くにさくロゴ
1949/04/20 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会厚生委員会連合審査会 第2号
姉妹サイト
 
1949/04/20 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会厚生委員会連合審査会 第2号

#1
第005回国会 大蔵委員会厚生委員会連合審査会 第2号
昭和二十四年四月二十日(水曜日)
    午後一時四十二分開議
 出席委員
  大藏委員会
   委員長 川野 芳滿君
   理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君
   理事 田中織之進君
      石原  登君    岡野 清豪君
      小山 長規君    北澤 直吉君
      佐久間 徹君    前尾繁三郎君
      河田 賢治君    内藤 友明君
      河口 陽一君
  厚生委員会
   理事 大石 武一君 理事 松永 佛骨君
   理事 福田 昌子君 理事 床次 徳二君
   理事 田代 文久君 理事 逢澤  寛君
      青柳 一郎君    今泉 貞雄君
      田中 重彌君    中川 俊思君
      畠山 鶴吉君    丸山 直友君
      苅田アサノ君    河野 金昇君
      松谷天光光君
 出席政府委員
        大藏事務官
        (法規課長)  佐藤 一郎君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  東 龍太郎君
        厚生事務官
        (医務局次長) 久下 勝次君
 委員外の出席者
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
        專  門  員 川井 章知君
        專  門  員 引地亮太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國立病院特別会計法案(内閣提出第三八号)
    ―――――――――――――
#2
○川野委員長 これより会議を開きます。
 本日は前会に引続き國立病院特別会計法案を議題として、審議いたしたいと存じます。それでは、さつそく質疑に入ります。苅田アサノ君。
#3
○苅田委員 まず第一番にお聞きしたい点は、今までの審査の間において、関係当局の方から、今回國立病院を特別会計にしなくてはならない理由として示されたところが、大体私は三つあると思うのです。その一つは、この特別会計にすることによつて、國立病院の收支を明瞭にすることができるという御趣旨と、それから当然とれる患者から金を取立てるということにおいて特別会計制が便利であるという御趣旨と、それから、これによつて國立病院の不必要なむだを省くことができる。大体こういうような利点が説明されたと思うのであります。決してこの特別会計によつて、國費の支出の面を強調して立てたものではないというような御説明であつたと思うのでありますけれども、この点に対しまして、はたしてさように理解してよろしいかどうかを、本日大藏大臣がおいでになれば大藏大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、今日おいでにならなければ、関係当局の方から、かわつて責任を持つてお答え願いたいと思います。
#4
○川野委員長 大藏大臣は参議院の予算総会の方に御出席でございまして、ここに御出席ございませんので、佐藤政府委員から御説明願います。
#5
○佐藤(一)政府委員 お答えいたします。今までにどういう御説明をしておりましたか、私非常にこまかい点までは、出席しておりませんで、ちよつとはつきりいたしませんが、ただいまのお話のうちで、第一、第二、第三点を通じて、國の歳出というものについての見地からは全然これを考えないでもつて今回のような措置をしたかどうかという御質問だと思いますが……。
#6
○苅田委員 そうでなくて、三点が理由であつて、ただ國の支出を減らすという点に重点が置かれていない、こういう御説明であつたのです。
#7
○佐藤(一)政府委員 その点について補足して申し上げますが、もちろん一般会計が相当の負担をいたすのでありますから、全然財政の見地というものを頭に置かないというようなことは、これは当然あり得ないことでございます。またいかなる政府の施設にいたしましても、それがたとい公共施設でございましても、できるだけ必要のない冗費を省くということが、これまたあらゆる仕事の原則でございますから、そういう程度の意味においては、これは当然考えれておる、こういうふうに私どもは考えております。ただ、いわゆる一口に言われております独立採算制というものにつきましては、あるいは鉄道でありますとか、あるいは通信のような他の事業会計とは、おのずから性質を異にしておるがゆえに、一挙に独立採算制をとるというようなことは考えておらない、こういうふうに御解釈願いたいと思います。
#8
○苅田委員 私は、今日は委員長から、非常に質問を簡單にしてほしいというような御要求を受けておりますので、どうぞお答えの方も、私がお尋ねした点についてお答え願いたいと思うのです。もう一ぺん私は、ただいまのお答えを考慮に入れた上で、特にこの会計にしなければならない理由として、收支を明らかにするという点と、当然とれるべきお金を取立てるということと、それからむだを省く、こういうことが從來説明されて参つたのでありますが、これ以上に何か積極的な理由があればお伺いいたしたいし、なければ、かように解釈してもよろしいのでしようかという質問に対してだけ御答弁をお願いしたいと思います。
#9
○佐藤(一)政府委員 ただいまお話のございました以外に特別の理由というものは考えておりません。
#10
○苅田委員 そういたしますと、私が考えますのに、第一の理由である收支を明らかにするという点は、確かに特別会計にしました方が、支出、收入が一本になりますので、会計が明瞭になるということが考えられるのであります。しかしながら、必ずしも一般会計に置いたならば支出、收入の点が不明瞭かと申しますと、決してそうでなくて、一本にしてもしなくても、厚生当局がこの点においてもつと指導監督を強化する、その他指導監督を適当にやるということにおいて、これは当然明瞭にすることができる。ただこの点だけであれば、非常に全國的な大きな反対を押し切つてまで、どうしても收支を明らかにする点では、特別会計にしなければならないということは言い得ないと思うのでありますけれども、この点はいかがでしようか。
#11
○佐藤(一)政府委員 ただいまの点でありますが、これは考え方の相違でございますが、なるほど一般会計にございましても、それをよく承知しておられる向きとしましては、常に計数を比較すれば足りることだと思います。しかしながら廣く一般の大衆、あるいは世間に対して計数をはつきりさせるには、これはやはり特別会計の方が、何と申しましても、形としてはつきりするということは疑いをいれないものと思います。
#12
○苅田委員 ただいまの御答弁のように、確かに便利ではある。しかしながら決して一般会計でもつて收支を明らかにすることが不可能であるということにならないことは、ただいまの御答弁でも私は言えると思うのです。
 次に第二の理由としまして、当然取れるべきお金を取立てるのに、この特別会計の方がよろしいという点なのでありますけれども、これは現在の状態を承知しておりますところによりますと、実際ある國立病院では、院長が、これは國立病院だから、しいてお金を徴收することはいらないという見解から、とれるべきお金もとつてなかつた例がままあるということを聞いておりますが、これはいかなる公共事業であつても、余裕があればとるのは当然でありますから、私はそれでよいと思います。しかしながら何も特別会計にしなくても、これはそういつた厚生省当局の趣旨を、そういう國立病院に徹底する方法をとればよろしいのであつて、何もしいて一般会計から移すにはあたらないと思う。また從來生活保護法なんかの患者におきましても、ほんとうに生活保護法の適用者以外に、あるいは顏を利用するとかによりまして、当然拂える患者が拂つていないということも、ままあると承知しておりますが、これにいたしましても、私は何も特別会計に移さなくても、一般会計で十分取立てができると思う。ことに御承知のように、生活保護法とか社会保險の患者が、國立病院の大多数のパーセンテージを占めておりますが、そういう方面の金の取立てということは、これはまたほかの理由があるわけでありまして、これはただ特別会計にしたから解決されるという問題ではない、かように考えますが、その点いかがでしようか。
#13
○佐藤(一)政府委員 お答え申し上げます。これはやや政府の会計技術の問題にも関係いたすのでございますが、実際問題といたしましては、一般会計で收入をとるよりも、特別会計でとる方が成績が上るのであります、と申しますのは、特別会計となりますと、厚生大臣が全面的な所管大臣としての責任者となり、國庫大臣たる大藏大臣はやや間接的な立場に立つわけであります。從來の例に徴しましても、一般会計にありますると、とかくとるべきものをとられないという傾向が、他の諸経費にもございます。そういう見地から行きますと、第一に責任がはつきりいたしますので、とるべきものをとるという見地から行くと、どうしても特別会計の方がよろしいと考えます。
#14
○苅田委員 そうしますと、責任の所在をはつきりさせるということに措置を講ずれば、何も特別会計に移す必要はないということになるわけでありますが、その点いかがでしようか。
#15
○佐藤(一)政府委員 さらに今のやり方以上に、現在において責任体制をはつきりできるのならばけつこうでございますが、実際問題といたしましては、特別会計の方が、その点一般会計に置きますよりもはつきりいたします。
#16
○苅田委員 そういたしますと、二の方もこれは絶対不可能ではなくて、他の処置においても考える余地があるということも言えるわけと思います。
 次に、むだを省く点でありますが、私はこの点も、ただいまの第二の理由と同じように、責任の所在がはつきりしておつた方がむだ使いはしなくなるという、ごく簡單な、子供でもわかるような理由以外に、私は理由がないと思うのです。つまり必要以上に医者がたくさんの藥を使うとか、あるいはほうたいを使うとかのむだを省くことになると思いますが、しかしその反面に、私考えますのに、現在の國立病院がほんとうに社会保障制度としての使命をなぜ果したかというと、それは收入ということを一應考えないで、必要な患者に対してはどんどん藥もやれる、どんどん必要な処置もとることができるというところに、この國立病院が社会保障制度として、公共的な性質を持つている病院としての本來の使命が果せたと思うのです。ですから、そういうわずかな便利、あるいは收支のために、そういつた大きな本來の使命が忘れられるような結果になるということは、これはどうしても避けなければならないと考えるのであります。
 それからなお、むだが多いということなんでありますけれども、これは決して國立病院が從來でも普通の営利病院に比べましてむだをしておらないというはつきりした証拠は、入院患者一人当りの費用、医療品の割合を考えましたときに、営利病院に比べまして、はるかに國立病院は額が少い。こういう調査の資料を見ましても、現在そういう國立病院のむだということが一般的な問題とはならないというふうに考えるのであります。しかもそういうふうなことをすることによつて、かんじんの医療を國家の機関として國民に施すという、この公共的な制度が失われる危險が非常に多いと考えるのでありますが、この点いかがでありますか、御答弁願いたいと思います。
#17
○久下政府委員 ただいまの問題は厚生省の直接の関係のように思いますので、私からお答え申し上げます。一般会計のもとでありましても、御承知の通り予算に制約がございます。無制限に金を使うということはできないのでございます。從つてできるだけ冗費を節約をしてやるように、私ども指導しておりましたわけであります。しかしながら実際問題といたしましては、特別会計に相なりますると、國庫からは予算によつて定められました繰入金があるだけでございまして、あとは病院であげられる收入をもつて厚生省でまかなつて行くわけでございます。実は最近の事例ではありますが、具体的な例で申し上げますと、某病院におきまして、一般会計のもとではございましたが、不必要に藥品を購入いたしまして、二十三年度の年度末になつて数百万円の赤字を生じて困つておるという病院が具体的にあつたのでございます。これは一般会計のもとにおきましても、そういう無方針なことは許されない。特別会計になりますれば、これが必然的に全体の病院の運営に響いて來る。一病院がさようなことをいたしますと、他の病院がみな経費の支出に困るというようなことに相なります。一般会計のもとにおけるよりも、より強くそうした不必要なむだが省かれると思うのであります。私どもは、特別会計につきましても、決して今までやつておりましたような國立病院の特質であるところの医療給付というものを、特別会計になつたがゆえに特別に内容を下げるというようなことは、絶対にいたさないつもりでありまするし、また現在の予算の立て方、それの運用におきまして、さような御懸念は毛頭ないものと考えております。
#18
○苅田委員 ただいまお聞きしました要点は、医療の内容が下るということを懸念した質問ではなくて、むだを省くということは必ず特別会計によらなければ不可能かという質問を私はしたわけです。それに対しまして、ただいま御答弁のうちに、一般会計のもとでさえもすでにそういうむだができないような仕組にはなつている、無制限に外から繰入れるということは不可能なんだ、こういう御答弁があつたのでありまして、この点は、なおそういう趣旨を徹底さして、そうして現在の國家の非常な窮乏している状態とか、あるいは非常に多くの人がこの國立病院に対する利用の希望があるというような現状を、さらに徹底的に一般化することができますれば、何もそういうむだを省くためにわざわざ特別会計に移す必要はない。その処置をとらなくとも、こういうむだを省くという点ならば、方法は一般会計でもなお講じられる余地があるのではないかという質問だつたわけなんです。
#19
○久下政府委員 お答えいたします。一般会計でありましても、特別会計でありましても、むだをしてはならないことは当然であり、先ほど申した通りであります。ただこれも問題は程度の差であると思います。特別会計になりますれば、先ほど申し上げたような事情によりまして、必然的にむだを省かなければ、他の全体の病院の運営に直接響いて來るというようなことが、一般会計の場合とよほど違つて來るということを申し上げたのであります。
#20
○苅田委員 大体今までの御説明によりまして、政府が今回一般会計から特別会計に移さなければならないという建前をとつておいでになることは、一二、三点を通じまして、ただいまの御説明にありましたような多少の利点のあることはわかるのであります。またほつておきましても、病院自体としても自戒いたしまして、その趣旨に沿うような行動をとらなければならなくなるというようなことはわかるのでありますけれども、しかしながら特別会計に移さなければ絶対にこの点は矯正できないというものではないことも、同樣にただいまの御答弁で明らかになつたと思うのです。ただ問題は、そのような多少の有利な点があるといたしましても、國立病院本來の使命であるところの医療、國民が憲法に保障された健康な生活を営むという國民の権利をできるだけ公平に一般化す。そういう政府の施策として、國立病院が現在行われているような、こういう本來の使命の重大さから考えますと、これはそれだけを取立てて主張しなければならないほどの大きな理由にはならないと私は思うのです。もしも他の点におきまして、その收支を明瞭にするというこの処置が構ぜられ、また当然取れるべき金を取るということも、あるいはむだを省くということにいたしましても、他の方法によつてこれを矯正することができるのでありますから、その理由でもつて國立病院を、この前の委員会でごらんになりましたように、全國の数十万というような眞劍な反対を押切つてまで、今この機会にすぐ特別会計に移さなければならないほどの理由があるとは私は認めがたいのであります。まずこのくらいの理由であれば、他の方法を構ぜられて、そういて從來通りの一般会計に置いておくことができるじやないか、かように考えるのでありますけれども、この点につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
#21
○佐藤(一)政府委員 確かに問題は総体的な問題でありまし、一体どちらの方がよいかという問題でございます。これでなければやりようがないという問題ではもちろんありません。しかしながらただいま苅田委員のお話のございましたように、この三点の目的を達するためには、特別会計にいたしました方が、一般会計のままでいるよりもはるかにベターであるということもまた確かなのでございます。從いまして特別会計にすることが積極的に惡いということがあれば別でございますけれども、それでなければ、われわれとしてはベターな方をとりたい、こう考えております。
#22
○苅田委員 他に積極的に惡い点が出て來れば、ただいま政府が出している一般会計に移すという理由はなくなり、あくまでこれを行わなければならないとは考えないというただいまのお言葉で、私は大体了承いたしまして、次に質問を進たいと思います。
 從來委員会でもつてしばしば厚生当局が言明しておられますところは、この特別会計制に移すことによつて、從來持つている國立病院の医療の公共的性質に決して障害を及ぼさないということを言つておられるわけであります。それから、連合軍の社会保障制度を確立せよというこの勧告に対して、決して逆行するものではない。それから、これによつて貧困者を締め出すというような事態を決して起さない。こういう確信の上に立つて、当局者は國立病院の特別会計制を推進しようとしている、このようにお聞きいたしたのでありますけれども、この点は間違いございませんでしようか、どうかお聞きしたいと思います。
#23
○久下政府委員 さように御了解願つてけつこうであります。
#24
○苅田委員 そういたしますと、もしもこの審議の結果、これは政府の意図に反して、國立病院の医療の公共的性質に反する。あるいは社会保障制度と逆行するものである。あるいは貧困者が締め出される結果になる。こういう事情がもしも明らかになつたときには、少くともそういう点に対して大きな疑問が残つておれば、関係当局の方はこの法案は撤回なさるか。少くともすぐにこれを決定しないで、これを保留するということは当然お考えになると思いますが、この点についてあらかじめお考えをお聞きしたいと思います。
#25
○久下政府委員 私どもは國立病院の特別会計制を採用することに同意をいたしまして、予算の折衝などをいたしておつたのであります。從つて先ほどおつしやつたような積極的な理由をもつてこれを出したわけでありますから、そうでないということを考えておりませんので、その場合を予定しての御返事をいたかことはいかがかと考えております。
#26
○苅田委員 これは重大なことですから、もう一ぺんお聞きしたいと思うのですが、政府としてとにかくこれは法律として提出したのだから、いかに審議の結果公共的性格に反する、あるいは社会保障制度と逆行するような結果になり、あるいは貧困者を締め出すような結果になるということが明瞭になつた場合でも、それに対する処置はまだ考えておらないのか。少くともそういう疑問が残つていれば、この法案をさらに研究し、はつきりするまでの間これを保留すべきだという、それだけの御決心もないかどうか。これについてもう一ぺんお聞きしたいのです。
#27
○久下政府委員 重ねてのお尋ねがございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げた通りでありまして、この程度において國立病院の特別会計制度を布きましても、仰せのごとくに何ら從來の國立病院の性格に変更を來すものでないということを確信しておりますので、その辺を予定したことは考えておらないのであります。
#28
○苅田委員 それでは私の方から申し上げますが、もしも政府がそういう前提の上に立つてこれをお出しになつた。しかもこの國会は審議権があるわけで、こちらでもつて審議して、明らかにこれが政府の意図と反するような、つまり政府がこれをやつても、そういつた反響は生れないと考えておつたような反響が、明らかに生れるということが仮定されたならば……。そうじやなくて、それでは政府当局の方がお考えになつておつたことと反対の結果、つまり医療の公共的性質に反する、あるいは貧困者を締め出す、また社会保障制度と逆行するようなことが生まれることが、かりに予想されるような状態が明らかになつた場合にも、政府の出したものはしやにむに通すのだというような特別の事情があるのかどうか。また政府はそういう事情があつてもとにかくことは通さなければならないと考えておいでになるのかどうか、この点もお聞きしたいと思います。
#29
○久下政府委員 同じような問題について重ねてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、もしも國立病院の性格が、特別会計を実施することによつてかわるようなものでありましたならば、おそらく厚生省といたしましては、こういうことを提案することに同意をしなかつただろうということは申せると思います。現在におきましては、先ほどから申しております通りに、変更がないものと考えておりまするので、御提案申し上げておるのであります。しかしながらこれはあくまでも政府としての考え方でございまして、御審議御決定は國会の権限にあるわけでありますから、御決定になりますればそれに從わざるを得ないと考えております。
#30
○苅田委員 政府の考えることは絶対だ、これに対してそういう間違つた結果が生まれようはずがない、こういう強い確信のもとにこの法案をお出しになつておることは私はただいまわかるのです。これは一般に言われております官僚の独裁が非常に強くなつておるのです。これと思い合わされるいい態度だと思われる。そうであれば、ほんとうに手間ひまをかけた大きな審議機関をつくることは不必要なわけである。私は仮定を言つておるのであつて、もしも政府当局が考えられたと反対の事情が起つた場合には、これをもう一ぺん改める御決意、もう一ぺん考慮してみるというくらいのことはあつてしかるべきだと思つて確かめたわけなのですが、これに対して、ただいまは、自分たちが考えていることに間違いはないのだという非常に独断的なお考えからの御答弁で、私はその点非常に不満足なのでありますけれども、しかし当然政府はそういうお考えでありましても、私はなおその上に立つて実際に愼重にこれを審議していただきまして、ただいま申しましたような反対の結果が明らかにあつた場合、あるいはそれに対して非常に疑いの強い場合は、どうぞ協力してこの点満足の行くような処置をとり、あるいは政府に対してこれを撤回してもらうなり、あるいは保留というような態度をしてもらうなりを同僚の諸君にもお願いして、ぜひそういうふうにやつていただきたい。それでなければ本來の國立病院としての使命はとうてい果されないと私は考えるのであります。今の特別会計に移すことが、政府の方では決してそういう公共的な性質も阻害しないし、また社会保障制度にも逆行しないし、また貧困者も締め出さないという強い確信でこれを立てておられるにもかかわりませず、私どもが考えるところによると、非常に逆な結果が生まれるということが考えられます。
 私は一々について御答弁をお願いしたいと思います。そのまず第一番には、昭和二十三年度の推定の実績によると、收入は総支出の約五八%になつておる。これは医務局の御回答でございますから間違いないと思うのです。ところがこれに対しまして今回特別採算制にするに当りましては、入院患者に対して一割五分の割引、あるいは外來患者に対して一割の從來の割引を廃して、大体約一〇%の收入を見込む、こういう御説明があつたのがありますけれども、こういう割引を廃止することがはたして從來持つておつた國立病院の社会保障的な性格を傷つけるものでないかどうかという点についての御質問なのであります。この割引ということは單に病院に患者として入つている者、あるいは外から來る人だけが恩惠をこうむつておつたのではなくして、國立病院がこういうような安い医療をやつているということが、あるほかの病院に対しまして大きな重圧となつておつた。その実例は山形縣におきましても、國立病院がこういうふうな割引をしていることが一般の民間の医者を刺激いたしまして、あすこでもやはり割引をし始めているという傾向が現に生れている、こういう報告を受けておるのであります。これがもし反対に割引が廃止されるということでありますれば、この点だけでも一般の医療の値上りの傾向は抑止できないと思うのであります。これは明らかに医療が國民全体の健康を守るために安い医療をやつて行こうという國立病院が持つている公共的な社会的保障的な性格と相矛盾する結果になると思うのでありますが、この点についていかがお考えでありましようか。
#31
○久下政府委員 割引を廃止いたします理由についてのお尋ねであり、また割引を廃止することが公共性に反しないかというようなお話であると思います。これは從來割引をしておりましたときの実情を申し上げれば御了解がいただけると思うのであります。國立病院がこの割引をいたしましたのはきわめて形式的な理由に基くのでございまして、社会保險の單價のきめ方は一般の開業医もそれを引受けてやるのである。税金な原價償却の必要のない公営機関においては一割引というのが適当であろうというだけの理由で一應割引をしたのでございます。しかしながら実際問題といたしましては、國立病院の経営上の支出を、ただいま御指摘のように、つまり五十%の收入に対して四二%一般会計から出て來るというかつこうになつているわけであります。言いかえますと医療の実体は割引以上のことを與えておつたということが言えると思うのであります。國立病院といえども実際に與えた医療の内容に應するだけの費用はいただくのが当然だと考えておるのでございます。そうでございませんと、全國に適当に國立病院が配置され、全國民があまねくこの恩惠に浴しているという実情でない國立病院の現状におきましては、そのある地域だけに特別に恩惠を與えるということは國立病院の運営としてはそこまではやる必要はないと考えております。
#32
○苅田委員 その点の御回答はしばしば私は聞いておるわけで、私がお尋ねいたしましたのは、そういう割引をやつたことが適当であるかどうかということでなく、現在割引をしたために非常に一般の患者が安い医療を受け、さらに國立病院患者だけでなく、それ以外の患者までもそういう安い医療を受けるための大きな圧力になつておつた。これがもし逆にこの割引を廃止するということになれば、これが逆な結果が生れるということは明白なのであるが、この点はどうかをお聞きしたわけであります。
#33
○久下政府委員 確かにそれだけの話でありますれば、そういう感じを持たれることは事実かと思います。しかしながら私の方といたしましては、割引を廃止いたしましても、その医療費としていただく金額に相当するだけのサービスはいたすつもりであります。從つて言いかえれば、國立病院が百円の医療費をとつて実費は九十円とか八十円とかいうだけの医療を與えるということはやらないつもりでおります。ですから從來はそれが逆であつた。実際は百円の医療の実態を與えておりながら、ただ單なる形式上の理由によつて九十円なり八十五円なりに割引をしておつた、こういう実情であることを申し上げたわけであります。
#34
○苅田委員 それで私はひとつお聞きしたいのでありますが、政府はしばしば社会保障制度としての医療ということをしきりにおつしやるのでありますけれども、社会保障制度としての医療ということの言葉でなくて実体はいかなるものであるか、医療が社会保障制度として考えられるということは一体どういうことであるか。これは私どもの普通の常識によれば、医療がだんだんと國営化されて、そうして一般の人々が非常に安い医療でもつて、でき得れば、理想的に言えば無料でもつても治療を受けられる、こういうふうに進んで行くのが、私は言葉の上でなくて、実体としての医療の社会保障制度的な行き方だとかように考えておりますので、ただいまの御答弁は、その点で私が問題を出した点、こういうふうにやれば社会保障としての性格がだんだん逆行するものじやないかということに対する満足の行く答弁になつていないわけなんです。一体社会保障制度としての医療の進み方というものに対しまして、私はこの機会に厚生当局はどういう考えを持つておられるか、昨年來イギリスとかあるいはノルウエーとかそういつた國々でだんだん医療が國営化されて行く、こういう傾向と日本の社会保障制度としての医療の考え方はまた別個なのかどうか、この点につきましてついでにお聞きしたいと思います。
#35
○久下政府委員 わが國に將來行われるでありましよう社会保障制度が、実際問題としてどういうようなかつこうに相なりますか、社会制度審議会の御審議の結果だと思つておりますが、少くとも私どもは現在連合軍最高司令官の勧告案に基く社会保障制度として理解しておりまする考え方は、必ずしも医療國営を前提として考えなくても成立ち得る制度であると考えておるのであります。またそのことが同時にあの勧告の中にも現われておると理解をいたしておるのであります。言いかえますれば、社会保障制度というのは疾病が貧困の大きな原因でございますので、結局疾病にかかるということが個人個人の大きな経済的な負担になるわけでございます。社会保障制度によつてこの経済負担の面を解決してやりますれば、事業の経営主体は必ずしも國営でなくても、各医療機関がこれに全面的な協力をいたしますれば、社会保障制度は、成立つし、またその程度においてやつて行けるものと考えておる次第であります。
#36
○苅田委員 そういたしますと、これは國営にするしないということは別問題にいたしましても、医療に対する國民の負担を軽減するということが社会保障制度の進路としては共通だ、この点はさようお考えなんでございますね。
#37
○久下政府委員 さようでございます。
#38
○苅田委員 そうといたしますれば、そういう点から考えましても、こうした割引を廃止するという方向、これによつて廃止される人だけでなくて、先ほど言つた山形縣の例のように、一般の病院の医療費も当然の反動として値上りの傾向が、その面だけ考えれば見えるということは、政府自体もお考えになるのでありますから、そういう措置をすることは、そういう点から考え政府の意図なさつた方向と逆に進んで行く現象だ、かように考えることがむりかどうか。私はむりがないと考えるのですが、どうでしようか。
#39
○久下政府委員 セ砲どお答え申し上げましたように、國立病院が実際に行います医療の実態と合うだけり医療費をいただくということは、私ども当然であると思つておるのであります。実際の與えた医療よりも安い料金をとらなければならない理由の方がむしろないではないかというふうに考えております。
#40
○苅田委員 一のものを賣つて一だけのものをとることは、これはほかの商賣人でもそうなんで、これには私は別にそういうわけだからいいんだというのでなくて、少くともこれが國民の負担の軽減というようなことが社会保障制度としての医療の進むべき道であるということは、先ほどもお答えになつたお言葉の中にも明らかなんで、この点の押し問答はこれ以上進めようがないと思う。私は皆さん同僚のお聞きになつておる方もよくおわかりだ思いますから、その点これ以上お聞きいたしません。
 次に、やはり医務局の方の御報告では、昭和二十三年度の收入状況は最近好轉を示しておるので、大体これによつて收入が七〇%を超過する見込みだ、こういうようなお見込みのもとに今年は特別会計によつて約七五%もでの收入を見込んで、一般会計から二五%だけを繰入れる、こういう御予定になつているわけなんです。ところがその実績になつております七〇%、收入が七〇%まで上つたということは、自然な現象としてそこまで病院が收入を上げるようになつたかどうか、この点について考えてみますと、私は七〇%まで病院が收入を上げるようになつたのには、いわゆる國立病院としての使命を無視するような行動が行われた結果だというような事実をたくさん聞いておるわけなんです。たとえば当初この國立病院ができましたときには、收入はせいぜい二〇%、二割ぐらいしかなかつた。これに対しまして、過去三年間厚生省当局では、そういつた國立病院が收入を上げないようなことではだめだということで、きびしい御指令がありまして、そういて特に最近になりましては、五〇%以下しか收益の上らないような病院はつぶしてしまうというような御指示までもあり、本年の二月の入りましては、大藏省の方から特に收益状態の惡い國立病院の十三箇所を指定いたしまして、これは廃止する、こういうようなことが言われたことを承知いたしておるのであります。昭和二十二年度におきましても、こういうような病院が收益の対象にならないというので、全國の数十箇所の病院を廃止または府縣に移管する、こういうような措置を発表いたしましたために、これに対して非常に國民からの反対を食いまして、その結果厚生省はこの案をひつこめた、こういうようないきさつを考えてみましても、三〇%までの收益を上げるためには非常なむりが行われておつた、こういう指令に対しまして、國立病院の方ではやむを得ず、從來あつたところの無料、減免の患者なんかを、まだ治療が完全でないにもかかわらずどんどん退院をさせなければならないとか、あるいは新しく患者をとる場合に利益の上りそうな、つまり國立病院に入る必要のなさそうな特別な患者をよけいとるような傾向を生じたとか、こういうような特別な社会保障制度としての國立病院の性格と反するようなことが、すでに特別会計に移る前に行われて來ておつた。もしここで特別会計が行われれば、この傾向はさらに強化される、こういうことが非常に考えられるわけなんであります。厚生省当局に從來そういつたような処置がなかつたかどうか、大藏省の主計局長あるいは第三課長に私は直接責任当局としてお聞きしたいのですが、こういうことを指令なさつたことがなかつたかどうか、こういう点についても私はお聞きしたいと思うのです。
#41
○久下政府委員 特別会計に入る前から收入を上げることをやかましく言つておるような事実がないかというお話でございましたが、全然事実のないということは申すまでもないと思います。と申しますのは、先ほども苅田委員のお認めをいただきましたように、正当に收入し得るように、ただ病院の職員の怠慢のために成績が上らないのではないかというような疑いのありますところに注意をいたした事実はございます。そういう結果当然に入る、たとえば市町村の生活保護費等の受入れが、やかましくお願いをしたためにきわめて迅速になつたというような実例はございます。しかしそれは決してそれだからといつて特別会計になればどうこうということでなしに、むしろこれは特別会計、一般会計を通じて收入を上げる建前になつております、ある程度は上げなければならぬ建前になつております國立病院といたしましては、当然のことと考えておるのでございます。
 それから國立病院の廃止が行われるのではないかということを大藏省に対してお尋ねがございましたが、これはむしろ私の方からお答え申し上げた方がよろしいかと思います。予算の折衝のときに、そんな話がちらつと出たようなことは私ども聞いておりますが、これは何ら公式のものではありません。私どもとしてはこれを発表したこともございませんし、また大藏当局からもこれを発表したことを聞いておらないのでございます。私どもといたしましては、國立病院をさしあたり廃止するという考えは全然持つておりません。
 それから減免患者を退院させておるのではないかということでありますが、私は國立病院に関係のある責任者の一人といたしまして、さようなことは聞いておりません。
#42
○川野委員長 苅田君に御相談申し上げますが、お約束の時間が二十四分経過したようでございますので、なるべく簡潔に願います。
#43
○苅田委員 私、まだ質問が終つていないのです。もう少し、できるだけ簡單にいたしますから……。
#44
○川野委員長 ほかにまだたくさんございますから、できるだけ簡潔にお願いいたします。
#45
○苅田委員 二十二年度に数十箇所の國立病院の廃止を公表したことがなかつたかどうか。それから大藏当局に対しましては、十三箇所の病院を指定いたしまして、これを廃止するというような通知を出したことがなかつたかどうかという二点をお聞いたします。それからさらに減免患者に退院させるというような事実がないとおつしやいますけれども、これは非常に当局の怠慢でありまして、名前をあげて申し上げることができるのであります。たとえば水戸の國立病院であるとか、あるいは千葉の柏病院なんかでは、現に生活保護法の患者が打切られておる。それからそういうために医療上の見地からの退院者よりも、事故退院者が非常に多い、こういうような実情に対して全然御存じないですか、どうですか。以上の三点をさらにお伺いいたします。
#46
○久下政府委員 まず第一に昭和二十二年度に二十二箇所の病院の廃止を公表した事実はないかということでありますが、その事実はございません。
#47
○苅田委員 廃止、あるいは府縣への移管は……。
#48
○久下政府委員 そういうことを公式に申したことはございません。それから十三箇所の問題につきましては、大藏省へのお尋ねでありましたが、大藏省の方にもその事実はなかつたはずであります。責任者はおりますから申し上げてよいと思いますが、私どもの知る限りにおいてはそういうことはありません。
 それから水戸、柏等で減免患者が退院して行くのではないかということでありますが、多少入院をしておりました患者が生活保護法の適用を受けるのか、あるいは健康保險の方から支拂いを受けるのか、こういうことでごたごたがあつたことは聞いておりまして、そのことは今調査をいたさせております。しかしながら建前というしましては、私ども金が拂えなくなつたから出て行けといつたようなことは絶対にいたさないつもりであります。
#49
○苅田委員 政府の御希望のところはわかるのであります。ただ実情に対してあまりにも暗いということを私ども非常に残念に思うわけです。さらに昭和二十二年度に対してそういうような通達を出したことはないという御説明でありますが、たとえば栃木の病院などにおきましても、これは單に國立病院だけでなく、そこの市町村あげて反対の運動をやり、現に私どもの方でもその陳情書も受取つているという事実が過去のあるのです。これは決してそういうことがなかつたとは言えないと思います。この点につきましては、先刻なかつたとおつしやいましたから、保留いたしまして、次の機会にもつと私ははつきりした証拠をもつてそういつた陳情文を持つて参りまして、この点についての政府のお答えが非常に不明瞭であり、非常に不誠意だということをさらに明らかにしたいと思います。
 この点だけで結論すれば、どうも政府の從來のやり方はそういうふうに收益を上げるために、つまり勘定をとるために、國立病院の本來の使命を無視するような行動がずつと続けられておつて、その結果として今度の特別会計制というものが法律として出されたという感じが強いということを遺憾に思うわけです。さらに七〇%の予想がむりだということの一つの証拠は、國立病院の現状を御存じになればそういう御説明は出ないと思います。現在の國立病院が施設の点においてもどんなに荒廃しており、また終戰直後まではたくさん持つておりました藥品のストツクなどが切れてみじめな状態になつておるかということは、厚生省、大藏省に出しました中央労働委員会の建議書にも明らかに書いておるのでございます。つまり「現在國立病院及び國立療養所が施設の不備、荒廃、從業員の不足等のため、崩壊の一歩手前にまで來ており、まことに寒心すべき状態におかれていることは否定できない」ということが中央労働委員カ井建議書に書いてあるわけです。こういつたような現状を無視して七〇%の收益を上げるということを考えておられるから、非常に危險な予想の立て方だと私は考えるのです。この点で特別会計にすることは大きな破綻を來す。どうしても施設をもつと強化して、病院が医療をすることができるようなそういうものを強化しなければならないのに、こういう現状の上に予算を組んでおられるということは非常に危險だと考えますが、この点について御答弁を願います。
#50
○久下政府委員 國立病院の大部分約三分の二くらいのものは戰時中のバラツク建のものであり、病院としての設備が完全でないということは私どもも認めております。從つてこの点につきましては、今後も改善の手を加えて参りたいと思つておりますが、いろいろな事情のために急速に全部を改善することができないのは、はなはだ遺憾としておるとこであります。しかし病院の運営にどうやらここ一、二年やつ行ける程度の補修のできるような予算が、國立病院の特別会計の中にもございますし、また別わくの公共事業費の中にも若干のものが入れられておりますので、これらを有効に使うことによりまして、できるだけ改善をして行きたいと思つております。そういうことをいたしますれば、現在の実績から見まして今度の特別会計のわくの実施は困難でない、こういうふうに考えております。
#51
○苅田委員 これは大阪の國立病院の病院長でさえ、もしも現在の國立病院がコンクリート建の病院であつて、業品も十分手持があれば、これは決して特別会計になつても反対するものでない。こういうことを言われておる医者のあることも聞いておるのでありまして、こういう点から政府が考えておるような、わずかの修理費等でもつてとうていお考えのような経営がなつて行くということは私は考えられないのであります。しかし時間があまりありませんので、ただいまの御答弁では非常に不満足でございますけれども、この点をさらに言うことをやめます。
 次に御承知のように病院の患者は半数が生活保護法の患者なのであります。ところが先ほど申しましたように、現在では生活保護法の適用を受けております患者が、各國立病院とも、府縣の方からの要求で治療を打切られておるよう現状がたくさん出て來ておるのであります。これは至るところの病院にあるのでありまして、もしも厚生省がこういう事情すら御存じにならないで今度の特別会計の案をお立てになつてとすれば、私はそこに大きな問題があると思うので、この実情を十分にお調べ願いたい。現状は決して当局がお考えになつておるようなものではないということをよくお調べ願つた上で私はこの案を立てていただきたいと思うのであります。実情から申しますと、先ほどから言つたように、至るところの病院で府縣の方からの打切りの要求が出ておる。それに対しまして從來國立病院の建前として、そういう人を減免患者に直して、無料で治療を與えておつたのであります。今度御承知のように、非常にたくさん生活困窮者がふえる見込みで、企業整備によつて失業者が出ましようし、行政整理も行われますし、それからまたやはり今年も何十万というような海外からの引掲者も帰つて來ましようし、それに今度は地方財政が非常に削られるわけになりますから、府縣の負担というものが從來以上の過重になつて來る。この面からも生活保護法が現状のままでは非常な大きな破綻を來す。この生活保護法が、昨日も私は厚生委員会ではつきりしたのでありますけれども、昨年に比べまして実質的には少しも保護の量が加えられていない。名目的には多少予算の数字は上つておりますけれども、そういうものは生計費あるいは物價の値上りから考えますと、かえつて実質的には少くなつておるのですから、生活保護法の面でこういう困難な人を救済できないところに持つて行つておるので、そういう人たちは何を頼りに医療にかかるかと言えば、國立病院で安い治療が受けられる、こういうことになつて來る。しかるに國立病院としては、とにかく利益をあげて自分でまかなつて行かなければならないというような建前を押しつけられるとすれば、これは医者がどんなに貧困者に対して十分な治療を與えたいと思いましても、やむを得ずそういう人たちがだんだんはみ出されて來る。病院としてはそういう生活保護法の適用を受けておるような人でなくて、もつと收益の上る患者をとらなくてはならない、こういう結果になつて來ると思うのです。これは明らかに政府が考えておられる医療の公共的性質とか社会保障制度としての使命にそむき、また貧困者を締め出したくないという御趣旨に副わない結果が起ると思うのであります。この点はどうか。それからそれではもしこういう場合にどんどん生活保護法の適用を受けておる患者が府縣から打切られて來る、こういう状態が続出するようになれば――これは当然続出するようになると思いますが、そうすれば病院はそういう人たちを退院させなくて抱えておつてもよいかということであります。そうすればそのときに私は現在考えられておつたようなこの予算は破綻を來すと思うのです。そういう人たちは当然減免患者として置くことができない、こういうことになればこれははつきり生活保護法じやなくて、医療の公共的な性質、社会保障制度としての性質に反する結果が生れて來ると思うのですから、こういう点について厚生省当局者はどういうふうにお考えでしようか、御答弁を承りたいと思います。
#52
○久下政府委員 お話の通りに、昭和二十三年度の実績から申しますと、國立病院の入院患者の半数は生活保護法の適用を受けております。これが今日打切られつつあるのではないかというお話でございます。事柄が生活保護法の施行それ自体にかかつております問題でありますから、私から責任を持つたお答えをいたしかねることは御了承願いたいと思います。私どもの立場といたしましては、もしもそうしたことが事実であるといたしますれば、生活保護法の運営の問題としてその向きに私どもの立場からも大いに折衡をいたしまして、さような問題のないように解決をしたいと思つております。ただお話がございましたので、この間社会局長とお話合いをいたしたわけでございますが、社会局長はそういうことはない、またそういうことであれば十分協力をするということを言つておりましたが、そういう方法によつて解決をして行きたいと思つております。
#53
○苅田委員 今の御答弁は私は非常に不満足なのです。私は現状について名前をあげて言つたわけで、たとえば水戸國立病院とか、あるいは千葉の柏病院とか、そのほかもしもそういう病院の名前を出せとおつしやれば一々資料を出すことができると思うのです。そういうたくさんのところで現在生活保護法の適用患者が医療の点で非常に圧迫を受けておる、締め出されておるというような現状を全然無視されて、特別会計制をしかれたということであれば、これは厚生省が責任を持つて、これによつては決してそういつた貧困者を捨てない、貧困者を締め出さない、それから医療の公共的性質にも反しないというあの強い確信と、全然反対の現象だと思うのです。それくらいの見やすい事実さえ御視察なされなくてこういうような案が立てられたというところに、私は大きな問題があると思うのです。これはぜひその点からももう一ぺん研究していただいて、生活保護法を受けておる患者がどんなに苦しい現状にあるか、これを進めれば將來この面からでもどのくらい悲惨な面が現実に現われるかということを、十分御承知願いたいと思います。
 それから次に現在の國立病院の中には社会保險の患者が二割余りあるわけです。ところが社会保險の状態がどうなつておるかといいますと、これも、御承知のように、現在では生活の困窮からこの保險に対する利用者が非常にふえておるわけです。それでこのために保險基金の方には常に五億円、六億円とかいうような赤字が出ておる状態で、しかたがなくて今度はそういう赤字を解決する方法として、これを一般の被保險者の負担に轉嫁しようということで、今度健康保險法がかえられようとしておる。その案ができておるということは御承知になつておると思うのです。こういうふうにして、それだけでも一般の國民が医療の方の負担が加重して來ようとしておる。特にそれだけでなくて、政府が保險金を拂わないものですから、一般市中の保險病院はこの一月から一文の保險金ももらわなくて、そのためにつぶれかかつておる。つぶれようとしておる。國立病院は一般の営利病院でないという建前から、こういつた保險の方面の大きな矛盾の影響も比較的從來少くて済んだわけなんです。ところが特別会計になつて、一般の営利会社と同じように收支償うというような建前になつて行けば、現在健康保險や社会保險等が持つておる大きな矛盾、そのためにこうむつておる一般國民の医療上の大きな重圧、そういうものが直接國立病院の患者の方までかかつて参ります。こういう一般の生活保護者も非常に苦しまれており、それから保險の面からでも重圧をこうむろうとしておる人たちのためには、國立病院が以前以上に公共的な、社会保障的な性格を強化することによつて、こういう困難な状態が救われるのに、かえつてこれが逆行しようとしておる。こういう点からも私はぜひこういう点を御再考願いたいと思う。國立病院を独立採算制にすることを御再考願いたい、かように考えますが、この点いかがでしようか。
#54
○久下政府委員 社会保險の支拂いが最近遅れておりますことは私も承知しております。保險局長から聞きましたところでは、大体一月のはすでに近く拂い、四月中には二月分の支拂いもできる予定だというふうに聞いております。今後この点は保險局の御努力によりまして、解決されるものと期待しております。從つて御指摘のような点が大きな問題として起ることは、私どもはただいまのところとしては懸念をいたしておらないのでございます。
#55
○川野委員長 ちよつと前田さんに御相談申し上げますが、お約束の時間が遅れること五十分、ほかに多数の質問者がおりますので、一人で独占していただきますと、他の同僚議員の御迷惑も出て参ります。承つておりますと、意見が非常に多いようですから、要点だけを御質問願いたいと思います。
#56
○苅田委員 再々の御注意でありますが、私はこの点重大なので、もつと一々得心の行くように私は御説明願いたいのですけれども、やむを得ませんが、ただ、ただいまの保險のそういう破綻の状態は承知しておるという。しかしながら破綻の状態を承知しておるけれども、まあ大したことはない、やつて行けるのじやないかというような御意見には私はやはりどうも納得できかねるのであります。やはり厚生当局がもつとはつきりした、具体的な事実の上に立つて、こういう点が、特別会計制にしても、これは決して公共的な性質であるところの社会制度の任務も果し、また困窮者も締め出さないという、はつきりした積極的な具体的な事実をお示めしにならない限り、やはりこの点の疑問は消えない。厚生省御自身のお答えの中に確信のため御答弁ができていない点から見ましても、やはり御当局としても御再考の余地があるということをお認めにならなければならぬのじやないかと思います。
 次に、私は今度は一括ということですから、それでは一つの点で、自費の患者といえども、國立病院に入つておる者は、ほかの慶應とか何とかいうようなところに入つておる者よりも、やはり生活の困窮者が多いのだ。そうすれば、こういう自費の患者のところから当然取上ぐるべきではない。取るといつても、これはやはり限定がある。そうすれば、結局こういうふうな收入をあげて行くという点から考えれば、從來以上に一般の患者の負担にこれが轉嫁される以外に、生活方護法をどうしてでも、あるいは保險の方をどうしてでもやれることですが、結論としては結局收入をあげるための負担は一般の患者にかかつて來る以外に方法はないのだということを申し上げまして、それではそれ以外の方法でどういうふうにして政府は收入をあげることをお考えになつておりますか。あるいは未復員者給與法ですか、それから特別未帰還者の給與法なんかによつてまかないなどもできるということですが、これにいたしましても、私は全体の総額から見れば、大した收益とはなつていないと思うのです。ですから、当然これは患者に負担がかかつて來る。そうでないならば、これは今以上に國立病院の職員を労働強化する結果になつて、その面からも当然医療内容の低下ということが考えられるのじやないか。こういうことを私は指摘したいのですが、あの一回質問さしていただくことにして、その点だけの御答弁をお願いします。
#57
○久下政府委員 いろいろな点に触れてのお尋ねでありましたが、自費患者といつても、生活困窮者だから、むりに取上げようとしても取れないのではないかという意味のお尋ねと思うのでありますが、私どもとしても決してそういう面においてむりをしようとは考えておりません。ただむりをしようということではなしに、自費患者だから取るという前提ではなしに、自費患者の中のとれる患者からいただくように、もう少し微收の上に熱心になつてもらうという点に、考慮の余地があるのではなかろうかという程度に考えておる次第でございます。
 それから先ほどのお尋ねに関連をするのでありますが、昭和二十三年度の実績から申しますると、入院患者に対し入院料その他医療費を減額し、または免除をいたしましたものは、それを両方含めまして、全入院患者の一〇%に相当するものであります。從つてその面から申しますれば、予算的にはまだそのままであるといたしましても、相当減免のような扱いのできます幅があつたものと考えておるのであります。
