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1949/07/25 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 考査特別委員会 第25号
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1949/07/25 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 考査特別委員会 第25号

#1
第005回国会 考査特別委員会 第25号
昭和二十四年七月二十五日(月曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 鍛冶 良作君
   理事 大橋 武夫君 理事 小玉 治行君
   理事 高木 松吉君 理事 内藤  隆君
   理事 猪俣 浩三君 理事 神山 茂夫君
   理事 石田 一松君
      安部 俊吾君    井手 光治君
      菅家 喜六君    塚原 俊郎君
      吉武 惠市君    聽濤 克巳君
      寺本  齋君    浦口 鉄男君
 委員外の出席者
        証     人
        (神奈川縣工場
        代表会議代表) 田中 政司君
        証     人
        (議員)    風早八十二君
        証     人
        (日本國有鉄道
        労働組合新橋支
        部執行委員長) 木村美智男君
        証     人
        (日本國有鉄道
        労働組合中央委
        員会委員長)  加藤 閲男君
        証     人
        (全國労働組合
        連絡協議会常任
        幹事)     渡辺三知夫君
        証     人
        (日本國有鉄道
        副総裁)    加賀山之雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國電スト問題
    ―――――――――――――
#2
○鍛冶委員長 会議を開きます。
 これより國電スト問題について調査を進めます。証人より証言を求めることといたします。
 ただいまお見えになつておるのは田中政司さんですね。
#3
○田中證人 そうです。
#4
○鍛冶委員長 これより國電スト問題について証言を求めるごとといたしますが、証言を求める前に、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律をお聞かせするのですが、これはこの間やりましたから、よろしゆうございますからあとは省略いたします。
 それでは法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。ちよつとそれを読んでください。
    〔証人田中政司君宣誓〕
#5
○鍛冶委員長 署名捺印願います。
    〔証人宣誓書に署名捺印〕
#6
○鍛冶委員長 あなたは神奈川懸工代会議代表をしておいでになりますか。
#7
○田中證人 そうです。
#8
○鍛冶委員長 本職は何でありますか。
#9
○田中證人 本職は科学技術者です。
#10
○鍛冶委員長 何会社のどこの……。
#11
○田中證人 東芝の研究所です。
#12
○鍛冶委員長 どこの東芝ですか。
#13
○田中證人 川崎です。
#14
○鍛冶委員長 川崎の東芝ですね。
#15
○田中證人 川崎の東芝の、普通マツダ研究所と言つております。
#16
○鍛冶委員長 マツダ研究所の技術員ですか。
#17
○田中證人 技術者です。
#18
○鍛冶委員長 いつから神奈川縣工代会議代表をやつておいでになりますか。
#19
○田中證人 こういう問題を扱われる人は、大体御存じと思うのですが、工代会議というのは、別にいつからどうというようなのではないのであります。ちよつと工代会議代表で証人として出て來いという招請が来たので、來たのであります。
#20
○鍛冶委員長 ああそうですか。別にきまつた代表となつておるわけじやないのですか。
#21
○田中證人 そうです。
#22
○鍛冶委員長 そこでお尋ねしたいのは、神奈川縣工代会議というものは、いつから、どういう目的で、どういう人によつて組織されておるかをお聞きしたいのですが。
#23
○田中證人 それをお答えする前に、お伺いしたいのですが、今後いろいろな問題が出て来ると思うのです。それでやはり答える焦点が狂うと、なかなか議事も進行しないと思いますから、あらかじめちよつとお聞きしたいのですが、考査委員会の性格、それから今度のこの問題を取上げた趣旨、そういう点をはつきりさせていただきたいと思います。というのは、たとえばぼくらの商賣上、ここにある水とは何かという質問が出たときに、答える人の意図によつても、大分答え方が違うのです。
#24
○鍛冶委員長 今言つたように、主要点は國電ストに関する問題なんです。それに関してあなたの方に関係のあるようなことを聞くので、そのつもりで答えてもらえばいい。
#25
○田中證人 かつてな解釈で答えてよいわけですか。
#26
○鍛冶委員長 かつてといつても、こちらの問いに対して答えてもらえばいいわけです。
#27
○大橋委員 問いの意図は君に関係ないわけだ。その質問に対して適当な答えを君は出しさえすればいい。
#28
○田中證人 なかなかそうは行かない。
#29
○大橋委員 不適当ならば、また委員長の方で聞きかえす。
#30
○田中證人 たとえばこの問題では檢察廳とか警察とか、方々でいろいろなことを聞かれるわけです。そういう檢察廳が國電ストを調べると同じような態度で、考査委事員会が調べられるのか、それともまた別な……。
#31
○鍛冶委員長 そうじやなかろうと思います。われわれはわれわれの立場として聞きます。
#32
○田中證人 その点がはつきりしないのです。それで考査委員会というのは、國会できまつたときからも言われたように、前の不当財産取引委員会のあの仕事を大部分やるということで國会は承認されたと思うのです。從つて國電ストについて、そういう点でぼくらの知つているところを聞きたい、こういうようなつもりじやないか、私はそういうつもりでお答えしたいと思います。
#33
○鍛冶委員長 そうとは限りません。
#34
○田中證人 そうでないと、考査委員会の今宣誓した、余分なものをつけ加えちやいかぬという、その余分なものを答えることになる。
#35
○大橋委員 あなたが経験した事実以外のことを言うたら余分なことになる。あなたの経験したことを言われたらいい。
#36
○鍛冶委員長 神奈川縣工代会議というものは、いつ、どういう目的で結成されましたか。
#37
○田中證人 その点で私も前から聞いておるのですが、たとえば極東委員会の十六原則なんか見ましても、労働爭議のいろいろな問題をスパイしてはいけないとか、いろいろなことが規定されているわけです。そういうものと、今のようなそちらの御質問とがどういうふうな関係になるかというようなことも、やはり考査委員会の性格という点から出て來ると思う。
#38
○鍛冶委員長 そういうものには関係ありません。
#39
○田中證人 しかし関係ないといつても、われわれの立場からいえば、それはやはり極東委員会で禁止されている條項にあてはまると思うのです。
#40
○鍛冶委員長 私、なるべく穏かにやろうと思うのだが、ここではこちらから聞いたことに答えるだけのことで、あなたの方からの質問は許さぬことになつておるのです。そういうことはこちらで言うことですから、あなたはこちらの言うことに対して答えてさえもらえばよいのです。
#41
○田中證人 その答え方がわからないのでしようがない。
#42
○鍛冶委員長 今言うた通り、神奈川縣工代会議というのがあるのでしよう。ないのですか。
#43
○田中證人 考査委員会は労働運動についてもう少し御存じだろうと思う。工代会議とか、慰労会議とか、産別とかいうものは、そういうものがあるとかないとかいうようなものでないことは御存じだろうと思います。
#44
○鍛冶委員長 わかつておつても聞くのです。
#45
○田中證人 そんなことはなり立たないじやないですか。
#46
○鍛冶委員長 それを初めから聞かなければ速記の上に現われて來ないじやないですか。たとえわかり切つたことでも順序として聞かざるを得ない。当然のことでも聞きます。そんなことは法律に出ておるから示さなくてもよいけれども、やはり示さなければいかぬから示す。すべてそういうもので、初めから聞かなければならない。――神奈川縣工代会議はいつできましたか。
#47
○田中證人 その御質問には大分まとがはずれるだろうと思う。というのは労働運動を少し知つておればそういう質問は出ないはずです。工代会議は工場代表者会議であつて、問題があるごとにやるのです。終戰前もおそらくやつたと思いますが、終戰後はずつとやつております。趣旨は神奈川縣の労働運動の問題が起きた場合に、それを皆で解決するにはどうするか。特に現在では神奈川縣ではいろいろに不正腐敗の事件があります。たとえば横浜市の小林市警察局長は、最近はつきりした情報によれば、ある事件の五、六人の首謀者の一人だということをいつておる。こういう事件を工代会議は取上げて、神奈川縣の明朗化をはかつて行きたい。
#48
○鍛冶委員長 そうすると不正事件を摘発することが目的ですか。
#49
○田中證人 労働運動全般ですから、その中に入るということです。
#50
○鍛冶委員長 摘発たけが目的ですか。
#51
○田中證人 そうじやない。まだたくさんあります。労働問題全般です。特に今やつている仕事をお話しただけです。
#52
○鍛冶委員長 こちらから聞いたことに答えてください。構成委員はどういう人々がそれに入ることになつておりますか。
#53
○田中證人 労働者は全部入ります。
#54
○鍛冶委員長 神奈川縣の。
#55
○田中證人 はあ。
#56
○鍛冶委員長 別にこういう業の者とか、こういう團体の者とかいうことはきまつておらぬのですか。皆入ることになつておるのですか。
#57
○田中證人 工場代表者……さつきから何回も言いますように、各職場の代表者の会議ですから、だからそこへ出たい人は、だれでも出られるのです。
#58
○鍛冶委員長 工場労働者だけですか。
#59
○田中證人 廣い意味の労働者です。
#60
○鍛冶委員長 それを入れることを建前としてやつておるのですね。
#61
○田中證人 建前とか何とかというものでなしに、労働運動というのはそういうもので、そういうように運営されておるわけです。
#62
○鍛冶委員長 今度の國電スト、五月末から新交番制で鉄道内でいろいろなごたごたがあつたときに、あなた方は東神奈川車掌区へ行つて、いろいろこれに應援せられたようですが、いつごろからどういうことで應援せられたのですか。
#63
○田中證人 どうも質問のあれがわからぬのですが、考査委員会というのはそういう労働爭議の内容をいろいろ調べるところですか。(「そうだ」)それなら労働委員会は何をするととろですか。その点がはつきりしないと答弁に困る。
#64
○鍛冶委員長 答えないなら答えないでよろしい。私の言うことがわからぬですか。
#65
○田中證人 それがさつきから言つているように、労働委員会で労働運動のいろいろなこまかい点を質問するのなら、ばわかりますが……。
#66
○鍛冶委員長 質問は許しません。こちらの言うことだけに答えて下さい。
#67
○田中證人 答えようがありません。
#68
○鍛冶委員長 答えようがないことはない。答えないなら答えないでよろしい。私の言うことがわからぬで聞くならよろしいが、それ以外の質問は許しません。私の言うことがわからぬのですか。
#69
○田中證人 よくわからないので聞くのです。
#70
○鍛冶委員長 証人にもう一度間かせます。衆議院規則第五十四條「証人の発言は、その証言を求められた範囲を超えてはならない。証人の発言が前項の範囲を超え又は証人に不穏当な言動があつたときは、委員長は、その発言を禁止し又は退場を命ずることができる。」この規定でやります。なるべくあなたの意思に沿いたいと思うが、そういつておつたのでは委員会が進みませんから、今後は私の問うたこと以外の発言は許しません。
 五月末ごろから六月にかけて新交番制をもとにして、東神奈川車掌区でいろいろ問題が起きたようですが、それに対して神奈川縣工代会議の人々がこれに應援し、もしくは働きかけた事実があるようですが、そういうことがありましたか。
#71
○田中證人 よけいなことを言うといかぬかもしれませんが、さつきから申しましたようにいろいろな事件が起れば労働者は全部集まるので、國鉄の問題についても終戰後ずつと集まつている。工代会議に労働者が入つているとか入つていないとかでなしに、事あるごとに会議を開くのですから、事があれば來るわけです。いつからと言われてもそれはぼくらにはよくわからないのです。
#72
○鍛冶委員長 東神奈川の國電のストの問題について、ストはあとでできたのですが、争議について、いつから東神奈川の方へあなたは出られたかということです。
#73
○田中證人 その意味がよくわからないのですがね。
#74
○鍛冶委員長 あなたは工代会議は何か、問題が起れば集まつてくれといつて集まると……。
#75
○田中證人 それはずつと前からやつているのです。
#76
○鍛冶委員長 東神奈川の問題については……。
#77
○田中證人 東神奈川に問題が起きれば東神奈川に行く。
#78
○鍛冶委員長 それはいつごろやりました。
#79
○田中證人 東神奈川の問題についていつからという意味ですか。それはずつと前からやつておりました。(「新交番についてだ」)新交番が最初問題になつたころから労働者全部が問題にしておるわけです。
#80
○鍛冶委員長 東神奈川駅について……。
#81
○田中證人 東神奈川に限らず國鉄の問題全部に……。
#82
○鍛冶委員長 東神奈川だけの問題について聞いているのです。
#83
○田中證人 東神奈川の問題について集まつたことはおそらくないと思います。
#84
○鍛冶委員長 間違いないですか。
#85
○田中證人 おそらく私が出たところではないでしよう。
#86
○鍛冶委員長 その点をはつきり言えばいい。六月七日の十七時に東神奈川車掌区の休憩室で工代代表が集まつて会議をやつたようですが、それはいかがですか。
#87
○田中證人 それは東神奈川の問題は、時報告はいろいろされておりました。けれども東神奈川の問題だけで集まつたわけではないのであります。そのころいろいろな問題があつたので、それを神奈川縣の労働者が全部一緒に協力してやつて行こうじやないかというので、集まつたと思います。
#88
○鍛冶委員長 それは六月七日の十七時、東神奈川の車掌区の休憩室で開きましたか。
#89
○田中證人 それは何ですか。
#90
○鍛冶委員長 そういうことがあつたかというのだ。
#91
○田中證人 そういう問題をどうも……。だから私また叱られるかもしれませんが、この考査委員会がどういう点でわれわれを呼び出されたのか。私たち考えるのは、この争議中でも國鉄の中にもいろいろな不正や何かが出て來ているのです。隠匿物資の問題とか、そういうのを答えるつもりで來ておるのです。
#92
○鍛冶委員長 これだけ言つてもあなたわからないか……。
#93
○田中證人 ですからそういう会議や何かしつかり調べて來ていない。
#94
○鍛冶委員長 あなたの記憶にあることさえ言えばいい。
#95
○田中證人 車掌区かどうか……。
#96
○鍛冶委員長 そういうことはあつたかなかつたか。
#97
○田中證人 工代会議ですか。工代会議は開きましたが、そこが車掌区か電車区か、あそこはごちやごちやしていてわからない……。
#98
○鍛冶委員長 六月七日十七時に何かあつたですね。それを言えばいい。どういうことを決しました。その会議で……。それさえ言えば……。
#99
○田中證人 それは極東委員会や何かでもはつきり言われておりますように、労働争議の運動の非常に内部的な問題になると思うのですけれども、そういう問題まで考査委員会が取上げて、そういう問題まで考査委員会で言わなければならないような性格なのかどうか。
#100
○鍛冶委員長 当然です。証人として呼んだ以上はあたりまえだ、あることを聞くのは……。そういうことを言つてこつちの問に答えないのか、答えられないならば、それは……。
#101
○田中證人 答えますけれども、だから考査委員会では……。
#102
○鍛冶委員長 よけいなことを言う必要はない。もう一ぺん言いますが、そういう会議を持つたのならば、その会議でどういう決議をせられたかを聞かしてもらいたい。
#103
○田中證人 それはいろいろな問題が起きているわけですから、そういうのを皆一生懸命やろうということであります。しかしこまかいところは忘れました。
#104
○鍛冶委員長 それならばこれを読んで聞かしてあげます。神奈川縣工代会議文化委員会から発行している人民電車という、これはこういうものを出しているでしよう。あなたの方で……。
#105
○田中證人 出しております。
#106
○鍛冶委員長 これにこう書いてある。六月七日に縣下各工場代表者会議を十七時より車掌室の休憩室で開かれて、東交の問題、東神奈川の問題は、自分たちのことと考え、最大の應援に努力す。われわれは今生死の境に立つている。このために考えることばかりでなく、鬪うことは行動を示す以外にないと確認された、こうなつておりますが、こういうことがありましたか。
#107
○田中證人 それはほかの者によく聞いて見ないと私は、ちよつとわかりません。
#108
○鍛冶委員長 あなた出ていたのでしよう。
#109
○田中證人 出ていました。
#110
○鍛冶委員長 出ていてわからないのか。
#111
○田中證人 出ていましたけれど、ごたごたしていてよく調べて見なければわからない。
#112
○鍛冶委員長 あなたこの会議に出ておつたのでしよう。
#113
○田中證人 出ました。
#114
○鍛冶委員長 出ておつてどうしてわからない。
#115
○田中證人 それは人間ですからね、忘れるんですよ。特にそういう文書になつておるものを確認しろとおつしやつてもなかなか……。
#116
○鍛冶委員長 君が言わぬからしかたがない。読んで聞かせている……。
#117
○田中證人 それならおわかりのことを何もお聞きになる必要はないと思う。(「拒否するというのか」)拒否するということでなしに、はつきり考査委員会が……(「よけいな問題だ」「じや、何と言つたらいいんだ」、「君は眞実さえ述べればいいんだ」)だつてわからなければ……(「わからなくたつていいじやないか、眞実を述べさえすればいいじやないか」)たとえば警官だつてわれわれに眞実を語れと言つても、そういうことはわれわれしないんだ、なぜしないかと言えば、ポツダム宣言や何かで……。(「よけいなことだよ」)
#118
○鍛冶委員長 証人、改めて言うが、これだけ言つても君はそういうことを言つて私の問いに答えないか。
#119
○田中證人 だからわかることだけは答え、忘れたことは忘れましたというよりほかにしかたがない。
#120
○鍛冶委員長 出ておつてもそういうことがわからぬと言うのかね。
#121
○田中證人 忘れました。
#122
○鍛冶委員長 忘れた……。どこまで覚えておるんだ。どの程度まで覚えておるんだ。これに対してどこが忘れて、どこが覚えておるのか言うて見たまえ。
#123
○田中證人 とにかく神奈川縣に首切りとか、工場閉鎖とか、いろいろの問題があつたわけです。そういうものを全部いろいろ話し合つたわけです。その中に東神奈川の問題なんかがもちろんあつたと思いますが、そこにあつたようなふうに、そうなつたかどうか私にもわかりません。
#124
○鍛冶委員長 それじやだれがわかるんだ。
#125
○田中證人 それは神奈川縣の労働組合の連中に聞かれたらわかると思います。
#126
○鍛冶委員長 君だつて代表だろう。
#127
○田中證人 私もその一人ですがね。私はその程度しかわかりません。
#128
○鍛冶委員長 そんなことはない。どの程度までわかつているんだ。
#129
○田中證人 だから今お話した程度――いろいろ問われたことに対してはもう一度靜かに考えて、いろいろな人に聞いて見なければわかりません。私にはここでは忘れておりますから、わかりませんと言うだけです。
#130
○鍛冶委員長 こちらの質問に対してそういうことを言つてどうしても答えられんなら、これ以上進めるわけに行きません。
#131
○田中證人 きようは私さつき申しましたような趣旨で來ましたので、そういうような御質問があるとは知らないから、そういうことを思い出しも整理もして來ないし、そういう質問の要旨を書いてください。今度調べて来るから……。
#132
○鍛冶委員長 もうこれ以上君に聞く必要はない。しようがない。
 じや宣言します。証人に対ししばしば注意いたしたのでありますが、委員長の命をお用いになりませんから、発言を禁止し、退場を命じます。
    〔田中証人退場〕
    ―――――――――――――
#133
○鍛冶委員長 ただいまお見えになつている証人の方は風早八十二さん、木村美智男さんですね。
 これより國電スト問題について証言を求めることになりますが、証言を求める前に各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯料医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。
 では法律の定むるところによりまして証人に宣誓を求めます。
 御起立を願います。風早さん代表してお読みになつてください。
    〔証人風早八十二君各証人を代表して宣誓〕
#134
○鍛冶委員長 署名捺印願います。
    〔各証人宣誓書に署名捺印〕
#135
○鍛冶委員長 証言を承ります順序は風早さん、木村さんといたしますから、木村さんはしばらく元の控室にお待ちを願います。
 風早八十二さんですね。
#136
○風早證人 そうです。
#137
○鍛冶委員長 あなたは衆議院議員で日本共産党に属していらつしやいますね。
#138
○風早證人 さようです。
#139
○鍛冶委員長 あなたは日本共産党のいかなる役員をやつておいでになりますか。
#140
○風早證人 役員はやつておりません。
#141
○鍛冶委員長 党の何とかいうものがあるのじやないですか。
#142
○風早證人 何もないです。
#143
○鍛冶委員長 党員にはいつからおなりでしたか。
#144
○風早證人 二十一年の八月ごろです。
#145
○鍛冶委員長 調査部長とかいうのじやないですか。
#146
○風早證人 調査部長は役員じやありません。役員は中央委員とか……。
#147
○鍛冶委員長 調春部長はやつておいでになりますね。
#148
○風早證人 それもやめました。
#149
○鍛冶委員長 いつからいつまでやつておいでになりましたか。
#150
○風早證人 衆議院議員に当選した日からやめました。
#151
○鍛冶委員長 その前はずつとやつておいでになつたのですか。
#152
○風早證人 やつておりました。最初から調査部長です。
#153
○鍛冶委員長 何か議員になるとやれないようになつておつたのですか。
#154
○風早證人 お互いに忙しいでしよう。それでやめました。
#155
○鍛冶委員長 あなたの選挙区は東京都の第何区でしたか。
#156
○風早證人 第四区。中野、杉並、澁谷。
#157
○鍛冶委員長 それではその選挙区の中心は中野地区でありますか。
#158
○風早證人 中心というのは別にありません。その三区が全部です。
#159
○鍛冶委員長 中野地区で特別の團体をつくつて、その責任者とか役員とかになつておりませんか。
#160
○風早證人 なつておりません。
#161
○鍛冶委員長 何にもありませんか。
#162
○風早證人 ありません。
#163
○大橋委員 中野商工民主何とかの顧問じやないですか。
#164
○風早證人 顧問になつておつたこともありましたが、やめました。
#165
○鍛冶委員長 そういうものもないのですか。
#166
○風早證人 ありません。
#167
○鍛冶委員長 それではそのほかいろいろな民主團体が中野地区にできておるようですが、そういうものにはすべて特殊の関係はありませんか。
#168
○風早證人 ありません。
#169
○鍛冶委員長 それでは承りますが、中野に民主化擁護同盟というのがございますか。
#170
○風早證人 知りません。いろいろそういうものは、あるでしようが……。
#171
○鍛冶委員長 何か民主化という名前でやつておつたという……。
#172
○風早證人 知りません。
#173
○鍛冶委員長 それからいわゆる中野の地労連にも関係しておられるのじやないですか。
#174
○風早證人 関係しておりません。要するに大衆團体には関係しておりません。
#175
○鍛冶委員長 本年の六月、いわゆる交番制をもとにして中野その他の國鉄において問題が起つたようでありますが、これに対してあなたはどの程度御関係になつておりましたか。
#176
○風早證人 別に関係しておりません。
#177
○鍛冶委員長 六月九日に中野車掌区でストに入ることにきまつたようですが、これは御承知ですか。
#178
○風早證人 知つております。
#179
○鍛冶委員長 その前後にあなたは中野の車掌区へ行つて何かおやりになつたようですが、どういうことをおやりになりましたか。
#180
○風早證人 六月十五日に電車区、車掌区あたりへまわつたことはあります。ストがたしか十一日に終つたと思うのですが、十五日にたしか行つております。
#181
○鍛冶委員長 その前にも一ぺん行つておられるのじやないですか。
#182
○風早證人 前とは……。
#183
○鍛冶委員長 十五日前に。
#184
○風早證人 行つておりません。
#185
○鍛冶委員長 そのあとでまたおいでになつたのですか。
#186
○風早證人 そのあと行きました。
#187
○鍛冶委員長 幾日に。
#188
○風早證人 七月一日。
#189
○鍛冶委員長 それでは十五日はどこにおいでになりましたか。
#190
○風早證人 電車区、車掌区の両方の組合の事務所です。ぼくが行くのはいつも組合です。
#191
○鍛冶委員長 車掌区長室の隣の部屋とかいうのじやありませんか。
#192
○風早證人 いろいろな部屋がありまして、どの部屋だか知りませんが、区長室には入らない。区長室の隣だつたかどうか知りませんが、いろいろな部屋を通り抜けて行くのですから。
#193
○鍛冶委員長 それは組合の部屋ですか。
#194
○風早證人 組合の部屋がそこだつたかどうか知りませんが……。
#195
○鍛冶委員長 あなたは今組合の部屋に行つたと言われたが。
#196
○風早證人 組合の部屋に行つたのですが、区長室の隣かどうか覚えていない。
#197
○鍛冶委員長 だから、それが組合の部屋かどうかということを聞くのです。
#198
○風早證人 それはよくわからない。
#199
○鍛冶委員長 組合の部屋に行つたというのは……。
#200
○風早證人 組合の部屋に行くのにはいろいろな部屋を通りますから、あるいはその組合の部屋を通つたかもしれない。
#201
○鍛冶委員長 通つたというのじやなくて、演説か何かやつたかというのです。
#202
○風早證人 演説というのじやないが、みんなの集つている所で話をして帰つた。
#203
○鍛冶委員長 ところがその当時には車掌区には、職員以外の者は入つてはならぬという大きな札が出ておつたそうですね。
#204
○風早證人 あまり氣がつかないですな。何しろ行つてごらんになればわかりますが、どこから行つても入れるような、実に塀も垣もないような所です。建物が幾つかあるので、ちやちな垣はありますが、幾らも入り口は開いているのです。
#205
○鍛冶委員長 その入り口の所に、幅二尺、縦二尺五寸くらいの板で、職員以外の者が許可なく入つてはいかぬという大きなものが出ておつたそうですが。
#206
○風早證人 あつたかもしれないが、あまり氣にもしない。私は別に氣がついていない。入り口は幾つもありますから。
#207
○鍛冶委員長 そこで最初の十五日の話ですが、あなたはどういう目的でおいでになつたのですか。
#208
○風早證人 特別な目的というものはない。スト以前でも、私は選挙が終つてあと一回も行かないのですが、それまではすいぶん行つたものです。それは自分の地元だし、どういう目的といつて、皆さんが選挙区でやる活動と同じことですから、いろいろな話をしたり、またそこの労働條件を調べるとか、みんなの要求はどうだということも調べるというようなことをやつております。
#209
○鍛冶委員長 そこでどういう話をなさいましたか。
#210
○風早證人 十五日のときは別にまとまつた話をやつた覚えはありません。
#211
○鍛冶委員長 相当演説か何かやられたのじやないですか。
#212
○風早證人 演説といえば演説かもしれないけれども、まあ十人、二十人集つている部屋があつて、そこに立ち止つてちよつとみんなに話をした。
#213
○鍛冶委員長 あいさつか演説か知らぬが、どういう内容のことをおつしやつたのですか。
#214
○風早證人 大体あそこで復興綱領というものを出しているのですが……。
#215
○鍛冶委員長 國鉄ですか。
#216
○風早證人 そうです。それは、とにかく國鉄が荒廃している。これを労働組合が何とかして復興しなければならないというので、復興綱領を出して鬪つているわけです。そういう復興綱領に大いにぼくは敬意を表して、諸君こそが復興のにない手だといつたようなことを言つているわけです。
#217
○鍛冶委員長 ところがあなたがその話をしておられるとき、車掌区長が來て、ここへ入つてもらつては困る、禁止になつておるのだから困ります。こう言つたそうですね。区長なんか問題じやないんですかな。
#218
○風早證人 区長はやはり区長としての役目があるかもしれぬが、われわれは組合事務所に行くのですから、区長なんか全然問題にならないです。区長の部屋を通つたかもしれぬが、目的は組合ですから問題にならないのです。
#219
○鍛冶委員長 だけれども、そうやつて何か特別のストがあつた前後であるがゆえに、特に部外者の入室を禁止しておつたのですから、それでそう言つたものと思いますが、そう聞かなかつたですか。
#220
○風早證人 たいがい行けば、必ず区長が見まわつていてなんとか文句を言うらしいですがね。別に大して氣にもしていなかつた。
#221
○鍛冶委員長 そのとき区長に何とお答えになりました。
#222
○風早證人 忘れましたね。何と答えたか……。
#223
○鍛冶委員長 いや別に大した問題でもないのだが、ずいぶん組合員が働いてくれたから、それでお礼を言いに來たのだ、こう言つたのじやないですか。
#224
○風早證人 お礼、じようだんじやないですよ。それはこちらからお礼を言うこともないとは言わぬかもしれぬけれども、お礼は向うの方から言われているのですね。大体どの部屋に行つてもみんなぼくに対して、御苦労さま、國会で民自党の連中とよく鬪つてくれたと言つたようなことを言つて……。
#225
○鍛冶委員長 それと違うのだ。あなたは組合員によく働いてくれたというお礼を言いに來たのだと言われたと聞いておりますから……。
#226
○風早證人 何を働いて……。
#227
○鍛冶委員長 ストライキか何かやつた……。
#228
○風早證人 そんなことはこちらの方でお礼を言う筋合いのものではない。
#229
○鍛冶委員長 区長にそう言われたのじやないですか。
#230
○風早證人 私はそういうことを全然記憶しておりません。
#231
○鍛冶委員長 その次の七月一日のときはどこへおいでになりましたか。
#232
○風早證人 同じく中野駅の電車区、車掌区です。
#233
○鍛冶委員長 車掌区だが部屋が違つておつたでしよう。
#234
○風早證人 今度は職場大会があつて、私は正式に來賓として招かれたのです。あいさつに行つたわけです。
#235
○鍛冶委員長 そのときもまた区長が來て、ここは部外者が入つてもらつちや困ると言つたそうですが、これはいかがです。
#236
○風早證人 確かに言つた。区長がやつて來たが、ぼくは職場大会から來賓として招かれて來てあいさつをしているのであるから、もし用事があつたら司会者に話してくれ。そう言つてつつぱねたわけです。
#237
○鍛冶委員長 問題は、やはり部外者が入つてはいかぬという禁止があなたにわかつていなかつたですね。
#238
○風早證人 それは、部外者というのはその規則は、おそらく國鉄当局の側からの規則だと思いますが、ぼくはそこへは用事がないので部外者も何もない。組合の大会に招かれて來たわけですから、大会の会場に入つて來て、そこであいさつをしたわけです。それを当局が特に制止するというなら司会者によく話してもらえばわかる。ぼくとしては組合に招かれているのだから、区長と直接話をする必要がないわけです。
#239
○鍛冶委員長 それ以上は議論にならないから……。そこであなたがそう言われたので区長はどうしました。
#240
○風早證人 区長は結局みんなで外へ押し出した。
#241
○鍛冶委員長 区長を……。
#242
○風早證人 はあ。職場大会に対して区長が介入する権限は何もないし、よけいなことをするなというので、みんなで外へ押し出して行つたようです。
#243
○鍛冶委員長 ところがそこへあなたの外にも、この間ストで免職になつたそういう仲間の人も入つておつたそうですね。
#244
○風早證人 入つていたようです。
#245
○鍛冶委員長 それらの人も、入つてはいかぬということになつておるのだそうだが、それはあなた御承知なかつたか。
#246
○風早證人 知つています。
#247
○鍛冶委員長 それらもあなたと一緒にそこへ入つてもらつては困ると区長が言つたようですが……。
#248
○風早證人 それはこういうわけなんです。つまり一應國鉄当局としては、首切られた者は一切職場に入つてはならぬという規則をかつてに立てているようなんですが、ところが実際職場大会を持つ場合に、今首切られた若い連中が入つて來ておる。このままでおけば必ず当局とまたいざこざが起るわけです。ぼくはちようどそこへ入つて行つた。まだ大会は始まつていなかつた。これは自分の思いつきだけれども、そういういざこざを起すということはなはだよろしくないから、もう少し穏便にやつたらいいだろう。それには來賓として呼んだらいいだろう、そういう首切られた人たちもやはり諸君と同じように今まで働いておつた國鉄の内部では功労者なんだから、そういう人を來賓として呼んだつて一向さしつかえない、ぼくはここに來賓として來賓席におるんだから、同じように並ばしたらいい。それならば別に当局としても一應文句はないだろう。そういうようにして、いたずらに摩擦を起すことはやめた方がいいだろう。しかしこれはぼくの思いつきだ、と言つたところがみんなは賛成した。それで來賓としてそこにいたようです。
#249
○鍛冶委員長 入つていかぬということとそれとは相いれぬように思いますが、あなたはさしつかえないと思つたのですか。
#250
○風早證人 だから首切られた者として漫然として入つて行くのはいけないのかもしれぬが、來賓として大会が前職者を呼ぶということは御自由だから、やはりそれも大会と当局との関係になるわけでしようが、そういうふうにすればそこでいたずらないざこざも起らぬ、当局の面子も立つ。ぼくはそういうことをちよつと示唆したわけです。みんながそれを聞いてその通りにしたというわけですね。
#251
○鍛冶委員長 部外者なりそういう人たちが入つていかぬということに対しての議論は別だが、そういう禁止があるとすれば、一應それに対して、入るときは許可を得るとか、これだけは特別に認めてくれとか何とかやらなければ、あべこべにその方がかえつて問題が起るのではないですか。
#252
○風早證人 ところが諸君はあれを知らないのですよ。組合の事務所というのは、どこの官廳でも入つてはいかぬということは書いてある、しかしどこでもそこを入つて行つて、組合の事務所に行く。そして職場大会にもどんどん行くし、平生でも出入り御免である。そういう慣習ができている。中野のごときはどこからでも入れる。穴だらけなんだ。どこだつて入られるんだ。だからそういう実情を見たらこんな問題は問題にならない。
#253
○鍛冶委員長 平生ならばいいが、こういうときに特に二尺五寸のいわゆる禁礼が出ておつたというんだから……。
#254
○風早證人 一應、ストライキをやめて、もうすつかり平靜にかえつているので、そういう立札というのはいつだつてあつたと思いますから、一向そういうものはぼくらは氣にしたことはないんだ。
#255
○鍛冶委員長 それ以上はあなたと議論しておつてもしようがない。そこでその日はどういうお話をなさいました。
#256
○風早證人 その日はややあらたまつて、とにかく國鉄の荒廃状態がますますひどくなる。それで吉田内閣の政策はこの荒廃を捨てておくだけでなく、ますますこれをひどくしておる。こういう点についてぼくは大藏委員あるいは予算委員として今度の二十四年度予算案を扱つていますから、國鉄の特別会計についてどんなひどいことになつておるかということを一應報告しておこうというようなわけで、若干数字を上げてあるようです。
#257
○鍛冶委員長 わかりました。
 そこでもう一つ聞きたいのは、この爭議に関連しまして地域産業防衞共同鬪爭というものが展開されたと聞いておりますが、その点は御承知でしようか。
#258
○風早證人 どういうものかよく知りません。
#259
○鍛冶委員長 防衞同盟というものを各職場々々で開いてやつておつたようですが、この点も御承知ありませんか。
#260
○風早證人 三鷹、中野の両分会がそういうものをつくつておるということは聞いておりましたが、どういうものだかは知らないです。
#261
○鍛冶委員長 どういう組織をもつてこれをつくつたと思いましたか。
#262
○風早證人 大体鉄道の分会が相寄つてつくつたのだろうとぼくは考えております。
#263
○鍛冶委員長 外郭團体も入れてそういう地域防衞ということにしたのじやないですか。
#264
○風早證人 それは聞いていないです。
#265
○鍛冶委員長 それからさつきも言つた産業防衞鬪爭というものも展開されておつたのではないか、中野、三鷹、及びその他……。
#266
○風早證人 産業防衞鬪爭というのは少し範囲が廣いようですね。つまり國鉄もその一つで、その他の諸産業、諸経営もみな一丸となつてその地域でやるというような鬪爭です。
#267
○鍛冶委員長 これもやつておることは間違いありませんね。
#268
○風早證人 間違いないと思います。
#269
○鍛冶委員長 あなた方もこれに應援をし、または関係しておられるのですか。
#270
○風早證人 直接ぼくは関係しておらないし、應援もやつておらないです。
#271
○鍛冶委員長 党としては、どうですか。
#272
○風早證人 党としては中野には中野地区委員会があるから、あるいはその一つの要素になつているかもしれません。
#273
○鍛冶委員長 この産業防衞鬪爭が、この間の國電ストと合同して鬪爭を展開したことは間違いはありませんか。
#274
○風早證人 よく知らないですな。そういう事情は。
#275
○鍛冶委員長 かりにそれに関係するとすれば、あなた方の方ではどういう機関でおやりになるのですか。
