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1949/05/06 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会文部委員会連合審査会 第1号
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1949/05/06 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 内閣委員会文部委員会連合審査会 第1号

#1
第005回国会 内閣委員会文部委員会連合審査会 第1号
昭和二十四年五月六日(金曜日)
    午前十一時十六分開議
 出席委員
  内閣委員会
   委員長 齋藤 隆夫君
   理事 青木  正君 理事 池田正之輔君
   理事 小川原政信君 理事 有田 喜一君
   理事 木村  榮君
      江花  靜君    尾関 義一君
      根本龍太郎君    北村徳太郎君
      小林 信一君    山口 武秀君
      佐竹 晴記君
  文部委員会
   委員長 原   彪君
   理事 水谷  昇君 理事 松本 七郎君
   理事 今野 武雄君 理事 長野 長廣君
      淺香 忠雄君    岡延右エ門君
      甲木  保君    高木  章君
      若林 義孝君    森戸 辰男君
      渡部 義通君    船田 享二君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
 出席政府委員
        文部政務次官  柏原 義則君
 委員外の出席者
        文 部 次 官 伊藤日出登君
        專  門  員 龜卦川 浩君
        專  門  員 小關 紹夫君
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 文部省設置法案(内閣提出第八七号)
    ―――――――――――――
#2
○齋藤委員長 それではこれより会議を開きます。
 本日は文部省の設置法案につきまして、内閣委員会と文部委員会との連合審査会であります。内閣委員長であります私が委員長の職務を行います。まず政府の提案理由の説明を求めて、続いて質疑を行いたいと思いまするが、質疑は通告順によつてこれを許すことにいたしますから、あらかじめ御通告くださるように願います。まず政府の提案理由の説明を求めます。文部大臣。
#3
○高瀬國務大臣 ただいま議題となりました文部省設置法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 先般政府の行政機構刷新の方針が確立されまして、それに即應して文部省の機構を簡素化するということ、戰後の教育の民主化を推進するにふさわしい中央教育行政機構を設ける必要から、今回この文部省設置法案を立案いたした次第であります。
 御承知の通り文部省の機構改革の根本方針は、從來の中央集権的監督行政的の色彩を一新いたしまして、教育、学術、文化のあらゆる面について指導助言を與え、またこれを助長育成する機関たらしめるという点にあるのであります。
 次に機構改革の大要を申し上げますと、從來の官房、学校教育局、社会教育局、科学教育局、体育局、教科書局、調査局及び教育施設局の一官房七局を、今度は官房、初等中等教育局、大学学術局、社会教育局、調査普及局及び教育施設部を含む管理局の一官房と五局一部といたした次第であります。
 初等中等教育局は、高等学校以下の学校の教育を所掌し、なお現在の教科書局所管の教科書の編修、改訂事務、体育局所管の保健衞生事務、科学教育局所管の科学教育事務などを含ましめることにいたしました。
 大学学術局は、現在の学校教育局の大学教育の面と、科学教育局の研究事務を所掌することになりましたが、これは文部省で所掌いたします学術に関する事務は、基礎科学の研究とその應用の研究でありますので、主として大学及び研究機関に関連いたします関係上、一局に一元化いたしたわけであります。
 社会教育局は、大体におきまして現在通りでありますが、体育局の運動競技関係事務がこれに加わり、著作権関係事務が管理局に移つたこと等が異なつております。
 調査普及局は、新しい文部省に極度に必要とされる調査研究及び統計調査のほか、文部省の各種出版物等の利用による文教政策の普及を行うことといたしたほか、國語の調査研究及びその結果の普及をもあわせ行うことといたしました。
 管理局は、文部省の管理的行政事務を、内容面の指導をする部局から分離して一元化するために設けたものであります。さらに現在の教育施設局を部としてこれに合体せしめました。なお、現在の体育局及び教育書局の所掌事務の重要なることはもちろんでありますが、対象別による内容的指導面の一元化のため、及び指導と管理を甄別するためそれぞれの局に分属せしめた次第であります。
 次に所轄機関でありますが、國立の学校は、その特殊性によりまして、別途に國立学校設置法案として提出いたしたいと存じております。その他の國立博物館以下八機関につきましては、大体において從來通りとして必要な規定を設けておりますが、ただ國立博物館以下五機関につきましては、その民主的運営をはかるため、助言機関としてそれぞれ評議員会を設けることといたしました。
 さらに地方支分部局としまして、現在の文部省教育施設局出張所を文部省施設出張所と改称して現在通り設けることにいたしております。なお新しい教育行政の過渡的段階として文部省に属する事務等が若干ありますので、それに必要な経過的規定を附則に設けた次第であります。
 以上が今回の文部省機構改革の大要であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
#4
○齋藤委員長 これより質疑に入ります。森戸辰男君。
#5
○森戸委員 新しい日本の建設が、文化國家をめざしておりますることは、すでに國民一般の確信いたしておるところでありますが、かような文化國家の建設において、文教行政をつかさどりまする文部省の機構は、非常に重要性を帶びておるものと存ずるのであります。ただいま大臣から機構改革の要点を拜聽いたしたのでありますが、私は以下五点につきまして、関係当局のはつきりした御意思を承りたいと思うのであります。
 第一点は、私どもこのたびの文部省設置法案を拜見いたしまして、根本的にはなはだけげんにたえないのは、在來しばしば文部省は解体すべし、あるいは廃止すべしというような文部省無用論が一部の人に唱えられておつたのであります。その理由とするところは、文部省は教育省であつて、地方の教育委員会、あるいは予想される大学法、あるいは大学行政法ができますれば、その任務はそれぞれの地方または自治的な組織に移つて行くし、また科学行政はむしろ内閣にこれを移し、文化についてはノウタッチで行くべきであるとすれど、文部省の必要はないではないかというのであります。かような意見は、私は日本の現在にとつて非常に間違つたものであると思うのでありますが、ことに文部行政の責任の衝に当つておる大臣はいかにお考えになつておるであろうか。私の考えによれば、先ほども申しましたように、文化國家を目ざす日本といたしましては、特に文教行政は重要視されなければならぬ。ことに軍國主義を否定した日本といたしましては、將來の國家は文化と福利という面に特別の重点が置かるべきであると考えるのでありまするし、また外國の例といたしましても、文教の行政官廳のない國は、ほとんど一つもないと申してよいのであります。かような國内的國際的の情勢のもとにおいて、文部省無用論あるいは廃止論というものは、まつたく大勢に逆行するものであるとわれわれは信じておるのでありますが、これについて当局はいかにお考えになつておるか、この点をまず承りたいのであります。
#6
○高瀬國務大臣 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 御質問にありましたように、地方教育委員会ができて教育が分化され、また大学につきましては、大学法等によりまして自治運営が行われ、また御承知のような学術会議ができまして、科学方面の行政には重要な発言権を持つというようなことになりましたし、その他の文化方面は放任せられるというようなところから、文部省はもうなくなつてもよいというような議論がありましたことは私も承知いたしております。しかし私の考えでは、そういう見解は実は非常に外面的な皮相な見解ではないかと考えております。その後そういう見解がありましたにもかかわらず、文部省はやはりわが國の文教行政の中心機構としてぜひ必要であるということになつて、文部解消論も解消したようなわけであります。お話にありましたように、私はたとい地方に教育委員会ができまして、一面において教育のディセントラリゼーションが実行され、大学におきまして民生的運営の方法として自治組織ができるといたしましても、やはりわが國全体の教育を育成して行く、またそれについて必要な助言を與えて行くというような立場から、文部省というものはどうしても必要がある、こう考えております。それから文化につきましてノー・タッチというような意見もあつたわけでありますけれども、見方によれば教育も学術も文化でありましよう。もつと廣くそれ以外の面につきまして、藝術、宗教その他文化一般につきましても、やはり精神に関する行政の問題といたしまして、文部省としてはぜひとも重要な場面としてこれの育成を考え、必要な助言をして行かなれればならぬと私は考えております。幸いにして日本の一般の輿論も大体そういう方向になつて來ておるのではないかと考えております。ただいま御質問にありましたような趣旨で、今後日本を文化國家として建設するにつきましては、文部省は非常に重大な機能を果さなれればならないという点では、まつたく同感であります。
#7
○森戸委員 今大臣の御答弁ではなはだ心強く思うのでありますが、なおそういう見解もないとは限りませんし、ことに日本が文化國家を目ざす以上は、文部当局は強い権信をもつてその主張を貫徹することに御努力願いたいと思うのであります。
