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1965/04/20 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 産業公害対策特別委員会 第12号
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1965/04/20 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 産業公害対策特別委員会 第12号

#1
第051回国会 産業公害対策特別委員会 第12号
昭和四十一年四月二十日(水曜日)
   午後二時三十二分開議
 出席委員
   委員長 井手 以誠君
   理事 奥野 誠亮君 理事 丹羽 兵助君
   理事 中井徳次郎君
      宇野 宗佑君    江崎 真澄君
      押谷 富三君    川野 芳滿君
      鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君
      野原 正勝君    山本 幸雄君
      吉川 兼光君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       進藤 一馬君
 委員外の出席者
        総理府技官
        (経済企画庁総
        合計画局電源開
        発官)     都築  堯君
        厚 生 技 官
        (環境衛生局公
        害課長)    橋本 道夫君
        通商産業事務官
        (企業局産業立
        地部長)    中川理一郎君
        通商産業技官
        (公益事業局技
        術長)     藤波 恒雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 産業公害対策に関する件(ばい煙対策)
     ――――◇―――――
#2
○井手委員長 これより会議を開きます。産業公害対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。丹羽兵助君。
#3
○丹羽(兵)委員 私は、先回通産省側にお尋ねをしたのですが、きわめて誠意ある御説明、御答弁をいただいたのでありますけれども、なお私としても、同席しておられた委員各位にしても、十分理解できない節がございますので、その点を重ねてお尋ねをしたい。もちろん、その御答弁の中から、考えていらっしゃるアウトラインといいますか、考え方は十分私ども理解するものでありますが、その表現があまりにも専門的なことばを使われましたので、しろうとの私ども十分理解できない。そこで重ねての質問をお許しを願ったわけであります。
 申し上げるまでももなく、発電特に火力発電というものが付近住民並びに沿岸漁業等に及ぼす影響は非常に大きい。そのために格別御配意をいただいたり、あるいはまた許可等についても慎重にやっていらっしゃる。そのことが住民の健康に大きな害を及ぼすとか、あるいは川等がよごれて漁業が不振になる、またせっかくの国民健康の地として海水浴場等に使われておったのが、そのためにできないというようなことがあってはならない。こういう点について十分考えて許可をなすっていらっしゃると私は思うし、またそのような御発言があった。
 そこでお尋ねしたい点は、火力発電を許可なさるときに、その火力発電のたくものが石炭であるか、あるいは重油であるか、こういうことは発電コストの上にも非常に大きな影響があると思います。もちろん今日の石炭対策からいって発電を考えなさることもあろうし、あるいは全くの企業需要の必要から、そういうことを考えずに発電の許可をなさることもあるでしょうが、私は、特に石炭を燃料として、いわゆる石炭専焼といいますか、それによって許可なさったものが、将来コストの関係等、あるいはその他の事情で重油に切りかえていくようなことがありはしないか、もしこれがあるとするならば、先回詳しく御説明いただきましたが、切りかえていくとき、燃料を変更していくときにはどういう手続、方策等をおとりになって許可をしていくか、その点を明らかにしておいていただきたい。燃料の変更等、これは私は大きな問題だと思いますので、その点を明らかに御説明を願っておきたいと思います。
#4
○進藤政府委員 ただいまの御質問、事務当局から御答弁させます。
#5
○藤波説明員 お答えいたします。前回の私の御答弁の趣旨が徹底いたさないところがあった点を申しわけなく思っております。
 一般に火力発電所の許認可いたす場合に、まず許可という段階で、基本的構想につきまして審査いたしまして許可をいたします。さらに工事計画の認可という段階で、具体的にその許可された構想で設備ができているかどうか、こういうことをチェックして認可をする。こういうことで発電所が建設されるということになっております。それで石炭火力ということで許可されましたものにつきましては、工事計画の認可の段階で、その線に沿った設備になっておるかどうかということを確認をいたしまして認可いたしておるわけであります。したがいまして、これを石油火力にかえるという場合には、当然その認可の変更をしなければならないということになると思います。その際に、あらためてその必要性があるか、あるいは支障がないかどうかということを判断した上でなければ認可されない、こういうことになっております。
#6
