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1947/08/08 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第20号
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1947/08/08 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第20号

#1
第001回国会 本会議 第20号
昭和二十二年八月八日(金曜日)
   午前十時二十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十九号
  昭和二十二年八月八日
   午前十時開議
 第一 両院法規委員の選挙
 第二 石炭増産感謝決議案(左藤義詮君外五名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第三 昭和二十一年法律第十一号(弁護士及び弁護士試補の資格の特例に関する法律)の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第四 國民貯蓄組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。お諮りして決定したいことがございます。過般商業委員会より生鮮食料品及び青果物に関し、又電氣委員会より電力復興問題につき、調査承認要求がございました。議長は調査することの承認を與えましたが、これに伴いまして、商業委員長より蔬菜及び青果物の生産地を実施調査のため、関東班として東京都、神奈川縣、靜岡縣、千葉縣、埼玉縣、福島縣、宮城縣に一松政二君、中平常太郎君、油井賢太郎君、関西班として愛知縣、京都府、大阪府、兵庫縣、岡山縣、廣島縣に黒川武雄君、佐伯卯四郎君、廣瀬與兵衞君、いずれも十日間、又電氣委員長より電力の復興及び開発状況実施調査のため、九州方面に清水武夫君、橋本萬右衞門君、岡本愛祐君、栗山良夫君、九日間、御嶽方面に飯田精太郎君、石川一衞君、赤澤與仁君、大山安君、加賀操君、四日間、黒部方面に水橋藤作君、原口忠次郎君、木檜三四郎君、加藤常太郎君、西川昌夫君、四日間の各日程を以て委員を派遣しいたとの申出がございました。これら二十名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) これより本日の議事日程に移ります。日程第一、両院法規委員の選挙。
#6
○北條秀一君 只今議題となりました両院法規委員の選挙につきましては、成規の手続を省略して、その委員を議長の指名とせられんことの動議を提出します。
#7
○岡田宗司君 只今の北條君の動議に賛成いたします。
#8
○議長(松平恒雄君) 北條秀一君の動議に御異議ございませぬか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては
   松村眞一郎君  高瀬荘太郎君
   藤井 新一君  中井 光次君
   奥 主一郎君  齋  武雄君
   新井寅三郎君  西園寺公一君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#10
○議長(松平恒雄君) 議事日程変更につきお諮りいたします。議事の都合により日程第二を最後に廻したいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#12
○議長(松平恒雄君) 日程第三、昭和二十一年法律第十一号(弁護士及び弁護士試補の資格の特例に関する法律)の一部を改正する法律案、内閣提出を議題といたします。先ず委員長より委員会の経過及び結果の報告を求めます。司法委員長伊藤修君。
   〔伊藤修君登壇、拍手〕
#13
○伊藤修君 只今上程になりました法案に対しまして、その内容並びに委員会の経過及び結果について御報告申上げます。
 終戰後滿州國より引揚げられました方々の中には、我が國におきまして、すでに高等試驗司法科試驗に合格せられまして、彼の地に赴任せられ、司法官の職務にあつた人が若干あるのであります。これらの人々は多年滿州國におきまして司法事務に携われまして、幾多の経驗をお持ちであるのであります。然るに我が國にこれらの人々が帰られましても、当然その司法官資格を持つておるということは言えないのであります。我が國の檢察官或いは裁判官、弁護士、こういう職務には過去の経驗によりまして、当然その職に就くということはできないのであります。從つてこれらの人々らは過去の経驗は勿論空しくいたしまして、生活上におきましても、或いは精神的におきましても非常に苦痛を感じられておる次第であります。この法案はこれらの人々の過去の経驗を活かし、以てこれら人々の人材を有用に國家のために活用して頂くという意味におきましても、又これらの人々を救済いたします上におきましても、この法案を提出するの必要がありまして、内閣より提案された次第であるのであります。
 法案の形式といたしましてはすでに昨年昭和二十一年法律第十一号といたしまして発布せられておるところの弁護士の資格、弁護士試補の資格の特例に関する法律の一部を改正する形式を採つておる次第であります。この法律は御承知の通り弁護士の特例に関するのでありますが、それは朝鮮の弁護士、即ち朝鮮弁護士令によりまして朝鮮におきまして弁護士業務を開始いたしておられた人があるのであります。これが凡そ三百名ありまして、その中百五十名程度は内地の人々らであるのであります。この人々らが等しく朝鮮弁護士令によりましては、かの地において弁護士をしておることができたのでありますが、内地に帰られますれば、即ち我が國に帰られますれば、当然弁護士の資格は持つていないのであります。故に昨年これらの人々らを救済するために、弁護士法の第三條の高等試驗の資格を得るということ、及び第二條第一項第二号によりまして高等試驗を受けた者は尚且つ事務の修習を一ヶ年半なさなくはならんというこの規定を適用せず、直ちに弁護士法第十三條第二項によるところの弁護士審査委員会の審査を経ますれば、日本の即ち我が國の現在の弁護士と同一資格を付與するという特例を設けた次第であるのであります。
 このたび政府より提案されましたところのこの法案は、その第十一号の第一項の次に、第二項といたしまして規定いたしまして、即ち朝鮮弁護士の特例と同樣な待遇を與えようとする次第であるのであります。
 滿州國より引揚げられました法官におきましては、審査会の決定を経た者は即ち第一項と同樣、朝鮮弁護士の場合と同樣に、直ちに我が國の弁護士としての資格を付與しようといたした次第であるのであります。
 かような次第でありまして、委員会におきましては、これに対しまして、若しさような外地におらるる人々らを我が國の司法官といたしまして、或いは司法事務に携わるところの弁護士の職責を與うる上におきまして欠くるところなきや否や、こういう点の御質疑があつたのであります。政府委員といたしましては、もともと滿州國に派遣せられ、赴任せられておつたところの司法官の諸氏は、いずれも我が國の高等試驗令によりまして、規定の司法科試驗を合格せられまして、かの地に赴任せられ、そうして実務を夙に修習せられておる、経驗もせられておるという点におきまして、その点においては十分であると確信する次第である。又滿州國の法令の体系は、我が國の法令の体系とほぼ同樣なコースを取つておつた次第でありますから、その点においても欠くる所はないと信ずる。且つ又我が國から派遣せられておりましたところのこれらの司法官諸氏は、主といたしまして在留日本人の裁判に携わつておられた次第でありますから、この意味におきましても、直ちに我が國の司法事務に携わらしむると雖も、決して遜色ないものと考える次第であるという政府の御答弁でありました。又この法案によりまして救済せらるる人人というものは、数は何程になるかというところの質問に対しましては、すでに帰國せられましたところの人々が十五名、未帰還の人が九名、合せて二十四名であるのであります。かような次第でありまして、この法案に対するところの目的は甚だ小なりと雖も、この法律によつて受くるところの利益というものは又少なからんものであるということを言われたのであります。又この法案がこのまま承認せられた場合におきまして、成る程弁護士として我が國の司法事務に携わることの機会を得せしむる上に、おきましては、遺憾なきものと認めらるるけれども、弁護士がすでに保有するところの、司法官となり得るところの資格、この点に対しましてはどうかという質問がありました。これに対しまして政府委員は、五月三日までにすでに弁護士を開業せられておる人々らは、將來簡易裁判所、高等裁判所、最高裁判所の判事となり得るところのそれぞれの資格を有するのでありますが、それ以後において内地において弁護士を開業せられた人々らは、いずれも法規に從い司法修習生として或る一定の期間を修習しなくては、これらのものに任官することはできないという御答弁でありました。
 よつて委員会におきましては、政府の提案によりまして、誠に引揚者に対するところの同情あるところの処置をとられることには感謝いたしますが、佛作つて魂入れずというような譬いに漏れんと思いまして、我々委員会といたしましては、これらの人々らに尚將來司法官としても立ち得るところの資格の基礎を與えることの方が、万全を期する上においていいのではないかという意見に一致いたしまして、お手許に配付せられておるところの修正案を提議せられた次第であります。
 それは裁判所法施行令第十條及び裁判所法第四十一條、第四十四條、檢察廳法第十八條、第十九條によりまして、先程も申しますごとく、弁護士が司法官に任官する場合におきましては、五月三日以前におきましてすでに弁護士となつておればよろしいのでありますが、それ以後のお方におきましては、司法修習生として裁判所法第六十六條、第六十七條によりまして、二ヶ年の司法修習をしなくてはならんのであります。かくては、すでに多年の経驗を持つておるところの、この人々に対しまして、経驗のない人と同樣に取扱うということは誠に不公平ではあるし、又これらの人の將來の司法官たるところの途を拓く意味におきましても、この規定を、只今申上げましたところの各規定を適用しないということに直す方がよかろう。こういうことに一決いたしまして、修正案のごとく、これらの滿州國から帰られました人は、弁護士審査委員会の審査を経ますれば、それによつて司法修習生の資格を得たものとみなすと、こういうことにいたしまして、又これと均衡を保つ上におきまして、すでに朝鮮から帰られましたところの各弁護士の人に対しましても、同樣に審査委員会の審査を経て弁護士となられた場合におきましては、司法修習生の年限を経たものとみなすということにいたした次第であります。滿州から帰られました人と朝鮮から帰られました人との、いわゆる三ヶ年という期間の條件を、差異を設けた次第は、滿州から帰られました人々らは、すでに日本におきまして、日本の高等試驗に合格せられまして、赴任せられた人であるのであります。朝鮮からお帰りになつた人は朝鮮弁護士令によつて弁護士になられた方々であります。この間におきまして、多少その基礎において相違があると考える次第でありまして、この意味におきまして三ヶ年という開きを設けた次第であります。いずれにいたしましても、かくて外地から引揚げられましたこの司法事務に携わる人々らを完全に救済し得るようにいたした次第であるのであります。かような次第でありまして、委員会といたしましてはこの修正案に対しまして、全会一致修正案を可決いたした次第であります。而して修正を除く原案に対しましても、亦全会一致を以て可決いたしました次第であります。どうぞこの点に対しまして十分諸君の御了承を願いたいと思います。曾て戰時中におきましてクロムリーという一米人の夫人が日本人であつたために、この一日本人を救出するために、米國の議会は有名なるところのクロムリー夫人救助法案というものを米國議会に提出せられまして、上下両院を通過し、大統領の署名を以てこれを交付せられた事実があるのであります。この度提案されましたところのこの法案は、僅か二十四名の人々らの資格に関するところの法律でありますが、この人々らが今日時勢の変轉によりまして、我が國の法政上の現行法制上におきまして、不利益なるところの待遇を受くる場合におきまして、政府当局といたし、これらに対しまして法律上均霑なる利益を與えるということは、正に民主主義國家といたしましての立法方式として喜ぶべき傾向であると確く信ずる次第であります。(拍手)以上御報告申上げまして、委員会の御報告に代えます。
#14
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。委員会の報告は修正議決報告でございます。本案全部を問題に供します。委員長報告通り修正可決することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#15
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会の修正通り可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#16
○議長(松平恒雄君) 日程第四、國民貯蓄組合法の一部を改正する法律案、内閣提出、衆議院送付を議題といたします。先ず委員長より委員会の経過及び結果の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇〕
#17
○黒田英雄君 只今議題に相成りました國民貯蓄組合法の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告をいたしたいと存じます。
 先ず本法案が提出されました理由は、現下の財政経済の情勢におきまして惡性インフレーシヨンの進行を阻止し、通貨の安定を図りまして、経済再建に力をいたすことは、目下の緊要なる事柄であります。他のいろいろな政策と並行いたしまして、從來相当成績を挙げておりました國民貯蓄組合法を今日の諸般の情勢に即應いたしまするように改正を加えまして、これらを民主的の活動、又運営をいたしまするようにいたし、以て貯蓄増強に資したいというのが、この法案の提出の理由であるのであります。委員会におきましては、この法案につきまして三回委員会を開会いたしまして、委員の各位は非常に熱心に愼重に論議を盡されたのであります。
 先ず初めに銀行局長より、從來のこの組合の活動状況並びに將來の貯蓄増強に対しまするいかなる方針を持つておるかということについて、説明を聽いたのであります。簡單にこれを御紹介をいたします。國民貯蓄組合は戰時中に設けれたのでありますが、戰時中においては、相当にこれは活動をいたしたのであります。その組合の数は六十万八千四百四十六に達しております。又組合の貯金者の数は、六千二百五十九万三千名というものに達し、又その貯蓄金額は百四十二億四千七十二万八千円に達しておるのであります。さような状況でありましたが、終戰後その活動は非常に衰えておるのであります。只今申上げました数は十九年の九月現在でありまして、その後の資料は散逸して今日の状況は明らかでないのでありますが、大凡そその十分の一ぐらいに相成つておるのではないかという話であるのであります。然るに昨年金融緊急措置が講ぜられまして以來、國民の通貨に対しまする信頼が非常に失われたのであります。三月の措置以來預金は非常に減少を來しておるのであります。そうして一方には通貨の発行は漸次増加を來したのであります。そこで、かくのごとき状態でありましては誠に恐るべき結果を來すというので、昨年秋、御承知の通り衆議院におきましては通貨安定の決議ができまして、衆議院を中心といたしまして通貨安定対策本部というものが組織されまして、全國に貯蓄増強の運動が展開をされたのであります。そのために昨年の十月からは貯蓄は相当に増加をして來ておるのであります。十月に七十七億円の増加をし、十一月は七十二億円、十二月には百五億円、一月には六十八億円、二月には七十八億円、三月は百三十四億円というふうに増加をいたし、最初の五百億の目標に対しまして四百五十四億円という、約九〇%の成績を挙げたのであります。本年に入りましては毎月百億円を目標としてやつておるのでありまするが、四月は六十三億円、五月が九十五億円、六月が百十億円というふうな成績を挙げておるのであります。併しながら一面通貨の増発はやはりその勢が止まらないのであります。更に今般物價に対しまする公定價格の引上げが行われるというふうなことの結果といたしましては、この第二四半期におきましては相当これに対しては特別なる対策を講じなければならんという状況にあるというのであります。從いまして、この九月以後には貿易再開の救國貯蓄運動というものを起そうという計画もしておるというような話であるのであります。
 さような説明であつたのでありまするが、質疑應答に入りまして委員の大多数の方々の御意見は、要するにこの改正だけでは到底貯蓄の目的を達することはできないから‥‥ちよつと落しましたが、法案の内容を一應申上げて置く方がいいと思うのでありますが、改正法案は先程提案の理由で申上げましたように、第一は、現行法におきましては、國民貯蓄組合の組織並びにその加入につきまして強制ができる規定があつたのであります。この規定を削除いたしまして、組合の組織は自主的に、そうしてその活動を民主的運営によらしめるというふうにいたしたのであります。それから尚第二には、貯蓄組合の勧奨によりましてできました貯金に対しましては、その元本一万円まではその利子に対して免税の特典を規定しておつたのでありまするが、これを三万円に引上げる。そうして貯蓄意欲の増進に資したいというのであるのであります。第三の点は、市町村農業組合につきましては、これを國民貯蓄組合の勧誘による貯金とみなして同樣に免税の適用をいたしておつたのでありますが、これは先般所得税法が改正になりまして、非課税團体の整理が行われたのでありますが、その結果として、やはりこれは非課税團体に他との権衡上なるべきものであつたのであります。それ故に、この際それに合せましてこれを非課税團体といたしまするが、併し國民貯蓄組合の組織をいたしますならば同樣免税が受けられるのでありますから、看板を掲げさえすれば同じような結果に大体なるのであります。第四の点は、他の法律の改正の結果或いは制定の結果といたしまして、関連して改正したのであります。地方自治法の制定に伴いまして、今まで市町村又はこれに準ずべきものとありましたものを、市町村、特別区、特別市というふうなことに改正する。或いは保險中央会が近く廃止されるのでありますが、その他の中央会を除くとか、或いは銀行が預金を受けましたのを貯蓄組合の預金欣として受けましたものは、やはり貯蓄銀行と同じようにその三分の一は國債で以て準備するという規定があるのでありますが、これは貯蓄銀行法で削除されましたので、それに合せましてこの法律からもこれを削除するというふうなこと、その他二三の点につきまして、他の法律の改正並びに制定の結果に應じて直したのであります。
 そこで質問應答のことについて御紹介申上げますが、委員の大多数の方は、この國民貯蓄組合法の改正だけでは貯蓄の増強の目的は達せられないではないかという意味の御質問が非常に多かつたのであります。それは、今日物價は騰貴し、通貨の價値は下落しつつあるのであります。戰時中におきましては、政府の勧誘によりまして國民もこれに熱心に協力いたしまして、國民貯蓄組合の組織も活溌に行われ、預金も亦非常に増加いたしたのでありまするが、併し敗戰という冷嚴な事実の結果といたしまして、物價は今日のように騰貴する、通貨の價値は下るということで、今まで預金をしておつた者は非常に損をする。いわゆる正直者が損をする。そうして物に換えておつたような者が却つて利益をするというような状況になり、今日においては貯蓄を勧誘いたしましても到底國民はこれに應じて來ないという状況であるのであるからして、ただこの法律の改正だけで、或いは免税の範囲を拡張するとか或いは利息が多くなるというようなことにはもはや魅力を感じない状態であるのではないか。貯蓄の必要なこと、貯蓄が一方に偏在する資金を集めて、そうして産業資金或いは政府資金等必要なる方面に活用することは、今日誠に必要であるということは何人も認めるのであるが、このままでは到底増強の目的は達しられない。過般首相の施政演説におきましても、我が國の経済危機に対して今日は実に最後の対策を立つべき時期であるというふうな意味のお話もあつたのであるから、政府はこの際思い切つた何か方法を立てなければ、到底貯蓄の増強の目的は達しられないから、政府は他にいかなる対策を持つておるかというふうに御質問がいろいろな方面から繰返されたのであります。これに対しまして政府は、成る程お説の通りこの貯蓄の増強ということは今日容易な事業ではない。困難な仕事であるのである。併しながら困難であるからといつて、これを放置して置くわけには行かないのであります。勿論この法律の改正だけで以てその目的を達成しようというのではなくして、他のいろいろな政策、例えば財政の健全化を図り、又は日銀の貸出についても相当な制限を加える等のいろいろな方策を実行すると共に、又貯蓄の増強につきまして政府が只今考えておることは、この法律の特典以外におきまして、物を以て報奨する。賞品を出す。例えば自轉車のごときは、殆んど我が國において生産せられる自轉車の全部をこの貯蓄の奨励の賞品として使いたいという考えを持つておる。第二四半期におきましては、約一万台の自轉車をこれらの賞品に使う計画を今立てておるというふうな説明でありました。又地方に預金を還元をするということについても考えておるし、或いは長期の、今日福徳定期預金等と称しまして、無記名の定期預金をいたしておるのでありまするが、これを更に拡張をして普通の預金にも無記名預金というふうなものを考慮しておるというふうな、いろいろなことも考えておるという説明であつたのであります。尚委員の中からは、貯蓄の増強につきましていろいろな手段を講じなければならんと考えるのであるが、今日の物價が段々騰貴して貨幣價値の下る時期におきましては、安定價値計算の方法をもこの貯蓄の吸収の方法に考慮するわけには行かないか。例えば預金を今日いたしまして他日引出すときに、通貨の價値が下つておつたならば、その時の通貨價値によつて預金を拂戻すというような方法を採られるならば、預金は直ちに増強をするであろうというような御意見もあつたのであります。政府は、安定通貨價値計算等については大いに考えたのであるが、併し今日物價水準というものが、未だ日本の統計におきましては、十分な正確なるものを得ることができない。又預金をその時の通貨價値で支拂うことにいたしますれば、貸金についても亦これらのことを考慮しなければならんことになるのであつて、なかなか容易な仕事でない。又今日貨幣價値は下落しているが、併しながら我々はこの貨幣價値の下落を今日においてどうしても喰い止めなければならんのである。これに向つて全力を注がなければならん。國民も亦貯蓄の増強によりまして資本を蓄積し、以て海外の信用も維持しまして経済を再建する。どうしてもこの貨幣價値の下落というものを回復をしなければならんということに自覚的に考えられまして、そうして協力をされて、どうしてもこの通貨價値の下落というものを喰い止めなくちやならんと考えているのであるから、さような方法を採りますれば、いかにも通貨價値の下落が今後も続くものであるかというような誤解を受ける危險があるというふうな意見もあつたのであります。又預金につきましては、いつでもこれが引出せるということであるならば預金は増加するのであるが、昨年の措置のごとく封鎖されて、折角預金をしておつた者がこれを使えない。又貸付を要求いたしましてもなかなか貸付をして貰えないというふうな状態であつては、到底預金は吸収できないのであるが、これを除きさえすれば預金の吸収は容易であるというような御議論もあつたのであります。そうして封鎖預金も速かにこれを解除して、新円を以て貸付その他ができるようにして貰うならば、非常に有利であるという御質問があつたのでありまするが、これに対しまして政府は、預金の支拂につきましては、これは今日新円の再封鎖とか、或いは平價の切下というふうな説が巷間に傳えられるのであるけれども、政府としては断じて新円即ち通貨の信用を害するような措置は絶対に採らない。殊に新円を交換するというような説もあるが、これは技術的にもできることでないのであつて、今日の通貨を換えるためには、十五万連の紙を要し、二百頁の本といたしますれば一千万冊も作れるだけの紙を要して、而もこれが印刷等には一年を要するのである。そうしてさようなときにおいて、このことを早耳によつて利得する者はやはり新円階級であるのであるからして、到底こういうとは技術的にもできるものではなく、又價格の切下げ、デバリウエーシヨンのごときことは、これは何らかの益なく害があるだけのものであるからして、これは断じて政府はそういうことは実行しないということはしばしば声明しておる通りであるという説明があつたのであります。又今日の金融梗塞の際におきましては、闇金融市場というようなものが出現をしおるようである。聞くところによれば、月一割ぐらいな利息で以て金融をしておるということであるが、かくのごときものであつては正常な金融機関に預金を吸収するということは非常に困難ではないかというふうな説もあつたのでありまするが、政府は、かくのごとき高利のものを以て尚儲かるような仕事のあるということは止めなければならん‥‥。(「大体分りましたから結論を願います。」「演説はその辺で結構です。」と呼ぶ者あり)政府は正当な金融機関に資金を集中することについてあらゆる努力を拂つているのであるというふうな、御説明があつたのであります。さようないろいろな御質問がありましたが、要するに今日の状態においてこのままでは預金の吸収は困難である。どうしても政府は預金ができるような情勢を作らなければならないのではないか。それにはこの際なにか思い切つた施策を講じて貰いたいという御意見が多かつたのであります。そうして質問を終了いたしまして、討論に入つたのでありますが、その際一委員から、先程申上げた通りいろいろな情勢によつて、今日の情勢においては誠に貯蓄の奨励は困難であるからして、國民が貯蓄の出來るような情勢を作るように政府は努力して貰いたいということを希望して本案に賛成をするということであつたのであります。
 かくて討論を終りまして、採決に入りましたところ、全会一致を以て本案を可決すべきものなりと議決いたしたのであります。これを以て私の報告を終ります。(拍手)
#18
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより本案の採決をいたします。委員長の報告は可決報告であります。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を願います。
   〔起立者多数〕
#19
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#20
○議長(松平恒雄君) 日程第二、石炭増産感謝決議案、左藤義詮君外五名発議、委員会審査省略要求事件。本件は発議者の左藤義詮君外五名の要求の通り委員会の審査を省略し、直ちに本案の審査に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。左藤義詮君。
   〔左藤義詮君登壇、拍手〕
#22
○左藤義詮君 各派共同提案の石炭増産感謝決議案の趣旨を説明いたします。先ずその案文を読上げます。
  石炭増産感謝決議案
  本年度三千万噸の石炭確保は、祖國再建のための必須条件である。石炭関係者が炎熱の下、食糧、資材の不足その他あらゆる困難を克服して、一路その目標完遂に邁進されていることは、全國民の感謝に堪えないところである。
  参議院は、茲に院議を以て石炭関係者の労苦に対し、滿腔の敬意を表すると共に尚一層の奮闘を祈る。
  右決議する。
 終戰以來極度に萎靡いたしました産業をいかにして振作復興するかは、我が國経済の直面する焦眉の重大問題であります。石炭の増産こそこれが必須の前提として、その成否は実に八千万民生の死活に係わるのであります。石炭生産の最高記録は御承知のごとく昭和十五年の五千七百三万トン、空襲下の一昨年七月ですら尚月産二百七十万トン出しておりましたのが、終戰直後の九月にはただの八十五万トン、十月は五十七万トン、十一月は五十五万トンという、目も当てられん惨状でありました。戰時中軍閥や官僚が將來を考えず、ただ目先だけ手当り次第に掘りまくつた結果、炭鉱の諸施設が著しく荒廃した。外人労働者や勤労隊等が引揚げたために、労務者特に熟練せる坑内夫が激減した、食糧不安、インフレ昂進による生活の脅威、住宅問題、坑木、鋼材、その他作業用品の入手難、生産原價と炭價とのアンバランス、これらのあらゆる惡條件が累積した誠に止むを得ざる結果であつたのであります。さればといつて一切の原動力たる石炭がこのみじめな状態のままで参りましたら、前途は誠に寒心に堪えないのであります。前内閣以來、石炭と鉄とを超重要産業に指定し、いわゆる傾斜生産による雪達磨式に鉄鋼と石炭を増産して、この民族危機に一方の血路を開こうとしておるのであります。單なる一党一派の政策でなく、実に全國民死活の運命が懸つておるのであります。二十二年度の絶対必要量三千万トン、勿論前に申しましたような各種の隘路は未だ十分に打開せられていないのでありますが、何はさて措いても、石にかじりついてもこの血路だけは突破しなければなりません。全國石炭復興会議では七月一日から九月までを期間といたしまして、強力なる増産運動を展開いたしました。全國民固唾を飲んで刮目をしておりましたところ、我然七月の予定量二百二十二万トンを終戰以來初めて完遂いたしました。更に五%を上廻るという朗報に接したのであります。地下幾千尺、地熱四十有余度の中で、文字通り汗と膏を絞つて敢闘せられる勤労者諸君並びに資材、資金その他の調達や、全山一体のチームワークへ渾身の努力を拂われつつある職員及び企業家諸君に対して、心からなる敬意と感謝とを捧ぐる次第であります。
 思うに、日本が戰いに敗れ復旧の意に任せんのは、産業界における生産熱意の向上せざることが根本であります。この意味におきまして、先月の目標突破は、單に石炭のみならず、全産業界を通じての光明であり希望でなければなりません。(拍手)而も危險と労苦の最も多い炭鉱において、先ずこの業績を挙げられましたことに対して、一層の感激と感謝とを禁じ得ないのであります。この輝かしき金字塔の蔭には、どれ程貴い血と涙とが注がれておるか、全國の数多き美談をここに一一申上げる時間を持ちませんが、僅かにその二三をこの壇上から御紹介いたしたいと存じます。山口縣長沢炭鉱の藤井金市君は、日頃まじめな努力家として、石炭に一生を打ち込んでおりましたが、昨年十月十八日、坑内で採炭作業中飛び石のため右の眼を負傷いたしました。相当重い、医者から丹毒の診断をされ、休業を勧められましたが、折から大切の増産期間中である、どうしても欠勤をいさぎよしとせず、倒れてもと病氣をおして出勤いたしまして、一日の欠勤もなくその使命を達成せられたのであります。
 又山口縣上沖炭鉱の澁谷虎造君は、五十九歳の今日まで炭鉱に身を捧げ、目下社宅で独身自炊の生活をしておるのでありますが、隣り社宅のお婆さんが亡くなつた、山の習慣で是非それを手傳わなければならない。併し同鉱においては、折から加配米感謝増産運動の展開中である。一人の欠勤はそれだけ減産をする。責任感に富める同君は、葬儀の前日深更より坑内で四函の責任函数を採炭をいたしまして、一睡もせずに翌日の葬儀に参列しておるのであります。
 又山形縣北村山郡の昭平炭鉱では、配車不振のために、せつかく掘つた炭を山元に眠らせていましたが、昭和二十一年もおし迫つた十二月三十日になつて二十数車輛の配車を得て、俄然活氣づきまして、山元並びに駅の積込場において、折からの降雨をおかして二十四時間ぶつ続け作業を敢行し、次いで大晦日と元旦とこの三日間、鉄道配車とシーソーゲームを演じ、鉱長以下労働組合全員に臨時作業人夫を加えて、文字通り全山一体となつて猛作業の結果、見事貯炭を拂い出し、さあ又掘り出すぞと意氣高らかに凱歌を挙げたのであります。
 又北海道の輸西製鉄所は、本年七月中旬から配炭停止となり、操業不能の状態に陥りましたが、同製鉄所労働組合よりこの苦境を聞きました全日本炭鉱労働組合北海道支部では、鉄鋼の生産停止が我が國産業に及ぼす重大な影響を憂慮いたしまして、早速役員会を開き、八月中に公休を全員一日返上して、その増産分を製鉄所に送ろうと決議をいたされまして、溶鉱爐の火を絶やさんために、今や必死の奮闘をいたしておられるのであります。残念ながら爾余は省略いたしますが、かくのごとき幾百幾千の至誠がこり固まつて、二百三十三万トンの黒ダイヤとなつたのであります。この勢いで、八月の予定二百二万トン、九月二百三十一万トン、上半期の不足を補うためにも戰いはいよいよこれからであります。量だけでなく、炭質の向上にも、尚一段の奮闘が必要であります。本院からも最近全國各炭鉱を視察いたしましたが、立法府として、國策のあらゆる面において、諸君の至誠に報い、諸君の奮闘に協力することを、ここに衷心よりお誓いいたしたいと存じます。凡そ百の抽象理論、千の企画機構よりも、現実に一塊りでも多く炭を掘り出すことが、組國を現実に救う所以であります。(拍手)現場においては、政治問題とは別個に、あくまで現実生産の問題に取り組んで、この勢いに一層の拍車をかけて下さるよう、心からお祈りする次第であります。
 畏くも天皇陛下におかせられては、一昨昨日、東北巡幸の第一歩を磐城鉱業所に駐めさせられました。酷熱四十八度の坑内で、親しく炭鉱夫諸君を激励遊ばさるるお写眞を拝して、眼頭の熱くなるのを禁ずることができませんでした。國民統合の象徴たる天皇の御心は、ひとり常磐地方のみならず、全國石炭関係者三十有余万の魂に、電氣のごとく響いたことと信じます。ソ連を興し、ロシヤを救つた最大の英雄は、実に若き炭鉱夫スタハノフのでありました。傳教大師のいわゆる一隅を照らすこれ即ち國宝として、この際一層の健康と精進とをお祈りしたいというのが、本決議案の趣旨であります。なにとぞ各位の御賛成をお願い申上げます。(拍手)
#23
○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます。中川以良君。
   〔中川以良君登壇、拍手〕
#24
○中川以良君 私は緑風会を代表いたしまして、只今上程せられました石炭増産感謝決議案に、滿腔の賛意を表して止まざるものでございます。石炭関係者の熱烈なる努力の結晶といたしまして、この度発表をせられましたるごとく、去る七月には、終戰以來初めて予定の生産量である七月分の二百二十一万トンを遂に突破をいたしまして、二百二十二万トンの生産を見るに至つたのでございます。この時この際、この貴き労苦に基ずく石炭増産に対し、本院におきまして國民の総意を代表して深甚なる感謝の誠を捧げんとすることは、最も時宜に適しましたる意義深き企てであると存じますると同時に、この輝やかしき石炭増産の功績は、我が國経済復興の前途に一屡の光明を見出だし得たものと申すべきでありまして、御同樣誠に欣快至極に堪えないところでございます。
 私は過般本院を代表いたしまして、北海道の各地の炭鉱を具さに視察をして参つたのでございまするが、あの山間僻地の炭鉱地におきまして、幾多の不便と振りとを忍んで、物資的に且つ又精神的にあらゆる因苦と取つ組んで、我が國産業の基礎を成しまするところの石炭増産にひたすら敢闘を続けておられまするところの炭鉱の從業員諸君の尊き現実の姿を目のあたりに拝見いたしまして、心の底より感謝感激をいたした次第でございます。救國の熱意に燃え、眞の自己の任務に目覚めましたところの多数の労務者諸君と技術者諸君、それに経営者諸君とが率先身を挺して渾然一体となり、奮起精励をしておられまする有樣は、現地石炭相当の官廳当局の献身的の努力と共に、誠に神々しきものすらあるのでございます。私はみずから省みましてその認識の足らざりしこと、努力の未だ及ばざりしことを大いに反省せしめられた次第でございます。
 かく考えまするとき、今ここに全國民を代表いたしまして決議せられんとする石炭増産感謝決議は、ただ單に儀礼的のお坐なりの感謝文たらしめては絶対にいけないのであります。石炭増産はただ單に石炭生産に直接関係のある方々のみに委ねらるるべきではございません。今や全國民が日本の経済復興、國民生活の安定のために、官といわず、民といわず、総力を傾倒してこれに協力をいたすべきでございます。今や炭鉱の現場にありましては、政府の施策当を得るにおいては、直ちに容易に改善可能の事項が幾多あるのでございます。石炭増産のため焦眉の火急を要する問題は理屈を抜きにいたしまして、どしどし勇敢に改善を加えらるべきであると存ずるのでございます。即ち今日の施策を直ちに明日の増産たらしむるところの活きた政治こそ望ましいのでございます。(拍手)さりながら爲政者は徒らに量的の増産のみに囚わるることなく、炭鉱の科学的経営に基ずきまするところの質的の向上と、將來四千万トン、更に五千万トンを目標といたしまするところの、大量増産の基礎を技術的に確立することを忘れてはならないのでございます。
 次に一般民間の関連産業に携わる者も石炭増産に寄與いたしまするべきおのおのの重責をはつきりと自覚をいたしまして、眞に精神のこもつた良心的の製品を炭鉱に供給をいたしますることこそ、即ち貴き石炭の増産に應えるただ一つの途であろうと存ずるのでございます。又石炭の配給消費の面にありましても、常に正しく適材が適所に、而も一塊の石炭たりとも無駄なく有効に消費をせらるるということが、國民といたしまして石炭の増産に協力をする最も大切なる使命ではございませんでしようか。以上申述べましたるがごとく、種々のことが即刻政府当局の熱意と國民各層の発奮とによりまして実現できましてこそ、今日の感謝決議が眞の感激といたしまして、炭鉱関係の方々に喜んでお受を頂けることとなり、且つ又これによりこれらの方々も、この國民的協力と支援の下には、必ずや更に一段の奮起敢闘をせられ、いよいよ増産の実を挙げられ、以て我が國経済の復興の前途には、正に刮目して待つべきものがあるに至るべきであろうことを確信して止まざるところでございます。
 終りに臨み、石炭復興会議と石炭増産協力会の御努力に対しまして、この機会に併せて感謝をいたしますると共にこれらの專門的、実際的の機関が、今後我が國炭鉱の運営が民主的に、並びに科学的に向上発展をいたしまする上に、願わくば大いに蘊蓄を傾けて頂きまして、一層の御貢献あらんことを懇請して止まないのでございます。(拍手)私はここに重ねて全國炭鉱の皆樣に心よりお礼を申上げますると共に、これらの方々の御健闘を衷心よる祈念し、本提案に双手を挙げて賛同をいたしまする次第でございます。(拍手)
#25
○議長(松平恒雄君) 下條恭兵君。
   〔下條恭兵君登壇、拍手〕
#26
○下條恭兵君 私は社会党を代表いたしまして、只今の石炭増産感謝決議案に衷心から賛成いたす者でございます。今回の石炭の増産につきまして、私共が曾て戰爭中に戰局の推移に一喜一憂したにも似た氣持で、石炭の生産状況を見守つておりましたところが、先月初めて予定の生産額を一〇〇%生産し、且つ五%の超過を見たということは、誠に喜んでも喜び切れないことでございます。本年三千万トンの石炭が出まするならば、初めて戰前の平均の生産に対しまして六五%前後の生産が挙がるということでございまするが、そういたしますると、昨年が大体二八、九%、三〇%弱だつたそうでありまするから、私共國民の生活は三千万トンの生産によつて昨年の大体倍くらいの豊かさの生活ができると思うのでありまして、この点から申しましても、私共日常生活から考えまして、誠に有難いことと存ずるのでございます。特にこの点につきまして、先般來労働組合の諸君が今回の増産運動に対しまして、率先準備にかかり実践いたしてくれましたことが、今回の成果を挙げました最大の原因であるということを聞くにつけまして、誠に喜びに堪えず、且つ感謝いたす次第でございます。今回の本年度の三千万トンの生産は、私共考えますれば、只今中川議員からもお話がありましたように、將來四千万トン若しくは五千万トン必要であるのでありまするけれども、とかく今年度最小限度三千万トン欲しいということでありまして、これはあくまで間に合せの必要量であると考えるべきだと思うのでございます。從いまして今後四千万トン或いは五千万トンを生産いたしまするためには、どのような経営方式がいいかということにつきましては、当面の本年度の三千万トンの計画とは別個に、冷靜に愼重に考うべきことと思うのでございます。只今自由党の左藤君から戰爭中先を見ずに無茶苦茶に掘つて行つたことが今日の悲運を招いたと申されましたが、正にその通りだと思うのでありまするけれども、今日、石炭対策が、又今年度の三千万トンに目をくらまされまして、目先だけの小策を施しておりますならば、数年後には又私共は今日と同樣の悩みを繰返さなくてはならないだろうと考えるのでございます。(拍手)從いまして、私共は飽くまでこの恆久的な國家の重要基礎産業に対しましては、いかなる方法で経営すべきが本当かということにつきまして、愼重に研究いたすべきだと確信するものであります。
 日本の炭鉱は大体イギリスの炭鉱に似ておるのでございますけれども、特に地質におきましては、イギリスに比べて遙かに不良であり、採掘が困難だと聞いております。尚その他いろいろの点につきましても、國営若しくは國有にしないならば到底実現のできないようなことがたくさんあると思うのでありますが、只今中川議員からも高度の技術を採用すべしという御提案があつたのでございますが、御意見誠に御尤だと存ずるのでありますけれども、独占禁止法その他近くいろいろと日本の経済民主化のために発布せらるべき各種の法案、並びにこの法案の実施によつて日本の産業界の遂げる変貌を考えますならば、私は自由企業において、かくのごとき高度の施設が実現できるとは考えられないのであります。(拍手)且つ又私共は、我々日本人はこの四つの島の上に未來永久に住んで、この上に生きて行く運命にあるのでありますし、又そう決心して各種の國策が今日実施せられつつあるのでありまするが、その意味からいたしますならば、我々に與えられた石炭資源は、これは民族の最大の財産だと考えられるのであります。從いまして、この財産は天然資源でありまするから、八十億トンと申しましても百億トンと申しましても限度があるのでありまして、これをいかに有効に我々も使い子孫にも使わせるかということにつきましては、自由企業において営利本意に経営すべきがいいか、或いは國家的見地に立つて或る程度の採算を無視した経営方式がいいかということについても、考うべき点が沢山あるのであろうと考えるのでございます。以上のような点にうえまして、私が本日この席を借りて申上げたいことは、先程中川議員からも御提案がありましたので特に申上げたいと存じまするのは、今日の当面の対策はあくまで絶対必要な三千万トン出す対策がとられなくてはならないのでありますし、將來の大方針につきましては、これは又別個に考慮すべきものと存ずるのであります。併しながら我が民族の特性といたしまして、急激な変革を好まない等の関係も考慮し、除々に着実に実行して行くことを望んで止まないのでございます。
 終りに臨みまして、今月の増産がとにかく私共が非常に心配しておりましたところの三千万トン生産達成に一つの光明を與えてくれましたことは、誠に國民として石炭関係の皆さんに対し感謝感激に堪えないところでございますが、どうか願わくば來月も再來月もこの勢いを以ちまして、今年度是非とも三千万トン出炭せられんことをお願いしたいのでありまするが、この暑さの中に拘わらず非常に石炭の増産が現在の無理な状況下において大変な仕事であることは、よく私共にも了解できるのでありまするけれども、この中で大きな災害も起すこともなく達成せられましたことに対しては、炭鉱の技術者並びに労務者の各位には厚く敬意を表する次第でございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
つきましては、私は今後ともこのような勢いを以ちまして是非とも達成せられることをお願いすると共に、私共國会といたしましては、参議院といたしましては、將來の大方針に誤まりないよう、日本の民主主義國家の完成に万全を期するためにも、愼重にして冷靜なる石炭対策が恆久策として採られることを切望して止まんものでございます。私は以上申上げまして私共の石炭関係者に対する感謝の言葉といたしまして、本案に対し衷心から賛成いたしまして挨拶を終ります。(拍手)
#27
○副議長(松本治一郎君) 深川榮左エ門君。
   〔深川榮左エ門君登壇、拍手〕
#28
○深川榮左エ門君 私はこの度参議院といたしまして炭鉱に贈られました石炭増産の感謝決議案を決定されますることにつきまして、民主党を代表いたしまして滿腔の賛意を表するものでございます。
 思いますのに、石炭はいわゆる経営におきましても、或いは技術におきましても、或いは労務の点におきましても、誠に困難なる、危險を伴う事業であろうと思うのでございます。つきまして我が國におきまする炭鉱は、いわゆる火山系統より成つておりますので、その炭鉱の坑内におきましても非常に多くの断層があると私は聞き及んでおります。又その外或いは落盤も多いでありましようし、或いは又水も沢山出るというような最も危險なる状態にあるのであります。諸外國の炭鉱に比しまして、我が國の炭鉱は誠に採掘におきましても非常に困難を伴つておるということを、私はかねて聞き及んでおるものでございます。石炭は御存じの通りに我が國産業のこれは原動力でありまして、來る貿易の再開におきましても我々は石炭の増産を本当に心から念願しておるものでございます。その増産は日本の産業の復興になくてはならない糧であるのであります。幸いに七月の統計を見まするのに、いわゆる経営者、労務者の一致團結を以て増産に懸命に努力されました結果一〇〇・五%という成績を収めたることは、我々國民といたしまして心から敬意を表するものでございます。又この石炭は御承知の通りに我々の今後日常生活面におきましてもなくてはならないものでございます。我々はこの石炭における増産は、いわゆるこの日本における当面の重大事であると思うものでございます。併し思いますのに、この石炭の採掘と申しまするものも、これはいわゆる経営者と労務者の一致團結したお互いのいわゆる日本の産業の復興は我々の双肩にあるといつた、その日本の産業の再建は我々が担つておるんだというような氣持から、この増産を見たものであろうと思うものでございます。必ずや経営者諸君も、或いは技術家諸君も、或いは労務者の方々も、その念願によつて日本の産業の復興は我々の双肩にあるのだといつたその念願において、この一〇〇・五%の増産を見たものでろうあと私は信ずるものでございます。今後この増産に報ゆるためにも、我々といたしましても、この坑内四十五度の炎熱下におきまして、そうして汗と油にまみれて一生懸命仕事をされる炭鉱の方々に対して、衷心より感謝を表する者でございます。
 私はこの度九州班に加わりまして、参議院より炭鉱を視察に参りましたが、炭鉱の坑内におきまして、四十五度の非常に暑い中を懸命に、而も全身汗にまみれまして眞黒くなつて、そうしてあの切羽の長い炭鉱の中に行きましたが、私は実は二度辷つたのでありまするが、かくのごとき、ただ通るさえも危險である、そういう所で一日四時間も五時間もぶつ続けで働いております。その労苦に対しては、私たちは実に頭を下げて感激して帰つたものでございます。我々は職場におきまして、毎朝会いますときに、お互いに「お早う」という言葉を言つておりました。併し炭鉱の中で、炭鉱の鉱夫の皆樣に会いますときは、「お早う」という言葉はないのであります。申しますのは、「御安全に」、「安全に行つてらつしやい」という言葉を私は聞きました。何という眞実なる危險を伴う、本当な叫びであろうと私は考えるものでございます。我々は炭鉱の皆さんに対して衷心よりその労苦に対して敬意と感謝を捧げますと同時に、今後の日本の産業復興に対して、いわゆる日本の産業復興は我々の双肩にあるという自覚の下に、この日本のために一粒の、或いは一塊の石炭も余計に掘つて頂くように衷心よりお願いをいたしまして、私はこの参議院の決議に対して滿腔の敬意を表する次第でございます。(拍手)
#29
○副議長(松本治一郎君) 中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#30
○中西功君 今回上程されました石炭増産決議案に対しまして、我々共産党も切なる賛意を表したいと思います。ところで我々がこの決議案に賛意を表するに当りまして第一に指摘いたしたいと思いますことは、國民の代表である我々の感謝を捧げるべき人々が誰であるかということであります。それはいうまでもなく、地下千尺乃至は三千尺の、あの苦しい所で本当に働いておる労働者諸君であり、又職員諸君であります。この労働者諸君が、いかに苦しい悲惨な労働條件、待遇條件の下で働いておるかということについては、今更私が改めて申すまでもないと思います。この人々は、石炭増産が祖國日本の再建の原動力であるということをはつきり知つておりますが故に、あのような困難な條件にも負けず増産意欲に燃えておるわけでありますが、特にこの点におきまして私が強調したいと思いますのは、労働組合運動が盛んであり、労働組合が強い所において、最も労働者が増産意欲に燃え、又成績を挙げておるという点であります。労働組合、労働者諸君は組合運動によつて積極的に災害防止を講じ、或いは又待遇、労働條件改善を行なつて、そして積極的に生産復興運動に参加しているのであります。この労働者たちは、各経営において経営協議会を運用し、経営者を監視し、又監督鞭撻しつつ生産を挙げているだけではなく、全國的に石炭復興会議を持つて誰よりも先に増産を叫びましたのは労働者、労働組合、特に産別労働組合、民主技術者連盟を主体とした人々であつたのであります。日産協や経済同友会及び労働組合によつて作られました経済復興会議よりも遙か以前において以上のような石炭復興会議が持たれているということは、非常に特筆すべきことであると思います。從つて我々、特に本院の感謝を受ける人々は、この優秀なる光栄ある組織労働者であるということであります。更に又これと並んで技術者諸君、或いは又一部のまじめな経営者の労苦に対しては、我々は大いに多としたいと思います。
 ところで石炭関係者とはいいながら、我々の感謝に價しない、することのできない一群の人々もあるのであります。それは即ち今日まで石炭増産の声は雲に入る程高く叫ばれております。傾斜生産と称して資材資金は湯水のごとく注がれて來たのでありますが、それにも拘わらず最近まで石炭増産の所期の目的は達せられなかつた。何故にこれが達せられなかつたか。この原因を我々が探求いたしますときに、結局曾てリレー少佐がはつきり指摘されましたごとく、資材資金がないのではない。それは経営者自身に問題があり、現に石炭は生産額の三割以上が闇に横流しされている。そういう状態を指摘されたのであります。現在まで石炭増産が行われなかつた根本原因は、このような闇及びインフレと結び付いた私的独占経営及び官僚統制にあることは、すでに周知の事実であります。故に私はこのような過去の実績或いは経驗から見ますとき、利潤追求のみに汲々としているところのサボ的大資本家に対しては、我々國民の感謝を與えることができないということを、はつきりここで申上げざるを得ないのを非常に遺憾に思う次第であります。
 第三は、労働者諸君が非常に増産意欲に燃え、積極的な行動をなしつつあるにも拘わらず、実際現状は不利益な條件が山積して、今やどうにもならないという状態に來ております。從つて國民も、亦炭鉱從業員も切実にその解決を求めているわけでありますが、石炭國管問題が今日日本政局の中心問題として浮び上つているのも亦ここに発するわけであります。我々といたしまして、眞に苦役に服して増産に挺身しているところの炭鉱労働者、從業員諸君に対して、眞に我々が應える途は、それは我々がこの現下の國民的問題を一日も早く解決して、そして十分労働者諸君に働いて貰うことであります。こういうふうな状態の下におきまして、又從來の経驗からいたしまして、國有國管が最上の方針であるということは、さつき社会党の人が少し述べられた通りであります。(「別の問題だ」と呼ぶ者あり)現在急に三千万トンが出るようになつた、即ち國管という声が非常にやかましくなり、又いろいろの問題が起きて來ると、急に三千万トン出て來た。こういう事情を見ましてもいかに今まで経営者がサボつておつたかということがはつきりすると思うわけであります。(拍手)(「感謝決議は朗かにやりましよう」と呼ぶ者あり)これに対して、この根本問題に対してそれぞれ各党が態度を表明しております。私たちに言わしめますれば、政府或いは社会党案は、本当の根本問題を衝いていないと思うのであります。闇の巣窟であるような経営をされずに、ただ現場だけを多少抑えておりますが、結局これは同時に又労働者の積極性、或いは創意性を十分に発揚し得ないような状態になつております。こういう状態では、徒らに労働者に官僚的な労働強化を強いる結果になるということは、これははつきりとした事実であろうと思います。更にこれしきの石炭國管問題に対してさえ反対するところの自由党、民主党の態度は全く不可解至極のものであると思うのであります。(「うまいぞうまいぞ」「水を呑め、水を‥‥」「感謝決議じやない」と呼ぶ者あり)我々共産党といたしましては即時國営を主張いたしまして、同時に官僚統制を排除いたしますところの(「この次にしろ」と呼ぶ者あり)人民管理方式を主張して全國民に愬えつつあるのでありますが、この方法こそが眞に石炭從業員諸君の労苦に應える最大の餞であるということを固く確信しておるのであります。(拍手)
 最後に私の言及いたしたいことは、この本院と感謝決議案との関係であります。石炭問題をいかにするか、こういうことが國民的な問題となり、同時に又、これは最高の決定機関である國会において早急に積極的に解決して、そうして炭鉱労働者の要望に應えなければならないのでありますが、果してこの本院においてそういう措置が積極的にとられたでありましようか。先日の議院運営委員会におきましても、この問題が上程されようといたしましたときに、反対があり上程できなかつた。こういうふうな状態において、ただ感謝決議をするということが、果してどういう意義を持つのでありましようか。或いは或る人々はこう言うかも知れません。ただもう増産ができたのだからそんな根本態勢は考えなくてもいいということを本院は表示したのじやあるまいか、‥‥
#31
○副議長(松本治一郎君) 結論を‥‥
#32
○中西功君(続) そういうふうないろいろな問題が起つて來ました、そうして実は疑惑が起つて來ました。本院の権威を損ずるというふうなことは非常に困ると我々は考えまして、先日要求しましたように追加文を要求したわけであります。勿論私たちは(「本院の権威なんかさがりやせんぞ、何を言う。」と呼ぶ者あり)我々といたしましては、そういうふうに起るかも知れない疑惑に対しまして、この本院が積極的にすべての、一切の措置を採られるということを要望し、又期待しつつこの決議案に対して欣然と賛成するのであります。(拍手)
#33
○副議長(松本治一郎君) 佐々木良作君。
   〔佐々木良作君登壇〕
#34
○佐々木良作君 私は無所属懇談会を代表いたしまして、当決議案に衷心から賛成する者であります。(「よし」と呼ぶ者あり)ただこの決議案を本当の感謝たらしめるために、この感謝は決して過去の済んだものに対する感謝でなくて、先程各委員がおのおの言われましたように、尚前進させるために、この決議案に本当の内容を更に將來盛られることを心からお願いするわけであります。
 第一には、先程指摘されましたように、この炭鉱の底に入つて働いておられる労働者諸君に対して、この労働者諸君に報ゆる途ということが言われますけれども、すでに報ゆるのではなく、明日の、今日働いて、今日飯を食つて、明日の労働をするために、この労働力を提供するための措置が、或いは素材がここに與えられなければ、明日の仕事ができないという状態が諸所方々に見られておるということ、このことを急速に解決或いは全般的な解決と行かないまでも、あくまでもこれを探究して、そうして明日の労働力の提供に差支えないよにすることを、我々はこの決議案を決定すると共にここに誓い、同時に政府の施策に対して、このことを労働省或いは商工省の方に対してくれぐれもお願いして、そうしてこの決議案を本当の内容たらしめることをお願いするわけであります。
 更に第二には、先程ちよつと述べられましたけれども、私はこの決議案に賛成するに際しまして、非常になんだか心もとない氣がする。それはこの内閣が成立以來問題になつておるところの、いわゆる石炭國管問題であります。端的に言つて國民は、現在の政府がいわゆる扱つておるところの國管問題に対して、現在までの取扱い方に関しては、むしろ疑惑を以て見ておるという感じがいたします、端的に‥‥。商工省の從來のような処置で、若し新聞に傳えられるところが本当であるとするならばともかくも、なんだか割切れない氣持でこれに接しておる。この意味において、石炭國管問題が現在尚はつきりしない状態にあることを、私は政府に対して遺憾に思う次第であります。同時にこの決議案をここで決定するに際して、先程の話もあつた通り、この石炭の増産を前進させるために、我々は眞劍にこの石炭國管問題のみならず、石炭の根本対策に対して徹底的に論議を將來することを約束して、そうして石炭関係者諸君に対して私どもはここで改めて決議をし、同時に將來に対する決意を新たにすることを以て應えたいと存ずる次第であります。
 極めて簡單でありますが、無所属懇談会は、今のようにこの決議案が將來に対して本当に力を持つ、内容を持つものとなることを期待いたしまして、この決議案に心から賛成する次第であります。(拍手)
#35
○副議長(松本治一郎君) これにて石炭増産感謝決議に対する討論を終結いたしました。これより本案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#36
○副議長(松本治一郎君) 総員起立、よつて感謝決議は可決されました。
   〔拍手起る〕
#37
○副議長(松本治一郎君) この際水谷商工大臣より発言を求められております、これを許します。水谷商工大臣。
   〔國務大臣水谷長三郎君登壇、拍手〕
#38
○國務大臣(水谷長三郎君) 只今七月の全國石炭の生産実績が、本年に入りまして初めて計画量を突破いたしましたことに対しまして、参議院の院議を以て感謝の決議をせられましたことは、政府といたしましても誠に感謝に堪えない次第でございます。本年度三千万トンの石炭を確保いたしますことは、我が國産業再建の鍵でございます。いかにしてもこれを実現せねばならない今日の最重要事であります。然るに四月以降の出炭の成績は、各月予定に達せず、四月、五月、六月、の間に約四十滿トンの計画割れを來たしまして、前途誠に憂慮に堪えない状況と相成つたのでありますが、炭鉱経営者、從業員各位はこの事実に直面いたしまして、奮起一番、七月、八月、九月の間にこれを回復すべく増産運動を決議されまして実行に入つたのでございますが、その結果七月において見事に計画目標を達成せられたのでございます。
 暑熱嚴しく、且つ農繁期に直面致しまして、生産條件の思わしからざる時期におきまして、この成績を示されましたことは、関係者各位の御努力の結果に外ならないのでありまして、政府といたしましても誠に感謝に堪えないところであります。
 三千万トン達成の途は月を逐うて困難を加えることと存じますし、石炭の生産に関係せられる各位の御苦労は又これに伴うて増大するものと存じますが、石炭増産の重大なる意義を十分了解されまして、労資一体となつて、先ず七月、八月、九月の計画を突破すると共に、是が非でも三千万トン計画の完全なる遂行を希望して止まない次第でございますが、他方政府といたしましても、亦一般國民におかれましても、炭鉱関係者のこの熱意に應えるために、いかに苦しうございましようとも、資材、資金、生活物資等、炭鉱の要望するものをできる限り多量に且つ迅速に送りまして、この面からいたしまして折角軌道に乗つて参りました増産が、再び阻害されることのないように、又國家再建の基礎が一日も早く成就するように、十分の努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
 右簡單ではございまするが、政府の所信を披瀝する次第でございます。(拍手)
#39
○副議長(松本治一郎君) これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報をもつて御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。(拍手)
   午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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