代理 それでは質疑に移ります。青野武一君。
#57
○青野委員 私は商工委員会で低品位炭鉱の問題がかなり論議せられたということを聞いております。労働委員といたしましては数回この問題について商工大臣の出席を求めたのでありますが、いかにも商工大臣の出席が悪く、いろいろな事情がありましたでしようが、遂に労働委員会に対してはおいでがなかつた。商工委員会としてはこの問題はあるいは重復するかもしれませんが、労働委員としてぜひ承つておきたいと思います。それは鉱山保安法の第一條の目的の中の「鉱物資源の合法的開発を図ることを目的とする。」と書いてありますが、この低品位炭鉱は私どもの持つておりまする資料では第二百七十ほどあるのであります。そのうち四千カロリ以下の炭鉱に対しまして全面的に補給金が打切られますと、勢い東部、西部の、あるいは常磐であるとか山口の宇部炭であるとか、中小炭鉱以下の四千カロリー以下の低品位炭を出しております会社は、経営者も労働者もおそらく全面的につぶれていく運命に今日はあるのであります。百四十二円平均の補給金をもらつておりましたものを、一躍六十二円を削つて八十円の補給金に減額して、その分をA、B炭鉱の方にまわして、Cの炭鉱にはこれをまわさないということでありますならば、勢い失業問題が起り、あるいは経営者も労働者も事実やつて行けなくなるのでありますが、この鉱山保安法の目的から行きましても、鉱物資源を合理的に開発するという建前でありますならば、昨年の三千六百万トン、今年度の四千二百万トンの中の二十一・九%に相当するこの低品位炭は、無視されない数字になつておるのであります。でありますからこの問題について公團が買上げを中止する、統制を摘発する、單價の引き下げをやるということになると、失業者の問題が非常に紛糾して来る、これらの点についてこの鉱山保安法の第一條の目的から行きますならば、どういうような具体的な対策をもつてこの低品位炭鉱に対して商工省は臨んでおられるか、この問題はまず第一点としてお伺いしたいのであります。
#58
○稻垣國務大臣 低品位炭の問題につきましてただいまの御質疑でありますが、昨年度におきましては三百幾万トンでありまして、大体一〇%見当でありましたが、今年度は四千二百万トンになりますと、その率はなお減るだろうと存じております。それから大体御説のように二百五十九炭鉱ばかりが今までの調査によりますと、四千カロリー出しておるのでありますが、しかしながらだんだん選鉱設備その他が進行いたしておりますので、この数字も減つて行くことだろうと存じております。ただ二百五十九炭鉱全部が全部一〇%出してはおりませんので、その中の少しでもひつかかつておるものを集めたものが二百五十九炭鉱であります。全体から言いますと、本年度は八%以下に数字としてはなることと存じておるのであります。これも選鉱設備その他のことによつて、できるだけその数量は減らしたいと思うのであります。それから低品位炭鉱の問題につきましては、そういつた方面をも考え、実はこの配炭公團の取扱いを中止したいということは、ある意味におきまして、むろん價格の面あるいはその他のものもありますけれども、たとえば宇部炭のごときは、その地域にそういつた低品位炭を利用し得る工業がありますので、そういう関係でこれがはずされて、いわゆる運賃の面においての操作が非常に楽になる。言いかえれば運賃の面だけプラスになつて行く、こういう問題もあると思うのであります。またこの價格の決定をいたしますときに、いわゆる消費地渡しの價格をもつてその現場の價格にする、現地の價格にする、こういうことになりますとそれだけ操作が楽になる、こういう面があると思うのであります。その他できるだけこの低品位炭というよりも、低品位炭をやつておりますところの中小炭鉱についての保護の方法についての保護の方法について、いろいろ考えなければならぬと思つて、その点について終始考慮をいたしております。ただ公團をはずすということで利益の面は、先ほども申し上げましたように、運賃の点であるとか、あるいは現場にすぐ自由に――いわゆる割当制度は別でありますが、かりに割当制度をはずせば現地にこれを利用できる、こういう利点がありますので、不利な点は要するに融資の問題であります。公團を利用して従来何箇月かの融資になつておるわけでありますが、そういう点で融資の点についても考えることが必要であろう、こう思いまして、その点についてもわれわれの方で考慮いたしておるような次第であります。
#59
○青野委員 重ねてもう一つ御答弁によりましてお尋ねいたします。大体この方針は五大炭鉱を中心に、営利炭鉱中心の方針で行こうとしておることが、明らかに観取せられるのでありますが、C炭鉱でも九州、北海道はいまだに四千二百カロリー、あるいは常磐で三千二百カロリー、宇部で三千三百カロリーという方針をとつておりましたが、この四千カロリー以下に一律に切り下げて、C炭鉱の低品位炭鉱は結局一トン当り百四十二円の補給金を八十円に減額いたしまして、C炭鉱に補給金を一銭もやらずに、AとBの炭鉱にこれをまわすということが、すでに不公平な行き方ではないか、このC炭鉱いわゆる低品位炭鉱に対して、資金の面でどういう具体的な保護を與え、融資をして行くか、そうしないと勢い企業の合理化によつて失業者がたくさん出て来る。あるいは炭鉱自身の経営がやつて行けなくなる、ひいては結果として四千二百万トンの石炭には大きな穴が明く、こういうことに私どもはなると思いますので、これを労働委員会といたしましても、商工大臣に直接御出席を求めて、その所信を承る予定にしておりましたので、この点が一番大きい問題でありまして、商工大臣としての具体的な資金の面についての御答弁をもう一ぺん承つておきたいと思います。
#60
○稻垣國務大臣 ただいま資金が幾ら幾らどうというような問題については、まだはつきりお答えする時期に到達しておりませんことを遺憾に思いますが、資金の面においても十分考慮をするのみならず、先ほど申し上げましたように、たとえば公團の取扱いをはずすというようなことによつて、その地域的用途を促進するというような面も大いにあずかつて力があろうと思うのであります。
#61
○青野委員 その問題については、また労働委員会に御出席を求めて、こまかい点は御質問したいと思いますが、商工委員会との合同審査でありますので、あとの質問者のこともありますので、この点はこの程度で一応打切りまして、重ねて御質問いたしたいと思いますことは、今炭労が要求いたしておりまする賃金の問題であります。これは坑内夫が五百五十七円、坑外夫が三百円という標準で交渉しておりました。御承知のようにこれは新聞の報道でありますが、五月三日に北海道の十万六千、九州地区の炭鉱は去る四日の朝の一番から一斉に波状ストに入つて二十四時間ストに入つたのであります。所属組合約四百、組合員の数が二十七万人、この二十七万人の二十四時間ストをやることによつて、石炭の出炭量は一日約六万トンであります。なお團体交渉に決裂した全九州三菱鉱山連合会は四日の朝から無期限ストに入て、商工大臣の直轄のこの炭鉱問題につきまして、もう一層はつきりしたところをお伺いしておきたいと思います。
