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1949/05/19 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会労働委員会連合審査会 第2号
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1949/05/19 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 商工委員会労働委員会連合審査会 第2号

#1
第005回国会 商工委員会労働委員会連合審査会 第2号
昭和二十四年五月十九日(木曜日)
    午前十一時四十五分開議
 出席委員
  商工委員会
   委員長代理 理事 神田  博君
   理事 小金 義照君 理事 今澄  勇君
   理事 川上 貫一君
      阿左美廣治君    岩川 與助君
      門脇勝太郎君    高木吉之助君
      多武良哲三君    福田  一君
  労働委員会
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 三浦寅之助君 理事 吉武 惠市君
   理事 前田 種男君 理事 春日 正一君
      塚原 俊郎君    船越  弘君
      青野 武一君    石野 久男君
  出席政府委員
        商工事務官   長谷川輝彦君
        石炭廳次長   渡邊  誠君
        労働事務官
        (労政局長)  賀來才二郎君
 委員外の出席者
        議     員 柄澤登志子君
        專  門  員 谷崎  明君
        專  門  員 濱口金一郎君
        專  門  員 横大路俊一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 石炭に関する事件
    ―――――――――――――
#2
○神田委員長代理 これより商工委員会、労働委員会連合審査会を開きます。
 私が主たる委員会の委員長の職務を行つておりますから、本連合審査会の委員長の職務を行います。
 ただいまより石炭に関する件を議題として調査を進めます。石野君。
#3
○石野委員 長い間問題になつておりまして、今日もなお解決点に到達しておりません石炭の入トライキの問題でありますが、この問題につきましては今朝の新聞等にも報ぜられておりますように、ほぼその解決点の目途が見得られるかのようなふうに聞き及んでおるのでございますが、この問題につきましての当局の詳しい御説明を承りたいと思います。
#4
○渡邊(誠)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。御承知のように先般来中央労働委員会の末弘さんが、この炭鉱の労資の紛爭についてあつせんをしておられまして、昨日の夕方の五時ごろ労資双方が呼ばれまして徹宵折衝の結果、本日の午前六時ごろ、あつせん委員である末弘さんから、次のような申入れ書が労資双方の代表の人たちに提示されたわけであります。その申入れ書の写しを朗読してみたいと思います。
   申入れ書
 一、四月以降六月までの資金については前中央協定の定める基準による原則とすること。
 二、三月以降の新情勢により協定をそのままでは履行しがたい特別の事情がある会社は、組合に対し、その修正または履行に関し協議書処方を求めることができる。協議ならざるときは三者協議会に付議して解決すること。
 三、通常の状態においては上期下期間に季節差のあることは認めるが、炭鉱は目下回復途上にあり、急速に自立体制の確立が要請されている実情にかんがみ、この際は特に標準能率をかえないことにすること。
 四、物價のはね返り問題については、他産業以上に配給されている加配米量につき、今次値上り分に対する支給は原則として認めること。
 五、七月以降の賃金に関しては、当事者相方とも在來の中央協定にとらわれることなく、新たに協議を開始されたく、協議成立せざるときは中労委に調停を申請して解決することとする。
 六、本協定の解釈運用に関して爭いを生じたときは本あつせん員のあつせんを求めること。
 以上でありまして、労働委員会あつせん委員末弘嚴太郎さんから、日本石炭鉱業連盟專務理事早川勝氏及び日本炭鉱労働組合連合会の武藤武雄氏あてに申入れ書が出されたわけでありまして、労資双方は、この申入れ書を見ましてそれぞれ引取りまして、それぞれの組織で相談をいたしまして、本日の午後三時までにあつせん委員の末弘さんの方へ回答をすることになつておるのが現在の経過でございます。
#5
○石野委員 末弘中労委員長のあつせん案の内容につきましてただいま説明を承つたわけでございますが、幸いにしてこのあつせん案が労資の双方によつてお互いにこれを受入れられまして円満な解決を得ればけつこうでございまするが、しかし本日商工委員会、労働委員会が連合審査会を持つた主たる問題点になつておりますこのストライキの問題は、私どもにとりましてそうやすやすと解決するだろうとも思われないのでございます。そこでもしこの問題がせつかくの中労委会長の末弘さんのごあつせんがあつたにもかかわらず、円満な解決点が得られないというような場合には、おそらく政府の意図しておりまする四千二百万トンの年度生産量の達成にも非常に大きなひびが入る。すでに過日來の炭鉱ストよつて相当な計画量に対する減炭が生じておるというようなことから考えましても、今後にとつては非常に大きな問題だと思うのであります。今後の問題をにらみまして、政府当局としても、特に石炭廳の立場からいたしまして、この問題をどのように扱つて行くかということについての、政府の御所見を承りたいと思うのであります。
#6
○賀來政府委員 一應このあつせんの見通しについて、それからその後における処置いかんという御質問だと思いますが、まずその後の処置については渡邊次長から申し上げると思いますが、私からは今の前の問題につきましてお答えいたします。原則としてお答えを申し上げなければなりませんのは、けさ六時にあつせん案が出たのでありまして、午後三時に両者回答ということになつております。けさ私どもが両方に連絡をとりましたときには、まだ両方とも休んで、おられましたので、情勢はわかりませんし、あつせん中でありますので、にわかにわれわれといたしましてこの見通し等の批判は避けたいと考えております。ただ御判断の資料といたしまして、情勢を大体お話し申し上げたいと思います。
 この申入れの第一項、四月から六月までの賃金については前中央協定の定める基準によることを原則とする。これは組合が強く主張しておりました点で、組合のまつたく讓れない原則であります。この点に関しましては、使用者は第二項に関連いたしまして実施が円滑に行くならばこの点は認めるのじやないかと考えております。第二項は三月以降の新情勢により今までの中央協定というものがそのままでは履行しがたい特別の事情がある会社は、組合に対しその修正または履行に関し協議善処方を求めることができる。これは三月までの政府の特別な措置によつて、すなわち補給金等によつてまかなわれて参りました状態が急轉いたしたのであります。その政府補給金のありまする状態下における協定がそのまま新情勢には適應しがたいのではないか。従いましてその九原則によつて会社の状況に應じてそれぞれの処置をとるということにつきましては、これは使用者が強く主張しておつた点でありまして、なお組合もこの実情についてはよく認識しておるのであります。第三項は通常の状態においては上期下期間における季節差のあることは認めるが、これを強く認めよと強く主張しておりましたのは組合であります。これは使用者側において相当異議がありましたが、その次、炭鉱は目下回復途上にあり急速な自立体制の確立が要求されている実情にかんがみ、この点は使用者が強く主張しておつた点であります。從いましてこの際特に標準能率をかえないことにするということは、組合が主張しておりました点になつておるのであります。第四項、物價のはね返り問題については、他産業以上に配給されている加配米量につき今次値上り分に対する支給は原則として認めること、これは組合が強く主張しておつた点が認められておるのであります。これにつきましては使用者側としては、前の三項との関係及び二項との関係からいたしまして、具体的実施についての考慮の方法があるのではないかということを、大体われわれは推測いたしておるのであります。第五項は、七月以降の賃金に関しては当事者双方とも在來の中央協定にとらわれることなく新たに協議を開始されたく、協議成立せざるときは中労委の調停を申請して解決することとする、この問題は当初から末弘会長がとつておりました方針であります。すなわち基本的解決というものは四月以降でなければいろいろなデーターも出て來ないし、またいろいろな政策も明確にならないので、本協定は七日以降にする。とりあえずは四、六の暫定をやるんだ、これに対しましては労資双方ともこのあつせん方式は認めてかかつておるのでありますから、五項については問題がないと考えるのであります。なお今日あたりは、勘で申しますと、最も解決にいい潮どきである。労資あるいは関係方面におきましても、また政府におきましても、すみやかに今石野委員の御指摘のように解決すべきときであり、また今日が潮どきであるという考え方で解決しようとする方角に努力をして参つて來ておるのでありますから、これらの情勢を了承せられまして御判断を願いたいと考えております。
#7
○渡邊(誠)政府委員 ただいま賀來労政局長から御説明申し上げました通りで、労資双方中労委のあつせんに対して解決に非常に努力しようという氣分が強いように見受けられまするので、今後まだこの申入れ書それ自体についても難点があるかと存じまするが、われわれはこの一両日のうちに解決があることを非常に期待し、またそうなるのではないかと思つておるわけであります。そこで生産が紛爭につて落ちたことについてどうかというお話でありましたけれども、その点は昨年の十一月に三原則が提示されまして、続いて十二月に九原則が提示されました。炭鉱としては経営者も労働者も一体となつていろいろな難関を克服して、この経済の大変動に対処しようという非常な努力を続けて参つておつたわけであります。しかしながらただちに明日から切りかえるというようなことはできないのが実情でありまして、一月、二月、三月といろいろ努力した結果は、四月の生産のすベり出しは九九%を越えてほとんど一〇〇%の生産に逹したわけであります。これを昨年に比べてみましたり、あるいはその前に比べますると、三月は年度の終りの月でありまして、非常な努力をして生産はその年度内の一番大きな生産を示すわけであります。その反動を受けて、四月にはいろいろな季節労務等の関係もあつて、生産が著しく落ちる。そして從來の例から申しますと、目標に達しられないか、相当目標を割るのが通常の状態でありましたが、本年はその両方を切り抜けようという意気込みのためと存じますが、四月にそういう成績であつた。ところが五月に紛爭が起きまして、ストライキが起つたために、上旬、中旬でおのおの生産が約二割ほど予定に対して落ちたわけであります。現在は十六日よりストライキを一應打切つておるわけでありまして、生産が続けられておるわけでありますけれども、上旬、中旬で約四十万トンほどの穴が明いたわけであります。今後四千二百万トンに対してどうかという点につきましては、四月の生産量、それから生産能率という点、能率は七トン三分余の生産能率を示しておるわけでありまして、昨年に比べて隔世の観がある能率にかわつておるのでありますから、今後なお残された十箇月でこの穴を取り戻して行くということをせなければならぬと考え、またそれができるのではないか。炭鉱は非常に品位の問題あるいは賃金の問題等で変化を起すための非常な苦しみを続けておりますけれども、相当從來の不合理なと申しますか、むだが排除されて來ており、また心構えも相当改善されると申しますか、心構えが非常に真劍さが一層加わつて來ておるように見えますので、石炭廳といたしましては、これは円満な解決がつく。もちろんこの九原則、三原則下において経済の変動を起そうというときでありますから、両方が満足することはないであろうと思いますけれども、お互いに忍びあつて解決がつき、そうして生産の体系をととりえるならば、残された十箇月によつて取りもどすこともできるだろうと期待しておる次第であります。
#8
○石野委員 ただいまの賀來労政局長のお話によりましても、大体見通しとしては労働者側あるいは経営者側いずれもその條件は十分でないけれども、このあつせん案をのみ得るであろうというふうに見ておるというようなお話でございました。私どももそのようになることを期待しておりますし、また希望するものであります。しかしこの問題がもし不幸にしてそういう予測のように行かない場合における困難というものは、非常に大きいものになろうかと思いますので、今後まだ他の同僚諸君もいろいろとこの点についての御意見がお互いにかわされると想いますけれども、私はそうならないことを希望しているのでありまして、ただ一つかりにここで円満なる妥結点が得られたとしましても、今石炭廳次長さんがおつしやられました五月におけるところの四十万トンの穴というものは、今後の年度内において何とかカバーして行けるだろうという見通しについて伺いたい。それが私は今日のように炭鉱経営者が資金面におけるところのあるいは資材面におけるところの逼迫化している実情から見まして、その穴埋め工作というものが單に労働の強化ということのみによるようなことがあつてはならないと思つておるのでございます。そういう点についての見通し等におきましても、決してそうでないというようなお見込みでございましようかどうかということを御質問しまして、私の一應総論的な質問を終りたいと思つております。
#9
○渡邊(誠)政府委員 ただいまの点、先般司令部から発せられました覚書にもございますし、現に炭鉱では時間外労働というようなものは極力避けるようにいたしておるわけでありまして、特に坑外夫についての時間外労働は特別の場合以外にしないことになつております。なお四月の出炭状況を見ましても、時間外労働をやつて出炭を増加しておるという仕方ではないのでありまして、私たちの考えておりますことは、また覚書の趣旨にも基きまして、定められた時間内で出炭能率を上げる、こういう方向に今進んでおるわけでありますから、自発的に労働組合側がこの不足分をとりもどすというような考えを起され、また経営者もそれが合理的な、アブノーマルな生産態勢にならぬということで両者の意見が一致したような場合以外は、特別な労働時間の延長というようなことはなさないであろうと思う。私たちもあまり好ましくないと考えておるような次第であります。
#10
○春日委員 ただいまのお話で一應解決の目安があるというお話でありますけれども、今の協定を見ると、解決するということではなくて、問題を一時先の方へ押しやる。七月以降また問題が起つて來るというものを含んだ協定のように、私受取るのですが、第一番の四月、六月は前の協定でやつて行こう。但しそれを履行できないものは組合と協議するという話なんですけれども、大体履行できるものとできないものとどのくらいの率になるのですか。
#11
○渡邊(誠)政府委員 これはどのくらいと数字を申し上げることは非常に困難だと思いますが、しかし九原則下において自立態勢で進んで行くという場合に、非常に不利な立場に陥るのは、生産條件の惡いものと、品質の條件の惡いもの、つまり商品價値の低いものが非常に苦しいことになるわけでありまして、炭價に間に合ないものは閉鎖をするか、あるいは何らかの改善の策を見出して行くか、あるいは労資双方で相談して、その山が生きて行く道を発見するということになるだろうと思いますが、その数は現段階においては相当山の生産状況が改善されて参つておりますので、あまり多くはないと考えておるわけであります。
#12
○春日委員 それでそういうできないものだという但書なんだから、多くあつてはならぬはずですけれども、実情について見ると、たとえば三菱のような大きなところでさえ、現実に資金は八〇%しか出していない。あとの二〇%は天引きで遅拂いしている。そういう状態になつて來るということを考えると、この問題が單にここでこういう中央協定がされましたと事つて、それで問題が片がつかないんじやないかというように私たちは心配する。たとえばその賃金が強引に頭から天引きされて來るという問題は、この基準法の二十四條から言つて惡いことになつておるのだけれども、しかもそれがそういうような状態になつておる。こういうようなことに対して一体政府として行くといような考えを持つておられるのですか。
#13
○渡邊(誠)政府委員 ただいま御指摘のような状態が続くことはもちろん政府として好んでおらないわけでありまして、改善されることの一日も早からんことを望み、それに努力いたしておるわけであります。もちろん炭鉱の経理状態というものは賃金だけが問題ではなくして、他の資材の問題もございましようし、能率のこまかい問題もございますし、金融の点というものが相当大きく響いて、回轉ができないという点もありますので、それを総合して解決を早くつけて行くということをいたさなければならない。三菱の例をとられましたけれども、三菱の会社は大きい。しかしながら三菱の持つておる山はどれもよい山を持つておるわけではない。三菱の山の中でもすでに相当以前から生産を継続して行けるかどうかということがはなはだ疑問なくらい條件の惡い山もあるわけでありまして、特に三菱の山の半分くらいを占める九州方面の山は、非常に深い條件の惡い炭層を今掘つておるという状態で、苦しい状態になつております。
#14
○春日委員 そうするとやはりこの協定の一、二というようなものは、非常にたよりにならぬものだということになつて來る。問題の解決にならない。結局そうは解決しますものの、今度は紛爭が山元に行つて、そこでもつと深刻な紛爭にかわつて行くというようなことになるおそれがあるのじやないですか。私は三菱の山はたいがい歩いて知つておりますけれども、ああいう大きなところでそういうことになつておるということは、結局中央で一應片づけましても地方へ紛爭が移つてしまうという結果にたつて、この石炭問題の解決にならないのじやないですか。
#15
○渡邊(誠)政府委員 九原則下におきまして、それぞれの企業体が自立態勢をとつて行くということになると、これは一律にすべて規定して行くということが非常に困難じやないかということは、これは当然であります。特に今変動期にあるわけでありまして、安定した形に炭鉱は入つておらない。しかも九原則の轉換というものを最初にぶつけられたものは炭鉱でありまして、一番トップを切つて茨の道を歩いておるのであります。この炭鉱全体として一つの規定のわくに全部が当てはまるということはできないのでありますから、從つてある程度の問題は地方のそれぞれの特殊事情あるいは企業体の特殊事情なり、山の特殊事情によつて、実情に沿うようにされて行かなければならない。從つて中央の協定によつてあの変化の多い日本のピンからキリまである炭鉱を一つの形に規定することはむずかしいのではないか、そういう意味でこれから進められる協定が、完全にそれで解決が一ぺんについてしまうものとは私考えられない。なおこの協定についてもいろいろ御意見があるわけでありまするが、今中労委の末弘会長があつせんしておられるのでありまして、それに労資とも信頼し、われわれも信頼しておる状態にあるわけであります。このあつせんの申入れの案について私たちがこれを批判するのは本日は避けたいと思います。
#16
○春日委員 そんなばかな話はないと思います。とにかく石炭は非常に大事だし、おそらく石炭が出る出ないということがすべての産業の中心になつて行く。そういうことになれば、これは紛層の調停という意味で中労委にかけるとしても、問題の本質が九原則というものにかかつて來ておるならば、むしろ政府の方でこれがうまく行くように、政府は九原則の出しつぱなしであとの解決は中労委にまかせるということじやなくして、政府の石炭政策としてとにかく石炭が増産されて行く、山がよくなつて行くという考えに立つて、こういう紛爭を解決するし、將來もそういう紛爭が繰返されないように考えて行かなければならない。それをただ中労委にまかせましたから今この批判はしないというように言つてますけれども、これじや中労委にまかせましたから批判はしないで、それであと紛爭がもつと深刻な形で山元で起つて來るというような状態になつて、これはまずかつたというようなことではどうにもならない。私は中労委のこの問題を批判することじやなくして、こういう解決の仕方に安易にたよつて、とにかくその場を糊塗して行くといいますか、そういうふうなやり方、政府のそういう安易な態度、その点に対して私非常に不満を持つておるわけであります。だからこういうことでいいのか、政府としてもつと突込んだ解決の方法を考えなくてはならぬのじやないか、今言つたような中央協定、四、六というものは暫定的な過渡的な措置だ、暫定的、過渡的な措置でそう認めたとすれば、政府としてその裏づけということを考えてやらなければならぬ。あなたは山元の特殊事情、特殊條件と言われますが、それによりてこういうものがゼロになる、そういう点を私たちは心配をする。紛爭が山元で大きくなつて、もつと深刻な形で出て來るということを心配して、政府の考え方をお聞きしているわけであります。
#17
