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1949/08/10 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 考査特別委員会 第34号
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1949/08/10 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 考査特別委員会 第34号

#1
第005回国会 考査特別委員会 第34号
昭和二十四年八月十日(水曜日)
    午後一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 鍛冶 良作君
   理事 大橋 武夫君 理事 高木 松吉君
   理事 神山 茂夫君 理事 石田 一松君
      宇田  恒君    岡延右エ門君
      菅家 喜六君    小玉 治行君
      佐々木秀世君    多田  勇君
      多武良哲三君    塚原 俊郎君
      内藤  隆君    永田  節君
      柳澤 義男君    吉武 惠市君
      亘  四郎君    石井 繁丸君
      森山 欽司君    聽濤 克巳君
      寺本  齋君    石野 久男君
      浦口 鉄男君
    ―――――――――――――
八月九日
 委員石原圓吉君、石原登君、中村清君及び福井
 勇君辞任につき、その補欠として小玉治行君、
 多武良哲三君、永田節君及び内藤隆君が議長の
 指名で委員に選任された。
同月十日
 委員井手光治君、中野武雄君、西村直己君及び
 畠山鶴吉君辞任につき、その補欠として塚原俊
 郎君、多田勇君、柳澤義男君及び佐々木秀世君
 が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 委員会報告書に関する件
 証人青柳正雄君、清野常雄君及び松江澄君告発
 に関する件
    ―――――――――――――
#2
○鍛冶委員長 これより会議を開きます。
#3
○神山委員 議事進行について先日の委員会におきまして、若干お互いの間に紛争みたいなことが起つた点は、その立場、あるいはその覚書いかんを問わず、遺憾なことであつたと思うのであります。この問題について、昨日の理事会で申し上げました、私たちが鍛冶委員長に提出した覚書を一應読み上げて、さらにこれに対する委員長の回答を読み上げて、委員諸君の参考に供したいのであります。
 われわれは、昨八日の委員会における紛争事件にかんがみ、考案委員会が、國会法、議院運営い委員会の決定を無視し、民主主義の原則を破壊し、さらに超党派的機関たるべき任務を蹂躪して、まつたく民自党の私的機関として運営されていると断ぜざるを得ない、
 われわれはまず左の諸点について抗議する。一、八日の紛爭について(一)大橋委員の共産党詳謗の言辞と定足数不足の問題で混乱が起つたが、われわれはとにかく委員会の再開に同意したのにかかわらず、委員長は補充尋問打切りというきわめて不当な動議を取上げて採決し、多数をもつて押切り、これを不当とするわれわれの退場を余儀なくさせた。(二)委員会は常に定足数を欠き、特に五日にも注意を喚起したのにかかわらず、八日も定足数不足のまま続行された。(三)定足数が足りないことが問題になるや、民自党に急遽委員でない議員をかき集め、運営委員会の申合せに反し委員のさしかえをしている。(四)われわれの退場後十五人の民自党委員だけで議事を続行した事実は、考査委員会が民自党の私物と化した何よりの証明である。二、委員会の一般的運営について(一)議院運営委員会での、五時までに議事を終るとの申合せを無視して、常に夜おそくまで議事を続けて、國会職員に不当に超過勤務を強制している。(二)委員会ですでに取上げることを決定した幾多の不正事件には手をつけずに、民自党の好む問題をかつてに押しつけ、國会及びお互ひの間で承認された委員会の性格を変質させ、事実上非日委員会化している。(三)尋問に際しては、常に問題の本質に触れることを避け、檢事的、特高的尋問をあえてし、証人を被告扱いして、その人権を蹂躪している。(四)税務署汚職事件の委員会報告書の採択に際し、事務局作成の原案を提出してから、わずか三十分しか檢討の時間を與えなかつた。また討論に際しての発言時間を五分間に制限するなど、常に多数を頼んで一方的に運営されている。(五)國電ストの場合には、同事件を委員会で取上げることを決定もしない以前に事務局員をして一方的な事前調査をなさしめている。三、以上のごとき諸事実は、國会の超党派的機関として承認されたる本委員会を、民自党の私的機関と化せしめている。よつてわれわれは、委員会の今後の運営について左の諸項を嚴重に要求する。一、少数派委員の発言に対し時間的その他の制限を加えないこと。特に昨八日の尋問打切りのごときことは決して行わないこと。二、定足数の原則を嚴重に守ること。特に各党派からの委員の出席を確保すること。三、議院運営委員会の申合せ通り、議事は午後五時までに打切ること。四、すでに取上げることを決定している不正事件の審議を次の機会からただちに開始すること。特に古い事件より開始すること。
  一九四九年七月九日
   考査特別委員会共産党委員
           神山 茂夫
           聽濤 克巳両名の名前でこういう覚書を出した。これに対する鍛冶委員長の回答を、本日成文化したものとして受取つておりますから、これを読み上げます。
  覚書に対する回答一、昨八日の当委員会の紛議に関する御意見については一々弁明することを避け、委員長として紛糾したことについては遺憾の意を表するものである。二、要求事項については左のごとくお答えする。(一)少数派委員の発言に対し時間的その他の制限を加えないこと。特に昨八日の尋問打切りのごときことは決して行わないこと。
  答
  制限はしていない。但し第三項を守ろうとするには各委員において自粛していただくほかはない。昨八日は時間の空費がはなはだしかつたための例外と思う。(二)定足数の原則を嚴重に守ること。特に各党派からの委員の出席を確保すること。
  答
  原則としてこれを守ることは賛成だが、各派においてもこれに協力せられ、議事の運行に努められることを希望する。(三)議院運営委員会の申合せ通り、議事は午後五時までに打切ること。
  答
  この趣旨で進む、心算である。(四)すでに取上げることを決定している不正事件の審議を、次の機会からただちに開始すること。特に古い事件より開始すること。
  答
  この通りやつている。但し調査部の進行状態を無視するわけに行かぬから御了承願いたい。右回答する
 八月九日付、考査特別委員会委員長鍛冶良作氏の署名で私たちに與えらておるのであります。私たちは、この委員長の回答そのものには言い分があります。これはちようど委員長が私たちの覚書に対していろいろ御意見があるのと同じ以上にあるのでありますが、しかしとにかく問題そのものは、鍛冶委員長のこういうふうな見解が実際の上に現われるならば、われわれとしても喜んで協力を辞さないつもりなのであります。しかし、こういう回答を私たちがいただいておるにもかかわらず、一方においてはこの回答を裏切るような事実が次から次に起つているということは、まことに遺憾なのであります。現に昨日の理事会でありますが、昨日の理事会は、理事としては民自党の諸君しかいない。これに対して新政治協議会及び民主党の野党派からオブザーバーが出ていたことは事実でありますが、まつたく民自党の理事諸君の意見によつて議事が運営されておるのであります。しかも、そこで決定されておることについては一層大きな問題を含んでおる。
 時間を惜しむために簡單に申し上げますが、昨日取上げないと決定された事件の中には大きな問題を含んでおるものがあるのであります。たとえば全逓の労働組合から出されました調査請求の問題は、なるほど金頭その他の点について、現われた形としては小さいのでありますが、これは本当に掘り下げるならば、現在全逓関係の官僚だけではなく、日本の官僚機構の腐敗を必ずや突くに足るような、いわば氷山の頭というものが出ておるのでありますが、これに対する取扱いが非常に簡單にされまして、一部の事件は檢察廳に持つて行き、一部のことは郵政省の監察部に持つて行くというふうに片ずけられておる。これは非常に遺憾なことであります。
 さらに問題なのは二合半領の事件についての処置であります。この問題は、すでに調査報告ができておりますが、調査報告を見ましても、まだここには明らかに問題が残つておる。この調査報告の一部を読んでみますと、いろいろ事情の内部はわかつておるが、埼玉懸内における各郡からの補正の調整がいささか不均衡であつたのではないかということが、調査報告書の中に意見として出て來ておる。こういう点を拾つて行きますならば、私たちの調査請求をしておりますところの兵庫、滋賀、三重、熊本、福岡、廣島及び北海道その他の各府縣における不当な供出問題につきましては、やはり眞相がおのずからわかつて來ると思うのであります。ところが、残念ながらこの調査は、各縣の場合、作物報告所に対する書面照会という形で片ずけられておる。こういうふうな手続上の問題はとにかくとしましても、二合半領の問題を掘り下げる余地は十分にあるにもかかわらず、これが簡單に片ずけられておる。
 こういうふうに労働者や農民の生活に直接関係あるものは簡單に片ずけられ、しかも一方天ぷら事件のごとく、その内容が大きい小さいの問題は別といたしまして、これが官僚機構並びに政界における腐敗事実をえぐるにかつこうの材料は簡單に打切りとなつておる、こういうふうなやり方そのものに大きな問題があるのであります。
 さらに、この問題に関連しまして、熱海の國鉄決議及び三鷹事件、さらに平、日鋼事件に関する考査委員会の報告が出ておるのであります。これはすでに賢明なる委員諸君が御承知のように、この問題の眞相をさらにきわめるために現地に委員が派遣されることになつておる。しかも、委員はまだ出発していない。また速記はほとんど完了していないのが事実であります。われわれの調査によりますと、九日午後七時現在で、日鋼事件は第一日、それからその他の事件につきましてもまだ未完了な点がたくさんある。こういうふうな不十分な速記を材料にすることは当然できないのでありまして、從つてこの報心は一方的にできている。現に事務局の諸君は、この報告作成にあずかつているのかいなかわれわれは疑うのでありますが、これは当然國会における考査委員会の事務局がつくつたものと言うよりも、むしろ民自党がつくつて來た中間報告と言わざるを得ない。しかもその内容たるや、まつたく一方的な、まつたくでたらめなものである。こういうものを持つて來て、そうして直ちに問題を……。
    〔発言する者多し〕
#4
○鍛冶委員長 神山君に言いますが、議事進行に関することならいいが、討論はやらぬように願いたい。
#5
○神山委員 議事進行だよ。
    〔発言する者多し〕
#6
○鍛冶委員長 討論の内容に入つている。
#7
○神山委員 まず結論を言わなければならぬ。さらに三人の人間の偽証をあげておるのであります。青柳、清野、松江、この三人のものの偽証につきましても、新聞記君諸君に発表された内容だけではわれわれを納得させることができない。この内容について今一々触れることは避けます。前にも述べたように、この点についてはあとで爭うとして、昨日の理事会そのものが十分に各党派の代表によつて構成されていない。この点は超党派的事実にも反するのであります。しかもこの報告は、今日になつてわれわれに中間報告が出されておる。この中間報告に対しても、この委員会がわれわれに十分発言する時間を與えられれば、これはまたおのずから別個の話ですが、今までのやり方から考えますと、簡單に採決採決と言つて打切られるのが今までの慣例なのであります。私たちは、こういうようなことをあわせて考えます場合に、民主自由党の諸君が中心となつて行われた昨日の理事会、そこできめられた本日の日程そのものに反対なのであります。從つて私たちは、この日程をあらためて檢討される必要があると思う。
 ことにここで私が強調したいのは、昨日の理事会は、そうした意味で正式の理事会と認めることはできないさらに五日の委員会も、また九日の廣島日鋼事件の際も、定足数を欠いておるから正規の委員会とは認めることができない。從つて、諸君にして眞にこの考査特別委員会を諸君の言われるごとくに円満に運行させようとするならば、鍛冶委員長のわれわれに與えられた弁明が單なる一片の弁明ではなくて、内容そのものによつて裏ずけられなければならない。しかるに、鍛冶委員長の比較的言葉のやさしい、比較的公正なこの回答がわれわれの手に渡される。その一方においては、こういう一方的な運営が行われようとしておる。
 こういうことを考えます場合に、当然諸君が眞に公正にこの委員会を運営されようとするならばこの考査委員会を眞に超党派的な委員会とされたいならば、私が出しておる問題、すなわち日程を変更されることを私は動議として提出したい。さらにその日程をきめたところの昨日の理事会の決定は、もちろんこれは決定権がありませんから、これを認めることはできない。それから二回の委員会を認めることができない。そうして、諸君がこの問題を眞に超党派的な委員会として運営されたいならば、あらためて理事会を開き、お互いの間で十分話し合つて、さらに正式に委員会を招集されるように提案するのでありますこれが議事進行のゆえんであります。
#8
○鍛冶委員長 神山委員に一言お答えいたします。昨日の理事会に出ておらぬ党派があつたとはおつしやいますが、むりにみずから退席をして、そうして出ておらぬ党派があると言われても、これは通らぬと思いますから、どうぞ御了承を願います。
 なお今神山君が動議として出されたものなら、これを採決いたします。神山君の動議に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔「横暴だ」と呼ぶ者あり〕
#9
○鍛冶委員長 何で横暴なんだ。動議を採決するのに横暴だと言われてたまるか。(発言する者多し)もう一ぺん言います。神山君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成君起立〕
#10
○鍛冶委員長 起立少数。よつて否決せられました。
#11
○神山委員 委員長、議事進行…
#12
○鍛冶委員長 何の発言ですか。
#13
○神山委員 さつき許すと言つたじやないか。今委員長がわれわれに関連して言つたことについて、われわれ眞相をはつきりしておきたいのだ。
    〔発言する者多し〕
#14
○鍛冶委員長 それでは議事を進めます。まず七月中における委員会調査報告として皆さんのお手元に配付してある第四回委員会報告書を議題といたします。これを第四回委員会報告書として提出するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○鍛冶委員長 御異議ないものと認めます。それではさよう決定いたします。
 次にお諮りいたします。先日委員会において、日本製鋼所廣島製作所爭議事件につき委員派遣を行い現地調査をすることに決定いたしました十三名のほか、瑞木廣島市東警察署長及び日本製鋼廣島製作所労働組合執行委員伊藤不二夫君の両名を追加調査いたしたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○鍛冶委員長 御異議がなければさようとりはからいます。
 次に偽証告発の件を議題といたします。さきに本委員会に証人として出頭しました青柳正雄君、清野常雄君及び松江澄君の証言について速記録を調査した結果、青柳正雄君につきましては、主として八王子における闘爭委員会の席上委員会が紛糾し、一青年が立つて脅迫した事実があることが明瞭であるにもかかわらず、委員会の紛爭はなかつたそういう事実は委員会が済んだあとであつて、決してさようなものでないという証言をしておられますので、これは偽証の嫌疑濃厚なるものと考えるのであります。
 清野常雄君に至りましてはいろいろありますが、主たる要件は、平市の警察署が当日午後五時より十一時半まで全部爭議團によつて占領され、赤旗二流を立てて人民警察設立せりとまで豪語し、中へ入つてインターを歌つて赤旗を振つておつたにもかかわらず、さような事実はない、始終穏当であつた、ただ單に入るときの十分間と拘留所から拘留者を引出すときの十分間だけ少し騒いだだけだ、こういう証言をしおるのであります。これらはわれわれが未曽有の騒擾と考えておるにもかかわらず、これが平穏なるものであつたということが偽証の最も大きいものと考えるのであります。
 それから松江澄君の件につきましては、主たる問題は、廣島市における人民大会の後、市役所前廣場に押しかけまして、市長、警察局長および公安委員を群衆の前にひつぱり出して、これを全部包囲して、いわゆる人民裁判的の尋問を行い、遂にこれにげんこつをもつて暴力を加えた者がおるのであります。そのときの議長は松江澄君であります。その事実を知悉しておるにもかかわらず、終始平穏なるものであつて、任意に出られたものである、暴行の事実は認められなかつと言つております。その次は、賠償工場である廣島製作所へ入るときには必ず許可がなくては入られないのであります。その点を追求いたしますると、十三日も十四日も承認を得て門鑑を持つて入つたということを言つておるのであります。ところが、製作所は十四日の早朝工場閉鎖をしておるのでありまして、これを許したり門鑑を渡すべきはずはないのであります。しかるにかようなことを言つておることは明らかに偽証と考えますので、以上三君を告発したいと思うのであります。
#17
○神山委員 ただいまの委員長の見解に全面的に反対します。今委員長が出された問題について一人々々申し上げることはしませんが、本委員会における委員長の尋問そのものが非常に一方的であり、調査そのものが一方的である。その上に持つて來て、私が先ほど指摘したように速記録もまたできてない。そういうふうに事件を一方的に断定しようとしております。
 たとえば清野君の場合には、清野君自身が内部にいて、先ほど証言したように、自分として平穏に感じたということは、民自党の諸君があたかも平事件を暴動だというふうに一方的に言うのと対立的な意味にしかいつていない。こういうことがもし一々偽証になるのであつたら、逆に警察側の諸君その他が一方的に偽証しておることも事実であります。
 また松井君の証言を裏づけるものとして、上田警察局長その他も来て、また楠瀬知事にしても、自分が脅迫された覚えはないと言つている。圧力を感じたということと脅迫を受けたこととは同じでない。また議長は必ず暴行があつたことを確認し得る條件もない。從つてこういう問題について、まだ速記録もできない。現地調査もしない、他の証人の尋問も終らないときに、こういう一方的なことをやるのはけしからぬ。
 青柳君に至つても、この点は私よく事情を開いておるのでありますが、鈴木君が……(発言する者多く、聽取不能)……というのは一方的な官傳である。眞相は違う。こういうふうな問題を眞劔に調べようともせず、両方のことを聞こうともせず、また結論を出す以前において偽証であるということは一方的である。
 しかも委員長、先ほどあなたは、私が発言を求めたときに、後ほど発言をさせるとおつしやつたので、私はここまで聞いて來たのであります。あなたは、その点について私の発言を許さずに、すぐ次の問題に進んだ。こういうやり方が一方的だというのだ。民自党の議員諸君、特に高木君あたりが來て、テーブルをたたいて変なことを言えば、すぐそういうことになる。現に今また私の発言をこういう形で押し延ばしておるのではないか。私は先ほど、あなたが昨日の委員会に出たものがあるとかないとか言うので、その点について釈明したかつたのに、その機会を與えなかつた。昨日においても、私が常任理事会に言つたのは、まず十分に話合おうじやないか、話合いがついたら円満にやろうじやないか。それにもかかわらず、君たちは問題をあとにしろあとにしろと言つて押し延ばして、そのために並行的に事件を扱おうとしながら、諸君の扱い方が一方的だからこそ、私たちは遺憾ながら出られなかつたのであります。こういうようなことを考えずに、一方的に諸君は、われわれがその権限を放棄したような宣傳をしている。これは眞相に反している。
 それよりも私が強調したいのは、先ほどの動機の取扱いの場合に、あなた方がわれわれの提案した問題、すなわち日程変更ばかりでなく、その前提となつた八日及び五日の本委員会は成立しないということ、またきのうの理事会も成立たないということ、このことをなぜやろうとしないのか。この点について何ら聞くことなくして、一方的に押し切るということは、これは公平なものではない。しかもわれわれ発言をこういうふうな形で押し延ばしておいて、民自党ばかりできめたのではないか。こういう点については、われわれは絶対に反対する。さらにわれわれの発言に対して、こういう方法で系統的に妨害を加えて、さらに委員長自身がこういう一方的な運営をする限り、本委員会にはこれ以上臨むことはできない。從つて、將來におけるわれわれの態度は、これを…(発言する者多く、聽取不能)…こういう一方的な考査特別委員会の今日の会場からわれわれは退場する。
#18
○石田(一)委員 私は國会に召喚された証人のいわゆる偽証罪というものの案文を立案しました当時、不肖本員もこれに参画したものであります。この目的は、この委員会が眞実を探求しようとする場合に、偽証をもつてその眞実探求を妨害するという事実のあつたような場合、本委員会の権威を傷つけるものである、こういう観点からこれは立案されものであります。しかしながら、この條文の中に、偽証と認むべきものがあつたときには、この委員会は告発しなければならぬという告発の義務を持つておりますので、偽証の事実があつたら、告発しなければならぬ義務を持つている委員会が告発するのは当然でありますが、まだ案件が終末いわゆる委員長の議長に対する報告、あるいは國会に対する報告が全部終結していないときに、その前に、われわれ委員会が調査した事実がこういう事実であるという結論に到逹しない前に証人の証言が偽証であるということは速断ではないかという考えを持つのであります。そういうわけで、偽証罪で告発はもちろんこの委員会の義務としてなすべきでありますが、しかしそれは、それぞれの案件の結論が出て、報告が出される段階に至つたときに、ともにこの偽証罪の告発がなさるべきである、私はこういうふうに考えますので、私は反対するわけではありませんが、時期の問題について、まだ結論が出ない前から、いずれが偽証であるかということを判断することは早計であるという観点から、ただいまの偽証罪の告発については一應留保の形をとりたいと思うのであります。
#19
○石井委員 神山君が反対に立ち、石田君が留保したのでありますが、松井君並びに清野君の証言に対して偽証罪として告発するについて、私は一言申したいと思うのであります。御承知の通り、清野君は共産党のアカハタの記者である。そうして、あの事案全体は騒擾罪をもつて律せられている。アカハタという新聞は大体共産党の機関紙とし、その新聞の記者は最も活發な党として動いている。そこで本人が証言に立つときにおきましては、事案全体が騒擾罪というものに問われているときにおいて、アカハタの記者として活動したということは、騒擾罪の被疑者の一人と相なるべき一つ運命に置かれたような立場に立つている。そこで、本人が証言するときにおいて、その言辞において一般のわれわれ委員がが見ると、少しあいまいの言辞があつた、あるいははつきりしない言辞があるということは騒擾罪において被疑者として扱われる危檢性のある本人としてはあり得べきことである。そこでその者に対して宣誓をさせて、正しく事実をありままに述べさせるということについては、相当に大きな問題で、あるいは本人はあの場合に証言を拒絶するということもあろうと思いますが、あえて証言等を拒絶しないで、一應本人としては証言しようという立場に立つている。そこでそういうような立場に立つておつたときにおいて、やはり簡單に、この事実はあの当時の事情から見てはつきり答えておらぬ。入つたときと出たときは相当な騒ぎであつた、その他においては、それほど大した騒ぎでなかつたと言つたということを取上げて、ただちに偽証罪にしてやるということにつきましては、今後におきまして証人等が証言においていろいろと陣述する、そうして考査委員会が眞相をつかむということについて協力することを失わせるようなことになるのではなかろうかと考えるのであります。
 そこで石田委員も言つた通り、速記録もまだできておらぬ。また今後の証言というものをまつて最後の結論を得るという段階になつて來ている。こういうときにおいて、事実の火中にある人の証言があいまいであつたといつて、そうして続々とそれを偽証罪をもつてするということについては、むしろ委員会として十分に考慮して、その処置に出ないのが、委員会として今後まだ審査を続けて行く上において最も妥当な措置ではないかと思う。
 また松江君も同じことである。松江君も廣島の日鋼の組合長よりももつと重大な立場において、廣島縣労会議長であり、日鋼防衛共闘闘爭委員長である。この肩書からして、廣島事件の一番の中心人物であるということは、はつきりわかる。この人間に証言を求める場合において、自分が懲役に行くような、その事件における被疑者としてのつびきならないような証言を求めることに、もともと無理がある。しかしながら、本人がそれらの点について一應証人として出て來て、ある点の事件の外郭つかめる範囲において述べたことをもつて大体満足すべきで、それに対して若干自分の立場を考慮して、今後被疑者として、あるいはいろいろな苦しい立場になるのではないかというようなことを考慮して、証言において少し不明朗な点があつたとしても、これに対して偽証罪をもつて追究するということは、これは少し酷ではなかろうかと考えるのであります。われわれとしては、大体清野君の立場はアカハタ記者であるアカハタというものがどういう立場にあるかということ、アカハタは共産党の運動の一番中心をなして動く、その記者というものは最も革命的な運動者ということになつておる。それで、あの事件が起つたにときは、アカハタの記者の立場というものは重大である。そういう立場の者が一應証言をしたときにおいては、それは自分が疑疑者になり、それが記録になるというはつきりした点の、ほんとうにすつきりした証言はできないであらうし。ある程度までならば、あの立場の人間としては満足すべきところの証言ではなかつたかと私は考えておるわけであります。皆様としても、その点を十分考慮されまして、民自党としてはかような場合の証人に立つようなこともありますまいが、やはり立場々々において証人にもなる。そのとき、その言においてみずから自分が罪に服するような点については、言辞あいまいになるということも御考慮に入れて、偽証罪に付することについては十分の御檢討を加えられたいと思います。
#20
○石野委員 時間が非常に長くかかつておりますから、重複することは避けて、私は今までの委員諸君の言われたことのほかに二つだけあげて反対するのであります。
 その一つは、考査特別委員会の方で去る四日の議院運営委員会に新しく國政調査の議案が提出されておる。十八日から、特にここで偽証罪として出されておる事件に関連する現地調査をすることになつておると記憶しております。私は、先ほど來言われておるように、この事件が速記録も、あるいはその他の資料も不十分な間に、こういう偽証罪の告発をこの委員会の権威において出すことは、はなはだ遺憾である。少くとも……
    〔「一度も出てないじやないか〕
と呼び、その他発言する者多し〕
#21
○鍛冶委員長 委員間の應酬はやめてください。
#22
○石野委員 とにかくこの問題は、十分な資料を持つていないということのゆえに反対いたします。
 なお、あとの第五回報告書の中にも問題があるのでありますが、報告書の内容を見ても、一方的な立場が非常にはつきり出ておる。偽証罪とされている証人に該当しておる諸君の立場を非常に不利に陥れるような立場で報告がなされておるように私には読みとれる。そのゆえに、以上二つの理由から私は偽証罪の告発に対して反対するものであります。
#23
○小玉委員 私はこの三君を偽証罪として告発することに賛成をいたします。告発するについての理由というものは、先ほど委員長が御説明になりましたが、それで盡きておると考えるのでありますから、さらに告発すべしというところの理由の説明は詳しくはいたしません。ただ、反対ないし留保せられる委員の御意見がありましたから、その御意見について少し私の考えておることを申し述べたいと存じます。
 まず石田委員のお話ですが、これは全部の調べが終つて、そして結論が出てから後にしかるべくやるべきではないかという御意見でありますけれども、ここに一人の暴行をしたという証人がある。ところが、暴行しないという証人がおる。ないしは平穏でなかつたという証人がおる。また平穏であつたとい証人が出て來ておる。これはいずれが信偽かということは、委員会できめなければ事実を判断することはできないわけであります。これが考査委員会の調査が全部終了して、それでなければ右か左かわからぬというなら、それはその後に決定するのが妥当でありましようけれども、問題はすでに右か左か、白か黒かという問題に相なつておるわけであります。われわれは速記録がかりにできなくても、われわれが今日ここで証人の尋問をし、應答をし、十分にわかつておる。われわれの頭でこれが偽証であるかないかということは、連日委員がここに出て、頭でわかつておる問題でありますから、かりに今日この議事録が完成していないということがあつたといたしましても、これを偽証罪として告発するのに何ら足らざるものなしと私はかように考えるわけであります。
 なお石井委員のお説でありますが、これは同情論に相なるかと思うのでありまして、しかも宣誓をして証人が証言をすることを彼が賛成しておる以上は、やはりそこに偽証があれば告発をして、その黒白を明らかにすることが、かえつて考査委員会の権威を高からしむるものではないかと思うのでありまして、そこに証人の偽証があり、偽証の嫌疑があるということをわれわれが認めておるならば、しかも少しかわいそうだから延ばしてやろう、手心を加えてやろうというようなことになつては、それこそまさにこの委員会の権威を私は害するものと、かように考えるものであります。
 さような意味合いにおきまして、私といたしましては、速やかにこの三君を本委員会の権威のもとに、また將來さような偽証をなからしむる一般警戒のためからいたしましても、速やかに三君を告発されるうに本委員会で議決せられんことを希望するものであります。
#24
○鍛冶委員長 それでは採決いたします。証人青柳正雄君、清野常雄君及び松江澄の三君は偽証の嫌疑濃厚なりと認め告発するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#25
○鍛冶委員長 起立多数。よつて証人青柳正雄君、清野常雄君及び松江澄君の三君は偽証の疑いあるものとして告発するに決しました。なお告発状の案文については委員長に御一任を願います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○鍛冶委員長 最後に、皆様のお手元に配付してあります第五回報告書案についてお諮りいたします。これは國鉄中央委員会熱海決議事件、國電スト問題、日鋼廣島製作所爭議事件、平市をめぐる騒擾事件ついての中間報告であります。本報告書を委員会の報告書として提出することに御異議ありませんか。
#27
○石野委員 この第五回の特別報告書に対しましては反対します。その理由は、これらの事件の取上げられ方は、被告扱い的な立場から取上げられている。ことに國鉄の問題等については、その第六項が違法行為であるというが、どこを突けば違法行為であるかということ、これはまだ十分に檢討さるべき多くのものを持つておるし、われわれとしては、この決議の仕方に対しては、國鉄の労組全体としてこれに賛成をして、ああいう決議が出たものと見ておる。ことにこの問題の報告書の中には、民同派の諸君がこれに反対したのだということが書いてある。けれども、熱海の決議の採決の行われた数の上では、民同派が賛成したのか、あるいは反対したのかわからないような数の形態において決がとられておる事実から見ても、こういうような報告を今ここで取上ぐべきでないと考えております。
 また日鋼事件にいたしましても、平事件にいたしましても、これらの問題は、こういうような報告の仕方をされるべき段階に行つておるとわれわれは思つておりません。この中間報告の出し方は、事件というものが一方的に、ただ被告的な扱いだけの報告にしてはいけないのであつて、事件が起る場合には相手が必ずある。國鉄の場合でも、平の場合でも、あるいは日鋼の場合におきましても、すべて相手がある仕事であるのでありますが、これはただ労組側の問題だけを報告されておる。もちろん今後において、これに関連して相手方である当局、あるいは経営者の側の問題を別に報告されるというなら、これはまた別問題でありますけれども、そんなことはあり得るはずはないのであつて、私はこういうふうに一方的に被告扱い的な立場から報告することについては全面的に反対するものであります。
#28
○石井委員 この報告の中の最後の結論の第五の二でありますが、これは私としては反対せざるを得ないのであります。御承知の通り、ドツジ・ラインの線に沿い、民自党吉田内閣においていろいろな問題を取上げていることは事実である。しかしながら、失業問題が起き、あるいはいろいろな問題が起きると、ドツジ・ラインの遂行であるからこれに対して反対をすべきでないという観点に立つことは、根本的に間違いである。御承知の通り、失業問題を処理して行きながら、いかに日本の企業整備をなすかが、日本の政治の一番重大な問題である。ところで、失業者の出るのはドツジ・ラインのせいであり、それで騒ぐのは共産党のせいである、吉田内閣がドツジ・ラインをまじめにやつているのを責めるのは何でも悪いのだ、そういうような考え方に出るのは、ちようど共産党が、悪いことは何でも民自党のせいだ、吉田内閣のせいだと言うのと同じで、いろいろ騒ぎが起つたり、悪いことができるのは共産党のせいだと、お互いにこういう行き方になるので、これは民主政治としてはなはだ不法な結論ではないかと思う。今石野君も言つた通り、いろいろな問題について相容れない、あるいは闘うべきだということを共産党が言うが、しかしながら共産党の神山君なんかに食いつかれたからといつて、ただちに打つて響くがごとく反應して行くということは、大政党としてとらざるところであると思います。やはり民自党としては、大政党の立場に立つて、自分の足らざる点は是正するようにしなければならない。痛いことを言い出すと騒ぎを大きくするのは共産党と民自党の常であつて……
    〔発言する者多し]
#29
○鍛冶委員長 靜粛々々。
#30
○石井委員 これははつきりとわかる通りに、お互いに独善になろうという傾向が日本の情勢にはある。穏当な言辞を言うと……(発言する者あり)共産党も、ある意味においてはファッショ的であり、民自党もこれに呼應するがごとくに、ただちにそういう傾向を現すことは、はなはだよろしくないと思うのであります。
 そこで、今度のこれらの結論は急いで出すべきものではなく、特に第五の第二点のごときは、まことに不穏当な言である。共産党に籍にして責任をのがれるというむしろこれは企業整理ということが不穏当であるためにストライキができる、これは吉田内閣の措置よろしきを得ない、措置よろしきを得た点もあるが、こうはつきり出すべきである。そういうような点をたださずに、はなはだ早急な結論を出したことについて、報告書の第五については反対せざるを得ないのを遺憾と思います。
#31
○吉武委員 去る七月一日から本考査委員会におきまして取上げました國電スト、それから平騒擾事件及び廣島日鋼事件は、いずれもかつてなき暴力不法行為でございまして、日本の再建に重大なる悪影響を及ぼすばかりでなしに、民主政治確立のために徹底的に調査をいたしまして、その根源を絶たなければならないところの重大事件であつたのであります。
 まず第一に取上げられましたる熱海の違法決議でございますが、本報告書にもありますごとく、この決議に関しては、実力行使は正当防衛である、從つて法律を侵すもやむを得ないと言つております。國会が民主的によつて決定したるところの法律を、暴力、不法によつて打ち破ろうとするがごときは、議会政治を否認し、暴力による政治権力の獲得を意図することでなくして何でございましよう。また國電ストの端緒が新交番制を一日わずか十分程度延長したにもかかわらず、これを從來の八時間制が十時間制に延長されたがごときデマと虚偽の宣傳をいたし、また新交番制は馘首の前提だ、かようなデマを飛ばしておりまして、共産党員の謀略的煽動によるものでございます。
 さらに平騒擾事件に、單なる警察署が占拠されたという問題ではございませんで、署長初め警察官に幾多の暴行を加えている。警察署には十数箇所にわたつて石を投げ、ガラスをこわしている。その上に留置場を破つて、中に檢東されているところの共産党員を奪い出して、かわりに警察官から拳銃を奪つて、警察官を押込めたという、今までに見られざる暴力沙汰でございます。このことの発端は、一つの掲示板の移轉問題であつたのでありますが、これも個人名義で許可したものが、後に共産党の宣傳に用いられ、交通に著しい障害を及ぼすために、警察署としてはその移轉を勧めたのであります。しかるに、それが不服であるからといつて、突如多数を集めて押かけ、暴力によつて警察に乱入し、警察署を占拠するということは、今日の憲法治下において断じて許されざるところでございます。これこそ意識的な、計画的な戦術といわないで何でございましよう。これが計画的に行われましたその証拠は、数日にわたつて証人から聞いたところでも明らかですし、同じく三十日に福島の縣廳を襲つている。また同じく若松、郡山にも同様に共産党及びその友誼國体が押かけで行つております。また明らかなことは、仙台駅から應援に來ようとした警察官を仙台駅で食い止めようといたしたる事実等を見ましても、それがいかに計画的に行われたかということを実証するものでございます。これらの問題は、單なる一福島縣下の地方的な問題ではなくして、時を同じくいたしまして國電ストといい、あるいは廣島日鋼事件といい、これらを総合的檢討いたしますならば、その背後におどる重大なる陰謀を察知せざるを得ないのであります。しかもこれらの事件は、本委員会の報告書でも明らかなことく、いずれも共産党員が指導している。今回のこれらの事件を、共産党の人人は吉田内閣の経済政策が元であるといつております。しかしながら、今日経済安定の九原則を実施する責任にある政府として、この九原則の実施の目的は、一にかかつて日本経済の再建にあることは、いまさら言うまでもございません。終戦以來三年の間の水ぶくれの経済、竹馬の経済を一刻も早く請算し、インフレを收束するために、國家財政の均衡をはかり、歳入の合理化をはかつて、もつて自律ある経済に建直さなければ、日本は永久に再建することはできないのであります。かくのごとき政策に、かりに反対の意見があるといたしましても、これは國民の輿論に訴え、民主的な方法によつてこれを決すべきであるにもかかわらず、一部少数の者が暴力によつてこれを主張せんとするごときは明らかに暴力革命の前提であり、断じてわれわれはこれを黙過することはできないのであります。
 これらの事件にかんがみまして、私は去る七月四日マッカーサー元帥が声明されましたことを思い起さざるを得ません。すなわちこう言つておられます。「政治治権力の行使による私有財産並びに個人利益の廃止を通じ資本主義経営に基く経済制度の打倒主張した極端なマルクス的社会主義の学説から由來する共産主義は、運動を実践するに必要な政治的権力を正常な平和的または立憲的過程によつて信來者逹が獲得できないことを早くさとつたのである。なぜならば、人類の本來の良識はマルクス主義の平和な円満な普及に対し有効な防塞となつたからである。この防塞を打破するために、政権を獲得する手段として暗殺及び暴力で現存政府の破壊を試みた虚無主義として知られたテロ的概念との合同が窮極的に行われた。しかしながら、現在唱えられている共産主義は政治的学説または経済的学説にも基くものではなく、またこれらの学説の眞面目な眞似事にも基かないものである。立憲的手続の下に支配している多数派のものから政権を、窃盗により、また浸透、欺瞞により少数派のものが奪いとることができるための暴力及び脅迫の手段として共産主義に出現したのである。」「共産主義は混乱、不安及び暴力を廣めることにより秩序だつた社会の團結および力を破壊しようとするために、社会のこれらの変態的分子を一つの組織だつた規律ある有力な力に鍛合するのである。人類の中で共産主義の犠牲になつたものに対しては、最後に奴隷にするほか何ものも與えない共産主義は、かくして眞の哲学的基礎を持たない國家的及び國際的民件剥奪運動として出現したのである。共産主義が成功するためには、破壊しなければならない諸自由のタテの影で、その背信的目的を前進し続けていることは、この時代の矛盾の一つであり、かかる運動に対し法律の効力、是認及び保護を今後與えるべきや否やの問題を提起する」といつておられるのであります。まことに至言であるといわなければなりません。
 本日提案されました中間報告及びわれわれが数日にわたつて取調べました結果を総合して見ましても、今回の諸事件はいずれも共産党員によつて指導されている。これらの事件がいずれも六月前後の時期に集約的に行われている。そして、その手口が人民裁判のやり方といい、あるいはまたサイレントを使つて外郭友誼團体を動員している点、あるいはまた縣廳、あるいは警察署といつたような権力闘爭へ発展さして行く点を総合勘案いたしまするならば、これこそ明らかに吉田内閣の打倒に結ばれ、またおのが欲する政権獲得のためにいどむという感じを多分に表明し、まことに露骨に現わしておるということができるのであります。暴力に訴えて政治の変革を意図する、こうした一部の團体に対しては、民主政治の共通の敵として断固これを排撃し、かくのごとき非合法團体に対しては断固たる処置を講じなければならないと信ずるものであります。
 本報告書において結論として出されましたことく、「以上を総合すれば、個個の労働爭議においては労働者側にも種々の理由があり、言い分もあるものと認められるが、それかといつて、これをきつかけとして暴力行為に出ることは許さるべきではない。しかるに共産党等の唱える人民政府樹立に向つて進行しつつある暴力革命の前哨たる感を深くするものがあつたことは重大関心事といわなければならない。」と結んでありまする点は、われわれのまつたく同感とするものでございまして、本報告書に対しては私ども賛成いたす次第であります。(拍手)
#32
○石田(一)委員 この際私は一言希望を申し述べさしていただきます。それからもう一つ修正したいところがあるのであります。それは、この報告書の第五の三、「警察力について一言すれば、人員並びに装備にはなはだしき不備が認められ、これがため今日の警察力は敍上のごとき場合における治安を維持するに欠くるところ大なりと察知される。」とこうあるが、これはある権威ある証人の言によりますと、國家警察ならば、警官が負傷した場合などに相当の手当がもらえるが、地方自治体警察においては、そういう手当とか、あるいは公傷の場合等の手当というものが支給規則かないので、やつてもつまらないという考え方で、相当しり込みした点も考えられるということを、はつきり証言しておるのであります。私たちは、この委員会において、もちろんこうした暴動、騒擾的な行為を出したそのものについての追究ももちろん重大なことではありますが、しかもこれらのものが起きたときに、身は治安の維持に当るべき署長初め警察官がけがをしたときに、國家警察の方ではけがの治療をもらえるが、地方自治体警察ではそういうものがないのだからということで、こうした事件を大ならしめたということが、また一つの原因ではないことはないと私は考えるのであります。そういう点からも、私は、今後かかる事件を現地においてまた調査なさいましたとき等において、十分こうした点に関して調査の上、警察側の一部の者の行為、治安を確保するだけの意思がなかつた、責任を果さなかつた警察のいわゆる責任の追及というような問題も、この委員会が取上げるべきであると、私はこう思うのであります。ぜひ今後そういうふうにやつていただきたいと希望いたします。
 それから、ただいまの問題のもう一つ前の二、本件のごとき事件は、発生の原因を吉田内閣の政策行き詰りがその根本をなしておるがごとき意見云云、という言葉がありますが、これは少くとも、本委員会の過半数を民主自由党、すなわち吉田内閣の與党で占めていらつしやる委員が、多数でこのことを麗々しく委員長報告としてお書きになることは、少し行きすぎではないか。この辺にぜひ民主自由党の委員諸君で御相談の結果、もう少し何とかやわらかく書くとか、削除してしまうとか、そういう方法をおとりになつた方が、この委員会が民主自由党の與党の地位に置かされているというたまたま世間の風評をも打ち消す一つの大きな原因になりはしないかと考えますので、ぜひ、この二の件だけは何とか案文をかえるとか、あるいは自画自讃という形をおとりにならない方がいいのじやないかと思います。これはぜひ御考慮願いたいと思います。
#33
○鍛冶委員長 ただいまの石田君の発言は、希望意見としてこれを承つておくことにいたします。
 それでは採決いたします。本報告書を委員会の報告書として提出するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#34
○鍛冶委員長 起立多数。よつて本報告書を第五回報告書として提出するに決しました。なお字句の整理等につきましては委員長に御一任を願います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○鍛冶委員長 それでは本日はこれで散会いたします。
    午後二時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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