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1965/03/30 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 社会労働委員会 第15号
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1965/03/30 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 社会労働委員会 第15号

#1
第051回国会 社会労働委員会 第15号
昭和四十一年三月三十日(水曜日)
   午前十時十三分開議
 出席委員
   委員長 田中 正巳君
   理事 藏内 修治君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君
   理事 松山千惠子君 理事 伊藤よし子君
   理事 河野  正君 理事 吉村 吉雄君
      大坪 保雄君    熊谷 義雄君
     小宮山重四郎君    西岡 武夫君
      橋本龍太郎君    粟山  秀君
      淡谷 悠藏君    滝井 義高君
      長谷川 保君    八木 一男君
      吉川 兼光君    谷口善太郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (大臣官房長) 梅本 純正君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      中原龍之助君
        厚 生 技 官
        (環境衛生局
        長)      舘林 宣夫君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  若松 栄一君
        厚生事務官
        (児童家庭局
        長)      竹下 精紀君
        厚生事務官
        (保険局長)  熊崎 正夫君
        社会保険庁長官 山本 正淑君
        厚生事務官
        (社会保険庁医
        療保険部長)  加藤 威二君
 委員外の出席者
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局防
        疫課長)    春日  斉君
        厚 生 技 官
        (保険局医療課
        長)      浦田 純一君
        専  門  員 安中 忠雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一七号)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤よし子君。
#3
○伊藤(よ)委員 いままで健康保険三法の改正の問題につきまして、各先輩の委員から御質問がございまして、だいぶ問題点が浮き彫りにされてきたと思うのでございますが、できるだけ私は同じ問題に重複しないようにしたいと思いますけれども、質問を聞かないときもございましたので、あるいは重複するかもしれませんが、その御質疑を承っておりますと、結局今度のこの改正は、四十一年度の暫定的な赤字解消のための措置であって、四十二年度からは、医療問題全体について抜本的な改正をするということで対処したいというふうな厚生大臣の御答弁があったように思うのでございます。そこで、暫定的な赤字解消のための改正であるとおっしゃるのでございますが、私はそこが問題ではないかと思うのであります。はたしてこれによって、暫定的にもせよ、赤字が解消できるかどうか、その点について伺いたいと思います。
#4
○鈴木国務大臣 政府管掌の健康保険、また船員保険、日雇い健保、これらの医療保険が、近年医療費の増高によりまして、急速に保険財政が悪化を見ておるわけであります。その原因といたしましては、受診率が非常に上昇したということ、また医学医術の進歩によりまして給付の内容が向上したということ、いろいろ原因があるわけでありまして、消費者米価等のように内容は変わらないのに価格が上がる、こういうようなものとは性質が違いまして、受診率が上昇したり給付内容が向上したり、こういう実質が非常によくなっておりますので、したがいまして医療費が増高してきておる、これが医療保険の赤字の原因になっておるのであります。
 そこで、私どもは、これを根本的な改善をいたしますためには、個々の医療保険制度そのものをとらえて非常に狭い範囲でこれを検討いたしましても、十分な成果を期待し得ない。医療保険制度全般を再検討を加えまして、そして各医療保険制度の中の給付の格差あるいは被保険者の負担の不均衡、また各制度間の総合調整、あるいはさらに一歩を進めましてはその統合、こういうような制度全体を見渡して根本的な検討を加える。また一面、診療報酬体系につきましても、物と技術を分離いたしまして、そうして技術を正当に評価する、これを尊重してまいる。また、物につきましてもこれを正しく評価をしていく。こういうような診療報酬体系の適正化の問題もあるわけであります。こういう両面からわが国の医療保険制度を根本的に再検討してまいるということになりますと、相当の時間を必要とし、また各方面の御意見も拝聴しなければならぬ、こういうことになるのであります。神田大臣当時、社会保障制度審議会並びに社会保険審議会に対しまして、総報酬制、薬価の一部負担、こういうことを骨子としたところの諮問をいたしましたが、両審議会におきましては、これらは制度の根本に触れる問題である、当面は応急対策として別途暫定的な対策を講ずべきである、こういう両審議会からの答申を得ておるのであります。政府は、この両審議会の御趣旨を体しまして当面の対策、そして恒久的、根本的な対策、こういう二段がまえで医療保険制度の長期的な安定、進展をはかるように段階的に改善を加えていこう、こう考えておるのであります。
#5
○伊藤(よ)委員 私は、いま大臣がおっしゃいましたように、赤字ができたということは、必ずしも、医療の内容がよくなって、受診率が高まっただけのことによる赤字ではないと思うわけでございます。全体としては、医療制度のいろいろなものが、いま問題点として抜本的な改正をなさらなければならないような点からも、この赤字発生の原因があるではないかと思いますけれども、まあその点はともかくといたしまして、今日この改正の対象者となる被保険者の七五%は、せんだって来の御質疑の中にも明らかになりましたように、月収三万円以下のたいへん低賃金の労働者であるわけなんです。これを改正して医療費または保険料が上がってまいりますと、それによってその人たちの生活の水準を低める、増税にも似たような結果になるわけでございまして、健康保険というものができまして、働く人が病気になれば――昔でありますと、もうほとんどそのまま病気のために死ぬ、あるいは結核などになると死ぬという状態がございましたけれども、最近は、この健康保険のおかげで、ずいぶん安心して療養もできるような状態になって、そういう点ではこの制度が低所得の、特に働く人にとりましては一つのたいへんいい制度であったと思うのですけれども、いまや医療費の値上げだけではなくて、いま大臣もおっしゃいましたように、米価とか国鉄、特に現在私鉄、公共料金の値上げだけではなくて、それにつれて各種の物価が非常に値上がりをしておりまして、いま御承知のように春闘のさなかでございまして、賃上げをしなければ生活の維持ができないというような状態に置かれております中に、特にこの政府管掌の健康保険の対象者などに今度の改正が行なわれますことによって、非常に増税にも似たような、せっかく春闘によって賃上げを獲得いたしましても、その分が消えてしまうような状態になりかねないわけでございますので、私はぜひ、この現在出てまいりました赤字というものは、大臣がおっしゃるような医療制度全体の抜本的な改正が行なわれるまでは、少なくとも国家でこの赤字を埋めていくというような方向にしていく必要があるのではなかろうか、そういうことが、国民全体の医療の問題でもございますので、単に赤字が出てきたからすぐそれを被保険者に転嫁して、一時赤字を埋めるというようなやり方は、どうも私は納得がいかないわけでございます。それと同時に、これによって一時この赤字をお埋めになりましても、現状のようなままで続いていけば、またこの赤字が雪だるま式に大きくなっていって、改正してもまた赤字を埋めるということにもなりかねないので、これは何としても早く抜本的な医療制度の改革をするということが強く打ち出されて、それに向かっての一つの改正であるということであればいいと思うのですけれども、暫定的な赤字埋めに終わって、またまた赤字に対して、これを改正して保険料を上げていくというようなことになりかねないのではないかと思うのですが、その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
#6
○鈴木国務大臣 伊藤委員も、医療保険制度が国民の健康を守る、特に働く人たちの健康を守り、疾病をなおす上に非常な貢献をしてきた、この制度のおかげで働く人たちも病気に対しては安心して治療できるようになった、この医療保険制度というものが非常に大切なものである、これをわれわれはみなで守っていかなければならないという点においては、私どもと同じお考えを持っておられるのであります。そこで、いまこの保険財政が急速に悪化をしてきておりまして、昭和四十年度末における累積の赤字は約七百億、このままでまいりますと昭和四十一年度中の赤字がさらに七百二十億も出てくる、こういうような赤字が累積してまいりますれば、せっかくの国民の健康を守るこの医療保険制度というものが崩壊してしまう、そういう危機に直面をいたしておるのでありまして、私は、どうしてもこの制度はみなの協力によって制度の崩壊することを守り、そして将来に向かって安定をし、進展する方向に持っていかなければならない、こう考えるのであります。この点は、伊藤さんも、先ほど来のお話を伺っておりますと御異存がないところであると思うのであります。
 そこで、政府といたしましても、国庫負担につきましては、財政きわめて多端のおりからのときでありますけれども、百五十億という、昨年から比べると相当大幅な国庫負担をすることにいたしておるのであります。また、昭和四十年末までの累積赤字、これの処理につきましても、政府はいろいろな金融上その他の措置を講じまして、支払い等が遅延しないようにこれを手当てし、努力をいたしておるのであります。また、この累積赤字の解消につきましては、今後政府としては、やはり相当の財政的な負担策を講じていかなければならぬということに相なるものと思うのでありますが、そういうように、政府といたしましてもできるだけの財政的な助成をいたし、対策を講じておるのであります。
 そこで、被保険者の方々にも、この際応分の御負担を願うということは当然のことであると思うのであります。根本策をやるのだから、それまでは全部政府で持ったらどうか、こういうことでありますけれども、政府もできるだけのことはやる、被保険者の方々も応分の御協力を願う、そうしてみなでこの大切な国民の健康を守る医療保険制度を守っていく、崩壊の危機からこれを守っていくことが私は必要だ、こう考えるのであります。
 それでは、被保険者の方々の御負担がどういうことになるのかということでございますが、まず、標準報酬の等級区分の上限を五万二千円から十万四千円に引き上げるということは、五万二千円で頭打ちをしておりましたものを、所得に応じて、所得の多い方にも応分の御負担を願うという趣旨でございまして、七〇%までが三万円以下の方々である、こういう面からいたしますと、これは三万円以下の方々の御負担を軽くする意味合いからいたしましても、五万二千円以上十万四千円までの比較的所得の多い方々に多く負担していただくというのは、低所得階層に対する対策という観点から見ても妥当な措置である、こう思うのであります。全体の七割を占めておる三万円以下の方々は、今回の保険料率が千分の七十にかりになりましても、その負担は〇・三五%程度の負担増になるのでありまして、標準報酬所得二万円の方は七十円増、それから三万円の標準報酬所得の方が百五円というようなぐあいに、七〇%を占める三万円までの階層の方々の負担というのはわりあいに低く押えられておる、こうような配慮も今回の改正案の中には十分なされておるわけでございまして、そういう点をも十分ひとり御了解をいただきたい、こう思うわけであります。
#7
○伊藤(よ)委員 一応ごもっとものようでございますが、私はその点についても少し納得がいかないのです。三万円以下の方の負担はわりあいに少なく済むとおっしゃいますけれども、いまの三万円以上五万二千円から十万四千円の階層の方たちも、現状におきましては決して楽な状態ではございません。その階層の上のほうの人の場合などには倍以上の保険料にもなるわけでございまして、あらゆる生活費の中で教育費とか、いろいろなものが全体として上がっている中で、またこの保険料が、人によっては倍以上にもなる人も出てくるのじゃないかと思いますけれども、これはやはりその階層の方にとってもたいへんなことだと思うわけでございます。一応私も大臣と同じような考えを持って、所得に応じて出すということはいいようにも思いますけれども、いまの物価の高い中では、そういうこともその階層の人にとってはたいへんな改正になるということが一つと、それから、いま政府ができるだけのことをして百五十億、前年に比べては非常に大きな額の予算を組んだとおっしゃっておりましたけれども、私は、それにつきましても、この百五十億がはたして多いというふうには考えられません。制度審議会の御答申の中にも、たしかそれは、二百億くらい出せというようにあったように考えるわけでございます。そうしてまた、全体としての赤字が七百幾らでございますか、それにいたしましても、今日、国の全体の予算が四兆何千億というような非常に膨大な予算の中で、もし一千億医療費の値上げのための分を、赤字を国庫で埋めたといたしましても、これは国民の全体の健康を守っていくために、そういう方面に国民の税金が使われたとしたならば、どれも異存はないのじゃないか。国民にとっても非常に直接な、大切な医療問題でございますので、それはいわば大臣と私どもの考え方の相違かもしれませんけれども、たいへん膨大な赤字だとおっしゃいますが、やはりほんとうに根本的にその赤字を埋めるような抜本策ができますまでは、被保険者の負担による赤字埋めということには、まだどうしても私どもは納得がいかないわけでございまして、そういう意味では、国庫の負担を増してこの際は切り抜けていくべきだし、将来も、国民の医療保険を守るという立場から国庫負担を――この医療の問題については、私は、国民にとっては三つの大きな問題があるのじゃないかと思うのです。子供の教育ができて、そうして教育について心配がなくて、老後の不安が解消して、そうしてまた病気になったときに、だれもが安心して、お金がなくてもそのときの進歩した医療にかかれるというような状態こそ、私たちの将来一番望んでいる姿でございますので、そういう意味におきまして、国としても、この医療に使う費用というものは惜しまないで使っていただきたいと思うわけでございます。その点をいまここで私が論議をいたしておりましても始まりませんので、あと委員の方がいろいろ詰めていただけると思いますが、そこで、私は大臣にお伺いしたいのでございますけれども、抜本的な改正を四十二年度にするための暫定的な措置だということを言っていらっしゃるわけです。けれども、抜本的な対策というものにつきまして、最近新聞を毎日見ますと、新しく医療審議会をつくるというようなことが出ましたり、あるいは総理大臣のもとに国民の健康と医療を守る懇談会を持つ構想があるとか、そういうようなことが非常に新聞にニュースとして伝えられているわけでございますが、現在中央医療協というものもございまして、それがいろいろ問題をかかえておいでになるようですし、論議されているわけでございます。私は、そういう機構の問題についてはしろうとでございますのでよくわかりませんけれども、抜本的な改正にあたって、大臣がいろいろ苦慮してそういうものをつくっていこうと考えておいでになると思うのですけれども、一体それはどのような見通しでございますか。いまそういうものをつくることによって、四十二年度に抜本的な改正が行なわれる見通しがお立ちになっているのか、そこらの点をひとつお伺いしたいと思います。
#8
○鈴木国務大臣 医療保険制度の根本的な改善策、さらに診療報酬体系の適正化の問題、こういう重要な、また、今後の抜本的改正の中心になります問題点につきましては、ただいま厚生省の中に事務次官を長とする医療保険制度の改善の委員会を設けまして、鋭意検討を進めておるのであります。これをいずれ中央医療協、並びに制度の審議をお願いする審議会に御諮問をしなければならぬことになるのでありますが、社会党の皆さんも、現在各種医療保険制度の中で、被保険者の負担の面あるいは給付の内容の面、また財政上比較的楽な保険とそうでない非常に財政的にも弱い制度、その制度間にいろいろな格差、アンバランスがある、であるからこれを、むしろ総合調整からさらに一歩を進めて、統合等の措置を講ずべきであるということは、社会党の皆さんも常々御主張になっておる点であるのであります。しかるところ、このわが国の医療保険制度全体を審議検討いたします場合におきまして、現在の社会保険審議会は、御承知のように、政府管掌の健康保険と日雇い健保とそれから船員保険、この三つの医療保険制度の御審議をお願いする機関でありまして、そのほかの国民健康保険でありますとか、あるいは組合健保でありますとか、さらにまた公務員の共済保険でありますとか、そういうような医療保険全体を審議する機関というのは、厚生大臣の諮問機関として現在のところないわけでございます。そういう観点からいたしまして、私は、今後わが国の各種医療保険制度の全体を検討する、総合調整を必要とする場合には考える、そういうようなことを審議検討する機関としては、現在の社会保険審議会だけでは全体を取り上げることができないという問題がそこにあるのでありまして、いま新聞等に出ておりまするように、その点も実はいろいろ考えておる段階でございます。いずれ考えが固まりますれば、所要の手続を経まして国会の御審議をお願いする、こういうことにいたしたいと考えておりますが、そういうことで、きのう新聞に出ておりましたところの医療保険審議会、こういうものについてただいまいろいろ構想を練っておる段階である、こういうことを率直にお答え申し上げる次第でございます。
#9
○河野(正)委員 関連して。今度の法案の改正の趣旨が応急対策としての処置である。したがって、今日までの赤字対策なりあるいは各制度間の格差なりアンバランスなり、そういうものの抜本的な改正を行なう必要があるということでございますし、私どももそれについて了承するにやぶさかでございません。ただ、いまも伊藤委員の御指摘もございましたが、昨日の閣議では、それらの抜本的な改正を行なうために臨時医療保険審議会というものを設置したい、こういう意味の御発言があったやに承っております。そこで、それの内容については今後ひとつ十分検討するというお話はございますが、しかし、閣議でも御説明なさっておるわけですから、大体それに対しまする構想なり任務というものはお考えになっておろうと思うのです。この点は若干私どももあとで関連する問題がございますので、それらの点についてはもう少し突っ込んでお答えを願いたい。
#10
○鈴木国務大臣 この前の当委員会におきまして、厚生省でただいま制度の抜本的な改正の問題点として問題を整理し、それぞれの問題点の検討を進めておるという、その項目につきましては御答弁を申し上げたところでございますが、先ほど来私が申し上げておりますように、診療報酬の適正化と、それから各種医療保険制度の給付内容並びに被保険者の負担、あるいは財政の面、そういういずれの面を見ましても制度間に非常なアンバランスがある。また、一面におきまして、最近社会経済的な情勢が変わってまいりまして、疾病の態様もだいぶ変わってきております。人口構造を見てまいりましても、老齢人口が急速にふえておるという事実もそこにあるわけでございます。そういうような面につきましても、医療保険においてそういう老齢人口が急速にふえ、また、老人病という疾病の問題が大きな医療保険上の問題点としてもここに起こっておる。そういうような、今後医療保険制度を改善いたします場合におきましていろいろ検討を要する点が多々あるのでございまして、ただいませっかく事務当局で、それぞれの問題点に対するところの政府としての考え方を整理いたしておる段階でございます。いずれ私どもの構想がまとまりますれば、具体的な諮問案としてこれをそれぞれの審議会あるいは中医協等に諮問いたしたいと考えております。滝井さんからも先般来御鞭撻をいだだいておるのでございますが、抽象的な諮問でなしに、厚生省として責任のある具体的な案をひっさげてこれを諮問すべきであるという御鞭撻も受けておるのでございまして、私も、ぜひ厚生省としても具体的な構想を固め、これを政府の責任において諮問をする、そういう決意でこの抜本的な改正に当たりたい、こう考えておるのでございます。河野さんから、せっかくいまこの段階で具体的な抜本策の構想を話せ、こういう御要求がございましたけれども、これは各種審議会に諮問をする段階におきまして明らかにいたし、また、審議会が審議会としての十分自由な立場でこれを審議できるような取り扱いをいたしたい、こういう考えを持っておるのでございます。
#11
○河野(正)委員 医療保険制度を抜本的に改善しなければならぬ、それから主としてどういう点についての改正を行なうべきかという問題点は、大体整理されたと思うのです。そこで、それらの問題点をどこで検討を加えていくかということが、私は当面の問題だと思うのです。ところが、いま大臣は、たとえば社会保険審議会ではそれぞれ各般の医療保険制度の問題を検討する場ではない、そこで総合的にやるためには、臨時医療保険審議会なら臨時医療保険審議会というものを設定してそこでやるべきだ、こういう御見解のようでございます。ところが、現実には、これは総理の諮問機関でございますけれども、社会保障制度審議会においてはそれらの問題点について幅広く検討を加えておるし、また、内閣からもそれぞれ諮問をされておると思うのです。ですから、どうも今日医療保険問題が非常に困難な情勢にございますから、何とかして打開していこうという気持ちはわかります。わかりますけれども、その整理をしようとする場というものについていろいろ誤解を招き、あるいはまた、審議会の審議委員の皆さん方の意欲を阻害するような言動というものが、私はたびたび出てきておると思うのです。いまのように、社会保険審議会なり社会保障制度審議会で鋭意審議検討を願う、ところが一方においては、また今度臨時医療保険審議会というようなことになりますと、現実に社会保障制度審議会においては、私もその一員でございますけれども、鋭意医療保険万般の問題と取り組んでおるわけですね。ですから私は、その意味においては屋上屋を重ねる結果になるし、また一面においては既存の審議会の権威等を傷つけ、既存の審議会の存在というものを無視する、こういう結果にもなっていこうと思うのです。ですから、大臣が、いろいろ何とかしていまの困難な医療保険問題の解決をはかっていこうという御意図はわれわれも十分わかります。わかりますけれども、いまのような思いつきといえば失礼ですけれども、次から次に何らかの構想が示されて、そしてこの問題に対処していこう、こういう思想ではかえって問題を混乱におとしいれる以外の何ものでもない。
 そこでお尋ねをしたいと思いますけれども、それならば、現在の特に社会保障制度審議会、社会保険審議会について若干問題があるかもしれぬが、社会保障制度審議会等、これらの審議会では不十分というふうにお考えになっているのかどうか、明快にひとつお答えを願いたい。
#12
○鈴木国務大臣 社会保障制度審議会は、申し上げるまでもなく、わが国の社会保障の基本的な問題につきまして御審議を願う内閣総理大臣の諮問機関でございます。なるほど、医療保険の問題も社会保障の重要な部分を占めるものとは考えるのでありますけれども、社会保障制度審議会は、所得保障あるいは医療保障その他国民の福祉に関する広範な総合的な問題を総理大臣の諮問に答え、また意見を具申する、こういうことでありまして、医療保険を専門的に扱う機関という狭い機関ではないと私は思うのであります。そういう意味合いからいたしまして、厚生省の中には、政府管掌の健康保険等については社会保険審議会という専門の審議会をいままで設置をし、それに具体的な問題を御審議をお願いいたしてきたのでありますが、今日まで政管や日雇い健保や船員保険について社会保険審議会を持ったと同じような観点で、今度は全体の医療保険制度を厚生大臣の諮問機関として審議検討する、特に各制度間のアンバランス、また総合調整、さらに一歩を進めては統合、そういう医療保険を専門的に掘り下げてやりますところのものを私は考えておるのであります。もとより、その際における社会保険審議会はどうあるべきか、その臨時医療保険審議会ができました際におきまして、これは時限的なものにしたいと考えておりますけれども、その間における社会保険審議会はどういう役割りをするかという問題は、今後いろいろ臨時医療保険審議会の構想とあわせて当然考えなければいかぬ問題だ、こう存じます。したがいまして、屋上屋とか、両審議会の機能、役割り等において、そこが紛淆したり競合したりすることのないように十分注意をいたす考えでございます。
#13
○河野(正)委員 まあ今度の医療保険審議会というものは、医療保険の今後の問題にしぼって審議検討を加えるのだ、こういう御見解でございますけれども、しかしこれは、社会保障全般の問題の中でそれらの抜本的な改正というものも当然検討を加えられなければならぬ。そういう社会保障全体の問題を無視してやろうとすれば、これはいま大臣がおっしゃった御趣旨とはおのずから違ってまいるわけでございますから、そういう意味で私どもは、いろいろ問題の解決に苦慮する結果としてそれらの審議会というものを設置されようとされる、そういう気持ちはわからぬわけではないですけれども、どうも感情的にはすっきりしないものがございます。
 そこで、もう一点だけお尋ねをしておきたいと思いますけれども、そういたしますと、さきには佐藤総理が国民の健康と医療に関する懇談会をつくる、こういうような構想がすでに発表されておるわけです。そうすると、これらとの関連は一体どういうことになるのか、この辺の点についてはいかがでございますか。
#14
○鈴木国務大臣 佐藤総理の私的懇談機関としての国民の健康と医療の懇談会、これは法律に基づく審議会ではございませんで、あくまで私的なものでありまして、佐藤総理が、今後の国民の健康の増進、また医療の問題等について、今後の施策を進める上に参考になるべき御意見を聞こう、こういうことでございまして、現在ありますところの中医協でありますとか社会保険審議会でありますとか、あるいは社会保障制度審議会また昨日来出ておりますところの臨時医療保険審議会というような法的な根拠の上に立ったところの、政府が医療保険制度を進める上に必ずその審議会の意見を求めなければならない、またそれを尊重しなければならぬというような、法的裏づけのある機関として考えておるものではないのでありまして、ケネディ大統領が、かつていろいろな施策をいたします場合に私的な懇談会、あるいはそういうブレーンとして自分の信頼する各界の代表的な方々をお招きして、そして意見を徴する、それを施策の上に採用していった。ケネディ大統領のああいう、かつてとりましたところのやり方、そういうようなものを参考にいたしまして考えておった問題でございます。したがいまして、おのずからそこに期待をいたしておる点も違う、また役割りも違う、こういうことに理解をいたしておるのであります。
#15
○河野(正)委員 これは個人なら別ですけれども、少なくとも個人とはいいながら総理ですから、したがって、設置法の場合は諮問が義務づけられておる、また出てきた答申については尊重しなければならぬという義務というものも生ずる、それは当然のことだと思う。しかしながら、さればといって総理大臣が、個人的だとはいいながらそれぞれ各界の学識経験者なり、あるいはまた有力者の意見を聞くとすれば、当然やはり尊重をして、そうしてそれを行政に移さなければならぬ道義的責任というのは生じてくると私は思うのです。単に個人的な懇談会だから、聞けばよろしいんだということだけなら、私は何もそういう懇談会をあえて設置する必要はないと思うのです。やはり道義的には、それらの意見を聞いたならそれらの意見を尊重しながらそれを行政運用の面に乗せていく、こういう道義的責任というものは当然課せられてくると私は思うのです。ですから、なるほど一方は法律に基づくものであるし、一方は法律に基づかぬということであるけれども、実質的には、それはそう大きな相違はないと思うのです。ですから、私はくどくど論議を重ねようと思いませんけれども、端的に言って、いまの困難な医療保険制度を何とかして打開していきたい、そういう気持ちはわかるけれども、さればといって、このように次から次に思いつき――と言えば非常に恐縮でございますけれども、次から次に審議会なり懇談会ができるということは、結果的にはこういう問題の解決に困難を与える、そういう見通しというものが出てくるのじゃないか。これは私は建設的に申し上げるわけですから、いろいろここで結末をつけようとは思いませんけれども、ただ、いまの困難な医療保険問題を解決する道というものは、単にいろいろ審議会や懇談会をつくるだけが能じゃない、こういうことをひとつ強く御指摘申し上げておきたいと思います。
#16
○滝井委員 関連。あとで私が質問する上に非常に重要な点を、いま河野さんなり伊藤よし子さんが質問をしておりますので、大臣の重要な心がまえの一点だけを聞いておきたいのです。現在社会保障制度審議会、社会保険審議会、中央医療協議会、それぞれ法律によって三つの諮問機関があるわけですが、総理の私的な諮問機関として健康と医療の懇談会というようなものをつくる。今度新しく臨時医療保険審議会、昔にもマメ単といってやはりこんなものがあったのです。まあ人間の知恵というのはそう進歩しないもので、昔と同じような名前を持ってきて、また同じようなことをやることになるのですけれども、いまの河野さんなり伊藤さんの御質問に関連して方針を伺っておきたいのは、今度おつくりになる臨時医療保険審議会は、厚生省にある医療保険基本問題対策委員会、いわゆる牛丸委員会で、先日私が質問をしていろいろ問題点を大臣にお出しいただいたわけです。それらの非常に広範な、たとえば総合調整とか格差の是正をするとかいうような広範にわたる問題は、すでにあの三つの諮問機関だけでは十分かゆいところに手の届くような諮問ができないので、この際法律上新しい諮問機関をつくってそれでやりたい。そのためには、御存じのとおり、いままでの大臣の決意というものは、私はそれは反対なんですが、厚生省なり大臣のいままでの答弁を見ますと、四十二年度から抜本改正をやる、こういうことですから、四十一年度中には少なくともその抜本改正の成案を得て、そして次の通常国会には審議を終わっておかないと四十二年度から実施できない。そうしますと、臨時医療保険審議会というものは、健康保険法三法を審議しておるこの国会に出さないと間に合わないことになるわけです。だから、それを出すことになるのかどうか。出した場合に、そこで審議する問題点というものは、総合調整とかあるいは格差是正という、他の委員会が隔靴掻痒の感のあるものをここへかけて四十二年度からの抜本改正に備えていく、いわゆる断々固として政党としての厚生大臣の、自由民主党の岸内閣の政策というものをここにひとつ打ち出していく――いや、佐藤内閣の政策を打ち出していく、岸、佐藤、兄弟内閣ですから。そういうことになるのかどうか、この二点を明らかにしておいていただきたいと思うのです。これがはっきりすれば、私たちも質問のやり方を変えなければいかぬわけです。いままでは、社会保障制度審議会とか社会保険審議会とか中央医療協議会というものがあるということを前提にして、私たちは質問を組んできたわけです。ところが、いまのように四回目の質問をやる伊藤さんがバッターに立ったときに、何か政策転換をして新しい舞台をつくるような感じを受けますので、われわれも新しい舞台に対応しないとおくれるわけです。その二点を明らかにしていただきたい。
#17
○鈴木国務大臣 私は、医療保険制度全般にわたって均衡のとれた、そして長期的に安定と制度の進展が期待できる抜本的な改正をやります場合におきまして、中医協、これは診療報酬体系の適正化等を審議をしていただく、それと制度の総合調整なりアンバランスの是正なり、そういう問題をやるための臨時医療保険審議会、この二つを車の両輪としまして、そして制度と診療報酬体系の問題を全体的に、厚生大臣の諮問機関としてのこの二つの車の両輪である機関によって審議検討をお願いしたい、こういう構想でございます。昭和四十二年度の予算編成におきまして、具体的に申し上げますと、次の通常国会にはぜひこの根本的な改正案を国会で御審議いただくということを目途にいたしておりますので、構想がまとまり次第この通常国会に臨時医療保険審議会という、全体の制度を審議できる諮問機関の法案を当委員会で御審議を願いたい、こういう気持ちでいろいろ準備を進めておるのであります。
#18
○滝井委員 そうすると、第二点のやる事柄は、車の両輪は、御存じのとおり中央医療協議会というのは診療報酬の額をきめるところですね。いまやっておることが、われわれから見ると、中央医療協議会は権限を少し拡大しておる解釈になるのです。それから社会保険審議会は、政管健保、日雇い、船員、こういうところの大綱その他をやるところですね。それから地方の指定取り消し等もやりますが……。これを両輪にする。これはもう分があるわけです。しかし、そのほかに、国民健康保険とか共済組合とか労災とかいうようなものもあるわけです。そこで、これらのものとの関連を考えると、こういう二つのところだけでは問題があるというので、さらにそれらのものも、包含はしないけれども、それらの分野に当たらないものも、やはり総括をしてやるところがつくられなければならぬことになるわけです。これは総合調整なんということになれば、当然健康保険なり船員なり日雇いも入ってくる可能性が出てくるわけです。したがってこれは残しておく。そして新しいものを、いまのようにこの国会に提出されるということははっきりしました。牛丸委員会でやっている総合調整とか診療報酬体系というようなものもやることになるのか、その内容をちょっと明らかにしておいていただきたい。こまかいことはいいです。この法律が出てからやりますから。しかし、こういう問題をやるために、いままでのものはだめだから、ここでできないのだから、こういうものをここでやりますということの方向だけは、明らかにしておいていただきたいと思う。これは、いままでなかったことが、きのう、おとといからひょこっと新聞に出てきておるのですから、健康保険を審議する上に重大な関係があるわけです。そのやる内容を明らかにしていただきたい。
#19
○鈴木国務大臣 中医協のほうは、診療報酬体系の問題を御審議願う。これははっきりいたしておるわけであります。国民健康保険、組合健保、各省にありますところの公務員の共済保険、それに政府管掌の健康保険、日雇い健保あるいは船員保険等々のあらゆる医療保険制度、この全体を審議検討する場として臨時医療保険審議会というものを考えておるのでありまして、現在あります社会保険審議会を改組して、全体を審議できるような、いま申し上げたようなものにするか、あるいは臨時医療保険審議会というものをつくった場合におきましては、その一部しか扱わないところの社会保険審議会は、国民年金とかそういうものだけをしばらくの間扱っていただいて、医療保険部門については、臨時医療保険審議会であらゆる医療保険制度全体を審議するということで、政府管掌健保であるとかあるいは日雇い健保であるとか船員保険とかいうものは、当分の間臨時医療保険審議会のほうにゆだねる、こういう大体の考え方を持っておるわけであります。だから屋上屋ではないということです。
#20
○伊藤(よ)委員 ただいまの大臣の御説明を聞いておりますと、それぞれの現在ある社会保障制度審議会やら社会保険審議会、中央医療協、あるいは今度新しく御構想の臨時医療保険審議会ですか、あるいはまた、総理大臣のもとの国民の健康と医療の懇談会というようなものについて、それぞれの分野が違った立場で御構想があるようですけれども、私はしろうとでございますのでそういうことについてあまり詳しいことはよくわかりませんが、私の御質問申し上げたのも、先ほど河野委員が関連で御質問になりましたように、いろいろ抜本的な改正をするために大臣が苦慮なさって、それを進めるためのこういうような審議会を設けるとか、懇談会を設けるとかいうお考えであることはわかるのでございますけれども、ただ現状においては、現在ある審議会なり協議会なりの制度が十分に生かされていけば済む問題も多いのじゃないかと思います。いかにも整然として区別があるようでありますけれども、新しく審議会などをまたお設けになることによって、屋上屋を重ねるのじゃないかもしれませんけれども、むしろその連携が困難になって、はたして御構想のようにうまく、抜本的な改正を進めるために効果があるということになるかどうか、私は、そういう点がたいへんしろうと考えで不安になりましたものですから、きょう御質問申し上げたのです。これについては、私の御質問申し上げました趣旨も、河野委員と同じ考えで申し上げたのでございます。いずれにいたしましても、そういうような審議会等をお設けになっても、ただ設けたというだけではなくて、究極の目的は医療制度の抜本的な改正にあるわけですから、ぜひそれが来年度にスムーズに行なわれるような方向に向かって、そういうものの運営もされていきますように御要望を申し上げておく程度で、きょうは、この点はどんなことになっておるのかお伺いしたいと思っていたのでございますから、この点についての質問はこれで終わります。
 そこで、次に進みたいと思うわけでございますけれども、こうした抜本的な改正の問題と、もう一つは、現在の制度の中でも、私は赤字解消のためにはいろいろなやり方があると思うのです。たとえば社会保障の医療部門には、母子保健とか、肢体不自由児などの要保護児童政策とか、心身障害児などの対策とか、精神衛生あるいは成人病対策とか、救急医療というような問題があるわけですね。そういうような公共的、社会的に処理されるものと、それからまた、社会保険などのように個別的に処理されるものとあると思うわけでございますけれども、前段に申し上げましたような公共的、社会的に処理されるような問題が、この医療保険の中に、健康保険の中にぶち込まれるというのですか、そういうところに入っていて、いわば個人の責任ではなくて、国家で見なければならないようなものが、社会保険の中にだいぶほうり込まれているのじゃないかと思うわけです。そういう観点からも、これは社会的な責任の問題で、公衆衛生というような責任の問題でもあると思うのでございますけれども、せんだって以来、東村山市の文化村に赤痢が集団的に発生しまして、住民にたいへんな混乱と不安を投げかけておる問題が出ております。これは非常に大きな問題だと思うわけでございます。これはたまたま大きな問題として出てまいりましたが、最近赤痢などの集団発生というのが全国各地で出てまいっておりまして、国民がみんなたいへんに不安に感じております。また、けさの新聞によりますと、せんだって以来問題になっておりました三島の社会保険病院ですか、三島の病院でたいへん集団のチフスが発生して、けさの朝日新聞なども大きくこの問題を取り上げておりますけれども、この問題は特殊な問題で、何か妙に犯罪の疑いもあるということまで書いてございますから、一般的な赤痢の発生の問題と同一にはできないかもしれませんけれども、ともかくも、何と申しましょうか、こういう伝染病、赤痢などの発生というものは、全体の国家としての文明のバロメーターになるようなものであって、年々日本にこういうずいぶんたくさんな赤痢が――この問題のみじゃなくて、全国的にいまだに年間五万人も赤痢の発生がある、そんなようなことが出ておりますけれども、これは対外的にもたいへん恥ずかしいことであると思うのですが、こういう文化村というようなところに、まことにその名に皮肉な非文化的な問題が発生している問題につきまして、あるいは三島の問題についてどのような処置をおとりになっておりますか、また、今後どういうようにして国民の不安をなくしていく御対策を持っておいでになるのか、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。
#21
○中原政府委員 最初に、東村山の久米川文化村の赤痢集団発生について御報告申し上げたいと思います。
 この久米川文化村の件につきましては、大体今月の十八日に、この中の住民の一人の人から、団地内に多数の下痢患者があるというようなことで、文化村に診療所がございますが、そこで受診をし、それから端を発しまして全般的な発生ということになったわけでございます。
 患者の発生数といたしましては、現在四百三名ございます。これは十九日に決定いたしましたのが一人、二十日には四名、二十一日八名、二十二日九名、二十三日二十二名、二十四日二百六十六名、二十五日五十三名、二十六日十四名、二十七日五名、二十八日四名、二十九日十七名、計四百三名になっております。このうち八名は学校関係でございまして、この文化村の住民ではございません。このような多数の発生になっております。
 当初患者の収容等につきましては、極力つとめたのでございますけれども、若干のトラブル、ごたごたがございましたようで、そのために、緊急に患者を隔離するということから大体八カ所の伝染病院に収容しておりまして、同一家族で別の病院に行ったとかいうようなことで、またそこに一緒にしたというようなかっこうのトラブルは確かに相当あったようであります。それで、患者及びその村の保菌者につきましては、これは全員病院に分散をして隔離されております。
 そしてその原因につきましては、いろいろ調査をいたしておりますが、その発生状況から見ますると、各家庭にいく配水管というようなものでなくて、その根本に原因があるのではなかろうかということで、根本の井戸の問題、貯水槽の問題、そういうものの諸調査を行ないまして、最初の調査におきましては、そのうちの一本が、そこから大腸菌が出るということで、怪しいということになったわけでございます。なお、その現場におきましては、その調査ができ上がる前に、直ちに消毒、塩素滅菌をするというような処置は講じておりますが、その前の処置といたしましては、塩素滅菌が従前行なわれていなかったということがはっきりいたしております。それで、その後第二回目の調査におきまして、怪しいと思われた井戸からは赤痢菌が発見されております。したがいまして、直ちに飲料水の供給を行なうというような措置がとられて、同時に、そこは水洗便所でございますから、あぶなくないほうの水につきましては、水洗便所用の雑用水として使用するという形になっております。現在その給水を行なっておりますけれども、それは長く続くものではございませんので、さっそく近所まできているところの水道の本管から臨時にビニール管でもって水道をそのところに送る、そうしてそれと同時に、本格的な本工事をして、水道の問題を解決していくというような状況に現在はなっているわけでございます。
 以上が、久米川文化村の状況でございます。
 それから三島におきます腸チフスの流行につきましては、昭和四十年十二月の初発患者以来、計四十二名の患者が出ております。この患者のおもなものは、内科外来患者、内科入院患者、それから職員というものを中心とした流行というふうに考えられておりまして、感染経路につきましては、いまなおまだ究明中でございますが、医学的にこれを見ますと、院内で流行が増幅されたというふうに考えるのが至当であるというふうに思われております。しかし、現在におきましては、すでに院内の消毒は完全に終了しておりますので、院内それ自身としては流行はほぼ終息したものと考えております。
 これの対策といたしましては、初発患者発生以来、まず病院内部の消毒、それから病院職員、患者及び患者家族の菌検査というものを実施いたしまして、保菌者の検出につとめたわけでございます。さらに、厚生省におきましても係官を派遣して、静岡県、病院というものと協議の結果、当分の間全外来を閉鎖する、さらに院内の消毒、周辺の鼠族、昆虫の駆除の徹底、それから一般市民を対象とする予防注射措置の実施等を行なっております。なお、患者及び保菌者はすべて隔離病舎に収容し、医師会と協力して治療の万全を期しております。そのほかに、管内及びその近くに起きた腸チフスにつきまして、疫学的な調査を現在実施しております。
#22
○伊藤(よ)委員 文化村のほうは、いまのお話にもございましたように、井戸から赤痢菌が出たわけでございますね。こういう問題は、実際住民にとってはたいへんな問題だと思うのですけれども、専用水道ですか、そういうものに対しまして、これはどこに責任がおありになるのか。そういうものは、厚生省の御管轄の中では、何か検査をするとか許可をするとか、そういうことがあって水道が使われるように――井戸といって、専用水道ですが、少なくとも何か水道になっているわけでございますね。その水道のもとになる井戸から赤痢菌が出たわけでございますね。それで、何か新聞によりますと、その水道が浄化装置がこわれていたまま使われていた。そういうような専用水道をつくるにあたっての監督権はどこにおありになるのか。そしてまた、このような問題はときたま大きくこれが出たわけですけれども、今後も新しく団地などをつくられたりして、そういう新しくできていくところには当然起きてくる問題だと思うのです。今後そういう問題が起きないようにも、徹底的な御監督を願わなければならないと思うのですけれども、どこにこの責任の所在がございますか。
#23
○中原政府委員 水道の問題、私のわかっている範囲内でお答えを申し上げたいと思います。
 この久米川文化村の分譲地内の水道は、分譲業者が設置いたしまして管理しておるものでございます。水道法の上では、これは専用水道に該当することになっております。専用水道といいますのは、百一人以上の特定の者に給水する水道で、この水道は、布設工事に着手する前に、施設基準に適合するものであることについて都道府県知事の確認を受けなければならないことになっておりますが、この確認を受けておりませんでした。それから、この水道は、水道管理について、技術上の業務を担当させるために水道技術管理者を置かなければならないということになっておりますが、置かれていなかったわけでございます。それから、水道の管理上の問題の一つといたしまして、塩素消毒を行なわなければならないことになっておりますが、この水道については、その事件の発生当時これが行なわれておりませんでした。
 これが現在の久米川の水道の問題でございますけれども、最近都会地の近郊におきましてこのような分譲地が増加の傾向にございますし、これに設置される水道のうちには確認を受けていないものも若干ある模様に私どもは考えております。東京都でも、六十以上あるのではないかというような推定をしておられるわけでございます。これらの水道に対する指導監督というものは、第一線で保健所の環境衛生監視員が行なっているわけでございます。水道の維持管理の適正化につきましては、従前から通達や会議の席上において繰り返し強調していたわけでございますけれども、今回の事例にかんがみまして、未確認の水道、専用水道等につきまして、特に意を用いましてさらに指導の徹底をはかりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#24
○河野(正)委員 関連して。いま水道施設についていろいろ御見解が述べられたわけでございますけれども、それならば、この未登録の水道施設について、今後どういう方法で確認されようとされておるのか。この点について……。
#25
○鈴木国務大臣 ただいま環境衛生局長が来ておりませんから、あとで申し上げます。
#26
○淡谷委員 関連して。いま伊藤委員からの質問に対する御答弁の中で、十八日に患者が大体受診してわかったと言いますけれども、患者の収容を始めたのは何日ですか。
#27
○中原政府委員 患者の収容を始めましたのは十九日でございます。十八日に下痢患者がどうも出ておるようだというような情報が入ったわけでございます。それで十九日に患者を一名収容いたしております。それからわかり次第逐次収容を開始いたしております。その収容の間に多少混乱が起こったということを申し上げたわけでございます。
#28
○淡谷委員 だいぶたくさんの人がなくなっているようですが、この収容前に患者で死んだ人はございませんか。
#29
○中原政府委員 死んだ人は全然ございませんで、症状としては大体軽症のほうに属しております。
#30
○淡谷委員 この水道その他の処置に非常な手落ちがあったようです。団地が方々にできてまいりますが、いま河野委員からの関連質問で申しましたように、一体こうした団地の厚生施設、特に衛生設備に対しては最終的にはどこが責任をとるのですか。たとえば水道の面につきまして、専用水道に対するさまざまな手落ちがあったようです。これは一体どこが最終責任者ですか。
#31
○中原政府委員 水道の管理、監視、それの確認等につきましては都道府県でございます。
#32
○淡谷委員 環境衛生問題については、厚生省は全然責任はないのですか。
#33
○中原政府委員 これは全部都道府県知事に委任してあります。
#34
○淡谷委員 委任している以上は厚生省の責任は免れませんよ。どうですか、その点は。
#35
○中原政府委員 指導監督を厳重にしなければならないと思います。
#36
○淡谷委員 一体都内にある団地で、指導監督を厳重にしなければならない個所はどれぐらいあるのですか。これは一カ所でとまればまず不幸中の幸いですけれども、団地がふえるにつれてこういう問題がたくさん出てきはしないか、心配になるのです。
#37
○中原政府委員 都内における数につきましては、私ども詳細な報告をまだ受けておりませんけれども、大体いままでに聞いたところによりますと、向こうでも全部確認はしておらないようですが、六十以上あるんじゃないだろうかという推定をいたしております。
#38
○淡谷委員 これは大臣に伺いたいのですが、団地が方々にできてきますが、大臣のお考えとしては、団地を許可し住宅を建てさせる場合に、水道その他の衛生設備やさまざまな施設に対して、厚生省がもっと許可に対する権限を持っていいんじゃないですか。いわば建設省あたりは建設ができればよろしい。ほんとうに国民の保健衛生をつかさどるのはやはり厚生省であるわけですから、実際団地の住民にとっては、個人個人の衛生管理では及ばないところまで来ているようです。専用水道かほんとうの水道かわからぬままに、水道つき、水洗便所つきなんというので誘われて入る人がずいぶんあると思います。そういう一種の公衆衛生に関する設備については、もっと団地建築を許可する場合に、厚生省のほうでも身を入れてこの指導監督に当たったほうがあやまちがないだろうと思いますが、大臣のお考えはいかがですか。
#39
○鈴木国務大臣 水道行政につきましては、上水道等はすべて厚生大臣の認可を受けるように相なっております。したがいまして、全国に建設されます上水道関係につきましては、大小にかかわらず厚生省において、その建設計画なりその後の管理状況なりということは報告も受け、また把握をいたしておるのであります。しかし、ただいま環境衛生局長がおりませんので公衆衛生局長からかわって御答弁を申し上げましたように、専用水道というのは百人をこえる場合に都道府県知事が認可をする。こういう分譲地の場合の宅地の造成あるいは建築許可、そういうものはすべて都道府県知事がやっておるわけであります。その宅地を造成し、それに住宅を建て、それを分譲する、その場合に当然、環境衛生施設として、し尿処理なりあるいは専用水道、そういうような計画もあわせて都道府県知事の認可を得るわけでございますが、今回の場合は、業者の手落ちというのでありますか、またどういう手違いでありますかわかりませんが、専用水道について都知事の認可――確認ということばを使うのだそうでございますけれども、要するに認可でございますが、認可も受けていなかった。また、専門の技術管理者を設置することになっておるのであるが、それも置いていない。また、毎月一回は水質の検査をやり、また必要に応じては毎日でも二、三の点については検査をすることになっておるが、それもやっていない。そういうように、分譲住宅業者が、都条例によって規定されたところのそういう面の条項を順守していなかったというようなことからこういう事態が発生いたしたのでありますが、そこで、今後そういう事態をなくいたしますために、そういう分譲住宅等の建設計画の認可がありました場合には、保健所等も一体になって、環境衛生の面からもその認可の合議にあずかるとかいうように、行政事務上手落ちのないようにするというような指導が必要ではないかということを私は痛感いたしておるわけであります。たまたま東京近郊でありますから、厚生省はなぜ目が届かないのだというおしかりもあるかもしれませんけれども、大体こういう問題は全国にずっとあることであり、都道府県知事がそれを行なうことであり、また、市町村が環境衛生の第一次的な責任を負っておる、こういう行政上の仕組みに相なっておるのであります。最近無計画な分譲住宅等が各地にできつつある、また、市町村当局でも、そういう形でできてくるところの団地等に対して、上水道だとかそういうものを布設していくということは、市町村の財政からいってもなかなかこれは容易な問題ではないとは思いますけれども、やはりそういう分譲住宅等の建設については市町村と十分事前に打ち合わせをし、そういう環境衛生等の面におきましても市町村の環境衛生行政と密接につながるような一つの指導、そういうものも必要だと思うのであります。そういう面につきまして、今後厚生省としても都道府県を十分指導、また鞭撻をいたしまして、いま御注意のありました点につきまして配慮をいたしてまいりたいと考えております。
#40
○淡谷委員 関連でありますからあと一問でやめまして、あとでまた私の質問のときにお伺いしますが、これには非常に大きな手落ちがあったと言われたが、これは手落ちがあっただけでは済まないくらいの事件なんです。これは、あとで伊藤委員からもお話があると思いますが、千葉、三島の問題にも関連いたします。これはさっきから聞いているのですが、都道府県知事が責任を負うのか、都道府県知事を監督する厚生省が責任を負うのか、これがどうもはっきりいたしません。もう一つは、明らかに認可も受けないでこういう住宅を建て、成規の手続もしないで専用水道を使っておったという団地の所有者に対する何か制裁はございますか。この二点だけをはっきりお聞きしまして、私の関連を終わりたいと思います。
#41
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#42
○田中委員長 速記を始めて。
#43
○河野(正)委員 毎度お答えを願っているわけですけれども、しかし、私は、問題のネックが忘れられているような気がするのです。というのは、今日起こってまいりました東村山の文化村の問題等は、これはたまたま未登録の施設であります。ところが、先般来いろいろ聞いておりますというと、業者は水道法という法律のあることすら知らなかった、こういうていたらくなんです。そこで、この監督官庁から規制を受けるための登録が行なわれておれば、その際いろいろ行政指導が行なわれるのですから、これは問題はないと思う。その際に、行政指導が行なわれて事故が起これば、当然当局の責任というものは生ずると思う。ところが、業者が水道法そのものが存在することを十分承知しておらぬということですから、全くそういう認識がないまま業者がそういう施設をつくる、ここに私は問題があると思う。ですから、要は、そういう水道法に基づいて、こういうような水道施設についてはきびしい規制があるのだという点を業者に徹底的に啓蒙をはかることが、当面して重要な問題ではなかろうか。これは、登録いたしますれば当然所轄官庁が行政指導をするわけですが、ところが、そういう法律の存在することを知らぬということになると、これはもう何をかいわんやでございますから、やはり業者に対する啓蒙、もう少ししいて言うなれば業者を登録制にする、あるいは認可制にする、こうなりますと、実際に業者というものが当局側に十分把握されているわけですから、随時、時に触れ、おりに触れて講習をすることも可能でございましょうし、特別の教育を与えることも可能でございましょう。ですから、やはり業者というものを何らかの形で捕捉するという制度をつくる必要があるのじゃないか。そういうことになりますと、おのずから、どこにはどういう業者がおり、今日こういう病気がはやっているからこういう教育をしろ、こういう啓蒙をやっていこうということになるわけですけれども、現在ではそれがない。それがないから、したがって業者は水道法のあることすら知らないで、こういうでたらめが起こるということになってくると私は思うのです。ですから、そういう意味で、もう少し徹底的にこの問題を――禍を転じて福となすということばがございますが、この問題を契機として業者筋に徹底的な啓蒙をはかっていく努力をされることが必要である。さらには、業者を登録制なり、認可制なり、許可制なり、そういう制度の中にはめ込んでいくということがだんだんと必要になっていくだろう、私はこういうふうに考えますし、このことがきわめて重要な問題だと私は思うのです。これなくしてはこういう問題を繰り返す可能性がございますので、環境衛生局長はおりませんけれども、これは大臣からひとつ御答弁願いたい。
#44
○鈴木国務大臣 河野さんのただいまの御意見は、まことにごもっともな御意見でございます。そこで、今回の不幸な事件を契機といたしまして、行政上そういう捕捉ができなかった、指導監督ができないままにそういうことがなされておるということは、行政事務の面からいってもどこかに盲点があるのではないか、こういうことも感ぜられるわけであります。ただいまお話しのように、水道工事をやる業者は登録制のようなものがあって、水道法はもとより、環境衛生等についても十分な知識を持つ者でなくてはいかぬとか、そういうようなこともきわめて大切なことだと思います。また、そういう分譲地等の建設をやります場合には、その建設の認可を申請することだと思うのでありますが、その建設計画の中に、専用水道なら専用水道の計画も当然あわせて申請がされるような行政の仕組み、そうなればこれもまた一つ捕捉できると思うのでありますが、何かそういうことが事実上行なわれておったということは行政上の盲点がそこにあったのではないか、手抜かりがあったのではないか、こう考えられる節もございます。そこで、さっそく建設省等とも連絡をとり、また、水道行政の面からも問題点をずっとトレースいたしまして、そして欠陥があれば直ちにそれに対する適切な改善措置が講ぜられるように、さっそく事務当局に命じて検討をさせたいと思います。
#45
○伊藤(よ)委員 いまの問題なんでございますが、そういう建設業者なんかをつかまえていくということもあれなんですけれども、ここに出ている朝日新聞の記事なんかによりますと、八王子の保健所の環境衛生係の話として出ておりますのは、山を切りくずしてまで住宅ができるこのごろだから、建設業者のあとを追っかけて一々調べて回るなんて、とてもできないということを言っているわけです。それで、「三十二万人を管内に持つ同保健所でモグリ水道を監視する環境衛生係は、係長以下わずか四人。」だそうです。その四人でもって、ふろ屋とか理髪店、クリーニング店などの監視も同係の仕事だということですから、「結局、業者から届け出のあったものだけの検査で手いっぱい」だというところに、私はやはり一番当面する問題があるのじゃないかと思うのです。これはいろいろ問題があると思いますけれども、いずれにしても、これがときたま大きく、使っている水道から赤痢菌が出たという、ちょっと想像もできないような、いまの文化的な国家では考えられないような問題が起きたわけです。こういうことが二度と起きないように徹底的な御監督と、都道府県にいろいろその監督を強化していただくということも、もちろんぜひやっていただかなければならぬと私は思うのですけれども、こういうように大きく出た問題だけではございませんで、最近全国的に赤痢が集団発生をしているようでございます。私どもの愛知県などでもときどき新聞に出ておるわけですけれども、最近出てきただけでも、東京の保育園とか会社の寮、あるいは川崎のアパートの問題とか、みんな十数人も赤痢の集団発生をしておりますし、それからまた、いつか京都のホテルで中学生が泊まりましてやはり赤痢が出たわけなんですけれども、五十四人の従業員の中で十七人が保菌者だったというような問題が出ております。そういうような全国的な赤痢の発生の問題について、厚生省としてはどのような対策を今後おとりになっていくか、その点をひとつ伺っておきたいと思います。
#46
○中原政府委員 お答え申し上げます。
 赤痢の問題につきましては、これは数字的に見ますと、昭和二十七年には発生数が十一万千七百九人というふうに多数でございましたけれども、昭和二十八年から三十二年にかけて減少し、それからまた三十三年から三十五年にかけて増加し、三十六年から再び減少の傾向に向かっております。昭和四十年は四万八千二百三十五人の届け出があったわけでございます。しかしながら、本年になりますと、本年の一月からまた上昇いたしまして、これはまだ二月中までの届け出でございますけれども、前年に比しまして約二六%の増加というふうになっております。近年、赤痢の流行は、昔は夏といわれたのでありますけれども、夏ばかりでなくて、夏以外にも相当の患者数の発生があるようになってきたわけでございます。それでまた、薬に対しましても耐性菌も出てくるというようなこともございます。問題になりました集団発生につきましては、例年五百ないし六百件の集団発生がございます。そして届け出の患者の中で、集団発生の占める割合というものが増加の傾向にあります。したがいまして、この赤痢の対策におきましては、一般的な対策というほかに、昭和三十八年にはその集団発生をいかにして食いとめるかというようなことで通牒も出し、府県にも指示をいろいろいたしているわけでございます。
 赤痢の問題は、理屈といたしましては、赤痢はふん便による経口感染でございますので、感染経路の対策と、それから感染源である病原体保有者の対策と、こういう二つのものがあるわけでございます。感染経路の対策といたしましては、最も重要なものは台所とかあるいは便所の改善、汚染物の処理、飲用水、飲食物の清潔の保持、こういうようなものでございます。感染源に対する対策といたしましては、感染者を早期に発見するということでございますが、このために、いわゆる基本方針といたしまして食品衛生、それから環境衛生、水道管理、こういうような公衆衛生上の施策と緊密な連携のもとに総合的な予防対策を実施するというふうにして、組織的にもその組織化をはかるというふうな努力をいたしておるのでございます。また一方、防疫のほうの職員につきましても、防疫組織の整備と菌検査組織の強化、これは地方衛生研究所あるいは保健所の検査室というものを含めまして菌検査組織の強化、それから防疫担当職員の教育訓練、さらに、できるだけ一般国民に対して赤痢の予防ということについての啓蒙宣伝を行なっておるようなわけでございます。
#47
○伊藤(よ)委員 先ほども申し上げましたように、赤痢はその国の文化のバロメーターといわれるようなものでございまして、日本がいま、年間五万人からの赤痢の発生を見ているということは後進国並みでございますので、この点については、こういうようなときたま問題が大きくなるときだけに騒ぐということではなくて、徹底的に、赤痢あるいはチフスなんかが発生しないように今後格段の御監督と対策をやっていただくことを要望いたしまして、まだいろいろ質問がございますけれども、一応これで終わります。
#48
○田中委員長 午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ――――◇―――――
   午後一時十八分開議
#49
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。伊藤よし子君。
#50
○伊藤(よ)委員 午前に引き続いて御質問申し上げるわけですけれども、私は、健康保険で見るのでなく、たとえば個人の責任ではなくて社会的な、あるいは国家で見なければならないようなものが健康保険の中にぶち込まれているという点について、それに関連して先ほど赤痢の集団発生の問題などを御質問申し上げたわけです。そういう観点から申しまして、三月二十九日でしたか、心臓の手術などに保険診療費の引き上げを外科学会が要望されたという記事が毎日新聞に出ておりました。心臓や胃ガンなどの手術に対する保険診療費を上げてほしいという御要望があった。このことについては、私は専門ではありませんが、確かにこれは検討しなければならない問題じゃないかと思います。それにつけましても、心臓の病気、特に心臓中隔欠損症というような先天性のそういう病気の子供がだいぶあるようでございますけれども、心臓の手術というものは非常にお金がかかるようでございます。たとえば血液だけでも、場合によっては六ccから一万ccくらいの血液がございませんと手術ができないというようなことを伺っております。そこで、こういうように先天性の心臓病などを持った子供については、必ずしもこれは親の責任だというふうには言えないように思うわけでございますけれども、たとえば、このようにたくさんの血液が要ったり、いま現状におきましては、私が聞くところによりますと、心臓中隔欠損症などを手術いたします場合には、東京などで八十万円から安くても三十五万円というような、たいへん費用がかかるし、またそういう子供を持っておりますと、何かと療養について費用が要るわけでございます。こういう子供を持った親といたしましては、せんだって厚生大臣にも御陳情があったと思いますけれども、これは金がないために手術ができなくて、みすみす手おくれになるというようなことも出てくると思うのです。そこで、育成医療の問題が、三才九年からですか、肢体不自由児と同様に心臓の疾患、いまのような病気を持った子供に対する手術について、育成医療で取り上げていくというような制度があるようでございますけれども、それについて現状はどうなっておりますか。
#51
○竹下(精)政府委員 育成医療につきましては、御指摘のように三十九年度から進められております。私どものほうでわかっておりますのは三十九年度の実績でございますので、三十九年度の実績についてお話し申し上げたいと思いますが、給付件数が六十六件でございます。医療費の総額といたしましては一千二十二万四千七百十円でございまして、この中で公費で負担しました分が四百九十二万一千六百八十三円、それから社会保険の各法で負担をしてもらっておりますのが五百十二万七千四百八十四円、自己負担、それは父兄から徴収をした金額でございますが、これが十七万五千五百四十三円でございます。一人当たりの平均といたしましては十五万四千九百十九円でございますが、約十五万五千円程度でございます。
#52
○伊藤(よ)委員 私は、ちょっとよくわからないので、育成医療の制度というのはどういうことになっておりますか、具体的に御説明願いたいと思います。
#53
○竹下(精)政府委員 それは児童福祉法によりまして規定がございますが、身体の機能の障害のある児童で、たとえば肢体不自由児、あるいは目に、あるいは耳に、あるいは言語障害、そういったものにつきまして整形的な手術を行なうことによりましてその障害が軽減される、または除去される、こういう子供につきまして、厚生大臣の指定しました指定の育成医療機関に入院をさせまして行なうものでございます。三十八年までは、そういった肢体不自由あるいは視覚、聴覚、音声言語、そういったものであったわけでございますが、先天性の心臓障害の子供につきまして、三十九年度から範囲に加えたわけでございます。これは保健所におきまして医療券をもらって、それを持って病院に行く。病院では、半分は社会保険の負担がございますので半分は保険で払ってもらう、あとの半分につきましては公費で負担するし、その際、父兄の能力に応じまして若干徴収をする、こういうような形になっております。
#54
○伊藤(よ)委員 いまの公費負担の点でございますけれども、そういう制度が開かれておるのに、地方の財政の都合なんかでなかなか公費負担が十分に受けられなかったという実態があるのでございますが、その点についていかがでございましょうか。せっかくそういう制度がありながら、地方の末端では受けられないという実情で、この間も陳情があったわけでございますが、その点いかがでございますか。
#55
○竹下(精)政府委員 三十九年度の実績によりますと、約二十県がこの制度を実施いたしておりません。これは、こういった新しい制度であった関係で、まだ十分認識がなかったという点があったかと思います。御指摘のような財政的な問題もございますが、地元にこういった専門の医者がなかなか得られない、こういうことも関係しているかと思いますけれども、逐次各県ともそういう予算につきまして努力をいたしております。私どもも範囲を拡大いたしていきたい、このように考えております。
#56
○伊藤(よ)委員 せっかくそういう制度ができたのでございますし、特に、最初に申し上げましたように、先天性の疾患などを持った子供を持つ親にとりましては、ただいまのお話でも相当自己負担も多いわけでございまして、そういう金がないために、せっかく心臓の手術をすれば生きられる子供がみすみす手おくれになっていくという事態も、数は多くございませんけれども出ているようでございますから、ぜひこの点は、せっかくの制度が生きていきますように――なお私は、こういうような先天性のものについては、児童福祉の立場からもそうなのでございますけれども、公費で全額見られるような方向へ持っていくことが必要じゃないかと思うのです。
 それと同様なのですが、病人を出さないということは、健康保険の赤字を出さないでいくことの一つなのでございますけれども、いま同じような問題といたしましては、長期の療養について外国などでは公費で、無料で、たとえば結核にいたしましても、あるいはまた、長期に入院を要する病気につきましては国が、健康保険ではなくて無料で見ていくというような制度がフランスやその他であるようでございますけれども、長期療養を要する疾病については、長期に入院をするような場合にはそういう道を開いていく必要があると思うのです。その点、いま日本ではどういうことになっておりますか。
#57
○中原政府委員 いまの、長期療養で入っているための負担というものは、私の取り扱っている範囲内ではございませんが、ただ、たとえば結核なりあるいは精神病なりということになりますと、結核でありますと伝染するようなものについては、命令入所を行なうというような場合につきまして、この者に対して公費負担を行なう。精神衛生でありますと、自傷他害の疑いのものにつきましては措置入院をいたします。そういうものに対しまして、費用のない者につきましては公費負担をするというような制度でございます。
#58
○伊藤(よ)委員 結核の場合には、開放性で感染のおそれのあるものだけでございますね。
#59
○中原政府委員 入院につきましては感染のおそれのあるものでございます。そのほかに適正医療としまして、通院医療費に対しまして普及のための公費負担をしているということがございます。
#60
○伊藤(よ)委員 その点も私が申し上げるのは、やはり長期の疾病について、いまの精神病の場合なども狂暴性のあるものは入院をさせる、これは国のほうで見ておられるわけですね。
#61
○中原政府委員 そういうものは、いわゆる自傷他害で措置入院の対象になります。そして、費用の一定の限度がございますから、その所得の額の問題、それにあわせまして公費負担をしております。
#62
○伊藤(よ)委員 それから交通事故なんかの問題ですけれども、これも現在では全部健康保険で見られているわけでございますね。
#63
○若松政府委員 交通事故の場合の費用の負担がどういうことかということは、全国的なものは集計ございませんが、昨年厚生省と日本医師会で協力して救急実態調査というものをやりましたので、その際の資料で申し上げますと、救急のうち、交通事故に対しましては一九・二%が自動車損害賠償保障法の支払い、各種保険によりますものが三九・二%という数字が出て、私どもといたしましては非常に不可解でございますが、二六%というのが自費ということになっております。この自費は、おそらくあとで自動車損害賠償保険のほうに振りかわる性質のものではないかと考えております。
#64
○伊藤(よ)委員 私は、ただいま申し上げましたような、必ずしも個人の責任ではなくて、たとえば交通事故の場合などでも、たいへん急激な経済成長によって交通が錯綜してきまして、そして道路事情が悪いというようなことで起きてきたような、社会的な災害というような意味が多分にあるのじゃないかと思うわけでございまして、具体的にどういうふうにしていくかということはよくわかりませんけれども、それと公害などによる疾病でございますね、そういうような社会的な原因によって起きてきているものについては、健康保険ではなくて、何らかの形でこれは国のほうでかなり見ていかなければならないのじゃないかというふうに考えるのでございますが、その点について将来どういうふうにしておいきになるのか、また、現状はどういうふうなことになっておりますか。たとえば公害の場合……。
#65
○若松政府委員 非常に広い範囲の問題でございますが、公害による疾病に対して、医療費を公的な補償をしたらどうかというお考えであろうかと思いますが、公害による疾病というものが、きわめて不明確な点が多々あると思います。たとえば気管支炎であるとかぜんそくであるとかいう場合に、はたしてそれがどこまで公害によるものか、どこまで個人的の体質その他によるものか、非常に不明確の点があろうかと思います。公害疾患というものがきわめて明確に処置できるものであれば、また別の考え方もあろうかと思いますが、そういう技術的な難点があるということが一つ。また、公害であるからその疾病を国が補償しなければならないかというようなことになりますと、国が、あるいは地方公共団体が補償すべき範囲というものが単に公害にとどまらず、個人の責任以外に何らかのものがあれば、一切そういう形になるというようなことになりますと非常に影響する範囲が大きくなりますし、区分が不明確になってまいりますので、いまのところ、現状ではなかなか困難ではなかろうかと思います。同じような意味で、自動車道路が悪いために交通事故が起きたというようなことを、それでは公的責任において費用を補償しなければならないかというようなことも、やや似たような意味で非常に困難があろうかと思います。
#66
○伊藤(よ)委員 そういう点もひとつ将来検討を願いたいと思うわけです。
 それから、健康保険の赤字に関しまして、やはり病人を出さないということ、病気になる前にできるだけ予防していくということも、私は国民の健康保険の一つの面から非常に大切じゃないかと思うのでございますけれども、日本では、乳児の死亡や妊産婦の死亡率が、外国に比べて現在でもたいへん多いわけなんでございます。だんだん減りつつはありますけれども。そこで、こういう乳児の死亡とかにつきましても、やはりいま申しましたような保健所の活動が十分にできておれば、乳児の死亡なんかもたいへん減っていくのじゃないかと考えるわけです。厚生白書によりましても、一年未満に死んだ乳児の多くは、母子衛生の向上や母体の栄養及び生活環境の改善などによって、かなり克服していく要素が多いということを指摘しているわけなんでございますけれども、こういう点につきましても、昨年母子保健法などもできたわけでございますから、こういう母子保健法などの充実、強化によって、乳児の死亡とか乳児の病気、あるいは妊産婦の死亡率もたいへん多いのですが、こういうことも私は防いでいくことができるのじゃないかと考えるわけです。けれども、その点についてどのようにお考えになっておりますか。
#67
○竹下(精)政府委員 乳幼児、妊産婦の死亡を少なくする、健全な赤ちゃんを産んでいくということのためには、妊産婦のときからの保健指導はもちろんでございますけれども、それ以前に結婚する前からの教育が必要である、かように考えておるわけでございます。こういった思想の啓蒙とともに、環境の改善、あるいは現在乳幼児につきましては全般的には非常に低くなりつつあるわけでございますけれども、まだ地域的な格差が相当ございます。そういった面で地域差の解消、特に乳幼児の死亡率の高い地域にやはり重点を持ってやるべきじゃないか、かように考えております。二、三の県におきましては、乳児保険の給付につきまして全額保険で見る、こういうようなところもあるようでございます。そういったことによりまして効果をあげていくというのも一つの方法でございます。また、御指摘のように未熟児対策を強化する、あるいは妊娠中毒症対策を強化するといったような具体的な対策も今後とも努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#68
○伊藤(よ)委員 そのことに関連しまして、フェニルケトン尿症というのが最近非常に関係者からの要望が強く、兵庫や岡山県ではこの検査を実施していくことに踏み切ったというような記事が出ておると思いますけれども、これは私は、いままでの精神薄弱になる原因の一つとして、フェニルケトン尿症検査を早期にやっていけば、少なくともある一部の精薄が出ないようにすることができるということは明らかにされているところでございますので、ぜひこういう検査は全国的にやられるようにしていただきたいと思うのですけれども、この点はどういう状況でございますか。
  〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕
#69
○竹下(精)政府委員 フェニルケトン尿症につきましては、御指摘のように精神薄弱児の発生する原因の一つにあげられております。またその対策があるということで、非常に精神薄弱児の対策としては希望が持てる対策だと思うわけでありますが、現在二、三の県におきまして実施をいたしておりまして、厚生省におきましても、これが実施についての要望もございますので、現在どういうふうに実施したらいいか、あるいは財政措置をどうするかというようなことで検討いたしておる次第でございます。
#70
○伊藤(よ)委員 そこで、「福祉新聞」によりますと、その記事で児童家庭局の母子衛生課のお話として出ておるのに――私、ちょっといまの御答弁を聞き漏らしましたけれども、そういうのをやるのに、乳幼児の検診のために六十七円の予算を組んでやっているけれども、その使途は市町村に一任されているから、必ずしもフェニルケトン尿症の検査をやらなくてはならないことはないということを言っていらっしゃって、そして検診を義務づけることは個人の自由侵害になるので、実際にはむずかしいというようなことを言っていらっしゃるという記事が載っているのです。これは新聞の記事でございますけれども、それは私ちょっと理解ができないのでございます。個人の自由を侵害するというようなことではなくて、当然指導としては、せっかく精薄の原因が一つはっきりしてきて、こういうことによって精薄を防げるという問題であれば、これは全国的に検診を行なっていただくことが必要ではないかと思うのですが、なぜそれが個人の自由の侵害をすることになるのかわからないので、その辺のところをちょっと伺っておきたいと思います。
#71
○竹下(精)政府委員 私もその新聞記事はよく見ておりませんが、簡単な試験紙と申しますか、テストペーパーによりまして尿の検査をするということによってできるわけでございますから、別に個人の自由の侵害と申しますか、そういうことはないと考えております。また父兄の方も、むしろそういったことは希望されるのではないか、かように考えるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、乳幼児、特に乳児の時期におきましての検査を実施いたすように現在検討中でございます。
#72
○伊藤(よ)委員 私がいまこの一連の御質問を申し上げた趣旨というものは、結局病人を出さないということが、やはり健康保険の赤字なんかについても重要な一つのあれになってまいりますし、また個人の責任ではなくて、国なり社会的な原因によって起きてくる病気、またそれを国なり社会なりにおいて予防措置を講じていけば出ないで済むような病気というものがたくさんございますので、こういう点からいきましても、ぜひ公衆衛生とか環境衛生ということにも格段の御努力をいただいて、病人をつくらないようにするということもやっていかなければならないことじゃないかと考えるわけで、それといまのような社会的な原因で出てくるようなものは、できるだけ国の費用で見ていくという方向に御検討が願いたいと思って、一連の御質問をしたわけでございます。その点について、まとめてどういうお考えであるかちょっと伺っておきまして、大体私の質問を終わりたいと思うわけでございます。
#73
○鈴木国務大臣 ただいまいろいろ伊藤さんから御質問があり、また御意見が述べられたのでありますが、御指摘のとおり、国民の健康を守り、疾病をできるだけ予防する、このことは国民の保健を確保する意味からいたしましても重要であり、またひいては医療保険財政の負担を軽くする、こういうことになるわけでありますので、環境衛生の施策また公衆衛生の対策等を総合的に進めまして、よりよい環境また健康な生活ができますようにしてまいる、そういう総合的な施策を進めてまいりたいと存ずるのであります。
 また、結核、精神病等はもとよりでありますが、その他の疾病につきましても公費で負担すべきものは公費で負担をするように、また保険の診療報酬体系の中でそれを支払うべきものは支払う、そういうけじめを明確にしなければならない。いろいろそういう問題があろうかと思うのでありますが、診療報酬体系の適正化の際にそういう問題点を全部整理をいたしまして、そして公費負担と保険医療の明確化、適正化をはかるようにいたしたいと考えております。
#74
○伊藤(よ)委員 私はまだ御質問したい点もございますけれども、淡谷委員もおいでになりましたので、午後に私の時間が入り込んで少し長くなりましたから、この程度でまた次の機会に譲りまして、一応質問を終わりたいと思います。
#75
○竹内委員長代理 淡谷悠藏君。
#76
○淡谷委員 私、この前の健保についての質問のときも、病気になってからなおすよりも、正しい健康管理としては病気にさせないこと、これが保健の一番いい道だということを申し上げて、農薬の問題の質問に入ったのであります。
 たまたま環境衛生に関しましてけさから伊藤委員も質問しておりましたとおり、例のチフスの問題、これなどはまさに、一方では病気をなおしながら、一方では環境衛生の至らないところからどんどん病人をつくっていく。あとでじっくり御質問申し上げたいと思いますが、赤字のふえる一つの要因は、病人が多くなるということも大きな要因であろうと思いますので、環境衛生を完備するということも非常に大きな健康保険の問題ではないかと私は思うのであります。
 もう一つ、けさの朝日新聞でちょっと見たのですが、静岡の三島と千葉県に発生しましたチフスが関係があるかないかということを、だいぶ厚生省では調べておられたようです。この新聞によりますと、若干の結論は出ておるようでありますけれども、ひとつこの点を、将来にからまる重大な問題として誠意ある御答弁を願いたいと思うのであります。私は、正直申しまして、まだ新聞の記事しか調べておりません。早々な場合でございますので、忠実にこの新聞記事に基づいて御質問を申し上げたいと思いますので、その点をひとつあからさまにお答えを願いたいと思います。
#77
○中原政府委員 三島におきます腸チフスの集団発生、これは二月の下旬から三月の上旬にかけまして大量の発生があったわけでございます。これと、いま先生がお話しになりました千葉との関係があるかという問題になるわけでございますけれども、千葉の医科大学におきまして、昨年の九月にやはり集団発生がございました。そのところから、実は医師が三島の病院のほうに応援に来ておるということで、その医師もかかっておるわけでございます。したがいまして、この千葉大学と三島の病院とのチフスの発生に関連があるかないかということについて、いろいろ調査しておるわけでございます。その調査につきまして、まだ全体としてなお調査は続行中でございますので、こちらのほうの調査を担当した側といたしましては、結論がついたというわけにはまだまいらない、途中でございます。したがいまして、新聞に出ましたこと全部が一応どうのと言われましても、ちょっとなかなかむずかしい問題もあろうかと思います。
#78
○淡谷委員 まあこれは、新聞でも非常にたくさん出ておる、また、信憑性の厚い新聞でございますから、違っている点がございましたら、はっきり違っているというようにお聞きしたいのですが、ただ、この千葉と三島の二つの集団発生の中に、直接関係があるないは別としまして、人間的な交渉のあったことは事実ですね。千葉のお医者さんが静岡へ行ったとか、静岡から千葉へ行ったとかいうような関係はあるように私は読んでいるのですが、その点は、まあこの病気が同じ系統だかどうかは別にしまして、人的な交流があったかどうかというような問題です。
#79
○中原政府委員 あることは事実でございます。
#80
○淡谷委員 その点をもう少し詳しく御説明を願いたいのですがね。私は新聞記事しか読んでおりませんから、ひとつそういう点についてもっと詳しい御説明が願えましたら、たいへんけっこうです。
#81
○中原政府委員 三島病院の内科のほうに千葉からお医者さんが応援に行っておりました。その応援に行っておるお医者さんに、腸チフスの患者あるいは疑いが持たれた者が三名ございます。これにつきまして書かれておることと思います。
#82
○淡谷委員 この千葉大学の付属病院で、昨年お医者さんや看護婦が集団腸チフスにかかったということがあるようですが、この事実はございますか。
#83
○中原政府委員 それは昨年の九月にございました。患者が十三名でございます。
#84
○淡谷委員 この千葉大学のお医者さんというのは、チフスの菌を扱っているお医者さんだということもいわれておりますが、これもほんとうでしょうか。
#85
○中原政府委員 その中に、一名はそういう腸内の細菌類を研究されておったお医者さんがございます。
#86
○淡谷委員 そのお医者さんの親類にもだいぶチフスの患者が発生しているように書かれておりますが、これはどうですか。――まあほんとうは、一々質問するよりも、あなたも新聞をお読みになったでしょうから、もっと詳しくお答え願ったほうが手間が省けますよ。一つ一つやっておったら時間がむだですから、わかっているならわかっている、この新聞記事のどこがほんとうで、どこがうそかということくらいは、あなたのほうから積極的にこの委員会で解明されたほうが、私は手っとり早いと思います。
#87
○中原政府委員 三島の病院におきましては、二月の下旬から三月の上旬にかけて四十一名の患者が発生しておりまして、その中で、外来患者が二十一名、入院患者が九名、職員が十名、職員家族が一名というふうに発病しているわけでございます。そしてそのうち一名、副院長が死亡しております。これは二月でございまして、それからいろいろ管内の発生があるかどうかということについて調査をいたしておりましたところが、管内にやはり一月十九日に発生している患者がございます。それからさかのぼりますと、十二月ごろにやはり発生している。これは某医師の親類というふうになっております。それから十二月十九日にもやはり某医師の親類に出ているのがございます。それから九月にも一家族出ておるところがございます。しかもその患者の発生は、家族の中の相当数が発生している。たとえて言いますならば、十二月三十日の小田原の患者は、家族四名中三名が発生している。それから十二月十九日の発生は、家族八名のうち六名、あるいは九月十二日に、家族九名中八名発生しているというような関係が逐次わかってまいりました。それに基づきまして、これに関連性があるかないかということをいろいろ調査いたしておるわけでございます。現在調査をなお続行中でございます。
  〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
#88
○淡谷委員 大体新聞に書いてあることのとおりなんですが、そこで、このお医者さんの親類にチフス患者が発生して、しかも「濃厚に汚染されたものを食べたものと判断される。」というような記事もあります。さらに、このお医者さんが往診をしたある病院でも、やはり昨年の夏に集団赤痢が発生している、腸チフスの疑いもある、こういうような記事もあるのですが、これは一々あなたのほうでそのつど押えている事例でございましょうか、あとで大ごとになってからおわかりになったのでしょうか。
#89
○中原政府委員 この問題は、三島の流行の調査に伴いまして、逐次判明してきたことでございます。
#90
○淡谷委員 まあこの新聞記事によりますと、これは重大な過失か、わざとやったのかという疑いもかかっておるようですが、厚生省のお調べでは、大体現在のところどういうふうな形になっておりますか。これは非常にデリケートな問題でございます。人の名誉にも、また場合によっては刑事問題なども起こしかねないような問題ですが、すでにもう一般に配布されております新聞にはっきりこういうことが書かれておりますから、厚生省としてもこれはかなり慎重に、かつ厳重に調べなければならない事例だと思っております。
#91
○中原政府委員 この問題につきましては、いろいろのうわさも飛びました関係で、厚生省としては厳重に調査をするということで進めてまいりますけれども、調査それ自体の取り扱いにつきましては、私は慎重にしなければならないというふうに考えて、現在やっておる次第でございます。
#92
○淡谷委員 それじゃ、はっきり申し上げまして、まだどちらとも決定がついていない、こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
#93
○中原政府委員 まだ断定するまでに至っておりません。ただいま慎重に検討をし、なお調査を続行しています。
#94
○淡谷委員 大臣、大体いまお聞きのように、この新聞記事は全然誤りじゃないということが出てきておりますが、そうしますと、さっきの赤痢の問題といい、今度のチフスの問題といい、事が発生して広がって、容易ならない社会問題になり、人道問題になった場合に初めて厚生省は気がつく。こういうことの中には、どこか法規上その他取り締まり規則の上で欠点があるように思われますが、大臣、いかがお考えになりますか。
#95
○鈴木国務大臣 午前中河野さんの御質問にもお答えいたしましたように、東村山に起こりました専用水道、井戸の汚染によるところの赤痢の発生、この問題につきましては、私も、いろいろ建設の認可なり、あるいは専用水道の水道法上当然守らなければならぬことが守られていない、また、保健所などが、あれだけの大きな団地が建設をされておるのに――相当の日時を完成までに経過いたしておるわけであります。そういうものが看過されておったというようなこと、こういう面をいろいろ振り返って検討いたしますれば、法の運用の面、行政の執行の面等で、何らかそこに欠陥があり、盲点があるのではないか、また、水道の工事をいたします者について、登録とかあるいは資格とか、そういう面等について明確にすべき必要があるのではないか、そういう点がどうか、いろいろ検討を要する点があると思うのでありまして、今回の事件を契機といたしまして、再びかようなことが起こらないように、問題点を十分究明いたしまして適切な改善策を講じたい、このように考えておるわけでございます。
 なお、三島と千葉の大学病院との関連があるようでありますが、腸チフスの集団発生、この問題につきましては、ただいま急いで調査をいたしております。きょうも厚生省の事務次官のところに国立の衛生試験所等の幹部を招致いたしまして、いろいろ究明、検討を続けておるところでございます。早急にこの原因を究明し、そして適切な措置を講じたい、このように考えておるわけでございます。
#96
○淡谷委員 御答弁でございますが、私は、東村山ですか、文化村の問題と千葉の問題とでは、かなりケースが違っていると思うのです。文化村の問題は、これは団地をつくった者、建築をした者、その設備をした者が法規を無視したのか知らないのか知りませんけれども、あまりそういうふうな衛生観念の発達したものとは思われない。千葉の場合は全然別です。これは専門家なんですね。しかも腸チフスの菌を扱う学者が、どういう関係か知りませんが、方々にその菌を散らすようなことは、少なくとも常識としては考えられない。しかも、この新聞によりますと、三島、千葉の集団発生の際に、地元保健所に、病院内に腸チフスが発生している、調べてはどうかなどの怪電話が再三かかっているというのですよ。そうしますと、この病院の中に発生しておった腸チフスが、相当長い間秘密にされておったということも考えられる。このいきさつは、お調べの結果どうなっていますか。
#97
○中原政府委員 三島の場合につきましては、最初患者と決定をいたしました者は、全部届け出られてございます。なお、あとで調べてみますと、当初それがほかの、たとえば症状等から敗血症というような形の診断名であったものがございます。
#98
○淡谷委員 保健所に電話がかかったのはほんとうなんですか。これは何という保健所ですか。
#99
○中原政府委員 三島保健所でございます。
#100
○淡谷委員 それは一体、チフスが発生してから何日目ぐらいに保健所は調査をしているのですか。届け出されたままで、ずっとほっておいたのですか。
#101
○中原政府委員 それはまだ届け出されてない段階でございました。
#102
○淡谷委員 どうもますますおかしいじゃないですか。それじゃ、保健所のほうで気がついて調べるまでは届け出をしなかった。さっきのお話では、何か患者が発生したのは届け出があったというのですが、これは電話に促されて初めて保健所が調査したことになるのですか。その結果患者のあることを届け出た、こういうことになるのですか。
#103
○中原政府委員 その患者は、そのときの病名は、症状等から見て敗血症というふうな形に診断しておったわけであります。
#104
○淡谷委員 保健所が調べたときは、何人ぐらい患者があったのですか。
#105
○中原政府委員 その電話による投書のようなものがございましたのは、これは今回の流行以前の問題でございまして、昨年の七月でございます。そして、昨年の八月に一名初めて、これは検査員が発病しておるというのがございます。これが最初でございます。そして、あとは、流行になりましてからは逐次届け出られておるわけでございます。
#106
○淡谷委員 そうしますと、いわゆるこの怪電話なるものがかかったときは、実際はチフス患者はいなかった、こういうことになるのですか。
#107
○中原政府委員 そのときは正式の届け出はございませんで、それは結局敗血症ということでございましたけれども、あとで流行のあったときに調べてみました。そうしますと、やはり保菌者で、保菌状態にあったということで、これはおそらく腸チフスであったであろうということになったわけでございます。
#108
○淡谷委員 どうもおかしいですな、それは。そうしますと、敗血症だと言っておったのだが、あとになったら腸チフスだった。たった一人ですか、そのときは。結局、電話のあったときは、なかったというけれども、調べてみたら、あったのでしょう。そうなりますね。その前は全然届け出しなくって――これはチフス専門のお医者さんですからね。その人が誤診しておったのですかね。
#109
○中原政府委員 それは、結果から見ると確かに誤診になると思います。当時の症状を聞いてみましたところ、症状から見ますと普通の状態ではなくて、やはり敗血症様の状態を示しておるというようなことでございます。
#110
○淡谷委員 これは私は、やはりお医者さんであり、しかもチフス専門のお医者さんであって、大学病院に勤務しておる、世間一般はこれを信用しますよ。その信用しておる病院のお医者さんがそういうふうに誤診をし、しかもその病院を中心にこのチフス菌がまかれておったとするならば、これは重大問題じゃないですか。しろうととは違うのです。その人の医者としての技能なり良心なりが問題になります。その点は突き詰めてお調べになっていらっしゃいますか。ずいぶん複雑な経路を経て方々にこのチフス菌が散らされておる。あまりしつこいようですけれども、こういう事例が方々に起こったのでは医療に対する基本的な信頼がくずれるのじゃないですか。これはしろうととは言えないのです。チフスの専門家なのです。それが不用意の間か、故意か、過失か知りませんけれども、チフスの菌を扱う人がかってにチフス菌を振りまくようなことになったら、これは国民の医療というものに対する信頼を一体どう思われますか。これは健康保険の料率の値上げどころの問題ではありませんよ、それ以前の問題です。
#111
○鈴木国務大臣 淡谷さんが御指摘になりましたように、この事件は常識では考えられない、異常の事態である、私もそのように感じておるのでありまして、そういうことでございますので、その医師を中心に、誤認であるのかどういう事情であるのか、これは事態を究明しなければならないということで、あらゆる機関、関係者を招致いたしまして、ただいま事務次官を長といたしましてこの究明に乗り出しており、また早くその結論を出したい、またその結果によって適切な措置を講ずる必要があるということで、せっかく調査中でございます。
#112
○河野(正)委員 関連して。こういう問題の責任の所在を明らかにすることが、ひいては国民が安心をし、また国民の医療が安心をして受けられる、こういうことに通じてまいるわけでありますから、そういう点、私も、いま淡谷委員と厚生省当局との間でいろいろやりとりがやられておりますが、どうもすっきりしない感じが強いわけであります。
 そこで、これは後ほど関連してまいりますから、一点お尋ねしておきたいと思います点は、新聞の報道によりますと、三島、千葉の集団発生の際には、地元保健所に対して、病院内に腸チフスが発生しておるぞ、調べてはどうかと、こういう電話が再三かかってきた、こういう点が明らかにされて、厚生省はこういうことを聞いて非常に驚いたということです。そこで、地元の保健所にそういう電話がかかってきたというこの事実があったか、なかったか。
#113
○春日説明員 確かにございます。順を追って申し上げますと、昨年の七月の三十日に千葉中央保健所に朝方電話がございまして、千葉大学の中で腸チフスの患者らしい者がいる、こういう話があったのでございます。しかし、当時患者らしい者は調査いたしてもございませんでした。――失礼いたしました。先ほど七月と申し上げましたのは八月の誤りでございます。結局八月の十四日に十三名の患者が届けられております。これは血液培養検査によってチフス菌が陽性、こういう状況でございます。
 それから、先ほど申し上げましたように、三島の場合でございますと、七月二十九日に千葉大学から応援に来ました某医師が急に熱を出しまして、二十九日に入院いたしております。当時病名ははっきりいたしませんで、敗血症ということで入院いたしておったのでございますが、その入院いたしておりました当時、三島保健所に、どうも腸チフスの患者が病院にいるんではないかというような電話がかかっております。そこで直ちに三島保健所では調べましたところ、敗血症の治療をいたしておったということであって、これは必ずしも腸チフスということではなかったわけでございます。しかしながら、八月の十二日に至りまして、三島病院の検査員が一名腸チフスにかかって発病いたしております。そういったことから考えまして、どうも当初の敗血症という診断は、腸チフスの診断の誤りではなかったであろうかということを私ども追及いたし、最近に至りまして、本年の三月の初めに再びその医師を検便いたしてみたところ、菌がやはり出てまいりました。言いかえまするならば、当時の敗血症というのはやはり腸チフスではなかったろうかと考えられまして、それが間欠的な保菌者として現在に至っておったのではなかろうか、かように感ずるわけでございます。
#114
○河野(正)委員 いまのお答えを聞きますと、非常に納得のいかぬ点が多いわけであります。と申しますのは、これはしろうとでないわけです。昨年の七月の三十日に、千葉の中央保健所に対して、チフスの患者がおるというふうな電話での通報があった。これは単に病気外の事柄なら、あるいはいたずらだということもございます。しかし、少なくとも腸チフスだということで電話がかかってくるくらいですから、かなり確証を持って通報が行なわれたと私ども客観的には理解せざるを得ない。ところが、当時調べたけれども患者はおらなかった。何をさして患者がおらなかったというふうに判断をされておりますか。これは八月には腸チフスが十三名も届けが出されておるわけでしょう。だから、その間にはたいした時間の間隔はないわけです。何を根拠に患者がおらなかったというふうに判断をされたか。
#115
○春日説明員 私、日付の点で多少間違ったことを、先ほど話の途中でおわびいたしましたが、八月三十日にたしか電話がかかってきたと私記憶いたしております。それから発病がございましたのが九月十四日、かように私記憶いたしております。
 なお、詳細なメモを私ここに持参いたしておりませんので、間違っておりましたらあとで訂正させていただきます。
#116
○河野(正)委員 日にちが一日か二日間違っておっても、この段階ですから、それはたいしたことはないと思うのです。ただ、いまの間違っておりましたとおっしゃっておりますのは、七月三十日に通報があって八月十四日に十三名のチフス患者の届け出を行なった、それが八月三十日から九月十四日ということですから一月ずれておるわけですが、これはこの時点においてはたいした問題でないと思います。要は、そういう腸チフスなんというのは医学的に非常な特異な例です。かぜ引き患者もおりますよ、流行性感冒がおりますよ、あるいはいまはしかがはやっておりますけれども、はしかがおりますよと言うことではないのですね。そういう重大な通報が行なわれた。しかもその二週間後には、はっきり血液培養検査によって腸チフス菌を検出された患者が届けられたということですから、これは何らか相当具体的な根拠があって通報がなされたと思う。それをなかったのだ、何も根拠がなかったのだ、そういう患者はおらなかったというふうなごまかしの態度をとってきたために、私は今日のような非常に大きな誤りが起こってきておると思う。これは客観的に見ると、私はその以前の状態をつまびらかにしませんけれども、いまあなたの答弁を聞いてみても、その経過から受ける印象というものは、私はやはりごまかしだと思う。そういう通報をなされた二週間後に、違った病気の患者の届け出があったということなら、それは話がわかります。チフスだ、そういう予告をして、そして現実に二週間後にはチフス患者が出てきておるわけですね、しかも十三名も。ですから、現場においては、私はかなり的確な資料があったと思うんですよ。ここを隠蔽したところに今日の非常に大きなあやまちがあったと思うんです。ですから、これはどういう根拠で患者がおらなかったというふうに御理解になったか、この点は非常に重要な問題です。
#117
○春日説明員 千葉大学では、あとで調べてみますると、大体九月の四日前後から患者が発病し始めておりました。当時の初発症状から見ますると、これはサルモネラの食中毒ではないかという疑いであったわけであります。そうこういたしておりまする九月の十四日の血液培養検査結果から腸チフス菌が出て、大学は届け出をした、こういう事情でございます。当初投書があって以降調査いたしました当時は、たしか発病していなかったと思いましたし、そういう事実はなかったように聞いております。
#118
○河野(正)委員 その御答弁を聞くと、ますます不可解なんですよ。というのは、通告があったのは八月三十日だった。そうして実際に血液培養検査によって菌が検出されましたということで届け出されたというのが九月十四日だ。それでも私は問題があったと思っていたところが、いまのお答えを聞いておると、九月四日にはそういうような熱を出した患者が出ておるわけですね。ですから、ますます疑いが濃厚になってきたんですよ。あなたは疑いをここで解消しようというような意味でお答えになったか知らぬけれども、あなたの答弁を聞いておると、ますます疑いが濃厚になってまいりますよ。これは八月三十日に通告があって、そして九月の十四日にいわゆる血液培養検査に基づいて菌の検出があった。これでも疑いがあるのに、もうすでに、あなたの御答弁では、九月四日には熱発患者が出ておるじゃないですか。なるほどこれは結果論になりますけれども、サルモネラの食中毒だ、まあしかし、現に八月三十日に腸チフス患者がおりますよと通告をやっているんです。これは、だれでもはできやしませんよ。やはりかなり的確な症状を握った人が通告していると私は思うんです。これはやはり淡谷委員がおっしゃったように、誤りは誤りだったと、まあ防疫上の手落ちがございました、そういう誤りを誤りとして謙虚に認めながら、今後一体どうするのだということにならなければならぬのに、依然としてあなた方はこの問題を何かごまかして過ごそうとされる、そういうところに問題がある。淡谷委員もその点を指摘されておるわけですよ。そういうことでは納得できませんよ。それでもやはり患者はおらなかった、こういうことでございますか。
#119
○春日説明員 私、患者がいなかったと申し上げたようでございます。これは発見できなかったということでございまして、当時千葉大学のほらも診断がかなりおくれたという事情もございまして、腸チフスと診断されたのは血液検査の培養結果によってでございます。なお、当時の臨床的な所見から見ますると、典型的な腸チフス症状ではなかったようでございまして、むしろ食中毒ようの症状を持って発病したがために、腸チフスと診断は非常にむずかしかったようでございます。もちろん怪電話の問題は、これを受けました保健所は直ちに調査をいたしております。ただ、不幸にして当時発見できなかったということでございます。
#120
○河野(正)委員 これは簡単にあなたのほうは怪電話とおっしゃっているけれども、怪電話じゃありませんよ。非常に親切な電話ですよ。これがたとえばデマだとか、あるいはいろんな間違ったことを、相手をおとしいれるためにやるような電話でございましたら怪電話ですよ。しかしこれは、今日においては非常に貴重な電話でしょう。これをあなた方が怪電話というふうに理解しておるところに、私は問題があると思うのですよ。この電話こそは、今日まことに貴重な電話ですよ。それをあなた方が怪電話だ、そういう認識だとすれば、私は認識のしかたに問題があると思う。しかもそういう経緯があるので、今日厚生省では非常にあわてて、この問題の始末に苦慮されておるというのが実情だと思うのです。そうしてやっぱりそういう経過というものは尊重しなければならぬ。それにもかかわらず依然として怪電話だった、こういう認識では、いまの厚生省の姿勢について私どもは納得できませんよ。
#121
○春日説明員 怪電話と申し上げましたのは取り消しますが、当初保健所に電話がかかってまいりましたときに、あるいはまた三島の場合でも同じでございますが、いろいろこういった腸チフスのいわば情報を提供しておきながら、その提供者のお名前あたりをあとで確かめてみますると、そういう事実はなかった、こういう意味で怪ということばを使ったわけでございますが、もちろん貴重な報告でございますので、怪ということばは取り消さしていただきます。
#122
○河野(正)委員 ものごとは、私は謙虚に聞き入れなければいかぬと思うのですよ。いまの怪電話の怪はお取り消しになりましたけれども、その前段には注釈がございましょう。そういう電話をしておきながら氏名を明らかにしなかった。これは氏名を明らかにしようがしまいが、おそらくこれはいろいろな差しさわりの問題がございましょう。だから、そういう点は私はたいした問題ではないと思う。それがいたずらに世の中を惑わすような電話ならば、これはもちろんたいへんな問題です。ですけれども、結果的にはこれは非常に貴重な通報でしょう。それにもかかわらず、いま言ったように調査したところが氏名を明らかにしなかった、そういうことから怪電話というふうに自分は表現したんだ、こういうふうな注釈がある。しかし怪電話の怪は取り消します。あなたがそういう注釈を加える姿勢というのが何か問題ですよ。やっぱり自分たちの手落ちなりあやまちというものは、それはあるわけですから、それらについては謙虚にお認めになって、要は、今後そういう事態が起こらぬように対策を立てていくことが当面の任務ですから、責務ですから、私は、そういう自分の立場のみ考えて、そうして国民の健康なり保健というものを考えぬ政治というものはやめてもらわなければいかぬです。これは大臣はよくお聞き取りを願ったと思うのです。こういうところは非常に問題があると思うんですよ。やっぱりあやまちはあやまちとして謙虚に認めて、そうして今後は一体どうするんだ、今後はそういうあやまちは絶対におかさぬ、こういう対策を立ててもらわなければならぬ。新聞の記事は、あなたのほうは誤りなら誤りだとおっしゃるのはけっこうですよ。しかし、新聞ではちゃんと、厚生省がこういう経過を見て非常に周章ろうばいされて、今後のことについては苦慮されておるということが新聞に載っておるでしょう。しかし、そういう事実は認めて、それで今後一体どうするのか、こういう対策を立ててもらわなければならぬ。そういう意味で、課長の答弁を聞こうとは思いません、それで大臣から今後の厚生省の姿勢をお聞かせいただきたい。
#123
○鈴木国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、このチフスの事件は、私ども常識で判断をいたしまして、非常に理解に苦しむような事態でございます。三島病院といい、また千葉大学の付属病院といい、相当権威のある病院であり、またその診療に当たっておる医師も、腸チフス等については相当の研究もやり、権威のある人である。こういう状態において、先ほど来お話がありましたように、患者の発見が相当おくれておる。そこに誤診であったのか、あるいは隠蔽であったのか、いろいろこの問題は究明をしてみなければならぬ、こう思うのでございます。医学の権威のためにも、また今後の公衆衛生の面からいたしましても、こういう点は明確にする必要があるということで、ただいま厚生省におきましても早く結論を得たい、そうして適切な措置を講じたいということで、急いでおる次第でございます。
#124
○長谷川(保)委員 いまのことに関連してでありますけれども、いまの電話というのは千葉でもあったようにも伺う、三島でもあったように伺うのでありますが、それは両方にそういう電話があったのでしょうか。
#125
○春日説明員 両方でございます。
#126
○長谷川(保)委員 どうも私は、両方でそういう電話があったということ、どういう事情であるか、大臣と同じように全く判断に苦しむ。それでこれは、私も常識から申しますと、何としてでも最初に両方とも隠蔽をしておる。そうして、先ほど来お話しのような敗血症というようなことでごまかしている。この病院の中に起こってきた患者でありますから、それが外部に出ていくことを非常におそれて、隠蔽していたところに大きな問題があったであろう。ここに今回の大きな不幸な事件になりました発端があります。これは病院としましては、なるほど三島の社会保険病院にいたしましても、千葉大の付属病院にいたしましても、それをおそれるのはある程度意味はわかりますけれども、しかし、そういうことがこういう大事件になったということは、今後私どもは非常に、病院の中におけるそういう事件が起こったときの態度ということについて、全国の病院がもうとしっかりしていただかなければならぬということを強く要求しなければならぬということになると思います。
 もう一つ私がこの事件でどうしても理解できないのは、某医師の身辺、その小田原及び静岡県の小山町における親戚にきわめて急速に患者が出たという事件であります。これも一体厚生省当局としてはどういうように考えておるか。けさの新聞には、その間の消息についてきわめて危惧にたえないような記事が載っておったのでありますけれども、私も前々から、某医師の小田原におきます親戚、それから静岡県の小山町におきます親戚、それと千葉大の発病、三島病院の発病、こういうものの関連というものについて、みずからその関係を扱っておりまする医師の行動とその周辺におきまする発病というものは、非常に不可解に感ずるわけです。これを今日厚生省当局としてはどう考えておるか。これは国民も非常に不可解に見ているのでありますから、今日わかっている程度において明らかにしてもらいたい。
#127
○春日説明員 お答えいたします。
 御殿場を中心といたしました四軒の親戚あるいは隣人の家庭における発生例を見ておりますると、非常に高率な発生でございます。しかもその発生のしかたが、急激に全員かかっておるというような形式をとっておりまして、単に水によってうつるとかあるいは接触によってうつるという、菌数の少ない発病のしかたではないように考えております。ただし、これが大量の菌によって汚染され、発病したものと考えられます場合、どういう形式によって起こるかと申しますと、やはり食物による感染が一番多いであろう。そこまでは疫学的な所見として考えておるわけであります。
 それから千葉大学の十三名の発病がございましたが、これを見ておりましてもやはりかなり時期がそろって発病いたしております。先ほど私、時日の点を若干間違えまして申しわけございませんが、たしか九月の七日から十三日にわたって十三名が発病いたしております。大体曝露日が、感染に曝露したと思われるのは四、五日ごろ、こういうことからいたしまして、これもかなり一斉に多くの菌量によって感染したものではないか、こういった推定をいたしておるわけでございます。
#128
○河野(正)委員 議事進行。事務的な、技術的な面については、私は課長の答弁でもいいと思うのです。しかし、これほど委員会で問題になり、国民の健康維持、保健に非常に重大な関連を持つ事柄については、やはり局長から概況については答弁ができるというぐらいの認識把握を、当然私はやってもらわなければならぬと思うのです。それを何もかも課長まかせというふうな認識の状態に、私は問題があると思う。この点については、ひとつ委員長から特に注意を喚起してもらいたい。
#129
○長谷川(保)委員 当然、すでに当局としては、その発病の経過等については詳しくお調べになっていると思う。たとえばその前後において何を食べたか、そしてどういうように熱発したかというようなことは、当然もう詳しくお調べになっていると思う。もちろん、主として便を介して感染しているのでありましょうけれども、そういうような事情もすでにお調べになっており、したがって、すでにもう期間が相当たっているから、原因は相当詳しく追及されてあってしかるべきだと思うのですが、そういうようなことについての具体的な追及というものが、ここに発表できないですか。
#130
○中原政府委員 実はいろいろ調べておるわけでございます。確かに、御指摘のとおりわれわれもいろいろ調べております。ことに三島病院につきましては非常に込み入っておりまして、なかなかはっきりとしたものがつかめないというのがまだ現状でございますが、これはもちろん私どもも解明をしていかなければならぬということで、せっかく努力中でございます。そうして、ほかのものにつきましても、いろいろ発生日を見まして勘案をしまして、そして調査をしております。しかし、各過程につきましては、はたしてこれというまでのはっきりとしたものがまだつかめていないという状態でございますので、そのところ、もう少し突き詰めていきたいということでございます。これは三月になりましてからでございますが、まだそういう点で、私は詳細については、確たるものについては調査中というふうに申し上げたのでございます。
#131
○長谷川(保)委員 たとえば小田原もしくは御殿場市、小山、そこへ某医師が行って、だれと一緒に食事をして、どういうようになって発病しているかというようなことは、みなわかっているのでしょう。それはいつどこへ行って、一緒にどうやって食事をして、それからどうなって発病していったかということは、みなわかっているのでしょう。
#132
○中原政府委員 これは、言いますと大体親戚でございます。したがいまして、いろいろ調査しましても非常に口がかたくて、しゃべらないという面もございます。その点は非常に苦心が要るところでございまして、それを何とかして調べていこうということで、いま努力しているわけでございます。
#133
○長谷川(保)委員 口がかたいのかたくないのと言うけれども、それらのことは、これは事実を調べていくのでありますから、わからぬことはないと思うのです。潜伏期間が二週間かあるといたしましても、事実を調べていくのですから、わからぬことはないと思うのです。盗んだとか人を殺したとかいうことではないのですから、そういう事実を調べていくのですから、そんなことはわからぬはずはないと思うのです。今度の問題は、事が厚生省関係の社会保険病院であるというようなことから、どうもそこらの点が歯切れが悪いと私は思うのです。だから、もっと全体のために歯切れよく事実を明らかにして、そして言ってもらわぬと、これだけ大きな問題になってきて、ほとんど連日のように新聞にも載っているわけですから……。ことに私ども自分たちの県である静岡県といたしましては、県民が非常に関心を持って見ている。三島では、病院立ちのけというような運動もすでに起こっているというようなかっこうで、こういう点は、やはりすみやかに明らかにしておかないといけないと思います。もうすでに日にちがたっているのですから、もっと事実を明らかにされていい段階にきていると思う。
 これ以上申し上げませんけれども、当局としては、すみやかにそういう態度でもってみな明らかにしていただきたいと思います。
#134
○田中委員長 委員長から申し上げますが、本件については、質疑応答の中でいろいろ非常にデリケートな問題もあるようでございます。本件についての質疑応答の形式その他については、後刻理事会ではかって適当な結論を得たいと思います。
#135
○淡谷委員 いまいろいろ専門家のほうからも、この問題の納得のいかない点がつかれましたけれども、私のようなしろうとから見ましても非常に納得のいかないものがある。
  〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕
それは、親類の中にチフスが発生したのは口がかたくてなかなか言わないかもしれませんけれども、発生の重点が大学の付属病院なんですね。九月に十三名発生したというのは医者と看護婦でしょう。しかもさっきは、電話のかかったのが八月の三十一日で、十四日に十三名というお話でありましたが、九月の四日、四日目にはすでに発病を確認したというお話でございましたね。そうしますと、この某というお医者さんが、一体どういうことになるのですか。発病したのはこのお医者さんですか、その点がどうもはっきりしないのですが。
#136
○中原政府委員 千葉から行っている関係が全部で三名でございます。その中で一人の人は若干疑いがあるような検査の結果でございます。
#137
○淡谷委員 さっき九月十四日には十三名発生したと御答弁があったのですよ。どうも答弁がみんなばらばらじゃ調べようがないじゃないですか。これはどっちがほんとうなんです。
#138
○中原政府委員 いま先生のお尋ねの件で申し上げましたのは、千葉から三名行っている医者についてどうかというふうにお尋ねがあったように解釈いたしましたので、そういうふうに申し上げたわけでございます。
#139
○淡谷委員 電話があったという病院ですね、これは三島の病院ですか。病院の中に腸チフスが発生したと電話があった、これは一体どこの病院をさすのですか。
#140
○中原政府委員 これは三島の病院から電話があったのかどうかということについては、はっきりしないのであります。保健所に電話があったということは、事実はっきりしているのです。どこのだれがどこからかけたということは全然わからないわけでありまして、そこに問題があるわけであります。
#141
○淡谷委員 ここは裁判所じゃありませんから、あまり用心しないでお答え願いたいのですが、どうもおかしいのですよ。千葉にも三島にも保健所に電話があったというのでしょう。それは一体どこの病院をさした電話か、三島の病院ですか、千葉の病院ですかというのです。
#142
○中原政府委員 三島は三島、千葉は千葉でございます。
#143
○淡谷委員 それじゃ病院は二つですね。三島の病院にもチフスが発生しているし、千葉の病院にもチフスが発生しているのだ、まるで日本国じゅうチフスみたいな話でさびしくなるのですがね。
#144
○中原政府委員 これは三島でも、千葉でも電話がありましたが、その日にちは全然違っているわけでございます。そして、千葉の場合は千葉の発生に関連してあったわけでございますから、昨年の――電話のあった日にちは、どうもいまのところはっきりいたしておりません。千葉につきましては千葉のほうから電話がありました。三島のほうにつきましては三島のほうで電話があったというふうに……。
#145
○淡谷委員 さっきは皆さんからいろいろお聞きになったのですが、この辺でひとつ整理をして、経路をお話し願いたいと思うのです。何かあちこちして、どうも話がこんがらがっています。つまり、この八月の三十一日に電話があったいきさつを一つ。それから十三人の患者が発見されたことが一つ。さらに、昨年の十一月の末からまた三島病院で病人が発生している。それから九月からは、ことしの一月にかけて某医師の親類の中にチフスが発生している。それから千葉大の付属病院にも、医師、看護婦ら十三名が集団チフスで発見された。現に二十九日に、また千葉市の弁天町で腸チフスの保菌者とわかった人が一人出ているでしょう。新聞記事によりますと、これも同病院の第一内科用務員の三枝とみさん、四十二歳ですか、ほとんど専門家の医者とか看護婦なんかの中にこういう発生を見ている。しかも昨年の九月からことしの三月二十九日まで、相当長いんですね。このチフスに関連性があるとすれば、私は、やはりチフス発生について厚生省がおとりになった態度を、この際集約して一応御説明願いたい。どうも電話なども、一カ所が二カ所になったりさまざまでございますから、順を追っていままでの御答弁をまとめていただきたいと思うのです。
#146
○中原政府委員 この三島の病院と千葉の関連が見当がついてきましたのは、三島病院で流行がございまして、その流行を調査しているその結果、千葉大学と関連があるようだということになりまして、さかのぼって、厚生省の防疫課のほうで、千葉大学へ行っていろいろ調査したわけでございます。そして初めて千葉大学の様子がわかってきたというような状況でございます。
#147
○淡谷委員 もう少し丁寧にお答え願えませんかな。私は、電話のかかった話からしてもらいたいのです。
#148
○中原政府委員 まことに申しわけないのでございますけれども、その電話の日にちが、どうもこちらのほうとしても、いまここにはっきりしたメモがございませんものですから、電話の日が、いつかかってどうということになりますと、ちょっとそこまではっきりお答えができません。
#149
○淡谷委員 さっき河野委員から進行について御注意がありましてね、局長に御答弁願っておるのですが、あなたはおわかりになっていないんじゃないですか。わかっていない人がわかったような答弁をしたんじゃ、答弁になりませんから、河野委員から幾らそういうふうな議事進行の発言がありましても、私にはわかりませんというならわかりませんでいいですよ。わかっておる人から聞きます。どうもわかったようなわからないような答弁じゃ、いたずらに混乱します。これでは健康保険の審議がおくれますから、この点を十分注意を願いたいと思います。
#150
○春日説明員 順序を追って御説明いたします。
 私どもの答えが混乱いたしましたのは、私がお答えいたしました日付が間違っておりましたので混乱したのだろうと思うのですが、一番最初、千葉大学の流行から申し上げてみます。
 千葉大学の流行は、実はあとからクローズアップしてまいったのでございますが、もちろん千葉大学の流行がありました当時、すみやかにこれは千葉大学から千葉の衛生部へ、すなわち千葉の中央保健所へ届け出が出ておるわけでございます。患者の発生は、先ほど訂正して申し上げましたように、大体九月の七日ごろから発生いたしまして、十三日ごろまでに十三名が出ておるわけでございます。そして九月の十四日、血液検査の培養によりまして腸チフス菌の疑似が決定し、真性は九月二十日に決定したということでございます。この際、問題になります電話の報告が千葉中央保健所にあったと申し上げましたが、当初これは八月の三十日ないし三十一日にあったと申し上げましたが、これはおそらく九月の十二日ごろであったかと思うのです。これはあとで間違っておれば訂正させていただきますが、要するに、そういう電話がその段階であったということを申し上げておきます。それから、もちろん二次患者の発生はございませんで、消毒、検便、予防接種等を大学側で実施いたしたわけであります。これが千葉大学の腸チフスの流行のまず第一回でございます。
 それから、第二回の流行である三島病院の流行と申しますると、昨年の七月二十八日に千葉大学から派遣されました某医師が二十九日に発病いたしまして、敗血症という名前で診断して三島病院に収容されたのでございます。これが七月の二十九日から八月にかけて収容されておったわけでございます。その八月の段階におきまして、三島の保健所に、どうも病院の中に腸チフスらしい患者がいる、こういう電話があったのでございます。そうして当時三島保健所は直ちに調査いたしまして、敗血症の患者がいることを確認したわけでございます。ただし、当時は腸チフスとしては診断されてなかったわけでございます。そうして八月中旬に、一名正式に三島病院の職員から腸チフス患者が出たのでございます。以降流行はございませんで、そうして昨年の十二月になりまして、三島病院の外来の患者から一名腸チフス患者が届け出られ、逐次四十二名の患者が届け出られた、こういうことでございます。それからあと千葉大学では、最近三月になりましてから検便を数回繰り返しましたところ、現在までのところ六名の患者、保菌者を発見した、これが流行のあらましでございます。
 そうしてその中間で、昨年の九月からことしの
 一月にかけまして御殿場その他で流行があった。それを追ってまいりますると、みな一応親戚あるいは友人――友人じゃございません、弟とかあるいは隣の家の流行、こういったことがわかったということでございます。
 以上が昨年からいままでの流行のあらましでございます。
#151
○淡谷委員 大体概要ははっきりしましたが、そこで、さっき局長から御答弁がありました二つの電話ですね。一つは、中央保健所へ千葉大学の件で電話がかかった。これは九月の……
#152
○春日説明員 中旬と記憶いたしております。
#153
○淡谷委員 中旬ですね。それから、三島保健所に電話がかかったのが八月の十幾日ですね。そうすると、三島保健所へかかったのは一番先だと思うのですが、そのときすでに三島病院に某医師が入院しておった――そうじゃない。ちょっとそこの点はどうなんです。
#154
○春日説明員 入院いたしました医師は、千葉大学から派遣された某医師でございます。別の某医師でございます。
#155
○淡谷委員 そうしますと、経路は非常にはっきりしておることがいまになってわかったのですね。もうこのとき、すでにこの線を追っていきますと、チフスのほんとうのことがわかったはずじゃないですか。それがさっき御説明のとおり、逆に広がってしまってからもとをただしてみたというのは、私は、これは厚生省の保健行政上大きな失態だと思う。この点はどうですか。大発生を見なければ騒がない。初め一人か二人発見した場合に十分にそれに対して措置を講じ、発生経路を調べておいたなら、おそらく今日のこの大発生はなかったと思うのですが、この点はどうですか。
#156
○中原政府委員 確かに、お説のとおり、通常伝染病が発生いたしますと、その発生の経路を調べていくというのが通常のやり方でございます。厚生省といたしまして、個々の数が相当の大流行になりますれば、厚生省としてもやはり現場におもむいてやるのではございますけれども、個々のケースにつきましては、地方のほうにまかせておるという例が通常でございます。したがって、今回の場合、三島における特殊な流行がございましたのですが、三島の流行についてこちらが調査をいたし、それからさかのぼりましていったわけでございます。
  〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
#157
○淡谷委員 これは重大な問題でして、しかもこの電話の主がわからぬと言いますが、この当時、医者や看護婦の中にたくさんの患者が発生したとなってくれば、だれか知りませんけれども、うすうす病院内ではこのチフス患者に気がついて心配していたともとられる。いろいろ皆さんの御答弁では、私はどうも、そうでございますかと引き下がるわけにいかないのです。さらにもっと徹底した御答弁をいただきたいと思うのです。この問題の責任を回避するのではなくて、責任を明らかにしてこの事態をはっきりさせたいと思うのです。
#158
○吉村委員 議事進行について少し申したいのですが、これは健保三法の審議を促進するという意味で、この問題は審議の過程で起こった問題ですが、やはり問題は解明されなければ、どうしても前のほうに進まないと思うのです。新聞の報ずるところによりますと、厚生省当局では千葉地検に捜査を依頼する模様とか、あるいは捜査当局の応援を求めることになった、こういうふうに書いてありますので、いままでの質疑応答の中では問題が解明されないと思います。どちらかというと、警察当局の捜査が部分的に行なわれているようにも報道の中では考えられますから、近い機会に警察関係の方々に当委員会に来ていただいて、そして本問題の解明をする、それから審議を続行する、こういうふうにしたほうがいいのではないかというふうに思います。
#159
○田中委員長 吉村君に申し上げますが、国会においては、犯罪捜査中にわたる事案については原則として実は取り上げないことにしておりますが、これについては一体いかに取り計らいますか、後刻理事会においておはかりいたしますが、必ずしもそういう方向が国会の慣例になじむものでもありませんので、その辺はとりあえず御了承を願いたいと思います。
#160
○吉村委員 別に私、固執しようと思いません。しかし、このまま審議を続けていったのでは審議が渋滞して、ようやく健保三法審議という方向にいかない。しかもこれは、社会保険病院が関係をしておる意味で議論をされておりますから、委員長のいま言われるようなこともありますが、理事会等で十分検討した上で、そして事態を明らかにする、こういう方向で進めたいというように考えているのが私の意見です。
#161
○淡谷委員 では私、保留しますから、理事会ではかってください。
#162
○田中委員長 この際暫時休憩いたします。
   午後三時五分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時四十九分開議
#163
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。淡谷悠藏君。
#164
○淡谷委員 先ほど千葉大学の付属病院並びに三島病院のことについていろいろ別室でお話を伺いましたが、まだ調査の途中でもあり、十分に真相が明らかになっておりませんので、ひとつこの真相については、一段とさらに調査をするようにしていただきたいと思います。一時保留いたします。
#165
○鈴木国務大臣 厚生省といたしましても、一日も早く事態を究明いたしまして、早急に対策を講じたいと存じます。鋭意真相の調査究明をいたしまして、当委員会にも御報告を申し上げたいと存じます。
#166
○淡谷委員 今般提案されております保険三法の改正ですが、これは先般来同僚の各位から質問を続けておりますが、どうも基本的な改正というよりは、当面まずこれでやってみようというようなことに見えるのですけれども、この改正だけでは抜本的な対策は立てられないのじゃないかと思われる節がある。いわば非常に大きくなっている保険会計の赤字を補てんするために、一時これでやってみようというふうな改正案に思われるのですけれども、この点を大臣から御答弁願いたいと思います。
#167
○鈴木国務大臣 御指摘のとおり、今回の保険三法の改正は、政府管掌健康保険等の財政が急速に悪化をいたしておりますので、この制度の崩壊をどうしても私ども防ぎ、国民医療の確保をはかっていかなければならない、こういう差し迫った事態でありますので、応急、当面の対策として、今回保険三法の改正案の御審議をお願い申し上げておるのであります。この点につきましては、淡谷さんも御承知のとおり、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会からの御答申も、そういう趣旨の御答申であるわけでございます。神田厚生大臣当時諮問いたしましたのは、総報酬制を採用し、また薬価の一部負担をするという案でございましたが、これらの問題は制度の根本的改正に触れる問題であるから、これはその際に譲ることとして、当面応急の対策を樹立すべきである、こういうことで標準報酬制並びにこの等級区分の上限の引き上げ、国庫負担の増額、そういう点につきまして御答申をいただいたのであります。そういう御答申の趣旨を体しましての今回の改正である、こういうことでございます。
#168
○淡谷委員 私は、暫定的な改正であるならば、やはり政府は大きく責任を負って、そのつじつまを合わせるのが正しい行き方と思うのであります。これは料率の引き上げなどをやりますと、この影響は全国にわたって非常に大きい。これは抜本的な改正を必要とする保険法案と思います。この答申によりますと、平年度二百億円に相当する国庫負担額を追加計上せよとしてあるのですね。この五十億円ちょん切ったのはどういうわけですか。
#169
○鈴木国務大臣 これは大幅な国庫負担をやるべきである、こういう御趣旨を私ども尊重いたしまして、国の財政上二百億には至りませんでしたけれども、昨年度の三十億の五倍、百五十億という相当大幅な国庫負担をいたすことにいたしたのでございます。また答申の中には、足らざるところは借り入れ金で処理しておけ、こういう御趣旨のこともあったのでございますけれども、私どもは、国も大幅な国庫負担をいたしますと同時に、被保険者等関係者の方々におかれましても応分の御負担を願う、そして国も保険関係者もともに協力し合ってこの臨時応急の対策をやることが適当である、こういうぐあいに考えたからであります。
#170
○淡谷委員 料率の引き上げによりまして見込み得る財源と申しますか、収入はどれくらいになっておりますか。
#171
○熊崎政府委員 昭和四十一年度の財政対策で予定いたしております金額を申し上げます。
 標準報酬の上限の改正によりまして、五万二千円から十万四千円、これによりまして百三十八億でござざいます。それから、保険料率の現行千分の六十三を千分の七十に引き上げることによりまして二百九十億。合わせて四百二十八億が標準報酬等料率引き上げの収入であります。
#172
○淡谷委員 この赤字補てんは、今後の保険財政に何年くらい落ちつきをみせますか。すぐまた赤字が出てくるのではありませんか。
#173
○熊崎政府委員 四十一年度の対策といたしましては、ただいま提案いたしております健康保険法の改正案によりまして単年度の赤字は解消する、したがいまして、累積赤字の分が六百九十六億残るということになっておるわけでございます。ただ、先ほど来大臣もお話しいただいておりますように、四十二年度以降につきましては、やはり抜本対策をやるという形で考えていかない限りにおきましては、絶対に赤字が出ないということについては、はっきりした言明はできないわけでございますが、とにかく四十一年度対策としては赤字は出ないという形で財政対策を立てておるわけでございます。
#174
○淡谷委員 今回の改正は暫定的な改正であり、また、四十二年にさらにまた抜本的な改正もしたいというようなお話のようでございますが、それだけに赤字の原因というものの探究がたいへん必要だろうと思う。最近は一般会計の負担がふえますので、食管会計をはじめ、いろいろな会計でかなり消費者、国民にしわ寄せをして赤字を埋めておるようですが、しかし、幾らしわ寄せをいたしましても、その抜本的な対策が立ちませんと、これはまたすぐ負担の追加ということになるのはどうも見やすい道理であります。一体大臣は、この保険会計の赤字が生ずる基本的な原因というものをどこに見ておられるか。
#175
○鈴木国務大臣 御承知のように、近年受診率も急速に上昇を来たしております。また、医学、医術の進歩に伴いまして給付内容も改善をされております。そういうような事情で医療費が増高をしておるということは、これは明らかな事情になっておるのであります。これは、消費者米価でありますとかその他の公共料金のように、内容は、実質はあまり変わらないが、料金、価格だけが上がる、こういうのと違いまして、この医療保険の場合におきましては、受診率が高まるとかあるいは給付内容が改善されておるとか、そういうような実質が改善をされ、それに伴って医療費が増高しておる、こういうことでございますから、私は国も大幅な国庫負担をやろう、こういう努力をいたしておるのでありますが、被保険者の方々にも応分の御協力を願いたい、こういうことで今回の改正法案を御提案を申し上げておるのであります。
 また、この負担率につきましては、大体三万円以下の所得の方々が、政管健保におきましては七〇%を占めておるのでございますが、これらの方々の負担増になります点は〇・三五%ということでございまして、また、現実に金額でこれを計算いたしてみますと、二万円台の方が月額七十円程度、三万円前後の所得の方が百五円程度、こういうような御負担を願う、こういうようなことでございまして、所得の低い方々には比較的御負担が軽くなっておる。全体の七〇%階層につきましてはその程度の御負担を願う、こういうことになっておるわけであります。これは他の医療保険制度の、たとえば公務員共済保険でありますとか、あるいは国保等の面とにらみ合わせましても、大体その程度の御負担は願っておる、こういうことでありますから、他制度との均衡等も考えまして、この程度の御負担、御協力はやむを得ないものということで、御協力を願っておる次第でございます。
#176
○淡谷委員 大臣は負担率のほうをいろいろ言われますが、私はやはり、暫定的な改正には政府の負担額をもっと増したほうがいいんじゃないかと思うのです。抜本的な解決方法を見出しまして、それでもなお万やむを得なければ料率の改定もいいけれども、軽いからといっても大体二百九十億ですからね。ですから、抜本的な対策が出るまでに、やはり政府は思い切って負担額を盛ったほうがいいんじゃないか。これは実は厚生大臣もそう思っているだろうけれども、大蔵省がなかなか聞かないので、この辺であきらめたというのが真相じゃないですか。まあできるならばこの答申どおり、せめて二百億は出したかったけれども、大蔵省が聞かぬからこの辺でというところじゃないですか。
#177
○鈴木国務大臣 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、社会保険審議会、また社会保障制度審議会におきましても、抜本的対策を早急にやるべし、それをやるのだから当面は全額国庫でその赤字補てんをやるべし、こういう御趣旨の答申ではございませんで、お読みいただいておりますように、当面は政府も大幅な国庫負担をやるべし、そしてまた、被保険者の方も応分の協力をすべきである、こういう趣旨の御答申であり、引き続き制度の根本的改正をやれ、こういう答申の御趣旨の線に沿うて今回の改正案を御提案申し上げた、こういうことでございます。
#178
○淡谷委員 これは私のほうで……
  〔発言する者あり〕
#179
○田中委員長 静粛に願います。
#180
○淡谷委員 あまり騒ぐと、またストップをかけますよ。
 これは全額国庫負担にせよというのがわれわれの主張でございますけれども、この答申に基づいても二百億といっているのですね。この答申をのめなかったことは、これはやっぱり大蔵省の圧力でしょう。はっきりそうだと言ってくれればそれでいいのですがね。
#181
○鈴木国務大臣 この点につきましては、多々ますます弁ずるわけでございますけれども、国の財政全般の点を勘案いたしまして、厚生大臣でありますと同時に私も国務大臣の一人として、全体的な観点から、また、先ほど申し上げましたように、被保険者の御負担の面につきましても、他の医療保険制度との振り合い等も考えまして、この程度の御協力はぜひお願いしたいということで、バランスを考えましてあのような改正案に落ちついた次第でございます。
#182
○淡谷委員 私は、厚生大臣にはもっと強腰でいてもらいたいと思うのですが、いろいろまた家庭内の事情もございましょうから、これ以上追及はいたしませんが、ただ、受診率が非常に向上したというのですけれども、この受診率の向上には二色あると思うので、病人の数が絶対的にふえる場合と、それから、よくいわれます乱診なんということもございますが、ほんとうはどっちのほうが多いのですか。まあ乱診と私は言いませんよ。私から言わせれば、従来医者にかかれなかったものが、この健康保険の施行によって従来よりは医者にかかりやすくなった、こういうこともあるでしょう。つまり、潜在病人と申しましょうかね、そういうのがだんだん保険で医療を受けるのでふえたのか、社会的に絶対的に病人がふえているのか。これは将来の方針で大事な点でございますから、ひとつお見通しをお聞かせ願いたいと思います。
#183
○熊崎政府委員 医療費が毎年二〇%近くふえてまいっておりまして、その原因につきましては、先ほど大臣が御説明されましたような傾向を示しておるわけでございますが、受診率は、確かに本人、家族ともふえてまいっておることは間違いございませんけれども、やはり最大の要素といいますのは、一日当たりの金額が非常にふえてきておる、こういうことでございます。淡谷先生御存じのように、医療費の算定をいたします場合には、一人当たりの医療費に被保険者の数をかけるわけでございますが、その一人当たりの医療費の積算の基礎といいますのは、受診率と受診日数と一日当たりの金額、この三つの要素をかけ合わせまして、一人当たりの医療費というものが出てくるわけでございます。この一人当たりの医療費が非常に毎年ふえておる。これが毎年二〇%以上の増高を示しておる。その中の最も大きな要素は、一日当たりの金額がふえておる、こういうことでございまして、つまり、お医者さんにかかった場合に、入院、外来を問わず、非常に金目がふえておるということが大きな原因でございます。
#184
○淡谷委員 ここで、病気の変化ですが、何か病気にもはやる病気とはやらない病気とあるようですが、最近多くなっている病気というのは大体どういうものですか。
#185
○熊崎政府委員 疾病の推移といいますのは、ここ数年間非常に変動を来たしておりまして、医療費の内容等につきまして、保険関係で私ども社会医療調査というものをやっております。これはかりでございますが、三十二年と三十七年の対比をちょっと申し上げておきます。件数の割合で申し上げますと、三十二年当時は一位が呼吸器系の疾患ということで、全体の一〇〇のうち三六・八でございます。これが一位でございまして、その次が消化器系の疾患、これが一四・九。それからその次の三番目が神経系及び感覚器の疾患、神経系統でございます。それが一二・五%。それからその次に順位されますのが、四番目が伝染病及び寄生虫病。三十二年当時はこういう形になっておりました。それが三十七年になってまいりますと、呼吸器の疾患といいますのが二七・六ということで、依然と一位ではございますが、非常に率が減ってまいっております。それから消化器系統の疾患がふえてまいっておりまして、これが一四・九だったのが一五・七になっております。その次、神経系のほうがやはり若干ふえてまいりまして、これが一三・〇。それから次の四番目にランクして出てまいりますのが皮膚疾患関係で、一〇・二というふうにふえてまいりました。一般診療の傷病の分類別の中身が、相当変わってきておるということは言えるのではないかと思います。
 それから、ついでに申し上げますが、一件当たりの点数で高い疾病も、その後非常に変動がありまして、かつては結核等が非常に多かったわけでございますが、最近は、御存じのとおり悪性新生物関係、つまりガン系統の疾病の件数が非常にふえてきておる、こういう動向にあるわけであります。
#186
○淡谷委員 これらの病気の発生の原因ですね。特に皮膚病は、従来のデータにのぼらなかったのが、わずか五年の間に一〇%出てきた。これは一体どういう原因だったのか、お調べになっておりますか。
#187
○熊崎政府委員 皮膚病と淡谷先生おっしゃいましたけれども、これは皮膚組織の疾患ということでございますので、つまり皮膚の組織に関係のある部分の疾患というものがふえてきたということでございますが、これは私は専門家ではありませんが、想像としては、やはり交通災害その他いろいろ社会生活の変動なども多分に原因しておるのではないかというふうに想像されますが、原因究明につきましては、残念ながらただいまお答えできません。
#188
○淡谷委員 私は、局長、いかにもしろうとですけれども、ちょっと聞いてみたら、お医者さんたちもわからないと言うのです。皮膚組織の疾患というのは何ですか。しろうとにわかるように御答弁願いたいと思います。
#189
○浦田説明員 では御説明申し上げます。
 皮膚及び組成結合組織の疾患と申しますのは、皮膚病も入りますが、その他皮膚に炎症を起こしたり、あるいは病疽であるとか、そういったようなものが入るわけでございます。
#190
○淡谷委員 伝染病のデータはあがっておりませんか。たとえばさっきのチフス、赤痢の集団発生もあるようですが、伝染病の増加についてはどうですか。
#191
○熊崎政府委員 伝染病につきましては、これは伝染病予防法のほうで公費負担ということで処理されておりますので、保険の面に出てきますのは、いわゆる伝染病予防法にあります届け出の伝染病の疾患以外のものでございます。しかし、その伝染病及び寄生虫病の占めるウェートも減ってはきているわけでございます。(発言する者あり)
#192
○淡谷委員 何か齋藤理事がうるさいことを言いますが、これは病気に関した法律ですから、私がこういうことを言うのは、確かに赤字を政府負担や料率の引き上げで埋めようということも、一次的には発想としては無理はないけれども、根本は、当初申し上げているとおり、病気をなくするということが健康保険の根本の方針だろうと私は思う。それを関係がないなんて言い出すことは、しようがないと私は思うのだ。ですから、環境衛生とか公害の問題などは、やはり金を出す以上に本気になりませんと、先ほどみたいな問題が起こってくる。それは赤字補てん赤字補てんと言っても、商売じゃありませんから、根本的な目的を逸脱しないように保険行政というものはやっていただきたい。何か最近は、特に都市に排気ガスの関係とかその他の原因で必ず新しい病気が発生しているようですが、そういう点について、特にこの皮膚病関係の原因について、公害との関係をお調べになったことがございますか。
#193
○浦田説明員 環境の汚染、あるいは工場における生産の材料の変化などによります結果起こります皮膚性の疾患、これらは、個々の例につきましてはその因果関係が証明されておりますけれども、健康保険制度全般につきましての関連につきましては、私どもとしてはまだはっきりとデータを持っていないわけでございます。
#194
○鈴木国務大臣 ただいま淡谷さんから御指摘になりましたように、病気は、疾病が起こってからなおすというよりは、やはり病気にかからぬように、そういう予防的な環境衛生、公衆衛生等の施策を強化する、また公害対策を進める、そういうことがきわめて大切な問題である、こう考えておりますので、そういう面につきましては今後とも一そうの注意を払い、また不断の努力を重ねていきたい、こう考えております。
 また、経済あるいは産業その他の関係でいろいろな病気がそこに起こってくるということは、御指摘のとおりでございます。たとえばガンをとりましても、従来は胃ガンが非常に多かった。最近におきましては、欧米等に似た傾向が出ておりまして、肺ガンの発生の率がふえてきておる。こういうことも、はっきり原因は究明されておりませんけれども、やはり大気の汚染等に関連があるのではないか、こういうことも考えられるわけでございます。また、私は、昨日も炭鉱労組の代表の諸君にお会いしましていろいろ陳情を受けたのでありますが、その際に、坑内作業で湿気の多いところで作業している、そして炭じんで皮膚をいためる。炭鉱では水虫というのだそうでありますけれども、そういう仕事に関連する特殊な疾病、そういうものも出てくるわけでありまして、私どもはそういう点にも十分注意を払い、疾病態様を十分私ども把握をして、それに即応したところの医療保険制度というものも考えていく必要がある。
 また、診療報酬体系を今後検討いたします際にも、そういう社会経済的な動向、また疾病の態様、そういうものを十分把握して検討を進める必要がある、かように考えております。
#195
○淡谷委員 私はチフスでだいぶ時間をとりましたから、あと簡単に申しますが、お医者さんでも、わが党の滝井博士や河野博士のような良心的なお医者さんばかりだといいのでありますけれども、このごろは、どうも中には、病気をなおすよりは金もうけをしたいというお医者さんのほうが多いようです。しかし、厚生省は、保険行政などの赤字対策だけをあまり考えないで、同じ赤字対策を考えましても、根本的に保険会計の赤字を消すためには、病気をなくすのが一番大事なのだというごく素朴な、第一のところに帰ってもらいたいと思うのです。道に迷った者はもとの道に帰ればよいように、混乱してきました保険行政というものも、その点から考えて、医者は病気をなおすものという観点に立ち返るように、これは御要望申し上げたい。それについて、この間滝井委員の速記録をいろいろ丁寧に読ましてもらったのですが、インターンの問題もありました。これなども、一般の町医者の方が――町医者と言っては失礼ですけれども、一般のお医者さんの人たちはインターンに俸給を出している、大学病院ではやっていない。そうなりますと、ぼくは、何か国は、医療の本元であるお医者さんの育成に非常に冷淡な気がするのです。
 一体お医者さんを一人つくるために、学校を出たばかりではかないませんけれども、大学を出て一人前の医者になるために、どのくらい元手がかかっているのですか。
#196
○若松政府委員 医者を一人育成するための医学教育に、どれくらいの金がかかるかということでございますが、これは施設によっていろいろ違うかと思います。たとえば官立大学等でございますと、比較的計算が楽にできるかもしれませんが、私立大学等になりますと、それぞれ経営内容が違いますので、いろいろ差があると思います。もしお許しをいただければ、文部省のほうで調査いたしまして、御返答申し上げたいと思います。
#197
○淡谷委員 けっこうです。あとでひとつお調べ願いたいと思うのです。
 私は、国が保険行政を本気にやるならば、お医者をつくるところまで世話をしませんと、いつでも医師会と厚生省はけんかばかりしなければならぬ。少なくとも国民の健康に関する仕事は、国が思い切って乗り出すならば、お医者の育成からまず国が手をつけまして、お医者になろうとする者は、多くの元をかけなくとも、ほんとうに医療に携わることができるような国家の配慮が必要だと思いまするが、その点、大臣、どうお思いになりますか。
#198
○鈴木国務大臣 お説のとおりでございまして、インターンの問題につきましても、ただいま鋭意検討を進めておりまして、できるだけ近い機会に、インターン制度につきましても国会の御審議を願うようにいたしたいと思います。
#199
○淡谷委員 インターンだけでなく、他のお医者さんに対するさまざまな助成の問題などもあわせて考えていただきたいのですが、いかがでございますか。
#200
○鈴木国務大臣 御意見のとおり、努力してまいりたいと思います。
#201
○淡谷委員 それでは、私は、きょうの質問はこれくらいで留保いたします。
#202
○田中委員長 次会は明三十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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