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1949/05/21 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 選挙法改正に関する特別委員会 第4号
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1949/05/21 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 選挙法改正に関する特別委員会 第4号

#1
第005回国会 選挙法改正に関する特別委員会 第4号
昭和二十四年五月二十一日(土曜日)
    午後二時三十一分開議
 出席委員
   委員長 生田 和平君
   理事 栗山長次郎君 理事 鈴木 明良君
   理事 野村專太郎君 理事 前田 種男君
   理事 聽濤 克巳君 理事 逢澤  寛君
      神田  博君    千賀 康治君
      田中 重彌君    中川 俊思君
     橋本登美三郎君    平澤 長吉君
      藤枝 泉介君    小川 半次君
      吉田  安君
 出席政府委員
        総理廳事務官  吉岡 惠一君
 委員外の出席者
        総理廳事務官  金丸 三郎君
五月二十一日
 野村專太郎君及び小平忠君が理事に追加当選し
 た。
同日
 生田和平君が委員長の指名で選挙法改正調査小
 委員に追加選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 小委員及び少参委員長選任に関する件
 比例代表制度に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○生田委員長 これより会議を開きます。
 去る五月十三日の議院運営委員会における決定に基き、民自党及び新政治協議会より、それぞれ理事を一名増加することになりました。これより理事の追加選任を行いたいと思います。これは投票の手続を省略して委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○生田委員長 御異議ないと認めます。指名いたします。野村專太郎君、小平忠君を理事に指名いたします。
 次に選挙法改正事調査小委員を去る十三日の委員会において選任いたしたのでありますが、小委員会の運営上委員長も小委員に加わり、小委員長も兼任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○生田委員長 御異議なしと認めます。なお小委員河野金昇君が小委員を辞任いたしたいとの申出があります。委員長よりその補欠を指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○生田委員長 御異議なしと認めます。よつて小平忠君を小委員に指名いたします。
 それではこれより比例代表制度に関し吉岡局長から説明を聽取いたしたいと思います。
#6
○吉岡説明員 比例代表制は結局普通の投票方法では、剰票と申しますか、つまり票数をとり過ぎたために、よけいな投票、実際には必要でない投票までとつている投票の活用と、もう一つは落選した候補者の死票、つまり剰票と死票を生かすための制度でありまして、政党あるいは党派等の立場から見まして、票数の比率と当選者の比率とが一致しない場合に、それをなるべく一致させようという考えに基いた選挙の方法であります。この方法は諸外國においては相当古くから採用している制度でありますが、大体大別いたしまして二つのやり方にわかれます。
 一つは單記移讓式、もう一つは名簿式であります。單記移讓式は主としてイギリスその他の國に採用されており、名簿式の方は欧州大陸等で主として採用されているものであります。單記移讓式は簡単に申し上げますと候補者の組合せを選挙人の意思で決定する。だれに移讓するかをなるべく選挙人の意思を重んじてやるという方針、名簿式の方は、票の移讓を主として政党本位に考えて政党の立場を重く見て、個人の組合せを政党の意見に從つて、主として事決定するという方式であります。
 まず單記移讓式の方から説明を申し上げますと、單記移讓式の方は、候補者の組合せを選挙人が主として決定することになりますので、いろいろ考え得るわけであります。どういうふうに移讓するかということがあらかじめ予測ができないのであります。從つてその際は当選標準点というものを主として、まず当選圏を決定しなければならぬのであります。その決定のしかたにいろいろあります。有効投票を定員数で割つたもの、あるいは定員数に一を加えたもので割つたもの、あるいは一を加えたもので割つた数に、さらに一票を足したもの、あるいは一票を足さずに一票の端数を足したもの、いろいろ式があるのでありますが、一定の方式によつて当選点を決定いたしまして、それ以上に得票のあるものは、当然当選と決定します。さらにそれを候補者の意思に從つて順繰りにほかの第二次順位、第三順位の人にわけて行く式であります。そのわけ方にいろいろあります。大体三通り大別して考えられます。
 ヘーヤ式というのが割合にやり方は簡單でありますが、これは実際に票を順々に調べて、当選点に達したならば、その次から調べる票は第二次順位の者へまわして行くというやり方であります。
 ヘーヤ・クラーク式というのは、ただいま申しましたヘーヤ式によりますと、不公平が生じますので、第二順位にまわします際に、剰余の投票を得た人の投票を全部調べまして、その割合によつて第二順位の人へまわすのであります。これがヘーヤ・クラーク式であります。
 グレゴリー式というのは、ただいま申しましたヘーヤ・クラーク式で申しますと、第一順位から第二順位にまわす場合によいのでありますが、その次にまわす場合の調べ方に不公平が生じますので、移讓すべき投票を得た人の投票を全部調べて、その割合によつてまわすという式であります。
 もう一つの比例代表の大きな方法は、名簿式の比例代表であります。名簿式の比例代表は、これもいろいろ種類があるのでありますが、名簿を政党から出させまして、つまり候補者のうちどれどれの人が自分の政党であるという名簿を政党から出させまして、その名簿によつて投票する。まず投票のしかたとしては、たとえば民自党なら民自党の名簿に投票する者もありますし、名簿の中の個人に投票をする投票の方法もありますが、そういう方法でもつて政党別の投票数を決定しまして、政党別の投票数に從つていろいろその算出の式がありますが、また先ほど申しましたことに準じて議席の割当てをやります。民自党は何人、民主党は何人というぐあいにして、議席の割当をして、それに基いて候補者のうち新選人を決定する方法であります。この名簿式の中にもその候補者の具体的の決定についてはいろいろあります。その名簿に拘束する程度によりまして、絶対拘束主義と呼ばれるものと單純拘束主義とがありまして、つまり絶対拘束主義と申しますのは、政党に対する議席の割当がきまりますれば、その何人とるかということは、政党から届け出た名簿の順位に從つて上からとつ行く、從つて選挙人の意思がそこには介在しないのであります。しかしながら單純拘束主義の名簿式によりますと、選挙人の意思が介在するような当選人の決定をいたします。その決定の仕方についてはいろいろあるわけでありますが、当選人の意思の尊重の仕方は違いますが、單純拘束主義の名簿式においては、一つの例で申しますれば、政党の議席の数の取り方は比例によるけれども、個人の得票の多いものからとつて行くというようなやり方があるのであります。もう一つは、これは自由名簿主義と呼ばれておりますが、名簿に投票はするのでありますが、必ずしもその政党の提出した名簿によらないで、選挙人がほかの名簿の者を持つて來てもいい。たとえば民自党の名簿だけでなく、民自党の名簿の中に民主党の候補者の名前を書いてもいいというような主義であります。またほかの全然名簿に載つていないものから持つて來てもいいというような、いろいろな主義があるのであります。そうして名簿の得票の計算は、これも主義によつて、絶対拘束主義の制度では、政党だけに投票を認めるわけでありますが、政党にも投票できるし、また個人にも投票できる場合があります。そういう場合は個人に投票したものも政党の投票として認める。あるいはどの程度に政党の投票として認めるか、個人に投票したものは移讓はできないとか、移讓までも認める主義とか、いろいろ種類が違うのであります。
 それから名簿式の場合の議席の配当の方法がありますが、これは先ほど單記移讓式のとき申し上げました方法によるものもありますし、またドント式というような名簿式だけに特有なやり方もありますし、これについてもいろいろやり方があるわけであります。
 以上で比例代表の簡單な説明を申し上げたのでありますが、このお配りした刷り物の中にも書いてあります通り、提唱する人の数だけのいろいろな方式があると言われるほどで、それに、よつても御承知願えるように、非常にたくさん主義があり、また考えようによつていろいろな細工ができます。それによつて結果に相当いろいろな影響を及ぼしますので、説明は以上の程度に申し上げて、むしろ御質問によつてお答えをした方がわかりいいじやないかと思いまして、簡單に御説明を申し上げた次第であります。
#7
○栗山委員 今ので比例代表の諸様式についてのお話は一應網羅されたことと思いますけれども、もつと実際的に、たとえば單記移讓式を興行しておる英國ではどうしておるか、帳簿式を利用しておる欧州大陸の主要なる國一つなり二つなりをあげて、そこでは実際どうしておるかというお話を承りたい。
#8
○金丸説明員 ただいま栗山委員から御質問がございましたが、イギリスと戰前のドイツの制度について御説明を申し上げてみたいと思います。その前にただいま局長から御説明申し上げましたように非常に種々様々の制度が行われておりまして、イギリスの制度とドイツの制度がどのような範疇に属しておるかということを頭に入れていただきますために、お手元にお配りいたしました比例代表法に関する主要なる立法例一覽表をごらんいただきたいと思います。
 ドイツは一番最初に書いてございますように、名簿式による比例代表制の一つの代表的な形をとつておつたのであります。戰後も比例代表制によつて若干の選挙を行つておるようでございますけれども、詳細な模様はわかりませんので、戰前の制度について後ほど御説明申し上げたいと思います。ドイツの制度の特色は、いわゆる三段組織の重複選挙区制をとつておつたのでありまして、選挙区ごとに名簿によつて比例代表によつて選挙をいたしますけれども、いわゆる当選点の関係で死票が生じて参ります。それを上の段階へ持つて行つて、そこで各選挙区の余つた投票を合計して議席を割当てて行く、それでもなお余剰が生じますので、それを全國を通じて余剰投票を各党へ割当てて議席を配分する。こういう非常に複雑なやり方をとつておつたのであります。かつ名簿式と申しましても、名簿に投票するだけであつて、当選人は政党が決定して、選挙人にはだれに投票するという意思は全然認められていないという主義をとつているところに最も大きな特色があつたので、あります。オーストリーも大体ドイツと同じ形でありまして、ベルギーが單純拘束主義、すなわち必ずしも名簿に拘束されない方法によつておつたのであります。名簿式の例といたしましてスイス連邦がもう一つございます。
 單記移讓式の方法によつておりましたのは、英本國のうちの大学選挙区だけでありまして、御承知のように英國は小選挙区制で、一人一選挙区になつておりますけれども、ケンブリッジとかオツクスフオードとか、その他大学のありますところだけ特に選んで大学選挙区というのが設けられ、ここは二人、三人という議員を比例代表制によつて選挙いたしております。これは現在でもそのようになつておるのでありますが、單記移讓式の典型的な例でありまして、いわゆる投票移讓の方法としてヘーア・クラーク式によつておるのであかます。アイルランドは古くから上院、下院とも比例代表制によつておる典型的な國になつておりまするが、上院は小数式、下院はドループ式の当選標準によりまして、グレゴリー式、ヘーア・クラーク式による投票移讓の方法をとつておつたのであります。
 そのほか世界で最も古く比例代表制を採用いたしました國の一つとして、タスマニアが單記移讓式をとつており、南阿連邦の上院もまた單記移讓式によつておつたのであります。
 そのほか次の表には、なおこまかく、各國の上院あるいは下院、または州の議会あるいは市、地方議会というようなものにつきまして、いつから比例代表制を採用したかという一覽表を印刷いたしておきました。この中でちよつと御注意申し上げておきたいと思いますのは、イタリアの下院は一九一九年に採用いたしまして、一九二四年に廃止いたしたのでございますけれども、戰後になりまして、もう一回比例代表制を復活いたしております。またフランスも同様戰後に復活をいたしておりますので、この点だけ御注意をいただきたいと思います。
 ただいま申し上げましたように、ドイツは名簿式によります比例代表の最も典型的な、一つの形をとつており、イギリスはまだ單記移讓式によります比例代表制として一つの典型的な例になつておるのでございますが、これについて簡單に御説明を申し上げてみたいと思います。
 ドイツのものについて申し上げますると、選挙区が全國三十幾つかにわかれておりまして、最下位の選挙区ごとに民自党あるいは民主党あるいは社会党というように候補者を印刷いたしました名簿を選挙の執行機関のところに提出をいたすわけであります。この名薄には必ずしも何名という候補者の数の制限はございませんので、何名記載して出してもいいのであります。選挙人はまずその名簿に対して投票いたしますので、民自党に投票いたしますか、あるいは民主党にいたしますか、社会党にいたしますか、どの名簿に投票するか以外に全然選択権がないのであります。これはこの表の三段にいつております絶対拘束主義というゆえんでありまして、ベルギーの單純拘束主義というのがその候補者の中に一、二の順位を付しますとか、あるいは他党の名簿の中に好む候補者があれば指名をいたしますとか、そういう点と違います点が一つの大きな特色になつておるのであります。もう一つドイツの例の特色になつておりましたのは、自動式によりまして議席を配当するという点であります。それは民自党の名簿に投票された数がかりに百万、民主党が同様に百万、社会党が同様に百万といたしますと、議席がおのずから同数になつて参ります。百万、五十万、三十万というようなふうにいたしました場合に、当選点というものがございますから、おのずからそれによつて端数が生じて参ります。この端数の計算のところにいろいろの比例代表の技術的な問題が伏在をいたしておりますけれども、ドイツでは法律で六万とう当選点を一定いたしておりまして、この六万によつて各政党ごとの得票数を割るのであります。從いまして政党は一票でも多くとりますと、その得票数を六で割りましただけの議席が配当されるわけであります。従いまして議員の定員というものが法律上には一定されておりませんので、有効投票の総数によりまして、棄権が多い、あるいは有効投票が少いということによりまして選出されて参ります議員定数が四百六十六人のこともあれば、四百六十人になることもあるし、五百人になることもあり得るというような制度になつておつたのであります。これを自動式による議席の配当と称するゆえんでありまして、比例代表を採用いたしております各國の中でも、この点においてドイツのとつておりました制度が最も特色になつておつたのであります。ドイツの名簿式によります比例代表におきまして、どのようにして当選入を定めるかと申しますと、名簿式によります場合にいろいろございますが、名簿に原則として記載されておる順序によつて当選人が定まつて來る。名簿にいろいろ名前がA、B、Cという順序で印刷してございますと、総得票数に対しまして六万で割りました結果、出て來る議席の数だけ名簿に記載された順序で候補者が当選人として定まつて参るわけであります。
 なお最後に、ほかの比例代表の方法と異なつておりますドイツの特色の一つは、最初に申し上げましたように、各選挙区が三段階にわかれて、それによつて余剰投票をなるべく合理的に拾い上げて行つて議席を配当するという制度をとつておる点であります。すなわちかりに東京に例をとつて申しますと、第一区の候補者名簿というものがあります。それから第二区、第三区、第四区というようなぐあいに、民自党なら民自党から提出されました候補者名簿がございます。かりに第一区の民自党の候補者名簿に対しましては二十五万の有効投票があつたと仮定いたします。そういたしますと、法律で一定されております当選点というのが六万票でございますから、二十五万を六万で割りますと、すなわち四人だけが当選人になつて参りまして、一万が死ぬわけであります。それで二区におきましてかりに十七万の民自党名簿に対する投票があつたといたします。そういたしますと六万で割りますと十二万の二人だけしか当選できないことになりまして、五万票が余つて参ります。それで一区の一万票と二区の五万票と合計いたしまして六万票になつて参りますから、そこで一つの議席を一区と二区の民自党の候補者名簿を連結しておいて一人に割当てる。こういう方法をとるわけであります。これが第二段階における死票投票を合理化する手段でありまして、さらにただいまのように合理的に一人がすぐ出て参りませんで、ある選挙区では何千票、ほかの選挙区では一万数千票、ある選挙区では数十票しか余剰投票がないということが全國の各選挙区を通じて起り得ますので、これをまた全図的に通算いたしまして、六万票を越えるごとに議席を一つずつ割当てて行く。こういう制度をとつておつたのであります。民自党につきましてもそのようでありますし、民主党は民主党として全國の名簿を通じてそういうふうに計算をする。社会党も共産党もそれぞれ各政党ごとにそういうふうに計算をいたしたわけであります。ただこの通じて計算をす、ると申しましても、無條件に通算をするというのではありませんので、候補者の名簿を提出する時期が選挙の期日前十七日とかいうふうに定まつております。その十七日前というように、一定期限までに何区の民自党の名簿と何区の民自党の名簿とを連結するということを選挙長に申し出るわけであります。その申出のありました名簿についてただいま申しましたような一区の一万票と二区の五万票を連結して、議席を一つ割当てるというような操作を行うのでありまして、そのような連結ということが條件となつておつたわけであります。以上申し上げましたのがドイツにおける戰前取られておりました名簿式の例の概略でございます。
 次は單記移讓式によります比例代表制の例といたしまして……。
#9
○生田委員長 ちよつとこの際お諮りいたしますが、他の重要な委員会があつて、速記者が足りないそうですから、はなはだ残念でありますが、この話は速記なしにしてお聞きすることにいたします。
    〔午後三時二分懇談会に入る〕
ソース: 国立国会図書館
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