○渡邊(誠)政府委員 從來とも炭鉱の中央協定につきましては、炭鉱それ自体の産業の特殊性によりまして、山元できめなければならないことはたんさんあるので、中央では大わくをきめておるわけでありますから、その点は特別な変化はないと思うのであります。ただこういう申入れ書に基いて協定がこれからされるのだろうと思います。政府はただ中労委におつつけて何もしないというような意味の御意見でございましたが、決してそういうようなわけではなくして、あつせんということは中労委が今やつておられるわけでありまして、政府としてはこれの解決のために労資双方その他とも連絡をとつております。このあつせんという形の立役者としてあつせん委員末弘さんが出ておられる、こういうふうに御了解願いたいと思います。なお四、六の問題につきましては、もちろん粉爭その他が長引かない、あるいはあちらこちらで起らないことが最もいいのでありまして、できるならば一年でも二年でも一つの協定でいたしたいのでありますが、今すでに五月に入りまして労資双方ともいろいろ様子を聞いて見ますと、やはりさしあたつての四――六月の解決をつけるというようなこういうあつせんについて、現段階としては過渡的にやむを得ないというふうに考えておられるようにもわれわれは承知しておる。この案によつて両者がお互いに歩み寄つて解決することを期待しておる次第であります。
    〔神田委員長代理退席、倉石委員長着席〕
#18
○春日委員 それで一應わかりましたけれども、七月以降について大体政府としてはどういう見通しを持つておられますか。
#19
○渡邊(誠)政府委員 七月以降にわけることは最初考えておらなかつたわけで、四月から九月まで、六箇月のつもりでおつたわけでありますけれども、現段階として、四――六月、それから七月以降というものにわけておるわけでありまして、四、六の解決がまず第一段階であつて、それの状況に應じて七月以降後はできるだけ早く労資双方の間の交渉が、これが片づきましたら、開始されることを望んでおり、またそういう方向に行くように指導いたしたいと考えております。
#20
○春日委員 開始されることを望んでおるのでなくて、政府として七月以後の交渉になれば、また今と同じ問題が出て來るから、そういう問題をここで七月以後になればまた大きなけんかになるということを避けるためにどういう方針を考えておられるかという点です。
#21
○渡邊(誠)政府委員 まだ紛爭が起きないうちに考えるわけに行かないのでありまして、当初双方の希望をそれぞれ述べ合つて、そうして未解決の点が出て來たのをいかに解決するかという努力をすることになると思います。
#22
○春日委員 非常に頼りない政府だと私は思います。そういうことになると、出て來たらまたそのときにというどとでなく、石炭産業が日本の産業中心になつておるのだから。そうすればここに提出された問題はおそらく石炭産業の基本的な問題だと思う。資金の問題あるいは稼動能率の問題という形で出されておりますけれども、先ほどあなたも言われたように、三菱のような大炭鉱すら非常に深いところへ行つてしまつて、採算の合わぬほど能率が惡くなつておるところがあくさんあるといわれておる。そういうような状態がそのままになつておれば、結局七月になつても八月になつても、いつでも問題はむし返されて出て來る。だからそういう点で七月以後そういう交渉が持たれるというような場合、またこの問題が出て來るということになれば、当然政府としてそういう問題が両方でうまく片づくように、石炭産業に対する政策としての一つの方針がなければ、結局出たとき勝負でけんかして、二、三日ストライキをやつて、また暫定協定をやつてということになつてしまつたら、これはちつとも石炭産業の復興にならない。その点を聞いておる。今行つておるストライキをどう片づけるかということを、ただストライキが解決したからそれでいい。どつちか片方が負けたからそれでいいというような考え方は、政府の考え方ではない。資本家と労働者と双方の立場から考えればそれでいい、労働者が勝つたからそれでいい、資本家が勝つたからそれでいいというのが政府の考え方とすれば、そういう考え方では私はいかぬのじやないかと思う。だからその点をお聞きしているのです。どういうふうにして労働者の生活を保証して行くような手が打たれているか。また打とうとしておるか。だから七月以後の交渉のときには大体そういう粉爭が最小限に起らぬようにして行けるというような確信がなければ、政府にまかせても頼りないと思うのです。
#23
○渡邊(誠)政府委員 私議論をいたす氣持はないのでありますが、やはり現在の日本の産業の状態から申しまして、おそらくなかなか日本國民全体が滿足する状態にならないのでありまするから、非常に粉爭のない解決を希望はしますが、ないからこそしばしばいろいろの問題が起つているのだと私は考えております。それで非常にいい解決策があるならば本日のこの問題自身もないわけであります。非常な乗り切るための苦しさというものがあればこそ労資双方に悩みがある。こういうふうに考えております。政府がこれを解決させるよい方法があればいいが、それがありませんので、みんなが讓り合つて解決をつけて行くという今の姿ではないかと考えております。なお今後の問題については、これは九原則下においては、炭鉱の收入が増加したものを労資双方に分配されて行く形になると思いますが、その根本は能率が上つて行くこと以外にないのであります。私の見通しでは日本の炭鉱は苦しいといえども、この秋にかけては現存よりも一割以上の能率の増加は必ずできるというふうに考えております。
#24
○川上委員 時間が非常に切迫しておりますし、今日は合同の審査会であつて、主として労働委員会の方から御発言を願いたい、こう考慮しておつたわけでありますが、ごく簡單に一つ二つの点をお聞きしておきたい。御答弁も簡單にお願いしたいと思います。今の御答弁によると改善される、また秋になればどんどんよくなつて行くというようなお話がある。それから一面においてはなかなか難儀な問題である、國民全体苦しまなければならぬ。これは実に誠意ある回答じやない。困つておるなら困つておると言つた方がいい。よくなると言つてみたり、つつ込まれると実は困つていると言つてみたり、いいかげんなことを言うのが政府委員の答弁の資格だというので勉強しておる。この体度は非常に惡い。今の日本の状態はこういう状態ではありません。國をあげてどうしようかという状態になつておる。このときに政府当局がいいかげんな答弁をしておつて、日本が救えるか、これでは自主独立はできない。これは商工大臣にたびたび言つた。政府の答弁の態度はきわめて惡い。このことについては日本共産党ははなはだ遺憾の意を表しておるということをよくお含みおき願いたい。
 第一にお聞きしたいことは、四千二百万トンが行けそうだ、労働者の生活も何とかなりそうだ、こういうような答弁、そこで第一に聞きたいことは、四千二百万トンの計画をなさつた時分に、資金は幾らいると御計画なさつたのであるか。
#25
○渡邊(誠)政府委員 ただいまちよつとその資料を持参しておりません。本日は爭議の問題に関してという話でありましたので……。
#26
○川上委員 石炭行政を担当しておつてなんぼ金がいるかわかつておらぬということは無責任きわまる。そういう態度だから何にも解決ができない。石炭爭議一つだつて解決できやしない、石炭行政を担当しておるのみならず、責任者である。四千二百万トン出すにはなんぼ金がいるということを覚えておらぬ、そんなことで日本の石炭行政はできつこない。わからぬと言えばしかたがないから聞きません。第二番目に、そうするとこういうことを一つ聞きます。今度見返り資金から資金が出るのでありますが、これは非常に少い。全体の金額が少いことは明らかなのですが、最初の計画の数字を覚えておられたいにしても、今度見返り賞金特別会計から出て來る石炭にまわるであろう資金関係と、この二つをにらみ合せて大丈夫だとお思いになりますか、あるいは今の様子ではこれでは非常に少いとお考えになるか。第三には、どれだけまわるかわからぬから、まだ見当をつけておらぬのでその返答はできぬということになりますか、これを簡單に御答弁を願いたい。
#27
○渡邊(誠)政府委員 正確な数字を持つておらぬということを申し上げたのでありまして、大体の数字というものはお答えできます。四千二百万トンをやりますのに、炭鉱の住宅等の建設の程度というものによつていろいろ資金のいる額は異なりますけれども、大体二百五十億ほどの資金を要するものと考えております。これに対しまして見返り資金がどれだけ出て來るかというのは現在まだ決定いたしておりません。しかしながら資金というものは現在の段階では相当苦しい形で続けられて行くのではないか、こういうふうに今思つております。
#28
○川上委員 その御答弁で概要はつかめるのでありますが、そういうような状態であつて改善されると言われることになれば、こらは長い時間かかりますから私の方の考えは言いませんが、それは労働強化だけになる、そこでこの点をひとつお聞きしたい。遅配が行われておるのですが、資金は思うほど入つて來ない。赤字融氏はもう今後はできない。またその方の融資関係は非常に不十分である。ここで労働賃金の遅配が行われており、あるいは八割くらいしか労働賃金が拂われてないのが実情で、この状態で、近い將來必ず解決するとお考えになりますか、これはたな上げになるとお考えになりますか。
#29
○渡邊(誠)政府委員 八割と申しますのは、暫定的にそういう程度で行こうという形で、協定の決定によつてあとで清算するという由もあるのでありまして、全部が八割しか拂えないという状態にあるのではないということを申し上げておきます。
 なお、今後はどうかというのは、これは山と企業体によつて相当異なると思いますけれども、私は今月相当の減産をいたしておりますので、再び資金繰りが苦しくなつて來ていると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、四月は約百パーセントの生産をいたしておるわけでありまして、本年度の出炭計画の生産がほぼ百パーセントに近く達成されるならば、今後六月以後――全國平均の話をしておるので、中には山によつて違うと思いますけれども、大体は賃金を拂つて行くということに、そんなに遅配が出るということはない、こういうふうに考えております。なお八月は、全國的に考えて非常に惡い月でありまして、氣候、温度の関係があるわけでありますから、この月は炭鉱は非常な苦しさに陥るだろう。七月も暑さに向つて多少苦しくなるであろうと思いますが、その後のところは非常によくなつて行くという見通しを持つております。
#30
○川上委員 これは、政府には自信がない証拠の御答弁のように思います。これ以上は時間の関係がありますから、この問題は申しません。
 次にもう一つ、関連産業に対する非常にたくさんな未拂金がある。これが百五十億になんなんとしておる。これはたな上げにするつもりですか、どこからこの金を出すつもりでありますか、政府のお考えを聞いておきたい。
#31
○渡邊(誠)政府委員 これは原則といたしまして、炭鉱自身が順次支拂つて行くということになると思いますが、一時的に行き詰まりを打開するためには、現在考えられておりますのは、市中銀行からの長期の融資ということを考えております。
#32
○川上委員 それはいくら融資の予定でありますか。
#33
○渡邊(誠)政府委員 全額を解決づけることは困難だと思います。現在の灰價が決定した後に、そういうことを遂行するようにいたしたいと思います。それで額は、ただいまのところはつきり申し上げられません。私も、まだ決定した状態にはないものでありますから、申し上げられませんが、石炭廳あたりとしての希望としては、さしあたつて、十五億から三十億くらいの資金をとりあえずまわしたいということを考えておるわけであります。これも融費のことでありますから、償還する能力がないところには融資できない、こういうふうに考えております。
#34
○川上委員 この問題も、これ以上質問いたしません。それは、十億や二十億の金を少しまわしておつたところで、たいして、解決はつかない。だから政府はおそらく関連産業、これの未拂いは、たな上げにするお考えであろうとわれわれは解釈いたします。出て來るところがありません。これを拂い、それから労働賃金は、今問題になつておるのは八割という問題でありますが、私の言うたのは、そうではない。今まで八割くらいしか実際拂つていません。遅配が行われておる。欠配が行われておる。これをどうして埋めますか、そういう質問であつたのでありますが、このお答えは出ていない。これはいくら問いましても、方法がありませんという御返答が出るほかにないであろう。從つてこの結論は、解決されるとか、八月以後は状態がよくなつて來るなどということは、全然政府当局には御自信がないということを陰に言つておられると思う。それで、私の質問はけつこうなのですが、もう一つ聞きたいことは、その筋が石炭企業は赤字になるはずはないということを言うておられると思います。これはどういう意味だと政府はお考えになつておりますか、このことをちよつと聞いておきたい。
#35
○渡邊(誠)政府委員 関係筋がどういう意味でそう言われるか、私はお答えはできないと思います。しかし炭鉱にいろいろ改善の余地があるんだ、改善されるならば、現在の炭價でも赤字を出さないで行けるであろうという意味のことと考えております。
#36
○川上委員 それが政府のまことに上手な答弁で、そう言つておけばたいてい追究を免れる。この答弁の仕方がわれわれは氣に入らないのです。しかしこれは追究しない。
 もう一つだけ聞きます。時間がすでに零時半を越しておりますから……。メリット制を張行するということで、また暫定炭價で政府はやろうとしたのですが、今これがとまつております。あの炭價のきめ方については、われわれはずいぶん問題にしておつたのでありますが、聞くところによると、あの炭價の通りをやれば、六筒月間に夕張炭鉱は一億六千万円のまるまるもうけが出ることになつて來た。これではどうも少しぐあいが惡いようなので、考えおくということを聞いたのですが、これがほんとうでありますか、うそでありますか、真実のことを聞きたい。それだといつて、ほんとうだと言つておいて、貸料を出されて、いや違いましたなど言われぬようにしてもらいたい。
#37
○渡邊(誠)政府委員 夕張炭鉱がいくらもうかるようになるか、私どもはつきり計算したことはございませんので、わかりませんが、從來の炭價のメリツト制を強行して行きますと、從來の炭價の形に比べまして、大体北海道方面の炭價が現在よりよくなるということは言われます。なお宇部あるいは常磐方面の一部の炭鉱の炭については、これは從來より條件が惡くなる。こういう傾向があるわけでありまして、北海道炭がそれぞれのパリティー指数から行けば、現在よりも高く消費者は受取つてもいいんだ、こういう形になると思います。
#38
○川上委員 今までの質問並びに御答弁を聞いて、この間に非常に重大な問題がたくさんあると思うのです。この御答弁の中からだけであるのでありまして、從つて非常にお開きしたいことがありますが、時間もすでにこの時間になつておりますし、また労働委員会の方から御出席くださつておる方もあるのでありますから、私の質問はこれで打切ります。
#39
○賀來政府委員 先ほどの石野委員の御質問に対しまして、まだ情勢がわかりませんからと申しておきましたが、ただいま私の方で――というのは労政局で、大体推定情報によりますと、組合側は十一時から中闘を開いております。使用者側は十二時から協議を開始することになつております。從いましてこの機関がいかかる決定をするかということにつきましては、これは全然推定はできません。ただ非常に委員の皆さんも御心配になつていただいておりますので、われわれの單なる感想と申しますか、推定程度を御参考までにお話申し上げたいと思いますが、このこと自身があつせんに影響を及ぼしたり、あるいはこれが確定的なわれわれの回答だというふうに御了解願わないようにしていただきまして、お話を申し上げたいと思います。組合側は、第二項に「特別の事情あるときは」というのがありますが、これにつきましては、かねてから非常に氣にしていた点でありまして、強く反対をいたしておりますが、あるいはこれは、別に「特別の事情あるときは」という点についての解釈についての覚書を出しまして、解釈を明確にすることができれば、この点は何とかなるのではないか、こう思つております。経営者側におきましては、加配米のはね返りは認めるものと推定をいたしております。ただ第一項に「中央協定の定める基準によるを原則とすること」とありますが、この原則とするという表現が強過ぎるという感じを特つておるようであります。第二項については問題にしておらぬようであります。第二項というのは、各会社の事情々々によつて決定するという点であります。ただいまわれわれの見ておりまするところでは、労資双方とも全面的にこれを拒否するということはむずかしいのではないかということになりますので、これはあまり希望的観察をやつてはいけませんと考えますが、あつせん案の中で問題になつておりまする点を、さらに具体的に覚書にいたしますれば、あるいは双方とものめるような情勢が生れて來るのではないか、かように考えておりますが、労資の状態はおそらく二時ごろにはきまるだろうと思われております。
#40
○青野委員 私は石炭廳の方に御質問いたしますが、これは労組の方から聞いたのでありますが、商工委員会では非常に熱心に低品位炭鉱の問題で御答弁になつたそうでありますが、私が持つておりまするのは大ざつぱな推定でありますが、C級の炭鉱は、御承知のように九州、北海道が四千二百カロリー、常磐が三千五百カロリー、宇部山口が三千三百カロリーに決定しております。このC級の炭鉱には、特にカロリーが非常に高い石炭でも、一トン当り千円以上の赤字の出ておる炭鉱はすべてC級に属しておるということを聞いておつたのでありまするが、商工委員会では、この低品位炭の問題を非常に熱心に御討議していただきまして、大体九州地方を四千カロリー、それから常磐、本土を三千七百カロリー、山口の宇部炭を中心にいたしまして三千五百カロリーということに、低品位炭を御決定になつたということを聞いておりまするが、これによりますると、北海道のC級の炭鉱が約四十一あるのであります。東部が百九、西部が四十四、九州が八十二ありますが、全部で三百七十六炭鉱あります。このC級を、ただいま申しました九州地方は四千カロリー、常磐は三千七百カロリー、山口は三千五百カロリーと大体の標準を御決定になりましたが、それによつてこの二百七十六C級の炭鉱のうち、このカロリーを低くしたためにどれぐらいの炭鉱が壊滅状態からある程度救われるか。それからこのカロリーの決定によりまして、労資ともに非常に窮地に立つておりまする炭鉱は、数がどれぐらいあつて、その炭鉱には、金融、資材、その他の面で、それをどういう形で保護救済して行くかということを、数字をあげて――專門的の立場の責任者でありまするから、商工委員の方は御存じになつておるかもわかりませんが、労働委員の方はその点の数字の知識がありませんので、この点をまず最初に明らかにしておいてもらいたいと思います。
#41
○渡邊(誠)政府委員 ただいまこまかい数字を持ち合しておりませんけれども、C級炭鉱というのは、一つの内規の方針でありまして、これがすべての対外的のものをきめる基準にはなつておらぬわけであります。なおC級炭鉱と申しますのは、これはカロリーとか、あるいはコストの採算状態というような点ももちろん考慮に入れておるわけでありますけれども、埋藏量、あるいは炭層の條件というようなものも加味して、將來どの程度に発展して行くかというようなことを考えておるわけであります。單にカロリーだけの面から言つて、どういうふうにそれが変化するかということを算定するわけに行かないのであります。しかしながら、四千カロリーが一律に実施されるというような、これは公團の取扱いの問題の点でありますが、公團の取扱いが四千カロリーというところで全國を律したのが、山口地区が三千五百、あるいは常磐が三千七百というふうになりましたために、公団扱いの数量というものは、予定された数量の約半分が浮び出て來るという形になつております。
#42
○青野委員 この前の合同審査会のときにも、私は申し上げておつたのでありますが、そのときに、ただ抽象的にこのカロリーの低い石炭、いわゆるC級の炭鉱の救済については、資金の面あたりで政府は特に盡力するというようなことを聞いたのでありまするが、これは御承知のように、今石野委員からも御質問がありましたように、いろいろな協定、労資双方がいろいろ打合せをして、それぞれ会議を開いておりまするが、非常に大きい問題は、このC級炭鉱に関係のある炭労組合員諸君の立場でありまして、この炭労の全面的なストライキのほとんど中心になつておりまする理由も、これに非常に関連があるのであります。ただ今度のストは、労資とも話合いがついたといたしましても將來またこれがくすぶり出して、大きく問題が展開せられて來る。そのために四千二百万トンの目標の石炭は遂に達成することができないというような結果に及ばないとも限らぬのでありまして、結局ただいまの二千三百八十八円五十三銭の公團の買上げ平均値、カロリーは平均五千三百カロリーということで、このカロリーを商工委員会その他で協議の上決定しましたが、取残されておるC級の炭鉱をどういう形で具体的に救済して行くかということが、この機会に政府からはつきり示されておりませんと、ただ形の上で今回の爭議が解決いたしましても、すぐ追いかけて大きい問題が起つて來る、その根が残るのであります。この点につきましては、書類がないから、統計がとつてありませんからというのではなく、最も誠意ある御答弁をしておいてもらいたいと思います。
#43
○渡邊(誠)政府委員 C級炭鉱につきまして――もちろん全國の炭鉱が全力をあげて行くことは望ましいのでありますけれども、C級炭鉱を設けたということは、特に低品位の炭鉱、そういう種類のものは現在の石炭のうちで比較的需要が少いものである。同時に消費者の方から言つて、それを使う場合の工場の方の能率は非常に惡い。輸出をやる、あるいは産業を復興して行くという世界経済の中に入つて行く場合に、そういうものよりも、できるだけ能率のよいものを使つて行くようにならなければいけないというような問題等を考え合せて、あまり増産を望まない。むしろ高品位の方の増産を望むのだという、こういう一つの大きな経済の流れの姿に合して、そして炭鉱の事情消費者側の事情ともにらみ合して、需要の増加しないものを増産することは不適当であろうというので、増産を押えて――これはつぶそうというわけではないのでありまして、増産を望んでない、こういうわけであります。それで積極的な増産の協力はいたしかねる。しかしながら、なるべくそういう炭の向く、できるだけ近い消費地でこれを消費して行くような、つまり運賃のかからないところで消費して行くというようなことになるようにあつせんをして行きたい。なお生産をいたして來たための運轉資材というようなものは、もちろん供給いたして行く。それらの炭鉱と七千カロリーの炭鉱とを同じように増産を奨励して行くという形にはどうも扱いにくい、こういうふうに考えております。
#44
○吉武委員 ただいま青野君からも質問が出ましたが、この低品位炭の公團から除外の問題は、ただに事業主ばかりでなしに、それに使われまする労働者約八万、家族を入れますれば四十万の大きな問題であつたのでありますが、幸いにして商工委員各位の御努力によつて、これが九州炭においては四千、常磐三千七百、宇部三千五百に決定されましたことは、全部ではありませんが、その過半が救われることになりまして、まことに感謝にたえないところであります。ただ今お話がありましたように、それでも約二〇%なり三〇%のものが、宇部炭あるいは常磐炭におきましては公團から除外されるのであります。これは從來むちやに低品位炭を抱え込んだことでありますから、この際これをある程度は除外して行くということは、やむを得なかつたところでありますけれども、除外された石炭にとりましては、從來自分が販賣その他にルートを持つておつたのを、長い間の統制経済のためにこれを取上げて、そして配炭一手でもつてやつておつて、今ただちにこれをおつぽり出して、すぐ翌日からお前たちかつてに賣れと言われましては、なかなかやれないものであります。これは商工当局におかれましては十分御了承のことと思いますが、この低品位炭の増産の面をお抑えになることは、これはやむを得ないと思います。できるだけカロリーの高いものを余計掘るということは、経済全体から見れば望ましいことでありますけれども、今掘つておりますものはおつぶしにならないということであれば、しばらくの問、その販賣網をみつけるまでの間のつなぎ資金を御心配になりませんと、御承知のように、現在無煙炭にしても、有煙炭にしても、相当貯炭がある。貯炭を政府がお持ちになつておるところへ、お前たちかつてに賣れと言われましても、おそらく私はここ二、三箇月間はとまどうのではないかと思います。しかも炭鉱は相当の労働者を抱えておるのでありますから、それをやめて休業するというわけにはいかない。やはりある程度のものを掘らし、しかも賃金を拂つて行かなければならぬ状態でありますので、この点は私が申し上げませんでも、渡邊さんは十分御了承のことと思いますけれども、どうかひとつこれらの除外されましたところの無煙炭、あるいはまた低品位炭の方面につきましてのつなぎ資金だけは、何とかひとつ御心配願えないものであるかという点をお尋ねしたいのであります。
 なおこれに関連いたしまして輸送の面についても同様であります。低品位炭といえども、あるいは無煙炭といえども、全然今の世の中にいらないものであれば、これはやむを得ませんけれども、やはりそれぞれの向きの用途はあるのでありますから、公團から除外されました石炭、無煙炭につきましても、輸送の面についてはやはり他と同様な取扱いのごあつせんを願えないと、從來の自由経済のときでありますれば、自分の腕一本でやれたのでありますけれども、まだ統制経済のとり切れないときには、これだけのものが除外されて、一本立ちで行けということにつきましては、相当困るものができやしないか。その結果はどういうことになるかというと、やはり多数の労働者を抱えておることでありまして、失業問題、労働問題というものに関連を持つて参りますので、私は長くとは申しません、この三月なりあるいは半年間の、轉換をして軌道に乗る間のごあつせんを願えないものかということをお尋ねする次第であります。
#45
○渡邊(誠)政府委員 順序が違いますが、輸送の方を先にお答えいたします。輸送の方は需要のございますものにつきましては、貨車をつけることにいたしておりまして、支障は起きないものと思います。
 ただいまのお説の通り、実は冷たい頭をして冷たいことを言つておるようでありますけれども、大きな需要と供給の流れというものに対してはやむを得ない。しかしながら私たちは、終戰後のどん底の出炭から今日まで、一生懸命で掘つておる労働者と経営者と一緒になつて、努力して來ておるのでありまして、この山々がぐあいが惡くなるということは非常に私たちとして望ましくない。ただ大きなそういう流れになつて來ておるのだから、これらの山がいらないものを掘るというわけに行かない。しかしながら何とかしてそれぞれの形で生きるようにしたいということを一生懸命考えておるのでありまして、よりより相談もそれぞれの担当のところでいたしておるのであります。なお全体として、特に九原則のもとにおいては、きわめて優秀な炭鉱であつても、相当の合理化をはかつて、能率の向上をやつて行かなければならないという状況にあるのでありますから、特に低品位の山においては、一層の努力をして経営の改善をはかり、合理化をはかつて行くということをしなければいけないと存じます。そこで一方政府の機関である公團が多量の貯炭を持つており、これをもしいわゆるダンピングというような形で、安賣りするならば、りつぱに需要があり生きて行けるであろう山が、そのために賣れなくなつてつぶれるというようなことがあつてはいけない。そういう点につきましては十分私たちの方としても、生産者と、あるいは公團と一諸になつて、それの打開の道を考えて行きたい。なお從來工場方面で、もう望ましくないと言われておつたのは、配給先を統制しておる関係であつたのでありますから、これを、從來の配給を受けられなかつた工場、産業方面の用途、あるいは一般の家庭あるいはふろたきという方面にも向けられるようにしようというように考えておるのであります。なお資金の点は、結局現在公團は二箇月の資金融資をしておるかつこうになつておりますけれども、少くとも一箇月半くらいの回轉がなければ、現在の金詰まりのときには生産者か困るだろう、こういうふうに考えるのであります。もちろん生産者が困ることは労働者が困ることそれ自身でありますから、その点は將來自立の見込みのないもの、これはいたし方ないと思いますが、自立の見込みがあるにかかわらず、過渡的に金融がつかないというものに対しては、それぞれの山のしわけをいたしまして、動けるようにいたしたい。これは商工省としては全力をあげてそういうようにいたしたい。しかし現在非常に金融逼迫の状態にございますから、なかなか困難があると思いますが、ぜひそうしなければ、必要以上に、生きるものがむりに生きられなくなる形になるのではないかというように考えます。
#46
○吉武委員 ただいま、渡邊さんのお答えによりますと、資金の面については將來生き延びる望みのあるものについては十分考慮するということで、私はたいへん安心したのであります。この際もう一つ御努力を願いたいことは、今の御答弁にもありましたが、私は今日配炭公團が持つております貯炭が相当あるという裏面には、これの賣りさばきに対して、從來のように業者がやつていただけの熱意というものが、私は持たれないのではなかつたろうかという点を、実は心配をするのであります。この点につきましては、無煙炭についても同様でありまして、今日われわれは家庭におきましても、燃料には相当困つておる。木炭の配給というものがあるとは言つておりますけれども、事実政府が公約したところの木炭の配給はないので、村ではやみでこれを求めておるというような状況であるのであります。それにもかかわらず公團が相当の貯炭を全國に持つておるというのは、それに対する熱意に欠くるところがあつたのではなかろうかという点を私は考えるのでありまするが、これについて私は從來無煙炭については、農林省が実際の配給計画をやつておつたように思うのでありまして、この点は家庭燃料の一元化という点から見れば、あるいは木炭、薪と同様に統制をして行かなければならぬということも言えるのでありますけれども、今日だんだんと統制も撤廃をしておるときでありまするので、無煙炭の実際の賣りさばきにつきましては、私は商工省において從前のごとく統一的におやりになる必要があるのではないか。私は先般無煙炭の貯炭というのを聞いて、農林省にも参りましてお話を承り、やつと四月から大幅の統制の廃止にはなつたのでありまするけれども、まだ一部にはやはりその残滓が残つておる。こういうことが一般の市民から見れば、非常にきゆうくつに感じられる、それで足りなくても、勢いこういうものが手に入りませんから、ほかの方の燃料に仰ぐというような事情から、私はだんだん貯炭というような問題も起つて來ておると思うのでありまして、この点はやはり石炭業に関して、全責任を持たれまする石炭廳において、この無煙炭につきましても、生産から末端の配給に至りまする行政をも、責任をもつておやりになるという体制に切りかえられる必要があるのではないかと思いますが、この点についてどういうお考えをお持ちでありましようか。
#47
○渡邊(誠)政府委員 なかなかむずかしい御質問で困つておるのでありますが、ただいまの御説の点は、無煙炭の配給統制自体は経済安定本部で全体をやつておりまして、高級の無煙炭につきましては、ガス事業とか、あるいは肥料方面に参つておると思います。ただいまのお話の点は家庭燃料の豆炭、棒炭あるいはれんたん等に参るものについてのお話だと思います。その部門について商工省がやるのがいいかどうかという点は、私の方でちよつとお答えしにくいので、経済安定本部の方できめるべきだと思います。現在の配炭の仕組は、無煙炭に限らずいかなる産業にどれだけということを、すべて経済安定本部で、もちろん石炭廳の意見等も考えあわせまして、きめておるのでありまして、その産業に参りましてから先は、その産業部門を担当しておる官廳が、その産業内部の個々の工場別あるいは需用者別のわけ方をするように、すべてのものがなつておるわけであります。そこで結局豆炭、棒炭等の家庭燃料をつくる産業自体について、農林省にそれの監督指導をさせるべきか、あるいは商工省の方でやるべきかということかと思うのでありますが、その点はただいま私の方でやるのがいいという、お答えをするわけにも行かないと思いますし、どうも困ると思いますので、ひとつお許し願いたいと思います。
#48
○吉武委員 簡単にもう少し申し上げておきたいと思います。ただいま渡邊さんとしては御遠慮のことであつたかと思いますけれども、そういうことが勢い石炭あるいは無煙炭、棒炭の石炭につきましても、用途としてはやはり家庭用に向けるよりほかなく、あるいは工場用等につきましては、それはそのカロリーの高いものでなければ、生産コストが高くついてやれるものではないのでありまして、勢い家庭向にいいと思いますが、これらが農林省でやられますから、所管が違うために円滑なる運用ができない。でありますから、やはりこれは一元的にぜひおやりになることを希望いたしますし、われわれといたしましても、十分この点については考えて行きたいと思うものであります。
 ただ一点これはほかにも関連した問題ですが、昨日も労働委員会で問題になりましたのは、珪肺の問題であります。珪肺につきましては、金属出初めその他の工場におきましてもぼつぼつ出ておるのでありまして、これは労働者諸君にとつても非常に氣の毒な病気でございます。しかもまた業者にとりましても、これは一人珪肺患者を出しますると、今日では約五十万円からの金がかかるのでありますから、これを何とかして事前に予防することが必要であろうと思うのであります。昨年労働省なりあるいは商工省のあつせんによつて、珪肺に関する研究所もでき、またこれが予防の施設にも若干の國費の支出を見たのでありますが、この珪肺予防に最も必要なことはマスクの製造であります。非常に優秀なるマスクをかけませんと、ただ形ばかりのマスクではこの珪肺を予防することはできないのであります。ところが、このマスクの製造については、從來商工省と労働省との間に話がまとまりませんで、うやむやになつておるのでありますが、この珪肺問題は国際的にも非常に問題になつたことでありまするし、また日本におきましても、珪肺問題につきましては、労働省において何十年間これについて研究を続けて來ておるところでありまして、私はこういう鉱山の衞生に関する予防器具につきましては、ただものをつくるという面からでなしに、ほんとうにこれに役立つところの專門的な人々の指導監督によつてつくらなければ意味がないと思うのでありますが、これについて商工省ではどういうふうにお考えになつておりますか。
#49
○渡邊(誠)政府委員 非常に專門的な御質問でございまして、私も珪肺については、長い間鉱山に関係いたしておりますので、実際に経驗もいたしているのでありますが、事実私たちがこれを絶滅させることに全力を傾倒しなければならぬことはまつたくお説の通りでありまして、労働省が主管するとか、あるいは商工省が主管するとかいうことのそとの問題で、どの省が主管しようとも、たとえばマスクのようなものの製造というような点について專門的な研究をして――現在も政府は研究しておりますけれども、一層これを具体化して、山元へ送り込ませるようにしたいというのはまつたく同感であります。ただ少しうるさいので、せつかく送り込んだマスクが、現場では一番作業の盛んなときにはずされているようなこともあるので、これもまた経営者側その他の労働組合側の注意を喚起して、少しでも珪肺を少なからしめるように努力いたしたいと思います。
#50
○吉武委員 今の珪肺の問題は、お話のように現場で使わない、うるさがるということは私も了承しているのでありますが、今日労働者諸君も相当の自覚を持たれ、昨年の珪肺予防の予算も、労働組合が卒先してこれに協力されて、予算をとつたような事情もありますので、今後はおそらく昔のような、うるさがつてはずすようなことは少なかろうと思いますが、せつかく労働者に勧めてやらせるにいたしましても、かけてそれが効力がなかつたというようなものをつくらしたのでは意味がありませんから、これに対しては、專門家の意見を十分お聞き入れになりまして、優秀なるものを製造されるように御努力願いたいと思います。
#51
○青野委員 私は最後に商工省当局に強い希望を申し上げて私の質問を終りますが、各委員の質問に対しましても、石炭廳の方はわれわれの納得の行くような御答弁がないのであります。つきましては、三十三年度の下半期、約六箇月間くらいの程度で全図の各炭鉱を大体北海道、東部、西部、九州と大別いたしましてこういう炭鉱の地区、それからABCD級の級別の炭鉱の数、あるいはカロリーを中心にいたしましてその出炭量、そういつた商工委員と労働委員全体に日本の石炭増産の面がすぐにわかつて重要な参考資料になると思われるようなものを至急につくつて、商工、労働各委員の手もとに印刷物として配付していただきたいと思います。
 最後にもう一つ希望しておきますることは、特に無用の挑発をしたり、あるいは労働法規の決定しました後、將來は相当労資間に大きな摩擦が起つて來ることを予想しております。また石炭関係の問題は、今回のストが幸いに妥結点を見出して一應よく話がまとまりましても、やはり低品位炭、あるいは労資問の問題は相当取残されておる問題がありますので、こういう点につきましてもストライキが起らないのを予測して対策を立てることはできにくいという春日君の質問に御答弁がありましたが、石炭廳なり商工当局は特に爭議を未然に防ぐためには、常に労資間の対立の原因になるものを除去して行かなければならない。問題が起れば中央労働委員会に一切まかせて、政府は拱手傍観して、責任はないというような考え方では、将來の大きな労資間の紛爭は解決ができないのであります。その以前に政府の責任で四千二百万トンの、いわゆるメリツト本位による石炭の増産目標を立てますならばここに全責任を政府がもつて、この目標を達成するためには無用の労資間の対立を未然に防ぐようにふだんから万全の対策を立てて行く。そしてインチキのない、杜撰なものではないりつぱな資料を、いつでも商工委員なり労働委員が要求したときには出せるようにしておく。持つて來た六からということでなく、そういうものをすぐに配付のできるように、ふだんから用意をしてもらいたいと思うのであります。また労資問の問題にいたしましても、そういう資料が多くの紛爭のときには役立つと私どもは考えまするので、問題の起つたときは中央労働委員会に一切をまかせておけばそれでいいという考え方ではなくて、もつと責任をもつて、すべてこういう重大な炭鉱の問題は、商工省関係が双肩に責任を担うて、万事われわれの責任において片づけるという考え方のもとに、そういう資料の要求をいたしますると同時に、そういう考え方と決意で進んでいただきたいことを、私は最後に強く希望として申し入れておく次第であります。
#52
○渡邊(誠)政府委員 ただいまの資料でありますが、これは即刻提出いたしたいと考えております。
 なお一言申し上げておきますが、炭鉱の労働紛爭に関しましては、終戰後数次にわたり相当大きなストライキがございましたが、その解決がうまく行つたかどうかは別といたしまして、中央労働委員会のごあつせんによるようになりましたのは、今回初めてでありまして、他産業ではしばしば中央労働委員会にかかつておりますが、政府側としては炭鉱の労働爭議が起つたら中央労働委員会にかければよいというように考えておるわけではなくて、從來からも中央労働委員会に行かないようにして、できるだけ関係者の間で片づけるように努力しておつたことを申し上げておきます。
#53
○石野委員 私は金属鉱山産業関係につきましてお尋ねいたす前に一言石炭の問題について申し上げたい。ストライキが終つたならば四千二百万トンを確保するために労働強化がしいられるようなことはないかということをお尋ねいたしましたときに、渡邊次長はその憂いはないだろうという御返事でありました。しかし私どもは今度の協定がかりに私たちの希望するように、また先ほど賀來局長が申されましたように、円満に妥結するといたしましても、春日委員も言つておりますように、また私も心配しておりますように、これは暫定的な措置でありますし、七月以降におけるこの問題の解決のために大きなトラブルが生じて來るだろうということが予想されるわけであります。從つてそういう点から四千二百万トンの確保ということも困難になつて來るような部面もまた出て來るのではないかと思つております。そういう観点からしますると、必然的にやはり四千二百万トン確保のための労働強化がしいられる形が想像されるのでありまして、どうかそういうことのないようにということを私たちは希望したいのでございますが、この点について特に賀來労政局長にお尋ねいたしておきたいのでございまするが、労働強化に対する労政当局としましての確信のある今後のお考え方をここで御表明いただきたい。こういうふうに思つておるわけでございます。
#54
○賀來政府委員 ただいまの石野委員のお話は、合理的でない労働強化はいけないということであると思いますが、われわれといたしましても、あらゆる法規を嚴正に施行いたしますとともに、單なる法規だけでなくして、施策は総合的に行われなければならぬと考えるのでありまして、石炭廳からもそういう意向はないということを承つておりまするが、ただ單に石炭廳だけでなしに、関係各省とも十分連絡をとりまして、さような方向に努力をいたしたいと思います。
#55
○石野委員 炭鉱爭議の問題と関連しまして、金属鉱山関係の労働組合の諸君もやはり今交渉中であることはもう周知の事実でございます。この問題については、しばしば私どもあるいは商工大臣、労働大臣、または経済安定本部長官等からの石炭産業と金属鉱山関係の問題の取扱い方につきまして、從來商工大臣であつた大屋商工大臣または水谷商工大臣等がとつておつた基本的な方針を、稻垣商工大臣も認めて行くことの確認は得ておるわけでございますが、今度の問題解決にあたつても少くともそういう方針がとれるというそうした確言を私たちは信じて行きたいと思つております。ここで問題になります金属鉱山の問題につきましては、しばしば組合の側からも言われておりますように、金属鉱山それ自体の問題については、労働者といたしましても、企業家としても、今日の政府の施策においては経営なりあるいは作業が非常にやりにくいような状態になつておるわけでありまして、ことにいま、御承知のように、電氣銅のごときは五月現在におきましても一万トンからのストツクがあるといわれておる。そういう一万トンからのストツク滯貨があるということ自体がやはり生産を非常に阻害するような実情があり、また硫化銅のごときは徐々に生産が上昇して來ておる。無盡藏にそれがあるというときにもかかわらず、今度の政府の方策によりますると、約十万トンからの輸入の計画があり、それに対する三億円からの補助金を出すというような施策がとられておるように聞いておるわけであります。経済施策がそれでなくとも一般産業に大きな重圧になつて來ておるとき、金属鉱山自体といたしましてもこういうふうな問題に絡みまして、ことにマル公の問題等におきましても、石炭と比較しますると、非常にひどい取扱いを受けておるというふうに、われわれは承知しておるわけであります。こういう問題を一切含めて、いま政府におけるいわゆる鉱業政策というようなものについてはつきりしたものを出すようにということは、しばしば私どもは要望しておるところでございますが、今日においてもまだその点について確たる方策が明示されていないやに思うのでございますが、この点について鉱山局当局の御意見を承りたいと思うのであります。
#56
○長谷川政府委員 金属鉱山の今後の行き方につきましては、実は私どもといたしましては、目下対策につきまして検討中でありまして、全然ないわけではございませんが、いろいろな意味におきましてまだ問題を藏しておりますために、発表にはなつておりません。これは基礎物資であるということは間違いないことでございまして、われわれといたしましては極力輸入資金の節減を画して、需給の改善をはかるために、今後硫化鉱、硫黄、銅、鉛、亜鉛、鉄、石油、石灰石については必ず生産数量が殖えるようにいたしたいと存じております。それにつきまして国内資源の開発が何と申しましても第一番でありますので、その意味におきましてそれに必要な資金資材の注入につきましては極力努力しておりますが、特に價格政策につきましては、現在のような國際價格に比べまして低いような價格では、どうしても今後鉱山対策はできないと感じておるのであります。この点につきましては物價廳と相談をいたしまして、その引上げの方向に向つて努力をいたしておる次第であります。電氣銅につきましては、現在國内の滯貨が相当ありますので、これについては輸出をすることに決定を見まして、硫化鉱につきましては、現在硫安並びに過燐酸の生産の上昇のカーブと硫化鉱のカーブとは必ずしもマツチいたしません。現在まではどうやらとんとんに参つておりましたが、今後につきましては多少の國内増産のほかに、手持ち硫化鉱を必要といたしまして、若干の硫化鉱の輸入ということにかかつた次第であります。
#57
○石野委員 鉱山関係の問題についてのあらゆる政策の檢討については今やつておりますが、はつきりしたものは出ないということは確かに心外でありまして、特に鉱山の持つ意味において、石炭と同位にわれわれは考えなくちやなりませんし、また國内における資源として非常に重要なものであると信じますので、この点については、どうしても早く政府当局におきましても、これは特に政府與党であります民主自由党などで眞劍に考えていただきたいと思うのでありますが、これはひとつ確立していただきたいと思うのであります。鉱山の問題につきましては、ひとり價格の問題だけでなくして、いわゆる賃金の関係につきましても、他産業との関係、あるいは輸出関係につきましての問題についても、海外における銅地金等の需要も非常に大きいのに、日本における輸出の限界は大体製品というようなものだけでなければならないというような考え方をしておるとか、あるいは仕切りせられました結果非常にむずかしいために、輸出の困難性を來しておるというようなことがあつたりいたしまして、そのためにそいうものが非常に困難な事態になつておると思うのでありまして、こういう問題について当局としましての御見解は、このままで今のところ仕方がないのだからやつて行くのだというようにお考えになつておるのか、それともこいう問題は早急に考えられるべき問題であると思うが、それについての御見解を私どもはお聞きしたいと思うのであります。なおことに製品でなければ海外とのいろいろな取引ができないために、金属鉱山においてはいわゆる精錬所等を持つておるところでは非常に採算的にも都合よく仕事もやれますけれども、そうでないところは、非常に苦しいような状態になつている。こういう精錬所を持たないような鉱山に対しましては、政府としてはどのような処置をとつて、これらの鉱山を今後日本再建のために救つて行こうという意図を持つておられるか、こういうようなことに対しての御意見をお伺いしたいと思います。
#58
○長谷川政府委員 ただいま鉱山の開発につきましては、價格の問題を非常に重視しなければならないということを申し上げたのであつて、價格の点だけでもつて解決するというふうには考えておりません。但し現在の鉱山は戰時中の荒廃濫掘によりまして、戰前に比べましてその状況が非常に惡くなつていることは御承知の通りであります。從いましてこれらをまず改善するために、いろいろな助成的施設を行わなければならないと思いまして、そういう点につきましてわれわれとしてせつかく努力しているわけであります。ただ鉱山によりましては、それぞれその規模、種類等におきましていろいろ差別がありますので、必ずしも一律に申すことはできませんが、その経営状況などにつきましても、われわれといたしましては不断の檢討をいたしまして、誤りないようにいたしたいと思つております。
#59
○石野委員 特に精錬所など持つていない山は非常にやりにくいという実情がはつきり出ておると思うのでございますが、こういう問題を具体的に今まだそのまま手放しにしておこうとお考えになつているのかどうか、特にこの点に対する金融措置は、今日考えなくてはならぬ問題になつていると思うのでありますが、その点についての御意見を承りたい。
#60
○長谷川政府委員 御指摘のように精錬所を持つておる山と持つていない山とは大分差別があります。特に場合によりましては精錬所を持つていない山はいろいろな意味で非常に不利なことがあることは事実であります。これにつきましては共同の精錬所をつくるということも考えられますが、ただいま御指摘になりましたような、そのほかのいろいろな意味におきましても、これがあまりに不利にならぬようにいたしたいと考えております。
#61
○石野委員 はつきりした御答弁をいただけませんので、つかみどころがないように思うのであります。一應その点はそれでおきまして、先ほどちよつと私申しましたのですが、非常に電氣銅などは滯貨が多いわけでございます。この滯貨の一掃について特に政府として今お考えになつている問題がありますか、今の関係はどのようなものであるかお伺いしたい。
#62
○長谷川政府委員 電氣銅の滯貨につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけこれを製品化して輸出したいというように思つております。すでに電線につきましてはインドに若干の輸出の引合いがありまして、なお製品だけでは輸出が十分出ませんので、電氣銅自体に対しましての輸出も、現在の滯貨につきましてはやる必要があると思いまして、この点につき考慮いたしました結果、三千トンの輸出をとりあえずやることにいたしました。滯貨の状況によつては今後ともやれることと思つております。
#63
○石野委員 これらの問題を総括しまして一番最後にお尋ねいたしますのは、鉱業部門に対するはつきりした政策の樹立ということについて、早急に何かそれについての処置なり何なりお取りになられるかどうかということの御意見をもう一ぺんお聞きして私の質問を終ります。
#64
○長谷川政府委員 現在でも成案がないわけでございません。從いましてただ為替レートの決定その他によりましていろいろ事情が変化いたしますために、われわれといたしましては成案をはつきり決定いたす前に事情がかわつておるようなわけでありまして、從いまして現在の状況に合せた対策を早急にいたしまして、はつきりいたしたいと思つております。
#65
○倉石委員長 ただいま議員柄澤登志子君より委員外発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○倉石委員長 御異議ないと思います。御承知のように本会議も開催されておりますので、御質疑も答弁もなるべく簡明に願います。柄澤登志子君。
#67
○柄澤登志子君 貴重な時間を拝借しまして御礼を申し上げます。お伺い申し上げたいことはたくさんありますが、簡單ということでございますから、残念でございますが、二、三について要点だけ御質問申し上げますから、御答弁願いたいと思います。私どもといたしまして今商工委員会に出ております配炭公團の問題であるとか、それから炭鉱のストにからみまして懸念いたしますことは、これは第一の点でございますが、また今までもそうであつたと思いますけれども、ABCというようないろいろな等級を設けておられまして、カロリーと灰分によつてその炭質を区別されていたのでございますが、これを檢討いたします際に、私ども廣く一般家庭の消費者の立場として考えましても、つけられております等級の値段に比べますと、まつたく品位が異なつておるものが配給される場合があります。また運輸省などにおきましても非常にやはり炭質が惡いために、運輸の上にいろいろ支障を來しまして、線路も早くいたみましたり、能率があがらずに労働強化になつたり、人員をふやさなければならなかつたり、あるいは経費の点も何十億という厖大な損害が出ておるわけでございます。こういう点について、今まで大体配炭公團から山元駐在員という者が出ておりまして、これらがいろいろそういう点についてのことを担当しておるというように聞いているのでございますけれども、こういう点は今後どうなるのでございますか。お伺いいたします。その山で出ますところの石炭、山から貨車に積み出すところの石炭が何カロリーであるか、どういう品位があるか決定することを、商工省ではどういうふうになさるかということでございます。
#68
○渡邊(誠)政府委員 ただいまの御質問の御趣旨の、最もはつきりした品質のものが手に入るというのは、まつたく自由取引によつておのおのの間で責任を持つ場合に完全に行われていたように考えております。それは戰爭前の自由時代には銘柄賣炭をやつておつたわけですから、その品質についてはその生産者が責任を負う。現在、公團で一手買取をやつておりますので、政府機関である公團がその責任を中間において持つているわけでありますけれども、公團は各地域に分析所を持つておりまして、そうしてカロリーの分折をいたしております。カロリーの分析は相当の時間を要しますので、カロリーの分析以外に灰分の分析をいたしまして、全部を平均いたしませんとわかりませんが、ある炭鉱についてはそこの炭鉱の灰分が二〇%のものは大体どのくらいのカロリーかということがおのずからきまつておるわけでありまして、それによつて常にサンプルを取りまして補正をしておるわけであります。山元駐在員というのは、これは積出しの貨車の向け先が指示された所と違う所に行きはしないか、あるいは目減りがありはしないかというようなことを監督し、正常の取引ができるように駐在して立ち会つて努力しているわけでございます。中にはそんな間違いのがあるかと存じます。なお、鉄道の方で非常に能率が惡かつた。これは終戰後、第一に唱えられて、戰爭前の鉄道の使用炭と現在の使用炭を見ても、走行マイル数を見てもわかるわけでございます。荷物の量から見てもわかるわけでございますが、これは明らかに從來より炭が惡いということであると思います。盛んに問題になつている低品位炭をどうするか、どういうふうにしてカロリーを上げるかという問題と、低品位の山もそれなりに使われて行くような用途に行くようにして、活用して行きたいという問題とからみ合つて、その最もよい点を発見することはなかなかむずかしい。現在の日本の炭質状況は大体五千七百カロリーでございまして、平均六千カロリーくらいにこれが到達いたしますれば、鉄道の方面には鉄道に向くような程度のカロリーを持ち、そして灰分の率によつても鉄道の能率が違うと思いますので、そういう点が満足できるようになるのじやないか。現在の段階といたしましては、日本全体として満足できない形ではあるけれども、まあ終戰当時よりは炭質は三百カロリー上つているわけであります。順次、低品位炭が高品位炭に置きかわつて、能率が上るように行く。低品位炭はそれぞれの家庭用の用途に行く。家庭は木炭とか薪だとかとにらみ合せて、石炭を使うのがいいかどうかということで、需要と供給が出て來ることは御承知の通りだろうと思います。そこで家庭に行く炭なり、あるいは北海道には暖房炭があるわけですが、思つたような炭質のものが行かない。價格に対して質が惡かつたというのは補正をしなければならないと思います。それから六千カロリーなり五千カロリーの炭をストーブにたきたいと希望されたにかかわらず、たとえば北海道であれば天北炭の一番炭質の惡いものが行つたというようなことであれば、需給の関係からいつてなお改善の余地があるかもしれませんが、なるべく本土に良質炭を送つて、産業能率をあげたいということで、できるだけがまんしていただくという方針をとる。この間の冬は暖かかつたので、相当炭は余つた状態で、そんなに惡いものは行つていなかつたのじやないかと私は思つております。
#69
○柄澤登志子君 暖いから炭が余つていたんではなくて、買えなくなつて來ているという点を考えていただきたいと思います。一昨年の例でございますけれども、家庭用石炭のために北海道廳では、長官みずから乘り出しまして、大採炭をやらせまして八十四万トンあげたのでございますが、能率を上げて、時間外労働や公休返上で労働強化いたしまして、労働強化で増産いたしましたこの炭が北海道民の家庭には來なかつたという実情がございます。一部分は來たけれども、ほとんど山に投げてありますズリ炭とか、あるいは粉炭とか、こういう燃えないものが大部分われわれに配給されたのでございます。ですから町では石炭の價格を下げてくれという運動、つまり大資本に対しましては相当の價格の石炭補助金が出ておるのに、われわれ労働者は買えないで困つている。北海道におきましては、石炭は米と同様に必需品でございます。その石炭が高い値段で、独占的な價格で、しかも実際燃えない石炭を與えられたというような状態でありまして、こういう点について、ただいま当局の御答弁では、自由経済になれば解決するというようなお話でございましたけれども、私どもといたしましてはどうもこれでは満足が行かないのでございます。つまり炭鉱がたくさんの補助金をもらいまして、戰後復金から、御承知のように、たくさんの融資を受けておりますのに、ふしぎなことに労働者が食えません。消費者は燃えない石炭を使つております。この原因はどこにあるかということで、私どもずいぶん追究して來たのでございます。そういう点につきまして、ただこれを自由経済にすればよろしいというようなお考えでもし今度の配炭公團法というものがきめられ、そうしてこれが大手筋によつて販賣権が握られて來ましたならば、私ども消費者はどういうことになるかということを非常に懸念するのでございます。私どもはどうしても販賣も一元的な正しい民主的なものでなければならない、今までのような官僚的な、上から強制するようなものだから、そういうことが起きるのでございますけれども、この配給の機関は一元的なものでなければならないと考えているわけでございます。從いまして、配炭公團の法案が改正になりまして、中小炭鉱が三千五百やいろいろ差別ができたようでございますけれども、配炭公團の手から離れましたところのこれらの石炭を一元的に政府ではお取扱いになる御用意があるかどうか、こういうことにつきまして御意見を伺つてみたいと思うのであります。そうしませんと、非常な混乱が生ずるであろう、また配炭公團のもとの業者であつた人たちが、自分たちがそれによつて生きようといかに考えておりましても、これがまた独占資本で準備しております販賣機構の中に独占的に入れられたといたしますと、いろいろな点で消費者は非常な不利な立場に追い込まれることになるとわれわれは考えるわけであります。ですから一元的に民主的なそういう機構をおつくりになる御用意がないということでございましたが、できますならば、ここに配炭公團から首になるところの人々が雇用されるべきが当然でなかろうかと思うのでございますが、いかがですか。
#70
○渡邊(誠)政府委員 配炭公團の統制からはずれた炭について、これを一元的に政府が取扱う意思はございません。それからそれを扱う人がどういうのがいいかということについては、いろいろな意見がございましようと存じますが、とにかく一部では配炭公團は政府の機関であつて、販賣についての熱意がないという御意見もあり、また自分たちでやるならば、新しい用途と申しますか、消費先を発見することもできる。そうして生れながらに質の惡い炭もそれぞれの需要を切り開いて、その炭鉱並に生産をして行くこともできるという御意見もあり、それは見方によつてどちらがいいかということになりますが、現在のところでは政府の方で統制する意思がなし、またそれを販賣するについて地域的にそれぞれの業者の人たちが共同した形で、合同でそれの賣りさばき先を開拓して行くということをなさる場合には、大体そういう形に進んで行くのだろう、一つ一つでやられるよりむだが少いから、合同して地域ごとにやられると考えておりますが、その方がいいのではないかと思つております。その機関に從來経驗のある人あるいはそういう能力のある人たちが雇用されて行く、それはその機関が選ばれるわけで、私の方としては一元的な組織をつくる意思は持つていないわけであります。
#71
○柄澤登志子君 それでは爭議のことにつきまして御答弁を煩わしたいと思います。先ほどすべての問題が、結果におきましては増産されれば解決するのだというような御答弁であつたと思うのでございます。私どもの経驗では、昨年三千六百万トンを掘りますのに相当むりに労働が強化されまして、このことにつきましては関係方面からも調査團が派遣されまして、資本家の生産サボタージュが明らかにあるということも指摘され、その目的達成のために機械化でございますとか、いろいろなことが指摘されていたのでございます。ところが今年度になりますと、金属産業の方面で私ども調査いたしますと、炭鉱機械の注文がほとんど断わられておるという状態であります。金属工場におきまして炭鉱機械の注文を断つておるということになると、労働強化以外にはないと思うのでございますが、このことにつきましてはどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
#72
○渡邊(誠)政府委員 昨年中に炭鉱には機械がたくさん入つたことは事実でありますが、昨年の末になりまして、三原則その他の関係から機械をつくる工場に対する炭鉱からの代金の未拂いが増加して参りまして、その関係から、これ以上は、代金を拂わなければ品物を引受けない。あるいは積み出さない。坑木についてもいろいろな議題が起つて、よく御承知の通りだと思いますが、これはやはり製造工場も期限をつけなければ原料が買えなかつたり、賃金も拂えないのでありますから、拒否されることはやむを得ないのでありますけれども、それでは炭鉱もぐあいが惡くなり、よその産業がまた全体に縮小の姿になつてつぶれる。これを打開するのは、やはり炭鉱の方の未拂いを片づけて行く以外にないのではないか、先ほどの御質問でも申し上げましたが、これについて炭價の決定次第に融資の方法をとり、不満足ながら順次それを回轉がとまらないように油を差すような方法を講じたいと考えておるのであります。
#73
○柄澤登志子君 そういたしますと、大体原因は大きく融資のことになつて行くと思うのでございますけれども、紛爭のことにもどりまして、三千六百万トンが労働強化で無理であるから、機械化しなければならないと言われておりましたものを、四千万トンが割当てられて、大体二〇%の増産ということが炭鉱の上に來たわけでございますが、切羽に入つて見まして、一番苦しんでおりますのは先山でございまして、これ以上はどうしても掘れない、これ以上の力は出ないというような状態だと思うのでございます。これをどうしてもやれ、この割当が完成できなければ給料に八〇%しかやらないというのが、今度の爭議のそもそもの原因ではなかろうかと思うのでございます。能率を上げれば上げるほど労働者の割当が多くなつて來て、さらにそれが鉄道などの場合におきましても、これだけやれるんだからこれだけの人が余る。九原則ではこれだけしか予算がないから、その仕事の予算の面でこれだけの人員でこれだけの仕事をやれたんだから、今度の予算ではこれだけの人が余るというようなことになつて來るのでございます。それでございますと、増産が結局この問題の爭いを解決するということではないと思うのでございますけれども、こういう根本的な今度の爭議の解決につきまして、増産すればが解決がつくというのではなくて、結局は融資その他に原因があるのではないかと思うのでございます。それにつきまして、時間もございませんし、商工委員の各位もおられますし、労働委員の方もおられますので、私ども北海道の炭鉱の現状をいろいろ昨年、一昨年以來切羽にまで入りまして調査しました立場から申しますと、復金から融資されておりますものが、労働賃金の要求を掲げまして労働者が交渉いたしました際には、労働賃金に支拂うものが融資されていないんだ、資金がないということで、赤字であるということで、常に拒否されておるわけであります。今日は時間がありませんのでここで打切りたいと思うのでございますけれども、復金から炭鉱へ融資されましたものが、どう使われているかということを、炭鉱の爭議を解決いたします場合の一つの方法といたしまして、両委員会が嚴重に調査していただきますことを要望したいと思うのでございます。それが常にもとでございまして、労働委員会にかけたことはないとか、たいへん御自慢のようなお話ではございましたけれども、ほかの産業にないような実に屈辱的な紛爭処理機関等をつくつておりますのが石炭産業でございます。そうして非常なむりがあり、非常な圧迫があり、いろいろな紛爭がありましたのでございますから、その点をぜひやつていただきたいと思うのでございます。そうでありませんと今年の冬などは、私ども北海道では石炭がたけないのではなかろうか、また買えないのではなかろうかというようなことを非常に懸念しておるのでございます。
 最後に北海道の炭鉱が除外されましたことは、北海道が比較的影響が少いということであるそうでございますけれども、その点だけでなく、もつとほかにも理由がございましたなら明瞭に御答弁願いたい。つまり宇部と常磐がおもでございまして、北海道はこのたびの法案の関係に入らなかつたわけでございます。六十四炭鉱の中小炭鉱、約百万トンを産出するところでございまして、そのうちの多くがやはり低品位炭鉱だと思つておりますが、その点につきまして御答弁願いたいと思います。
#74
○渡邊(誠)政府委員 法案の改正で特に北海道が除外されたわけではないのでありまして、政府の原案は全國一律に四千カロリーということで提出いたしました。それについて商工委員会で宇部炭鉱、常磐炭鉱についてはそれぞれ三千五百カロリーあるいは三千七百カロリーに訂正することが適当であろうとお考えになりまして、商工委員会で修正されたわけであります。
#75
○倉石委員長 ほかに質疑の通告もないようでございますから、本日はこの程度にて散会いたします。
    午後一時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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