くにさくロゴ
1949/04/28 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第11号
姉妹サイト
 
1949/04/28 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第11号

#1
第005回国会 労働委員会 第11号
昭和二十四年四月二十八日(木曜日)
    午後零時七分開議
 出席委員
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 角田 幸吉君 理事 福永 健司君
   理事 三浦寅之助君 理事 吉武 惠市君
   理事 前田 種男君 理事 川崎 秀二君
   理事 春日 正一君 理事 島田 末信君
      大橋 武夫君    小淵 光平君
      佐藤 親弘君    篠田 弘作君
      塚原 俊郎君    松野 頼三君
      青野 武一君    大矢 省三君
      土橋 一吉君    石野 久男君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 鈴木 正文君
 出席政府委員
        労働政務次官  山崎 岩男君
        労働事務官
       (職業安定局長) 齋藤 邦吉君
        労働事務官
       (失業保険課長) 亀井  光君
 委員外の出席者
        專  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七二号)
 職業安定法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七五号)
 緊急失業対策法案(内閣提出第八六号)
 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一一三号)
    ―――――――――――――
#2
○倉石委員長 これより会議を開きます。
 前会におきまして職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、右三案の質疑を終了いたしましたので、三法案を一括議題に供し、討論に入ります。討論は通告順に行います。三浦寅之助君。
#3
○三浦委員 ただいま上程になつておりまする職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、以上三案は原案通り賛成いたします。但しこの際希望を申し上げておきたいと思います。今後の社会情勢に應じまして、失業老が相当多量に出ることを考えるのでありまするが、そういう際においては、政府当局におきまして緊急対災を講じまして、それに適應するところの適当なる処置を講ぜられるように希望いたしておきます。
#4
○倉石委員長 青野武一君。
#5
○青野委員 緊急失業対策法案と、職業安定法、労働者災害補償保険法の三つが討論の対象になつておりまするが、私たちはこの法案の重大性にかんがみまして、この立法には原則として賛成でありまするが、條文の内部をしさいに検討してみますと、字句あるいは法文の精神において、非常にわれわれと意見を異にするところがたくさんあるのであります。
 第一は、第九條の失業対策事業の費用であります。これは八億八百余万円を計上されておりまするが、この程度では緊急失業対策はほとんどでき得ない。労働大臣の答弁もしばしば聞いておりますが、急速にこの予算措置、つまり補正予算を出してもらいまして、いつでも大量の失業者を緊急に救済する方法を講じてもらう裏づけとして、予算を十分にとるために、努力してもらいたいということを、われわれは強く要望するものであります。
 その次第十條の二項に、労働大臣が失業者の賃金を決定することが規定してあります。また同一地域で、同一職種である労働者に支払われておる賃金より、失業者に支払われます賃金は、その五分を引いて、いわゆる普通支払われる労働賃金より安いものを支給する点に至りましては、これは職業安定局長の答弁も聞いたのでありますが、私どもはこの点に納得が行かないのであります。固定した工場に働いておる労働者が、失業対策事業に欣然として参加するということは、常識上考えられません。そこで固定した会社、工場に働いておる労働者と大差のない賃金を支給することが、当然であると考えております。第十條の雇い入れを拒否する條項でありまするが、公共職業安定所が責任を持つて紹介した失業者を、事業主体がこれをその能力から見て拒否する。これは非常に重大な問題であります。私もみずから経験を持つておりますので、質問のときにも申し上げましたが、政党と政党が、國会あるいは國会外で、激烈な対立を続けて行くことが予想されておりまするとき、また労働組合に関係を持つておりまする戦闘的な、しかもまじめな指導者が、大量に失業者の群れに追い落されて行くことを予想しまするがゆえに、そういう立場に立つた人々は、よし公共職業安定所の門をくぐつて、失業救済事業に從事とすることになりましてむ、たとえば筑豊炭田、あるいは北九州、福島縣の常磐炭田におきましても、おそらく事業主体が巧妙な方法によつて、失業者を使うことを拒むであろうということを、想像し得るのであります。この点につきましては労働大臣は、さようなことは断じてもりませんという答弁でありましたが、これは予想し得るのであります。この点につきましては労働者のサービス省であります労働省が責任を持つて、もし反動的な事業主体がそういう行為に出ましても、これこそ不当労働行為でありますがゆえに、断固嚴罰をもつて臨み、さようなことのないようにわれわれは希望してやまないものであります。あるいは職業安定法の一部を改正する法律案にいたしましても、労働者災審補償保険法の一部を改正する法律案にいたしましても、條文を読んでみますといろいろな箇所に不備な点がありまするが、先ほども申しましたように、この三法案は保護立法でありまするがために、一日も早くこれが成立をわれわれは希望するのでありまして、條文に不備な点があることについては、これの運用にあたつて、特に労働省が責任を持つて不備な点を補つて行くように、十分の配慮と注意を私どもは要求してやまないのであります。
 なお労働省の出先官廳でありまする労働基準監督局、あるいは婦人少年局の出先、あるいは公共職業安定所等の関係者が、在々にして官僚的な態度をもつて失業者諸君に臨んでおる、労働階級の諸君に、常に官僚的な態度をもつて不親切に臨んでおる点は、労働省の責任において、あくまでも是正してもらいたいというを、私どもは強く要求するものであります。
 従つて以上緊急失業対策法案、職業安定法の一部を改正する法律案、労働春災害補償保険法の一部を改正する法律案の三案につきましては、ただい宋申し上げましたような第九條、第十條、第十一條その他不備な点については、運用にあたつて善処してもらうことを強く要求いたしまして、社会党といたしましでは、このわれわれの要望を委員長報告の文案の中に十分取入れ、そして本会議に報告を願いたい。であります。社会党といたしましては、以上の要望をつけ加えて、原案に賛成することにいたす次第であります。
#6
○倉石委員長 川崎秀二君。
#7
○川崎委員 ただいま討論の対象となつておりまする三案に対しまして、第九控室民主党を代表して、賛成の意見を申し述ぶるものであります。労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、職業安定法の一部を改正する法律案は、ただいま民主自由党並びに社会党の代表者が申されました趣旨と、ほぼ同様の考えをもちまして、賛成の意を表するものであります。緊急失業対策法案は、法律そのものとしては、今日の時期において適当な法律だと思いまするけれども、失業問題は、今や日本経済の新しい再編成期において、最も重要な問題として登場をして参つておるのであります。私は、戦争は現代文明下におけるところの最大の罪悪であり、同時に平和時における最大の罪悪は、人間生活を危殆に瀕せしむるという意味で、失業問題であるという考え方を持つております。企業整備、行政整理の強行をしなければ、日本の経済は立ち直らない。新しい國際経済に参加するために、当然行わるべき二大要目ではありまするけれども、これに件つて起るところの失業者の増加ということは、われわれ為政家にとつて、最も関心を要する問題であると思うのであります。ドツジ・ラインの示すところによつて当然長期経済計画は変更をされなければならない。しかるにいまだに安本長官は、本会議、委員会を通じて長期経済計画に対する修正の内容を具体的に示しておらないことは――近來労働者が経済の実態について深き関心を有し、生産の増加こそ、日本経済を立て直して行く唯一のかぎであるということを自覚いたしております関係上、特に長期経済計画の生産の数字がはつきり現われないということについて、私は非常に遺憾の意を表するものであります。この問題と並行して、おそらく長期経済計画の中に失業対策は大きく反映をし、そうして着実に解決をされて行かなければならないと思います。労働大臣はしばしば本会議並びに委員会を通じて、失業問題は終局的には、國民経済の中における新しい雇用量の増加ということが、決定をするものであるという言葉を、好んで使つておられまするが、私はその終局的な解決方法については、同感の意を表しつつも、その過程におけるところの收拾方策を、いかに具体的に展開して行くかということに関して、今日緊急失業対策法ができても、その内容に盛られるところの対策がなければ、払つくつて魂入れずという形になりますので、これらの点については、政府はすみやかに実質的な失業対策を立てなければならない。これらの問題を委員長報告の中に強く反映をしていただくということを要望いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
#8
○倉石委員長 春日正一君。
#9
○春日委員 共産党を代表してこの職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案、それから労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案の三案に対して、反対の意見を表明するものでございます。
 職業安定法の一部を改正する法律案についてみますと、大体改正の主になつておるところは、学校における職業の紹介を学校長に十分やらせるという趣旨、それから労働者の作業訓練に対して、労働省が特別に訓練された補導官を派遣するというような点が、主になつておるのでありますけれども、大体学校の教員に職業のあつせんをやらせるということは、決して好ましいことではない。しかし現在の状態は、職業安定所が手が足らぬということで、何とかあつせんしなければならないということは、実情においては学校でも今までやつて來ておるから、これだけの点について特に取上げて反対というわけではないけれども、しかし学校の方でも教員が整理され、受持の児童の数が多くなるという状態で、非常に労働が過重になつておるときに、さらに職業紹介の仕事まで学校に押しつけるということ、それと一方では、この職業紹介機関であるところの職業安定所についても、人員の整理が傳えられるという状態を考えてみると、これは一口に言うと、労働省で職業安定関係者を首切つて、そのしりぬぐいを学校にさせるという結論になつて來る。そういうようなことから來るいろいろな弊害、たとえば特定の職業係を置くために、学校に一種のボスができて、いろいろの実情が発生する。あるいは学校に職業紹介をまかせると、職業安定所の方では学校にやらせるからということで、おつつけごつこをするような弊審も出て來るおそれがある。さらに職員の給與の問題ですが、労働省の予算で出すべきものを、現在少い文部省の予算の中で、教員の奉仕的な仕事としてしいられて行かなければならぬという点を考えてみると、やはりこういう点をはつきりさせなければならない。それからさらに職業補導は無料でやるというように法律ではなつておりますけれども、しかし生活の保障がないために、実際の補導所の利用ということは非常に率が低い。むしろ生活費の保障をやつて、十分補導所を利用できるように改正すべきであつて、こういう点が改正点に盛られて小ない。それから補導員を職場に派遣するという点は、質問においても技術の指導というよとに答えておりますけれども、しかし組長の技術というものは、労務管理の技術である。そういうことに労働省が人を養成して派遣するということになると、いろいろな弊害が出て來るという意味で、こういうような改正に対しては、賛成できない。こういう点からこれは反対するわけです。
 それから緊急失業対策法の方は、趣旨としては大体私どもも今失業が出て來るという目先の問題としては、異議はないのでありますけれども、先ほど來多くの人から言われているように、予算の裏づけがない。これは労働大臣の方から何としても捻出するというお話なので、この点だけではまだ問題はたいのでありますけれども、たとえば第十條、第二項の賃金額を低くする。これは失業者の救済だから、低くしなければぐあいが悪いというりくつも、一應はあるようでありますけれども、現在の賃金は決して十分な賃金ではない。実際それだけの賃金でも足りないというのが実情です。そういうときに、一般よりも低くするということになりますと、失業対策をやつても、そういう効果は非常に減殺される。だから十條二項はやはり削除する。それから十一條の雇い入れ拒否の條項、これも濫用されるおそれがあるから、削除したいとわれわれは考える。つまりこういう條項が入つている以上、賛成はできない。
 それから労働者災害補償保険法でありますけれども、この改正の中で大体読んでみますと二十八條で保険料金が実質的に引上げになる。それから追徴金、延滞料、あるいは納期の指定というように、最近の経営の困難から保険料金を滞納するという問題に対して、取立てを強化して行くという面がほとんど改正の中身であつて、ただ改正されたという言葉をそのまま使えるものは、船舶を強制加入に入れたという点にすぎない。従つて現在の労災法の中で特に緊急に改正しなければならない問題といえば、たとえば第十七條、第十八條、第十九條のような場合でありまして、使用者の責めに帰すべき不実の申告だとか、保険料の滞納、あるいは故意または重大な過失のために保険料を支払わないときは、保険給付の全部または一部を支給しないことができるというふうになつておつて、使用者の過失で実際の損害をこうむるのは、労働者になつておる。こういう点がむしろ改正されるべきではないか。あるいは昔から業務上の災審は、公傷という言葉でいわれておりまして、健康保険で六割もらつておつて、あと四割は会社で補助して、大体公傷の場合は、けがしたその日から全額補償されて休めるというふうになつておつたのが、最近こういう法律ができてから、六〇%という原則ができたために、けがした者はしかたなしに休むけれども、珪肺のごとき病氣の人は、この六〇%では家族を養つて行けないというために、倒れるまで働くので、早期治療ができない。だから労災補償法を改正するというならば、こういう点こそ改正すべきであつて、罰則の強化云々ということによつて、保険料の滞納を取立てるという点は、今さしあたつて特に改正する必要はないと思う。そういう意味で反対します。
#10
○倉石委員長 島田末信君。
#11
○島田委員 私は民主党の第十控室におる者でありますが、この際党を代表して、ただいま議題になつております。三案に賛成するものであります。この際いささか所感を述べますならば、まず職業安定法につきましては、そのうちで有料職業紹介所は原則的には認めていないのでありまして、ただ過渡期の補助機関としてこれが運営をやつて行くということになつておりますが、そういう過渡的な必要性から生れておる有料職業紹介所でありますから、有名無実に終らないように、その必要性を十分活用して行くためには、当局の配意が特に必要だろうと考えるのであります。この点につきましては、万全の措置をお願いしたいと思います。
 次に緊急失業対策法案におきましては、いずれ九原則の実施に伴いまして、あるいは行政整理、あるいは企業の合理化、あるいは潜在失業者の顕在化というような各方面から、失業者が非常に増大するであろうという予測は、一般に通ずるところでありますが、それに対しましては、今日の予算は必ずしも十分とは申されません。これにつきましては今後労働大臣の政治力の発揮に御期待申し上げる次第であります。
 次に労災法につきましては、労働者保護立法の精神から申しますれば、結果として現われる労災者の補償、あるいは保護救助という面よりも、未然にこれを防いで、労災者を一人でもなくするというのが、本來の精神であると考えますがゆえに、労災法の十分なる運営、あるいは活用と同時に、未然に防止する面に十分当局として御努力あらんことを、特に要望申し上げたいのであります。右所感を述べまして、原案に賛成するものであります。
#12
○倉石委員長 石野久男君。
#13
○石野委員 私は労働者農民党を代表しまして、ただいま上程になつております三案のうち、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案に対しましては賛成いたします。緊急失業対策法案及び職業定定法の一部を改正する法律案の両案に対しては反対をするものであります。
 まず職業安定法の一部を改正する法律案につきましては、先ほど來各委員の申されてお力ますように、特に有料職業紹介事業に関しましては、本來これは行つてはならないと考えられるのでありまして、今日この有料職業紹介がなされることに関しまして、多くのその点から來る疑義を持つておる。それからなお学校職業紹介につきましては、いわゆる職業安定所の学校行政に対する、少くともそこから來る干渉が生れ出るという疑義を持つものであります。私どもとしましては、これに対しましてもつと違つた考えで臨みたい。こういうふうに考えておるのであります。なお、学校職業紹介に関しましての件につきまして、特にこの六十五條で規定しておりますところの刑罰に相当するものが、非常に苛酷であるというふうに思うのであります。以上のような点、その他いろいろこの法案の中に盛られておりますところの考え方等につきまして、私どもは原案に対して反対するものであります。
 それから緊急失業対策法案につきましては、先に春日委員からも言われておりますように、その法案の第十條及び第十一條におきまするところの規定は、削除すべきものであるというふうに考えております。とにもかくにも「同一地域において同一職種に從事する労働者に通常支払われる賃金の額より低く定めなければならない。」というような規定の仕方については、われわれ労働者の基本的な権利という面からいたしましても、どうしても納得が行かないものであります。また職業紹介所が適当なる者として紹介した者が、事業主におきまして、不適当と認められる場合は、これを雇い入れることを拒むことができるという考え方、そのことに関しましても、いわゆる職業選択の自由を奪うというふうに考えられますし、またこのことは、職業安定法の職業紹介事業の持つその趣旨に対しても、相反するものであるというふうに考えまするので、これらの点につきまして、私どもは、第十條、第十一條は削除されるべきであるというふうに考えられます。なおまたこの法案の設定される緊急性、今日における安当性は認められるのでありますが、それに対して今日政府のとつております予算の面におきましても、非常に不十分なものがございます。失業対策費としての八億八百余万円という額が、非常に僅少であるということは、各党の議員が認められるところでございます。われわれはこれらの点についても、非常に不満を持つております。以上のような観点から、緊急失業対策法案に対しまして、わが党としましては反対の意思を表明するものであります。
#14
○倉石委員長 これにて討論は終局いたしました。
 職業安定法の一部を改正する法律案及び緊急失業対策法案を一括採決いたします。右両案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#15
○倉石委員長 起立多数。よつて両案はいずれも原案通り可決いたしました。
 次に労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を採決いたします。右案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#16
○倉石委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。
 なおただいまの三案の報告書の作成は、委員長に御一任を願うことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○倉石委員長 御異議なければ、委員長にてさようにとりはからいます。
 なお失業保険法の一部を改正する法律案の審議は、次会に延期いたします。
 本日はこれにて散会いたします。次会は明後三十日午前十時より開会いたします。
    午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト