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1965/05/07 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 社会労働委員会 第31号
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1965/05/07 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 社会労働委員会 第31号

#1
第051回国会 社会労働委員会 第31号
昭和四十一年五月七日(土曜日)
   午前十時十六分開議
 出席委員
   委員長 田中 正巳君
   理事 齋藤 邦吉君 理事 竹内 黎一君
   理事 松山千惠子君 理事 河野  正君
   理事 吉村 吉雄君
      伊東 正義君    大坪 保雄君
     小宮山重四郎君    地崎宇三郎君
      中野 四郎君    西岡 武夫君
      西村 英一君    橋本龍太郎君
      毛利 松平君    粟山  秀君
      山村新治郎君    石橋 政嗣君
      滝井 義高君    谷口善太郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (大臣官房長) 梅本 純正君
        厚生事務官
        (児童家庭局
        長)      竹下 精紀君
        厚生事務官
        (年金局長)  伊部 英男君
        厚生事務官
        (社会保険庁年
        金保険部長)  網野  智君
 委員外の出席者
        専  門  員 安中 忠雄君
    ―――――――――――――
五月七日
 委員小沢辰男君辞任につき、その補欠として毛
 利松平君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員毛利松平君辞任につき、その補欠として小
 沢辰男君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民年金法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第八四号)
 児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第六五号)
 重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第六六号)
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法の一部を改正する法律案及び重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。竹内黎一君。
#3
○竹内委員 私は、主として国民年金法について政府の御見解をお尋ねしたいと思います。
 まず第一にお伺いしたいのは、昨日八木委員からも御指摘のありました、いわゆるスライド規定の問題でございます。今回の改正におきましても、第四条で厚年の改正に準じた改正を行なっておるわけでございますが、この改正によって従来の改正よりもどれだけの積極的な意味合いを持つことになるのか、まずその辺を御説明願いたいと思います。
#4
○伊部政府委員 先般の国会で御審議いただきました厚生年金保険法の審議に際しましても、ただいま御指摘のスライド問題が、最も御議論いただいた点でございます。その御議論に基づきまして、政府原案が、スライド規定が強く修正をされたのでございまして、今回の国民年金法の改正に際しまして、この、国会におきまして修正されました厚生年金保険法のスライド規定を入れておるという次第でございます。
#5
○竹内委員 いや、その厚年の改正に合わして直したことによって、どれだけ積極的にさらに意味が増加しているかという点をお尋ねしているわけですから、もう一度お答え願いたい。
#6
○伊部政府委員 現行法の第四条におきましては、「保険料の負担を伴うこの法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとする。」これが改正法案によりましては、前半は同じでございますが、後段が、「変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない」という改正案になっておるわけでございます。したがいまして、「すみやかに」という字が入ったことと、「改定の措置が講ぜられなければならない」という改正になっておるわけでございます。法律的には、現行法の「加えられるべきものとする。」というものも一つの義務規定でございますが、この義務規定を「すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」ということで、一そう強く明確にされたということかと存じます。
#7
○竹内委員 それでは、さらにもうちょっと詳しくお尋ねをいたしたいのでございますが、この第四条におきまして、「国民の生活水準その他の諸事情」、こう書いてございますが、一体「その他の諸事情」というのはどういったものが考慮されるのか、その辺を御説明願いたいと思います。
#8
○伊部政府委員 貨幣価値、物価の変動等が非常に大きい要素であろうかと思います。
#9
○竹内委員 貨幣価値及び物価の変動というおことばでございましたが、この国会に提出になっております公共企業体職員等共済組合法の一部改正案あるいは地方公務員等共済組合法の一部改正案にも、御案内のごとくにスライド規定があるわけでございます。実はこの両共済組合法のスライド規定とこの第四条とを比較して考えてみますと、私は、この第四条自体がもうちょっと明確な規定をしてもいいんじゃないか、こういうぐあいに考えます。と申しますのは、たとえば地方公務員等共済組合法の一部改正案におきましては、「この法律による年金である給付の額については、国民の生活水準、」これは同じ文句でございますが、そのあとに、「地方公務員の給与、物価その他の」と、国民年金法におきましては「その他の諸事情」という中に含めているものを、地方公務員等共済組合法におきましては「地方公務員の給与、物価」、こう明らかに書いてあるわけでございます。こういう意味におきまして第四条においても、他の共済組合法案にこれだけ明示ができるのであれば、ここにおいてもまた、一般賃金水準あるいは物価といったような明示的な言も加えられてもいいんじゃないか、こう考えますが、御所見はいかがですか。
#10
○伊部政府委員 地方公務員あるいは国家公務員共済組合法におきましては、給与体系という一つの共通的指標があるわけでございます。ところが、所得状況、生活状況がいろいろ相違をしております国民年金の場合におきましては、かような共通的指標を持たないのでございまして、具体的指標につきましては機械的に定めがたい面もございますので、これらのスライド制実施の具体的な方法については、昨日も御答弁申し上げましたように、国民年金審議会に御審議をお願いをし、慎重に御検討いただいておるという段階でございます。
#11
○竹内委員 いわゆる地方公務員なり国家公務員について、給与体系が明確であるから云々という御説明ですが、その点はしばらく譲っても、物価というものを挿入するに何ら御異議はないような気がするのですが、いかがですか。
#12
○伊部政府委員 「生活水準その他の諸事情」というところで物価はもちろん含んでおりますので、この際特に明確にするまでのこともなく、当然含まれておるというぐあいに解釈してよろしいのじゃないかと思います。
#13
○竹内委員 解釈の上ではそうなるでしょうけれども、他の法律案において明らかに物価と明示できているものが、なぜこの第四条において明示できないのか。なかなか説明の苦しいところではないかと考えるのでございますが、この点はひとつ大臣の御見解をお聞かせください。
#14
○鈴木国務大臣 この年金制度におきまするスライド制の問題は、国民年金だけでなしに各種の年金制度全体に関しまする重要な問題である、こう考えるわけであります。その年金制度が長期にわたる積み立て金の上に給付が行なわれる、二十五年後における所得保障、こういう意味合いからいたしまして、その給付の時点におけるところの生活水準また貨幣価値、物価あるいは賃金、そういう諸般の情勢の変化が考慮され、その時点における給付の実質的な内容が確保されなければならぬと、こう考えるわけであります。私は、竹内さんの御指摘のように、物価という文字をここに明示してもそれはちっとも差しつかえない、けっこうだ、こう思うのでありますけれども、私どもが考えておりまするその条件は、いま申し上げたように、物価だけでなしに、そのときにおけるいろいろな経済情勢、特に貨幣価値の問題あるいは賃金所得等の問題、広範な経済的な要素をやはり勘案をいたしまして、そして年金の給付は法で定められた実質給付が確保されなければいかぬ、このように考えておるわけであります。したがいまして、竹内さんのおっしゃるように、物価等ということに私は決して反対もしないし、そういうことは当然考えられてしかるべき問題だ、かように考えます。
#15
○竹内委員 この第四条にいうところの、きのう八木委員からお尋ねのあった「著しい変動」ということでございます。一体どの程度で著しい変動なのか、こういうことになるわけでございますが、常識的に考えまして、たとえば貨幣価値の下落あるいは物価の騰貴、あるいは賃金水準の向上が一〇%以上動いた、もしこういった事情である場合は、大臣はこれを著しい変動とお考えになりますか。その点はいかがでございましょうか。
#16
○鈴木国務大臣 いま。パーセンテージで、それを著しいというぐあいに認定するかどうかという問題でありますが、最近における物価動向のように経済情勢がきわめて流動的な際におきましては、物価の変動が相当見られる、しかし、それは上がることもあれば、また下がることもあるというような流動した状態、そういう際にそのつどこれをスライドしなければいかぬだろうか、ここには問題がある、私はこう思うのであります。現在の時点と二十五年後の給付の際における物価水準とが、絶えず動いておるという形でなしに、全般の物価水準がいま申し上げたように二割とか三割とか上がっていって、その給付の際における物価水準が固定的な傾向を示しておる、こういう場合にはやはりこのスライドの規定が作用していくようにしなければいかぬ、そういう意味のスライド制を十分採用しなければこの年金保険の給付の実質が確保されない、かように考えるわけであります。しかし、いまの流動しておるような経済情勢下において、物価が五・五%動く、あるいは七%動く、そういうような現象をとらえて、それにあくまでスライドしなければいかぬというぐあいに私は考えておりません。
#17
○竹内委員 私がなぜいま一〇%という数字を出したかと申しますと、さっきも触れました地方公務員等共済組合法あるいは国家公務員共済組合法におきましては、明らかにそれぞれの給与という一つの指標を示しておる。しかもいわゆる春闘といいますか、そういうものの結果において、毎年大体公務員の基準内賃金というものは向上している。二年間をとりますと、大体一〇%以上になっているのが今日までの傾向じゃないか。こういうことを考えますと、一〇%といった目安というのが、著しい変動の対象になるものかどうかということを一ぺん考えてみる必要があるんじゃないか、私はこういうぐあいでお尋ねしたわけでございます。確かに、一つ一つの流動するものを、一つ一つに直ちに適合していかなければならぬということはないと思いますが、いわゆる地方公務員なり国家公務員の給与というものは二年がかりで一〇%以上アップしていくという、こういう現実を考えまして、私は一〇%の数字というものをあげて大臣の御見解を伺ったわけであります。重ねてもう一度、この点について御所見をお示し願いたいと思います。
#18
○鈴木国務大臣 国家公務員なり地方公務員なりの賃金所得というものが、物価の変動に伴いまして賃金水準も上がっておるわけであります。でありますから、公務員の共済保険等において、物価ということ、これは賃金との関連においてその点をスライドの一つの大きな要素として明示をされておる。このことは、私は、国家公務員、地方公務員等の賃金所得の面からいって、そういう表現をとられたということにつきましては、うなずける点があるわけでございます。国民年金の場合におきましては、そういう賃金体系というような問題だけでなしに、物価の問題や、貨幣価値の問題や、生活水準の問題や、諸般の経済情勢、経済事情等を勘案して、その給付の時点において、法律で定められておる実質的な給付内容というものが確保されるようにスライド制を運用し、適正にそれがなされていかなくちゃいけない、このように思うわけでありまして、国家公務員等におきましても、総合勘案してということばを確かに使っておったと思うのであります。でありますから、スライド制にあたりましては、私は、考えられるあらゆる経済的な要素、そういうものを十分取り入れて、そして実質給付が確保されるように、こういう心がまえでスライド制のあり方、また運用というものを考えなければいけないのではないか、かように思うわけであります。
#19
○竹内委員 私は、次に少しく話題を変えまして、日本の人口問題、いわゆる日本の人口の老齢化現象並びに都市集中というものが国民年金の命運にとって決して無縁なものでない、こう存じますので、この点を若干お尋ねしたいと思います。
 そこで、まず年金局長でけっこうですが、一番最近の数字によるところの検認率は、全国平均幾らになっているかを少しお示し願いたいと思います。
#20
○網野政府委員 検認率について申し上げますと、三十九年度末が八八・一%になっております。それを四十年の十月末にとってみますると、九三・三%になっております。ちなみに三十九年十月末の前年同期に比べてみますると、そのときは九〇・六%という状況になっております。
#21
○竹内委員 全国平均で四十年度十月末九三・三%という数字だそうでございますが、検認率を全国平均で見てそうですが、これを少しく中身を分けて、町村、特別区、指定都市あるいは人口二十万以上の都市、その他の都市、こういうぐあいに分けてその検認率を調べてみますと、かなりそこに問題があるように私は思う。ずばり言って大都市の検認率が悪いということでございますが、そういう意味におきます一番最近の新しい数字がございますか。実は私の手元にある数字は三十八年の数字でございますが、それ以後の新しいものがございましたらお知らせ願いたい。
#22
○網野政府委員 検認率を都市別に申し上げますと、三十九年度末におきましては、特別区と六大市につきましては七三・七%、それから人口二十万以上の市については八四%、一般の市につきましては八八・四%、それから町村につきまして言いますと九三・四%、それを最近の数字にとってみますると、四十一年の三月末の数字が出ておりますが、それについて申し上げますと、特別区、六大市につきましては七七・九%、若干上がっております。人口二十万以上の市につきましては八七・九%、一般の市につきましては九二・九%、町村につきましては九八・九%、ちなみにこれを全国平均でとってみますと九二・六%、いずれも従来よりは実績があがっておることがわかると思います。
#23
○竹内委員 従来より実績があがっておるということは確かにそのとおりですが、いまこうやって比較いたしますと、特別区あるいは六大都市が大体七三%台、二七%くらいの脱落が結局予想されるわけであります。御案内のように、若年労働力といいますか、特に十五歳から二十九歳の若年層の都市流入は相当なものがあるんじゃないか。若年層の都市流入というものが、一方においてはその都市におけるそういった把握を非常に困難にさせる。今後、はたしてどうしたら、特別区なり六大都市においてこれだけ以上の検認率をあげることが期待できるのかという問題を心配します。と同時に、国民年金制度が出発したときに想定した年金の新規加入者と現実の新規加入者の間には、おそらくかなり数字の違いも出てきているんじゃないか、こういうぐあいに想像するわけでございますが、その想定加入者数と現実の加入者数との数字の開きなどがわかっていましたら教えてください。
#24
○網野政府委員 ちょっと手元に当時の想定した数字がなくてわかりませんので、あとからお届けしたいと思います。
#25
○竹内委員 と申しますのは、私、ある種の文献を読みましたら、実はこういうことを書いておるのです。国民年金は発足五年に満たないわけですけれども、制度発足後のいろいろな給付の改正などもあったが、被保険者数及び免除者数の見込み違いというものから、現在の積み立て金は、おそらく当時想定したより一〇%くらい少なくなっているんじゃないか、この現行給付水準そのものにおいても、保険料率の一〇%アップくらいがなければ制度の持続が困難になっているんじゃないか、こういう指摘をした論文を読んだことがありますので、その辺の事実をはっきりさしたいと思ってお伺いしたわけです。
#26
○伊部政府委員 現行法による再計算は行なっておりませんで、新しい改正案による再計算を行なっておるのでございますが、五年ごとの再計算によりまして多少の変動があるわけでございます。概算の数字によりますと、完全積み立て方式を前提として考えますと若干の赤があるという見込みでございますが、きわめて完全積み立て方式に近い数字に推移しておると申し上げてよいかと思います。
#27
○竹内委員 この若干の赤というのは、どの程度のものなんですか。
#28
○伊部政府委員 保険料に換算をいたしまして、約十円でございます。
#29
○竹内委員 それでは、あと一点だけ質問して、次の質問者と交代したいと思います。
 その一点といいますのは、これまたきのう八木委員が大きな声を出して言われたことでございますが、例の支給開始年齢の問題でございます。御承知のように、厚年の場合と国民年金の場合に、支給開始年齢に五歳の開きがあるということで、だいぶきのう八木委員から鋭く追及があったところでございますが、私は、その中でも支給開始年齢を女子だけについて六十歳に引き下げることができるものかできないものか、こういうことを考えてみまして、若干調べてもみたわけでございます。きのうの伊部君の説明でいきますと、六十五歳というのが大体の先進諸国の共通のパターンになっている、こういうお話もございましたので、私、手元にあります資料で、ヨーロッパの大体二十五カ国の分を調べてみたわけでございます。そうしますと、二十五カ国のうちで、女子について六十五歳よりも高く定めている国もございます。これは四カ国。六十五歳が七カ国。六十歳が八カ国。五十五歳、五カ国。五十歳という国もあるわけでございまして、男子の場合は六十五歳、女子の場合は六十歳という支給年齢が共通のパターンのように、私の調べた限りではそういう感じを受けるのでございますが、まずその点、いかがでございますか。
#30
○伊部政府委員 国民年金は、御案内のとおり自営業者でございまして、被用者とは異なる生活条件にあるのでございます。昨日、八木先生がお述べになりましたように、みずから資産を投じて経営を営んでおるというのが通常でございます。そういった意味合いにおきまして、被用者年金の開始年齢と自営業者の年金の開始年齢とに若干の相違が出てくるのでございますが、ただいま御指摘の先生の御資料は、たいへん貴重な資料として勉強させていただきますが、おそらく被用者保険の支給開始年齢ではないかと思います。自営業者の年金制度は、ヨーロッパ諸国におきましても最近できつつある現状でございまして、たとえば西ドイツの国民年金制度を見ましても、やはり支給開始年齢は六十五歳ということになっております。女子の場合におきましても、被用者の場合と違いまして、夫婦そろって農業なり一般の自営業を営んでおられるわけでございますので、六十五歳として差しつかえないのではないかと考えておる次第でございます。
#31
○竹内委員 あるいは私のほうは、その点、自営業者の区別をはっきりしないで調べたかもしれません。しかし、たとえば厚生行政基礎調査の高齢者世帯というものの調査がございますが、その定義を見ますと、高齢者世帯というものは一体どういうぐあいに見ておるかと申しますと、男は六十五歳ですが、女は六十歳以上を云々するということで、女子については六十歳の基準を実はとっておるわけでございます。さらに、ILO六十七号所得保障に関する勧告というのがございますが、この所得保障の勧告におきまして、老齢給付を請求することができる最低年齢とは、男子については六十五歳、女子については六十歳と定めなければならないというような条項もあることを私は勉強して調べたわけでございまして、そういった意味におきまして、女子六十歳の支給開始ということが、私はそうとっぴな議論じゃないのじゃないか、こういうことでお尋ねしているわけでございますので、もう一度御回答願いたいと思います。
#32
○伊部政府委員 ILO条約は、ただいま手元にございませんので、調査した上でお答えを申し上げたいと思いますが、ILOの所得保障に関する勧告も、やはり主として被用者が念頭にあるのでございまして、明年改定が予定されております年金関係の諸条約におきましては、農業と非農業部門とを分けて支給するというような方向で審議が進められているようでございます。この案によりますと、やはり六十五歳が基準であったように思いますが、その点は、なお資料を調べて後ほど御説明申し上げたいと思います。
#33
○竹内委員 これは資料で調べてください。しかし、厚生行政基礎調査というものの高齢者世帯の定義が、女の場合が六十歳以上ということは、女性については六十歳以上を高齢者としている、こういうことでございましょう。男子は六十五としてある。こういうぐあいに、片一方は、厚生省においては、高齢者として女子の場合は六十歳以上の規定もあるわけですから、私の議論がそうとっぴではないと考えているわけでございます。そうすると、この厚生行政基礎調査の場合の、女子の六十歳以上を高齢者と認定したゆえんのものはどこにあるのですか。
#34
○伊部政府委員 厚生行政基礎調査におきます高齢者世帯は、高齢者とその十八歳未満の子供だけで生活している、そういった世帯についての実態を調べるためのいわば統計技術的な定義でございます。
 なお、同じく厚生行政基礎調査におきましては、世帯主が六十五歳以上ということで区切って、いろいろ統計上作成しておりますことを申し添えたいと思います。
#35
○竹内委員 あとの質問者も見えましたから、実はこの点はもっともっと伺いたいのですが、しかし私は、女子について六十歳以上を高齢者と見たほうがかえってすなおだと思う。統計技術的に六十五歳云々という説明は、私はちょっといただけないわけでございますが、この国民年金におきましては、御承知のように、配偶者も強制加入されている場合においてはむしろ独立の被保険者になっている、そういった点で、実はこの年金における妻の地位についてもいろいろと伺わなければならぬ、こう思うわけでございますが、最後の一点としまして、私は障害年金の問題について一つだけお伺いしておきます。
 障害の問題についても、資格期間の問題とか通算制度の問題とか、いろいろあると思いますが、私は、ここで例のいろいろな年金各制度問における廃疾表といいますか、あれに非常な食い違いがある、これはぜひとも一本化する必要がある、こう思うわけです。各年金制度間において認定基準に差があったりすると、お医者さんのほうもいろいろとお困りの事情があると伺っておるわけです。これについても至急に一本化に取りかかる必要があるのではないか、こう思いますが、いままでも、たしかこの点に触れての御答弁はあったと私は記憶しておりますけれども、ひとつもう一度政府の考え方を示してください。
#36
○伊部政府委員 ただいま竹内先生御指摘の点は、非常に重大な点でございまして、全く御趣旨のとおりだと思います。厚生省といたしましても、かねて廃疾表の一元化ということを念頭に置きまして、沖中先生を会長とする研究会を数年にわたり開催いたしておりまして、これが今月中におおむね最終的な結論を得られる見込みでございます。この廃疾表の一元化ということが、ただいま御指摘になりました障害年金制度におけるいろいろな各制度間のアンバランス、あるいは各制度間のいろいろなつなぎ目が必ずしもうまくいっていない面がある、こういったことの解決をする大前提でございますので、この廃疾表研究会の結論が得られ次第、関係各省の協議会あるいは関係各省の関係次官会議等を経まして、すみやかに障害年金制度全体の根本的な再検討に当たりたい、かように考えておる次第でございます。
#37
○竹内委員 それでは、その他の点は保留さしていただくことにして、交代いたします。
#38
○滝井委員 ちょっといまの点だけ関連さしてくれませんか。
 私の質問したいと思った点にいま竹内さん触れましたから、時間の節約の意味でお尋ねするわけですけれども、障害認定基準の統一の問題については、あなたのほうの国民年金、厚生年金、それから船員保険があるわけですね。このほかに労働省の労災があるわけです。それから同時に、国家公務員の災害補償の問題がある。こういう各法律に、すべてそれが別表として載っておるわけでしょう。これをもはや厚生省ベースだけでやったのではだめだと思うのです。やはりこれは、内閣全体としてそれらの制度の一元化をやる必要があると思うのです。そうしないと、同じような負傷した者が、ある制度ではある程度優遇されるけれども、他のものでは優遇されないという関係がある。特にこの問題は、軍人の恩給等の関係も出てくるわけです。こういうすべてのものをひっくるめて、沖中先生のところから出てくる廃疾表の一元化ということでやることになるのか、それとも厚生省だけの領分の中のことをやるのか、その点はどうなっておるのですか。
#39
○伊部政府委員 廃疾表の一元化と先ほど申し上げましたのは、若干ことばが強い面もあろうかと思いますが、各制度間におきますそれぞれの立法目的に従いまして、多少のニュアンスがそれぞれ違ってくるのはやむを得ない面もあるのでございますが、しかしながら、基本的な思想としては一元的に考えてまいりたい。そこで、ただいま御審議いただいておりますのは、厚生省がお願いをいたしておるわけでございますが、厚生年金、国民年金という年金制度の最も大きな分野を所管をしておる厚生省といたしましては、これを手がかりといたしまして、関係各省を通じてこの問題に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#40
○滝井委員 これは一局長のよくなし得るところではないわけです。それで大臣が乗り出して積極的にやらないと、給付の認められる最低の基準というのがまず違うのです。それからこの各等級の区分もまちまちです。それから等級の項目の設定のしかたもばらばらです。だから、やるとすればこれは相当金をかけて、単に内科とか外科だけじゃなくて、眼科から耳鼻科から、もう医学界の総動員をやって廃疾表の一元化をやらなければならぬと思うのです。それだけに相当の時日と金を必要とするわけです。一体、それだけの機構で沖中委員会というものがやられておるのかどうかということです。もしそうでなければ――あわててこそくな改正を厚生省分野あるいはそれと関連のあるところだけをちょっとやって、あとはまたということでなくて、この機会におやりになるのならやっぱり徹底的にやって、そうして各制度間の一元化をはかる必要があると思うのです。そういう意味で、これは大臣も乗り出して閣議で発言をされて、そうして関係大臣が意思統一して、次官会議なら次官会議におろしてやる、こういうことにやらないと迷惑するのは被保険者なんです。というのが、御存じのとおり、最近になって労災その他が年金化してきたわけでしょう。しかもそれが併給されない。こういう併給の問題ともこの問題は関連をしてくることになる。非常に悪いところの制度で、たまたま障害を受けてもらった。ところが、いい制度との併給ができればいいが、できないということで、悪いままで泣き寝入りしなければならぬということもあり得るわけなんです、たとえば労災だけでいくというような場合に。したがって、この点は大臣から御答弁願って、大臣のほうで積極的にやる、それで少なくとも、次かその次くらいの国民年金なり厚生年金の改正をやるときに、抜本改正は五年に一回しかこないのですから、暫定的な、中間的な改正をやるときに、廃疾表の一元化については各制度統一して、ひとつ足並みをそろえてやるという言明ができるかどうか。
#41
○鈴木国務大臣 この廃疾表の一元化の問題は、ただいま竹内委員、滝井委員が御指摘のとおり、各制度間の給付のアンバランスなりあるいは等級区分の不合理なり、いろいろそこに是正を要する点が多々あると思うのであります。当面厚生省としては沖中委員会に御意見を伺っておるわけでありますが、いま御指摘がありましたように、これは厚生省所管の問題だけではない、国全体としてやはりそういうアンバランスを是正する必要がある、かように考えるわけでありますので、閣議等におきまして関係各大臣と十分この点を話し合いをいたしまして、内閣の方針としてできるだけ早く御趣旨に沿うような改善に向かって所要の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
#42
○田中委員長 松山千恵子君。
#43
○松山委員 私は、ただいま議題となっております国民年金の一部改正、それから児童扶養手当法の一部改正並びに重度精神薄弱児扶養手当法の一部改正の三法案のうち、後段の二法案につきまして若干の質問を申し上げたいと思うのでございます。
 このたびの両法案の改正というものは、現行の法律をよりよくするための改正であることはもとよりでございまして、その点私も非常に喜ばしく存ずるところでございますけれども、内容を調べてみますと、結局児童扶養手当におきましては給付の引き上げ、それから所得制限の緩和、これが改正の要点であるようでございます。考えてみますと、改正されたことは非常に喜ばしいことでございますけれども、願わくは、いま一歩前進した大幅な改正がぜひほしいと、このように思うのでございます。
 最初に児童扶養手当法についてお伺いをいたすわけでございますが、非常に幼稚な質問で恐縮でございますが、最初にお伺いしたいことは、この法案は父と生計を別にしたいわゆる生別母子世帯についての法律でございますけれども、死別の母子家庭と違いまして、生別の母子家庭というものは、外見から見ました場合と実態とが非常に違う場合もあろうかと思いますし、いままで、この法が制定されましてから今日まで、そういう点で実際の該当者をきめる場合に何か支障となったようなことはございませんでしたでしょうか。そういう支障なしに今日までずっとこの法律が推進されてまいったのでございますか、ちょっとその点をお伺いしたいと思います。
#44
○竹下(精)政府委員 御指摘のように、児童扶養手当は、母子福祉年金と違いまして、生別であるという点におきまして他の母子福祉年金と異なっておるわけでございます。そういった面で、実際に運用上問題があるのではないかという御指摘でございますが、法の趣旨を十分認識されておられるならば、これは申請主義でございますので、申請によって支給されるわけでございます。私ども、その問題につきまして、特に支障があったというふうには伺っておりませんし、現在十六万四千余りの世帯に手当が支給されておるわけでございます。PRその他の不足という面につきましては今後なお努力すべき点があると思いますけれども、別に支障という点についてはないと思います。
#45
○松山委員 このたびの改正によりまして、月額千二百円の支給額が千四百円に引き上げられたわけでございますが、ただいま局長の御説明によりまして、母子福祉年金と違うというおことばでございましたけれども、大体今度の支給額の引き上げは、両方とも二百円ずつ引き上げられているわけでございますが、最初にこれがきめられましたときに、片一方は千二百円、国民年金における母子福祉年金の場合は月千五百円ということでございます。社会保障制度審議会の答申にもあったようでございますが、児童扶養手当の額は、国民年金法による母子福祉年金と同額に引き上げる必要があるということをはっきりとうたっているわけでございます。この点はどういうふうにお考えでございましょうか。
#46
○竹下(精)政府委員 児童扶養手当制度は、母子福祉年金の補完的な性格も持っているわけでございますけれども、最初に先生が御指摘のように、生別の母子世帯を主として、また、生別母子世帯と同様の状態にございます父が行くえ不明になっている世帯、あるいは父から遺棄されている世帯、その他広く父のいない世帯を含めまして、できるだけ広範にわたって児童の福祉をはかる、こういう趣旨で設けたわけでございますので、そういう面では母子福祉年金と異なっておるわけでございます。母子福祉年金は、御承知のとおり、母と子の所得保障と申しますか、生活保障、そういう目的があるわけでございます。こういう趣旨からいたしまして、社会保障制度審議会でも指摘してございますように、児童一人の場合につきましては、児童扶養手当は改正後は千四百円、母子福祉年金は千七百円と違っておるわけでございますけれども、二人以上三人の場合につきましては、母子福祉年金と同様の額を支給しておるわけでございます。今後、そういった手当額をそろえるという点につきましては、社会保障制度審議会の答申を尊重いたしまして、検討してまいりたいというふうに考えております。
#47
○松山委員 私は、死別した母子家庭と生別の母子家庭とを比較してみまして、確かに、死別した母子家庭というものは、完全にこの世から父親なり夫が去ってしまっておるので、その点非常に気の毒な家庭ではございますけれども、やはりそれだけに親子ともに自分たちの家庭を健全に確立しなければならないという、何か覚悟のようなものができているのではないかと思うのでございますけれども、生別母子世帯の場合は、あるいは別れた夫に対するいろいろな悩み、心の苦労、そういったものが、かえって死別した母子家庭よりも、母及び子供の心の中に生別した夫あるいは親に対するさまざまな感情がありまして、死別母子家庭よりもむしろ生別母子家庭のほうが、心の苦労はいろいろな点で多いような気がするのでございます。結局子供に対する給付金とはいうものの、未亡人対策の一つと考えられるわけでございますので、答申にもございますようなそういう方針に沿って善処していただきたいと思うのでございます。
 次に、所得制限の緩和がされておるわけでございますが、もともとこれは、所得が二十二万円以上はこれに該当しないわけでございましたので、いまそれこそ物価高のおりから、二十二万円で生計をまかなっていくということは容易でないわけで、それが二十四万円になったということは非常にけっこうだと思うのでございますが、それにいたしましても、公共料金その他、とにかく日常生活に関係した諸物価がどんどん上昇しておるわけでございますし、二十四万円になったといたしましても、これだけで生活をしていく家庭というのは、そうないと思うのでございます。そして、それは容易なことではございませんので、これ以上の緩和がぜひほしいと思うのでございます。むしろこれは生活保護を受ける寸前にあるような家庭ではないかと思うわけで、いわゆるボーダーラインの人たちが非常に苦しんで生活しておるわけでして、そこで心のささえともなる夫がいない家庭でございますから、そういう点でもぜひこれは今後とも緩和していただきたいと思うわけでございます。しかも、ほかの公的年金を受けておりました場合には、一切こういうものは支給の障害となりまして、受けられないということでございますので、この点につきましては、もっとこれからも大幅な緩和をお願いしたいと思うのでございます。せっかく政府が、こういう母子家庭に対してあたたかい思いやりのあるいい施策を打ち立ててくださいましても、いろいろな制限がじゃまをいたしまして、ぜひやらなければならないような気の毒な家庭にそうした恩恵が及んでいかないということは、全く残念なことだと思います。ぜひこの点も御考慮をお願いしたいと思うわけでございます。
#48
○竹下(精)政府委員 今回の改正案におきまする所得制限の緩和につきましては、いずれも母子福祉年金と同様の緩和でございまして、課税限度額の引き上げあるいは所得の伸び等を考慮して行なったわけでございます。確かに、他の世帯と違いまして苦労の多い、また所得の少ない世帯でございますので、今後とも支給制限の緩和あるいは公的年金の受給の問題につきまして十分努力してまいりたい、かように考える次第でございます。
#49
○松山委員 次にお尋ねしたいことは、非常にこまかいことで恐縮でございますけれども、このような支給を受ける対象者は、申請をいたしますのに、その住居地の市町村あたりから申請をするわけであろうと思うのでございますけれども、大体が低所得者層でありますから、書類の作成や何かにつきましても、自分では思うようにそれが整備できない人たちが多いと思うのでございます。私が聞いたところによりますと、各市町村では、事務費交付金でございますか、そういうものが非常に少なくて、事務を一々行なっていきますのに非常に煩瑣な内容でございますし、場合によっては遠くから戸籍謄本を取り寄せたり、あるいはまた非課税対象者の照合とか、何かそういったような事柄で非常な煩瑣な事務がつきまとうわけでございますが、私が聞いているところでは、新規の内容のものが八十六円、継続が五十円、そういった百円に満たないようなさまつな費用でもってこの事務がなされているということでございます。これはほんとうにこまかいことでございますけれども、各市町村におきましてはそういうことでも非常に悩んでいるようでございまして、もう百円に満たないこのようなわずかな金額をもらってもどうにもならないから、いっそのこと返上してしまったほうがいいというような声も出ているやに聞いております。そういう点でもひとつ是正をはかっていただかなければならないと思いますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。
#50
○竹下(精)政府委員 市町村の事務につきましての取り扱いは、毎年事務費の向上をはかっておるわけでございますが、四十一年度におきましては、新規の認定分が一件当たり百円ということになったわけでございます。なお、所得状況届け出につきましては一件当たり五十八円、この単価は福祉年金あるいは重度精神薄弱児扶養手当、これと同額でございます。この事務費につきましては、市町村の本来の事務ではないわけでございまして、市町村におきましては課税台帳との照合でありますとか、あるいは都道府県知事への申達の事務を委託している、そういうようなことでございますので、一件当たりの金額は百円程度でやっていただきたい、こういうことでございますが、今後ともこの事務費の引き上げにつきましては努力してまいりたい、かように考えております。
#51
○松山委員 新規百円に今度なったわけでございますか。八十三円が八十六円になったと聞いたんでございますけれども、百円になったわけですね。
#52
○竹下(精)政府委員 はい、百円でございます。
#53
○松山委員 次に、ちょっとこの機会にお尋ねをしておきたいと思うのでございますけれども、これはこの法案とはちょっと本質的に違うかもしれないのでございますが、児童手当の問題でございます。
 これは三十九年でございましたか、中央児童審議会から中間報告があったようでございます。私どもも、いままでの間にいろいろな機会に児童手当の問題をお聞きしたり、あるいは何かで読んだりしてきたわけでございますけれども、いずれにしてもこれは非常に大きな問題であり、将来非常に重要な、それこそ国の将来に関係してくる重要な問題であろうと思うわけでございます。その中間報告が出まして、おそらく厚生省でもいろいろと御検討を加えてこられたと思うのでございますが、現段階でどの方向に向かって進捗しているのか、そしてまた、いつごろになったらこれが実施できる見通しがおありなのか。これはぜひ厚生大臣からひとつ。
#54
○鈴木国務大臣 児童手当の問題でございますが、これは所得保障の面からいたしましても、また、児童の福祉の面からいたしましても非常に大切な重要な制度でございます。また、西欧先進国等におきましても、すでに相当数の国がこれを実施いたしておるのでありまして、わが国におきましてもぜひこれをできるだけ早く実施に移したいということで、厚生省におきましても、特に調査立案をいたします室を設けまして、鋭意検討を進めておるところであります。ただ、御承知のように、かりに義務教育を受けておりまする中学生以下の児童全部に一人当たり月額千円を給付するといたしまして、三千億くらいの原資が必要になるわけでございます。そこで、これを全部一ぺんに行なうことが財政等の関係からなかなか困難な事情もありまして、しからば低所得階層から順次年次計画でもってこれの支給範囲を広げていくかどうか、また、その額をどの程度にすべきであるかという問題、また、給与所得者等におきましては家族手当制度というのがあるわけでありますが、その中には子供さんの養育その他のことも考えてああいう制度が行なわれておる、そういうものとの関連をどうするか、いろんなむずかしい問題があるわけでありまして、そういう点等につきましてただいま鋭意検討を進めておるところであります。私どもは、はっきりしたタイムテーブルをまだきめておりませんけれども、昭和四十三年ごろまでには何とか実施に移せるようにというような心組みで諸般の準備を急いでおる、こういう段階でございます。
#55
○松山委員 行く行くは富める児童もあるいはまた貧困な児童も、全部にわたって児童手当が実施されるというような方向にいくわけでございましょうから、少しも早くそうした日のくることを、私はほんとうに希望するわけでございます。
 次に、重度精薄児扶養手当法の改正についてお尋ねしたいと思います。
 このたびの重度精薄児扶養手当法の改正は、いままでの重度精薄児と同じような状態にある、身体に重度の障害がある子供たちも含めて新しく手当を支給するというわけでございますから、それ自体、これもまたほんとうにけっこうだと思うのですけれども、いささかおそきに失したような感がないでもないと私は思います。ことにこのごろ、非常に新聞あるいは書物等におきましていろいろと重度精薄児、重度心身障害児の問題が取り上げられて、いまはほんとうに社会一般にこれは大きく問題となっている時期でございますので、おそきに失したとはいうものの、今国会でこの改正がされるということは非常にけっこうなことだと思うのでございますけれども、これにつきましてもいろいろとやはり制限等がありまして、ほんとうに気の毒な――私はことに女でございますので、女の立場で、母親の立場で、ああいう心身障害児をもしもかかえていたならばというようなことを考えましたときには、ほんとうに人ごとのようには思えないのでございますけれども、これについてもいろいろな制限があって、そういう気の毒な家庭にせっかく政府の思いやりのある施策が行き届いていかないという面がたくさんあると思うのでございます。大体全国で、この重度精薄児扶養手当法の今度の改正に該当して、その改正の恩恵を受けられるような人たちがどれくらいいるものでしょうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#56
○竹下(精)政府委員 今度の法律改正によりまして、対象児童数の……。
#57
○松山委員 いままでのを全部含めて。
#58
○竹下(精)政府委員 現在、重度精神薄弱児扶養手当法の支給を受けております人は九千六百七十でございまして、これは四十年の十月末現在でございます。このほかに、今度の改正によりまして重度精神薄弱児関係が一万三千百名、それから重度身体障害児関係が六千二百五十名、合わせまして一万九千三百五十というのが四十一年度予算の対象数になっておる次第でございます。
#59
○松山委員 私がちょっと聞いておりますところでは、最初この重度精薄児扶養手当法ができましたときに、大体当局で、全国のその該当者を三万くらいと見込まれたように聞いておるのでございますけれども、そういたしますと、大体そのようにお見込みになったのに、実際には、最初そのワク内に入りますのが一万に満たなかったわけでございます。それは結局いろいろな制限がきびし過ぎて、そしてそれに該当しないということが言えるんじゃないかと思うのでございます。せっかく厚生省がいい案をお立てになって、そうして全国のこうした不遇な人たちにあたたかい手を差し伸べようとする意図があっても、その制限がきびし過ぎてそれに該当しないで、せっかく見通しを立て、三万ということでおそらくそういった予算措置もなされたと思うのですけれども、残念なことに三分の一しかそれに該当する者がいなかったということ、こういうことは非常に残念だと思いますけれども、そういう最初のお見通しが、そういうふうに狂っていたということは事実でございましょうか。
#60
○竹下(精)政府委員 精神薄弱児の対象の数につきましては、実はいろいろございまして、調査のたびに数字が違っておるような状況でございます。これはまあ判定基準その他の問題もあろうかと思います。また、全部を調査するわけにはまいりませんので、勢いどうしても推定数を使う、こういうことでございまして、当初に予定されました三万につきましては、ただいま先生に申し上げましたように、実際に支給している数は約一万を切っている、こういう状況でございます。したがいまして、精神薄弱児の調査というものをしっかりさせる必要があるんじゃないかということで、それにつきましては今年度調査を行なう予定でございます。なお、この問題につきましては、御承知のような所得制限の問題もございます。また、手続等の問題、それに比較いたしまして手当額が必ずしも十分でない、こういう問題もございます。先ほど申し上げましたように、こういう子供がいるということにつきまして隠したがるという習慣もまだ全然ないとも言えません。というような次第でございまして、そういうような種々な原因からいたしまして、三万という予定が現在約一万を切っている、こういう状態でございます。
#61
○松山委員 いまの御説明によりまして、まあいろいろな原因があって、その数が非常に違ってきたというわけでございましょうけれども、この所得制限がきびし過ぎるために該当しなかったというようなのはどれくらいの数になりますか、おわかりになりませんでしょうか。
#62
○竹下(精)政府委員 具体的には、この手当を受けるにつきまして児童相談所その他で相談があるわけでございまして、そのときに所得制限の問題がすぐ出てくるわけでございまして、該当しないという場合には申請を出さないというわけでございますので、実際にどのくらいの人が該当しないかということにつきましては、資料としては十分資料がございません。
#63
○松山委員 それはまたいずれ機会を見ましてお伺いしたいと思います。
 このたび、給付額の引き上げが児童扶養手当その他には行なわれているわけですけれども、重度精薄のほうでは手当額の引き上げはなかったのでございますね。これはどういうわけでございましょう。
#64
○竹下(精)政府委員 重度精神薄弱児扶養手当につきましては、こういう障害の重い子供さんを持っておる扶養者につきまして手当を出すということでございまして、そういう面からいたしますと、現実には、そのために非常に金を使っておるという面も多々あろうかと思うわけでございます。ただ、本来の扶養手当の性格につきましては、成立の当初から問題がございまして、所得保障であるのかあるいは特別の介護費であるのか、こういう点が議論になったわけでございます。そういう面、私どものほうでもいろいろ検討した結果といたしまして、やはりこれは特別介護という面を主として考えるべきではないか、所得保障というよりも介護費という面で考えるべきではないか、こういう性格づけをいたしたわけでございます。そういう点からいたしますと、精神薄弱児のみならず、重度の身体障害児にも及ぼすべきである、また、所得制限の大幅な緩和、あるいは公的年金をもらっておりましてもこれをあわせて支給する、こういうふうにやっていくべきではないかということで、手当の額ももちろん大事でございますけれども、性格を明らかにするという面で範囲の拡大ということを今年度は実現したわけでございまして、今後につきましては、所得制限の緩和あるいは公的年金の併給ということでこの手当の性格を明らかにしていきたい、かように考えておる次第でございます。
#65
○松山委員 私は、この重度精薄の扶養手当につきましては、前段の児童扶養手当以上に給付額の引き上げ、あるいはまた、所得制限の緩和をやっていただきたいと思うのでございます。おそらく子供を持つ親として、子供の成長を唯一の楽しみにするのが普通一般の家庭でございますが、こういう心身障害児を持ちました家庭におきましては、子供の成長を楽しむというよりも、全然将来に何の希望もなく、毎日毎日がおそらく暗い生活の連続であろうと思うのです。何かの本に出ておりましたけれども、普通でございますと子供たちがいたずらをいたしまして障子を破いたりなんかいたしますと、母親はそれをしかるのが普通でございましょうけれども、障子のところまで自分の力ではっていって、そうして障子を破いたということが、もうほんとうに涙が出るようにうれしかったという母親の気持ち、これはまさにそういった子供を持った母親の実感であろうと思うのです。そういうようなほんとうに気の毒な家庭がたくさんあるわけでございまして、それがちょっとしたわずかの差、所得がわずか多かったばかりにワク内に入らない、該当しないということで政府の恩恵も受けることができない。そして、たいていそういう家庭はほんとうに貧困家庭が多いわけでございますので、どうぞ今後とも給付額の引き上げ、それから所得制限の緩和にはぜひとも大きな御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。
 それから、簡単にあとお伺いしたいのでございます。この対象となる児童の診断でございますけれども、これはなかなか、いろいろと高度の医療技術といいますか、診断方法によらなければきめられないのではないかと思いますが、そのためには、たいへん高額の費用が要るのではないかと思いますけれども、いまどういうような方法でこの診断をやられているのでしょうか。
#66
○竹下(精)政府委員 各県に児童相談所あるいは精神薄弱者更生相談所、それから最近つくられつつあります精神衛生相談所、こういう公の機関をもちまして、できるだけそこに所属のお医者さんに診断をしていただく、こういうことをお願いをしているわけでございますが、ただ、遠隔の地その他でできない場合もございますので、そういった場合には、地元にありまする医師の診断ということをやっておるわけでございます。なお、そういう場合には、児童相談所から巡回車その他が参ったときにさらに診断をつけ加える、こういうようなことでやっている次第でございます。
#67
○松山委員 こうして両方の法案を通じて私どもが感じることは、何としても公的年金を受けている場合に対象とならないということで、これでは、せっかくこうした家庭に恩恵を受けさせようという政府の気持ちが、結果的には、実質的には全然何にもならないようなことになるわけでございますので、この両法案を通して、両方とも、とにかく世間一般の普通の家庭から見ますと、いろいろな重荷を背負い、特殊な不幸を背負っている家庭であるわけでございますから、ぜひともこの給付額の引き上げ、それから所得制限の緩和ということは深く頭に置いて、今後この対策をお願いしたいと思うのでございます。
 そして私、最後にちょっとお聞きしておきたいことは、いままでいろいろとお尋ねしてまいりましたけれども、この重度精薄扶養手当法の改正で、いままで施設に入れることができないで、忙しい家庭生活の中で、とにかく一人の子供に家族のだれかがつきっきりでいなければならないような子供たち、重度心身障害児はそういう状態の子供でございますから、おそらく食事から自分の衣類の脱ぎ着、あるいはまた排便、とにかく日常生活のすべてに人の手をかりなければやっていけない子供をそういう貧困な家庭の中にかかえているわけでございます。たとえどんなに財力がある家庭といたしましても、精神的、肉体的、物質的の負担、苦労というものは容易ではないと思うのでございまして、幸いにして本年度は、国立の重症心身障害児の収容施設が全国で十一カ所でございますか、五百二十床ができまして、そういう施設の拡充整備によりまして、だんだんに在宅のそういう重度心身障害児がそういったところに吸収されていくようになれば、ただいま問題になっておりますこの法案なども解消されていくわけだと思うのでございます、全部が行き届いた施設に収容されるような時代がくれば……。しかし、なかなかそれは前途ほど遠いことだとは思いますけれども、とにかく在宅のそうした子供をかかえて苦労している家庭、それからまた、国立の行き届いたりっぱな施設ができたといたしましても、そこに働く医師、看護婦、職員、そういったような人たちの充足が思うようにいっておりませんと、せっかくできました、みごとな施設も全然役に立たないということになるわけでございますが、そういった場所があるようなことも聞いておりますので、ちょっとこの機会に、医務局の方はいらしていないと思いますけれども、お耳になすっていらっしゃる程度でけっこうでございますから、本年度できました国立のそういった施設には、医師、看護婦、職員、そういう人たちが充当されるように配置の対策ができておるのでしょうか、おわかりでしたら、ちょっとお答えいただきたいと思います。
#68
○鈴木国務大臣 ただいま松山委員から、両法案につきまして結論的な御所見を交えてのお尋ねがあったわけでありますが、こういう気の毒な子供さんたちの児童扶養手当なり特別児童扶養手当なり、この手当の制度だけでなしに、総合的な諸施策を講じて、ほんとうにその福祉のための対策が十分行き届くように政府としても努力を払っておるところでございます。
 現在、重度精薄児の施設といたしましては、全国で二百二十カ所ございます。また、重度身体障害児等の施設は六十八カ所ございます。また、今回は、特に気の毒な重症心身障害児のために国立の収容施設を全国で十一カ所、五百二十床設置することにいたしたのでありますが、この重症心身障害児だけを取り上げましても、なお一万六千人くらい収容して療育を要する子供さんがおるわけでございますので、政府としては第一次の計画として、少なくともその三分の一程度を収容する施設をつくりたいということで、昭和四十一年度に、その第一年度としての五百二十床、十一カ所というものをつくることにいたしたのであります。そのほかに、重症心身障害児や、また障害者の総合的な収容施設としてコロニーの設置計画を進めておりまして、群馬県の高崎市郊外にこれを設置するということで、用地等の決定もいたしたような次第でございます。
 ただいま松山さんからお話しの、そういうお子さんをかかえた御家庭の苦労というものを私どもよく承知いたしておりますので、今後できるだけ収容施設を増置いたしまして、一人でも多くの子供さんたちをそこに収容できるように、政府としても最善を尽くしてまいりたいと考えております。
 最近は、幸いにいたしまして各都道府県におきましても、また大きな市町村等におきましても、こういう施設の必要というものについてだいぶ御認識が深まってきておりまして、そういうものを設置したいという機運も出ております。また、民間におきましても同様の機運が出ておりますので、政府としても各方面の御協力を得まして、そういう収容施設が全国に行き渡るようにさらに一そうの努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
 ただ、そういう施設に収容いたします場合でも、いまお話がありましたように、介護のための、療育のための介護職員が非常にたくさん要るわけであります。今回四十ベッドを一単位として国立の収容施設をつくるのでありますけれども、それには、お医者さんはじめ看護婦さん等合わせて三十名の介護職員が要る。四十ベッドに対して三十人の介護職員が要るというように、非常にたくさんの人手を必要とするのであります。そこで、今後国立療養所、病院等におきましても、そういう介護職員の養成という面につきましてもただいま努力をいたしております。また、十一カ所の国立の収容施設を今年の年度末にはぜひ開設をしたい、こういう考えでおりますので、厚生省の中に、医務局、児童局、社会局等でこれに対する準備委員会を設けまして、そしてその開設についての諸般の準備を、手落ちのないように万全を期しておるところでございます。
#69
○松山委員 いま厚生大臣のお話によりまして、重度障害児対策の厚生大臣としてのお考え、基本方針とも申すべきようなものをお伺いしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、とにかく国でそういった施設を拡充整備いたしまして、不幸な子供たちをそこに収容することによりまして、ただいまいろいろと問題になり、あるいは改正などされておりますこの法案自体も解消されていくと思うわけでございますので、ぜひ今後とも、いまお話しのような方向に向かって推進していただきたいと思うわけでございます。もちろん、いまのお話の内容を伺って大体わかるわけでございますが、明年度以降も国立のこのような施設をどんどんふやしていらっしゃるおつもりでございますね。
#70
○鈴木国務大臣 先ほどお話し申し上げましたように、第一期の計画といたしまして、五千人程度を収容する施設をまず目標として、計画を進めておる次第であります。
#71
○松山委員 終わります。
#72
○竹内委員 いま精神薄弱のことが議論になっておりますので、関連してちょっとお尋ねしたいと思います。と申しますのは、先天性代謝異常というものは、幾つか精神薄弱に関係ありというので、特にフェニルケトン尿症というものが代表的なものとして指摘されております。そのフェニルケトン尿症につきましては、たしか竹下局長は、この委員会におきまして、東京におきましてはその検診を現在やっておるというような説明を聞いたような気がします。なお、その際に、竹下局長は、東京都だけでなくて、広く全国の地域に普及していきたいというお考えであるというように承ったような気がするのですが、その東京都以外に対する普及計画というものは現在できておるのかどうか、また、どういったところが次の対象に考えられておるのか、その辺のところをちょっとお知らせ願いたいと思います。
#73
○竹下(精)政府委員 フェニルケトン尿症の診断の方法としまして、簡単なテストペーパーで診断できるということでございますが、これにつきましては、現在、東京都の保健所の全部ではございませんけれども、一部で実施しておる。それからまた、岡山県、兵庫県というところは、県の方針としてそういう対策を打ち出しておるわけでございます。なかなか予防の問題はむずかしい問題でございますけれども、フェニルケトン尿症はいわば予防ができる、また、発見ができる可能性があるわけでございますので、そういう趣旨で、これは来年度以降になりますけれども、乳幼児の検診その他でこういうものを調べて、対策を講じていきたいという考えでいま検討を進めている次第でございます。
#74
○竹内委員 フェニルケトン尿症につきましては、早期発見並びに早期治療が可能でございます。特別なミルクによるところの治療方法というものも、すでに明らかになっておるわけであります。現在、そのミルクというのは特別なミルクでございますが、そういったものについて公費負担か何かあるのでございますか。
#75
○竹下(精)政府委員 現在このための特別な公費負担はございませんで、健康保険の適用になっておりますので、健康保険の適用で現在やっておるという状況でございます。
#76
○竹内委員 精薄に関係あるもので、しかも早期発見と申しますか、予防の可能なものの一つとして、例の母子の血液型不適合の問題があるわけでございます。ABO、RhのD因子の問題などでございますが、最近某新聞社から「ママの血液型」という本が出ました。それを私拝見したわけですが、実はその本の推薦人が、何と鈴木厚生大臣でございます。ぜひとも全国民必読の書である、こう書いてある。私も全く同感なのでございまして、母子の血液型不適合という問題は、赤ちゃんが生まれたときに直ちに臍帯の血液をとって調べれば、ほとんど予防可能であるということでございますので、こういった制度などは、私はむしろ政府において義務化したほうがいいのじゃないか。産院において分べんがあった場合、直ちにそういうものを検査するということを義務化したほうがいいのじゃないか。そういう意味において、これはぜひ一日も早く政府で取り上げてもらいたいと私はかねがね思っておったところに、鈴木厚生大臣がみずから本の推薦文までお書きになった。こういう意味において、必ずやこれは鈴木厚生大臣が実現されるであろうと思うわけでありますが、ひとつ大臣から力強いおことばを承りたいと思います。
#77
○鈴木国務大臣 ただいまの問題は、予防の面からいたしましても非常に重要な問題であり、私どもとしても、来年度予算におきましてぜひこれが実行に移せるように十分努力をする考えでございます。
#78
○田中委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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