 さらにただいま御指摘のように、未復員者給與法、特別未帰還者給與法の適用が全面的に行われるようにすることは、病院の経理の面から申しますれば、有利の材料として数えあげていいと思つているのであります。
 それから特別会計になつて労働強化をすることはないかというふうなお話でありますが、この点につきましては、特別会計になつても、幸い大体方針がきまつておるように承知しておる行政整理のやり方から申しましても、國立病院及び療養所の技術職業は全然行政整理をしない。言いかえれば、行政整理の対象にしないということで了解がついたように承知しておるのであります。そういう面から、從來に比較して労働強化になるというふうな事実はないと思つておるのであります。
#58
○苅田委員 私は決して積極的に病院の中に行政整理をするなといつておるのではない。收益をあげるということが強要されるために、少くとも特別会計になつて、これをやつて行かなくてはならないという建前になるためには、病院が経営上の点でやむを得ずそういうような処置を取らなければならない結果が起るのだ。あるいは病院としては、当局のお考えでは貧困者を締め出すつもりはないのだ、こういうふうにおつしやつても、先ほど当局が認めておるように、生活保護法の不備や、あるいは保險の今の不満足な状態では結局そういう患者が締め出される結果になる。私は希望しないけれども、そういう結果が必然に生れて來るというこの大きな疑問が、少くともただいまの御説明では解決されなかつたということ、また政府御自身もその点に確信を持つてお答えになるだけの十分な調査をしておいでにならなかつた。こういう事実がはつきりしておるのでありますから、この際こうしたむりを押し切つてまでも、これだれの大きなハンデイキヤツプがあるものをむりやりに通過しなければならないだけの理由としては、非常に理由が稀薄である。だからこの際はどうしても少くとも現在の生活保護法がもつと完全なものになり、それから保險の方がもつと内容が充実されたものになつて、社会保障制度の一環として、そういう貧困者の治療がさしつかえなく行われるようになる。そういう社会保障制度の確立までは、こういう非常な危險をたくさん含んでおる法案は、少くともそれまでは保留していただきたいということをお願いしたいわけなのです。私の質問はこれで終ります。
#59
○田代委員 この問題はきわめて重大でありまして、今政府委員の答弁をいろいろ承つておりましても、社会保障制度とは何だという点に対する理解が非常に不十分のように私たちは考えます。でありますから、当然これは大臣がお見えになつてはつきり答弁をお願いしたいのでありますが、大臣はどうされておるか。大臣にぜひ出ていただくようにお願いしたいと思います。
#60
○川野委員長 厚生大臣は病氣靜養中だそうでございますので、御出席できないそうでございます。
 それでは田中織之進君。
#61
○田中(織)委員 連合審査会も本日で二回目になりますので、他の同僚議員諸君から多く質問があつたことと思いますので、私はきわめて簡單に二、三の点を、いわば確認してもらいたいのであります。先ほどからの苅田委員と政府委員との質疑應答を聞いておりますと、どうも根本的な問題について私の了解に苦しむことが多いのであります。問題は本特別会計を設置する以上、特別会計の基本原則としての独立採算制ということが問題になることは、これはわかります。しかしながら一方この特別会計の対象が医療というきわめて社会的に重要なる対象である関係から考えまして、殊に國立病院は公共事業にはまさに違いないのでありますけれども、他の電氣、ガス、水道というようなものとは違いまして、これにある意味における営利性を持たせる考え方は、私は國律病院の設立の本旨から照らしまして当然問題にならないことだと思うのであります。そういう観点からいたしますならば、私はこの特別会計を設置するにあたりましても、國立病院の本質から考えまして、独立採算制を強行しようというような考え方は、厚生省はもちろん大藏当局においてもあろうはずはないと思うのでありまするが、どうも先ほど來の政府側の答弁を伺つておりますると、その点があいまいであるのであります。そうしたことはわれわれこの法案の審議にあたつて根本的に解決しなければならぬ問題であると思いますので、この点については特別会計は設置するけれども、他の特別会計のような独立採算制というようなことは当然考えておらないと私は信ずるのでありまするが、その点は機械的に特別会計というものは当然独立採算制になるのだという、この原則を適用せられる意思であるかどうかという点を、まず明らかにしてもらいたいのであります。そういたしまするならば、当然この法律の附則の三にありまするように、赤字が出た場合に一般会計から繰入れの問題にきつましても、こうしたことを附則の中に申訳的に入れるということは私はできないと思う。從つてこのこともまた当分の間というようなそういう暫定的な問題ではなくて、これは國立病院の本質、医療の社会化、本來ならば、医寮は國で社会全体のために奉仕しなければならぬという建前から参りまするならば、その点については、ことに厚生当局において私は確信を持つておられることと思いますので、まずその点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
#62
○佐藤(一)政府委員 大藏省の立場からお答え申し上げます。私たちもすでにここでしばしば申し上げたことと思いますが、他の一般の企業会計のごとく、すなわち鉄道でありますとか、通信の特別会計のごとく、独立採算制の原則をこの会計において貫徹しようということは考えておりません。第一に本來の企業特別会計でございますと、この厖大な病院施設の減價償却というものを経費に見るのが当然でございます。しかしながらこの病院の特殊性にかんがみまして、私たちは第一にそれを考えておりません。先ほども議論がございましたが、なるほど現状において過去の遺物を引受けたのでありますから、施設として不十分であることはこれを認めますが、ともかくも現在においてはすでに相当の資産となつているものを一般会計から無償でこの特別会計に出すわけでございます。そういう意味におきましては、もちろん独立採算制の原則を破つております。なおまたこの会計が現状におきまして、いわゆる独立採算制を貫徹できないことも現実に照らして明らかなのでございます。さればこそ本年度におきましても一定額の繰入れというものを見ているわけでありまして、いろいろな観点からいたしまして、いわゆる独立採算制というものは考えておりません。
#63
○東(龍)政府委員 ただいま大藏当局から明快なお答えがあつたのでありますが、この國立病院を特別会計に繰入れるというお話が始まりました当初から、私は会計方面のことはきわめて暗いのでありますが、特別会計というものは原則として独立採算制であるというくらいは、私も知つておりました。しかしながらわが國の特別会計の中にも独立採算制ならざるものがあるということも聞かされておりました。そこで当初から國立病院の特別会計は、独立採算制にあらざる特別会計であるという前提でなければ、私は厚生省の責任者として特別会計の話を、当初から受入れる意思はございませんでした。大藏当局の方々ともお話いたしまして、まずこれは一般会計からの繰入れを前提とする特別会計であるということを確認いたしまして、それで初めてこの特別会計の話を、われわれも積極的にこれを考慮するに至つた次第でありまして、私どもといたしましても、特別会計即独立採算制ということは、毛頭考えていないような次第であります。私ども厚生省の立場といたしましては、一般会計でありましても、あるいは特別会計でありましても、いずれにいたしましても國立病院の本質を失わない。厚生省設置法の中にも簡單にあげておきましたように、國立病院は一般國民の病院であり、一般國民に対して平等に、しかも適正な、必要にして十分な医療を施し得るような施設であるという、この使命を全うするということをもとといたしまして、そうして國の財政状況によつてある程度の規制を受けることはやむを得ない。この意味において今回特別会計というものの制度をも考えて参つたのであります。重ねて申し上げますが、私どもは厚生省の病院運営の責任者としては、独立採算制ということは考えておりません。
#64
○田中(織)委員 その点で大藏並びに厚生両当局の國立病院運営の基本的な原則については了解ができると思います。そういう建前から申しますと、予算はすでに通過しておるという見地から、この國立病院特別会計法案がむしろ予算に先行して國会の議決を経なければならぬものが、振りかわつているという変態的な形になつておるのであります。しかしながら衆議院をすでに通過した予算によりますと、大体一般会計からの赤字の繰入れは二五%を予定されておるやに聞くのでありますが、昨年度の実績から照らしても、國の一般会計の負担が三二、三%になつておるようにわれわれ了解しておるのでありまして、今御答弁になりましたような趣旨に沿うて、今後運営せられて行く場合に、私は今政府が予算編成に当つて予定した二五%程度ではおさまらない、かように考えるのであります。そうした場合においては当然特別会計の予算の補正ということは行い得るのでありまして、一應すでに本院を通過した予算の中には二五%しか予定をしておらないとしても、それが増加する場合は補正予算を出すべきだと考えるのでありますが、そうした用意があるかどうかという点を次に明らかにしていただきたいと思います。
#65
○佐藤(一)政府委員 ただいまの御質問でございますが、補正予算ということは、現在これは予算全般の問題でございまして、財源との関係もございますし、現在これについて特に考えておるということはございません。ただこれは予算の編成が妥当であるかどうかという問題に帰着いたすのでございますが、一應御審議を願いました予算をもつて大体まかなつて行けるという見込みを、厚生省並びに大藏省も見込んで立ててあるわけであります。
#66
○田中(織)委員 その点は將來の問題でございますから、最初に御答弁になりました國立病院の本質に照らして、この特別会計が運営せられなければならないという見地から、そうした事実が発生した場合にはしかるべき処置をとられんことを希望するものでございます。
 次に私はお伺いしておきたいと思うのであります。この点は先ほど苅田委員の御質問に対する政府委員側の答弁では明確でないのであります。明確でないというよりも、むしろいわゆる減免患者の取扱いの問題については、從來やつておる一〇%、一五%、こうしたものはやらないということの意向がはつきりしたようであります。この点は、私が一番最初に伺いました國立病院の使命というような観点、並びに現在の生活保護法の問題、社会保險、その他のいわゆるわが國の社会保障制度というものがきわめて不完全な現状において、当然國立病院の側においても、そうした欠陥を補つて行かなければならないという建前から、これは当然御考慮に入れらるべき問題である、かように考えるのであります。これは法律の條文の中にはそうした点を規定することの、いわゆる法制上の技術的な問題等もありますが、当然この法律の施行細則等が出ると思うのでありますが、その点について御考慮せられる用意があるかどうかという点を、この際明らかにしていただきたいと思います。
#67
○久下政府委員 國立病院で從來やつておりました減免の取扱いは、厚生省から訓令で入院規定というものを出しております。病院はこの入院規定によつて患者の減免をしておつたのでございます。これが実は会計檢査の方の多少問題に相なつたのであります。財政法の関係から、國の債権を放棄するのは法律をもつてしなければならないという規定があるから、それに違反する疑いがあるということで、いろいろ問題にされたのでございます。この取扱いにつきましては、最近の打合せでは、しいて法律を設ける必要もなかろう、大体まだ減免をする債権が発生していないのだから、減免をして半額なら半額、無料なら無料にしたというときに、初めて國の債権が確定したという扱いでよさそうだということで、今のところ話が進みつつあるのでございます。從つて從來通り減免という表向いたかつこうになりますか、あるいは病院の経理上の不納欠損の取扱いにして参りますが、その辺の事務的の取扱いはその方面との打合せが完了いたしておりません。実質的にはお話の通り從來通りやつて行くつもりでおります。
#68
○田中(織)委員 もう一点最後にお伺いをしておきたいと思うのでありますが、この國立病院特別会計法案が議会に上程になるということが、國立病院に從事している從業員の諸君に大きな影響を與えていることは事実であります。その最大の問題は、何といつても医療の社会的な使命、それを達成する見地から、十分國立病院の社会性を確保したいということで、國立病院にやつかいにならなければならないところの、ある意味における社会の敗残者に対する思いやりから出発しているものと、敬服しているのでありますが、直接的には苅田委員も指摘せられておつたように、この特別会計の設定を契機として、國立病院の從業員に対する行政整理の問題が、当然取上げられて來るのではないかという心配があることも、いなめない事実だと思うのであります。この点については先ほどの政府側の答弁によると、國立病院の関係は現在政府において計画されている行政整理の対象にはなつておらないように聞いている、こういうお話でありますが、この点は大藏当局、厚生当局がそういうように関係当局から聞いているというようなことでは、國会における政府側の答弁としてははつきりしないのでありまして、この点は関係の本多國務大臣もおられませんから、今ただちに御答弁がむずかしいといたしましても、私はむしろ過去の遺産と施設その他の面において不十分なものを引継いで、これらを維持しておる労働者諸君の努力によつてのみ今日國立病院が運営されておる。從つてむしろ人的な面において拡充して行くことこそ、いわゆる日本の民主化を達成する上における、不幸なる人々を救う國家の果す使命である、かように考えますので、その点については政府として國立病院の関係においては行政整理は全然考えていないということを、この機会に明白にしておいていただきたいのであります。
 それからこまかい問題になるかもしれませんが、決してこの点は私はこまかい問題ではないと思うのでありますが、第四條にありますいわゆる歳出の面として、施設費という項目があげられております。この点は先ほどの政府側の説明から大体戰爭中の軍の病院等を引継いだ関係がありますので、そうした施設の補修、その他の意味に了解したのでありますが、この点は特別会計の予算の中には、どの程度見込んでおるのか、また私が了解しておるようなものであるか、他の別な意味を持つておるのか、以上の二点について明らかにしていただきたいと思います。
#69
○久下政府委員 從業員の人々が反対をしている大きな原因は、いわゆる医療の社会化と申しますか、そういう点がそこなわれはしないかという懸念が最も多いということであります。私どももこの点は國立病院の重要な使命であると考えておるのであります。私どもはこの程度の特別会計を実施するにあたりましては、まず懸念されるような問題は起らないであろうというふうに考えておる次第であります。
 次に行政整理についてのお尋ねでございましたが、これはむしろ責任のある当局の方からお答えを申し上げますのが筋であると思いまして、私どもはむしろその意味では局外者でありますから、先ほど申し上げたようなお答えをせざるを得なかつたのであります。私どもまだ具体的に行政整理の問題が、最後的な決定にまで至つていないように承知しておりますので、先ほど申し上げたような御返事をいたしたのであります。私どもの承知しておるところでは、國立病院のきわめて一部の、事務職員の欠員の半数くらいというようなことが出ております。言いかえますと、具体的には大部分の者が行政整理の対象にはならないというようにきまつたことを承知しておるのであります。
 第四條の施設費についてのお尋ねでございましたが、この言葉自身としては非常に廣いようでありますが、予算的に申しますと、まず國立病院の改善の大部分を占めまする営繕の費用でございますが、大体一件百万円以上の工事費を要しますものは公共事業費で取扱うことになつております。それは特別会計のわくからはずしまして、一般会計のわくから將來とも支出をしてもらうことに了解がついておる次第であります。從つてこの法律案中にあげてありまする施設費といいますのは、私どもの理解するところではまず二千四百万円の修繕費でございまして、特別会計のわくの中に盛つております。それから医療機械器具世備費の一千五百万円、特別会計としては大体そういうようなものであります。そのほかにさらに一般会計には結核病床の増床に要する経費として國立病院の分が――こまかい数字はちよつとわかりませんが、三千万円ほど別に計上してございます。これは國立病院の病床の一部を改造し整備をいたしまして、結核療養所の患者のベツドに利用しますために、國立病院に約四千二、三百床本年度中にベツドを増すことになつております。この費用が別に一般会計のわくから出ることになつております。
#70
○河田委員 大体他の同僚委員から発言がありましたので、ごく簡單にとどめたいと思います。この國立病院の特別会計の対象になつておりますのは、現在國立病院だけでありまして、他の医療機関、たとえば結核療養所あるいは癩療養所、そういうものがこの中に含まれておらないのであります。この独立の特別会計に移るという理由の中に、たとえば藥をたくさん買い入れるようなことがあつたりするようなことの弊害を一、二あげられて、提案理由の内容とされておつたのであります。そうすれば他の療養所あるいは他の療養機関等においてはそういうことがなくて、ただこの國立病院だけにあつて、從つて國立病院だけをこの特別会計にしなければならぬのか、この点を一應はつきりしていただきたいと思います。
#71
○久下政府委員 御指摘のように私どもの所管に結核療養所とか、癩療養所でございますとか、あるいは精神病患者のいわゆる精神療養所でありますとか、私ども一口に療養所として申しておりますものが百六十余施設ほどあります。これは私どもとしては本質的にはあるいは程度の差と申すことができるかもしれませんけれども、結核療養所におきましても、從來の実績から申しますと、收入は二十三年度支出に対して四五%くらいしかないのであります。それから癩療養所に至りましては、御承知の通り全部無料で医療を與えておるのであります。從つて特別会計というようなことを考えることそれ自体が癩療養所では問題にならないと考えております。結核療養所につきましては四五%くらいでも收入があるということは言えましようが、これもむしろ收入を目的とするよりも本質的には結核の予防という大きな國の施策を行う一翼でもあります。また財政的の面から申しましても、そういう大きな一般会計に繰入れをいなければならぬようなものは特別会計というものに適しないのであるという考え方から、療養所につきましてはしぎらく特別会計としていただきたくないというのが、私ども厚生当局の考え方であります。
#72
○河田委員 今の問題は、ただ片方が小さいから問題にしないというのでありますが、やはり社会の医療機関として本質的には同一のものである。よしんば数が少くありましても、癩、結核の療院、こういうものはやはり医療機関の一環をなすものでありまして、やはり同一の根本精神によつて、すべてが経営され、またその財政の方面においても、もちろん拂えない者に拂えというのでなくて、経営の根本精神というものは同じだと思います。こういう点から見れば、私はこの療院の特別会計に、ただ國立病院だけが対象になつておるということに対して、非常にただいまのお答えについて不満を感ずるものであります。しかしこれ以上御答弁がなければ、やむを得ませんから、次に入ります。
 昨年中央労働委員会が、從業員との問題で取上げました場合に、大藏大臣並びに厚生大臣に対して建議書を出しております。この建議書の中には、御承知のように「現在國立病院及び國立療養所が施設の不備、荒廃、從業員の不足等のため崩壊の一歩手前まで來ており、まことに寒心すべき状態に置かれておることは否定できない。」こういう一項があるわけでございます。このように中央労働委員会においてすら今日このような施設が崩壊の一歩手前に來ておるということがうたわれておるのであります。これに対して、先ほど來からいろいろ御答弁がありましたが、今度の予算におきましても、昨年よりは、たとえば公共事業費の中で――先ほど百万円以上のものは公共事業費でやるとおつしやいましたが、このうち厚生省関係だけ、これは病院で使われるかどこで使われるか私どもよく調べておりませんが、ともかく昨年より大体二億くらい減つております。各省の相対的な比率においても昨年が二%、今年は一・五%、こういうふうに厚生省関係が減つております。こういう点についてどれだけの努力をされたか、特に厚生省の方にこれをお聞きしたいと思います。大藏省の方がおられても御遠慮なく、これをほんとうに正しい社会の医療機関にまで進展させ、設備を完備するためにどの程度の予算がいり、どの程度のものを一應お出しになつたか、こういう点を一應明らかにしてもらいたいと思います。
#73
○久下政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように、先ほども申し上げました通りに、現在の國立病院の約三分の二くらいのものは、戰時中のバラツク建てのものでありまして、至急に根本的な改修をいたしませんと、そう長い壽命のない状態まで來ておることは事実であります。私どもとしては、一刻も早くこれを改修をして、少くても病院らしいものにいたそうと思いまして、本年度は公共事業費として、その分で要求をいたしましたものは、病院療養所を通じまして二十四億ほど要求をいたしてみたのであります。実際問題としては、公共事業費はその一割にも足りません九千万円ほどに減額をやられておるのであります。なおそのほかに結核病床の拡充ということにつきましては、別途に計画を立てまして、いわゆる結核八万床を急速に確保したいという計画から折衝をいたしたのでありますが、いろいろ予算の折衝の結果病院療養所を通じまして、昭和二十四年度におきまして、一万三千の増床が実現をすることに相なつたのであります。これを経費といたしましては、一病床当り八千円の経費でやつているのであります。これは現在建物だけでありまして、窓がないとか、あるいはベツドが入つていないとかいう、いわゆる諸修理を見まして、不備でありますものにさしあたり手をつけたいということで、單價は比較的安いものであります。結核療養所につきましては、これを運営するに必要な人、その他の物件費が一般会計の面で認められております。一万三千床のうち四千床余が國立病院の結核病床の増床に充てられることになつておりますので、この点は國立病院だけで昭和二十四年度中に、三千数百万円の金が整備に使われることに相なつております。この点にもつと大きく二十億ほど別に結核病床の関係で予算要求をいたしたのでありますが、いろいろ財政の都合からただいま申し上げたような数字に削減をせられた次第であります。さように御了承いただきたいと思います。
#74
○河田委員 さらに組合の方で申しておるのでありますが、これも昨年中央労働委員会の労働組合爭議の建議書の中にも言われておるのですが、たとえば職員あるいは看護婦、こういう人々が非常に足らぬ、殊に医者においては三五%足らぬ、看護婦においては一割ないし一割八分、はなはだしい所は二割足らぬ。特に労働の過重のために、あるいは病氣に感染する、あるいは宿舎の不便、こういうようなことのために欠勤者も多い。そのためにますます労働が過重される、これに対しても昨年中央労働委員会から、從業員の労務管理について厚生当局としてはさらに一層の積極的努力が拂われなければならないと思われるという建議をいたしております。先ほど行政整理の問題では、大体においてこういう人々は対象にはならぬと言われましたが、現在やはり医者あるいは看護婦等に不足を來しておるかどうか、あるいは待遇の問題について万一待遇が惡いために志願者が少い、あるいは轉勤者が多いというようなことであれば、これに対して厚生当局はどのような処置をとつておるか、その点をちよつとお尋ねいたします。
#75
○久下政府委員 お話の通り、國立病院の職員の定員は、定員それ自体から見ましても、決して私ども病院運営上理想とし、適当と考えまする数字からはやや低いようでございます。相当低いのでございまして、私どもは実は本年の予算の折衝にあたりましても、当初の要求としては、現在以上に増員することをお願いをし、折衝いたしましたのでありますが、一般的な行政整理の方針に從いまして、その増員は一切押えられてしまいました。第二段の数字といたしまして、先ほども申し上げておりますように、それでは現在おる人の整理はしないでもらいたいということで話合いをいたしまして、少くとも医療技術員に関する限りは絶対に整理の対象としないという了解をいただいておるような次第でございます。
 現在の欠員の状況につきましてのお尋ねでございます。総括的に申し上げすまると、技術職員につきましては、定員が國立病院全部で一万六千三百二十七名でございます。現在員が一万六千百九名おります。從つて欠員は百八十八名ということになつております。こういう数字から申しますると、そう大きな欠員はないということになつておるのでありまするが、これはたとえば一番問題になりますのが看護婦でございます。定員約八千五百名ほどになつておるのでありますが、欠員が七百名を越えております。全体として欠員が少いのは、これらの看護婦が從來十分にございませんので、用人をもつてこれを代替をして、用人の面では八百十七人の超過を見るという運用をいたしておりますので、全体としては百八十八名の技術職員の欠員という数字になつておるのであります。最近の状況では、医師、あるいは看護婦等の補充は逐次好轉をして來ているように聞いております。まだ全國的の趨勢と申せるかどうか存じませんけれども、私どもが各施設からちよいよい機会あるごとに耳にいたしますところでは、最近は看護婦の補充等も非常によくなつて來たということを聞いておりますので、この問題は遠からず解決を見るものと思つておる次第であります。
#76
○河田委員 最後にお聞きしておきますが、今後この病院につきまして、たとえば國立病院あるいはその他の病院について、現在でもその入院要望者に対して十分満足するだけの收容能力がないというのが今日の実情であります。今後ますますいわゆる安定恐慌に入れば、馘首、あるいは失業者、あるいは生活の困難、こういうところからもどんどん病人が発生することは予想されるのでありますが、これに対し当局は今後その内容はともかくとして、こうした医療の社会化の方面から、國立病院ないしは病院の國有化の方向に向つて進んで行かれるお考えを持つておられるかどうか。このことをひとつお聞きしたいと思います。
 それからこれは大藏当局でありますが、昨年はたしか九億六千七百万円だけのものが病院に対して支出があつたのでありますが、本年は六億ということになつております。いわゆる独立採算制でないと言われましても、事実はこういうふうに去年から見ますと非常に減額されております。もちろん経営の内部において多少不純なものがあつたかもしれませんけれども、しかし今後生活の面でますます苦しくなる。病人も多く出るという場合に、こういうふうに減額されるということは、結局これらの負担がやがて一般のそこの入院患者、あるいは看護婦、あるいは医者、こういう人々の上にこの犠牲が強要されるのは言うまでもないことであります。こういうことに対して大藏当局は、たとえば資本家のためには何百億、何千億という補給金を出され、また本年三月二十八、九日ごろでありましたか、大きな銀行家、資本家たちが、産業設備営團のために何十億かの損失をしたからこれを補償しなければならぬ。これに対して大藏大臣はこれは道徳的な責任を感じて支拂うのだということを言明されたこともあります。こういうような点に対して、大藏当局は非常に道義的な責任を感じておられますが、こうした國民大衆、特に病人、これは社会一般が負担しなければならぬ、われわれの責任でありますが、こういう人々に対して今後非常に過重な負担を與えることになります。先ほどのお話では二十四億の要求があつたそうですが、この要求を非常に削減されておる。こういうことに対してどの程度の道徳的な責任をお感じになつておるか。この点を一應大藏当局からお聞きしたいと思います。
#77
○東(龍)政府委員 國立病院はこのたびの特別会計の予算に対しましては、大体入院患者二万三千、外來患者二万三千という数を基準にいたしまして、予算を立てております。從つて國立病院が現在持つております包容能力の最大限度までこれを活用いたしまして、一般の医療を十分徹底いたしたいと思つております。ただしかしながらいろいろ不時の事柄のため、災害その他のために急激に一時に患者が増加するというようなことがありました場合には、國立病院といたしましては施設の許す限り、すなわち二万三千の予定定員、予算定員を突破いたしましても、その設設並びに人的に包容し得ます最大限まで活動して行く用意はいたしております。またそういう場合における予算の措置については、先ほど御質問もございましたが、特別の予算措置をしていただけることがあることを私は確信いたしております。それから將來ますます病院、医療機関の國営等に向つて進むかというお尋ねでございますが、この点につきましてはいろいろ意見もおありになり、議論になるところでございますが、目下の私ども厚生省医務当局といたしましては、國営医療機関はさしあたり現在の國立病院――療養所のことは別といたしましても、一般病院といたしましては、國立病院を急にふやすというような考えは持つておりません。すなわち國営國有の医療機関は現在の國立病院をもつて、一應この現状のままで進みたいと存じております。しかしながら世の中に公的な性格の医療機関がますます多くなる必要があり、またわが國の医療全体の方向として公的機関の方に進みつつあるということはこれは爭えない事実であります。またこれを促進するのが私どもの務めだと存じますので、各地方の公的医療機関が少しでもふえますように、公的医療機関の設置について厚生省が積極的にまた具体的に援助することについて、補助を與え得るような方向に進めております。医療法の中にも公的医療機関に対する補助の一條を加えておりますので、本年度の予算においても、まことに些少ではありますが、公的医療機関に対する建設費の補助をいたし得るようになつておりますので、この医療機関の國営あるいは公営の問題につきましては各方面にいろいろ違つた御意見のあるところでございますが、目下のところ公営医療機関という方向を強力に推進いたして参りますが、いわゆる純粹の医療國営という方向に進むような考えはいたしておりません。
#78
○佐藤(一)政府委員 河田委員の御質問の本質を考えてみますと、結局これは財政と医療の社会化という問題の調和点をどこに見出すかという問題に帰着するであろうと思うのであります。言いかえますと、國立病院の利用者、それを利用しないところの他の國民全般、すなわち租税を負担するところの國民全般の利益というものをどこの点において調和させるか、こういう問題になろうかと思うのであります。お話のようにわれわれも医療の社会化という根本の原則においては少しも異議はありません。もしも財政の余裕、あるいは國民の負担の現状におきまして、許す限りにおいてこれを多く満たしたいという氣持においてはかわつておらないつもりでございます。公共事業費の内訳等につきましては、その具体的振りわけは安定本部において査定いたすことになつておりますが、いずれにいたしましても、現在の財政の実情におきまして、要求に対してまことにわずかに金額しか組み得ないという実情は、また御了解願えることと思うのでありまして、すべての要求を満足し得ないという点については、われわれもまことに残念に感じておるのであります。
#79
○川野委員長 他に御質疑はございませんか。――質疑がなければ連合審査会はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○川野委員長 それではこれにて終了いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト