くにさくロゴ
1947/07/09 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第14号
姉妹サイト
 
1947/07/09 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第14号

#1
第001回国会 本会議 第14号
昭和二十二年七月九日(水曜日)
   午前十時三十分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第十三号
  昭和二十二年七月九日
   午前十時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。日程第一自由討議、自由討議に入るに先立ち一言申上げます。本日の自由討議は本院規則第百四十七條の規定による自由討議でございます。併しながら本日の発言は内閣から発表せられた「経済緊急対策(経済実相報告書を含む)」の範囲に限ることといたします。会議時間は四時間といたしまして、各発言者の発言時間は十分間でございます。発言者は制限時間を遵守せられんことを望みます。本日発言する議院に對しましては、議長はすべて自席で発言することを許可いたします。
    ―――――――――――――
#4
○議長(松平恒雄君) 村上義一君。
#5
○村上義一君 山下義信君を指名いたします。
   〔登壇々々、議長の許可を得ないと」「時間を食うぞ」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 登壇を許します。
   〔山下義信君登壇〕
#7
○山下義信君 私は質問をいたしまする前に、先ず政府の当局者に念を押して置きたいことがあります。それは今回の経済緊急対策が六月十一日に発表せられ、続いて國民運動の要綱、或いは食糧緊急対策、或いは経済実相の報告書、或いは物價と賃金の改訂要綱、それらの幾多の当局の政策要綱が発表せられて來たのでありまするが、それがこの國会の御発表がいつも後廻しになつておるということは、これは一体どういうわけでございますか、(拍手)國会は只今開会中であります。開会中であるにも拘わらず、一般への御発表が先でありまして、職員は朝新聞を見て初めて知るというがごときことは、我々の頗る了解に苦しむところでございます。(拍手)先般羽仁五郎君からこの点につきまして、意味は違いますが、羽仁君は國会の名において発表したならば効果的であろうという意味でございましたが、本員は一般に御発表に相成る前に先ず國会に御発表相成るかどうか、今後は左樣になさるかどうかということを政府当局からはつきりと御答弁が願いたいと思うのであります。(拍手)
 私は今回御発表に相成りましたる経済白書、これが根本になりまして左右両翼に展開されておりまするこの内閣の経済緊急対策、それらを通覧いたしまして、なかなか構想といたしましては纏まつております。なかなか文章も巧みでございます。殊に経済白書のごときは名文でございます。或いは講義がございます。或いは説教がございます。或いは訓戒がございます。泣くがごとく、訴うるがごとく、誠に名文ではございまするが、(拍手)併しながらこれらの緊急対策、これらの白書の中に私は肝腎なものが拔けていると思う。肝腎なものは何であるか、生きた政治が拔けていると私は思うのであります。(拍手)それはどうしていうかと申しますと、これらの経済対策というものが悉く実体のあとをあとを追つかけているところの対策ばかりでございます。言いかえて申しますると、後手の政策ばかりでございます。後手の対策をごてごてと並べている。(笑声、拍手)生きた政治というものは先手を打つことでございます。(拍手)先手を打つて、そうして新たに経済現象がここに発生するがごとき、大きな力強い対策がたつた一つでよろしいから私はこれを断乎としてやるべきであると思うのでございまする。安本長官は力強い先手をしつかりとお打ちになりまする御決意がありまするかどうか、又その対策の中にそういう先手の対策がありまするならば承りたい。こういうふうに実体に遅れまして、後手々々の対策ばかりいたしまするから、闇屋はにんやりと笑つておるのでございます。正直者が浮ばれないのはこれがためでございます。この点につきまして私は安本長官の御説明、御決意が承りたい。この内閣の経済緊急対策、即ち白書の中心点となつておりまするところはどこにあるかと申しますると、これはいうまでもなく‥‥焦点がないと仰しやつた同僚議員がございますが、私はそれに同意いたしません。焦点はあるのであります。どこにあるかというと、即ち物價と賃金との惡循環を断ち切る、ここに狙いを持つておいでになります。私達もそれは同意いたしまする。併しながらその狙いに対するところの対策というものがなにかあるかといいまするというと、極めて微温的なものばかりでございまして、今いつたごとき先手の大きな大鉈というものが少しもございません。そこで我々はこの統制経済の方式の下に、果して物價と賃金とが、あの白書で非常に憂慮せられておるがごとき惡循環がありやなしや。これに多大の私は疑問を持つているのでございます。物價と物價との間に惡循環があるといい、物價と賃金との間に惡循環があるというがごときは、私は自由主義の経済原論の目で見た経済の考え方かと思うのであります。この統制経済の方式の下におきましては、物價と物價、物價と賃金との間に少しも惡循環というものはないのであります。もしあるとしましても、極めて稀薄であるべきが私は原理ではないかと思うのであります。若し白書にいうがごとく、この物價と賃金との間に惡循環ありとしまするならば、これを断ち切る手というものは、物價と賃金とのバランスを保つということより以外に手はないと思います。然るに今日の物價と賃金の改訂要綱を見まするというと、御承知のごとく物價は六十五倍に上げておいて、そうして賃金は頗る低いところに止めておかれておる。物價と賃金を不均衡のままにおいて、そうしてこの循環を断ち切るとは自己矛盾も甚だしいではないか、この点について安本長官の私は御説明が承りたいのであります。若しそれ政府当局者は、名目賃金はあそこのところに止めておくけれども、いわゆる千八百円のあの平均水準に止めておくけれども、実質賃金として引上げる考であるとおつしやるのでありますが、物價は六十五倍に上げた。それが既に昨日からその値段で配給されております。然るに実質賃金の充実引上げというのはいつ具現いたすのでありますか、それが具現いたしますまでには時間の或る間隙というものがあるに相違ないと思う。間隙の間はいわゆるこの物價の騰貴に対する賃金の切り捨であるに相違ないと私は思うのでございます。なぜ安本は思い切つた、当局は思い切つた賃金の大巾の引上げをやらないのであるか、若し物價と賃金の惡循環ありとするならば、物價より低きに賃金を止めて置くことも亦惡循環の原因ではないかと私は考えるのであります。この実質賃金というものを引上げてやる。これは私はそういう賃金形態には賛意を表しますが、併しこの実質賃金を引上げるといつて、名目賃金を抑えて置くことは、これは只今はよろしいけれども、併しながらやがて來るべき失業が生じましたときには、これは失業手当をやらなければならん。解雇手当をやらなければならん。その失業手当なり、解雇手当なりの算出の基準は名目賃金に置くや実質賃金に置くや、私は米窪國務相に伺いたい。若し名目賃金に置くというならば、やがて來たるべき労働恐慌、この整理されます失業者諸君に対しては、低い名目賃金で失業手当を與えるというがごときは(拍手)そもそも巧言令色鮮きかな仁といわなければならん。私はこの点につきまして当局の御答弁を承りたい。
 最後に重大なることをお尋ね申上げます。それは今回発表相成りましたる経済白書というものは、いかにも今日の日本の経済実相が報告せられておると仰しやいますが、併し私はこれは半分しか御発表に相成つておらんとしか思えないかと思うのであります。いわゆる民間の、國民の経済資料はお集めになつた。併しながら政府のお持ちになつているところの物資です。厖大なる物資です。國民がいろいろな疑惑で眺めておるところの物資、なにをどのくらい政府が握つているかということの実情が、少しも報告せられておらないことでございます。今日の日本の経済は國民の経済、國民の持つておる物と政府の持つておる物と、その全貌を悉く発表いたしまして初めて日本の経済実相が明白になるといわなければなりません。今日の経済秩序の混亂、或いは政治理論の貧困とか、或いは無為無策の結果とか、いろいろと議場におきまして御議論がございましたが、それは議論。実際はです。終戰以來あの膨大な軍用物資が無秩序に放漫にこれが処分せられたことが、今日の経済秩序の潰乱、道義の頽廃の原因を成すものである。(拍手)而してその続きといたしまして、政府が統制経済の、これは当然ではありまするけれども、多数の物を握つておる。この物がどれだけあるか、どこにあるか、なにがあるのかということを明白にいたさなければなりません。見よ、経済関係の各省の玄関には数十台の自動車が朝夜取り巻いておることは、この物を狙うところの一部の餓鬼共が集まつておる事実ではございませんか。このことが明らかにいたされなければ、政府がどのようなことを仰しやいましても、國民が政府に対して、政治に対して信頼するということは不可能であると思います。殊に昨日新聞を見まするというと、やはり御承知の世耕機関事件でございます。この新聞記事の中には、安本には軍服が二三百万著あるということが述べられております。果してこれは事実でございますかどうか、御答弁が承りたい。又かくの如き事件が沢山ございまするか、司法当局は世耕機関についてどの程度まで眞相が御糾明に相成つておるか、その途中の経過を当議場におきまして御発表相成るのが至当であると私は考えるのでございます。私は経済白書から、政府の持つておるところの物資を、これを國民に明らかに示すことを経済黒書と申したい。この経済黒書の御発表相成るところの意思がありや否や。片山首相にお尋ねいたしたいが、御不在で、又片山首相にお代りになるところの西尾國務相か、或いは芦田外相、副総理かその辺が分りません。どちらかお決めになりまして、御答弁が煩はしたいと思う者でございます。私の質問いたしたいという要点は以上のごとくでございます。(拍手)
#8
○議長(松平恒雄君) 和田國務大臣。
   〔「責任者がない。」「大臣いないじやないか。」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松平恒雄君) 和田國務大臣。
   〔「総理に代る者を出したらどうか、」「駄目だよ、」「そんなことでできるわけないじやないか、」その他発言する者多し〕
#10
○議長(松平恒雄君) 登壇願います。
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
   〔「外の大臣はどうした、」「議長は大臣の出席を求むべし」と呼ぶ者あり〕
#11
○國務大臣(和田博雄君) 只今の御質問にお答えいたしますが、発表の点でありますが、これは御承知のように只今非常に印刷能力というものがございません。我々は日を次ぎ夜を次いで、できるだけのことをいたしまして、実は新聞社と國会とは殆ど同時に出しておる次第であります。できる先から先から新聞社に出す、それをすぐ國会にも持つて來たのであります。從つて一日遅れて新聞にそれが出たということになつておるのでありまして、我々は全力を、今の能力においてできる限りのことをやつておることをご了承をお願いいたします。決して國会を我々としては軽視しておる者では毛頭ございません。
 それからこの白書というものについてのいろいろの御批判でありまするが、精神が欠けておる、こういうお話でありますが、私は経済白書、実相報告書は、客観的に、そうしてなんらの党派に囚われることなく、事実を國民の前に示し、その示された事実を國民の方々が自分達の問題として、この現実にどう取り組み、そうしてそれをどう批判するかは、これは皆樣方の御自由であります。それから一点、政策が非常に後手々々になると仰しやるわけでありまするが、我々は先に緊急経済対策を発表いたしまして、それの個々のものについて個々の具体化を図つて、それを逐次実行に移しておる次第であります。政策そのものが効果を発生するのにはそこに時間というものが必要であります。從いまして政策の本当の批判は、暫くその政策が行われる経過を見た上で公平にいたして戴きたいと思うのであります。我々はあの実相報告書に基ずきまして、一應経済緊急対策が当面の危機を乘り切るには総合的に必要なりと考えまして、只今それを実行に全力を以て移しておるような次第でございます。
 それから具体案のものについて法律、予算の形で必要としまするものは、当然國会に提出いたしまして、皆樣方の御審議をお願いいたすことに相成ると思うのであります。
 それから隠退藏物資の点は経済安定本部におきましては、今後とも徹底的に監査部を充実いたしまして、これが正確なる実情を把握するのに努めたいと思うのでございます。今までの隠退藏物資の点はいろいろの個人からの申出がありまして、実際上その現場へ行つて見まするというと、思う物が既になかつたり、或いは既に正当な人の名に帰しておるようなものが多いのでございますが、尚この点につきましては、私といたしましては全力を上げてその正確なる把握をいたしたいと思うのであります。それからもう一言断つておきたいことは、経済実相報告書というものが、この敗戰國においてあれだけのものが出せたという事実を一つ御認識を願いたい。どこの世界を取つて見ましても、敗戰國において経済の実相をあからさまに國民にああいう形で出しておることは、私の知つておる限りはございません。從いましてあの報告書の中に、我々としてもそれは不満な点があるわけであります。併し今の制約された條件の中でも最大限度において我々はその実相を國民に報告することを努めたわけであります。(拍手)
   〔國務大臣米窪滿亮君登壇〕
#12
○國務大臣(米窪滿亮君) 私に対する御質問に対してお答えいたします。それは將來失業手当、或いは失業保險を支給する場合の基準はどこへ持つて行くかと言うお尋ねであつたと思うのであります。大体においてこれは標準報酬というものを決めまして、それの何パーセントということでやつて行くことが、從來我が國における既に実施しておるところの各種の保險、その他諸外國の例などで、これは生活費を保險及び手当等でカバーするということは、これは極めて理想的で望ましいことでございまするが、これについては國の経済とも睨み合さなければなりません。又或る考え方によると惰民を作るという逆作用も多分にあるのでございます。我々はこの失業対策として失業保險、失業手当というものによつて、失業者を救うというのが第一義的の目的でないのでございまして、失業者に対して適当なる職業を與えるということが第一義である。これがどうしてもできない場合に、初めて第二義的の手段として失業保險、失業手当というものを支給するということであるわけでございます。從いまして生活費を失業保險及び失業手当でカバーするということは、本旨に合わないのでございます。簡單でございますが、これを以て‥‥(拍手)
#13
○議長(松平恒雄君) 芦田外務大臣、西尾國務大臣の出席を促しております。後刻答弁をいたす趣きであります。村上義一君。
#14
○村上義一君 木下辰雄君を指名いたします。
   〔木下辰雄君登壇〕
#15
○木下辰雄君 私は先般発表されました経済緊急対策、いわゆる危機突破対策に対しまして、水産という立場から二三意見を述べたいと思います。先日來この議場の質答應答において、主要食糧に関する問題は十分論議されたと思います。併しながら水産の問題については殆どなかつたことを私は遺憾に存じます。固より主食の増産確保ということは、現在において最も必要なる事項でありましよう。併しながらこれは如何に力を盡し、如何に工夫を凝らしても、到底不足する。その不足をどうして補うか、如何なる物を以て補うかということは、現下の最も重要な問題であろうと思います。固より輸入物資の懇請も必要であります。併しながら政府も申されている通り、日本におけるあらゆる政策を講じて尚且つ足らん場合に輸入物資を懇請すべきである。これは本日のマツカーサー司令部の御声明にもありました。然らばどういう施策があるか、我が國の食糧増産にどういう施策があるかと申しますると、これは現下の状態として水産物の増産加工が最も緊急であり、これ以外にないと固く信ずるのであります。我が國は水産國であります。四囲の海洋は世界に稀れなる水産資源があります。戰前においては優に二十億貫を突破する生産を得たのでありますが、戰爭のために非常に激減いたしまして、現在においては僅かに五億貫以内であつたのであります。本年においては私共八億貫の生産目標を立てまして、その実現に努力いたしておりまするが、若し政府が十分に力を入れますならば、恐らく八億貫はおろか、それ以上の水産資源も決して不可能ではないと固く信ずるのであります。歴代の農林大臣が水産を決して無視しておつたとは申しません。併しながら少なくとも熱意が足らなかつた。幸い現平野農林大臣並びに和田安定本部長官はこの水産物の増産加工に非常に熱意を持つておられる。そういう見地から私は政府の御所信を問いたい。
 第一は水産行政の問題であります。現在こういう主食を補う重大なる水産物の増産加工をなす行政官廳は農林省の一局であります。片隅に小さな水産局があるに過ぎません。そうして漁船は運輸省の所管であり、資材は商工省に残つておる。水産局は僅かに許可であるとか、免許であるとかいうような事務的の仕事をしておるに過ぎない、これでどうして水産が進展いたしましようか。数十年來水産業界においては水産省設置を唱えておる。これは輿論であります。昨年の衆議院におきましても水産省設置の建議案は滿場一致通過しておる。然るに今まで水産廳さえもできていない、農林大臣は本議場において將來は水産廳を作ると言明せられておる、何時作られるか、どういう構想で作られるかということを、この際はつきり御尋ねして置きます。
 次に漁業用資材でありますが、先に山下義信君からもお述べになりましたが、非常に隠退藏資材が多い。我々は重油並びに魚網につきましては連合軍の非常なる厚意によりまして、先行は決して悲観しておりません。併しながらその他の資材は殆ど二割以内が配給されておるが、後は殆ど闇であります。闇ではどうやらこうやらとにかくある。この闇を徹底的に摘発するということは現下の急務であります。政府はこの経済緊急対策の中に隠退藏物資を徹底的に摘発する云々ということが書いてあります。どういう御方針によつて摘発するか重ねてお伺いしたいと思います。これは國民が納得が行くように一つ具体的の方策をいつて戴きたいということを私は申上げて、政府の所信を伺いたい。
 次はこの緊急対策の第一の第四にこういうことが書いてあります。「主食の中心が当分米以外のものとなることは避けがたいので、食生活の改善、特に蛋白資源の確保に重点をおき、鮮漁介の統制を確実に実行するとともに加工水産物にもその適用範囲を拡大する。」確実に実行するということが謳われております。この見地から現在の水産物の集荷配給の機構ができ上つたのであります。これは現在の機構を見ますると、私共果して政府の機構がうまく運行できるかどうか甚だ疑問を持つております。例えば例を東京都に取つて見ますると、東京都においては二十四の入荷機関を東京都は許可した。その條件は一團体は資本金二百五十万円以上の会社、若しくは組合でなければならん。もう一つはこの六月中に、先月中に六万貫の魚を加工しなければならんというような條件の下に二十四團体に許可を與えたのであります。そのために二十四の團体は非常に努力をして、そうして集荷に奔走した。そうしてその手数料は僅かに三分に協定されている。この三分の手数料を……、現地に集荷人を派遣してあらゆる方策を講じて六万貫の集荷に努めたのであります。しかのみならずこの六万貫の集荷をするために二割或いはそれ以上の‥‥二割と申しますのは賣上高の二割、それ以上のものを生産者に現金を交付して、そうして魚を集荷した事実が到る処にあるのであります。これほど努力してやつても、それで六月末においては二十四團体の機関は総て数十万円の欠損を來たしている。こういうことで決して機構が成立つ筈がないと思う。いずれは收支のバランスを合わせるために闇のほうに轉換しやしないかということを私は非常に憂慮する。これに対して、これを作られた政府の御方針、將來の御監督、そういう点についてはつきりした御見解を承りたいと思います。
 次には水産教育の問題であります。これはこの第一の第九項に「水産の増加をはかるため漁業の科学化」ということがあります。水産業界においては未だ一校の大学もありません。又水産專門学校というものが國立が僅かに三つ、後は私立が二つばかりあります。殆んどいうに足りません。今後の水産の重要性に鑑がみて政府はこの水産業をどういうふうに持つて行くかということについて(拍手)十分なる一つ御熱心な御研究を願いたいと思います。
 それからその次に、現在水産業團体法による團体というものは近く解散になります。これに代るべき水産協同組合の法案並びに漁業法中改正法律案、これは私共非常に提出を要望しておりますが、政府はいつ出されるか、本議会に出されるかどうかということを一つはつきり御明答願いたい。まだ二、三ありますけれども、時間が参つたようでありますから、私の質問はこれにて終ります。(拍手)
   〔國務大臣平野力三君登壇〕
#16
○國務大臣(平野力三君) 木下さんの御質問にお答えいたします。水産業が現在の食糧危機を打開する上において極めて重要であるという御意見は、もはや論議の余地はないのであります。この点におきまして、水産行政の問題について水産廳を設置するかどうか、又水産廳を設置すると言明しているが、どういう形において水産廳の問題を考えておるかという御質問であります。私は、衆議院におきまする水産委員会の席上におきまして、水産廳設置を言明いたしたのであります。同時に又衆議院における水産委員会の委員諸君は各党派を超越いたしまして、全会一致水産廳設置を決議せられておるのであります。参議院におきまする水産委員会におきましても同樣の決議を願いたいと思つておるのであります。私は、この國会におけるところの水産委員会の各位の決議を前提といたしまして、閣議において水産廳設置を近く提起いたしたいと考えております。問題と相成りまするのは、運輸省におけるところの漁船に関する問題と、商工省におけるところの魚網に関する問題でありますが、この両省と農林省との問題に関しましては、私の見解といたしましては、行政上の問題として相当権限上の問題は必ずしも樂観を許さないのでありまするけれども、現下の食糧危機打開のために水産業の重大性の見地に立つて、閣議においては水産廳設置ということがこの際は是認せられるのではないかと信じておる次第であります。私といたしましては最善を盡したいと思つております。
 次に漁業の上に資材が重大であることは論議を待ちません。漁業資材として相当隠匿されておるものがあるようであるが、これらについて政府はどう考えておるかという御質問でありまするが、現在これは單に水産業の資材のみならず、苟くも隠匿された資材として現在の危機突破に必要なるものは、各省連合いたしましてその取得に対しては全力を傾倒しております。
 次に集荷機関の問題及び教育の問題について御意見がありましたが、山下君の專門的なる御意見を十分拜聽いたしましたので、私といたしましては、その点を大いに参考といたしまして善処いたしたいと思います。
 最後にお問いになりました水産協同組合の問題と漁業権の問題でありまするが、この協同組合と漁業権の問題は、現在政府といたしまして最も檢討を加えておる重大問題であります。この協同組合法と漁業権に関するところの水産業法の改正法律案がこの議会に必らず提案できるかどうかという点については、現在明言できないのでありますが、会期が大体八月の下旬まで延長せられることに相成りましたので、大体この期限内には間に合うのではないかと思つております。と申しますのは、この漁業権の問題にいたしましても、漁業協同組合の問題にいたしましても、これは日本の將來における、又現在における水産業に関しましては、基本的なる重要問題でありまして、これが決定に当りましては極めて愼重を要するのであります。單にお座なりな便宜的なる法律を出すなら容易でありますが、漁業権及び協同組合の基本的なる問題を檢討して法律といたしまするには、相当なる日子を要するのでありまして、政府といたしましては極力この議会に提案をいたしたいと思つておりまするが、本日未だ必ず提案できるかどうかということの明言できないことを遺憾といたします。以上簡單に御答弁申します。(拍手)
   〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#17
○國務大臣(西尾末廣君) 山下君の御質問で残されたる問題につきましてお答えいたします。世耕機関の問題につきましては、政府においても着々と調査を進めておるのでありまして、併しながら現在のところまだそれを発表する状態になつておりませんので、暫らく御猶予を願いたいと思うのであります。尚隠退藏物資の摘発の問題につきましては、安定本部総務長官からお答えいたしたのでありますが、更にこの問題につきましては安定本部の中の監査局の中に在庫品課を設けまして、この衝に当つておるのでありますが、地方においても亦同樣に監査部に在庫品課を設けておるのであります。そうして目下それの人員を充実いたしておるのでありまして、本部の方には監査官を数十名、地方の安定局におきまして監査官を数千人採用しまして徹底的にこれらを摘発するために万全を期したいと考えておるのであります。今その人員の充実に努力いたしておる状態でありますから、御期待に副うように十分に摘発をいたしたいと考えております。(拍手)
#18
○議長(松平恒雄君) 橋上君。
#19
○橋上保君 高良とみ君を推薦いたします。
   〔高良とみ君登壇、(拍手)〕
#20
○高良とみ君 三つの主なことについてそれぞれのお係りにお伺いしたいと思いますが、便宜上、本文の箇條が十二箇條程になつておりますから、これを要旨だけお聽き取りを願います。
 第一は、今回発表になりました実相報告書と、食糧緊急対策と、経済緊急対策との三つの間にはつきりした関連を私共はどう見ても見付けることができないのでありまして、殊に実相報告書はその解決として経済緊急対策を謳つておると思うのでありまするが、その結果として今回制定になりました新價格体系樹立の原則につきましては、非常に矛盾があるのではないかと思うのであります。一例を申しまするならば、その結果といたしまして諸物價の昂騰を見ておりまするので、差当つて食糧緊急対策の要旨でありますところの米の供出外のものに対しましても、農村は諸物價の値上りにおきまして、到底出すような態勢にないのではないか、或いは消費者もこれを退藏をし、或いは諸物價に対しても、もう既にそういう現象が起つておるのでありまして、まことに御趣旨は結構でございまするが、そのいろいろな作文趣旨の関連を一つお教えを願いたいと思うのであります。
 第二は、米麦及び交通費の上昇に伴いまして、全官公廳労職員組合或いはその他の諸團体におけるところの増額要求に対しまして、政府はどの程度に見ておいでになるのでありましようか、私共末端の生活者といたしましては、生活保護法における補給金も誠にあれでは暮せないことになるのでありまして、この点につきましては農相或いは厚生大臣のお答えを伺いませんと、生活の保障も得ておりません哀れな人達に対しまして、私たちはなにを以て答えていいか困るのであります。又実質賃金を、闇を買わないためにお増し下さるのでありますか、それだけの食糧の余裕がおありになるのであるかということが、私共の疑問とするところでありまして、闇物資買入れの主なるものは食糧であることは申すまでもありませんが、それを実質賃金に繰り入れて、尚その余分に欠配を埋めるだけの食糧がおありになるというお見込みでありましようか、この点を伺いたいのであります。
 第三は、國鉄及び各私鉄が四倍半以上の値上げを要求いたしております由でありまして、百三十一社等がこの値上げをいたしました場合に、國民の不可欠の交通費が非常な上昇をいたしますので、この点に関しましては、運輸省としては、どういうように御処置になるお積りでありましようか、或いはこの点は次の点と共に國民の納得の行くような公聽会等に、或いは國会にお諮りになる御意思があるかどうか。
 即ちそれは第四の問題でありまして、今回の新物價体系樹立の原則その他に対しまして國民全体に非常な関係を持つておることでありますから、これに対しまして國会に諮り、或いは特にその中の基準賃金の決定につきましても、私共といたしましては國民が本当に納得をしてこれに協力ができるような体制をお伺いしたいと思うのであります。婦人團体におきましては、地方においては値下げ運動もいたしておるくらいでありまして、今回の処置の結果といたしましても、どうしても高物價になるのでございまして、殆んど闇に近いものが実効價格として認められて來るのでありまするが、この点を私共としては本当にその経済白書にいわれます通り、國民と共に同甘同苦する御意思があられるかどうか、お答え願いたいと思うのであります。特に物價体系樹立につきましては、常に國会と相談するというお約束があつたのではないかと思うのであります。國会と御相談なく直ちに実施されましたことにつきましては、私共消費者としては唖然たるものがあるのでございます。(拍手)
 細かい点を除きまして、それに一言附けて申しまするならば、いわゆる値下げ運動や節約に苦心し、或いは納税し、或いは物價の下るのを待つて参りましたところの、大多数の正直者であるところの消費者は、國民の相当な数を占めておるのでありまして、今回の御施策が高物價の傾向を持ちましたときに、これはいつ頃までお待ちしたならば、いわゆる長期経済再建計画として、私共のこれから耐えて行きますところの高物價、物資の欠乏、食糧の欠配、遅配、その他のことがいつになりましたならば、明るい將來を見ることができるのでございましようか、殊に外資導入の期別のものをお加えになりまして徐々に御発表になり、又合理的な輸出計画、第七項に謳つてありまするような、そういうようなものをお加えになつたものを、長期といえば二年、三年先のことでございましようが、私共といたしましては年末にはどうなる、來年の六月にはどうなるというようなことでも結構でありまするから、この新らしい日本を建てて参りますための明るい先を見せて戴きましたならば、國民を挙げて今回の施策に協力すると共に、非常に希望に満ちて行けると思うのであります。この中にいわれておりまする通り、努力の結果をも勘定に入れると謳つておられますが、それでも結構でございまするから、私共はポツダム宣言の受諾を誠に忠実にやつて参りました國民といたしまして、明るい先を見せて戴きたい。これを数字的に月次的に、或いは御都合のつき次第御発表になることを希望するものでありますが、これについて安本長官のお見通しを伺いたいと思うのであります。
 先程隠匿物資につきましては既にお話がございましたから、これを略すといたしまするが、私共は社会正義の強いものを今日の警察力に対して要求するものであります。自治体と申せ、これに権威がございませんときにあらゆる方面に闇の横行、不正義の跋扈が激しいのでありまして、弱い者、幼ない者、病める者に対してどのくらい涙を流しておりまするか、殊にそこに忍びよるところの海外からの思想の点、これに対しましては既に各方面に御注意のあることと存じまするが、日本の社会相におきましては、既に生活権の保障を受けておらないところの引揚同胞や、或いは戰爭によつたところの寡婦、孤兒、そういう人達の間にも耐えることのできないところの生活の実態を見ておるのであります。この点は今回の御調書にありました通り、生活統計のごときものも、もつと実態調査を基礎としたもののお示しを願いたいということを、これも今後安本の係りの方にお願いするのであります。
 更に正義をどこまでも実現いたしまするためには、職場配給、官公廳その他の團体におきまするところの特配物資をも、正規ルートにお入れになる御意思があるかどうか、それができまするならば、台所と業者の間にありまするところの情実特配ということも亦正義感において止めることがでえきるのではないかということを、零細なるところの台所の消費者は思つておるのでございます。
 そうしてこれらのことを伺いました最後の結論といたしまして、婦人を行政に参加せしめて、官僚万能行政の民主化をなさる用意がおありになるかどうかということを、西尾國務相にお願いしたいと思うのであります。即ち「とうもろこし」は「とうもろこし」ばかり配給し、豆粕は豆粕ばかり続き、そうして最後になつて合せる物のない時になつて小麦粉が來るというような、そういう配給の面におきまして、安本或いは農林省におきましては今少しく台所の專門家を御採用になりましたならば、ない食糧も非常に活きて來ると思うのであります。(拍手)又物價委員、或いは物價監視委員というものがありまして、熱心に末端の物價を監視しておるのが大部分婦人でありまするが、その方面におきまして物價の制定につきましても婦人を参画せしめて、こういうわけでこういうふうに三倍の旅客費になり、三倍の米代になつたということを納得をつけて戴きましたならば、今後の協力の面に非常にいいのではないか、そこで物價廳或いは各地方自治体におきましても、配給の面、物價の面、或いは事婦人に関し、子供に関し、家庭の衞生に関する面に、もつと婦人をみずから政治するために御採用になることを、今回の官廳の粛正と共にお願いし希望する次第であります。その点につきましては又折を見ましてくわしく屡々申上げるつもりでありまするが、これらのことにつきまして御説明を戴きまして、私共婦人の組織されざる消費者に対しましても、又家庭に向いましても、かくのごとき政治をして行けば國家は明るい將來を持つことができるのであるということが分りますならば、いわゆる國民運動の現実の力としてこれを明日の政治の上へ出して來ることもできるということを思うものであります。私の質問はこれで終ります。(拍手)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#21
○國務大臣(和田博雄君) 只今の御質問にお答えいたします。経済実相報告書と経済緊急対策との関連でありますが、これは御承知のように、経済緊急対策の中でも特に流通秩序の確立といいまして、闇を撲滅するということを支点にいたしておるのでありまして、この点におきまして相互の関連が十分にあることを御了承願いたいと思うのであります、闇撲滅につきましても、これらの対策を一括いたしまして、我々の方といたしまして至急に具体的な計画を立てるべく只今作業をいたしておるのであります。いずれこの点につきましては、又それを適当に発表いたしまして、御批判を願いたいとかように考える次第であります。