#62
○稻垣國務大臣 今青野委員の御意見でありますが、私もごもつともだと存じます。石炭の問題が商工行政として非常に重大な問題であることももとよりであります。またこういう問題ができるだけ早く解決されることを希望することももとよりであります。従つてわれわれとして中労委のあつせんが成功しなかつた場合に、いつまでも手をこまねいておるという意味合いで私は申し上げたのではありません。必要な場合には、商工省社としてその間に立つということも、またあり得るかと存ずるのであります。けれども今できるだけこういつた問題は、企業者と労働者と両者の間に円満な話合いができることが最も望ましいことでありまして、これに対して今中労委があつせんをいたしておるのであります。しばらく中央委のあつせんを見ていたい、私はかような考え方を持つているのであります。
#63
○青野委員 商工委員会と労働委員会の合同審査でありますので、あとの発言者の関係もございますから、私の質問はこれで一応打切りますが、労働委員会においてこの問題の発展次第によりまして、重ねて商工大臣に対して御質問したいという考え方を持つておりますので、この点は十分お含みを願つておきまして、私の質問を一応これで終りたいと思います。
#64
○神田委員長代理 今澄勇君。
#65
○今澄委員 この鉱山保安の法律案の審議について、先般商工大臣に私から御質問を申し上げて答弁を受けたのでありますが、そのことについて二点。それからいま一つはちようど労働大臣も見えておられますから、労働大臣と商工大臣との御両者に一点。三点だけ関連質問をさせていただきたいと思います。
 第一は、この前商工大臣は本法案の裏づけとなる資金については、まだきまつておらないというお話でございました。私はこの際はつきりとお聞きしたいことは、予算のはつきりしない法律案をつくりましても、それはナンセンスだということであります。中小企業廰にしても、その他あらゆるものが、いろいろ法律案は提案しましたけれども、有名無実で、ほとんど大衆の人気取りに堕した。それを裏づける資金並びに資材がはつきりしておらない本法案が通過したあかつきにおいて、一体どの程度の予算をこれに充てようとしておるのか、もしきまつておるならばその大体の金額、またきまつておらなければ大体どういう腹案を持つておられるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#66
○稻垣國務大臣 この問題は、この前の今澄さんの御質問にもお答え申し上げたと思いますが、もちろんこの法案を実施する上においては、坑内の設備に対しての予算がいります。しかしながら同時に保安だけを切り離して行く問題ではありませんので、坑内全体の施設その他と関連を持つことは、今澄さん御承知の通りであります。それに関連した全般的のいわゆる設備資金というわくをどの程度にとるかということが問題であるのであります。そのわくについては、目下例の見返り資金の中において、どの程度のわくをこれに充てるかということについては、なお関係筋との間のいろいろな関連もありますので、目下検討中であるというお答えをこの前に申し上げたと思いますが、今日もその状態であることを御了承願いたいのであります。それだからといつて、この法案を出しても意味をなさぬじやないかという御意見には私は同意いたしかねるのでありまして、この保安法案の中には、こういうものができるために、なおさらそういた問題に対しての逆の裏づけにもなると思うのであります。同時にまたこの中には保安委員会その他の問題もあるのでありますから、私は裏づけという意味から言えば、逆の裏づけでございますけれども、このことが最も必要であると考えるのであります。
#67
○今澄委員 おそらくこの法律案を起草された事務当局の方々も今少しくこれに対する予算の見通しと、それらに対するわくも商工大臣がはつきりさせてから、この國会へ提案されたならば、もつとぐあいがよかつたであろうと思つておると私は存ずるのであります。
 もう一つ。それではこの鉱山保安に対する事務を商工省でやるか、あるいは労働省において眞に鉱山労働者のためにやるか、というような問題がいろいろもつれておつたことは御承知の通りであります。どういう理由のもとに、商工省の専管でやられることになつたかということを、商工大臣から。しかして商工省が専管してやつても、労働大臣としてはそれで十分であるとお思いになるのか。その点の御見解を両大臣からあわせて承りたいと思います。
#68
○稻垣國務大臣 これは第一條に規定しておりますように、一面において労働者の厚生という面がありますと同時に、鉱山資源の保護の問題、この両面を持つておることは御承知の通りであります。第一段の面は労働者に関係が深いことはもちろんのことであります。第二段の面は、これは商工省の所管の問題になつて来るのであります。同じ鉱山におきまして一体両方から入つて来るこういう煩わしさは、これこそ実際の生産の実を上げる意味におきましても、またほんとうに保安の意味から申しましても、いろいろ不便な点があるのではないか。ことに鉱山労働者の保安に関してましても、鉱山保安の諸施設に対する資材その他の問題が、先ほど申し上げました設備の全体の問題に関連を持つという関係から、この点は一元的にこれをやるという場合には、しばらく商工省においてこれをやつて行きたい、こういうことで商工省の所管としてこの法案を提出したようなわけであります。これについては労働省との間にいろいろ御協議を重ねた結果、労働省としてもこれを了承されて、この法案が出たわけであります。
#69
○鈴木國務大臣 この鉱山保安の権限が、商工省の方に決定したという推移につきましては、大体商工大臣からただいまお答え申し上げた通りであります。もつと率直に申しますと、労働省なりあるいは労働組合側に、これは労働省の方がやるべきだという相当の御意見もあつたことは、もう皆さん御承知の通りでありますけれども、昨年の前内閣のときに、閣議の決定としてこの問題を政府全体の意向として、この方面に決定したという推移を通つて参つたのであります。すでに決定した政府の意向であり、一つの方式である以上、主管省の商工省を中心に全力をあげて、要は保安の問題を通じて労働省諸君を守るという点にあるのでありまして、法律の中にもありますように、労働大臣も、労働基準局長も、それぞれ監督の権利を保有しておりますから、それをも通じ、そうして従来の経験をも採用いたしまして、商工省と一体となつて、極力鉱山における労働者の保安の面を通じて、労働者の立場の保護という問題に努力いたすつもりであります。この方式をもつて誠意を盡してやつて行きますならば、御指摘のように、今後鉱山における保安問題を通じて、少なくとも消極的にはさらにあらゆる方式と政策を盛り込んで、この方面を充実さして行くということは、決して不可能ではないと思つております。そういう線に向つて極力努力いたすつもりであります。