 次に文部行政の一つの重点は教育でございます。教育の民主化が教育刷新の基本の方向であることは、すでに明らかになつたのであります。このことは、すでに教育委員会法で教育が地方分権化されたということにおいて一大進歩をなしておりますし、なお立案されておるという大学行政法におきましてもそういう方向に進むのでありまして、教育行政において民主化が進められていることは、まことに喜ばしいことであり、從來のいわゆる官僚主義的な集中行政という非難をしばしばされておりました状況がもしありといたしますれば、これが一掃されることは、まことに教育民主化の精神に沿うものであると私は非常に喜んでおるのであります。同時に私ども社会党におきまして、ことに國会でこれらの法案を通し、教育の行政が実際に行われております場合には、民主化は一面では自由と自治ということを強調いたしますとともに、責任が明らかでなければならない。責任の明らかでない民主政治はないと思うのであります。こういう点で、たとえば教育委員会が実施されまして教育委員会が諸地方にできたのであります。ことに義務教育の面では國庫の補助があり、またこの教育委員会法の制定にわれわれが関係しております関係上、これらの義務教育がいかに行われているかということについては重大な責任がありますし、またこれを担当する責任者について責任をただす必要もあると思うのであります。そして現に教育委員会の管轄にある地方教育行政においては、幾多の問題が起つているのであります。ところで一体この場合、どこにわれわれはその責任を問うてよいか、はなはだ不明なんであります。文部大臣にお尋ねいたしましても、それは直接自分の責任ではないということになると思うのであります。これでは、ことに法案を通過し、補助の予算を通過した國会といたしましては十分な責任が果せないことになる。また大学法の問題についても、大学の自治が認められて文部大臣の管轄の外になりますと、個々の大学に問うよりほか道がないことになります。こういう点について、日本の教育の民主化とともに、教育の責任と教育の統一的な方向を確保して行くについて、このたびの機構改革は、そういう点についてどういうふうな御配慮になつているかという点について伺いたいと思うのであります。
#8
○高瀬國務大臣 お答えをいたします。ただいまの御質問の要旨は、新しい日本の教育体制によりまして、教育の分権化、民主化が徹底的に実施されることになりましたにつきまして、文部省としての責任が非常に漠然となるというようなところから來ておるのではないかと私は解釈いたしました。実際教育委員会法ができまして、地方教育行政については直接担当が教育委員会によつて実行されております。そうしてそれが今までよりも非常に自主的なものになつております関係から、直接の地方教育行政につきましては教育委員会が当つて、責任を負つておるということになると思います。しかしこの新しい設置法の第四條に、文部省が責任を負つて遂行すべきことがいろいろと書いてあります。教育委員会、大学、研究機関などにつきまして、やはり指導と助言を與えるというようなこと、また民主教育の体系を確立いたしますための最低の基準に関する法令案、その他教育の向上、普及に関する必要な法令案をつくるというようなこと、また教育のための予算案をつくる、國庫支出金の割当、配分を行う、こういうようなことが書いてございますが、つまりこんなふうにわが國会全体としての大学教育及び地方教育等につきまして、やはり全般的に考えて指導をし、助言をしなくてはならぬ。こういうような面がどうしても分散化されたあとで残る部分があるわけでありまして、これは文部省がやらなければなりません。それから法令案をつくるとか、予算をどうするということになりますと、これは國会等の関係になりますので、これらの点につきましては、やはり文部省が直接國会に対して責任を負わなければならないと私は考えております。そういうような意味におきまして、たとい民主化、分権化が徹底いたしましても、文部省としてはわが國の教育、文教行政の上におきまして、非常に重大な責任があると考えております。
#9
○森戸委員 ただいまの御答弁で、大体教育が地方に分権し、あるいは自治化しても、文部省としては法令の制定あるいは予算の確保等でこれらに関しての強い保護育成というものをつかさどるということは、まことにその通りであります。ただ問題は、現在地方行政が運営されているそのことに対する責任の問題は、個々の委員会にわれわれが一々問うのであるという点に、あるいはこれからできます大学においてもそういう問題がありますので、この点についてはさらに御考慮を願いたいと思うのであります。ことに大学自治法あるいは行政法ができます場合にも、そういう点が十分考慮さるべきではないかとわれわれは考えておるのであります。これは第二の点でありますが、第三の点といたしまして、教育とともに文教の重要な領域は科学であります。ことに日本再建において自然科学、社会科学、文化科学を含めての科学の占める位置というものはきわめて重要でございまして、科学行政の適否ということが日本の再建に重大な影響を及ぼすことは、つとに当局でも御承知の通りであろうと思います。そこで問題は、科学行政が統一的に行われ、その責任の帰属が明らかになるということも、またこの意味において大事であると思うのであります。この点におきまして、日本の科学者の民主的な集まりといたしまして、日本の科学政策について諮問に應じ、勧告するという日本学術会議ができたことは、日本の科学政策の民主化において一大進歩をなしたものと、はなはだ慶賀にたえないのであります。同時にこれに関連いたしまして、内閣に科学技術行政に関する機構のできたことも、はなはだ適当であると思うのであります。この機関ができますとともに、文部省は從來科学行政を重要なその管轄領域として來たのでございますが、この点についてこの日本学術会議と、それを基礎に置く科学行政機構、文部省の大学学術局というものとの関連はどういうふうになるのであるか、科学政策の統一ということがはたしてどういう形になるのか。この二つの建前が、これを二元化するようなことになる危險はないか。この点について、文部省としてのはつきりした御答弁をお聞きしたいと思います。
#10
○高瀬國務大臣 日本学術会議ができましたし、またそれと関連いたしまして科学技術行政協議会というものができたにつきまして、科学行政に関する統一がはなはだ欠けて來ているのではないか、こういうような御質問だと思うのでありますが、日本学術会議は行政面には全然タッチしないという建前でやつておられまして、科学の振興についての必要な事柄について、諮問に應じたり、意見を述べて勧告したりするという機関になつております。ですから、科学行政の面に触れるもう一つ前の段階になつておるかと思うのであります。それで学術会議できまりましたようなことを、あるいは諮問によつてこたえられたようなことを行政面に移そうという場合に、科学技術行政協議会というのが間に立つて、これにタッチして行く。こういう組織になつておると思いますから、文部省の方と行政面で関係が直接深くなりますのは科学技術行政協議会であろうと思います。この科学技術行政協議会の方は、御承知のように文部省の方だけでなく、官廳各方面の代表が入りまして、各官廳の行政に科学を浸透させよう、こういうことになつております。そこで文部省には、今までは科学教育局がありましたし、今度は学術局というようなものがありまして、やはりある面ではそれと並行するようなこともやることにはなつておりますけれども、文部省は元來が他の省と違いまして、研究機関についての行政を今までもやつており、これからもやつて行きます関係から、特に深い関係がございます。しかし科学技術行政協議会の方は、大体文部省でもつて所掌しております研究機関、あるいは基礎的な研究という方面よりも、むしろ科学を行政面に浸透させることが目的でありますから、その点で文部省のやります科学行政の方面と、科学技術行政協議会が目的といたします行政面とは、相当の違いがあると私は考えております。むろん関係のないことはございません。学術会議は一般的に科学を行政面に浸透させるのに必要な方面の決議をされ、それが科学技術行政協議会に現われて参りますから、文部省の仕事にも関係がございますけれども、それはもつと廣く一般的に各省に関係のある行政についての問題、文部省としてはその仕事の性質から申しまして、ただ行政面に科学を浸透させるというようなことではなくて、もつと基礎的な科学の研究等に力を入れて、その方面の振興を特にはかつておるという点で違いがあると私は考えておるのであります。
#11
○森戸委員 ただいまのお話で両者の連絡、分野というものはほぼわかつたのでございますが、なお科学の基本的な政策というものについてはどこが担当するのであるか。日本の科学行政の最高責任者はどこにあるかということは、まだはつきりと承つてないような氣がするのであります。この点につきましては、さらに科学行政が大事であり、これを統一的に行つて行く責任者はどこであるか。内閣に科学技術行政協議会ができたとすれば、学術会議の勧告や諮問に應じてやるその責任者は総理大臣であるのか。また一面大学学術局で基礎科学及び應用の文教政策を立てて行くという建前の文部省がある。この関係はどういうふうになるのであるかという点が、まだ少しはつきりしないような氣がいたすのであります。その点はさらに御考慮願いたいと思うのでありますが、第四の問題は、局といたしまして、第一は初等中等教育局、第二は大学学術局、第三は社会教育局となつておるのであります。文教の中心の分野は、教育と学問と文化であると考えていいのではないかとわれわれは考えておるのであります。学術の面は、大学とあわせて教育学術局となつて、第三の局はむしろ文化というような名前で文化の保護育成、大衆への浸透ということを明らかにするのが適当ではないかと思うのであります。もちろん社会教育ということも重視されなければなりませんけれども、これは文化の國民大衆への浸透の方向で、一つの道であると思うので、科学教育局が大学学術局となつたそれと同じ平行の線で、いわば社会教育局というものがその持つておりまする分野の中心的な任務を明らかにして、たとえば文化局というような名称を持つことが適当なのではないか。教育刷新委員会でも、文部省の名前が問題になつたときに、文化省というような名前も考えられたように、今日の、ことに日本が文化國家ということを表明いたしておりますることから考えても、日本の現状では、文化ということに非常に重きを置いておるのではないかと私は考えておるのであります。從つて社会教育局という名称よりは文化局ということで、ことに日本の民族、國民的な文化というものが、法隆寺事件等非常に遺憾な状態にもなりますることは、文化を眞実に守り、これを育成し、これを一部の者の特権的な所有とせず、國民に浸透させるというようなことをはつきりとするような規則が設けられることが必要なのではないかとわれわれは考えるのであります。ことにそのことは決して社会教育を軽んずるのではなくして、社会教育に大きな背景を確立することになると私どもは考えておるのであります。ところがどうも、しばしば文化ということがそれほど重要視されているにもかかわらず、文化というような面を眞正面から取上げることを避けておるような形も見えるのであります。この点、私ども日本再建の方向といたしましては、文化ということを明瞭に出すということが適当なのではないか。ことに國際連合の機関といたしましても、ユネスコは教育、科学、文化ということを明らかに取上げておりまするので、そういう意味から言いましても、第一局が教育、第二局が学術科学、それから第三局は文化ということになつた方が、実は國際連合の考えておりまする文教の大きな線にも沿うのではないか。こういうふうに考えるのでありますし、また文化の擁護、育成という面にも力が入れられるのではないか。もちろんそういうことを言いましても、これが文化統制を行う、こういう意味では毛頭ないのであります。しかし文化ということの重要性を認めて、これを保護育成し、民衆に浸透させるという意味で文化局というような名前にし、その点に重点を置く方が、新しき文部省の機構改革においては適当なのではないかと考えますが、この点、大臣はいかがお考えでありますか。
#12
○高瀬國務大臣 教育、学術と並んで文化が非常に重要なものであり、文部行政についても一つの重要な仕事になるという点につきましての御意見につきましては、私もまつたく同感であります。そしてもしできるならばやはり文化局というようなものをつくつてやるということも、はなはだ望ましいことだと私も考えております。しかし文化ということについては、先ほどもお話がありましたように、実はその解釈につきましてかなりまだはつきり定義されない、不明の点というようなところもありますし、また機構上の整理というような問題もありまして、今回は社会教育局の中でこれを扱うことにきめたわけであります。それで社会教育局の中にこれを入れたということにつきましては、森戸さんのおつしやられましたように、文化に関する行政の非常に重要な面は、やはり文化の國民全体の水準を高めること、こういう点にあると思います。その点で文化を一般國民の中に浸透させて行く、社会的にこれを十分浸透させる、これが文化行政の一つの重要な点であろうと考えております。そういう意味で、社会教育といたしましては、むろん他の面もありますけれども、社会教育における一つの重要な点としてこれをこの中に入れまして、御説にありましたように、國民全体の文化的な水準を上げるため、國民全体に文化を浸透させるために、十分そこで文部省としては仕事をして行きたい、そういう考えで、社会教育局にこれを入れたような次第であります。
#13
○森戸委員 今の大臣のお答えでは、社会教育局におきましても、社会教育とともに文化を十分に保護育成することを常に考えておるということでありましたが、私はこの点は特に重点を置いていただきたいと思うのであります。新しき日本の建設は、新しき日本文化の建設なしには行われないのでありまして、この点では、古い尊い價値のある日本文化の擁護と、また世界の新しい文化の攝取との二面に私は特に力点を置いて、社会教育局の運営が行われることが妥当であると存じておるのであります。
 最後に私が大臣の御見解を承りたい点は、体育局がなくなつたという点であります。御承知のように、教育は昔から知育、徳育といわれております。体育は重要な教育の部門であると私は思いまするし、ことに敗戰後の日本の状況は、学徒の生活状態からも、厚生保健というような面が非常に重要性を帶びておることは、とくと文部当局の御存じのことと思うのであります。同時に他面日本再建の面から言いますと、耐乏ということが國民に常に要請されておりますけれども、同時に新しき國民に明るい面をも常に要請して行かなければならぬ。これはスポーツとか、レクリエーションとかいうものが、非常に大きな役割をなすのではないかと思います。そこで学校体育と社会体育、学校スポーツと民間スポーツというものの一体的な行政が行われて、一面学徒の今日の時代でくずれております保健厚生というものを守るとともに、明るい氣持で、健康なからだで日本の再建に邁進するような状況をつくることが必要であります。それには特に從來ややともすれば知的に偏重しがちな教育、この面の具体的な体育の行政が必要である。それには統一した体育局というものが必要ではないかと思います。もちろんこれは趣旨にもありますように、決して体育の必要を無視するのではなしに、その仕事は各局に分属されるということになつておるのでありまするが、しかしそれではこの目的が、特に現在の日本の学徒において、日本の青年において必要な行政がその焦点を失うことになるのではないかという心配が非常に強いのであります。その点につきましては、いろいろ誤解もありまして、体育というものは軍國主義の残影であるという考えもあるのでありますけれども、新しい日本の体育というものには、そういうものは一掃されておると私どもは確信しておりますので、そういうような理由で体育局を廃止することは、まつたく無意味だと思つております。こういう意味におきまして、体育を無視したのではないけれども、体育局を解体して、各局に分属させたということは、この大きな必要について十分顧慮されなかつたのではないかという心配が私もあると思います。そうしてそれがやむを得ないとすれば、一体どういう形で学徒の保健厚生並びに学生スポーツと民間スポーツとの間の連絡を確保して行き、從來体育局がした役割を果して行くかということについてのお考え、あるいは御計画はどういうところにあるかということを承りたいのであります。
#14
○高瀬國務大臣 お答えいたします。体育行政につきまして、それが非常に大事であり、ことに日本再建の立場から今日重要であるという点につきましては、まつたく御同感であります。それでただいまお話がありましたように、今回の設置法によりますと、今まで体育局というのに統一されておりました体育行政が、今度は各局に分散されて属するということになつておりまして、その点から、ただいま御質問にありましたような心配が出て來るのであろうと思います。それで強力に体育行政を推進して行くについては、やはり一局を設けて、統一のある行政をやらなければいけないのだというような御意見だつたと思います。確かにそういう点も考えられるのであります。一つの局にいたしまして、統一的にやつた方が、非常に有力な面も確かにあると思います。しかし一方から申しますと、各局が所管いたします体育の部分も、それぞれまたある意味で特殊性を持つております。小中学の部分、大学の部分、社会教育の部分、それぞれ内容について特殊性のあることも事実でありまして、その点で特殊性を生かして、その特殊性に徹底するような体育行政をやるという意味から申しますと、今度の設置法のように分属させる方がよい。こういう議論も出るかと思います。今度の設置法は、その点に重点を置いて分属させる、こういうことにいたしたわけであります。しかし分属することによつて、ただいま申し上げましたような長所が考えられると同時に、御質問にありましたような統一性を欠きまして、強力な推進ができないという欠陷も必ず出やすいものであります。ですから文部省といたしましては、機構では各局に分属するということにいたしましたが、お話にありましたような省内における統一連絡が欠けないようにいたしますと同時に、また一局になつておりませんと、外部の運動競技團体その他の体育團体との連絡も欠けやすいものになりますから、その連絡も考えなければならない。省内におきましては各部局間の連絡組織をぜひつくつて統一を保つて行きたいと考えておりますし、また外部との関係等につきましては、やはり連絡をいたしますような新たな組織をぜひつくりたい。そして御質問にありましたような連絡が欠けますために重要な体育行政に欠陷をもたらすことのないようにしたい、こう考えております。
#15
○森戸委員 私、以上御質問をいたしまして文部当局の御意見を聞いたのであります。根本的には文部省解消論というものが解消いたしまして、文教の機関として文部省の機構が新たに提案されたということについては、私はまことに御同慶にたえないと思うのでございます。そして文部当局も、また行政関係の方々も、また文部行政に関係のある委員の皆さんも、かように重要な文教の機関が常に守られて行くことが日本の文化を守るゆえんであることについて、ことに強い御支持をいただけると存じておるのであります。
 なお教育の面、科学の面、文化の面、また体育の面につきましては、まだ幾多の重要な問題が残されておることと思います。機構の面におきましては、かようにきまりましても、運営の面で少くともこれを十分に遺憾のない形で問題になつておる諸点が解決されなければならぬと存じますので、この点につきましては、私ども最善を盡さねばならぬかと思います。社会党を代表いたしましての私の質問はこれで終ります。
#16
○有田(喜)委員 私のお尋ねしたいことは、先ほど森戸委員がほとんどお尋ねになりましたので、私は重複を避けて、ただ一点だけお伺いいたします。文部省が新日本建設、文化國家建設のため、きわめて重要なる役割をになつておることは当然であります。しかし外部から今日の文部省の姿をながめておりますと、どうも弱々しい足取りであります。予算の面を見ましても、また今回の機構の改革を見ましても、何だか文部省の行き方は弱々しい。はたしてこの重大なる役割をになつて行けるかどうか、こういう縣念がするのであります。機構の面で見ましたときに、私はもちろん局が少くなつてりすることはかまわないのです。すなわち簡素強力化されることは同感でありますが、今回の文部省の機構が、はたして文部省が自発的に考えられたものかどうかというようなことにも、多少疑問が持てるほどであります。第一、今回管理局というものができまして、各認可事務その他の管理行政をここで一元化されるのであります。なるほど形から見ますれば、一元化されることはけつこうなようでありますけれども、はたして原局と離れた管理局でほんとうの管理事務をやつて行けるかどうか。一般の相手は管理局へ行つても、結局話がきまらない、また原局へ行かなければならない。これが今までの弊害でありました。結局二重、三重の手間をとらなければならぬという感じがしておるのであります。どうして管理局を設置されたか。はたしてその必要があるかどうか、私は非常に疑問に思うのであります。文部大臣はどうしても管理局を置かなければならぬということを今でも考えておられるか、あるいは場合によれば管理局は適当に原局へわけてもいいというお考えを持つておるか、その点をまずお尋ねいたしたいと思います。
#17
○高瀬國務大臣 今度の機構改革の一つの主要な眼目が、先ほど設置法の提案理由で御説明申し上げましたように、管理的な行政事務と、そうでないものとをはつきりわける、こういう方針で申し上げたわけであります。その意味で管理局というものと、ほかのものとは全然別個にする機構になつたわけであります。それは文部行政の性質が、今までのようなすべてが監督、取締り的行政というような形を脱しまして、主として助長育成、こういう方面に性格がかわつて参りました。その結果として文部省のやる仕事の中心は、管理的な監督的なものでなくて、指導なり育成なり助長なという方面に置かれるということになりまして、この方面の仕事が他の部局全般を占めております。それで残つておる管理的部分――管理的といえば、やはり監督的な要素が幾分入つて参りますから、その管理的な部分だけは別個にこれを扱うことにいたしたわけであります。しかし内容の問題といたしますと、やはり管理といいましても、ただいま有田さんのおつしやいましたように、他の部局と関係ある部分がありますので、これはどうしても連絡しながらやるよりほかないだろうと思いますけれども、管理局を別個にいたしました根本の理由が文部行政のそういう性格変化から來ておりますので、どうしても必要ではないかと私は考えております。
#18
○有田(喜)委員 文部行政の性格が、指導、助長、育成という点に置かれることは、私はけつこうだと思うのでありますが、しかしその性格はやはり各局から生まれて來るべきものではないかと思うのであります。先ほど森戸委員の御質問に対して、文部大臣は、体育行政はそれぞれ特殊性があるから、これを各局に分割した方がいいというように御説明になつた。私はその特殊性は、体育行政が各局にわかれる特殊性よりも、管理行政がより強く初等中等教育局、大学学術局、その他の各局にわかれる特殊性が強いと思う。先ほど森戸委員から主張されましたから、私はくどくは申しませんが、今日わが國民の体位を向上せしめ、運動精神を発揚して、明朗なる國民をつくつて、眞に文化國家を形成するという意味において、体育局の役割は私は非常に強いと思う。むしろ管理局を廃して、それぞれの管理行政を原局にくつつけて、体育局を存置せしめる。そうして大いに体位の向上と運動精神の発揚に邁進されることが適切ではないかと考える。どうも今までの説明から聞きますと、その点が矛盾しているのではないかと考えますが、いかがですか。
#19
○高瀬國務大臣 管理局でやります仕事が、どうしても各局の仕事と非常に深い関係がある、管理局に属せしめられておる仕事も、やはり各局に属せしめてやつた方がいいじやないか、こういうふうな御意見だと思います。しかしその点は先ほど申しましたようなわけで、仕事の性質、文部省の性格から申しまして、これをわける必要があるということにいたしたわけであります。しかしお説のように、管理といつても内容と関連が非常に深いのでありますから、その関係はむろんなくなりませんし、他の各局とは始終協議をいたしてやつて行かなければならない、そうして連絡は十分とりながらやつて行きたいと考えております。それと管理局に現在属しておりますような管理的な仕事も、將來はだんだん減るものもたくさんできて來るじやないかと思つております。たとえば資材の割当とか用紙の割当というものは、やはり統制がだんだん少くなるに從いまして減つて参りますし、またその他の認可事項とかいう事務についても、將來はまたかかつて減るものもできるじやないかと考えております。現在のところはお説のような点で、各局との連絡を十分とらなければできない仕事であることは認めますが、さつき申し上げましたような理由から、やはり管理局を別個に扱いたい、こういう考えでございます。
#20
○有田(喜)委員 文部大臣は非常に原案を固執されているようでありますから、これ以上申してもしかたがありませんが、私は先ほど來申しますような理由から、文部省をもしここで機構をいじるなら、体育局は從來通りこれを存置して管理局の新設を見合せ、その管理的な事務は各原局においておやりになることを強く主張いたしまして、私の質問を打切ります。
#21
○齋藤委員長 松本七郎君。
#22
○松本(七)委員 私は二点を御質問いたします。第一は、この設置法案の四條以下の規定を見ますと、科学研究に関する文部省の権限が非常に廣範囲に規定されております。科学研究については、そのほかの、たとえば農林省あるいは商工省等に科学研究の権限があるのでありますが、そういうものとの区別がはなはだ不明確である。すべて科学研究については文部省の権限に属しているように見られるのですが、この点もつと明確にしていただく必要があると思います。
#23
○高瀬國務大臣 條文だけから見ますと、そういうように見える点があることは私もそう考えます。しかし各省にあります研究機関というものは、各省の特殊な必要に應じまして、もつぱら應用的方面の研究機関が主であります。文部省の方は各省のそういう研究機関に比べますと、もつと基礎的な研究になります。むろん文部省も應用的な研究も対象にしないわけではありませんが、各省の研究所は、それよりもなお先の應用のものと考えていいのじやないかと私は思います。
#24
○松本(七)委員 その次は二十四條に審議会の規定がありますが、その中に学術奬励審議会というものがある。この設置の目的を、「学術の奬励、及び普及に関する事項を調査審議すること。」こういうように非常に漠然と規定してあるのですが、これの内容をはつきりしていただくことと、特にこの学術奬励審議会と日本学術会議との関係はどうなんですか。これによりますと、学術会議の権限を侵すのではないかというような疑いがあるのですが、この点を明確にしていただきたい。
#25
○高瀬國務大臣 学術奬励審議会というのがありまして、これと日本学術会議との関連についての御質問でありました。学術奬励審議会というのは、学術会議のような非常に廣汎な根本的な学術振興に関する問題を審議する機関では全然ないわけでありまして、省内の学術奬励について文部省として必要な事柄についてのこまかい審議をする機関であります。どういうことをやるかというこまかいことにつきましては、係の者から説明をいたさせたいと思います。
#26
○伊藤説明員 学術会議と学術奬励審議会との関係は、ただいま大臣が申し上げたようなことでございまして、学術会議は先ほどからいろいろ御説明がありましたように、わが國の学術の研究をどういうふうにやつて行くかという大きい國家的な方針をきめて参ります。そういたしまして各省でおのおの研究機関を持つており、また研究に関する行政をつかさどるのでありますので、その学術会議できめました根本方針を、各省がいかに調整してやるかということをきめますのが、科学技術行政協議会でございます。その科学技術行政協議会で、文部省で所掌すべき事項を決定いたしまして、文部省はそれを受取つて、文部行政の面として科学研究、科学の奬励という仕事をするのでございます。その際に文部省といたしましては、その具体的な方法、たとえば学術会議で学術奬励の奬励金を出しまする大綱をきめてもらいまして、それを文部省が所管いたします際に、具体的にはどういう研究にどれだけその奬励金を振り向けるかというような仕事をいたさなければならないのでありますが、その際に諮問をいたします委員会を置いて、文部省独特、ただ文部官僚独自の見解でいたさずに、こういう学識経驗者の知惠を拜借いたしまして、その配分を決定するというような仕事をこの学術奬励審議会でやつていただこう。その他文部省が所管いたします学術の奬励に関する諸般の事項の諮問に應じてもらう仕事をしていただく、こういうものが学術奬励審議会でございまして、從つて学術会議の末端の仕事に関する審議会でございます。両者の間の関係はただいま申しましたような仕組みでやつて行くつもりでございます。
#27
○小林(信)委員 最初にお伺いする問題は、もういろいろと質問をされた点がたくさんありますから、私は簡單に一つだけお聞きいたします。文化國家と教育の問題について、これはいつも論議されておる点であります。なぜ教育がいざとなると軽視されるかという面で、今回の六・三制予算の削除されたような点から考えますと、この経済的な困難な國情に対して直接生産する部面というようなものが重要視されて、教育というものは往々不生産的なものであるというような感を持たされるのではないかと思いますが、実際今度のような結果になりまして、地方の教育を担当する者、それからこれに関係する形の立場からするならば、政府において、教育が重大なる生産力を持ておるものである。重大なる生産力であるというような点をもつと強行に持てもらいたいということを要望されておりますが、この点文部大臣はどういうふうな考えをもつておられるか。また今度の予算の策定に際しても、そういうきらいがなかつたという点について御質問したいと思います。
#28
○高瀬國務大臣 教育というものが生産にまつたく関係がない、不生産的な仕事であるというふうに誤解されやすいものである。そういう点から文部省予算等について、はなはだ不利な立場になるのではないかといつたような御質問でなかつたかと思います。私どもはむろん教育行政方面の者といたしまして、決してそういう誤解を持つておるものでございませんで、やはり教育はいろいろな方面で、いろいろの意味におきまして生産力増大に非常に重大な関係を持ち、貢献をするものである、こう考えております。しかし何にいたしましても、一般の人たちから申しますると、目先の、明日のことをもつぱら考えるような傾向がありますが、教育の効果というものは決して今日やつて明日すぐ現われるというものではない。そのかわり、もつと根本的な効果を現わすという点ではもつと有力なものではありますけれども、経済のことを考える一般の人の考えから申しますると、今日やつて來月どうなるというような目先の生産の増加ということだけが考えられやすいという点で、お説にありましたような、教育はあとまわしにしてもよいじやないかという考えが相当廣く行われておることははなはだ遺憾に思う次第であります。予算を獲得いたす場合につきましても、ただいま申上げましたような考えを私は持つておりますので、その点も無論主張しながらやつておる次第であります。
#29
○小林(信)委員 たいへん意を強うしたのでありますが、そこで、今政府は経済安定という大政策を掲げてその責任を果そうとしておるわけでありますが、文教政策を担当する面におきまして國民が非常に経済生活の困窮ということが予想されておるわけです、これに対する処置として、政府は耐乏というようなことを簡單に言つておりますが、これは先ほど大臣の説明されたような点からして、もつとこの困窮せる面を打開するためにいろいろなくふうをしなければならぬ。これはきわめて消極的な面ですが、そういう面も教育行政が相当にこの大政策と同時に講ぜられなければならぬ、こういうことがこの法案及びこの法案の運営にあたつて考えられておるかどうか。またもつと積極的な面から申しますると、産業復興というようなものの原動力はやはり教育にある、こう考えます。農村等においてはいろいろな生活協同組合とか、あるいは農地改革とかいうような法的な措置で、一應農村の振興政策がとられておりますけれども、これがほんとうに生きるためには農村文化というようなものが相当施策として講ぜられなければならぬ、もつとも科学化するとかあるいは工業化するとか、あるいは経済の合理化をさせるというような面があつて、初めてそれらの法律が生きるわけであります。しかしそれらのことは文教政策がこれに付随しなければならぬ。いつでも今までの政策が教育面と経済の復興、こういうことを言いながら、その裏づけとなるところの強力政策が今までとられなかつたことが非常に遺憾だとわれわれは考えておるわけであります。この点についてこの法案の内容なり、あるいは法の運営にあたつて大臣の意見があれば承つておきたいのであります。
#30
○高瀬國務大臣 御説のような意味での社会教育の強力な推進が現在非常に要請されておるということは私も同感でありまして、この設置法から申しますと、社会教育においてそれを十分に推進して参りますと同時に、本國会に提出する予定になつております社会教育法案というのがございます。その社会教育法案というのは、お話のありましたような意味で、一般社会的な教育の振興に必要ないろいろのことが規定されておりますが、それを新たにつくつて推進することによりまして、御説のような意味での教育的効果を十分にあげて行きたい、こういう考えでおります。
#31
○小林(信)委員 その点も非常にけつこうなお考えで、やはり意を強うするものでありますが、特に私は農村文化の面でこの社会教育を重視されるようお願いしたいと思います。
 そこでこまかい問題ですが、第五條の十七号に、「教育職員の研修について連絡し、及び援助を與えること。」とあります。この研修に対する施設並びに研修するためには、相当教員が職場から離れなければなりませんが、こういう点を大臣としては特に考慮されておるかどうか。
#32
○高瀬國務大臣 ただいま御質問のような点はむろん重大なことでありまして、文部省としてもいろいろと具体的に考えて地方とも連絡をしてやつておるわけでありますが、現在やつておりまする状況につきましては、次官から御説明申し上げます。
#33
○伊藤説明員 第五條十七号に掲げてありまする教育職員の研修につきましては、現在各府縣で非常にこの問題に関心を持つておりまして、所によりましては固定した研修所を持つておるところもあります。また具体的にはいろいろな講習会を催しまして、教員の研修に努めておるのであります。これに対しまして國家は補助金を出して援助を與えておる現状でございますが、これらの各府縣の連絡あるいは援助につきまして、この第十七号は規定をいたしておるわけでございます。
#34
○小林(信)委員 そこで一番問題になりますのは、地方では今度の定員の問題から、人員にきゆうくつな面がたくさんできて來ておるわけであります。これは続いて御質問したいと思つておりますが、研修所というものの意味は、教育の担当者はもちろん、新しい学制に沿うために自分たちの研修ということを要求しております。また地方の教育委員会等におきましてもその点は重要視しておるわけでありますが、その施設に対して國家がこれを見てやることはもちろん必要ですが、私はそこに相当人員、教員数というものを余分に考えておらなければ、この目的は達せられぬ、こういう点と、もう一つこれに関連しまして第八條の十一号にあります学校における保健衞生、この面であります。これは養護訓導というものが置かれてありますが、これも当然各学校におきまして要望されておりますけれども、養護訓導が各学校に最低限度の数が確保されておらないような状態であります。これについて今後どういうふうにお考えになられるか、またこの学校養護訓導、これらは全國の兒童数、生徒数を五十で割つて教員数を決定するというようなものの以外に、これを確保する考えはないか、お伺いしたい。
#35
○伊藤説明員 研修をいたしまする際にそれに必要な余裕を持つだけの教員定数を置きたいのは、まつたく私どもも御同感なのであります。しかし予算そのものの関係から必ずしもその点が十分に参りませんことは、たいへん遺憾でありますけれども、私どもとしては將來ともその点はできるだけ余裕を持つような定員をつくりたい、かように今考えておる次第でございます。
 なお養護教員につきましては、このたびの計算の中には五十人の中に入つておるという計算をいたしております。養護教員を各学校に最小限度少くとも一人は置きたいというのが、私どもの希望でございまして、それについては今までいろいろと努力もいたして参つたのでありますが、何さま御承知の通りにこれは養護教員の養成から考えて参らなければなりませんので、養護教員という職制をつくりましてまだ日も浅いので、何とかいい養護教員をつくつて行くことを、まず十分考えなければならぬという段階におるわけでございます。しかし今後の教育の遂行の面から、さらに学校の衞生養護の面をどうしても強くやらなければなりません。この点につきましても御説のように將來とも、十分努力して参りたいと考えております。
#36
○小林(信)委員 もう一つ同じようなことでお伺いしたいのですが、これは第七條の二項の二号です。「教育職員の給與その他の待遇及び福利厚生に関し」とありますが、こういうことがはつきり明示されたことは、地方の非常に薄給に甘んじながら教育に生きようとする教育者は喜ぶわけでありますが、はたしてこれに対してほんとうにその実が上るような方法が講ぜられるかどうか、これが非常に心配であります。一例を申し上げれば、ただいまの各小中学校の教員あるいは高等学校の教員などが、福利厚生をみずからなそうという考えで協同組合をつくつておりますが、しかしこの協同組合を自分たちの福利面に十分に活用しようとするためには、どうしても自分たち自身がその衝に当らなければならぬわけであります。教員であつてそういう自分たちの福利厚生をはかるための事務をとる人間、こういうものが認められるかどうか、そういう者がなければ、いくら福利厚生ということが項目でははつきりされておつても、実際には生きて來ないわけです。あるいはそういうことでなくて、もつと薄給に甘んずる教職員の福利厚生を施設として、あるいは政策として実施してくれるのに、今のような具体的な問題を取上げて、それに対して余剩の教員を充てて、みずから福利厚生をさせるというような方途も一つあるわけですが、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
#37
○伊藤説明員 教育職員の給與その他待遇、福利に関しましては、私どもも鋭意心がけておるのでありますが、福利厚生に関して、特にこれらの事項を取扱うための專任の先生を置くかどうかという点につきましては、たいへん残念ながらむりではないかと考えておるのであります。ただできますならば、学校を老齢でおやめになつたような方々にそういう事務を取扱つていただくというようなやり方も、できればいいのではないかと思うのでありますが、それらも結局はやはりこれに使います資金の問題が、根本ではないかと思うのであります。各府縣で福利厚生に関して、教育職員の方々が組合をつくつてやつておられる際に、一番行き詰まる点はやはり資金の問題にあるように思うのであります。これらにつきましては、現在のような金繰りの状態では、なかなか困難とは思いますけれども、私どももできるだけその面には努力をして参りたいと考えております。
#38
○小林(信)委員 以上御質問しました点は、この中から探し出したほんとうにわずかな問題ですが、そういう部分すらこの設置法は実際に生きて來ない。最初お聞きしました研修の研修についての問題でありますが、施設等について文部省が相当積極的にこれを援助する、しかもその人員等については相当余分なものを見るというような考えがない以上、これは空文にひとしいわけです。また保健衞生におきましても、各学校に養護訓導があつても、この養護訓導が学級を担任するというようなことがあつたら、その養護の使命は全うされないわけです。これもやはり空文に終るわけです。この福利厚生というようなことは現在の教員職員については最も重要な問題でありますが、りつぱにこういうふうに法文として掲げられても、それについては何ら生きる方途が講ぜられない。こういうものを幾ら出されても実際教育の実はあがつて來ない。文部大臣に先ほど文化國家と教育という面におきまして御意見を承つたわけでありますが、もつとこれを重視して、こうしたものが生きるべく努力をしていただきたい。今地方におきまして、各府縣では小中学校の教員の首切りを計画されております。一應委員会等で文部次官等も教員の首切りは今年度はしないとはつきり明言されたわけでありますが地方の教育委員会では、この首切りを今計画しつつあります。今日あたり各府縣からこれに対して文部省はどうするのか、やるのか、やらぬのか。やるならどういう方法でやるのかと、いろいろ質問して來ているわけですが、こうした内容を考えますと、定員法というものを考える場合に、教育がほんとうに生きるように考えて行かなければならぬわけであります。そういうことが考えられておらぬから必然的にそういう結果になる。この首切りの問題をやるのか、やらないのか、ここではつきりお伺いしたいと思います。
#39
○高瀬國務大臣 お答えいたします。ただいまの首切り云々の問題は、地方の高等学校以下の教員についての問題だと考えますが、それは文部省は直接やるやらないということには関係がございませんことであります。地方自治体が、教育委員会においていろいろ人事はやられるわけであります。それで文部省の今度の義務教育費國庫負担金の予算の関係から、結局結果として首切りが必要になるのかどうかということにつきましては、文部省もむろん考える問題でありますが、今度は御承知のように小学校五十人のクラスに対して一・三五、中学校は一・七五という計算で國庫補助を與えることにいたしたわけであります。それで文部省として全体的に考えてみますと、現在小学校も中学校も欠員が相当多量にありまして、今度の予算の当然の結果として、日本全体から申しますと、必ずしも現在おる教員がやめなくてはならないという事情にはならないだろう、こういう見方なのであります。けれども、具体的に個々の縣、個々の学校ということになりますと、やはり今までやつております、職員の数がまちまちでありますから、多かつたところもございましようし、欠員の非常に多かつたところもあります。ですからそれらの点で整理されなければならないというような学校もできるかもしれません。しかし全國的に見て、先生の数から申しますと、現在おられる方がやめなければならないという計算にはならないだろう、こういう見方なのであります。
#40
○小林(信)委員 今の、首を切るか切らないかは、地方の行政の責任である。文部省においては、そういうことには関知しないというような御答弁ですが、やはり中央の文教政策いかんによつて、そういうふうなことが出て來るわけですから、決して文部省に責任がないと言えないと思うのであります。そこで全体としては、そうした結果にならないが、個々にはそういうものが出るだろう、出てるやむを得ないだろう。これは地方の実情において、その点ただ個々に多少問題が起きるというようなことだけでなくて、非常に出る場合が多いわけです。そういうものに対しては、何か文部省としては考慮をする考えがあるか。
#41
○高瀬國務大臣 縣によりまして、非常な違いができるというようなことがあるといたしますれば、むろん文部省の権限ではございませんけれども、やはり教育の重要な問題でありますから、文部省としてできるだけの援助なり、助言を與えるということは、やらなければならいと考えております。
#42
○小林(信)委員 それについて全國的の調査をなさつたことがあるかどうか、お聞きしたいのです。
#43
○伊藤説明員 ただいま各府縣の実情につきまして、続々調査をいただいておる最中であります。
#44
○小林(信)委員 この問題は、地方の実情を調査しますと、非常に教育上重大な影響を及ぼしていると思います。早急に調査されて、それに対して善処されたいと思います。ただいま文部大臣は、文部省においてはそういうことは関知しないというふうに言われたのですが、それは文部省直轄の学校に対して首切りをするとか、しないとかいう言明であつたかしりませんが、一般に危惧をされるのは、やはり教育の重要性から考えて、この際校舎もない、教具もない、あらゆるものについて今教育というものは裸の状態である。さらに先生でもあれば、先生と生徒の関係さえあれば、何らかそこに教育の命はつながるわけであるが、しかし先生がなくなつてしまつたらどうなるか、これは教育に対する絶望状態になるのじやないかと思います。こう地方の一般は考えておると思いますが、そういうふうなことになれば、実質上からいつても、文化國家というものは崩壞してしまつた、現在の政府においては文化國家をすでに否定しておるというような結果になるわけです。この点早急に調査されて善処されたいと思います。
 それからもう一つ、小さい問題ですが、第四條の四号に「教育のための物資の確保について援助すること。」こういうことが書いてあります。これは当然なことでありますが、その物資の内容について文部大臣の御見解を承りたいと思います。
#45
○伊藤説明員 御質問の趣旨が非常に廣いので、どの点であつたかと思いまするが、要するにこの四條の四号で規定いたしておりまするのは、教育を遂行いたしますために必要な資材についての確保を援助して参る、こういうことを考えておるわけでありまして、必ずしもここでは統制物資だけを考えておるというのではなく、もつと廣い意味で考えておるのであります。
#46
○小林(信)委員 なぜ私がそういうふうにお聞きしたかと申しますと、教育のための物資、これは非常に重要な問題でありますが、政府が常にそうした漠然たる考えでおられる。地方の教育職員の実情から考えますと、まず少くても兒童の用品、これは兒童対象のものですが、そして教える場合の教具、ああいうふうなもの、もう一つこれは最も忘れられている点ではないかと思いますが、教育職員が教育をするための必需品というものがあるわけです。これが非常に軽視されているのではないかと思います。それは特別なものをほしいわけではないのですが、実際今のところ地方の実情から考えれば、通勤するのに電車とかバスとかいうものを使うよりも、自轉車を使うのが多い。その自轉車を配給するとか、自轉車の部分品を配給するということを、相当考えてもらわなければならぬと思うわけであります。それから体操するという場合には、普通の服裝ではできない。体操のズボンとか、体操のくつとかいうものが必要になるわけでありまして、こういう点がさらに考慮せられておらない。学用品等につきましても、一應一般的な考え方から、品物さえ出せばいいだろうというふうに考えられますが、一つ例をとつて申し上げますと、クレオンというものは、統制品であるところのパラフィンが配給になつて、それを一定量入れることになつている。しかし地方にまわつて來るところのクレオンというものは、その量が少いために非常に粗惡なもので、相当教育というものの低下をなしておる。そういう物資を支給したら、その物資がいかに使われて、確実に教育に役立つておるかというような点についても、相当文部省として考えて行かなければならぬと思います。そういう地方のこまかい実情について、もつと檢討されて、こういう点についてしつかりやつていただきたいと思います。
 最後に最近視覚教育が非常に重視されて参りまして、各府縣でも軍政部から十三ミリの映写機などが貸付されて、これが一般視覚教育に使われておりますが、映写機はありましてもフィルムがない。ところがこのフィルムを求めようとすると、業者が一應一般人を対象としてつくつたフイルムを十六ミリにつくり直して、その中から比較的教育的に効果のあるものを選ぶというようなことで終つておりますが、しかし業者は営利本位なのですから、一般人を一應対象にしてやつているわけであります。せつかくそういう教育を教育職員が重視しても、もつと政策的にそれを生かしてくれる方途を講じてもらわなければ意味がないわけであります。これらに対してどういうふうな考えを持つておられるか、お聞きしておきたいと思います。
#47
○伊藤説明員 教育のための物資、特に忘れられやすい教育職員の教育をやつた参りますために必要な物資については、お説のように現在では非常に少い実情であるのであります。しかし私どもといたしましては、この四の中に書いております物資については、もちろんそれらを含めて考えておりまして、私どももそのことにために関係方面と実はできるだけのものを得たいと思つて、努力いたしておるのであります。一番教育職員の方々のために今骨を折つておるのは洋服であります。私ども地方に参りまして、学校の先生の服裝を見ますと、実に涙が出るような場面に接することがずいぶんありまするので、これらにつきましても、目下安本、商工省といろいろ連絡いたして、ある方途を講じて参りたいと思つて計画をいたしております。その他自轉車、寒冷地に必要なゴム長ぐつ等につきましても、いろいろと関係方面と連絡をいたしておるのであります。自轉車につきましては、最近相当まとまつた数量を各府縣に出しておるのでありますが、何さま数の多い教育職員に対しましては、まだまで十分でないと思つております。この問題につきましては、私どももできるだけ一生懸命やつておるつもりでもありますし、また將來ともなおなお努力を続けて参りたいと考えております。
 それから視覚教育に関しましては、御承知の通り私どももその重要性を認めまして、特に関係方面が非常に援助をいたしてくれまして、映写機等の貸與をいたしておるのでありますが、これに関係するフィルムにつきましては、いいものをたくさんというために、いろいろな手を打つておるのでありますけれども、何さま生フィルム自体の配給が非常に少いということ、またこれらについての、そういう文化映画なり、科学映画、教育映画をつくつて参ります人たちといいますか、そういうふうな方面の認識が割合足りないというような現状のために、十分に参つておりません。しかしながらこれらにつきましても、その重要性を十分考えまして、將來ともこの努力をなお一層続けて参りたいと考えております。
#48
○小林(信)委員 今の物資の問題ですが、洋服等を心配するというお考えらしいのですが、今まで洋服の生地等も多少配給になつております。ところが非常に高價でありまして、とても教育職員がこれを買う力がない。もちろんそういうふうなものを廉價に支給してくれるならば、これはいいわけでありますが、それよりも何よりも、今申し上げたように、教育をするための必需品、これに対する措置をされることを最も要望しておるわけであります。
 いろいろお尋ねをいたしましたが、以上で私の質問を終ります。
    〔委員長退席、池田委員長代理着席〕
#49
○池田委員長代理 渡部君。
#50
○渡部委員 日本共産党は、諸般の事情の変化について考えた上、さらにまた日本の民主的な教育、学術、文化というものの將來を考えた上から、文部省の存廃そのものについて独自の見解を持つておるものでありますが、この点については、後ほど今野委員から、質疑なり意見なりがあるはずでありますので、私としては、設置法案の中で疑問と思われるもの、矛盾しておるもの、その他いろいろ質疑がされなければならない問題がありますので、その点についてだけ若干の質疑をしたいと思います。
 ただいま、物資的な裏づけのない法案は、一片の空文に終らざるを得ないという意見が小林君からありまして、私たちはその点で非常に同感するものです。そこで御質問申したいのは、この設置法案というものが、二十四年度の予算とどういうふうに現実上の関係を持つてつくられたのかということを、まずお尋ね申したいと思います。
 それからこの予算関係ですが、先ほど有田氏からでしたか、文部省が非常に施政の上に弱体を示しておるというようなお話がありましたが、たしかに文部省の弱体ということは、施政の諸部面に現われておつただけでなくて、一般的に見ても、たとえば今度の予算に現われたように、政府が教育というものを他の部門に比して蔑視しておるような傾向が強く現われておるという面からも、見受けることができると思います。つまり公共事業費の中で、A、B、Cの三クラスの中の第三クラスに所属せしめられておるというような点は、如実にこれを示しておるところで、もし文部当局が言われるように、教育というものを他の産業部門、その他のように重視しておられるならば、この予算の面においても、たとえば教育費は何十何パーセントとか、あるいは何パーセントとか、それ以上を確保するというようなことを、初頭の法文の中に明らかにされる必要があるのではないか、そうしておかれることが、今後の日本の教育の発展の上にとつて非常に重大な意味を持つのじやないかというふうに考えられるのですが、この点を第二としてお尋ねします。
 それからさらに、予算関係とも関連するもので、ただいま小林君の方から御発言があつたことと連関するわけですが、この設置法案の具体的な実施のためには、定員法案というものと深い関係がある。ところが先ほどの大臣の御答弁によると、文部省は、定員法案の地方における実施のあり方については、直接の管轄権がないのであるから、ただ助言、指導等をするにすぎないというようなお話がありましたが、しかし現に文部当局において、この教員の定員問題に関する重大な干渉をしておられる事実がある。たとえば、四月四日の局長の電文通牒だと思いますが、これによると、二十四年の教員全國定員は昨年九月五日の定員範囲内となる見込みであるから、新規採用については格別の考慮を拂うべしといつた意味の通牒を発せられておる。そのために大阪市においては、たとえば二千人の教員を採用することを決定していて、そのうち千名はすでに採用したにもかかわらず、その取消しをなしておるという状態である。ところがこの大阪市においては、小、中学とも四万人以上の生徒の自然増加があるのであつて、このような状態のもとでは全然教育が成り立たないということが叫ばれておる。同様のことは神戸市にも起きておる。そのように、この設置法案からいつて、定員法に考えられているような教員の定員関係について、文部省は直接の責任はないというようにおつしやつておるのは、事実に反しておるように考えられるわけです。以上三点について、まずお尋ねします。
#51
○高瀬國務大臣 最初の御質問は、二十四年度の予算と設置法との関連というような一般的な御質問だつたかと思います。むろんその関連は非常に深いのでありますが、文部省設置法があとできめられました関係もありますので、人員等につきましては、予算の中に盛られたものが多少動くというようなことは、どうしても出て來るかと思います。しかし大体の方針をもつて設置法の構想をやりながら並行的に考えられておりますので、その方針の食い違いはないといつてよかろうと思つております。
