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1949/07/11 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 考査特別委員会 第18号
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1949/07/11 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 考査特別委員会 第18号

#1
第005回国会 考査特別委員会 第18号
昭和二十四年七月十一日(月曜日)
    午後一時五十五分開議
 出席委員
   委員長 鍛冶 良作君
   理事 池田正之輔君 理事 大橋 武夫君
   理事 小玉 治行君 理事 高木 松吉君
   理事 内藤  隆君 理事 猪俣 浩三君
   理事 小川 半次君 理事 神山 茂夫君
   理事 小松 勇次君 理事 石田 一松君
      安部 俊吾君    栗山長次郎君
      佐々木秀世君    篠田 弘作君
      永田  節君    西村 直己君
     橋本登美三郎君    福井  勇君
      吉武 惠市君    椎熊 三郎君
      聽濤 克巳君    寺本  齋君
      岡田 春夫君    浦口 鉄男君
 委員外の出席者
        証     人
        (國鉄労働組合
        中央委員)   新川 輝隆君
        証     人
        (國鉄労働組合
        中央鬪爭委員) 菊川 孝夫君
        証     人
        (國鉄労働組合
        中央鬪爭委員) 高橋 儀平君
        証     人
        (國鉄労働組合
        中央鬪爭委員) 星加  要君
    ―――――――――――――
七月十一日
 委員玉井祐吉君辞任につき、その補欠として岡
 田春夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した件
 國鉄労組中央委員会の実力行使決議件
    ―――――――――――――
#2
○鍛冶委員長 会議を開きます。
 國鉄労組中央委員会の実力行使決議件について調査を進めます。
#3
○神山委員 議事進行について一言したいと思います。この前の委員会のときの空氣を見ますと、全体に非常に遺憾な点があつたと思います。その第一には尋問が非常に重複して、同じ点が何度も何度も聞かれて、そのために必要以上に時間をとつたばかりではなくて、お互いの間の感情の対立まで含むような点があつたことは非常に遺憾なので、これは議進行上委員長が十分考慮してもらいたいと思います。さらに今度は長時間にわたつて証人を調べる場合に、一應確認されたことでありまするが、証人の基本的人権を無視したのではないかという疑いを起させるような点が二、三あつたと思います。この点は本委員会のためにも、將來十分愼重に考慮する必要があるので、今日特に具体的なことは言いませんけれども、委員長が十分考慮してもらいたい。
 それから第三に、言つておきたい点は、本考査委員会が國電ストの問題を取上げたのは、國鉄労組の熱海における第十五回中央委員会の決定を取上げたものだ、こう思うのであります。ところが委員諸君の尋問の内容は、委員長の尋問も、どういうわけでありますか、國鉄労組の決議に対する質問よりも共産党に対する質問になつている点が多い。しかもその聞き方の中に行き過ぎた点があつたことは、これは否定できない事実だと思います。こういうような点は本考査委員会の超党派的な性格に反するばかりではなく、決定事項の中の日本の再建を阻害する行爲というこれに該当して調べられているのはわが共産党ではない。國鉄労組の熱海における第十五回中央委員会の決定であるということです。これがいいとか惡いとか、考査委員会がこれを取扱うのがけしからぬとか、けしかるとかという問題はすでにわれわれが言い盡したので繰返しませんが、どうかこの線に沿つた尋問をするように特に希望したいのであります。それでなければ、不当に問題の所在を不明確にするばかりでなく、一方では非常に党派的な色彩を強くするおそれがあると思います。今日のごときは民同の方々も革同の方々も見える。この点について、委員長に若干考え違いがある点は、新聞の情報その他に支配されているせいだと思いますが、國鉄の中央委員会の中におけるいわゆる共産系あるいは革同系、民同系というこの色わけ、この色わけに從つて尋問されるような傾きがありますが、これは今まで調べた証人からも明らかになつておりますように、問題はお互いの内部における政治的な見解の相違が問題であるのではなく、百三十名の中央委員諸君が集つて全組合員の総意を代表して議決した、その決議が問題である。從つて尋問の場合、重点をあくまでこの中央委員会の決定について尋問を集中されるように特に希望しておきたいのであります。
#4
○鍛冶委員長 神山君の発言はまことによいことと思いまするが、なるべくすくなくとも一人の証人に一時間半ぐらいで切上げるように、皆さんの頭でやつていただくように願いまして、内容についてはめつたに私から制限したくないと思います。
 本日お見えになつている証人は、新川輝隆さん、菊川孝夫さん、高橋儀平さん。
 証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。
 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれら親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または、祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。
 では法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。新川さん代表で宣誓書をお読み願います。
    〔証人新川輝隆君各証人を代表して宣誓〕
#5
○鍛冶委員長 署名捺印を願います。
    〔各証人宣誓書に署名捺印〕
 証言を求める順序は新川さん、菊川さん、高橋さんの順で伺いますから、新川さん以外の方はもう一度元の控室でお待ちを願います。
 新川輝隆さんですね。
#6
○新川証人 そうです。
#7
○鍛冶委員長 あなたの今の御職業は何でありますか。
#8
○新川証人 職業は鉄道職員であります。
#9
○鍛冶委員長 どこにお勤めですか。
#10
○新川証人 札幌鉄道局総務部厚生課に勤めております。
#11
○鍛冶委員長 そこで國鉄労働組合の役員のようですが、どういう役をおやりですか。
#12
○新川証人 労働組合の中央委員と札幌中央支部の執行委員長をやつております。
#13
○鍛冶委員長 十五回國鉄労働組合中央委員会が昭和二十四年六月二十三日から二十六日まで熱海の公会堂で開催されたようでありますが、証人は御出席になりましたか。
#14
○新川証人 出席しております。
#15
○鍛冶委員長 そこに出席したあなたの役割はどういうものでありましたか。
#16
○新川証人 中央委員会の議長をいたしております。
#17
○鍛冶委員長 そこで伺いたいのはその中央委員会は労働組合規約のどういう條章に基いて開かれたものでありましたか。
#18
○新川証人 規約を持つて來ておりませんので、何條かその点はお答えいたしかねます。
#19
○鍛冶委員長 大体のところでよろしゆうございます。
#20
○新川証人 規約の中に中央委員会というのがありまして、中央委員会は大会に次ぐ決議機関という規約があります。それに基いて招集されております。
#21
○鍛冶委員長 役員の選考にあたつてはどういう手続を経るものでありますか。
#22
○新川証人 今お尋ねになつておるのは中央委員ですか。
#23
○鍛冶委員長 中央委員会における議長は、自薦または他薦により無記名投票できめております。
#24
○鍛冶委員長 あなたの場合はどうして……
#25
○新川証人 私の場合は函館の湯淺中央委員から推薦がありまして、議長には私と高崎支部の大和與一氏が推薦されまして、無記名投票の結果、私が六十八票、大和氏が五十七票で私が議長にきまつたのであります。
#26
○鍛冶委員長 二人の候補者を出して、それによつて決戰をやつたわけでございますか。
#27
○新川証人 そうです。
#28
○鍛冶委員長 議長がきまつてから、大体でよろしゆうございますが、議事のあらましをまず伺つておきたいと思います。
#29
○新川証人 議事のあまらしは、第一日目は、中央委員会の成立が一番先に宣せられて、議長、副議長の選出がありまして、午前に中央執行委員長代理として鈴木副委員長のあいさつがありました。それから來賓の祝辞があつて、経過報告を終えて、第一日目の午前を終つております。午後からは経過報告に対する質疑應答がなされまして、午後は十九時五十分ごろに第一日目を終つております。第二日目は、議事日程が一應変更されて、公共企業体に移行する関係の諸問題を午前中に終えて、午後から当面の鬪爭方針の議題に入りまして、中央鬪爭委員の退席などがありまして、第二日目は五時ごろに終つたと思います。第三日目は、引続き論議がなされまして、四日目の午前四時までかかつて鬪爭方針が終つて、あとは小さな問題があつて、徹宵して二十六日は朝七時半に終つております。
#30
○鍛冶委員長 鬪爭方針が一番議論になつたわけですか。
#31
○新川証人 そういうことです。
#32
○鍛冶委員長 この委員会に出席せられる委員の何か党派と言うては語弊があるかしらぬが、何会とか、そういうような所属のものがあるのではありませんか。
#33
○新川証人 大体全部が所属しているというわけではありませんけれども、あるようです。
#34
○鍛冶委員長 その点の勢力関係というか、そういうことがおわかりになつておりますか。
#35
○新川証人 確実な数はわかりません。
#36
○鍛冶委員長 大体でよろしゆうございます。
#37
○新川証人 大体は民同系と称せられる人が五十五、六名でしよう。革同派が二十二、三名、共産党系の方が三十四、五名くらいです。定員が百三十名で、出席が百二十六名ですから、あとはどちらにも入つていない人が七、八名おつたと記憶しております。
#38
○鍛冶委員長 そうしますと決議された事項は、先ほどおつしやつた公共企業体に移行の問題と、鬪爭方針と、こういうことになりますね。
#39
○新川証人 そのほかにもありますけれども、大体おもなものはそういうことになります。
#40
○鍛冶委員長 そこで鬪爭方針に関してでありますが、鬪爭方針のおもなるものを承りたいのですが……
#41
○新川証人 鬪爭方針の提案されたものは、第一項が「大会決議の具体化」であります。二項が「鬪爭目標」です。三項が「具体的鬪爭方法」、そして三項がまた一、二、三、四、五、六項まで分けられております。それから四項には「犠牲者対策」というものが出されております。それが大体提案されたものであります。
#42
○鍛冶委員長 その中で特に議論のあつたのはどの点でありましたか。
#43
○新川証人 特に議論のありましたのは、六項の実力行使を行うという点が、一番議論の中心になつておつたように記憶しております。
#44
○鍛冶委員長 それから具体的鬪爭方法の中で、今一、二、三、四、五、六とおつしやつたようですが、その一は「宣傳戰を強化する。」
#45
○新川証人 その通りです。
#46
○鍛冶委員長 二は……
#47
○新川証人 それをお読みくださればお答えいたします。
#48
○鍛冶委員長 二が「遵法鬪爭を活発に行う。」
#49
○新川証人 その通りです。
#50
○鍛冶委員長 三は「不正摘発鬪爭を行う。」
#51
○新川証人 その通りです。
#52
○鍛冶委員長 四は「関連産業との共鬪を強化する。」
#53
○新川証人 その通りです。
#54
○鍛冶委員長 五は「團体交渉を行う。」
#55
○新川証人 その通りです。
#56
○鍛冶委員長 六は「ストをも含む実力行使を行う」
#57
○新川証人 そういうことです。
#58
○鍛冶委員長 それでは六の項が最も議論がありましたのならば、それを承りたいのですが、この原案として提案されたものはどういうものであつたか、覚えありませんか。
#59
○新川証人 原案として提案されたものは、ストをも含む実力行使を行うということが、項目として掲げられまして、そのほかにその内部にこまかいものはあつたのでありますが、私失念しております。お読みくだされば、その通りであつたかどうかをお答えいたします。
#60
○鍛冶委員長 大体ストをも含む実力行使を行うということが原案であつたようでありますね。
#61
○新川証人 そうです。
#62
○鍛冶委員長 そこでその原案の起草者はだれであつて、どうしてこれがこの委員会へ持ち出されるに至つたかを承りたいのです。
#63
○新川証人 これは議長として聞いたわけではありませんが、井上企画部長が立案をして、そうして二十二日の中鬪委員会では、一應これを提案することはよろしいというふうに満場一致でなつたようであります。但し内容については必ずしも満場一致でなかつたように、議場に入つてから聞いておりました。
#64
○鍛冶委員長 それはストをも含む実力行使ということは満場一致できまつたのですか。それ自身は満場一致でなかつたのですか。
#65
○新川証人 中鬪委員会にそのことが提案されて、内容的に論議をされておらなかつたらしい。ただ提案をするということだけが満場一致で、内容については満場一致ではなかつたらしい。
#66
○鍛冶委員長 表題は出さなかつたのですか。
#67
○新川証人 その表題はそのまま中鬪委員会を通つたというように聞いております。
#68
○鍛冶委員長 ただ出すからというので、そうかと言つて、それに対してこまかい何か……
#69
○新川証人 討論はそのときされておらなかつたというふうに聞いております。
#70
○鍛冶委員長 普通で討論してからやるべきものですか。
#71
○新川証人 その通りと私は考えております。
#72
○鍛冶委員長 そこでそのままのものが委員会へ井上君から提案されたのですか。
#73
○新川証人 そうです。
#74
○鍛冶委員長 提案理由の説明は……
#75
○新川証人 提案理由の説明は井上中鬪委員がやつております。
#76
○鍛冶委員長 それからそれに議論が起つて來たというわけですね。
#77
○新川証人 そうです。二日目の午後に提案されて、それが議論になつたのです。
#78
○鍛冶委員長 大体議論の内容及び経過を承りたいのですが……
#79
○新川証人 こまかい点までは十分ではありませんけれども、概略について申し上げますと、提案されましてから、一番先に当局側の傍聽者を禁止すべきであるという緊急動議が出されましてこれを議長として私は取上げるかどうかということで委員会に諮りましたところ否決になりまして、取上げないということになりました。さらに質疑に入りまして高崎支部の大和中央委員から指令権の所在問題、合法、非合法の限界の問題についての質疑がありました。これに対して鈴木副鬪爭委員長が答弁をいたしております。それから高橋書記長――鬪爭中はやはり副鬪爭委員長でありますが、高橋副鬪爭委員長から答弁をされました。さらにこの点について納得が行かないということで大和委員に再質問を許しました。それでこれは規約との関連性の問題についての質問でありました。その次に仙台管理部の菅原中央委員からまた質問がございまして、これに井上中鬪委員が答弁をいたしております。そこで質疑を打ち切るべしという緊急動議が出まして、これを取上げて議場に諮りましたところ、百二十四名中六十二名で、これは過半数か、半数かということですれすれの決でありましたが、私は議長として過半数に達しないので否決という取扱いをいたしました。続いて私の不信任案が出たのでありますが、百二十四名中三十八名でこれも否決になりました。その後また質疑を二人ばかり続けて大宮の津田中央委員と上野の寺山中央委員が質疑をしております。そこでまた質疑を打ち切ろうということを諮つたのでありますが、たまたま質疑を打ち切るということで採決をいたしましたところ百二十四名中七十二名でありました。私七十二名で質疑を打ち切ろうと宜しようといたしましたところ、中鬪委員の方々が、これはこういうふうに申し上げてはなんですが、右派の方々がいかぬ、議長は横暴であるというような声がございましたので、再三制止いたしましたところ聞かれなかつたので、大声叱咤いた、しましたところ退場しろということになりました。それで退場したのがちようど午後の三時頃でした。それから一時間ほどいろいろ議場がもめまして、当日は遂に審議未了に終りまして、相当みな興奮しておつた関係であろうというふうに私は考えておりますが、五時三十分に第二日目をほんとうの討論まで入らないうちに終つております。三日目に入りましてから各項目ごとにやろうということで朝の八時三十分というのが少し遅れて、八時四十分ごろから始まつたと記憶しておりますが、八時四十分ごろから討論が交されまして、第一項が決せられるまでに相当の時間を費しております。第一項がどうしてそんなにもんだかと言うと、その提案理由の中に琴平大会の決議を尊重して、今までの具体的な鬪爭の経驗を生かしという言葉があります。その経驗を生かしということが國電ストの問題をプラスと見るかマイナスと見るかということで――こう言つてはどうかわかりませんが、左右両派対立してもんだわけであります。そして一項だけ終るまでに相当の時間がかかりまして、一項がようく終つて晝になりました。それから二項目はそのまま過ぎまして、三項の一、二、三、四、五までは大体すらすらと通つたわけであります。この間私が議長をいたしておりましたのは午前中一ばいと午後に入りましてからは、鬪爭目標とこの一、二、三、四、五までは議長はかわつて副議長に議事を運営させてやつております。六項目に入りましてからまた私が直接議事の進行をはかつて、大体全部で十三名ばかり討論をやりまして、この討論の終りましたのが六時ごろであつたように記憶しておりますが、六時ごろになつてから最惡の場合にどうするかということについてお諮りいたしました。議場では大体最惡の場合――提案にはついておりませんでしたが、最惡の場合実力行使を行うか否かで採決すべしという方が多数でありましたので、採決をしようといたしましたところ、大宮の澤田中央委員からこの採決には参加できないという意思が表示されました。投票用紙をまわしておつたのでありますが、これを回收いたしまして、大宮の澤田中央委員に発言を許しました。ところが澤田中央委会員からはこの投票を三分の二できめるのか、過半数できめるのかということと、それから記名投票でやるのか、無記名投票でやるのかということと、それからもう一つは実力行使の中にはストを含むか含まないのかという三点についての質疑というか、そういうものが明らかにされない以上投票には参加しないというふうに意思が表示されましたので、これをあらためて議場に諮つて参りました。三分の二にするか、過半数にするかということをやはり投票できめるべしという意見が強かつたので、一應投票できめることにしております。この三分の二と過半数の問題でも四人ばかりに討論を許しております。採決いたしましたところ、百二十五名中過半数でよろしいというのが六十名、それから三分の二でなればけならないというのが十三名、それから白紙が一票、棄権が五十一票ということで、ともに過半数に達しませんでしたので議として成立いたしませんでした。そこでまた再討論すべしということと、休憩して論議すべしとか、いろんな意見が出まして、結局三日目の眞夜中でありますが、九時十分ごろから十時まで休憩に入りました。再開後また再討論して再採決すべしということが一應可決になりまして、それからまた論議を重ねて行きました。再開後は私相当議長として疲れておりましたので、中村副議長にかわつて議事を運営していただいておりましたところ、中村副議長の不信任案が出ました。これは否決されたのですが、それからまた私が議長として議事の運営をはかつております。そういうことで三分の二と過半数の問題で相当議事がもつれまして、デッドロックに乘りあげたような感がありました。そのときに仙台管理部の中山中央委員から実力行使をする決意をもつて鬪うということに表現をかえたらどうかという提案がございました。私、これを諮りましたところ、大体異議もないようでございましたので、ただいまの中山提案は一應確認いたしますというふうに言つて席に坐りましたところが、これが猛烈に反対を食いまして、議長席に相当殺到するというような場面を演じましたので、この確認を一應取消しております。それで三分の二にするか、過半数にするかということを再採決しろということが高崎の大和中央委員から言われましたので、再採決に入りました。百二十六名中六十四名が過半数でよろしいということとなりました。それから記名投票か無記名投票かということは、これは挙手によつて採決いたしましたが、記名投票ですべしというのが五十九名でありまして、これは否決になりまして、無記名で過半数でよろしいということになりまして、最惡の場合はストをも含む実力行使をするか否かということの採決をいたしたのであります。採決の結果は御承知のように百二十四名中六十六名が一應賛成、実力行使を行うということに投票いたしましてそれがきまりました。それから最惡の事態とはどういうことで、鬪爭のやり方はどういうふうに進めるかということについての論議が持たれまして、朝の四時ごろ最惡の事態とは本部の團体交渉が決裂したときである、それから集約は中鬪の責任において行うという二項目だけ第六項について確認されました。犠牲者対策は結局論議をしないということに否決されまして鬪爭方針を終りましたのが朝の五時ごろでありました。あとはこまかい問題で緊急動議が出されたり、それから給與の改正の提案がされたりして、鬪爭方針にはあまり関係のない議事に入つております。以上が概略であります。
#80
○鍛冶委員長 そうしますと、原案と決議になりました結果との差異はどこにありますか。
#81
○新川証人 原案はストをも含む実力行使を行うというだけでありましたが、決議をされたものは最惡の場合という文字が上についております。それから内容的に言つて、こまかい文字は忘れましたが、提案されたものは、個々に立ち上れる職場から立ち上つて行くというような表現でございましたのを、一應本部で集約をして全部を進めるのだというふうに、鬪爭の方法は、決定したものと提案されたものとは、内容的にほとんどかわつております。
#82
○鍛冶委員長 そうすると、六の一番先の、ストをも含む実力行使を行うというときには、最惡の場合ということが追加されたのですか。
#83
○新川証人 そうです。
#84
○鍛冶委員長 その次に最惡の場合とはというのは、これは原案にあつたのですかなかつたのですか。
#85
○新川証人 ありませんでした。
#86
○鍛冶委員長 全然新たにつけ加えたのですか。
#87
○新川証人 そうです。
#88
○鍛冶委員長 最惡の場合は、本部において團体交渉が決裂したときと確認された、こういうことですか。
#89
○新川証人 そうです。
#90
○鍛冶委員長 その次のは、原案はどういうのでしたか。
#91
○新川証人 その次の文句も、原案には何も出ておりませんでしたが、集約は中鬪の責任において行うという言葉が確認されております。
#92
○鍛冶委員長 それは原案は、先ほど何か各地域において決定するとか……
#93
○新川証人 原案は、はつきりしたものは控室には持つて來ておりますけれども、ここに持つておりませんので、はつきりした文字は忘れましたが、内容的にはただいま申し上げた通りであります。
#94
○鍛冶委員長 重要なことですから持つて來てもらいましよう。
#95
○新川証人 それではとつて参ります。――失礼いたしました。続けてよろしゆうございますか。
#96
○鍛冶委員長 まず原案をひとつ読んで、それから違つたところを……
#97
○新川証人 速記録を取寄せていただけば、大体もつとはつきりわかると思うのでありますが、一應私の持つておるもので申し上げますと、「ストをも含む実力行使を行う。列車をとめることと動かすことは國民の意思によるよう準備すること。この場合いかなる官憲の彈圧や命令があつてもやめない。一分会一士支部も孤立させないように鬪う、」以上が大体六項の「ストをも含む実力行使を行う」というところの内容として三項目あげられております。
#98
○鍛冶委員長 それは提案の内容にですか。
#99
○新川証人 そうです。
#100
○鍛冶委員長 そうして討論の結果決定したものは。
#101
○新川証人 これは全然三項とも削除されまして、先ほど申しましたように、最惡の事態ということと、集約は中鬪の責任において行うという二項目を置いた、こういうのです。
#102
○鍛冶委員長 集約は中鬪の責任において行うという前に、先ほど何かちよつと言われた、最惡の場合ですか、どこかで、地方において決定するとかおつしやつたようですが。
#103
○新川証人 最惡の場合の判定をどういうふうにやるかということについて、二つの意見が対立したわけです。その意見の片方は、最惡の場合の判定はそれぞれの機関の判定による。少くとも最下部組織の責任の持てる形で動くという提案と、それから決定しました最惡の事態とは本部の團体交渉が決裂したときであるという、二つの提案がありまして、これをはかつて、先ほど申しましたように、本部の團体交渉が決裂したときということにきまつたわけであります。
#104
○鍛冶委員長 わかりました。そこでお伺いしたいのですが、先ほどあなたは合法、非合法の質問があつたということでありましたが、それはどういうところが非合法だという質問であつたのでしよう。
#105
○新川証人 詳しい内容は、私要点だけしか書きとめてありませんので、記憶ありません。
#106
○鍛冶委員長 要点だけでよろしゆうございます。
#107
○新川証人 要点は合法非合法の限界というふうに私の控えに書いてありますので、それに対して内容がどういうことであつたか、こまかい発言の内容は今記憶しておりません。
#108
○鍛冶委員長 それに対して鈴木副委員長及び高橋書記長が説明された、こういうのですか。
#109
○新川証人 そうです。
#110
○鍛冶委員長 鈴木副委員長及び高橋書記長はどういう議論をなされたのでしたか。
#111
○新川証人 これも要点だけしか書いてございませんのですか、鈴木副委員長は、鬪爭の責任は全組合員にある、行動を決議する機関の決定が今次鬪爭における指令権であるというふうに、指令権の問題については答えております。それから高橋書記長は、鬪爭の轉換と飛躍が要請されているのであるから、指令権の問題も、大体鈴木副委員長が言つたのは、それでよかろうというふうに答えております。以上であります。
#112
○鍛冶委員長 それは合法非合法の議論と……
#113
○新川証人 合法非合法の議事については、私の記録に書いてございませんので、内容について記憶いたしておりません。
#114
○鍛冶委員長 それからさつきおつしやつた中ではつきりしなかつたのは、決意を示せという案があつたというのですが、それは結局決定に至らなかつた、こういうのでしたね。
#115
○新川証人 大体はそういう案が出まして、それを確認したということになつたのですが、その決意の表明だけでもだめだというふうな議論がございました。
#116
○鍛冶委員長 それはどういうのですか、決意を示すだけではいかぬ、どこまでも実力を実際において行使するということでなければいかぬ、こういうことだろうと思いますが、どうでしよう。
#117
○新川証人 そういうことでなく、決意を表明するということだけでもいかぬというふうな反対が強かつた、こういうわけです。
#118
○鍛冶委員長 そうすると、どういうのです、実際は。
#119
○新川証人 実際は決意をもつて鬪うということをきめるのもいかぬという方が強かつたというのです。
#120
○鍛冶委員長 そうですか。そうするとどうしろというのです。
#121
○新川証人 だから、どうしろというのかわかりませんけれども、これは右の方の人々から――右の方とか左の方とかいうことを言つていいかどうかわかりませんけれども、そういうことが問題になつたのであります。
#122
○鍛冶委員長 それでは実力行使ということはどういうことだという説明なり何かありましたか、ストはわかるが、ストを含むというのですから、スト以外の実力行使というものがあると思いますが、それの内容については議論はかわされておりませんか。
#123
○新川証人 かわされておりません。
#124
○鍛冶委員長 それでたいてい皆にはわかるのですか。
#125
○新川証人 議論をされていないところを見れば皆にはわかつておるだろうというふうに私は考えます。
#126
○鍛冶委員長 一番議論のあつたのは第六項ですね。
#127
○新川証人 そうです。
#128
○鍛冶委員長 そこでその議論のあつたものの議論の焦点になつたのはどこですか。
#129
○新川証人 議論の焦点になつたのは、先ほどから申し上げておる通り、最惡の場合はストを含む実力行使を行うか否かということが焦点になつておりました。
#130
○鍛冶委員長 そこでこういう決議をしますると、これは何ですか、組合員を全部当然拘束することになるものでしような。
#131
○新川証人 決意の表明でありますから、拘束するかどうかということは、そのときの井上中央委員の提案の理由の説明にもありました、質問に答えた答弁にもあつたですが、各支部、各分会に帰つてやるかどうかということは組合員自身がきめることであるというふうに申しておりまして、それを大体了承して採決に入つております。

#132
○鍛冶委員長 そうすると各組合から中鬪委員が出ておられるのですから、あらためてこういうことは各支部へ通知する必要はないものですか。
#133
○新川証人 きめられた事項の最惡の場合ということが團体交渉の決裂ということになつておりますから、通知をするかしないかということまではきめておりません。
#134
○鍛冶委員長 いや通知しなくても当然支部にその効力が及ぶのではないですか。
#135
○新川証人 通知しなくてもいいという考え方もあるとは思いますが、それらが通知するかしないかということは私は中央委員会の議長としてはその点は論議せられておらないということを申し上げておきます。
#136
○鍛冶委員長 まあいいでしよう。
 ほかにお聞きになりますか。
#137
○西村(直)委員 二、三お伺いしたいと思います。
 第一番目に今回の中央委員会において國鉱ストに対する批判が行われたと思いますが、これは証人御存じですか。
#138
○新川証人 批判は行われております。
#139
○西村(直)委員 その批判の形態としては、最初に鈴木副委員長が経過報告の形態をとつて、それから批判に入つたわけですね。
#140
○新川証人 そうです。
#141
○西村(直)委員 鈴木副委員長の意見としては、國鉱のいわゆる在來の人民電車であるとか各職場で行われた職場鬪爭というものは大約して成功であるというふうな発言がされておることは事実ですか。
#142
○新川証人 記憶ありません。
#143
○西村(直)委員 たとえば職場鬪爭というものの実例としていろいろ報告されております。それで職場鬪爭というものは、私の方にあります材料から申しますと、廣島の山田委員の発言に職場鬪爭はあのような形が模範であるかというような質問に対しまして、鈴木副委員長は反射鬪爭のモデルである、すなわち下部の鬪爭を本部が機を逸せずにとらえるということで今回の鬪爭は鬪爭の標本であるというような発言をされました。これは記憶がございますか。
#144
○新川証人 それはあります。反射鬪爭のモデルであるということはそのとき鈴木副委員長は言つております。
#145
○西村(直)委員 それから八王子の鈴木委員が出席をされて発言をされておりますね。この問題について。
#146
○新川証人 しております。
#147
○西村(直)委員 その際に大体これは反対論を述べておられるのですが、御記憶ございますか。
#148
○新川証人 言つております。
#149
○西村(直)委員 たとえばこういうことを言つておりましようか。大部分の組合は今回の鬪爭が率直に失敗であると見ておる。今回の鬪爭は一部急進分子の戰いによつたもので、われわれの戰いは大衆の味方がなければならぬ。また結集して行動しなければ勝利を得ることはできない。こういうふうな意味のことを……
#150
○新川証人 その通り言つたかどうかということについては記憶はありませんが、大体においてそのような意味のことは言つたように記憶しております。
#151
○西村(直)委員 この際傍聽者の側から発言を求められましたね。
#152
○新川証人 傍聽者に発言を許せという緊急動議が出ました。
#153
○西村(直)委員 これは発言をしたように御記憶になつておりますか。
#154
○新川証人 採決いたしまして発言を許せということになりましたので、発言を許しました。
#155
○西村(直)委員 これは規約には違反いたしませんか。
#156
○新川証人 中央委員会の規約には傍聽者に対する発言とか何とかいうことはございません。それから大会の議事運営規約には傍聽者に対しては発言を許すということができないで、意見書を出すということになつております。意見書を出させないで発言を許したということで大分議事はもめたのでありますが、結局議長もミスであるし、中央委員全部それに氣がつかなかつたということで、全部の連帶責任であるというようなことで、発言は抹消するということと、前例にしないということが全員で確認されました。そういうような処理をしたように記憶しております。
#157
○西村(直)委員 八王子の鈴木委員の発言に対して傍聽者から反対意見があつたわけですね。
#158
○新川証人 その通りです。
#159
○西村(直)委員 それは規約なり前例なりにないことであるというので、抹消したわけですね。
#160
○新川証人 中央委員会の意思として速記録から抹消いたしました。そうして前例にしないというように確認しました。
#161
○西村(直)委員 最後に一点。井上原案と先にお読みになりましたが、これは中鬪委員会においてはどういうような経過で審議未了になり、しかも満場一致で中央委員会に提案することになつたか、その内容は御存じございませんか。
#162
○新川証人 前日の二十二日の中央鬪爭委員会でこういうものを出すということを提案されまして、私の聞いた範囲では、肥後中央鬪爭委員がこれらのものは審議しないで中央委員会に生のままかけるという意味からきようは審議しないということが提案されまして、そのままの形で、生で中央委員会に出すというように満場一致なつたように聞いております。
#163
○西村(直)委員 あくまでもそれは議長としては中央鬪爭委員会の案としてお受取りになつたですか、井上氏の私案という意味ですか。
#164
○新川証人 提案をするということを一應中央、鬪爭委員会で意見一致したとすれば、中央鬪爭委員会の提案として見るのが至当ではなかろうかと考えております。
#165
○西村(直)委員 井上私案を中央鬪爭委員会としては提出したのでしようか、それとも中鬪委員会案として、審議未了ではあるが提出賛成である、中鬪委員会として提出したか、井上私案として中鬪委員会が……
#166
○新川証人 そういうことは議題には何もかかつておりませんけれども、一應私は鬪爭の方針について中央鬪爭委員会の提案理由の説明を求めましたところ、井上氏が中央鬪爭委員会の提案ということでやつております。
#167
○西村(直)委員 それからさらにその内容において、いかないる官憲の彈圧や命令があつてもやめない、このいかなる官憲の彈圧、命令という意味は、何か会議で論議があつたように聞いておりますが……
#168
○新川証人 これについては、先に申しました三項については、ほとんど中央委員会として論議を十分にかわされておりませんので、先ほど決定いたしました五項目になつてしまつただけです。これについてはあまり深く突つ込んだ論議がなつたように記憶いたしております。
#169
○西村(直)委員 その説明はどういう……
#170
○新川証人 内容についてはどういうふうにというように詳しくは記憶いたしておりません。
#171
○西村(直)委員 たとえば総司令部の命令をも含めたような意味での説明があつたのじやないですか。
#172
○新川証人 いや、そういうことは私は記憶の中にありません。
#173
○西村(直)委員 速記録は全部あの日は公開ですからとつてありますね。
#174
○新川証人 速記録をお調べになつてもらえばわかると思います。
#175
○西村(直)委員 それからあの日は途中で秘密会というものはありませんね。
#176
○新川証人 途中で秘密会はありません。
#177
○鍛冶委員長 ほかにありませんか。――それでは一應済みました。おさしつかえなかつたらあとでまたお聞きしたいこともありますからしばらくもとのところでお待ちを願います。
    ―――――――――――――
#178
○鍛冶委員長 菊川孝夫さんですか。
#179
○菊川証人 はい。
#180
○鍛冶委員長 あなたの現在の御職業は何でありましようか。
#181
○菊川証人 職業は日本國有鉄道の職員であります。
#182
○鍛冶委員長 どこにお勤めになつておられますか。
#183
○菊川証人 所属は名古屋鉄道局総務部の厚生課です。
#184
○鍛冶委員長 國鉄労働組合役員をおやりですか。
#185
○菊川証人 やつております。
#186
○鍛冶委員長 どういうお役目ですか。
#187
○菊川証人 中央執行委員、それから執行委員として分担している仕事は文化教育部長です。
#188
○鍛冶委員長 第十五回國鉄労働組合中央委員会が昭和二十四年六月二十三日から二十六日までの間に熱海の公会堂で開催されたようでありますが、間違いございませんか。
#189
○菊川証人 間違いありません。
#190
○鍛冶委員長 その委員会へ出てのあなたは、委員会としての特別の役をお持ちになりましたか。
#191
○菊川証人 この中央委員会には特別な役はございませんで、主として中央執行委員が中央委員のまず経過報告に対する質問について答える、それから提案理由を説明して、それに対して所信を聞かれた場合に答弁したり、それからわれわれはこういうふう今後の鬪爭を進めたいというようなことを所信を述べることになつております。そうしてその決議にあたりましては表決権がないのです。採決に加わる権利はない、発言権は自由にあるのですが。――しかし当日の中央委員会には、私はどうもこのごろは文化教育部長という仕事の関係上正式の会議の席上ではあまり発言しなかつたのです。
#192
○鍛冶委員長 この中央委員会は労働組合規約のどういう規定に基いて開かれたものか御存じですか。
#193
○菊川証人 これは組合の規約の中に鬪爭委員会規則というのがございまして、鬪爭委員会は爭議の過程におきまして、必要に應じて委員会でも大会でもこれの招集を中央執行委員長に要求することができる、そうすると中央執行委員長は招集しなければならないという規則があるのです。その規則に基きまして、中央鬪爭委員会におきまして、招集をさすべきものと見て決議いたしまして、中央執行委員長に要求するという形式をもつて、中央執行委員長の名前をもつて招集した、こういうことになつております。
#194
○鍛冶委員長 それではその中央委員会における決議の効力はどういうことになりますか。
#195
○菊川証人 組合員はこの決議に服するだけの義務はあるわけです。
#196
○鍛冶委員長 大会と同樣の効力があるとかいうのではないですか。
#197
○菊川証人 いや、それは大会と同樣の効力があるということはちよつと私は言えないと思います。私はそう考えます。
#198
○鍛冶委員長 大会にかわる委員会だとかいうことをみな言つておるようですが。
#199
○菊川証人 それは中央委員――そこに出席した者はそういう考えのもとに組合員に対して、これはこういう時期であつたから大会を招集することができなかつたから中央委員会で間に合わしたのだから承知してくれということにつとめることはありますが、次期大会を招集しまして、その中央委員会が行き過ぎであつた、困つた決議をしたという決議をされました場合には何ら拘束することはできないのであります。
#200
○鍛冶委員長 それはそうでしようが、大会がなかつたら大会と同樣にやれるというのではございませんか。
#201
○菊川証人 それは私の方の組合の規約の中にはどうしても大会できめなければならぬという規約がございます。大会必議事項というのがございまして、これを中央委員会でいかに大会にかわるものだと言つてもきめることはできないと思います。それは権限が違いますから……。ちよつと参考のために読んでみますが、私の方の大会でどうしてもきめなければならぬものは規約の十七條の中に労働協約の締結と破棄、予算と決算、それから團体への加入、または脱退、それから総罷業、総怠業を決行、一件五十万円以上の資産の処分、一件百万円以上の資本金を必要とする事業の経営、一件百万円以上の臨時支出、こういう重要なことはどうしても大会できめなければならぬことになつておりますから、中央委員会でこれをきめても無効である、きめることはできない、こういうふうにはつきりいたしております。それだけ権限が違いますから同樣ということは言えないと思います。
#202
○鍛冶委員長 わかりました。しかし全組合員に対する効力があることは間違いないのですか。
#203
○菊川証人 その点は間違いありません。
#204
○鍛冶委員長 この委員会では議長は新川さんだつたそうですが……
#205
○菊川証人 ええ、新川さんです。
#206
○鍛冶委員長 そのほか中央委員会に特別の役員はないいのですか。
#207
○菊川証人 まあ主として議長はともかくといたしまして、副議長の中村強君というのがありまして、書記長に中央鬪爭委員をやつておる小林信次君がおりましたが、副議長は議長と多少交替いたしますが、書記長は單に事務をやるだけでありまして、役員としてたいしてとり立てたことはございません。副議長は議長が疲れた場合、生理的な現象で退席するような場合に交替して議長と同じ仕事をやります。
#208
○鍛冶委員長 それでこの委員会における議事の経過を大要でよろしゆうございますが承りたい。
#209
○菊川証人 それでは大要御説明いたします。六月の二十三日の十時に開会いたしまして、中央鬪爭委員の総務部長である小林君が開会のあいさつを述べ、司会は後の証人たる高橋君が一應司合者としてあいさつを述べまして、すぐに議長、副議長の選挙に入りまして、新川輝隆君と大和與一君、新川君が札幌中央支部で、大和與一君が高崎の支部でありましたが、両名が議長候補に選ばれまして、投票の結果新川君六十八票大和君五十七票で新川君が当選し、それから副議長に先ほど申し上げました東京支部の中村強君、それから山形支部の奧山悦郎君、この両名が推薦されまして中村君が六十九票、奧山君が五十七票で当選し、すぐ副委員長の鈴木市藏君が執行委員長の加藤君が不在でありますためにかわりまして、中央執行委員長のあいさつを申し述べました。それから來賓の祝辞がありました。來賓祝辞は熱海の市長ほか友誼諸團体からそれぞれありました。それから続いて恒例によりまして経過報告を、やはり副委員長の鈴木君から國会鬪爭、それから公共企業体移行、それから國電ストの問題、それから引続いての交渉の経過、それから法定鬪爭、こういつた項目にわたりまして一般の経過報告をいたしました。それからただちに質疑應答に入りまして緊急動議が出まして、熊本支部の出身の中央委員の中原基務君が提案いたしまして、ただいま鈴木副委員長から報告された経過報告は、あまりにも主観が多過ぎて自分の考えを述べておるようであつて、これは経過報告として受取りがたいから、ただちに経過報告のやり直しをやれという緊急動議が出まして、採決の結果、百二十二名中五十四名の賛成者しか得られなく一應この緊急動議は否決されました。
#210
○鍛冶委員長 大体でよろしうございます。
#211
○菊川証人 それからずつと議事に入りてまし、やはり中心議題は何と申しましても当面の鬪爭方針でありまして、おそらく本委員会において皆さんがわれわれ聞こうとおつしやる中心議題の六項につきまして、約二十時間にわたつて激論を展開いたしました結果、今日問題になつておるようでありますけれども、最惡の事態にはストをも含む実力行使を行うということについて賛成か反対かということで採決いたしてまし、賛成が六十六票、反対が四十五票、白紙四、無効九というような書面投票の結果数字が出まして決定いたしました。こういうようなわけであります。
#212
○鍛冶委員長 今鬪爭方針の六項目とおつしやいましたが、その項目だけお知らせ願いたい。
#213
○菊川証人 この鬪爭方針では琴平大会の、大会決議の具体化が第一項、第二項は鬪爭目標、第三項は、具体的鬪爭方法、その具体的鬪爭の方法の中で宣傳戰を強化するということ、それから遵法鬪爭を活溌に行うということと、第三番目は不正摘発鬪爭を行う、関連産業との共同鬪爭を強化する、團体交渉を行う。それから今日の議論の中心になると思いますところのストをも含む実力行使を行う、こういうような六項目です。
#214
○鍛冶委員長 そこでまず承りたいのは、第一原案として提出せられたものはどういうものでありましたか、第六項目でよろしゆうございますが、今の第三の具体的鬪爭方法の一、二、三、四、五は、これは原案のまま決議されたものですか。
#215
○菊川証人 ええ。
#216
○鍛冶委員長 かわりはなかつたわけですね。
#217
○菊川証人 ほとんどかわりありません。
#218
○鍛冶委員長 六の原案はどういうものですか。
#219
○菊川証人 六の原案は今これを読み上げます。六、ストをも含む実力行使を行う、列車を止めることと動かすことは國民の意思によるよう準備すること、この場合いかなる官憲の彈圧や命令があつてもやめない、一分会、一支部も孤立させないように鬪う。こういうのが原案であります。
#220
○鍛冶委員長 この原案の起草者はたれでありましたか。
#221
○菊川証人 これはやはり企画統制部長の井上唯雄君であります。
#222
○鍛冶委員長 提案者も提案理由の説明者もたれでしたか。
#223
○菊川証人 やはり井上唯雄君がみずから企画いたしましたものでございますから、井上君が提案理由の説明にあたりました。
#224
○鍛冶委員長 それをこの会に提出するまでに手続をふまなければならぬものだと聞いておりまするが、どういう手続が必要であつて、それを十分ふんでおつたかどうかを御承知でしようか。
#225
○菊川証人 これはやはり井上個人という案を提出すべきではなく、中央鬪爭委員会の案を提出すべきである。從いまして井上君が立案したがこれはまず組合の統制部で協議をいたしまして、統制部もいろいろ意見がございますから、これをまとめてこれを中央鬪爭委員会に提案して、中央鬪爭委員会で、それではこれを中央委員会に中央鬪爭委員会の案として出すか出さぬかということが決定され、最後には満場一致で行けばけつこうですが、行かない場合には採決いたしまして、多数決によつて決定した場合はこれを出すことになつております。これについてちよつと申し上げたいのでございまするが、実は鬪爭方針なんというものは、そのときにほんとうに切迫いたしましてからでないとなかなかほんとうの、あつたような方針が出て來ませんので、どうも一月前からつくつておくというわけに行きませんので、これはいつでも大会をあした開くという前の日に中央鬪爭委員会を開きまして、こういう重大なポイントになつて來ると、てんやわんやで論議し合つて決定する。こういう習慣になつておるわけであります。このことは琴平の大会の折も申しましたが、まあ意見もいろいろあるけれども、中央鬪爭委員会で論じておつても仕方がないから、不満であるけれども中央鬪爭委員会の案として審議する余裕もないから、一應案として出すことには了解しようという形式で琴平でも出したが、やはり熱海の中央委員会におきましても、一應これは審議をしておつても、もう地方から地方委員も出て來るし、樂屋裏まで見せるのはまずいから、みんな寄つて、ひとつ十分論議しようじやないかというので、こいつはもう一ぺん愼重にやろうじやないかという意見もありましたが、時間の関係上、とにかく審議せず、ただ中央鬪爭委員会の案として出すということを了承して、提案すこるとになつたわけであります。そこで井上君が提案理由を説明いたしまする際に、これは満場一致で決定されたものだというふうな表現を使つたために、相当これに対して、もつと愼重に審議しなければならぬし、反対的な考えを持つていた中央鬪爭委員が騷ぎまして、ずいぶん混乱いたしまして、最後にはそれがきつかけとなりまして、中央鬪爭委員の者が一部退場するというような場面もできましたが、そのときには私も率直に言いまして退場いたしました。
#226
○鍛冶委員長 すると結局提案ということだけは認めたが、内容までは中央鬪爭委員会で認めておらなかつたわけでありますね。
#227
○菊川証人 そういうわけです。
#228
○鍛冶委員長 それでこの鬪爭方針のうちで、最も議論のあつたのはどこでありましたか。
#229
○菊川証人 これは國鉄の労働組合の実情をあなた方によくおわかりになるように、少し時間がかかつてもいいが説明したいと思います。これはいまさら隠すよりも新聞等で御存じだろうと思いますが、共産党のグループの人と、これに反対するところの民主化同盟のグループの者と、革新同志会というのと三つあるのですが、國会においてあなた方におわかりやすく申し上げますと、社会党と労農党と共産党というふうにお考えになれば一番よくおわかりになるだろうと思います。そういうふうになりまして、前日には……(「民主自由党はないのか」、「國協党はどうだ」と呼び、その他発言する者あり)委員長、ぼくはまじめに話しているのですから、やじを制止してくれぬことには発言をしません。そのかわり皆さんのおつしやることは十分お聞きいたしますから……
 それで、この三派がありまして、中央委員会が開かれるという前の晩には、宿屋へ集まりまして、それぞれ協議をするわけであります。やはりどの派でも六項は重点になつたと思います。この六項を共産党員であるところの井上君が出したのだが、このまま押し切るというのには相当革同の連中も不満があつたように見えます。というのは井上君が相当この説明にあたりましては、特に官憲の彈圧や命令があつてもというのは、二・一当時のようにラジオの前に委員長が立つて、やめよというような放送をしたくらいでやめてはあかぬ。そんなことならやらぬ方がましだ。腹をきめて一人になつてもやるようにしなければならぬというような、相当元氣のよい提案理由の説明を中鬪でもいたしておりました。革同の諸君も一應このままではいけないというので、この原案の審議にあたる前に、六項に行つたときに、すぐ革同の人でありますけれども、大阪の出身の中央委員田村君が、これはちよつとどうもわれわれとしてはあまりに中央委員といたしまして了解できにくいからというので、今問題になつております最惡の場合は、ストをも含む実力行使を行うというふうな程度に修正したらどうかという修正案が出まして、その修正案をめぐつて論議を展開されまして、この六項の原案なるものは、ほとんどこの修正案によつて、あと大した論議もされなかつたわけであります。そういう点でぼくらといたしましては、この列車をとめることと動かすことは、前の晩に打合せするときにも、率直に申し上げまして、國民の意思によるよう準備するという、その意思の現わし方を一体どうするんだ。たとえばどういう人が言つて來たときに――國会の議長が來たときに國民の意思と考えるか、あるいは市会で決議したことできめるか、あるいはどういうふうにしてこの意思をきめるかということを十分提案者の眞意を聞かなければならない。それはちよつとむずかしいだろうと思う。総投票によつてきめてもらうか、どういうふうにするんだということを十分聞こうじやないかということをわれわれとしては考えておりました。しかしそれは問題にならなかつた。次に官憲の彈圧や命令という点につきまして、これは前のときにマッカーサー元帥が直接命令を出されましたが、またああいうことがあるが、そういう場合をどういうふうに考えるかということも、あまり感心したことじやないけれどもあり得ることだから聞こうというふうな意見もありをしたけれども、こういうことは問題にならずに、すぐこれでは困るということで革同の先ほど申し上げました田村君が修正案を提出したので、共産党の人たちも、自分のグループの人たちも、自分の、主張だけを押し通したのではとうてい通る見込みがないというので、すぐそれに同調しまして、田村君の修正案を中心に論議された。從いまして井上君の今申し上げました原案というのは、中央委員会における論議の対象とはほとんどならなかつた、ということを申し上げます。
#230
○鍛冶委員長 その前に、この修正案が出る前だろうと思いますが、相当活溌な質疑應答があつたようですが、その大要はどんなものですか。
#231
○菊川証人 質疑應答で一番議論になつたのは、――これは速記じやありませんから多少違つておるかわかりませんが、一番重点になりましたのは、高崎支部の中央委員である大和與一君から、指令権はどこにあるのか、本部にあるのか支部にあるのか問題だ。組合運動として指令権はどこにあるのか、この点をひとつ鈴木副委員長と高橋書記長とから明確に答えてもらいたい。こういう質問があつた。これはこの大会における一つの重点だろうと思います。これに対しまして鈴木君からの答弁は、組合運動は生きものであるから、そのときに適合した方法に從つてやるんだ、規約が適合しなかつたら適合するようにわれわれは考えなきやならぬ。責任は中鬪が持つと思うけれども、こういう大きな鬪爭になつたら全組合員が負うように考えなければいかぬ。それから指令権というのは、行動を決議する機関の決定が今次鬪爭における指令権である。こういう結びで、これが一貫した鈴木副委員長の考えの指令権の所在だ、こういうふうに思いました。これにつきましては大和君らは強く再質問をいたしまして、この問題で議場が騷然となつたことは事実であります。高橋君の説明につきましては、ちよつと反対鬪爭の再檢討を要請されていることか、すつきりとわれわれのいわゆる民同の主張のように、本部でも持つのだ。あるいは支部、分会で決議して持つのだというふうに、すつきりとせずに、どつちにもつかぬように説明されて、ちよつとこれはわかりにくかつたので今ここで申し上げることはできないが、あとで來ると思いますから、そのときお聞き願いたいと思います。それがこの第六項を審議するにあたつての一番重点的な問題だろう、私はそういうふうに考えます。いろいろありましたけれども、ほかに証人も参りますから私ばかりそうしやべつてもしかたがないから、重点的な問題だけをまずお話しておきます。
#232
○鍛冶委員長 そこで承りたいのですが、この決議の内容ですが、ストをも含む実力行使ということです。ストはわかつておりますが、スト以外の実力行使を行うということは具体的に言うとどういう内容のものですか。
#233
○菊川証人 私はこれはいろいろあると思うのです。ストというと一應國民にも影響いたしますけれども、たとえば管理部、あるいは局等におきまして、職員の今度の首切り反対鬪爭にからんでの問題でありますが、履歴書をちやんと戸だなにしまつてあるのです。そうして局長なり総務部長は皆の首を切ろうと思つても、組合員が全員一致して反対したらなかなかそう簡單にやれるものではない。総務部長が一一紙に書いてやるわけにはいかぬし、みんなの試驗をするわけにもいかぬから、そういうものをうまく拒絶するような方法をやる。これは業務命令の違反にはなりましよう。しかしそれをやつても國民には少くとも大した迷惑をかけません。方法はいろいろありますが、そういうのも一例だと思います。ここに戰術的に先ほど言つたように、こういうのはあまり一々言わない方がいいだろうという点もありますので、これは組合の許された範囲内でやる。その点が合法か非合法かということは、われわれは合法だと思つてやつても裁判所ではあるいは非合法であると判定されるかもしれない。しかし私たちはそういうのも実力行使である。業務命令の違反にはなりますが、実力行使である。一例を申し上げまして、どういうことがあるかということを今ここでお話することは私ははばかりたい。
#234
○鍛冶委員長 そこで今おつしやつた合法か非合法かという問題ですが、非合法でなければ実力行使をやらぬというのですか。――合法のものはやらぬというのですか。
#235
○菊川証人 これは私はやつた場合にはおそらく公共企業体労働関係法十七條違反ということを言うて來るだろうと思います。しかしながらこの実力行使という場合において、われわれとしては合法と認めてやつたような実力行使もあると思うのです。ストライキになつてしまえば、これは異議なく、何といつても非合法だと認めざるを得ないと思います。私はそう思います。あの法律は惡いけれども一旦通つてしまつた以上はやむを得ぬ。
#236
○鍛冶委員長 そこで先ほどの議論になつたという官憲の圧迫や命令があつてもやめないということは合法、非合法を超越したことでしような。
#237
○菊川証人 まあそのぐらいな決意でしよう。井上君は御承知のようにこの間の証人にも來たと思いますが、相当階級意識の――何と言うか鬪士としてやつておりますから、実はそのくらいな元気は持つておると思います。しかしこれは今も申しましたように、中央委員会で提案説明はやつたけれども、すぐ修正案が出てしまつて、それを中心にやつたからこれは論議の対象にはならなかつた。このことを繰返して申し上げます。
#238
○佐々木(秀)委員 菊川さんに一つ簡單にお伺いいたします。熱海大会の大体の総費用はどのくらいかかつておるのか、おわかりでしようか。
#239
○菊川証人 これは私報告を受けていませんので開きませんけれども、いろいろ考えまして三百万円か五百万円くらい大体においてかかつておるだろうと思います。
#240
○佐々木(秀)委員 そうするとこの間、鈴木君から百万円とちよつと以上だという話でしたが、大分違うようですね。
#241
○菊川証人 これは本部だけの支出以外に、支部から傍聽者も参つておりますし、その人たちもやはり組合の金で旅費をもらつて來ておりますから、それやこれやを加えますと二、三百万円くらいかかつておると思います。
#242
○佐々木(秀)委員 そういたしますと一つお伺いいたしますが、この組合の規定の中に、十七條ですが、百万円以上の臨時支出をする場合においては大会の決議を経なければならないということが書いてあります。今お聞きしますと、まあ三百万円でも二百万円でもけつこうですが、事実百万円以上使つたということでありますれば、これはいつの大会で承認するのでありますか。
#243
○菊川証人 お答えいたしますが、今の、百万円以上の支出というのは予算に組んでない問題の百万円、たとえば共産党に百万円献金するというようなことを出した場合には、これは予算にありませんからやらなければならぬ。あるいは社会党に百五十万円寄付するというようなことは、やらなければならぬ。しかし中央委員会を年に四回やる、一回にこのくらいかかるだろうということは予算に組んでございますので、定期大会の承認を求めてございますから、これはいいのです。
#244
○佐々木(秀)委員 わかりました。もう一つお尋ねしたい。遵法鬪爭を活溌に行うということが第二項できまつたのですが、そうすると第六項のストをも含む実力行使を行うということは、ただいま菊川君の説明を聞いておりますれば、実力行使ということになれば法律に抵触するようなこともあり得るだろうというお話でしたが、これは遵法鬪爭を行うということと大分違つた決議になるように考えますが、どうお考えですか。

#245
○菊川証人 御説明申し上げます。まず遵法鬪爭というものをやつて、法律のわくからはずれぬようにやるのですが、しかしそれでも要求が通らぬというときに強いのをやつて行くというのが、労働爭議の行き方だろうと思います。初めからきついものを出すのではなくて、初めはゆるやかにやる。すれすれのところまで行つて実力行使をやる。こういう考えです。先ほど言いましたように実力行使をやるということになれば、これはやはり十七條違反ということを覚悟しなければほんとうのことはやれないだろう。私はそう思つております。
#246
○佐々木(秀)委員 わかりました。もう一つ、決意を表明するのだということを取上げまして採決したということを聞いておるのですが、それは否決された。決意を表明するというようなことできめたらどうだというようなお話があつたようですが、ありましたか。
#247
○菊川証人 そういう意見も一部にはあつたかもしれませんが、私よく覚えておりませんけれども、少くとも中央委員会できめる以上、こんな重大な、しかもこれはもう先ほども申し上げましたように法律のいい惡いは別といたしましても、はつきり言うと、とにかくこの法律を盾にとつてはむかわなければならぬ問題です。そういうのをただ單なる決意を表明するくらいなら、そんな無責任なきめ方であつてはいけない。みんながこれをきめる以上は、やはり責任と自覚を持つてやらなければならぬと思うので、その決意をきめるのでなしに、もしそういうふうに動くということになつた場合には、その結果その他を考えて、それはおそらく、組合の運命を賭しての行爲でなければならぬ。私どもとしては中央委員会はきめる権限はない。少くとも臨時大会においてきめなければならない。そういうふうな見解から主張したのであります。しかし時間的の関係上間に合わぬというために、それでは少くとも三分の二の多数決でやろう。大会において総罷業、総怠業をやる場合には三分の二がなければならない。ところがきめても從わなければ何にもならぬ。要は満場一致できまるような問題であつてこそ、初めて組合員も納得させて、みんな一致してやれるわけであります。しかしこれだけするどい議論が戰わされている以上、少くとも三分の二以上の賛成を得なければならぬ。それで採決をやろうという意見があつた。あるいは責任の所在を――今度大会において、この中央委員会が決意をしたその責任を追及されるというような場合も考えて、記名投票をやる、そうして責任の所在をはつきりしておけというような意見もありましたが、これはいずれも否決されました。もちろん規約の上ではそういうことはないのでありますが、異常のことをきめるのだから、そういうくらいな愼重を期せという意見で、ずいぶんけんけんごうごうとした議論が戰かわされましたが、そういうことは規約の中には書いてないという議論一本でする方と、いやそうでない、こういう規約の権限から行つても、きめることは異議があろうとも、そういうことをやろうとしているのだから、規約よりも愼重を期せという意見が対立したのでありますが、これも採決の結果ごくわずかの、約十票くらいの差でいずれも否決されました。それで無記名投票ということになつてしまつたのであります。
#248
○佐々木(秀)委員 大体私も今菊川さんのおつしやつたように想像していたのでありますが、先般の鈴木副委員長の証言によると、どこまでもこの決議は決意を表明するためのただ決議なんだということを何回も何回もここでおつしやつておられたのですが、鈴木副委員長が決意を表明するための決議だということをあなた方の前で、大会でおつしやつた御記憶がありますか。
#249
○菊川証人 私はそういう記憶はない。おそらく鈴木君の性格から、ああいう大会あたりではかなり元気のいい演説をされますので、私はそういう弱音をああいう公開の席上で吐く男ではないと思いますし、私は聞いておりません。しかし本人が言つたと言う以上、速記録、その他を調べて出て來た場合には、私は便所へ立つこともございますから、はつきりいたしませんが、彼の性格からいたしましても、そういう弱い演説はされないのではなかろうかと思います。
#250
○内藤(隆)委員 ちよつとお伺いしますが、決議案を提出して、それを説明した者はその決議の採決の場合に、これに加わることができるのですか。
#251
○菊川証人 私の方の規約では、中央委員会においては、中央委員のみが決議権を持つという規則がはつきりしている。決議権と執行権と分離ということを言つて、いろいろ論爭したのですが、今のところはそういうことになつておりまして、執行委員である者は、中央委員会においては決議権はないのです。昔私たちが初めて総連合会と言つた当時には、執行委員兼中央委員というわけで、みな加わつておつたのですが、この際は分離するということになつた。でありますから、中央委員に当選して、今度中央委員会の委員としてこつちへ出て來ると、私の次点の者が繰上つて、それで定数だけを充たしておりますので、提案理由を説明いたしましても、その決議に加わるという――賛成か反対かのときに手をあげることはできませんで、がんばれがんばれといつて、演壇からやじるくらいのことがせきの山であります。
#252
○内藤(隆)委員 そうすると、井上唯雄君ですか、その決議には加わつていないわけですか。
#253
○菊川証人 今も申し上げました通り、中央執行委員であり、中央鬪爭委員でありますので、決議には加わつておりません。
#254
○石田(一)委員 ちよつとお尋ねしますが、この中央委員会で、最終日に民主自由党の廣川幹事長、あるいは吉田総理もそんなことをおつしやつたように私新聞で見たのでありますが、この問題あるいは國電の問題等から、いろいろなことを考査委員会で取上げるということが新聞記事になつたときに、この考査委員会でこの問題で國電の問題なんかを取上げてもらいたくないというような決議か、正式な意思表示をなさいましたか。
#255
○菊川証人 これは中央委員会のほかの議案がどんどん済んでしまつてから、中央執行委員が考えていることを中央委員会が終る前に提案するのでありますが、そのときに緊急動議として、國電ストを考査委員会が一方的に取上げるようなことは反対である。もし取上げられたら、中鬪としてはこれに反対せよ、こういう緊急動議が提出されまして、決定しております。しかしこれについては國電ストの問題ではなくして、熱海の中央委員会の決定とは違うので、これは別に緊急動議に違反しないと思いまして、意見を述べに参りました。
#256
○石田(一)委員 もしそうしますと、その中鬪委で國電ストの問題をかけることに対してはこれに極力反対しろということが緊急動議として出ており、それが可決されているということになりますと、あなたたちあるいはそれらの人たちの関係者をわれわれがここにお呼びしてお聞きしようとするときに、これに対して断然拒絶するとか、中鬪委としてある手段をとろうということは考えられますか。
#257
○菊川証人 それは反対せよということは、われわれが合法的に反対しなければならぬということで、私は考査委員会の規則もよく知りませんが、これがうまく言いのがれる方法はないか、何とかのがれる方法もあるものと考えて、その点で、何も赤旗を持つて取巻くいて反対するとか、爭ぎをするというのでなしに、法律的に障らぬようにまずやろう。それをどうしていかぬと言つて引張り出されるようになつたら、出て参ります。これはしようがありません。
#258
○聽濤委員 私証人に二、三の問題をお聞きしたい。その前にお尋ねしておきたいのは、この前鈴木君やなんか呼ばれましたときに、お前は共産党員だとか何とかいうことを民自党から非常に言われましたのですが、私は現在の証人が社会党員であり、民主化同盟の一員であることをよく知つております。しかし私はそういうことは問題にいたしません。また問題にすべき筋合でもないのであります。あくまで中鬪委員の一員としてお尋ねしたい。
 第一にお尋ねしたいのは、先ほど委員長が問題にしておりました井上唯雄君が原案をつくつて、それが大会に持ち出されたということを、いろいろ各証人ごとに聞いているのでありますが、事実はそうでしようか。しかしながら中央鬪爭委員会にかけて、そして中央鬪爭委員会の名前においてこれが提案され、結局中央鬪爭委員会の責任において――とにかくこれが試案であろうと、何でありましようとも、大会にかけられたということは事実でありますか。
#259
○菊川証人 それには先ほども申し上げましたように、これは反対である。この六項についてはわれわれは徹底的にやろうと思つたが、これは中鬪でやつておつたら、わしも中鬪だと発言もできますから、そうなれば、てんやわんやできりがつかぬ、よつて中央委員会においてこれらの論議はどうしてもやる、むしかえしをやるのだから、あした中央委員会で堂々とやろうじやないか。われわれは意見が対立しているが、これをとことんまで行くのだからというので、この点をひとつ了解願いたい。われわれは賛成だという意味で何したのではなしに、これをやつておつたのでは二日でも三日でもかかる。そういうことをやつていたら中央委員会は間に合わぬので、そこでひとつ出そうじやないか……。
#260
○聽濤委員 それは了解しておりますが、私も念のために聞いて見たいのです。そうしますと、とにかく問題は内容についてはいろいろ異論はあつたけれども、中鬪の責任において案を出したことにはかわりがないのですね。
#261
○菊川証人 これは大分何回も申し上げましたが、その通りでございます。
#262
○聽濤委員 それからもう一つお聞きしたいのは、この採決の仕方につきましても、いろいろ異論も出て、相当激論もあつたようです。それからまた内容につきましても相当激論が鬪わされつつあることは事実でありますが、とにかく討論してあの六項目にわたる決議そのものは、組合のいろいろな規約やあるいは組合の民主的な運営の原則に從つてとにかく討論して決定せられたものであるということは間違いありませんか。
#263
○菊川証人 それは間違いありません。しかしそうだからこそいろいろ附帶的な問題もございましたが、これに反対することももちろん私も自由だろうと思います。認められてさしつかえないと思います。
#264
○聽濤委員 それはもちろんです。
#265
○菊川証人 組合運動は聽濤さんもおやりになりましたが、決定されても最後の瞬間まで反対であつた場合は、あらゆる方法をもつて反対するだけの熱を持たなければならないと思う。しかしやはり入るということになつたら一致して行動する。しかしそれまでは私はあらゆる機会をとらえて徹底的に反対するということを考えております。
#266
○聽濤委員 それはわかつております。最後にお聞きしたいのは、実力行使云々という点が問題にされているのですが、あなたは今ストライキということになれば明らかに公共企業体の十七條に違反して來る、こういうふうに答弁があつたのです。ところで実は考査委員会の性質から参りますと、ここで調べることは、中央委員会の決定が実際上日本の再建を妨害するようなものであるかどうかということがほんとうの問題であつて、合法、非合法ということになりますと、これは國にいろいろな機関もありますし、また議会におきましても法務委員会というものもありまして、そういう法律上の解釈の問題ならば、ほんとうはここで取上げる筋合いのものではないと思う。しかしここではそういう行き方もあえてしているのかもしれませんが、ただここでお尋ねしたいのは、ここでいわゆる法律に違反しているか、いないかということを聞きまして、そして結局その背後には國鉄の中央委員会の決定した事柄は、日本の治安を撹乱し、そして日本の再建を妨害する、こういうふうな含みを持つて聞かれているのです。ところがもしあなたがそういうことをある部分意識して答弁なさつたとすると、國鉄の中央委員会に対してあなたははたして責任を持てるかどうか。その点はどうですか。
    〔「脅迫だ」と呼ぶ者あり〕
#267
○鍛冶委員長 それこそほんとうの誘導尋問です。
#268
○菊川証人 脅迫は恐ろしくもございませんが、そういう点につきましては、私はこの行爲をやつた場合――あとでまた変に新聞記事に出さぬようにはつきりしておいてください。それでやつた場合には同盟罷業をやつたらいけないという。ストライキは同盟罷業です。これは非合法だと言われることになる。私はそういうことを言つたのであつて、決議したということについて政府あたりでこれは決議してはいかぬというのは、私は問題だということをあとで述べようと思つているのだが、あなたが今お聞きになつたから幸いで言いますが、決議したということをあふつた、そそのかしたと言うてひつかけようとしたということが新聞にも出ましたが、私はこれについては断固反対しなければならない。ということを讀賣新聞でも発表しておきましたが、そんなばかなことはないと思う。あふつたということは現象として現われてこそ初めて言えることであつて、そういう因縁をつけようと思えば、私がどこかへ行つてちよつと口を出してしやべつても、あいつはあふつたというような因縁はいくらでもつけられる。それは機関紙に論説を書いたり、新聞等に発表するとそれを取上げてあいつがああいうことをやつたからこうなるのだということになるのでありまして、それはどうかと思います。それは正式の機関で決定して指令を出したときに初めてそういうふうに書かなければならぬことであると考える。あふつた、そそのかしたという見解につきましても、これは一体どこで判定するのだということがはつきりしていない。ところが運輸省並びに國有鉄道側は総裁が勝手にきめてもいいのだということになつておる。一旦きめたらこの法律によつて保護を受けないと十八條に規定した。労働法としてこんな惡法はない。きめるのはよいが、きめてもわれわれは不満である。私があふつた覚えはない、言いがかりだと申しましても、共産党の方々と、民主党の方々と、社会党の諸君ではおとりになる感覚が違うと思う。そういう意味からいつてとり方はいろいろ違う。菊川はこういうふうに言つたからこうやつたというふうに因縁をつけようと思えばいくらでもつけられる。その判定をつけるのに、そういうつもりで言つたのじやないということで、仲裁委員会で裁断を仰いで、それでも不満ならば裁判所に行つて公正な裁判を受けるべきである。しかるにもかかわらずお前ら不満だつたらすぐ裁判所に持つて行けと言つておる。この法律で行くと、裁判は費用がかかる。弁護士を頼んでやつたらなかなかわずかな費用ではできない。そういうのを保護するのが労働法でなければならぬが、そういうことはなされていない。十八條に違反であると一方的に判定してばらばら首を切れることになつておつて、この法律によつて仲裁委員会にも持出すことができないと解釈しておるのは私は反対である。これは絶対的に合法的に鬪うべきである。あらゆる世論の力を背景にして鬪うべきである。政府はこういう決定をしたということが新聞にも載つておりましたが、仄聞いたすところによりますと、さすがに檢事総長にこれについては自信がないと言つて異論が出たということを聞いております。明治時代に大津事件の際に兒島という判事が断乎として日本の法律を守つたが、われわれの判官の中にもやはり相当な硬骨漢がおるということで、私は痛快の念にたえません。それだけお答えいたします。
#269
○聽濤委員 鈴木君の意見もあなたのおつしやるような意見だつたと思います。
#270
○小川(半)委員 一つだけお尋ねしたいと思います。決議したことそれのみでは非合法的なものでもない。これはあるいは解釈によつては一應はそうともとれる。しかしながら何と申しましても、この國鉄の労働組合は日本最高のいわば日本の労働組合の一つの模範と言われるような、最大の機関である。單なる一町工場の労働組合と違つて、この組合の動きが國民に與える影響は、組合の動き方によつては大きなものであると思う。いわんやこういう決議をした場合、國民に與える刺激というものも大きいのであつて、しかも今後惹起されるいろいろな事件を誘発する含みを持つておると私は解釈する。ですから私はこういうことを決議しただけでは非合法でないといつて一笑に付すわけにも行かないと思う。あなた方はそのときに、國民に與える刺戟というものは相当大きいものがあるということをきつとお感じになつたろうと思う。何ら感じないで、無神経的にこれを通過されたのですか。あなたのそのときの感じをちよつと聞いておきたいのです。
#271
○菊川証人 私は組合運動というものは、國を再建するという考えでやつておりますので、決定いたしましても、われわれが少くとも中央鬪爭委員会におる以上、別に不安になるようなそうむちやなことはしないというだけの確信を持つておるものですから、とにかく誠意をもつて國民に迷惑をかけるということのないようにやろうという考えでおりますので、そうあなたが御質問のような意味には私は考えなかつた。これは感覚が違うと言われればそれまででございますけれども……
 次にここでひとつ私は反論として申し上げたいのでありますが、こういうことを言つてはどうかと思いますけれども、われわれの規約というものは労働省に届けてある。それによつて一應労働省も認めて、今の民自党内閣の労働大臣の鈴木さんもお認めになつて、私たち調停委員の選出、仲裁委員の選出をやつておられるが、この規約の中には鈴木さんが見落されているかもしれんが、とにかく大会において総怠業、総罷業をするときは三分の二でもつてきめなければならぬと規約に書いてある。書いてあつても一應そういうことを了承のうえで、この公共企業体労働組合法に相当する法規であると認めて、私たちを呼んで調停委員、仲裁委員の選出についてもお話合になつて國鉄労働組合はそうむちやな動きをしないということを鈴木さんも十分信頼して私たちの相手になつておられるとこういうふうに考えまして、そうあなたのおつしやるようには私は考えなかつたのです。しかしこれはやつたら組合の運命に関する問題だというので私は重大に考えました。組合そのものについても、それから國のためにもこういう復興途上の現在の現在社会不安が非常に増大しているときに大しているときに、國鉄がこういう行為をやるということは私は反対であるし、それで徹底的に合法の線であくまでも鬪うべきである。特に民自党の皆さん方に訴えて、こういうむりなところが出て來るのだから、あの定員法は一應通過してあるけれども直していただくように運動して話せば、民自党の皆さん方がこれを御了解くだされば、これもなく済むのでありますから、そういう運動を一人一々に説いてまわつても、もし臨時國会が召集されればあたつて、國の再建として、これだけ首切つても一年に四十億か五十億の問題です。この問題を國のこういう問題にまで発展させるということは非常に遺憾であつて、あるいはそういうことを望んでおる人があるかもしれませんが、私はあくまでもそういうことをしたくない。あくまでもこういう考え方からそういう運動をしておる。

#272
○小川(半)委員 あなたのお説を聞いておりますと、決議そのものはこれはから宣傳にすぎないのだ。主体性はそういう実力行使までも入らぬというところにあつたのだ、こう解釈してよろしいのですか。
#273
○菊川証人 念のために申し上げますが、五項目を十分やつてこれに入る場合はなおさらに諸般の情勢を考えて私はやるべきで、さらにこの指令を中鬪で出そうとも、私らは中央委員会の決定であるからやむを得ぬと言つて私は納得しないつもりです。この指令を中央委員会が、そうしてまた支部、分会なりが、この情勢この事態に來ているということを決定してここに入つても、私はまあちよつと待てというふうにとめるだけの発言をしたいと思います。私中央委員会でそのために努力したい、こう思つております。それだけ愼重を期しているのですから、こうきまつたからすぐに明日でもやるというふうにあまり神経質にお考えになるのもどうかと思うのです。
#274
○篠田委員 今の小川委員の質問に関連しておりますからお伺いしますが、ただいまの証人のお話によりますと結局においてこの決議が努力を生ずるか生じないかということによつて合法であるか、非合法であるかということが決定される、こういう見解だけをお持ちですね。
#275
○菊川証人 ……
#276
○篠田委員 ところがこの決議というものは明らかに法律で禁止されている、禁止をされていることに対してその法律を破るという決議であるからもう少しそれは一つの行動に現われたものであつて、單にあなたがよそでしやべつて個人的意見を新聞に発表したという場合と違う。國鉄の中央委員会という公式のものにおいてこの法律を無視したという一つの行動がそこに現われている以上、これは明らかに非合法的決議である、こういうように私は解釈するのですがそれはいかがでありますか。
#277
○菊川証人 それだけはいくら御追及になつても、私は少くとも決議したことによつてすぐ十八條を適用するということは行き過ぎだと思う。私はどう考えても納得できない。それならばそういうふうなことで告訴をして法廷に爭うということになつて……
#278
○篠田委員 爭いの問題は別です。
#279
○菊川証人 私は少くともその程度――これは皆さん、ちよつと考えがいかぬというようにおつしやられるかもしらぬが、それはストをやつた十七條違反と云われても仕方がない。これは論議の余地がないが、決定したことは十七條違反になるかということについては大なる疑問がある。ちよつとむりだと考える。
#280
○篠田委員 わかりました。あなたがこの決議に対して反対された、退席されたということにどういうところにあるのですか。
#281
○菊川証人 それはやはり自分の信念に從わない、合致しない問題に決議をされるということはたれでも不満だと思う。
#282
○篠田委員 信念に沿わないという意味は……
#283
○菊川証人 信念に沿わない爭議をやるのですから、今では現象とし現われないが、現われるかもしれない、その現われた場合はいろいろな問題が起きるから、これはできる限り食いとめてほかの鬪爭方法を決定させるように私が発言するのは当然である。今申しました退席したのは満場一致というときに、これに対して満場一致でないと説明させようというので、それをさせなかつたので、しまいにはお前らは默れという言葉を使つたから一度牽制する意味においてやつた。
#284
○篠田委員 あなたは反対であつたけれども多数によつて押切られた、この決議は、そうするとこれを実行するという場合に、やはりあなた方の労働問題に対する考え方はよく御説明を聞いてわかりました。ぼくも賛成ですけれども、しかしあなた方がいよいよ実行に入るというとき、あらゆる方法をもつてあなた方が反対をすると云われても、現に決議をするときにすでに反対をしておられる。しかし多数をもつてこれを押切られている。実行するときに多数をもつて押切られた場合にはあなた方はどういう態度をおとりになりますか。
#285
○菊川証人 これはそのときのやり方その他いろいろありまして、今ここで私はどうせいという、そこまでも本委員会において追求されるのはどうかと思います。ちよつとこれでいろいろ情勢がありまして、公式的には反対してもいけないと思う。できる限りはそのお答えは私はいたしたくないと思います。どうしても考査委員会の決議でもつてお前はやれというのならば、祕密会その他をやつてお聞きくださればお答えしてもよろしい。
#286
○神山委員 今菊川さんの名答弁で民自党の議員諸君もわかつたと思うのでありますが、一つ聞いておきたい点がある。今日の問題が菊川さんのお話の中でも六項の線だけが問題になるだろうと予測されておつた。また委員会の諸君が第六項だけをやかましく言うのでありますが、これを論議するためにはどうしても第十五回中央委員会で決定された鬪爭方針全体の問題だと思う。しかしその場合第二の鬪爭目標のうちに書かれていることが、あなた方の具体的鬪爭方針を根本において否定するものだと思うが、この点どうですか。
#287
○菊川証人 第二というのはどういうことですか。
#288
○神山委員 鬪爭目標というのがあるでしよう、これが根本的であつて、あとの六つの問題は具体的な方法にすぎないのじやないかということを私は言つておるのです。
#289
○菊川証人 首切りを不可能にし、修正予算を組み、首切り案を撤回するための國会を早く開かせると同時に、吉田民自党内閣を打倒する……
#290
○神山委員 これが問題の目標なんです。
#291
○菊川証人 そこで、ちよつとお断りしておきたいのですが、民自党内閣を打倒すると言つても、ぼくも社会党員として、当然……。しかしそれは直接行動によつて私は打倒したくない。総選挙において徹底的に言論をもつて鬪つて、そうして打倒する、こういうふうに私は行きたい、これだけははつきり申し上げておきます。直接行動で、いわゆる爭議行爲で責任を負わして倒すというようなことはやりたくない。
#292
○神山委員 ですから今菊川さんの御意見は御意見として、私のお尋ねしたのは、中央執行委員であるあなたにお尋ねしたのは、組合の決定の文字は、あなたのおつしやるような方法やあるいは直接行動によるものがあるかもしれない、それとの対立や差異というような問題を、私に全組合員の意思として、首切りを撤回してもらわなければならぬ、そのために臨時國会を開いてもらう。そうしてわけのわからない民自党の内閣をつぶしてしまえ、こういうことなんでしよう。
#293
○菊川証人 そうです。いま申し上げました通り、たとえば共産党は内閣不信任案を出される場合に、なるべくこれに多数の賛成を得るようにやつていただいて、もし民自党の不満の人もうまく集めて賛成してもらうようにできればけつこうだと私は思つております。不信任案が通りまして、あるいは國会の解散を要求して、國会を解散して、そうして今度は定員法は是か否かということを國民の輿論に訴えるというような鬪爭をやる、そういうような意味の打倒を私はやりたいのであつて、直接行動によつてやるということはやりたくない。こういうことに神山さんは御反対かもしれませんが、私はその点だけは……(拍手)
#294
○神山委員 どうも菊川さんが頭がいいので、一方的に解釈されますが、私の聞きたかつたのは、先般全國鉄の六十万の兄弟が中央委員会で決定したことは、ここに書かれたことが、根本目標だということを確認してもらえればいいわけです。
#295
○菊川証人 その目標は私も社会党の中央執行委員に選ばれまして出でおるのでありますが、中央執行委員会においても、吉田内閣打倒、社会党單独内閣樹立という目標を掲げてやつておる。そのくらいな元氣がなければだめだ。それも直接行動でない。そこは先ほども言いました。
#296
○神山委員 この根本目標に從属した六つの具体的な方法というものは、これに從属しているのだということを私は確認しておきたい。
 もう一つ、その次にお尋ねしたいのは、さきの中央委員会と、それから大会との関係ですが、この点はこの前鈴木君が証人に來たときに若干考え違いがあつたので、私が規約をひつぱつてお尋ねしたのでありますが、大体きようあなたがおつしやるように、中央委員会が直接大会にかわるだけの権限はないということは、鈴木君も結果においては認めておるのですから、その点はやはり確認しておく必要があると思う。しかもここで大事なことは、第一の点、大会決議の具体化の第一項目がありますね、これは琴平大会で決定さ、れた一九四九年の鬪爭方針ですか、これに基いて、しかもその後の諸経驗を生かしてというふうになつておるので、從つてこの中央委員会の権限は琴平大会の決定をひつくりかえす力はないのだということをはつきりさせる必要があると思う。
#297
○菊川証人 そう、その通りで私は反対した。実は琴平大会でもう民自党の、絶対多数ということはきまつておる。それから経済九原則も出ておる。おそらく大量首切りをやつて來るだろうということは、少くとも國鉄の大会の代議員になるような者はわかつておる。こういうコースをとつてくるくらいのことはわかつておる。またその通りにやつて來ておる。これはおそらくだれもわかつておるだろう。そのときにおいてもうまぎわになつて大会をやることはない。わかつておる、こう考えたときに、六項の決定をしておくのがいい。それくらいの見通しをもつてやるのでなければいけない。ぼくは最惡の場合にはそれを中央委員会に一任すると言えばよいけれども、ゼネスト、三分の一の決定をしてないというところに、やはり私は現在の状態においてそれをやるということについては、私は相当愼重なる態度を期すべきだというのが、私は代議員の良識ある決定であつて、そうしてそれを出さなかつたというように考えておる。しかもそういう考えから言つて、私はこれを中央委員会できめることがむしろ大会においての決定に違反である、私はこういう見解を持つておる。実力行使を琴平の大会においてきめておくべきだとわれわれは思つた。少くとも民同の連中はそういうふうな考えです。それを中央委員会においてきめるということは、これこそ……。しかしその行き方において大会できめた線内においてやることは私は大いにやらなければならぬし、こういうように考えておつたんです。
#298
○神山委員 あなたのおつしやることはよくわかりました。私のこの間から指摘している点は、根本において琴平大会の線に沿つておるということです。ストを含む実力行使というのは先ほど、あなたもおつしやいましたように、たとえば履歴書の例が出ましたが、非常に業務命令違反その他を含むところの非常に多面的な鬪爭形態を含むわけですから、從つて規約にうたつてある総罷業、総怠業というものは直接関連はない、これから先どうするかという問題になれば、あなたはひとつうんとやつてもらいたい。
#299
○菊川証人 神山さん、総罷業、総怠業とおつしやいますが、総罷業、総怠業というのは、これは労働法規もまだ改惡されない前のこと、総連合ができたときの当時であつた。労働関係調整法があるときのことであつて、公共企業体労働関係法その他でしめつけられておるときに、これだけの行爲をやることも、あのときに総罷業、総怠業をやるということも、組合員が運命をかけてやらなければならぬという重要度合においては、あの当時に総罷業、総怠業をやるよりも、今多面的なストをやる方がむしろ私は組合に対する打撃が大きいのではないか、そのくらいに考えて、これは十分愼重にやるべきだ、しかし私は決して何でもかんでも全面的な否定主義者でもなくでもない。時期と方法その他においてはあるいは賛成する。現在の段階においてはこれはかえつて民自党の待受けている張つてある綱に引つかかつて行くようなものであるから私はやらぬ、社会党單独内閣でもできたときにやるべきだ、こう考えておる。
#300
○神山委員 菊川君の御説を承るような形になつたんで、これ以上あなたと論議する氣持はない。ただ私は方針が全体として琴平大会の線に乘つておるということと、それから今あなたがおつしやることを事実によつてやるというようなことを言えば、あなた自身がこの規約が生きておる、鈴木労働大臣それを知つているくせに認めておるというような話もあつたくらいですから、今お互いこれからどうするかという問題については、大会できめるか、改めて中央委員会の決定の線で行くかというような問題については、私は組合できめてもらいたい。從つて先ほどから他の民自党や民主党の諸君が聞いておる第六項ということはただちに一定の具体的な問題、ストライキをやるかということを意味するか、しないか、私はこの点はしないというあなたの言われておる点が正しいと思うが、いかがですか。
#301
○菊川証人 今の御発言はストをしないという意味だというふうに……
#302
○神山委員 いやそういう意味ではない。先ほどから小川君の質問の形ではつきり出ていると思うのですが、これはこういう情勢になつたらやるということではないか、こういうことを言つておるわけです。それは私はあまりに形式的な一方的なきめ方なんではないかと思う。將來の情勢はどう発展するか、あなたのおつしやつたように、組合内部の情勢もわからないときだから、あなた方の十五回中央委員会の決定だけから必ずストをやるというように一定の條件があつた、すなわち團体交渉決裂した場合には、必ずストをやるのだというようにさつきから誘導尋問しておるので、私はどう考えるかということを聞いておる。
#303
○菊川証人 これについてはこういうふうに承つておるのですが、最惡の場合とは本部の國体交渉が決裂した、私は少くも信念に從つて言つておるので、機関の正式な決定によつて――テロによつて排斥されるのは断固反対ですが、正式機関によつて批判されて組合運動から退けられるのはやむを得ないので、私は言いたいだけ言う、しかしなぐられたりすることは反対で困る。最惡の事態とは本部の團体交渉が決裂したときというふうに確認しておりまして、「本部の團体交渉が決裂したときは支部分会は当局の一方的実施を拒否して最下部の責任の持てるようなかつこうで行く。それから集約は中鬪の責任において行う。」こういうことになつておるので、こういう確認がついている以上やはりあなたがおつしやつたように事態がここに來たからすぐ形式的に飛び込もうというようには、一番戰鬪的であるといわれるあなたの共産党の諸君もおそらく考えてはおるまいと思う。しかしぎりぎりのところに行つたならば、やはりやるだけの考えはあるのではないか、なければこういう決議をしない方がいい。私たちはこういうことは問題にならないというつもりで公開でやつたので、ほんとうは公共企業体労働関係法に徹底的に反対して、十七條に違反してやるという場合には、やはり戰術会議は公開であんなに堂々とやるべきではない。あれを平氣でたれが來てもいいようにして、たとえば警視廳の方々までも來ておられたのであつて、その前で堂々とやつたというところにあまり十七條違反ということについてはたれも考えていなかつたということだけはお認め願いたいと思います。
#304
○神山委員 それさへはつきりすればいいのです。
 それから琴平大会で國鉄防衞鬪爭というふうなことを言われておりますが、なぜああいう呼名をつけなければならなかつたような状態にあつたのか、この点一つだけお尋ねしたい。
#305
○菊川証人 防衞ということについてはいろいろあるのですが、最近のあの列車妨害も防衞しなければならないと思うのです。まずああいうものを一番先に防衞しなければならない。それから列車事故というものも困るので、予算が削られて行くということになると、どうしても儉約々々ということになつて無理をすることになるから、予算を獲得することも國鉄を守るという意味です。それで私の方は実は再建鬪爭という案を出したのですが、共産党の方は防衞鬪爭がよかろうという案を出した。当時私は副委員長をやつておりまして民同の線が数が多かつたものですから原案を再檢討するという名前で出したのですが、琴平の大会でわずかの差で防衞鬪爭に直つた。しかし字句の表現くらいにこだわらなくても、要するに國鉄を少しでもいいのにしたい、昔のまま、あるいはそれ以上のものにしたいという熱意の上においてはかわりはないのではないかと思うのです。
#306
○神山委員 今あなたのおつしやつたように現在の國鉄の荒廃の状態、あるいは國鉄從業員諸君の待遇の状態がひどくなつているというようなことを含めて、当然これから起つて來る國鉄從業員の困難な鬪爭については、あなたは協力一致されることを確信して私のお尋ねを終ります。
#307
○菊川証人 協力するということはどういうことですか。
#308
○神山委員 六十万組合員の指導者としてあなたが奮鬪されるようにお願いしておきます。
#309
○菊川証人 奮鬪するということならいいのですが、協力するということでは……
#310
○鍛冶委員長 そういうことは証人尋問の範囲を逸脱しておる。
#311
○小玉委員 あなたは信念に從つて決議に反対された。その信念というのは共産党の方はいわゆる議会主義を認めない、ほんとうに定員法を認めないでストなどの実力行使をして、結局吉田内閣を倒す方向に行くという。あなた方はどこまでも議会主義で行くという。この二つの考え方がこの決議をする際に根本的にあつて、それがあなたがその決議の際に信念をもつて反対されたという根源になつておるようなことはございませんか。
#312
○菊川証人 今共産党うんぬんと言われたのですが、やはり共産党も議会を尊重するというので神山君あたりもこの考査委員会に出て來て自由党の諸君とともに國家再建のために論じておる。だからこれはやはり現実に現象として現われて來た場合に徹底的に考査、委員会でやるのですから、そういう問題はそういうときに取扱うべきであつて、人の言うことを一々信じないということになれば、人間のやることは皆んな信じないということになるので、私はそういうふうな考えは毛頭持つておりません。しかし私は社会党員である限りはやはり社会党の考え方は持つており、できたら全國がそういう主張のようになることを私は期待して、あらゆる機会を通じて主張しております。
#313
○小玉委員 しかしあなたは先ほど一項から五項までの鬪爭をやつてみて効果なく、ぎりぎりの場合になればいわゆるストをも含む第六項を実行に移すというのでなければこの決議が無意味になるとおつしやつたでしよう。
#314
○菊川証人 そうです。
#315
○小玉委員 そうしますと、ぎりぎりの場合には法にそむいてもストをやるというのがこの決議の内容だとすれば、その結果は結局全國的に國鉄のストをやればあるいはそのために吉田内閣が致命的な傷を受けることになるかもしれない。そうすれば議会主義によらずして政府を倒すという結果もあり得ると思う。その点についてはあなたはどういうふうに考えられますか。いわゆるぎりぎりの場合にやるというが、その宝刀を持つておる。その宝刀というものは結局議会主義を否認するところのやり方である。そうでなければこの決議は意義がないことになるわけですが、ぎりぎりの場合にはストをやるという意思をもつておることは、神山君のように議会に出ておる人はいいですが、その根底においては議会否認の思想があるのではないかと考えるのですがどうですか。
#316
○菊川証人 これは大事な問題ですから全般的な問題として世界の歴史をひもといてみますと、労働不安が釀成して行つたときには共産党の温床になることは事実です。これは私も認めます。もしそういうふうにさせんようにするために――あなたは民自党かどうか存じませんが、民自党の方であれば、おれたちも民自党が少くとも賛成した定員法についてはお前らの言うことを聞いてやるというのでお聞き願つて、直してやるということを確約してくだされば非常にいいと思うのです。そういうふうに行けばこの問題は双方円満に治まるのではないかと思うのです。
#317
○小玉委員 ちよつと問にそれたような嫌いがありますが、ぎりぎりの場合はストをやる。そのストは違法である。そのことを意図してこの決議をやつておるということになれば、その結果あるいは國鉄その他にストが起つて、結局吉田内閣に非常な致命傷を與えたとすればそれは議会方法によらずして政府を倒すところの手段たり得ると思うのですが、そういうふうに解釈できませんか。
#318
○菊川証人 それはあなた方がそういうふうに御解釈になれば私たちの宝刀はそういうふうになるかもしれません。
#319
○小玉委員 そこで行き方によつては労働運動としては許さるべきでないという根拠からあなたは反対されたのではないかと思うのです。だからその反対された諸君は実力行使の方法によつて政府を倒すということを意識してこの決議をしたというふうに受取れないかということをお聞きしておるのです。
#320
○菊川証人 そこまで突込まれるとはつきり私は言いますけれども、現在の段階において一應あなたのような見方もありますけれども、あるいは彼らは相当このごろは成長しておりまして、形式論者ではなく、彼らも大分賢くなつておるので、こういうことを一つ戰術的に打出そうという見方と、二つの見方がある。戰術的に打出せば民自党としてはやはりこれは行き過ぎだ、あばれさせちやいかぬから引直すだろう、そういう効果をねらつておるかもしれぬ。その二つの見方があると思う。それを人の腹のそこまで割つて見ることはできないのであつて、彼らと討論する過程においては、あくまで深刻につつ込んでやりますけれども、やはり私は労働組合員であり、同じ組合員である限りにおいては、ここへ出て來たときには、私はそういう二つの見方があるという程度でおきたいと思います。
#321
○小玉委員 それでよろしいのだが、要するにこの決議は、惡く言えば二股作戰と言うか、情勢に應じてはやる、情勢に應じてはやらぬというような二股作戰的な意味を持つておるというふうに鈴木氏の証言では、私の感じではそういうふうに受取つた、いわゆる二股作戰と言うか、あるいは柔軟作戰と言うか、情勢が惡かつたらこの決議はやらぬ、ひつ込める。國民の支持があつて情勢がいいというと、これを進めて行く、そういうような柔軟戰法ないしは二股作戰的なものであるか、あるいはさつき言つたように、これはあなたが触れられた点であるが、実際やるべきものであるか、あるいは單なるゼスチュアであるか、この三つを出でないと私は思つておる。大体この実力行使をやるという決議の解釈、あるいは國民のある者が解釈する態度というものは、あなたとしてはその三つのうちの、どれであるというふうに、腹は――人の腹まで探るということはできないと言うが、人の腹を探らなくて、この決議に反対する、せぬという態度はきまらぬので、向うの腹はどうだということがわかつて、民同系の人が共産系のやり方について批判ができ、行動ができるので、人の腹がわからぬであなた方の腹がきまるということはあり得ない。これはどういうふうにお考えになつておるか、あなたの感じは……
#322
○菊川証人 これは私はあまり形式的にそう割り切るのは――別にここに共産党がおつて、こわいから言うのではありませんが、それを出すのはどうかと思うのでありまして、やはりそういう三つくらいの見方をいずれもとれるように考えておるところのりこうさを持つておると私は思つておる。
#323
○小玉委員 それから組合内部の動向について、大分民同派がこの決議に支配されないと言つて脱退しておるというようなことを新聞で拜見するのですが、現在のこの決議をめぐつて後の組合内部の動向というものは、大体どういうふうに進んで行くようにあなたごらんになりますか。
#324
○菊川証人 これはいよいよ実力を行使する場合になつたら、どういうふうに現われて來るかわかりませんが、いずれの決議をいたしましてもわれわれ民同が絶対多数を占めておつて、私も三回ばかり副委員長をやつたのですが、私が副委員長をやつておつたときは、民同が絶対多数でしたが、そのとき決定したことに対して共産党の諸君もあらゆる手を通じて反対をし、極端な例ではこういうことまで言つた、西尾から一億円の金をもらつて二千九百二十円をのんだというようなことまで電産の大井町支部の細胞だというふうにして共産党の方ではばらまいたこともあつた、私の方ではそういう惡どいことはしませんが、反対することはやはりやります。その問題は調査委員会にもかかつてやりましたが、反対することはやりますが、現象に現われて來たことを、それをやるということになつたときに、お前どういうつもりでやるのかということを、この考査委員会でそこまでお聞きになることはどうかと思います。そういうことはお答えする必要がないのであつて、そのときの場合によつていろいろの処し方はあるのであつて、それをここで言つてしまえと言つても、公式的に私は割り切ることはできないと思う。
#325
○小玉委員 わかりました。もう一点これに関連して、法律では公の秩序善良の風俗に反する契約は無効だ、こういう規定があるわけですが、この実力行使の決議は、いわゆる公共企業体労働関係法の十七條に違反することになる素地を持つておる決議なんです。かような法律に違反する内容を持つておる決議というものは、あなたはこれが決議としてできた以上はわれわれに拘束力があるとおつしやるのだが、たとえば人を殺すというような契約、あるいは放火をするというような契約をする、そういうものは法律に違反するから有効なものではない。そういうような意味でやはり十七條に將來違反するようなものは、今言つたような公の秩序を乱す結果になり、あるいは良俗に反する結果になるのですが、そういう意味からも、かような決議というものは決議としては存在しておるけれども、要するに無効である。國家的見地と申しまするか、純粹に法律的に見れば無効じやないかというふうに私は考えておるのですが、そういう点についてあなたはどういうふうにお考えになつておりますか。
#326
○菊川証人 私はあなたと考えが違いましてそうは考えておりません。というのは先ほども神山君の質問に答えたように、われわれの規約十七條というものは労働大臣に届けてあるのですよ、それには総罷業、総怠業の決行ということは三分の二で決議するときめてある。それは労働大臣が一應受付けて認めたはずだ、民自党の現内閣における労働大臣、その人が一應認めた。決議することを認めておるじやないか。
#327
○小玉委員 いつの規約ですか。
#328
○菊川証人 これは労働省で御調査願えばわれわれの規約は届けられておるはずです。
#329
○小玉委員 この法律が出たのちか。
#330
○菊川証人 出たのち――それによつて、調停委員も仲裁委員もやつておる。これは鈴木さんを証人として御喚問になつて責任を追求すべきである。そういう決議くらいは公共企業体労働関係法には違反しないと思う。これは確かに出ておるはずですから……
#331
○鍛冶委員長 それ以上は意見になりますから……
#332
○岡田(春)委員 議事進行について申し上げますが、委員の方の発言においても証人の方の発言においても、本日議題となつておる熱海國鉄中央委員会の問題に関する証人尋問をややはずれておる点が先ほどから大分私は承つております。こういう点については委員長の方において十分委員の統制を考慮されてやることが必要である。先ほど委員長から一時間半で大体常識的にまとめるというお話があつたにもかかわらずもう一時間半を越えておる。ですから委員長の方でも委員側あるいは証人側の発言に対しては統制をとられるように委員長が十分お考えを持たなければ、いつまでたつても考査委員会は十分なる成果を收められないと思います。十分御注意を願います。
#333
○大橋委員 私は鬪爭方針として決議せられまして問題になりました項目を確かめたいと思うのでございますが、第六項の決議された最後の條文はどういうふうになつておりますか。
#334
○菊川証人 これは最惡の場合はストをも含む実力行使を行う。こういうことになつております。
#335
○大橋委員 その内容はどういうふうになつております。
#336
○菊川証人 それは、私の記録に誤りがなければこうだと思いますけれども、これは自分で記録したものでありまして、組合の速記緑を持つて参つておりませんから、あるいは記録に間違いがあるかもしれませんが、私がその際万年筆で書いたものですから。最惡の事態とは本部の團体交渉が決裂したとき。最惡の事態とはそういう場合である。それから本部の團体交渉が決裂するまで支部分会は当局の一方的措置を拒否して戰うのだ。こういうわけです。少くとも最下部の組織の責任を持てる形態において戰う。こういうことと、集約は中鬪の責任において行う。こういうことが決定されたと信じておりますが、しかしその文章の表わし方については先ほども申し上げたように、くどいようですけれども、速記緑を持つておりませんので、あるいは多少間違つておるかもしれませんということをお断りいたしておきます。
#337
○大橋委員 わかりました。そうしますと私どもの手元には、鬪爭方針の決議の写しとしまして、「六、最惡の場合はストをも含む実力行使を行う、最惡の場合とは團体交渉の決裂したときを言う、集約は中鬪の責任において鬪う」こういうふうにありますが、そのほかに「最下部組織の責任の特てる形で動く、」こういう項目が確かにあつたわけでございますね。
#338
○菊川証人 そうです。
#339
○大橋委員 そうしますと最下部組織の責任の持てる形で動くということの意味は。
#340
○菊川証人 ちよつと待つてください、これはどうも最下部組織の責任の持てる形において鬪うということは、否決になつたようでございます。それは念のために一ぺん調べようというのでしたら、速記緑を見ていただきたい。私ちようどこのときには外へ出たような関係上、はつきりいたしておりません。
#341
○大橋委員 そうしますと「最惡の場合とは團体交渉の決裂したときを言う、集約は中鬪の責任において鬪う、」これだけしか残つておりませんか。
#342
○菊川証人 それは確かであるということだけは、私は責任をもつて申し上げられると思います。
#343
○大橋委員 そうしますと、この決議が地方へ持ち帰られた後に、最近におきまして、各支部なりあるいは各分会等において、最惡の場合においてストをも含む実力行使を行うという態度を承認するか、あるいはこれには從えないという意味合いの決議が、最近各地で行われておるようでございますが、これはこの決議との関係においては、どういう意味に理解したらよろしいでしようか。たとえば熱海でこういう決議がされておるけれども、自分の分会はそれには從わないのだというような自由が、この熱海の決議の中に含まれておつたものでしようか。
#344
○菊川証人 それは別に自由が含まれている云々というよりも、組合のほんとうの公式理論から言いますと、決定したらみなそのままに從わなければならぬということが、公式論として規約の面から言われるのですが、今までの組合運動の過程におきまして、やはり反対であつたら行動に入る寸前までは、あらゆる手を盡して反対するということは、これは許されて來た。これは民同が執行部をにぎつて、二千九百二十円をのんだときに、やはり共産党の諸君が先頭に立つて、ああいう行き方については反対だと言つてやられた、それも許されている以上は、やはりこういう決定をされたときに、こういう行き方はいけないという反対をするのはさしつかえないのではないか。そうしていよいよ行動に入つて中鬪が指令を出すということになつたときには、やはり組合員である以上は從うべきだ。そうでなければ脱退するなり何かしてやらなければ、これは組合員の責任上おかしいじやないかと思います。しかし中鬪が指令を出すにいたしましても、みなこれに必ず從え、從わなかつた者は除名するぞというようにきつい指令は――私はかりに出すといたしましても、そういうふうなものじやなしに、相当に先ほど言いましたように、柔軟性と申しますか、動向を察知した指令を出すだろうと私は思います。
#345
○大橋委員 わかりました。
#346
○鍛冶委員長 ちよつとこれは当然のことですが、先ほどあなたのおつしやつた五項までのことをやるだけやつて、それで行かなくて、最惡の場合はストをも含む実力行使、こういうことですね。五項以外の実力行使であることは間違いないでしようね。
#347
○菊川証人 それは五項までは実力行使と私は考えておりません。遵法鬪爭というものは、法律を守るというようなことは当然で、むしろ実力行使どころかどうしてもやらなければならぬ問題でありまして、ややもすると等閑に付せられる。それだから私の考えは組合の都合のいい法律をばかり守るのじやなく組合の都合の惡い法律も守ることが遵法鬪爭でなければならぬと思います。
#348
○小玉委員 鈴木副委員長はこの六項のストをも含む実力行使という、その実力行使の指令を、ストライキよりも軽い実力行使だというようなことを言われておつたのですが、その点どうですか、私遅れて來まして、前に話があつたかもしれませんが。

#349
○菊川証人 それは先ほどどなたかの御質問に私答えたはずですが。
#350
○鍛冶委員長 それはわかつております。それからあなたのお手元にあるのは、この決議案の原案のようですが、おさしつかえなかつたらこつちへ提出していただけませんか。
#351
○菊川証人 これは井上君が中鬪へ出したときの案であります。
#352
○鍛冶委員長 おさしつかえなければあとでまたお返ししてよろしゆうございますから出してください。
#353
○菊川証人 これは決議をもつて要求されるということになれば私は出しますが、個人的にやれということになつて、個人的な行動をとつたということについてまた批判をされては困りますので、決議をもつてお前菊川孝夫それを出せということになれば、何でも置いて行きます。
#354
○鍛冶委員長 あらためて書面を出すことにいたします。それでは済みました、御苦労さまでした。
    ―――――――――――――
#355
○鍛冶委員長 高橋儀平さんですね。
#356
○高橋証人 そうです。
#357
○鍛冶委員長 あなたは現在鉄道にお勤めのようですが、どこで何をやつておいでになります。
#358
○高橋証人 鉄道に勤めております。現在は組合本部場で組合專從者として働いております。
#359
○鍛冶委員長 組合本部の役員は何であります。
#360
○高橋証人 組合本部の役員は書記長であります。
#361
○鍛冶委員長 いつから書記長になられたですか。
#362
○高橋証人 五月二十六日だと記憶しております。
#363
○鍛冶委員長 第十五回國鉄労組中央委員会が昭和二十四年六月二十三日から二十六日まで熱海の公会堂で開かれたようでありますが、それに御出席になりましたか。
#364
○高橋証人 出席いたしました。
#365
○鍛冶委員長 あなたはその中央委員会において何か特別な役前をお待ちになつたのですか。
#366
○高橋証人 別段これという委員会の会議における役は持つておりませんでした。
#367
○鍛冶委員長 この委員会に出ましたのに、俗に言う色分けとでも言うか、そういうものがいろいろ言われるようですが、同派が幾らで何派が幾らということはおわかりになりますか。
#368
○高橋証人 それは私にはわかりません。
#369
○鍛冶委員長 この委員会において決議せられたる事項の大要だけをちよつと御説明願いたいと思います。
#370
○高橋証人 その点については、追つて当委員会から速記緑の提出を求められておるようでありますので、それをごらんいただけぱおわかりになると思います。大要と申しましても、ただ輪郭だけを申し上げればよろしいわけでありますか。
#371
○鍛冶委員長 そうです。
#372
○高橋証人 私の記憶するところでは、決議した点としては公共企業体移行に伴う問題といたしまして、仲裁委員の関係、制定委員の関係、その他公共企業体移行に伴う二、三の問題、それから次に運動方針として当面する行政整理による馘首の問題に対して、組合としてどういうふうに運動して行くかという点について論議決定をいたしました。その他の問題についてなお幾つかございましたが、それはこまかに申し上げろと言われればなお私の記憶をたどつて整理して申し上げますが、その他の必要はないと言われれば、その程度で一應打切ります。
#373
○鍛冶委員長 私は申し上げますが、大体違つておれば違つておるとおつしやつていただきます。合つておればよろしゆうございます。大体は大会決議の具体化、それから第二は鬪爭目標ですね。
#374
○高橋証人 そうであります。
#375
○鍛冶委員長 第三は具体的鬪爭方法、その具体的鬪爭方法の中で一は宣傳戰を強化すること、二は遵法鬪爭を活溌に行うこと、第三は不正摘発鬪爭を行う、四は関連産業との共鬪を強化する。五は團体交渉を行う、六は最惡の場合ストをも含む実力行使を行う。こういうふうに聞いておるのですが、それに間違いありませんか。
#376
○高橋証人 私の記憶する点はそれで間違いないと思います。
#377
○鍛冶委員長 さらにこの六につけ加えられまして、最惡の場合とは本部において團体交渉が決裂したとき、それから集約は中鬪の責任においてこれを行うという、この二つがつけ加えられて決議されたということですが、その点も間違いありませんね。
#378
○高橋証人 さように記憶しております。
#379
○鍛冶委員長 そこでお聞きしたいのは、この第六の決議をするまでに至つた経過でありますが、まず起草者はだれであつて、提案者はだれであり、どういうものが提案されてこうなつたか、その点を承りたいと思います。
#380
○高橋証人 起草者がだれであつたかは私存じておりませんが、中央委員会の席での提案者は企画統制部長である井上唯雄君であります。
 次の御質問は何でありましたか。
#381
○鍛冶委員長 提案の内容です。
#382
○高橋証人 提案の内容は私今ここに持ち合せておりませんけれども、先ほど新川証人が質問されたときに、控室で菊川証人が持ち合されておつた提案内容の印刷物によつて新川証人がお答えした。もしあの印刷物の通りにお答えしたとすればそれで間違いないと思います。
#383
○鍛冶委員長 先ほどお聞きしましたが、あなたからも聞きたいと思いましたので……
#384
○高橋証人 私ここに持ち合せておりませんが、もしあの通りに新川証人が答えたとすればそれで間違いありません。
#385
○鍛冶委員長 最初はストをも含む実力行使を行う。列車を止めることと動かすこととは國民の意思によるよう準備すること、この場合いかなる官憲の圧迫や命令があつてもやめない。一分会、一支部も孤立させないように鬪う。こういうふうに聞きましたが、そうでしようね。
#386
○高橋証人 先ほど新川証人が控室へ取りに行つて持ち帰つた資料によつてお答えしたとすれば、それで間違いなかろうと思います。私も大体そういうことであつたと記憶しております。
#387
○鍛冶委員長 これに対してどういう質疑なり討論がありましたか。
#388
○高橋証人 それは御承知かもしれませんが、非常に長い討論の時間が費やされたので、私としてどういう質疑、どういう討論があつたかという点の記憶がありません。
#389
○鍛冶委員長 主たる質疑應答は覚えておりませんか。
#390
○高橋証人 それはもちろん速記者がとつておりますので、私どもとしては私自身で何が重点であるかという記録はほとんどとつておりません。だから記憶しておるものを呼び起してみて話をするとすれば、それは私自身が重点と考えておるかどうか。あるいはまた重点と思うが、大分漏れるかもしれませんが、ずさんになるかと思います。
#391
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。簡單でよろしい。
#392
○高橋証人 私の記憶するところでは提案者の出されたものに対して討論するというか、それからさらに各会議の構成員から、言いかえれば中央委員諸君からいろいろ案が出されたわけです。それらをめぐつていわゆる井上企画統制部長から出した案を中心に討論するというよりも、かなりの長時間いろいろの人がこういう形で行こうじやないかというような提案をしながら、その提案に基いてそれぞれの人々がかなり長時間の討論を重ねた。こういうわけでありまして、その原案に対して反対、賛成というような討論ではなかつたかと、私は全体的には記憶しております。
#393
○鍛冶委員長 それではお伺いしたいのは、最惡の場合ストをも含む実力行使を行うという点でありますが。ストはわかりますが、スト以外の実力行使とはいかなるものだと解釈しておいでになりますか。
#394
○高橋証人 それはあの席で討論されたかどうかということは別にして、私どもとしてもスト以外にも実力行使の手段はいろいろあろうと考えおります。しかしその問題については中央委員の諸君もほとんど承知しておるわけでありますから、スト以外に実力行使の種別はこれとこれがあるとわしは思う。別の人が立つて、いやおれはそれとは見解が違うとかこういう討論は労働組合の、しかも國鉄の中央委員会という席ではほとんど問題にされません。それでそういう前提を置きまして実力行使ということはどういうのがあるのかと言いましたら、まあサボという問題もありましようし、業務管理という問題もありましようし、あるいは例の法律できめられておる増務給――超過勤務手当を出す者に対して出しておらぬからそれを強く要求するとか、あるいはそういう法律にはつきり定められておる給與の裏づけをしてくれなければどうも超過勤務をやることは困るというようなこともありましようし、また労働基準法その他部内における諸規程に対して、こういうことにはつきり法律の裏づけをもつておる部内のいろいろの諸規程ないしは労働基準法のごとき法律がそのまま適用されるような場合であつても十分に適用されていない面で、しかも労働條件、それから業務の運営上もいろいろの支障を與えておる問題があつてそれに対してその通りやつて行くということもやはり廣い意味の実力行使の範疇に入るのでありましよう。それらは中央委員の諸君としてはほとんど疑問の余地を持つておりませんから、中央委員会の席上ではほとんど実力行使の範囲がこういうものであるとかないとかいう問題までは先ほど申し上げたようにほとんど行われておりません。
#395
○鍛冶委員長 しかしこういうことでしような。ここに書いてある一から五までのものは当然やるのだが、これでいかぬで最惡の場合に行つたときはこれ以上の実力行使をやるということであることは間違いないですね。
#396
○高橋証人 それはまあそういう考え方もあるでありましようし、それらを含めて考えておる方もありましようし、あのときの討論で私の記憶する範囲は、最惡の場合にはストをも含む実力行使を行うということを論議し、決定する際にもこれはストライキをやるかやらぬかについてだけ論議しておるものだと限定して考えた中央委員はだれもいなかつたと私は記憶しております。
#397
○鍛冶委員長 だから五までのものは初め決定してあるから、五以外にストもしくはスト以外の実力行使をやる。こういうことには違いないね。
#398
○高橋証人 私はそれに限定して考えておるとは思つておりません。私の考え方です。
#399
○鍛冶委員長 そこでこの決議をすれば当然組合全体がこれに拘束せられるものでありますか。
#400
○高橋証人 それは労働組合の決議という建前から考えれば、その決議に対して労働組合としては拘束を受けるというのは一般的な建前であろうと私は思います。
#401
○鍛冶委員長 そこで拘束さすにはただ決議しつ放しでもできまいから、どういう方法で組合員に周知し、または命令せしめると申しますかそれはやられるのですか。
#402
○高橋証人 それはあま労働組合の運営をおそらく御承知でありましようからそういう一般の労働組合の運営の面で決議の滲透、実施というような問題は、それから判定等の問題は一般の労働組合が行うと同じ方法で、國鉄の労働組合だけが特殊のかわつた方法をとるということはやりません。ですから一應まあ内部の機関紙等にも発表し、それから中央委員会に出席した諸君がそれぞれ自分の選出母体に帰つて十分報告をするとかその他それを基礎にする宣傳を内部へするとか、そういうようなこと、これは一般の労働組合ではみなやることで、同じことだと思います。
#403
○鍛冶委員長 その決議するについて反対論が相当あつたようですが、それはどういうところにあつたか覚えておりませんか。反対論の主たるものは。
#404
○高橋証人 どれが主であつたか、私はそれぞれ個人の見解になつてしまうと思いまするし、さつき申し上げたように速記緑で、明らかになることだと思いますが、反対論と言えば、私これは個人的に見た場合ですが、特にこの席で委員長が問題にされておるのは例の第六項かと思いますが、それに対する反対論としても表現の問題にかなりこだわつておつた面があつたのではないか。それは私も部内のある記事に書いておいたことですけれども、これは正式の票決の結論という形にまで至りませんでしたが、とにかく最惡の場合に実力行使をやる決意があるのかないのか、そこを採決すれば皆の腹はよくわかるのではないかという提案をある中央委員がされたわけです。それを議長が採決に付したところが、そういう決意のない人はごくわずかであつた。これは私部内のあるものに記事として書いておいたのでそういうことを申し上げるわけで、そういうことが正しいともし仮定をすれば私はそうだと一應考えておりますが、もしそうだと仮定いたしますれば、実質的に大体ああいう内容をきめるということ、あるいはきめるきめないは別として、あのような内容の決意を持つておるものは構成員の六割以上であつたろうというふうに私は考えております。ですからそういうふうに考えると、あれはああいう形で表現するかしないかという点に私は重点があつたのではないかというふうに考えておるわけです。
#405
○鍛冶委員長 ところがこれをやる場合における指令権であるとか、またそのときの責任の帰属等にも相当議論があつたように聞きましたが、それはいかがですか。
#406
○高橋証人 それは第六項の提案後の討論においては指令権をどうするかこうするかというような点については深い論議はされておりません。その決定事項の結論をごらんいただけばわかる通り、どこでどう指令するか、たとえば組合の本部で指令しなければやらないとか、あるいはそうでなくてもやるんだとか、そういう点は明確に決定されていないと思います。それはその決定事項をごらんいただけばわかります。
#407
○鍛冶委員長 最初の質疑のときに相当あつたのじやないですか。
#408
○高橋証人 質疑のときちよつとそういう質疑がありました。それがあつたことだけは事実ですが、その六項が提案されてからの討論過程においてはそういうことは少なかつたと思います。
#409
○鍛冶委員長 質疑でその点は明確になつたですか。
#410
○高橋証人 個人意見がそこで述べられたというだけでありまして、それをすぐ採決に付するとか、中央委員会の意思表示としての結論づけは何もいたそうともしないし、またされなかつたわけです。
#411
○鍛冶委員長 あなたは中央執行委員とおつしやつたですね。
#412
○高橋証人 そうです。
#413
○鍛冶委員長 それじや中央執行委員は採決に加わらないですか。
#414
○高橋証人 加わりません。
#415
○鍛冶委員長 あなたも加わつておらないですね。
#416
○高橋証人 そういうわけです。
#417
○佐々木(秀)委員 簡單にお聞きしますが、あなたはその採決には加わつておりませんでしたが、反対の立場ですか、賛成の立場でしたか。
#418
○高橋証人 それは反対であつたか賛成であつたかと申しましても、その立場でしたかという御質問がどうもピンと來ないのですが、どういう意味かはつきりしてもらいたいと思います。
#419
○佐々木(秀)委員 何か反対なら反対、賛成なら賛成の、その大会において意思表示はいたさなかつたのですか。
#420
○高橋証人 賛成反対の意思表示は私はいたしておりません。
#421
○佐々木(秀)委員 わかりました。それではお聞きいたしますが、先般鈴木副委員長にこの決議の実力行使というのはどういう実力行使かということを質問しましたときに、これは單なる決意を表明する決議をやつたんだということをここで証言されたのです。きよう菊川君は、そんななまやさしいものじやない、少くともこういう決議をするのに、單に決意を表明するというような、そんな決議ではなかつたということを言われたんですが、あなた個人としては、この鈴木君の言われた、決意を表明するための決議であつたというような程度にお考えでございますか。またそれ以上に強くお考えになつているのですかそれを聞きたい。
#422
○高橋証人 それは決意を表明するための決議であつたかどうかという点ですが、組合の決議、特に全國から集まる会議というような場合ですと、そういう決意を持つかどうか、ないしはそれを実施に移すつもりかどうかというような点を、そうしよつちゆうきめて、また次の段階をきめるというようなことは困難だということが一應考えられます。私の個人意見を今の質問者は求められておるようでありまするが、やはり私としては、あの際中央委員会という機関においてそういう決意を表明したと、こういうふうに考えております。それを実施に移すかどうかというような問題、これについてはやはり今後の組合対政府というような、労働問題の推移あるいは発展のいかんによつて決定されるということも一應は考えられます。しかし少くとも今の質問者の言われる私の個人意見ということであれば、私はそういうことは決して望ましいことではない。それから私どもの最近の動きの裏づけから見ていただきましても、そういうことは十分はつきり裏づけられておると私は考えております。
#423
○小玉委員 先ほど実力行使の中に業務管理というものも含むように思うとあなたはおつしやいましたが、われわれ組合のことはあまり存じておりませんが、業務管理というとどういうことですか。
#424
○高橋証人 業務管理という場合にもいろいろ方法なり考え方があろうと思いますが、先ほど私が申し上げた意味の業務管理というのは、よく今までの係爭の際、國鉄の場合で大きい係爭と言うえば九・一五鬪爭と言われている例の二十一年の九月十五に調印になつたあの問題、それからその翌年だつたでしようか、二月一日を期して云々というあのニ・一鬪爭、こういう際に考えておつた業務管理というようなものは、組合自体が、たとえば通信なら通信の機能について組合としてこういうふうにやつて参りたいというような点を一つの爭議手段として行つて行くという考え方でやつたわけです。それからたとえば営業面の出札の問題、改札の問題等についてやればそれが駅務管理というような形になりましよう。それから列車の運轉を管理する形なら運轉管理、これらを総合してやる場合、部分的にやる場合、これらを一般に爭議手段として業務管理というような呼び方をしておるわけです。ですからこのことを例の人民管理とかいう言葉と同じなのかどうかというような考え方があるとすれば、それは少くとも私が先ほど申し上げた業務管理というのは大体において今までの爭議手段として考えて來た、今御説明申し上げたような業務管理という内容を一應考えて説明申し上げた、こういうことです。
#425
○小玉委員 端的にお伺いしますが、例の人民電車というのを東神奈川で走らせたことを御存じでしよう。
#426
○高橋証人 はい。
#427
○小玉委員 あの人民電車の方法もやはり一つの業務管理の形体に属するというのではないですか。どういうのですか。
#428
○高橋証人 それは業務管理という内容に一属するかどうかということですが、これをかなり廣く解釈すれば、一つの業務管理になるかもしれない。しかし私どもはあの人民電車が俗に爭議手段と言つておる業務管理に入るか入らないかについて議論をしたということはございません。それは追つて私どもは議論をすれば、はつきりとこう考えるということも申しあげられると思いますが、今私個人としての考えでは、それがはつきり業務管理に入るか入らないか、あるいは廣議に解釈すれば業務管理の一つの考え方として成立ち得るかどうかということは、追つて申し上げる機会があろうかと存じます。
#429
○小玉委員 はなはだそれはわかりませんが、人民電車が業務管理に属するかどうかということを組合で爭議手段として取上げた場合に考えるというのですが、あなたでははつきりしないから、組合の鬪爭手段としてこれを考える場合にはどこでそういうことはきまるのですか。
#430
○高橋証人 これは組合の中央組合と申しましようか、組合の本部できめる場合もありましようし、それから中央委員会あるいは大会できめるような場合もあります。ですから、それは場合によつてそういう大会、中央委員会あるいは組合本部だけできめる場合もありましようし、それから問題の重要性と申しますか、組合運動の基本的な問題だとすれば、これはこういうこととこういうことは中央委員会でなければきめられないとか、あるいはこういうことは大会でなければきめられないとか、こういうことになつております。その問題はその場合によつて大会できめる場合もありましようし、中央委員会できめる場合もありましよう。何でもかでもその問題を組合本部だけで独断できめるということの限定は私はできないと思います。
#431
○小玉委員 そうしますと、あなたのお考えとしては、今はつきりしない、あるいは廣義にこの業務管理を解釈すれば、あるいは人民電車も業務管理の中に入るかもしれない。そういう考えですね。
#432
○高橋証人 それは速記にもございますでしようが、さつき私が申し上げた通りです。
#433
○小玉委員 それで業務管理の中には通信方法などを管理する、あるいは切符、改札をやるというようなことも管理と言うとおつしやつたが、この料金、いわゆる乘車賃ですが、それを一般の乘客からとる、その出納ということもやはりこの業務管理の中に含んで解釈されるのでございますか。
#434
○高橋証人 はつきりした記憶を持つておりませんが、業務管理についてのただいまの考え方は、今まで私どもが業務管理として行おう、あるいは行つて來た例について主として申し上げたわけですが、その際に経営権を侵害するかしないかという問題について少し論議したことがあるわけです。それで、そういう收益になるべき金銭を組合が扱つたら、それは経営権の侵害になるであろうというような解釈で、その問題はやはり組合が今日の切符の賣上げ、たとえば上野駅で何万円を組合自身が收受してしまつて組合活動に使うというようなことはやるべきではなかろうというような考え方で大体私どもは業務管理を計画したように記憶しております。これは大体そう記憶するという程度です。
#435
○小玉委員 経営権を侵害せざる程度において業務管理をするというのですね。
#436
○高橋証人 およそそういうような議論が、その業務管理をやろうという計画の際に行われたと記憶するという程度です。なお、もつとそういう点を衝きたいと言われるならば、一般の組合の資料等にもあることですから、そういうのをなお追つて御調査願えればよいと思います。
#437
○小玉委員 これは実に重要な問題であると思います。人民電車を走らせるとか、あるいは乘車賃をどうするかというような問題、これは実力行使の問題として実に重要な意義を持つていると私は思いますから、これはひとつ御研究願いたいと思います。
#438
○吉武委員 簡單に一言高橋さんにお聞きしたいのですが、先般熱海で決定になりました第六項目が問題になつているのでありますが、その第一項は、最惡の場合はストをも含む実力行使を行う。その二項に、最惡の場合とは團体交渉の決裂したときを言うとありますが、これは中央においての團体交渉の決裂したときという意味ですか。それとも各支部、分会における交渉の決裂したときも入るのですか、どちらの意味ですか。
#439
○高橋証人 それは結論に書いてあると思いますが、それがもし間違いでないならば、本部團体交渉が決裂したとき、こういうふうに結論づけられたと私は記憶しております。
#440
○吉武委員 そうすると決議の内容にそれがあつたわけですね。
#441
○高橋証人 そう記憶しております。
#442
○鍛冶委員長 よろしいです。それじや済みました。御苦労さまでした。
    ―――――――――――――
#443
○鍛冶委員長 星加要さんですか。
#444
○星加証人 はい。
#445
○鍛冶委員長 ただいまより國鉄労働組合中央委員会の実力行使事件につきまして、証言を求めたいと存じます。
 証言を求める前に、証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。
 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または、証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。
 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。
    〔証人宣誓〕
#446
○鍛冶委員長 署名捺印を願います。
    〔証人署名捺印〕
#447
○鍛冶委員長 証人はただいまどこでどういう仕事におつきでありますか。
#448
○星加証人 私は四國鉄道局業務部総務課で勤務しておる者であります。
#449
○鍛冶委員長 國鉄労働組合の何か役員をやつておいでになりますか。
#450
○星加証人 國鉄労働組合中央委員であります。
#451
○鍛冶委員長 國鉄労働組合中央執行委員会の第十五回の委員会が、昭和二十四年六月二十三日から二十六日まで熱海の公会堂で開催されたようでありますが、証人は御出席になりましたか。
#452
○星加証人 それは中央執行委員会ではなしに、中央委員会を開催したのであります。
#453
○鍛冶委員長 その会に御出席になりましたか。
#454
○星加証人 はい。
#455
○鍛冶委員長 その委員会における議事経過の大要を伺いたいと思います。
#456
○星加証人 初め議長、副議長の選挙をいたしまして、次には調停委員会あるいは公共企業体移行に伴う措置というものを決定いたしまして第一日が終了いたしました。第二日は初めにまた公共企業体移行に伴う措置中の調停委員、仲裁委員等をやりまして、午後から鬪爭方針の案を審議しました。第三日は会議を延長いたしまして、この残りの鬪爭方針を審議して決定を終つたわけであります。
#457
○鍛冶委員長 鬪爭方針には第一、第二、第三とあつたようでありまするが、それは間違いございませんね。
#458
○星加証人 大きくわけますと第一、第二、第三、それから第四まであります。
#459
○鍛冶委員長 この中で一番問題になつたのは、第三の六である最惡の場合はストをも含む実力行使を行う点であつたと聞いておるのですが、それに間違いありませんか。
#460
○星加証人 その通りであります。
#461
○鍛冶委員長 この決議はそこにお持ちですか。どういうものとどういうものが決議になりましたか。
#462
○星加証人 決議になりましたのは、最惡の場合はストをも含む実力行動を行うこと。それから最惡の場合とは、本部の團体交渉が決裂したときであるということは確認されております。
#463
○鍛冶委員長 その次は。
#464
○星加証人 その次はいろいろ論議はありますけれども、決議ということにはなつておらぬと考えます。
#465
○鍛冶委員長 伺か集約は中鬪の責任において行うとか……
#466
○星加証人 集約は中鬪の責任であるということは、細川君の意見でありまして、それを決議に上すというふうにはなつておりません。
#467
○鍛冶委員長 意見を決めた程度であつたのですか。
#468
○星加証人 そうです。
#469
○鍛冶委員長 もう一度、はつきり決つてもらいたい。集約は中鬪の責任において行う、その点はどうです。
#470
○星加証人 少くも、支部の最低機関が責任を持てる形にする、それから團体交渉拒否の上、一方的に実施した場合を含む、團体交渉が決裂した場合には最惡の事態であると言うけれども、團体交渉は一方的に拒否されてできなかつた場合はどうなるかというようなことについては、その場合をも含むのであるという確認を求められておつたわけであります。
#471
○鍛冶委員長 それは井上君がですか。
#472
○星加証人 井上君です。これは企画部長をしておりますが、そういう確認も求めておつたのですが、それらは了解して、そういう形式的なことにせずとも、これは当然そういうことになるのだというような声がありましたので、形式上はそれが決議になつたとは私は考えておりません。
#473
○鍛冶委員長 決議にはならぬが、確認されたわけですか。
#474
○星加証人 了解されておる。
#475
○鍛冶委員長 ところがその決議と、最初出ました原案とには相当違いがあつたようでありまするが、原案はどういうものでありましたか。
#476
○星加証人 原案はストをも含む実力行使を行う、列車をとめることと、動かすことは國民の意思によるよう準備すること。この場合いかなる官憲の彈圧や命令があつてもやめない。一分会、一支部も孤立させないよう鬪う。これが原案であります。
#477
○鍛冶委員長 その原案の起草はどこでだれがやりますか。
#478
○星加証人 これは企画部長の井上君が立案いたしまして、これを熱海の第十五回中央委員会の始まる前日、二十二日の午後われわれが集りました際に鬪爭委員会を開きまして、そこで提案をしたものであります。
#479
○鍛冶委員長 その結果はどういうことになりましたか。
#480
○星加証人 その結果はこれを一々審議する時間的の余裕がないから、一應論議を省略して、これは個人の提案であるというようなことをむりにも言わない。それで中闘の提案として提案することを認めるということになつたわけであります。
#481
○鍛冶委員長 それで提案の説明も井上君がなされたのですか。
#482
○星加証人 その通りです。
#483
○鍛冶委員長 それについて活溌なる質疑があつたようでありますが、その質疑の最も大切であつたのはどういう点であつたかをお聞かせ願いたいと思います。
#484
○星加証人 これに対しての質疑は、まずそれを指令する指令権の存在はどこであるかということが一つの重要な点であろうと思います。指令権というのは主として爭議を行う場合には、こういうことをやれという指令を出します。現在國鉄が單位労働組合となつておりますので、常識的な指令権は中鬪にあるのであります。しかし今回の問題は職場鬪爭を主体にして行う、もしくは反射鬪爭を行うと言つておりますので、指令権の存在ということが実際上不明確な点があります。從つて指令権は一体どこにあるのかという点が出たわけであります。それでその際これは鈴木委員長が答えたことでありますが、指令権というものは、それぞれ組合の機関が決議をする。その機関を指令権と思うという答弁をいたしております。支部もしくは分会、そこでこれを決定するならば、そのところで指令をし得るものである。指令権の存在個所は組合各機関であるということを答えておる次第であります。けれどもこれは鈴木君の意見であつて、この通りに、中央委員会で決定をしたかというと、そういうわけではない。指令権の存在というものはあくまでも中鬪にあるということは嚴然としております。かつ支部あるいは分会等が爭議をする場合はどうするかと言いますと、支部、分会等において爭議を決議いたしました場合には、これは中鬪にそのことを報告いたしまして、中鬪がその爭議行爲を承認した場合には、支部、分会においてその行爲を組合員に指示することができるわけであります。從いまして指令権ということは、現在規約上そのような解釈は誤まつておるのである。個人的な見解であつて、別段それが確認され、もしくはその通りに決議されたものではない。質疑應答の中においてそういう答弁があつた。一つ注目すべき問題であるということを申し上げておきます。
 次には、この決議をするに際しまして、これは大会で行うべき問題ではないか、あるいは中央委員会ではこれは程度を越えたものではないか、及び決議は特別多致決、すなわち三分の二以上の多数をもつて可決する必要があるではないかという質疑があるわけであります。またそういう意見も述べられておつたわけであります。これは私が、三分の二を要するかいなか、あるいは記名投票にするかしないかということで論議がありました際に、発言をしておいたことでありますが、公共企業体労働関係法によりまして、現在國鉄の労働組合が運営をされているこの現実のもとにおきましては、規約の中に、総罷業、総怠業を行うという場合は、それは大会において三分の二の決議を要するということになつておりますが、この十七條との関係においてこの規約というものは修正されておらないけれども、効力は一時停止されたものと見るべきであるということを中央委員会で申しております。かつ総罷業総怠業ということではあるけれども、怠業あるいは罷業というような、單に総がつかないということのみをもつて、これを中央委員会でやつてもよろしいということは、少し文字の上の杓子定規的な解釈になり得ると考えるのであります。從つて小さい支部もしくは分会等において決議をする場合には、罷業、怠業ということで部分的なものであるかもしれないが、中央委員会において全國的な機関でこれを決定するという際には、当然総罷業というような形をも含む、あるいはその形になり得る可能性が多いというような点から、まず中央委員会では審議し得ない、権限を越えた問題であろうと思う。しかしこれが時日の関係等において大会を開く余裕がないのだということになりましても、むりにこれをやるということになつても、三分の二の多数決法制というものはやはり守るべき必要があろう。それらの点を公共企業体労働関係法との関係において國鉄の規約を解釈するのでなく、かつその上に國鉄の規約そのものを、またその精神において運用を蹂躪するようなことをやるならば、國鉄労働組合が組織を全うすることができないでやあろう。脱退者をも続発せしめるような結果になることをおそれる。それで皆さんがこの点をよく御勘案の上、これから採決になるわけであるが、ひとつ考えてもらいたいということを特に発言をしておいたわけであります。
#485
○鍛冶委員長 その指令権の問題の質問者はだれでありましたか。
#486
○星加証人 高崎の犬和君ですね。
#487
○鍛冶委員長 あとの方はあなたですか。主としてその意見を述べられたのは……
#488
○星加証人 これはだんだん論議が進展しまして採決に入ろうというときに、記名投票にするか、無記名投票で行くかという論議が最後まで行つたのです。この際企画部長である井上君も意見を発表いたしましたし、私もこれはだまつているべきではないので、企画部におりまして労働規約を担当いたしており、かつは加藤委員長が出張中でもあるから、この点ははつきりさせておかねばいかぬというので、ぼくも発言をし、山下という中鬪委員も発言をしております。ぼくが言うたことであります。
#489
○鍛冶委員長 それほどの重大なる決議をあなたの見解は今でもこの中決委員会において多数決できめるということは規約に違反する。それのみならず先ほど公共企業体回働関係法との関係もおつしやいましたが、その点に関する見解をもう一度明らかにしていただきたいと思います。あなたの方の、これはわかりました。十七條の四号があつて、そうして二十一條第二項でしよう。但し十七條第四号については出席代議員の三分の二以上の同意を得なければならない。これなんですな。それから公共企業体労働関係法との関係をもう一度はつきり……
#490
○星加証人 それはとにかく速記緑を読み返してもらえばわかるのですが、誤解のないように申し上げておきますと、私は法律を運用する裁判官ではないわけです。從つてこれが公共企業体法に違反する、こう断定する権利を持つておらないのであります。從つて私が言う意味は、組合といたしましていかなる組合運動を展開して行くか、その際に誤りなきを期したいという考えであります。その観点から立つて公共企業体労働関係法と現在の國鉄労働組合の規約をにらみ合わせて解釈する場合に、総罷業、総怠業等の項目につきましては効力は一應停止されたものとし規約を運用して行くべきでもある。これを公共企業体法と國鉄労働組合の規約の関係で私が言うた事柄であります。
#491
○鍛冶委員長 公共企業体事労働関係法の第十七條にある以上は、一應はそういうことはできない、こういうのですか。そういう決議は……
#492
○星加証人 そうです。
#493
○鍛冶委員長 わかりました。――この中にありますストを含む実力行使ということですが、ストは明瞭でありますが、スト以外を予想しておるものと思いまするが、そのスト以外のとはどういうことですか。
#494
○星加証人 それはたくさんあります。ストと言いましても実力行使と言つても、さほどの組合相違はないのであつて、ストということも一應の労働組合関係におけるところの概念内容、社会通念を持つておる、こう私は思うのです。実力行使という言葉もこれは労働組合において実力行使ということを言いましたなれば、これは話合いをもつて、妥結して何事かをやろうというのではなしに、話合いができないその場合において、それを乘り越えて、こういうふうにすると一方的な意思をもつて断行されることは、いかなる形をとろうとも、それは労働組合の実力において行うことでありますから、実力行使ということに相なります。
#495
○鍛冶委員長 そこで承りたいのは、この具体的鬪爭方法のうちに、先ほどから言つたように、一から五までありますね。第一は宣傳戰を強化する、第二は遵法鬪爭を活発に行う、第三は不正摘発鬪爭を行う、第四は関連産業との共鬪を強化する、第五は團体交渉を行う、こういうふうになつておるようでありますが、これをやつてみてそれでいかぬ場合が最惡の場合、こういうことになるのだと思いますが、これは間違いありませんか、これらの点では解決できない場合を最惡の場合、こう言うのだろうと思うが……
#496
○星加証人 それはそういうことも言えるだろうと思う。けれども最惡の場合とは、先に私が申し上げたように、本部における團体交渉が決裂した場合であるということははつきりいたしておりますので、そういうことをあなたが想像されるとしたら想像し得る事柄であろう。(笑声)
#497
○鍛冶委員長 それから実力行使の場合に、一から五までのものをやることが実力行使なのか。一から五までのものでいかぬから実力行使である、こういうふうに解釈すべきかどうですか。
#498
○星加証人 それはその通りである。一から五まででうまく行けばそれはよろしいけれども、このときになつて初めて実力行使ということをやりましては内容を明示したものではありませんから、五以外の手段がとられるであろうということははつきりしております。
#499
○鍛冶委員長 しこうして、この決議をしますると、これは当然組合員全体を拘束するものでありますか。
#500
○星加証人 その通りであります。
#501
○鍛冶委員長  これは決議したらりくつから言うとすぐ効力があるのか。それから決議して組合員に指令を出すとか、また通知をするとか、そういう方法をとるべきものですか。
#502
○星加証人 決議をいたしましたならば、組合員の総意によつてできておりますので、それ以上の上部機関がそれはいかんということを言うて、修正を行わない限り、そのものがただちに生きているわけであります。從つて、それの実行をやるという場合にはこの決議に基きまして、全國的なものにつきましては中央鬪爭委員会が具体的な指令を各支部に落す。その際に実際行動が起つて來る。こういうことです。
#503
○鍛冶委員長 すると、決議したことはこれを知悉させる方法はいくらもありましようが、それは別として当然組合員を拘束することになりましようね。
#504
○星加証人 そういうことです。
#505
○鍛冶委員長 そして、こういう決議をした以上は、今度は具体的にいよいよ鬪爭を始めろ、実力行使をやれという指令はいつでも発することができることになりますか。
#506
○星加証人 その通りです。
#507
○鍛冶委員長 お聞きになることがありますか。内藤君。
#508
○内藤(隆)委員 ちよつと簡單なことでありますが、列車事故が起きました場合に、その責任はどこにあるのですか。
#509
○星加証人 列車の事故が起きました場合の責任は責任をとる相手によりますが、刑事上の責任とかいうことになりますと、それを運轉しておつた直接の機関士で、これが一体業務上の過失があつたかないかというようなことの原因を究明される。もしくは設備その他の点に故障があつたかないか。あるいはその他の運轉施設はどうであつたかという原因を究明しまして、それぞれの直接の責任が一般に言われているところの責任をとるわけであります。かつは、國民全体というようなものを対象といたします際の責任は、これは運輸省として――今は日本國有鉄道でありますが、これがとることになります。
#510
○内藤(隆)委員 そうしますと、まず日本國有鉄道が責任をとると、こう明瞭になつて來ましたが、その問題の起つた調査、資料というものはその現場なりあるいは関係者からというお話でありましたね。
#511
○星加証人 ええ。
#512
○内藤(隆)委員 最近共産党の聽濤君あるいは神山委員のごときはしきりに日本の現在の鉄道が非常に危險が迫つているように言われておりますが、そういう事実があるのですか。
#513
○星加証人 それは荒廃しているところもあります。けれども、われわれはこれを直すようにも言うておれば、また当局においてもこれを直すことにしている。しかし現実に列車が運轉をされておりますから、それを見てもうこれは明日にもあぶないと考える人もあるし、まだこれは速度制限をも要せずして走らしておいてよろしいと断定する人もあります。そこは当局が技術的な責任をもつて運轉をさしているわけであります。
#514
○内藤(隆)委員 実はそれをお尋ねしたのは、責任の地位にある加賀山総裁が談話を発表しているのを読みまして、先日の鈴木君、もう一人の井上君ですか、この人たちのお話を聞くと、いかにも私らがそこの新橋から乘るのも危險なように、この危險なのをひとつ改造しなければならないというようにおつしやつている。だから、この点を私は聞いているんだが、ところがあなたから今聞けば四國からお出でになつたというから、やはり四國から汽船に乘つて、大阪から汽車に乘つてそう大した不安を感ぜずにお出でになつたのですか。
#515
○星加証人 ええ。
#516
○内藤(隆)委員 そうすると、あれは共産党の宣傳(笑声)だというふうに考えざるを得ないと思う。
#517
○高木(松)委員 私は一点だけ聞いておきたい。先ほどの証人から聞くと、決議機関と執行機関とは列だということを聞きましたが、どういうふうになつておりますか。
#518
○星加証人 決議機関というのは大会とか中央委員会等が決議機関でありまして、そこで決議しますとそれだけで散会をしてしまいます。執行委員会というのは、これは執行機関であつて、常置されましてその決議に基いて組合の業務を執行して行きます。執行委員会、また中央鬪爭委員会というものが執行機関であります。大会と呼ばれるもの、あるいは中央委員会と呼ばれるもの、これらは決議機関であります。
#519
○高木(松)委員 そういうふうに截然と決議機関と執行機関がわかれておれば、決議した事項は執行機関によつて実際上行われることになるわけですね。
#520
○星加証人 そうです。
#521
○高木(松)委員 そこで先ほど熱海の決議というものは執行機関にあらずして、決議機関が決議したことになりますな。
#522
○星加証人 はあ。
#523
○高木(松)委員 そうするとこの決議機関で決議した事項は、その内容が具体的になれば、執行機関はただちに執行してもよろしいという権限を執行機関に與えたこととなるでしような。
#524
○星加証人 はあ。なります。
#525
○高木(松)委員 そこで先ほどの六の、最惡の場合にはストをも含む実力行使を行う。しかもその最惡ということについては説明づきで、最惡の事態とは、本部國体交渉の決裂をしたるときを言う、こういうふうに書いてあります。そうすると決議機関でさようなことを決議して、執行機関にまかせればいつでも客観的事実が生まれた場合においては、ストその他の実力行爲に突入するの構えになつていることは間違いありませんか。
#526
○星加証人 はあ。
#527
○高木(松)委員 そこが私はつきりさせておきたいところです。
#528
○星加証人 ただいまお尋ねの通りであります。
#529
○小玉委員 その点に関連してお尋ねするのですが、先ほどあなたに組合規約からして、常識的に考えてこの指令権の存在という問題は中鬪にあるというふうに解釈されておる、こうおつしやいました。そこでなおさかのぼつて根源的に追求すれば、その指令権の根源となるものは中鬪委員会にあるのではなくて、やはり中央委員会、さらにさかのぼれば大会というものに、指令権そもそもの根源があるということになるわけじやないでしようか。
#530
○星加証人 そもそもの根源ということを言われるのですから、一般法律の法源はどこに求めるかというような意味合いになつて來ますので、おつしやる通りであろうと思います。
#531
○小玉委員 結局くどいようですが、たとえば國会において立法する、その國会の立法した事項を、あるいは裁判所なりあるいは行政機関において実施するというような関係に、やはり中央委員会と中鬪委員会ないしは執行委員会と申しまするかその関係はなる。さように了解してよろしゆうございますか。
#532
○星加証人 その関係は幾分相違をしております。國会において法律を可決決定して、これを公布するということになりまして、それを執行機関が運営をして参るわけでありますが、その際はそれに対して文章の一字一句といえどもこれをかつてに訂正し、もしくは自由採量を加えるということかできないのであります。けれども労働組合におきましては、この決議が行われました際には、それを執行いたすにあたつて、情勢なり、あるいは主体性なりというものを判断いたしまして、これを適宜に中央執行委員会が結論を下しまして、それを具体的な、指令と申しますが、その指令を出す。それによつて組合員が動くということになりますから、その法律と執行機関との関係よりもこちらの方は、やはり中央執行委員会の自主性というものが認められており、相当幅の廣い運用をするものであるということであります。
#533
○小玉委員 しかしそれは法律でも同樣な場合があり得るのであつて、結局その中央委員会の決議の解決の範囲内において中鬪委員会なり執行委員会がさような行動をなし得るのであつて、その中央委員会なり、あるいは大会の決議の範囲を逸脱するような解釈、方法によつて、いわゆる指令は発し得ないものであろう、私はさように考えますがいかがでありますか。
#534
○星加証人 その通りでございます。
#535
○小玉委員 結局あなたの言われたのは、その決議の内容については幅が廣い、自由採量の範囲が多いが、しかも中央委員会なり大会の決議の趣旨より逸脱することは許されない、かように解釈してよろしゆうございますか。
#536
○星加証人 その通りでございます。幅の廣さというものは、法律と対比した場合において、國会できめた法律の運用と比較いたしますと、組合の決議の幅が廣い、こういうことです。
#537
○小玉委員 そこで、先日から鈴木副委員長その他の人々から実力行使という問題の意義についていろいろ議論が行われておるのでおりまして、鈴木氏のごときは、單にこれは最惡の場合にはストを含む実力行使を行うという決意の表面だけであつて、実施するかどうかということは、そのときどきの情勢を見なければはつきりしない、かように申されておりましたが、その解釈はやはりあなたの解釈とも結局においては一致することになるのでございましようか。
#538
○星加証人 その通りでございます。
#539
○小玉委員 しかしそれはやはりこの決議の内容に含まれておる。決議の解釈上そうなるんだ、さように承つてよろしいですね。
#540
○星加証人 そうです。
#541
○小玉委員 それでわかりました。それからちよつと方面がかわりますが、この熱海会議の実力行使をやるという決議、そのことについて國際的の反響というものについて、あなたは何か調査され、ないしは関係せられたことはございますか。
#542
○星加証人 國際的な反響ということに関しまして調査をしたかということになりますと、少し問題が大きいので困りますが、加藤君のジユネーヴからの通信等によりますと、こういう事態は、國電の爭議の問題ですが、まあ困つたことになつたというような通信が出ておりましたが、それ以外に熱海の中央委員会に関していかなる反響があつたかという点はちよつとわかりかねておるような次第であります。
#543
○小玉委員 新聞の報ずるところによれば、加藤委員長はこれからの組合は、組合内部から共産主義勢力を排除しなければならないということを言われたように私は思つておるのですが、いかがでしようか、その点についてのあなたのお感じは……
#544
○星加証人 私は組合の民主化という点を念願して組合運動を推し進めておるものでありますが、その必要性は何がゆえに起つたかと言うと、やはり共産党員が組合員であり、役員である場合は、往々にして組合員の意思がそのまま現われずに、共産党の指導方針によつて動いて誤つた方法をとり得る可能性が多いのであります。從いましてこういうふうに政党との関連によつてあやつられるとか、引きずられるとかいうようなことのない組合運動を推し進めて参りたい、從つて原則的にはその共産党員を排除してしまうということでは解決がつかないので、十分に組合員そのものが全部目ざめまして、そうして共産党員のデマにも迷わないようにして行かねばならぬという運動を進めておる次第であります。
#545
○小玉委員 わかりました。要するに組合の民主化という方向に向つて進まれる、かような見解を有せられる、かように承つてよろしいですか。
#546
○星加証人 その通りであります。
#547
○小玉委員 あなたはヘプラーさんにお会いになつたということを新聞記事で見ましたが、ヘプラーさんと会われるに至つた顛末、また談話の内容等についておさしつか事ない範囲においてお述べ願いたいと思います。
#548
○星加証人 私がヘプラー課長と面会をいたしましたのは、ヘプラーさんが外國から帰つて來られまして、そうして直後出て來てもらいたいという電話がありましたので、出て行つてお目にかかつた次第でありますが、その際へプラー課長から、現在の國鉄労働組合の模樣をひとつ聞かせてもらいたいということでありました。その際に私の申し上げましたことは、あなたがジユネーヴに滯在中國電ストの問題が起つた、この件については大いにあなたに御心配をかけたであろうと思うがまことに相済まない次第であつた、しかしながら私どもはストライキを起さないようにいたしたいと考えておつた次第でありますが、ストライキによつてこれをやらねば解決かできないという主張をする者もあるけれども、われわれのようにストライキをやらずに終らせるという主張がまず破れたという形が國電ストにおいて現われておるが、その弱さの原因が一体どこにあつたかというと、やはり馘首の数が変更されないであろうというところに弱さがあつたのであるという回答をいたしました。次にもう一つ、ではここで組合がGHQに対して望みたいことは何であるかということを聞かれたのであります。從いまして私は團体交渉をしてこの問題が解決するようにしてもらいたい、團体交渉の中には馘首の数をも変更できるようにしてもらわねばいかぬと申しましたら、ではそれはわかつたが、そのようにすれば一体どういう効果が現われるかということを反問されましたので答えましたことは、すなわち労働組合は今までは共産党その他の煽動なり指導なりによつてとにかく團体交渉をして一應納得する結論を出したならば、これをけ飛ばしてそれからストライキに入るというような労働組合であつた。けれどもここに團体交渉をして馘首の数をも変更し得るものであるとするならば、團体交渉をして納得する線を出して、その線に從つて協力して國鉄を再建する新しい労働組合の出発点となるであろうということを私は答えたのであります。この点に関してはヘプラー課長から、GHQの最高の責任者労働組合の忠告としてこれが実現できるように強力に働くことにいたしますという回答を受取りました。その次に約二回にわたつてこのことを言われたわけでありますが、米國は日本の労働者を飢えしめないだけの用意を持つておる、失業対策の他については十分に用意を政府に命じてせしめるから、この点でも諸君は安心をして鬪つてもらいたいということでありました。
#549
○小玉委員 何か暴力云々の点に触れられたというふうに新聞記事で拜見しましたが、それはどういうことでございましようか。
#550
○星加証人 下山さんの問題をどう思うかというふうに質問がありましたので、私はこの点は非常にお氣の毒である、組合員はすベて深甚の弔意を表しておる、暴力についてはあくまでもこれを否定しなければならないという決心を持つておるということを申しておいたのであります。
#551
○小玉委員 わかりました。もう一点ですが、先日鈴木副委員長に私質問した際に、民同系と共産系との差異と申しましようか、組合内におけ共産系の人から見ると、民同派は非常に規約的である、形式的であるという点が共産系と違う有力な点だ、こういうふうに申しておりましたが、先ほど指令権の問題について鈴木氏の意見として申されたことは、組合の機関で決議した、その組合の機関の決議というものがすなわち指令権の存在になる、各支部あるいは分会等が決議したことはやはり一つの組合の指令と見る、こういうふうに言われた。あなたとすれば組合規約からすれば中鬪の方に指令権があるというふうに解釈せられておる。こういう点が要するにあなた方民同系の者をもつていわゆる形式主義なりあるいは規約主義だと言つて非難というか、立場を異にすると言つておられる点なのでありますか。要するに組合規約を忠実に解釈し、忠実に実行しようとする方向に民同系は主力を注いでおる、共産系においてはそこに一つの便宜主義と申しますか、そういうふうな立場において行動されるというのでございましようか、どういうのでございましようか。
#552
○星加証人 それは私申しますが、ごく初歩の相違であつて輪ずるに足らにい問題である。私ども民同の、組合運動における共産党員との相違というものは、いかにして組合員の現実の利益を実現するかということにあるわけであります。それ以外に目的を持つておらないということであつて、どちらかと言いますと、これを極端に批判して申せば経済主義であり組合主義である、このように言われる点であります。共産党員の方は、その方は從でありまして、やはりこれは革命運動という点に重点が置かれておるわけであります。権力鬪爭であり、政治鬪爭であるという点に組合運動の重点を置いておるということが異なつた点であつて、当然共産党員であろうがなかろうが、民同であろうがなかろうが、組合を運営するためには組合規約に忠実でなければならぬ。それを便宜的に解釈するのだというふうなことは全然問題にならぬ相違であつて、もし組合規約を便宜的に解釈してその形式をとらないというならばこれは組織以外の人間の言うことである。
#553
○小玉委員 そこでこの熱海会議の根本の最惡の場合にはストをも含む実力行使を行う、これがあなた方の見解では、いわゆる公共企業体労働関係法ができた以上は、その組合規約も一時停止しておるものと解釈しておるというにもかかわらず、かような実力行使を行うということを決議した根源、その腹は、一番最初にありますところの吉田内閣打倒を議会主義の方法によらず、いわゆる革命主義といいますか、実力行使によつて目的を貫徹しようというところに重点があつて、そうしてこのストをも含む実力行使を行うというところに結果が來たのではないかというふうにも考えられるのですが、あなた方はどのようにその点を考えるか。今あなたの申されました組合内における共産党の根本的の性格から考えるならばさようにもとられるのですが、その点についてはあなたはどういうふうにお考えになつておりますか。
#554
○星加証人 あなたがお考えになるような点も考えられており、それらも論議されておりますが、しかしながらここにわれわれが中央委員会において敗れておるという現実があります。これをよく見なかつたならば問題の本質が解決できない。それは共産党員の数というものは少いのでありまして、それでわれわれが敗れるはずがない。しかるにこれが敗れておるというところに、そのような考えというものが一般組合員の間に廣く行われておるであろう。吉田内閣の打倒ということにつきましては、はなはだお耳ざわりの点ではおりましようが、(笑声)そうしなかつたならばならないという考えを一般の組合員が持ちつつあるという現実は、私は見逃してはならないことであると思います。ここでちよつと聞いておいていただきたいことは、われわれが團体交渉を開始して、そこで納得する線を出して協力する方向の新しい行き方を始めようという考えもあり、そのことを主張しておりますが、しかしこの際において一應民自党内閣がこれに対してとられた態度というものが、定員法によつてはつきりいたしております。しかし私は民自党なり國会をあながち一方的に責めようとするものではない。そのように定員法をもつて、團体交渉なり何なりをけつて押しつけて行く。権力によつてそれを強行するというふうにせしめた力もあるいはあるであろう。また労働組合そのものの姿が、團体交渉をしておつたのでは、この定員法によるような方法を納得ずくでやり得るものではないという予想も持たれておるから、一應このような非民主的と言われるようなものを強行される必要性もあつたかとは思うけれども、それに対してやはり法律なり、労働者に対して認めらておるところの権利、労働組合を置いて民主化して行こうとしておるところのこの日本再建の方式の本質を考える場合には、やはりつらくてもこの方法をむげにしりぞけた行動をとるべきではなかつたのであります。從つて大屋運輸大臣のごときは内閣委員会で羽仁五郎氏への答弁で、このように権利を一方的に停止するということはこれはエマージェンシー・フェースであるからやむを得ないのである。しからばエマージェンシー・フェースであるような一体形を整えておる。すなわち非常事態宣言というものを出したかという質問に対して、経済九原則というものを受取つているので、これを実施することはまさにエマージェンシー・フェースである、だからこれが実施が終つたならばすぐに労働者の権利は元に復するのであるということを言われておりますが、ここでエマージェンシー・フェースであるという答弁は、私はその通り、名答弁であると思う。けれどもエマージェンシー・フェースであればあるだけに、これはやはり國民が納得し、協力し得るところの方法においてエマージェンシーを乘り切るにあらざれば、左翼と右翼とが互いに抗爭して、食うか食われるかの戰いをやるというような形において、どうしてエマージェンシー・フェースが乘り切り得られるであろうか。これを考える場合に、やはりこの問題は私、團体交渉なり何なりということを認めない。法律で決定をしてそのままを労働者にポンと押しつけたなれば、それで事態は円満に解決をしてしまうのだ。すなわち労働組合無用論に近い行動をおとりになるということは、これは絶対的な誤りであると思う。そういうことに対する反撥というか、それを受取つての組合員一般、あるいは労働者の観念というものが、かかる吉田内閣を置いておいては國家の再建を阻害するものであるという結論を出して、これは行き過ぎているという考えもあるけれども、やはりそれに賛成をせざるを得ない実情ではないかと思うわけであります。この点はひとつとくとお考えを願いたいと思うのであります。(笑声)
#555
○小玉委員 そこで最後に結論としてお伺いしたいと思います。あなたの政治的観察と申しますか、御意見はさように承つておきます。しかしながらあなたとしてはやはり公共企業体労働関係法の十七條がある限りは、やはり今度の決議の六項のごとき方法によつて、いわゆる定員法をしりぞけるというような、そういう行き方は好まない。やはり議会主義方法によつて目的を貫徹するように進まれる。こういうことについてはあなたの御信念はおかわりございませんか。
#556
○星加証人 その通りでありまして、私は公共企業体労働関係法というものが國会を通過いたしまして、それによつて國鉄労働組合は今まで國家公務員法のもとにあつて團体交渉がなかたつたものが、團体交渉権を持つに至つた。從つてこの点は公共企業体労働関係法というものに、一應反対であるということを國鉄労働組合が申しておりますが、しかしながらこれはよりよいものへの願望を表わしているものであつて、すなわち現在の一般の労働組合は労働組合法というもので規制をされている。しかるに公共企業体であるからといつて、公共企業体労働関係法によつてストを禁止された立場に置かれている。これはやはり賛成するわけにはいかない。公平取扱いを受けたいというので反対をしているわけでありますが、しかしそれへの楷梯といたしまして、國家公務員法から公共企業体労働関係法になつて参つた。それは組合の権利が失われたものが一應回復を見せておりますので、この法律を生かして、また組合員の利益を守るべきである。あながちこの法律を無視して組合運動を進めるべきではない。この法律を尊重し、その中において十分なる活躍をもつて、労働組合員の利益を百パーセントに擁護いたしたいと考えております。現在眞の意味においては、公共企業体労働関係法を拒否しておるものではない。それに從つて行動をしておるのであり、それを尊重しておるのであります。しかしこの熱海の中央委員会の決議というものが、しからば公共企業体労働関係法第十七條によつてどういう関係にあるかということは、これは非合法であるということは明らかであります。これは法律の常識を持たない者でも、この法律を読んで、この決議と比べるならばこれは非合法である。けれどもその非合法がただちに罪になるかならないかということは、これは裁判官に一任すべきことでありますから、私は何とも申さない。けれども組合の立場に立つて組合を健全に発達せしめ、組合員の要求を入れさせ、組合員の利益を守ろうとするならば、かかる非合法の線に進んではならないのであるということを私は強調しておるのであります。
#557
○小玉委員 くどいようですが、最後に古い話ですが、かつて陪審法を日本にしくかしかないかという問題で、政友会内閣においてこれを提出したそのときに、反対党の領袖である若槻禮次郎氏は、まつこうから反対党を代表してこれに反対された。しかしながら事破れて陪審法がしかれるに至つた際に、若槻禮次郎氏の感想を聞いたならば、自分としては法律のできるまではまつこうに反対した。しかしいやしくも法治國としてそれが法律に現われた以上は、國民としてこの陪審法に忠実に從うべきだということを声明されたのでありますが、やはりあなた方のお考えというものを同一に解釈してよろしいか、結局定員法の成立にはまつこうから反対された。しかし國家の最高機関である議会において通過した以上は、その法律が廃止ないしは変更されるまでは、この定員法に從わなければならないということは、あなた方の信念としてさように受取つてよろしいか。
#558
○星加証人 そのことは、私は法治國家のもとにおいてあるので、定員法に從いましようということを言うておるわけでありまして、しかし定員法に從うということは、一体どうすることかということですよ。これはこのまま首切られて默つてしまえということではない。定員法の附則においていろいろ書かれておるので、あなた方は團体交渉をしては、これは法律に違反するのだというふうにお考えになつておつたらこれは間違いなんだ。定員法というものは、團体交渉をする際には、組合側が團体交渉をしましようと言う、さうしたら当局もしましようと言う。ここで團体交渉が成り立つわけであります。ところが当局が團体交渉はしませんということを言つたならば、いかに團体交渉をなし得る問題についても、團体交渉は成立しないんだ、相手がいるんですから、相手がなくなつたらこれはだめですね。これは戀愛問題でも女と男の問題ですから、一方がほれてもこれはだめだ。だから團体交渉の問題についても、一方がいやですということを言つたならば團体交渉は成立しない。しかし定員法においてはどういうことが書かれておるかというと、團体交渉をしなくてもよろしいよと書いてある。だからいやですよと言い得る法的根拠を彼に與えておるのであります。だから彼がいやだと言つたら君それは法律違反ではないか、こちらに向け直させるだけの権限がこちらにない。從つて当局はそういうことはしたくないからうしろを向くにきまつている。ただそれだけのことであつて團体交渉をすべからず、もしこれをやつたならば、この定員法附則第何項によつて懲役何年に処するというような罰則もなければ、禁止したところの文章もないというわけだから、ここに團体交渉をしてこれは解決をしなさい、そうしてやるならば当然團体交渉権であるから、馘首の数についてもこれは何万人の者を何万人にせいという話合いをして、そこで國家の予算がどうしてもいかぬのだから、それが十分わかつて、なるほどその通り九万七千人でも十万人でも切られるならばいたし方がない。あるいはその切られた者がよそへ行つてちやんと、働くようになるから食う心配もなくなる。こう納得する線ができたら、定員法通りに切つてもらつてもよろしい。またそうでなかつたならば、その数をまた臨時國会でも開いてもらいまして、この前の定員法のときはこれだけと言うたけれども、ほんとうはこういうふうになつた方が合理的だからひとつこういうふうに修正してもらつて目的を達する。こういうわけであります。
#559
○吉武委員 星加さんに一言お尋ねいたしますが、先ほど來の星加さんの申されまする考え方は、自分たちは合法的な線において労働運動を展開して行く。もつて労働者の現実の利益に貢献したいというお話であつたのであります。私どもも労働組合の方々が憲法第二十八條によつて保障されておりまする團結権、團体交渉権を持たれるべきであると思うのでありまするけれども、昨年の七月二日マッカーサー元帥から書簡が日本に與えられたゆえんのものは、日本における過去三年間の労働運動のその過程において、いかにそのやり方が非民主的であるかという、その実績に基いて出されたものであると私は感ずるのでありますが、いかにお考えでございましようか。
#560
○星加証人 ただいま御質問のあつた通り、組合運動のあり方が非民主的であつたために、マツカーサー元帥の書簡が出たということも言われますが、私の考えではもちろん非民主的もあつたけれども、スト偏重主義――政治スト偏重主義であり、組合自体の経済的要求の達成、並びに経済の興隆に寄與するというような半面が失われておつた。一方的にやはり偏重し過ぎた点に政治的感覚もなければいかぬ。革命的感覚もなければいかぬが、それに偏し過ぎて、本來の目的を少し忘れたような行動があまりにも目立つたために、かかる書簡を受けたものであると思うのであります。
#561
○吉武委員 次に伺いたいのでありますが、國鉄におきましては一般の公務員法において爭議権、團体交渉権も制限されたのでありますけれども、幸いに國鉄につきましては、公共企業体労働関係法で先ほどお話がありましたように、團体交渉権が認められるようになつたのでありますが、その後におきましても、先般の國電ストを見ますると、あなた方のお考えになつておる合法的な方法によつて、團体交渉を続けようとして熱心にやられておるにもかかわらず、その中の一部の共産党に属する人々のやり方は、皆さん方と違つた非合法的な行動がなされておるとわれわれは認めるのでありますが、あなたはそういうふうにお感じになりませんですか。

#562
○星加証人 その点とにかく私はここで申し上げておきますが、國電ストということは、あれは爭議行爲に出て電車をとめた。電車をとめてしまつたということは、公共企業体法の十七條に違反をしておるのである。だから法律に合わない。これは非合法であります。現実にそのことはちやんとみなが知つていることである。こういうことになり、私がその正しい健全な組合運動、合法的な組合運動を進めようとして四苦八苦しておるけれども、現実においてはわれわれは失敗をして負けておる。この負けておる現実というものは一体何かということは、あなた方が共産党を攻撃されるけれども、共産党を應援しているのである。團体交渉権が公共企業体法で認められておるけれども、その團体交渉をさせぬように定員法できめているでしよう。そういうことをやめてくれと言うのですよ。
#563
○吉武委員 私は本委員会に問題になつている点に触れて御質問をしたいのでありますが、今星加さんも話されましたようにに先般の國電ストは明らかに公共企業体法弟十七條に違反する不法の行爲であつたということを認めておる。これはすでに世間一般の憂慮しておる点であつたのであります。從つて先般熱海の中央委員会の決定の際に行われた第六の、ストをも含む実力行使を行うという決定は、明らかにこの不法なる行爲を行わんとするものであるという意味において、あなた方民同に属する方々は極力これの決定を阻止されたものであると思うのでありますが、どうでございますか。
#564
○星加証人 その通りでございます。
#565
○吉武委員 そうしますと、これは先ほどもちよつと触れられたのでありますが、当時の鈴木副委員長はあの第六項目はただわれわれの氣持ちの表現である。自分たちは不法なる行動はとるつもりはないと言つておりますけれども、これは私は非常な詭弁であつて、われわれ国民はひとしくあの決定は不法なる決定であると思いますが、皆さん方直接國鉄の中に関係のある方もやはりあの決定は不法を意味して提案をされ、またそれに賛成したものと断じていいでありましようか。
#566
○星加証人 ここは私はなはだ困難でありまするが、とにかくこの具体的な決議というものを見て、この決議を公共企業体労働関係法に從つて解釈をした場合に、これは非合法であるという結論はだれでもがくだし得ると思う。しかしながら鈴木君がどういう氣持でこれをやつたかということについては鈴木君でなかつたならばわからぬと思う。鈴木君がそうだと言えば、そうでありましたでしようという以外に方法はないと思います。
#567
○吉武委員 そこで私は次にお伺いするのでありますが、題はやはり客観的に見て、あの決議が十七條に違反した決議であつたということは爭えない事実であろうと思います。そこで問題はこれを実施するときの問題に移るのでありますが、一應これを実施する場合においては、中央執行委員会において指令の出るのが本則であつたことは、先ほど來あなたの申されたことであろうと思うのであります。しかしながら過去における爭議の実際の経驗を見ますると、実は組織の正しい規定に從つた行動は行われないで、この間の國電ストもおそらく私は中央執行委員会において指令された爭議だとは思われない。これは各職場職員における一部の急進分子の煽動と、強引なる力によつて押切つた爭議であろうと思う。そうしますと、あの不法なる決議がなされて、これが正しき機関によつて指令されないでも、六十万の組合員を控えておられまする各職場、地域におきましては、中央においてかかる意見決定がなされたということによつて、今後いかなる事態が起らんとも私は保障できないと思います。皆さん方が中央委員会において極力これを阻止せんと戰われたゆえんもそこを憂えのお考えであつたろうと私は思うのであります。ただあの決定が氣持の表現であるとか何とかいう單なる決定としては受け取れない。この決定の及ぼす影響が國鉄全体における今後の事態にいかなるものを発生するかということを憂慮されておると私は思うが、そういう御心配はなされなかつたでありましようか。
#568
○星加証人 その通りであります。
#569
○吉武委員 私の質問はこれで終ります。
#570
○神山委員 まずお尋ねしますが、琴平大会で星加さんは司会者をおやりになつたと國鉄新聞でその要点だけが書いてありますが、いつ首をとられるかとの不安を一刻も、早く解消するために、われわれは大会を持つた。ここにすべての段階と困難を克服打破して、確固不動の決意をされんことを強く要望するとおつしやいました。まことに私けつこうな言葉だと思いますが、法律に関する問題を別とすれば、今もこの氣持は持つておられるでしようか。
#571
○星加証人 その通りであります。
#572
○神山委員 ここで一つお尋ねしたいことは、先ほど暴力のことが大分問題になりましたが、あなたも長く國鉄にいらつしやるわけですが、國鉄の組合がずつと活動して來る間に、法規の上であなた方がだんだん苦しくなつて來た。すなわち警察の干渉もある程度強くなつて來た。公安官などが実際に組合運動の中に首を突つこむ可能性もできて來る、こういうふうな点をお考えになつたことがありましようか。
#573
○星加証人 私は警察あるいは公安官その他によつて組合運動の方向をねじ曲げられたとか、あるいは圧力をかけられた、牽制をされたというような感じを受取つたことは一回もありません。
#574
○神山委員 それはまことにけつこうであります。そうすると、逆に先ほどの話と総括しますと、警察や公安官諸君からは圧力をかけられたことはないが、共産党の諸君からは圧力をかけられた、こういうふうに聞いてもいいですか。
#575
○星加証人 これは圧力をかけられたということにつきましては、いろいろの実例がありますので、やはり組合運動に対して共産党が自分の主張を強い、また自分の方法を持ち出して行こうという場合には、共産党員が圧力をかけて自分の主張をするのですから、そういうことは現実にあり得るものであります。あなたもそれをやらされたと私は考えております。
#576
○神山委員 なかなか御明答であります。私たちとしては初めからあなたと論爭する氣はないという前提で話をしておるのでありますが、今度はもう一つお尋ねします。首切りの問題に対するあなたの意見はすでに明らかになつておるのでありますが、この間に從業員諸君の待遇やそれから職場における状態は改革されたというふうにお考えになりますか。それともやはり首切りの問題が強行されると同じように、よかれあしかれだんだん惡くなつて來るというふうにあなたは見ていらつしやいますか。
#577
○星加証人 その点でありますが、われわれの生活は絶対的な意味におきましては、樂になつてはおらない。しかし比較的な意味におきましては、戰爭中を通じ、それから戰後を通じ、今日においてはようやくよくなつて來たと感じておる次第であります。また勤務その他の方法につきまして、もし労働組合ができまして以來というものは、やはりわれわれが過去におきまして上長に接しておつたような封建性から解放されて、よほど明るいものになつて來たという感じを持つております。
#578
○神山委員 今のことに関連してお尋ねしますが、私がお尋ねした意味は、戰爭中に比べたらもちろんあなた方の今おつしやつたような職場内における空氣は明るくなつた、それははつきりしていると思うのであります。むしろ私がお尋ねしたかつたのは、もし総体的によくなつたとすれば、どういう点が総体的によくなつたのか、さらにそれにもかかわらず從業員の生活状態が絶対的な意味では悪くなつた、こういうような事実についてお氣づきの点を話していただきたい。
#579
○星加証人 絶対的な意味というのは、これはこれで満足だという点に達しておらない。比較的な面においてはややよくなつたと考えておりますが、惡くなつた面が多少あるだろうということをお聞きになつていると思いますが、確かに最近はよくなつたものがまた惡くなつて参りました。それは世相一般と同樣に、現在行われている予算関係のもとにおいては、一般がやはり苦しい生活に入つて來たと思いますと同時に、國有鉄道においてもいろいろの手当が削減され、あるいは今まで無償であつたものが有償となり、実質賃金並びにそれらの目に見えた金銭的收入が激減をいたしておりまして、世間一般の消費生活と比べてはなだしい劣性に置かれているのが現実であります。
#580
○神山委員 御説の通りだと思います。
 次に鉄道の荒廃の問題ですが、先ほどあなたにお尋ねした内藤委員も今こちらに來ておりますが、あなたが四國からお見えになつた、從つて鉄道が安全だというふうな論法を盛んに聞いておりましたが、あなたがお考えになつて、現在の日本の鉄道の状態を安心していていいものか、現にこの委員の中でも、近いうちに大阪まで彈丸列車が走るのではないか、だから國鉄は復興しているのではないか、こういう論法を出す人もあるが、私たちはそういう面もあると同時に、鉄道の荒廃が最近問題になつている、あの列車に対する妨害事件をそういうものの一つの客観的な原因になつているのではないかと心配しているのですが、この点について星加さんはどうお考えになりますか。
#581
○星加証人 荒廃している、これに対しての安心感というようなものについては、それぞれやはり主観的な程度の問題があろうと思うのでありまして、これは各人の立場によつて異なり、またそれをクローズ・アツプして主張しなければならないような点にはやはりクローズ・アツプして強制することもあり得ますので、これは國鉄を愛するもの、その他運輸の安全を期したいと一般に考えられる場合は、よくなつたという方面にあまり着目されずに、惡いという点に着目されて、これが眞によくなつて行つて安全度を増すように御協力願いたいと考えるけれども、ここに惡い惡いと申しまして、それをただちによくしてしまうことも不可能なときに、必要以上にそのことを強調することは、不必要に社会不安を釀成することに相成ろうかと考えます。從つて私どもはそういう態度をとりたくないのであります。また現在列車妨害のようなことが頻々と行われているが、これらもそれを反映しているものではないか。関連があるかないかと言われますけれども、原因が突きとめられておりませんのではつきりと申し上げることもできませんが、惡い惡いと言われているものをよけい惡くして、線路に石を並べて脱線をさして、その証拠を見せようというような考えであるならば、これは誤つた考えであろうと思われる。また事故の内容によつては、モーターの中にくぎを五、六本入れておいて、まわしたら燒けたというような、再建を急ぐ國鉄資材を愛護しなければならない敗戰國家の國民といたしまして、心得違いのはなはだしい行爲であると考える。どうか協力一致これらの犯人をあげまして、眞相を糾明し、かかることのないようにいたしたいと考えておる次第であります。(拍子)
#582
○神山委員 まことにけつこうですが、今の最後の発言について、組合の中央部から出されている声明などとあなたのおつしやつたことと部分的に違う点があるように覚えるのですが、この点についてあえてここであなたと論爭するつもりはない。
 最後に私がお尋ねしたいのは、熱海の十五回中央委員会の決議の中に鬪爭目標に掲げられている点です。それは、これは解決をはかるとともに、首切りを不可能にし、修正予算を組み、首切り案を撤回するための國会を早く開かせると同時に、吉田民自党内閣を打倒する、この目標そのものについては、あなたはどういうふうにお考えになつておりますか。
#583
○星加証人 これはその通りでよろしいと思います。
#584
○神山委員 最後に言つておきたい点は、当然星加さんも組合の中央部におられましようし、從つていろいろな主義、主張あるいは見解の相違はあるにかかわらず、やはり意見を鬪わせるのが現在の國鉄從業員の当面している困難な状態を克服するために、一番初め琴平大会であなたが言われた点を私は読んだわけですが、やはり今日の状態を切り拔けるために、全力をあげて鬪われるというふうに私の方で考えてもけつこうでありましようか。
#585
○星加証人 今日においてもやはりということを言われましたが、今日においてもやはりではなしに、これは確固不動揺ぎなきものであります。ここで私がお願いをしたいことは、現在までの方針に鬪つてということを言われましたが、これはあなたのお考えでは、やはり非合法の線をも敢行してというような意味が含まれているのではないかと考えるが、そういうような意味合いにおいての國鉄労働組合が運営されて來た今日までの実績にかんがみて、これが誤りであつたということを認識され、その線をわれわれの主張通りに修正されることを私は望みたい。(拍手)
#586
○神山委員 今私の言つたことをあなたは誤解しておつしやつている。私は今の話の中に、共産党の方針を実行するとも、われわれの方針が正しいとも、あるいはこの決定通りにどうするというふうなことをお尋ねしたのではなしに、最低限労働者階紙、ことに國鉄の労働者諸君が現在置かれた困難な状態を何とかするために、意見の違いは違いとして、しかも要求を完徹するように努力される御意思があるか、こういうふうにお尋ねしたのであります。あなたの最後に言われた御希望は十分聞きましたが、私はむしろ國鉄労働組合の指導的な幹部である星加さんにあくまで奮鬪していただきたく申し上げたのです。
#587
○星加証人 その通りに私は考えます。
#588
○小玉委員 先ほど組合員に対する共産党員の圧力のかけ方ということについてお話があつたのですが、旋風の十二号にこういうことが書いてある。「糾彈される組合破り」という見出しで、「少数の共産党員が脅迫手段でガムシヤラに組合をストへ引張つてゆくということは、すでに世間一般の常識である。
 最近、その最も典型的な事件が東京の近くで起つた。目下「組合破り」として大衆の冷い批判を浴びている。國鉄労組八王子支部の暴力によるスト突入決議がそれだ。
 「おい、ストに入るかどうか。入らなかつたら叩き殺すぞ」
 こういう罵声が鬪爭委員会の周辺から起つた。或る者は赤旗を振り、或る者は匕首をもつて委員を監視し、或る者は怒鳴つた。委員会を取巻くいているのは共産党から派遣された「組合破りの暴力團」である。
 これでは委員会の自由な発言が出來るわけがない。議長鈴木清(民同)はいたたまらなくなつて、流会をねらつて席を立つた。鈴木は表へ出た途端に七、八人に阻まれて殴打された。その後、再び席へは戻つて來なかつた。普通なら委員会は流会になるところだが、流会にしたのではストにもつてゆけない。そこで副委員長の小田木次郎八(共)を議長に据えて会議を続行させた。会議が大詰まできて、ストに入るかどうか投票というところまでくると、途端に各委員一人一人を件の暴力團が取囲んだ。「やい、反対でもして見ろ、生かしては返さぬぞ」委員のからだをこずきながら投票用紙をのぞき込んだ。周辺からはエキストラが「情報」と叫びながら、「只今、宇都宮支部スト突入」とか、「靜岡も続いて突入」とか、ウソ八百を怒鳴つて委員を煽つた。それに合わせて、雪崩れ込んだ一團の中から拍子が起つた。おそらく、この雰囲氣が正面切つて反対でもしようものなら、殺されるかも知れない。果たして、恐怖手段は効き目があつた。斯うして、脅迫決議はスト突入に決まつた。ワーツと喊声をあげたのは、言わずと知れた赤い暴力團である。善良な組合員もこれには手がつけられない。また、組合員は誰のために鬪つているのかわからなくなつたと嘆いている。共産党糾彈の火の手は組合の中から捲き起つている。」こういうふうな記事が「旋風」の十二号にあるのですが、かような圧力方法によつて決議を行い、ないしは自己の主張に從わせるというようなことが組合内でとられておるかどうかということをあなたが見聞されたようなことがありますならば、ひとつお聞きしたいと思います。
#589
○星加証人 ほぼこの場の空氣を察しますと、私はあまりこれ以上答弁を続けるのはよろしくないように考える。退席されておる方もあるし、用意されておる方もおりまして、あまり直接の問題でもありませんし、一應ポイントの点については述べ終つておるように考えますし、「旋風」の記事のことでありますので、雜誌の記事として一應御了解を願いたい。中央委員会における責任ある問題につきましてはお答えいたしますから、御了承願います。
#590
○鍛冶委員長 御苦労でした。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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