#276
○風早證人 それは書記長ですな。
#277
○鍛冶委員長 あなたは直接御関係になつておりますか。
#278
○風早證人 関係しておりません。
#279
○高木(松)委員 十五日にあなたが車掌区に行かれたのは何時ごろですか。
#280
○風早證人 大体午後四時ごろだと思います。
#281
○高木(松)委員 数々の入口があると言われましたが、どこからお入りになりましたか。
#282
○風早證人 どちらからといつても、それは地図でも書かなくては……。
#283
○高木(松)委員 あなたが入つたところはどういう所からですか。地図がなくてもわかります。
#284
○風早證人 中野駅から線路に沿うて右へ向つて行くと左側、どこからでも入れるようになつております。
#285
○高木(松)委員 どこからでも入れるが、あなたはどこから入つたのですか。
#286
○風早證人 目じるしがないから言えません。
#287
○高木(松)委員 建物のどちらから入つたのですか。
#288
○風早證人 駅というものは普通の官廳というようなものとは違うのです。
#289
○高木(松)委員 それはわかつています。
#290
○風早證人 わかつておれば聞く必要はないでしよう。
#291
○高木(松)委員 聞く必要があるのです。ちやんとそこに板張りが張つてあるのだから……。
#292
○風早證人 そういうものは一向ぼくは氣がつかなかつた。
#293
○高木(松)委員 それから先ほど組合の事務所と言いましたか、そこへ行くのに十人二十人の人が集つているからあいさつをして通つて行きましたとお話になりましたね。そのあいさつの内容を思い出してお話願いたい。
#294
○風早證人 重複の質問が大分出ているようです。それはもう委員長から聞かれました。あなたは遅く來たのではないのですか。
#295
○高木(松)委員 初めから私聞いていて不思議でたまらんから、そのあいさつの内容を聞きたいと思つてあなたに質問しているのです。
#296
○鍛冶委員長 國鉄の復興に関して大いにやつてくれといつた。さつきはそう言つたがそれ以上のこまかいことは聞いておりません。
#297
○大橋委員 風早さんは今線路について歩いたといわれましたが、一人で歩かれたのですか。
#298
○風早證人 一人です。
#299
○大橋委員 その線路について歩くということは、鉄道の取締に触れておりますね。
#300
○風早證人 線路に沿うというても線路に沿つた廣い通り、線路があつて、そこにいろいろな建物があつて、ここからどこへでも行ける非常に細長い神戸の町のような地形になつているのです。
#301
○大橋委員 それでは線路の外の道路を歩いて行かれたわけですね。
#302
○風早證人 そうです。
#303
○大橋委員 そうするとその側には入口が幾つもあるのですか。
#304
○風早證人 入口といつても入口でないようなもの……、垣といつても杭が立つていて針金がちよつちよつと張つてある。
#305
○大橋委員 針金が張つてないところが多い、そしてどこからでも入れるわけですか。
#306
○風早證人 そうです。
#307
○大橋委員 建物の入口はありますでしよう。
#308
○風早證人 建物のところには入口があります。そこには入つて行かなかつたですが……。
#309
○大橋委員 そういうところから入らないのですか。
#310
○風早證人 空いている廣いところから入つて行けば……。
#311
○大橋委員 そうすると駅のホームみたいな、屋根だけあつて壁はないのですか。
#312
○風早證人 いや壁はあります。壁はあるけれども入口は表だけでなく、裏にもあるのです。そういうバラック式の建物が幾つもあるわけです。
#313
○大橋委員 そのどつち側の入口から入られたのですか。
#314
○風早證人 それはよく覚えていません。
#315
○大橋委員 組合の大会においでになつたときには、管理者の意思に反して入られた。それからその前の六月十五日に入られたときに、車掌区長がお断りをしたということですが、それは記憶しておられませんか。
#316
○風早證人 何かそういうふうな記憶はあります。
#317
○大橋委員 それからあなたが車掌区長室の隣りの助役室に入つて、大きな声でごあいさつをなさつておられたので、助役が、どうも風早君が隣の室で演説されるから困るからということを区長のところに言つて來た。そこで区長が出て行つて、ここで演説してもらつちや困る、こう言つたことは覚えておられますね。
#318
○風早證人 はあそういうことは覚えております。
#319
○大橋委員 それから七月一日のときには、区長が明白に出てほしいという言葉を述べられたことは、あなたは御承知ですか。
#320
○風早證人 先ほど述べた通りであります。
#321
○大橋委員 そのときあなたはやはり大会の來賓として來たのだから、たとい管理者である区長が何と言おうとそれにはかかり合つてはいられない、問題ではない、こう言われましたね。
#322
○風早證人 さつきの通りです。
#323
○大橋委員 私はこれは非常な問題だと思うのでして、廣島の日鋼で何千人という共産党員を含む人たちが、工場を占拠して乱暴狼藉を働いたときも、組合の連中から招かれたと称して、管理者の意思に反して入つて來た者が、結局何千人という人になつて、それがあの工場で暴動的な爭議を起しておる。今度の國電ストの場合におきましても、千葉でも組合の人に断つたとか、組合の人に招かれたということを言つて、車掌区長その他駅長、こういつた責任者の意思に反した人たちがその爭議をやつている。現場にたくさん乗り込んで來た。これが結局において爭議を暴動化しているという事実がこの委員会を通じて私どもはつきりと認められるのであります。たまたまあなたお一人であつたから大したことにもなりませんでしたが、しかしそういうような考え方をすべての人が、やつている。ことにこれは共産党系の労働組合関係者が、他の職場において多数皆あなたと同じ考え方で暴力行為をなすような大衆にまでなつている。これは労働爭議においては非常に危險であると私は思う。そして労働爭議を不必要に險惡ならしめ、労働者の利益をも究極において破壊するものになると思うのです。この点についてはあなたはどうお考えになりますか。
#324
○風早證人 きようぼくは國電ストでぼくの関連した証言だけに限りたいと思いますが、ぼくの場合にはむろん一人でありますから問題にならない。また大体中野の電車区なり車掌区というものとぼくとの関係は、そんな区長がどうのこうのといつた問題じやないのです。一体労働組合は鉄道当局とは全然独立した別個の、一つの法律上法人かどうか知らないが、とにかく認められた一個の独立した團体なのですよ。そことぼくとの関係なのです。
#325
○大橋委員 そうすると、労働組合が占拠している室については、区長の管理権はないと言われるのですか。
#326
○風早證人 そうじやないのです。
#327
○大橋委員 管理権はあるけれども、しかし組合の來賓に対しては出ろとか出るなとかいうような指図はすべきじやない、こういうお考えですな。
#328
○風早證人 まあそうですな。
#329
○大橋委員 わかりました。それは非常に危険な考え方であるということが私にもわかつております。
 それからその次に十五日の國電ストの問題について、その後あなたは見舞に行つておられるのですが、この爭議が公共企業体労働関係法に違反した爭議であるということは、これはもちろん御承知でありましようね。
#330
○風早證人 公共企業体法の第十七條、第十八條というものがあるわけです。これについてはいろいろ議論がありますが、むろんこれに違反するとなれば、それは法律問題ですよ。違反するかどうかという問題の判断は、これはまた大問題になるのです。ここで述べる限りじやないと思うが、一言言えばわれわれは少くとも國会で通つた法律、こういうものに違反する、あるいは違反させるとか、こういつた意思は毛頭ないわけです。ただ十七條違反だというその認定は、認定のところに問題があるわけです。つまり十七條をどう解釈するかという問題です。その解釈についてはこれを新憲法なり、ポツダム宣言なりこういうものの趣旨にできるだけ合致するように解釈するか、非常にぴんからきりまで解釈の幅があるのであつて、その解釈の場合、適用の場合に、國鉄当局の適用の仕方というものに問題があるのじやないかということは考えておるわけです。
#331
○大橋委員 それもその御調査に行つて、そういうことを考えられたわけですね。
#332
○風早證人 そんなことはない。
#333
○大橋委員 そのときとは関係ないのですか。
#334
○風早證人 関係ないのです。
#335
○大橋委員 それからそのときの爭議で、十日に中野の車掌区で公共企業体労働関係法十八條を援用いたしまして、当局から解雇を申し渡された人たちがあつたのを御存じでございましようか。十五日においでになつたときも、それを御存じでおいでになつたのでございますか。
#336
○風早證人 十五日のときはむろん知つていたわけです。
#337
○大橋委員 そういう爭議の犠牲者の救済問題について、何かお話合いがありましたか。
#338
○風早證人 別に何もなかつた。
#339
○大橋委員 七月一日に行かれたときは、そういう問題はありませんでしたか。
#340
○風早證人 そのときには別にそういう問題はありません。これは正式の職場大会であつて、あいさつを紋切型にやつたようなものです。
#341
○大橋委員 そのあいさつの中で、あなたは不当解雇を受けた人たちを組合の力で守るというようなことを述べられておられるということを聞いておりますが、そういう事実はありませんか。
#342
○風早證人 不当解雇を受けた者を残留者が守るというわけですか。
#343
○大橋委員 はあ。
#344
○風早證人 特に記憶ないですが、大体熱海あたりのあれを見ますと、これがどういうふうな決定になつたか私はよく聞いてないですが、一方は全然失業対策なしに首切つておるが、逆に組合の方では、その零細な労働賃金の中から一割ずつみんなが醵金して、これらを養つて行こうといつたようなことを大体きめたとかきめないとか、そういうことを聞いたわけですよ。そういうようなことがあるいは話の中に出たかも知れませんが、よく覚えていない。
#345
○大橋委員 それならあなたはその犠牲者救済については、何かそれ以外に具体的の支持はしませんでしたか。
#346
○風早證人 いたしません。
#347
○大橋委員 また党としても犠牲者の救済について、具体的な御相談はございませんですか。
#348
○風早證人 ないだろうと思います。特別のことは聞いてない。
#349
○大橋委員 それからなおこのストが國鉄組合の本部及び支部の指令がなく始められた鬪爭だということも御存じでしたか。
#350
○風早證人 そういう詳しいことはあまりよく知らないのです。
#351
○大橋委員 それからこのストの一つの要求事項として、行政整理の前提にこれがなるのだ。新交番というものは……。それで行政整理に対して反対しなければいかぬというふうなことが、やはり國鉄ストの――これはひとり中野の職場ばかりではなく、各職場におけるストの有力な原因の一つになつておる、これは御存じでしたか。
#352
○風早證人 新交番制の実施が事実上首切りにつながつておるのだというふうな理解を持つているというようなことが、やはりこのストの問題に一つの要素をなしているということは、まあ大体察知していたですな。
#353
○大橋委員 結局そうするとその行政整理というものは、定員法に基くところの行政整理ですね。現実には……。
#354
○風早證人 それはそうでしよう。
#355
○大橋委員 そうですね。それであなたは組合で職場大会において、あいさつされるときに、定員法に対しては自分は全力を盡して鬪つたのだということを述べられたそうですけれども、その点もはつきりした御記憶はありませんか。
#356
○風早證人 いや特に定員法というようなことを取上げたという覚えはないですが、しかしとにかく吉田内閣の、また民自党の諸君の通そうとした一切の政策に対しては、われわれは徹底的に鬪つたということはむろん言つたでしよう。よく覚えておりませんが……。
#357
○大橋委員 五月の二十三日に衆議院にあなたは登院をしておられますが、二十三日の最後の定員法の延期のとき――定員法それ自体でなく、会期延長の本会議には表決をしておられませんですね。あなたばかりでなく聽濤君も、神山君も表決されておられませんが、これは一体どういうわけですか。
#358
○風早證人 それはきようのあれに何か関係があるのですか。(「関係がある」)じやあちようどいい際ですから言つておきますが、定員法のあの上程について、それぞれ本会議にどういうふうな態度で臨むかということについては、その日の午前に全野党の懇談会があつて、そこでこれはボイコツトしようという戦術を大体決定したわけです。そういうことはよく皆さん御承知のことだと思うのですが……。あなた方反対党でもね。われわれはその決議に從つたわけです。その申合せに……。それに大体あの晩にちよつとやそつとの小手先をやつたところで、そのために定員法が通つたのだ、通らないのだとかいつたような問題はないわけです。それはもう諸君が多数を持つておるのだし、もしその晩にむりをして通さなかつたら、われわれがむりをして勝つても、あくる日はすぐ臨時國会でも何でも開かれるのだから、そんなことはわれわれすぐわかるのだ。だからあの問題については、むしろ徹底的に反対だという意思を表明するために、全野党は出ない。若干の監視者をつけるだけで出ない、こういう態度をきめたわけです。それをわれわれは忠実に守つただけです。それを社会党なんか、あとで共産党が出ないから定員法が通つた、そんなばかな話はないですよ。そういういきさつです。
#359
○大橋委員 巷間にはあのときの共産党の態度に対しては、あれがために定員法が成立しちやつたじやないか、共産党は表面は定員法に反対しておるけれども、内心は定員法ができて、首切りが大いに行われる方がいいのじやないか、その虚に乘じて大いに労働攻勢でもつて混乱させる方が有利だ、こういうふうなうわさもありますから、ただいま直接関係はないかもしれませんが、伺つたわけです。
 それからあなたは三鷹事件を御存じだと思いますが、電車事件です。轉覆事件です。あの轉覆事件の被害者のところをおたずねになつたことがありますか。
#360
○風早證人 ないです。
#361
○大橋委員 共産党のどなたかおたずねになりましたか。
#362
○風早證人 それはむろんだれかたずねたでしようが、知らないですね。
#363
○大橋委員 御存じないですか。
#364
○風早證人 たずねた人は知らない。
#365
○大橋委員 あなたはスト爭議の後において、そのスト爭議の首謀者たちを見舞いながら、また三鷹の電車の轉覆の後には、共産党の二、三の代議士諸君は被疑者と目せられる勾留状の出ている人の逮捕を妨げるためにそこに行つて守りながら、あの犠牲者を見舞いに行く人がなかつた。これが共産党の公式の態度であつたということを私は確認いたしまして打切ります。
#366
○風早證人 じようだんじやない。
#367
○吉武委員 私は風早君に一点お尋ねしたいのです。六月十五日の日に組合を訪れたと言われますが、区長の話によりますと、隣りの部屋に來られたというのですが、隣りの部屋は組合の事務所でしようか。
#368
○風早證人 その点については先ほど委員長との應答で大体よく話してあるはずです。あまり同じことを……。
#369
○吉武委員 あなたが組合の事務所に行くことは、われわれは組合に関係して行くことなんだということを言われたんですけれども、区長の話を聞くと、どうも事務所のようには見受けられない。
#370
○風早證人 私もその部屋が事務所だとはちつとも言つてない。
#371
○吉武委員 事務所でない部屋に部外者がかつてに入つてはいけないでしよう。
#372
○風早證人 事務所でなくても組合員がおりますから……。
#373
○吉武委員 よその家にかつてに入つていいという議論がありますか。それは家宅侵入になるでしよう。
#374
○風早證人 家宅侵入にはならない。あなたは官僚式の杓子定規な論法で來るからそういう議論が出るのであつて、大体組合に行つてごらんなさい。官廳だつてどこの部屋だつて、だれだつているところがあれば入つて行きますよ。家宅侵入になることはありません。
#375
○吉武委員 家宅侵入になるかということはあなたの解釈できめる必要はないけれども、隣の部屋が事務所でないことは御存じですね。
#376
○風早證人 事務所ではない。
#377
○吉武委員 わかりました。その部屋で組合員に対して、よく鬪つた、御苦労だつたということを言つているのを確かに聞いたという人があるのですが、それは確かにお吐きになつたのですか。
#378
○風早證人 だれに聞いたんですか。
#379
○吉武委員 区長。
#380
○風早證人 そんなことはきいておりませんな。それは向うからきいたですよ。組合員がみな口々に御苦労さまと、僕の労をねぎらつてみなあいさつした……。
#381
○吉武委員 それはあなたから聞きましたが、あなたの口から諸君はよく鬪つたということを言わなかつたですか。
#382
○風早證人 そういうことはぼくは全然記憶がない。
#383
○大橋委員 言わないという記憶はあるのですか。
#384
○風早證人 言わないと思つている。記憶はない。
#385
○吉武委員 すると、ストライキ直後に、ただ鉄道の復興綱領だけの問題なら、その直後に行かれるはずはないと思うのだが、その直後に行かれたということは、何か関係があるように普通の常識なら考えられるが……。
    〔「ひまだからだろう」と呼ぶ者あり〕
#386
○風早證人 ぼくはひまだからじやないんだ。それは行く機会があれば行きたいと思つていたのです。
#387
○吉武委員 そうおつしやらないということであれば、それはやむを得ません。
#388
○風早證人 機会があれば……。
#389
○吉武委員 次に……。
#390
○風早證人 まだ答えてないのに……
#391
○吉武委員 あなたは言わないとおつしやるから、言わないというものをそうお尋ねしてもしようがない。
#392
○風早證人 言わないとは言わない。十一日にストライキが済んだ。それから少くとも四、五日たつていますね。別にストライキというものの直接の関係で行つたわけではない。かねがね行きたいと思つて機会を得て行つた。
#393
○吉武委員 ちようどストライキも済んだ。そこでストライキが済んだあいさつに行つた。御苦労樣だつたというのは普通の常識で考えられそうだけれども、まあお話にならないと言うたらしようがない。
#394
○風早證人 大体自分の大事な選挙区だし、そこは年中行ければ行くわけです。
#395
○吉武委員 その点は大体推察できる。次にもう一点お聞きしたいのですが、先ほど大橋君からちよつと公共企業体法十七條で、ストライキが禁止されているという御発言をされて、あなたはそれは知つておつて法律に違反をするつもりはないが、十七條の解釈が問題だと言われているのですが、具体的にお聞きしますが、先般中野車掌区に行われましたるストライキは、あなたの御解釈で十七條に違反にならぬという御解釈ですか。
#396
○風早證人 この公共企業体法の解釈というものについては、先ほども言つたように、この解釈にはぴんからきりまである。これを文字解釈をやる。文字解釈であつても、これはたとえば正当な理由とかいつたようなことが一体どういうものが正当な理由だかというこの判断は、國鉄の一方的な判断だけではだめだと思う。そういう点では、もつと新憲法やポツダム宣言の趣旨に從つて、實情に即した解釈をしなければいけない。こういうことを考えているわけです。
#397
○吉武委員 その御意見はわかりましたが、具体的には先般行われた中野のストライキについて、あなたは具体的にどうお考えになつているかということです。
#398
○風早證人 特別にそういうことは考えていないのです。
#399
○吉武委員 今お考えになつてでもわかるでしよう。
#400
○風早證人 それは実情に適しているかどうかということは、実情を見なければわからない。
#401
○吉武委員 それはそうでしようけれども、あなたはストライキについては違法であるともないともお考えにならないということですか。
#402
○風早證人 そうです。
#403
○猪俣委員 そんな法律問題をここで出すことは私は最初反対したのです。法理は社会学の進展とともに共産党と民自党では法律解釈が違つて來るのだ。どつちが正しいかということは、当然後世の歴史が証明するだけである。そんなことをここでがやがや言うことは反対であるが、ただ一言私社会党としてお聞きしたいことは、定員法成立の経過について、今あなたは二十三日の日はボイコツトしようという申合せであつたので出なかつたとおつしやるが、そういう申合せを共産党はなさつておつたのですか。それを確かめておきたい。
#404
○風早證人 共産党じやない。社会党も労農党もその他の野党も、みんなでやつたわけです。
#405
○猪俣委員 いや、それはあなた事実と違いはしませんか。
#406
○風早證人 ぼくはそういうふうに聞いておる。
#407
○猪俣委員 あなたはそういうふうにだれから聞いた。
#408
○風早證人 それは運営委員からです。
#409
○猪俣委員 それはあなたの方の議会交渉係りはどうか知らぬが、徳田君及び林君のところにわが党の交渉係りが行つて、そうして事こまかにいわゆる引延し戦術を相談して、よかろうそれでやろうという申合せをした。それは午後の四時過ぎであつたかもしれぬ。そして五分の一の足並みさえ揃えば、成算ありということで社会党は欣喜雀躍したのですよ。それを社会党がデマを飛ばしているような意味のことを証言されたので、私あなたには質問しないつもりでありましたが、一言質問する。あなたはそういう事情を御存じあるのかないのか。
#410
○風早證人 大体ぼくは運営委員の方からの、そのときの報告に從つて行動したわけです。
#411
○猪俣委員 そうすると運営委員の人たちはボイコつトしようということを、あなたに申し渡しておつたわけですね。
#412
○風早證人 申し渡しじやなくて、そういう決議があつたと聞いたのであります。
#413
○猪俣委員 そういう決議があつたと聞いた。それきりですか。それならばよろしい。だから共産党の態度にわれわれは疑問を持つのです。それだけのことで皆党へ帰つてしまつて出席しないということ、それが明らかになればそれでよろしい。
#414
○風早證人 あなたはそう言わわれるが、しかし一体定員法に対して内閣委員会でまじめに鬪つた政党はだれだと思つておる。
#415
○猪俣委員 そんなことを聞いておるんじやない。
#416
○風早證人 あなた方だけの問題じやない。社会党も労農党も一緒にやつた。
#417
○猪俣委員 ところが最後の委員会をそらしてしまつた。それほど鬪つた人がどうしてわれわれと同調してやることをみずから破つてしまつたかということには、多大の疑問がある。
#418
○風早證人 社会党も申合せをかつてに裏切つておる。
#419
○猪俣委員 そんなことを今言うことはやめるが、とにかくあれはボイコツトしようという申合せだけで皆が帰つたということさへわかれば、それでよろしい。
#420
○内藤(隆)委員 証人にお尋ねいたします。十五日の第一回に中野車掌区へおいでになつたときの御演説は、國鉄の荒廃に関することをお述べになつたのですか。
#421
○風早證人 第一回の十五日の日は、特別にまとまつた話はしないということをたびたび言つておる。ただどういう話をしたかといえば、復興綱領が張り出してあるので、それは非常にけつこうだ。たとえばそれに六三型の高圧線をパイプに入れろとか、枕木その他の資材が足らないからこれをよこせとか、いろいろ書いておるので、問題はここだ、こういうふうに復興することが第一だ。しかもそれを吉田内閣がやらない。組織の手でやれと言つたような覚えがあります。
#422
○内藤(隆)委員 わかりました。先般ある証人の証言では、あなたはお礼に來たということを言つておる。ところが、あなたのただいまの証言では、かえつてぼくの労をねぎらつておると証言された。ここにたいへんな食い違いがあるのですが。
#423
○風早證人 それはまるきり食い違つております。大体区長との問答はほとんど……。
#424
○内藤(隆)委員 けれどもあなたの労をねぎらわなければならぬということは考えられない。どういうことなんですか。共産党が今回のストライキに対して非常な應援をされたというような労をねぎらつたのですか。
#425
○風早證人 第五國会でわれわれが鬪つたということ……。
#426
○内藤(隆)委員 ああ第五國会の労ですか。そうすると招待されてあなたが御札に行つたのが、かえつてあべこべに労をねぎらわれたということになるわけでしようか。
#427
○風早證人 御礼に行つたのじやないのであります。何の御礼ですか。
#428
○内藤(隆)委員 あなたは御礼に行つたと言つたじやないですか。
#429
○風早證人 じや改めて言いますが、御礼に行つたのではないのです。
#430
○内藤(隆)委員 それでは証人の話は一應うそかどつちかということになるわけですね。
#431
○風早證人 そういうわけです。
#432
○神山委員 私は今日は全然質問しないつもりで聽濤君と打合せたのでありますが、吉武君、大橋君がわけのわからないことを言うし、猪俣君がちよつと妙なことを言うので、一、二質問せざるを得ないから残念ながら質問いたします。まず風早君にお尋ねしますが、あなたは先ほど午前中における野党連合の申合せのことを言われて、それと猪俣君の午後四時にわが党の徳田、林君に対する社会党側の代表者の申入れ、引延し作戦で行こうというのは、別々のことなんだが、あなたはあとの四時三十分というのはよく知つているのですか。
#433
○風早證人 あとのことはよく知りません。
#434
○神山委員 あなたは運営委員会の報告に基いて、指導部の決定によつて動いたわけですか。
#435
○風早證人 そういうわけです。
#436
○神山委員 それでこの日國会が会期延長になつたのを政府側が議員に申入れたのは八時三十分だから猪俣君が先ほどおつしやつた四時に遅れること四時間三十分、それから緊急常任委員長会議とわれわれ運営委員会を含めて合同会議を持つたが、その運営の仕方が非民主的だという話が民自党の中島委員長から出た。そうして別々に問題が処理された。その結果持ち寄つて話をしようという前に運営委員会が九時四十五分に決裂しておる。これは民主自由党が一方的に野党側の運営委員の意見を聞こうとせずに、採決々々と言つて例によつて一方的にやろうとした。ことに石田博英副幹事長のごときは、例によつて腕を揮つてきめてしまつた。野党連合全体は朝の申入れもあり、即時退場しようとしたときに、残つていたのは社会党の土井君と椎熊三郎君だ。こうしてこの決定に基いて、かつ参議院側の情勢ともにらみ合せて、その上で党としての態度を決定して、そうして風早君たちにも帰つてくれと言つたのは御承知でしようね。経過のこまかな点は別として……。
#437
○風早證人 あまりよく覚えておりませんが、何時ごろか忘れたが、私は夕方少し遅くなつてから帰つた……。
#438
○神山委員 夕方じやないよ、夜だよ。
#439
○風早證人 そういうことは直接関係ないのだから、あまり問題にしない方がよいと思います。
#440
○神山委員 いやそれだけわかればよいのだ。一應私の言つたことが速記録に載つておればそれでよい。
 その次に三鷹の電車事件に関連して、大橋君は非常に共産党に対して誹謗的な言辞を弄しておる。これは都合によつてはあるいはあとで取消してもらわなければならないことがあるかもしれないが、取消しを要求することがたくさんあるので、きようはこれを保留しておきますが、あなたがあの当時捜査本部に行かれたことは事実だと思います。というのは大橋君は、犯人であり逮捕状の出ておる人に会つた会わないということを言つておりますが、検察当局そのものが、犯人に逮捕状を出して、その犯人がつかまらなかつたじやないか。犯人が自分で押しかけて行つてデモをやつておるじやないか。それを何とかつかまえたようなかつこうをむりにつくるためにやつた。風早君はこれに関係がないばかりでなく、あなたは党を代表して、あの捜査事件がどういうふうに行われておるかということを逆に詰問に行つたのじやないですか。
#441
○風早證人 むろんそうですよ。ぼくはあの捜査本部の前の群集とは何ら関係がない。聽濤君と土橋君と三人で捜査本部にじかに行つて、田中檢事その他仙洞田あたりに会つて、今度の捜査方針が非常に一方的で、偏頗な政治的な捜査方針だからそういうものに対して徹底的に抗議を申し込んだ。次に逮捕状そのものも全然物的根拠がないのに、單なる聞き込みというような無責任なことを言つておる。そういうことに対しても抗議を申し込んだ。第三にそういう根拠であるが、いやしくも逮捕状を出しておるのになぜ逮捕しないか。逃げも隠れもしていないのに、山本君だつて飯田君だつてその晩には家に帰つて寢ており、晝は組合にも行つており、また警察に押しかけて行つておる。あるいはその日には共立講堂に行つて演説をぶつておる。どこへ行つてもつかまえられないはずはない。なぜつかまえないのだ。それほど逮捕状というものは根拠がないのかということを突つ込んだわけです。
#442
○神山委員  一應わかりました。それは犠牲者のところに見舞に行つたかどうかということは別個の問題で、多分民主自由党としては非常に鄭重な見舞をされたと思いますが、わが党としては別に手を打つているので、この問題はお聞きする必要はない。
#443
○風早證人 ぼく自身はそういう意味で言つたのではない。あの地区委員会としては当然行つておりますよ。
#444
○神山委員 それではあなたにお聞きすることはありません。委員長、これは議事進行に関連しますが、先ほど同僚である大橋君の発言の中に、ぜひ自発的な取消しが必要だと思われる箇所が少からずあるわけであります。第一に廣島の日鋼事件に関連しまして、入つてはならないというところに共産党を含む多数の入々が一方的に入つたというふうなことを言われておりますが、日鋼事件は当委員会で正式に取上げるということがきまつておるにもかかわらず、いまだ取調べられておらない。この事件そのものについてはすでに本件を考査委員会で取上げるか取上げないかという問題を論じる場合に、発言時間を全体として三十分に制約されましたために、こまかなことは言われませんが、警察側の記録を私たちが見ても、今大橋君が言つたように、七千数名の者が、しかも共産党員がというふうなことを言つた。あたかも共産党がこれをやらしたような印象を與えるようなことを盛んに宣傳しておりますが、こういうふうな事実を本委員会が調べない間に、あたかもこれが暴動であつた、あるいは暴動化というふうな表現をされることは事実に反している。さらに千葉のあの車掌区の問題、ことに十日の朝の事件について、これが暴動化だというふうに言うことも、本委員会の調査の結論と反しておるのであります。ここで盛んに反してないないと反対側の民自党の諸君がやじつておりますが、民自党の議員諸君から見ればそうかもしれません。しかし証人を喚問し、反対側のわれわれが尋問し、記録に残つておるものを諸君が冷静に見て、最終の結論を出していないじやないか。それにもかかわらずなぜ君たちの主観だけが本委員会の決定であるかに言われなければならないか。ことに暴動ということを盛んに言つておるが、この言葉を叫んでいる廣川君を先頭とする民主自由党こそ、最も暴動だ。共産党が八月に何かやるということを盛んに宣傳している。しかしわれわれ共産主義者は、ほしいままに自分かつてに暴動を製造するということはマルクス・レーニン主義に反していることをはつきり知つている。現在の日本の情勢では、われわれが暴動的な行動をとらないということも、党の方針にはつきり現われている。ところが本考査委員会で調べたように、暴動というか、労働者諸君を自然発生的に立ち上らせる最大の原因は、まさに民主自由党の政策そのものが破綻しているからである。現に齋藤國警長官の問題を見ろ。警察法に反して首相や官房長官がことに干渉しておる。全國にわたつて警察官、公安官を不法に動員していることこそ、國電ストの根源だということを從業員諸員は訴えているじやないか。それを君たち聞かないか。いわんやこういう暴動化云々という言葉は主観の問題であつて、民自党の諸君がどうしても行つて選挙演説を一ぺんぶちたければぶつたつてよろしい。しかし当委員会でこういう結論が出たということは、いつ出たか、それを聞かしてもらいたい。
#445
○鍛冶委員長 私からお答えいたしますが、大橋君の意見は委員会の結論を言つているものとは思いません。大橋君個人の意見と思います。
#446
○神山委員 委員長の今の発言はまことにけつこうです。私もそのことを指摘したかつた。從つてあとで速記録をごらんになつて、大橋君の言葉の中にもしも当委員会で結論が出ておればこれこそ暴言でありますが、こういうことがあつたならば謹しんで訂正されるようにお願いいたします。
#447
○鍛冶委員長 御苦労さまでした。済みました。
 木村美智男さんですね。
#448
○木村證人 そうです。
#449
○鍛冶委員長 こちらから聞くときは、かけておられてよろしゆうございますが、あなたが発言せられるときは立つて、なるべく委員長と、許可を求めてやつてもらうようにお願いします。
 あなたは國鉄に勤めておいでになりますようですが、どこで何をやつておいでになりますか。
#450
○木村證人 東京鉄道局の澁谷駅の貨物掛をやつております。
#451
○鍛冶委員長 それから國鉄労働組合新橋支部の委員長をやつておいでになりますか。
#452
○木村證人 そうであります。
#453
○鍛冶委員長 正確な名前はどういうのです。
#454
○木村證人 組合には鬪爭態勢に入つたときと通常の場合とあるわけですが、私は通常の場合における新橋支部執行委員長であります。
#455
○鍛冶委員長 支部執行委員長ですね。
#456
○木村證人 そうです。國電ストを契機として鬪爭委員長になつたのでありますが、現在は鬪爭委員長をやめて、鬪爭委員になつております。
#457
○鍛冶委員長 本年の五月末から國鉄、特に東京鉄道局管内で、車掌区のいわゆる新交番制の実施にあたつて、いろいろごたごたが起つたようでありまするが、これについて、あなた方の方では、新交番制の実施による勤務割の変更というものは、労働條件の変更と考えておいでになりましたか、それともしからずと考えておいでになりましたか、その点を承りたいと思います。
#458
○木村證人 労働條件にももちろん関係いたしておりますし、私個人といたしましては、勤務時間の変更と同時に労働條件の変更であると、かように考えております。
#459
○鍛冶委員長 そうすれば團体交渉の対象となり得るものという考えですか。その点はいかがですか。
#460
○木村證人 そのような考え方に立つておりますので、やはり團体交渉をもつてやるということが、最も民主的な解決方法ではないか、問題をスムースにやるためには、やはり團体交渉を持つた方がよろしいのではないか、こういうふうに考えております。法律的な根拠については、私不勉強にして、こういう根拠からこうすべきだというふうには言いかねますが、しかしそのことをやはり民主的な方法によつて解決しようとするならば、当然労働強化ということに関連する以上、團体交渉を持つことが妥当なやり方ではないか、かように考えております。
#461
○鍛冶委員長 それではこう聞いていいですか。法律的にはどうであるかは知らぬが、この問題をスムースに解決するには、團体交渉を持つた方がいいという考えだ、こう聞いてよろしゆうございますか。
#462
○木村證人 まあ法律的にといつて、ちよつとやかましく言つたようですけれども、公共企業体労働関係法の中に、團体交渉の範囲というものがきめられておりますが、その條項に労働條件というものがあるわけです。これには少くとも該当すると私はかように考えております。
#463
○鍛冶委員長 ところがその問題に端を発しまして、とうとう六月九日に東神奈川その他でストが決行されたようでありますが、これに対して、新橋支部としてとられた態度を承りたいと思います。
#464
○木村證人 私の支部では蒲田車掌区関係のみであります。從つて蒲田車掌区の問題についてだけですが、新橋支部としてとつた態度について申し上げたいと思います。実は交番制の問題につきましては、六月六日に支部の大会を開きました際に、初めて支部大会に車掌区の新旧交番制の問題が止つて來たわけであります。その際には、もうすでに一應新交番制を業務命令に從つてやつておつた蒲田の車掌区が、六月四日の分会の大会におきまして旧交番制にかえる。先ほども申しましたように、これはとにかく労働強化となる、あるいはそれによつて浮いて來た人員も、当時行政整理ということが言われておりましたので、これは当然行政整理の対象になるのではないかというような観点から、分会といたしましては、旧交番制にかえる。こういうことでやつておつたわけであります。新橋支部はその大会におきまして、蒲田の車掌区の問題が出されましたので、これに対して、やはり労働強化となるということについては間違いはないし、そうしてこれをそのまま受け入れるということは、やはり首切りの前提を容認するということにもなりますので、われわれとしては、やはり反対という態度を支部の大会においては決定をしたわけであります、しかしながらこの大会においては、列車の運行に支障を來さないということを確認して、その上においてこの旧交番制によつて乘務をしろ、こういうような指令を決定いたしまして、そうして本部の指令に基いてそうした指令を出したわけであります。その後蒲田以外の池袋、東京、品川というような車掌区もございますけれども、この指令を出した前と後において、何ら事態の変更はありません。指令を出しても出さなくても、状態は同じだつた、かわりはなかつたということでありますけれども、しかしながらこれが九日の日に至つて東神奈川の車掌区がストに入つた。そのために同じような鬪爭をやつておつた蒲田の車掌区も、ここで何らかの態度を決定しなければならないというはめに追い込まれておつたわけであります。当時蒲田の車掌区といたしましては、九日には大会を開いて、いろいろ支部に対してもストライキの指令をおろしてくれというような要請がございました。支部としてはこの事態を收拾する必要もございましたので、緊急鬪爭委員会を開きまして、この問題の解決に当つたわけであります。いろいろと論議もございましたけれども、とにかく現在ただちにストライキの指令を出すというような段階ではないので、そういうことはやらないという鬪爭委員会は決定をしたわけであります。そしてそのかわり準備指令を出すか出さないかというような問題があつたのですが、このことが先ほどのストライキをやらないという支部鬪爭委員会の決定の線と相反するような結果になつて來る準備指令を出すという問題をめぐつて、私がこの指令は出せないというような意思表示をいたしましたために、その日は結局あすさらに討論をするということで議事を一應打切つておつた。從つてその日は蒲田車掌区に対して支部鬪爭委員会として何ら手を打てなかつたということになつておるわけであります。ところがその晩、夜の十時から朝の二時にかけて蒲田の車掌区の分会の鬪爭委員会があり、その鬪爭委員会がこの東神奈川のストに同調をするということで、ストライキ突入を決定をして、支部に通告をして來たわけであります。その晩私宿直しておりまして、前日のストライキは現段階において今ただちにやれないという決定に基いて、鬪爭委員長個人としての中止勧告をやつたのでありますが、まあ一應そうした経緯もありましたけれども、とにかく十日の初電からストライキに入つておつたわけです。
#465
○鍛冶委員長 そうすると分会のストライキは、支部の命令でなかつたということは確認できるわけですな。
#466
○木村證人 各分会のということはわかりませんけれども、蒲田車掌区のストライキは、これは支部の指令によつてやつたものではないということははつきり申し上げ得ると思います。
#467
○鍛冶委員長 ところが六月九日に新橋支部指令第九号を発したのですか、発するということであつたのですか、これはどういうのですか。
#468
○木村證人 先ほども申し上げましたように、この指令を、いろいろ理由はあるわけですが、理由は必要ないと思いますが、私としてはその指令を出すことが妥当でない、こういうふうに認めたわけであります。從つてこれはまあ本日出せないということを私申し上げたわけであります。從つてこの指令は、その翌日鬪爭委員会の構成を変更をして、その上でさらにその指令の案文も大分内容がかわつて、十一号の指令となつて出ておると思います。
#469
○鍛冶委員長 この九号というものは、どういう方面の人が提案して、これを主張したのですか。
#470
○木村證人 この直接の提案者は支部の鬪爭委員の組織部長であります。
#471
○鍛冶委員長 何という……。
#472
○木村證人 河面鬪爭委員……。
#473
○鍛冶委員長 それから同じく六月九日に東神奈川がストに突入してから、支部に集まつた各分会鬪爭委員からの情報は、いろいろなものがあつて、一つも信の置けぬものであつたというような話であつたのですが、実情はどういうことですか。
#474
○木村證人 いろいろ各鬪爭委員からの情報は全部が全部信用が置けないというようなものではありませんでしたけれども、大分あとになつて、いろいろ実際と比較した場合に、食い違つていた情報が多々あつたということは確かであります。
#475
○鍛冶委員長 それはどうして委員長としてのあなたの方へ違つた情報が入つて來るようになつたのですか。これは重大なことだろうと思うんだが……。
#476
○木村證人 私はそういうような情報がどこからどう入るかというようなことについては存じません。しかしながら各鬪爭委員はやはり自分の責任と見解において、やはり情報を出しておつたのであります。
#477
○鍛冶委員長 今言つた九号の発案については、「中野、蒲田、沼津等に波及しつつある。支部内各分会は敵に一撃を與えるためにただちに即應の態勢をとれ、」この中に沼津ということはなかつたでしよう。事実は。
#478
○木村證人 ありませんでした。しかし鬪争委員会の最中においてそういう情報が一鬪爭委員から傳えられたものが、その文章になつたことと思います。
#479
○鍛冶委員長 この人員その他を見れば、そういう指令は共産党員である鬪爭委員の責任ある報告としてもたらされた、こういうことが載つておるものがあるのですか、それは間違いありませんか。
#480
○木村證人 間違いありません。金子という鬪爭委員から――その当時の記録がございますが、産別の情報として沼津、中野車掌区がストに入つた。こういう情報がもたらされております。
#481
○鍛冶委員長 それがさつき言つた九号としての発案になつて來たわけですね。
#482
○木村證人 これそのものが全部なつたということではないと思います。それからこの九号の指令の波及しつつあるということは、必ずしも入つたということではなくして、そこに及ぶというような概念を示しておると思いますが、そういうような表現になつて來たということだけは言い得ると思います。
#483
○鍛冶委員長 わかりました。そこで十一日にストが中止になつたようですが、この中止は、この中止に先だつて総司令部から中止命令が出ましたね。その中止命令とこの組合のスト中止とどういう関係にあつたか、その点を承りたいのですが……。
#484
○木村證人 他の支部に関する限り存じませんけれども、私の支部としましては、とにかくあのスト中止命令によりまして、本部からそういうような指令が参りました。その本部の指令に基いて、支部として一應中止の指令を出した。これは事実であります。
#485
○鍛冶委員長 私が聞きたいのはエーミス氏の指令の出たのは午前十一時ごろで、あなたの支部に來たのは何時ごろでした。
#486
○木村證人 私そのときにほかに用事がありまして行つておりまして、帰つて來たのは十三時ちよつと過ぎております。そのとき本部の中鬪委員二名がその指令を持つて來ておつたのであります。ですから大体十三時ごろではないかと思います。
#487
○鍛冶委員長 そこでストをやつておるのは蒲田だけですが、蒲田へ何時ごろその指令をお出しになりましたか。
#488
○木村證人 それでさつそく鬪爭委員会におきまして指令の案文を決定いたしまして、鬪爭委員、組織部が担当しまして、そのまますぐに行かれましたので、大体十五時ごろには蒲田の車掌区に行つたのではないかと思います。
#489
○鍛冶委員長 溝田はいつストをやめておりますか。その命令によらずしてやめたのですか。命令後ですか。その点が一番聞きたいのですが……。
#490
○木村證人 私はこれは時間が、何時にやめたかというような問題は、何時に運轉したかということになると思います。そうした詳細なことについて知つておりません。ただ手続的な問題として支部の指令に從つてやめたということだけは申し上げることができると思います。
#491
○鍛冶委員長 今言つた支部の指令前に蒲田なら蒲田の職場大会を聞いてストをやめよう、列車を動かそう、こういうことをきめたのではありませんか。この点はおわかりになりませんか。
#492
○木村證人 その点はただこういうことだけは聞いております。組合自身の計画によつて電車を動かすということだけは仄聞しておりますが、そのほか詳細については存じません。
#493
○鍛冶委員長 その動かすというのは命令前ですか、あとですか。
#494
○木村證人 そのことについてでありますが、この中止指令が來た際に支部が出した指令を申し上げれば、大体そのときの情勢がおわかりになるのではないかと思います。その指令の中にこういうことがあるのです。昨夜來の計画に從つて電車の運行を正常ならしむる措置をとれ、こういうことがあるわけです。昨夜來の計画ということについては、これは私その昨夜來の昨夜という決定の際に……。
#495
○鍛冶委員長 十日の晩ですね。
#496
○木村證人 その際行つておりませんので、この点については鬪爭委員の中でも一部の者しかわかつておりません。私は遺憾ながらこれについては存じておりません。
#497
○鍛冶委員長 昨夜來の計画に基いて列車を運行せい、こういうことですね。そうすると前の晩から動かそうという何かあつたことだけは間違いありませんね。
#498
○木村證人 はあ。、
#499
○鍛冶委員長 次いで國鉄各分会で地区防衞同盟というものができておつたということでありますが、これは御承知でありますか。
#500
○木村證人 私は存じません。
#501
○鍛冶委員長 聞いたこともありませんか。
#502
○木村證人 何と言いますか、そういうような名前を聞いたことはあります。しかしどういうような組織で、どういう構成のもとにやられるかというようなことは私知つておりません。
#503
○鍛冶委員長 ところがこの爭議にあたつて鉄動組合員だけでない、いわゆる外郭團体がいろいろ働きかけてここまで持つて來たということを、聞いておるのですが、この事実はどうですか。
#504
○木村證人 この問題については、少くとも蒲田の車掌区の場合においては、ストに入る直前の大会の際などは、担当外部の者が來ておつたということは蒲田の車掌区の人からも聞いております。しかし私は非常に忙しかつたために支部の方におつて、その何名くらいがどういうような状態においてあつたかというようなことは全然わかつておりません。
#505
○鍛冶委員長 そこでその外郭團体が入つて來てそして共同鬪爭を開く、それに対して名づけたのが今言う地区防衞同盟の共同鬪爭である、こういうことになるのではないかと思いますが、この点も御承知ありませんか。
#506
○木村證人 神奈川地区工代会議というような名称は間いておりますが、地区防衞同盟というような点については私伺つておりません。
#507
○鍛冶委員長 それではもう一つ。先ほどおつしやつたようにあなた方の方からはストをやるべきものでないと言うにもかかわらず、あえて分会でこういうことの行われたのは、今言うようなそういう外郭團体の働きかけがあずかつてそういうことになつたものだ、こうあなた方はお認めになりませんか。
#508
○木村證人 ストが発生する契機には、この新旧交番制の問題がやはり本質的な原因であつたと存じますが、ただいま委員長が言われたような事実もやはりこれに加わつておつたということは、私その通りとこういうふうに申し上げられます。そのことは中止指令を持つて行つた場合の鬪爭委員が帰つて來てからの情勢報告の中に、本日は外郭團体の者が少いのできわめてスムースに指令傳達もうまく行つたというような報告がございますので、その点から、おそらくそうした外郭團体が多くいたのではないかということは言い得るのではないかと思います。
#509
○鍛冶委員長 そこであなた方としては、今度の國電ストに対していわゆる職場鬪爭という意味から、もつと言えば組合の自主性という意味から非常に批判が加えられておつたということですが、その点はどういう実情でありますか。
#510
○木村證人 われわれとしては、少くとも國鉄なら國鉄の労働組合が、自分の行動なり、あるいはいろいろ決定をする場合には、われわれ組合員自体の意思によつて決定をしなければならないというのが基本的な考え方であります。そのような点から下部においても、そうした批判は今度のストを契機にして相当起つておると私は考えております。
#511
○鍛冶委員長 よろしいです。何かお聞きになりますか。
#512
○吉武委員 私は証人に二、三お尋ねしたいのですが、先ほどお話の中に第九号の指令を出すか出さないかという、すなわちスト態勢に入る備準をするかしないかという点について、あなたは、それをやつたんではいわゆる鬪爭委員会でやらないと決定したことに反するからということで反対された。ところがとうとう分会の鬪爭委員会できめたと言つておられますが、その九号の指令の提案者は組織部長の河面鬪爭委員というお話でしたが、この河面という人は共産党に入つておられる方ですか、どうですか。
#513
○木村證人 党員であります。
#514
○吉武委員 それからその後にいろいろな情報が入つて來た。たとえば沼津あたりがストに入らないのに入つたという情報をもたらして來た。それは金子鬪爭委員というのですが、この金子という人は党籍に入つておる人ですか、いないですか。
#515
○木村證人 入つております。
#516
○吉武委員 そうすると大体想像し得るところでは、これは先般の八王子の鈴木君の熱海の大会で言つておる言葉を引用いたしましても同じことを言つておる。熱海の大会で鈴木支部長が言つた言葉に、当時決定は時期尚早という決定をしたけれども、だんだんと圧力が加わつて來て、また電話等も全部急進分子によつて占められていたために情報はきわめて彼らに有利な方向に一般に宣傳して來た、そうして傍聽者及び外部の圧力が大きくなつて來たということを言つておりますが、大体あなたの方のこの間のストに際しても、共産党系に属する人々がストに追い込もうという意図のもとにいろいろな情報が持ち寄られ、またそういうストに入ろうといういろいろな提案がなされたと考えてよろしゆうございましようか。
#517
○木村證人 ただいまの御質問でございますが、いろいろの点を総合して、私が議長として会議をやつておつた際には、電話が共産党の人によつて握られておつたというようなことは、新橋の場合には特別にそういう状態にあつたということはありませんでした。ただ情報としてもたらされて來ている状態は、先ほど私が申し上げたような状態であつたということです。
#518
○吉武委員 わかりました。それからその次にお聞きしたいことは、地区防衞同盟については自分は知らないが、名前は聞いたように思うとおつしやいますが、そういう名前をお耳にされたのはいつごろからですか。
#519
○木村證人 はつきりとした記憶はございませんので、どうも申し上げにくいと思いますが、もうすでにそのストライキの半月くらい前だつたと記憶しております。
#520
○吉武委員 そうすると、ごく最近の一つの現われであるというふうに考えてよろしうございますね。それからその次に工代会議というものが持たれておりますが、新橋の支部についても工代会議というものは行われておるのでありましようか。
#521
○木村證人 これは國電ストが終つてから、新橋の場合においては、工代会議というものが鬪爭委員会に提案されて決定になつております。
#522
○吉武委員 そうするとストが終つてから工代会議が開かれたのですか、それとも開かれたのではなくて、そういうものを持とうという提案がされたというのですか、どつちなのですか。
#523
○木村證人 後者の方であります。
#524
○吉武委員 わかりました。それからもう一点お尋ねしたいのですが、あなたの御意見によると、今度の新交番制は労働條件に関係することであるから、團体交渉を持つべきであるという御見解のようでございましたが、当局の意見を聞いてみますと、すでに鉄道職員の勤務時間につきましては、今年の一月再三折衝を重ねた上で、鉄道從業員の勤務規程というものができておる。その勤務規程の、いわゆる一週四十八時間制でございますが、それらの規程の中における個々の人々の勤務の番をつくる新交番制であるので、それまで國体交渉に持つて行くべきではないという意見がなされておるのであります。私もその意見を聞いてみますと、なるほど個々の人々については多少の労働條件の変更はあろうけれども、これは工場についても同様であります。ある男はどの旋盤につく、あるいは夜の番になるか、晝の番になるか、そういう交替制をやつている。その一々を團体交渉に持つて行くということになると、おそらく経営としては労務管理はやれないと私は思うのですが、持たれればけつこうではありますが、そういう一々の具体的なものまでも團体交渉に持ち込んで、そうして團体交渉がきまらなければ実施できないということになつたのではどうだろうかと思うのでありますが、その点はいかがですか。
#525
○木村證人 なるほど車掌の交番制の問題は、一應各人一人々々にわたつてまでそういうふうにお考えになられやすいものですけれども、しかし私が團体交渉の対象になると申し上げておりますのは、やはり労働條件に関係して來る問題であるから、その基本的な事柄については一應納得の上でこれを始められたならばよろしかつたのじやないか、こういうことを申し上げておるわけです。つまり一人々々の出勤がどうなる、あるいは通勤の時間がとうなるといつたような問題は、私考えに入れて、そういうことを團体交渉にまでせよということは申し上げておらないわけであります。この四十八時間勤務制の問題についても、やはり当局と組合とが話し合つたときに、これが基本的な線で妥結をしておつたならば、やはり当局のとつた措置が妥当だと思いますけれども、しかしこの四十八時間の問題を決定する際には、最後的な妥結まであらためてやり直そうというような結末においてなされたことが、突然六月一日から出て來たということで、特に行政整理という問題を前途に控えておつたために、必要以上に組合員に刺激を與えたということが、やはり大きな契機になつておつた、かように考えます。
#526
○大橋委員 ただいま証人の木村さんから、スト中止の指令を蒲田の分会へ傳えたときは、外部の人たちが少かつたので非常に傳達がうまく行つた、こういうことを聞かれたということを言われましたが、支部からのいろいろな命令が外部の人たちによつて妨げられる場合が多かつたが、そのときには外部の人が少かつたために妨げられなかつた、私こういう意味に伺つたのですが、どうですか。
#527
○木村證人 妨げられたというのは暴力をもつてやるとか、そういうようなことを申し上げたのではないのです。共同鬪爭をやつている場合においては、それをそのまま率直に受入れられないいろいろの要素があつたのではないか、かような意味で申し上げたのであります。
#528
○大橋委員 そうするとこのストの経過を通じまして、これは木村さん自身が最後にお述べになつたように、これからの組合は組合自身の意思によつて動いて行かなければならない、ところがその裏の意味は、このたびのストライキにおいては、こういう点において遺憾な点があつた、こういう意味に受取つてよろしいか。
#529
○木村證人 逆もまた眞なりで、まるつきり正反対の解釈をとればそういうことにもなると思いますが、われわれとしてはとにかく組合運動本來の姿にのつとつて、われわれの組合はやはりわれわれが主体になつて運営する、こういう考え方を申し上げた。
#530
○大橋委員 それはこのたびの國電ストについて特にそういうことを感じられたわけですね。
#531
○木村證人 特にといつても、いろいろ批判があるわけですけれども、その自己批判の一つとしてそういうことも考えた、こういうことであります。
#532
○大橋委員 そうすると蒲田車掌区がストに入るについては、完全に組合員自身の意志だけによつてあのストが起つたのではないのだというようなことを、疑えば疑えないこともないというお考えですか。
#533
○木村證人 今度の國電ストの場合のストライキは、いわゆる本質的な原因は車掌の新旧交番制にあつたのですが、直接的な契機となつたものは、組合において、もし旧交番制を実施していた場合に首切りが來た場合はストライキに入るという決定をしております。知つてか知らずか、当局は当局なりにそうした車掌の新旧交番制についてどういう解決方法を講じたか知らぬが、とにかく首を切つて來た。そういうところから直接的にストライキという問題が起つて來た、こういうことであります。そういう首を切ることによつてでなくて、私は少くとももう少しこの紛爭の事態を、運行には支障を來しておらなかつたのであるから、何らか打開策が当然とられてしかるべきではないか。今でも当局のとつた措置についても私はやはり遺憾に存じておりますし、また組合自体が支部の指令に從わずしてやつたという点についても、やはり遺憾に考えております。
#534
○大橋委員 そうしますと、支部の指令に從わずにある程度外部の圧力に引きずられたという点を遺憾に思うのですか。そうですね。
#535
○木村證人 ですから先ほど二つの点から申し上げた通りであります。
#536
○大橋委員 それからひとつ伺いたいのですが、外部の應援團体が、その後もずつと引続き共同して應援して來ておられますか。蒲田車掌区の場合は……。
#537
○木村證人 その應援というのは、どういうことについてでありますか。
#538
○大橋委員 ストに関連したいろいろな善後措置なり今後の鬪爭なりについて……。
#539
○木村證人 善後措置というようなことでもちよつと漠然としておつて、私はつきりつかめないのですけれども、現在の考え方としてはそういう考え方はあると思いますが、具体的に問題を一つ一つ密接な連絡をとつて、何かやつて行くというようなことについてはあまりないのではないか、こういうふうに考えております。
#540
○大橋委員 そうすると蒲田もストの犠牲者が何名か出ておると思いますが、何名出ましたか。
#541
○木村證人 十一名であります。
#542
○大橋委員 その十一名の方の救済については、組合自体として非常にいろいろお考えになつておられると思いますが、外部の方も何か具体的な救済の申出をしておられますですか。また実行しておられますか。
#543
○木村證人 精神的な面においての援助はされておると思いますが、具体的に経済的なあるいは物質的な援助というような点については伺つておりません。
#544
○大橋委員 そうすると、いわばある程度までは外部の人たちの犠牲になつたような人々に対して、当然の責任者であるところの外部の人たちというものは何らこれの救済を実際今やつておらない。これが実情であるということがよくわかりました。
#545
○鍛冶委員長 ほかにありませんか。
#546
○神山委員 二、三お尋ねしますが、熱海の中央委員会の決定ですね。これを木村さんは支持されましたか、どうですか。
#547
○木村證人 私はこの熱海の中央委員会には正式な発言権、議決権を持つた中央委員としては出席しておりません。傍聽者として出席はしておりますが……。この熱海の決定の第六項をさしておられるかと思いますが、私は第六項目については反対の態度をとつております。
#548
○神山委員 それは初めから反対だつたですか。
#549
○木村證人 具体的にどういう事項についてでありますか。
#550
○神山委員 今の事項についてです。私があなたにお尋ねする場合、今あなたがおつしやつたように、あなたが中央委員でないということをよく知つております。しかし中央委員会の決定が大局的に組合を拘束する。しかもあなたのように支部の執行委員長であり、鬪爭委員長である場合には、当然その線に沿つて活動される、こう思つたから、一應お尋ねしたわけでありますが、しかしあなたがその点に反対であるとおつしやるならばそれでもいいです。ことにきようは熱海の決定がいいとか惡いとかいうことを問題にしているのではないが、民自党の議員諸君はそれに触れないようにしているから……。私は共産党の神山ですが、私はあの決議は当然正しいものと思つている。(「それ見たことか」「あれは共産党の指令だろう」)だからそういうことを言つているわけではないのです。これは見解の相違であなたに聞くのではないのですが、あなたがそれでいいとすればさらに聞きたいのは……。
#551
○木村證人 私は中央委員会の決定というものが、組合の組織としても正しい決定であるならば、これはたとえ意見に反対であつても当然從わなければならない。かように存じております。ただ熱海の中央委員会で決定したストライキを含む実力行使という問題が、この大会においても三分の二以上の人間がなければ決定できないものを、その下のものなんかが過半数で決定したというところに、私は異議を持つておるわけであります。
#552
○神山委員 その点は私も疑義を持つております。それから先ほど私があの決議が正しいと思うと言つたので、民自党の委員諸君は、それ見たことか、あれは共産党の指令だと盛んにやじをつけておりますが、私たちはああいう決定をする必要がないと思つております。むしろあれはあなたの御承知のように、革同系の諸君こそが出して來た問題であつて、私が正しいと言つた意味は、一應あの場合あなたのような見解もある、大会の決定事項を中央委員会できめる場合に、過半数であつたからいけないという意見もありますけれども、一應それらの点が論議盡されて、大会の委任事項として多数決できまつたというそのことが私は正しいと思う。こういう意味なのでありますから、その点はあなたと大分意見が近い。そこでお尋ねしますが、五月三十一日に池袋の教習所で行われました支部の定期大会がありましたね。
#553
○木村證人 ありました。
#554
○神山委員 ここであなたは、今の問題に関連してどういうふうに述べましたか。
#555
○木村證人 私は少くとも今回の行政整理という問題がきわめて重大な問題であり、そしてこれの鬪い方いかんによつては、われわれの今後の運動に重大な影響を持つというような観点から、われわれとしては相当の決意が必要である。こういう観点から基本的な態度として、あえて單に葉つぱをかけるとか何とかいうのではなくして、眞に落ちついて腰をすえて、ストライキもあえて辞せないというような固い決意を持つて臨まなければならない。こういうことを申し上げております。
#556
○神山委員 これはあなたがお述べになつたことをはつきりさせるだけですが、あなた自身が最惡の場合は実力行使もあえて辞せない、ただこれを統制のもとに統一された行動をしなければならぬ。こういう提案をし、そして結論的にこれは満場一致で可決されたわけでしよう。
#557
○木村證人 その私の提案は否決されたわけであります。それが否決されて全人民の武器として実力行使を行うという、先ほど申し上げました河面君の意見が、多数決によつて決定になつております。
#558
○神山委員 そうすると河面君とあなたとの違いは、全人民がどうかという問題より、統制のもとに統一された行動をとるかどうかという問題で、これはあなた方の意見の違いの中にいつも出て來る問題ですが、とにかく実力行使もあえて辞せないという点では似たような考えだつたわけですね。
#559
○木村證人 問題は実力行使をやる場合においては、時期と方法があるわけであります。私はとにかく基本的な考え方として、そういうような決意を持たなければいかぬということを、その段階においては決定すれば足りるのであつて、あとは事態がいろいろ進行して來て、その推移に從つてそのときにおいてまたいろいろ主体的な條件あるいは客観的な情勢をにらみ合わせて決すべきだ。こういうような考え方に立つて申し上げておつたわけです。
#560
○神山委員 それがわかればけつこうです。その次にお尋ねしたいことは、先ほどこれはもう二、三回問題になつておりますが、指令第九号の問題ですが、この中の文章の表現は、正確に読む限り何ら誤解の余地はないわけです。今朝よりのストライキは中野、蒲田、沼津等に波及しつつある、こうだつたでしよう。從つて波及したというのとは大いに違いますね。
#561
○木村證人 残念ながら神山先生はそのかんじんなところをついておらないです。私がこの指令の最大の要点としてとらえたところは、最後のただちに即應の態勢をとれ、ここにあつたわけです。
#562
○神山委員 そこにこれから行くんだよ。
#563
○木村證人 じや、それでいいです。今おつしやつた通りであります。
#564
○神山委員 ところが吉武委員は入つたというふうに誤解した発言をしておるので、あなたに確認を願つたわけなのだ。それから次に委員長の質問は正確に「つつある」ということが出ておるので、委員長はさすがに賢明ですが、了承されますので御確認を願つたわけです。
 それからさらにお尋ねしたいのは、金子君が持つて來た情報ということは、ここで大橋委員が食い下つている。そして金子君が共産党員であるということはあなたがお述べになるまでもなく私もよく知つておる。ところがここで問題になつたのは、あなたのお話でも「産別情報として」というふうにおつしやつているのですが、これは間違いないでしようね。
#565
○木村證人 これは金子君が、産別からの情報として沼津、中野車掌区がストに入つた、こういうふうに発言した。
#566
○神山委員 あなたは職場の中の事情をよく御存じですし、相手の性格もよく御存じですから、あなたの場合は誤解がない。産別の情報を共産党員である金子君が鬪爭委員会に報告した。こういうことなのですが、誤解を生ませようとしている人がおりまして、あたかもその情報を共産党が一方的に持つて行つたかのように盛んに言つておられるので、それを確認させていただきたい。
 それからこれは委員長にお尋ねするのですが、先ほど吉武委員の発言の中で、八王子の鈴木支部長、あの人が熱海の大会で述べたこと、そのうちすなわち電話を共産党員が占拠したというようなことを言つたのですが、そこで私お尋ねしたいのは、鈴木君が証人としてここへ來て言つたことなのか、それとも吉武君が自己の資料に基いて言つたことか、それを御確認願いたい。
#567
○吉武委員 熱海の大会で……。
#568
○神山委員 鈴木君は話していないですね。それではいいです。そこで事実が必ずしもそうではなく、かつ青柳君によつてこの点も反駁されたということがありますが、もし当委員会で言われたならば大いに問題にしなければなりませんが、政府側の発表でありますれば、それは信用するに足りませんからけつこうであります。問題なのは木村君の場合、電話は共産党にとられていなかつたということについて御確認願いたい。
#569
○鍛冶委員長 私の会議ではそういうことはなかつた、と言つている。
#570
○神山委員 わかりました。それから九日の蒲田のストの突入が、あたかも突然この自他の職場におけるストがそのまま波及して起つたというふうな印象を與えるような誘導尋問を民自党の諸君が盛んにしておりましたが、しかしあなたは事情をよく御承知のように、すでに七月六日の大会第二日においてもこれが問題になつて來ている。次いで七日の日にもこういうことが問題になつて來ている。さらにもつとこまかく蒲田の動きを見ますと、四日にも、五日にも、七日の日にも新交番制のことが問題になつて來たのではないかということをまずお尋ねしたいのです。
#571
○木村證人 今おつしやるように蒲田の車掌区においては問題になつていたろうと思います。ただ支部にそういう問題がそのまま反映されて來なかつたので、私は大会まで知らなかつた、こういうふうに申し上げておるわけです。
#572
○神山委員 それでけつこうです。
 それからこの場合要求がやはり問題になりますが、約二十出ている要求の中で、大きなものは新交番制の業務反対、これが行政整理に関連しているということも出ておりますが、その内容としては雨漏り――あなたも御承知のように千葉の場合は、宿直室が荒れていて雨が漏る、神奈川の場合も雨が漏るということが立証されているわけです。蒲田の場合もそれと似たような要求があつたことを私はお尋ねしたいのですが、たとえば車掌区に風呂場をつくつてくれとか、駅室を拡張してくれとか、あるいは寢室の窓ガラスを何とかしてくれ、夜明し場に電燈をつけろ、あるいはホームに水道をつけろとか、電熱器をつけてほしい、洗面所を装備してくれとか、常識のある人なら疑うようなことを要求しなければならないほどひどい状態なのかということを聞きたい。
#573
○木村證人 おつしやるように事実はそういうような状態に置かれていたことを私ははつきり申し上げます。ただ交番制のストライキの問題とこの問題の関連性については、この要求はストライキが終つてから後に出て來たということだけであつて、あなたのおつしやる通り國鉄はそういうような荒廃な状態におかれて、ストライキといつたような空氣が底に含まれていることを私は率直に申し上げます。
#574
○神山委員 私があなたにお尋ねしたのは、そういうような客観的なものがあり、さらに新交番制が來て、この條件があるからこそ六月九日、これも偶然に起つたことではありませんが、よそで起つたことが響いて來たのではないか、この点を言つただけであります。その実情さへはつきりすればいいわけであります。
 それからストの打切りの時間の問題でありますが、先ほど委員長のあなたに対する質問ではこの点がはつきりしていなかつた。組合側の報告によりますと、六月十一日の十時、分会大会を開いて戰術轉換を決定したというふうになつているわけですが、この点あなた御承知ないでしようか。ことに実力行使を六月十一日十時に打切つている点、当時あなたは支部長の地位を下つておられますが、この事実は御承知ないでしようか。
#575
○木村證人 地位は下つておりましても鬪爭委員会には私出席しております。しかしこのことについては遺憾ながら存じておりません。
#576
○神山委員 これは私蒲田の車掌区からの報告をあなたに読み上げたわけですが、從つてあなた御承知なくともこういうような事実があつたということだけはここではつきりしておきたかつたのです。さらに電車の運行について、当局側から争議の対抗手段としてじやまされたというようなことはなかつたでしようか。
#577
○木村證人 運行を復活する、そういう点からだけ考えるならば、逆に当局がこれを拒否したという事実があります。その運行というものの内容については、当然当局が拒否するような運行である場合においては、当局のダイヤではないということは言えると思います。とにかく運行について妨害されたことは事実であります。
#578
○神山委員 ここであなたと言葉で爭うのではありませんが、当局のダイヤでなかつたのは事実だとおつしやいましたが、ダイヤは正式なダイヤでしなければならない。もちろん遅れたやつもありますが、中にダイヤにのせようとしたが当局の業務命令で運行ができなかつた、こういうことではなかつたのですか。そういう意味ならわかりますが、ダイヤでしたら全体としてはできるだけ正しいダイヤということをここに來た証人諸君もみな述べておりますが……。
#579
○木村證人 この点は私はこういうふうに申さなければならないと思います。國鉄というものが一應二本のレールによつて繋がつておつて、運轉規定というものがあつてやつている場合において、そこに二つの指揮系統といつたような電車が動くということは、まかり間違うと大きな問題を惹起するという観点から私はやはり考えているわけであります。そういう点から内容がどうであつたかということは、昨夜以來の計画だけを私は存じておるのであつて、その内容がはたして旧交番であるのか、あるいは人民電車的なものであるかということについては、私は内容を出詳細に知らないわけであります。
#580
○神山委員 今の問題を突つ込んで言えばいろいろありますが、大体このくらいにしておいて、組合の内部においてあなたが最後にやめなければならなかつたというまでにはいろいろの事情もありますし、いろいろなことを聞いておりますが、しかしきようはこういうことをあなたに聞くべきではないので、ただ一つだけあなたに聞きたいのは、八日の指令八号ですが、これはあなたの見解はありましようが、その見解を述べられるのにあたつて、この問題を審議するのは、これは言葉はいろいろ違いましようが、こういう雰囲氣の中ではうまくないから、鬪爭委員長個人にまかせてくれというふうにお述べになつたことがありますか。
#581
○木村證人 それはちよつと問題が違つております。第八号の指令が出て当局から質問が出ているわけです。それに対する回答をめぐつて二つの意見が出て、そのいずれをとるかということでなかなか結論が出なかつた。そこでこれは文字の上の違いなので鬪爭委員長にその文字の点だけを一任してもらえば、この大会の空氣に沿つて文案をつくるからということで一任してくれという発言をしたのであります。
#582
○神山委員 私もその事実は知らないのではなく、先ほど言つたようにはしよつて要点だけを言つたのでそういうことになつたが、ここでお尋ねしたいのは、鬪爭委員長個人というものはどういうものであるか。お互いこの委員会で昔不当財委をやつて、ほんとうに官界、財界の不当なことを摘発したその昔懐しいころ、西尾末廣君が言つたあの有名な書記長の個人という言葉、このごろはまるで非日委員会みたいになりましたが、あなたにお尋ねしているのは、鬪爭委員長個人というのはどういうわけか。これについてあなたの見解を述べてもらえば、後にあなたがおやめになつたといういきさつもはつきりするのでお尋ねしているわけです。
#583
○木村證人 私はやはり労働組合が一つの民主的な組織であり、そしてその運営が当然大衆組織である以上、單に代表者だけの決定で――大体これで間違いがないのでありますけれども、非常に重大な問題になつた場合においては、その下部の組合員大衆と往々にして遊離した決定をされる場合が起つて來るわけであります。そういうような疑問を生じた場合、やはりその点について委員長個人として妥当でないという見解に立つた場合は、それをやはり意思表示をして信を大衆に問う必要があると私は考えるわけです。そしてその際に委員長個人のとつた行動がいかぬとすれば、やはり辞任すべきであり、鬪爭委員会の処置が正しいとするならば、それに從うべきがやはり民主的な運営のしかたではないか、かような観点からそういうような措置をとつたわけであります。
#584
○神山委員 その観点は私も大賛成であります。民主的労働組合であるから、あくまで民主的に意見をかわされて正しい運営をしなければならない。これは私も同じ意見なのです。(「違う」)こちらから吉武君が違うのではないかと言つてやじつておりますが、違うところが確かに一つある。それは鬪爭委員会なら鬪爭委員会の意見と違うことがあるでしよう。その場合にあなたは鬪爭委員長として責任がある。ところが鬪爭委員会全体として論議を盡された結果、その結論を実際に遂行して行くのが鬪爭委員長の責任ではないか。なぜこれを聞くかといいますと、これはあなた御自身が経験なさつたことなんですが、大会で決定したり、鬪爭委員会できめたこととあなたの意見と違うことがあつて、あなたが電話で指示したりしたことがあとでもめ事の樣になつておるということが二、三度あつたわけですね。從つてそこが大事なのでお尋ねしたのですが、今でもあなたはそうお考えになつておるのでしようか。それとも鬪爭委員長は鬪爭委員会の決定のある場合には、たとえ自分の意見と違う場合があつても、それを執行することが鬪爭委員長としての正しい態度ではないかとお考えになりませんか。
#585
○木村證人 私は私がかつてとつた行動について、今おつしやられたように鬪爭委員会の指示に從わなかつたというただそれだけを眺めれば、きわめて非民主的なような印象を受けますけれども、私は現在においてもなおかつあのときとつた行動自体は、現在の組合員の一般大衆の動向とあわせ考えるときに、決して間違つた行動でなかつたという確信を私は持つております。
#586
○神山委員 それはけつこうです。あなたの確信がそうであり、ことにあなたはその考えに基いておやめになつておるということでありますから、この問題についてとやかく言おうとするのではありませんが、そのことが蒲田と支部との間の連絡の不一致を來させる一つの弱点になつたのではないか、こういうことは考えられませんか。鬪爭委員会のとつておる行動とあなたの見解、解釈と部分的に違うために、残念ながら後にこれが爆発せざるを得ないような一因になつておりはしないか、このことを私は聞きたかつたのです。
#587
○木村證人 私は鬪爭委員長という責任は帶びましても、鬪爭委員会には二十五名の鬪爭委員がおるので、私が一々蒲田の車掌区の問題すべてをつかんでおらなくても、やはりしかるべくそういうような詳細な報告は鬪爭委員会という機関を通じて知らされることになつておるわけであります。ただそういう鬪爭委員会内部の問題において意思の疎通を欠いたというような点は、私も率直に認めたいと想います。しかし私は蒲田の問題と遊離するような状態にあつたというふうにのみは考えておりません。
#588
○神山委員 一々あげて行けば私ども二つ三つの材料はありますけれども、しかしあなたもお疲れのことでしようし、ほかの委員諸君もいいかげんにしてくれと言つておるからいいかげんにしますが、最後に一つ、池袋と下十條がストに入らなかつたことについて、何かお聞きになつたことはありませんか。
#589
○木村證人 電車区ですか。
#590
○神山委員 そうです。
#591
○木村證人 電車区のことについては私は存じておりません。
#592
○神山委員 下十條も……。
#593
○木村證人 下十條は上野支部の管轄ですから、私は全然わかりません。
#594
○神山委員 池袋本はあなたの管轄ですか。
#595
○木村證人 池袋は私の方の管轄ですが、どういうことについてですか。
#596
○神山委員 これは石田君が見えたから、石田君に株を讓つてもいいのですが、共産党員で分会を担当しておる副委員長の松田君、共産党員で区会議員である杉浦君、この人たちが電車区に行つて、どうしてもストをやろうといつて聞かない人々を説得したという一幕があつたということをお聞きになつておりますか。
#597
○木村證人 私はそういう点についてまつたく申訳ないのですが、全然聞いておりません。ただあそこの分会の鬪爭委員会が同じ電車区の中で――これは内部的な問題を私はあまり申し上げたくないのですが、抽象的な表現で申し上げるならば、ほかの電車区から比べてあまり強くなかつたということだけは言つておきます。
#598
○神山委員 それではもう一つお伺いしますが、その強くないところの中心にいたのが共産党だということは御存じありませんか。あなたは強くないと表現されておりますが、たとえば吉岡君は共産党員であることは御承知でしよう。從つて今言つた外からは党の正式の機関から説得に行く。また中におる共産党員が全力をあげてあの自然発生的な波に乗つておるところのストを中止させようとした。これは何も私言うつもりではありませんでしたが、あなたから逆問されたのでついこういう形になりましたが、ひとつこういう事実があつたということをあなたが組合運動をされる場合に、どうぞ御参考にしていただきたいと思います。
#599
○木村證人 今の点については神山さんがいろいろ言われなくとも、私も一つ知つている事実があるのです。それは武井鬪爭委員が品川の電車区の大会に行つた場合に言われたことの中にそういう事実があつた。しかしそれはいろいろ戰略、戰術の問題に関係して來ておるので、私は組合内部の問題であるから、ここではやはり別に論爭しなくともよろしい。
#600
○神山委員 いやいや、論爭はしませんけれども、あなたがそこまでおつしやつたから特に言つておく。それはあなた自身新橋の支部長であつて、蒲田のことをよく知らなかつたとこうおつしやるが、中鬪の諸君はあなたよりも一層知らなかつた。文字通り下から自然発生的に起つて來たということが立証されるわけです。そうして鈴木副委員長がこの前來ましたが、しかしそのときにこの問題に触れて熱海の決定だけで、この点は陳述を求めませんでしたが、今ちようどあなたが武井君のお名前を出されましたから、一層都合がいいのですが、武井君にしましても、今私が言いました下十條の場合も、そういう事実をあげることはできるのでありますが、実はこういうふうな自然発生的なストライキを押さえる方向に、あなたの知つている共産党員も、私の知つている共産党員も、一方では努力した。むしろ自然発生的にあなたを困らしたのは職場の若い――名前はあげませんけれども、そういう方が大衆の圧力に押されてやつているのではないか。これは例をあげますと、あなたのところに大熊君いましよう。
#601
○木村證人 おります。
#602
○神山委員 この人、民同でしよう。
#603
○木村證人 そうです。
#604
○神山委員 この人が蒲田に対する対策を問題にした場合も、スキヤツプの問題を今ここで論議するのではなくて、支部としてやるのか、やらないのかというような問題を出したという事実がありますか。
#605
○木村證人 あります。
#606
○神山委員 かえつてこういうふうに問題をそらせることによつて事態の円満な收拾を遅らせておるという事実があるわけです。從つてこれ以上あなたと論爭する考えで話しているわけではないから、このくらいにしておきましよう。
#607
○鍛冶委員長 それでは御苦労さんでした。
 三十分間休憩します。
    午後二時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十一分開議
#608
○鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 ただいまお見えになつている方々は加藤閲男さん、渡辺三知夫さんです。これより國電スト問題について証言を求めることになりますが、証言を求める前に各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。
 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき及び医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上、十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。
 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。加藤さん代表してちよつと読んでください。
    〔加藤証人各証人を代表して宣誓〕
#609
○鍛冶委員長 署名捺印を願います。
    〔各証人宣誓書に署名捺印〕
#610
○鍛冶委員長 証言を承ります順序は加藤さん、それから渡辺さんといたしますから、渡辺さんもう一度もとの控室でお待ちを願います。
 加藤閲男さんですね。あなたは國鉄労働組合中央執行委員会の委員長をやつておいでになりますか。
#611
○加藤證人 そうであります。
#612
○鍛冶委員長 いつからおやりでしようか。
#613
○加藤證人 ただいまの任期は昭和二十四年の四月二十二日に持たれました大会において選任せられたのでございます。
#614
○鍛冶委員長 その前もずつと引続きですか。
#615
○加藤證人 その前過去二箇年間、大体今回で五選ということになつております。
#616
○鍛冶委員長 あなたは海外へ行つておいでになりましてお留守中のようですが、六月の二十三日から六日まで熱海において中央委員会が持たれまして、そこで決議されました決議の第三の六項に、最惡の場合はストをも含む実力行使を行うという項目の決議があつたのでありますが、この点いつどこでお知りになりましたでしようか。
#617
○加藤證人 その点は帰りましてからそのようなことを聞きました。從つて日時といたしましては七月十八日に知りました。
#618
○鍛冶委員長 この決議について組合内部においても、また一般世間においても、これが非合法の内容を含むものであるとか、そうでないとかいう議論がしきりにかわされておるようでありまするが、あなたはこれをお聞きになつてどういうお感じを抱かれたかを承りたいと思います。
#619
○加藤證人 感じといたしましては、労働組合運動をいたしております者が今回の大量馘首問題に関連をいたしまして、そのような決意をするということは、これは私は当然のことであろうというふうに考えております。しかしながら公共企業体労働関係法が実施されておりまする関係上、これを文書にしてはつきりして意思表示を守るということは作戰的にまずかつたのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#620
○鍛冶委員長 非合法であるとか非合法でないとかいう点はいかがです。
#621
○加藤證人 決議をやるだけで非合法ということも考えようによつては成り立つでありましようが、私ども終戰後労働運動をいたしておりまする者といたしましては、先に公務員法の場合にもそのような決議をいたしたこともありますので、そのように決議のみをもつてそう神経質に考える必要はないのではなかろうか、実際問題としてその実力行使をしたというときに罰を受けるかどうかという問題が生じて來るのではないか、このように法律を知りませんので考えております。
#622
○鍛冶委員長 そうするとただ決意を表明するだけならばよろしいというお言葉ですが、それがいよいよ実行に移されるものとして、その決議に基いて実行に移るように諸般の事実がここに現われて出て來るということになれば、これはいかがでしよう。
#623
○加藤證人 決意をするということは実行をするという建前の上に立つて決意をするのでありますから、これが実行に移される場合は当然あり得るものと考えております。しかしながら組合の規約といたしまして、罷業、怠業、これは総の字がついておりますが、総罷業、総怠業を行うという場合は大会の決議を要し、しかもそれは三分の二の多数決によるという組合の規約がございます。國鉄のような大きな組織におきましては、かりに部分的に総の字がついておりませんでも、罷業、怠業というような、いわゆる公益事業として重大な影響を及ぼすような場合には、全般的に問題が生じて参りますので、実施にあたつては、私は中央委員会の決議のみをもつて実施に移されることはなかろうかというように考えたのでありますが、事実帰りまして非常に忙しいので、これらのことについてはどういういきさつからあのような決議がなされたかというようなことも、まだ速記録を読破する余裕を持ちませんので、私といたしましては、私の立場上からこれ以上の御質問を受けましても、明快に御満足の行くようなお答えができないのではないか、こういうふうに考えております。
#624
○鍛冶委員長 次いで國鉄労組の組合運動がこの間からこちらで調べましたところによりますと、職場鬪爭、次いで國鉄防衞鬪爭というものに展開せられ、さらにそれが地域産業鬪爭から地域人民鬪爭、進んでは権力鬪爭へと展開推移しておると言われ、またそのような事実もあるのでありますが、これらの事実についていかようにごらんになつておりますでしよう。
#625
○加藤證人 どのような御見解でそのように仰せられるのか私にはわかりませんが、いろいろの字句の表現はございましても、いずれも國鉄再建のために國鉄を防衞する態勢を整える。つまり國鉄再建ということが組合員の眞底に流れている氣持だろうと思います。言葉がいろいろ表現されましても、それが今委員長の言われましたようなふうにおとりになることは、少しく私は偏見ではなかろうか、こういうふうに考えております。
#626
○鍛冶委員長 それではこの間から國鉄防衞同盟などというもののあつたことはお聞きになつておりませんか。
#627
○加藤證人 それは聞いておりません。
#628
○鍛冶委員長 それからストの場合に産業防衞共同鬪爭などといつて、外部の人がずいぶん入つてやつておつたというようなこともお聞きになりませんか。
#629
○加藤證人 全然聞いておりません。
#630
○鍛冶委員長 六月に入りまして、主として東京鉄道局管内でありますが、いわゆる車掌区の新交番制の問題に端を発して、遂に六月九日に局部的でありますが、國電のストが勃発したのでありますが、これはいつどこでお聞きになりましたでしよう。
#631
○加藤證人 その問題は六月十八日にジユネーブにおきまして聞きました。聞きました端緒を率直に申し上げますと、六月十八日にわれわれの團長でありましたヘプラー氏がロンドンへ向つて出発いたしますので、私と山本君と二人でヘプラーの宿舎に早朝――七時半ごろと記憶しておりますが、尋ねておわかれのあいさつに参りましたところが、ヘプラー氏から、加藤君はなかなか人が惡いという話でございます。そこでどういうことですかと申しましたら、君は日本を出発するにあたつて、何か計画を立てておつたようであるが、今日までそしらぬ顔をしておつて、きのうぼくが総会において日本の労働事情を述べた翌日、こういうようなことを聞くことは、遺憾であると私に言わせればなぞのような言葉があつたのであります。それでそれはどういうことですかと聞きましたところが、ヘプラー氏はニユーヨーク・タイムスを示しまして、そこには私が考えましたのでは、蒲田か東神奈川の電車区ではないかと想像したのでありますが、そこで赤旗を振つて何かデモをやつているような写眞が載つておりまして、日本國鉄が新交番制をめぐつてストライキに入つた、京浜線、中央線がとまつたようであるというようなごとが書いてございました。君は出発前にこのことは承知しておつたのであろうということでありましたので、私は全然知りませんでした、特に公共企業体労働関係法が施行されております関係上、そういうふうなことはあり得ないというふうに私は考える、新聞は誇大報道をしておるのではないか、こういうふうに申しました。しかしヘプラー氏としては、このニューヨーク・タイムスの世界各國に及ぼす影響力はきわめて大きいから、これに対して君も対策を立てた方がいいというふうに言われまして、出発されたのであります。そこで私は当時の心境を率直に朝日新聞に通信いたしておりますが、まずヘプラー氏にその新聞をくれと言いましたところが、これはぼくがまだ読み足りないから、君らも買いたまえというので、約二時間くらい町中をかけまわりましてこの新聞を買いまして、それに書いてあるところを見ました。新交番実施に伴うところの問題である、こういうふうに書いてございますので、新聞を見ましてもさつぱり私は見当がつきませんでした。いずれにいたしましても、これは当時國鉄中央鬪爭委員会がストを指令したものではあるまいというふうに考えたのであります。事情がわかりませんのにやめた方がいいだろうというようなことも言えません。そのうちにイギリス、アメリカ、オランダ代表から、ニユーヨーク・タイムスを見たが、大分もめているようだがどういう話かということを聞かれましたので、私は電話でわからぬということを言つておりましたが、いろいろ考えてみますと、どうしても一應われわれは公共企業体労働関係法が施行されておりますので、紛爭があつたならば調停あるいは仲裁というような正規の機関を経ることが正しいのではないか、このように考えましたので、はつきりとした電文は今記憶しておりませんが、中央鬪爭委員会に、ニユーヨーク・タイムスで國電ストを知つた、しかしながら國電ストを知つて各國の異様な関心を集めている、私は中央鬪爭委員会の良識を信じて收拾してくれるものと考える、願わくば調停、仲裁というような正規の機関を経て事柄の解決をはかられるようにという電報を、鈴木副委員長に発信をいたしました。これが当時國電ストに関しまして承知いたしましたことと、私のスイスにおける処置でございます。
#632
○鍛冶委員長 先ほど聞き漏らしましたが、あなたが海外にお立ちになつたのは何月何日でしたか。
#633
○加藤證人 五月二十九日の午前一時二十一分に羽田から出発いたしました。
#634
○鍛冶委員長 今の話のほか、國電ストにつきまして國鉄労働組合の指令権の所在についていろいろ議論があつたようでありますが、かようなストライキはすべて本部の指令にまたなければいかぬものだという議論と、各分会においても、一部の人の言葉をかりていえば、自然発生的に出るものはやむを得ない、こういう議論とありますが、これに関してお帰りになつてからでもよろしゆうございますが、お調べになり、また見解をお持ちになつたかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#635
○加藤證人 指令権の所在につきましては、今回の國電スト問題について別に私は調査もいたしません。單一組合の正しいあり方として指令権は中央鬪爭委員会が持つものと考えております。従いまして地方の支部あるいは分会等においていろいろの決議をいたしました場合においては、本部の承認を受けて、これを実行に移すということが、正しい單一組合のあり方だと常に考え、そのように主張して参つております。
#636
○鍛冶委員長 これはその後は見解になりますが、今のあなたの御見解、われわれもそうだろうと思いますが、それにもかかわらず分会においてやつた。それで本部でどういう手段をとるのが正当なるやり方だとお思いになりますか。本部の指令でなくて分会においてやつたとすれば、本部としてはどうするのがあたりまえのことか、こういうのです。
#637
○加藤證人 本部の指令に基かずして行つたことは、その行動につきまして本部が事後承認をするか、承認のできない場合にはそれが中止をせしめるというようなことが正しい姿だと考えております。
#638
○鍛冶委員長 ところで本部でそれを中止しようとしてももし中止をきかなければやむを得ないものですか。何か制裁の方法でもありますか。
#639
○加藤證人 労働組合の規約の中には制裁規定はきわめて少うございますが、これは当然それが問題になりました場合に、あるいはいろいろの制裁は大会その他において加えられることがあるかもわかりません。
#640
○鍛冶委員長 今度のストについてはまつたく本部の指令もないし、支部の指令もなかつたようでありますが、それについて國鉄労働組合中央本部では何か手段をとられたでありましようか。それとも何もおやりにならなかつたろうか。これはお帰りになつてからでもお調べになつたと思いますが、いかがですか。
#641
○加藤證人 そのことについては全然聞いておりません。
#642
○鍛冶委員長 先ほどヘプラー課長のお話がありましたが、あなたが知つておつて隱しておつたのではないかというお話があつたそうだが、そのほかこのストに対するヘプラー課長としての何か御意見は述べられませんでしたか。
#643
○加藤證人 ヘプラー課長として言われましたことは、これは少し記憶が違つておると困りますが、大体公共企業体労働関係法というものが施行されて、諸君にはスト権はないはずである。從つてこれが本部の指令というふうには考えていないけれども、すみやかに事態を收拾することがよかろう。自分もよくわからないので、ただこのニユーヨーク・タイムスだけ見て、労働課長としての見解を述べることは危險であるから言わぬが、とにかくこの問題は世界の輿論を惹起するおそれがあるから、一應見送つた方がよいのではないか、自主的に君が処置したらよいということで、別にヘプラー課長からは私は指示を受けたとは考えておりません。暗示は與えられたかとも思いますけれども、指示は受けませんでした。
#644
○鍛冶委員長 そこであなたの御見解については、われわれも新聞で拜見いたしましたが、お帰りになつてからこれに対して具体的の何らかの処置をおとりになりましたか、いかがですか。
#645
○加藤證人 遺憾ながら御承知のように非常に複雑な内部事情がございますので、國電ストにつきまして私まだ詳細な研究をいたしておりませんので、これがどのような経緯をたどり、どのような終末を告げたかということさえも存じておりません。このことはまことに申訳ないと思いますが、本日はそれだけしか申し上げられません。事実檢討いたしておりません。
#646
○鍛冶委員長 そこでさらに先ほど各國の代表からもいろいろ聞かれたとおつしやいましたが、この問題がニユーヨーク・タイムスに現われました結果、諾外國におけるあなたの知つておられる範囲内における新聞の論調などはどんなようなものでありましたか。
#647
○加藤證人 私は鈴木副委員長あてに電報を打ちますと同時に、スイスの新聞に対して、きようこのような処置をとつたというてんまつを発表いたしました。それで前日、先ほど申し上げました英米、それからオランダ、もう一箇國、はつきり記憶しておりませんが、四箇國から聞かれました質問が、その新聞発表によつて私の見解がわかりましたのかどうか、その点は不明でございますが、その後の質問は受けません。しかしその後私が総会において発言をいたしまして、ヘプラー課長の日本の労働事情というものに対して、ただ一点だけ相違しておる点があるから指摘すると申しまして、労働三法はりつぱであるが、実質的にはこの労働三法がまだ遵守されない段階であるということを申しましたが、これは國電ストその他をさしておつたのではございませんでしたが、そのようにとられた節がありまして、私の発言後に、しからば君は國電ストを是認するのか否認するのかという質問を受けまして、私は事情のわからないものを是認するとか否認するとかいうことは言わぬが、少くとも法規のある以上は、その法治國の國民として法規に從つて労働運動も進めらるべきものである、こういう見解は述べて、合法的な労働運動をするという見解は堅持して讓らなかつたつもりでございます。
#648
○鍛冶委員長 それは事実の報道ですね。別にそのニユーヨーク・タイムスに、そのほかこれに対する各國の論調などというものはありませんでしたか。
#649
○加藤證人 そこまでは実は、――ニユーヨーク・タイムスにいたしましても、スイス新聞にいたしましても、人に読んでもらうというようなかつこうでございまして、ロンドン・タイムスにきわめて五、六行であつたが載つておつたそうであります。ニユーヨーク・タイムスは写眞を入れて、かなり長文のものが載つておりましたが、どことどこの國が新聞に取上げておつたかということは、そのロンドン・タイムスとニユーヨーク・タイムスとスイス新聞――スイス新聞は私の発表いたしました処置を載せておつたと記憶いたしております。
#650
○鍛冶委員長 いや、私の開きたいのは、國電ストがあつたという事実の報道よりか、これに対する批判とでも申しますか論調、そういうものがなかつたか、こういうことなんです。
#651
○加藤證人 そういうものはなかつたと記憶いたしております。
#652
○鍛冶委員長 それから各國の代表はまあそうですが、労働組合関係筋等においていろいろこれに議論したり、またあなたに質問したりするところはありませんでしたか。ずつとお歩きになつた間に……。
#653
○加藤證人 御質問にはずれるかもしれませんが、ロンドンへ参りまして下山事件がございましたために、問題の焦点はそちらに行つたようでございまして、國電ストについては、ロンドンにおきましても英國労働組合関係の人に会いましたが、一言も質問を受けませんでした。
#654
○鍛冶委員長 下山事件については主としてどんなような論調がありましたか。やはり國鉄に関することとしての論調だつたろうと思いますが、どの程度のことですか。
#655
○加藤證人 論調というと、自分が英語をはつきりわからなければ論調も申し述べることができませんけれども、人に聞くのでございますが、直接私はI・T・A・F、國際運輸交通労組同盟書記長のオーデンブルグ氏と会見いたしまして、オーデンブルグ氏から下山事件を聞きまして、これはかなり各國に異樣な衝撃を與えたようでございました。
#656
○鍛冶委員長 どういう論調でしたか。
#657
○加藤證人 論調ということは何ですが、つまりテロ行為が残つておる。これはロンドンにおりましたときには当然他殺であるかのような新聞記事でございましたので、だれがやつた彼がやつたということでなしに、日本にまだこういうテロ行為を容認するような空氣があることは非常にけしからぬじやないかというふうにオーデンブルグ氏から言われました。そこで私はおそらくこれもただ一片の新聞その他で知つたのであるから、早急に自分の意思表示はできないけれども、もし國鉄の民主化を考えておるところの、また日本の民主國家としての行方を考えておる労働組合運動をなす者に、この下山氏に被害を加えたというようなことが判明し、それが國鉄労働組合員であるというような断定が下される場合には、私は國際信義上、國鉄労働組合の中央委員長としての職にとどまり得ないであろうということを申しました。オーデンブルグ氏はそのように君が責任をとることが当然であろうということを言われたのでございます。
#658
○鍛冶委員長 そうするとあの問題は一國鉄の問題として人が論じておりましたか。それとも日本の政治的問題全体として主としてこれに対する批判をしておつたか。それはいかがですか。
#659
○加藤證人 あの問題とは……。
#660
○鍛冶委員長 下山事件です。
#661
○加藤證人 下山事件は、ロンドンあたりでは日本全体として受取つたのではないかと私は思う。組合運動というものではなく、日本人全体の持つ、いわゆる考え方、氣風と申しまするか、そういう観点に立つての議論であつた。そこでオーデンブルグ氏は労働組合の役員でございます。私も労働組合の役員でございますので、民主化を考える労働組合の役員としてこのような場合にはかくかくという意見を申し述べたつもりでございます。
#662
○鍛冶委員長 それでは吉武君。
#663
○吉武委員 私は加藤証人に二つほどお尋ねをしたいと思います。第一点は、先ほど熱海の大会におけるストをも含む実力行使の決議に対しまして、決議をすることはやむを得ない。問題はその決議に基いて実力行使の行われたときに初めて問題になるというふうにお話になつたのでありまするが、加藤さんはお留守中のことではありまするけれども、その最悪の場合にはストをも含む実力行使を行うという事項につきましては、最初提案された井上君の提案はもつとひどいのでありましたが、その後かわつたものを見ましても、第二項に最惡の場合とは團体交渉の決裂したときを言う、こうあつて、集約は中鬪の責任をもつて行うとなつておるのであります。加藤さんの御意向によりますれば、およそ國鉄は單一労働組合であるから、ストライキをやろうとすれば本来の規定から言えば、大会の三分の二以上の決議をもつてなされるべきものであり、またかりにそうでなくても、中央の決定に基いて行われるべきであるという御見解でありまするから、あなたの御見解通りにもし國鉄の末端までが動くということであれば、ただ決議をしただけではそうこれを取立てることもなかろうという御見解がつくかもしれないと思うのです。しかしながら先般の國電ストをごらんになりましても、東神奈川あるいは千葉あるいは中野におきましても、その職場に突発をしておる。これを共産党の人々は――神山君もしばしば指摘しておりまするが、自然発生的に起つた問題であるから仕方がないと言つておる。これはいろいろな見方があろうと思いますが、私はかくのごとき事件が方々に同じように起つておるのに、自然発生的とは考えられないのであります。もしこういう自然発生的に職場の鬪爭が起つたという事実があるといたしますると、あのときの決議の中の最惡の場合とは團体交渉の決裂したときを言う。そうするとこの團体交渉は中央におかれてもしやられたといたしましても、あるいはまたその職場において行われたといたしましても、いずれにしても決裂したときを言つているのでありまして、さらに指令を待たぬでも、受ける方の人々から言うと、ただちにストに入る危險性が多分にある。かように考えざるを得ないのであります。そういう先般の國電ストの実際の経験に徴し、そうしてこの決議を見まするときに、この決議に対しましては、単なる決意の表明にあらずして、これはあなたの御意図には沿わないけれども、あるいはそういう意識的な意図のもとに行われたものではなかろうかという感じもいたすのでございまするが、いかがでございますか。
    〔「日が逆だよ」と呼ぶ者あり〕
#664
○加藤證人 今の吉武さんの御質問の要旨をつかみそこなつたのでありますが、ストを含む実力行使を辞せないという熱海中央委員会の決定が國電ストに及ぼした影響というふうにお考えですが、これは今どなたか御発言なさつておりますように日時が逆になりますので、この國電ストとは関係がないと思います。そこで先ほども委員長の御質問にお答えしたのでございますが、実力行使ということが始まつたときに問題になるのではないかということを申し上げたのでございますが、この眞意は、私どもが公共企業体労働関係法のわく内の組合になりますまでの――昨年七月に公務員法のわく内にございました際に、やはりこのように公務員法のわく内にある職員組合としては決議できないようなことを靜岡の中央委員会で決議したことがございます。その際私は帰りまして総司令部に呼ばれまして、本日の靜岡の中央委員会の決議は不当ではないかというふうなお話がございました際、決議のみをもつてただちに実際行動をやるかどうかということは不明であるから、決議のみをもつてこれを教唆したとかいうふうにおとりにならなくてもよろしいのではないかと申し上げたことがございます。今回の熱海の中央委員会の決議も私は今のところそういうふうな考え方と同じように、そう皆さんが神経過敏になられなくても、國鉄労働組合六十万のいわゆる節度と申しますか、それを御信用いただいて、そう神経過敏にならなくてもよろしいのではないか。こう考えておるわけでございます。すでに御承知の通り國鉄労働組合においてもこのことが世論を刺戟したということを承知いたしまして、この決議の妥当、妥当でないという論議が盛んに行われておりまして、國鉄労働組合自体においてこの決議の問題を解決する気構えが見えておるということは皆さん御承知の通りでございますので、國鉄労働組合の自主性にまかせていただいても、私は十分國鉄労働組合自体がこの問題を解決し得ると考えておる者でございます。
 それから自然発生的ということを言われましたが、労働組合運動をなすものにつきまして、自然発生的ということは、從來私の主義といたしましては、自然発生的という――労働組合の爭議手段と申しますか、これらについては極力抑制する方向をとつて参りました。このような事態の起ることは、自己の統制力の欠如ということについて常に私はお詫びを申し上げて参つておりますが、自然発生的に何事が起つても、私は委員長の席におりまして單に自然発生的として片づけることを快しとする者ではございません。
#665
○吉武委員 ただいまの加藤委員長のお考えはよくわかりました。先ほど私の申し上げました先般の國電ストを例に引きましたのは、決議に基いて行われたという意味じやなくして、過去においてそういう自然発生と称してストを起しておる。だからうつかり中央において決意の表明であつても、それをなさると、それに基いて職場で起る危險性があるからということを言つただけであります。しかしながらこれらの問題につきましては委員長として責任をもつて今後の運営をはかられるという御決意でございますから、この点はこれでやめまして、次にこれも先ほど委員長からお尋ねになつた点でございますが、加藤委員長は外國におられまして御存じなかつたから仕方がないのでございますけれども、私どもが先般の國電ストを通じて感じますことは、おそらく加藤さんの意図とは相反した行動が行われていたのではなかろうかと思うのであります。ただいま加藤さんのお話によると、國鉄としては國鉄再建を目標として、鬪爭を展開するのだというお話でございますけれども、先般の國電ストには先ほど申しましたように、最初職場鬪爭として職場に自然発生的に爭議が起つた様相をまずとつて、そして車掌区あるいは電車区におきまして職場鬪爭として自然発生的に起つた様相をとつた爭議が、ただちに他の附近の外郭團体にたくみに連絡がとられているという事実であります。先般の東神奈川のストのときも、六月九日の夕刻に突然サイレンが鳴つて、一般の市民が何事かと思つておりますると、間もなく赤旗を持つてどんどんと外郭團体が乗り出して集まり、これはよく共産党の言う産業防衞鬪爭、あるいは産業防衞同盟というような、計画的な、組織的な動員がなされているようにわれわれは見ているのであります。これは加藤さんの言われます意図とは全然反して事実起つた。留守中のことではありますけれども、かくのごとき事実が現われておる。さらにこの産業防衞鬪爭が人民鬪爭に移行した形をとつておる。それは同じく東神奈川におきましては乘客大会というものを持つておる。そして一般市民の大会において、よし、わかつた、われわれはストライキを支持してやる。資金カンパもやつてやろう。人民電車を動かせという決議をしているのであります。われわれ市民として常識的に考えまするならば、一般の市民がかくのごとき大会において、かくのごとき決議をしようとは考えられないのであります。これこそやはり共産党のフラクによる偽装されたる人民大会である。そしてもつてこれが人民の意思であるかのごとき装いをいたしまして、そして電車を動かしたことを合理化しようとしておるのであります。これはあなたのお留守中のことでありますので、あなたにお尋ねするのもどうかと思いまするけれども、現実かくのごとき事実が先般の國電ストに行われているのでありまするが、これらについてあなたは委員長としてどういうふうにお考えになつておりまするか、御感想を承りたいのであります。
#666
○加藤證人 労働組合運動をいたします者が、それぞれ他の同種の考え方をいたしております者と共同鬪爭をいたしますことは、これは当然のことでございます。しかしながらその行います共同鬪爭は、おれぞれの組合の自主性に基いて共通の面において共同鬪爭を行うのが趣旨でございまして、國鉄労働組合が共同鬪爭を行います場合には、その組合の自主性を堅持しつつ他の組合と共同鬪爭を行つておるのでございます。今吉武さんのお述べになりましたような事態、他の組合の圧力によつて自分の組合の自主性を失つたかのごとき行動がありましたとかりにいたしますならば、私としては非常に遺憾に考えるのでございまして、あくまで私は自分の組合の自主性を堅持しつつ他の組合と共同鬪爭を行つていきたい。そういう意味合から今日まで國鉄労働組合は一昨々年でございましたか、九・一五の馘首反対鬪爭のときにおきましても、他の組合からは國鉄労働組合がここでこの鬪爭にピリオツドを打つことは信義にもとるという強い攻撃を受けたのでありまするが、國鉄労働組合は七万五千に及ぶ当時の加賀山職員局長の持つて参りました馘首取消しをするという加賀山氏の声明によりまして鬪爭を打切つたような事例もございまして、今後ともわれわれは共同鬪爭はもちろん行いますが、私どもの組合の自主性はあくまで堅持して行きたい、これが私の基本的な考え方でございます。
#667
○吉武委員 大体委員長のお氣持はわかりましたから、私の質問はこれで終ります。
#668
○鍛冶委員長 ちよつと申し上げますが、國電ストと熱海の決議とは、熱海の決議が後だから関係がないというお答えでしたが、六月三日に東鉄車掌区連絡会というものを開きまして、これは國電ストの前ですが、これが基礎になつたわけです。そしてやはり最惡の場合はストをも含む実力行使を行うという決議をしているのです。これはこの点も十分お調べになつておいてもらいたい。われわれはこの点から見て、全然関係ないものとは認められぬ事実がある。
#669
○加藤證人 今の点についてお答えいたしますが、車掌区連絡協議会というものは、私どもは組合運動として認める組織ではございません。從いましてそれらの人が寄りましていかような協議あるいは決議をいたしましても、組合員としての権利義務は生じて参らないと考えております。
#670
○鍛冶委員長 それはそうでしようが、こういうことのあつたことを頭においてこれを処理してもらいたい。
#671
○大橋委員 加藤証人にお伺いいたしたいのですが、あなたがあちらでこのストのことを初めて御承知になりましたとき、これはおそらくは中央の指令ではあるまい、こういうことを第一にお感じになつたそうでありますが、國鉄労働組合のストは中央の指令で行われるのが原則であるにもかかわらず、そのとき証人が、これは中央の指令ではなかつたろうということをお感じになりましたその根拠を承りたいと存じます。
#672
○加藤證人 六月一日より公共企業体労働関係法が施行されましたので、國鉄労働組合にはいわゆる罷業権はないことになつております。從いまして私が出発前に何らかの決議がなされておれば別でございますが、出発いたしますときには交番制の問題その他についても何も聞いておりませんし、そのような短時日の間に正規の機関の決議としてそういうことがなされるとは考えませんでしたので、私は本部の指令に基く爭議行為ではあるまい、こういうふうに直観いたしたわけであります。
#673
○大橋委員 本部の指令に基く爭議でないといたしますと、これは分会なり、あるいは支部において独自に行われる爭議である、こういうことになるのでございますが、國鉄組合におきまして支部なりあるいは分会なりが独自に爭議を行うような情勢があつたでございましようか。ありとすれば、ありと考えるところの何か根拠をお示し願いたい。
#674
○加藤證人 お尋ねの眞意を把握いたしかねておるものでございますが、私は國電ストのようなことが行われるとは考えておりませんでした。
#675
○大橋委員 そうしますと國鉄労組の通常のあり方から言うと、國電ストというものは予想されなかつたわけでございますか。
#676
○加藤證人 その通りでございます。
#677
○大橋委員 もう一点、ヘプラー氏からこの爭議は公共企業体労働関係法違反の疑いがある。この法律によると、國鉄労働組合にはスト権はないはずだ、こういうことをお聞きになつそうでございますが、そのとき証人もやはりそれと同感でいらつしやいましたでしようか。
#678
○加藤證人 肯定いたします。
#679
○内藤(隆)委員 今の大橋委員の質問に関連してでございますが、さいぜんのあなたの証言の中に何らかヘプラー課長から暗示を受けたというようなお言葉がありましたが、その指示とは一体どういうようなことでございましたか。
#680
○加藤證人 率直に申し上げますが、ニユーヨーク・タイムスに出ますその前々日に、ヘプラー課長は、日本の労働事情についてILOの総会において四十五分間にわたつて発言をいたしております。その直後に多くの自分の本國の新聞において、ヘプラー課長の言明、日本の労働事情は今きわめてうまく行つているという証言に反するような現象が起つたので、これではどうも困るというような意味のことを言つたと私は考えたわけであります。しかしながら私はただいま申しました通り何ら指示を受けませんで、私自身がこういうことはうまくないのではないかと考えてあのような電報を打つた。これは私の責任においてなしたことでございます。
#681
○内藤(隆)委員 それが暗示とお考えですか。
#682
○加藤證人 そういうことでございます。
#683
○内藤(隆)委員 もう一点、今度あなたは海外をおまわりになりましたが、何かソ連に影響されている國へおまわりになりましたか。
#684
○加藤證人 参りません。
#685
○内藤(隆)委員 おそらくそういう國へ行けば、共産党がメツカ、メシヤのごとく考えているソ連にこういうストライキなんか起れば、ただちに死刑になるのであります。おまわりにならなかつたことはよかつたと思います。それからもう一点、ジユネーブで十八日にこの爭議の起つたことをお聞きになつたときに、ニユーヨーク・タイムスをごらんになつて、ただちにこれは蒲田か東神奈川だと判定されたというが、何か写眞の根拠でもあつたのですか。
#686
○加藤證人 写眞が出ておりまして、電車を背景にいたしました写眞でございますので、車庫の状態はよくわかりませんが、虫めがねで見ますと、車のわきについておる車の所属が、たしか「蒲」の字が書いてございました。そこで蒲田か東神奈川と考えたわけであります。
#687
○浦口委員 大体加藤委員長の組合運動をお進めになる方向とかお氣持はわかつたのでありますが、一点だけお尋ねいたします。昨日の朝日新聞に「人員整理の中に立つて」という表題で座談会をおやりになつておりますが、その中で星加中鬪委員の意見について加藤さんは、「私はちよつと違う、私は非合法の運動をやつたら今回の首切りを防止し得るという確信があれば非合法の運動もあえて辞さない、そういう確信が今回はなかつたので、非合法でゆけば犠牲者が多くなるという考え方になり、それをやらなかつた」こういうふうにおつしやつておりますが、成功すれば非合法運動もあえて辞さない、成功しないと思えば非合法運動はやめる、そういうことと今おつしやつた合法的な労働運動をやる、こういう今のお話とは根本的に少し相違するように思いますが、その点お答え願いたいと思います。
#688
○加藤證人 きのうの朝日新聞の座談会におきまして、私が発言いたしました眞意は、九万五千、十万に及ぶ同僚が馘首されるということが、これを非合法の運動――非合法と申しましても、それはストライキを用いるのか、あるいはほかの爭議手段をとるか、これはわかりません。ストということのみを指しておるのではございませんが、合法運動の範囲を越えて、組合運動をいたして、九万五千の人がこういう手段をとれば助かるという確信がついたなら、当然私はその手段を採用するであろうということを申し述べたのでございまして、これは言つておることと、あくまで合法運動を堅持して行きたいということと考え方が違うではないかというふうにおつしやつておりますが、私は労働組合運動をいたしております以上、九万五千の人が助かつて、そうしてしかも日本の國全体に対して、この九万五千が助かる以上の犠牲を負担せしめないという確信がついた場合には、そのような措置をとる場合もあり得るであろうということを言つたわけでありまして、この比重というか、そういうものは、その状態をよく判断しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#689
○聽濤委員 この間の琴平大会のとき、加藤委員長はこういうふうな発言をなさつていると聞いておるのです。それは私を除く他の全部の中鬪委員は吉田内閣にぶつかれ、私はGHQにぶつかるというか、体当りするというか、そういうふうにやるというような趣旨のことを言われたと聞いておるのですが、どうでございますか。
#690
○加藤證人 その点は確かに今聽濤さんからお尋ねを受けておる通りの発言をいたしました。その眞意は皆様方どなたでもお考えだろうと思いますが、今日本の行政整理を行つておるものは、吉田内閣のほかに司令部あり、私はこのような見解に立つております。從いましてどうしてもこれは両者を同時に説得するのでなければ、労働組合運動をいたしておりまして、組合員の経済上の地位の向上はできない、このように考えましたので、私は幸い今日まで総司令部に出入りをいたしました回数が多いので、私がそつちを引受ける、諸君は日本政府の説得をせよ、こういう意味合いであつたと思います。速記録をごらんをいただければそういうふうになつておると思います。確かにお尋ねの通りの発言はいたしました。
#691
○聽濤委員 私がそれをお聞きしたのは、別の趣旨でございまして、今前の人から聞かれました質問の中で、ストライキが起るようなことは全然予想されなかつたという御回答があつたわけですが、もちろんこれはストライキなんか起るということは、だれしも予想できないことであろうと思いますが、ただ國鉄の琴平大会のときに、すでに委員長もこういう発言をなさつておることから見ましても、國鉄の状態というものが非常に深刻な緊迫した状態にあつたと判断されるのですが、その点はどうお考えになりますか。
#692
○加藤證人 ストライキが起ることをだれしも予想しなかつたろうというような意味の御発言でございますが、國鉄の労働組合のごとく、公益に関係のございます組合におきましては、でき得るならばストライキというものは相当前に予告をして、そうして堂々とストライキに入るのが、私は正しい姿と考えております。從いまして、当時この國鉄労働組合がストライキに入る情勢がありましたならば、もちろん私は外國に向つて出発をいたすような愚もいたさなかつたことと、このように考えるのであります。今の聽濤さんの御見解のストライキを予知し得ないということは、私は國鉄労働組合がもし今後スト権を得まして、ストライキを行う場合においても、一々予告をしてストライキを行う、こういうことが正しいのではないかと考えております。
#693
○聽濤委員 その点はよくわかります。私のお尋ねいたしましたのは、つまり國鉄の琴平大会のとき、すでに國鉄の状況というものは行政整理の問題も出て來ているし、職場のいろいろな不満の問題も深刻になつて來ているし、また國鉄全体が非常に荒廃して行く問題も出て来ているし、そういう状態が非常に深刻になつていた、急迫していた、紛爭は至るところで、すでに起つておるし、また起り得る状態にあつたのではないかということをお聞きしているわけです。
#694
○加藤證人 琴平大会のときに、馘首はもう大体行われるであろうということは考えておりました。從いまして琴平大会はもう少しはつきりとした、どのような鬪爭をするのかという鬪爭手段について、明確なるところの判定をし、方針を中央鬪爭委員会に授くべきではないかということを主張したのでありますが、ただ單に、漠然と鬪爭方針を決定しただけで、これは当時私はもう一回大会を開かなければ人員整理の問題については具体的の方策はきまらないのではないかということを感じ、そのようにお尋ねの向きにはお答えしておつたと思います。
#695
○聽濤委員 ところであなたもお認めになりましたように、大体委員長といたしましては、鬪爭委員は全体で吉田内閣にぶつつかれ、自分はGHQの方に当つて行くというふうな発言をなさいましたが、事実その後間もなくあなたは外國に旅行にお出かけになつた。こういうことは実際上は、実現性に関する限りは実現していないように思うのです。もつとも旅行についてはいろいろ御事情があつたと思うのでありますが、その点どういう御事情で海外においでになりましたか。國鉄の状況がそういう中で、どういう理由で海外へおいでになりましたか、その点をお伺いしたい。
#696
○加藤證人 日本の経済再建を志しましても、それが日本というからにとじこもつていては、経済再建は行われない。從つて私は、單に私ということでなく、労働者の代表にいたしましても、どの代表にいたしましても、國際的関連を持つことが必要である、國際的視野の上に立つことが必要である、このように脅えておりまして、從いまして私は、全労連から、ソビエトの大会がモスクワで開かれるという場合にも御推薦を受けて、これを受諾いたしました。それからその後ILO総会においても、やはり御推薦を受けて受諾いたしました。國鉄労働組合六十万は、すでに自主性をとりもどしているので、私ごとき者がおらなくても十分間違いなくやつて行つてくれるものと確信を持つておりました。私は今回外國へ参ります際にも、はつきり出発に際して、労働組合の代表であるという考えと國民的使節という立場の比重を同一に扱つて参る、この上に立つて御推挙を願いたいということを推薦会のときにも申し上げて参りました。私が五十日間あけました國鉄労働組合の皆さん方におかけした一時的のトラブルの比重と、海外へ参りまして國際的にいろいろのつながりを持つて参りました比重は、私は今でも考えておりますが、行つたかいがあつた、行つた方がよかつた、こういうふうに考えておるのでございまして、決してるすにして参りましたことを後悔しておるものではございません。
#697
○聽濤委員 その点もう二度お聞きしたいと思うのですが、あなたが海外旅行中に國鉄のストが起つて、それについて心配になつて声明書まで送られたというわけですが、しかしまた逆に言いますと、こういう事態の起り得るような條件の中で日本をるすにして、國鉄の労働問題をるすにして行かれたことに対して、委員長として何か御反省というと言葉が強いかもしれませんが、感じられるところはなかつたですか。
#698
○加藤證人 結果的に申しますならば、このような事態が起りましたのでまことに申訳ないと考えております。しかし出発いたします際には、私はこのような事態が起るとは考えておりません。当然首切りの問題は白熱化しまして、機関ができておりますので調停あるいは仲裁等の機関にかかつて、ごたごたしておる最中に帰る。その途中に國電スト、下山事件あるいは三鷹事件というようなものは全然、私は不敏でございますが、想像がつきませんでした。
#699
○聽濤委員 それでは海外旅行中に、あなたも日本の大きい労働組合の代表として、また國鉄でも世界労働組合連盟の関係についてはいろいろの決議あるいは論議が行われていたと思うのですが、最近は分裂しておる所もあるそうですが、やはりだれが見ても世界第一の労働者の團結体である世界労働組合連盟というものは、日本の労働者代表として海外に出ました場合に非常に大きな対象になると思うのですが、あなたの海外旅行中に世界労連との接触はございませんでしたか。
#700
○加藤證人 私は私の見解が一方的になることを恐れまして、いわゆる鉄のカーテンの中の國すなわちチエコスロバキアの労働代表に面会を申し入れまして、チエコスロバキアの情勢はどうであるかということをお話しようと思つたのでありますが、君はどこの党員であるかと聞かれましたので、社会党員であると答えましたところが、社会党員には会う必要がないということで面会を拒絶されたのでございます。從いましてチェコスロバキアつまりいわゆる世界の二大潮流の中の一つの潮流の人とは一回も直接口をきいたことはございません。これははつきり認めます。それから会議の途中におきまして六月二十五、六日新世界労働組合連盟というものの準備会が持たれまして、オブザーバーとして招請を受けました。これは総同盟からメツセージを託されて行つておりました。総同盟は新世界労連に積極的に参加する用意があるということをもしそのような会合に出る機会があつたら傳えてくれ、こういう依頼を受けておりましたので、そのことは傳えて参りました。いわゆるWFTUと接触したかどうかということについては、WFTUの代表はILOに来ておりません。ルイ・サイヤン氏にお目にかかりたいと思いましたが、私がお目にかかつたのはルイ・サイヤン氏と同行して、一昨年でございましたか東京に参られました、ちよつと名前を今失念いたしましたが、イギリスの代表の方、つまりWFTUのもとの会長に面会をしましたが、WFTUを脱退した理由を私に説明してくれただけでございまして、聽濤さんからお尋ねを受けている、つまり現在のWFTUの人とはお会いができなかつたということは残念に考えております。
#701
○聽濤委員 よくわかりました。大体あなたがWFTUとは接触がなかつたということがわかりさえすればいいわけです。そこでつかぬことを聞くようですが、あなたの海外旅行については費用などはどういう所から出ておるのですか。
#702
○加藤證人 私の旅費というお尋ねでございまするが、SCAPからの命令を受けて参りましたので、旗費は総司令部のトラベル・チエツクでまかなわれました。しかし私自身も足りない部面は若干出したのでございますが、旅費としては総司令部から支給を受けて参つたのでございます。
#703
○聽濤委員 それで今度お帰りになつて國鉄のいろいろ混乱した状態にあなたは御直面なさつたわけですが、加藤さんも十二万に及ぶ大量馘首については、もちろん委員長として反対の立場をとつておられたと思うのですが、あなたがお帰りになつて間もなく、中鬪委員十七名かに対する馘首が行われた。このことは加藤さんの御意見では不当馘首とお考えになつておられますか、いかがでございますか。
#704
○加藤證人 もちろん組合運動をしておりまして、前日まで机を並べた者が馘首の通告を受けたということについては、断腸の思いをいたしております。しかしながら私は今國鉄の労働組合が当面しておつて最も重大な問題は、國民的信用を失つておる國鉄労働組合をいかにして國民の信用を得るかということに第一主眼点を置かなければならない。從つてこれは認めるとか認めないとかいう論爭をするよりも、まずこれらの方々と一緒に馘首されておるところの九万人の方々に対する実際的の措置、すなわち復職の可能な者は復職せしめる、あるいは就職をあつせんしなければならない者は就職をあつせんする、あるいは生活補助をしなければならない者は生活補助をする、それらについてすみやかに團体交渉を再開することが最重点と考えましたので、認めるとか認めないとかいう論爭に日を費やしておることは、私は九万の馘首された人の不幸だと考えましたので、実は断腸の思いでありましたが、この十七名の方と九万名の方と同一に扱つて行きたい、こういう観点をとつておるわけでございます。
#705
○聽濤委員 ところがその御趣旨はよくわかりますが、ただちに問題が起つて来るわけですね。たとえば中鬪委員会というものが今まで通りに行くのか、あるいは変化して行くのかという直接の問題が差迫つておるわけなんですが、そういたしますと、この馘首された十四名の人たちに対する組合の措置は即時に決定されなければならない。ところが当局側の発表したところによりますと、これらの中鬪委員というものは当局の方針に対して協力しなかつたというようなことを主とした理由として馘首しておるのでありますが、その点から参りまして、加藤さんのこれに対する態度をお聞きしたいと思います。
#706
○加藤證人 非常に内部に入つての御質問で、これは私どもが自主的に決定をして行くべきものだ、こういうふうに考えておりますが、鈴木君以下の方に御同情をいただいておるということは私非常に感謝いたします。しかしながら私どもは鈴木君らが通告を受けました翌日からただちにこの問題に取組むということは、十七名あることを知つて九万名あることを忘れてはならない、こういうふうに考えまして、四十八時間鬪爭委員会を開かないで形勢を観望したのでありますが、遺憾ながら鬪爭委員の方々の御論旨がだんだんと一つの方へまとまるという方向をとらずに、だんだんと御意見が相違して來るというふうに私は観取いたしましたので、こうなつた以上は中鬪としては事実上機能を失う。そうしてもろもろのいわゆる異なつた指令その他が流れることは、さなきだに困惑しておるところの各組合員を困らせるものであるという考え方から、私の氣持としては大義親を滅すという氣持で、中央委員会までは特に十七名の方々についてのみの交渉をする考えは捨てたわけでございます。しかしながら話合いができ次第に私が取上げるものは、これは公共企業体労働関係法第五條違反でないかということを調停委員会に持ち出すというような考え方はもちろんいたしておりまするが、これは單に十七名でなく、各支部においても同様組合運動に專念しておられたために馘首せられた方がありますので、これらの数もできるだけ調査いたしまして、すみやかに具体的の措置に入つて行きたい。今具体的措置に入ることを妨げるのは組合内部における毎日の無用なる、と申し上げると語弊がありますが、直接利害関係に乏しいところの論爭に日を送つているべきでない、こういうふうに考えておるわけであります。成功いたしますかどうか、ひとえに皆様方の御支援の結果であろう、こういうふうに考えておりますので、團体交渉に入りました場合に、どうか十分なる御後援をお願いしたい、こういうふうに考えておるのでございます。
#707
○聽濤委員 あなたのお答えで私の趣旨が少し誤解されているのじやないかと思うのですが、私の申しましたのは十七名の馘首について当局とどうするかということをお聞きしているのではなくて、組合としてどういうふうにこれを扱うか、このことをどう御決定なさつているかということを実はお聞きしているわけです。
#708
○加藤證人 琴平大会におきましての速記録を見ましても、不当馘首を受けたときそれらの人を組合員と認めるというふうな決議はなされておりますが、組合員として認めるというのは当局と交渉して認めさせるというような字句が入つておりまして、琴平大会の速記録は必ずしもその点が明確に何人も疑問のないような速記録ではないのであります。從いましてこれを組合員と認める認めないというふうに組合内部で論爭を生ずるような次第でありまして、私は琴平大会の速記録がもう少しはつきりしておれば論議はなかつた、こういうふうに考えております。この点を分明にするものは次の大会でなければできない。從つて組合員として認める、認めたいと考えまするが、法規は明らかに公共企業体労働関係法によつて認めないという段階に立つておりまして、これらの方々が入つておる限り、團体交渉に應じがたいというのが当局の言分でございます。しかし私も帰りました早々でございますので、公共企業体労働関係法施行令は私出発後に最後的決定をいたしましたので――交渉委員としての資格はかりに組合員ではなくてもあるのではないか、もちろんあるようにも考えておりますので、これらの点については具体的に当局と交渉を開始しない限り、一歩も進展しないというのが実情でございます。從來のように組合の一方的主張と申しますか、組合の主張に対して当局が後退してくれるような今までの内閣諸公であれば問題は簡單でありまするが、なかなか一歩も引かなという固い氣構えを見せているので、われわれとしても法規的にもいま少しく研究の余地があるというふうにも考えられて、その点進みかねているというのがかけひきのないところであります。
#709
○聽濤委員 組合は当局とはもちろん別個の人格でありますから、組合は組合としての処置がとれるはずだと思うのですが、これはあなたの意見と論爭になるようでありますから避けたいと思います。ところで加藤さんはもうすでにこの馘首された人達を除外したいわゆる民同派の中鬪委員の人ばかりを集めたような委員会をあなたが招集になつた事実はございませんか。
#710
○加藤證人 お答えいたします。民同派の人間を集めて中鬪連絡会議を開いたのではございません。民同派の方たちが集まられて、そうして中鬪連絡会議を開くから委員長出席してくれ、こういうことでございまして、この人たちの資格要件については何ら欠くるところはございませんし、私が中央鬪爭委員長としての資格要件にも何ら欠くるところがございませんので――私は民同派の中鬪委員を招きましていろいろのことをきめたという新聞の発表についてはきわめて不満を表明したいのでございまして、私中鬪委員長の責任において正規の中鬪連絡会議という見解を今日も堅持しておるのであります。この考え方が間違つておるかどうかということは、われわれの中央委員会あるいは大会が決定してくれるものという考え方をいたしております。
#711
○聽濤委員 事実がわかればよいのであります。ところでもう一つはつきりしなかつたのですが、あなたが御招集になつたわけではないということでございますね。
#712
○加藤證人 連絡会議は議案を持つ委員から発言があつて集合を求められて、委員長が同意をして開いておるというのが根本理念なんでございます。鬪爭委員会は私が招集いたしますが、連絡会議は鬪爭委員会を持つ間の機関といたしまして、議案を持つ者から集まつてもらつてきめてもらいたいという要求があれば、それを持つておるというのが今までの慣習でございます。
#713
○聽濤委員 もう一、二お伺いしたいのですが、大体このたびの馘首の行われます前に、馘首された十七名の人も入つた元の中鬪委員会が数回に及んで当局に対して團体交渉の申入れをしたのですが、これが全部拒否されたことにつきましては、委員長として当局の態度をどうお考えになりますか。
#714
○加藤證人 その点は私が帰りまして團体交渉が当局との間に開き得ないという段階にあるという報告を受けまして、非常に奇異に感じました。從いまして私はそれらのことについては事情をよく聽取して團体交渉をすみやかに開かなければならぬと考えておつたのでありますが、たまたま團体交渉を開けという要求を私からいたしまする前に馘首問題が生じまして、再び紛爭をしたというのが実情でございます。、
#715
○聽濤委員 それで今後國体交渉をやるように新聞でも言われておるのですが、おさしつかえなければ今後の團体交渉の加藤さんの御方針を伺いたい。もしおさしつかえがあればけつこうです。
#716
○加藤證人 何を目標として團体交渉をするかというお尋ねですか。
#717
○聽濤委員 そうです。
#718
○加藤證人 それにつきましては新聞その他でも申し上げておりまするが、團体交渉の当面の目標といたしまして、当局は國鉄の整理はほぼ完了したという字句を使いまして、その「ほぼ」という字に非常に意味がございます。私が知つておりまする限りは、若干まだいわゆる定員法のわくの定員とは開きがあるのじやないかと考えておりますので、「ほぼ」という字をとらして國鉄爭議が完了したというふうに――敗戰を認めるようでございますが、「ほぼ」の字をとりたいということが第一点でございます。第二点といたしましては、六十万から五十万に認める認めないの論爭は別といたしまして、人員が減つておるのでありますから、当然各自の一人当りの負担が重くなつておる。從つて三月期、六月期において昇給その他の措置をしていないから、この際ただちにその措置をし、そうして組合員の労働強化に対して好ましい手段ではございませんが、何とか給與の面を考慮したい、これは一つの考え方でございますが、給與のべースを考えるべきであるという交渉が第二点、第三点は、当然定員に近づけておりまするならば、その翌日より欠員を生ずるはずでございまするから、この欠員を生じたものはただちに採用を開始する。その採用をするにあたりましては、今回退職を命ぜられた者から順次採用をして行くという確約をとりたい。私の見通しでは大体年内において千名から二千名の間を採用しなければならぬ。定員法を全面的に認めるとすれば。そういうようなことがありますので、この確認をとりたいと考えておりますることが一つ。その次は十分なる調査に基かず、組合の反対を打切つての画一的の人員整理でございますので、職場によりましては非常に労働過重を來しておる向きもございますので、これに対して適正定員の査定を團体交渉において行い、この定員五十万三千五百でございますか、これから増員をしなければならないというふうな團体交渉の結論に達したならば、ただちに運輸省当局は定員法の修正を次の國会に提出する用意をしなければならない。これは臨時國会を早急に開催せよという私どもの要請をいたしております手前、すみやかに具体的な人員をもつて臨むことが必要であると考えておりますので、その交渉をいたしたい。第五には、たとえば組合專従者が不当に馘首されておるというような問題について十分折衝いたしまして、これを公共企業体労働関係法違反として告訴するなり、告訴して首が助からないまでも、われわれとしてはむしろ告訴に至らざるうちにこの取消しを迫るというようなこと。こういう以上申し上げました五つの点を私は当面の主目標として、一日も早く團体交渉を開始したいという念願に燃えております。
#719
○神山委員 加藤さんにお尋ねしますが、今聽濤君が大分大きな話をしたので、今度私は小さいお話を聞きたい。あなたがジユネーブに向つて出発なさつた時間を、今あなたがこの委員会で二十九日午前一時二十五分とおつしやいましたね。
#720
○加藤證人 はい。
#721
○神山委員 ところが國鉄新聞では同じ日の午前ですが二時十五分になつております。これはどちらですか。
#722
○加藤證人 飛行機に搭乗いたしましたのは、私の時計は一時二十五分、これは代表一行が全部そうでありましたが、離陸いたしましたのは二時十五分くらいに相なつておつたかと思います。
#723
○神山委員 それからもう一つ小さいのを聞いておきたい。それは先ほどのお話の中で、國電ストの問題でお聞きになつたのは、六月十八日の朝、ヘプラー課長がロンドンに行くのを送つて行くときにというふうにおつしやつたのですが、ところが朝日新聞にあなたがお書きになつたものが六月三十日に出ておるのですが、それによりますと二十日の早朝、スイスの停車場におもむいたところ、ヘプラー氏から十六日付のニユーヨーク・タイムス云々こういうようなわけですね。この場合はどちらがほんとうですか。
#724
○加藤證人 これは私先ほど六月十八日と申しましたならば間違いでありまして、六月三十日であります。恐縮いたしました。
#725
○神山委員 これはやはり事実の認定の場合に、こういうようなささやかなことがいろいろな問題に関連して大事だから、小さな問題として出したのですが、さてそこでこれをお聞きしたいのですが、先ほど鍛冶委員長が六月三日の東鉄の車掌連絡協議会、これで実力行使云々の決定をしたといつた場合に、加藤さんはそれは組合としては認めていない機関だとおつしやいました。それはそれでよいと思う。ところが私がここでお尋ねしたいのは、上野の支部で五月三十日の日付で――これは三十日のことですから案外あなたは御承知ないかもしれませんが、こういうことを決定しておるのです。
 われわれ第六回定期支部大会において、吉田民自党内閣の首切り行政整理に対し実力を行使しても闘うとの基本的態度を決定した。これは以下ずつと長い文章がありますが、これは御承知のように三十日の日付になつております。その前に開かれた大会の決定に基いたものと思います。上野では世間の心ない人は民同の巣だといつております。そういうような決定があるのですが御承知ないですか。
#726
○加藤證人 私が車掌連絡協議会を認めないと申しましたのは、これは組合の機関でない。ただ諮問機関として職能別協議会というものがございまして、その運輸協議会の一分科会として、諮問機関としての車掌連絡協議会のきめたことは、組合機関の決定ではない。しかし上野の支部のような支部機関の決定は、支部としての態度決定をする機関である。これは認められる。しかし今の御質問の上野支部がそのような決定をしたかどうかということは知りません。支部機関の決定でないから、認めないということは、そういう意味合いで認めない。こういうように申し上げたのであります。
#727
○神山委員 けつこうです。今読み上げた点は、号数は申し上げませんけれども國鉄新聞です。ここで私がなぜこういうこまかなことを聞くかというと、先ほど委員長が、この連絡協議会は、これは組合としては一應諮問機関として認めているけれども、正規の手続機関でない、そういうわけでしよう。ところが――な吉武委員はこれをフラク会議と言つた。こういう暴言をはく人がおりますから、これは加藤さんもよく御注意していろいろな返答をしてもらいたいと思う。從つて私がここで立証しなければならないことは、六月三日に東鉄の車掌の連絡協議会で実力行使の決定が出るその以前に、すなわ五月三十日の日付でこういう決定が中闘の本部の上野支部から出ているということをはつきりさしておく必要がある。この点ひとつお調べおきを願いたいと思う。きようの加藤さんのお話を聞いておりまして非常に残念なのは、あなたも残念だと思いますが、この大事な六・九國電ストの問題についてまだ十分お調べになつておらない点があることです。ぜひこの問題は委員長が全組合機関を動員して、具体的な資料をお集めになつた上で、組合としてのまとまつた見解を発表していただきたい。これを特にお願いしておきたいと思う。なぜかといいますと、先ほどからの委員諸君の質問であなたもお気づきになつたことと思いますが、いろいろな問題を伏線のように出して行つて押しつける傾向がある。たとえばこの六・九國電ストの問題については、加藤さんは海外にいたから知らなかつたと、はつきりおつしやつているにもかかわらず、吉武君はこういう発言をしている。外からの圧力があつてこういうふうなことが起つたんじやないかというふうな質問をするので、それで加藤さんは賢明にも、かりに外から圧力があるとすれば、こういう答えをなさつているのですが、こういう点も事実に基いてはつきりする必要があると思う。從つてこの点についてはつきりさしてもらいたい。
 さて今度は加藤さんが今までお述べになつたことについて一、二お聞きするのでありますが、出発にあたりましてあなたが述べられた決意というものがこういうふうに傳えられている。私は現在吉田内閣がとりつつある反労働者的な政策、特に全官公を中心とする行政整理の不当を諸國の代表に訴え、あわせて日本の労働者が平和擁護と民主國家建設のために勇敢に闘つていることを傳えたいつもりである。これは國鉄新聞の六月四日号から私は読み上げたわけですが、こういうふうな決意を今お持ちになつているかどうか。さらにはあなたの決意をILOその他の労働団体と接触された場合に、あなたの決意通りにおやりになつたでしようか。この点ひとつお尋ねしたい。
#728
○加藤證人 六月四日の國鉄新聞そのものも遺憾ながら私見ておりませんが、私は國鉄新聞に特に私の見解を発表するようにということを言つて参りませんので、私の見解といたしましては朝日新聞に通信として率直に考えを送つておりますから、それによつて御判断を願いたいと思います。
 今、私はILO総会においてどのような発言をしたかというお尋ねのように考えますので、こればぜひ聞いていただきたいと思いますから申し上げておきますが、五点を力説いたしたつもりでございます。第一点は、日本人全体は率直にいつて國際家族の一員としてすみやかに國際場裡に進出したい。これが日本人全体の希望であつて、労働者がILOに正式参加を求めているということはもちろんのことである。これを第一点として申し述べました。第二点といたしましては日本の労働事情についてはヘプラー課長から詳細に説明があつたので、自分はこれに重復することを避けるが、ただ一点、ヘプラー課長の報告の中に指摘しておきたいことは、なるほど日本の労働三法は実に立派なものである。しかしながら実情は、必ずしもこの法律通りに行われておるのではなくして、始終遺憾の点が多い。一例をあぐるならば、今回経済九原則が実施されて日本人全体の公平な犠牲負担においてこれが実施されるべきであるにもかかわらず、廣範であるところの企業整備に名をかつて、実は労働者の犠牲が非常に強いられておる。そのことはうそだというならばすみやかにこのILOから調査隊を派遣してもらいたい。このように私は主張しました。賃金べースにつきましても、なるほど金高としては上げたけれども、戰前のわれわれの実効賃金を一〇〇と仮定すれば、現在は三五にしかなつていない。実質賃金が三分の一に低下している。今日、ILOの二十六回総会において、どこかでの貧困が、どこかでの繁栄の妨げになるということを諸君は申し合せをしておるはずである。從つて日本の賃金べースの問題について十分檢討してもらいたい。第四には、今回移民のための職業委員会というものが設置されておるが、その内容はよくわからぬけれども、日本のこの狭い土地の中に八千万の人口がおつて困つておるという状態については、何ら考えられていないようだから、ぜひ移民の職業委員会においては日本の問題を討議するようにしてほしい。第五には、ILOの総会で九十に及ぶ條約、八十三に及ぶ勧告を出しておるが、まだ各國はこれが批准もしなければ実施もしていないところが非常に多い。ILOが作文機関になつては、労働者が順次離れて行くからどうか実施機関となるように、強力な実施を監視する機関となつてもらいたい。このような意味の発言を申し述べたのでありまして、今お尋ねのような考え方を是認するかどうかということについては、ただいま私が申し上げました言葉の中から御判定をいただければよろしい。私はつけ加えて申し上げて御質問の範囲を超えて恐縮でございますが、あくまで当面国民の信頼を得る國鉄労働組合を再建したいという念願、それから、労働者として裏切り行為をいたしたくないという信念のもとに、今後も運動を続けて参りたい。このように考えておるものでございます。
#729
○神山委員 ちよつとお尋ねしますが、今の出発の際のあなたの決意、それが海外で今述べられた二つの点を中心として終始やられたということは、まことにけつこうでありますが、この内容にしましても、あるいはまた先ほどあなたの言われました朝日新聞に出ております内容につきましても、私は御承知のように共産党でありますが、意見の違いがある。しかしその意見の違いが問題になるのではなくして、私がさらにお尋ねしたいのは、先ほどの私が引用したものがあなた御承知ないとおつしやいましたが、今度は琴平大会の席上であなたがおつしやつたことを、ひとつここで読んでみたいと思う。これはあの日本の支配階級が総司令部の意思を惡用するということをまずお述べになつた後、こういうことを言われている。命令の歪曲が第一に私は今回政府の企図する首切り、行政整理をあぐるに躊躇しません。あらゆる口約を無視して恥じない吉田内閣が、馘首を前提とする行政整理のみを強行せんとすることにまず一大痛棒を與えなければなりません。私は合理的に行政整理が行われるならば、これはあえてまつこうから否定せんとするものではありません。正確な資料に基かず、愼重なる考慮を欠いた吉田内閣の行政整理は、その結果は單に資本家擁護のための目的であり、行政をより一層非合理的に、非科学的にするより以外の何ものでもなく、ことに國鉄十万人に達する馘首計画のごときは、國鉄輸送を痲痺させるものであり、政府みずからが国鉄のストを行わんとするものであることを断言してはばからないものであります。私は政府のこの無謀きわまる計画を粉砕するために具体的なる対策を樹立することこそ、この大会に課せられた重大使命の第一であると考えております。今琴平大会であなたがお述べになつたことは、やはり国鉄新聞が書いておるのでありますが、この当時お述べになつたことと事情も大分かわつて参りました。また定員法も実施されるようになりました。行政整理はほとんど行われました。事情は違いますが、ここでお述べになつておる基本的性格、すなわちこういうような無謀な政策をやるのは吉田民自党内閣がやるのであるということ、しかもそれは一方的に非科学的に強行されるのであるというこの根本的な観点については御意見はいかがでしようか。
#730
○加藤證人 何か非常に示唆に冨んだ御質問のようで、ばか者には何かうつかりひつかかるような氣持がして、ちよつと氣味が悪いのでございますが、当時それは私の原稿に基いて速記をいたしましたのを轉載されたものと思いますので、その言葉については一切の責任を負います。当時はそのように考えております。もちろん私は現在でも自由な意思に基き合法的――合法的と申しますか、妥当なるところの行政整理とは毛頭考えておりません。
#731
○神山委員 けつこうです。それでは私の質問が非常に惡印象を與えたとすれば、私の本意ではないのでありますが、しかし加藤さんがそういうことをお感じになるならば、公平に吉武君の質問こそ最もそういうような疑問の点があるということを、同時に言つてもらいたい。それでないと公平でない。それはどうでもいいですが、さらにここで私当面の問題に入る。この前にすでに聽濤君が大体盡しましたから、こまかいことは言いませんが、現在の事態をあなたは先ほど御説明になりまして、民同の者だけを呼んだのではない。適法な委員長が適法な闘爭委員に対して質問を発したら集つて來たのは民同だけであつた。客観的に結果がそうなります。そういうことをおつしやいましたが、この点もしそうしますと、結果において日本の最大の労働組合である國鉄をあなたの意思にかかわりなく、結果において分裂させてもしかたがない、こういう意味なんでしようか。
#732
○加藤證人 分裂ということを避けるためには、あらゆる苦心を今まで私はいたして参りました。あるときは自己の性格を隠し、あるときはほんとうに心にもないと申し上げては恐縮でございますが、相当私らしくないことも言つたこともあるかと思います。帰りましてきわめて短時日でございましたが、私はこの際はあいまいなる糊塗、あいまいなる妥協で場面を糊塗することはできない。なぜかと申しますと、三鷹事件のようなものが再び起るようなことがあつてはならない。從つて中闘ははつきりとして行かなければならない。こう考えまして、二、三回の中闘委員会を見ておつたのでありますが、各自の御意見はそれぞれその所属せられるところの政党の影響があつたかどうかは別でございますが、順次御意見が離れて行つて、とうてい一致点が見出せない。このように考えましたので、中闘委員会としてこの際いかなる結論を出し、いかなる指令を出しても、下部が全然受入れない。こういうふうに考えましたので、すみやかに私は総意を結集する必要があると考えまして、多少問題は残ると思いますが、中央委員会招集の指令を出したのでございまして、このことがきわめて強引である、あるいは民同指令であるというようなことを言われておりますけれども、私はこの考え方はやむを得なかつた措置である。從つてこのようなことを言われるならば、むしろ民同の諸君を集らせないで、私一人だけであのような指令を出した方がまだよかつたのではないか。非常におこがましいことを申し上げておるようでございますが、加藤が帰つて來たので、何とか國鉄をまとめてくれるのではなかろうか。そういうようなお氣持が世間にあるように、私はひしひしと感じまして、少し焦り過ぎたきらいもあつたかと考えまして、とうていその任にたえぬという気持がいたしておるのでございます。
#733
○神山委員 それで大体はつきりしましたが、これは二十三日の朝日新聞に加藤委員長談として載つている点で、表現の上に違いがあるかもしれませんが、今の問題に触れるわけです。その一部ですが、「もちろん規約上には疑義があるかもしれないが、この際國鉄労組の再建方式を決定するためやむを得ざる処置として」こういうことが行われた今の眞情をそのまま傳えているわけですね。これは直接組合の分裂に関連する問題ではありませんが、非常に重要な因子となつている十七名の諸君が首を切られたという問題に関連しまして、労働省当局があなた方とは若干違つた見解を持つている。これは労働大臣も言明しておりますが、今便宜上時事新報の七月二十三日に出ているのから簡單に読んでみますと、「殖田法務総裁の言明通り熱海決議は不法決議だがそれだけでは処罰の対象とはならぬ」ということを労働省側が言つている。殖田法務総裁も先日ここに証人として來たのでありますが、殖田法務総裁の見解は、眞に日本の憲法や法規の精神に從つているかどうかという点については非常に大きな問題がある。これはすでに組合として最高裁判所に提訴中の問題でありますが、ここでは労働省は、かりに殖田法務総裁の見解を正しいとしても、今度の処罰の対象としたことには大きな問題があるのじやないかということを、これこそさつきのあなたの言葉じやないが示唆している。さらにもつと読みますと「解雇中闘委員を組合内部で認められれば交渉委員たり得る、」さらに「民同派だけの團交には應じない、」こういう三つの点が労働省当局の意見として出ている。さらに大屋運輸大臣もまた行政整理が終らない限り團交をやる時期ではないと言つているわけなのです。今言いました三つの点はあなたの見解と若干違うのですけれども、労働省側の方が私たちが考えた場合納得ができる。さらにヘプラー労働課長の見解も、革同派の諸君が当つて來ての結果を同じ新聞が「当局の解雇を不当とする有力な根拠を得た」こういうことを傳えているわけですが、そうしますとあなたの見解と、單に左派及び革同派の諸君の意見と違うということだけではなくて、日本の政府当局ばかりではなく、あなたと非常に親しいヘプラー氏の意見とも部分的に違うのじやないか。こういうことが心配になるわけですが、この点どういうふうにお考えになりますか。
#734
○加藤證人 どういうことを私に答弁を求めておられるのかわからないのでありますが、君は十七名の馘首されたものを馘首したと認めておるのは不都合ではないか。こういう御質問に結果はなつて來るのではないかと思います。
#735
○神山委員 労働省側が認めておることとあなたの見解とはこれでは違うのではありませんか。私が言つたらもつと言えるのですが、今日は私の見解を言つているのではなくて、あなたに質問する役しかない。それでお尋ねするのですが、どう思いますか。
#736
○加藤證人 私の見解と労働省側の見解と違うという点は、私はあまりないと思うのでございますが、馘首されたということ、馘首ということは別にいたしましても、組合員でなくても交渉委員たり得るということも法規にはちやんと認めております。それから今回の者が單に不協力ということで馘首されるということは不当であるという見解も成立つ、これも認めます。それからその次の点はヘプラ一課長の言明も、十七條違反として馘首したならば、組合は第五條違反として当局に対抗して行けるということも考えられるわけですが、当局は定員法のわくに納めるために整理をしたと言つておりますので、自己に都合のいい論説をもつてそれを一つの交渉の際の武器として使うことはできるが、それだけで私は自分の考え方を進めて行くという気持にはなり得ない、こういうふうに思います。
#737
○神山委員 そこで私は言いたいのですが、あなたの見解に基いて行われることが結果において國鉄を分裂に導くとお考えになつておられないか。あるいは事実をお認めになりませんか。
#738
○加藤證人 その点になりますと見解の相違で、私は答弁の限りではないと考えます。
#739
○神山委員 それでは関連してお尋ねしますが、こういう話がこういう委員会の席に出て來るのはどうかと思いますが、下山事件のことをロンドンであなたがお話になつていると民自党がつり出したわけです。ロンドン筋でこれが問題になりましたときに、加藤君も向うにおられて御承知でもありましようが、これを眞先にとり上げて、下山事件がかりに他殺であるとするならば、その場合には極左ではなくて極右が仕組んだ仕事であろうということをAP通信が打つている。そういうことを前提として、こういう事実がある日本の現状を悲しむ、こういうことを言つております。さらに三鷹事件にしましても、何人がやつたかということはやじにも言うことではないと思いますが、軽卒な諸君の手で盛んにひつぱり出して、今あなたがおつしやつたから言いますが、もしも國鉄の從業員が下山氏を暗殺したようなことがあつたならばあなたは責任をとるとおつしやつた。まことにそうだし、責任を知る者にとつては当然の考えだと思います。それならば國鉄の五十万の組合を分裂させぬということがあなたの意図にもかかわらずかりに起つたとするならば、下山事件の責任をとられるよりももつと重要だと私は思うのであります。國鉄の分裂についてあなたは責任をとるようなお氣持にはならないか。さらに先ほどあなたは國民的な自覚に基いて大義親を滅して國鉄の再建をやるとおつしやつたときに拍手したのは民主自由党の諸君であります。民主自由党こそはあなたが琴平大会以來海外に行かれるにあたつで、これを打倒しない限り日本の経済は崩壊するといつた当の敵手である。当の敵手があなたに手をたたいている。というのは善良な意図、まじめな努力にもかかわらず結果がそうなつたという事実をお認めになりませんか。
#740
○鍛冶委員長 討論になつては困ります。
#741
○神山委員 委員長は一方的だと思うのだ。吉武君が大演説をするときは黙つている。大橋君が大質問をするときは黙つているのに、ぼくが少し念の入つた質問をするとなぜ……。
#742
○加藤證人 私は今日まで國会において数次予算委員会、あるいは公務員法の委員会等に公述人に出ております。賃金の問題のときにも出ておりますが、君の言うことは主として社会党、民主党、民自党から拍手を受ける、それが君の労働運動の弱さであるということを常に指摘されました。本日もたまたまそういうような現象を呈しました。これはあなたから御指摘を受けまして、彼はそういう発言をしておつたということがまた漏れるだろうと思いますが、私は自分の考えを率直に申し上げただけでありまして、これがどのような方から同感の意を表せられようとも、私は國民とともにあるという労働組合運動の行き方からして当然であろうと思います。從つてたまにはあなたの属しておられる共産党からも拍手をしていただきたいと思います。(笑声)
#743
○神山委員 加藤君に最後にお望みすることは、どうか民自党に拍手されないで、共産党からもたまには拍手されるようにお願いしたいと思います。
#744
○石田(一)委員 一つ二つちよつとお尋ねいたしますが、六月十日から十一日にわたつて行われた國電のスト、これは國鉄の委員長としての加藤さんは、労働組合運動であるとお考えでありますか。
#745
○加藤證人 私としては重大な御質問であると考えます。事情を精査いたしておりませんので、端的にお答えはできませんけれども、労働組合運動であると私が認めましても、非常に遺憾な点が多かつたということを申し上げておきます。まだ調べておりませんので、組合運動でないということは私は申し上げません。しかし非常に遺憾な事態を現出したということは申し上げられると思います。
#746
○石田(一)委員 加藤さんは委員長として、この國電ストの行われた後に開かれた、熱海の中央委員会においてなされた、いわゆるストをも含む実力の行使という議決というものはお認めになつていないのですか。
#747
○加藤證人 中央委員会において中央委員諸君が決定したのであるから、その事実を認めるか認めないかという御質問では、事実は認めざるを得ない。しかしその決議が妥当であつたかどうかということになりますと、私はその熱海の中央委員会に出ておりましたら、このような決議をなすことは將來非常にまずい事態が生ずるのではなかろうかと言つて、あるいはその熱海中央委員会の討論の過程をよく知りませんけれども、私はその決議はいわゆる敵と申しますか、敵に馘首の口実を與える以外の効果しか持たないから、まずいのではないかと言つて阻止したのではなかろうか、こういうふうに考えておるものであります。
#748
○石田(一)委員 この決議は、ただいまこの委員会で取上げております國電ストの行われた後になされた決議でございますけれども、内容的にこれを判断して、今回六月十日、十一日にわたつてなされた東神奈川、中野、千葉あたりの國電ストは、後に議決された熱海の中央委員会のストをも含む実力行使というこの議決の範囲内の運動であるとお考えになりますか。熱海のいわゆるストをも含む実力行使をやるという議決は、六月十日、十一日の國電ストのあとで議決したのですが、現在考えてみて、六月十日、十一日の國電ストは、その議決の範囲内におけるところのストであつたか、こう私はお聞きする。
#749
○加藤證人 そこにしいて関連性を持たせるということは、大衆運動としてはちよつとこじつけの氣味があつてむずかしいのではないかと思います。範囲内と言われましても、ちよつと私も今どういうことをお聞きになりたいのかわからないのですが、関連性は持ち得ないのではないかと思います。
#750
○石田(一)委員 もちろん私は時間的に議決の方があとになされて、行使の方が先になされておるのでありますから、その当時としては判断できないとしても、現在の段階においてあの六月十日、十一日の國電ストを考え、それからその後の熱海の議決を考えたときに、この熱海の議決の範囲内におけるところの國電ストであつたかどうか、こういうことをお聞きしておるのです。どうお考えになりますか。
#751
○加藤證人 問題の中心であるかのようにも思うのでございますが、熱海の中央委員会において、ストをも含む実力行使をも辞さないということが議決せられまして、その後において國電ストが行われたならば、あるいは國電ストの合法性を立証することもでき得るかとも思うのであります。上級機関の決定を下級機関が行つたのであるから、その國電ストの合法性を立証する材料にもなるかと思いますが、その前に行われたことをもつて、その後の決議の範囲内かどうかという御質問については、全然問題が違いますので、それと関連性を持たせるということがいかぬのではないか、こういうふうに考えて、しいてそれと関連性を持たせて、前に起つた事実を合法化せんとするということはどうかというお答えを私はしておるつもりであります。
#752
○石田(一)委員 非常にはつきりしたお答えで、私もそうおつしやられると、これ以上追究もできないと思うのですが、ただ私がこのことを申し上げたのは、もう一度念を押して聞きますが、六月十日、十一日のいわゆる各支部、班におけるところのいわゆる國電ストは、労働組合運動ではあるけれども、これは好ましくないとおつしやるのですか。それとも組合運動とは認められないところのストであるとおつしやるのですか。そこのところを委員長としての見解をはつきりお聞きしたかつたのです。
#753
○加藤證人 合法的な、健全な労働組合のなすべき行為とは私は考えません。
#754
○石田(一)委員 そうしますと、これらのストに関係し、あるいはこれを煽動し、あるいはこれを挑発したこれらの人が、今労働関係のあらゆる法規によつて保護されないことがありましても、加藤委員長は当然だとお考えになりますか。
#755
○加藤證人 当然とは考えられません。しかし生活権、つまり私は國電ストの根幹をなすものをもう少し研究をしてみなければならぬと思うのでございます。と申しますのは、これが新交番の実施にあたつて、新交番の実施を不当とするということから発生しておるように考えられるのであります。新交番が不当であるか、新交番を実施するにあたつて、はたして組合と当局との間に、労働條件に関する問題として團体交渉が行われたりやいなやというような点を十分檢討して参らなければなりません。新交番の実施が、もし当局側によつて一回の團体交渉も行われることなく実施されたならば、労働組合が当然労働條件に関する協議を当局は行わなかつたといつて非常な不平不満を持つて、中に短氣な者が矯激な手段に出る場合も考えられます。從つてそういうことを調査せずして、馘首された者を救済する気持があるかどうかというようなお尋ねは、少し今の私の立場から酷な御質問だろうと思うのでございます。この点は御勘弁を願いたいと思いますが、團体交渉が行われたりやいなやということが根本の問題になつて來るのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#756
○石田(一)委員 ただ私がお聞きしたい根本の理由は、これが正常な、完全かつ合法的なるストライキでなかつたけれども、一應形態において労働組合の一部の労働組合運動である、こういうことが是認されるならば、これらの一連のいわゆる國電ストの関係者は、少くとも暴力を行使しない限り、刑法上のいわゆる法律によつて処罰され、あるいは起訴され、檢挙されるということはありえないと私は思うのであります。にもかかわらず、相当多数の組合員がたまたまこの運動に参加し、しかも共産党員であつたというために、刑法上の罪人としてこれが起訴され、檢挙されておるという事実が多くあるのであります。私はこの点に関して、これが眞の労働組合運動にあらずとしても、少くとも労働組合運動の派生的なものであるという考えにおいても、これは刑法のいわゆる適用範囲外の労働組合運動として処置されなければならぬ、こういうふうに考えるのですが、この点に関して加藤委員長は、今回の國電ストに対する各関係者の、いわゆる政府あるいは檢察当局の処置に関して、どういうふうに現在お考えになつておりますか。
#757
○加藤證人 今お述べになりました御意見と同じように私は措置せられることが一番望ましい、こういうふうに考えておりまして、官憲の不当弾圧というようなことが行われたということを聞きますのは非常に残念でございまして、これらが日本の組合運動が未熟であると同時に、当局もまた労働組合運動を理解せざるもはなはだしいものがあるのではないか、こういうように考えておるのでございます。
#758
○浦口委員 一つだけ事実を確かめておきたいと思います。あまり重大な問題ではないかもしれませんが、実は六月二十日に加齢さんがジュネーブでヘプラー課長から六月十六日付のニユーヨーク・タイムスを見せてもらつて、國電スト問題の起きたことを知つたので、早速そのときに中岡の鈴木副委員長宛に電報を打たれたということを聞いておりますが、ところが証人にお出になつた中闘の鈴木副委員長のそのときの証言の中にそういう電報を受取つていない、こういう証言をされていると私は記憶しておりますが、その点いかがでしようか。
#759
○加藤證人 電報を打ちましたことは、私ポケット・マネー五千四百円を投じておりますのではつきりしております。しかしこちらの新聞社は確かにそういう電報の到着したということを報じておりますが、組合に帰つて、どうも闘爭委員会その他に披露された形跡がございませんので、私はおかしいと思つておりますが、その後鈴木君が受取つておられたかどうか、どう処置されたか聞いておりませんので、着いたか着かないかということは確かめておりません。しかし一般には新聞社その他によつて、大体私がそのような処置をとつたということは承知しておられると思いますが、鈴木君に受取つたかどうかということは確かめてみませんでした。
#760
○浦口委員 私はそのときの証盲をメモした書類を忘れて來ましたが、そういうふうに承知しておりますので、一應事実問題ですからお調べいただきたいと思います。
#761
○鍛冶委員長 ついでにお聞きしますが、鈴木副委員長宛に当委員会から熱海大会の議事録及び速記録の提出方を要求しておきましたが、鈴木さんがやめたというのか、また現在当の責任者でないということからかまだ提出されておりませんが、あなたはお聞きになつておりませんか。
#762
○加藤證人 その点は先ほど事務局からお話がございまして、まだ要求したが提出していないのはどうしたのかというお尋ねがございました。当時私はでき上つていなかつたろうと思つていたのですが、現在でははつきりでき上つていて、私の手もとに保管いたしてありますので、もし御要請があれば提出いたしますから私の名前で要請書をお願いしたいと思います。
#763
○鍛冶委員長 それでは済みました。御苦労様でした。
#764
○大橋委員 議事進行について……。先ほど神山委員は証人に対する尋問に関連して、当委員会の同僚委員のある人をつかまえて――のという形容詞を用いられております。そこでこれは同僚議員を侮辱するもはなはだしいと思います。元來神山委員は当委員会が始められて以來ばかやろうとか、畜生とか、まことに聞くにたえざる言辞をしばしば弄されておるのでありまして、私はこれは神山委員が共産党に属されているせいかと思つてがまんしておりましたが、きよう証人にお出になりました風早委員は共産党員であるにもかかわらず非常に紳士的でありまして、こういうところから見ますと、これは共産党員とは関係なく神山君の個人的な問題らしいようですから、ひとつ委員長からとくと御注意を願いたいと思います。
#765
○神山委員 私が――と言つたのは、これは吉田首相は好んで労働者階級を――の輩と言つておる。また本会議の席上においても椎熊君なんかは諸君の見ておる前で、共産主義者をさしてこの――の輩だとか何とか言つておる。そこで私も同僚議員である吉武君に対して――と言つた。これはユーモラスのつもりで言つたのだが、しかしそれが速記に残つて誤解を與えるというのであればその点は消しておけばいい。それから私の発言に関連して、今大橋君がぼくが生れつきばかやろうとか、氣違いとか、畜生とか言うくせがあるかのように言われたが、私は運営委員会においては、よほど石田博英君が暴言をはいたときでもなければそういう言葉を言つたことはない。ぼくは完全に紳士である。ところがここに來て余儀なく大きな声を出させ、余儀なくばかやろうと言わせるのはほかでもない民自党の方に原因があるのである。ぼくはこういうことを言うのは決して愉快ではない。從つてこれはお互いに自粛して、お互いに牽制し合わないということであれば、私は議院運営委員会の神山のごとく紳士的になることは、今日ただいまからでもなることはできる。諸君が自粛自戒できるならば、私もそれに應じてそういう態度をとる。
#766
○鍛冶委員長 それでは先ほどの――ということは取消しますね。
#767
○神山委員  はい。
    ―――――――――――――
#768
○鍛冶委員長 渡辺さんですね。
#769
○渡辺證人 そうです。
#770
○鍛冶委員長 全労連と普通言つておりますが、正式の名前は何と言うのです。
#771
○渡辺證人 全國労働組合連絡協議会。
#772
○鍛冶委員長 そこの事務局長ですか。
#773
○渡辺證人 いえ、それは來ました書面が違いまして、常任幹事です。全労連には事務局長とか、議長とかいうものは現在規約上ないのです。
#774
○鍛冶委員長 いつから常任幹事をやつておられますか。
#775
○渡辺證人 いつからですかね。なつたときからだと思うのですが……。
#776
○鍛冶委員長 大体でよろしい。何年くらい前からですか。
#777
○渡辺證人 終戰後には違いないのですが、はつきり記憶しておりません。全労連ができたのが二・一スト後ですから……、そのときには常任幹事という名前ではなかつたと思いますが、いつからなつたか、はつきり記憶しておりません。
#778
○鍛冶委員長 とにかく二年以上になりますね。
#779
○渡辺證人 いやいや、二年以上になるかどうか。全労連ができたのが二・一ストの直後にできまして、ずつと私はそのことに関係しておりまして、いつから常任幹事という名前になつたかちよつと記憶がない。ただ私が世間的に事務局長みたようなものであると思われていた節のあつたことはうなずかれます。比較的そういうようなことを思われるような、とりまとめ役をやつておつたことはありますが、現在はそうではありません。
#780
○鍛冶委員長 本日はいわゆる國電ストに関連して、あなたの御意見なり経驗されたことをお聞きするのですが、この間起りました國電ストは、いわゆる新交替制の実施がもとで起きたようでありますが、普通一般の労働運動と異つた特色のあつたものであつたということを言われておるようでありますが、この点はあなた方の見るところはどうでありますか。
#781
○渡辺證人 さあ、私自身は特に特色があつたとかなかつたとかいうことを、著しくは感じませんでした。ただそういうことがありまして、私自身もほかの電車に乗りかえたことがありましたから、起つておつたということはよく知つておりますが、特に今までのとは違うというように、非常に特別には感じません。というのは私実は全労連の方で、二・一スト直後にできてから、世界労連の方の仕事を大体担当してやつて來ておるのでありまして、世界的にいろいろのストライキというようなものを、最近の文書や何かで見ておりますので、そういうことが起つても、シヨツクとか、あるいは非常に特別だという感じは私自身は受けません。
#782
○鍛冶委員長 それでは國電ストについては、それほど深く関心を打つて研究せられなかつた、こういうことですね。
#783
○渡辺證人 そうです。その通りです。
#784
○鍛冶委員長 戰術等についても、もつと言つてみると、國鉄で起つた問題に、外部の人がこれに働きかけまして、外部と連合した共同ストになつた、こういうようなことも言われておるのですが、その点も御承知ありませんか。
#785
○渡辺證人 そういうことはあるかもしれませんが、私自身現場にも全然行つておりませんし、それから全労連ではこれを正式に取上げておりませんので、全労連の立場とか、あるいは私が全労連の常任幹事という立場で、そういうことを深く研究しておりませんので、あるかもしれませんというくらいのところです。
#786
○鍛冶委員長 そうですか、わかりました。それから連合軍総司令部と、これは何か要請とでも言いますか、勧告とでも言いますか、協議の結果労働省が定めた「労働組合の組織と運営に関する協力と勧告、」こういうものがあつたことは御承知ですね。
#787
○渡辺證人 あつたように記憶します、はつきりじやないですが、どういうような文章でどう書いてあつたかということは記憶しておりませんが、あつたように記憶します。
#788
○鍛冶委員長 その中に、政党によつて組合の政策が左右されたり、あるいは不当な影響を受けたりすることは阻止されねばならぬ、こういうことがあつたことは御承知ですか。
#789
○渡辺證人 あつたようななかつたような、はつきり記憶がないのですが。
#790
○鍛冶委員長 この「労働」という新聞に載つておるのです。
#791
○渡辺證人 この新聞は私初めて拝見するのですが。
#792
○鍛冶委員長 そういうことはあなたの方で深い関心を持たれている事項じやないのですか。
#793
○渡辺證人 まあ一般的に関心は持たれておると思いますが、特にこの問題について、私記憶があるかないかくらいですから、そう大した関心は持つていたかつたようです。
#794
○鍛冶委員長 この條項ですよ。
#795
○渡辺證人 國電ストに際して、こういうことが重要であるかないかということは、私の記憶にはつきりないところをみると、國電ストとこれとがそう重要な関連性を持つておるというようには、その当時思わなかつたのじやないかと思います。
#796
○鍛冶委員長 これはある政党または組合によつて、非常に煽動されもしくは助成された形がある、こう言われておるので、それで聞くのですが、そういうことはお聞きになりませんか。
#797
○渡辺證人 私直接関係しておらないので、はつきりわかりません。
#798
○鍛冶委員長 それからその次に、健全な経済的根拠を持ち得るストライキの中でも、純粋に政治目的のために挑発される可能性のある政治的動機であることを認識するよう、組合員を……。これはお持ちですね。
#799
○渡辺證人 今ここにあるわけですが……。
#800
○鍛冶委員長 これはどういう意味ですか、これは今まで御研究になつたことはありませんでしたか。
#801
○渡辺證人 先ほども申し上げましたように、これ全体を私はつきり記憶していないので、特に研究したとかしないとか、どういうように申し上げていいのか、はつきりわからないわけですが、今ここで読んでどういうことが書いてあるかということはわかりました。
#802
○鍛冶委員長 これに関連して、國電ストで何かお感じになつたことはありませんでしたか。
#803
○渡辺證人 さあどうでしようか。先ほども申し上げましたように、何分にも直接関係してないので、こういうことが國電ストと特に関係があるのかないのか、はつきり私わかりません。
#804
○鍛冶委員長 それではもう一つ、この國電爭議が國際的にたいへん影響があつた、こう言われておりますが、その点をあなたの御承知の範囲で伺いたい、これがあなたを証人にお願いした根本なんですが、この点はどの程度のものであつたかをお伺いしたい。
#805
○渡辺證人 非常にむずかしい質問でして、われわれ國際的に見ると申しましても、現在全労連は世界労連に加入しております。一月一日から加入を認められて、現在加入しておりますが、われわれといたしましては、世界労連関係の資料を大体中心にして國際的な情勢というものを見ているわけです。ただこれを全部うのみにするとか、これだけで世界の情勢をすべて到断してしまうというのではありませんが、われわれ労働者といたしまして、よりどころはそういうふうにしております。そこで、残念ながら國電ストの詳細なものがまだ来ておりません。世界労連傘下の各國の機関紙が、もう少したてば來るのではないかと思いますが、六月十日前後のものが來ておりませんので、大体こういうように見ているだろうということを申し上げたい。権威があるかないか存じませんが、そういう意味で申し上げたいと思います。
 ます第一に、われわれ日本に対する感じというものが、世界各國非常に強いということです。どういう点で強いか、いろいろの点で関心が強いと思いますが、特に日本が再び戰爭を始める國、あるいは戰爭に参加する國であると非常に困るという点で関心が非常に強いようです。特に世界労連あるいは世界労連参加の國におきましては、日本に対するこのような意味での関心におきまして、どうしても日本を非軍事化し、かつ民主化しなければいけない。そのようにして再び日本をして戰爭を起させ、あるいは戰爭に協力させるようなことをしないようにさせるために一番頼りになるものは日本の中において何かということにつきましては、世界労連としては日本の労働者階級である、これこそが最大の平和を守る組織である、もちろんその他にもありましようが、世界労連が労働者の立場から見た場合には、日本において平和を維持する最大の力は日本の労働階級である。であるからどうしても日本の労働者を強力に統一し分裂させないようにしなければいけない。そのためには日本の労働者に正当の生活を守る権利を確保させ、それから民主的な諸権利を確保させなければいけない。このようにして日本の労働者の生活水準が確保され、いわゆるこの組合を守る、組合運動を民主的にやつて行く、彈圧を受けないでやつて行くということをほんとうに確保しなければだめである。このように世界労連としては考えて参りました。でありますから日本における労働組合運動に対しましては非常に強い関心があるのです。特に世界労連参加の國の中におきまして、アジアにおける世界労連参加の國といたしましては非常な関心があります。北の方から言えばソヴイエト、朝鮮、中國その他南へ行つてずつとあるわけですが、大体現在世界労連に参加しておるアジアの労働者の数は千二百万くらいだというふうに私記憶しております。これらの労働者は非常に強い関心を日本の労働者にかけておる。そのような世界労連が日本の労働組合をどのように見ておるかと申しますと、日本の、労働組合運動は非常な彈圧を受けておる、自由な労働組合運動がなされていないというようなことが言われております。このことに関しまして特に世界労連は國際連合に訴えて日本の労働運動を自由にすくすくと発展させなければいけないということを非常に強調しておりますし、また最低生活を保障しなければいけないということも強調しておるわけであります。もしこのような最低生活なり労働組合運動の自由というようなものが阻害され、自由に発達できないときには、それこそがファツシズムであり、ファツシズムの大きな原因である、このように世界労連は考えておるようであります。それでありますから、もし日本の労働組合が抑圧を受けて自由に労働組合運動ができない、最も初歩的なストライキ権すら與えられないというようなことでは、これは非常に重大問題である。その重大問題というのはただ單に労働者にとつて重大であるだけでなくて、日本の平和というものが非常にあやしくなつて來るし、またこれによつてアジアその他の平和が脅かされ、諸民族の独立が脅かされる、このような重大な要因というものをこの労働組合の運動の彈圧の中に包藏されておる。このように、世界労連は見ておるようであります。でありますから今度の國電ストに関しましては詳報はわれわれは得ておりませんが、おそらくわれわれの考えるところでは、非常にあたたかい同志的な理解と支援をこの國鉄労働者に注いでおると私は考えております。
 大体これが世界労連の考えではないかと思いますが、一應補足的に申し上げますと、本年の六月末から七月初めにかけましてイタリーのミラノで世界労連の第二回大会が持たれましたが、ここに参集いたしました労働組合は五十九箇國の代表として七千万以上の労働者を代表する代表が集りました。このような大きな組織を持つておるのが世界労連であります。われわれはこの第二回大会に出席すべくあらゆる努力を拂つて参つたのでありますが、残念ながら出席することはできませんでした。それに対して世界労連の大会はこの日本の労働組合が参加できないことに対しまして、國際連合その他に対しまして非常な抗議を発することを満場一致で決定したというようにわれわれに電報をくれております。このようなものが世界労連であります。だからわれわれといたしましては、七千万以上のこの労働者が結集しており、五十九箇國の労働組合を代表しておりますから、多分地球上における全世界の非常に多くの人たちがこの國電ストに対して同志的な理解と支持を惜しまないものであるのではないかと私は考えております。
#806
○鍛冶委員長 よろしゆうございますか、別にありませんか。――では済みました。御苦労様でした。
#807
○神山委員 これは事務当局側から事前に通知があつたのですから、事務当局側の手落ちだと言うのではないが、きようの質問事項の中にも委員長の最後の結論に世界労連に入られたわけですが、渡辺君の場合、初めから加藤君の仕事の動きを述べられて、それを補足するものとして世界労連の方がどうなつておるかということを聞きたいと思つておつたんですが、それにおまけが付いて、一と二が付いたわけですが、この二の中の、健全な経済的根拠をもち得るストライキの中にも純粋の政治的目的のために挑発される可能性ある云々というように、挑発されるの前に政治的云々ということがあるのですが、このプリントの中では、共産主義者によつて挑発されるという親切なものが入つておる。事務当局側としては、新聞の名前を私はあえて言いませんが、一、二の新聞によつて手まわしよくやつたためにというので了解を求められておりますが、実は時間の相違の点について軽い質問を放つたのも、事実そのものも見方によつていろいろあるものだということが一つと、新聞の報道というものは、記者諸君のおられる前で言つては悪いが、必ずしも正鵠ではないということをはつきりしたいためであります。これに原文にないものが普通の新聞に入るからには、明らかに、一定の作為が加えられて、共産主義者によつて挑発云々ということがはつきり書かれておるわけであります。しかもこれがいつも言いますように、本考査委員会が実体を調べるにあたりましては眞摯に、偏見にとらわれることなく事態の眞相を衝くべきである。いわんや読賣新聞の上甘田事件の取上げ方は非常に一方的であり、作為的であるという事実がありますので、將來ともこういう問題で本委員会が角目を立てないで済みますように、調査員諸君も委員長も、また委員諸君も十分ご了承願いたいと思います。
#808
○鍛冶委員長 ただいまより國電スト問題について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。
 昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。
 宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。
 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立を願います。
    〔証人加賀山之雄君宣誓〕
#809
○鍛冶委員長 署名捺印を願います。
    〔加賀山証人宣誓書に署名捺印〕
#810
○鍛冶委員長 加賀山之雄さんですね。
#811
○加賀山證人 はいそうです。
#812
○鍛冶委員長 あなたは日本國有鉄道の副総裁でございますね。いつからでございましよう。
#813
○加賀山證人 本年六月一日からでございます。
#814
○鍛冶委員長 その前は運輸省の鉄道局の何か……。
#815
○加賀山證人 運輸省鉄道総局長官をいたしておりました。
#816
○鍛冶委員長 それからこの日本國有鉄道ができて、そのまま副総裁として就任せられた、そのようなわけでございますね。
#817
○加賀山證人 さようでございます。
#818
○鍛冶委員長 本年五月の末から主として車掌区のようですが、いわゆる新交番制についてごたごたが生じたようでありますが、この新交番制の変更がいわゆる労働條件の改訂であつて、從つて團体交渉の対象となるという議論と、それからそれはならないんだという議論と相当あつたようでありまするが、証人の方ではどういうお考えを持つておいでになつたか。またその考えについての基礎的事実を聞かしていただきたい、かように考えます。
#819
○加賀山證人 私どもの見解といたしましては車掌区における交番なるものは、その元になる勤務時間であるとか定員とかいうものが元になつて、それから割り出されました勤務割と申しますか、それを具体的に例で申しますと、駅なんかで申しますと、たとえば駅長さんが、きようはこちらのAの窓口で勤めろ、あるいはBの窓口で勤めろというようなことを割当てる、それに近いものであるというふうに考えておるわけであります。つまり車掌区長はその日その日に、きようはこういう電車に乗つて、この電車で帰つて、そうしてうちに帰つて休む、こういうことを毎日毎日指定している性質のものであるわけでありますが、そのわくになるものは勤務時間規程、休暇規程等であることはもちろん、そのわく内においてそういつた基準を割当てるということであるのであります。ただこれがその日その日やることはもちろん非常に煩雑である。それを定型化したものがいわゆる交番制と俗に言うものになつておるというふうに考えておるのであります。從いましてもちろんその元になる勤務時間の問題あるいは休暇の問題ということになりますと、それは團体交渉の対象になすべきでありましようが、交番制なるものはそういつたものとは違う。それを具体的に適用するものにすぎない、かように解釈しております。
#820
○鍛冶委員長 この新交番制がこれほどあなた方が軽く考えておられるにもかかわらず、こんなに大きく問題になつたのは、この新交番制の実施は行政整理の前提であるという議論をしておられる人が多かつたのでありまするが、これに対して行政整理の前提でないとすれば、どういうところが確かにないのだか、その点を簡單でよろしゆうございますからお話願いたい。
#821
○加賀山證人 確かにそういうふうに考えておつた人もあるようでありまするが、國有鉄道といたしましては極力勤務を合理化し能率化して、そうして眞に國民各位に喜ばれるような鉄道にしなければならないわけでございまして、この新交番制の実施にあたりましては全然能率化、合理化を期しておつたのでありまして、これをいわゆる今回の定員法による整理の前提とするという考えでやつたわけではありません。
#822
○鍛冶委員長 ところが実際それをやると人間が余るそうですな。それが一番問題になつたと思うのですが、その点に関してどういう考えを持つておりますか。
#823
○加賀山證人 つまり人を能率的に合理的に使うということが実情であるのですから、それをそのままここで整理をするということとは問題が違うことであると私どもは解釈しておるわけであります。つまり能率を上げ合理化される。そこでもし人が出るならばそれは他の必要な部面に持つて行つて、働いてもらう方が、國家的に見て有利である、かようにわれわれは考えました。
#824
○鍛冶委員長 なお國鉄の労組においては、この定員法の実施に伴つた行政整理が團体交渉の対象となるものだ、こういう主張をしておるようでありますが、これに関してあなた方の御見解なり、また実際にやつておられる方法はどういうことになつておりますか。
#825
○加賀山證人 もともと定員法には、はつきりと團体交渉に関する規定を排除いたしておりますので、その面から申しましても、平常においては團体交渉の対象たり得ることも、今回の定員法に関する限り團体交渉の対象にいたさないように考えるわけでありますが、特にこれを実質的に考えました場合に、定員法なり、また予算として廣く国会でおきめを願つた内容のこれは実践でございますので、そういつた内容的に考えてみましても、團体交渉によつてやりとりをするという内容ではないというふうに確信しておる次第であります。
#826
○鍛冶委員長 しかしいわゆる労働組合法にいう團体交渉でなくとも、これらの実施にあたつて、できるだけスムースにやる考えから、懇談とかその他のことはおやりになる考えはあつたのでありますか。
#827
○加賀山證人 もちろんその考えはございまして、七月の一日、二日と話合いをいたしまして、それを進めたわけであります。なお今回の内容なり趣旨、準則といつたようなものを逐一説明いたしまして、内容に対する質疑を受けたわけでありますけれども、その根本といたしまして、法律の内容なり予算の内容に触れるような変更はわれわれとしてはいたせない。從つてこういうことを前提として了承するならば、なお話があるならば、話合いを続けてもいい。つまり人数でございますとか、整理の時期でありますとか、退職手当の額でありますとか、そういつたその以外の問題については、前提としてのんでくれるならば、話合いをする用意は十分あつたわけであります。その話合いの過程におきまして、それらの根本に触れる問題ばかりが飛び出しまして、われわれとしては、これに対しては施すべき事柄がない、かように考えまして、かたがた整理を実施いたします時期等の問題もございまして、七月一日、二日にわたりまして話合いを進めましたが、それで打切りをいたしたという実情であります。
#828
○鍛冶委員長 それから労働組合法の改正にあたりまして、いろいろ準則その他施行の前提としてなすべきものがたくさんあつたようでありますが、それが行われないうちに、いわゆる公労法の適用を一ぺんにやるということは、事実上において不可能なものを強いるものであるというような議論があつたようでありますが、これらに対してどういう議論があり、そうしてあなたの方でそれに対してどういう見解を持ち、どう処理しておつたかを承りたいと思います。
#829
○加賀山證人 恐れ入りますが、今の委員長のお言葉は了解しかねたのでありますが、公労法にはいろいろ不備な点が……。
#830
○鍛冶委員長 あれを施行するには、調停機関ですか、苦情処理機関とか、そういうようなものが実施せられなければならぬ。それが整つていないのに、この規定だけを適用するのはいかぬという議論があるようですが……。
#831
○加賀山證人 公労法に定めてありますところのいわゆる調停、仲裁機関、あるいは苦情処理機関というものは、実は一定の手続を経てきめられるものでございますので、その当時といたしましては、まだ決定の域に達していなかつたわけでございますが、しかしそうした機関とは別に、公労法の実質的規定といたしましては、もちろん六月一日から有効に施行されておりますので、われわれといたしましては、この公労法の規定に從い、また定員法に定めるところに從つて行動をする以外にはないと確信しておつた次第であります。
#832
○鍛冶委員長 そうするとそういう苦情処理機関ができないうちにこんな苦情ができたり、爭い事ができればどういうことで処理することになりますか。
#833
○加賀山證人 今度の定員法におきましては團体交渉に関する公労法の第八條の二項の規定と、苦情処理に関する公労法の第十九條の規定は排除されておることでございまして、その点からいたしましていわゆる調停、仲裁並びに苦情処理ということは、今回の定員法の実施にあたりましては関係がないというふうにわれわれは解釈しておつたのであります。
#834
○鍛冶委員長 よろしゆうございます。組合の方ではストをも含む実力行使という決議などをしまして、スト以外の実力行使とはどういうものかと聞きますと、大抵業務管理などというようなことが出るのですが、この組合の業務管理についてはどういう御見解をお持ちになつており、それをまたどう処理するという方針でおやりになつておりましたか。
#835
○加賀山證人 國鉄の経営に責任を持つ者といたしましては、組合にもいろいろの言い分もございましようけれども、最後の経営の責任は何としても経営者側が持たなければならぬ。しかるにその経営の問題にまで立入つて組合がいわゆる業務管理をやるということは、これは私は考え方によつてはストライキよりももつといけないことであるというふうに考えております。たとえば人民電車を走らせるというようなことは、電車は走らせるからいいじやないかというふうにも考えられたようでありますけれども、おのずからこの組織の中でいろいろの入りくんだ規定を遵守して、しかも規律に從つて鉄道を経営して参りませんと、ゆゆしいことが起るおそれがある。從いましてわれわれといたしましては、業務管理のようなことは絶対に許すことができないというように考えまして、これに対する方策を立てて参つた次第であります。
#836
○鍛冶委員長 今人民電車というお話が出ましたが、十月から十一月にかけていわゆる人民電車が東神奈川駅から出たようでありますが、これらを関係者に聞きますと、ダイヤが前にきまつておるのだから、そのダイヤに從つて電車を運行するのだから業務管理ではないのだというような説をする人もおりましたが、これに対してはあなた方はどうお考えになつておりますか。
#837
○加賀山證人 機関車の場合でも電車の場合でも同じでございますが、列車運轉、電車運轉という仕事は、特に國鉄の仕事の中でも最も嚴粛であるべき仕事であるというふうに考えるわけであります。從いまして先ほど申し上げました交番がきまつて、その時間に出勤をして参りましてから、区長あるいは助役の前に出まして出勤を告げ、そして乗務に出るときはこれから乗務するということをはつきり言つて、その助役なり区長から先ほど私が申しました、宣誓ではありませんが、そういつた性質の点呼を行いまして、乗務に入る、かような例になつております。これは國鉄始まりまして以來の最も重要な点であると考えるのであります。單にただきめられたダイヤできめられた運轉取扱い心得で動かすからいいじやないかという性質では、私はとうていそういつた運轉の眞の安全なり、厳粛さは保てないと考えておるものであります。