 それから官公廳の給與がどうかということでありますが、これは新らしい物價体系を立てまするときに、その物價体系の中に織り込む賃金をどうするかという点につきまして、給與審議会の方にいろいろお諮りしまして、それを御檢討願つたわけでありますが、給與審議会の方におきましては十分にこれを檢討するだけの時日もなくいたしましたので、政府の責任においてやるということを止むを得ないと認めましたので、政府の責任におきまして千八百円ということにいたしたのであります。工業の全平均を千八百円ということにいたしましたけれども、給與審議会の方で一時の案として出ました二千六百円というものを採つた場合に、どういうような影響があるかということにつきましては、先般新物價体系を発表しましたときに、私がくわしく政府の声明としても発表いたしましたし、またラジオでも説明いたしましたので、お聽取り下さつておりますれば御了解下さることだろうと思います。從いまして官廳の方も平均千八百円に近付くことになろうかと思います。
 それから配給改善の点でありますが、これは千八百円としましたときに、その諸物價の改訂の値上がりが当然に生活の家計費に響いて來るわけであります。その家計費に響いて來るのは千八百円をベースといたしましたならば、あの改訂では千七百五十円位に響いて來ると思うのであります。それを配給改善によつて一部を吸収し、一部をこの二百円という時のずれがありまするので、千六百円から一應二百円上げたことによつて一部を吸収、それから一部は所得税の免税点の引上げによりましてこれを考えて行く、こういうようにいたしておる次第であります。尚いろいろの細かい点につきましては、いずれ機会がありますときにくわしく係の者から御説明さしても結構だと、かように思います。
 それから將來についての希望を持たしてくれというお話でありますが、又物價の、今度高い水準で物價が安定するのであるが、それが下つて行く時期はどうかと、そういうことでありますが、これは私は非常に時期を只今明示いたすことは、それは私にも正直にいつてできません。と申しまするのは結局日本の生産の回復のテンポが、今度の新物價体系の確立によつてどういう程度に速まつて行くかということでありまするし、それから日本の外國に対する例えばクレジツトの問題だとか、いろいろ他の條件が又加わつて來るかということによつても違つて來るのであります。併し我々といたしましては、長期の計画をこの緊急措置と並行いたしまして立てるつもりでありまして、経済安定本部の中に委員会を作つて、その作業に取り掛つておる次第であります。いずれこれは適当な方法で一般に公表いたしまして、そしていろいろな点について御檢討を願つて行きたいと思います。ただ長期計画は將來についての一つの見通しでありまするが故に、そこに日本の現実と同時に、或る種の仮定が加わつて來ることだけは十分に御了承を願つて置きたいと思うのであります。勿論この二十二年度の物資需給計画に我々が策定いたしましたものが、この緊急対策を実行しますことによつて、石炭が三千万トン掘れまするならば、次の年度においてはもつと経済の地盤が大きくなるということにつきましては、本議場におきまして私が説明をいたした通りでありまして、努力次第によりますと、そこに將來への明るい見通しも十分にあるということを御承知を願いたいと思うのであります。
 それから行政の面に婦人をもつと採用したらどうかというお話でありますが、これはお説の通りに我々といたしましても、家計に関する点で御婦人方の協力をどうしても求めなければならず、又婦人の輿論というものに是非御援助を願わなければならんものが多々あるのでありまして、それらの点につきましては、我々の方といたしましても今後共十分に考えて善処いたしたいと、かように考えます。
 それから家計の調査のことについての御質問でありましたが、内閣統計局のあの家計調査、それから消費者價格調査というようなものは、これは今までは日本になかつた調査であります。初めてああいう一つの科学的な方法によりました調査でありまして、これは極めて実態を掴んでいる調査だろうと思います。勿論調査の経費やその他の点で、調査の対象であるとか、いろいろな点については議論の余地があると思いますが、とにかく今までは消費者價格調査とか家計調査ということについては、今まで日本に良いものはなかつたし、今度の実体調査に示したものにつきましては、可なりに信憑性を持ち得るものであろうということを確信しておる次第であります。
   〔國務大臣平野力三君登壇〕
#22
○國務大臣(平野力三君) 高良さんの御質問に対して率直にお答えいたしたいと思います。私といたしましては、現在政府が遅配と欠配というものを完全になくしない限りは、闇の問題も、実質賃金等の問題に関しましても、政府の責任といたしましては十分解消できないと思うのであります。從いまして現在遅配が続いておりまするということは、主管大臣といたしまして重大な責任を感じております。
 そこで大体の構想を申上げますると、本年の十月三十一日まではこの遅配をなんとかしてなくするために全力を傾倒して、仮りに米麦等の主食においていけない場合におきましては、他の代用食糧を以ていたしましても遅配だけは完全に追付きたい、かように思つております。
 それから來米穀年度でありまするところの十一月の一日からは、私の現在の信念といたしましては絶対に遅配欠配を行わないように、來米穀年度からはこの点において絶対一つやりたいということ、このことは、かように申します理由というのは、今年の稲作というものはもとより昨年ほど天候は良くないかと思いまするが、現在配給いたしておりまするところの肥料の面から申しますると、昨年よりは相当良いのであります。從つて先ず平年作と言えると思う。米の出廻り期において完全に國民に配給することによつて、消費者諸君が闇をやらないということまで政府が消費者に信用を得らるるならば、農村の供出というものも又うまく行くのでありまして、常にこの点は鶏が先であるか、卵が先であるか、闇が先であるか、欠配が先であるかというこの問題に至りましては、單に政府が遅配をなくするというこのことを断行して、國民からの信頼を得る、これが前提であると思う。併し現在のように食糧事情のいわゆる夜の部面でありまするところの、いわゆる本当に端境期に來ておりますときには、いかに考えましてもこれは困難でありまするが、出廻り期に至りまして食糧政策を考え直します場合には、ここには手があると信じておりますので、來米穀年度、十一月一日からは、國民の前に相当明るい食糧政策をやりたいということを今から深く考えておるものであります。(「お考え下さい」と呼ぶ者あり)
 次に御指摘になりました特配物資の問題につきましては、労務加配はこれを積極的に断行いたしておるのであります。現在肥料の生産が上へ向いております一つの理由は、肥料工場に対しては政府が絶対労務加配を特配しております。現内閣になりまして石炭、鉄、電力、これらの工場に関しましては労務加配を、この食糧困難なる事情においても断行する決意をいたしまして現在やつております。これは工場別に調べて見ますと、この労務加配というものが生産の上にいかに重大なる影響を與えておるかということを、その工場工場についてはつきりした数字が分つておりますので、私共は國家の重点産業に関する特配米というものは断行したい所存であります。
 次に家庭生活の問題から、食糧問題に対して婦人の協力を得べしという御議論につきましては、全く同感であります。今後その点については一つ御協力を得たいと存じます。(拍手)
   〔國務大臣苫米地義三君登壇〕
#23
○國務大臣(苫米地義三君) 高良さんのお話のうち、運賃値上に関する点につきまして私からお答えいたします。
 物價の引下げ運動が一方に行われておる際におきましてすべての物價が騰がる。殊に運賃が騰るということは実に國民生活の上において非常に遺憾であることは私も深く感ずるところであります。この機会に運賃の値上問題の経過を一應申上げて御理解を願います。從來の運賃そのままで参りますれば、本二十二年度の予算は八十四億円の赤字が出ることになります。それがために前内閣では、この國鉄の特別会計が独立採算制のできまするように運賃の値上をするということになつたのでございまして、私共新内閣はそれを一應引継いで参つた次第であります。
 併しながらこの重大なる運賃の値上は軽々にやつてはいけない。十分に國民の納得を得なければならんのでありますから、或いは公聽会を開くとか、或いは議会が始まりますればその御賛同を得るとかいうような手続をとつてやろうかと思つておつたのでございます。ところが、前内閣で考えました値上げが手続その他によりまして段々遅れまして、そうして今回の新物價体系の政策になりましてので、自然運賃の問題は新物價体系の一環として採り上げられるようになつたのでございます。即ち今の石炭價格にいたしますれば、値上りだけでも八十数億の値上りになります。從來御承知のように僅かに一トン百八十五円で石炭を使つておつたのであります。然るに今回御承知のように石炭の消費者價格は千二百八円になつております。それに諸掛りを加えますれば千三百円以上で鉄道は使わなければならんのでありまして、それゆえに石炭の費用だけで百億を超しますが、一方從來の運賃そのままでありますれば、二十二年度の総収入は九十三億にしか過ぎないのであります。即ち石炭代だけにも足りないという事実がございます。それゆえに今回の新物價体系によつて運賃をそのまま据え置くといたしますれば、約三百億円の赤字が出ることになるのであります。これはゆゆしき財政問題でありまして、さようなものを借入或いは公債等によりますれば、自然インフレーシヨンの惡化を來たすことになるのでありまして、経済安定本部ではこの新物價体系を作ります際に、運賃をどの程度に止めるかということの檢討をいたしたのであります。それが國鉄三倍半というようなことになるのでありまするが、本当に國鉄特別会計の独立を図る意味におきましては三倍半では足りないのであります。三倍半であがる收入は焼く二百二十億でございます。然るに先刻申上げました石炭だけでも八十数億、又その他の物價の昂騰によりまして、修繕費その他のものの値上りもやはり八十億を超す程度になります。又從來の予算におきまして、人件費は一ケ月千百円を計算いたしておつたのであります。これは昨年の計算でありまするからさようなことになりますが、今回新物價体系に織り込まれました標準賃金即ち千八百円にいたしますれば、これ又五十億ぐらいの増加となるのでありまして、この増加收入二百二十億に対しましてやや匹敵するような支出の増大になるのでございます。從いまして独立採算の希望いたしました最初の考え、即ち八十四億の赤字を消そうというこの考え方はまだ十分に達しておりません。若し鉄道会計が本当に独立するならば四倍半でなければいけないのであります。併しながら全部これをこの際カバーするということには、我々の努力がまだ残つておると私は信ずるのであります。即ち國鉄の経営合理化その他によりましてあらん限りの努力を拂いまして、この赤字の收縮に努めるということによりまして、一年ではいかんかも知れませんが、何年かの計画を立てまして、この赤字克服に邁進したいと存じておる次第であります。然らば値上の方は止むを得ないが、何故に議会に諮らなかつたか。こういうことでございます。これは運賃だけの問題でありますれば、当然最初私が申上げましたように、或いは國民の前に公聽会を開く。議会開会中ならば議会に諮りまして、そうしてやるのでありますが、今回の分は新物價体系の一環として採り上げたものでありまして、その実施とその額はその全体の中に包攝されておりますために、止むを得ずこういうことにいたしたのであります。併しながらそれだけでも足りませんから、私は先月の二十七日にラジオを通じまして、一般の國民にこれを申上げ、又ラジオ討論会を開きまして國民にもこれをお知らせし、又常任委員会には参議院にも衆議院にも出まして具さに説明をいたした次第でございます。御承知のように財政法が通つておりますが、形の上から申しますればその第三條は、施行規則がまだ政令が出ておりませんから、正式にかけることもできませんけれども、今のように重要な社会性を帶びておりますからせめて説明でもして御理解を得たいと存じまして、かような措置を採つた次第であります。尚一ケ月間の猶予期間を置いてやるべき筈でありますが、これも今申上げましたように他の物價には既に運賃が織り込んであります。密接不可分の関係で今回だけは全く止むを得ない特別の措置であるということに、甚だ遺憾でありますけれども御了承を願いたいと思います。
   〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#24
○國務大臣(西尾末廣君) 高良君から婦人を行政面に参画せしむるようにすることはどうかという御意見でありますから、お答えいたします。その趣旨においては全く同感でありまして、組閣工作の課程においてもそれを政府においては私は考えておつたのであります。又政務官を設定する場合におきましても、その点を政府として考慮しておつたのでありますが、色々な事情でそれが実現できなかつた。今日までできていないことを私も遺憾に思つておるのであります。併しながら近く皆樣に御協賛を願う意味における厚生省から労働省を分離するという労働省新設問題につきまして、労働省の中に婦人少年局という新しい婦人を中心とする局を置くことになつておりますから、この局の中には、これは労働大臣の所管でありますけれども、多分婦人の行政参画ということが実現されることと思うのであります。尚政府はその他の各種委員会においてもできるだけ婦人の代表的な方を参画して戴きたいと考えておるのでありますから、どうぞ皆樣におきましても、その都度そういう所はこういう人を入れた方がいいじやないかということを御推薦下されば誠に結構と思うのであります。
#25
○議長(松平恒雄君) 佐々木良作君。
#26
○佐々木良作君 無所属懇談会の栗山良夫君を指名いたします。
   〔栗山良夫君登壇〕
#27
○栗山良夫君 片山内閣が盲政治の打破の一方便として経済危局の実相を発表せられましたことにつきましては、一應敬意を表しまするけれども、併しこの問題をめぐりまして、現在輿論は大勢悲観説に傾いておるのであります。而も賃金の釘付け、マル公價格の大幅引上げによりまして、勤労階級は明日の生活の戰慄すべき状態を思い、今日只今この議場の討論よりも、より眞劍な、より現実的な討論が、全國の勤労階級において巻き起されておることを、我々は知らなければならんのであります。(拍手)私共はこの労働者の、勤労者の不安を一掃するためにも、この不安の根抵をこの機会を通じて一掃すべく努力をしなければならんと思うのでありまするが、既に緊急経済対策の矢は弦を放れたのであります。若しこの対策が失敗に帰せんか、一片山内閣の問題ではないのであります。日本の経済は重大なる破局に追込まれることは必至でありまするが故に、どうしても成功をさせなければならんと思うのであります。この意味において、私は勤労者の立場から重要なる三点について質問を申上げたいと思います。我々の了解の行く具体的な明快なる答弁をお願いいたします。
 質問の第一は報告書の不備杜撰な点を一点指摘したいのであります。白書全般を通じて我々勤労階級が直感いたしましたことは、國家経済の危局を理由といたしまして、勤労階級の犠牲と耐乏とを理論付け合理化するためにあらゆる努力が傾注された跡が、歴然と見えるのであります。(拍手)一家の経済に國家の経済をたとえ、國民総耐乏も結構であります。けれども國民の中で特に苦しい犠牲を要求されておるところの勤労階級を了解納得させるためには、重要なる点において説明の不備を発見するのであります。即ち現在新円階級を含めて、國民各層の貧富の差による、又戰爭の犠牲の程度による生活苦の差は、実に甚だしいのであります。(拍手)然るに勤労者の明日の苦悩の生活を思わず、料理飲食店の休業前の七月四日、全國の料飲店に展開された飲み、食う、歌うのあのらんちき騒ぎは一体誰がやつたのか。又経済緊急対策において、或いは首相の演説において、新円所得者には重税を課すると宣告されたが、これに対して殆んど反対の声を聞かなかつたのであります。敗戰下の欠乏社会にこのような不自然な状態が存在することは誠に遺憾であります。これでは國民の総耐乏、奮起など望むべくもないのであります。政府は何故率直に、新円階級を含めて、國民各層に於ける生活余裕度に関する詳細なる資料を以て、國民各層における生活耐乏可能の枠を示さなかつたか。これを伺いたいのであります。
 次に政府は統計において本年四月の労働者の生活費は黒字であると発表せられましたが、労働者は正直であります。いかに悲観的な材料が宣傳せられても、食えさえすれば默つて働くのであります。又いかに樂観的な材料が宣傳せられましても、食えなければ現実の問題として血の叫びを挙げざるを得ないのであります。(拍手)私は終戰以來、インフレと闇のために次々重加して來るところの生活苦悩の叫びが何故政府当局に届かないのか、遺憾に堪えないのであります。昨年の秋に比して、四月の状態において、我々の承知しておるところでは、生活費は二倍に昂進しておると信じておるのであります。然るにこの四月が黒字であつたというがごときは、当局の完全なる実情無視の作文であると談じたいのであります。(拍手)この二点について安本長官の明快なる答弁をお願いいたします。
