くにさくロゴ
1965/04/13 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 産業公害対策特別委員会 第11号
姉妹サイト
 
1965/04/13 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 産業公害対策特別委員会 第11号

#1
第051回国会 産業公害対策特別委員会 第11号
昭和四十一年四月十三日(水曜日)
   午前十時十二分開議
 出席委員
   委員長 井手 以誠君
   理事 奥野 誠亮君 理事 小山 省二君
   理事 丹羽 兵助君 理事 保科善四郎君
   理事 南  好雄君 理事 中井徳次郎君
   理事 野間千代三君
      浦野 幸男君    川野 芳滿君
      熊谷 義雄君    堀川 恭平君
      山本 幸雄君    久保 三郎君
      肥田 次郎君    吉川 兼光君
 出席政府委員
        運輸政務次官  福井  勇君
 委員外の出席者
        厚 生 技 官
        (環境衛生局公
        害課長)    橋本 道夫君
        通商産業事務官
        (企業局産業立
        地部長)    中川理一郎君
        運 輸 技 官
        (自動車局整備
        部長)     宮田 康久君
        参  考  人
        (東京電力株式
        会社常務取締
        役)      白澤富一郎君
        参  考  人
        (株式会社日立
        製作所機械研究
        所所長)    杉本 正雄君
        参  考  人
        (中部電力株式
        会社常務取締
        役)      河内 武雄君
        参  考  人
        (三菱重工業株
        式会社技術本部
        技術管理部長) 岡村 健二君
        参  考  人
        (日本石油精製
        株式会社副社
        長)      新井  浩君
        参 考  人
        (出光興産株式
        会社取締役)  北脇 金治君
        参  考  人
        (日産自動車株
        式会社常務取締
        役)      前田 利一君
        参  考  人
        (トヨタ自動車
        工業株式会社常
        務取締役)   梅原 半二君
        参  考  人
        (東洋工業株式
        会社常務取締
        役)      河野 良雄君
        参  考  人
        (富士重工業株
        式会社常務取締
        役)      飯野  優君
    ―――――――――――――
四月十三日
 委員江崎真澄君辞任につき、その補欠として浦
 野幸男君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員浦野幸男君辞任につき、その補欠として江
 崎真澄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 産業公害対策に関する件(ばい煙等及び自動車
 排気ガス対策)
     ――――◇―――――
#2
○井手委員長 これより会議を開きます。産業公害対策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会におきましては、先般特に油による海水汚濁防止に関し決議をいたしており、目下自動車排気ガス対策、脱硫対策等、産業公害対策樹立のために調査を進めております。昨日は、産業公害対策一般につきまして参考人各位から貴重な御意見を拝聴いたし、調査を進めていく上にたいへん参考にさせていただきました。本日は、本委員会が重大な関心を持っておりますばい煙対策、特に排ガス並びに重油からの脱硫の問題に関しまして、参考人各位にはすでに調査、研究を進められておりますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
 なお、参考人の御意見の開陳は、おおむねお一人約十五分程度といたしまして、あとはまた委員の質疑の際お答えくださるようお願い申し上げます。
 それではまず、排気ガスからの脱硫対策につきまして、東京電力株式会社常務取締役白澤参考人にお願いいたします。白澤参考人。
#3
○白澤参考人 白澤でございます。
 国会におきます産業公害対策委員会の模様を議事録で拝見いたしますと、諸先生方には熱心に討議を進めておられますので、私の報告いたしますことも、これと重複するところが多いと思いますが、この点まず御寛容願いたいと思います。なお、電気事業者として初めて、冒頭のことでありますので、その点もまた少し冗長にわたるかと思いますが、御寛容を願いたいと思います。
 電気事業は、現在わが国の総エネルギーの三分の一に近いエネルギーを供給しておるのでございまして、その占める率はだんだんとふえてくる傾向にあります。したがいまして、産業、経済、文化の基幹産業でありまして、また公益的性格も強いのでございます。その社会的な使命は特に大きいと思います。われわれ電気事業者としては、常に電気の豊富な、良質な、しかも低廉な供給につとめるとともに、社会的経営に精進いたしておるのでございます。公害防止も、社会的経営という観点から見れば一つの大きな問題でありますので、この対策には前向きに、積極的に取り組んで努力いたしておるつもりでございます。
 わが国の電力の需要の伸び方は、常に国の総生産の伸び方よりも二、三%多いのでございまして、これに供給するために発電力をふやしていかなくてはならないわけでありますが、経済的に開発できます水力も枯渇してまいりましたので、三十七年以来は、従来の水主火従から火主水従に移行してまいりました。しかも、これからもますます火力によらざるを得ないわけでございまして、その火力におきましても、石炭の問題につきましては、すでに量的、経済的な問題もありますし、また原子力におきましても、いまだ問題を残しておりますので、今後はますます重油専焼火力を開発していかなければならぬというのが、ここ十年間ぐらいの情勢であろうと思います。しかも、この火力発電所は、電力を安定供給するという立場、先般のアメリカの大停電に徴するまでもなく、停電のない電気を送らなければならぬという問題、それから経済性の問題も加わりまして、なるべく需要地が近く、都市の周辺近くにこれをつくるということが一応要請されるのでございます。また、火力発電所もだんだん大容量になってまいります。また、都市は過密化してまいりますし、産業の発展等からますます燃料を使用するというようなことになりまして、燃料の消費量は次第に増大してくるものと思います。こういう観点から、火力のたきます油あるいは石炭による大気汚染という問題が、公害として取り上げられるという情勢になってまいったわけでありますし、ますます今後におきましても重大な関心が払われてくると思います。電力会社といたしましては、通産省、工業技術院あるいは厚生省等の御指導を受けながら、早くから積極的にこの公害防止対策については努力してきたのでございます。
 まず、石炭火力につきましては、すす、粉じんの飛散防止でありますし、重油火力につきましては、硫黄酸化物でありますSO2とSO3の問題でございます。
 石炭火力につきましては、すでに昭和三十一年、十年前の私どもの新東京火力をつくる時分には、まだあまり公害は問題になっておらなかったのでありますが、すでに電気式集じん機と機械式集じん機を取りつけたり、高煙突にして、公害に対処しておったのでございます。また、その後におきましても、石炭火力につきましては、機械集じん機、電気集じん機を取りつけ、高煙突の採用ということで、公害には万全を期しておりますので、石炭火力についてはあまり問題はないものと考えております。その一つの例を申しますと、現在横浜の磯子に二十六万五千キロの火力発電所を電発が建設中でありますが、これに対しましても横浜市で非常に厳格な調査をされました。発電所は電気の必要性からつくるべきであるが、公害があってはいけないという観点から、非常に慎重に検討されました結果、これならばよかろうということで建設が承認され、現在建設中でございまして、これを世の中では一応飛鳥田方式といっております。そういうことで、石炭火力については、今後においてもあまり問題はないものとわれわれ考えております。
 問題は重油火力におきます先ほどのSO2とSO3の問題でありますが、これらに対しましても、電気事業者としては、地域の実情に応じまして、現段階において可能な対策はこれを実施して、公害を防止しておるのでございます。
 その概要は、火力発電所の新増設にあたっては、まず、気象条件をよく調査いたしまして、地域環境の調査を綿密に行ない、さらにこれら要素を含めた風洞実験を十分に行ないまして、全面的な地域適合をはかるようにつとめております。また、測定装置などを整備して、公害防止上に万全を期した設計をしておるのでございます。また、できるだけ硫黄の含有量の低い重油を使うことにつとめております。また、優秀な燃焼制御装置を用いて、良好な燃焼管理を行なっております。また、排煙の拡散希釈化をはかるために、高煙突を採用するとともに、その排出速度を高めて、できるだけ煙突の有効長を高くしております。また、必要に応じて既設火力の煙突のかさ上げも考慮しておるのでございまして、当社におきます具体的な例を述べますと、新増設の火力はもちろん、既設の火力についても、必要に応じて高煙突を採用しておりまして、横浜火力のごときは百三十メートル、百五十メートルの集合煙突に、また五井火力は百五十メートルの集合煙突に、姉崎は二百メートルの集合煙突を採用して、排煙は三十メートル・パー・セコンドの速度で吹き上げ、高空拡散による排煙の希釈をはかろうとしておるのでございます。また、できるだけ地域によっては――地域によってはとあえて申しますのは、東京電力では全部やっていますが、地域によってはなかなかそうもいかないところもありますので、地域によってはと申し上げるのでありますが、煙道中にアンモニアを注入しまして、SO3によるアシッドスマットの発生防止をはかるとともに、集じん装置を設置して、排煙の清浄化をはかっております。また、低硫黄重油のタンクを設置しまして、濃スモッグがあったような場合にはこれをたくというような諸対策を実施しておりますので、現在東京電力で考えております重油火力におきます大気汚染の状態、これは大気汚染と申しましても、それが地上の濃度がどれだけあるかということが問題になるわけでありまして、地上の濃度は〇・一PPM以上にはしないという設計をして、現在それに適合した運転をしておるわけでございます。このことも、また横浜市におきまして大黒町に現在三十五万キロを一台建設中でございますが、すでに既設として十七万五千が五台ありまして、八十五メートルの煙突であったものを、そのうちの三本を百三十メートル煙突に集めて集合にし、あとの二本を、今度できます三十五万の煙突を百五十メートルの煙突にしまして、集合してこれを三十メートルのスピードで吹き出すということにいたしますと、横浜市、その他に対する影響はほとんどなくなりますということからこれが承認されておるという、現在建設中である先ほどの飛鳥田方式の一つでありますが、それが承認されておるという事実がこれを示していると思います。
 しかしながら、これでいいのかと申しますと、将来産業の発展と火力発電はますます増大してまいると思いますし、都市の過密化もますます激しくなってまいりまして、大気汚染が東京電力あるいは発電所だけでなくて、いろいろなものが相重なって流入をしてきて大気汚染が進むということも考えられます。また、油も、サルファ分の低い油ということを申しましたけれども、日本では現在中近東への依存度が高いのでございまして、この油はサルファが多いというようなことを勘案いたしますと、なお一そう強力な対策が必要と考えられます。このために原油、重油の脱硫、あるいは排ガス脱硫技術の早期開発とその実用化ということが強く望まれるわけでございます。
 これらの新技術開発について、これまで電力会社としてやってきた状況を申し上げますと、三十九年の二月に大気汚染防止研究会を設けまして、これは現在では電源開発を含めた公害対策委員会に発展的解消しておりますけれども、電力中央研究所と相協力しまして、関西電力においては拡散の問題を、中部電力においては排ガスの脱硫の方法を、東京電力においてはアシッドスマットの発生防止対策を、これらを主体として研究を進めてまいったのでございますが、なお、そのうちのアシッドスマットの問題については、一応アンモニア注入ということで解決を見たと考えております。それから拡散の問題につきましても相当の効果があがっておりますが、SO2の脱硫、こういう問題につきましてはなお問題が残っておるわけであります。
 また、電気事業全体として検討を積極的に進めておるばかりでなく、各社みずからもあらゆる方法を検討しておるわけでございまして、たとえば東京電力におきましては、この二、三年の問に石灰石・ドロマイト法の研究、あるいは五酸化バナジウムを使用してSO2をとる方法、活性炭を入れまして排ガスから脱硫する方法等の研究を進めてまいったのでございます。
 しかしながら、率直に申し上げますと、現在脱硫ということは理論的には可能でありますけれども、これを実用化するという問題になりますと、経済的にはもちろん、技術的にも種々未解決の問題が残されておるのでございます。今後の研究の重点は実用化できるような技術の開発にあると思います。
 また、排ガス脱硫方式には乾式法と湿式法とがありますが、湿式法は排ガス温度の低下とガス中の水分増加のために、ボイラー排ガスの拡散が著しく阻害されますので、乾式法がすぐれた処理法であると考えます。現在乾式法の中で早期実用化の可能性のあるものとしては、活性酸化マンガン法、活性炭法、この二つが考えられておるのでございます。
 公害の原因は、いろいろなものから多種多様でありまして、それに関連する企業がこの防止に積極的に前向きに取り組むということはもちろんでありますけれども、その新技術の開発の推進に対しましては、さきにわれわれが政府に御要望いたしたところでございますが、このたび諸先生方の御配慮によりまして、この二つの方策が工業技術院で取り上げられるということになったことにつきましては、まことに感謝にたえない次第でございまして、われわれ電気事業者といたしましても、その代表として中部電力が三菱重工と相ともに、またわが社が日立製作所及び工業開発研究所と相共同して、この二つの方法を積極的に推進したいと考えておるのでございます。
 なお、重油から直接脱硫するという技術の開発は、主としてアメリカで研究されておりますけれども、この点につきましても早期経済的な開発を期待してやまないものでございます。
 次に、当社が担当します活性炭の研究につきましては、詳細は日立さんのほうから申し上げますが、その概要を申し上げますと、この原理は、御承知のように活性炭の吸着力を利用するのでありまして、ボイラーの排ガスを活性炭の層に通す、そのときに排ガス中に含まれる亜硫酸ガスが吸着するのでございますが、亜硫酸ガスは活性炭の表面で排ガス中の残留酸素と反応しまして、無水硫酸の形になって吸着されるのでございます。これを水洗いいたしまして、希硫酸として取り出しまして、また活性炭が再び吸着力を復元いたす、こういう原理でございます。
 試験計画につきましては、これは最初、今回は六千ノーマル立方メートル・パー・アワー、二千キロワットに相当するのでございますが、このモデルプラントをまず実施して、その結果によっては十五万ノーマル・立方メートルパー・アワー、五万キロワットに相当する大型パイロットプラントで実用化の試験を行ないたいと考えております。
 実施場所といたしましては、東京電力の千葉の五井火力発電所でこれを行ないたいと思います。また、試験工程は、四十一年度にモデルプラントの設計、製作、据えつけをやり、四十二年度に試運転、データの収集をやりまして、四十三年度につきましては、その結果によりまして大型のパイロットプラントの設計並びに製作、据えつけをやり、四十四年度には試運転、データの収集をやるという予定でおります。
 本方式のもう一つの特徴といたしましては、これは非常に安全性が高いということでございます。従来この活性炭で脱硫するという、SO2を取るという方法は、これに類したのがラインルフト法その他でやられておりますけれども、ときに爆発が起こったりしておりますが、今回のこの方法でやりますと、排ガスの温度が百三十度でございますので、それ以上には上がらない。水洗いしてこれをまた再生するということで、直径十ミリ以上の大粒の活性炭を用いられるというような特徴がございます。そしてこの活性炭の方法によりまして現在試算されておりますところでは、三十五万キロの程度で、重油一トン当たり六百円以上かかるように思われますが、これではかなり高いのでございまして、活性炭の改良、脱硫装置の合理化、排液の利用等によって極力脱硫費の低減をはかりたいと考えておるのでございます。今後強力にこの点を推進したいと考えておるものでございます。
 なお、お配りしてある刷りものの末尾に、いろいろと重油及び燃焼ガスの脱硫方法がございますが、これはすでに諸先生方御承知のことでございますので、省略いたします。
 以上で終わりたいと思います。
#4
○井手委員長 ありがとうございました。
 次に、株式会社日立製作所機械研究所所長杉本参考人。
#5
○杉本参考人 活性炭によりますボイラー排ガスの脱硫に関しまして、ただいまお話がありましたことの技術的なことについて簡単に申し上げたいと思います。
 お手元にお配りいたしました「ボイラ排ガスの活性炭による脱硫について」という印刷物によりまして申し上げたい思います。
 私のほうでは昭和三十六年ころから、重油を燃料に使います発電プラントの排ガスから亜硫酸ガスを取るということに対しまして、いろいろなことを研究いたしました。現在では、きょう申し上げます活性炭を使います方法にしぼりまして、財団法人の工業開発研究所、東京電力と共同でこれを実用化にもっていくことに努力しているものでございます。
 まず、この方法がどんなものであるかということを、ただいま簡単に御説明がございましたが、もう少し申し上げますと、お配りいたしました印刷物の四ページに説明図がございます。「図2活性炭吸着法の説明図」と書いてございます。これで一番上のほうにボイラー排煙というパイプがございまして、煙突に出ているわけでございます。実際の場合には、排煙が全部脱硫装置のほうへ入ってくるわけでございます。これは実験でございますので、実験の場合には、この一部をとりまして実験いたしますもので、バルブで適当に煙突へ行く排気を分けましてやってみるというような、いろいろな基礎研究とか、実験用の重油ボイラーを使ってやりました研究の成果に基づきまして、こういうことを考えておるのでございます。
 大体ボイラーから摂氏二二〇度ぐらいの排気ガスが出てくるわけでございます。そこに、向かって一番左のほうに集じん器というのがございます。この集じん器は特別に研究開発したものでございまして、ここでもってできるだけのすす、粉じん等を取ってしまうわけであります。九〇%ぐらいのものを取ってしまう。そういたしまして、太い線がございますが、太い線をたどりまして加熱器というところがございます。これは加熱器と申しますより温度調整器と申し上げたほうがいいかと思います。それを通りまして、まん中辺に充てん塔というのが三つございます。カッコして吸着、乾燥、水洗と書いてあります。吸着の充てん塔が三塔、乾燥が二塔、水洗が一塔で、全部で六個でございます。この充てん塔の中に活性炭というものを入れておるわけでございます。そうしますと、集じん器を通りましてごみがなくなりました排気ガスが、この充てん塔の中でSO2を九〇%程度吸われまして、そうしてSO2のない排気が煙突のほうへ出てくるというわけでございます。従来研究いたしましたのは、この吸着に使います活性炭がどういうものがいいか、形はどうか、それから機械的な強度はどうか、それから寿命がどうか、それからこの中を通りますガスの速度はどうかというような、いろいろなこまかい実験を小型ボイラーその他を使ってやったわけであります。
 ここで一塔が、十五時間ぐらいたちますとSO2を十分吸ってしまうわけでございます。それを今度は水で洗うわけでございます。水で洗っています問は他の塔がまた吸着の役目をいたしまして、吸着を休んでおるわけではございません。吸着いたしました亜硫酸ガスを取り去るのを脱着と申しておりますが、右側の水洗というところがその仕事をするわけでございます。右下のタンクのほうから水をこれに上のほうから送りまして、そして水でもって洗うわけでございます。シャワーのように水をかけますと、希硫酸になってSO2が取れるわけでございます。SO2と同時に、若干すすが残りますが、それも一緒に取れるわけでございます。そうしましたものは、ぬれておりますので、今度はそれを乾燥いたしまして、また元の活性炭に返すというわけでございます。その水洗は五時間ぐらいもつわけでございます。乾燥は十時間ぐらいかかりまして、ちょうどまん中の充てん塔(乾燥)と書いておりますのが、常時は二塔が乾燥に従事しているわけでございます。
 水洗いたしました活性炭の中に排気ガスの一部を通すわけでございます。これは一番最初に申し上げました集じん器から来ますガスの一部を下のほうの加熱器というのに通しまして、ここで温度をまた百二十五度ないし百三十度くらいに調整いたしまして、乾燥に使うわけでございます。乾燥中にも若干のSO2はここで吸われるわけでございます。それで乾燥に使いましたガスは、充てん塔から出てまいりまして、そしてもとの集じん器からまいりますガスと一緒になりましてまた吸着塔の中に入っていくということでございまして、したがいまして、水洗したために普通の湿式法のように温度の低いガスが煙突から出まして悪い影響を与えるということはない方法でございます。
 水洗の場合には、さっき簡単に申しましたが、タンクがそこに四つございますが、何基かのタンクを使いまして何べんも水洗いたしますので、だんだん硫酸が濃くなるわけでございますが、濃いほうから順次充てん塔に注ぎまして水洗いたしまして、一番最後は、一番右の水道水とございますが、水道水は間違いでございまして、水洗用の用水という意味でありまして、普通の水でいいのであります。工業用水でいいわけでございますが、一番最後にきれいな水で洗う。非常に濃くなりましたものは、硫安をつくる場合には硫安に使いますが、今度の実験では石灰石のベッドを通しまして中和いたしまして、無色の、しかも沈でん物のないものにして流すというような計画でやっております。海水でもって希釈いたします。
 こういうふうに、この図で申しますと、六個の充てん塔が、常にその中の三個は吸着として働いておる、二個はちょうど乾燥の状態にある、一個が水洗槽、それでそういうようなサイクルを繰り返しまして、ボイラーの廃ガスが出てまいりますときには大体百度ないし百十度、百度以上の温度でもってSO2が九〇%くらい取れまして煙突から出ていくという方法でございます。
 そういうような方法を実用化いたしますために、従来ずっと基礎研究その他やってきたわけでございますが、このたび計画しておりますのは、まん中辺に赤い紙がございますが、この赤い紙のあとが、先ほど白澤参考人から申し上げました、一応いま考えております毎時間六千ノーマル立方メートルというガスを取り扱います中間的な小型のモデルプラントでございます。これは東電さんの五井で実験されていたわけでございますが、目的は、実用に持っていきますのには、いろいろな構造上の問題がございますが、それに必要なデータをそろえたいということでございます。
 その試験項目としましては、一ページに書いてございますが、ミスプリントが多いので恐縮でございますが、試験項目として「aボイラとの組合せによる安全且、安定な運転方法に関する検討の確立」、確立は要らないのでございます。検討でございます。こういうものは実際のボイラーと組み合わせて非常に安全にステディな運転ができませんといけませんので、それを実際の実験プラントでもって確かめていく。それからガス量も、いろいろ運転状態で変わってまいりますし、そういう場合の、さっき申し上げましたようないろいろな充てん塔とか、そういうようなものもできるだけ小さいほうがいいわけでございます。そういうものの一番いい構造というものをつくりたい。それから運転状態によって排気ガスも変わってまいりますし、またさっきのように吸着、水洗、乾燥というようなサイクルの中でガスが移動するわけでございますが、そういうガスの水分とか温度というようなものは変わってまいりますので、そういうものは実際の場合にはどんなふうに脱硫にきいてくるだろうか、こういうようなこと。
 それからdの「長期間の使用による活性質」とありますが、これは「活性炭」の間違いでございます。活性炭がどういうふうに能力が劣化していくかという問題、これはこの本に近い方法がさっきちょっとお話がありましたがドイツでもってやっておられますが、脱着方法が水を使いますので損耗が少ないわけでございます。吸着能力も、実験的にやったところでは、そう長時間でありませんが二百時間ぐらいか、連続ではなかなかできないわけであります。その程度では劣化があまり見られないわけでありますが、実際のプラントにつけまして連続の長時間運転をやってみたい。
 それからeでございますが、水で洗いますためのこれは一つの欠点かも存じませんが、硫酸ができるわけでございますが、いろんなものが腐ります。そういう腐食の問題、これはもちろん対策がもう確立しているわけでございますが、できるだけ安い構造にする。最も経済的な構造にするというようなことを、実用化の場合の資料をとりたいということでございます。
 それから、実際の今度の実験では、水洗いたしました廃液は、さっき申しましたように無色の、沈でんのないものとして捨てるということは可能でございますので、その方法をやりますが、これも実際の場合に十分検討してみたいと存じます。また、これを利用します場合には、すでにこれに関連のございます技術は確立しておりますので、硫安その他の材料に使う場合には、そう基本的な研究の要もないのではないかというふうにいま考えております。
 一番最後に、常時運転、それから施設というものを全部ひっくるめまして経済性というものを確認して、できるだけ経済的なものの実用的なものをつくる資料を得たい。
 こういうふうなことをやりまして、次には実際のものに使われますと同じような構造を持ちましたもので、ガス量にいたしますと十五万立方メートル、これを電気のプラントに換算いたしますと約五万キロの発電プラントになるわけでございます。それで最後的なものをきめたい。できるだけ早く実用的なものに持っていって製品化すということを目的に鋭意三者共同してやっているわけでございます。この方法はさっき申し上げましたように非常に簡単でございまして、不安定な要素が少ないわけでございます。それから先ほど脱硫費の金のお話がございましたが、実際副産物をも売れるものと仮定いたしますと、だいぶ安くなるということでございまして、その他いろいろな特徴もございますので、現在ではこの方法を私のほうといたしましては極力すみやかに、実際の製品になるための努力をしているところでございます。
 非常に簡単でございますが、これで終わります。
#6
○井手委員長 ありがとうございました。
 次に、中部電力株式会社常務取締役河内参考人。
#7
○河内参考人 私、河内でございます。
 先ほど白澤さんから電気業者のいろいろな考え方についてお話をちょうだいいたしましたので、私からは重複を避けまして、私のほうに関係のある事項を主体にお話を申し上げたい、かように存じます。
 皆さますでに御承知でございましょうが、電気事業におきましては、中央電力協議会の中に公害対策会議を設けまして、業界が一つになって公害の防止対策に実は取り組んでおる次第でございます。火力発電所からの排ガスの中には、いわゆる大気汚染物質として、すすあるいは粉じんと、先ほど来の脱硫の対象になっております亜硫酸ガスがございます。この中で、すすとか粉じんにつきましては、ほとんど問題のないところまでいろいろな研究も進められ、あるいは設備もついておるというのが現状でございます。ところが、私のほうの中部電力では、重油専焼というものを日本では一番初めに大型の火力に使ったという歴史的な問題もございますが、重油の中の硫黄については早くから目をつけてまいったわけでございます。今日常時使用いたしております重油につきましては、石油業界にも御無理なお願いをして、なるべく硫黄の含有率の低いものをお入れいただくように実ははかってまいっておりますが、しかしながら、先ほど白澤さんからお話がございましたように、低硫黄の油というものの量といいますか、そういったものがなかなか十分に確保できないので、やはりある程度の値段とか経済性の問題もございますが、そういった意味で、日本の置かれた位置、多くは中近東から原油を持ってまいって、これを精製していただくという特殊な事情もございましょうが、こういった意味合いで硫黄分の量が次第に上がってまいります。これに対処するために私どもが考えましたことは、たとえば四日市火力を建設いたします当時、いまから五、六年前でございますか、その当時の実情は、世界を広く見ましても、亜硫酸ガスの対策としてはヨーロッパあるいはアメリカにおいてもまだ――アメリカはあえて申しますと、亜硫酸ガスの対策はその当時はそれほど進んでおりません。ヨーロッパにおいては、いろいろな歴史的な問題もございまして、一部には非常に研究をされておりましたが、やはり高い煙突を立ててガスの拡散の効果をねらうということがその当時としては確立された、あるいは緒についた一つの方法だったと思います。しかもその煙突から出ますガスの温度をなるべく高めていこう、それからガスの吹き上げ速度も高めていこう、それからできるならばたくさんの設備と申しますか、ボイラーを二つ、三つ、そういった合わせたもののガスを一緒に煙突から出そうというような集合排煙方式と申しますか、そういう方式によってガスの上昇効果をねらい、さらに拡散効果をねらうというのがようやく確立された亜硫酸ガスの対策でございます。そういったものに目をつけまして、実は四日市でも、その当時の技術のレベルにおいては、高い煙突を立てるということが方法としてとられたわけでございます。その場合に、日本で高い煙突と申しましても、ヨーロッパのような地震のないところでは高煙突も技術的にもさほど問題はございませんが、日本のように台風があり、あるいは地震があるところでは、高煙突の構造物そのものにもやはりいろいろな問題がございます。その当時の三菱造船所の技術者の方、あるいは日立造船所の技術者の方々が、煙突を高くして耐震構造とかあるいは台風構造の煙突をつくることと、高いところへ大きなものを上げるというような技術もなかなか並みたいていの技術ではなかったようでございます。しかし、そういうものによって高煙突を初めてつくりましたのが四日市火力でございます。そしてあそこはボイラーを一つの煙突で排煙する、先ほど申し上げましたような集合形式に実はいたしたわけでございます。その後中部電力といたしましては、大体がそういった集合形式を主体にした排煙によるガス拡散という方途をとってまいっております。
 それから常時は――常時と申しますか、われわれが運転をいたします場合に、ばい煙規制法によります緊急時の対策といたしましては、重油の使用量を押える、あるいは硫黄の含有量の低い油を貯蔵しておきまして、これをそのときに使うというような方法を現在とっております。これは単に私どもだけでなくて、電気事業者は一般にかような方法をおやりになっておると存じます。
 それから、それならばその次は何だろうかという問題があると思いますが、私ども電気事業者といたしましては、やはり一番初め燃料としてたく重油の中の硫黄分が少ないこと、あるいは少なくする技術が確立されれば、しかもそれが経済的であればたいへんけっこうだと思います。ところが、世界各国を見渡しましても、この技術はなかなかたいへんな技術であるということで、重油から脱硫する方法にもいろいろございますが、ここに石油関係の方もおいででございますので、そういった技術について私どもは検討はいたしましたが、ここで申し上げるのを控えます。そのほかに、燃焼いたしましたあとのガスの中から亜硫酸ガスというものを除去する方法、これも世界の各国を見渡しましても、実験室的にはいろいろの答えが出ておるようでございますが、これをほんとうに大型のものにし、あるいは実用化するという段階にはどこの国もなかなか立ち至っておりませんし、その実験も多少行なわれましたが、実験段階でいろいろな問題にぶつかっておるのが実情でございます。
 かような中で、私どもは思い切って何とかしたいということで、実は最初にだれでも考えますことは湿式法でございます。これは先ほど白澤さんからるる御説明がございましたので、重ねて申し上げませんが、その次に、湿式法の欠点を除いて、もっといいものはやはり乾式法でございます。この乾式法をやりたいと私どもは思っておりましたときでございますが、ちょうど昭和三十八年十月ごろでございましたか、三菱さんから、実はベンチテストあるいはちょっとした簡単な試験が一応――と申しますのは、実験室の試験に成功したので、一緒にテストプラントを設置して、実際に重油専焼ボイラーの排ガスを使って試験をしたいがどうだろうかというお話がございまして、さっそく私どもは喜んでこれにおこたえして一緒に実はこの実際をいたしたわけでございます。
 この要領と申しますのは、大体四日市火力の二十二万キロの発電設備でございますが、そのボイラーの排ガスの約二百分の一のテストプラント、これは電力の値に直してみますと約千キロくらいになると思いますが、そういうものを設置いたしまして、そうしてそのプロセスの基本的な事項について試験を行ないました。それで四十年になお補足的な試験を実施いたしたわけでございます。実際にこういった試験は、世界のいずれの国を見ましてもなかなかやりにくいもののようでございまして、大体試験のスケールアップというものは非常にむずかしくて、二百分の一から、普通の場合は百分の一あるいは五十分の一というようなステップ・バイ・ステップのスケールアップが普通のようでございます。ところが、日本の現在置かれております公害についてのいろいろな問題が非常に急を要するということなので、お互いに何とかもう少し大きなものが実験をしてみたいがといってかねがね私ども三菱さんとお話し合いいたしておりましたのが、今日までの実は経過でございます。
 それで、日本のように中近東から油を持ってまりますと、どうしても今後やはり脱硫の問題を考えなければならない。先ほどちょっと申し上げました高煙突によるメリットと申しますか、拡散の程度は、実は四日市火力では、私どもフレオンガスを使いまして実際に地上濃度がどのくらいになるか調べてみました。その場合の濃度は〇・〇三PPMというのが大体一番大きな線でございます。したがいまして、拡散効果としては一応われわれが初期に計算いたしました計算数値よりもちょっと低い程度の値が出ております。これも一年間ずっとやった試験ではございませんので、その数字をもって全部を推しはかるというほどの考えは持っておりませんが、一応私どもはときどきそういう試験をして、実際に高煙突というものは効果があるのかということのチェックを実はいたしております。何事にもそういう新しい試みをしまして、ときどきチェックをしてその内容を確かめていくことがやはり次の新しい方法の解決の一つの試みだ、かように考えてやっております。
 それでいまの三菱さんと一緒にやりました試験の結果でございますが、大体最初考えましたような目的あるいは効果が十分出ましたので、さらにもう少し大きなものをしてみたい。その大きなものについては、先ほど申し上げましたような実用化に早く手が届くような努力をなるべくして、そして一歩でも、あるいは二歩、三歩というふうに先へ進むような型のものはどの程度のものがいいだろうということでいろいろお話し合いをいたしまして、先ほどちょっと東京電力さんからもお話がございましたように、十五万ノーマル立米程度のものをやってみたい、かように実は私ども考えまして、関係のお役所にもいろいろお伺い申し上げ、あるいは御指導をちょうだいしまして大体まいったわけでございます。
 それからこの方法は実は酸化マンガン法でございまして、活性酸化マンガン――普通の酸化マンガンに活性質を与えてやる方法でございますが、この設備の内容あるいはその作用につきましては三菱重工の岡村さんからお話をちょうだいいたしたいと思いますが、それではこの次の試験ではどんなことが解明されると考えておるのかということに対しましては、その大型化に伴う反応条件、これはものは何でも小さいものから大きくなることによってのメリットあるいはデメリット、いろいろな問題が出てまいります。それから反応の条件が、最初小さな試験設備でわれわれが検討をし見きわめることができた反応が、同じように大きくてもやはりそのとおりになっていくかどうか、あるいはその設計上に間違いがなかったか、あるいは設計上もっと経済的な設計が今後できるんじゃないかというような、そういうふうなせんさくもその中で行なわれていくことと思います。それから処理をするガス量と脱硫装置の最適な条件はどんなものだろうか、これはやはり経済設計上最適な条件が必要であると思いますので、こういったものも実用化の段階までには十分にきめておきたい。それから大型化に伴う吸収工程あるいは再生工程といった問題は後ほどにでも出ましょうが、それについての政策上いろいろな問題点があるんじゃないか、その問題点も見きわめたい。それからプロセスの中で、おもな設備のほかにポンプだとか送風機とか付属しておりますいろいろな設備がございますが、その製作上の問題点あるいは使用上の問題点もこの際はっきりさせたい。それからガスの変流が起こるんじゃないだろうか。ガスというものは平均的な数字で流す数量を与えますが、実際にはパイプの内面に沿ったところは抵抗が大きくて流れが少なく、まん中が多いが、しかしその値はどのくらいだというような技術的な変流の問題。それから吸収剤の分解、実際吸収剤は分解を起こすのじゃないだろうか、あるいはまた違ったものがつくんじゃないかというような問題。それから熱損失の問題でありますが、熱損失もやはり少ないほうがいい。と申しますのは、ガスは煙突から拡散されることが必要でございますが、拡散効果もほしいから、やはり温度は少しでも下げないほうがいい。しかし、下げないためにはどんな方途をこの実験によって、あるいは設備の改造によって講ずるかというような問題。それから装置の性能の安定性、できたばかりで一日、二日は回りますけれども、長く回しておるといろいろな問題が出る。たとえばさびついて動かなくなるとか、あるいは腐食が意外に早くて半年ももたないということでは困る。特に電気事業の場合には、半年ももたなくて途中でそれをとめなきゃならないということになりますと、火電のほうが主でありますから発電はしょっちゅう回っておる、しかしその間は亜硫酸ガスが出るということでも困る。
 それから強度がどうであるか。これは日本のような耐風、耐震の場合は相当大型な設備になりますので、将来特に実用化される場合には大きくなりましょうから、これに対する強度の問題も、図面の上で書いただけではなかなかうまくいかないのではないかというような問題がございます。
 以上、私はしろうととして申し上げたのでございますが、そのほかに専門家としてのいろいろな問題点があると思いますが、これらも解明されると考えております。
 それから次に経済性の問題でございますが、やはりこういった工業化あるいは実用化の将来を考えますと、経済性というものを十分考えていかなければ何もならないんじゃないかと思います。それで経済性につきまして問題になりますのは、原料がどのように安定し、しかも安く得られるかということでございます。原料はこの場合はアンモニアを使うのでございますが、アンモニアが容易にしかも安定した、そしてできるだけ安く手に入るということ、それから生成回収物といいますか、でき上がりますものが硫安なのでございますが、その硫安がほんとうに安定して引き取られるということ、それから価格もできるならば十分な価格で売れるということ、これはやはり処理費がそれだけ安くなりますのでその点は大きな因子ではないかと思います。そのほかにこの実験によりまして設備はなるべくコンパクトにする。と申しますのは、もし既応の発電所に設置するとなりますと、あるいは今後発電所に設置します場合に、スペース・ファクターと申しますか、なるべく場をとらない小さなものにしたほうがいいというような問題点、これはしたがって使用材料も少なくなりましょうし、こうすることがやはり経済につながるというふうに考えております。
 それからもう一つ大事なことは、先ほど安定性と申しましたが、たとえば生成物が売れないということで倉庫にたくさんためておくということにつきましても、大型な設備になりますと生成物はたいへんな量になりますので、そのはけ口がないと――ほかの業界ですと操業短縮をやるという手もございますが、電力は毎日昼夜を分かたず運転されておりますのでそういうわけにもまいらないというような、いろいろな特有の問題がございます。それでは売れなくてもいいじゃないか、捨ててもいいじゃないかと申しますが、捨てるところが実はなかなかございません。こういうことで、これについての経済性の検討もやはり重要な問題点の一つでございます。
 そこで脱硫技術の開発とその見通しでございますが、私どもこれは大丈夫だ、やっていけるんじゃないかというふうに考え、しかも両社こぞって今後とも努力を傾けたい、かように実は思っております。
 それから脱硫技術について一言申し上げたいのでございますが、ただいま私どものほうでやっておりますのは活性酸化マンガン法でございまして、白澤さんのほうで先ほど活性炭の問題について申されましたが、私はこういう脱硫の技術というものはいろいろなものが出てきていいんじゃないか、かように思います。その中で経済性のあるものあるいは立地条件にかなったものが最後に数種残るんじゃないか。そうして今日のように大気汚染の問題をこれによって早く解決しなければならぬという命題があるならば、たくさんのものを並行に練り上げて、そのものがどんどんお互いにこぞってできていくことが必要である。たとえば立地条件にかなうかかなわないかの問題がございますが、四日市のように大体石油コンビナートであり、しかも硫安工場がありというようなところでは、アンモニアがすぐ庭先からたやすく得られる好条件がございます。ところが、これが全然離れた遠いところになりますと、アンモニアを運び、できました硫安もその土地では消化できないということで、これも運ばなければならないということになりますと、経済性に大きいひびが入るというのが一つの特徴でございます。その場合には活性炭法がいいのじゃないか。あるいはほかに、もっと硫黄が直接出るというような、外国でやっております方法はいま検討中でございますが、そういうものも育ってくるのではないか。それと、もう一つ必要なことは、重油自体の脱硫というものがもっと経済性が高くなれば、それとこれとの見合いよって電気業者はどれをとるべきかという問題がありますので、いま直ちにこれを、われわれはただこういう技術を諸国に先がけてやるということは努力をいたしますが、将来どうなるかということについては次の問題だというふうに私どもは考えております。
 三菱さんと私どものほうでやっておりますこの脱硫設備は、現在アメリカからも、日本ではこんなことをやっているそうだがということで、政府筋からもずいぶん問い合わせがございます。アメリカは大体政府が脱硫の問題を手がけて、たとえば鉱山局で主としてやっているようでございます。ドイツでもやはり国が大きくこの問題に頭を突っ込んで費用等を出しているという情勢にございます。
 いま私は脱硫設備の内容についてはほとんど触れておりませんが、ちょうど三菱の岡村さんがおいでになりますので、その設備については後ほどお話し申し上げる予定でございます。
 以上でございます。
#8
○井手委員長 ありがとうございました。
 次に三菱重工業株式会社技術本部技術管理部長、岡村参考人。
#9
○岡村参考人 岡村であります。
 火力発電所の公害防止対策に関しましては、私どもも火力発電プラントの建設に携わる企業の一つといたしまして、電力会社に全面的に協力すべき責務を痛感しております。私どもの持っております各分野の専門技術を総動員いたしまして、この問題と取り組んでおる次第でございます。
 たとえば重油専焼ボイラーの排煙中に含まれるすすの対策、あるいは煙突から排出される煙の拡散に関する研究などには相当の効果をあげまして、また煙の拡散希釈効果を増すための超高煙突の建設にもいろいろ技術を開発いたしまして、数多く実績を重ねております。
 排煙からの亜硫酸ガス除去の研究も、以上のような研究の一環といたしまして、昭和三十六年に着手いたしまして、研究技術陣を動員しまして広範囲の基礎研究をいたしました。昭和三十七年度には通産省の研究助成金を得まして、関西電力尼崎第三火力発電所におきまして、湿式亜硫酸ガス除去法のパイロットプラントの試験を行ないまして、所期の成果をあげることができた次第でございます。
 しかしながら、先ほどからお話がございましたように、湿式法でございますと、排ガスの温度が低下いたしまして、煙の拡散効果が相当に低下するために、非常に排ガスの量のばく大でございます大型火力プラントの排ガスの処理には好ましくないというような見解が一般化するに及びまして、このような欠点のない乾式法の開発に鋭意力を注ぎまして、昭和三十八年の五月ごろに新しい乾式法でございます活性酸化マンガン法の実験室的な試験に成功いたしました。その後、この装置の基本計画に必要なデータの測定であるとか、プロセスの細部にわたる検討を行ない、見通しを得ましたので、同年の十月に実際の重油専焼ボイラーの排ガスによるパイロット試験をいたしたいと考えまして、中部電力さんの御協力によりまして、共同研究に進もうということになった次第でございます。この共同研究では、四日市火力三号ユニットに三十九年十一月、容量は約三千ノーマル立米パー・アワーのパイロットプラントを設置いたしまして、以後一年有余にわたりまして各種の試験をいたしまして貴重な資料を得ることができた次第でございます。
 次に、活性酸化マンガン法の特徴と、大型装置による試験の必要性を述べるに先立ちまして、蛇足かとも存じますが、火力発電所排煙の脱硫における問題点と、内外の現況につき簡単に触れさせていただきたいと思います。
 御承知のように、排ガスの脱硫は、化学反応的にはそれほど困難なことではございませんが、火力発電所を対象といたしました場合はいろいろ困難な問題を伴います。
 第一に、排ガス量が非常に多く、しかも亜硫酸ガスの濃度が薄いので、これを効率よく経済的に除去することが技術的にむずかしい点であります。
 第二に、排ガス中に含まれるすすの混入による副製品の汚染であるとか、吸収剤の性能の低下というものを防止する必要がございますが、一般に乾式法ではこれを経済的に達成することがむずかしいのでございます。
 第三に、火力発電プラントは、化学プラントに比べまして負荷変動が激しく、年間利用率が低いので除害設備費の負担が割り高になるという点でございます。
 第四に、火力発電プラントは、技術的に高度に完成され、かつ自動化されておりますので、これに付設する除害設備も十分これに追随し得る高度の技術的信頼性を要求されるわけでございます。
 以上のような理由から、火力発電所を対象とした乾式の実用的な排ガス脱硫法の開発は各国とも努力はいたしておりますが、なかなか困難なようでございます。
 この乾式法には、活性炭による吸着法、それから金属酸化物による吸収法、触媒を利用する酸化法など、いろいろ数多く、またそれぞれの試験規模で研究されておりますが、現在ではいずれも工業的技術としては未完成の段階であると存じます。
 私どもの開発いたしました活性酸化マンガン法の概要について述べたいと存じますが、このプロセスを簡単に申し上げますと、まず吸収工程におきまして、排ガスの中にあります亜硫酸ガス、これに粉末状の活性酸化マンガンを送り込みまして反応させ硫酸マンガンを生成させます。次に、この硫酸マンガンを再生工程に送りまして、水を加えまして、アンモニアと空気を作用させますと、活性酸化マンガンを再生いたしますと同時に、硫安の溶液を得ることができます。この硫安溶液を結晶工程に送りまして硫安の結晶を回収することができます。また場合によりましては石こうを回収したいという場合には、硫安液に石灰を加えまして石こうを回収するとともに、アンモニアを循環使用することができるという方法でございます。
 この反応を実施する場合の装置内の流れは、お手元の資料の最後に付図フローシートがございますので、これをごらんいただきたいと存じます。
 この一番左のほうから廃ガスが入りまして、これに活性酸化マンガンの粉を吹き込みましたものが、この吸収塔と書いてございます塔に入りまして、ここで作用いたします。これをマルチクロン及び電気集じん器を通しまして分離いたしまして、分離された廃ガスは煙突から出まして、分離されました活性酸化マンガン並びにそれの硫酸マンガンは、一部はもとに返り、一部は右のほうに送られまして、水を加えましてろ過器を通し、ここにおきまして活性酸化マンガンと硫酸マンガンとが分けられます。これをさらに酸化塔に導きまして、これに空気を作用いたしまして、そうしてアンモニアと水とを作用させますと、これが硫安溶液と活性酸化マンガンとに分かれまして、これをさらに再生しましたものをもとに送ることができる。さらに硫安の溶液は、これを加熱濃縮いたしまして硫安の結晶を得るということになるわけでございます。
 この方法のおもな特徴というものを簡単に申し上げますと、活性酸化マンガンは亜硫酸ガスと非常に反応しやすうございまして、パイロット試験で九〇%以上の除去率が得られるということを確認することができました。それから吸収剤は液槽で完全に再生されますので、循環使用しても高性能が維持できる。それから良質の硫安ができる。それから空気予熱器を出ました排ガスを処理すればよいので、先ほどお話もございましたが、設置する場合に比較的好都合であるという点でございます。それから吸収装置は気流搬送型式でございますので、充てん物がなく、運転保守が比較的容易であろうということがこの型式の一つの特徴と考えられます。それからガスの圧力損失が少なく、大量のガスの処理に適している型式であると考えられます。それから集じん装置によります吸収剤の捕集がわりあいに容易でございまして、相当高い効率を得ることができております。排ガスの温度低下は少なく、煙の拡散効果を妨げない程度でございます。それから吸収、再生工程を通じまして腐食の心配がわりあい少ないわけでございます。それから問題となるような廃水が生じないというプロセス。というような基本的なことが大体確認されたわけでございます。
 この方式で三千ノーマル立米・パー・アワーのパイロットプラントで試験を終了いたしました現時点において考えますと、これは先ほどのお話にもございますように実用機の二百分の一の規模でございまして、この試験ではまだ十分解明できなかったいろいろな技術的問題点がさらにあるわけでございまして、この辺を明らかにしまして、かつ信頼度の高い経済性の見通しを得るためには、かなり大型の装置を研究する必要があると考えております。それには計画といたしましては、十五万立米・パー・アワー程度の長期運転の研究実施が工業化への次の段階といたしましてぜひ必要であると考えておるわけでございます。
 この大型装置による研究によりまして、先ほど河内さんからお話がございましたような、いわゆる装置のスケールアップに伴う設計上の問題、これを明らかにする必要がある。それから長期運転に伴う各種装置の安定性であるとか、装置の最適経済規模の決定であるとか、ボイラーの負荷変動に対する追随性の問題、それから物質収支、熱収支の正確な把握、運転所要人員の把握、その他いろいろな実用化上の参考資料、というような諸問題点の解明にぜひとも役立つものをここで研究調査する必要があると考えます。この大型装置の長期運転試験をいたしますれば、いろいろな問題が、いままで申し上げました問題に対しまして予想外の現象があらわれない限り、実用化の技術的な確信は得られるものであろうと考えております。
 排ガス脱硫技術の見通しといたしましては以上のとおりでございますが、私どもといたしましては、今日まで、この技術の重要性と緊急性にかんがみまして、いろいろ技術陣を動員いたしまして、過去五年間に排ガスからの亜硫酸ガス除去に関する研究につきまして約一億三千万程度の研究費を投じておりまして、これに中部電力さんの御協力をいただきました分約五千万円程度を加えますと、直接費、間接費を考えますと約一億八千万程度にすでに達しておると存じます。私どもといたしましては、この大型装置の研究ということによりまして、一日も早くこの技術が完成されることを望みまして、これに対しましては総力をあげましてこの玉成にひとつ努力いたしたいと考えておる次第でございます。
#10
○井手委員長 ありがとうございました。
 次に、重油からの脱硫対策につきまして、日本石油精製株式会社副社長新井参考人。
#11
○新井参考人 ただいま御指名がありました新井でございます。
 本日この席で重油から硫黄分を取るという問題について、参考人としてここで話をするようにという話でありましたが、先ほど来東京電力の方、また中部電力の方から、この亜硫酸ガスによる公害問題についていろいろ話がありましたので、前段のほうは抜きにいたしまして総括的に、簡単でありますが、お話を申し上げたいと思います。
 重油から直接硫黄を抜くという問題は、皆さんすでに御承知であると思いますが、たいへんめんどうな問題でありまして、今日現在においても決して楽な方法でないことは周知の事実であります。その後、この重油からどういうふうにして硫黄分を抜くかといういろいろな研究は各国で進められておるわけでありますが、特に私どもが知っておる範囲内では、アメリカが最も進んでおるわけでありまして、その硫黄分を取る方法というのにも非常にたくさんないろいろな研究があるわけでありますが、現在最も具体的に進んでおりますのが水素化脱硫という方式であると思うのであります。この方式については、アメリカで二、三の研究所でかなり理論的にも進むと同時に、かなり具体的に進んでおりまして、すでに少量ではありますが、二千五百バーレルの装置をつくって現実に試験をした結果、大体成功しておるという報告を受けておるわけであります。
 なお、これを工業化するという問題になりますと、非常に大量な重油から抜かなければならぬという問題でありますし、その点で今後まだ技術的にもいろいろ問題が起こる問題であります。それを抜くために水素というものをどういうふうにしてつくるかという問題になりますと、これがまたたいへんな量にあがりますので、わが国における水素のもとになる水素源が乏しいのでありまして、これもなかなか簡単に解決する方法がありません。しいてやれば、現在のナフサを分解して、それを水素源にするという問題になるわけでありますが、ナフサそのもの自体が、御承知のとおり、いま石油化学その他、肥料とかあるいはガスとかの関係で、たいへんな不足を来たしておりまして、かなりの量を現在でも輸入されておるというような状態でありますので、ここにも非常に大きな問題があるわけであります。
 なお、現在八千万キロぐらい四十年度は石油の消費量があるわけですが、そのうちこの問題にかかるC重油というのが、大体約半分の四千万キロぐらいになるわけでありますが、その四千万キロから、その中に含まれておる硫黄分のうち一%かりに取るとしますと約四十万キロの硫黄が出てくるような状態であります。したがって、これがかりに工業化されたとしましても、この硫黄の処分をどうするかという大きな問題になってくると思うのであります。現在、わが国における硫黄の消費が、大体二十万キロくらいではないかと思うのでありますが、かなり将来においても、三十万キロ以上をこすというようなこともあまりないように聞いておりますので、ここにもかなり大きな問題があると思うのであります。
 なお、この重油から抜く硫黄の量でありますけれども、簡単にいえば、少ないにこしたことはないのでありますが、いま申し上げたように、たいへんやっかいな問題でありますので、どの程度に脱硫したならば大体公害その他の問題について適当であるかという問題について、われわれも研究はしておりますが、まだまだそこにいろいろな問題が残っておるというようなことも申し上げておきたいと思うのであります。
 重油から硫黄を取る技術的な問題につきましては、本日私と一緒に参考人として出光興産の北脇さんがお見えになっておりますので、後ほど技術的に御説明があると思うのであります。
 経済上の問題、当然これは考えておかなければならぬ問題でありまして、現在は、そういった工業的に重油の中から硫黄を抜くというようなことは、これはわが国だけでなく、世界各国でも現実には工業化しておるところはないのでありまして、そういう意味で、現在わが国では物理的の方法といいますか、低硫黄の原重油を輸入いたしまして、あるいはつくりまして、そうして全体の重油を希釈することによって、硫黄分の低い重油をつくって、消費者の方に供給しておるわけでありますが、これもわが国としては限界にきておりますので、何かその辺のところを打開するための考え方を持たなければならないという状態に現在入っております。したがって、各石油会社はむろんのこと、われわれの一緒になっておる石油連盟も、それぞれこの問題については真剣に取り組んでおるわけであります。
 なお、この経済性という問題からまいりますと、先ほどちょっと触れました水素の問題でありますが、この水素源なるものがわが国には少ない。ところが、産地のほうには天然ガスが非常に多量に出てまいりますので、これを水素源にしてつくるという方法が現在考えられておりまして、これも現在私ども報告を聞いているだけで、どれほど具体化されたかということについては、はっきりつかめないのでありますけれども、中東方面の産油地において、直接に、出た原油の中からこの水素化によって脱硫するという方法の研究を進めておるというふうな話も実は聞いております。したがって、経済的にもしそれが非常に安くいくということであるならば、産油地のほうでじかに硫黄を抜いてもらって、低硫黄にしたものをわれわれが輸入して、こちらで精製するということが一番望ましいのではないかと思うのでありますが、これもまだ未知のものでありますので、ここでははっきりと申し上げるわけにはいかないのであります。
 なお、先ほど来電力会社のお方から、いわゆる排ガスから脱硫するという方法について、非常に詳しく御説明をいただいたのでありますが、これらもすべて合わせて、経済的にどう考えていったらよいかというふうに今後研究していく必要があると思うのであります。この問題につきましても、最近電力会社の方と私ども石油精製のほうとの間に連絡の協議会をつくっておりまして、すでに会合を持っております。
 大体経済的な問題について、実は簡単に申し上げたのでありますが、私ども石油精製会社としてどう考えたらいいかという問題になると思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、まだ工業化しておるところは世界各国どこにもないということで、われわれ決してこの問題について研究をしていないというわけでありませんので、ここ数年来相当突っ込んでいろいろと研究はしておるわけであります。この問題についてできるだけ早く具体的な結論を得たいということで、努力をいたしておるわけであります。
 以上、はなはだ簡単でありますが、大づかみに石油精製サイドとしてどういうふうな考え方を持って現在進んでおるかということを申し上げて、御参考に供したわけであります。
 あと、重油の中から直接硫黄を抜くという技術的な問題につきましては、北脇参考人にお譲りしたいと思います。どうもありがとうございました。
#12
○井手委員長 ありがとうございました。
 最後に、出光興産株式会社取締役北脇参考人に願います。
#13
○北脇参考人 重油を水素化して脱硫するということは、もう皆さん御存じと思います。大体百五十気圧くらい、四百度くらいの温度で処理いたしまして、硫黄を硫化水素として取り除く。この硫化水素は硫黄に変えて回収するという方法でございます。それが技術的にどこまでいっているかということについては、常に関心を持って調べておったのでありますが、最近石油会議その他で発表がありまして、かなり進んでおるということがわかりました。
 それで私のところといたしましては――主としてアメリカでいまやられておるのでありますが、有名なのでハイドロカーボン・リサーチのHオイル法と、それからガルフのHDS法、それからU○Pのアイソマックスといっておりますが、そういう方法がございます。それでHオイルのほうには二千五百バーレルのかなりコマーシャルに近い装置がございますので、それに、運転状況を見るために技術屋を二名派遣いたしまして、その運転状況を調査してまいりました。それからガルフ・オイルにつきましては、三カ月間は触媒がもつということでありましたので、実際にクエートの残油を用いまして、技術屋二名をつけまして三カ月間運転に立ち会わせまして、そしてこれは間違いないということを確かめてきております。もっとも、これはたいへん大きな装置ではありません。一日に一バーレル程度の送入する装置であります。それから次に製油部長と徳山の次長と参りまして、ガルフでこれを工業化した場合の詳細にわたってのディスカッションをやってまいりました。それからUOPにも参りまして、あそこの試験データを調べました。また、それを工業化する場合のいろいろな問題、それもすべてディスカスしてまいりました。また一方、こちらの研究所におきましても、そのものずばりの触媒ではありませんが、大体これに似ておるであろうというものを使いまして百五十気圧かけまして、これもかなり長く試験をやっております。
 こういうような関係で、この水素化脱硫というものは工業技術的に十分可能であるという、大げさでありますが、大体自信を持ってきた次第であります。もちろん、これがわかりましたのはごく最近のことでございますから、各社も一生懸命やっておられるのでありますが、それぞれ先ほどおっしゃったように経済的な問題とか、あるいは副産物の硫黄をどうするかとか、いろいろ問題はございます。
 それから特に、現在日本の残油の硫黄分がどれぐらいかと私のところで計算してみますと、大体二・九%ぐらいになっておるようであります。ところが各社の状況を見ますと、二・五ぐらいになっておるところもありますし、それから三・二ぐらいになっておるというようなところもあります。また、それをほんとうに早くやりたいという緩急の度もまたそれぞれだと思われるのであります。
 それからまた将来のことを考えますれば、先ほど御説明がありましたように廃ガスから回収するとか、いろいろないい方法が出てくるという見方もございます。また、原油の産地で処理して持ってくるのが一番いいのじゃないか、これももちろんそのとおりでありまして、いろいろ調査すべき問題もあると考えます。しかし、考えますれば、三コンマ以上の硫黄を含んだ重油を出しておるということはまことに相すまないことでありまして、川崎とか四日市のように、ときに公害警報が出るというようなぎりぎりの状態にきているということを考えますれば、まずできるものからやって、もちろんその緩急の度合い、それから副産物の処理というようなことは考えなければなりませんが、緩急の度に応じまして実際に実行して、公害のひどい地区からでも、あるいは煙突の高いのを立てられない工場からでも、硫黄の低い重油を供給する。そういうふうにすればこれは可能ではないか、そういうふうに考えておる次第であります。
 簡単でありますが、調査の結果を申し上げました。
#14
○井手委員長 ありがとうございました。
 以上で参考意見の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#15
○井手委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。中井徳次郎君。
#16
○中井委員 先ほどからだんだんとたいへん参考になりまする御意見を拝聴しまして、委員の一人として非常にありがとうございます。特に東京電力のほうも中部電力のほうも、方式は違うようでございまするが、きわめて熱心に御研究をいただいておりまするようですし、また最後に出光さんの北脇さんから伺いました水素化方式、これはもう基本的なことであろうと思いまするので、私ども先般来この委員会でいろいろしろうとながら討論をし研究してまいったのでありまして、先ほどの御陳述の中にもありましたが、アメリカ、ヨーロッパその他いろいろ参考にもなるけれども、しかし、どこもあまり強力に進んでおらぬというようなこと等につきましてもいささか存じてはおるのですが、何しろこの狭い国土で、日本の特殊事情でありますから、この技術こそ世界に先がけてひとつやろうじゃないか、国会等におきましても、これは超党派的に皆さんそういうことで何乙かして推進をしていきたいと考えておるわけであります。
 そういう点から一点だけ、ちょっと業界の御意向について――私、伺っておりましたところは、たとえば東京電力さんにおいていま御研究になっておりますることにつきましては、経費の分担が一体どういうふうになっておりまするのか、日立においてお引き受けになっておることについては、国から援助しておるようでありまするが、同時にまた東電さんのほう等においても幾ばくか御負担になってやっていらっしゃるのか、その辺の比率等も伺ってみたいと思うのであります。将来こういうことにつきましては、きわめて積極的に国会として取り上げていくという意味におきましてお尋ねをいたす次第でございますが、東電の白澤さんでけっこうでございますが、伺いたいと思います。
#17
○白澤参考人 ただいまのお話でございますが、活性炭の研究につきましては昭和三十九年の九月から四十年の十月までに、私のほうとしましては工業開発研究所と千五百四十二万円の金を支出いたしましてその研究を進めたのでございまして、それは十四ノーマル立米というのは、小さい、ほんとうの試験的な問題で、これを五井でやったのでございまして、その結果に基づいて、さて問題として、これからもう一つ大きなものにするかどうかということを検討しておるのでございまして、先ほど申し上げましたように、そのほかにおきましても私のほうとしましては、工業大学の清浦研究所とバナジウムの問題で五百万円をかけて研究しておるとか、あるいは石灰石・ドロマイト吹き込みのSO2脱硫方法につきましてもすでに千五百万円かけて研究しておるとか、そういうことをやっておりますが、私のほうもいろいろ研究したいと思いまするが、たまたま活性炭の問題につきましても、先ほども御要請申し上げたのですが、新技術の開発につきましては、国家としてもぜひこれを推進していただきたいという考えから要請しておるのでございまして、たまたまこれが工業技術院の取り上げるところとなって委託研究というようなことになれば、われわれとしてもこれを五井でやろうとしておるわけでございますから、その金額がいま幾らになるかということはわかりませんけれども、積極的に協力をしてこれを完成したいと思っておるのでありまして、これからやるものについては、その形成がどうなるか、配分がどうなるかということは、いまのところまだ確答いたす段階になっていないのだと考えております。過去においてはそういう実態であるということでございます。
#18
○中井委員 半分ほどわかりましたのですけれども、問題は、公害につきましては、やはり公害の発生源である企業に責任を相当部分持ってもらわなければならぬ、そのことにつきましては各企業の首脳の皆さんがよく御存じだと思います。責任を感じておられると思うが、最後に経済的な問題にやっぱりぶつかってまいりますので、そういう面については国としましては、たとえばいまのような方式が成功されまして、これを大々的にやるということになれば、必ず国はその建設費の何分の一を持つとか補助をするとか、あるいは融資の世話をするとか、またでき上がったものにつきましては、いわゆる償却資産なんというものじゃなくて、固定資産税を免除するとか、いろいろなことを総合的に考えていかなければならぬ。そのためには、やはり皆さんも初めから全部中央試験所やその他の予算でやるというのじゃなくて、大いに積極的に、私のほうも半分持つとか、三分の一持つとか、この点は全額持つというふうな、前向きのお立場でおやりになったほうが、ぼくらとしては、国として非常にやりやすい。そこでちょっとこの間伺ったところによりますと、いまの御説明でよくわかりましたけれども、そういう技術をここにとりますると、いや、これは全部国が持っておりますのだということで、それは少しおかしいのではないか。もとより運営費その他お世話したり何かするのに、東電の皆さんの人件費も要りましょうし、たいへんだろうと思いまするが、それだけではちょっと何かもの足りない。やはり会社側も何か持つ、そのことがこの計画が国として大きく前進するときに、非常に大きくなって企業の側にも返ってくるのじゃないか、そういう感じをいたしましたので、はなはだ差し出がましいようなことでもありましょうけれども、申し上げた次第でございます。
 さらにこの出光さんの御研究、アメリカに人をお出しになってやられたこと等につきましては、私どもといたしましてはほんとうに極力積極的にこれは進めていきたいと思いまするので、新井さんはきょうは石油業界の代表のようなお立場でお話もあったと思うのでございますが、その辺につきましてどうぞ――大きな問題はたくさんございます。たとえばおっしゃったように全部硫黄を一%とれば、これで日本の硫黄の値段ががた下がりするとか、硫安のなにがどうだとか、この問から実は原価計算などもいたしてみましたが、原価計算といったって、したがってわからないわけですね。いまのところでは、まあアメリカで計算したものを、ドルを円に直したくらいの数字が出てきたというのでは、これはやはり皆さんのほうでも安心はできないと思います。そういう点につきまして、石油業界のほうにおかれても今後大いに積極的に――出光さんが出光さんとしておやりになっておりまするようでございますが、業界全体として私は取り組んでいただきたいということを特に要望申し上げたいと思うのですが、新井さん、御感想を承ればけっこうだと思います。
#19
○新井参考人 ただいまのお話のとおりでありまして、いわゆる公害になる亜硫酸という問題を見ますというと、必ずしも電力会社のような大企業の方の問題だけではないのでありまして、むしろ先ほども北脇さんから話がありましたように、小さな煙突といいますか、いろいろな中小企業の煙突から出るのもかなり大きな公害の原因になりまして、見ようによっては、これはほとんど対策がないので、最もひどいのではないかというふうな考えもあるわけであります。したがって、重油の中から硫黄を抜くというこの問題は、特定のところで特定な硫黄を抜くというのではなしに、やはり日本でわれわれがやっております重油の中から一般的に硫黄を抜くというところまで進展しなければだめなんだと思います。そうなりますというと、これはそれぞれの石油会社はそれぞれの立場によってかなり研究はしておりますが、最近は、そういうふうな一般的な問題からそれを石油連盟のほうで取り上げてもらいまして、石油連盟の中に技術委員会というものがありまして、その技術委員会に特別の脱硫の問題を取り上げてもらって、最近大いにその研究をしておるわけでございます。何ぶんにも、先ほど中井さんのお話のように、この問題は、研究はしておったのですが、具体的にある程度アメリカあたりで結果が出てきたのは最近のことでありますので、われわれもこの問題に大いに取っ組んで、時間的にもなるべく近い将来において具体的に効果のあるようなやり方をしてみたいというので、実は真剣に取り組んでおります。そういう意味で御了承願いたいと思います。
#20
○丹羽(兵)委員 ただいまの中井委員からの御意見並びにお尋ねに関連いたしまして、その御答弁に対しての関連からちょっと私も意見を述べて、どなたでもけっこうでございますが、参考人の方々からお聞かせを願いたい、こう思っております。
 この公害対策というのは、国民全体の立場から考えて一日も早くこれは対策を考えなくちゃならぬという点で私ども取り上げておりますが、きょうの話を聞いておりまして、企業者自身も非常な責任を感じ、御努力を願っておる。国民は一日も早くそうしたことから救われたいという要請をしておる。そこで私のお尋ねしたいのは、きょう話を聞いておりまして、皆様方非常な御努力を願っておる。政府もそれに対しては強い関心を持っておる。企業自体はきわめて公益性の事業でございますから、これはやめるわけにはいかない。いま中井先生からお尋ねがありましたように、あなた方もそれを進めようとして非常な努力はしておられるけれども、そこに力が足らない点がある。どうしても企業でこれを完全に防止するということはできない。これはもう責任問題じゃなくして、とにかく最善の努力はしておるのだけれども、なお力足らずしてどうしても及ばない点がある。こういう力の足らないところを、ただただ企業者にわれわれは責任を追及しておるのではなくして、国としてこれは考えなくちゃならない。そこで、こういう点を国が考えてくれ、こういう点を政府が力を入れてくれたならば、もっとわれわれの研究しておることが実現化していって国民が救われるだろう、こういう点は私、あると思うのです。だから、これはもう政府も企業者もみんな一体になって、国民のために考えていかねばならぬ。事業自体は、いま申し上げたように重要な事業である。こういうことから特にきょうお聞かせを願っておきたいのは、いまも申し上げましたように、こういう点を政府が協力してくれたら、ということを研究していらっしゃると思うし、通産省なりあるいはその他の方面に対して働きかけていらっしゃると思うのです。私どもも、本委員会においては二十日にまたこの問題を取り上げて、そしてわれわれは別の立場で、またいま申し上げたような考えに立って、できるだけこの被害を少なくしていきたい、こう思っておりまするので、あなたのほうは、いま中井先生の言われたように、企業としてはこういう問題とこういう問題とこういう問題を政府として考えてほしいとか、考えてくれることが当然である、というような参考になるものを二十日までに出していただけないか。そうしたら私どもは私どもの立場に立って、決して企業をいじめるとか、何かいやな気持ちを持たずに、国民全体として考えるのだから、これはもう私どもの側からは、こういうことを政府をしてなさしめる、政府にやらせる、そしてこの空を守ろう、大気汚染をできるだけ少なくするようにしよう、こうしていきたいと思いまするので、それぞれ関係の役所には強く要請していらっしゃるでしょうが、まとめたものを本委員会に、二十日にやりたいと思いますから出していただきたい。こう思うのですが、それに対するお答えを願いたい。
#21
○井手委員長 それでは一人一人はなんですから、代表したような意味で白澤参考人。
#22
○白澤参考人 私は東京電力の白澤として出ましたけれども、電気事業者の中で十社、電発も加えて集めた公害対策委員会がありまして、その対策委員長をやらしてもらっておるわけでございますが、ただいまのお話、たいへんありがたい話でございまして、電源開発を含めた電気事業といたしましては、二十日までにぜひお願いしたいことをまとめまして御提出いたしたいと思います。たいへんありがたいお話を承って感激しております。そういうことでやらしていただきたいと思います。ありがとうございます。
#23
○丹羽(兵)委員 いま白澤さんから私の質問にお答えをいただいたのですが、電気事業の関係は含めておっしゃったのですが、石油関係、御山出席いただいておる方々も、いまの白澤さんと同じように御提出願うことができますか。
#24
○新井参考人 二十日までに業界として意見をまとめましてできるだけ出したいと思っております。よろしくどうぞ。
#25
○井手委員長 肥田君。
#26
○肥田委員 いま丹羽先生のほうからの要望に対してお答えがありましたから、私はそのほうは省略して、私も同じことを実は考えておりまして、先般も、重油から脱硫することについては、これは通産省の中川さんも、そういうことをやるとなると、角をためて牛を殺すような結果になるだろう、腹の中じゃそうじゃないでしょうが、口ではそういうように言っておられた。このことは裏を返せば、いま問題になっておる公害ということで角をためなければ牛が死んでしまうというような事態になるので、当然各関連企業者で一致してぜひいい資料を出してもらいたいと思います。
 私は、今度は別の方向でひとつお伺いしたいのは、大体通産省から出してきたところの電力の設備計画というものを見ておりましたところ、三十九年と四十五年との比率では、重油が約三倍の二千百四十一万五千キロワットアワーの設備をするということになっており、水力のほうは四百万キロワットアワーくらい、石炭のほうも三百四十万キロワットアワー、こういうことになっています。したがって、今後の発電設備というものは重油に重点が置かれておるということが、これを見ても間違いない、そう思うのです。そこでまずひとつお聞かせ願いたいことは、今後のいわゆる電気事業の一つの方向として、これで示しておるような姿、いわゆる重油に重点が置かれて発電計画というものがなされるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、いろいろと先ほどからお伺いして、中電でも東電でも各地域で研究をされて具体的な措置を講じておられるのですが、これは口を悪くして言うと、実際にガスの中から脱硫するという、このことについては具体的にやっておられるけれども、煙突を集中方式で拡散をするということについては、いわばお守りを張っているような形だというふうに、ことばを悪くすればなると思うのです。これは各地域で聞きましたら、百三十メートルの煙突を百五十メートルにする、百五十でも不十分だから百八十にし二百にするんだ、そして逆転層の上に突き上げていって、そこで拡散をして被害を少なくしよう、こういう考え方です。確かにこれは一理はありますが、しかし、これはやはり急場しのぎの処置にしかすぎないと思うんですね。結局、大気中に吹き上げたところのものが、どういう形でまた降下してくるかということについてまでのこまかい研究というものがなされておらないように思う。これは地域的にいろいろな現象が出ておるのです。きのう四日市の話を聞きましたら、中電でいろいろ努力されておるにもかかわらず、なお年間のいわゆる亜硫酸ガスを含んだ降じん量が十四万トンだ、こういうように言っておられる。これは風向も影響しますね。そこでこれは私の考えるところを言ったんですが、私の地域でもそういう現象が起きているのです。それは風向によって、亜硫酸ガスを含んだいわゆるばい煙、これが大体逆転層から吹き上げられて、そしてその次の壁にぶつかったところ、たとえば大阪でいうと、大阪を取り巻く周辺の生駒連峰あるいは葛城・金剛連峰、それから六甲連峰、こういうところの層にぶち当たって、ふもとから何キロかの地域にずっとそれが落ちてくるという現象が出てきておる。四日市ほどではないけれども、そういう現象が逐次目立ってきた、こういうふうに言われておる。ここで私が問題点をしぼって申し上げると、そういう意味から、何か高く吹き上げさえすれば、それでそれだけやっているんだという気休めにはなるかもしれないけれども、実際にはまだまだ十分じゃないということになる。そういうような状態ですから、当面やられることについて私は一つの考え方があるのですが、このことについて、それがどうだろうかということをお聞きしたいと思うのです。
 一カ所の発電容量というものが最近非常に多くなってきました。京葉地域においてもその他の地域においても。私の近くの堺市では二百万キロワットアワーを発電しようという計画です。いま百万キロワットアワーの運転を始め、もうあと一本くらいは間もなく運転するのじゃないですか。そういうような状況です。この姿というものは、経済面を少し離れた立場で検討していただく余地はないだろうか。要するに一カ所で五十万キロ、百万キロという単位をどう考えるかという専門的なことはわれわれよくわかりませんが、しかし、少なくとも一カ所で二百万キロワットアワー以上の出力の発電設備をして、そしてそこから集中したところの亜硫酸ガスを含んだ煙をばらまくということは、これは改良の余地があるのじゃないか。少なくとも最高百万キロワットアワーくらいにとどめて発電所を分散するということ、これはあとは送電線の問題だけになる。もちろん、送電ということは用地の問題その他が容易じゃないと思いますけれども、現実にたとえば京葉あるいはその他の地域で大容量の発電をやって、今度その発電電力がどういうふうに使用されるかというと、逆送をして他の地域に送っていって使っておる、こういうことになる。要するに重油を運びやすいところ、エネルギーを送り込みやすいところに発電所が集中される、こういう傾向がとられてきておる。これは経済上効率をあげようと思えば、そういうことになると思うのですが、しかし、それであってもなお一カ所に二百万キロも発電所を集中するということは考えものじゃないかと思うのです。このことについて、私はここで即答をしていただく必要はないと思うのですが、これを分散をするということについてぜひ検討をしていただきたい、こう思うのです。この二つについてお答えをいただきたいと思う。
 もう一つ、ついでにお尋ねしておきます。これは通産省で聞くより、あなた方の計画の中で聞くほうが早いのですが、四十五年度以降のいわゆる重油火力発電所の設備計画というようなものについて、考えがあったらこれもついでに聞かしておいてもらいたいと思います。
#27
○白澤参考人 問題が幾つもあるようでございますが、先ほど私の冒頭陳述でも申し上げたのでございますけれども、日本の電力需要は非常にふえていく、これに対応して発電設備をどうするかという問題につきましては、われわれ電気業者としては、豊富な電気を送らなければならぬという立場から検討しておるのでございまして、ただいま先生からお話がありましたように、今後の水力発電というものは、日本にはまだ水力資源的にはあるといっても、もうすでに簡単な経済的に開発できるところは開発が終わっておる。したがって、今後は山奥になってきますので、水力発電に多くを期待できないという実態でありますし、石炭は、御承知のように日本は五千五百万トンとかいわれておりますけれども、これにも量的な限度がありますし、経済性もありますので、両方からなかなか石炭火力に多くを期待できないという実情と、それからもう一つ原子力の問題がありますけれども、これはまだ始まったばかりでありまして、今後ますます経済的になるだろう、日本としては、油の輸送が非常にたいへんだから、ごくわずかの燃料を輸送すればいい原子力に移行する必要の非常に強いところでありまして、将来はこれに向かっていくのだろうと思いますけれども、ここ十年間ぐらいの間は、これにもまだ多くを期待できないということになりますと、どうしても勢い重油火力がこの十年間ぐらいの間は主体となって発電をせざるを得ないというのが実情だと思います。
 ただいまのお話、十年間にどうなるか、これは私、少し古いものでありますが、大差はないと思いますから、今後十年間で四千七十万キロの開発をするという中で、水力が六百三十万、原子力が、これは運転開始となりますと、五百万キロぐらいあるかと思いますが、石炭火力は四百万、その残りの二千数百万というのはどうしても重油火力によらざるを得ないというような格好になっていますので、先ほどの五年間の趨勢と十年間の間は少し原子力がふえてまいりますけれども、あまり変わらぬと思いますが、その後、十年後におきましては、この重油がだんだん原子力へと変わってくるというかっこうになってくるのがほんとうの趨勢だと思いますし、またわれわれはそう考えて、いま原子力の研究とその実施に取り組んでおるというのが実態でございます。
 それから煙突の話でございますが、高くしても、集合してもどうかということでございますが、これはむしろ私が答えるよりも、三菱さんの非常に研究されておる方がお答えになったほうがいいと思いますけれども、いまの普通の高さの煙突を百メートルなら百メートルといたしますと、それから出る普通の工場の煙は百メートルですっと横になってしまうのでありますが、それを百三十度の温度で三十メートル以上で吹き出しますと、それが百七十メートルくらいの高さに匹敵する。大体百三十度の温度で、それから三十メートル以上のスピードで吹き出しますと、煙突の高さの五割以上高い煙突があったのと同じような効果になる。それがもし二つの火力発電を一緒にして集合するとどうなるだろうか。集合しますとあたたかい空気が一緒にまとまりますから、ずっとよけい吹き上がるというかっこうになりまして、煙突の高さの二倍以上ぐらいな効果があるということになるわけであります。これが高くなったってどうせ落ちるのじゃないかとおっしゃいますけれども、高くなりますと非常に拡散いたしますので、拡散すれば希薄化される。公害というものは、私たちは私たちなりに考えますと、それは地上に影響するときにどれだけSO2の濃度があるかということが、公害があるかないかの境だと思うのでありまして、たとえば東京都内の四つかどに行ってみれば、一酸化炭素が平均五〇PPMあるというようなことをいわれておりますが、私のほうでいま考えておりますときに、一つの発電所をつくったときに、その影響するところの一番強いとき、それは三メートルぐらいな風ですとぱっとまっすぐ上に上がってしまって、非常に拡散してしまって、地上におりるときには非常に少なくなる。うんと風が吹けば――風の方向というものは、北風といってもおそらく相当な角度で振れているので、一定の方向で行っているということはないわけでありまして、スピードが早くなれば、それは散ってしまって問題はない。では一体どういう風のときに一番影響するかというと、風速六メートルのときをもって地上に一番影響が多いとされております。そういうときにどれだけの濃度で地上に影響するかというときに、先ほど話したように、われわれとしてはどんな場合でも、火力がどんなに一緒に集合した場合でも〇・一以上にはしない。東京電力としては〇・〇五を目標にしておりますけれども、測定値と計算といろいろありますので、なかなか○・〇五とはいわれませんので、〇・一以上にはしないという原則でいま設計をしておるのでありまして、たとえば今回千葉の姉崎火力というのは六十万キロが四台、二百四十万キロあそこにまとめるつもりでおりますけれども、これは中にエレベーターをつけて、二百メートルの煙突を立ててやりますれば、それと五井の火力あるいは千葉火力と総体にいたしましても、われわれの計算では〇・〇六、七が二十数キロ離れたところに影響するからという、そういう計算でやっておるのでございまして、これは高くなってもあまり影響ないんだということはないと思う。高くなって遠くへ飛べば、遠くへ飛ぶということは拡散するのですから、これは距離の二乗という、必ずしもそういう平板的なわけにはまいりませんと思いますけれども、高くなって遠くへいけば減るということは、これは常識で考えても考えられるわけでございます。そういう点は、しかもわれわれのほうでそんなことをてまえみそでやっているのか、そんなことはございませんので、私のほうでこの二年間におきまして気象関係で使いました金が二千万円、二千万円の金を使って気象協会に依頼をして、一たん上がった煙がどういうかっこうになってどう拡散していくか、それから、東京湾ならば風の方向によってどういう風がどういうふうに吹くかというようなことを研究しておるわけでありまして、百メートル以下の煙ですと、これは非常な変動をして地上に多く影響しますけれども、われわれの常識では百三十メートル、少なくとも百五十メートル以上上がったものは卓越風に乗ってしまって非常に遠くへ風散して薄くなる。こういうようなことも実証しながら進んでおるのでありまして、その実証は風洞実験でこの二年間で、三菱重工の方が専門でおりますけれども、二千万円以上の金を使って風洞実験をやりながら、気象観測をしながらそういうことを考えておる次第でございます。
 ただ問題は、そうかといってそれじゃ一カ所でそういうことになるのだから幾らまででもいいか、どんなに大きくしてもいいかということになりますと、いま私のほうで考えておりますのは、二百メートルの煙突にして二百四十万キロというのを限度に考えていますが、まず三百万キロ程度、一カ所の最大というのは三百万キロ程度で押えるべきではなかろうかというような一つの限界は、現時点におきます油の状態、現在では東京電力では二・五%程度のサルファ含有量のものを買っておりますが、この程度で一カ所でやれるのは三百万が限度かなということは、先生の言われたような意味もありまして、三百万キロ程度で押えなければならぬだろう。これは会社会社によって違うと思いますけれども、何しろ東京電力は一年間に百万キロずつもふえるのですから、そう小さなものでは、これはもう海岸につくる場所がないわけでございます。こういういろいろな気象から考えて、風の方向、それで海のほうへなるべく影響したいというようなかっこう、しかも燃料がつける港があるということになりますと、数に限定されます。そうかといって今度は東海道の方面では、これは観光地になってしまいまして、これは何と理由を説明しましても、なかなか感情的な――科学的ではなくて感情的な反対が強いのでできないということになりますと、どうしてもこれは小さく百万キロぐらいずつ分担したのでは毎年一つずつつくっていかなければならないので、場所がなくなってしまいますので、現時点におきましては三百万キロ程度を一つのリミットとして分散していく、そんなふうに考えております。
 答弁になったかどうか、いまの拡散の問題、集合煙突の問題等については、三菱重工のほんとうの専門家がおりますから、なおお話があればお答え願えれば非常にしあわせだと思います。
#28
○肥田委員 ここで白澤さんと議論しようということじゃないのですよ。確かにあなたのほうは一つの正確なデータに基づいて研究して、具体的なことをやっておられる。これはわれわれもいささかも疑うものではないのです。ただ最近、公害が出てくると、煙突を伸ばしたということだけで、さも対策を講じたというような印象を与えがちなんです。
 それからもう一つ、これは検討していただかなければならぬのは、関東の場合には周辺の山が非常に遠いのです。おそらく十五、六キロ、遠いところでは二十キロも行かなければ山はないのです。こういうところはおのずから性格が違うと思うんですね。ところが、その他では違いますよ。たとえばいま私が一つの例に出した大阪の堺の発電所あたりでは、大体八キロか十キロ以内のところに金剛山という千百メートルの山がある。それからずっと生駒山が六百メートル、それから六甲、摩耶の連峰が大体八百メートルか千メートル、こうなっているのです。そうすると、片方がちょうどすりばちの底で煙突をたいていると同じなんです。だから地域的にはこういうことをやっています。大体堺が二百メートルの煙突になったとしても半径八キロが限度でございます、こう言っております。そうすると、八キロ以内は何らかの関係で風向によっては絶えず煙を吸っているわけなんです。
 それからもう一つは、これはそういう議論は確かに一つ成り立ちますけれども、薄くすればそれでいいのだという、これはいわゆる処置上の限度の問題であって、気持ちはそうはまいりませんよ。一万人で吸うやつを百万人で吸えば薄めて吸うのだからたいして害はないんじゃないか、こういう論法では一般の人はこれは満足しませんよ。公害問題というものに対する考え方は、確かにあなたが言われるようなものもあるけれども、同時に、公害に対する精神的な影響というものはそういうものなんですよ。薄めようがどうしようが吸っていることに間違いないのではないかということになる。こういう議論が出てきてようやく公害という問題が本格的議論をするようになってきたので、私はちょっとつけ加えておきたいと思うのです。
 それから、一カ所に三百万キロワットアワーというのは私はちょっと多いように思いますよ。というのは、要は電力の需要の問題なんです。私は遠く数十キロの山の奥から運んでくるような送電線路がどうこうというようなことは言いませんが、しかし東京湾の周辺に発電所を集中しなくても、たとえば千葉の適当な地域、こういうようなところにも適当な地域だってありますから、そういうところからならせいぜい二十キロ以内で送電ができますからね。それを東京の近くにということは、もう送電線を節約できるという絶対的な経済条件があるので、その点はこれはまた別な意味で、私の申し上げるのはいわゆる経済効率だけの問題ではなしに、公害というものも考え合わせながらこの限度の検討ということになると、私はもう二百万でも多いのではないかという気がしますよ。それ以上のものはとにかくつくらぬようにしてください。
#29
○白澤参考人 いま先生のお話ごもっともで、地形によってはいまのようなことを相当考えなければならぬという実態はそのとおりだと思います。そういう点で、いま私の言ったのは一般の広いところの普通のことを言ったのでございまして、そういう特殊事情については十分考えていきたいと思います。
 それからもう一つ。ただ、電気というのはとまると非常に困るという実態がありますので、長い送電線ですと、暴風、雷害、塩害で、まだ日本では、世界でもこの解決策がないわけでありまして、一たんそうなりますと、先般のニューヨークのような大停電で非常な混乱が起きる。そういう点を考えますと、東京というような大都市についていえば、いま東京都だけで電力は四百万キロ近く使っておるわけです。そうすると、どうしてもその三分の一ぐらいはこの近くにないと、いざというときに非常に困るという一つのそちらからの制約がありますので、そういう点では公害を起こさないようにしていかにやるか。
 それから先ほどの三百万キロというのは、東京の近くにどんどんつくって三百万キロという考えではなくて、最大できるところに、その程度ということで、普通のところは百万で押えるところ、二百万で押えるところ、そういう点は先生のお考えのように善処していきたい、こう考えております。
#30
○井手委員長 野間千代三君。
#31
○野間委員 一点だけちょっとお尋ねしたいのです。これは白澤さんにお願いしたいのですが、先ほど飛鳥田方式、実は私は横浜の出身で、たいへん関心を持って市長さんからの交渉の経過など伺っておったのですが、たいへん御努力をいただいておることは、市民のほうでも感じております。ちょうど白澤さんが業界のほうの公害の担当ということなので、ちょっとお尋ねしたいのですが、その前に、先ほど丹羽先生の言われた、国で開発途上なのでもっと十分に処理をすべきだ、これは私ども同意見で、ぜひそういうことで、国家をあげて業界とともに解決に進んでいきたい。特にこの問題はまだ技術的に解決されていない、その見通しも必ずしも直ちにということにはなかなかなっていかないというような気もいたします。この辺は自動車の排気ガスよりもおくれていると思いますので、至急に御努力をいただきたい。特に最近、日本の公害問題がただ単に公害問題でなくて、日本の場合公害問題は、極端にいえば電力、石油関係に限らず、業界が解決をすることに多少薄い、これはダンピングの変形じゃないかというのが外国の意見に潜在しておって、それが多少最近顕在化しつつあると実は情報として耳にしておるのです。これは何も業界を追及するつもりはありません。もちろん政府の責任もありましょう、指導の方針もありますので、先般来そういう立場で政府と議論をしておるのですが、多少そういう面もなしとはしませんので、中井先生の言われた業界での御努力の面についても、いま報告を受けまして、感銘しておりますけれども、一そうの努力をいただきたいというふうに思います。
 それから、この横浜の問題ですが、実は、最初御承知のように、市長のほうは、技術が開発できたら直ちに設置をしてもらいたいというところから議論が発展しておって、妥結の内容は、たしか協力をしたいというふうな文章であったように記憶しておりますが、そういう関係で、一つはいま進められている技術が開発をされ、これが実用化されるというふうになった場合には、鶴見の場合典型的ですが、高い煙突のほうになったわけですね、大黒町の横浜火力発電所は、妥結の文章はそういうふうになっておる。いま肥田先生が言われて、肥田先生は山のほうに近いところで、私は平原のほうの立場ですが、やはり平原のほうでも百万人が吸う、十万人が吸うということです。特に鶴見の場合は他の製鉄事業等の公害もあります。工業地帯全体の大気汚染の問題が、必ずしもおたくの責任じゃないですが、比率としては非常に大きいわけです。火力発電の亜硫酸ガス問題が市民感情としては強いわけですね。そういう関係でお尋ねするのですが、一つは、いま申しました技術が開発をされて、それを設置をするという場合に、いまの高煙突方式に対して併設をするというか、つながっていく。高煙突のほうは別として、資本の投資の出戻りにならないというふうになっていけるものかどうか、これは技術上の問題ですが、そういうことが一つ。
 それから協約になりました協力をするという意味ですけれども、これは私は経過を伺っている中では、ちょっと疑問に思うので、ちょっとだめ押しの意味もあってお尋ねをしておきたいのですが、やはり技術が開発をされて実用化が行なわれる場合に、すみやかにその技術を導入をして、飛鳥田さんの言う設置をするということで協力をするという文章になっておるというふうに理解をしたいのですけれども、これはちょっと地元の問題だけで悪いのですが、そういうふうに考えてよろしいのか。
 以上二点だけ伺いたい。
#32
○白澤参考人 あとのほうの問題ですが、飛鳥田さんと私が折衝をいたしまして、ああいう契約ができて、いやよかろうということになったのでございますが、鶴見の煙突を百三十に三本をまとめて、片方百五十に三本をまとめますと、どう計算してみても、どう実験してみても、横浜の地区には何らの影響がないという結論しか出てこないわけであります。ですから、私は、あれが三十五万運転までに完成しようといま一生懸命やっておるわけでありますが、あすこには施設まで入れて約九億の金を投じてそういう改善をやっているわけでありまして、それをやった結果どういうことになるか、やった結果を実測してみまして、その結果、なお影響があるということになりますれば、それ以上の方法をやるということになりますけれども、横浜には何らの影響がないのだというのにあそこをやるということになると、これはどういうことになりますか。そうではなくて、東京電力は影響がないけれども、ほかのものがひどくなったら、そこが何がしか公害防止に協力をせよというお話ですと、われわれとしても、横浜でたいへんお世話になっていることですから、何らかの協力を拒むものではございませんけれども、そういう点は、やった上で、実際を調査した上での問題で、この点はおそらく影響があって直せという意見その他についても、通産省の産業公害課あるいは厚生省の公害課というものとわれわれのほうは十分連絡をとりながら、必要があるときには、もう積極的に協力をいといませんけれども、そういうつくった実績を――おそらくあれは四十三年に延期になるわけですが、四十三年までには測定網というものも充実いたしましょうし、また測定の確実性というものもできると思いますので、そういう実測の上に立っての処理、観念的ではなくて、そういうことだと思っております。私のほうはもうそういう心配が全然ないと思っておりますが、市長さんのほうは市長さんの立場で、いや心配だと思っているものですから、ああいうところで、もし必要があったら協力するぞ、よかろうという話で、私のほうは、あそこまでやればそういう心配がないといまのところ思っているわけですが、市長さんが心配だ、そこで実際やってみたら、実績の上に立ってどういうことになりますか。必要があるということになれば、それは約束ですから、私のほうは積極的にこれに協力したい、こういうふうに考えているのが実情でございます。
 それから二重設備にならないかということですが、私はこう思います。今回は、いま言ったように横浜のほうの既設のものの増設とか、そういう場合には、いまのようにやって解決がついているところと、一部解決はしたけれどもまだ足らぬというようなところとか、いろいろあると思いますので、そういう点は、こういう設備ができましたら、監督官庁の御指導を得ながら、その実情に応じて進めていくので、たとえばこれは今度は先ほどの先生の逆で、うんと海岸で何も影響のないようなところにあえてこれをやるかといえば、そういうところは必要がない。しかし、東京の近くで、あるいは都市の近くで影響があるところにはそれをやっていくとか、いろいろ変わってくるだろうと思いますので、そういう点は、公害の関係の官庁と十分連絡をとって、必要のあるところには積極的にこれを設置していくことにいたしたい、こう考えております。
#33
○野間委員 よくわかりました。別に市長のかわりになって言うわけではないのですが、経過を伺っておりますし、いまのお答えでけっこうですが、ただ横浜市長は横浜が範囲、ぼくらのほうは横浜だけが範囲ではございませんので、ぜひ正確な測定をしていただいて――川崎にも公害の問題がありますし、あの辺の風の流れは、御承知のとおり大体海のほうから来る。これが川崎のほうに回っていったりするから、そういう意味で、ぜひ測定を十分していただいて、できればこの協力という意味は、おっしゃいましたように、あの辺は主として市民層のほうに流れてくる傾向が多いのですから、ぜひそうしていただきたい思います。
 それから、もちろん言われるように全然人体に関係ないようなところをどうしろというのじゃないのですが、私は、技術が開発されたあと、それを今度は設置をする場合に、いまとりあえずの方法として高い煙突の方向でやっておるわけです。したがって、その辺の関連がやはりあとである程度問題になる可能性があるというふうに思いますので、これはぜひすみやかな技術の開発を、われわれも努力しますけれども、努力していくと同時に、設置を実用化されたときには、多少出戻りになる関係があると思いますけれども、その辺はぜひ踏み切っていただいて、公害をなくすように全力を注ぐ方針でいっていただきたいと思います。最後にお願いしておきます。
#34
○井手委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところを本委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただき、たいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 午後は一時三十分から再会することとし、この際、暫時休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十九分開議
#35
○井手委員長 午前に引き続き、会議を開きます。
 自動車排気ガス対策について、参考人各位から意見を聴取いたします。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会におきましては、目下自動車排気ガス対策、脱硫対策等、産業公害対策樹立のため調査を進めております。午前中は、ばい煙対策に関し貴重な参考意見を拝聴いたしましたが、参考人各位には、目下重大な関心となっております自動車排気ガス対策につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。
 なお、参考人の御意見の開陳は、おおむねお一人約十五分程度といたしまして、あとはまた委員の質疑の際お答えくださるようお願い申し上げます。
 最初に、日産自動車株式会社常務取締役前田参考人。
#36
○前田参考人 前田でございます。
 自動車の排気ガスによる大気汚染に関しまして、現在本格的に規制をやっておる国はアメリカだけでありまして、われわれはそのアメリカに車を輸出しております。それゆえにこのことに関しましてわれわれは非常に関心を持っているということであります。かつ深く考慮しております。それで私は去る三月、三週間ばかりアメリカに参りまして、カリフォルニアの大気汚染管理局の管理の状態、及び各メーカーの研究所のやっておりますことをしさいに調査してまいりました。それを考えあわせまして、本日は私の意見を率直に申し上げたいと存じます。
 カリフォルニアにおきます措置は、その土地の状況、気候の状況によってやむを得ないものがあると思いますが、今回アメリカ連邦政府が全アメリカに及ぼすということについては、国内におきましてもいささか批判があるようであります。わが国におきますこの問題の解決は、まず自動車に対する規制の方法とかあるいは規制値、わが国の大気汚染の原因をただした後に、カリフォルニアのように慎重な態度で実施するということをやっていただけば、われわれメーカーとしては非常に幸いと存じております。
 以下少し詳しく申し上げたいと思います。
 アメリカにおけるこの話の起こりは、ロサンゼルスにおきます同地の独特のスモッグの防止のために、カリフォルニア州の公衆衛生局が考えられる手段を講じましてその防止に当たりました。そして大部分その効果があったようでありますが、最後に自動車の排出ガスが原因であるということが残りまして、私、実際見てまいりましたが、スモッグ室をつくりまして実験をやっております。自動車の排出する炭化水素、窒素の酸化物の混合したものに太陽光線を当てまして、実際どういうふうになるか、茶褐色のスモッグができる状態、そういうものを実験室で確認いたしております。その結果一九六〇年に、自動車の排出ガスによるスモッグの発生あるいは多数の自動車の排気ガスの試験、それから市街地におけるガスの含有量、それからガソリンの問題などを研究いたしまして、自動車排出ガスの試験が統一されました。試験方法をきめたわけであります。この方法によりまして多数の自動車を試験しまして、将来の目標値をきめたというのが一九六〇年であります。それから一九六〇年から三年たちまして、その三年間に各社がいろいろな研究をいたしまして、まずクランクケースの対策をやっております。そしてクランクケース・ガスの対策が完全になりましたものですから、一九六三年から三年の研究の後にこれを実施するということにきめたわけであります。その後各社は、次に排気ガスの研究開発を進めまして、大体本年一九六六年に各社がその対策ができるという見込みが立ちましたものですから、一九六八年の車から排気ガスの規制をやるということにきまったわけであります。そういうふうに見通しをちゃんとつけまして実施いたしております。もちろんアメリカに出しますわれわれの車は、このクランクケースのガスの対策はすでに済んでおります。
 以上のように、開発いたしまして生産までに、計画をいたしてから六年を要しております。そして各社の方法は、ただ規制値におさまるということで実施を急いだ気配があります。ですから、各メーカーの話によりますと、全米における排気ガスの規制が行なわれるまでにはまだ開発が行なわれる、一九六八年にはさらに進んだ開発をしたものが出るだろうということも言っております。どういうのが出るか聞いても、それは言いませんが、そういうことを言っております。
 それと、もう一つ批判をしておりますことは、カリフォルニヤ州で対策ができたからといって、同じ規格のものを全米に採用することは非常に不経済なことであるという批判が出ておりますが、一応でき上がったのであるから、それを使うということは悪いことではないので採用するのだというふうなことを国会で答弁をしておるようであります。
 次に、この規制のためにわれわれはどういうふうな手数をかけるかということを申し上げたいと思います。アメリカの自動車工業会がありまして、その会員間におきましては、この問題に対する特許は公開されております。どの会社が発明した特許も他の会社が自由に使えるということになっております。それで非常に便利なように思われるのですが、エンジンそのものは各会社別々のものであります。それですから、よその会社が発明した装置を持ってきてつけたって役に立たないのでありまして、その会社は自分のエンジン一つ一つについて開発の仕事をしなければならないということであります。たとえばGMとフォードは同じ空気ポンプを使っておりますが、GMのエンジンもフォードのエンジンも同じではありません。そのためGMもフォードも相当の期間を費やしまして開発をやっております。
 次に、開発しまして試作ができましても、その耐久試験、耐久性を調べなければ、使用中に故障が起こったり、あるいは効果が落ちるということがありますので、カリフォルニアの管理局できめているのは、少なくとも十万マイル、約一年にわたって試験をしなければならないだろうというふうにいっております。そして、その一年の間に欠陥が出たならばまた改良をしなければならないので、うまくいって一年かかるというふうな状態であります。したがって、計画をいたしまして設計開発し、実用化され、性能を確認した上生産に移るまでには相当の期間と努力が必要であります。そして、おのおののエンジンによってそれぞれやり方が違いますから、それにエンジンの数をかけた時間がかかるわけであります。
 日本でこの自動車に関する大気汚染の問題の起こりましたのをうかがい知るところによりますと、交通状態がはなはだしく停滞した市街地の一部で一時的に起こる空気中の一酸化炭素の増加というものを非常に重要視されております。アメリカの規格もやはり一酸化炭素を考えておりますが、炭化水素が主体でありますので、炭化水素を減らすということは、やはり一酸化炭素を減らすことになるのでありまして、日本で一酸化炭素を減らそうというくふうも、アメリカの努力とあまり変わらないんじゃないかというふうに考えられます。特にアメリカの事情と比較しまして、日本では困難な点があります。すなわち、アメリカ並みにいかないじゃないか、あるいはさらに独特の開発が必要であるんじゃないかというふうに思われます。その理由は、日本の自動車エンジンは小型であります。アメリカのエンジンに比べまして数分の一であります。大きなシリンダーで燃焼する場合と、小さなシリンダーで燃焼する場合におきまして非常な差がありまして、小さなエンジンほど不利であります。また、従来日本の自動車は小型である。これはいろいろな関係があるのですが、小型になっちゃったんですが、小型であるために非常な高速で回転するということ、それから高出力をねらっているという無理な性能の設計をやっております。その点におきましても、この問題はむずかしい問題の一つだと考えられます。
 次は、この問題には気化器なるものの問題が非常に依存しております。気化器の精度、ばらつきを非常に精密にしなければこの目的を達することができないということでありまして、気化器屋さんのほうにも大きなロードがかかるんじゃないかと思います。自動車メーカー以上に、気化器屋さんの努力を要する次第であります。このことは、これまで日本ではあまり関心を持っていなかったことでありますので、特にむずかしい問題だと考えます。
 それから、排気ガスの試験方法のための自動車の運転方法と規制値の間に密接な関係がありますので、この規制値をきめる前に自動車の運転方法をきめる必要があると思います。その制定には非常に慎重にやっていただきたいと思うのであります。たとえばカリフォルニアの試験方法は、一般の市街地におきまして約二十分間運転いたしました状態の試験であります。その間の平均でありますが、日本では、先ほど申しましたように、道路の局部的の交通の停滞の空気中の一酸化炭素が原因でありますので、カリフォルニアと同じような運転方法じゃ目的を達し得ないんじゃないかというふうに考えられます。
 少し余談になりますが、交通の停滞による空気中の一酸化炭素を解消するということは、その交通の停滞状態をまず解消しなければならないんじゃないか。そうすれば、ある程度排気ガスに含有される一酸化炭素の量が減るんじゃないかというふうに考えられまして、これをぜひあわせて考えていただきたいと思っております。
 われわれがこういうふうに考えまして、今後やりますことについてのむずかしさを申し上げますと、一九六八年には全米におきまして統制が行なわれまして、われわれの輸出する車は全部これに従わなければならないということで、いまその輸出する車の開発に対しまして全力を傾注しております。そうしまして一九六八年型、つまり一九六七年の秋までにこれを完成しなければならないということでありますので、非常に困難を感じておる次第であります。そのときに今度は国内の自動車全般にわたりまして規制が行なわれるとなりますと、輸出する車の種類は一つ、二つでありますが、国内の車は非常に多い。エンジンの数にしましても、われわれの会社でつくっておるエンジンの数は二十近くありますが、それに対して一々開発をやるということは非常に負担でありまして、結局輸出を先にやるか、国内に対してやるかという非常にむずかしいはめに陥ることであります。
 以上、大体私の意見を申し上げたのでありますが、非常に無理とは思いますが、まず試験運転の方法、ガスの分析方法、計算の方法ということを決定されまして、排気ガスの基準値をきめられまして、そうしてわれわれの研究開発に待っていただきまして、大体目鼻がついてから実施するというふうなカリフォルニアのやり方を実施していただけば、われわれにとって非常に能率的に、順調にこの仕事をやり遂げることができると存ずる次第であります。
 以上、簡単でございますが、私の意見だけを申し上げます。
#37
○井手委員長 ありがとうございました。
 次に、トヨタ自動車工業株式会社常務取締役梅原参考人。
#38
○梅原参考人 梅原でございます。
 ただいま前田参考人からお話がありましたとおり、わが国の自動車の排気ガスによる大気汚染の要素としましてはいろいろございますけれども、アメリカで問題になっていますスモッグの問題は、自動車から排出する炭化水素の影響、日本においては炭化水素ではないということは、大体諸学者の研究または官庁の研究所の結論じゃないかと思っております。これははっきりしたことは言えないのでございますが……。したがって、私は、いまもお話がありましたとおりに、一酸化炭素をどういうふうに取り除くかということが、この排気ガスにおける大気汚染の一番大きな問題であると考えているのでございます。
 御承知のとおり、一酸化炭素は人体に非常に有害な作用をなすものでございます。しかし、この汚染というものは、道路に沿った局部的汚染である。道路から二十メートルも離れたところでは、もう大体この汚染の心配はない。道路、特に幹線道路の二十メートル内外のところが一番影響を受ける汚染であり、しかも現状では、それが警戒を要するというような地点は、東京都の中でもごく少数しかないような現状でございますけれども、将来自動車がだんだんふえるというような時代を考えてみますと、いまから対策をしなければならないというふうに思っているのでございます。先ほど前田参考人からお話があったように、アメリカでは一九六〇年に計画を立てて、一九六八年に初めて実施をするというような段階でございますので、この一酸化炭素対策ということも、いまからはっきりした長期計画を持って、それに沿って各方面が努力をしていかなければいけないかというふうに思うのでございます。
 一酸化炭素も炭化水素も、両方とも実はガソリンを完全に燃やしていなくて、まだ燃える養分であるということでございますから、こういうものを大気へ放出するということはたいへん恥ずかしいことでございます。そこで、この大気汚染の根本対策は何かと申し上げますと、私はちゅうちょなく完全燃焼であるというふうに申し上げたいと思います。完全燃焼をいたしますためにはいろいろな要素がありますが、空気が少な過ぎると完全燃焼しない。専門的なことばで申し上げて申しわけないのですが、理論的には、空気とガソリンの割合が一四・八くらいのところで完全燃焼をするのでございますが、それより空気が少ないと不完全燃焼をする。これを空燃比といっておるのですが、エア・フュエル・レシオと申しているのですが、このエア・フュエル・レシオを一五以上に保持しなければいけない。このエア・フュエル・レシオが一七くらいになりますと燃えにくくなるのでございます。したがって一五から一七までの間で、いかなる状態でも運転ができるような考慮が必要でございます。そのためには一体どういうことができるかと申し上げますと、そういう非常に燃えにくいところで燃やすためにはどうしたらいいかということでございますが、これにはやはりガソリンをできるだけ微粒化する。こまかくする。われわれのほうでわかっているのでは、十ミクロン以下の粒子にすれば完全燃焼するというような理論がはっきりしておりますので、ガソリンの微粒化をどんな状態でも十ミクロン以下に持っていくということが一つの課題になってくるのでございます。そのほかにガソリンと空気とのまぜ合いをよくするために渦流を起こさせる、うずを起こさせるということが必要条件になってまいりまして、この二つを大きな研究課題といたしまして、逐次それが鮮明されてきているという状態でございます。それからまた、新車をおろしまして何万キロか走った後の状態を調べてみますと、十五万キロ走ったところで、新車の状態の約二倍ないし三倍のCOを出すというようなことが大体わかっておりますので、そこでわれわれメーカーといたしましてはCOの少ない新車を出す、これはもうかなり研究が行き渡っておりますので、逐次そういう方向にいく。それから、調節しただけで非常に良好な状態になることもあり得る。また、掃除その他手入れによって数万キロ走った車でもよくなるものでございまして、これを周知徹底させるのが任務ではないかと思っております。
 自動車工業会におきましては、自動車による公害対策ということを強く取り上げまして、技術管理委員会というものがございますが、その委員会の主題目を昭和三十九年以降大気汚染のところに持ってまいりまして、仕事といたしましては運輸省との連携、通産省との連携、文献の研究会、それから公害の権威者との懇談、それから自動車技術会に研究費を出す、諸外国の権威者との意見の交換をする、それから外国の事情特に米国の事情の調査等を行なってまいりました。トヨタ自動車におきましても、五年ほど前から、先ほど申し上げましたように完全燃焼ということを主流といたします公害対策に研究投資をいたしまして、研究成果は逐次新車に適用しておりまして、公害対策に対してはでき得る限りの貢献をしたつもりでございますし、今後もまた、これは大きな任務であると思っているのでございます。
 しかしながら、公害対策というような大きな問題は、自動車のメーカーだけがする仕事ではなくして、国家的仕事であるというふうに思っているのでございます。たとえばプロパンガスは非常に一酸化炭素を出さない。これは非常に公害のためにはいい燃料であるという見地から申し上げますと、プロパンガスの税金の値上げというような問題は、大気汚染の見地から考えていただきますと、国家がほんとに大気汚染防止をやる気であるならば、プロパンガスの優遇措置ということについても大いにつながるものではないかというふうに思っております。それからまた運転状態でございますが、車の運転状態が大気汚染とどういう関係があるか、むちゃな運転をすると大気汚染をするのだということを周知徹底させなければいけない。こういうことは運転者の協力がなければできないことでございます。また、整備状態におきましてもどういうふうに整備すればいいかということはメーカーが指示するといたしましても、整備状況においてもなお研究を要することがあり、また多方面の協力が必要となってくるのであります。最後に、一番大きな協力者はガソリンのメーカーでございまして、このガソリンのいかんによって鉛化合物の公害というものも解決できる時期がくるのではないかというふうに思っております。
 最後に、日本で何かしら欠けているところがある。それはたとえばフランスの例をとって申し上げたいのでございますが、フランスでは全パリを二百七十カ所に分けまして毎日大気を測定する。そしてそれを五年間続けた。五年間続けたあと、一酸化炭素の量を規制したいという結論に達しまして、その第一段として、御承知のとおり自動車は、アイドリングと申しまして、ただエンジンを回すだけという運転のしかたがあるのでございますが、そのときに一番多くCOを出すのでありますが、そのアイドリングを規制をいたしまして、そしてパリのある特定の場所に測定所を設けまして、そこへ車を持っていけば測定をしてくれるばかりでなく、直してくれる。そしてアイドリング時のCOのパーセンテージを四%に規制するということをやって、そして直してくれたライセンス、証明が渡されるということがなされているのでございます。したがって、わが国におきましても各方面の協力がぜひ必要であり、この公害対策は国家的仕事であるということの御認識をいただきたいというふうに思うのでございます。
 私のお話はこれで終わりたいと思います。
#39
○井手委員長 ありがとうございました。
 次に東洋工業株式会社常務取締役河野参考人。
#40
○河野参考人 河野でございます。
 ただいままで前田参考人、梅原参考人からいろいろ御説明がありましたことに対しましては全く同感でございます。いま叫ばれております公害問題に対しては、COの害ということが大きく叫ばれておりますので、これに対しては前向きの姿勢で、大いにCOの出ないエンジンを開発することにつとめねばならないということは、自動車会社どこでも考えていることだと思います。私どもの関係しております小型工業会におきましても、自動車工業会と同じように、技術委員会でこの問題を取り上げて大いに審議しておりますが、いままでお話のございましたことに補足いたしまして、エンジンの大小によって排気ガスの規制がどう関係があるかということについて、具体的にお話を申し上げてみたいと思います。
 アメリカのようなばかでかい六リットル、七リットル、小さいのでも三リットルというようなエンジンにおきましては、排気ガスを規制します場合に、先ほどからお話がございましたように、キャブレッターのセッティングをいたします場合に、COの少ない排気ガスを出すようなセッティングはある程度できますわけです。ところが、それをやりますと、大きいエンジンではわりあいにやりやすいのでございますが、小さくなりますと、エンジンの不調が非常に大きく響いてくる。それともう一つ、これをエンジンのウイークセットと申しますが、先ほど梅原参考人からお話がありました空燃比を一五から一七というところに押えますけれども、キャブというものは、いわゆる過渡現象と申しまして、あらゆる状態で使われるわけです。スロットル開度ゼロから一〇〇%まで、しかも一〇〇%になっても登坂の場合には非常にスピードがおそい、降坂の場合にはアクセルを締め切ってもスピードが早い、こういういろいろな状態で使われますので、その状態のどれにもそのウイークセット、空燃比が一五とか一六というふうに合わせるのは、現在の状態では非常にむずかしいのでございます。大きいエンジンでございました場合には、ウイークセットにいたしまして、ある程度パワーが落ちましても、余剰馬力がございますので、あまり車としてエンジンの不調を感じないのでございますけれども、エンジンが小さくなりますと、ちょっとした不調が、車に積んだエンジンで、たとえばカーノックといいまして、ごつんとなるとか非常に不調を起こします。また、パワーとしては、もちろん現在のキャブレッターのセッティングは、馬力をいかに出すか、小さいエンジンでいかに大きなパワーを出すかということでセッティングしてございますので、それは非常に悪いところで――悪いところといいますか、パワーを出すようなジェットセッテングをいたします関係上、あるところでは濃いところができてくる。これが薄いところができました場合には非常に調子が悪くなりますので、どうしても濃い目にセッティングする。こういう状態にいたしておりますので、エンジンが小さくなりまして余剰馬力の少ない車では、非常にキャブのセッティングがむずかしくなる。しかも、あらゆる状態でいい燃焼比を得なければならないというので、キャブメーカーのほうに相当の負担をかけなければならないというふうに考えております。
 それで、私ども小さいエンジンをつくっておりますところは、非常に虫のいい考えかもわかりませんが、これはアメリカでもエンジンのCCに従って規制値を変えております。欧州でもそういうふうに規制値を変えてもらいたいという動きがあるようでございます。日本におきましても、同じ規制をいたしました場合でも、小さいエンジンについては、ある程度エンジンのCCということを考えていただいて規制していただきたいということを考えております。
 もう一つの理由といたしましては、エンジンが小さければ出す排気ガスの量が少ない。これはメーカーのかってな言い分かもわかりませんが、実際は少ないのでございます。少ないし、かつウィークセットにしにくいという非常に技術上の問題がございますので、ある程度エンジンCCを御考慮になった上で規制値を考えていただきたいことを希望いたします。
 それ以外のことにつきましては、前田参考人、梅原参考人のおっしゃいましたことに全く同感でございまして、われわれとしてはCOガスの排出規制に全力を尽くしてやっていくことは考えておりますが、先ほど梅原参考人のおっしゃったように、道路の渋滞度と大気汚染の問題がまだ明確にはわかっていないように私は考えますので、先ほどございましたように、定点観測というものを定期的と申しますか、一時的の問題でなしに何年とかいうことで、定点観測と自動車の数、それから渋滞度の関係、こういうものについて十分の調査機関を設けていただきたいと考える次第でございます。
 以上でございます。
#41
○井手委員長 ありがとうございました。
 最後に、富士重工業株式会社常務取締役飯野参考人。
#42
○飯野参考人 飯野でございます。
 私も、ただいま述べられました参考人の意見と全く同感でございます。特に私は小さい車について意見を申し上げたいと思います。内容におきまして多少重複する点もあるかと思いますけれども、御了承をお願いいたしたいと思います。
 公害問題が国民の健康に関しまして非常に重要なことである。それにつきまして、自動車の排気ガス対策が問題になっているわけでございますけれども、事国民の健康に関することでもございます。私どもメーカーといたしましては、この問題解決のために全技術能力をあげてやってまいっておりまして、引き続きその努力を傾注していきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
 排気ガスの害といたしまして、ハイドロカーボンにつきましては、スモッグに対する影響は日本においてはあるという実証はいまのところございません。何といいましても、重大な問題は一酸化炭素であろうと思います。これは御承知のとおり燃料の不完全燃焼によって起きるわけでございまして、また燃焼で炭酸ガスも出るのでございますけれども、それも一部分化いたしまして一酸化炭素になるものもございます。そういう不完全燃焼によって生ずるガスでございますが、これにつきましてその排出量を極力減らす、そういうことで努力を傾注しておるわけでございます。これには燃焼を完全にする方向に持っていくということで研究するわけでございます。そういうようにエンジンを改造するわけでございまして、いろいろ努力をいたしておるわけでございます。ただ、そういたしますと、エンジンの性能の低下、不調の原因、こういうことにつながってくるおそれも多分にあるわけでございまして、その方面の研究が非常に大きい要素となってまいります。特に小さい車におきましては、かりに一馬力減りましても、減る率は非常に大きいわけでございまして、その点細密な研究を行なわなければいけない、そういうふうに考えております。米国の使っておりますような大きいエンジンと違いまして、エンジンが小そうございますと、燃焼状況の改善ということは非常にむずかしい問題がございます。
 その原因を一つ簡単に申し上げますと、小さいエンジンは大きいエンジンに比べまして、ピストンの動きますシリンダーの外の壁の面積と容積との割合が大きくなるわけでございまして、そのためにガスが燃焼いたしますときに、壁の面積が大きいためにそこで冷やされますと燃焼がうまくいかない、そういう問題があるわけでございます。したがいまして、エンジンが小さくなりますほど、大きいエンジンに比べて燃焼を良好にするということがむずかしい傾向になってくるわけでございます。アメリカにおきましても、一酸化炭素の規制値が、容量が小さくなるほどゆるやかになっております。そういうのは、ただいま申し上げましたような技術上の解決の問題も考慮してあることと思います。もっともアメリカでは八二〇CC以下は規制の対象外になっておりますけれども、これは台数も少ないし、排出量も少ない、そういう点からはずされたものと思います。
 この一酸化炭素の排出量を改善するためには、エンジンと並行して気化器の性能を現在よりも数段と向上させるととが非常に重要なポイントになりますので、この気化器関係の技術対策といったものも並みたいていなものではないと考えております。
 いろいろな対策ができましたあとに、車の性能を、寒いとき暑いときを通しまして、年間を通じて確認試験をして、それからユーザーの方にお渡しをし、お使いいただくということにしなければならないわけでございます。不完全なものを無理して製作いたしますれば、大衆のユーザーからは大きな批判が生ずることと私は考えます。まずそういう点におきまして、早期にその改善をはかるために技術上の努力をいたすわけでございますけれども、それにはやはりしかるべき時間が必要なわけでございまして、その点で規制実施の時期につきまして弾力的なお考えもしていただけないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 ここで特にお考え願いたいと申しますことは、一酸化炭素の規制にあたりまして、ただいま河野参考人からもお話が出ましたが、排気量に応じて規制値を変えていただきたいということでございます。アメリカでは二三〇〇CC以上の車、それから二三〇〇CCから一六四〇CCまでのもの、一六四〇CCから八二〇CCまでのもの、こういうふうに区分してございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、エンジンが小さくなるほど技術的に困難があるのでございまして、現在でもなお技術対策が伴わないという点、それから小さい車から出る量そのものが大きいものに比較して小さい、そういう点で考えられておるように聞いております。わが国におきましては、アメリカと違いまして、非常に小さい車が多いのでございまして、三六〇CCといったような日本独特の小さい車も非常に多いわけでございます。こういう小さい車では、先ほど申し上げましたように技術上の解決に相当問題を包含しておるということ、それから燃料の消費量が大きいものに比べて数分の一である、そういう点から排出量も少ない。そういう点をあわせ考えまして、排気量に応じた適正な規制値をおきめ願いたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
 なお最後に、蛇足でございますけれども、私どもは、自動車の排気ガスをきれいにするということにつきましては、国民の健康上からも技術努力を重ねてまいるわけでございます。また、まいってきているわけでございますが、一方道路事情ということにつきましても並行して考えるべきである、こういうふうに思います。七号環状線と甲州街道の大原交差点の汚染の問題が大きく取り上げられておりますけれども、現在の平面交差を立体交差にいたしましたならば、汚染度は一体どういうふうに変わるであろうか、これは多分に大胆な仮定を置きまして試算をしてみたわけでございますけれども、少し目の子勘定になりましてたいへん申しわけございませんが、大原交差点ではラッシュ時に、交差点を中心にして甲州街道のほうに約千メートル、七号環状線のほうに千メートル、こういう十字形の道路の上に多くの車が渋滞しているわけでございます。この車が滞留する量は一体どの程度であろうか、こう考えてみますと、非常に大きい数でございまして、千数百台が現在滞留していると思います。この十字型の中にあります車は、赤信号でとまって、それからエンジンをアイドルの状態で回しているものや、減速してその十字の形に進入してくるものもございますし、青信号のほうは、ゆるやかな速度で入ってくるもの、加速をして出ていくもの、定速運転に入るもの、いろいろな状態になっているわけでございますけれども、これらの条件を、一応仮定条件を置いて考えてみますと、この千メートル、千メートルという十字型の道路の上に千数百台の車が現在滞留している、そういうふうに見られます。これをかりに立体交差にいたしますと、ほとんど定速状態で車は走っておりまして、約六分の一くらいになるのではないか。したがいまして六分の一排気量が減るわけでございますけれども、定常運転で走っているときのガスの放出量は、先ほど申し上げましたようないろいろな状態においての排出量に比べますと、また割合が減ってくるわけでございます。これを大胆に半分くらいになると仮定いたしますと、合わせて十二分の一くらいに減るのではないか。かりに交通量がさらに倍になったと考えましても、六分の一になるのではないか。こういうふうに考えますと、大原交差点の汚染問題はわずかな影響しか受けない、影響の少ないものになるのではないか、そういうふうに考えられるわけでございます。私ども自動車の関係におきまして努力はいたしますけれども、さらにまた一面、別な面でそういう道路事情といったものについても御一考いただければ、また国民としてもたいへんしあわせではないか、そういうふうに考える次第でございます。
 終わります。
#43
○井手委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#44
○井手委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。保科善四郎君。
#45
○保科委員 各会社において一酸化炭素の害を除くエンジンの研究に非常に御努力されている状況を詳しく承り、たいへん心強く感じたわけでありますが、日本の自動車のメーカーの方々がたいへんにいろいろな種類のエンジンを扱っておられて、この対策をとられることについてたいへん御苦労なさっている点もよくわかりました。ただ、これは私から申し上げるまでもなく、一酸化炭素の人体に及ぼす害が非常に悪いだけではなくて、植物等にも大きい影響を与えておることは御存じのとおりであります。したがって、御承知のとおりこれがたいへんやかましく言われたわけでありますが、このCOガスを除くということが非常に技術上むずかしい。ただいまもお話のありましたとおり、アメリカだけしか規制していない、こういうことでありますが、一体この技術面でどれだけの自信のできる程度のものがエンジンの改良において行なわれておるのかどうか。その点がはっきり、いままでの御陳述の上ではわからないのですが、一体マスプロをやり得る程度にこのエンジンの改良が、設計なりあるいは精度が進んで、そしてまたいつごろ、それができるということでありますか。それぞれのエンジンによって違うと思いますが、概括的に各会社にその点について、ごく簡単でよろしゅうございますから伺いたいと思います。
#46
○井手委員長 各社からお伺いいたしますので、簡単にお願いいたします。
#47
○前田参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。
 実はCOを低下するという問題に関しましては、先ほど梅原参考人からもお話のありましたように、エンジンの燃焼をよくするという点でありまして、この点は、大気汚染の問題が起こる以前からエンジンの研究としてはやっております。ただ規制値に対してどうなるか、あるいはどういう試験をしてその規制値に持ってくるのか、そういう点が最近ようやくわかりかけた点でありまして、今後はその改良を行ないまして実験をして、そうしてCOの量を調べるということになるのでありますが、実は分析装置なるものがアメリカのを使ったら一番いいということになっておりますし、あるいは国産でもありますが、その入手が非常におくれております。各社が注文いたしましたために、製造能力もあまりないようでありますので、納入が非常におくれておりまして、われわれはその対策、開発、いわゆる設計などはどんどん進んでおりますが、それに対しまして、大量生産的にエンジンをつくりまして、それを試験をするという段におきまして、いま手待ちの状態であります。それが順調にいきますというと、数回の実験を繰り返しますと、アメリカの例もありますので、目的を達することができると思います。そういう状態でございます。
#48
○梅原参考人 規制値を幾らにしたらいいかというようなことはミニマム、マキシマムですね。その規制値をきめたらそれ以外は絶対出さぬという値でございますので、これは自動車工業界全体としての問題だと思いますので、私ども来ます前によく打ち合わせてまいりましたのですが、私どもの会社について申し上げますと、それは毎年毎年改善されているというふうにお話し申し上げる程度でとどめたいと思います。
#49
○河野参考人 ただいま梅原参考人のおっしゃいましたように、私どもの会社におきましても、エンジンによってCOの量に非常にばらつきがある。現在のエンジンはCOの量にばらつきがあるということははっきりいたしております。先ほど前田参考人からもお話がありましたように、測定器の購入は、昨年の八月ごろ注文いたしたものが、納入されますのがこの四月の末になっております。現在それではどうしているか、いま注文しました計器は過渡現象のいろいろな状態、たとえば加速するとか減速するとか、そういう状態がとれる計器でございまして、現在私どもの持っております計器は定常状態、たとえばアイドリングだけだったらどのくらい、四十キロ程度だったらどのくらいということで、加速、減速は全然はかれない。ガスクロマトグラフといいまして、排気ガスを引き出してそれを分析する、こういう方法で研究いたしております。それで一番問題になります過渡現象をとらないと完全な最終的な結論は出ないと考えておりますので、四月に入りましたらさっそく半月か一月でこれをセットしまして、五月の末あるいは六月から本格的なテストに入りたいと考えております。現在定常状態の状況でわかりますことは、やはりキャブのセッティングをうまくやらなければならない。ところが、定常状態で排気ガスの濃度を小さくしておきましても、過渡現象の場合にはたしてそれが全部つながっていくかどうかということがまだわからない。それで現在一部分の車は、船舶技術研究所に赤外線分析計がありますので、それに持ってまいりまして一部分の車をテストしておる状況でございます。少なくとも、現在一番悪いと申しますか、大体において六、七%といわれておりますものを相当程度減少はできるということを考えておりますが、どこまでということをはっきり申し上げることは、やはり赤外線分析計が入ってまいりまして、テストの結果でないと申し上げかねると考えます。以上でございます。
#50
○保科委員 そうすると、いま測定器がないということを初めて伺ったのですが、これは規制の限度を示されぬと、それに沿うエンジンの改良というのをして、そしてそれをマスプロに移すことができない。非常に不安定みたいな、不確定みたいなかっこうに承ったのですが、そう承知していいのでございますか。
#51
○前田参考人 ただいまのところ、でき上がるという確信は持ち得ないと思います。それまで十分努力をする、そしてとにかくできるだけCOの少ないものをつくるということにいたしたいと思っております。
#52
○保科委員 この試験とかそういうものについて、政府あたりの協力を求めるような御希望はないのですか。いま民間だけで、赤外線の分析は運輸省の研究所に頼んでいるわけですが、試験あたりについてはもっと協力すれば早くできるというような、そういうめどはないですか、あるいは御希望はないですか。
#53
○前田参考人 もちろん、いろいろな研究所あるいは大学あたりの御協力を願いたいと思いますし、いまもいろいろ願っておる次第であります。
#54
○保科委員 終わります。
#55
○井手委員長 野間千代三君。
#56
○野間委員 たいへん参考になる御意見をいただきましてありがとうございました。実はわれわれも、自動車の排気ガスを清浄化するということはなかなか困難な仕事だ、しかも技術開発の面でも、あるいは測定の方法に関する問題でも、実は数回にわたって本委員会で官庁関係を通じて、質疑を通じて承知をしているところですから、別に私も業界の皆さんの御苦労を知らないわけじゃありません。これはそういうふうに前提として申し上げておきますが、いま参考人の皆さんの陳述で特にそういうことをまた感じておりますので、今後も皆さんの御努力をお願いすると同時に、今日までの御努力に敬意を表したいと思います。
 それで、まず公害の問題なんですが、確かに大原交差点等都内に主として、また特殊な交差点ですね、そういう点に多いということも事実でございます。最近、自動車が御承知のように急激に増加をしております。したがって、特に取り立てて調査をしたところ以外でも、大都市あるいは中都市の一部等に自動車の排気ガスによる大気汚染が相当大きく問題になって、大原ほど、卒倒する人があったりなんかすることはないにしても、付近の住民なりあるいは通行人の中で影響を受けておる面はたいへんございます。それで早急のうちにこれを解決したい、公害を取り除いていきたいというのがわれわれの趣旨であるわけですが、いま申しましたように、自動車関係の対策は非常にむずかしい問題がございますので、開発段階においては十分に国家からの研究といいますか、そういう体制も必要じゃないかというふうに思っておりますが、質疑を通じて明らかになったところは、どうもそういう点が十分ではない。たとえば運輸省の船舶技術研究所あるいは工業技術院等の研究体制も、必ずしも民間の皆さんの業界を指導し、援助できるまでにいってないような傾向があるというふうに思いまして、そういう点もやや明らかになりましたので、近く船舶技術研究所も視察をして皆さんのお仕事の一助にしたいというふうに考えているわけです。
 ただ、多少原則的な話ですが、原則的には公害という問題は、いま御指摘になった道路事情の改善、あらゆる周囲の状況を整備をするというととはもちろん国の任務であり、またわれわれの任務でもあるというふうに思いますが、やはり公害ということになってまいりますと、一つの企業からあらわれてきた有毒のガスなり、そういうものの発散ということであらわれてくる国民に与える害でありますから、そういう意味で研究開発の段階では十分な国家の力が必要であると思います。ぼくらもそういう点では努力をしたいと思いますが、そういう段階、あるいはいよいよ実施の段階等においては、業界のほうでも、いまおっしゃられる内容でも十分やっていらっしゃいますけれども、一そうの御努力をいただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 それから、どうも日本のいろいろな方面では、たとえばいまの問題ですと、高速あるいは高出力、こういうものがえてして優先をするような傾向にあるというふうに実は国民の立場から見ると思えるわけです。たとえば飛行機の事故にしても、あるいは鉄道事故にしてもそういう傾向に一つの原因があるというふうにも考えられますので、幾ら急いで行っても死んだのではどうにもなりませんしいたしますから、公害を取り除く場合には、効率が多少セーブされるということもあり得てもやむを得ないというくらいにお考えをいただいたほうが、やはりいいのじゃないかというふうにも思いますので、この点だけちょっと感想として申し上げておきたいのです。
 次に、御質問申し上げますが、ブローバイガスのほうですね。これは技術的には開発されておるというふうに伺っておりますが、これを実際に取りつける場合にいろいろな型があるものですから、必ずしもそう一がいに一律に、一つのものをつくってそれを全部つけるというふうにはまいらないようですから、そう短兵急にはいかないと思いますが、技術的にはやや開発をされておる部分でもあるようでありますし、人に与える影響でございますが、これはたとえば一酸化炭素のように直接すぐ影響があるということはないようには見受けますけれども、やはり大気を汚染しておるということは事実でありますし、それが直接直ちに影響がないにしても、長い間には人体にも影響がくると思います。清浄な空気のほうがいいわけですから。そういう意味で、まず第一に、このブローバイガスの対策についてそれぞれどういうふうに進んでいらっしゃるかを、小型のほうを担当していらっしゃる方と、大型というと失礼ですが、大型を担当していらっしゃる方と、それぞれ代表的に、簡単でけっこうですから御答弁願いたいと思います。
#57
○梅原参考人 ブローバイガスにつきましては、逐次取りつけていきたいというふうには思っておりますけれども、その本質が炭化水素でございますので、炭化水素はほかにもたくさん出していて、ブローバイガスが負担している炭化水素というものは二五%くらいしかないというようなことで、もっとほかにやるべきところがあるのじゃないかということでございまして、アメリカの事情とこれは非常に違うのです。アメリカは炭化水素のためにスモッグができる。日本は炭化水素はスモッグに関係しない。これは気候の状況でそういうふうになっておるのです。したがって、アメリカのまねをしてブローバイガスを全部つけるということが得なのか、それとも全体としての炭化水素を除くほうへ金をかけたほうが得なのかというようなかみ合いがありますので、そういう点も十分考えて逐次取りつけていきたいというふうに思います。現実に私どもでは一車種これを取りつけております。
#58
○河野参考人 ただいま梅原さんのおっしゃることに同感でございます。それともう一つ、ブローバイガスにつきまして相当やっておりますが、これはやり方によっては油が非常に汚染されるという問題が起こりますので、ユーザーに負担をかけないように、汚染度があまりひどくならない――いままでたとえば二千キロとか三千キロでエンジンオイルを取りかえていたものを、千キロとか千五百キロになった場合には、ユーザーに負担をかけるということがございますので、相当長期間にわたってテストいたしまして、油の汚染が現在とほとんど変わらない、ユーザーに負担をかけないというようになって出したいと考えております。
 当社の事情を申し上げますと、すでに一種類はそういうものができておりますが、これもエンジンによっていろいろな取り方がございますものですから、たとえば取り方が悪ければエンジンの油を吸ってしまう、油の消費量が非常にふえる、あるいは油が汚染するという問題がございますので、これもエンジン一つ一つについて慎重にやっていきたいと考えております。これは当然私どもとしては、法で規制されるされないにかかわらず、できればやっていきたいと考えております。
#59
○野間委員 もちろんいま御指摘のように、自動車によるブローバイガスだけの問題ではないと思います。これは他のいろいろな要件がありますから、他の要件のところでそれぞれ対策をつくるように、ぼくらも論議を進めていくつもりでおりますけれども、二五%にしても、つまり四分の一にしても実際にはあるわけですから、そういう意味でお願いをしたいのですが、いま御答弁で、それぞれ一種類ぐらいずつ、そう申し上げてはあれですが、ややテスト的につけつつあるというところのようですが、これは将来の計画としては、もちろん技術上の問題もあるでしょうが、将来なおこれもそれぞれの種別について取りつけ、改善をしていきたいという方針でしょうか、どうでしょうか。その辺もうちょっとおつけ加え願いたい。
#60
○梅原参考人 先ほどもお話しましたように、逐次取りつけていきたいということでございます。
 ここでちょっと御了解を得たいということは、私ども自動車工業では大体外国の模倣から始まってきて、外国に追いつくのにやっとであったという事情でございますが、今日では少し事情が変わってきておりまして、開発能力も非常に出てきておる。したがって、これから五年後には、私は世界のどこにも負けないりっぱな技術を持った自動車を出す自信を持っているのでございます。その場合に、ブローバイガスはアメリカでやっておるからやれということは模倣である、そして炭化水素の量からいうと、金をかけるならまだほかに金をかけるところがあるというふうに思いますので、これはもう少し私どもに時間をかしていただいて、ひとつ日本独特の技術を発揮するひまを与えていただきたいというふうに特にお願いをいたしたいと思います。
#61
○野間委員 たいへん意気込みのいいことでけっこうでございますが、別にぼくらもアメリカの模倣じゃないのですよ。アメリカがどうであったから、カリフォルニアがどうだということじゃないのです。たとえばスモッグにならぬでも、これ自体の問題としてやはり浄化をする必要があるという観点からやっておりますから、そういう意味で、時間をかせとおっしゃる気持ちはわかりますが、私が申し上げておるのは、大気汚染の一つの原因であるものは一つ一つ除却していきたいという意味ですから、そういう意味でせっかく一そうの御努力をお願いしたいと思います。
 次に、一酸化炭素の問題ですが、いまいろいろ御発言の中で、大小によって規制値を変えていただきたいという御意見がだいぶあるわけですが、現在の技術開発の実情を見れば、あるいはアメリカのように長年やっておったところでもそういうふうになっておるようですから無理もない話というふうには思いますが、ただ、日本の場合には、非常に排気ガスが、いま皆さんの言われるように環境としても出しやすい、出やすいという環境にあるわけですね、実際問題としては。しかも小型の自動車が主であるというふうになってまいりますから、技術の開発の点では非常にむずかしい点もあるでしょうし、それを実行段階に移す点についても非常にむずかしい問題がたくさんあるというふうに思いますが、まあ、われわれしろうとから見ますと、それは日本の特性である。したがって、その特性、特徴といいますか、そういう事情を前提にしてやはり進歩しなければならぬというのが日本の置かれている実情だといえると思うのです。したがって、研究の主力なりもやはりそこに重点が置かれるというふうに思います。三十七年に――たびたびこの委員会で言っておるのですが、ばい煙規制法が国会を通過しましたときに、将来必ずこの自動車の排気ガスの問題が出てくるということを当時すでに懸念をいたしまして、自動車の排気ガス対策をすみやかに立てる必要があるという附帯決議をつけて、ばい煙規制法は通過をしている事情があるのでございます。そういう意味で官庁の指導あるいは業界の皆さんの積極的な熱意が当時から要望されておったわけなんですが、そういう意味で、まあわれわれから言わしていただけば、できるだけゼロがいい、これは理想でありますけれども、ゼロがいい。そうなってまいりますれば、日本の小型について技術開発が進んでまいりますれば、やはり小型であるから程度は多少ゆるめてもいいというふうにはなかなか言いにくいと思います。そういう意味で、私どもの気持ちはそういう気持ちなんですが、参考としてお伺い申し上げるのですが、規制値を変えていただきたい、変えてみたいというふうに言っていらっしゃいますが、どういう基準といいますか、どういうふうにお考えなんですか、腹案がありましたらちょっと御発表いただきたい。
#62
○河野参考人 ただいま具体的な腹案を持ち合わしておりません。いまおっしゃいましたように、これは技術者として、どうしても小型だからむずかしい、やらないということはできないわけでございます。ただ小型だからむずかしい、むずかしいから時間がかかる。初めの間は規制値を大きいものよりも少しゆるめておいてもらいたい。相当時間がかかりますから。最後にはこれは同じになるにしても、最初始めるときには、どうしてもこれは時間がかかるから、アメリカでもやっておるし、例のないことではないので、時間をかしていただくためには、どうしても規制値を変えていただきたい。こういう御希望を申し上げたので、絶対にできないということを申し上げたのじゃございません。技術屋として、できないということを言うのは大いに恥なんでございます。理論的にはむずかしい、これはわかります。それだからやらないというのじゃなしに、時間をかしていただきたい。そうすると、一番最初からやられます場合に、やはりアメリカでもやっておりますような、これは具体的な数字はちょっとここでははっきり申し上げかねますが、アメリカでは一・五%、二%、二・三%、それから無制限、こういうふうにしておるのですが、無制限ということは絶対に申し上げません。だからアメリカを例にとって、その程度の規制値にしていただきましたらという希望を申し上げたのであります。どうぞその点誤解のないようにお願いしたいと思います。
#63
○野間委員 わかりました。実はぼくらもできないことをやれというのじゃない。これは当然の話なんで、そういうことを申し上げているわけではありません。いまの御答弁で趣旨はよくわかりました。非常に私どもむずかしい問題と思います。思いますが、日本ではやはり小型の自動車が発達をしなければならぬという事情ですね、将来も。最近見える傾向のように、非常に小型が大衆化して増加をしているという事情ですから、おそらくこの傾向は、日本の経済、国民生活、いろいろな環境から見ると、そういう傾向はやはり今後進んでいくというふうに思います。そういう意味で申し上げておりますので、いまの御答弁のように、ひとつ積極的に御開発、研究体制をつくっていただきたいということを申し上げます。
 それからもう一つは、私どもが考えておりましたのは、輸出体制の問題からではないのですね。これは皆さんもおそらくそうだとは思いますけれども、輸出から、アメリカでこうなったから日本のほうでもそういうふうにしなければならぬという輸出本位の問題ではなくて、いま申しましたように、公害問題として早く大気汚染の状況を浄化していかなければならぬ。しかも自動車の利用度が一そう急速に増加をする状況ですから。そういう意味なんですが、そこでこの委員会にも運輸省から提示をされましたが、新型車についてはことしの秋から、新造の車については来年の秋からは規制値をきめて、その規制値に基づいたエンジンの改造をしてもらわなければ困るという規制が発表になっておるわけですが、これに関する自動車業界としての現在の体制はいかがなものでしょうか、逐次お答えをいただきたいと思います。
#64
○前田参考人 会社といたしましては、先ほど申し上げましたように、この問題に対しては始終やっております。ただ、期限を切られて三%といわれた場合には、急なことでありますので、そのときできるかできないか、いま確答はいたしかねますが、努力いたすつもりであります。
#65
○梅原参考人 この問題は、あらかじめ監督官庁と打ち合わせてあると思いますので、努力次第で可能ではないかというふうに見ております。
#66
○河野参考人 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、現在では定常状態をもってテストして、過渡現象の点は、メーターが入りましてからはっきりした結論を出したいと思いますが、いまの過渡現象を総合いたしましたところ、新型車から三%ということに対しては、新型車と申しますと、その一機種にしぼればいいものでございますから、何とかぎりぎりその点には入り得るんじゃないかと考えております。来年からのお話も先ほど出ましたが、これはいまから期間がありますことですし、測定器が入りましてから大いに努力してやってみたいと考えております。確答は、これは全部のエンジンについての資料が出ておりませんので、来年の三%について確実に全部できるということは、まだここで技術的に申し上げかねる点がございますので、その点お含みおき願いたいと思います。
#67
○飯野参考人 ユーザーの方に安心してお使いいただきますためには、十分な確認の試験を経なければならないわけでございますけれども、技術者はいろいろ努力しておりますが、来年の秋くらいまで、ほんとうなら確認期間がほしいということを言っております。しかし、来年の秋から新車に適用される、そういうことになりますれば、ここでさらに一段の努力をいたしまして、合わせるという努力を今後やらなければいけない、そういうふうに考えております。一応の準備体制、研究はかなり進んでおるわけでございます。
#68
○野間委員 わかりました。私も、新型のほうはいま御答弁のようにそのものに集中ができますけれども、新造車を一斉にということですから、その辺についてはなかなかたいへんだと思います。ただ、車の現在の増加の状況等、実はこの委員会でも計算をしてみたのでありますが、いまのような体制でいって、昭和四十四、五年あたりようやく大都市での排気ガスの状況がややよくなってくるということではなかろうかという計算が出てまいりますので、われわれ国民の立場からすると、なるべく早いほうがいいわけですね。なるべくゼロがいいというのが理想であります。それでまいりますと、実は今度の規制の時期についても、まだ多少論議の余地があるように考えておりまして、なお検討をしていきたいと考えておるのです。したがって、新造車全般を切りかえることについては、いまの御答弁のように、それぞれ確答はしかねるという気持ちはわかります。ただ、われわれとしては、何とかしておそくも来年の秋には運輸省がいっておる状態にはなっていかないと、公害問題としてせっかく取り上げた値打ちがないというふうにも思いますので、そういう意味で一段の御努力をいただきたいと申し上げると同時に、なお、政府のほうで援助をしなければならぬ問題、これは自動車産業も体制としていろいろ内容としては深いと思うのですね。したがって、政府なりで援助、助成をしなければならぬ部門も十分にあろうかと思います。そういうこともわれわれはもちろん考えなければなりませんので、そういうこと、いわば業界と政府のほうの総合的な力で公害問題が解決をしていくというふうにすることは当然でありますから、そういう意味でも努力をしてまいりたいと思いますので、ひとついまの御答弁、一応現在のところではそういう御答弁でもあろうと思いますが、よく言うことばですが、前向きの姿勢で一そうの御努力をいただいて、所期の目的が早く完成できますようにお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
#69
○井手委員長 丹羽兵助君。
#70
○丹羽(兵)委員 ただいまの御発言の中にありましたので、私はもはや同じようなお尋ねをする必要はないと思いますが、いまも話にありましたように、また各参考人からも御意見が述べられましたように、公害問題は、あげてみんなが力を合わせて解決すべき筋合いのものであって、ただメーカーだけ、あるいは関係者だけにこの問題の解決の責任をとってくれといったって、これは無理なことだと思います。でありますから、あなた方もメーカーとして、この公害が少しでも薄れるように非常な御努力をいただいておりまするが、なおまた国としてこうしてほしいとか、あるいはこういうような規制措置を法律できめてほしいとか、やるべき仕事があると私は思うのです。それで皆さま方それぞれの立場においてそれぞれの役所にいろいろ要求していらっしゃるでしょうが、私ども、各参考人から御意見のありましたように、ひとつあなた方と一体となり、政府と一体となって、できるだけ公害の被害を縮めていきたい、こう考えておりまするから、いまも御発言があったのですが、どうかひとつこの委員会にも、政府としてこうしてほしいとか、あるいは国会としてこのようなことを政府になさしめるように努力をしてほしいというような具体的な問題を出していただきたい。私は、決してあなた方を責めたり、あなた方だけによってこの公害問題を解決していただこうなどとは思っていないし、また、幾らやられてもやれない問題だと思うのです。努力は認めておりますけれども、これは国民が力の限りを出し合って解決していきたい。それには私どもしろうとなんですから、あなた方に技術的な御説明を承り、また技術的な上に立って御検討いただいておりましても、それはいろいろの支障があってできないことがある。それをお互い国会が力になって除去していって初めて公害防止ができるのですから、国会が政府に、あるいは政府自身がどう働きかけどのようにしたらいいかというようなことを、委員長の御了承のように、二十日でありましたか、すでに理事会におきましては自動車排気ガスについてまた委員会を開くことになっております。その前にひとつあなた方から、われわれも努力しているけれども、こういう点を国会で政府のほうへ働きかけてくれ、あるいは政府はこれをなすべきようにしてくれということを、具体的に私のほうに資料をお出しを願うことができるかどうか、そうでなかったら、私は公害問題は解決していかないと思います。でありますから、できたら資料の御提出を願いたい。資料というのですか、要請書と申しますか、こういうことは国会でやってほしいとか、国会で働きかけてほしいとかいうような資料を、ぜひともこの二十日の委員会までにお出しを願いたいと思いますが、それができるかどうか、どなたでもけっこうでございますから、御意見を承りたいと思います。
#71
○井手委員長 ただいまの御要望に対して、普通車業界の代表からお一人、小型車の代表からお一人、お答えをいただきたいと思います。
#72
○前田参考人 ただいまのお話、非常にありがたく感ずる次第であります。
 先ほどから申し上げておりますように、計器の納入が各社だいぶんおくれておるようであります。アメリカに注文したのがありますが、そういうものが何とか早く入るような処置を講じていただくということはできないでしょうか、それが一つ。それから……
#73
○井手委員長 参考人に申し上げますが、次の本委員会は二十日に予定しておりますので、その前日までに、政府の指導で排気ガス対策をやる場合の政府に対する皆さん方の要望事項を提出していただけるかどうかという御質問でございますから。
#74
○前田参考人 それは御提出いたしましょう。わかりました。
#75
○河野参考人 私のほうも十九日までに、小型工業会の意見をまとめまして提出いたします。ただ、この場合に、エンジンの改善ということのみに限らず、それ以外のことも要望として、私が考えついたこと、こうすればもっと減るじゃないかということを書いてもよろしゅうございますかどうか。
#76
○丹羽(兵)委員 私どもはあなた方を責めようとは考えていないのですよ。各参考人からおっしゃっておるように、あなた方は努力していただいておる。だから国会としても政府と一体となって努力をして、公害被害を少しでも少なくしていこうと、こう言っておるのですから、国会のほうに、こういうことをひとつ骨折ってくれとか、政府にこういうことをやらしてくれたらわれわれの努力はより以上に効果をあらわすのだという、私どもに協力さしていただきたい。だから、どういうことを協力さしていただき、どういうように働かせていただいたらよろしいかという要請書を出してほしい、こういうことですから御理解を願いたいと思います。
#77
○井手委員長 浦野幸男君。
#78
○浦野委員 時間もだいぶたちましたので、簡単に一点だけお聞きいたしたいと思います。
 梅原さんにちょっとお尋ねいたしまするが、先ほどお話がありましたように、要は一酸化炭素をいかにして除去するか、その除去の方法がむずかしいわけであります。そこで先ほどお話のありましたときに、プロパンガスを使えば一酸化炭素は出ない。それからもう一つの方法は、運転手の人がある程度そうした公害というものにもう少し理解を深めてもらって、運転者の自覚も一つ必要だということ。さらにもう一つは、ガソリンメーカーが鉛化化合物を除去してくれる、これが大事だ。この三点を申されましたが、もちろん、これは自動車のほうがやらぬで、プロパンガスと運転者とガソリンメーカーでこれを解決せよという意味では私はないと思いまするけれども、問題は、まあプロパンガスを使うといってもなかなか限度があります。それから運転者の自覚というのもなかなか問題――むろん自覚はしてもらわなければいかぬと思いますが、このガソリンメーカーのほうが何とか精製のときにもっと一酸化炭素除去の方法をとってくれたらということが一番大きな解決になると思いますけれども、しかし、ガソリンメーカーのほうに言わせると、自動車のほうで適当に設備をしてくれればいい、こういうことで、両方がおそらく水かけ論、両方とも注意するけれども、最終的にはそういう問題が私ども聞いてみると出てきておるようでございます。そこで、ガソリンメーカーが鉛化化合物を除去するために、これはわれわれしろうとでありますからわかりませんけれども、相当な経費がかかるか、あるいはそれに対しては金さえかければそういうことが可能であるか、この点ちょっとお聞きいたしたい。
#79
○梅原参考人 ガソリンが、オクタン価の高いガソリンを使うということは、鉛化合物のたくさん入っているものを使うということになりますので、私どもといたしましては、それでなくともいまの日本のエンジンは、先ほどからお話がありましたように、リッター当たり馬力が外国の平均に比較しまして七馬力も高い、非常にガソリンの良好なのを要求しているというような事情でございますので、これはメーカー各自が自粛をしまして、できるだけ低いオクタン価で性能を満足するようにしたいということが一つございます。
 それから、ガソリンメーカーとしまして、その点は私は可能であるというふうに考えておりますけれども、これが一挙にやりますと、ガソリンの値段が高くなるとか、いろいろな問題がからんでまいりますので、これはガソリン屋ともよく打ち合わせていただいて、そして相当な長期計画でこの鉛化合物に対する除去という面では研究をしていきたい、こういうふうに思っております。いますぐやりますと、ガソリンが非常に高くなりまして、これはまたそのために非常にユーザーに迷惑をかけるということになりますので、その辺の計画をどこかで立案していただいて、そしてその計画に沿って長期計画でやっていきたいというふうに考えております。
#80
○浦野委員 先ほど、新車の場合と十五万キロくらい走った自動車の場合では、いわゆる古い自動車は非常に排気ガスが多い、新しい自動車の場合よりも二倍ないし三倍くらいは排気ガスが多く排出される、これは理屈はある程度わかるわけであります。そこで古い車を使うなというわけにはもちろんいきませんが、やはり古くなったときに、先ほどフランスのパリでは二百七十カ所の測定所を設けて、そうして測定をしておる。さらに運転者にアイドリングをなるべくやらないようにしてもらう。こういうことを申されましたが、パリでそういうことが効果があがっておれば、その効果というものはわれわれまだはっきりわかりませんけれども、パリでやっておることがこの東京でやれないわけもないし、二百七十カ所がどのくらいの費用がかかるか知らないけれども、やはり古い自動車を、新車よりも二倍も三倍も排気ガスの出る車を測定して、直せば直し得るわけですか、この点ちょっとお聞きいたしたいと思います。
#81
○梅原参考人 これは非常に精細にいろいろの場合のものを研究したわけではございませんけれども、ある程度リカバーできるというふうに思っております。これは今後の研究課題というふうに私ども思っておりますし、この方面は大いに研究しなければいけないのじゃないかというふうに思っております。
#82
○井手委員長 小山省二君。
#83
○小山(省)委員 大体いまの質問と大同小異のような形になるわけですが、私も、いろいろ自動車の改善をすることはもちろん必要ですが、燃料の規制をする、つまりある規格を設けて、そして両々相まってこの公害防止に力をいたすというようなことが必要だと考えますが、価格の点で、いま急激に実施すると非常に困難だ、こういうようなお話でございます。燃料の場合、プロパンに切りかえるというような問題も最近だいぶ問題になっております。それから重油のディーゼルエンジン、これはそうした一酸化炭素の問題はどの程度の公害原因になるものか。また、かりに少ないとすれば、通常乗用車をそういうエンジンに切りかえることが可能であるのか。あるいは最近はあまり問題になっていませんが、電気自動車というようなものならば全然公害はないとわれわれには考えられるのですが、今日の日本の自動車工業の技術でそういう方面に転換――たとえばきわめて少量な公害であっても、これが使用台数が多くなれば、当然それは集中されて一つの大きな公害問題となって、やはりいろいろ改善をしなければならぬ問題が出てくると思います。全然そういうことに関係のない燃料に切りかえるというようなことが、今日の自動車工業の現状からいって可能というところまで決断は出ませんが、そういう方向というものはメーカーとしてどういうふうにお考えになっておるのか、その点ひとつお考えがあったら参考にお聞かせをいただきたい。
#84
○梅原参考人 最初にディーゼルのお話を申し上げます。ディーゼルの一酸化炭素はガソリンに比較して現状では約百分の一程度の少量さです。しかし、ディーゼルの小型というものは非常につくりにくい状況でございまして、いまのところではたとえば一五〇〇CCが最低であるというふうな事情でございまして、しかもわが国の自動車の大半は一五〇〇CC以下であるというようなことで、お客の好みからいいましても、ディーゼルにするということはなかなかむずかしいんじゃないかというふうに思います。それでディーゼルにするまで非常な時間がかかるというふうにも思いますし、私どもの考え方としては、そういう時間をかけてくれればガソリンでも、かなり改善できるというふうに思っておりますから世界的な考え方から当分はガソリンでいくということに考えております。
 それからプロパンガスにつきましては、これもタクシーのような非常に飛び回る、普通の自動車の五倍とか十倍とかいう走行キロを走る車には、プロパンは大気汚染の程度に非常に寄与するのであります。一般の車をプロパンにするということは、お客の好みからいってもやはりなかなかむずかしいんじゃないかというふうに思いますので、ディーゼルと同じようなむずかしさがあるというふうに思っております。
 それから最後に、電気自動車なら大気汚染には非常に貢献するんじゃないかというふうなお話でございましたが、最近はフュエルセルとかあるいはバッテリーのほうも非常に進歩をしてきまして、まことに自動車の将来の行く手を御指摘いただいたような気がいたしまして、私どももその方面に対しては、研究の努力を怠っていないのでございますが、現段階では、これは世界的にまだ使われておりませんので、これにはかなりの年月を必要とするんじゃないかと思いますが、私自身の意見といたしましては、そういう方向に動くというふうに思っております。
#85
○小山(省)委員 先ほど河野さんは、小型の車はエンジンの改良がたいへん困難だというような御意見でしたが、そういう方面からいって、いまの電気自動車などの採用というものについてどういうお考えですか。
#86
○河野参考人 ディーゼルエンジン、プロパンにつきましては、小型は、いまおっしゃいましたエンジンの関係あるいはプロパン容器の搭載の関係で非常に困難でございます。重量的に非常に重くなる。それからお客さまの好みとして、現在ディーゼル乗用車というのはあまり好まれておらない。これはトラックの場合には、燃料的に経済上のメリットのために使われておるということが主体でございます。
 それから電気自動車につきましては、私の考えますのには、要はバッテリーの改善いかんにかかわるのだ。確かにCOに対してはよろしい。しかし、ほかのデメリット、たとえばいまコストが高いとか、あるいは一日に何時間かで充電しなければならないとか、反面こういう非常に不便な点がございます。それから最高スピードが制限されるとか、これは一にかかってバッテリーの改善いかんにあると考えております。電気自動車というのは世界的にも相当考えられまして、この前イギリスの雑誌ではある程度走れるものができたということですが、これを見ますと、やはり四十マイルかそこらでありまして、市中走行の程度ならよろしゅうございますけれども、長距離運行して、途中でガソリンをつがなければならぬ――バッテリーをかえなければいけないとかいうことになった場合には、これは自動車として非常に行動半径が狭くなるということがございますので、排気ガスのみを考えてすぐ電気自動車ということには話が飛躍しないんじゃないだろうか。あくまでいかに性能のいいバッテリーができるかということにかかっておると考えております。われわれとしても、排気ガスの毒性の少ないものを出すということに努力はいたしますが、これは将来はわかりませんけれども、そのために近い将来において電気自動車に一ぺんに変わるとはまだ考えておりません。依然としてガソリン車が優勢を占めるのではないかと思っております。そのためには、やはりガソリンの排気ガスの毒性のいかに少ないものを出すかという研究がいま一番重要な問題ではないかと考えております。
 以上でございます。
#87
○小山(省)委員 もう終わりますが、現状においてのメーカーのお考えについては大体わかったような気がします。ただ、私ども国の将来を考えた場合に、日本にそういう資源がないわけでございますから、万一輸送とかそういう面から、そうした原油が日本に入ってくることが困難だというようなことを考えると、今日のように自動車というものがもう国民の必需品に近いような状態になっておるときに、それがもし運行に事欠くような場合には、国民生活に一つの混乱が起こると考えても私は差しつかえないと思う。したがって、将来自動車というものが大衆化されればされるほど、そのような状態というものを全然無視して、ただ現状のガソリン、言うならば石油資源にたよることだけにきゅうきゅうとしておるということについては、一考を要する点があるのじゃないかというような、われわれしろうとの考えです。もちろん、新しい公害を除去するという一つの研究段階に入ったとすれば、やはりこれと並行して、私は、メーカーとして、将来そういう幅の広い研究を続けていかなければならないような気がするように思うのであります。これはまあ私の意見であります。
 きょうはたいへんいろいろ参考になって、ありがとうございました。
#88
○井手委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところを本委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、たいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十日水曜日午後一時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト