くにさくロゴ
1947/07/02 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第9号
姉妹サイト
 
1947/07/02 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第9号

#1
第001回国会 本会議 第9号
昭和二十二年七月二日(水曜日)
   午前十時十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第八号
  昭和二十二年七月二日
   午前十時開議
 第一 國務大臣の演説に関する件(第二日)
 第二 皇室会議の予備議員の選挙
 第三 皇室経済会議の予備議員の選挙
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は、御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。お諮りいたすことがございます。議員岸野牧夫君、猪清六君、殿岡利助君より辞表が提出されております。これより参事をして辞表を朗読いたさせます。
   〔宮坂参事朗読〕
昭和二十二年六月二十五日参議院議員岸野牧夫参議院議長松平恒雄殿退職願昭和二十二年六月十二日附総理大臣殿ヨリ昭和二十二年勅令第一号ニ基キ同令第四号條ノ覚書該当者トシテ指定ヲ受ケマシタ依テ参議院議員ノ職ヲ退クコトニ致シマスカヲ御願ヒ申上ゲマス
         以上
    …………………………………
辞職願参議院議員 殿岡 利助私ハ一身上ノ都合デ議員ヲ辞職致シタイカラ御願ヒ致シマス昭和二十二年七月一日殿岡 利助参議院議長松平恒雄殿
    …………………………………
辞職願参議院議員 猪飼 清六右ハ一身上ノ都合ニヨリ辞職致シ度此段及御願候也昭和二十二年七月一日右 猪飼 清六参議院議長松平恒雄殿
    ―――――――――――――
#4
○議長(松平恒雄君) 岸野牧夫君、猪飼清六君、殿岡利助君の辞職を許可することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(松平恒雄君) 議事日程の変更についてお諮りをいたします。議事の都合により、この際日程第一を後に廻したいと存じます。御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#8
○議長(松平恒雄君) 日程第二、皇室会議の予備議員の選挙。予備議員は二名でございます。尚選挙に当たりましては、予備議員の職務を行う順序を定めることになつております。
#9
○北條秀一君 只今議題となりました選挙につきましては、成規の手続きを省略して、議長指名とすることとなし、尚その職務を行う順序は議長の指名した順序によることとするの動議を提出いたします。
#10
○天田勝正君 只今の動議に賛成いたします。
#11
○議長(松平恒雄君) 北條君の動議に御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては徳川宗敬君、櫻内辰郎君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#13
○議長(松平恒雄君) 日程第三、皇室経済会議の予備議員の選挙。予備議員は二名でございます。この予備議員につきましても、その職務を行う順序を定めることになつております。
#14
○北條秀一君 只今議題となりました選挙につきましては、成規の手続きを省略して、議長指名とすることとなし、尚その職務を行う順序は議長の指名した順序によることとするの動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#15
○天田勝正君 只今の北條君の動議に賛成いたします。
#16
○議長(松平恒雄君) 北條君の動議に御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては小泉秀吉君、石坂豊一君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#18
○議長(松平恒雄君) 日程第一、國務大臣の演説に関する件。昨日の國務大臣の演説に対し、通告順によりましてこれより質疑を許可いたします。板谷順助君。
#19
○板谷順助君 商工大臣がお見えになつておりませんが、出席を要求いたします。
#20
○議長(松平恒雄君) 商工大臣は、止むを得ざる公務によりまして、まだ見えませんが、十二時頃には参られる筈でございます。
#21
○板谷順助君 演説の時間制限が三十分になつておりまするが、場合によつて延長することも止むを得ざることを、予めご承知置きを願つて置きたいと思うのであります。私は商工大臣に対して重大な質問があります。
#22
○議長(松平恒雄君) 演説の時間につきましては各派の申合わせがございますから、大体それによつて参りたいと思います。尤も僅かの延長は差支ございません。[板谷順助君登壇、拍手]
#23
○板谷順助君 私は諸君のお許しを得まして、政府の施政方針に対して所見を質したいと存ずるのであります。
 先般総選挙の結果、國民の輿望を荷いまして社会党が第一党となり、憲政の常道に基づきまして、片山総理首班の下に三派連立内閣は成立いたしまして、この重大なるところの時局を担当されましたことについては、大いに敬意を表する者であります。又我々参議院の自由党といたしましては、野党ではありまするが、現在の時局の重大なることに鑑がみ、又昨日総理の演説の中にもありましたが、我が國が民主的平和國家を建設することにつきましては、我々國民といたしましては一致協力をして、一日も早く講和会議の実現を期さねばならんのであります。従つて我々はこの点について協力を惜しむ者ではありません。又現内閣の成功をひたすら祈る者であります。併しながら一面大局から見まして、我々参議院といたしましては、二院制度の本義に基づきまして、いわゆる衆議院の行き過ぎを抑制する意味において、独自の立場においてあらゆる政策を検討するということも、我々の当然の責務であると信ずる者であります。私がこの際諸君の御同意を得たいことは、参議院議員としては、品位と見識とを以つて行動したいことを、ひたすら念願をいたしておる者であります。そこで私は、今回政府が一大國民運動を起すということを提唱されておる。この点については勿論同感であります。同感でありますが、この現在の時局を乗り切るということにつきましては、勿論ただ單に精神運動だけではいかない。いわゆる物的方面において人心を安定せねばならん。従つて先づ第一に食糧の問題、この点については、昨日政府は施政方針の演説においていろいろの項目に並べておられるのでありまするが、いやしくも責任者であるところの農林大臣、農林大臣が一体なんといつておる。農政通を以て任ずるところの農林大臣が、農林大臣になつて初めて食糧の不足であることが分つたというのは、一体なんであるか、であるからこの食糧問題については、先ず第一に國民が納得の行くように具体的の案を定められざる限りは、いわゆる人心は安定はしない。その次の問題は、いうまでもなく海外から五百万人以上の人々が帰つて來ておる。これらの氣の毒な同情すべきところの人々、これに対するところのなにやら具体的な援護対策なるものが示されておらない。(拍手)のみならずインフレの克服、現在ご承知の通り日増しに上りつつある、「うなぎ」上りのように増進しつつあるところのインフレ対策、これについても昨日施政方針の演説において屡々述べられましたけれども、これに対するところの具体的のなにやら案が示してない。又更に産業合理化による失業対策が起こることは当然である、当然でありまするが、この失業対策に対しては、失業保険或いは失業手当、消極的の問題であつて、積極的に我が國の産業の振興を図るについて、この失業対策を如何にするかということの、なにやら具体的な案を示されておらない。でありまするから、國民運動を起すということについては、これらの案を國民の前に示して、國民が納得行くように具体的の案を示さざる限りは、如何に國民運動を起こすからといつても、ただ精神方面のみであつては決して効果はない。これは私は先決問題であると信ずるものであります。(拍手)従つてこれによつて、要するに人心の作興、いわゆる國民が振い立つ、これに対するところの政府は積極的の案を示さなければならん、これを私は先づ第一に政府に要求する。
 次の問題は、この度の政府の施政方針の演説においても、片山総理が屡々お述べになつた。又安本和田長官もいろいろお述べになつた。私は静かにこれを聴いておつたのでありまするが、いずれも抽象的である。現在の我が國の國情は、かくかくであるということを述べられたにしか過ぎない。勿論組閣日浅いことでありまするから、具体的の案をお示しになるということは困難でありましよう。困難でありましようが、お述べになつたことを我々は吟味して見ますというと、実行する、國民の協力を求める、これは当然であります。当然でありますが、ただ示された中に、料理屋の休業を來る五日からやるという、実行に移した点はこの一点である。あとは抽象的であつてなにら示されておらない。であるから、私はこの首相の演説並びに安本長官の御説明を承つて、特に感じたることは、いかにもだ、これは甚だ失礼な言葉であるかも存じませんけれども、如何にも勤労大衆のみ媚態を呈せられたような私は感じをいたしたのであります。この見地から私は政府の所見を質したい。どうか私の申し上げまする問題について、その触れたる点については所管大臣よりおのおの御答弁を願いたいと存ずるのであります。
 先ず第一に私は片山総理に伺いたい。片山総理は人格者である。実に今回輿望を以て総理となられたのであります。ところが片山総理が精神革命、精神危機を強調されておる。又総理は精神運動であるということを力説されておる。成るほどその通り、我が國の現在は御承知の通り道義が廃れておる。これに対して國民の自覚を求めなければならんことは当然であります。当然でありまするが、私はこの際片山総理の政治的の根本理念を一つお伺いをしたい。あなたは三十年來勤労者の味方である。勤労者の友達であるということを唱えておられた。又現在社会党の総帥として、いわゆる社会主義の遵奉されておることと私は信ずる。社会主義なるものはいわゆる唯物史観、これが守り本尊、従來の社会主義なるものは唯物史観なるものが守り本尊である。然るに首相の印綬を受けられて、今回卒然としてこの精神革命を説かれたのは、一体片山首相は従來社会主義を遵奉しておらなかつたのか、或いは又現在の時局が重大である。重大であるからこの際これを放棄したのであるか、この点について私は片山首相の信念を伺いたい。(拍手)更に又片山総理大臣は、マッカーサー元帥よりキリスト教信者でである、従つて人格者であるということを推奨されておられます。私はこの点に対して、同君のために誠に悦びに堪えない。が、このキリスト教の教義と、いわゆるこの共産主義なるものは如何なる関係を持つか、(笑声)笑いごとじやない。この点をはつきり説明したらよろしい。(「共産主義はおかしい」、「社会主義にいろいろあるぞ」と呼ぶ者あり)あつたら説明したらよろしい。(「謹聴」と呼ぶ者あり)この点を私は先ず第一に伺いたい。御承知の通り我が國は支那事変以来、軍部官僚の圧迫によつて、民意民力は萎縮沈滞に陥つておる。この惰性が未だに抜け切つておらない。更に加うるに敗戦後の我が國の世相は、道義は廃れ、人心は弛緩をし、これを産業界の方面に見ましたならば、いわゆる経営者側においては、労働の攻勢を惧れ、或いは赤字続きのために、自主的独立の精神を以て企業するという意思に欠けておる。又進んで仕事をするという氣魄もない、これが実情だ。又勤労者側から行きましたならば、いわゆる生活は困難である。物資は足りない。これらの関係におきまして、いわゆる賃金値上げの問題に集中しておる。これが事実だ。その結果いわゆる企業の再建に対するところの熱意が欠けておる。或いは又労働意欲というものが衰頽に陥つておる。これはどういう結果だ。どういう結果だと申しますると、いやしくもこれらを指導する立場の人々の指導方針なるものが、階級闘争至上主義を目標として、これに集中しておるその結果である。その結果今日のいわゆる産業の衰頽の原因というものも大いなる理由があると私は思う。一体誰がこれを指導した、勿論産業方面において労働組合の健全なる発達をすることを希望することは当然であります。当然であるまするが、今後におけるところの労使協調において、現内閣は如何なるところの指導方針を以て臨む考であるか、御答弁を願いたい。御承知の通り労働拘束八時間の制度は決つておる。決つておるが、今日これに対するところの如何なる能率が上つておるか、これはいわなくても諸君はお分かりでありましよう。今日我が國の状態、この日本を再建するということにつきましては、労働軽減よりは労働強化が最も必要な場合であります。(「馬鹿なことをいうな」と呼ぶ者あり)馬鹿なことではない。よく聴け、ところがソ連のごときは、あの困難な五ヶ年計画を建てるにつきまして、労働者側より進んで土曜労働、日曜労働を提供しておるという事実がある。勿論経営者側におきましても、産業を合理的或いは民主的に改善せねばならんことは沢山あります。これは当然であります。併し労働者側におきましても、この勤労意欲が向上せざる限りは、我が國の現状は労資共倒れの結果になるのであります。(拍手)。これは当然の運命である。次にこの労働問題を解決することにつきましては、なんとしてもいわゆる賃金と物価との均衡を保つことである。これが重大問題だ。ところが今日諸君も御承知の通り、昨日も総理が申されたのでありまするが、戦前の三割より生産ができておらない。従つて生産費の五割乃至七割が人件費であります。現在のインフレがますます増長いたしましたならば、恐らくは結局産業は破滅に陥る結果になると私は思う。そういう運命を辿りつつある。例えば一例を申すならば、これを金融方面から見ましても、赤字補填のために、これまで出しておる金が驚くなかれ七十億円だ、ストツクの処分或いは自己資本の手賄いによつて、これらの金額を合わせて見たならば、恐らく百億円の赤字が出ておる。民間企業に対してでありますぞ、こういう実情だ。これを一体現政府はよく知つておるのか。であるからこれに対するところのいわゆる労資協調、或いは組合運動に対する現在の政府は如何なる構想を持つて臨むつもりであるか、これを私は承りたい。
 次にお尋ねしたいことは、昨日総理大臣もお述べになりましたが、いわゆる官僚独善の問題であります。官僚と雖も國民の一員である。その職に就いたならば必ずいわゆる官吏となり、官僚となるのである。私はこの機構によつてこの問題が起る、これが大なる原因であると私は考えます。例えば計画だ、或いは統制だ、枠だ、縦横十文字にあらゆる細目に亘る動きのとれぬところの網を張つておつて、その結果いわゆる官僚政治の干渉、これが原因を示しておる。その結果民意の暢達、民意の自由となるところの活動を阻害しておる。それが今日の事実である。その結果どうだ、いわゆる机上計画に専念をし、手続、規則を煩雑にし、実行伴わず、時日を遷延をする。而して機宜を失するということが現在の情勢だ。この弊害はあくまで除去せねばならん。が、現在一体官吏がどんな程度になついておる、私の聞くところによれば、現在の官吏は三百万人、戦前の殆ど二倍だ。ところが更に又各省が増員を要求しておる。安本のごときはどういう組織を持つておるか、戦時中の企画院以上の計画を立つておる。殆ど内閣と同様に、噂であるから分からないけれども、現在安本が主力となつて、内閣を指導といつちや言葉が過ぎるかも知らないが、殆ど策源地になつておる。これが現在の情勢だ。(拍手)。聞くところによれば最近自動車を三十台もお買いになるそうだ、勿論仕事はお忙しいだろう。お忙しいだろうが、その結果一体どうなるか、この点は私は行政整理を標榜しておられるところの現政府としては、あまりに私は行過ぎていやしないかと考える。勿論現在の経済の状態におきましては、必要なるところの統制は止むを得ん。これは大綱に止めて置けばよろしい。例えば魚、野菜のごとき問題、これは自由販売にしたらよいじやないか、昨日安本長官は闇で買うのは二割程度だというお話になつておる。或いは私の聴き違いであると思うかも知れないが、そうじやない。現在野菜、或いは鮮魚の配給は二割で、八割は闇で買わなければならん現状なんだ。そのために一体國民がどれだけ迷惑しておるか、どれだけ手数をかけておるか、或いは自由販売にしたら一時高くなるだろう、高くなるだろうが何故これを自由販売にしないか、配給で以て腐らしたり、或いは枯れつ葉などを配給されておつて、消費者をそれを待つておるわけに行かない。行かないから従つてこれを闇で買わなければならんことになる。安本長官がいうことは現在の実情とは反対だ。あんた市中をよく廻つて見たらいじやないか。(拍手)。
 次にお尋ねしたいことは、とかく世の中では社会政策と社会主義を混同しておるように私は考えておる。社会政策はいうまでもなく、國民全体の福利増進のために、できるだけ國家の財政の許す限りにおいて、昨日安本長官も無論社会主義じやおありにならんだろうが、資本の蓄積を唱えておられる。資本が蓄積されて國民に租税力ができて、國家の財政に余裕があつて、初めて社会政策が徹底的にできるんだ、社会主義はいうまでもなく社会党の諸君の唱えるところの、いわゆる國有、國営、國家管理、これが基調なんだ。これが一体どうだ、石炭の國営につきましても、或いは國家管理についてもいろいろ議論がある。議論があるが、この問題について果たして成功するか、社会党は頼りに民主的ということを強調されておる。強調されておりまするが、恐らくは私はその結果、これも甚だ失礼な言葉だ、失礼な言葉であるが、要するに実務に疎いところの、イデオロギーのみを捉えて、その結果どうなる。官僚と社会党とつい抱き合いする結果になりはしないか、その結果我が産業経済に支障を來たさんか、この点を私は憂えておる者でありまするが、これに対するところの明確なる御答弁を願いたい。
 次にお伺いしたいことは財政経済の問題であります。これは私は主として栗栖大蔵大臣に伺いたい。併しこれに先立つて、どうしても水谷君に聴かなければならん重大問題がある。おいでにならん。おいでにならんからいずれ後からどなたか御聴きになつて答弁を願いたい。水谷君は去る衆議院において、石橋前蔵相と財政経済の問題について論争されたることは、天下周知の事実である。苟しくも政党は主義政策を以て國民の指示を受けておるのであります。苟しくも政党が自分の主要なる政策を捨てるならば、存在の価値はありやしない。ところがこの財政経済の問題について先ず戦時公債の千四百億を打ち切れという問題が起つた。勿論これは擬制資本である。擬制資本であるからこの公債を打ち切らざる限りは、我が國の財政は絶対に立て直らざることを言明されたのであります。即ち社会党の諸君はこの問題に対して、初めは元利公債全部打ち切れ、その次には差当り一ヶ年停止せよ、更に又公債六十億を打切れということを、選挙に臨むに当つて天下に公約されておるのであります。これは決して枝葉末節の問題ではない。社会党としてはいわゆる財政問題に対する唯一の政策であります。然るに如何に連合内閣といつても、これを弊履のごとく捨てられたのは如何なる理由によつたか、(拍手)。社会党が今日第一党となつた、國民の多数の人々は、社会党が天下を取つたならば恐らくは三合配給をしてくれるだろう、又財界を建て直して國民の生活を安定してくれるだろう、この期待と関心を持つて社会党にいわゆる政権を取つて貰つて、我が國の國政を安定して貰いたいという考であつたものと私は確信する。然るに若し社会党が輿論に忠実であるならば、苟くも財政の根幹をなすところの大蔵大臣、政策の根幹をなすところの大蔵大臣を当然社会党が引受くるべきものである。(「ヒヤヒヤ」)と呼ぶ者あり)(拍手)。これを避けられたということについては、如何なるところの理由によるか、果たしてその任でないというのか、或いは我が國の財政に対する見通しが付かんという考であるか、これは社会党としては弁明する必要があると私は信ずる。(拍手)これは是非承らなければならん。
 次に承りたいことは、この度大蔵大臣となつたところの栗栖君であります。この度栗栖君が大蔵大臣になつたことに対しては、私は大いに敬意を表する。併しながらかつて同僚としての誼において、私は是非栗栖君に対して一言忠告をせねばならん、苟くも政治に志を抱く者は出処進退を明らかにせねばならん。あくまで自己の信念を堅持せねばならん。これが政治家としての心得べきことである。然るに新聞の発表によれば、ただ單に漫然として財政処理に対するところの確信がないということをいついておるにも拘わらず、これを引受けられたことについては、恐らくは國民の多数は承服せんだろうと私はこう思う。ところで栗栖君が大臣になられたのでありますから、私は財政問題について、あなたの所見を質したい。あなたもやはり健全財政を主張されておる。前内閣石橋蔵相の当時においては、一般予算千百四十五億、この辻褄を合わすために公債は僅か四十八億しか計上しておらなんだ。併しながらその後物価がどうなつておる、二倍三倍、現在においては殆んど鰻上りにどんどん物価が上つて、或いは労働者にしても、勤労者にしても、國民一般にしても非常に苦しんでおる。ところがこの予算はいつ編成したか、一般会計は昨年の十一月、運輸省のごときは昨年の九月である。二倍三倍、これに対してはどうしても数百億の追加予算を出さなければならんということが目前に迫つておる。一体この財源をどうする、昨日の御説明によれば行政整理をするという。勿論この必要はある。これは経済緊急対策の八項目に並べておる。並べておるのであるから、政府としてはこの予算を縮減する意味において、二十二年度においてこの行政整理をせねばならんという重大な責任を持つておる。果して二十二年度において行政の大整理ができる確信があるか、これを伺いたい。
 次に収入の点については、増加所得税で取るとこういう。勿論今日新円階級の人々はあぶく錢を儲ける人々が沢山あるが、併し納税者の様相は今日は殆ど変つておる、御承知の通りこの増加所得税は百六十一億を計上されておる、現在においては半分も取れはしない。或いは高額所得者の税金を取るということを昨日総理もいわれておるが、大蔵大臣はこれに対して如何なるところの構想を以てこれを取るか、これをお示しを願いたい。又御承知の通り新円と封鎖の問題については、これは長い間の懸案である。これを一体いつ一本にするつもりか、聞くところによれば、政府筋において盛んに封鎖を新円に取り替えておる、二割以上の打歩を出して替えておるという事実がある。だから私が先程も申す通り、政府が若し官紀粛正、綱紀粛正を実行するということであるならば、先ず第一に政府はその範を示せ、或いは統制機関のごときは一体どういうことをやつておるか、統制機関のごときは殆ど非常なる弊害があつて、横流しを盛んに行つておる事実がある。これを取締れ、これが先決問題である。(「議長時間」と呼ぶ者あり)商工大臣がまだ見えない。(笑声)(「まだある、ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり)ところが、私は國家の財政の上において見のがすことのできないのは、特別会計であります。この特別会計につきましては、鉄道省のごときは驚くなかれ一分間に五万円の赤字が出ております。これが鉄道の最近の実情なのであります。それがために三倍半の運賃を値上げせねばならんという問題が起つておる。この三倍半の値上げをした結果、物価賃金に重大なる影響が來て、インフレを助長するということは当然のことであるが、政府はこれに対する政策を一体持つておるのか、勿論企業の性質から行きましたならば、自給自足、収支償なう案を立てることは当然である。当然でありますけれども、恐らくは内部の整理が付かん。内部の整理なくして決して産業の合理化はできるものじやない。例えば通信事業においても、或いは又電気産業の事業においても、國有事業はかくのごとき状態であるということを諸君はお考えを願いたい。聞くところによれば、運輸大臣は七つのぼろ会社を整理した経験を持つておられるということである。(笑声)あなたはこれをどうして処理するつもりであるか。もう時間がないといから簡單にはしよりますが、次に私がお伺いしたいことは海運政策である。これは我が國のごとき細長い島國、この島國に対しましては、港湾をできるだけ多く造り、而して縦貫輸送は乗客に重きを置き、貨物は海運によるべきものである。横断は勿論鉄道によらなければならんが、併し現在の運輸省におけるところの機構が陸主海従であつて、海運に対しては殆どその内部の一部にしか過ぎない形である。これ将來どうしてもこれを並行して、昨日安本朝刊も御説明になつたのであるが、いわゆる陸運輸送が一億一千万トンに対して、海運輸送が漸く千六十万トンという御説明である。これはどうしても並行して機構の拡充をやつて、而して現在船が足りない。連合國に懇請をして、一日も早く民主的にこれを自由の活動に任してやらなければ、決して海運は私は発達せんと思うのでありますが、これに対する首相並びに運輸大臣の所見を承わりたい。
 時間がないそうでありまするから、甚だ私は遺憾であります。商工大臣にもつとお話したいことがありまするけれども、又次の機会に譲りまして、私はこの國家管理の問題について首相、並びに幸いに民主党総裁の芦田君がおいでになるのであるから、この見解をこの際一つはつきりと御説明を願いたい(拍手)
 以上甚だ私は意を盡しませんが、これを以て終わりにしまして、政府の所見を伺いたいと存じます(拍手)
   〔國務大臣片山哲君登壇〕
#24
○國務大臣(片山哲君) 板谷君から私に対してなされましたる質問についてお答えしたいと思います。
 先ず第1番に、私がいつておりまする精神運動についてでありました。これは社会党の考えておる社会主義運動と矛盾するのではないか、こういう趣旨であつたと考えます。私の奉じておりまする社会主義は、決して精神運動を排斥するものではないのであります。精神運動を十分に加味して社会主義運動をなし得るのである、社会主義政策をなし得るのであると、こういう考えをもつておるのであります。並べて行い得ると、こういう考えの下に精神運動を唱え、且つ社会主義政策を漸次行なつて行きたい、さういうふうに考えておるのであります。又キリスト教と社会主義とは矛盾するのではないか、こういうお話でありまするが、これもその意味において、私の奉ずる社会主義は決して宗教を否定するものではないのであります。宗教の持つ大きな精神、大きな心持を、我々の奉じておりまする社会主義運動においては、十分に取り入れることができると考えておるのであります。
 次は、階級闘争を認めるか、ストライキの権利をどういうふに扱うか、こういう問題であります。今まで階級闘争、或いは階級観念を申しますることが、とかく散漫に分かれておつたと思います。私共の考えておりまする立場は、それぞれの階級的立場は認めるが、併し闘争を以て終始することは要らないのである。場合によつては、闘争よつて自己の立場を明らかにすることも有り得まするが、併しながら結局においては、産業を破壊せず、産業の隆盛を來し、秩序を十分に守つて、國民生活を向上せしめる趣旨おいて、それぞれの階級の立場に立つて考慮を拂つて行かなければならない、かように考えておるのであります。即ちストライキは労働者に與えておりまする大きな権利である、こういうことを認めなければならないと思うのでありますが、但しストライキを行うに当たりましては、きわめて合法的にして且つ合理的であつて、又産業の発展、國民生活の隆盛を來さしむる、こういう見地に立つて進んで行かなければならないと考えておるのであります。(拍手)
 次の問題は、官僚と社会主義との抱き合いではないか、こういうような御質問であつたと思いまするが、我々は民主的に議会政治を通じて、國民の総意を政治の上に現わして行きたいと考えておるのであります。よつて官僚的な独善的な天降り的なやり方を排斥したいと思いまして、今までの官吏道を刷新し、官僚機構にも大きな改革を加えて行かなければならないと考えておるのであります。そうして議会を通じて最も堅実なる政策を行なつて行きたい、國民生活を向上し、産業の隆盛を図る政策を議会を通じて、つまり國民の代表でありまするところの國会を通じて行いたいということを考えておるのでありまするから、決して官僚機構、或いは独善者と抱き合いをするものではないといことを明らかに御答弁いたしたいと思う次第であります。大体私に対する御質問は以上の三点であつたと考えまして、以上の通り御答弁いたします。(拍手)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#25
○國務大臣(和田博雄君) 私に対しまする御質問にお答えいたしたいと思うのでありますが、官僚機構が非常に大きくなつて來ておる、殊に安本の例を引かれたのでありますが、経済安定本部が、日本の経済の全般に亘りまして、板谷さんのおつしやるように、もつと計画の地についた、そういう立派な計画を立てて、そうしてそれが実際に行われる場合においても、あまり計画と離れないような結果が出まするためには、やはり組織と人は私は要ると思うのであります。御承知のように、今での計画がとかくその実績と離れておりましたのは、計画自身が私は粗雑に立てられました点が最大の原因だつたと思うのであります。(拍手)(「その通り」と呼ぶ者あり)若し計画が、本当に民間人の知識も経験も尊重し、又官僚だけでやらずして、実際の資料を十分に集めて、單なる希望を入れずに、しつかりした計画が立ちまするならば、計画と実績との間の開きはあまりない筈であります。最近の配炭の実情を申し上げますと、私がこの間大阪に参りましたときに、大阪の実情を調べて見ますると、大阪におけるあの地方の主たる産業の配炭計画と、それからそれによる実際の産業の結果とは、丁度配炭が確実に行つておりまするだけに、計画と結果との開きはあまりないのであります。同じカーブで、石炭が上昇しておる時は生産が上昇し、下つておる時は下つておるのであります。それは安本の計画自体が地について來たという一つのことのがいえると、こういうように考えるのであります。
 それからもう一つ野菜の点につきまして昨日私が述べました中に、闇買いの物が非常に僅かな部分であつて、公定価格の方が多いということを申し上げましたが、それは私共の調査で、これをいろいろの時期をとつて見ますると、多少の違いは勿論あるのでありますが、四月の七日から二十日までの間の我々の調査を調べて見ますと、カロリーで計算いたしまして、公定の方が大体千百六十五カロリーであります。闇の方で入つておるのが四百五十五カロリー、こういうような状態になつております。ただこういう僅かな部分のものが、やはり闇価格が高いために非常に影響を持つて來ておるのであります。勿論闇と公定は半々位いになつておる時もあつたと思います。併し問題はそうでなくして、闇の部分を少くして、そうして公定の部分を多くして、生活を安定させて行くという方向に政策を強力に進めて行きたい。斯様に申し上げたわけであります。
 それから失業対策等につきまして、政府の昨日の説明があまりに抽象的に過ぎていろいろな点において具体的なものがないということをおしやつたわけでありますが、その点につきましては、私が昨日の説明においてお断りいたして置きましたように、緊急対策の基本的な考え方を申し述べたのであります。又緊急対策の前文にありますように、政府はあの書かれたものを一々直ぐ具体策を立てて皆さんの前に御提出して、そうして実行に移して行くということを申しておるのであります。ただ料理屋だけでなしに、昨日は第一番に食糧緊急対策というものを同時に新聞に発表いたしまして、これを直ぐに実行に移していつておる次第であります。それから失業対策につきましても、ただ解雇手当てであるとか、失業保険であるとか、そういう消極的なものだけを考えておる次第ではございません。政府としまして、緊急対策としまして、緊急対策に考えておりまするように、先ず輸出が再開されるにつきましては、輸出振興といつたような方面において、積極的に就業の機会を殖やしますると同時に、公共事業等につきましても、失業者就労の機会を與えたいと思つておるのであります。公共事業につきましては、二十二年度の一般予算におきまして九十五億円の経費を計上いたして居ります。それによりまして大体百三十万人程度の、これは実人員でありますが、顕在及び潜在の失業人員を吸収できると思います。その他にも進駐軍の労務であるとか、或いは民生安定の費用による仕事であるというようなものを加えて行きまするならば、積極的な面において失業対策として相当の人員を吸収できるのではないか、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#26
○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今板谷議員からの御質問に対し、私に関する所を御答弁申し上げたいと存じます。
 先ず最初に一身上のことについて申し上げたいと思います。私はこの度深く覚悟するところがありまして、大蔵大臣の重任を微力ながら引受けた者でございます。つきましては、私は自己の信念に従いまして、極力微力を盡してこの難局の完遂に当たりたいと存じます。
 次に板谷議員から追加予算、行政整理その他についての御質問がございました。これについてお答えしたいと存じます。この二十二年度の予算は千百四十五億円でありますが、これはその当時と今日とでは事情が違いますから、いろいろ再検討を加えておりますけれども、この点だけでも追加予算の計上を必要とすることは御話の通りであります。尚その他本内閣の施設に対していろいろ費用を必要といたしますので、追加予算を成るべく早く組み上げまして、國会に提出いたしたいと存ずるものであります。只今討究中でございます。それから行政整理につきましては、関係官廳とも打合せ、諸般の事情を睨み合わせまして、是非配置轉換その他適当なる方法によつてこれを行なつて貰いまして、歳出の節減に努めたいと存ずる次第でございます。それから税、殊に新円階級その他に対する税を取り立てる問題であります。これはお話のごとく非常に困難な問題であります。併しながら大蔵省…政府につきましては、極力税務関係の人員及び税務署を増置いたしまして、更にそれに優秀なる税務官を配置すべく、廣く人材を求めておるのであります。求めまして、そうしてこれに訓練を施して、税務機構の充実強化を先ず第一に図りたいと存じます。(「間に合いますか」と呼ぶ者あり)それから更に第三者通報制をも活用いたしまして、極力税の逋脱その他のないように追及をいたいして、そうして課税徴収をいたしたいと存じる次第であります。尚、増加所得税その他につきましては、只今も調査中であり、今後も調査を続けて徴税をいたす考でございます。尚又闇会社などにつきましては、これは随時徴税ができるのでございます。今後も引続き調査を続けまして徴税をいたしたいと存ずる次第であります。
 それから最後に特別会計の健全化についてお話がございました。板谷議員のお話のごとく特別会計が赤字続きであるということは、財政の上に大きな負担をかけるのでございまして、極力排除しなければならん問題でございます。これも関係官廳とよく打合わせをしまして、極力実行に努め、尚又必要に應じましては、一定の計画の下に一定の時期までに是非黒字にするということを実現して貰うように今考慮中であります。極く簡單でございますが、‥‥(拍手)
   〔国務大臣苫米地義三君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(苫米地義三君) 板谷議員から私に質問のありましたのは二点であろうと思います。
 第一点は、我が國の運輸行政が陸主海従、即ち陸に重く海に軽い、これを海陸並行せよという御説のように伺いました。
 第二点は、海運事業はできるだけ民営に移すべしというような御趣旨であつたと存じます。そこで第一点の陸主海従の嫌いがあるという行政機構に対しましては、左様ではございません。運輸省には海運総局、陸運監理局、鉄道総局、この三つの大いなる行政機構が中心をなしておりまして、どれに偏つておるという考はないのであります。無論これらの三本は平行いたしまして、國家の運輸行政をやつて行きたいと思つておる次第でございます。ただこの機会に我が國の海運力につきまして、ちよつと触れたいと思うのでありますが、御承知のように世界の三大海運國といわれました我が國は、従來船舶六百数十万トンを保有しておつたことは、皆さん御承知の通りでございます。然るに戦時中これの五分の四に当たります数量を失いまして、現在では百三十余万トンの船舶量を保有するに過ぎません。而もその七割は戦時中に建造されましたところの劣悪なる船舶でございまして、他の三割と雖も戦前に残りました老朽船に過ぎないのであります。この劣悪なる船舶を運用いたしまして、我が國に課されましたる重大なる運輸行政を展開して行きたいと思うのでありますが、それがためには船舶公團を作りまして新造船及び修理に全力を傾注いたしまして、その復興を図りますと共に、でき得るならば将來或いは外國船を傭船するとか、或いは力がありますればこれを買入れるとかということにいたしまして、我が國海運力の増強に邁進したいと思うのでございます。又港湾の施設整備につきましても、戦時中相当破壊をいたされておりますが、この点につきましても現在非常な努力を拂つて、復興に努めておりますことを御報告申し上げたいと思います。
 その次の問題でありまする戦時統制におきまして、かなり強力なる統制をいたしておりますが、海運の特殊性及び海運業者の創意と機能を十分働かせるためには、将來はだんだんに民営に移すというようなことが理想であろうかと思います。併しながら現在の段階におきましては、國家の統制力を相当に加えまして、そうしてこの目前に課せられましたる復興、増強に邁進しなけらばならんと思うのでございます。これが御質問に対しまする私の答弁でございます。
 最後に私はここに非常に遺憾なる御報告を申し上げまして、皆さんに御了解を得たいと思います。昨日正午頃山陽線の下松と光の間に列車事故がございまして、機関車が脱線、続いて客車が三輌ほど脱線いたしまして、十三名の死者と五十名の重軽傷者を出しております。誠に私共当局者といたしまして、國民の前に申訳ない事態が起りましたことを皆様の前に御報告申し上げますが、その原因につきましては今調査中でございまして、はつきりいたしません。我が國のレールがかなり悪くなつておりまして、十分なる補修はいたしておるのでございますけれども、何分一ヶ年間七万トンくらいづつのレールを替えなければならん。ところが戦時中からだんだん減りまして、現在でも年に二万トン乃至三万トンくらいしかその補給ができておりません。補修に対しましては万全の注意を拂つておるのでありますが、その原因がどこにありましようか知りませんが、とにもかくにも左様な事態が起りましたことを皆様の前に申し上げまして、私は当局者として甚だ遺憾である、又申訳のないということをこの機会に御報告申し上げさせて戴きたいと思います。(拍手)
   〔「答弁が足りないよ」「値上げの問題はどうです」と呼ぶ者あり〕
   〔国務大臣芦田均君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(芦田均君) 只今板谷君から産業國営の問題について御質問がありまして、その際この問題について私よりも意見を述べるようにという御要求がありましたから、極めて簡單に御答いたします。現内閣の使命の最も重い点は、眼の前に控えておる我が國の経済危機を打開して民生を安定すること、同時に又近く開かるべき講和会議に対して万全の準備を整えることにあると、かように了解いたしております。その際に現在我が國の置かれておる環境において、又我が國経済の現段階において、産業を國営することが生産増強の目的に適当であるか、有利であるかという見地に立つて判断すべきものと考えております。従つて我が國産業の、殊に重要なる石炭業等においては、この際政府の権力を強化して、或いは賃金、資材、その他の方面に國家の管理を強化する必要があることは、我々もこれを認めております。その点は自由党の石橋大蔵大臣が堅持しておられた方針とあまり多くの差はないと了解いたしておるのであります。併しながら我が國の産業を果たして國営の方針に導く必要があるか、又適当であるかという点については、寧ろ否定的な考えを持つておるのでありまして、現内閣組織以前に行われたる四党の幹事長協議による政策協定、及び最近政府から発表いたしました経済危機突破のためにする八項目の政策は、いずれも只今私が申し上げたような線に沿つておるものと了解いたしております。左様御承知を願います。(拍手)
#29
○板谷順助君 この席から一言申し上げて置きたいと思います。よろしうございますか。
#30
○議長(松平恒雄君) 宜しうございます。
#31
○板谷順助君 各派の申合わせでありまするから、私は止むを得ず承服いたしまするが、一般施政方針に対する問題はこれは重大な問題であります。従つて十分に私は意を盡すことはできなかつたのであります。幸い商工大臣も今御出席になつたことでありまするが、併しながらこれらのお取扱いにつきましては、この言論の制約ということにつきましては、相当に御考慮なつて……一般施政方針に対する問題であります。でありますからして、例えば政府当局の答弁のごときは十分間に制限されておる、私は今の答弁では要領を得ません。再質問をいたしたいのでありまするが、申合せによつてこれで私は打ち切りますが、今後は一つ十分に御注意あらんことを希望いたして置きます。
   〔國務大臣水谷長三郎君登壇、拍手〕
#32
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今板谷さんから、私が恐らく九十二議会であろうと存じますが、社会党を代表しての質問におきまして、石橋大蔵大臣に対する論議におきまして、悪性インフレ対策の金融面の一方途として、戦時公債の利子の切り捨てを主張したことを取り上げられまして、何故これは今度の連立内閣で行わないか、政党は政策を放棄すれば政党の使命がなくなるのじやないか、という御質問であつたように聴きました。それに対しましては、私が第九十二回議会において御指摘のような主張をしたことは事実です。併しその問題はこの内閣ができる前の政策協定におきまして、この連立内閣においてはその問題はやらないということに決まつたのであります。併し日本社会党として、この質問に関してはどういう考を持つておるかということは、第九十二議会において私が申した通りであるということをお答えして置きます。(拍手)
#33
○議長(松平恒雄君) 佐藤尚武君
   〔佐藤尚武君登壇、拍手〕
#34
○佐藤尚武君 昨七月一日参議院においてなされました片山総理大臣の施政方針に関する演説は、私は大なる感銘を以てこれを聴取したものであります。首相の演説は簡單率直に政府の所信を披瀝したものでありまして、その間首相の抱負経綸等も窺知することができ、これを和田國務大臣の演説と併せ読むときに、現下の危機突破に対しまする政府の強き決心も察知されるのでありまして、私はここに我が國の直面する難局克服に乗り出さんとする政府の苦心経営に対しまして、深甚なる敬意を表する者であります。殊に我が國の性格を率直且つ明白に世界各國に表示し、その理解と援助を求めると共に、國際的信用の回復に努めることが最も必要であるといい、又政府は今後とも一層の努力と誠意を以てポツダム宣言受諾に伴う義務を忠実に履行し、眞に民主的平和國家の実を挙げ、以て國際社会への復帰の條件を満たさんとしつつあるものなることを説明した点があります。私はこれに対しましては満腔の賛意を表するものであります。願わくば現政府におきまして勇氣と決意を以て所信の断行に邁進され、革新の実を挙げることに成功せられんことを冀う者であります。他面、國民も亦この政府に十分時の余裕を與えまして、政策の実果が挙がることを待つべきであると私は信じます。
 次に私は片山総理大臣の施策演説に関しまして、一二の問題について総理大臣の所信をお尋ねいたしまして、事態を一層明確にし、かくして平和建設の一助としたいと考える者であります。
 ここに質疑としてお尋ねしたいことは、片山総理大臣において外交を如何に見ておられるか。如何なる程度に國際関係を重要視しておられるかという点であります。これは一見極めて陳腐な質問のように見えるのでありますが、実は私におきましては頗る重要な問題として考えておるところであります。一國の外交は常に内政問題と密接な関係を持つておるのであります。換言すれば、内政上の諸方策は常に外交の推移と睨み合わせまして決めて行かなければならものであると信じております。この故に欧米諸國におきましては例外なく外交を重視し、國際関係を軽率に取扱うようなことはしないのでありまして、従つて外交の衝に当る大臣即ちち外務大臣というものは、政府部内において重要なる地位を占めるというのが、欧米諸國の通則であると認められます。これを現在の実情に徴して見ましても、米英「ソ」佛等の大國においては、外交を担任している大臣がその政府部内において占めている地位は頗る高いのでありまして、その多くは、或いはこれは國によりまして事態を異にするものではありまするけれども、概して副総理格ともいうべき地位に就いております。従つてその抱懐する意見も、閣内において重きをなすというのが常則であります。即ちこれら諸國が如何に外交を重要視しておるということが窺えるわけでありまするが、これは單にこれらの大國ばかりに止まるわけではなくて、その他多くの小國におきましても同様の傾向が認められるのであります。これら小國の中でも、苦しい財政の中から随分無理をしてまで外交だけには割合に潤沢な経費を支出しておるというのが、欧米各國において常時見受けられる実情であります。然るに過去における我が國の実例はどうであつたかと言いますると、欧米諸國の慣行とは頗るかけ離れたものであると言わなければなりません。なるほど陸奥、小村等の傑出した外務大臣も出ました。そうしてこれら両大臣の所属しておつた時の政府部内において、これらの人々のおのおの大いに重きをなしておつたといことも事実であります。併しながらその以後の実例は遠くこれに及ばなかつた。小村外相以後の歴代内閣の外務大臣は、なるほど二三の例外はあるといたしましても、その多くは閣内で重きをなし得なかつたのでありまして、その主たる理由はどこにあるかといえば、これら外相の中に人物が欠けておつたというわけではないのでありまするけれども、政府そのものが外交を重要視せず、従つて彼等の意見を尊重することを敢てしてこなかつたという事実に帰着するといつて誤りないと思います。而してこの傾向は不幸にして満州事変以來一層拍車をかけるに至つたのであります。この時代に入りましてからは、最早國際関係は殆ど顧慮せられることなく、外國がどう考えようか、又外國の輿論が我をどう見ようが、一切お構いなしで、日本は日本の立場からのみ判断して独善的に行動して來のでありまして、かくして我が日本は遂に取り返しのつかぬ誤謬を犯すことになつてしまつたのであります。(拍手)
 今後はかくの如き過ちを再び繰返すようなことは当然のことでありまして、即ち敗戦後の日本は國際関係に十分の注意を拂い、これに即應した國内政策を立てて、そうしてこの國の復興を図るべきでありましよう。従つて外交の衝に当たる外務大臣の地位というものは、米英ソ佛等の実例並に、重要な職務として取扱われなければならないものであります。然るに私が今斯様な見え透いた理屈を繰返しまして敢えて総理大臣の御注意を喚起する所以のものは、外ではございません。これは勿論現内閣のことではないのでありまするけれども、終戦後の一内閣におきまして、外務省無用論…とまでは言い得ないとしても、終戦後は外務省本來の仕事が殆ど存しないことになつたのであるから、この際外務省の機構を極度に圧縮すべきであるとい論が責任者の一人から主張されたということを聞いております。このような意見は正に外交を軽視した過去一五六年來の過ちを再び繰返すということでありまして、到底私はこれに興することを得ないのであります。今次の世界大戦終了後、世界各國は正に外交に重きを置き、懸命の努力を拂つておるこの際に、これは又世界の動きとは余りに背馳したことである。背馳したことを実行せんとするものである。そういうように見受けられるのでありまして、大きなる謬見えお言わねばならんと信じます。我が國は敗戦國の地位に轉落してしまつたのですがありますけれども、併し我が國の独立権は依然として認められております。外交権も取り上げられてしまつたわけでは決してないのであります。なるほど現在では正常な外交関係は日本に與えられてはおらないのでありまするけれども、併し講和條約が締結されるならば直ちに諸外國と正常な外交関係に入り得るわけでありまして、これは今日では既に時の問題として考えられておられるように見受けられるのであります。いま極度に外務省を圧縮してしまつたとするならば、いざ講和條約というときに間に合わなくなるのは当然なことでありまして、又いよいよ講和條約が締結された後には、世界各國との間に通商條約、修好條約などの多くの重要な條約が締結されることになると想像されるのでありますが、外務省としては今からその時のために人材を蓄え、諸般の準備をして置くということが必要なことは申すまでもないことを信じます。この見地からいたしましても、外務省無用論に近い考を抱くということは全然誤りであつて、政府としてはかくの如き謬見を排除せられることが切に希望されるわけであります。
 又次のようなことも当然に考えに入れて置かなければならぬと思うのであります。即ち講和條約締結後、正常の國際関係が開かれた場合には、外國との関係は一切外務省にこれを集中して、そうして処理せられるべきものであるということであります。これは諸外國おいては殆ど例外なく明確に実行されておるところでありまして、事務の統一を図る上でからいたしましても当然のことでありますが、我が國では近年とかく放漫に取扱われ、各省銘々に外國側と関係を有すというようなことになつて來たのであります。併しこれは異例でありまして、平常状態に帰りまするならば、当然欧米並みに我々の機構も復帰しなければならん問題であります。即ちこの方面から考えましても亦外務省の地位というものは、確然たる有力な存在でなければならんということになります。
 外務大臣の地位を尊重すべしと言いましても、これは勿論制度の問題ではござりません。外務大臣にその人を得ることが第一の要件でありまして、そうしてその結果として自然的に外相の地位が向上するということが最も望ましいことであります。が併し現政府においては、既に外務大臣として各方面に練達された芦田氏の就任を見ているのでありまして、従つてこの政府といたしましては、この点既に解決済みであります。即ちこの事実を以てしましても、この政府が如何に國際関係に重きをおいておられうかということを実証するものとして、私は歓迎しておる次第であります。併しながら問題は外相にその人を得たということに盡きるわけのものでなく、政府全体として外交重視の心構えを持つということが必要であり、又國民全体がこの点について正しい認識を持つということが希望されるのでありまして、かくて今後来るべきいずれの政府におきましても、外相の地位については同様の見解が行われるということが必要と考えられます。以上述べました見地から、現政府がどの程度に國際関係を重要視しておられるか。又これに関連して外務大臣の地位を如何に見ておられるか。そういうことにつきまして、総理大臣に對してここにお尋ねする次第でございます。
 尚この機会に今一点念のために明らかにしておきたいということは、政府も予見しておられる通りに、遺憾ながら國民の生活は今後一層耐乏を余儀なくされることと思われます。かかる際に、生活の窮乏に乗じまして極端な思想が芽生えて来るということも予想される。そういう点であります。敗残の日本を復興するには必ずや中道を歩んで行くべきものでありまして、極端な思想は、左右いずれにそれが偏しましても、建設的ではあり得ないと信じます。私はこういう際に極端な、例えば右翼の反動的な、排他的な、そうして非調和的な國家主義も、他日再び擡頭するようなことがありはしないかということを虞れるのでありまして、極端な排他的國家主義というものが今日の悲惨な結果を生んだということを考えまするならば、我々は将来に対して、極端なる左翼主義の思想を警戒すると同時に、右翼の擡頭に對しましても嚴に警戒を要するところであると信じております。この問題は現下の差迫つた問題であるとは私も信じておりません。併しこのような極端な國家主義論者が再び我が國の思想界、政治界等に進出するということは、絶対にこれは防止することを要するところであると存じます。しかしのみならず、排他的、非協調的思想が彌漫しで来るようでありましたならば、講和條約の締結を促進する世界的の雰囲氣を作るということは、これは至難のことになります。又折角できた條約を忠実に神妙に実施をしまして、その義務を果たすということも困難となるわけでありましよう。我々は講和條約の締結後にも、今のところ長い期間に亘つて國際管理を受けなければならぬ様子に見受けられまするが、排他的な氣分が横溢するようでありましたならば、到底この管理の期間を短かくするというようなことは期待し難いことになるであろうと思うのであります。これは我が國にとりましても深甚の注意を拂うべき問題である。かく信じます。然るにこの点につきましては、昨日の総理大臣の演説にも、また最近発表されました政府の重要施策中にも、政府の所見として明示されていないように感ぜられます。そこで、ここに質疑の第二点として附言をいたした次第であります。以上を以て私の質疑を終わります。総理大臣の所見をお伺いすることができれば幸いであります。(拍手)[國務大臣片山哲君登壇]
#35
○國務大臣(片山哲君) 外交界の長老であります佐藤議員の只今の御意見につきまして、政府は御同感であり、賛成をいたすものであります。この問題につきましては、政府におきましても極めて重要視いたしまして、特に芦田外務大臣が民主党の総裁であるという故ばかりではなくして、只今のような御意見も加味いたしまして、副総理格として政府の重責を受け持つてもらつておるのであります。又私差支えの際においては、芦田氏に代理をしてもらうという手続きを取つて、その地位、その立場を十分に尊重し、外交問題及び政府に重きをなすことを明らかにいたそうとしておるのであります。尚、今までの外交が一部の人の手によつて握られて、とかく秘密外交でありまするとか、或いは特権外交であるとか、さような非難あるに鑑みまして、今後とも十分に民主的なやり方、いわゆる國民外交の実を挙げるように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
 第二の、右翼國家主義に対する問題につきましては、今表面にそのような問題が現れておりませんので、特に緊急対策或いは施政方針の中に謳わなかつたのでありまするが、これにつきましても同感であります。民主主義の徹底をはかる。民主主義の精神を各方面に滲透せしめたいという私共の考えは、御趣旨の意味を十分に加味しておるがためであります。左翼の運動に対しても、直接行動による政治運動を我々は排するのであると、こういう意味を、昨日申上げた言葉の中にこれらが十分に含まれておるとおいうことを、御了承願いたいと存ずるのであります。以上御答弁に代えたいと思う次第であります。(拍手)
#36
○議長(松平恒雄君) 吉川末次郎君。
   〔吉川末次郎君登壇〕
#37
○吉川末次郎君 微恙で少し発熱いたしておりますので、お聞き苦しい点があると思いますが、どうぞ同情を以て御寛容が願いたいのであります。私は、昨日片山首相が本議場においてなされましたる施政方針演説を中心といたしまして、二三の質疑を参議院の社会党議員団を代表いたしましていたしたいと考えておるものであります。尚、専ぱら経済、財政の諸問題に関しましては、後刻我が党より木村禧八郎君が同様に質疑をいたすことになつておりますので、そうした問題は多くこれを除きまして、それ以外の問題についてお尋ね申上げたいと思うのであります。先ず私がお尋ねしたいと思つておりますることは、参議院の政治的職能について現内閣はどのようにお考えになつておるかということをば、この機会に御開陳が願いたいと思うのであります。参議院の政治的機能は、もとより新しい憲法が規定いたしておるところによつて、法規的には十分明白であると考えるのであります。我々はこのように考えておるのであります。参議院は衆議院が行き過ぎた言動をしたり、誤まつた議決をしたような場合において、その誤りを正し、又その行き過ぎを是正し、或るときはブレーキの役割を勤め、或るときは又これを拍車づけるところの政治的行動をするということが、二院制度の則るところの我が参議院の主要なる政治的な特異的機能でなければならない。このように考えるのであります。右の見地に基きまして、私たちは平素の行動におきまして一切のことを決定いたしておるのでありするが、総理大臣片山哲君に対しましても、私は同様の見地からいたしまして三つの政治的人格を想定いたすのであります。その一つは、片山総理が日本社会党の党首であるということであります。我々は社会党の党員なのでありまするから、党首の有するところの組織的な統制力に服従するということは、我々党員の義務であります。第二の政治的人格は、片山首相が新憲法に規定するところの最高の國権の機関であるところの我が國会に分立するところの行政の首長である。執行機関の首長いられるという、政治的な性格でありまして、それに対しましては、我々は國会議員の立場からいたしまして巌正なる批判的な立場を持たなければならない。このように考えておるのであります。第三番目には、片山首相は國会におけるところの二院の一つである衆議院議員でいられるということであります。その政治的性格に対しましては、我々は又さつき申しましたところの参議院の政治的職能を理解いたしておりまする私たちの観念よりいたしまして、同様に批判的でなければならない。このように考えております。そうした一切の考え方の上に立ちまして、今私は私の政治的の質問を試み、又すべての我々の行動というものをば律して行きたいと、このように考えておるのでありまするが、以上申しましたような私の言葉の内容するところに対しまして、片山首相はどのようにお考えになつておるかということをお答えが願いたいと存ずるのであります。
 第二番目に私がお尋ねしたいと思いますることは、現下最も重要なるところの國民大衆の問題であります食糧問題についてであります。それにつきましては、昨日首相はその施政方針演説の中において、若干の意見をお漏らしになつたのであります。又その担当大臣である平野農相からは、新聞紙を通じまして、又その他の機関を通じまして、弁解的な現下の食料危機に対する御意見をも我々は拝承いたしておるのであります。殊に昨日御発表になりましたところの食糧危機突破対策につきましては、本日の新聞紙を通じて大体了承いたしておる次第であります。併しながらこの食うということの問題、既に全國に亘つて遅配欠配は数十日に及んでいるのであります。北海道の如きは、新聞紙の傳うところによりますれば百日にもなんなんとするところの遅配欠配が続行せられておるということであります。これは実に厳粛なるところの、國民大衆の切実な問題であるということを考えなければならん。この切実なる食うということの問題は、一切の理論や、一切の弁解を超越しておるところの、厳然たるところの事実であります。私は一切の理窟、一切の理論、そういうものを去つて、市井の一般の大衆、裏店のおかみさんや家庭の子供たちが成る程と納得するに足るところの何ものかを、私はその農政の担当者であるところの平野農相より、この壇上において聞かしてもらうのではなくして、私は生々しき事実として、我々の前にお示しを願いたいということをば要求いたすところのものであります。(拍手)。遅配欠配のない明るい生活、それは我々が社会党の國会議員の候補者といたしまして、去る四月の選挙に我々の選挙演説会に掲げたところのスローガンであります。片山首相も平野農相も、恐らく私同様にその選挙演説会にこのスローガンを掲げておいでになつたことであると私は想像いたすのであります。そのスローガンの示すところの意味を選挙民が信頼し、賛成いたしまして、私は議員として当選し(「そうだ」と呼ぶ者あり)今日この壇上にあるわけであります。又片山首相は、正直者が馬鹿を見るような政治を排斥する。正直者が馬鹿を見ないところの政治を実現しなければならんということをば、國民に約束せられておるのであります。一面において又現内閣は、國民に対して新日本建設のための精神運動を起こさんとしておられるのであります。正直者は配給食糧のみによつて生きて行かなければならんのであります。併しながら既に遅配が数十日に及んでおりますところの現在において、正直者は既に死んでおる筈であります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)片山内閣は亡霊に対して政策を説いておるというようなことも言えないことはないと私は思うのであります。(拍手)。又この食うという切実なる問題の前に、どうにかしてくれ。なんとかしてくれと、こういう素朴なるところの民衆の声こそは、即ち言われるところの民の声は神の声であるということであります。どうぞこの問題に対して、先般申しましたように十分にすべての人たちが納得するに足るところの事実を我々の眼前にお示し願いたいということをば、再び要求いたすものであります。
 第三に私はお尋ね申したいことは、婦人の政治的運動に対するところの首相のお考えをお尋ねしたいと思うのであります。片山首相は、内閣の施政の基本的な方針が新憲法の精神を実行するということである。そうしてその新憲法の基本的な精神は民主主義であり、平和主義であるということをばお言いになつたのであります。全く我々の賛成するところであります。民主主義とは何であるかということにつきましては、色々の考え方があるのでありましよう。片山首相も昨日の御演説におきまして、政治的民主主義、産業的民主主義、そういうようなこともお話になりました。併しながら民主主義は倫理的に考えまするならば、お互いに人間というものが人間の人格を尊敬し合うということが、基本的な観念でなければならないと思うのであります。そうした倫理的な民主主義的観念は一切のものに表現せられて、我々の日常の生活の態様とそれがなるのでなければならないものであると、このように私は考えるのであります。片山首相は先般ラジオを通じて全國の婦人に呼び掛けられて、婦人の政治的自覚を促されたのであります。結構であります。併しながら同時にそういうことは、男子に対しまして婦人を人格的に尊敬するということを教えるということを相伴わなければならないものであると考えておるのであります。先の四月の選挙に際しまして、我が日本社会党は婦人政策といたしまして、このようなことを全國の選挙民に呼び掛けたのである。一つは男女の社会的地位の平等化、二は婦人に対する政治教育の普及徹底、三は新設労働省内に婦人局を設置せよ、四は婦人に対する職業的技術技能養成機関を設置せよ、五は社会施設の増設、家庭生活の科学化、六は民主的家事審判所の設置、七は婦人官吏の登用、八は婦人外交官の育成であります。これらの國民に対する社会党の婦人対策というものは、今日連立内閣であるということによつて多少の拘束を受けられておることであると思うのでありまするけれども、恐らくは今後漸次片山内閣が実現せられることであると私は推察いたすのであります。唯併しながら今度の片山内閣の組閣に際しまして、そうした婦人を政治的に、社会的に、経済的に、男女同権の立場からこれを尊敬し、これを重要とする所の観念が、この組閣の問題については少しも現われておらないと思いますることを私は深く遺憾といたすのであります。社会党の婦人部からは、婦人の閣僚を出せというような強い要求があつたということを聞いておるのですありまするが、首相は如何なる理由においてそれを退けられたのであるか。若し口に民主主義を唱えながら、先に申しましたように、政治上の民主主義、経済上の民主主義というようなことを言いながら、本当に民主主義の倫理的な意義というものを未だ味得するに至らずして、その一切の生活の上にそれが具現化されておらない。封建的な、相変わらず封建的な男子中心的な観念から、そういう適任者はおらないと、こういうように簡單に、無礙に退けられたのではなかつたかというようにも考えるのであります。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)どうぞそれについての首相の御見解をこの機会に承りたいと考えるものであります。
 第四番目に御意見を承りたいと思いますることは六三制の実施の問題についてであります。昨日首相の演説の中に若干それに対する所の御意見の御開陳がありました。日本が今後文化國家として世界に立つて行くという所の立場の上からも、又教育の民衆化という見地よりいたしましても、六三制の実施ということは誠に私は喜ぶべきものであると考えるのであります。併しながらその実施に際して十分なる所の準備が整つていなかつた時には、私は教育界に幾多の紛乱を起す所の憂いがあると考えるのであります。そこで現在正にそうした紛乱の状態であるということができるかと思うのであります。先に文部省は財務当局に対しまして六三制実施に対する所の経費の要求をいたしましたのが、その六分の一、七分の一に査定削減せられましたがために、地方費の負担がその結果極めて多いものとなりました。而も地方の市町村はこれを賄う所の十分なる所の財源を持つておらないがために、止むを得ず父兄に寄附を要求いたしておりまするのが各地方における所の現態であります。これは先に申しました我が國が文化國家として教育の振興を図らなければならんという見地よりいたしまして、かくの如き地方々々によつて、又学校々々によつてその額は相当多額にいずれも及んでおるのでありまするが、父兄のそうした寄附による負担というようなものをば止めさすようにして、そうしてこれを綜合的な、國家的な一つの計画に基づいて調整せられるところの必要があるのではないかと思うのでありますが、内閣の御意見はどうでありますか。全体的に考えまして、私はそれに関連して教育に関する六三制の問題について多少この機会に申述べて見たいと思うのであります。今まで一部におきましては、教育費である、或は文化費であるというようなものに金を支出するということは不生産的なことである。こういうような見解が相当に廣く普及いたしておつたかと考えるのであります。併しながらそうした考えは私は再検討されなければならないと思います。我々は今や武器を放棄するところの平和國家、文化國家となり、又敗戦の結果、我々の領土はせばめられ、日本の有するところの経済的資源というものは極めて貧弱なるものであつて、我々の経済的な生活の方途というものは、誠に暗澹たるものを感ぜざるを得ないのであります。この貧しい経済的資源の上において我々は経済的な生活の打開を図り、前途に光明を見出して行くためには、幾多の方法が考えられるのでありましようが、その最も主要なるところの一つの考えは、学問の力に頼るということであります。科学の力によつて、我々の経済生活を打開して行くところの方途を案出するということであります。我々はこの乏しい経済資源の上に立つところの生活からいたしまして、無いところから物を作つて行くようなことを、日本國民はこれから考えて行かなければならない。無いところから物を作つて行くと申しまするのは、例えばこの空氣中の窒素を固定化して人造肥料、化学肥料を作る。今まで余り顧みられなかつたところの海洋、海の資源を科学的に利用して、そうしてこれを一つの経済的価値のあるものに作つて行くとか、或いは又山林におけるところの材木も鋸屑を、ここにバクテリヤ、酵素を作用せしむるならば、パンができるというようなこともいわれております。又私は専門の科学者から、水力や火力によらずして、風の力を利用して豊富なる電氣を発生せしむることができるということも聞いているのであります。かくの如き発明発見の奨励、農村においては農村の機械化を図り、一切の産業の上において技術の高度化を図つて行くということは、我々はこれは教育の普及と学問の力によるの外はないのである。我々はそうした科学力によつてこの貧しき日本の國民の経済生活を豊かにして行くの途を考えて行かなければならん。又最近言われているところによれば、原子核の破壊によるところの力を利用いたしまして経済生活の一つの革命化が考えられる。例えばコップ一杯の水銀の原子核の破壊力というものは、ニューヨークからサンフランシスコまで、アメリカ大陸の東部海岸から西部海岸まで列車を数十回往復さすことができるところの力を持つているということも、外國の雑誌が書いているのを私は見たのであります。若しこのようなことができまするならば、水谷君が非常に苦労しておられる、褌一つになつて、(笑声)炭坑の中で奨励しておられるところの容易に解決することができるということも考えられるのであります。(拍手)。このように考えて参りまするならば、教育費に金を出すということは決して不生産的な事業に金を出すのではないということを、私は片山内閣の当局が十分に御理解が願いたいのであります。(拍手)。それで差当り右のような立場から、六三制の実施の財政については総合的な何か國家的な計画を政府でお立てになつたらどうか。私の思いつきでありますが、例えば地方税として教育税のようなものを創設するというようなことも私は考えられるのではないかと思うのでありまするが、以上申しました六三制実施に対しまして、私は文相の御意見を聴きたいと思つておつたのでありますが、御欠席のようでありますから、昨日御意見をお述べになりました片山首相或いは適当なる外の閣僚がおられまするならば、御意見をこの機会にお漏らし願いたい。又私が併せて申しました科学教育の奨励、殊に経済振興との関連性に対する私の意見に対する内閣の御意見、これを首相から併せて御披露が願いたいと思うのであります。
 最後に私は片山首相に御希望もいたし、又御答弁を願いたいことがあります。首相は平和主義を昨日の演説において高調せられたのであります。私が全く賛成であることは既に申上げた通りであります。併しながら率直に私は首相に私の意見を開陳することをお許し願いますならば、片山首相の説かれますところの平和主義は空想的な平和主義であると私は断定いたすものであります。(拍手)。(「本当か」と呼ぶ者あり)一体片山首相は社会主義をお説きになる場合において、先程板谷君から社会主義のお話がありましたが、あれは板谷君の社会主義に対するところの無智を証明いたしているところのものであります。(拍手)。社会主義にはいろいろな社会主義があるということを御承知にならなければならないのであります。片山君の説かれるところの社会主義は、板谷君が意味されたような唯物史観に立つところのマルクス主義の社会主義ではない。必ずしも私の言葉が当つておるかとも、おらないかとも思うのでありますが、曾て私はイギリスの労働党が何かの文書の中において、我々イギリスの労働党は唯物論の上に立つマルクス主義を信ずるところのものではない。我々は英國の社会主義の始祖であるところのロバート・オーエンの理想主義に立つものであるということを書いておつたのを記憶いたしているのでありますが、ユートピアン・ソシアリズムと申しますと失礼でありまするけれども、片山君の社会主義は、そうした理想主義的な面を非常に持つておるということは、先般の御答弁によりましても十分に伺われると思うのであります。
#38
○議長(松平恒雄君) ちよつと御注意申上げます。簡單に……(「簡單に」と呼ぶ者あり)
#39
○吉川末次郎君(続) 私は、片山君のそうした理想主義的な立前に共鳴いたしておるところの者であります。(笑声)併しながらそこに、そこに又片山君の平和主義、(「吉川末次郎しつかりやれ」と呼ぶ者あり)社会主義の見解に対するところの弱点が包蔵し、危険性があるということを、私は首相がお考えが願いたいと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は片山君の(「非常に危険性がある」「うまいからもつとやれ」「遠慮するな」と呼ぶ者あり)言われるところのこの苦節三十年の社会運動の生活におきまして、今日まで片山君と最初よりお互いに腕を組み、互いに手を携えまして、行動を共にして來たところの者であります。片山首相は私の盟友であり、私の先輩であり、又私の兄貴であります。(「分つておる」「よしたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)その生活を通じて、片山君が社会運動に従事して來られたところの動機と考えというものは、私の考えるところ、そうした社会主義の理論というようなものや、或いは労働者の生活実験というようなものから根差して來たものではない。片山君の持つておられるところのキリスト教的な信仰というものが、一番強く片山君を今日まで私は引張つて來た基本的な考えであつたかと思うのであります。(「簡單」「質問か答弁か」「質問に入れ」「議長権限を行使せよ」と呼ぶ者あり)
#40
○議長(松平恒雄君) 簡單に‥‥
#41
○吉川末次郎君(続) それでは私の申したいことをすべて省略して、それではこの問題について結論だけを申しまするが、(「簡單」「止めろ」と呼ぶ者あり)空想的な社会主義、ただ人類は平和を実現しなければならんというようなことは、昔から幾多の人が言うて來たことであります。それだけでは平和は実現されないのであります。我々は現実的な必然の因果律に根ざして説かなければならない。(「選挙区へ帰つてやれ」と呼ぶ者あり)それは何であるか。それは即ち原子力の発見であります。(「簡單」と呼ぶ者あり)新しい世紀を作らんとするところの原子力の発見であります。どうぞ片山君が、そうした原子力の発見こそは新らしき世紀を作りつつあり、本当の平和主義を世界に実現するところのものは原子力である。原子爆弾であるというところの科学性の上に立つて、今後片山内閣の平和主義を我が日本の國民の間に展開し、又世界に対して、我々が持つておるところの平和主義國家の使命というものをば説明せられんことをば希望するところの者でありまするが、右に対するところの御意見を私は首相よりお伺いいたしたいと思う者であります。(拍手)
   〔國務大臣片山哲君登壇〕
#42
○國務大臣(片山哲君) 只今吉川君から第一に参議院の政治的権能、機構等についての御質問がありました。このお言葉の中に、衆議院の行き過ぎか、誤りを是正するというような言葉がありましたが、その点につきましては私よりこれをはつきりと申上げたいのでありまするが、それを承服するわけには行かないのであります。そういう問題を取り除いて、本当に憲法によつて認められたる、又國会法によつて認められておりまする二院制度の完全なる且つ円満なる遂行を望む上において、参議院の職能を十分に発揮して戴きたいと思うのであります。(拍手)。尚私は社会党の党首であり、且つ又衆議院の議員である外に、首相として内閣の責任を担当しておるという点について御意見がありましたが、私は今日内閣首班といたしまして祖國再建に邁進しなければならない重大なる責任を自覚いたしておるのであります。一党の立場よりも、或いは衆議院議員という立場よりも、内閣の首班として重大なる責任を以て祖國再建のために大いに進んで行かなければならない(拍手)ということを重大視しておるのであります。第二に婦人の政治的立場についての御意見がありました。私は吉川君よりももつと進んだ婦人論を持つておるのであります。(拍手)(笑声)。婦人を解放して、本当に憲法に明らかにされておりまするところの実を挙げなければならないという考えを持つて、過去においても運動をなして参つたのであります。併しながら現実と理論は一致しないのが誠に悲しいことであります。(笑声)。國民全体の力によつて婦人の地位がうんと上つて、男子と同等の能力或いは識見を持つて我が國の政治を改革するように、國民運動を展開して戴きたいと私は思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういうふうにして初めてここに婦人の立場が一般に十分に認めて來るようになると思います。政府も勿論これに対して努力を拂つておるのであります。今日政府の組閣する際に、婦人を入閣せしめなかつたかというようなことは、実際問題の立場から御考慮願いたいと存じます。(笑声)それから平和主義に関する私の意見を聞かれたのでありまするが、私は吉川君の言われるような空想的な(笑声)社会主義理論を持つておる者ではありません。又空想的平和主義者でもありません。ロバート・オーエンのような考えは持つておりません。現実的に過去における私のやつて参りましたることからお考えくださいましてもお分かりのことと思います。現実的に議会を通じて社会主義の持つておりますところの産業の発展、國民生活の安定を期する政策を行つて行きたいという考えを持つておる点をここに申上げたい思います。尚吉川君も言われる原子爆弾による平和主義ということは、只今の御説明で十分了解できることができなかつたと思います。(笑声)以上御答弁申上げました。(拍手)
   〔國務大臣平野力三君登壇〕
#43
○國務大臣(平野力三君) 吉川君の御質問の中、食糧問題に関する部分に関しましてお答えをいたしたいと存じます。御質問の要旨は、現在の遅配の深刻さをお述べになりまして、現下の食糧問題の内容を明らかにして、國民が十分納得のできるような説明をなすべしという御所論であつたと解します。この御質問は誠に御尤もな御質問でありますので、少し時間を拝借いたしまして、この点に関しまして数字的に御説明をいたしたいと思うのであります。現内閣が成立いたしましたのは六月の一日でありまして、その前日の五月三十一日の調査によりますると、東京におきまする遅配は平均八日間、名古屋におきまして五日間、大阪におきまして五日間、北九州は十日より十八日、北海道は三十日より四十日に及んでおる状況であつたのであります。これを平均いたしまして全國八日間の遅配という数字を見まして、私共は非常に驚いたのであります。
 そこで、然らばかようなる遅配の状況がどうして起つたのであろうかということを具体的に御説明をいたしますると、前内閣以來二合五勺配給の基準を決定いたしましたことにつきましては、三つの基本的なる数字の上に立つておつたものであります。その第一は輸入食糧を大体において二百万トン、その二は二十一年産米の供出を一一〇%、第三は、今年生産されまする所の麦と馬鈴薯の生産額と大体平年作、かようなる輸入食糧と、二十一年産の米と、今年の麦と馬鈴薯の平年作という三本建ての基本の上に、全國民に二合五勺配給ができるであろうという見解の下に、前内閣以來の食糧政策が立案されておつたものであります。ところが第一点でありまする所の二百万トンの輸入食糧という問題に対しましては、大いなる違算を生じておるのであります。世界の食糧事情その他諸般の関係から、到底この二百万トンの輸入食糧を現米穀年度内において得るということは困難になつたのであります。第二は二十一年産米の一一〇%の農家供出というものが、大体において一〇四%程度におきまして完全なる頭打ちとなりまして、約六%、石数からいたしますと百六十余万石というものが供出不可能という立場に立至つておる点であります。それから第三の麦と馬鈴薯の平年作を考えました問題が、今年の天候によりまして甚だしく不作という事実を訴えまして、ここに今年の麦、馬鈴薯の供出割当が相当に政府の予想を裏切らざるを得なかつた点であります。
 考えてみますと、この三つの点は、止むを得ざる理由に属するものと、尚今後努力すべきものに属するものとに分かれるのでありますが、結局前内閣が二合五勺配給の基準を決めまして、この三本建ての政策を採つてきた。この三つ共に相当の違算を生じたということが、かような遅配を生ぜざるを得ざるに至つた理由であると先ず御了承を願いたいのであります。
 そこで今私はこの輸入食糧に関する問題について、具体的なる数字を発表する自由がないのであります。併し全國民の聴かんとする所は、この輸入食糧の放出に関して、政府はどれだけの盡力をし、どれだけの見透しを持つておるかという点にあろうかと考えまするので、正確なる数字の発表の自由を持たないのでありまするが、大体においてその推定を加えて申上げてみますると、六月末日までに放出をせられまして日本國民に配給いたしましたところの輸入食糧は、大体五十一万六千トンと御了承を願いたいと存じます。残余の輸入食糧に関しまして、私共はあと百万トンは何とかして放出を願わなければならんと思うておるのでありまするが、その数字に関しましては百万トンを下廻るものであろうと想像せざるを得ないのであります。それから農家の一〇四%供出で頭打ちをいたしておりまして、残余の百六十余万石をどうするかという問題は、今後に残されておるところの政府の施策、対策と御了承願いたい。第三の麦に関しましてはすでにその収穫を千五百三十万石を推定いたしまして、この数字に関しましては、司令部とも打合せをいたした上において、農家の供出割当といたしましては六百七十万石を割当てておるのであります。馬鈴薯に関しましては、北海道、青森を除きまして、三億五千万貫の生産とこれを推定し、農家供出を一億五千万貫と踏んでおるのであります。かようなる根拠の上に立つておりまする所の現下の食糧事情が極めて困難でありまするということは、昨日総理大臣の演説がありまして、その演説といたしましての数字の裏附は、只今私が説明いたしまする数字と御了承を願いたいのであります。そこで五月三十一日までに先般申上げました通り八日間の遅配は、この六月三十日に至りまして更に四日間を加えて、全國平均十二日の遅配となつております。
 現在日本全國の遅配が平均十二日に及んでおりまするということは、極めて重大であると私共は考えておるのであります。さて然らば、この当面にいたしております所の七月から十月までの我が國の食糧事情というのは、一体どうなるのでありましようか。これ亦少し具体的なる数字について御説明をいたしますることをお聴き取り願いたいのであります。七月から十月まで日本の政府が日本の國内において供給し得る所の食糧といたしましては、八百六十二万八千石と踏んでおるのであります。その内訳といたしましては、六月から七月に持ち込みました所の米が百四十六万五千石、早場米として見込んでおりまするものが百二十九万八千石、新麦を米に換算いたしまして四百十万五千石、馬鈴薯を米に換算いたしまして七十七万一千石、早堀り甘藷といたしまして、九十八万九千石、合計いたしまして八百六十二万八千石であります。この数字は大体私共が現在検討を加えまして、略略確実に握り得る所の数字と確信をいたしておるところの数字でございます。そこでこの日本國内において握り得る食糧についてプラスすべきものが七月から十月までの輸入食糧であります。この輸入食糧を今後全力を傾倒いたしまして懇請いたしまして、我々が予定いたしておりまするところの数量が五百五十五万二千石と踏んでおるのであります。かくいたしまして、この総計は一千四百十八万石というのが、政府が七月から十月まで日本國民に配給し得る所の大体の数字であると御了解願いたい。然らば七月から十月までの間において二合五勺配給といたしまして、政府が必要といたしまする所の数量はどれだけであるかと申しますると、一千六百五十二万石を要するのであります。この必要量でありまするところの一千六百五十二万石と、政府が供給し得る見込数量一千四百十八万石との差は二百三十四万石であります。即ちこの二百三十四万石という数字が七月から十月までの間遅配となつて現われる所の数字と御了解願いたい。然らば現在政府は大体において一ヶ月配給量といたしまして四百十三万石を必要といたすのでありまするからして、この不足分二百三十四万石は、日にちに計算いたしますると大体十六日の数字に及びます。かくいたしますると、現在の食糧情勢をこのまま放任いたしまするならば、七月から十月までの間に十六日の遅配を生じ、更に六月末日までの遅配十二日を計算いたしまして、現米穀年度、昨年の十一月一日から今年の十月三十一日までに至るところのこの二十二米穀年度においては、日本政府は國民に対して二十八日間、約一箇月の遅配をせざるを得ないという数字に相成るということを、先ず御了承願いたいと思うのであります。
 次に申上げたいと思うことは、然らばこの具体的な数字の上に立つて、今後政府は何をなすべきか。これであります。これに対しまして、昨日ここにおいて総理大臣より発表せられましたところの食糧危機突破対策なるものが、即ちこのいわゆる遅配に対するところの具体的対策となつて現れるのであります。私共は昨日発表いたしましたところの食糧危機突破対策を以て、第一次危機突破対策と呼びたいのであります。この第一次危機突破対策の中におきましては、昭和二十一年産の米の吸収に対して相当力を加えておるのでありまして、その具体的な内容は縁故米制度であります。併しこの縁故米制度で以て、十分に二十一年産の米が吸収できるとは考えないのでありまして、更に第二次の対策といたしましては、特別救援米の制度、更に代替米制度等を勘案いたしまして、でき得る限り二十一年産の米を農家より吸い上げて、これを遅配欠配の地区に補わんとするのが現在の対策の第一点であります。更に政府といたしましては、水産加工物或いは調味料、單に主食といわず、苟くも國民の栄養を補い得るところの食糧に関しましては、全力を傾倒してこれを正常のルートに乗せ、而してこれを公平となるところの配給をなさんと試みておるのであります。更に私共といたしましては、最終段階において、日本の食糧危機というものが深刻化した場合におきましては、日本の食糧は何と申しましても、芋類によつてその最後の段階を防衛することが長年の慣例であるのでありまして、私共はもとより早掘り甘藷を十分その点に見ておりますと共に、更に芋類によつて危機を突破せんとするものであります、かように二段、三段の努力をいたしまして、でき得る限り二十八日間の遅配日数を圧縮いたしまして、更に最後にどうしてもその遅配の日数が埋め得ざる場合におきまいしては、更に食糧の総ざらいを断行いたしまして、この年度内になんとか遅配欠配を補つて行きたいというのが、大体の食糧に関する構想であると御了承願いたいのであります。もとよりこの事たるや言うべくしてなかなか行い難いところの問題でありまして、この実行に当たりましては、單に政府がかようなる政策を持つているというばかりでなく、全國民各位の熱烈なるところの御支援と御協力を得なければならないと思つております。よつて政府といたしましては今回の食糧危機突破対策の具体的対策として、近く農林省内に官民合同の食糧緊急対策本部を設置いたしまして、この本部におきまして、以上申上げましたような具体的数字を基礎として、眞に全國民の協力の上にこの危機を突破せんと考えておるのでありますから、この点に関しましてなにとぞ御了承を願いたいと思います。吉川君の御質問に関しまして以上お答えいたします。
#44
○議長(松平恒雄君) 文部大臣、大蔵大臣よりは後刻適当の機会に答弁があるということを、政府より申出がありました。本日は……
   〔吉川末次郎君発言の許可を求む〕
#45
○議長(松平恒雄君) 何ですか。
#46
○吉川末次郎君 簡單でありますから再質問したのでありますが、この席からお許しを願いたいと思うのでありますが、六三制の問題についての御答弁は、今の大蔵大臣及び文部大臣が他日して戴くというお話は了承いたしますが、同問題については、片山首相からも文部大臣と同様に御答弁を願うようにお願いしておいたのでありますが、いかがでありますか。できるならばお願いいたしたい。尚片山君の先般來の私の質問に対する御答弁につきましては、私の意の盡さざる所もありましたが、全体に亘つて非常に満足いたしておらんということを申上げておきたい。併し地日又機会もあると思いますから、それは他の機会に譲りたいと思いますが、六三制の問題に対する御答弁が首相より願えればお伺いいたしたいと思います。(拍手)
   〔國務大臣片山哲君登壇〕
#47
○國務大臣(片山哲君) 六三制の問題については、詳細は文部大臣から御答弁があると思いますが、昨日の演説にも申しました通り、趣旨におきましてはできるだけ実現に努力したいと考えておるのであります。問題は財政上の問題でありまするから、これらの問題につきましては、尚慎重を要することと思います。又科学教育の振興発展を期したいというお説につきましても大いに賛成であります。(拍手)
#48
○議長(松平恒雄君) この際申上げますが、発言の際には議長のお許しをお求め戴きたい。本日はこの程度において延会いたしたいと存じます。
   〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
#49
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は公報をもつて御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。(拍手)
   午後零時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト