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1965/04/26 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 社会労働委員会 第27号
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1965/04/26 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 社会労働委員会 第27号

#1
第051回国会 社会労働委員会 第27号
昭和四十一年四月二十六日(火曜日)
   午後一時三十一分開議
 出席委員
   委員長 田中 正巳君
   理事 藏内 修治君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 澁谷 直藏君 理事 竹内 黎一君
   理事 松山千惠子君 理事 伊藤よし子君
   理事 河野  正君
      伊東 正義君    大坪 保雄君
      大橋 武夫君    奥野 誠亮君
      亀山 孝一君    熊谷 義雄君
     小宮山重四郎君    田村 良平君
      中野 四郎君    西岡 武夫君
      西村 英一君    野呂 恭一君
      藤本 孝雄君    粟山  秀君
      淡谷 悠藏君    滝井 義高君
      八木 一男君    吉川 兼光君
      谷口善太郎君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 小平 久雄君
 出席政府委員
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      村上 茂利君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      有馬 元治君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計官)   平井 廸郎君
        専  門  員 安中 忠雄君
    ―――――――――――――
四月二十六日
 委員坂村吉正君、橋本龍太郎君及び山村新治郎
 君辞任につき、その補欠として田村良平君、奥
 野誠亮君及び野呂恭一君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員奥野誠亮君、田村良平君及び野呂恭一君辞
 任につき、その補欠として橋本龍太郎君、坂村
 吉正君及び山村新治郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第六七号)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 午後三時まで休憩いたします。
   午後一時三十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時四十一分開議
#3
○田中委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 内閣提出の、失業保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
#4
○八木(一)委員 議題になりました法律案につきまして、労働大臣はじめ各関係者に御質問をいたしたいと思います。
 内閣総理大臣と大蔵大臣の御出席を、通告をいたしておりますので、委員長のほうで、よろしくお取り扱いを願いたいと思います。
 まず労働大臣にお伺いをしたいと思いますが、労働大臣は、労働者のための省を主管される方として、どのような気持ちで、労働省の各行政の運営について当たっておられるか、総括的に伺っておきたいと思います。
#5
○小平国務大臣 これは設置法に明らかになっておるところでございますが、一口に申せば、労働者の福祉を向上するように、できるだけ努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
#6
○八木(一)委員 労働者の福祉という点で、抽象的におっしゃいましたが、重要なものはその中にどういうことと、どういうことというふうにお考えになっておりますか。
#7
○小平国務大臣 何と申しましても、労働条件の向上、あるいは労働環境の改善、さらには福祉施設等の充実、こういったようなことがおもであろうかと思います。
#8
○八木(一)委員 ことばじりをとって申し上げるわけじゃありませんが、それは当然のこととして、具体的なものとしてお述べにならなかったと思いますが、一番大事なのは、まず完全雇用を達成する、それから十分な賃金、その他の労働条件を備え、安全に労働ができるような環境を備えるということが一番の中心であり、それ以外に労働者の住宅の問題であるとか、あるいはまた労働者がいろいろの状況で失業したときの場合とか、あるいはまた、労働者が労働の第一線から退いたときの老齢年金の問題であるとか、そういうようなものが非常に大事なもの、そういうものを確立するために、もう一つの労働者の権利というものと並行して、非常に大事なものだというふうに一般に考えられているように思います。私もそう思いますが、それについて労働大臣はおそらく同じ御意見だろうと思いますけれども、それについて御質問いたしたい。
#9
○小平国務大臣 先生のような表現をもってすれば、まさにそのとおりだろうと思います。
#10
○八木(一)委員 そこでいまの御答弁をすなおに、そのとおりに受け取りまして、私が質問をいたしましたことを別に否定をなさらないで、同じような気持ちで当たっておられるということを確認をいたしまして、質問を進めたいと思います。それでよろしいかどうかひとつ伺っておきたい。
#11
○小平国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよくのみ込めないのですが、いま先生が御質問なさったこと、これからもなさることについて、みな同じだと言え、こういうことでございますか。
#12
○八木(一)委員 はっきり申し上げます。労働者のために労働省あるいは労働大臣が進めらるべきことは、具体的に申しますと、まず完全雇用が必要である、それからもう一つは、完全雇用といっても、その内容として十分な賃金、その他の労働条件が完備しておる、安全対策が完全に行なわれた、安全な環境で労働者が労働するというような条件、そういうことが必要である。そういうすべてのことをまた推進するために別な方向として、並行した問題として、労働者の権利というものが重んぜられていかなければならないという問題、もう少し具体的に申しますと、失業した場合や、労働者が老齢になって労働の第一線を去った場合の、あとの老齢者に対する保障の問題であるとか、あるいはまた不幸にしてけがをしたり、あるいはまたなくなった場合のいろいろの処置の問題なり、そういう問題を全部非常に大切なものとして労働行政に当たられる御決心であろうと思いますが、それでよろしゅうございますか。
#13
○小平国務大臣 その点は先ほど申したとおり、先生のおっしゃるとおりだと思います。
#14
○八木(一)委員 そこで、今度失業保険あるいは失業保障の問題について、基本的な御意見を伺っておきたいと思うわけであります。失業保障とひとつまとめて言うことばでございますが、失業保険それから日本にない失業手当法というようなものが諸外国にはあるわけでございますが、そのような失業の保障という問題は、まず第一には、このような働きたい意思があって仕事がない人に対して、その間の生活を保障するということが一番大事な問題の中心的な意味であろうと思います。これについては御答弁を得なくても、労働大臣はそのとおり御賛成だろうと思いますが、――少し協議をなさっておられるようですから、まずその点について伺っておきたい。
#15
○小平国務大臣 失業の間における生活の保障ということをはかっていくことがこの保険の目的じゃないかという御質問、これはたびたび御質問もあるのでございますが、確かに失業保険は生活を安定するということのためにあるもの、またそうでなければならぬと思いますが、特にそれが厳密な意味で生活の保障――完全に保障するというところまで、いまの保険というものがはたしていっておるかどうかといいますと、私はこの失業保険というものは、それぞれの人の賃金というものが基礎になって保険金というものがきまっておる仕組みから申して、また保険ならば当然そういう仕組みであろうと思います。ですから、生活の保障という厳密な意味におけるたてまえからすれば、必ずしも保障というところまで私はいっていないのじゃないか、かように思います。
#16
○八木(一)委員 私すなおなことをお伺いしているのですから、別に御心配にならないで、端的にお答え願いたいと思います。また局長と御相談になってもかまいませんけれども、何か先回りして御答弁になっておられるようです。私は社会保障論と社会保険論を私なりにいつもこの委員会で展開をしておりますから、その点で、どうも先回りをして防衛的に社会保険的みたいなことをおっしゃっておられるようでありますが、それは申し上げますけれども、まだそこの段階まで入っておりませんから、時間がかかりますから、すなおにお聞きしたことは端的に、そんなよけいな警戒をなさらずにさっとお答えを願わないと、時間がかかってしょうがない。
 そこで、先ほどは失業保障というものはということで伺ったわけです。その中に、いまの日本の具体的な制度として、不十分であるけれども失業保険というものがある、諸外国には失業手当というものがあるということを、私なりの知識、私なりの考え方をそこで説明しながら失業保障ということで伺ったわけです。失業保障というものは、そのような失業した人の失業期間中の生活の安定のためにあることが第一義である――まだほかの要件もあると思います。第一義的であると思いますがということで、続きを伺おうとしましたら、協議をしておられましたので、二番目のことを申し上げないで、一番目のことをただすなおに伺ったのです。それについてはどうお考えですか。
#17
○小平国務大臣 失業保障というものが、これは先生がどういう考え方で、あるいは概念で申されているのか私にはよくわかりませんが、失業保障というものが生活を保障するものであるべきだということならば、わが国の保険制度がどうこうということじゃなく、ただ考え方としてならば、私は先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
  〔委員長退席、藏内委員長代理着席〕
#18
○八木(一)委員 それでは、もうちょっちょっと伺わないで、私の考えを全部申し上げながら伺います。
 失業保障というものはそういうものであり、失業保障を目ざしてやっておる。失業保険もそういう傾向でなければいけないと思うわけですが、いままで政府のほうはこの失業保障の意義について大事な方向を一つ忘れておられたように思う。というのは、先ほどそのことで伺ったわけですが、失業保障をすると同時に、政府のほうは、これは悪い方向じゃありませんけれども、この失業保障を通じて雇用を促進するという方向を考えておられる。失業保険の中に、あるいは類似の制度の中に、就職促進の措置その他のことによって雇用促進をするという方向の傾向については考えておられるわけであります。それは一つのよい方向であって、そのやり方自体については問題がありますが、全面的に否定するものではございません。しかしそれ以上に大切なことは、失業保障というものは賃金の底上げをするという非常に大きな作用を持っているということをぜひ理解して問題を進めていただかなければならないと思うわけであります。これは、賃金その他の労働条件をよいものにするということが、労働大臣の労働者に対する具体的な任務の大きな柱だということを先ほど御質問申し上げて、労働大臣もお答えをいただいたわけであります。その具体的な問題として最低賃金法の問題が一つあります。その他の方法もあるでありましょう。しかしまた、補足的かもしれませんが、かなり有効な方向として、失業保障というものが高ければ労働の安売りをしない、したがって賃金の底上げになるという大きな意義があるものであります。それについてこの前の池田内閣も、いまの佐藤内閣も、歴代の自民党の内閣では、そういうことについて非常に考え方が薄いのか、気がついてなおざりにしていられるのかどっちか知りませんけれども、そういうことについては非常に不熱心だったということが言えると思う。労働大臣はその点についてどのようにお考えか、ひとつ伺っておきたいと思います。
#19
○小平国務大臣 先生から不熱心だという小言をちょうだいしたわけですが、私は失業対策事業の賃金も、これも御承知のとおり先般上げることにしましたし、またそういうことによって労働者がまた一面保険制度のもとに不当に安い職場につかぬでもよろしい、こういうことも今回の法改正などを通じて従来以上にそういう策を進めるわけですから、私は決して不熱心だとは自分では思っておらないのですが、いかがですか。
#20
○八木(一)委員 人柄のいい労働大臣でございますから、あまり大きな声は立てたくないのでありますけれども、あまりあいまいな御答弁をなさっていると、やはり少しきつく言わなければならぬと思うわけです。きょうは穏やかに質問しようと思って始めたのですが、とにかく日本の賃金が諸外国に比してはるかに低位にある。労働生産性に比しても非常に低位にあるということは残念ながら悪い常識になっておるわけです。非常にいけないことでありますけれども、それは事実であります。それを上げていかなければならない。あなたはほかの大臣でなしに労働大臣ですから、賃金を上げるということについて熱心な立場でおありにならなければいけないと思う。最低賃金法をほんとうに高度なもので全国一律的なものをつくるということが一つの正道だと思いますが、それを進められるとともに、失業保障というものを多くすれば、その間の生活に詰まって労働の安売りをするという現象が少なくなるわけであります。したがって、非常に悪い条件では人を雇えないということになります。無理解な使用主にそういう事実から反省せしめ、低賃金で人をこき使うようなことはできなくなるということになるわけであります。使用者教育をしたって、非常に欲ばりの連中が多いですから、することは悪くありませんが、なかなか効果があがりません。とにかく日本の国民で失業しておる者にはりっぱな失業保障がある。ですから、それを相当に上回る賃金でなければだれも働きにいかない。人を雇おうとする人は、その人の、労働者の生活が安定するような賃金でなければ人を雇うというような大それたことはできない。そういうことにならなければ、ほんとうの賃金構造は変わってこないわけであります。それを直す一つの方向として失業保障を非常に高くする、非常にりっぱなものにするということが必要であります。そういうことについて労働大臣が、そういう認識は持っておったけれども、しかしなかなかにいろいろな事情があって進んでいない、今後ともやっていきたいというお答えがあるならば、これはそんなに大きな声で言わなくてもいいと思うのですが、いままで何回もこの問題を、ここ三、四回往復しても積極的にそういう御発言がないということであれば、労働大臣の認識を根本的に改めていただかないと、労働行政がその点でりっぱな意味で進まないことになると思う。私は小またすくいにやるわけではなしに、ほんとうにそういうことを労働大臣として、労働行政をよくしていただきたいという立場で申し上げているわけでありますから、政府のほうが、失業保障については歴代の政府が非常に怠慢であったことは明らかでございまするから、それを認められて今後の前進を全力を上げてやっていただくという決意を表明していただかなければ、これは労働大臣としてほんとうに不適当であろうと思う。そういう意味で、前向きの御答弁をひとついただきたいと思います。
#21
○小平国務大臣 先生のお話の筋というものは私は全く同感なんでございます。ですから、私が就任してからも、最低賃金につきましても、これは社会党のほうの御主張なさる全国全産業一律方式というものには至っておりませんが、しかしこの最低賃金の目安につきましても、本年になりまして、審議会の答申を受けて、これを改正することにして、いまそれにマッチするように推進をいたしておりますし、それから失業保険につきましても、ただいま御審議いただいておるような方向で、やはり賃金の状況に即して改善されるように、こういうことで努力をいたしておるわけでございます。もちろん、これで十分だとか、もうこれ以上はいいのだとか、私どもはそんな考えは毛頭持っておりません。これはできるだけ事情に即しつつ改善を今後とも推進していきたい、かように考えております。
#22
○八木(一)委員 社会保障の問題はおもに厚生大臣に対する質問のときに討議をされておりますが、労働大臣がそれに同じく非常に関心を持たなければならない問題だろうと思います。ことに失業保障その他については主管大臣でございますから、その問題についての認識を明らかにされなければならないと思うわけであります。この基本の憲法の条文は御承知のとおり憲法二十五条でございます。そこで「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということと、それから第二項の社会保障をどんどんよくしなければならないという条項、それから考えますときに、この失業保険についてこの数年間基本的な前進が一つもないわけであります。ある程度の前進はありましたけれども、基本的な大きな前進はない。そういう点で労働省は非常に怠慢であったと思う。たとえばいまの失業保険です。今度の改正案のおもな内容は日雇い失業保険についてでございますが、失業保険法全体の改正案でございますから、一般の失業保険制度にも関連して質問を申し上げなければなりませんが、一般の失業保険についても賃金の六割というようなことが基準になっているわけであります。特に労働省としては、賃金がほかより非常に低いということがわかっているわけでございます。これをヨーロッパ並みにいまの三倍に持っていくことは、ほんとうに近い将来では労働大臣もなかなかむずかしいと考えておられると思います。そうなれば、そのような低い賃金でヨーロッパと同じ率の六割という数字を掛けていたのでは、ほんとうの健康で文化的な生活を下回る金額になるということが当然の数字として出てこなければならないと思うわけであります。そういう点について労働大臣はいままでお考えになったことがあるかどうか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
#23
○小平国務大臣 失業保険の制度によって、保険金だけで十分生活がまかなえるということが望ましい姿であろうとは思います。しかし、現在の保険制度はあらためて申し上げるまでもなく、保険金によって生活が保障される、それをねらいとしてつくり、組み立てられておるというよりも、生活の安定をはかるために従前の賃金の大体六割を支給する、こういうたてまえになっておるわけでございまして、なるほど賃金の額そのものが西欧諸国に比べれば低いということも事実でございましょうが、しかし六割という保障そのものは、西欧大体どこでもこれでいっているようであります。ただ問題は、先ほども申しましたが、現在の保険のたてまえというものからやむを得ずこういうことに相なっておる、かように考えております。
#24
○八木(一)委員 社会保障の問題について社会労働委員会でおもに厚生大臣相手にやっております。社会保障の基本理念については、厚生大臣とやりとりが与野党の委員の中でずいぶんあるわけです。ところがいまの労働大臣の御認識では、これは労働大臣あるいは労働省とのやりとりが少なきに失したと思う。社会保障の理念の一番肝心なところを答弁の中に入れられないというようなことでは困ると思う。大体憲法二十五条の条文をよく読んでいただけば、ここには第二項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とはっきり明記をしてあるわけであります。社会保険なんということは一字も書いてないわけであります。労働大臣、社会保険なんという字は一つも書いてないわけです。社会保険というのは、そういう不十分な状態で、社会保障の一部代行という形で出てきたことは認めますけれども、社会保険だからこれでいいんだ、これでしかたないんだというような考え方を、国務大臣や労働大臣がそう思っていたら、日本の社会保障はそこでとまってしまうわけです。これは「すべての生活部面について」と書いてあります。社会保障には大きな問題として失業保障という問題があるわけです。医療保障、老齢保障その他と並んで失業保障はその中の大きな柱である。その部面を担当しておられる労働大臣が社会保障の、社会保険である失業保険だということで、それが当然であり、それでいいというようなお考え方で答弁をなさるようでは、これは勉強をし直していただかなければならない。またその主管の局長が、それについての研究も足りないし、また労働大臣に対する補佐が足りないと思う。根本的な理念をやはり御研究になっていただきたい。憲法からそのことははっきりしております。社会保険なんというものは社会保障に進めなければならないけれども、いまのところ具体的にこういう制度があるんだから、社会保障に向かって一生懸命進むから、この程度で御了承をいただきたいということがわれわれの了承できる限度でありまして、社会保険がいいんだ、社会保険だからこれがあたりまえだというような考え方を、社会保障の失業保障の分を受け持っておられる労働大臣がそういうことをずっと思っておられるようであれば、憲法九十九条の精神に従って国務大臣としての資格はおありにならないということになる。非常にりっぱな労働大臣でございますから、そういうことを――ほかの点ではりっぱな大臣ですから、私どもはそういうことを何回も申し上げたくはないですけれども、ほんとうに九十九条に従って憲法について深い理解を持たれて、すべての問題を憲法を発足点として考えを積み重ねていっていただきたい。そうなれば社会保険というものは、社会保障の理念に近づける努力を少なくともしなければならないという考え方に立っていただかなければならない。そういう考え方になっていただけるかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
#25
○小平国務大臣 その点は先ほど申しましたが、現在のこの保険制度で十全だとは私考ておらないということを先ほど来申し上げておるのでありまして、先生のようなお考えを追記して、保険制度を逐次改善及び充実していって、理想としては先生のお考えのところへ到達するのが望ましい。私はそう考えております。
#26
○八木(一)委員 社会保障を進めていくその中の労働省としては、その中の重要な担当部門である失業保障の問題を進めていくということになったときに考えていただかなければならない問題が数点あるわけであります。いまの失業保険法というものには社会保障の理念に合っていない点がたくさんあります。一つは先ほど申し上げたその額であります。額が、日本の賃金はヨーロッパの賃金と比べて三分の一ぐらいしかない。ヨーロッパにおいては賃金の六割の給付が失業給付である。そのあとのほうのことだけを取り上げて、だから日本において六割でいいのだということは、まともに考えられる方であったら、そういうことは違っているということをお気づきになるはずであります。御用学者やつまらぬことを言って政府におべっかばかり使っている連中は、ヨーロッパが六割なら日本も六割でいいと言うかもしれません。しかしほんとうに政治を考えたならば、その根底の賃金が三分の一だ、そういう場合にはそれではならないという結論が当然出てこなければならないと思います。
 その次に、この失業保険法というものが五人未満については、その人々の努力によって、まとまることによって適用の道が開かれておりまするが、ほんとうの意味で強制適用ではない。一番失業する度合いも多く、失業したときに蓄積がなく、生活に一番困る、再就職も一番むずかしい人たち、そういう人たちに失業保険制度が及んでいないという問題があります。それから失業保険の中の給付のやり方であります。この失業保険の中では保険料を長く納めた人は比較的――これも比較的です。比較的長い期間給付が受けられる。保険料を短くしか納めてない人は比較的短い期間しか保険金の支給が受けられない。これはいわゆる保険の原則からなっております。ところが社会保障の理念というのはそういうものではありません。必要な人に必要な給付が無条件で必要な期間だけ給付されるということにならなければ、社会保障というものは完全なものにならないわけです。ところがいまの失業保険は全然逆であります。一番必要な人に適用がない。零細企業につとめて短い期間しか保険料が払えない。そこで企業がだめになって失業の状態になった。そういう状態だから再就職がむずかしい。蓄積はない。失業期間が長い人ですからその間こたえられるだけの蓄積がない。そういう人たちはごく短期間で失業給付を打ち切られる。しかも失業保険金の金額も少ない。逆になっているわけです。これが社会保険制度の一番悪い点であります。そういう点について、いままで所管局長がどういう補佐をしておられたか、あるいはどういう学者の意見を聞かれたかはわかりませんが、社会保険にはこうした悪い点があります。そういう点を直していくようにしなければ、ほんとうに憲法九十九条の精神にかなった努力をされたということにはならないわけです。いまの失業保険法は、これだけ数え上げてもずいぶん根本的な欠点があります。今度は数年間おいての失業保険法の改正でありますから、相当の大きな根本的な改正、一〇〇%でなくてもその方向に向かった改正が行なわれるものと期待をいたしておりましたけれども、日雇い失業保険の日額をスライドのような形式で一部変えただけで、失業保険の根本の内容について一つも触れておられない、こういうことであってはならないと思いますが、労働大臣の御見解をひとつ伺いたいと思います。
#27
○小平国務大臣 現在の失業保険制度のいろいろな基本的な問題について、職業安定審議会なりあるいは社会保障制度審議会等にもいろいろ御意見があるようでございますので、そういった基本問題につきましては労働省としても十分これを研究いたしまして、先ほど来申しますように逐次この内容の充実をはかっていきたい、こういう基本的な考え方でいわゆる前向きに検討をいたしておるところでございますが、今回の改正におきましてはそこまでの結論が残念ながら得られませんでしたので、とりあえずの処置についてだけ改正の御提案を申し上げたようなわけでございます。いま先生が御指摘のような点も、確かに現行制度では欠陥であると私ども思います。これをいわゆる社会保障という観点から逐次解決しなければならぬことは当然でございますが、しかしまた一面いまのような保険制度でやっている際においてこれがどこまでいけるか、私は率直に申して保険制度という制度のもとにおいていろいろその制度自体に含む限界と申しますか、そういうものがやはりある程度つきまとってくるのではないかと思います。したがって、そういったようなことも考えながら、先ほど来申しますように前向きで、とにかく先生御指摘のような点についても十分検討をいたして善処していきたい、かように考えるわけでございます。
#28
○八木(一)委員 大臣とはあまり質疑応答したことがないので最初だから非常に私も礼儀を尽くしておだやかに申し上げているのですが、いまの御答弁の内容は日ごろの私だったらこのガラス戸が破れるような状態で質問をし、追及を申し上げなければならないような内容です。いまのあとの、保険制度でございますから何々ということは非常によけいなことです。先ほど申し上げたように、私も自民党の内閣が社会党の言うような完全な社会保障制度を、そのうちの失業保険制度を直ちに来年や再来年やられるようなそういう状態にならない、そういうことをやれるようなりっぱな方ばかりではない。齋藤君はりっぱな方かもしれないけれども、これはその中の一人だ、竹内君はりっぱな方かもしれないがそのうちの一人だ。おそらくここにおられる社会労働委員の人たちはそういう気持ちを持っておられても、こういう問題について理解の薄い人たちがおるから一ぺんにそうはならない。だから社会保険制度をやめろと言っていない。ただ社会保険制度を社会保障に近づける努力が必要だということを申し上げたわけです。ですからいま言ったような労働大臣が何か守備をするような格好で、ただ社会保険でございますからというようなお考えであっては困ると思う。社会保険の悪いところはこれだけと申し上げたのですよ。申し上げてないなら別ですけれども。とにかくあらゆる意味で理屈に合わぬその一つ一つについて、いまの一項目一項目について五時間なり三時間いろいろな資料と見解の応酬をやれるだけの値打ちのある問題です、その一つ一つの柱が。しかしきょうは始まったのがおそいから、それで端的に私どもも、どういうふうにお考えですか、どういう資料を持っていますかというような、労働大臣が事実お困りになるような質問はしないで、私どもの考え方をまずずばりと申し上げて、それで労働大臣のそれに対する深い御理解のもとの前向きな御答弁を期待して質問しているのですから、そのような、何かあとで十分やらなかったというときの弁解材料を残すというような御答弁はなさらないでいただきたいと思う。そういうふうになさると、やはりもっともっとこの問題について突っ込んで、そして労働大臣ほんとうに社会保険は悪いのだ、社会保障をやらなければいけないのだと決意を固めていただくための質問を展開をしなければならないということになろうと思う。そういう点で社会保障の精神に従って現在の失業保険をそちらのほうに大きく前進をさせるという意味の努力を、いま表明をされたわけであります。しかし何回やっても労働大臣が、いまの労働大臣には総理大臣になられるまでは五年でも十年でもなっていてけっこうな方だと思いますけれども、いまのところはそう思いますけれども、しかしこの十数年間の内閣は実にけしからぬやり方をしております。内閣総理大臣が自分が留任するんだったらその大臣は一番信頼してその行政が適当だと思う人をずっと引き続き大臣にしておかなければいけないんです。それを一年ごとに首を飛ばして肩書きだけをたくさんつけようというような自民党の政党利己主義から政治がうまく動かない。大臣が一年で飛ぶから、三年ほどいる局長が大臣よりも実際的な権限を持つようになる。そういうことで、ほんとうの国民の意思を進めなければならない議会から出た大臣が、表向きは権限を持っているようで、実際的な権限はない。公務員の局長や、高級公務員の人が実権を握る。その人たちもその人たちなりに一生懸命考えていると思いますけれども、事労働者の問題や社会保障の問題は、たとえば失業という問題がほとんどないことを保証されている高級公務員の方々には、失業という問題についての実感がわいてこない。労働行政をして労働運動をある程度にとどめさせようという方も労働省の中にはある。ほんとうに権利を主張する労働者の気持ち、労働条件を何としてもよくしてもらいたい、ストライキを何回やってもよくしてもらいたいという労働者の気持ちはほんとうにわからない。そこで、そういう局長さんや次官の人や、あるいは課長さんもその衝に当たっていられるんですから、そういうことをほんとうに理解する一生懸命な努力をされて、いろいろな原案なり粗案はつくっていただきたいけれども、ほんとうは国民の代表から出た国務大臣が、労働大臣が、ほんとうの国民の意思をぴたっと受け取って、そういう指導をし、推進をしなければ、問題は動かないわけです。そういう意味で、労働大臣は来年留任になることをこの点では望みたいと思いますけれども、佐藤さんがどういうやり方をするか、わけがわからぬ。そうなれば、いまはっきりとお約束をしていただかなければならない。また次の大臣にこういうことを何回も言って、そして退任のまぎわに約束をして、次のほかの大臣は知らぬということでは問題は少しも進まない。ですから、少なくとも内閣改造のあるまでにこういう問題を、失業保険を社会保障の精神に従ってよくしていくという、そのような方針を打ち立てて、そのような具体的な準備にかかり、少なくとも次の国会においては大臣がかわろうとも、留任されたときはもちろんですが、かわろうとも、総理大臣がかわろうとも、わが党の内閣になって、わが同僚のだれかが労働大臣になったらすぐやりますけれども、残念ながら一年間ではそういう情勢はなさそうですから、あなた方に要請をしておかなければならないわけでございますが、だれにかわられようとも、いまの失業保険を社会保障の精神に従って前進をさせる、そのような改正案を来国会に出す、そういう決心をぜひ明確に御表明をいただきたいと思う。それについてぜひ前向きの御答弁をいただきたい。
#29
○小平国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、先生の御主張のように、社会保障ということを理想として現在の保険制度も逐次改善をしていく、そういう前向きの方向に取り組んでいくということは、私どもと申しますか、私がここでお約束をして差しつかえないと思うのです。ただいま先生のお話の後段の、必ず来国会に出すと、こうおっしゃられても、私がうっかり言って、結果的にうそを言うことになることはいやですから、私は来国会という限定したお約束は、これだけはひとつかんべんしてもらいたい。私はできるだけ努力はいたします。
#30
○八木(一)委員 いまそうおっしゃいましたけれども、そんな遠慮がちなことをなさらなくてもいい。労働大臣は労働行政の責任を持っておられる。失業保険が非常に不十分であると思ったら直される努力をされることが当然の責任であります。努力をされることを具体的に蹄さるのは失業保険――法律でありますから、その改正案を出されるということであろうと思います。ですから、そういう御答弁をされて差しつかえがない問題だと思います。ただ、その内容をどれだけ、私が要望を申し上げているような社会保障に近づけて、九十九点の原案になるか、九十八点の原案になるか、その問題については御検討が必要でありましょう。また、財政当局とも御相談が必要でございましょう。しかし、前向きの法律を出すというような御答弁をなさることは、これは労働大臣として当然の責任であろうと思う。そういうような御努力をほんとうに明快にお示しにならないのであれば、労働省の担当者としては、これはほんとうの責任を感じておられないということになろうと思う。
 ここにひとつ総理大臣をお呼びいただきたいのですが、労働大臣が労働省の行政についてよいことをやる、その準備をやって来年までに完了して出すというお約束をなさることが越権では絶対にないと思う。総理大臣はそういうことを押えないと思う。押えるような総理大臣であれば、これは直ちにやめてもらわなければならぬ。すべてのことについて総理大臣がきめるのだったら、全部の委員会、あらゆる委員会に長時間総理大臣が出てきて、国民の意思を代表した国会の場に出ていただかなければ問題は進まないことになろう。労働行政については労働大臣が責任を持っておられるのですから、そういう点について当然やるというお気持ちを披瀝をされた。そうなれば、ほんとうにそれをやられるならば、具体的な問題としては失業保険法の改正案という形になることは一目瞭然であります。それを来年出すという決心をなさることは、これはしなければならないことだ。もし佐藤栄作さんがほんとうに政治家であったら、ここにすわっていたならば、そういう約束をしたほうがいいということをおっしゃらなければ、総理大臣の資格など毛頭ない政治家ということになろうと思う。ですから、労働大臣も少しも遠慮なさらずに、そのような国民のための前向きな努力、前向きの約束を勇敢に――勇敢というのはこれは普通のことだ、いまの佐藤内閣の中では勇をふるわなければできないことであっても、それは直していかなければならない。だから、あっさりと、来年には失業保険法の改正、社会保障に向かって進んだりっぱな改正案を出すというりっぱな御答弁をしていただきたいと思う。
#31
○小平国務大臣 先ほどの私の答弁が先生のお気に召さなかったかもしれませんが、私は労働行政について責任を感じますので、実は慎重な御答弁を申し上げているのであります。先ほど申しましたとおり、現在のこの失業保険法の改正についても、これは先ほど来申しますように、熱意を持って前向きで検討をいたします、こういうことを申し上げているわけでありまして、御承知のとおり、これの改正ということになりますと、いろいろ審議会の関係や何かが法制的にもあるわけです。ですから、必ず来国会に出しますと申して間に合わぬようなことが全然ないとは言えませんので、私はそういう点も考慮して、この時期の点だけをごかんべん願いたいと言ったのですが、もちろん諸般の手続もして、あるいはまた法の改正といっても、これはその範囲、程度、いろいろなことが考えられるわけでございますから――もちろんそのうちで、すぐにもと申しますか、来国会に間に合うように結論も得られるし、また現に実施もできる、こういう確信がつけば、これはもちろん来国会といっても大体通常国会でございましょうが、なるべく、たとえ万全は期せられぬでも、一部についても準備ができますならば、もちろんこれは来国会にも提出をいたしたいと思いますし、また、先ほど先生がいろいろな点で御指摘ですから、それを全部一挙にと言われても、これは実際どうかという私の気持ちから先ほどのような答弁を申し上げたのですから、御了解願います。
#32
○八木(一)委員 それではさっそく御検討になって、いま言った法律的な義務を持っている各審議会に、そういう政府の要綱というものを早くおつくりになっておかけになるということについては、お約束をいただけると思いますが、いかがですか。
#33
○小平国務大臣 役所の考えもなるべく早くにまとめ、また先ほど申したように審議会等の関係もございますから、それらの手続もなるべく早く結論をちょうだいして、来国会と申しますか次の通常国会と申しますか、これに提出できるようなものについては、もちろん要綱でも何でもまた皆さんによく御相談して推進をはかる、こういうことにいたしたいと思います。
#34
○八木(一)委員 少なくとも通常国会のかなり前に審議会にかけるということは約束していただけるわけですね。
#35
○小平国務大臣 先生の重ねてのお尋ねでございますが、できるだけ先生の御要望に沿うように私ども努力するつもりでおりますから、そこはひとつ御信頼いただきたいと思います。
#36
○八木(一)委員 私は次の通常国会にはりっぱな社会保障の方向に向かった失業保険法の改正案が提出をされる御決心であると私なりに信じまして、質問をさらに具体的に進めたいと思います。
 そこで、先ほどこの問題の、大臣や私の認識をひとつ合わせて論議を進める意味において、もう少し具体的に私どもの考え方を申し上げて、労働大臣の御決心をひとつ前向きに固めていただくようにお願いをいたしたいと思うわけでございます。
 先ほど言いました順序でございますが、順序を少し変えまして、五人未満の適用から申し上げたいと思います。五人未満の事業所の労働者に対する適用ということは、ほんとうの行政の公正の原則から見て当然なことであろうと思います。いままでそういう問題についてなかなか進まなかったのは、ほかの社会保険との関連の問題、あるいはまたその事業所の捕捉というような問題が一つブレーキになっております。捕捉の問題に関連してでございますが、厚生省よりも労働省のほうが前向きでございました。その点は、いままでの労働省の努力を多とするところがございます。しかしそういう考え方だけで、まだ実現をしておらないのでは、これはあまりほめることができないわけであります。大体厚生省あたりの考え方だと、捕捉がむずかしいということを言っておりますが、それは全然逆でございます。強制適用になれば完全に捕捉ができるわけであります。いまでも健康保険やあるいは厚生年金というような厚生省関係のそういう強制適用事業所の人たちであっても、たとえば六人の事業所の雇い主が非常に無理解である。何か保険料負担を免れたいというような考え方を持っている人で、また働いている労働者の人々が非常に労働条件の悪い中で一生懸命働いて、ほかの自分の権利についてまだ目ざめておらないというときに、隣に四人未満の事業所がある。隣もないじゃないかというようなことで、初めから認識がない。こういう小さいところはそういうものがないのだろうということで、あきらめて要求もしていない。また一人ぐらい気がついてそう言っても、そういうような無理解な雇い主にとって、そういう使いにくい人はどこかにかえてしまうとか、いろいろな方法をもってそういうことを進めない。またそういうばく然たる要望の人には、隣がないのだからうちもないのはあたりまえというようなことを言ってごまかすというようなことが起こって、強制適用事業所である五人以上の事業所にも社会保険が具体的に実際に適用されておらない状況がある。ところで、とにかく一人以上の全職場について、そのような社会保険が適用になって、健康保険もあり、失業保険もあり、厚生年金保険もあるということになれば、ひとりでに全部の認識が急速にその関係者に広まってきて、使用主にも労働者にも広まってまいります。またそれをやろうとしないような、ごまかそうとするような使用主に対しては大きく認識が変わっておりますから、それに対してそういう違法のことは許されないという運動が起こって、これはまたたく間に一両年の間に全事業所に適用が具体的に広がると思うわけです。あのように五人未満と五人以上というものを分けているために、その接続面において強制適用の法律がありながら、それの抜けている気の毒な労働者がいるわけです。抜かしているけしからぬ使用主がいるという問題になるわけです。そういう点で、そういうような捕捉がやりにくいという技術的な問題もそれで解決をするわけです。その技術的な問題より以上に、そのような零細中の零細な事業所に働いている人に特に健康保険が大事である、特に失業保険が大事である、特に厚生年金が大事であるということは論をまたないところでございまするから、これは思い切って即時五人未満の事業所というものに適用を踏み切っていただかなければならないと思うわけであります。この問題について厚生省よりやや前進的な、やや努力をしておられる労働省が起動力になって、厚生省その他そういう関連のところにも協議をされて、それをひっぱる、推進をして、少なくとも来年度において五人未満の事業所に失業保険を初めとする各社会保険の適用という問題を推進していただくことが必要であろうかと思います。これを大臣がやられましたならば、大臣として労働行政上でりっぱな一つの業績を残されることになると思います。また私どもが反対勢力として競争はいたしておりますけれども、自民党あるいは佐藤内閣が一つの大きな前進を遂げたということになろうと思います。国民のために労働大臣や総理大臣の株が上がっても一向差しつかえありません。どうかいまの時点においてその決心を固めていただいて、五人未満の事業所に適用することを来年度において実現することをぜひ進めていただきたいと思うわけでございますが、労働大臣のお考えを伺いたい。
#37
○小平国務大臣 従業員五人未満の事業所に強制適用する問題は、先生のるるお話のとおり、これは公平という観点から申してもさようでありますし、あるいはまた特にこのごろは中小企業が人手を得られない、若年の者については特にそうであるといったようなことから申しても、これは私はぜひいわゆる強制適用にすべきであるし、またそうしたい、さように方針はきめておるのであります。そこで事務当局でもいま急いで技術的な検討をしておるところでございます。そこで技術上の問題については局長から御説明申し上げますが、いずれにしてもいま申したとおりの考え方でおりますので、できるだけもちろんすみやかにこれを実施に移したい、かように考えておるわけでございます。
#38
○有馬政府委員 大臣から御答弁いただいたとおりでございます。非常に困難な問題がいろいろとございまするけれども、これを克服しながら、五人未満の強制適用をはかっていきたいと思って努力をいたしておりますので、これは御指摘のように、被用者保険全体共通の問題でございまするから、厚生省ともよく連絡をとりながら、この困難な問題を克服してまいりたい。しばらく時間の猶予をいただきたいと思いますが、同時にまた先生の各方面のお知恵を拝借いたしまして、万全を期してまいりたいと思います。
#39
○八木(一)委員 そこで大臣か局長から出ると思って待っていたのですが、ほんとうにその点まだ熱心ではないと思う。いまの御答弁は九五%ぐらい熱心だと思いますが、ほんとうにするものだったら、いろいろなする理由があるわけです。たしか昨年の厚生年金保険法の改正案のときの附帯決議で、五人未満の事業所の適用については二年以内にそれをやらなければいけないという附帯決議が国会の意思として、齋藤君をはじめとする自民党の人々、もっと先輩の方もおられますが、それから社会党の私ども、民社党の方も、もうほんとうに全部が心を込めてそういうことをきめておるわけです。大臣、国会の意思であります。特に厚生年金保険法の改正案についての附帯決議でございますから、これは政府全体を縛る国会の意思でございますが、厚生省の法案のときですから、厚生大臣がこんなものをぼやぼやしていたら、ほんとうの責任を追及しなければならない問題であります。そういう点で、ぜひ労働大臣が主導権をとられて――二年目というのは来年であります。来年の改正案の中に、失業保険の改正案で五人未満を強制適用するということと並んで、厚生年金保険法も健康保険法も、そういうふうになるようにぜひ御推進をいただきたいと思う。少なくとも失業保険については、これはもし厚生大臣が、いまの鈴木さんは理解あると思いますが、次にかわってきた人がよほどわけのわからぬ人物であるときには、労働大臣は、やりにくいところがあっても、少なくとも労働省だけでも、そのときには厚生大臣がそうであっても、失業保険については強制適用を来年はお出しにならなければならない。国務大臣として、厚生省も全部すべての社会保険について五人未満の事業所の強制適用をやらなければならないと思う。失業保険について、来年度における改正案の中に、五人未満の事業所の強制適用をぜひやられる必要がある、その責任があると思いますが、それについてひとつ明快な、やるという御答弁をいただきたいと思う。
#40
○小平国務大臣 先生のお話のとおり、その御要請にできるだけ沿うように私どもは努力いたしたいと思っています。
#41
○八木(一)委員 いま労働大臣の御答弁非常にけっこうでございました。私どもも、労働大臣の熱意について敬意を表したいと思いますが、そのお考えをさらに竿頭一歩を進めて、失業手当という問題についてお考えになっていただく必要があろうと思います。(発言する者あり)どうも雑音が多い。うしろの雑音が一番けしからぬです。もう一回言ったら退場を命じてください。(発言する者あり)
#42
○藏内委員長代理 静粛に願います。
#43
○八木(一)委員 今度はほんとうに命じてください。何とか反対とかいう発言をする連中は、熱心な労働大臣を不運のやからが牽制しようという発言だ。断じてそれは退場ですよ、何とか反対というようなことばは。それから、ああいうけしからぬ、無責任な発言については、一切とらわれずに御答弁を願いたい。
 そこで、失業手当という問題については、これは労働大臣おわかりだと思いますが、無拠出の失業保障制度であります。いまの失業保険制度は五人未満を入れなければならないけれども、五人未満を入れた場合でも、一回仕事について、それから失業した場合の失業保障がそれだけ広がるという問題である。ところが、いま、いろいろの産業の構造が変わって、農業をやっていた人が今度は労働者になりたい、あるいはならなければならないという羽目になる。そこで、その期間、安定した雇用を得るまでの間において、生活ができないという問題があります。労働者として働こうとして、働く意思と能力がありながら、そういう職業がないかということの判定の技術的なむずかしさはございます。その点については、練達の公務員の諸君がおそらく考えられて、また国会において十分審議してりっぱなものができると思うのです。技術的なむずかしさは克服しなければなりませんが、とにかく農業とか商業をやっていたが、産業全体が変わってきて、今度は勤労者として働かなければならない立場になった人、そういう人には、前の職場というものがありませんから、いまの失業保険制度のたてまえではなかなか給付をするということがむずかしい。
  〔藏内委員長代理退席、齋藤委員長代理着席〕
そういうことになれば、無拠出の失業手当制度というものが必要になってくるわけであります。これはドイツをはじめ、諸外国にりっぱな例がございます。この失業手当について、前向きに検討されて、私どもの希望ではこれも来年にはぜひ提出をしていただきたいと思うわけであります。それについての労働大臣の御答弁を伺いたいと思います。
#44
○小平国務大臣 たとえば農業をやった者が、今度は農業をやめて雇用労働者になる、その間の失業について、いままで雇用されていたという実績がないから、そういうものについては無拠出の失業保障をやるべきだという御趣旨と思いますが、この点が、また先生のおしかりを受けるかもしれませんが、先ほど来申しておりますように、現在の保険制度では言うまでもなくいままでの賃金というものが基礎になってやっています。ところが今度は農業をやめてほかへ行くという人にはもとになる賃金がない、こういう関係ですから、私は、いまの保険制度というワクの中では、なかなかこの問題を解決するというのは実際問題としてむずかしいのじゃないか、かように思うわけです。ただ、先生も御承知のとおり、今回雇用対策法案もお願いをいたしておりますが、この中においては、いわゆる職業転換の給付金という制度を設けております。これもまだもちろん十分ではございませんが、そういった職業転換についての給付金、こういう関係で今後少なくとも当面の問題としては処理していくということがむしろ適当ではないか、かように考えるわけであります。ですからこの転換給付制度も、いまの具体的な例のような場合――ただいま数種類の転換給付金についても現に御審議をわずらわしているわけですが、いま御指摘のような農業からほかにかわるというような場合にも、これをできるだけ適用をしていく、こういう方針で臨みたい、かように考えております。
#45
○八木(一)委員 職業転換給付金、これは雇用対策法の内容を十分に御説明を伺っておりませんから、この点があるという私の心配だけ申し上げます。いままでの労働省のやり方では非常に心配が残るわけです。転換に対する給付としてそういうことをやることはいいけれども、その給付をやるときに、誠実にかつ熱心にその職業を求めるということが必要であると称して、自分の希望しない労働条件のところ、給料がもう少しよくなければとか、もっといいところを望むとか、そんな遠いところはいやだとかいうようなことを言うと、これは熱心かつ誠実に職業を求めていないという認定をやっているのです。局長、入れ知恵はあとにしてください。これは職安二法や何かでいまの局長などがほかの点では熱心かもしれぬけれども、この点では悪いことに猛烈に熱心なのが局長ですから、この点でそういう先入観を入れないで聞いていただきたいのです。熱心かつ誠実に求職をしないと、これはそういう措置からはずすということをやりまして、具体的にはその人に適していない労働条件、労働環境、そういうところにその手当ほしさのために、手当を切られたら困るというために、そういうことをてことして強制労働、職業選択の自由を失わしめるというような方向がとられておるわけであります。そういうことについては、これは表によさそうに見えるが、ほんとうは労働者の基本的な権利を奪うものでございますから、そういうことになっては断じていけないわけです。そういう点について、いまおっしゃったことにそういう内容があるかどうかはこれからの問題でございますから、はっきりとした具体的な御答弁はけっこうでございますけれども、そのようないろいろの条件をつけて誠実かつ熱心に求職をしなければならないとか、また世話をしたところが非常な低賃金である、非常に悪いところであってもそれがいいところであるとか、あるいはいまちょっと仕事をしていても、それで失業者でない、就職をしている状態だから就職促進措置をとらないとか、いろいろな締めつけをやって、ほんとうの意味でよい雇用を推進しようという国民に対する配慮に欠けたやり方が法律的にも行政的にも行なわれておる。そういう方向じゃない方向で、ほんとうの国民、ほんとうの労働者のための行政を進められなければならないし、法律を考えられるときにも、そういう方向で法律を進めていただかなければならないと思います。そういう点について基本的にひとつ労働大臣から伺っておきたいと思います。
#46
○小平国務大臣 熱心かつ誠実に求職活動をしなければ転換給付金もやらないといったようなことで、実際問題としては労働者を締めつけるようなことがあってはならぬということですが、先生のお話のように、かりに常識的に考えてきわめて不当な労働条件のところに就職させるというようなことがあれば、これは私はけしからぬことであって、そういうことがあってはならないと思います。ただしかし、逆に申せば、それじゃ本人の希望どおりにもう自由にしておいて、何らの制限もしないでと申しますか、条件もつけないで本人の望むとおりの職場、望むとおりの賃金でなければいやだ、こういう者にまで無条件で転換給付金なりその種の給付をするということになれば、これはまた善人だけならばよろしいが、実際問題としてはなかなかそうもいかぬでしょうから、これは常識的に考えても全然無条件というわけにはいかないと私は思うのです。それはいわば一口に言えば、常識的と申しますか、そういうことで、もちろんよりよい労働条件、より本人が希望するものに越したことはありませんが、そこに無理のないようなある程度の条件がつくということは、私はやむを得ぬことではないかと考えるわけです。
#47
○八木(一)委員 労働大臣の御答弁でけっこうであります。それをほんとうの意味で常識的に理解をしていただけばけっこうであります。前に三万円の給料の人が今度五万円でなければいかぬと言ったら、これはそういう手当をもらうことはいかぬと思います。ところが三万円の給料を取っていた人に今度は一万八千円で働け、それでは苦しいのだ、それじゃなくてもう少しましなところへつけてくれと言ったときには、誠実かつ熱心じゃないという認定をされたのじゃ困る。一万八千円という低いのを言いましたけれども、これが二万円でも二万八千円であっても、その人によればやはり低過ぎるということになろうと思います。ですからこれはほんとうの意味でまっとうに政治を考えていただける政治家の常識的な線でけっこうだと思います。ただ世の中の国民が惰民であるというような考え方でこれを律することはいけないと思います。百人に一人くらいはそういう人があるかもしれません。しかし百人のうち九十九人までは働いて生活を立てたいというのが国民の心情であります。そういう点で善良な、そして働く意欲のある国民のやっていることをとにかくまともに受け取る、その国民の要望が普通のことであるという観点で行政あるいは行政をするための法律制定を進めていただかなければならないと思うわけであります。
 ところで、そういう措置に関連してでございますが、そういう行政上の心配が一ぱいあるわけです。その心配がある理由は何かというと、これは転換をするそういう措置によっていろいろなことをやって就職をさせるというところからこういうものが出てくる。ですから、そうではなしに、権利として失業保障がある。前に就職をしていない人でも、農業をやめ商業をやめて、今度労働者として立つときに、無拠出の失業手当がある、これは権利であるということになれば、その失業中の生活をすることとからんで強制労働をさせられるとか、そういうことがないわけです。
  〔齋藤委員長代理退席、委員長着席〕
そういう点で、いまの措置よりは失業手当という制度がほんとうに必要であります。これは非常にむずかしい問題でございまするから、いま直ちに失業手当をつくるという御答弁を要望しても無理かと思いますが、私が申し上げていることをじっくり頭と腹に入れていただいて、ほんとうの社会保障を完成するために、ほんとうにいい意味の労働者に対する行政を展開するために、前向きにひとつ失業手当という問題を御検討いただきたい、そういうことを要望したいと思いますが、ひとつ労働大臣の御答弁を伺いたい。
#48
○小平国務大臣 先生の御指摘のような場合も、実際問題としてこれから相当出てくるだろうと思うのです。ですから、これを農業関係の問題としてとらえるのがいいのか、あるいは労働の面からとらえるのがいいのか、私はとらえ方にもいろいろ問題があるのじゃないかと思います。ですからそういう点ももちろん含めて、いずれにしてもそういった業を失っておる際の保障の問題でございますから、これは関係の各省とも協議をして、十分研究をさせていただきたい、かように考えます。
#49
○八木(一)委員 その問題と近い問題で、関連のある問題でございますが、失業という問題について、これは収入がゼロの場合の失業、それから失業しても食っていかなければならない、いろいろな制度が完成をいたしておりませんから、その間食っていくためにいろいろな、たとえば行商をする、何かの物を扱うというようなことで食っていくということがあるわけです。そういうときを、これは私どもは完全に失業だと思いますし、また学者の一部は半失業だと言いますけれども、そういう人たちに対してやはり失業保障制度を及ぼしてまいらなければ、ほんとうの意味の失業保障ではないと思います。及ぼし方については――局長はしょっちゅう首をかしげて牽制しようとしておるけれども、それは私どもも制度はわかります。そういう点について技術的にいろいろ検討を要することがございます。しかし一つも収入がない者だけを失業と見て、たとえばいまのような生活状態のときに、三千円の収入しかない人を失業者として扱って対処をしないということであっては、これは労働省としては手落ちだと思う。五千円の収入のときもそうであります。八千円でも一万円でもそういうことが言えるかと思います。そういう点でそういう失業というものを数字的に形式的に見ないで、ほんとうに生活をするだけの収入を得ていない人は失業保障の対象とする、あるいはまた、あなた方が熱心に進めようとせられる雇用対策、そういうような半失業についても――その半失業の限度をどこに置くかは技術的な問題がありましょう。しかしそういうことについても考えていただかなければ、失業の問題が一番困った人たちの問題、失業間における生活の問題が片づかない、そういうような潜在失業、半失業という問題について、そういう人たちのそういう期間中の生活をよりょく保障して、またそういう根底においてよい賃金で安定雇用になる、そういうような考え方で制度を進め、行政を進めていかれなければならないと思います。それについての労働大臣のお考えを伺っておきたい。
#50
○小平国務大臣 これも、御審議を願っております雇用対策法案において、不安定な就業というものを安定就業にするように各種の施策というものを総合的に講ずべきである、こういうことが法律にはっきりうたってあるわけでございまして、われわれとしては不完全就業の対策というものも今後十分推進をしていきたい、かように考えております。
#51
○八木(一)委員 御答弁は大体いいですが、一つ抜けているのです。安定雇用のほかに、社会保障の立場からという考え方ももう一つ柱として入れて考えていただかないと困る。その両方の立場で、いまのような前向きでひとつ御検討をしてどんどん進めていただきたいというふうに思うわけですが、それについて……。
#52
○小平国務大臣 社会保障の立場ももちろんでございますし、むしろさらに積極的にそういう方々の生活なり地位の向上のために、先ほど申しましたように今度の法案ではやろう、こういうことでございます。
#53
○八木(一)委員 実はそういう失業手当法、あるいは半失業の人の問題あるいは期間的失業の人たちの問題について、いまの失業保険法はやや前向きな内容があるわけであります。そういう失業保険、失業手当制度、あるいはまた半失業、潜在失業あるいは期間的失業に対する問題に、やや具体的に対処する内容がいまの失業保険法の中にあるわけです。それを改悪しようという傾向がおととしくらいございました。それに対してボーダーラインの人たちが非常に心配をして、失保改悪反対という非常な運動が起こっておったわけであります。そういう当然の世論に従って、そういう傾向がありましたときに、前の労働大臣の石田君のときに、そのような改悪についてはきっぱりあきらめて、そうした改悪はしないという状態が続いているわけであります。しかし行政的に相当に締められて改悪になっている点は十分あるわけでございますが、そういうような行政的の締めつけをしない、そしてそうした意味の改悪をなさらない、先ほど申し上げたような社会保障の観点に立った改正を来年度になされるということを期待しているわけでございます。その中に、いま申し上げたような改悪を絶対にまぜてお出しにならないでもらいたい。改悪をまぜることは社会保障の理念に反することになるわけです。先ほど申し上げたように、社会保障の理念のほうに近づく前向きの改正案を来年度出されるということの最大の努力をお約束なさったわけであります。そこで、いま一生懸命にメモを書いて、前向きの協力をしようという気持ちが十分の一くらいで、牽制しようとする気持ちが十分の九くらいだと思うのですが、それが違っておったら局長にあやまらなければいけないけれども、ほかのところでは非常に有能な高級公務員だけれども、この問題について局長は非常に困る。そういうことで、来年度にそういう改悪をまぜた、毒と薬をまぜた法案などはお出しにならないように、薬ばかりの、国民が喜び審議が順調に進む、そういう改正案をお出しになっていただかなければならぬ。薬がある中に毒を入れたら、薬が多くても毒があれば飲めませんから、そういう点でそのような機会に便乗をして改悪をなさらないように、いまの失業保険法の中の失業手当がない半失業、潜在的失業、期間的失業という問題に、国民の世論に従ってやや具体的に対処されたよい分を、ほかの失業手当法が完成するということの経過で整理をされることはあれですが、それをされていない時期において、そういうような改悪は一切なさらないで、改善だけをなさっていただきたい。社会保障の精神に従って失業保険法の改定をなさる、そういうような努力が必要だろうと思う。それについて、労働大臣の前向きの御答弁を伺っておきたい。
#54
○小平国務大臣 改悪をいたそうなどという考えは毛頭持っておりません。
#55
○八木(一)委員 それでは次の問題に移りますが、五人未満の事業所の失業手当については非常に前向きの御答弁をいただいて満足をいたしました。それからもう一つ、失業手当法については相当不満足でございましたが、とにかく前向きの御検討を願う。まじめな労働大臣でございますから、私どもを満足さしていただけるような努力をしていただけるものと期待をいたしておるわけであります。
 次に、今度は金額の問題であります。先ほどもちょっと触れましたけれども、賃金がヨーロッパの三分の一というところでございまするから、そういうところの失業者はほんとうに蓄積がない。少なくとも私はそういう期間失業という状態をつくったのは国の責任であるということが言えると思います。また具体的には労働省の責任だということも言えるわけです。基本的には賃金と同額の失業保険給付あるいは失業手当給付であってしかるべきだと思うわけでございますが、そこまでいかなくても、少なくともいまの六割という基準を九割なら九割というふうに前進をさせることが必要であろうと思います。それについての労働大臣の前向きのお考え方、前向きの御決心をひとつ伺っておきたいと思う。
#56
○小平国務大臣 これも先生のお話のように、支給率が原則としてはいいほうがいい、こういうことになるのでありましょうが、しかしまるまるということになると、これまたいろいろ問題が実際問題として私はあると思います。しかしいずれにしても、特に賃金の低い被保険者、それらについては特に配慮が必要であろうという私も考えを持っておりますので、具体的にこれをどうするかというようなことについては、十分事務当局に検討さして前向きでひとついきたい、こう考えます。
#57
○八木(一)委員 私は全般的に給付率を引き上げる必要があろうと思いますが、その中で一番の焦点は、賃金の低い労働者、したがって、いまの制度では保険金の少ない労働者に対する底上げということが具体的な内容として一番重点になってしかるべきだと思います。そこで、その問題については具体的に考えて、たとえば失業保険法である程度までの賃金の人は九割以上、ある程度の人は底上げをして最低保障をする。それ以上ある程度の人までは九割以上、それ以上ある程度の人までは八割以上、それ以上ある程度の人までは七割以上というような底上げ階段をするというようなことが具体的に必要であろうと思う。それについて労働大臣ぜひそういう考え方で進めていただきたいと思いますが、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#58
○小平国務大臣 考え方の方向としては先生のおっしゃる方向だろうと思いますが、そうかといって、特に日雇い労務者のような場合にその段階をあまりに幾つもしていくということは、事務的に非常に繁雑になるおそれもあろうと思います。そういう点もありますから、いずれにしても、技術的に不可能に近いようなことでは実際問題としては役に立ちませんから、考え方としては先生のような考え方を十分尊重しながら、技術的に可能な範囲においてできるだけ改善していく、こういうことで検討してまいりたいと思います。
#59
○八木(一)委員 いまの御答弁の八割くらいいいのですが、あと日雇い労働者とおっしゃったので、これから申し上げようと思うことをおっしゃったと思いますが、私の言った最低引き上げ額あるいはその九割以上というようなところに、少なくとも日雇い失業保険の該当者は全部包含をされなければならない。ですから、労働大臣は刻みをごく薄く見て御答弁になっておる。私はもう少しそこのところに厚みがかかっているわけです。ですから日雇い労働者は一番下か、その次の九割以上くらいのところに入らなければいけないと思うわけであります。そういう点について労働大臣のお考えいかがでございましょうか。
#60
○小平国務大臣 日雇い労働者の場合には、あるいは八割、九割というところにランクすべきだ、こういう御趣旨だと思いますが、先ほど来申したように、先生のお考えのような方向で検討させていただいて、はたして七割がいいのか八割がいいのか、九割がいいのか、こういう具体的な点はいましばらく検討に日をかしていただきたい、こう思います。
#61
○八木(一)委員 大臣の前向きの御答弁、けっこうであります。
 そこでぜひ私はことし、この法案で改正をしていただきたいのですが、それについて与野党でお話し合いになっていると思いますが、それが話がつかなくても、来年度においては、七、八、九と言われましたけれども、私どもは少なくとも九割ぐらい必要だと思うけれども、賃金に対して八割という計算の基礎でこの日額の改定をぜひしていただきたいと思います。その点についてぜひ前向きの御答弁をいただきたい。
#62
○小平国務大臣 この点も、先ほども申したと同じ私は心境なんですが、必ず来年度と言われても、私が来年度と約束して、できぬときには、またうそを言ったということになりますから、私はそういうことはどうも好みませんので、前向きでひとつ検討さしていただきたい。もちろん結論を得れば、できるだけ早い機会におはかりをしなければなりませんが、その程度でひとつ御了承いただきたいと思います。
#63
○八木(一)委員 それでは来年度、これは私もずばり言います、ほんとうは九割ぐらい望みたいのだけれども、とにかく九割というのは、来年度は御無理だろうと思います。ですから、日雇い失業保険の金額については、基準の金額でこれはさまっているわけですから、二階級に分かれて…。基準のところの考え方を八割にするという考え方で、前向きの積極的な御努力をお願いいたしたいと思いますが、それについてひとつ労働大臣からお考えを…。
#64
○小平国務大臣 私は、決して逃げる意味じゃありませんが、いまはとにかく保険制度でやっていることだし、保険財政の問題もございますし、また、私がここでいかにたんかを切ろうと、やはり関係当局とも打ち合わせなければなりませんししますから、要するにその行き方として、先ほど来申すような考え方で前向きで検討さしていただく、こういうことでひとつ御了承いただきたいと思います。
#65
○八木(一)委員 そこで、少し早いのですが、各委員も時間をお急ぎでございますので、協力する意味で、財政の問題にすぐ入りたいと思います。もう少し質問してから入りたいと思ったのですが…。
 日雇い保険の四十一年度の収入、支出の見込みは、この労働省の本日いただいた資料では四十一億ですね。これは間違いないでしょうね。それから一般の保険のほうが千三百六十二億ですか、いただいたこの書類、局長これ間違いないでしょうね。日雇労働者健康保険法の四十一年度の給付の予定額が、労働省の予算では四十一億、一般のほうが千三百六十二億であります。でございますから、ここでその六を九にしても全体の財政上は大して変わりがないわけです。そこで、一般失業保険と日雇い失業保険の間の給付のプールを完全プールにしないというところに非常に間違いがあろうと思います。一般失業保険のほうで、たとえば失業率が多い、そういう人たちも、そうじゃない人たちも同じくプールをされておるわけだ。したがって、日雇い失業保険も同じくプールをすれば、千三百六十二億という給付の予定のある一般失業保険、それから四十一億という日雇い失業保険、これを完全プールすれば、そういう問題はその中で出てまいります。ことに予備費において百三十八億という、大きな予備費があるわけです。ですから、実を言うと、いまの六割給付を倍にして十二割給付にしたって優に余りがあると思います。十二割給付にしてもあと四十一億ふえるだけだ、そうすると予備費が九十七億になるだけの話だ。それくらい財政はほんとうの意味でお考えになれば豊かであるわけですね。そこを労働大臣、実は日雇い失業保険と一般失業保険と別に分離した形で運営されているところに大きな間違いがある。そういう問題について財政上は考えていかれましたならば、これは十分にできることでございますから、ぜひその点について、こういうような財政的の裏づけも十二分、あるいはもう三十分くらいもあるわけでございますから、ぜひ来年度は実現をしていただくという意味で、ひとつ推進をしていただきたいと思う。労働大臣の御答弁を……。
#66
○小平国務大臣 四十一年度の予算における収支の関係は、先生がいまお話のとおりでございます。ただこれで確かにこれだけ見ますと非常に財源に余裕があるようにも見えます。しかし保険事業としては単年度だけをとって考えるというのもいかがかと思います。非常に不況になって失業者がふえたというような場合には、もちろん支出がふえるわけでありますから、そういった、やや長期的な見通しに立って保険財政がどうなるかというようなことも十分研究をして、先ほど来申しておるような立場で今後制度の改善を検討していきたい、こういうことでございます。
#67
○八木(一)委員 局長に伺います。時間の関係上ほかのこと言わないで、聞いたことだけ言ってください。
 この数年間一般失業保険の黒、赤、収支は黒字か赤字か、黒字がだいぶ続いておったと思いますが、何年間続いていたか伺いたい。失業保険ですよ。
#68
○有馬政府委員 失業保険制度が始まったのが二十二年でございますが、この年以来二十九年の不況の年に赤字が出ただけで、あとは昨年まで若干ずつの剰余金が出て、今日千三百八十億ばかりの積み立て金がございます。
#69
○八木(一)委員 労働大臣、お聞きのとおりでございます。一年を除いて全部黒字、しかもその黒字の積み立て金が千三百億円もたまっているわけです。ですから財政上の心配はないわけです。ただ労働省としての内部の処理上の問題であります。一般失業保険と日雇い失業保険を何としても分けて考えるというようなことをしているために、この問題が発展をしていない。たとえば、ここで四十一億を六割給付でやっている。四十一億を八割給付にして一体どのくらいでありますか、ほんとうにごくわずかな問題です。これはちょっと計算してみなければわからないですけれども、十数億か二十億程度の問題です。ここで予備費が百三十八億もある。蓄積が千三百億もある。そうして一般失業保険のほうはずっと黒字傾向である。黒字がずっと続いているわけです。おまけに、その黒字がなくて赤字になっても、労働大臣御研究だろうと思いますけれども、失業保険法のほうにはりっぱな内容があるのです。いま四分の一の国庫負担でございますけれども、それが財政が悪くなれば、三分の一の国庫負担になるという自動規定がある。ですから財政上なんか、びた一文も心配はない。そういうことでございますから、労働大臣、財政上の心配は一切ない。理念としてはそれはやらなければならないということでございますから、そういう点でぜひ御決心をいただいて、来年にはこの日雇い失業保険を八割の給付、その八割の給付の組み立てでこれを改正するということをぜひお約束いただきたいと思うわけであります。
#70
○小平国務大臣 同じことを御答弁申し上げるようなことになりますが、財政の事情もよく勘案して、先生の御指摘のような方向に改善していくように努力いたしましょう、こう申しておるわけであります。
#71
○八木(一)委員 前向きな御答弁でけっこうであります。ただ、問題を指摘しておきますと、福祉施設費として百七十七億がある。公務員宿舎施設費として一億一千五百万円がある。こういうものは失業保険会計で出すべき問題ではありません。これは一般会計から出すべき費用なんです。それを失業保険の黒字をいいことにして、いいかげんに使っておられる。これは断じて大蔵省に一般会計から出すことを要求すべき金額であります。そういうことをしておられるわけでございますから、本質的な失業給付のほうにほんとうの努力をされない、こういう一般行政から出すべき費用をここで百七十七億も出しておるということも、ぜひ御理解をいただく。ですから財政上の理由でそれを給付の改善ができない、たとえばいま日雇い失業保険だけを申しましたけれども、先ほどから申し上げている一般失業保険の社会保障の精神に基づいた大改正、そういうことについても、十分な原資があるということをぜひ深い御理解をいただいて、勇敢に、強力に、前向きに進めていただくことを要望しておきたいと思うわであります。
 それから時間を急ぐようでございますから、きょう伺っておかなければならない問題をぱっぱっと伺っていきたいと思います。まず、いまの日雇い失業保険の問題でありますが、一般失業保険の中に家族の扶養加算という制度がございます。これは失業保険金が少ないために、その家族を養っている失業者はさぞ困るだろうということでできた制度でございまして、これはなかなか具体的な、前向きな制度であると思います。それをいま一般的に、失業給付を全般的に八割ぐらい上げるということとともに、プラスアルファとしてこういうものを置いておくこと、またこれを充実していくことは非常に必要だと思います。一般失業保険においてこういうような扶養手当を飛躍的によくしていくこと、並びに日雇い失業保険にも先ほどのお約束にプラスして、こういうことをぜひ考えていただく必要があろうと思う。それについて労働大臣の御答弁をいただきたいと思う。
#72
○小平国務大臣 十分検討してまいりたいと思っております。
#73
○八木(一)委員 それでは、次に国庫負担の問題であります。いま失業保険は黒字でありますけれども、この黒字は、給付を積極的に改善をしておらなかったという点から来た黒字であります。この黒字は、全部給付の改善に充てる。そうして、このことで財政が赤になった場合には、自動規定で三分の一が国庫負担になるということでこれは進めていかなければならないと思うのです。元来、これは全部三分の一の国庫負担であったわけです。ところが数年前に労働省が、局長が言われたように、うっかりしておったときに、財政当局の圧力が強くなって、非常に残念なことに、三分の一の国庫負担という前進した制度を四分の一に後退をせしめられたわけであります。社会保障を全面的に前進すべきときに、このような後退のあったことは、非常に遺憾であります。労働省としては、それを取り返さなければならない。ですから、給付を大いに、いまの黒字の財政の中で、最大限度にこれを改善すると同時に、その国庫負担の全般的な三分の一を取り返して、その問題を進めていく。その原資を活用して、一般失業保険、日雇い失業保険、そういうものを大きく給付の改善の方向に進めるということが必要であろうと思います。それについての労働大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#74
○小平国務大臣 この国の負担の部分ですが、これはただいま一般失業保険については四分の一ですか、それから日雇いのほうは三分の一、こういうことでやっておるわけでございます。これは先生のお話でございますと、給付を改善して、赤字になれば自動規定もあるのだから、思い切って給付を改善しろ、こういうお話でございます。まあこれも方向としては、私は、そういう方向にだんだん改善すべきだと思いますが、またそういう方向で今後も大蔵省とも話し合いをしてみたいと思いますが、これもいま直ちにそうしますと私がここで一人申しても、これは実行していかなければ何にもなりませんので、そういう方向で、私も前進していきたい、こういうふうに申し上げます。
#75
○八木(一)委員 先ほど内閣総理大臣と大蔵大臣の出席を要求したいのですが、その後委員長の連絡の経過はどうなんですか。
#76
○田中委員長 先ほど要求がございましたが、総理大臣は、かねがね申しておるとおり、即日では不可能でございますので、自今ひとつ御要望のあるときには事前に御連絡を賜わりたい、こういうように思います。
 大蔵大臣は、他に所用がございまして、本日は出られないそうであります。
#77
○八木(一)委員 主計局は出ていないのですか。
#78
○田中委員長 主計局については、さっそく連絡をいたします。
#79
○八木(一)委員 では、質問をしぼって、あと一つ伺いたいと思います。
 いまの失業保険会計の黒字を活用して給付改善に充てる、もう一つは、国庫負担を奪回して充てるという問題、もう一つの問題として、これは今度の改正案に出ておるように、日額を改定するときに、保険料額を改定しておられるわけであります。ほんとうの財政から見たら、日額を改善して、そして保険料を上げなくても十分に済むわけであります。そういう給付内容の黒字、それから国庫負担で改善を考える。その次に、給付が非常に大幅に改善されたときに、保険料の値上げをいたさなければならないことも起こるかと思います。そのときに、使用主と労働者の負担が常々五対五である、そういうことは、非常に発展のない考え方であると思います。労働者に対して使用主が責任を持つのはあたりまえである。少なくとも五対五の保険料の負担区分を六対四、七対三、八対二、そのように上げていかなければならないのが社会保障としての当然の道であろうかと思います。しかしその基本的理念については、労働大臣は前向きに考えられると思いますから、具体的にしぼって、少なくともこの日雇い失業保険というような非常に賃金の少ない、生活に苦しんでいる労働者にとって、このような同じような負担区分ではなしに、使用主がよけいに出す、労働者が少ない負担でいいというような方向をぜひつくり出す必要があろうと思うのです。それについての労働大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
#80
○小平国務大臣 その点は職業安定審議会等においても、基本的な問題として検討すべきだ、こういう御意見も出ておりますので、その審議会の今後の御審議等に相まって十分検討していきたい、かように考えております。
#81
○八木(一)委員 今度の具体的な点にひとつ触れますが、六百六十円以上の日額の賃金の人が一級の失業保険金を受け取る、それからそれ未満の人が二級三百三十円ですか受け取るということになっているわけであります。ところが、いまのこの日雇い失業保険のおもな適用者である失対事業に働いている人々の賃金の実態から見ると、相当の人がこの一級の支給圏外に去ってしまうということになるわけです。いま一々数字にわたって、各県別、市町村別のことを伺えば、ずいぶん一級にならないというようなところが出てくると思います。同僚である滝井さんの選挙区田川では、これらは明らかに二級になります。そういうような点があるわけございますが、せっかく前進して、前に一級の失業保険金を受け取れる立場にある人が、今度の制度で二級に落ちるということでは、その人たちは三百三十円が三百三十円に横すべりしただけになるわけです。そういう点についても、六百六十円という区切り方は実際に合わないと思うのです。当然これは五百円ぐらいあるいは五百数十円ぐらいの区切り方をしていかなければならないと思うのです。この区切り方をしたのは、社会保険的な考え方にこびりついているからこういうことになっているわけです。社会保障という考え方であれば、そういうことにこびりつかなくてもいいわけであります。また六割給付を八割給付にするという前向きの考え方を取り入れれば、そういうことに限定された考え方にならないで済むわけです。そういう点について十分な御配慮をもって、できれば今国会で直すべきだと思うわけでございますが、そういう努力を与野党でされることになっておりますけれども、政府は政府として、もし済まなかった場合に、来年度からそのようなおもな対象者が一級の失業保険金が当然もらえるというような考え方で、次の改正案に対して対処をしていただきたいと思うわけでございますが、それについての労働大臣の御意見を伺いたいと思います。
#82
○小平国務大臣 今度の改正によって従来一級であった者が今度二級になってしまう。いわゆる横すべりしてしまうというような問題があるのではないかという御指摘のようでございます。私その間の事情よく存じませんので、これは安定局長のほうから答弁いたさせます。
#83
○有馬政府委員 今回の改正によりまして日雇いの失対賃金の平均が六百二十九円でございます。平均的にいっても、五割の適用という、一級の適用まではいきませんけれども、大体三分の一程度が今度の改正によって一級の適用になる、その他は横すべりということに相なるわけでございまするが、日雇い失業対策の賃金も漸次改善されてまいりますので、この点は将来一級の適用者が逐次ふえていく、それからまた先ほど大臣から答弁がありましたように、日額算定の方法等につきましては根本問題に関連するわけでございますので、今後の検討にゆだねまして、審議会等の結論を得次第そういう新しい考え方で対処してまいりたい、かように考えております。
#84
○八木(一)委員 まだ質問がございますけれども、同僚がお待ちでございますから、最後にまた大蔵省の主計官が来たときに、私の質問に関連してさしていただくかもしれませんが、一つ御要望を申し上げておきたいと思います。
 きょうの労働大臣の御答弁は全般的に非常に前向きな御決意を表明されました。その点について国民のために喜びたいと思うわけでございます。ぜひその決心を貫かれて、失業保険制度については五人未満の事業所の強制適用をはじめといたしまして、きょう御質問申し上げ、お答えいただきました点について、社会保障の理念に徹して改正案を出される最大の努力をされる、そこで先ほど申し上げたように、二年ほど前に心配されたいわゆる失業保険の改悪というような内容はお入れにならない、純粋の改善としてお出しになっていただくということの御答弁をいただき、非常に満足でございますが、その点をひとつ強力に推進していただくことを御要望申し上げまして、一応私の質問をここで区切りたいと思います。
#85
○田中委員長 滝井義高君。
#86
○滝井委員 先日私四十分ばかり失業保険について質問いたしましたが、重要な問題点について大臣十分御研究になっていませんでしたが、きょうは研究されてきておると思います。その問題については大蔵省の責任ある政府委員が参りましてから一緒にやらしていただきたいと思うのです。われわれも子供ではないので、ここで再三再四労働当局が研究をいたします研究をいたしますと言って、また新しい大臣になってもまだ研究されていないというようなことでは、きのうも言ったのですが、国会は何のためにあるかわからないわけです。納得ができない。法案を通すことが目的ではない、悪い法案を直してそれを国民のためによい方向にするのが野党の目的なんですから、したがって八木さんも留保しておるようでございますから、大蔵省が参りましたらもう一回その点をやらしていただきます。
 そこできょうは、先に、先日留保しておりました生命保険の外務員の失業保険適用問題についてお尋ねをいたすわけでございます。これはもう何回も予告をいたしておりますので、職業安定局においても十分実態を御調査されておることと思います。そこでまず第一に、時間の関係もございますから、三十分ぐらいでやってくれ、こういうことです。できるだけ御期待に沿うようにやるためには、スムーズな、うまい答弁をしていただくことにならないとそうならないわけです。まず第一に、現在生命保険の外務員の実数というものを、一体労働省当局はどういうように把握をしておるか。
#87
○有馬政府委員 外務員の実数でございますが、約二十五万人というふうに把握をいたしております。そのうちで、失業保険の被保険者になっておる者が約二万人、こういう見当をつけております。
#88
○滝井委員 二十五万人ということです。御存じのとおりいまから五年前の昭和三十五年ごろは十五、六万ぐらいだったわけです。それがいまあなたの言われたように二十五万人程度おるようでございます。これは私が聞いておる数字と同じなんですね。そうすると、一体過去五年間に、三十五年から四十年ぐらいまでの間に外務員として登録をされた総数というのはどの程度なんですか。
#89
○有馬政府委員 過去五年間にどの程度ふえたか、その辺の数字がちょっとつかみにくいのでございますが、現状においては先ほど申しましたような約二十五万人、こういう状態になっております。
#90
○滝井委員 私が調べたところによりますと、大体一年に二十六万人くらいが整理されておる。だから五カ年間に百三十万人くらいが登録されてはそこから消えていく、こういう形になった。したがって、一人の外務員がある程度固定化的な傾向をとるためには、十五人の外務員が犠牲になっている、こういう形が出てきているわけです。これは、大蔵省をきょうは呼んでおったらよかったのですが、あなたのほうは、最近の生命保険の契約の概況等がおわかりになりますか。そういう外務員がどういうような契約をしているかというようなことをお調べになったことがあるのですか。実はこのことが、外務員に失業保険を適用するかどうかという、一つの重要な問題になっているのです。
#91
○有馬政府委員 私のほうでは、契約高について実態を把握いたしかねております。
#92
○滝井委員 外務員一人当たりの新しい契約の成立件数は、十年くらい前は平均四件くらいだったのです。いまは月平均三・一件で、実は低下しているのです。人数は非常に多くなったけれども、契約の一カ月一人当たりの件数というものは低下しておるわけです。このことはやはり生命保険の商品としての分野というのがだんだん狭まりつつあるということにもなる。つまり募集が困難になるわけです。ところが一人当たりの月平均の契約高は、これは五年前は百六万です。ところがいまは二百五万と、百万ふえている。二倍近い増加をしておるわけです。問題はこの人たちの収入です。結論を急ぎますから少し私も急いで言いますが、収入は五年前は二万一千八百円、ところがいまは三万九百円です。すなわち、五年前に比べて、一人の契約高は百六万から二百五万と二倍になった。契約は二倍になった。ところが給料は五年前の四割増しです。実績が二倍になって、給料は、賃金は四割増しだ、こういうことになる。それならば、この人たちが二万一千八百円から三万九百円に給料が上がったのは、一体ストライキか何かやって、そして給料が上がってきたのか、いわば戦い取ったものであるかどうかというと、これは調べてみるとそうでないのですね。どういう要素で賃金が上がってきたかというと、労働時間を延長しておるのです。それから仕事の量をふやすわけです。労働時間を延長するということと同時に仕事の量、いわゆる労働強化をやっておる。それからみずからの募集経費というものをよけいつぎ込むわけです。こういうことでやって、結局四割の賃金が増加する、こういう形になっておるわけです。職安局で外務員の賃金形態というのをお調べになったことがありますか。
#93
○有馬政府委員 ございません。
#94
○滝井委員 二十五万人もこういう不安定雇用にある人たちの実態を、労働省が調べていないというのもおかしいですね。労働省は、出かせぎの問題については、失業保険を食うからといってその実態を洗ったのです。それから同時に、女子職員というものは、これは全部会社をやめたときには結婚か家事手伝いをやっておる。だからこれは労働の意思と能力を持たぬものであるといって失業保険を切りつつあるわけでしょう。それから日雇い労働者諸君には、今度の法案のようにわずかに三百円とか五百円だ。三百円で労働大臣食ってごらんなさい。食えやせぬですよ。大臣、一日三百円で一週間生活してごらんなさい。おそらく国会に出てこれぬようになる。そういう自分でやってできないことを人に平気で施す政治というのがもし佐藤人間尊重の政治だというなら、これはたいへんなことです。そういうものが平然と国会をまかり通るというようなことは許されぬことなんです。やはりこれはお互いにヒューマニズム、良心がなければいかぬと思うのです。こういう二十五万の実態というものを、失業保険課なり職業安定局が調べていないということは、私は非常に問題だと思います。大臣、ここにも問題が一つあるわけです。賃金の実態もわからぬ、こういうことではおかしい。こういう人たちは一生懸命に募集しますね、そうして契約を結ぶわけです。われわれは外務員の勧誘によって生命保険に入る。入りましたら、われわれのところで勧誘した外務員がしばらくするとやめてしまう。やめると、そのかけた保険のかけ金をかけっぱなしにしてしまって、そしてこっちもまた外務員がやめるのと一緒にやめてしまう。これはもうわれわれがみんな経験があるところです。契約を解除するまでには、契約者というものは保険料を払い込んでおるわけですが、解約の返戻金というものが戻らない。契約によって支払われた保険料は一体年間どの程度あるか。百六十億ある。これはもうまるまる生命保険会社がもうけることになる。こういう状態です。したがって、この生命保険の外務員というのは非常に不安定なものなんです。だから、自分が顔のきく間は一生懸命契約をとっていく、そうすると、月に四件、五件とれる、あるいは十件もとれる。しかし、顔つなぎのところを全部回ってしまいますと契約がとりにくくなってくる。初めは契約高のカーブがずっと高くなるが、だんだんいくとずっと下がってくるわけです。そうしてどうにもならぬようになって、もう契約のとれなくなったときが、会社との縁の切れ目です。こうなるわけです。そしていま冒頭に言いましたように、十五人の外務員の中から一人外務員が残る、こういう形になる。すなわち、一将功成り万卒枯れるというのが典型的な外務員の姿なんです。しかも万卒枯れた上に、生命保険料だけ取って何も保険金を払わないでいい百六十億の金が会社に積もってくるのです。こういうシステムがいまや二十世紀の後半に公然と行なわれているのです。だから、こういう金があれば、少なくともこれらの労働者諸君を――この百六十億というのはいわば不当利得です。だから私は極端な言い方をすれば、税金で取ってでも失業保険にかけてやってもいいわけです。ところがそういうことがされていない。
 いま外務員の試験が実施されておるわけですね。これは実態をお調べになったことがありますか。
#95
○有馬政府委員 私どものほうでは、そういう実態を調査いたしたことはございません。
#96
○滝井委員 外務員の試験に三十八年、三十九年、二カ年で六十三万五千人合格したのです。そうして整理、脱落した者が五十五万人、です。六十三万入れて五十五万脱落するのですから、六十三万から五十五万引いた約八万ぐらいの者は残っていく、こういう形になる。その残った者が積もり積もって二十五万人になっておる。こういうことですよ。こういう状態で、そこにはもう全く人間をむだに使っておるわけです。その人間が価値がある間は使っておるのですけれども、価値がなくなったら弊履のごとく捨て去る、破れぞうりよりかもっとはなはだしい人間の使い方です。こういうことを天下の生命保険の牙城を握っておる生命保険会社が公然と行なっておるのを黙って労働省が見ておるということは許されぬことです。こういう実態ですから、もう少し労働省は実態を洗って、そしてこれは失業保険法の適用を考えなければいかぬと思うのです。その失業保険の適用を考えるというのはどういうことかというと、会社に対してやはり少なくとも使っている間は人間を使っておるのですから身分を保障する形というものをとらせるべきだと思うのですよ。こういうところに労働大臣の職権をやっぱり働かせる必要があると思うのです。こういう実態ですが、これはしかし賃金は、一生懸命やっておる間は安くないのです。賃金はやっておる間は相当初めのうちは高給――高給というわけじゃないけれども、生活するぐらいはあるわけです。しかしだんだん終わりになるにつれてそれは非常にかぼそいものになる、こういうことなんです。これに失業保険を適用する方法はないのかどうかということですが、たとえば失業保険法の十七条の二の二号の次の項に「前二項の規定によって賃金日額を算定することが困難であるとき、又は前二項の規定によって算定した賃金日額が著しく不当であるときは、労働大臣が定めるところにより算定する額を賃金日額とする。」というきわめて弾力的な条項をわれわれの先輩が失業保険法の十七条の二の末尾に入れてくれておるわけです。これでこれはやり方によって適用できるわけですよ。これだけの人間を不安定の雇用のままで働かしておって、そして失業保険も適用しないということは私は非常におかしいと思うのですよ。
#97
○小平国務大臣 保険の外交員の問題、いま先生から数字をあげて御説明いただいて私どもも実はうかつであったといえばうかつであったのですが、実態をやや知ったわけであります。この問題は特に保険との関係におきましては結局は一口に外務員とか外交員とか言っていますが、雇用関係というものが明確でない、こういうところだろうと思うのです。そこに基因するのだろうと思います。中には外交員、外務員と称しながら、実際は個人営業所みたいな立場にある者も私は相当あるんじゃないかと思います。このことはひとり生命保険関係ばかりではなく、このごろいろいろ外交員というような、たとえば化粧品などについてもいろいろあるようですから、そういう関係で働いておられる諸君が一体雇用関係がどういうことになっているのか、ここが一番私のほうの問題としては重視しなければならぬ点だと思います。ですからいずれにしても、労働省としてもこういう実態をこのまま放任することは適当でないと思いますから、まずもって実態を至急調査したいと思います。しかし、さらにまた、私も保険業法の関係もよく実は知らないのですが、保険業法上こういうことが一体許されているのかどうか、特に年間百数十億もの金が全く不当と思われるような姿で取り上げられておるというようなことは、私は保険業法でそういうことを放任しておくのかどうか、実は私もふしぎに思うくらいなんです。大蔵省ともそういうことはよく連絡してみて私のほうは私のほうの立場で実態を把握する、とりあえずそれをやってみたいと思います。
#98
○滝井委員 実は生命保険の外務員がストライキをやったわけです。そうすると、会社が賃金カットをやる。賃金カットをやるということは、それは固定給があるからやるわけですね。そこでそれが裁判になったわけです。これは明治生命月掛労働組合が昭和三十二年夏以来八年にわたって争ってきて、この賃金カット裁判は、いま最高裁からの差し戻し審が東京高等裁判所の民事第九部で争われておるわけです。第一審は、組合が負けです。控訴してやはり組合が負けです。最高裁に行って上告審で勝ったわけです。そしていまその原審破棄で東京高裁に差し戻されて、四十年二月からずっとやられておるわけです。その前にカットした分は、給料と出勤手当と功労加俸と勤務手当と交通費補助と地区主任手当、こういうものはカット支給、それからカットから除いたものは募集旅費それから超過補給、半期奨励金、集金手当、こういうものはカットから除外しておるのです。だからこういうカットをするということは、きわめて固定的なものであるということになるわけです。そうすると、こういう固定的なものがあるということになれば、労働省のほうで実態を把握して、これとこれとこれとをひとつ対象にして失業保険をやろうじゃないかという構想があるわけですよ。あるいはいま言ったように、この外務員の諸君が勧誘して回って、そして保険料だけは入れた、しかしもう契約は破棄して会社の金になるものが、全く保険金を支払わなくても百六十億もあるというのならば、会社と話し合った上でそのうちから会社へ幾ぶんでも負担せよ、おまえの会社におったからその分を負担せよということになると思うのです。私も、これは幾ぶん懸念がないことはない、率直に言って。たとえば、いま出かせぎの問題で、あれほどあなた方が問題にしておるときに、非常に不安定なものを一挙に入れることがいいかどうかということは問題があると思うんです、保険経済の上からいっても。そこでそれならば、それはまずランクの低いところで入れたらいい、たとえば、今度の日雇い労働者の健康保険では六百六十円以下ですか、というようにして、そして三百円とか五百円とかを差し上げます、こういうことでしょう。こういう低額のものにしてみたらいいと思うのです。そういうことはやろうと思ったらできるはずです。こういうものは、これは一万か二万人なら、われわれはそう言いません。しかしこれが五年間に百三十万も四十万人も脱落していくということになれば、やはり何か考えてやる必要がある。しかもこれは女子が多いのです。男子もおりますが女子が多い、こういうものなんです。だから、ぜひひとつ、これはきょうここで私は結論を出してくださいとは申しません。そこで、職業安定局としても真剣な討議をして、この問題を必ず何らかの形で解決するようにしてもらいたいのです。そういうことでどうですか。
#99
○小平国務大臣 さっき申すとおり、まず実態をとらえることが先決でしょうから、実態調査をやりまして、それに基づいて十分検討して先生の御指摘のような方向にいきたい、こう思います。
#100
○滝井委員 それから法律的な条文でいけば、私がさいぜん読み上げました十七条の二の三項の末尾のところの条文でいけますね。
#101
○有馬政府委員 先生御指摘の失業保険法の十七条の二の第三項の規定は「前二項の規定によって算定した賃金日額が著しく不当であるとき」というのに該当するかどうかという解釈の問題でございますが、この三項の解釈は疾病、負傷あるいは事業所の休業等のやむを得ない理由によって通常支払われていた賃金よりも著しく少ない賃金が支払われた場合をいうものでございまして、本人の能率の低下によって収入が減少するというような場合はこれに含ましめない、こういう解釈が確立しておりますので、この三項を適用するということは非常に法律上問題があると思います。
#102
○滝井委員 そうすると、これは私がいま言ったように疾病、負傷という限定したものであるということはちょっと知らなかったのです。この賃金日額の中で、十七条の二を初めから読んでみても、どうも三項以外にないような気がするものですから、それで質問したのですが、そうすると、いまのようないろいろの手当その他がついておる。しかも固定給は千三百円ぐらいですね。そのほかに加俸とか身分手当とかいろいろあります。だからその中でわりあい、いまの裁判ではないけれども、固定的な部面があるわけですね。そういう固定的な部面がある程度把握できるとすれば、条文はどれになるのですか。
#103
○有馬政府委員 固定的な部分が比較的ウエートが高くなれば、賃金形態としてもあるいは雇用関係といたしましても、その辺の関係が非常に明確になりますので、私どもも現在でも二万余りの被保険者を把握しているわけでございます。したがって、やはり御指摘のような問題が外務員制度にはございますので、雇用関係を明確化するということと、賃金形態を改善していく、この両面で根本的な解決をはかっていく以外に、いまの三項を適用して、これを何といいますか解釈で補うというのは、ちょっと一般論として無理がございますので、そういう根本的な改善に向かって努力してまいりたい、かように考えております。
#104
○滝井委員 そうしますと、これでこの問題に対する質問はやめますが、労働省としては生命保険の経営者、それから全外連という外務員の組合がございますから、両者からひとつ意見をお聞きになって――これはわれわれは失業保険会計から無理に金を出させようなんというさもしい気持ちは持ちません。やはり正当な保険料を納めて、そして正当な保険金をいただくという形でけっこうでございますから、経営者並びに労働者の意見を十分聞いていただいて、ひとつ実態を洗って、すみやかにつくっていただくことを要望して次に移ります。
#105
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#106
○田中委員長 速記を始めて。
 吉川兼光君。
#107
○吉川(兼)委員 今回の法改正の理由は、その説明によっても明らかでありまするように、日雇い労働者の賃金の変更に従いまして日雇い失業保険の日額を引き上げることを主といたしたもので、いわゆる技術的な改正だと思いますが、そのこと自体はだれも異論はないところと思います。問題は、現在の日雇い失業保険につきましては幾多改正を要すべき問題点が内包されておると思うのでございますが、政府は今回のような技術的な改正を行なうことによって能事終われりとするのであるか、それによって肝心の日雇い失業保険制度の根本的な再検討というものがなおざりになるようなおそれはないか、つまり技術的な改正さえやればそれで十分だというふうに考えておるのかどうか。たとえば、大ざっぱに言って、給付の内容の改善、充実など、いろいろ問題があるわけでございますが、その点について大臣のお考えを伺っておきたい。
#108
○小平国務大臣 今回の改正案は、御指摘のようにきわめて技術的な、また小部分の改正案でございますが、この失業保険制度につきましては、保険金日額の算定の方法であるとか、あるいは保険料負担のあり方であるとか、いろいろ基本的な問題があるわけでございまして、これにつきましては関係の審議会からもそういう点が指摘され、検討を要するということに相なっておりますので、それらの審議会の御審議と相まって労働省としても十分検討を重ねまして、逐次この制度全体が改善されるように私どもとしては一そう努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
#109
○吉川(兼)委員 そうしますと、政府の構想の中に日雇い労働者の賃金が何%上がった場合には保険金は何%引き上げる、こういう何か基準のようなものがあるのかどうか。さらに、その基準の根拠となるような法律、これは私にはどこにもないように思われますが、それをひとつ聞きたいのです。同時に、たとえば給付を一級、二級と分けて、六百六十円を境に線を引いて、六百六十円以上は一級で五百円、線より下は二級で三百三十円というふうに区分をしておりますが、その区分をする必要はどこにあるのか、その基準というか根拠はどこにあるのかということをこの際聞いておきたい。私は、区分はなくして、すべて一級の線に統一するがよいと思いますが……。
#110
○有馬政府委員 この一級、二級の保険金額を改定する場合の基準でございますが、これは法律上は、一般の保険につきましては御承知のようなスライド条項がございますけれども、日雇いについてはございませんので、従来から慣行的に、賃金の上昇に伴って一級、二級の受給者の比率が著しく変わった場合に改正をやっております。著しく変わったという場合は、具体的に言いますと、大体九〇%以上が一級の受給者として適用された場合に改正をやっておりますので、今回もこの前例に従いまして九二・三%の適用率になりましたので、改正案を提出いたした次第でございます。
 なお一級と二級の支給賃金区分でございますが、大体慣例的に二級の倍額であります、今回でいいますと二級が三百三十円になりますので、その二倍の六百六十円というところで賃金の区分を設け、その区分を中心に上下の平均賃金を割り出して、給付日額を不公平のないように算定をいたしまして、日額の区分といたしたわけでございます。
 なお、これらの点につきましては、審議会においても十分な、明確な基準がないじゃないかというふうな御意見もございましたので、先ほど大臣から答弁がありましたように、こういった基本的な問題については自後も引き続き審議会において検討しよう、こういうことに相なっておる次第でございます。
#111
○吉川(兼)委員 ただいまの答弁でもわかりますように、いわゆる基準というものははっきりしたものがない、つまり、どういいますか、政府はそのときどきの思いつきのようなもので、あるいは行政運営上の都合のようなもので改定をしておるとしか受け取れないのであります。御答弁の慣例というものも、根拠はそこにあると私は思いますが、ともかく根本的な改正を考えて、再検討に着手すべきである、こういうふうに考える私の考えは強くなるばかりであります。
 大体、一般の失業保険は賃金の六割を支払うということがたてまえになっておると思いますが、六割が適当であるかどうかということは、また別に議論の余地があるわけでございますけれども、今回の改正で賃金六百六十円のところに線を引いて、そして一級は五百円、二級は三百三十円としてあることは、私はこの本来のたてまえである六割ということが、はたして堅持されておるかどうかということを指摘したいのであります。たとえば、賃金千円の者は一級の五百円の給付は、これは明らかに五割であります。こういうような事態が生じることがわかっておっても、これは技術的にやむを得ないと政府は考えておるのかどうか。これを制度の一つの欠陥としてすみやかに検討に付し、できるだけ公平に、しかも六割のたてまえが保障されるように区分を合理化するというようなつもりはないのかどうか、その点をちょっと聞いておきたい。
#112
○有馬政府委員 これは六百六十円の賃金区分に従いまして、その上下における平均賃金の六割という算定のしかたをいたしております。したがいまして、いま御指摘のような千円の場合には五百円では五割しか補償できないじゃないかというふうな御指摘もできるかと思いますが、私どもは平均賃金をとらえて、それの六割補償という考え方で三百三十円と五百円を設定いたしたわけでございます。
#113
○吉川(兼)委員 私に与えられた時間があまりないようですから、議論めいたことはできませんが、そういうような大ざっぱな平均の方法をとり、こまかい配慮が行なわれていないというところに今度の改正の問題点があると思うのであります。
 それから保険料でございますが、昭和二十四年のこの法律の改正によって日雇い失業保険というものが創設、発足をいたしました当時の二級の保険料は五円であり、その五円の負担は事業者が三円、被保険者が二円というふうにきまっておったのであります。ところが三十二年の改正のときに、保険料が一円上がり六円になったそのとき値上げされた一円は、被保険者の負担とし、六円の新保険料は事業者と折半して三円ずっということになったのです。その次の改正は、三十六年に現行の制度に変わり、保険料が一挙に十二円に上がったが、六円ずつ折半ということになりました。今度の改正案では十六円にしてこれを八円ずつ折半するということになっておるのであります。そもそもこの保険制度を創設したときには、五円の保険料が二円と三円というふうに、事業主が十分の六、被保険者が十分の四というふうにきめておりますのを、三十二年の改正のときに折半というふうに間違いをおかした。つまりシャツの上のほうのボタンを一つそこでかけ違えたのでありますが、それからずっとかけ違えたボタンをもとに戻さず、そのままの姿で今回の改正を行なおうとしています。これは当然問題になると思うわけであります。政府はこういうふうにかけ違いのボタンを安易に踏襲しておると思いますが、これはやはりこの保険制度を創設いたしました当時における負担の割合に当然戻すべきものではないか、それに対して大臣の考えを聞いておきたい。
#114
○小平国務大臣 歴史的には先生御指摘のとおりになってきておるわけでございますが、先ほど申しましたが、負担率の問題は審議会でも検討を要する問題ということで、審議会自身にも御審議をいただくことになっておりますししますので、その結論等もまちまして十分今後政府としても考えていきたい、かように考えております。
#115
○吉川(兼)委員 本法の第三十八条の九の二項の一を見ますと、一級の保険料を二十八日以上納めなければ、一級の保険金は支給されないということになっております。これによりますと、二十八日のうちにたった一日でも二級の保険料を払うような事態が起こりました場合には、保険の給付は二級になってしまうわけでございます。政府は、このような規定が日雇い労働者に対する保険給付として適正、妥当であるとお考えでございましょうか。日雇い労働者は、時として、月に一度や二度は賃金の安い職場に働くことを余儀なくされると思います。だからといって一日だけの保険料の支払い方が一級並みでなかったからという理由で二十八日のうちから一日を引いた二十七日は一級の保険料を納めておっても一級の給付はもらえないというのはどうしたものか、この法律を文字どおり解釈するとこのような結果が出てくると思いますが、これは職安局長からひとつ御答弁を願いたい。
#116
○有馬政府委員 先生御指摘のような矛盾がごく例外的には出る場合がございます。そこで、私どもは審議会でもこの点御指摘を受けましたし、実態をよくつかんでおりませんので、実態を把握しながらこの次の改定の際にこの問題も含めて再検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
#117
○吉川(兼)委員 御答弁の次の改正というのは大体いつごろを予定しておりますか。次の機会というのはいつのことですか。
#118
○有馬政府委員 先ほど大臣から御答弁がありましたように、日額算定の方法あるいは負担の割合等の問題これらについて再検討するということを審議会でも申しておりますので、そういう結論が出てきた機会に改正をいたしたい、かように考えます。
#119
○吉川(兼)委員 例外的にせよ起こることがあり得る可能性を予想されておりながら、今回の改正案にはそれに対する手を打ってないということは私は責任重大である思います。今日は時間がないのでこれ以上の追及は差し控えますけれども、政治は例外をも十分に予想し、それに対するおもんばかりを考えていかなければなりません。これは申し上げるまでもないことで、当局者の大いに心を用いねばならないことでありましょう。
 そこで日雇い労働者の実態について、簡単に二つばかり伺っておきたい。
 この日雇い失業保険の適用者の数、実際の利用者でなく、手帳交付の数、それから日雇い健康保険の適用者の数、これを伺っておきたい。
#120
○有馬政府委員 日雇い失業保険の被保険者の数は、四十年の平均におきまして四十五万七千人でございます。一方、日雇い健康保険の被保険者の数は、同じく四十年の末におきまして九十四万二千人でございます。
#121
○吉川(兼)委員 大臣、いまの数字をお聞きいただいたと思いますが、この数字の違いは何を意味しているとお考えですか。これはとりもなおさず日雇い失業保険制度が健康保険制度に比べてそれだけ魅力が不足しておることを物語っているのです。登録者が健保の約半分という数字しか出ておらないということは、この失業保険では三・三という日雇労働者の家族構成は食っていけないのです。そこで私の最初の質問に返るわけでありますが、今日の日雇い失業保険制度といいますのは、根本的に考えねばならない問題が隠されているのであります。先刻も大臣のお答えがありましたように、ぜひひとつ早い機会に、思い切った改正を考えてもらわねばならぬのでありますが、この際大臣のはっきりした御答弁を伺いたいのであります。
#122
○小平国務大臣 ただいま先生から御指摘の点も含めまして、この失業保険制度にはいろいろ検討し、改善を要する点が多々あると思います。そういう点につきましては、先ほど来申しておりますように、審議会等でも問題になって真剣に御審議中でございますから、その答申を待ちまして、なるべく早く改正案をまた御審議いただきたい、かように思います。
#123
○吉川(兼)委員 きょうは大臣と職安局長がおそろいでありますから、この機会に失対労働者の例の寒冷手当、いまは臨時給といっておりますが、そういうことについてお聞きしておきたく、実は質問の用意もしてきておりますけれども、委員長から時間がないとの御催促がたびたびありますので、残念ながらきょうは質問を保留することにいたします。この問題は、理論的にも実際の施策の上からもきわめて重要な問題でありますから、後日詳しくお伺いしたいことを予告しておきまして、私の質問を終わります。
#124
○田中委員長 滝井君。
#125
○滝井委員 先日、昭和四十一年度の失業保険事業の積み立て金が千五百六十七億八千百万円あって、それが運用原資としては、四十一年度で千四百六十一億六百万円、その運用利子が八十二億七千五百万円ある、この運用利子の使い方については、石田博英君が労働大臣の当時から、再三再四にわたって私は、このものが事務費に計上されるのはけしからぬということを何度も言ってきたわけです。そのたびごとに労働大臣、その他事務当局は、御説ごもっともでございます。来年こそはふんどしを締め直して大蔵省と折衝して、そういうことのないようにいたします、こういうことを言うてきた。ところがことしの予算を見ると、依然として事務費として一般会計からもらったのは、わずかに四千百万円。四億一千万円もらったというなら話はわかるのですけれども、去年やことしの予算書を見てごらんなさい、四千百万円ですよ。現在八十二億の運用収入があるわけですが、一体業務取り扱い費等は幾らいっておるかというと、失業保険の業務取り扱い費等は八十四億二千八百万円いっておるわけです。この八十四億二千八百万円の中で、運用収入を財源とするものが、何と驚くなかれ八割。その八割は運用収入を財源としておるのでしょう。六十七億四千百万円というのは運用収入なんです。こんなべらぼうなことが一体あるのかということです。労働者と事業主の出した保険料を積み立てて運用して、そして利子を生んだら、その生んだ利子を――法律では事務費というものは当然国庫負担でまかなうことになっておるにもかかわらず利子でまかなっておる。こういうことは正常の国会議員の頭を持っておれば許さるべきことではないわけです。いままでわれわれの頭は異常だった。だから今日この日からわれわれ正常に返ったわけです。そこでこれは絶対許されぬわけです。私は一挙に六十七億を戻しなさいということは申しません。このことはあとで言うわけですが、それからあと福祉施設費等が百七十七億八千二百万円ある。この百七十七億八千二百万円の中で、その約一割に当たる十五億三千四百万円というものはこれは運用の利子を使っておるわけでしょう。こういうことは労働省は予算編成をするときに一体何をしておったかということです。これは一回ならば私は黙っておる。しかし仏の顔も三度ということがある。もう三度目です。残念ながら、非常にまじめな小平大臣のときに三度目になったことは非常にお気の毒です。お気の毒だけれども、これはあなたの前任者である自由民主党の大臣がまいた種です。だれかにこれは刈ってもらわなければならぬ。したがって、これはこの際私は刈ってもらわなければならぬ、こういうことです。そこで私は無理なことは申しません。どういうことを言おうとするかというと、今度の失業保険の改正をごらんになると、この前から言ったように、一級と二級を五百円と三百三十円、なるほど二百四十円であった二級を三百三十円に引き上げ、三百三十円のものを五百円に引き上げていただいたわけですから非常に前進しております。非常に前進しておるけれども、常識で三百三十円でいま食ってごらんなさいと言ったって食えますかということです。食えないですよ。食えないものをやることはいかぬ。そこで私がお願いしたいのは、ひとつ三百三十円と五百円を、この際全部五百円にしてください。五百円にすると、どの程度の一体財源が要りますか。
#126
○有馬政府委員 かりに五百円均一で計算しますと、さらに財源が十三億ばかりよけいに要ります。
#127
○滝井委員 大臣、お聞きのとおり、わずか十三億です。十三億で済むのですよ。そこで私たちは、これはもうほかのことをきょういろいろ言ったってだめですから、ひとつこれを一本にしてもらって、われわれの積み立て金、血と汗の結晶である八十四億の中から十三億出してもらいたい。これは何も予算を動かさなくたって、千五百六十七億の中から千四百六十一億を運用するのですから、ちょっとふんどしを締めかえれば十三億ぐらいすぐ出てきます。だからこの予算を動かさなくたって出てくるのです。歳入面は、この前私が予算委員会で言ったように、大蔵省がいみじくも私に教えてくれた。歳入面というものは変わってもいいんだ、歳出は歳出権で変えられないけれども、歳入は変わってもいいんだ、こういうことなんですから、八十四億を十三億ふやすことは可能です。わずか十三億です。ここはひとつまいた種はだれかが刈らなければならぬ。十三億できょうこの問題が無事に片づくならひとつ大蔵省も来てもらって、ほんとうは大蔵省の政府委員も来てもらわなければならぬけれども、きょうは、平井さん実力者だから、平井さんを福田大蔵大臣の代理として認めますから、ひとつ大臣と相談をして十三億出してもらいたい。一本にする……。
#128
○有馬政府委員 せっかくの先生の御指摘でございますが、私どもは、日雇い失業保険は日雇い失業保険として保険制度の中でできるだけ考えていきたい、こういうことで運営をしておりますが、御承知のように、三十七年以来、失業保険勘定においては六億から七億近い赤字が出ておるのでございますが、これを一般保険とプールいたしまして収支をやっております状況でございますので、今回の改正によりまして、不十分だという御意見はあろうかと思いまするけれども、この程度の改正でもって十分対処をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
#129
○滝井委員 それでは過去の罪を償うことにならぬわけです。それじゃ八十四億返してください。八十四億をこんなことに使うのは法律違反ですよ。法律はこんなもの使っていいとは書いておらぬですよ。なるほど失業保険特別会計には歳入はこういうものをもって歳入としますと書いておるのです。法律には事務費というものは国が出すことになっておるのですよ。八十四億も事務費が要るのに、その中から四千百万円、九牛の一毛みたいなものを出して、それをもって足れりとするのは、それは政治じゃないですよ。そこには政治不在です。だから私たちはいまや正常な頭に返って、政治を国会に取り戻さなければならぬということです。だから道は二つしかない。一つはいまの十三億を、思い切ってここで清水の舞台から飛びおりたつもりで出すか、それとももう一つは、それができないとすれば、来年からは八十四億の事務費はひとつ全部一般会計から出します、こういうことになる、どっちかです。どっちかを言明してもらわぬことには、ぼくらこの法律は通せませんよ、率直に言って。
#130
○平井説明員 先生の御指摘に関しまして、予算委員会で大蔵大臣の答弁申し上げたことについて説明不十分のところがあるように思いますので、ちょっと補足をいたしたいと思います。
 大蔵大臣が申し上げました趣旨は、歳入の見積もりだけに変更がある場合において補正の必要はないという趣旨でございまして、歳出予算に影響を及ぼすというような場合におきましては当然補正をしなければならない、こういうことでございます。たまたま先生のただいまの御質問につきましては、なるほど歳入面の見積もりについては、あるいは運用の方法がかりにありますれば、それだけの金を生み出すということもあろうかと思いますが、歳出面におきましては、御承知のように保険給付のワクというものは法定されておりまして、それを十三億ふやすということになりますれば、当然補正の問題を伴ってくるわけでございます。その点、手続的に申しますと、現在の段階では若干無理があろうかと考える次第でございます。
#131
○滝井委員 だから、無理があるから法律を改正しましょう、こういうことです。五百円に一本にしろ。(「それは反対だ」と呼ぶ者あり)それが反対であれば、来年はひとつ事務費というものは全部一般会計から持ちますという言明をしてください。どちらか二者択一の自由を与えましょう、こういうことです。自由を与えるということですよ。われわれは主張する自由を持っているのですからね。とにかくわずか四千百万円しか――これは与党が何と言おうと四千百万円しか出していないんだから。四千百万円ですよ。これはきょう初めて言うのならこんな無理は言いません。仏の顔を三度拝むのですから、三度目拝むときに何にもせぬで引き下がるというわけにはいかぬです。野党としては引き下がるわけにはいかぬですよ。安藤法師が何か言われておるけれども、それは下がるわけにはいかぬですよ。
#132
○有馬政府委員 滝井先生から二者択一を迫られておりまするけれども、私どもとしましては、日雇い保険は日雇い失業保険制度として、先ほど大臣から答弁がありましたように、将来の方向としては漸次改善をしていきたい。特に賃金の低い層についていろいろなやりとりがございました過程において、できるだけ改善をしていきたい、こういう方向が示されておりますので、その方向で今後改善に努力をしたいと思いまするが、これを一気に五百円均一か、あるいは八十四億の事務取り扱い費を全額一般会計負担にするか、こういうふうな択一を迫られましても、改善のほうは改善のほうで努力しますし、それから一般会計からの負担の問題は、これは法律上違法でも何でもないのでございまして、財政の事情を考えながら、私どもとしてもできるだけの努力をしてまいるつもりでございます。
#133
○滝井委員 それは給付の改善とか福祉施設に持っていくのならいいですよ。しかし事務費に持っていくということはけしからぬですよ。それはあなた方の詭弁ですよ。そういう詭弁をやるなら私これ了承できませんよ。帰ってあした党の国会対策にはかります。これはもうはかれば、絶対党は満場一致私の意見に賛成しますよ。通しちゃいかぬと言いますよ。そんなばかなことはないですよ。たからそれだったらもう一歩譲りますけれども、来年は少なくとも事務費の四千百万円なんというのは――伝統的に四千百万円なんですよ。そんな四千百万円くらいで、一体どこにこういう社会保険に事務費を労働者の積み立てた金から運用しているところが、前例がありますか。ないですよ。これ一つですよ。だから私は何回も、これ一つだ、けしからぬじゃないかと、あなたの前任者のときから言い暮らしてきているのですけれども、いっでも四千百万円なんですよ。どうですかこれは、平井さんも少しは仏心を出さなければいかぬですよ。そういう鬼の心だけでは通りませんよ。ぼくは覚えておいてもう一ぺん予算委員会でやるのだから、やっていなかったら来年の予算委員会でストップさせますよ。それではどうですか。相当大幅なということに修正しましょう。八十四億全部じゃなく、相当大幅な国庫負担を導入して、そうして運用の収入というものはやはり労働者の保険料ですからね。だから給付の改善に持っていくことにしないとうそですよ。それが少なくとも百歩譲っても、福祉施設に持っていく、こういうことでないと話にならぬわけですよ。そこまでの言明ができればぼくも目をつぶりますよ。
#134
○小平国務大臣 事務費について一般会計からは確かに四千百万円だけ計上されておるわけでありますが、保険の業務自体も、これは給付関係の予算を見てもわかりますように、相当増加の傾向にあるわけですから、どうも一般会計からの受け入れがそれにもかかわらずここのところ毎年四千百万円と固定しているようなことは、これは私も確かにちょっとおかしいと思います。ですから、これは大蔵省ともよく相談して、できるだけ来年は増額してもらうように一そうひとつ努力をいたしたいと思います。
#135
○滝井委員 これはやはりあなたのほうが予算の要求をしなければならぬ。要求してないでしょう。要求しなければうそですよ。それで、この前の前でございましたか、失業保険を改正するときに、失業保険の国庫負担は三分の一だったのです。ところが御存じのとおり、失業保険がこういうように積み立て金ができてきたものですから、四分の一に削られたのです。そのとき私たちはやはり一生懸命それに反対した。しかしそこには、失業保険が黒字から赤字に転化するような情勢が出れば四分の一を三分の一にまた戻すという弾力条項であるので、まあやむを得ず目をつぶったのです。しかし目をつぶりましたけれども、この積み立て金が今度はそういう事務的な経費に回って給付の改善に回らぬ、国庫負担は三分の一から四分の一になる、こんなばかなことはないわけですよ。それで平井さん、少しは仏心を出して、四千百万ではなくて、ひとつ来年度の予算編成においては相当大幅な前進をはかるということを言明できますか。
#136
○平井説明員 法律上のたてまえにつきましては、先生ただいま御指摘もございましたようにいろいろ考え方はございます。私どもといたしましては過去の考え方といたしまして、予算の範囲内において国が負担をするという考え方でございますので、必ずしも金額の多寡において議論することはできないというふうには考えております。ただ今後における失業保険の給付の改善、その他の状況から見た失業保険特別会計の収支の見通し、あるいは一般会計におきまする財源等を考えて、できるだけのことを努力していきたいとは思っております。
#137
○滝井委員 給付のことを言っているのじゃないのです。給付はいまの私の議論とは関係ない。六十七億というのを事務費にしているんですよ。事務費というものは一般会計から導入してくるというのが法律上のたてまえなんですよ。一体他の保険でこういうことをやっておるものがありますか。前例がありますか。これは失業保険課長なり職安局長、よく他のものを調べなければいかぬですよ。一体政府管掌の保険にこういうことをやっているのが他にありますか。
#138
○有馬政府委員 他の保険等の事情も調べて注意しておりますが、保険財政の事情も違いますので同一にはいかないと思いますが、私どもも先ほどの大臣の答弁の趣旨を体しまして大いに努力したいと思います。
#139
○滝井委員 保険財政の事情が違うということは、健康保険なんかは、年度末に七百億をこえる赤字を持っているんですよ。来年になるとまた二百二、三十億の赤字ができるんだから千億の赤字があるけれども、積み立て金を持っておるときに、積み立て金の利子からこの事務費にびた一文だって入れたことはないですよ。これは労働省だけなんですよ。だからそれだけぼくは労働省がぼやぼやしておったと思う。われわれ国会議員も正常じゃなかった、こういうことなんです。だから労働省も正常に返るし、われわれも正常に返るし、大蔵省も少しは鬼の心から仏の心に返っていく、こういうことにならないといかぬわけですよ。三者の意見が一致しないとこの法律は通らないです。だからこれは政府委員として、大蔵大臣としてだいじょうぶ責任を持ちますか。
#140
○平井説明員 たびたび申し上げておりますように、この改善に対する一般会計の負担は、やはり予算的な見地においていろいろと考えなければならぬ面があるわけでございまして、確かに先生のおっしゃるように、原則として国が負担をするという気持ちで法律はつくられたかもしれませんが、現在の段階におきましては他の社会保険の諸会計と違いまして、この会計におきましては非常に多額の積み立て金も持ち、かつまたその運用益もあるような状況でございますから、そういった点を無視して国において一般会計から多額の負担をするということまでは私どもは直ちには踏み切れない。ただ基本的な考え方といたしましては、今後の保険給付費の増大その他による積み立て金の減少なり、あるいは一般会計の財政事情の好転なり、その他総合的に勘案いたしまして、できる範囲内において検討いたしたいというふうに考えるわけでございます。
#141
○滝井委員 そういう答弁ではだめです。それは原則はそうでございますけれども、一般会計の状態なり保険財政の状態を検討してやりますということでは話にならぬわけです。それではぼくはこれでやめます。そういうことでは党に帰ってもう一ぺんやります。きょう通すことは反対です。百億に余る運用利子があって、四千百万円しか事務費にしておらぬ、それで国会議員が黙って帰られますか。だから大蔵大臣をここに呼びなさい。だめですよ。政府委員も呼んでください。平井さんは政府委員でないんだからだめですよ。責任を持った答弁はできやしない。これは労働大臣が答弁したってだめなんだ。伝統的にこれで三度目なんだから、与党だってやらなければうそですよ。こんなばかなことはないですよ。委員長、もう平井君では意味ないですよ。きょうはひまなはずですよ、国会はみな終わっておるのだから。だから呼びなさい。
#142
○平井説明員 私の表現がまずいものですから先生からおしかりをいただいておるわけでございますが、労働大臣のお気持ちもよくわかっていますので、私のほうといたしましてもそのお気持ちを尊重してできるだけ検討をいたしたいと思います。
#143
○滝井委員 それなら、いまの言明がありますから、来年度は予算要求で事務費をきちっとやることをひとつ約束しますね。
#144
○小平国務大臣 労働省としても十分注意をして要求をいたして、なるべく御趣旨に沿う方向でひとつ大蔵省にも善処してもらいたい、かように考えております。
#145
○田中委員長 これにて内閣提出の失業保険法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#146
○田中委員長 次に本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決いたします。
 失業保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#147
○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#148
○田中委員長 この際、藏内修治君、八木一男君及び吉川兼光君より、失業保険法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。八木一男君。
#149
○八木(一)委員 私は、自由民主党、日本社会党、及び民主社会党、三派共同提案にかかる失業保険法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するの動議について、その趣旨、内容及び理由を御説明申し上げます。
 まず最初に案文を朗読いたします。
    失業保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、昭和四十二年度を目途として失業保険給付等の改善について努力すること。
 以上が案文でございまするが、その趣旨と内容及び理由について、簡潔明瞭に御説明を申し上げます。
 この失業保険給付等の改善については、当委員会において論議をされた内容を実現することにあるわけでございまして、失業保険法と憲法二十五条に従った社会保障の理念に従って大幅に急速に改善をする内容であります。国民及び被保険者に対して不利なことを一切盛らない改正をするという意味であります。
 具体的な内容といたしまして、まず第一に、ただいま申し上げた理念に従いまして失業保険法を五人未満の事業所に強制適用すること、これが第一でございます。
 第二に、給付率の増率であります。ことに賃金の比較的低い者に対する給付率の増率ということを実現することであります。この給付率の増率については、一般失業保険の増率はもちろん、日雇い失業保険の日額についてもこの趣旨に従って改定をしていくという意味を含むものであります。
 次に、扶養手当の増額を一般失業保険において行なうこと、及び日雇い失業保険制度においてこの扶養手当制度を新設することであります。
 次に、給付期間の延長、その他社会保障の理念に従った給付の改善を行なうことであります。
 右を実現するために一般失業保険と日雇い失業保険の両会計を一体なものとなし、そして失業保険の国庫負担を全給付に対して三分の一とすること、現行の労使の保険料の負担区分を改め、使用主の負担区分を高めること等の方法によってこういうことを実現する意味であります。
 以上、提案の趣旨、内容及び理由について御説明を申し上げました。どうか満場一致の御賛成をお願い申し上げたいと存じます。
#150
○田中委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#151
○田中委員長 起立多数。よって、本案については藏内修治君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、小平労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。小平労働大臣。
#152
○小平国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議の御趣旨を体しまして善処をいたしてまいる所存でございます。
    ―――――――――――――
#153
○田中委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○田中委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
  〔報告書は附録に掲載〕
#155
○田中委員長 次会は明二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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