 それから予算におきまして、文教費の比率を全体の何パーセント、あるいは公共事業費のうちで文教施設費は何パーセントというふうにきめれば、教育予算が非常に確実になるから、よくはないかというような御質問でありました。確実になるという点から申しますと、確かにその点けつこうでありますけれども、ただ予算全体というものの金額なり、あるいは公共事業費全体の金額というものが、年度によつて動いて來る関係がございます。それで、それによつてパーセントがきまつておりますと、やはりまた金額が動いて來るという点で、非常に不便なこともまた生ずる。それから特にあるいは文教方面を本年度重要視するというような場合には、むろん比率以上を要求しなければなりませんし、そんなような点で一長一短はあるかと思います。しかしお説のような意味での予算面における文教予算の確保の方法につきましては、今までよりも何かもう少し確実な根拠なり方法を考えたいと思つて、いろいろと研究をいたしておるところであります。
 それから、義務教育の職員に対する國庫補助の予算の問題と関連いたしまして四月通牒が出て、それによつていろいろ整理の問題、あるいは採用の問題について齟齬を生ずるような場合が起きておるというようなお話でありました、これは、こまかいことは次官からお話をさせますが、予算的な措置というものが、どうしても数箇月前の在職職員の定数を基礎にして考えられなければならないというようなところから、予算編成技術の問題といたしまして、どうしてもそういうような問題が残つて來るのではないだろうかと思つております。その残つた問題について、非常に重大な変化があつたために残つて來る。たとえば東京とか大阪とかいうようなところは、九月当時は、疎開者の帰つて來るのに制限があつて、その後はこれが解除せられてどんどん入つて來たために、非常に人口がふえる、こういうようなこともございましよう。そういう特殊な変化につきましては、やはりこれは特別な考慮を拂わなければならないのじやないかと思つております。ですから、そういうふうな特殊の事情はやはり考慮さるべきであると思つておりますが、一般論といたしますと、九月なり十月の在職者を基礎にしてやつて、そして四月までに変化が起きるというようなことで、実際上いろいろと不便を生ずるということは、どうしても免れない状況ではないかと思つております。
#52
○渡部委員 ただいまのどの説明についても、はなはだ不満でありますが、とにかく予算の上で文教費というもの、あるいは教育費というものが日本のように低い國は、他の植民地においてさえも見ることのできない状況である。ある國では、國費の中で教育予算がどれだけのパーセンテージを占めるべきであるかということを規定して、教育を重視しているところもある。ところが日本では、今申した通りでありまして、これは日本の政府全体が、教育についての関心を、あるいは重要性を軽視しているということの結果でもありますが、同時に文部省として、今度の折衝の過程及びその結果に現われたように、はなはだ不満足な、そして教育を危機に導き、あるいは地方財政をそれと関連して破壊状態に導くような予算をつくり出したということも、教育についての文部省の熱意の状態を示しておるように考えられるわけです。しかしその点については、これ以上申し上げても意見になりますので、これは一應ここで質問を終ります。
 次に、定員法関係に関連するような問題におきましても、文部省がしばしば通牒その他をもつてそれに関與しておられる。しかもその結果重大な結果が現われているという事実があるのにもかかわらず、文部省はそれについて責任がないというふうな御答弁があつたことは、教育に直接に関係している人たちにとつて、どういうふうに響くものか、あるいはまた教育の実際の運営の上にどのような結果を來すものかについては、文部当局において判断があつてしかるべきだと思うわけです。
 それから次に御質問したいのは、この設置法案には民主化ということをうたつてありますが、その設置法案において、從來の文部省に見られた官僚的な、統制的なものがどれだけ民主化されておるか。あるいは別な言葉でいえば、民主化の要点は一体どこにあるかという点をお尋ねしたいと思います。
#53
○伊藤説明員 教育の民主化につきましては、今日まで文部省は教育制度の上、あるいは教育行政の上、あるいは教育内容につきまして、それぞれ諸般の整備をいたして参つたのでありまするが、今度のこの設置法におきましても、全体の趣旨を、先ほど申し上げましたように監督、取締りという点を脱却いたしまして、助長、指導という面に強力な線を引いて立案いたしておるのであります。先ほども申しましたように、その最も端的な現われといたしましては、各局にありまする認許可というものも、先ほど申しましたような、すでにわれわれがとつて参りました措置のために、文部省が許可、認可をいたしまする事項は非常に整理されて参りましたが、しかしなお多少どうしても残る部分がありまするので、これを管理局という一局にまとめてしまつたわけであります。これらにつきましても、われわれとしては將來ともできるだけ文部省の認許可を地方に委讓してしまうという建前をとつて参りたいと考えておるのでありまして、管理局以外の四局におきましては、認許可に関します仕事は全部やらないというふうな考えでこの機構を立案いたしておるのであります。その他こまかい点につきましてもそういう趣旨に立脚いたしまして諸般の制度を立てて参つた、こういうふうに申し上げてよいと思うのであります。
#54
○池田委員長代理 渡部君に申し上げますが、午後から実は運輸委員会と連合審査会が開かれますから、できるだけ簡單にお願いいたします。
#55
○渡部委員 それではごく簡單に―。今民主化の点について文部省の認可的な部門が非常に減らされて來ておる、そしてやむを得ないもののみが管理局にまわされておるというふうなお話でありましたが、こういう場合にこの設置法案に現われていないたとえば次官通牒とか局長通牒とかいうようなものは、從來の経驗によると非常に頻発されておつて、しかもこれが重大な統制的、あるいは監督的、あるいは官僚的な役割を果して來ておるわけであります。たとえば学生運動あるいは教師たちのいろいろな運動のような場合に、文部当局はよく次官通牒とか局長通牒とかいうようなものを発して、学生や教師たちの基本的な人権に関する面までも制約しようというような傾向があつた。それがしばしば学生及び教員の反発にあつておることは、当局においても十分認識されておることと思いますが、こういうようなことが、この設置法案に述べられておる管理局以外の仕事として、あるいはなし方として今後も行われるものであるかどうか、その点をお尋ねします。
#56
○高瀬國務大臣 お答えいたします。ただいま次官も申しましたし、私も先ほど申したように、文部省の行政の性質が前とはかわつて來ておるということが根本になつておりまして、その点が全般的に申しますと民主化の一般的な意義になるのだろうと思います。從いまして助長、援助、育成ということが文部省の主たる仕事になりますから、その意味での文部省の通牒とか何とかいうことは將來もあるかと思います。今までやつておりました監督とか取締りとかいうような意味で出された通牒が、そういうものがなくなる、こう考えていいのじやないかと思います。
#57
○渡部委員 文部省としては助言もしくは指導というような形でなしたとしても、その結果が実際問題として地方の学校当局の学校管理行政の上に非常に重大な影響を持つということは当然だと思うのです。現に文部省はそういう監督的、統制的な意味を持たないということを言明して発せられておるところの次官通牒、局長通牒というようなものが、非常に大きい統制的なあるいは命令的な意味さえも持つておることがあるわけであります。そういう点がこの法律の中で制約されるというような形で現われていないならば、やはり依然として文部省の監督統制権というようなものが強力に働くものと見なければならぬと思うのであります。しかしその点は一應別としましても、たとえば管理局の仕事の中に教科書の檢定というようなことが含まれておる。教科書は言うまでもなく若い國民の物の考え方、あるいは思想の上にとつて非常に重大な役割を持つものであつて、強くいえば決定的な役割さえも持つているものであります。ところが現にこの教科書というものは民主的な方法の檢定によつてなされるというふうなことが多年來言われておることは明らかであります。ところがこの教科書の檢定について非常に不都合なことが行われておる。たとえばこの前民主的な方法による檢定があるというので、多くの專門的な科学者たちがそれぞれ協力していろいろな教科書を檢定のために差出した。その一つとして私は歴史の教科書をあげたものですが、これは日本における最も若いりつぱな科学者たちが共同の討論をした結果に基いて共同執筆をして、非常に綿密な科学的な教科書としてつくり上げられて檢定のために提出されました。ところが文部当局は、歴史の教科書は今年は檢定しないというような形でこれを無視して、やはり依然として文部省の教科書を教えることを実行されておる。ところが文部書の歴史の教科書なるものは「くにのあゆみ」であるが、この「くにのあゆみ」は私は歴史家の立場から責任を持つて申し上げますが、非常にでたらめな歴史の教科書である。そのでたらめな点は無数あるのであつて、この「くにのあゆみ」がいかにでたらめであり、非科学的であるかということは、すでに多くの科学者の中から、專門家の中から、まだ民主的な團体の中からこれの廃止運動が起きて、文部当局も遂にこれを教科書として用いることを禁止するという方向に向わざるを得なかつたことは、御自身はつきり認識されておることと存じます。それのみでなくて「民主主義」という高等学校の教科書、これについても一部分はまつたく非科学的なものである。たとえばフランス革命に関するような部分は非常に非科学的で、現在の学問からいえば問題にならない性質の記事になつておる。それからまた、たとえば先般來いわれておるように、共産主義に対してはまつたく事実に反して、理論を無視したデマゴークにすぎないようなものが書かれておる。文部省が責任を負つてなしたところの「くにのあゆみ」にせよ、「民主主義」という教科書にせよ、このような性質のものであるとするならば、文部省が今後教科書の檢定権を持つておるということは、日本の科学の発展にとつて、日本の教育の將來にとつて、きわめて重大な障害を來すものである。これは日本の科学をひん曲げてしまい、正しい科学的な物の考え方を兒童から奪つてしまい、そうして兒童の將來の民主主義を建設して行かなければならないいろいろな知識なり性格なりを破壞してしまう結果になるという点で重大な問題であると思うのであります。こういう重大な問題を管理局の事務の中に置くということは、だれが考えても不当でなければならない。少くとも文部省を預かる人々の頭が、ほんとうに科学的なものにかえられ、ほんとうに民主的なものにかえられて行くのでなければ、こういう仕事を文部省がなすところの力もなければ、権利もないとわれわれは断ぜざるを得ないわけです。しかるにこういう檢定をここに規定されておるということは、文部省が意図しておるといわれるこの設置法案の根本的な精神と矛盾する結果になると思う。この点について当局はどういうふうにお考えになりますか。
#58
○高瀬國務大臣 まず教科書の檢定の問題でありますが、義務教育の教科書は、むろんやはりある教科書としての標準が必要だろうと思います。その檢定を文部省がやるということになつておりますが、これは現在非常に紙等の資材が不足しておりまして、そんなことから文部省が特にやつておるわけでありまして、將來の方針としては教育委員会がやるという方針で進んでおります。そうして檢定をいたすにつきましては、文部省の役人がやるわけではございませんで、檢定委員会は民間の專門家を網羅して組織いたしまして、この檢定委員会によつてこれが檢定されるわけであります。文部省の役人が、独断でかつてにやつておるというわけではございません。
 それから檢定の結果についての御意見でありますが、むろん教科書にいたしましても、いろいろ欠点があるものもできておる。またこれが改められて完全なものになつて行くというようなことになるでしよう。ですから、だれが見ても完全無欠というわけにはなかなか行かない点もあろうかと思いますが、文部省といたしましては、できるだけ愼重に、できるだけ完全なものをつくりたいという意味で、檢定委員会をつくつて、愼重に審議をしていただいてきめておるわけであります。
#59
○渡部委員 今の御意見の中に、檢定委員会を設けてなすということであるが、この檢定委員会の構成組織について問題がありましようし、またこの教科書の内容について、最善のものを求めたいということは殊勝な御見解ですが、しかしながら現在行われておる文部省の作成した教科書というものは、たれが見てもいいものだというような類のものではなくて、だれが見ても、ほんとうに科学者であるならば、こういうものはまつたく絶版にさるべき類のものであることが、はつきりしておるものが出されておるという点で、われわれは非常に日本の教育の將來のために、杞憂を感ずるわけであります。
 その点は別といたしまして、さらにこの文部省の提案の中に、労働者教育、社会教育を実施する理由が出ておるようでありますが、現在労働階級は、文部省から用紙とかあるいはいろいろな施設とかにおいて、その便宜をはかつてくれることについては非常に望んでおるわけですが、しかし文部省から、文部省の方針のもとに労働者教育や社会教育を行つてもらいたいとは望んでおらないわけであります。労働者階級は、御存じのように自由な、自主的な、かつ階級的な教育をみずからの解放のためにするということを、労働階級の教育方針としておるのでありまして、文部省はこういう労働者階級の意思に反して、労働者教育を文部省的な見解から、今日の文部省のとつておるような見解から行われとするならば、無意義であるばかりでなく、非常に有害であるように考えられるわけであります。それであるにかかわらず、こういう労働者教育を行つて行かれようとする意図は一体どこにあるだろうか。この結果文部省がいわれる、あるいはうたつておられる趣旨に反して、教育の統制ということになつて行きはしないか。こういう点についての文部省の見解をお尋ねしたい。
#60
○高瀬國務大臣 お答えいたします。労働者教育というようなことは、労働教育に関連する部分もむろん入つておりますけれども、これはただいまお話のありましたような意味で、特に労働者としての、労働者たる身分において必要な教育部面を文部省がやろうという意味ではございませんで、そういう意味の教育は他の省で、やるとすればやるべきものであると思つております。文部省の関連する範囲というものは、社会教育の一面としての教育でありまして、勤労尊重の精神を涵養しなければいかぬとか、あるいは労働者もやはり一般國民としての文化的な教養を持たなければならぬ、こういうような意味での教育をいつておるわけであります。
#61
○渡部委員 最後に一つ、今の意見では社会教育というものの内容は少しもはつきりしませんけれども、しかし社会教育法案というものが準備されておるようでありまして、これをパラパラと見ただけでも非常に重大な問題になつて來るように思われますから、この教育問題については社会教育法案の際に御質問申し上げることとしたいと思います。今日の質問應答の中には、質問したい部分は非常に省略しており、應答の中には、はなはだ不満足なものが多いわけでありますが、時間の関係上私は一應これで打切ります。
#62
○木村(榮)委員 簡單に伺います。第二十四條の規定に審査会というのがあります。そうして十四條で評議員会というのが置いてあるが、この評議員会というのは國家行政組織法のどの條項に当てはめてこしらえたのか。
#63
○伊藤説明員 今そちらの方の條文を忘れましたが、評議員会は諮問機関として設けるのでございます。
#64
○木村(榮)委員 それは諮問機関でしようか、審議会というのは、國家行政組織法の第八條でやられたと思うのであります。この法律案を見ますと、審議会のいろいろなものが書いてある。たとえば教職員適格審査会の目的というものが下に書いてある。この二十四條に規定します審査会は、評議員会とはまた違つた内容を持つているのはないか。從つてこの評議員会というのものは、國家行政組織法のどういつた角度からこしらえられたものであるかということをお尋ねいたします。
#65
○伊藤説明員 二十四條に掲げてあります審査会、審議会は、これは文部大臣の諮問機関でございます。それから十四條に掲げてあります評議員会は、各独立機関に対する諮問機関でございます。
#66
○木村(榮)委員 そういたしますと、他の法律案の場合は、こういつた研究所とか博物館のいろいろな活動状況については、政令をもつてきめるとかなんとかいうことが書いてあるのが多いのですが、これだけ評議員会というものを特にうたつてあるのは、何か理由があるのでございますか。
#67
○伊藤説明員 この点につきましては、お説の通りこの評議員会を政令に讓つても法制的にはさしつかえないのではないかとも思うのでございますが、私どもの氣持といたしましては、民主的にこれらの機関を運営して行くという趣旨を、この際法律の上にもはつきりさせる方がよかろう、こういう考えで、特にこれらの機関の運営について評議員会にかけてやるということを特に規定いたしておるのであります。
#68
○木村(榮)委員 そうしますと、研究所とか試驗所とかいうものには、所長というようなものを置かなくて、運営にあたつては評議員会がやる、かように解釈してさしつかえございませんか。
#69
○伊藤説明員 それはそうではございませんで、これらの研究所にはおのおの所長を置くつもりでおります。その所長の選任等につきまして評議員会に諮るということ、その他重要事項についても、所長が独裁でやらないで評議員会に諮つて運営して行く、こういうふうな運営の仕方にいたしたいと考えておるのであります。
#70
○木村(榮)委員 十二條の第一号に「大学の設置、廃止及び設置者の変更」云々とございますが、この場合には外國人にも――設置者が変更されて、外國人になつたというふうな場合があれば、これはお認めになるかどうか。また外國人が大学の設置を願い出た場合には、許可される方針かどうか。文部大臣のお考えを承りたいと思います。
#71
○伊藤説明員 法人そのものが外國法人になれば、おそらく日本の法律外となつて参りますから問題ないと思うのでございますが、日本の法人であれば、やはりこの第一号で認可をいたして参らなければならぬと思います。その際に外國人なるがゆえに認可をしないということはしないつもりでございます。
#72
○木村(榮)委員 そういたしますと、外國人でも経営者がかわれば、たとえば私学なんかの場合はそうだと思うのですが、経営者がかわつて外國人になつた場合は、設置者が変更されるわけですが、それは認可する方針だ、かように解釈してさしつかえございませんか。
#73
○伊藤説明員 さしつかえございません。
#74
○木村(榮)委員 それから第七條第二項の中に、ユネスコだけが特に明記してあるのですが、一体文部省はどのような見解で、ユネスコだけを特に明記したか、その点を承つておきたい。
#75
○高瀬國務大臣 ここにユネスコに関する活動だけが第一として掲げてありますが、御承知のように、ユネスコというのは國際的な文化教育運動でありまして、文部省の仕事とは非常に密接な関係があり、國際的な活動として現在並びに將來非常に重要視しなければならない事柄であります。最近ユネスコのオフイスが新たに東京にできまして、その方面の活動が活發になり、文部省としてやるべき仕事が非常にふえて來ておりますので、特に規定いたしたわけであります。
#76
○木村(榮)委員 そうしますと、ユネスコ以外の國際的な文化團体とか、あるいはいろいろな藝術家の関係の機関とかいつたふうなものは関係しない、かような方針でございますか。
#77
○高瀬國務大臣 ユネスコ以外でも学術的、協力等の問題がたくさんあるわけでありますけれども、それはそれぞれの局の中でやるように仕事が分配してあるわけであります。
#78
○木村(榮)委員 その次には、第四号に「宗教に関する情報」云々とあつて、最後に「連絡すること」とございますが、これはどういう意味でございますか。どんな連絡をどのような方法でなさるお考えですか。
#79
○伊藤説明員 これは各宗教團体に共通の問題がありますので、それらの連絡をはかる事項が多少あるのでございます。そういうことをここに規定いたしておるわけであります。
#80
○木村(榮)委員 最後に、これと関連しますが、最近キリスト教を強制的にやらせておるところがたくさんできましたが、あれは文部省の方針かどうか承りたい。
#81
○高瀬國務大臣 どこでそういう事実があるか存じませんが、文部省としては、いかなる宗教も強制的にこれをやらせるということは、いたさないことにしております。
#82
○木村(榮)委員 もし強制的にやらせておるような具体的な事例を私たちが出しました場合においては、文部省としてはどのような御処置をとる方針でございますか、承つておきたいと思います。
#83
○高瀬國務大臣 宗教の自由は、憲法で保障されておるわけでありますから、もしそれを強制するということになれば、これは憲法違反であります。また地方の学校でそれに類するようなことがあるといたしますれば、これは教育委員会が直接にやるべきことでありますが、文部省としても、それを放つておくわけにも行きませんから、文部省としてもむろんその教育委員会に対しまして、助言勧告等はやらなければならぬという立場にあります。
 それから宗教を目的とするような私立学校がありますが、こういうようなものは特殊なものですから、その点は御了解願いたいと思います。
#84
○池田委員長代理 それではこれにて散会いたします。
    午後一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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