#838
○鍛冶委員長 それから國鉄労働組合の規約のうちに、大会において、三分の二の決議をもつてやればストができるという規定がありますが、これは御承知でしような。
#839
○加賀山證人 はあ。
#840
○鍛冶委員長 この規定は、あなた方なり労働大臣なりに提出して承認を受けておるものであるから、公共企業体労働関係法があつても、これのある以上はストはやり得るんだ、適法なんだという議論をする人もあるのですが、これに対してあなた方はどういう態度でお臨みですか。これは今までもおそらくそういう議論が出たろうと思いますが、いかがでございますか。
#841
○加賀山證人 組合の規約の効力の問題であると私どもは考えますが、いかに組合の規約といえども法はまげられるものではないというふうに考えております。
#842
○鍛冶委員長 今の國鉄労働組合規約の第十七條第四号は御承知でしようね。
#843
○加賀山證人 規約は私的確に記憶はいたしておりませんが、そういう規定が公務員になる前にはあつたことは承知いたしております。
#844
○鍛冶委員長 そこでこの六月一日の法律が適用になつてから、この規約があなた方の方で承認されたのですか。その前の規約ですか。
#845
○加賀山證人 私ども関知いたしておりますることでは、六月一日以後においてその規約を関知いたした覚えはございません。
#846
○鍛冶委員長 そうですか。労働省もそうでしような。
#847
○加賀山證人 多分そうであろうと考えます。
#848
○鍛冶委員長 次は國鉄復興闘爭というものが展開せられておつて、各電車区または車掌区等の組合分会においても、國鉄復興綱領というものを掲げてその要求を当局に対して出しておるわけでありまするが、それらはいかなる性質のものであつて、それに対して國鉄としてどういうふうに実施し、または應対しておられるかを承りたいと思います。
#849
○加賀山證人 國鉄の復興がわが國の経済安定なり、國民生活に非常な重要なものであるということにつきましては、この経営に当るものはもちろんでございますが、國鉄労働組合もまたこの点につきましては十分承知をいたしておるものと私は確信をいたしております。ただその復興の手段なり方法が、非常に私は問題であろうと考えるのであります。私どもといたしましては、資金資材の許す限りこれを復興と整備に注ぎ込む。たとえば車両でございますとか、線路でございますとか、車両にいたしましても、目につく窓ガラスでありますとか、腰掛、あるいは電燈というものよりも、もつと下まわり、足まわりとわれわれは言つておりますが、車輪でありますとか、下の部分が非常に大事であるわけであります。またちよつと目につかないようでありますけれども、線路、橋梁といつたようなものが非常に大切であります。戰爭中あるいは戰後におきましても、この資材、資金には非常な苦労を積みましたけれども、われわれが努力して得ましたところの資金、資材は、まずそういつたものに注ぎ込む。そうしてだんだんと目にはつかないようではあるけれども、この復興を遂げているこの実績は確かに私は生じていると思うのでございまして、その点がまだ窓ガラスが板張りのままであつたり、あるいは腰掛が十分直つたりしておりませんために、國民各位にまだ國鉄はなつておらぬというような印象を與えておる点もあると考えますが、そういつた基礎的な部分に対しましては、私といたしましてはここではつきりと申し上げたいことは、もちろん戰前の非常な整備されておつた時代まではまだ十分に來ているとは申し上げられませんが、そういつた点につきましてはよほど復興を遂げて來ている。從つて今後さらにこれを完遂することによりまして、國民にほんとうに安心して、また樂に乗つていただける鉄道になる日も近いということを私は確信しておるわけであります。組合側の復興闘爭と申しますか、いろいろ項目もございますが、もちろんその中には取入れてわれわれの参考にすべきものもあると考えるものでありまして、組合のみならず國民各位から寄せられるいろいろの批判、そういつたものを取入れ、また國会の十分なる御指導等をいただいて、そうして経営者側といたしましては、そういつた総合的見地から國鉄復興計画を計画的に立てて、そうしてこれを一氣には参らないにしても、本年よりは來年、來年よりは再來年といつたぐあいに、確実に着実によくして参るという方途につきまして私どもははつきりとした計画を持ち、またそれが完遂し得る確信を持つているということをこの席で申し上げたいと思うのであります。
#850
○鍛冶委員長 ある一部の人に言わせますると、いくらあなた方の方に復興資材その他を要求しても出してくれない。その上にこのたびこのような大きな行政整理をやれば、まさに鉄道は累卵の危きに陥るものだという人があるのでありまするが、その点は決してわれわれとしては心配でないということは、あなたの方で保証できますでしような。
#851
○加賀山證人 あるいは非常に御心配をいただくあまり、そういつた危惧を持たれる方や、あるいは中にはためにする言葉をもつて、そういつた危惧を非常に言いふらされる方があるのでありますけれども、私どもといたしましては、絶対にこれは國民のためにやらなければならぬ、またそういうふうな氣持でここ終戰後の数年を努力して今日に至つておりますので、人と物と金とが一致いたしまして、そうして全從事員が眞に國民のための鉄道を築くという気持でやつてくれます限りは、絶対に御心配がない、現在においてもりつぱに運営できるということを確言いたすものであります。
#852
○鍛冶委員長 なおそういう議論のある上に、近ごろはひんぴんとして、いわゆる列車妨害が起りますし、ことにこの間の三鷹事件のごときものが起りまして、鉄道に対する國民の不安が非常に高まつて來ておると思いますが、今のこの復興ばかりじやない、それらすべてに対する國民の不安を拂拭するだけの計画なり、それを行うだけのことをやつておいでになるものでしようか。これは重大なことと思いますから、この際承りたいと思います。
#853
○加賀山證人 列車妨害に対しましては、とりあえず警備関係の要員を動員いたしまして、線路保守関係に從事する從事員、あるいは鉄道公安等を鼓舞いたしまして、これらの障害を取除くことにいたしたわけでありますが、何と申しましても、全國にまたがる非常に廣範囲な鉄道でございますので、一部の人の力をもつてしては、とうてい防止し得ない。從つて私どもといたしましては、國鉄の全組織と全從事員をあげて、國民のためにこの鉄道の守護に当ろうということを示達いたしまして、ただいま國鉄從事員はその氣持になつて、良心の命ずるところに從つて誠実に勤務をいたしておる次第でございますので、そういう事態につきましても、十分國鉄を守り得るということを申し上げておく次第であります。
#854
○鍛冶委員長 何かお聞きになることはありますか。
#855
○猪俣委員 先般私は社会党の代表として、國有鉄道にお尋ねしてあなたにお目にかかつたときに、この新交番制と旧交番制との違いは、ただ実働時間が十分間ばかり延びるということだけである。かようにあなたはおつしやつたのであります。ところがこの考査委員会でいろいろ從事員を調べますと、この新交番制のために三日も四日も家に帰れないことが起る。しかもその宿舎がはなはだ設備が不完全で、耐えられないような設備になつておる。そういうことで非常にこの勤務が過重になるという訴えがせられたのでありますが、そういう実情をただ机の上で計算して、十分とか十五分とかいうことでなしに、この新交番制を実施したならば、具体的にどういうふうな便不便が從業員に対して起るかというようなことを十分御研究なされてこの発表をなされたのであるかどうか、その点を伺いたいと思います。
#856
○加賀山證人 新交番制につきましては先ほど申し上げましたように、勤務時間規定の内容として交番を振り当てるというふうにいたしておるのでございまして、勤務時間自体は変更がないわけでございます。ただ実乗務時間と申しますか、それに変更が十分程度ある。これは平均しての話でございまして、個々の乗務についてはもう少し延びる、あるいはもう少し短かくなる、いろいろあるわけであります。勤務時間には影響がない。それから猪俣さんの言われました休憩所その他設備にいたしましても、確かにただいまのところ十全とは行つておりません。これもわれわれが先ほどのいわゆる國鉄復興の計画としては、非常に重点を置いておくべき問題であると考えるものでありますけれども、ただいまのところでは、先ほど申し上げたように、まず運轉の正確安全に最も関係の深い設備の方から手をつけて参つておる関係上、まだ十分に手が延びきらない、ただこれは旧交番のときよりも悪くなつたかと申しますと、そういう点はないのでありまして、かわつていないわけであります。中には、資料提出の要求がございまして資料として提出いたしたはずでございますが、大体において、二日目には帰れるという時間になる、あるいは三日目にわたるのもたまにはあるのでございますが、通勤時間の関係等によりまして、帰つてもあまり時間がないから、そのまま残つておるという場合も出て参りまして、四日というような場合がまま出て來る。これは通勤区間の相当長い從業員を擁するところでは、出て参つておるようであります。しかしこれも新交番になつて急に新たに出て参つた事態ではございませんが、前の交番においてもすでにそういうことはあつたわけであります。
#857
○猪俣委員 私のお尋ねしたことは、実働時間の計数上の問題じやなくて、実際の生活それ自体として考えて、通勤時間の関係から、旧交番制に比較して新しい交番制になつてから、よけい宿泊しなければならぬ、非常に都合が悪い時間割になつたということをたいへん訴えられておるのであります。そういう生活に即したほんとうの実情をお調べになつて御発表になつたかどうか、それをお尋ねしておるのでありますが、実働時間は平均十分の違いだということでありましても、時間の編成の仕方によりまして、家に帰れないことが前よりはよけい起つて来た。それがために、そこに非常に苦痛ができるというようなことが、新しい交番制で、前よりも多くなつたかどうか、さようなことをまた御考慮なさつたかどうかということをお尋ねしておるのです。
#858
○加賀山證人 それらの考慮は、実を申しますと、鉄道局なり、あるいは各電車区、車掌区等で、考慮をいたすものでございまして、われわれといたしましては、その根本になる勤務時間規定あるいは休暇規定を考えて、それにあわせて鉄道局において交番を組み、各車掌区等が実地に適用する場合を檢討する、そうしてそれを実施に移すという段階になるという順序に相なります。從いまして当然鉄道局あるいは管理部あるいは車掌区において、そういつた問題について十分検討いたしたものと考えております。
#859
○猪俣委員 この公労法によりましていろいろの苦情処理機関とか、あるいは調停機関とか、仲裁機関というようなものがあるわけであるが、それをまたつくる努力をしたのであるか、どうか、はなはだ疑問である、また増田官房長官に質問しましても、さつぱり要領を得ない。このようなことを急がないで、新しい交番制だけを非常に早くから強行しようとなさつた、それについてはそうしなければならぬ何かの事情がおありであつたかどうかをお聞かせ願いたい。
#860
○加賀山證人 東京鉄道局において、六月一日から新交番制を実施しようといたしましたことの非常に主要なポイントになつておりますことは、六月五日からであつたと記憶いたしますが、新たに貨物の小口扱いの取扱い制度が変更になりまして、これを鉄道が直営をいたすという事態になつたのでございまして、大体交番制なるものは平常におきましてはダイヤの変更等に基いてなされるのが常でございますが、たまたまそういつた作業面に新たな問題が出て來る、それと一緒に実施しようということであつたと存じます。しかも先ほど申しましたように経営を合理化し、能率化することでございますので、一日も早く実施することが至当であるというふうに考えて、東京鉄道局といたしましては早急に実施するということにいたしたものと私は考えておる次第であります。
#861
○猪俣委員 経営を合理化するということはもつとものことでありますが、運営をスムーズにする意味におきましては、せつかく與えられておりますところの公労法の各機関を整備されて、しかる後におやりになつてもよかつたのではないか。その点はなはだ私ども遺憾に思うのであります。けれどもこれは意見の相違点になりますから、この程度にいたしておきますが、あなた方の態度についてもただいま申しましたように、はなはだ親切を欠いた点があつたと私どもは見るのであります。もう少し労働者の立場も考え、彼らのうつぷんの晴らし場所を與えておいて、しかる後にやることはやるというふうになさればよかつたんじやないか。ところがまつたく一方的なような強行的におやりになつたというところに、政治的なまずさというものをどうしても私どもは感ぜざるを得ないのであります。反面また労働組合の方におきましても、ストを含む実力行使なんという決議をいたしまして、そうして不祥事件を起したということは、はなはだ遺憾だと思うのであります。今労働組合におきましても反省が行われている模様でありまして、新聞でいろいろ御存じの通り、ここに労働組合自身の改組も行われようとしているのでありますが、今までのやり方をあなた方も反省していただきまして、法律にはいろいろのことがありましようけれども、そこはまずそこといたしまして、いわゆる鉄道の一体的なつながりを持つ意味におきまして、この組合が健全な態度で更生し始めましたならば、その更生した組合といわゆる團体交渉をなさつて、この事後措置をスムーズにおやりになるという覚悟がおありであるかどうか、お聞かせ願いたい。
#862
○加賀山證人 先ほども申しましたように、定員法に関しまする問題につきましては、これは根本的な問題でございますので、團体交渉という問題も出て來ないと考えるのでありますけれども、それに伴う事後措置等につき、あるいはそれと離れたいわゆる團体交渉事項につきましては、私の方といたしましては正規に編成された組合とこの交渉を持つということは、当然なすべきことであろうと考えるのであります。
#863
○猪俣委員 そうすると定員法に基く整理そのものの点については交渉の限りじやないけれども、その他の点についてはここに團体交渉を持つてもさしつかえない。持つ意思もあるというふうに承つてよろしいのですか。
#864
○加賀山證人 その他の、定員法に関しない事柄でありまして、そしてそれがいわゆる公労法第八條第二項に相当するような事柄に対しましては、これは当然組合とは團体交渉をするつもりで、用意をいたしておるわけであります。
#865
○鍛冶委員長 ほかにありませんか。
#866
○聽濤委員 証人にお聞きしたいのですが、今までの御答弁で、大体公労法並びに定員法というものをたてにとりまして今度の行政整理あるいは新交番の問題、こういうものについては團体交渉をやる必要はないということを言われた。この点はいろいろ議論されておりますので、私は直接この点には触れませんが、それほど法律をたてにとられる当局といたしまして、私二、三お聞きしたいのは、やはり当局も労働者に対しましては使用者の立場に立つておる以上、使用者としての從業員に対する義務があると思う。この点は單に道徳的な義務があるというだけではなくして、日本の國の法律でやはりこれがきめられておる。すなわちそれが労働基準法という形で出て來ておると思うのであります。そうしますとこれも同時に非常に重要な法律であると当然当局も考えておられると思うのですが、私が第一にお聞きしたいのは、このたびの行政整理におきまして、本廳並びに全國の各支部におきまして、これはもう新聞なんかもはつきりと報道しておるところでありますが、馘首者の中に共産党員あるいは組合活動に積極的に働いた者が非常にたくさん入つておる。事実整理のときにも、思想を理由にして整理の通知をされた者もあると聞いております。またさらに七月の十六日に中央闘爭委員十七名が馘首されましたときに、やはり事実結果としては共産党員は全部入つておる。さらにその理由の中に、中央闘爭委員会の決議あるいは警告文というようなものを理由にしておるようでありますが、こういうことは明らかに労働基準法の第三條、あなたはこれを熱心にお読みになつておるかどうか知りませんが、使用者は、労働者の國籍、信條または社会的身分を理由として、差別待遇的取扱いをしてはならないという規定がありまして、明らかにこれに相反しておると思われるのですが、当局はこういう点をなぜ強行されたのであるか、お聞きしたいと思う。
#867
○加賀山證人 別に労働組合運動をしたからとか、あるいは信條がどうであるとかいうことによつてやつた覚えはございません。
#868
○聽濤委員 あなたはそういうふうに一方的におつしやいますが、新聞でもその点は相当はつきり報道しております。事実中期の場合には、その結果は非常にはつきり出て來ておるわけですが、しかしこの中に明らかに、たとえば信條の問題は一應おきまして、中闘委員会の決議及び警告文、こういうものを理由にしておられますが、その点は労働基準法には違反しないとお考えになりますか。
#869
○加賀山證人 あれは別にそれをもつて馘首の理由にしておるということはないはずでございます。
#870
○聽濤委員 それではお尋ねいたしますが、特に中闘委員十七名に対しての馘首のおもな理由は何でございますか。
#871
○加賀山證人 これはいわゆる定員法に基きまして、実は眞に協力をしておる從事員すら、今回の整理におきましては一時離職してもらわなければならぬという立場に立つておりまして、それらの人々と比較いたしまして少しでも非協力の因子が見えますれば、これは定員法に基きまして整理の理由になるものと私どもは深く信じておりまする
#872
○聽濤委員 それでは重ねてお尋ねしますが、大体國鉄の労働組合、特に中闘委員は全員根本においてこの行政整理に対してはもちろん反対しておると思います。その点においてはまあ非協力であるはずだと思うのですが、とにかくこういうふうに十七名を非協力の理由で馘首されております。それは正しいかどうかは別といたしまして、そうしますると、あとに残つた中闘委員は、これは御存じのように主として民同派の人たちでありますが、これらの人たちは当局の首切りに協力なさつていられるということでありますか。
#873
○加賀山證人 どうもおかしな御質問だと思いますが、首切りに協力するか、協力しないかということは、私申し上げなかつたはずであります。國鉄業務……。
#874
○聽濤委員 いやいや、國鉄の根本の問題は、これは何と言つても、このたびの行政整理、この問題が中心の問題になつておるわけでありまして、その点でいろいろの紛爭が起つているわけであります。新交番制などもこれに関連してやはり起つて來ておる。その点でこういうふうな差別がいかなるところを根拠として、中闘委員の間に差別が認められておるかということをお尋ねしたいわけであります。
#875
○加賀山證人 先ほど申しました通り、國鉄業務全般に関する協力の程度ということを判断の基準といたした次第であります。
#876
○聽濤委員 いずれにしても私が先ほど聞きましたように、民同派の諸君を協力的である、こういうふうに、あなたが認められておることはまことに事実のようでありまするから、これ以上はお聞きいたしません。それではもう少し方面をかえましてお尋ねしたいのですが、新宿の鉄道病院で、超過勤務手当の未拂いの問題が起つているそうであります。たとえば本年の三月の超過勤務手当の未拂い額というものは、非常に大きなものに及んでおるようであります。大体正当な支給額というものは、十九万四千百四十四円ということになつておりますが、そのうち実際に支拂われておるのは、わずかに六分二毛、九千八百九円しか支拂われていない。十八万五千五十五円というものが未拂いになつておる。あるいは四、五月分の勤務手当も二分の一しか支給されていません。ところが病院の勤務手当というのは、急患者だとか、手術とかいろいろなことがありまして、どうしてもこれは避けられない状態になつておるわけであります。分会の話によりますと、一人一月十五時間ないし二十時間はどうしても超過勤務をしなければならない状態になつているそうですが、これに対してこういう状態が起つている。これまた労働基準法三十七條――あなたは御存じないかもしれませんが、時間外、休日及び深夜勤務に割増し賃金、こういう規定があるのですが、やはりこれに対して違反しておることをあなた方はお考えになつていないのかどうか、このことをお尋ねしたい。
#877
○加賀山證人 超過勤務手当の問題につきましては、全般的に総体的に申しまして、予算上必ずしも十分なものであるとは考えておらないのでございますが、病院の問題につきましては、私はただいままでのところ報告を受けておりません。御必要とあればあなた個人にでも、またお聞きになりたければ調査をいたしまして、連絡いたしてもいいと思いますが、この予算の中でできるだけやりくりをするようにということは現場に示達をいたしております。
#878
○聽濤委員 いろいろな事情が当局の方ではあることはあつたろうと想像いたしまするが、とにもかくにもこういう状態の中で超過勤務手当がおびただしく未拂いになつておるという事実に対して、当局は御存じない。しかしながらこれも單に鉄道病院だけの問題ではなくして、至るところでそういうことが行われておるとわれわれは聞いておる。先ほども労働條件がやはり非常に問題になつて來ておる。この中に鉄道の荒廃のことも問題になつて來ておると聞いておるのですが、こういう状態は、なるほど局部の一つの問題で、あなたは御存じなくても、それはあたりまえかもしれませんが、全般的にこういう問題が起つておることに対して、当局が手を打つていない。しかもそれは國の法律がきめた労働基準法に違反して行われているということを私は申し上げて、結局使用者として從業員に対する義務責任をほんとうに果しているかどうかということに問題があるわけです。
 もう一つ御質問したいのは、全般的な傾向として私たちはいろいろなことを知つておるのですが、全般の問題として言いますとぼやけてしまいますので、具体的に申しますが、たとえば田町の電車区では、修繕職場にあるグラインダー二台には回轉する砥石に防塵、防埃用の覆いもなく、露出のままであつて、セーパー一台、ポール盤一台とも傳達ベルト・カバーがなく、非常に危険な状態になつておる。あるいは高圧電氣作業であるとか、重材料の運搬、車体の取付けなどに從事する危険な労働に対しまして、作業衣、地下たびの配給も少く、ほとんどげたばきで自分の作業衣で皮膚を露出させたままで作業に努力しておる。こういうふうな例はその他、ここで一々申しますとやつかいでありますから省きますが、清潔の面、あるいは採光、休養、健康、こういうところで具体的に職場において現われております。こういうことはすべて労働基準法の第四十三條の規定に反しておると從業員は騒いでおるのでありますが、一体当局はこういうものに対してどういう手を打たれておるか、こういうことに対して責任を感じていられないのか。そのことがやはり國鉄のああいう紛爭の大きな原因となつておることを、あなた方は御存じであるのか、御存じでないのかお聞きしたい。
#879
○加賀山證人 先ほど厚生施設等について申し上げましたごとく、予算はきゆうくつでございますが、極力予算の許す範囲におきまして、そういつたところにこれから突つ込んで参つて行く。また從来もそういうことを決して無視したとか、違反しておることを故意にやつていることは絶対ないわけでございます。
#880
○内藤(隆)委員 証人にちよつとお伺いしますが、さいぜんの委員長の尋問で相当わかつたので、この点もあまり多く申しませんが、ただ先般の鈴木市藏なる人が証人としてここにおいでになつた際に、某共産党の誘導尋問と言いまするか、巧妙なる尋問に答えて、いかにも國鉄はもう今にも路線が全國的に非常に支障を來す、荒廃を來しておつてたいへん危険で、乗客を乗せるそのことが國鉄の誤りであるように私は聞いた。ところが今副総裁のお話で大分安心しました。聞けばそういうようなデマが飛んでおるので、國鉄の收入は二千万円も一箇月に減收している。これは大問題です。そういうデマを飛ばして減收をさせるから、結局労働者のいわゆる向上というものもできない。あるいは土砂の取除、車両の改修もできないのであろうと思う。私はただいまの証人の陳述によりまして、そういうことは大分緩和されて、戰前に近いものになると聞きまして、非常に安心いたしました。しかしこういう鉄道が大減收を來しておることは大問題になりますから、もつとこれを一般大衆によくわかるように、ひとつ宣傳をされるように、この点御希望申し上げておきます。
 もう一つは共産党の鈴木市藏君の言つたことは、これは要するに何者かためにする目的をもつて、ことさらに鉄道が不安な事態になるという事実がはつきりわかつて來た。要するに社会不安を招き、混乱を來して、もつて何かしようということは十分ここに考え得ると私は思う。この点におきまして、あなた御責任ある地位といたしまして、もつと徹底的にこういうデマを粉砕するような御処置を何かおとりにならないか、この点お伺いしたい。
#881
○加賀山證人 共産党の諸君かどうかは私はわからないですが、たとえば水害のときめちやめちやになつた写眞をとつて來て、こんな状態だ。あるいは電車の走つてないところの下のガードに多少ひびが入つている、その写眞をとつて、今にも電車が落つこちそうだというような写眞がずいぶん流布されたのであります。またこれはさる機関紙でありましたが、山手線のあるところで、これは二十年來設計の不備で、コンクリートの塀がちよつと割目のあるところがある。これは私そういつた写眞について全部調査を命じたのでありますが、その場所なんかは、もちろん石も砂利もそこからはがれるわけはなくて、ただ見かけが悪いだけで、運轉には何ら支障がない。それを堂々とある機関新聞に載せてある。――これははつきり言つてよろしければ申し上げてみたいと思いますが、アカハタであります。そういうのが非常に多いのであります。これはわれわれといたしましても、まことに迷惑な話でありまして、ためにする者の宣傳であるとしか考えられない。われわれといたしましては、もちろん先ほどから申しましたように、國民のための鉄道としてやつて行く確信を持つておりますので、今言われました通り、何かそういつたことについてはつきり御安心を願うような事態を早くつくるということを天下に知つていただく手段を講じたいと考えております。
#882
○鍛冶委員長 今言われた收入の減つたという点は確かにそうですか。
#883
○加賀山證人 ただいまは確かに減收いたしております。
#884
○大橋委員 この間中からこの委員会におきまして、証人を呼んでいろいろ聞くに、どうもこの公共企業体労働関係法になつた当座の問題であつて、この場合労働爭議の調停機関として苦情処理機関もできておらないし、また調停制度もできておらなかつた、それで仕方なしにストをやつたんだというようなことを言つて、この不当なるストを弁解する人たちがあるようですけれども、加賀山君は今度のストがこの調停機関が切りかえのときで、ちようどできていない、その空白時において行われた。この調停機関がそろつていなかつたということと、このストが発生したということとの間に、因果関係があると思つておりますか、どうですか。それをお伺いしたい。
#885
○加賀山證人 ただいまの大橋さんの御質問はたいへんむずかしい点があるのでありますが、今回のちようど空白状態にあつたために、これは調停にもかけられない、また苦情処理もできなかつたということでなかつたと考えます。私の考えといたしましては、今回のこの激成されて來た、しかもこれが統制ある組合活動として、本部なり支部なりの指令に基いて行動したことでないということから考えまして、当時組合本部におきましても、これは自然発生的であるという言葉が使われておつたのでありますけれども、おそらくこういつた機関があつたといたしましても、突発いたす可能性が多かつたのではないかというふうに私は考えております。
#886
○大橋委員 それから先ほど列車妨害について、國有鉄道で努力しておられるということを伺つたのですが、列車妨害の事件につきまして、國鉄職員がそこに関係しているという事件の報告を受けられたことがございますか。
#887
○加賀山證人 遺憾ながら受けております。
#888
○大橋委員 そしてそういう職員はおそらく処分されておると思いますけれども、かなりいわゆる共産系と呼ばれる人たちが多いのじやないですか。
#889
○加賀山證人 詳細にはわからない点もあるのでございますが、中には共産党に関係のある諸君もあつたわけであります。
#890
○大橋委員 それからもう一つ、これは特に加賀山君にまじめな意味で伺いたいのでありますが、あれだけの不法爭議が起こつたということについては、もちろん労働組合側においても欠くるところがあつたと思います。しかしながら同時に当局の側においても、やはりある程庭の何か運営上の欠陥があつたのではないか。ちようど組合側において反省せられたと同様に、先ほど猪俣委員からも当局側も反省しなければならぬという適切な御注意があつたのでございますが、ただいままでの鉄道当局側において、あのストができたことについて、当局側の原因として、何かこういう手落ちがあつたというようなことについて、お気づきの点がありましたら、この機会に承らせていただきたいと存じます。
#891
○加賀山證人 手続的に申しまして、私どもとしては東鉄当局のとつた立場に手落ちがあつたとは考えないのでございますけれども、ただ全般的に見れば、先ほど猪俣さんからも御指摘がありましたように、全般的な厚生施設等につきまして、まだ十全でない点がある。これはできるだけ早く今後予算をつぎ込んで整備して行かなければならぬ。これは第一として十分考えなければならぬ点だと考えるわけであります。それから勤務の割当とはいいながら、ちようど時期が六月一日にまたがつたということが――先ほど申しましたように、貨物の取扱いの変更ということがあつたためなのでありますけれども、ちようど労働関係法が切りかわる時期でありますから、時期としてはさらにもつと早めて、五月の下旬とか、そういうふうなところから出発すれば問題がなかつたのではなかろうかと考えます。
#892
○大橋委員 それからもう一つは、先ほど証人としておいでになりました國鉄組合の加藤委員長からもお話があつたのでありますが、ある程度外部の圧力によつて惹起された爭議ではないかというような感じもすると言われておるのでありますが、おそらくこれは当局においても、ある程度そうお認めになつておると思います。そしてこの爭議の出たことを理由として、当局が公共企業体労働関係法第十八條によつて処分をせられた人も相当の数に上るのではないかと思うのでございます。あるいは外部の圧力により、あるいは一部の人たちの政治的な意図に基く挑発によりまして、心ならずもこの爭議において不運な役目を引受けさせられたところの氣の毒な犠牲者たちに対しては、私は國鉄の労働組合の当局として一緒に働いておるところの労働者に対する親心というものが、必ずやなければならぬと思うのであります。從いまして、これらの処分になりました者の中に、もちろん処分に対しましてはそういうものはできるだけ除外して処分してはおられると思いますが、將來そういうことがはつきりする場合においては、適当な機会に復職させるようなことも考え得るのじやないかと思うのでありますが、この点について御方針がまだきまつていないかもしれないけれども、お氣持がどういうお氣持であるかということをお聞きしたいと思います。
#893
○加賀山證人 もちろん人のしたことでございますので、今度処分になつた者、あるいは処分をいたしました者につきまして、そこに思い違いがあつたということは考えられないことはないわけであります。万一これが間違いであつた、非常な措置であつたような場合には、もちろん元にもどすということも考え得るわけであります。ただいまのところといたしましては、私が受けております報告に関する限りは、東京鉄道局長並びに主管の管理部長のとつた立場は正当であつたということをただいまの段階といたしましては確信をし信頼をいたしておりますので、大橋さんの言われたような事柄については、ただいま考慮はいたしておりません。
#894
○大橋委員 最後に一点だけお伺いしたいのでございますが、將來適当な時期に團体交渉を一定の事項について持つ機会があるかもしれない。こういうことをおつしやつたのでございますが、解雇者を含むところの中闘委員について團体交渉をされる意思があるかどうか。それからまた解雇せられた者を労働組合の交渉委員として交渉される意思があるかどうか、この点だけお聞きします。
#895
○加賀山證人 私どもの見解といたしましては、もちろん法にもはつきりしておりますので、職員でない人は組合員たり得ないということははつきりいたしております。ただ交渉委員の方でございますが、これは組合が交渉委員として認めれば、職員にあらざる者も交渉委員にはなり得るということでございます。從つて第一義的には組合がこれをどう取扱うかということにまつべきではないかという見解を持ちますが、組合が正式に交渉委員として認めたものならば、当局としてはそれとはいやだということは言えない立場にあります。
#896
○石田(一)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、新交番制の実施は六月一日から、この内示はある証人の証言によりますと、私の記憶によると五月十四日か十五日ごろ内示された、こう聞いておるのですが、これは間違いありませんか。
#897
○加賀山證人 内示をいたしましたのは五月十八日と私は記憶しております。
#898
○石田(一)委員 私の記憶違いかもしれません。そういたしますと、この内示を受けた区長の証言を聞きますと、二十七日の日にこれが從業員、車掌諸君に知れたというのでありますが、非常に強硬な申込みをして、新交番はまだできていないのだ、できたら相談しようと思つておるのだということでいろいろ話合いをした。そのときに車掌諸君、從業員諸君は、これは首切りの前提であるとか、いろいろな議論が出まして、絶対にこの新交番には反対する意思表示をしておる。そこで私が思いますのは、十八日に内示されて、二十七日にはすでに從業員がこれに対して拒否の意思決定をしておる。そういたしますと、この五月の三十一日まではまだ國鉄は公共企業体にはなつていないはずです。六月一日から実施するという当局のいわゆる実施期日の明示によつて六月十日、十一日にいわゆる一部のストが行われた。その原因のよつて來つたところはまだ公共企業体の從業員でなかつた五月の十八日にすでに発生しておる。しかもその意思表示が五月二十七日になされている。こういうことを考えましたときに、もちろんストは公共企業体となつて一部行われたのでありますが、考え方によつては、むしろ現実に起きたストの問題より、原因となつたところの十八日の内示、組合が意思表宗をした二十七日、このときの國鉄のあり方、公共企業体のあり方によつてこれが判断さるべきではないか、処理さるべきではないかと考えるのですが、これは私の考えが間違つているでしようか。その点どうお考えでしようか。
#899
○加賀山證人 普通の事態でございますならば乗務割りの変更は、先ほど申し上げました通り、ダイヤの改正の都度起ることでありまして、当然に変更して参らなければならない。十八日に内示をし、たしか二十三日ごろにも協議をいたしているはずでございます。その内容はもちろんすでに各車掌区には参つている。そこで東京鉄道局の中には二十五の車掌区があるはずですが、二十一の車掌区はすでに問題なく実施している。蒲田のごときは二度新交番実施に入つた。それから東神奈川のごときもその当日は全部新交番のつもりで出勤をして來た。それが途中からああいうことにだんだんと行つたという事態を私はお考え願わなければならぬと思うのでありまして、そこにちようど労働関係法の境目がありますので、いかにも事がそれにかかわるように考えられますけれども、私はそれと必ずしも非常に関連があるようにも思えないのであります。
#900
○石田(一)委員 実は労働組合側の一部の考え方としては、六月一日に実施することにきめたのは、國鉄が公共企業体のいわゆる労働関係法規によつて律せられるという事期をねらつてこの実施を六月一日にしている。こういうふうに、これは思い過しかもしれませんけれども、解釈している向きもあるのですが、当局においてはまさか、これをもう少し早くやるべきだつたけれども、六月一日になれば公共企業体労働関係法が実施される。六月一日に実施しておけば、もし組合がこの問題で騒いでも、一應この公労法で律せられるというようなことで、この問題を提起したときに、一應何かトラブルが起るというように事前にはお考えにならなかつたでしようか。
#901
○加賀山證人 今言われたことは逆だと思うのです。当局としてはまつたく善意であつて、もし惡意があるならば六月一日から法律がかわつて、交渉事項については團体交渉でやるようになつたわけで、それまでは公務員法に基いて團体交渉ということはでき得なかつたのですから、もしこちらが惡智惠を出してやるならば、六月一日以前に実施するということにしたのだろうと私は思います。それを六月一日といたしましたことは、そこに当局側としてはむしろ善意であつたというように御解釈願います。
#902
○石田(一)委員 これは見解の相違でありまして、それならば團体交渉がなされたかということになるのですが、現実においてはそれがなされてなかつたところにいろいろ問題があるだろうと思いますが、それは私も了承いたしました。
 東神奈川の車掌区の区長が、管理部長に東神奈川電車区の車掌区は、新交番制でずつと乗務しておるという報告をしていることは御承知でございましようか。ストに突入する前……。
#903
○加賀山證人 私の聞いております範囲といたしましては、一日から新交番で実施に入る、これを報告したということを実は聞いております。ところが先ほど申しましたような事情で、途中で新交番の移りかわりにじやまが入りましてできなくなりました。そういうことでその次に考えられますことは、区長としてはやはりあくまで自分の責任においてやるということでなければならぬと思うのであります。いやしくも車掌区の責任を預かる区長といたしましては、てんでんばらばらにかつてに乗務をされたのでは、区長としての責任が持てないのでございます。その後区長としていかなる責任をもつて電車を動かして行くかということに腐心し、それでその事態について管理部長と打合せたというふうに聞いております。
#904
○石田(一)委員 過日の牛島局長の証言によりますと、新交番制で乗務しているという報告はあつたが、その新交番制が実施の中において、旧交番制と同じ交番があつたかもしれないということは認められる、こういう証言があつたのです。そこで、ことは要するに旧交番制で乗つているのであるけれども、ただいまも副総裁が御証言なさいましたように区長の権限において、職権において、あるいは責任において、てんでんばらばらの乗務を何とか整理するために、旧交番制に乗つたとはおつしやいませんが、そうした含みの御言葉が今あつたと思いますが、そういうことはすでに了承されているのではないか。旧交番制で乗つていることを新交番で乗つていると報告しながらも、暗々裏に区長の責任として旧交番制でまず秩序を保つように乗つているのだということで了承されていたのではないかと思うのですが、いかがでしようか。
#905
○加賀山證人 私はさように考えないのであります。ということはその区長を監督いたします機関に管理部長というものがございます。もしそれを認めるならば、管理部長においてそれを変更する、あるいは鉄道局長において東神奈川はこの交番によつてやることを認めるということを変更しない限りは、これを認めるわけには行かないと考えるのでありまして、旧交番制を認めるという事態は考えられないと思うのであります。
#906
○石田(一)委員 旧交番制をお認めになつたというはつきりした事実はなくとも、要するに旧交番で乗りながらも区長の職権において、新交番で乗つているという報告がなされている事実があつたことは、証言等を参考にしまして私たちもよく了承できるのであります。そこで先ほどおつしやいました、いわゆる十一日の人民電車のたしか運轉をした運轉士でございますが、この証人に私が質問いたしましたところ、先ほど副総裁が証言なさいました電車を出すためには区長あるいは助役に乗務の点呼を受けて宣誓をして、いわゆる許可を得てそれで行路表を持つてダイヤに從つてまた交番に從つて乗る。これが正規の運轉の仕方である。この十一日のいわゆる人民電車の運轉士は、助役に乗務の点呼も受け、しかも行路表も持つておる。それから宣誓もしておる。助役からの乗務許可も得ておる。しかもその発車するダイヤはもちろんいわゆる旧交番制でありましたけれども、規定の時間の何ダイヤとか申しましたか、そのダイヤであつた。これで車掌から正規の信号があれば発車するという氣持でいたら信号が開いて車掌から発車の信号が來たのでこれを運轉した、こういう証言をしておるですが、そういたしますと、これは一つも違法な電車を動かしたことにはならないように私に思うのです。事務的には何らの落度もないのでありますが、それでもこれは違法な運轉ということになつてしまうのですか。
#907
○加賀山證人 私どもはそういうふうには聞いておらないのでございますが、万一そうであつたといたしましても、これはどうしてそうなつたのかということが問題であろうと私は思うのであります。そういう突発的な事故等の場合に、列車の運轉をどうするかということは、はつきりとこれは管理部長の権限にあるわけです。これは駅なり区長にもその権限は與えられておらないわけです。臨時の電車を動かし列車を動かすことは、管理部長の権限として非常に重視しておるわけです。從いましてよしんば今言われたようであるとしても、それはやはり私は正規の運轉とは言えないと信じますが、私どもは今言われたようには実は聞いておりません。
#908
○石田(一)委員 これは私は証人の証言によつて今お尋ねしておるのでありまして、そうすると証人に偽りがあつたかどうか、それはまだ事実を調査しなければわかりませんが、ただいま副総裁はいろいろなトラブルがあつて臨時に電車を動かすときには、電車区の区長にも権限がなくて、管理部長がその権限を持つとおつしやいましたが、この運轉された電車は規定のダイヤで発車をしようと思つたが、信号の故障か何か運轉士はよく知らなかつた、そのうちに約七分遅れて信号が開いたので運轉した。結局これは臨時ではなくて定期の電車を運轉しているわけです。しかも乗つている運轉士そのものは、ダイヤの時間と自分の時計を合せて乗ろうと思つたが、時計がないので左の方にいた人にはつきりはかつてもらつて出た、こういうふうに非常に善意をもつて、正規の自分の職務を果すことを考えて乗つておるのです。これが人民電車で臨時の電車ということになると、どうもおかしいのですが……。
#909
○加賀山證人 定期のものであるならば、もう少し連続的に区長の指示に從つて動くはずであります。たまたまそれがちようど定期のダイヤに乗つていたかもしれませんけれども、私どもはそういうものは定期の運行とは考えられない。
#910
○石田(一)委員 これはただいまも吉武委員からも言われたが、常識的に考えてもそう考えられるが、しかし先ほど証言なさいましたが、電車を発車するにはこうこうこれこれの手続がいる。これのないものは要するにいかぬのだ、正規のものじやない、こういう御証言がありましたので、証人の先ほど言われた手続を全部終えて乗つたということに対して、副総裁のただいまおつしやつたそれらのことが全部含まれなければ、乗る際には正規のものじやない、こういうことになるのだろうと思うのであります。それで了解しておきますが、ここでもう一つお聞きしたいことは、國鉄の公安官ですが、これはどういう職権あるいは職務を持つているのか、ちよつと参考までにお聞かせ願いたい。
#911
○加賀山證人 私その職務上の詳しい点につきましては記憶いたしておりませんが、われわれが公安官を設置いたしましたゆえんは、國鉄の厖大な施設を警備する、そして旅客、荷主の身命財産を保護する、また設定いたしました当時といたしましては、旅客の交通秩序が非常に乱れておりまして、客車の窓がこわされる、あるいは窓から人が飛び込む、順序をみだすというようなことで非常に乱雑でありましたので、そういう点の秩序維持にあたる、これが主たる任務であります。
#912
○石田(一)委員 ただいまおつしやいました主たる任務の中にも、廣い意味で含まれると言えば含まれるのですが、しかし狭い意味で言うと、今回のようないわゆる國鉄從業員の中の車掌が、電車に乗るとか乗らないとか、乗つている車掌が無経驗者であるとか、あるいはまた未熟練者であるというようなことで問題が起きているときに、警官とともにこの公安官が、しかも管理部長あたりの出動要請によつて数十名も從業員に対しての、いわゆる取締り的な権限をお持ちになつているとは私は思わないのでございますけれども、この点はいかがでございましよう。
#913
○加賀山證人 先ほど申しました点によりまして、これは鉄道職員全般の職責でございますが、鉄道を円滑に動かして安全にお客様を運ぶことができなくなるおそれがあつた場合は、当然に公安官が出動して、一般の職員に先んじてその職務を執行するということに相なつております。
#914
○石田(一)委員 今副総裁のおつしやつたのとはまつたく反対で、今まで毎日毎日乗務していて車掌の経験を十分積んだ、しかも練達の車掌が乗ろうとするものを引きづり下して、十年か十何年前に一ぺん車掌の経験があるという人たちを、労働組合あたりの証言によりますと、ドアの開閉の処置さえも不十分だつたというような者、乗越しの切符も全然切れないというような人を乗せるために公安官が働いている、こう言うのですが、そうすると今おつしやいました証人の証言とは全然反対の、乗つている乗客に危険な、しかも電車の運行に支障を來すようにこの公安官が手傳つているのですが、この点いかがですか。
#915
○加賀山證人 技術や経験や能力を私は申し上げたのではないのでありまして、どんなりつぱな人が運轉するかということではなくて、はつきりと定められた成規によつて正規の運轉をすることが大切なのであります。これは先ほど私が証言申し上げたところで十分おわかりと存ずるのでありますが、その成規に反した取扱いをするということは、不測の災いを起すおそれがある、それを公安官はぜひとも防止しなければならぬという点を私は申し上げたのであります。
#916
○石田(一)委員 これは考え方の相違で、私はこんなこまかいことのいやがらせを何も言つているのではありませんが、ただ一つお伺いしたいことは、副総裁は今回の國電ストの動きというものは、まつたく労働組合の運動ではないとお考えでございますか。それとも運動ではあるけれども、承認しがたいものであるとか何とかいろいろな理由があると思いますが、どちらでございますか。
#917
○加賀山證人 私といたしましては労働組合の活動ではないとは申し上げません。これはやはり労働組合の一つの活動であつたろうと思うのでありますが、從來の組合運動に比して特異性を持つていたということが私は言えると思うのであります。自然発生的なようにも見えますし、またこれもたびたび本委員会で問題にされたようでございますが、いわゆる外部の圧力と申しますか、途中から非常に加わつているということは、從來の組合活動とはちよつと違つた特徴を持つていると申し上げられると思います。
#918
○石田(一)委員 まことにけつこうなお話を副総裁から伺いました。それでこそ國鉄の副総裁であるかと私は思います。
 最後にたいへん余分なことのようですが、先般の下山総裁の不慮の御最後が國鉄の労働組合運動に影響を與えたかどうか。もし影響を與えたとしたならばどういう影響を與えたとお考えになりますか。
#919
○加賀山證人 私はここに軽々に組合並びに組合員としての考え方を申し上げる筋ではなかろうかと考えます。そういう御質問は加藤委員長なりほかの組合の人にお聞きになりましたらよかろうと考えます。
#920
○石田(一)委員 私はこの問題をあまりお尋ねしたくないのですけれども、下山総裁の死があまりに一方的に非常に宣傳されて、少くとも國鉄の組合は総裁の死によつて何らかの利益も得られなかつたということはお考えになりませんか。
#921
○加賀山證人 利益、不利益ということよりは、組合員もまた從事員でございますから、從事員の声として私の手元にほんとうの悲しみの言葉を申し述べて來る、また今度整理をされた人がその中をさいて総裁に香典をささげてくれということもございます。そういつたことだけを申し上げておきます。
#922
○石田(一)委員 総裁の死の直後、各大新聞等にあなたは御意見を発表になつたことはありませんか。死因とかあるいはあらゆる問題について何か御発表になりませんか。
#923
○加賀山證人 正式に発表はいたしませんが、私ども側近にいるものといたしまして、総裁が今度の仕事に乗りかかつて、しかも進んで総裁が引受けて、四日までわれわれとともに仕事をして参りました立場から見まして、突如として自殺をされるということは、私どもとしては絶対に信ぜられないという話をした覚えはあります。発表というわけではありません。
#924
○石田(一)委員 それはあなたが國鉄の副総裁というのでなく、長い問一緒に働いていた個人的な関係で、いわゆる個人の感情というようなものでそうおつしやつたのですか。それとも副総裁というような立場で新聞記者などが訪問し、あるいは記事をとりに來たときにおつしやつたのですか。
#925
○加賀山證人 副総裁としての加賀山個人として。
#926
○石田(一)委員 まことに名答で……。ただ総裁のふだんの行いを全部御存じの副総裁がそうした強い言明をなさるのも、確たる証拠はなくても、情においてそういうことをおつしやるのは当然のことだと思うのでございますが、そうしたお言葉が結局多くの國民に、これに他殺だと初めからあの事件を思わせたというようなこともあるし、まだ確たることはわからないので私も多くを言いませんが、これは副総裁個人としての加賀山さんの意思の発表としましては、何かしらちよつと軽卒のおそれがあつた、かように思うのであります。これは意見です。これは最後に檢察廳あるいは警視廳の手によつてはつきりわかることであると思いますが、私は少くともこのために國鉄の組合員諸君は非常に不利な立場に追いこめられたんじやないかというようなことを実は考えておりますので、こういうことを申し上げたのであります。あなたの上司であつた総裁の死について、よけいな質問をしたことをお許し願いたいと思います。これで終ります。
#927
○神山委員 副総裁は現在の國鉄の状態は戰前にかえつたとは言えないけれども、その基礎的な條件においては相当に復興しておるということをおつしやいましたが、それの裏づけになるような数字が何かございますか。
#928
○加賀山證人 ここには持参して参つておりませんが、施設なり車両なりについて最近の数字並びに傾向を示すものは私ども所持しております。
#929
○神山委員 次の機会にそれを提出していただくことといたしまして一つお尋ねしたいのですが、事故件数は去年から今年にかけてふえておりますか、減つておりますか。
#930
○加賀山證人 運轉事故は非常に減少する傾向に参つております。特に重大事故は最近特に減少を示し、これはほぼ戰前のレベルにも近いところまで來ております。
#931
○神山委員 それじやもう一つお尋ねしますが、二十三年度と二十四年度とでは、予算のうちの賠償、すなわち人間や貨物に関しての事故のあつた場合の賠償の予算の額がふえておるように見えるのですが、他の点では削られているのに、こういう事情はなぜ起つたのでしようか。
#932
○加賀山證人 御承知のように最近の貨物なり荷物が紛失したり、こわれたりする場合の賠償につきましては、從來は担当のものとしてはできるだけ値切ると申しますか、安くすることがこれは非常に手ぎわがよい、腕がよいということになつておつたのでありますが、少くともそういつた貴重なものをなくした場合には、これは金にはかえられないものがある。從つて時價十分にはいかないとしても、賠償についてそう値切つたりするのはいけない。できるだけこれを賠償するという見地から、特に二十三年度は非常に増加して参つておつたのでありますが、二十四年度の予算といたしましても減少することなく計上しているような次第でありまする。
#933
○神山委員 ふえておりますね。
#934
○加賀山證人 非常なふえ方ではありません。
#935
○神山委員 前が四億七千四百万円であつたのが五億九千四百万円にふえておる。これは物價の値上りもありますし、あなたの御説明のように方針がかわれば考えられることでありますが、一方から言えばあなたのおつしやつた大きな事故はなくなつたというふうにおつしやいますが、事故そのものの件数は上つているということともこれは関連があるというふうには見えませんか。
#936
○加賀山證人 私どもが一番運轉事故としておそれますことは、重大事故であります脱線でございますとか、電車衝突、これは何よりもまず避けなければならぬ。何をおいてもこれを避けるようにして行かなければならぬ。その次に車両の故障、線路故障といつたようなものがあるわけでありますが、そういつたものも漸次減少し、その影響から来る列車遅延といつたものも相当に減少しております。
#937
○神山委員 今度の國電ストに関連のある三鷹の電車区が管轄している問題ですが、六月三日に新宿、大久保間で密着連結器のピンですか、これが折れたとかいうことがあつた。また原町田では、五月二十四日であつたと記憶するのでありますが、六三型電車がやはり火を出している。こういうような事情をもちろん御承知だと思いますが、最近の三鷹事件に関連しても、その翌日東京駅で列車が通つた振動でやはり電車が走り出したというようなことがあるわけでありますが、こういう点はどうお考えでしようか。
#938
○加賀山證人 具体的に御指摘がありましたが、それぞれ事情が違うと思うのでありまして、六三型は、これは御承知かと思いますが、いろいろ電流の通る線がシヨートするような、はだかになつている。これを直せば、六三型といたしましても欠点はなくなるわけです。極力これの改装に努めまして、まだ改装のすまないものは、正確に数字を記憶しておりませんが、減少しているのであります。東京機関区における事態は今までのところまだ正確には調査はできないのでありますが、ブレーキが緩んだのではなかろうかというような一應の推定でございますが、これも勾配に向つては、ブレーキをかけると同時に車が動かないような車どめをしておくということが必要なわけでありまして、単なる設備上の故障で起きたというよりは、それを省いたことから起きたと見るべきでありまして、これは規定通りやれば十分これを防止し得る途はあるわけであります。
#939
○神山委員 その問題が起りました場合に、三鷹の場合ですが、これを復旧するに必要な資材が倉庫にない。これを工機部に求めてもすぐ間に合わないというような事情があつたことが、三鷹の場合非常に特殊の原因になつておるわけですが、現にこの間下山総裁をひいたと称せられておる、これは私どもは新聞でしか知らないわけだが、あの貨物列車のヘッドライトは三ワットの電氣がついている。こういうような状態はどうお考えになりますか。
#940
○加賀山證人 先ほどずつと申しましたようにわれわれは一生懸命努めてはおりますが、資金とか資材の関係ではこれは十全ではない、この点はお認め願わなければならぬと思うのであります。しかしながらこの資材や資金を遊ばしておいてそれを放つて置くということは絶対にいたさないのでありまして、そういつたことのないように、田端のいわゆる三ワットとか言われておりますものも現在厳重になお事情を調査中でございます。それから三鷹に限つてそういう資材が足りなかつたということも私は実は報告を受けておりません。資材の事情は漸次好轉して参つております。先ほど申しましたように、その六三型の改装には非常に手を盡しておりますので、もうすでに非常に残りは少くなつておるということを御承知願いたいと思います。
#941
○神山委員 今までの総裁の話で、最近の列車の運行が漸次戰前の状態に返りつつあるということは、私たち、いつも國鉄を利用しておる者としてよくわかつておるのでありますが、車体その他が漸次改善されつつあるということは、乗つておる限りだれでもわかつておることなのであります。一方においては、先ほど二、三の例をあげましたように、常識では想像できないような、機関車のヘッドライトに三ワットつけておる。ぼくたちは監獄におつてさえ七ワットはつけておつた。こういう状態がある。しかも三鷹のような事件が起つた場合は復旧が遅れる。こういうことが相当廣汎にある限り、國鉄の復興の場合にいろいろ意見が出るのを、一方的に事実無根だ、行き過ぎだというように言うことは、個々の場合には問題がありましようが、全般通して言い切れるものであるかどうか。これは問題であると思います。しかしここに私ひとつ関連して言いたいのですが、今度國鉄の運賃を六割値上げした。そして二百三十億の増收ができると見込んでいたにかかわらず、かえつて減收にへつておるということを今総裁はおつしやつたのですが、これの原因がどこにあるとお考えになつておられますか。
#942
○加賀山證人 単純な原因ではなかろうかと考えます。旅客方面ではやはり運賃値上げが響いておるということは事実であろうと思う。貨物の方では最近の動きが非常に不活溌で、一方に滞貨があるようでありますが、鉄道に関するいわゆる滞貨なるものは、最近は非常に多かつたのでございますが、本年度は非常に減少しておりまして、つまり物の動きが非常に活溌ではないということが現われておるようであります。從つてそういうことから減收が生じておりますが、單なる運賃値上げだけが原因であるということは申せない、確かに最近は少しずつ不安も手傳つておるのではないかと思われるような減收ぶりを示しております。七月から八月にかけては、年間における旅客の最盛期に入るわけでありますが、さつぱりその状況が現われないという状況であります。
#943
○神山委員 ただいまのような御説明があればこそ、今の私の質問の必要がますます強いのです。旅行の不安その他によつて減收が起つておるという先ほど民事党の諸君が不規則発言をしておりますが、こんな考え方だから、つまり今度の予算を編成するときに、こんな予算を編成するから國鉄はますます朽廃する、國鉄は資材がますます足りなくなるということを野党側で指摘した場合に、この予算を編成したのは主として民自党の諸君ではないか。こういう運賃を六割値上げしても、実際は赤字はますます多くなるであろうと言つたのも野党側であつた。それをむり押ししたのは民自党の責任ではないか。もつとさかのぼつて言えば、民自党の諸君が言う荷動きが減つている、人聞の動きも減つているというが、六割値上げされた運賃ではわれわれ乗つてはいられない。こういう大きな根本的な問題を一つも言わないで、この問題について社会不安が原因だということをあまり強調されたら……。
#944
○鍛冶委員長 仲間への質問はよしてください。
#945
○神山委員 加賀山総裁に言つているのだ。そのことの眞相がはつきりしないのではないかということを指摘せざるを得ない。そこで今度はお尋ねしますが、加賀山さんと堀木さんとの間の関係はどういうことになつておりますか。
#946
○加賀山證人 別にどういう関係があるか、この問題に関係がないように思うのだが……。
#947
○神山委員 それでは御説明しますが、当考査委員会に堀木さんを理事長とするところの鉄道弘済会の事件の審理が目下進んでおることは賢明なあなたはよく知つておられる。また鉄道内部において、いろいろな不正があるということは加賀山総裁がいくら打ち消そうとしても、將來は知らない、今まであつたということは否定できないと思う。この鉄道の資材が不足だというふうな名前で、実は不当な價格や手続で相当に流されておるのではないかということが、すでに本考査委員会が調査に着手せざるを得なかつた一つの事実だ。從つて私があなたに堀木さんとの関係を聞いたのは、いわゆる総裁の機密費の一部が堀木君から出ておるということが一部の新聞に出ておるのだが、私これを信用しておるわけではないが、こういう事実と関連してぜひお聞きしたいというのは、資材が不足だということに関連して、不正に物が流されておるということが相当あるからです。けれどもあなたが答えたくないとおつしやるならどうぞ御自由に答えなくてもよろしい。
#948
○加賀山證人 いくらでもお答えしますが、堀木氏との関係は先輩、後輩の関係です。なおいろいろ不正があるようなお話でございますが、ひとつこれは本考査委員会でぴしぴしとお調べを願いたいと思います。
#949
○神山委員 十分やりますが、現に一つ問題になつているのは、帯廣の工機部で……。
#950
○鍛冶委員長 そんな具体的なことに入つては困る。
#951
○神山委員 具体的なことは一ぱい持つているが、一つ例をあげて、帯廣の工機部では酸素熔接工場をわずか二十万円くらいで弘済会に拂下げておるという事実があるのだが、これはあなた御承知ありませんか。
#952
○加賀山證人 それは知りません。
#953
○神山委員 これは一つの例でありますが、こういう例が無数にある。そうして弘済会の事件などはこれはほんの横流し、やみ流しと言われるものの一部だとわれわれは見ておるのでありますが、こういう事件を本考査委員会はどういうわけでありますか、取上げていないのだが、あなたはひとつこういう点については十分御注意願いたいと思うのであります。というのは前あなたの同僚であつた人々、たとえば伊能君なんかですが、これは一部の人はまことにお氣の毒だ、氷山の頭だけやられてばかをみたという人がありますから注意しておくのでありますが、そこで問題となるのは國鉄の荒廃と、國鉄の中に巣くつている――あなたがそうだというのではないのだが、今まで終戰後堀木君なんかと結びついて、相当に世間から疑惑を持たれたような事実があつたということが、資材の不足に関連しておるとあなたは思わないか。
#954
○加賀山證人 先ほどから申し上げましたように、疑いがあるならば、われわれとしてはどんどんひとつお調べ願つて、眞に國民から信頼されるようにいたさなければならぬと思つております。われわれとしては氷山の頭が出たとか何とかいう、はなはだまことに迷惑な御発言で迷惑に考えます。
#955
○大橋委員 ただいまの神山君の発言中、引済会の事件に関して、いかにも当委員会において不正事実を確定したるがごときことを思わしめるような発言がありましたが、これは神山君一個の私見にすぎないのでありまして、当委員会としてはいまだこれに対して何らの結論を認めることもできない、とるに足らざる事件にすぎないと私は考えるのでありますが、委員長においてはいかにお考えになつておられますか。
#956
○鍛冶委員長 委員会自身のことのように言うことはやめてもらいたい。
#957
○神山委員 ぼくは委員会自身が何も不正だというようなことを言つているのではない。考査委員会にかかつていると言つたからとて、全然ないことを――よいことをやつているやつをひつぱり出して來たわけではないし、またさつきも言つたように、非常に極端な暴言を吐いて、あたかも決議のあつたようなことを大橋君は再三言つておる。そういう部分的な点を、正確な事実として君たちが言つておることを訂正してもらうことも必要だが、ぼくの言つた今の点は神山一個の私見だということであればけつこうだ。そういうふうに註をつけてください。
#958
○鍛冶委員長 それから弘済会の具体的な事実については、これは弘済会の事件を調べるときに申しましよう。
#959
○神山委員 それでこれからお尋ねするのでありますが、今度の國鉄ストの原因についてあなたがお述べになりましたときに、あなたの言葉の中の要点だけここに記録しているので、違つておれば仕合せだと思うのでありますが、新交番制は勤務時間との関係はない。予算はどうしても施設関係におもに使われるので、部屋その他はどうしてもあとまわしになる、こういうふうなことをおつしやつたわけでありますが、從業員側に言わせますれば、先ほど猪俣委員が指摘いたしましたように、表面上わずか九分か十分という延長が、内容においては相当強いものになつて來る。そして居流しが今まで二日であつたものが、三日その他にふえるということは相当な負担になつて來る。こういうことを從業員諸君、ことに車掌区諸君が訴える。こういう事実は助役の人が一番認めておるのですが、区長になるとだんだんわからない。業務部長になるとわからなくて、牛島職員局長になるとまつたくわからない。加賀山副総裁になると全然勤務時間とは関係ないとおつしやるのですが、あなたも鉄道の飯を長く食われた方なのですから、冷静にお考えになつて、なお責任を持つて勤務時間には関係ないと言えましようか。
#960
○加賀山證人 関係がないというようなことは言つた覚えはないので、それはお聞き違いでしよう。勤務時間規程の中で、勤務時間の四十八時間のわくの中で、交番制をきめると申し上げたのです。
#961
○神山委員 ただ私が強調したかつたのは、実情がわずか七、八分延びたのが、実際は相当な負担になるということを訴えられているので、そのことをあなたにお尋ねしたのですが、あなたが御承知からけつこうですが、その点を指摘しておきます。
 さらに総体的にお尋ねしておきたいのは、この施設の問題なんですが、ここで問題になつた千葉にしましても、東神奈川にしましても、中野にしましても、これは区長側も現在の施設では若干欠点があるということを認めており、これは蒲田の場合にも言えると思います。こういうような点をぜひ早く直していただきませんと、加賀山さんが副総裁になると総裁室の大きな部屋ができた。ところが一方では從業員の部屋はあまり改善されない、こういうような事実がある。一方的な仕事のやり方に対して、從業員諸君が不満を抱くということをあなたはお考えになつたことはありませんか。
#962
○加賀山證人 それだからこそ先ほども猪俣さんの御質問に対しまして申し上げたのであつて、決して十全ではない。十全ではないことを何とか少しでもよくして行こうということを考えなければならぬということを思つております。ただ予算としましてまず順序として、運轉の正確、安全を期する方面に最大の努力を注いで、そして漸次こういつた厚生施設に持つて行くというように、おのずから順序があることを申し上げたわけであります。
#963
○神山委員 それはあなたの立場からしておつしやることはもつともなのですが、これは猪俣君と私は同じ立場であなたに言えることなのですが、施設そのものを、ことに從業員の部屋なんかを早く改善してやらないと、居流しが多くなるということで非常に大きく負担に感じるわけでありますが、今度の場合もそれが各車庫ごとに共通の問題になつておりますから、ひとつ十分に考慮していただきたいと思います。
 それから先ほど石田委員から質問したことで、ある程度まで問題の所存が出て來たと思いますが、今度の爭議の起つている特徴は、組合と区長、それから管理部との間の折衝がなかなかうまく行つていない。團体交渉がなかなかうまく行かない、話合いもうまく行かない。お互いにそこに意思の疎通を欠いて、しかも業務命令があとからあとから出て問題が混乱した。その上に問題を強行的に行おうと思つていつも公安官が出て來ておる。これは千葉の場合にも、東神奈川の場合にも言えることなのです。
 さらにこれも石田委員が指摘した点でありますが、三鷹の中野の車掌区の場合などには、その点最も指摘されるのですが、公安官がかえつて列車の運行を阻害するような行為をやつている。さらには人民電車というふうに一部の人が言つているわけなのですが、その運行を妨げるために電源のスイッチを切つたりしておる。また信号をあやつらしたりしている。さらにはもつと進んで、東達甲五百八十三号、これは当然公共企業体関係法で作業場の閉止ではないかというような疑惑の起るということもあるのですが、こういうこともあなた方としては対抗措置として取上げたのですか。
#964
○加賀山證人 再三その問題については、私の前に出ました者が証言を申し上げておると思うのでありますが、対抗策というよりは、先ほど來から私がしばしば申し上げますように、おのずから秩序と規定に基きまして、規律に基きまして、國民のために電車を動かすことが必要とかように考えるためにとりました措置でございます。今言われたようなこととは……。
#965
○神山委員 それでは証人にお尋ねしますが、エミース氏の中止命令が出たのは十一日の十一時であつたと思いますが、その前に大部分の車掌区その他は車に乗らないという戦術を轉換して、自分たちは乗るというふうな決定をしておるのでありますが、それが東神奈川の場合なんかでも、東達甲五百八三号がたたつて、乗れなかつたという事実がある。こういうような点については、あなたは何とお考えになりますか。それでもなおかつ対抗的な措置ではない。一人でもよけいに乗せるために、國民のためにやつたことだとお考えになりますか。
#966
○加賀山證人 エミース氏の中止命令の前に、動かす予定をしておつたというようなことは、私初めて伺うのでありますが、それがさらに交番を変更する規定のために、東神奈川がせつかく乗ろうとしたのが乗れなかつたということを言われたのでありますが、私どもといたしましては、ただせつかく乗ろうと思うというかつてな恣意で乗るということではわれわれは承知できないのであつて、はつきりと成規に基いて区長の命ずるところに從つて勤務するということを、要望しておつたのであります。
#967
○神山委員 いや、あなたの考えはわかります。それで乗る乗らないの問題は別として、十一日の指令の出る前に、組合側が自主的にそういう決議をしていたということは、あなたは御存じないのですか。
#968
○加賀山證人 さつき申し上げた通りであります。
#969
○神山委員 それではもう一つお尋ねしますが、十日の夜あなたが下山総裁、それから牛島局長、この人たちと一緒に中闘の役員とお会いになりましたね。
#970
○加賀山證人 十日には会つております。
#971
○神山委員 その場合に神奈川支部の委員長その他が來て、あなた方に折衝しているその場合に、下山締裁はこの問題について十分考える必要がある。ことに從業員の方が自発的にこのストライキ形態を解こうと言つていることを、初めて聞いたと言われたということをこの委員会で述べられておるのでありますが、あなたはこのときにこういうことは御承知にならなかつたですか。
#972
○加賀山證人 われわれとしては本部を通じて、本部からこれをとめる指令を出すように、これを絶対にとめるようにということを要望しておつたわけであります。しかしながら本部としては事情がわからないということで、自発的にとめることを決議したというようなことは私どもには申しませんし、私もどこからも聞きませんでした。
#973
○神山委員 それでは後ほどあなたがお調べになればわかると思いますが、神奈川でもこの問題を打切るということについては、前に決議もしておりますし、車掌区長にも電車区長にも申し出ております。それから三鷹の場合にもこういう事実がある。千葉の場合にもこういう事実があるわけです。また中闘の委員である武井君のごときは、自発的に車を動かすという申入れをしておるわけだ。このことはあなたはぜひ調べてはつきり知られる必要がある。問題なのは、今吉武君が盛んにやじつておりますが、人民電車を動かすということは言つていない。交番の問題はあとできめようと言つておる。ある所は新交番で交番しておる所があるじやないか。こういう事実があれば、エーミス氏の指令だけで問題が打切られたというように考えるのは、國鉄当局としての一方的な考え方だ。事実をもつと調べる必要がある。
 それから加賀山さん、あなたは二十一年の七万五千の首切り問題があつたときは、どういう地位におつて、どういう方針をとられましたでしようか。
#974
○加賀山證人 当時は私は職員局長で、何らこの事件に関係がないようですが、当時は職員局長で、当時五十七分余の從業員がおりました。そこへどんどん復員者が帰つて來るということで、これをほうつておけば膨脹する一途であるということで、当時七万五千人の計画をしたのは私であります。
#975
○神山委員 それで今度の場合も、組合側から何とかして團体交渉してもらいたいというようなことを申入れしたのに対して、あなたの方ではなかなか應じられなかつたのですが、その間の事情についてひとつお答えを願いたいのです。
#976
○加賀山證人 今回の問題につきましては、私が昭和二十一年に考えました事態とはおのずから状況が非常に違うと考えたのであります。
#977
○神山委員 私はその昔の二十一年の場合と今お聞きしたことと、まだ直接結びつけてないのですが、あなたの方で賢明に先にお結びつけになつたのですが、そのときの場合とは違う、從つて團体交渉に應じる必要はない。先ほどお述べになつた氣持そのままで正しいということですが、ただ仕事が忙しいというようなことも理由につけ加えられたことはありませんか。
#978
○加賀山證人 そんな事実はありません。
#979
○神山委員 なければけつこうですが、とにかくあなたには気の毒ですが、加賀山と言えば、いつも首切り役をやつておるというふうに組合側は受取つておる。また下山さんはそういうふうに言つてはぐあいが悪いですが、あなたは彼と友人でもあるし、故人のことでもあるが下山さんは技術畑出身で、氣が弱い。世間ではそう言つておるし、組合側でもそう思つておる。この場合一番強硬に首切り問題を出すのは牛島君と加賀山副総裁というように言つておるが、あなたは六月十一日の十九時どこにおられましたか。問題の片づいたその日だ。
#980
○加賀山證人 ちよつと突然には記憶が浮ばないのであります。
#981
○神山委員 私の方の資料によると、事実が聞違つておつたら取消してよいが、十一日十九時職員局長のところで、組合側は國電ストの問題のあと片づけを望んでおるのに、牛島局長、三木経理局長その他の人々とウイスキーを飲んでいた。これはね、國会において労働法が通つた場合、労働委員長や労働大臣、こういう連中が一ぱい飲んでいたのと同じような印象を與えておる。
    〔「労働法のときそんなことはしておらぬ」。「事情は違う」と呼ぶ者あり〕
#982
○加賀山證人 それで思いあたる節があります。私はその日一應エーミスのあれによつてストライキがとまることになつた。それで遅くまで私は残つていたのでありますが、自分の部室を出て各部室の模様を見て歩いた。私の部室は四階にあるわけでありますが、職員局の部室は七階にあり、ずつとそこまで回つて行つたことは記憶しております。当呼何か職員局の連中は食事前で何か飲んでおつたことも記憶しております。
#983
○神山委員 ひとつそのままいただいておきましよう。見回りにお回りになつたら隅然飲んでおつた。それが非常に組合員を刺戟しておる事実があるのでお尋ねしたが、眞相が明らかになつて加賀山副総裁の名誉のためにもけつこうだと思います。
#984
○加賀山證人 名誉を落しておるつもりはない、幾らでもおつしやつていただいてけつこうですが、事実はその通りで、何か当時窓からぱつと飛び上つてのぞいた人があつたのを記憶しております。
#985
○神山委員 私の方も何か加賀山君を陥れようというのでなくて、こういう事実があつたかどうかお聞きしまして、眞相さえ明らかになればよい。それから先ほどから行政整理の基準のことが問題になつておるのでありますが、聽濤君の質問に対してあなたは政治的信條そのものが馘首の理由にはならないというふうにおつしやつたのでありますが、事実は必ずしもそうでなくて、全國から来ている報告を一々私たちは述べることは避けますけれども、たとえば一例をあげますと、青森の苗穂の機関区などには、あるいは工機部などには、そういうふうに解釈される人が相当にあるわけです。またこの前牛島職員局長が見えましたときに私言つたのですが、池袋の電車区の場合にも、あいつは共産党員だから、今度は首を切つてしまうのだということを、心ない区長や助役が言つたので、それで首を切られたという事実がある。從つてあなたの御説明の通りに、政治的信條によつて首切りを行つていないというふうにお考えになるのでありましたら、それをぜひ下の方まで滲透させられませんと、いろいろな不幸な事態が起らざるを得ない。今名前は一々あげませんけれども、苗穂の工機部のことや何かはひとつお調べを願いたいと思うのであります。池袋の電車区の場合には、これは牛島職員局長にも話してありますから、お調べ願いたい。さらに、人道上問題になるようなことが、今度の行政整理の場合には相当に――ことに長期の結核患者の場合には見るに忍びないような事情があるのですが、今は一人名前だけあげておきます。青森の電務区の長岡ハル江さんという方は、もう瀕死の病床におつたところに辞令を突きつけられて、それを見てすぐ死んでしまつた、こういうようなことが少からずあるわけであります。從つて一應整理そのものは終つたというふうにあなた方も発表になつておりますが、そういうような点をさらに改善して、先ほどもあなた方おつしやつたように、できるだけあとをうまくやるように十分お手配を願いたい。こういうことで終ります。
#986
○鍛冶委員長 それでは済みました。御苦労様でした。
#987
○浦口委員 私は先ほど加藤証人に対する質問に関連して、加藤委員長がジユネーブから打つた電報は相当重大な意味を持つた電報と思いましたが、今加藤委員長の証言によりますと、着いて中央委員会に発表されていたと思つておつたのが発表になつていないということで、加藤委員長も不審に思つておりましたので、これは委員会においても、着いたかどうか、事実着いてなぜ発表されなかつたかということをお調べ願いたい。これは鈴木証人の偽証罪とか、そういうことと問題は別にいたしまして、事実問題ですからお調べ願いたい。
#988
○鍛冶委員長 それは電報ですから確かに來ておると、先ほど加藤証人が言われるし、鈴木証人は受け取らぬと言うのですから、電報が鈴木証人に渡つているかどうかということだと思いますが……。
#989
○浦口委員 その点事実としてお調べ願えばけつこうであります。
#990
○鍛冶委員長 それでは電信局その他に相当の方法をもつて調べることにいたしたいと思います。皆様御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#991
○石田(一)委員 その前に速記録を一應調べて何を言つておるか、それを確めてから……。
#992
○鍛冶委員長 それについては加藤委員長に出してもらうようにしましたから、それも両方やることにします。
 それでは浦口君の今の申出は電信局その他によつて適当な方法をもつて調べることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後七時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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