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1949/05/13 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第18号
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1949/05/13 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 労働委員会 第18号

#1
第005回国会 労働委員会 第18号
昭和二十四年五月十三日(金曜日)
    午後二時二十六分開議
 出席委員
   委員長 倉石 忠雄君
   理事 角田 幸吉君 理事 福永 健司君
   理事 三浦寅之助君 理事 吉武 惠市君
   理事 前田 種男君 理事 川崎 秀二君
   理事 春日 正一君 理事 島田 末信君
      麻生太賀吉君    大橋 武夫君
      小淵 光平君    佐藤 親弘君
      篠田 弘作君    塚原 俊郎君
      船越  弘君    松野 頼三君
      青野 武一君    大矢 省三君
      小川 半次君    土橋 一吉君
      石田 一松君    石野 久男君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 鈴木 正文君
 出席政府委員
        労働政務次官  山崎 岩男君
        労働事務官
        (労政局長)  賀來才二郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 濱口金一郎君
    ―――――――――――――
五月十一日
 労働法規改正反対の陳情書(関東金属労働組合
 同盟瑞穂産業田無支部大会)(第四六九号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 労働組合法案(内閣提出第一四九号)
 労働関係調整法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一五〇号)
    ―――――――――――――
#2
○倉石委員長 ただいまより会議を開きます。
 前会に引続きまして、労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案を一括して議題に供します。
 前会におきまして、右両案については質疑を終了しておりますので、ただちに両案を一括議題として、討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。古武惠市君。
#3
○吉武委員 私は民主自由党を代表いたしまして、今回提案になりました労働組合法の改正法律案及び労働関係調整の一部を改正する法律案に対しまして、民自党と民主党の與党派、野党派の共同提案になります修正案を付しまして、贊成をいたすものでございます。
 まず修正案を朗読させていただきます。
   労働組合法案に対する修正案
  労働組合法案の一部を次のように修正をする。「國会は、労働組合法(昭和二十年法律第五十一号)の全部を改正するこの法律を制定する。」を「労働組合法(昭和二十年法律第五十一号)の全部を改正する。」に改める。
  第二條第一号中「雇入、解雇、昇進」を「雇入解雇昇進」に「忠誠」を「誠意」に改める。
  第五條第二項第五号中「代議員」の次に「の直接無記名投票」を加え、同項第九号中「過半数の投票」を「直接無記名投票による過半数の支持」に改める。
  第十九條第三項中「労働委員会の」の次に「委員及び」を加え、同條第十八項中「とき、又は」を「ときは、第十六項の規定に從つて選挙された者が会長の職務を代行し」に、「この條」を「同項」に改め、同條第二十項中「委員の任免は、」を「労働大臣の行う権限は、」に改め、「各五人」の次に「東京都においては各七人」を加え、「その中の二人」の次に「東京都においては三人」を加える。
  第二十一條の見出しの「(会議の公開)」を「(会議)」に改める。
  第二十二條に次の一項を加える。
  「労働委員会は、前項の臨檢又は檢査をさせる場合においては、委員又は職員にその身分を証明する証票を携帶させ、関係人にこれを呈示させなければならない。」
  第二十七條第三項中「開始を決定するまでその効力を有する」を「結果、これを取り消し、又は変更したときに限り、その効力を失う。」に改め、同條第五項中「從うべき旨を命じ、又は」の次に「当事者の申立により、若しくは職権で」を加え、同條第七項中「当該」及び「中央労働委員会に再審査の申立をせず、且つ、」を削る。
    〔委員長退席、三浦委員長代理着席〕
  附則第六項の次に次の二項を加え、附則第七項を第九項とする。
 7 労働省設置法(昭和二十四年法律第  号)の一部を次のように改正する。
  第四條中第十四号及び第十六号から第十八号までを削り、第十五号を第十四号とし、第十九号を第十五号とし、以下各号を順次四号ずつ繰り上げ、第十五号第十六号を次のように改め、第三十七号中「労働組合法」の次に「(昭和二十四年法律第  号)」を加える。
 十五 公益事業に関する労働爭議につき、労働委員会に調停を請求すること。
 十六 公共企業体の職員に関する労働組合について、立証を受け、及び証明を與えること。
  第七條第一号を次のように改める。
 一 労働組合法及び労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)の施行に関すること。但し、労働委員会が行う労働組合法第五條第十一條、第十八條、第二十條から第二十二條まで、第二十四條から第二十七條まで及び附則第二項但書の規定による事務並びに労働関係調整法第四十二條の規定による事務を除く。
 8 運輸省設置法(昭和二十四年法律第  号)の一部を次のように改正する。
  第四條第一項中第十八号を削り、第十九号を第十八号とし、以下順次一号ずつ繰り上げ、第二十五号中「第五十号」を「第四十九号」に改め、第十九号を次のように改める。
 十九 船員に係る労働爭議につき船員中央労働委員会及び船員地方労働委員会(以下「船員労働委員会」という。)に調停を請求すること。
  第五十七條中「労働関係調整法」の次に「(昭和二十一年法律第二十五号)」を加える。
  労働関係調整法の一部を改正する法律案に対する修正案
  労働関係調整法の一部を改正する法律案中、第三十七條の改正規定を次のように修正する。
  「第三十七條に次の一項を加える。」
  「公益事業に関し、関係当事者が受諾した調停案中に、なお関係当事者間において交渉を行うべき旨が定められている事項がある場合において、その事項について関係当事者が爭議行為をなすには、新たに前項に規定する條件を満たさなければならない。
 以上でございますが、今朗読いたしました修正案について、簡單に説明をいたしたいと思います。
 第二條第一号中の修正は、字句の修正にすぎません。
 第五條第二項第五号中の修正は、労働組合の役員の選挙は、組合員の直接無記名投票といたしておりまするので、連合團体でありまする労働組合または全國的な規模を持つ労働組合にありましては、その役員は代議員による直接無記名投票によるべきものであると考えたからでございます。また第五條第二項第九号中、組合規約の改正は重要な事項でございますので、組合員の「過半数の投票」とありますのを、「直接無記名投票による過半数の支持」に、改める必要があると存じたからであります。
 次に第十九條第三項中、労働委員会の職員は公務に從事するものとみなされておりますけれども、委員もまた法令による公務に從事するものとすべきでございまするから、同項に委員を加えた次第でございます。
 第十九條第二十項の、地方労働委員会の使用者委員、労働者委員、及び公益委員おのおの五人とありまするのを、東京都におきましては、おのおの七人と改めましたのは、東京都のごとき大府縣におきましては、五人ではその職務の遂行に支障がありはしないかと考えたからでございます。
 次に、第十九條第十八項中、会長に事故がございまするときには、会長の職務を代行する者が必要であると存じますので、かように会長代理を置けるように修正した次第でございます。
 そのほか第十九條第二十項中及び第二十一條中、多少の字句の修正をいたしたのでございます。
 第二十二條の修正は、臨檢、檢査をいたす場合には、証票を携帶すべきことは、各種の法令に規定するところでございまして、本法においても、またその必要ありと存じたからでございます。
 第二十七條第三項中、地方労働委員会の命令に対し、中央労働委員会に再審査の申立てをいたしました場合は、「結果、これを取り消し、又は変更したときに限り、その効力を失う。」とする方が、この間に空隙がなくなると思いますので、かく改正をいたしました次第でございます。
 次に、第二十七條第五項において、受訴裁判所が労働委員会の決定を取消し、もしくはこれを変更するには、「当事者の申立により、若しくは職権」によらなければならないので、かように修正した次第でございます。
 第二十七條第七項中の修正は、不必要な字句を削除したにすぎません。
 次に、附則において、労働省設置法の一部及び運輸省設置法の一部を修正いたしましたのは、今回の労働組合法及び労働関係調整法の改正に伴いまして、当然字句の修正をいたさなければならなくなつたからでございます。
 次に、労働関係調整法第三十七條の第二項を削除いたしました理由は、公益事業における労働爭議を行いまする場合は、提訴いたしましてから三十日間の冷却期間を満了いたしましたときより、原案によりますると六十日を経過した後に爭議行為をするには、新たに三十日間の冷却期間を経なければならないことといたしておりまするが、かくいたしますると、かえつてむりに、六十日間に爭議をさせるようなことになるおそれもございまするので、これを削除した次第でございます。
 さて今回提案されました労働組合法案及び労働関係調整法改正法律案に贊成いたしましたおもな理由を述べてみたいと思います。
 第一に、労働組合の民主性及び自主性を確立することについて、今回の改正案は著しく明確になつておると思うからでございます。すなわち改正案におきましては、現行法で不明確でございました組合に加入し得る者の範囲を、明確にいたしまするとともに、使用者の組合経費援助を禁止いたしまして、もつて使用者の御用組合化を排除し、組合の自主性を確立する点を明確にしておるのでございます。
 次に、また組合規約の必要記載事項を具体的に規定いたしまして、組合員の平等権、役員の直接選挙による選出、会計監査、公開、爭議行為開始に対する一般組合員の直接祕密投票等を明記することによりまして、從來ややともすれば一部少数の独裁、あるいは一部少数のフラクの策動の余地なからしめまして、もつて組合の民主化を確立せしめますのに、非常に役立つ法律であると存ずるのでごいます。
 第二に使用者の不当労働行為の範囲を拡充いたしまして、使用者の組合干渉を排除しておる点でございます。すなわち現行法では、労働者を不利益な取扱いをしてはならないという点だけ、不当労働行為として取上げられておりましたが、今回の改正で使用者は團体交渉を拒否すること、また労働組合の運営に干渉することも不当労働行為としてこれを排除し、組合の團結権をより一層強調しておるのでございます。
 第三は、労働協約の自動的延長を禁止しておるのでございます。現在労働協約が、多く終戰直後の動乱期において締結されましたために、それが自動的に延長されておるので、労資間の公正なる交渉が妨げられがちでございましたが、今回の改正によりまして、自動的延長を禁止し、あくまで労資間の交渉によつて決定するように、改正されておるのであります。
 第四に、労働委員会の権限を強化し、使用者の不当労働行為に対して原状回復命令を出し得るようにしておる点でございます。準司法的機能は公益委員すなわち中立委員のみで決定し、労資の委員は審問に参加し得ることにとどめまして、もつてその公正を期することにいたしておるのでございます。現行法では、労働委員会が不当労働行為に対して、單に檢察廳に対して処罰の請求をなし得るにすぎなかつたのでございまするが、今回の改正によりまして、労働委員会みずからが原状回復命令を出し得ることにいたしまして、もつて迅速なる処置ができるようになつたのでございます。なお從來これらの不当労働行為を審議いたすにあたりまして、労資、中立の三者で審議しておりました関係上、労働者側の委員にしても、使用者側の委員にしても、その利害関係が濃いために、公正を期しがたい点もございまするので、今回の改正によつて、中立委員のみで決定することとし、なお労資双方の委員がその審問にも参與できるようにしておる点は、著しく進歩しておるものと信ずる次第でございます。
 第五に、中央労働委員会と地方労働委員会との関係を緊密にしておる点でございます。過去におきまして、組合の地域闘爭等に関し、全國的に統一ある処置ができなかつたために、労働爭議をかえつて紛糾さした事例が少くなかつたのでございますが、今回の改正によりまして、労働委員会の権限を強化いたしまするとともに、全國的、統一的運営をはかるために、中労委が地労委に対して再審査権を有することとし、また地労委に対して規制制定権も持つことになつたのでございます。
 次に労働関係調整法の改正法律案について申しますると、第一、公共事業の指定について、國会の意思を尊重するように改正された点でございます。すなわち公共事業の指定は、憲法第二十八條の基本的人権との関係より、きわめて重大なる事項でございます。しかるに現行法におきましては、これを行政官廰が労働委員会の決議によつて指定することになつておりましたものを、今回の改正によつて、総理大臣が國会の承認を経てこれを指定することに改めておるのでございます。
 第二に爭議の調停にあたりまして、一旦調停案を受諾したならば、その調停案の解釈なり、あるいは履行について紛議がございます場合には、ただちに爭議行為に訴えることなく、その調停委員会の見解を聞くことにいたしまして、なるべく平和的に処理する方法の講ぜられておる点でございます。元來爭議が行われ、その調停が成立いたしました以上は、その調停案受諾後は、その事項については少くとも平和的に維持されるべきものでございますが、從來ややともいたしますると、その解釈について、ただちに爭議行為に出るきらいのございましたのが、今回の改正によつて、かかる場合には一應その調停をした調停委員会の見解を聞かなければ、爭議行為ができないというように改めておるのでございます。
 以上は、いずれも過去三年にわたりましての実際の経驗によりまして、その不備欠陷とされております点を是正されておるのでございまして、これを冷靜に檢討いたしますならば、決して反対すべき何ものもなく、眞に自由な、民主的な労働組合の確立を願います者は、ともに贊成されることであると私はかたく信ずるものでございます。もしこれに反対をする者がありといたしますならば、それは從來一部政治的な意図を持たれまする方々の、その独裁的な方法によつて、まじめな多数の労働者を自分の手中に入れて、これを利用せんとするものにほかならないと私は思います。憲法第二十八條を正しく理解し、眞に労働者の團結権、團体交渉権、爭議権を保障して、日本経済再建をはかろうといたしております者は、労働者でございましようと、資本家でございましようと、また一般國民でありますとを問わず、多数の人々は今回の改正に贊成されることと確信する次第でございます。よつてこの際私は政府に一つ要望いたしたいことは、政府は今回の改正とともに、眞に自由にして民主的なる労働組合の育成に、確信と熱意をもつて事に当つていただきたいのであります。かくして労資相提携して、目下の急務でございます経済九原則の円滑なる実施をはかり、もつて一日も早く日本経済の安定ができるよう、格段の御努力を拂われんことを要望いたしまして、本案に贊成いたす次第でございます。
#4
○三浦委員長代理 青野武一君。
    〔三浦委員長代理退席、委員長着席〕
#5
○青野委員 私は日本社会党を代表いたしまして、提案せられておりまする労働組合法と労働関係調整法の一部を改正する法律案に対しまして、全面的にその内部に流れておりまする反勤労者的な條文、あるいは條文の中に隠されておりまする精神に対しまして、反対の意思を表します。しかも單に社会党は反対するだけではなく、こういうように修正すべきであると思う。それは労働組合法の中に、あくまで労働者の利益を守り拔くという建設的な條文を挿入することであります。大体一般的に労働組合の諸君には、一、二年間現行労働法規を扱うなという意見もあると聞いておりまするが、むしろ一歩積極的に、三年前に制定せられました労働組合法なり、労調法を、積極性をもつて今の時局に、今の労働運動に適應したように改正せなければならないという立場をとりまして、社会党は、形式的には修正案として討議に臨むことは、時間のずれと周囲の事情によつて、不可能になつたのでありまするが、反対の討論を通じて、われわれはこういうように修正すべしという意見をここに表明したいと思うのであります。
 なぜ社会党はこういうように修正するか。労働組合法というものについて、労働者の意思に沿うて、それらの諸君の意思を尊重して、こういうように決定すべしという立場をとつておりまするゆえんは、日本の民主革命の主体勢力であります勤労者の中で、その先頭に立つておるのが労働者の諸君であり、日本の経済の復興も、祖國の再建も、生産力の増強も、一にかかつて千二百万の労働者諸君の努力いかんによつて、これが決定せられるのでありまして、終戰後連合軍のとりました民主的な労働政策によつて、非常に日本の國民経済が変貌いたしましたことを顧みますときに、この機会にこそ、労働者を中心にする日本の立國政策を確立せなければならないと考えておるからであります。御承知のように十八回にまたがる労働委員会の質疑におきまして、あるいは各党の方々からいろいろな御意見が出ましたが、民主主義の原則は、法のもとに平等である、こういうことをわれわれに教えておるのであります。第一は、議会政治の確立、言論、出版の自由、集会結社の自由、経済活動の自由、農民の眞の解放、信教の自由、みだりに逮捕、監禁、投獄せられざる自由、團結、團体行動、罷業の自由、住居や信書を侵害されない自由、これが近代國家に欠くべからざる民主主義の原則であるということが言われておりまするときに、今回の労働法規の改正は、まず第一條において、しかも第二項の但書において、暴力否定の條文が追加せられたのであります。私どもは乏しい経驗ではありますが、往年特高警察の手によつて、労働組合運動の指導者が、次から次に彈圧、迫害のしもとのうちに苦しい生活をした経驗をよく知つております。ようやく独立性を確立して、自主性と民主的な性格とを兼ね備えて、みずから日本の生産の担当者という自覚の上に立つて、日本の再建のために、苦しい生活の中に、歯を食い縛つて立ち上つて働いておる労働者に対して、この第一條の但書は、わが党の大矢委員も言つておりましたように、これは明らかに労働者に対する國際的な侮辱の條文であると私たちは考えております。この意味から、結論的に申しますが、この改正案に対して社会党の修正箇所を朗読して、その理由をその次に申し上げたいと思うのであります。もちろんこれは全労会議の意見、あるいは総同盟の意見、全國の労働團体の組合員の諸君の意見を廣く取入れて、形式はとにかく社会党の一個の修正案となつておるのであります。以下簡單でありますから、このプリントを一應読んでみます。
 「労働組合法改正に対する社会党の修正」「第一章総則」現行法を少し改正いたします。この改正案とはほとんど違うのであります。第一條第一項を、「この法律は労働者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利の保障によつて、労働者の経済的、社会的並びに政治的地位の向上をはかることを目的とする。」と私どもはこういう修正意見を持つております。これは憲法の勤労者に対する保障條文をこのまま移して、労働者の経済的、社会的、政治的地位の向上をはかることを目的とする。これが労働組合の目的を定める一番大事なことであります。第二項に現行法通りでありますが、口語文にこれを書きかえる。そうして暴力否定の但書はこれを削除する。
 第二條は第一号の前段として、「使用者またはその利益を代表する者の参加を許すもの」これを加えるのであります。今民自由党の方からの御意見もありましたが、社会党も「忠誠」と書いてありまするこの封建的な文字、これを「誠実」と改めることにしておるのであります。「労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの」を、「労働者または使用者の利益を代表する者と認められる」と修正したいのであります。第二條の第二号の但書中に、「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、」ということが規定してありまして、組合独自の会合を持つということが、この改正案の中にはありません。從つて使用者の許可を得なければ、時間中に中央委員会も中央執行委員会も、その他重要な組合独自の会議が開けないようになつておるのを、第二号の但書中に「労働者が労働時間中に時間または賃金を失うことなく、組合の会議を開き、または使用者と協議し、もしくは交渉すること」こういうふうに修正し、同時に「事務所の供與」を「事務所の供給等」と修正したいのであります。
 第四條は第一項の「地方公共團体」という文字を削るのであります。次に改正案には入つておりませんか、第二項として、現行法の一部を口語体に直して第四條第二項として、「前項に規定するもののほか、國または公共團体に使用せられる公務員に関しては、この法律の適用について法律をもつて別段の定めなすことができる。」ということを加えたいのであります。
 第二章労働組合の第五條から第八條まで次のように修正するのであります。第五條を「労働組合の代表者は組合設立の日から二週間以内に設立の年月日、規約並びに役員の氏名及び住所を都道府縣の長に届け出なければならない。」これは現行法の一週間を二週間とし、また改正案には労働委員会に届けることになつておりますが、社会党の修正意見は都道府縣の長に届け出なければならないとします。第二項に「前項の規定により届出をなしたる事項に変更を生じたときは二週間以内に都道府縣の長にこれを届け出なければならない。」これも一週間を増加して二週間になつております。第三項は「第一項の規定により届出をした労働組合が解散したときは、その清算人またはこれに準ずる者は、その解散した日から二週間以内にその解数年月日及び解散の事由を都道府縣の長に届け出なければならない。「次に問題になりました第五條の四号の「人種、宗教、性別、門地又は身分」の「宗教」のところへ、信條の文字を入れかえることを要求しておるのであります。
 第六條は、「労働組合として設立されたものが、第二條に該当せずもしくは該当しなくなつときは、この法律及び労働関係調整法の規定による権利と保護を受け、手続に参與することができない。」第六條の二項は、「都道府縣の長は前條第一項または第二項の規定により労働組合として届出をなしたものが、第二條に該当せず、もしくは該当しなくなつたと認めたときは、労働委員会の決議に基いてこれを決定する。」これを新たに挿入したいのであります。三項は「労働委員会は労働者、労働組合、使用者もしくはその團体その他の関係者から申請があつたとき、また当該都道府縣の長から請求があつたときは、労働組合として設定されたものが第二條に該当するかどうかを決定しなければならない。」と記するのであります。すなわち原案第五條の第二項を、第七條の第二項に持つて來るのであります。但しこの第四号中の宗教を、ただいま申し上げましたように、信條と修正をいたします。英文によりますと、宗教と信條は、やや近いものであるという解釈をするものもありまするが、將來この信條によつて、特に保守勢力の諸君が、過激な思想を持つと目される人々に対して、労働組合に働きかけて、労働組合に加入することのできないような、一種の側面からの彈圧をするような場合を考慮いたしまして、第四号中に信條を入れるというのであります。第七号中「すべての財源及び使途」を「すべての收入及び支出」にかえるのであります。「職業的に資格がある会計監査人」というのを「公正な会計監査人」に修正。
 第八條は「都道府縣の長は労働組合として設立されたものの規約が、前條に規定する條件を満たさずもしくは満たさなくなつた場合は、労働委員会の決議に基いてその変更を命ずることができる。」これが第五條から第八條まで修正であります。
 第九條は原案の第六條通り、これは交渉の権限であります。
 第十條の第一号、これは原案第七條の第一号通り、不当労働行為であります。第二号中の「雇用する労働者の代表者」を「労働組合の代表者または労働組合の委任を受けた者」と修正したのであります。第三号の但書は、第二條第二号但書の修正に準じて修正をする。これは組合の会議等であります。第四号は労働関係調整法の四十條と四十一條を第十條のここにもつて來るのであります。これに「労働関係調整法による労働爭議の調整をする場合に、労働者が行つた発言または労働者が正当な爭議行為をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これらに対して不利益な取扱いをすることはできない。」労調法の四十條と四十一條をこの不当労働行為の十條の四号に持つて來たのであります。
 第十一條は原案第八條の通り。
 第十二條は原案第九條の通り。
 第十三條は原案第十條の通りであります。
 第十四條は「労働組合はその主たる事務所の所在地において登記することによつて法人となる。」第二項、第三項は原案第十一條第二項、第三項の通りにいたすのであります。
 以下朗読いたしますのは、條文の変更でありまして、修正に伴つて條文が前後いたしますので、朗読いたしますが、第十五條は原案の第十二條通り、第十六條は原案の第十三條通り、第三章の労働協約は第十七條が原案の第十四條通り、第十八條が原案の第十五條通りであります。
 第十九條は基準の効力でありますが、原案第十六條中「待遇に関する基準」の次に「その労働協約によつて基準決定のために設けられた機関があるときは、その決定した基準を含む、以下同じ」ということを挿入したいのであります。
 第二十條は原案第十七條の通り、これは一般的拘束力であります。
 第二十一條は原案の第十八條通り、地域的な一般的拘束力であります。
 第四章労働委員会で第二十二條は原案第十九條通り、但し第二項後段として「特別の必要あるときは、一定の地域または事項について特別労働委員会を設けることができる。」ということを加えるのであります。
 第二十三條に原案第二十條通り、労働委員会の権限であります。
 第二十四條は原案第二十一條の通り、会議の公開を原則とせよ、これはただいま修正意見として出ましたが、この労働委員会にその原則をはつきりと公開せよという條文であります。
 第二十五條の強制権限は原案第二十二條の通り。
 第二十六條は原案第二十三條の通り、祕密を守る義務のところであります。
 第二十七条「第三章の規定は労働委員会に関與した労働條件その他の労働者の待遇の基準に関する協定であつて、労働組合がその当事者でないものについてこれを準用する。」といたします。
 第二十八條は原案の第二十四條であります。これは削除することになつております。公益委員のみで行う権限でありまして、公益委員のみが重要な問題を特にその権限をもつて決定する、これはあとで申し上げますけれども、第二十八條は原案第二十四條をあてはめますが、これを削除して、原案の第三十五條を持つて來るのであります。
 第二十九條は原案第二十六條通り、これは規則の制定権であります。
 第三十條は原案第二十七條を持つて來ます。これは労働委員会の命令であります。
 第五章罰則第三十一條は原案の第二十八條。
 第三十二條は原案第二十九條の通り、但し「第二十三條」を「第二十六條」と修正をするのであります。
 第三十三條は原案第三十條の通り、但し「第二十二條」を「第二十五條」と内容を修正しなければならぬのであります。
 第三十四條は原案の第三十一條通り。
 第三十五條は原案の第三十二條通り、但しその文章の中に條文にあります通り「第二十七條」を「第三十條」と修正しなければなりません。
 第三十六條は原案の第三十三條通り、但し「第十二條」を「第十五條」に、「第十一條」を「第十四條」と修正するのであります。
 最後に附則の但書を削除いたしまして、「この法律施行の際現に有する労働協約であつて、第十八條第二項の規定に違反する條項を含んだものについては、その條項を除いた部分がその労働協約の有効期間中効力を継続するものとする。」なお原案三項から七項を四項から八項に順次繰下げます。但し七項中の條文番号を修正しなければならぬのであります。
 最後に労働関係調整法の改正案に対しまする社会党の修正は、第八條の第二項中に「中央労働委員会の決議によつて」と書いてあります前の労働関係調整法の現行法にもどりまして、「國会の承認を経て」とありますのを「中央労働委員会の決議によつて國会の承認を経て」と修正。
 第三十七條に追加した二項中「前項の期間が満了した時から六十日を経過した後、公益事業に関し、関係当事者が爭議行為をなすには、新たに前項に規定する條件を満たさなければならない。」という一項は――社会党は、ただいまの御意見がありましたけれども、この第三十七條に追加いたしました二項中のこの六十日の冷却期間は、削除することにすでに数日前から決定しておつたのであります。先ほど説明いたしました労働関係調整法の現行法第四十條、第四十一條は、不当労働行為の四号に挿入をいたしましたので、これを削除する。
 これが、形式はともかくといたしまして社会党の修正の案であります。私はこれに伴いまして最後に社会党の立場を明らかにいたしまするが、今は御承知のように革命の途上にあります。民主革命を遂行しなければならぬことは絶対至上命令であります。民主主義の徹底によつて、今日新しい社会主義の革命というものを、だれが好もうと好まざると、当然歴史の発展過程の上では歩んで行かなければならない。そのためには政治、経済、社会、精神生活に大きな問題が投げかけられておるのであります。この間の九日の公聽会で日経連の公述人も言つておりましたが、日本の使用者、大工場、産業資本家は、終戰後少くとも二箇年間は虚脱状態にあつた。どうなつて行くかわからないから、仕事をやりつぱなしにしてしまつた。腕を組んで拱手傍観したそのときに、日本の労働者に、與えられた労働組合法ではありましたけれども、一千二百万人の労働者のうち、今日終戰後三年半で、六百七十万人の労働者諸君が組織を完了しております。ソ連の一千二百万人、アメリカと英國の五百五十万程度に比べて、日本の労働者の組織者の数は、世界の第二位であります。人口八千万のうちの一千二百万の労働者、そのうちの六〇%になんなんとする六百七十万の労働者諸君が、敗戰直後のあの生活の苦しい中から、いかに悲痛な決意を持つて立ち上つて、祖國の再建のために努力したかということは、これは民自党の諸君でも認めなければならぬ事実であります。そうしてこの民主主義を徹底するために、日本の生産を増強するために、この組織せられた労働者が先頭に立つて、いかに血みどろの労働力を提供し、日本の再建に役立つたかということを見まするときに、もつともつとわれわれは高度な、幅の廣い労働者の保護立法をつくるべきであると考えておりましたが、先ほど読み上げましたように、第一條には暴力否定の但書をつくり、あるいは人種、性別、門地、その他の條項の中に、ことさらに信條を取除いておるのであります。この点については、私どもは午前中にヘプラー課長に会つて、私どもの私見を申し上げておりますが、これは入れるべきであると私は考えております。こういう文字を削除することによつて――憲法の條文から引拔いて、二十年前に公國的にあの特高警察を中心にして彈圧したような、日本の労働組合に対して彈圧を加えることによつて、日本の生産がどうなるかということを考えれば、おそらく二十年にして祖國の再建がなるのが、四十年も五十年もかかつて行くという結果を私どもは考えざるを得ない。こういう時期にあたりまして、日本は表面は新生化されておりましても、内面的には幾多の腐敗したものが残つておる。その古い傳統やら矛盾が、あらしのような大きな力で吹き倒されて新しいものにかわろうとするときに、古い勢力が、その頭を持ち上げて來る力を押えようとする。この現われが、今度の労働法規の改訂の問題に幾多現われておるのでありまして、労働者にくまのいをオブラートに包んでのませるような、ねこいらずをオブラートに包んでのませるような、この労働組合法というものに対しまして、贊成をすることは絶対できなのであります。
    〔発言する者あり〕
#6
○倉石委員長 靜粛に願います。
#7
○青野委員 われわれがこの敗戰のどん底から浮かび上るには、どうしても労働者諸君の協力なくして、この目的を達することはできない。その意味から私どもは、三者構成の労働委員会の問題につきましても、第三者委員が公益委員と名称がかわりましても、これは資本家側の委員に属する人が多いのであります。全國の地方労働委員会を構成する顔ぶれを見ましても、中央労働委員会の構成の顔ぶれを見ましても、第三者の公益委員というものは、常に保守勢力の陣営に関係の深い者か、もしくはそれらの息のかかつた諸君が多いのであります。從つてこういつた労働委員会といつたような……。
    〔発言する者あり〕
#8
○倉石委員長 靜粛に願います。
#9
○青野委員 中央労働委員会の内部の構成は、労働委員も、使用者の委員も、公益委員も、これらの三者が同じ力をもつてこの労働委員会を組織して、そうしてあくまで労働省の利益を守り拔くというような立場をとらなければならない。今日の場合吉田内閣がいかに労働者に反動政策、反勤労政策をとりましても、労働者のサービス省である労働省はその外に立つて、局外に立つて、あくまでも祖國の再建と生産の増強と、経済復興のために、そうして労働者を守り拔くという立場をとらなければ、労働者の協力を求めることはできません。なんぼ自由党が議会の中に絶対多数を占めても、全國の組織せられた労働者を敵にまわしては、何事もなし得ないのであります。日本の労働者はそれだけの力を持つておる。それを伸ばさせるのが、労働組合法の改正でなければならぬ。各所に落し穴を設けて、あるいは爭議を押え、あるいは労働組合の幹部を何かの條文にひつかけて、法務廰に將來でき上ろうとしておる、往年の特高警察のごとき手をもつて、何事かを計画しようということでは、日本の再建というものはあり得ません。こういう見地に立つて、日本社会党はあくまでも日本の労働者の利益を守り拔く立場から、この法案に各種の欠点のありまするのに対して、ただいま朗読いたしましたような社会党の修正意見をつけましてここに私どもの主張を申し上げた次第であります。
 最後に申し上げます。大分そこらでがやがや言つておりますが、私どもはそういうことにはなれております。あいくちとこん棒の中で育つておりますから、一人や二人の諸君がぶつぶつ言つても、頭にはえがとまつておるくらいにしか思つておりませんが、最後に申し上げたいのは、この労働法規が多数によつて議会を通過いたしまするならば――ここに労働組合の代表者の諸君も來ておりますが、労働法規を改惡して、次にやるものは何か。官廰から四十万の首切りをやり、重要産業から六十万の首切りをやり、そうしてその次には、特高警察の手によつて労働運動を妨害して行く。これが一貫したところの保守勢力の方針であります。その現われが労働組合法の改正となり、その現われが労働関係調整法の改惡となつて現われて來たのであります。第一次試案、第二次試案、いかにこれが反動的であつたかということを考えるとき、その筋から訂正を受けなければならないような内容を持つておつたというところに、はつきり民主自由党の反動性をこの中に盛り込んでおつたものと思うのであります。われわれは諸君の反動的な、反勤労者的な政策であるこの法案に対しては、力を持つて戰つて行くことを宣言する。最後の結論として申し上げまするが、往年の幕末の近藤勇は、ずいぶん刀を拔いて勤王の志士を切つたが、今日の吉田首相は右の手に労働省を四十万人首切つて、そうして民主主義の大きな波を妨害しようとして、むりなことをやろうとしておる。それがこの法案に盛り込まれております。從つて私どもは、やがてこれが決定いたしまするならば、日本の労働者とともに、その第一線に立つて、自由党の諸君の政策と、われわれの政策とが、火花を散らして眞劍に戰つて、この法案をわれわれの力をもつて改正するであろうということを、ここに私どもは宣言をするものであります。社会党のここに修正箇所を申述べて、この反動的な労働組合法と労調法に対しましては、以上の趣旨によつて反対の意思を表明したのであります。(拍手)
#10
○倉石委員長 議員外の傍聽者諸君に、委員長から注意をいたしますが、靜粛を保たれるように願います。川崎秀二君。
#11
○川崎委員 私は第九控室民主党を代表しまして、原案並びに修正案に贊成をするものであります。原案が出まする経緯につきましては、先般本会議の議場におきまして質問演説に立つた際に、第一次試案から第二次試案に至るまでの線の反動的なる改正の点、これらについては質問の際に詳しく申し述べた通りであります。私どもは、その企図するところ、その意図するところに大して、重大な疑惑を持つておつたのでありますが、この法案それ自体の内容というものは、また別の角度からながめなければならないと、少くとも私は思う。今回提出されておるところの法案それ自体の内容においては、組合の民主化、自主化、責任化ということを目標とした線に沿つて行われておるのでありまして、その意図するところは、われわれも決して反対ではないのであります。從いましてその不備な点は、昨日來許されたる範囲内において、われわれは折衝を続け、修正の箇所を多く獲得をして参つておる。そのような意味合いをもつて、われわれはとにかく出された法案そのものを、冷嚴に法案それ自体としてながめなければならない。こういう観点から本案に贊成するものであります。大局的見地から、私はこれに贊成はしたけれども、しかしながら、これを運用する人によつて、法律は生きもし、死にもすると私は考えるのでありまして、本法運用については、吉田内閣におかれて十分の警戒をし、また今日までの経緯に照して、善処されんことを要望いたしたいのであります。本日たまたま対日賠償撤去を中止いたしたことが発表されて、國際情勢が著しく好轉をした。その背後にあるものをわれわれは考えなければならない。それは終戰以來の、少くとも労働運動の面において、あるいは社会生活の部面において、あるいは法律作成の部面において、日本國民が民主化の線を漸次強化をしておるということを、連合國が認めたことにほかならないと私は確信をするものであります。そのような意味合いをもつて、本法案それ自体にはわれわれに贊成をいたすものであります。
#12
○倉石委員長 土橋一吉宮君。
#13
○土橋委員 私は日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題になつております労働組合法原案並びに労働関係調整法の一部改正に関する原案及びこの二つの法案の修正案について、反対の意見を表明するものであります。
 そのおもなる理由といたしましては、現在資本主義國家におきましては、独占金融資本が、もはや民主主義の仮面をかなぐり捨てまして、そうして國家の権力と、さらに官憲の力をもちまして、労働運動を彈圧する趨勢にただいまあるのであります。その顕著な事例といたしまして、昨年七月三十一日に発せられましたボ政令二〇一号及び國家公務員法の改正法律案であつたのであります。かようなものが、現在官公廰労働組合二百五十万の同志諸君に対して、どういう結果を與えておるかということは、労働階級並びに全國の一般勤労人民大衆が、よくその内容を承知いたしておるのであります。さらに鉄道あるいは專賣公社におけるところの労働階級には、公共企業体の労働関係法規が制定せられまして、これまた團体交渉、あるいは罷業権その他の事項につきまして多大な制限を受ける傾向に來ておるのであります。かくいたしまして、民間一般労働階級に対しましては、ただいま政府が上程いたしておりますような、改惡の法律案を出さんとしておるのであります。
 以上の三つの動向をながめて参りますと、これが全日本の勤労階級に及ぼす影響は、まつたく甚大であると同時に、これが独占金融資本及びこれに寄生するところの保守反動的な政党の諸君の政治権力をますます強大化する内容を持つておるのであります。かような方向につきましては――日本共産党は全面的にさような勢力の増大することについて、反対の考えを持つておるのみならず、これを撃滅しなければならぬ、かような考え方を粉碎しなければならぬ、こういう精神を持つておるのであります。特に第二次吉田内閣及びただいまの第三次吉田内閣におきましては、御承知のごとく企業の合理化を中心といたしまして、全國の中小企業、さらに民族資本を含めまして、これを崩壞と、さらにこれを淘汰する傾向に参つておるのであります。さらにまた一般官廰におきましては、行政整理を断行することによりまして――ただいま定員法が國会に上程いたされておりますが、かような方法において、徹底的に勤労階級の犠牲と負担の上に、資本家擁護の政策が強行せられつつあるのであります。これは明らかに経済九原則に便乗いたしまして、働く勤労階級の犠牲と負担と、さらに血と涙と汗によつて、一部の諸君の暖衣飽食と、彼らの資本形態擁護のために考えられるところの政策であるのであります。かてて加えまして、今日の一般会計予算におきましては、七千四十六億余万円というような未曽有の厖大なる予算を編成いたしまして、その結果、この内容は全部勤労階級の負担によるところの一大收奪を行つておるのであります。從つて甲種勤労所得税におきましても、あるいは事業所得におきましても、ほとんど二倍ないしは七割強というような状態におきまして、これが強化せられることによつて、証明ができるのであります。かような状態で――特に地方配付税の問題が通過いたしましてから、地方財政の困憊と、その窮乏はまた言語に絶する状態にあるのであります。かような状態は、まさに揆を一にして、民主自由党が持てるところの本質的な政策の一環が、ここに現われておるのであります。にもかかわらず政府当局、あるいは労働省の説明によりますと、これは民主的にしてかつ自由な労働組合運動の促進のためである。あるいは過去三箇年の労働組合の経驗に徴し、さらに時勢の推移にかんがみて、かような状態に到達をしたのである。かような弁明を用いておるのでありますが、これは全部労働組合運動におけるところの民主的な方向の育成、助成とは反し、あるいは自主的な方向におけるという美名的なものでありまして、その中に隱れておるものは、まさに勤労階級を失業せしめ、勤労階級の首を切り、さらに低賃金を強要し、あまつさえ苛酷な労働を強要して來る、こいいう本質を持つておる、ただいまの修正、あるいは原案でありますので、わが党としては、全面的にこの法律の内容には反対の意見を表明するのであります。
 さらにわれわれに、日本の労働運動なり、あらゆる政治、経済、かようなものの動向を考えて参りますると、これはポツダム宣言の規定の第六項以下に明記をしておるのでございます。特に労働組合運動に関しましては、第十項の後段の規定が明確にこれを規定しておるのであります。さらに一九四六年の十二月六日の極東委員会におきまする日本労働運動に対するところの指導的な原則、いわゆる十六原則に違反するものすベての條項がまたかような傾向にあるのであります。かてて加えて一九四八年の第三十一回労働会議、すなわちI・L・Oの会議におきましても、かようなことを發禁する方向に現在参つておるのであります。さような内容に逆行いたしまして、この法案が行われておるというところに、民主自由党を中心とする吉田内閣の反人民的な、反勤労階級的な政策が、まず露骨に現われておるのであります。なおこればかりではございません。現在の憲法が明らかに規定をいたしておりますところの、憲法の前文の前項の規定におきましてもまた前文の後段の規定を見ましても、あるいは憲法の第三章の第十一條以下第四十條までに至る、すべての精神から考えましても、これが違反をしておるのであります。かような憲法の破壞を行うものが民主自由党の政策であり、第三次吉田内閣の政策である。かようにわれわれは断じておるのであります。特に憲法第二十八條の規定を見まするならば、明瞭に勤労階級はその團結権、團体交渉権、さらに團体的諸行行動の権利が保障され、しかもこれは奪うことのできない永久の権利であることを明記しておるのであります。從つてかような法案を権威ある本國会へ上程して來ること自身が、もはや憲法違反であり、かつ憲法の破壞者である。こういうのが現在の民主自由党の本質である。かようにわれわれは断ぜざるを得ないのであります。國会は現在御承知のように、民主自由党を絶対多数といたしております。從つて一部資本家の代弁的な政党というものが、國会の名において独裁的な政治を敢行し、勤労階級を、ただいま申し上げたような疲弊窮乏のどん底へ陷れているのであります。一部資本家階級を中心とする、民主自由党の諸君を含むところの反動的な勢力の独裁政治が、ただいま如実に行われておるのであります。かようなことはわれわれ断じて許すことはできないのであります。なおその結果が非常におそろしいのであります。これは青野君も指摘せられておりますように、まさに全世界における歴史的な過程を考えてみましても、また現在の現状をながめましても、かような法案を上程することが、いかに反動的であり、反人民的であり、反勤労階級的であるということは、きわめて顕著な事例になつておるのであります。從つてかような傾向を助長することは、とうてい平和と自由と独立を愛好する日本共産党の名誉とその権威にかけまして、われわれは絶対贊成することができないのであります。以下私は各項目にわたりまして、その反動性を明確に指摘いたしまして、かような法文の中に含んでおるところの意図を、明確にしておきたいと思うのであります。
 まず総則でありますが、これはどの法律におきましても総則は置かれますので、異論はないのでありますが、第一條の規定は、明らかに労働組合法というものがどういうものであるかということを書いておる、宣言規定でなければならぬと思うのであります。從いまして、憲法第二十八條が明記いたしておりまするところの内容を、遺憾なく具現することが必要であるのでありますが、遺憾ながらこの法案の内容を見て、どういうことを書いておるかと申し上げるならば、この法案が示しておりますように、労働者の地位を向上さすということの基本的な方法といたしまして、労働者が使用者との交渉において、対等の立場に立つことを促進することになつておる。さようなものだけでは労働者の地位の向上ではないのであります。あくまでも労働者の地位は、官憲なり、反動政府なり、あるいは反動政党なり、資本家なり、かようなものが加えて來るであろうところに対して、社会的な、経済的な、政治的な、文化的な地位を高めるということが、基本でなければならぬと思うのであります。從いまして、そういう一方法的な、技術的な方法を規定して、これが労働者の地位の向上であるというようなことを書いておるところに、この地位の向上に対して重大なる誤謬と、誤つた精神を持つておることが、まず看取できるのであります。また第二の團結することを擁護するという内容を見ましても、われわれは團結権の擁護とは言えば、官憲の圧迫、資本家の分裂政策、あるいは懐柔政策、あるいは反動政府がつくり上げるいかなる法律においても、労働組合の團結だけは保障しなければならぬ。こういう建前を考えておるのでありまするが、遺憾ながら本條の規定を見ますると、労働者がその労働條件について交渉をするためにみずから代表者を選出すること、その他團体行動を行うために自主的に労働組合を組織する。そういう内容が團結権擁護の内容であります。これをながめて見ましても、いかにこれが團結を擁護する一場面におけるところの、技術的な一つの方法であるかということは、きわめて明々白々であるのであります。また團体交渉をする権利を保障しておるという條項をながめて参りましても、單に使用者と労働者との関係を規制する労働協約締結のための、團体交渉の保障であります。さようなものは御承知おきのように、労働運動をおやりになつた労働者の代表、あるいは資本家側の代表の方も多々おられるのでありますが、團体交渉は労働者棚が資本家側との血の出るような闘いのうちに労働條件を獲得するものであります。從つてその方法につきましてはあらゆる方法があるのであります。ただ労働協約はその結果、結論として、かもし出されるところの一つの約束にすぎないのであります。かような、ただ約束をつくり上げるために團体交渉をするというようなことが、いかに労働協約、あるいは團体交渉権の内容を歪曲し、間を狹めておるかということは、明白であります。この内容を指摘いたしましても、第一條第一項の規定がいかに誤つておるかということを証明し、なおかつ憲法第二十八條の基本的な態度を歪曲し、これを狹めて、勤労階級の手も足も出ないようにしておるということは明々白々である。從つて第二項におきましては、かような内容を受け、刑法第三十五條の免責行為が許されておるのでありまするが、その免責行為の範囲も、またぐつと狹まつて來る。こういう結果を招來しておるのであります。ところがふしぎなことには、さように労働組合関係のあらゆる権利、行動につきましては制限をしながら、暴力の行使については手放しで――暴力ということは刑法のいかなる條項においてもないのであります。從つてこれは暴行であるかと言つても、政府当局は説明ができない。ただ不正なる実力の行使であります。こういうような説明をいたしておりますが、かような漠然たる内容をもつて、刑法第三十五條の免責規定を根本的にくつがえしておる。こういう事実が明らかに看取せられると同時に、これによつて地方官憲諸君が、いかに労働運動を彈圧するか。それは組織をつくる面においても、團体交渉をする面においても、さらに團体行動権を行う面においても、あるいは爭議権を行う場合、さらにストライキ権を行う場合に、この暴力行為の行使ということによつて、いかに官憲の力でこれが阻止せられるかということは、明々白々なる事実であります。また第二條をながめて見ましても、御承知のごとく第二條の規定は、使用者の範囲を、いわゆる労働組合において多大に獲得することによつて、労働組合の力を弱める内容を持つておるのであります。これが第一項の規定でありまするが、第二項の規定におきましても、現在逆の現象があります。資本家側の諸君から、労働組合の專從者が俸給をちようだいしておる方が、実は強いのでありまして、むしろ組合の自主的にまかなつておるような労働組合は、とかくすると、いわゆる民同とかいわれ、あるいは民主化同盟とかいわれる諸君がおもに牛耳つておるところの、労資協調の御用組合的傾向を多々持つておるのであります。從つて本末顛倒しておる條文をつくり上げておる。こういうことも御了解願えると思うのであります。総則の規定は一應私はこれをもつて終ります。
 第二章の労働組合の基本的な内容でありまするが、労働組合の組織を規定しておる條項の第五條であります。この第五條の規定をながめてみますと、労働委員会に証拠を提出して、第二條、及び第二項の規定に適合することを立証しなければ、この法律、及び労働関係調整法に規定する手続に参與する資格を有せず。またこれらの法律に規定する救済を與えられない。かような制限的條項を設けておるのであります。從いまして憲法第二十八條に基くところの、労働組合法によらざる労働組合が、ほうはいとしてアウト・サイダーとして出て來るのであります。そういうものについて、どういう処置を考えておるか。こういうものを彈圧する労働組合法の規定によつてつくられる労働組合は、御用組合か、さもなければ、骨のないところの、いわゆるへなへな労働組合以上に出ないのであります。從つて日本の労働運動が、いかに伯爵な労働組合になるかということは、この規定からまず考えられるのであります。また第二項の第四号の規定は、これは各同僚委員からも指摘されておりまする通りに、少くとも憲法第十四條の規定が明記しておりますることは、日本國民はそれが人種的な差別、性別的なもの、あるいは信條的なものが何であろうと、あるいはそのものが門地なり、身分をいかに持つておつても、経済的な関係、あるいは政治的な関係、あるいは社会的な関係においては、國家自身は平等にこれを取扱うことを規定しておるのであります。從つていかなる法律の前におきましても、各人はその信條のいかんを問わず、思想のいかんにかかわらず、これが平等な原則を受けるのであります。これは現在の法治國におけるところの不変の原則であるのであります。かようなものを特に信條だけ拔きまして――政府の説明によりますと、これは組合の自治にまかしておけばよろしい、こういう御説明でありまするが、これがいかに反動的であるかということは、明瞭であります。國家は当然さような内容についても、信條のいかんにかかわらず、労働権は保障しなければならぬ。もしかような点がありますると――労働権は御承知のごとく生命権、生存権、自由権を包括したところの人格権の現われであります。從つてこれはシヤツトアウトを食いまして、労働組合の組織にも入れない。また職業安定法の場合にも、これは意識的に職業紹介ができないというようなことになりますと、ゆうしい問題であります。もうすでにこの第五條第二項第四号によつて労働省の信條ということについては、抹殺する傾向があるのであります。御承知のように、ただいま労働運動の中心的な問題に、その労働省階級の諸君が、いかなる信條を持つておるかということが、爭議の中心的な解釈をする内容にも相なつておるのであります。これを國家の法律で、一方的に内容を決定するような事項を強要しておいて、逆にこれは労働組合の自主性にまかせるというようなことが、いかに矛盾をしておるかは、また明瞭なる事実であります。
 また第七條の不当労働行為の内容をながめましても、不当労働行為の第二項におきましては、使用者が雇用する労働者の代表者と團体交渉をすることを、正当な理由がなくて拒むことができない。正当なる理由とはどういうものであるか。この場合にも非常に問題があるのであります。普通これを一般観念によつて律する、かような政府委員の説明でありますが、事労働立法に関する限りにおいては、この團体交渉の面においても、その当時の状況においと、正当性ありやいなやが判定されなければならぬのであります。しかしただ普通の社会通念をもつて律するがごときことは、明らかに誤りであろうかと考えておるのであります。
 また越えまして、第十二重におきましても、これは御承知のように、私はかながね指摘しているのでありまするが、命じ二十九年にできました現行民法の権利能力、行為能力、あるいは非訟事件手続に関する規定をしていることは、いかに労働省自身が、労働立法に関する團体権の研究をしていないかということが、証明されるのであります。
 また越えまして労働協約の面でありますが、たとえば労働協約第十五條の規定をながめてみますと、これは自動延長の規定であります。この自動延長は、政府の原案によりますると、一方の表示した意思に反して、なお有効に存続することができない。かように書いてあるのであります。およそ労働協約において、十分な利益と保護を受けるものは、労働者階級であるのであります。おそらく資本家側の諸君にとりましては、労働協約というものは、ありがたい仕合せなものではないのであります。労働階級にとつてこそ、ありがたいものでありますが、これが自動延長が許されないで、一方が不満な意思を表示したときは、すでに無協約状態を招來するがごときことを國家が容認して、しかも爭議行為を誘発するような挑発行為を、國家の法文において行つておるのであります。なおかつ、また労働者の権利と生活を擁護していない事実が、現在東芝においても、あるいは、日本セメントにおいても、その他全國のおよそ三万有余の組合の中では、八〇%以上もこの問題が、ただいま賃金の遅配、未拂いという問題と相関連をして、起つておるのであります。かような事実を引起したその張本人は、やはり労働省の次官通牒であつたのであります。この次官通牒が昨年の十二月二十二日、及び今年の二月二日に発せられまして、労働協約、組合規約について資格審査、あるいは指導要領というものを出しておりまするが、そういう点から、かような点をつくり上げておるのであります。
 かようにいたしまして、その実績をかせぎながら、現在の労働組合法を上程したその過程が、まつたくもつて官憲の一方的な――しかも労働省は從來労働組合員、あるいは労働組合の窓口であり、サービス省である、かように一昨年米績労働大臣が就任の当時に叫んだのでありますが、今や労働省は、保守反動的な政党のために、労働者彈圧の官廰となり下り、しかも彼らの御用機関となり、爭議取締り官廰と化してしまつたのであります。從つておよそいかなる労働階級も、もはや労働省を信頼しないでありましよう。また現在の政府も、かような法案を上程することによつて、どういう結果が出て來るかということは、おそらく向う一箇月たたなくても、明瞭にわかると思うのであります。
 越えまして、労働委員会の第十九條の内容であります。この規定の中には、第四項にいたしましても、たとえば読み上げて参りますると、労働委員会に関する事項は、この法律に定めるもののほか、政令で足りるのであります。その政令をつくるものは労働省であるのであります。從つて労働委員会が、少くとも文明國家においては、國家の行政組織内における官廰機構として、調停、あつせん、あるいはその紛爭を解決するというようなことは、およそナンセンスであるのであります。これは國家び行政組織から完全にはずれまして、不独立の立場において、資本家側、あるいは経営代表といわれるもの、さらに労働者代表といわれる三者の合同によつて、適切妥当な方法で、政府がいかように考えておりましようとも、またその政府がいかような考え方において運営しようとしても、労働委員会が毅然とした態度をとつて紛爭状態を解決する。これが正しいのであります。しかるにかかわらず、この規定の第五項をながめて参りますと、所管は労働大臣の所管に入るのであります。從つて行政機構でありまするから、その職員なり、あるいは予算等においては、明らかに労働大臣の制約とその政策が織り込まれるのであります。また第六項におきましてもかような点があるのであります。特に公益委員なるものは、われわれ少くとも今日までの労働爭議を考えた場合に、自然に公益の代表というものはあり得ないのであります。労働者の代表、資本家側の代表が相ともに爭うその過程において、はたしていずれが裁定すべきであるか、こういつた結論が出るのであります。從つて公益代表というようなものは、國民の中には今日はないのであるます。少くとも日本共産党を中心とするこの政党こそ、國民の正しい公益を代表している。かようにわれわれはかたく信じているのであります。從つてそれ以外の一党一派は、全國民的な基礎の上に立つていないものであることを、この際に明らかに表明しておきたいと思うのであります。
 次は第二十一條の規定でありまするが、この規定をながめて参りますと、非公開の原則を考えておるのであります。およそ政府の説明によりますると、司法的な性質を帶びる事件については公開をする。しかしながら一般の問題については、調停の過程において、その調停がこわれるおそれも多分にあるのであるから、これを非公開にする方がよろしい、かようなことを申されておつたのでありますが、今日までの経驗に徴しましても、さようなことはないのであります。やはり調停といわず、あるいは司法的性質を有する事件といわず、すべて公開の原則が、この國会においてもとられておるのであります。また司法裁判所においてもそれは刑事であろうと、民事であろうと、公開の原則をとつておるのであります。また人事院におきまして、官公使の給與に関する審議をする場合においても、これが官廰のいかなる機密事項でありましようとも、人事院総裁は公開を要求してただいまやつている。ただ労働委員会のみが非公開を原則とする、かようなことについても社会通念に反するとともに、いかにこの法律が、民主自由党を中心とする全人民に対する彈圧法規の内容を含んでいるかということを明らかに証明している事実であります。
 その他各條項につきましても、いろいろなる説明を加えたいと思うのでありまするが、時間も迫りましたので、最後に労調法について述べたいと思うのであります。労働関係調整法の一部を改正する法律案の内容でありますが、第八條を見ますればわかるように、労働委員会の決議によつて、現行法はこれを行うことになつておるのであります。ところが公益事業の追加指定というような問題に関してでありますが、この問題を國会において決定し、内閣総理大臣がかように指定をするということは、民主自由党を中心とする現在の政府の政策的規定であります。從つて公益事業に指定するということは、労働階級の生存権と労働権をいかに保障するかということが第一で、その携わつている事業が公共事業性を持つているか、あるいは國民の一般日常生活にいかなる関係があるかということは、第二次的な問題である。しかるに彼らは本末顛倒して、公共事業性を主張すること、あるいは公共の福祉ということを第一義に置いて、基本的人格の生命権にも比する労働権を圧殺する、それを多数を持てるところの民主自由党の内閣において決定せんとすることは、明らかに論理的矛盾であると同時に、これがいかに彈圧規定であるかということを、明瞭に証明いたしておるのであります。また四十條の規定をながめまししも、少くとも労調法の四十條の規定は、労働者が爭議行為をなしたために、使用者側から解雇されないことが明定せられておるのであります。これは現在の労働組合改正原案の第七條の不当労働行為の筆頭に、明らかな條文であるのであります。これはもう労働関係における実体的な條文であります。從いましてこの労働関係調整法も、とかく反動性を帶びておりますので、われわれはもともと反対をしておつたのでありますが、政府の説明によれば、不当労働行為の内容を拡充し、強化したから、これでこの規定を削除してもよろしいということを聞いておるのであります。ところが、この七條の規定をふり返つてながめてみますと、こういう解釈は一つもない。第七條にはこう書いておるのであります。労働組合の正当な行為をしたことのゆえをもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすることまたは労働者が労働組合に加入せず、もしくは労働組合から脱退することを雇用條件とするそういうことをすることは、不当なる労働行為である、かように断定いたしておりますが、今読み上げた内容で、爭議行為に関係したから首切るという内容と、ここに書いてある正当な行為をしたことのゆえをもつて、解雇または不利益な扱いを受けないという條項とは、本質的に違うのであります。この見方の相違、これにやはり独占金融資本を擁護して、労働階級の犠牲と負担の上につくり上げられた法律であることは、きわめて明白なのであります。
 以上簡單でありましたが、おもな條文を指摘いたしまして、この改正原案及び修正案に対しまして、徹底的な反対の意見を表明しておくのであります。最後にかような法律案をつくられんとする吉田内閣及び鈴木労働大臣の心中いかんと察するのでありますが、まさにかような法律案を出すことによつて、わが國の憲法を破壞し、全人民の生活を苦しみのうちに陷れ、しかも独占金融資本の諸君の利益に奉仕する、かようなものの考え方は、今や全國民の租税の問題、あるいは教育費の問題、あるいはこの勞働法規の改惡の問題とともに、必ず政府当局の諸君に、この内容がいかなる形において展開せられて行くか、明瞭にわかるのであります。從つてこういうものを阻止するために、今や警察が強化され、裁判機構が強化され、特高が増強せられる、こういう結果は、全人民が最も反対をし、また國民の生活を愚弄いたして、一部の階級の利益のために、独裁政治をこの法文において行わんとする民主自由党の本質を暴露したものでありますので、共産党は絶対的に反対の意思を表明して、わが党の方針を示した次第であります。
#14
○倉石委員長 島田末信君。
#15
○島田委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする労働組合法並びに労働関係調整法の一部を改正する法律立案に対しまして、修正案を伴う原案に贊成するものであります。
 いささか所見を申し上げるならば、現行法規に実施されて三年有半になりまするが、この法規はまことにりつぱな、進歩的な誇るべき労働法であつた、かように考えるのであります。しかしながら惜しいことには、條文の條項において、具体性を欠いておりましたがために、その間隙に乗じて、一部不健全なる分子が、非民主的に活動するような余地を與えておつた。さらに一面、頑迷固陋なる一部の使用者たちに、不当労働行為をあえてするような間隙をも十分與えた次第であります。かような正常な組合の活動を阻害するような、一部の分子をして今後その活動の余地をなからしむるためには、当然この法規を改正して、さらに條文の各條項にわたつて、具体性を持つようにしなければならぬ。そのことにつきましては、政府はしばしば説明し、あるいは提案の趣旨弁明においても述べられましたが、その点については、私は大いに贊意を表するものであります。そこでこの法規が改正されますならば、当然ただいま申し上げたような、一部不健全なる分子の活動ができないような、あるいはそういう人々が大いに自覚を持つて、正常な組合の活動を推進するような態度にならないと、法規の改正の異議はないのであります。今回の改正の條項をながめてみますると、その点におきましては、まず労働組合において、組合自体が自主的に、かつまた民主的に運営できるような、具体性を持つた規定が十分盛り込まれておりますし、同時に一面蒙昧なる使用者たちが、不当労働行為を愼まねばならぬように、十分その範囲を拡充しておるのであるます。かような点から見まして、法規自体は私は相当りつぱなものができ上つたと思いまするが、ただ、いかにりつぱな改正法規が生れて來ましても、これに配するに労働行政、あるいは労働教育、さらには國民自体が民主的な國民として、ここに新生しなければ、とうていりつぱな法規も、その実果をあげることはできないのであります。私は民主的國民の資格の一つに、相手の体場に立つてものを考えることのできるゆとりのある國民、かようなことを考えるのであります。すなわち労働者は、使用者の立場に立つてものを考える、さらに使用者は労働者の立場に立つてものを考え得るゆとりがあつて、初めて労資対等の立場も実現できるし、同時にまたりつぱな法規も、そこに民主的な運営、自主的な運営がなされて行くゆえんである、かように考えておりまするがゆえに、政府におかれましては、労働教育の推進並びに労働行政の今後のあり方については、十分なる御努力を願いたいと同時に、さらに政治全般に対する総合施策においても、今後大いに意を用いていただきたいのであります。同時に法規は簡素化されることを最も是なりとするのでありまして、今日第一條において、いわゆる暴力行使という字句を揚げておりまするが、かくのごときは、先般労働大臣が大いに希望せられたことく、一日も早くわが労働界が正常に復して、かくのごとき字句を用いずして足るところのわが日本を、一日もすみやかに見出したいと考えるのであります。この点せつかく今後における政府の御盡力をお願いいたしまして、私の贊成の意見を申し述べた次第であります。
#16
○倉石委員長 石田一松君。
#17
○石田(一)委員 私は院内交渉團体であります新政治協議会を代表いたしまして、ただいま議題となつております労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案並びに提出された修正案に対して、ともに反対の討論をするものであります。その前に一應私はただいま委員長に質問したい一事があるのであります。それは民主自由党その他の会派より共同提案として修正案が出された中に運輸省設置法の一部を改正する案が本労働委員会に提出をされておりますが、この労働委員会で過去において、すでに制定された法律、この労働委員会の管轄外の法案を、この委員会で修正する権限があるかどうか。この点について一應委員長の御意解を承つておきたいと思います。(「もう質疑は打切つたんだ。討論の時間だよ」と呼ぶ者あり)もちろん討論であることはよくわかりますが、特に委員会の運営の上においては、各委員会はそれぞれ所管のいわゆる権限事項があるわけであります。その所管の権限事項を、他の委員会が、その所属の委員会に断ることなく、突如としてこうした修正などを試みるということは、少くとも運輸省設置法案などを相当する委員会の権限を、侵犯することに間違いはありません。この点においてこれは重要なる質疑を今後に残すものでありますから、一應委員長の見解を伺いたいと思いましたが、質疑は打切つて討論の時間であるということでありますので、後刻委員長において御誠意がありますならば、口頭をもつてか、あるいは文書で一應御説明願いたいと思います。
 私はただいま申し上げました両案の反対意見を簡單に申し上げます。細部にわたる反対討論は、それぞれ反対の立場にある各党各会派の代表から申し述べられましたので、私は簡單にその理由を申し上げておきます。それはこの法案を修正する必要性というものを生み出した、政府当局の示した諸資料、材料というものが、ほとんど一方的な材料のみによつて、改正の必要を判断されたということであります。すなわち使用者側に有利であつて、労働者に不利である材料のみをもつて、この法案の改正が企図されたということであります。過日の公聽会における、労働組合運動の権威者である末弘博士の公述の内容に見ましても、末弘博士は大胆率直に、現行法実施の結果の事実調査資料について、関係筋を含めた官廰の集めた資料は、関係が一方的であるという公述をなされておるのであります。こうした一方的な資料によつて、改正の必要性を認めたこの本案に、贊成することはできないということが一点であります。
 いま一つの大きな反対の理由は、少くとも本案は、憲法違反の疑いを抱かれることが濃厚であるということであります。その細部にわたりましては、ただいま他の委員からるる説明もありましたが、特に私の協調いたしたいことは、憲法十四條の條文をそのまま引用したと思われる労働組合法案の第五條二項、四号に、いわゆる信條という字句が第一次労働省試案にあつたものを、本案において故意に削除したということであります。しかしこれに対しての政府当局の説明を聞きましたところ、司法行政の最も重大なる責任の地位にある殖田法務総裁が、憲法は國家と國民の間を律するものであつて、組合は私的なものであるから、この組合が自由意思によつて、信條によつて、組合員の資格を拒否しても、これは憲法違反ではないという暴言を吐いたことであります。少くともこの法律が、私的な労働組合が、信條によつて組合員たる資格を奪つてもよいということを認める以上、この法律そのものが、憲法との関係において、ここに憲法違反であるということには間違いがないと思います。私はこの観点を強く主張いたしまして、本案に反対いたします。
 またもう一つ大きな観点は、少くともこの日本の敗戰後の経済財政をあるいは産業を、根本的に建て直して、いわゆる祖國の再建をなそうとするためには、何といつても、労働者諸君の心からなる協力を求めなければならぬということであります。しかも最近の労働組合運動のあり方を見ますと、逐次それぞれ自己批判、脱皮の段階にあるということであります。しかもこの脱皮の段階にある労働者諸君に対して、何を好んで、全勤労階級、労働者が血をしぼるような声で反対の意思表示をしておるものを、強引にこれを通過させようとするのであるか、その意図が那辺にあるのであるか、私たちは疑いたいのであります。労働者諸君は今まさに脱皮の過程にあり、祖國の再建のためには、彼らの労働力をあげて、そのためにささげ盡そうという決意に燃えてあるわけであります。この労働意欲を頭から刺激するような本案のごとき立法は、決して祖國再建のためではないという大きな観点に立つて、私は反対いたすのであります。
 その他こまかい部分につきましても反対意見はありますが、他の委員から述べられましたので、私はこれを省略いたします、よろしく公述人である末弘博士の述べられた言葉のごとく、政府は両案とも撤回をして、アメリカの議会におけるローヤル・コミツシヨンのような機構を(「イギリスじやないか」と呼ぶ者あり)一應研究をして、しかもこの点について、労働運動が過去において間違つていたか、間違いでなかつたか。この実際をよろしく調査いたしまして、間違いのない、一方的でない資料によつて、本法のごときは、改正案が立案さるべきであると私は考えるのであります。こういう観点に立ちまして、私は反対の意見を申し述べます。
#18
○倉石委員長 次に石野久男君。
#19
○石野委員 ただいま上程されております労働組合法並びに労働関係調整法の一部を改正する法律案、及び両案に対する修正案に対しまして、労働者農民党を代表して反対の意見を申し述べるものであります。
 わが國における資本主義の発達は、すでに明治以來、軍國主義的な軍需産業を中心として、そうして軍隊と警察力に守られた、その資本家のもとに行われて來ておるのでありまして、このもとにおいては、労働者はあくどい搾取と苛酷の労働をしいられて來ておりまして、われわれの先輩は、この惡い環境から拔け出るために、幾たびか今日施行されておるこうした労働法の獲得のために、闘つて來たのであります。けれどもそれは軍隊と警察力に守られおる時の権力のもとに、葬りさられて來ました。日華事変から太平洋戰爭に及ぶに至りまして、日本におけるところの資本主義の帝國主義的な形態が、その極に達しました。そしてこの戰爭のもとに、ものすごい闘爭が行われたのであります。この戰爭の結果、はたして何を得たであろうか。私たちにその結果むごたらしい生活の窮乏と困窮をのみ残されておるのでございます。國土は荒廃しております。そしてその中からポツダム宣言が日本の民主化を要請しております。この日本に対する民主化の要請から、一九四五年十二月二十二日に、今日の労働法が公布せられるに至つたのでありまして、この労働法は、労働者が長い間搾取され、そして隷属され、しかも帝國主義戰爭に幾たびかかり立てられたところの犠牲の総清算として、総決算として、獲得しました労働者の永久の保障された権利であると私は信じておるのであります。今この労働法が、政府及びそれに贊成される與党の民主自由党の諸君によつて、この國会を通過されるといたしますれば、私どもはこの法律が、まずもつてこれらの法の受益者であるところの労働者に、いかなる影響を及ぼすかということを、眞劍に考えなければならないと存ずるのでございます。少くとも一國におけるところの法の制定、あるいは法の改正にあたりまして、われわれが考えなければならない点は、それが國民の代表である國会に提案される場合に、常にその法益を受ける人々の、その度合いがどのようであるか、その意見はどのようなものであるかということを、愼重に審議されなければならないと存ずるのでございます。憲法はその前文におきまして、明らかにこのことを要請しておると信じておるのでございます。その條章には「國政は、國民の嚴粛な信託によるものであつて、その権威は國民に由來し、その権力は國民の代表者がこれを行使し、その福利は國民がこれを享受する。」と書かれておるのでございます。私たちはこの國民が享受する法の制定、改正にあたつて、はたして今日の改正法案が、どのような立場から提出されているかということを、まずもつて檢討を加えなければならないと存ずるのでございます。政府の提案理由といたしまして掲げられておるものは、過去三箇年の実施の経驗にかんがみ、客観的な諸情勢の推移にかんがみて、しかもまた経済九原則の円満なる実施をするためと、このように述べておるのでございます。経済九原則の円滑な推移をはかるために、最も必要なことは、これらの過去の経験と、これらの客観的な推移が、どのようにあつたかということを、眞劍に考えることだと思うのであります。まず第一に、客観情勢の推移と経驗とが、いかなるものであつたかということの判定に基いて、経済九原則に対する処置が立てられなけばならない、このように存ずるのでございます。私たちはしばしば政府の説明を聞いております。過去の経験がどのようなものであつたという説明も聞いておる。しかしこの場合に、まずもつてそれの法益の受益者である者、すなわち労働大衆は、いかなる立場においてこれを見ておるかということを考えなければならない。かつて第二次試案が提示されましたときに、全國における公聽会、あるいはまだ、すでに國会の本委員会において持ちましたところの公聽会における労働者側の意見は、すべて反対にある。しかも今日このときにおいて、全國の七百万の組織された労働者は、この法案を惡法なりとして排撃する運動を展開しておるのでございます。また第三者の意見は、すでに諸君も御承知の通り、この法案を政府に撤回することを要請しておりますし、國会がもし考えるならば、これは返上すべきであるということまでも眞劍に申し述べておるのであります。われわれの関知するところにおいては、この法の改正によつてその法益を受けるところの労働者諸君、これはすべて反対の態度を示しておる。また第三者も、これに一應愼重な審議を加えるべきであるということを、要請しておると信ずるのでございます。はたして政府が三箇年の経驗に基きを言い、しかも客観的な情勢の推移によると言うその根拠は、いずこから來たものであるか。それはかつてこの國会において持たれました公聽会の席上、日経連の諸君が申し述べられましたその資本家を代表する態度、及び政府のその意図、そしてこれを支持される民主自由党、これらのものを除いては、すべてがこの客観的な情勢や、あるいはまだ経驗にかんがみということを、否定しているということを立証しておるものである。この法案の提出される理由は、すべて民主自由党、それの政府である吉田内閣が、資本家陣営の意図をそのままに代弁する姿でしかないということを、いわざるを得ないのであります。私たちはそれがその法益を受ける者に対して、著しく惡化するということを、この法を見て、自信を持つて申し上げることができるのでありまして、それゆえに私たちは労働者農民党を代表して、この法案に対する反対を、まず前提として申し上げるものでございます。私たちはこのような立場から、この法案に対してしさいな檢討を加えてみたい。
 本法案には政府がいかに説明をいたしましようとも、憲法に対しては違反する多くの條項を含んでおると信ずるのでございます。労働権を掠奪し、組合を取締つて、その自主的な健全な組合運動を抑圧する以外の何ものでもないということを、はつきり申し上げたいのでございます。この法案によつて、さらに労働者にその自主的にして健全なる運動を阻止され、そこに残るものは、おそらくは組合に依存する組合員ではなくして、職制に依存するところの、職場に依存するところの、資本家に依存するところの組合員を、多くつくり上げるのであろうということを、はつきり申し上げなければならない。私たちはこのようなことがあるならば、それは憲法に対する違反行為であり、極東十六原則の趣旨にもとるものであると、いわなければならないと信ずるのでございます。すなわちこの法案を貫いている次の四つの点が、最もそうした特質を示すものであると申し上げなければならないと、私は信じておるのでございます。
 まず第一に第一條及び第二條、第五條、特にその第五條における第四項のごときは、明らかに憲法二十八條に対する違反をなしておるものであり、極東委員会の示した十六原刑に対しても、もとるものであるといわなければならないのでございます。第二には、本法案の各條項を通じて、労働権に対して苛酷な制限規定がなされているということである。第三には、労働組合に対する官憲の介入を容易ならしめているということであります。第四には、この法案全部を通じまして文章が著しく難解である。わかりにくい、そしてそのわかりにくいということは、われわれの見解をもつてすれば、ただ單に技術的なまずさから來たものであるとは信じられないのであります。特に第一條の文章のごときは、いわゆる憲法違反、あるいはその他十六原則等に対する違反事実を、故意に歪曲しようとする、作意的な文章の形であるとしか思われないのでございます。このような四つの点から、本法案は労働者諸君が言うように、最も惡辣な労働者彈圧の取締り規定であると断定せざるを得ないと信じておるものでございます。各條にわたりまして簡單なわれわれの反対理由を申し述べたいと思うのであります。
 第一條の関しましては、すでに各党の委員がその意見を申し述べておりますように、この法は明らかに本法を貫くところの宣言規定でなければならない。その宣言規定は、少くとも政府の説明するように、憲法二十八條より具体的に記述されておかるべきものであると信ずるものでございます。しかるに憲法二十八條が明らかにわれわれに保障するところの團結権、團体交渉権、あるいは團体行動権は、いたずらに制限を付せられて、ごく狹義に狹めて解釈されるように、この法文には書き上げられておるのでございます。しかもまた第二十八條においてに、明らかにこれらの諸権利、労働者に與えられたる権利を保障しておるのにかかわらず、この法案においては擁護するというような文字をもつて、労働者に対して非常にわかりにくくさせておる。しかもこれら相手方であるところの資本家陣営に対しましては、保障された権利を、擁護するという恩惠的な権利に、置きかえようとする意図が含まれていると信じられるのでございます。われわれはこの擁護と保障との文字の使いわけこそ、決して簡單なものではないと考えておるのでございます。この擁護という文字を使うことこそ、政府がいたずらに資本陣営の有利な観点を、確保してやろうというその作意が、にじみ出ているものであると信じられるのでございます。そのことは、その第二項における但書の暴力行使の文字において、明らかに証明されるものでございます。さきに共産党の土橋君は、この点に対して適切な意見を申し述べられておるのでございますが、われわれは労働者の持つ権利が、かくのごとくして制限され、規制されておるにもかかわらず、暴力行使という廣汎な手放しの規定が、ここになされておるということにおいて、労働者の立場から最も強い反対の意見を申し述べたいと思うのでございます。戰後におけるところの労働者は、幾多非難はありますけれども、少くともより自主的に、より民主的に、育成されつつあるのであります。少くともこの國会において、日本の將來を憂い、眞に日本の再建と日本の復興をこいねがう者が、われわれ國民の代表として、その陣頭に立つて本國会を運営しようとするならば、このような労働者の間に芽ばえておるところの、自主的にして健全なる趣勢を育て上げなければならない。この芽をつまみとるがごときこのような規定は、明らかに反動的な規定である。それはかつての軍國主義と、その反動的な政策のもとに、逆もどりする以外の何ものでもないとわれわれは信ずるのでございます。また第二條、あるいは第五條において、徹底的に労働者の団結権を掠奪し、しかもその自主性が、政府並びにその背後におけるところの資本家階級の権力に隷属することを、しいておると見られるのでございます。その但書の一項の規定におきまして、あるいはその他のすべての規定は、このようにして労働者の強く確保され、保障された権利を制約しておるのであります。第二條と第五條との関連性において、幾多の非組合員が本法の改正案のもとにおいて出て來るのであります。われわれは、非組合員として出て來るのであろう職場の労働者諸君が、どれだけ多くの数になるかということを、しばしば政府に対して質問いたしました。おそらくこの数年は、厖大な数字となつて出て來るでありましよう。しかもこれらの非組合員は、本法五條の規定によりますれば、法のもとにおけるところの、いわゆる法律に規定するところの救済を與えられないことになるのでございます。しかもまた法規的な手続もなすことができなくなるのであります。法規的な手続がなされず、しかも法の保障が與えられないということになりますならば、これは憲法二十八條におけるところの労働者の権利と、いかような関係になるかということを考えなければならない。しかもまた、今日到るところに起つておるところの失業者の群れ、しかも労働者の餓死的な生活事情、職を持つておる者においてさえも、賃金連配が続々出ておるのでございます。このような立場から、労働者はその餓死的な生活と窮乏の中におののいておるのであります。これらの労働者が、眞に自分たちの生活権を守り拔くためには、何が最も信頼されるものであろうか。それは申すまでもなく二十八條が保障するところの團結権であり、交渉権であり、あるいは爭議権であるはずであります。しかるにこれらの労働者は、このような労働法の保護のもとにおいては、生きることができなくなるのであります。かかる点は、明らかに法の前に平等でなければならないところの人民各層に対する、差別的な待遇を表示するものであります。しかもその第四号において、先ほど來何べんか問題になつておりまするところの信條を、作意的に拔いておるというところにも、この差別的な政府の施策が明らかににじみ出ておるといわなければならないのであります。また第七條におきまして、不当労働行為の規定がございます。政府及びこれに贊成される諸君の意見をもつてしまするならば、これは現行法よりも、前進しておるものであると言われておるのでございます。しかしわれわれの見解をもつてするならば、これはいささかも現行法より前進しているものではない。これは明らかに第二條の規定、第五條の規定に対する、裏返しのことを文章化したものにすぎないのでございまして、それ以外の何ものでもないのであります。これを言いかえますならば、本法を貫くところの労働者の彈圧、労働者の取締り的規定、こうしたものを、故意に労働者に対してごまかそうとするほかに、何らの意味を持つものでないと信じておるのでございます。また第二條の規定しておりますところの專從者の給與の問題のごときにおきましても、明らかにこれは、小さな組合を経済的に破滅させる結果をもたらす以外の何ものでもないということを、指摘しなければならないのでございます。われわれはこのほか労働委員会の問題について、特に公益委員の問題、あるいはその委員会が非公開の原則をとるということに対しても、他の党の諸君が表明されておりますような意味と同じような意味において、反対の意思を表明するものであります。
 労調法に対しても幾多の意見を持つものでありますが、時間の関係もありますのと、重複する憂いがありますので、一應各條にわたるところのわが党の意見は、差控えたいと思うのであります。
 これを要するに、昭和二十四年度予算によつて、人民は重税に苦しみ、中小企業者は金融権のために次々に倒壞して行くのであります。労働者は政府の行政整理と、民間の企業整理のために、厖大な失業者となつて、ちまたに投げ出されて行くのであります。今現にこの國会の正面には、この中小企業者の、特に石炭産業者、それに從事する從業員の人々が、いわゆるハンストに入つております。これは石炭産業におきまするところの中小炭鉱が、やつて行けないということを國会の諸君に、政府の諸君に、その実相を訴えるために、今ハンストをやつております。茨城炭田におけるところの中小企業、あるいはまた政府予算その他の諸施策によつて生ずるであろうところの失業者の厖大なる数字は、これらに從うところの四万七千人のうち、三万二千の人々を失業陣営の中にほうり込もうとしておるのであります。本法案が改正される意図は、このような労働者に対する厖大な失業に対して、資本家が労働者の團結権その交渉権、その爭議権に対する脅威からのがれるために、この本法案を、故意に政府が資本家とたくらんで、提出されたものであるといわざるを得ないのであります。かかる立場に立つ労働者の反撃は、著しく、各地にわたつてその範囲を廣めておるのでございます。私たちは、この法案を提出されました政府及びそれに贊成するところの民主自由党の諸君に、愼重再考を促したいと思うのでございます。今これらの労働者が、もし本法成立のあかつきにおいて、いかなる立場になり、これによつて生ずるであろうところの日本の経済に及ぼす影響、及びこの社会に與える大きな影響を思うときに、それは決して日本の民主化のためにも、再建のためにも、有益なものではないと信ずるのでありまして、私たちはこのような反動立法が、もしこの國会を通過するとしますならば、これは立法國におけるところの現國会が、最も恥辱を感じなければならないものと信ずるのであります。かかる意味において、われわれ労働者農民党は、本法の改正にあたつて、絶対反対の態度を表明するものであります。
#20
○倉石委員長 討論は終局いたしました。
 第一に労働組合法案について採決いたします。まず民主自由党古武惠市君より提案せられました修正案について採決いたします。本修正案に贊成の諸君は御起立願います。
    〔贊成者起立〕
#21
○倉石委員長 起立多数。よつて本修正案に可決いたされました。
 次に本修正部分を除いた原案に贊成の諸君の御起立を願います。
    〔贊成者起立〕
#22
○倉石委員長 起立多数。よつて本修正部分を除いた原案は可決いたされました。
 以上で労働組合法案は修正議決いたしました。
 次に労働関係調整法の一部を改正する法律案を議題として採決いたします。
 まず民主自由党吉武惠市君により提案せられました修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔贊成者起立〕
#23
○倉石委員長 起立多数。よつて本修正案は可決されました。
 次に本修正部分を除いた原案に贊成の諸君の御起立を願います。
    〔贊成者起立〕
#24
○倉石委員長 起立多数。よつて本修正部分を除いた原案は可決いたされました。
 次に本日採決いたしました両案についての衆議院規則第八十六條による報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○倉石委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。
 次にただいまの両案についての、本会議討論者の指名をいたしたいと存じますが、その員数等についてお諮りいたします。その数は七名として、委員長において指名いたすことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○倉石委員長 御異議がなければ、さように決定いたしまして、その数は七名とし、
   三浦寅之助君  大矢 省三君
   小川 半次君  春日 正一君
   烏田 末信君  石田 一松君
   石町 久男君を指名いたします。
 次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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