 次に質問の第二点は、新賃金体系と物資の裏附けの問題であります。暫定平均賃金の決定をめぐりまして、給與審議会では政府と労働組合とは鋭い主張の対立の状態にありまするが、政府はこれに対して円満なる解決を待つことなく、業種別平均賃金を策定し、事実上賃金のストツプ令を発表いたしたのであります。勤労階級の要求は決して名目賃金の引上げではなく、最低生活の維持のためにする実質賃金の要求なのであります。政府は業種別平均賃金の策定に当り、必要物資の完全なる裏附けを確約しておりまするが、労働者は又仮約束かと、國民の政治に対する信用を失墜せるために、反対をいたしておるのであります。政府は万難を排してその約束を実行しなければならないと思うのであります、然るにマル公價格の改定に伴う労働者の生活費の赤字七百五十円の中の主要部分を占める五百円は、主食の確保によつて保障すると言つておるのでありますが、農林大臣はその口の下から十月までの一箇月の欠配を宣告いたしました。そうして而もこの問題について方々から、衆議院といわず、参議院といわず、或いは新聞の座談会においても、農林大臣は殆んどどこへ行つても同じ答弁を繰り返しておるのであります。何回となくどこにおいてもこの問題が質問に出されておるということは、いかに國民が眞劍にこのことを考えておるかということであります。我々の要求しておることは答弁ではない。答弁ではなく、直ちに明日からでも実行されるところの裏附けを要求しておるのであります。(拍手)我々は今直ぐにでもこの今までの欠配を直ちに取戻すところの対策の実行を迫りたいのであります。若しかくのごとき状態で進むならば、勤労階級の政府に対する信用は完全に失墜するであろうということを私は論じたいのであります。この点について農林大臣の責任ある答弁をお願いいたします。
 次に第三は闇の追放の点であります。歴代の内閣は今まで何回となく闇の追放を叫び、具体的取締りをしばしば行いましたが、そのたびに大闇は逃がし、小闇は線香花火的に終らせ、その結果はどうであつたか。現在の政治力、警察力を以てしては絶対に撲滅不可能という印象を國民に強く與えまして、取締りの都度政治的信用を失墜しておるのが現状であります。併し闇の撲滅が物資の裏附けと共に今度の緊急対策成否の鍵であるならば、私は恐らく政府にもはつきりした具体策があると思うのでありますが、どのような手を以て永続的に、而も絶対的な闇封じの政策を行わんとするか。司法当局、いや総理大臣にお伺いいたしたいのであります。殊に私は甚だ遺憾に堪えないことは、昨日の東京の或る新聞におきまして、政府は料飲店に廻す予定であつたところの業務用の酒が閉店によつて不要となつたために、これを自由販賣して、三十億乃至五十億の収入を見込んでおると報じておるのであります。自由價格の追放、闇價格の追放を叫ぶところの現政府が、まだその政策の緒に着かない今日において、かくの如き信ずべからざる見解を以て自由價格の販賣を行わんとするならば、私共は断乎としてこれを糾彈しなければならんと思うのであります。(拍手)この眞相について、やはり大藏大臣からはつきりとした答弁をお願いいたしたいと思います。
 以上三点について、我々の了解のできる……今までのような曖昧な、答弁のための答弁でなく、私共が明日からの勤労に直ちに意欲を発揮し得るような点において御答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#28
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。各階層の所得について、内容を詳しく書いたらどうかというお話でありましたが、私はやはり経済実相書の総説でその点に触れておるのであります。総説の十三項で、黒字の部分のあることを指摘いたしまして、そうして一部の人達が、如何に惠まれた生活をしていたかを推知することができるではないかという形で触れているのであります。(「そんなことは知つている」と呼ぶ者あり)それから労働者の関心は、名目賃金ではなくして実質賃金であるとおつしやいましたが、政府としても勿論その立場を執つておるのであります。それから賃金釘附けということは、私共は一言も申上げたことはございません。左樣に御了承を願います。
   〔國務大臣平野力三君登壇〕
#29
○國務大臣(平野力三君) 繰返して申しまするように、政府が遅配欠配を完全に補わない限りは、あらゆる施策がやはり作文に終る。こういうことについては十分考え、又その責任も感じておるのであります。ただ御指摘のように、いつも同じ事を言うではないかという御話でありまするが、私共といたしましては輸入食糧の面に関しましても殆んど連日盡力をいたしております。それから麦、馬鈴薯の現在の供出に当りましては、最善を盡しております。その他あらゆる施策の面におきましては、順次最大限の盡力をいたしておるのでありまして、一々の問題について、余り特効藥のような効果が現れておらない点につきましては、相当御不満の点もありましようが、これは現在の食糧の事情が、先般來申上げておりますような状況でありまして、何とぞ御了承願いたいと思います。私といたしましては、飽くまで今米穀年度内におきまして、この遅配を必ず補う。こういう決心の下に盡力をいたしております。
   〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#30
○國務大臣(栗栖赳夫君) 只今料飲食店の休業によりまして、浮いて出た酒を自由價格その他で賣る計画があるかどうかという、こういうようなお話がありましたが、私の関知するところにおきましては、絶対にそんなことはないとここで申上げたいと思うのであります。(拍手)
#31
○議長(松平恒雄君) 小林英三君。
#32
○小林英三君 大屋晋三君を指名いたします。
   〔「議長、答弁が残つておる」「総理の答弁」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(松平恒雄君) 発言を許しました。
   〔大屋晋三君登壇〕
#34
○大屋晋三君 私は主として水田に商工大臣に石炭のことをお尋ねいたしたいと思います。石炭を三千万トンどうしても掘らなければ相成らないということは、既に皆樣も御承知の通り、現在國家の至上命令であるのであります。然るにその石炭がどうして増産が遅々として振はないかという問題は、その最も大なる障碍の一つは炭價の問題でございます。然るにこの炭價の問題が去る七月の五日に一應の解決をいたしましたにつきまして、石炭業を営んでおりますいわゆる経営者並びに労働組合の諸君も、この七月から九月に至る七、八、九のこの三ケ月の間におきましては、從來既に毎月二百十一万トン程生産が上つて参つておりまするが、これではまだ三千万トン完遂に対しまして、六%だけ足りないことに相成るから、これをどうしても我々が三千万トンを掘り出すという只今氣合が燃え上つておるのであります。私はこの時、この際におきまして、石炭増産の政策といたしましては、徒らに機構いじりをやるのは、断じて政治の機微を解するものではないと断言いたすのであります。(拍手)
 次に昨今衆議院或いは新聞等、その他におきまして、散見或いは拜聽いたすのでございまするが、政府は近々の中に石炭の國家管理法案をお出しになるというようなお話でございまするが、新聞紙上で拜見いたしまするあの法案の内容を見まする時に、政府案はそれぞれの地方に石炭局というものを設けて、厖大な組織で沢山の人間をそこに使つてやつて行くというような考え方のようでありまするが、私は新たにかかる機構を作つて、それに必要なだけの人間が、而も石炭行政に対して立派な知識を持つておるエキスパートがさように沢山集まるかどうか。この点に対して疑問を持つております。又機構を切り替えいたしまするその端境の際におきまして、非常な出炭の減少を來たすのではないか。かように私は考えるのであります。即ち石炭の採掘の事業たるや、同じ産業でありましても、普通の産業と大いに趣を異にしておるのであります。普通の産業でございますれば、原料を持つて参りまして、運搬して、それに加工をするという工程を迫るのでありまするが、石炭の事業に至りましては、土地と人との密接なる関係において成り立つておるのであります。さような特殊な仕事に而も現下特に困難なる場合におきまして、新らしく役所を作つて、そうして新らしいところの寄せ集めの人間を集めて、そうして石炭行政をやつて監督をして増産を考えるというような事柄が、果して行われることでありましようか。いわゆる政府の案なるものは頭隠して尻隠さず、局長には民間人を採用する。或いはその局員には半数は民間のエキスパートを採用するなどと謳つておるのでありまするが、元來民間人が官僚の機構の中に入りまするというと、とかく忽ちにして役人染みてしまつて、民間におりました時の闊達なる機能を発揮できないという例はしばしば見るところであります。(拍手)これを又現在最も重要なる石炭行政に繰り返すというがごときは、誠に頭の惡いことではないかと私は考えるのであります。(「民主化反対ですか」と呼ぶ者あり)かような点に対しまして商工大臣はいかにお考え相成りまするか。この点をお伺いいたしたい。又あの法案の内容につきまして、本店と現場という観念を分離いたしております。本店と現場の有機的の結合を破壞いたしまして、その結合の上に立てられておるところの人と人との和をなくしてしまいましたならば、どうして増産ができましようか。私はかような有機的な結合を無視した、而も経営権を否定するような、本店で金融だけをさして、現場にその金を持つて行つて、その金の使途に対しては現場の長が自由自在にやるというような事柄が、果してできるかどうか。私はかような観点におきまして、現在の経営権を否定するような機構には承服できないのであります。又政府の経営に移せば、必ず増産どころではない。能率が下つて減産に相成る。私はこの例といたしまして、運輸省で経営しておりまする九州の志免の炭鉱、その隣接の三菱経営の勝田の炭鉱の例を皆樣に申上げたいのであります。三菱経営の民間の方におきまして、運輸省経営の志免の炭鉱よりも、その規模において、労働人員の公正その他において殆んど近似しておるこの両炭鉱が、その一人当り出炭の量におきましては、民間経営の方が四〇%、四割方優れておるのであります。又石炭のコストに対しましても、百六七十円から百円方常に民間経営の法が安いのであります。由來かような仕事は、政府の経営にいたしますると、とかく勤労者に対する賃金の構成のごときも固定給、今日の言葉で申しますならばいわゆる生活給にどうしても重点がおかれまして、能率給が軽く扱われる傾向がある。その他官僚的経営の弊といたしまして、必ず能率が阻害される。かような意味におきまして、私はこの國管案が果して増産に相成るか否かという点、かような見地からも大臣の御所件を承りたいのであります。私は若しその現在の炭鉱経営、石炭事業の全面的檢討をいたしました際に、若しも不備があるならば、私は会社全体の経理を嚴重に政府において監査をするというような行き方を強行すれば、事十分ではないかと考えておるのでございまするが、この点に対しましても商工大臣の御答弁をお願いいたしたいのであります。かように申し述べましたるごとく、現下の至上命令であります三千万トンを掘り出すにつきまして、いわゆるこの七月から九月までに石炭復興会議が増産を決意しております。一應の癌でありまするところの價格の問題も解決いたしました。又業者の誰に聞いて見ましても、この國管案によつて増産の目的を達し得られると言う者はないのであります。又私共が石炭廳の役人にどうして國家管理をせねば相成らんかということを聞きましても、これを肯けるところの的確なる理由はないのであります。私はかかる見地におきまして、水谷商工大臣は善言に耳を傾る雅量をお持ち下さいまして、この國管案の方式を御放棄なさる御意思はおありになりますかどうか。この点も承わりたいのであります。
 嘗て私は、記憶が誤つておつたら訂正いたしますが、二十数年前にイギリスの労働内閣が、当時あらゆる重要産業を國営でやつて行くという議論が囂々といたしまして、すべての閣員がこれに賛成いたしました際に、実業家出身でありまするところのアルフレツド・モンドという人が断然國管國営の問題を不可といたしまして、孤軍奮闘、これらの議論を放棄せしめた例があるのであります。我が敬愛いたす賢明なる水谷君足下、君はこのモンドの故智に倣つて、石炭増産のために施策を誤らざるところの覚悟があるかどうか承わりたいのであります。これを以て私の質問を終ります。(拍手)
   〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#35
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今石炭の國家管理の問題に関しましていろいろ有益な御意見を承わりましたが、石炭の國家管理の法案の最終的の内容の決定はまだ決まつておりません。從つて只今御質問になりましたいろいろの点に関しましては、これまで商工省並びに安本案として世間に傳わりました案を土台にして御質問されたと思うのでありまするが、そういう意味におきまして二三の点に関して御答弁しておきたいと思います。第一に、今後の我々の國管案の心構えは、單に機構いじりのためにこれをやるのではなしに、飽くまでも只今の御質問者のように、増産のためにやるものであることは、これはいうまでもないのであります。從つてそのために、只今御質問者の御心配のように、その切換えの際の生産低下というものを防止いたしまして、いかにしてこの國家管理法案をやるかということに関して苦慮しておるような次第でございます。
 更に又本店と現場との関係のことに関しましていろいろ御意見がございましたが、大体これまで我々が考えておるのは、石炭増産のためには現場を管理する方がいいんだという考を持つておりまするが、併しこの本社機構と現場とどこに線を引くかということはまだ具体的にはつきり決まつてはおりません。從つて企業の管理という言葉を言われましたが、我々はこれまでの考におきましても、現場を管理すると共に、企業も勿論管理せねばならないと考えておりますが、主として管理の対策は、現場を管理しなければ増産の目的に合しないのではないか。このように我々は考えております。その他細かいいろいろなことも申されましたが、これはいずれ法案が決まり次第に、適当な機会におきまして、いろいろお互いにざつくばらんに話して見たいと思つておりますが故に、具体的の内容に関しましては、一々只今お答えするのは適当でないと思います。
 更に最後に、この法案は場合によれば止める意思がないかどうかということのようでございましたが、それは去る七月一日の施政方針の演説におきまして、片山総理御自身が、石炭の増産のために國家管理を断行するということを施政方針においても天下に声明されておるのでございますが故に、この國家管理法案を止めるというような考えは、現内閣には絶対にないという工合に御了承願いたいと思います。(拍手)
   〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#36
○國務大臣(西尾末廣君) 先程栗山君から闇退治について政府の所信を質されたのでありますが、既に今までしばしば繰り返して來ておりますように、これについては政府は徹底的にやる考えであるということを御了承願いたいと思うのであります。(拍手)
#37
○議長(松平恒雄君) 休憩をいたします。午後一時より再開いたします。
   午後零時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十一分開議
#38
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き午後の会議を開きます。農林大臣は止むを得ざる公務のため午後は出席いたしかねる旨の通知に接しました。――小林英三君。
#39
○小林英三君 加藤常太郎君を指名いたします。
   〔加藤常太郎君登壇〕
#40
○加藤常太郎君 私は劈頭國民の耐乏生活について政府にお尋ねいたしたいと思います。先日発表の経済緊急対策におきまして、政府は無條件に國民の勤労と耐乏意欲を要求したのであります。又経済白書においては、屡々我が國の経済状態は貧弱で且つ悲観的であるということを述べ、又先日並びに本日の議会においても平野農林大臣は、我が國の食糧事情がますます惡化の一途を迫ると声明したのであります。そうして政府は我々國民大衆に対しまして、我々の家計をカバーするという意味で、又食糧なりその他の物資配給を増加する前提條件の下に、勤労大衆に対しまして千八百円の賃金の枠を設けて、今後我が國の経済復興は全國民の全幅の協力に待つと断言いたしたのであります。私はこの政府の態度を研究いたしますと、本当に抽象的で、いわゆる國家が今後ますます統制を強化し、行く行くは必ず國家管理に持つて行く肚ではないかということを疑う次第であります。又最近発表されました、いわゆる新物價体系のことにつきましては、緊急対策第三項に我が國の新物價体系は堅持すると政府は述べております。然るに先日発表されました新物價においては、石炭、主要食糧、運賃、こういう面におきまして私は檢討いたしますと、これにおいても、いわゆる精密なる原價計算の下に、あらゆる物資がマル公で入手でき得るという計算の下に計算したのであります。然るに現在の状態はどうでありましよう。主要食糧においてすら一ケ月の遅配欠配があり、我々の私生活におきましても、又あらゆる企業面におきましても、マル公で入手できる物は一部分であります。相当の部分を闇で入手しておるのであります。かかる政府の数字上の計算によつてできました新物價体系は、抽象的な一片の系統的数字だけであると思うのであります。私はこの際今後政府の新物價体系なり、又我々國民に対して、耐乏生活をせよということを政府は望んでおりますが、然らばいかなる耐乏生活を‥‥先程高良議員が質問したように、いか程の期間我々は耐乏生活をしたらいいかということについて、政府においては、具体的な、現実的なお示しがないのであります。これによつては眞に國民が政府を信頼することができず、我々國民は却つて悲観のどん底に追い込まれたと同樣であります。政府当局の責任は重大であります。私はかかるが故に今後政府においては國民に安心感を與え、希望を與え、そして國民と共にこの危機が突破できるような現実に即した具体案を述べられたいのであります。私は先程物價体系、運賃問題について申上げましたが、この一例として私の專門とする運賃関係において重大な錯誤があるのであります。私はこの点政府の揚げ足を取るのではありませんが、政府においては相当專門化が原價計算の下に出したのでありましようが、ところが実際に適するか適さないかということをよく研究して、物價の惡循環に対する弊害を除去されんことを特にお願いする次第であります。
 又私の專門の点でありまする海運の点について、一つ政府に御意見をお伺いいたしたいのであります。最近運航能率の改善は、いわゆる戰時中から行われました國家管理、即ち運営会方式による運航能率は駄目であると各方面から叫ばれておるのであります。聞きますところによりますと、運営会の関係諸君は、どうせ運営会は廃止になるものというような観念の下に、いわゆる執務その他において意欲が低下しております。このまま逡巡して行きますれば相当なる打撃であります。然るに政府は荏苒日を空しうしておるのであります。今後貿易の再開されんとする今日、日本の海運の再建は即ち日本の再建と申上げたいのであります。速やかに政府においてはこれに対する現実に即したる具体案の作成をお願いいたしたいのであります。又專門に亘りますが、九州並びに山口方面の石炭輸送であります。これは從來相当機帆船によつて運ばれておつたのであります。この運航形態も、從來は西日本石炭輸送株式会社によつて運ばれておつたのであります。然るにこの形態も運営会と同樣、運航能率の低下、いわゆる企業意欲の低下、その他惡質現象が増加しておるのであります。この際各企業は創意工夫を致し、各個人の運航能率の増進を図るためには、前回の運営会改組と同樣、早く改組されんことを特にお願いする次第であります。
 最後に私は中小工業について簡單にお尋ねいたしたいのであります。我が國の中小工業は來たるべき貿易の再開、貿易の復興には欠くべからざる要素であります。然るに政府は傾斜生産を強調するの余り、この中小工業者に対し、施設、資金の面において等閑に附し勝ちであります。この点は日本の各界の常識となつております。私はこの際政府においても、この中小工業者に対する対策の具体的案をお示し願いたいのであります。先日水谷商工大臣は記者團に対して近日これについて何等かの発表があると申されましたが、今回の緊急対策にも、亦経済白書にも何等触れておりません、又この中小工業者に対して從來から金融資本家は相当横暴な態度を以て臨んでおるのであります。議会劈頭の片山総理の施政演説に、これら資本家に対しては横暴を抑制する、なんらかの方法を講ずると申されました。併しその後特に必要な、この中小工業者に対する金融対策はなんら具体化をする趣きがないのであります。又意思も見えないのであります。特に私はこの際貿易再開に絶対必要な中小工業に対する金融対策について政府の明快なる、現実に即したる具体案のお示しを願いたいのであります。以上四点につきまして、それぞれの所管大臣から責任ある御答弁を願いたいのであります。(拍手)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#41
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。將來への希望を與える問題でありますが、食糧を中心としまする只今の苦痛は、これはしばしば農林大臣がお答えいたしておりまするように、新らしい米穀年度十一月までどうしてこれを食い繋いで行くかということにかかつておるのであります。この点につきましては農林大臣がしばしばお答えいたしたことで御答弁に代えたいと思います。ただ私は日本の経済が、將來安定する時期、言いかえれば安定経済國の財政の点からいつても赤字がなく、又國家の收支、貿易のバランスからいいましても、そこに均衡がとれ、そうして雇傭の点からいいましても完全雇傭とまでは行かないまでも、一つの完全雇傭に近い一つの安定性を持つたそういう一つの安定経済を考えて行くときに、日本の経済が何年先に、これを達することができるか。いわゆる長期計画につきましては、我々の方といたしましては午前中にお答えいたしましたように、只今委員会を作りまして、その策定をいたしておる次第であります。これには勿論種々の課程、條件が必要でありまするが、併しそれらの点につきまして、今暫く時を仮して戴きたいと思うのであります。そのできましたものについてはなんらかの形で十分御批判を戴きたいとかように考えております。今の日本の経済において、これを私が今申しましたように、ここ一年とかいう短かい期間において安定するということは余程のことのない限りはこれはできないことであります。やはり三年なり五年なりの期間を以て、そうして將來への希望と見通しを是非つけたいと、かように考えておる次第であります。
 それから中小工業の点につきましては、これは緊急対策においてもやはり謳つておるのでございます。ただ中小工業の問題につきましては、輸出振興とからみまして、輸出品を作つておる中小工業、或いは生活必需品を作つておる中小工業といつたものにつきましての、この具体的な策は、これは商工大臣の方からお答えいたした方がいいと思いまするが、いずれ具体的の案を皆樣方にお示しすることができると思います。ただ我々の方としましては、緊急経済対策の中においても謳つておりますように、輸出振興の点につきましては、物資需給計画の面におきましても、この中小工業に対する資材というものは物資需給計画の中に特掲いたしまして、そうして中小工業の振興を是非図りたいと、かように考えておる次第であります。
   〔國務大臣苫米地義三君登壇〕
#42
○國務大臣(苫米地義三君) 只今加藤さんのお尋ねの中の船舶に関する件だけをお答えいたします。船舶運営会をどうするかということでありまするが、戰時中に作られました法律は一應解消いたしまして、新たなる構想の下に船舶の統一的な運営をやつて行きたいと、こう思つておる次第であります。尚この機会に、機帆船その他に相当戰時中作られました法律がございます。これを一括いたしまして、海運組合法を一應廃止いたしまして、そうして適当なる運営機構を作ろう。そういう考え方で、この法律の廃止に関しましては不日皆さんの御審議を得たいと思つておる次第であります。尚機帆船の活動につきましては、お話のように我が國の補助船といたしまして、非常に活溌なる運営をいたしております。全体の数は現在でも一万八千艘以上ございます。そうしてその総トン数は八十二三万トンあると思つておりますが、汽船の運送力の足りない際に最も強い地位を持つております。而して現在では、今日の新聞にもございまするように、汽船の方も機帆船の方も予定よりかもよりいい成績を挙げて運行いたしておりますということを併せて御報告申上げます。
   〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#43
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今の加藤さんのご質問ですが、輸出産業振興に当つて、中小企業の活溌なる協力を仰がなければならんという御説は全く同感でございます。そのために資材、資金をどうするか。或いは技術の向上、経営の合理化をどうするかという問題は、総論として前に答えた通りであります。具体的に何をそれでは考えておるかということは、大体その中小企業に関して、できれば專門の金融機関というようなものができればやりたいというように考えておりますが、更に又今度の議会には商工協同組合法の改正を考えております。資金、資材の面から、現在の乏しい経済状態の下におきまして、輸出産業に関係のある中小企業に対しましては、できるだけのことをさして戴きたいと、このように考えておりますから、さよう御了承を願います。
#44
○議長(松平恒雄君) 岩崎正三郎君。
#45
○岩崎正三郎君 内村清次君を指名いたします。
#46
○内村清次君 登壇をいたします。
#47
○議長(松平恒雄君) よろしうございます。
   〔内村清次君登壇、(拍手)〕
#48
○内村清次君 政府が発表しました経済緊急対策と並びに経済白書におきまして、賃金と物價の安定対策に関しまして、労働者の立場から所見を申述べたいと存じます。と申しますのは、賃金物價の安定の仕方は、言うまでもなく勤労階級にとつて最も切実なる問題である。若しこの安定対策が当を得ないとなれば、労働者の勤労意欲を沈滯させるばかりではなくして、経済危機突破並びに産業再建対策を根本的に覆がえす虞れがある重大問題であるからであります。勿論私は賃金、物價を或点で安定させて、インフレーシヨン、いわゆる惡循環を断ち切る必要のあることについては、政府と考えは全く同感であります。併し問題はこの惡循環をどうして断ち切るか。その方法、つまり賃金、物價の安定の仕方にあると思うのであります。そこで私はこの観点から是非明らかにして置かねばならないことがあります。
 その第一点は、インフレ下における賃金の騰貴は、物價騰貴の原因であるか結果であるかどうか、この点我が國の実際についてみますると、本年一月において公定價格は事変前の十八倍、闇價格は同じく事変前の約百倍になつております。これに対しまして賃金は事変前の約十五倍になつております。これは明らかに賃金の昂騰は、物價の昂騰の結果であることを如実に物語つたものでありまして、この点に対する、和田安本長官の所見を伺います。
 第二点は今回の賃金、物價の改定に当つては、前に述べましたごとく、賃金騰貴率の物價騰貴率に対する立遅れを果して考慮に入れたかどうか。この点についてお伺いしたい。
 第三点は、若し賃金の物價に対する騰貴の立ち遅れ、これを考慮に入れたとするならば、今回の賃金、物價改訂に当つて、どうして賃金千六百円を基礎としたのか。この根拠を伺いたいのであります。政府は今回の價格改訂に際しまして、標準賃金を千八百円として價格の算定をすると発表いたしました。実際の基準は千六百円ではなかつたかどうか。
 第四点は、若しそうだとしましたならば、今回の賃金、物價の改訂は実際上には実質賃金の切下げになると思うが、この点に対してどう考えられるか。この点も伺います。なぜならば、給與審議会におきまして示されたところによりますると、標準賃金千六百円を基準として、公定價格を現在の二・三倍乃至二・五倍に引上げると、その賃金への照り返しは七百五十円と言われましたけれども、七百円を認めて、この七百円の中に貨幣名目の賃金として二百円の引上げを認めて、千八百円としておられます。そこで残り五百円分は主食、副食、調味料などの配給を確保して、現在実際において二合程度の配給を二合三勺程度に回復させるという方法によつて策定してあります。從つて若し配給が予定通りに確保することができなければ、当然闇買いをせねばならない。公定價格が騰つた部分は、どうしても賃金は実質的に切下げられたということになる。この点に対してのお考えを伺います。そればかりではありません。平野農林大臣の説明によりますると、先程もでありましたが、本米穀年度において二十八日間の遅配が起るといつておられます。又闇の絶滅も困難であるということも是認されました。この結果は食糧の闇價格は昂騰するであろうし、而も労働者は二合三勺程度では働けない。どうしても闇食糧を確保せなければならないであろう。そうなれば実際において実質賃金はますます切下げられたこととなるのであります。そうするならば、勤労階級にとりましては誠に重大な問題でありまして、勤労意欲の問題にも重大な影響があると思うのであります。從つて政府はこの際今回の賃金、物價の改訂が実質賃金の切下げにならんという根拠を明らかにすることと、その保証を與えて貰いたいことを要求するものであります。
 第五点は、各産業又は企業における実際支拂賃金は労資間の團体交渉によつて、それぞれの経営の実情に應じて決定されることになつております。從つて本暫定平均賃金は賃金ストツプではないと政府では申されておりますが、若し團体交渉が長引いてますます解決が困難である。こういう場合において、実質上において物價は上つておる。こういうような状態から考えますると、その間は賃金ストツプと思いまするが、この点はどう解釋せられますか。
 最後に私は、給與審議会の合同小委員会では、公定價格の決定に際しましては、労資及び公益代表を加えて民主的に行うことを政府に要望したのでありまするが、この点実行したかどうか。又給與審議会は現在殆んど浮き上つた状態にあるのでありますが、今後の運営連絡を政府はいかに考えておるか、和田安本長官及び厚生大臣の所見を伺います。とかく自動車に乘つている人は、あの殺人的な列車や電車の混雜の中で苦労している人のその氣持は分りません。月千円や二千円の賃金で一家を支えて行く労働者の気持は、一片の机上案では到底事態の解決はできんと存じます。政治はあまねく一家を守る主婦の竈に直結せねばならんと存じます。片山首相がしばしばここで約束せられましたように、勤労者の流す汗と膏に効果あらしむるような経済体制を確立して、一部少数の人の特別な利益は一時忍んで貰つて、多数の人の眞の利益になるような政治でなければならないと言われたことは、我々は全く同感であります。この根本思想を実現させるためには、抽象的な賃金、物價算定の仕方ではなくして、具体的な実相に基くものでなければ勤労大衆の強力な支持は得られないと私は確信するものでありまするが、政府の今後の熱意をお伺いいたしまして私の所論を終ります。(拍手)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#49
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。物價と賃金との関係でありますが、賃金の騰貴率が常に物價に遅れておるという現象は、これは私共認めておるのであります。賃金が物價騰貴の原因だか結果だかということでありますが、賃金が一つの生産物のコストをなしておるという意味においては、やはり賃金が上りますればコストは上つて來ますから、その意味においては物價騰貴の原因だろうと思います。それと同時に又賃金というものは、労働者の生活或いは勤労者の生活を維持して行く家計という面から見まするならば、物價が上つて行くとそれだけ賃金が又苦しくなつて行く。そこでお互いにこれは次々と惡循環をして行く關係がそこから出て來るだろうと私は考えます。今回の物價の改訂に当りましては、これはそういう意味におきまして賃金と物價との惡循環を断ち切るということを、賃金の面におきまして実質賃金というものを確保して行くという立前から一つ考えて見たのであります。御承知の通りに賃金を非常に上げまするならば、それがコストの中に計算されますが故に、又物價が上つて來るわけであります。物價が上つてくるとなるとそのはね返りが來ますから、又賃金が上つて來るということで、どこまで行つてもそこに果てしがないことになつて來ますので、結局この勤労者たちの要求するところは実質賃金‥‥名目貨幣賃金ではなくて、その貨幣賃金によつて購ない得るところの物資というものが正規のルートに入つてきて、生活の内容というものがそこに確立されて來るという点にあることを考えまして、我々としてはそういう観点を採つて、物價と賃金とを同時に解決いたしたい。こういう立場に立つて改訂をいたしたわけであります。それから千六百円を根拠にいたしまして、それを千八百円にいたしたたわけでありますが、我々が千六百円を根拠にいたしましたのは、それが現在における官公廳の賃金というものを一應基礎にいたしまして、千六百円というものを物價体系に置いて、前に述べましたような立場から物價と賃金を同時に改訂する場合の一應の基準としてこれは採つたのであります。お話のように千六百円の平均業種別賃金ということにいたしましても、これは実際行われておりまする賃金よりも多少高くなつて來ておるのでありまして、その限りにおいてやはりこの場合においても相当の撥ね返りはあるわけであります。その撥ね返りは、これは御承知のようは、私が給與審議会において説明いたしましたように、配給の改善又勤労所得税の免税点の引上げということによつてこれをカバーして行くということを考えた次第であります。千八百円に上げましたのは、これはこの政策を行つて行きますにつきまして、そこに多少のやはり時間的なズレというものを考えなければなりませんので、その意味におきまして千八百円というものを我々の責任において適当であろうと、こう考えたのであります。これを余りひどく上げますというと、今度の物價体系から來ますところの、いろいろの影響は、結局家計で負担する、財政で負担する、企業で負担する、こういうことになるのであります。政府といたしましては一應六十五倍という所に安定帶を設けまして、財政において大体百二十億程度の負担をそこにいたしまして、そうして安定点を求めたのであります。それは先刻御承知のことであろうと、かように考える次第であります。それから團体交渉による賃金の決まらない間は、これは賃金ストツプになるのではないかというお話でありますが、これは御承知のように今回のは業種別の平均賃金、價格改訂に織り込むべき業種別平均賃金を決めたのでありまして、企業に余力のありまする時、團体交渉によりまして実際上獲得されるところの賃金をストツプするという意味は毛頭ないのであります。それは團体交渉等によつて決まらない間は、まだ賃金は決まつておらないのでありますから、現実における賃金が基礎になることは、これは申すまでもないとかように考えます。給與審議会の扱ひ方でありますが、これは厚生大臣がお答えしたほうが適当かと思うのでありますが、我々といたしましては今後とも給與審議会とは十分に連絡を取りまして、賃金その他重要な問題に、殊に賃金を中心としまして重要な問題につきましては、十分に連絡を取りまして、ここにおいて又労働者側の意見を十分に反映いたしまするように是非やつて行きたい。かように考えておる次第であります。
   〔内村清次君「第四点の答弁がない。」と述ぶ〕
#50
○國務大臣(和田博雄君) (続) 何か落しましたか。
   〔内村清次君 賃金と物價の改定は実質賃金の引下げになるのだという‥‥。と述ぶ〕
#51
○國務大臣(和田博雄君)(続) 実質賃金の引下げということではこれは毛頭ないのであります。賃金、物價改訂による撥ね返りは、千六百円の場合と千八百円の場合とでは、これは千八百円の方が多いわけであります。從いましてこの七百五十円というのは千八百円の場合の撥ね返りでありまして、それを五百円は配給の改善によつてこれを確保して行く。それからあとは免税点の引上げと、それから今度におきます二百円の上昇ということによりましてこれをカバーして行く。こういうことでありまして、結局実質賃金の引下げになるかどうかということは、配給の秩序の確保によりまして、具体的の主食その他の配給物資が公定價格によつて、正規のルートによつて、これが十分に配給されるかどうかという点にかかつておるのであります。その点につきましては先般の食糧緊急対策その他の方法によりまして、我々としましては是非これを確保して行きたい。こういう考えで折角努力いたしておる次第であります。
#52
○議長(松平恒雄君) 板野勝次君。
#53
○板野勝次君 中西功君を指名いたします。
   〔中西功君登壇〕
#54
○中西功君 私は日本共産党を代表いたしまして、今回政府が発表しました緊急対策並びに経済白書に関連して、時間の都合上、特に物價と賃金の惡循環の問題について所見を述べ、政府当局の所信を質したいと思います。先の社会党の代表の方も、又先刻の栗山氏も、やはり私と同じような点について述べられたわけでありますが、私は多少視覚を変えて論じて見たいと思います。
 私の質問したい第一の点は、政府はインフレーシヨンという問題を物價と労賃の惡循環という問題に還元してしまつて、そうして結局物價問題の本質を全く取り違えておるという点であります。周知のごとく、労賃は幾万或いは幾百万とありますところの物價の一種でありまして、労賃とは労働者に必要な生活資材を値段で計算したものであります。現在のインフレ下における物價問題の根本的問題は、一つは先ず闇價格があつて、それが一般物價をどんどん上げて行くという点にあります。更に又消費資材が主として闇價である。そして生産資材の方面は主としてマル公で抑えられておる。こういうふうにして價格体系がマル公とそれから闇價との間に、非常に甚だしい均衡を失しておるという点、この二点にあると思うのであります。問題は物價自体がマル公とそれから闇價格との間において惡循環しておるのが問題の実相でありまして、このため労働者は闇價の昂騰に束縛されて、その後を追つかけるようにして借上げ運動を起さざるを得ない。この運動は実は自然の價格調整運動であつて、インフレが止まらない限り、この自然の運動は続くのであります。ところがこの現象が個々の資本家には、労賃を上げなければ、或いは労賃が上るからマル公を引上げなければ経営が合わない。そういうふうに映ずるのであります。併し物價高騰の根本的原因はこの労賃ではなく、闇價格の昂騰にあること、これはもう周知の事実であります。
 ところが、現在の政府のあの白書の並べ方におきましても、闇價格とマル公というものもはつきり大別させずに、幾十万或いは幾百万ある物價の中から、その一種であるところの労賃だけを引拔いて來まして、その労賃と物價とを対立させ、そうして惡循環論を作つておるのでありまして、先程のこの惡循環を如何にすれば断ち切れるかというふうな社会党の人の質問に対しましても、和田長官は結局労賃を、実質賃金を高める、或いは安定させるという点に重点を置いておるわけでありますが、結局これはこうしたありもしない惡循環論から來る結論でありまして、根本問題は闇をなくする。闇價をなくする、一般物價を上げておるこの闇價を根本的になくするということこそ、循環を切断する根本的な鍵があると思われるわけであります。ところが、実はこのような物價と労賃の惡循環論は、理論的には間違つておる。これはひどい無理がある。間違つておるが、併し資本家に取つて大変便利な理論であります。即ちこれによつて資本家は現在の闇價格までマル公を引上げるために非常にいい口実になる。同時に他方においては労働者の賃金を現状にストツプするために、非常にいい口実になる。実際はこんなふうに資本家に取つて都合のいい理論はないのであります。私が実は社会党のために非常に惜しむのは、社会党ともあろうものがこんなようなブルジヨア理論に引摺り廻されて、そうして悪循環をやつておることでありまして、それでは実は社会党ではなくて、むしろ会社党ではないかというふうにさえ言えるわけであります。(拍手)(「そうだ」「同感」「社会党じやない」と呼ぶ者あり)更に政府は物價と労賃の同時的決定ということを言つて、非常に得意がつておるわけでありますが、これは時間的な、或いは形式的な同時性であつて、決して内容の面における同時性ではないのであります。政府は労働者に対しては、労賃を引上げずにマル公で完全配給するからと言う。これは空か或いは眞か知りませんが、そういう約束をして、そうしてとにかく抑えております。ところがそれでは資本家に対して政府はどんな義務を課しておるか。資本家に対してはなんらの義務を課さずに、ただ資本家が自分の計算において計算したあの價格を、そのまま標準にしてマル公を決定しております。こういう状態では決して眞の同時的決定でないことは非常に明瞭であります。特に、それだけではなくて既に資本家はこの白書や、或いは緊急対策が出來ましてから、この時とばかりに赤字だとか、いろいろのことを口実にして労働者の首を切つております。一体政府は、即ち同時的決定ということを非常に喜ばれる政府当局は、この現在の資本化のやり方に対して、一体いかなる処罰をするという肚を持つておられるか。私はこの点について当局者のはつきりとした回答を要求したいと思うのであります。
 私の質問いたす第二の点は、この誤つた惡循環論の構想の上に築かれる政府の物價体系は、全く砂上の楼閣であるということであります。政府は労賃を抑えるのではなく、完全配給をやつて実質賃金を安定するのだということをもう何回も言つております。併し現在の政府の政策では、それが保証されるものは全然見出せないわけであります。第一、政府が完全配給すると言つておりますその基準配給量、即ち政府が予想しておるその基準配給量事態が実は問題であります。政府でも、或いは農林省当局の発表のものでもそうでありますが、副食から何から何まですべて集めてやつと千百カロリー内外であるということは、これは皆樣の特に御存じのところであります。更に蛋白におきましても四十グラムという、非常に危險な状態であります。これは実は國民に寢ておれということに等しいのであります。即ちいわゆるベーザル・メタボリズムというのがありますが、それにさえ実は及んでいないのであります。併し実際には國民は今までその不足分を闇で補充して今日まで生きて來ております。今後も又こういうふうに闇に依存して生きて行かざるを得ない。そうでありますが故に、政府がたとい完全配給したといたしましても、労働者の生活は可なりの部分がやはり依然として闇部分に依存しなければならんということは、この政府が出しておる白書の数字によつてもはつきり我々は分るわけであります。第二は、これはもう何回か誰しも指摘されたところでありますが、政府が、家計費の七割を占める食糧の見通しについて実に怪しい。これに対して平野農相は、はつきりと本議場においても、十月までに二十八日の遅配は、余程のことがなければ避けられないということを言われたわけでありますが、和田長官が労働省に保証されることを、実は平野農相が実際に覆がえしておる。政府はこの兩相の喰い違いをどうするのか。結局物價と労賃の惡循環は、実際は和田安本と平野農政の惡循環ではないのか。こうした惡循環を解決する……
#55
○議長(松平恒雄君) 制限の時間は超過いたしました。(「簡單に結論を出せ」「答弁々々」「降壇々々」と呼ぶ者あり)
#56
○中西功君(続) 結論だけを申します。(「早く止めろ」と呼ぶ者あり)はいはい。
#57
○議長(松平恒雄君) もう時間が過ぎましたから、御降壇を願います。(「降壇降壇」「委員会でやれ」と呼び、その他発言する者多し)
#58
○中西功君(続) で私は、和田安本……(「答弁々々」と呼ぶ者あり)
#59
○議長(松平恒雄君) 降壇を願います。(「早く降りろ」と呼び、その他発言する者多し)
#60
○中西功君(続) 労働者の実質賃金を抑えたということをはつきり言われておりますが、併し、若しも今後現在の千八百円平均を遥かに突破したときに、政府はこれを……(「降壇々々」と呼び、その他発言する者多し)
#61
○議長(松平恒雄君) 降壇を願います。
#62
○中西功君(続) これに対してどんな方針を採られるかをお願いいたします。(「懲罰」「何が懲罰だ」「議長、何をしておる」「しつかりしておる」と呼び、その他発言する者多し)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#63
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。物價と賃金との関係につきましての御質問でありますが、お話のように、実質賃金の確保ということをどういう方法でやるかということについて、闇の撲滅ということを重要視しており、それが前提であるということは、流通秩序の確立ということで繰り返し申し述べた点であります。この経済白書の総説の中にも十九節にその点をはつきりと謳つておるのでありまして、與えられました賃金水準を基礎にしまして、そうして公定價格というものの改訂を行なつた場合、たといその際、マル公が二倍、三倍に上つたとしても云云ということで、はつきりとその点は我々としても意思を表示しておるわけでありまして、そういうふうに御了解をお願いいたしたい。かように考えるものであります。(「マル公と闇と対比させろ」と呼ぶ者あり)問題は結局マル公で買うものと闇で買うものと数量ということをお考えになる必要があるかと思うのであります。流通過程に闇利潤が市場に存在しておる限り、これは賃金の実質的な確保ということはできないのであります。從つて闇の撲滅ということを我々は繰り返し申し述べておるのであります。(拍手)
#64
○議長(松平恒雄君) 商工大臣は止むを得ない公務のため退席せられました。――岩崎正三郎君。
#65
○岩崎正三郎君 波多野鼎君を御指名いたします。
   〔波多野鼎君登壇〕
#66
○波多野鼎君 連合國の好意によりまして、対外貿易が近く民間の手に移される準備ができておるということは、我々非常に感謝に堪えないところであります。この外國貿易の再開に対しまして國民が寄せておる期待は非常に大きいし、又政府におきましても、輸出産業振興ということを重点に置かれまして、傾斜生産の一重点をそちらに移されたということによつても、いかにこの輸出産業の振興ということに日本経済再建のキー・ポイントを求めようとしておるかということがはつきりいたしておるのであります。それに関しまして、この輸出産業家、多くの中小工業家でありますが、この人達が將來の見通しを立てながら計画的に生産に從事し得るような諸條件を政府の手で整えるということは、絶対的に必要なことと思います。その諸條件の一つに、輸出品つまり見返り品の政府買い上げ價格の決定、これが重大な点であろうと思います。この見返り品の買い上げ價格を決めるについて、政府はどのような方式を採つておられるか。特にその輸出品の買上げ價格を決める場合に、当該商品の國際市場における價格、なかんずくそのドル價格を考慮の中に入れておいでになるかどうかということをお伺いしたいのであります。例えば、アメリカ市場において一ドルで販賣できる輸出品ならば、それがどのような種類のものであろうと、或いは百五十円なり或いは二百円なりという同一の價格で政府は買上ぐべきであると思うのであります。それがその買上げを決定する場合に、国内における生産費だけを考慮に入れて買上げ價格を決定されますと、一部の輸出産業化にとつては不当な不利を蒙らせることになり、他の者にとつては不当な利益を與えることになるのであります。でありますから、この点について、政府の見返り品買上げ價格決定の場合における國際市場をどの程度考慮に入れておられるかということをお伺いするわけであります。
 次に先程発表されました物價体系に関する問題でありますが、民間貿易が再開されるに從いまして、我が國の物價体系は世界の物價体系とだんだん接触するようになつて参ります。更にその接触の度合いが濃くなつて参ります。そこでその物價体系を決定される場合に、世界の物價体系を考慮に入れておいでになるかどうか、若し考慮に入れておいでにならんといたしますと、貿易再開に伴うて世界の價格体系の影響をどんどん受けて参りまして、そのために折角決めた物價体系が維持できないというような事態が起らないとも限らない。そういう場合に処しての用意はどうであるかということを第二の点としてお伺いするのであります。
 第三の点といたしまして、物價安定の基礎を基準年即ち昭和九年乃至十一年の平均價格の六十五倍というところに定めたということを発表されました。その数字を出されたその率直な態度並びに勇氣に対しましては、私は敬意を表する次第であります。從來といえども、インフレーシヨンの進行に伴ひまして円貨幣の價値が低下しつつある。即ち円貨幣の價値切下げが行われつつある。事実上行われておるのだということは、國民のひとしく感じておつたところでありますが、どの程度に円價値の切下げが進行したかという点については、はつきりした認識を持つことができなかつた。それは物の價格の面において、公定價格と闇價格とが公然と相並んで横行しておつたからであります。從來の政府は、この点についてなんら公式の発表をすることがなかつたのであります。そのために、民間におきましていろいろ根も葉もない流言が飛んでおつたことは皆さん御承知の通り。例えば円の價値の切下げ、平價の切下げが行われるのではないかといつたような流言が飛んでおつたのであります。政府が今度基準年次の物價を六十五倍にするということを発表されたことによりまして、円の價値が相当大幅に切下げられておつた。從來の政府の手によつて切下げられて來たのだという印象を、一般國民ははつきりと持つことになつたのであります。政府はその点、一般國民の持つた印象を妥当なものとお考えになるかどうであるか。この点について御所見を承わりたい。
 又外國貿易の再開を控えまして、円の價値が六十五分の一か、その他どういう数字か知りませんが、とにかく相当大幅に切下げられたということから、円の為替相場も相当大幅に変更するのではないか。基準年度に比較して相当大幅に変更になるというような印象を受けております。そうして為替相場が基準年度の、これは一例でありますが、例えば六十五分の一に切下げられるであろうという印象の下に、輸出に從事する中小工業家は仕事の計画を立てようとしております。こういう國民一般が受けた印象は、これは政府のお考えになつておるところと一致するかどうか。國民があの経済白書を読んでどういうふうに考えるかは自由であるというふうにお答えになるのか。そうでなくて、政府としてはこういうような権威のある解釈を持つておるということを御発表下さるか。どちらかにいたしませんと、この点から相当大きな混乱が生ずる虞があると信ずるのであります。(拍手)その点についても御答弁を願いたい。
 第四に、経済白書の中に貯蓄の増加ということが、これがインフレーシヨンを阻止する上において重要な意義を持つておるということをしばしば述べておいでになる。と共に長期の貯蓄的な預金の増加が少くて、多くは当座的な預金しかないということを嘆いておいでになる。これは私は当然なことであろうと思うのであります。と申しますのは、円の貨幣價値に対する不安が國民の中に漲つておるときに、長期的な貯蓄的預金をする人というものは、たとえ預金能力がありましても少なかろうと思う。尚この点に関連いたしまして、経済白書の中に國民の家計の調査が載つております。多くの勤労者の家計は殆んど全部赤字になつております。この赤字の家計を持つ國民に向つて貯蓄の増強を説くということは、誠に的なきに矢を放つにひとしいのであります。(拍手)貯蓄の増加をお説きになるのらば、それは貯蓄余力を持つ者にのみお説きになつて戴きたいと思う。(拍手)(「そうだ」と呼ぶ者あり)その貯蓄余力を持つ者に説かれるに当りましても、この際円の價値の安定ということについて政府の所見をはつきりなさらないと、そういう人たちも貯蓄はいたしません。そこで私は物價基準を、基準年次の六十五倍に堅持する、そうしてその円の貨幣價値の今後の低下を防止するという、この政府の決意をなんらかの制度の上に表わす必要があるのじやないかというふうに考える。でその一つの方法といたしまして、金約款附與金とか、或いはその他実質價値を担保とする預金の制度をお作りになるお考はないかということを大藏大臣にお尋ねいたしたい。以上で以て私の質問は終ります。(拍手)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#67
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。第一点は輸出入品價格、殊に輸出品の價格の決定でありますが、それについて國際の市場における價格というものを斟酌して決めるかどうかということでありますが、現在の國営貿易の形式の下では、個々のものにつきまして実は貿易廳の方と、それからGHQとの間で、いろいろな事情を考慮しながらその價格を実は裁定いたしておる情況であります。これはこの行き方は恐らく今後一部の貿易が再開いたしましても続いて行くことであろうと、こう考えておるわけであります。それから、從いまして一部の為替のレートというものをまだすべての商品に適用する時期には至つていないのでありまして、今暫らくは商品別に結局取つてゆくということになろうかと私共は考えております。それから今度のこの物價改訂もいうものは、これは主として國内の物價と賃金と、それから生産といつたような現状を基礎にいたしまして、原價主義というものを取つて物價改訂をいたしたのであります。併しこの生産條件の非常に惡い特殊の基礎的な資材につきましては、大体安定点の基準年次の六十五倍ということにいたしまして、それを超えるものはその條件まで下げて行きまして、そうしてそこに補助金というものを與えまして、物價を大体六十五倍というところで安定させよう。こういうようにいたしたのであります。この考慮の中には勿論六十五倍からつき拔けて上がつて行くものをそこまで下げまして、將來に対して物價が著しく上つて、價格の水準というものが非常に高くなるということはできるだけ避けて行く、こういう考え方が取られておるということを御承知を願いたいと思うのであります。
 それから今度の物價改訂によつて國内の貨幣價値が下がつた、それに対して貨幣に対する不安というものが又殖えて來たのではないか、こういうお話でありますが、これは國内の貨幣の対外價値が今度の物價改訂によつて下がつたかどうかということは、私は今の現状においてはいえないと思うのであります。というのは為替レートもなにもまだ決定いたしておらないのであつて、いわば私が今最初に申し述べましたように殆んど國内の公定價格その他のいろいろな事情を考えて、GHQと貿易廳との方で價格を決定しておるような、こういう條件の下におきましては、これは一概に今度の價格改訂がすぐに対外價値を下げたということはいえないのではないかと、かように考えておる次第あります。
   〔國務大臣栗栖赳夫君登壇〕
#68
○國務大臣(栗栖赳夫君) 波多野さんの御質問の中私に関するものを簡單に御答弁いたします。この貯蓄の増強がこの際非常に必要だということは屡々申すまでもないことでありますが、而してこの貯蓄の増強のために金約款或いは安定價値要件というような制度を始めるということも考え得るのであります。そうして又貯蓄の面から申しますというと、それは貯蓄の増強に非常に資することに相成るとも考えられるのでありますけれども、他方そういうような安定價値條件を附けた預金を受入れるにつきましては、一方の資産の部におきまして金融機関はやはり安定價値條件を附けて貸出をするとかその他のことをしないと、これは実行がむずかしくなるわけであります。そういうような貸付を安定價値條件を附けていたすということになりますというと、多くの企業、殊に再建整備途上にある企業は、それがために前途の経理上の見通しが付き難いというような点もあります。又場合により非常な負担を蒙るというような結果に陥ることもあるのであります。あの一九三三年のアメリカにおけるパニツクの際に、金約款の破却というような問題の起きたのも、そういうような関係があるのであります。そこで只今のところ、私はこの種の方法によつて預金を集めようということを考えておらんのでありまして、むしろ現状諸般の事情に顧みまして、健全財政、健全金融、こういう方面から通貨の安定、ひいて預金の安全性というような方面に進めたいと考えておる次第でございます。
#69
○議長(松平恒雄君) 村上義一君。
#70
○村上義一君 小川友三君を指名いたします。
   〔小川友三君登壇、(拍手)〕
#71
○小川友三君 敬愛する片山内閣が経済実相報告書というレセプトを出したのであります。これを欠陥のある点から見た場合は正に藪医者の処方箋であると私は断じまして、その處を突き、その実体を暴露しますから各國務大臣は責任において御答弁を願いたいのであります。國民数千万は正に餓死崖頭に四苦八苦しておるのであります。こうした不完全なる処方箋を発行いたしましてこの重病人を救うことはでき得ないのであります。この処方箋の欠陥をどこに見出すかと申したならば、欠配、遅配となつておるけれども、これを買出しに行けば何百万人が農村に買出しに行つても、必ず物が買えるという余裕が農村にあることであります。徳川幕府時代に地主は農地の実際面積を発表せず、一町あるものは五反と減し、十町あるものは五町位に減じましたものが、明治初年に入りましてそのまま引継がれたところの農地面積であります。そのまま現在まで引継がれたのが過小評價された、実際の耕作面積よりももつともつと少いところの面積に対しまして政府は供出を命じておるがために、農民は期せずして登記せざる供出として、登記せざる面積から恐らく何百万石に当たるところの米麦、主食の収穫を得ておる実体を政府は知らないのであります。(「嘘つけ」「馬鹿いえ」と呼ぶ者あり)この事実に対しましては、小川友三は二町六反の自作農であります。自分が自作農として、農民としまして、國民が困つておるこの実態を知らん顔をして、我々生産者が消費大衆三千数百万の大衆を救わんとして自分の内情を話し、消費大衆を救わんとして命懸けで、命懸けで立つておるところの國会議員小川友三であります。机上の空論じやない、ペーパー・プランじや断じてない。闇の農地を公然と認めるということは、高度民主化、中庸民主化を唱えるところの片山内閣の断じて認めるところではないと信じます。農民が生き、消費大衆が餓死するという不公平な政治は断乎として取られないと私は信じまして、この点につきまして西尾さんの御答弁をお願いする次第であります。
 それからこの過小評價されたところの農地から、実際の面積を計りまして供出をかけ、或いは税金を取るという方法を藏相は取ろうとするかしないか、正直者が馬鹿を見、不正直者が儲かるという事態は特に農地においてあります。耕地整理をした全農地の約一五%の農民大衆は、一反歩が確実なる一反歩であります。それに対して供出をかけ、徳川幕府時代から延び地所を持つておる連中は、実際は一反五畝耕やしておるが一反歩の供出で済んでおる。実際このことが事実であつて、事実を事実としてこの議場に発表し、大衆を救うのが眞の政治家だ。御承知の通り諸君全國に五十八ケ所の刑務所がある。七万三千五百人程度の者が入つておるが、一回の欠配も一回の遅配もなく、三合五勺以上の主食の配給を受けておるのであります。正直者は欠配遅配に悩み、不正直者で刑を受けておる者は三合五尺の配給を受けておるということは、農林大臣はどうするか、(拍手)この経済白書は正に延び地所を知らないところの政府が書いたところの藪医者のレセプトであります。欠配遅配を救済するために……(「報告書だぞ」と呼ぶ者あり)経済実相報告書、間違いなし、この通り、まあ静かに聽いて下さい。延び地所に対する問題を一点申しまして、今度は優秀農家が全國に何十万とあることであります。この間農林大臣賞を貰つた埼玉縣北埼玉郡利島村麦倉の小林という人は、一反歩から大麦を二十二俵を取つております。本年の割当は一反歩から五俵二斗でありますが、その四倍の量を収穫しておる精農家があるのであります。(「君の自作地はどうだい」と呼ぶ者あり)この精農家の耕作方法を政府は國策によつて全日本農民に指導し、食糧増産に拍車をかけ、窮乏日本の食糧事情を解決するために盡力を願いたいのであります。(拍手)(「君はどうだい」と呼ぶ者あり)私は一一八%の供出であります。(拍手)政府は又これら篤農家を奬励して、恩賞法を制定し、一〇〇%以上一五〇%、二〇〇%の供出ができるように政府がこの恩賞法によつて指導したならば、恐らく今日の欠配遅配という問題は、大部分が解決でき得ることであると私は深く信じておる者であります。政府のやることは、農業に限りましては正にこれはペーパー・プランであります。牛馬を飼えと政府はいうておるが、牛馬に対しまして馬糧、いわゆる飼料を認めていない。牛馬に麦を食わせなければ生きていないが、その麦を全然認めていないで牛を飼えとは、なんというこれはペーパー・プランでありますか、餌をくれなければ牛馬も死んでしまう証拠は、昨年度においてこの報告書にある通り、昭和二十一年度において牛が減つたのが百八十三万頭減つております。馬が百七万頭減つております。そうした状態が今後続いたならば、牛も馬も殆どいなくなつてしまいまして、堆肥によるところの食糧増産ということができ得なくなるのであります。牛馬に対するところの馬糧を一頭につき一ケ年三俵程度は断じて認めて貰いたいのであります。これも西尾國務省に御返答願います。(笑声)
 それから今月の二日総司令部生産課のボルウエヤー中佐殿から農民に対する供出激励の声明がありましたが、この言の通り闇面積のあるものはこれを調査し、闇農地調査委員会でも作つて、そうして供出に万全を盡すように政府は盡力を願いたいのであります。並びに政府は蚕糸業、養蚕家に対しましてなんの声明もありませんが、輸出の大宗をなすところの蚕糸業、蚕糸の農家に対するところの所見をお伺いいたしたいのであります。農林省は農業の科学化を唱えておる。日本の農地には窒素源であるところのアドソバクター、レヂオバクター、クロストリリヂウムという空中から窒素を自然に固定する菌が農地には存在する。その存在の量によつて農地の甲乙がつくのであります。それを政府は調査しているかいないか、これも承りたいのであります。(拍手、笑声)それから政府は九〇%以上供出した農家に肥料を特配するというが、天災地変のために何十万町歩の田畑が、供出も全然できないところがあるのであります。そうした場合に供出を終了した農家と同樣な肥料の配給をお願いしなければ、この被害地の農民は將に餓死崖頭に四苦八苦するというような状態に顛落をするのであります。
 大藏大臣にお伺いします。貯蓄奬励と叫んでも貯金をしないわけはもう一つある。今まである銀行や、生命保險会社や、無盡会社が、戰時補償の打切りによつて大きな借金を持つている、赤字を持つている。株價は五十円の株券が二十円、十五円、三円くらいになつている。そうしたボロ銀行やボロ会社に誰が貯金をするか、新しい組織による銀行、会社、保險会社、無盡会社の許可を要求し、降壇いたします。御清聽を感謝します。(拍手)
   〔國務大臣西尾末廣君登壇〕
#72
○國務大臣(西尾末廣君) 小川友三君の御質問に御答えいたします。御質問が多岐に亘りまして、その要点を把握しかねたのでありますが、私の了解する点についてのみ御答えいたしたいと思います。
 第一に経済実相報告書が藪医者の処方箋である。こういう御話でありますが、実際、又一面においては‥‥又別の御質問は、正直な者がいつまでも馬鹿を見るようなやり方は怪しからんと、こういうことでありますが、正直な者が馬鹿を見た最大のものは戰爭中の施政、政治のやり方であつたのであります。戰爭が済んだのでありますから、戰爭が済んだその直後から、正直な者が馬鹿を見ないような政治をやらなければならなかつたのであります。(拍手)ところが我々は甚だ藪医者であるかも知れませんが、兎に角処方箋を出し、診断書を出し、それが間違つているかどうかということを、國民の批判に訴えているのでありますが、今までのお医者さんは、処方箋も診断書も出さずに、何の藥も服まさないという状態であつたのであります。(拍手「その通り」と呼ぶ者あり)そのためにいつまでも正直者が馬鹿を見るというような状態が続いて來たのでありますが、我々は國民に訴えて、國民の批判を受けて、我々の処方箋に間違がありますならば、それを正しつつ一日も早く正直者が馬鹿を見ないような、働くものは働き甲斐のあるような政治に改めたいと思いますから、皆さんの御協力をお願いする次第であります。(拍手)
   〔政府委員小坂善太郎君登壇〕
#73
○政府委員(小坂善太郎君) 小川さんの御質問に対して、大藏省関係のことを御答え申上げます。貯蓄の増強ということが通貨の信用を維持いたします上に至大の関係を持つことはいうまでもありませんが、それにつきまして、金融機関を更に一層信用あるものとせよという御意見でありますが、それに対しまして政府といたしましては、只今金融機関再建整備法案を策定いたしまして、これによりまして着々その整備を実行中でございまするから、それによつて御承知願いたいと存じます。(拍手)
#74
○議長(松平恒雄君) 橋上保君。
#75
○橋上保君 佐々木鹿藏君を推薦いたします。
   〔佐々木鹿藏君登壇、(拍手)〕
#76
○佐々木鹿藏君 私は時間がありませんから前段を省略いたしまして、次の三点を私の所信を述べながら、政府の御答弁を願いたいのであります。第一点は食糧問題について、第二点は農村電化と工業化について、第三点が商工業者について、それぞれ主管大臣の御答弁を願いたい。
 第一点の食糧問題については、その中主食の増産は何年計画を以て自給自足体制を整えるのであるか、この点について明確なる御答弁を願いたい。私の意見は水田の面積を拡大して、適地にダムを作る。そうして用水施設を構築し、いわゆる高地部水田化を図りたいのであります。この外に或る発明家は、畦その他耕作の改良によつて、一割以上の増産は容易であるということを強調しておるのであります。この二つの改良によつて五年計画を以てせば二割の増産、即ち我が國民の欲する三合を確保して自給体制が整え得ると確信をする者であります。主食供出完納促進方法について、割当の適正に重点を置くことは勿論でありますが、主食の実態を把握することは官民の責任においてなさねばなりません。割当完納をした農家に対しては、奬励方法として昨年埼玉縣に実施せられました酒の委託醸造等をすれば、農村が供出を容易にするのであります。次に報奬物資によつて供出を促すということは不可であります。何故ならば、國民全体に與えられたところの必需物資を、独り農村のみに偏在させるということは闇を助長する結果になると思うのであります。更に縁故供出米は八月で打ち切るということでありますが、この縁故供出米は年中持続して初めて國民の血と血が繋つて、そうして円滑の供出ができる。都市における闇は撲滅すると考えるのであります。更に中間ブローカーの撲滅を期せられると確信を持つ者であります。四に米麦用の俵はこれを廃止する。全國的に叺にすることによつて九十一億八千七百五十万円という國益が図り得ると思うのであります。これは俵は二回か使われず、その上に二割以上の雜俵ができまして使用不可能でありますから、農村に還元むつかしいのであります。叺に改良いたしますれば五回以上使えますから、三回以上も多く使えることになる。これによつて只今申上げたように金の面でなると共に、農村還元がたやすくなるのであります。そうして農家の手間を省くということによつて増産に協力ができるのであります。
 第二点の農村電化と工業化につきましては、郡を單位に籾殻その他を燃料とする二三ケ所の自家発電所を設置するのであります。石炭不足の折から石炭を補い、その火力は石炭同樣でありまして、その焚き殻や灰は肥料の補いとなるのであります。農村副業といたしまして叺、疊、繩等の製造を工業化しますれば、この副業の收入大なるものがあるのであります。
 第三点の中小商工業者についてでありますが、政府は今回農業組合を設定され、農業組合において施設をいたします場合、すべて無税となる施設が施こされますが、商工業者、即ち商工業組合についてはこれらの処置は取られておりませんから、これを政府は速やかに農業組合、協同組合と同樣に、この商工業組合を設置できた場合は同等の処置を取られんことを望むのであります。
 更に私は物價の安定を期するために海陸輸送貨物に対して為替を取り組ます方法を速やかに決行されんことを望むのであります。即ち多額の現金を持つて仕入れに参りますと、途中の危險等がございますので仕入れが從つて高くなる。仕入れが高いものは高く賣らねばならんという結果になりますから、即ち為替方法によつて安く仕入れて安く賣るということが、即ち國民生活の安定の一助にもなるのであります。この三点について政府の御答弁を願いたいのであります。(拍手)
   〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#77
○國務大臣(和田博雄君) お答えいたします。第一点の食糧問題でありますが、主食糧の増産というものは何年くらいの計画で自給できるかというお話でありますが、終戰後農林省で作りました五ケ年計画によりましても、開拓、干拓、その他をくるめまして、やはり日本は、特殊の技術の発達があれば別でありますが、やはり米麦での完全な自給ということには参りません。これはどうしても多少の外國からの食糧の輸入を仰がねばならない実情であります。併し我々としましては飽くまでも食糧の自給度を合理的な方法で高めて、そうして輸入資金の面からいえば、経済復興に必要なものをよりよくできるような方法で、農業の方策を進めて行きたい。かように考えます。
 それからもう一つは縁故米は一年限りか、一年も二年も続けなければならんのか、やらなければ効果はないではないかということでありますが、御意見は誠に御尤もな点があろうかと思うのであります。今回は一應緊急対策といたしまして、この差迫つた当座の政策として考えました次第であります。
 それから米の包装のことについての御意見でありましたが、俵を叺に変える、これは農村問題の上から行くと非常に実質的に大きな問題だと思います。農村の実情をよく御存じになつた御意見でありまして、甚だ敬服いたすのでありますが、ただ問題は叺を織るのには特殊の業者がおりまして、特別の技術を必要とするのでこれは一般的に行き亘らないのであります。今後における農村の包装の問題としては十分研究して行く私は價値があるのだと、かように考えております。
 それから籾殻を材料にしての農村工業の話でありまするが、これは勿論農村工業としましては、農村にありまする材料、資材というものを十分に活用しまして、そうして農村というものの余剰労力をそこで使い、農業経営の安定を図つて行くという点がありますので、農村工業については私共はやはり土地々々の特色を活かしたものを是非奬励したいと思つておるのでありまして、御話のような叺や疊を織る工業化というものについても、これは相当考慮して行く價値があろうかと、かように考えます。それから供出完遂農家についての委託醸造等の問題でございますが、今度供出制度を変えましたときに、完遂した農家についての後の措置をどうするかという点につきましては、農林大臣も御答えいたしましたように、いろいろな点についていろいろ研究問題がありますので、我々の方としましては、至急それらの御意見を十分考案いたしまして決定をいたしたいと、かように考えております。
 商工業の点につきましては協同組合の取扱い方は、農村の方と異つておることはないのだと私は承知いたしております。尚くわしくは商工大臣がおいでになつたときに御答弁いたすことにします。
   〔佐々木鹿藏君「為替のほうはいかがですか」と述ぶ〕
   〔國務大臣苫米地義三君登壇〕
#78
○國務大臣(苫米地義三君) 海陸運送の貨物に対しまして為替の取引をしたらどうかということに対しましては、極めて必要なことだと存ずるのでありまするが、最近終戰後この制度が実行されておりませんので、甚だ遺憾とするところでありまするが、秩序が回復いたし、一般の商取引が昔に還りまして荷為替の取引が励行されることを期待いたしておる次第でございます。
#79
○議長(松平恒雄君) 村上義一君。
#80
○村上義一君 高田寛君を指名いたします。
   〔高田寛君登壇〕
#81
○高田寛君 私はこの経済非常時局突破と観光事業との関係について一言御質問いたしたいと存じます。この度政府から経済白書を発表されましたことは、この資料が十分であるとは存じませんが、併し非常時局の実相を國民に知らしめて、その非常時局に対処する覚悟を深めた点についてまことに結構なことと思うのであります。むしろその時期の遅かつたことを憾むものであります。この非常時局を認識いたしまして、我々八千万國民はこの非常時局を是非共乘切り、突破するためのあらゆる手段を講じなければならんということを深く覚悟するものであります。この非常時局におきまして最も問題になりますのは、いうまでもなく食糧問題であります。我が國の食糧は、いかに今後食糧増産に盡力いたしましても、この狭い領土に八千万國民を養うには到底足りないことは明らかであります。是非とも今後と雖も引続いて食糧を外國よりの輸入に俟たなければならないのであります。然らばいかなる資金を以て輸入を図るか。我が國の貿易を振興する、輸出貿易を盛にすることにつきましては極力あらゆる手段を講ずるのでありますが、今後の輸出貿易につきましては、誠に心細く私は見通しております。戰災によりまして多くの工場は燒かれた。又領土と同時に資源を失つた。又賠償によつて生産設備を相当に撤去されなければならない。この状態におきまして我が國の輸出産業というものは、非常に心もとないと思うのであります。併し我々は是非共食糧輸入の資金を獲得しなければならないのであります。昨年末のバランスを見ましても、アメリカに関するものは輸入が三億ドル、輸出が一億二千万ドルという数字が示されておるのであります。この開きというものは是非共輸出貿易以外の收入によつてこれを賄わなければならないのであります。戰前におきましては海運收入によつて相当の外貨を獲得しておつたのでありますが、今後の我が國といたしましては、外國航路の海運はむしろ支拂勘定になるのであります。こう考えますと今日貿易以外において外貨を獲得する手段は、観光事業の振興、これ以外に方法はないということを私は確信する者であります。(拍手)
 この前の第一次欧州大戰の後におきまして、戰爭によつて疲弊いたしました欧州の各國、フランスもドイツも、イタリーも又イギリスも、挙つて國際観光事業を振興いたしまして、外貨獲得を図つたのであります。今次の戰爭の終了後におきましても、いち早く英國の英蘭観光産業宣傳協会は活動を始めたと聞いております。又オランダ、ベルギー、ルクセンブルグはその合同の観光客を誘致する事務所をニユーヨークに設置したのであります。又ノールウエー、デンマーク、スウエーデン、これ又合同の観光事務所をニューヨークに設置したのであります。このように各國は着々観光事業によりまして外貨を獲得し、経済の立直しを行うという方向に向つて極力努力いたしておるのであります。我が國といたしましてもこの時局にあたりまして、この國際間の観光戰において決して引けをとつてはならないと思うものであります。アメリカ人は由來非常に旅行好きの國民でありますが、戰爭中数年間海外旅行を殆んど封じられていたのであります。併し最近のニユースによりますとアメリカからヨーロツパ向けのパスポートは、從來軍人及び実業家に限られていたものが、今年の二月から一般観光客に対してパスポートを発行するように決定したという報道を得ておるのであります。アメリカの観光客は着々と海外に向つて動き出しておるのであります。我が國におきましても未だ正式の観光客は参りません。併し今日の数多くの我が國に駐在します進駐軍將士、この人人に対して我が國の風景を見せ、文化に親しませ、我が國民の心情をよく理解させるということは、今後の我が國の観光事業振興の上に絶大な効果があると信ずるのであります。又來月は四百名に余まる貿易使節團が我が國に來朝することに決定しております。これらの人々に対して十分に我が國を観光して貰う、そうして將來これらの人々の口を通じて多くの観光客を我が國に誘致し、以て多くの観光收入を上げることに是非只今力を盡さなければならない時期に差迫つておると思うのであります。(拍手)観光事業はまだ早いという御意見が或いはあるかも知れませんが、私は断じて左樣には思わないのであります。今日観光國の素質を持つております我が國におきまして、いち早く観光宣傳に、又観光設備に力をいたしませんければ、今後アメリカの観光客が東洋に向つて動き出す時期になりまして、到底こちらの準備が間に合わないということになりましては、取り返しがつかない問題と思うのであります。久しく國際交通路から遮断されておりました我が國も、いよいよ今月の中旬にはアメリカと我が國を結ぶノースウエスト航空会社の飛行機が民間定期航空便で飛んで來る、又パン・アメリカン航空会社の定期航空便も近く我が國にその航路を延ばして來ると聞いております。又航路におきましてはアメリカン・プレシデント・ラインは、恐らく今年中には太平洋横断の航路を横浜まで延ばし、又世界一周航路が我が國に立ち寄るようになることと思つております。このようなことを考えますと、我が國といたしましては着着と観光事業を準備しなければならないということを痛切に私は感じておるのであります。(拍手)この観光事業によりまして外貨を獲得し、これによつて我々國民が最も今日必要とする食糧の輸入を図り、以て生活の安定を図る。このために観光事業を振興すべきものであると私は考えるものでありますが、この点につきまして、國民の生活安定とこの観光事業、この点に関連いたしまして私は片山総理の御所見を伺いたいのでありますが、今日はお見えになりませんので、適当な他の大臣から御答弁を願いたいと思うのであります。
 次に一昨日の本議場におきまして苫米地運輸大臣から、この観光事業の準備につきましてはいろいろと研究を進めておるというお話があつたのでありますが、今日、先程も申しますように、一日も早く観光事業に対する準備を整えなければならんと思いますが、いろいろこれにつきまして、観光宣傳の部面もあります。又観光國土計画を立てまして、重点的に観光施設を充実しなければならんという問題もあるのであります。殊に國立公園などにつきましても、徒らに制限法規を設けて取締を嚴にするだけでなく、國立公園内における各種の観光施設を着々と充実して行かなければならないと思うのであります。
 又最も差迫つて必要なことは宿泊施設の充実であります。このたび貿易使節が参るにつきましても、慌てて東京、名古屋、京都、大阪という所に政府が直営で急造のホテルを造つておるような次第でありますが、今後観光客を迎えるにつきましては、只今から一日も早くこの宿泊施設の充実を図らなければならんと思います。これにつきましては、勿論資金も要ります。資材も要ります。今日我が國の資材は誠に乏しいのでありますが、我が國民が食うために、生きるために、観光事業が必要であるということになりますならば、最小限度の観光事業に必要な宿泊施設、これに要する資材というものは、是非とも何とか手当を施さなければならないと思うのであります。まあいろいろな点がありますが、この観光事業遂行のための政府が考えておられる諸案、又即刻に実行に移そうと考えておられる諸方策につきまして、具体的の御説明を政府当局からお伺いいたしたいと思う次第であります。(拍手)
   〔國務大臣苫米地義三君登壇〕
#82
○國務大臣(苫米地義三君) 高田さんのお尋ねに対しまして私からお答えをいたします。観光事業の重要性及びそれに対する施設の促進等に対しましては、高田君の御説と全然同感でございます。戰爭を放棄いたしました我が日本、將來國際的に平和文化國家となろうとする我が國におきましては、特に國際的な観光の國といたしまして、この点に留意することは非常に重要なことだと存ずるのでございます。私の記憶いたしておりますところによりますれば、戰前の確か昭和十一年と思いまするが、輸出品の第一位は綿糸布であり、第二位は生糸であり、第三位は人造絹糸であると思いますが、その次に位する第四位は確かに観光外人から得られました收入であつたと思うのであります。貿易決済の上から申しましてもかような重要性を持つておりますし、我が國の今後の立場から申しましても、この優秀なる自然美を持つ國土といたしましては、どうしても國際的な観光地帶としたいと思うのであります。その点に対しまして更に申上げまするならば、戰前に最も沢山見えました外國人の数は四万三千人位でございました。然るにフランスの例を取つて見ますれば、一ケ年二百万人位であり、又スイスの如きも百五十万人位であるとかいうことでございまして、我が國はそれ程には参りませんでも、四万人から四十万人位にすることは可能だと思うのであります。もとよりそのためには國内的ないろいろな準備が必要であります。交通運輸の点、或いは道路の点、若しくは國土計画の上から申しましても、美術品保存の上から申しましても、やるべきことが沢山ございますが、現在はまだそれ程資材もございませんし、いろいろな関係で十分な仕事が出來ないようになつておりますことを遺憾に存じます。運輸省といたしましては、昨年いち早く観光課を作りまして、從前からの資料を蒐集しまして、これ等に対する研究を進めておるのでございます。又内務省、厚生省、文部省等に関連を持ちまするから、これらの省とも緊密なる連絡を取りまして、それぞれ準備、協議を進めておる次第であります。具体的にどういうふうなことをいたすかというようなことはまだそれ程進んでおりませんけれども、各地方におきましても観光協会が続々できております。その観光協会を中央に統合する一つの観光連盟というものを作りまして、その中央と地方との連絡を密接にいたしまして、我々の行いまする國家の施設と相俟つて促進いたして行きたいと存じております。どうぞ左樣に御了承を願います。(拍手)
   〔國務大臣一松定吉君登壇〕
#83
○國務大臣(一松定吉君) 只今の御質問の中で、運輸大臣からお答えをいたしました以外の点について、厚生大臣として私の考えをお答えを申し上げて見たいと思います。
 國立公園の拡大強化ということは、我が國の自然の風光を保護活用するという上からも、又國民の健康衛生という方面からも、又國際親善を鞏固にするという上からも、又我が國の財政を強化拡充するという上からも、今日では最も喫緊の代事であると私は考えておるのであります。この故に、この國立公園を今まで我が國にありまする十三以外に、七つのものを新たに増加いたして而も十三あるその中の六箇所にはその附近の景勝の土地をこれに加えまして、そうしてこれを整備しよう。こういう考えを只今持つておるのであります。御承知のごとく彼のスイスがあれだけの風光明媚な國でありまして外客を誘致してそうして外貨の獲得をやつておるというようなことは、スイスを旅行致しました皆樣は十分に御理解あることでありますが、スイスの風光にも優るとも劣らない我が國におきましては、特にこの点に意を用いまして、丁度貿易の再開せられまする機会を幸いといたしまして、我が國もその点に重きを置いて、そうして外客を誘致する。これが即ち國際の親善になり、外貨を獲得するという最も手近いやり方であり、我が國の財政窮乏の今日におきましても、一ケ年に少くとも七十億円位の金が日本に落ちるということでありますれば、これは余程いい仕事であると私は考えておるのであります。実はこのことにつきましては、今運輸大臣からもお答えがあつたと思いまするが、運輸省のいわゆる交通だとか、或いは旅館だとかいうようなことの整備と相俟ちまして、又は文化の土地の保存だとかいうような文部省所管の仕事とも相俟ちまして、互いにこれらの関係の人人を集めまして國立の公園委員会とかいうようなものでも拵えて、そうしてこれをなるたけ早く実施しよう。実は厚生省としてこういう計画を今立てております。このことにつきましては各関係省とも相談いたしまして、なるたけ早くその目的を達成することのできるようにいたしたい。こういうような考えを以て今着々法案の整備等に努力いたしておるのでございます。いずれこれができますれば、皆樣の御協賛を得まして、それらの実行に一日も速かに着手いたしたいとかように考えておるのでございます。具体的にどこの國立公園をどうするということは、若し必要でありますれば申上げますが、そこまでのことの御質問もなかつたようでありますから、この程度に止めます。(拍手)
#84
○議長(松平恒雄君) これにて本日の自由討議を終ります。
     ―――――・―――――
#85
○議長(松平恒雄君) この際御報告いたすことがございます。本期國会召集以來、本院には在外同胞引揚問題に関する請願及び陳情書が多数提出されております。議長はこれらの請願及び陳情書は現在の常任委員会の所管に属しないものと認めます。
#86
○北條秀一君 在外同胞引揚問題に関しまする請願及び陳情書の審査のために特別委員会を設けることにし、この委員数は二十五名とすることの動議を提出いたします。
#87
○天田勝正君 只今の北條君の動議に賛成いたします。
#88
○議長(松平恒雄君) 北條君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます、よつて在外同法引揚問題に関する請願及び陳情書を審査するため、二十五名の特別委員会を設けることに決しました。つきましては規則第七十九條によりまして、特別委員は議長が指名いたします。特別委員の氏名を参事をして朗読いたさせます。
   〔宮坂参事朗読〕
 在外同胞引揚問題に関する特別委員
   天田 勝正君  島   清君
   中平常太郎君  藤井 新一君
   山田 節男君  淺岡 信夫君
   加藤常太郎君  草葉 隆圓君
   小林 英三君  伊東 隆治君
   木内キヤウ君  小杉 繁安君
   高橋  啓君  井上なつゑ君
   田村 文吉君  中川 以良君
   藤野 繁雄君  北條 秀一君
   穗積眞六郎君  村上 義一君
   矢野 酉雄君  山下 義信君
   中西  功君  千田  正君
   星野 芳樹君
    ―――――――――――――
#90
○議長(松平恒雄君) 次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト