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1949/04/26 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第9号
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1949/04/26 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第9号

#1
第005回国会 労働委員会 第9号
昭和二十四年四月二十六日(火曜日)
    午後二時十八分開議
 出席委員
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 角田 幸吉君 理事 福永 健司君
   理事 三浦寅之助君 理事 吉武 惠市君
   理事 前田 種男君 理事 川崎 秀二君
   理事 春日 正一君 理事 島田 末信君
      麻生太賀吉君    大橋 武夫君
      小淵 光平君    佐藤 親弘君
      篠田 弘作君    塚原 俊郎君
      船越  弘君    松野 頼三君
      青野 武一君    大矢 省三君
      土橋 一吉君    石野 久男君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 鈴木 正文君
 出席政府委員
        労働事務官   齋藤 邦吉君
        労働事務官   亀井  光君
 委員外の出席者
        労働事務官   池邊 道隆君
        労働事務官   海老塚政治君
        專  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一一三号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 失業保險法の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)
 職業安定法の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)
 緊急失業対策法案(内閣提出第八六号)
 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一三号)
    ―――――――――――――
#2
○倉石委員長 ただいまより会議を開きます。
 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず政府側より提案理由の説明を求めます。鈴木労働大臣。
#3
○鈴木國務大臣 ただいま議題となりました、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
 労働者災害補償保險法は、労働基準法の裏づけとして、昭和二十二年九月一日から施行されて以來、業務災害をこうむつた労働者に対して、迅速かつ公正な災害補償を行い、被災労働者の基本的人権を擁護するとともに、他面事業主の経済的負担の分散、軽減をはかり、もつて産業安定のために、所期以上の成績を收めて参つたのであります。
 今回この労働者災害補償保險法の運営を一層容易ならしめ、本法の主眼とする迅速かつ公正な災害補償を積極的に行うために、次の諸点について、この法律の一部を改正する必要があると考えられるのであります。
 まず第一の点は、適用事業の範囲を拡張することであります。すなわち從來船舶による旅客または貨物の運送の事業は、任意適用事業でありましたが、業務災害の危險率が相当に高いので、これらの事業のうち、船員法の適用から除外されているものを、強制適用事業に含めたのであります。
 第二の点は、保險料算定の基礎となる賃金総額というものを、はつきりさせたことであります。すなわち賃金総額については、從來のように除外例を認めないで、名称のいかんを問わず、労働の対償として、使用者が労働者に支拂うすべてのものを、賃金総額に含むことにいたしたのであります。
 第三の点は、保險料報告の義務を法律に規定いたしたことであります。
 第四の点は、政府が保險料の額を認定して徴收することができる規定を設けたのであります。すなわち從來多数の保險加入者のうちには、概算保險料の額、または確定保險料の額を、所定期限までに報告して來なかつたり、あるいは事実と相違した保險料の額を報告して來る者があつて、そのため本法の運営上支障を來しておりましたので、今回政府が職権で保險科の額を認定し、徴收することができるようにいたしたのであります。しかしその反面、政府の認定、決定に不服のある場合、これを救済する必要があるので、その救済規定を設けることといたしております。
 第五の点は、保險料追徴の場合に、その的確を期するため、納期限に関する規定を設けたことであります。
 第六の点は、政府が保險料の額を規定した場合に、その徴收すべき保險料に対して、追徴金を賦課することであります。すなわち保險加入者が、なすベき報告をしなかつたり、虚偽の報告をした場合には、政府が勘定して徴收すべき保險料の額の、百分の十に相当する額を、追徴金として徴收することにいたしたのであります。
 第七の点は、延滞金及び罰金を引上げたことであります。從來延滞金は、百円につき一日四銭の割合でありましたが、これはきわめて低率でありますから、國税その他社会保險と同様に、百円につき一日二十銭に引上げたのであります。また所定の義務を履行しない保險加入者や、その他の保險関係者に課されている罰金も、きわめて低額でありますから、その罰金の額を五倍または六倍に引上げて適用することとしたのであります。
 なお官吏の業務上の祕密漏洩に関する罰則については、國家公務員法に規定されておりますから、これを削除いたしたのであります。その他條文中不必要な字句は削除いたしまして、法文の整理をいたしております。
 以上の諸点が、この改正法律案の提案理由であります。何とぞ御審議の上、可決されるようお願いいたします。
#4
○倉石委員長 池邊説明員。
#5
○池邊説明員 労災保險法の改正の理由につきましては、ただいま大臣から説明いたしましたような内容でございますので、ただいまから、その改正の逐條につきまして、御説明申し上げたいと存じます。
 お手元に差上げました新旧條文対照をごらん願いたいと思います。第三條関係でございますが、從來三十トン未満の漁船、五トン未満の船舶につきましては、船員法並びに船員保險法の適用を受けない事実となつておつたのでございます。ところが昨年あたりから、三十トン未満の漁船、五トン未満の船舶につきましての災害が非常に発生いたしまして、これらの使用者は基準法の災害補償の義務を果し得ないような事例が目立つに至りましたので、今般こうした船員法の適用を受けないところの船舶につきまして、強制適用事業といたしたい、かような意味合いから、三條に船舶を入れましたようなわけであります。
 それから從來國の直営事業とか、あるいは労働基準法第八條第一号ないし第十五号及び第十七号に該当しない官公署とか、同居の親族のみを使用する事業につきましては、例外規定として、保險法の適用除外といたしておつたのでございますが、今回この規定を明らかにいたしますために「前二項の規定にかかわらず」という字句を挿入いたした次第でございます。以上が第三條に関する改正点でございます。
 次に第十八條の関係でございますが、これは十八條の規定そのものにつきましては、何ら改正はございませんが、後ほど二十八條とか、二十九條の二、あるいは三十條の二を挿入いたしました関係上、現行の規定の第二十八條または第二十九條の規定、これは概算保險料並びに変更保險料の規定でございますが、こういうようなものをとりまして、ともかく更正決定の保險料なり、あるいは変更保險料なり、概算保險料あるいは精算保險料、こういつた一切の保險料を滞納した者につきまして、その滞納期間中に生じた事故に対しましては、保險給付の全部または一部を支給しないことができるというようにいたした次第でございます。
 次に第二十五條でございますが、從來この保險は、事業主の基準法できめられましたところの災害補償の業務を、政府が代行するという趣旨のもとにつくられました制度でございますので、從つて保險料をとる場合には、事業主からこれをとり、それから支拂いはその事業に使われている労働者に、基準法の規定に從つたところの災害補償費を拂うといつたような建前になつておるわけであります。從つて今回なるべく簡易な方法でもつて、事業主から保險料を納入していただく方が、お互いに利便であるというような点から、從來三箇月を越える期間ごとに支拂われる賃金というものは、保險料の算定の基礎であるところの賃金総額の中から除いておつたのでございますが、この点を改正いたしまして、使用者が労働者に支拂うところの一切の賃金総額によりまして、保險料をとつて参りたい、かように考えまして、二十五條の改正をいたしましたようなわけでございます。
 それから次に二十八條でございます。これは從來は報告義務の規定がなかつたわけでありますが、今回概算保險料につきましては、毎年三月末日までに報告するような義務を課したわけであります。同時にまた土木建築とか、林業のような有期事業につきましても、同じように概算保險料の報告書を出させしめるようにいたしたわけであります。
 なお二十八條の三項におきまして、この保險はとにかく使用者の拂われるところの一切の保險料でもつて、その事業に災害の起つたような場合には、政府がその保險料の中から災害補償をして行くといつたような建前でありますから、どういたしましても、使用者が保險料を滞納されるということが、この事業の円滑な運営に重大な支障を來す結果となりますので、今回三項に、政府は保險加入者が第一項もしくは第二項の規定による報告をしないとき、またはその報告に相違がありと認めたときは、政府の調査によりまして更正決定する規定を設けたのでございます。
 次に二十九條でございます。これは從來の規定は「政府は、前條の賃金総額の見込額に変更を生じたときその他必要がある場合においては、概算保險料を追加徴收することができる。」かようなことで、非常に抽象的に書かれておりましたので、今般二十九條におきましては、少くとも変更届をするような場合は、賃金総額の見込額に二割以上の増加を來したような場合でなくちやいかぬというようなことを明記いたしましたことと、さらに必要がある場合ということは、從來の解釈では、保險料率がかわつたような場合ということであつたわけでありますが、これを二十九條の二といたしまして「政府は、保險料率の引上げを行つたときは、概算保險料を追加徴收する。」というようなぐあいに、新しく條文を設けて、明らかにいたしたようなわけてあります。
 次に第三十條であります。これもやはり從來は報告の義務が課せられていなかつたのでございますが、今回また精算保險料の規定におきましても、やはり報告義務を課したわけでございます。と同時に、二十八條の三項の規定と同じように、どうしても精算保險料の報告をして來ないような場合、あるいはまた報告に相違があると認めたような場合には、政府自体におきまして、やはり更正決定をし得る道を開いたのでございます。以上が三十條の改正の要点でございます。
 次に三十條の二でございます。これは「政府は、第二十八條第四項」と申しますと、これは概算保險料のことでございますが、「又は前條第三項の規定により算定した保險料の額又はその額と納付した保險料の額との差額を徴收する場合においては、その徴收すべき額に百分の十を乗じて得た額を追徴金として徴收する。」というような場合でありまして、元來更生決定をしなくてはならぬようなのは、報告も出さなかつたり、あるいは保險料を納めないような事業主であります。ところがこの保險は、全部が事業主の負担になるところの保險料でまかなわれておりますので、そうした概算保險料の届を出さなかつたり、あるいはまた精算保險料の届を出さなかつた使用者につきましては、將來保險料の納入ということに非常な認識をしていただく意味において、あるいはまた罰則といつたような意味合いから、追徴金を課すというような追徴金の規定を設けたわけでございます。
 それから三十一條でございますが、これは字句に誤解があります。つまり現行法によりますと、「滞納する」と書いてありますが、滞納という字句は、とかく会計法上の、その納期までに納めないような場合というぐあいに解釈されますので、これを「納付しない」というようなことにいたしまして、二十八條なり、あるいは三十條で明記した納期限を過ぎたものを、全部ここで滞納と言うのだという意味合いにおいて、納付しない者というふうに改めました次第でございます。
 それから三十二條でございます。これは從來の規定によりますと、延滞金が一日について四銭の割合でございましたが、他の社会保險の延滞金の額と同じように、今般これを二十銭に引上げたわけでございます。
 それから三十五條の規定は、これは更正決定の道を規定いたしましたので、從つてそういうものに間違いがあつたような場合に、保險加入者がいつでも審査の請求をなす道を開かなければならぬ。つまり保險加入者を救済する規定といたしまして、三十五條の二の規定を設けたわけでございます。同様に三十七條につきましても、都道府縣労働基準局長に審査の請求をしたり、なおそれに対して不服がある場合には、主務大臣に訴願する道の規定も設けたわけでございます。
 それから三十八條でございますが、從來の規定は「主務大臣」ということになつておりますのを、「都道府縣労働基準局長」というように、主管官廰を明確にいたしたのでございます。
 それから四十八條でございます。「又は吏員」ということが從來の規定にございましたが、この法律そのものが都道府縣労働基準局で行われておりまして、または吏員が臨檢したり関係者に質問する場合はないのでございまするので、この規定を削除いたしたような次第であります。
 それから五十一條でございます。これは官吏の機密漏洩に関する規定でありますが、これは國家公務員法の百九條の十二号に官吏の機密漏洩の場合の規定がありますので、ここにまた別に官吏の機密漏洩に関する規定を設ける必要がありませんから、削除したようなわけであります。
 五十二條は保險加入者の報告義務を怠つたり、あるいは虚偽の報告をした場合の罰則規定であります。從來は一万円ということになつておつたのですが、この法律を制定したときと事情が大分違いますので、追徴金というような意味の罰金の額を、五倍に引上げたような次第であります。
 五十三條につきましても、同様に現行法では五千円ということになつておりますのを、三万円に引上げようということであります。
 それから附則でございますが、大体この法律は昭和二十四年六月一日から施行する予定であります。但し第三條の船員に強制適用するという問題につきましては、相当期間、周知宣傳する必要があるというので、八月一日からこれを適用するということになつたようなわけであります。
 以上は概要御説明申し上げたのでありますが、なお御質問によりましてお答えいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#6
○倉石委員長 次に失業保險法の一部を改正する法律案、職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題に供します。質疑を許します。青野武一君。
#7
○青野委員 私は緊急失業対策法案のうちの第四條についてお尋ねいたします。第四條は「失業対策事業は、左の各号のすべてに該当する事業でなければならない。」この五つの項目にすべて該当しなければ、失業対策事業はできないということが法制化してありますが、これに基きまして、第一は石炭、肥料、電氣、鉄鋼等の重要産業事業方面に、この失業者を吸收する率はどの程度であるか、それから第二は貿易関係事業、第三は河川、港湾、道路、鉄道、土木、建築関係の事業に対する失業者の吸收率、それから四が一般的に見て戰争被害地域の復旧事業、あるいは國家、地方公共團体が事業主体になつてやるのでありますが、同じくこれに対する失業者の吸収率、それからもう一つは学生、生徒の就業のあつせんの具体策でありますが、これは一つの例をとりますと、ある一つの都市で、十七、八万の人口を持つております所で、今年新制中学の卒業生が約千名あつたのであります。北九州方面で、相当求人があるものと予定しておりましたにもかかわらず、新制中学の卒業生が、学校当局と公共職業安定所の努力がありましたが、わずかに百名の就職でありまして、あとの卒業生の九百名は、大都市でありながら、全然就職ができないというような実情が、本年の三月ごろにあつたのであります。これらを見ますと――労働省当局の学生、生徒の就職不能の数字は十万くらいであるという御説明になつておりますが、一つの都市にしても、それは特定の場所でありますが、そういつた新制中学卒業生のうちの九割が、就職できないというようなこの現状を見まして、これらの学生、生徒で仕事にありつかれない人たちに対して、地域別に集團的な作業を適当な方法によつてやらせるようなことをお考えになつておるか、それが第五であります。第六には農村関係で荒廃地とか、未開墾地の作業あるいは干拓事業等にこの失業者を吸收する率、
    〔倉石委員長退席、吉武委員長代理着席〕
それから第七が、國民住宅の新築、増築のために、森林伐採等に、この失業者をどれくらいの程度吸收をいたしますか。この第四條に基く五項目全部に該当しなければならないという法律の精神からいつて、以上七つの場合に、どういう具体的な数字で失業者を吸收するお考えであるか。この点を第一にお尋ねしたいと思います。
#8
○海老塚説明員 第四條に該当いたしまする事業は、失業対策事業でございます。この條件に該当する事業が、それならばどういう事業であるかということになりますと、大体こういうような事業がそれに該当するのじやないだろうかと考えております。すなわち戰災地等の整備事業、重要都市の防災対策事業、都市環境衛生施設整備事業、都市公共福祉施設整備事業、それから知識層失業應急事業といたしましては、たとえば各種の調査統計の事業、あるいは一般の事務補助の事業、その他道路の補修等の事業、共同作業施設、こういうような事業を失業対策事策として一應考えております。お尋ねの河川でありますとか、農地等の事業は、むしろ現在経済安定本部の所管のもとに行われておりまする公共事業の内容として、該当する事業が多いのではないかと考える次第でございます。なお公共事業に属しまする各事業費目に対しましては、この法案にもありまするように、失業者吸收率を設定いたしまして、それによりまして失業者をでき得る限り送り込むように処置いたしたいと考えている次第でございますが、その具体的な、どの地方にどういう事業が公共事業について行われるかということにつきましては、本年度まだ経済安定本部を中心にいたしまして、関係各省で計画中でございますので、はつきりした数字を、事業種目別には申すことが困難でございまするけれども、われわれが一應の明年度、今年度の公共事業に就労いたしまする労働者数を推定いたしましたところ、大体四十二、三万人程度である。そのうち失業者を吸收いたすことができますのは、非熟練労働者につきまして、そのうちに失業者を吸收いたすことになるわけでございまするが、これが結局公共事業の事業施行地が都市及び郡部にわたりまして行われるわけでありますので、農村方面におきましては農村の過剩労務というような関係もありまして、農村地帯に存しまするそういう部分的な農民が就業いたしますから、これは一應除きまして、都市中心を重視しまして測定しましたところによりますと、現在の吸收率では、おおむね七万人ぐらいの人員が吸收されるのではないかと考えております。四十万人のうち約七万人ぐらいは、公共事業に、現在行われておりますところでは、吸收されるようになるのではないかと一應推定いたすのでございまするが、先ほど申し上げましたように、この数字は、具体的にどこの地点にどういう事業が行われるかということがまだ決定いたされておりませんので、決定次第若干の変更は見るものと予想している次第でございます。
 次に小学校新制中学校の卒業生の就職あつせん状況でございまするが、目下公共職業安定所を中心といたしまして、現地におきまして極力これのあつせんに努めております。大体の数字を申し上げますれば、実はこれも具体的に府縣別に申し上げないと、よくわからないのでありますが、総数で申し上げますと、女子につきましては大体求職希望者が安定所が取扱つております分におきましては、約七万人に対しまして、求人者の女子を採用したいと申します者は十二、三万に上つております。これは総数でございますが、そういう状況になつております。男子はむしろそれとさかさまでございまして、求人がわずか五万くらいに対しまして、求職者は十二万というような状況になつておるのでございます。新規中等学校卒業生の從來の経験によりますと、大体求人者の半分程度は、いつも五月ごろまでのあつせんで、就職できるようになつておるのでありますが、労働省といたしまして、現地で極力あつせんに努めておりますので、さしあたり十万程度の未就職者が出るであろうか、というふうに考えておる次第でございます。
#9
○青野委員 もう一つ重ねてお尋ねしておきますが、ただいま本会議でも、引揚げ促進に関する決議案が満場一致で決定されたのであります。四十五、六万の外地におります氣の毒な戰争犠牲者の、最後に取残された人たちが、困難な引揚げ事業でありますが、その全部の人がかりに内地に帰つて参るといたしますと、これは相当大きな失業救済事業を計画しなければ、この戰争犠牲者の諸君にある程度の満足を與え、生活を最小限度に保障するということは非常にむずかしいことであります。これが引揚げを完了するという見通しの上に立つて、引揚者の諸君に職を與える。そうして最低の生活を保障するという点についての具体的なお考えがありますならば、いま一應御説明願いたい。
#10
○海老塚説明員 実は引揚者の就職あつせんにつきましては、厚生省と労働省と緊密な連絡をとりまして、たとえば京都府等の例を見ますると、上陸地にまず安定所から出張いたしまして、職業相談を実施いたしておるのであります。安定所によりましては、府廰の世話課等と連絡をとりまして、引揚げておちつきました先々に手紙を出しまして、就職の相談、あつせんの糸口を開くということを行つている府廰もあります。今後引揚げが再開いたします後におきましても、從來行われておりまする具体的な職業あつせんにつきまして、十分努力いたしたいと考えておるのでございまするが、そのほかにたとえば宇都宮でありますとか、倉敷でありますとか、米沢でありますとか、各地区ごとに大きな建物を利用いたしまして、引揚者が集團居住いたしている所が、全國各都市に相当あるのでございまして、こういう引揚者の方々に対しましては、実は從來はいわゆるやみ商賣等によりまして、生計を維持いたしておつたのでございまするが、最近の情勢からいたしまして、そういうことで生計を維持することがなかなか困難になりました。それでここにもあります失業應急事業を、そういう失業者がおります地域に起工いたすことにいたしております。ただいま申し上げました各地区におきまして、すでに実施いたしておりまする所もありますし、この第一・四半期におきまして、集團的に居住いたしております失業者に対しまして、一時就職の機会を與えるために、そういう事業を起す計画にもなつておるのでございます。そういう事業に從事しつつある引揚者に対しましては、その間安定所が中心となりまして、極力定職のあつせんに努めておる次第でありまするが、必ずしもわれわれが予期している通りには参つておりませんので、なお今後も極力就職あつせんに努力いたしたいと考えておる次第であります。
#11
○青野委員 第六條と、第九條を一括して、簡單に御質問いたしますが、第六條は労働大臣の権限と責任を法制化していると思います。労働省の出先官廰といたしましては、婦人少年局の職員室であるとか、公共職業安定所、省都道府縣の労政課、あるいは労働基準監督署などがありまするが、廣汎な失業対策事業でありますから、もつと一般的な計画を樹立するのに、全國的な廣汎な調査、あるいは各地域の失業対策のために、この計画を労働省の内部の何課が事実上の責任を持つておやりになるか、これは非常に重要な問題でありまして、責任は労働大臣にありまするけれども、技術的には、全國的な大きな調査とか計画でありまするので、どこが主体になつて、この計画を遂行せられて行くか、これをひとつお聞きしたいと思います。その次の第九條は、失業対策事業の費用であります。國がみずからの費用や、地方公共團体等が國庫から全部あるいは一部の補助を受けて実施すると規定してありまするが、御承知のように、二十四年度予算において、公共事業費が非常に大削減されておるときでありますので、國から全部あるいは一部の補助を受けて、地方公共團体が失業対策事業をいたしまするとしても、この費用をはたして國が十分まかない得るかどうかということが、われわれにとつては疑問であるのであります。この具体的な方針と対策を、でき得れば数字をもつてお示し願いたい。その二点をお聞きいたします。
#12
○鈴木國務大臣 ただいまの御質問のうち、第二点の方についてお答え申し上げます。これは皆さんも御承知の通り、ただいまの予算の以前に、政府が組んだ予算には、相当の失業対策費というものが盛られておつたのであります。その金額があの当時妥当であつたか、またあれで十分であつたかという問題は、今に至ると別の角度になつて來ますけれども、いずれにせよ、現在眼前に推移しつつある失業状態から見ますときには、今の予算に盛られているところの八億八百余万円をもつてしては――これがただいま御指摘になりました緊急失業対策法のうちの、いわゆる失業対策の方の経費になるわけでありますが、むろん足りないと思つております。のみならず、もつと明確に申しますと、これは今年ひよつこりと八億八百万円が加わつて來たのではないのでありまして、昨年すでに六億円前後、公共事業費の中に労働省関係として計上されておつたところのものが、物價の変轉と見合つて八億八百万円になつて、一般会計の方に移つて來たのでありますから、この分は、新しく事業がふえたのではないというのも事実であります。ただ今度提案されました緊急失業対策法による、その中心をなす失業対策事業というものの根底として、この八億八百万円によるところの事業が、まず継続的に行われるという意味にほかならないのであります。從つてそれ以上の事業、その事業に必要とするところの経費というものは、当然新たに予算に計上されなければ、何にもできないということも事実であります。その経費が幾らかという計算、これは一應立たないことはありません。すでに最初の予算に一應計上した根拠もあるのでありますから、立たないことはありませんけれども、ただいまのところ私どもは相当の金額の経費は、今年内に何らかり形でもつて計上して、そうして單なる空文でなくこの緊急失業対策法を生かして、当面の失業対策に対処して行かなければならないと思つておりまするし、政府全体といたしましても、この考えについては、しばしば私からも閣議その他で発言いたしまして、必要なときに必要な措置をもつてこの経費は出して行くということにつきましては、十分了解しているのであります。いずれの内閣といえども、失業者がどしどし出て來るというのに、放置しておくなどということが決していいはずもないのでありまするし、またそうしておけるはずはないのでありまして、この費用は当然必要なときまでには、計上さるべきだと思つております。ただそれが具体的に、予算内の措置において行われるか、あるいは臨時國会を通じての補正予算の形で行われるかというような問題につきましては、大藏省当局の檢討によつているのでございまして、特に本年度からの予算というものは、昨年までの予算と、御承知のようにまるでその組み方、性格がかわつているというような点もありますので、それらの技術的な点につきましては、大藏省当局が鋭意檢討中でございます。労働大臣といたしましては、御指摘の通りに、失業対策費は計上されておらないのにひとしいのでありまして、いかなる努力をいたしましても、必要なるものを、ただいま申しあげました二つの方式のいずれかによつて計上して、そうして政府全体での責任によつて失業対策に展開すべきであると、深く責任を感じております。
#13
○海老塚説明員 第六條の、全國にわたる雇用及び失業の情勢に関する調査のことでございますが、全般的な数字は國勢調査をまつほかはございません。國勢調査は最近におきましては御承知の通り昭和二十二年に行われております。傾向を知る統計といたしましては、内閣統計局でやつておりまする毎月の労働力調査というのがございます。これは毎月々々におきまする産業別の雇用数並びに失業者の数、そういうものを抜取り調査で実施いたしております。これは抜取り調査でございまするので、具体的にどの地域にどういう失業があるとか、あるいは雇用があるとかいうようなことは、それによつてはわかりませんけれども、全國的な雇用及び失業の傾向は、月ごとにそれによつて把握できると思つております。そのほかに労働省でやつておりまする毎月勤労統計は、一定規模以上の工場の從業者につきまして調べているのでございまするが、これもその規模の工場につきましてはわかりますけれども、はたして失業者がどうであるかというようなことは、つかむことができないわけでございます。それならば、現実につかむ統計調査といたしましては、どういうものがあるかと申しますると、これも労働省で所管いたしておるのでございますが、すなわち労働省の統計調査局でやつておりまする雇用状態調査というのがございます。これは大体二百人以上の工場につきましては、原則として全部毎月どういう從業者の移動があつたかということを調査して、労働省が集計することになつております。調査をいたしまする機関は、公共職業安定所でございます。これによりますると、原則として二百人以上の工場は全部――実際には毎月の例で見ますと、約七〇%程度の工場のそういう從業者の移動状況が、把握できるようになつております。百九十九人以下の工場につきましては、その一部を報告されることになつておりますが、これは安定所が調査いたしまする関係から、具体的にどういう失業者が、いつ、どこに出るかということが、はつきりこの調査によつてつかむことができるわけでございます。現実にその月に移動した数のみならず、向う三箇月間にわたりましても、從業者の移動状況、雇用状態を調査することになつております。さらに安定所で取扱つておりまする求人者、求職者紹介状況並びに就職者の状況、それから安定所で給付いたしまする失業保險の給付状況、これも毎月々々安定所から、労働省の職業安定局に労働市場調査課という課がございまするが、そこに集まることになつております。これらの安定所の窓口で取扱いまする失業者の状況、求職の状況、紹介の状況等は、具体的の数字でございまして、こういう具体的の状況の把握等、全般的な傾向の推移、これらのただいま申し上げました各調査資料によりまして、今後緊急失業対策法の実施に、遺憾のないようにいたしたいと思つております。それから失業対策事業の事業計画につきましては、ただいま申し上げましたような資料によりまして、労働大臣がどういう地域に、どのくらい失業者が、しかもどういう内容の、どういう種類の失業者が出るかということを、調査するわけでございます。そうしまして、その失業者を、しからばどういうふうにして救済するか、企業整備によりまするものは、これはさしあたり失業保險でよろしいとか、あるいは具体的に産業が振興いたしましたり、工場ができましたりして、そこにあつせんできる労務者もあるというように、失業者につきまして、いろいろあつせん計画を、安定所が中心となつてつくるわけでございます。ところが失業保險その他紹介、あつせん等によりまして、さしあたりどうにも処置できないというような失業者が、ある地域に発生いたしました場合におきましては、この第六條にも書いてございまするように、労働大臣はその地域に失業対策事業を興さなければならないということをきめるわけであります。しかしながら具体的に、どういう事業種目を、失業対策事業として選ぶかということにつきましては、これは資金、資材の関係、その他一般の公共事業の実施ともかみ合せなければなりませんし、同じ失業対策事業にいたしましても、できるだけ経済的効果のある事業を選ぶのが適当でございまするので、この点につきましては、労働大臣は経済安定本部総務長官に対して、こういう地域に失業対策事業を興さなければならないのだけれども、どういう種目を適当とするかということを、通告するわけでございます。その通知がありましたときには、この第七條の第二項に書いてありますように、経済安定本部総務長官が事業種目の選択をいたしまして、労働大臣に提示する、その上で労働大臣と経済安定本部総務長官とが協議して、どこどこの地域にどういう種類の事業を興すのがよいかということを決定する、こういう仕組みに法律上ではなつております。
#14
○青野委員 それについてもう一つ重ねてお尋ねしておきます。これは一つの例でありますが、御承知のように昨年中間搾取をしておりました労務供給業者が、法律によつて禁止せられまして、小さい三百か五百の労働者を供給する場合は別でありますが、例を北九州の三万二千の労働者が働いております八幡製鉄所にとつてみましても、当時この労務供給者が十五、六名、法律によつてその職業を禁止せられましたときに、関係係からは鉄鋼増産の指令が來る。政府からは嚴重な要請がある。一日に五千名ないし六千名の労務者を事実上供給しなければ、作業が継続して行かれぬ。そのときにわれわれも中間に立つて困りましたが、いろいろな方面にそういう例は起ると思います。五千名、八千名の労務者は、限られた公共職業安定所の二十人か三十人の職員ではどうすることもできない。地方公共團体にもそういう專門家がおりませんから、事実上できない。関係筋からは嚴重に鉄鋼生産命令が來る。労務供給者にすれば処罰を受ける。労務者は余つておるが、それを動員して、統制をとつて作業に從事させるということは、事実上五、六箇月不可能であつた。そこで労働省関係のいわゆる人員の決定がまだ法制化しておりませんが、この定員法がかりに出るといたしましても、労働省や現在の出先官廰だけでは、この問題はおそらく解決しないだろう。それは小さいところは容易にできるかわかりませんが、全國的に大きな工業都市はなかなか困難である。專門家でない以上は、何千という労務者を動員して作業に從事せしめるということを、事務上円滑に運用して行くことは不可能である。この点について労働省の定員はどうか、あるいはそれについての確信があられるかどうか。それを重ねてお尋ねいたします。
 もう一つお尋ねいたしますのは、第十條の二項でありますが、失業対策事業に使用する労務者の賃金を労働大臣がきめる、同一地域で同一職種に從事する労働者に、通常支拂われる賃金の額よりも、低くその賃金を定めると書いてありますが、これはどういうわけで低く定めなければならないか。第一、労働大臣が賃金決定の基準をどこに置いておるか。これをひとつお伺いしたい。それからもう一つあわせてお尋ねしておきますのは、十一條の雇入れの拒否権でありますが、これは病弱者、あるいは不具廃疾者、精神病者、老人とかいつたような、いろいろな理由があると思いますけれども、この公共職業安定所の紹介する失業者が、その能力から見て不適当と認める場合は、失業者を雇い入れることを拒むことができる、とあります。これにその出先官廰の責任者が決定することでありましようが、こういうことは、私ども北九州方面で長らくいろいろな政党運動に関係を持つておりましたが、政党間の対立が將來激化して参りますると、事実上行政整理によつて何十万という馘首が行われる。そのうちには、政党の幹部あるいは労働組合の戰鬪的な幹部諸君が入つております。そうすると、勢い公共職業安定所の門をくぐりましても、なんとかかんとか口実をつけて職を與えない。その運動をやめるか、結局職にありつけないかということが起ることに、北九州の実例をとりましても、何千人という諸君が、二十年間職を奪われて困つたことがある。將來ますます政党間の対立がはげしくなつて参りまするし、労働攻撃が激化して参りますると、往々にしてこの失業者の中でそういう運動をした諸君に対しては、特別な方法と手段で差別待遇が與えられて、職につくことができなくなるのではなかろうか、これを私たちは非常に危險に考えておるのでありまするから、特に労働大臣の見解を承つておきたいと思います。
#15
○鈴木國務大臣 前半の御質問に対しましては、政府の説明員から詳細に説明していただくことにいたします。最後の御質問はきわめて質的にも重要でありまするし、御指名でもありましたので、私からお答え申し上げます。私どもといたしましては、正当な民主的な本來の労働運動というものは、労働者諸君のためのみでなく、日本の民主化のために絶対に必要なものであり、それを保護助長と申しまするか、その発展に協力する心構えをこそ持つておれ、これを抑圧しようなどという考えに毛頭持つておらないこと、しばしば申し上げておる通りであります。從つてその整理にあたりましても、そういつたことを考慮に入れるべきでないということは、すでに現行の労働関係法規においても、また近く改訂されようとする労働関係の法規においても、明確に指摘されておる通りでありまして、この点につきましては、法の精神通りに措置すべきものであり、それから逸脱した場合におきましては、不当労働行為となりますから、そういうことは一般論としては許されないという立場を堅持しております。またそういつた関係でなく、たくさんの整理される人たちの中に、そういう不当労働行為的なやり方でなく整理された人たちも、一部分に相当入つて行くという現象は起り得ると思いますし、ただいま御指摘のように、その人たちの再就職、もしくは配置轉換における就職という問題が起きて來るだろうと思います。御指摘の点はそこにあつたと思いますけれども、この点につきましては、それが破壊的な人でない限り、ただいまも申しましたように、整理にあたりましても何らそれが條件となり得ないと同時に、採用にあたつても、何らそれを條件となすことはできないということも明らかでありまして、私どもはこの点についても、何ら差別を設けるべきでないという考えを持つておること言うまでもありませんが、しかし御指摘の点は、そうであつても、実際に雇用する際に、現実に区別されるのではないかという、そういうごく第一線の現実を指摘して御質問になつたと思います。この点につきましては、私どもといたしましては、ただいま申しました趣旨を敷衍いたしまして、監視もいたしまするし、そういつた差別待遇はいかなる場合にもないように、労働省としての立場を宣明し、そうして周知徹底して行くという考えを持つております。
#16
○海老塚説明員 第十條第二項の失業対策事業については、そこに使用される失業者に支拂われる賃金は、「同一職種に從事する労働者に通常支拂われる賃金の額より低く定めなければならない。」という規定の趣旨は、先ほども申し上げましたように、失業対策事業は、その失業者が定職につきます間、一時つなぎの間、その仕事に從事させて、その間に安定所はでき得る限り、就職のあつせんに努めるという趣旨の事業なのでございます。從いまして、從來の労働省で所管いたしておりますこの種の事業に、実はすでに失業者が就労しているのでございまするが、どうも著しく定着する傾向が強い。これは安定所の努力が足らない点も多々あるのでございまするが、非常に定着する傾向が強いというような弊害もあるのでございまして、この点につきましては、安定所が一層努力いたしまして、失業対策事業の回轉を早めるように、今後とも努力いたしたいと考えているのでございます。そういうような趣旨の失業対策事業でございまするので、一應これらに從業いたしまする者についての賃金は、少し低目に支給するのが適当であると考えている次第でございます。具体的にはプリヴエーリング・ウエージ、これは最高最低の定めがあるわけでございまするが、その最高額につきまして五分くらい低い率を定めるようにするのがいいのではないかと考えておりますけれども、これはまだ最終的にそうきまつているわけではございません。
 次に労務供給業の禁止に伴いまして、重要産業に対しまする労務者のあつせんが不十分であつたという事実は、昨年の三月切りかえ当時におきまして、御指摘の通り各地で見られたのでございます。この日雇労働供給業の禁止後の措置といたしまして、こういうようなことを除去いたしますために、安定法にも規定されているようでございまするが、日雇労務者の労働組合を各必要地区にたくさんつくられているのでございます。その組合と安定所とが、協力いたしまして、目下は割合とそういう点につきまして遺憾のないように、必要な方面の労務の供給ができておると思つておりますが、なお御指摘の点十分善処いたしたいと考えております。また安定所の行政整理によりまして、こういう点が一層なおざりになるのではないかという御疑念に対しましては、今後安定所の定員の配置を改めまする際に、労務の需要供給のはげしい都市その他の地域に十分な定員を配置して、重点的な業務の運営をはかりたい、そういうふうに考えております。
    〔吉武委員長代理退席、委員長着席〕
#17
○前田(種)委員 ちよつと関連して。今賃金のところで説明されましたが、特にこの條文で、同一職業に從事する労働者よりも低い率できめるという條文がありますが、これはえてして、その地方におけるところの賃金の引下げに利用されるおそれがあると思います。要するにそういうことのために、安定しております從業員の賃金が、引下げられる危險性が相当できて來ると思います。私はこの條項をすなおに考えてみて、必ずしもこの條項で、低くきめるという文字の使い方をせずに、同一職種に從事する労働者の通常の支拂い状態を勘案してきめる、というような文字に訂正した方が非常にいいと考えます。これは意見になりますが、労働省としてあくまで低くきめるという條項をここできめて置かなければ、特に不都合があるというような点があるかどうかを、重ねてお聞きしておきたいと思います。
#18
○海老塚説明員 具体的にきめます内容につきましては、先ほどお話いたしましたようなプリヴエーリング・ウエージの最高額について、五分ぐらい制限をしたならばよいのではないだろうかというふうに、われわれは今考えておるわけでございますが、法文の表現といたしましては、やはり同一地域において同一職種に從事する労働者に、通常支拂わるベき賃金の額より低く定める。実はこの点いろいろ檢討いたしたのでございますが、この表現が適当ではないだろうかというふうに思つております。
#19
○前田(種)委員 これは意見になりますから、質疑の後に私の意見を申し上げたいと思います。私が今ちよつと思いつきで申し上げました、勘案してきめろということについて、低いという文字を、何とかほかの文字に直していただきたいという意見を持つておりますが、これは後日に譲ります。
#20
○青野委員 最後に重ねて希望と質問を一つして、私の質問を終つて、ほかの委員の質問をお願いしたいと思いますが、ただいま十一條の失業者の雇入れを拒むことについて、私がいろいろな実例を引いて申し上げたのに対しまして、労働大臣は、雇入れに対してはあくまでも公平な方法をとる。けつこうな御意見であると思いますが、実際問題といたしましては、炭鉱地帯にあつては、特に炭鉱経営者の立場から、矯激な思想を持つておるとみなされる人は、事実上その勢力を利用して、あるいは職業安定所であるとか、あるいは重要な産業の経営者等と連絡をとりまして、実際問題としては、往々にしてそういうことが裏面の理由となつて、失業者となりました労働組合、政党の勇敢な戰鬪的な幹部諸君が、職を拒まれる事実がおそらく起つて來ると思います。全國的に労働大臣の名において――政党は國家再建のための政策で鬪つておりますから、思想はあくまで思想によつて対立すべきであつて、失業者になつたそういう関係者の職につく機会を奪い、これを拒否していじめるといつたような残酷なやり方は、断じて全國で起らないように、嚴重な労働大臣の通牒として、各出先官廰に十分な警告を発していただきたいということを、私は希望しておきます。
 最後にいま一つお聞きしたいと思いますことは、失業保險法の一部改正案についてでありますが、御承知のように現在全國的に見まして、中小企業者は、金詰まりでどうにもならなくなつております。しかも保險法の明文から行きますと、五名以上の労働者を使つております人たちは、保險に加入しなければならぬ。被保險者である受給資格者は、ことごとくこの法律によつて参加しなければならないということが規定せられております。しかしそういつた小さい五人か八人の労働者を使つて経営をしております中小企業者に対しまして――この五十二條の規定は、昨日の労働委員会でも問題になりましたが、当該官吏の質問に対してこの保險の問題について答弁をしなかつたり、もしくは虚僞の陳述をする、あるいは檢査を拒む、あるいはそれを妨げる、もしくは忌避をした場合には、六箇月以下の懲役、または三万円以下の罰金に処すということが罰則に規定されております。これは百万円、あるいは千万円、あるいは何億円といつたような大きな会社工場でなく、五人か八人の労働者を使つて赤字で苦しみながら、しかも金詰まりと重税に悩んでおる諸君に、千篇一律にこうしたような法文をつくつて、三万円の罰金が拂えないものは勢い六箇月以下の懲役に服さなければならぬといつたような苛酷な罰則に、現行法にあるからといつて、これを軽率に取入れることは、あまりにも時代逆行のはなはだしいものではないであろうか。これを廃止するか、あるいは失業保險法を円滑に運用するためには、こんな苛酷な罰則でなく、もつと軽い罰則を設けて適当にやつて行かれるという意思はないか。特に中小企業者の諸君に対して、大きい会社工場と同じような罰則はあまりにも一方に偏する。しかも、これはいろいろな意味で、六箇月以下であり、三万円以下でありますから、取捨判断にそこでつくと思いますけれども、大体罰則があまりに苛酷である、この点についていま一度御見解を承りたいと思います。
#21
○亀井政府委員 あとの失業保險の関係の御質問につきまして御答弁申し上げます。お話のように御趣旨はよくわかるのでございますが、この五十二條の罰則なり、五十三條の罰則は、その最高限度を定めておるのでございまして、具体的にいかなる刑をもつて処するかという問題になりますと、裁判官の判断に基きまして、定められるものでございます。今までの実例から申し上げましても、それほど苛酷な判決が下された例はないのでございます。いわばこれは傳家の宝刀でございまして、われわれとしましては、これがあるから事業主をおどかしていろいろな報告を徴し、あるいは檢査をするという意味ではなくて、惡意の事業主がありました場合に、こういう罰則の適用がなし得るのだということを定めた次第でございまして、この罰則を廃止する、あるいはこれを改正いたします考えは、現在持つておらない次第でございます。
#22
○鈴木國務大臣 ただいまの最初の方の御質問、御意見につきましては、なお十分考えてみたいと思います。
#23
○青野委員 実は開会に先だちまして、安本長官の御出席を求めておきましたが、公務の関係で御出席がありませんので、四月二十二日に総司令部から発表になりました米貨一ドルについて三百六十円の外國為替レートに関します質問を、私は明日と明後日の労働委員会の適当なときにさせていただくこととし、質問を保留しておきますら、御了承を願つて私の質問を終ります。
#24
○春日委員 今までの質問で大分こまかいことがありましたけれども、どうも政府の答弁を聞いておると、今の答弁にもあつたように給料を高くすると、著しく定着力が高くなつて困る。だからなるべく回轉を早くするというような、何か失業者というものを、やつかい者扱いみたようにしておる印象を受けるわけですけれども、大体失業というものは、すきでなるものではない。失業救済事業というものにも、すきで行くものではないと思う。私らも職人だから、やすりのけつを押せというなら、この年になつてもやりますけれども、もつこをかつげということになつたら、ちよつと辟易する。多少手間は安くても、なれた仕事の方がいいという性質のものです。そうしてみると、やはり失業ということは、國の政策なり、そのときの経済事情なりで出て來るものです。本人がすきで失業するのじやないということになれば、当然この失業者全部について、やはり就職とか、あるいは就職させられない者は、救済するということが考えられなくてはならない。ところが、ずつと聞いていますと、そのうちに予算を組んでとか、そのうちにというようなことを言つておる。これはこの前の賃金支拂いの場合でもそうです。しかし不景気になつたからといつて、機械ならば、油を塗つてしまつておけば、二年先、三年先でも使えるのだけれども、しかし労働者は、働いても働かなくても、とにかく生きるだけのものは食わねばならぬ性質のものです。そういう性質をしつかり認識して、それで失業対策を考えておられるかどうか、この大原則をひとつお聞きしたいと思います。
#25
○鈴木國務大臣 労働者に限らず、だれでも必要なものは食つて行かなければならないと思つております。
#26
○春日委員 そうすると、結局失業はだれでも困るから、失業した者は、全部何とかして政府の責任において、生かして行かなくてはならぬというお考えは持つておいでなんですか。
#27
○鈴木國務大臣 國家は当然國家の責任において、その努力を拂わなければならないと思つております。
#28
○春日委員 非常に心強い御答弁だと思います。そこでその次の問題でありますけれども、政府の手による失業者の概算百二十万ないし百七十万という説明を聞いていますと、大体今後発生する失策者ということになつておつて、それに対する救済対策も、それだけの人間に対してやられておるように私受取つております。ところで、昨年まで失業がなかつたかということになると、これは相当たくさんある。たとえば総理廳の発表でも昨年一月には二百五十万ぐらいある。六月になつて平均百万というふうになつている。そうすると、その後の経済事情を考えて、これがなくなつたというようなことは考えられないと思う。そうすると大体相当たくさんの失業者を持ち越して來ておるわけです。そこへ持つて來て、民間産業における失業者の見積り、これを五%ないし一〇%というふうに言つておりますけれども、最近の中小企業の崩壊状態、あるいは大会社の整理案というものを見ますと、大体二割ないし三割、ひどいところは半分というような形の整理が行われる。だから一部で、たとえば鉄鋼産業の大工場というようなところで若干ふえても、まだ五%ないし一〇%の失業というようなことは、非常に見積りが甘いのじやないか、もつとたくさん出て來るのじやないかという点。それからこの数の中には、農業あるいは林業、水産等の失業者というものが出されておりませんけれども、昨年一月の数字でも、大体八百万くらいあるというふうに言われておる。これは総理廰の統計でもそう言つておる。こんなにたくさんある。それからもう一つ出て來るのは、これはそろばんに入つてないようですけれども、商店が破産して労働者になつて行くという者が相当たくさんできて來る。私の知つている商店だけでも、もうかなり店をしまつて、どつかへ勤めようというようなことになつておる者がある。今後労働者が失業して購買力がなくなれば、当然そういう者がふえて來る。こういうものがほとんど計算の中に入つてない。それから公共事業からのはみ出し、これが相当あるはずです。たとえば五百億という予算になつたために、それが打切りになつて、これはこの間労働大臣にも直接話して調査をお願いしたのですけれども、芝浦の職業安定所関係の連中が、仕事がなくたつたというようなことを言つて來ておる。それから渋谷の職業安定所でも、今まで大体月七日くらい休んでおるというのが、年度がかわつてから、一週に二日くらいしか仕事がないというようなことで、安定所へ押しかけて行くというような事実もある。そういうようなことから見ると、非常にたくさんな失業が、昨年度から行われて來た公共事業の中からはみ出して來る。これは大体私政府委員から、聽聞会での説明で聞いて、大体継続して行くのに六百三十億くらいいる、それを五百億と組まれたために、そういうものの人件費からはじき出して來ると、十万以上の者が、この政府公共事業の中からはみ出して來て、いる。そういうような状態になつている。そうしてみると、失業者の数というものは非常に厖大なものになる。内輪に見積つて三百五十万や四百万あるはずというように私は思うが、その点ひとつ政府の御見解を承りたい。
#29
○鈴木國務大臣 全般の概括論だけのお答えをいたします。先般末政府が一應発表しておつた数字は、本年度発生すると予想される数字についてのものであつたことに間違いありません。昨年度からのつながりがどうなつているか。それから失業者の数が七百万、八百万にも上る、場合によつては千万人にも上るという見方は、これに一つの皆さん方の見方かもしれませんけれども、私どもの見方と違つておる点があります。それらの点につきましては、政府委員から詳細に説明させます。
#30
○齋藤(邦)政府委員 私から数字の点をお答え申し上げます。昨年二百万あつたというようなお尋ねでありましたが、私はそういうようには承知いたしておりません。むしろ昨年末の内閣統計局で発表いたしております労働力調査によりますと、二十七万という数字に相なつております。それからなお御承知のように、安定所の窓口に毎月現われて参ります失業者、職を求めに参ります方、これは失業者ばかりではありません、轉職を希望される方にもありますが、せいぜい三十万程度であると思います。それから將來の失業の問題につきましては、御承知のように現在失業の顕在化という問題、すなわち中小企業、あるいはやみ屋等から失業者になる、そういうものも二十万ないし四十万ということを見込んでおるわけでございます。現在の段階におきましては、今年度中に百万ないし百四十万という失業者の程度が、私どもの方としては事務的に推定できる数字ではないだろうか、こういうふうに考えております。現在あります資料では、現在の失業者五百万あるいは四百万という数字は、現在のところではちよつと理解しにくい数字ではないだろうか、かように考えております。
#31
○春日委員 昨年末二十七万というふうに言つておりますけれども、たとえば昨年四月の場合を見ても、失業者は二十三万という数字になつている。休業中というのが百三十八万――休業中というのは一体何だ、働いていないのではないか、そういうものがやはりたくさんある。それから職業安定所に職を求めに來る者が三十万しかないということで、失業者がそう多くないということには私はならないと思う。職業安定所に信用がないから集まつて來ないのだということは、川崎の職業安定所を調べてみましても、あそこへ毎日百六十人ないし百七十人最近は來るそうです。來ても就職できる者が大体三〇%か、よくて三五%、これで川崎の職業安定所は、非常に率がよい方だそうです。それだから、行つたつてむだ足だ、つまらぬから行かぬということで行かないでおる。それを三十万しか來ないから、失業者が少いという説明には、私はどうも納得ができない。私どもはもつと多いと思つておる。ところで、緊急失業対策という考え方は私は非常にけつこうだと思う。けつこうだけれども、この事業に八億八千万円が組み立ててあるようであります。これは大体五百億の中で組んでおるようですけれども、これで救済できるかということになると、大体一人に少くとも月五千円くらいとらせようとすれば、一万三千人、全部を人件費に使つても毎日々々として、一年通算すると、そのくらいにしかならない。ところが、これだけでそれではいいか。將來組むというお話でしたけれども、現実にどういう問題が起つておるかということになりますと、たとえばこの間中野の区役所のそういう仕事をしておる人から陳情書が來ましたけれども、区役所とか東京の各都廰関係の役所に勤めて、失業救済という名目で、実際には都の職員とかわらない仕事をしておる人たちが、東京都内だけでも千人、全國で一万二千人おる。しかもこういう人たちに、失業救済の臨時雇いというために、いろいろな手当その他が入らない。先ほどのお話では五%くらい低くというお話でしたけれども、実際には半分あるいは三分の二くらいの非常に少い賃金で働いておる。しかもこの人たちは、四月一日からの予算の切りかえで、どうにもならぬからやめてくれということで、四月、五月の二月だけは何とかして東京都の方の費用で食いとめるが、あとはそれまでに考えてくれというようなことを言われておる。こういう関係だけでもすでに一万二千人。この八億八千万円に相当するものが出てしまう。これでは將來と言うけれども、現実に起つて來るものを救済するにも非常に足らない。だからこういうことは、もつと出て來たら、ひどくなつたらということでなく、なぜもう少したくさんに予算を組むという措置が、今からとられないかという点であります。
#32
○鈴木國務大臣 細部的にはいろいろなケースが起つておるだろうと思います。全体としても、できるだけ早い機会にその予算は組むつもりであるということに、先ほど申した通りであります。それからもう一つ、これは春日さんの考え方が間違つておるというほどではありませんが、八億八千万円かのあの金の使い方は、ある場合には國庫が全部負担して事業をやる場合もあるし、地方自治体あたりで、自分の方も出すけれども、足りないから出してくれという場合に、半分とか三分の二という場合もありますから、もう少し雇用量は大きくなると思いますし、それがずつと大きくなつた場合には、パーセンテージももう少し高くなると思います。今の計算は、あまり嚴格にフルにやり過ぎたので、もう少し大きくなると思います。これにあやまちとして御指摘するほどではないのでありますが、一應御了解をいただきたいと思います。
#33
○春日委員 誤りだという点ですが、私に八億八千万円を全部人件費として計算しておる。ところが失業救済事業にも物件費がいるのでありまして、地方自治体へ三分の一やつて、あと三分の二持たせるという場合もあり得ることだと思つたけれども、全部人件費として計算して大ざつぱに数字を出しておる。そういう計算です。
 もう一つお聞きしたい点は、失業対策事業の説明の内容を見ますと、焼跡の清掃とか、いろいろ取上げられましたけれども、ほとんど全部が國あるいは地方自治体が当然やるべき仕事である。失業救済でなかろうと、あろうと、当然やるべき仕事である。ところが、これを失業救済という形で、安い手間でやらせるという結果になるのではないか。たとえて見ますと、これは労働省関係だから、私に労働大臣にも聞いておいてもらいたいと思うのですが、川崎の職業安定所では定員八十一名だそうであります。ところが現在実際雇つておるのが六十名か六十一名、そのくらいです。そこで人が非常に足りないというので、失業救済という意味で、臨時雇いでもつて非常に安い賃金で、十二名か補充してやつておるという状態である。こういうことに方々にあると思います。当然國でやるべきものをやらずにおいて、行政整理だ、何だということで、首を一應切つておいて、今度は安い手間で失業救済の臨時雇いで使う、非常にあくどい考え方ではないかというような印象も受けるのであります。そういうことをして、経費を浮かしたところで、それはわずかなものだ。しかもそういう人たちの生活は非常に苦しいものになり、苦しいために購買力が減つて、町がさびれて行くことになる。そういう点、現に労働省あたりがやつておる仕事について、そういうことをしてまで人を減らすことが、妥当であるかどうか。失業救済事業というものがそういう性質のものであつてよいかどうか、ということについてお伺いしたい。
#34
○鈴木國務大臣 失業救済事業の対象として取上げられておる事業は、当然國がなすべき事業ではないか、そういう種類のものがたくさん入つておるではないか。実質的に御指摘の通りだと思います。しかしこれは今春日さんの御指摘になつたように、一ぺんやるべきものを延ばしておいて、首を切つておいて云々というような意味ではないのでありまして、現在の日本の実情から見ますならば、あの種類の事業に限らず、当然國も個人も行いたくてしかたがない幾多の事業で、制約された諸條件のもとに、行い得ずに延び延びになつておる事業がたくさんあると思います。そういう事業をたまたまと申しまするか、そういう事業を失業者の救済の面から取上げて、これが失業者の救済になつてその人の生活を援助すると同時に、國家の必要な事業をもあわせて行うという考えのもとに、失業救済事業に取上げられておるのでありまして、十分ではないかもしれませんけれども、御指摘のような、計画的な意味をもつてやつておるというふうなことは、もちろんありません。それから賃金の問題につきましては、先ほどから繰返されておりますように、私どもも不当に安い賃金云々というようなことを考えておるわけではありませんけれども、制約された世の中でもつて、これが十万人を、二十万人三十万人にして行つて、賃金を二分の一、三分の一にするという極端な場合になれば、ノーにきまつておりますけれども、場合によつてはある程度多数の人たちを救済した方がいいのではないかという点、それから――ちよつと速記をとめていただきたい。
#35
○倉石委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#36
○倉石委員長 速記を始めて。
#37
○鈴木國務大臣 それらの点につきまして、決して政府が安い賃金云々というような考えを持つて臨んでおらないという点だけは、御了解を得たいと思います。
#38
○土橋委員 ちよつと関連して伺いたいのです。ただいまの政府の説明でございますが、まず訂正を願いたいと思う。少くとも二十四年度の一般会計予算の説明では、八億八百八十八万余円でありますから、労働大臣はそういう間違いをしないようにしていただきたい。
 次に今の質問の内容でありますが、緊急失業対策の内容は、昭和二十一年の五月二十二日の公共事業原則に基いてやつておる、こういう提案理由が説明されておるわけであります。この提案理由の原則の第一を見ますと、まず基礎的必需品、特に食糧、衣料、燃料、居住の生産配給または増加促進の事業を重点に置く。これが公共事業の内容であるわけであります。ところがこのたびの政府の説明によりますと、資料の十一ページに書いてありますが、都市失業應急事業費が約五億九百余万円見込まれておるわけなんです。この内容を見ると、川ざらいとか、どぶさらいとか、あるいは塵埃を整理するとか、そういう内容でありますので、政府の提案理由がいささか違うではないか。もしあなた方がこの公共事業計画の九に基いて、職業紹介所の紹介をした者を使うということで提案理由に説明しておるならば、緊急失業対策法案の公共事業計画が理由になるけれども、これを理由にしておるのは、根本的に誤りじやないかということを私はお聞きしたいと思うのです。それが第一点であります。
 第二点は、今の御説明で、私は大体政府当局の御説明はわかりましたが、公共事業費は五百十八億余万円を組まれておるわけなんです。ところが、これは農林省関係の一般の公共事業費、あるいは復旧災害の事項、特に建設省が重大な部分を占めてこの金を使われるわけです。そこで労働省として八億八百八十余万円の金を使われる内容について、特にこの緊急失業対策法案というものをつくるだけの價値があるかどうかということであります。この点について大臣の御説明を伺いたいと思います。
#39
○鈴木國務大臣 御指摘のように、公共事業は建設的の國家的の事業にあわせて、一面においてこれを失業対策の方途としてやつて行くという考え方でありましたが、最近ずつとやつて來た公共事業には、農林関係その他でもつて、農村の農閑期を利用するところの副業的の労働者の使用というような面も相当あつたように聞きまして、失業対策の事業という点からだけ見ますると、必ずしも十分にその方面に役に立つておらなかつたという面も、大きな公共事業の中にはあつたと思います。また一面におきましては、道路の問題、特に建設省関係の方面の事業というふうなものは、大体当初の失業対策の一つとしての使命を、ほぼ果したというものもあり、必ずしも一様には言えないというふうな形でもつて推移して來たと思います。
 今御指摘のように、全体の経営が同じであるから、從つて物價の関係から考えると、雇用量はむしろ減るおそれがあるのじやないかということは、これは土橋さんからであつたかどうかわかりませんが、そういう御指摘がしばしばあつたと思いますが、その傾向はあると思います。今度の緊急失業対策法において、公共事業の方は一定の雇用率をきめて、その雇用率を守つて行くようにやつて行くということを考えましたのは、この点をも考慮いたしたものでありまして、從來よりは失業対策の面に、法的に雇用率を確保し、あるいは高めて行くという考え方を取入れる方式のもとに、考えられた行き方であると考えます。
 それから八億八千万円でなく、八億八百余万円の点でありますが、これはしばしば申し上げましたように、不足なのであります。これは急速にふやすということ以外には、いくら議論しても余地はないのでありまして、この点については労働大臣としての責任をも痛感しておりまするし、むしろ皆さんに、実現し得るように國会にも御協力を願いたいと思つております。それ以外には方途はないのであります。もちろんこの点につきましては、さつきも申しましたように、政府も十分の関心を持つております。
#40
○土橋委員 私お聞きしたのは、まずこの提案理由の説明というものは、総司令部から二十一年五月二十二日に出された計画と違うじやないかということです。この計画によるならば、食糧とか、住宅とかいうものを中心とした失業救済をやらなければならぬのじやないかということを書いてあるにかかわらず、実際にやる中には、公共事業費の内容で、焼跡の整理とか、そういうようなことである。それならば根本的に違うじやないか。從つて第九項の職業紹介所を通じてやるということだけが提案の理由になつておるかどうかという点を、第一にお聞きしておるのであります。
 第二点の質問に対しても、大臣の御答弁は違つておるわけです。私の聞いておることは、労働大臣として緊急失業対策法案を提出した理由は、自分の所管に所属するところの、八億八百八十余万円の経理能力についての、できるのであるか。それとも一般の五百十八億余万円の内容についてもわたるのかどうか。もしわたるとすれば、建設省農林関係が、一般災害及び失業救済に関しては具体的なプランをつくるではないか。このプランに從つては、農閑期の問題もかみ合されて、一般都市の失業者は困るではないか。かりに吸收率はきめられても、たとえば河川に例をとつて、天龍川なら、天龍川の流域に失業者が出ればよいけれども、天龍川方面でなくて、東京に出たり、あるいは日立の製作所に出たりした場合に、労働大臣としては、ただ八億八百余万円のこの予算では、何もできないではないか。この法律でやるならば、むしろ從來の行政措置で妥当にやつた方が、よりスムーズに行くではないかという二点をお聞きしておるのです。
#41
○齋藤(邦)政府委員 公共事業のメモランダムの第一の「基礎的必需品」云々という点を中心とされまして、どぶ掃除ですか、そういうものを公共事業として、あるいは失業対策事業としてやるのは不自然じやないか。こういうお尋ねであつたと思いますが、これにつきましては、ここにありますように、まず「基礎的必需品、特に」云々とありまして、お手元にやはりお配りいたしてございますが、そのもつとうしろに、公共事業処理要綱というのがございます。昭和二十一年九月三日の閣議決定でありまして、これに公共事業の順位をきめたものがあります。A級、B級、C級、D級、E級、F級、G級とあつて、G級のところに「生産の増加なきも公安、衞生、教育、社会福祉等に欠くべからざるもの」とありまして、こういう順序が、関係方面からこれの注釈として、示されておるわけでございます。從來とも公共清掃あるいは環境衛生等の事事につきましては、このG級に基きましてやつて参つたわけでございます。
 それから第二点のお尋ねでございますが、この緊急失業対策法は先ほど來大臣から申されております通り、経済安定本部に組まれております五百億の公共事業について、一人でも多くの失業者を吸收せしめる、これには行政措置だけでは十分ではない、從つて法律的な拘束力を持たしたいということが、きわめて大きな部分であります。それと同時に、建設的事業でない失業対策事業というものも、現在八億八百八十余万円ありますが、これをやるやり方、あるいはまた將來のやり方、そういうものの準備の事務を、はつきりこういうふうにやるのだということを、きめようというのが、この法律の趣旨でございます。経済安定本部の五百億の労働に関して、そういう一つの規制をすることが第一点、第二点が失策対策事業に関する條章を設けた、これがこの法律の二つの大きな理由でございます。
#42
○土橋委員 そうしますと、いよいよ質問がだんだん展開されますが、提案理由の第一点に、公共事業を、失業対策事業と公共事業とにわけておるわけです。そうすると、失業対策事業は、政府の予算説明の十一ページをごらんになるとわかりますが、八億八百八十余万円の予算の内容ですが、私が先ほど例を申し上げた五億九百余万円というものは、都市の失業應急対策のために使われる。次の知識階級の失業者の應急対策に約二億千八百余方円使うわけなのであります。第三として、共同作業施設として七千七百余万円を使うことになつておる。あとは事務費であります。これで八億八百八十余万円の予算が組まれておるわけであります。この面においては、全國的な失業対策部面として行われないで、六大都市を中心とする失業者に行くのではないか。そうすると、五百十八億の一般予算の面については、これは労働大臣が嚴たる態度をとらなければならぬ。今もし建設省がほとんど五五%も予算を使い、農林省が自分の計画で三三%の金を使い、あとは他の官廳で使つて、労働大臣が緊急失業対策法案の本旨にのつとつて、十分な活動ができなかつたときは、ただ八億八百余万円の予算の範囲内しかできないではないか。これならば、この法案自身も要するに――あなたの御説明でほぼ私は了解できかかつているけれども、そういう嚴たる態度がなかつたならば、五百十八億の問題については從來のままで、しかも六ページの説明によりますと、ほとんど前年度同額であつて、物價、賃金の改訂を考慮すると、その事業費は前年の約八割程度にとどまると思う。こういう状態で、農閑期の農民諸君の、特に河川工事を中心とする公共事業というものが、この緊急失業対策法案で、どれだけの効果を発生するかということは、重大な問題であります。特にわれわれ今度の企業整備と行政整理によるところの失業者は、ただいまの御説明で労働省の考えはほぼわかつておりますけれども、こんななまやさしい失業ではない。單なる二十万、三十万程度のことであるならば問題でないけれども、われわれが見るところでは、現在の失業者及び將來できる失業者を含めて、一千万以上はできるだろうと考える際に、こういう法律では――労働大臣の労働行政では、的確に失業救済はできないということを憂えて、聞いているわけであります。
#43
○齋藤(邦)政府委員 昨年度の公共事業と、今年の公共事業の差をまず申し上げたいと思います。昨年は四百九十五億でありますが、今年はそれが五百億であります。その内容においては、労務の面から申しますと、相当大きな変化があるわけでございます。御承知のように、昨年度の公共事業については、農林土木がきわめて大きな額を占めておつたわけでございます。御承知のように農林土木におきましては、自立農家を利用するものが非常に多い。大体において農家のある不便な所でありまして、失業者もあまり出ないような土地であつて、しかも農閑期の労力を活用するということで、できている事業が、この農林土木には多いのでございます。ところが本年度の予算額は五百億でありまして、その点から言いますと、ほぼ同額でありますが、失業者を吸收するにきわめて適当な道路の改良事業が、金額としてはふえているわけでございます。しかもまた農林土木においては、吸收率の問題については決定をいたしておりません。道路河川の工事について、吸收率を決定する農家労務の活用の面が減りまして、都市周辺の、ほんとうに困つた失業者を救つて行く、こういうように去年よりは今年の方が、一歩前進しているかと、予算の面から申しますと考えているわけでございます。
 労務の問題につきましては、行政措置として今日までやつて参りましたところでは不十分でありますの、それをより法律的に拘束力を持たして、できるだけ一人でも多く失業者を公共事業に使わそうという意味で、この法律ができているわけでございます。失業救済事業その他が六大都市ばかりかというお尋ねもあつたようでありますが、これは六大都市ばかりではありません。失業者が多数存在しておりまする地域で、昨年も相当実施をして参つているわけでございます。
#44
○土橋委員 六ページの終りにはこういうことが書いてある。「知識層失業者救済事業及び授産事業関係経費は全額本費から外され労働省所管に計上された。」こういうことが書いてある。從つてたとえば工場の方であろうと、官廳の方であろうと、この方々は工場の仕事なり、官廳の事務については堪能の方であると思います。そういう人が、労働省あるいは政府の予定の公共事業の仕事にはたして適するかどうかという問題が一点であると同時に、政府提案の第四條の規定を見ると、この規定には救済する中身が何も書いてない。第一号には「できるだけ多くの労働力を使用する事業」とあります。また二号には「多数の失業者が発生し、又は発生するおそれのある地域において施行される事業」ということがうたわれ、特に四條の三号は「失業者の情況に應じて、これを吸收するに適当な事業」とあります。こういうような内容では、ここに書いてあるものと矛盾して、実際には吸收できないではないか。ただ八億八百八十八万余円で救済する。こういうような見せかけ的の予算ではいけないということを、私は指摘したいのであります。もしあなた方が、今公共事業であるからどこへでもばらまいて行けるのである、こういう説明ならば、政府の予算説明の原案の理由と、この労働省がただいま提案しておるものとは、根本的に違うわけであります。職種も違うし、本人もなれない仕事でやれないことがわかつておるような事業を、なぜやるか。第四條の規定の中に、生産を直接興すような企業形態をなぜつくらないか。こういう点に力を入れないでおいて、ただこういう條文をつくつても、実際には活用できないではないか。工場で働いている人、会社で働いている人、官廳で働いている人に適用できるかという点が第二点であります。今度の企業整備、行政整備によつて、六大都市その他の所において失業が氾濫して來る、にもかかわらず、こういうようなきわめて拘束的な法文をもつてしては救済できない。救済する道を第四條の規定の中に十分織り込んで、國家が恒久的な授産作業、補導作業について、十分な措置を講じなければならない。職業安定に関する費用が一億数十余万円あるが、これを一々調べてみても、一人当りどのくらいか。全國四百の職業補導所に割当てて計算してみたところが、何にもできないようになつておる。こういうような予算を組んで、法律をつくつてわざわざ國会の審議まで要して、何ができるかということを疑問に思つて私は聞いておる次第であります。特に私は條項にわたつてお聞きしたいと思いますが、たとえば第四條の規定の中に、労働省にはたしてそういう点について、再考慮する余地があるかどうかという点のお答えを願いたいと思うわけであります。
 その次は先ほど青野君から指摘がありましたように、第十條の第二項の「労働大臣は、失業対策事業に使用される失業者に支拂われる賃金の額を定める。」どういう基準で定めるか。これをもう一回明確に大臣から御答弁を願いたい。
 それから十一條の規定、これにやはり青野さんから御指摘がありましたが、少くとも公共職業安定所から、この人は使つてよろしい、どうぞお使いなさいというように、責任をもつて示したものを、各事業主なり、あるいは会社なりが、そういうものを拒むというのにどういうわけか、それだけ職業安定所の証明というものを認めない。こういう点は明確に規定を直して、職業安定所で調べたものは使うような方針をとらなければならぬ。これは重大な問題です。
 それから十三條の規定であります。この失業者吸收率について、この前政府の説明を聞いたのでありますが。これでは私は不十分であると思います。これは都市関係のそういうものにはいいが、農村の諸君については、たとえば土木、河川、あるいは砂防、植林、こういう方面については、きわめて吸收率が低いのである。こういう点についてももう一回大臣から御答弁を願いたいと思います。
 次は第十六條の規定であるが、第十六條にもこう書いてある。第二項の規定を見ると「事業主体と施行主体との間に締結する公共事業の施行に関する契約には、施行主体が前項の規定の遵守する旨の條項を加えなければならない。」これはおそらく労働省の省令か命令で嚴格なものが出されると私は確信をしておりますけれども、こういう規定に違反した場合には嚴重なる処分をする、あるいは処罰をする、もしくは補助金その他をやらない、政府が認可した事業をやらせない、こういう強硬な規定を設けないといけないと私は思うのであります。
 第十七條も同様であります、これは公共職業安定所長がいろいろなあつせんをしておりますが、こういうものについても的確な行政処分をなし得る権限を労働大臣がお持ちにならないと、あるいは処罰する態度をとらないと、事業主体と施行主体の間の関連性が、十分行かないと思うのであります。
 次は十八條でありますが、これは今の司法裁判の手続を見ますと、非常に冗漫に流れておりますので、こういうものは即決に処理する道を考えなければ、この條文では非常に不十分である。こう考えておるのであります。ただいまの條文について御説明を願いたいと思います。
#45
○鈴木國務大臣 土橋さんの御質問に対して根本的な点についてお答え申し上げ、條文の細部については、政府委員から説明させることにいたします。失業救済事業の考え方、全体の構想は、この緊急失業対策法によつて、公共事業と、それから失業対策と二つにわけているが、そのほかに御指摘のように、建設的な面に事業を向けて行くべきではないか、そうしてそれが最終的には、國民経済の雇用の関係になり、最終的な失業救済の完成にもなるし、同時に工場その他から離れて來る人たちに、やり得る適宜な職を與えることにもなるのではないか、こう御指摘になりましたが、その考え方は根本としてまつたく同感でありまして、私もその考えを持つておるのであります。ただこの緊急対策法に盛られたところの失業対策事業というものは、そういうことまでは考えずに、別個に総合的に行われるそういう対策の中から、さらに緊要にして切実な形でもつて現われて來るところの失業者に対して、特殊な、迅速な彈力性のある方途を研究しておくという考え方なのでありまして、たとえば別個に國土総合計画というものがある。この國土総合計画は目下案を固めつつありますけれども、主として電源開発、それからそれを貿易拡張につなぐところの貿易港、道路、その付随事業というようなものを興して行こうという考えのもとに、目下進んでおるのでありまして、失業対策事業は、一労働省だけの事業ではなくして、政府の全体的な、総合的な考えのもとに、完成しなければならないという考えは、最初から持つておるのであります。それを最終的に勘案し、総合するところのものは、國土開発計画と並んで設けられた失業対策審議会の機能の活用によつて、労働省は、その中心的な推進力となつて行くという考え方なのであります。同時にそれでは電源開発に対する経費はどうするかという問題は、非常にむずかしい問題でありますけれども、これは決定的の点ではありませんが、土橋さんも御承知のように、千七百五十億、あの見返り勘定の第一、第二として國債の償還、あるいはその他の債券の償還に充てられますけれども、それで残つたものはどうするか。最終決定ではありませんが、それはおつしやるような建設的な、そういつた面に使うべきであるという考え方だけは、一致しておるのでありまして、その建設的な面という範疇に属する事業としては、幾つか考えられるけれども、電源開発がその範疇に入るかという問題につきましては、大体入るという見解のもとに、今その計画が進められておるのでありまして、そういう面とも相應いたしまして、総合的に失業対策の事業を、最終的に收拾して行きたいという根本的の考え方であります。御指摘のような、建設的な方途を非常に高く評價して、力を入れるべきではないかという考え方につきましては、まつたく同感であります。今の八億、これはもちろん先ほどからるる申しますように、予算的措置を講じましてふやすべきでありますが、ふやしたにいたしましても、この性格はそういつたものとは別個に、緊急なものに対して迅速にやつて行くという範疇に属する事業、こういうように解釈していただきたいと思います。
#46
○齋藤(邦)政府委員 條文についてお尋ねのありました点を、お答え申し上げます。
 第十條の第二項の賃金の問題でございますが、この点につきましては、先ほど御質疑もあつたことと存じますけれども、通常支拂われる賃金の額よりある程度低くするということでございまして、御承知のように失業対策事業は、民間の雇用がない場合にやるのでありまして、あくまで民間雇用を圧迫してはならぬという趣旨から、ある程度低くするということは、世界各國共通の例になつておるわけでございます。しかしながら、あまりはげしく引下げますると、結局労働者の生活という問題もありますので、目下のところ考えておりまするのは、最高五分減程度でやつて参りたいと考えております。なおこのきめ方につきましては、地域的に、その職種に應じまして、この賃金の額を定めて参りたい、かように考えております。
 第十一條のお尋ねでございますが、雇入れを拒ますということは、この事業の性質上おもしろくないではないか、こういうことでありますが、御承知のように、公共職業安定所は、求人、求職の間に立ちまして、公平な立場において職業紹介の仕事をするのであります。從いまして相手方が、その者の能力から見て、どうも不適当だというようなことでありますれば、むりやりこれを雇用せしめるということは適当ではない、かように考えておる次第でございます。しかしこの不適当と認定した場合におきましては、公共職業安定所は常時監督をいたしておりますので、これが濫用されることのないように、もちろん十分注意いたしたい、かように考えておる次第でございます。
 第十三條の、これは都市ばかりの失業者吸收率ではないかというお尋ねでありますが、現在におきましても、農村におきまする公共事業につきましては、ある程度の失業者の吸收率を定めておるわけでございます。お手元にお配りしてありまする資料をごらんいただけば、おわかりいただけることと思いますが、河川工事等については大体一〇%程度の率をきめておる次第でございます。從いまして、もしかりにそういう農村におきまする事業につきまして、一〇%では足りないという具体的な問題がありますれば、その都度この十三條の失業者吸收率を、経済安定本部総務長官と相談をいたしまして、変更することはあり得ると考えております。昨年やつておりましたのは、大体一〇%程度であります。將來の情勢に應じまして、十三條の失業者吸收率が地域的にふえて行くということもあり得る、かように考えておる次第でございます。
 次に第十六條の違反の問題でございますが、こうした違反をやりましときには、大体御承知のように第十七條の違反事項の通知という問題になりまして、すなわち十七條には、「この法律又はこの法律の規定に基いて発する命令に違反すると認める場合には、」というのでありますから、第十六條の違反というふうな場合におきましては、この違反事項是正の措置がとられることになろうかと存じております。但し刑法によつてこれをやろうというのではありませんので、それにつきましては第二十條の規定によりまして、安本から違反事項是正の命令を発する、あるいは当該事業の全部または一部について次期の認証の拒否ということによりまして、その是正は十分目的を達するのではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
#47
○春日委員 さつきの労働大臣の答弁しごくもつともと思うのですが、私はただこういうことを事実について言つたので、特に繰返しておきますが、先ほどの職業安定所の例のように、今後ますます失業対策は重要になつて、職業安定関係の職員が必要になつておるという状態のところで、現在そういうように人員が定員まで行かなくて、臨時雇いを失業救済の意味で雇つておる。しかも聞くところによれば、今度の定員法はまだ出ませんが、職業安定局関係でも、やはり非現業三割という基準で切られるということも傳えられておるということになれば、これらの事業をやつて行くために、当然失業救済の人間をそこに入れなければならぬ。同じ仕事をするのに、失業救済という名目で切りかえなければならぬという事態が現実に起つておる。そういう点から、つまり必要な人員を首切つて、失業対策でまた使うということになるのではないかという点をお聞きしたわけです。
#48
○鈴木國務大臣 お尋ねの点につきましては、一方におきましては現内閣の全体を貫く行政整理のこの考え方というものに対しましては、私は現内閣の國務大臣として、民主自由党の一党員といたしまして、これは賛成しております。但しあえて安定関係の事業に限らず、それぞれの事業の現出を勘案して、一律の二割とか三割とかいう考え方は、必ずしも妥当でないという考え方を私もとつておりますし、また内閣全体でも、その考え方を一面においてとつております。安定所の関係になりますが、この点につきましては、私は一面國務大臣としての現内閣の一人として、一面労働大臣として、この幅湊して來る安定関係の責任者としての立場に立つているわけでありまして、春日委員の指摘されました点につきましては、閣議においても関係の國務大臣に対しまして実情を十分述べて、われわれの意図のあるところは傳えてあるはずであります。從つて三割そのままというふうなところでは今線が引かれておりません。ある程度われわれの言い分も通つております。しかし必ずしも全然手を触れないで行くかどうかというふうなところまでは、私にも現在の國務大臣の一人として、そこまで現内閣の行政整理に対して――これは反対という意味ではありませんが、私たちの立場だけを主張するという立場はとりきれないものがありまして、この点については、もちろん労働省は新設省であり、それからまた現在重要な労働部門を扱つておる点において、特殊中の特殊な立場に立つておるでありましようけれども、そのほかの現業官廰も、同樣に苦しい立場に立つておるだろうと思います。これらの点を考慮いたしまして、今の安定関係の職員の問題その他につきましては、ある程度の基本原則に対する例外的措置というものは、認めてもらうことになつております。なお努力を続けておりますし、その間はまだ最終的には解決いたしておりませんけれども、その線に沿うて努力をする方針でありまして、考え方におきましては春日さんあたりの考え方と違つておりません。
#49
○春日委員 この問題は定員法でも出て來たときに伺うことにして、この前の質疑でやはりお答えになつたように思いますけれども、農村への吸收率をきめるということで、農村の半農半工というような人たちとの、せり合いが出て來はせぬかという点に対して、農村はそういう点考慮するというような御答弁があつたように私どもは覚えております。しかし朝日新聞の二月二十四日付で、二十三日閣議決定として、受益農家を制限して失業者を吸收するというような発表があつたように出ておりますけれども、大体そういうように方針がかわつて來たのかどうか、この点を伺います。
#50
○齋藤(邦)政府委員 私から申し上げますが、受益農家を制限するという考えは、現在のところ私ども全然持つていないわけであります。しかしながら失業者が出ましたときには、その町におきまして受益農家と失業者との調整、これは十分とつて参りたいと考えております。御承知のように公共事業におきまする業務につきましては、大分以前でありますが、失業者優先の原則ということも閣議で決定されておりますので、受益農家と失業者の雇用につきましては、十分調整をはかつてやつて参りたい、かように考えております。
#51
○春日委員 その点で私どもが心配するのは、農村でも非常にたくさんの潜在失業音がおるという関係で、仕事が割合少くなつておるところへ持つて來て、失業者を吸收するここで、またはじき出されるということで、はげしいせり合いが起つて來る。そこで非常な低賃金のもとに送り出されはしないか。それがさらに一般の労働條件にもはね返つて來るという危險を、私たち非常に感じておる。そういう意味で、この点は特に運用の上に注意されなければならない問題だというのでお聞きしたわけです。その次の失業保險の関係でありますけれども、被保險者の範囲を廣くされた、これはよいと思いますけれども、まだまだ被保險者に入つていない部分が相当ある。特に農林、水産関係が除外されておる。これには相当失業者も現在もおるし、將來も出て來るはずである。これはなぜ除外したかという点をお聞きしたい。
#52
○齋藤(邦)政府委員 農林、水産等の原始産業につきましては、産業、経済の変動に應じまして、失業発生のおそれが割合よその産業よりも低い、こういう観点よりいたしまして、一應除外いたしておる次第であります。
#53
○春日委員 低いにしても、相当出て來るのです。事実長野縣の林業なんかは、つぶれるからというので、この間國会が始まつてからも、ずいぶん陳情が來ている、こういう状態になつている。だから低いから除外するということだけでは理由にならぬと思いますが、どうですか。
#54
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように農林、水産につきましても、物の生産加工というもりでありますと、当然入るわけであります。そういたしますと、漁撈をやつたり、百姓をやつたりする者がそこにあるのであります。そうなると、そこから出て参りますものはいわゆる潜在失業の顕在化という問題になりまして、私どもの方といたしましては、そうさして失業のおそれあるものだとして、よその産業と同じよりに適用せしめる必要は今のところないのではないかというように考えております。この問題につきましては、将來とも研究を続けて参りたいと考えております。
#55
○春日委員 失業保險というものの見地から行けば、これは少かろうと多かろうと、日本人である限り、やはり失業をしたときに補償してもらうという建前で行けば、この範囲をもつともつと拡大しなければならない。すべての國民が失業をした場合に補償を受けるということにならなければならぬと私は思う。それからその次の保險料率の問題ですけれども、千分の十一から千分の十に下げてくれたことは非常にけつこうのようですが、この賃金という中に、臨時に支給されるもの、あるいは三箇月以上の期間において支給されるものを入れたということになつて、突破資金とか、越年資金とかいうようなものが入つて來ると、下げたことにならない、あるいは上げたことになる。だから表面下げたように見せて、実際にはよけいとるという結論が出て來るように私は考えるけれども、この点どうお考えになりますか。
#56
○齋藤(邦)政府委員 最初の農林、水産の原始産業の問題でありますが、これは御承知のように漁撈その他でありまして、受益能力が多いのであります。御承知のように保險料をどうするかという問題は、技術的に非常にむずかしい問題であります。しかしながら大きな社会保險制度ということになりますれば、また別個の観点から研究されるべきものと思つておりますが、先ほど申しましたように、現在のところでは適当でない、こういうふうに考えております。それから臨時給與を入れたことによりまして前の保險料よりも大きくなりはしないかというお尋ねでありますが、この点につきましては、從前よりは多少は減るのではないか、かように考えております。
#57
○春日委員 非常にデリケートな操作がやられておるわけでありますが、その次に非常に規定がうるさくなつて、いわゆる滞納という言葉は適当でないという意見がさつきあつた。滞納というような場合に、追徴金とか延滞金をとる、しかも日歩二十銭とるというようなことが規定されておるのですけれども、実際現在非常にたくさんな工場で資金の遅拂いが起つておる。税金の滞納が起つておる。あるいは健康保險料の滞納とか、電力料金の滞納とかいうものが起つておる。しかもこれが非常に追徴金、延滞金で攻められて來ても、実際納められないから納めていない。この実情がどのくらいひどくなつておるかということは、私鶴見で大ざつぱに見て來たところで、あれだけたくさん工場のある中で、賃金を満足に拂つておるところは、名の知れた工場で六工場しかない。あとほとんど内拂い、分割拂いということになつておる。だから基準法の二十四條という規定は、実際には拂わなければ、処罰を受けることになつておるのだけれども、そういう状態で適用できない状態になつておる。しかもここで保險料を予算申告制にして、そうして滞納を少く見積もつた場合には、更正決定を出して追徴金もとる、延滞金もとるというようなことをきめて、こういう状態にある事業主というものを攻めつけるといいことは、非常に残酷な――しかも実際にやれば残酷であるし、やらなければ、意味のないことになるのではないかというように、私は考えておりますけれども、その点どう考えておられるか。
#58
○齋藤(邦)政府委員 御承知のように失業保險の保險料は、労資が同額負担するのでありまして、労働者の分につきましては、賃金から差引かれて、事業主が持つておるわけであります。すなわち賃金から労働者の分を差引いたその分に、事業主の分をもつけ加えてやる、こういう建前でありますので、私どもの方としても、あくまでも滞納のないように努力し、また将來も努力して参りたいと考えておる次第であります。しかも本年度においては、失業の状態も相当深刻になると予想されますので、給付は当然ふえると考えております。從いましてこの給付に見合うだけの保險料の徴收ということは、絶対に必要であると考えております。滞納のないように、将來とも納入につきましては努力をいたして行きたい、かよう考えております。
#59
○倉石委員長 本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時より内閣委員会と連合審査会を開会いたし、なお午後一時より本委員会を開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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