#70
○今澄委員 この鉱山保安法ができても、労働大臣が鉱山労働者に対し、負うところの責任は何ら軽んぜられるものではない。ますますひとつ責任の重要なことを痛感してもらいたいと思うとともに、私はもう一つ先ほど商工大臣にお聞きしたのですが、商工大臣に鉱山監督官に三級官を置いておるのはどうかということをお尋ねしたところが、商工大臣から三級官は置かない。そのためにリコールというような制度は必要ではないだろうという御答弁がございました。そこで私はされに調べてみたところ、本法案の別表の一に、中央においては九名の三級官、地方においては実に九十二名の三級官が鉱務監督官として出ておる。これらの人々がどういうわけでそうなつておるかという原因が、もしさつき私が第一番に質問した、予算がとれない。いわゆる法案はできたけれども金が足らないというようなことから、そういうように三級官を配されて、それらの三級官が強力なる権限を持つことになると、これは労働省全般の立場から、予算が足らないために、監督官のような重大なるポストに三級官が多数割当るということになると、これはゆゆしき大事である。私は労働者の生活を守り、保安を守る意味合いからして、どうしてもこの際二級官をもつて全部これに充てるか、それができなければ、せめてリコールの制度を設けて、適当ならざるそれらの監督官を罷免できるように、リコール制度をこの鉱山保安法につけるということが良心的であると考えるが、これに対してひとつ商工大臣のお考えを承りたいと思います。
#71
○山本(高)政府委員 お答えいたします。ただいまの鉱務監督官の二級官、三級官の問題でありますが、人事院とも申合せと申しますか、了解を求めたところによりますと、今後この鉱務監督官の任用資格といたしましては、年齢が三十歳以上、それから四年の経験者、もちろんその前に試験があつて資格を持つておらなければならぬと思いますが、そういうような三十歳以上、四年の経験という者を任用する方針にいたしておりまして、実質上は決して実際の能力の欠ける者を任用することのないように十分注意するつもりでありあります。
#72
○今澄委員 もし実質上において非常に不適当であると認める場合があれば、リコールをおとりにならずに、どういう処置をおとりになるか。
#73
○稻垣國務大臣 これはむろん商工大臣の監督下にあるのでありますから、商工大臣がこれを罷免するといつたような形になると思うのであります。その点はこの前もお答えした通りであります。
#74
○神田委員長代理 岡田春夫君。
#75
○岡田(春)委員 大分いろいろな問題が出て参りましたが、鉱山保安法の問題から伺つて参りたいと思います。今労働大臣が鉱山保安法の所管の問題についてのいきさつについてお話があつたのですが、労働大臣のお話を考えましても、あるいはまた私たちがその当時の経過を考えてみましても、当時労働省が鉱山保安法を提案されて、原案をつくられておられるころにおいては、労働省所管の鉱山保安法の考え方は、労働者の生命を守るという考え方から、あくまでも鉱山保安法というものをつくつて行こうという考え方で、案をつくられたと思います。この精神がやはり今度の法案の中においても、労働基準法の適用を除外するという関係で、具体的に現れておるのであります。そういう点から考えました場合において、この商工省の所管で提出されました鉱山保安法が、労働省の所管の当時において考えておつたアイデアと完全に一致したものであるかどうか、あくまでも労働者の命を守る、労働基準法にかわつて鉱山保安法を実施することによつて、鉱山の労働者の命を守れるものであると確信されているかどうか、という点をまず労働大臣にお伺いいたしたいと思います。
 それからも一つは、さつきの労働大臣のお話では、前内閣の当時において、労働省の所管にすべきものを商工省の所管に移したのであるから、これはその当時の閣議において全体として方針をきめたものであるから、その線に沿つてやつておるのだ、かようなお話がありましたが、そういうことになりますと、労働大臣は前内閣の方針をあくまでも盲目的に踏襲されて、労働省の所管としていいという意見も自分ではあるけれども、ともかく前内閣の方針をそのまま踏襲をしてやつておるのだ、こういうふうな意見でありあますかどうか、この二つだけをまずお伺いしたいと思います。
#76
○鈴木國務大臣 先ほど申しましたのは、そういう見解が組合側にもあり、また一方に商工省が資材その他の関係で所管すべきものである。これも強い意見があつたのでありまして、私の先ほど申しましたのは、労働省が絶対にしなければいけないという意味ではないのでありまして、そういう意見は双方にありました。それも御承知のように、前内閣、その前の内閣あたりからもこの問題は解決されないままでもつて推移して来ている。いつまで放置してもいけないというので、閣議で―私当時閣僚ではありませんでしたから、あるいは閣議の模様については見当違いがあるかもしれませんが、政府全体の意向として決定した、一旦決定した以上は労働省側にも、商工省側にも、いろいろ考え方はあつたでありましようが、一つの政策が決定したのであるからして、必ずしも商工省に移せば、この行政ができないというわけのものではないのでありますからして、その決定した方向において立案され、そうして政策を進めて行くという考え方に賛成と申し上げたのであります。それから当時労働省でつくつた法案、これはどれを指しておつしやられたか存じませんが、一つの何といいますか、考え方を書いてみるという程度のものはあつたかと思いますけれども、これも私自身直接関係しませんでしたから、記憶ははつきりいたしませんが、法案というふうなものにまでは行つていなかつたのじやないかと思います。考え方というものはあつたかもしれませんが、いずれにいたしましても、御質問にありましたように、この保安法で行くというと、労働者の諸君の保安、安全という問題が達せられない。労働省の立場、考え方から著しく背馳してしまつて、達せられないというふうなものだとは考えておりません。運用によつて十分成果を上げ得ると思います。
#77
○岡田(春)委員 今のお話で労働大臣はあまり確かでないような御答弁、不明確な答弁でしたが、労働省が考えておつた鉱山保安法は、あくまでも労働者の命を守るという意味においてのアイデアで、そういう法案をつくろうというお考えであつただろうと思います。これはもちろん異議はないところだと思います。ところがさつきの商工大臣の提案説明、あるいは先ほど今澄君に対する御答弁の要旨等を聞いておりましても、労働者の命を守るという点はむしろ第二義的な問題であつて、生産のために鉱山保安法を設けて行くのだ、生産を増加するためにはまた労働者の命を守らなければならない。こういうふうな観点からのお話であつて、あくまでも商工大臣の場合においては、生産というものを第一に置かれて、そうして鉱山保安法をつくられておるというアイデアが、先ほどの商工大臣のお話で明らかになつた。そうなつて参りますと、今労働大臣のお話である鉱山保安法のアイデアと見解において、相当大きな相違があるということが、はつきりいたして参つたと思うのでありますが、この点については労働大臣いかにお考えになりますか。
#78
○稻垣國務大臣 今私が例に出されましたから、労働大臣に対する御質問でありましたが、ちよつと私から先にお答えいたしたいと思います。どうも少しお考え違いをされておるのではないかと思うのでありますが、提案理由においても生産が主であつて、労働者の保護、保安、衛生、そういつたような問題が従であると私は全然御説明申し上げたとは考えておりません。そうして私自身そういうことを考えてもいないのであります。先ほど私が申し上げましたように、一方において労働者の保安という問題があり、一方において鉱源の保安という両方の問題がある。これを一つにまとめたという御説明は申し上げましたけれども、しかしながら鉱源の保護が主であつて、労働者の保安は従であるという御説明をいたした覚えはさらにないのでありまして、その点は誤解のないようにしてもらいたいと思います。
#79
○鈴木國務大臣 労働行政に当たる者の立場といたしましては、もちろん岡田委員の御指摘の通り、この法案は労働者の安全、生命を守るということが根本において立案されるものであり、またされておると思うのであります。商工大臣のお考えはどうか、説明はどうか伺つておりませんでしたけれども、つまりそうすることによつて生産はもちろん上つて来るのでありまして、労働生産性というものをきわめて重く見ておる。ただそれとあわせて経営者側の生産、こういうものも、労働者諸君の福利と立場と矛盾するという前提のもとに考える必要は決してないのでありまして、両者はよき意味において一致する、私たちはそういう考えのもとに立つておるのであります。御指摘の労働者の生命その他の保安という点につきましては、この法案のもつとも重要なもとして尊重されていおるわけであります。
#80
○岡田(春)委員 今の問題にしても、実はまだお二人の意見に食い違いがあります。ただいま商工大臣の音意見では、同じような重要性を持つておるというお話でございますが、労働大臣は労働者の保護に重点を置いて、当然そういうことになつて来ると生産の面、経営者の面の問題にも触れて行かなければならないことになるわけであります。こういうような点から、今おつしやられたことは、速記録をごらんになつてもはつきりしているように、両大臣の御意見にはいささか相違があると私は考えるのであります。これは稲垣商工大臣のお話の中で、まず第一に労働者の保護を考えているという意味でお考えになつておるというのであるならば労働者の命を守るための法律であつて、それに平行して炭鉱の保全を考えて行くのだというような意味でお話になるならば、これは労働大臣と大体意見が相違していないと思いますけれども、この点においての食い違いがあると思います。いかがなものでしようか。
#81
○稻垣國務大臣 たびたび岡田さんの御質問ですが、どういうような意味合いでお話になつているのか、私一つもわかりませんが、こちらを主とするとかそちらを従とするとかいうことは、私はちつとも申していないのであります。むろん労働者の保安なくしてはこの保安法は意味をなさないので、労働者の保安というものは最も重大であります。これを先決に考えなければなりませんが、それをするためには、同時に鉱源にも保護がなければ実際にでき得ない、そういうことでございます。従つてこれは両面どちらが欠けてもいけないので、両方いわゆる有無相通じなければならぬ、私はさように考えております。それで一つも私は労働大臣の言われるところと矛盾がないとかたく信じております。
#82
○岡田(春)委員 あまり長くやつておりましても、ほかに質疑があると思いますから、もつと追究したいのですが、やめますが、今の商工大臣のお話で、炭鉱保安に関する問題は、この法案の條文全体を見てみますと、まず鉱業権者が保安の責任を負つていることになております。特に第四條におきましても、施設の点について、保安上必要なる施設は、一切鉱業権者の責任においてやらなければならないことになつておるのでありますが、そういう場合において、緊急の保安上必要であるという場合に、当然保安管理者が必要な施設をさせる必要に迫られて来る場合があると思うのであります。こういう場合において、十七條においては、保安管理者が鉱業権者に対して必要な施設を指示するところの権限が全然与えられておらない。また保安法のどの條文を見ましても、そういう指示を与えるところの権限が、一つも与えられておらないのでありますが、そうなつて参りますと、一体どういう形で必要な施設をさせようとなさるのであるか、こういう点を商工大臣から伺いたいと思います。
#83
○曽根説明員 保安管理者と鉱業権者の責任問題でございますが、保安管理者はこの場合、鉱業権者の代行をするというふうに考えております。それで実際上選任する場合にも、全部代理し得るような人を管理者に選任してもらうということにして、実際的にも支障がないようにいたしたいと思います。
#84
○岡田(春)委員 商工大臣が司令部へ呼ばれているそうで、時間がありませんから簡単にやつてくれというお話なのでもう少しこれは今のところ追究をしなければならない点なのですけれども、簡単に省略いたして参ります。そうしますと、保安管理者は全然責任も権限もないわけでありますか。
#85
○曽根説明員 それは、鉱山の保安管理に関しては、実際責任を負うことになつております。
#86
○岡田(春)委員 法文に即してお話ください。これは罰則規定を見ましても、保安管理者が罰則を受けるようなことはないので、鉱業権者のみが罰則を受けることになつております。あくまでも保安上の責任は、鉱業権者が責任を負うという建前でこの法案をおつくりになつていると思うが、そうじやないのですか。
#87
○曽根説明員 建前は鉱業権者が総括的に全部責任を持つ。それから保安管理につきましては委任された事項については、保安管理者が責任をとるということになつております。
#88
○岡田(春)委員 鉱業権者が一切の責任を負つて、保安に関する面だけは保安管理者が責任を負うことになつているのですか、いかがですか。保安に関する面は責任を負うのですね。
#89
○曽根説明員 それは両方が、大体実際には責任を持つようになるのじやないかと思います。
#90
○岡田(春)委員 大体先ほどの保安に対する責任は、保安管理者が責任を負うというお話であつたと思うのですが、そうなつて参りますと、たとえば具体的な例を申し上げますと、ガスの爆発があつた、あるいはガスの爆発の危険性がある。こういうような場合に、緊急なる措置をしなければならない場合が当然できて参ります。そういう場合に、緊急なる施設上の措置をやるのは鉱業権者がやることになつておるわけであります。そうなつて参りますと、保安管理者がこういう施設をしなければならないという必要を感じた場合においても、鉱業権者に対して指示する権限が与えられておらない。この法案のどこを見ても与えられておらない。鉱業権者があくまでも施設をやる権限を持つておるのであつて、保安管理者は何らの権限も与えられておらない、そうなつて参りますと、いかに危険な状態でも保安管理のことは保安管理者が、責任だけは負いますけれども、実際そういう適当な施設をやる指示権が全然与えられておらないとすれば、これは何ら保安上のことを行い得ないことになる。炭鉱保安においては鉱山保安法というりつぱな名称の、全部労働者のけが人がないような保安のように見えておりますけれども、事業主がただ機構を一応むずかしくしただけで、ごまかしをやつているにすぎないと思うのでありますが、こういう点をはつきりしていただきたいと思うのであります。
#91
○曽根説明員 ただいまの問題となつておるような点で、従来の鉱業法並びに鉱業警察のところで不明確な点がございましたので、今度の法案のように改正をいたしたいと考えておるような次第でございます。この施設をするという責任は、あくまでやはり鉱業権者にあると思います。それから施設を保安の面から管理運営するという立場に、鉱業権者の代理者として保安管理者が立つ、そういう形になります。従つてもし具体的に罰則等の問題になりますれば、事実保安管理者が罰せられる場合にも、まら当然にその責任者として、鉱業権者も責任をわかつという建前になつておるわけであります。
#92
○岡田(春)委員 はつきりした御答弁でないのでありますが、次に進みます。保安委員という制度をつくつておられますが、この保安委員というものも、きわめて重要な制度であると思います。特にこの保安委員というのは、自分の実際命をかけて働いておる炭鉱労働者の中から選ばなければならないのは当然なのでありますが、炭鉱労働者の中から鉱業権者が自由に選べることになつております。しかも鉱業権者、事業主が保安委員を選ぶ場合において、建前として、半分は組合の労働者の賛成を得て選ぶことができるけれども、それだけならいいが、但書がつきまして、賛成が得られない場合においては、鉱業権者がかつてに保安委員を選べるということになつておるのであります。これでは結果において、結局鉱業権者が労働者の賛成を得なくても何でもいいから選べる、こういうような條文なのであります。こうなつて参りますと、従来通りの鉱業権者の権限において保安委員という形式をつくつて、保安委員に責任を転嫁するという形の法案になつておると思うのでありますが、こういう点はいかがでしようか。
#93
○曽根説明員 ただいまの点につきましてお答え申し上げますが、但書で特に規定いたしましたのは、特別にどうしてもその推薦が得られないという場合の、ごく例外的な場合にも保安委員会を形成し得るようにという意味で、但書はつけられてあるのでございまして、建前といたしましては、半数は実際に現場の保安の第一線に働いておる労働者側の人から、残りの半数は主として保安技術職員から鉱業権者に選任してもらう、そういうような形をとりたいと考えております。
#94
○岡田(春)委員 それでは大分皆さん急がれておるようでありますから、簡単にやつて参ります。どうも説明員の御説明では明確でない点が多々ありますし、あとで再び時間を置いてから追究をいたしたいと思います。もう一つ、これは重要な問題でありますが、先ほど配付されたGHQの天然資源局の参考資料を見ますと、たとえば中央、地方に置かれる保安協議会の性格は、大体五人委員会で、この保安協議会が指示決定の権限を持つておるのであります。ところがこつちの法案に現われて参ります限りでは、これは単なる諮問機関になつておる。ここに実は法案上の本質的な差異があるのです。形式上においては同じようであるが、労働者の意見が直接に決定されるような制度になつておらないという点においても、大きなすりかえが行われておる。それから先ほど今澄君から御質問のあつた鉱務監督官その他のリコール制の問題でありますが、GHQの案によりますと、リコールに近いような性格のものが実は設けられておるのであります。ところが商工省で提案されました法案によりますと、こういう職員に対するリコールに近い制度は、全然設けられておらないのであります。こういう点についても、今度の鉱山保安法は、従来の鉱業権者の形をそのまま保安法の中に生かして行くというような形で、あくまでも直接危害をこうむる労働者の発言権は、実際において決定的な形にまで現わせないような、現わすところの権限がないような形の法案になつてしまつておるとわれわれは考えるのであります。こういう保安上の差異を伺いたいと思うのであります。
#95
○曽根説明員 まず第一番の協議会の性格とそれからGHQからの五人委員会の問題ですが、GHQから提出になりました五人委員会の趣旨は、鉱務監督官と、保安技術職員に対する試験を管理するというのが、大体建前になつております。それに対しましては、試験審査会というものをやはりこの條文で規定するようにいたしました。五人委員会の趣旨は、試験審査会の方で決定してこれを取入れる。それから協議会の方は、向うの案の中にあつたのではなくて、別にその後皆さんの意見を取入れまして、新たに加えた事項であります。
 それから罷免請求の問題につきましては、私どもが最初に用意しました原案には入れておいたのでありますが、その後この法案を整理する段階におきまして、この罷免請求の條文は、公務員法による処分規定で十分に実施し得るし、そちらの方に規定すべき事項であるということで、この法案から落したわけでございます。しかし内容的には十分にこの趣旨は、別のその専門の法律で取入れるという建前をとつております。この二つの点につきましては、それぞれ総司令部の方にも事務的な連絡をいたしまして、了解をとつておるのであります。
#96
○岡田(春)委員 大体これははつきりして参りましたが、たとえば保安管理者の問題にいたしましても、形式的に保安管理者をつくつても何ら権限が与えられておらない。やはり保安上の実際の責任、権限は鉱業権者にある、事業主にあるという点が明らかになつた。あるいはまた保安委員にいたしましても、労働者の中から選ぶという表面上の形式だけをとつておつて、保安委員会に対しても何らの権限が与えられておらない。こういうような形で実際今度の鉱山保安法の中には、事業主の権限が依然として強力に現わされておるのであります。言葉をかえて言うならば、経営のために炭應の保安をやつて行くという性格が、はつきり盛り込まれておるのであります。こうなつて参りますと、先ほど労働大臣のお話のあつた、あくまでも労働者の命を守るための保安法ではなくて、生産を上げるための、経営を維持するための鉱山保安法である。こういうような考え方がはつきり現われているということは、ここで労働大臣もはつきりおわかりを願いたいと思うのであります。これ以上私は、この鉱山保安法の問題については、時間の関係で遺憾ながら質疑することを差控えたいと思うのであります。
 続いて炭鉱ストライキの問題について、青野君からもお話がありましたので、簡単に伺つておきたいと思いますが、その前に前提になることとして、三月十一日に検事総長の発表並びに労働省の通達によりまして、賃金の未払いの問題については、明らかに労働基準法第二十四條の違反であるという点が明らかにされておるのでありますが、今でも労働大臣としては、こういうような未払いの問題は、基準法違反であるとお考えになつておられるだろうと思いますが、その点はどうか、まず第一にお伺いいたしたいと思います。
#97
○鈴木國務大臣 賃金の未払いと一口に申しましても、ずいぶんいろいろなケースがあると思います。何らの努力もせずに、またたとえば最も優先的の債務であるところの賃金に支払うその金を、賃金に支払わずして、ほかの方にまわしてしまつたとか、そういつたような場合には明らかでありますが、そのほかいろいろな場合があります。あの検事総長の声明のときには、私自身も検事総長と一緒にGHQに参りまして、そうして話を伺いました。当時私どもの意見としましては、そういつた種類の賃金の不払いは、基準法第二十四條の違反として取締る。しかしどういう程度のものをどのように、という細目に至つては裁判所側の判定によるべきである。こういう見解でもつて労働基準局が、そういつた裁判所の一つの補助機関として措置していただく、但し労働行政の方面から独自の立場をもつて、今の処罰云々という問題に関しましては、裁判所が主としてその衝に当るものである。御質問をもう一度繰返しますと、原則として払うべき賃金を、今も申しましたようにいろいろな場合がありますけれども、何らの努力をしない場合とか、あるいは他の方に支払つてしまつたというような形でもつて賃金を支払わなかつたという場合は、基準法違反であると当時も解釈しましたし、今も解釈しております。
#98
○岡田(春)委員 それでお伺いしますが、あなたの所管の労働基準局の見解として、今度の炭鉱ストの問題において、御承知の通りに三月三十一日に団体協約によるところの全協定が……。
    〔「そんなことは労働委員会でやればいい」と呼ぶ者あり〕
#99
○岡田(春)委員 そうじやないのです。これは連合委員会でやることです。商工大臣がGHQへ行かれるそうでありますから、商工大臣に……。
    〔発言する者あり〕
#100
○神田委員長代理 静粛に願います。
#101
○岡田(春)委員 商工大臣に伺いたいことは、賃金の未払いの場合においては、これは明らかにGHQの増炭指令、三月十日であつたと思いますが、それに抵触すると思います。こういう炭鉱の賃金の未払いの問題、それを増炭指令に抵触しないとお考えになつておられるかどうか、この点を伺いたいこと。それからもう一つは、さつき鈴木労働大臣はきわめてあいまいな御答弁をされておりますが、今度の炭鉱ストの解決の問題については、これは明らかに政府側が責任を負わなければならぬはずなのであります。これはマーガットが非公式の覚書を発表までして、日本政府の責任においてすみやかに解決をすべきであるというような覚書を手交しております。これに対しても、この前四月三十日でありましたか、衆議院の本会議において労働法規改悪の質問に対して、その場合における労働大臣の御答弁では、もう一両日中に解決いたしますということをお話になりながら、今日においてもまだ何らの進展もなく、しかも中労委にまだまかして、何とかしておるのだという形で責任の轉嫁策を講じておると思うのであります。こういう点、もつとはつきり責任の所在を明らかにした解決の方法、あるいは確信をお持ちになつておられるかどうか、こういう点を商工大臣の行かれる前にひとつはつきり向つておきたいと思います。労働大臣も大分忙しいようでありますから、私はもう少し聞きたいのでありますが、あとは労働大臣に二、三の点を伺つて私の質問を終りたいとと思います。
#102
○稻垣國務大臣 ただいまの賃金未払いの問題については、先ほど労働大臣からお答えになつたと同じように私は考えております。これは全然先ほどの御説明を繰返すことになりますから、その通りに考えておることをお答えいたしておきます。
 それから今のストライキの問題でありますが、これも先ほどお答えしたのでありますが、今そのマーカットのメモランダムに違反しておるではないか、こういうような質問がありましたが、そのメモランダムは、政府がこの間に立つて云々という意味ではなくて、政府としてこれに対して十分に善処されることを希望するという意味合いであります。善処するという意味合いで、結局われわれといたしましては、まず中労委に対してこれのあつせんを願うという形をとつたわけでありまして、これは先ほどのお答えで申し上げましたように、一生懸命中労委においてやつておられるのでありますから、いましばらく経緯を見た上で、全然われわれは手をこまねいておるというのではありませんので、その場合にはまた適当な処置をとりたい、こう考えておることを申し添えておきます。
#103
○岡田(春)委員 それでは中労委の最も最近の裁定案の中で、特に生活費の補助として五百円を会社側が支払うべきである、こういう点についても、おそらく中労委に信頼をされておりますからこれは妥当だとお考えでございますが。その点はどうですか。
#104
○稻垣國務大臣 そういつた問題について、ここで私があなたへのお答えにイエスとかノーとか申し上げることは、今後のあらゆるあつせんのうえにおもしろからぬ影響を与えると私は存じますので、そのお答えは御遠慮申し上げたいと存じます。
#105
○岡田(春)委員 商工大臣は行かれるそうですから、商工大臣への質問は打切つて、労働大臣にもう一つ承つておきます。さつき話が中途になりましたけれども、労働基準法の精神といたしまして、団体協約の期限が満了いたしましたあと、しかも雇用関係が従来通り継続しております場合において、しかも新協定が結ばれておらない場合の空白、無條約時代、こういう場合において、一般通念としては前協定が経過措置としてそのままとらるべきである、かように考えますが、その点はどう思われますか。
#106
○鈴木國務大臣 法規と照し合せて、きわめて具体的の点でありますので、間違いがあるといけませんから、そんなような質問があると思いましたから、今労政局長を呼びにやりましたけれども、もし来なければ適当な機会にお答え申し上げたいと思います。
#107
○岡田(春)委員 いや大臣の御答弁を聞きたいのです。
#108
○鈴木國務大臣 法規の細目にわたつておりますから、なるべく労政局長から聞いていただきたいと思います
#109
○岡田(春)委員 これは労働大臣という労働行政の最高の機関にある人が、一般通念としても無条約の時代において、経過措置がそのまま使われなければならないということは、これはもう労働法規のABCの問題だと思う。それでおそらくこういう問題について、労働大臣はきわめて慎重に抜け道、あげ足をとられないようにというお考えか何か知りませんが、少くともこういう点は、一般的な通念としてあなたのお考えを伺わしていただけばけつこうなのであります。
#110
○鈴木國務大臣 決して用心深く抜け道を、という意見ではありませんけれども、御承知のように労働協約の問題につきましては、新しい労働組合法の問題その他から幾つかの新しい解釈が検討されております際でありますから、その衝に当つておる労政局長を今呼んでで来るからと言つたのであります。
#111
○石田(一)委員 ただいま労働大臣は、たいへんあいまいなことをおつしやつております。あなたの責任において労働組合法の改正案を出しておつて、その改正案においては、労働協約が満期になつたときに、一方の使用者が、あるいは一方の意思によつて今後の運動を宣言した場合には、これが無効になるのだということの法案を出して、これが正しいといつて、あなたが主張していらつしやるようでありますが、おそらく現在の段階においても、要するに労働協約が満期になつたときに、もうそれは効力のないものだということを、あなたはおつしやる意思なのでしよう。少なくともそうしなければ、今お出しになつた法案を正しいといつて、あなたが主張できないはずです。あなたの意思に反しておるものをお出しになつておることになりますが、どうですか。
#112
○鈴木國務大臣 現在提案されているところの労働組合法によるところの、そういう場合の解釈は、これはもう明確になつております。それはこの組合法がこれから成立すれば、おのずから行われて行くのでありますから、これははつきりしております。それから現行法及びその過程においてどう解釈するかという問題は、微妙な点がありますから相当検討を要する、こういう意味であります。
#113
○岡田(春)委員 はつきりこつちから申し上げますが、あなたの方の労働基準局でこう言つているのです。継続的な雇用関係において労賃の団体交渉によつて契約満了後の措置を協議することになつておる場合に、新協定成立までのブランクの期間、空白の期間に旧協定が延長されることは当然である。こういうように言つております。これは労働契約、雇用関係の常識であり、原則です。こういう点を私としてははつきり言えないとかいうようなことは、これは炭鉱ストの問題について、あなたが責任を回避されて、根本的な腹ができておらないということがはつきりしておるのであつて、こういう点が御答弁できないようでは、これはどうも炭鉱ストを解決するのに、はたしておやりになれるかどうか、こういう点にまでわれわれは疑念を感ぜざるを得ないのです。
#114
○鈴木國務大臣 ただいま申しましたように、新しい法律の方は、これははつきりいたしております。古い方もはつきりしている。しかし中間の段階的にはどういうふうに処置して行くかという問題は、目下検討中である、労政局長から聞いていただきたい、こういう意味であります。
#115
○岡田(春)委員 中間のというお話がありますが、今改正案が通るか通らないかわからないけれども、この労働法規の改善案が通る以前は、今までの法律の考え方で行くべきはずであつて、中間のブランクとか、そういうような考え方をすべき段階なんかありようはずはないわけでありますが、どうも労働大臣は非常にあいまいな言葉で、絶えず避難されておる点があるので、まずそういうような中間の段階というものがあるのですが、どうですか。
#116
○賀来政府委員 炭労が連盟と結んでおります労働協約が三月にきまつて、その後この労働協約が違法であるかどうであるかと言うことが問題になつておることに関連しての御質問だと考えます。労働協約が切れましたならば、それに基いての労働契約もこれは無効になるのであります。しかしながら労働契約が無効になつたからと申しまして、その労働協約できめられましたところの労働契約の賃金額というものは、これは特別に事情の変更のない限り、その賃金は維持さるべきであります。
#117
○岡田(春)委員 その維持されておらない場合、そういう精神に反した場合においては、いわゆる労働基準法の違反というか、労働基準法の精神に反しておるものと、かように考えるのですが、その点はもちろんさようにお考えでしようね。
#118
○賀来政府委員 その賃金が払われない場合、ただちにそれが基準法違反になるとは考えておりません。さような場合に、たとえば炭労の例をとりますと、二割引になつたというような事実がありましたときに、その金額は不当であるというので裁判に出て参りますと、たいていその裁判では、特に民事裁判におきましては、特別の事情の変化のない限り、前の協定が合理的なものでありますれば、その合理的な賃金を支払えということが出ましたときに、その支払いをやらないと基準法違反というものが出て参りますが、直接には出て参らないと考えております。
#119
○岡田(春)委員 それでは法的には違法でないにしても、先ほどの賀来局長のお話によりますと、それを守らない場合には妥当でないということが言い得るわけですね。
#120
○賀来政府委員 妥当という言葉は、非常に答え方によりますと、妥当な答えができないかもしれませんが、われわれの考え方といたしましては、特別の事情のない限りは、あの協約の賃金は支払われるべきものというふうな考え方をいたしております。
#121
○岡田(春)委員 実はそれと違つた事実が今炭鉱において行われているのです。四月の職員の給与は、すでに資本家側の一方的な措置によつて、前協定をそのまま経過規定として背負つていかなければならないにもかかわらず、それが局長の意見で妥当な考え方として確認されたわけですが、そうでなく反対の事例、四月の職員の給与においては各由とも八割の給与が資本家側の一方的な措置によつて行われているのであります。こういう点については、あなたはいかにお考えになりますか。
#122
○賀来政府委員 ただいま二割引で行われているという場所もあるということは聞いておりますが、これは確定的に二割引に一方的に切つてやつたというふうには聞いておりません。現在の炭鉱は急に補助金がなくなりましたので、金融にも困つておるというので、さしあたり八割程度払つておる、かように聞いておるのであります。この賃金がいいか悪いかということになりますれば、結局法律論になりますれば、裁判所でその妥当性を決定するだろうと考えております。
#123
○岡田(春)委員 しかしおかしいじやありませんか。連盟側の回答は、中央において前協定をそのまま支払うことは不可能であるという回答を出しておる。各由において、自由な裁量においてこれは払うからという、一方的な破棄通告をした。こういう事実があつて、しかもわれわれの調査した限りにおいては、八割支給というものが実際に行われておる。こういう点が、あなたとしてはさつきの法の精神、法の解釈の点からいつて妥当でない、前協定がそのまま守らるべきであると、かように見解を披露された場合において、この事実については、さつきの精神通りのあなたのお話で行くならば、これは当然妥当でないという答弁がなければならないにもかかわらず、きわめてあいまいな答弁しかないのであります。こういう点をもう少しはつきり御答弁願いたいと思います。
#124
○賀来政府委員 先ほど申し上げましたのは、労働協約において定められましたところの賃金額は、労働契約の形で結ばれているのであります。その労働協約が無効になりましたときには、自然その労働契約も無効になる。しかしなが労働協約にきめられましたところの賃金が合理的な水準でありますならば、これは労働契約がなくなつてもその水準で支払われるべきものであるという考え方をしておるということを申し上げたのであります。ところで八割に切つたことが正しいかどうかという問題につきましては、これは民事裁判によつて最終的に確定さるべきものである。こういうことを申し上げた次第であります。
#125
○岡田(春)委員 それではあなたの御意見ですと、民事裁判まで、これは労働基準法の問題、法律上の問題としては判定が困難であるというお話だろうと思うのですが、そうすると先ほどあなたのお見えにならないときに労働大臣に伺つておいたのですが、三月十一日の賃金の未払いの場合において、未払いをした場合に、労働基準法第二十四条にこれは明らかに違反するという検事総長の声明、あるいはあなた自身がお出しになつた地方に対する通達、こういう点とにらみ合わせてみて、二割未払いになつているという点は、これはどういうふうにお考えになりますか。
#126
○堀説明員 三月十一日付の通達の趣旨は、賃金の債務が確定しておるような場合においては、それを支払わないという場合においては、あの方針によつて断固発動するという方針であります。それから今度の問題につきましては、賃金債務が確定しておるか不確定であるか、その点について疑いがありますので、その点については不確定分として、八割の分については初めの方針でありますが、あとの部分については争いのある債務でありますので、この点は労働委員会のその他当事者間において至急確定を要望する、こういう態度でおるのでございます。
#127
○岡田(春)委員 いつまでその点を追究しても、非常に要領よく逃げておられるので、今の御答弁と各局長の御答弁との間には私は食い違いがあると思うのです。というのはあなたの場合は未確定であるという規格に立たれてのお話でありましたが、各局長の場合においては、経過措置として一般的に前協定をそのまま踏襲するのが時期としては一番妥当であるという考えである。こういう点で食い違いができておる。そこに政府の炭鉱ストに対する解決の方針が出ておらないということなんです。そういう点から言いましても、さつきマーカットの非公式覚悟に、あるいはまた労働大臣の再三の答弁によりましても、何らかの形で解決すると言いながらも、政府自身が炭鉱ストに対する解決の根本方針を持つておらない。おらないというよりも、能力がないのかもしれない。こういう点について、中労委に対に対して責任を転嫁しておけば、何とか行くであろうというのでほつたらかしておる。この点はもつとはつきりと、労働省というものは、労働者の保護のためにやつてくれる行政機関であるとすれば、もつと真剣に労働者のためにやつてもらわなければならぬと思う。こういう形では炭鉱ストは解決いたしません。おそらく十四日から全国的に炭鉱ストは無期限ストに入るでありましよう。こういう時期においては、炭鉱資本家の責任は、さつき申し上げましたように団体協約という名において、炭鉱資本家の責任はもちろん言うまでもありませんが、それと同時に吉田内閣にも大きな責任があることを労働大臣におわかり願つて、こういう点をもつとはつきりやつてもらわなければなりません。労働大臣の御答弁を願います。
#128
○鈴木國務大臣 先ほどから繰返して申し上げました通り、中労委に全部押しつけて安閑としておるというのではないのでありまして、政府は政府として十分考えておりますし、また炭鉱のストの問題につきましても、さつきも申しましたように、根本的の問題にまで掘下げて考えております。ただ政府の動き、理解度、その点の考え方につきましては、商工大臣も申しましたように、きわめて微妙な関係の時期にあり、中労委になお最後の努力を傾けてもろう。それから同時に政府自体といたしましては、すべて中労委にまかせ切るという考えでは臨んでおりません。政府の責任も十分考えておりますし、万全の方途を講ずるつもりであります。
#129
○門脇委員 大分問題が労働委員会独自の分野に入つておりますからして、合同審査会は本日はこの程度で休憩されんことを望みます。
#130
○岡田(春)委員 関連しますから……。
#131
○神田委員長代理 大分時間も過ぎまして、われわれの生理的要求の時間が到来しておるのではないかと思いますが、岡田君も労働委員になられたようですから、機会がおありだろうと思いますから……。
    〔発言する者多し〕
#132
○神田委員長代理 静粛に願います。門脇君に発言を許します。
#133
○門脇委員 合同審査会はこの程度において打切り、最後の決定をされんことを要望いたします。
#134
○神田委員長代理 門脇君から連合審査会はこの程度において散会するようにという動機が出ておりますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。本日はこれにて散会いたします。なお商工委員会は午後二時半から開きます。
    午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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