○丹羽(兵)委員 石炭専焼で認可になって、その後重油に切りかえなくてはならぬという事態が生じてくる、これはあり得ることですね。そのときにあなたのほうとしては、相当な工場ができておる、工場施設を持っておるけれども、それを全然切りかえの認可をせない、こういうこともあり得るのですか。たとえていうと、石炭でやってきたのだが、いろいろの都合で油に切りかえなくてはならぬ、そういうときに、条件が整わないから絶対に許可しないということはあり得るのですか。
#7
○藤波説明員 石炭火力で許認可されたものが、石油火力に切りかえるという構想が出てきた場合のお話でございますが、先回例示にあげられました武豊火力発電所では、現在その切りかえの構想というのは会社のほうも考えておらないようでございますけれども、かりにそういう申請が出てまいりましたような場合には、先ほど申し上げましたように、新たなる観点からその必要性あるいは公害防止上支障がないかどうかということを判断しなければなりませんし、前回も御指摘がございましたように、その環境、条件、地元民との関係といったこともその際にあらためて確認をいたしまして、諸条件が整ったところで認可をする、こういう立場をとっておりますので、御指摘の、条件がそろわない場合に認可しないということがあり得るかということになりますと、そういう場合もあり得る、こういうぐあいに考えます。
#8
○丹羽(兵)委員 藤波さんの御答弁は、いわゆる技術屋ですからまじめな御答弁で、その場限りで逃げておこうというごまかしのことばではない、しんからあなたが技術屋として答弁しておられるのを信頼して私は聞いておるのですが、しかし、こういうことなんですよ。私の言うことがわからぬですか、もちろん石炭から重油に切りかえるときにいろいろの条件がある。地元に対して最初石炭のときに同意を得たのが、今度重油に切りかえようとすれば、石炭のほうが海は荒れる、しかし重油に切りかえるならば空をよごすということになって、かえって漁民は重油のほうを喜ぶかもしれない。しかし、その付近が非常に発展してまいりますと、今度は住民が多くなってまいりまして、石炭よりは重油でたかれることのほうが被害が多いとしろうとは考えなくちゃならない。しかし会社自身は、発電コストの面から考えまして、重油に切りかえたほうが有利であるというか、コストダウンになるということから申請を出すとなりますと、新しく何にもないときに許可をするときは、それをつくってもらっては困るとか、そういう許可をしていただいては困るということで、相当住民の意思が許可の上に反映をしていくと思うのです。ところが、相当大きな規模でつくり上げてしまうと、さあ今度は住民の意思というものは、反対とかなんとか言いませんけれども、さら地のときとできてしまっておるときとでは非常にウエートが違うと思うのです。だから石炭専焼でとっておいて、住民には、もう石炭がらは流しません、石炭ですから空気はよごしませんと言っておいて、わずかに漁民だけを押えておいて、今度都合によったら重油に切りかえる、そして大ぜいの人に迷惑をかける、しかしもうそのときには、いまおっしゃるように条件だ、条件だ、反対はあっても条件――反対も一つの条件ではございましょうが、そのときの政府のとり方ですね、許可をなさるあなたのほうのとり方というのは、新しいものができるときと違って、今度はすっかり設備ができてしまって、切りかえのときには既成の事実ができているのですよ、だからどんな反対をしても、その反対というものが、こういうものがあるからもうしんぼうしてくれとか、こういうものができてしまっているから切りかえてもやむを得ないというようにいかれると、せっかくわれわれが訴えるものにウエートの差がつく、こういうことなんです。それを私は心配して言うのですよ。
 先回私は事例をあげて申し上げたのですが、わざとあれは間違えたのではないでしょうけれども、われわれには石炭だというようなことをりっぱに述べて、それで了解を得ておる。しかし、役所のほうでは、これはほんとうに間違いでしょうが、石炭と重油と併用するのだ、こういう許可を与えてあるということがそのまま残っていくなら、もう何の手がかりもわれわれとしては持てない、こういうことなんです。だから念のために私は聞いておきたいが、なるほど一切の条件が整わねば、設計の認可というのですか、それをしないからだいじょうぶだとおっしゃいましても、もうできてしまったものを反対をぶったって、反対が通らないようになってしまうのじゃないか、そうすると赤子の手をねじるというのですか、そういうことになってしまって、わあわあ言ってみたって、最初だまされてつくられたのがそそうであって、あとはどうにもならない。こういうおそれがあるので、私はそれを心配してお尋ねをするのです。その点、今度切りかえするときでも、同じように住民の意思を尊重してその設計の認可をなさるのですか。計画を変更するときには、できておろうができておるまいが、ほんとうに同じような立場で、同じような感覚で住民の意思を聞くとか、あるいはそれを求める、それが大きな条件のウエートになっておるかどうかということを私は重ねて承っておきたい、こう思うのです。
#9
○藤波説明員 公害、問題をこれだけ重要視しなければならない時代でございますので、既設の発電所の改造であるとかいうような理由で無理押しをするというようなことははなはだ適当でないと考えております。したがいまして、すでにでき上がっております発電所の変更ということであります場合でも、公害防止の観点からの地元民の了解等につきましては、新設のときと同様、あらためてそうした確認をし、それが条件が整わない場合には認可しない、こういうつもりであります。
#10
○丹羽(兵)委員 まあ、そういう御答弁をいただけば満足でありますがね。満足であるが、あなたのほうは役所の立場でおやりになるのですからそこまで言えるでしょうし、それを行なっていただけるでしょうし、そのとおりに実行していただけるでしょうが、たとえば政治的な感覚からいって、一体実際においてそういうことができるでしょうか、私はなかなか困難なことだと思うのですよ。実際に石炭専焼の火力発電所として許可をとった。しかし、長い事業の上からいって、重油に切りかえたほうがもっとコストは下がる、石炭もいろいろと事情が変わってきた、こういうことになってくると、事業家としては当然私はそちらに切りかえていくことを考えると思うのですよ。そのときに住民がわあわあ騒いでみたって、役所としてあなたがそこまで言い切られることはいいけれども、実際役所としてどこまでも住民の了解を求めるような努力をした上にやるという話ならわかりますけれども、もうそれだけの施設ができたものを、住民が反対を打つならばその工場は全部スクラップにしてしまう。そういうことが一体現実問題としてできますかね、政務次官。大発電所ができるでしょう、十億や二十億じゃない、何百億という金をかけてできた。そして石炭で始めた、どう考えても重油に切りかえなくちゃならぬ、みんなが反対するからそれはスクラップにしてしまって許可をしないということは、役所はその方針でいいかもしれませんが、現実問題としてそういうことはできないと私は思うのです。どうやったって努力をして住民の納得を取りつけて、その工場が生きるように、その事業が継続できるようなことにしなかったら、国家的にも損害じゃないですか。それを言い切ってしまうことはいいけれども……。政務次官お考えになったらおわかりと思うが、どこかにどえらい規模の工場をつくっちゃった、そして食べものを変えなくちゃならぬ、それが住民が反対を打つからやらないということになって、それをスクラップにしてしまうというような、あるいはまた工場の事業内容をすっかり変えていかなくちゃならぬというようなことは、言うことは言えますが、実際において行ない得ないと私は思うが、これは質問ではないけれども、一ぺんあなたはどうお思いになるか、政務次官の政治的な感覚としてどうお考えになるか伺いたい。
#11
○進藤政府委員 ただいまの御質問ですが、やはり住民に対する産業公害防止の立場からその点は見ていかなければならないと思うのでございますが、それに対してはいろいろな法律的な規制もありましょうし、あるいはまた政治的に住民との話し合いも十分遂げた上でなければやるべきじゃないと考えております。その結果が会社に重大なる損害を及ぼすというようなこともありましょうが、現状において、その石炭専焼から重油に変わったというそのときの立場において十分に話し合いをして、その上で決定さるべきものだろうと思います。私は、やはり産業公害防止の立場からは地元の了解なくしては許すべきじゃないと考えます。
#12
○丹羽(兵)委員 そうすると、またもとへ戻ってくるのですよ。そのときに了解をせざるを得ないことになってしまうのです。役所のほうでは、これは了解できないならスクラップにしてしまって許可を出さない、こうおっしゃるが、またいま政務次官のお話を聞いておると、それは事業も大事だからやはりあくまで了解を取りつけて――認可は了解を取りつけるということがまず前提であり、了解を取りつけた上にという、これはきわめて民主的なお答えなんですが、そうなったときに、私が先刻申し上げたように、もうできてしまった以上は、そこに何としてでもそれに応じなくちゃならぬという、住民は一つのひけをとることになると思うのです。困ったものですよ。筋書きどおりに住民が了解しなければ切りかえはさせない、こういうように言い切ってしまったって――それは言い切れるでしょう。しかし、それでは国家的に損害だということになれば、どんな努力をしてでも住民の了解を取りつけて、そうして切りかえていくような事態がきたときには、そういうふうにして切りかえていくのだ。それはあくまで住民の賛成、同意をどんな努力をしてでも取りつけることが前提である、こう言われる、それはわかります。わかりますが、そうなると、話がもとへ戻ると私が申しましたが、泣くより方法がないのです。新しいものをつくるというときの反対なら幾らでもやれますけれども、もうできてしまったのを、これを国の立場からいき、国家的な立場からいけば、これは生かさなければいかぬ。そうなると、われわれとしては、地元としては非常に大きな犠性になる、こういうことなんです。そういう点を――これ以上私は聞きませんが、これではあまりにも、何というか、最初はこういうことをやっておいて、そうしてあとはもうつくりあげてしまって、認可にはならぬけれども、それをお前たちが了解しなければ、スクラップにしてしまってそれでいいのかと言われれば、われわれとしてもちょっと考えざるを得ないでしょう。そうすると、やっぱりだまされて――だまされてということばは使いませんが、結果的には住民が大きな涙をのまなくちゃならぬ結果になるのですから、そういうときには、私は結論的なものを申しますが、公害対策というものを十分考えていただかないと、地元の了解を取りつけることもできないということなんです。そういう点をよく考えて、今後許認可なんかのときには慎重にやっていただきたい。この点を念のために、私は意見を申し上げて質問を終わらせていただきます。
#13
○井手委員長 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#14
○井手委員長 速記を始めてください。
#15
○進藤政府委員 ただいまの問題でございますが、そうした場合には住民の了解をとるとともに、脱硫装置その他十分にそうした一般住民に対する公害の及ばないような措置をとるということのもとに許可しなければならぬと考えます。
#16
○丹羽(兵)委員 了解しました。
#17
○井手委員長 次会は、明二十一日木曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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